説明

PAI−1機能の治療的阻害因子およびその使用法

【課題】哺乳動物PAI-1リガンドおよびモジュレータを提供する。
【解決手段】PAI-1のリガンドおよび/またはモジュレータであるポリペプチド、ポリペプチド組成物、およびポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。PAI-1活性をモジュレートするホモポリリガンドまたはヘテロポリリガンドであるポリリガンド。細胞の領域に局在するリガンドおよびポリリガンド。PAI-1リガンドおよびポリリガンドの空間的制御を提供するために用いることができる局在化テザーおよびプロモーター配列。PAI-1リガンドおよびポリリガンドの時間的制御を提供するために用いることができる誘導型遺伝子スイッチ。アテローム性動脈硬化症を処置または予防する方法。線維症を処置または予防する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、改変PAI-1タンパク質および核酸に関する。本発明はまた、哺乳動物のPAI-1
リガンドおよびモジュレータにも関する。特に、本発明は、PAI-1のリガンドおよび/ま
たはモジュレータであるポリペプチド、ポリペプチド組成物、およびポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、PAI-1活性をモジュレートするホモポ
リリガンドまたはヘテロポリリガンドであるポリリガンドにも関する。本発明はまた、細
胞の領域に局在するリガンドおよびポリリガンドにも関する。本発明はまた、PAI-1リガ
ンドおよびポリリガンドの空間的制御を提供するために用いることができる局在化テザー
およびプロモーター配列にも関する。本発明はまた、PAI-1リガンドおよびポリリガンド
の時間的制御を提供するために用いることができる誘導型遺伝子スイッチにも関する。本
発明はまた、アテローム性動脈硬化症を処置または予防する方法にも関する。本発明はま
た、線維症を処置または予防する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プラスミノーゲン活性化因子阻害因子-1(PAI-1)は、プロ酵素であるプラスミノーゲ
ンを線維溶解酵素であるプラスミンに変換する物質である、組織プラスミノーゲン活性化
因子(tPA)およびウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)のセリンプロテアー
ゼ阻害因子である。PAI-1による線維素溶解の調節は、フィブリンが蓄積すると血液凝固
が起こりうるものの過度にフィブリンが減少すると出血に至りうることから、正常な血管
機能にとって重要な制御点である。PAI-1はまた、マトリクスメタロプロテナーゼのみな
らずプラスミン生成を不活化することによって組織線維症において重要な役割を果たし(
Takeshita, K, et al., American Journal of Physiology, 2004(2):449-456(非特許文
献1))、動物モデルにおいてPAI-1発現をモジュレートする研究は、化学物質または免疫
媒介損傷後の線維症の病因にPAI-1が関係していることを暗示した(Weisberg. AD et al.
, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 2005, 25:365-371(非特許文献2))。
【0003】
PAI-1はまた、腎、肺、心血管、および代謝疾患(Cale, JM and Lawrence, DA. Curr D
rug Targets, 2007, 8(9):971-81(非特許文献3))のみならず癌の病理生理学にも関係
している。多くの試験が、心疾患の発症におけるPAI-1の役割を支持している。たとえば
、PAI-1を薬理学的に阻害すると、アンジオテンシン-II誘導大動脈リモデリングに対して
保護することが証明された(Weisberg. AD et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol.
, 2005, 25:365-371(非特許文献2))。さらに、心筋梗塞後のPAI-1欠損マウスにおいて
、野生型と比較して心線維症発症の減弱が観察された(Takesita, K, et al., American
Journal of Pathology, 2004, 164(2):449-455(非特許文献4))。いくつかの研究(Sob
el, BE et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 2003, 23:1979-1989(非特許文献
5)における論評)は、血管壁におけるPAI-1の発現の変更が冠動脈アテローム発生に関与
する可能性があることを示唆している。
【0004】
心臓においてPAI-1発現を操作するための新しい試薬および方法は、心疾患におけるそ
の役割に対する研究を進展させるであろう。さらに、PAI-1活性を阻害するための新規試
薬、処置、および方法がこの領域において必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Takeshita, K, et al., American Journal of Physiology, 2004(2):449-456
【非特許文献2】Weisberg. AD et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 2005, 25:365-371
【非特許文献3】Cale, JM and Lawrence, DA. Curr Drug Targets, 2007, 8(9):971-81
【非特許文献4】Takesita, K, et al., American Journal of Pathology, 2004, 164(2):449-455
【非特許文献5】Sobel, BE et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 2003, 23:1979-1989
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明の1つの目的は、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジュ
レータを提供することである。
【0007】
本発明のもう1つの目的は、局在化テザーに連結した哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガ
ンド、および/またはモジュレータを提供することである。
【0008】
本発明のもう1つの目的は、組織特異的プロモーターに連結した哺乳動物PAI-1リガンド
、ポリリガンド、および/またはモジュレータを提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、誘導型遺伝子スイッチに連結した哺乳動物PAI-1リガンド、
ポリリガンド、および/またはモジュレータを提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、リガンド、ポリリガンド、および/またはモジュレータを
局在化テザーまたは組織特異的プロモーターに連結させることによって、哺乳動物PAI-1
リガンド、ポリリガンド、および/またはモジュレータの空間的制御を達成する方法を提
供することである。
【0011】
本発明のもう1つの目的は、リガンド、ポリリガンド、および/またはモジュレータを
誘導型遺伝子スイッチに連結させることによって、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガン
ド、および/またはモジュレータの時間的制御を達成する方法を提供することである。
【0012】
本発明のもう1つの目的は、空間的制御を提供するために、PAI-1リガンド、ポリリガン
ド、および/またはモジュレータと共に用いることができる局在化テザーを提供すること
である。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、空間的制御を提供するために、PAI-1リガンド、ポリリガン
ド、および/またはモジュレータと共に用いることができる組織特異的プロモーターを提
供することである。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、時間的制御を提供するためにPAI-1リガンド、ポリリガンド
、および/またはモジュレータと共に用いることができる誘導型遺伝子スイッチを提供す
ることである。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモ
ジュレータをコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0016】
本発明のもう1つの目的は、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモ
ジュレータをコードするポリヌクレオチドと、局在化テザーまたは組織特異的プロモータ
ーとを含む遺伝子構築物を提供することである。
【0017】
本発明のもう1つの目的は、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモ
ジュレータをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供することである。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモ
ジュレータをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供することである。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモ
ジュレータをコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニック生物を提供すること
である。
【0020】
本発明のもう1つの目的は、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモ
ジュレータを用いて心血管疾患を処置または予防する方法を提供することである。
【0021】
本発明のもう1つの目的は、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモ
ジュレータを用いて線維症状態を処置または予防する方法を提供することである。
【0022】
本発明のもう1つの目的は、PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジュレー
タをコードするポリヌクレオチドを心血管組織に移入するための方法である。
【0023】
本発明のもう1つの態様は、不安定プラークの形成におけるPAI-1の機能を査定するため
の方法を提供することである。
【0024】
本発明のもう1つの目的は、繊維素溶解経路の阻害因子を発現するように改変された単
球を用いてアテローム性動脈硬化症を処置または予防する方法を提供することである。
【0025】
本発明のもう1つの目的は、繊維素溶解経路の阻害因子を発現するように改変された単
球を用いて線維症状態を処置または予防する方法を提供することである。
【0026】
本発明のもう1つの目的は、デグロンに連結したPAI-1タンパク質を含む融合タンパク質
を提供することである。
【0027】
本発明のもう1つの目的は、局在化シグナルに連結したPAI-1を含む融合タンパク質を提
供することである。
【0028】
本発明のもう1つの目的は、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリヌクレオ
チド配列を提供することである。
【0029】
本発明のもう1つの目的は、デグロンをコードするポリヌクレオチド配列に任意で連結
した、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリヌクレオチド配列を提供するこ
とである。
【0030】
本発明のもう1つの目的は、局在化シグナルをコードするポリヌクレオチド配列に任意
で連結した、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリヌクレオチド配列を提供
することである。
【0031】
本発明のもう1つの目的は、デグロンおよび/または局在化シグナルをコードするポリ
ヌクレオチド配列に任意で連結した、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリ
ヌクレオチド配列を含有する遺伝子構築物を提供することである。
【0032】
本発明のもう1つの目的は、デグロンおよび/または局在化シグナルをコードするポリ
ヌクレオチド配列に任意で連結した、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリ
ヌクレオチド配列を含有する遺伝子構築物を含有するベクターを提供することである。
【0033】
本発明のもう1つの目的は、デグロンおよび/または局在化シグナルをコードするポリ
ヌクレオチド配列に任意で連結した、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリ
ヌクレオチド配列を含有する遺伝子構築物を含有するベクターを含有する宿主細胞を提供
することである。
【0034】
本発明のもう1つの目的は、デグロンおよび/または局在化シグナルをコードするポリ
ヌクレオチド配列に任意で連結した、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリ
ヌクレオチド配列を含有するトランスジェニック生物を提供することである。
【0035】
本発明のもう1つの目的は、遍在性、組織特異的、細胞特異的、または誘導型プロモー
ターが含まれる、デグロンおよび/または局在化シグナルをコードするポリヌクレオチド
配列に任意で連結した、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリヌクレオチド
配列を含有する遺伝子構築物を提供することである。
【0036】
本発明のもう1つの目的は、遍在性、組織特異的、細胞特異的、または誘導型プロモー
ターが含まれる、デグロンおよび/または局在化シグナルをコードするポリヌクレオチド
配列に任意で連結した、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリヌクレオチド
配列を含有する遺伝子構築物を含有するベクターを提供することである。
【0037】
本発明のもう1つの目的は、遍在性、組織特異的、細胞特異的、または誘導型プロモー
ターが含まれる、デグロンおよび/または局在化シグナルをコードするポリヌクレオチド
配列に任意で連結した、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリヌクレオチド
配列を含有する遺伝子構築物を含有するベクターを含有する宿主細胞を提供することであ
る。
【0038】
本発明のもう1つの目的は、遍在性、組織特異的、細胞特異的、または誘導型プロモー
ターが含まれる、デグロンおよび/または局在化シグナルをコードするポリヌクレオチド
配列に任意で連結した、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリヌクレオチド
配列を含有する遺伝子構築物を含有するトランスジェニック生物を提供することである。
【0039】
本発明のもう1つの目的は、宿主細胞におけるPAI-1の発現を変更させる方法を提供する
ことである。
【0040】
本発明のもう1つの目的は、心組織におけるPAI-1の発現を変更させる方法を提供するこ
とである。
【0041】
本発明のもう1つの目的は、変更されたPAI-1発現を有するトランスジェニック被験体を
作製する方法を提供することである。
【0042】
本発明のもう1つの目的は、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモ
ジュレータを提供することである。
【0043】
本発明のもう1つの目的は、デグロンに連結した哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド
、および/またはモジュレータを提供することである。
【0044】
本発明のもう1つの目的は、局在化シグナルに連結した哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリ
ガンド、および/またはモジュレータを提供することである。
【0045】
本発明のもう1つの目的は、エピトープ、レポーター、デグロンおよび/または局在化
シグナルに任意で連結した哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジ
ュレータをコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0046】
本発明のもう1つの目的は、エピトープ、レポーター、デグロンおよび/または局在化
シグナルに任意で連結した哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジ
ュレータをコードするポリヌクレオチドを含有する遺伝子構築物を提供することである。
【0047】
本発明のもう1つの目的は、エピトープ、レポーター、デグロンおよび/または局在化
シグナルに任意で連結した哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジ
ュレータをコードするポリヌクレオチドを含有する遺伝子構築物を含有するベクターを提
供することである。
【0048】
本発明のもう1つの目的は、エピトープ、レポーター、デグロンおよび/または局在化
シグナルに任意で連結した哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジ
ュレータをコードするポリヌクレオチドを含有する遺伝子構築物を含有するベクターを含
有する宿主細胞を提供することである。
【0049】
本発明のもう1つの目的は、エピトープ、レポーター、デグロンおよび/または局在化
シグナルに任意で連結した哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジ
ュレータをコードするポリヌクレオチドを含有するトランスジェニック生物を提供するこ
とである。
【0050】
本発明のもう1つの目的は、遍在性、組織特異的、細胞特異的、または誘導型プロモー
ターが含まれる、エピトープ、レポーター、デグロンおよび/または局在化シグナルに任
意で連結した、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジュレータを
コードするポリヌクレオチドを含有する遺伝子構築物を提供することである。
【0051】
本発明のもう1つの目的は、遍在性、組織特異的、細胞特異的、または誘導型プロモー
ターが含まれる、エピトープ、レポーター、デグロンおよび/または局在化シグナルに任
意で連結した、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジュレータを
コードするポリヌクレオチドを含有する遺伝子構築物を含有するベクターを提供すること
である。
【0052】
本発明のもう1つの目的は、遍在性、組織特異的、細胞特異的、または誘導型プロモー
ターが含まれる、エピトープ、レポーター、デグロンおよび/または局在化シグナルに任
意で連結した、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジュレータを
コードするポリヌクレオチドを含有する遺伝子構築物を含有するベクターを含有する宿主
細胞を提供することである。
【0053】
本発明のもう1つの目的は、遍在性、組織特異的、細胞特異的、または誘導型プロモー
ターが含まれる、エピトープ、レポーター、デグロンおよび/または局在化シグナルに任
意で連結した、哺乳動物PAI-1リガンド、ポリリガンド、および/またはモジュレータを
コードするポリヌクレオチドを含有する遺伝子構築物を含有するトランスジェニック生物
を提供することである。
【0054】
本発明のもう1つの目的は、宿主細胞においてPAI-1を阻害する方法を提供することであ
る。
【0055】
本発明のもう1つの目的は、心組織においてPAI-1を阻害する方法を提供することである

【0056】
本発明のもう1つの目的は、低減されたPAI-1活性を有するトランスジェニック被験体を
作製する方法を提供することである。
【0057】
ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列の説明
SEQ ID NO:1〜30は、PAI-1リガンドおよびポリリガンド、ならびにそれらをコードする
ポリヌクレオチドの例を表す。その個々のペプチド成分の構成を示す以下のリガンドおよ
びポリリガンドの各々のダイアグラムを図9に示す。
【0058】
具体的に、SEQ ID NO:1のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベク
ター挿入に関して最適化されているSEQ ID NO:2によってコードされる。SEQ ID NO:1のPA
I-1ポリリガンドは、ホモポリリガンドの態様であり、本明細書においてPAI1-DCY-94-1と
して知られる。
【0059】
SEQ ID NO:3のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入に
関して最適化されているSEQ ID NO:4によってコードされる。SEQ ID NO:3のPAI-1ポリリ
ガンドは、モノマーリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-2とし
ても知られる。
【0060】
SEQ ID NO:5のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入に
関して最適化されているSEQ ID NO:6によってコードされる。SEQ ID NO:5のPAI-1ポリリ
ガンドは、ホモポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-3とし
ても知られる。
【0061】
SEQ ID NO:7のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入に
関して最適化されているSEQ ID NO:8によってコードされる。SEQ ID NO:7のPAI-1ポリリ
ガンドは、ヘテロポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-4と
しても知られる。
【0062】
SEQ ID NO:9のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入に
関して最適化されているSEQ ID NO:10によってコードされる。SEQ ID NO:9のPAI-1ポリリ
ガンドは、モノマーリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-5とし
ても知られる。
【0063】
SEQ ID NO:11のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入
に関して最適化されているSEQ ID NO:12によってコードされる。SEQ ID NO:11のPAI-1ポ
リリガンドは、モノマーリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-6
としても知られる。
【0064】
SEQ ID NO:13のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入
に関して最適化されているSEQ ID NO:14によってコードされる。SEQ ID NO:13のPAI-1ポ
リリガンドは、ヘテロポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-
7としても知られる。
【0065】
SEQ ID NO:15のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入
に関して最適化されているSEQ ID NO:16によってコードされる。SEQ ID NO:15のPAI-1ポ
リリガンドは、ヘテロポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-
8としても知られる。
【0066】
SEQ ID NO:17のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入
に関して最適化されているSEQ ID NO:18によってコードされる。SEQ ID NO:17のPAI-1ポ
リリガンドは、ヘテロポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-
9としても知られる。
【0067】
SEQ ID NO:19のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入
に関して最適化されているSEQ ID NO:20によってコードされる。SEQ ID NO:19のPAI-1ポ
リリガンドは、ヘテロポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-
10としても知られる。
【0068】
SEQ ID NO:21のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入
に関して最適化されているSEQ ID NO:22によってコードされる。SEQ ID NO:21のPAI-1ポ
リリガンドは、ヘテロポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-
11としても知られる。
【0069】
SEQ ID NO:23のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入
に関して最適化されているSEQ ID NO:24によってコードされる。SEQ ID NO:23のPAI-1ポ
リリガンドは、ヘテロポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-
12としても知られる。
【0070】
SEQ ID NO:25のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入
に関して最適化されているSEQ ID NO:26によってコードされる。SEQ ID NO:25のPAI-1ポ
リリガンドは、ヘテロポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-
13としても知られる。
【0071】
SEQ ID NO:27のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入
に関して最適化されているSEQ ID NO:28によってコードされる。SEQ ID NO:27のPAI-1ポ
リリガンドは、ヘテロポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-
14としても知られる。
【0072】
SEQ ID NO:29のPAI-1ポリリガンドは、そのコドンが哺乳動物発現およびベクター挿入
に関して最適化されているSEQ ID NO:30によってコードされる。SEQ ID NO:29のPAI-1ポ
リリガンドは、ヘテロポリリガンドの態様であり、同様に本明細書においてPAI1-DCY-94-
15としても知られる。
【0073】
SEQ ID NO:31〜36は、リガンドおよびポリリガンドを構築するために用いられる完全長
のタンパク質の例を表す。SEQ ID NO:31は、ヒト(Homo sapiens)プラスミノーゲン活性
化因子阻害因子1として知られ、公的なアクセッション番号AAA60009を有する。SEQ ID NO
:32は、ヒトビトロネクチンとして知られ、公的なアクセッション番号EAW51082を有する
。SEQ ID NO:33は、ヒトカリクレイン2、前立腺イソ型1として知られ、公的なアクセッシ
ョン番号NP_005542を有する。SEQ ID NO:34は、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子と
して知られ、公的なアクセッション番号BAA00881を有する。SEQ ID NO:35は、ヒトtoll-
様受容体3として知られ、公的なアクセッション番号NP_003256を有する。SEQ ID NO:36は
、ヒトウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)として知られ、公的なアクセッ
ション番号CAA01390を有する。
【0074】
SEQ ID NO:37〜51は、モノマーリガンドペプチドの例を表す。SEQ ID NO:37〜51の各々
は、図9において、親タンパク質の名称または省略名の次に、それが表す親タンパク質の
アミノ酸範囲の次に、慣例X#Zによって示される任意のアミノ酸置換変異が続くように表
され、式中Xは交換されるアミノ酸の一文字アミノ酸コードであり、#は親タンパク質内の
アミノ酸残基の位置または数であり、およびZは、新しい置換するアミノ酸の一文字アミ
ノ酸コードである。
【0075】
SEQ ID NO:37は、SEQ ID NO:31の部分配列であり、図9において「PAI1 354-368」とし
て表される。
【0076】
SEQ ID NO:38は、SEQ ID NO:31の部分配列であり、図9において「PAI1 300-309」とし
て表される。
【0077】
SEQ ID NO:39は、SEQ ID NO:31の部分配列であり、図9において「PAI1 343-353」とし
て表される。
【0078】
SEQ ID NO:40は、SEQ ID NO:32の部分配列であり、図9において「ビトロネクチン20-63
」として表される。
【0079】
SEQ ID NO:41は、F32L置換変異を含むSEQ ID NO:32の部分配列であり、図9において「
ビトロネクチン20-63 F32L」として表される。
【0080】
SEQ ID NO:42は、T29A置換変異を含むSEQ ID NO:32の部分配列であり、図9において「
ビトロネクチン20-63 T29A」として表される。
【0081】
SEQ ID NO:43は、E42A置換変異を含むSEQ ID NO:32の部分配列であり、図9において「
ビトロネクチン20-63 E42a」として表される。
【0082】
SEQ ID NO:44は、L43A置換変異を含むSEQ ID NO:32の部分配列であり、図9において「
ビトロネクチン20-63 L43A」として表される。
【0083】
SEQ ID NO:45は、S23F、T52E、D53L、A56Y、およびE57Y置換変異を含むSEQ ID NO:45の
部分配列であり、図9において「ビトロネクチン20-63変異体」として表される。
【0084】
SEQ ID NO:46は、SEQ ID NO:33の部分配列であり、図9において「カリクレイン2(25-25
6)」として表される。
【0085】
SEQ ID NO:47は、SEQ ID NO:33の部分配列であり、図9においてhK2(25-44)として表さ
れる。
【0086】
SEQ ID NO:48は、SEQ ID NO:33の部分配列であり、図9において「カリクレイン2(47-25
6)」として表される。
【0087】
SEQ ID NO:49は、SEQ ID NO:34の部分配列であり、図9において「tPA(301-308)」とし
て表される。
【0088】
SEQ ID NO:50は、V55A、N57Y、T59N、S79K、D81K、およびG83E置換変異を含むSEQ ID N
O:35の部分配列であり、図9において「Toll様受容体3 29-121 (V55A, N57Y, T59N, S79K,
D81K, G83E)」として表される。
【0089】
SEQ ID NO:51は、H224A、D275A、およびS376A置換変異を含むSEQ ID NO:36の部分配列
であり、図9において「ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(179-415)H224A, D275A
, S376A」として表される。
【0090】
SEQ ID NO:52は、天然のスペーサー断片を作製するために用いられる完全長のタンパク
質の例を表す。SEQ ID NO:52は、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)エキソ
グルカナーゼ-6A前駆体(エキソセロビオヒドロラーゼ6A)(1,4-β-セロビオヒドロラー
ゼ6A)(β-グルカンセロビオヒドロラーゼ6A)(アビセラーゼ2)として知られ、公的な
アクセッション番号Q9C1S9を有する。
【0091】
SEQ ID NO:53は、天然のスペーサー断片の例を表す。SEQ ID NO:53は、SEQ ID NO:52の
部分配列であり、図9において「16aaリンカー」として表される。
【0092】
SEQ ID NO:54〜56は、人工スペーサーの例を表す。
【0093】
SEQ ID NO:57〜76は、本発明において有用なクラス1局在化テザーポリペプチドの例を
表す。個々のペプチド成分の構成を示す以下のクラス1局在化テザーの各々のダイアグラ
ムを、図14A〜14Bに示す。
【0094】
SEQ ID NO:57のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-1としても知られる

【0095】
SEQ ID NO:58のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-2としても知られる

【0096】
SEQ ID NO:59のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-3としても知られる

【0097】
SEQ ID NO:60のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-4としても知られる

【0098】
SEQ ID NO:61のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-5としても知られる

【0099】
SEQ ID NO:62のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-6としても知られる

【0100】
SEQ ID NO:63のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-7としても知られる

【0101】
SEQ ID NO:64のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-8としても知られる

【0102】
SEQ ID NO:65のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-9としても知られる

【0103】
SEQ ID NO:66のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-10としても知られる

【0104】
SEQ ID NO:67のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-11としても知られる

【0105】
SEQ ID NO:68のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-12としても知られる

【0106】
SEQ ID NO:69のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-13としても知られる

【0107】
SEQ ID NO:70のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-14としても知られる

【0108】
SEQ ID NO:71のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-15としても知られる

【0109】
SEQ ID NO:72のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-16としても知られる

【0110】
SEQ ID NO:73のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-17としても知られる

【0111】
SEQ ID NO:74のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-18としても知られる

【0112】
SEQ ID NO:75のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-19としても知られる

【0113】
SEQ ID NO:76のクラス1局在化テザーはまた、本明細書において91-20としても知られる

【0114】
SEQ ID NO:77〜95は、クラス1局在化テザーを構築するために用いられるポリペプチド
断片の例を表す。
【0115】
SEQ ID NO:96は、クラス1局在化テザーを構築するために内部積荷として用いられるエ
ピトープタグの例を表し、図14A〜14Bにおいて「TAG」として表される。
【0116】
SEQ ID NO:97〜99は、クラス1局在化テザーを構築するために用いられるスペーサーの
例を表す。
【0117】
SEQ ID NO:100〜111は、本発明において有用なクラス3局在化テザーポリペプチドの例
を表す。その個々のペプチド成分の構築を示す以下のクラス3局在化テザーポリペプチド
の各々のダイアグラムを図15に示す。
【0118】
SEQ ID NO:100のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-1としても知られる

【0119】
SEQ ID NO:101のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-2としても知られる

【0120】
SEQ ID NO:102のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-3としても知られる

【0121】
SEQ ID NO:103のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-4としても知られる

【0122】
SEQ ID NO:104のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-5としても知られる

【0123】
SEQ ID NO:105のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-6としても知られる

【0124】
SEQ ID NO:106のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-7としても知られる

【0125】
SEQ ID NO:107のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-8としても知られる

【0126】
SEQ ID NO:108のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-9としても知られる

【0127】
SEQ ID NO:109のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-10としても知られ
る。
【0128】
SEQ ID NO:110のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-11としても知られ
る。
【0129】
SEQ ID NO:111のクラス3局在化テザーはまた、本明細書において93-12としても知られ
る。
【0130】
SEQ ID NO:112〜129は、クラス3局在化テザーを構築するために用いられるポリペプチ
ド断片の例を表す。
【0131】
SEQ ID NO:130は、クラス3局在化テザーを構築するための内部積荷として用いられるエ
ピトープタグの例を表し、図15において「TAG」または「TAG/IC」として表される。
【0132】
SEQ ID NO:131は、クラス3局在化テザーを構築するために用いられる合成TACE/ADAM17
切断部位の例を表す。
【0133】
SEQ ID NO:132〜139は、本発明において有用な組織特異的プロモーター配列の例を表す

【0134】
SEQ ID NO:132は、動脈平滑筋特異的プロモーターの例であり、本明細書において同様
にMOD 5306としても知られ、その構造を図10において模式図で描写する。
【0135】
SEQ ID NO:133は、合成血管平滑筋細胞特異的プロモーターの例であり、本明細書にお
いて同様にMOD 5309としても知られ、その構造を図11Aにおいて模式図で描写する。
【0136】
SEQ ID NO:134は、合成血管平滑筋細胞特異的プロモーターの例であり、本明細書にお
いて同様にMOD 5312としても知られ、その構造を図11Bにおいて模式図で描写する。
【0137】
SEQ ID NO:135は、合成血管平滑筋細胞特異的プロモーターの例であり、本明細書にお
いて同様にMOD 5315としても知られ、その構造を図11Cにおいて模式図で描写する。
【0138】
SEQ ID NO:136は、内皮細胞特異的プロモーターの例であり、本明細書において同様にM
OD 4012-ESM1としても知られ、その構造を図12Aにおいて模式図で描写する。
【0139】
SEQ ID NO:137は、内皮細胞特異的プロモーターの例であり、本明細書において同様にM
OD 4399-FLT1としても知られ、その構造を図12Bにおいて模式図で描写する。
【0140】
SEQ ID NO:138は、合成内皮細胞特異的プロモーターの例であり、本明細書において同
様にMOD 4790としても知られ、その構造を図13Aにおいて模式図で描写する。
【0141】
SEQ ID NO:139は、合成内皮細胞特異的プロモーターの例であり、本明細書において同
様にMOD 4791としても知られ、その構造を図13Bにおいて模式図で描写する。
【0142】
3文字アミノ酸コードおよび1文字アミノ酸コードは本明細書において、当技術分野にお
いて一般的に知られているように用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】図1A〜1Fは、スペーサーを伴うまたは伴わないホモポリリガンドの例を示す。
【図2】図2A〜2Jは、スペーサーを伴うまたは伴わないヘテロポリリガンドの例を示す。
【図3】図3A〜3Hは、局在化シグナルに連結したリガンドおよびポリリガンドの例を示す。
【図4】図4A〜4Gは、エピトープまたはレポーターに連結したポリリガンドの例を示す。
【図5】図5A〜5Iは、局在化シグナルおよびエピトープまたはレポーターに連結したポリリガンドの例を示す。
【図6】図6A〜6Eは、エピトープ、レポーター、および/または局在化シグナルに任意で連結したリガンドまたはポリリガンドが含まれる遺伝子構築物の例を示す。
【図7A】リガンド遺伝子構築物を含有するベクターの例を示す。
【図7B】リガンド遺伝子構築物を含有するベクターの例を示す。
【図7C】リガンド遺伝子構築物を含有するベクターの例を示す。
【図7D】リガンド遺伝子構築物を含有するベクターの例を示す。
【図8】ポリリガンドのコンビナトリアル合成にとって有用な連続的クローニングプロセスの例を示す。
【図9】リガンド、ポリリガンド、およびそのPAI-1阻害機序の例を示す。
【図10】動脈平滑筋特異的プロモーターの例を示す。
【図11A】合成血管平滑筋細胞特異的プロモーターの例を示す。
【図11B】合成血管平滑筋細胞特異的プロモーターの例を示す。
【図11C】合成血管平滑筋細胞特異的プロモーターの例を示す。
【図12】図12A〜12Bは、内皮細胞特異的プロモーターの例を示す。
【図13】図13A〜13Bは、合成内皮細胞特異的プロモーターの例を示す。
【図14A】クラス1局在化テザーの例を示す。
【図14B】クラス1局在化テザーの例を示す。
【図15】クラス3局在化テザーの例を示す。
【図16】PAI-1リガンドおよびポリリガンドの例示的な阻害機序を示す。
【図17】図17A〜17Hは、デグロンおよび/または局在化シグナルに連結したPAI-1の例を示す。
【図18】図18A〜18Iは、任意でデグロンおよび/または局在化シグナルに連結したULTRAVECTOR(UV)可能化PAI-1 cDNAが含まれる遺伝子構築物の例を示す。
【図19A】ULTRAVECTOR(UV)可能化PAI-1遺伝子構築物を含有するベクターの例を示す。
【図19B】ULTRAVECTOR(UV)可能化PAI-1遺伝子構築物を含有するベクターの例を示す。
【図19C】ULTRAVECTOR(UV)可能化PAI-1遺伝子構築物を含有するベクターの例を示す。
【図19D】ULTRAVECTOR(UV)可能化PAI-1遺伝子構築物を含有するベクターの例を示す。
【図20】図20A〜20Jは、デグロンに連結したスペーサーを伴うまたは伴わないリガンドおよびホモポリリガンドの例を示す。
【図21】図21A〜21Hは、デグロンに連結したスペーサーを伴うまたは伴わないヘテロポリリガンドの例を示す。
【図22】図22A〜22Fは、デグロンおよび局在化シグナルに連結したリガンドおよびポリリガンドの例を示す。
【図23】図23A〜23Gは、デグロンおよび/または局在化シグナルに任意で連結したリガンドまたはポリリガンドが含まれる遺伝子構築物の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0144】
発明の詳細な説明
明細書および特許請求の範囲において用いられる用語は、当技術分野において理解され
る通常の意味を有する。たとえば、ポリヌクレオチドは、核酸と互換的に用いられ、これ
には一本鎖または二本鎖DNA、RNA、およびそのポリマー類似体が含まれる。
【0145】
キメラという用語は、その天然の状態で連続していない断片を含むことを意味する。た
とえば、キメラポリヌクレオチドは、その天然の状態で連続していない断片を含むポリヌ
クレオチドを意味する。
【0146】
ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質という用語は、互換的に用いられ、アミノ
酸のポリマーを表す。
【0147】
合成遺伝子(または遺伝子の一部)は、野生型ポリヌクレオチド配列とは異なる非天然
遺伝子(または遺伝子の一部)である。合成遺伝子(または遺伝子の一部)は、天然にお
いて連続していない1つまたは複数の核酸配列(キメラ配列)を含有してもよく、ならび
に/または置換、挿入、および欠失、ならびにその組み合わせを包含してもよい。
【0148】
非ヒト生物は、非ヒト霊長類、哺乳動物、脊椎動物、無脊椎動物、植物、ならびに酵母
および粘菌が含まれる下等真核生物を包含する。
【0149】
制限エンドヌクレアーゼは、核酸分子内の認識配列で核酸を切断する酵素である。
【0150】
宿主細胞には、ATCC(Manassas, VA)から入手可能な細胞株、初代細胞培養、幹細胞、
免疫細胞、血球、任意の臓器または組織からの細胞などの、市販のおよび非市販の細胞株
が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0151】
ベクターは、核酸のクローニングおよび/または宿主細胞への移入のための任意のビヒ
クルを指す。ベクターは、もう1つのDNAセグメントが、付着したセグメントの複製をもた
らすように付着してもよいレプリコンであってもよい。レプリコンは、インビボでDNA複
製の自律単位として機能する、すなわち自身の制御下で複製することができる任意の遺伝
エレメント(たとえば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)を指す。
ベクターという用語には、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで核酸を細胞に導入
するためのウイルスおよび非ウイルスビヒクルの双方が含まれる。当技術分野において公
知の多数のベクターを用いて、核酸を操作してもよく、応答エレメントおよびプロモータ
ーを遺伝子に組み入れてもよい等である。ありうるベクターには、たとえば、λ誘導体な
どのバクテリオファージ、pBR322もしくはpUCプラスミド誘導体などのプラスミド、また
はBluescriptベクターが含まれる、プラスミドもしくは改変ウイルスが含まれる。本発明
において有用であるベクターのもう1つの例は、参照により本明細書に組み入れられるWO2
007/038276において記述されるUltraVector(商標)産生システム(Intrexon Corp., Bla
cksburg, VA)である。たとえば、応答エレメントに対応するDNA断片およびプロモーター
を適したベクターに挿入することは、相補的な付着末端を有する選ばれたベクターに適切
なDNA断片をライゲーションすることによって成就されうる。または、DNA分子の端部を酵
素的に改変してもよく、またはヌクレオチド配列(リンカー)をDNA末端にライゲーショ
ンすることによって任意の部位を生成してもよい。そのようなベクターは、マーカーを細
胞ゲノムに組み入れた細胞の選択を提供する選択可能なマーカー遺伝子を含有するように
工学操作されてもよい。そのようなマーカーはまた、マーカーによってコードされたタン
パク質を組み入れて発現する宿主細胞の同定および/または選択を許容する。
【0152】
ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、細胞のみならず生きている動物被
験体における広く多様な遺伝子送達適用において用いられている。用いることができるウ
イルスベクターには、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポックスウイルス、バキュ
ロウイルス、ワクシニアウイルス、単純ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス
、アデノウイルス、ジェミニウイルス、およびカリモウイルスベクターが含まれるがこれ
らに限定されるわけではない。非ウイルスベクターには、プラスミド、リポソーム、電気
的に荷電した脂質(サイトフェクチン)、DNA-タンパク質複合体、およびバイオポリマー
が含まれる。核酸のほかに、ベクターはまた、1つまたは複数の調節領域および/または
核酸移入結果(組織への移入、発現期間等)を選択、測定、およびモニターするために有
用な選択可能なマーカーを含んでもよい。
【0153】
プラスミドという用語は、細胞の中心的な代謝の一部ではない遺伝子をしばしば運び、
通常、環状の二本鎖DNA分子の形状である染色体外エレメントを指す。そのようなエレメ
ントは、その中で多数のヌクレオチド配列が、適切な3'非翻訳配列と共に、プロモーター
断片と選択された遺伝子産物に関するDNA配列とを細胞に導入することができる独自の構
造に連結されているまたは組み換えられている、任意の起源に由来する、自律複製配列、
ゲノム組み込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列、一本鎖または二本鎖DNAまたはR
NAの直線型、環状型、またはスーパーコイル型であってもよい。
【0154】
クローニングベクターは、付着したセグメントの複製を生じるようにそれに対してもう
1つの核酸セグメントが付着してもよい、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどの
、連続的に複製しかつ複製開始点を含む単位長の核酸、好ましくはDNAであるレプリコン
を指す。クローニングベクターは、1つの細胞タイプにおいて複製を、およびもう1つの細
胞タイプにおいて発現を行うことができてもよい(シャトルベクター)。クローニングベ
クターは、ベクターを含む細胞を選択するために用いることができる1つまたは複数の配
列および/または関心対象配列を挿入するための1つまたは複数のマルチクローニング部
位を含んでもよい。
【0155】
発現ベクターという用語は、宿主において形質転換後に挿入された核酸配列を発現させ
ることができるように設計されたベクター、プラスミド、またはビヒクルを指す。クロー
ニングされた遺伝子、すなわち、挿入された核酸配列は、通常、プロモーター、最小プロ
モーター、エンハンサー等の制御エレメントの制御下に置かれる。所望の宿主細胞におい
て核酸の発現を駆動するために有用である開始制御領域またはプロモーターは多数あり、
当業者によく知られている。ウイルスプロモーター、細菌プロモーター、動物プロモータ
ー、哺乳動物プロモーター、合成プロモーター、構成的プロモーター、組織特異的プロモ
ーター、病因または疾患関連プロモーター、発生特異的プロモーター、誘導型プロモータ
ー、光調節プロモーター;CYC1、HIS3、GALl、GAL4、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、A
DC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI、アルカリホスファターゼプロモーター(サッカロミ
セス(Saccharomyces)における発現にとって有用);AOX1プロモーター(ピチア(Pichi
a)における発現にとって有用);β-ラクタマーゼ、lac、ara、tet、trp、1PL、1PR、T7
、tac、およびtrcプロモーター(大腸菌(Escherichia coli)における発現にとって有用
);光調節、種子特異的、花粉特異的、子房特異的、カリフラワーモザイクウイルス35S
、CMV 35S最小、キャッサバ葉脈モザイクウイルス(CsVMV)、葉緑体a/b結合タンパク質
、リブロース1,5-ビスホスフェートカルボキシラーゼ、苗条特異的、根特異的、キチナー
ゼ、ストレス誘導型、コメツングロバシリフォームウイルス、植物スーパープロモーター
、ジャガイモロイシンアミノペプチダーゼ、硝酸塩レダクターゼ、マンノピンシンターゼ
、ノパリンシンターゼ、ユビキチン、ゼインタンパク質、およびアントシアニンプロモー
ター(植物細胞における発現にとって有用);SV40初期(SV40e)プロモーター領域、ラ
ウス肉腫ウイルス(RSV)の3'長末端反復(LTR)に含有されるプロモーター、アデノウイ
ルス(Ad)のE1Aまたは主要後期プロモーター(MLP)遺伝子のプロモーター、サイトメガ
ロウイルス(CMV)初期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(
TK)プロモーター、バキュロウイルスIE1プロモーター、伸長因子1α(EF1)プロモータ
ー、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、ユビキチン(Ubc)プロモーター
、アルブミンプロモーター、マウスメタロチオネイン-Lプロモーターの調節配列および転
写制御領域、遍在性プロモーター(HPRT、ビメンチン、β-アクチン、チューブリン等)
、中間フィラメントのプロモーター(デスミン、ニューロフィラメント、ケラチン、GFAP
等)、治療遺伝子のプロモーター(MDR、CFTR、または第VIII因子型等の)、病因または
疾患関連プロモーター、ならびに膵腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制
御領域などの、組織特異性を示してトランスジェニック動物において利用されているプロ
モーター、が含まれるがこれらに限定されるわけではない当技術分野において公知の動物
および哺乳動物プロモーター;膵臓β細胞において活性であるインスリン遺伝子制御領域
、リンパ系細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域、精巣、乳腺、リンパ
系、および肥満細胞において活性なマウス乳腺腫瘍ウイルス制御領域;アルブミン遺伝子
、肝臓において活性なApo AIおよびApo AII制御領域、肝臓において活性なα-フェトプロ
テイン遺伝子制御領域、肝臓において活性なα1-アンチトリプシン遺伝子制御領域、骨髄
細胞において活性なβ-グロビン遺伝子制御領域、脳の乏突起膠細胞において活性なミエ
リン塩基性タンパク質制御領域、骨格筋において活性なミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域、
および視床下部において活性な性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域、ピルビン
酸キナーゼプロモーター、ビリンプロモーター、脂肪酸結合腸管タンパク質のプロモータ
ー、平滑筋細胞β-アクチンプロモーター等が含まれるがこれらに限定されるわけではな
い、これらの遺伝子の発現を駆動することができる実質的にいかなるプロモーターも、発
現ベクターにおいて用いることができる。加えて、これらの発現配列は、エンハンサーま
たは調節配列等を付加することによって改変されてもよい。
【0156】
ベクターは、当技術分野において公知の方法、たとえばトランスフェクション、電気穿
孔、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシ
ウム沈殿、リポフェクション(ライソソーム融合)、遺伝子銃の使用、またはDNAベクタ
ー輸送体によって所望の宿主細胞に導入されてもよい(たとえば、Wu et al., J. Biol.
Chem. 267:963 (1992);Wu et al., J. Biol. Chem. 263:14621 (1988);およびHartmut
et al., カナダ国特許出願第2,012,311号を参照されたい)。
【0157】
本発明に従うポリヌクレオチドはまた、リポフェクションによってインビボで導入され
うる。過去10年のあいだに、インビトロでの核酸の封入およびトランスフェクションのた
めにリポソームがますます用いられている。リポソーム媒介トランスフェクションの際に
遭遇する困難および危険を制限するように設計された合成陽イオン脂質を用いて、マーカ
ーをコードする遺伝子のインビボトランスフェクションのためのリポソームを調製するこ
とができる(Felgner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 84:7413 (1987);Mackey e
t al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:8027 (1988);およびUlmer et al., Science 25
9:1745 (1993))。陽イオン脂質を用いることは、陰性荷電核酸の封入を促進して、同様
に陰性荷電細胞膜との融合を促進する可能性がある(Felgner et al., Science 337:387
(1989))。核酸の移入にとって特に有用な脂質化合物および組成物は、WO95/18863、WO96
/17823、およびU.S. 5,459,127において記述される。インビボで特異的臓器に外因性の遺
伝子を導入するためにリポフェクションを用いることは、一定の実際的な長所を有する。
特異的細胞へのリポソームの分子標的化は、1つの恩恵領域である。特定の細胞タイプに
トランスフェクションを向けることは、膵臓、肝臓、腎臓、および脳などの細胞不均一性
を有する組織において特に好ましいであろうことは明白である。脂質を、標的化のために
他の分子に化学的にカップリングしてもよい(Mackey et al. 1988、前記)。標的化され
たペプチド、たとえばホルモンまたは神経伝達物質、および抗体などのタンパク質、また
は非ペプチド分子を、リポソームに化学的にカップリングさせることができるであろう。
【0158】
陽イオンオリゴペプチド(たとえば、WO95/21931)、DNA結合タンパク質に由来するペ
プチド(たとえば、WO96/25508)、または陽イオンポリマー(たとえば、WO95/21931)な
どの他の分子も同様に、インビボで核酸のトランスフェクションを容易にするために有用
である。
【0159】
ベクターをインビボで裸のDNAプラスミド(米国特許第5,693,622号、第5,589,466号お
よび第5,580,859号)として導入することも可能である。受容体媒介DNA送達アプローチも
同様に用いることができる(Curiel et al., Hum. Gene Ther. 3:147 (1992);およびWu
et al., J. Biol. Chem. 262:4429 (1987))。
【0160】
トランスフェクションという用語は、外因性または異種のRNAまたはDNAの細胞による取
り込みを指す。細胞は、そのようなRNAまたはDNAが細胞内部に導入されている場合に、外
因性または異種RNAまたはDNAによってトランスフェクトされている。細胞は、トランスフ
ェクトされたRNAまたはDNAが表現型の変化を行う場合に、外因性または異種RNAまたはDNA
によって形質転換されている。形質転換するRNAまたはDNAは、細胞のゲノムを構成する染
色体DNAに組み入れられうる(共有結合的に連結されうる)。
【0161】
形質転換は、それによって遺伝学的に安定な遺伝が得られる、宿主生物のゲノムへの核
酸断片の移入を指す。形質転換核酸断片を含有する宿主生物は、トランスジェニック、組
み換え型、または形質転換生物と呼ばれる。
【0162】
加えて、本発明に従うポリヌクレオチドを含む組み換え型ベクターには、その増幅また
はその発現が求められる細胞宿主において1つもしくは複数の複製開始点、マーカー、ま
たは選択可能なマーカーが含まれてもよい。
【0163】
選択可能なマーカーという用語は、関心対象核酸の遺伝を追跡するためにおよび/また
は関心対象核酸を遺伝した細胞または生物を同定するためにその効果が用いられる、マー
カー遺伝子の効果に基づいて選択されうる同定因子、通常、抗生物質または化学物質耐性
遺伝子、すなわち抗生物質に対する耐性、除草剤に対する耐性、比色定量マーカー、酵素
、蛍光マーカー等を指す。当技術分野において公知であり、用いられる選択可能なマーカ
ー遺伝子の例には、アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン
、ヒグロマイシン、ビアラフォス除草剤、スルホンアミド等に対する耐性を提供する遺伝
子;および表現型マーカーとして用いられる遺伝子、すなわちアントシアニン調節遺伝子
、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子等が含まれる。
【0164】
レポーター遺伝子という用語は、関心対象核酸の遺伝を追跡するために、関心対象核酸
を遺伝した細胞または生物を同定するために、および/または遺伝子発現の誘導または転
写を測定するためにその効果が用いられる、レポーター遺伝子の効果に基づいて同定され
うる同定因子をコードする核酸を指す。当技術分野において公知であり用いられるレポー
ター遺伝子の例には:ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光タ
ンパク質、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダ
ーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus)等が含まれる。選択可能なマーカー遺伝子は
また、レポーター遺伝子であると見なされてもよい。
【0165】
プロモーターおよびプロモーター配列は互換的に用いられ、コード配列または機能的RN
Aの発現を制御することができるDNA配列を指す。一般的に、コード配列はプロモーター配
列の3'に位置する。プロモーターは、その全体が本来の遺伝子に由来してもよく、天然に
おいて見いだされる異なるプロモーターに由来する異なるエレメントで構成されてもよく
、または合成DNAセグメントをも含んでよい。異なるプロモーターが、異なる組織もしく
は細胞タイプにおいて、異なる発生段階で、または異なる環境もしくは生理的条件に応答
して、遺伝子の発現を指示する可能性があることは、当業者によって理解される。ほとん
どの細胞タイプにおいてほとんどの時間に遺伝子を発現させるプロモーターは一般的に、
構成的プロモーターと呼ばれる。特異的細胞タイプにおいて遺伝子を発現させるプロモー
ターは一般的に、細胞特異的プロモーターまたは組織特異的プロモーターと呼ばれる。特
異的発生段階または細胞分化段階で遺伝子を発現させるプロモーターは一般的に、発生特
異的プロモーターまたは細胞分化特異的プロモーターと呼ばれる。プロモーターを誘導す
る物質、生体分子、化学物質、リガンド、光等によって細胞を曝露または処置した後に誘
導されて遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に誘導型プロモーターまたは調節可
能プロモーターと呼ばれる。さらに、ほとんどの場合において、調節配列の正確な境界は
完全に定義されていないことから、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有
する可能性があると認識される。
【0166】
プロモーター配列は典型的に、転写開始部位によってその3'末端で境界を定められ、バ
ックグラウンドより上の検出可能なレベルで転写を開始するために必要な最少数の塩基ま
たはエレメントが含まれるように上流(5'方向)に伸びる。プロモーター配列において、
転写開始部位(便宜上たとえばヌクレアーゼS1によるマッピングによって定義される)の
みならず、RNAポリメラーゼの結合の原因となるタンパク質結合ドメイン(コンセンサス
配列)が見いだされるであろう。
【0167】
相同性という用語は、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド部分のあいだの
同一性の百分率を指す。1つの部分からもう1つの部分までの配列間の対応は、当技術分野
において公知の技術によって決定されうる。たとえば、相同性は、配列情報をアラインメ
ントして、容易に入手可能なコンピュータープログラムを用いることによって、2つのポ
リペプチド分子間の配列情報の直接比較によって決定されうる。または、相同性は、相同
な領域のあいだで安定な二重鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼ
ーション後の一本鎖特異的ヌクレアーゼによる消化および消化された断片のサイズ決定に
よって決定されうる。
【0168】
本明細書において用いられるように、その全ての文法的な形および綴りの変化での相同
なという用語は、スーパーファミリー(たとえば、免疫グロブリンスーパーファミリー)
からのタンパク質が含まれる共通の進化起源を保有するタンパク質と、異なる種からの相
同なタンパク質(たとえば、ミオシン軽鎖等)とのあいだの関係を指す(Reeck et al.,
Cell 50:667 (1987))。そのようなタンパク質(およびそのコードする遺伝子)は、その
高い程度の配列類似性によって反映されるように配列相同性を有する。しかし、一般的な
使用および本出願において、高度になどの副詞によって修飾された場合の相同なという用
語は、共通の進化起源ではなくて配列類似性を指すことがある。
【0169】
したがって、その全ての文法的な形での配列類似性という用語は、共通の進化起源を共
有してもよくしなくてもよい核酸またはタンパク質のアミノ酸配列のあいだの同一性また
は対応の程度を指す(Reeck et al., Cell 50:667 (1987)を参照されたい)。1つの態様
において、2つのDNA配列は、ヌクレオチドの少なくとも約50%(たとえば、少なくとも約
75%、90%、または95%)がDNA配列の定義された長さに対してマッチングする場合に実
質的に相同または実質的に類似である。実質的に相同である配列は、配列データバンクに
おいて利用可能な標準的なソフトウェアを用いて、または特定のシステムに関して定義さ
れたストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験において配列を比
較することによって同定されうる。適切なハイブリダイゼーション条件を定義することは
当技術分野の技術の範囲内である(たとえば、Sambrook et al., 1989、前記を参照され
たい)。
【0170】
本明細書において用いられるように、実質的に類似とは、1つまたは複数のヌクレオチ
ド塩基の変化によって1つまたは複数のアミノ酸の置換が起こるが、DNA配列によってコー
ドされるタンパク質の機能的特性には影響を及ぼさない核酸断片を指す。実質的に類似と
はまた、1つまたは複数のヌクレオチド塩基に変化が起こっても、アンチセンスまたは共
抑制技術によって核酸断片が遺伝子発現の変更を媒介する能力に影響を及ぼさない核酸断
片を指す。実質的に類似とはまた、得られた転写物の機能的特性に実質的に影響を及ぼさ
ない1つまたは複数のヌクレオチド塩基の欠失または挿入などの本発明の核酸断片の改変
を指す。ゆえに、本発明は、特異的な例示的配列より多くを包含すると理解される。提唱
される改変の各々は、コードされる産物の生物活性の保持の決定と同様に、当技術分野の
技術のルーチンの範囲内である。
【0171】
その上、当業者は、本発明によって包含される実質的に類似の配列が同様に、ストリン
ジェントな条件下(0.1×SSC、0.1%SDS、65℃の後に2×SSC、0.1%SDSでの洗浄の後に0.
1×SSC、0.1%SDS)で、本明細書において例示される配列とのそのハイブリダイズ能によ
って定義されることを認識する。本発明の実質的に類似の核酸断片は、そのDNA配列が、
本明細書において報告した核酸断片のDNA配列と少なくとも約70%、80%、90%、または9
5%同一である核酸断片である。
【0172】
対応するという用語は、本明細書において、正確な位置が、それに対して類似性または
相同性が測定される分子と同一であるかまたは異なるかによらず、類似または相同な配列
を指すために用いられる。核酸またはアミノ酸配列アラインメントには空白が含まれても
よい。このように、対応するという用語は、配列類似性を指し、アミノ酸残基またはヌク
レオチド塩基の番号付けを指すのではない。
【0173】
アミノ酸またはヌクレオチド配列の実質的な部分は、当業者による配列の手動での評価
によって、またはBLAST(Basic Local Alignment Search Tool;Altschul et al., J. Mo
l. Biol. 215:403 (1993);ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/で入手可能)などのアルゴリズムを
用いるコンピューター自動化配列比較および同定によって、そのポリペプチドまたは遺伝
子を推定的に同定するために十分なポリペプチドのアミノ酸配列または遺伝子のヌクレオ
チド配列を含む。一般的に、ポリペプチドまたは核酸配列を公知のタンパク質または遺伝
子と相同であると推定的に同定するためには、10個もしくはそれより多い連続するアミノ
酸の配列、または30個もしくはそれより多いヌクレオチドの配列が必要である。その上、
ヌクレオチド配列に関して、連続するヌクレオチド20個〜30個を含む遺伝子特異的オリゴ
ヌクレオチドプローブを、配列依存的遺伝子同定(たとえば、サザンハイブリダイゼーシ
ョン)および単離(たとえば、細菌コロニーまたはバクテリオファージプラークのインサ
イチューハイブリダイゼーション)法において用いてもよい。加えて、12〜15塩基の短い
オリゴヌクレオチドを、プライマーを含む特定の核酸断片を得るためにPCRにおける増幅
プライマーとして用いてもよい。したがって、ヌクレオチド配列の実質的な部分は、配列
を含む核酸断片を特異的に同定および/または単離するために十分な配列を含む。
【0174】
本発明の1つの局面は、デグロンに連結されたPAI-1タンパク質を提供することである。
デグロンは、PAI-1タンパク質のアミノ末端またはそのカルボキシ末端に連結されてもよ
い。デグロンまたは分解決定シグナルは、当技術分野において、短い、しばしばポリペプ
チドの分解を誘導する移動型のエレメントとして知られており、そのいくつかの例は、Ga
rcin, D, et al., Journal of Virology, 2004, 78(16):8799-8811およびGardner, RG an
d Hampton, RY, The EMBO Journal, 1999, 18(21):5994-6004において引用されている。
デグロンに連結したPAI-1の例を図17A、17B、17E、I7F、17G、および17Hに示す。
【0175】
本発明のもう1つの局面は、局在化シグナルに連結したPAI-1タンパク質を提供すること
である。細胞局在化シグナルの非制限的な例は、筋小胞体、小胞体、細胞外マトリクス、
ミトコンドリア、ゴルジ体、ペルオキシソーム、ライソソーム、核、核小体、エンドソー
ム、エキソソーム、他の細胞内小胞、形質膜、頂端膜、および側底膜に局在するシグナル
である。1つの態様において、PAI-1は、米国特許仮出願第60/957,328号において記述され
るものなどの非細胞特異的形質膜局在化シグナルを通して細胞外面に送達される。他の態
様において、PAI-1は、線維芽細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、および心筋細胞
の筋細胞膜に特異的な局在化シグナルなどの細胞特異的局在化シグナルについて細胞外の
面に送達される。他の態様において、PAI-1は、コラーゲン結合タンパク質などの細胞外
会合ドメインを通して細胞外マトリクスに、または心筋梗塞領域において濃縮される他の
細胞外成分に送達される。図17C〜17Hは、局在化シグナルに連結したPAI-1の追加の態様
を示す。該局在化シグナルは、制限することなく例として与えられる。
【0176】
本発明の1つの局面は、ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1ポリヌクレオチド
配列を提供することである。1つの態様において、ポリヌクレオチドは、ULTRA VECTOR(I
ntrexon Corp. Blacksburg, VA, US2004/0185556)プラスミドベクターに挿入するために
最適化される。もう1つの態様において、ポリヌクレオチドは、以下の内部制限部位の除
去を通してベクター挿入に関して最適化される:NgoM IV、Xma I、Cla I、BamH I、BstB
I、EcoR I、RcoR V、Pci I、Sac I、Stu I、ApaL I、Bgl II、Kpn I、Mfe I、Nde I、Nhe
I、Nsi I、Asc I、AsiS I、BsiW I、Fse I、Mlu I、Not I、Pac I、Sal I、Sbf I、SnaB
I、Swa I、Rsr III、RsrII2、BstX I、Sap I、BsmB I、Xba I、Xho I、Hpa I、Pml I、S
ph I、Aar I、Bgl I、BsmB I、BspM I、BstAP I、BstX I、Dra III、Ear I、Sap I、Blp
I、およびBspE I。
【0177】
本発明の1つの局面は、デグロンポリヌクレオチド配列に連結した、ベクター挿入に関
して最適化されているPAI-1ポリヌクレオチド配列を提供することである。1つの態様にお
いて、デグロン配列は、PAI-1ポリヌクレオチド配列の5'端に連結される(たとえば、図1
8Cおよび18Hを参照されたい)。本発明のもう1つの態様において、デグロン配列は、デグ
ロンポリヌクレオチド配列の3'端に連結される(たとえば、図18Bおよび18Fを参照された
い)。
【0178】
本発明のもう1つの局面は、局在化シグナルに連結した、ベクター挿入に関して最適化
されているPAI-1ポリヌクレオチド配列を提供することである(たとえば、図18D〜18Iを
参照されたい)。
【0179】
本発明のもう1つの態様は、所望の細胞、組織、または生理的状態におけるベクター挿
入最適化PAI-1ポリヌクレオチド配列の発現を選択的に制御するための遺伝子構築物に関
する。遺伝子構築物には、デグロンおよび/または局在化シグナルに任意で連結されたPA
I-1遺伝子構築物が含まれてもよい。例示的な遺伝子構築物は、図13A〜13E、23A〜23G、
および18A〜18Iにおいて示される。遺伝子構築物のプロモーター部分は、構成的プロモー
ター、非構成的プロモーター、組織特異的プロモーター(構成的または非構成的)、また
は誘導型プロモーターでありうる。本発明にとって有用な組織特異的プロモーターの非制
限的な例は、内皮細胞特異的プロモーター(White, SJ, et al., Gene Ther. 2007 Nov 8
[印刷前電子出版])、血管平滑筋細胞特異的プロモーター(Ribault, S, Circ Res., 20
01, 88(5):468-75;Appleby, CE, et al., Gene Ther. 2003, 10(18): 1616-22)、心筋
細胞特異的プロモーター(Xu, L, et al., J Biol Chem., 2006, 281(45):34430-40)、
冠動脈脂肪細胞特異的プロモーター、および心線維芽細胞特異的プロモーターである。心
臓および低酸素症特異的プロモーターなどの複合的な組織および状態特異的プロモーター
(Su, H, et al., Proc Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2004, 101(46): 16280-5)も同様に
本発明にとって有用である。誘導型プロモーターは、薬物または他の因子によって活性化
される。RHEOSWITCHは、本発明にとって有用であるNew England BioLabs(Ipswich, MA)
から入手可能な誘導型プロモーターシステムである。本発明の態様は、その発現が誘導型
プロモーターシステムによって制御されるPAI-1遺伝子構築物を含む。
【0180】
本発明のもう1つの局面は、本明細書において記述される哺乳動物細胞発現およびベク
ター挿入最適化PAI-1ポリヌクレオチド配列を発現させるための遺伝子構築物を含有する
ベクターを提供することである。ベクターは、本明細書において記述されるウイルスベク
ターまたは非ウイルスベクターであってもよい。そのようなベクターの非制限的な例を図
19A〜19Dに示す。
【0181】
図19Aは、ベクター挿入最適化PAI-1ポリヌクレオチド配列および任意の局在化シグナル
および/またはデグロンを含有するベクターの一般型を示し、遺伝子構築物はトランスジ
ェニック動物を生成するために有用な単位としてベクターから放出可能である。たとえば
、遺伝子構築物またはトランスジーンは、制限エンドヌクレアーゼ消化によってベクター
骨格から放出される。放出されたトランスジーンをマウス受精卵の前核に注入するか、ま
たはトランスジーンは胚幹細胞を形質転換するために用いられる。図19Aのベクターはま
た、プロモーターおよびトランスジーンのコドンが哺乳動物発現にとって最適化される、
トランスジーンの一過性のトランスフェクションにとっても有用である。
【0182】
図19Bおよび19Cは、インビボでPAI-1ポリペプチド発現を送達および制御するための遺
伝子治療ベクターの態様を描写する。図19Bおよび19Cにおける遺伝子構築物に連結された
ポリヌクレオチド配列には、ウイルスゲノムおよび/または宿主ゲノムへのトランスジー
ンの組み込みを容易にするためのゲノム組み込みドメインが含まれる。
【0183】
図19Dは、安定な細胞株を生成するために有用な局在化シグナル遺伝子構築物を含有す
るベクターを示す。
【0184】
本発明のもう1つの局面は、本明細書において記述される哺乳動物細胞発現およびベク
ター挿入最適化PAI-1ポリヌクレオチド配列を発現させるための遺伝子構築物を含有する
ベクターを含有する宿主細胞を提供することである。1つの態様において、宿主細胞は哺
乳動物細胞である。宿主細胞には、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ウシ、ブタ、ヒツジ、
ウマ、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、およびモルモットが含まれる。宿主細胞の特異的タ
イプには、心筋細胞、線維芽細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、および脂肪細胞が含まれる。
【0185】
本発明のもう1つの局面は、哺乳動物細胞発現およびベクター挿入最適化PAI-1ポリヌク
レオチド配列を含有するトランスジェニック生物を提供することである。1つの態様にお
いて、トランスジェニック宿主は哺乳動物である。哺乳動物トランスジェニック宿主には
、非ヒト霊長類、マウス、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、お
よびモルモットが含まれる。トランスジェニック生物は、受精卵の前核または胚幹細胞に
完全なトランスジーンを注入することによって生成される。完全なトランスジーンには、
任意で、本明細書において記述されるデグロン、局在化シグナル、または構成的プロモー
ター、非構成的プロモーター、組織特異的プロモーター(構成的または非構成的)、もし
くは誘導型プロモーターに連結された哺乳動物細胞発現およびベクター挿入最適化PAI-1
ポリヌクレオチド配列が含まれる。トランスジェニック生物は、心臓におけるPAI-1の役
割を定義するための動物モデルとして用いられてもよい。
【0186】
本発明のもう1つの局面は、PAI-1の少なくとも1コピーをコードするベクター挿入最適
化核酸分子を含むベクターを宿主細胞にトランスフェクトする段階、およびトランスフェ
クトした宿主細胞をPAI-1の少なくとも1コピーを産生するために適した条件下で培養する
段階を含む、宿主細胞においてPAI-1の発現を変更させる方法である。
【0187】
本発明のもう1つの局面は、PAI-1の少なくとも1コピーをコードするベクター挿入最適
化核酸分子を含むベクターを被験体の心組織に注入する段階を含む、被験体の心組織にお
いてPAI-1の発現を変更させる方法である。
【0188】
本発明のもう1つの局面は、PAI-1の少なくとも1コピーをコードするベクター挿入最適
化核酸分子を含むベクターを受精卵または胚幹細胞に注入する段階を含む、変更されたPA
I-1発現を有するトランスジェニック被験体を作製する方法である。
【0189】
本発明の1つの局面は、切断および/またはアミノ酸置換によって天然の基質および/
または調節物質を改変することによってPAI-1活性の新規リガンド阻害因子を提供するこ
とである。
【0190】
本発明のもう1つの局面は、新規阻害因子およびその変種を共に連結させることによっ
てPAI-1活性のモジュール性のポリリガンド阻害因子を提供することである。本発明のさ
らなる局面は、デグロンに連結させることによってPAI-1阻害因子、リガンド、またはポ
リリガンドの活性を制限することである。本発明のさらなる局面は、局在化シグナルに連
結することによるPAI-1阻害因子、リガンド、またはポリリガンドの細胞局在である。
【0191】
本発明の1つの局面は、心組織における線維症を予防するための方法としてPAI-1の阻害
を包含する。PAI-1を阻害することによって、プラスミノーゲン活性化因子の阻害が軽減
され、それによってプラスミノーゲンのプラスミンへの活性化およびフィブリンの分解が
起こる。疾患を有する心臓のフィブリン分解の増強は、II型糖尿病、高血糖症、高血圧症
、肥満、タバコの曝露、または他の原因による心筋症を処置または予防するための有望な
アプローチである。
【0192】
本発明の追加の局面は、任意の組織において有用なPAI-1阻害因子を包含する。
【0193】
本発明の追加の態様は、細胞の1つの領域に標的化された局在化シグナルに連結するこ
とによって異なる細胞位置に局在したPAI-1阻害因子を包含する。
【0194】
本発明は、PAI-1のポリペプチドリガンドおよびポリリガンドに関する。PAI-1リガンド
およびポリリガンドの様々な態様をSEQ ID NO:1〜30およびSEQ ID NO:37〜51に表す。よ
り具体的に、本発明は、SEQ ID NO:37〜51の任意の1つまたはそれより多くを含むリガン
ド、ホモポリリガンド、およびへテロポリリガンドに関する。加えて、本発明は、SEQ ID
NO:31〜36の1つまたは複数の部分配列(切断断片)またはその任意の部分を含むリガン
ドおよびポリリガンドに関する。さらに、本発明は、SEQ ID NO:37〜51の1つもしくは複
数またはその任意の部分を含むポリリガンドに対して少なくとも約80%、85%、90%、95
%、96%、97%、98%、および99%配列同一性を有するポリリガンドに関する。さらに、
本発明は、SEQ ID NO:31〜36の1つまたは複数の部分配列を含むポリリガンドに対して少
なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、および99%配列同一性を有する
ポリリガンドに関する。
【0195】
ホモポリリガンドまたはヘテロポリリガンドであり得るポリリガンドは、2つまたはそ
れより多いモノマーポリペプチドリガンドで構成されるキメラリガンドである。ホモポリ
リガンドの例を図4A〜4Fに示す。ヘテロポリリガンドの例を図6A〜6Jに示す。モノマーリ
ガンドの例は、SEQ ID NO:40によって表されるポリペプチドである。SEQ ID NO:40は、親
の完全長のSEQ ID NO:32の選択された部分配列である。ホモポリリガンドの例は、SEQ ID
NO:37のダイマーまたはマルチマーを含むポリペプチドである。ヘテロポリリガンドの例
は、SEQ ID NO:37およびSEQ ID NO:38〜51の1つまたは複数を含むポリペプチドである。S
EQ ID NO:37〜51の各々は、モノマー型の個々のポリペプチドリガンドを表す。SEQ ID NO
:37〜51は、SEQ ID NO:31〜36の部分配列の選択された例であるが、SEQ ID NO:31〜36の
他の部分配列も同様にモノマーリガンドとして利用されてもよい。SEQ ID NO:31〜36のモ
ノマー部分配列は、SEQ ID NO:40などの親ポリペプチドの部分と同一であってもよい。加
えて、SEQ ID NO:31〜36のモノマー部分配列は、SEQ ID NO:41〜45などのアミノ酸置換を
有してもよい。さらに、モノマーリガンドおよびポリリガンドは、SEQ ID NO:37〜51の1
つまたは複数におけるアミノ酸配列を含むリガンドに対して少なくとも約80%、85%、90
%、95%、96%、97%、98%、および99%配列同一性を有してもよい。さらに、モノマー
リガンドおよびポリリガンドは、SEQ ID NO:31〜36の部分配列に対して少なくとも約80%
、85%、90%、95%、96%、97%、98%、および99%配列同一性を有してもよい。
【0196】
SEQ ID NO:37〜51をホモポリマーまたはヘテロポリマーリガンドに組み合わせるために
多数の方法がある。さらに、ポリマーリガンドを作出するために、SEQ ID NO:31〜36の追
加の部分配列を互いに、およびSEQ ID NO:37〜51と組み合わせるためには多数の方法があ
る。ホモポリリガンド構成の非制限的な例を図1A〜1Fに示す。ヘテロポリリガンド構成の
非制限的な例を2A〜2Jに示す。本発明は、ホモポリリガンドおよびへテロポリリガンドの
起こりうる全ての組み合わせに向けられるがこれらに限定されない。本発明のリガンドお
よびポリリガンドは、PAI-1の内因性の効果をモジュレートするように設計される。
【0197】
本発明の1つの態様において、リガンドまたはポリリガンドは、本明細書において記述
されるPAI-1リガンドまたはポリリガンドである。
【0198】
本発明のもう1つの態様において、リガンドまたはポリリガンドは、本明細書において
記述されるPAI-1リガンドまたはポリリガンドに対して少なくとも60%、65%、70%、75
%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。
【0199】
本発明のもう1つの態様において、リガンドまたはポリリガンドは、1つまたは複数のア
ミノ酸欠失、置換、挿入、切断、またはその組み合わせを含むように改変されている本明
細書において記述されるPAI-1リガンドまたはポリリガンドである。
【0200】
本発明のもう1つの態様は、SEQ ID NO:1〜30の奇数番号のSEQ ID NOにおいて示される
ポリペプチドに対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96
%、97%、98%または99%同一であるポリペプチドである。
【0201】
本発明のもう1つの態様は、SEQ ID NO:1〜30の偶数番号のSEQ ID NOにおいて示される
ポリヌクレオチドに対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%
、96%、97%、98%または99%同一であるポリヌクレオチドである。
【0202】
本発明のもう1つの態様において、PAI-1リガンドまたはポリリガンドは、SEQ ID NO:37
〜51の1つに対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%
、97%、98%または99%同一である少なくとも1つのペプチドを含む。
【0203】
本発明のもう1つの態様において、PAI-1リガンドまたはポリリガンドは、以下の阻害機
序の少なくとも1つを保有する:潜在状態、PA1の基質への変化、tPA結合に対する立体障
害、内因性のビトロネクチンに対する立体障害、または結合部位に対する直接競合。
【0204】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述されるPAI-1リガンドまたはポリリガ
ンドをコードするポリヌクレオチドである。
【0205】
本発明のポリリガンドは任意で、モノマーの前、後、またはあいだにスペーサーアミノ
酸を含む(例示的な構成に関しては図1D〜1Fおよび図2F〜2Jを参照されたい)。
【0206】
本発明は、上記または下記で与えられる例に限定されないホモポリリガンドとヘテロポ
リリガンドの全ての組み合わせを捕らえることを意図する。本明細書の記述において、「
リガンド」という用語の使用は、モノマーリガンド、ポリマーリガンド、ホモポリマーリ
ガンドおよび/またはヘテロポリマーリガンドを包含する。リガンドという用語はまた、
デコイ、阻害因子、およびモジュレータという用語を包含する。
【0207】
モノマーリガンドは、ポリペプチドの少なくとも一部がPAI-1によって認識されること
ができるポリペプチドである。認識することができるポリペプチドの部分は、認識モチー
フと名付けられる。本発明において、認識モチーフは天然または合成でありうる。認識モ
チーフの例は当技術分野において周知であり、これには天然に存在するPAI-1基質、偽基
質モチーフ、およびPAI-1調節結合タンパク質に存在する相互作用ドメインおよびその改
変物が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0208】
一般的に、天然のPAI-1相互作用パートナーに基づくリガンドモノマーは、推定のPAI-1
相互作用ドメイン認識モチーフを同定および単離することによって構築される。例示的な
天然のPAI-1相互作用パートナーは、当技術分野において公知であり、これには、フィブ
リン、組織プラスミノーゲン活性化因子(SEQ ID NO:34によって表されるタンパク質)、
ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(SEQ ID NO:36によって表されるタンパク質)
、およびビトロネクチン(SEQ ID NO:32によって表されるタンパク質)が含まれる。追加
のモノマーには、PAI-1認識モチーフのみならず、PAI-1相互作用ドメイン認識モチーフの
いずれかの側面で近接および連続するアミノ酸が含まれる。ゆえに、モノマーリガンドは
、モノマーにPAI-1認識モチーフが含まれる限り、任意の長さであってもよい。たとえば
、モノマーはPAI-1認識モチーフを含んでもよく、認識モチーフに近接して少なくとも 1
、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23
、24、25、26、27、28、29、30、もしくは100個、またはそれより多くのアミノ酸を含ん
でもよい。さらに、設計の検討は、リガンドの三次元モデリングおよびPAI-1との結合相
互作用のモデリングから得られる。リガンドまたはポリリガンドの一次配列の改変は、そ
のようなモデリングに基づくのが望ましい可能性がある。
【0209】
たとえば、1つの態様において、本発明は、以下からなる群より選択されるペプチドの
少なくとも1コピーを含むPAI-1の阻害因子を含む:
a)SEQ ID NO:31のアミノ酸残基354〜368位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であるペプチド;
b)SEQ ID NO:31のアミノ酸残基300〜309位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であるペプチド;
c)SEQ ID NO:31のアミノ酸残基343〜353位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であるペプチド;
d)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であるペプチド;
e)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基32位に対応するアミノ酸残基がフェニルア
ラニンからロイシンに変異しているペプチド;
f)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基29位に対応するアミノ酸残基がトレオニン
からアラニンに変異しているペプチド;
g)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基42位に対応するアミノ酸残基がグルタミン
酸からアラニンに変異しているペプチド;
h)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基43位に対応するアミノ酸残基がロイシンか
らアラニンに変異しているペプチド;
i)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基23位に対応するアミノ酸残基がセリンから
フェニルアラニンに変異しており、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基52位に対応するアミノ酸
残基がトレオニンからグルタミン酸に変異しており、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基53位に
対応するアミノ酸残基がアスパラギン酸からロイシンに変異しており、SEQ ID NO:32のア
ミノ酸残基56位に対応するアミノ酸残基がアラニンからチロシンに変異しており、および
SEQ ID NO:32のアミノ酸残基57位に対応するアミノ酸残基が、グルタミン酸からチロシン
に変異しているペプチド;
j)SEQ ID NO:33のアミノ酸残基25〜256位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であるペプチド;
k)SEQ ID NO:33のアミノ酸残基25〜44位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であるペプチド;
l)SEQ ID NO:33のアミノ酸残基47〜256位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であるペプチド;
m)SEQ ID NO:34のアミノ酸残基301〜308位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であるペプチド;
n)SEQ ID NO:35のアミノ酸残基29〜121位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:35のアミノ酸残基55位に対応するアミノ酸残基がバリンから
アラニンに変異しており、SEQ ID NO:35のアミノ酸残基57位に対応するアミノ酸残基がア
スパラギンからチロシンに変異しており、SEQ ID NO:35のアミノ酸残基59位に対応するア
ミノ酸残基がトレオニンからアスパラギンに変異しており、SEQ ID NO:35のアミノ酸残基
79位に対応するアミノ酸残基がセリンからリジンに変異しており、SEQ ID NO:35のアミノ
酸残基81位に対応するアミノ酸残基がアスパラギン酸からリジンに変異しており、および
SEQ ID NO:35のアミノ酸残基83位に対応するアミノ酸残基がグリシンからグルタミン酸に
変異しているペプチド;ならびに
o)SEQ ID NO:36のアミノ酸残基179〜415位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であって、SEQ ID NO:36のアミノ酸残基224位に対応するアミノ酸残基がヒスチ
ジンからアラニンに変異しており、SEQ ID NO:36のアミノ酸残基275位に対応するアミノ
酸残基がアスパラギン酸からアラニンに変異しており、およびSEQ ID NO:36のアミノ酸残
基376位に対応するアミノ酸残基がセリンからアラニンに変異しているペプチド。
【0210】
本明細書において用いられるように、配列アラインメントに関する場合の「対応する」
および「対応している」という用語は、参照タンパク質(たとえば、プラスミノーゲン活
性化因子阻害因子1、AAA60009、SEQ ID NO:31)内での順序位置と、参照タンパク質上の
位置とアラインメントするそれらの位置を意味すると意図される。このように、対象ペプ
チドのアミノ酸配列を参照ペプチドのアミノ酸配列、たとえばSEQ ID NO:31とアラインメ
ントさせると、参照ペプチド配列のある順序位置に「対応する」対象ペプチド配列におけ
るアミノ酸は、参照ペプチド配列のこれらの位置とアラインメントするが、参照配列のこ
れらの正確な位置番号に必ずしもないアミノ酸である。配列間で対応するアミノ酸を決定
するために配列をアラインメントさせるための方法を、以下に記述する。
【0211】
他の態様において、リガンドはモノクローナル抗体断片、ファージディスプレイ産物、
PAI-1合成阻害因子、または転写因子デコイであってもよい。
【0212】
モノマーリガンドはポリペプチドの少なくとも一部がPAI-1によって認識されることが
できるポリペプチドである。認識されることができるポリペプチドの部分は、認識モチー
フと名付けられる。本発明において、認識モチーフは天然または合成でありうる。認識モ
チーフの例は当技術分野において周知であり、これには天然に存在するPAI-1基質、偽基
質モチーフ、ならびにPAI-1調節結合タンパク質に存在する相互作用ドメイン、およびそ
の改変体が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0213】
ポリマーリガンド(ポリリガンド)は2つまたはそれより多いモノマーリガンドを含む

【0214】
ホモポリマーリガンドは、セリン、トレオニン、またはチロシンなどの脱リン酸化可能
な残基がモノマーリガンドの1つまたは複数において置換または改変されてもよいことを
除き、モノマーリガンドの各々がアミノ酸配列において同一であるポリマーリガンドであ
る。改変には、偽リン酸化残基(酸性アミノ酸)への置換、または中性残基への置換が含
まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0215】
ヘテロポリマーリガンドは、モノマーリガンドのいくつかが同一のアミノ酸配列を有し
ないポリマーリガンドである。
【0216】
本発明のリガンドは任意で、エピトープタグ、レポーター、および/または細胞局在化
シグナルを提供する追加の分子またはアミノ酸に連結される。細胞局在化シグナルはリガ
ンドを細胞の領域に標的化する。エピトープタグおよび/またはレポーターおよび/また
は局在化シグナルは同じ分子であってもよい。エピトープタグおよび/またはレポーター
および/または局在化シグナルはまた、異なる分子であってもよい。
【0217】
本発明はまた、リガンド、ホモポリリガンド、およびへテロポリリガンドをコードする
ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを包含する。本発明の核酸は任意で、エピトー
プタグ、レポーター、および/または細胞局在化シグナルなどの追加の特色を有するポリ
ペプチドをコードする追加のヌクレオチド配列に連結される。ポリヌクレオチドは任意で
、制限エンドヌクレアーゼ部位を含むヌクレオチド配列および制限エンドヌクレアーゼ活
性にとって必要な他のヌクレオチドに隣接する。隣接配列は任意で、ベクター内で独自の
クローニング部位を提供し、任意でサブシークエンスのクローニングの方向性を提供する
。さらに、本発明の核酸は任意でベクターポリヌクレオチドに組み入れられる。本発明の
リガンド、ポリリガンド、およびポリヌクレオチドは、研究ツールおよび/または治療物
質として有用性を有する。
【0218】
本発明の追加の態様には、PAI-1の任意の推定または実際の相互作用パートナーに基づ
くモノマー(先に記述した)が含まれる。さらに、基質または結合タンパク質が1つより
多い認識モチーフを有する場合、1つより多いモノマーがそこで同定されてもよい。
【0219】
本発明のもう1つの態様は、リガンドペプチドの少なくとも1コピーをコードするポリヌ
クレオチド配列を含む核酸分子である。
【0220】
本発明のもう1つの態様は、ポリヌクレオチド配列が1つまたは複数のペプチドリガンド
の1つまたは複数のコピーをコードする核酸分子である。
【0221】
本発明のもう1つの態様は、ポリヌクレオチド配列が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8
、9、または10からなる群より選択される数のペプチドのコピーをコードする核酸分子で
ある。
【0222】
本発明のもう1つの態様は、リガンドまたはポリリガンドの少なくとも1コピーをコード
する核酸分子を含むベクターである。
【0223】
本発明のもう1つの態様は、リガンドまたはポリリガンドの少なくとも1コピーをコード
する核酸分子を含むベクターを含む組み換え型宿主細胞である。
【0224】
本発明のもう1つの態様は、リガンドまたはポリリガンドの少なくとも1コピーをコード
する核酸分子を含むベクターを宿主細胞にトランスフェクトする段階、およびトランスフ
ェクトされた宿主細胞をリガンドまたはポリリガンドの少なくとも1コピーを産生するた
めに適した条件で培養する段階を含む、宿主細胞においてPAI-1を阻害する方法である。
【0225】
本発明のもう1つの局面は、PAI-1リガンドまたはポリリガンドの少なくとも1コピーを
コードする核酸分子を含むベクターを被験体の心組織に注入する段階を含む、被験体の心
組織におけるPAI-1を阻害する方法である。
【0226】
本発明のもう1つの局面は、PAI-1リガンドまたはポリリガンドの少なくとも1コピーを
コードする核酸分子を含むベクターを受精卵または胚幹細胞に注入する段階を含む、低減
されたPAI-1活性を有するトランスジェニック被験体を作製する方法である。
【0227】
本発明はまた、参照阻害因子に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%
、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である改変阻害因子にも関する。「改変
阻害因子」は、阻害因子タンパク質またはポリペプチドの一次構造(アミノ酸配列)にお
ける1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失、または置換によって作製されうるペプチド
を意味するために用いられる。「改変認識モチーフ」は、モチーフの一次構造(アミノ酸
配列)における1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失、または置換によって改変されて
いる天然に存在するPAI-1認識モチーフである。「タンパク質」、「ポリペプチド」およ
び「ペプチド」という用語は、本明細書において互換的に用いられる。参照阻害因子は、
必ずしも野生型タンパク質またはその一部ではない。このように、参照阻害因子は、その
配列が野生型タンパク質に対して既に改変されたタンパク質またはペプチドであってもよ
い。参照阻害因子は、特定の生物からの野生型タンパク質であってもよく、そうでなくて
もよい。
【0228】
参照アミノ酸配列に対して少なくともたとえば約95%「同一」であるアミノ酸配列を有
するポリペプチドは、アミノ酸配列に、参照ペプチドをコードする参照アミノ酸配列のア
ミノ酸100個毎に約5個までの改変が含まれてもよいことを除き、ポリペプチドのアミノ酸
配列が参照配列と同一であることを意味すると理解される。言い換えれば、参照アミノ酸
配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有するペプチドを得るために、参照配
列のアミノ酸残基の約5%までが欠失もしくはもう1つのアミノ酸によって置換されてもよ
く、または参照配列における総アミノ酸の約5%までの数のアミノ酸が、参照配列に挿入
されてもよい。参照配列のこれらの改変は、参照アミノ酸配列のN-末端もしくはC-末端位
置で起こってもよく、それらの末端位置のあいだのどこかで起こってもよく、参照配列に
おけるアミノ酸のあいだに個々に散在してもよく、または参照配列内の1つもしくは複数
の連続する群に散在してもよい。
【0229】
本明細書において用いられるように、「同一性」は、参照ヌクレオチドまたはアミノ酸
配列と比較した場合にヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の同一性の尺度である。一般
的に、配列は、最高次数のマッチングが得られるようにアラインメントされる。「同一性
」そのものは、当技術分野において認識された意味を有し、公表された技術を用いて計算
することができる。(たとえば、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed.,
Oxford University Press, New York (1988);Biocomputing: Informatics And Genome
Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York (1993);Computer Analysis o
f Sequence Data, Part I, Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press,
New Jersey (1994);von Heinje, G., Sequence Analysis In Molecular Biology, Acad
emic Press (1987);およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J.
, eds., M Stockton Press, New York (1991)を参照されたい)。2つのポリヌクレオチド
またはポリペプチド配列のあいだの同一性を測定するいくつかの方法が存在するが、「同
一性」という用語は当業者に周知である(Carillo, H. & Lipton, D., Siam J Applied M
ath 48:1073 (1988))。2つの配列間の同一性または類似性を決定するために最も一般的
に使用される方法には、Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, ed., Academic P
ress, San Diego (1994)およびCarillo, H. & Lipton, D., Siam J Applied Math 48:107
3 (1988)において開示される方法が含まれるがこれらに限定されるわけではない。コンピ
ュータープログラムはまた、同一性および類似性を計算する方法およびアルゴリズムを含
有してもよい。2つの配列間の同一性および類似性を決定するためのコンピュータープロ
グラム法の例には、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al., Nucleic Acids R
esearch 12(i):387 (1984))、BLASTP、ExPASy、BLASTN、FASTA(Atschul, S. F., et al
., J Molec Biol 215:403 (1990))、およびFASTDBが含まれるがこれらに限定されるわけ
ではない。同一性および類似性を決定するための方法の例は、参照により本明細書に組み
入れられる、Michaels, G. and Garian, R., Current Protocols in Protein Science, V
ol 1, John Wiley & Sons, Inc. (2000)において考察される。本発明の1つの態様におい
て、2つまたはそれより多いポリペプチド間の同一性を決定するために用いられるアルゴ
リズムはBLASTPである。
【0230】
本発明のもう1つの態様において、2つまたはそれより多いポリペプチド間の同一性を決
定するために用いられるアルゴリズムは、 Brutlag et al.(Comp. App. Biosci. 6:237-
245 (1990)、参照により本明細書に組み入れられる)のアルゴリズムに基づくFASTDBであ
る。FASTDB配列アラインメントにおいて、問い合わせおよび対象配列はアミノ配列である
。配列アラインメントの結果は%同一性である。%同一性を計算するためのアミノ酸配列
のFASTDBアラインメントにおいて用いられてもよいパラメータには、行列=PAM、k-tuple
=2、ミスマッチペナルティ=1、結合ペナルティ=20、無作為化グループ長=0、カット
オフスコア=1、ギャップペナルティ=5、ギャップサイズペナルティ 0.05、ウィンドウ
サイズ=500または対象アミノ酸配列の長さのどちらか短いほうが含まれるがこれらに限
定されるわけではない。
【0231】
内部付加または欠失のためではなくてN-末端またはC-末端の付加または欠失のために、
対象配列が問い合わせ配列より短いまたは長い場合、FASTDBプログラムは、%同一性の計
算にあたって対象配列のN-末端およびC-末端切断または付加を考慮に入れないことから、
手動での補正を行うことができる。問い合わせ配列と比較して双方の端部で切断された対
象配列の場合、%同一性は、マッチング/アラインメントしていない参照配列に対してN-
およびC-末端である問い合わせ配列の塩基数を問い合わせ配列の総塩基の百分率として計
算することによって補正される。FASTDB配列アラインメントの結果は、マッチング/アラ
インメントを決定する。次に、アラインメントの百分率を%同一性から差し引いて、明記
されたパラメータを用いて上記のFASTDBプログラムによって計算して、最終的な%同一性
スコアに達する。この補正されたスコアは、アラインメントが互いにどのように「対応す
る」かのみならず、%同一性を決定する目的のために用いることができる。参照または対
象配列のN-またはC-末端を超えて伸長する問い合わせ(対象)配列または参照配列の残基
はそれぞれ、%同一性スコアを手動で調節する目的のために考慮されてもよい。すなわち
、%同一性スコアまたはアラインメント番号付けを手動で調節する場合には、比較配列の
N-またはC-末端でマッチングしていない/アラインメントしていない残基を計数してもよ
い。
【0232】
たとえば、アミノ酸残基90個の対象配列を、%同一性を決定するために、残基100個の
参照配列とアラインメントさせる。欠失は、対象配列のN-末端で起こり、ゆえに、FASTDB
アラインメントはN-末端の最初の残基10個のマッチング/アラインメントを示さない。非
対残基10個は配列の10%であり(マッチングしていないN-およびC-末端での残基数/問い
合わせ配列における残基の総数)、そのため10%がFASTDBプログラムによって計算された
%同一性スコアから差し引かれる。残りの残基90個が完全にマッチングする場合、最終的
な%同一性は90%であろう。もう1つの例において、90残基の対象配列を100残基の参照配
列と比較する。この場合、欠失は内部欠失であり、そのため対象配列のN-またはC-末端で
問い合わせとマッチング/アラインメントしていない残基は存在しない。この場合、FAST
DBによって計算された%同一性は手動で補正されない。
【0233】
本発明のポリリガンドは任意で、モノマーの前、後、またはあいだにスペーサーアミノ
酸を含む。スペーサーの長さおよび組成は多様であってもよい。スペーサーの例は、グリ
シン、アラニン、ポリグリシン、またはポリアラニンである。時に、ポリペプチドの二次
構造を中断する目的のためにスペーサーにプロリンを使用することが望ましい。スペーサ
ーアミノ酸は、任意のアミノ酸であってもよく、アラニン、グリシン、およびプロリンに
限定されない。例示的なスペーサーは、SEQ ID NO:53〜56に提供される。本発明は、スペ
ーサーを伴うまたは伴わない、ホモポリリガンドとヘテロポリリガンドの全ての組み合わ
せに向けられ、上記または下記で与えられた例に限定されない。
【0234】
本発明のリガンドおよびポリリガンドは任意で、細胞の領域にリガンドを局在させるシ
グナルに連結される。細胞局在化シグナルの非制限的な例は、筋小胞体、小胞体、細胞外
マトリクス、ミトコンドリア、ゴルジ体、ペルオキシソーム、ライソソーム、核、核小体
、エンドソーム、エキソソーム、他の細胞内小胞、形質膜、頂端膜、および側底膜に局在
するシグナルである。1つの態様において、リガンドおよびポリリガンドは、米国特許仮
出願第60/957,328号において記述されるシグナルなどの非細胞特異的形質膜局在化シグナ
ルを通して細胞外面に送達される。他の態様において、リガンドおよびポリリガンドは、
線維芽細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、および心筋細胞の筋細胞膜に特異的な局
在化シグナルなどの細胞特異的局在化シグナルについて細胞外の面に送達される。他の態
様において、リガンドおよびポリリガンドは、コラーゲン結合タンパク質などの細胞外会
合ドメインを通して細胞外マトリクスに、または心筋梗塞領域において濃縮された他の細
胞外成分に送達される。図3A〜3H、5A〜5I、11A〜11I、および22A〜22Fは、局在化シグナ
ルに連結したリガンドおよびポリリガンドの例示的な構成を示す。局在化シグナルは例に
よって与えられ、制限ではない。
【0235】
本発明の1つの態様は、クラス1局在化テザーに連結されたリガンドまたはポリリガンド
である。
【0236】
本発明のもう1つの態様は、クラス2局在化テザーに連結されたリガンドまたはポリリガ
ンドである。
【0237】
本発明のもう1つの態様は、クラス3局在化テザーに連結されたリガンドまたはポリリガ
ンドである。
【0238】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述されたクラス1局在化テザーである。
【0239】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述されるクラス1局在化テザーと少なく
とも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同
一であるクラス1局在化テザーである。
【0240】
本発明のもう1つの態様は、1つまたは複数のアミノ酸欠失、置換、挿入、切断、または
その組み合わせを含むように改変されている、本明細書において記述されるクラス1局在
化テザーである。
【0241】
本発明のもう1つの態様は、SEQ ID NO:57〜76と少なくとも60%、65%、70%、75%、8
0%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるクラス1局在化テザーで
ある。
【0242】
本発明のもう1つの態様は、SEQ ID NO:77〜95の1つと少なくとも60%、65%、70%、75
%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である少なくとも1つの
ペプチドを含むクラス1局在化テザーである。
【0243】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述されるクラス1局在化テザーをコード
するポリヌクレオチドである。
【0244】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述されるクラス2局在化テザーである。
【0245】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述されるクラス2局在化テザーをコード
するポリヌクレオチドである。
【0246】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述されるクラス3局在化テザーである。
【0247】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述されるクラス3局在化テザーと少なく
とも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同
一であるクラス3局在化テザーである。
【0248】
本発明のもう1つの態様は、1つまたは複数のアミノ酸欠失、置換、挿入、切断、または
その組み合わせを含むように改変されている、本明細書において記述されるクラス3局在
化テザーである。
【0249】
本発明のもう1つの態様は、SEQ ID NO:100〜111と少なくとも60%、65%、70%、75%
、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるクラス3局在化テザ
ーである。
【0250】
本発明のもう1つの態様は、SEQ ID NO:112〜128の1つと少なくとも60%、65%、70%、
75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である少なくとも1つ
のペプチドを含むクラス3局在化テザーである。
【0251】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述されるクラス3局在化テザーをコード
するポリヌクレオチドである。
【0252】
本発明のリガンドおよびポリリガンドは、その活性を制限するためにデグロンに連結さ
れてもよい。図21A〜21Hおよび22A〜22Fは、デグロンに連結されたリガンドおよびポリリ
ガンドのいくつかの非制限的な態様を示す。
【0253】
さらに、本発明のリガンドおよびポリリガンドは、任意で、エピトープタグまたはレポ
ーターを提供する追加の分子またはアミノ酸に連結される(図4A〜4Gを参照されたい)。
エピトープタグの非制限的な例は、FLAGTM、HA(血液凝集素)、c-Myc、およびHis6であ
る。レポーターの非制限的な例は、アルカリホスファターゼ、ガラクトシダーゼ、ペルオ
キシダーゼ、ルシフェラーゼおよび蛍光タンパク質である。エピトープおよびレポーター
は例として与えられ、制限ではない。エピトープタグおよび/またはレポーターは、同じ
分子であってもよい。エピトープタグおよび/またはレポーターはまた異なる分子であっ
てもよい。
【0254】
リガンドおよびポリリガンド、ならびにそれに連結した任意のアミノ酸は、当技術分野
において公知の技術を用いて化学的または組み換えによって合成されうる。化学合成技術
には、自動ペプチドシンセサイザーを用いてしばしば行われるペプチド合成が含まれるが
これらに限定されるわけではない。ペプチドはまた、当技術分野において公知の非自動ペ
プチド合成法を用いて合成されうる。組み換え技術には、核酸発現産物が細胞因子および
プロセスを用いて合成される、リガンドコード核酸の発現ベクターへの挿入が含まれる。
【0255】
細胞局在化シグナル、エピトープタグ、レポーター、またはデグロンのリガンドまたは
ポリリガンドへの連結には、リガンドに対する共有結合的連結または酵素的連結が含まれ
うる。局在化シグナルが脂質または炭水化物などのポリペプチド以外の材料を含む場合、
分子を連結させる化学反応を利用してもよい。加えて、非標準的なアミノ酸、および脂質
、炭水化物、リン酸塩、または他の分子によって改変されたアミノ酸をペプチド合成の前
駆体として用いてもよい。本発明のリガンドは、局在化シグナルの存在下または非存在下
で治療的有用性を有する。しかし、局在化シグナルに連結したリガンドは、細胞内ツール
または治療物質として有用性を有する。
【0256】
図6A〜6E、13A〜13Eおよび23A〜23Gは、PAI-1リガンド含有遺伝子構築物の例を示す。P
AI-1リガンド含有遺伝子構築物は、本明細書において記述されるウイルスまたは非ウイル
スベクターによって送達されてもよい。図7Bおよび7Cは、インビボでポリペプチド発現を
送達および制御するための遺伝子治療ベクターの態様を描写する。図7Bおよび7Cにおける
遺伝子構築物に連結されたポリヌクレオチド配列には、ウイルスゲノムおよび/または宿
主ゲノムへのトランスジーンの組み込みを容易にするためにゲノム組み込みドメインが含
まれる。AttPおよびAttB配列は、ゲノム組み込み配列の非制限的な例である。
【0257】
図7Aは、リガンド遺伝子構築物が、トランスジェニック動物を生成するために有用な単
位としてベクターから放出可能である、PAI-1リガンド遺伝子構築物を含有するベクター
を示す。たとえば、リガンド遺伝子構築物またはトランスジーンは、制限エンドヌクレア
ーゼ消化によってベクター骨格から放出される。次に、放出されたトランスジーンをマウ
ス受精卵の前核に注入するか、またはトランスジーンは胚幹細胞を形質転換するために用
いられる。図7Aのリガンド遺伝子構築物を含有するベクターはまた、トランスジーンの一
過性のトランスフェクションにとっても有用であり、トランスジーンのプロモーターおよ
びコドンは宿主生物に関して最適化される。図7Aのリガンド遺伝子構築物を含有するベク
ターはまた、プロモーターおよびトランスジーンのコドンが発酵宿主生物に関して最適化
される、小規模または大規模産生のために適合可能である発酵可能な生物におけるポリペ
プチドの組み換え的発現にとって有用である。
【0258】
図7Dは、安定な細胞株を生成するために有用なPAI-1リガンド遺伝子構築物を含有する
ベクターを示す。
【0259】
本発明はまた、リガンドおよびポリリガンドをコードするヌクレオチド配列を含むポリ
ヌクレオチドを包含する。本発明のポリヌクレオチドは任意で、デグロン、局在化シグナ
ル、エピトープ、またはレポーターをコードする追加のヌクレオチド配列に連結される。
さらに、本発明の核酸は、任意でベクターポリヌクレオチドに組み入れられる。ポリヌク
レオチドは任意で、制限エンドヌクレアーゼ部位および制限エンドヌクレアーゼ活性にと
って必要な他のヌクレオチドを含むヌクレオチド配列によって隣接される。隣接配列は任
意で、ベクター内でクローニング部位を提供する。制限部位には、ほとんどの市販のクロ
ーニングベクターにおいて一般的に用いられる任意の部位が含まれうるがこれらに限定さ
れるわけではない。ホーミングエンドヌクレアーゼが含まれる他の制限酵素による切断の
ための部位も同様に、この目的のために用いられる。ポリヌクレオチド隣接配列はまた任
意で、サブシークエンスクローニングの方向性を提供する。5'および3'制限エンドヌクレ
アーゼ部位は、二本鎖DNAがクローニングベクターの対応する相補的部位に方向性にクロ
ーニングされうるように、互いに異なることが好ましい。
【0260】
デグロン、局在化シグナル、エピトープ、またはレポーターを伴うまたは伴わないリガ
ンドおよびポリリガンドは、または組み換え技術によって合成される。所望の成分を含有
して発現ベクターに挿入されるポリヌクレオチド発現構築物が作出される。次に、発現ベ
クターを細胞にトランスフェクトして、ポリペプチド産物を発現させて単離する。組み換
えDNA技術に従って作出されたリガンドは、研究ツールおよび/または治療物質として有
用性を有する。
【0261】
以下はリガンドおよびポリリガンドをコードするポリヌクレオチドがどのように産生さ
れるかの例である。リガンドおよび隣接配列をコードする相補的オリゴヌクレオチドを合
成してアニーリングする。得られた二本鎖DNA分子を、当技術分野において公知の技術を
用いてクローニングベクターに挿入する。リガンドおよびポリリガンドをトランスジェニ
ック遺伝子構築物内でタンパク質産物に翻訳される配列に近接してインフレームで配置す
ると、それらは、細胞またはトランスジェニック動物において発現された場合に融合タン
パク質の一部を形成する。
【0262】
本発明のもう1つの態様は、望ましい細胞、組織、または生理的状態におけるPAI-1リガ
ンドまたはポリリガンド発現を選択的に制御するための遺伝子構築物に関する。例示的な
遺伝子構築物の構成を図6A〜6Eに示す。遺伝子構築物のプロモーター部分は、構成的プロ
モーター、非構成的プロモーター、組織特異的プロモーター(構成的または非構成的)、
または誘導型プロモーターでありうる。本発明にとって有用な組織特異的プロモーターの
非制限的な例は、内皮細胞特異的プロモーター(White, SJ, et al., Gene Ther. 2007 N
ov 8 [出版前電子出版])、血管平滑筋細胞特異的プロモーター(Ribault, S, Circ Res.
, 2001, 88(5):468-75;Appleby, CE, et al., Gene Ther. 2003, 10(18): 1616-22)、
心筋細胞特異的プロモーター(Xu, L, et al., J Biol Chem., 2006, 281(45):34430-40
)、冠動脈脂肪細胞特異的プロモーター、および心線維芽細胞特異的プロモーターである
。心臓および低酸素症特異的プロモーター(Su, H, et al., Proc Natl Acad Sci U S A,
2004, 101(46): 16280-5)などの複合的な組織および状態特異的プロモーターは、それ
らが心筋梗塞領域においてリガンドまたはポリリガンドを発現させるであろうことから、
本発明にとって特に有用である。誘導型プロモーターは、薬物または他の因子によって活
性化される。RHEOSWITCHは、New England BioLabs(Ipswich, MA)から入手可能な、本発
明にとって有用である誘導型プロモーターである。本発明の態様は、その発現が誘導型プ
ロモーターシステムによって制御されるリガンドまたはポリリガンド遺伝子構築物を含む

【0263】
本発明の1つの態様は、組織特異的プロモーターに連結したリガンドまたはポリリガン
ドをコードするポリヌクレオチドである。
【0264】
本発明のもう1つの態様は、動脈平滑筋特異的プロモーターに連結したリガンドまたは
ポリリガンドをコードするポリヌクレオチドである。
【0265】
本発明のもう1つの態様は、血管平滑筋細胞特異的プロモーターに連結したリガンドま
たはポリリガンドをコードするポリヌクレオチドである。
【0266】
本発明のもう1つの態様は、内皮細胞特異的プロモーターに連結したリガンドまたはポ
リリガンドをコードするポリヌクレオチドである。
【0267】
本発明のもう1つの態様は、合成内皮細胞特異的プロモーターに連結したリガンドまた
はポリリガンドをコードするポリヌクレオチドである。
【0268】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述される組織特異的プロモーターをコ
ードするポリヌクレオチドである。
【0269】
本発明のもう1つの態様は、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、置換、挿入、切断、ま
たはその組み合わせを含むように改変されている本明細書において記述される組織特異的
プロモーターをコードするポリヌクレオチドである。
【0270】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述される組織特異的プロモーターと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一である組織特異的プロモーターをコードするポリヌクレオチドである。
【0271】
本発明のもう1つの態様は、SEQ ID NO:132〜139において示されるポリヌクレオチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であるポリヌクレオチドである。
【0272】
ポリリガンドは天然においてモジュール型である。本発明の1つの局面は、開示された
ポリリガンドの複合モジュール性である。本発明のもう1つの局面は、これらのモジュー
ル型リガンドを容易にかつ簡便に作出する方法である。この点において、本発明の態様は
、遺伝子発現成分のモジュール型クローニング法を含む。リガンド、ホモポリリガンド、
ヘテロポリリガンドおよび任意でアミノ酸発現成分が組み換えによって合成される場合、
各々のクローニング可能なエレメントをモジュールとして見なすことができる。クローニ
ングの速度および簡便さのために、付着末端に適合性であって、連続的に挿入およびクロ
ーニングすることが容易であるモジュールエレメントを作出することが望ましい。これは
、制限エンドヌクレアーゼ部位認識および切断に関する天然の特性を利用することによっ
て成就される。本発明の1つの局面は、モジュールの一端で制限酵素消化のために1回利用
され、他の端部で望ましければ何回も制限酵素消化のために利用されるモジュール型隣接
配列を包含する。言い換えれば、モジュールの1つの端部での制限部位は、モジュールエ
レメントの連続的クローニングを行うために利用されて破壊される。コード領域モジュー
ルに隣接する制限部位の例は、制限酵素NgoM IVおよびCla I;またはXma IおよびCla Iに
よって認識される配列である。第一の環状DNAをNgoM IVおよびCla Iによって切断して5'
NgoM IV突出末端および3' ClaI突出末端を有する直線状DNAを生じる段階;ならびに第二
の環状DNAをXma IおよびCla Iによって切断して5' Cla I突出末端および3' Xma I突出末
端とを有する直線状のDNAを生じる段階によって、適合性の付着末端を有する第一および
第二のDNA断片が生成される。これらの第一および第二のDNA断片を共に混合して、アニー
リングし、およびライゲーションすると、第三の環状DNA断片を形成して、第一のDNAに存
在したNgoM IV部位および第二のDNAに存在したXma I部位は、第三の環状DNAにおいて破壊
される。このDNAの痕跡領域はさらなるXma IまたはNgoM IV消化から保護されるが、第三
の環状DNAにおいて残っている隣接配列はなおも無傷の5' NgoM IVおよび3' Cla I部位を
含有する。このプロセスを多数回繰り返すと、方向性の、連続性の、モジュール性のクロ
ーニング事象を達成することができる。NgoM IV、Xma I、およびCla Iエンドヌクレアー
ゼによって認識される制限部位は、隣接配列として用いられる場合に連続的なクローニン
グを許容する一群の部位である。
【0273】
コード領域モジュールを方向性におよび連続的にアセンブルするもう1つの方法は、環
状DNAのほかに直線状DNAを使用する。たとえば、上記の連続的クローニングプロセスと同
様に、コード領域モジュールに隣接する制限部位は、制限酵素NgoM IVおよびCla I、また
はXma IおよびCla Iによって認識される配列である。第一の環状DNAをNgoM IVおよびCla
Iによって切断すると、5' NgoM IV突出末端および3' Cla I突出末端を有する直線状DNAを
生じる。第二の直線状の二本鎖DNAは、PCR増幅によってまたは相補的オリゴヌクレオチド
を合成してアニーリングすることによって生成される。第二の環状DNAは5' Cla I突出末
端および3' Xma I突出末端を有し、それらは第一の直線状DNAと適合性の付着末端を有す
る。これらの第一および第二のDNA断片を共に混合して、アニーリングして、およびライ
ゲーションすると、第三の環状DNA断片が形成されて、第一のDNAに存在したNgoM IV部位
および第二のDNAに存在したXma I部位は、第三の環状DNAにおいて破壊される。第三の環
状DNAにおいて残っている隣接配列はなおも、無傷の5' NgoM IVおよび3' Cla I部位を含
有する。このプロセスを多数回繰り返すと、方向性の、連続性のモジュール性のクローニ
ング事象を達成することができる。NgoM IV、Xma IおよびCla Iエンドヌクレアーゼによ
って認識される制限部位は、隣接配列として用いられた場合に連続的クローニングを許容
する一群の部位である。このプロセスを図8に描写する。
【0274】
当業者は、他の制限部位群が、本明細書において記述される連続的な、方向性のクロー
ニングを達成できることを認識する。制限エンドヌクレアーゼ選択にとって好ましい基準
は、適合性の付着末端を生じるが、その部位が互いとのライゲーションによって破壊され
るエンドヌクレアーゼの対を選択することである。もう1つの基準は、最初の2つのいずれ
かと適合性である平滑末端を生成しない第三のエンドヌクレアーゼ部位を選択することで
ある。そのような基準を、連続的で方向性のクローニングのためのシステムとして利用す
る場合、リガンド、ポリリガンドおよび他のコード領域または発現成分は、望ましいよう
に組み合わせてアセンブルされうる。同じ連続的プロセスをエピトープ、レポーター、デ
グロン、および/または局在化シグナルのために利用することができる。
【0275】
PAI-1活性をモジュレートするポリリガンドおよびポリリガンドを作出する方法を開示
する。治療法には、局在化シグナルを伴うかまたは伴わない精製リガンドまたはポリリガ
ンドを細胞に送達する段階が含まれる。または、局在化シグナルを伴うかまたは伴わない
精製リガンドまたはポリリガンドは、細胞においてタンパク質産物の発現を提供する、ア
デノウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、または他のウイルスもしくはレト
ロウイルス構築物を使用する構築物などのウイルスまたはレトロウイルス構築物によって
送達される。
【0276】
PAI-1リガンドまたはポリリガンド、PAI-1リガンドおよびポリリガンドをコードする核
酸、ならびにPAI-1リガンドおよびポリリガンドをコードする核酸を含有するベクターを
用いて、線維症状態を有する被験体または線維症発症のリスクを有する被験体を処置する
ことができる。被験体は、天然に存在する線維症状態、または手術によって誘導された、
化学物質によって誘導された、遺伝的に誘導された、もしくは他の実験的に誘導された線
維症状態を有する動物であってもよい。線維症状態は、化学物質曝露、食餌の操作、遺伝
的操作、肥満、または自然成熟によって誘導される糖尿病または高血糖症に起因してもよ
い。線維症状態はまた、高血圧症、虚血、壊死、免疫媒介損傷、タバコの煙の曝露、化学
物質曝露、繊維の曝露、ウイルスもしくは細菌感染症、または特発的原因に起因してもよ
い。PAI-1リガンドまたはポリリガンド、PAI-1リガンドおよびポリリガンドをコードする
核酸、ならびにPAI-1リガンドおよびポリリガンドをコードする核酸を含有するベクター
は、線維症、ならびに心臓、血液、腎臓、肝臓、肺、および卵巣における他のPAI-1関連
障害を処置するために用いられうる。PAI-1リガンドまたはポリリガンド、PAI-1リガンド
およびポリリガンドをコードする核酸、ならびにPAI-1リガンドおよびポリリガンドをコ
ードする核酸を含有するベクターはまた、PAI-1が発現される様々な癌を処置するために
有用である可能性がある。
【0277】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述される心血管組織にリガンドまたは
ポリリガンドをコードするポリヌクレオチドを移入するための方法である。
【0278】
本発明のもう1つの態様は、以下の1つを含む、リガンドまたはポリリガンドをコードす
るポリヌクレオチドを心血管組織に移入するための方法である:アデノウイルスの局所注
入、単球のエクスビボ形質導入、または大動脈への直接注入。
【0279】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述される不安定プラークの形成におけ
るPAI-1の機能を査定するための方法である。
【0280】
本発明のもう1つの態様は、インスリン耐性マウスモデルを開発する段階を含む、不安
定プラークの形成におけるPAI-1の機能を査定するための方法である。
【0281】
本発明のもう1つの態様は、本明細書において記述されるリガンドまたはポリリガンド
の空間的または時間的制御を達成する方法である。
【0282】
本発明のもう1つの態様は、リガンドまたはポリリガンドを組織特異的プロモーターに
連結させる段階を含む、リガンドまたはポリリガンドの空間的制御を達成する方法である

【0283】
本発明のもう1つの態様は、リガンドまたはポリリガンドを局在化テザーに連結させる
段階を含む、リガンドまたはポリリガンドの空間的制御を達成する方法である。
【0284】
本発明のもう1つの態様は、リガンドまたはポリリガンドを誘導型遺伝子スイッチに連
結させる段階を含む、リガンドまたはポリリガンドの時間的制御を達成する方法である。
【0285】
本発明のもう1つの態様は、以下の段階を含む、心血管疾患を処置、予防、または改善
するための方法である:
a)心血管疾患を有するまたは心血管疾患を発症するリスクを有する被験体を同定する
段階;および
b)被験体にPAI-1リガンドまたはポリリガンドを投与する段階。
【0286】
本発明のもう1つの態様は、以下の段階を含む、線維症状態を処置、予防、または改善
するための方法である:
a)線維症状態を有するまたは線維症状態を発症するリスクを有する被験体を同定する
段階;および
b)被験体にPAI-1リガンドまたはポリリガンドを投与する段階。
【0287】
精製PAI-1リガンドは、経口もしくは非経口投与、局所投与のために、または錠剤、カ
プセル剤、もしくは液体剤形で、鼻腔内もしくは吸入エアロゾル、皮下、筋肉内、腹腔内
、もしくは他の注射のために;静脈内注入のために;または他の任意の投与経路のために
製剤化されうる。さらに、リガンドをコードするヌクレオチド配列は、細胞において遺伝
子産物を送達および発現するように設計されたベクターに組み込まれることができる。そ
のようなベクターには、プラスミド、コスミド、人工染色体、および改変ウイルスが含ま
れる。真核細胞への送達はインビボまたはエクスビボで成就されうる。エクスビボ送達法
には、意図されるレシピエント細胞またはドナー細胞の単離、およびそれらの細胞へのベ
クターの送達後に細胞によるレシピエントの処置が含まれる。
【0288】
本発明のもう1つの局面は、以下の段階を含む、アテローム性動脈硬化症を処置または
予防するための方法である:
a)血管損傷を有するまたは血管損傷のリスクを有する被験体を同定する段階;
b)被験体から単球を単離する段階;
c)プロモーターに連結された線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータをコードす
る少なくとも1つのポリヌクレオチドを単球に導入して、改変細胞を産生する段階;およ

d)被験体に改変細胞を導入する段階。
【0289】
本発明のもう1つの態様は、プロモーターに連結した線維素溶解経路のポリペプチドモ
ジュレータコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを被験体の単球に導入して、改
変細胞を産生する段階を含む、被験体に線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータを送
達するための改変細胞を調製する方法に関する。
【0290】
本発明の1つの態様において、プロモーターは誘導型プロモーターである。本発明のも
う1つの態様において、プロモーターはマクロファージ特異的プロモーターである。本発
明のもう1つの態様において、プロモーターは泡沫細胞特異的プロモーターである。
【0291】
本発明は、内皮および/または血管平滑筋細胞への薬物コーティングステントのカテー
テルに基づく送達またはバルーン血管形成術媒介ウイルス送達の使用などのアテローム性
動脈硬化症の処置のための現行の局所送達法に対していくつかの利点を提供する。デバイ
ス媒介送達アプローチに関連する難しさに加えて、血管細胞タイプは、形質導入が難しい
細胞であり、不良なトランスジーン発現を示すので、これらの細胞に対するトランスジー
ンの局所送達は非常に難しい。ゆえに、これらの方法は、多様な程度の有効性を有する。
本発明は、血管損傷領域に帰巣する循環中の細胞タイプである単球を利用して、それによ
ってタンパク質に基づく治療法のデバイス媒介局所送達の必要性をなくす。単球は、血管
損傷部位でマクロファージに分化する。マクロファージはアテロームの局所環境に入ると
、さらに泡沫細胞へと分化する。
【0292】
マクロファージは、アテローム性動脈硬化症発症のほとんどの相に関与している。ゆえ
に、それらは、線維素溶解経路のモジュレータを発現する、トランスジーンのアテローム
性動脈硬化症病変部への局所送達にとって有用な細胞タイプとして現れる。これらの病変
は血管全体に起こりうる。線維素溶解経路はアテローム性動脈硬化症の発症および進行に
おいて重要な役割を果たすことが示されているが、同様に止血作用においても重要な役割
を果たす。ゆえに、本発明は、全身送達によっておそらく引き起こされうる制御されない
出血などの有害事象を予防するために、この経路のモジュレータの空間的時間的制御を企
図する。本発明の1つの態様において、時間的制御は、誘導型遺伝子スイッチを用いるこ
とを通して達成される。
【0293】
たとえば、本発明のもう1つの局面は、以下の段階を含む、アテローム性動脈硬化症を
処置または予防するための方法である:
a)血管損傷を有するまたは血管損傷のリスクを有する被験体を同定する段階;
b)被験体から単球を単離する段階;
c)単球に、(1)化学リガンド依存的転写因子をコードする少なくとも1つの転写因子
配列を含む遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチド、および(2)化学リガンド依
存的転写因子によって活性化されるプロモーターに連結した線維素溶解経路のポリペプチ
ドモジュレータをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを導入して、改変細胞を
産生する段階;
d)改変細胞を被験体に導入する段階;ならびに
e)プロモーターを活性化するために被験体に化学リガンドを導入する段階。
【0294】
本発明のもう1つの態様は、被験体の単球に、(a)化学リガンド依存的転写因子をコー
ドする少なくとも1つの転写因子配列を含む遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチ
ド、および(b)化学リガンド依存的転写因子によって活性化されるプロモーターに連結
した線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータをコードする少なくとも1つのポリヌク
レオチドを導入して、改変細胞を産生する段階を含む、被験体に線維素溶解経路のポリペ
プチドモジュレータを送達するために改変細胞を調製する方法に関する。
【0295】
1つの態様において、線維素溶解経路のモジュレータは、本明細書において記述されるP
AI-1リガンドまたはポリリガンドである。しかし、アテローム性動脈硬化症を処置または
予防するための方法は、本明細書において記述されるPAI-1リガンドまたはポリリガンド
に限定されず、線維素溶解経路の任意のポリペプチドモジュレータを使用してもよい。例
として、本発明の方法において有用な線維素溶解経路のモジュレータには、他のポリペプ
チドPAI-1阻害因子;米国特許第5,830,849号において開示される活性化因子などの天然の
プラスミノーゲン活性化因子;第5,866,413号において記述される活性化因子などの変異
体プラスミノーゲン活性化因子;または米国特許第5,039,791号において開示される断片
などのプラスミノーゲン活性化因子断片が含まれてもよい。
【0296】
本発明はまた、トランスジーン発現をマクロファージに制限するよう誘導型遺伝子スイ
ッチを制御するためにマクロファージ特異的調節エレメントを用いることを企図する。こ
のようにして、発現がアテローム内のマクロファージおよび/またはマクロファージ由来
細胞に限定されるように、トランスジーン発現の空間的および時間的制御の双方を達成す
ることができる。マクロファージ特異的調節エレメントは、特殊な細胞タイプにおいて、
化学物質を添加すると、線維素溶解経路のモジュレータの発現を調節することができる誘
導型遺伝子スイッチシステムにおいて利用される。遺伝子発現プログラムは、単球などの
マクロファージ前駆細胞にエクスビボで形質導入されて、アテローム性動脈硬化症を処置
するために体に再導入される。本発明にとって有用なマクロファージ特異的調節エレメン
トの例は、Gough, P. J. and E. W. Raines, Blood 101(2): 485-91 (2003)において記述
されるマクロファージ拘束CD68遺伝子からの調節エレメントである。
【0297】
たとえば、本発明のもう1つの局面は、以下の段階を含む、アテローム性動脈硬化症を
処置または予防するための方法である:
a)血管損傷を有する、または血管損傷のリスクを有する被験体を同定する段階;
b)被験体から単球を単離する段階;
c)単球に、(1)少なくとも1つの転写因子配列が化学リガンド依存的転写因子をコー
ドする、マクロファージ特異的調節エレメントに連結された少なくとも1つの転写因子配
列を含む遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチド、および(2)化学リガンド依存
的転写因子によって活性化されるプロモーターに連結した線維素溶解経路のポリペプチド
モジュレータをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを導入して、改変細胞を産
生する段階;
d)被験体に改変細胞を導入する段階;ならびに
e)プロモーターを活性化するために被験体に化学リガンドを導入する段階。
【0298】
さらに、本発明のもう1つの態様は、被験体の単球に、(a)少なくとも1つの転写因子
配列が化学リガンド依存的転写因子をコードする、マクロファージ特異的調節エレメント
に連結された少なくとも1つの転写因子配列を含む遺伝子スイッチをコードするポリヌク
レオチド、および(b)化学リガンド依存的転写因子によって活性化されるプロモーター
に連結した線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータをコードする少なくとも1つのポ
リヌクレオチドを導入して、改変細胞を産生する段階を含む、被験体にポリペプチドリガ
ンドまたはポリリガンドを送達するための改変細胞を調製する方法に関する。
【0299】
他の態様において、アポリポタンパク質などの他の治療タンパク質をコードする追加の
ポリヌクレオチドが、単球に導入される。
【0300】
本発明は、他のマクロファージ集団を標的とすることを通して他の組織における線維症
に関係する他の疾患の処置を企図する。たとえば、肺胞マクロファージなどの他の固定マ
クロファージを、特異的プロモーターまたは肺線維症の可能性がある処置のために線維素
溶解モジュレータの発現を指示する他の手段を通して、標的化することができる。本発明
の範囲内に入る他の固定マクロファージおよびその組織内での位置には、結合組織におけ
る組織球、肝臓におけるクップファー細胞、神経組織内の小膠細胞、肉芽腫内の上皮細胞
、骨内の破骨細胞、脾臓内の洞様毛細血管の内側に並ぶ細胞、および腎臓内のメサンギウ
ム細胞が含まれる。本発明は、線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータの標的化発現
を通してこれらのおよび他のマクロファージサブタイプを伴う任意の線維症状態の処置を
企図する。
【0301】
本発明のもう1つの局面は、以下の段階を含む、固定マクロファージを伴う線維症状態
を処置、予防、または改善するための方法である:
a)線維症状態を有する被験体を同定する段階;
b)被験体から単球を単離する段階;
c)固定マクロファージ集団に特異的な調節エレメントに連結された線維素溶解経路の
ポリペプチドモジュレータをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを単球に導入
して、改変細胞を産生する段階;および
d)被験体に改変細胞を導入する段階。
【0302】
本発明はまた、米国特許第6,875,612号において記述されるベクターなどの単球特異的
ベクターを用いることを通して、単球起源の細胞に対する線維素溶解経路のポリペプチド
モジュレータを標的化発現するためのインビボアプローチも企図する。
【0303】
方法
転帰:心血管組織における線維素溶解活性のモジュレーションの成功を証明する、イン
ビトロおよびインビボ実験の双方から得られた集合的データは、疾患を有する心血管組織
における局在PAI-1阻害の治療有効性を証明するであろう。II型糖尿病患者におけるPAI-1
デコイの発生の臨床的重要性は、不安定なアテローム性動脈硬化症プラークの形成を減少
させることであろう。
【0304】
目的:標的となる目標は、疾患を有する血管の細胞外面の膜および/または細胞外環境
に標的化されるPAI-1デコイの誘導型、組織特異的発現を有するアデノウイルス遺伝子治
療法を開発することである。この治療法を構成する個々の成分を以下に記述する。
【0305】
個々の成分−PAI-1デコイ:プラスミノーゲン活性化因子阻害因子-1(PAI1)は、線維
素溶解の調節に関係するセリンプロテアーゼ阻害因子(セルピン)である。この標的は、
組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)およびウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因
子(uPA)である。PAI1は、自殺阻害反応においてその標的にごく非常に遅く切断する中
間状態で共有結合して結合する(複合体の正常なクリアランス前ではない)。PAI1は単独
で溶液中で2時間未満の短い半減期を保有する。これは非機能的である潜在型へのコンフ
ォメーションのシフトを自然に受ける。PAI1とビトロネクチンとの会合は、分子の生存寿
命を大きく増加させることができるのみならず、ビトロネクチンが他のECMタンパク質に
関する結合ドメインを保有することから、細胞外マトリクス(ECM)における特定の位置
にこれを標的化することができる。設計されたデコイはPAI-1を阻害するための多数の戦
略を組み合わせて、かつこれには、分子の隔離、コンフォメーションシフトを引き起こす
ペプチドによるダウンレギュレーション、および分子のタンパク質分解が含まれる。
【0306】
PAI-1デコイの空間的および時間的制御:組織および細胞レベルの双方でPAI-1デコイが
正しく空間的に局在することは、PAI-1デコイの有効性を最大限にして毒性を最小限にす
るために必要である。組織レベルで、これは、PAI-1デコイ発現を制御する組織特異的プ
ロモーターを用いることによって達成されるであろう。一方、細胞レベルでは、これはPA
I-1デコイに融合された局在化テザーを利用することによって達成されるであろう。
【0307】
組織特異的プロモーター:PAI-1デコイの発現を標的臓器に限定するために、血管平滑
筋細胞および内皮細胞が含まれる特異的血管細胞タイプに対してトランスジーンの発現を
指示するように組織特異的プロモーターが設計されている。時間的制御は、バリデーショ
ンされた組織特異的プロモーターを用いる誘導型発現に関するRheoSwitch技術を用いて操
作されるであろう。
【0308】
局在化テザー:細胞レベルでの空間的制御のために、PAI-1デコイと融合させた場合に
、治療的恩恵のために正しい位置にそれを輸送する局在化テザーが設計されている。アテ
ローム性動脈硬化症プラークにとって最も有益である転帰を達成するために、治療的デコ
イ送達の何らかのインビボ最適化が必要である可能性がある。たとえば、遺伝子治療によ
って標的とされる細胞は、治療デコイの濃度勾配が浅く広い場合、おそらく何らかのかす
かな内分泌効果しか生じないほど遠くに広く拡散する場合、最善の効果を生じる可能性が
ある(クラス2)。一方、トランスフェクトした細胞表面に主に存在するように、デコイ
の濃度勾配を制限することが望ましい可能性があり、このアプローチははるかにより小さ
い領域に治療域を限定するであろう(クラス1)。この概要の主題であるクラス3は、「真
ん中のコースをとる」ことを試みており、損傷治癒が進行中である状態(すなわち、タン
パク質分解環境)下でデコイのパラクライン拡散を可能にする。
【0309】
範囲:前臨床試験において用いるための遺伝子治療薬を開発するためにこれらの個々の
成分の組み込みの成功に加えて、バリデーションされたデコイ、loc、およびプロモータ
ー成分の開発。これらの実験の成功裏な完遂は、PAI-1の局所阻害による線維素溶解のモ
ジュレーションが、代謝疾患モデルにおいて、血管における不安定なアテローム性動脈硬
化症プラーク形成を低減させることを証明するであろう。
【0310】
前臨床モデル:アテローム性動脈硬化症発症を伴うインスリン耐性の前臨床マウスモデ
ルを用いて、不安定プラークの形成におけるPAI-1の機能を査定する。マウスにおける遺
伝子移入技術は、標的組織に対する遺伝子送達において用いるために評価されるであろう

【0311】
インスリン耐性マウスモデル−マウスモデル開発のための包括的プラン:実験1)10週
齢の、FFA、トリグリセリド、およびインスリンのアッセイによってインスリン耐性を確
認したインスリン耐性マウス(IRS1+/- ApoE-/-およびIRS2+/- ApoE-/-)および対照(C5
7BL6)非インスリン耐性マウス、およびインスリン耐性PAI-1欠損マウス(IRS1+/- ApoE-
/- PAI-1+/-およびIRS2+/- ApoE-/- PAI-1+/-)におけるアテローム性動脈硬化症および
心筋梗塞の誘導;動物が12週齢および16週齢の際の収縮期および拡張期機能を査定するた
めの高分解能超音波心検査(interrogation)の実施;ならびに10週齢で冠動脈閉塞に供
した16週齢のマウスの心臓の左心室における梗塞の大きさ、線維症の程度、ならびにPAI-
1の量および局在の査定;2)多様な系統のマウスにおける梗塞の大きさに関して標準化し
た線維症の程度と左心室機能の同時障害とのあいだの関係の描写;3)PAI-1欠損動物と、
そうでなければPAI-1を過剰発現するインスリン耐性動物との交雑を行い、先の1および2
において記述された実験と同じ実験を行うことによる、冠動脈閉塞および梗塞誘導後の心
線維症の生成におけるPAI-1の潜在的な役割の除去;ならびに4)細胞撮像技術による大動
脈アテローム性動脈硬化症プラークの特徴付け。
【0312】
心血管組織の遺伝子移入:血管組織の遺伝子形質導入において多数の研究が試みられて
いるが、理想的なベクターおよび投与経路はいずれも臨床的遺伝子治療に関して定義され
ていない。全身送達によって、アデノウイルスの急速な消失および肝臓における付着/感
染症が起こるであろう。心血管組織の局所形質導入が報告されている。心筋細胞は、アデ
ノウイルスによって容易に形質導入されるが、内皮細胞(EC)および血管平滑筋細胞(VS
MC)は形質導入されない。VSMCは、血清型2および5のアデノウイルスによって媒介される
遺伝子移入に対してたいてい抵抗性である。これはウイルス侵入が不良であること、およ
び従来の遍在性プロモーターからのトランスジーンそのものの転写が非効率であることが
原因である。ウイルス侵入の低減は、SMCの表面上でのコクサッキーアデノウイルス受容
体(CAR)の発現が限られていること、それによって同じ用量を感染させた上皮細胞にお
いて達成されたレベルより顕著に低い形質導入レベルが起こることによってほぼ説明され
る[(Beck, Uramoto et al. 2004)、添付の記事を参照されたい]。
【0313】
アデノウイルスの局所注入:1つ薦められるのは、心臓の先端部を通して左心室内腔に
対する心室内注入を行うことである。この技法によって、大動脈内皮においてトランスジ
ーンの発現が起こることが示されている(Juan, Lee et al. 2001)。VSMC発現はこの方
法を用いて認められなかったが、これはトランスジーンの非効率な転写による可能性があ
る。CMV媒介トランスジーン発現は、VSMCにおいて非効率であり、ゆえに、VSMC特異的プ
ロモーターを含めると、インビボで発現の増加が起こることが示されている(Akyurek, Y
ang et al. 2000;Akyurek, Nallamshetty et al. 2001;Appleby, Kingston et al. 200
3)。ゆえに、高力価のウイルスと組み合わせた強いVSMCプロモーターを用いることによ
って、この技術を用いてVSMCの発現が得られるであろう。加えて、注入時に出口の血管を
クランプで止めることによって、標的細胞に対するウイルスの曝露を増加させることが可
能となるであろう。これによってまた、冠動脈を通して心臓の灌流が起こるであろう(Ro
th, Lai et al. 2004)。
【0314】
要約−アデノウイルスの局所注入:この戦略は、心筋細胞および内皮細胞のインビボ遺
伝子移入にとって適切である。しかし、文献において報告された知見に基づくと、EC障壁
および低い形質導入効率によりVSMCにおいて強い発現が起こる可能性は低い。
【0315】
単球のエクスビボ形質導入:他に薦められるのは、エクスビボアプローチを用いること
である。マクロファージは、アテローム性動脈硬化症発症の全ての相において、血管壁の
中で機能する。単球は、血管損傷部位に動員されて接着し、マクロファージへと分化する
。加えて、単球はまた、高い生合成能を有する(Beck, Uramoto et al. 2004)。骨髄細
胞は、エクスビボ遺伝子送達アプローチのために単離され、形質導入され、かつ動物に戻
されることが容易に可能である。
【0316】
このアプローチは、アテローム性動脈硬化症領域に治療遺伝子を送達するために既に用
いられている。このアプローチのほとんどの例において、逆コレステロール輸送を促進す
るためにApoEの発現が用いられた(Hasty, Linton et al. 1999;Van Eck, Herijgers et
al. 2000;Ishiguro, Yoshida et al. 2001;Juan, Lee et al. 2001;Yoshida, Hasty
et al. 2001;Gough and Raines 2003)。加えて、単球由来マクロファージは、MIに対す
る炎症応答に関与する。ゆえに、このアプローチは、梗塞におけるPAI-1活性を減少させ
るためにMIモデルにおいて用いられうるであろう。
【0317】
要約−単球のエクスビボ形質導入:このアプローチの主な欠点は、単球がAd5血清型に
対して耐性である点である(Burke, Sumner et al. 2002;Burke 2003)。Ad11pおよびAd
35血清型のみならずレンチウイルスおよびレトロウイルスベクターは、単球などの骨髄細
胞タイプが含まれる造血細胞タイプに容易に感染する(Segerman, Lindman et al. 2006
)。
【0318】
大動脈への直接注入:もう1つのアプローチは、プラーク領域における上行大動脈への
直接動脈内注入を行うことである。これは、心筋への遺伝子移入のために用いられる一般
的なアプローチであるが、大動脈に対するこの遺伝子移入アプローチの実行可能性は不明
である。
【0319】
全要約−心血管組織への遺伝子移入:報告されている様々な遺伝子移入戦略の査定に基
づき、肺動脈および大動脈を交叉してクランプで止めながらの左心室内腔への注入による
、形質導入単球または冠動脈内送達はいずれも、多数の心血管細胞タイプにとって実現可
能な遺伝子移入アプローチを提供するであろう。
【0320】
実験の枠組み
デコイ−プロジェクト1
1.PAI-1作製のためのHepG2細胞を用いたインビトロバリデーション
a.抗原
b.活性
2.PAI-1作製のためのVSMCを用いたインビトロバリデーション
a.抗原
b.活性
3.VSMC遊走アッセイを用いたインビトロバリデーション
a.ヒトVSMC
b.マウスVSMC
【0321】
局在化テザー−プロジェクト2
1.VSMCを用いるインビトロバリデーション
a.培地中の抗原対細胞(膜)溶解物
b.蛍光顕微鏡による位置特定
2.ECを用いるインビトロバリデーション
a.培地中の抗原対細胞(膜)溶解物
b.蛍光顕微鏡による位置特定
3.インビトロバリデーション単球/マクロファージ細胞
a.培地中の抗原対細胞(膜)溶解物
b.蛍光顕微鏡による位置特定
【0322】
プロモーター−プロジェクト3
4.VSMCを用いるインビトロバリデーション
a.VSMCおよび非VSMCにおけるレポーター活性
b.VSMCおよび非VSMCにおける誘導型レポーター活性
5.ECを用いるインビトロバリデーション
a.ECおよび非ECにおけるレポーター活性
b.ECおよび非ECにおける誘導型レポーター活性
6.インビトロバリデーション単球/マクロファージ細胞
a.単球/マクロファージ細胞および非単球/マクロファージ細胞型におけるレポータ
ー活性
b.単球/マクロファージ細胞および非単球/マクロファージ細胞型における誘導型レ
ポーター活性
【0323】
局在デコイ−プロジェクト4
1.形質導入VSMCのインビトロバリデーション(発現および局在アッセイ)
2.形質導入ECのインビトロバリデーション(発現および局在アッセイ)
3.形質導入VSMC遊走アッセイを用いるインビトロバリデーション
a.ヒトVSMC
b.マウスVSMC
4.形質導入単球/マクロファージ細胞のインビトロバリデーション(発現および局在ア
ッセイ)
【0324】
レポーターの誘導型/組織特異的発現を有するウイルス−プロジェクト5
1.インビトロバリデーションVSMC
2.インビトロバリデーションEC
3.インビトロバリデーション単球/マクロファージ細胞
【0325】
ウイルス遺伝子治療法−プロジェクト6
1.VSMCを用いるインビトロバリデーション(発現および局在アッセイ)
2.形質導入ECのインビトロバリデーション(発現および局在アッセイ)
3.形質導入VSMC遊走アッセイを用いるインビトロバリデーション
a.ヒトVSMC
b.マウスVSMC
4.形質導入単球/マクロファージ細胞のインビトロバリデーション(発現局在アッセイ

【0326】
インビトロデータのコンパイルされた報告−プロジェクト7
1.プロジェクト1〜6からコンパイルされたデータ
【0327】
前臨床モデル−プロジェクト8
1.PAI-1欠損を有するまたは有しないインスリン耐性(IR)マウスにおけるアテローム性
動脈硬化症の誘導
2.PAI-1ヌル、インスリン耐性(IR)マウスにおける大動脈アテローム性動脈硬化症プラ
ークの特徴付け
3.遺伝子移入モデルのバリデーション
a.エクスビボ形質導入単球
b.出口血管の遮断を伴うまたは伴わない心筋内注射
c.大動脈への直接注射
【実施例】
【0328】
実施例
実施例:PAI-1デコイおよび阻害戦略
PAI-1デコイに関する例示的な阻害機序を図16に描写する。
【0329】
ほとんどあらゆる場合において、以下の例示的なデコイ設計は、多数の阻害機序をカバ
ーする。各例示的なデコイ設計およびその阻害機序の模式図を図9に描写する。図9におい
て描写され、前述の実施例において記述されたデコイ設計は、本発明の例証となる態様と
して役立つと意図される。本発明は本明細書において記述される特定の態様に限定されな
いこと、ならびに広範囲の同等の設計および阻害戦略が本発明の範囲に入ることは、当業
者によって理解されるであろう。
【0330】
以下の例示的なPAI-1デコイの対応する配列番号に関しては「ポリペプチドおよびポリ
ヌクレオチド配列の説明」を参照されたい。
【0331】
PAI-1デコイ1〜3:天然のPAI1は、溶液中で2時間未満の短い半減期を保有する。これは
、非阻害性である潜在型へのコンフォメーションシフトを自然に受ける。プロテアーゼ切
断部位に直ちに近接する反応中心ループ(RCL)ペプチド(R346-M347)は、潜在型へのシ
フトの際にPAI1構造上で既存のb-シートの中への挿入を受ける。このRCL配列に基づくペ
プチドはPAI1プロテアーゼ阻害活性を遮断することができる。
【0332】
このPAI-1に基づいてデコイ1〜3は、分子を阻害するためにRCL配列を利用するであろう
。この配列に基づく組み換え型ペプチドは、PAI1作用に対して阻害性であることが示され
ており、天然のRCLと同じであるがより短時間の規模で作用する。個々の配列、多数の配
列、およびスペーサーによって離れた多数の配列(おそらくPAI1分子と多量体を形成する
ため)を評価する。配列は、天然のRCLペプチド作用を模倣するであろう。これらのDCYは
ほとんど確実に阻害するであろう−目標は、どのタイプの構築物が最も有効に阻害してお
そらく以下の他の設計と組み合わせるかを同定することである。
【0333】
PAI1-DCY-94-1:RCLペプチドの4つのタンデムリピートが、正常なPAI1自殺反応を阻害
するために用いられるであろう。このDCYを、相対的効率に関してPAI1-DCY-94-2およびPA
I1-DCY-94-3と比較することができる。
【0334】
PAI1-DCY-94-2:1つのRCLが、正常なPAI1自殺反応を阻害するために用いられるであろ
う。このDCYを、相対的効率に関してPAI1-DCY-94-1およびPAI1-DCY-94-3と比較すること
ができる。
【0335】
PAI1-DCY-94-3:多数のPAI1分子との相互作用を増強するためにスペーサーによって離
れたRCLペプチドの4つのタンデムリピートが、正常なPAI1自殺反応を阻害するために用い
られるであろう。このDCYを相対的効率に関してPAI1-DCY-94-1およびPAI1-DCY-94-2と比
較することができる。
【0336】
PAI-1デコイ4および5:いくつかのセリンプロテアーゼ(たとえば、tPA、uPA、トロン
ビン)のいずれかに結合すると、PAI1は、切断の際に劇的なコンフォメーションシフトを
受けて、それによって自殺阻害反応が起こる。実験的証拠は、構造におけるこの再構成が
阻害機序の重要な一部であることを示している。切断反応が終了するまで進行することが
できるようにこのコンフォメーションシフトを遅らせることによって、PAI1は単なる正常
な基質へと変化するであろう。活性なPAI1構造に障害を受けている反応中心ループ(RCL
)ペプチドは、β-シートの中に挿入する。
【0337】
PAI-1デコイ4および5は、1)RCLのPAI1構造への挿入を遅らせて、PAI1をセリンプロテ
アーゼ標的によって自然に切断させるために、または2)立体障害を通してプロテアーゼ
標的に対する結合を完全に防止するために、2つの可能性がある目標のいずれかを考慮し
て、活性なpAI1のRCLと相互作用しようと試みる。RCLペプチドはPAI1においてβ-シート
と相互作用する。このシートからの配列は本来のRCLに係合するように採用されている。
【0338】
PAI1-DCY-94-4:このDCYの目標は、引き続きシートに非依存的であるあいだにRCLを安
定化させて、切断反応を進行させることである。RCLが挿入するシートの一部を構成する
β鎖は、RCLペプチドの代わりの結合表面を提供するために用いられるであろう。PAI1に
由来する2つの逆平行β鎖は、RCLが挿入して結合する本来のβシートの一部を作製するた
めに用いられると考えられる。このDCYを構成する2つの鎖は、配列が連続しておらず、そ
のためβターンを形成する4つの残基は、それらを付着させて正しい二次構造を形成させ
るために用いられると考えられる。
【0339】
PAI1-DCY-94-5:このDCYの目標は、引き続きシートに非依存的であるあいだにRCLを安
定化させて、切断反応を進行させることである。RCLペプチドの実際の挿入は、PAI1構造
と平行に走る2つのβ鎖のあいだで起こる。これらの2つの鎖は、本来の構造の配列では連
続していないが、それらはPAI1におけるこのβシートの連続的メンバーである。
【0340】
ロイシンリッチリピート(LRR)は、細胞外マトリクスタンパク質デコリンおよびビグ
リカン、ならびにToll様受容体が含まれるいくつかのタンパク質において見いだされるモ
チーフである。モチーフはβ鎖からなるわずかに凹面の表面とらせんまたは半らせん構造
の凸面構造からなる。これらのモチーフの繰り返しスタッキングにより、凹面のシートを
形成する一連の平行なβ鎖を有するソレノイド構造を生成する。ロイシンは、配列の肝要
な部分にあり、外向きに面する残基に対して大きい多様性を許容する内部パッキングを提
供する。モチーフは、特に連続して繰り返される場合、安定である。Toll様受容体3エク
トドメイン由来のいくつかのLRRは、その中にRCLが挿入する本来のシート構造の一部を再
度作製するための足場として用いられるであろう。LRRは、平行な鎖のそのスタッキング
のために、PAI1βシート構造の一部を模倣するため理想的である。PAI1におけるシートの
大きさのために、シートはLRR足場における2つの区域において再度作製されるであろう。
【0341】
PAI-1デコイ6および7:カリクレイン2(hK2)は、前立腺において通常発現されるセリ
ンプロテアーゼであり、前立腺癌のマーカーとして有用である。これはP1切断部位におけ
るArgに対して強い特異性を示す。これは他のプロテアーゼと比較して高い効率でPAI1を
切断してその後不活化することができる。その特異性と組み合わせたこのタンパク質の発
現プロファイルから、カリクレイン2は、PAI1を実際に切断して不活化するDCYの良好な候
補物質である。PAI1が存在する領域に標的化されると、これはPAI1を切断することができ
、それによってPAI1を効率的に不活化するはずである。
【0342】
PAI-1デコイ6および7は、PAI1を消化するために、活性なプロテアーゼであるカリクレ
イン2(hK2)を用いる。hK2は、前立腺において通常見いだされるセリンプロテアーゼで
ある。これはその発現プロファイルが特異的であり、前立腺癌のマーカーとして用いられ
る。これはその基質が特異的であり、PAI1によって阻害されることに抵抗して特異的にPA
I1を消化することが示されている。これらの構築物の1つは、PAI1結合において重要であ
ることが示されている本来のtPA配列を模倣する荷電ループを保有する。
【0343】
PAI1-DCY-94-6:結合特異性を増強するために、カリクレイン2に対する可能性がある変
異を作出することができる。tPAに存在するループは、tPA-PAI1結合において重要である
いくつかの荷電残基を含有する。hK2における対応するループは、この配列にマッチング
しておそらくPAI1の結合特異性を増強するように変異させることができるであろう。
【0344】
PAI1-DCY-94-7:カリクレイン2(hK2)は、前立腺において通常発現されるセリンプロ
テアーゼであり、前立腺癌のマーカーとして有用である。これはP1切断部位におけるArg
に対して強い特異性を示す。これは他のプロテアーゼと比較して高い効率でPAI1を切断し
てその後不活化することができる。その配列特異性と組み合わせたこのタンパク質の発現
プロファイルから、カリクレイン2はPAI1を実際に切断してこれを不活化するDCYの良好な
候補物質である。
【0345】
組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)の表面上の陽性荷電ループは、PAI1結合にお
いて重要であることが示されている。これは、PAI1のRCLペプチド近傍の一連の酸性残基
と相互作用すると考えられている。この領域を採収して、hK2に存在するより短いループ
に交換する。この配列を加えると、より高い親和性の結合およびより効率的な切断が起こ
るであろう。
【0346】
PAI-1デコイ8〜12:プラスミノーゲン活性化因子阻害因子-1(PAI1)は、線維素溶解の
調節に関係するセリンプロテアーゼ阻害因子である。その標的は、組織プラスミノーゲン
活性化因子(tPA)およびウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)である。PAI1
は、自殺阻害反応においてその標的に結合して、非常に遅く切断する(複合体のクリアラ
ンス前ではない)アシル酵素中間体状態で共有結合する。PAI1は、溶液中で2時間未満の
短い半減期を保有する。これは、非機能的である潜在型へのコンフォメーションシフトを
自然に受ける。切断部位にすぐ近接する反応中心ループ(RCL)ペプチドは、PAI1構造に
おける既存のb-シートへ挿入する。このRCL配列に基づくペプチドはPAI1プロテアーゼ阻
害活性を遮断することができる。
【0347】
ビトロネクチンは、多数のECMパートナーに結合する細胞外マトリクス(ECM)である。
これは高い親和性でPAI1に結合して、その半減期を劇的に増加させて、tPA、uPA、および
他のセリンプロテアーゼと相互作用してこれを阻害させる。PAI1との相互作用は、ビトロ
ネクチンのソマトメジンB(SMB)ドメインを通して起こる。結合は特異的で高い親和性(
Kdおよそ1 nM)を有する。
【0348】
PAI-1デコイ8〜12は、PAI1とビトロネクチンの相互作用を利用して、これをRCL阻害ペ
プチドに結合させる。ビトロネクチンのソマトメジンB(SMB)ドメインは高い親和性でPA
I1に結合して、その有効半減期を大きく延長させることができる。いくつかの論文により
、この結合表面上のチロシンの変異が結合を完全に排除できることが示されている。しか
し本発明者らの目標は、結合を破壊することではなくて、少なくとも何らかの結合親和性
を保持しながらSMB結合の安定化効果を最小限にすることである。一連の保存的変異を作
出して結合表面を探索する。SMB変異をRCLペプチドと組み合わせると、これはDCYに対し
てかなりの阻害特性を与えるであろう。安定性を最小限にしながら結合を最大限にする構
築物は、それが本来のSMBドメインまたは変異体構造の1つであるか否かによらず見いださ
れるであろう。SMBの高親和性結合は、RCLペプチドを実際にPAI1に繋いで、より容易な相
互作用を促進するはずである。
【0349】
PAI1-DCY-94-8:DCYは高い親和性および特異性でPAI1結合を標的とするためにビトロネ
クチンのSMBドメインを用いるであろう。SMBドメインは、PAI1のRCLに基づく阻害性ペプ
チドの多数の反復配列に付着するであろう。最初のSMB結合によってペプチドは非常に近
位に近づき、b-シートへの挿入が起こりえて、それによって阻害およびSMBドメインの起
こりうる脱係合が起こりうる。RCLペプチドはおそらくシスまたはトランスのいずれにお
いても作用することができ、これらの多数の結合および阻害ドメインによって近傍のPAI1
分子に影響を及ぼすことができるであろう。
【0350】
PAI1-DCY-94-9:デコイは、高い親和性および特異性でPAI1結合を標的とするために、
ビトロネクチンのソマトメジンBドメインを用いるであろう。SMBドメインは、PAI1のRCL
に基づく阻害ペプチドの多数の反復配列に付着するであろう。最初のSMB結合によってペ
プチドは非常に近位に近づき、b-シートへの挿入が起こりえて、それによって阻害および
SMBドメインの起こりうる脱係合が起こりうる。RCLペプチドはおそらくシスまたはトラン
スのいずれかで作用することができ、これらの多数の結合および阻害ドメインによって近
傍のPAI1分子に影響を及ぼす。SMBドメインは変異されるであろう。変異はおそらくPAI1
に関するビトロネクチンの安定化効果を低減させるが、RCLペプチドを有効に標的とする
ために十分な親和性を維持するであろう。
【0351】
PAI1-DCY-94-10:デコイは、高い親和性および特異性でPAI1結合を標的とするためにビ
トロネクチンのソマトメジンBドメインを用いるであろう。SMBドメインは、PAI1のRCLに
基づく阻害ペプチドの多数の反復配列に付着するであろう。最初のSMB結合によってペプ
チドは非常に近位に近づき、b-シートへの挿入が起こりえて、それによって阻害およびSM
Bドメインの起こりうる脱係合が起こりうる。RCLペプチドはおそらくシスまたはトランス
のいずれかで作用することができ、これらの多数の結合および阻害ドメインによって近傍
のPAI1分子に影響を及ぼす。SMBドメインは変異されるであろう。変異はおそらくPAI1に
関するビトロネクチンの安定化効果を低減させるが、RCLペプチドを有効に標的とするた
めに十分な親和性を維持するであろう。いくつかの研究記事は、結合を破壊する変異、具
体的に結合界面でのTからAへの変異を証明している。本明細書における目標は、結合を消
失させることではなくて、PAI1に対するビトロネクチンの結合の二次的な安定化効果を可
能な限り多く消失させることである。
【0352】
PAI1-DCY-94-11:デコイは、高い親和性および特異性でPAI1結合を標的とするためにビ
トロネクチンのソマトメジンBドメインを用いるであろう。SMBドメインは、PAI1のRCLに
基づく阻害ペプチドの多数の反復配列に付着するであろう。最初のSMB結合によってペプ
チドは非常に近位に近づき、b-シートへの挿入が起こりえて、それによって阻害およびSM
Bドメインの起こりうる脱係合が起こりうる。RCLペプチドはおそらくシスまたはトランス
のいずれかで作用することができ、これらの多数の結合および阻害ドメインによって近傍
のPAI1分子に影響を及ぼす。SMBドメインは変異されるであろう。変異はおそらくPAI1に
関するビトロネクチンの安定化効果を低減させるが、RCLペプチドを有効に標的とするた
めに十分な親和性を維持するであろう。
【0353】
PAI1-DCY-94-12:デコイは、高い親和性および特異性でPAI1結合を標的とするためにビ
トロネクチンのソマトメジンBドメインを用いるであろう。SMBドメインは、PAI1のRCLに
基づく阻害ペプチドの多数の反復配列に付着するであろう。最初のSMB結合によりペプチ
ドは非常に近位に近づき、b-シートへの挿入が起こりえて、それによって阻害およびSMB
ドメインの起こりうる脱係合が起こりうる。RCLペプチドはおそらくシスまたはトランス
のいずれかで作用することができ、これらの多数の結合および阻害ドメインによって近傍
のPAI1分子に影響を及ぼす。SMBドメインは変異されるであろう。変異はおそらくPAI1に
関するビトロネクチンの安定化効果を低減させるが、RCLペプチドを有効に標的とするた
めに十分な親和性を維持するであろう。
【0354】
PAI-1デコイ13および14:ビトロネクチンは、多数のECMパートナーに結合する細胞外マ
トリクス(ECM)である。これは高い親和性でPAI1に結合して、その半減期を劇的に増加
させて、tPA、uPA、および他のセリンプロテアーゼと相互作用してこれらを阻害させる。
PAI1との相互作用は、ビトロネクチンのソマトメジンB(SMB)ドメインを通して起こる。
この結合は特異的で高い親和性を有する(Kdおよそ1 nM)。
【0355】
カリクレイン2(hK2)は、前立腺において通常発現されるセリンプロテアーゼであり、
前立腺癌のマーカーとして有用である。これはP1切断部位におけるArgに対して強い特異
性を示す。これは他のプロテアーゼと比較して高い効率でPAI1を切断してその後不活化す
ることができる。その配列特異性と組み合わせたこのタンパク質の発現プロファイルから
、カリクレイン2はPAI1を実際に切断してこれを不活化するであろうDCYの良好な候補物質
である。
【0356】
PAI-1デコイ13〜14はまた、PAI1に対する結合親和性を増加させるためにSMBドメインを
用いるが、この場合PAI1に結合してこれを隔離することができる不活性なプロテアーゼ、
またはPAI1を消化することができるカリクレイン2のいずれかと組み合わせられる。
【0357】
PAI1-DCY-94-13:ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)は、線維素溶解
経路の活性化のみならずその受容体を通してのシグナル伝達応答に関係するセリンプロテ
アーゼである。uPAはPAI1の標的である。酵素は、触媒ドメインのみを含有するように切
断され、触媒残基は活性を消失するように変異するであろう。この不活性な酵素は、ビト
ロネクチンのSMBドメインに付着してPAI1の結合プラットフォームを提供する。PAI1は、
他のセリンプロテアーゼと相互作用してそれらを阻害することから隔離されるであろう。
PAI1-DCY-94-7およびPAI1-DCY-94-14とは対照的に、このDCYは標的領域にいかなる新しい
酵素活性も導入しないであろう。
【0358】
PAI1-DCY-94-14:デコイは、高い親和性および特異性でPAI1結合を標的とするためにビ
トロネクチンのソマトメジンBドメインを用いるであろう。SMBドメインは、高い親和性お
よび特異性でPAI1を標的とするために、活性なカリクレイン2分子に付着してPAI1を切断
し、それによってPAI1を不活化するであろう。
【0359】
PAI-1デコイ15:ビトロネクチンは、多数のECMパートナーに結合する細胞外マトリクス
(ECM)である。これは高い親和性でPAI1に結合して、その半減期を劇的に増加させて、t
PA、uPA、および他のセリンプロテアーゼと相互作用してこれらを阻害させる。PAI1との
相互作用は、ビトロネクチンのソマトメジンB(SMB)ドメインを通して起こる。この結合
は特異的で高い親和性を有する(Kdおよそ1 nM)。
【0360】
PAI-1デコイ15は、SMBドメインにおける変異のさらなる組である。SMBの構造は、その
骨格に関してほぼ対称である。これはPAI1結合面と結合部位と反対側の面の双方に対して
ほぼ同一の方向を向くらせんおよびループを有する。5つの変異によってSMB分子上で第二
のPAI1結合部位を多くの点で再現することができる。後面でのらせんとループのあいだの
間隔は、本来の結合部位での間隔よりわずかに小さいが、らせん領域は、何らかの親和性
で第二のPAI1分子に結合するために十分な相互作用を提供する可能性がある。RCLペプチ
ドは、両者が実際に結合する場合に双方の結合したPAI1分子とおそらく相互作用するよう
に付着する。
【0361】
本来の結合部位とは反対側の面は、結合部位と類似の骨格を保有する。この面における
変異はPAI1結合部位を部分的に再生することができるであろう。SMBのPAI1結合面のほと
んどを再現するために、いくつかの変異の導入を行った。変異される残基のα炭素は、RM
S 0.99オングストロームで重なり合い、らせんドメインはα炭素上でRMS 0.49オングスト
ロームで重なり合う。
【0362】
これによって、おそらく向かい合わせてのPAI1分子の二量体化が起こるであろう。少な
くとも2つの可能性が存在する−分子からのRCLペプチドは互いに干渉しうる、PAI1阻害特
性に影響を及ぼす実質的な立体障害が存在しうる。PAI1の阻害を増強するために、PAI1に
結合してこれを阻害する外因性のRCLペプチドは、変異したSMBドメインに4量体反復配列
として付着するであろう。
【0363】
実施例:組織特異的プロモーター
以下の例示的な組織特異的プロモーターの対応するSEQ ID NOに関しては「ポリペプチ
ドおよびポリヌクレオチド配列の説明」を参照されたい。
【0364】
MOD 5306−動脈平滑筋特異的プロモーター(図10において模式図で描写する)−原理:
デスミン遺伝子は骨格筋、心筋、および平滑筋細胞に存在する中間フィラメントタンパク
質をコードする。本明細書において用いられるプロモーター領域は、血清応答因子および
Oct様因子に結合することができるCArG/オクタマーオーバーラップエレメントを含有する
。これはまた、最小プロモーター(プロモーター予測ツールによって決定される)を含有
する;この領域は、インビボで動脈平滑筋細胞において活性であるが、静脈平滑筋細胞ま
たは心臓では活性ではない。
【0365】
合成プロモーターのMOD原理:血管平滑筋細胞(VSMC)において発現された遺伝子コレ
クションのプロモーター領域の分析は、VSMC特異的発現に関連するいくつかの調節エレメ
ントの一覧を提供した。そのような調節エレメントの1つの組の組み合わせをこの合成プ
ロモーター構築物において用いた:腎芽細胞腫過剰発現(Nov)最小プロモーター領域に
融合した平滑筋収縮タンパク質SM22α遺伝子断片。SM22αは、確立されたVSMC分化マーカ
ーである。その最小プロモーターは、異なるトランスジーンの動脈平滑筋特異的発現を指
示することが示されている。最近、成体ラット大動脈における非常に高いNov発現も同様
に報告されている。
【0366】
本発明の例示的な合成血管平滑筋プロモーターには、MOD 5309−合成VSMC特異的プロモ
ーター1(図11Aにおいて模式図で描写される)、MOD 5312−合成VSMC特異的プロモーター
2(図11Bにおいて模式図で描写される)、およびMOD 5315−合成VSMC特異的プロモーター
3(図11Cにおいて模式図で描写される)が含まれる。
【0367】
MODの原理:血管平滑筋細胞(VSMC)において発現される遺伝子のコレクションのプロ
モーター領域の分析は、VSMC特異的発現に関連するいくつかの調節エレメントの一覧を提
供した。そのような調節エレメントの1つの組の組み合わせをこの合成プロモーター構築
物において用いた:HUMANミオシン、重鎖11、平滑筋プロモーター領域に融合した平滑筋
収縮タンパク質SM22α遺伝子断片。SM22αは、確立されたVSMC分化マーカーである。ラッ
ト最小プロモーターは、異なるトランスジーンの動脈平滑筋特異的発現を指示することが
示されている。同様に、MYH11もまた平滑筋に特異的である。
【0368】
MOD 4012−ESM1、内皮細胞特異的プロモーター(図12Aにおいて模式図で描写される)
−Mod原理:この遺伝子は、内皮細胞において主に発現される分泌タンパク質をコードす
る。この遺伝子のプロモーターは、治療/デコイ分子の内皮細胞特異的発現が必要である
遺伝子治療アプローチのために用いることができるであろう。
【0369】
MOD 4399−FLT1、内皮細胞特異的プロモーター(図12Bにおいて模式図で描写される)
−MOD原理:ヒト膜貫通fms様受容体チロシンキナーゼFlt-1は、内皮の増殖および血管透
過性を誘導する増殖因子である血管内皮増殖因子の受容体の1つである。Flt-1は、内皮に
おいて特異的に発現される。flt-1プロモーターは、内皮に対して外因性に導入された遺
伝子の発現を標的化するためのツールとして有用であろう。
【0370】
MOD 4790−合成内皮細胞特異的プロモーター1(図13Aにおいて模式図で描写される)お
よびMOD 4791−内皮細胞特異的プロモーター2(図13Bにおいて模式図で描写される)−Mo
d原理:遺伝子治療の主な目標は、所望の細胞タイプに関心対象遺伝子を導入することで
ある。内皮細胞は本質的に全ての主要な血管の内側に並び、このように循環系に対する直
接のアクセスを有する。内皮細胞によって送達される可能性がある遺伝子産物には、ホル
モン、インスリン、成長ホルモン、第VIII因子などの血漿において見いだされるタンパク
質因子のみならず、それぞれ虚血または新生血管状態の処置のための血管新生または血管
抑制分子が含まれる。内皮細胞特異的遺伝子のプロモーター領域を検分することによって
、ほとんどが特異的および非特異的転写因子の双方に対する結合部位を有することが判明
している。この設計の目標は、低分子合成内皮細胞特異的プロモーターを構築することで
あった。多くの内皮細胞特異的mRNA転写物の5'に位置する公知の転写因子結合部位の配列
をヒトICAM2最小プロモーターに連結させて、合成の内皮細胞特異的プロモーター1および
2を生成した。
【0371】
実施例:局在化テザー
以下の例示的な局在化テザーの対応するSEQ ID NOに関しては「ポリペプチドおよびポ
リヌクレオチド配列の説明」を参照されたい。
【0372】
局在化テザー、クラス1−脂質改変、形質膜と一体型、細胞外(図14A〜14Bにおいて模
式図で描写される):局在化テザー、クラス1は、形質膜の細胞外表面で積荷を固定する
ように設計される。それらは、心臓、骨格、または線維芽細胞組織を考慮して設計された
。構築物の大部分は、膜に固定するためにグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI
)脂質改変を利用する。GPI生合成は、ERにおける翻訳後に起こる。疎水性モチーフは、
タンパク質のC-末端領域で認識されて、その後切断される。切断後、完全なGPI部分がタ
ンパク質に付加される。GPI固定体は、構造および組成が多様であり、タンパク質または
組織特異的であってもよい。一度細胞表面上に存在すると、GPI固定体は、ホスホリパー
ゼによる切断に供される。GPI切断の速度論は、脂質の長さ、膜表面の電荷、および膜二
重層そのものの物理化学的特性よって決定される。そのため、一連の表面保持時間を提供
するために、設計が異なるGPI固定体が用いられる。
【0373】
設計91-1から91-4は、ヘモジュベリン(HJV)GPI-アンカー切断/付加ドメインを含有
する。HJVは、それが骨格筋において発現され、正確なGPI固定体の付加が組織特異的であ
る場合に、筋組織において用いるために理想的なドメインを提供することから選ばれた。
91-1は、基本的なシグナルペプチド/積荷/GPIモチーフの青写真である。91-2は、積荷
の移動領域を増加させるために、積荷と脂質固定体のあいだにリンカーの付加を提供する
。91-3は、ニューロゲニンに対するHJVの結合を防止するが、膜に対する正しい輸送が証
明されている変異を含有するHJVのより長いc-末端領域を含有する。91-4は、91-2と同じ
であるが、MAGP1フィブリリン結合ドメインを付加している。GPI固定体が切断されると、
この構築物は、周辺のマトリクス細線維に結合するように設計される。これによって、積
荷はマトリクス改変タンパク質の非常に近位に維持されるであろう。
【0374】
設計91-5および91-6は、Thy-1 GPI切断/付加部位を利用する。Thy-1は、保持時間が研
究され、他のGPI固定タンパク質より大きいと決定されていることから選ばれた。Thy-1固
定体の構造は、ホスホリパーゼとの立体障害を引き起こす可能性があり、切断速度を低減
させる可能性がある。97-1は、91-6上でテナシン-X(TNX)マトリクス結合ドメインを付
加して構築する。このドメインは、切断されたGPI固定タンパク質をI型コラーゲン細線維
に標的化するはずである。91-8はまた、マトリクス結合ドメインを含有するが、マトリク
スフレームワークを標的化するよりむしろ、このApoBドメインはグリコサミノグリカン(
9637699)に結合する。
【0375】
設計91-9から91-11は、同じ設計原理に従うが、グリピカン-1 GPIモチーフを利用する
。グリピカン-1は、ラフトおよびカベオラに局在するGPI-固定プロテオグリカンである。
これは異なる組織において広く発現されて、このMDRにおける他のGPIに対しておそらく異
なる保持時間を提供する。91-12から91-16は、類似の原理に従うが、MT-MMP6 GPI切断/
付加部位およびリンカーとマトリクス結合ドメインの異なる組み合わせを含有する。
【0376】
設計91-17および91-18は、細胞外の面に積荷を正しく輸送して提示する単純な膜貫通LO
Cを作製しようと試みる。MT1-MMP C-末端テールおよび膜貫通領域は、推定の輸送情報以
外に公知の機能を有しない。91-18は、91-17が膜において提示されない場合に、輸送を助
けるためにグリコシル化エクトドメインを付加する。91-19および91-20は、c-末端で積荷
の留置を達成する。マトリプターゼは、II型セリンプロテアーゼである。プロテアーゼド
メインは、C-末端領域に存在し、これはこれらの構築物において除去される。残りの部分
は、形質膜送達を媒介するためにおそらくグリコシル化される。
【0377】
全体として、設計91-1から91-16は、添加されたデコイに合わせて調整された理想的な
積荷の提示を得るために多様な膜保持時間を達成しようと試みる。いくつかの設計は、送
達部位でマトリクス内の積荷の活性を増加させるためにマトリクス結合ドメインを含有す
る。設計91-17から91-20は、内因性の活性を保有しない起こりうる最も単純な設計を達成
しようと試みる。全ての設計に関して可能性がある落とし穴は、形質膜輸送の欠損であろ
う。
【0378】
局在化テザー、クラス2−分泌型および/または細胞外、可溶性:これらの局在モジュ
ールは、細胞外空間に細胞膜で放出するために、調節された分泌経路または構成的経路の
いずれかによって細胞を通して積荷を運ぶことを意図する。細胞外に出ると、結合配列は
、それが合成される細胞の形質膜の外側のリーフレットに、または細胞外マトリクスを形
成するタンパク質にペプチドを付着させるであろう。
【0379】
分泌させるため、3つの戦略を利用した。第一に、調節された細胞の分泌経路は、凝集
体を用いることまたは顆粒の内面で脂質もしくはタンパク質に対する結合を通して利用さ
れる。第二に、構成的分泌経路は、これらの小胞への入り口のために共通のシグナルを用
いることを通して利用される。第三に、双方の経路が利用される。これは、1つまたは他
の経路が疾患状態の条件下で「過剰負荷」されるようになる可能性があるために行われ、
2つの機能的に異なるシグナルを用いても、全体としてペプチドの活性の出口の防止物と
して作用しないであろう。分泌顆粒の内面との会合を利用する場合、細胞表面でのペプチ
ドの放出を助けるために、pHまたはカルシウムレベルの変化に感受性である結合を選んだ

【0380】
表面で小胞から放出された後、ペプチドは、細胞の外部リーフレット表面に結合したタ
ンパク質(すなわち、uPARまたはアネキシン)または細胞外マトリクスを含むタンパク質
(すなわち、フィブリン)のいずれかに結合すると予想される。構築物のいくつかにおい
て、「隠れた」ECM結合モチーフの「露出」を引き起こすために、梗塞領域内で過剰発現
されることが知られている酵素のプロテアーゼ部位を用いた。このようにして、健康な組
織の領域内で積荷が保持されて領域内のタンパク質に対して活性とならないように防止す
ることが試みられる。言い換えれば、部位は、積荷が細胞外マトリクス内に自身のみを放
出するように局在ペプチドの本体から放出されるように配置される。ECMに対する結合は
、積荷の「留まる力」を付与すると予想されるが、膜上でのタンパク質に対する結合の維
持は、本発明者らのペプチドの代謝回転を許容するであろう。
【0381】
局在化テザー、クラス3−細胞外条件的溶解性(図15において模式図で描写される):
この設計の基本のモジュールエレメントは、以下のとおりである:比較的不活性に挙動す
ると予測される膜貫通タンパク質(またはプレタンパク質)、周知のシグナルペプチド、
脂質膜付着モチーフ(GPIおよびパルミトイル)、および条件的に切断可能なタンパク質
分解部位(TACE/ADAM17、MT1-MMP、uPA/tTPA、または多数のプロテアーゼ切断に関して)
。これらの成分は、11個の設計および可能性がある1つの陽性対照を通して多様である。
設計の組は全体として、実験的および実際の双方の異なるリスクの検討のバランスをとる
ように試みている。
【0382】
LOC-93-1は、それ自身1つのクラスに存在する。これはプレプロTGF-αに基づくが、こ
の設計において、分泌されて処理された増殖因子が欠失しており、その代わりに治療的デ
コイ、タグ、または蛍光タンパク質が存在する。この設計が「働く」ためには、デコイは
成熟TGF-αと全く同じようにプロセシングされなければならない。プレプロTGF-αは、腫
瘍壊死因子α変換酵素(TACE/ADAM17)によって主として切断されて活性化されるが、こ
れは同様にTNF-αなどの多数の前炎症性サイトカインの「分断(shedding)」に関係して
いる。TACEは、前炎症性環境によって誘導され、ホルボルエステル処置によって人工的に
誘導されうる。TACEは、心損傷域、組織リモデリング、および腫瘍微小環境において豊富
に存在し、細胞表面、または分泌前の分泌小胞においても活性でありうる。TACE(または
予想されるTACEコンセンサス)切断部位を使用するこの組における他の設計は、LOC-93-2
、-3、-4、および-9である。しかし、これらのコンセンサス部位は、異なる手段を通して
表面上に局在すると予想される。
【0383】
LOC-93-2、-3、-4、-5、-6、-7、および-12(対照)は、機能不明の脳特異的タンパク
質であるオパリンのヒト相同体であるTM10として知られるいくぶん不明なポリペプチドを
使用する。このタンパク質は、EMBL-GFP(Heidelburg, Germany)局在データベースプロ
ジェクトにおいて低分子(すなわち、アミノ酸<200個)膜貫通タンパク質に関する探索
によって同定された。これは、明白なシグナルペプチド、リガンド受容体、またはキナー
ゼドメインを有さず、そのアミノ酸141個の配列のBLAST検索は、近縁の相同体を明らかに
しない。LOCATEデータベースはTM10がII型膜タンパク質であると報告しているが、配列に
関する多数の分析から、これが実際には例外なくまたは間違いなくI型であることが判明
している(LOCATEによってリンクされた分析部位が含まれる)。ごく最近、これらの設計
の完了後、TM10(TMEM10)は、Kippert et al(2008年4月25日;18439243)によって特徴
付けされて、強い形質膜局在および起こりうるアクチン結合を有するI型であると実験的
に証明された。そのような例の多くが大きさがより大きく、多面的シグナル伝達に関与す
る可能性がより高く、おそらく治療法において有害である可能性がより高いことから、小
さいコンパクトな膜貫通LOCsigを用いる根拠はほとんど自明である。心臓に基づく治療の
ために乏突起神経膠細胞特異的ポリペプチドを使用する根拠は、脳特異的タンパク質が心
特異的プロセスを妨害する可能性がより低いであろうという点である。
【0384】
LOC-93-2、-3、および-4は、実験比較のために群としてまとめて扱われる。キメラの合
成TACE基質(短いスペーサー残基に隣接する、TGF-αTACE部位に加えてTNF-αからの2つ
の置換に基づく)をTM10 N-末端と融合させて、TAG/DCYとLOCのあいだで接合部を形成す
る。LOC-93-3は、EGFRからのn-末端シグナルペプチドを含めることによって93-2を「内部
積荷」に変換する。これは、表面への送達がシグナルペプチドによって増強されるか否か
を試験する。LOC-93-4は、LOC-93-3にc-末端パルミトイル付着部位を付加する;この付加
は次に、細胞表面上の局在および/または保持がc-末端脂質付加によって増強されるか否
かを試験する。
【0385】
LOC-93-3、-5、-6、-7はまた、異なるタンパク質分解部位を比較するために、もう1つ
の組においてまとめて扱われる。タンパク質分解切断部位は、TACE/ADAM17、uPA/tPA、MT
1-MMP、またはより不安定である部位および多数のプロテアーゼの標的(すなわち、α-2
マクログロブリン)であってもよい。
【0386】
LOC-93-8、-9、-10および-11は、以下のように設計される。構造はシグナルペプチド(
プレグリピカンから)の後に内部積荷が続き、推定のGPI固定部位(MMP 25から)を有す
るc-末端で終わる。LOC-93-3、-5、-6、および-7と同様に、これらは、プロテアーゼ切断
部位の4つの変異を試験する。しかし、本明細書では膜付着の状況が異なり、膜貫通によ
るのではなく、単純な脂質付加による。
【0387】
LOC-93-12は、形質膜局在に関する可能性がある陽性対照であり、EMBL-Heidelbergから
のGFP-LOCプロジェクトによって、およびごく最近、Kippert et al(2008年4月25日;184
39243)による論文によって特徴付けされている。
【0388】
本発明はまた、以下の非制限的な態様を提供する。
E1.PAI-1活性をモジュレートする、単離されたポリペプチドリガンド。
E2.PAI-1活性をモジュレートする、単離されたポリペプチドヘテロポリリガンド。
E3.PAI-1活性をモジュレートする、単離されたポリペプチドホモポリリガンド。
E4.少なくとも1つの推定のPAI-1相互作用ドメイン認識モチーフを有する親タンパク質の
1つまたは複数の断片を含む、単離された融合タンパク質。
E5.親タンパク質がフィブリン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ組織プ
ラスミノーゲン活性化因子、またはビトロネクチンである、E4記載の単離された融合タン
パク質。
E6.デグロン、局在化シグナル、エピトープ、またはレポーターの1つまたは複数をさら
に含む、E1〜E5記載のポリペプチド。
E7.E1〜E7記載の各々のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌク
レオチド。
E8.E7記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
E9.ポリヌクレオチドE7を含む宿主細胞。
E10.E7記載のポリヌクレオチドを含む非ヒト生物。
E11.プロモーターに機能的に連結されたE7記載のポリヌクレオチド。
E12.構成的プロモーター、非特異的プロモーター、誘導型プロモーター、または組織特
異的プロモーターである、E11記載のプロモーターに機能的に連結されたポリヌクレオチ
ド。
E13.組織特異的プロモーターが、内皮細胞特異的プロモーター、血管平滑筋細胞特異的
プロモーター、心筋細胞特異的プロモーター、冠動脈脂肪細胞特異的プロモーター、また
は心線維芽細胞特異的プロモーターである、E12記載のプロモーターに機能的に連結され
たポリヌクレオチド。
E14.哺乳動物細胞である、E9記載の宿主細胞。
E15.内皮細胞、血管平滑筋細胞、心筋細胞、冠動脈脂肪細胞、または心線維芽細胞であ
る、E14記載の宿主細胞。
E16.非ヒト霊長類、マウス、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ
、またはモルモットである、E10記載の非ヒト生物。
E17.E8記載のベクターを宿主細胞にトランスフェクトする段階、およびポリペプチドの
少なくとも1コピーを産生するために適した条件下でトランスフェクトした宿主細胞を培
養する段階を含む、細胞におけるPAI-1を阻害する方法。
E18.E8記載のベクターを被験体の心組織に注入する段階を含む、被験体の心組織におけ
るPAI-1を阻害する方法。
E19.E8記載のベクターを受精卵に注入する段階を含む、低減されたPAI-1活性を有するト
ランスジェニック被験体を作製する方法。
E20.デグロンに連結したPAI-1を含む、単離された融合タンパク質。
E21.局在化シグナルに連結したPAI-1を含む、単離された融合タンパク質。
E22.デグロンおよび局在化シグナルに連結したPAI-1を含む、単離された融合タンパク質

E23.E20〜E22記載の各々のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離ポ
リヌクレオチド。
E24.ベクター挿入に関して最適化されているPAI-1をコードするヌクレオチド配列を含む
、単離ポリヌクレオチド。
E25.ベクターがULTRAVECTORである、E24記載の単離ポリヌクレオチド。
E26.E23〜E25記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
E27.E23〜E25記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
E28.E23〜E25記載のポリヌクレオチドを含む非ヒト生物。
E29.プロモーターに機能的に連結されたE23〜E25記載のポリヌクレオチド。
E30.構成的プロモーター、非特異的プロモーター、誘導型プロモーター、または組織特
異的プロモーターである、E29記載のプロモーターに機能的に連結されたポリヌクレオチ
ド。
E31.組織特異的プロモーターが、内皮細胞特異的プロモーター、血管平滑筋細胞特異的
プロモーター、心筋細胞特異的プロモーター、冠動脈脂肪細胞特異的プロモーター、また
は心線維芽細胞特異的プロモーターである、E29記載のプロモーターに機能的に連結され
たポリヌクレオチド。
E32.哺乳動物細胞である、E27記載の宿主細胞。
E33.内皮細胞、血管平滑筋細胞、心筋細胞、冠動脈脂肪細胞、または心線維芽細胞であ
る、E32記載の宿主細胞。
E34.非ヒト霊長類、マウス、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ
、またはモルモットである、E28記載の非ヒト生物。
E35.E26記載のベクターを宿主細胞にトランスフェクトする段階、およびPAI-1の少なく
とも1コピーを産生するために適した条件下でトランスフェクトされた宿主細胞を培養す
る段階を含む、宿主細胞におけるPAI-1の発現を変更させる方法。
E36.被験体の心組織にE26記載のベクターを注入する段階を含む、被験体の心組織におけ
るPAI-1の発現を変更させる方法。
E37.E26記載のベクターを受精卵に注入する段階を含む、変更されたPAI-1発現を有する
トランスジェニック被験体を作製する方法。
【0389】
これまでの実施例および態様は、例証となる態様として役立つと意図される。本発明は
、本明細書において記述される特定の態様に限定されないこと、および広範囲の同等の設
計が本発明の範囲内に入ることは当業者によって理解されるであろう。
【0390】
参考文献



【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書において記述されるPAI-1リガンドまたはポリリガンド。
【請求項2】
本明細書において記述されるPAI-1リガンドまたはポリリガンドと少なくとも60%、65
%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるPAI-
1リガンドまたはポリリガンド。
【請求項3】
1つまたは複数のアミノ酸欠失、置換、挿入、切断、またはその組み合わせを含むよう
に改変されている、本明細書において記述されるPAI-1リガンドまたはポリリガンド。
【請求項4】
SEQ ID NO:1〜30の奇数番号のSEQ ID NOにおいて示されるポリペプチドと少なくとも60
%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であ
るポリペプチド。
【請求項5】
SEQ ID NO:37〜51の1つと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95
%、96%、97%、98%または99%同一である少なくとも1つのペプチドを含むPAI-1リガン
ドまたはポリリガンド。
【請求項6】
以下の阻害機序の少なくとも1つを保有するPAI-1リガンドまたはポリリガンド:潜在状
態、PA1の基質への変化、tPA結合に対する立体障害、内因性のビトロネクチンに対する立
体障害、または結合部位に対する直接競合。
【請求項7】
断片が任意で、1つまたは複数のアミノ酸欠失、置換、挿入、切断、またはその組み合
わせを含む、SEQ ID NO:31〜36において示される親タンパク質の少なくとも1つの断片を
含む、PAI-リガンドまたはポリリガンド。
【請求項8】
以下からなる群より選択されるペプチドの少なくとも1コピーを含むPAI-1の阻害因子:
a)SEQ ID NO:31のアミノ酸残基354〜368位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であるペプチド;
b)SEQ ID NO:31のアミノ酸残基300〜309位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であるペプチド;
c)SEQ ID NO:31のアミノ酸残基343〜353位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であるペプチド;
d)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であるペプチド;
e)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基32位に対応するアミノ酸残基がフェニルア
ラニンからロイシンに変異しているペプチド;
f)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基29位に対応するアミノ酸残基がトレオニン
からアラニンに変異しているペプチド;
g)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基42位に対応するアミノ酸残基がグルタミン
酸からアラニンに変異しているペプチド;
h)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基43位に対応するアミノ酸残基がロイシンか
らアラニンに変異しているペプチド;
i)SEQ ID NO:32のアミノ酸残基20〜63位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基23位に対応するアミノ酸残基がセリンから
フェニルアラニンに変異しており、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基52位に対応するアミノ酸
残基がトレオニンからグルタミン酸に変異しており、SEQ ID NO:32のアミノ酸残基53位に
対応するアミノ酸残基がアスパラギン酸からロイシンに変異しており、SEQ ID NO:32のア
ミノ酸残基56位に対応するアミノ酸残基がアラニンからチロシンに変異しており、かつSE
Q ID NO:32のアミノ酸残基57位に対応するアミノ酸残基が、グルタミン酸からチロシンに
変異しているペプチド;
j)SEQ ID NO:33のアミノ酸残基25〜256位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であるペプチド;
k)SEQ ID NO:33のアミノ酸残基25〜44位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であるペプチド;
l)SEQ ID NO:33のアミノ酸残基47〜256位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であるペプチド;
m)SEQ ID NO:34のアミノ酸残基301〜308位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であるペプチド;
n)SEQ ID NO:35のアミノ酸残基29〜121位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと少
なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99
%同一であって、SEQ ID NO:35のアミノ酸残基55位に対応するアミノ酸残基がバリンから
アラニンに変異しており、SEQ ID NO:35のアミノ酸残基57位に対応するアミノ酸残基がア
スパラギンからチロシンに変異しており、SEQ ID NO:35のアミノ酸残基59位に対応するア
ミノ酸残基がトレオニンからアスパラギンに変異しており、SEQ ID NO:35のアミノ酸残基
79位に対応するアミノ酸残基がセリンからリジンに変異しており、SEQ ID NO:35のアミノ
酸残基81位に対応するアミノ酸残基がアスパラギン酸からリジンに変異しており、かつSE
Q ID NO:35のアミノ酸残基83位に対応するアミノ酸残基がグリシンからグルタミン酸に変
異しているペプチド;ならびに
o)SEQ ID NO:36のアミノ酸残基179〜415位に対応するアミノ酸残基を含むペプチドと
少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または
99%同一であって、SEQ ID NO:36のアミノ酸残基224位に対応するアミノ酸残基がヒスチ
ジンからアラニンに変異しており、SEQ ID NO:36のアミノ酸残基275位に対応するアミノ
酸残基がアスパラギン酸からアラニンに変異しており、かつSEQ ID NO:36のアミノ酸残基
376位に対応するアミノ酸残基がセリンからアラニンに変異しているペプチド。
【請求項9】
請求項1〜8記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項10】
SEQ ID NO:1〜30の偶数SEQ ID NOにおいて示されるポリヌクレオチドと少なくとも60%
、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である
ポリヌクレオチド。
【請求項11】
クラス1局在化テザーに連結されたリガンドまたはポリリガンド。
【請求項12】
クラス2局在化テザーに連結されたリガンドまたはポリリガンド。
【請求項13】
クラス3局在化テザーに連結されたリガンドまたはポリリガンド。
【請求項14】
請求項11〜13記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項15】
本明細書において記述されるクラス1局在化テザー。
【請求項16】
本明細書において記述されるクラス1局在化テザーと少なくとも60%、65%、70%、75
%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるクラス1局在化テ
ザー。
【請求項17】
1つまたは複数のアミノ酸欠失、置換、挿入、切断、またはその組み合わせを含むよう
に改変されている、本明細書において記述されるクラス1局在化テザー。
【請求項18】
SEQ ID NO:57〜76と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96
%、97%、98%または99%同一であるクラス1局在化テザー。
【請求項19】
SEQ ID NO:77〜95の1つと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95
%、96%、97%、98%または99%同一である少なくとも1つのペプチドを含むクラス1局在
化テザー。
【請求項20】
請求項15〜19記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項21】
本明細書において記述されるクラス2局在化テザー。
【請求項22】
請求項21記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項23】
本明細書において記述されるクラス3局在化テザー。
【請求項24】
本明細書において記述されるクラス3局在化テザーと少なくとも60%、65%、70%、75
%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるクラス3局在化テ
ザー。
【請求項25】
1つまたは複数のアミノ酸欠失、置換、挿入、切断、またはその組み合わせを含むよう
に改変されている、本明細書において記述されるクラス3局在化テザー。
【請求項26】
SEQ ID NO:100〜111と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、
96%、97%、98%または99%同一であるクラス3局在化テザー。
【請求項27】
SEQ ID NO:112〜128の1つと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、9
5%、96%、97%、98%または99%同一である少なくとも1つのペプチドを含むクラス3局
在化テザー。
【請求項28】
請求項23〜27記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項29】
組織特異的プロモーターに連結されたリガンドまたはポリリガンドをコードするポリヌ
クレオチド。
【請求項30】
動脈平滑筋特異的プロモーターに連結されたリガンドまたはポリリガンドをコードする
ポリヌクレオチド。
【請求項31】
血管平滑筋細胞特異的プロモーターに連結されたリガンドまたはポリリガンドをコード
するポリヌクレオチド。
【請求項32】
内皮細胞特異的プロモーターに連結されたリガンドまたはポリリガンドをコードするポ
リヌクレオチド。
【請求項33】
合成内皮細胞特異的プロモーターに連結されたリガンドまたはポリリガンドをコードす
るポリヌクレオチド。
【請求項34】
本明細書において記述される組織特異的プロモーターをコードするポリヌクレオチド。
【請求項35】
1つまたは複数のヌクレオチド欠失、置換、挿入、切断、またはその組み合わせを含む
ように改変されている、本明細書において記述される組織特異的プロモーターをコードす
るポリヌクレオチド。
【請求項36】
本明細書において記述される組織特異的プロモーターと少なくとも60%、65%、70%、
75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である組織特異的プロ
モーターをコードするポリヌクレオチド。
【請求項37】
SEQ ID NO:132〜139において示されるポリヌクレオチドと少なくとも60%、65%、70%
、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリヌクレオ
チド。
【請求項38】
本明細書において記述される心血管組織に、リガンドまたはポリリガンドをコードする
ポリヌクレオチドを移入するための方法。
【請求項39】
以下の1つを含む、心血管組織にリガンドまたはポリリガンドをコードするポリヌクレ
オチドを移入するための方法:アデノウイルスの局所注入、単球のエクスビボ形質導入、
または大動脈への直接注入。
【請求項40】
本明細書において記述される不安定プラークの形成におけるPAI-1の機能を査定するた
めの方法。
【請求項41】
インスリン耐性マウスモデルを開発する段階を含む、不安定プラークの形成におけるPA
I-1の機能を査定するための方法。
【請求項42】
本明細書において記述されるリガンドまたはポリリガンドの空間的または時間的制御を
達成する方法。
【請求項43】
リガンドまたはポリリガンドを組織特異的プロモーターに連結させる段階を含む、リガ
ンドまたはポリリガンドの空間的制御を達成する方法。
【請求項44】
リガンドまたはポリリガンドを局在化テザーに連結させる段階を含む、リガンドまたは
ポリリガンドの空間的制御を達成する方法。
【請求項45】
リガンドまたはポリリガンドを誘導型遺伝子スイッチに連結させる段階を含む、リガン
ドまたはポリリガンドの時間的制御を達成する方法。
【請求項46】
以下の段階を含む、心血管疾患を処置、予防、または改善するための方法:
a)心血管疾患を有するまたは心血管疾患を発症するリスクを有する被験体を同定する段
階;および
b)PAI-1リガンドまたはポリリガンドを被験体に投与する段階。
【請求項47】
以下の段階を含む、線維症状態を処置、予防、または改善するための方法:
a)線維症状態を有するまたは線維症状態を発症するリスクを有する被験体を同定する段
階;および
b)PAI-1リガンドまたはポリリガンドを被験体に投与する段階。
【請求項48】
以下の段階を含む、アテローム性動脈硬化症を処置または予防するための方法:
a)血管損傷を有するまたは血管損傷のリスクを有する被験体を同定する段階。
b)被験体から単球を単離する段階;
c)プロモーターに連結された線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータをコードする
少なくとも1つのポリヌクレオチドを単球に導入して、改変細胞を産生する段階;および
d)改変細胞を被験体に導入する段階。
【請求項49】
プロモーターに連結した線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータをコードする少な
くとも1つのポリヌクレオチドを被験体の単球に導入して、改変細胞を産生する段階を含
む、被験体に線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータを送達するために改変細胞を調
製する方法。
【請求項50】
以下を含む、アテローム性動脈硬化症を処置または予防するための方法:
a)血管損傷を有するまたは血管損傷のリスクを有する被験体を同定する段階;
b)被験体から単球を単離する段階;
c)単球に、(1)化学リガンド依存的転写因子をコードする少なくとも1つの転写因子配
列を含む遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチド、および(2)化学リガンド依存
的転写因子によって活性化されるプロモーターに連結された線維素溶解経路のポリペプチ
ドモジュレータをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを導入して、改変細胞を
産生する段階;
d)被験体に改変細胞を導入する段階;ならびに
e)プロモーターを活性化するために被験体に化学リガンドを導入する段階。
【請求項51】
被験体の単球に、(a)化学リガンド依存的転写因子をコードする少なくとも1つの転写
因子配列を含む遺伝子スイッチをコードするポリヌクレオチド、および(b)化学リガン
ド依存的転写因子によって活性化されるプロモーターに連結された線維素溶解経路のポリ
ペプチドモジュレータをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを導入して、改変
細胞を産生する段階を含む、被験体に線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータを送達
するための改変細胞を調製する方法。
【請求項52】
転写因子配列がマクロファージ特異的調節エレメントに連結される、請求項50記載の方
法。
【請求項53】
転写因子配列が、マクロファージ特異的調節エレメントに連結される、請求項51記載の
方法。
【請求項54】
線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータが、請求項1〜8のいずれか一項記載のPAI-
1リガンドまたはポリリガンドである、請求項48〜53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータがPAI-1阻害因子である、請求項48〜53の
いずれか一項記載の方法。
【請求項56】
線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータが天然のプラスミノーゲン活性化因子であ
る、請求項48〜53のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータが変異体プラスミノーゲン活性化因子であ
る、請求項48〜53のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
線維素溶解経路のポリペプチドモジュレータがプラスミノーゲン活性化因子断片である
、請求項48〜53のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
以下を含む、固定マクロファージ集団を伴う線維症状態を処置、予防、または改善する
ための方法:
a)線維症状態を有するまたは線維症状態を発症するリスクを有する被験体を同定する段
階;
b)被験体から単球を単離する段階;
c)固定マクロファージ集団に特異的な調節エレメントに連結された線維素溶解経路のポ
リペプチドモジュレータをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを単球に導入し
て、改変細胞を産生する段階;および
d)改変細胞を被験体に導入する段階。
【請求項60】
段階b)およびd)がなく、かつポリヌクレオチドが単球特異的ベクターを通してインビ
ボで単球に導入される、請求項48、50、52、または59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
請求項9、10、14、20、22、または28のいずれか一項記載のポリヌクレオチド。
【請求項62】
請求項29〜37のいずれか一項記載のポリヌクレオチド。
【請求項63】
請求項61記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項64】
請求項62記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項65】
単球特異的ベクターである、請求項63記載のベクター。
【請求項66】
請求項61記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項67】
請求項62記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項68】
哺乳動物細胞である、請求項66または67記載の宿主細胞。
【請求項69】
単球、マクロファージ、または泡沫細胞である、請求項66記載の宿主細胞。
【請求項70】
動脈平滑筋細胞、血管平滑筋細胞、または内皮細胞である、請求項66または67記載の宿
主細胞。
【請求項71】
心筋細胞、冠動脈脂肪細胞、または心線維芽細胞である、請求項66記載の宿主細胞。
【請求項72】
請求項61または62記載のポリヌクレオチドを含む非ヒト生物。
【請求項73】
非ヒト霊長類、マウス、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ま
たはモルモットである、請求項72記載の非ヒト生物。
【請求項74】
請求項9または10記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項75】
請求項74記載のベクターを宿主細胞にトランスフェクトする段階、およびPAI-1リガン
ドまたはポリリガンドポリペプチドの少なくとも1コピーを産生するために適した条件下
でトランスフェクト宿主細胞を培養する段階を含む、PAI-1リガンドまたはポリリガンド
ポリペプチドを産生する方法。
【請求項76】
被験体の心組織に請求項74記載のベクターを注入する段階を含む、被験体の心組織にお
けるPAI-1を阻害する方法。
【請求項77】
以下を含む、アテローム性動脈硬化症を処置または予防するための方法:
a)血管損傷を有するまたは血管損傷のリスクを有する被験体を同定する段階;
b)被験体から単球を単離する段階;
c)請求項74記載のベクターを単球にトランスフェクトして、改変細胞を産生する段階;
および
d)改変細胞を被験体に導入する段階。
【請求項78】
以下の段階を含む、固定マクロファージ集団を伴う線維症状態を処置、予防、または改
善するための方法:
a)線維症状態を有するまたは線維症状態を発症するリスクを有する被験体を同定する段
階;
b)被験体から単球を単離する段階;
c)請求項8または9記載のポリヌクレオチドが固定マクロファージ集団に特異的な調節エ
レメントに連結される、請求項74記載のベクターを単球にトランスフェクトして、改変細
胞を産生する段階;
d)改変細胞を被験体に導入する段階。
【請求項79】
請求項74記載のベクターを受精卵に注入する段階を含む、低減されたPAI-1活性を有す
るトランスジェニック被験体を作製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−135307(P2012−135307A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−8069(P2012−8069)
【出願日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【分割の表示】特願2010−542283(P2010−542283)の分割
【原出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(508087044)イントレキソン コーポレーション (12)
【Fターム(参考)】