説明

Oct4及びBmi1、またはその上位調節子を用いて体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物及びこれを用いた胚幹細胞類似細胞の製造方法

【課題】Oct4遺伝子、Bmi1遺伝子、Bmi1の上位調節子であるShhまたはその類似体を用いて体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物、Oct4、Bmi1遺伝子、Bmi1の上位調節子であるShhまたはその類似体の導入によって体細胞から胚幹細胞と類似の特性を持つ多能性逆分化幹細胞を製造する製造方法、及びこの方法で生産された胚幹細胞類似細胞を提供する。
【解決手段】体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物は、a)Bmi1タンパク質またはBmi1タンパク質をコードする核酸分子;及びb)Oct4タンパク質またはOct4タンパク質をコードする核酸分子を含む。また、この組成物を用いて胚幹細胞類似細胞を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はOct4及びBmi1、またはその上位調節子を用いて体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物及びこれを用いた胚幹細胞類似細胞の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は逆分化因子であるBmi1、その上位調節子であるShh(Sonic hedgehog signaling pathway)、Shhの類似体であるオキシステロール(oxysterol)またはプルモルファミン(purmorphamine)を逆分化誘導因子であるOct4とともに導入して体細胞から逆分化誘導(reprogramming)過程によって胚幹細胞のような細胞を誘導する新規の組成物及びこれを用いた胚幹細胞類似細胞製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
幹細胞は正常な体細胞と異なり、無限に分裂可能な能力を持ち、適切な環境条件の下で特定細胞に分化する能力を持つ。その分化能力は幹細胞の特性によって多能性(pluripotency)、多分化能(multipotency)、また分化単一性(unipotency)に定義される。したがって、幹細胞を培養によって増殖させた後、特定の細胞に分化させる技術は細胞治療の面で多くの疾病を治療することができる潜在力を持っていると言える。
【0003】
造血幹細胞(hematopoietic stem cell)、骨髓系幹細胞(bonemarrow stem cell)、神経幹細胞(neural stem cell)などの幹細胞は成体にも存在するので、患者自身から抽出することができて、疾病治療の際、免疫拒否反応の問題点を克服することができる利点がある。このような利点は、既存の臓器移植において、臓器提供者の確保が難しかった部分を克服することができる。
【0004】
しかし、今まで知られた見解によれば、成体幹細胞はただ多分化能で、分化可能な能力に限界を持つ。これはつまり組職特異幹細胞は同一組職類型の細胞にだけ分化することができることで、中枢神経系(central nervous system)(非特許文献1)、骨髓(bone marrow)(非特許文献2)、網膜(retina)( 非特許文献3)と骨格筋(skeletal muscle)(非特許文献4)から分離された幹細胞は分化能力も類似組職系統にだけ分化可能であることを意味する。その例として、造血幹細胞は血液に関連した細胞で、神経幹細胞は神経細胞(neuron)またはグリア細胞(glial cell)に、骨髓系幹細胞(bone marrow stem cell)は中胚葉細胞(mesodermalcell)に分化可能である。さらに、理論的に無限に増殖可能な成体幹細胞であるが、現在までの報告によれば、このような成体幹細胞をインビトロ(in vitro)で増殖させるのに困難さがあり、実際患者から多量の細胞を分離し出すことも難しい。
【0005】
多能性幹細胞(pluripotent stem cell)は前述した成体幹細胞が持っていたさまざまな欠点を克服することができる立派な資源である。この細胞は人体を構成するすべての種類の細胞への分化が可能であり、インビトロで無限に増殖可能である。現在まで知られた多能性幹細胞としては、胚幹細胞、胚生殖細胞(embryonic germ cell)、胚性癌腫細胞(embryonic carcinoma cell)があり、そのうち胚幹細胞は一番多くの研究がなされて、特定細胞への分化方法及び動物疾病モデルに対して研究した機能性検証と臨床利用の際の多様な疾病に対する治療可能性を示した。
【0006】
しかし、このような胚幹細胞も成体幹細胞の如く臨床利用のために克服しなければならない欠点が存在する。まず、胚幹細胞を得るためには、受精された胚芽を破壊しなければならないので、倫理的な問題点を持っており、胚幹から分化した細胞を患者に移植した場合、免疫拒否反応が起こるという問題点を持っている。
【0007】
したがって、胚幹細胞のこのような問題点を克服するために多様な接近方法が試みられたが、そのうち一番脚光を浴びたものは、分化した細胞から分化しなかった細胞への逆分化誘導(reprogramming)である。逆分化は分化した細胞を用いて胚幹細胞のような多能性幹細胞を作り上げることを総称し、このような方法としては、1)核移植(nuclear transfer)、2)細胞融合(cell fusion)、3)細胞抽出物処理(cell extract treatment)、及び4)遺伝子導入による逆分化(induced pluripotent stem cell;iPS cell)技術がある(非特許文献5)。
【0008】
iPScell技術は現在まで研究されたどんな技術よりも胚幹細胞に近い細胞を作り上げるのに成功した。このような結果と機作を証明するために初めて技術が発表された2006年以後現在まで数多い研究論文が溢れ出ている実情である。基本的にはマウスまたはヒトの体細胞に四つの遺伝子(逆分化誘導因子;Oct4,Sox2,Klf4,and C−Myc/Oct4,Sox2,Nanog,Lin28)を導入した後、胚幹細胞の培養条件で長期間培養した場合、胚幹細胞と類似の特性の幹細胞が確立できた。これは、胚幹細胞との遺伝子発現(gene expression)、後成的特性(epigenetics)、インビトロ/インビボ(in vitro/in vivo)での3胚葉性分化能力(three germ layer differentiation)、テラトマ(teratoma)形成能、キメラマウス生成(chimeric mouse generation)、そしてキメラマウスの生殖細胞系伝達(germline transmission)などの特性がよほど類似したものであることが証明された(非特許文献6)。
【0009】
しかし、このような逆分化過程の機作は、逆分化誘導のために使用された遺伝子の数があまりにも多くて詳細な機作を糾明しにくいので、現在まで明かされた水準が低い状態である。また、逆分化誘導技術が確立されているもかかわらず、実際治療適用のためには技術的に簡便で効率の高い方法を続けて開発しなければならなく、このように開発された技術はいずれも効率と安全性の面で評価されなければならない。
【0010】
最近発表された研究結果によれば、癌抑制遺伝子であるp53の非活性化(inactivation)はiPS細胞の生成効率を高めると報告された(非特許文献7)。p53遺伝子はInk4a/Arf locusによって調節される。このlocusは選択的スプライシング(alternative splicing)によって発現が調節され、Arfによって生成されたp19Arfはp53遺伝子の発現を、Ink4aによって生成されたp16Ink4aはRb遺伝子の発現を誘導すると知られている。この2種の遺伝子p16Ink4aとp19Arfの発現を抑制させた場合、p19Arfだけを抑制させた場合よりiPS生成効率が増加したという報告もある(非特許文献8)。
【0011】
Polycomb group(PcG)タンパク質は後成的遺伝子抑制者(epigenetic gene silencer)であり、PcGタンパク質の一つであるBmi1はp16Ink4aとp19Arfの発現を抑制させることでp53とRbの発現を抑制させると報告されている(非特許文献9)。また、Bmi1は染色質(chromatin)の構造を変化させてターゲット遺伝子の発現を抑制すると知られており、このような特性によって神経幹細胞及び造血幹細胞の自己再生(self−renewal)に重要な役目をすると知られている。これにより、本発明者らの既存の研究では、マウスの星状細胞(astrocyte)にBmi1を過剰発現(overexpression)させることで神経幹細胞への逆分化に成功したことを報告した。このように逆分化された神経幹細胞の特性は実際マウスから分離された神経幹細胞と相当な部分において類似し、その逆分化誘導因子の一つでありながらも神経幹細胞の自己再生に重要な役目をする遺伝子であるSox2の発現が増加することを確認した(非特許文献10)。
【0012】
一般体細胞の場合、逆分化するためには、四つ(Oct4,Sox2、Klf4、C−Myc)あるいは三つ(Oct4、Sox2、Klf4)の遺伝子が必要であるが、この遺伝子を内生的に発現(endogenously expression)する細胞に限っては遺伝子の追加導入が必要ではないことが知られている。そのうち代表的なものがマウス/ヒトの神経幹細胞にOct4遺伝子一つだけを導入して逆分化幹細胞を確立したという研究結果である。これは、神経幹細胞が内生的にSox2、Klf4、C−Mycを発現するからである(非特許文献11)。しかし、いまだに体細胞からOct4誘導因子のみを用いて多能性を持つ胚幹細胞類似細胞を製造する方法は知られたことがない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Science 255,1707−1710 1992;Science 287、1433−1438 2000
【非特許文献2】Science 276,71−74,1997;Science 287,1442−1446,2000;Science 284,143−147,1999
【非特許文献3】Science 287,2032−2036,2000
【非特許文献4】Proc.Natl Acad.Sci.USA 96,14482−14486,1999;Nature 401,390−394,1999
【非特許文献5】Cell 132,567−582,2008
【非特許文献6】Cell 126,663−676,2006;Science 318,1917−1920,2007
【非特許文献7】Nature 460,1132−1135,2009
【非特許文献8】Nature,460,1140−1144,2009
【非特許文献9】Genes Dev,2678−2690,1999
【非特許文献10】Biochem Biophys Res Commun.371,267−272,2008
【非特許文献11】Nature,461,649−653,2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者らはマウスの体細胞にOct4の過剰発現とともにSox2遺伝子の発現誘導及びp16Ink4aとp19Arfの発現を抑制させることができるBmi1の過剰発現によって逆分化された誘導万能幹細胞を確立することができるという仮説を立てた。このような仮説を基にして二つの遺伝子を体細胞に導入した後、胚幹細胞の培養条件で培養した結果、胚幹細胞と類似形態の細胞群を確立することができた。このように確立された細胞群は遺伝子発現(gene expression)、後成的特性(epigenetics)、インビトロ/インビボでの三胚葉性分化能力(three germ layer differentiation)、テラトマ(teratoma)形成能力、キメラマウス生成(chimeric mouse generation)がマウス胚幹細胞と非常に類似していることを確認することで本発明を完成した。
【0015】
ひいては、この結果に基づき、Bmi1を調節することができる上位調節因子によってBmi1遺伝子を取り替えることができたら、導入しなければならない遺伝子の数を減らすことができると思った。前記Bmi1遺伝子は上位調節因子であるShh信号体系(Sonic hedgehog signaling pathway)によって調節されている。ShhあるいはShh類似体(Shh analog)による接近方法の実験結果、Bmi1遺伝子の過剰発現システムと同一の結果を確認した。
【0016】
したがって、本発明の目的は、Oct4遺伝子、Bmi1遺伝子、Bmi1の上位調節子であるShhまたはその類似体を用いて体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、Oct4、Bmi1遺伝子、Bmi1の上位調節子であるShhまたはその類似体の導入によって体細胞から胚幹細胞と類似の特性を持つ多能性逆分化幹細胞を製造する製造方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、前記方法で生産された胚幹細胞類似細胞を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的及び利点は下記の発明の詳細な説明、請求範囲及び図面によってより明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは体細胞にBmi1及びOct4とともに導入するか、Bmi1の上位調節子であるShh、Shhの類似体であるオキシステロール(oxysterols)またはプルモルファミン(purmorphamine)を体細胞に処理して神経幹細胞のような細胞に誘導しながらOct4を導入し、胚幹細胞の培養条件で培養する場合、すでに分化された細胞タイプである体細胞が多能性を持つ胚幹細胞類似細胞に逆分化(de−differentiation)することを見つけて本発明を完成した。
【0021】
一様態において、本発明は、a)Bmi1(Bcell−specific Moloney murine leukemia virus integration site 1)タンパク質またはBmi1タンパク質をコードする核酸分子;及びb)Oct4タンパク質またはOct4タンパク質をコードする核酸分子を含む、体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物を提供する。
【0022】
本発明において、“胚幹細胞(embryonic stem cell、ESC)類似細胞”という用語は多能性を持つ細胞を意味し、形質転換ない増殖、無限増殖、自己再生産、及び3種のすべての胚芽層から来由したどんな細胞に発達することができる能力を含む胚幹細胞の特性を意味するが、これに制限されない。本発明において、胚幹細胞類似細胞は胚幹細胞、誘導された多能性幹細胞、または誘導万能幹細胞とも記述される。
【0023】
本発明の胚幹細胞類似細胞を誘導することにおいて、出発体細胞の種類は特に限定されなく、任意の体細胞を用いることができる。例えば、胎芽期(embryonic period)の体細胞の外に成熟した(matured)体細胞を用いても良い。胚幹細胞類似細胞を疾病の治療に用いる場合には、患者から分離された体細胞を用いることが好ましく、例えば、疾病に関与する体細胞や疾病治療に関与する体細胞などを用いることができる。好ましくは、前記体細胞は繊維芽細胞であり、本発明において、繊維芽細胞はヒト、マウス、馬、羊、豚、山羊、らくだ、羚羊、犬などの動物来由のすべての繊維芽細胞を含む。
【0024】
本発明のBmi1及びOct4はタンパク質またはそのタンパク質をコードする核酸の形態として提供される。本発明の組成物に使われるBmi1及びOct4は、ヒト、馬、羊、豚、山羊、らくだ、羚羊、犬などの動物来由のすべてのBmi1及びOct4を含み、好ましくは、ヒトのBmi1及びOct4である。また、胚幹細胞類似細胞への逆分化に使われる本発明のBmi1及びOct4タンパク質はその野生型のアミノ酸配列を持つタンパク質だけでなくBmi1及びOct4タンパク質の変異体を含む。
【0025】
Bmi1及びOct4タンパク質の変異体とは、Bmi1及びOct4の天然アミノ酸配列と一つ以上のアミノ酸残基が結実、挿入、非保全的または保全的置換またはこれらの組合せによって相異なる配列を持つタンパク質を意味する。前記変異体は天然タンパク質と同一の生物学的活性を示す機能的等価物であるか、必要によってタンパク質の物理化学的性質が変形された変異体であることができる。物理、化学的環境に対する構造的安全性が増大するか生理学的活性が増大した変異体である。
【0026】
好ましくは、Bmi1及びOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列を持つ核酸の形態として提供される。
【0027】
Bmi1及びOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列は野生型または前述したような変異体形態のBmi1及びOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列で、一つ以上の塩基が置換、結実、挿入またはこれらの組合せによって変異されることができ、天然で分離されるか化学的合成法によって製造できる。
【0028】
前述したBmi1及びOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列を持つ核酸は単鎖または二重鎖であることができ、DNA分子(ゲノム、cDNA)またはRNA分子であることができる。
【0029】
好適な一様態において、本発明において、体細胞の胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物は、Bmi1及びOct4タンパク質をコードする核酸を含むBmi1及びOct4タンパク質を発現するベクターを含む。
【0030】
本発明において、“ベクター”という用語は適当な宿主細胞から目的タンパク質を発現することができる発現ベクターで、遺伝子挿入物が発現するように作動可能に連結された必須な調節要素を含む遺伝子作製物を言う。
【0031】
本発明において、“作動可能に連結された(operably linked)”という用語は一般的機能を遂行するように核酸発現調節配列と目的とするタンパク質をコードする核酸配列が機能的に連結(functional linkage)されていることを言う。組み換えベクターとの作動的連結は当該技術分野でよく知られた遺伝子組み換え技術を用いて製造することができ、部位−特異的DNA切断及び連結は当該技術分野に一般的に知られた酵素などを使う。
【0032】
本発明において、ベクターはプローモーター、オペレーター、開始コドン、終止コドン、ポリアデニル化シグナル、エンハンサーのような発現調節要素の外にも膜標的化または分泌のための信号配列またはリーダー配列を含み、目的によって多様に製造できる。ベクターのプローモーターは構成的または誘導性であることができる。また、発現ベクターはベクターを含む宿主細胞を選択するための選択性マーカーを含み、複製可能な発現ベクターの場合、複製起源を含む。ベクターは自己複製するか宿主DNAに統合できる。
【0033】
本発明において、ベクターはプラスミドベクター、コスミドベクター、ウイルスベクターなどを含む。好ましくは、ウイルスベクターである。ウイルスベクターは、レトロウイルス(Retrovirus)、例えばHIV(Human immunodeficiency virus)、MLV(Murineleukemia virus)、ASLV(Avian sarcoma/leukosis)、SNV(Spleen necrosis virus)、RSV(Rous sarcoma virus)、MMTV(Mouse mammary tumor virus)など、アデノウイルス(Adenovirus)、アデノ関連ウイルス(Adeno−associated virus)、ヘルペスシンプレックスウイルス(Herpes simplex virus)などから由来したベクターを含むが、これに制限されない。本発明の具体的な実施例では、Bmi1遺伝子の場合、MLV由来のウイルスベクター(Moloney leukemia virus based virus vector)としてプロマイシンに対する選別マーカーを含むpBabe puroベクターを用いた。Oct4遺伝子の場合は、MLV由来のウイルスベクターとしてネオマイシン(neomycine)に対する選別マーカーを含むpBabe neo Oct4ベクターを用いた。
【0034】
本発明では、Bmi1及びOct4などのタンパク質をコードする核酸は当該分野の公知方法、例えばベクター形態のネイキッドDNAで細胞内に伝達するか(Wolff etal.Science,1990:Wolff et al.J Cell Sci.103:1249−59,1992)、リポソーム(Liposome)、カチオン性高分子(Cationic polymer)などを用いて細胞内に伝達することができる。リポソームは遺伝子伝達のためにDOTMAやDOTAPなどのカチオン性リン脂質を混合して製造したリン脂質膜であり、カチオン性のリポソームとアニオン性の核酸が一定比率で混合すれば核酸−リポソーム複合体が形成される。
【0035】
さらに他の好適な様態において、本発明において、体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物は、Bmi1及びOct4タンパク質をコードする核酸を含むBmi1及びOct4タンパク質を発現するウイルスを含む。
【0036】
本発明において、“ウイルス”という用語はBmi1及びOct4などのタンパク質をコードする核酸を含むウイルスベクターをパッケージング細胞で形質転換及び感染させて製作した、Bmi1及びOct4などを発現するウイルスを意味する。
【0037】
本発明において、Bmi1及びOct4などのタンパク質を発現するウイルスの製造に使われることができるウイルスはレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスシンプレックスウイルスなどを含むが、これらに制限されない。好ましくは、レトロウイルスである。本発明の具体的な実施例では、pBabe puroベクターにBmi1タンパク質をコードするヌクレオチド配列(配列番号1)を挿入して製造したベクター(pBabe puro Bmi1)とpBabe neoベクターにヒトのOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列(配列番号2)を挿入して製造したベクター(pBabe neo Oct4)を広範囲な哺乳類宿主細胞に感染可能な高力価ウイルスを生成するパッケージング細胞であるPT67細胞に形質転換させてBmi1及びOct4タンパク質を発現するウイルスを製造して繊維芽細胞を感染させた。
【0038】
さらに他の様態において、本発明は、Bmi1(B cell−specific Moloney murine leukemia virus integration site 1)遺伝子及びOct4遺伝子を体細胞に導入して、体細胞から胚幹細胞類似細胞を製造する方法を提供する。
【0039】
より具体的に、(i)繊維芽細胞を培地で培養する段階、(ii)前記培養した繊維芽細胞を、Bmi1遺伝子及びOct4遺伝子を挿入したベクターを導入(transfection)させたパッケージング細胞で感染させる段階、(iii)前記感染させた繊維芽細胞を胚幹細胞の培養条件で培養する段階を含む。
【0040】
前記方法の(i)段階で繊維芽細胞を培養する培地は当該技術分野で繊維芽細胞の培養に通常使われる培地をいずれも含む。培養に使われる培地は一般的に炭素源、窒素源及び微量元素成分を含む。本発明の具体的な実施例では、DMEM(high glucose、w/o sodium pyruvate)+10%FBS(Fetal bovine serum;ウシ胎児血清)+0.1mM 非必須アミノ酸(non−essential amino acid)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicilin/streptomycin)+0.1mM β−メルカプトエタノール(β−mercaptoethanol))培地で培養した。
【0041】
前記方法の(ii)段階で、前記ベクターはpBabe puroベクターにBmi1タンパク質をコードする核酸分子を挿入して製造したベクター(pBabe puro Bmi1)とpBabe neoベクターにヒトのOct4タンパク質をコードする核酸分子を挿入して製造したベクター(pBabe neo Oct4)を広範囲な哺乳類宿主細胞に感染可能な高力価ウイルスを生成するパッケージング細胞であるPT67細胞に形質転換させてBmi1及びOct4タンパク質を発現するウイルスを製造して繊維芽細胞を感染させる。前記Bmi1及びOct4タンパク質またはBmi1及びOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列である核酸は、ヒト、馬、羊、豚、山羊、らくだ、羚羊、犬などの動物来由のすべてのBmi1及びOct4であることができ、野生型及び変異体を含む。本発明の具体的な実施例では、ヒトのBmi1(NCBI accession No.L13689;配列番号1)及びヒトのOct4(NCBI accession No.NM_002701;配列番号2)を用いた。
【0042】
前記方法の(iii)段階の胚幹細胞の培養条件は当該技術分野で胚幹細胞培養に通常使われる培地をいずれも含む。本発明の具体的な実施例では、支持細胞がある条件でハイグルコースDMEMに15%FBS(Fetal bovine serum;ウシ胎児血清)+0.1mM 非必須アミノ酸(nonessential amino acid)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicillin/streptomycin)+0.1mM β−メルカプトエタノール(β−mercaptoethanol)+1000unit/ml マウスLIF(leukemia inhibitory factor;白血病抑制因子)の培養液で培養しながら2〜3日に一回ずつ継代培養した。
【0043】
さらに他の様態において、本発明は前記方法で製造された胚幹細胞類似細胞を提供する。
【0044】
本発明の逆分化方法によって製造された胚幹細胞類似細胞は、胚幹細胞特異的なマーカーであるアルカリ性ホスファターゼ(alkaline phosphatase)及びSSEA−1、Oct−4、Sox2に対する抗体に陽性反応を示し、胚幹細胞の自己再生能力の維持に重要な遺伝子(Oct4、Sox2、Nanog、c−myc、Klf4)の発現が胚幹細胞と類似した様相で発現される。また、一般的な胚幹細胞と同様な多能性を持つことを確認した。さらに、本発明の逆分化方法で製造された胚幹細胞類似細胞は自己再生(self−renewal)の特徴を持つ。
【0045】
本発明による胚幹細胞類似細胞は多様なタイプの細胞を提供する良いソース(source)である。例えば、前記胚幹細胞類似細胞は、細胞分化のための条件の培地で培養し、造血細胞、神経細胞、ベータ細胞、肝細胞、軟骨細胞、上皮細胞、尿路細胞及びその類似細胞に分化誘導できる。
【0046】
胚幹細胞類似細胞が分化するための培地条件及び方法はPalacios, et al.,PNAS.USA,92:7530−7537(1995),Pedersen,J.Reprod.Fertil.Dev.,6;543−552(1994)、及びBain et al.,Dev.Biol,168:342−357(1995)に開示されている。前記胚幹細胞類似細胞は移植によって数多い治療に応用できる。前記胚幹細胞類似細胞は、糖尿病、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、脊椎損傷、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、筋ジストロフィー、肝疾患、高コレステロール血症、心臓疾患、軟骨代替、創傷、足部潰瘍、胃腸病、血管疾患、腎臓疾患、尿路疾患、老化関連疾患及び状態のような数多い疾病または疾患の治療に応用できる。その外に、本発明の胚幹細胞類似細胞は薬物開発時評価などにも応用できる。
【0047】
さらに他の様態において、本発明は、Bmi1(B cell−specific Moloney murine leukemia virus integration site 1)遺伝子を体細胞に導入し、神経幹細胞の培養条件で培養することで、体細胞から神経幹細胞を製造する方法を提供する。
【0048】
前述した方法によって神経幹細胞に分化が誘導されることを特異的なマーカーの発現(Nestin及びSox2)で確認した。神経幹細胞を当該分野に知られた通常的な神経幹細胞分化条件で分化を誘導する場合、星状細胞、神経細胞、乏突起膠細胞(oligodendrocytes)に分化することをそれぞれの該当のマーカーであるGFAP、Tuj1、O4が発現することを免疫化学染色法で確認した。
【0049】
本発明の他の様態において、本発明は、a)Shh(Sonic hedgehog signaling)タンパク質、Shhタンパク質をコードする核酸分子、オキシステロール(Oxysterol)、プルモルファミン(purmorphamine)及びこの混合物から選択されるBmi1の上位調節子 ;及びb)Oct4タンパク質またはOct4タンパク質をコードする核酸分子;を含む体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物を提供する。
【0050】
前記Bmi1遺伝子は上位調節因子であるShh信号体系(Sonic hedgehog signaling pathway)によって調節されている。ShhあるいはShh類似体による接近方法の実験結果がBmi1遺伝子の過剰発現システムと同一の結果を示すなら、遺伝子導入の数を減らすことができる可能性がある。現在までマウス繊維芽細胞に一つの遺伝子だけで逆分化幹細胞を作った結果がないから、このような接近方法によって新しい逆分化誘導方法を提示することができ、ひいては遺伝子の導入ない逆分化幹細胞株の誘導方法の確立に基盤となる技術を提供することができると考えられた。
【0051】
このような仮説を基にして前記Bmi1を過剰発現させるためにShh信号体系(Sonic hedgehog signaling)を用いたが、Shhは神経幹細胞の自己再生において重要なサイトカインで直接的にGli1タンパク質を調節し、Bmi1、Sox2を含む神経幹細胞の主要因子の発現を増加させると報告されている(Curr Mol Med.9,873−886,2009;Crit Rev Oncol Hematol.65,43−53,2008)。本発明者らはこのような報告によって最近に星状細胞をBmi1遺伝子の導入で神経幹細胞(neural stem cell)に逆分化誘導することが可能であるという論文を発表して特許として登録され、Shh処理によっても逆分化誘導が可能であるという結果を特許登録したことがある。このような結果に基づいてマウス繊維芽細胞にBmi1遺伝子を導入し、神経幹細胞の培養条件に移したとき、神経幹細胞のような細胞への誘導が可能であり、これを神経幹細胞の代表的なマーカーであるnestinとsox2の発現から確認することができた。また、神経幹細胞のように星状細胞(astrocytes)、乏突起膠細胞(oligodendrocytes)、神経細胞(neurons)への分化誘導が可能であるということをそれぞれの該当マーカーの染色によって確認することができた。Shhを処理したときにもBmi1遺伝子の発現が誘導されて、神経幹細胞のような細胞への誘導が可能であるということを確認した。
【0052】
このような結果に基づいてShhを処理しながらOct4を導入し、胚幹細胞の培養条件で培養した結果、胚幹細胞と類似形態の細胞群を確立することができ、このように確立された細胞群は遺伝子発現、後成的特性、インビボ/インビトロでの三胚葉性分化能力、テラトマ形成能力がマウス胚幹細胞に非常に似ていることを確認した。
【0053】
本発明のShh及びOct4はタンパク質またはそのタンパク質をコードする核酸の形態として提供される。本発明の組成物に使われるShh及びOct4はヒト、馬、羊、豚、山羊、らくだ、羚羊、犬などの動物来由のすべてのShh及びOct4を含み、好ましくはヒトのShh及びOct4である。また、胚幹細胞類似細胞への逆分化に使われる本発明のShh及びOct4タンパク質はその野生型(wild type)のアミノ酸配列を持つタンパク質だけでなくShh及びOct4タンパク質の変異体を含む。
【0054】
Shh及びOct4タンパク質の変異体とは、Shh及びOct4の天然アミノ酸配列と一つ以上のアミノ酸残基が結実、挿入、非保全的または保全的置換またはこれらの組合せによって相異なる配列を持つタンパク質を意味する。前記変異体は天然タンパク質と同一の生物学的活性を示す機能的等価物であるか必要によってタンパク質の物理化学的性質が変形された変異体であることができる。物理、化学的環境に対する構造的安全性が増大するか生理学的活性が増大した変異体である。
【0055】
好ましくは、Shhはタンパク質の形態として提供される。例えば、Shhを処理して体細胞を胚幹細胞類似細胞に逆分化誘導するために通常使われる培地にShhタンパク質を処理すれば良い。このように、Shhをタンパク質形態として提供すれば容易にBmi1を誘導することができるので、逆分化を誘導するために導入しなければならない遺伝子数を最小化することができる利点がある。
【0056】
Shhタンパク質は前記培地に有効濃度で含まれるようにする。培地の種類と培養方法など、当分野でよく知られた要素によってShhタンパク質の有効濃度が影響を受けることができる。本発明の具体的な実施例では、500ng/mlの量で処理した。
【0057】
また、Shh及びOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列を持つ核酸の形態として提供される。
【0058】
Shh及びOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列は野生型または前述したような変異体形態のShh及びOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列であり、一つ以上の塩基が置換、結実、挿入またはこれらの組合せによって変異でき、天然で分離されるか化学的合成法によって製造することができる。
【0059】
前述したShh及びOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列を持つ核酸は単鎖または二重鎖であることができ、DNA分子(ゲノム、cDNA)またはRNA分子であることができる。
【0060】
好適な一様態において、本発明において、体細胞を胚幹細胞類似細胞に逆分化誘導する組成物はShh及びOct4タンパク質をコードする核酸を含むShh及びOct4タンパク質を発現するベクターを含む。
【0061】
さらに他の好適な様態において、本発明において、体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物はShh及びOct4タンパク質をコードする核酸を含むOct4タンパク質を発現するウイルスを含む。
【0062】
また、本発明者らは、Shhシグナルを誘導するために、Shh類似体(Shh analog)であるヒドロキシコレステロール(hydroxycholesterol;Oxysterol)またはプルモルファミン(purmorphamine)を用いた(Stem cells 27,703−713,2009)。ヒドロキシコレステロール(Oxysterol)またはプルモルファミンを神経幹細胞の培養条件でマウス繊維芽細胞に処理したとき、Bmi1遺伝子の発現が増加することを確認することができた。この際、Sox2の発現が増加することを確認することができた。また、Bmi1遺伝子のターゲット遺伝子であるp16Ink4aとp19Arf遺伝子の発現が減っていることを確認することができるので、オキシステロールまたはプルモルファミン処理によるBmi1、Sox2が調節され、Bmi1のターゲット遺伝子の発現が調節されていることを確認することができた。また、オキシステロールまたはプルモルファミンの処理によって誘導された細胞が神経幹細胞のような形状を示し、神経幹細胞の代表的なマーカーであるnestinとsox2の発現を確認することができた。これはBmi1が過剰発現したシステムと同一の結果であるため、Shh類似体であるオキシステロールまたはプルモルファミンの処理による方法が適切であると考えられ、このような接近方法で遺伝子数を減らすことができた。Oct4遺伝子を導入した後、胚幹細胞の培養条件で培養した結果、胚幹細胞と類似の形態の細胞群を確立することができた。このように確立された細胞群は遺伝子発現、後成的特性、インビトロ/インビボでの三胚葉性分化能力、テラトマ形成能力、キメラマウス生成がマウス胚幹細胞に非常に似ていることを確認した。
【0063】
本発明のオキシステロールは酸化した形態のコレステロールであるヒドロキシコレステロール(hydroxycholesterol)である。オキシステロールは急・晩成炎症、胆石形成、胆道癌のような胆道疾患の病態生理に重要な役目をすると知られており、最近脳が発達する段階で特定受容体を活性化させてドパミン生産神経細胞の形成を促進させる役目をすると報告されているだけ、これを用いた逆分化による胚幹細胞類似細胞製造方法が報告されたことはない。
【0064】
前記オキシステロールはヒドロキシコレステロールであれば特に制限があるものではなく、Shhシグナルを誘導することができれば多様な誘導体が使われることができる。例えば、25−、7β−及び19−ヒドロキシコレステロール(25−、7β−、及び19−hydroxycholesterol)を市中で購入して使うことができる。
【0065】
前記オキシステロールは、神経幹細胞類似細胞への逆分化を誘導するために通常使われる培地に処理すれば良い。このように、Shh類似体であるオキシステロールを処理すれば容易にBmi1を誘導することができるので、逆分化を誘導するために導入しなければならない遺伝子数を最小化することができる利点がある。
【0066】
前記オキシステロールは前記培地に有効濃度で含まれるようにする。培地の種類と培養方法など、当分野でよく知られた要素によってオキシステロールの有効濃度は影響を受けることができる。本発明の具体的な実施例では、0.1μM〜0.5μMの量で処理した。
【0067】
本発明のプルモルファミンはプリン化合物(purine compound)であり、Shh信号体系に関与するものとして知られている。
【0068】
前記プルモルファミンはShhシグナルを誘導することができれば特に制限がなく、多様な誘導体が使われることができる。例えば、2−(1−Naphthoxy)−6−(4−morpholinoanilino)−9−cyclohexylpurin)などを市中で購入して使うことができる。
【0069】
前記プルモルファミンは神経幹細胞類似細胞への逆分化を誘導するために通常使われる培地に処理すれば良い。このように、Shh類似体であるプルモルファミンを処理すれば容易にBmi1を誘導することができるので、逆分化を誘導するために導入しなければならない遺伝子数を最小化することができる利点がある。
【0070】
前記プルモルファミンは前記培地に有効濃度で含まれるようにする。培地の種類と培養方法など、当該技術分野でよく知られた要素によってプルモルファミンの有効濃度は影響を受けることができる。本発明の具体的な実施例では、0.5μM〜1μMの量で処理した。
【0071】
さらに他の様態において、本発明は、体細胞にShh(Sonic hedgehog)タンパク質、Shhタンパク質をコードする核酸分子、オキシステロールまたはプルモルファミンを処理してOct4遺伝子を体細胞に導入する段階を含む体細胞から胚幹細胞類似細胞を製造する方法を提供する。
【0072】
より具体的に、(i)繊維芽細胞を培地で培養する段階、(ii)前記培養した繊維芽細胞にShhタンパク質、Shhタンパク質をコードする核酸分子、オキシステロールまたはプルモルファミンを処理し、Oct4遺伝子を挿入したベクターを導入(transfection)させたパッケージング細胞で感染させる段階、(iii)前記感染させた繊維芽細胞を胚幹細胞の培養条件で培養する段階を含む。
【0073】
前記方法の(i)段階で、繊維芽細胞を培養する培地は当該技術分野で繊維芽細胞の培養に通常使われる培地をいずれも含む。培養に使われる培地は一般的に炭素源、窒素源及び微量元素成分を含む。本発明の具体的な実施例では、DMEM(high glucose、w/o sodium pyruvate)+10%FBS(Fetal Bovine Serum)+0.1mM 非必須アミノ酸(non−essential amino acid)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicilin/streptomycin)+0.1mM β−メルカプトエタノール(β−mercaptoethanol))培地で培養した。
【0074】
前記方法の(ii)段階で、前記Shhタンパク質、オキシステロールまたはプルモルファミンを神経幹細胞の培養条件で処理して神経幹細胞のような細胞への誘導をしながらOct4遺伝子を繊維芽細胞に導入することが好ましい。オキシステロールまたはプルモルファミン処理を1日間行った後、Oct4ウイルスによる感染を16時間の間隔で3回にかけて実施し、Shhタンパク質、オキシステロールまたはプルモルファミン処理を続けて行うことが好ましい。この際、Shhタンパク質、オキシステロールまたはプルモルファミン処理を総72時間持続しながら神経幹細胞の培養条件を維持した後、胚幹細胞の培養条件に変えることが胚幹細胞類似細胞への逆分化効率を高めることができるので好ましい。
【0075】
前記方法の(ii)段階で、pBabe neoベクターにヒトのOct4タンパク質をコードする核酸分子を挿入して製造したベクター(pBabe neo Oct4)を広範囲な哺乳類宿主細胞に感染可能な高力価ウイルスを生成するパッケージング細胞であるPT67細胞に形質転換させ、Oct4タンパク質を発現するウイルスを製造して繊維芽細胞を感染させる。前記Shh及びOct4タンパク質またはShh及びOct4タンパク質をコードするヌクレオチド配列である核酸はヒト、馬、羊、豚、山羊、らくだ、羚羊、犬などの動物来由のすべてのOct4であることができ、野生型及び変異体を含む。本発明の具体的な実施例では、ヒトのOct4(NCBI accession No.NM_002701;配列番号2)を用いた。
【0076】
前記方法の(iii)段階の胚幹細胞の培養条件は当該技術分野で胚幹細胞培養に通常使われる培地をいずれも含む。本発明の具体的な実施例では、支持細胞がある条件でハイグルコースDMEMに15%FBS(Fetal bovine serum;ウシ胎児血清)+0.1mM 非必須アミノ酸(nonessential amino acid)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicillin/streptomycin)+0.1mM β−メルカプトエタノール(β−mercaptoethanol)+1000unit/ml マウスLIF(leukemia inhibitory factor;白血病抑制因子)の培養液で培養しながら2〜3日に一回ずつ継代培養した。
【0077】
さらに他の様態において、本発明は、前記方法で製造された胚幹細胞類似細胞を提供する。
【0078】
本発明の逆分化方法で製造された胚幹細胞類似細胞は、胚幹細胞特異的なマーカーであるアルカリ性ホスファターゼ(alkaline phosphatase)及びSSEA−1、Oct−4、Sox2に対する抗体に陽性反応を示し、胚幹細胞の自己再生能力の維持に重要な遺伝子(Oct4、Sox2、Nanog、c−myc、Klf4)の発現が胚幹細胞に似ている様相で発現する。また、一般的な胚幹細胞と同一の多能性を持つことを確認した。さらに、本発明の逆分化方法で製造された胚幹細胞類似細胞は自己再生(self−renewal)の特徴を持つ。
【発明の効果】
【0079】
前述したように、本発明によれば、Bmi1及びOct4遺伝子のみを導入するか、Bmi1の上位調節子であるShh、Shhの類似体であるオキシステロール(oxysterols)またはプルモルファミンを体細胞に処理して神経幹細胞のような細胞に誘導しながらOct4を導入し、胚幹細胞の培養条件で培養することで、体細胞を多能性の逆分化幹細胞に誘導することができる。
【0080】
本発明によって逆分化した胚幹細胞類似細胞は、例えば、心筋細胞、インスリン生産細胞、または神経細胞などの細胞に分化して、心不全、インスリン依存性糖尿病、パーキンソン病や脊椎損傷などの多様な疾患に対する幹細胞移植療法に用いることができ、ヒトの胚芽を用いる倫理的問題や移植後の拒否反応を回避することができるので、ごく有用である。また、誘導多能性幹細胞を分化させて生ずる各種細胞(例えば、心筋細胞、肝細胞など)は化合物、薬剤、毒物などの薬効や毒性を評価するためのシステムとして有用に使われることができる。
【0081】
また、本発明は、Bmi1遺伝子を取り替えることができる上位調節因子であるShhタンパク質、その類似体であるオキシステロールまたはプルモルファミンという化学物質を用いることで、Oct4遺伝子一つだけで逆分化胚幹細胞類似細胞を製造することができるので、逆分化因子の数を減らすことができるようになった。さらに、遺伝子導入ない細胞株の確立をするのに基になる技術を提供する幹細胞分野に非常に有用な発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1a】マウス繊維芽細胞にOct4とSox2遺伝子を導入した場合(2F)と、Oct4、Sox2、Bmi1を導入した場合(2F−Bmi1)の2種の方法で逆分化を誘導してその結果を比較したものを示すものであり、マウス繊維芽細胞に2種の因子(Oct4、Sox2)を導入したときと、3種の因子(Bmi1、Oct4、Sox2)を導入したときの逆分化幹細胞の発生頻度をAP(Alkaline phosphatase)染色によって比較した結果を示すもので、2Fで逆分化誘導されなかったが、Bmi1遺伝子が加えられて逆分化幹細胞が形成されること(2F−Bmi1−iPS)をAP染色によって確認し、左側の図はこれに対する結果を示し、右側の表はコロニー(colony)数を確認した結果を示す。
【図1b】マウス繊維芽細胞にOct4とSox2遺伝子を導入した場合(2F)と、Oct4、Sox2、Bmi1を導入した場合(2F−Bmi1)の2種の方法で逆分化を誘導してその結果を比較したものを示すものであり、2F−Bmi1−iPSの場合、胚幹細胞と類似の形態(morphology)を示しているものを示すものである。
【図1c】マウス繊維芽細胞にOct4とSox2遺伝子を導入した場合(2F)と、Oct4、Sox2、Bmi1を導入した場合(2F−Bmi1)の2種の方法で逆分化を誘導してその結果を比較したものを示すものであり、逆分化幹細胞(2F−Bmi1−iPS)と胚幹細胞を免疫化学染色法(immunocytochemistry)によって幹細胞で特異的に発現するマーカーであるSSEA1、Oct4、Sox2、Nanogの発現を確認した結果を示すもので、この際、AP染色したとき、ポジティブ(positive)に現れることを確認することができる。
【図2a】Bmi1遺伝子の導入によってマウス繊維芽細胞を神経幹細胞のような細胞に誘導した結果を示すものであり、Bmi1を導入したマウス繊維芽細胞(embryonic fibroblast)でBmi1遺伝子の発現を確認し、この際、Sox2遺伝子の発現が増加し、Bmi1遺伝子のターゲット遺伝子であるp16Ink4aとp19Arfの発現が減ることを確認した結果を示すものである。
【図2b】Bmi1遺伝子の導入によってマウス繊維芽細胞を神経幹細胞のような細胞に誘導した結果を示すものであり、Bmi1を導入したマウス繊維芽細胞を神経幹細胞の培養条件で培養したとき、細胞の形状が3日後から凝集(aggregation)し、7日目になったとき神経球(neurospheres)のような形状を示すことを確認した結果を示すものである。
【図2c】Bmi1遺伝子の導入によってマウス繊維芽細胞を神経幹細胞のような細胞に誘導した結果を示すものであり、神経幹細胞のような細胞を免疫化学染色法によって神経幹細胞の特異的マーカーであるNestin、Sox2が発現し、APがポジティブに染色される結果を示すものである。
【図2d】Bmi1遺伝子の導入によってマウス繊維芽細胞を神経幹細胞のような細胞に誘導した結果を示すものであり、Bmi1を導入したマウス繊維芽細胞を用いて作られた神経幹細胞が神経細胞(neurons)、乏突起膠細胞(oligodendrocytes)、星状細胞(astrocytes)に分化したかをそれぞれの細胞で発現する代表的なマーカーであるTuj1、O4、GFAPが発現することを免疫化学染色法で確認した結果を示すものである。
【図3a】Oct4とBmi1遺伝子導入によって逆分化幹細胞に誘導した結果を示すものであり、マウス繊維芽細胞にBmi1とOct4遺伝子を導入した後、逆分化誘導したとき、形成された逆分化幹細胞(BO−iPS)の形態を胚幹細胞と比較した結果を示すもので、右側の結果は逆分化誘導の効率をOct4単独の場合と比較して示すものである。Oct4単独では逆分化幹細胞が形成されないのに比べ、Bmi1が一緒に導入された場合には、逆分化幹細胞への誘導が可能であり、約50個程度のコロニーの形成を示すことを確認した結果を示す。
【図3b】Oct4とBmi1遺伝子導入によって逆分化幹細胞に誘導した結果を示すものであり、逆分化幹細胞が胚幹細胞で発現する重要な遺伝子の発現が類似の様相で現れていることをRT−PCR法で確認した結果を示すものである。
【図3c】Oct4とBmi1遺伝子導入によって逆分化幹細胞に誘導した結果を示すものであり、図3bで確認した結果をReal−time PCR法で胚幹細胞の自己再生能力を維持させることに関与している代表的な遺伝子の発現を示し、このような結果によって胚幹細胞に似ている遺伝子発現様相を示すことを確認した結果を示すものである。
【図3d】Oct4とBmi1遺伝子導入によって逆分化幹細胞に誘導した結果を示すものであり、逆分化幹細胞が胚幹細胞で特異的に発現するマーカーが発現することを免疫化学染色法で確認した結果を示すものである。
【図3e】Oct4とBmi1遺伝子導入によって逆分化幹細胞に誘導した結果を示すものであり、ウェスタンブロット分析法によってOct4とSox2の発現を胚幹細胞と比較して確認した結果を示すものである。
【図3f】Oct4とBmi1遺伝子導入によって逆分化幹細胞に誘導した結果を示すものであり、FACS分析法によってSSEA1とOct4の発現を胚幹細胞と比較して確認した結果を示すもので、この際、マウス繊維芽細胞とは異なり、逆分化幹細胞が胚幹細胞に似ている%の発現様相を示すことを確認することができた。
【図4a】本発明による胚幹細胞類似細胞の後成的変異(epigenetic variations)に関する分析をした結果を示すものであり、胚幹細胞の自己再生能力の維持に関与している主要遺伝子であるOct4とNanogのプローモーター部位のメチル化(methylation)有無に対して亜硫酸水素塩シークエンシング(bisulfite sequencing)法で分析した結果を示すもので、マウス繊維芽細胞は大部分メチル化している結果を示すが、逆分化幹細胞の場合、胚幹細胞のように脱メチル化(demethylation)している様相を示すことを確認することができた。また、それぞれのクローンでも同一様相を示している。
【図4b】本発明による胚幹細胞類似細胞の後成的変異(epigenetic variations)に関する分析をした結果を示すものであり、クロマチン免疫沈降法(Chromatin immunoprecipitation)によってヒストンH3(histone H3)のアセチル化(acetylation)とメチル化(methylation)有無をreal−time PCR法で確認した結果を示すもので、逆分化幹細胞(BO−iPS)の場合には、胚幹細胞のようにOct4、Sox2、Nanog遺伝子の発現がプローモーターのヒストン(histone)3番がアセチル化したことを確認することができ、一方マウス繊維芽細胞はこの遺伝子のプローモーターのヒストンH3のリシン9(lysine9)に脱メチル化した結果を示す。
【図5】全体遺伝子発現(global gene expression)をDNAマイクロアレイ(DNA microarray)法によって比較分析した結果を示すもので、胚幹細胞、マウス繊維芽細胞、逆分化幹細胞をそれぞれ比較した結果、図5の下の結果のように逆分化幹細胞は胚幹細胞と0.98程度の類似性を示すのに対し、マウス繊維芽細胞は0.69程度に低い相関(correlation)程度を示す。図5の上側結果では散布図(scatter plot)分析法によって胚幹細胞と遺伝子発現を比較した結果を示す。この際、マウス繊維芽細胞は遺伝子発現がよほど違うことを確認することができるが、逆分化幹細胞とそのクローン細胞の場合、胚幹細胞とかなり類似の遺伝子発現様相を示すことを確認することができた。また、胚幹細胞の主要遺伝子の発現も2倍範囲内にあることを確認することができ、逆分化幹細胞が胚幹細胞と遺伝子発現様相が類似したことを確認することができる。
【図6a】インビトロとインビボで三胚葉細胞への分化特性を持っているかを確認した結果を示すものであり、胚体(embryonic body、EB)を形成することができるということを示し、この時の細胞で三胚葉(three germ layer)にあたるマーカーが発現することをRT−PCR法で確認した結果を示している。
【図6b】インビトロとインビボで三胚葉細胞への分化特性を持っているかを確認した結果を示すものであり、胚体形成の後、インビトロで自然発生的分化を誘導したとき、三胚葉にあたる代表的な細胞への分化が誘導されたことをそれぞれにあたる代表的なマーカーの発現を免疫化学染色法で確認した結果を示すもので、内胚葉、中胚葉、外胚葉にあたる代表的な細胞への分化が可能であることを示す。それぞれGATA4、Bry、SMA、Tuj1で染色して確認した結果を示す。
【図6c】インビトロとインビボで三胚葉細胞への分化特性を持っているかを確認した結果を示すものであり、インビボで三胚葉性細胞への分化誘導が可能であるかを確認した結果を示すもので、Balb/cヌードマウス(Balb/c nude mouse)の腎臓(kidney)にカプセル(capsule)型で細胞を注入(injection)し、8−10週後にテラトマが形成されたものを準備し、H&E染色方法によって染色して、三胚葉にあたる代表的な細胞に分化したことを確認した結果を示す。
【図6d】インビトロとインビボで三胚葉細胞への分化特性を持っているかを確認した結果を示すものであり、胚盤胞(Blastocyst)に細胞を移植したとき、キメラ(chimera)が形成されたものを示すものである。
【図7a】逆分化幹細胞を均質集団(homogenous population)に分離し、クローンに対して胚幹細胞と比較分析した結果を示すものであり、RT−PCR法によって胚幹細胞における重要な遺伝子の発現を胚幹細胞と比較分析した結果を示すものである。
【図7b】逆分化幹細胞を均質集団(homogenous population)に分離し、クローンに対して胚幹細胞と比較分析した結果を示すものであり、この細胞がAP染色にポジティブな結果を示すことを示し、免疫化学染色法によって代表的なマーカーの発現を確認した結果を示すものである。
【図7c】逆分化幹細胞を均質集団(homogenous population)に分離し、クローンに対して胚幹細胞と比較分析した結果を示すものであり、このように作られたクローン細胞がインビボでテラトマ形成が可能であるかをBalb/cヌードマウスの腎臓にカプセルで注入し、8−10週後に三胚葉性細胞に分化したことを確認した結果を示すものである。
【図8】本発明によってOct4及びBmi1を用いて繊維芽細胞の逆分化を誘導して胚幹細胞類似細胞を製造する方法の全体内容を図式化したものである。
【図9a】Shh処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図9b】Shh処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図9c】Shh処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図9d】Shh処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図10a】Shh処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図10b】Shh処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図10c】Shh処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図10d】Shh処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図10e】Shh処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図11a】本発明による胚幹細胞類似細胞の後成的特性を比較分析した結果を示すものである。
【図11b】本発明による胚幹細胞類似細胞の後成的特性を比較分析した結果を示すものである。
【図12】DNAマイクロアレイ法によって胚幹細胞と逆分化幹細胞であるSO−iPSを全体遺伝子上で比較分析した結果を示すもので、散布図法で分析結果を表示したとき、大部分の遺伝子の発現程度が胚幹細胞に似ていることを確認することができ、ピアソン相関関係(pearson correlation)分析法によって0.98程度の類似性を示すことを確認することができた。
【図13a】インビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【図13b】インビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【図13c】インビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【図14a】Shh類似体であるヒドロキシコレステロール処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図14b】Shh類似体であるヒドロキシコレステロール処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図14c】Shh類似体であるヒドロキシコレステロール処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図14d】Shh類似体であるヒドロキシコレステロール処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図15a】オキシステロールを処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図15b】オキシステロールを処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図15c】オキシステロールを処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図15d】オキシステロールを処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図16a】本発明による胚幹細胞類似細胞の後成的特性を比較分析した結果を示すものである。
【図16b】本発明による胚幹細胞類似細胞の後成的特性を比較分析した結果を示すものである。
【図17】DNAマイクロアレイ法によって胚幹細胞と逆分化幹細胞であるOO−iPSを全体遺伝子上で比較分析した結果を示すもので、散布図法で分析結果を表示したとき、大部分の遺伝子の発現程度が胚幹細胞に似ていることを確認することができた(上側パネル)。また、ピアソン相関関係分析法によって0.98程度の類似性を示すことを確認することができ、これはクローン細胞でも0.95程度の類似性を示すことを確認することができた。
【図18a】本発明による胚幹細胞類似細胞がインビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【図18b】本発明による胚幹細胞類似細胞がインビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【図19a】成体マウス繊維芽細胞(Adult mouse fibroblast)にマウス胚芽繊維芽細胞(mouse embryonic fibroblast)で逆分化を誘導した条件を適用して逆分化幹細胞株を確立(OO−iPS−TTF #1,2)し、その特性分析をした結果を示すものである。
【図19b】成体マウス繊維芽細胞(Adult mouse fibroblast)にマウス胚芽繊維芽細胞(mouse embryonic fibroblast)で逆分化を誘導した条件を適用して逆分化幹細胞株を確立(OO−iPS−TTF #1,2)し、その特性分析をした結果を示すものである。
【図20a】本発明による成体マウス繊維芽細胞から誘導された胚幹細胞類似細胞(OO−iPS−TTF #1,2細胞)の後成的特性を比較分析した結果を示すものである。
【図20b】本発明による成体マウス繊維芽細胞から誘導された胚幹細胞類似細胞(OO−iPS−TTF #1,2細胞)の後成的特性を比較分析した結果を示すものである。
【図21a】本発明による成体マウス繊維芽細胞から誘導された胚幹細胞類似細胞(OO−iPS−TTF #1,2細胞)がインビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【図21b】本発明による成体マウス繊維芽細胞から誘導された胚幹細胞類似細胞(OO−iPS−TTF #1,2細胞)がインビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【図22a】Shh類似体であるプルモルファミン処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図22b】Shh類似体であるプルモルファミン処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図22c】Shh類似体であるプルモルファミン処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図22d】Shh類似体であるプルモルファミン処理によるBmi1誘導結果を示すものである。
【図23a】プルモルファミンを処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図23b】プルモルファミンを処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図23c】プルモルファミンを処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図23d】プルモルファミンを処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図23e】プルモルファミンを処理しながらOct4遺伝子を導入して誘導した逆分化幹細胞を胚幹細胞と特性比較分析した結果を示すものである。
【図24a】本発明による胚幹細胞類似細胞の後成的特性を比較分析した結果を示すものである。
【図24b】本発明による胚幹細胞類似細胞の後成的特性を比較分析した結果を示すものである。
【図25】DNAマイクロアレイ法によって胚幹細胞と逆分化幹細胞であるPO−iPSを全体遺伝子上で比較分析した結果を示すもので、散布図法で分析結果を表示したとき、大部分の遺伝子の発現程度が胚幹細胞に似ていることを確認することができ、ピアソン相関関係分析法によって0.97及び0.95程度の類似性を示すことを確認することができた。
【図26a】本発明による胚幹細胞類似細胞がインビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【図26b】本発明による胚幹細胞類似細胞がインビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【図26c】本発明による胚幹細胞類似細胞がインビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【図26d】本発明による胚幹細胞類似細胞がインビトロとインビボで三胚葉性細胞への分化能力を持っているかを確認した結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0083】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。これら実施例はただ本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれら実施例によって制限されないことは当該技術分野で通常の知識を持った者にとって明らかであろう。
【0084】
〔実施例1.マウス繊維芽細胞の培養及びOct4、Bmi1遺伝子導入〕
胚幹細胞類似細胞を製造するために、マウス体細胞の中でマウス繊維芽細胞を用いた。マウス繊維芽細胞はCF1ストレインマウス(CF1 strain mouse)が姙娠してから13.5日目になったときの胚芽(embryo)を準備し、DMEM(high glucose、w/o sodium pyruvate)+10%FBS(Fetal bovine serum;ウシ胎児血清)+0.1mM 非必須アミノ酸(non−essential amino acid)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicilin/streptomycin)+0.1mM β−メルカプトエタノール(β−mercaptoethanol))培地の組職培養フラスコ(tissue culture flask)で培養をした後、3継代(3rd passage)になったとき、2×10の細胞を6ウェルプレート(well plate)に接種(seeding)した。
【0085】
レトロウイルスで遺伝子を導入する方法を使うため、ウイルス粒子(virus particles)をPT67パッケージング細胞株を用いて準備した。より具体的に、pBabe puroベクターにヒトのBmi1(NCBI accession No.L13689)遺伝子を挿入して製造したpBabe puro Bmi1(Dr.G.P.Dimri,Evanston Northwestern Healthcare Research Institute,Feinberg School of Medicine,Northwestern University,Evanston,IL 60201,USA)とpBabe neoベクターにヒトのOct4(NCBI accession No.NM_002701)遺伝子を挿入して製造したpBabe neo Oct4ベクターをPT67パッケージング細胞株(packaging cell line、Clontech社製)にターボフェクト(Turbofect、Fermentas社製)を用いて導入(transfection)した後、プロマイシン(puromycine、3μg/ml)(BD bioscience)とネオマイシン(neomycine、1000μg/ml)(BD biosciences)で選別した。PT67パッケージング細胞株は広範囲な哺乳類宿主細胞に感染可能な高力価ウイルスを生成する細胞である。
【0086】
それぞれの遺伝子の発現をRT−PCR法で確認した後、このように作られた細胞株が80%程度になったとき、上澄液(supernatant)を取り、0.45μm(Millipore)フィルターでフィルタリング(filtering)して細胞破片(cell debris)を除去した後、ポリブレン(polybrene、6μg/ml)(Sigma社製)を添加し、12時間の間隔で分離したマウス繊維芽細胞に3回繰り返して感染(infection)させた。
【0087】
〔実施例2.Oct4、Sox2とBmi1遺伝子導入による逆分化誘導〕
マウス繊維芽細胞にOct4とSox2遺伝子を導入した場合(2F)とOct4、Sox2、Bmi1を導入した場合(2F−Bmi1)の2種の方法で逆分化を誘導し、その結果を比較した。
【0088】
実施例1によってそれぞれレトロウイルスで挿入する方法で遺伝子を導入し、マウス胚幹細胞の培養条件で逆分化を誘導した。マウス胚幹細胞の培養条件は、支持細胞がある条件でハイグルコースDMEMに15%FBS(Fetal bovine serum;ウシ胎児血清)+0.1mM 非必須アミノ酸(nonessential amino acid)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicillin/streptomycin)+0.1mM β−メルカプトエタノール(β−mercaptoethanol)+1000unit/ml マウスLIF(leukemia inhibitory factor;白血病抑制因子)の培養液で培養しながら2〜3日に一回ずつ継代培養を行った。
【0089】
図1はOct4とSox2遺伝子を導入したときとOct4、Sox2、Bmi1遺伝子を導入したとき、逆分化効率を比較した結果を示す。図1aに示すように、2FであるOct4とSox2の場合と比較したとき、Bmi1遺伝子が導入された場合(2F−Bmi1)にAP(Alkaline phosphatase)がポジティブなコロニーが形成され、個数もめっきり高く現れることを確認することができた(図1a)。このような方法で逆分化誘導された細胞の形態(morphology)を胚幹細胞と比較したとき、胚幹細胞に似ている形状を示していることを確認した(図1b)。逆分化誘導された細胞を胚幹細胞で特異的に発現するマーカーが発現するかを確認するために、APで染色されるかを確認し、この時の細胞から免疫化学染色法によってSSEA1、Oct4、Sox2、Nanog遺伝子が発現することを確認した(図1c)。このような結果によって、Oct4、Sox2、Bmi1が導入されたとき、逆分化誘導が可能であるということを確認することができ、Bmi1遺伝子が逆分化誘導に重要な因子ということを証明したと言える。
【0090】
〔実施例3.Bmi1遺伝子の導入によってマウス繊維芽細胞を神経幹細胞のような細胞に誘導〕
実施例1と同様な方法でマウス繊維芽細胞にレトロバイアスを用いてBmi1遺伝子を導入したとき、Bmi1のターゲット遺伝子であるp16Ink4aとp19arfの発現が減ることをウェスタンブロット分析法で確認した。この際、Sox2遺伝子の発現が増加することを確認した(図2a)。
【0091】
また、Bmi1遺伝子を導入した細胞を神経幹細胞の培養条件に変えて培養したとき、細胞の形状が凝集(aggregation)する現象を示し、このような条件で続けて培養した結果、神経球のような形状の細胞に変化することを確認することができた(図2b)。このような細胞はAP染色され、神経幹細胞で代表的に発現するマーカーであるNestinとSox2が発現することを免疫化学染色法によって確認することができた(図2c)。また、神経幹細胞のように、星状細胞、神経細胞、乏突起膠細胞に分化することを、それぞれの該当マーカーであるGFAP、Tuj1、O4が発現することを免疫化学染色法で確認することで確認した(図2d)。このような結果から、マウス繊維芽細胞にBmi1遺伝子を導入した場合、神経幹細胞のような細胞への誘導が可能であることを確認することができた。
【0092】
〔実施例4.Oct4とBmi1遺伝子導入による逆分化幹細胞への誘導〕
Bmi1が導入されたマウス繊維芽細胞が神経幹細胞のような細胞への誘導が可能であり、Sox2の発現を増加させた結果に基づき、Oct4とBmi1遺伝子のみを導入した後、逆分化を誘導した。Oct4だけで逆分化を誘導したとき、コロニーが形成されなかった結果とは反対に、約50個のコロニーが形成されることを確認することができた。この時に形成されたコロニーの場合、胚幹細胞に似ている形態を示していることを確認することができた(図3a)。このように確立された逆分化幹細胞の場合(BO−iPS)、胚幹細胞で特異的に発現する遺伝子が発現することをRT−PCR法及びReal−time PCR法で証明することができた(図3b及び図3c)。胚幹細胞で特異的に発現するAPに染色され、SSEA1、Oct4、Sox2が発現することを確認することができた(図3d)。胚幹細胞(ES)、マウス繊維芽細胞(MEF)、逆分化幹細胞(BO−iPS)からタンパク質を抽出し、ウェスタンブロット分析法によって胚幹細胞で発現する主要遺伝子であるOct4とSox2の発現を確認し、FACS分析法によってSSEA1とOct4の発現を確認することができた(図3e及び図3f)。このように、逆分化誘導された細胞で外因性(exogenous)のOct4は発現しないことを確認することができ、ゲノムDNA(genomic DNA)上ではOct4遺伝子が融合(integration)していることをゲノムDNA PCR(Genomic DNA PCR)方法で確認することができた。
【0093】
〔実施例5.逆分化幹細胞の主要遺伝子のプローモーターのメチル化状態を胚幹細胞と比較分析〕
逆分化幹細胞、胚幹細胞、マウス繊維芽細胞において胚幹細胞の自己再生能力の維持に重要な遺伝子のプローモーター部位を分析するために亜硫酸水素塩シークエンシング法(bisulfite sequencing)を導入して、Oct4とNanogのプローモーター部位のメチル化の有無を分析した。その結果、マウス繊維芽細胞の場合、プローモーター部位が大部分メチル化していたが、逆分化幹細胞の場合、胚幹細胞のようにプローモーター部位が脱メチル化したことを確認することができた。この結果は、同質的(homogeneous)クローンの場合でも同一結果を示している(図4a)。クロマチン免疫沈降法によって、胚幹細胞と逆分化幹細胞の場合、Oct4、Sox2、Nanog遺伝子のヒストンH3がアセチル化していることを確認することができ、マウス繊維芽細胞ではK9位置が脱メチル化したことを確認することができた(図4b)。
【0094】
〔実施例6.DNAマイクロアレイ法によって胚幹細胞と逆分化幹細胞の遺伝子発現様相比較分析〕
胚幹細胞、マウス繊維芽細胞、逆分化幹細胞での遺伝子の発現様相をマイクロアレイ(microarray)法によって比較分析した後、散布図(scatter plot)で表示した。その結果、逆分化に重要でありながらも胚幹細胞の自己再生能力の維持に重要な遺伝子(Oct4、Sox2、Nanog、c−myc、Klf4)の発現が逆分化幹細胞と胚幹細胞で類似の様相で発現することを確認することができた。一方、マウス繊維芽細胞では発現程度が違うことを確認することができた。
【0095】
また、逆分化幹細胞の場合、同質的(homogeneous)クローンでも胚幹細胞に似ている様相を示した。ピアソン相関関係(Pearson correlation)分析法によって胚幹細胞と逆分化幹細胞を比較した結果、0.98程度の高い類似性を示していることを確認することができた(図5)。
【0096】
〔実施例7.逆分化幹細胞の分化能力確認及びキメラ形成有無の確認〕
逆分化幹細胞もインビトロで分化能力があるかを確認するために、胚体を形成するかを確認した。この際、三胚葉にあたる遺伝子が発現するかをRT−PCR法で確認した結果、胚幹細胞と同一様相を示していることを確認することができた(図6a)。形成された胚体を自然発生的分化誘導した結果、三胚葉にあたる代表的な細胞に分化誘導されることをそれぞれの該当マーカーの染色によって確認することができた。免疫化学染色法によってTuj1、bry、SMA、GATA4の発現を確認して、三胚葉にあたる代表的な細胞に分化誘導されることを確認することができた。したがって、インビトロで分化能力を胚幹細胞と同様に持っていることを確認することができた(図6b)。
【0097】
インビボでも分化能力を持っているかを確認するために、テラトマ形成が可能であるかを実験した。10の細胞を8000rpmで5分間遠心分離し、胚幹細胞培養液でペレット(pellet)培養を24時間行った後、6週齢Balb/cヌードマウス(Balb/c nude mouse)の腎臓にカプセル型で注入した。8−10週後に腎臓を分離し、三胚葉に分化したかを、パラフィンブロック(parrafin block)を作ってH&E染色を行うことで確認した。その結果、三胚葉にあたる細胞に分化したことを確認することができ、この細胞をC57/BL6の胚盤胞に注入し、代理母に移植した後、F1でキメラが形成されたことを確認することができた。代理母であるマウスとC57/BL6のマウスを比較してみると、キメラが形成されたことを確認することができ(図6d)、このような結果によって逆分化幹細胞が胚幹細胞と類似の特性を持っていることが分かった。
【0098】
〔実施例8.逆分化幹細胞の均質集団でも胚幹細胞と類似の特性を持つかを確認〕
均質集団(homogenous population)でも胚幹細胞と同一特性を示すかを確認するために、単一細胞クローン(single cell clone)を作り、この細胞の特性を比較分析した。五つのクローンを作り、胚幹細胞での重要な遺伝子の発現を胚幹細胞と比較分析した結果、トータル(total)のように類似発現することをRT−PCR法によって確認することができた(図7a)。また、免疫化学染色法によってSSEA1、Oct4、Sox2の発現を確認することができた。この際、AP染色がポジティブになったことを確認することができた(図7b)。また、クローン細胞もインビボでテラトマが形成されることをH&E染色(H&E stain)によって確認することができた(図7c)。
【0099】
図8は現在までの研究結果に基づいて本発明を完成するために立てた仮説とこれを立証した結果に基づいて、本発明による新しい逆分化幹細胞製造方法に対する全体的な構成を図式化した結果を示す。Bmi1遺伝子という新しい逆分化因子とOct4遺伝子の導入によって体細胞を逆分化幹細胞に誘導し、これを取り替えることができる上位調節因子を用いることで、逆分化因子の数を減らすことができる可能性を提示しており、さらに遺伝子導入ない細胞株を確立するのに基盤となる技術を提供していると言える。
【0100】
〔実施例9.Shhまたはその類似体処理によるBmi1誘導及びOct4遺伝子導入〕
実施例1で準備した繊維芽細胞にShhまたはその類似体オキシステロールとプルモルファミンを処理し、Bmi1が誘導されるかを確認した。図9a、図14a及び図22aはBmi1遺伝子の上位調節因子として知られたShhまたはその類似体を処理したとき、下位遺伝子が調節されることをRT−PCR法で確認した結果を示している。Shhを500ng/ml、ヒドロキシコレステロール(Hydroxycholesterol、Sigma社製、25−hydroxycholesterol、H1015)を0.1μMと0.5μM、かつプルモルファミン(purmorphamine、Calbiochem cat.No.540220)を0.5μMと1μMでそれぞれ神経幹細胞の培養条件(DMEM/F12+B27+N2+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicillin/streptomycin)+20ng/ml bFGF+20ng/mlEGF)で処理したとき、Gli1とBmi1が誘導される。この際、Bmi1のターゲット遺伝子であるp16Ink4aとp19Arfの発現がマウス繊維芽細胞に比べて減ることを確認することができた。
【0101】
また、細胞の形状が凝集(aggregation)するにつれて神経球のような形態を示していることを確認することができた(図9b、図14b及び図22b)。このように誘導された神経幹細胞のような細胞は、Nestin、Sox2が発現することを免疫化学染色法で確認することができ、SSEA1とAP染色にもポジティブな結果を示していることを確認することができた(図9c、図14c及び図22c)。このような結果によってBmi1を調節することができるShh処理によってBmi1が導入された細胞と類似の特性を示していることを確認することができた。
【0102】
前記Shhまたはその類似体ヒドロキシコレステロールまたはプルモルファミンが処理された繊維芽細胞にOct4遺伝子をレトロウイルスによって導入した。この際、ウイルス粒子(virus particles)をPT67パッケージング細胞株を用いて準備した。より具体的に、pBabe neoベクターにヒトのOct4(NCBI accession No.NM_002701)遺伝子を挿入して製造したpBabe neo Oct4ベクターをPT67パッケージング細胞株(packaging cell line、Clontech社製)にターボフェクト(Turbofect、Fermentas社製)を用いて導入(transfection)した後、ネオマイシン(neomycine、1000μg/ml)(BD biosciences)で選別した。PT67パッケージング細胞株は広範囲な哺乳類宿主細胞に感染可能な高力価ウイルスを生成する細胞である。
【0103】
Oct4遺伝子の発現をRT−PCR法で確認した後、このように作られた細胞株が80%程度になったとき、上澄液を取り、0.45μm(Millipore)フィルターでフィルタリング(filtering)して細胞破片(cell debris)を除去した後、ポリブレン(polybrene、6μg/ml)(Sigma社製)を添加して16時間の間隔で分離したマウス繊維芽細胞に3回繰り返して感染(infection)させた。
【0104】
この際、Shhまたはその類似体ヒドロキシコレステロールまたはプルモルファミン処理を1日間行った後、レトロウイルスシステムを用いてOct4遺伝子を48時間の間に16時間の間隔で3回にかけて導入しながらShh、ヒドロキシまたはプルモルファミン処理を続けた。Shh、ヒドロキシまたはプルモルファミンは総72時間続けて処理し、Shh、ヒドロキシまたはプルモルファミンを処理する間に神経幹細胞の培養条件を維持した。その後、マウス胚幹細胞の培養条件に変えながら逆分化誘導を行った。図9d、図14d及び図22dはShh、ヒドロキシまたはプルモルファミンを処理しながらOct4遺伝子を導入し、胚幹細胞の培養条件で逆分化誘導する過程のプロトコールに対する模式図を示す。これにより、既存の遺伝子導入だけで逆分化誘導した条件と最近報告されたOct4とSox2にケミカル処理して逆分化を誘導した条件に基づいて修正プロトコールを確立した。このような条件で逆分化誘導したとき、10〜14日程度になるとコロニーのような形態が見え始めた。
【0105】
〔実施例10.Shhまたはその類似体を処理しながらOct4遺伝子導入による逆分化幹細胞株確立〕
実施例9での修正プロトコールによって、Shhまたはその類似体ヒドロキシコレステロールまたはプルモルファミンを処理しながらレトロウイルスによってOct4を導入した後、マウス胚幹細胞の培養条件に移して培養して逆分化幹細胞株を確立することができた。マウス胚幹細胞の培養条件は、支持細胞がある条件でハイグルコースDMEMに15%FBS(Fetal bovine serum;ウシ胎児血清)+0.1mM 非必須アミノ酸(nonessential amino acid)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン(penicillin/streptomycin)+0.1mM β−メルカプトエタノール(β−mercaptoethanol)+1000unit/ml マウスLIF(leukemia inhibitory factor;白血病抑制因子)の培養液で培養しながら2〜3日に一回ずつ継代培養を行った。培養の後、10〜14日程度からコロニーのような形態の細胞が見え始め、続けて培養した結果、胚幹細胞と類似の形態のコロニーを得ることができた。このような方法によって確立された逆分化幹細胞株をそれぞれSO−iPS、OO−iPS、及びPO−iPSに名付けた。
【0106】
SO−iPSを胚幹細胞と比較して特性を分析した。RT−PCR法によって胚幹細胞において重要な遺伝子として知られた代表的な遺伝子の発現を比較分析した結果、胚幹細胞と類似の発現様相を示した(図10a)。また、自己再生能力の維持に重要な何種の遺伝子を選別してreal−time PCR法で定量化したとき、胚幹細胞と類似の様相を示し、マウス繊維芽細胞とは異なる結果を示していることを確認することができた(図10b)。細胞の形状は胚幹細胞と類似することを確認することができ、AP染色がポジティブになり、代表的なマーカーの発現を免疫化学染色法で確認したとき、Oct4、SSEA1、Sox2の発現が胚幹細胞と類似することを確認することができた(図10c)。ウェスタンブロット分析法によってOct4の発現が胚幹細胞のように発現することを確認することができ(図10d)、FACS分析法によってOct4とSSEA1が胚幹細胞でのように非常に多く発現したことを確認することができた(図10e)。
【0107】
OO−iPSを胚幹細胞と比較して特性を分析した。RT−PCR法によって胚幹細胞において重要な遺伝子として知られた代表的な遺伝子の発現を比較分析した結果、胚幹細胞と類似の発現様相を示した(図15a)。また、このような逆分化幹細胞の同質的(homogenous)クローンでも同様な様相を示すことを確認することができた(図15a)。ウェスタンブロット分析法によってOct4、Sox2の発現を確認することができた(図15b)。FACS分析法によってSSEA1とOct4が胚幹細胞と同等な程度の%で発現していることを確認することができた(図15c)。細胞の形状が胚幹細胞と類似することを確認することができ、AP染色がポジティブになった結果を示した。また、代表的なマーカーの発現を免疫化学染色法で確認したとき、Oct4、SSEA1、Sox2の発現が胚幹細胞と類似することを確認することができた。これは、逆分化幹細胞のクローンでも同様な様相を示していることを確認することができた(図15d)。
【0108】
PO−iPSを胚幹細胞と比較して特性を分析した。RT−PCR法によって胚幹細胞において重要な遺伝子として知られた代表的な遺伝子の発現を比較分析した結果、胚幹細胞と類似の発現様相を示した(図23a)。この際、外部から由来して(exogenous)挿入されたOct4遺伝子の発現は沈黙(silence)の結果を示した。また、ゲノムDNA(genomic DNA)上にOct4遺伝子が融合(integration)していることをゲノムDNA PCR(genomic DNA PCR)方法によって確認することができた(図23b)。このような細胞は、自己再生能力の維持に重要な遺伝子の発現がreal−time PCRで定量化したとき、胚幹細胞と類似の発現程度を示した(図23c)。FACS分析法によってSSEA1とOct4が胚幹細胞と同等な程度の%で発現していることを確認することができた(図23d)。細胞の形状が胚幹細胞と類似することを確認することができ、AP染色がポジティブになった結果を示した。また、代表的なマーカーの発現を免疫化学染色法で確認したとき、Oct4、SSEA1、Sox2、Nanogの発現が胚幹細胞と類似することを確認することができた(図23e)。
【0109】
〔実施例11.SO−iPS、OO−iPS及びPO−iPSの後成的特性研究〕
SO−iPS、OO−iPS、及びPO−iPSと胚幹細胞を比較して、胚幹細胞の自己再生能力の維持に重要であると知られたOct4とNanogのプローモーター部位のメチル化有無を亜硫酸水素塩シークエンシング法で比較分析した。Oct4とNanogのプローモーター部位が脱メチル化したことを確認することができた(図11a、図16a及び図24a)。また、クロマチン免疫沈降法(Chromatin immunoprecipitation、ChIP)を用いて、胚幹細胞と逆分化幹細胞のOct4、Sox2、Nanog遺伝子のプローモーターのヒストン3番がアセチル化して遺伝子発現が活性化した結果を確認することができた(図11b、図16b及び図24b)。一方、マウス繊維芽細胞はリシン9(lysine 9)に脱メチル化したことを確認することができた(図11b、図16b及び図24b)。これは、ChIP分析(ChIP assay)の後にあたるOct4、Sox2、Nanog遺伝子のプローモーター部位のプライマー(primer)を用いてreal−time PCR法で比較分析した結果である。
【0110】
〔実施例12.全体遺伝子発現(global gene expression)を胚幹細胞と比較分析〕
SO−iPS、OO−iPS及びPO−iPSをDNAマイクロアレイ分析法によって胚幹細胞と比較分析した。散布図でこれを表示した結果、大部分の遺伝子の発現が2倍内に含まれており、特に逆分化誘導の主要因子でありながら胚幹細胞に重要な遺伝子として知られたOct4、Sox2、Nanog、c−myc、Klf4が胚幹細胞とほぼ同等な程度で発現していることを確認することができた(図12、図17及び図25)。
【0111】
また、SO−iPSはピアソン相関関係法(Pearson correlation)によって類似程度を数値化した結果、0.98程度の高い類似性を示していることを確認することができた(図12)。
【0112】
一方、OO−iPSのクローン細胞でも同等な結果を示していることを確認することができた。また、ピアソン相関関係法によって類似程度を数値化した結果、0.98程度の高い類似性を示していることを確認することができ、クローンの一つを胚幹細胞と比較したときにも0.95程度の高い類似性を見せていることを確認することができた(図17)。
【0113】
これは、プルモルファミンの濃度を異にして処理して誘導したPO−iPS細胞においても同等な結果を示していることを確認することができた。また、ピアソン相関関係法によって類似程度を数値化した結果、0.97と0.95程度の高い類似性を示していることを確認することができた(図25)。
【0114】
〔実施例13.インビトロとインビボでの三胚葉性細胞への分化能力比較分析〕
SO−iPS逆分化幹細胞がインビトロで分化能力があるかを確認するために、まず胚幹細胞のように胚体(embryonic body, EB)を形成することを確認した(図13a、図18a及び図26a)。そして、EB形成後7日目になったとき、三胚葉にあたる遺伝子が発現するかをRT−PCR法で確認した結果、胚幹細胞と同一様相を示していることを確認することができた(図13a及び図26aの右側パネル)。形成された胚体を0.1%ゼラチン(gelatin)がコーティング(coating)された組職培養プレート(tissue culture plate)で自然発生的分化誘導をした結果、三胚葉にあたる代表的な細胞への分化誘導となることをそれぞれの該当マーカーの染色によって確認することができた。免疫化学染色法によってSO−iPSの場合、Tuj1、bry、SMA、CK18の発現を確認し、OO−iPS場合、Nestin、SMA、CK18の発現を確認し、PO−iPS場合、Tuj1、SMAの発現を確認し、三胚葉にあたる代表的な細胞への分化誘導となることを確認することができた(図13b、図18a及び図26b)。
【0115】
インビボでも分化能力を持っているかを確認するために、10の細胞を8000rpmで5分間遠心分離し、胚幹細胞培養液でペレット(pellet)培養を37℃インキュベーターで24時間行った後、6週齢Balb/cヌードマウス(Balb/c nude mouse)の腎臓にカプセル型で注入した。8〜10週後に腎臓を分離し、三胚葉に分化したかを、パラフィンブロック(parrafin block)を作りH&E染色を行うことで確認した。その結果、三胚葉にあたる細胞で分化したことを確認して、インビボでのテラトマ形成を確認することができた(図13c、図18b及び図26c)。PO−iPSの場合、C57/BL6の胚盤胞(blastocyst)に注入し、代理母に移植した後、F1でキメラ形成されたことを確認することができた。代理母であるマウスとC57/BL6のマウスを比較してみるとき、キメラ形成されたことを確認することができ(図26d)、このような結果によって逆分化幹細胞が胚幹細胞と類似の特性を持っていることが分かった。
【0116】
〔実施例14.成体マウス繊維芽細胞から分離された細胞にオキシステロールを処理しながらOct4遺伝子を導入して逆分化幹細胞株確立(OO−iPS−TTF #1,2)〕
マウス繊維芽細胞で確認した逆分化誘導方法を成体マウス繊維芽細胞(adult mouse fibroblast)に適用した。このように逆分化誘導したとき、胚幹細胞に似ている形態の細胞が形成されることを確認することができた(図19a)。これをOO−iPS−TTF #1,2に名付け、1番と2番はオキシステロール処理濃度をそれぞれ0.1μMと0.5μMに異にしたことを意味する。OO−iPS−TTF #1,2はAP染色がポジティブになることを確認することができ、免疫化学染色法によってSSEA1、Oct4、Sox2、Nanogの発現を確認することができた(図19a)。また、胚幹細胞の主要遺伝子として知られた遺伝子の発現程度をreal−time PCR法で定量化して比較分析したところ、胚幹細胞と同等な程度の発現様相を示していることを確認することができた(図19b)。
【0117】
〔実施例15.OO−iPS−TTF #1,2の後成的特性研究〕
OO−iPS−TTF #1,2を胚幹細胞と比較したとき、胚幹細胞の自己再生能力維持に重要であると知られたOct4とNanogのプローモーター部位のメチル化有無を亜硫酸水素塩シークエンシング法で比較分析した。Oct4とNanogのプローモーター部位が脱メチル化したことを確認することができた(図20a)。また、クロマチン免疫沈降法でヒストンH3にアセチル化していることから、遺伝子発現が活性化していることを確認することができた(図20b)。
【0118】
〔実施例16.OO−iPS−TTF #1,2細胞のインビトロとインビボでの三胚葉性細胞への分化能力比較分析〕
OO−iPS−TTF #1,2逆分化幹細胞がインビトロで分化能力があるかを確認するために、まず胚体を形成するかを確認した。形成された胚体を0.1%ゼラチンがコーティング(coating)された組職培養プレート(tissue culture plate)で自然発生的分化誘導した結果、三胚葉にあたる代表的な細胞への分化誘導となるかをそれぞれの該当マーカーの染色によって確認した。その結果、OO−iPS−TTF #1,2細胞がインビトロで胚体を形成し、免疫化学染色法によってNestin、SMA、GATA4の発現を確認して、三胚葉にあたる代表的な細胞への分化誘導となることを確認することができた(図21a)。インビボでも分化能力を持っているかを確認するために、OO−iPS実験と同様な方法で進み、8〜10週後に腎臓を分離して、三胚葉に分化したかを、パラフィンブロック(parrafin block)を作りH&E染色することで確認した。その結果、三胚葉にあたる細胞に分化してインビボでテラトマが形成されることを確認することができた(図21b)。
【0119】
以上で説明した本発明は前述した実施例及び図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内でいろいろの置換、変形及び変更が可能であるのは本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者に明らかであろう。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、逆分化因子であるBmi1、その上位調節子であるShh、Shhの類似体であるオキシステロールまたはプルモルファミンを逆分化誘導因子であるOct4とともに導入して体細胞からリプログラミング過程によって胚幹細胞のような細胞を誘導する新規の組成物及びこれを用いた胚幹細胞類似細胞製造方法に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)Bmi1(B cell−specific Moloney murine leukemia virus integration site 1)タンパク質またはBmi1タンパク質をコードする核酸分子;及び
b)Oct4タンパク質またはOct4タンパク質をコードする核酸分子;
を含むことを特徴とする、体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物。
【請求項2】
前記組成物は、
a)Bmi1タンパク質をコードする核酸分子が挿入されたBmi1タンパク質発現ベクター;及び
b)Oct4タンパク質をコードする核酸分子が挿入されたOct4タンパク質発現ベクターを含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、
a)Bmi1タンパク質をコードする核酸分子が導入されてBmi1タンパク質を発現するウイルス;及び
b)Oct4タンパク質をコードする核酸分子が導入されてOct4タンパク質を発現するウイルスを含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Bmi1遺伝子及びOct4遺伝子を体細胞に導入することを特徴とする、体細胞から胚幹細胞類似細胞を製造する方法。
【請求項5】
(i)繊維芽細胞を培地で培養する段階、(ii)前記培養した繊維芽細胞をBmi1遺伝子及びOct4遺伝子を挿入したベクターを導入(transfection)させたパッケージング細胞で感染させる段階、(iii)前記感染させた繊維芽細胞を胚幹細胞の培養条件で培養する段階を含むことを特徴とする、請求項4に記載の体細胞から胚幹細胞類似細胞を製造する方法。
【請求項6】
段階(ii)の前記Bmi1遺伝子を挿入したベクターは、pBabe puroベクターにBmi1タンパク質をコードする核酸分子を挿入して製造し、前記Oct4遺伝子を挿入したベクターはpBabe neoベクターにOct4タンパク質をコードする核酸分子を挿入して製造することを特徴とする、請求項5に記載の体細胞から胚幹細胞類似細胞を製造する方法。
【請求項7】
段階(ii)の前記パッケージング細胞はPT67パッケージング細胞であることを特徴とする、請求項5に記載の体細胞から胚幹細胞類似細胞を製造する方法。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか1項の製造方法によって製造されることを特徴とする、胚幹細胞類似細胞。
【請求項9】
前記胚幹細胞類似細胞はアルカリ性ホスファターゼ(alkaline phosphatase)及びSSEA−1、Oct−4、Sox2に対する抗体に陽性反応を示すことを特徴とする、請求項8に記載の胚幹細胞類似細胞。
【請求項10】
Bmi1遺伝子を体細胞に導入し、神経幹細胞の培養条件で培養することを特徴とする、体細胞から神経幹細胞を製造する方法。
【請求項11】
a)Shh(Sonic hedgehog signaling)タンパク質、Shhタンパク質をコードする核酸分子、オキシステロール、プルモルファミン(purmorphamine)及びこの混合物から選択されるBmi1の上位調節子;及び
b)Oct4タンパク質またはOct4タンパク質をコードする核酸分子;
を含むことを特徴とする、体細胞から胚幹細胞類似細胞への逆分化を誘導する組成物。
【請求項12】
前記組成物は、
a)Shhタンパク質をコードする核酸分子が挿入されたShhタンパク質発現ベクター;及び
b)Oct4タンパク質をコードする核酸分子が挿入されたOct4タンパク質発現ベクターを含むことを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、
a)Shhタンパク質、オキシステロールまたはプルモルファミン;及び
b)Oct4タンパク質をコードする核酸分子が導入されてOct4タンパク質を発現するウイルスを含むことを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
体細胞にShhタンパク質、Shhタンパク質をコードする核酸分子、オキシステロールまたはプルモルファミンを処理し、Oct4遺伝子を体細胞に導入する段階を含むことを特徴とする、体細胞から胚幹細胞類似細胞を製造する方法。
【請求項15】
(i)繊維芽細胞を培地で培養する段階、(ii)前記培養した繊維芽細胞にShhタンパク質、Shhタンパク質をコードする核酸分子、オキシステロールまたはプルモルファミンを処理してOct4遺伝子を挿入したベクターを導入(transfection)させたパッケージング細胞で感染させる段階、(iii)前記感染させた繊維芽細胞を胚幹細胞の培養条件で培養する段階を含むことを特徴とする、請求項14に記載の体細胞から胚幹細胞類似細胞を製造する方法。
【請求項16】
段階(ii)で、前記Shhタンパク質、オキシステロールまたはプルモルファミンを神経幹細胞の培養条件で処理して神経幹細胞のような細胞に誘導をしながらOct4遺伝子を繊維芽細胞に導入することを特徴とする、請求項15に記載の体細胞から胚幹細胞類似細胞を製造する方法。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか1項の製造方法によって製造されることを特徴とする、胚幹細胞類似細胞。

【図4a】
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【図4b】
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【図11a】
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【図11b】
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【図16a】
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【図16b】
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【図20a】
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【図20b】
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【図24a】
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【図24b】
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【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図10e】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図14d】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【図15d】
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【図17】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19a】
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【図19b】
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【図21a】
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【図21b】
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【図22a】
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【図22b】
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【図22c】
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【図22d】
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【図23a】
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【図23b】
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【図23c】
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【図23d】
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【図23e】
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【図25】
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【図26a】
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【図26b】
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【図26c】
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【図26d】
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【公開番号】特開2011−135864(P2011−135864A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231701(P2010−231701)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(510273880)コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション (3)
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】Korea University,Anamdong 5−ga,Seongbuk−gu,Seoul 136−713,Republic of Korea
【Fターム(参考)】