説明

PCB汚染物の減容処理システムと減容処理方法

【課題】 ポリ塩化ビフェニルを含有する二次汚染物を減容処理することのできるシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】 分解槽1内に微生物を含む培地を収容し、培地は微生物の培養に最適な温度、酸素量、pH値に設定する。ここに、PCBを含有する二次汚染物を投入し、培地を攪拌しながら微生物により二次汚染物を分解処理する。分解処理時に発生するガスは排気装置9より排気し、培地中に展開する油分および残渣は、分解槽1外で濾過装置12および油水分離装置13によって清浄化する。清浄化した培地は培地槽15内に保管する。培地槽15内の培地は必要に応じて分解槽1内へ循環させ、二次汚染物の分解処理に再利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCBを含有した汚染物を微生物によって分解処理し、かつ、微生物を培養する培地を可能な限り循環利用することのできるPCB汚染物の減容処理システムおよび減容処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PCBは優れた電気絶縁特性や難燃性を有し、古くから変圧器の絶縁油として広く利用されてきた。しかし、今日では、生体に対する毒性や環境への高い残留性などからその使用が禁止されている。
【0003】
そのため、当該絶縁油を使用した変圧器を解体し、回収した鉄心やコイル等、変圧器を構成する内部部品から鉄類或いは銅類(有価物)を回収する場合、該鉄心やコイル等からPCBを含む絶縁油を確実に分離/除去する必要がある。
【0004】
そこで、本出願人は、変圧器を解体処理して、鉄心やコイル等の内部部品に付着しているPCB含有絶縁油を蒸発/分離させ、蒸発した絶縁油等を凝縮回収等することを目的とした真空加熱設備における劣化生成物の回収および脱臭装置を先に提案している(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4007847号
【0006】
前記特許文献1記載の装置によれば、これを構成する第1,2のコンデンサや捕集部材により、PCBを含有する絶縁油を冷却凝縮して回収することができ、結果、PCBを含む有害な劣化生成物(絶縁油、変圧器構成部材の熱分解生成物)が排気設備を介して大気中に排出(飛散)されることを確実に防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
然るに、前記特許文献1記載の装置においては、第1,2のコンデンサ、および、捕集部材によって冷却凝縮して密封回収されるが、回収物はPCBを含む二次的な汚染物であり、有価物の回収には有効であるが有害なPCB汚染物の処理が完結できない点において課題が残る。
【0008】
また、前記第1,2のコンデンサや捕集部材は、その性能維持のため定期的な清掃が不可欠であるが、当該清掃作業は、当該第1,2のコンデンサや捕集部材に付着した汚染物(タール)をウエス等の消耗品を利用して拭掃することにより行われている。
【0009】
したがって、上記清掃作業によって、タールを含有したウエス等が発生し、該ウエス等を有効に処理する必要があるが、現状において有効な処理方法はなく、上記装置の各ユーザーが保管する状態にあり、その保管量は、定期的な清掃の継続によって年々増加している。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するために、タールやPCBを含有したウエス等の二次汚染物を有効に処理することのできるPCB汚染物の減容処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、培地を収容してポリ塩化ビフェニルを含有する汚染物を培地中の微生物により分解処理する分解槽と、前記培地中の微生物に最適な培養環境を設定/維持する環境設定/維持手段と、前記分解槽による汚染物を微生物により分解処理した後の分解残渣を該分解槽外で濾過/回収する濾過/回収手段と、前記分解槽内の培地中に展開した油分を分解槽外で分離/回収する分離/回収手段と、当該分離/回収手段により油分を回収した培地を保管/貯留し、必要に応じて前記分解槽内へ供給する培地槽を備えて構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記環境設置/維持手段は、前記分解槽内の培地を攪拌する攪拌手段と、前記分解槽内の培地に酸素を供給する酸素供給手段と、該分解槽内の培地の温度を調節する温度調節手段と、前記分解槽内の培地のpH値を制御するpH値調節手段と、前記汚染物分解処理時に発生するガスを分解槽外へ排出する排気手段を備えて構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2の何れかに記載の発明において、前記温度調節手段は、分解槽内部に配設したヒータと分解槽内の培地温度を検出するセンサと、当該センサによって検出した培地温度に基づき、分解槽内の培地温度を任意に設定した温度となるよう前記ヒータに通電制御する通電制御手段を備えて構成したことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3の何れかに記載の発明において、前記pH値調節手段は、分解槽内の培地のpH値を測定する測定器と、培地のpH値を中和する中和剤を収容する収容容器と、前記測定器の測定結果に応じて該収容容器から中和剤を分解槽内の培地中へ供給する供給量を制御する制御装置を備えて構成したことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の発明において、前記培地槽は、当該培地槽に保管/貯留した培地の劣化の程度に応じて、当該培地を前記分解槽へ循環(帰流)させる流路と、外部へ廃棄する流路を択一的に切り換える切替装置を具備して構成したことを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れに記載の発明において、前記分離/回収手段は、分離/回収した油分を、これを無害化処理する外部に施設した液処理設備に流出する流路を具備して構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、分解槽内の培地に酸素を供給し、かつ、当該培地を加熱した状態で攪拌し、中和した培地中にポリ塩化ビフェニルを含有する汚染物を投入することにより、当該分解槽内で該汚染物を分解処理する工程と、該分解処理工程時に発生する残渣および培地中に展開した油分を培地とともに分解槽外へ排出し、分解槽外で培地から当該残渣を濾過/回収する工程と、分解槽外で培地から油分を分離/回収する工程と、当該残渣および油分を分離した培地を収容/貯留し、必要時に必要量前記分解槽内へ供給する工程からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、培地を収容した分解槽内でポリ塩化ビフェニルを含有する汚染物を微生物により分解処理して、当該汚染物の減容を確実に実現することができるので、ユーザーによる二次汚染物の保管負担の軽減に貢献することができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、分解槽内の培地を微生物の培養に最適な環境に常に維持することができ、微生物による汚染物の分解処理能力を維持することができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、目標とする培地温度を任意に設定し、分解槽内部に配設したヒータによって分解槽内の培地を加熱し、当該培地の温度をセンサによって検出することにより、培地の温度が任意の設定温度となるようヒータに通電制御することができ、簡易な構成で分解槽内の培地温度を任意の設定温度に調節することができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、pH測定器により分解槽内の培地のpH値を測定し、当該測定結果をフィードバックすることにより、中和剤を収容する容器内から分解槽内へ供給する中和剤の供給量を制御する構成であるので、分解槽内の培地を確実に中性の範囲に設定することができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、培地槽内に保管/貯留した培地が劣化していない場合は、培地槽から分解槽へ当該培地を供給して培地の再利用を可能とし、培地槽内に保管/貯留した培地が劣化している場合は、分解槽内へ供給することなく廃棄することができる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、汚染物を培地中の微生物によって分解処理した時に培地中に展開する油分のみを分離/回収手段によって回収することができるので、回収した油分のみを外部の液処理施設へ直接投入して無害化処理することが可能となる。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、汚染物の分解処理に利用した培地から残渣と油分を分離/回収することにより、当該培地を、再度、二次汚染物の分解処理に利用することができ、培地の循環利用を実現したPCB汚染物の減容処理方法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のPCB汚染物の減容処理システムの全体構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図1を用いて説明する。図1は本発明に係るPCB汚染物の減容処理システムの全体構成を示す概念図であり、図1において、1は微生物を培養する培地を収容する分解槽を示している。
【0027】
2は分解槽1の上部を開口して形成した投入口であり、3は分解槽1の例えば、側周壁1a内部に配設され、分解槽1内の培地を所定の温度に加熱するヒータを示している。
【0028】
4は分解槽1内の培地の温度を検出する温度検出センサであり、5は分解槽1内の培地のpH値を測定する機器(以下、pH測定器という)である。6は、分解槽1内の培地中に酸素を供給する酸素供給装置であり、7は前記pH測定器5と連動して動作するpH調節バルブ7aの開閉によって分解槽1内に供給されるNaOH(水酸化ナトリウム)を収容する収容容器を示している。
【0029】
8は分解槽1内の培地を攪拌するための攪拌装置であり、9は分解槽1内に発生したガスを分解槽1の外部へ排出するための排気装置を示している。10は分解槽1内から分解処理後の培地を配水管11へ流出させる配水ポンプであり、12は配水ポンプ10の下流側の配水管11上に配設され、配水管11内を流れる培地に対して濾過作業を施す濾過装置を示している。
【0030】
13は濾過装置12の下流側における配水管11上に配設され、配水管11内を流れる培地から油分を分離する油水分離装置であり、14は油水分離装置13で分離された油分のみを回収する回収油槽を示している。15は油水分離装置13の下流側における配水管11上に配設されて、配水管11内を流れる培地を保管するための培地槽であり、当該培地槽15は配水管11を介して前記分解槽1と連通し、また、配水管11を介して排水ポンプ16と接続されている。
【0031】
つづいて、以上の如く構成された本発明に係るPCB汚染物の減容処理システムAにおいて、二次汚染物を分解処理する動作について説明する。
【0032】
変圧器を構成する鉄心やコイル等の内部部品(変圧器中身)は、既知の装置(上記特許文献1参照)等を利用することにより、ポリ塩化ビフェニル(以下、PCBという)を含有する絶縁油を前記内部部品から分離/回収することができる。
【0033】
回収に当たっては、前記特許文献1記載の装置であれば、第1,2のコンデンサや捕集部材によって冷却凝縮した後、これに接続されるドレン等を介して排出するのであるが、回収される劣化生成物はPCBを含むタールであり、有害な二次汚染物である。
【0034】
また、前記第1,2のコンデンサや捕集部材は、その性能を維持するため定期的な清掃が必要となる。当該清掃には、ウエス等の布材が利用され、当該布材によって前記第1,2のコンデンサや捕集部材を拭掃することによって、PCBの分離/回収能力を低下させることなく、継続的な装置の利用が実現されている。
【0035】
然るに、上記装置によって生成される二次汚染物(タール)やタールを拭掃したウエス等は、有害物質でありこれを有効に処理することが望まれるが、現状、有効な処理方法がなく、各ユーザーが所定の場所(ドラム缶等)に保管して環境に対して悪影響が及ぶことを防止している。
【0036】
しかし、前記タールや汚染されたウエス等は、前述したように、装置の稼動および定期的な清掃作業の実施により、その保管量が年々増加することとなる。したがって、本発明は、このように保管された二次汚染物を、図1に示すシステムAによって確実に減容処理することにより、ユーザーの保管負担を軽減することを目的とする。
【0037】
図1に示す減容処理システムAによって二次汚染物を減容処理する場合は、ユーザーが例えば、ドラム缶17に保管した二次汚染物を処理することとなるが、その前提として、分解槽1内に分解微生物を含む培地を投入口2から所定量投入する。
【0038】
分解槽1には、投入した培地を加熱するためのヒータ3が配設されており、さらに、培地の温度は温度検出センサ4によって厳重に管理される。また、分解槽1にはpH測定器5が備えられ、培地のpH値は逐一管理される。培地中の分解微生物は、培地が中性の範囲(pH値が6乃至8程度)でのみ生育可能であり、当該pH測定器5および収容容器7を利用して当該範囲が維持される。
【0039】
具体的には、培地を分解槽1内に投入口2より直接投入した場合、培地の特性は酸性を呈する。この状態をpH測定器5で検出し、培地が酸性である旨の信号がpH値調節バルブ7aに出力され、当該バルブ7aを開放する。
【0040】
バルブ7aの開放により、収容容器7に予め収容されたNaOH(水酸化ナトリウム)が分解槽1内の培地中に供給され、当該培地を酸性から中性へと移行させる。つまり、pH測定器5とpH値調節バルブ7aが連動することにより、分解槽1内の培地を中性の範囲に保つことができる。この結果、分解槽1内の培地を分解微生物の生育(培養)に適した環境に設定することが可能となる。
【0041】
この状態で、分解槽1内の培地中に前記ドラム缶17に保管してある二次汚染物を投入口2より投入し、培地中の分解微生物により該二次汚染物を分解処理する。このとき、培地中には、酸素供給バルブ6aの開放操作により、酸素供給装置6から酸素が供給されており、また、攪拌装置8を構成する駆動源(モータ等)8aの駆動によって、分解槽1内で培地が攪拌羽根8bによって攪拌/混合されるため、分解槽1内において、微生物による二次汚染物の分解処理が促進される。
【0042】
以上のごとく、二次汚染物が微生物によって分解処理されると、二酸化炭素が発生するが、当該ガスは、分解槽1に備えた排気装置9によって分解槽1の外部へ良好に排出することができ、分解槽1内にガスが滞留する問題を確実に解消することができる。
【0043】
一方、二次汚染物が微生物によって分解処理されると、培地中には二次汚染物から分離された油分(PCB)および残渣が発生する。この状態で、図1に示す配水バルブ10aを開放操作することにより、前記油分(PCB)および残渣を含んだ培地は分解槽1に連結した配水管11へ排出される。
【0044】
当該配水管11内に排出された培地は、配水ポンプ10の駆動に応じて配水管11内を流通し、配水ポンプ10の下流側の配水管11上に配設した濾過装置12に送られる。
【0045】
濾過装置12は、配水管11を介して通流した培地から前記残渣を分離し、これを回収する。残渣の回収は、別途備えたドラム缶18等に保管することにより実現すれば良い。このときの残渣の回収量は、紙ウエスで70[wt%]以上の減容が実現されている。
【0046】
濾過装置12によって濾過された培地は、濾過装置12の下流側の配水管11内を通流し、油水分離装置13へ送られる。油水分離装置13では、分解槽1内で分解処理時に培地中に展開した油分(PCB)を培地から分離することができる。
【0047】
分離された油分(PCB)は、これと排油管19を介して連通する回収油槽14に送出され、その後、排油管19上に備えた排油バルブ20を開放操作することにより、図示しない既存の液処理設備(PCBの分解施設または分解設備)に直接投入することが可能となる。
【0048】
前記液処理設備においては、油分(PCB)を完全に無害化処理することが期待され、環境保護を確実に図ることができる点で好ましい。
【0049】
一方、油水分離装置13によって油分(PCB)が分離された培地は、再度、配水管11を通過して培地槽15に流入し、ここに貯留される。該培地槽15は循環バルブ15aを介して前記分解槽1に連通しており、循環バルブ15aの開放操作によって、培地槽15から配水管11を介して再び分解槽1内へ供給することができる。
【0050】
つまり、二次汚染物の分解処理に利用した培地を濾過装置12や油水分離装置13を介して清浄化した後、分解槽1内へ循環させることにより、再度、二次汚染物の分解処理に使用することができ、資源(培地)を有効活用することができる。
【0051】
また、培地槽15は配水管11を介して排水ポンプ16と接続されており、上述した複数回の循環使用によって培地が劣化した場合は、配水管11上に備えた排水バルブ15bを開放操作することにより、培地槽15内の培地を配水管11へ排出するとともに、排水ポンプ16を駆動することによって、配水管11内に排出された劣化した培地をシステムAの外部へ廃水することが可能となる。
【0052】
なお、循環バルブ15aと排水バルブ15bは、何れかを択一的に開放操作するものであり、培地槽15内に貯留する培地が劣化していない場合は、循環バルブ15aを開放して排水バルブ15bを閉鎖するものとし、また、培地槽15内に貯留する培地が劣化している場合は、循環バルブ15aを閉塞して排水バルブ15bを開放するものである。
【0053】
そして、培地槽15から分解槽1に戻された培地は、再び、分解槽1に備えたヒータ3によって所定温度に加熱され、かつ、pH測定器5等によってpH値が中性範囲に調節され、また、酸素供給装置6より培地中に酸素が供給されることにより、培地中の分解微生物の培養に最適な環境に設定される。
【0054】
この状態で、攪拌装置8の攪拌羽根8bを駆動装置8aで回転させることにより、分解槽1の投入口2から投入した二次汚染物を、培地中の微生物により繰り返し分解処理することができる。
【0055】
また、培地槽15内に貯留する培地の劣化によって排水バルブ15bを開放して排出ポンプ16の駆動により培地を外部へ排出した場合は、分解槽1の投入口2から新たな培地を分解槽1内に供給することにより、培地中の微生物による二次汚染物の分解処理を新たな培地中の微生物により促進させることが可能となる。
【0056】
分解槽1内による培地中の微生物を利用した当該分解処理によって、二次汚染物であるタールについては、現時点で50[tw%]以上の分解処理が実証されており、二次汚染物の減容を確実に実現することが可能である。
【0057】
以上説明したように、本発明のPCB汚染物の減容処理システムによれば、PCBを含有する二次汚染物を微生物を利用して分解処理することにより、当該二次汚染物を効率的に減容することができる。その結果、ユーザーによる二次汚染物の保管負担を大幅に軽減することができる。
【0058】
また、二次汚染物を分解処理する微生物を含む培地は、培地中に展開した油分や残渣を分離/回収する装置を利用することによって清浄化することができ、二次汚染物を再度、分解処理する際に循環利用することができる。
【0059】
さらに、二次汚染物を分解処理する分解槽内の培地は、簡易な装置の組合せによって微生物の培養環境を最適な状態に設定/維持することができ、分解槽内における二次汚染物の分解処理が効率的に行われるよう分解槽内の環境を維持することができる。
【0060】
しかも、分解処理後の培地に展開した油分(PCB)を培地から分離した後は、既存の液処理設備に直接投入することができ、有害物質を効果的に無害化処理することが期待される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
PCBを含有する二次汚染物の減容処理に利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 分解槽
2 投入口
3 ヒータ
4 温度指示調節計
5 pH測定器
6 酸素供給装置
6a 酸素供給バルブ
7 収容容器
7a pH調節バルブ
8 攪拌装置
8a 攪拌羽根
8b 駆動源
9 排気装置
10 配水ポンプ
10a 排水バルブ
11 配水管
12 濾過装置
13 油水分離装置
14 回収油槽
15 培地槽
15a 循環バルブ
15b 排水バルブ
16 排水ポンプ
17,18 ドラム缶
19 排油管
20 排油バルブ
A PCB汚染物の減容処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地を収容してポリ塩化ビフェニルを含有する汚染物を培地中の微生物により分解処理する分解槽と、前記培地中の微生物に最適な培養環境を設定/維持する環境設定/維持手段と、前記分解槽による汚染物を微生物により分解処理した後の分解残渣を該分解槽外で濾過/回収する濾過/回収手段と、前記分解槽内の培地中に展開した油分を分解槽外で分離/回収する分離/回収手段と、当該分離/回収手段により油分を回収した培地を保管/貯留し、必要に応じて前記分解槽内へ供給する培地槽を備えて構成したことを特徴とするPCB汚染物の減容処理システム。
【請求項2】
前記環境設定/維持手段は、前記分解槽内の培地を攪拌する攪拌手段と、前記分解槽内の培地に酸素を供給する酸素供給手段と、該分解槽内の培地の温度を調節する温度調節手段と、前記分解槽内の培地のpH値を制御するpH値調節手段と、前記汚染物分解処理時に発生するガスを分解槽外へ排出する排気手段を備えて構成したことを特徴とする請求項1記載のPCB汚染物の減容処理システム。
【請求項3】
前記温度調節手段は、分解槽内部に配設したヒータと分解槽内の培地温度を検出するセンサと、当該センサによって検出した培地温度に基づき、分解槽内の培地温度を任意に設定した温度となるよう前記ヒータに通電制御する通電制御手段を備えて構成したことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載のPCB汚染物の減容処理システム。
【請求項4】
前記pH値調節手段は、分解槽内の培地のpH値を測定する測定器と、培地のpH値を中和する中和剤を収容する収容容器と、前記測定器の測定結果に応じて該収容容器から中和剤を分解槽内の培地中へ供給する供給量を制御する制御装置を備えて構成したことを特徴とする請求項2または請求項3の何れかに記載のPCB汚染物の減容処理システム。
【請求項5】
前記培地槽は、当該培地槽に保管/貯留した培地の劣化の程度に応じて、当該培地を前記分解槽へ循環(帰流)させる流路と、外部へ廃棄する流路を択一的に切り換える切替装置を具備して構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のPCB汚染物の減容処理システム。
【請求項6】
前記分離/回収手段は、分離/回収した油分を、これを無害化処理する外部に施設した液処理設備に流出する流路を具備して構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のPCB汚染物の減容処理システム。
【請求項7】
分解槽内の培地に酸素を供給し、かつ、当該培地を加熱した状態で攪拌し、中和した培地中にポリ塩化ビフェニルを含有する汚染物を投入することにより、当該分解槽内で該汚染物を分解処理する工程と、該分解処理工程時に発生する残渣および培地中に展開した油分を培地とともに分解槽外へ排出し、分解槽外で培地から当該残渣を濾過/回収する工程と、分解槽外で培地から油分を分離/回収する工程と、当該残渣および油分を分離した培地を収容/貯留し、必要時に必要量前記分解槽内へ供給する工程からなることを特徴とするPCB汚染物の減容処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−45508(P2012−45508A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191706(P2010−191706)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000116666)愛知電機株式会社 (93)
【Fターム(参考)】