説明

PCB汚染廃電気機器の処理装置

【課題】 この発明は、移動不可能又は移動困難な廃トランスを洗浄化処理することを目的としたものである。
【解決手段】
イトを備えた光触媒入り洗浄液を収容する洗浄液タンクと、バルブと、送液並びに排液パイプと、送液及び排液ポンプと、前記洗浄液タンク、送液及び排液パイプ及び送液及び排液ポンプを載置できる台車とを組み合わせたことを特徴とするPCB汚染廃電気機器の処理装置により前記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PCB汚染廃電気機器からPCBを含有する絶縁油(以下「PCB油」という)を抜油した空の廃電気機器の中に残留したPCB油を洗浄分解し、前記空廃電気機器を清浄化することを目的としたPCB汚染廃電気機器の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来PCB汚染廃電気機器(主としてトランス、その他コンデンサ、又は安定器など、以下「廃トランス」という)は、PCB油の抜油後の処理について幾多の提案があるが、経済的かつ効率よく処理する点については未だ不十分とされており、汚染のまま保管されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−233654号公報
【特許文献2】特開平10−289824号公報
【特許文献1】特開2005−245685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許出願人は先に、運搬可能な廃トランスについては処理工場に運び、PCB油の抜油と、抜油後の廃トランスの洗浄無害化、乾燥について一貫処理を提案し、処理後の再利用又は再生についてその方策を示し、現に前記処理を実施している。
【0005】
従来、廃トランスの処理については、前記廃トランスに洗浄液を流通させながらPCB油を分解する洗浄方法が提案されている(特許文献1)。また、トランスから抜油した後、トランスを破砕、分別して該破砕物を更に洗浄する方法も提案されている(特許文献2)。
【0006】
前記各提案は、移動可能な廃トランスについてそれぞれ採用可能であるが、移動できない廃トランスについては採用できない問題点があった。
【0007】
この発明は、移動できない廃トランス(例えば大型の設置トランス)について、効率のよい処理装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、移動不可能又は移動困難な廃トランスについて、当該廃トランスの該設置場所において、抜油、洗浄及び洗浄液で分解処理し、無害化することにより、効率よく安全に洗浄化処理することに成功したのである。
【0009】
そこで、移動不可能又は移動困難な廃トランスについて、当該廃トランスの設置場所において、洗浄化処理装置を提案するものである。
【0010】
即ちこの発明は、移動困難な廃トランスの設置場所へ洗浄処理装置を運び込み、廃トランスの処理に必要な抜油と廃トランスの洗浄化処理を行うことにより目的を達成することができる。
【0011】
前記装置は、抜油と廃トランスの洗浄処理であり、前記に必要な装置を台車に載置し、移動することにより前記問題点を解決したのである。
【0012】
即ちこの発明は、ヒーター及びライトを備えた光触媒入り洗浄液を収容する洗浄液タンクと。バルブ付きの送液及び排液パイプと、送液及び排液ポンプと、前記洗浄液タンク、送液及び排液パイプ及び送液及び排液ポンプを載置できる台車とを組み合わせたことを特徴とするPCB汚染廃電気機器の処理装置であり、台車上へ、ヒーター及びライトを備えた光触媒入り洗浄液を収容する洗浄液タンクと。バルブ付きの送液及び排液パイプと、送液及び排液ポンプとを載置したことを特徴とするPCB汚染廃電気機器の処理装置である。
【0013】
また、光触媒は、酸化チタンに鉄及びアパタイトを加えたことを特徴とする請求項1又は2記載のPCB汚染廃電気機器の処理装置である。
【0014】
前記のように、この発明は、台車に洗浄タンクとバルブ付送液パイプ及び排液パイプ並びに送液ポンプ及び排液ポンプを組み合わせ、又は台車に前記洗浄タンク等を載置して移動するので、洗浄化に必要な廃タンク等があれば、その設置場所に出向いて洗浄化処理をすることができる。
【0015】
然して、原則的には前記台車と作業員が行けば大型廃トランスを効率よく洗浄化できるので、面倒な手続き及び作業は一切不要であり、効率よく処理することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、移動できない廃トランスを光触媒を利用した洗浄液で廃トランスの設置現場で処理できるので、抜油することなくそのまま保存したり、破砕処理するような処分を必要としない効果がある。
【0017】
また、原則的に台車の移動によって容易迅速に、現場で洗浄化処理ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施態様を示すブロック図。
【図2】同じく装置の使用状態を示す概念図。
【図3】同じく装置の概念図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明は、移動不可能又は移動困難な廃トランスがあった場合には、前記台車を現場に運び、直ちに配管して抜油及び洗浄化処理をすることになるが、原則的に台車1台と作業員複数名(例えば2〜4名)で迅速に作業を開始し、効率よく目的を達成することができる。
【0020】
即ち、台車が現場に到達したならば、まず配管し、ついで抜油した後、各バルブを開閉して廃トランスを循環洗浄すれば、容易に洗浄、清浄化処理ができる。前記における作業員の作業は、送排管の配管と取外し及びバルブの開閉及びポンプの操作のみであって、重労働になるおそれがなく、かつPCBによる汚染の危険性もなく、安全である。
【0021】
前記のように、この発明は、廃トランスが大型であり、又は堅固に固定されたいる場合など、移動不可能又は移動困難な場合の処理装置であって、配管は現地で行うのであるが、移動できるけれども、現地でそのまま再使用するような場合にもこの装置を使用して効率よく処理することができる。
【0022】
また、大型で移動可能の場合にも現地処理が有利の場合には、この装置を使用することができる。
【0023】
従来移動できない場合であって、再使用しない場合には、抜油後廃トランスを破壊し、小片にしてから無害化処理したり、埋設処理していたが、この発明のように現地で無害化処理できれば、再使用はもとより、小片に破壊する場合にも有害物でなく、無害再資源化できる物と同様に取り扱うことができる。
【実施例1】
【0024】
この発明は、図1、2に示すように廃トランス1aからバルブ16を介して、矢示12、20のようにPCB油を抜き、ドラム缶3に収容する。通常廃トランス1aとドラム缶3との間に落差があれば自重により抜油するが、廃トランス1aとドラム缶3との間に落差がない場合には、ポンプ2を使用する(図2にはポンプ非図示)。
【0025】
ついで、空になった廃トランス1に配管し、ポンプ4、6を始動して空の廃トランス1aを循環洗浄する。洗浄液タンク5内の洗浄液は浄化処理して排水する。
【実施例2】
【0026】
この発明の他の実施例を図3に基づいて説明する。廃トランス1aと洗浄液タンク5とは、ポンプ4、6と配管7、8を介して連結されている。そこで、ポンプ4、6を始動すると、洗浄液タンク5内の洗浄液はポンプ4、6及び配管7、8を介して矢示11、12、13のように循環流動する。この場合にバルブ14、15は開とし、バルブ16は閉とする。
【0027】
前記洗浄液タンク5内の洗浄液には、ケミカルライト17、17が照射しており、触媒によりPCBを分解するので、洗浄液は容易に無害化される。
【実施例3】
【0028】
この発明の他の実施例を図2に基づいて説明する。台車10には洗浄液タンク5とポンプ4、6と配管7、8、9及びバルブ14、15、16とが載置してある。図中18は電池である。
【0029】
前記図2は配管済みの図であって、使用例の説明図である。また、図3はこの発明の装置の概念図であり、配管は洗浄液タンクの下の空間に挿入載置されている。配管は比較的長いので、台車の台上を全長使用できるように洗浄液タンクの底と台車上面との間に配管挿入用の空間を設けて、挿入載置する。尤も、他の台車に分載することもできる。
【0030】
また、バルブは、配管と接続したものと分離したものとあるが、何れも採用する。配管の労力上では、バルブは接続済みが好ましいが、使用時の都合上又は載置の全長との関係上分離する場合もある。
【符号の説明】
【0031】
1 空のトランス
1a 廃トランス
2、4、6 ポンプ
3 ドラム缶
5 洗浄液タンク
7、8、9 配管
10 台車
14、15、16 バルブ
17 ケミカルライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーター及びライトを備えた光触媒入り洗浄液を収容する洗浄液タンクと、バルブ付きの送液並びに排液パイプと、送液及び排液ポンプと、前記洗浄液タンク、送液及び排液パイプ及び送液及び排液ポンプを載置できる台車とを組み合わせたことを特徴とするPCB汚染廃電気機器の処理装置。
【請求項2】
台車上へ、ヒーター及びライトを備えた光触媒入り洗浄液を収容する洗浄液タンクと、バルブ付きの送液及び排液パイプと、送液及び排液ポンプとを載置したことを特徴とするPCB汚染廃電気機器の処理装置。
【請求項3】
光触媒は、酸化チタンに鉄及びアパタイトを加えたことを特徴とする請求項1又は2記載のPCB汚染廃電気機器の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−232277(P2012−232277A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104534(P2011−104534)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(309042451)
【Fターム(参考)】