説明

PCB接続装置及びFPDモジュール組立装置

【課題】支え部材によってPCB及び搭載部材を傷つけないようにすることができるPCB接続装置及びFPDモジュール組立装置を提供する。
【解決手段】PCB接続装置70は、基板保持部94と、本圧着部76と、PCB支持部95とを備える。基板保持部94は表示基板101を保持し、本圧着部76は基板保持部94に保持された表示基板101に搭載されている搭載部材102にPCB103を接続する。PCB支持部95は、基板保持部94に設けられており、搭載部材102に接続されたPCB103を支える支え部材97と、支え部材を移動させる移動機構98とを有する。そして、移動機構98は、支え部材97がPCB103の下面に当接する支持位置と、支持位置の下方に設けられた待機位置との間で支え部材97を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)の表示基板に実装された搭載部材にPCB(Printed Circuit Board)を貼付け搭載するPCB接続装置に関するものである。また、PCB接続装置を備えたFPDモジュール組立装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FPDとしては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどがある。このFPDにおける表示基板の周縁部には、駆動ICの搭載や、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのTAB(Tape Automated Bonding)接続が行われる。また、表示基板の周辺には、例えば、PCB(Printed Circuit Board)などの周辺基板が実装される。その結果、FPDモジュールが組み立てられる。
【0003】
FPDモジュール組立装置は、複数の処理作業工程を順次行なうことで、FPDの表示基板における周縁部および周辺に、駆動IC、COFなどの搭載部材およびPCBなどの搭載基板を実装し、FPDモジュールを組み立てるライン装置である。
【0004】
ここで、本発明で搭載部材と称す電子部品は、その詳細形状や部材の厚さの差異などで、COFと呼称されたり、TCP(Tape Carrier Package)と呼称されたりする。これらCOFやTCPは、スプロケット穴を有する長尺のポリイミドフィルムに配線を施したFPCに、ICチップを搭載し、これを切り出して構成されたものであり、実装する上での差異はない。また、FPDの設計によってはICチップなしのFPCのみを実装する場合もある。FPDモジュールの実装組立工程においては、これらの部品に実質上の差異はないため、本発明では搭載部材と呼称する。
【0005】
FPDモジュール組立装置における処理工程の一例としては、(1)表示基板端部の搭載部材貼付け部を清掃する端子クリーニング工程と、(2)清掃後の表示基板端部に異方性導電フィルム(ACF:AnisotropicConductive Film)を貼り付けるACF貼付工程がある。また、(3)表示基板のACFを貼り付けた位置に、搭載部材を位置決めして搭載する搭載工程と、(4)搭載部材を加熱圧着してACFにより固定する圧着工程がある。さらに、(5)搭載部材の表示基板側とは反対側に、予めACFを貼り付けたPCB基板を貼付け搭載するPCB接続工程がある。なお、PCB工程は、複数の工程からなっている。
【0006】
ACFは、接合する部材のどちらか一方に予め貼り付けられていればよい。つまり、上記ACF工程の別な例では、ACFを搭載部材に予め貼り付ける。また、FPDモジュール組立装置には、処理する基板の辺の数、搭載部材の数、各処理装置の数などに応じて、基板を回転する処理装置などが必要となる。
【0007】
このような一連の工程を経ることによって、表示基板上の電極と搭載部材に設けた電極との間を熱圧着し、ACF内部の導電性粒子を介して両電極の電気的な接続が行われる。なお、圧着工程を終えると、ACF基材樹脂が硬化するため、両電極の電気的な接続と同時に、表示基板と搭載部材が機械的にも接続される。
【0008】
このようなFPDモジュール組立装置では、各工程の処理位置に表示基板を搬送する搬送部を備えている。FPDモジュール組立装置の搬送部としては、例えば、特許文献1に記載されている。
【0009】
特許文献1に記載された搬送部(パネルホルダ装置)は、表示基板が水平状態に載置される複数のホルダアームと、少なくとも2本のホルダアームの下部位置に装着された基板支え部材と、基板支え部材を変位させる進退駆動手段とを有している。基板支え部材は、進退駆動手段により変位して、ホルダアームの先端から突出しない退避位置と、ホルダアームの先端から突出してPCBを支える作動位置とに配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−191355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に記載された搬送部では、基板支え部材がホルダアームに沿って水平方向に変位して作動位置に配置される。そのため、搭載部材を介して表示基板に接続されたPCBが自重により垂れていると、基板支え部材がPCBの側面に当接して、PCB及び搭載部材が表示基板から剥がれてしまう虞があった。
【0012】
また、表示基板には、搭載部材を介してPCBを接続する辺以外の辺にも搭載部材が搭載される場合がある。このように、表示基板におけるPCBを接続する辺以外の辺に搭載した搭載部材がその自重により垂れてしまうと、退避位置にある基板支え部材が搭載部材に干渉して、搭載部材が損傷する虞があった。
【0013】
本発明の目的は、上記従来技術における実情を考慮し、PCBを支持する支え部材によってPCB及び搭載部材を傷つけないようにすることができるPCB接続装置及びFPDモジュール組立装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のPCB接続装置は、基板保持部と、PCB接続部と、PCB支持部とを備えている。
基板保持部は表示基板を保持し、PCB接続部は、基板保持部に保持された表示基板に搭載されている搭載部材にPCBを接続する。
PCB支持部は、基板保持部に設けられており、搭載部材に接続されたPCBを支える支え部材と、支え部材を移動させる移動機構とを有する。そして、移動機構は、支え部材がPCBの下面に当接する支持位置と、支持位置の下方に設けられた待機位置との間で支え部材を移動させる。
【0015】
また、本発明のFPDモジュール組立装置は、表示基板に搭載部材を搭載する部材搭載装置と、上述のPCB接続装置とを備えている。
【0016】
本発明のPCB接続装置及びFPDモジュール組立装置は、表示基板に搭載された搭載部材に接続されたPCBをPCB支持部の支え部材によって支持する。支え部材は、PCBの下面に当接する支持位置と、この支持位置よりも下方に設けられた待機位置との間を移動機構によって移動する。
【0017】
表示基板に搭載されている搭載部材にPCBを接続するときに、支え部材は、待機位置に配置されている。そして、表示基板に搭載された搭載部材にPCBが接続されると、支え部材は、移動機構により上昇して支持位置に配置され、PCBの下面に当接する。
これにより、PCBが自重により垂れていても、そのPCBを下から支えることができるため、PCB及び搭載部材を傷つけないようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記構成のPCB接続装置及びFPDモジュール組立装置によれば、PCBを支持する支え部材によってPCB及び搭載部材を傷つけないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のFPDモジュール組立装置で実装組立を行うFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明のFPDモジュール組立装置の一実施形態であるFPDモジュールの組立ラインを示す概略構成図である。
【図3】本発明のFPDモジュール組立装置の一実施形態に係るPCB接続ユニットを示す平面図である。
【図4】図3に示すPCB接続ユニットにおける搬送ステージの正面図である。
【図5】図3に示すPCB接続ユニットにおける搬送ステージの斜視図である。
【図6】図3に示すPCB接続ユニットにおける搬送ステージの平面図である。
【図7】搬送ステージにおけるPCB支持部の支え部材が待機位置に配置された状態の側面図である。
【図8】搬送ステージにおけるPCB支持部の支え部材が支持位置に配置された状態の側面図である。
【図9】PCB接続ユニットの第2の実施の形態に係る支え部材が待機位置に配置された状態の側面図である。
【図10】PCB接続ユニットの第2の実施の形態に係る支え部材が支持位置に配置された状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、FPD(フラットパネルディスプレイ)モジュールの組立装置を実施するための形態について、図1〜図10を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0021】
[FPDモジュール]
まず、FPDモジュールについて、図1を参照して説明する。
図1は、本発明のFPDモジュール組立装置で実装組立されるFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【0022】
図1に示すように、FPDモジュール100は、略長方形状に形成された表示基板101の周縁部に複数の搭載部材102をACF接合により接続するとともに、一部の搭載部材102にPCB103をACF接続して構成されている。
表示基板101は、カラーフィルタ基板101aと、TFT(Thin Film Transistor)アレイ基板101bと、カラーフィルタ基板101aとTFTアレイ基板101bの間に封入される液晶とから構成されている。
【0023】
更に、表示基板101の角部には、十字状のアライメントマーク106が付されている。なお、アライメントマーク106の形状は、十字状に限定されるものではなく、例えば一本線やその他の形状であってもよい。このアライメントマーク106は、表示基板101の位置合わせを行う際に、後述する位置検出部の一例を示すカメラ85A,85Bによって撮像されるマークである(図3参照)。
【0024】
搭載部材102は、扁平な長方形のポリイミドフィルムに銅箔による印刷回路(不図示)を施したFPC(Flexible Printed Circuit)104に、ICチップ105を搭載して構成される電子部品である。ICチップ105は、FPC104の略中央に実装されている。FPC104の下面には、印刷回路が設けられていると共に、長手方向の両側(2つの長辺)にアウターリード端子(不図示)が設けられている。
【0025】
搭載部材102の品種によっては、ICチップ105が下面側にある場合(COFタイプ)や、ICチップがない場合(FPCタイプ)などがある。また、搭載部材102は、接続部位により回路的には相互に差異があるが、搭載実装の説明には区別する必要がないので、同じものとして図示している。
【0026】
[FPDモジュールの組立装置]
次に、本発明のFPDモジュールの組立装置の一実施形態であるFPDモジュール組立ラインについて、図2を参照して説明する。
図2は、FPDモジュール組立装置の一実施形態の構成例を示す概略構成図である。
【0027】
FPDモジュール組立ライン10は、端子クリーニングユニット20と、ソース側搭載ユニット30と、ソース側本圧着ユニット40と、ゲート側搭載ユニット50と、ゲート側本圧着ユニット60と、PCB接続ユニット70から構成されている。FPDモジュール組立ライン10では、表示基板101(図1参照)が端子クリーニングユニット20からPCB接続ユニット70まで順次運ばれながら、実装プロセスを経る。
【0028】
PCB接続ユニット70は、本発明のPCB接続装置の第1の実施の形態を示す。また、ソース側搭載ユニット30、ソース側本圧着ユニット40、ゲート側搭載ユニット50及びゲート側本圧着ユニット60は、本発明に係る部材搭載装置の一具体例を示す。
【0029】
各ユニット20、30、40、50、60および70は、それぞれフレーム21、31、41、51、61および71を有している。各フレーム21、31、41、51、61および71の操作面側には、搬送レール22、32、42、52、62および72が設けられている。搬送レール22、32、42、52、62および72は、隣り合う搬送レールと連結されることにより、一本のレールを形成している。
【0030】
搬送レール22、32、42、52、62および72には、それぞれ搬送ステージ23、33、43、53、63および73が移動可能に係合されている。これら搬送ステージ23、33、43、53、63および73は、次のユニットの作業位置まで表示基板101を搬送する。
【0031】
また、各ユニット20、30、40、50、60および70には、表示基板101の作業辺を載せて吸着させることで平坦化を行う基準バー24、34、44、54、64および74が設けられている。各基準バー24、34、44、54、64および74は、図示しない後端支えとともに作業中の表示基板101を安定して保持する。
【0032】
端子クリーニングユニット20では、表示基板101(図1参照)における搭載部材102の接続用の端子が設けられている辺が清掃される。この端子クリーニングユニット20には、搬入された表示基板101の端子部を拭き取るクリーニングヘッド25と、このクリーニングヘッド25が摺動するガイドレール26が設けられている。
【0033】
ソース側搭載ユニット30では、表示基板101の長辺に沿ってソース側の搭載部材102(図1参照)が搭載される。搭載部材102は、長尺のリボン状フィルムとしてソース側搭載ユニット30に供給される。そして、打ち抜き部35によって打ち抜かれ、個別に分けられる。
【0034】
その後、ソース側搭載ユニット30では、ACF貼付部36により、ACF層を搭載部材102の搭載端子側に貼り付け、ベースフィルムを剥離する。ベースフィルムが剥離された搭載部材102は、移載装置37により搭載ヘッド38に渡される。搭載ヘッド38は、加熱加圧ヘッドであり、表示基板101のソース辺(長辺)に搭載部材102を順次搭載し、仮圧着する。
【0035】
なお、表示基板101に搭載部材102を搭載する工程は、清掃後の表示基板101にACFを貼り付けるACF貼り付けユニットと、表示基板101のACFを貼り付けた位置に搭載部材102を搭載する搭載ユニットによって行うこともできる。
【0036】
ソース側本圧着ユニット40では、ソース側の搭載部材102と表示基板101との本圧着が本圧着部45によって行われる。本圧着部45は、搭載部材102を仮圧着した表示基板101を下側から支える下刃と、搭載部材102の圧着部分を加圧する上刃と、下刃及び上刃をそれぞれ加熱するヒータを有している。上刃により搭載部材102の圧着部分が加圧されると、搭載部材102と表示基板101との間に介在されたACF層が加熱されて熱硬化する。これにより、ソース側の搭載部材102と表示基板101との本圧着が完了する。
【0037】
ゲート側搭載ユニット50では、表示基板101の短辺に沿ってゲート側の搭載部材102(図1参照)が搭載される。搭載部材102は、長尺のリボン状フィルムとしてゲート側搭載ユニット50に供給される。そして、打ち抜き部55によって打ち抜かれ、個別に分けられる。
【0038】
その後、ゲート側搭載ユニット50では、ACF貼付部56により、ACF層を搭載部材102の搭載端子側に貼り付け、ベースフィルムを剥離する。ベースフィルムが剥離された搭載部材102は、移載装置57により搭載ヘッド58に渡される。搭載ヘッド58は、加熱加圧ヘッドであり、表示基板101のゲート辺(短辺)に搭載部材102を順次搭載し、仮圧着する。
【0039】
ゲート側本圧着ユニット60では、ゲート側の搭載部材102と表示基板101との本圧着が本圧着部65によって行われる。本圧着部65は、ソース側本圧着ユニット40の本圧着部45と同様に、搭載部材102を仮圧着した表示基板101を下側から支える下刃と、搭載部材102の圧着部分を加圧する上刃と、下刃及び上刃をそれぞれ加熱するヒータを有している。
【0040】
PCB接続ユニット70では、表示基板101に接続されたソース側の搭載部材102にPCB103が接続される。このPCB接続ユニット70には、PCB供給ブロック75と、本圧着部76が設けられている。PCB供給ブロック75は、PCB103にACF層107(図3参照)を貼り付けて、本圧着部76に搬送する。
【0041】
本圧着部76は、ソース側本圧着ユニット40の本圧着部45及びゲート側本圧着ユニット60の本圧着部65と同様に、ソース側の搭載部材102とPCB103とを本圧着する。この本圧着部76は、PCB接続部の具体例を示すものであり、下刃77と、上刃78と、下刃77を加熱するヒータ79Aと、上刃78を加熱するヒータ79Bを備えている(図7参照)。
【0042】
[PCB供給ブロック]
次に、PCB供給ブロック75について、図3を参照して説明する。
図3は、PCB接続ユニット70を示す平面図である。
【0043】
図3に示すように、PCB供給ブロック75は、PCBトレイ81と、PCB移動部82A,82Bと、ACF貼付部83A,83Bと、PCB搬送部84と、位置検出部であるカメラ85A,85Bを備えている。
【0044】
PCBトレイ81には、複数のPCB103が載置されている。このPCBトレイ81に載置されたPCB103は、ACF層107が貼り付けられる前のPCBである。PCBトレイ81は、トレイ供給機構(不図示)によってPCB接続ユニット70に設けられた設置位置に供給される。
【0045】
PCB移動部82A,82Bは、PCBトレイ81の両側に配置されている。これらPCB移動部82A,82Bは、PCBトレイ81からPCB103を取り出して、ACF貼付部83A,83Bに1枚ずつ供給する。ACF貼付部83A,83Bは、PCB移動部82A,82Bに保持されたPCB103にACF層107を貼り付ける。そして、PCB移動部82A,82Bは、ACF層107の貼り付けが終了したPCB103を交互にPCB搬送部84に供給する。
【0046】
PCB搬送部84は、フレーム71の操作面に設けられたガイドレール87に沿って移動して、供給されたPCB103を本圧着部76の下刃77に載置する(図7参照)。カメラ85A,85Bは、PCB搬送部84の搬送路の上方に配設されており、PCB搬送部84に保持されたPCB103を撮像し、PCB103に設けられたアライメントマーク106(図1参照)を検出する。これにより、PCB搬送部84とPCB103との相対的な位置を検知することができる。PCB搬送部84は、PCB搬送部84とPCB103との相対的な位置に基づいて、PCB103を本圧着部76における下刃77の所定の位置に載置する。
【0047】
[搬送ステージ]
次に、PCB接続ユニット70の搬送ステージ73について、図4〜図6を参照して説明する。
図4は、搬送ステージ73の正面図である。図5は、搬送ステージ73の斜視図である。図6は、搬送ステージ73の平面図である。
【0048】
図4に示すように、搬送ステージ73は、Y軸ガイド91と、スライダ92と、昇降回転部93と、基板保持部94と、2つのPCB支持部95とを備えている。
Y軸ガイド91は、搬送レール72に案内されて各ユニット20,30,40,50,60および70が並ぶ方向(以下、X軸方向とする)へ移動する。
【0049】
スライダ92は、Y軸ガイド91に摺動可能に係合している。このスライダ92がY軸ガイド91上を摺動することにより、昇降回転部93及び基板保持部94は、鉛直方向であるZ軸方向とX軸方向に直交するY軸方向へ移動し、本圧着部76(図3参照)に対して接近または本圧着部76から離れる。
【0050】
昇降回転部93は、スライダ92の上部に回転可能に支持された回転台93aと、この回転台93aの上部に設けられた昇降機構93bからなっている。回転台93aがスライダ92に対して回転することにより、基板保持部94は、水平方向に回転する。また昇降機構93bが駆動することにより、基板保持部94は、Z軸方向へ移動する。
【0051】
基板保持部94は、昇降回転部93の昇降機構93bに取り付けられている。この基板保持部94は、昇降機構93bに固定されたベース台94aと、表示基板101を吸着して保持する吸着台94bと、ベース台94aと吸着台94bとを連結する連結台94cから構成されている。吸着台94bは、負圧を発生させることにより表示基板101を吸着する。
【0052】
2つのPCB支持部95は、基板保持部94のベース台94aにおけるX軸方向に直交する両側面にそれぞれ取り付けられている。このPCB支持部95は、搭載部材102に接続されたPCB103を支える支え部材97と、この支え部材97を移動させる移動機構98を有している。
【0053】
図5に示すように、支え部材97は、スライド片97aと、このスライド片97a上に取り付けられたアーム片97bと、アーム片97bの先端部に設けられた当接片97cから構成されている。当接片97cは、側方から見た形状が楔形に形成されており、PCB103の下面に当接する当接面97dを有している。この当接面97dは、アーム片97bの先端に向かうにつれて連続的に低くなるように傾斜している。
【0054】
移動機構98は、プレート98aと、ガイドレール98bと、シリンダ98cを有している。プレート98aは、略長方形の板体からなり、基板保持部94のベース台94aに傾斜した状態で固定されている。このプレート98aの水平面に対する傾斜角度は、プレート98aに対する上述した支え部材97の当接面97dの角度と略同じに設定されている。そのため、支え部材97が移動機構98に係合すると、支え部材97の当接面97dは、水平面と略平行になる。
【0055】
プレート98aの一端は、後端よりも上方に位置しており、本圧着部76(図7参照)に対向している。このプレート98aの一端には、ストッパ99が設けられている。このストッパ99は、支え部材97の斜め上方への移動を係止する。
【0056】
ガイドレール98bは、プレート98aの上面に取り付けられており、プレート98aの上面に平行に延びている。このガイドレール98bは、支え部材97の移動を案内する。
つまり、ガイドレール98bには、支え部材97のスライド片97aが摺動可能に係合されている。
【0057】
シリンダ98cは、プレート98aの他端部に取り付けられている。このシリンダ98cは、本発明に係る駆動部の一具体例を示す。シリンダ98cにおけるピストンロッド98dの先端には、支え部材97のスライド片97aが固定されている。このシリンダ98cは、ピストンロッド98dを駆動して、支え部材97をガイドレール98bに沿って移動させる。
【0058】
表示基板101に搭載された搭載部材102にPCB103が接続される前は、PCB支持部95の支え部材97が待機位置に配置されている。図4〜図6は、支え部材97が待機位置に配置された状態を示している。
【0059】
図6に示すように、待機位置に配置された支え部材97におけるPCB支持部95の当接片97cは、表示基板101の短辺に沿って搭載されたゲート側の搭載部材102の下方に位置する。支え部材97とゲート側の搭載部材102とは、Z軸方向に所定の距離をおいて離れている。したがって、ゲート側の搭載部材102が自重により垂れていても、そのゲート側の搭載部材102に支え部材97が干渉することは無い。
【0060】
例えば、水平方向(Y軸方向)に移動してPCB103を支持する構造のPCB支持部が、搭載部材102の下方に配置されていると、自重により垂れてしまった搭載部材102にPCB支持部の支え部材が干渉する可能性がある。しかし、本実施の形態では、搭載部材102が自重により垂れていても、そのゲート側の搭載部材102に支え部材97が干渉することは無い。そのため、本実施の形態では、PCB支持部95の位置をPCBの大きさに応じて自由に設定できるという利点がある。
【0061】
[PCB支持部の動作]
次に、PCB支持部95の動作について、図7及び図8を参照して説明する。
図7は、PCB支持部95の支え部材97が待機位置に配置された状態の側面図である。図8は、PCB支持部95の支え部材97が支持位置に配置された状態の側面図である。
【0062】
ゲート側本圧着ユニット60の搬送ステージ63は、搭載部材102が搭載された表示基板101を搬送し、PCB接続ユニット70の基準バー74(図2参照)及び後端支え(不図示)に載置する。これにより、表示基板101は、基準バー74及び後端支え(不図示)に保持される。そして、本圧着部76が、搭載部材102にPCB103を接続(本圧着)する。これにより、FPDモジュール100が組み立てられる。
【0063】
搭載部材102にPCB103を接続する作業が終了する前に、搬送ステージ73は、次工程の搬送位置から戻ってきて、表示基板101を保持する。上述したように、表示基板101に搭載された搭載部材102にPCB103が接続される前は、PCB支持部95の支え部材97が待機位置に配置されている(図7参照)。
【0064】
待機位置は、支え部材97がPCB103を支持する位置である支持位置(図8参照)よりも下方に設けられている。待機位置に配置された支え部材97は、吸着台94bに保持された表示基板101の下方に位置している。そして、支え部材97の当接片97cは、本圧着されているPCB103よりも下方に位置している。
【0065】
搭載部材102にPCB103が接続されると、図8に示すように、PCB搬送部84がPCB103の保持を止めて、ガイドレール87に沿って後退する。また、上刃78と基板保持部94が上昇する。なお、基板保持部94は、搭載部材102に接続したPCB103が本圧着部76の下刃77に干渉しない位置まで上昇する。このとき、PCB支持部95は、基板保持部94と一緒に上昇する。
【0066】
そして、PCB支持部95のシリンダ98cが駆動して、支え部材97をガイドレール98b(図4参照)に沿って斜め上方へ移動させる。これにより、支え部材97の当接片97cが搭載部材102に接続されたPCB103の下面に当接して、支え部材97がPCB103を支持する。
【0067】
このとき、搭載部材102に接続されたPCB103が自重により垂れていても、支え部材97がPCB103に下方から接近するため、支え部材97によってPCB103及び搭載部材102を傷つけないようにすることができる。
【0068】
また、支え部材97の当接片97cは、水平方向に平行な当接面97dを有しているため、PCB103を安定して支持することができる。なお、本発明に係る支え部材としては、当接面が球面状に形成されていてもよい。当接面を球面状に形成した場合は、支え部材によってPCB103の下面を傷付ける心配が無い。
【0069】
搬送ステージ73は、PCB支持部95によってPCB103を支持した状態で、表示基板101を次の工程へ搬送する。PCB接続ユニット70の次の工程としては、例えば、組み立てられたFPDモジュール100の搭載部材102及びPCB103のずれ検査を行う検査工程や、組み立てられたFPDモジュール100を梱包する梱包工程等を挙げることができる。
【0070】
上述したPCB支持部95では、支え部材97をガイドレール98bに沿って移動させる駆動部として、シリンダ98cを適用した。しかし、支え部材97を移動させる駆動部としては、例えば、モータと、このモータの回転軸の回転運動を直線運動に変換するラック・ピニオン機構から構成してもよい。また、ラック・ピニオン機構に代えてベルト送り機構、クランク機構、ボールねじ機構などのその他の機構を用いてもよい。さらに、支え部材97を移動させる駆動部としては、リニアモータや、ソレノイドアクチュエータを用いてもよい。
【0071】
[PCB接続装置の第2の実施の形態]
次に、PCB接続装置の第2の実施の形態について、図9及び図10を参照して説明する。
図9は、PCB接続装置の第2の実施の形態に係る支え部材が待機位置に配置された状態の側面図である。図10は、PCB接続装置の第2の実施の形態に係る支え部材が支持位置に配置された状態の側面図である。
【0072】
図9に示すように、PCB接続装置の第2の実施の形態であるPCB接続ユニット170は、第1の実施の形態のPCB接続ユニット70(図7参照)と同様の構成を有している。このPCB接続ユニット170がPCB接続ユニット70と異なる点は、搬送ステージ173のPCB支持部195のみである。そのため、ここでは、PCB支持部195について説明し、PCB接続ユニット70と共通の構成については、説明を省略する。
【0073】
PCB支持部195は、基板保持部94のベース台94aにおけるX軸方向に直交する両側面にそれぞれ取り付けられている。このPCB支持部195は、搭載部材102に接続されたPCB103を支える支え部材197と、この支え部材197を移動させる移動機構198を有している。
【0074】
支え部材197は、移動機構198の後述する回動アーム198aの先端に設けられている。この支え部材197は、PCB103の下面に当接する当接面197aを有している。この当接面197aは、球面状に形成されている。
【0075】
移動機構198は、略棒状に形成された回動アーム198aと、この回動アーム198aを回動させる回動駆動部(不図示)を備えている。回動アーム198aの基端部は、回動軸198bにより基板保持部94のベース台94aに回動可能に取り付けられている。また、回動アーム198aの先端には、前述した支え部材197が設けられている。なお、回動アーム198aと支え部材197は、一体成形されていてもよい。その場合は、回動アームの先端部が支え部材を兼ねる構成となる。
回動駆動部としては、例えば、モータを用いることができる。
【0076】
[PCB支持部の第2の実施の形態の動作]
次に、PCB支持部195の動作について、図9及び図10を参照して説明する。
【0077】
搭載部材102にPCB103を接続する作業が終了する前に、搬送ステージ173は、次工程の搬送位置から戻ってきて、表示基板101を保持する。表示基板101に搭載された搭載部材102にPCB103が接続される前は、PCB支持部195の支え部材197が図9に示す待機位置に配置されている。
【0078】
待機位置は、支え部材197がPCB103を支持する位置である支持位置(図10参照)よりも下方に設けられている。これにより、待機位置に配置された支え部材197の当接面197aは、本圧着されているPCB103よりも下方に位置している。
【0079】
搭載部材102にPCB103が接続されると、図10に示すように、PCB搬送部84がPCB103の保持を止めて、ガイドレール87に沿って後退する。また、上刃78と基板保持部94が上昇する。なお、基板保持部94は、搭載部材102に接続したPCB103が本圧着部76の下刃77に干渉しない位置まで上昇する。このとき、PCB支持部195は、基板保持部94と一緒に上昇する。
【0080】
そして、PCB支持部195の回動駆動部(不図示)が駆動して、回動軸198bを中心に回動アーム198aを矢印R方向へ回動させる。これにより、支え部材197が上昇して、支え部材197の当接面197aが搭載部材102に接続されたPCB103の下面に当接する。その結果、支え部材197は、PCB103を支持する。
【0081】
このとき、搭載部材102に接続されたPCB103が自重により垂れていても、支え部材197がPCB103に下方から接近するため、支え部材197によってPCB103及び搭載部材102を傷つけないようにすることができる。
【0082】
また、支え部材197の当接面197aは、球面状に形成されているため、支え部材197によってPCB103の下面を傷付ける心配が無い。なお、本発明に係る支え部材としては、当接面が平面状に形成されていてもよい。当接面を平面状に形成した場合は、支持位置に配置された状態で当接面が水平方向に平行になるように設定する。これにより、PCB103を安定して支持することができる。
【0083】
搬送ステージ173は、PCB支持部195によってPCB103を支持した状態で、表示基板101を次の工程へ搬送する。
なお、第2の実施の形態であるPCB接続ユニット170は、第1の実施の形態であるPCB接続ユニット70の代わりにFPDモジュール組立ラインに適用することができる。
【0084】
上述した第1及び第2の実施の形態では、搬送ステージが下流(1つ後の工程)の処理ユニットの処理位置に表示基板を配置する構成とした。しかし、表示基板101を搬送する位置は、処理ユニット間に配置された置き台であってもよい。この場合は、置き台に配置された表示基板101を次の処理を行う処理ユニットの処理位置へ移送する移送部が設けられる。
【0085】
また、上述した第1の実施の形態ではPCB支持部95を2つ設け、第2の実施の形態ではPCB支持部195を2つ設ける構成とした。しかし、本発明に係るPCB支持部としては、1つ又は3つ以上設けることもできる。例えば、PCBが小さい場合は、1つのPCB支持部でPCBを支持することができる。また、複数のPCBを搭載部材に接続する場合は、そのPCBの数と大きさに応じてPCB支持部の個数を設定すればよい。
【0086】
また、上述した第1及び第2の実施の形態では、搬送ステージ23、33、43、53、63および73が1つ後の工程の処理ユニットの処理位置に表示基板を搬送する構成とした。しかし、本発明に係る搬送ステージとしては、1つ前の工程を行う処理ユニットの処理位置に配置された表示基板101を受け取りに行く構成であってもよい。この場合は、PCB接続工程を終えた表示基板101を受け取りに行く搬送ステージがPCB支持部を有する構成とする。
【0087】
以上、本発明のFPDモジュール組立装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のPCB接続装置及びFPDモジュール組立装置は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0088】
10…FPDモジュール組立ライン(FPDモジュール組立装置)、20…端子クリーニングユニット、30…ソース側搭載ユニット、40…ソース側本圧着ユニット、50…ゲート側搭載ユニット、60…ゲート側本圧着ユニット、70,170…PCB接続ユニット(PCB接続装置)、71…フレーム、72…搬送レール、73,173…搬送ステージ、74…基準バー、75…PCB供給ブロック、76…本圧着部、77…下刃、78…上刃、79A,79B…ヒータ、81…PCBトレイ、82A…PCB移動部、83A…ACF貼付部、84…PCB搬送部、91…Y軸ガイド、92…スライダ、93…昇降回転部、93a…回転台、93b…昇降機構、94…基板保持部、94a…ベース台、94b…吸着台、94c…連結台、95,195…PCB支持部、97,197…支え部材、97a…スライド片、97b…アーム片、97c…当接片、97d,197a…当接面、98,198…移動機構、98a…プレート、98b…ガイドレール、98c…シリンダ、98d…ピストンロッド、99…ストッパ、100…FPDモジュール、101…表示基板、102…搭載部材、103…PCB、104…FPC、105…ICチップ、106…アライメントマーク、107…ACF層、198a…回動アーム、198b…回動軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記表示基板に搭載されている搭載部材にPCBを接続するPCB接続部と、
前記基板保持部に設けられ、前記搭載部材に接続された前記PCBを支える支え部材と、前記支え部材を移動させる移動機構とを有するPCB支持部と、を備え、
前記PCB支持部の前記移動機構は、前記支え部材が前記PCBの下面に当接する支持位置と、前記支持位置の下方に設けられた待機位置との間で前記支え部材を移動させることを特徴とするPCB接続装置。
【請求項2】
前記移動機構は、鉛直方向に対して傾いている斜め方向へ前記支え部材を案内するガイド部と、前記ガイド部に沿って前記支え部材を移動させる駆動部とを有することを特徴とする請求項1に記載のPCB接続装置。
【請求項3】
前記支え部材は、前記PCBの下面に当接する当接部を有し、
前記当接部は、前記鉛直方向に略直交する直線状又は平面状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のPCB接続装置。
【請求項4】
前記支え部材は、前記PCBの下面に当接する当接部を有し、
前記当接部は球面状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のPCB接続装置。
【請求項5】
前記移動機構は、前記基板保持部に回動可能に取り付けられている前記支え部材を回動させる回動駆動部であることを特徴とする請求項1に記載のPCB接続装置。
【請求項6】
表示基板に搭載部材を搭載する部材搭載装置と、
前記表示基板に搭載された前記搭載部材にPCBを接続するPCB接続装置と、を備え
前記PCB接続装置は、
前記表示基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記表示基板に搭載されている前記搭載部材にPCBを接続するPCB接続部と、
前記基板保持部に設けられ、前記搭載部材に接続された前記PCBを支える支え部材と、前記支え部材を移動させる移動機構とを有するPCB支持部と、を有し、
前記PCB支持部の前記移動機構は、前記支え部材が前記PCBの下面に当接する支持位置と、前記支持位置の下方に設けられた待機位置との間で前記支え部材を移動させることを特徴とするFPDモジュール組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−88496(P2013−88496A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226580(P2011−226580)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】