説明

PARP阻害剤としてのキノリノン誘導体

【化1】


式(I)の化合物(式中、R、R、R、R、R、Zおよびnは定めた意味を有する)、そのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体、およびそれらのPARP媒介型障害の処置のための使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPARPの阻害剤に関し、そして化合物および開示される化合物を含有する組成物を提供する。さらに、本発明は、例えば薬剤としての開示されるPARP阻害剤の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
核酵素ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1(PARP−1)は、PARP酵素ファミリーのメンバーである。この増加するファミリーの酵素は、例えば、PARP−1、PARP−2、PARP−3およびVault−PARPのようなPARP;ならびに例えば、TANK−1およびTANK−2のようなタンキラーゼ(Tankyrase:TANK)からなる。またPARPは、ポリ(アデノシン5’−ジホスホ−リボース)ポリメラーゼまたはPARS(ポリ(ADP−リボース)シンテターゼ)とも呼ばれる。
【0003】
PARP−1は、3種のドメイン:2個の亜鉛フィンガーを含有するN末端DNA結合ドメイン、自己修飾(automodification)ドメインおよびC末端触媒ドメインからなる116kDaの主要な核タンパク質である。この酵素は、ポリ(ADP−リボース)、200以上のADP−リボース単位からなる分枝ポリマーを合成する。ポリ(ADP−リボース)のタンパク質アクセプターは、直接的または間接的にDNAの完全性を維持することに関与している。それらには、ヒストン、HMGタンパク質、トポイソメラーゼ、DNAおよびRNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、Ca2+およびMg2+依存エンドヌクレアーゼおよび一本鎖切断修復(single−strand break−repair)および塩基除去修復(base−excision repair)因子を含む。PARPタンパク質は、多数の組織、最も注目されるのは免疫系、心臓、脳および生殖系細胞で高レベルで発現される。正常な生理学的条件下では、最小のPARP活性が存在する。しかしDNAの傷害が500倍までPARPの即時活性化を引き起こす。生じるポリ(ADP−リボース)生産は3つの結果を招く:第1にDNA傷害が誘導するヒストンH1およびH2BのN−およびC−末端尾のポリ(ADP−リボシル)化、またはこれらタンパク質と遊離またはPARP−1結合ポリ(ADP−リボース)との選択的相互作用が、30nmのクロマチンファイバーの弛緩に貢献し、切断への接近が増す;第2に、これがDNA傷害の発生および程度のシグナルを出すので、細胞は損傷の程度に従って適応応答を確立することができる(DNA修復または細胞の自殺);第3にこの生産が一本鎖切断修復および塩基除去修復因子の迅速な集合を媒介する。
【0004】
一本鎖切断(SSB)はすべての細胞で自然に起こる。PARP−1活性の不存在下では、これらSSBは、複製中に複製フォークの破壊を導く可能性がある二本鎖切断(DSB)に転換されるかもしれない。DSBはそれらのエピジェネティックマーク(epigenetic mark)であるコアヒストンバリアントH2AX(γH2AX)のリン酸化により同定される。DSBでγH2AX−依存的様式で起こるクロマチンの大変迅速な局所的脱凝縮は、PARP−1により局所的に媒介されるポリ(ADP−リボース)生産に寄与することができる。
【0005】
ステロイドまたは熱ショックのような発育的または環境的合図が、PARP−1の活性化およびクロマチンからヒストンのポリ(ADP−リボース)依存的剥奪を誘導し、これによりクロマチン構造の解放が許され、これはDNA切断の不存在下での転写活性化を可能とする。
【0006】
広範なPARP活性化は、大きなDNA傷害を蒙っている細胞におけるNADの深刻
な枯渇をもたらす。ポリ(ADP−リボース)の短い半減期は急速なターンオーバー速度をもたらす。一旦ポリ(ADP−リボース)が形成されると、それは、ホスホジエステラーゼおよび(ADP−リボース)タンパク質リアーゼと一緒に、構成的に活性なポリ(ADP−リボース)グリコヒドロラーゼ(PARG)によって急速に分解される。PARPおよびPARGは、大量のNADをADP−リボースに変換するサイクルを形成する。1時間以内に、PARPの過剰刺激は正常レベルの20%未満までNADおよびATPの低下を引き起こす恐れがある。そのようなシナリオは、酸素の喪失が細胞のエネルギー生産を既に劇的に危うくしている虚血においては特に有害である。再灌流中、続いて起こる遊離ラジカルの産生は、組織傷害の主要な原因であると考えられる。虚血と再灌流の間の多くの器官において典型的に存在するATP低下の一部は、ポリ(ADP−リボース)ターンオーバーによるNAD枯渇に結び付けられるであろう。このようにPARPまたはPARG阻害は、細胞のエネルギーレベルを保持し、それによって発作後の虚血組織の生存を強化することが期待される。
【0007】
また、ポリ(ADP−リボース)合成は、炎症応答に必須である多くの遺伝子の誘導発現に関与している。PARP阻害剤は、マクロファージにおける誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)、P型セレクチン(P−type selectin)および内皮細胞における細胞間接着分子−1(ICAM−1)の生産を抑制する。そのような活性は、PARP阻害剤によって現される強力な抗炎症効果の基礎をなす。PARP阻害は、損傷組織への好中球の移動および浸潤を防ぐことにより壊死を低下させることができる。
【0008】
PARPは損傷されたDNAフラグメントによって活性化され、一旦活性化されると、ヒストンおよびPARPそれ自体を含む、種々の核タンパク質への100ADP−リボース単位までの結合を触媒する。大きな細胞ストレス中にPARPの広範な活性化は、急速に、エネルギー貯蔵の枯渇を介して細胞の損傷または死をもたらす可能性がある。ATPの4分子が、再生されるNADの各分子のために消費されるので、NADは大量のPARP活性化によって枯渇させられ、NADを再合成するために、ATPがまた枯渇するようになるであろう。
【0009】
PARP活性化がNMDAおよびNO誘導の両方の神経毒性において重要な役割を演じることが報告された。これは、皮質培養物および海馬切片において証明されたが、ここで毒性の防御は直接PARP阻害力に相関する。このように正確な作用機構がまだ解明されてなくても、神経変性疾患および頭部外傷の処置におけるPARP阻害剤の潜在的役割が認識された。
【0010】
同様に、ウサギを対象としたPARP阻害剤の単回注射では、心臓または骨格筋の虚血と再灌流によって生じた梗塞サイズを減少させたことが示された。これらの研究において、閉塞1分前または再灌流1分前のいずれでも3−アミノ−ベンズアミド(10mg/kg)の単回注射が、心臓における梗塞サイズの同様の減少(32〜42%)を生じたが、一方、その他のPARP阻害剤である1,5−ジヒドロキシイソキノリン(1mg/kg)も同程度(38〜48%)、梗塞サイズを低下させた。これらの結果は、PARP阻害剤が、虚血心臓または骨格筋組織の再灌流傷害を予め救済できるという仮説を理にかなったものにする。
【0011】
またPARPの活性化は、卒中、アルツハイマー病およびパーキンソン病のような病状に関与している、次の誘導物質、例えばグルタメート(NMDAレセプター刺激を介して)、反応性酸素中間体、アミロイドβ−タンパク質、N−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)またはその活性代謝物N−メチル−4−フェニルピリジン(MPP)のいずれかへの曝露から生じる神経毒性発作に続く損傷の尺度として使用され得る。他の研究は、インビトロでの小脳の顆粒細胞およびMPTP神経
毒性におけるPARP活性化の役割を探求するために継続された。優勢な中枢神経系神経伝達物質として働き、そしてN−メチルD−アスパルテート(NMDA)レセプターおよび他のサブタイプレセプターに作用するグルタメートへの過剰な神経曝露は、ほとんど、卒中または他の神経変性過程の結果として発生する。酸素を奪われたニューロンは、虚血性脳発作、例えば卒中もしくは心臓発作中に大量にグルタメートを放出する。グルタメートのこの過剰な放出は、次いでN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)、AMPA、カイネート(Kainate)およびMGRレセプターの過剰刺激(刺激毒性(excitotoxicity))を引き起こし、これらは、イオンチャンネルを開き、そして無制御のイオン流動(例えば、細胞内へのCa2+およびNa,細胞外へのK)を許して、ニューロンの過剰刺激をもたらす。過剰刺激されたニューロンは、より多くのグルタメートを分泌して、フィードバックループまたはドミノ効果を生成し、これが最終的に、プロテアーゼ、リパーゼおよび遊離ラジカルの産生を通して細胞損傷または死をもたらす。グルタメートレセプターの過剰な活性化は、癲癇、卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、統合失調症、慢性疼痛、低酸素後の虚血症およびニューロン喪失、低血糖症、虚血症、トラウマおよび神経性発作を含む種々の神経学的疾患および症状に関連づけられた。またグルタメート曝露および刺激は、強迫障害、特に薬物依存に対する根拠として関係していた。証拠は、グルタメートまたはNMDAにより処置された多数の動物種ならびに脳皮質培養物における知見を含み、そのグルタメートレセプターアンタゴニスト(すなわち、そのレセプターへの結合またはそれの活性化からグルタメートを遮断する化合物)が、血管卒中に続く神経損傷を阻止する。NMDA、AMPA、カイネートおよびMGRレセプターを遮断することによる刺激毒性を予防する試みは困難であることが証明され、その理由は、各レセプターがグルタメートが結合できる多数の部位を有し、それ故、レセプターの全てへのグルタメートの結合を防ぐアンタゴニストの有効な混合物または普遍的なアンタゴニストを見いだして、この理論の試験を可能にすることが困難であったからである。さらにまた、レセプターを遮断することに効果的である多くの組成物も動物に対して毒性である。そのままで、グルタメートの異常に対する既知の有効な処置は現在存在しない。
【0012】
グルタメートによるNMDAレセプターの刺激は、例えば、酵素ニューロンの一酸化窒素合成酵素(nNOS)を活性化して、一酸化窒素(NO)の生成をもたらし、これがまた神経毒性を媒介する。NMDA神経毒性は、一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害剤による処置によるか、またはインビトロでのnNOSの標的遺伝子破壊を介して防止することができる。
【0013】
PARP阻害剤のその他の用途は、末梢神経傷害、ならびに普通の座骨神経の慢性狭窄損傷(CCI)によって誘導されるような神経病性疼痛として知られ、そして細胞質と核質の過染色性(いわゆる、「暗い」ニューロン)を特徴とする脊髄背角の経シナプス変調が起きる結果として生じる病理学的疼痛症候群の処置である。
【0014】
また、PARP阻害剤が大腸炎のような炎症性腸障害を処置するために有用であるという証拠も存在する。具体的には、大腸炎が、50%エタノール中のハプテン スルホン酸トリニトロベンゼンの管腔内投与によりラットで誘導された。処置されたラットは、3−アミノベンズアミド(PARP活性の特異的阻害剤)を受けた。PARP活性の阻害は、炎症応答を低減し、そして遠位大腸の形態およびエネルギー状況を回復した。
【0015】
さらなる証拠は、PARP阻害剤が関節炎の処置のために有用であることを示唆する。さらに、PARP阻害剤は糖尿病の処置のために有用であると思われる。PARP阻害剤は内毒素ショックまたは敗血症ショックを処置するために有用であることが示された。
【0016】
PARP阻害剤は、また、皮膚の老化、アルツハイマー病、動脈硬化症、骨関節炎、骨
粗鬆症、筋ジストロフィー、複製の老化を伴う骨格筋の変性疾患、年齢に関連する筋肉変性、免疫老化、AIDSおよび他の免疫老化疾患のような疾患の処置を含む、細胞の寿命および増殖能力を拡大するため、ならびに老化した細胞の遺伝子発現を改変するために使用された。
【0017】
タンキラーゼ(TANK)はヒトのテロメア複合体の構成分として同定された。また、それらは紡錘体の調節および小胞輸送(trafficking)に役割を有することも提案されており、そして種々の他の細胞プロセスに関与するタンパク質のための足場として働く可能性がある。染色体の維持と安定性のために必須であるテロメアは、特殊な逆転写酵素であるテロメラーゼによって維持される。TANKは、シグナル伝達と細胞骨格タンパク質の両方のいくつかの特徴をもつ(ADP−リボース)転移酵素である。それらは、基質タンパク質のポリ−ADPリボシル化を触媒するPARPドメイン、ある種のシグナル伝達分子と共有されるステライル(sterile)のアルファモチーフ、および細胞骨格タンパク質アンキリン(ankyrin)にも存在する16〜24個のアンキリンリピート(repeat)を含有するANKドメインを含有する。ANKドメインはテロメアタンパク質、テロメアリピート結合因子−1(TRF−1)を含む種々のタンパク質と相互作用する。したがってこれらのタンパク質は、TRF1相互作用性アンキリン関連ADP−リボースポリメラーゼ(TANK)と命名された。
【0018】
TANKの1つの機能は、TRF−1のADPリボシル化である。ヒトのテロメア機能は、2つのテロメア特異的DNA結合タンパク質、TRF−1およびTRF−2を含むテロメア会合タンパク質の複合体により調節される。TRF−2は染色体末端を保護し、そしてTRF−1はテロメアの長さを調節する。ADPリボシル化は、テロメアDNAに結合するTRF−1の能力を阻害する。TRF−1のこのポリ−ADPリボシル化は、テロメアからTRF−1を遊離し、これによりテロメア複合体を開き、そしてテロメラーゼに接近させる。したがってTANKはテロメアの長さのポジティブレギュレーターとして機能して、テロメラーゼによるテロメアの伸長を可能にする。
【0019】
TANKの他の役割は、それらが相互作用するタンパク質であるインスリン応答性アミノペプチダーゼ、Mc11タンパク質(これはBcl−2ファミリーのメンバーである)、エプスタイン−バー核抗原−1、核および分裂装置タンパク質および細胞質および異質染色質因子TAB182との同一性、およびその様々な細胞下での局在性(核孔、ゴルジ装置および分裂中心体)により示唆されている。
【0020】
タンキラーゼ−2(TANK−2)は、TANK1に見いだされるN−末端HPSドメイン(His、ProおよびSer残基のホモポリマー性反復配列からなる)を欠く点でタンキラーゼ1(TANK−1)とは異なる。しかし両タンパク質が類似の細胞下での局在性を有し、互いに会合し、そして多くの同じタンパク質に結合すると仮定すれば、タンキラーゼ−2は恐らくタンキラーゼ−1と幾つか重複する機能を有するだろう。
【0021】
TANK−1は紡錘体会合ポリ(ADP−リボース)の重合に必要と思われる。TANK−1のポリ(ADP−リボシル)化活性は紡錘体の双極性の正確な形成および維持に重要であるにちがいない。さらにTANK−1のPARP活性は、後期前の正常なテロメア分離に必要であることが示された。タンキラーゼのPARP活性を妨害することにより異所性の有糸分裂を生じ、これは恐らく紡錘体チェックポイント活性化による一時的な細胞周期の静止、続いて細胞死を発生させる。したがってタンキラーゼの阻害は、増殖している腫瘍細胞に細胞傷害性効果を有することが期待される。
【0022】
上に示したように、数種のPARPの細胞での局在性により、細胞分割の調節におけるポリ(ADP−リボシル)化の生理学的役割が示唆される。
【0023】
PARP−1およびPARP−2は中心体に局在し、ここでそれらは動原体タンパク質と相互作用する。マウスのParp−2遺伝子の除去により、動原体欠失と関連する重大なDNA−傷害が誘導する染色体の誤分離(mis−segregation)を引き起こし、これはPARP−2が挟動原体ヘテロクロマチンの完全性に重要な保護的機能を有することを示している。さらにPARP−1は中心体と会合し、DNA−傷害の監視ネットワークを有糸分裂の忠実性のチェックポイントと結び付けている。
【0024】
DNA鎖の切断部の修復におけるPARPの中心的役割は、特に、イオン化放射によって直接的に、あるいはメチル化剤、トポイソメラーゼI阻害剤、および他のシスプラチンおよびブレオマイシンのような化学療法剤によって誘導されるDNA損傷の酵素的修復後に間接的に生じる場合には、十分に確立されている。「ノックアウト」マウス、トランス−ドミナント(trans−dominant)インヒビションモデル(DNA結合性ドメインの過発現)、アンチセンスおよび低分子量阻害剤を用いる種々の研究は、DNA傷害の誘導後の修復および細胞生存におけるPARPの役割を証明した。PARP酵素活性の阻害は、DNA傷害処理に対する腫瘍細胞の感受性の増強をもたらすであろう。
【0025】
PARP阻害剤は、多分、DNA鎖切断の再連結を防ぐそれらの能力によって、そしていくつかのDNA傷害シグナル伝達経路に影響を与えることによって、(低酸素の(hypoxic))腫瘍細胞を放射線増感する(radiosensitizing)のに効果的であり、そして放射線療法後に潜在的に致死的および致死以下のDNA損傷から腫瘍細胞の回復を防ぐのに効果的であると報告された。
【0026】
特許文献1は腫瘍細胞に及ぼすイオン化放射線または化学治療薬の致死的効果を増強するために使用される数種のイソキノリン類について検討している。非特許文献1(「6(5−フェナントリジノン)、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの阻害剤の培養腫瘍細胞に及ぼす効果」)は、PARP活性の阻害、腫瘍細胞増殖の低下、および腫瘍細胞がアルキル化剤で同時処理された時の顕著な相乗効果について検討している。
【0027】
当該技術分野に関する総説は、非特許文献2、3および4により公開された。
【0028】
PARP−1の損失は、相同的組換え自体のプロセスを直接調節せずに相同的組換えにより修復されるDNA損傷の形成を増加する。家族性の乳癌は通常、BRCA1またはBRCA2の対立遺伝子のうちの1つの遺伝的欠失と関連している。BRCA1およびBRCA2は相同的組換えに重要である。残る機能的BRCA1およびBRCA2の対立遺伝子が幾つかの細胞で失なわれる可能性があり、これにより腫瘍形成に貢献する。このように生じる腫瘍はBRCA1またはBRCA2欠失(例えばBRCA2−/−)であり、これに対して体細胞は機能的BRCAタンパク質を保持している(BRCA2+/−)。BRCA1またはBRCA2欠失のバックグラウンドでのPARP活性の阻害は、通常、姉妹染色分体交換により修復されるDNA損傷の生成をもたらし、染色分体の逸脱および生存能の喪失を引き起こす。BRCA−欠失細胞の急性の感受性を仮定すれば、比較的低レベルのPARP−1阻害剤が治療的効果を生じるために必要とされだけかもしれない。これは通常は必須ではないDNA修復タンパク質の阻害剤が腫瘍を処置するために単独の作用物質として使用できる別の例である。
【0029】
非特許文献5の総説によれば、最近の研究ではPARP阻害剤は、様々なレベルでDNAの修復を妨害するので、主にガンの細胞死を強化することが示された。さらに最近の研究では、PARP阻害剤は増殖因子の発現を阻害するか、または増殖因子が誘導する細胞の増殖応答を阻害するいずれかにより脈管形成を阻害することも示された。これらの知見はインビボでPARP阻害剤の抗癌効果の様式に関連付けられるかもしれない。
【0030】
また非特許文献6は、PARP阻害剤がVEGFまたは胎盤成長因子が誘導する移動を排除し、そして細胞に基づく系で細管状ネットワークの形成を妨げ、そしてインビボでの脈管形成を損なうことを示す。またこの研究は、PARP−1ノックアウトマウスで増殖因子が誘導する脈管形成が欠失していることも示す。この研究の結果、抗脈管形成のためにPARPを標的とする証拠が提供され、癌の処置において新たな治療的関連性がPARP阻害剤の使用に加えられた。
【0031】
最小の副作用を生じる有効かつ強力な抗癌療法に関する必要性が依然として存在する。本発明は、癌を処置するためにPARP活性を阻害する化合物、組成物、および阻害する方法を提供する。さらにそれらは化学療法および放射線療法の効果を強化するのに有用となり、ここで化合物での処置の主要な効果は、DNA傷害の条件下で細胞死を誘発することである。
【0032】
背景となる先行技術
2005年10月2日に公開された特許文献2は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としてのフェナントリジノンを開示する。
【0033】
2005年6月16日に公開された特許文献3は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての6−アルケニルおよび6−フェニルアルキル置換2−キノリノンおよび2−キノキサリノンを開示する。
【0034】
2005年6月16日に公開された特許文献4は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての6−フェニルアルキル置換2−キノリノンおよび2−キノキサリノンを開示する。
【0035】
2005年6月16日に公開された特許文献5は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての6−置換2−キノリノンおよび2−キノキサリノンを開示する。
【0036】
2005年6月30日に公開された特許文献6は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての置換6−シクロヘキシルアルキル置換2−キノリノンおよび2−キノキサリノンを開示する。
【0037】
2005年10月2日に公開された特許文献7は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての置換ピリドンを開示する。
【0038】
2006年1月12日に公開された特許文献8は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としてのキナゾリノン誘導体を開示する。
【0039】
2006年1月12日に公開された特許文献9は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としてのフタラジン誘導体を開示する。
【0040】
2006年1月12日に公開された特許文献10は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としてのキナゾリンジオン誘導体を開示する。
【0041】
2006年1月12日に公開された特許文献11は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての置換2−アルキルキナゾリノン誘導体を開示する。
【0042】
2007年3月1日に公開された特許文献12は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としてのインデノイソキノリノン類似体を開示する。
【0043】
2007年8月23日に公開された特許文献13は、有力なPARP阻害剤としてのピラゾロキノリノンを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】米国特許第5,177,075号明細書
【特許文献2】欧州特許第1487800号明細書
【特許文献3】欧州特許第1687277号明細書
【特許文献4】欧州特許第1709011号明細書
【特許文献5】欧州特許第1709012号明細書
【特許文献6】欧州特許第1694653号明細書
【特許文献7】国際公開第2005/097750号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2006/003146号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2006/003147号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2006/003148号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2006/003150号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2007/025009号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2007/095628号パンフレット
【非特許文献】
【0045】
【非特許文献1】Weltin et al.,Oncol Res.,6:9,399−403(1994)
【非特許文献2】Li and Zhang,IDrugs 2001,4(7):804−812
【非特許文献3】Ame et al.,Bioassays 2004,26:882−883
【非特許文献4】Nguewa et al.,Progress in Biophysic & Molecular Biology 2005,88:143−172
【非特許文献5】Horvath and Szabo,Drug News Perspect 20(3),April 2007,171−181
【非特許文献6】Tentori et al,Eur.J.Cancer,2007,doi:10.1016/j.ejca2007.07010(印刷中)
【発明の概要】
【0046】
発明の説明
本発明は式(I):
【0047】
【化1】

【0048】
[式中、
nは0、1または2であり;
はC1−3アルキルであり;
およびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1−6アルキル、シアノ、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C3−6シクロアルキルオキシ、シアノC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルオキシC1−4アルキルオキシ、アミノC1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルアミノC1−4アルキルオキシ、ジ(C1−4アルキル)アミノC1−4アルキルオキシ、アミノカルボニルまたはC2−4アルキニルから選択され;
およびRはそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシメチルまたはヒドロキシC1−6アルキルから選択されるか、あるいはRおよびRは一緒に=Oを形成し;
Zは式−NR
{式中、
は水素またはC1−4アルキルであり;
はC1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたは式
−(CH−L (a−1)
(式中、tは0、1、2または3であり、そしてLはフェニルまたは独立して水素、ハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニルまたはアミノカルボニルから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか、あるいはLは:
【0049】
【化2】

【0050】
式中、R8aは水素、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはアミノカルボニルから選択され;qは0、1または2であり;そして各R8bは独立して水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシまたはアミノカルボニルから選択され;そして
は水素、C1−4アルキル、フェニルまたは:
【0051】
【化3】

【0052】
式中、R10は水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキルまたはC1−4
ルキルオキシから選択される、
から選択される複素環式環系である
から選択される複素環式環系である)
の基である}
の基であるか、あるいはZは:
【0053】
【化4】

【0054】
{式中、R11は水素、C1−4アルキル、ヒドロキシル、シアノ、ヒドロキシC1−4アルキルまたはアミノカルボニルであり;そして
12aは水素またはC1−4アルキルオキシC1−4アルキルであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
12bは水素、C1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたはC1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
Xは−(CH−であり、式中、pは0、1、2または3であり;
はC3−6シクロアルキル、フェニルまたは独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、アミノ、シアノ、またはトリフルオロメチルから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLは:
【0055】
【化5】

【0056】
(式中、R13は水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C2−4アルキニル、アミノカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択される)
から選択される複素環式環系である}
から選択される複素環式環系である]
の化合物、そのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体に関する。
【0057】
また本発明の式(I)の化合物および中間体は、それらの互変異性体形でも存在するこ
とができる。そのような形態は上記式で明白には示していなくても本発明の範囲に包含されものである。
【0058】
Z中の複素環式環系が−CH−、−CH=または−NH−部分を含む場合はいつでも、置換基または分子の残りの部分は各炭素または窒素原子に結合することができ、この場合1もしくは両方の水素原子が置き換えられる。
【0059】
前記定義および今後使用する多くの用語をこれから説明する。これらの用語は時には、そのままで、または合成用語でも使用される。
【0060】
前記定義および今後使用するように、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードに対する総称であり;C1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、2−メチル−ブチル、2−メチルペンチルなどと定義し;C2−4アルキニルは、1つの三重結合を含み、そして2〜4個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えば、エチニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニルなどと定義し;C3−6シクロアルキルには3〜6個の炭素を有する環式炭化水素基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルなどを含む。
【0061】
用語「製薬学的に許容され得る付加塩」は、製薬学的に許容され得る酸または塩基付加塩を意味する。先に言及した製薬学的に許容され得る酸または塩基付加塩は、式(I)の化合物が形成できる治療に活性のある無毒の酸および無毒の塩基付加塩形態を含んでなることを意味する。塩基性を有する式(I)の化合物は、適当な酸により該塩基形態を処理することによりそれらの製薬学的に許容され得る酸付加塩に変換できる。適当な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸のような無機酸、例えば塩化水素酸もしくは臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸等;あるいは有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸等を含む。
【0062】
酸性を有する式(I)の化合物は、適当な有機または無機塩基により該酸形態を処理することによりそれらの製薬学的に許容され得る塩基付加塩に変換できる。適当な塩基性の塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えば、ベンザシン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、およびアミノ酸、例えばアルギニン、リジンなどとの塩を含む。
【0063】
また用語、酸または塩基付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる水和物および溶媒付加形態を含んでなる。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラート等である。
【0064】
治療上の使用には、式(I)の化合物の塩は、対イオンが製薬学的に許容され得るものである。しかし製薬学的に許容されない酸および塩基の塩でも、例えば製薬学的に許容され得る化合物の調製または精製に用途を見いだすことができる。製薬学的に許容されてもされなくてもすべての塩が本発明の範囲に含まれる。
【0065】
式(I)の化合物の四級アンモニウム塩は、式(I)の化合物の塩基性窒素と適切な四級化剤、例えば場合により置換されてもよいアルキルハライド、アリールハライドまたは
アリールアルキルハライド、特にヨウ化メチルおよびヨウ化ベンジルとの反応により形成することができる該化合物と定義する。良い脱離基を持つ他の反応体を使用してもよく、それらは例えばアルキルトリフルオロメタンスルホン酸塩、アルキルメタンスルホン酸塩およびアルキルp−トルエンスルホン酸塩である。四級アンモニウム塩は少なくとも1つの正に荷電した窒素を有する。製薬学的に許容され得る対イオンにはクロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロ酢酸塩および酢酸塩イオンを含む。
【0066】
先に使用されたような、用語、式(I)の化合物の立体化学的異性体は、式(I)の化合物が保持できる、同じ結合配列によって結合された同じ原子から作成されるが、相互交換不可能である異なる三次元構造を有するすべての可能な化合物を定義する。他に言及または示さない限り、化合物の化学的名称は、該化合物が保持できるすべての可能な立体化学的異性体の混合物を包含する。該混合物は、該化合物の基本分子構造のすべてのジアステレオマーおよび/または鏡像異性体を含んでもよい。式(I)の化合物のすべての立体化学的異性体は、純粋な形態または互いの混合物の両方で本発明の範囲に包含まれるものとする。
【0067】
特に興味深いのは立体化学的に純粋な式(I)の化合物である。本明細書で言及する化合物および中間体の純粋な立体異性体形は、該化合物または中間体と同じ基礎分子構造の他のエナンチオマー形またはジアステレオマー形を実質的に含まない異性体と定義する。特に用語「立体化学的に純粋」とは、少なくとも80%の立体異性体過剰率(stereoisomeric excess)(すなわち最少90%の一異性体および最大10%のもう一方の可能な異性体)から最大100%の立体異性体過剰率(すなわち100%の一異性体およびもう一方の異性体はなし)を有する化合物または中間体に関し、より特別には90%から最高100%の立体異性体過剰率を有する化合物または中間体、さらにより特別には94%から最高100%の立体異性体過剰率を有し、そして最も特別には97%から最大100%の立体異性体過剰率を有するものである。用語「エナンチオマー的に純粋(enantiomerically pure)」および「ジアステレオマー的に純粋(diastereomerically pure)」とは同様に理解されるべきであるが、その場合は問題の混合物中でそれぞれのエナンチオマー過剰率、ジアステレオマー過剰率に関する。
【0068】
式(I)の化合物の互変異性体は、例えばエノール基がケト基に転換された式(I)の化合物を含むことを意味する(ケト−エノール互変異性体)。
【0069】
式(I)の化合物のN−オキシド形は、1個または数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化された式(I)の化合物、特に、1もしくは複数のピペリジンまたはピペラジン窒素がN−オキシド化されたそれらのN−オキシドを含むことを意味する。
【0070】
式(I)の化合物は、三価の窒素をそのN−オキシド形に変換するための技術的に知られている手順に従い対応するN−オキシド形に転換することができる。該N−酸化反応は一般に式(I)の出発材料を適切な有機もしくは無機ペルオキシドと反応させることにより行うことができる。適切な無機ペルオキシドには例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属ペルオキシド、例えばナトリウムペルオキシド、カリウムペルオキシドを含んでなり;適切な有機ペルオキシドはペルオキソ酸、例えばベンゼンカルボペルオキソ酸もしくはハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロ−ペルオキシドを含むことができる。適切な溶媒には例えば水、低級アルコール、例えばエタノール等、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタンおよびそのような溶媒の混合物である。
【0071】
本発明は本発明の化合物に存在する原子の任意の同位体を含むことも意図する。例えば水素の同位体にはトリチウムおよびジューテリウムがあり、そして炭素の同位体にはC−13およびC−14がある。
【0072】
今後使用する場合はいつでも、用語「式(I)の化合物」は、またN−オキシド形、製薬学的に許容され得る酸または塩基付加塩およびすべての立体異性体形を含むことを意味する。
【0073】
本発明の態様に従い、我々は式(I)の化合物、そのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体を提供し、ここで1もしくは複数の以下の制限を適用する:
nは0、1または2であり;
はC1−3アルキルであり;
およびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1−6アルキル、シアノ、ヒドロキシまたはC1−6アルキルオキシから選択され;
およびRはそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシメチルまたはヒドロキシC1−6アルキルから選択されるか、あるいはRおよびRは一緒に=Oを形成し;
Zは式−NRの基であり、式中、
は水素またはC1−4アルキルであり;
はC1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたは式
−(CH−L (a−1)
[式中、tは0、1、2または3であり、そしてLはフェニルまたは独立して水素、ハロ、シアノ、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルオキシから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか、あるいはLは:
【0074】
【化6】

【0075】
{式中、R8aは水素、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはアミノカルボニルから選択され;qは0または1であり;そして各R8bは独立して水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシまたはアミノカルボニルから選択され;そして
は水素、C1−4アルキル、フェニルまたは:
【0076】
【化7】

【0077】
式中、R10は水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキルまたはC1−4
ルキルオキシから選択される、
から選択される複素環式環系である}
から選択される複素環式環系である]
の基であるか、あるいはZは:
【0078】
【化8】

【0079】
[式中、R11は水素またはC1−4アルキルであり;そして
12aは水素またはC1−4アルキルオキシC1−4アルキルであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
12bは水素、C1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたはC1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
Xは−(CH−であり、式中、pは0、1、2または3であり;
はフェニルまたは独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、アミノ、シアノ、またはトリフルオロメチルから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLは:
【0080】
【化9】

【0081】
{式中、R13は水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C2−4アルキニル、アミノカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシ
カルボニルから選択される}
から選択される複素環式環系である]
から選択される複素環式環系である。
【0082】
本発明のさらなる態様によれば、我々は式(I)の化合物、そのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体を提供し、ここで1もしくは複数の以下の制限を適用する:
nが0、1または2であり、
がメチルまたはエチルであり、
が水素、メチル、エチル、シアノまたはメチルオキシから選択され;
が水素であり;
およびRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシまたはヒドロキシC1−6アルキルから選択されるか、あるいはRおよびRが一緒に=Oを形成し;
Zが式−NRの基であり、
式中、Rが水素またはC1−4アルキルであり;
がC1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたは式
−(CH−L (a−1)
[式中、tが0、1、2または3であり、そしてLがフェニルまたは1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニルであるか、あるいはLが:
【0083】
【化10】

【0084】
{式中、R8aが水素であり;qが0であり;そして
が水素または複素環式環系(c−1):
【0085】
【化11】

【0086】
式中、R10が水素である、
であり}
から選択される複素環式環系である]
の基であるか、あるいはZが:
【0087】
【化12】

【0088】
[式中、R11が水素であり;そして
12aが水素またはC1−4アルキルオキシC1−4アルキルであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
12bが水素またはC1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0、1または2であり;
がフェニルまたは独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシまたはシアノから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLが:
【0089】
【化13】

【0090】
{式中、R13が水素、クロロ、アミノカルボニル、シアノ、C1−4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択される}
から選択される複素環式環系である]
から選択される複素環式環系である。
【0091】
本発明のさらなる態様によれば、我々は式(I)の化合物、そのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体を提供し、ここで1もしくは複数の以下の制限を適用する:
nが0であり、
がメチルまたはエチルであり、
が水素またはメチルオキシであり;
が水素であり;
およびRがそれぞれ水素であり;
Zが式−NRの基であり、式中、
が水素またはC1−4アルキルであり;
がC1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたは式
−(CH−L (a−1)
[式中、tが0、1、2または3であり、そしてLがフェニルまたは1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニルであるか、あるいはLが:
【0092】
【化14】

【0093】
{式中、R8aが水素であり;qが0であり;そして
が水素または複素環式環系(c−1):
【0094】
【化15】

【0095】
式中、R10が水素である、
である}
から選択される複素環式環系である]
の基である。
【0096】
本発明のさらなる態様によれば、我々は式(I)の化合物、そのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体を提供し、ここで1もしくは複数の以下の制限を適用する:
nが0、1または2であり、
がC1−3アルキルであり、
が水素またはメチルオキシであり、
が水素であり;
およびRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、ヒドロキシまたはヒドロキシC1−6アルキルから選択されるか、あるいはRおよびRが一緒に=Oを形成し;
Zが
【0097】
【化16】

【0098】
[式中、R11が水素であり;
12aが水素またはC1−4アルキルオキシC1−4アルキルであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0または2であり;
がフェニルまたは独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシまたはシアノから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLが:
【0099】
【化17】

【0100】
{式中、R13が水素、アミノカルボニル、シアノ、C1−4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択される}
から選択される複素環式環系であり、
12bが水素またはC1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノであるか、あるいは
−X−L (e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0または1であり;
がフェニルまたは1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLが:
【0101】
【化18】

【0102】
{式中、R13が水素、クロロ、アミノカルボニル、シアノ、メチルオキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択される}
から選択される複素環式環系である]
から選択される複素環式環系である。
【0103】
本発明による化合物では、Lにより表される式(b−1)〜(b−5)の複素環式環系が:
【0104】
【化19】

【0105】
ここでR8a、R8bおよびRは上記定義の通りである、
から選択されることが好ましい。
【0106】
本発明による化合物では、Rにより表される式(c−1)および(c−2)の複素環式環系が:
【0107】
【化20】

【0108】
ここでR10は上記定義の通りである、
から選択されることが好ましい。
【0109】
本発明による化合物では、Zにより表される式(d−1)〜(d−8)の複素環式環系が:
【0110】
【化21】

【0111】
ここでR11、R12aおよびR12bは上記定義の通りである、
から選択されることが好ましい。
【0112】
本発明による化合物では、Lにより表される式(f−1)〜(f−4)の複素環式環系が:
【0113】
【化22】

【0114】
ここでR13は上記定義の通りである、
から選択されることが好ましい。
【0115】
式(I)においてZにより表されるさらに好適な複素環式環系には:
【0116】
【化23】

【0117】
を含む。
【0118】
本発明のさらなる態様によれば、我々は式(I)の化合物、そのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体の好適な群を提供し、ここで1もしくは複数の以下の制限を適用する:
nが0であり、
がメチルまたはエチルであり、
およびRがそれぞれ水素であり、
およびRがそれぞれ独立して水素またはC1−6アルキルから選択され、
Zが:
【0119】
【化24】

【0120】
[式中、R11が水素であり;
12aおよびR12bがそれぞれ−X−L(e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0または2であり;
がフェニルまたは独立してハロ、C1−4アルキルオキシまたはシアノから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLが:
【0121】
【化25】

【0122】
{式中、R13が水素、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、メチルオキシまたはヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニルから選択される}
から選択される複素環式環系である]
から選択される複素環式環系である。
【0123】
本発明のさらなる態様によれば、我々は式(I)の化合物、そのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体のさらに好適な群を提供し、ここで1もしくは複数の以下の制限を適用する:
nが0であり、
がメチルまたはエチルであり、
およびRがそれぞれ水素であり;
およびRがそれぞれ独立して水素またはC1−6アルキルから選択され、
Zが式(d−1):
【0124】
【化26】

【0125】
[式中、R11が水素であり;そして
12aが−X−L(e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0または2であり;そして
がフェニルまたはハロ、C1−4アルキルオキシまたはシアノから選択される置換基で好ましくはオルト位で置換されたフェニルであるか、あるいはLが:
【0126】
【化27】

【0127】
{式中、R13が水素、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、メチルオキシまたはヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニルから選択される}
から選択される複素環式環系である]
から選択される複素環式環系である。
【0128】
本発明のさらなる態様によれば、我々は式(I)の化合物、そのN−オキシド形、製薬
学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体のさらに好適な群を提供し、ここで1もしくは複数の以下の制限を適用する:
nが0であり、
がメチルまたはエチルであり、
およびRがそれぞれ水素であり;
およびRがそれぞれ独立して水素またはC1−6アルキルから選択され、
Zが:
【0129】
【化28】

【0130】
[式中、R11が水素であり;そして
12bが−X−L(e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0であり;そして
がフェニルまたは1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニルである]
から選択される複素環式環系である。
【0131】
本発明のさらなる態様によれば、我々は式(I)の化合物、そのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体の特に好適な群を提供し、ここで1もしくは複数の以下の制限を適用する:
nが0であり、
がメチルまたはエチルであり、
およびRがそれぞれ水素であり;
およびRがそれぞれ独立して水素またはC1−6アルキルから選択され、
Zが:
【0132】
【化29】

【0133】
[式中、R11が水素であり;そして
12aおよびR12bがそれぞれ−X−L(e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0であり;
がフェニルまたはハロ、C1−4アルキルオキシまたはシアノから選択される置換基で好ましくはオルト位で置換されたフェニルであるか;あるいはLが式(f−1):
【0134】
【化30】

【0135】
{式中、R13は水素、クロロ、シアノ、メチルオキシまたはトリフルオロメチルから選択される}
から選択される複素環式環系である]
から選択される複素環式環系である。
【0136】
本発明のさらに好適な態様に従い、式(I)の化合物および上記定義の式(I)の化合物の群には、1もしくは複数の以下の制限を適用するものを含む:
−Rがメチルまたはエチルから選択されるC1−3アルキルである
−RおよびRの少なくとも1つがC1−6アルキルである場合、そのような基の1もしくは両方は独立してメチルまたはイソプロピルであり、そしてRおよびRの少なくとも1つがヒドロキシC1−6アルキルである場合、そのような基の1もしくは両方はヒドロキシメチルである;
−RがC1−4アルキルである場合、そのような基は好ましくはメチルである;
−RがC1−4アルキルオキシC1−4アルキルである場合、そのような基は好ましくはメチルオキシエチルである;
−Lがハロで置換されたフェニルである場合、そのような置換基は好ましくはフルオロである;
−R12aがC1−4アルキルオキシC1−4アルキルである場合、そのような基は好ましくはメチルオキシエチルである;
−R12bがC1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノである場合、そのような基は好ましくはメチルオキシエチルアミノである;
−Lがハロで置換されたフェニルである場合、そのような置換基は好ましくはクロロまたはフルオロであり、そしてC1−4アルキルオキシで置換される場合、そのような置換基は好ましくはメチルオキシである;
−Lが置換基で置換されたフェニルである場合、そのような置換基は好ましくはオルト位である;
−R13がヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニルである場合、そのような基は好ましくはヒドロキシエチルアミノカルボニルであり、そしてR13がC1−4アルキルオキシカルボニルである場合、そのような基はエチルオキシカルボニルである。
【0137】
本発明によれば、特に好適な化合物には以下の化合物、およびそのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体、すなわち化合物17、18、20、21、22および23を含む。
【0138】
式(I)の化合物は、本明細書で以下に記載する一般的方法に従い調製することができる。出発材料および幾つかの中間体は周知の化合物であり、そして市販されているか、または当該技術分野で一般に知られている通常の反応手順に従い調製することができる。幾つかの調製法をこれからさらに詳細に記載する。式(I)の最終化合物を得るための他の方法は実施例に記載する。
【0139】
式(I−a)により表される式(I)の化合物(式中、nが0であり、そしてRおよびRの少なくとも1つが水素以外である)は、反応スキームAに従い調製することがで
きる:
【0140】
【化31】

【0141】
上記スキームでは、個々の段階を例えば以下のように行うことができる:
a)式(VIII)の化合物(式中、各ハロは独立して塩素もしくは臭素のようなハロゲン原子である)は、メタノール中でナトリウムメトキシドにより処理される;
b)生じた式(VII)の化合物は、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中でn−ブチルリチウムのような有機リチウム化合物で処理し、続いて該中間体を適切なアルデヒド(RCHO)またはケトン(RCOR)と反応させることにより式(V)の化合物に転換される;
c)生じた式(V)の化合物は、例えばジオキサンのような適切な溶媒中で塩酸を用いて処理することにより加水分解される;
d)生じた式(IV)の化合物は、例えばジクロロメタンのような適切な溶媒中、ハロゲン化チオニル、例えば塩化チオニルを用いてハロゲン化される;
e)生じた式(II)の化合物は、アセトニトリルもしくはDMFのような適切な溶媒中、塩基性条件下、例えば炭酸カリウムの存在下で式(III)のアミンと反応させて、式(I−a)の化合物が形成される。
【0142】
式(V)の化合物(式中、Rは水素である)は、あるいは式(VI)の化合物をRMgX(ここでXはハロゲン原子、例えば塩素もしくは臭素原子である)のような適切な試薬と、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中で反応させることにより調製することができる:使用する試薬はブチルリチウムのような有機リチウム化合物でもよい。
【0143】
【化32】

【0144】
式(VI)の化合物は、上記式(VII)の化合物を、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中でn−ブチルリチウムのような有機リチウム化合物で処理し、続いて該中間体をN−ホルミルピペリジンもしくはDMFと反応させることにより調製することができる。
【0145】
式(I−b)により表される式(I)の化合物(式中、nが0であり、そしてRおよびRがそれぞれ水素である)は、反応スキームBに従い調製することができる:
【0146】
【化33】

【0147】
上記スキームにおいて、個々の段階は例えば以下のように行うことができる:
a)式(VI)の化合物は、例えばメタノールのような適切な溶媒中でホウ水素化ナトリウムを用いて還元される;
b)生じた式(X)の化合物は、例えば臭化水素酸を用いた処理によりハロゲン化される;
c)生じた式(IX)の化合物は、アセトニトリルもしくはDMFのような適切な溶媒中、塩基性条件下、例えば炭酸カリウムの存在下で式(III)のアミンと反応させて、式(I−b)の化合物が形成される。
【0148】
式(I−c)により表される式(I)の化合物(式中、nは0であり、RおよびRの一方がヒドロキシメチル基であり、そして他方のRおよびRが水素である)は、以下の反応スキームCに従い調製することができる:
【0149】
【化34】

【0150】
上記スキームにおいて、個々の段階は例えば以下のように行うことができる:
a)上記式(XII)の化合物は、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中でn−ブチルリチウムのような有機リチウム化合物と反応させ、続いて該化合物をトリメチルオキシボロン(B(OCH)と反応させて式(XII)の化合物が形成される;
b)生じた式(XII)の化合物は、例えばジオキサンのような適切な溶媒中で塩酸を用いて処理することによる加水分解により式(XI)の化合物に転換される;
c)生じた式(XI)の化合物は、ヘキサフルオロイソプロパノールまたはジクロロメタンとヘキサフルオロイソプロパノールとの混合物中で、式(III)のアミンおよびグリコールアルデヒドと反応させて式(I−c)の化合物が形成される。
【0151】
式(I−d)により表される式(I)の化合物(式中、nが1であり、RおよびRの一方がヒドロキシルであり、そして他方のRおよびRが水素である)は、以下の反応スキームDに従い調製することができる:
【0152】
【化35】

【0153】
上記スキームでは、個々の段階を例えば以下のように行うことができる:
a)式(VII)の化合物は、トルエンのような適切な溶媒中でPd(PPhClの存在下、トリブチル(ビニル)スズを用いて処理されて式(XV)の化合物が形成される;
b)生じた式(XV)の化合物は、例えばテトラヒドロフランのような適切な溶媒中、塩酸を用いて処理することにより加水分解されて、式(XIV)の化合物が形成される;
c)生じた式(XIV)の化合物は、ジクロロメタンのような適切な溶媒中でm−クロロ過安息香酸(CPBA)で処理されて式(XIII)の化合物が形成される;
d)生じた式(XIII)の化合物は、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中で式(III)のアミンと反応させて、式(I−d)の化合物が形成される。
【0154】
式(I−e)により表される式(I)の化合物(式中、nは1であり、Rは水素であり、そしてRはヒドロキシル以外である)は、以下のスキームEに従い調製することができ、ここでR5aはヒドロキシルを除きRについて定義した意味を有する:
【0155】
【化36】

【0156】
上記スキームにおいて、個々の段階は例えば以下のように行うことができる:
a)上記式(VII)の化合物は、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中でn−ブチルリチウムのような有機リチウム試薬と反応させ、続いて式(XXI)の化合物と反応させる;
b)生じた式(XIX)の化合物は、ジオキサンのような適切な溶媒中で二酸化マンガンのような適切なオキシダントの存在下で、またはジクロロメタンのような適切な溶媒中でトリス[2−(2−エトキシエトキシ)−エチル]アミン中の四酸化マンガンカリウムの存在下で酸化させるか;あるいは式(XVIII)の化合物は、上記式(VII)の化合物をテトラヒドロフランのような適切な溶媒中で例えばn−ブチルリチウムのような有機リチウム試薬と反応させ、続いて式R5aCON(Me)OMeのような適切なワインレブアミドまたは酸クロライドと反応させることにより調製することができる;
c)生じた式(XVIII)の化合物は、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中で(Ph)PCHOCHおよびカリウムt−ブトキシドと反応させる;
d)生じた式(XVII)の化合物は、硫酸のような酸で処理する;
e)生じた式(XVI)の化合物は、例えばジオキサンのような適切な溶媒中で塩酸を用いて加水分解される;
f)生じた式(XV)の化合物は、メタノールのような適切な溶媒中でNaBHCNの存在下で式(III)のアミンと反応させて、式(I−e)の化合物が形成される。
【0157】
式(I−f)により表される式(I)の化合物(式中、nは1であり、RおよびRの一方はヒドロキシメチルであり、そして他方は水素である)は、以下のスキームFに従い調製することができる:
【0158】
【化37】

【0159】
上記スキームでは、個々の段階を例えば以下のように行うことができる:
a)式(XXVIII)の初期化合物は、例えば塩化チオニルまたは臭化水素酸での処理によりハロゲン化されて式(XXVII)の化合物が形成される;
b)生じた式(XXVII)の化合物は、例えばジメチルスルフォキシド(DMSO)のような適切な溶媒中でシアン化ナトリウムのようなシアン化化合物を用いた処理により式
(XXVI)の化合物が形成される;
c)生じた式(XXVI)の化合物は、例えば硫酸および酢酸水での酸処理にかけられる;
d)生じた式(XXV)の化合物は、最初に塩化チオニル、そして次にエタノールを用いた処理によりエステル化される;
e)生じた式(XXVa)の化合物は、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中でカリウムt−ブトキシド、次いでジフロモメタンで処理される;
f)生じた式(XXIV)の化合物は、ジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中で塩基性条件下、例えば炭酸カリウムの存在下で式(III)のアミンと反応させる:
g)生じた式(XXIII)の化合物は、例えば水素化リチウムアルミニウムで還元される;
h)生じた式(XXII)の化合物は、ジオキサンのような適切な溶媒中で例えば塩酸を用いた処理により加水分解されて、式(I−f)の化合物が形成される。
【0160】
式(I−g)により表される式(I)の化合物(式中、nは2であり、そしてRおよびRはそれぞれ水素である)は、以下のスキームGに従い調製することができる:
【0161】
【化38】

【0162】
上記スキームでは、個々の段階を例えば以下のように行うことができる:
a)式(XXIX)の化合物は、ジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中でアクリル酸メチル、Pd(dba)およびトリトルオイルホスフィンを用いて処理される;
b)生じた式(XXX)の化合物は、例えばメタノールのような適切な溶媒中、パラジウム/炭素を用いた水素化により還元される;
c)生じた式(XXXI)の化合物は、例えばテトラヒドロフランのような適切な溶媒中で水素化リチウムアルミニウムで還元される;
d)生じた式(XXXII)の化合物は、例えばジクロロメタンのような適切な溶媒中、トリエチルアミンのような塩基の存在下でメタンルスルホニルクロライドでスルホン化される;
e)生じた式(XXXIII)の化合物は、アセトニトリルのような適切な溶媒中で塩基性条件下、例えば炭酸カリウムの存在下で式(III)のアミンと反応させる;
f)生じた式(XXXIV)の化合物は、ジオキサンのような適切な溶媒中で例えば塩酸との反応により加水分解されて、式(I−g)の化合物が形成される。
【0163】
式(I−h−1)および(I−h−2)により表される式(I)の他の化合物(式中、nは2であり、そしてRはヒドロキシである)は、以下の反応スキームHに従い調製することができる:
【0164】
【化39】

【0165】
例えば上記式(XVIII)の化合物の加水分解により得られる式(XXXV)の化合物は、酸触媒の存在下でホルムアルデヒドおよび式(III)のアミンとのマンニッヒ反応にかけられて、式(XXXVI)の化合物を形成することができ、これは次に:
a)例えばホウ水素化ナトリウムを用いて還元されて式(I−h−1)の化合物を形成することができる;あるいは
b)適切なRMgX試薬(ここでXはハロゲン原子、例えば塩素原子である)を用いて処理して、式(I−h−2)の試薬が形成される。
【0166】
式(I−j)により表される式(I)の化合物(式中、RおよびRは一緒に=O基を形成する)は、式(XXXVII)の化合物と式(III)のアミンとの反応により調製することができる:
【0167】
【化40】

【0168】
この反応は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)を使用して、トリエチルアミンのような塩基の存在下、そしてテトラヒドロフランまたはジクロロメタンのような適切な溶媒中で行うことができる。
【0169】
また式(I)の化合物またはそれらの中間体は、技術的に既知の反応または官能基変換を介して互いに転換することができる。幾つかのそのような変換は既に前述されている。他の例は、カルボン酸エステルの対応するカルボン酸またはアルコールへの加水分解;アミドの対応するカルボン酸またはアミンへの加水分解;ニトリルの対応するアミドへの加水分解であり;フェニル上のアミノ基が技術的に既知のジアゾ化(diazotation)反応により水素により置換され、続いて水素によってジアゾ基が置換されてもよい;アルコールはエステルおよびエーテルに転化することができる:1級アミンは2級または3級アミンに転換されてもよい;二重結合は対応する単結合に水素付加される;フェニル基上のヨード基は適当なパラジウム触媒の存在下で一酸化炭素の挿入によりエステル基に転化することができる。
【0170】
本発明では幾つかの式(I)の化合物および幾つかの中間体が、不斉炭素原子を含んでもよい。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体は、既知の手順を応用することにより得ることができる。例えばジアステレオマーは選択的結晶化またはクロマトグラフィー技術のような物理的方法、例えば向流分配、液体クロマトグラフィー等のような方法により分離することができる。エナンチオマーは、ラセミ混合物から最初に該ラセミ混合物を、例えばキラル酸のような適切な分割剤によりジアステレオマー塩または化合物の混合物に転換し;次いで該ジアステレオマー塩または化合物の混合物を、例えば選択的結晶化、超臨界流体クロマトグラフィーまたはクロマトグラフィー技術、例えば液体クロマトグラフィー等の技術により物理的に分離し;そして最後に該分離したジアステレオマー塩または化合物を対応するエナンチオマーに転換することにより得ることができる。純粋な立体化学的異性体も、介入する反応が立体特異的に起これば、適切な中間体および出発材料の純粋な立体異性体形から得ることができる。
【0171】
また本発明は薬剤として使用するための上記定義の式(I)の化合物に関する。
【0172】
本発明の化合物は、以下の実験の部から分かるように、PARP阻害特性を有する。
【0173】
本明細書では用語「PARP」は、ポリ−ADP−リボシル化活性を有するタンパク質を意味するように使用する。この用語の意味の中では、PARPは、parp遺伝子によってコードされるすべてのタンパク質、その変異体、およびその選択的にスプライスされた(alternatively spliced)タンパク質を包含する。さらに、本明細書で使用する用語「PARP」は、PARP類似体、同族体および他の動物のオルソログを含む。
【0174】
用語「PARP」には、限定するものではないがPARP−1を含む。この用語の意味の中には、PARP−2、PARP−3、Vault−PARP(PARP−4)、PARP−7(TiPARP)、PARP−8、PARP−9(Bal)、PARP−10、PARP−11、PARP−12、PARP−13、PARP−14、PARP−15、PARP−16、TANK−1、TANK−2およびTANK−3が含まれてもよい。
【0175】
用語「PARP−1阻害剤」または「PARPの阻害剤」は、PARPまたはTANKと相互作用でき、そしてその活性、より詳細にはその酵素活性を阻害することができる化合物を同定するために使用される。PARPまたはTANK酵素活性を阻害するということは、PARPまたはTANKがポリ(ADP−リボース)を生成する能力あるいは基質のポリ(ADP−リボシル)化を誘導する能力を減じることを意味する。好ましくはそのような阻害は特異的であり、すなわちPARP阻害剤は、幾つかの他の無関係な生物学的効果を生成するために必要な阻害剤の濃度よりも低い濃度で、PARPがポリ(ADP−リボース)を生成する能力あるいは基質のポリ(ADP−リボシル)化を誘導する能力を減じる。
【0176】
また本発明は、動物、特にヒトの任意の疾患および障害を処置するための薬剤の調製において、本明細書に記載する化合物の使用を意図するものである。
【0177】
また本発明はPARPが媒介する障害を処置する薬剤の製造に、式(I)の化合物の使用を意図するものである。
【0178】
また本発明は有効量の本発明の化合物を個体に投与することにより、個体、例えば哺乳動物(そしてさらに詳細にはヒト)のPARPが媒介する障害の処置法を提供する。
【0179】
それらのPARP結合特性に鑑みて、本発明の化合物は、参照化合物またはトレーサー化合物として使用することができ、この場合は、この分子の原子の1個が、例えば、放射性同位体により置換されてもよい。また式(I)の化合物は、PARPを検出または同定するためにも使用できる。その目的のためには、式(I)の化合物は標識され得る。該標識は放射性同位体、スピン標識、抗原標識、酵素標識蛍光基または化学発光基からなる群から選択することができる。
【0180】
本発明は、さらに治療に有効な量の本発明の少なくとも1つの化合物を製薬学的に許容され得る担体と一緒に含んでなる製薬学的組成物を含む。
【0181】
本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として本発明による有効量の特定化合物が製薬学的に許容され得る担体と完全な混合物で合わせられるが、この担体は、投与に望ましい調製物の形態に応じて、広範な種類の形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、好ましくは、経口的、直腸内、経皮的、または非経口的注射による投与に適当な単位剤形であることが望ましい。例えば、経口剤形のる組成物の調製には、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤および液剤のような経口液状調製物の場合には、水、グリコール、オイル、アルコール等:あるいは散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、固形担体、例えば澱粉、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のような、任意の通常の製薬学的媒体を使用することができる。それらの投与が容易であることから、錠剤およびカプセル剤が、もっとも有利な経口単位剤形を表し、この場合には、固形の製薬学的担体が使用されることは明らかである。非経口組成物では、他の成分が例えば溶解性を助けるために含まれてもよいが、担体は通常、少なくとも大部分は無菌水を含んでなるだろう。例えば、注射用液剤は、担体が生理食塩溶液、グルコース溶液もしくは生理食塩水とグルコース溶液の混合液を含む状態で調製することができる。また注射用懸濁剤も調製することができ、この場合には適当な液状担体、懸濁化剤等が使用されてもよい。
経皮投与に適する組成物では、担体は場合により浸透促進剤および/または適当な湿潤剤を、場合によりわずかな比率の任意の性質の適切な添加物と組み合わせて含んでなり、この添加物は皮膚に対して重大な悪影響を及ぼさない。該添加物は、皮膚への投与を容易にし、かつ/または所望の組成物の調製に役立ち得る。これらの組成物は種々の方法、例えば経皮パッチ剤として、スポットオン剤として、軟膏剤として投与されてもよい。前述の製薬学的組成物を、投与の容易性および用量の均一性のために単位剤形に調合することが有利である。
【0182】
本明細書および請求の範囲において使用される単位剤形は、単位投薬用量として適当な物理的に分割された単位を指し、各単位は必要な製薬学的担体と一緒に所望の治療効果を生むように計算された有効成分を予め決定された量で含有している。そのような単位剤形の例は、錠剤(刻み目をつけたり、コーティングされた錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末包装剤、ウェーファー剤、注射用液剤もしくは懸濁剤、ティースプーン量剤(teaspoonfuls)、テーブルスプーン量剤(tablespoonfuls)等、およびそれらの分割された集合物である。
【0183】
本発明の化合物は、壊死またはアポトーシスによる細胞の損傷または死から生じる組織の損傷を処置または予防することができ;以下の巣状虚血、心筋梗塞および再灌流傷害を含む神経または心臓血管組織の損傷を回復することができ;PARP活性によって惹起されるか、または悪化する種々の疾病または状態を処置することができ;細胞の寿命または増殖能力を拡大または増強でき;老化した細胞の遺伝子発現を改変することができ;細胞を放射線増感および/または化学増感することができる。一般に、PARP活性の阻害はエネルギー損失から細胞を救済して、神経細胞の場合は、ニューロンの不可逆的減極を防ぎ、その結果、神経保護を提供する。
【0184】
前記理由から、本発明は、さらに壊死またはアポトーシスによる細胞の損傷または死から生じる組織の損傷を処置または予防するため、NMDAの毒性によって媒介されないニューロンの活性を生じさせるため、NMDAの毒性によって媒介されるニューロンの活性を生じさせるため、虚血および再灌流傷害から生じる神経組織の損傷、神経学的障害および神経変性疾患を処置するため;血管卒中を予防または処置するため;心臓血管障害を処置または予防するため;他の状態および/または障害、例えば年齢に関連する筋肉変性、AIDSおよび他の免疫老化疾患、炎症、痛風、関節炎、動脈硬化症、悪液質、癌、複製老化が関与する骨格筋の変性疾患、糖尿病、頭部外傷、炎症性腸障害(例えば大腸炎およびクローン病)、筋ジストロフィー、骨関節炎、骨粗鬆症、慢性および/または急性疼痛(例えば神経病性疼痛)、腎不全、網膜虚血、敗血症ショック(例えば内毒素ショック)、および皮膚の老化を処置するため;細胞の寿命および増殖能力を拡大するため;老化細胞の遺伝子発現を改変するため;(低酸素の)腫瘍細胞を化学増感および/または放射線増感するために、PARP活性を阻害するのに十分な量の先に同定された化合物の治療学的有効量を投与する方法に関する。また、本発明は、先に同定された化合物の治療学的有効量を動物に投与することを含んでなる、該動物の疾患および状態の処置に関する。
【0185】
特に本発明は、先に同定された化合物の治療学的有効量を動物に投与することを含んでなる、該動物の神経学的障害を処置、予防または抑制する方法に関する。神経学的障害は、肉体的傷害または疾病状態によって惹起される末梢神経病、外傷性脳傷害、脊髄に対する物理的損傷、脳損傷に伴う卒中、巣状虚血、総体的虚血、再灌流傷害、脱髄疾患および神経変性に関連する神経学的障害からなる群から選ばれる。
【0186】
また本発明は、PARP活性を阻害するため、壊死またはアポトーシスによる細胞の損傷または死から生じる組織の損傷を処置、予防または抑制するため、動物の神経学的障害を処置、予防または抑制するための式(I)の化合物の使用を意図するものである。
【0187】
本明細書で使用する用語「処置」は、動物、特にヒトにおける疾患および/または状態の任意の処置に関し、そして(i)疾患および/または状態にかかり易いがまだそれを有すると診断されてない患者において疾患および/または状態が発生するのを予防する;(ii)疾患および/または状態を抑制する、すなわちその進行を止める;(iii)疾患および/または状態を軽減する、すなわち疾病および/または状態の退化を惹起することを含む。
【0188】
上記のように、PARP阻害剤は腫瘍の成長と関連付けられた脈管新生を阻害することが示され、したがって本発明は本明細書に記載する具体的な癌を含む癌の処置に、本発明の化合物の使用を含む。本発明の化合物は、BRCA1またはBRCA2対立遺伝子の1つが先天的に欠失した癌の処置に特に有用である。
【0189】
したがって本発明は、腫瘍細胞の成長を阻害するための本発明の化合物に関する。
【0190】
また本発明は腫瘍細胞の成長を阻害する薬剤を調製するための本発明の化合物の使用に関する。
【0191】
本発明は、有効量の本発明の化合物を投与することにより、形質転換した細胞を含む細胞の異常な成長を阻害する方法を提供する。細胞の異常な成長とは、正常な調節メカニズムに依存しない細胞の成長を指す(例えば接触阻害の喪失)。これには腫瘍細胞の成長を、成長の静止、最終分化および/または癌細胞のアポトーシスを引き起こすことにより直接的に、そして腫瘍の新脈管形成を阻害することにより間接的に両方で阻害することを含む。
【0192】
また本発明は、有効量の本発明の化合物をそのような処置が必要な個体、例えば哺乳動物(そしてさらに詳細にはヒト)に投与することにより、腫瘍の成長を阻害する方法を提供する。
【0193】
また本発明は、癌の腫瘍細胞を化学増感および/または放射線増感するためにも有用である。
【0194】
本発明の他の観点として、化学増感剤または放射線増感剤としての本発明のPARP阻害剤と、別の抗癌剤との、特に薬剤として使用するための、さらに具体的には癌または関連する疾患の処置に使用するための組み合わせ物が想定される。
【0195】
本明細書で使用する用語「放射線増感剤」は、本発明による化合物と関連して、イオン化放射に対する細胞の感受性を増大し、かつ/またはイオン化放射により処置できる疾患の処置を促進するためのそのような化合物の使用を指す。イオン化放射により処置できる疾患には、新生物形成疾患、良性および悪性腫瘍および癌細胞を含む。本明細書に列挙していない他の疾病のイオン化放射処置もまた本発明により意図される。
【0196】
本明細書で使用する用語「化学増感剤」は、本発明による化合物と関連して、化学療法に対する細胞の感受性を増強し、かつ/または化学療法剤により処置できる疾患の処置を促進するためのそのような化合物の使用を指す。化学療法により処置できる疾患には、新生物形成疾患、良性および悪性腫瘍および癌細胞を含む。本明細書に列挙していない他の疾患の化学療法処置もまた本発明により意図される。
【0197】
抑制され得る腫瘍の例には、限定するわけではないが肺癌(例えば腺癌、そして小および/または非小細胞肺癌を含む)、膵臓癌(例えば膵外分泌癌のような膵臓癌)、結腸癌
(例えば結腸腺癌および結腸腺腫のような結腸直腸癌)、進行した疾患を含む前立腺癌、リンパ系統の造血系腫瘍(例えば急性リンパ性白血病、B−細胞白血病、バーキットリンパ腫)、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))、濾胞性甲状腺癌、骨髄異形成症候群(MDS)、間葉系起源の癌(例えば線維肉腫および横紋筋肉腫)、メラノーマ、奇形癌腫、神経芽腫、神経膠腫、皮膚の良性腫瘍(例えばケラトアカントーマ)、乳癌(例えば進行した乳癌)、腎臓癌、卵巣癌、膀胱癌および上皮癌がある。
【0198】
前記状態の処置には、本発明の化合物が1もしくは複数他の薬剤、より詳細には他の抗癌剤と組み合わせて用いられる。抗癌剤の例は:
− 白金配位化合物、例えばシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチン(oxalyplatin);
− タキサン化合物、例えばパクリタキセルまたはドセタキセル;
− トポイソメラーゼI阻害剤、例えばカンプトテシン化合物、例えばイリノテカンまたはトポテカン;
− トポイソメラーゼII阻害剤、例えば抗腫瘍性ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)誘導体、例えばエトポシドまたはテニポシド;
− 抗腫瘍性ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビノレルビン;
− 抗腫瘍性ヌクレオシド誘導体、例えば5−フルオロウラシル、ゲムシタビン(gemcitabine)またはカペシタビン;
− アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタードまたはニトソロウレア、例えばシクロホスファミド、クロラムブシル、カルマスチンまたはロムスチン;
− 抗腫瘍性アントラサイクリン誘導体、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシンまたはミトキサントロン;
−HER2抗体、例えばトラスツズマブ;
− エストロゲン受容体拮抗薬または選択的エストロゲン受容体モジュレーター、例えばタモキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)、ファスロデックス(faslodex)またはラロキシフェン;
− アロマターゼ阻害剤、例えばエキセメスタン、アナストロゾール、レトラゾール(letrazole)およびボロゾール(vorozole);
− 分化誘導薬、例えばレチノイド、ビタミンDまたはレチノイン酸およびレチノイン酸代謝遮断薬(RAMBA)、例えばアキュテイン;
− DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばアザシチジンおよびデシタビン(decitabine);
− キナーゼ阻害剤、例えばアザシチジンおよびデシタビン;
− ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばチピファルニブ(tipifarnib);
− ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、例えば酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサミド(suberoylanilide hydroxamide)酸(SAHA)、R306465、JNJ−26481585およびトリコスタチン(trichostatin)A;
− ユビキチン−プロテアソーム経路の阻害剤、例えばPS−341、MLN.41またはボルテゾミブ;
− ヨンデリス(Yondelis);
− テロメラーゼ阻害剤、例えばテロメスタチン(telomestatin);
− マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばバチマスタット(batimastat)、マリマスタット(marimastat)、プリノスタット(prinostat)およびメタスタット(metastat)である。
【0199】
用語「白金配位化合物」は本明細書では、イオンの形態の白金を提供する任意の腫瘍細
胞成長阻害白金配位化合物を表すために使用される。
【0200】
用語「タキサン化合物」はタキサン環系を有し、特定の種のイチイの木(Taxus)からの抽出物に関連するか、またはそれから誘導される化合物の一クラスを示す。
【0201】
用語「トポイソメラーゼ阻害剤」は、真核細胞中のDNA位相を変えることができる酵素を示すために使用される。それらは重要な細胞機能および細胞増殖に必須である。真核細胞には2種のトポイソメラーゼ、すなわちI型およびII型がある。トポイソメラーゼIは約100,000の分子量のモノマー酵素である。この酵素はDNAに結合し、そして一時的な単鎖分解を誘発し、二重らせんを解き(または解かせ)、引き続いてDNA鎖から解離する前にその分解を再シールする。トポイソメラーゼIIはDNA鎖分解物の導入または遊離ラジカルの形成に関与する、同様な作用機序を有する。
【0202】
用語「カンプトテシン化合物」は中国の木のカンプトテシンアクミナタ(Camptothecin acuminata)およびインドの木のノタポヂテフェチダ(Nothapodytes foetida)に由来する非水溶性アルカロイドである親カンプトテシン化合物に関連するか、またはそれから誘導される化合物を表すために使用される。
【0203】
用語「ポドフィロトキシン化合物」はマンドレークの植物から抽出される、親ポドフィロトキシンに関連するか、またはそれから誘導される化合物を示すために使用される。
【0204】
用語「抗腫瘍ビンカアルカロイド」はツルニチソウ(Vinca rosea)の抽出物に関連するか、またはそれから誘導される化合物を示すために使用される。
【0205】
用語「アルキル化剤」は生理学的条件下で、DNAのような生物学的に必須の高分子にアルキル基を与える能力を有するという共通の特徴をもつ広範な化学物質の群を包含する。大部分はナイトロジェンマスタードおよびニトロソ尿素のような、より重要な物質であるが、活性なアルキル化部分は、複雑な分解反応(その幾つかは酵素による)後にインビボで生成される。アルキル化剤の最も重要な薬理学的作用は、細胞増殖、とりわけDNA合成及び細胞分裂に関与する基本的メカニズムを乱すものである。急速に増殖している組織中のDNA機能および完全性を阻害するアルキル化剤の能力が、それらの治療的応用および多数のそれらの毒性の基礎を提供する。
【0206】
用語「抗腫瘍アントラサイクリン誘導体」は、グリコシド結合により結合された稀有な糖のダウノスアミンをもつテトラサイクリン環構造を有することを特徴とする、カビ真菌のStrep.peuticus var.caesiusから得られる抗生物質およびそれらの誘導体を含んでなる。
【0207】
原発性乳癌におけるヒト上皮増殖因子受容体2タンパク質(HER2)の増幅は、特定の患者について低い臨床予後と関連することが示された。トラストズマブはHER2受容体の細胞外ドメインに高い親和性および特異性で結合する、高度に精製された組み換えDNA由来ヒト化モノクローナルIgG1カッパ抗体である。
【0208】
多数の乳癌はエストロゲン受容体を有し、これらの腫瘍の成長はエストロゲンにより刺激され得る。用語「エストロゲン受容体アンタゴニスト」及び「選択的エストロゲン受容体モジュレーター」は、エストロゲン受容体(ER)に結合するエストラジオールの競合的阻害剤を示すために使用される。選択的エストロゲン受容体モジュレーターはERに結合すると、受容体の三次元形態に変化を誘発し、DNA上のエストロゲン反応性要素(ERE)に対するその結合を変化させる。
【0209】
閉経後の女性においては、循環エストロゲンの主要な生成源は、末梢組織におけるアロマターゼ酵素による、副腎および卵巣のアンドロゲン(アンドロステンジオンおよびテストステロン)のエストロゲン(エストロンおよびエストラジオール)への転化からである。アロマターゼ阻害または不活性化を介するエストロゲンの剥奪はホルモン依存性乳癌をもつ何人かの閉経後患者に対して有効な選択的処置である。
【0210】
用語「抗エストロゲン剤」は本明細書では、エストロゲン受容体アンタゴニストおよび選択的エストロゲン受容体モジュレーターだけでなく、上で検討したアロマターゼ阻害剤を包含するために使用される。
【0211】
用語「分化剤」は種々の方法で、細胞増殖を阻害し、分化を誘発することができる化合物を包含する。ビタミンDおよびレチノイドは、広範な正常および悪性の細胞型の成長および分化の調節に重要な役割を果たすことが知られている。レチノイン酸代謝阻害剤(RAMBA)は、レチノイン酸のチトクロームP450−媒介異化作用を阻害することにより内在レチノイン酸のレベルを増加する。
【0212】
DNAメチル化の変化はヒト新生物における最も一般的な異常の1つである。選択される遺伝子のプロモーター内のメチル化亢進(hypermethylation)は通常、関与する遺伝子の不活性化を伴なう。用語「DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤」は、DNAメチルトランスフェラーゼの薬理学的阻害および腫瘍サプレッサーの遺伝子発現の再活性化を介して作用する化合物を示すために使用される。
【0213】
用語「キナーゼ阻害剤」は細胞周期の進行およびプログラムされた細胞死(アポトーシス)に関与するキナーゼの強力な阻害剤を含んでなる。
【0214】
用語「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」はRasおよび他の細胞内タンパク質のファルネシル化を抑制するように設計された化合物を示すために使用される。それらは悪性細胞の増殖および生存に影響を及ぼすことが示されている。
【0215】
用語「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」または「ヒストンデアセチラーゼの阻害剤」は、ヒストンデアセチラーゼと相互作用し、そしてその活性を阻害する、より詳細にはその酵素活性を阻害することができる化合物を同定するために使用する。ヒストンデアセチラーゼの酵素活性を阻害することとは、ヒストンデアセチラーゼがヒストンからアセチル基を除去する能力を減じることを意味する。
【0216】
用語「ユビキチン−プロテアソーム経路の阻害剤」とは、細胞周期調節タンパク質を含むプロテアソーム中の細胞性タンパク質の標的化された破壊を阻害する化合物を同定するために使用する。
【0217】
用語「テロメラーゼ阻害剤」とは、テロメラーゼの活性を標的とし、減少させ、または阻害する化合物、特にテロメラーゼ受容体を阻害する化合物を指す。
【0218】
用語「マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤」とは、限定するわけではないが、コラーゲンペプチドミメティックおよび非ペプチドミメティック阻害剤を含む。
【0219】
放射線増感剤は、イオン化放射の毒性作用に対する癌細胞の感受性を増強することが知られている。放射線増感剤の作用様式に関する幾つかのメカニズムは、次のことを含む文献で示唆された:低酸素下で酸素を模倣するか、さもなくば生物還元剤のように挙動する低酸素細胞の放射線増感剤(例えば、2−ニトロイミダゾール化合物および二酸化ベンゾトリアジン化合物);非低酸素細胞の放射線増感剤(例えば、ハロゲン化ピリミジン)は
DNA塩基の類似体であることができ、そして癌細胞のDNA中に優先的に取り込まれ、それによってDNA分子の放射誘導破壊を促進し、かつ/または正常なDNA修復メカニズムを妨げる;ならびに種々の他の潜在的作用機構が疾患の処置における放射線増感剤について仮定されてきた。現在、多くの癌の処置プロトコールは、x線の放射と組み合わせて放射線増感剤を使用する。x線活性化放射線増感剤の例には、限定するわけではないが、次のものがある:メトロニダゾール、ミソニダゾール、デスメチルミソニダゾール、ピモニダゾール、エタニダゾール、ニモラゾール、マイトマイシンC、RSU1069、SR4233、EO9、RB6145、ニコチンアミド、5−ブロモデオキシウリジン(BUdR)、5−ヨードデオキシウリジン(IUdR)、ブロモデオキシシチジン、フルオロデオキシウリジン(FudR)、ヒドロキシ尿素、シスプラチン、およびそれらの治療学的に有効な類似体および誘導体。癌の光力学的療法(PDT)は、増感剤の放射線活性化物として可視光線を使用する。光力学的放射線増感剤の例には、限定するわけではないが次のものがある:ヘマトポルフィリン誘導体、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、錫エチオポルフィリン、フェオボルビド−a、バクテリオクロロフィル−a、ナフタロシアニン、フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、およびそれらの治療学的に有効な類似体および誘導体。
【0220】
放射線増感剤は、治療学的に有効な量の1もしくは複数の他の化合物と一緒に投与してもよく、それらには限定するわけではないが:標的細胞への放射線増感剤の取り込みを促進する化合物;標的細胞への治療剤、栄養物および/または酸素の流動を制御する化合物;さらなる放射の有無によらず腫瘍に作用する化学療法剤;あるいは癌もしくは他の疾患を処置するための他の治療学的に有効な化合物を含む。放射線増感剤と一緒に使用してもよい追加の治療剤の例には、限定するわけではないが、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、5’−アミノ−5’−デオキシチミジン、酸素、カルボゲン、赤血球輸血、ペルフルオロカーボン(例えば、Fluosol 10DA)、2,3−DPG、BW12C、カルシウムチャンネル遮断剤、ペントキシフィリン、抗血管形成化合物、ヒドラルアジンおよびLBSOを含む。放射線増感剤と一緒に使用できる化学療法剤の例には、限定するわけではないが、アドリアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガンマ)、インターロイキン2、イリノテカン、パクリタキセル、トポテカン、およびそれらの治療学的に有効な類似体および誘導体を含む。
【0221】
化学増感剤は、治療学的に有効な量の1もしくは複数の他の化合物と一緒に投与してもよく、それらは、限定するわけではないが、標的細胞への化学増感剤の取り込みを促進する化合物;標的細胞への治療剤、栄養物および/または酸素の流動を制御する化合物;腫瘍に作用する化学増感剤または癌または他の疾患を処置するための他の治療学的に有効な化合物を含む。
【0222】
また本発明は、例えば腫瘍細胞の増殖を阻害するために医学的治療で使用する本発明の組み合わせ物に関する。
【0223】
また本発明は、腫瘍細胞の増殖を阻害するための本発明の組み合わせ物に関する。
【0224】
また本発明は、ヒト個体における腫瘍細胞の増殖を阻害する方法に関し、この方法は個体に有効量の本発明の組み合わせ物を投与することを含んでなる。
【0225】
さらに本発明は、有効量の本発明の組み合わせ物を投与することにより形質転換した細胞を含む細胞の異常な増殖を阻害する方法を提供する。
【0226】
他の薬剤およびPARP阻害剤を、同時に(例えば別個に、または単一の組成物で)、
またはいずれかの順序で順次に投与してもよい。後者の場合、2つの化合物は有利または相乗効果が確実に達成されるために十分な一定の期間内に、そして一定の量で、そして一定の様式で投与される。組み合わせ物の各化合物について、好適な投与法および順序、および個々の投薬用量および計画は、投与する特定の他の薬剤およびPARP阻害剤、それらの投与経路、処置する特定の腫瘍および処置する特定の宿主に依存すると考えられる。投与の最適な方法および順序および投薬用量および計画は、通常の方法を使用して、そして本明細書に説明する情報の観点から当業者が容易に決定できる。
【0227】
当業者は、これ以降に提示される試験結果から有効量を容易に決定できるであろう。一般に、有効量は0.001mg/kg〜100mg/kg体重、そして特に0.005mg/kg〜10mg/kg体重であると考えられる。必要な用量は、1日を通して適当な間隔で2、3、4またはそれ以上の副用量として投与することが適当であろう。該副用量は、例えば単位剤形あたり0.05〜500mg、そして特に0.1mg〜200mgの有効成分を含有する単位剤形として調合することができる。
【0228】
以下の実施例は本発明を具体的に説明する。
【実施例】
【0229】
実験の部
今後、“DMF”はN,N−ジメチルホルムアミドと定義し、“DCM”はジクロロメタンと定義し、“DIPE”はジイソプロピルエーテルと定義し、“DIPEA”はN−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパンアミンと定義し、“EDC”は1,2−ジクロロエタンと定義し、“EtOAc”は酢酸エチルと定義し、“EtOH””はエタノールと定義し、“HOBT”は1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾールと定義し、“MeOH”はメタノールと定義し、“nBuLi”はブチル−リチウムと定義し、そして“THF”はテトラヒドロフランと定義する。
【0230】
A.中間化合物の調製
実施例A1
a)中間体1の調製
【0231】
【化41】

【0232】
30%のCHOna/MeOH(0.3モル)を、室温で7−ブロモ−2−クロロ−3−エチルキノリン(0.0739モル)の溶液(150mlのMeOH中)に滴下した。この混合物を撹拌し、そして7時間還流し、そして氷水に注いだ。沈殿を濾過し、水で洗浄し、そして乾燥して19.5gの中間体1が得られた。
b)中間体2の調製
【0233】
【化42】

【0234】
1.6MのnBuLi(0.0225モル)を、−78℃で中間体1(0.0188モ
ル)の溶液(100mlのTHF中)に滴下した。この混合物を−78℃で20分間撹拌した。1−ピペリジンカルボキシアルデヒド(0.0282モル)の溶液(3mlのTHF中)を滴下した。この混合物を−78℃で1時間撹拌し、氷上に注ぎ、そしてEtOAcで2回抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEに取った。沈殿を濾過し、そして乾燥して2.5gの中間体2が得られた。母液層を蒸発させ、残渣(2g)をシリカゲル(15〜40μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/AcOEt 90/10)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.64gの中間体2が得られた。
c)中間体3の調製
【0235】
【化43】

【0236】
テトラヒドロホウ酸ナトリウム(0.0011モル)を、5℃で中間体2(0.0009モル)の溶液(10mlのMeOH中)に加えた。この混合物を室温で1時間撹拌し、氷上に注いだ。沈殿を濾過し、水で洗浄し、次いでDCMで希釈した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて0.17g(84%)の中間体3が得られた(融点:72℃)。
d)中間体4の調製
【0237】
【化44】

【0238】
中間体3(0.0007モル)の混合物(2mlの48%臭化水素酸中)を撹拌し、そして1時間還流し、次いで室温とした。氷水を加えた。沈殿を濾過し、水、次いでDIPEで洗浄し、そして乾燥して0.18g(90%)の中間体4が得られた。
【0239】
実施例A2
中間体5の調製
【0240】
【化45】

【0241】
トリス(セテート−α−O)ヒドロボレート(1−),ナトリウム(0.0034モル)、次いで酢酸(0.0023モル)を、室温で中間体2(0.0023モル)および4−フェニル−ピペリジン(0.0027モル)の溶液(20mlのTHF中)に加えた。この混合物を室温で24時間撹拌した。トリス(セテート−α−O)ヒドロボレート(1−),ナトリウム(0.3当量)を加えた。この混合物を室温で24時間撹拌し、氷水に注ぎ、NaHCOで中和し、そしてEtOAcで2回抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.95g)をシリカゲル(3〜5μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH 99/1〜95/5)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.44g(44%)の中間体5が得られた。
【0242】
実施例A3
a)中間体6の調製
【0243】
【化46】

【0244】
中間体1(0.0075モル)、トリブチルエテニル−スタンナン(0.009モル)およびパラジウムビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド(0.0007モル)の混合物を撹拌し、そして24時間還流した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(5g)をシリカゲル(15〜40μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/DCM 60/40)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて1.6gの中間体6が得られた。この画分を次の反応段階で直接使用した。
b)中間体7の調製
【0245】
【化47】

【0246】
中間体6(0.001モル)の混合物(5mlの3N塩酸および1mlのTHF中)を撹拌し、そして15時間還流した。水を加えた。混合物を炭酸ナトリウムでアルカリ性とした。沈殿を濾過し、水で洗浄し、そして乾燥して0.07g(34%)の中間体7が得られた。
c)中間体8の調製
【0247】
【化48】

【0248】
3−クロロ−ベンゼンカルボペルオキソ酸(0.0003モル)を、5℃で中間体7(0.0003モル)の溶液(10mlのDCM中)に滴下した。混合物を室温で15時間撹拌した。3−クロロ−ベンゼンカルボペルオキソ酸(0.2当量)を加えた。混合物を室温で15時間撹拌した。水を加えた。混合物を炭酸ナトリウムでアルカリ性とした。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて0.078gの中間体8が得られた。
【0249】
実施例A4
a)中間体9の調製
【0250】
【化49】

【0251】
1.6MのnBuLi(0.018モル)を、−78℃で7−ブロモ−2−メチルオキシ−3−メチル−キノリン(0.015モル)の溶液(75mlのTHF中)に滴下した。この混合物を−78℃で20分間撹拌した。1−ピペリジンカルボキシアルデヒド(0.022モル)の溶液(2.5mlのTHF中)を滴下した。この混合物を−78℃で1時間撹拌し、氷上に注ぎ、そしてEtOAcで2回抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥して1.7g(50%)の中間体9が得られた。
b)中間体10の調製
【0252】
【化50】

【0253】
トリス(セテート−α−O)ヒドロボレート(1−),ナトリウム(0.0054モル)、次いで酢酸(0.003モル)を、室温で中間体9(0.003モル)および4−フェニル−ピペリジン(0.0042モル)の混合物(25mlのTHF中)に加えた。この混合物を室温で15時間撹拌し、氷上に注ぎ、NaHCOで中和し、そしてEtOAcで2回抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(1g)をシリカゲル(15〜40μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 80/20)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.76g(73%)の中間体10(融点:100℃)が得られた。
【0254】
実施例A5
a)中間体11の調製
【0255】
【化51】

【0256】
トリス[μ−[(1,2−η:4,5−η)−(1E,4E)−1,5−ジフェニル−
1,4−ペンタジエン−3−オン]]ジ−パラジウム(0.0002モル)を、中間体1(0.0037モル)、2−プロペン酸、メチルエステル(0.0225モル)、トリス(2−メチルフェニル)−ホスフィン(0.0006モル)およびDIPEA(0.0094モル)の混合物(5mlのDMF中)に加えた。この混合物を100℃で24時間撹拌し、次いで蒸発乾固した。残渣を水に取った。この混合物をジエチルエーテルで2回抽出した。有機層を水で数回洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発させた。残渣(1.5g)をシリカゲル(15〜40μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 90/10)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.8g(80%)の中間体11が得られた。
b)中間体12の調製
【0257】
【化52】

【0258】
中間体11(0.0007モル)および10%のPd/C(0.02g)の懸濁液(20mlのMeOH中)を、室温で15時間、3バールの圧力下で水素化し、次いで濾過した。濾液を蒸発させて0.2gの中間体12が得られた。
c)中間体13の調製
【0259】
【化53】

【0260】
リチウムテトラヒドロアルミン酸塩(0.0008モル)を、5℃で中間体12(0.0007モル)の溶液(7mlのTHF中)に加えた。この混合物を5℃で30分間撹拌し、EtOAcに注ぎ、次いで水そしてセライト上で濾過した。セライトをEtOAcで洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて0.19gの中間体13が得られた。
d)中間体14の調製
【0261】
【化54】

【0262】
メタンスルホニルクロライド(0.0009モル)を、5℃で中間体13(0.0007モル)およびトリエチルアミン(0.0014モル)の混合物(10mlのDCM中)に滴下した。この混合物を室温で2時間撹拌し、次いで15時間撹拌し、そして5℃に冷却した。トリエチルアミン(2当量)、次いでメタンスルホニルクロライド(1.3当量)を加えた。この混合物を室温で15時間撹拌した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(Mg
SO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて0.26gの中間体14が得られた。この生成物を次の反応段階で直接使用した。
e)中間体15の調製
【0263】
【化55】

【0264】
中間体14(0.0007モル)、6−(1−ピペラジニル)−3−ピペリジンカルボニトリル(0.0087モル)およびDIPEA(0.0022モル)の混合物(15mlのアセトニトリル中)を、80℃で48時間撹拌した。水を加えた。混合物をDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.41g)をSunfire(5μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH 100/0〜97.5/2.5)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.16g(53%)の中間体15が得られた。
【0265】
実施例A6
a)中間体16の調製
【0266】
【化56】

【0267】
1.6MのnBuLi(0.018モル)を、−78℃で中間体1(0.015モル)の溶液(25mlのTHF中)にN流下で滴下した。この混合物を−78℃で20分間撹拌した。トリメチルボレート(0.045モル)を滴下した。混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いで室温で1時間撹拌した。3N塩酸は5℃でPhが4〜5になるまで加えた。混合物を15分間撹拌し、次いでEtOAcで2回抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて2.2g(62%)の中間体16が得られた。
b)中間体17の調製
【0268】
【化57】

【0269】
中間体16(0.0021モル)の混合物(5mlの3N塩酸および5mlのTHF中)を、60℃で24時間撹拌した。水を加えた。炭酸ナトリウムを加えた。沈殿を濾過し
、水で洗浄し、そして乾燥して0.42g(91%)の中間体17が得られた。
【0270】
実施例A7
a)中間体18の調製
【0271】
【化58】

【0272】
中間体1(0.0038モル)、酢酸、パラジウム(2+)塩(0.0003モル)、トリフェニルホスフィン(0.0057モル)、EtOH(10ml)および炭酸カリウム(0.0076モル)の混合物(10mlのDMF中)を、90℃で一晩、5バールのCO圧下で水素化し、次いで室温に冷却し、水に注ぎ、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(2g)をシリカゲル(15〜40μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 98.5/1.5)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.28g(29%)の中間体18が得られた。
b)中間体19の調製
【0273】
【化59】

【0274】
中間体18(0.001モル)の混合物(3mlの6N塩酸および3mlのジオキサン中)を、160℃で一晩撹拌し、次いで室温に冷却し、そして10%炭酸カリウムで塩基性とした。沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して0.21g(80%)の中間体19が得られた。
c)中間体20の調製
【0275】
【化60】

【0276】
中間体19(0.0008モル)および水酸化ナトリウム(0.0016モル)の混合物(10mlのEtOH中)を80℃で一晩撹拌し、次いで室温に冷却した。沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して0.15g(75%)の中間体20が得られた。
【0277】
実施例A8
a)中間体21の調製
【0278】
【化61】

【0279】
2−プロピルマグネシウムクロライド(0.015モル)を、−40℃で中間体2(0.01モル)の溶液(110mlのTHF中)にN流下で滴下した。混合物を−40℃で20分間撹拌し、次いで室温とし、15時間撹拌し、そして氷水に注いだ。NHClを加えた。この混合物をEtOAcで2回抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(2.4g)をシリカゲル(15〜40μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 80/20〜0/100)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:0.58g(22%)の中間体21。
b)中間体22の調製
【0280】
【化62】

【0281】
中間体21(0.0022モル)の混合物(10mlの3N塩酸および10mlのジオキサン中)を60℃で6時間撹拌した。水を加えた。この混合物を炭酸ナトリウムで塩基性とした。沈殿を濾過し、水で洗浄し、次いでDIPEで洗浄し、そして乾燥して0.35g(65%)の中間体22が得られた、融点214℃。
c)中間体23の調製
【0282】
【化63】

【0283】
塩化チオニル(0.3ml)を5℃で中間体22(0.0012モル)の溶液(30mlのDCM中)に加えた。混合物を室温で15時間撹拌し、次いで蒸発乾固した。残渣をDCMに取った。この混合物を蒸発乾固して中間体23が得られた。この生成物は次の反応段階で直接使用した。
【0284】
実施例A9
a)中間体24の調製
【0285】
【化64】

【0286】
1.6MのnBuLi(0.018モル)を、−78℃で中間体1(0.015モル)の溶液(80mlのTHF中)にN流下で滴下した。この混合物を−78℃で20分間
撹拌した。アセトアルデヒド(0.03モル)を加えた。この混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いで室温とし、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(4.1g)をシリカゲル(15〜40μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 80/20)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて1.75g(50%)の中間体24が得られた。
b)中間体25の調製
【0287】
【化65】

【0288】
中間体24(0.0021モル)の混合物(5mlの3N塩酸および5mlのジオキサン中)を60℃で24時間撹拌し、次いで室温とした。氷および水を加えた。混合物は炭酸カリウムで塩基性とした。沈殿を濾過し、水で、次いでDIPEで洗浄し、そして乾燥して0.27gの中間体25が得られた。
c)中間体26の調製
【0289】
【化66】

【0290】
塩化チオニル(2.5ml)を5℃で中間体25(0.0012モル)の溶液(25mlのDCM中)に加えた。混合物を室温で15時間撹拌し、次いで蒸発乾固した。残渣をDCMに取った。この混合物を蒸発乾固して中間体26が得られた。
【0291】
実施例A10
中間体27の調製
【0292】
【化67】

【0293】
塩化チオニル(0.0148モル)を化合物12(0.0014モル)の溶液(20mlのEDC中)に滴下した。この混合物を70℃で15時間撹拌し、次いで蒸発乾固した。残渣をDCMに取った。この混合物を蒸発乾固して中間体27が得られた。この生成物は次の反応段階で直接使用した。
【0294】
実施例A11
a)中間体28の調製
【0295】
【化68】

【0296】
1.6MのnBuLi(0.0154モル)を、−78℃で7−ブロモ−2−メチルオキシ−3−メチル−キノリン(0.014モル)の溶液(40mlのTHF中)にN流下で滴下した。この混合物を−78℃で30分間撹拌した。アセトアルデヒド(0.0169モル)を滴下した。この混合物を−78℃で1時間撹拌し、そして氷水に注いだ。EtOAcを加えた。混合物をEtOAcで抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(15〜40μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 80/20)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて1.1g(36%)の中間体28が得られた。
b)中間体29の調製
【0297】
【化69】

【0298】
塩化チオニル(20ml)を10℃で中間体28(0.0092モル)の溶液(20mlのDCM中)に滴下した。混合物を10℃で1時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌し、そして蒸発乾固した。残渣をDCMに取った。沈殿物を濾過し、そして乾燥して2.3gの中間体29が得られた。
【0299】
実施例A12
a)中間体30の調製
【0300】
【化70】

【0301】
1.6MのnBuLi(0.018モル)を、−78℃で7−ブロモ−2−メチルオキシ−3−メチル−キノリン(0.015モル)の溶液(75mlのTHF中)に滴下した。この混合物を−78℃で20分間撹拌した。1−ピペリジンカルボキシアルデヒド(0.022モル)の溶液(2.5mlのTHF中)を滴下した。この混合物を−78℃で1時間撹拌し、氷に注ぎ、そしてEtOAcで2回抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEから結晶化させた。沈殿物を濾過し、そして乾燥して1.7g(50%)の中間体30が得られた。
b)中間体31の調製
【0302】
【化71】

【0303】
テトラヒドロホウ酸ナトリウム(0.0065モル)を、5℃で中間体30(0.0054モル)の溶液(50mlのMeOH中)に数部に分けて加えた。この混合物を5℃で1時間30分間撹拌し、そして氷上に注いだ。沈殿を濾過し、水で洗浄し、そして乾燥した。残渣(0.92g、83%)をDIPEに取った。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.6gの中間体31が得られた(融点:98℃)。
c)中間体32の調製
【0304】
【化72】

【0305】
3N塩酸(5ml)を室温で中間体31(0.002モル)の溶液(5mlのジオキサン中)に滴下した。混合物を60℃で30時間撹拌し、次いで室温に冷却し、そして氷水に注いだ。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.33g(71%)の中間体32が得られた。この生成物を次の反応段階で直接使用した。
d)中間体33の調製
【0306】
【化73】

【0307】
塩化チオニル(4ml)を10℃で中間体32(0.0017モル)の溶液(4mlのDCM中)に滴下した。この混合物を10℃で1時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌し、そして蒸発乾固した。残渣をDCMに取り、中間体33が得られた。
【0308】
実施例A13
a)中間体34の調製
【0309】
【化74】

【0310】
塩化ブタノイル(0.0292モル)の溶液(10mlのDCM中)を、3−ブロモ−5−メチルオキシベンゼンアミン(0.0292モル)およびEtN(0.035モル)の溶液(50mlのDCM中)に5℃でN流下で滴下した。この混合物を室温で1時間撹拌した。10%のKCOを加え、そして有機層をデカントし、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発乾固して8g(100%)の中間体34が得られた。
b)中間体35の調製
【0311】
【化75】

【0312】
DMF(0.13モル)を10℃でPOCl(0.302モル)にN流下で加えた。混合物を室温に暖めた。中間体34(0.0863モル)を数部に分けて加えた。混合物を110℃で5時間撹拌し、次いで室温に冷却し、そして氷水に注いだ。沈殿を濾過し、HOで洗浄し、そしてDCMに取った。有機層を10%のKCOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をシリカゲル(20〜45μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/シクロヘキサン
50/50)。2つの画分を集め、そして溶媒を蒸発乾固して7.5g(29%)の中間体35(融点86℃)が得られた。
c)中間体36の調製
【0313】
【化76】

【0314】
中間体35(0.001モル)、ナトリウムメトキシド溶液(0.010モル)およびMeOH(4ml)を一晩加熱した。この混合物を室温に冷却し、氷水に注ぎ、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発乾固して260mg(88%)の中間体36(融点118℃)が得られた。
d)中間体37の調製
【0315】
【化77】

【0316】
流下、−70℃でBuLi(ヘキサン中1.6M)を中間体36の溶液(3mlのTHF中)に滴下した。この混合物を−70℃で1時間撹拌し、次いでDMF(8.779ミリモル)の溶液(10mlのTHF中)を加え、そして混合物を1時間撹拌した。反応を水でクエンチし、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして蒸発乾固した。残渣をシリカゲル(30g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/シクロヘキサン 70/30)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発乾固して40mg(19%)の中間体37が得られた。
e)中間体38の調製
【0317】
【化78】

【0318】
ホウ水素化ナトリウム(0.196ミリモル)を、中間体37の溶液(5mlのMeOH中)に5℃で滴下し、次いで混合物を室温になるよう暖め、そして1時間撹拌した。混合物を氷水に注ぎ、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発乾固した。残渣をシリカゲル(10g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH 98/2)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発乾固して20mgの中間体38が得られた。
f)中間体39の調製
【0319】
【化79】

【0320】
塩化チオニル(1.293ミリモル)を5℃でN流下にて中間体38の溶液(2mlのDCM中)に滴下した。この反応混合物を5℃で2時間撹拌し、次いで溶媒を蒸発乾固した。残渣をEtOAcに溶解し、そして飽和NaHCO溶液で洗浄した。有機層をデカントし、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発乾固して123mgの中間体39が得られた。
g)中間体40の調製
【0321】
【化80】

【0322】
中間体39(0.00024モル)、1−(2−メチルオキシフェニル)−ピペラジン(0.00026モル)および炭酸カリウム(0.00072モル)の混合物(2mlのアセトニトリル中)を80℃に48時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水でクエンチし、そしてDCMで抽出した。有機層をデカントし、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発乾固した。残渣をシリカゲル(10g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発乾固して21.6mgの中間体40が得られた。
【0323】
実施例A14
a)中間体41の調製
【0324】
【化81】

【0325】
メタノールナトリウム塩(41ml)を、7−ブロモ−2−クロロ−3−メチルキノリン(39ミリモル)の溶液(100mlのMeOH中)に滴下した。混合物を80℃で6時間撹拌した。次いで混合物を氷およびにHO注ぎ、そしてDCMを加えた。この混合物をDCMで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて18.4gの中間体41が得られた。
b)中間体42の調製
【0326】
【化82】

【0327】
中間体41(1.98ミリモル)を無水THFに−78℃でN流下にて導入した。BuLi(ヘキサン中1.6M;1.36ml)を−78℃で滴下した。混合物を−78℃で30分間撹拌し、次いでシクロヘキサンカルボキシアルデヒド(3.97ミリモル)を滴下した。混合物を−78℃で2.5時間撹拌し、次いで混合物を氷およびHOに注ぎ、そして混合物をEtOAcで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて中間体42が得られた。
c)中間体43の調製
【0328】
【化83】

【0329】
塩化チオニル(1.5ml)を10℃で中間体42(0.326ミリモル)の溶液(1.5mlのDCM中)に滴下した。混合物を10℃で1時間撹拌し、そして室温でもう1度撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発乾固し、そして残渣をDCMに取った。中間体43は次の段階で直接使用した。
【0330】
実施例A15
a)中間体44の調製
【0331】
【化84】

【0332】
中間体41(1.98ミリモル)をTHF(5ml)に−78℃でN流型下で導入した。BuLi(ヘキサン中の1.6M;1.49ml)を−78℃で滴下した。混合物を−78℃で30分間撹拌し、次いで2−メチルプロパノール(3.97ミリモル)を滴下
し、そして混合物を−78℃で2.5時間撹拌した。混合物を氷水に注ぎ、そして混合物をEtOAcで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて230mgの中間体44が得られた。
b)中間体45の調製
【0333】
【化85】

【0334】
塩化チオニル(0.5ml)を10℃で中間体44(0.0002モル)の溶液(0.5mlのDCM中)に滴下した。混合物を10℃で1時間撹拌し、そして室温でさらに1時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発乾固し、そして残渣をDCMに取り、そして再度蒸発させて中間体45が得られ、これは次の反応段階で直接使用した。
【0335】
実施例A16
a)中間体46の調製
【0336】
【化86】

【0337】
塩化チオニル(1ml)を10℃で中間体42の溶液(1mlのDCM中)に滴下した。混合物を10℃で1時間撹拌し、そして室温でさらに1時間撹拌した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いで混合物を蒸発乾固し、そしてDCMに取った。得られた中間体46はそのまま次の反応段階で使用した。
【0338】
実施例A17
a)中間体47の調製
【0339】
【化87】

【0340】
中間体41(0.0198モル)を無水THF(55ml)に−78℃でN流下にて導入した。nBuLi(ヘキサン中1.6M;1.3ml、0.0238モル)を−78℃で滴下した。混合物を−78℃で30分間撹拌した。次いでアセトアルデヒド(0.0238モル)を滴下した。混合物を−78℃で2.5時間撹拌した。混合物を氷およびHOに注ぎ、そしてEtOAcを加えた。この混合物をEtOAcで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 90/10,次いで70/30)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて3.4g(79%)の中間体47が得られた。
b)中間体48の調製
【0341】
【化88】

【0342】
3NのHCl(5ml)を中間体47(0.5g)の溶液(5mlのジオキサン中)に滴下し、次いで混合物を60℃で30時間還流した。混合物を冷却し、そして氷水に注ぎ、次いで塩基性とし、EtOAcで抽出し、そして乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発させて0.480gの中間体48が得られた。
c)中間体49の調製
【0343】
【化89】

【0344】
塩化チオニル(5ml)を10℃で中間体48(0.0023モル)の溶液(5mlのDCM中)に滴下した。混合物を10℃で1時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌し、そして蒸発乾固した。残渣をDCMに取り、そして乾燥して中間体49が得られ、これをそのまま次の反応段階で使用した。
【0345】
B.最終化合物の調製
実施例B1
化合物1の調製
【0346】
【化90】

【0347】
中間体4(0.0007モル)、1H−インドール−3−エタンアミン(0.0018モル)およびDIPEA(0.003モル)の混合物(20mlのアセトニトリル中)を、80℃で24時間撹拌した。水を加えた。混合物をDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.38g)はシリカゲル(5μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH/ 98/2/0.2〜92/8/0.8)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.14g)をDIPEに取った。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.13g(50%)の化合物1(融点155℃)が得られた。
【0348】
実施例B2
化合物2の調製
【0349】
【化91】

【0350】
中間体4(0.0007モル)、1−(2−ピリジニル)−ピペラジン、一塩酸塩(0.0009モル)および炭酸カリウム(0.0022モル)の混合物(15mlのアセトニトリル中)を、80℃で3時間撹拌し、そして水に注いだ。沈殿を濾過し、水、次いでEtOAcで洗浄し、そして乾燥して0.23g(88%)の化合物2(融点252℃)が得られた。
【0351】
実施例B3
化合物3の調製
【0352】
【化92】

【0353】
中間体5(0.0011モル)の混合物(10mlの3N塩酸および3mlのジオキサン中)を7時間、撹拌そして還流し、水に注ぎ、そしてNaHCOでアルカリ性とした。沈殿を濾過し、水、次いでDIPEで洗浄し、そして乾燥した。残渣(0.36g)をDCMおよび水に取った。混合物を炭酸カリウムでアルカリ性とし、そしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEに取った。沈殿を濾過し、そして乾燥し、0.32g(78%)の化合物3が得られた(融点184℃)。
【0354】
実施例B4
化合物4および5の調製
【0355】
【化93】

【0356】
水素化ナトリウム(0.0005モル)を、室温で中間体8(0.0004モル)およびモルホリン(0.0009モル)の溶液(10mlのTHF中)に加えた。混合物を7
2時間、撹拌および還流した。水を加えた。混合物をEtOAcで2回抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。この画分(0.19g)をシリカゲル(5μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.3〜88/12/1.2)。2つの画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.032g(23%)の化合物4(融点163℃)が得られ、そして0.012gの残渣を乾燥して0.01g(7%)の化合物5が得られた。
【0357】
実施例B5
化合物6の調製
【0358】
【化94】

【0359】
中間体4(0.0007モル)、1−フェニル−ピペラジン(0.0009モル)および炭酸カリウム(0.0022モル)の混合物(20mlのアセトニトリル中)を、80℃で3時間撹拌し、そして水に注いだ。沈殿を濾過し、水、次いでDIPEで洗浄し、そして乾燥して0.22g(86%)の化合物6(融点242℃)が得られた。
【0360】
実施例B6
化合物7の調製
【0361】
【化95】

【0362】
中間体10(0.0005モル)の混合物(5mlの3N塩酸および1mlのジオキサン中)を15時間、撹拌そして還流した。水、次いで炭酸カリウムを加えた。混合物をDCMで2回抽出した。有機を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をジエチルエーテルに取った。沈殿を濾過し、そして乾燥し、0.17g(89%)の化合物7が得られた(融点225℃)。
【0363】
実施例B7
化合物8の調製
【0364】
【化96】

【0365】
中間体15(0.0003モル)の混合物(1.5mlの3N塩酸および1.5mlのジオキサン中)を60℃で15時間撹拌した。水を加えた。混合物を炭酸カリウムで塩基性とした。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して0.07g(43%)の化合物8が得られた(融点174℃)。
【0366】
実施例B8
化合物9の調製
【0367】
【化97】

【0368】
4−(フェニルメチル)−ピペリジン(0.0004モル)を、中間体17(0.0004モル)および1,4−ジオキサン−2,5−ジオール(0.0004モル)の混合物(0.5mlの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)に加えた。混合物を室温で48時間撹拌し、次いで60℃で48時間撹拌した。水を加えた。混合物をEtOAcで抽出した。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.7g)をシリカゲル(10μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH/ 95/5/0.5)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.11g)をジエチルエーテルから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.1g(14%)の化合物9(融点172℃)が得られた。
【0369】
実施例B9
化合物10の調製
【0370】
【化98】

【0371】
EDC(0.0011モル)、次いでHOBT(0.0009モル)を、室温で中間体20(0.0006モル)およびトリエチルアミン(0.0018モル)の溶液(20mlのTHF/DCM中)にN下で加えた。混合物を室温で10分間撹拌した。1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン(0.0009モル)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌し、次いで室温で24時間撹拌し、水に注ぎ、そしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.3g)をシリカゲル(10μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.085g)をジエチルエーテルから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.051gの化合物10(融点255℃)が得られた。
【0372】
実施例B10
a)化合物11の調製
【0373】
【化99】

【0374】
中間体4(0.0022モル)、2−(1−ピペラジニル)−5−ピリミジンカルボン酸、エチルエステル(0.0022モル)および炭酸カリウム(0.0067モル)の混合物(60mlのアセトニトリル中)を、80℃で3時間撹拌した。水を加えた。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して0.92g(97%)の化合物11が得られた(融点235℃)。
b)化合物12の調製
【0375】
【化100】

【0376】
化合物11(0.0019モル)の混合物(40mlの1N水酸化ナトリウムおよび40mlのTHF中)を、室温で48時間撹拌し、次いで3NのHClで中和した。溶媒を蒸発させた。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥した。残渣(0.72g)をEtOH(30ml)に取った。水酸化ナトリウムを加えた。混合物を15時間撹拌および還流した。溶媒を蒸発させた。水を加えた。混合物を3N HClで酸性とした。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して0.72g(86%)の化合物12が得られた。
【0377】
実施例B11
a)化合物13の調製
【0378】
【化101】

【0379】
中間体23(0.0006モル)、6−(1−ピペラジニル)−3−ピリジンカルボニトリル(0.0007モル)および炭酸カリウム(0.0018モル)の混合物(5mlのアセトニトリル中)を、15時間撹拌および還流した。10mlのアセトニトリルを加えた。混合物を24時間撹拌および還流し、次いで水に注ぎ、そしてDCMで2回抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.3g)をシリカゲル(3.5μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH 99/1/0.1〜96/4/0.4)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.051gの化合物13(融点135℃)が得られた。
【0380】
実施例B12
化合物14の調製
【0381】
【化102】

【0382】
中間体26(0.0012モル)、1H−インドール−3−エタンアミン(0.0031モル)およびDIPEA(0.005モル)の混合物(25mlのアセトニトリル中)を、80℃で48時間撹拌した。水を加えた。混合物をDCMで2回抽出した。有機層を水で数回洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.6g)をSunfire(5μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH 98/2/0.2〜92/8/0.8)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.23g)をジエチルエーテルから結晶化した。沈殿を濾過し、EtOAc、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して0.15g(44%)の化合物14(融点170℃)が得られた。
【0383】
実施例B13
化合物15の調製
【0384】
【化103】

【0385】
中間体4(0.0003モル)、1−(2−ピリミジニル)−4−ピペリジンアミン(0.0006モル)および炭酸カリウム(0.0011モル)の混合物(10mlのアセトニトリル中)を、3時間撹拌および還流した。水を加えた。混合物をDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.2g)をシリカゲル(5μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.3〜88/12/1.2)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.095g)をDIPEに取った。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.088g(65%)の化合物15(融点168℃)が得られた。
【0386】
実施例B14
化合物16の調製
【0387】
【化104】

【0388】
10%水酸化アンモニウム(0.0037モル)を5℃で中間体27(0.0007モル)の懸濁液(20mlのDCM中)に滴下した。混合物を5℃で15分間撹拌し、次いで室温で2時間撹拌した。水(15ml)を加えた。DCMを蒸発させた。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して0.22g(76%)の化合物16(融点>250℃)が得られた。
【0389】
実施例B15
化合物17の調製
【0390】
【化105】

【0391】
中間体4(0.00028モル)、6−(1−ピペラジニル)−3−ピリミジンカルボニトリル(0.00037モル)およびDIPEA(0.0011モル)の混合物(7.5mlのアセトニトリル中)を、80℃で3時間撹拌し、そして水に注いだ。沈殿を濾過し、水、次いでDIPEで洗浄し、そして乾燥して0.080g(76%)の化合物17が得られた。
【0392】
実施例B16
化合物18の調製
【0393】
【化106】

【0394】
中間体4(0.00028モル)、1−(2−クロロフェニル)−ピペラジン(0.00037モル)およびDIPEA(0.0007モル)の混合物(7.5mlのアセトニトリル中)を、80℃で3時間撹拌し、そして水に注いだ。沈殿を濾過し、水、次いでDIPEで洗浄し、そして乾燥して0.039g(36%)の化合物18が得られた。
【0395】
実施例B17
化合物19の調製
【0396】
【化107】

【0397】
中間体4(0.00028モル)、4−モルホリンエタンアミン(0.00056モル)およびDIPEA(0.0014モル)の混合物(7.5mlのアセトニトリル中)を、80℃で3時間撹拌し、そして水に注いだ。混合物をDCMで抽出し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(15〜40μm)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM100から〜DCM/MeOH/NHOHへの95/5/0.1勾配)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.032g(36%)の化合物19が得られた。
【0398】
実施例B18
化合物20の調製
【0399】
【化108】

【0400】
中間体29(0.0004モル)、2−(1−ピペラジニル)−ベンゾニトリル(0.09ml)および炭酸カリウム(0.18g)の溶液(3mlのアセトニトリル中)を、80℃で24時間撹拌し、DCMで抽出し、水で洗浄し、そしてMgSOで乾燥した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MEOH/NHOH 99/1/0.2)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて化合物20が得られた(融点190℃)。
【0401】
実施例B19
化合物21の調製
【0402】
【化109】

【0403】
中間体4(0.0003モル)、1,2,3,6−テトラヒドロ−4−フェニル−ピリジン(0.0004モル)およびN−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパンアミン(0.096g)の混合物(7.5mlのアセトニトリル中)を、80℃で3時間撹拌した。水を加えた。沈殿を濾過し、水、次いでエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して化合物21が得られた。
【0404】
実施例B20
化合物22の調製
【0405】
【化110】

【0406】
中間体4(0.075g)、1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−
ピペラジン(0.0004モル)およびN−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパンアミン(0.0011モル)の混合物(7.5モルのアセトニトリル中)を、80℃で3時間撹拌した。水を加えた。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して化合物22が得られた。
【0407】
実施例B21
化合物23の調製
【0408】
【化111】

【0409】
中間体33(0.0003モル)、1−(2−メチルオキシフェニル)−ピペラジン(0.0004モル)および炭酸カリウム(0.0009モル)の混合物(3mlのアセトニトリル中)を、80℃で24時間撹拌し、DCMで抽出し、水で洗浄し、そしてMgSOで乾燥した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH 99/1/0.1〜93/7/0.7)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.107g)の一部(0.061g)をDIPEから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥して化合物23が得られた(融点198℃)。
【0410】
実施例B22
化合物64の調製
【0411】
【化112】

【0412】
中間体40(0.0000512モル)、3N HCl(0.22ml)およびジオキサン(0.22ml)を80℃で一晩加熱した。混合物を室温に冷却し、そして氷水に注ぎ、次いで10%のKCOで塩基性とし、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水および飽和NaCl溶液で洗浄し、次いで乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発乾固化した。得られた残渣をシリカゲル(15〜40μm)でのクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をEtOに取り、そして乾燥して9.5g(46%)の化合物64が得られた(融点80℃)。
【0413】
実施例B23
化合物65の調製
【0414】
【化113】

【0415】
中間体43(0.0006モル)、4−フェニルピペリジン(0.0008モル)および炭酸カリウム(0.0019モル)の混合物(5mlのアセトニトリル中)を、80℃で48時間撹拌し、DCMで抽出した。有機層をHOで洗浄し、そして乾燥(MgSO)させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH 99/1;10μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残渣をDCMおよびジエチルエーテルに取り、そして乾燥して0.0385g(15%)の化合物65が得られた。
【0416】
実施例B24
化合物66の調製
【0417】
【化114】

【0418】
中間体45(0.0003モル)、6−(1−ピペラジニル)−3−ピリジンカルボニトリル(0.0004モル)および炭酸カリウム(0.001モル)の混合物(3mlのアセトニトリル中)を、80℃で48時間撹拌し、次いで室温で2日間撹拌し、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、そして乾燥(MgSO)させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.14g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH 99/1/0.1)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.016g)をDCM/ジエチルエーテルに取り、そして乾燥して0.014g(11%)の化合物66が得られた。
【0419】
実施例B25
化合物67の調製
【0420】
【化115】

【0421】
中間体46(0.0004モル)、2−(1−ピペラジニル)ベンゾニトリル(0.0005モル)およびKCO(0.001モル)の混合物(2mlのアセトニトリル中)を、80℃で48時間撹拌し、次いで反応混合物を室温で2日間撹拌し、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.5)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残渣をDCM/ジエチルエーテルに取り、そして蒸発乾固して0.0077g(5%)の化合物67が得られた。
【0422】
実施例B26
化合物68の調製
【0423】
【化116】

【0424】
中間体49(0.0005モル)、ピロリジン(0.0006モル)およびKCO(0.0014モル)の混合物(5mlのDMF中)を、80℃で4時間撹拌し、次いで一晩還流した。氷水を加え、そして混合物をDCMで抽出した。有機層を乾燥し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOH 95/5/0.2)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.012gの化合物68が得られた(融点133℃)。
【0425】
表F−1は上記実施例の1つにより調製された化合物を列挙する。アスタリスクを付した化合物は上記Bの実施例に記載したように調製した。残りの化合物はそれぞれ特定した実施例に準じた様式で調製した。
【0426】
【表1−1】

【0427】
【表1−2】

【0428】
【表1−3】

【0429】
【表1−4】

【0430】
【表1−5】

【0431】
【表1−6】

【0432】
【表1−7】

【0433】
【表1−8】

【0434】
【表1−9】

【0435】
分析法
LCMS
幾つかの化合物の質量はLCMS(液体クロマトグラフィー質量分析法)で記録した。使用した方法を以下に記載し、そして結果を以下の表2に示す。
【0436】
方法1
HPLC測定は、脱気装置を含む四つのポンプ、オートサンプラー、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法で特定されるカラム(このカラムは30℃の温度に維持される)を備えたAlliance HT2795(Waters)システムを使用して行った。カラムからの流れをMS分光計に分けた。MS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が形成された。キャピラリーニードルの電圧は3kVであり、そして供給源の温度はLCT(WatersからのTime of Flight Zspray(商標)質量分光計)で100℃に維持された。窒素はネブライザーガスとして使用された。データ取得はWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。逆相HPLCはXterra−MS C18カラム(5μm、4.6×150mm)で、1.0ml/分の流速で行った。2つの移動相(移動相A:100%の7mM酢酸アンモニウム:移動B:100%アセトニトリル)を使用して85%A、15%B(3分間保持)から20%A、80%Bを5分間、20%Aおよび80%を6分保持する勾配条件を実施し、そして初期条件で3分間平衡化した。20μlの注入容量を使用した。コーン電圧は正のイオン化モードは20Vであり、そして負のイオン化モードは20Vであった。質量スぺクトルは0.08秒のインタースキャンディレイを使用して0.8秒に100〜900回走査することにより得られた。
【0437】
方法2
LC測定は、脱気装置を含む二つのポンプ、オートサンプラー、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法で特定されるカラム(このカラムは40℃の温度に維持される)を備えたUPLC(Ultra Performance Liquid Chromatography)Acquity(Waters)システムを使用して行った。カラムからの流れは、MS検出器に運ばれた。MS検出器はエレクトロスプレーイオン化源が形成された。毛細管ニードルの電圧は3kVであり、そして供給源の温度はQuattro(Watersの3つの四重項質量分析機)で130℃に維持された。窒素はネブライザーガスとして使用された。データ取得はWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。逆相UPLCはWatersのAcquity BEH(架橋化エチルシロキサン/シリカハイブリッド)C18カラム(1.7μm、2.1×100mm)で、0.35ml/分の流速で行った。2つの移動相(移動相A:95%の7mM酢酸アンモニウム/5%アセトニトリル;移動B:100%アセトニトリル)を使用して90%Aおよび10%B(0.5分間保持)
から3.5分で8%Aおよび92%B、これを2分維持する勾配で行い、そして0.5分で初期条件に戻り、1.5分間維持した。2μlの注入容量を使用した。コーン電圧は正および負のイオン化モードについて20Vであった。質量スぺクトルは0.1秒のインタースキャンディレイを使用して0.2秒に100〜1000回走査することにより得られた。
【0438】
【表2−1】

【0439】
【表2−2】

【0440】
C.薬理学的実施例
C.1.PARP−1阻害活性についてのインビトロのシンチレーション近接アッセイ(Scintillation Proximity Assay(SPA)
本発明の化合物は、SPA技術(GE healthcareに対する所有権)に基づくインビトロアッセイで試験した。
【0441】
原理的には、このアッセイはビオチン化された標的タンパク質、すなわちヒストンのポリ(ADP−リボシル)化の検出のための十分に確立されたSPA技術に頼るものである。このリボシル化は、ニックDNA活性化PARP−1酵素およびADP−リボシルドナ
ーとしての[H]−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド([H]−NAD)を用いて誘導される。
【0442】
ヒストン(II−A型、供給元;Sigma)は、Amershamのビオチン化キットを用いてビオチン化し、そして一定分量に分けて−20℃で保存した。100mg/mlのSPAポリ(ビニルトルエン)(PVT)ビーズ(供給元;Amersham)の保存液はPBS中に作成した。61.6nMの[H]−NADの保存液は、[H]−NAD(0.1mCi/ml、供給元;Perkin Elmer)をインキュベーションバッファー(50mM Tris/HCl,pH8;0.2mM DTT;4mM MgCl)に添加することによって作成した。4mM NAD(供給元;Sigma)の溶液が作成された。ヒトPARP−1酵素は、Trevigenから得た。ビオチン化ヒストンおよびPVT−SPAビーズを混合し、そして室温で30分間プレインキュベーションした。PARP−1酵素(濃度はロットに依存する)をニックDNAと混合し、そして混合液は4℃で30分間プレインキュベーションした。このヒストン/PVT−SPAビーズ溶液とPARP−1酵素/DNA溶液とを等部で混合し、そしてこの混合液75μlをDMSO中の化合物1μlおよび[H]−NADの25μlと一緒に96ウェルのミクロタイタプレート中に1ウエル当たり添加した。インキュベーション混合液における最終濃度は、ビオチン化ヒストンについて2μg/ml、PVT−SPAビーズについては2mg/ml、ニックDNAについては0.25μg/mlそしてPARP−1酵素については0.1〜0.2μg/mlであった。室温で20分間、混合液をインキュベーションした後、反応は、水中4mM NADを100μl添加(最終濃度2mM)することによって終了させ、そしてプレート液を混合した。ビーズは遠心(10分、800rpm)により沈降させ、そしてプレートはシンチレーションカウンティングのためにTopCountNXT(商標)(Packard)に移され、値が1分当たりのカウント(cpm)として表された。各実験では、対照(PARP−1酵素および化合物なしのDMSOを含有する)、ブランクインキュベーション(DMSOを含有するがPARP−1酵素または化合物は含有しない)、およびサンプル(PARP−1酵素、DNAおよびDMSOに溶解した化合物を含有する)を並行して実施した。試験した全化合物はDMSOに溶解され、最終的にさらにそれで希釈した。用量応答曲線が作成され、ここで化合物は10−5M〜3×10−9Mの濃度で試験された。各試験では、ブランク値が対照とサンプル値の両方から引き算された。対照サンプルが最高のPARP−1酵素活性を示した。各サンプルでは、cpm量は、対照の平均cpm値のパーセントとして表された。適当であれば,IC50値(PARP−1酵素活性を対照の50%まで低下させるのに要する薬物の濃度)は、丁度50%レベルの上下の実験点間の直線補間を用いて算出した。ここでは、試験化合物の効果は、pIC50(IC50値の負のlog値)として表される。参照化合物として、4−アミノ−1,8−ナフタルイミドがSPAアッセイを確認するために包含された。試験した化合物は種々の濃度で阻害活性を示した(表3、参照)。
【0443】
C.2.TANK−2阻害活性についてのインビトロのシンチレーション近接アッセイ(SPA)
本発明の化合物は、Ni Flashプレート(96または384ウェル)を用いたSPA技術に基づくインビトロアッセイで試験した。
【0444】
原理的には、このアッセイは、ADP−リボシルドナーとして[H]−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド([H]−NAD)を用いたTANK−2タンパク質の自己ポリ(ADP−リボシル)化の検出のためのSPA技術に頼るものである。
【0445】
100nMの[H]−NAD/NADの保存液(0.1mCi/ml、供給元;Perkin Elmer)および0.25mM NAD(Sigma)は、アッセイバッファー(60mM Tris/HCl,pH7.4;0.9mM DTT;6mM MgCl)中に作成された。TANK−2酵素は、欧州特許第1238063号明細書に記載されるように作成された。60μlのアッセイバッファーが、DMSO中の化合物1μl、「H]−NAD/NADの20μlおよびTANK−2酵素(最終濃度8μg/ml)の20μlと一緒に96ウェルのNiコートされたフラッシュプレート(Perkin Elmer)中に1ウエル当たり添加された。室温で120分間の混合液のインキュベーション後、反応は60μlの停止液(6mlのHO中42.6mgのNAD)を添加することにより終了した。プレートをプレートシーラーで覆い、シンチレーションカウンティングのためにTopCountNXT(商標)(Packard)に置いた。値は1分当たりのカウント(cpm)として表した。各実験では、対照(TANK−2酵素および化合物なしのDMSOを含有する)、ブランクインキュベーション(DMSOを含有するがTANK−2酵素または化合物は含有しない)およびサンプル(TANK−2酵素およびDMSOに溶解された化合物を含有する)を並行して実施した。試験した全化合物はDMSOに溶解し、最終的にさらにそれで希釈した。第1の例では、化合物は10−5Mの濃度で試験された。化合物が10−5Mで活性を示した場合、用量応答曲線が作成され、ここで化合物は10−5M〜3×10−8Mの間の濃度で試験された。各試験では、ブランク値が対照とサンプル値の両方から引き算された。対照サンプルが最高のTANK−2酵素活性を示した。各サンプルでは、cpm量は、対照の平均cpm値のパーセントとして表された。適当であれば、IC50値(TANK−2酵素活性を対照の50%まで低下させるのに要する薬物の濃度)は、丁度50%レベルの上下の実験点間の直線補間を用いて算出された。ここでは、試験化合物の効果は、pIC50(IC50値の負のlog値)として表された。参照化合物として、3−アミノベンズアミドおよび4−アミノ−1,8−ナフタルイミドがSPAアッセイを確認するために包含された。ここではアッセイは96ウェルプレートを用いて記載された。384ウェルプレートを用いるアッセイでは,同じ最終濃度が使用され、そして容量が調整された。96ウェルプレートの結果が利用できる場合、これらの結果は表3に組み入れらたが、そうではない384ウェルプレートからの結果も示された。
【0446】
【表3−1】

【0447】
【表3−2】

【0448】
【表3−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
nは0、1または2であり;
はC1−3アルキルであり;
およびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1−6アルキル、シアノ、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C3−6シクロアルキルオキシ、シアノC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルオキシC1−4アルキルオキシ、アミノC1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルアミノC1−4アルキルオキシ、ジ(C1−4アルキル)アミノC1−4アルキルオキシ、アミノカルボニルまたはC2−4アルキニルから選択され;
およびRはそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシメチルまたはヒドロキシC1−6アルキルから選択されるか、あるいはRおよびRは一緒に=Oを形成し;
Zは式−NR
{式中、
は水素またはC1−4アルキルであり;
はC1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたは式
−(CH−L (a−1)
(式中、tは0、1、2または3であり、そしてLはフェニルまたは独立して水素、ハロ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ヒドロキシカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニルまたはアミノカルボニルから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか、あるいはLは:
【化2】

式中、R8aは水素、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはアミノカルボニルから選択され;qは0、1または2であり;そして各R8bは独立して水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、C1−4アルキ
ルオキシまたはアミノカルボニルから選択され;そして
は水素、C1−4アルキル、フェニルまたは:
【化3】

式中、R10は水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキルまたはC1−4アル
キルオキシから選択される、
から選択される複素環式環である、
から選択される複素環式環である)
の基である}
の基であるか、あるいはZは:
【化4】

{式中、R11は水素、C1−4アルキル、ヒドロキシル、シアノ、ヒドロキシC1−4アルキルまたはアミノカルボニルであり;そして
12aは水素またはC1−4アルキルオキシC1−4アルキルであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
12bは水素、C1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたはC1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
Xは−(CH−であり、式中、pは0、1、2または3であり;
はC3−6シクロアルキル、フェニルまたは独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、アミノ、シアノ、またはトリフルオロメチルから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLは:
【化5】

(式中、R13は水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C
−4アルキニル、アミノカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ヒド
ロキシC1−4アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4
アルキルオキシカルボニルから選択される)
から選択される複素環式環系である}
から選択される複素環式環系である]
の化合物、そのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体。
【請求項2】
nが0、1または2であり、
がC1−3アルキルであり、
およびRがそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1−6アルキル、シアノ、ヒドロキシまたはC1−6アルキルオキシから選択され;
およびRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシメチルまたはヒドロキシC1−6アルキルから選択されるか、あるいはRおよびRが一緒に=Oを形成し;
Zが式−NR
[式中、Rが水素またはC1−4アルキルであり;
がC1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたは式
−(CH−L (a−1)
{式中、tが0、1、2または3であり、そしてLがフェニルまたは独立して水素、ハロ、シアノ、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルオキシから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか、あるいはLが:
【化6】

(式中、R8aが水素、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはアミノカルボニルから選択され;qが0または1であり;そして各R8bが独立して水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシまたはアミノカルボニルから選択され;そして
が水素、C1−4アルキル、フェニルあるいは:
【化7】

式中、R10が水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキルまたはC1−4アル
キルオキシから選択される、
から選択される複素環式環系である)
から選択される複素環式環系である}
の基である]
の基であるか、あるいはZが:
【化8】

[式中、R11が水素またはC1−4アルキルであり;そして
12aが水素またはC1−4アルキルオキシC1−4アルキルであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
12bが水素、C1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたはC1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0、1、2または3であり;
がフェニルまたは独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、アミノ、シアノ、またはトリフルオロメチルから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLが:
【化9】

{式中、R13が水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、C2−4アルキニル、アミノカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択される}
から選択される複素環式環系である]
から選択される複素環式環系である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが0、1または2であり、
がメチルまたはエチルであり、
が水素、メチル、エチル、シアノまたはメチルオキシから選択され;
が水素であり;
およびRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシまたはヒドロキシC1−6アルキルから選択されるか、あるいはRおよびRが一緒に=Oを形成し;
Zが式−NR
[式中、Rが水素またはC1−4アルキルであり;
がC1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたは式
−(CH−L (a−1)
{式中、tが0、1、2または3であり、そしてLがフェニルまたは1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニルであるか、あるいはLが:
【化10】

(式中、R8aが水素であり;qが0であり;そして
が水素または複素環式環系(c−1):
【化11】

式中、R10が水素である、
である)
から選択される複素環式環系である}
の基である]
の基であるか、あるいはZが:
【化12】

[式中、R11が水素であり;そして
12aが水素またはC1−4アルキルオキシC1−4アルキルであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
12bが水素またはC1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノであるか;あるいは
−X−L (e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0、1または2であり;
がフェニルまたは独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシまたはシアノから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLが:
【化13】

{式中、R13が水素、クロロ、アミノカルボニル、シアノ、C1−4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択される}
から選択される複素環式環系である]
から選択される複素環式環系である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
nが0であり、
がメチルまたはエチルであり、
が水素またはメチルオキシであり;
が水素であり;
およびRがそれぞれ水素であり;
Zが式−NR
[式中、Rが水素またはC1−4アルキルであり;
がC1−4アルキルオキシC1−4アルキルまたは式
−(CH−L (a−1)
{式中、tが0、1、2または3であり、そしてLがフェニルまたは1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニルであるか、あるいはLが:
【化14】

(式中、R8aが水素であり;qが0であり;そして
が水素または複素環式環系(c−1):
【化15】

式中、R10が水素である、
である)
から選択される複素環式環系である}
の基である]
の基である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
nが0、1または2であり、
がC1−3アルキルであり、
が水素またはメチルオキシであり、
が水素であり;
およびRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、ヒドロキシまたはヒドロキシC1−6アルキルから選択されるか、あるいはRおよびRが一緒に=Oを形成し;
Zが
【化16】

[式中、R11が水素であり;
12aが水素またはC1−4アルキルオキシC1−4アルキルであるか;または
−X−L (e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0または2であり;
がフェニルまたは独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシまたはシアノから選択される1もしくは2個の置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLが:
【化17】

{式中、R13が水素、アミノカルボニル、シアノ、C1−4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択される}
から選択される複素環式環系であり、
12bが水素またはC1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノであるか、あるいは
−X−L (e−1)であり;
Xが−(CH−であり、式中、pが0または1であり;
がフェニルまたは1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニルであるか;あるいはLが:
【化18】

{式中、R13が水素、クロロ、アミノカルボニル、シアノ、メチルオキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシC1−4アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択される}
から選択される複素環式環系である]
から選択される複素環式環系である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
本明細書中の化合物17、18、20、21、22および23、およびそのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る付加塩、四級アンモニウム塩および立体化学的異性体から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
治療に有効な量の請求項1ないし6に記載の少なくとも1つの化合物を、製薬学的に許容され得る担体と一緒に含んでなる製薬学的組成物。
【請求項8】
薬剤に使用するための請求項1ないし6のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
PARPが媒介する障害の処置に使用するための請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
化学増感剤として使用するための請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
放射線増感剤として使用するための請求項8記載の化合物。
【請求項12】
PARPが媒介する障害を処置する薬剤の製造のための請求項1ないし6のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
請求項1ないし6のいずれかに記載の化合物の有効量を個体に投与することにより個体のPARP媒介型障害を処置する方法。

【公表番号】特表2011−500758(P2011−500758A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530433(P2010−530433)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064243
【国際公開番号】WO2009/053373
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】