説明

P2X7調節因子としてのビシクロへテロアリール化合物およびその使用

以下の式(I)で表される式を持つビシクロヘテロアリール化合物を開示する。該化合物は、医薬組成物として調製され得、哺乳類、例えば、ヒトにおけるさまざまな状態、例えば、非限定的な一例として、疼痛、炎症、外傷性損傷などのの予防および処置のために使用され得る。本発明は、炎症の種々の発生または病因(これらに限定されない)、例えば、リウマチ性関節炎、心臓血管疾患、炎症性腸管疾患、急性、慢性、炎症性および神経障害性疼痛、歯痛および頭痛(例えば、片頭痛、群発頭痛および緊張型頭痛)、炎症または免疫機能不全が原因として関連する他の状態のような、哺乳類における様々な状態を処置、予防、改善するために本発明の化合物を活性成分として含む医薬組成物、およびそれらの使用をももたらす。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、P2Xレセプター活性を調節することができるビシクロヘテロアリールクラスの新規化合物、およびこのような化合物を含む医薬組成物に関する。また、本発明は、本発明の化合物および医薬組成物を使用して、異常なP2X活性が原因として関連する状態、例えば、哺乳類における炎症関連状態(リウマチ性関節炎、変形性関節症、パーキンソン病、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞を含む心臓血管の状態。ならびに疼痛症候群(急性および慢性、または神経障害性)の処置および予防、外傷性脳損傷、急性脊髄損傷、神経変性障害、炎症性腸管疾患および自己免疫障害を含む(しかし、これらに限定されない))を予防および/または処置するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ATPの細胞表面レセプターは、代謝調節型(P2Y/P2U)クラスと、イオンチャンネル型(P2X)クラスとに分けることができる。代謝調節型クラスは、7個の膜貫通セグメントを有する、Gタンパク質共役レセプターのスーパーファミリーに属する。イオンチャンネル型クラスメンバー(P2X〜P2X)は、リガンドゲート型イオンチャネルであり、現在、1サブユニット当たり2個の膜貫通ドメインを有するマルチサブユニットタンパク質であると考えられている(非特許文献1)。P2Zレセプターは、他のP2レセプターから、主に3つの方法で区別されてきた(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。第一に、P2Zレセプターの活性化により、内部イオン電流ばかりでなく、細胞透過化をもたらす。第二に、3’−O−(4−ベンゾイル)ベンゾイルATP(BZATP)は、最も効果的なアゴニストであり、ATP自体は、むしろ有効性が低い。第三に、応答は、細胞外マグネシウムイオンによって強く阻害され、そのことは、ATP−が活性アゴニストであることを示していると解釈されてきた(非特許文献5)。
【0003】
P2Xレセプターファミリーの第7番目のメンバーは、ラットcDNAライブラリーから単離され、ヒト胎児腎臓(HEK293)細胞中で発現すると、前記3つの特性を発揮する(非特許文献6)。したがって、このレセプター(rP2X)は、P2Zレセプターに相当する。rP2Xは、構造的に、P2Xファミリーの他のメンバーに関連するが、より長い細胞質C−末端ドメインを有する(相同性の対応する領域において35〜40%のアミノ酸同一性が存在するが、他の領域において27〜20個のアミノ酸に比べ、C−末端は、rP2Xレセプターで239個のアミノ酸長である)。rP2Xレセプターは、小さいカチオンが透過できるチャネルとしては、そして細胞溶解性孔として機能する。ATPの短時間の適用(l〜2s)により、他のP2Xレセプターの場合のように、一過的にチャネルが開く。アゴニストの繰り返しまたは持続的な適用により、細胞透過化が起こり、細胞外マグネシウム濃度を減少し、この効果を増強する。rP2Xの固有なC−末端ドメインは、細胞透過化およびATPの溶解作用に必要である(非特許文献6)。
【0004】
P2Z/rP2Xレセプターは、細胞障害性Tリンパ球による抗原提供細胞の細胞溶解、ヒトTリンパ球のマイトジェン刺激、および多核巨大細胞の形成に関与する(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9)。げっ歯類動物とヒトとの間には、ある機能差が存在する(非特許文献10)。ヒトマクロファージP2Xレセプター(P2X)は、現在、クローン化され、その機能的特性が測定された(非特許文献11)。ラットP2Xレセプターと比較すると、より高い濃度のアゴニストを必要とする、ヒトP2Xレセプター中の誘発カチオン選択性電流は、細胞外マグネシウムイオンの除去によって、より強化され、アゴニスト除去に関し、より速く修正される。キメラ分子の発現は、ラットとヒトP2Xレセプターとの間の差のいくつかは、レセプタータンパク質の各々のC−末端ドメインを交換することによって、修正することができることを示唆する。
【0005】
ある化合物は、P2Xアンタゴニストとして作用することが報告されている。例えば、特許文献1および特許文献2では、あるアダマンタン誘導体が、リウマチ性関節炎および乾癬の処置において治療効果を有する、P2X拮抗活性を発揮することを開示する。同様に、特許文献3では、ある複素環式誘導体が、P2Xレセプターアンタゴニストであり、免疫抑制剤、およびリウマチ性関節炎、喘息、敗血症性ショックおよびアテローム性動脈硬化を処置するのに有用であることを開示する。最後に、特許文献4では、免疫抑制活性を発揮する、ある置換フェニル化合物を開示する。個々で記載した参考文献の全ては、その全体が、参考として本明細書に援用される。
【特許文献1】国際公開第99/29660号パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/29661号パンフレット
【特許文献3】国際公開第99/29686号パンフレット
【特許文献4】国際公開第00/71529号パンフレット
【非特許文献1】Buellら、Europ.J.Neurosci.、1996年、第8巻、p.2221
【非特許文献2】Buismanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1988年、第85巻、p.7988
【非特許文献3】Cockcroftら、Nature、1979年、第279巻、p.541
【非特許文献4】Steinbergら、J.Biol.Chem.、1987年、第262巻、p.3118
【非特許文献5】DiVirgilio、Immunol.Today、1995年、第16巻、p.524
【非特許文献6】Surprenantら、Science、1996年、第272巻、p.735
【非特許文献7】Blanchardら、Blood、1995年、第85巻、p.3173
【非特許文献8】Falzoniら、J.Clin.Invest.95:1207(1995)
【非特許文献9】Baricolrdiら、Blood、1996年、第87巻、p.682
【非特許文献10】Hickmanら、Blood、1994年、第84巻、p.2452
【非特許文献11】Rassendrenら、J.Biol.Chem.、1997年、第272巻、p.5482
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、異常なP2X活性が原因として関連する状態に対処する治療剤、相当する医薬組成物および処置の関連する方法の必要性が存在し、本発明が目指すのは、その必要性の実現および充足に向かうことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
式I−XIIjのビシクロアリール誘導体およびそれらの医薬組成物が、炎症によって媒介される状態(例えば、関節炎、心筋梗塞、疼痛症候群(急性および慢性[神経障害性])の処置および予防、外傷性脳損傷、急性脊髄損傷、神経変性障害、炎症性腸管疾患および自己免疫障害のような免疫機能不全(ただし、これらに限定されない)を含む、P2Xレセプターの異常な活性に伴う哺乳類における状態を処置するために有用な治療剤としては、開示される。
【0008】
今や、本発明のビシクロヘテロアリール化合物は、P2Xレセプターの活性を媒介することができることが発見された。この発見により、治療価値のある新規な化合物をもたらす。また、これは、炎症の種々の発生または病因(これらに限定されない)、例えば、リウマチ性関節炎、心臓血管疾患、炎症性腸管疾患、急性、慢性、炎症性および神経障害性疼痛、歯痛および頭痛(例えば、片頭痛、群発頭痛および緊張型頭痛)、炎症または免疫機能不全が原因として関連する他の状態のような、哺乳類における様々な状態を処置、予防、改善するために本発明の化合物を活性成分として含む医薬組成物、およびそれらの使用をももたらす。
【0009】
また、本発明の化合物は、炎症性疼痛および関連痛覚過敏症および異痛症の処置にも有用である。これらは、また、神経障害性疼痛、ならびに関連痛覚過敏症および異痛症(例えば、三叉神経痛またはヘルペス性神経痛、糖尿病性神経障害、灼熱痛、交感神経によって維持される疼痛および腕神経そう裂離のような求心路遮断症候群)の処置のためにも有用である。また、本発明の化合物は、関節炎の処置のための抗炎症剤、およびパーキンソン病、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞、外傷性脳損傷、脊髄損傷、神経変性障害、炎症性腸管疾患および自己免疫障害、腎機能障害、肥満、摂食障害、癌、統合失調症、てんかん、睡眠障害、認識、うつ病、不安症、血圧、脂質障害およびアテローム性動脈硬化を処置する薬剤としても有用である。
【0010】
一態様では、本発明は、インビボで、P2Xレセプターの活性を調節することができるビシクロヘテロアリール化合物を提供する。さらなる態様では、本発明の化合物は、P2Xレセプターの活性を拮抗する(抑制または阻害する)ことができ、それにより、代表的な例としては、異常なP2X活性が原因として関連する状態を処置することができる。
【0011】
本発明の化合物は、低毒性、良好な吸収、良好な半減期、良好な溶解性、低タンパク質結合親和性、低薬物間相互作用、HERGチャネルでの低阻害活性、低QT延長および良好な代謝安定性を示す。
【0012】
したがって、本発明の第1の態様において、インビボでのP2Xレセプターの活性を調節することができるビシクロヘテロアリール化合物であって、式(I):
【0013】
【化8】

(式中、
BおよびYは、独立して、CR2aおよびCR2a2bから選択され;
W、W’およびZは、独立して、CRおよびNから選択されるが、ただし、W、W’およびZの3つ全てが同時にNであることはなく;
は、置換または非置換のC−Cアルキレンであり;
nは、0、1、2、3、または4であり;
は、置換または非置換の3〜13員シクロアルキル環、3〜13員ヘテロシクロアルキル環、3〜13員アリール環および3〜13員ヘテロアリール環から選択され;
2a、R2b、R2’およびR2’’の各々は、独立して、水素、ハロ、および置換または非置換のC−Cアルキルから選択されるか;あるいはR2’およびR2’’のいずれかが一緒になって、3〜7個の原子のシクロアルキル環またはシクロヘテロアルキル環を形成し;
は、水素あるいはアシル、置換アシル、置換または非置換のアシルアミノ、置換または非置換のアルキルアミノ、置換または非置換のジアルキルアミノ、置換または非置換のアルキルチオ、置換または非置換のアルコキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、置換または非置換のアルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換または非置換のスルホキシド、置換または非置換のスルホン、置換または非置換のスルファニル、置換または非置換のアミノスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、置換または非置換のカルバモイル、シアノ、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロヘテロアルキル、ハロ、ヘテロアリールオキシ、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロアルキル、ニトロおよびチオから選択される官能基であるが;ただしRは、水素結合供与基以外であり;
は、独立して、H、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、置換または非置換のアシルアミノ、置換または非置換のアルキルアミノ、置換または非置換のアルキルチオ、置換または非置換のアルコキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、置換または非置換のアルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、アミノ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換または非置換のスルホキシド、置換または非置換のスルホン、置換または非置換のスルファニル、置換または非置換のアミノスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、置換または非置換のジヒドロキシホスホリル、置換または非置換のアミノジヒドロキシホスホリル、アジド、カルボキシ、置換または非置換のカルバモイル、シアノ、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロヘテロアルキル、置換または非置換のジアルキルアミノ、ハロ、ヘテロアリールオキシ、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロアルキル、ヒドロキシ、ニトロおよびチオから選択され;
点線の結合は、単結合または二重結合である)
で表される化合物、あるいはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグ、ならびにその立体異性体、同位体改変体および互変異性体を開示する。
【0014】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、nは0〜4である。別の実施形態では、nは0〜2である。特定の実施形態では、nは1である。
【0015】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、Lは、非置換であるか、あるいはアルキル、オキソ、アリール、ヒドロキシル、またはヒドロキシアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されたC−Cアルキレン基である。
【0016】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、BおよびYは、独立して、CR2aおよびCR2a2bから選択される。
【0017】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、BおよびYは、独立して、CR2a2bから選択され、点線の結合は、単結合である。
【0018】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、BおよびYは、全てCHを表してもよく、点線の結合は、単結合である。
【0019】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、BおよびYは、独立して、CR2aから選択され、点線の結合は二重結合である。
【0020】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、BおよびYは、全てCHを表してもよく、点線の結合は二重結合である。
【0021】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、nは、0、1または2である。特定の一実施形態では、nは1である。
【0022】
別の実施形態では、式Iの化合物に関し、
【0023】
【化9】

基のR2’およびR2’’の各々は、HまたはMeである。特定の一実施形態では、R2’およびR2’’の各々は、Hである。
【0024】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、
【0025】
【化10】

基のR2’およびR2’’の一方は、Me、Et、ハロおよびClから選択されてもよく、他方はHである。
【0026】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、Rは、置換または非置換のアリールである。特定の一実施形態では、Rは、置換または非置換のフェニルである。
【0027】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、Rは、置換または非置換のシクロアルキルである。別の実施形態では、Rは、置換または非置換のアダマンチルである。さらに別の実施形態では、Rは、置換または非置換のシクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
【0028】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、WおよびW’の各々は、Nである。
【0029】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、W、ZおよびW’の各々は、CRである。特定の一実施形態では、W、ZおよびW’の各々は、CHである。
【0030】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、WおよびZの各々は、CRであり、W’はCRであり、Rは、H、アルキル、シクロアルキルまたはハロである。一実施形態では、Rは、ハロまたはアルキルである。特定の実施形態では、Rは、Hまたはハロである。さらに特定の実施形態では、Rは、H、Cl、F、Meまたはシクロプロピルである。
【0031】
さらなる態様では、本発明は、本発明のビシクロヘテロアリール化合物と、医薬キャリア、賦形剤または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。本発明のこの態様では、医薬組成物は、本明細書で記載する化合物を1個以上含み得る。さらに、本明細書に記載された医薬組成物および処置方法に有用な本発明の化合物は、全て、調製および使用されると、医薬的に許容し得るものである。
【0032】
本発明のさらなる態様では、本発明は、本明細書に挙げた状態の中から、特に、例えば、リウマチ性関節炎、変形性関節症、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞、外傷性脳損傷;敗血症性ショック、アテローム性動脈硬化、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性脊髄損傷、炎症性腸管疾患および自己免疫障害を含む免疫機能不全のような炎症に関連する状態にかかりやすいかまたはそれらに罹患している哺乳類を処置する方法を提供し、該方法は、1種以上の記載した医薬組成物の有効量を投与することを含む。
【0033】
さらに他の処置方法の態様では、本発明は、異常なP2Xレセプター活性が原因として関連する状態、例えば、疼痛反応を引き起こすか、あるいは感覚神経の基礎活性の維持における不均衡に関連する状態にかかりやすいかまたはそれらに罹患している哺乳類を処置するための方法を提供する。本発明のアミン化合物は、種々の発生または原因の疼痛、例えば、急性疼痛、炎症性疼痛(例えば、変形性関節症およびリウマチ性関節炎に伴う疼痛);種々の神経障害性疼痛症候群(例えば、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、糖尿病性神経障害、ギラン・バレー症候群、線維筋痛症、幻想肢痛、乳房切除後疼痛、末梢神経障害、HIV神経障害および化学処置誘導、および他の医原性神経障害);内臓疼痛(例えば、胃食道逆流疾患に伴うもの、過敏性腸症候群、炎症性腸管疾患、膵臓炎、ならびに種々の婦人科および泌尿器科の障害)、歯痛および頭痛(例えば、片頭痛、群発頭痛および緊張型頭痛)の処置のための鎮痛薬としての使用がある。
【0034】
処置方法のさらなる態様では、本発明は、P2Xレセプターの異常活性が原因として関連する状態、例えば、パーキンソン病、多発性硬化症;例えば、外傷性脳損傷および脳炎のような神経炎症によって媒介されるかまたはそれをもたらす疾患および障害;例えば、躁うつ、双極性疾患、不安症、統合失調症、摂食障害、睡眠障害および認知障害のような中枢を介した神経精神性の疾患および障害;てんかんおよび発作性障害;例えば、尿失禁、排尿困難、直腸過敏症、大便失禁、良性前立腺肥大症および炎症性腸管疾患のような前立腺機能不全、膀胱機能不全および腸管機能不全;例えば、アレルギー性鼻炎、喘息、反応性気道疾患および慢性閉塞性肺疾患のような呼吸器および気道の疾患および障害;例えば、リウマチ性関節炎および変形性関節症、心筋梗塞、種々の自己免疫疾患および自己免疫障害、ブドウ膜炎およびアテローム性動脈硬化のような炎症によって媒介されるかまたはそれをもたらす疾患および障害;例えば、乾癬のようなかゆみ/掻痒;肥満;脂質障害;癌;血圧;脊髄損傷;ならびに心臓血管障害および腎機能障害を含む、神経変性性の疾患および障害にかかりやすいかまたはそれらに罹患している哺乳類を処置するための方法を提供し、該方法は、該状態を処置するかまたは該状態を予防するのに有効な量の1種以上の記載した医薬組成物を投与することを含む。
【0035】
さらなる態様では、本発明は、本発明の化合物を合成するための方法を提供し、代表的な合成手順および経路は、本明細書中で後に記載する。
【0036】
したがって、本発明の主目的は、P2Xレセプターの活性を改変することができ、したがって、原因がP2Xレセプターの活性に関連する可能性のある任意の疾病を回避または処置することができる新規な一連の化合物を提供することである。
【0037】
本発明のさらなる目的は、P2Xレセプターの活性化が原因として関連するかもしれない、疼痛および炎症のような疾病または症状を、処置または緩和することができる一連の化合物を提供することである。
【0038】
本発明のさらなる目的は、中枢神経系、心臓血管の状態、慢性閉塞性肺疾患COPD)、炎症性腸管疾患、リウマチ性関節炎、変形性関節症および炎症性反応が存在する他の疾患が関連する疾患を含む種々の疾患状態の処置または予防に効果のある医薬組成物を提供することである。
【0039】
他の目的および利点が、当業者には、以下の詳細な記載を考慮することにより、明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(発明の詳細な説明)
(定義)
化合物、該化合物を含む医薬組成物、ならびに該化合物および組成物を使用するための方法を記載する場合、特記ある場合を除き、以下の用語は、以下の意味を持つ。以下に記載する部分のいかなるものも、種々の置換基によって置換されてもよく、個々の定義は、それらの範囲内でそのような置換された部分も含むものであることも、理解されるべきである。非限定的な例として、このような置換基としては、例えば、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ)、−CN、−CF、−OH、−OCF、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、アリールおよびジ−C−Cアルキルアミノが挙げられる。さらに、本明細書において、用語「基」および「ラジカル」は、交換可能なものであると見なされると理解すべきである。
【0041】
「アシル」は、ラジカル:−C(O)R20(ここで、R20は、本明細書で定義するように、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである)をいう。代表的な例としては、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「アシルアミノ」は、ラジカル:−NR21C(O)R22(ここで、本明細書で定義するように、R21は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルであり、R22は、水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである)をいう。代表的な例としては、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘキシルメチルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、ベンジルカルボニルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
「アシルオキシ」は、基:−OC(O)R23(ここで、R23は、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルである)をいう。
【0044】
「置換アルケニル」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群から選択される、1個以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、特に1〜3個の置換基を有するアルケニルをいう。
【0045】
「アルコキシ」は、基:−OR24(ここで、R24はアルキルである)をいう。特定のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシなどが挙げられる。
【0046】
「置換アルコキシ」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群から選択される、1個以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、特に1〜3個の置換基を有するアルコキシ基をいう。
【0047】
「アルコキシカルボニルアミノ」は、基:−NR25C(O)OR26(ここで、R25は、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルであり、R26は、アルキルまたはシクロアルキルである)をいう。
【0048】
「アルキル」は、特に約11個までの炭素原子、より具体的には、1〜8個の炭素原子を有する低級アルキルであり、よりさらに具体的には、1〜6個の炭素原子を有する、1価の飽和アルカンラジカル基をいう。炭化水素鎖は、直鎖でも分枝鎖であってもよい。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、tert−オクチルなどのような基が代表される。用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基をいう。また、用語「アルキル」は、以下に定義する「シクロアルキル」も含む。
【0049】
「置換アルキル」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ヘテロアリール、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群から選択される1個以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、特に1〜3個の置換基を有するアルキル基をいう。
【0050】
「アルキレン」は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい、1〜11個の炭素原子、より具体的には、1〜6個の炭素原子を有する2価の飽和アルケンラジカル基をいう。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)などのような基に代表される。
【0051】
「置換アルキレン」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群から選択される1個以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、特に1〜3個の置換基を有するアルキレン基をいう。
【0052】
「アルケニル」は、好ましくは2〜11個の炭素原子、特に2〜8個の炭素原子、より具体的には、2〜6個の炭素原子を有する1価のオレフィン性不飽和ヒドロカルビル基であって、直鎖であっても分枝鎖でもよく、少なくとも1個、特に1〜2個の部位がオレフィン不飽和である基をいう。特定のアルケニル基としては、エテニル(−CH=CH)、n−プロペニル(−CHCH=CH)、イソプロペニル(−C(CH)=CH)、ビニルおよび飽和ビニルなどが挙げられる。
【0053】
「アルケニレン」は、特に約11個までの炭素原子、より具体的には、2〜6個の炭素原子を有する2価のオレフィン性不飽和ヒドロカルビル基であって、直鎖であっても分枝鎖でもよく、少なくとも1個、特に1〜2個の部位がオレフィン不飽和である基をいう。この用語は、エテニレン(−CH=CH−)、プロペニレン異性体(例えば、−CH=CHCH−、−C(CH)=CH−および−CH=C(CH)−)などのような基に代表される。
【0054】
「アルキニル」は、特に2〜11個の炭素原子、より具体的には、2〜6個の炭素原子を有するアセチレン性またはアルキン性の不飽和ヒドロカルビル基であって、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、少なくとも1個、特に1〜2個の部位がアルキニル不飽和である基をいう。アルキニル基の特定の非限定的な例としては、アセチレン、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(−CHC≡CH)などが挙げられる。
【0055】
「置換アルキニル」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群から選択される1個以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、特に1〜3個の置換基を有するアルキニル基をいう。
【0056】
本明細書で使用される「アルカノイル」または「アシル」は、基:R27−C(O)−(ここで、先に定義するように、R27は、水素またはアルキルである)をいう。
【0057】
「アリール」は、親の芳香族環系の1個の炭素原子から1個の水素原子が外れることによって誘導される1価の芳香族炭化水素基をいう。代表的なアリール基としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビシン、トリフェニレン、トリナフタレンなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。特に、アリール基は、6〜14個の炭素原子を含む。
【0058】
「置換アリール」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、置換アルキル、アルキニル、置換アルキニル、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群から選択される1個以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、特に1〜3個の置換基で必要に応じて置換されてもよいアリール基をいう。
【0059】
「縮合アリール」は、第二のアリール環または脂肪族環と共有される2個の環炭素を有するアリールをいう。
【0060】
「アルカリル」は、1個以上の先に定義したアルキル基で置換された、先に定義したアリール基をいう。
【0061】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、1個以上の先に定義したアリール基で置換された先に定義したアルキル基をいう。
【0062】
「アリールオキシ」は、−O−アリール基(ここで、「アリール」は、先に定義した通りである)をいう。
【0063】
「アルキルアミノ」は、基:アルキル−NR2829(ここで、R28およびR29は、各々独立して、水素およびアルキルから選択される)をいう。
【0064】
「アリールアミノ」は、基:アリール−NR3031(ここで、R30およびR31は、各々独立して、水素、アリールおよびヘテロアリールから選択される)をいう。
【0065】
「アルコキシアミノ」は、ラジカル:−N(H)OR32(ここで、R32は、本明細書で定義するアルキルまたはシクロアルキル基である)をいう。
【0066】
「アルコキシカルボニル」は、ラジカル:−C(O)−アルコキシ(ここで、アルコキシは本明細書で定義する通りである)をいう。
【0067】
「アルキルアリールアミノ」は、ラジカル:−NR3334(ここで、本明細書で定義するように、R33は、アルキルまたはシクロアルキル基を表し、R34はアリールである)をいう。
【0068】
「アルキルスルホニル」は、ラジカル:−S(O)35(ここで、R35は、本明細書で定義するアルキルまたはシクロアルキル基である)をいう。代表的な例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
「アルキルスルフィニル」は、ラジカル:−S(O)R35(ここで、R35は、本明細書で定義するアルキルまたはシクロアルキル基である)をいう。代表的な例としては、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
「アルキルチオ」は、ラジカル:−SR35(ここで、R35は、本明細書で定義するアルキルまたはシクロアルキル基である)をいい、これは、必要に応じて、本明細書で定義するように置換されていてもよい。代表的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
「アミノ」は、ラジカル:−NHをいう。
【0072】
本明細書において「置換アミノ」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、基:−N(R36(ここで、各R36は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキルからなる群から選択されるか、あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン基を形成する)をいう。両方のR基が水素の場合、−N(R36は、アミノ基である。
【0073】
「アミノカルボニル」は、基:−C(O)NR3737(ここで、各R37は、独立して、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルであるか、あるいはR37基が一緒になって、アルキレン基を形成する)をいう。
【0074】
「アミノカルボニルアミノ」は、基:−NR38C(O)NR3838(ここで、各R38は、独立して、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルであるか、あるいは2個のR基が一緒になって、アルキレン基を形成する)をいう。
【0075】
「アミノカルボニルオキシ」は、基:−OC(O)NR3939(ここで、各R39は、独立して、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルであるか、あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン基を形成する)をいう。
【0076】
「アリールアルキルオキシ」は、−O−アリールアルキルラジカル(ここで、アリールアルキルは本明細書で定義する通りである)をいう。
【0077】
「アリールアミノ」は、ラジカル:−NHR40(ここで、R40は、本明細書で定義するアリール基を表す)を意味する。
【0078】
「アリールオキシカルボニル」は、ラジカル:−C(O)−O−アリール(ここで、アリールは本明細書で定義する通りである)をいう。
【0079】
「アリールスルホニル」は、ラジカル:−S(O)41(ここで、R41は、本明細書で定義するアリール基またはヘテロアリール基である)をいう。
【0080】
「アジド」は、ラジカル:−Nをいう。
【0081】
「ビシクロアリール」は、親のビシクロ芳香族環系の1個の炭素原子から1個の水素原子が外れることによって誘導される1価の芳香族炭化水素基をいう。代表的なビシクロアリール基としては、インダン、インデン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレンなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。特に、アリール基は、8〜11個の炭素原子を含む。
【0082】
「ビシクロヘテロアリール」は、親のビシクロヘテロ芳香族環系の1個の原子から1個の水素原子が外れることによって誘導される1価のビシクロヘテロ芳香族基をいう。代表的なビシクロヘテロアリール基としては、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンズインダゾール、ベンズジオキサン、クロメン、クロマン、シンノリン、フタラジン、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、ナフチリジン、ベンゾキサジアゾール、プテリジン、プリン、ベンゾピラン、ベンズピラジン、ピリドピリミジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、ベンゾモルファン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリンなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ビシクロヘテロアリール基は、9〜11員のビシクロヘテロアリールであって、5〜10員ヘテロアリールが、特に好ましい。特定のビシクロヘテロアリール基は、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、ベンズイミダゾール、ベンゾキサゾールおよびベンズジオキサンから誘導される基である。
【0083】
「カルバモイル」は、ラジカル:−C(O)N(R42(ここで、各R42基は、独立して、本明細書で定義する、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、これらは、必要に応じて、本明細書で定義するように置換されてもよい)をいう。
【0084】
「カルボキシ」は、ラジカル:−C(O)OHをいう。
【0085】
「カルボキシアミノ」は、ラジカル:−N(H)C(O)OHをいう。
【0086】
「シクロアルキル」は、3〜約10個の炭素原子を有し、単環系または縮合環系および架橋環系を含む複数の縮合環を有する環状ヒドロカルビル基であって、必要に応じて1〜3個のアルキル基で置換されてもよい基をいう。該シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロペンチル、2−メチルシクロオクチルなどのような単環系、およびアダマンタンイルのような多重環構造などが挙げられる。
【0087】
「置換シクロアルキル」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群から選択される1個以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、特に1〜3個の置換基を有するシクロアルキル基をいう。
【0088】
「シクロアルコキシ」は、基:−OR43(ここで、R43は、シクロアルキルである)をいう。該シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロペントキシ、シクロヘキソキシなどが挙げられる。
【0089】
「シクロアルケニル」は、3〜10個の炭素原子を有し、単環系または縮合環系および架橋環系を含む複数の縮合環を有し、少なくとも1個の、特に1〜2個の部位がオレフィン不飽和である環状ヒドロカルビル基をいう。該シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロプロペニルなどのような単環系が挙げられる。
【0090】
「置換シクロアルケニル」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群から選択される、1個以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、特に1〜3個の置換基を有するシクロアルケニル基をいう。
【0091】
「縮合シクロアルケニル」は、第二の脂肪族または芳香族環によって共有される2個の炭素原子を有し、シクロアルケニル環に芳香族性を付与するように配置されているオレフィン不飽和を有するシクロアルケニルをいう。
【0092】
「シアナト」は、ラジカル:−OCNをいう。
【0093】
「シアノ」は、ラジカル:−CNをいう。
【0094】
「ジアルキルアミノ」は、ラジカル:−NR4445(ここで、R44およびR45は、独立して、本明細書で定義するアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール基を表す)を意味する。
【0095】
「エテニル」は、置換または非置換−(C=C)−をいう。
【0096】
「エチレン」は、置換または非置換−(C−C)−をいう。
【0097】
「エチニル」は、−(C≡C)−をいう。
【0098】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードをいう。好ましいハロ基は、フルオロまたはクロロである。
【0099】
「ヒドロキシ」は、ラジカル:−OHをいう。
【0100】
「ニトロ」は、ラジカル:−NOをいう。
【0101】
「置換」は、1個以上の水素原子の各々が、独立して、同じかまたは異なる置換基で置き換わった基をいう。代表的な置換基としては、−X、−R46、−O、=O、−OR46、−SR46、−S、=S、−NR4647、=NR46、−CX、−CF、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO、=N、−N、−S(O)、−S(O)OH、−S(O)46、−OS(O)O、−OS(O)46、−P(O)(O、−P(O)(OR46)(O)、−OP(O)(OR46)(OR47)、−C(O)R46、−C(S)R46、−C(O)OR46、−C(O)NR4647、−C(O)O、−C(S)OR46、−NR48C(O)NR4647、−NR48C(S)NR4647、−NR49C(NR48)NR4647および−C(NR48)NR4647(ここで、各Xは、独立して、ハロゲンであり;R46、R47、R48およびR49は、各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アルキル、アリールアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、−NR5051、−C(O)R50または−S(O)50であるか、あるいは必要に応じてR50およびR51は、これら両方が結合する原子と一緒になって、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環を形成し;R50およびR51は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アルキル、アリールアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換アルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルである)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
代表的な置換アリールの例としては、以下、
【0103】
【化11】

が挙げられる。
【0104】
これらの式において、R52およびR53の一方は水素であり、R52およびR53の少なくとも一方は、各々独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロヘテロアルキル、アルカノイル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、NR54COR55、NR54SOR55、NR54SO57、COOアルキル、COOアリール、CONR5455、CONR54OR55、NR5455、SONR5455、S−アルキル、S−アルキル、SOアルキル、SOアルキル、Sアリール、SOアリール、SOアリールから選択され;あるいはR52およびR53は、一緒になって、必要に応じて、N、OおよびSの群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む5〜8個の原子の環(飽和または不飽和)を形成する。R54、R55およびR56は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換アルキルまたはヘテロアルキルなどである。
【0105】
化合物または化合物上に存在する基を記載するために使用する場合、「ヘテロ」は、化合物または基中の1個以上の炭素原子が、窒素、酸素または硫黄のヘテロ原子によって置き換えられていることを意味する。ヘテロは、先に記載したヒドロカルビル基のいかなるものにも適用してよく、例えば、1〜5個の、特に1〜3個のヘテロ原子を有するアルキル、例えばヘテロアルキル、シクロアルキル、例えばシクロヘテロアルキル、アリール、例えばヘテロアリール、シクロアルケニル、シクロヘテロアルケニルなどである。
【0106】
「ヘテロアリール」は、親のヘテロ芳香族環系の1個の原子から1個の水素原子が外れることによって誘導される1価のヘテロ芳香族基をいう。代表的なヘテロアリール基としては、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、チサンチンなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。5〜15員ヘテロアリール基が好ましく、5〜10員ヘテロアリールが特に好ましい。特定のヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾールおよびピラジンから誘導される基である。
【0107】
代表的なヘテロアリールの例としては、以下:
【0108】
【化12】

が挙げられ、各Yは、カルボニル、N、NR58、OおよびSから選択され;R58は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキルなどである。
【0109】
本明細書で使用される用語「シクロヘテロアルキル」は、N、OおよびSから独立して選択される1個以上のヘテロ原子を含有する安定な複素環式非芳香族環および縮合環をいう。縮合複素環系は、炭素環を含んでもよく、1個の複素環を含むことだけが必要とされる。複素環の例としては、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニルおよびモルホリニルが挙げられ、以下:
【0110】
【化13】

の例示的な例で示されるが、これらに限定されず、式中、各Xは、CR58、NR58、OおよびSから選択され;各Yは、NR58、OおよびSから選択され;R58は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキルなどである。これらのシクロヘテロアルキル環は、必要に応じて、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群から選択される1個以上の基で置換されている。置換する基としては、カルボニルまたはチオカルボニルが挙げられ、これらは、例えば、ラクタムおよび尿素誘導体を提供する。
【0111】
代表的なシクロヘテロアルケニルの例としては、以下:
【0112】
【化14】

が挙げられ、各Xは、CR58、NR58、OおよびSから選択され;各Yは、カルボニル、N、NR58、OおよびSから選択され;R58は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキルなどである。
【0113】
置換を含むヘテロ原子を有する代表的なアリールの例としては、以下:
【0114】
【化15】

が挙げられ、各Xは、CR58、NR58、OおよびSから選択され;各Yは、カルボニル、NR58、OおよびSから選択され;R58は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキルなどである。
【0115】
「ヘテロ置換基」は、本発明の化合物のA、B、W、YまたはZに直接置換する基として存在するRC基中のRとしては、あるいは該化合物中の「置換」アリールおよび脂肪族基中の置換基として存在してもよい、ハロ原子含有官能基、O原子含有官能基、S原子含有官能基またはN原子含有官能基をいう。ヘテロ置換基の例としては、
−ハロ、
−NO、−NH、−NHR59、−N(R59
−NRCOR、−NR59SOR59、−NR59SO59、OH、CN、
−COH、
−R59−OH、−O−R59、−COOR59
−CON(R59、−CONROR59
−SOH、−R59−S、−SON(R59
−S(O)R59、−S(O)59
(式中、各R59は、独立して、アリールまたは脂肪族であり、必要に応じて置換されている)が挙げられる。R59基を含むヘテロ置換基の中でも、本明細書で定義するアリールおよびアルキルR59基を含む物質が好ましい。好ましいヘテロ置換基は、先に列挙したものである。
【0116】
「水素結合供与」基は、O−H官能基またはN−H官能基を含む基をいう。「水素結合供与」基の例としては、−OH、−NHおよび−NH−R59aが挙げられ、R59aは、アルキル、アシル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。
【0117】
「ジヒドロキシホスホリル」は、ラジカル:−PO(OH)をいう。
【0118】
「置換ジヒドロキシホスホリル」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、ジヒドロキシホスホリルラジカルであって、1個または2個のヒドロキシル基が置換されているものをいう。適切な置換基は、以下に詳細に記載する。
【0119】
「アミノヒドロキシホスホリル」は、ラジカル:−PO(OH)NHをいう。
【0120】
「置換アミノヒドロキシホスホリル」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、アミノヒドロキシホスホリルであって、アミノ基が1または2個の置換基で置換されているものをいう。適切な置換基は、以下に詳細に記載する。ある実施形態では、ヒドロキシル基も置換され得る。
【0121】
「チオアルコキシ」は、基:−SR60(ここで、R60はアルキルである)をいう。
【0122】
「置換チオアルコキシ」は、本明細書の「置換」の定義において挙げられる基を含むものであり、特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群から選択される1個以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、特に1〜3個の置換基を有するチオアルコキシ基をいう。
【0123】
「スルファニル」は、ラジカル:HS−をいう。「置換スルファニル」は、RS−(ここでRは、本明細書で記載した任意の置換基である)のようなラジカルをいう。
【0124】
「スルホニル」は、2価のラジカル:−S(O)−をいう。「置換スルホニル」は、R61−(O)S−(ここで、R61は、本明細書に記載される任意の置換基である)のようなラジカルをいう。「アミノスルホニル」または「スルホンアミド」はラジカル:HN(O)S−をいい、「置換アミノスルホニル」「置換スルホンアミド」は、R62N(O)S−(ここで、各R62は、独立して、本明細書に記載される任意の置換基である)のようなラジカルをいう。
【0125】
「スルホン」は、基:−SO63をいう。特定の実施形態では、R63は、H、低級アルキル、アルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される。
【0126】
「チオアリールオキシ」は、基:−SR64(ここで、R64はアリールである)をいう。
【0127】
「チオケト」は、基:=Sをいう。
【0128】
「チオール」は、基:−SHをいう。
【0129】
有機合成に関する当業者であれば、安定で化学的に可能な複素環(芳香族であろうと非芳香族であろうと)におけるヘテロ原子の最大数は、環のサイズ、不飽和度およびヘテロ原子の原子価によって決定されることを認識するであろう。一般的に、複素環は、ヘテロ芳香族環が化学的に可能で安定である限り、1〜4個のヘテロ原子を有し得る。
【0130】
「医薬的に許容し得る」は、連邦または州政府の規制当局によって認証されているか、あるいは米国薬局方または動物、特にヒトへの使用のための他の一般的に認識されている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0131】
「医薬的に許容し得る塩」は、本発明の化合物の塩であって、医薬的に許容することができ、本発明化合物の所望の薬理学的活性を有する塩をいう。そのような塩としては、(1)無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などと形成されるか;または有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプタン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコ酸などと形成される酸付加塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンによって置き換えられるか、または有機塩基、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミンなどと配位する時に形成される塩が挙げられる。さらに、塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど、および化合物が塩基性官能基を含む場合、非毒性有機酸または無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩なども挙げられる。用語「医薬的に許容し得るカチオン」は、酸性官能基の、毒性のない許容し得るカチオン対イオンをいう。該カチオンは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、アンモニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオンなどに代表される。
【0132】
「医薬的に許容し得るビヒクル」は、本発明の化合物とともに投与される希釈剤、補助剤、賦形剤またはキャリアをいう。
【0133】
「予防すること」または「予防」は、疾患または障害にかかるリスクを減少させる(すなわち、疾患の臨床的症状の少なくとも1つが、疾患に曝され得るかあるいは疾患になりやすいが、まだ疾患の症状を経験していないかまたは示さない可能性がある被験体において発症しないようにする)ことをいう。
【0134】
「プロドラッグ」は、切断可能な基を有し、加溶媒分解によって、または生理的条件下で、インビボで薬理的に活性な本発明の化合物になる化合物(本発明の化合物の誘導体を含む)をいう。そのような例としては、コリンエステル誘導体など、N−アルキルモルホリンエステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
「溶媒和物」は、通常、加溶媒分解反応によって溶媒と結合している化合物の形態をいう。従来の溶媒としては、水、エタノール、酢酸などが挙げられる。本発明の化合物は、例えば、結晶形態で調製されてもよく、溶媒和物または水和物としてもよい。適切な溶媒和物としては、医薬的に許容し得る溶媒和物、例えば、水和物が挙げられ、さらに、化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物の両方を含む。
【0136】
「被験体」は、ヒトを含む。用語「ヒト」、「患者」および「被験体」は、本明細書では、交換可能に使用される。
【0137】
「治療有効量」は、疾患を処置するために被験体に投与したとき、疾患の処置に十分効果のある化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患およびその重篤度、処置すべき被験体の年齢、体重などにより、変化し得る。
【0138】
任意の疾患または障害を「処置すること」または「処置」は、一実施形態では、疾患または障害を改善する(すなわち、疾患の進行またはその臨床的症状の少なくとも1つを止めるまたは緩和する)ことをいう。別の実施形態では、「処置すること」または「処置」は、被験体によって認識されていないかもしれない、少なくとも1つの身体的パラメータを改善することをいう。さらに別の実施形態では、「処置すること」または「処置」は、疾患または障害を、身体的(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理的(例えば、身体的パラメータの安定化)、あるいはその両方において調節することをいう。さらに別の実施形態では、「処置すること」または「処置」は、疾患または障害の発症を遅らせることをいう。
【0139】
本発明の化合物の他の誘導体は、その酸の形態および酸性誘導体形態のどちらでも活性があるが、酸において、感受性形態が、しばしば、溶解性、組織適合性の利点、あるいは哺乳類の器官において遅延放出を提供する(Bundgard,H.、Design of Prodrugs、pp.7−9、21−24、Elsevier、Amsterdam1985参照)。プロドラッグは、当業者に周知の酸誘導体を含み、例えば、親の酸と適切なアルコールとの反応により調製されるエステル類、親の酸化合物と置換または非置換のアミンとの反応により調製されるアミン類、酸無水物、あるいは混合無水物が挙げられる。本発明の化合物にぶら下がっている(pendant)酸性基から誘導される、単純な脂肪族または芳香族のエステル類、アミン類、および無水物は、好ましいプロドラッグである。(アシルオキシ)アルキルエステル類または((アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステル類のようなダブルエステル(double ester)型のプロドラッグを調製することが望ましい場合もある。本発明の化合物のC−Cアルキル、C−Cアルケニル、アリール、C−C12置換アリールおよびC−C12アリールアルキルエステル類が好ましい。
【0140】
本明細書で使用される用語「同位体改変体」は、化合物を構成する1個以上の原子で、不自然な比率の同位体を含む化合物をいう。例えば、化合物の「同位体改変体」は、1個以上の非放射性同位体、例えば、重水素(HまたはD)、炭素−13(13C)、窒素−15(15N)などを含みうる。同位体置換が起こっている化合物では、存在する場合は、以下の原子が、例えば、任意の水素はH/Dに、任意の炭素は13Cに、任意の窒素は15Nになるように変わることができ、そのような原子の存在および置換は、当該分野の技術の範囲内で決定できることは理解されるであろう。同様に、本発明は、例えば、得られる化合物を、薬物および/または基質組織分布研究のために使用する場合、放射性同位体を有する同位体改変体の調製を含み得る。放射性同位体トリチウム、すなわちH、および炭素−14、すなわち14Cは、導入が簡単なことと検出手段が簡単なことに起因して、特にこの目的に有用である。さらに、例えば、11C、18F、15Oおよび13Nのようなポジトロン放出同位体で置換された化合物を調製してもよく、これは、基質レセプターの占有率を調べるためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究において有用である。
【0141】
本明細書に挙げられた全同位体改変体は、放射性であろうと、非放射性であろうと、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0142】
また、同じ分子式を持っているが、性質、原子の結合の順番、または空間における原子の配置が異なる化合物を、「異性体」ということも理解される。空間におけるそれらの原子の配置が異なる異性体を「立体異性体」という。
【0143】
互いに鏡像ではない立体異性体を「ジアステレオマー」といい、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体を「エナンチオマー」という。化合物が不斉中心を有する場合、例えば、それに4つの異なる基が結合する場合、1対のエナンチオマーが可能である。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置によって特徴付けることができ、カーン・プレローグのR−およびS−配列規則により、あるいは分子が偏光面を回転させ、右旋性または左旋性(すなわち、各々、(+)または(−)−異性体)として表示するための方法によって記載される。キラル化合物は、個々のエナンチオマーとしても、その混合物としても存在することができる。エナンチオマーを等しい割合で含む混合物を「ラセミ混合物」という。
【0144】
「互変異性体」は、特定の化合物構造の相互変換可能な形態であり、水素原子および電子の転移により変化する化合物をいう。したがって、2つの構造は、π電子と原子(通常、H)の移動によって、平衡状態にある。例えば、エノール類とケトン類は、酸または塩基による処置によって素早く相互変換するので、互変異性体である。互変異性の別の例は、同様に、酸または塩基での処理により形成する、フェニルニトロメタンのaci−およびニトロ−形態である。
【0145】
互変異性形態は、目的の化合物の最適な化学反応性および生物的活性の達成に関連するかもしれない。
【0146】
本発明の化合物は、1個以上の不斉中心を有する可能性があり、したがって、そのような化合物を、個々の(R)−または(S)−立体異性体としては、あるいはその混合物として調製することができる。他に記載がなければ、本明細書および請求項の特定の化合物の記載および命名は、個々のエナンチオマーおよび混合物の両方、そのラセミ体またはその他の混合物を含むことが意図される。立体化学の決定および立体異性体の分離のための方法は、当該分野で周知である。
【0147】
(化合物)
本発明は、哺乳類における、広い範囲のP2Xレセプターの活性の異常性に関連する状態、とりわけ、リウマチ性関節炎、パーキンソン病、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞のような心臓血管の状態、疼痛症候群(急性および慢性または神経障害性)の処置および予防、外傷性脳損傷、急性脊髄損傷、神経変性障害、自己免疫障害または自己免疫状態のような炎症性腸管疾患および免疫機能不全の予防および/または処置に有用なビシクロヘテロアリール化合物を提供する。
【0148】
本発明の第1の態様では、インビボでP2Xレセプターの活性を調節することができ、式(I):
【0149】
【化16】

(式中、
BおよびYは、独立して、CR2aおよびCR2a2bから選択され;
W、W’およびZは、独立して、CRおよびNから選択されるが、ただし、W、W’およびZの3つ全てが同時にNであることはなく;
は、置換または非置換のC−Cアルキレンであり;
nは、0、1、2、3、または4であり;
は、置換または非置換の3〜13員シクロアルキル環、3〜13員ヘテロシクロアルキル環、3〜13員アリール環および3〜13員ヘテロアリール環から選択され;
2a、R2b、R2’およびR2’’の各々は、独立して、水素、ハロ、および置換または非置換のC−Cアルキルから選択されるか;あるいはR2’およびR2’’のいずれかが一緒になって、3〜7個の原子のシクロアルキル環またはシクロヘテロアルキル環を形成し;
は、水素またはアシル、置換アシル、置換または非置換のアシルアミノ、置換または非置換のアルキルアミノ、置換または非置換のジアルキルアミノ、置換または非置換のアルキルチオ、置換または非置換のアルコキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、置換または非置換のアルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換または非置換のスルホキシド、置換または非置換のスルホン、置換または非置換のスルファニル、置換または非置換のアミノスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、置換または非置換のカルバモイル、シアノ、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロヘテロアルキル、ハロ、ヘテロアリールオキシ、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロアルキル、ニトロおよびチオから選択される官能基であるが;ただしRは、水素結合供与基以外であり;
は、独立して、H、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、置換または非置換のアシルアミノ、置換または非置換のアルキルアミノ、置換または非置換のアルキルチオ、置換または非置換のアルコキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、置換または非置換のアルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、アミノ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換または非置換のスルホキシド、置換または非置換のスルホン、置換または非置換のスルファニル、置換または非置換のアミノスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、置換または非置換のジヒドロキシホスホリル、置換または非置換のアミノジヒドロキシホスホリル、アジド、カルボキシ、置換または非置換のカルバモイル、シアノ、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロヘテロアルキル、置換または非置換のジアルキルアミノ、ハロ、ヘテロアリールオキシ、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロアルキル、ヒドロキシ、ニトロおよびチオから選択され;
点線の結合は、単結合または二重結合である)
を有するビシクロヘテロアリール化合物、あるいはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグ、ならびにその立体異性体、同位体改変体および互変異性体が開示される。
【0150】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、nは0〜4である。別の実施形態では、nは0〜2である。特定の実施形態では、nは1である。
【0151】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、Lは、非置換であるかあるいはアルキル、オキソ、アリール、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されるC−Cアルキレン基である。
【0152】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、BおよびYは、独立して、CR2aおよびCR2a2bから選択される。
【0153】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、BおよびYは、独立して、CR2a2bから選択され、かつ点線の結合は、単結合である。
【0154】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、BおよびYは、全てCHを表し、点線の結合は、単結合である。
【0155】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、BおよびYは、独立して、CR2aから選択され、点線の結合は二重結合である。
【0156】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、BおよびYは、全てCHを表し、点線の結合は二重結合である。
【0157】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、nは、0、1または2である。特定の一実施形態では、nは1である。
【0158】
別の実施形態では、式Iの化合物に関し、
【0159】
【化17】

基のR2’およびR2’’の各々は、HまたはMeである。特定の一実施形態では、R2’およびR2’’の各々は、Hである。
【0160】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、
【0161】
【化18】

基のR2’およびR2’’の1つは、Me、Et、ハロおよびClから選択されてよく、もう1つは、Hである。
【0162】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、Rは、置換または非置換のアリールである。特定の一実施形態では、Rは、置換または非置換のフェニルである。
【0163】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、Rは、置換または非置換のシクロアルキルである。別の実施形態では、Rは、置換または非置換のアダマンチルである。さらに別の実施形態では、Rは、置換または非置換のシクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
【0164】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、WおよびW’の各々は、Nである。
【0165】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、W、ZおよびW’の各々は、CRである。特定の一実施形態では、W、ZおよびW’の各々は、CHである。
【0166】
さらなる実施形態では、式Iの化合物に関し、WおよびZの各々は、CRであり、W’はCRであり、Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキルおよびハロから選択される。特定の一実施形態では、Rは、Me、シクロプロピル、Cl、FおよびCFから選択される。
【0167】
別の実施形態では、式Iの化合物に関し、化合物は、式II、IIIまたはIV:
【0168】
【化19】

(式中、
WはCRであり;ZはCRであり;
、R、R2’、R2’’、RおよびRは、式Iの通りであり;
は、H、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、置換または非置換のアシルアミノ、置換または非置換のアルキルアミノ、置換または非置換のアルキルチオ、置換または非置換のアルコキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、置換または非置換のアルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、アミノ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換または非置換のスルホキシド、置換または非置換のスルホン、置換または非置換のスルファニル、置換または非置換のアミノスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、置換または非置換のジヒドロキシホスホリル、置換または非置換のアミノジヒドロキシホスホリル、アジド、カルボキシ、置換または非置換のカルバモイル、シアノ、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロヘテロアルキル、置換または非置換のジアルキルアミノ、ハロ、ヘテロアリールオキシ、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロアルキル、ヒドロキシ、ニトロおよびチオから選択される)
で表されるか、あるいはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグ、ならびにその立体異性体、同位体改変体および互変異性体である。
【0169】
別の実施形態では、式III〜IVの化合物に関し、R2’およびR2’’は、各々、Hである。
【0170】
別の実施形態では、式III〜IVの化合物に関し、R2’はハロであり;R2’’は、Hである。
【0171】
別の実施形態では、式III〜IVの化合物に関し、R2’はClまたはFであり;R2’’はHである。
【0172】
別の実施形態では、式III〜IVの化合物に関し、R2’はMeまたはEtであり;R2’’はHである。
【0173】
別の実施形態では、式III〜IVの化合物に関し、R2’およびR2’’は各々、Meである。
【0174】
さらに特定の実施形態では、式III〜IVの化合物に関し、R2’はMeであり;R2’’はHである。
【0175】
別の実施形態では、式II〜IVの化合物に関し、Rは、置換または非置換のアリールである。
【0176】
別の実施形態では、式II〜IVの化合物に関し、Rは、置換または非置換のフェニルまたはナフタレンである。
【0177】
別の実施形態では、式II〜IVの化合物に関し、Rは、置換または非置換のナフタレンである。
【0178】
別の実施形態では、式II〜IVの化合物に関し、Rは、非置換ナフタレンである。
【0179】
別の実施形態では、式II〜IVの化合物に関し、Rは、置換または非置換のフェニルである。
【0180】
別の実施形態では、式II〜IVの化合物に関し、Rは、置換または非置換のヘテロアリールである。
【0181】
別の実施形態では、式II〜IVの化合物に関し、Rの各々は、置換または非置換のピリジル、置換または非置換のキノリン、置換または非置換のベンゾジオキソール、置換または非置換のベンゾジオキサン、置換または非置換のベンゾフラン、置換または非置換のベンゾチオフェン、あるいは置換または非置換のベンゾジオキセピンである。
【0182】
別の実施形態では、式Iの化合物に関し、式V、VIまたはVII:
【0183】
【化20】

(式中、
WはCRであり;Zは、CRであり;
、R、R2’、R2’’、RおよびRは、式Iに記載された通りであり;Rは、式II〜IVに記載された通りであり;
4aは、H、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、置換または非置換のアシルアミノ、置換または非置換のアルキルアミノ、置換または非置換のアルキルチオ、置換または非置換のアルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、置換または非置換のアルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、アミノ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換または非置換のスルホキシド、置換または非置換のスルホン、置換または非置換のスルファニル、置換または非置換のアミノスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、置換または非置換のジヒドロキシホスホリル、置換または非置換のアミノジヒドロキシホスホリル、アジド、カルボキシ、置換または非置換のカルバモイル、シアノ、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロヘテロアルキル、置換または非置換のジアルキルアミノ、ハロ、ヘテロアリールオキシ、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロアルキル、ヒドロキシ、ニトロおよびチオから選択され;mは、0〜5から選択される)
で表されるか、またはその溶媒和物もしくはプロドラッグ;ならびにその立体異性体、同位体改変体および互変異性体である。
【0184】
本明細書で先に記載し、そしていずれの箇所にも記載した、mが0〜5である本発明の化合物に関し、m=0の場合は、環は非置換であると理解すべきである。
【0185】
一実施形態では、式VI〜VIIの化合物に関し、R2’およびR2’’は各々、Hである。
【0186】
別の実施形態では、式VI〜VIIの化合物に関し、R2’はハロであり、R2’’はHである。
【0187】
別の実施形態では、式VI〜VIIの化合物に関し、R2’はClまたはFであり;R2’’はHである。
【0188】
別の実施形態では、式VI〜VIIの化合物に関し、R2’はMeまたはEtであり;R2’’はHである。
【0189】
別の実施形態では、式VI〜VIIの化合物に関し、R2’およびR2’’は、各々、Meである。
【0190】
さらに特定の実施形態では、式VI〜VIIの化合物に関し、R2’はMeであり;R2’’はHである。
【0191】
別の実施形態では、式Iの化合物に関し、化合物は、式VIII、IXまたはX:
【0192】
【化21】

(式中、
WはCRであり;ZはCRであり;
、RおよびRは、式Iで記載した通りであり;Rは、式II〜IVで記載した通りであり;mおよびR4aは、式V〜VIIで記載した通りであり;R2’は、HまたはMeであり;Cyは、アダマンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり;各R4bは、独立して、C−Cアルキルおよびヒドロキシから選択される)
で表されるか、あるいはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグ、ならびにその立体異性体、同位体改変体および互変異性体である。
【0193】
一実施形態では、式V〜Xの化合物に関し、R2’は、HまたはMeである。別の実施形態では、R’はMeである。特定の一実施形態では、R2’はHである。
【0194】
別の実施形態では、式V〜Xの化合物に関し、mは、1、2または3である。
【0195】
別の実施形態では、式V〜Xの化合物に関し、mは、1または2である。特定の実施形態では、mは1である。
【0196】
別の実施形態では、式V〜Xの化合物に関し、各R4aは、独立して、MeEt、Ph、Cl、F、Br、CN、OH、OMe、OEt、OPh、COPh、CF、CHF、OCF、i−Pr、i−Bu、t−Bu、SMe、CH=CH−COH、SOMe、SOMe、SOH、SOMeおよびピリジルから選択される。
【0197】
別の実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、Lは、C−Cアルキレン基である。
【0198】
別の実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、Lは、非置換であるか、あるいはアルキル、ヒドロキシル、オキソおよびヒドロキシアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されるC−Cアルキレン基である。
【0199】
別の実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、Lは、非置換であるか、あるいはMe、Et、i−Pr、ヒドロキシおよびヒドロキシメチルから選択される1個以上の置換基で置換されるエチレン基である。
【0200】
別の実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、Lは、非置換であるか、あるいはMe、Et、i−Prおよびヒドロキシメチルから選択される1個以上の置換基で置換されるメチレン基である。
【0201】
別の実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、Rは、アルキル、ジアルキルアミノ、アシルオキシ、アルコキシおよび−SO−アルキルから選択される。
【0202】
別の実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、Rは、t−Bu、NMe2、SOMe、OMeおよびOCOMeから選択される。
【0203】
別の実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、Rは、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルである。
【0204】
別の実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、Rは、置換または非置換フェニル、ピリジル、ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ピロリジノンおよびベンゾジオキサンである。
【0205】
別の実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、基:−L−Rは、
【0206】
【化22】

から選択される。
【0207】
別の実施形態では、式Iの化合物に関し、化合物は、式XIa、XIb、XIc、XId、XIe、XIf、XIg、XIhまたはXIj:
【0208】
【化23】

(式中、mおよびR4aは、式V〜VIIに記載された通りであり;Rは、H、アルキルまたはハロから選択される)
で表される。
【0209】
一実施形態では、式V〜XIjの化合物に関し、mは、1、2または3である。
【0210】
別の実施形態では、式V〜XIjの化合物に関し、mは1または2である。特定の実施形態では、mは2である。
【0211】
別の実施形態では、式V〜XIjの化合物に関し、各R4aは、独立して、Me、Et、Ph、Cl、F、Br、CN、OH、OMe、OEt、OPh、COPh、CF、CHF、OCF、i−Pr、i−Bu、t−Bu、SMe、CH=CH−COH、SOMe、SOMe、SOH、SOMeおよびピリジルから選択される。
【0212】
別の実施形態では、式V〜XIjの化合物に関し、mは1であり、R4aはCFである。
【0213】
別の実施形態では、式V〜XIjの化合物に関し、mは2であり、R4aは、FおよびCFである。
【0214】
別の実施形態では、式V〜XIjの化合物に関し、mは2であり、R4aは、FおよびClである。
【0215】
別の実施形態では、式Iの化合物に関し、化合物は、式XIIa、XIIb、XIIc、XIId、XIIe、XIIf、XIIg、XIIhまたはXIIj:
【0216】
【化24】

(式中、Cyは、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり;R4aは、独立して、水素、アルキル、置換アルキルまたはヒドロキシルから選択され;mは、0〜5から選択され;Rは、H、アルキルまたはハロから選択される)
で表される。
【0217】
別の実施形態では、式XIIa〜XIIjの化合物に関し、Cyはシクロヘキシルであり;mは1であり、R4aはヒドロキシである。
【0218】
別の実施形態では、式XIIa〜XIIjの化合物に関し、mは1であり、R4aはヒドロキシである。
【0219】
別の実施形態では、式XIIa〜XIIjの化合物に関し、mは1〜4であり、R4aはメチルである。
【0220】
別の実施形態では、式XIIa〜XIIjの化合物に関し、mは1〜4であり、R4aはメチルである。
【0221】
一実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、WおよびZの各々は、独立して、CRである。
【0222】
一実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、WおよびZの各々は、独立して、CHである。
【0223】
一実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、WはNである。
【0224】
一実施形態では、式I〜Xの化合物に関し、WはNであり、ZはHである。
【0225】
一実施形態では、式II〜XIIjの化合物に関し、RはHである。
【0226】
一実施形態では、式II〜XXIIjの化合物に関し、Rは、アルキル、シクロアルキル、置換アルキルおよびハロから選択される。特定の一実施形態では、Rは、Me、シクロプロピル、Cl、FおよびCFから選択される。
【0227】
一実施形態では、式II〜XIIjの化合物に関し、RはMeである。
【0228】
一実施形態では、式II〜XIIjの化合物に関し、RはCFである。
【0229】
一実施形態では、式II〜XIIjの化合物に関し、RはFである。
【0230】
さらなる実施形態では、式II〜XIIjの化合物に関し、RはClである。
【0231】
さらなる実施形態では、式II〜XIIIdの化合物に関し、Rはシクロプロピルである。
【0232】
ある態様では、前記の式で記載した化合物のプロドラッグおよび誘導体を提供する。本発明のプロドラッグおよび誘導体は、代謝的に分解可能な基を有し、加溶媒分解によって、または生理的条件下で、インビボで薬理的に活性な本発明の化合物になる化合物である。これらの例としては、コリンエステル誘導体など、およびN−アルキルモルホリンエステル類などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0233】
本発明の化合物の他の誘導体は、その酸形態および酸性誘導体形態のどちらでも活性があるが、酸に感受性である形態が、しばしば、溶解性、組織適合性の利点、あるいは哺乳類の器官において遅延放出を提供する(Bundgard,H.、Design of Prodrugs、pp.7−9、21−24、Elsevier、Amsterdam1985参照)。プロドラッグは、当業者に周知の酸誘導体を含み、例えば、親の酸と適切なアルコールとの反応により調製されるエステル類、親の酸化合物と置換または非置換のアミンとの反応により調製されるアミン類、酸無水物、あるいは混合無水物が挙げられる。本発明の化合物にぶら下がっている酸性基から誘導される、単純な脂肪族または芳香族のエステル類、アミン類、および無水物は、好ましいプロドラッグである。(アシルオキシ)アルキルエステル類または((アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステル類のようなダブルエステル型のプロドラッグを調製することが望ましい場合もある。本発明の化合物のC−Cアルキル、C−Cアルケニル、アリール、C−C12置換アリールおよびC−C12アリールアルキルエステル類が好ましい。
【0234】
(医薬組成物)
医薬品として使用する場合、本発明の化合物は、通常、医薬組成物の形態で投与される。そのような組成物は、医薬品業界で周知の方法で調製することができ、少なくとも1種の活性化合物を含む。
【0235】
一般的に、本発明の化合物は、医薬的に効果のある量で投与される。実際に投与される化合物の量は、通常、処置すべき状態、選択された投与経路、実際に投与される化合物、個々の患者の年齢、体重および反応、患者の症状の重篤度などを含む関連する状況を考慮して、専門家によって決定される。
【0236】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内および鼻腔内を含む種々の経路により投与される。意図される送達経路に依存して、本発明の化合物は、好ましくは、注射用または経口用の組成物としてか、あるいは経皮投与用の軟膏、ローション、またはパッチとして処方される。
【0237】
経口投与用の組成物は、バルク状の液体溶液または懸濁液またはバルク状の粉末の形態を採ることができる。しかし、より一般的には、組成物は、正確な投薬を容易にするために、単位投薬形態で存在する。用語「単位投薬形態」は、ヒト被験体および他の哺乳類のために単位投与量に適切な物理的に分離した単位をいい、各単位は、適切な医薬的賦形剤とともに所望の治療効果を発揮するように計算された、所定の量の活性物質を含む。代表的な単位投薬形態としては、液体組成物の充填済み事前計測したアンプルまたはシリンジ、固体組成物の場合、丸剤、錠剤、カプセルなどが挙げられる。そのような組成物においては、通常、フランスルホン酸化合物は、少量成分(約0.1〜約50重量%、または好ましくは約1〜約40重量%)であり、残りは、種々のビヒクルまたはキャリア、および所望の投与形態を形成するのに助けになる加工助剤である。
【0238】
経口投与用に適切な液体形態としては、適切な、水性ビヒクルまたは非水性ビヒクル、および緩衝液、懸濁および分散剤、着色剤、香料などが挙げられる。固体形態としては、例えば、以下の成分の任意のもの、あるいは類似の性質を有する化合物を含み得る:結合剤、例えば、微結晶性セルロース、トラガントガムまたはゼラチン;賦形剤、例えば、デンプンまたはラクトース、崩解剤、例えば、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、またはトウモロコシデンプン;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;流動促進剤(glidant)、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリン;あるいは香料、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料。
【0239】
注射用組成物は、通常、注射可能な滅菌した生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水、または当該分野で公知である他の注射可能なキャリアに基づく。上記の通り、該組成物の活性化合物は、通常、少量成分であり、約0.05〜10重量%であり、残りは、注射可能なキャリアなどである。
【0240】
経皮用組成物は、通常、活性成分を、一般的に約0.01〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約10重量%、より好ましくは約0.5〜約15重量%含む局所用の軟膏またはクリームとして処方される。軟膏として処方する場合、活性成分は、通常、パラフィン系または水混和性の軟膏基剤のどちらかと組み合わされる。あるいは、活性成分を、例えば、水中油型クリーム基剤とともに、クリーム中に処方してもよい。このような経皮調製物は、当該分野で周知であり、一般的に、活性成分または調製物の安定な皮膚的浸透を向上させるさらなる成分を含む。このような公知の経皮調製物および成分は全て、本発明の範囲内に含まれる。
【0241】
また、本発明の化合物は、経皮デバイスによって投与することもできる。したがって、経皮投与は、レザバまたは多孔性膜型のいずれかのパッチ、あるいは固体マトリックス変体のパッチを使用して達成することができる。
【0242】
経口投与用、注射用、または局所投与用の組成物として前記した成分は、単なる代表である。他の物質および加工技術などがRemington’s Pharmaceutical SciencesのPart 8、第17版、1985、Mack Publishing社、Easton、Pennsylvaniaに記載され、これは参考として本明細書に援用される。
【0243】
また、本発明の化合物は、徐放形態においてか、あるいは徐放薬物送達システムから投与することもできる。代表的な徐放性物質の記載は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
【0244】
以下の処方例に、本発明の代表的な医薬組成物が説明されている。しかし、本発明は、以下の医薬組成物に限定されるものではない。
【0245】
(処方1−錠剤)
本発明の化合物を、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と約1:2の重量比で混合する。少量のステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として添加する。打錠機を用い、混合物を240〜270mgの錠剤(錠剤1つあたり80〜90mgの活性アミド化合物)とする。
【0246】
(処方2−カプセル)
本発明の化合物を、乾燥粉末として、デンプン希釈剤と約1:1の重量比で混合する。混合物を250mgのカプセルに充填する(カプセル1つあたり125mgの活性アミド化合物)。
【0247】
(処方3−液剤)
本発明の化合物(125mg)、スクロース(1.75g)およびキサンタンガム(4mg)を混合し、No.10メッシュU.S.篩に通し、次いで予め作成しておいた微結晶性セルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロース(11:89、50mg)の水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム(10mg)、香料および色素を水で希釈し、攪拌しながら添加する。ついで十分な水を添加し、全容量を5mLとする。
【0248】
(処方4−錠剤)
本発明の化合物を、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と約1:2重量比で混合する。少量のステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として添加する。打錠機を用い、混合物を450〜900mgの錠剤(150〜300mgの活性アミド化合物)とする。
【0249】
(処方5−注射剤)
本発明の化合物を滅菌した緩衝化生理食塩水注射用の水性媒体に溶解または懸濁し、濃度を約5mg/mlとする。
【0250】
(処方6−局所用)
ステアリルアルコール(250g)および白色ワセリン(250g)を約75℃で溶融し、次いで本発明の化合物(50g)、メチルパラベン(0.25g)、プロピルパラベン(0.15g)、ラウリル硫酸ナトリウム(10g)およびプロピレングリコール(120g)の混合物を水(約370g)に溶解したものを添加し、得られた混合物が凝固するまで攪拌する。
【0251】
(処置方法)
本発明の化合物は、哺乳類において、P2Xレセプターの異常な活性が原因として関連するかまたは起因する状態の処置のための治療剤として使用される。したがって、本発明の化合物および医薬組成物には、ヒトを含む哺乳類において、自己免疫、炎症性および心臓血管の状態を予防および/または処置するための治療剤としての使用が見出される。
【0252】
処置方法の態様で、本発明は、関節炎、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞、外傷性脳損傷、急性脊髄損傷、炎症性腸管疾患および自己免疫障害に関連する状態にかかりやすいかまたはそれらに罹患している哺乳類を処置するための方法であって、有効量の1種以上の先に記載した医薬組成物を投与するための方法を提供する。
【0253】
さらに他の処置方法の態様で、本発明は、疼痛反応を引き起こす、または感覚神経の基礎活性の維持の不均衡に関連する状態にかかりやすいかまたはそれらに罹患している哺乳類を処置するための方法を提供する。本発明のアミン類は、種々の発生または原因の疼痛、例えば、急性、炎症性疼痛(例えば、変形性関節症およびリウマチ性関節炎に関連する疼痛);種々の神経障害性疼痛症候群(例えば、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、糖尿病性神経障害、ギラン・バレー症候群、線維筋痛症、幻想肢痛、乳房切除後疼痛、末梢神経障害、HIV神経障害および化学療法が誘発した神経障害および他の医原性神経障害);内臓疼痛(例えば、胃食道逆流疾患、過敏性腸症候群、炎症性腸管疾患、膵臓炎、および種々の婦人科障害および泌尿器科障害に関連するもの)、歯痛および頭痛(例えば、片頭痛、群発頭痛および緊張型頭痛)の処置のための鎮痛薬としての使用がある。
【0254】
さらなる処置方法の態様では、本発明は、神経変性性の疾患および障害、例えば、パーキンソン病、多発性硬化症;神経炎症によって媒介されるかまたはそれをもたらす疾患および障害、例えば、外傷性脳損傷および脳炎;中枢を介した神経精神性の疾患および障害、例えば、躁うつ、双極性疾患、不安症、統合失調症、摂食障害、睡眠障害および認知障害;てんかんおよび発作性障害;前立腺機能不全、膀胱機能不全および腸管機能不全、例えば、尿失禁、排尿困難、直腸過敏症、大便失禁、良性前立腺肥大症および炎症性腸管疾患;呼吸器および気道の疾患および障害、例えば、アレルギー性鼻炎、喘息、および反応性気道疾患および慢性閉塞性肺疾患;炎症によって媒介されるかまたはそれをもたらす疾患および障害、例えば、リウマチ性関節炎および変形性関節症、心筋梗塞、種々の自己免疫疾患および自己免疫障害、ブドウ膜炎およびアテローム性動脈硬化;かゆみ/掻痒、例えば、乾癬;肥満;脂質障害;癌;血圧;脊髄損傷;ならびに腎機能障害にかかりやすいかまたはそれらに罹患している哺乳類を処置する方法を提供し、該方法は、該状態を処置するか、または該状態を予防するのに効果的な量の1種以上の前記医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0255】
本発明のさらなる態様としては、本発明の化合物の、特に先に記載した状態および疾患の処置または予防における製剤としての使用が提供される。また、本発明は、前記状態および疾患の一方の処置または予防のための医薬の調製において、本明細書の化合物を使用することを提供する。
【0256】
注射用量濃度は、約0.1mg/kg/時間から少なくとも10mg/kg/時間の範囲で、全て約1〜約120時間、特に24〜96時間にわたって投与する。適正な定常状態濃度を達成するために、約0.1mg/kg〜約10mg/kg以上の事前ボーラスを投与してもよい。最大の合計用量は、40〜80kgのヒト患者に関して、約2g/日を超えることは予測されない。
【0257】
神経変性状態および自己免疫状態のような長期にわたる状態の予防および/または処置のために、処置用のレジメンは、通常、何ヶ月間あるいは数年間にわたるので、経口投与が、患者の便宜および許容性に関して好ましい。経口投薬については、1日につき、1〜5回、特に2〜4回、通常3回の経口投薬が代表的なレジメンである。これらの投与パターンを使用して、各用量は、約0.01〜約20mg/kgの本発明の化合物が与えられ、好ましくは、各用量が、約0.1〜約10mg/kg、特に約1〜約5mg/kgが与えられる。
【0258】
経皮用量は、一般的に、注射用量を使用して達成される血中濃度と同じか、より低い濃度を提供するように選択される。
【0259】
神経変性性、自己免疫または炎症性の状態の発症を予防するために使用する場合、本発明の化合物を、前記用量濃度で、医師の助言および監督の下で、前記状態を発症する危険性にある患者に投与する。特定の状態を発症する危険性にある患者としては、一般的に、該状態の家系の者、あるいは遺伝子試験または遺伝子スクリーニングによって該状態の発症が特に疑われると同定された者が挙げられる。
【0260】
本発明の化合物は、単一の活性剤として投与することができるか、あるいは同じまたは類似の処置活性を示し、組合せ投与が安全で有効であることが認められている他の化合物を含む、他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。
【0261】
(一般的合成手順)
本発明のビシクロヘテロアリール化合物は、以下の一般的方法および手順を使用して、簡単に入手し得る出発物質から、調製することができる。代表的かまたは好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物質のモル比、溶媒、圧力など)がある場合、他に記載がなければ、他のプロセス条件も使用することができることは、理解されるであろう。最適反応条件は、特定の反応物質または使用する溶媒で変化し得るが、そのような条件は、通常の最適化手順により、当業者が決定することができる。
【0262】
さらに、当業者に理解されるであろうが、ある官能基を望ましくない反応を受けないようにするために、従来の保護基が必要である場合もある。特定の官能基のための適切な保護基の選択、ならびに保護および脱保護に関する適切な条件は、当該分野で周知である。例えば、数多くの保護基、それらの導入および除去が、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第2版、Wiley、New York、1991およびこれに引用された文献に記載されている。
【0263】
本明細書で先に列挙した代表的なビシクロヘテロアリールの調製に関して、以下のスキームに詳しく記載する。本発明の化合物は、有機合成の分野の当業者によって、公知のまたは市販の出発物質および試薬から調製される。
【実施例】
【0264】
代表的スキーム1
【0265】
【化25】

代表的スキーム2
【0266】
【化26】

式中、R’=R、およびR=−L−Rである
中間体の合成
中間体1
2−(2−(ジメチルアミノ)−ビニル)−3−ニトロ安息香酸(E)−メチルの調製:
【0267】
【化27】

2−メチル−3−ニトロ安息香酸メチル(5.0g、25.6mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(9.18g、77mmol)の混合物を、DMF(30mL)中、115℃で17時間攪拌した。揮発物質を減圧除去し、2−(2−(ジメチルアミノ)−ビニル)−3−ニトロ安息香酸(E)−メチルを褐色油状物として得た。
【0268】
【化28】

中間体2
5−ニトロ−1H−イソクロメン−1−オンの調製:
【0269】
【化29】

2−(2−(ジメチルアミノ)ビニル)−3−ニトロ安息香酸(E)−メチルを、EtOAc(200mL)に再溶解し、シリカゲル(200g)を加えた。得られた懸濁液を室温で1時間攪拌した。EtOAc溶液をろ取した。シリカゲルをEtOAc(2×150mL)で洗浄し、合わせた有機物を蒸発し、減圧下で乾燥し、5−ニトロ−1H−イソクロメン−1−オン(4.0g、21.0mmol、2工程後82%)を褐色固体として得た。
【0270】
【化30】

HPLC保持時間:1.72分、10〜100%CHCN、3.5分勾配;ESI−MSm/z192.1(M+H)
【0271】
さらなる情報は、McDonald、M.C.ら、British J.Pharmacol.2000、130、843に見出すことができ、これは参照により本明細書に援用される。
【0272】
中間体3
5−アミノ−1H−イソクロメン−1−オンの調製
【0273】
【化31】

塩化スズ(II)二水和物(41.9g、185.7mmol)を、攪拌した5−ニトロ−1H−イソクロメン−1−オン(7.1g、37.1mmol)の無水THF(120mL)溶液に加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。得られた混合物を、EtOAc(400mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で処理し、pH=10とした。水(100mL)を加え、層を分離した。水層を酢酸エチル(2×150mL)で抽出し、合わせた有機画分をNaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発し、5−アミノ−1H−イソクロメン−1−オン(5.8g、36.0mmol、97%)を黄色固体として得た。
【0274】
【化32】

HPLC保持時間:1.16分、10〜100%CHCN、3.5分勾配;ESI−MS m/z162.3(M+H)。さらなる情報は、Lee、B.S.ら、J.Org.Chem.2004、69、3319に見出すことができ、これは参照により本明細書に援用される。
【0275】
中間体4
2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オンの調製
【0276】
【化33】

5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(1.0g、5.2mmol)およびN,N−ジメチル−1,2−エタンジアミン(4g、40mmol)をメタノール(40mL)中で1.5時間還流した。揮発物質をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(12のシリカゲル、0〜70%EtOAc/CHCl勾配)で精製し、2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オンを黄色固体(1.4g、2.4mmol、46%)として得た。LC/MS(0.1%ギ酸変性剤)計算値(M+1)261.28、測定値262.2。
【0277】
【化34】

中間体5
5−アミノ−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−2H−イソキノリン−1−オンの調製
【0278】
【化35】

2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン(0.67g、2.6mmol)および脱水二塩化スズ(2g、10mml)をTHF(10mL)中、室温で24時間攪拌した。揮発物質をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をCHCl(1L)に溶解し、飽和NaHCO水溶液(30mL×3)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮乾固し、5−アミノ−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−2H−イソキノリン−1−オンを黄色固体として得た。化合物を、さらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0279】
【化36】

中間体6
2−アダマンタン−1−イル−N−(1−オキソ−1H−イソクロメン−5−イル)−アセトアミドの調製:
【0280】
【化37】

5−アミノ−1H−イソクロメン−1−オン(2.95g、18.3mmol)およびNMM(2.02mL、18.3mmol)の1,4−ジオキサン(55mL)溶液に、1−メチルフェネチル酸クロライド(18.3mmol)の1,4−ジオキサン(40mL)溶液を室温で滴下する。反応混合物を室温で3時間攪拌し、次いで、DCM(400mL)と水(200mL)との間で分配する。層を分離する。水層をDCM(100mL)で洗浄する。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、蒸発し、粗N−(1−オキソ−1H−イソクロメン−5−イル)−アセトアミド誘導体を得る。
【0281】
N−[2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−3−p−トリル−プロピオンアミド)の調製:
【0282】
【化38】

5−アミノ−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−2H−イソキノリン−1−オン(50mg、0.2mmol)、HATU(99mg、0.26mmol)、3−(4−メチルフェニル)プロピオン酸(42mg、0.26mmol)およびDIPEA(110mg、0.86mmol)を、塩化メチレン(3mL)中、室温で16時間攪拌した。混合物をフラッシュクロマトグラフィー(12gのシリカゲル、0〜10%MeOH/CH2Cl2勾配)で精製し、N−[2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−3−p−トリル−プロピオンアミドを、白色固体(31mg、0.08mmol、40%)として得た。LC/MS(0.1%ギ酸変性剤)計算値(M+1)377.48、測定値:378.2。
【0283】
【化39】

N−[2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−2−p−トリル−アセタミドの調製
【0284】
【化40】

5−アミノ−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−2H−イソキノリン−1−オン(50mg、0.2mmol)、HATU(99mg、0.26mmol)、p−トリル酢酸(39mg、0.26mmol)およびDlPEA(110mg、0.86mmol)を、塩化メチレン(3mL)中、室温で18時間攪拌した。混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(12gのシリカゲル、0〜10%MeOH/CHCl勾配)で精製し、N−[2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−2−p−トリル−アセトアミドを、白色固体(20mg、0.055mmol、27%)として得た。
【0285】
LC/MS(0.1%ギ酸変性剤)計算値(M+1)363.45、測定値:364.5。
【0286】
【化41】

N−置換−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル誘導体の代替の代表的調製法
【0287】
【化42】

0.089mmolのピロンおよび6倍過剰のアミンを使用して反応を行った。全ての反応の完了を、LC/MSでモニターし、完了すると、0.1%ギ酸緩衝液を用いて分取HPLCで精製した。本発明のN−L−R置換化合物(ここで、L−Rは、式Iで記載した通りである)は、特に他に記載がない限り、方法B1またはその変性法で記載した方法に類似の方法で調製しするか、または調製することができる。
【0288】
代表的な合成方法
方法A
(化合物1006)
N−[2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−ベンズアミド
【0289】
【化43】

a.2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン
5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(1.83g、0.00957mol)およびN,N−ジメチル−1,2−エタンジアミン(3g、0.03mol)を、メタノール(20mL、0.5mol)中で1時間還流した。揮発物質をロータリーエバポレーターで除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(40gのシリカゲル、50%EtOAc/CHCl)で精製し、薄黄色固体を得た。
MS m/z(M+H)262.3。
【0290】
b.5−アミノ−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−2H−イソキノリン−1−オン
2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン(1.10g、0.00358mol)を、MeOH(30mL)に溶解し、Pd/C(10%)を加え、混合物を、水素雰囲気下、室温で1時間攪拌した。混合物をセライトでろ過し、溶媒を真空除去し、標題生成物を薄黄色固体(0.82g)として得た。MS m/z(M+H)232.4。
【0291】
c.N−[2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−ベンズアミド
5−アミノ−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−2H−イソキノリン−1−オン(50mg、0.0002mol)、塩化ベンゾイル(36mg、0.00026mol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(110mg、0.00086mol)を、塩化メチレン(3mL、0.05mol)中、室温で2時間攪拌した。混合物を、CHCl(20mL)で希釈し、有機層を分離し、NaHCO(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(12gのシリカゲル、10%MeOH/CHCl)で精製し、生成物を薄黄色固体として得た。
【0292】
【化44】

方法B
(化合物1013)
2−シクロヘプチル−N−[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−アセトアミド
【0293】
【化45】

a.2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン
5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(1.0g、0.0052mol)およびC−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−メチルアミン(1.0g、0.0060mol)を、メタノール(40mL、1mol)中で2時間還流した。溶媒を除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(40gのシリカゲル、0〜30%EtOAc/ヘキサン)で精製し、黄色固体を得た。
MS m/z(M+H)339.5
b.5−アミノ−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−2H−イソキノリン−1−オン
2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン(0.9g、0.002mol)、二塩化スズ二水和物(2g、0.009mol)を、テトラヒドロフラン(10mL、0.1mol)中、室温で20時間攪拌した。揮発物質を除去し、残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(40gのシリカゲル、50%EtOAc/ヘキサン)で精製し、赤色油状物を得た。MS m/z(M+H)309.4。
【0294】
c.2−シクロヘプチル−N−[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−アセトアミド
5−アミノ−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−2H−イソキノリン−1−オン(50mg、0.0002mol)、2−シクロヘプチル酢酸(63mg、0.00041mol)、フルオロ−N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(110mg、0.00041mol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(100mg、0.0008mol)を、塩化メチレン(3mL、0.05mol)中、室温で72時間攪拌した。混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(12gのシリカゲル、50%EtOAc/ヘキサン)で精製し、薄黄色固体を得た。
【0295】
【化46】

方法C
(化合物1024)
2−シクロヘプチル−N−(2−メチル−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル)−アセトアミド
【0296】
【化47】

a.2−メチル−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン
5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(1.2g、0.0063mol)および40%メチルアミン水溶液(10mL、0.09mol)を、メタノール(40mL、1mol)中で1時間、還流した。溶媒を除去し、残渣をCHCl/MeOH(95:5v/v、100mL)で希釈し、塩水(20mL×2)で洗浄した。CHCl層をNaSOで乾燥し、フラッシュクロマトグラフィー(40gのシリカゲル、0〜50%EtOAc/ヘキサン)で精製し、黄色固体を得た。MS m/z(M+H)204.8。
【0297】
b.5−アミノ−2−メチル−2H−イソキノリン−1−オン
2−メチル−5−ニトロ−2H−イソキノリン−1−オン(0.69g、0.0032mol)および二塩化スズ二水和物(2g、0.01mol)を、テトラヒドロフラン(10mL、0.1mol)中、室温で一晩攪拌した。混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(40gのシリカゲル、50%EtOAc/ヘキサン)で精製し、褐色固体を得た。MS m/z(M+H)174.9。
【0298】
c.2−シクロヘプチル−N−(2−メチル−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−5−イル)アセトアミド
5−アミノ−2−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(50mg、0.0003mol)、2−シクロヘプチル酢酸(90mg、0.0006mol)、フルオロ−N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(200mg、0.0006mol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(100mg、0.0009mol)を、塩化メチレン(2mL、0.03mol)中、室温で72時間攪拌した。混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(12gのシリカゲル、0〜50%EtOAc/ヘキサン)で精製し、黄色固体を得た。
【0299】
【化48】

方法D
(化合物1373)
2−シクロヘプチル−N−[1−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−アセトアミド
【0300】
【化49】

a.5−ニトロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−2H−イソキノリン−1−オン
5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(1.0g、0.0052mol)およびC−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−メチルアミン(0.72g、0.0063mol)を、1,4−ジオキサン(3mL、0.04mol)中、120℃で18時間攪拌した。混合物を、EtOAc(200mL)で希釈し、1NのHCl(30mL×2)および塩水(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥した。ろ過後、溶媒を除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(40gのシリカゲル、40%EtOAc/ヘキサン)で精製し、黄色油状物を得た。MS m/z(M+H)289.1。
【0301】
b.5−アミノ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−2H−イソキノリン−1−オン
5−ニトロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−2H−イソキノリン−1−オン(0.78g、0.0027mol)および二塩化スズ二水和物(2g、0.01mol)を、テトラヒドロフラン(10mL、0.1mol)中、室温で24時間攪拌した。混合物を、EtOAc(100mL)と飽和NaHCO水溶液との間で分配し、分離した。水層をEtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥し、フラッシュクロマトグラフィー(40gのシリカゲル、0〜100%EtOAc/ヘキサン)で精製し、黄色固体を得た。MS m/z(M+H)259.2。
【0302】
c.2−シクロヘプチル−N−[1−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル)−アセトアミド
5−アミノ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−2H−イソキノリン−1−オン(40mg、0.0002mol)、2−シクロヘプチル酢酸(63mg、0.00041mol)、フルオロ−N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(110mg、0.00041mol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(100mg、0.0008mol)を、塩化メチレン(3mL、0.05mol)中、室温で72時間攪拌した。混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(12gのシリカゲル、0〜50%EtOAc/ヘキサン)で精製し、薄黄色固体を得た。
【0303】
【化50】

方法E
(化合物1380)
酢酸2−{5−[2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセチルアミノ]−1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル}−エチルエステル
【0304】
【化51】

a.2−(2−ヒドロキシエチル)−5−ニトロイソキノリン−1(2H)−オン
5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(3.60g、0.0170mol)を、メタノール(40mL)に懸濁し、エタノールアミン(3.11g、0.0508mol)を加え、反応混合物を70℃で2時間、窒素雰囲気下で攪拌した。混合物を室温まで冷却し、トリエチルアミン(5mL)を加えた。反応混合物を室温で週末中(2日間)攪拌した。このようにして形成した固体をろ取した(黄色固体を目的生成物0.9gとして得た)。ろ液を濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解し、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、生成物を黄色固体(1.3g)として得た。
【0305】
b.酢酸2−(5−ニトロ−1−オキソイソキノリン−2(1H)−イル)エチル
2−(2−ヒドロキシエチル)−5−ニトロイソキノリン−1(2H)−オン(2.2g、0.0089mol)を、ジクロロメタン(20mL)およびジメチルホルムアミド(10mL)の混合物に溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.33mL、0.0134mol)および塩化アセチル(1.06g、0.0134mol)を加え、反応混合物を室温で30分間攪拌した。揮発物質を除去し、残渣を、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、薄黄色固体(2.45g)を得た。MS m/z=276.5(M+H)。
【0306】
c.酢酸2−(5−アミノ−1−オキソイソキノリン−2H)−イル)エチル
酢酸2−(5−ニトロ−1−オキソイソキノリン−2(1H)−イル)エチル(2.45g、0.00842mol)の混合物をメタノール(100mL)に溶解し、炭素担持パラジウム(10%)を水素雰囲気下で1時間攪拌した。混合物をセライトでろ過し、溶媒を除去し、生成物を薄橙色固体(1.98g)として得た。MS m/z=248.0(M+H)。
【0307】
d.酢酸2−5−[2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセチルアミノ]−1−オキソ−l#H!−イソキノリン−2−イル−エチルエステル
2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(131mg、0.000548mol)の塩化チオニル(5mL)溶液を、60℃で1時間攪拌した。塩化チオニルを除去し、残渣をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解した。酢酸2−(5−アミノ−1−オキソイソキノリン−2(1H)−イル)エチル(100.0mg、0.0003655mol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(95.5uL、0.000548mol)をTHF溶液に加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。揮発物質を除去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、水、2NのHClおよびブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した。残渣をカラムで精製し、生成物をベージュ色の固体(65mg)として得た。MS m/z=467.0(M+H)。
【0308】
【化52】

方法F
(化合物1623)
2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−N−[2−(2−メトキシ−エチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−アセトアミド
【0309】
【化53】

a.2−(2−メトキシエチル)−5−ニトロイソキノリン−1(2H)−オン
丸底フラスコに、5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(5.00g、0.0235mol)、2−メトキシエチルアミン(6.14mL、0.0706mol)およびメタノール(150mL、3.7mol)を合わせた。混合物を還流温度で1.5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、トリエチルアミン(6.56mL、0.0471mol)を加えた。混合物を室温で一晩攪拌した。LC−MSにより、出発物質が完全に消費されたことが示された。過剰のトリエチルアミンおよび酢酸エチルを加え、混合物を室温で30分間攪拌した。黄色析出物が形成され、これをろ過し、ろ液を濃縮し、黄色固体を得た。合わせた固体を、さらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0310】
b.5−アミノ−2−(2−メトキシエチル)イソキノリン−1(2H)−オン
250ml丸底フラスコに、2−(2−メトキシエチル)−5−ニトロイソキノリン−1(2H)−オン(1.23g、0.00495mol)、パラジウム/C(0.05g、0.0005mol)およびメタノール(50mL、1mol)を合わせた。フラスコを水素で2回パージおよび脱気し、混合物を、水素雰囲気下(1気圧)で2時間攪拌した。混合物をセライトでろ過し、ろ液を真空中で減少させ、標題化合物を明褐色固体として得た。
【0311】
c.2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(1,2−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−1−オキソイソキノリン−5−イル)アセトアミド
20ml反応バイアルに、5−アミノ−2−(2−メトキシエチル)イソキノリン−1(2H)−オン(0.020g、0.000087mol)、2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(31mg、0.00013mol)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(81.66mg、0.0002148mol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(69.2uL、0.000397mol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(1mL、0.02mol)を合わせた。混合物を40°で12時間加熱した。反応物を放冷し、飽和重炭酸ナトリウム(200ml)に注ぎ入れた。混合物を酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で減少させた。残った残渣を、pH10で、アセトニトリル:水勾配を使用し、逆相分取HPLCで精製した。合わせた純粋な画分を、真空中で減少させ、化合物をオフホワイトの固体として得た。LC_MS(M+H)=439.2。
【0312】
方法G
(化合物1624)
2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−N−[1−オキソ−2−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−アセトアミド
【0313】
【化54】

a.2−((6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)メチル)−5−ニトロイソキノリン−1(2H)−オン
C−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−メチルアミン(1.00g、0.00568mol)および5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(1.14g、0.00568mol)を、メタノール(10mL)に懸濁し、懸濁液を60℃で3時間攪拌し、次いで反応系を100ワット、100℃で60分間、次いでl20℃で30分間、マイクロ波に曝した。このようにして形成された固体をろ取し、生成物を黄色固体(1.2g)として得た。MS m/z=350.4(M+H)。
【0314】
b.5−アミノ−2−((6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)メチル)イソキノリン−1(2H)−オン
炭素担持パラジウム(10%)を、2−((6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)メチル)−5−ニトロイソキノリン−1(2H)−オン(1.16g、0.00315mol)のメタノール(30mL)溶液に加え、混合物を水素雰囲気下で40分間攪拌した。混合物をセライトでろ過した。ろ液を濃縮し、残渣をカラムで精製し、生成物をベージュ色の固体(0.83g)として得た。MS m/z=320.3(M+H)。
【0315】
c.2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(2−((6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)メチル)−1,2−ジヒドロ−1−オキソイソキノリン5−イル)アセトアミド
2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(142mg、0.000595mol)を、塩化チオニル(10mL)に溶解し、混合物を60℃で3時間攪拌した。揮発物質を除去し、残渣をテトラヒドロフランに溶解した。5−アミノ−2−((6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)メチル)イソキノリン−1(2H)−オン(100.0mg、0.0002975mol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.104mL、0.000595mol)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。メタノールを加え、反応をクエンチし、揮発物質を除去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水、炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、カラムで精製し、生成物をベージュ色の固体(120mg)として得た。MS m/z=540.4(M+H)。
【0316】
【化55】

方法H
(化合物1628)
2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−N−(l−オキソ−2−ピリジン−2−イルメチル−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル)−アセトアミド
【0317】
【化56】

a.5−ニトロ−2−(ピリジン−2−イルメチル)イソキノリン−1−(2H)−オン
マイクロ波バイアルに、5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(1g、0.005mol)、2−ピリジンメタンアミン(1g、0.009mol)およびメタノール(20mL、0.5mol)を合わせた。混合物を150℃で2時間加熱した。混合物を室温まで冷却した。反応混合物に対し通常の処理を施し、粗生成物を得、次いで、これをシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製し、純生成物を黄色固体(0.7g)として得た。MS m/z=282.4(M+1)。
【0318】
b.5−アミノ−2−(ピリジン)−2−イルメチル)イソキノリン−1(2)オン
丸底フラスコに、5−ニトロ−2−(ピリジン−2−イルメチル)イソキノリン−1(2H)−オン(0.7g、0.002mol)、パラジウム/C(0.05g、0.0005mol)およびメタノール(200mL、5mol)を合わせた。反応混合物を、水素バルーン下、室温で40分間攪拌した。混合物を、セライトでろ過し、MeOHを除去し、固体を得た(0.46mg)。MS m/z=252.4(M+1)。
【0319】
【化57】

c.2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(1−オキソ−2−(ピリジン−2−イルメチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−5−イル)−アセトアミド
5−アミノ−2−(ピリジン−2−イルメチル)イソキノリン−1(2H)−オン(100.00mg、0.4mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.7mL、0.009mol)溶液に、2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(190mg、0.000796mol)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(303mg、0.000796mol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(277uL、0.00159mol)を加えた。反応混合物を、50℃で16時間攪拌した。LC/MSで反応が完了したことを調べた。DMF反応溶液を、直接分取HPLCに供し、純粋な生成物(134.2mg)を得た。MS m/z=472.3(M+1)。
【0320】
【化58】

方法J
(化合物1630)
2−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−N−[2−(2−メタンスルホニル−エチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−アセタミド
【0321】
【化59】

a.2−(2−(メチルスルホニル)エチル)−5−ニトロイソキノリン−1(2H)−オン
丸底フラスコで、5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(1.5g、0.0071mol)、2−(メチルスルホニル)エタンアミド塩酸塩(2.2g、0.014mol)およびメタノール(45mL、1.1mol)を合わせた。混合物を還流で1.5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、濃縮し、黄色固体を得た。固体を、さらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0322】
b.5−アミノ−2−(2−(メチルスルホニル)エチル)イソキノリン−1(2H)−オン
250mL丸底フラスコに、2−(2−(メチルスルホニル)エチル)−5−ニトロイソキノリン−1(2H)−オン(1.20g、0.00405mol)、パラジウム/C(0.04g、0.0004mol)およびメタノール(40mL、1mol)に合わせた。フラスコを3回脱気し、水素でパージした。混合物を室温で水素(1気圧)下、3時間攪拌した。混合物をセライトでろ過し、ろ液を真空中で減少させた。混合物を、メタノール:塩化メチレン(0〜10%)勾配を使用し、カラムクロマトグラフィーで精製した。合わせた純粋画分を真空中で減少させ、標題化合物をオフホワイトの固体として得た。
【0323】
c.2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(2−(2−(メチルスルホニル)エチル)−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−5−イル)アセトアミド
5−アミノ−2−(2−(メチルスルホニル)エチル)イソキノリン−1(2H)−オン(30mg、0.0001mol)のN,N−ジメチルホルムアミド(700μL、0.009mol)溶液に、2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(51mg、0.00021mol)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(102mg、0.000268mol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(93μL、0.00054mol)を加えた。反応混合物を、50℃で16時間攪拌した。LC−MS分析により、目的生成物が形成されたことが示された。混合物を、飽和NaHCO溶液に取り、酢酸エチルで2回洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で減少させ、HPLCで精製し、標題化合物を白色固体として得た。
【0324】
【化60】

方法K
(化合物1633)
2−(2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−N−[1−オキソ−2−(1−ピリジン−2−イル−エチル)−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−5−イル]−アセトアミド
【0325】
【化61】

a.5−ニトロ−2−(1−(ピリジン−2−イル)エチル)イソキノリン−1(2H)オン
マイクロ波バイアルに、5−ニトロ−イソクロメン−1−オン(1g、0.005mol)、1−ピリジン−2−イル−エチルアミン(1g、0.009mol)およびメタノール(20mL、0.5mol)を合わせた。混合物を、150℃で2時間加熱した。混合物を室温まで冷却した。LC−MSにより、出発物質が完全に消費されたことが示された。シリカゲルカラム後、黄色固体を得た(0.85g)。MS m/z=295.9(M+1)。
【0326】
b.5−アミノ−2−(1−(ピリジン−2−イル)エチル)イソキノリン−1(2H)−オン
丸底フラスコに、5−ニトロ−2−(1−(ピリジン−2−イル)エチル)イソキノリン−1(2H)−オン(0.85g、0.0029mol)、パラジウム/C(0.05g、0.0005mol)およびメタノール(200mL、5mol)を合わせた。反応混合物を、水素バルーン下、室温で40分間攪拌した。混合物をセライトでろ過し、MeOHを除去し、固体を得た(0.54mg)。MS m/z=266.0(M+1)。
【0327】
【化62】

c.2−(2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(1−オキソ−2−(−1−(ピリジン−2−イル)エチル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−5−イル)アセトアミド
5−アミノ−2−(l−(ピリジン−2−イル)エチル)イソキノリン−1(2H)−オン(100mg、0.0004mol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL、0.01mol)溶液に、2−(2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)酢酸(178mg、0.000801mol)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(468.3mg、0.001232mol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(300uL、0.002mol)を加えた。反応混合物を50℃で16時間攪拌した。LC/MSは、反応が完了したことを示した。DMF反応溶液を直接分取HPLCに供した。最終生成物を、固体(102.4mg)として得た。MS m/z=470.3(M+1)。
【0328】
【化63】

(実施例1)
P2Xレセプターは、J774(マウスマクロファージ株、American Type Culture Collection(ATCC)、Rockville、MD、ATCC TIB−67)、P388(マウス細胞株、ATCC CCL−46)、P815(マウスマスト細胞肥満細胞種由来株、ATCC TIB−64)、THP−1(ヒト単核細胞由来細胞株、ATCC TIB202)およびU937(単核細胞分化を誘発し得る、組織球性リンパ腫に由来するヒト細胞株、ATCC CRL−1593.2)を含む(しかし、これらに限定されない)マクロファージ由来細胞株において、そして単離されたマクロファージ培養物において強く発現する。ヒトまたは非ヒト動物のマクロファージは、以下に記載する手順により単離する。
【0329】
P2Z/P2Xレセプターは、チャネル開口、例えば、イオン流量の測定、および/またはこのレセプターを自然に発現する細胞における色素取り込みまたは細胞溶解をモニターすることを含む、細孔形成の評価によって特徴付けることができる。ATP、2’および3’−(O)−(4−ベンゾイルベンゾイル)ATP(BzATP)のような化合物は、これらの細胞の原形質膜において、特に低い細胞外2価イオン濃度で細孔の形成に影響する(Buismanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:7988(1988);Zambonら、Cell.Immunol 156:458(1994);Hickmanら、Blood 84:2452(1994))。細胞記録の間、プロピジウム染料YO−PRO−1を含む大分子サイズの色素が、マクロファージ由来細胞株に入り込むことを見ることができる(Hickmanら、Blood84:2452(1994);Wileyら、Br J Pharmacol112:946(1994);Steinbergら、J Biol Chem262:8884(1987))。細胞内DNA結合臭化エチジウムの蛍光強度の増加が観察される場合、臭化エチジウム(蛍光DNAプローブ)も、モニターできる。HEK293細胞を含む細胞、およびXenopus卵母細胞における組換えラットまたはヒトrP2Xの発現は、全細胞記録およびYO−PRO−1蛍光強度によって、流量および細孔形成を実証する(Suprenantら、Science272:735(1996);Rassendrenら、J Biol Chem272:5482(1997))。
【0330】
本発明の化合物は、P2Xレセプターでのアンタゴニスト活性に関して試験される。行われる試験としては、以下の記載を含む、(i)電気生理学実験、(ii)YO−PRO1蛍光強度、(iii)臭化エチジウム蛍光強度および(iv)刺激されたマクロファージからのIL−1β放出が挙げられ、これらから選択される。化合物は、インビボで、炎症モデルを含む動物モデル(例えば、足浮腫モデル、コラーゲン誘発関節炎、MSのEAEモデル)で試験することができる。
【0331】
(ヒトマクロファージの単離)
単核細胞由来ヒトまたは非ヒト動物マクロファージ培養物は、Blanchardらによって記載されたように生成する(Blanchardら、J Cell Biochem57:452(1995);Blanchardら、J Immunol147:2579(1991))。簡単に言えば、単核細胞を、健康な志願者から入手した白血球濃縮物から単離する。白血球を、20%血清(ヒト細胞用のヒト)、2mMのグルタミン、5mMのHEPESおよび100μg/mlのストレプトマイシンを有するRPMI1460培地(Life Techologies社)に懸濁する。細胞を、培養フラスコに1〜2時間にわたって接着させ、その後、接着していない細胞を洗い流す。接着細胞を、この培地+インターフェロン−γ(ヒト細胞用のヒト)(1000単位/ml)中で7〜14日間培養する。マクロファージを、培養フラスコから、冷リン酸緩衝化生理食塩水でピペッティングにより回収し、電気生理学用カバーガラス上におくか、あるいは他の実験を12〜24時間後に行う。
【0332】
(実施例2)
(電気生理学実験)
全細胞記録を、EPC9パッチクランプアンプおよびパルス捕捉プログラム(HEKA、Lambrecht、Germany)を使用して行う。全細胞記録は、細胞、例えば、J774A.1細胞(American Type Culture Collection、Rockville、MD、ATCC TIB−67))から得、アゴニストは、高速流速U字管デリバリーシステムによって1〜3秒印加する[E.M.Fenwick、A.Marty、E.Neher、J.Physiol、(London)331、577(1982)]。内部ピペット溶液は、140mMのセシウム−アスパラギン酸塩またはカリウム−アスパラギン酸塩、20mMのNaCl、10mMのEGTAおよび5mMのHepesであり;標準外部溶液は、145mMのNaCl、2mMのKCl、2mMのCaCl、1mMのMgCl、10mMのHepesおよび12mMのグルコースである。低い2価外部溶液は、0.3mMのCaClで、名目上マグネシウムが含まれない。低い2価溶液において、8分間隔で、1秒印加のアゴニストに応答する電流を記録することで、濃度反応曲線を作り、標準外部溶液は各印加前、6分存在する。このプロトコルは、持続性の内部電流の発生を妨げるすることを必要とする。
【0333】
逆転電位(Erev)を、ATP(300μM)またはBzATP(30μM)(対照)、または試験される化合物の印加により得、一方で、膜を、種々の電位に保つか、または−120〜30または50mVの電圧ランプの使用により保つ。透過比を、先ず、内部(i)濃度および外部(o)濃度、[Na]=20mM、[Na]=145mM、[K]=0mMおよび[K]=140mMに関し、α(=PNa/P(式中、Pは透過))を計算し、α=([145/exp(ErevFIRT)]−20)/140(式中、Fはファラディー定数であり、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である)から、算出する。他のP/PNa比は、[X]=145mM、[Na]=20mM、[K]=140mMおよび[Na]=[K]=[X]=0mMの場合、P/PNa=[(exp)ErevF/RT](20+140α))/145から計算する。大きさの順に、Xは、セシウム、メチルアミン、Tris(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、テトラエチルアンモニウム、およびN−メチル−D−グルカミンである。内部溶液は、10mMのEGTAおよび5mMのHepesも含む。外部溶液は、10mMのグルコースおよび通常または低濃度の2価のカチオンも含み、pHは、必要に応じて、HCl、ヒスチジンまたはHepesで7.3に保たれ、全ての溶液の浸透圧は、295〜315である。
【0334】
(実施例3)
(YO−PRO1蛍光強度)
顕微蛍光測定用のフォトニクス画像(IDEA)システム(Photonics、Planegg、Germany)を使用する。カバーガラスをZeiss Axiovert100または同等の反転顕微鏡の台座に載せ、40倍の蛍光対物レンズで、油浸下で観察する。低い2価溶液に代える前に、YO−PRO−1(10μM;Molecular Probes、Eugene、OR)を、電気生理学的記録3〜6分の間、灌流流体に添加し、正常な2価の溶液に戻す時、洗い落とし、その後、蛍光ランプを点灯し、細胞をイソチオシアン酸フルオレセインフィルターで評価する。YO−PRO1蛍光強度を491/509nm励起/放出波長を使用して測定する。YO−PROlで、連続灌流(2ml/分)の間、5〜20秒間隔で画像を得、対照ATP、BzATPまたは試験すべき化合物の濃度を種々変化させる。各実験では、10〜20個の単独の細胞に関し、経時的なYO−PRO1蛍光強度を得、平均して、平均蛍光シグナルを得る。結果をrP2Xに関し、3分での平均シグナルとして表し、10分でのシグナルは、P2Xおよびヒトマクロファージ細胞に関して使用する。全ての実験は、室温で行う。
【0335】
(実施例4)
(臭化エチジウム)
本発明の化合物を、細孔形成時にP2Xレセプター発現細胞に入り込む臭化エチジウムをモニターすることによって、P2Xレセプターでのアンタゴニスト活性を試験する。試験は、96ウェル平底マイクロタイタープレートで行い、ウェルには、P2X発現細胞(例えば、THP−1細胞、J774細胞など)(2.5×10細胞/ml)の懸濁液であって、10−4Mの臭化エチジウム、10−5MのBzATPを含有する25μlの高カリウム緩衝液、および試験化合物を含有する25μlの高カリウム緩衝液を含有する懸濁液200μlを含む250μlの試験溶液が充填される。プレートをプラスティックシートで覆い、37℃で1時間インキュベートする。次いで、Perkin−Elmer蛍光プレートリーダーを用い、励起520nm、放射595nm、スリット幅:Ex15nm、EM20nmで、プレートを読む。比較のため、BzATP(P2Xレセプターアゴニスト)およびピリドキサール5−ホスフェート(P2Xレセプターアゴニスト)を、対照としては、この試験で別々に使用する。得られた読みから、各試験化合物のIC50値を計算する。この値は、BzATPアゴニスト活性を50%まで減少させるのに必要な試験化合物の濃度の負の対数である。
【0336】
(実施例5)
(IL−1β放出)
この実施例では、アルツハイマー型βアミロイドペプチド1−42によって活性化されたヒトマクロファージからのIL−1βのP2X媒介放出の阻害剤としての効能について本発明の化合物の試験を例証する。
【0337】
(細胞の単離)
単核細胞を、末梢血単核細胞(PBMC)から以下のように単離する。全血をHistopak1077−1カラム(Sigma Biochemicals)上に直接層状に置き、800×gで15分間遠心分離する。細胞のPBMCバンドを新しい50ml培養チューブに移し、洗浄用緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、2mMのEDTAおよび5mg/mlのBSAを含む)で1:1に希釈し、次いで、800×gで5分間遠心分離する。次いで、細胞を、洗浄用緩衝液中の細胞ペレットの連続的な再懸濁液で洗浄し、600×gで5分間遠心分離する。血小板が混入する上清が透明になるまで、洗浄プロセスを繰り返す(一般的に、5〜6回の洗浄)。次いで、単核細胞を、非単核細胞に対する抗体を含む単核細胞単離キット(Miltenyi Biotec社)を使用し、細胞を磁気カラム上に流し、抗体に結合した細胞を取り除き、単核細胞のフロースルーを集める、ネガティブセレクションによって、PBMCから精製する。単核細胞を洗浄用緩衝液で1回洗浄し、96ウェルプレートの100μlの血清のないRPMI1640中に、1ウェル当たり100,000個の細胞を接種し、5%CO/95%加湿組織培養インキュベーター中、37℃で1時間インキュベートする。1時間後、培地を、100μlの完全培地(RPMI1640、10%ヒト血清型AB(熱失活)、25mMのHEPES、2mMのグルタミン、ペニシリンおよびストレプトマイシンの各々が50U/ml)で置き換え、一晩(16時間)インキュベートする。
【0338】
(投薬レジメン)
次の日、培地をヒトβアミロイド1−42ペプチド(5μM)が存在するかまたはしない、新鮮な完全培地100μlに置き換え、5%CO/95%加湿組織培養インキュベーター中、37℃で5時間インキュベートする。次いで、培地を除去し、廃棄する。各ウェルを、1mMのCaClを含有するHanks緩衝化生理食塩水(HBSS)で1回洗浄し、次いで本発明のHBSS/CaCl−阻害化合物80μl(23nMおよび206nMの最終濃度に関し、HBSS/CaCl中10倍ストック)を添加し、組織培養インキュベーターで15分間インキュベートし、次いで、10μlのHBSS/CaClまたは10μlのベンゾイルATPのいずれか(BzATP;300μMの最終濃度に関して、HBSS/CaCl中3mMのストック)を添加し、組織培養インキュベーターでさらに30分間インキュベートする。次いで、含有量を、ELISA(R&D Systems)で定量するまで、−70℃で保存するため、培地を新しい96ウェルプレートに移す。細胞をHBSS/CaClで1回洗浄し、次いで、100μlの氷冷細胞溶解緩衝液(100mM Tris(pH7.6)、1% Triton X−100、および30mlのRoche Biochemicals社のComplete(登録商標)プロテアーゼ阻害剤30ml当たり1錠)で細胞を溶解する。IL−1βをELISAで定量するまで、細胞溶解物を−70℃で保存する。
【0339】
(実施例6)
(インビボ動物モデル)
A.この実施例では、多発性硬化症の処置における本発明の化合物の効能を説明する。ここで記載するように、実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)モデルを、そのような効能を示すために使用する。以下の手順は、このモデルで使用される。
【0340】
(動物)
SJL/J雌マウス、8週齢を、Jackson Laboratoriesから入手する。
【0341】
(抗原)
ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP 139−151)(HSLGKWLGHPDKF)(カタログ番号H−2478)は、BACHEM、Bioscience社、3700Horizon Dr.,King of Prussia、Pa.19406、1−610−239−0300(電話)、1−610−239−0800(ファックス)から入手する。
【0342】
フロイント完全アジュバントH37Ra[1mg/mlのマイコバクテリウム・ツベルクローシスH37Ra]は、Difco1−800−521−0851(カタログ番号3114−60−5、6×10ml)から入手する。
【0343】
マイコバクテリウム・ツベルクローシスも、Difco、1−800−521−0851(カタログ番号3114−33−8、6.times.100mg)から入手する。
【0344】
(百日咳毒素)
Bordetella Pertussis(PBSおよびラクトースを含有する凍結乾燥粉末)は、List Biological Laboratories−1−408−866−6363から入手する(調製番号180、50ug)。
【0345】
(マウスにおけるEAEの誘発)
PLP139−151ペプチドを、HO:PBS(1:1)溶液に溶解して濃度を7.5mg/10ml(1グループ当たり75μgのPLP)とし、40mg/10mlの加熱殺菌したmycobacterium tuberculosis H37Raを添加した、同体積のCFAで乳化する。0.2mlのペプチド乳液を、マウスの腹部側部(各側部に0.1ml)に皮下注射する。同日および72時間後に、生理食塩水中の100%の35ngおよび50ngのBordetella Pertussis毒素を、各々、静脈注射する。
【0346】
(臨床評価)
ステージ0:正常
ステージ0.5:一部足を引きずる
ステージ1:完全に足を引きずる
ステージ2:正向反射に障害
ステージ2.5:正向反射の欠如(ステージ3より弱くない)
ステージ3:部分的な後肢麻痺
ステージ3.5:1本の肢は完全に麻痺、もう1本の肢は部分的に麻痺
ステージ4:後肢完全麻痺
ステージ4.5:肢は完全に麻痺し、瀕死の状態
ステージ5:EAEによる死
(EAEの臨床経過)
急性期:最初の臨床発作(第10〜18日目)
緩解期:臨床発作後の臨床の改善の期間;急性期または疾患再発のピークスコア後、少なくとも2日間、臨床スコアが減少する(>=1グレード)ことを特徴とする。
再発:緩解期に達した後、少なくとも2日間、臨床スコアが少なくとも1グレート増す。
【0347】
本発明の化合物で処置された動物は、一般的に、臨床スコアの改善を示すことが期待される。
【0348】
B.この実施例では、動物モデルを使用して卒中処置用の本発明の化合物の効能を測定するプロトコルを説明する。
【0349】
体重が280〜320gの雄Sprague Dawleyラット(Charles River)に、自由に食物および水に接するようにし、実験に使用する前、最低4日間は順応させる。試験に使用するためのラットは全て、手術の前日は3:00pmには絶食させるが、水には自由に接するようにする。手術前、各ラットの体重を量る。ラットに、最初、30%Oと70%NOとを合わせた5%イソフルラン(Aerrane、Fort Dodge)を2〜5分間導入する。次いでラットを、循環式水加熱パッド上におき、麻酔ガスを自発呼吸するためのノーズコーンに入れる。イソフルランを2%に減らす。直腸体温計を挿入し、体温を36.5〜37.5℃に保つ。全手術部位の毛を刈りとり、次いでそれらの部分をベタジンでこすり洗う。
【0350】
(外科手術)
側頭筋プローブを右側頭筋に配置し、「脳」温度」をモニターする。正中線の首切開をラットの上部胸部で行う。胸骨乳突筋、二腹筋および胸骨舌骨筋の慎重な解剖、摘出および退縮を行い、右総、内頸動脈および外頸動脈を露出させる。右総頸動脈を5−0シルク糸で切り離す。手術の間、糸をゆるめ、2〜4分ごとに再潅流を可能にする。右外頸動脈および上甲状腺動脈も切り離し、上甲状腺動脈は焼灼し、一方、外頸動脈は、5−0シルク糸を用い、末梢部で結紮する。別の5−0シルク糸で、外頸動脈の周りをゆるく縛る。後頭動脈を切り離し、結紮し、切開する。内頸動脈を切り離す。
【0351】
固定された総外頸動脈に関し、動脈瘤クリップを内頸動脈におく。小切開を外頸動脈の遠位で行う。次いで、ポリ−L−リシンを被覆した3−0ナイロン糸を、外頸動脈から総頸動脈まで挿入する。外頸動脈の周りでゆるく縛った5−0シルク糸を、今は、フィラメントの周りで軽く引き締める。次いで、外頸動脈を切開し、線維を持つ外頸動脈の残っている一部を回転し、フィラメントを内頸動脈に挿入する。挿入の長さは、体重およびラットの血統による。Sprague Dawleyラットでは、モノフィラメントを、大脳中央動脈への血流を効果的にブロックする18〜19mm(18mmは<300gm体重のラット用であり、19mmは.300gm体重のラット用である)を挿入する。
【0352】
外頸静脈には、化合物の静脈投与用PE50チューブを挿入する。カニューレは、先に毛を刈りとった首のうなじに露出させ、所定の位置に縫合する。傷は、縫合糸を用いて閉じる。手術の間、右大腿動脈に、血中のガスおよびグルコース測定のために、カテーテルを挿入する。
【0353】
モノフィラメント縫合糸の挿入から2時間後、ラットを、最初に用いた麻酔薬の組合せと同じものを用いて、再び麻酔にかけ、イソフラン濃度を2%に減少させたノーズコーン中に置く。首の切開部分を再び開け、外頸動脈を露出させる。頸動脈から腔内縫合糸を完全に取り去ることにより、血流を回復させる。次いで、切開部を断続的ステッチで3−0シルクを用い、閉じる。
【0354】
(化合物投与)
15匹の動物の5群に、上記手法を施す。MCAo後、化合物を、種々の用量(用量反応)で、異なる期間、注入(静脈)する。MCAo後、種々の間隔で始めて、所定の濃度を予め選択された期間注入する。ビヒクルで処置された対照には、通常、0.9ml/時間の輸液を与える。ポジティブ対照化合物を同時に始める。
【0355】
(神経性試験)
手術の前に、虚血状態の発現から2時間後および虚血状態から24時間後、神経性試験の打撲を行う。上半身の姿勢で評価するように設計された姿勢反射試験を、ラットを平面上に尾で浮かせて行う。正常なラットは、体全体および両前肢を前記面に向かって伸ばす。骨折のあるラットは、対側脚を継続して屈折し、体の回転の兆候を示す。該ラットは、肩の後ろで、指による穏やかな横方向の押しに反応する。正常なラットは、そのような押しに抵抗し、骨折のあるラットは抵抗しない。誘発された前肢は、視覚刺激および触角刺激に応じて置く。動物は、前肢の側面または背面がベンチに対して置かれるように、体で支える。この試験は繰り返し行い、今回は、ラットの視界をさえぎる。
【0356】
各実験が完了すれば、全動物を、イソフルラン(5%)で深く麻酔し、断頭により安楽死させ、脳を切り離し、虚血性損傷の程度および位置を、テトラゾリウムクロリドによって、組織学的にデータ検証する。
【0357】
C.この実施例では、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸(DNBS)で誘発させた遠位大腸炎モデル(炎症性腸管疾患のモデル)を使用して、本発明の化合物の抗炎症性活性を説明する。
【0358】
(試験物質および投薬パターン)
本発明の化合物を、50mg/kgの用量で、経口投与用に、蒸留水中の2% Tween 80ビヒクルに溶解し、また、30mg/kgで、腹腔内注射用に、2% Tween 80および0.9%NaClのヒビクルに溶解する。投与は、1日1回、7日間連続で行う。投与量は、10ml/kgである。DNBSは、2日目の投与から2時間後に行った。
【0359】
(動物)
この試験では、MDS Panlabs Taiwan社の動物育種センターによって提供される雄Wistar,Long Evansラット、およびNational Laboratory Animals Breeding Researchセンター(NALBRC、Taiwan)によって提供される、Balb/cByJ由来雄マウス(体重:20±2g)を使用できる。6匹の動物の空間領域の割り当ては、45×23×15cmである。動物を、正圧隔離飼育器(NuAire(登録商標)、型:Nu−605、気流速度:50±5フィート/分、HEPAフィルター)中のAPEC(登録商標)ケージ(Allentown Caging、Allentown、NJ.08501、USA)中に入れ、使用される前、MDS Panlabs Taiwan実験室内で、12時間明暗周期で制御された温度(22℃〜24℃)および湿度(60%〜80%)環境に、少なくとも1週間維持する。ラット用の標準実験室固形飼料(Fwusow Industry社、Taiwan)および水への自由な接触は許される。収容、実験および動物の廃棄を含むこの作業の全ての局面は、一般的に、International Guiding Principles for Biomedical Research Involving(CIOMS Publication No.ISBN92 90360194、1985)に従って行う。
【0360】
(化学薬品)
DNBSは、TCI、Tokyo、Japanから入手し、エタノールは、Merck、Germanyから入手し、スルファジンは、Sigma、USAから購入する。
【0361】
(装置)
電子式スケール(Tanita、1140型、Japan)、電子式スケール(Sartorius、R160P、Germany)、ガラス製注射筒(2ml、Mitsuba、Japan)、ラット経口針、皮下注射針(25G.times.1インチTOP社、Japan)、ステンレス製はさみ(Klappenclear、Germany)、ステンレス製かん子(Klappenclear、Germany)。
【0362】
(方法)
体重が180±20gの3匹のウィスター由来雄ラットの群を使用する。遠位大腸炎を、DNBS(2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸、0.5mlのエタノール30%中30mg)の内部結腸点滴注入により誘発させ、その後、2mlの空気を、カニューレを通して穏やかに注射し、溶液が大腸内に残るのを確実にする。試験物質を、1日に付き1回、7日間続けて、用量50mg/kgで経口投与(PO)、または30mg/kgで腹腔内投与(IP)する。2日目の投薬から2時間後、各動物の遠位大腸にDNBSを注入する。対照群は、ビヒクルだけで同じように処置し、スルファサラジン(300mg/kg、PO)を対照薬剤として使用する。動物をDNBS投与の24時間前、絶食させ、最終処置から24時間後、致死させ、各大腸を切り取り、重さを量る。実験の間、下痢の存在を毎日記録する。大腸を切り離す前、腹腔が開いている場合は、大腸と他の器官との間の接着を記載する。大腸の重さを測定した後、大腸潰瘍の程度を観察し、これも記載する。次いで、大腸の重さの体重に対する比を、各動物に関して、式:大腸(g)/BW×100%で計算する。ビヒクル−対照群に対するビヒクル−対照+DNBS群の比における「正味」増加を、試験物質処置群との比較のための基準値として使用し、炎症における%減少として表す。「正味」ビヒクル+DNBS処理群に対する各試験物質処理群の「正味」大腸に対する体重の比において、30パーセント(30%)よりも大きい減少は、有意であると考える。
【0363】
D.この実施例では、カラゲナン誘発水腫のモデル(炎症モデル、カラゲナン)を使用して、本発明の化合物の抗炎症性活性を説明する。
【0364】
(試験物質および投薬パターン)
本発明の化合物を、2% Tween 80/0.9%NaClのビヒクルに溶解し、カラゲナン(1%の0.1ml/肢)投与の30分前に、30mg/kgの用量で腹腔内投与する。投与量は、10ml/kgである。
【0365】
(動物)
動物を、先の実施例で記載した手順に従って、調整する。
【0366】
(化学薬品)
カラゲナンは、TCI、Japanから入手し、発熱物質を含まない生理食塩水はAstar、Taiwanから入手し、アスピリンは、ICN BioMedicals、USAから購入する。
【0367】
(装置)
ガラス製注射筒(1mlおよび2ml、Mitsuba、Japan)、皮下注射針24G×1インチ(Top Corporation、Japan)、血管内血量計(血管内血量計)#7150(UGO Basile、Italy)、ウォーターセル(Water cell)、直径25mm、#7157(UGO Basile、Italy)。
【0368】
(方法)
カラゲナンの右後肢注射(0.1mlの1%懸濁液肢底皮下投与)の30分前、試験物質(実施例)を、体重が150±20gの、一晩絶食させた、Long Evans由来雄ラットの群に、IP投与(30mg/kg)する。カラゲナン投与の後、炎症での測定のように、ウォーターセル(直径25mm、カタログ番号7157)を備える血管内血量計(Ugo Basile カタログ番号7150)を使用して、後肢浮腫を記録する。30パーセント(30%)よりも大きい後肢浮腫の減少は、有意な急性抗炎症性活性を示す。
【0369】
E.この実施例は、モノクローナル抗体(mAb)II型のコラーゲン誘発関節炎を受けたBalb/cマウスのモデルを使用して、本発明の化合物の抗炎症活性を説明する。
【0370】
(試験物質および投薬パターン)
本発明の化合物を、50または30の用量で、2% Tween 80/0.9%NaClのビヒクルに溶解し、コラーゲンのモノクローナル抗体を注射した後、1日1回、3日間続けて経口投与(50mg/kg)または30mg/kgで腹腔内投与する。投与量は20ml/kgである。
【0371】
(動物)
動物は、先の実施例に記載した手順に従って調整する。
【0372】
(化学薬品)
リポ多糖はSigma、USAから入手し、インドメタシンはSigma、USAから入手し、Arthrogen−CIA(登録商標)モノクローナル抗体D8、Fl0、DI−2GおよびA2は、IBL、Japanから入手し、リン酸緩衝化生理食塩水は、Sigma、USAから購入し、Tween 80はWako、Japanから購入する。
【0373】
(装置)
血管内血量計(Ugo Basile、Italy)およびウォーターセル(Ugo Basile、Italy)
(方法)
5匹のBalb/cByJマウス系、6〜8週齢の群を使用して、II型コラーゲン+リポ多糖(LPS)に応答するモノクローナル抗体(mAbs)により関節炎を誘発させる。動物に、第0日目、4種の異なるモノクローナル抗体の組合せを、総量4mg/マウスで静脈内投与し、次いで、72時間後(第3日目)、25μgのLPSを静脈注射する。第3日目から、LPS投与の1時間後、ML−659を、50mg/kg(PO)または30mg/kg(IP)、およびビヒクル(2%Tween80/0.9%NaCl、PO)、ならびにポジティブ対照としてインドメタシン3mg/kg(PO)を、1日1回、3日間連続で投与する。ウォーターセル(直径:12mm)を備える血管内血量計(Ugo Basile カタログ番号7150)を、第0、5、7、10、14および17日目に2個の後肢の体積の増加を測定するために使用する。体積増加の%阻害を、以下の式で計算する。
阻害(%):[1−(Tn−To)/(Cn−Co)]×100
(式中、
Co(Cn):ビヒクル対照における第0(第n)日目の体積
To(Tn):試験化合物処理群の第0(第n)日目の体積)
2つの後肢浮腫の両方の30%よりも大きい減少は、有意であると考えられる。
【0374】
(実施例7)
(神経障害性疼痛モデル)
この実施例では、モノ神経障害性疼痛の坐骨神経結紮モデルを使用して、本発明の化合物の鎮痛活性を説明する。
【0375】
(試験システム)
体重が250〜300gの成人雄Sprague Dawley(SD)ラット(Charles River Laboratories、San Diego、CA)を使用する。動物の部屋は、12時間明暗周期(7:00A.M.〜7:00P.M)で人工的に照らされ、水および食物を、自由に摂取させる。動物は、無作為に群に割り当てる。
【0376】
(モデル誘発)
坐骨神経結紮(SNL、Seltzerモデル):
ペントバルビタール(50mg/kg、i.p.)での麻酔および無菌操作下、Seltzerの方法(1990)に従って、全坐骨神経の選択された部分をきつく結紮することによって、選択的神経損傷を作る。簡単に言えば、後方の上腕二頭筋半腱様神経が全坐骨神経から枝分かれする点にちょうど沿う転子部の近傍部位での、皮膚切開および筋肉のブラント分離(blunt separation)後、左坐骨神経の高大腿レベル(high−thigh level)を、露出する。次いで、神経を下層構造体に対して押さえつけないように気を付けながら、細いピンセットでその背側面上に神経上膜を挟んで締め付けることによって、神経をこの位置に固定する。8−0シリコン処理シルク糸を、3/8カーブした、リバースカッティングミニニードル(reversed−cutting mini−needle)を用いて、神経に挿入し、神経の背面1/3〜1/2が結紮線に捕捉されるように、きつく結紮する。筋肉を層状に縫合し、皮膚を創傷クリップで閉じる。次いで動物をそれらのホームゲージに返す。術後神経脱落症候群を示すかまたは毛づくろいがあまりないラットは、実験から外す。
【0377】
(装置)
この試験では、以下の装置を使用する。すなわち、von Frey線維セット(Touch−test Sensory Evaluator、North Coast Medical社、Morgan Hill、CA)
統計的手法:
各実験内で、平均値、標準誤差(SEM)および統計学的有意性を、各々、平均値、標準誤差および非対比両側t−検定関数を使用して、Microsoft Excel(登録商標)で計算する。個々の実験で観察された効果の統計学的有意性を、Prism(GraphPad Software社、San Diego、CA)を使用して測定し、分散の一方向または二方向分析(ANOVA)関数で決定する。統計的分析は、0.95の信頼限界、0.05の有意水準で行う。
【0378】
(実施例8)
(細孔形成)
THP−1細胞(ATCC カタログ番号285−IF−100)を、96ウェルプレートに、1ウェル当たり200,000個の細胞の濃度で平板培養し、10%FBS、100IU/mLのペニシリン、100ug/mLのストレプトマイシン、100ng/mLのLPSおよび100ng/mLのIFN−γを含むRPMI−1640培地(ATCC カタログ番号30−2001)で、16時間分化させる。分化後、細胞を、100IU/mLのペニシリン、100ug/mLのストレプトマイシンを含むRPMI−1640培地で、適切な濃度の関心のある化合物を用い、30分、前処理する。次いで、前処理培地を、5uMのYo−Pro1(Molecular Probes カタログ番号Y3603)および適切な濃度の目的とする化合物を含む、アッセイ緩衝液(20mMのHEPES、10mMのd−グルコース、118mMのNMDG、5mMのKLCl、0.4mMのCaCl)に置き換え、細胞をさらに10分間インキュベートする。次いで、2’,3’−O−(4−ベンゾイルベンゾイル)−アデノシン5’−トリホスフェート(Sigma Aldrich カタログ番号B6396)を添加し、最終濃度を40uMとし、蛍光強度の読みを、Tecan Satireプレートリーダーを用い、491/509励起/放出で、50分間にわたって毎分測定する。この間、温度は37℃に維持する。薬物処理細胞と非処理細胞との間の蛍光強度レベルに調整されたバックグラウンドを、%阻害を計算するために使用する。
【0379】
(実施例9)
(IL−1β放出アッセイ)
THP−I細胞(ATCC カタログ番号285−IF−l00)を、96ウェルプレートに、1ウェル当たり200,000個の細胞の濃度で平板培養し、10%FBS、100IU/mLのペニシリン、100ug/mLのストレプトマイシン、100ng/mLのLPSおよび100ng/mLのIFN−γを含むRPMI−1640培地(ATCC カタログ番号30−2001)で、16時間分化させる。分化後、細胞を、100IU/mLのペニシリン、100ug/mLのストレプトマイシンおよび100ng/mLの新鮮なLPSを含むRPMI−1640培地で、さらに2時間処理する。次いで細胞を、100IU/mLのペニシリンおよび100ug/mLのストレプトマイシンを含有するRPMI培地中で、適切な濃度の目的とする化合物を用いて、30分前処理する。前処理後、2’,3’−O−(4−ベンゾイルベンゾイル)−アデノシン5’−トリホスフェート(Sigma Aldrich カタログ番号B6396)を添加し、最終濃度を250uMとし、細胞をさらに45分間インキュベートする。次いで、30uLの細胞の上清を集め、IL−1βレベルを、Tecan Safireプレートリーダーを使用し、製造業者の推奨に従って、ELISA(R&D systems カタログ番号HSLB50)によって測定する。薬物処理細胞および非処理細胞のIL−1βレベルに調整されたバックグラウンドを、%阻害を計算するために使用する。
【0380】
本願に記載された合成および生物学的実施例は、本発明の説明のために提供されたもので、どのような方法でも、本発明の範囲を限定すると解釈されるものではない。実施例において、全ての温度は、特記ある場合を除き、摂氏である。本発明に従って調製された化合物を、それらの生物学的活性データとともに以下の表に示す。これらの代表的化合物の合成は、先に記載した方法に従って行われる。
【0381】
(本発明の例示的な化合物)
以下の化合物は、実施例の方法A〜Kについて本明細書中に記載された合成方法に従って調製されるか、あるいは調製され得るものである。以下の表1に関し、実施例9に記載されたIL−1βアッセイ方法を使用して測定することができる、各化合物の活性は、以下のように表わされる。
「+」 0.3μM濃度で0〜25%の阻害を示す化合物
「++」 0.3μM濃度で26〜50%の阻害を示す化合物
「+++」 0.3μM濃度で51〜75%阻害を示す化合物
「++++」 0.3μM濃度で76%以上の阻害を示す化合物
「*」 0.1μM濃度で0〜25%の阻害を示す化合物
「**」 0.1μM濃度で26〜50%の阻害を示す化合物
「***」 0.1μM濃度で51〜75%の阻害を示す化合物
「****」 0.1μM濃度で76%以上の阻害を示す化合物
「++++」または「****」で示される%阻害を有する化合物は、得に目的とするものである。
【0382】
(表1:例示的な化合物のIL−1β%阻害)
【0383】
【表1−1】

【0384】
【表1−2】

【0385】
【表1−3】

【0386】
【表1−4】

【0387】
【表1−5】

【0388】
【表1−6】

【0389】
【表1−7】

【0390】
【表1−8】

【0391】
【表1−9】

【0392】
【表1−10】

【0393】
【表1−11】

【0394】
【表1−12】

【0395】
【表1−13】

【0396】
【表1−14】

【0397】
【表1−15】

【0398】
【表1−16】

【0399】
【表1−17】

【0400】
【表1−18】

【0401】
【表1−19】

【0402】
【表1−20】

【0403】
【表1−21】

【0404】
【表1−22】

【0405】
【表1−23】

【0406】
【表1−24】

【0407】
【表1−25】

【0408】
【表1−26】

【0409】
【表1−27】

【0410】
【表1−28】

【0411】
【表1−29】

【0412】
【表1−30】

【0413】
【表1−31】

【0414】
【表1−32】

【0415】
【表1−33】

【0416】
【表1−34】

【0417】
【表1−35】

【0418】
【表1−36】

【0419】
【表1−37】

【0420】
【表1−38】

【0421】
【表1−39】

【0422】
【表1−40】

【0423】
【表1−41】

【0424】
【表1−42】

【0425】
【表1−43】

【0426】
【表1−44】

【0427】
【表1−45】

【0428】
【表1−46】

【0429】
【表1−47】

【0430】
【表1−48】

【0431】
【表1−49】

【0432】
【表1−50】

【0433】
【表1−51】

【0434】
【表1−52】

【0435】
【表1−53】

【0436】
【表1−54】

【0437】
【表1−55】

【0438】
【表1−56】

【0439】
【表1−57】

【0440】
【表1−58】

【0441】
【表1−59】

【0442】
【表1−60】

【0443】
【表1−61】

【0444】
【表1−62】

【0445】
【表1−63】

【0446】
【表1−64】

【0447】
【表1−65】

(IC50測定)
本明細書に記載される細胞モデルにおいて、表1に記載された化合物の活性を試験した。具体的には、前記実施例9のように、細胞を異なる量の試験中の化合物で前処理し、放出されたIL−1βを測定した。測定を行い、以下の表2に示されたIC50値は、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software社)を使用して、データを、4パラメータロジスティック方程式にフィッティングすることによって計算した。方程式は、以下の式で表わされる:
Y=ボトム+(トップ−ボトム)/(1+10^((LogEC50−X)ヒルスロープ))
(式中、Xは濃度の対数であり、Yはその応答であり、Yはボトムから出発し、S字曲線を描きトップに到達する)
(表2:例示的な化合物のIL−1βIC50
【0448】
【表2−1】

【0449】
【表2−2】

(ヒト肝臓ミクロソームにおける半減期(HLM))
試験化合物(1μM)を、96ディープウェルプレートで、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中の3.3mMのMgClおよび0.78mg/mLのHLM(HL101)と一緒に、37℃でインキュベートする。反応混合物を、2つの群、非P450群およびP450群に分ける。NADPHを、P450群の反応混合物にだけ添加する。P450群の試料のアリコートを、0、10、30および60分の時点で集める。ここで、0分の時点とは、NADPHをP450群の反応混合物に添加した時点を示す。非P450群の試料のアリコートを、−10分および65分の時点で集める。集めたアリコートを、内部標準を含むアセトニトリル溶液で抽出する。析出したタンパク質を、遠心分離機(2000rpm、15分)で沈降させる。上清の化合物濃度を、LC/MS/MSシステムで測定する。
【0450】
半減期値を、化合物/内部標準のピーク面積比の自然対数対時間をプロットすることにより得る。点を通る最適適合の線の傾きで、代謝の速度(k)得る。これを、以下の等式を使用して、半減期値に変換する。
半減期=ln2/k
(ラットにおける、静脈投与および経口投与後の化合物の薬物動態評価)
実験を始める前に、雄Sprague Dawleyラットを少なくとも24時間順応させる。順応期間中、全ての動物には自由に食事および水を摂取させる。しかし、実験開始の少なくとも12時間前に、動物のゲージから食事を取り除くが、水は取り除かない。実験の最初の3時間の間は、動物には、水だけを自由に摂取させる。少なくとも3匹の動物の各々に、静脈および経口投与に関して試験する。静脈内注射用製剤に関して、水中の3%(w/v)のジメチルスルホキシド、40%(w/v)のPEG400および残りの40%(w/v)のCaptisolの混合物に化合物を溶解(0.25〜1mg/mL)した。動物の体重を投与前に量る。測定した体重を、各動物について投与量を計算するために使用する。
投与量(mL/kg)=1mg/kg/処方物濃度(mg/mL)
処方物濃度が0.5mg/mL未満の場合、投与量は、約2mL/kgである。
【0451】
経口処方物に関して、水中の、5%(w/v)の水中10%(v/v)Tween80および95%(w/v)の0.5%メチルセルロースの混合物に、本発明の化合物を懸濁する(0.5〜0.75mg/mL)。POラットに、通常、IVと同じ投与量処方に従い、経口経管栄養によって投与し、1〜5mg/kgの投与濃度を達成する。IV投与に関し、頸静脈カテーテルを介して、投与の2、5、15、30、60、120、180、300、480および1440分後に、血液試料を集める(予めヘパリン処理したシリンジを使用して)。PO投与に関し、頸静脈カテーテルを介して、投与前および投与の5、15、30、60、120、180、300、480および1440分後に、血液試料を集める(予めヘパリン処理したシリンジを使用して)。各時点で動物から約250uLの血液を得る。同じ容積の0.9%正常生理食塩水に置き換えて、脱水を予防する。全血液試料は、遠心分離まで氷上に保つ。次いで、血液試料を4℃、14,000rpmで10分間遠心分離し、上部血漿層を清潔なバイアルに移し、−80℃で保存する。次いで、得られた血漿試料を、液体クロマトグラフィー−タンデム型質量分析で分析する。血漿試料および投与溶液の測定の後、血漿濃度−時間曲線をプロットする。血漿曝露を、時間無限(AUCinf)に挿入された濃度−時間曲線下の面積として計算する。AUCinfを平均化し、個々の動物に関する経口バイオアビリティー(%F)の以下の通りに計算する:
AUCinf(PO)/AUCinf(IV)、個々の用量濃度に正規化されている。
%Fを、特定の濃度の本発明の化合物を経口投与された全ての動物の平均%Fとして報告し得る。
【0452】
先の記載から、本発明の組成物および方法において、当業者には、種々の修正および改変が見出されるであろう。添付の請求項の範囲内になるそのような修正は全て、本発明に含まれるものである。
【0453】
特許および特許出願(これらに限定されない)を含む、本明細書に挙げられた全ての刊行物は、あたかも個々の刊行物が、具体的にかつ独立して、完全に記載したように参考として個々に援用されると示したように、参照によって本明細書に援用される。
【0454】
本願で与えられた本発明の化合物の化学名は、Open Eye SoftwareのLexichem命名ツール、Symyx Renaissance SoftwareのReaction PlannerまたはMDLのISIS Draw Autonom Softwareツールを使用して一般化したもので、検証されていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、
BおよびYは、独立して、CR2aおよびCR2a2bから選択され;
W、W’およびZは、独立して、CRおよびNから選択されるが、ただし、W、W’およびZの3つ全てが、同時にNであることはなく;
は、置換または非置換のC−Cアルキレンであり;
nは、0、1、2、3、または4であり;
は、置換または非置換の3〜13員シクロアルキル環、3〜13員ヘテロシクロアルキル環、3〜13員アリール環および3〜13員ヘテロアリール環から選択され;
2a、R2b、R2’およびR2’’の各々は、独立して、水素、ハロ、および置換または非置換のC−Cアルキルから選択されるか;あるいはR2’およびR2’’のいずれかが一緒になって、3〜7個の原子のシクロアルキル環またはシクロヘテロアルキル環を形成し;
は、水素あるいはアシル、置換アシル、置換または非置換のアシルアミノ、置換または非置換のアルキルアミノ、置換または非置換のジアルキルアミノ、置換または非置換のアルキルチオ、置換または非置換のアルコキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、置換または非置換のアルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換または非置換のスルホキシド、置換または非置換のスルホン、置換または非置換のスルファニル、置換または非置換のアミノスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、置換または非置換のカルバモイル、シアノ、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロヘテロアルキル、ハロ、ヘテロアリールオキシ、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロアルキル、ニトロおよびチオから選択される官能基であるが;ただしRは、水素結合供与基以外であり;
は、独立して、H、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、置換または非置換のアシルアミノ、置換または非置換のアルキルアミノ、置換または非置換のアルキルチオ、置換または非置換のアルコキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、置換または非置換のアルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、アミノ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換または非置換のスルホキシド、置換または非置換のスルホン、置換または非置換のスルファニル、置換または非置換のアミノスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、置換または非置換のジヒドロキシホスホリル、置換または非置換のアミノジヒドロキシホスホリル、アジド、カルボキシ、置換または非置換のカルバモイル、シアノ、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロヘテロアルキル、置換または非置換のジアルキルアミノ、ハロ、ヘテロアリールオキシ、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロアルキル、ヒドロキシ、ニトロおよびチオから選択され;
点線の結合は、単結合または二重結合である)
を有するビシクロヘテロアリール化合物、あるいはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグ、ならびにその立体異性体、同位体改変体および互変異性体。
【請求項2】
BおよびYの各々は、CR2a2bであり;かつ前記点線の結合は、単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
BおよびYの各々は、CHであり;かつ前記点線の結合は、単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
BおよびYの各々は、CR2aであり;かつ前記点線の結合は、二重結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
BおよびYの各々は、CHであり;かつ前記点線の結合は、二重結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
2’およびR2’’の各々は、Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
2’およびR2’’の一方は、独立して、Meであり、他方は、Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
2’およびR2’’の各々は、Meである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
nは、0、1または2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
nは1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
は、置換または非置換のアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
は、置換または非置換のフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
は、置換または非置換のナフチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
は、置換または非置換のヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
は、置換または非置換のピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
は、置換または非置換のキノリンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
は、置換または非置換のベンゾジオキソール、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、またはベンゾジオキセピンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
は、置換または非置換のシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物が、式II、IIIまたはIV:
【化2】

(式中、
WはCRであり;ZはCRであり;
、R、R2’、R2’’、RおよびRは請求項1の通りであり;
は、H、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、置換または非置換のアシルアミノ、置換または非置換のアルキルアミノ、置換または非置換のアルキルチオ、置換または非置換のアルコキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、置換または非置換のアルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、アミノ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換または非置換のスルホキシド、置換または非置換のスルホン、置換または非置換のスルファニル、置換または非置換のアミノスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、置換または非置換のジヒドロキシホスホリル、置換または非置換のアミノジヒドロキシホスホリル、アジド、カルボキシ、置換または非置換のカルバモイル、シアノ、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロヘテロアルキル、置換または非置換のジアルキルアミノ、ハロ、ヘテロアリールオキシ、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロアルキル、ヒドロキシ、ニトロおよびチオから選択される)
であるか、あるいはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグ、ならびにその立体異性体、同位体改変体および互変異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
2’およびR2’’の各々は、Hである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
2’は、ClまたはFであり;かつR2’’は、Hである、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
2’は、Meであり;かつR2’’は、Hである、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
は、置換または非置換のシクロヘキシルまたはシクロヘプチルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
は、置換または非置換のフェニルから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項25】
は、置換または非置換のナフタレンから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項26】
化合物が、式V、VIまたはVII:
【化3】

(式中、
WはCRであり;ZはCRであり;
、R、R2’、R2’’、RおよびRは請求項1の通りであり;Rは請求項19の通りであり;
各R4aは、水素、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、置換または非置換のアシルアミノ、置換または非置換のアルキルアミノ、置換または非置換のアルキルチオ、置換または非置換のアルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、置換または非置換のアルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、置換アリールアルキルオキシ、アミノ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換または非置換のスルホキシド、置換または非置換のスルホン、置換または非置換のスルファニル、置換または非置換のアミノスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、置換または非置換のジヒドロキシホスホリル、置換または非置換のアミノジヒドロキシホスホリル、アジド、カルボキシ、置換または非置換のカルバモイル、シアノ、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロヘテロアルキル、置換または非置換のジアルキルアミノ、ハロ、ヘテロアリールオキシ、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロアルキル、ヒドロキシ、ニトロおよびチオから選択され;mは、0〜5から選択される)
であるか、あるいはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグ、ならびにその立体異性体、同位体改変体および互変異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
2’およびR2’’の各々は、Hである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
2’は、ClまたはFであり;かつR2’’は、Hである、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
2’は、MeまたはEtであり;かつR2’’は、Hである、請求項26に記載の化合物。
【請求項30】
前記化合物が、式VIII、IXまたはX:
【化4】

(式中、
WはCRであり;ZはCRであり;
、RおよびRは、請求項1の通りであり;Rは、請求項19の通りであり;mおよびR4aは、請求項26の通りであり;R2’は、HまたはMeであり;Cyは、アダマンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり;
各R4bは、独立して、C−Cアルキルおよびヒドロキシから選択される)
であるか、あるいはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグ、ならびにその立体異性体、同位体改変体および互変異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
mは、1、2または3である、請求項26または30のいずれかに記載の化合物。
【請求項32】
mは1である、請求項26または30のいずれかに記載の化合物。
【請求項33】
各R4aは、独立して、Me、Et、Ph、Cl、F、Br、CN、OH、OMe、OEt、OPh、COPh、CF、CHF、OCF、i−Pr、i−Bu、t−Bu、SMe、CH=CH−COH、SOMe、SOMe、SOH、SOMeおよびピリジルから選択される、請求項26または30のいずれかに記載の化合物。
【請求項34】
は、C−Cアルキレン基である、請求項1〜33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
は、非置換であるか、またはアルキルおよびオキソから選択される1個以上の置換基で置換されているC−Cアルキレンである、請求項1〜33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
は、アルキル、ジアルキルアミノ、アシルオキシ、アルコキシおよび−SO−アルキルから選択される、請求項1〜35のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項37】
は、t−Bu、NMe2、SOMe、OMeおよびOCOMeから選択される、請求項1〜35のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項38】
は、置換または非置換のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルである、請求項1〜35のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
は、置換または非置換のフェニル、ピリジル、ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ピリジノンまたはベンゾジオキサンである、請求項1〜35のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
基−L−Rは、
【化5】

から選択される、請求項1〜33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
2’はMeである、請求項1〜40のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
2’はHである、請求項1〜40のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
前記化合物が、式:XIa、XIb、XIc、XId、XIe、XIf、XIg、XIhまたはXIj:
【化6】

(式中、mおよびR4aは、請求項26の通りであり;Rは、H、アルキルまたはハロから選択される)
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項44】
mは、1、2または3である、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
mは、1または2である、請求項43に記載の化合物。
【請求項46】
mは、2である、請求項43に記載の化合物。
【請求項47】
各R4aは、独立して、Me、Et、Ph、Cl、F、Br、CN、OH、OMe、OEt、OPh、COPh、CF、CHF、OCF、i−Pr、i−Bu、t−Bu、SMe、CH=CH−COH、SOMe、SOMe、SOH、SOMe、およびピリジルから選択される、請求項44〜46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項48】
mは1であり、かつR4aはCFである、請求項44〜46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項49】
mは2であり、かつR4aはFおよびCFである、請求項44〜46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項50】
mは2であり、かつR4aはFおよびClである、請求項44〜46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項51】
化合物が、式XIIa、XIIb、XIIc、XIId、XIIe、XIIf、XIIg、XIIhまたはXIIj:
【化7】

(式中、Cyは、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり;
4aは、独立して、水素、アルキル、置換アルキルまたはヒドロキシルから選択され;mは、0〜5から選択され;Rは、H、アルキルまたはハロから選択される)
で表される化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項52】
Cyはシクロヘキシルであり;mは1であり、かつR4aはヒドロキシである、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
Cyはシクロヘプチルであり;mは1であり、かつR4aはヒドロキシである、請求項51に記載の化合物。
【請求項54】
Cyはシクロヘキシルであり;mは1〜4であり、かつR4aはメチルである、請求項51に記載の化合物。
【請求項55】
Cyはシクロヘプチルであり;mは1〜4であり、かつR4aはメチルである、請求項51に記載の化合物。
【請求項56】
WはCRである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項57】
WおよびZの各々は、独立して、CHである、請求項1〜42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項58】
WはNである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項59】
WはNであり、かつZはCHである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項60】
はHである、請求項19〜57のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項61】
は、Me、Cl、FまたはCFである、請求項19〜57のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項62】
前記化合物が、表1に列挙された化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項63】
医薬的に許容し得るキャリアと、医薬的に有効な量の請求項1〜62のいずれかの化合物とを含む、医薬組成物。
【請求項64】
前記キャリアが、非経口性キャリアである、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記キャリアが、経口性キャリアである、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記キャリアが、局所的キャリアである、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項67】
インビボでのP2Xレセプターの異常な活性化が原因として関連する疾患または状態を、哺乳類において予防、処置または改善するための方法であって、該方法は、疾患を処置するために有効な量または状態を処置するために有効な量の、請求項1〜62のいずれかに記載の化合物または請求項63に記載の医薬組成物を、該哺乳類に投与する工程を含む、方法。
【請求項68】
前記疾患または状態が疼痛状態である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記疾患または状態が自己免疫疾患である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記疾患または状態が炎症性疾患または炎症性状態である、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記疾患または状態が、神経性または神経変性性の疾患または状態である、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
急性疼痛、炎症性疼痛および神経障害性疼痛、慢性疼痛、歯痛ならびに片頭痛、群発頭痛および緊張型頭痛を含む頭痛を含む疼痛、パーキンソン病、多発性硬化症;神経炎症、外傷性脳損傷および脳炎によって媒介されるかまたはそれらをもたらす疾患および障害;中枢を介した神経精神性の疾患および障害、躁うつ、双極性疾患、不安症、統合失調症、摂食障害、睡眠障害および認知障害;てんかんおよび発作性障害;前立腺機能不全、膀胱機能不全および腸管機能不全、尿失禁、排尿困難、直腸過敏症、大便失禁、良性前立腺肥大症および炎症性腸管疾患;呼吸器および気道の疾患および障害、アレルギー性鼻炎、喘息および反応性気道疾患および慢性閉塞性肺疾患;炎症、関節炎、リウマチ性関節炎および変形性関節症によって媒介されるかまたはそれらをもたらす疾患および障害、心筋梗塞、種々の自己免疫疾患および自己免疫障害、ブドウ膜炎およびアテローム性動脈硬化;かゆみ/掻痒、乾癬;肥満;脂質障害;癌;血圧;脊髄損傷;ならびに腎機能障害から選択される疾患または状態を、哺乳類において予防、処置、または改善するための方法であって、疾患を処置するのに有効な量または状態を処置するのに有効な量の請求項1〜62のいずれかに記載の化合物または請求項63の医薬組成物を、該哺乳類に投与する工程を含む、方法。
【請求項73】
前記疾患または状態が、パーキンソン病である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記疾患または状態が、リウマチ性関節炎である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記疾患または状態が、外傷性脳損傷である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記疾患または状態が、変形性関節症である、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
前記疾患または状態が、疼痛である、請求項72に記載の方法。
【請求項78】
前記疾患または状態が、神経障害性疼痛である、請求項72に記載の方法。
【請求項79】
カプサイシンへの曝露の症状、熱への曝露による火傷または刺激の症状、光への曝露による火傷または刺激の症状、火傷の症状、催涙ガスへの曝露による気管支収縮または刺激、および酸への曝露による火傷または刺激からなる群から選択される少なくとも1つの症状に罹患している哺乳類を処置するための方法であって、該方法は、疾患を処置するために有効な量または状態を処置するために有効な量の請求項1〜62のいずれかに記載の化合物または請求項63の医薬組成物を、該哺乳類に投与する工程を含む、方法。
【請求項80】
前記疼痛が、乳房切除後疼痛症候群、断端痛、幻肢痛、口腔神経障害性疼痛、シャルコー痛、歯痛、有毒性蛇咬傷、くも咬傷、虫刺され、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、反射性交感神経性ジストロフィー、三叉神経痛、変形性関節症、リウマチ性関節炎、線維筋痛症、ギラン・バレー症候群、感覚異常性大腿神経痛、口腔内灼熱感症候群、両側性末梢性神経障害、灼熱痛、坐骨神経炎、末梢神経炎、多発性神経炎、分節性神経炎、ゴンボー神経炎、神経炎、頚腕神経痛、脳神経痛、顔面神経痛、舌咽神経痛、筋痛神経痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、顎関節神経痛、モートン神経痛、鼻毛様体神経痛、後頭神経痛、紅痛症、スラダー神経痛、脾臓口蓋神経痛、眼窩上神経痛、ヴィディアン神経痛、副鼻腔炎による頭痛、緊張型頭痛、分娩、出産、腸内ガス、月経、癌および心的外傷からなる群から選択される状態に関連する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
製剤としての使用のための、請求項1〜62のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項82】
急性疼痛、炎症性疼痛および神経障害性疼痛、慢性疼痛、歯痛ならびに片頭痛、群発頭痛および緊張型頭痛を含む頭痛を含む疼痛、パーキンソン病、多発性硬化症;神経炎症、外傷性脳損傷および脳炎によって媒介されるかまたはそれらをもたらす疾患および障害;中枢を介した神経精神性の疾患および障害、躁うつ、双極性疾患、不安症、統合失調症、摂食障害、睡眠障害および認知障害;てんかんおよび発作性障害;前立腺機能不全、膀胱機能不全および腸管機能不全、尿失禁、排尿困難、直腸過敏症、大便失禁、良性前立腺肥大症および炎症性腸管疾患;呼吸器および気道の疾患および障害、アレルギー性鼻炎、喘息および反応性気道疾患および慢性閉塞性肺疾患;炎症、関節炎、リウマチ性関節炎および変形性関節症によって媒介されるかまたはそれらをもたらす疾患および障害、心筋梗塞、種々の自己免疫疾患および自己免疫障害、ブドウ膜炎およびアテローム性動脈硬化;かゆみ/掻痒、乾癬;肥満;脂質障害;癌;血圧;脊髄損傷;ならびに腎機能障害から選択される疾患または状態の処置または予防における製剤としての使用のための、請求項1〜62のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項83】
急性疼痛、炎症性疼痛および神経障害性疼痛、慢性疼痛、歯痛ならびに片頭痛、群発頭痛および緊張型頭痛を含む頭痛を含む疼痛、パーキンソン病、多発性硬化症;神経炎症、外傷性脳損傷および脳炎によって媒介されるかまたはそれらをもたらす疾患および障害;中枢を介した神経精神性の疾患および障害、躁うつ、双極性疾患、不安症、統合失調症、摂食障害、睡眠障害および認知障害;前立腺機能不全、膀胱機能不全および腸管機能不全、尿失禁、排尿困難、直腸過敏症、大便失禁、良性前立腺肥大症および炎症性腸管疾患;呼吸器および気道の疾患および障害、アレルギー性鼻炎、喘息および反応性気道疾患および慢性閉塞性肺疾患;炎症、関節炎、リウマチ性関節炎および変形性関節症によって媒介されるかまたはそれらをもたらす疾患および障害、心筋梗塞、種々の自己免疫疾患および自己免疫障害、ブドウ膜炎およびアテローム性動脈硬化;かゆみ/掻痒、乾癬;肥満;脂質障害;癌;血圧;免疫機能不全に起因するかまたはこれに関連する脊髄損傷状態;ならびに腎機能障害から選択される疾患または状態の処置または予防のための医薬の製造における、請求項1〜62のいずれかに記載の化合物の用途。

【公表番号】特表2009−541206(P2009−541206A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500518(P2009−500518)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/006700
【国際公開番号】WO2007/109172
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(505140384)レノビス, インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】