説明

PC地上タンクの施工方法

【課題】PC地上タンクの施工途中で施工開口を完全閉塞することによって多大な施工手間が生じ、かつ施工安全性が低下するといった課題を解消することのできるPC地上タンクの施工方法を提供すること。
【解決手段】コンクリート製の底版2の一部もしくは全部を施工し、施工開口K1を具備するPC壁3を底版2上に施工し、PC壁3の内側にこれと間隔を置いて側板4cを配し、側板4cの上に屋根6bを設置するステップ、施工開口K1のうち、一部の領域を施工開口K2として残して他の領域をコンクリートで閉塞し、PC壁3における鉛直方向のPC鋼材3cと周方向のPC鋼材3dの双方を緊張し、PC壁3の内側に冷熱抵抗緩和材4bの一部を配すステップ、一部の領域の施工開口K2を閉塞し、PC壁3の内側に冷熱抵抗緩和材4bの残部を配し、側板4cと冷熱抵抗緩和材4bの間に保冷材(粒状パーライト5)を配すステップからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木工事と機械(プラント)工事が混在するPC地上タンクの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLNGやLPG、工業用水等を貯蔵するためのPC地上タンクは一般に、RC構造(鉄筋コンクリート構造)もしくはPC構造(プレストレストコンクリート構造)の底版と、PC構造のPC壁と、から構成された防液堤(以下、PC防液堤)の内側に、金属製の内槽タンクが一体となった円筒形構造物から形成されている。通常時には内槽タンクで液を貯留し、地震等の際に液が内槽タンクから仮に漏れ出したとしても外周のPC防液堤で液密性が保証されており、液がタンク外へ漏れ出ないようになっている。なお、PC地上タンクの特にPC防液堤に関する構造や施工方法に関しては、これまで本出願人による多数の関連出願が公開されている(たとえば特許文献1〜5参照)。
【0003】
ところで、PC地上タンクの施工においては、主として土木工事と機械(プラント)工事の大きく2種類の工事が存在する。
【0004】
より具体的には、土木工事では、PC防液堤工事、付帯設備工事などが主として存在しており、機械工事では、外槽工事、内槽工事、保冷工事や配管工事などが主として存在している。
【0005】
土木工事に関し、PC防液堤工事をより詳細に説明すると、その内訳は、基礎杭工事(地盤性状等に応じて必要ある場合)、掘削や埋戻しといった土工事、底版工事およびPC壁工事などがある。また、付帯設備工事には、底版ヒータ設備設置工事や昇降階段設置工事などがある。
【0006】
一方、機械工事に関し、外槽工事をより詳細に説明すると、その内訳は、外槽底板設置工事、外槽屋根設置工事および外槽ライナ(プレート)設置工事などがある。また、内槽工事には、内槽底板設置工事、内槽屋根設置工事および内槽側板設置工事などがある。さらに、保冷工事には、グラスウールの設置やパーライトの充填などがある。
【0007】
これら土木工事と機械工事によって一基のPC地上タンクが施工されることから、工種によっては双方の工事が錯綜したり、たとえば土木工事のある工種の終了によって機械工事のある工種が着手可能になるといった具合に、双方の工事が密に連携して施工フローやクリティカルパスが決定され、PC地上タンクの施工が進められることになる。
【0008】
ここで、図15を参照してPC地上タンクの工程表の一例を紹介する。同図は、土木工事と機械工事の主たる工種のみを取り出して作成された工程表であり、説明の都合上、その他の工種、たとえば、仮設工事や掘削等の土工事等は省略している。
【0009】
まず、現場ヤードにてPC防液堤のための基礎杭の施工がおこなわれ、次に底版施工に移行する。
【0010】
底版の施工においては、その途中でヒータ設備の設置がおこなわれる。底版内にヒータ設備を設けるのは、貯槽液がLNGの場合において該LNGの冷熱によって貯槽基礎版下が凍結するのを防止することを目的としたものである。
【0011】
底版の施工が完了したら、土木工事はPC壁の施工に移行することになるが、これと同時に機械工事においては施工済みの底版上に外槽底板の設置工事がおこなわれる。
【0012】
PC壁は、所定の高さごとにコンクリート打設ロットが設定され、PC壁外周の足場兼用階段の積み上げと同期する形で所定の高さまで鉛直方向および周方向のPC鋼材の設置とコンクリートの打設が交互におこなわれる。
【0013】
そして、このPC壁の施工において極めて重要なことは、PC壁のたとえば対角線に位置する2箇所に所定規模の施工開口が設けられることである(施工開口の基数や位置は適宜設定される)。
【0014】
PC壁に設けられる施工開口は大きく以下2つの用途を有するものである。
(1)土木工事と機械工事が錯綜する工事において、大型〜小型の資機材のタンク内外への搬出入路としての用途。
(2)作業員のタンク内外へのアクセス路としての用途。
【0015】
すなわち、PC壁に施工開口が設けられていることにより、足場兼用階段を利用することなく、各種の資機材(側板等の資材、資材搬送車両や足場等の機材など)を施工開口を経由してPC壁の内部や外部に作業員が搬出入することが可能となる。PC地上タンクの施工に当たり、PC壁に設けられる施工開口の存在は極めて重要である。なお、クレーン等で資機材をPC壁の上方から内部に吊り下ろす等の作業も当然におこなわれるが、この場合であっても、施工開口が完全閉塞されている場合には、作業員が足場兼用階段等の階段を使用してPC壁を乗り越え、タンクの内外を行き来しなければならないことに代わりはない。
【0016】
土木工事におけるPC壁の施工が進行するのと並行して、機械工事においては、外槽底板の設置工事がおこなわれ、次いで、施工開口以外の領域において外槽ライナの設置工事がおこなわれ、内槽底版の設置工事、内槽側板の設置工事、内槽屋根の設置工事、さらには外槽屋根の設置工事と各種工事が進行することになり、土木工事と機械工事が同じエリアで錯綜することになる。
【0017】
そして、これまでのPC地上タンクの施工においては、PC壁内のPC鋼材の緊張に先行して、上記する施工開口を完全に閉塞していた。この理由の一つは、PC壁の一部にある程度の大きさの施工開口が存在することによって、PC鋼材の歯抜け箇所が生じ、PC鋼材を緊張した際にこの歯抜け箇所やその近傍で不慮の偏荷重や内部応力が生じるのを回避するためである。また、後工程である保冷工事に先行して施工開口を完全に閉塞するという理由も当然にある。
【0018】
PC壁の施工開口を完全に閉塞した後に、鉛直方向および周方向のPC鋼材を緊張し、次いで、機械工事においては完全閉塞された施工開口部に対応する領域の外槽ライナをPC壁の内側面に設置し、今度は、この外槽ライナの内側に土木工事としてPUF(ポリウレタンフォーム)からなる側部冷熱抵抗緩和材の設置がおこなわれる。
【0019】
PUFパネルを設置したら、最後に機械工事における保冷工事として、グラスウールを設置し、さらに、内槽側板とPUFパネルの間、および外槽屋根と内槽屋根の間のそれぞれの空間内に保冷材が充填されてPC地上タンクの施工が完了する。
【0020】
このように、PC鋼材の緊張に際して施工開口を完全に閉塞した後においても、土木工事と機械工事を合わせて多数の工事が残っている。
【0021】
しかしながら、施工開口が完全に閉塞されることでPC地上タンクの内外の出入りはタンク外周の足場兼用階段等の階段を使用してたとえば20m以上の屋根(の開口、マンホール等)を経由し、タンク内の足場兼用階段を下って作業員が目的地へアクセスするといった多大の時間と労力を要する移動を余儀なくされる。そして、この際に作業員は、各種の機具や資材を持ち運びながら階段の昇降をおこなうことになるのである。
【0022】
そして、たとえば、施工開口閉塞後の土木工事であるPUFパネルの設置工事においては、作業員がタンク外周の階段を使用してタンクの屋根に渡り、屋根に設けられた開口(マンホール)を経由し、たとえば外槽ライナに取り付けられたステップ等を利用しながら、外槽ライナと内槽側板の間の極めて狭い空間(パーライトが充填される空間)を通ってPUFパネルを搬入することを余儀なくされるため、施工性が悪いことは勿論のこと、極めて安全性の低い施工となってしまう。
【0023】
そして、仮にこのような狭い空間で作業員が不慮の事故に見舞われた際には、たとえば負傷した作業員を吊り上げるための仮設担架を屋根から吊り下ろし、ここに作業員を載せて吊り上げるといった一連の救出作業が困難を極めることは必至である。
【0024】
また、さらに、施工開口閉塞後にタンク内で火災等が発生した際に、タンク内の作業員は階段を利用してたとえば屋根を乗り越えてタンク外へ避難することを余儀なくされることから、避難にも多くの時間を要することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2009−041362号公報
【特許文献2】特開2008−155999号公報
【特許文献3】特開2006−083572号公報
【特許文献4】特開2005−351045号公報
【特許文献5】特開2005−350092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
以上をまとめると、これまでのPC地上タンクの施工方法では、PC壁に設けられた施工開口を施工途中で完全閉塞することにより、以後の施工において以下で列挙する課題を有するものとなっている。
(1)土木工事と機械工事が錯綜する工事において、大型〜小型の資機材のタンク内外への搬出入に使用される施工開口が施工途中で完全閉塞されることにより、資機材の搬出入の際に、作業員はタンク内外の階段を使用し、タンクの屋根を経由して昇降することを余儀なくされるため、施工開口が完全閉塞された後の土木工事と機械工事はいずれも多大な労力と時間を要するものとなっている。
(2)施工開口が施工途中で完全閉塞されることにより、作業員のタンク内外へのアクセス路は完全に遮断され、そのために、作業員はタンク内外の階段を使用してタンクの屋根を経由して昇降することを余儀なくされるために、タンク内外へのアクセスに際して多大な労力と時間を要するものとなっている。
(3)施工開口が施工途中で完全閉塞されることにより、外槽ライナと内槽側板の間の極めて狭い空間で作業をおこなう場合に施工性が極めて悪く、さらには施工安全性も極めて低くなっている。また、施工開口が完全閉塞された後にタンク内で火災等が発生した際に、タンク内の作業員が避難に多くの時間を要するものとなっている。
【0027】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、PC地上タンクの施工途中で施工開口を完全閉塞することによって生じ得る上記で列挙した種々の課題を全て解消することのできる、PC地上タンクの施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
前記目的を達成すべく、本発明によるPC地上タンクの施工方法は、コンクリート製の底版の一部もしくは全部を施工し、施工開口を具備するPC壁を底版上に施工し、PC壁の内側に該PC壁と間隔を置いて側板を配し、側板の上に屋根を設置する第1のステップ、前記施工開口のうち、一部の領域を施工開口として残して他の領域をコンクリートで閉塞し、PC壁における鉛直方向のPC鋼材と周方向のPC鋼材の双方を緊張し、PC壁の内側に冷熱抵抗緩和材の一部を配す第2のステップ、前記一部の領域の施工開口を閉塞し、PC壁の内側に冷熱抵抗緩和材の残部を配し、前記側板と該冷熱抵抗緩和材の間に保冷材を配す第3のステップからなるものである。
【0029】
本発明の施工方法は、PC地上タンクの施工途中で施工開口を完全に閉塞するのを廃し、その一部の領域を依然として施工開口として残して他の領域をコンクリートで閉塞し、その後の施工においては一部の領域の施工開口を作業員のPC地上タンク内外へのアクセス路、および、資機材の搬出入路として使用しながら施工をおこなうものである。
【0030】
施工開口の一部を閉塞するタイミングは、従来の施工方法における施工開口の完全閉塞のタイミングと同様に、たとえばPC鋼材を緊張する前段となる。
【0031】
一方、閉塞されずに残った施工開口の閉塞のタイミングは、たとえば機械工事の最終工程である保冷材を設ける(たとえば粒状パーライトを充填する)前段となる。
【0032】
このように、施工開口を2段階に分けて閉塞することとし、1回目の閉塞で残った相対的に小寸法の施工開口をPC地上タンク内外への作業員のアクセス路、および、資機材の搬出入路とすることによって、1回目の閉塞以後の作業における作業効率が飛躍的に向上し、さらには、従来の施工方法のように足場兼用階段等の階段を昇降する場合に比してアクセスの際の作業員の安全性は格段に高められる。
【0033】
本発明の施工方法では、まず、第1のステップとして、コンクリート製の底版の一部もしくは全部を施工し、施工開口を具備するPC壁を底版上に施工し、PC壁の内側に該PC壁と間隔を置いて側板を配し、側板の上に屋根を設置する。
【0034】
ここで、「底版の一部を施工する」とは、後工程で施工されるPC壁内の周方向のPC鋼材を緊張した際にPC壁の下端に過大な曲げモーメントが発生するのを回避するべく、底版をPC壁が直接固定される外周領域とその内側の領域で施工を2分割しておこなう方法の場合における外周領域の先行施工のことである。より具体的には、底版を一体施工した後にPC壁を底版と剛結合にて繋いだ状態でPC壁の周方向のPC鋼材を緊張すると、PC壁にはタンク内側へ曲げようとする力が作用し、この反力として底版と繋がるPC壁下端には過大な曲げモーメントが生じ得る。そこで、底版を外周リングとその内側の2つの領域に分割し、まず、第1のステップで底版の外周リングを施工してその上にPC壁を立上げ、底版の内側を施工する前に周方向のPC鋼材を緊張させることにより、PC壁をタンク内側へ曲げようとする力が作用した際に底版もリングの内側へ変位することができ(相対的に小径のリングに変形)、この底版の変位によってPC壁下端に生じ得る過大な曲げモーメントの発生を解消することが可能となるのである。したがって、周方向のPC鋼材を緊張した後に、底版の内側の領域の施工がおこなわれることとなる。
【0035】
この底版施工に先立ち、必要に応じて基礎杭の施工や地盤改良施工がおこなわれる。ここで、基礎杭には、たとえば場所打ちコンクリート杭やSC杭、PHC杭、鋼管杭などのいずれか一種が、工費や工期、地盤性状等を勘案して選定され、既製杭の施工においては打撃工法や中堀最終打撃工法などが適用される。
【0036】
一方、地盤改良施工においては、サンドコンパクションパイル施工や薬液注入施工、セメント改良杭施工、表層地盤の置換施工などが液状化対策や圧密対策をはじめとする各種対策のためにおこなわれるものであり、基礎杭の施工と併用される場合には基礎杭の施工に先行して地盤改良施工がまず実施される。
【0037】
底版の施工においては、既述するように、貯槽液がLNGの場合においては、LNGの冷熱によって貯槽基礎版下が凍結するのを防止するべく、底版内にヒータ設備を設けながらその施工がおこなわれる。なお、この底版のヒータ設備に関しては、ヒーティング方式がブライン循環方式の場合はメインヒータとサブヒータ双方の管路の設置などがあり、電熱線加熱方式の場合には電熱線の配設などがある。
【0038】
底版施工においてはさらに、後工程で設置される内槽側板と底版を繋ぐアンカーストラップが底版内に定着され、PC壁を構成する鉛直方向のPC鋼材の下端が埋め込まれた態様で底版の施工が完了する。底版の施工が完了したら、土木工事はPC壁の施工に移行することになるが、これと同時に機械工事においては施工済みの底版上に外槽底板を設置する工事がおこなわれる。
【0039】
PC壁は、たとえば2m〜4m程度の高さごとにコンクリート打設ロットが設定され、PC壁外周の足場兼用階段の積み上げと同期する形で所定の高さまで鉛直方向および周方向のPC鋼材の設置とコンクリートの打設が交互におこなわれる。
【0040】
PC壁の施工をより詳細に説明すると、PC壁内には必要な縦鉄筋と周方向の鉄筋が配筋され、これらの鉄筋に鉛直方向のPC鋼材および周方向のPC鋼材それぞれのための鋼製シース管が固定され、このシース管内にPC鋼材(主としてPC鋼より線(もしくはPCケーブル)であり、鉛直方向のPC鋼材にはPC鋼棒が使用される場合もある)が配設される。
【0041】
そして、このPC壁の施工においては、所定寸法の施工開口がたとえば1箇所、もしくはPC壁の対角線上の2箇所に設けられた状態でPC壁の立上げがおこなわれ、この施工開口を、次の主たる用途、すなわち、(1)PC壁内外への作業員のアクセス路、(2)PC壁内外への大型〜小型の資機材の搬出入路、として使用しながら施工をおこなうものである。
【0042】
土木工事におけるPC壁の施工が進行するのと並行して、機械工事においては、外槽底板の設置工事がおこなわれ、次いで、施工開口以外の領域において外槽ライナの設置工事、内槽底板等の設置工事、内槽屋根や外槽屋根の設置工事と各種工事等が進行する。
【0043】
次に、第2のステップとして、施工開口のうちの一部の領域を施工開口として残して他の領域をコンクリートで閉塞し、PC壁における鉛直方向のPC鋼材と周方向のPC鋼材の双方を緊張する。
【0044】
当初開設されていた相対的に大きな寸法の施工開口に対して、一部が閉塞されて残った施工開口の大きさは、後工程でPC鋼材が緊張された際にPC鋼材の歯抜け箇所で偏荷重等が可及的に生じないような大きさで、かつ少なくとも作業員が出入り自在な大きさに調整される。
【0045】
このように、施工開口の一部を残すことによって、後工程における作業員のアクセス路、および資機材の搬出入路が確保できることに加えて、これが緊急避難路としての役割も果たすこととなり、作業員が長い足場兼用階段等の階段を昇降する場合と比較して施工安全性が高くなることの他にも、タンク内火災等の際に迅速にタンク外へ避難できる避難路の確保という点でも施工安全性はより一層高くなるのである。また、さらに、外槽ライナと内槽側板の間の極めて狭い空間で作業をおこなう場合においても、施工開口の一部を利用して資機材を狭い空間に搬出入することができ、この狭い空間で作業員が負傷した場合でも施工開口の一部から迅速に作業員を運び出すことが可能となる。
【0046】
ここで、閉塞されずに残った施工開口の一部の大きさに関し、その横幅を鉛直方向のPC鋼材のピッチ間距離よりも小さく設定することができ、このような幅寸法とすることで、施工開口を残したことによる鉛直方向のPC鋼材の歯抜け箇所を生じないようにすることができる。
【0047】
また、同様に、残った施工開口の縦幅(高さ寸法)も、周方向のPC鋼棒の高さ方向のピッチ間距離よりも小さく設定しておくのが好ましい。
【0048】
さらには、一部の領域の施工開口の周りが管体等で補強されているのが望ましい。
ここで、「管体」とは、たとえば鋼管や補強鋼材などを示称するものであり、一部の領域の施工開口の形状(円形、矩形(正方形)など)に応じて円管や角管を適用することができる。尤も、応力集中等が生じ得ない円形断面の施工開口とした方が望ましい。また、管体以外にも、施工開口周りに枠状に配筋され、コンクリートが打設されて形成される枠状のコンクリート補強体などであってもよい。
【0049】
このように一部の領域の施工開口周りを高剛性の管体で補強しておくことにより、PC鋼材を緊張した際に当該施工開口周りでクラック等が生じるのを効果的に抑制することができるし、狭い施工開口を作業員が通過した際に搬出入される資機材が開口壁とぶつかって施工開口が破損するといった問題も解消できる。
【0050】
PC鋼材に導入された緊張力(プレストレス力)がシース管に導入され、PC壁に圧縮力として作用することになる(ポストテンション方式)。
【0051】
また、PC壁には、対角線上に位置する2箇所、もしくは対角線上に位置する2箇所を1組とした際にこれが複数組存在する態様で周方向のPC鋼材が緊張定着されるピラスターが設けられている。
【0052】
具体的には、PC壁における鉛直方向のPC鋼材と周方向のPC鋼材双方の緊張作業の後に、施工開口で一部閉塞された領域に対応する外槽ライナの設置工事が機械工事としておこなわれる。さらに、土木工事として、施工開口として残っている一部の施工開口以外の領域にPUF(ポリウレタンフォーム)からなる側部冷熱抵抗緩和材の設置がおこなわれる。なお、このPUFからなるパネルにはさらにその表面に液密性を向上させるためにガラスクロスを貼り付けたものなどもある。
【0053】
次に、第3のステップとして、一部の領域の施工開口を閉塞し、PC壁の内側に冷熱抵抗緩和材の残部を配し、前記側板と該冷熱抵抗緩和材の間に保冷材を配してPC地上タンクの施工が完了する。
【0054】
このように、最後に閉塞された施工開口に対応する領域に土木工事として残りのPUFが設置され、同様に、この領域に対応する残りの外槽ライナが機械工事として設置される。
【0055】
保冷材は一般にグラスウールと粒状パーライトからなり、特に、この粒状パーライトを屋根の内外槽間の空間や内外槽側板間の空間に充填するに当たっては、施工開口を完全に閉塞する必要がある。
【0056】
そこで、この最終工程である粒状パーライトの充填の前段で残りの施工開口が完全閉塞される。より具体的には、機械工事であるグラスウールの設置までは施工開口を残し、次いで土木工事にて残りの施工開口を閉塞した後に、再度機械工事として粒状パーライトの充填がおこなわれる。
【0057】
なお、この粒状パーライトの充填は、作業員が足場兼用階段等の階段を利用して屋根上に移動し、屋根に設けられた屋根開口を介して屋根の内外槽間の空間や内外槽側板間の空間(双方は連通している)に充填するものである。
【発明の効果】
【0058】
以上の説明から理解できるように、本発明のPC地上タンクの施工方法によれば、PC壁に設けられた施工開口を施工途中で一度に完全閉塞することを廃し、二回に分けて閉塞するようにしたことで、一度目の閉塞〜二度目の閉塞までの施工の際にも、施工開口を以下の主たる用途、すなわち、(1)資機材のタンク内外への搬出入路、および、(2)作業員のタンク内外へのアクセス路、として利用しながら施工を進めることができ、もって施工性の向上と、最終工程までの緊急避難路の確保を含めた施工安全性の格段の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の施工方法で施工されたPC地上タンクの一実施の形態を示した縦断面図である。
【図2】図1のII部の拡大図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ、図1のIIIa−IIIa矢視図、IIIb−IIIb矢視図であってPC地上タンクの横断面図である。
【図4】図1のIV矢視図であって、PC地上タンクの正面図である。
【図5】本発明の施工方法を説明した工程表である。
【図6】本発明の施工方法の第1のステップを説明した図である。
【図7】図6に続いて第1のステップを説明した図である。
【図8】図7に続いて第1のステップを説明した図である。
【図9】図8に続いて第1のステップを説明した図である。
【図10】本発明の施工方法の第2のステップを説明した図である。
【図11】従来の施工方法を説明した図であって、施工開口が完全閉塞された後の作業員のタンク内へのアクセス路を説明した図である。
【図12】第2のステップで施工開口の一部が閉塞されたことを説明する模式図である。
【図13】本発明の施工方法の第3のステップを説明した図である。
【図14】第3のステップで残りの施工開口が閉塞されたことを説明する模式図である。
【図15】従来の施工方法を説明した工程表である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、図面を参照して本発明のPC地上タンクの施工方法の実施の形態を説明する。なお、図示するPC地上タンクはその側壁の下端に段部を具備しないものであるが、側壁の下端に1段もしくは2段以上(多段)の段部を具備する形態であってもよい。また、図示するPC地上タンクは杭基礎を適用するものであるが、地盤条件等によっては直接基礎のものや、逆に地盤改良が施されたものなどであってもよい。さらに、収容液体はLNGであるが、これ以外のLPGや工業用水などの任意の液体収容に供されるものであってもよい。
【0061】
(PC地上タンク)
図1は本発明の施工方法で施工されたPC地上タンクの一実施の形態を示した縦断面図であり、図2は図1のII部の拡大図であり、図3a、図3bはそれぞれ、図1のIIIa−IIIa矢視図、IIIb−IIIb矢視図であってPC地上タンクの横断面図であり、図4は図1のIV矢視図であって、PC地上タンクの正面図である。
【0062】
図1で示すPC地上タンク100はLNGを貯蔵するためのタンクであり、PHC杭やSC杭等の基礎杭1と、基礎杭1で支持されたRC構造もしくはPC構造の底版2と、PC構造のPC壁3と、から構成されたPC防液堤10と、このPC防液堤10の内側に設けられた金属製の内槽タンクが一体となった円筒形構造物から大略構成されている。
【0063】
金属製の内槽タンクは、外槽ライナ4a、側部冷熱抵抗緩和材4b(PUFパネル)、内槽側板4cとこれらの間に充填された粒状のパーライト5からなる側壁保冷構造体4と、外槽底板ライナ7a、底部冷熱抵抗緩和材7b(PUFパネル)、内槽底板7cとこれらの間のパーライトコンクリートブロック7dからなる底版保冷構造体7と、外槽屋根6aと内槽屋根6bとこれらの間に充填された粒状のパーライト5からなる屋根6とから大略構成されている。
【0064】
PC防液堤10の外側には、基礎杭1で支持された昇降階段基礎8a上に昇降階段8bが立設しており、これが屋根6に通じていて、PC地上タンク100供用後には、屋根6に設けられた開閉自在の開口(メンテナンス開口)までアクセスできるようなっている。
【0065】
PC防液堤10を構成する底版2には、貯槽液LであるLNGの冷熱によって貯槽基礎版下が凍結するのを防止するべく、底版2内にブライン循環方式のヒータ設備を構成するメインヒータとサブヒータ双方の管路2aが埋設されている。また、内槽側板4cと底版2は不図示のアンカーストラップで繋がれており、このアンカーストラップの一部は底版2内に定着されている。
【0066】
PC防液堤10を構成するPC壁3には、その断面中心において、周方向に所定のピッチで鉛直方向のPC鋼材3c(PC鋼より線)が配設されており、さらに、この鉛直方向のPC鋼材3cを包囲するように周方向のPC鋼材3d(PC鋼より線)がPC壁3の高さ方向に所定のピッチで配設されている。
【0067】
図2,4で示すように、施工されたPC地上タンク100においては、PC防液堤10のPC壁3において、2つの閉塞跡m1、m2が存在しており、閉塞跡m1と閉塞跡m2の間にはコンクリートにて最初に閉塞された一度目の閉塞部3aがあり、閉塞跡m2の内側にはコンクリートにて閉塞された二度目の閉塞部3bがある。
【0068】
この閉塞跡m1、m2は、本発明の施工方法において、閉塞跡m1の形状および寸法の相対的に大きな施工開口が閉塞時期をずらして2度に亘って閉塞されたことを示すものである。
【0069】
また、図3bで示すように、二度目の閉塞部3bの横幅t2は、その近傍の2本の鉛直方向のPC鋼材3c、3cのピッチ間距離t1よりも小さい幅に設定されており、このことにより、二度目の閉塞部3bが施工開口として残った際に、ここがPC鋼材の歯抜け部となることが解消されている。
【0070】
また、図3、図4で示すように、PC壁3には、対角線上に位置する2つのピラスター3’が設けてあり、このピラスター3’にて周方向のPC鋼材3dの緊張定着がおこなわれている。
【0071】
このピラスター3’におけるPC鋼材3dの緊張固定に関しては、不図示のトランペットシース管がピラスター3’内に埋設されており、このトランペットシース管とここに配設されたアンカーディスクの円錐孔からPC鋼材3dを挿通させ、緊張姿勢で円錐孔にウェッジを嵌め込むことでPC鋼材3dを緊張固定することができる。PC鋼材3dが緊張されるとともにトランペットシース管内にはグラウトが充填され、この緊張力が支圧板を介してピラスター3’に反力となる圧縮力を付与した状態でPC鋼材3dの緊張定着が図られている。
【0072】
(PC地上タンクの施工方法)
次に、図5〜図14(従来の施工方法を説明する図11を除く)を参照して、本発明のPC地上タンクの施工方法を説明する。ここで、図5は本発明の施工方法を説明した工程表の一例であり、図6〜図9は順に第1のステップ、図10は第2のステップ、図13は第3のステップをそれぞれ説明した模式図である。以下、図5の工程表と、対応する説明図を交互に参照しながら施工方法を説明する。
【0073】
図5で示す工程表のうち、施工開口の一部閉塞の前までの工程は、図15を参照して説明した従来の施工方法の施工開口の完全閉塞の前までの工程と同様である。
【0074】
まず、第1のステップとして、図6で示すように、所定本数の基礎杭1を施工し、ヒータ管路2aが埋設された底版2を施工し、不図示のアンカーストラップの据付けをおこなった後に、対角線上に位置する2箇所の施工開口K1を設けながらPC壁3をロットごとに施工していく。たとえば、1ロットあたり2m程度の高さに設定することができ、外側の足場兼用階段SをPC壁3の立上げに先行して組み付けながらPC壁3を順次立ち上げていく。なお、2箇所の施工開口K1は、作業員による機材や資材の搬入や搬出用のアクセス路として使用される(X方向)。
【0075】
次に、図7で示すように、PC壁3を最上端まで施工するとともに、外側リング状の底版保冷構造体7eを底版2の上に設置し、この上に内槽側板4cを立て込み、不図示のアンカーストラップで立て込み姿勢を固定保持する。
【0076】
次に、図8で示すように、クレーンを利用して内槽屋根6bを内槽側板4cの上に据付け、PC壁3の上に外槽屋根6aを据付け、それぞれ溶接にて接続部の一体化を図る。さらに、底版2上であって、底版保冷構造体7eの内側には、外槽底板ライナ7a、底部冷熱抵抗緩和材7b(PUFパネル)、パーライトコンクリートブロック7dおよび内槽底板7cを設置する。
【0077】
次に、図9で示すように、PC壁3の内側のうち、施工開口K1以外の領域において外槽ライナ4aを設置し、さらに、昇降階段基礎8a上に昇降階段8bを組み付け、その上端で屋根6に設けられた開閉自在な開口(メンテナンス開口)にアクセス自在とする。
【0078】
この第1のステップでは、比較的大きな寸法の施工開口K1を介して、作業員がPC壁3の内外を容易に出入りすることができる。なお、施工開口K1は、図示するように平面視が長方形であり、その平面寸法は、縦寸法を4〜5m程度、横寸法を5〜15m程度に設定することができる。
【0079】
次に、第2のステップとして、施工開口K1の一部をコンクリートで閉塞して一度目の閉塞部3aを施工し、相対的に小寸法の施工開口K2を残した状態で、鉛直方向のPC鋼材3cと周方向のPC鋼材3dの緊張をおこなうことにより、施工途中のPC地上タンク100’が形成される(図5の工程表における「施工開口一部閉塞」および図10参照)。
【0080】
この第2のステップにおいても、施工開口K2が確保されていることにより、作業員のPC壁3の内外へのアクセス路、および、資機材の搬出入路が保証される(X方向)。
【0081】
このように本発明の施工方法では、この段階で施工開口の一部を依然として残して以後の施工をおこなうものであるが、従来の施工方法では、図11で示すように施工開口が完全に閉塞されることになる(図11における完全閉塞部3a’)である。
【0082】
この場合、同図で示すように、機械工事においては、昇降階段8bから外槽屋根6aと内槽屋根6bに設けられた不図示の施工開口(マンホール)を介し、タンク内に設けられた足場兼用階段Sを介して作業員がアクセスすることになり、かつ、このルートで資機材が搬入される(Z1方向)。
【0083】
一方、施工開口が完全に閉塞された後の土木工事としてはPUFの設置工事があるが、作業員は、昇降階段8bから外槽屋根6aに設けられた不図示の施工開口(マンホール)を介し、外槽ライナ4aに設けられたステップ等を介して、外槽ライナ4aと内槽側板4cの間の極めて狭い空間を通って当該空間下方へアクセスすることになり、かつ、このルートでPUF等を搬入する(Z2方向)。
【0084】
そのため、既述するように、外槽ライナ4aと内槽側板4cの間の極めて狭い空間で作業をおこなう場合に施工性が極めて悪く、さらには施工安全性も極めて低くなっており、また、施工開口が完全閉塞された後にタンク内で火災等が発生した際に、タンク内の作業員が避難に多くの時間を要するものとなっている。
【0085】
しかしながら、本発明の施工方法では、この段階においても依然として施工開口の一部を残して以後の施工を進めるため、これらの問題が全て解消されることになる。
【0086】
図12は、第2のステップで施工開口の一部が閉塞されたことを説明する模式図である。
【0087】
同図で示すように、一度目の閉塞部3aが施工されることによって、施工開口K1の閉塞跡m1が形成される。
【0088】
そして、既述するように、施工開口K2の横幅t2は鉛直方向のPC鋼材3cのピッチ間距離t1よりも小さく設定されており、したがって、施工開口K2を残したことによる鉛直方向のPC鋼材3cの歯抜け箇所の発生が抑止されている。
【0089】
また、施工開口K2の断面形状は、応力集中等が生じ得ない円形断面となっており、さらに、その外周には、鋼管や補強鋼材などからなる高剛性の管体3eが設置されて施工開口K2は補強されている。したがって、PC鋼材3c、3dを緊張した際に施工開口K2周りでクラック等が生じるのが効果的に抑制され、さらには、狭い施工開口K2を作業員が通過して開口壁とぶつかった際に施工開口K2が破損するといったことも抑制されている。
【0090】
PC鋼材3c、3dが緊張されたら、機械工事において、施工開口の一部閉塞された領域に対応する外槽ライナ4aの取付けがおこなわれ、さらに、土木工事において、施工開口以外の領域における側部冷熱抵抗緩和材4b(PUF)の取付けがおこなわれ、さらに機械工事において、不図示のグラスウールの内槽側板4cの内側への取付けがおこなわれる。
【0091】
次に、第3のステップとして、図13で示すように、土木工事として、施工開口の残部の閉塞をおこなって二度目の閉塞部3bを施工し、次いで、閉塞された施工開口の残部の領域において側部冷熱抵抗緩和材4b(PUF)の残部の取付けがおこなわれ、次に、機械工事として、閉塞された施工開口の残部の領域における外槽ライナ4aの設置がおこなわれる。なお、図5の工程表でも示すように、施工開口の残部に対応する領域において、鉛直方向もしくは周方向のPC鋼材の緊張が必要な場合にはそのPC緊張がおこなわれる。
【0092】
図13,14で示すように、二度目の閉塞部3bの施工によって施工開口が完全に閉塞されたら、最後に機械工事である粒状パーライト5を屋根6aに設けられた不図示の屋根開口から落とし込み、屋根の内外槽間の空間や内外槽側板間の空間に粒状パーライト5が充填されて金属製の内槽タンクが構築され、PC地上タンク100の施工が完了する。
【0093】
以上で説明するように、本発明の施工方法では施工開口を2段階に分けて閉塞することとし、1回目の閉塞で残った相対的に小寸法の施工開口K2をPC地上タンク100の内外への作業員のアクセス路とし、かつ、資機材の搬出入路とすることにより、1回目の閉塞以後の作業における作業効率が飛躍的に向上し、さらには、従来のように足場兼用階段を昇降する場合に比してアクセスの際の作業員の安全性は格段に高められる。
【0094】
本発明者等の試算によれば、PC壁高さが20m程度のPC地上タンクの施工に際し、施工開口が完全閉塞した後の工程において作業員が足場兼用階段を昇降する際に要する時間は、午前、午後のそれぞれで40分ずつの計80分にも及んでいることが分かっている。
【0095】
したがって、本施工方法を適用することにより、アクセスに要する時間はほとんど不要となり、上記80分程度の時間を他の作業に利用することが可能となり、施工効率の向上と工期の短縮に繋がる。
【0096】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0097】
1…基礎杭、2…底版、3…PC壁、3a…一度目の閉塞部、3b…二度目の閉塞部、3c…鉛直方向のPC鋼材、3d…周方向のPC鋼材、3e…管体、4…側壁保冷構造体、4a…外槽ライナ、4b…側部冷熱抵抗緩和材、4c…内槽側板、5…粒状パーライト(保冷材)、6…屋根、6a…外槽屋根、6b…内槽屋根、7…底版保冷構造体、7a…外槽底板ライナ、7b…底部冷熱抵抗緩和材、7c…内槽底板、7d…パーライトコンクリートブロック(保冷材)、7e…外側リング状の底版保冷構造体、8a…昇降階段基礎、8b…昇降階段、10…PC防液堤、100…PC地上タンク、100’…施工途中のPC地上タンク、K1…施工開口、K2…一部が閉塞された後の施工開口、m1、m2…閉塞跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製の底版の一部もしくは全部を施工し、施工開口を具備するPC壁を底版上に施工し、PC壁の内側に該PC壁と間隔を置いて側板を配し、側板の上に屋根を設置する第1のステップ、
前記施工開口のうち、一部の領域を施工開口として残して他の領域をコンクリートで閉塞し、PC壁における鉛直方向のPC鋼材と周方向のPC鋼材の双方を緊張し、PC壁の内側に冷熱抵抗緩和材の一部を配す第2のステップ、
前記一部の領域の施工開口を閉塞し、PC壁の内側に冷熱抵抗緩和材の残部を配し、前記側板と該冷熱抵抗緩和材の間に保冷材を配す第3のステップからなるPC地上タンクの施工方法。
【請求項2】
前記一部の領域の施工開口が鉛直方向のPC鋼材のピッチ間に設けられている請求項1に記載のPC地上タンクの施工方法。
【請求項3】
前記一部の領域の施工開口の周りが管体で補強されている請求項1または2に記載のPC地上タンクの施工方法。
【請求項4】
前記第1のステップで底版の一部が該底版の中央領域を残して先行施工され、前記第2のステップで少なくとも周方向のPC鋼材が緊張された後に前記中央領域が後施工される請求項1〜3のいずれかに記載のPC地上タンクの施工方法。
【請求項5】
前記側板が内槽側板であり、前記第1のステップでは、該内槽側板の上に内槽屋根を設置し、かつ、PC壁の上に屋根開口を具備する外槽屋根を設置し、施工開口以外の領域のPC壁の内側の面に外槽ライナを配するものであり、
前記第2のステップでは、PC鋼材の緊張をおこなった後に閉塞された施工開口の領域のPC壁の内側の面に外槽ライナを配し、一部の領域の施工開口以外の領域に冷熱抵抗緩和材の一部を配すものであり、
前記保冷材は粒状パーライトからなり、前記第3のステップでは、閉塞された一部の領域の施工開口に対応する領域に冷熱抵抗緩和材の残部と外槽ライナの残部を配し、前記屋根開口を介して冷熱抵抗緩和材と内槽側板の間の空間および外槽屋根と内槽屋根の間の空間に粒状パーライトを充填する請求項1〜4のいずれかに記載のPC地上タンクの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−32170(P2013−32170A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168330(P2011−168330)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【特許番号】特許第4964346号(P4964346)
【特許公報発行日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】