説明

PC鋼より線の供給装置及び敷設方法

【課題】巻回部を牽引、吊り上げ可能、かつ走行し得る新形式で、繰り出されるPC鋼より線の敷設作業が容易、かつPC鋼より線が傷付けられないようにしたPC鋼より線の供給装置と、この供給装置により敷設作業の合理化、省人化を図ることができる敷設方法を得ることである。
【解決手段】PC鋼より線の供給装置Aは、PCコンクリート構造物に敷設して使用するPC鋼より線Wを巻回する巻回部10を有し、上記巻回部10が巻回されたPC鋼より線Wを巻回部10内で回転自在に収容し得るスペースを有し、巻回部10の所定位置にPC鋼より線Wを繰り出すためのガイドとなる案内部12と、巻回部10を牽引又は吊り上げるための係合部14とを備え、巻回部10は牽引時又は吊り上げ時にPCコンクリート構造物の基礎面上で走行可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PCコンクリート構造物等にPC鋼より線を敷設するために使用されるPC鋼より線の供給装置及び敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁や建物などのコンクリート構造物に鉄筋として配設されるPC鋼より線は、コイル状に巻かれた線材を線材供給装置から人手により繰り出し、コンクリート構造物に人手により敷設して施工される。線材供給装置には、所定長さのPC鋼より線が予めコイル状に巻かれており、この線材供給装置を施工する現場へ運び入れて人手により開梱した後、線材を所定の位置に人手により運ばれて敷設工事が行われる。
【0003】
例えば、長さ30m、幅約12mの高架橋、高速道路等のコンクリート構造物の場合、長さ方向に沿って、かつ幅方向に所定のピッチで約40本のPC鋼より線を敷設する場合、図6に示すように、予めPC鋼より線Wを収納した線材供給装置Bを所定位置まで運搬してこれを開梱した後、PC鋼材の繰り出しと切断をする作業や、それぞれの長さのPC鋼材を所定位置に配置して所定のピッチで敷設する作業まで全て人手で行われるため、この敷設作業に従来は作業員10人で約2日の人手と日数がかかっていた。
【0004】
上記線材供給装置Bは、図6に示すように、一般に円形状の枠体を供給装置とし、その内側に巻取りドラムのないコアーレスの状態のPC鋼より線Wを建設現場にて枠体にセットし、人手にて引き出していた。
【0005】
上記従来の線材の供給装置の他に、裸銅線や圧延、線引き加工用鋼線のような線材をコイル状に巻き取り、その線材を繰り出す種々の線材供給装置が特許文献1、2、3により公知である。特許文献1の「線材供給方法及び装置」では、線材を供給する対象が圧延機や線材加工機等の線材加工装置に特定され、この線材加工装置から要求される状態に適合するように、線材供給装置ではダンサーローラを介して線材を供給するようにしている。
【0006】
特許文献2の「線材供給方法」では、線材を内側から取り出すコアレスコイルの梱包具、及びコアレスコイルの内側から線材を取り出して線材を供給するコアレスコイルからの線材供給方法について開示している。この場合、線材はどのような装置に供給するかについての供給対象が特定されていない。特許文献3の「線材コイル梱包用梱包資材供給方法およびその装置」では、梱包作業を自動で行う装置への資材の供給方法及び装置について開示している。
【特許文献1】特開平8−206764号公報
【特許文献2】特開平8−053107号公報
【特許文献3】特開平5−270515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記いずれの特許文献に記載された供給装置も、コンクリート構造物のような供給する対象物を特定して、PC鋼より線のような特定の線材を供給する際の作業との関連で供給装置を提案したものではない。特に、コンクリート構造物のように、高さや長さ、幅が種々異なる構造物で、その建設現場に適合する状態にPC鋼より線を敷設する場合には、圧延、線引き加工機等のように特定された対象物へ線材を供給する場合と基本的に環境が異なる。
【0008】
このため、供給対象が異なる上記2つの特許文献1、3に示された線材供給装置をコンクリート構造物の建設現場におけるPC鋼より線の敷設に利用することはできない。特許文献2に示されたコアレスコイルの供給方法及び梱包具を利用することも、梱包具の軸心を垂直にして使用することを想定しているため、回転台上に乗せて梱包具を回転可能な状態にしないと線材に撚りが掛かり、線材の引出しが困難となるため、開示された梱包具のままでは直接使用することができず、PC鋼より線の敷設作業の改善には役立たない。
【0009】
また、図6に示した枠体Bのみからなる簡単な線材供給装置からPC鋼より線を供給するという従来の手段、方法は、線材の引出しの際にはコアレスコイル状に巻かれたPC鋼より線を引き出すことはできるが、引出し作業は機械動力を用いず人力で行う手段、方法であり、このため敷設作業の合理化、省人化を図ることができないだけでなく、線材の引き出しの際に枠体内でコイル状のPC鋼より線が回転する必要があり、その際に枠体Bの部材のいずれかでコイル状のPC鋼より線Wに摩擦による傷を生じさせる。
【0010】
又、枠体から引き出された線材をコンクリート構造物上に敷設するため、PC鋼より線Wを引きずりながら所定位置に多数の線材を配置する際に、PCコンクリート構造物の基礎面上で移動させることにより、或いは構造物にぶつかることにより傷つくこともあり、ポリエチレン樹脂等で被覆された防食PC鋼より線の損傷を防止する必要がある等、敷設作業の合理化、省人化以外にも改善すべき事項が多く残されている。
【0011】
この発明は、上記の問題に留意して、コンクリート構造物へPC鋼より線の敷設をする際に、巻回部を牽引、吊り上げ可能、かつ走行し得る新形式で、繰り出されるPC鋼より線の敷設作業が容易、かつPC鋼より線が傷付けられないようにしたPC鋼より線の供給装置を提供すると共に、この供給装置により敷設作業の合理化、省人化を図ることができる敷設方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、PCコンクリート構造物に敷設して使用するPC鋼より線を巻回する巻回部を設け、上記巻回部が、巻回されたPC鋼より線を巻回部内で回転自在に収容し得るスペースを有し、巻回部の所定位置にPC鋼より線を繰り出すためのガイドとなる案内部と、巻回部を牽引又は吊り上げるための係合部とを備え、巻回部は牽引時又は吊り上げ時にPCコンクリート構造物の基礎面上で走行手段により走行可能に構成されたPC鋼より線の供給装置の構成としたのである。
【0013】
上記構成としたPC鋼より線の供給装置は、この発明の線材の敷設方法において用いられる。この敷設方法は、PC鋼より線の供給装置をコンクリート構造物の施工面上に載置し、巻回部内のPC鋼より線の端部をコンクリート構造物の所定位置に固定し、上記供給装置を固定位置から所定方向に走行させ、この供給装置の移動により案内部からPC鋼より線を繰り出して所定の位置にPC鋼より線を供給し、配置するという方法である。
【0014】
上記方法では、PC鋼より線の供給装置は、PCコンクリート構造物の基礎面上の現場で組み立てする。巻回部は、上記のように牽引又は吊り上げるための係合部と、PC鋼より線を繰り出すためのガイドとなる案内部とを備え、連結ロール又は車輪により走行可能であり、その巻回部内に回転自在に嵌合されたPC鋼より線を巻回部内のスペースに挿入し、組み立てが行われる。なお、上記供給装置の組み立ては、予め地上で或いは工場で巻回部内にPC鋼より線を巻き込んで組み立てておいてもよい。
【0015】
組み立てられた線材の供給装置は、PC鋼より線の先端を繰り出してコンクリート構造物の適宜位置に固定し、その係合部にクレーン等の機械動力の牽引又は吊り上げ用ワイヤの先端を係合させて、走行可能な状態に引き起こされ、さらにクレーン等の動力で牽引又は上方或いは傾斜方向に吊り上げられて走行する。この移動によりPC鋼より線は繰り出されてコンクリート構造物の所定位置に敷設、配置される。
【0016】
上記PC鋼より線の供給装置は、巻回部が、1条又は複数条のPC鋼より線Wをコイル状に巻回したコアレスコイルを嵌合、保持し得る1つ又は複数のキャリアを着脱自在に挿入、装着するように構成することができる。この場合、キャリアは巻回部の両端の枠フレームに回転可能に設けるが、巻回部内に固定して設けても良い。キャリアを用いることにより、さらに巻回部内でPC鋼より線Wがその内周部に接触、引掛り、或いは複数のコイル同士で互いに擦れ合うことにより傷が生じるのを最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明のPC鋼より線の供給装置は、PC鋼より線を巻回する巻回部を設け、上記巻回部がPC鋼より線を回転自在に収容し得るスペースを有し、巻回部の所定位置にPC鋼より線を繰り出すためのガイドとなる案内部と、巻回部を牽引又は吊り上げるための係合部とを備え、巻回部は牽引時又は吊り上げ時にPCコンクリート構造物の基礎面上で走行可能に構成したから、巻回部を牽引、吊り上げ可能、かつ走行し得る新形式で、繰り出されるPC鋼より線の敷設作業が容易、かつPC鋼より線が傷付けられることがなく、この供給装置により敷設作業の合理化、省人化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は実施形態のPC鋼より線の供給装置の外観斜視図である。また、図2に供給装置を分解した各部品の分解斜視図、図3に部品の1つであるキャリアを積み重ねた状態の外観斜視図を示す。図示の供給装置は、PCコンクリート構造物に敷設して使用するPC鋼より線を巻回する巻回部10を有するPC鋼より線の供給装置Aである。上記巻回部10は、巻回されたPC鋼より線W(図示の例ではW、W、Wの3条)を巻回部10内で回転自在に収容し得るスペースSを有し、その両端に枠フレーム11として片側に円形の端板11aと、他方にリングフレーム11bとを備えている。
【0019】
そして、巻回部10は、上記枠フレーム11の両端の部材に複数の連結ロール12aで着脱自在に連結され、かつ巻回部10内で回転自在に収容し得るスペースS内に巻回されたPC鋼より線Wを保持するように構成され、巻回部10の所定位置にはPC鋼より線Wを繰り出すためのガイドとなる1組の連結ロール12aと連結ロール12bから成る案内部12を備えている。
【0020】
さらに、上記スペースS内にPC鋼より線Wを回転自在に巻回、保持するために挿入された複数(図示の例では3つ、但し1つ又は複数のいずれでもよい)のキャリア13と、巻回部10を牽引又は吊り上げるための係合部14とを備えている。また、上記案内部12の連結ロール12a、12bを回転自在に設けることにより、巻回部10を走行可能に構成している。即ち、上記連結ロール12a、12bのいずれか、またはそのいくつか(牽引時又は吊り上げ時に下方となる位置のロール)を組み合わせて走行手段としている。なお、巻回部10の枠フレーム11の端板11aに取り付けされた複数の連結ロール12aと、連結ロール12bに対して、詳細な図示は省略しているが、リングフレーム11bはボルト、ナット等の固定部材により着脱自在に組み立てることができるように形成されている。
【0021】
また、他方のリングフレーム11bは、例えば図示のように、十字状の補強材11が連結されて補強されている。また、複数の連結ロール12aのうち、係合部14に対向する位置に設けられた連結ロール12aは、詳細を図示していないが、回転自在に設け、かつこのロールと隣接して設けたもう1つの連結ロール12bも回転自在として1対とし、これを案内部12とする。この1対の連結ロール12a、12bの周方向の間隔を適宜設定することにより、PC鋼より線W(W、W、W)のそれぞれを繰り出す際のガイドの役目をなし、PC鋼より線Wがコイル状部から線材l、l、lとして繰り出される際に、傷付くのを保護しながらスムーズな繰り出しを可能とする。
【0022】
キャリア13は、コアレスコイルを巻回、保持するために設けられるものであり、円形基板の片面は平面状で、反対側面は外周位置から中心に向かってなだらかに膨出し、略1/3の直径位置から截頭円錐形状に突出する膨出部13を有する膨出円錐体とし、それぞれコアレスコイルを巻回、保持するのに適合する形状に形成され、これを複数枚(図示の例では3枚)備えている(ただし、基本的には1枚でも良い)。また、図2に示すように、複数枚のキャリア13は、1つのキャリア13の膨出部13が、重ね合わせられるもう1枚のキャリア13の裏面に設けられている嵌合孔13に嵌合されるように形成されている。なお、キャリア13は、後述するように、必ずしも設けない場合もある。
【0023】
係合部14は、クレーン等で上方又は傾斜状に吊り上げ、或いは水平に牽引し、クレーンで移動させるように吊り上げ又は牽引用のアイプレート等からなり、枠フレーム11の端板11a、リングフレーム11bに対して、その外周の適宜位置に取り付けられている。なお、PC鋼より線Wは、図2の(c)図に示すように、所定長さ分のより線(W、W、W)を複数組用意しておき、それぞれのPC鋼より線Wの結束を解き、そのコアレスコイル状のPC鋼より線Wを各キャリア13の膨出円錐体面上に嵌め込んで使用される。
【0024】
上記の構成とした実施形態のPC鋼より線の供給装置Aを用いて、次のような敷設方法により、コンクリート構造物の基礎上にPC鋼より線Wを敷設する敷設工事が行われる。即ち、この方法は、PC鋼より線の供給装置Aをコンクリート構造物の施工面上に載置し、巻回部10内のPC鋼より線Wの端部をコンクリート構造物の所定位置に固定し、上記供給装置Aを固定位置から所定方向に走行させ、この供給装置Aの移動により案内部12からPC鋼より線Wを繰り出して所定の位置にPC鋼より線Wを供給、配置するという方法である。この方法による実際の敷設作業の状態を図4に示す。図示のように、まず供給装置Aの組み立てが行われる。
【0025】
1.キャリア13に遅延硬化型樹脂をポリエチレンシースに充填したPC鋼より線(より線径φ28.6mm)の線材コイル(コアレス)をセットする。この場合、便宜上建設中のPC鋼コンクリート構造物の基礎上で完成した状態の路面の片側の半長さ位置上で作業をしている状態を示しているが、実際は残り半長さ部分に示すように、基礎部の床版上で路面が未完成の状態で行われる。
【0026】
2.供給装置Aの巻回部10にキャリア13を3段に重ねてセットし、蓋をして固定する。なお、上記の作業は、理解し易く表示するため完成した路面上で作業をするように示しているが、予めこの供給装置Aの組立てを地上で、或いは工場で行って供給装置Aを組み立てた後、所定の位置に運搬するようにしても良い。
【0027】
3.次に、供給装置Aを横にして走行可能な状態となるように吊り上げ、図5に示すように、PC鋼より線Wの端部をPCコンクリート構造物の所定の固定部Fに固定後に、供給装置Aの係合部をクレーン等(図示省略)の機械動力で垂直又は所定角度の傾斜方向に吊り上げる、又は所定長さの基礎部の一端に取り付けた滑車を経て水平状態に牽引する状態でクレーン等の動力により牽引し、移動させることによって供給装置Aを走行させ、供給装置Aの案内部12からPC鋼より線のコアレスコイルを繰り出しながら所定の位置にPC鋼より線Wを配筋した。なお、上記配筋作業の終了後床版上にセメントが打設される。
【0028】
上記の供給装置Aを用いたPC鋼より線の敷設方法を採用して、敷設作業をすることにより、作業時間は大幅に短縮された。一例として、図6に示した従来のコンクリート構造物と同じ長さ、規模の構造物で実施したところ、40本のPC鋼より線を所定の位置に配置するのに、5人で半日の作業により配筋作業を実施することができた。従来の人手による作業では、10人で2日掛かっていたのに対して、人数が半分、日数も半分となり、人手と日数が大幅に短縮され、極めて高効率な省人化、省力化を達成できることが確認された。
【0029】
さらに、上記敷設作業に供給装置Aを用いることにより、案内部12の各連結ロール12a、12b間から繰り出されるPC鋼より線Wは、傷が付くのを最小限に防止することができる。なお、上記実施形態では、枠フレーム11の端板11aとリングフレーム11bを所定間隔に設け、キャリア13は両端の端板11aとリングフレーム11bに対して回転可能に設けているが、キャリア13に対して固定し、回転できないように設けてもよい。また、上記のように、キャリア13を用いることにより、巻回部10内でPC鋼より線Wがその内周部に接触、引掛り、或いは複数のコイル同士で互いに擦れ合うことにより傷が生じるのを最小限に抑えることができる。
【0030】
キャリア13を回転可能に設ける場合、枠フレーム11の両端の端板11a、リングフレーム11b間に回転軸を設け、その軸の両端を枠フレーム11に設けた軸受けで軸支し、この回転軸にキャリア13を挿通、固定して回転可能とすることが出来る。ただし、回転軸は必ずしも必要ではなく、複数のキャリア13が枠フレーム11に接する両端位置に凸部を設け、これを枠フレーム11側の凹部で受けるように構成しても良い。又、上記回転軸を設ける場合、その回転軸の一方の端にブレーキを取り付け、キャリア13の回転力を制御することができるようにしてもよい。
【0031】
さらに、巻回部10は、その複数の連結ロール12a、12bのうち係合部14に牽引又は吊り上げ用のワイヤを係合させて走行させる際に、回転自在の連結ロール12aとは別に枠フレーム11の、走行時に下方となる位置に車輪を設けて、走行が可能となるようにしても良い。また、枠フレーム11と、これを連結する複数の連結ロール12a、12bとで形成される所定スペース内には、収納されるPC鋼材が開梱された際に膨らみ過ぎないように、所定のカバーを設けておくと良い。
【0032】
また、上記実施形態では、キャリア13を設けた例を示したが、キャリア13は必ずしも設けなくてもよい。キャリア13を設けない場合、図示省略しているが、巻回部10はキャリア13が無いだけで、枠フレーム11と連結ロール12a、12bからスペースSを形成し、案内部12、係合部14は上記実施形態と同様に備えている。スペースS内に収容されるPC鋼より線Wのコアレスコイルは、コイル自身が回転しながら繰り出される。従って、この場合は複数の連結ロール12a、12bが全て回転することにより、PC鋼より線Wを傷付けないように繰り出される。ただし、複数条のPC鋼より線Wを収容する場合は、コイルとコイルの間に仕切板を入れてコイル同士が互いに接触することにより傷つくのを防止するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明のPC鋼より線の供給装置は、PC鋼より線Wを巻回する巻回部を設け、上記巻回部がPC鋼より線を回転自在に収容し得るスペースを有し、巻回部10の所定位置にPC鋼より線Wのガイドとなる案内部と、巻回部を牽引又は吊り上げるための係合部とを備え、巻回部は牽引時又は吊り上げ時にPCコンクリート構造物の基礎面上で走行可能に構成しており、広くPCコンクリート構造物にPC鋼より線を敷設する作業に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態のPC鋼より線の供給装置Aの外観概略構成図
【図2】供給装置Aの各部品の分解斜視図
【図3】キャリアの積み重ね状態の(a)外観斜視図、(b)断面図
【図4】コンクリート構造物上でのPC鋼より線Wの敷設作業の説明図
【図5】同上の概略説明図
【図6】従来例のコンクリート構造物上でのPC鋼より線Wの敷設作業の説明図
【符号の説明】
【0035】
10 巻回部
11 枠フレーム
11a 端板
11b リングフレーム
12 案内部
12a 連結ロール
13 キャリア
13 膨出部
14 係合部
A PC鋼より線の供給装置
W PC鋼より線
、W、W PC鋼より線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCコンクリート構造物に敷設して使用するPC鋼より線Wを巻回する巻回部10を設け、上記巻回部10が、巻回されたPC鋼より線Wを巻回部10内で回転自在に収容し得るスペースを有し、巻回部10の所定位置にPC鋼より線Wを繰り出すためのガイドとなる案内部12と、巻回部10を牽引又は吊り上げるための係合部14とを備え、巻回部10は牽引時又は吊り上げ時にPCコンクリート構造物の基礎面上で走行手段により走行可能に構成されたPC鋼より線の供給装置。
【請求項2】
前記巻回部10が、1条又は複数条のPC鋼より線Wをコイル状に巻回したコアレスコイルを嵌合、保持し得る1つ又は複数のキャリア13を着脱自在に挿入、装着するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のPC鋼より線の供給装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載のPC鋼より線Wの供給装置Aをコンクリート構造物の施工面上に載置し、巻回部10内のPC鋼より線Wの端部をコンクリート構造物の所定位置に固定し、上記供給装置Aを固定位置から所定方向に走行させ、この供給装置Aの移動により案内部12からPC鋼より線Wを繰り出して所定の位置にPC鋼より線Wを供給、配置するようにしたPC鋼より線の敷設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−280730(P2008−280730A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125551(P2007−125551)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(302061613)住友電工スチールワイヤー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】