説明

PDE▲IV▼阻害性の2―シアノイミノイミダゾール誘導体

本発明は、PDEIVおよびサイトカイン阻害活性を有する式(I)[式中、R1およびR2は各々独立して水素;C1-6アルキル;ジフルオロメチル;トリフルオロメチル;C3-6シクロアルキル;酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環;インダニル;6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリジニル;ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテニル;ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル;C1-6アルキルスルホニル;アリールスルホニル;または置換されたC1-10アルキルであり、R3は水素、ハロまたはC1-6アルキルオキシであり、R4は水素;ハロ;C1-6アルキル;トリフルオロメチル;C3-6シクロアルキル;カルボキシル;C1-4アルキルオキシカルボニル;C3-6シクロアルキルアミノカルボニル;アリール;Het1;または置換されたC1-6アルキルであるか;或いはR4は−O−R7または−NH−R8であり、R5は水素、ハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキルまたはC1-6アルキルオキシであり、R6は水素またはC1-4アルキルであるか、或いはR4およびR6またはR4およびR5は一緒になって2価の基を形成してもよく、−A−B−は−CR10=CR11−または−CHR10−CHR11であり、Lは水素;C1-6アルキル;C1-6アルキルカルボニル;C1-6アルキルオキシカルボニル;置換されたC1-6アルキル;C3-6アルケニル;置換されたC3-6アルケニル;ピペリジニル;置換されたピペリジニル;C1-6アルキルスルホニルまたはアリールスルホニルである]を有する2−シアノイミノイミダゾール誘導体、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な付加塩および立体化学的異性体形態に関する。本発明はまた式(I)の化合物およびその製薬学的組成物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
PDEIV阻害性の2−シアノイミノイミダゾール誘導体 本発明はホスホジエステラーゼIV(PDEIV)およびサイトカイン抑制活性を有する2−シアノイミノイミダゾール誘導体およびそれらの製造に関し、それはさらにそれらを含んでなる組成物、並びに薬品としてのそれらの使用に関する。
スミスクライン・ビーチャム・コーポレーション(Smithkline Beecham Corporation)による1995年2月23日に公開されたWO95/05386は、ホスホジエステラーゼIV関連疾病状態を処置するために有用なフェネチルアミン誘導体、例えばN−[2−(3−シクロペンチルオキシ−3−メトキフェニル)エチル]イミドジカルバミドおよびN′−シノ−1−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)エチル]カルボキシイミドアミドを開示している。それはまたシアノグアニジン部分を含有するフェネチルアミン誘導体を一般的に開示している。
本発明の化合物は、それらが必ず2−シアノイミノイミダゾール部分を含有することにより、既知のPDEIV阻害剤とは構造的に異なる。それらはPDEIVの異常な酵素もしくは触媒活性に関連する疾病状態および/または生理学的に有害な過剰のサイトカインに関連する疾病状態、特にアレルギー、アトピーおよび炎症性疾患の処置における治療用途を有する。本化合物はまたPDEIV阻害剤にしばしば伴われる胃腸への副作用をほとんど有していない。
本発明は式

[式中、R1およびR2は各々独立して水素;C1-6アルキル;ジフルオロメチル;トリフルオロメチル;C3-6シクロアルキル;酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環;インダニル;6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリジニル;
ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテニル;ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル;C1-6アルキルスルホニル;アリールスルホニル;またはアリール、ピリジニル、チエニル、フラニル、インダニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリジニル、C3-7シクロアルキルおよび酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環から各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されたC1-10アルキルであり、R3は水素、ハロまたはC1-6アルキルオキシであり、R4は水素;ハロ;C1-6アルキル;トリフルオロメチル;C3-6シクロアルキル;カルボキシル;C1-4アルキルオキシカルボニル;C3-6シクロアルキルアミノカルボニル;アリール;Het1;またはシアノ、アミノ、ヒドロキシ、C1-4アルキルカルボニルアミノ、アリールもしくはHet1で置換されたC1-6アルキルであるか、或いはR4は式: −O−R7 (a−1)、または −NH−R8 (a−2)
の基であり、ここでR7は水素;C1-6アルキル;ヒドロキシ、カルボキシル、C1-4アルキル オキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-4アルキル)アミノ 、Het1またはアリールで置換されたC1-6アルキルであり、 R8は水素;C1-6アルキル;C1-4アルキルカルボニル;ヒドロキシ、カ ルボキシル、C1-4アルキルオキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくは ジ(C1-4アルキル)アミノ、Het1またはアリールで置換されたC1-6 アルキルであり、R5は水素、ハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキルまたはC1-6アルキルオキシであるか、或いはR4およびR5は一緒になって式: −(CH2n− (b−1)、 −CH2−CH2−O−CH2−CH2− (b−2)、 −CH2−CH2−N(R9)−CH2−CH2− (b−3)、または −CH2−CH=CH−CH2− (b−4)
の2価の基を形成してもよく、ここでnは2、3、4または5であり、 R9は水素、C1−C6-アルキル、C1−C6-アルキルスルホニルまたはp −トルエンスルホニルであり、R6は水素またはC1-4アルキルであるか、或いはR4およびR6は一緒になって式−(CH2)m−の2価の基を形成してもよく、ここでmは1、2、3または4であり、−A−B−は式: −CR10=CR11− (c−1)、または −CHR10−CHR11 (c−2)
の2価の基であり、ここで各々のR10およびR11は独立して水素またはC1-4アルキルであり、そしてLは水素;C1-6アルキル;C1-6アルキルカルボニル;C1-6アルキルオキシカルボニル;ヒドロキシ、C1-4アルキルオキシ、C1-4アルキルオキシカルボニル、モノーおよびジ(C1-4アルキル)アミノ、アリールおよびHet2よりなる群から選択される1個もしくは2個の置換基で置換されたC1-6アルキル;C3-6アルケニル;アリールで置換されたC3-6アルケニル;ピペリジニル;C1-4アルキルもしくはアリールC1-4アルキルで置換されたピペリジニル;C1-6アルキルスルホニルまたはアリールスルホニルであり、アリールはフェニル、またはハロ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルキルオキシ、C3-6シクロアルキル、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、カルボキシル、C1-4アルキルオキシカルボニルおよびC1-4アルキルカルボニルアミノから選択される1個、2個もしくは3個の置換基で置換されたフェニルであり、Het1はピリジニル;C1-4アルキルで置換されたピリジニル;フラニル;C1-4アルキルで置換されたフラニル;チエニル;C1-4アルキルカルボニルアミノで置換されたチエニル;ヒドロキシピリジニル、C1-4アルキルもしくはC1-4アルコキシ−C1-4アルキルで置換されたヒドロキシピリジニル;イミダゾリル;C1-4アルキルで置換されたイミダゾリル;チアゾリル;C1-4アルキルで置換されたチアゾリル;オキサゾリル;C1-4アルキルで置換されたオキサゾリル;イソキノリニル;C1-4アルキルで置換されたイソキノリニル;キノリノニル、C1-4アルキルで置換されたキノリノニル;モルホリニル;ピペリジニル;C1-4アルキル、C1-4アルキルオキシカルボニルもしくはアリールC1-4アルキルで置換されたピペリジニル;ピペラジニル;C1-4アルキル、C1-4アルキルオキシカルボニルもしくはアリールC1-4アルキルで置換されたピペラジニルであり、そしてHet2はモルホリニル;ピペリジニル;C1-4アルキルもしくはアリールC1-4アルキルで置換されたピペリジニル;ピペラジニル;C1-4アルキルもしくはアリールC1-4アルキルで置換されたピペラジニル;ピリジニル;C1-4アルキルで置換されたピリジニル;フラニル;C1-4アルキルで置換されたフラニル;チエニルまたはC1-4アルキルもしくはC1-4アルキルカルボニルアミノで置換されたチエニルである]
を有する2−シアノイミノイミダゾール誘導体、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な酸もしくは塩基付加塩および立体化学的異性体形態に関する。
式(I)の化合物の一部はそれらの互変異性体形態でも存在できる。
そのような形態は上記の式では明確に示されていないが本発明の範囲内に含まれることが意図される。特に、Lが水素である式(I)の化合物はそれらの対応する互変異性体形態で存在できる。
1およびR2において、酸素、硫黄または窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−または7−員の複素環は、例えば、テトラヒドロフラニル、ジオキソラニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびテトラヒドロピラニルの如き複素環から適当に選択することができる。該複素環式基は炭素原子によりまたは適宜窒素原子により酸素原子またはC1-10アルキル基に結合される。
1およびR2においてまた、6,7−ジヒドロ−5H−ピリンジニルとも称される6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリジニルという語は6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジンまたは6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジニルを表すことを意味しそして脂肪族または芳香族炭素原子のいずれかにより分子の残部に結合することができる。
ここで使用されているハロという語はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称であり、C1-4アルキルという語は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素、例えば、メチル、エチル、1−メチルエチル、1,1−ジメチルエチル、プロピル、2−メチルプロピルおよびブチルを含むことを意味し、C1-6アルキルという語はC1-4アルキルおよび炭素数5または6のその高級同族体、例えば、2−メチルブチル、ペンチル、ヘキシルなどを含むことを意味し、C1-6アルキルという語はC2-6アルキルおよび炭素数1のその低級同族体、例えば、メチルを意味し、C1-10アルキルはC1-6アルキルおよび炭素数7〜10のその高級同族体、例えば、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘプチルなどを含むことを意味し、C3-6アルケニルという語は1個の二重結合および3〜6個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝鎖状の炭化水素基、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニルなどを定義し、そして窒素原子に結合されている該C3-6アルケニルの炭素原子は好ましくは飽和されており、C3-6シクロアルキルという語はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを表し、C3-7シクロアルキルという語はC3-6シクロアルキルおよびシクロヘプチルを含むことを意味し、C1-4アルカンジイルという語は炭素数1〜4の直鎖状および分枝鎖状の飽和2価炭化水素基、例えば、メチレン、1,2−エタンジイル、1,1−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、2−メチル−1,3−プロパンジイルなどを含むことを意味する。
前記および以下の定義で使用されているように、ハロC1-4アルカンジイルはモノ−もしくはポリハロ置換されたC1-4アルカンジイル、特に1個もしくはそれ以上のフルオロ原子で置換されたC1-4アルカンジイルとして定義される。
上記の製薬学的に許容可能な酸付加塩は、式(I)の化合物の塩基形態を適当な酸、例えば無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸など、または有機酸、例えば、酢酸、ヒドロキシ−酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などで処理することにより簡便に得られる酸付加塩形態を含んでなることを意味する。逆に、該酸付加塩形態は適当な塩基を用いる処理により遊離塩基形態に転化させうる。
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物はまた、適当な有機および無機塩基を用いる処理によりそれらの無毒な金属またはアミン付加塩形態に転化させることもできる。適当な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン(benzathine)、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩(hydrabamine salts)、並びにアミノ酸、例えば、アルギニン、リシンとの塩などを含んでなる。
付加塩という語は式(I)の化合物が生成しうる水和物および溶媒付加形態も含んでなる。そのような形態の例は例えば水和物、アルコレートなどである。
式(I)の化合物のN−オキシド形態は1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化されている式(I)の化合物を含んでなることを意味する。
以上で使用された「立体化学的異性体形態」という語は、式(I)の化合物が有することができる全ての可能な異性体形態を定義する。断らない限り、化合物の化学的表示は全ての可能な立体化学的異性体形態の混合物を示し、該混合物は基本的分子構造の全てのジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。より特に、ステレオジェン中心はR−またはS立体配置をとることができ、そして=N−CNおよび置換されたC3-6アルケニル部分はE−またはZ−立体配置をとることができる。
以下で使用される時はいつでも、式(I)の化合物という語はN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩および全ての立体異性体形態も含むことを意味する。
本発明における式(I)の化合物の一部および中間体の一部は非対称性炭素原子を含有できる。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体形態は当該技術分野で既知の工程の適用により得られる。例えば、ジアステレオマーは物理的方法、例えば選択的な結晶化またはクロマトグラフィー技術、例えば向流蒸留、液体クロマトグラフィーおよび同様な方法により分離することができる。鏡像異性体はラセミ混合物から、最初に該ラセミ混合物を適当な分割剤、例えばキラル酸を用いてジアステレオマー塩または化合物の混合物に転化させ、次にこのジアステレオマー塩または化合物の混合物を例えば選択的な結晶化またはクロマトグラフィー技術、例えば液体クロマトグラフィーおよび同様な方法により物理的に分離し、そして最後にこの分離されたジアステレオマー塩または化合物を対応する鏡像異性体に転化させることにより得られる。介在する反応が立体特異的に起きる限り、純粋な立体化学的異性体形態は適当な中間体および出発物質の純粋な立体化学的異性体形態からも得られる。式(I)の化合物の純粋なおよび混合された立体化学的異性体形態は本発明の範囲内に包括されることが意図される。
式(I)の化合物および中間体の鏡像異性体形態を分離する別の方法は液体クロマトグラフィー、特にキラル静止相を使用する液体クロマトグラフィーを含む。
特別な化合物群は、R1およびR2が各々独立して水素;C1-6アルキル;ジフルオロメチル;トリフルオロメチル;C3-6シクロアルキル;酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環;インダニル:ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテニル;ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル;C1-6アルキルスルホニル;アリールスルホニル;またはアリール、ピリジニル、チエニル、フラニル、C3-7シクロアルキル並びに酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環から各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されたC1-10アルキルである式(I)の化合物を包含する。
興味ある化合物は、R1およびR2が各々独立してC1-6アルキル;C3-6シクロアルキル;ジフルオロメチル;酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環、好ましくはテトラヒドロフラニル;インダニル;またはアリール、インダニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロぺンタピリジニルもしくはC3-6シクロアルキルで置換されたC1-10アルキルである式(I)の化合物である。
5が水素でありそしてR4が水素、ヒドロキシまたはC1-6アルキルであり、より特に、R4がメチルである式(I)の化合物も興味がある。
他の興味ある群は、Lが水素、C1-6アルキルオキシカルボニル、または1個もしくは2個のフェニル環で置換されたC1-6アルキルである式(I)の化合物である。
特別な化合物は、R1がシクロペンチル、テトラヒドロフラニル、シクロプロピルメチル、5−フェニルペンチル、2−インダニルエチル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニルまたはインダニルであり、そしてR2がメチルまたはジフルオロメチルである式(I)の化合物である。
好ましい化合物は、R3、R5、R6、R10、R11およびLが水素である上記の特別な化合物である。
下記の化合物が最も好ましい:[1−[2−[4−(ジフルオロメトキシ)−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]フェニル]プロピル]−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−イリデン]シアナミド、および[1−[2−[4−(メトキシ)−3−[(1,3−ジヒドロ−2H−インデン−2−イル)オキシ]フェニル]プロピル]−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−イリデン]シアナミド、それらのN−オキシド、それらの立体化学的異性体形態並びにそれらの製薬学的に許容可能な付加塩。
以下で使用される時はいつでも、R1〜R11、Y、−A−B−およびLは断らない限り式(I)で定義されている通りである。
式(I−a−1)により表される、−A−B−が式(c−1)の基でありそしてLが水素である式(I)の化合物は、適当な酸、例えば、塩酸の存在下での、式(II)の中間体またはその官能性誘導体の環化により簡便に製造することができる。


この環化は反応不活性溶媒、例えば、テトラヒドロフランもしくは1,34−ジオキサンまたはそれらの混合物、の中で実施できる。撹拌および加熱が反応速度を高める。
この製造および以下の製造において、反応生成物を反応媒体から単離してもよくそして必要なら当該技術分野で一般的に既知である方法、例えば、抽出、結晶化、磨砕(trituration)およびクロマトグラフィーに従い精製してもよい。
特に、式(I−a−1−1)により表される、R5がヒドロキシである式(I−a−1)の化合物は、式(II)の中間体からの式(I−a−1)の化合物の製造に関して記載されているものと同様な方法により、式(II−1)[式中、Pは水素または好ましくはトリメチルシリル保護基である]の中間体またはその官能性誘導体を環化することにより製造することができる。


式(I−a−2)により表される、−A−B−が式(c−2)の基でありそしてLが水素である式(I)の化合物は、適当な試薬、例えば、シアノカルボンイミドジチオン酸ジメチルまたはN−シアノカルボンイミド酸ジフェニルの存在下での式(III)の中間体またはその官能性誘導体の環化により得られる。


或いは、式(I)の化合物は式(IV)[式中、Mは適当な金属イオンまたは金属錯イオン、例えば、Li+、(MgBr)+、B(OH)2+またはSn(CH3)3+である]の有機金属中間体を、反応−不活性溶媒中で、式(V)[式中、W1は反応性脱離基、例えば、ハロゲンである]の適当な2−シアノイミノイミダゾール誘導体と反応させることにより製造することができる。R4およびR5が一緒になりそして式(b−1)、(b−2)、(b−3)または(b−4)の基を形成する場合には、式(IV)の中間体がグリニヤール試薬であれば、W1はシアニド部分であってもよい。


この反応は反応−不活性溶媒、例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルの中で実施することができる。撹拌および加熱により反応速度を高めることができる。Lが適当な保護基により置換されている式(V)の中間体がこの反応で使用される場合には、式(I−a)の化合物により表されるLが水素である式(I)の化合物は当該技術分野で既知の保護基除去反応を用いて得られる。
式(I)の化合物は当該技術分野で既知の官能基変換工程に従い互いに転化させることもできる。
例えば、式(I−b)により表されるLが水素以外である式(I)の化合物は式(I−a)の化合物をL′−W2(VI)[式中、L′は水素以外である式(I)で定義されたLと同じでありそしてW2は反応性脱離基、例えば、ハロゲン原子である]と反応させることにより製造することができる。


当該技術分野で既知の付加反応を使用して、式(I−a)の化合物を式(I−b)の化合物に転化させることもできる。
式(I)の化合物は、3価窒素をそのN−オキシド形態に転化させるための当該技術分野で既知の工程に従い、対応するN−オキシド形態に転化させることもできる。該N−酸化反応は一般的には式(I)の出発物質を3−フェニル−2−(フェニルスルホニル)オキサジリジンまたは適当な有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより実施することができる。適する無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば、過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり、適当な有機過酸化物はペルオキシ酸、例えば、ベンゼンカルボペルオキソン酸(benzenecarboperoxoic acid)またはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソン酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソン酸、ペルオキソアルカン酸、例えばぺルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えば1−ブチルヒドロペルオキシドを含んでなる。適する溶媒は、例えば、水、低級アルカノール類、例えばエタノールなど、炭化水素類、例えばトルエン、ケトン類、例えば2−ブタノン、ハロゲン化された炭化水素類、例えばジクロロメタン、およびそのような溶媒の混合物である。
上記の中間体は当該技術分野で既知の技術に従い製造することができる。
特に、式(II)の中間体は最初に式(VII)のアミンをシアノカルボンイミドジチオン酸ジメチルもしくはシアノカルボンイミド酸ジフェニルまたはその官能性誘導体と反応させることにより製造することができる。該反応は場合により氷浴上で冷却された反応不活性溶媒、例えば、ジクロロメタン、ベンゼンまたはトルエン中で、そして塩基、例えばN,N−ジエチルエタンアミンまたは炭酸水素ナトリウムの存在下で簡便に実施することができる。このようにして得られる中間体を引き続き式(VIII)の中間体またはその官能性誘導体と反応させて式(II)の中間体を製造することができる。該反応は反応不活性溶媒、例えば、1,4−ジオキサン中で、塩基、例えばN,N−ジエチルエタンアミンの存在下で、そして場合により触媒、例えば、N,N−ジメチル−ピリジンアミンの存在下で簡便に実施できる。撹拌および高められた温度により反応速度を高めることができる。


或いは、上記の反応は逆の順序で実施してもよく、すなわち最初に式(VIII)
の中間体をシアノカルボンイミドジチオン酸ジメチルもしくはシアノカルボンイミド酸ジフェニルまたはその官能性誘導体と反応させ、そして引き続きこのようにして製造される中間体を式(VII)のアミンと反応させることもできる。
式(III−1)により表される、R11llが水素である式(III)の中間体は、最初に式(VII)のアミンを塩基、例えば炭酸ナトリウムの存在下で、反応−不活性溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドの存在下で式(IX)[式中、W3は適当な脱離基、例えば、ハロゲンである]のシアノ誘導体と反応させることにより製造することができる。引き続き、このようにして製造される中間体のシアニド部分を適当な還元剤、例えば、水素化アルミニウムリチウムまたは水素を用いて触媒、例えば、ラネーニッケルの存在下で還元して、式(III−1)の中間体を得ることができる。


式(VII)の中間体の一部はWO92/00968、WO93/15044およびWO93/15045に記載されている。
特に、式(VII)の中間体は式(X)[式中、W4は適当な脱離基、例えば、ハロゲンである]の中間体を式(XI)[式中、Mは適当な金属イオンまたは金属錯イオン、例えば、Li+または (MgBr)+であり、そしてPは適当な保護基、例えば、(1,1−ジメチルエチル)オキシカルボニルである]の中間体と反応させることにより製造することができる。このようにして得られる保護された式(VII)の中間体は引き続き当該技術分野で既知の技術、例えば、酸加水分解により保護基が除去される。


式(VII−1)により表される、R6が水素である式(VII)の中間体は、式(XII)の中間体中の不飽和炭素−窒素結合を適当な還元剤、例えば、ボラン−テトラヒドロフラン−錯体、水素化アルミニウムリチウム、または水素を用いて触媒、例えば、ラネーニッケルの存在下で還元することにより製造することができる。式(XII)の中間体中のシアニド部分はその官能性誘導体、例えば、オキシム部分により置換されていてもよい。


式(XII)の中間体の一部はWO92/00968、WO93/15044およびWO93/15045に記載されている。
特に、式(XII−1)により表される、R5が保護されたヒドロキシ基でありそしてR4が水素である式(XII)の中間体は、式(XIII)のアルデヒドを、反応−不活性溶媒、例えば、ジクロロメタン中で、そして触媒量のZnI2またはその官能性誘導体の存在下で、式(XIV)[式中、Pは保護基、例えば、トリメチルシリルなどである]の試薬またはその官能性誘導体と反応させることにより簡便に製造することができる。式(XII−1)の該中間体はさらに上記のようにして反応させてR5がヒドロキシである式(I)の化合物を最終的に製造することができる。


式(XIII)のアルデヒドは Mitsunobu Oyo により Synthesis,1-28, 1981 に記載されている反応工程と同様にして簡便に製造することができる。
本発明における式(I)の化合物の一部および中間体の一部は少なくとも1個の非対称性炭素原子を含有する。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体形態は当該技術分野で既知の工程の適用により得られる。例えば、ジアステレオマーは物理的方法、例えば選択的な結晶化またはクロマトグラフィー技術、例えば向流蒸留、液体クロマトグラフィーおよび同様な方法により分離ずることができる。鏡像異性体はラセミ混合物から、最初に該ラセミ混合物を適当な分割剤、例えばキラル酸、を用いてジアステレオマー塩または化合物の混合物に転化させ、次にこのジアステレオマー塩または化合物の混合物を例えば選択的な結晶化またはクロマトグラフィー技術、例えば液体クロマトグラフィーおよび同様な方法により物理的に分離し、そして最後にこの分離されたジアステレオマー塩または化合物を対応する鏡像異性体に転化させることにより得られる。
介在する反応が立体特異的に起きる限り、式(I)の化合物の純粋な立体化学的異性体形態は適当な中間体および出発物質の純粋な立体化学的異性体形態からも得られる。式(I)の化合物の純粋なおよび混合された立体化学的異性体形態は本発明の範囲内に包括されることが意図される。
式(I)の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩および立体化学的異性体形態はIV族(cAMPに特異的な族)のホスホジエステラーゼ(PDE)イソ酵素の有効な阻害剤である。
cAMP(アデノシン環式3′,5′−モノホスフェート)は重要な第二メッセンジャーであり、その濃度が例えばキナーゼの如き酵素の活性化により特定の細胞活性に影響を与える。PDEIVはcAMPを加水分解してその対応する不活性な5′−モノホスフェート代謝物質にすることが知られている。従って、PDEIVの阻害が例えば呼吸円滑菌細胞の如き特定の細胞中の、並びに広範囲の炎症細胞、すなわちある種のリンパ球、例えば好塩基球、好中球および好酸球、単球並びに肥満細胞中の、cAMP水準の上昇をもたらす。多くのアレルギー、アトピーおよび炎症性疾患は通常より高いPDEIVにより引き起こされると思われ、それが低いcAMP水準および興奮剌激に対するこのようにして影響を受けた細胞の過敏症をもたらす。(該過敏症の例は、例えば、好塩基球および肥満細胞から放出される過度のヒスタミンまたは好酸球による過度の超酸化物アニオン基の生成である。)従って、有効なホスホジアステラーゼIV阻害特質を有する本化合物はアレルギー、アトピーおよび炎症性疾患の緩和および/または治癒において有用な試薬であると思われる。
PDEIV阻害剤の機能的な効果は、例えば、呼吸円滑菌弛緩、気管支拡張、血小板凝集抑制および白血球媒介物質放出の抑制である。アレルギー疾患の例は、気管支喘息、口唇炎、結膜炎、接触皮膚炎および湿疹、被剌激性腸疾患、デスヒドロホルム(deshydroform)湿疹、蕁麻疹、脈管炎、外陰炎であり、アトピー性疾患の例は、皮膚炎および湿疹、あかぎれ(winterfeet)、喘息、アレルギー鼻炎であり、そして関連する症状は、例えば、乾癬および他の高増殖性疾患である。
本発明はまた薬品としての使用のための、特にアトピー性疾患のための薬品としてのまたは抗−喘息薬としての使用のための、以上で定義された式(I)の化合物に関する。このように、本発明の化合物はアトピー性または喘息性疾患、より特にアトピー性皮膚炎を処置するための薬品の製造のために使用することができる。
式(I)の化合物のPDEIV阻害活性は「バキュロウイルスベクター(baculovirus vector)を用いて昆虫細胞中で生産される組み換えヒト単核リンパ球(MNL)ホスホジエステラーゼタイプIVBの阻害」試験で示される。数種のin vivoおよびin vitro試験を使用して、上記のアレルギー、アトピーおよび炎症性疾患を処置する際の式(I)の化合物の有用性を示すことができる。そのような試験は例えば「モルモット気管のin vitro気管支収縮」「モルモット気管のin vivo気管支収縮」並びにin vivo試験である「マウスにおけるアラキドン酸で誘発させた耳介炎症」、「マウスにおけるTPAで誘発させた耳炎症」および「マウスにおける遅延型過敏症」である。
さらに、本化合物はIII族(cGMP−阻害された族)のホスホジエステラーゼイソ酵素に対する非常に低い阻害活性しか有していない。特に、PDEIIIは心筋中でのcAMPの上昇をもたらし、それにより心臓の収縮力並びに心臓の弛緩に対する影響を引き起こす。上記のアレルギー、アトピーおよび炎症性疾患の処置においては、心臓血管の影響は明らかに望ましくない。従って、本発明の化合物はPDEIVをそれらがPDEIIIを阻害するものよりはるかに低い濃度で阻害するため、それらの治療のための使用法を調節して心臓血管副作用を回避することができる。
当該技術分野で既知のPDEIV阻害剤はしばしば胃腸への悪い副作用を示す。
しかしながら、ほとんどの本化合物は胃腸管にわずかしか影響を与えず、それは「ラットにおけるカロリーミールの胃空白化」試験で示される。
ここで使用されるPDEIIIおよびIVという表示はJ.A.Beavo and D.H.Reifsnyder,TIPS Reviews,April 1990,pp.150-155 による分類をさす。
本発明の化合物はサイトカイン阻害活性も示す。サイトカインは免疫または炎症応答における細胞間の相互作用を調節することにより他の細胞の機能に影響を与える分泌されるポリペプチドである。サイトカインの例はモノカインおよびリンパカインでありそしてそれらは広範囲の細胞により生産することができる。例えば、モノカインは一般的に単核細胞、例えばマクロファージおよび/または単細胞、により生産されそして分泌されるが、多くの他の細胞はモノカイン、例えばナチュラルキラ−細胞、線維芽細胞、好塩基球、好中球、内皮細胞、脳星状細胞、骨髄小孔細胞、表皮角質細胞、およびβ−リンパ球を生産する。リンパカインは一般的にリンパ球細胞により生産されるものをさす。サイトカインの例にはインターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、アルファー腫瘍壊死因子(αTNF)およびベーター腫瘍壊死因子(βTNF)
が包含される。
抑制することが特に望まれるサイトカインはαTNFである。過剰のまたは未調節TNF生産はリウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、痛風性関節炎、および他の関節炎症状、敗血症、敗血症ショック、内毒素ショック、グラム陰性敗血症、毒素ショック症候群、成人呼吸窮迫症候群、脳マラリア、慢性肺炎症疾病、珪肺、肺サルコイドーシス、骨吸収作用疾病、再灌流外傷、移植片対宿主反応、同種移植片拒絶反応、例えばインフルエンザの如き感染症に起因する発熱および筋肉痛、感染症または悪性疾患に続発性の悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発性の悪液質、AIDS、ARC(AIDS関連合併症)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎、または熱病を含む多くの疾病への介在またはそれらの症状悪化に関係する。式(I)の化合物のサイトカイン阻害活性、例えばαTNF生産の抑制、はin vitro試験である「ヒト全血培養におけるサイトカイン生産」で示すことができる。
さらに、本発明の化合物は内分泌学的副作用を全く示さないかまたは少ししか示さないことが予測される。これは、例えば、「in vivoでのテストステロン」
試験、「アロマターゼ活性のin vitro阻害」試験および「アロマターゼ活性のin vivo阻害」試験により証明される。
それらの有用なPDEIVおよびサイトカイン阻害特質の点からみて、当該化合物を製薬学的に許容可能な担体および活性成分としての治療有効量の式(I)の化合物を含んでなる投与目的のための種々の製薬組成物に調合することができる。本発明の製薬組成物を製造するためには、活性成分としての治療的に有効量の塩基または酸付加塩形態の特定化合物を投与に所望される調合物の形態に依存する広範囲の形態をとることができる製薬学的に許容可能な担体と緊密な混合物状で一緒にする。これらの製薬組成物は望ましくは、好ましくは経口的、直腸、局部的、経皮的、吸入または非経口的注射による投与に適する単位投与量形態である。例えば、組成物を経口的投与量形態で製造する際には、一般的な製薬媒体、例えば、経口的液体調合物、例えば懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤および液剤の場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には固体担体、例えば澱粉、砂糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを使用することができる。それらの投与の容易さのために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口的投与量単位形態であり、その場合にはもちろん固体の製薬担体が使用される。非経口的組成物用には、担体は一般的には少なくとも大部分を占める滅菌水を含んでなるが、例えば溶解を助けるための他の成分を含むことができる。例えば、注射溶液を製造でき、そこで担体は食塩水溶液グルコース溶液または食塩水およびグルコース溶液の混合物を含んでなる。注射懸濁液を製造することもでき、その場合には適当な液体担体、懸濁剤などを使用できる。経皮的投与に適する組成物では、担体は場合により透過促進剤および/または適当な湿潤剤を、場合により少割合のいずれかの性質の適当な添加剤と組み合わせて含んでなり、この添加剤は皮膚に意義ある悪影響を与えない。該添加剤は皮膚への投与を促進させおよび/または所望する組成物を製造するのを助ける。これらの組成物は種々の方法で、例えば、皮膚パッチとして、滴剤として、または軟膏として投与することができる。局部的適用に適する組成物としては、局部投与薬品、例えばクリーム、ゼリー、ドレッシング、シャンプー、チンキ剤、ペースト、軟膏(ointments)、軟膏(salves)、粉剤などのために一般的に使用される全ての組成物が挙げられる。該組成物の適用はエーロゾルにより、例えば窒素、二酸化炭素、フレオンの如き抛射剤を用いて行われ、または抛射剤なしに、例えばポンプスプレー、ドロップ剤、ローション、または半固体、例えばスワブにより適用できる濃厚化された組成物として行われる。特に、半固体組成物、例えば軟膏(salves)、クリーム、ゼリー、軟膏(ointments)などが簡便に使用されるであろう。
製薬組成物中での式(I)の化合物の溶解度および/または安定性を高めるためには、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリン類またはそれらの誘導体、特にヒドロキシアルキル置換されたシクロデキストリン類、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを使用することが有利でありうる。例えばアルコールの如き共溶媒も製薬学的組成物中での式(I)の化合物の溶解度および/または安定性を改良することができる。水性組成物の製造においては、当該化合物の付加塩の方がそれらの増加した水溶解度のために明らかに適する。
投与の容易さおよび投与量の均一性のためには上記の製薬学的組成物を投与量単位に調合することが特に有利である。投与量単位形態は単位投与量として適する物理的に分離している単位をさし、各単位は所望する治療効果を生ずると計算された予め決められた量の活性成分を必要な製薬学的担体と共に含有する。そのような投与量単位形態の例は錠剤(刻み線つきもしくはコーテイング錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末パケット、ウエファー、注射溶液または懸濁液など、並びにそれらの分割された複数分である。
本発明は、PDEIVの異常な酵素もしくは触媒活性に関連する疾病状態および/または生理学的に有害な過剰のサイトカインに関連する疾病状態、特にアレルギー、アトピーおよび炎症性疾患、より特に喘息性およびアトピー性疾患、最も特別にはアトピー性皮膚炎を罹っている温血動物の処置方法にも関する。この方法は、製薬学的担体と混合された治療的に有効量の式(I)の化合物またはそのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な酸もしくは塩基付加塩または立体化学的異性体形態の投与を含んでなる。
一般的には、有効1日量は0.01mg/kg〜10mg/kgの体重であると考えられる。有効1日量を処置する対象の応答によりおよび/または本発明の化合物を処方する医師の評価により増減しうることは明らかである。上記の有効1日量は従って単なる指針でありそして本発明の範囲または使用をいずれの程度にも限定しようとするものではない。
下記の実施例は本発明の範囲を説明するためであって限定するためのものではない。
実験の部 式(I)の一部の化合物では、絶対的な立体化学的配置は実験的に決定されなかった。それらの場合には、実際の立体化学的配置の別の言及がない限り最初に単離された立体化学的異性体形態が「A」と表示されそして第2のものが「B」
と表示される。
以下で、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「RT」は室温を意味し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味しそして「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味する。
A.中間体化合物の製造実施例A.1a)炭酸カリウム(0.0569モル)を4−ジフルオロメトキシ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(0.053モル)および(テトラヒドロ−3−フラノール)−4−メチルベンゼンスルホネート(15.35g)のDFM(100ml)中混合物にN2流下で滴下した。反応混合物を100℃で4時間撹拌した。混合物を冷却しそして(テトラヒドロ−3−フラノール)−4−メチルベンゼンスルホネート(3.98g)のDFM(40ml)中溶液を滴下しそして反応混合物を100℃で3時間、次にRTにおいて一夜撹拌した。溶媒を蒸発させそして残渣を飽和Na2CO3水溶液中で洗浄し、次にDIPEで抽出した。分離した有機層を乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させて、17.77gの(±)−4−(ジフルオロメトキシ)−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]ベンズアルデヒド(中間体1)を生成した。
b)ホウ水素化ナトリウム溶液(0.0177モル)を中間体1(0.0532モル)のメタノール(100ml)中溶液に一部分ずつ加え、そして反応混合物をRTにおいて1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を水で洗浄し、そしてCH2Cl2で抽出した。分離した有機層を乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をオープンカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で(溶離剤:CH2Cl2/2−プロパノン96/4および90/10:CH2Cl2/CH3OH 96/4)精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、11.3g(81%)
の(±)−4−(ジフルオロメトキシ)−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]ベンゼンメタノール(中間体2)を生成した。
c)中間体2(0.039モル)のトルエン(45ml)中溶液を40℃で撹拌されているSOCl2(0.059モル)およびDMF(0.0019モル)のトルエン(75ml)中混合物に滴下した。生じた反応混合物を、HCl−気体の発生が停止するまで、40℃で撹拌した。溶媒を蒸発させそして残渣を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、そしてCH2Cl2で抽出した。分離した有機層を乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させて、10.59g(96%)の(±)−4−(ジフルオロメトキシ)−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]ベンゼンメタノール(中間体3)を生成した。
d)80℃に加熱されたKCN(0.076モル)のH2O(4ml)中混合物を60℃で撹拌されている中間体3(0.038モル)のDMF(82.4ml)
中混合物に滴下した。生じた反応混合物を60℃で30分間撹拌した。反応混合物を冷却し、水で洗浄し、DIPEで抽出した。抽出物を乾燥し、濾過し、そして濾液を蒸発させて、8.23g(80%)の(±)−4−(ジフルオロメトキシ)−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]ベンゼンアセトニトリル(中間体4)を生成した。
同様な方法で、3−(シクロプロピルメトキシ)−4−メトキシベンゼンアセトニトリル(中間体5)、3−[(1,3−ジヒドロ−2H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシベンゼンアセトニトリル(中間体6)、(±)−4−メトキシ−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]ベンゼンアセトニトリル(中間体7)、4−メトキシ−3−[(5−フェニルペンチル)オキシ]ベンゼンアセトニトリル(中間体8)、4−(ジフルオロメトキシ)−3−[(5−フェニルペンチル)オキシ]ベンゼンアセトニトリル(中間体23)
が製造された。
実施例A.2a)N−(1−メチルエチル)−2−プロパンアミンリチウム塩(0.0325モル、THF中1M)をN2流下で−78℃に冷却されたTHF(70ml)中の中間体4(0.0309モル)に滴下した。混合物を−78℃で30分間撹拌した。ヨウ化ヨードメタン(0.034モル)を滴下しそして反応混合物をRTにおいて2時間撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液で制止し、そして酢酸エチルで抽出した。分離した有機層を乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。
残渣をショートオープンカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で(溶離剤:CH2Cl2)、次にHPLCによりシリカゲル上で(溶離剤:ヘキサン/酢酸エチル3/2)精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、4.64g(53%)の(±)−4−(ジフルオロメトキシ)−アルファーメチル−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]ベンゼンアセトニトリル(中間体9)を生成した。
b)中間体9(0.0129モル)のCH3OH/NH3(100ml)中混合物をRTにおいてラネーニッケル(3g)を触媒として用いて水素化した。H2の吸収後に、触媒を濾別しそして濾液を蒸発させて、3.66g(98%)の(±)−4−(ジフルオロメトキシ)−β−メチル−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]ベンゼンエタンアミン(中間体10)
を生成した。
c)中間体10(0.0158モル)およびN−シアノ−カルボンイミド酸ジフェニル(0.0158モル)のエタノール(60ml)中混合物をRTにおいて一夜撹拌した。溶媒を蒸発させそして残渣をオープンカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で(溶離剤:ヘキサン/酢酸エチル3/2並びにCH2Cl2/CH3OH 96/4、90/10および85/5)精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、5.11g(74%)の(±)−N−シアノ−N−[2−[4−(ジフルオロメトキシ)−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]フェニル]プロピル]カルボンイミド酸フェニル(中間体11)を生成した。
d)2,2−ジメトキシエタンアミン(0.0129モル)、N,N−ジエチルエタンアミン(0.023モル)およびN,N−ジメチル−4−ピリジンアミン(0.0059モル)の1,4−ジオキサン(30ml)中混合物をRTにおいて撹拌されている中間体11(0.0117モル)の1,4−ジオキサン(10ml)
中溶液に加えた。反応混合物を一夜撹拌しそして還流させた。溶媒を蒸発させそして残渣を水および1NNaOHで洗浄し、次にCH2Cl2で抽出した。分離した有機層を乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をオープンカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で(溶離剤:CH2Cl2/CH3OH 96/4)精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、4.97g(95%)の(±)−N″−シアノ−N−[2−[4−(ジフルオロメトキシ)−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]フェニル]プロピル]−N′−(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体12)を生成した。
同様な方法で、(±)−N″−シアノ−N−[2−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]プロピル]−N′−(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体13)、(±)−N″−シアノ−N−[2−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]プロピル]−N′−(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体14)、N″−シアノ−N−[2−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]エチル]−N′−(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体15)、(±)−N″−シアノ−N−[2−[3−(シクロプロピルメトキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]プロピル]−N′−(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体16)、(±)−N″−シアノ−N−[2−[3−[(1,3−ジヒドロ−2H−インデン−2−イル)オキシ)−4−メトキシフェニル]プロピル]−N′−(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体17)、(±)−N″−シアノ−N−[2−[3−(シクロプロピルメトキシ)−4−メトキシフェニル]プロピル]−N′−(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体18)、(±)−N″−シアノ−N−(2,2−ジメトキシエチル)−N′−[2−[4−メトキシ−3−[(5−フェニルペンチル)オキシ]フェニル]プロピル]グアニジン(中間体19)、(±)−N″−シアノ−N−(2,2−ジメトキシエチル)−N′−[2−[4−メトキシ−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]フェニル]プロピル]グアニジン(中間体20)、N″−シアノ−N′−(2,2−ジメトキシエチル)−N−[2−[4−(ジフェニルメトキシ)−3−[(5−フェニルペンチル)オキシ]フェニル]プロピル]グアニジン(中間体24)、N″−シアノ−N′−[2−[3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシフェニル]エチル]−N−(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体25)、(±)−N″−シアノ−N−[2−[3−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)エトキシ]−4−メトキシフェニル]プロピル]−N′−(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体27)、(±)−N″−シアノ−N−[2−[3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシフェニル]−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]エチル]−N′−(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体28)
が製造された。
実施例A.3a)(±)−3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシ−β−メチルベンゼンエタンアミン(0.029モル)、クロロアセトニトリル(0.0146モル)および炭酸ナトリウム(0.0219モル)のDMF(200ml)中混合物を60℃で5時間撹拌した。反応混合物を濾過しそして濾液を蒸発させた。残渣を水で洗浄し、次に2−メトキシ−2−メチルプロパンで抽出した。分離した有機層を乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をオープンカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で(溶離剤:CH2Cl2;CH2Cl2/2−プロパノン 96/4、および90/10;次にCH2Cl2/CH3OH 80/20)精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、3.24g(77%)の(±)−N−[[2−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]プロピル]アミノ]アセトニトリル(中間体21)を生成した。
b)中間体21(0.0117モル)のNH3/CH3OH(60ml)中混合物をRTにおいてラネーニッケル(2g)を触媒として用いて水素化した。H2の吸収後に、触媒を濾別しそして濾液を蒸発させた。残渣を10%HCl水溶液で処理し、そしてこの混合物を酢酸エチルで抽出した。層を分離した。水相を塩基性にし、次に酢酸エチルで抽出した。分離した有機層を乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させて、2.71g(75%)の(±)−N−[2−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]プロピル]−1,2−エタンジアミン(中間体22)を生成した。
実施例A.4a)6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−7−オール(0.03544モル)、3−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(0.0322モル)およびトリフェニルホスフィン(0.0322モル)のTHF(100ml)中混合物を5℃でN2雰囲気下で撹拌した。ビス(1−メチルエチル)ジアゼンジカルボキシレート(0.0322モル)を滴下しそして生じた反応混合物をRTにおいて12時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。CH2Cl2を残渣に加えた。混合物を水で洗浄し、乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル上でガラスフィルター上で(溶離剤:CH2Cl2/CH3OH 100/0から98.5/1.5まで)精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣を2−プロパノール中に溶解しそしてHCl/2−プロパノールを用いて塩酸塩(1:1)に転化させた。溶媒を蒸発させた。残渣をDIPE中で撹拌し、濾別しそして乾燥して、8.2g(83%)の3−[(5,6−ジヒドロ−7H−ピリジン−7−イル)オキシ]−4−メトキシベンズアルデヒド塩酸塩(中間体34)を生成した。
b)トリメチルシランカルボニトリル(0.1472モル)のCH2Cl2(60ml)中溶液を3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシ−ベンズアルデヒド(0.1227モル)およびヨウ化亜鉛(0.0061モル)のCH2Cl2(240ml)中混合物に滴下した。生じた反応混合物をRTにおいて1時間撹拌した。粗製反応混合物を水および食塩水で洗浄し、次にCH2Cl2で抽出した。分離した有機層を乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEから結晶化させた。沈澱を濾別しそして乾燥して、37.39g(83%)の(±)−3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシ−α−[(トリメチルシリル)オキシ]ベンゼンアセトニトリル(中間体29)を生成した。
c)中間体29(0.1116モル)をメタノール中に溶解した。HCl(3N、25ml)を加えた。混合物を5分間撹拌した。溶媒のほとんどを蒸発させそしてCH2Cl2を加えた。有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をCH2Cl2(350ml)中に溶解した。3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(0.2231モル)および4−メチルベンゼンスルホン酸(触媒量)を加えそして生じた反応混合物をRTにおいて一夜撹拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をショートオープンカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で(溶離剤:ヘキサン類/酢酸エチル9/1、次に8/2)精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させて、28.01g(66%)の(±)−3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシ−α−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]ベンゼンアセトニトリル(中間体30)
を生成した。
実施例A.5a)ビス(1,1−ジメチルエチル)ジカーボネート(1.268モル)のCH2Cl2(1800ml)中溶液を(±)−3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシ−β−メチルベンゼンエタンアミン(1.208モル)のC(1800ml)中溶液に滴下した。混合物をRTにおいて2時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。残渣をヘキサン中で撹拌し、濾別しそして乾燥して、420gの(±)−[2−[3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシフェニル]プロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(中間体31)を生成した。
b)中間体31(1.056モル)をキラルカラムクロマトグラフィーによりキラルパック(Chiralpack)AD上で(溶離剤:ヘキサン/C25OH/CH3OH 90/10/10)精製しそして分離した。所望する画分群を集めそして溶媒を蒸発させて、268gのB−[2−[3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシフェニル]プロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(中間体32)を生成した。
c)中間体32(0.67モル)のHCl(670ml、6N)およびメタノール(2700ml)中混合物を90分間撹拌しそして還流させた。溶媒を蒸発させた。残渣をCH2Cl2中に加えた。有機溶液をH2O(1000ml)および飽和NaHCO3溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させて、158g(99%)の(B)−3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシ−β−メチルベンゼンエタンアミン(中間体33)を生成した。
中間体33をさらに実施例A.2.b〜A.2.dに記載されている工程に従い反応させて(B)−N″−シアノ−N−[2−[3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシフェニル]プロピル]−N′(2,2−ジメトキシエチル)グアニジン(中間体26)を生成した。
B.式(I)の化合物の製造実施例B.1 中間体22(0.0068モル)およびシアノカルボンイミドジチオン酸ジメチル(0.0068モル)のエタノール(20ml)中混合物を2日間撹拌しそして還流させた。溶媒を蒸発させそして残渣を最初はショートオープンカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で(溶離剤:CH2Cl2、CH2Cl2/CH3OH 96/4および90/10)、次にHPLCにより(1溶離剤:CH2Cl2/CH3OH 90/10および2.溶離剤:CH2Cl2/CH3OH 96/4)により2回精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.3g(13%)の(±)−[1−[2−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]プロピル]−2−イミダゾリジニリデン]シアナミド(化合物1)を生成した。
実施例B.2 HCl 0.5N(0.0162モル)を撹拌されそして氷浴中で冷却されている中間体12(0.0108モル)の1,4−ジオキサン(20ml)中溶液に滴下した。反応混合物をRTにおいて2日間撹拌した。(或いは、1,4−ジオキサンをTHFにより置換してもよくそして反応混合物をRTにおける2日間の代わりに1時間還流させてもよい)。反応混合物を水で処理し、希NaOH溶液でアルカリ性とし、次に酢酸エチルで抽出した。分離した有機層を乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をオープンカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で(溶離剤:CH2Cl2/2−プロパノン96/4、CH2Cl2/CH3OH 96/4)そしてHPLCによりシリカゲル上で2回(1.溶離剤:CH2Cl2/CH3OH 96/4および2.溶離剤:CH2Cl2/CH3OH 97/3)精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.64g(15%)の(±)−[1−[2−[4−(ジフルオロメトキシ)−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]フェニル]プロピル]−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−イリデン]シアナミド(化合物2、融点67.8℃)を生成した。
実施例B.3a)化合物7(0.00644モル)をキラルカラムクロマトグラフィーによりキラルパック(Chiralpack)AD上で(20μm、250g、5cm、流速:60ml/分、溶離剤:ヘキサン/エタノール/メタノール80/15/5)その鏡像異性体に分離した。二つの所望する画分群を集めた。第1の(A)−画分群の溶媒を蒸発させた。残渣をDIPE中で撹拌し、濾別し、DIPEで洗浄し、次に乾燥した。残渣をさらにカラムクロマトグラフィーによりクロマシル(Kromasilu)シリカゲル上で(200g、5μm、溶離剤:CH2Cl2/CH3OH 100/0、30分後に90/10)精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPE中で撹拌し、濾別し、DIPEで洗浄し、次に乾燥して、0.39g(50%)の(+)−(A)−[1−[2−[3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシフェニル]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]シアナミド;[α]D20=+95.46(c=0.1%、CH3OH中)(化合物16)を生成した。
第2の(B)−画分群の溶媒を蒸発させた。残渣をDIPE中で撹拌し、濾別し、DIPEで洗浄し、次に乾燥した。残渣をさらにカラムクロマトグラフィーによりクロマシル(Kromasilu)シリカゲル上で(200g、5μm、溶離剤:CH2Cl2/CH3OH 100/0、30分後に90/10)精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPE中で撹拌し、濾別し、DIPEで洗浄し、次に乾燥して、0.5g(90%)の(−)−(B)−[1−[2−[3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシフェニル]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]シアナミド;[α]D20=−109.04(c=0.1%、CH3OH中)(化合物17)を生成した。
b)化合物17(0.0026モル)のDMF(40ml)中混合物を0℃で撹拌した。水素化ナトリウム(0.0028モル、60%)を加えそして混合物を0℃で30分間そしてRTにおいて30分間撹拌した。
ブロモメチルベンゼン(0.0028モル)のDMF(10ml)中溶液を滴下しそして生じた反応混合物をRTにおいて3時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、トルエンを加えそして回転蒸発器上で共沸蒸留した。残渣をCH2Cl2中に加えた。水を加えた。有機層を分離し、乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をショートカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で(溶離剤:CH2Cl2/CH3OH 98/2)精製した。所望する画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.7g(63%)の(B)−[1−[2−[3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシフェニル]プロピル]−3−フェニルメチル−1H−イミダゾール−2−イル]シアナミド(化合物23)を生成した。
実施例B.4 HCl(0.0268モル、0.5N)を撹拌されそして氷浴上で冷却されている中間体28(0.0179モル)のTHF(250ml)中溶液に加えた。
反応混合物を1.5時間撹拌しそして還流させ、次に氷浴上で冷却した。混合物を水と酢酸エチルとの間に分配させ、そして固体Na2CO3を用いてアルカリ性にした。有機層を分離し、乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をショートオープンカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で(溶離剤:CH2Cl2/CH3OH97/3、次に95/5)精製した。所望する純粋な画分群を集めた。溶媒を蒸発させそして残渣をCH3CNから結晶化させ、濾別しそして乾燥して、(35%)の(±)−[1−[2−[3−[(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)オキシ]−4−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル]−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−イリデン]シアナミド(化合物21)を生成した。
表1は上記の実施例の1つに従い製造された式(I)の化合物を示す。




C.薬理学的実施例実施例C.1:バキュロウイルスベクターを用いて昆虫細胞の中で製造される組み換えヒト単核リンパ球(MNL)ホスホジエステラーゼタイプIV Bの阻害 アレルギーおよびアトピー性疾患に対する本化合物の緩和および/または治癒効果を組み換えヒトMNLホスホジエステラーゼタイプIV Bに対する阻害効果を検出するためのin vitroアッセイシステムにより評価した。
組み換えバキュロウイルス感染から72時間後に、昆虫細胞を採取しそして500gで5分間にわたり小球状にした。細胞を、20mMトリス(Tris)、10mM EGTA、2mM Na2EGTA、1%トリトン−X−100(Triton-X-100)、1mM Na3VO4、10mM NaF、2μg/mlのロイペプチン(leupeptine)、ペプスタチン(pepstatine)およびアプロリニン(aprotinine)、0.3μg/mlのベンズアミジンおよび100μg/mlのTPCKからなるpH7.5の10mlの溶菌緩衝液中に溶解させた。氷上での5分後に、溶解した細胞を4000rpmで4℃において15分間遠心した。生じた上澄み液を0.45μmフィルター(ミリポア(Millpore))を通して濾過しそしてTBS緩衝液とした(50mM トリス、150mM NaCl、pH7.4)。
ホスホジエステラーゼ(PDE)タイプIV Bを含有する上澄み液を引き続き、予め5mlのpH3.5の100mM グリシンで活性化しそして20mlの50mM トリス、pH7.4の150mM NaClで平衡化した5mlの抗−FLAG−M2親和ゲルカラム上に充填した。
カラムを平衡緩衝液で洗浄した後に、PDEIVを37.5μlのpH8の1Mトリスを含有する1.5mlの画分中で溶離した。画分を20mM トリス、2mM Na2EGTAおよびpH7.5の400mM NaClに対して一夜にわたり透析しそしてPDEIV活性に関して試験した。同定はSDS PAGEおよびウエスターンブロット(Western Blot)で行われた(抗−FLAG−M2)。活性画分をプールし、10%グリセロールとしそして−70℃で貯蔵した。
培養混合物(pH8)(200μl)は20mM トリス、10mM硫酸マグネシウム、0.8μM 3H−cAMP(310mCi/ミリモル)およびホスホジエステラーゼタイプIVを含有しており、量は酵素活性に依存する。37℃における最大10分間の培養期間中にホスホジエステラーゼ活性の線状増加を示し且つそこで初期基質の10%より少量が加水分解されるような蛋白質濃度が選択された。
ホスホジエステラーゼ活性に対する種々の化合物の効果を試験した時に、cAMPを含まない媒体を1種もしくは複数の化合物またはその担体(DMSO−1%最終濃度)で5分間培養した。酵素反応を3H−cAMPの添加により開始しそして微量滴定板を100℃の水浴中に5分間移してからさらに10分後に停止させた。室温に冷却した後に、アルカリ性ホスファターゼ(0.25μg/ml)を加えそして混合物を37℃で20分間培養した。
100μlの混合物を引き続き、300μlのDEAE−セファデックス−A25(DEAE-Sephadex-A25)懸濁液が充填されているGF−Bフィルター−微量滴定板(ミリポア)に適用した。板を75μlのpH7.5の20mM トリスで3回洗浄しそして濾液をパッカード・トップ・カウント・シンチレーション・カウンター(Packard Top Count scintillation counter)中での計測用に集めた。
組み換えヒトMNLホスホジエステラーゼタイプIVBに対する本化合物の阻害効果を本化合物の種々の濃度において測定した。IC50値(Mで表示される)はこのようにして得られた阻害値から図式的に計算されそして表2に示されている。


D.組成物実施例 下記の調合物は本発明に従う動物およびヒト対象に対する全身的または局部的投与に適する代表的な製薬組成物を例示する。
これらの実施例を通して使用される「活性成分」(A.I.)は式(I)の化合物またはその製薬学的に許容可能な付加塩に関連する。
実施例D.1:フィルムコーテイング錠剤錠剤芯の製造 100gのA.I.、570gのラクトースおよび200gの澱粉の混合物を良く混合しそしてその後に5gのドデシル硫酸ナトリウムおよび10gのポリビニルピロリドンの約200mlの水中溶液で湿らせた。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥しそして再びふるいにかけた。次に100gの微結晶性セルロースおよび15gの水素化された植物油を加えた。全体を良く混合しそして錠剤に圧縮して、各々が10mgの活性成分を含んでなる10.000個の錠剤を与えた。
コーテイング 10gのメチルセルロースの75mlの変性エタノール中溶液に5gのエチルセルロースの150mlのジクロロメタン中溶液を加えた。次に75mlのジクロロメタンおよび2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加えた。10gのポリエチレングリコールを溶融させそして75mlのジクロロメタン中に溶解した。後者の溶液を前者に加えそして次に2.5gのオクタデカン酸マグネシウム、5gのポリビニルピロリドンおよび30mlの濃縮されたカラー懸濁液を加えそして全体を均質化した。コーテイング装置中で錠剤芯をこのようにして得られた混合物でコーテイングした。
実施例D.2:2%局所クリーム 200mgのヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンの精製水中溶液に20mgのA.I.を撹拌しながら加えた。塩酸を完全溶解となるまで加えそして次に水酸化ナトリウムをpH6.0となるまで加えた。撹拌しながら、50mgのグリセロールおよび35mgのポリソルベート60を加えそして混合物を70℃に加熱した。生じた混合物を70℃の温度を有する100mgの鉱油、20mgのステアリルアルコール、20mgのセチルアルコール、20mgのモノステアリン酸グリセロールおよび15mgのソルベート60の混合物にゆっくり混合しながら加えた。25℃より低く冷却した後に、1gにするのに十分な精製水の残りを加えそして混合物を均質となるまで混合した。

【特許請求の範囲】
1.式

[式中、R1およびR2は各々独立して水素;C1-6アルキル;ジフルオロメチル;トリフルオロメチル;C3-6シクロアルキル;酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環;インダニル;6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリジニル;
ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテニル;ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル;C1-6アルキルスルホニル;アリールスルホニル;またはアリール、ピリジニル、チエニル、フラニル、インダニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリジニル、C3-7シクロアルキルおよび酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環から各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されたC1-10アルキルであり、R3は水素、ハロまたはC1-6アルキルオキシであり、R4は水素;ハロ;C1-6アルキル;トリフルオロメチル;C3-6シクロアルキル;カルボキシル;C1-4アルキルオキシカルボニル;C3-6シクロアルキルアミノカルボニル;アリール;Het1;またはシアノ、アミノ、ヒドロキシ、C1-4アルキルカルボニルアミノ、アリールもしくはHet1で置換されたC1-6アルキルであるか、或いはR4は式: −O−R7 (a−1)、または −NH−R8 (a−2)
の基であり、ここでR7は水素;C1-6アルキル;ヒドロキシ、カルボキシル、C1-4アルキル オキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-4アルキル)アミノ 、Het1またはアリールで置換されたC1-6アルキルであり、 R8は水素;C1-6アルキル;C1-4アルキルカルボニル;ヒドロキシ、カ ルボキシル、C1-4アルキルオキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくは ジ(C1-4アルキル)アミノ、Het1またはアリールで置換されたC16 アルキルであり、R5は水素、ハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキルまたはC1-6アルキルオキシであるか、或いはR4およびR5は一緒になって式: −(CH2n− (b−1)、 −CH2−CH2−O−CH2−CH2− (b−2)、 −CH2−CH2−N(R9)−CH2−CH2− (b−3)、または −CH2−CH=CH−CH2− (b−4)
の2価の基を形成してもよく、ここでnは2、3、4または5であり、 R9は水素、C1−C6-アルキル、C1−C6-アルキルスルホニルまたはp −トルエンスルホニルであり、R6は水素またはC1-4アルキルであるか、或いはR4およびR6は一緒になって式−(CH2m−の2価の基を形成してもよく、ここでmは1、2、3または4であり、−A−B−は式: −CR10=CR11− (c−1)、または −CHR10−CHR11 (c−2)
の2価の基であり、ここで各々のR10およびR11は独立して水素またはC1-4アルキルであり、そしてLは水素;C1-6アルキル;C1-6アルキルカルボニル;C1-6アルキルオキシカルボニル;ヒドロキシ、C1-4アルキルオキシ、C1-4アルキルオキシカルボニル、モノ−およびジ(C1-4アルキル)アミノ、アリールおよびHet2よりなる群から選択される1個もしくは2個の置換基で置換されたC1-6アルキル;C3-6アルケニル;アリールで置換されたC3-6アルケニル;ピペリジニル;C1-4アルキルもしくはアリールC1-4アルキルで置換されたピペリジニル;C1-6アルキルスルホニルまたはアリールスルホニルであり、アリールはフェニル、またはハロ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルキルオキシ、C3-6シクロアルキル、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、カルボキシル、C1-4アルキルオキシカルボニルおよびC1-4アルキルカルボニルアミノから選択される1個、2個もしくは3個の置換基で置換されたフェニルであり、Het1はピリジニル;C1-4アルキルで置換されたピリジニル;フラニル;C1-4アルキルで置換されたフラニル;チエニル;C1-4アルキルカルボニルアミノで置換されたチエニル;ヒドロキシピリジニル、C1-4アルキルもしくはC1-4アルコキシ−C1-4アルキルで置換されたヒドロキシピリジニル;
イミダゾリル;C1-4アルキルで置換されたイミダゾリル;チアゾリル;C1-4アルキルで置換されたチアゾリル;オキサゾリル;C1-4アルキルで置換されたオキサゾリル;イソキノリニル;C1-4アルキルで置換されたイソキノリニル;キノリノニル、C1-4アルキルで置換されたキノリノニル;モルホリニル;ピペリジニル;C1-4アルキル、C1-4アルキルオキシカルボニルもしくはアリールC1-4アルキルで置換されたピペリジニル;ピペラジニル;C1-4アルキル、C1-4アルキルオキシカルボニルもしくはアリールC1-4アルキルで置換されたピペラジニルであり、そしてHet2はモルホリニル;ピペリジニル;C1-4アルキルもしくはアリールC1-4アルキルで置換されたピペリジニル;ピペラジニル;C1-4アルキルもしくはアリールC1-4アルキルで置換されたピペラジニル;ピリジニル;C1-4アルキルで置換されたピリジニル;フラニル;C1-4アルキルで置換されたフラニル;チエニルまたはC1-4アルキルもしくはC1-4アルキルカルボニルアミノで置換されたチエニルである]
を有する化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な酸もしくは塩基付加塩または立体化学的異性体形態。
2.R1およびR2が各々独立して水素;C1-6アルキル;ジフルオロメチル;トリフルオロメチル;C3-6シクロアルキル;酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環;インダニル;ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテニル;ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル;C1-6アルキルスルホニル;アリールスルホニル;またはアリール、ピリジニル、チエニル、フラニル、C3-7シクロアルキル並びに酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環から各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されたC1-10アルキルである請求の範囲第1項記載の化合物。
3.R1およびR2が各々独立してC1-6アルキル;C3-6シクロアルキル;ジフルオロメチル;酸素、硫黄もしくは窒素から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する飽和5−、6−もしくは7−員の複素環;インダニル;またはアリール、インダニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリジニルもしくはC3-6シクロアルキルで置換されたC1-10アルキルである請求の範囲第1項または第2項に記載の化合物。
4.R4がC1-6アルキルである請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1つに記載の化合物。
5.R1がシクロペンチル、テトラヒドロフラニル、シクロプロピルメチル、5−フェニルペンチル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニルまたはインダニルであり、R2がメチルまたはジフルオロメチルであり、そしてR3、R5、R6、R10、R11およびLが水素である請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1つに記載の化合物。
6.化合物が[1−[2−[4−(ジフルオロメトキシ)−3−[(テトラヒドロ−3−フラニル)オキシ]フェニル]プロピル]−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−イリデン]シアナミド、および[1−[2−[4−(メトキシ)−3−[(1,3−ジヒドロ−2H−インデン−2−イル)オキシ]フェニル]プロピル]−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−イリデン]シアナミド、またはそのN−オキシド、立体化学的異性体形態もしくは製薬学的に許容可能な付加塩である請求の範囲第1項記載の化合物。
7.製薬学的に許容可能な担体、および活性成分として治療的に有効量の請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1つに記載の化合物を含んでなる組成物。
8.製薬学的に許容可能な担体を治療的に有効量の請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1つに記載の化合物と緊密に混合することを特徴とする、請求の範囲第7項記載の組成物の製造方法。
9.薬品としての使用のための請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1つに記載の化合物。
10.アトピー性または喘息性疾患を処置するために有用な薬品の製造における請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1つに記載の化合物の使用。
11.a)反応不活性溶媒中でそして適当な酸の存在下で、式(II)[式中、R1〜R6、R10およびR11は請求の範囲第1項で定義されている通りである]の中間体またはその官能性誘導体を環化して、式(I−a−1)の化合物を生成せしめ、

b)反応不活性溶媒中でそして適当な酸の存在下で、式(II−1)[式中、R1〜R4、R6、R10およびR11は請求の範囲第1項で定義されている通りであり、そしてPは水素またはトリメチルシリル保護基である]
の中間体またはその官能性誘導体を環化して、式(I−a−1−1)の化合物を生成せしめ、

c)反応不活性溶媒中でそしてシアノカルボンイミドジチオン酸ジメチルまたはN−シアノカルボンイミド酸ジフェニルの存在下で、式(III)[式中、R1〜R6、R10およびR11は請求の範囲第1項で定義されている通りである]の中間体またはその官能性誘導体を環化して、式(I−a−2)の化合物を生成せしめ、

d)式(IV)[式中、R1〜R3は請求の範囲第1項で定義されている通りでありそしてMは適当な金属イオンまたは金属錯イオンである]の有機金属中間体を、反応−不活性溶媒中で、式(V)[式中、R4〜R6、Lおよび−A−B−は請求の範囲第1項で定義されている通りであり、そしてW1は反応性脱離基である]の適当な2−シアノイミノイミダゾール誘導体と反応させ、

そして、所望に応じて、式(I)の化合物を当該技術分野で既知の変換法に従い互いに転化し、そしてさらに所望に応じて、式(I)の化合物を酸を用いる処理により製薬学的に活性な無毒の酸付加塩にもしくは塩基を用いる処理により製薬学的に活性な無毒の塩基付加塩に転化し、または逆に、酸付加塩形態をアルカリを用いる処理により遊離塩基に転化し、または塩基付加塩を酸を用いる処理により遊離酸に転化し、そして所望に応じて、その立体化学的異性体形態またはN−オキシド形態を製造することを特徴とする、請求の範囲第1項記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2000−503678(P2000−503678A)
【公表日】平成12年3月28日(2000.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−516215
【出願日】平成9年9月24日(1997.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP97/05322
【国際公開番号】WO98/14432
【国際公開日】平成10年4月9日(1998.4.9)
【出願人】
【氏名又は名称】ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ