説明

PAM技術を使用したHDMI・TMDS光信号伝送

単一の光ファイバを介して3チャネルすべてを同時に伝送するためにTMDSオーディオ/ビデオ信号の位相振幅変調(PAM)変換を実行するHDMI相互接続構造が提供される。3のオーディオ/ビデオTMDSチャネルのセットが、PAM−8光変調器への入力として加えられ、PAM−8光変調器が、光変調された出力信号に3チャネルのセットをエンコードする機能を果たす。その後、変調された光信号は、アクティブHDMIケーブル内の光ファイバ内に結合されて、HDMIレシーバ(シンク)に伝送される。TMDS・CLK信号は、この変換では、光ドメイン内には含まれずに、アクティブHDMIケーブル内の銅信号路に沿って伝送される別個の電気信号とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDMI相互接続構造に関し、より詳細には、単一の光ファイバを介して3チャネルすべてを同時に伝送するために、TMDSデータチャネル信号のPAM−8変換を行う、TMDS信号とともに使用される光ファイバベースのHDMI相互接続に関するものである。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2009年6月13日に出願された米国仮出願第61/186,821号の利益を主張する。この出願は、引用により本明細書に援用されるものである。
【背景技術】
【0003】
HDMIは、オーディオおよびビデオ情報を単一のデジタルインターフェースに統合する仕様であり、例えば、デジタルビデオディスク(DVD)プレーヤ、デジタルテレビジョン(DTV)、高解像度TV(HDTV)、セットトップボックスおよびその他のオーディオおよび/またはビデオデバイスに使用されている。HDMIインターフェースケーブルは、マルチチャネルのオーディオデータを、標準的で高解像度の消費家電映像フォーマットとともに伝送するように構成されている。また、コンテンツ保護技術も利用可能であり、HDMIケーブルは、両方向に制御およびステータス情報を伝送するように構成することができる。
【0004】
遷移時間最短差動信号伝送方式(TMDS)は、オーディオおよびビデオ入力から、遷移制御されてDCバランシングされた一連の符号を生成するために、HDMIに使用される情報伝送技術である。TMDSは、より正確には、オーディオおよびビデオデジタル情報を符号化して、HDMIケーブルの長手方向に沿って進むときに、劣化から保護する方式であり、TMDS・CLKとして規定されるビデオピクセルクロックとともに、TMDSチャネル0,1および2として規定される三原色(RGB)/色差(YPbPr)と関連するデータチャネルを生成する方式である。論理0および論理1の長いストリングにおいては、特定の信号閾値の中心にある全体信号のDC電圧レベルを維持するために、ビットがTMDSにおいて選択的に操作される。その後、受信したデータビットが論理0と同等の電圧レベルにあるのか、あるいは論理1と同等のレベルにあるのかを判定するために、レシーバにおいて別の信号閾値が使用される。
【0005】
図1は、HDMIシステムの先行技術の実施例を示し、HDMIケーブル4を介して相互に接続されたHDMIソース1およびHDMIシンク2を示している。HDMIソース1内では、関連するビデオおよびオーディオ入力信号がHDMIトランスミッタ3に加えられ、HDMIトランスミッタが、それら信号を、TMDSチャネル0,1および2に沿う3つの信号のセットおよび別個のTMDS・CLK信号に変換する。TMDS・CLK信号は、3つのオーディオ/ビデオチャネル上のデータ復元のための周波数基準としてHDMIシンク2によって使用されることとなる。特に、図1に示す構成においては、この4つ信号のセットが、標準HDMIケーブル4内の銅線に沿って、シンプレックス信号として伝送(すなわち、“一方向”送信)され、HDMIシンク2に伝送される。HDMIケーブル4内のその他の銅線は、HDMI情報伝達(DDC、CEC、VDD、GNDなど)に使用されるその他の様々な信号の半二重伝送(すなわち、各方向について異なるときに“双方向”伝送)をサポートするために使用される。その後、図1に示すように、TMDS信号をサポートするシンプレックス伝送線は、HDMIレシーバ5内に接続され、HDMIレシーバが、TMDS信号を適正なビデオおよびオーディオ信号(および復元されたクロック信号)に再変換する機能を果たす。
【0006】
HDMIを使用する多くの先行技術の送信/受信システムでは、ケーブル4が単なる電気ケーブル(通常は銅線からなる)を含んでいる。しかしながら、主に銅線の帯域幅が制限されることにより、電磁干渉感受性が原因となる電気ケーブルの使用に関連する大きな難点がある。また、銅線に沿って伝送される信号は、電力損失の影響を受け易く、このため、銅ベースの電気HDMIケーブルの長さが約15メートル未満に制限されている。
【0007】
以前より、銅ベースのHDMIケーブルを光ファイバベースのHDMIケーブルに置き換えることが提案されている。光ケーブルを使用することにより、銅線の問題点を回避しつつ、データレートおよびケーブル長さをともに大幅に増加させることができる。それら光ファイバベースの代替手段の具体的な構成は、2007年10月4日に公開された米国出願公開第2007/0233906号に開示されている。しかしながら、これまでは、それら解決策が、多重TMDSチャネルの伝送をサポートするときに、独自の限界を引き起こすものとなっている。一つの解決策は、各チャネルについて別個のファイバを使用するものであり、別の解決策は、各チャネルについて別個の波長を使用するものである。それら解決策は何れも、追加の構成要素および/または損失源をシステムにもたらし、それにより複雑さおよびコストが増大する。別の提案された解決策は、単一のファイバを介して伝送する前に、TMDSチャネルのセットを“シリアライズ(serialize)”した後、受信ユニットでデータを“デシリアライズ(deserialize)”するもの(従来よりSERDESと呼ばれる技術)である。しかしながら、提案されたSERDESの解決策は、HDMI接続に対して、個々のチャネルのデータレートの3倍(例えば、3.4Gbpsと比べた場合、10.2Gbps)で動作することを必要とし、その結果、低速度の同等品よりも多くの電力を消費する高価な高帯域幅の構成要素を必要とするというその他の問題を引き起こす。
【0008】
このため、SERDESオペレーションに付随するより複雑な構成要素の使用を必要とすることなく、多重ファイバ/多重波長構成の懸案事項に対処する光ファイバベースのHDMIケーブルに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0009】
先行技術に残存する必要性は、本発明によって対処される。本発明は、HDMI相互接続構造に関し、より詳細には、単一の光ファイバを介して3チャネルすべてを同時に送信するために、TMDSオーディオ/ビデオ信号のパルス振幅変調(PAM)変換を行う、TMDS信号とともに使用される光ファイバベースのHDMI相互接続に関するものである。
【0010】
本発明によれば、3つのオーディオ/ビデオTMDSチャネルのセットがPAM−8光変調器への入力として加えられ、PAM−8光変調器が、光変調された出力信号に3チャネルのセットをエンコードする機能を果たす。その後、変調された光信号は、アクティブHDMIケーブル(ここで、“アクティブ”HDMIケーブルは、光ファイバおよび銅線の両方と、必要な光−電気(O/E)変換要素を含むケーブルとして定義される)内の光ファイバ内に結合されて、HDMIレシーバ(シンク)に伝送される。TMDS・CLK信号は、この変換では、光ドメイン内には含まれないが、アクティブHDMIケーブル内の銅信号路に沿って伝送される別個の電気信号としてとどまる。その後、光ファイバに沿って伝播するPAM−8信号は、HDMIシンクで回復され、(別個に伝送されたTMDS・CLK信号を使用して)デコードされて、3つのTMDSチャネルのセットを再構成する。その後、チャネルを所望のビデオおよびオーディオ情報に変換するために、既知のHDMIレシーバ技術が使用される。
【0011】
本発明に従ってPAM−8変調を利用してTMDSチャネルを送信することにより、TMDSデータの元のデータレートを維持しながらも、(従来使用されていた)追加ファイバまたは追加波長の必要性をなくすことができ、よって(SERDESベースの従来構成で使用されていた)高速電子機器の必要性を避けることができる。有利には、本発明に従い形成されたアクティブHDMIケーブルを、従来の電気HDMIケーブルの直接的な代替として(または、上述した様々なタイプのアクティブHDMIケーブルの代替として)使用することができる。
【0012】
一実施形態において、本発明のアクティブHDMIケーブル接続は、従来の銅製HDMIケーブルと比べた場合にHDMI信号が進むことができる距離を延長するのに十分な帯域幅を与えながらも、比較的安価であるマルチモードファイバを利用する。代替的な実施形態では、シングルモードファイバを使用することができる。これは、(HDMI銅ケーブルの15メートルの限界と比較した場合)100メートルを超える距離に亘って信号を送信する場合に、望ましいと考えられる。ファイバ自体は、適当なガラスまたはプラスチック材料の何れかを含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、光ドメインでPAM信号を直接的に生成する光変調器としてマッハツェンダー干渉計(MZI)が使用される。この場合、元のTMDSデータチャネルが、先ず、位相合わせされて、クロック動作データ(clocked data)ストリームを形成し、その後、クロック動作データが、光変調器への電気入力信号として加えられる。実際に、クロック動作データはさらにエンコードされて、Nレベルの入力信号(N>3)が生成され、マルチセグメント変調器が、位相変調の範囲に亘って応答の直線性を改善するために利用される。
【0014】
代替的には、位相合わせされたデータ信号で面発光レーザ(VCSEL)を直接変調して、PAM−8光出力信号を生成することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、電気ドメインにおいてTMDS−PAM変換が実行され、その後、PAM−8電気信号が光信号に変換される。
【0016】
本発明のその他のおよび更なる実施形態および利点は、以下の検討の過程で、添付図面を参照することによって、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、HDMIソースおよびシンクの先行技術の実施例を示すブロック図で、先行技術に係るHDMIケーブルがソースおよびシンクを接続しており、特に、ビデオおよびオーディオ信号を伝送するためにTMDSコーディングを利用することを示している。
【図2】図2は、本発明に係るアクティブHDMIケーブルに沿ってHDMI・TMDS信号を伝送するために利用される例示的なPAMエンコードされた光ファイバベースの構成を示している。
【図3】図3は、図2の構成において単一の光ファイバを介して伝送するために、3チャネルTMDS信号を光PAM−8信号に変換するように構成された例示的な光変調器を示している。
【図4】図4は、PAM光変調器への入力として使用される複数のNの位相合わせされたビットストリームに、元の3つのTMDS信号をエンコーディングすることにより、出力応答の直線性を増加させるために利用することができる追加的な特徴を示している。
【図5】図5は、本発明のアクティブHDMIケーブルの代替的な構成を示しており、この構成では、3つのTMDSデータチャネルが最初に電気PAM−8信号に変換され、その後、電気PAM信号が、光学ドメインに変換された後、HDMIソースからHDMIシンクに伝送されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述したように、単なる電気ケーブルであるかどうか、あるいは光ファイバと銅線の組合せ(すなわち、“アクティブ”HDMIケーブル)であるかどうかに関わらず、HDMIケーブルの性能を制限する様々な要因が存在する。本発明のファイバに基づく接続は、その代わりに、TMDSデータチャネル上でパルス振幅変調(PAM)変換を行い、光ファイバを介してPAM信号を伝送することにより、多数の波長またはSERDES構成要素を使用することなく、単一光ファイバを介してTMDSデータ信号の3チャネルすべてを同時に伝送する能力を与えることで、それら懸念事項に対処する。
【0019】
図2を参照すると、先行技術のHDMIケーブル4の代わりに使用するために提案されたアクティブHDMIケーブル接続10が示されている。以下の検討の過程で明らかになるであろうが、様々なシステムで配置される既存のHDMIケーブル(電気ケーブルまたはアクティブケーブル)の直接的な代替品として、独創性のあるHDMIケーブル接続10を使用することができる。図2を参照すると、PAM−8光信号として、チャネル0,1および2のTMDSデータ(それら3チャネルは、図1において点線の四角形で示されている)を伝送するために光ファイバ12を含むものとして、アクティブHDMIケーブル接続10が示されている。特に、HDMIトランスミッタ3(図1を参照)により生成されるTMDSチャネル0,1および2が、先ず、位相アラインメント要素14(例えば、D型フリップフロップ回路装置を含むことができる)への入力として加えられる。位相アラインメント要素14の動作は、TMDS・CLKによって制御され、それにより、位相アラインメント要素14の出力において、ビット−0、ビット−1およびビット−2として示される整列したデータ信号のセットが生成される。
【0020】
その後、ビット−0、ビット−1およびビット−2として示される位相の合ったストリームは、光パルス振幅変調器16への個別の電気入力として加えられる。変調器16に光入力信号Iを供給するものとして、既知の波長λで動作する連続波(CW)光源18が使用されている。後述するように、変調器16は、元の3つの電気入力信号の値、すなわちTMDSチャネル0,1および2を示す、パルス振幅変調(PAM)された光出力信号を生成する機能を果たす。この場合、PAM−8構成が利用されており、これは、3のデジタル入力ストリームの様々な可能性すべてを完全に規定するのに合計で8の異なる振幅レベルが必要とされることを意味している。
【0021】
その後、変調器16からの出力PAM−8光信号は、光ファイバ12の入力として加えられる。ここで、光ファイバ12は、アクティブHDMIケーブル接続10の一構成要素として規定される。TMDS・CLK、グラウンド、電源などを含む残りの信号は、銅線20を介して電気的形式で送信される。この銅線も、アクティブHDMIケーブル接続10に含まれる。接続10に銅およびファイバをともに含むアクティブHDMIケーブルの使用により、信号が進む距離、信号品位を犠牲にすることなく、あるいは信号処理/フィルタリングを実行してタイミングジッタを除去するために追加的/複雑な回路を必要とすることなく、ケーブルの送信および受信の双方で、位相アラインメント、エンコーディングおよびデコーディングを簡素化することが可能となる。実際に、光ファイバを介してTMDSチャネル0,1および2のみを伝送するこの技術を使用することにより、電子機器は、前述したSERDES実施例で必要とされた10.2Gbpsレートと比較すると、3.4Gbpsレートで動作し続ける。
【0022】
受信側において、光ファイバ12に沿って伝播するPAM−8信号は、先ず、光−電気(O/E)変換装置22内で、電気ドメインに再変換され、その後、3ビットA/Dコンバータ24に電気入力として加えられて、受信した(電気)TMDS・CLK信号により制御されるように、デジタルデータ信号ビット−0、ビット−1およびビット−2に回復させる。その後、クロック動作データビットが、元の3つのTMDSデータチャネルを回復させるために、TMDS出力ドライバ26への別個の入力として加えられる。
【0023】
図3は、例示的なPAM−8光変調器16を示しており、これは、TMDSデータチャネルを示す位相が合わされたビット−0、ビット−1およびビット−2を、位相振幅変調された光出力信号に変換するために使用される。この具体的な実施形態では、変調器16がマルチセグメント・マッハツェンダー干渉計(MZI)30を備える。図示のように、光源18からの光入力信号Iは、入射光導波路32に供給された後、一対の導波路アーム34および36に沿って分岐する。この例では、複数のセグメントが両導波路アーム34および36に沿って形成された差動(differential)MZIが示されている。すなわち、セグメント38−1,38−2および38−3の第1セットが導波路アーム34に沿って形成され、セグメント40−1,40−2および40−3の第2セットが導波路アーム36に沿って形成されている。
【0024】
ビット−0、ビット−1およびビット−2として規定される位相が合ったデータストリームは、セグメント38−1,38−2および38−3への電気入力としてそれぞれ加えられるものとして示され、それらの逆の値が、セグメント40−1,40−2および40−3への入力として同様に加えられる。それらの電気的信号の存在は、アーム34および36に沿って伝播する光信号の特性を変更させて、それにより、時間とともに、各位置において、各ビットの論理“0”または論理“1”の値の関数として、各アームに沿って伝播する信号間に、固定量の位相遅延が導入されることとなる。その後、それら光信号は、出力光導波路42に沿って再結合して、PAM−8光出力信号Oを形成する。このようなPAM光出力信号を生成するMZIの使用についての完全な議論は、2009年1月27日にK.Shastri等に発行されて、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第7,483,597号において見付けることができる。この出願は、引用により本明細書に援用されるものである。
【0025】
また、位相が合った3のビットストリームのセットをさらにエンコードして、複数のNの別個のデータビットストリームを生成し、Nの別個のストリームをPAM変調器への入力として利用することも可能である。電気入力の数を増やすこと(さらに恐らくは、MZI変調器を形成するセグメントの数を増やすこと)により、PAM出力信号は、位相応答の伝送機能の直線性を改善することにより、増加された正確さのレベルにおいて、規定されることとなる。図4は、本発明のこの態様を示しており、ここでは、位相が合った信号ビット−0、ビット−1およびビット−2が、先ず、エンコーダ42への入力として加えられ、このエンコーダが、信号間の差異(differentiation)の追加レベルを導入して、出力(位相が未だ揃っている)データストリームの数を増加させるために使用される。単純な構成では、エンコーダ42は、3の入力信号から4の出力信号のセットを生成することができ、付随するMZIが、追加の入力を受け入れるために追加的なセグメントを含むように形成されるものとなる。
【0026】
図3の構成は、MZI光変調器を利用する本発明の一実施形態を示しているが、当然のことながら、PAM−8出力信号を生成するために使用することができるその他のタイプの光学的構成も存在する。例えば、上述したように、所望のPAM−8出力信号を生成するために、直接変調VCSEL光源を使用することができる。
【0027】
上述したように、位相が合ったビット−0、ビット−1およびビット−2から直接、電気ドメインでPAM−8信号を最初に生成することも可能である。図5は、本発明のこの態様を示しており、この態様では、並列のビットストリームからPAM−8出力信号を生成するために、デジタル/アナログ変換器(DAC)50が使用されている。その後、この電気PAM−8信号は、電気−光(E/O)変換要素52への入力として加えられる。この変換要素は、レーザデバイスのみから構成することができる。このため、E/O装置52からの出力信号は、PAM−8信号の光学バージョンとなり、これは、その後に、上述した方法と同じように、光ファイバ12内に結合される。
【0028】
SERDESの使用を必要とする実施例と比較した場合、本発明の様々な実施形態で使用されるPAM−8のレートは、非常に低く、また、システムの性能を全く犠牲にすることなく、安価なマルチモードファイバを使用することを可能にする。実際に、既に使用されている従来型のHDMIケーブルのプラグイン代替物として、本発明のアクティブHDMIケーブルを使用することができる。また、マルチモードファイバを使用することにより、光アラインメントに対してより大きな許容誤差を与えて、コスト低減、大量生産を可能にするという追加の利点をもたらすこともできる。また、本発明の提案する構成は、ファイバの種類および様々なその他の動作パラメータに応じて、HDMI・TMDS信号が進むことができる範囲を100メートルを超える距離に延ばす、という更なる利点も有する。実際に、マルチモードファイバの代わりにシングルモードファイバを使用した場合、遥かに大きい距離を容易に達成することができる。ファイバそれ自体は、殆どの場合、ガラス(シリカベースの)材料からなる。しかしながら、この目的のために、光ファイバの形成の過程で、特定のポリマー(プラスチック)材料を使用することも可能である。
【0029】
様々な実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、当業者であれば分かるように、本発明の趣旨および範囲を逸脱せずに、様々な変更を加えることが可能である。すなわち、本発明は、図面に示され、明細書に記載される事項に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ示されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオおよびビデオ情報(TMDS0、TMDS1、TMDS2)に関連する複数の遷移時間最短差動信号(TMDS)、TMDSクロック信号、並びに、関連する制御および出力信号を伝送するアクティブ高品位マルチメディアインターフェース(HDMI)ケーブル接続であって、
複数のTMDS情報信号およびTMDSクロック信号に応答して、複数の位相合わせされた情報信号を生成する位相アラインメント要素と、
前記位相アライメント要素により生成された複数の位相合わせされた情報信号に応答して、前記複数のTMDS情報信号を示す位相振幅変調(PAM)光情報信号を生成する光変調器と、
第1端部が前記光変調器の出力に接続された単一の光ファイバであって、当該光ファイバに沿ったPAM光情報信号の伝播をサポートする単一の光ファイバと、
TMDSクロック信号および複数のHDMI電気制御信号を伝送する複数の電気信号導体と、
前記単一の光ファイバの第1端部と反対側の第2端部に接続された光−電気(O/E)変換要素であって、伝播するPAM光情報信号を受信するとともに、受信したPAM光情報信号を電気表現に変換する光−電気(O/E)変換要素と、
前記PAM光信号の電気表現および受信したTMDSクロック信号に応答して、それらから、位相合わせされた情報信号を回復させるアナログ/デジタル変換(ADC)要素と、
位相合わせされた情報信号に応答して、TMDS情報信号を生成する複数のTMDSドライバ要素とを備えることを特徴とするアクティブHDMIケーブル接続。
【請求項2】
請求項1に記載のアクティブHDMIケーブル接続において、
前記単一の光ファイバが、マルチモード光ファイバを含むことを特徴とするアクティブHDMIケーブル接続。
【請求項3】
請求項1に記載のアクティブHDMIケーブル接続において、
前記単一の光ファイバが、シングルモード光ファイバを含むことを特徴とするアクティブHDMIケーブル接続。
【請求項4】
請求項1に記載のアクティブHDMIケーブル接続において、
前記光変調器が、マッハツェンダー干渉計(MZI)を含み、さらに連続波(CW)光信号に応答するものであり、
複数の位相合わせされた情報信号が、前記MZIへの電気入力として加えられるとともに、CW光信号を変調して前記PAM光情報信号を生成することを特徴とするアクティブHDMIケーブル接続。
【請求項5】
請求項1に記載のアクティブHDMIケーブル接続において、
前記光変調器が、複数の位相合わせされた情報信号に応答して、前記PAM光情報信号を生成する面発光レーザ(VCSEL)を含むことを特徴とするアクティブHDMIケーブル接続。
【請求項6】
請求項1に記載のアクティブHDMIケーブル接続において、
前記光変調器が、複数のTMDS情報信号およびTMDSクロック信号に応答して、電気PAM情報信号を生成するデジタル/アナログ変換器(DAC)と、
前記電気PAM情報信号に応答して、前記電気PAM情報信号を前記PAM光情報信号に変換する電気−光(E/O)変換要素とを含むことを特徴とするアクティブHDMIケーブル接続。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−530403(P2012−530403A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515209(P2012−515209)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/038456
【国際公開番号】WO2010/144894
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(509170693)ライトワイヤー,インク. (6)
【Fターム(参考)】