説明

OX2レセプターホモログ

【課題】OX2と命名されたリガンドに対する新規なレセプターホモログを提供すること。
【解決手段】哺乳動物(例えば、霊長類)のOX2のレセプター、精製されたタンパク質およびそのフラグメントをコードする核酸、抗体(ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方)。診断的有用性および治療的有用性の両方のために組成物を使用する方法。本発明はまた、細胞または組織培養細胞の生理機能または発生を調節する方法を提供し、その方法は、細胞を哺乳動物OX2RHのアゴニストまたはアンタゴニストと接触させる工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、免疫系機能を含む、哺乳動物生理学に影響を及ぼすための組成物および方法に関する。詳細には、それは、発生および/または免疫系を調節し得る試薬または方法を提供する。これらの物質の診断的使用および治療的使用もまた記載される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
OX2抗原(OX2)は、胸腺細胞、Bリンパ球、活性化Tリンパ球、ニューロン、内皮細胞、および濾胞性樹状細胞を含む種々の細胞に関して同定された細胞表面タンパク質である。非特許文献1。配列分析は、それが2つの細胞外免疫グロブリン様(Ig様)ドメインおよび短い細胞質ドメインを含む膜貫通タンパク質であるということを示す。非特許文献2。このドメイン構成は、多くの異なる白血球表面タンパク質において共通であり、そして見出される。非特許文献3。これらの型のタンパク質は、しばしば他の細胞の表面上の他のタンパク質と相互作用し、また、Ig様ドメインを有する。
【0003】
OX2抗原の分布は、OX2は、結合パートナー(例えば、OX2レセプター(OX2R))を介してシグナルを、マクロファージ(そのレセプターを発現する(非特許文献4)を含む白血球系統内の細胞およびおそらく単球−マクロファージ系統の他の細胞にリレーするという仮説と一致する。また、OX2は、マクロファージの種々の機能の調節に関係していた。例えば、このシナリオにおいて、ニューロン上のOX2の発現は、OX2Rを発現し得る小グリア細胞と呼ばれる、脳の常在性マクロファージへの情報伝達の直接の手段を確立し得る。なぜなら、それらは、単球−マクロファージ系統から発生するからである。非特許文献5。
【0004】
一般的に、マクロファージの活性化の欠損または激化は、広い範囲の免疫学的疾患および他の疾患の病原性に寄与する。例えば、非特許文献6;非特許文献7;ならびに非特許文献8を参照のこと。
【0005】
また、OX2相互作用タンパク質の同定(例えば、OX2抗原に対するOX2R)は、難しい。なぜなら、その相互作用の親和性はしばしば非常に低いためである。このことは、細胞表面タンパク質(例えば、OX2)の組換え形態と、それらの結合パートナー(partner)(相互作用タンパク質、例えば、OX2R)との結合は、通常の方法による検出が可能であるほど十分に安定ではないということを意味する。従って、CD48とCD2との間の相互作用(両方のパートナーが、それらの細胞外領域に2つのIg様ドメインを含む)は、わずか1秒間の半減期を有する。非特許文献9;および非特許文献10を参照のこと。
【0006】
細胞表面タンパク質の組換え形態(例えば、OX2)は、多数の方法によってマルチバレント(multivalent)が作製され得、そして新規なタンパク質を検出するために使用され得る。OX2は、CD4由来の2つのIg様ドメインのタグを含むように操作される。組換え可溶性タンパク質は、真核生物細胞における従来の発現方法によって発現される。初期の研究において、蛍光ビーズ上のマルチバレント組換えOX2タンパク質とマウスマクロファージとの間の相互作用を観察した。非特許文献4。
【0007】
上記に関わらず、ブロッキング抗体OX89の使用によるマウスマクロファージ上のOX2Rを同定する試みは、成功しなかった。非特許文献4。
【0008】
前述から、OX2様分子に対する新規なレセプターの発見、同定、および理解は非常に有利であることは明白である。本発明は、OX2リガンドおよび関連化合物に対する新たなレセプターホモログならびにそれらの使用のための方法を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Barclay(1981)Immunology 44:727〜736
【非特許文献2】Clarkら、(1985)EMBO J.4:113−118
【非特許文献3】Barclayら、(1997)Leucocyto Antigens Factsbook(第2版)Academic Press、London
【非特許文献4】Prestonら、(1997)Eur.J.Immunol.27:1911−1918
【非特許文献5】PerryおよびGordon(1988)Trend Neurosci.11:273−277
【非特許文献6】McGeeら、(1992編)Oxford Textbook of Pathology Oxford University Press,Oxford
【非特許文献7】LewisおよびMcGee(1992編)The Macrophage IRL Press,Oxford
【非特許文献8】BockおよびGoode(1997編)The Molecular Basis of Cellular Defence Mechanism Wiley&Sons
【非特許文献9】Van der Merweら、(1993)Biochem.Soc.Trans.21:340S
【非特許文献10】Van der merweおよびBarcly(1994)Trends Biochem.Sci.19:345−358
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、例えば、げっし類および霊長類の実施形態において、OX2と命名されたリガンドに対する新規なレセプターホモログに関する。これらは、種々のげっし類種および霊長類種に由来する実施形態にあっては、一般的に、OX2レセプターホモログ(OX2RH)と命名されている。それぞれの種のOX2に実際に結合するように、2つが確立されてきた。詳細には、それは、OX2RH1、OX2RH2、OX2RH3およびOX2RH4と命名されるホモログの説明を提供する。それは、ポリペプチドそれ自身をコードする核酸ならびにそれらの産生および使用のための方法を含む。本発明の核酸は、本明細書に同封されるクローン化された相補的DNA(cDNA)配列に対するそれらの相同性によって、部分的に特徴付けられる。
【0011】
本発明は、OX2とOX2Rとの間の相互作用をブロックするラットマクロファージ上のOX2Rに対する新たなモノクローナル抗体(mAb)(OX102と命名される)を産生した。それらはまた、単離されて、かつ特徴付けられたラットOX2R遺伝子およびポリペプチドを有する。ラットOX2R核酸分子およびポリペプチドについての配列(推定アミノ酸配列)が、本明細書中に提供される。類似タンパク質との類似性によって、本発明者らは、ヒトOX2Rのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、対応するラットOX2R配列と少なくとも50%相同性であるということを教示する。ラットOX2R cDNAおよび推定OX2Rポリペプチド配列の有用性は、公知のヒト配列のスクリーニングまたはハイブリダイゼーションもしくはPCR技術によるヒト核酸の単離のいずれかを介して、等価なヒトOX2R配列の同定を可能にすることである。
【0012】
OX2Rポリペプチドにおける大きな細胞質配列の存在は、OX2Rは、シグナル伝達においてか、または細胞質成分との相互作用を介してかのいずれかで、マクロファージ機能において役割を果たすということを示す。従って、本発明は、OX2Rポリペプチドまたは核酸配列(例えば、OX2R結合部位と反応するように設計される低分子実体、OX2Rに対して惹起されるmAbもしくはアンチセンス配列)を模倣するか、または認識するOX2Rに基づいた試薬を提供し、いずれかの試薬が、OX2および/またはOX2R細胞表面タンパク質を保有する細胞の機能(例えば、マクロファージ、活性化リンパ球、ニューロン、内皮細胞、樹状細胞、胸腺細胞およびBリンパ球のような細胞の機能)を、細胞活性を増強または阻害することのいずれかによって、改変するための治療的に有用な化合物を構成する。従って、OX2Rポリペプチドまたは核酸配列を模倣するか、認識するOX2Rに基づく試薬は、広範な範囲のマクロファージの機能(細菌感染、自己免疫疾患などに対する応答を含む)を制御するための潜在的用途を有する。
【0013】
OX2Rの細胞外ドメインは、OX2との相互作用に関する原因であると考えられているので、本発明者らは、OX2とOX2Rとの間の結合に影響を及ぼす能力(陽性または陰性に)について、候補化合物をスクリーニングする手段を提供する。従って、本発明により提供されるようなOX2Rを使用して、例えば、OX2とOX2Rとの間の相互作用を阻害する化合物を検出し得、それゆえこれはおそらく、マクロファージと免疫系の他の細胞(例えば、リンパ球または濾胞性樹状細胞)との間の相互作用に影響を及ぼす。
【0014】
ラットOX2Rについての核酸およびアミノ酸配列は、表1に示される。本発明の種々の局面は、以下に述べられる。他の局面は、詳細な説明から明らかである。
【0015】
従って、第1の局面において、本発明は、表1に記載されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む物質を提供する。
【0016】
さらなる局面において、本発明は、表1に記載されるアミノ酸配列と少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドを含む物質を提供する。
【0017】
さらなる局面において、本発明は、上記ポリペプチドの変異体、改変体、誘導体または対立遺伝子であるポリペプチドおよび全長OX2Rの特有の性質(例えば、OX2または全長OX2Rに対する抗体と結合する能力)を有するポリペプチドを提供する。
【0018】
さらなる局面において、本発明は、上記ポリペプチドのフラグメント(例えば、表1に記載されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのフラグメント)である物質を提供し、このフラグメントは、全長OX2Rタンパク質の特有の性質を示す。例えば、このフラグメントは、OX2タンパク質と結合し得るか、または全長OX2Rタンパク質に対する抗体と結合し得る。1つの実施形態において、このフラグメントは、OX2Rの細胞内ドメインの一部もしくは全てを含むか、またはそのドメインの活性部分を含む。別の実施形態において、このフラグメントは、OX2Rの細胞外ドメインの一部もしくは全てを含むか、またはそのドメインの活性部分を含む。その細胞外ドメインは、OX2と相互作用するための原因であると考えられるので、細胞外ドメインの一部もしくは全てを含む、本発明に従うそのようなフラグメントは、OX2とOX2Rとの間の結合を妨害する能力について候補化合物をスクリーニングするために使用され得る。
【0019】
従って、本発明は、マクロファージと他の細胞(胸腺細胞、Bリンパ球、活性化Tリンパ球、ニューロン、内皮細胞および濾胞性樹状細胞を含む)との間のOX2/OX2R相互作用を妨害する能力をおそらく有する候補化合物をスクリーニングするための方法および材料を提供する。
【0020】
ポリペプチドおよびフラグメントは、上記のように、組換え体および/または単離されたポリペプチドであり得る。
【0021】
さらなる局面において、本発明は、表1のヌクレオチド配列を有する核酸を含む物質を提供する。本発明はまた、上記ポリペプチドまたはフラグメントをコードする核酸分子を含む物質を提供する。従って、表1は、OX2Rポリペプチドをコードする例示的な核酸分子のcDNA配列を示す。この核酸分子は、表1の核酸配列と、少なくとも50%の配列相同性を有し得る。
【0022】
本発明はまた、表1のコードヌクレオチド配列の一部を有する核酸分子を含む物質を提供する。その物質が表1のコードヌクレオチド配列の一部を含む場合、それはOX2R遺伝子を特徴付ける部分である。従って、その部分は、上記のようなポリペプチドフラグメントをコードし得、これはOX2または全長OX2Rに対する抗体と結合する。あるいは、その部分は、表1のヌクレオチド配列の少なくとも4〜7個の連続コドン、しばしば少なくとも7〜9個の連続コドン、代表的には少なくとも9〜13個の連続コドン、および最も好ましくは、少なくとも20〜30個の連続コドンを含み得る。あるいは、その部分は、表1のポリペプチド配列の少なくとも4〜7個の連続アミノ酸、しばしば少なくとも7〜9個の連続アミノ酸、代表的には少なくともおよそ9〜13個の連続アミノ酸、および最も好ましくは、少なくともおよそ20〜30個の連続アミノ酸をコードし得る。
【0023】
上記の核酸分子は、組換え体であり得、そして/または単離され得る。
【0024】
さらなる局面において、本発明は、本明細書中に提供されるようなOX2R核酸を含むベクター(例えば、OX2R核酸配列がその発現を方向付けるために制御配列と作動可能に連結される、発現ベクター)を提供する。また、そのようなベクターで形質転換された宿主細胞も提供される。本発明はさらに、OX2Rポリペプチドを産生する方法を含み、その方法は、そのような宿主細胞を培養する工程および産生されたOX2Rポリペプチドを単離する工程を包含する。
【0025】
さらなる局面において、本発明は、宿主細胞においてOX2Rを発現させる方法を提供し、その方法は、上記の核酸分子を宿主細胞内へ挿入する工程を含み、そして宿主細胞においてその核酸分子を発現させるための条件を提供する。その方法は、発現ベクターを利用し得る。
【0026】
さらなる局面において、本発明は、上記のOX2Rポリペプチドまたはフラグメントの可溶性形態を含む組成物を提供し、その組成物はまた、必要に応じてアジュバント、薬学的キャリアまたは賦形剤を含む。その組成物を使用して、例えば、OX2Rポリペプチドに対して応答性の抗体を産生し得る。
【0027】
さらなる局面において、本発明は、上記OX2Rポリペプチドおよび核酸分子を、おそらく治療薬として有用である候補化合物をスクリーニングする際の使用のために提供する。本発明は、おそらく細菌感染、自己免疫疾患などの処置のために有用である物質についてスクリーニングする際の上記OX2Rポリペプチドまたはフラグメントの使用を提供する。
【0028】
本発明はまた、OX2以外のOX2Rに対するリガンドの同定のためのOX2Rポリペプチド、ポリペプチドフラグメントおよび核酸の使用を提供する。本発明はまた、OX2の模倣物の設計のためのOX2Rポリペプチド、ポリペプチドフラグメントおよび核酸の使用を提供する。
【0029】
さらなる局面において、本発明は、上記のOX2Rポリペプチド、ポリペプチドフラグメントおよび核酸と特異的に結合し得る抗体、ならびにそのような抗体を含む組成物を提供する。これらの抗体を、アッセイにおいて使用してOX2Rの存在を検出し、そして定量し得、ならびにOX2Rを精製する方法において使用し得る。その抗体はポリクローナル抗体であり得る。好ましくは、その抗体は、IgG抗体であり、より好ましくはモノクローナルIgG抗体である。
【0030】
さらなる局面において、本発明は、結合分子(例えば、OX2とOX2Rとの間の相互作用をブロックし得る1つ以上の抗体ドメインを有する物質)を産生するために、本明細書中で提供されるようなOX2Rポリペプチド、ポリペプチドフラグメントおよび核酸分子の使用を提供する。これらは、細菌感染、自己免疫疾患などの処置のための医薬の調製においておそらく有用である組成物内に含まれ得る。その結合分子が抗体である場合、それらはIgG抗体であり得、好ましくはモノクローナルIgG抗体であり得る。
【0031】
さらなる局面において、本発明は、マクロファージ細胞の集団において、OX2R発現を制限するために、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチドの内部移行および安定化を促進させ得るホスホロチオレート化(phosphorothiiolated)オリゴヌクレオチドまたはコレステロール結合オリゴヌクレオチド)の設計において、上記に定義されるようなOX2R核酸の使用を提供する。
【0032】
さらなる局面において、本発明は、核酸試験サンプルを増幅する方法を提供し、その方法は、本明細書中に提供される配列情報から入手可能なプライマーオリゴヌクレオチドを用いる核酸ポリメラーゼ反応をプライミング(priming)する工程を包含する。その核酸試験サンプルは、ヒトOX2Rをコードする核酸がそのような方法を使用して増幅されるように、ヒト由来であり得る。
【0033】
さらなる局面において、本発明は、ラット以外の種(例えば、ヒトOX2R)に由来するOX2Rの一部または全てをコードする核酸分子を入手する方法を提供し、その方法は、本明細書中に提供される配列情報から入手可能な核酸プローブを用いて目的の種由来の核酸試験サンプルを詳しく調査する工程を包含する。
【0034】
さらなる局面において、本発明は、ラット以外の種(例えば、ヒトOX2R)に由来するOX2Rポリペプチド配列を入手するための方法を提供し、その方法は、本明細書中に提供されるようなOX2Rアミノ酸配列(表1)と少なくとも50%相同であるポリペプチド配列についてデータベースを検索する工程を包含する。同様に、ラット以外の種(例えば、ヒトOX2R)に由来するOX2R核酸配列は、本明細書中に提供されるようなOX2Rヌクレオチド配列と少なくとも50%相同であるヌクレオチド配列についてデータベースを検索することによって入手され得る。
【0035】
本発明はまた、例えば、一本鎖構造多型(SSCP)のような技術を使用して、OX2R遺伝子内の変異についての検索において、本明細書中に提供される核酸配列情報の使用を提供する。
【0036】
本発明は、以下から選択された組成物を提供する:配列番号2のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;配列番号2のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;成熟した配列番号2を含む天然配列げっし類OX2RH1ポリペプチド;ラットOX2RH1配列を含む融合ポリペプチド;配列番号4のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;配列番号4のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;成熟した配列番号4を含む天然配列げっし類OX2RH1ポリペプチド;ヒトOX2RH1配列を含む融合ポリペプチド;配列番号6のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;配列番号6のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;成熟した配列番号6を含む天然配列げっし類OX2RH1ポリペプチド;マウスOX2RH1配列を含む融合ポリペプチド;配列番号8のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;配列番号8のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;成熟した配列番号8を含む天然配列げっし類OX2RH1ポリペプチド;ヒトOX2RH2配列を含む融合ポリペプチド;配列番号10のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;配列番号10のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;成熟した配列番号10を含む天然配列げっし類OX2RH2ポリペプチド;マウスOX2RH2配列を含む融合ポリペプチド;配列番号12のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;配列番号12のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;成熟した配列番号12を含む天然配列げっし類OX2RH3;マウスOX2RH3配列を含む融合ポリペプチド;配列番号20のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;配列番号20のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;成熟した配列番号20を含む天然配列霊長類OX2RH1.2ポリペプチド;霊長類OX2RH1.2配列を含む融合ポリペプチド;配列番号23のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;配列番号23のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;成熟した配列番号23を含む天然配列げっし類OX2RH4ポリペプチド;またはマウスOX2RH4配列を含む融合ポリペプチド。いくつかの好ましい実施形態は、異なる非重複セグメントの同一性が以下:少なくとも8つのアミノ酸のうちの1つを含むか;少なくとも4つのアミノ酸のうちの1つおよび少なくとも5つのアミノ酸のうちからもう1つのアミノ酸を含むか;少なくとも4つ、5つ、および6つのアミノ酸からなる少なくとも3つのセグメントを含むか、または少なくとも12個のアミノ酸のうちの1つを含む、実施形態を含む。他の好ましい実施形態は、以下:a)OX2RH1ポリペプチドが、表1または2の成熟配列を含み;OX2RHポリペプチドの非グリコシル化形態であり;霊長類(例えば、ヒト)由来であり;げっし類(例えば、ラットもしくはマウス)由来であり;配列番号2、4、6または20の少なくとも17個のアミノ酸を含み;配列番号2,4、6、または20の少なくとも7つのアミノ酸からなる少なくとも4つの非重複セグメントを示し;OX2RH1の天然対立遺伝子改変体であるか;少なくともおよそ30個のアミノ酸の長さを有するか;霊長類もしくはげっし類OX2RH1に特異的な少なくとも2つの非重複エピトープを示すか;グリコシル化され;天然のグリコシル化を有する少なくとも30kDの分子量を有するか;合成ポリペプチドであるか;固体基板に付着されているか;別の化学部分と結合体化されているか;天然配列から5倍以下で置換されているか;あるいは天然配列に由来する欠失改変体または挿入改変体であり;b)OX2RH2ポリペプチドが以下:表2の成熟配列を含むか;OX2RH2ポリペプチドの非グリコシル化形態であるか;霊長類(例えば、ヒト)由来であるか;げっし類(例えば、マウス)由来であるか;配列番号8または10の少なくとも17個のアミノ酸を含むか;配列番号8または10の少なくとも7つのアミノ酸からなる少なくとも4つの非重複セグメントを示すか;OX2RH2の天然対立遺伝子改変体であるか;少なくともおよそ30個のアミノ酸の長さを有するか;霊長類もしくはげっし類OX2RH2に特異的な少なくとも2つの非重複エピトープを示すか;グリコシル化されているか;天然のグリコシル化を有する少なくとも30kDの分子量を有するか;合成ポリペプチドであるか;固体基板に付着されているか;別の化学部分と結合体化されているか;天然配列から5倍以下で置換されているか;あるいは天然配列に由来する欠失改変体または挿入改変体であり;c)OX2RH3ポリペプチドが以下:表3の成熟配列を含むか;OX2RH3の非グリコシル化形態であるか;げっし類(例えば、マウス)由来であるか;配列番号12の少なくとも17個のアミノ酸を含むか;配列番号12の少なくとも7つのアミノ酸からなる少なくとも4つの非重複セグメントを示すか;OX2RH3の天然対立遺伝子改変体であるか;少なくともおよそ30個のアミノ酸の長さを有するか;げっし類OX2RH3に特異的な少なくとも2つの非重複エピトープを示すか;グリコシル化されているか;天然のグリコシル化を有する少なくとも30kDの分子量を有するか;合成ポリペプチドであるか;固体基板に付着されているか;別の化学部分と結合体化されているか;天然配列から5倍以下で置換されているか;または天然配列に由来する欠失改変体または挿入改変体であるか;あるいはd)OX2RH4ポリペプチドが以下:表2の成熟配列を含むか;OX2RH4の非グリコシル化形態であるか;げっし類(例えば、マウス)由来であるか;配列番号23の少なくとも17個のアミノ酸を含むか;配列番号23の少なくとも7つのアミノ酸からなる少なくとも4つの非重複セグメントを示すか;OX2RH4の天然対立遺伝子改変体であるか;少なくともおよそ30個のアミノ酸の長さを有すか;げっし類OX2RH4に特異的な少なくとも2つの非重複エピトープを示すか;グリコシル化されているか;天然のグリコシル化を有する少なくとも30kDの分子量を有するか;合成ポリペプチドであるか;固体基板に付着されているか;別の化学部分と結合体化されているか;天然配列から5倍以下で置換されているか;または天然配列に由来する欠失改変体または挿入改変体である。また他の実施形態において、本発明は組成物を提供し、その組成物は以下:a1)実質的に純粋なOX2RH1および別のIgスーパーファミリーメンバー;a2)実質的に純粋なOX2RH2および:別のIgスーパーファミリーメンバー、DAP12またはDAP10;a3)実質的に純粋なOX2RH3および;別のIgスーパーファミリーメンバー、DAP12またはDAP10;a4)実質的に純粋なOX2RH4および;別のIgスーパーファミリーメンバー、DAP12またはDAP10;あるいは滅菌OX2RH1ポリペプチド;滅菌OX2RH2ポリペプチド;滅菌OX2RH3ポリペプチド;滅菌OX2RH4ポリペプチド;OX2RH1、OX2RH2、OX2RH3、またはOX2RH4ポリペプチドおよびキャリアを含み、ここでそのキャリアは、水性化合物(水、生理食塩水、および/または緩衝液を含む)であり;そして/または経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与または非経口投与のために処方される。
【0037】
融合ポリペプチドもまた提供され、例えば、その融合ポリペプチドは以下:表1〜3の成熟タンパク質配列;検出タグもしくは精製タグ(FLAG、His6またはIg配列を含む);または別のIgスーパーファミリータンパク質の配列を含む。キットもまた提供され、例えば、そのキットは、OX2RHポリペプチドおよび;そのタンパク質またはポリペプチドを含む区画(compartment);あるいはそのキット内の試薬の使用または処分についての取扱説明書を含む。
【0038】
本発明はまた、種々の抗体様試薬(異なる種に由来する抗体を含む)を含む。それは、例えば、天然OX2RHポリペプチド(例えば、OX2RH1、OX2RH2、OX2RH3および/またはOX2RH4)と特異的に結合する抗体に由来する抗原結合部位を含む結合化合物を提供し、ここで;その結合化合物が容器内にあるか;そのOX2RHポリペプチドが、げっし類または霊長類由来であるか;その結合化合物がFvフラグメント、FabフラグメントまたはFab2フラグメントであるか;その結合化合物が、別の化学部分と結合体化されているか;あるいはその抗体が表1〜3の成熟ポリペプチドのペプチド配列に対して惹起されるか;成熟OX2RHに対して惹起されるか;精製された哺乳動物OX2RHに対して惹起されるか;免疫選択されるか;ポリクローナル抗体であるか;変性OX2RHと結合するか;抗原に対して少なくとも30μMのKdを示すか;ビーズまたはプラスチック膜を含む固体基板に付着されているか;滅菌組成物内にあるか;あるいは放射性標識または蛍光標識を含み検出可能に標識されている。それによりキットが提供され、例えば、そのキットは、そのような結合化合物および:その結合化合物を含む区画;あるいはそのキット内の試薬の使用または処分についての取扱説明書を含む。また、例えば、抗原:結合化合物または抗原:抗体複合体を産生する方法も提供され、その方法は、適切な条件下において、哺乳動物OX2RHポリペプチドと抗体とを接触させる工程を包含し、それによって複合体が形成することを可能とする。好ましくは、この方法において、その複合体は、他のサイトカインまたはIgスーパーファミリーレセプターから精製されるか;その複合体は、他の抗体から精製されるか;その接触が、哺乳動物OX2を含むサンプルを伴うか;その接触が、抗原の定量的検出を可能にするか;その接触が抗体を含むサンプルを伴うか;あるいはその接触がその抗体の定量的検出を可能にする。関連する組成物(例えば、滅菌結合化合物または結合化合物およびキャリアを含む)が使用可能であり、ここでそのキャリアは、水、生理食塩水および/または緩衝液を含む水性化合物であり;そして/または経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与または非経口投与のために処方される。
【0039】
本発明は、核酸(例えば、OX2RHポリペプチドをコードする、単離された核酸または組換え核酸)をさらに提供し、ここでOX2RHは、哺乳動物由来であるか;またはその核酸は、表1〜3の抗原性ペプチド配列をコードするか;表1〜3の複数の抗原性ペプチド配列をコードするか;天然cDNAコードフラグメントに対して、少なくとも13個のヌクレオチドに渡って同一性を示すか;発現ベクターであるか;複製起点をさらに含むか;天然の供給源に由来するか;検出標識を含むか;合成ヌクレオチド配列を含むか;6kb未満、好ましくは3kb未満であるか;霊長類またはげっし類に由来するか;天然全長コード配列を含むか;OX2RHをコードする遺伝子に対するハイブリダイゼーションプローブであるか;DAP12またはDAP10をさらにコードするか;あるいはPCRプライマー、PCR産物または変異誘発プライマーである。組換え核酸を含む細胞もまた提供され、例えば、ここでその細胞は、原核生物細胞であるか;真核生物細胞であるか;細菌細胞であるか;酵母細胞であるか;昆虫細胞であるか;哺乳動物細胞であるか;マウス細胞であるか;霊長類細胞であるか;またはヒト細胞である。その核酸を含むキットが提供され、例えば、そのキットは、核酸を含む区画;哺乳動物OX2RHポリペプチドをさらに含む区画;あるいはそのキット内の試薬の使用または処分についての取扱説明書を含む。
【0040】
あるいは、本発明は核酸を提供し、その核酸は、30分間40℃および2M未満の塩という洗浄条件下において、配列番号1、3、5、7、9、11、19、または22のコード部分にハイブリダイズするか、または霊長類OX2RH cDNAまたはげっし類OX2RH cDNAに対して少なくともおよそ30ヌクレオチドのストレッチ(stretch)に渡って同一性を示す。好ましくは、その洗浄条件は、50℃および/または500mM塩;または60℃および/または150mM塩であり;そのストレッチは、少なくとも55ヌクレオチドまたは75ヌクレオチドであり;あるいはその核酸は、DAP12ペプチドまたはDAP10ペプチドをさらにコードする。
【0041】
例えば、細胞または組織培養細胞の生理機能または発生を調節する方法といった、他の方法もさらに包含され、その方法は、その細胞を哺乳動物OX2RHのアゴニストまたはアンタゴニストと接触させる工程を包含する。しばしば、その細胞は、OX2RHをコードする核酸で形質転換される。
上記に加えて、本発明は、以下を提供する:
(項目1) 組成物であって、以下:
a1)配列番号2のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
a2)配列番号2のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
a3)成熟した配列番号2を含む、天然配列げっ歯類OX2RH1ポリペプチド;
a4)ラットOX2RH1配列を含む、融合ポリペプチド;
b1)配列番号4のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
b2)配列番号4のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
b3)成熟した配列番号4を含む、天然配列げっ歯類OX2RH1ポリペプチド;
b4)ヒトOX2RH1配列を含む、融合ポリペプチド;
c1)配列番号6のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
c2)配列番号6のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
c3)成熟した配列番号6を含む、天然配列げっ歯類OX2RH1ポリペプチド;
c4)マウスOX2RH1配列を含む、融合ポリペプチド;
d1)配列番号8のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
d2)配列番号8のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
d3)成熟した配列番号8を含む、天然配列げっ歯類OX2RH1ポリペプチド;
d4)ヒトOX2RH2配列を含む、融合ポリペプチド;
e1)配列番号10のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
e2)配列番号10のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
e3)成熟した配列番号10を含む、天然配列げっ歯類OX2RH2ポリペプチド;
e4)マウスOX2RH2配列を含む、融合ポリペプチド;
f1)配列番号12のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
f2)配列番号12のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
f3)成熟した配列番号12を含む、天然配列げっ歯類OX2RH3;
f4)マウスOX2RH3配列を含む、融合ポリペプチド;
g1)配列番号20のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
g2)配列番号20のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
g3)成熟した配列番号20を含む、天然配列霊長類OX2RH1.2ポリペプチド;
g4)霊長類OX2RH1.2配列を含む、融合ポリペプチド;
h1)配列番号23のセグメントと同一である少なくとも4つのアミノ酸からなる少なくとも3つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
h2)配列番号23のセグメントと同一である少なくとも5つのアミノ酸からなる少なくとも2つの異なる非重複セグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドまたは組換えポリペプチド;
h3)成熟した配列番号23を含む、天然配列げっ歯類OX2RH4ポリペプチド;
h4)マウスOX2RH4配列を含む、融合ポリペプチド、
から選択される組成物。
(項目2) 抗体由来の抗原結合部位を含む結合化合物であって、該結合化合物は、項目1に記載の天然OX2RHポリペプチドに特異的に結合し、ここで:
a)該結合化合物が容器内にあるか;
b)該OX2RHポリペプチドが、げっし類または霊長類由来であるか;
c)該結合化合物がFvフラグメント、FabフラグメントまたはFab2フラグメントであるか;
d)該結合化合物が、別の化学部分と結合体化されているか;あるいは
e)該抗体が:
i)表1〜3の成熟ポリペプチドのペプチド配列に対して惹起されるか;
ii)成熟OX2RHに対して惹起されるか;
iii)精製された哺乳動物OX2RHに対して惹起されるか;
iv)免疫選択されるか;
v)ポリクローナル抗体であるか;
vi)変性OX2RHと結合するか;
vii)抗原に対して少なくとも30μMのKdを示すか;
viii)ビーズまたはプラスチック膜を含む固体基板に付着されているか;
ix)滅菌組成物内にあるか;または
x)蛍光標識を含み検出可能に標識されている、
結合化合物。
(項目3) 項目1に記載の前記OX2RHポリペプチドをコードする、単離された核酸または組換え核酸であり、ここで:
a)該OX2RHが、哺乳動物由来であるか;あるいは
b)該核酸が以下:
i)表1〜3の抗原性ペプチド配列をコードするか;
ii)表1〜3の複数の抗原性ペプチド配列をコードするか;
iii)前記セグメントをコードする天然cDNAに対して少なくとも13個のヌクレオチドにわたって同一性を示すか;
iv)発現ベクターであるか;
v)複製起点をさらに含むか;
vi)天然の供給源に由来するか;
vii)検出標識を含むか;
viii)合成ヌクレオチド配列を含むか;
ix)6kb未満、好ましくは3kb未満であるか;
x)霊長類またはげっし類に由来するか;
xi)天然の全長コード配列を含むか;
xii)該OX2RHをコードする遺伝子に対するハイブリダイゼーションプローブであるか;
xiii)DAP12もしくはDAP10をさらにコードし;または
xiv)PCRプライマー、PCR産物、もしくは変異誘発プライマーである、
単離された核酸または組換え核酸。
(項目4) 核酸であって、該核酸は以下:
a)40℃にて30分間および2M未満の塩という洗浄条件下において、配列番号1,3,5,7、9、11、19、または22のコード部分とハイブリダイズするか;あるいは
b)霊長類またはげっし類のOX2RH cDNAに対して、少なくとも約30ヌクレオチドのストレッチにわたって同一性を示す、
核酸。
(項目5) 細胞または組織培養細胞の生理機能または発生を調節する方法であって、該方法は、該細胞を哺乳動物OX2RHのアゴニストまたはアンタゴニストと接触させる工程を包含する、方法。
(項目6) 項目5に記載の方法であって、ここで:
a)該生理機能を調節することが、以下
i)骨髄性機能を増強させることであるか;または
ii)免疫を増強させることであるか;
b)該アゴニストまたは該アンタゴニストが該細胞へのOX2媒介性シグナル伝達を減弱させるか;あるいは
c)該アンタゴニストが、以下:
i)該OX2RHに対する抗体であるか;
ii)可溶性OX2RH構築物であるか;
iii)可溶性OX2RH−Ig融合物であるか;または
iv)OX2Rアンチセンス核酸である、
方法。
(項目7) 項目6に記載の方法であって、ここで:
a)前記生理機能の調節がインビトロにおける骨髄性細胞機能の増強であり、そして前記アンタゴニストがOX2ムテインであるか;または
b)該生理機能の調節が、該アンタゴニストで全身的に処置されている動物における免疫の増強である、
方法。
(項目8) OX2Rに対する非OX2リガンドの同定のための方法であって、該方法はOX2R−Ig融合タンパク質との結合について、OX2ノックアウトマウス由来の遺伝子のライブラリーをスクリーニングする工程、および該融合タンパク質と結合する遺伝子を同定する工程を包含する、方法。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
(概要)
I.一般原理
II.活性
III.核酸
A.コードフラグメント、配列、プローブ
B.変異、キメラ、融合体
C.核酸作製
D.ベクター、細胞含有
IV.タンパク質、ペプチド
A.フラグメント、配列、免疫原、抗原
B.ムテイン
C.アゴニスト/アンタゴニスト、機能的等価物
D.タンパク質作製
V.核酸、タンパク質作製
A.合成
B.組換え
C.天然供給源
VI.抗体
A.ポリクローナル抗体
B.モノクローナル抗体
C.フラグメント;Kd
D.抗イディオタイプ抗体
E.ハイブリドーマ細胞株
VII.OX2RHを定量するためのキットおよび方法
A.ELISA
B.アッセイmRNAコード
C.質的/量的
D.キット
VIII.治療組成物、方法
A.組換え組成物
B.単位用量
C.投与
IX.スクリーニング
X.リガンド
(I.一般原理)
本発明は、哺乳動物(本明細書中の霊長類およびげっし類)のアミノ酸配列およびDNA配列、レセプター様サブユニット分子、これらの命名されたOX2レセプターホモログ(OX2RH)を提供する。これらの遺伝子は、構造的また生物学的のいずれかもしくはその両方において、特有の定義された特性を有する。これらの分子をコードする種々のcDNAを、哺乳動物(例えば、ヒトおよびげっし類)、cDNA配列ライブラリーから入手した。他の哺乳動物(例えば、霊長類、げっし類)または他の対応物もまた所望される。
【0043】
OX2抗原を、モノクローナル抗体(mAb)MRC OX2を使用して、初めにラットにおいて特徴付けた。例えば、McMasterおよびWilliams(1979)Eur.J.Immunol.9:426−423;Barclay(1981)Immunology 44:727−736;Barclay(1981)Immunology 42:593−600;Bukovskyら、(1984)Immunolgy 52:631−640;ならびにWebbおよびBarclay(1984)J.Neurochem.43:1061−1067を参照のこと。フローサイトメトリのために、組織切片または細胞懸濁物の免疫組織化学的(IHC)染色においてこの抗体を使用して、OX2抗原は、広範に種々の細胞(例えば、ニューロン、血管内皮、B細胞、活性化T細胞、濾胞性樹状細胞、平滑筋細胞およびトロホブラスト)によって発現されたということを明らかにした。さらに、ヒトOX2は、正常な脳細胞およびB細胞において発現され得ることは公知である。McCaughanら、(1987)Immunogenetics 25:329−335。MRC OX2(Clarkら、(1985)EMBO J.4:113−118)により認識されるラットタンパク質の特徴付けは、OX2は、2つの細胞外免疫グロブリン(Ig)ドメイン、膜貫通ドメインおよび短いC末端細胞質テール(tail)を含むおよそ248個のアミノ酸から構成されるということを明らかにした。その分子は、6N−結合グリコシル化部位を介してグリコシル化され、それらうちの3つがN末端V様Igドメインに存在し、そしてその他は膜近位C2様Igドメインに存在する。このことは、OX2をIgスーパーファミリー(IgSF)に位置付け、そのIgスーパーファミリーは、CD2、CD48、CD58、CD80、CD86、CD90およびCD147のような分子を有する小さなIgSF分子のサブグループ(sub−group)を形成し、これらは、例えば、Ig可変領域ドメインおよび定常領域ドメイン、膜貫通セグメント、細胞内ドメインならびに特徴的なシステイン残基およびトリプトファン残基間隔に対応する免疫グロブリン様ドメインの存在によって、構造的に特徴付けられる。例えば、Cambellら、(1979)Nature 282:341−342を参照のこと。興味深いことに、CD90はまた、ニューロンによって大いに発現される。Williamsら、(1977)Cold Spring Harb.Svmp.Ouant.Biol.41 Pt 1:51−61。さらに、OX2は、CD80およびCD86の構造的ホモログであったということ(Borrielloら、(1997)J.Immunol.158:4548−4554)ならびにOX2遺伝子が、マウスの第16染色体上のCD80およびCD86をコードするそれらに近接して連結されていたということを示した(Borrielloら、(1998)Mamm.Genome 9:114−118)。CD80およびCD86の両方は、同時刺激として公知のプロセスにおけるリガンドとして役に立ち、従って、おそらく、OX2は、同じようにリガンドとして作用する。OX2抗原は、本明細書中以後、OX2タンパク質またはリガンドOX2として言及される。結合パートナーは、OX2レセプターとして言及される。
【0044】
OX2に対するレセプター(OX2R)を同定するために、マルチバレント試薬を、蛍光ビーズと結合したラットOX2ラットCD4融合タンパク質を使用して、調製した。この試薬は、マウスおよびラットの腹膜マクロファージと結合することが示されており、そしてこの結合は、mAb MRC OX88によってブロックされ得る。Prestonら、(1997)Eur.J.Immunol.27:1911−1981。このmAbは、腹膜および脾臓の両方から単離されたマクロファージと結合することが示されており、そして脾臓切片に対するIHCにおいて、染色は、マクロファージを高い割合で含むことが公知である領域において見出された。
【0045】
OX102と命名された、Barclayのグループにより惹起された二次モノクローナル抗体は、ラット種のマクロファージと結合し、そしてラット腹膜マクロファージに対するOX2分子の結合を特異的に妨げることも示された。OX102分子に結合する物質の単離およびN末端配列決定は、推定OX2レセプター(OX2R)が新規な分子であることを示した。これを、本明細書中に記載されるようにクローン化した。OX102抗体によって認識されるそのタンパク質が確かにレセプターであったということが、OX2分子それ自体(リガンド)に関してこの分子上のより長い細胞質テールの実証によって、支持された。Clarkら、(1985)EMBO J.4:113−118。OX2Rの予備分析は、公知のシグナル伝達分子と一致する明らかなモチーフを示さなかったが、このことはOX2誘導シグナルを媒介する際のこの分子の潜在的役割を除外しない。
【0046】
次いで、マウスホモログを同定し、OX2RH1と命名した。用語OX2Rを、OX2に実際に結合することが立証されたそれらのタンパク質のために留保するべきであるという理由のために、適用される最初の命名は、群1のレセプターホモログである。この分子のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、本明細書中に記載される。
【0047】
利用可能な配列データベースのさらなる分析は、OX2RHの別の異なる形態の存在を明らかにした。その分子は、OX2RH1に対して、推定細胞外Igドメイン構造における有意な相同性を示したが、異なる膜貫通配列および細胞質配列を有していた。これらの形態は、本明細書中においてOX2RH2と命名されており、そしてヒトおよびマウスの実施形態の両方が同定されている。分子の膜貫通部分にある224位(ヒト)および170位(マウス)のリジン(K)部分の存在は、特に注意する。そのような残基は、この分子が、細胞活性化のためにシグナル伝達し得るモチーフを発現することが公知である分子パートナー(例えば、DAP12)と関連するとうことを示唆する。例えば、Lanierら、(1998)Nature 391:703−707;Colonna(1998)Nature 391:642−3;Cambellら、(1999)Int.J.Biochem.Cell.Biol.31:631−636;およびLopez−Botetら、(1999)Curr.Opin.Immunol.11:301−307を参照のこと。さらに、そのようなことは、種々のシグナル伝達経路および関連する生化学を示唆する。例えば、Lanierら、(1998)Immunity 8:693−701;Smithら、(1998)J.Immunol.161:7−10;Gosselinら、(1999)J.Leukoc.Biol.66:165−171;Tomaselloら、(1998)J.Biol.Chem.273:34115−34119;およびMcVicarら、(1998)J.Biol.Chem.273:32934−32942を参照のこと。しかし、全長マウスまたはヒトOX2RH2形態は、さらに単離されるべきである。
【0048】
OX2RH1分子のマウス細胞外領域とラット細胞外領域との間には高い相同性が存在し、これらの両方は、それぞれの種のOX2と結合することが確認されている。従って、ラットおよびマウスOX2RH1実施形態は、機能的にOX2RHとしても適当に言及される。両者は、代表的な細胞外ドメイン構造、膜貫通ドメイン構造および細胞内ドメイン構造を含む。ヒトOX2RH1実施形態を発見した。さらに、ラットおよびマウスOX2RH1の可溶性形態が存在し得る。
【0049】
関連ホモログ(OX2RH2およびOX2RH4と命名されている)もまた、記載されており、マウスおよびヒトにおいて種々の実施形態をもたらす。OX2RH2、H3およびH4実施形態は、膜貫通セグメントにおいて荷電したリジン残基を示す。ヒトOX2RH2実施形態は、シグナル配列を欠失しており、そして、いくつかのゲノム配列イヤマーク(earmark)を示し、このことは、天然ヒトOX2RH2の機能形態が、親密に関連しているはずであるが、提供される配列はわずかに異なることを示唆する。マウスおよびヒトホモログ2および4の機能的関連性には、確認すべきことが残されている。
【0050】
さらなるOX2Rホモログもまた、マウスにおいて見出した。その相同性は、かなり相違するが、それは配列においていくらかの類似性を示す。詳細には、それは、膜貫通領域内にリジン残基を有する。従って、他のOX2RH2、H3、およびH4様分子は、この特徴を示し、それは、例えばDAP12のような会合分子を介してシグナル伝達することが予期される。本実施形態を、本明細書中においてげっし類(例えば、マウス)由来のOX2RH3と命名する。
【0051】
OX2RH1の発現パターンの継続中の分析は、ラット、マウスおよびヒトの白血球において、OX2RH1(OX102抗体および/またはPCR技術によるmRNA発現の分析を用いるフローサイトメトリ染色により決定されるように)は、単球、顆粒球、および肥満細胞によって最も強く発現され、B細胞によりわずかに発現され、そしてT細胞により微弱に発現されるということを示す。このことは、初期の研究における、マクロファージへのリガンドOX2の優先的な結合と一致する。正常なラット中枢神経系において、ある割合の常在性マクロファージ(または小グリア細胞)もまたOX2Rを発現するが、低いレベルである。
【0052】
いくつかの適用可能な標準的方法が記載されるか、または、例えば、Maniatisら、(1982)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold
Spring Harbor Press;Sambrookら、(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、(第2版)、第1〜3巻、CSH Press,NY;Ausubelら、Biology,Greene Publishing Associate,Brooklyn,NY;またはAusubelら、(1987および定期的補遺)Current Protocols
in Molecular Biology,Greene/Wiley,New York;(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)において参照される。
【0053】
げっし類(例えば、ラット)のOX2レセプターホモログ1(OX2RH1)コードセグメントのヌクレオチド(配列番号1)および対応するアミノ酸配列(配列番号2)が表1に示される。同様に、さらなる実施形態において、霊長類(例えば、ヒト)およびげっし類(例えば、マウス)が記載されOX2RH1、1.2、2、および4と命名される。この核酸配列は、配列番号3、19、5、7、9、および22であり;対応するアミノ酸配列は、配列番号4、20、6、8、10、および23であり、これらは表2に示される。表3は、他のげっし類(例えば、マウス)のOX2RH3の配列を提供する(配列番号11および12)。
【0054】
逆翻訳(Reverse translation)核酸配列が、表4に提供される(配列番号:13−14、21、15−17、24、および18)。表5は、ポリペプチド配列のアラインメントおよび数値比較を提供する。
【0055】
表1:げっし類OX2(ホモログ1)のヌクレオチド配列およびポリペプチド配列
【0056】
【表1】




表2:さらなるOX2Rホモログのヌクレオチド配列およびポリペプチド配列
【0057】
【表2】




















表3:げっし類(例えば、マウス)OX2RH3(配列番号11および12)
【0058】
【表3】




表4:OX2Rホモログの逆翻訳
【0059】
【表4】






表5:さまざまな種のOX2Rホモログ1および2のアラインメント
【表5】




OX2RH1および2の実施形態は、互いに特定の類似性を示す(例えば、表5を参照のこと)。目的の特定の領域または位置は、以下である:ラットH1に関しては、cys2、leu33、cys35、ile46、trp48、arg53、pro56、cys58、tyr62、cys74、thr80、trp81、leu91、ile93、his100、gly102、tyr104、gly113、phe115、leu122、val123、pro127、asn136、ala139、val140、cys141、ala143、lys147、pro148、ala149、ile152、trp154、pro156、asn169、thr171、val174、ser176、cys178、glu181、ser186、val188、cys190、ser193、his194、thr196、asn198、leu202、gly215、tyr217、leu237、lys238、およびile304に隣接する(その前、そこに、またはその後ろの)境界。残基の多くは、H1およびH2クラスにわたって保存されている。H2およびH4も同様である。表5を参照のこと。ラットOX2RHにおける目的の特定のドメインは、約cys2からpro127までのC2ドメイン、約glu128からgly215までのC2ドメイン、約tyr217からleu237までのTMセグメント、および約lys238からile304までの細胞内ドメインである。マウスH1の対応するセグメントは、約ser24〜pro150、glu151〜gly231、tyr239〜leu259、およびlys260〜ile326である。マウスH2については、このセグメントは利用可能な配列において、約arg1〜pro74、glu75〜gly155、pro161〜gly182、およびphe183〜thr194に対応する。ヒトH2については、この膜貫通セグメントは、約ala214〜val233およびthr234〜leu250であり、そしてマウスH3においては、約pro119〜gly237(膜間lys228を伴う)、およびphe238〜gly252である。表5はまた、H2およびH4の実施形態のアラインメントを示す。さらなる目的の位置(例えば、フラグメントの境界)は、ラットOX2RH1を有するホモログ群またはこのファミリーのメンバーの種々のサブセットにわたって保存されている位置である。
【0060】
機能的には、ラットおよびマウスH1は、OX2に結合することが示された。このことは、ヒトH1については未だ確認されていないが、容易に試験され得る。H2、H4およびH3群に対して適合するリガンドは、以下に記載される。
【0061】
げっ歯類H3は、予測されるように、DAP12と関連することが示された。組換え発現されたエピトープタグ化DAP12は、シャペロン(chaparone)パートナーの同時発現がない場合、膜結合型ではない。例えば、Bakkerら(1999)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 96:9792−9796を参照のこと。マウスH3は、シャペロンパートナーとして働き得る。しかし、DAP12を通じたシグナル経路は、H3リガンドに結合することを必要とする。このH3リガンドは、未だ同定されていないが、適切なスクリーニングストラテジー(例えば、生化学的または物理的方法)を用いて見出され得る。H2およびげっ歯類H4の配列類似性は、DAP12または(可能であれば)DAP10のいずれかとの類似の関連性を示唆する。
【0062】
マウスH2およびH4およびヒトH2はまた、このような特性を有する可能性が高い(例えば、DAP12(活性化)またはDAP10との関連性)。シグナル伝達経路は、NK細胞上の関連レセプターのいくつかを用いて決定された。例えば、Lanierら(1998)Immunity 8:693−701;Smithら(1998)J.Immunol.161:7−10;Gosselinら(1999)J.Leukoc.Biol.66:165−171;Tomaselloら(1998)J.Biol.Chem.273:34115−34119;およびMcVicarら(1998)J.Biol.Chem.273:32934−32942を参照のこと。細胞外ドメインとH1メンバーとが類似しているので、OX2様遺伝子(特にOX2)は、リガンドであるようである。
【0063】
本明細書中で使用される場合、用語OX2RH1、OX2RH2またはOX2RH4は、例えば表1〜2に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を記載するために使用される。多くの場合、実質的なそのフラグメントは、機能的に等価であるか、または構造的に等価である(例えば、細胞外または細胞内ドメインを含む)。本発明はまた、配列が提供されているそれぞれのOX2RH対立遺伝子のタンパク質改変体を含む(例えば、ムテインまたは可溶性細胞外構築物)。代表的には、このようなアゴニストまたはアンタゴニストは、約10%未満の配列差を示し、従って、これはしばしば、1〜11残基の置換(例えば、2、3、5、7など)を有する。これは、記載されたタンパク質の対立遺伝子改変体および他の改変体(例えば、天然の多型)を含み得る。代表的には、このレセプターは、例えば、少なくとも約100nM、通常は約30nMより良好に、好ましくは約10nMより良好に、そしてより好ましくは約3nMより良好に高親和性を有する対応するよう生物学的リガンドに結合する。この用語はまた、関連する天然に存在する形態(例えば、対立遺伝子、多型改変体、および哺乳動物タンパク質の代謝改変体)をいうために本明細書中で使用される。レセプター複合体の好ましい形態は、リガンド−レセプター相互作用について適切な親和性および選択性を有する適切なリガンドを結合する。
【0064】
本発明はまた、表1〜3におけるアミノ酸配列と実質的なアミノ酸配列相同性を有するタンパク質またはペプチドの組合わせを包含する。これは、比較的少ない置換(例えば、好ましくは約3〜5未満)を有する配列改変体を含む。
【0065】
実質的なポリペプチド「フラグメント」または「セグメント」は、少なくとも約8アミノ酸、一般には少なくとも10アミノ酸、より一般には少なくとも12アミノ酸、しばしば少なくとも14アミン酸、よりしばしば少なくとも16アミノ酸、代表的には少なくとも18アミノ酸、より代表的には少なくとも20アミノ酸、通常は少なくとも22アミノ酸、より通常には少なくとも24アミノ酸、好ましくは少なくとも26アミノ酸、より好ましくは少なくとも28アミノ酸、そして特に好ましい実施形態においては、少なくとも約30以上のアミノ酸のアミノ酸残基のストレッチである。異なるタンパク質の配列またはセグメントは、適切な長さのストレッチにわたって互いに比較され得る。多くの状況において、フラグメントは、インタクトなサブユニットの機能的特性を示し得る。例えば、膜貫通レセプターの細胞外ドメインは、リガンド結合特徴を保持し得、そして可溶性レセプター様複合体を調製するために使用され得る。
【0066】
アミノ酸配列相同性または配列同一性は、残基の適合を最適化することにより決定される。いくつかの比較において、必要であれば、ギャップが導入され得る。例えば、Needlehamら(1970)J.Mol.Biol.48:443−453;Sankoffら(1983)Time Warps,String Edits,and Macromolecules:The Theory and Practice of Sequence Comaparisonの第1章,Addison−Wesley,Reading,MA;ならびにIntelliGenetics,Mountain View,CA;およびUniversity of Wisconsin Genetics Computer Group(GCG),Madison,WIのソフトウェアパッケージを参照のこと;その各々は、本明細書中に参考として援用される。このギャップを、保存的置換を考慮する場合、適合するように変化させる。保存的置換は、代表的には、以下の群内の置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。相同性アミノ酸配列は、レセプターホモログ配列における天然の対立遺伝子改変体および種間改変体を含むことが意図される。代表的な相同性タンパク質またはペプチドは、表1〜3のアミノ酸配列セグメントと50〜100%相同性(ギャップが導入され得る場合)、60〜100%相同性(保存的置換が含まれる場合)を有する。相同性尺度は、少なくとも約70%、一般には少なくとも76%、より一般的には少なくとも81%、しばしば少なくとも85%、よりしばしば少なくとも88%、代表的には少なくとも90%、より代表的には少なくとも92%、通常少なくとも94%、より通常少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、そして特に好ましい実施形態において、少なくとも98%以上である。相同性の程度は、比較されるセグメントの長さとともに変化する。相同性タンパク質またはペプチド(例えば、対立遺伝子改変体)は、表1〜3に記載の実施形態と大部分の生物学的活性を共有する。
【0067】
本明細書中で使用される場合、用語「生物学的活性」は、レセプター様タンパク質による炎症性応答、先天免疫、および/または形態形成発生に対する効果を限定することなく記載するために使用され得る。例えば、これらのレセプターは、ホスファターゼまたはホスホリラーゼ活性を通じたそれらの効果を媒介するようである。これらの活性は、標準的な手順により容易に測定される。例えば、Hardieら(1995編)The Protein Kinase FactBook第1巻および2巻,Academic Press,San Diego,CA;Hanksら(1991)Meth.Enzymol.200:38−62;Hunterら(1992)Cell 70:375−388;Lewin(1990)Cell 61:743−752;Pinesら(1991)Cold Spring Harbor Symp.Ouant.Biol.56:449−463;およびParkerら(1993)Nature 363:736−738を参照のこと。レセプターホモログまたはその部分は、一般的または特異的基質を標識するためにホスフェート標識酵素として有用であり得る。サブユニットはまた、認識抗体を誘発するための機能的免疫原または抗体を結合し得る抗原であり得る。
【0068】
用語リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、およびアナログ(例えば、OX2RHの)は、OX2タンパク質の結合に対する特徴的細胞応答を調節する分子、ならびにリガンド−レセプター相互作用(例えば、アンタゴニストがレセプターホモログまたは抗体の可溶性細胞外ドメインである場合)のより標準的な構造的結合競合特徴を有する分子を含む。細胞応答は、代表的には、レセプターチロシンキナーゼ経路を通じて媒介されるようである。
【0069】
また、レセプターホモログは、このリガンドが結合する天然のレセプターもしくはそのアナログのいずれかとして働く分子、または天然のレセプターの機能的アナログである分子であり得る。機能的アナログは、構造的改変を有するレセプター分子であり得るか、または適切なリガンド結合決定基と相互作用する分子形状を有する全く関連しない分子であり得る。このリガンドはアゴニストまたはアンタゴニストとして働き得る。例えば、Goodmanら(1990編)Goodman & Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics,Pergamon Press,New Yorkを参照のこと。
【0070】
合理的な薬物設計はまた、レセプターホモログ、抗体または他のエフェクターもしくはレセプターホモログ関連実体の分子形状の構造研究に基づき得る。例えば、Herzら(1997)J.Recept.Signal Transduct.Res.17:671−776;およびChaikenら(1996)Trends Biotechnol.14:369−375を参照のこと。エフェクターは、リガンド結合に応答して他の機能を媒介する他のタンパク質、またはレセプターホモログと正常に相互作用する他のタンパク質であり得る。どの部位が特定の他のタンパク質と相互作用するかを決定するための1つの手段は、物理的構造決定(例えば、x線結晶学または二次元NMR技術)である。これらは、アミノ酸残基が分子接触領域を形成するような指針を提供する。タンパク質構造決定の詳細な説明については、例えば、BlundellおよびJohnson(1976)Protein Crystallography,Academic Press,New York(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0071】
(II.活性)
レセプター様タンパク質は、多くの異なる生物学的活性(例えば、細胞増殖を調節する(すなわち、リン酸代謝において)、特異的基質(代表的には、タンパク質)に付加されるか、あるいは除去される)を有する。このようなレセプター様タンパク質は、一般に、炎症性機能、他の先天免疫応答、または形態形成効果の調節を生じる。レセプターホモログは、記載されるように、おそらくリガンドに対する特異的低親和性結合を有する。
【0072】
OX2RH1は、レセプターチロシンキナーゼ経路を通じたレセプターシグナル伝達系路を連想させるモチーフを有する。例えば、Ihleら(1997):Stem Cells 15(補遺1):105−111;Silvennoinenら(1997)APMIS 105:497−509;Levy(1997)Cytokine Growth Factor Review 8:81−90;WinstonおよびHunter(1996)Current Biol.6:668−671;Barrett(1996)Baillieres
Clin.Gastroenterol.10:1−15;およびBriscoeら(1996)Philos.Trans.R.Soc.Lond.B.Biol.Sci.351:167−171を参照のこと。
【0073】
OX2Rホモログの生物学的活性は、代表的には、特異的様式であるが、ときおり非特異的様式で、基質に対するリン酸部分の付加または除去に関連するようである。基質が同定され得るか、または酵素活性についての条件が標準的方法(例えば、Hardieら(1995編)The Protein Kinase
FactBook 第1巻および2巻,Academic Press,San Diego,CA;Hanksら(1991)Meth.Enzymol.200:38−62;Hunterら(1992)Cell 70:375−388;Lewin(1990)Cell 61:743−752;Pinesら(1991)Cold Spring Harbor Symp.Ouant.Biol.56:449−463;およびParkerら(1993)Nature 363:736−738に記載)によりアッセイされ得る。
【0074】
レセプターホモログは、1つ以上の他のタンパク質と組合わさって、機能的複合体を形成し得る(例えば、この複合体は、リガンドを結合するためまたは抗体を調製するために有用であり得る)。これらは、実質的診断用途(検出または定量を含む)を有する。
【0075】
(III.核酸)
本発明は、単離された核酸またはフラグメントの使用を含む。例えば、このフラグメントは、例えば、対応するポリペプチドをコードするように、これらの関連タンパク質または非常に関連するタンパク質あるいはそのフラグメントをコードする。好ましくは、これらのうちの1つは生物学的に活性である。さらに、本発明は、このようなタンパク質または特徴的配列を有するポリペプチドの(例えば、ホモログの)組合わせをコードする単離されたDNAあるいは組換えDNAを含む。代表的には、核酸は、適切な条件下で表1〜3に示される核酸配列セグメントとハイブリダイズし得るが、他の公知のIgスーパーファミリーレセプターの対応するセグメントとはハイブリダイズし得ない。この生物学的に活性なタンパク質またはポリペプチドは、全長タンパク質、またはフラグメントであり得、そして代表的には、非常に相同的な(例えば、表1〜3に示された1つに対して有意な同一性のストレッチを示す)アミノ酸配列のセグメントを有する。さらに、本発明は、OX2Rタンパク質に等価なフラグメントを有するタンパク質をコードする単離された核酸または組換え核酸あるいはそのフラグメントの使用を含む。単離された核酸は、5’および3’隣接においてそれぞれの調節配列を有し得る(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリA付加シグナル、および天然の遺伝子に由来する他のもの)。
【0076】
単離された核酸分子は、天然にはネイティブな配列に付随する他の成分(例えば、由来している種からのリボソーム、ポリメラーゼ、および隣接ゲノム配列)から分離された、実質的に純粋な核酸(例えば、RNA、DNA、または混合ポリマー)である。この用語は、その天然に存在する環境から取り出された核酸配列を含み、そして組換えDNA単離物、もしくはクローニングされたDNA単離物(これらは、このことにより天然に存在する組成物とは区別可能である)および化学的に合成されたアナログまたは異種系により生物学的に合成されたアナログを含む。実質的に純粋な分子は、完全に純粋または実質的に純粋のいずれかでこの分子の単離された形態を含む。
【0077】
単離された核酸は、一般に均質な組成の分子であり得るが、いくつかの実施形態においては、不均質性(好ましくはわずか)を含む。この不均質性は、代表的にはポリマー末端または所望の生物学的機能もしくは活性に重要ではない部分で見られる。
【0078】
「組換え」核酸は、代表的には、その生成方法またはその構造のいずれかによって規定される。その生成方法に対する言及(例えば、プロセスにより生成された産物)において、このプロセスは、組換え核酸技術(例えば、ヌクレオチド配列におけるヒトの介入を含む)の使用である。
【0079】
代表的には、この介入は、インビトロ操作を包含するが、特定の環境下で、これは、より古典的な動物育種技術を包含し得る。あるいは、これは、互いに天然には連続していない2つのフラグメントの融合物を含む配列を生成することによって生成された核酸であり得るが、天然の産物(例えば、それらの天然の状態で見出される天然に存在する変異体)を排除することが意味される。従って、例えば、天然には存在しないベクターで細胞を形質転換することにより生成された産物が含まれ、任意の大部分の合成オリゴヌクレオチドプロセスを用いて誘導された配列を含む核酸も同様である。このようなプロセスは、しばしば、コドンを、同じかまたは保存的アミノ酸をコードするげっ歯類コドンで置換する一方で、代表的には、制限酵素配列認識部位を導入するか、または除去するために行われる。あるいは、このプロセスは、所望の機能の核酸セグメントを共に連結して、一般には利用可能な天然の形態において見出されない機能の所望の組合わせを含む(例えば、融合タンパク質をコードする)1つの遺伝的実体を生成するために行われる。制限酵素認識部位は、しばしば、このような人工的操作の標的であるが、他の部位特異的標的(例えば、プロモーター、DNA複製部位、調節配列、制御配列、または他の有用な特徴)は設計に組み込まれ得る。同様の概念は、組換え(例えば融合物)ポリペプチドについて意図される。これは、ダイマー反復を含む。特に、遺伝コード縮重による、OX2レセプターホモログのフラグメントおよび種々の異なる関連分子からの配列(例えば、他のIgスーパーファミリーメンバー)の融合物に等価なポリペプチドをコードする合成核酸が含まれる。
【0080】
核酸の状況における「フラグメント」は、少なくとも約17ヌクレオチド、一般には少なくとも21ヌクレオチド、より一般には少なくとも25ヌクレオチド、通常には少なくとも30ヌクレオチド、より通常には少なくとも35ヌクレオチド、しばしば少なくとも39ヌクレオチド、よりしばしば少なくとも45ヌクレオチド、代表的には少なくとも50ヌクレオチド、より代表的には少なくとも55ヌクレオチド、普通には少なくとも60ヌクレオチド、より普通には少なくとも66ヌクレオチド、好ましくは少なくとも72ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも79ヌクレオチドの連続するセグメントであり、そして特に好ましい実施形態においては少なくとも85ヌクレオチド以上の連続するセグメントである。代表的には、異なる遺伝子配列のフラグメントは、適切な長さのストレッチ、以下に記載のドメインのような特に規定されたセグメントにわたり互いに比較され得る。
【0081】
OX2Rホモログをコードする核酸は、遺伝子、mRNA、およびcDNA種(これらは、OX2Rホモログ自体、または密接に関連したタンパク質をコードする)、ならびに多型改変体、対立遺伝子改変体または他の遺伝的改変体(例えば、異なる個体または関連種に由来)をコードするDNAを同定するために特に有用である。このようなスクリーニングのための好ましいプローブは、異なる多型改変体の間で保存されているか、または特異性を欠如したヌクレオチドを含むレセプターホモログの領域であり、そして好ましくは、全長またはほぼ全長である。他の状況において、多型改変体特異的配列は、より有用である。定量または特異的配列分析は、疾患または医学的状態についてのマーカーとして、あるいは特定の治療適所値を選択する際に有用であり得る。
【0082】
本発明は、本明細書中で記載される単離されたDNAセットに対して同一な核酸配列またはこのセットに対して非常に相同な核酸配列を有する組換え核酸分子およびフラグメントをさらに含む。特に、この配列は、しばしば、転写、翻訳および/またはDNA複製を制御するDNAセグメントに作動可能に連結される。これらのさらなるセグメントは、代表的には、所望の核酸セグメントの発現を補助する。
【0083】
相同な、または高度に同一性の核酸配列(例えば、OX2RH配列)は、互いに比較される場合、有意な類似性を示す。核酸における相同性についての標準は、配列比較により当該分野で一般に使用される相同性についての尺度、またはハイブリダイゼーション条件に基づくかのいずれかである。匹敵するハイブリダイゼーション条件は、以下により詳細に記載される。
【0084】
核酸配列比較関係における実質的な同一性は、比較すると、適切なヌクレオチド挿入または欠失を有して必要に応じて整列される場合、セグメントまたはそれらの相補鎖が、少なくとも約60%のヌクレオチド、一般には少なくとも66%、通常少なくとも71%、多くの場合少なくとも76%、より多くの場合80%、大抵84%、より大抵88%、典型的には91%、より典型的には少なくとも約93%、好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約96〜98%以上、そして特定の実施形態では約99%以上程度のヌクレオチド(例えば、以下に記載されるセグメントのような構造ドメインをコードするセグメントが挙げられる)であることのいずれかを意味する。あるいは、典型的には表1〜3から導かれる配列を使用して、このセグメントが選択的なストリンジェントな条件下で鎖またはその相補鎖にハイブリダイズする場合、実質的な同一性が存在する。典型的には、選択的なハイブリダイゼーションは、少なくとも約14ヌクレオチドの伸長にわたる少なくとも約55%の相同性、より典型的には少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約75%、そしてより好ましくは少なくとも約90%である場合に生じる。Kanehisa(1984)Nucl.Acids Res.12:203−213(これは、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。記載されるように、相同性比較の長さは、より長い伸長を超え得、そして特定の実施形態では、少なくとも約17ヌクレオチド、一般には少なくとも約20ヌクレオチド、通常少なくとも約24ヌクレオチド、大抵少なくとも約28ヌクレオチド、典型的には少なくとも約32ヌクレオチド、より典型的には少なくとも約40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌクレオチドそしてより好ましくは少なくとも約75〜100以上のヌクレオチドの伸長を超える。これは、例えば、125、150、175、200、225、246、273、300、325、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900および他の長さを含む。
【0085】
ストリンジェントな条件は、ハイブリダイゼーションの関係における相同性に関して、塩、温度、有機溶媒およびハイブリダイゼーション反応において典型的に制御される他のパラメーターの、ストリンジェントな組み合わせ条件である。ストリンジェントな温度条件は、大抵約30℃を超え、より大抵は約37℃を超え、典型的には約45℃を超え、より典型的には約50℃を超え(例えば、55℃または60℃)、好ましくは約65℃を超え、そしてより好ましくは約70℃を超える温度を含む。ストリンジェントな塩条件は、通常約1M未満、より通常は約500mM未満、大抵約400mM未満、より大抵は約300mM未満、典型的には約200mM未満、好ましくは約100mM未満、そしてより好ましくは、約80mM未満(例えば、50mM未満、約20mM未満にもなお下がる)である。しかし、パラメーターの組み合わせは、任意の1つのパラメーターの測定よりも非常に重要である。例えば、WetmurおよびDavidson(1968)J.Mol.Biol.31:349−370(これは本明細書中で参考として本明細書により援用される)を参照のこと。
【0086】
単離されたDNAは、ヌクレオチド置換、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド挿入およびヌクレオチド伸長の逆転により容易に改変され得る。これらの改変は、一般には、このタンパク質またはその誘導体をコードする新規DNA配列を生じる。これらの改変された配列は、変異体タンパク質(ムテイン)を産生するため、または変種の発現を増強するために使用され得る。タンパク質またはそのフラグメントの所定の変異または部位特異的変異を含むこのような変異体OX2Rホモログ誘導体としては、遺伝コードの縮重を使用するサイレントな変異体が挙げられる。本明細書中で使用される場合、「変異体OX2レセプターホモログ」は、上記のようなOX2レセプターホモログの定義とは別に分類されるポリペプチドを意図するが、欠失、置換または挿入の様式に関わらず、天然に見出されるような他のIgスーパーファミリーのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する。特に「部位特異的変異体OX2レセプターホモログ」は、表1〜3のタンパク質との実質的な配列同一性を有するタンパク質を意図し、そして典型的には、本明細書中で開示される形態の生物学的活性または生物学的効果(例えば、免疫原性)のいくつかまたはそのほとんどを共有する。
【0087】
部位特異的変異部位は、予め決定されるが、変異が部位特異的である必要はない。哺乳動物OX2レセプターホモログ変異誘発は、発現と合わされた、遺伝子におけるアミノ酸挿入または欠失を作製することにより達成され得る。置換、欠失、挿入または多くの組み合わせが生成され得、最終構築物に達し得る。挿入は、アミノ末端融合またはカルボキシ末端融合を含む。次いで、無作為な変異誘発は、標的コドンにおいて誘導され得、そして発現された哺乳動物OX2RH変異体は、次いで所望の活性についてスクリーニングされ得、構造−活性の関係のいくつかの局面を提供し得る。既知の配列を有するDNAにおける所定の部位において置換変異を作製するための方法(例えば、M13一次変異原性による)は、当該分野で周知である。Sambrookら(1989)およびAusubelら(1987および定期的な補遺)をも参照のこと。
【0088】
DNAにおける変異は、正常には、リーディングフレームの外のコード配列に位置すべきではなく、そして好ましくは、ハイブリダイズしてループまたはヘアピンのような二次的なmRNA構造を作製する相補領域を作成しない。
【0089】
ホスホラミダイト法(BeaucageおよびCarruthers(1981)Terta.Letts.22:1859−1862により記載される)は、適切な合成DNAフラグメントを作製する。二本鎖フラグメントは、しばしば、相補鎖を合成しそして適切な条件下で一緒に鎖をアニーリングすることによるか、または適切なプライマー配列と共にDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を添加することのいずれかにより得られる。
【0090】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、しばしば、変異誘発において適用され得る。あるいは、変異誘発プライマーは、所定の部位において規定された変異を生成するための方法に通常使用される。例えば、Innisら(1990,編)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press,San Diego,CA;ならびにDieffenbachおよびDveksler(1995;編)PCR Primer:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,CSH,NY.を参照のこと。
【0091】
本発明の特定の実施形態は、記載されるレセプターホモログまたはリガンド配列を含む組み合わせ化合物に関する。他の実施形態では、配列の機能部分は、融合タンパク質をコードするように接続され得る。他の形態では、記載する配列の変異体が、置換され得る。
【0092】
(IV.タンパク質、ペプチド)
上記のように、本発明は、哺乳動物OX2RHポリペプチド(例えば、その配列は、表1〜3に開示されかつ上に記載される)を含む。対立遺伝子変異体および他の改変体ポリペプチドもまた意図され、これらとしては、例えば、他の配列(例えば、エピトープタグ、機能ドメインおよびDAP12またはDAP10の配列を含む配列)を有するこのような配列の部分と結合される、融合タンパク質が挙げられる。
【0093】
本発明はまた、組換えタンパク質(例えば、これらの霊長類またはげっ歯類のタンパク質由来のセグメントを使用する異種融合タンパク質)を提供する。異種融合タンパク質は、天然においては同じ様式では正常に融合しないタンパク質またはセグメントの融合物である。従って、2つのOX2RHの融合産物は、代表的なペプチド連結において融合される配列を有する連続するタンパク質分子であり、代表的には、単一の翻訳産物として作成され、そして特性(例えば、各供給源ペプチドに由来する配列または抗原性)を示す。同様の概念が異種核酸配列に適用される。種々の、複合体へと設計されたタンパク質の組み合わせもまた提供され得る。
【0094】
さらに、新規の構築物は、他の関連するタンパク質(例えば、種の改変体を含むレセプターを含む他のITIM、ITAM、またはYxxMモチーフ)由来の同様の機能または構造ドメインを組み合わせることから作製され得る。例えば、リガンド結合セグメントまたは他のセグメントは、異なる新規の融合ポリペプチドまたはフラグメントの間で「交換(swapped)」され得る。例えば、Cunninghamら(1989)Science 243:1330−1336;およびO’Downら(1988)J.Biol.Chem.263:15985−15992(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。従って、特異性の新規の組み合わせを示す新規のキメラポリペプチドは、レセプター−結合特異性の機能的連結から生じ得る。例えば、他の関連するレセプターホモログ分子由来のリガンド結合ドメインは、このタンパク質または関連するタンパク質のほかのドメインについて付加されてもよいしまたは置換されてもよい。得られるタンパク質は、しばしばハイブリッド機能および特性を有する。例えば、融合タンパク質は、標的ドメインを含み得、このドメインは、特定の細胞下のオルガネラに融合タンパク質の隔絶を提供するように機能し得る。
【0095】
候補融合パートナーおよび配列は、種々の配列データベース(例えば、GeneBank,c/o IntelliGenetics,Mountain View,CA;およびBCG,University of Wisconsin Biothchnology Computing Group,Madison,WI(これらは、各々、本明細書中で参考として援用される))から選択され得る。特に、表1〜3において提供されるポリペプチド配列の組み合わせは、特に好ましい。特性の種々の形態は、記載される組み合わせにおいて置換され得る。
【0096】
本発明は、特にムテインを提供する。このムテインは、OX2様リガンドに結合し、そして/またはシグナル伝達に影響する。OX2レセプターホモログファミリーの種々のメンバーの構造アラインメントは、保存された特色/残基を示す。例えば、表5を参照のこと。OX2Rホモログ配列のアライメントは、種々の構造の特色および機能的に共有された特色を示す。Bazanら(1996)Nature 379:591;Lodiら(1994)Science 263:1762−1766;SayleおよびMilner−White(1995)TIBS 20:374−376;ならびにGronenbergら(1991)Protein Engineering 4:263−269もまた参照のこと。
【0097】
マウス配列またはヒト配列を伴う置換が特に好ましい。逆に、リガンド結合相互作用領域から離れた保存的置換は、恐らくほとんどのシグナル伝達活性を保存し;そして細胞内ドメインから離れた保存的置換は、恐らくほとんどのリガンド結合特性を保存する。
【0098】
哺乳動物OX2RHの「誘導体」としては、アミノ酸配列変異体、グリコシル化改変体、代謝誘導体および他の化学部分との共有結合体または凝集接合体が挙げられる。共有結合誘導体は、例えば、当該分野で周知の手段により、OX2RHアミノ酸側鎖かまたはN末端もしくはC末端において見出される基への官能基の連結により調製され得る。これらの誘導体は、限定することなく、脂肪族エステルまたはカルボキシル末端のアミドもしくはカルボキシル側鎖を含む残基のアミド、水酸基含有残基のO−アシル誘導体、ならびにアミノ末端のアミノ酸またはアミノ基含有残基(例えば、リジンまたはアルギニン)のN−アシル誘導体が挙げられる。アシル基は、C3〜C18の通常のアルキルを含むアルキル部分の基から選択され、これによりアルカノイルアロイル種を形成する。
【0099】
特に、グリコシル化変更が含まれ、例えば、その合成およびプロセシングの間、またはさらなるプロセシング工程においてポリペプチドのグリコシル化パターンを改変することにより為される。このことを達成するための特に好ましい手段は、このようなプロセシングを正常に提供する細胞由来のグリコシル化酵素(例えば、哺乳動物グリコシル化酵素)にポリペプチドを曝すことによる。脱グリコシル化酵素もまた、意図される。同じ初期のアミノ酸配列のバージョンもまた含まれる。このアミノ酸配列は、他の少数の改変(リン酸化アミノ酸残基(例えば、リン酸チロシン、リン酸セリンまたはリン酸スレオニン)が挙げられる)を有する。
【0100】
誘導体の主な群は、レセプターホモログまたはポリペプチドの他のタンパク質を有するそれらのフラグメントの共有結合接合体である。これらの誘導体は、N末端融合またはC末端融合のような組換え培養物中または当該分野で公知の薬剤(反応性側鎖を介する架橋タンパク質におけるそれらの有用性のために)の使用により合成され得る。架橋剤との好ましい誘導体化部位は、遊離アミノ基、炭化水素部分およびシステイン残基に存在する。
【0101】
レセプターホモログと他のホモログまたは同種タンパク質との間の融合ポリペプチドもまた提供される。同種ポリペプチドは、異なるレセプター間で融合され得、例えば、複数の異なるOX2関連リガンドについての結合特異性を示すハイブリッドタンパク質または基質効果の幅広化されたか弱められた特異性を有し得るレセプターを生じ得る。同様に、異種融合物が構築され得、これは、誘導体タンパク質の特性または活性の組み合わせを示す。典型的な例は、レセプターポリペプチドの融合(例えば、レセプターのセグメントまたはドメイン(例えば、リガンド結合セグメント)を有するルシフェラーゼ)であり、その結果、所望のリガンドの存在または位置が容易に決定され得る。例えば、Dullら、米国特許代4,859,609号を参照のこと(これは本明細書により参考として本明細書中で援用される)。他の遺伝子融合パートナーとしては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GTS)、細菌性β−ガラクトシダーゼ、trpE、プロテインA、β−ラクタマーゼ、αアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼおよび酵母α接合因子が挙げられる。例えば、Godowskiら(1988)Science 241:812−816を参照のこと。標識タンパク質はしばしば、タンパク質の記載される組み合わせにおいて置換される。
【0102】
BeaucageおよびCarruthers(1981)Tetra.Letts.22:1859−1862により記載されるホスホロアミダイド方法は、適切な合成DNAフラグメントを生成する。二本鎖フラグメントは、しばしば、相補鎖を合成しそして適切な条件下で鎖を一緒にアニーリングするか、または適切なプライマー配列を有するDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を添加するかのいずれかにより得られる。
【0103】
このようなポリペプチドはまた、リン酸化、硫酸化、ビオチン化、または他の部分の付加もしくは除去により化学的に改変されたアミノ酸残基(特に、リン酸基に類似する分子の形を有する部分を有するアミノ酸残基)を有し得る。いくつかの実施形態では、この改変は、有用な常識試薬であるか、または精製標的(例えば、アフィニティーリガンド)として機能する。
【0104】
融合タンパク質は、典型的には組換え核酸法かまたは合成ポリペプチド法のいずれかにより作成され得る。核酸操作および発現のための技術は、一般的には例えば、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory
Manual(第2版)第1〜3巻、Cold Spring Harbor LaboratoryおよびAusubelら(1987編、および定期的な補遺)Current Protocols in Molecular Biology,Greene/Wiley,New York(これらは、各々、本明細書中で参考として援用される)に記載される。ポリペプチドの合成のための技術は、例えば、Merrifield(1963)J.Amer.Chem.Soc.85:2149−2156;Merrifield(1986)Science 232:341−347;およびAthertonら(1989)Solid Phase Peptide Syntheses:A Practical Approach,IRL Press,Oxford(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)に記載される。より大きいポリペプチドを作成するための方法については、Dawsonら(1994)Science 266:776−779もまた参照のこと。
【0105】
本発明はまた、アミノ酸配列における改変またはグリコシル化ではなく、OX2RHの誘導体の使用を意図する。このような誘導体は、化学部分との共有結合的な会合または凝集会合を含み得る。これらの誘導体は、一般に以下の3つのクラスに分類される;(1)塩、(2)側鎖および末端残基の共有結合改変体、ならびに(3)吸着複合体(例えば、細胞膜との吸着複合体)。このような共有結合誘導体または凝集誘導体は、免疫原として、免疫アッセイにける試薬としてまたは免疫アッセイまたは精製方法(例えば、レセプターまたは他の結合分子(例えば、抗体)のアフィニティー精製)において有用である。例えば、OX2リガンドは、OX2RH、抗体または他の類似の分子のアッセイまたは精製における使用のために、当該分野で周知の方法により、固体支持体(例えば、臭化シアン活性化セファロース)に共有結合により固定され得るか、またはポリオレフィン表面上にグルタルアルデヒド架橋を伴ってかまたは伴わずに吸着され得る。リガンドはまた、診断アッセイにおける使用のために、検出可能な基(例えば、クロラミンT手順により放射性標識された基、希土類キレートに共有結合された基、または他の蛍光部分と結合体化された基)で標識され得る。
【0106】
本発明の組み合わせ(例えば、OX2RHが挙げられる)は、例えば、他のOX2レセプターホモログ間を識別し得る抗血清または抗体特異性の産生のための免疫原としてか、または所望の組み合わせ特異性についての免疫原として使用され得る。このOX2RHを使用して、タンパク質を含む種々の形態の不純な調製物での免疫により調製されるモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントをスクリーニングし得る。特に、用語「抗体」はまた、天然の抗体のフラグメント(例えば、Fab、Fab2、Fvなど)に結合する抗原を意図する。精製されたOX2RHはまた、内在性レセプターホモログに対する抗体の産生を生じる上昇したレベルの発現または免疫学的障害の存在に対する応答において生成する抗体を検出する試薬として使用され得る。さらに、OX2RHフラグメントはまた、直下に記載されるように本発明の抗体を産生するための免疫原として機能し、。例えば、本発明は、表1〜3において示されるアミノ酸配列、それらのフラグメントまたは種々の相同ペプチドもしくはサブセットに対する結合親和性を有する抗体、あるいはそれらに対して誘起された抗体を意図する。特に、本発明は、特定のフラグメントに対する結合親和性を有するか、または特定のフラグメントに対して誘起された抗体を意図し、この特定のフラグメントは、ネイティブなOX2RHのタンパク質の外側表面において曝されたことが推定されるか、実際に曝される。タンパク質の組み合わせの複合体はまた有用であり、そしてそれらに対する抗体調製物が作成され得る。
【0107】
レセプターリガンドに対する生理学的応答のブロッキングは、恐らくは競合阻害を介してか、または多分、抗体結合に起因するレセプター発現の下方制御を介して、レセプターへのリガンドの結合の阻害から生じ得る。従って、本発明のインビトロアッセイは、しばしば、これらの抗体もしくはこれらの抗体の抗原結合セグメントまたは固相基質に付着されたフラグメントを使用する。これらのアッセイはまた、リガンド結合領域の変異および改変、または他の変異および改変(例えば、シグナル伝達もしくは酵素機能に影響する変異および改変)のいずれかの効果の診断的決定を可能にする。
【0108】
本発明はまた、競合的薬物スクリーニングアッセイ(例えば、リガンドまたは他の抗体への結合について、試験化合物と競合するレセプター複合体またはフラグメントに対する抗体を中和するアッセイ)の使用を意図する。この様式で、中和抗体またはフラグメントを使用して、レセプターに対する1以上の結合部位を共有するポリペプチドの存在を検出し得る。そしてまたこれを使用して、リガンドとそれ以外に結合し得るレセプター上の結合部位を占有する。
【0109】
(V.核酸およびタンパク質の作製)
タンパク質コードするDNAまたはそのフラグメントは、化学合成、cDNAライブラリーのスクリーニング、または幅広い種々の細胞株または組織サンプルから調製されるゲノムライブラリーのスクリーニングによって得られ得る。天然の配列は、標準的な方法を使用して単離され得、そしてその配列は、本明細書中において、例えば、表1〜3に提供され得る。逆翻訳配列は、表4に提供される。他の種の対の部分は、ハイブリダイゼーション技術、または種々のPCR技術によって、配列データベース(例えば、GenBank)と組み合わせて、またはこれらのデータベースから探すことによって同定され得る。抗体は、種の対応部分に対する発現クローニングの試みにおいて使用され得る。
【0110】
このDNAは、全長レセプターまたはフラグメント(これは、例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を生成するために使用され得る)の合成のため;結合研究のため;改変リガンド結合ドメインまたはキナーゼ/ホスファターゼドメインの構築および発現のため;および構造/機能研究のために幅広い種々の宿主細胞において発現され得る。改変体またはフラグメントは、適切な発現ベクターを用いて形質転換されるかまたはトランスフェクトされる宿主細胞において発現され得る。これらの分子は、タンパク質または細胞性混入物、組換え宿主から誘導されるもの以外のものを実質的に含み得ず、従って、薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤と組み合わせた場合、薬学的組成物において特に有用である。タンパク質、またはその部分は、他のタンパク質の融合物として発現され得る。記載のタンパク質、またはそれらをコードする核酸の組み合わせは、特に興味深い。
【0111】
発現ベクターは、典型的には、所望のレセプターホモログ遺伝子またはそのフラグメントを含む自己複製DNAまたはRNA構築物であり、通常、適切な宿主細胞において認識される適切な遺伝子制御エレメントに作動可能に連結される。これらの制御エレメントは、適切な宿主内で発現を行い得る。複数の遺伝子が協調的に発現され得、ポリシストロニックメッセージ上に存在し得る。発現を行うのに必要な特定のタイプの制御エレメントは、使用される最終的な宿主細胞に依存する。一般的に、遺伝子制御エレメントは、原核生物プロモーター系または真核生物プロモーター発現制御系を含み得、典型的には、転写プロモーター、転写の開始を制御するための任意のオペレータ、mRNA発現のレベルを高めるための転写エンハンサー、適切なリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および翻訳を終結する配列を含む。発現ベクターはまた、通常、複製起点を含み、この複製起点によってベクターが宿主細胞に独立して複製し得る。
【0112】
本発明のベクターは、上記のようなタンパク質の組み合わせ、または生物学的に活性な等価なポリペプチドをコードするDNAを含むベクターである。DNAは、ウイルスプロモーターの制御下であり得、選択マーカーをコードし得る。本発明は、さらに原核生物宿主または真核生物宿主においてこのようなタンパク質をコードする原核生物cDNAを発現し得るような発現ベクターの使用を意図し、ここで、このベクターは、宿主と適合性であり、そして真核生物cDNAは、ベクターを含む宿主の増殖が問題のcDNAを発現するようにベクターに挿入される。通常、発現ベクターは、それらの宿主細胞における安定な複製のため、または細胞当たりの所望の遺伝子の総コピー数を大きく増加させるための増幅のために設計される。発現ベクターが宿主細胞において複製されることは、必ずしも必要ではない。例えば、宿主細胞によって認識される複製起点を含まないベクターを使用して種々の宿主においてタンパク質またはそのフラグメントの一過性発現を行うことが可能である。タンパク質をコードするタンパク質を宿主DNAに組換えによって組み込ませるベクターを使用することもまた可能である。
【0113】
ベクターは、本明細書で使用される場合、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組込み可能DNAフラグメント、およびDNAフラグメントを宿主のゲノムに組込み得る他のビヒクルを含む。発現ベクターは、作動可能に連結された遺伝子の発現を行う遺伝子制御エレメントを含む特殊化されたベクターである。プラスミドは、最も通常使用される形態のベクターであるが、等価な機能に役立ち、当該分野において公知であるか、公知になる他の形態のベクターの全てが本明細書中での使用に適切である。例えば、Pouwelsら、(1985 and Supplements)Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,N.Y.,およびRodriguezら、(編、1988)Vectors:A Survey of Molecular Clonig Vectors and Their Uses,Buttersworth,Bostonを参照のこと。これらは本明細書中において参考として援用される。
【0114】
形質転換された細胞は、組換えDNA技術を使用して構築されたベクターを用いて形質転換されたかまたはトランスフェクトされた細胞(好ましくは、哺乳動物)である。形質転換された宿主細胞は、通常、所望のタンパク質を発現するが、そのDNAをクローニング、増幅、および操作するために、対象のタンパク質を発現する必要はない。本発明は、さらに、形質転換された細胞を栄養性培地において培養する工程、従って、タンパク質を蓄積させる工程を包含する。タンパク質は、培養物から、または特定の場合には、培養培地からのいずれかから回収され得る。
【0115】
本発明の目的のために、核酸配列は、それらが互いに機能的に関連する場合、作動可能に連結する。例えば、プレシークエンス(presequence)または分泌リーダーに対するDNAは、ポリペプチドを細胞膜に指向させる際またはポリペプチドの分泌の際に、プレタンパク質として発現されるかまたは関与する場合、ポリペプチドに作動可能に連結される。プロモーターは、ポリペプチドの転写を制御する場合、コード配列に作動可能に連結され;リボソーム結合部位は、翻訳を可能にするように位置付けられる場合、コード配列に作動可能に連結される。通常、作動可能に連結されるとは、連続し、リーディングフレーム内にであることを意味するが、抑制遺伝子のような特定の遺伝子エレメントは、連続的に連結されないが、オペレータ配列に結合し、次いで、これは発現を制御する。 適切な宿主細胞には、原核生物細胞、下等真核生物細胞、および高等真核生物細胞が挙げられる。原核生物には、グラム陰性生物およびグラム陽性生物の両方、例えば、E.coli.およびB.subtilisが挙げられる。下等真核生物には、酵母(例えば、S.cerevisiaeおよびPinchia)ならびにDictyostelium属の種が挙げられる。高等真核生物には、非哺乳動物起源(例えば、昆虫細胞、および鳥類)と哺乳動物起源(例えば、ヒト、霊長類、およびげっ歯類)との両方の動物細胞由来の、樹立組織培養細胞株が挙げられる。
【0116】
原核生物宿主−ベクター系は、多くの異なる種に対する幅広い種々のベクターを含む。E.coliおよびそのベクターが記載されるが、等価なベクターおよび宿主が、一般的に置換され得る。DNAを増幅するための代表的なベクターは、pBR322またはその誘導体の多くである。レセプターホモログまたはそのフラグメントを発現するために使用され得るベクターには、以下が挙げられるがこれらに限定されない:lacプロモーター(pUCシリーズ);trpプロモーター(pBR322−trp);Ippプロモーター(pINシリーズ);λ−pPまたはpRプロモーター(pOTS);またはptac(pDR540)のようなハイブリッドプロモーターを含むようなベクター。Brosiusら、(1998)「Expression Vectors Employing Lambda−、trp−、lac−、and Ipp−derived Promotors」、Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses(編、RodriguezおよびDenhardt)、Buttersworth,Boston,Chapter 10、205−236頁を参照のこと。これは、本明細書中に参考として援用される。
【0117】
下等真核生物(例えば、酵母およびDictyostelium)は、ベクターを含むOX2RH配列によって形質転換され得る。最も一般的な下等真核生物は、パン酵母、Saccharomyces cerevisiaeである。多くの他の菌株および種がまた利用可能であるが、これは、下等真核生物を例示するために使用される。酵母ベクターは、典型的に、複製起源(組込み型でない場合)、選択遺伝子、プロモーター、レセプターホモログまたはそのフラグメントをコードするDNA、ならびに翻訳終結、ポリアデニル化および転写終結のための配列からなる。酵母についての適切な発現ベクターには、3−ホスホグリセレートキナーゼのような構成性プロモーター、および種々の他の解糖酵素遺伝子プロモーターまたはアルコールデヒドロゲナーゼ2プロモーターまたはメタロチオネイン(metallothionine)プロモーターのような誘導性プロモーターが挙げられる。適切なベクターには、以下のタイプの誘導体が挙げられる:自己複製低コピー数(例えば、YRpシリーズ)、自己複製高コピー数(例えば、YEpシリーズ);組込みタイプ(例えば、YIpシリーズ)またはミニ染色体(例えば、YCpシリーズ)。
【0118】
高等真核組織培養細胞は、通常、機能的に活性なOX2RHタンパク質の発現について好ましい宿主細胞である。特に、多くの高等真核生物組織培養細胞株(例えば、昆虫バキュロウイルス発現系)は、無脊椎供給源か脊椎動物供給源かに関わらず、操作可能である。しかし、哺乳動物細胞が好ましい。このような細胞の形質転換またはトランスフェクションおよび増殖は、慣用的な手順である。有用な細胞株の例には、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、乳児ラット腎臓(BRK)細胞株、昆虫細胞株、トリ細胞株、およびサル(COS)細胞株が挙げられる。このような細胞株についての発現ベクターは、通常、複製起源、プロモーター、翻訳開始部位、RNAスプライス部位(ゲノムDNAが使用される場合)、ポリアデニル化部位、および転写終結部位が挙げられる。これらのベクターはまた、通常、選択遺伝子または増幅遺伝子を含む。適切な発現ベクターは、例えば、アデノウイルス、SV40、パルボウイルス、ワクシニア、ウイルス、またはサイトメガロウイルスからのような供給源から誘導されるプロモーターを保有するプラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスであり得る。適切な発現ベクターの代表的な例としては、pCDNA1;pCD(Okayamaら、(1985)Mol.Cell Biol.5:1136−1142;pMC1neo PolyA(Thomasら、(1987)Cell 51:503−512;およびpAC373またはpAC610のようなバキュロウイルスベクターが挙げられる。
【0119】
分泌されたタンパク質およびいくつかの膜タンパク質について、オープンリーディングフレームは、通常、そのN末端において単一のペプチドに共有結合的に連結される成熟産物または分泌産物からなるポリペプチドをコードする。シグナルペプチドは、成熟、または活性なポリペプチドの分泌の前に切断される。切断部位は、経験則から高い程度の正確性でもって予測され得る。例えば、von−Heijne(1986)Nucleic Acids Research 14:4683−4690、およびNielsenら、(1997)Protein Eng.10:1−12。単一のペプチドの正確なアミノ酸組成は、しばしば、その機能に対して決定的であるようではない。例えば、Randallら、(1989)Science243:1156−1159;Kaiserら、(1987)Science 235:312−317。本発明の成熟タンパク質は、標準的な方法を使用して容易に決定され得る。
【0120】
特定または規定のグリコシル化パターンを提供する系においてこれらのペプチドを発現することが、しばしば望ましい。この場合、通常のパターンは、発現系によって天然に提供されるパターンである。しかし、このパターンは、ポリペプチド(例えば、グリコシル化されていない形態)を、異種発現系に導入された適切なグリコシル化タンパク質に曝露することによって改変可能である。例えば、OX2RH遺伝子は、哺乳動物または他のグリコシル化酵素をコードする1つ以上の遺伝子を用いて同時形質転換され得る。このアプローチを使用して、特定の哺乳動物グリコシル化パターンが、原核生物細胞または他の細胞において達成可能である。原核生物細胞における発現は、典型的に、タンパク質の非グリコシル化形態を導く。
【0121】
OX2RHの供給源は、例えば上記のように、組換えポリペプチドを発現する原核生物宿主または真核生物宿主であり得る。供給源はまた、細胞株であり得るが、他の哺乳動物細胞株もまた、本発明に意図され、好ましい細胞株はヒト由来である。
【0122】
配列が公知である以上は、霊長類OX2RH、そのフラグメント、または誘導体は、ペプチドを合成するための従来のプロセスによって調製され得る。これらには、StewartおよびYoung(1984)Solid Phase Peptide Synthesis,Pierce Chemical Co.,Rockford,IL;BodanszkyおよびBodanszky(1984)The Practice of
Peptide Synthesis,Springer−Verlag,New York;およびBodanszky(1984)The Principles of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,New Yorkに記載されるようなプロセスが挙げられる。それぞれは全て本明細書中において参考として援用される。例えば、アジドプロセス、酸塩化物プロセス、酸無水物プロセス、混合無水物プロセス、活性エステルプロセス(例えば、p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、またはシアノメチルエステル)、カルボジイミダゾールプロセス、酸化−還元プロセス、またはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCD)/添加物プロセスが使用され得る。固相合成および液相合成は、ともに、前記プロセスに適用可能である。同様な技術は、部分的なOX2RH配列とともに使用され得る。
【0123】
OX2RHタンパク質、フラグメントまたは誘導体は、典型的にはペプチド合成に使用されるような上記プロセスに従って適切に調製され、一般的には、いわゆる逐次プロセス(アミノ酸を末端アミノ酸に1つずつ順に縮合する工程を包含する)によってか、または末端アミノ酸にペプチドフラグメントを結合することによるかのいずれかによる。カップリング反応に使用されないアミノ基は、典型的に、間違った位置でのカップリング反応を防ぐように保護されなければならない。
【0124】
固相合成が適合する場合、C末端アミノ酸は、そのカルボキシル基を介して不溶性のキャリアまたは支持体に結合される。不溶性のキャリアは、反応性カルボキシル基に結合する能力を有するべきであり、例えば、ハロメチル樹脂(例えば、クロロメチル樹脂またはブロモメチル樹脂)、ヒドロキシメチル樹脂、フェノール樹脂、tert−アルキルオキシカルボニルヒドラジデート樹脂などである。
【0125】
アミノ基保護アミノ酸は、ペプチドを逐次的に合成するために、その活性化されたカルボキシル基および以前に形成されたペプチドまたは鎖の反応性アミノ基の縮合によって、順に結合する。完全な配列を合成した後に、ペプチドは、ペプチドを作製するために不溶性キャリアから分離される。この固相アプローチは、一般的に、Merrifieldら、(1963)、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2156によって記載され、これは本明細書中において参考として援用される。
【0126】
調製されたタンパク質およびそのフラグメントは、例えば、抽出、沈澱、電気泳動、種々の形態のクロマトグラフィーなどによって、ペプチド分離によって反応混合物から単離および精製され得る。本発明のレセプターアナログは、所望の用途に依存して種々の程度の純度で得られ得る。精製は、標準的なタンパク質精製技術または本明細書中で免疫吸収剤アフィニティークロマトグラフィー方法で記載される抗体を使用して達成され得る。典型的には、アフィニティークロマトグラフィーは、最初に抗体を固体支持体に連結し、次いで、連結された抗体を、適切な細胞の可溶化された溶解物、OX2RHを発現する他の細胞の溶解物、あるいはDNA技術の結果としてタンパク質を産生する細胞の溶解物または上清(以下を参照のこと)と接触させることによって、実施され得る。
【0127】
一般的に、精製されたタンパク質は、少なくとも40%純粋、普通少なくとも約50%純粋、通常少なくとも約60純粋、典型的には少なくとも70%純粋、より典型的には少なくとも約80%純粋、好ましくは少なくとも90%純粋、そしてより好ましくは少なくとも95%純粋、そして特定の実施形態においては、97%−99%またはそれ以上である。純度は、通常、重量基準であるが、モル基準でもあってもよい。異なるアッセイは、適切に適用される。個々のタンパク質は、精製され得、その後合わせられ得る。
【0128】
(VI.抗体)
抗体は、種々の哺乳動物(例えば霊長類)において、OX2RHタンパク質およびそのフラグメントを、天然のネイティブな形態とそれらの変性した形態の両方で惹起され得る。ネイティブなOX2RHに対して惹起された抗体は、ネイティブなコンフォメーションでのみ存在するエピトープを認識する傾向が強い。変性された抗原検出はまた、例えば、ウェスタン分析において有用であり得る。抗イディオタイプ抗体がまた意図され、これは、例えば、診断試薬として有用である。
【0129】
タンパク質の所定のフラグメントに対する抗体(結合フラグメントおよび一本の鎖の場合を含む)は、免疫原タンパク質とフラグメントの結合体を用いて動物を免疫することによって惹起され得る。モノクローナル抗体は、所望の抗体を分泌する細胞から調製される。これらの抗体は、正常または欠損したタンパク質に結合するためにスクリーニングされ得るか、またはアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性についてスクリーニングされ得る。これらのモノクローナル抗体は、通常、少なくとも約1mM、より通常では少なくとも約300μM、典型的には少なくとも約100μM、より典型的には少なくとも約30μM、好ましくは少なくとも約10μM、そしてより好ましくは少なくとも約3μMまたはそれより良いKDで結合する。
【0130】
本発明の抗体(抗原結合フラグメントを含む)は、有意な診断的または治療的価値を有し得る。これらは、レセプターホモログに結合する強力なアンタゴニストであり得、リガンドに対する結合を阻害し得るかまたは生物学的応答を誘発するレセプターホモログの能力を阻害し得る(例えば、その基質に作用する)。これらはまた、非中和抗体として有用であり得、そしてOX2RH産生細胞に結合するために毒素または放射性核種に結合され得る。さらに、これらの抗体は、例えば、直接的または間接的(例えば、リンカーによって)のいずれかで、薬物または他の治療剤に結合し得る。
【0131】
本発明の抗体はまた、診断的用途に有用であり得る。捕捉または非中和抗体として、これらは、リガンドまたは基質結合を阻害することなく、OX2RHに結合し得る。抗体を中和する場合、これらは、競合結合アッセイにおいて有用であり得る。これらはまた、リガンドを検出または定量する際に有用である。これらは、ウェスタンブロット分析、あるいは免疫沈降またはそれぞれのタンパク質の免疫精製のための試薬として使用され得る。同様に、核酸およびタンパク質は、アフィニティー精製または検出方法のために固体基板に固定化され得る。この基板は、例えば、固体樹脂ビーズ、プラスチックのシート、または誘導体ガラスであり得る。
【0132】
タンパク質フラグメントは、他の物質、特にポリペプチドに融合ポリペプチドまたは共有結合ポリペプチドとして結合され得、免疫原として使用される。哺乳動物OX2RHポリペプチドおよびフラグメントは、種々の免疫原、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)、ウシ血清アルブミン、破傷風トキソイドなどのような種々の免疫原に融合または共有結合され得る。Microbiology,Hoeber Medical Division,HarperおよびRow,1969;Landsteiner(1962)Specificitv of Serological Reactions,Dover Publications,New York;ならびにWilliamsら、(1967)Methods
in Immunology and Immunochemistry,Vol.1,Academic Press,New Yorkを参照のこと。これらのそれぞれは、本明細書中に参考として援用される。典型的な方法は、抗原を用いる動物の超免疫化を含む。次いで、動物の血液は、繰り返される免疫化のすぐ後に回収され、血清またはガンマグロブリンが単離される。
【0133】
いくつかの場合において、マウス、げっ歯類、霊長類、ヒトなどのような種々の哺乳動物宿主からモノクローナル抗体を調製することが望ましい。このようなモノクローナル抗体を調製するための技術の説明は、例えば、Stitesら(編)Basic and Clinical Immunology(第4版)Lange Medical Publications,Los Altos,CA、Lange Medical Pulications,Los Altos,CA、およびそれに引用される参考文献;HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual
CSH Press;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版)Academic Press,New York,NY;ならびに特にKohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495−497を参照のこと(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)。簡単には、免疫原を、免疫応答を引き起こすために、動物に注射する。次いで、動物を屠殺し、そして細胞をその脾臓から採取し、ミエローマ細胞と融合し、ハイブリドーマを生成させる。次いで、ハイブリドーマの集団をスクリーニングして、個々のクローンを単離し、これらは免疫原に結合する抗体を分泌する。
【0134】
他の適切な技術には、抗原性ポリペプチドに対するリンパ球のインビトロでの曝露、またはファージまたは類似のベクターにおいて抗体のライブラリーの選択を伴う。Huseら(1989)「Generation of a Large Combinatorial Library of the Immunoglobulin Repertoire in Phage Lambda」Science 246:1275−1281;およびWardら(1989)Nature 341:544−546を参照のこと(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)。キメラ抗体またはヒト化抗体が、産生され得るか(米国特許第4,816,567号を参照のこと);またはマウスにおいて作製され得る(Mendezら、(1997)Nature Genetics15:146−156を参照のこと)。これらの参考文献は、本明細書中で参考として援用される。
【0135】
ポリペプチドおよび抗体は、頻繁に標識される。広範な種々の標識および結合技術が公知であり、そして科学および特許文献の両方に広く報告される。適切な標識としては、放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光部分、化学発光部分、磁性粒子などが挙げられる。このような標識の使用を教示する特許には、例えば、米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号:第4,277,437号;第4,275,149号;および第4,366,241号が挙げられる。
【0136】
本発明の抗体はまた、OX2RHタンパク質またはペプチドを単離する際のアフィニティークロマトグラフィーのために使用され得る。カラムが調製され得、ここで、抗体は、固体支持体、例えば、粒子(例えば、アガロース、Sephadexなど)に連結され、ここで、細胞溶解物がカラムを通過し得、カラムが洗浄され、次いで穏和な変性剤の濃度を上昇させ、それによって精製したタンパク質が放出される。あるいは、タンパク質を用いて抗体を生成し得る。適切な交叉吸着または枯渇が適用され得る。
【0137】
抗体はまた、特定の発現産物について発現ライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。通常、このような手順で使用される抗体を部分で標識し、抗体結合による抗原の存在の検出を容易にし得る。
【0138】
OX2RHタンパク質に対する抗体はまた、抗イディオタイプ抗体を惹起するために用いられる。これらは、このタンパク質の発現またはこのタンパク質を発現する細胞に関する種々の免疫学的状態を検出または診断するために有用である。これらはまたリガンドのアゴニストまたはアンタゴニストとして有用である。これらは、インヒビターと競合し得るか、または天然に存在するリガンドに置換される。
【0139】
配列番号2のアミノ酸配列からなる免疫原のような、規定された免疫原に対して産生された抗体に特異的に結合するか、または特異的に免疫反応性であるレセプターホモログタンパク質は、代表的には、イムノアッセイで決定される。イムノアッセイは、代表的には、例えば、配列番号2のタンパク質に対して惹起されたポリクローナル抗血清を使用する。この抗血清を、他のIgスーパーファミリーレセプターメンバー(例えば、NKG2D、好ましくは、同じ種由来)に対する低い交差反応性を有するように選択し、そして任意のこのような交差反応性を、イムノアッセイでの使用前に免疫吸着によって取り出す。
【0140】
イムノアッセイにおける使用のための抗血清を産生するために、例えば、配列番号2のタンパク質を、本明細書に記載のように単離する。例えば、組換えタンパク質は、哺乳動物細胞株で産生され得る。BALB/cのような近交系のマウスに、代表的には、フロイントアジュバントのような標準的アジュバント、および標準的マウス免疫プロトコル(HarlowおよびLane、前出を参照のこと)を使用して、選択されたタンパク質で免疫接種する。あるいは、本明細書に開示された配列に由来しそしてキャリアタンパク質に結合した合成ペプチドを、免疫原に使用し得る。ポリクローナル血清を回収し、そしてイムノアッセイ、例えば、固体支持体に固定した免疫原との固相イムノアッセイにおいて、免疫原タンパク質に対して滴定する。104以上の力価のポリクローナル抗血清を選択し
、HarlowおよびLane,前出の570〜573頁に記載のような競合結合イムノアッセイを使用して、Igスーパーファミリーレセプターメンバーに対する交差反応性についてテストする。好ましくは、少なくとも2つのレセプターファミリーメンバーをこの決定に使用する。これらのレセプターファミリーメンバーを、組換えタンパク質として産生し、そして本明細書に記載のように標準的分子生物学技術およびタンパク質化学技術を使用して単離し得る。
【0141】
競合結合形式におけるイムノアッセイを、交差反応性決定について使用し得る。例えば、配列番号2のタンパク質を、固体支持体に固定し得る。アッセイに添加されるタンパク質は、固定された抗原への抗血清の結合と競合する。固定されたタンパク質への抗血清の結合と競合する上記タンパク質の能力を、このタンパク質と比較する。上記タンパク質のパーセント交差反応性を、標準的計算を使用して計算する。上記に列挙したタンパク質のそれぞれと10%未満の交差反応性を有する抗血清を選択しそしてプールする。次いで、交差反応する抗体を、上記のタンパク質との免疫吸着によって、プールした抗血清から取り出す。
【0142】
次いで、免疫吸着しそしてプールした抗血清を、免疫原タンパク質(例えば、配列番号2のOX2RH1様タンパク質)に対して第2のタンパク質を比較するために、上記のように競合結合イムノアッセイで使用する。この比較を作成するために、2つのタンパク質を、広範な濃度でそれぞれアッセイし、そして固定されたタンパク質への抗血清の結合の50%を阻害するために必要とされる各タンパク質の量を決定する。必要とされる第2のタンパク質の量が、必要とされる選択されたタンパク質のタンパク質の量の2倍未満である場合、第2のタンパク質は、免疫原に対して産生された抗体に特異的に結合するといわれる。
【0143】
これらのOX2レセプターホモログタンパク質は、少なくとも6のこれまで同定された遺伝子を含むホモログタンパク質のファミリーのメンバーであることが理解される。特定のOX2RH1のような遺伝子産物について、この用語は、本明細書中に開示されるアミノ酸配列をいうのみならず、対立遺伝子改変体、非対立遺伝子改変体、または種改変体である他のタンパク質もまたいう。この用語は、単一の部位の変異のような従来の組換え技術を用いる故意の変異より、あるいはそれぞれのタンパク質をコードするDNAの短いセクションを切除することにより、あるいは新規のアミノ酸を置換すること、または新規のアミノ酸を付加することにより、導入された非天然のタンパク質を含む。このようなマイナーな変化は、代表的には、本来の分子の免疫原性および/またはその生物学的活性を実質的に維持する。従って、これらの変化は、設計された天然に存在するOX2RHタンパク質に特異的に免疫反応性であるタンパク質を含む。変化したタンパク質の生物学的活性は、適切な細胞株においてタンパク質を発現させ、そして例えば、トランスフェクトさせたタンパク質に対する適切な効果を測定することによって、決定され得る。マイナーとみなされる特定のタンパク質修飾は、全体としてレセプターホモログファミリーについて上記に記載されるような、アミノ酸の類似の化学特性での保存的置換を含む。必要に応じて、レセプターホモログのタンパク質とあるタンパク質を整列させることにより、および免疫同一性を決定するために本明細書中に記載される従来のイムノアッセイを用いることにより、本発明のタンパク質組成物を決定し得る。
【0144】
(VII.キットおよび定量)
本発明のレセプター様分子の天然に存在するおよび組換えの両方の形態とも、キットおよびアッセイ方法に、特に有用である。例えば、これらの方法はまた、結合活性(例えば、これらのタンパク質に対するリガンド)についてスクリーニングするために適用される。自動化アッセイのいくつかの方法は、年間、数万の化合物のスクリーニングを可能にするように、近年開発されている。例えば、BIOMEK自動化ワークステーション、Beckman Instruments,Palo Alto,California、およびFodorら(1991)Science 251:767−773を参照のことこれらは本明細書中で参考として援用される)。後者は、固体基材上で合成された複数の規定されたポリマーにより結合を試験するための手段を記載する。アゴニスト/アンタゴニストホモログタンパク質をスクリーニングするための適切なアッセイの開発は、本発明によって提供されるような大量の精製された、活性状態での可溶性レセプターの利用可能性によって、非常に容易にされ得る。
【0145】
精製されたOX2RHは、上記のリガンドスクリーニング技術における使用のためにプレート上に直接コーティングされ得る。しかし、これらのタンパク質に対する非中和抗体は、例えば、診断用途において有用である、固体支持体上のそれぞれのレセプターホモログを固定するための捕捉抗体として用いられ得る。
【0146】
本発明はまた、タンパク質またはそのリガンドの存在を検出するための種々の診断キットおよび方法における、これらのOX2RH、そのフラグメント、ペプチド、およびそれらの融合産物の使用を意図する。あるいは、この分子に対する抗体は、キットおよび方法に取り込まれ得、OX2RHまたはそれを発現する細胞を定量する際に用いられ得る。代表的には、キットは、OX2RHペプチドまたは遺伝子セグメントまたは1つもしくは他を認識する試薬のいずれかを含むコンパートメントを有する。代表的には、認識試薬は、ペプチドの場合、レセプターホモログまたは抗体であるか、あるいは、遺伝子セグメントの場合、通常、ハイブリダイゼーションプローブである。
【0147】
サンプルにおけるOX2RHの濃度を決定するための好ましいキットは、代表的には、標識化合物(例えば、リガンドまたは抗体(これらは、OX2RHに対する公知の結合アフィニティーを有する))、陽性コントロールとしてのOX2RHの供給源(天然または組換え)、および遊離の標識リガンドから結合体を分離する手段(例えば、試験サンプル中のOX2RHを固定するための固相)を備える。試薬および指示書を含むコンパートメントは、通常提供される。適切な核酸またはタンパク質を含むキットもまた提供される。
【0148】
哺乳動物OX2RHまたはフラグメント、あるいはレセプターホモログフラグメントに特異的な、抗原結合フラグメントを含む、抗体は、ホモログおよび/またはフラグメントの上昇したレベルの存在を検出するための診断適用において有用である。診断アッセイは、均質(遊離の試薬と抗原−抗体複合体との間の分離工程を伴わない)または不均質(分離工程を伴う)であり得る。種々の市販のアッセイが存在し、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相酵素免疫検定法(ELISA)、酵素免疫検定法(EIA)、多元酵素免疫検定法(EMIT)、基質標識蛍光イムノアッセイ(SLFIA)などである。例えば、非標識抗体を、標識され、そしてレセプターホモログまたはその特定のフラグメントに対する抗体を認識する、第二の抗体を使用することによって、用い得る。これらのアッセイはまた、文献で広く議論されている。例えば、HarlowおよびLane(1988)Antibodies: A Laboratory Manual,CSH.、およびColigan(1991編および定期的補遺)Current Protocols In Immunology Greene/Wily,New York。
【0149】
抗イディオタイプ抗体は、レセプターホモログのアゴニストまたはアンタゴニストとしての役割を果たすための類似の用途を有し得る。これらは、適切な環境下での治療薬として有用である。
【0150】
頻繁に、診断アッセイのための試薬は、そのアッセイの感度を最適にするように、キット中に供給される。本発明については、アッセイの性質に依存して、プロトコル、および標識、標識されたまたは標識されていない抗体のいずれか、あるいは標識されたリガンドが提供される。これは、通常、緩衝剤、安定化剤、酵素に対する基質のようなシグナル産生に必要な物質などのような、他の添加物とともに存在する。好ましくは、このキットはまた、適切な使用および使用後の内容物の処理のついての指示書を含む。代表的には、このキットは、各有用な試薬のためのコンパートメントを有し、そして試薬の適切な使用および使用後の内容物の処理のついての指示書を含む。望ましくは、この試薬が、アッセイを行うための試薬の適切な濃度を有する水性媒体中で再構成され得る場合、試薬は、凍結乾燥した粉末として提供される。
【0151】
薬物スクリーニングの上記の構成成分は、改変なしで使用され得るか、あるいは種々の方法で改変され得る。例えば、標識することは、検出可能なシグナルを直接または間接的に提供する部分を共有結合または非共有結合によって達成され得る。これらのアッセイの多くでは、試験化合物、レセプターホモログ、またはそれに対する抗体は、直接にまたは間接的にのいずれかで標識され得る。直接的に標識するための可能性は、以下の標識群を包含する:125Iのような放射性標識、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼ
のような酵素(米国特許第3,645,090号)、および蛍光強度、波長シフト、または蛍光極性化の変化をモニタリングし得る蛍光標識(米国特許第3,940,475号)。これらの特許の両方は、本明細書中に参考として援用される。間接的に標識するための可能性は、1つの構成成分のビオチン化、次いで上記の標識群の1つにカップリングしたアビジンに結合することを包含する。
【0152】
また、遊離のリガンドから結合したものを、あるいは遊離の試験化合物から結合したものを分離する多くの方法がある。レセプターホモログは、種々のマトリクス上に固定され得、続いて洗浄され得る。適切なマトリクスには、ELISAプレートのようなプラスチック、フィルター、およびビーズが挙げられる。マトリクスにレセプターホモログを固定する方法には、限定することなく、プラスチックへの直接付着、捕獲抗体の使用、化学的カップリング、およびビオチン−アビジンが挙げられる。このアプローチの最後の工程は、例えば、ポリエチレングリコールのような有機溶媒、または硫酸アンモニウムのような塩を利用する方法を含む、いくつかの方法のいずれかによって、抗体/抗原複合体の沈降を包含する。他の適切な分離技術には、限定することなく、Rattleら(1984)Clin.Chem.30:1457−1461に記載のフルオレセイン抗体磁化粒子方法、および米国特許第4,659,678号に記載のような二重抗体磁性粒子分離方法が挙げられる(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)。
【0153】
種々の標識へタンパク質またはそのフラグメントを連結する方法は、文献に広く報告されており、そして本明細書での詳細な議論の必要はない。その技術の多くは、ペプチド結合を形成するためにカルボジイミドまたは活性エステルのいずれかの使用により活性化されたカルボキシル基の使用、連結のためのクロロアセチルのような活性化ハロゲンまたはマレイミドのような活性化オレフィンとメルカプト基の反応によるチオエーテルの形成などを包含する。融合タンパク質はまた、これらの適用における使用を見い出す。
【0154】
本発明の別の診断局面は、レセプターホモログの配列から得たオリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列の使用を包含する。これらの配列は、免疫学的障害を有する疑いのある患者においてそれぞれのレセプターホモログのレベルを検出するためのプローブとして使用され得る。RNAおよびDNAの両方のヌクレオチド配列の調製、配列の標識化、およびその配列の好ましいサイズは、文献において広い説明および議論を受け入れている。通常は、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも約14ヌクレオチド、通常は少なくとも約18ヌクレオチドを有するべきであり、そしてポリヌクレオチドプローブは、数キロ塩基までであり得る。種々の標識は、最も普通には、放射性核種、特に32Pを用い得る。しかし、他の技術もまた、例えば、ポリヌクレオチドへの導入のためのビオチン改変ヌクレオチドを使用して、用いられ得る。次いで、そのビオチンは、アビジンまたは抗体に結合するための部位として作用し、これは、放射性核種、蛍光団、酵素などのような広範な種々の標識で標識され得る。あるいは、DNA二重鎖、RNA二重鎖、DNA−RNAハイブリッド二重鎖、またはDNA−タンパク質二重鎖を含む、特定の二重鎖を認識し得る抗体が用いられ得る。次いで、その抗体が標識され得、そして二重鎖が表面に結合される場合、その結果、表面上の二重鎖の形成の際に、二重鎖へ結合した抗体の存在が検出され得るアッセイを行い得る。新規のアンチセンスRNAに対するプローブの使用は、核酸ハイブリダイゼーション、プラスおよびマイナススクリーニング、組換えプロービング、ハイブリッド放出翻訳(HRT)、およびハイブリッド停止翻訳(HART)のような従来の任意の技術において行われ得る。これはまた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増幅技術を包含する。
【0155】
他のマーカーの定性的または定量的な存在についてもテストする診断キットも意図される。診断または予後は、マーカーとして使用される多数の指標の組み合わせに依存し得る。したがって、キットは、マーカーの組み合わせについてテストし得る。例えば、Vialletら(1989)Progress in Growth Factor Res.1:89−97を参照のこと。
【0156】
(VIII。治療的有用性)
本発明は、有意な治療的価値を有する試薬を提供する。例えば、Levitzki(1996)Curr.Opin.Cell Biol.8:239−244を参照のこと。レセプターホモログ(天然に存在するまたは組換え)、そのフラグメント、ムテインレセプター、および抗体は、レセプターホモログまたは抗体に結合親和性を有すると同定された化合物と共に、骨髄系統細胞の機能の調節が所望される状態の処置において有用である。このような異常は、代表的には、免疫学的障害により、また骨髄細胞活性が生理学的プロセス(例えば、CNS成熟または発達など)に影響する状態によりまた明かとなる。さらに、本発明は、異常な発現またはリガンドに対する応答の異常な誘発と関連する種々の疾患または障害において、治療的価値を提供する。
【0157】
マクロファージ/骨髄系統細胞を含み、OX2Rを発現する白血球が症状に関与し、かつ疾患プロセスに寄与する場合では、これらの細胞の機能を阻害することが所望され得る。これは、レセプターシグナル伝達の細胞阻害活性が動員されるような、OX2Rの適切な刺激により達成され得る。このことは、例えば、リガンドOX2アゴニストまたはレセプターに対するアゴニスト活性を有するOX2Rに対する抗体を用いて達成され得る。適切な状態は、動物が炎症、白血球増殖、または外傷後の状態の兆候または症状である。好ましい実施形態では、この兆候または症状は、天然の組織;リンパ組織;骨髄組織;膵臓;胃腸組織;甲状腺組織;筋組織;または皮膚もしくはコラーゲン組織においてである。特定の実施形態は、動物が自己免疫;炎症状態;組織特異的自己免疫;変性性自己免疫;慢性関節リウマチ;アテローム性動脈硬化症;多発性硬化症;脈管炎;遅延型過敏症;皮膚移植;移植;脊椎損傷;発作;神経変性;または虚血の兆候または症状を経験している。投与する薬剤は、抗炎症性サイトカインアゴニストまたはアンタゴニスト;鎮痛薬;抗炎症剤;またはステロイドとの組合わせであり得る。
【0158】
対照的に、白血球(マクロファージ/骨髄系列細胞を含む)の場合、OX2Rを発現することは、免疫化およびワクチン化、修復機構、病理特定、または感染制御(特に細菌感染)のプロセスに関与する。これらの細胞の機能を増強することが望まれ得る。これは、OX2Rの適切な刺激により治療上獲得され得、その結果、レセプターシグナル伝達の細胞活性化活性が動員されるか、またはOX2−OX2Rの相互作用を完全にブロックすることにより細胞活性化を進行させ得る。後者はリガンドOX2遺伝子ノックアウトマウスにおいて生じる。このマウスではリガンドOX2を欠き、骨髄細胞活性化が導かれる。これは、例えば以下を用いて獲得され得る:リガンドOX2アンタゴニスト(例えば、リガンドOX2に対する抗体)OX2−OX2R相互作用を阻害するOX2Rに対する抗体、OX2R発現を阻害し得るアンチセンス核酸、細胞結合OX2が細胞結合OX2Rと相互作用する能力を(例えば、競合結合により)ブロックするIg−OX2R融合タンパク質、または低分子アンタゴニスト。この様式が骨髄細胞機能の促進においてインビボで適用を有するということは、実験により実証されている。この実験とは、例えば、ヒトIgGマウスOX2RH1融合タンパク質(マウスOX2に結合することが公知)を産生するアデノウイルス構築物のマウスへの静脈注射が、これらのマウスにおいて自己免疫疾患実験の自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の発現を、ヒトIgG融合タンパク質骨格のみを産生するアデノウイルス構築物を投与されたマウスを比べて、加速することである。疾患加速の程度は、OX2R(OX2と名付けられる)のリガンドを遺伝子標的化により不活性化したマウスにおいてみられる加速の程度に匹敵した。
【0159】
あるいは、本明細書において記載される種々のOX2R分子が、活性化対阻害の機能を有する場合、細胞活性化を誘導するOX2Rの特異的活性化が適切であり得る。これは、例えば、所与のOX2Rのアゴニスト活性を有する特異的抗体の使用により達成され得る。種々の実施形態において、動物が創傷治癒または血餅形成の兆候または症状(ここでは、マクロファージ活性化の増強が所望され得る)を経験する方法、または動物が細菌感染(ここでは、顆粒球および/またはマクロファージによる食細胞活性の増強が好ましい)を経験する方法が適用される。投与は、しばしば以下と組み合わせられる:脈管形成因子;増殖因子(FGFまたはPDGFを含む);抗生物質;または凝固因子。組換えレセプター、ムテイン、それに対するアゴニストまたはアンタゴニストの抗体、または抗体が精製され得、次いで患者に投与される。これらの試薬は、治療用途のためにさらなる活性成分とともに組み合わせられ得る(例えば、生理学的に無害の安定化剤および賦形剤とともに、従来の受容可能なキャリアまたは希釈剤中で)。これらの組み合わせは、例えば、濾過により滅菌され得、そして投与バイアル中の凍結乾燥により投薬形態に入れられ得、または安定化水性調製物中に貯蔵され得る。本発明はまた、抗体またはその結合フラグメント(補体結合ではない)の使用を意図する。
【0160】
レセプターまたはそのフラグメントを用いるリガンドスクリーニングを実行して、レセプターに対する結合親和性を有する分子を同定し得る。次いで、引き続く生物学的アッセイを利用して、推定リガンドが競合結合(内因性刺激活性をブロックし得る)を提供し得るか否かを決定し得る。レセプターフラグメントは、ブロッカーまたはアンタゴニストとして用いられ得る。すなわち、レセプターフラグメントは、リガンドの活性をブロックする。同様に、内因性刺激活性を有する化合物は、レセプターを活性化し得、従って、アゴニストである。すなわち、この化合物はリガンドの活性を刺激する(例えば、シグナル伝達を誘導する)。本発明はさらに、アンタゴニストとして、レセプターに対する抗体の治療的使用を意図する。
【0161】
効果的な治療に必要な試薬の量は、多くの異なる因子に依存する。この因子としては、投与手段、標的部位、試薬の生理学的寿命、薬理学的寿命、患者の生理学的状態、および投与される他の医薬が挙げられる。従って、処置投薬量を滴定して、安全性および効率を最適化すべきである。代表的には、インビトロで用いられる投薬量は、これらの試薬のインサイチュ投与に有用な量で、有用なガイダンスを提供し得る。特定の障害の処置のために有効な用量の動物試験により、ヒト投薬量のさらなる予想的指標を提供する。例えば、Gilmanら(1990編)Goodman and Gilman‘s:The Pharmacological Bases of Therapeutics,第8版.,Pergamon Press;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences,第17版(1990),Mack Publishing Co.,Easton,Penn.;(これらそれぞれは、本明細書において参考として援用されている)において、種々の考察が記載されている。投与の方法は、それらおよび以下において考察されている(例えば、経口投与、静脈投与、腹腔内投与、または筋肉内投与、経皮拡散、などについて)。薬学的に受容可能なキャリアとしては、水、生理食塩水、緩衝液、および他の化合物(例えば、Merck Index,Merck&Co.,Rahway,New Jerseyが挙げられる。投薬範囲は、適切なキャリアとともに、濃度100mM未満、代表的には約1mM濃度未満、通常、約100μM未満、好ましくは、約1μM未満、そして最も好ましくは、約10nM未満の量であることが通常、期待される。徐放性処方物または徐放性装置は、しばしば持続投与のために利用される。
【0162】
レセプターホモログ、そのフラグメント、および抗体またはそのフラグメント、アンタゴニスト、およびアゴニストが、処置されるべき宿主に直接投与され得る、または化合物のサイズに依存して、それらを、投与の前に、オボアルブミンまたは血清アルブミンのようなキャリアタンパク質と結合体化することが所望され得る。治療的処方物は、多くの従来の投薬処方物中で投与され得る。活性成分が単独で投与されることは可能であるが、薬学的処方物として存在することが好ましい。処方物は、1つ以上のその受容可能なキャリアとともに、上記で規定されたように、少なくとも1つの活性成分を含む。各々のキャリアは、他の成分と適合するという意味で薬学的に受容可能かつ生理学的に受容可能の両方であり、そして患者に無害でなければならない。処方物は、経口投与、直腸投与、経鼻投与、または非経口投与(皮下、筋肉内、静脈および皮内を含む)に適切な処方物を含む。処方物は、単位投薬形態中に都合よく存在し得、そして製薬の当業者に周知の方法により調製され得る。例えば、Gilmanら(1990編)Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics,第8版、Pergamon
Press;およびRemington’s Pharmaceutical
Sciences,第17版(1990)、Mack Publishing
Co.,Easton,Penn.;Avisら、(1993編)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker、NY;Liebermanら(編、1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker、NY;およびLiebermanら(1990編)Pharmaceutical Dosage Forms;Disperse Systems Dekker、NYを参照のこと。本発明の治療は、他の治療剤と組み合わせられ得るか、または他の治療剤(特に他のレセプターファミリーメンバーのアゴニストまたはアンタゴニスト)と関連して用いられ得る。
【0163】
(IX.スクリーニング)
OX2RHまたはそのフラグメントを用いる薬物スクリーニングを実行して、レセプターホモログに対する結合親和性を有する化合物を同定し得る。この工程には関連コンポーネントの単離を含む。次いで引き続く生物学的活性を利用して、この化合物が固有の刺激活性を有するか否か、従ってブロッカーまたはアンタゴニスト(すなわち、この化合物がリガンドの活性をブロックする)であるか否かを決定し得る。同様に、固有の刺激活性を有する化合物は、レセプターを活性化合物し得、従ってアゴニストである。すなわち、この化合物はリガンド(例えば、OX2)の活性を刺激する。本発明はさらに、アゴニストまたはアンタゴニストとして、レセプターに対する抗体の治療的使用を意図する。
【0164】
同様に、複数のタンパク質を含む複合体を用いて、この複合体を認識し得るリガンドまたは試薬をスクリーニングし得る。いくつかのレセプターは、少なくとも2つのサブユニット(同じであっても異なっても良い)を含む。あるいは、膜貫通レセプターは、別の可溶性タンパク質(例えば、第二のレセプターサブユニットとして働く)に会合するリガンドを含む複合体に結合し得る。
【0165】
薬物スクリーニングの1つの方法には、別のレセプターサブユニットと組み合わせて、OX2RHを発現する組換えDNA分子で安定に形質転換されている、真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞を利用する。他の機能的レセプターからの単離物中にレセプターを発現する細胞を単離し得る。このような細胞(生存に適した形態または固定形態のいずれか)を、標準的抗体/抗原、またはリガンド/レセプター結合アッセイに用い得る。また、Parceら(1989)Science 246:243〜247;およびOwickiら(1990)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 87:4007〜4011(細胞性応答を検出する敏感な方法を記載する)を参照のこと。競合アッセイは、特に有用である。競合アッセイでは、細胞(推定リガンドの供給源)を、リガンドに対する既知の結合親和性を有する、標識したレセプターまたは抗体(例えば、125I抗
体)、ならびに試験サンプル(結合組成物に対するその結合親和性が測定されている)と接触させ、一緒にインキュベートする。次いで、結合された標識化結合組成物および遊離の標識化結合組成物を分離して、リガンド結合の程度を評価する。試験化合物結合の量は、公知の供給源への標識化レセプター結合の量に対して逆比例する。多くの技術を用いて遊離のリガンドからの結合を分離し、リガンド結合の程度を評価する。この分離工程は代表的に、フィルターへの結合、その後の洗浄、プラスチックに対する結合その後の洗浄、または細胞膜の遠心分離のような手順を包含する。生存細胞はまた、OX2媒介機能への薬物の効果(例えば、セカンドメッセンジャーレベル、すなわち、Ca++;細胞増殖;イノシトールリン酸プール変化;など)についてスクリーニングするために用いられ得る。いくつかの検出方法により、分離工程(例えば、近接鋭敏検出システム)の排除が可能になる。カルシウム感受性色素は、蛍光定量計または蛍光発光細胞ソーティング装置を用いてCa++レベルを検出するのに有用である。
【0166】
(X.リガンド)
本明細書のOX2Rの記載により、上記のようにリガンド同定のための手段を提供する。このようなリガンドは、かなり高い親和性を有するそれぞれのレセプターに対して特異的に結合するはずである。種々の利用可能な構築物が作製される。これは、リガンドを検出するためのレセプターのいずれかの標識化を可能にする。例えば、二次標識化のためのマーカー(例えば、FLAGまたは他のエピトープタグなど)に融合する、直接標的化レセプターは、レセプターの検出を可能にする。この工程は、発現クローニングアプローチにおける、組織学的(生化学的アフィニティー精製方法)、または標識化もしくは選択であり得る。ツーハイブリッド選択システムもまた、利用可能なレセプター配列を有する適切な構築物を作製するのに適用され得る。例えば、FieldおよびSong(1989)Nature 340:245〜246を参照のこと。
【0167】
本発明の広範な範囲は以下の実施例を参考して最も理解される。以下の実施形態は、特定の実施形態に対して本発明が限定されることを意図しない。
【0168】
(実施例)
(I.一般的方法)
いくつかの標準的方法が、以下において記載されるかまたは参照される:Maniatisら(1982)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Press;Sambrook,ら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(第2版)、第1〜3巻、CSH Press,NY;またはAusbelら、(1987および補遺)Current Protocols in Molecular Biology,Grrene/Wiley,New York。タンパク質精製の方法としては、硫酸アンモニウム沈殿、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、結晶化などのような方法が挙げられる。例えば、Ausubelら(1987および定期補遺);Coliganら(1996編)および定期補遺、「Current Protocols In Protein Science」Greene/Wiley、New York;Deutscher(1990)「Guide to
Protein Purification」Methods in Enzymology、182巻およびこのシリーズの他の巻;およびタンパク質精製産物の使用における製造業者の文献、例えば、Pharmacia,Piscataway,N.J.、またはBioRad,Richmond,CAを参照のこと。組み換え技術との組み合わせにより、適切なセグメント(例えば、プロテアーゼ切り取り可能配列を介して融合され得る、FLAG配列または等価物)に対する融合が可能になる。例えば、Hichuli(1990)「Purification of Recombinant Proteins with Metal Chelate Absorbent」Setlow(編)Genetic Engineering,Principle and Methods 12:87〜98、Plenum Press,N.Y.;and Croweら(1992)OIAexpress:The High Level Expression&Protein Purification System QUIAGEN,Inc.,Chatsworth,CAを参照のこと。
【0169】
コンピューター配列分析を、例えば、利用可能なソフトウェアプログラム(GCG(U.Wisconsin)を含む)およびGenBank供給源を用いて実行する。公的な配列データベースをまた、GenBankなどから用いる。
【0170】
IL−10レセプターに対して適用可能な多くの技術を、例えば、参考として本明細書に援用されるUSSN 08/110,683(IL−10レセプター)に記載のように、OX2RHに適用し得る。
【0171】
(II.マクロファージへのラットOX2/OX2RHの相互作用をブロックするモノクローナル抗体)
組換えOX2−CD4タンパク質およびラット腹膜マクロファージを用いてビーズアッセイをセットアップする。Prestonら(1997)Eur.J.Immunol.27:1911〜1918を参照のこと。マクロファージは、組換えOX2−CD4タンパク質で被覆された蛍光ビーズに結合した。6週齢のBALB/cマウスを、0.1〜0.25mgの粗膜画分(WilliamsおよびBarclay(1986)Handbook of Experimental Immunology第1巻、22.1−22.24,Blackwell Scientific Publications)かまたは常在ラット腹膜滲出細胞(5百万)のいずれかで、6回免疫した。間接的免疫蛍光およびフローサイトメトリーによって、マクロファージの標識化について種々の稀釈の血清を試験することにより、マクロファージを認識する高力価の抗体について、マウスをスクリーニングした。ラットマクロファージに対する良好な免疫反応を生じるマウスを、腹膜滲出細胞の注射により最終的にブーストした。4日後、脾臓を取り出し、そしてNS−1骨髄細胞に融合してハイブリドーマを生成した。スクリーニング前の最終注射は、脾臓内に行った。ハイブリドーマ上清を、ラットマクロファージに対する標識化能について、およびマクロファージとのラットOX2相互作用をブロックする能力について、スクリーニングした。1つの抗体(OX102と命名された)を獲得して、クローニングした。この抗体は、明白なブロッキングを付与した。このハイブリドーマをバルク中で増殖させ、そして標準的手順を用いて抗体を精製した。
【0172】
(III.OX102 mAbについての抗原の精製)
精製したOX102 mAbを、製造業者により推薦されたように、CNBr活性化セファロース−4B(Pharmacia)に共有結合する。Tween40およびデオキシコール酸ナトリウムを用いて、膜タンパク質を可溶化し、そしてOX102mAbに結合したSepharoseビーズとともに70時間インキュベートした。WilliamsおよびBarclay、Handbook
of Experimantal Immunology第1巻、22.1〜22.24、Blackwell Scientific Publications.OX102 mAb結合Sepharoseビーズを遠心分離により沈殿させ、そして0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中で洗浄し、そして最終的に0.5%SDS中で55℃で15分間溶出した。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により、この溶出した画分を分析した。
【0173】
(IV.OX102mAbについての抗原のN末端配列)
Applied Biosystems Procise 494Aタンパク質シーケンサー(Perkin−Elmer Ltd.,UK)での、自動化Edman分解を用いて、アミノ末端配列決定を行った。N末端配列を、表1に示すように確認した。ブランクサイクルは、N連結グリコシル化により改変されたアスパラギンの存在に起因して、アスパラギンであると推定された。精製したポリペプチドは、OX102mAbについての抗原のN末端の20アミノ酸を用いて公知のタンパク質データベースをスクリーニングすることにより、新規であると確認された。このタンパク質はラットOX2RH1である。
【0174】
(V.OX102 mAbの抗原をコードするcDNAクローンの単離)
総RNAを、製造業者によって推奨されるようにRNAzol B(Biogenesis)を使用して、ラット腹膜滲出液細胞から抽出し、次いで、製造業者によって推奨されるようにオリゴdTビーズ(Oligotex、GIAGEN)と使用して、ポリ−A画分を精製した。約50ngのポリA+精製mRNAを、選択された1μMのセンスオリゴヌクレオチドおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド、1mM dNTPs、および2mM DTT、50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM
MgCl2の存在下で、200UのSuperscript II逆転写酵素(GIB
CO BRL)で処理し、そして42℃で1時間インキュベートした。
【0175】
次いで、このcDNAを、PCR反応物(例えば、供給された40μlの10×Advantage Taq好熱性PCR緩衝液(Clontechより供給);8μlの10mM dNTPs;8μlのAdvantage Taq(Clontech);2μlのcDNA(上記のように調製);318μlの蒸留水;N末端ペプチドに対応する、16μlのアンチセンス縮重オリゴヌクレオチド(10μM);および8μlの10μMのセンスオリゴヌクレオチド)中におけるテンプレートとして使用した。両方のオリゴヌクレオチドプライマーを、クローニングを容易にするために、5’末端ホスフェートを付けて合成した(Genosys)。
【0176】
このPCR混合物を、8×50μlのサンプルに等分し、そしてRobocyclerPCR機器(Stratagene)において、PCR条件に供した。このRobocyclerPCR機器(Stratagene)は、同時に、個々のサンプルにおけるアニーリング温度を変動させるように操作することが可能である。例示的なパラメーターは、以下の通りである:93℃で30秒間:次いで、以下の35サイクル:93℃で30秒間;42〜56℃で1分間;72℃で30秒間:そして、最終サイクルの72℃で8分間。
【0177】
10μlのPCR産物を、標準的な手順によって、アガロースゲル電気泳動により分析した。約42℃、44℃、および46℃のアニーリング温度を有した3つのサンプル中の100塩基対と300塩基対との間の範囲の長さのPCR産物をゲルから摘出し、そしてQIAquick(QIAGEN)を用いて、その核酸を精製した。これらの精製産物を、標準的な手順を使用して、約16℃にて48時間で、PCRScriptベクター(Stratagene)(これは、SmaIで消化され、そしてホスファターゼ処理されている)中に連結した。
【0178】
形質転換体を、最初にコロニーPCRによってスクリーニングし、そして適切なサイズの挿入物を含む20個のコロニーを、50μg/mlアンピシリンの存在下でLBブロス中において増殖し、そしてプラスミドをQIAGENロボットによって精製した。BIGDYE蛍光ジデオキシターミネーション技術およびABI−PRISMモデル377(Perkin−Elmer Ltd.、UK)を使用して、挿入物を配列決定した。OX102 mAbに対する抗原のN末端配列をコードするヌクレオチド配列を含む挿入物を使用して、3’RACE反応のためのオリゴヌクレオチドを設計した。
【0179】
OX102に対する抗原の完全cDNA配列を、3’RACE PCR(上記と同じプロトコールを使用)(ただし、各々0.2μMの最終濃度で、適切なオリゴヌクレオチドを使用することによって改変された)によって得た。PCR条件は、例えば、以下の通りであった:93℃で30秒間:次いで、以下の30サイクル:93℃で30秒間;51〜65℃で1分間;72℃で3.5分間:そして最終サイクルの72℃で12分間。
【0180】
約2.3Kbのバンドを、標準的な手順を使用して、65℃でのPCR反応から摘出し、ゲル精製し、NotIおよびXhoIで消化し、そしてNotI/XhoI消化ベクター(PCRScript、Stratagene)中に連結した。挿入物を、上記のように配列決定した。
【0181】
OX102タンパク質(本明細書中で、ラットOX2RH1としても言及される)のcDNA配列を、表1に示す。他のホモログの実施形態の全長単離物を、同様に、クローン化し、そして配列を確認した。標準的な方法が、容易に適用可能である。
【0182】
(VI.他のOX2RH cDNAの獲得)
ラットOX2RH1ヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列の見識により、配列類似性に基づき、そしてラットOX2RH1はこのような等価物の単離のためのツールを提供することが理由で、他の種由来の相同な機能的等価物(マウスまたはヒトのOX2RH1を含む)を得ることが可能である。
【0183】
従って、ヒトOX2RH1を同定するために、正体未定のポリペプチドについてのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の既存のデータベース(例えば、ヒトゲノムプロジェクトから得られた配列を蓄えたデータベース)を、本明細書中に提供されたラットOX2RH1の核酸配列およびアミノ酸配列に対して相同性を有する配列について検索し得る。多くのサイトで蓄えられ、そしてアップデートされているデータベース(European
Bioinformatics Centre(http://www.ebi.ac.uk/)およびNational Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を含む)が、汎用性プログラム(例えば、FASTAまたはBLAST)によってアクセスされ得る。これらのデータベースは、発現配列タグ(EST)の配列を含み、このESTは、無作為なcDNAクローンから配列決定されたヌクレオチド配列の短い領域である。これは、本明細書中に提供されるラットOX2RH配列情報と比較することによって、マウスまたはヒトのOX2RHについての部分的cDNAクローンを単離することを可能にする。次いで、マクロファージcDNAライブラリーもしくはゲノムライブラリーをスクリーニングすることによってか、またはプライマー伸長技術(例えば、全長ラットOX2RH1クローンを得るために本明細書中に記載された技術)によって、全長クローンを単離し得る。
【0184】
ラットOX2RH1に関連したマウス配列およびヒト配列を、例えば、BLASTサーバー(Altschulら(1994)Nature Genet.6:119−129)を使用して、ゲノム配列データベースから同定した。標準的な分析プログラム(例えば、PHD(RostおよびSander(1994)Proteins 19:55−72)およびDSC(KingおよびSternberg(1996)Protein Sci.5:2298−2310))を使用して、構造を評価し得る。標準的な比較ソフトウェアは、例えば、以下を含む:Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−10;Waterman(1995)Introduction to Computational Biology:Maps,Sequences,and Genomes Chapman&Hall;LanderおよびWaterman(1995版)Calculating the Secrets of Life:Applications of the Mathematical Sciences in Molecular Biology、National Academy Press;ならびに、SpeedおよびWaterman(1996版)Genetic Mapping and DNA Sequencing(IMA Volumes
in Mathematics and Its Applications、第81巻)Springer Verlag。
【0185】
ラットおよびヒトのOX2RH1の核酸配列は、例えば、表5で見られ得るように、50〜98%の相同性を有する。他のホモログについては、特にホモログ3とは、類似性は低くあり得る。
【0186】
データベーススクリーニングに対する代替として、本明細書中に提供されるラットOX2RH1核酸配列を使用して、マクロファージcDNAライブラリーまたはゲノムライブラリーをスクリーニングし、適切なストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズするに十分に相同なヒト配列を同定し得る。このアプローチを使用し、プローブとしてラットOX2核酸を用いてヒトOX2遺伝子を単離した。McCaughanら(1987)Immunogenetics 25:329−335。テンプレートとして、cDNA、ゲノムDNA、cDNAクローン、またはゲノムクローンのテンプレートを使用するPCRに基づく方法もまた広範に使用されており、一般的なアプローチが、cDNAからのマウスOX2の単離によって例示される。Prestonら(1997)Eur.J.Immunol.27:1911−1918を参照のこと。
【0187】
提供されたOX2RH配列に由来するPCRプライマーを使用して、ヒトまたは他の種もしくは組織のcDNAライブラリーを探索する。配列は、例えば、表1〜4から導き出され得る(好ましくは、配列の末端に隣接する配列)。霊長類、げっ歯類または他の種のOX2RHの全長cDNAを、例えば、λgt10ファージのDNAハイブリダイゼーションスクリーニングによってクローン化する。PCR反応を、適切な条件下で、T.aquaticus Taqplus DNAポリメラーゼ(Stratagene)を使用して実施する。
【0188】
さらに、ラットOX2RH1配列を使用して、対応するマウスOX2RH1配列を単離し得、そしてそれらの間で保存された領域を同定し得る。特に、一群のホモログの発見によって、類似性の領域を同定し得る。保存された領域の配列は、一定範囲の種において所定の遺伝子を同定するための有用な試薬を提供する。例えば、マウスおよびラットのOX2のドメイン1は、同じヒトドメインとラットドメインとの間の77%同一性と比較して、アミノ酸レベルで90%同一である。Prestonら(1997)Eur.J.Immunol.27:1911−1918。
【0189】
さらに別の方法は、発現クローンに対する抗体を使用するか、または適切な細胞型(例えば、マクロファージ)由来もしくは他の種由来のcDNAライブラリーにおいて発現される交差反応するタンパク質を同定する。
【0190】
(VII.染色体位置付け)
遺伝子をマッピングする。例えば、染色体スプレッド(spread)を調製する。インサイチュハイブリダイゼーションを、例えば、72時間培養されたヒト由来のフィトヘマグルチニン刺激を与えたリンパ球から得られる染色体調製物において実施する。5−ブロモデオキシウリジンを、培養の最後の7時間に添加して(60μg/mlの培地)、良好な質のハイブリダイゼーション後染色体バンディングを確実にする。
【0191】
プライマーの補助により増幅されたPCRフラグメントを、適切なベクター中にクローン化する。ベクターを、3Hでのニックトランスレーションによって標識する。放射性標
識化プローブを、Matteiら(1985)Hum.Genet.69:327−331に記載されるように、最終濃度200ng/mlのハイブリダイゼーション溶液で、中期スプレッドに対してハイブリダイズさせる。
【0192】
核追跡(track)エマルジョン(KODAK NTB2)でのコーティングの後、
スライドを露光する。バンディング手順の間の銀粒子のいかなるスリップをも回避するために、最初に染色体スプレッドを緩衝化ギームザ溶液で染色し、そして中期写真撮影した。次いで、R−バンディングを、蛍光色素−光分解−ギームザ(FPG)法によって実施し、分析前に中期を再撮影する。
【0193】
類似のアプローチ方法が、他の種に使用される。
【0194】
(VIII.種々のOX2RH mRNAの位置付け)
OX2RH1の予期される発現パターンは、主にマクロファージ、顆粒球、および肥満細胞であるが、ホモログH2、H3、および/またはH4は、機能的にそれほど密接に関連していない可能性がある。従って、これらの分布は、特に興味深い。分布は、例えば、ハイブリダイゼーション方法もしくはPCR方法によって、核酸レベルで評価され得るか、または例えば、組織学的方法もしくは免疫化学的方法によって、タンパク質レベルで評価され得る。
【0195】
ヒト複数組織(カタログ番号1、2)および癌細胞株ブロット(カタログ番号7757−1)(1レーンあたり約2μgのポリ(A)+RNAを含む)を、Clontech(
Palo Alto、CA)から購入する。プローブを、例えば、Amersham Rediprimeランダムプライマー標識化キット(RPN1633)を用いて、[α−32P]dATPで放射性標識する。プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを、例えば、0.5M Na2HPO4、7%SDS、0.5M EDTA(pH8.0)中で65℃にて実施する。高ストリンジェンシーの洗浄は、例えば、65℃で、2×SSC、0.1%SDSで40分間の最初の2回の洗浄、次いで、0.1×SSC、0.1%SDSで20分間の引き続く洗浄で実施される。次いで、メンブランを、増感スクリーンの存在下で、X線フィルム(Kodak)に−70℃で露光する。cDNAライブラリーサザンによるより詳細な研究を、選択した適切な哺乳動物OX2RH1クローンで実施して、造血細胞サブセットまたは他の細胞サブセットにおけるそれらの発現を試験する。
【0196】
あるいは、2つの適切なプライマーを、例えば、表1〜4から選択する。RT−PCRを、メッセージの存在について選択された適切なmRNAサンプル(例えば、この遺伝子を発現するサンプル)において実施して、cDNAを産生する。
【0197】
全長クローンを、PCRシグナルによって予め選択された適切な組織から、cDNAライブラリーのハイブリダイゼーションによって単離し得る。ノーザンブロットを、実施し得る。
【0198】
OX2RHをコードする遺伝子についてのメッセージを、適切な技術(例えば、PCR、イムノアッセイ、ハイブリダイゼーション、または他の技術)によってアッセイする。組織および器官のcDNA調製物は、例えば、Clontech、Mountain View、CAから入手可能である。天然に発現する供給源の同定は、記載されるように有用である。
【0199】
マウスでの分布について、例えば、サザン分析は、以下の通りに実施し得る:一次増幅されたcDNAライブラリー由来のDNA(5μg)を、適切な制限酵素で消化して、挿入物を放出し、1%アガロースゲルにおいて泳動し、そしてナイロンメンブラン(Schleicher and Schuell、Keene、NH)に転写する。
【0200】
マウスmRNA単離のためのサンプルとしては、以下が挙げられ得る:休止マウス線維芽細胞L細胞株(C200);Braf:ER(エストロゲンレセプターへのBraf融合物)でトランスフェクトされた細胞;コントロール(C201);T細胞、TH1偏光化(Mel14光明、脾臓由来CD4+細胞、IFN−γおよび抗IL−4で7日間偏光化;T200);T細胞、TH2偏光化(MEll4光明、脾臓由来CD4+細胞、IL−4および抗IFN−γで7日間偏光化;T201);T細胞、高度にTH1偏光化(Openshawら(1995)J.Exp.Med.182:1357−1367を参照のこと;2、6、16時間プールについて抗CD3で活性化;T202);T細胞、高度にTH2偏光化(Openshawら(1995)J.Exp.Med.182:1357−1367を参照のこと;2、6、16時間プールについて抗CD3で活性化;T203);胸腺から選別される、CD44− CD25+プレT細胞(T204);抗原での最後の刺激後3週間休止中、TH1 T細胞クローンD1.1(T205);10μg/mlのCon Aで15時間刺激された、TH1 T細胞クローンD1.1(T206);抗原での最後の刺激後3週間休止中、TH2 T細胞クローンCDC35(T207);10μg/mlのCon Aで15時間刺激された、TH2 T細胞クローンCDC35(T208);休止中、脾臓由来Mel14+ネイティブT細胞(T209);6、12、24時間プールについてIFN−γ/IL−12/抗IL−4でTh1に偏光化された、Mel14+ T細胞(T210);6、13、24時間プールについてIL−4/抗IFN−γでTh2に偏光化された、Mel14+ T細胞(T211);刺激されていない成熟B細胞白血病細胞株A20(B200);刺激されていないB細胞株CH12(B201);刺激されていない、脾臓細胞由来ラージB細胞(B202);LPSで活性化された、全脾臓由来B細胞(B203);休止中、脾臓由来メトリザマイド富化樹状細胞(D200);休止中、骨髄由来樹状細胞(D201);;LPSで4時間活性化された、単球細胞株RAW264.7(M200);GMおよびM−CSFで誘導された、骨髄マクロファージ(M201);休止中、マクロファージ細胞株J774(M202);0.5、1、3、6、12時間プールでのマクロファージ細胞株J774+LPS+抗IL−10(M203);0.5、1、3、5、12時間プールでのマクロファージ細胞株J774+LPS+IL−10(M204);エアロゾルチャレンジしたマウス肺組織、Th2プライマー、エアロゾルOVAチャレンジ7、14、23時間プール(Garlisiら(1995)、Clinical Immunology and Immunopathology 75:75−83を参照のこと;X206);ブラジル鉤虫(Nippostrongulus)感染肺組織(Coffmanら(1989)Science 245:308−310を参照のこと;X200);全成人肺、正常(O200);全肺、rag−1(Schwarzら(1993)Immunodeficiency
4:249−252を参照のこと;O205);IL−10 K.O.脾臓(Kuhnら、(1991)Cell 75:263−274を参照のこと;X201);全成人脾臓、正常(O201);全脾臓、rag−1(O207);IL−10 K.O.パイアー斑(O202);全パイアー斑、正常(O210);IL−10 K.O.腸間膜リンパ節(X203);全腸間膜リンパ節、正常(O211);IL−10 K.O.結腸(X203);全結腸、正常(O212);NODマウス膵臓(Makinoら(1980)Jikken Dobutsu 29:1−13を参照のこと;X205);全胸腺、rag−1(O208);全腎、rag−1(O209);全心臓、rag−1(O202);全脳、rag−1(O203);精巣、rag−1(O204);全肝臓、rag−1(O206);ラット正常結合組織(O300);およびラット関節炎結合組織(X300)。
【0201】
ヒトmRNA単離のためのサンプルとしては、以下が挙げられ得る:末梢血単核細胞(単球、T細胞、NK細胞、顆粒球、B細胞)、休止中(T100);末梢血単核細胞、2、6、12時間プールについて抗CD3で活性化(T101);T細胞、TH0クローンMot72、休止中(T102);3、6、12時間プールについて抗CD28および抗CD3で活性化されたT細胞、TH0クローンMot72(T103);2、7、12時間プールについて特異的ポリペプチドでアネルギー処理されたT細胞、TH0クローンMot72(T104);T細胞、TH1クローンHY06、休止中(T107);3、6、12時間プールについて抗CD28および抗CD3で活性化されたT細胞、TH1クローンHY06(T108);2、6、12時間プールについて特異的ポリペプチドでアネルギー処理されたT細胞、TH1クローンHY06(T109);T細胞、TH2クローンHY935、休止中(T110);2、7、12時間プールについて抗CD28および抗CD3で活性化されたT細胞、TH2クローンHY935(T111);T細胞CD4+CD45RO− T細胞(抗CD28、IL−4、および抗IFN−γにおいて27日間偏光化)、TH2偏光化、抗CD3および抗CD28で4時間活性化(T116);T細胞腫瘍株JurkatおよびHut78、休止中(T117);T細胞クローン、プールされたAD130.2、Tc783.12、Tc783.13、Tc783.58、Tc782.69、休止中(T118);T細胞無作為(random)γδT細胞クローン、休止中(T119);脾細胞、休止中(B100);抗CD40およびIL−4で活性化された脾細胞(B101);プールされたB細胞EBV株WT49、RSB、JY、CVIR、721.221、RM3、HSY、休止中(B102);1、6時間プールについてPMAおよびイオノマイシンで活性化されたB細胞株JY(B103);プールされたNK20クローン、休止中(K100);プールされたNK20クローン、PMAおよびイオノマイシンで6時間活性化(K101);NKLクローン、LGL白血病患者の末梢血由来、IL−2処理(K106);NK細胞傷害性クローン640−A30−1、休止中(K107);1、6時間プールについてPMAおよびイオノマイシンで活性化された造血前駆体株TF1(C100);U937前単球株、休止中(M100);U937前単球株、1、6時間プールについてPMAおよびイオノマイシンで活性化(M101);溶出単球、1、2、6、12、24時間プールについてLPS、IFNγ、抗IL−10で活性化(M102);溶出単球、1、2、6、12、24時間プールについてLPS、IFNγ、抗IL−10で活性化(M103);溶出単球、4、16時間プールについてLPS、IFNγ、抗IL−10で活性化(M106);溶出単球、4、16時間プールについてLPS、IFNγ、抗IL−10で活性化(M107);溶出単球、1時間LPSで活性化(M108);溶出単球、6時間LPSで活性化(M109);DC70%CD1a+、CD34+
GM−CSF由来、TNFα12日間、休止中(D101);DC70%CD1a+、CD34+ GM−CSF由来、TNFα12日間、1時間PMAおよびイオノマイシンで活性化(D102);DC70%CD1a+、CD34+ GM−CSF由来、TNFα12日間、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化(D103);DC95% CD1a+、CD34+ GM−CSF由来、TNFα12日間FACS分類、1、6時間プールについてPMAおよびイオノマイシンで活性化(D104);DC95% CD14+、ex CD34+ GM−CSF、TNFα12日間FACS分類、1、6時間プールについてPMAおよびイオノマイシンで活性化(D105);DC CD1a+ CD86+、CD34+ GM−CSF由来、TNFα12日間FACS分類、1、6時間プールについてPMAおよびイオノマイシンで活性化(D106);単球GM−CSF由来DC、IL−4 5日間、休止中(D107);単球GM−CSF由来DC、IL−4
5日間、休止中(D108);単球GM−CSF由来DC、IL−4 5日間、4、6時間プールにLPS活性化(D109);単球GM−CSF由来DC、IL−4 5日間、TNFα活性化、4、16時間プールについて単球上清(supe)(D110);平滑筋腫L11良性腫瘍(X101);正常子宮筋層M5(O115);悪性平滑筋肉腫GS1(X103);1、6時間プールについてPMAおよびイオノマイシンで活性化された肺線維芽細胞肉腫株MRC5(C101);腎臓上皮癌細胞株、CHA、1、6時間プールについてPMAおよびイオノマイシンで活性化(C102);腎臓胎児28週目雄(O100);肺胎児28週目雄(O101);肝臓胎児28週目雄(O102);心臓胎児28週目雄(O103);脳胎児28週目雄(O104);胆嚢胎児28週目雄(O106);小腸胎児28週目雄(O107);脂肪組織胎児28週目雄(O108);卵巣胎児25週目雌(O109);子宮胎児25週目雌(O110);精巣胎児28週目雄(O111);脾臓胎児28週目雄(O112);成体胎盤28週目(O113);および炎症扁桃、12歳齢から(X100)。
【0202】
類似のサンプルが、評価のために他の種から単離され得る。組織学もまた、実施し得る。
【0203】
(IX.哺乳動物OX2RHタンパク質の産生)
適切な、例えば、GSTの融合タンパク質を、発現のために、例えば、E.coliにおいて操作する。例えば、マウスOX2RH pGexプラスミドを構築し、そしてE.coliに形質転換する。新鮮な形質転換細胞を、例えば、50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地中で増殖し、そしてIPTG(Sigma、St.Louis、MO)で誘導する。一晩のインキュベーションの後、細菌を回収し、そしてOX2RHタンパク質を含むペレットを単離する。このペレットを、例えば、TE緩衝液(50mM Tris塩基(pH8.0)、10mM EDTAおよび2mM ペファボロック(pefabloc))2リットル中でモジネートする。この物質を、3回ミクロフィリューダイザー(Microfluidics、Newton、MA)を通過させる。この流動体化した上清を、Sorvall GS−3ローターにおいて、1時間13,000rpmにてスピンダウンする。結果として生じたOX2RHタンパク質を含む上清を、濾過し、そして50mM Tris塩基(pH8.0)で平衡化したグルタチオン−SEPHAROSEカラムに対して通過させる。OX2RH−GST融合タンパク質を含む画分をプールし、そしてトロンビン(Enzyme Research Laboratories,Inc.、South Bend、IN)で切断する。次いで、切断されたプールを、50mM Tris塩基で平衡化したQ−SEPHAROSEカラムに対して通過させる。OX2RHを含む画分をプールし、そして冷却蒸留水において、より低い伝導率まで希釈し、そして新鮮なQ−Sepharoseカラム(単独、または免疫親和性抗体カラムに続いて)に対して通過させる。OX2RHタンパク質を含む画分をプールし、等分し、そして−70℃のフリーザーにおいて保存する。
【0204】
種々の融合構築物が、OX2RHを用いて作製される。従って、例えば、OX2RH2、H3、またはH4の細胞外部分の融合は、DAP12の細胞内部分またはIgGドメイン、あるいは他の標識ドメインまたは機能的ドメインに融合され得る。適切な遺伝子の部分は、エピトープタグ(例えば、FLAGタグ)またはツーハイブリッド系構築物に融合される。例えば、FieldsおよびSong(1989)Nature 340:245−246を参照のこと。
【0205】
抗FLAG抗体での検出を用いる発現クローニング手順において、このエピトープタグは使用され得、結合パートナー(例えば、それぞれのレセプター相同体についてのリガンド)を検出する。ツーハイブリッド系はまた、OX2RHに特異的に結合するタンパク質を単離するために使用され得る。
【0206】
類似のIgスーパーファミリーレセプタータンパク質でのCDスペクトルの比較は、タンパク質が正確にフォールディングされたことを示唆し得る。Hazudaら、(1969)J.Biol.Chem.264:1689−1693;およびCambellら(1979)Nature 282:341−342を参照のこと。
【0207】
結合特性(例えば、速度論および機能的効果)についてのOX2/OX2Rの反応性が研究され得る。優れて確立された免疫沈降法または遺伝的方法(例えば、酵母ツーハイブリッド系)を使用してOX2R細胞質ドメインの相互作用が決定され得る。タンパク質を通常発現しない細胞へのOX2RHのトランスフェクションは、生理学的研究およびシグナル伝達研究において有用であり得る。
【0208】
(X.OX2HRに特異的な抗体の調製)
適切な種または株(例えば、近交系のBalb/cマウス)を、組換え形態のタンパク質(例えば、精製OX2RHまたは安定にトランスフェクトされたNIH−3T3細胞)を用いて腹腔内で免疫した。タンパク質(付加的なアジュバントを有するか有さない)を用いて適切な時点に、動物をブーストし、さらに抗体産生を刺激する。血清を収集するか、または収集された脾臓を用いてハイブリドーマが産生される。
【0209】
あるいは、遺伝子またはそのフラグメントで形質転換された細胞、または内因性細胞あるいは外因性細胞のいずれか、または抗原の発現のために濃縮された単離された膜で、動物(例えば、Balb/cマウス)が免疫される。適切な時点(代表的には、多数のさらなる投与後)に、血清を収集する。種々の遺伝子療法技術が有用であり得る(例えば、インサイチュでタンパク質を産生する際に、免疫応答を産生するために)。血清または抗体調製物は、交差吸着または免疫選択され得、定義された特異性および高親和性の実質的に精製された抗体を調整する。従って、種々の種の対応物を認識する抗体、または特異的な種の部分集合または群(例えば、げっ歯類、エンボディメント(enbodiment))を認識する抗体、が調製され得る。
【0210】
モノクローナル抗体が作製され得る。例えば、適切な融合パートナーと脾細胞は融合され、そしてハイブリドーマは、標準手順によって増殖培地中で選択される。ラットOX2RH1に結合する抗体の存在について、ハイブリドーマ上清はスクリーニングされる(例えば、ELISAまたは他のアッセイによって)。特定のOX2RHエンボディメントを特異的に認識する抗体はまた、選択され得るか、または調整され得る。
【0211】
別の方法において、合成ペプチドまたは精製タンパク質は、免疫系に提示され、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体が産生される。例えば、Coligan(編、1991)Current Protocols in Immunology Wiley/Greene;およびHarlowおよびLane(1989)Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor
Pressを参照のこと。適切な状況において、結合試薬は、上記のように(例えば、蛍光または他で)標識されるか、パンニング方法のために基板に固定化されるかのいずれかである。核酸はまた、動物内の細胞に導入され得、抗原を産生する。その抗原は、免疫応答を惹起するために役立つ。例えば、Wangら、(1993)Proc.Nat’l.Acad.Sci.90:4145−4160;Barryら、(1994)BioTechniques 16:616−619;およびXiangら、(1995)Immunity 2:129−135を参照のこと。
【0212】
(XI.リガンドの結合およびパートナーの特異性)
結合選択性および親和性の試験のための手段は、容易に入手可能である。表面プラスモン共鳴(製造者のプロトコル;BIAcoreマニュアル、Pharmacia Biosensorを参照のこと)または他の方法が、OX2RHに対するリガンドを決定するために使用され得る。ラットおよびマウスH1は、それらの種の対照物のリガンド、OX2に結合する;ヒトH1は、同様に試験される。類似の潜在的なリガンドに対して、H2は同様に試験されるが、既知のレセプター(ラットおよびマウスH1)に対するH2の細胞外ドメインの類似性は、同じリガンドまたは密接に関連したリガンドを示唆する。
【0213】
レセプターは、特異的な結合試薬として使用され得、その結合の特異性を利用することによって、その結合パートナーを同定する(抗体が使用されるのと同様に)。結合レセプターは、OX2RHであり得るか、または、例えば別のサブユニットを有するOX2RHの複合体を含み得る。結合試薬は、上記のように標識されるか(例えば、蛍光または他で)、またはパンニング方法のために基板に固定化される。
【0214】
この結合組成物は、発現ライブラリーのスクリーニングに使用される。このライブラリーは、結合パートナー(例えば、リガンド)、好ましくは膜に結合した結合パートナーを発現する細胞株から作製される。標準染色手順は、表面で発現されたリガンドを検出または分類するために使用されるか、または、表面で発現された形質転換された細胞が、パンニングによってスクリーニングされる。細胞内発現のスクリーニングは、種々の染色または免疫蛍光手順によって行われる。McMahanら、(1991)EMBO J.10:2181−2832を参照のこと。
【0215】
あるいは、レセプター試薬は、アフィニティー精製、または推定リガンドを発現する細胞の選別に使用される。例えば、Sambrookら、またはAusubelらを参照のこと。
【0216】
別のストラテジーは、リガンドが結合した膜について、パンニングによってスクリーニングすることである。レセプターcDNAは、上記のように構築される。適切な抗体(例えば、OX2RH融合構築物上のFLAG配列を認識する)の使用、または第1抗体に対して惹起された抗体の使用によって、固定化は達成され得る。選択および増幅の反復サイクルは、適切なクローンの濃縮およびクローンを発現するレセプターの結果的な単離を導く。
【0217】
ファージ発現ライブラリーは、哺乳動物OX2RH(例えば、標識された形態)によってスクリーニングされ得る。適切な標識技術(例えば、抗FLAG抗体)は、適切なファージクローンの特異的な標識を可能にする。
【0218】
OX2−OX2RH結合の確認の際、または他の相同体についての代替のリガンドの同定の際、シグナル伝達経路が試験される。例えば、Prestonら、(1997)Eur.J.Immunol.27:1911−1918を参照のこと。DAP12の関与の暗示はまた、明白である。例えば、Bakkerら(2000)Human Immunology 61:18−27;Lanierら、(1998)Immunity 8:693−701;Smithら、(1998)J.Immunol.161:7−10;Gosselinら、(1999)J.Leukoc.Biol.66:165−171;Tomaselloら、(1998)J.Biol.Chem.273:34115−34119;およびMcVicarら、(1998)J.Biol.Chem.273:32934−32942を参照のこと。同様に、またはあるいは、DAP10は含まれ得る。例えば、Wu Jら、(1999)Science 285:730−732;およびBauerら、(1999)Science 285:727−729を参照のこと。
【0219】
特に、DAP12補助受容体(coreceptor)のパートナーは、T細胞レセプターサブユニットζおよびFcεRγと同じファミリーであり、ITIMモチーフを保持し、そしてsyk/zap70タンパク質チロシンキナーゼに関与する経路を通じてシグナル伝達する。DAP10は、YxxMモチーフを有し、PI3キナーゼ経路を通じてか、またはPI3キナーゼ経路に類似して、シグナル伝達する。
【0220】
NK細胞のMHCクラスIレセプターの特定のアイソフォームは、細胞質のドメインにITIM配列を欠き、そしてこれらのアイソフォームは、NK細胞を阻害するよりむしろ活性化すると提案されている。これらの活性化レセプターは、非常に短い細胞内領域(シグナル伝達モチーフを欠く)を有し、そしてそれらはすべて膜貫通ドメイン内の正に荷電した残基を共有する。このことは、シグナル伝達可能なアダプタ分子との結合を示唆する。DAP12、ITAMを含むタイプIジスルフィド結合ホモダイマーは、ヒトKIR2DSレセプターと非共有結合的に結合する。DAP12は、膜貫通領域に負に荷電されたアスパラギン酸残基を有し、そしてKIR2DSと共免疫沈降することが見出された、報告された12〜13kDのリンタンパク質に一致する。
【0221】
レセプターの係合の際に、DAP12はリン酸化され、そしてSykキナーゼを補充し、従って、T細胞レセプターに類似のシグナル伝達カスケードを誘導する。KIR2DSと結合されることに加えて、HLA−Cについてのレセプター、DAP12はまた、NK細胞の細胞表面で発現される。NK細胞は、H−2を認識する活性化マウスLy49DおよびLy49Hレセプターと結合し、そしてHLA−Eを認識するヒトCD94/NKG2Cヘテロダイマーレセプター複合体に結合する。
【0222】
ESTデータベースを検索することによって潜在的な膜シグナル伝達タンパク質を同定するための最近の努力は、DAP10、新規の10−kDの表面アダプタ(主に、造血細胞で発現される)の同定を導いた。DAP10は、DAP12との限定された相同性を有するのみであるが、その膜貫通ドメインは、DAP12の膜貫通領域およびTCRのCD3サブユニットのすべてに保存される領域負に荷電された残基を含む。さらに、DAP12およびCD3鎖の細胞外ドメイン内に保存されたシステイン残基はまた、DAP10に存在する。興味深いことに、ヒトDAP10およびDAP12遺伝子は、転写方向の反対に染色体19q13.1に隣接し、そしておそらく遺伝子複製の結果として約130塩基対のみ離れる。DAP10の1つの独特の特徴は、その短いが保存された細胞質尾部であり、YxxMシグナル伝達モチーフ、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI 3−キナーゼ)のp85制御サブユニットについての潜在的なsrc相同性2(SH2)ドメイン結合部位を含む。種々のOX2RHの、DAP12またはDAP10との物理的および機能的結合が決定され得る。
【0223】
(XII.遺伝子分析、動物研究)
配列は、染色体マッピングの決定、疾患マーカー相関関係、およびそれぞれの遺伝子の遺伝的な構造の単離および決定のために、利用可能な情報および試薬を有用にする。イントロン/エキソン構造が決定され、そしてトランスジェニックおよび欠損動物が調製される。例えば、Goodnow(1992)「Transgenic Animals」Roitt(編)Encyclopedia of Immunology、Academic Press、San Diego、第1502〜1504頁;Travis(1992)Science 256:1392−1394;Kuhnら、(1991)Science 254:707−710;Capecchi(1989)Science 244:1288;Robertson(編、1987)Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells;A Practical Approach、IRL Press、Oxford;Rosenberg(1992)J.Clinical Oncology 10:180−199;およびCournoyerおよびCaskey(1993)Ann.Rev.Immunol.11:297−329を参照のこと。
【0224】
インビトロおよびインビボでのOX2−OX2Rの相互作用の機能を決定するために、可溶性形態で産生されるアデノウイルス構築物を調整し、OX2RH1の細胞外領域は、ヒトIgGに融合された。ヒトIgGバックボーンのみが可溶性形態で産生されるように、コントロール構築物を調製した。第1の例において、インビトロでの細胞性感染によって、これらの融合タンパク質を含む上清を産生し、正常に発現されたマウスOX2に対する結合に基づいて、OX2R融合タンパク質が生物学的機能を有するかどうか試験した。第1の研究において、正常マウスならびにOX2遺伝子ノックアウト(KO)マウスからのマウスの脾臓の組織断片を調製し、そしてOX2Rまたはコントロール融合タンパク質を添加し、そして融合タンパク質のヒトFc部分に結合する抗体の添加によって、これらの試薬を検出し、そして結合を明らかにするために、引き続いて免疫ペルオキシダーゼ染色手順を行った。OX2R融合タンパク質の弱い結合のみが、かつOX2 KOマウスではなく、正常マウスにおいてのみ、濾胞性樹状細胞および内皮細胞上で検出された。両方の細胞型は、非常に高レベルのリガンドOX2を発現することが既知である。従って、試薬は、OX2の生理学的な形態に結合し、そして脾臓(リガンドOX2は、遺伝子標的化に起因して存在しない)における結合は観察されなかった。
【0225】
B細胞は、リガンドOX2を発現するが、濾胞性樹状細胞および内皮細胞よりも、より低いレベルで発現することが既知である。免疫組織化学は、特に感受性の技術ではない。従って、第2の研究において、同じ融合タンパク質は、正常マウスおよびOX2 KOマウスから単離された脾臓白血球に適用され、そしてB細胞のB220分子に対して特異的なmAbを使用するフローサイトメトリー分析によってB細胞への結合が決定され、そして融合タンパク質は、フィコエリトリンに結合したヒトIgGに対する第2抗体によって、より感受性に検出される。この場合、正常マウスにおけるすべてのB細胞は、OX2R融合タンパク質で標識されるが、コントロール融合タンパク質ではされない。OX2R融合タンパク質とB細胞との相互作用は、mAb(OX90と呼ばれ、OX2Rと相互作用するマウスOX2分子の一部に結合することが既知である)の添加によってブロックされた。さらに、OX2R融合タンパク質をOX2 KOマウス由来のB細胞に添加した際には、コントロール融合タンパク質で見られたバックグラウンドレベル以上の結合は、観察されなかった。
【0226】
これらの研究の結果は以下である:(1)OX2R融合タンパク質は、生物学的に活性であり、そして造血細胞および非造血細胞のOX2に結合する;および(2)OX2Rに結合される主要なリガンドは、リガンドOX2と実際に同定される(抗OX2(OX90)結合阻害およびOX KOマウス由来のB細胞への検出可能な結合の欠如に基づく)。これらのデータは、以下の可能性を排除し得ない。既知のリガンドOX2に加えて、OX2Rに結合される他のリガンドが存在する可能性。なぜなら、フローサイトメトリーでさえも、非常に低レベルで発現される細胞表面分子を検出しないからである。
【0227】
トランスジェニックマウスは、標準方法によって作製され得る。このような動物は、特定の組織においてか、または器官の全体にわたって遺伝子の欠失の影響を決定するのに有用である。このようなものは、種々の段階の動物の発生または特定の組織の発生における興味深い洞察を提供し得る。さらに、生物学的ストレスに対する種々の応答への影響が評価され得る。例えば、Hoganら、(1995)Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual(第2編)Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。同様に、欠失マウス(例えば、ノックアウトマウス)が作製され得る。
【0228】
これらの動物は、インビボでの遺伝子の機能を研究するために、動物モデルに供される。例えば、Gorczynskiら、(1999)J.Immunol.163:1654−1600;Mankooら、(1999)Nature 400:69−73;Gorczynskiら、(1999)Transplant.Proc.31:577−578;およびGorczynski Lら、(1999)J.Immunol.162:774−781を参照のこと。特に興味深いのは、マクロファージまたは他の骨髄性細胞集団の、例えば、血液中、リンパ組織または固体器官(神経系における小神経膠細胞を含む)における役割である。感染、自己免疫炎症および神経変性の感受性の試験が示される。アンタゴニストおよびアゴニストの両方は、記載されるか、または利用可能にされるインビトロモデルまたはインビボモデルでの有用な試薬である。
【0229】
(XIII.治療価値を有しそうな物質のスクリーニング)
OX2R/OX2R相互作用の生物学的な効果は、OX2R(OXについての実験的な置換体)に反応性の抗体の使用によって研究され得る。OX2Rは、マクロファージ細胞表面膜のOX2R分子を架橋し、そして例えば、一酸化窒素の産生またはシグナル伝達タンパク質のリン酸化における変化を捜すことによって研究され得る。
【0230】
OX2R/OX2相互作用を乱す効果は、OX2Rを保持するマクロファージを使用して試験され得る。マクロファージを架橋結合パートナー(例えば、OX2R(例えば、OX102)についてのmAb)、または組換え多価バージョンのOX2に曝露することによって(候補物質の存在下または非存在下で)試験され得る。候補化合物の存在下または非存在下でのマクロファージの活性(例えば、一酸化窒素の産生またはシグナル伝達タンパク質のリン酸化)の比較は、候補物質が調節効果(例えば、阻害または増強)を有するかどうかを示す。
【0231】
候補物質はまた、マクロファージが関連する疾患(例えば、自己免疫)の病理学の疾患の優れて確立されたモデルにおいて試験され得る。例えば、先に記載され、かつ例示されたように、確立されたモデル(例えば、実験的アレルギー脳脊髄炎)(例えば、マウスにおける自己免疫疾患の実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)の促進された発症を示すモデル)が使用され得る。OX2R擬症は、慢性条件(例えば、慢性肉芽腫症)下で有利であり得る。OX2/OXR2シグナル伝達のアゴニストまたはアンタゴニストの組み合わせは、このような条件に対する存在する療法と組み合わされ得る。Physicians’Desk Reference Medical Economics Co,Montvale,NJを参照のこと。
【0232】
例えば、上記のような分析は、OX2R/OX2相互作用の摂動が治療的に有益であり得る方法を示す。例えば、本発明は、OX2RHの組換えバージョンの作製手段を提供する。OX2RXは、利用可能なOX2タンパク質と関連して使用され得、相互作用をブロックする可能な薬理学的な試薬をスクリーニングする。相互作用するタンパク質の有効性は、薬理学的産業で使用されるようなハイスループットな低分子スクリーニングプログラムの手段を提供する。例えば、High Throughput Screeningについての会議,International Business Communications,Southborough,MA 01772−1749を参照のこと。OX2RHの細胞質領域を介した相互作用は、治療標的でありそうであり、そして配列の知識およびその相互作用は、類似のスクリーニング方法を通じた薬理学的試薬を発達するための手段を提供する。
【0233】
(XIV.構造活性関連性)
特定の残基の臨界に関する情報は、標準手順および分析を使用して決定され得る。標準変異導入分析は、例えば、決定された位置(例えば、上記で同定された位置)で多くの異なる変異体を産生することによって行われ、そして変異体の生物学的活性を評価することによって行われる。これは、活性を変化する位置を決定する程度まで行われ得るか、または生物学的活性を保持、ブロックまたは調節する、のいずれかのために置換され得る残基を決定するために特定の位置に注目するまで行われる。
【0234】
あるいは、天然の変異体の分析は、天然の変異に耐性である位置を示し得る。これは、個体の間、または株あるいは集団にわたる変異の集団分析より生じる。個体から選択されたサンプルは、例えば、PCR分析および配列決定によって分析される。これは、集団の多形の評価を可能にする。
【0235】
本明細書中のすべての引用は、本明細書中で参考として援用される。各個々の刊行物または特許出願が、具体的にかつ個別に参考として援用されるように示される場合と同程度まで援用される。
【0236】
本発明の多くの修飾および改変が、その精神および範囲から逸脱することなくなされ得る。なぜなら、当業者には明らかであるので。本明細書中に記載される特定の実施形態は、例の目的のみで提供され、そして本発明は、添付の請求項(このような請求項が表題を付けられた等価物の全体の範囲内に沿って)に関して限定される。;そして本発明は、例示のために本明細書中に提示された特定の実施形態によって限定されない。
【化1】

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【化28】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(a)配列番号20に示す成熟アミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド、および、
(b)配列番号20に示すアミノ酸配列からなる、単離されたポリペプチド、
からなる群から選択されるOX2Rポリペプチドに特異的に結合して該OX2Rポリペプチドを刺激する抗体を含む、自己免疫疾患を治療するための薬学的組成物。
【請求項2】
前記自己免疫疾患が多発性硬化症である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記自己免疫疾患が慢性関節リウマチである、請求項1に記載の薬学的組成物。

【公開番号】特開2012−72186(P2012−72186A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−289718(P2011−289718)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2000−618451(P2000−618451)の分割
【原出願日】平成12年5月11日(2000.5.11)
【出願人】(597166578)メディカル リサーチ カウンシル (60)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】