PDE10阻害剤ならびに関連する組成物および方法
PDE10を阻害する化合物を開示する。該化合物は、精神、不安、運動障害および/または神経障害(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳炎、恐怖症、てんかん、失語症、ベル麻痺、脳性麻痺、睡眠障害、疼痛、トゥレット症候群、統合失調症、妄想障害、薬剤性精神病ならびにパニックおよび強迫性障害)を含む(これらに限定されない)さまざまな疾患の治療において有用性を有する。該化合物の製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物またはプロドラッグも提供される。また、化合物を製薬上許容される担体と組み合わせて含有する組成物、ならびにそれを必要とする温血動物においてPDE10を阻害するためのそれらの使用に関する方法も開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35 U.S.C. §119(e)に従い、2008年8月5日に出願された米国仮特許出願第61/086,406号、2008年11月26日に出願された米国仮特許出願第61/118,088号、および2009年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/218,311号の優先権を主張する。前記出願の全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、一般に、PDE10阻害剤としての活性を有する化合物、およびそれを含有する組成物、ならびに前記化合物をそれを必要とする温血動物に投与することによる種々の障害の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)は、大きい酵素スーパーファミリーである。PDEは、カルボキシ末端に近接する保存された触媒ドメイン、およびしばしばアミノ末端の近くにある調節ドメインまたはモチーフを有するモジュラー構造を有する。最近では、PDEスーパーファミリーには20を超える異なる遺伝子が含まれ、11のPDEファミリーにサブグループ化されている(Lugnier, C., “Cyclic nucleotide phosphodiesterase (PDE) superfamily: a new target for the development of specific therapeutic agents.” Pharmacol Ther. 2006 Mar; 109(3):366-98)。
【0004】
最近開示されたPDEであるPDE10は、3組の独立したグループにより同時に報告された(Fujishige ら, “Cloning and characterization of a novel human phosphodiesterase that hydrolyzes both cAMP and cGMP (PDE10A),” J Biol Chem 1999, 274:18438-18445; Loughney ら, “Isolation and characterization of PDE10A, a novel human 3′, 5′-cyclic nucleotide phosphodiesterase,” Gene 1999, 234:109-117; Soderlingら, “Isolation and characterization of a dual-substrate phosphodiesterase gene family: PDE10A,” Proc Natl Acad Sci USA 1999, 96:7071-7076)。PDE10は、cAMPおよびcGMPの両方を加水分解する能力を有するが、cGMPに対するKMが3μMであるのに対して、cAMPに対するKmは約0.05μMである。さらに、cAMP加水分解のVmaxは、cGMPよりも5倍低い。これらの速度論のため、PDE10によるcGMPの加水分解は、in vitroにおいてcAMPにより強く阻害され、PDE10がin vivoにおいてcAMPに阻害されるcGMPホスホジエステラーゼとして機能し得ることを示唆している。PDE8またはPDE9と異なり、PDE10はIBMXにより2.6μMのIC50(50%阻害濃度)で阻害される(Soderling およびBeavo, “Regulation of cAMP and cGMP signaling: new phosphodiesterases and new functions,” Current Opinion in Cell Biology, 2000, 12:174-179を参照されたい)。
【0005】
PDE10は、PDE2、PDE5およびPDE6のcGMP結合ドメインと類似する、幅広い種類のタンパク質に渡って保存されるドメインである2つのアミノ末端ドメインを含む。このドメインが広く保存されるため、現在これはGAFドメインと呼ばれる(GAFタンパク質:cGMP結合ホスホジエステラーゼ;シアノバクテリア(cynobacterial)のアナベナ(Anabaena)アデニリルシクラーゼ;および大腸菌(Escherichia coli)転写調節因子fhlAに対する)。PDE2、PDE5およびPDE6においてGAFドメインはcGMPに結合するが、これはおそらくすべての場合においてこのドメインの主要な機能ではない(例えば、大腸菌はcGMPを合成しないと考えられている)。興味深いことに、PDE10のin vitroでの結合研究により、cGMP結合に対する解離定数(Kd)は9μMを優に上回ることが示されている。cGMPのin vivoでの濃度はほとんどの細胞においてこのような高レベルに達することはないと考えられるので、PDE10のcGMPに対する親和性が調節により増大するか、PDE10におけるGAFドメインの主要な機能がcGMP結合以外のものであるかのいずれかであると思われる。
【0006】
PDEファミリーの酵素の阻害剤は、治療用途に広い適応を有するために広く探し求められてきた。報告されたPDE阻害剤の治療用途には、アレルギー、閉塞性肺疾患(obtrusive lung disease)、高血圧、腎臓癌、狭心症、うっ血性心不全、鬱病および勃起障害が含まれる(WO 01/41807 A2)。別のPDE阻害剤は虚血性心疾患の治療に使用されることが開示された(米国特許第5,693,652号)。より特定的には、PDE10の阻害剤は、ある種の神経および精神障害、例えばパーキンソン病、ハンチントン病、統合失調症、妄想性障害、薬剤性精神病、ならびにパニックおよび強迫性障害の治療に使用されることが開示された(米国特許出願第2003/0032579号)。PDE10は、多くの神経および精神障害に密接に関連する脳の領域のニューロンに高レベルで存在することが示された。PDE10活性を阻害することにより、cAMPおよびcGMPのレベルがニューロン内で上昇し、それにより、これらのニューロンの適切に機能する能力が改善される。そのため、PDE10の阻害は、上記の神経、精神、不安および/または運動障害を含む、ニューロン内のcAMPおよびcGMPのレベルを上昇させることにより恩恵を得る可能性がある非常にさまざまな疾患または障害の治療に有用であると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 01/41807 A2
【特許文献2】米国特許第5,693,652号
【特許文献3】米国特許出願第2003/0032579号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Lugnier, C., Pharmacol Ther. 2006 Mar; 109(3):366-98
【非特許文献2】Fujishigeら, J Biol Chem 1999, 274:18438-18445
【非特許文献3】Loughney ら, Gene 1999, 234:109-117
【非特許文献4】Soderling ら, Proc Natl Acad Sci USA 1999, 96:7071-7076
【非特許文献5】SoderlingおよびBeavo, Current Opinion in Cell Biology, 2000, 12:174-179
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
PDE10の阻害に関する研究が進展しているものの、PDE10の阻害剤の分野における必要性、ならびにPDE10の阻害剤により恩恵を受ける種々の疾患および/または障害の治療の必要性は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
簡潔に述べると、本発明は、一般に、PDE10阻害剤としての活性を有する化合物、ならびにそれらの調製および使用、ならびにそれらを含有する医薬組成物に関する。
【0011】
一実施形態において、化合物は下記の一般構造(I):
【化1】
[式中、X、R1、R2、R3、R4およびR5は下に定義する通りである]
を有し、その製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物およびプロドラッグを含む。
【0012】
別の実施形態において、化合物は下記の一般構造(IV):
【化2】
[式中、R1、R2、R3、R4およびR5は下に定義する通りである]
を有し、その製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物およびプロドラッグを含む。
【0013】
本発明の化合物は、広い範囲の治療上の応用に有用性を有し、特にニューロン内のcAMPおよびcGMPレベルの上昇により恩恵を受け得る非常にさまざまな疾患または障害を治療するために使用し得る。これらの疾患または障害としては、神経障害、例えば、精神障害、不安障害、運動障害および/または神経障害、例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳炎、恐怖症、てんかん、失語症、ベル麻痺、脳性麻痺、睡眠障害、疼痛、トゥレット症候群、統合失調症、妄想障害、双極性障害、心的外傷後ストレス障害、薬剤性精神病、パニック障害、強迫性障害、注意欠陥障害、崩壊性行動障害、自閉症、鬱病、認知症、認知障害、てんかん、不眠症および多発性硬化症が挙げられる(しかしこれらに限定されない)。
【0014】
本発明の方法は、有効量の前記構造の化合物を、典型的には医薬組成物の形態で、それを必要とする哺乳類(ヒトを含む)に投与することを含む。そこで、さらなる実施形態において、1種以上の前記構造の化合物を製薬上許容される担体または希釈剤と組み合わせて含有する医薬組成物が開示される。
【0015】
これらおよび他の本発明の態様は、以下の詳細な説明を参照することにより明らかになるであろう。この目的で、本明細書において、ある種の背景技術情報、方法、化合物および/または組成物についてより詳細に説明する種々の参照文献を示し、それらの全体をそれぞれ参照により本明細書に組み入れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の化合物12-63(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の神経刺激薬(PCP)誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図2】本発明の化合物12-55(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図3】本発明の化合物12-60(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図4】本発明の化合物12-44(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図5A】本発明の化合物12-63(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図5B】本発明の化合物12-63(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図6A】本発明の化合物12-104(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図6B】本発明の化合物12-104(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図7A】本発明の化合物12-114(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図7B】本発明の化合物12-114(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図8A】本発明の化合物12-132(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図8B】本発明の化合物12-132(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図9A】本発明の化合物12-134(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して、用量に依存して有意に減少させることを示す図である。
【図9B】本発明の化合物12-134(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して、用量に依存して有意に減少させることを示す図である。
【図10A】本発明の化合物12-115(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して、用量に依存して有意に減少させることを示す図である。
【図10B】本発明の化合物12-115(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図11A】本発明の化合物12-140(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して、用量に依存して有意に減少させることを示す図である。
【図11B】本発明の化合物12-140(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して、用量に依存して有意に減少させることを示す図である。
【図12A】本発明の化合物12-142(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図12B】本発明の化合物12-142(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
上記の通り、本発明は、一般に、PDE10阻害剤として有用な化合物、ならびにそれらの調製および使用、ならびに前記化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0018】
一実施形態において、PDE10阻害剤は下記の構造(I):
【化3】
[式中、
Xは、-O-または-S-であり;
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2およびR3は同一であるか異なっており、独立して置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有し、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物またはプロドラッグである。
【0019】
別の実施形態において、PDE10阻害剤は下記の構造(IV):
【化4】
[式中、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、置換または無置換アリールであり;
R3は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有し、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物またはプロドラッグである。
【0020】
本明細書において使用する場合、上記の用語は以下の意味を有する。
【0021】
「アミノ」は、-NH2基を指す。
【0022】
「シアノ」は、-CN基を指す。
【0023】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0024】
「イミノ」は、=NH置換基を指す。
【0025】
「ニトロ」は、-NO2基を指す。
【0026】
「オキソ」は、=O置換基を指す。
【0027】
「チオキソ」は、=S置換基を指す。
【0028】
「C1-6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖、非環式または環式、不飽和または飽和脂肪族炭化水素基を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等が挙げられ;一方、飽和分枝鎖アルキルとしては、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル等が挙げられる。代表的な飽和環式アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられ;一方、不飽和環式アルキルとしては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニル等が挙げられる。不飽和アルキルは、隣接する炭素原子間に少なくとも1個の二重結合または三重結合を有する(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ぶ)。代表的な直鎖および分枝鎖アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル等が挙げられ;一方、代表的な直鎖および分枝鎖アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニル等が挙げられる。
【0029】
「C1-6アルキレン」または「C1-6アルキレン鎖」は、炭素および水素のみからなり、飽和または不飽和(すなわち、1個以上の二重結合および/または三重結合を有する)であり、1〜6個の炭素原子を有する、分子の残りの部分をラジカル基に連結する直鎖または分枝鎖二価炭化水素鎖を指し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン、プロピニレン、n-ブチニレン等を指す。アルキレン鎖は単結合または二重結合を介して分子の残りの部分に結合し、また、単結合または二重結合を介してラジカル基に結合する。アルキレン鎖の分子の残りの部分およびラジカル基への結合の位置は、1個の炭素または鎖内の任意の2個の炭素であってよい。
【0030】
「C1-6アルコキシ」は、式-ORa [式中、Raは、上に定義した通りのアルキル基である]の基、例えば、メトキシ、エトキシ等を指す。
【0031】
「アリール」は、水素、6〜18個の炭素原子、および少なくとも1個の芳香環を含む炭化水素環系基を意味する。アリール基は単環、二環、三環または四環系であってよく、縮合環系または架橋環系を含み得る。アリール基としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、およびトリフェニレンに由来するアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
「C1-6アラルキル」は、式-Rb-Rc [式中、Rbは上に定義した通りのアルキレン鎖であり、Rcは上に定義した通りの1個以上のアリール基である]の基、例えばベンジル、ジフェニルメチル等を意味する。
【0033】
「シクロアルキル」または「炭素環」は、炭素および水素のみからなる安定な非芳香族単環式または多環式炭化水素基を指し、該基は、3〜15個の炭素原子を有する、好ましくは3〜10個の炭素原子を有する縮合環系または架橋環系を含み、かつ飽和または不飽和であり、単結合により分子の残りの部分に結合する。単環系基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。多環式基としては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル等が挙げられる。
【0034】
「ハロ」または「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードを指す。
【0035】
「C1-6ハロアルキル」は、上に定義した通りの1個以上のハロ基により置換された上に定義した通りのC1-6アルキル基、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチル等を指す。
【0036】
「複素環」または「ヘテロシクリル」は、4〜7員単環式または7〜10員二環式複素環を意味する。これは、飽和、不飽和または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、そこにおいて、窒素および硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、また、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよい。また、これには上記のいずれかの複素環がベンゼン環に縮合した二環も含まれる。複素環は任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合することができる。芳香族複素環は、本明細書において「ヘテロアリール」と呼ばれ、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ベンズイソキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリルおよびキナゾリニルが含まれる(これらに限定されない)。上に挙げたヘテロアリールに加えて、複素環には、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル等も含まれる。さらに、複素環にはベンゾチオフェン-2-イル、2,3-ジヒドロベンゾ-1,4-ジオキシン-6-イル、ベンゾ-1,3-ジオキソール-5-イル等も含まれる。
【0037】
本明細書において使用する用語「置換」は(例えば、置換ヘテロシクシルまたは置換アリールという文脈で)、少なくとも1個の水素原子が置換基により置き換えられていることを意味する。本発明の文脈における「置換基」には、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ニトロ、イミノ、チオキソ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環およびヘテロシクロアルキル、ならびに-NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-NRaC(=O)NRaNRb、-NRaC(=O)ORb、-NRaSO2Rb、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-C(=O)NRaRb、-OC(=O)NRaRb、-ORa、-SRa、-SORa、-S(=O)2Ra、-OS(=O)2Ra、-S(=O)2ORa、=NSO2Raおよび-SO2NRaRbが含まれる。前記において、この文脈におけるRaおよびRbは同一であるか異なっており、独立して水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルであり得る。さらに、前記置換基は1個以上の前記置換基によりさらに置換されていてもよい。
【0038】
構造(I)の別の実施形態において、Xは-O-であり、化合物は下記の構造(II):
【化5】
を有する。
【0039】
構造(II)のより特定的な実施形態において、
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、置換フェニル、または置換もしくは無置換ナフチルであり;
R3は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0040】
構造(II)のさらなるより特定的な実施形態において、R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキル(例えば、水素)であり、R1はC1-6アルキル(例えば、メチル、エチルまたはイソプロピル)であり、R3は置換フェニル(例えば、3,4,5-トリメトキシフェニルまたは4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)であり、および/またはR2は置換もしくは無置換フェニル(例えば、4-モルホリノフェニルまたは4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)、置換もしくは無置換ナフチル、または置換もしくは無置換ヘテロアリールである。
【0041】
構造(I)の別のさらなる実施形態において、Xは-S-であり、化合物は下記の構造(III):
【化6】
を有する。
【0042】
構造(III)のより特定的な実施形態において、
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2およびR3は同一であるか異なっており、独立して置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0043】
構造(III)のさらなるより特定的な実施形態において、R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキル(例えば、水素)であり、R1はC1-6アルキル(例えば、メチル、エチルまたはイソプロピル)であり、R3は置換フェニル(例えば、3,4,5-トリメトキシフェニルまたは4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)であり、および/またはR2は置換もしくは無置換フェニル(例えば、4-モルホリノフェニルまたは4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)、置換もしくは無置換ナフチル、または置換もしくは無置換ヘテロアリールである。
【0044】
構造(IV)のより特定的な実施形態において、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、
【化7】
[式中、
R2aは、-N(R2bR2c)または少なくとも1個のN環原子を有する複素環であり、かつ
R2bおよびR2cは同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキルまたはアリールである]
であり;
R3は、
【化8】
[式中、
R3aは-C1-6アルコキシであり、
R3bはハロゲンであり、かつ
R3cは-C1-6アルコキシである]
であり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0045】
構造(IV)の別のより特定的な実施形態において、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、
【化9】
[式中、
R2aは、-N(R2bR2c)または少なくとも1個のN環原子を有する複素環であり、ただし、R2aは1H-テトラゾール-1-イルではなく、かつ
R2bおよびR2cは同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキルまたはアリールである]
であり;
R3は、
【化10】
[式中、
R3aは-C1-6アルコキシであり、かつ
R3cは-C1-6アルコキシである]
であり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0046】
構造(IV)の別のより特定的な実施形態において、R4およびR5は水素またはC1-6アルキル(例えば、水素)であり、R1は水素またはC1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピルまたはシクロプロピル)であり、R3は置換フェニル(例えば、3,4,5-トリメトキシフェニルまたは4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)であり、および/またはR2は置換もしくは無置換フェニル(例えば、4-モルホリノフェニルまたは4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)または置換もしくは無置換ナフチルである。
【0047】
本発明の化合物は、実施例においてより詳細に説明する方法を含む公知の有機合成技術により調製することができ、またはある場合には販売元から購入することができる。一般に上記の構造(I)および(IV)の化合物は、下記の反応式(式中、すべての置換基は他に指示しない限り上に定義する通りである)により製造することができる。
【化11】
【0048】
式1の化合物は市販されているか、標準的な文献の方法により合成することができる。式1の化合物を、米国特許第7,129,238号(その全体を参照により本明細書に組み入れる)に開示された方法を用いて種々のアルコールと反応させて、式2の化合物を得ることができる。式2の化合物を酸性条件下で種々のアルコールと共に加熱して、式3の化合物を得ることができる。次に式3の化合物をアルコール性溶媒中、ヒドラジン水和物の存在下で加熱還流して、式4の化合物を得ることができる。式4の化合物を式5のアルデヒドまたはケトンと反応させて、構造(II)の化合物を得ることができる。
【化12】
【0049】
式1の化合物は市販されているか、標準的な文献の方法により合成することができる。式1の化合物を、種々のハロゲン化試薬、例えばNCSと反応させて、式2の化合物を得ることができる。式2の化合物をフリーデル・クラフツ反応の条件下で芳香族化合物と反応させて、式3の化合物を得ることができる。次に式3の化合物をアルコール性溶媒中、ヒドラジン水和物の存在下で加熱還流して、式4の化合物を得ることができる。式4の化合物を式5のアルデヒドまたはケトンと反応させて、構造(III)の化合物を得ることができる。
【化13】
【0050】
式1の化合物は市販されているか、標準的な文献の方法により合成することができる。式1の化合物を酸性条件下で種々のアルコールと反応させて、式2の化合物を得ることができる。式2の化合物を種々の塩基およびアルキル化試薬により処理して、式3の化合物を得ることができる。次に式3の化合物をアルコール性溶媒中、ヒドラジン水和物の存在下で加熱還流して、式4の化合物を得ることができる。式4の化合物を式5のアルデヒドまたはケトンと反応させて、構造(IV)の化合物を得ることができる。
【0051】
本発明の化合物は、一般に遊離酸または遊離塩基として利用し得る。あるいは、本発明の化合物は、酸または塩基付加塩の形態で使用し得る。本発明の遊離アミノ化合物の酸付加塩は当業者に公知の方法により調製可能であり、有機および無機酸から形成し得る。好適な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。好適な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。塩基付加塩にはカルボキシレートアニオンと共に形成される塩が含まれ、有機および無機カチオン、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウムおよびカルシウム)、ならびにアンモニウムイオンおよびその置換された誘導体(例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム等)より選択されるカチオンと共に形成される塩が含まれる。したがって、構造(I)〜(IV)の「製薬上許容される塩」という用語は、任意のおよびすべての許容される塩の形態を包含することが意図される。
【0052】
さらに、プロドラッグも本発明に包含される。プロドラッグは共有結合により結合した担体であり、このようなプロドラッグが患者に投与された時にin vivoで構造(I)〜(IV)の化合物を放出する。プロドラッグは、一般に、日常的な操作によりまたはin vivoで修飾が開裂して親化合物を生成するような方法で官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグには、例えば、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が何らかの基と結合しており、患者に投与した時に開裂してヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基を形成する本発明の化合物が含まれる。したがって、プロドラッグの代表的な例としては、構造(I)〜(IV)の化合物のアルコールおよびアミン官能基の酢酸、ギ酸および安息香酸誘導体が挙げられる(しかしこれらに限定されない)。さらに、カルボン酸(-COOH)の場合、エステル、例えばメチルエステル、エチルエステル等を使用し得る。
【0053】
さらに、下記の構造(I-A)、(I-B)、(IV-A)および(IV-B)を有するプロドラッグが、本発明の範囲に含まれる。
【化14】
[式中、R10は、C1-6アルキル、アリール、-OC1-6アルキル、-O-アリールまたは-NC1-6アルキルである]
構造(I-A)および(IV-A)のエノールプロドラッグは、それぞれ構造(I)または構造(IV)の化合物を、溶媒(例えばジクロロメタン)中で塩基(例えばトリエチルアミン)により処理した後、求電子試薬(例えば塩化アセチル)を加えることにより調製することができる。構造(I-B)および(IV-B)のN-アシル化プロドラッグは、それぞれ構造(I-A)または(IV-A)のプロドラッグを溶媒(例えばトルエン)中で加熱することによる熱転位により調製することができる。例えば、Carpinoら, J. Org. Chem., 53, 6047-6053 (1988); Geitaら, Zhurnal Organicheskoi Khimii, 13(7), 1461-1465 (1977) (Institute of Organic Synthesis, Academy of Sciences of the Latvian SSR, 1346-1350より翻訳が入手可能); Maroulisら, J. Heterocyclic Chem., 21, 1653-1656 (1984); Mongeら, J. Heterocyclic Chem., 21, 397-400 (1984);およびSinghら, Tetrahedron Letters, 29, 2711-2714 (1973)を参照されたい。
【0054】
立体異性体に関して、構造(I)〜(IV)の化合物はキラル中心を有する可能性があり、ラセミ体、ラセミ混合物および個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在し得る。このような異性体のすべてが、それらの混合物を含めて、本発明の範囲に含まれる。さらに、構造(I)〜(IV)の化合物の結晶型のいくつかは多形として存在する可能性があり、それらは本発明に含まれる。それに加えて、構造(I)〜(IV)の化合物のいくつかは、水または他の有機溶媒と溶媒和物を形成する可能性がある。このような溶媒和物も同様に本発明の範囲に含まれる。
【0055】
本発明の別の実施形態において、1種以上の構造(I)〜(IV)の化合物を含有する医薬組成物が開示される。投与の目的で、本発明の化合物は医薬組成物として製剤することができる。本発明の医薬組成物は、1種以上の本発明の化合物ならびに製薬上許容される担体および/または希釈剤を含む。PDE10阻害剤は、特定の障害を治療するのに有効な量で組成物中に存在する。すなわち、所望のPDE10阻害を達成するのに十分で、好ましくは温血動物に対して許容される毒性を有する量で存在する。典型的には、本発明の医薬組成物は、PDE10阻害剤を、投与経路に依存して、投与量あたり0.1 mg〜250 mg、より典型的には1 mg〜60 mgの量で含み得る。適切な濃度および投与量は、当業者が容易に決定することができる。
【0056】
一般論として、典型的な1日投与量は、病気のタイプおよび重篤度に依存して、1μg/kg〜100 mg/kg、好ましくは0.01〜100 mg/kg、より好ましくは0.1〜70 mg/kgの範囲であり、例えば、1回でまたは複数回に分けて投与する。数日以上に渡って繰り返して投与する場合には、病状に依存して、目的とする病徴の抑制が起こるまで治療を持続する。けれども、他の投与計画も有用であり得る。この治療法の進行は標準的な技術およびアッセイによりモニターすることができる。本発明の投薬単位の剤形の仕様は、活性化合物の固有の特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに個体の治療のためにこのような活性化合物を配合する技術に内在する限定により決定され、それらに直接依存する。
【0057】
製薬上許容される担体および/または希釈剤は当業者に公知である。液体の溶液として製剤される組成物としては、許容される担体および/または希釈剤として、生理食塩水および滅菌水が挙げられ、場合により抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および他の一般的な添加剤を加えてもよい。組成物は、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、または錠剤として製剤することも可能であり、それらはPDE10阻害剤に加えて、希釈剤、分散剤および界面活性剤、結合剤、および滑沢剤を含有する。当業者は、適切な方法で、かつ例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA 1990に開示されるもののような一般に認められた実践方法に従って、PDE10阻害剤を別の方法で製剤してもよい。
【0058】
別の実施形態において、本発明は、上に論じた通りの疾病、例えば(これらに限定されないが)、精神障害、不安障害、運動障害および/または神経障害、例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳炎、恐怖症、てんかん、失語症、ベル麻痺、脳性麻痺、睡眠障害、疼痛、トゥレット症候群、統合失調症、妄想障害、双極性障害、心的外傷後ストレス障害、薬剤性精神病、パニック障害、強迫性障害、注意欠陥障害、崩壊性行動障害、自閉症、鬱病、認知症、認知障害、てんかん、不眠症および多発性硬化症を治療する方法を提供する。上記方法は、本発明の化合物を、疾患を治療するのに十分な量で温血動物に投与することを含む。この文脈において、「治療」は、予防的投与を含む。上記方法には、本発明のPDE10阻害剤の、好ましくは上で論じた通りの医薬組成物の形態での全身投与が含まれる。本発明において使用する場合、全身投与には、経口および非経口法の投与、例えば、皮下、筋内、頭蓋内、眼窩内、眼科的、脳室内、包内、関節内、髄腔内、嚢内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、静脈内、皮内、吸入、経皮、経粘膜、および直腸投与が含まれる。
【0059】
経口投与に好適なPDE10阻害剤の医薬組成物としては、粉剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、およびカプセル剤、ならびに液剤、シロップ剤、懸濁剤、および乳剤が挙げられる。これらの組成物は、香味料、保存剤、懸濁、増粘および乳化剤、ならびに他の製薬上許容される添加剤および賦形剤を含んでもよい。非経口投与には、本発明の化合物は水性注射溶液として調製することができ、これは、PDE10阻害剤に加えて、緩衝剤、抗酸化剤、静菌剤、およびこのような溶液に広く使用される他の添加剤および賦形剤を含有してもよい。本発明の組成物は、治療用化合物の持続放出または取り込みもしくは活性の増大を提供する送達系、例えば注射用のリポソーム系もしくはヒドロゲル系、経口もしくは非経口送達のためのマイクロパーティクル、ナノパーティクルもしくはミセル系、または経口送達のための段階的カプセル系により送達されてもよい。
【0060】
本発明の別の利点において、構造(I)〜(IV)の化合物は、従来の抗精神病薬に付随する代謝性副作用、特に治療により誘導される肥満の発生を回避または減少させると考えられる。例えば、統合失調症の治療に最も広く処方される薬物であるオランザピン(olanzapine)(Zyprexa(登録商標))および関連する非定型抗精神病薬の慢性的使用は、肥満および糖尿病などの関連する疾患を含む重大な代謝性副作用を伴う。
【0061】
動物において、オランザピンによる亜慢性治療は食物摂取を刺激して体重を増加させ、ヒトの状況と一致する。さらに、オランザピンは血中のレプチンレベルを急激に低下させる。レプチンは脂肪組織から産生される満腹ホルモンであり、レプチンレベルの減少は食欲を刺激する。オランザピンは、少なくとも部分的には、レプチンレベルを減少させることにより食物摂取を刺激するのであろうと理論付けられている。オランザピンの急性投与は、グルコース耐性試験でのグルコースおよびインスリンレベルにおける動物の応答をも変化させる。これもオランザピンの食物摂取および体重増加における効果に直接関連している可能性がある。オランザピンと比較した本発明のPDE10阻害剤の代謝に対する急性効果、例えば標準的な動物モデルにおける代謝試験の間のレプチン、インスリンおよびグルコースの変化、ならびに食物摂取、体重およびエネルギー恒常性における本発明のPDE10阻害剤の慢性効果を試験することにより、副作用の心配が少ないという点での抗精神病薬としてのPDE10阻害剤の薬理的利点に関する証拠が得られるに違いない。
【0062】
本発明の組成物は、1種以上のさらなる治療薬と、組み合わせて、または同時のもしくは連続的な投与により、併用投与してもよい。好適なさらなる薬剤(すなわち、アジュバント)としては、ドーパミン-D2受容体およびセロトニン5HT2受容体を遮断する定型抗精神病薬、例えば、ハロペリドール(haloperidol)、フルフェナジン(fluphenazine)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、および非定型抗精神病薬、例えば、クロザピン(clozapine)、オランザピン、リスペリドン(risperidone)、クエチアピン(quetiapine)、ジプラシドン(ziprasidone)が挙げられる。
【0063】
本発明の化合物は、ThompsonおよびApplemanの二段階法(Biochemistry 10; 311-316; 1971)の修正法により、そのIC50値を測定するアッセイをおこなうことができる。簡単に述べると、cAMPに(3H)cAMPを加えて、PDE10およびさまざまな濃度の構造(I)の化合物と共にインキュベートする。適切なインキュベーション時間の後、加熱により反応を終結させる。次に混合物をヘビ毒ホスファターゼにより処理する。ホスファターゼは混合物中のすべてのAMPを加水分解するが、未反応のcAMPはそのまま残る。そのため、混合物からcAMPを分離してその濃度を測定することにより(ラジオグラフィーにより)、阻害のパーセントを決定することができる。IC50値は、いくつかの濃度で実験をおこない、標準的なグラフ化手段を用いることにより計算することができる。IC50アッセイに用いた実際の技術の詳細な説明は、下記の実施例に記載する。この目的で、本発明のPDE10阻害剤は100μM以下、一般に10μM未満、典型的には1μM未満のIC50を有する。
【0064】
下記の実施例は説明の目的で提供するものであり、限定を目的とするものではない。
【実施例】
【0065】
実施例1
(E)-2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドの合成
2-ヒドロキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸
【化15】
【0066】
2-ナフトアルデヒド(2.0 g、1.0当量)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(BTEAC)(0.13 g)、および50% NaOH水溶液(2.3 mL)、およびβ-シクロデキストリン(0.10 g)のクロロホルム(10 mL)溶液を55℃で12時間加熱した。次に混合物を水中に注ぎ、溶液をEtOAcにより洗浄した。次に水層に濃HClを滴下することによりpH 1に酸性化した。これをEtOAcにより抽出し、Na2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、黄色のオイル(0.75 g、29%)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0067】
2-ヒドロキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸メチル
【化16】
【0068】
2-ヒドロキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸(0.75 g、1当量)の乾燥MeOH溶液を撹拌して、硫酸(0.1 mL)を滴下し、加熱還流した。次に攪拌を2時間続けた。次に反応混合物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液中に注ぎ、EtOAcにより抽出した。有機フラクションを合わせてNa2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮してオイル(0.63 g、78%)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0069】
2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸メチル
【化17】
【0070】
2-ヒドロキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸メチル(0.63g、1当量)の乾燥DMF溶液を撹拌して、NaH(0.45g、4当量)およびヨウ化メチル(0.74 mL、4.1当量)を加えた。次に撹拌を24時間続けた。次に反応混合物を酢酸エチル中に注いで、H2Oにより洗浄した。有機フラクションを合わせてNa2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮してオイルを得た。これをカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチルおよびヘキサンを用いて精製して、オイル(0.358 g、53%)を得た。
【0071】
2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)アセトヒドラジド
【化18】
【0072】
2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸メチル(0.358 g、1当量)およびヒドラジン水和物(4 mL)の溶液を撹拌しながら1時間加熱還流した。次に反応混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。粗オイルをEtOAcにより希釈し、H2Oにより洗浄し、有機相をNa2SO4により乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去して、黄色のオイル(0.17 g、47%)を得た。これをさらに精製することなく使用した。
【0073】
(E)-2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジド
【化19】
【0074】
マグネチック撹拌バーを取り付けたガラス製の丸底フラスコ中で、メチル2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)アセトヒドラジド(0.17g、1当量)を室温でエタノール(10 mL)に溶解した。この溶液をよく撹拌し、酢酸(10 mL)および3,4,5-トリメトキシ-ベンズアルデヒド(0.145 g、1当量)を加え、反応混合物を90℃に2時間加熱した。次に混合物を冷却し、粗生成物をEt2Oにより希釈し、濾過し、固体をEt2Oによりよく洗浄して、生成物(1-1)を白色の固体(0.176 g、58%)として得た。
【0075】
実施例2
(E)-2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドの合成
2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ酢酸
【化20】
【0076】
2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-カルバルデヒド(3.0 g、1.0当量)およびブロモホルム(2.0 mL、1.27当量)のMeOH(18 mL)およびジオキサン(18 mL)中の溶液を撹拌し、水酸化カリウム(5.1 g、5.0当量)のMeOH(18 mL)溶液を15分間かけて滴下した。次に攪拌を24時間続けた。次に混合物を水中に注ぎ、溶液をEtOAcにより洗浄して、濃HClを滴下することによりpH 1に酸性化した。これをEtOAcにより抽出し、Na2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、黄色のオイル(4.1 g)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0077】
2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ酢酸メチル
【化21】
【0078】
2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ酢酸(18.3 mmol)の乾燥MeOH溶液を撹拌して、硫酸(2.5 mL)を滴下し、90℃に加熱した。次に攪拌を3時間続けた。次に反応混合物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液中に注ぎ、EtOAcにより抽出した。有機フラクションを合わせてNa2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮してオイル(3.7 g)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0079】
2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシアセトヒドラジド
【化22】
【0080】
2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ酢酸メチル(18.3 mmol)の無水EtOH(150 mL)溶液を攪拌して、ヒドラジン水和物(73.2 mmol、4当量)を加えて90℃に加熱した。次に撹拌を24時間続けた。次に反応混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。粗オイルをEtOAcにより希釈し、H2Oにより洗浄し、有機相をNa2SO4により乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去して、黄色のオイル(3.5 g)を得た。これをさらに精製することなく使用した。
【0081】
(E)-2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジド
【化23】
【0082】
マグネチック撹拌バーを取り付けたガラス製の丸底フラスコ中で、2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシアセトヒドラジド(1当量、1.1 mmol;260 mg)を室温でエタノール(10 mL)に溶解した。この溶液をよく撹拌し、酢酸(〜3滴)および3,4,5-トリメトキシ-ベンズアルデヒド(1.2当量、1.3 mmol;260 mg)を加え、反応混合物を12時間加熱した。次に混合物を冷却し、粗生成物をEt2Oにより希釈し、濾過し、固体をEt2Oによりよく洗浄して、(2-1)(300 mg、65%)を得た。
【0083】
実施例3
(E)-2,2-ジフェニル-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドの合成
2,2-ジフェニル酢酸メチル
【化24】
【0084】
2,2-ジフェニル酢酸(1 g、1当量)の乾燥MeOH(50 mL)溶液を撹拌して、硫酸(0.4 mL)を滴下し、加熱還流した。次に撹拌を3時間続けた。次に反応混合物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液中に注ぎ、EtOAcにより抽出した。有機フラクションを合わせてNa2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮してオイル(1.0 g、93%)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0085】
2,2-ジフェニルアセトヒドラジド
【化25】
【0086】
2,2-ジフェニル酢酸メチル(0.5 g、1当量)の無水EtOH(150 mL)溶液を攪拌して、ヒドラジン水和物(8 mL)を加えて加熱還流した。次に撹拌を1時間続けた。次に反応混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。粗オイルをEtOAcにより希釈し、H2Oにより洗浄し、有機相をNa2SO4により乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去して、黄色のオイル(0.97g、97%)を得た。これをさらに精製することなく使用した。
【0087】
(E)-2,2-ジフェニル-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジド
【化26】
【0088】
マグネチック撹拌バーを取り付けたガラス製の丸底フラスコ中で、2,2-ジフェニルアセトヒドラジド(0.33 g、1当量)を室温でエタノール(20 mL)に溶解した。この溶液をよく撹拌し、酢酸(1.4 mL)および3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド(0.29 g、1当量)を加え、反応混合物を2時間加熱還流した。次に混合物を冷却し、粗生成物をEt2Oにより希釈し、濾過し、固体をEt2Oによりよく洗浄して、生成物(3-1)(0.056 g、10%)を得た。
【0089】
実施例4
(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-2-(メチルチオ)-2-フェニルアセトヒドラジドの合成
2-クロロ-2-(メチルチオ)酢酸メチル
【化27】
【0090】
2-クロロ-2-(メチルチオ)酢酸メチルは、文献の方法(Boehme, H.; Krack, W.; Justus Liebigs Annalen der Chemie; 1977; 51-60. Iwama, Tetsuo; Harutoshi, Matsumoto; Tadashi, Kataoka; Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and
Bio-Organic Chemistry (1972-1999); 1997; 835-844)に従って合成することができる。
【0091】
2-(メチルチオ)-2-フェニル酢酸メチル
【化28】
【0092】
マグネチック撹拌バーを取り付けたガラス製の丸底フラスコ中で、2-クロロ-2-(メチルチオ)酢酸メチル(1.3 g、1当量)をベンゼン(20 mL)に溶解し、塩化アルミニウム(3.36 g、2.8当量)を一度に加えて、3時間加熱還流した。次に混合物を冷却し、H2O、食塩水により洗浄し、MgSO4により乾燥した。有機層を減圧濃縮して黄色のオイルを得た(0.56 g、35%)。これをさらに精製することなく使用した。
【0093】
2-(メチルチオ)-2-フェニルアセトヒドラジド
【化29】
【0094】
2-(メチルチオ)-2-フェニル酢酸メチル(0.300 g、1当量)の無水EtOH(5 mL)溶液を撹拌し、ヒドラジン水和物(0.15 mL、2当量)を加えて加熱還流した。次に撹拌を18時間続けた。次に反応混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。粗オイルをEtOAcにより希釈し、H2Oにより洗浄し、有機相をNa2SO4により乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去して黄色のオイルを得た。これをシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、酢酸エチルおよびヘキサンを用いて精製した。精製された生成物は白色の固体(193 mg、66%)であった。
【0095】
(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-2-(メチルチオ)-2-フェニルアセトヒドラジド
【化30】
【0096】
マグネチック撹拌バーを取り付けたガラス製の丸底フラスコ中で、2-(メチルチオ)-2-フェニルアセトヒドラジド(0.132 g、1当量)を室温でエタノール(5 mL)に溶解した。この溶液をよく撹拌し、酢酸(2滴)および3,4-ジメトキシベンズアルデヒド(0.111 g、1当量)を加えて、反応混合物を12時間加熱還流した。次に混合物を冷却し、粗生成物をEt2Oにより希釈し、濾過し、固体をEt2Oによりよく洗浄して、生成物(4-1)(0.120 g、52%)を得た。
【0097】
実施例5
(1Z,N'E)-2-メトキシ-2-(ナフタレン-1-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラゾン酸ピバル酸無水物の合成
【化31】
【0098】
オーブンにより乾燥したフラスコに(E)-2-メトキシ-2-(ナフタレン-1-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジド(0.1 g、0.25 mmol)(前述の方法により調製した)を入れ、アルゴン雰囲気下に置いた。無水ジクロロメタン(20 mL)、トリエチルアミン(0.17 mL、1.2 mmol)、および塩化ピバロイル(0.081 mL、0.67 mmol)を加えて、混合物を室温で18時間撹拌した。混合物をH2O中に注ぎ、得られた水層をジクロロメタンにより2回抽出した。有機相を合わせて水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(酢酸エチル-ヘキサン)により精製して、生成物(5-1)を淡黄色の固体(0.12 g、100%)として得た。
【0099】
実施例6
(E)-2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-アセトヒドラジドの合成
【化32】
【0100】
キノリン-5-カルボキシアルデヒド(3.12 g、19.9 mmol)のジエチルエーテル(42 mL)中の懸濁液を氷浴で冷却した。冷却したNH4Cl(1.09 g、18.7 mmol)の水(4.5 mL)溶液およびKCN(1.34 g、20.5 mmol)の水(4.5 mL)溶液を順に加えた。混合物を急速に撹拌しながらゆっくりと室温に温めた。合計1.75時間の反応時間の後、混合物を氷浴で冷却し、黄褐色の固体をブフナーロートにより収集し、水、少量のメタノール、およびジエチルエーテルにより洗浄した。生成物を減圧乾燥して黄褐色の固体(2.6 g、収率76%)を得た。この化合物をさらに精製することなく使用した。
【化33】
【0101】
2-ヒドロキシ-2-(キノリン-5-イル)アセトニトリル(2.56 g、13.9 mmol)の無水エタノール(70 mL)中の懸濁液を氷浴で冷却した。混合物中にHClの気泡をゆっくりと1時間通した後、氷浴上で15分間撹拌した。氷浴を取り除き、反応液に水(5 mL)を注意深く加えた。混合物を60℃で15分間、50℃で2時間加熱した後、室温に冷却した。反応混合物に水を加え、固体のKOH、固体のNaHCO3および飽和NaHCO3水溶液をゆっくりと加えて、pH = 9まで塩基性にした。混合物をEtOAcにより3回抽出し、有機相を合わせて水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮して、2-ヒドロキシ-2-(キノリン-5-イル)酢酸エチルを褐色のオイル(2.39 g、収率74%)として得た。
【化34】
【0102】
オーブンで乾燥したフラスコ中、アルゴン雰囲気下で、2-ヒドロキシ-2-(キノリン-5-イル)酢酸エチル(1.5 g、6.5 mmol)の無水THF溶液にヨードメタン(1.2 mL、19.2 mmol)を加え、混合物を氷浴で冷却した。NaH(油中60%;0.26 g、6.5 mmol)を加え、混合物を氷浴上で1時間攪拌した。氷浴を取り除いた後、撹拌をさらに3.25時間続け、さらにNaH(60%;0.030 g、0.75 mmol)を加えた。混合物を45分間撹拌した後、食塩水を加えて反応を止め、水によりさらに希釈した。水性混合物をEtOAcにより抽出し、有機相を合わせて水により3回、食塩水により1回洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(50% EtOAc-ヘキサン)により精製して、2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)酢酸エチルを黄色のオイル(0.9 g、収率57%)として得た。
【化35】
【0103】
2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)酢酸エチル(0.9 g、3.67 mmol)の無水エタノール(25 mL)溶液にヒドラジン水和物(1.0 mL、20.5 mmol)を加えて、混合物を85℃に18.5時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を氷水(〜150 mL)中に注ぎ、減圧濃縮した。残渣をEtOAcに溶かし、希食塩水により1回、水により2回、次いで食塩水により洗浄した。有機相をNa2SO4により乾燥し、減圧濃縮して、2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)アセトヒドラジドを白っぽい泡(0.651 g、収率77%)として得た。これをさらに精製することなく使用した。
【化36】
【0104】
2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)アセトヒドラジド(0.149 g、0.65 mmol)および3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド(0.138 g、0.70 mmol)の無水エタノール(5 mL)中の混合物に酢酸(1滴)を加えた。混合物を60℃に17時間加熱した。室温に冷却した後、固体をブフナーロートにより収集し、エタノールおよびジエチルエーテルにより洗浄した後、減圧乾燥して、(E)-2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジド(6-1)を白色の粉末(0.197 g、収率75%)として得た。
【0105】
実施例7
(E)-2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドの合成
【化37】
【0106】
オーブンで乾燥したフラスコ中、アルゴン雰囲気下で、4-(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド(5.05 g、33.85 mmol)のジエチルエーテル(60 mL)中の懸濁液に、ZnI2(0.325 g、1.0 mmol)を加えた。トリメチルシリルシアニド(5.00 mL、40.0 mmol)をゆっくりと加え、混合物を室温で1.75時間撹拌した。溶液をEtOAcにより希釈し、飽和NaHCO3水溶液、水および食塩水により洗浄した後、Na2SO4により乾燥した。減圧濃縮した後、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(トリメチルシリルオキシ)アセトニトリルが灰色の固体(8.3 g、収率99%)として得られた。
【化38】
【0107】
2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(トリメチルシリルオキシ)アセトニトリル(7.19 g、28.9 mmol)のTHF(35 mL)溶液に、1M HCl水溶液(1 mL)を加えて、混合物を1時間攪拌した。次に追加の1M HCl(1 mL)を加えて、反応混合物をさらに50分間撹拌した。混合物に固体のNaHCO3を加えて塩基性にした後、EtOAcおよび水により希釈した。相を分離し、有機相を飽和NaHCO3水溶液、水および食塩水により洗浄した。溶液をNa2SO4により乾燥し、減圧濃縮して、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-ヒドロキシアセトニトリルを白っぽい固体(5.2 g、定量的収率)として得た。生成物をさらに精製することなく使用した。
【化39】
【0108】
2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-ヒドロキシアセトニトリル(5.7 g、32.3 mmol)の無水エタノール(60 mL)中の懸濁液を氷冷して、HClの気泡を15分間通した。すべての固体が溶解した。氷浴を取り除き、混合物を15分間撹拌した。水(5 mL)を加えて、混合物を40分間撹拌した後、60℃で1.5時間加熱した。混合物をさらに水により希釈した後、NaHCO3を加えてpH9〜10の塩基性にした。水性混合物をEtOAcにより2回抽出し、有機相を合わせて水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、セライトにより吸引濾過し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(25〜50% EtOAc-ヘキサン)により精製して、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-ヒドロキシ酢酸エチルを淡黄色の固体(2.32 g、収率32%)として得た。
【化40】
【0109】
実施例6の調製に使用した方法により、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-ヒドロキシ酢酸エチルから2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシ酢酸エチルを合成した。生成物は、抽出による後処理の後、橙色のオイル(0.675 g、収率65%)として単離され、それ以上の精製をおこなうことなく使用した。
【化41】
【0110】
2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシ酢酸エチル(0.675 g、2.84 mmol)の無水エタノール(20 mL)溶液に、ヒドラジン水和物(0.8 mL、16.4 mmol)を加えて、混合物を22時間加熱還流した。追加のヒドラジン水和物(1.0 mL、20.6 mmol)を加えて、7時間加熱を続けた。室温に冷却した後、混合物を減圧濃縮した。残渣をEtOAcに溶解し、水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。固体の生成物に熱いジエチルエーテルを加えて撹拌し、次いでヘキサンを加えた。室温に冷却した後、固体をブフナーロートにより収集し、50%ジエチルエーテル-ヘキサンにより洗浄し、減圧乾燥して、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシアセトヒドラジドを、橙色の固体(0.246 g)として得た。クロマトグラフィー(80〜100% EtOAc-ヘキサン、次いで5% メタノール-EtOAc)により母液からさらなる生成物が単離され、白っぽい固体(0.173 g、合計収率66%)として得た。
【化42】
【0111】
実施例6の調製に使用した方法により、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシアセトヒドラジドから(E)-2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドを合成した。生成物(7-1)を白色の固体(0.0626 g、収率34%)として得た。
【0112】
実施例8
(E)-2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドの合成
【化43】
【0113】
ベンゾ[b]チオフェン-2-カルバルデヒド(2.19 g、13.5 mmol)の無水THF(200 mL)溶液に、NaHSO3(6.18 g、59.4 mmol)の水(50 mL)溶液を加えた。KCN(3.248 g、49.9 mmol)を加えて、混合物を室温で22時間撹拌した。次に反応混合物を45℃に1時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を水および食塩水により希釈し、EtOAcにより3回抽出した。有機相を合わせて食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(0〜25% EtOAc-ヘキサン)により精製して、2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-ヒドロキシアセトニトリルを白っぽい固体(1.09 g、収率46%)として得た。
【化44】
【0114】
2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-ヒドロキシアセトニトリル(5.76 mmol)の3M HCl水溶液(20 mL)およびメタノール(8 mL)中の混合物を60℃に10分間、次いで80℃に20時間加熱した。次に濃HCl(10 mL)を加えて、加熱を5時間続けた。室温に冷却した後、揮発物質を減圧除去した。残渣をEtOAcにより抽出し、有機相を合わせて水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮して、2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-ヒドロキシ酢酸を褐色のオイル(1.20 g)として得た。これをさらに精製して使用した。
【0115】
2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-ヒドロキシ酢酸(1.20 g、約5.76 mmol)の無水メタノール(10 mL)溶液に濃H2SO4(0.25 mL)を加えた。混合物を60℃に19時間加熱した。加熱温度を70℃に上げ、3.5時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を水により希釈し、EtOAcにより抽出した。有機相を合わせて希NaHCO3水溶液および食塩水により洗浄した後、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(10〜25% EtOAc-ヘキサン)により精製して、2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-メトキシ酢酸メチル(0.464 g、35%)を得た。
【化45】
【0116】
2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-メトキシ酢酸メチル(0.174 g、0.74 mmol)の無水エタノール(3 mL)溶液に、ヒドラジン水和物(0.14 mL、2.87 mmol)を加えて、混合物を50℃に20時間加熱した。室温に冷却した後、溶液を減圧濃縮した。残渣をEtOAcに溶解し、水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮して、2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-メトキシアセトヒドラジドを無色のオイル(0.182 g、定量的収率)として得た。
【化46】
【0117】
実施例6の調製に使用した方法により、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシアセトヒドラジドから(E)-2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドを合成した。生成物(8-1)が白色の固体(0.089 g、収率60%)として得られた。
【0118】
実施例9
(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-3-メチル-2-フェニルブタンヒドラジドの合成
2-フェニル酢酸メチル
【化47】
【0119】
2-メチル-2-フェニル酢酸(10g、1当量)の乾燥MeOH溶液を撹拌して、硫酸(1.0 mL)を滴下し、加熱還流した。次に撹拌を2時間続けた。次に反応混合物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液中に注ぎ、EtOAcにより抽出した。有機フラクションを合わせてNa2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、オイル(10.5 g、95%)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0120】
3-メチル-2-フェニル酪酸メチル
【化48】
【0121】
3-メチル-2-フェニル酪酸メチル (0.5g、1当量)の乾燥THF溶液を撹拌して、HMPA(1当量)、LiHMDS(1当量)、および2-ブロモプロパンを-40〜0℃で1時間かけて加えた。反応混合物に水を加えて反応を止め、EtOAcにより抽出した。有機フラクションを合わせて、Na2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮してオイルを得た。これを、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物(0.24 g、34%)を得た。
【0122】
3-メチル-2-フェニルブタンヒドラジド
【化49】
【0123】
3-メチル-2-フェニル酪酸メチル(0.87g、1当量)およびヒドラジン水和物(10 mL)の溶液を撹拌しながら110℃に12時間加熱した。次に反応混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。粗オイルをEtOAcにより希釈し、H2Oにより洗浄し、有機相をNa2SO4により乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去して、黄色のオイル(0.17 g、47%)を得た。これを、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して生成物(0.61 g)を得た。
【0124】
(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-3-メチル-2-フェニルブタンヒドラジド
【化50】
【0125】
実施例1の調製に使用した方法により、3-メチル-2-フェニルブタンヒドラジドから(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-3-メチル-2-フェニルブタンヒドラジドを合成した。生成物(9-1)を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製して、固体(0.109 g、収率10%)を得た。
【0126】
実施例10
(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-2-メトキシ-N-メチル-2-フェニルアセトヒドラジドの合成
【化51】
【0127】
実施例6の調製に使用した方法により(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-2-メトキシ-N-メチル-2-フェニルアセトヒドラジド(12-70)を合成した。オーブンで乾燥したフラスコ中、アルゴン雰囲気下で、(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-2-メトキシ-2-フェニルアセトヒドラジド(12-21)(0.56g)の無水DMF溶液に、ヨードメタン(1当量)、次いでNaH(油中60%;1.1当量)を加えて、混合物を2時間撹拌した。食塩水を加えて反応を止め、水によりさらに希釈した。水性混合物をEtOAcにより抽出し、有機相を合わせて水により3回、食塩水により1回洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィーにより精製して、生成物(12-70)(0.4 g、70%)を得た。
【0128】
実施例11
(E)-2-(4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)-N'-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-メトキシ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)アセトヒドラジドの合成
【化52】
【0129】
(E)-2-(4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)-N'-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-メトキシアセトヒドラジド(0.167 g、0.35 mmol)の無水DMF(3.0 mL)溶液に、アルゴン雰囲気下でNaHの鉱油中60%分散物(0.017 g、0.43 mmol)を加えて10分間撹拌した。1,1,1-トリフルオロ-3-ヨードプロパン(0.042 mL、0.43 mmol)を加えて、混合物を室温で24時間撹拌した後、100℃に10日間加熱した。次に追加の1,1,1-トリフルオロ-3-ヨードプロパン(0.042 mL、0.43 mmol)を加えて、反応液を150℃に1時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を水および食塩水により希釈し、EtOAcにより抽出した。有機相を合わせて食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(20〜50% EtOAc-ヘキサン)により精製して、生成物(11-1)を淡黄色の固体(0.0543 g、収率28%)として得た。
【0130】
実施例12
さらなる代表的な化合物の合成
下記の表1に示す通りの代表的な化合物を、(i)適切な出発物質を選択することにより前記方法に従って合成し(例えば、4-フルオロマンデル酸誘導体(例えば、実施例12-1および12-3)を市販の4-フルオロマンデル酸を使用して合成した)、また、(ii)公知の有機合成技術に従って合成した(例えば、市販のα-フェニル酢酸メチルエステルをエタノール中、加熱しながらヒドラジン水和物により処理することにより、フェニル-酢酸ヒドラジドが得られ(例えば、Pandeye, S. N.; Manjula, H.; Stables, J. P.; Pharmazie; 2001, 56, 121-124を参照されたい)、フェニル酢酸ヒドラジドを触媒量の酢酸の存在下、エタノール中で加熱しながら置換ベンズアルデヒドにより処理することにより、対応する置換フェニル-酢酸ベンジリデンヒドラジドが得られる(例えば、Stephanidou-Stephanatou, J.; Lefkopoulou, S; Journal of Heterocyclic Chemistry; 1982; 19; 705-711.0を参照されたい))。
【表1】
【0131】
実施例13
化合物のアッセイ
PDE10生化学アッセイ
ホスホジエステラーゼ(PDE)アッセイを、Sf9細胞を使用してバキュロウイルス発現系に発現した組換えヒトPDE 1A3、2A3、3触媒領域、4触媒領域、5触媒領域、7A、8A、9A2、10A1および11A1酵素を用いて実施した。PDE活性を、96ウェルプレートフォーマットに適合するように修正した上記のThompsonおよびApplemanの二段階法を使用して測定した。PDE阻害剤の効果を、KiがIC50に等しくなるようなKmである、下記の試験化合物濃度および基質濃度の存在下で一定量の酵素をアッセイすることにより測定した。最終アッセイ体積は、アッセイ緩衝液(10mM MgCl2;40mM Tris.HCl;pH 7.4)を加えて110μlとした。酵素により反応を開始し、(3H)-基質および物質と共に30℃で20分間インキュベートした。酵素を変性させることにより反応を終結した(反応液を70℃に2分間加熱した)。次に,反応液を4℃に10分間冷却した後、ヘビ毒(Crotalus atrox、0.2 mg/ml)を30℃で10分間加えて、トリチウム化された基質の非特異的加水分解をおこなった。残った加水分解されていない環状ヌクレオチドの分離を、活性化されたDowex(200μl)アニオン交換樹脂への混合物のバッチ結合により達成した。アニオン交換樹脂は荷電したヌクレオチドに結合し、加水分解された(3H)基質のみが可溶性分画に残った。次に可溶性分画(50μl)をmicroscint-20 (200μl)に加えて、Top Countプレートリーダーによりカウントした。Graph Pad Prismソフトウェアを用いて放射能単位を阻害剤濃度に対してプロットし、IC50値を得た。
【0132】
あるいは、ホスホジエステラーゼ活性を、基質として[3H]-cGMPを用いるシンチレーション近接アッセイ(SPA)により測定した。精製PDE10を25 mM Tris-Cl(pH 8.0)/100 mM NaCl/0.05% Tween 20/50%グリセリン/3 mM DTTにより希釈して保存した。アッセイは、0.1 mLの最終体積中に、50 mM Tris-Cl(pH 7.5)/8.3 mM MgCl2/1.7 mM EGTA/0.5 mg/ml BSA/5% DMSOおよび2 ng PDE10を含有した(最終濃度)。8つの濃度で2回ずつ阻害を評価した。酵素を加えることにより反応を開始し、30℃で20分の後、50μlのZn++を含有するSPAビーズを加えることにより反応を終結させた。混合物を振盪し、3時間沈殿させ、Wallacプレートカウンターによりカウントした。結果(正味のcpm)をExcel Solver(登録商標)を用いて4パラメーターロジスティックモデルに当てはめた。
【0133】
さらに、PDE10阻害剤による他のPDE酵素の阻害を、加える酵素の量をそれぞれのPDEに最適化した点以外は、上記のPDE10の場合と同じ条件下で評価した。4つの濃度(0.1、1、10、および100μM)で阻害率(fractional inhibition)を評価した。最も高い濃度における阻害が50%未満である場合、ロジスティックモデルにおける下限値を0%活性に固定した。
【0134】
上記アッセイにおいて、本発明の化合物は100μM以下、一般に10μM未満、典型的には1μM未満のIC50を有するPDE10阻害剤である。例えば、化合物1-1、2-1、3-1、4-1、5-1、6-1、7-1、8-1、9-1、11-1、12-1、12-2、12-3、12-4、12-5、12-6、12-7、12-8、12-9、12-10、12-12、12-13、12-14、12-15、12-16、12-17、12-18、12-19、12-20、12-21、12-22、12-23、12-24、12-25、12-26、12-41、12-42、12-43、12-44、12-45、12-46、12-47、12-48、12-49、12-50、12-51、12-52、12-55、12-56、12-57、12-58、12-59、12-60、12-61、12-62、12-63、12-64、12-65、12-66、12-67、12-68、12-69、12-70、12-71、12-80、12-82、12-83、12-84、12-85、12-86、12-87、12-88、12-89、12-90、12-104、12-105、12-107、12-108、12-109、12-111、12-112、12-114、12-115、12-116、12-117、12-118、12-119、12-120、12-121、12-122、12-123、12-124、12-125、12-126、12-127、12-128、12-129、12-130、12-131、12-132、12-133、12-134、12-135、12-136、12-137、12-138、12-139、12-140、12-141、12-142、12-144および12-155は、1μM以下のIC50値を有することが見出された。
【0135】
実施例14〜15
行動モデルにおける代表的化合物の評価
統合失調症は、ドーパミン、グルタミン酸およびセロトニン神経伝達の機能不全と関連づけられてきた。これら3つのクラスの精神刺激薬、ドーパミン作動薬(例えばアンフェタミンおよびアポモルフィン)、グルタミン酸拮抗薬(例えば、PCPおよびケタミン)、およびセロトニン作動薬(例えば、LSDおよびMDMA)はすべて、動物においてヒトの統合失調症の症状に極めて類似した精神異常発現状態(例えば、活動亢進およびプレパルス抑制の障害)を誘導する。公知の抗精神病薬は、定型抗精神病薬(例えば、ハロペリドール)および非定型抗精神病薬(例えば、オランザピン)のどちらも、動物におけるこのような精神異常発現状態を回復させる。下記の実施例14〜15において、本発明の代表的な化合物を動物行動モデルにおいて評価して、公知の抗精神病薬のそれに対する効果と比較する。実施例14〜15において使用した方法は、以下の通りである。
【0136】
精神刺激薬誘導性活動亢進を、動物にPCPを注射して、40×40 cmの大きさのVersaMax室(Accuscan Instruments, Columbus, OH)中の動物の活動レベルをモニターすることにより測定する。動物が各ビームを横切る際の光ビームの切断により自発運動活性を検出する。動物をフィールドの中心に置き、一定時間(20分間または2時間)自由にさせて、新しい環境における動物の自発的活動性を測定する。自発運動活性を評価するために使用した測定には、水平運動活性、総移動距離、垂直運動活性(立ち上がり行動 - 動物が後肢で立ち上がる)、回転、常同、および総移動距離と比較した中心における移動距離(中心:総移動距離)が含まれる。NMDA拮抗薬のPCPは、活動亢進および常同行動の増加として現れる精神病様状態を誘導する。公知の抗精神病薬は、精神刺激薬誘導性活動亢進および増大した常同行動を回復することが可能である。
【0137】
条件回避反応(CAR)は、試験化合物の抗精神病薬効果を評価する行動試験である。これは、格納式のドアにより分離された2つの等しい室を有するシャトルボックス(Med Associates, St. Albans, VT)を利用する。それぞれの室に独立して電気ショックを送ることができる金属製格子床が取り付けられている。コンピュータープログラムを使用して、試験パラダイムを実行し、ならびに赤外線ビームセンサーにより2つの室の間の動物の動きを記録する。試験パラダイムは以下の通りである。マウスを1つの室に入れる。光(条件刺激、CS)を点ける。5秒後、弱い電気ショック(0.4 mA)(無条件刺激、US)を、マウスが位置する方の室(赤外線ビームにより検出する)に送り、マウスが隣の室に逃げるか、10秒が経過するまで続ける。USおよびCSは常に同時終了する。平均15秒のランダム化された試験間隔で、それぞれのマウスに1日30回の上記CS-US対試験をおこなう。それぞれの試験について、ショックを与えた後に(すなわち、10秒のUS時間内に)マウスが他の室に渡った場合には逃避反応が記録され、マウスが最初の5秒のCSのみの時間に他の室に渡った場合には回避反応が記録される。動物を上記のパラダイムにより15〜20日間訓練すると、その間に回避反応の平均パーセンテージは60〜80%に改善される。これは、動物がCS(光)の活性化で反対側の室に移動することにより足のショックの開始を回避することを学んだことを示す。これらの訓練された動物を、次に同じパラダイムを用いる化合物試験に使用する。公知の抗精神病薬は条件回避反応を阻害することが見出されており、新規化合物のこの反応を阻害する能力はヒトにおける抗精神病効果を予測させるものであると考えられる。
【0138】
実施例14
PCP誘導性活動亢進の抑制
本発明の化合物12-63、12-55および12-60(実施例12の表1に定義されるもの)を、PCP誘導性活動亢進を有意におよび実質的に抑制する能力について評価した。C57BL/6雄マウスに化合物(10 mg/kg)またはビヒクルのいずれかを腹腔内注射した。10分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの自発運動活性を20分間赤外線ビームの切断によりモニターした。図1は、化合物12-63が、PCPにより誘発される活動亢進をビヒクルと比較して有意に抑制したことを示している(p<0.0001、群あたりn=8、反復測定ANOVA)。図2は、化合物12-55(10 mg/kg、腹腔内)も実質的に活動亢進を抑制することを示しており(ビヒクルと比較してp=0.0008、群あたりn=8、反復測定ANOVA)、図3は、化合物12-60に関して同様の結果を示している(ビヒクルと比較してp<0.0001、群あたりn=8、反復測定ANOVA)。
【0139】
実施例15
条件回避反応の抑制
本発明の化合物12-44(実施例12の表1に定義されるもの)を、経口投与後に条件回避反応を抑制する能力について評価し、結果を図4に示した。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約20〜25回の回避反応のプラトーに達した(「トレーニングプラトー」)。次に、マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを腹腔内注射して、20分後にそれらをCARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図4は、化合物12-44が、10 mg/kg(p=0.01、群あたりn=6、2標本t検定)および30 mg/kg(p=0.001、群あたりn=6、2標本t検定)の両方の経口投与で回避反応の数を有意に減少させることを示している。後者の用量では、回避の数は28から7に大幅に減少する。
【0140】
実施例16
化合物12-63によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図5Aに示す通り、化合物12-63(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。15分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図5Aは、化合物12-63(4および10 mg/kg)が、ビヒクル+PCP対照群と比較して、PCPにより誘導された活動亢進を減少または消失させることを示している(用量10 mg/kgに対してp = 0.00003、群あたりn=8、2標本t検定)。
【0141】
実施例17
化合物12-63による条件回避反応の抑制
図5Bに示す通り、化合物12-63(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した(「トレーニングプラトー」)。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、CARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図5Bは、化合物12-63(10 mg/kg)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(p = 0.007、群あたりn=6)。これらすべてのケースにおいて、逃避反応の数は対応して増加し、2つの室の間の移動の総数は変化しなかった(データは示さない)。これは、運動機能不全のためでなく、CARの特異的抑制であることを示している。
【0142】
実施例18
化合物12-104によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図6Aに示す通り、化合物12-104(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図6Aは、化合物12-104(3および6 mg/kg)が、ビヒクル+PCP対照との比較によりわかる通り、PCPにより誘導された活動亢進を減少または消失させることを示している(p = 0.0189、群あたりn=8、独立標本t検定)。
【0143】
実施例19
化合物12-104による条件回避反応の抑制
図6Bに示す通り、化合物12-104(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、次いでCARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図6Bは、化合物12-104(10および30 mg/kg)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(p = 0.0159、群あたりn=7)。
【0144】
実施例20
化合物12-114によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図7Aに示す通り、化合物12-114(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、それらにPCP(5 mg/kg、腹腔内)を注射した。10分後、マウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図7Aは、化合物12-114(10 mg/kg)が、ビヒクル+PCP対照との比較によりわかる通り、PCPにより誘導された活動亢進を完全に消失させることを示している(p < 0.0000001、群あたりn=8、独立標本t検定)。
【0145】
実施例21
化合物12-114による条件回避反応の抑制
図7Bに示す通り、化合物12-114(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、次いでCARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図7Bは、化合物12-114(10 mg/kg)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(p = 0.0003、群あたりn=7、2標本t検定)。
【0146】
実施例22
化合物12-132によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図8Aに示す通り、化合物12-132(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスにPCP(5 mg/kg)および化合物またはビヒクルのいずれかを腹腔内経路により同時注射した。10分後、マウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図8Aは、化合物12-132(10 mg/kg)が、ビヒクル+PCP対照との比較によりわかる通り、PCPにより誘導された活動亢進を実質的に減少させることを示している(p < 0.0000001、群あたりn=8、2標本t検定)。
【0147】
実施例23
化合物12-132による条件回避反応の抑制
図8Bに示す通り、化合物12-132(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した(「トレーニングプラトー」)。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、次いでCARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図8Bは、化合物12-132(10 mg/kg)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(p = 0.044、群あたりn=7)。これらすべてのケースにおいて、逃避反応の数は対応して増加し、2つの室の間の移動の総数は変化しなかった(データは示さない)。これは、運動機能不全のためでなく、CARの特異的抑制であることを示している。
【0148】
実施例24
化合物12-134によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図9Aに示す通り、化合物12-134(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図9Aは、化合物12-134(4、6および10 mg/kg)が、ビヒクル+PCP対照との比較によりわかる通り、PCPにより誘導された活動亢進を減少または消失させることを示している(それぞれp = 0.0033、0.0012、および0.00001、群あたりn=8、独立標本t検定)。
【0149】
実施例25
化合物12-134による条件回避反応の抑制
図9Bに示す通り、化合物12-134(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、次いでCARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図9Bは、化合物12-134(3、6および10 mg/kg)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(それぞれp = 0.0117、0.0043、および8E-9、群あたりn=7)。
【0150】
実施例26
化合物12-115によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図10Aに示す通り、化合物12-115(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図10Aは、化合物12-115が、2および5 mg/kgの経口投与で活動亢進を有意に抑制し(それぞれp = 0.02および0.001)、10 mg/kgの経口投与において活動亢進を消失させること(p = 1.5 E-5、群あたりn=8、独立標本t検定)を示している。
【0151】
実施例27
化合物12-115による条件回避反応の抑制
図10Bに示す通り、化合物12-115(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、CARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図10Bは、化合物12-115(10 mg/kg、経口)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(p = 1.2 E-5、群あたりn=7、2標本t検定)。
【0152】
実施例28
化合物12-140によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図11Aに示す通り、化合物12-140(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図11Aは、化合物12-140が、4および8 mg/kgの経口投与で活動亢進を有意に減少または消失させることを示している(それぞれp = 0.004および5.9 E-8、群あたりn=8、独立標本t検定)。
【0153】
実施例29
化合物12-140による条件回避反応の抑制
図11Bに示す通り、化合物12-140(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、CARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図11Bは、化合物12-140が、6および10 mg/kgの用量で回避反応の数を有意に減少させることを示している(それぞれp = 0.00053および3.1 E-12、群あたりn=7、2標本t検定)。
【0154】
実施例30
化合物12-142によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図12Aに示す通り、化合物12-142(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図12Aは、化合物12-142が、8 mg/kgの経口投与で活動亢進を基本的に消失させることを示している(p = 5.9 E-6、群あたりn=8、独立標本t検定)。
【0155】
実施例31
化合物12-142による条件回避反応の抑制
図11Bに示す通り、化合物12-142(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、CARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図11Bは、化合物12-142が、5 mg/kgの用量で回避反応の数を有意に減少させることを示している(それぞれp = 0.033、群あたりn=7、2標本t検定)。
【0156】
本明細書において、説明の目的で本発明の特定の実施形態について記載したが、発明の趣旨および範囲から逸脱することなく種々の変更をおこなうことが可能である。したがって、本発明は特許請求の範囲以外のものにより限定されない。
【技術分野】
【0001】
本出願は、35 U.S.C. §119(e)に従い、2008年8月5日に出願された米国仮特許出願第61/086,406号、2008年11月26日に出願された米国仮特許出願第61/118,088号、および2009年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/218,311号の優先権を主張する。前記出願の全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、一般に、PDE10阻害剤としての活性を有する化合物、およびそれを含有する組成物、ならびに前記化合物をそれを必要とする温血動物に投与することによる種々の障害の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)は、大きい酵素スーパーファミリーである。PDEは、カルボキシ末端に近接する保存された触媒ドメイン、およびしばしばアミノ末端の近くにある調節ドメインまたはモチーフを有するモジュラー構造を有する。最近では、PDEスーパーファミリーには20を超える異なる遺伝子が含まれ、11のPDEファミリーにサブグループ化されている(Lugnier, C., “Cyclic nucleotide phosphodiesterase (PDE) superfamily: a new target for the development of specific therapeutic agents.” Pharmacol Ther. 2006 Mar; 109(3):366-98)。
【0004】
最近開示されたPDEであるPDE10は、3組の独立したグループにより同時に報告された(Fujishige ら, “Cloning and characterization of a novel human phosphodiesterase that hydrolyzes both cAMP and cGMP (PDE10A),” J Biol Chem 1999, 274:18438-18445; Loughney ら, “Isolation and characterization of PDE10A, a novel human 3′, 5′-cyclic nucleotide phosphodiesterase,” Gene 1999, 234:109-117; Soderlingら, “Isolation and characterization of a dual-substrate phosphodiesterase gene family: PDE10A,” Proc Natl Acad Sci USA 1999, 96:7071-7076)。PDE10は、cAMPおよびcGMPの両方を加水分解する能力を有するが、cGMPに対するKMが3μMであるのに対して、cAMPに対するKmは約0.05μMである。さらに、cAMP加水分解のVmaxは、cGMPよりも5倍低い。これらの速度論のため、PDE10によるcGMPの加水分解は、in vitroにおいてcAMPにより強く阻害され、PDE10がin vivoにおいてcAMPに阻害されるcGMPホスホジエステラーゼとして機能し得ることを示唆している。PDE8またはPDE9と異なり、PDE10はIBMXにより2.6μMのIC50(50%阻害濃度)で阻害される(Soderling およびBeavo, “Regulation of cAMP and cGMP signaling: new phosphodiesterases and new functions,” Current Opinion in Cell Biology, 2000, 12:174-179を参照されたい)。
【0005】
PDE10は、PDE2、PDE5およびPDE6のcGMP結合ドメインと類似する、幅広い種類のタンパク質に渡って保存されるドメインである2つのアミノ末端ドメインを含む。このドメインが広く保存されるため、現在これはGAFドメインと呼ばれる(GAFタンパク質:cGMP結合ホスホジエステラーゼ;シアノバクテリア(cynobacterial)のアナベナ(Anabaena)アデニリルシクラーゼ;および大腸菌(Escherichia coli)転写調節因子fhlAに対する)。PDE2、PDE5およびPDE6においてGAFドメインはcGMPに結合するが、これはおそらくすべての場合においてこのドメインの主要な機能ではない(例えば、大腸菌はcGMPを合成しないと考えられている)。興味深いことに、PDE10のin vitroでの結合研究により、cGMP結合に対する解離定数(Kd)は9μMを優に上回ることが示されている。cGMPのin vivoでの濃度はほとんどの細胞においてこのような高レベルに達することはないと考えられるので、PDE10のcGMPに対する親和性が調節により増大するか、PDE10におけるGAFドメインの主要な機能がcGMP結合以外のものであるかのいずれかであると思われる。
【0006】
PDEファミリーの酵素の阻害剤は、治療用途に広い適応を有するために広く探し求められてきた。報告されたPDE阻害剤の治療用途には、アレルギー、閉塞性肺疾患(obtrusive lung disease)、高血圧、腎臓癌、狭心症、うっ血性心不全、鬱病および勃起障害が含まれる(WO 01/41807 A2)。別のPDE阻害剤は虚血性心疾患の治療に使用されることが開示された(米国特許第5,693,652号)。より特定的には、PDE10の阻害剤は、ある種の神経および精神障害、例えばパーキンソン病、ハンチントン病、統合失調症、妄想性障害、薬剤性精神病、ならびにパニックおよび強迫性障害の治療に使用されることが開示された(米国特許出願第2003/0032579号)。PDE10は、多くの神経および精神障害に密接に関連する脳の領域のニューロンに高レベルで存在することが示された。PDE10活性を阻害することにより、cAMPおよびcGMPのレベルがニューロン内で上昇し、それにより、これらのニューロンの適切に機能する能力が改善される。そのため、PDE10の阻害は、上記の神経、精神、不安および/または運動障害を含む、ニューロン内のcAMPおよびcGMPのレベルを上昇させることにより恩恵を得る可能性がある非常にさまざまな疾患または障害の治療に有用であると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 01/41807 A2
【特許文献2】米国特許第5,693,652号
【特許文献3】米国特許出願第2003/0032579号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Lugnier, C., Pharmacol Ther. 2006 Mar; 109(3):366-98
【非特許文献2】Fujishigeら, J Biol Chem 1999, 274:18438-18445
【非特許文献3】Loughney ら, Gene 1999, 234:109-117
【非特許文献4】Soderling ら, Proc Natl Acad Sci USA 1999, 96:7071-7076
【非特許文献5】SoderlingおよびBeavo, Current Opinion in Cell Biology, 2000, 12:174-179
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
PDE10の阻害に関する研究が進展しているものの、PDE10の阻害剤の分野における必要性、ならびにPDE10の阻害剤により恩恵を受ける種々の疾患および/または障害の治療の必要性は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
簡潔に述べると、本発明は、一般に、PDE10阻害剤としての活性を有する化合物、ならびにそれらの調製および使用、ならびにそれらを含有する医薬組成物に関する。
【0011】
一実施形態において、化合物は下記の一般構造(I):
【化1】
[式中、X、R1、R2、R3、R4およびR5は下に定義する通りである]
を有し、その製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物およびプロドラッグを含む。
【0012】
別の実施形態において、化合物は下記の一般構造(IV):
【化2】
[式中、R1、R2、R3、R4およびR5は下に定義する通りである]
を有し、その製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物およびプロドラッグを含む。
【0013】
本発明の化合物は、広い範囲の治療上の応用に有用性を有し、特にニューロン内のcAMPおよびcGMPレベルの上昇により恩恵を受け得る非常にさまざまな疾患または障害を治療するために使用し得る。これらの疾患または障害としては、神経障害、例えば、精神障害、不安障害、運動障害および/または神経障害、例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳炎、恐怖症、てんかん、失語症、ベル麻痺、脳性麻痺、睡眠障害、疼痛、トゥレット症候群、統合失調症、妄想障害、双極性障害、心的外傷後ストレス障害、薬剤性精神病、パニック障害、強迫性障害、注意欠陥障害、崩壊性行動障害、自閉症、鬱病、認知症、認知障害、てんかん、不眠症および多発性硬化症が挙げられる(しかしこれらに限定されない)。
【0014】
本発明の方法は、有効量の前記構造の化合物を、典型的には医薬組成物の形態で、それを必要とする哺乳類(ヒトを含む)に投与することを含む。そこで、さらなる実施形態において、1種以上の前記構造の化合物を製薬上許容される担体または希釈剤と組み合わせて含有する医薬組成物が開示される。
【0015】
これらおよび他の本発明の態様は、以下の詳細な説明を参照することにより明らかになるであろう。この目的で、本明細書において、ある種の背景技術情報、方法、化合物および/または組成物についてより詳細に説明する種々の参照文献を示し、それらの全体をそれぞれ参照により本明細書に組み入れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の化合物12-63(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の神経刺激薬(PCP)誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図2】本発明の化合物12-55(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図3】本発明の化合物12-60(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図4】本発明の化合物12-44(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図5A】本発明の化合物12-63(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図5B】本発明の化合物12-63(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図6A】本発明の化合物12-104(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図6B】本発明の化合物12-104(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図7A】本発明の化合物12-114(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図7B】本発明の化合物12-114(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図8A】本発明の化合物12-132(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図8B】本発明の化合物12-132(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図9A】本発明の化合物12-134(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して、用量に依存して有意に減少させることを示す図である。
【図9B】本発明の化合物12-134(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して、用量に依存して有意に減少させることを示す図である。
【図10A】本発明の化合物12-115(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して、用量に依存して有意に減少させることを示す図である。
【図10B】本発明の化合物12-115(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図11A】本発明の化合物12-140(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して、用量に依存して有意に減少させることを示す図である。
【図11B】本発明の化合物12-140(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して、用量に依存して有意に減少させることを示す図である。
【図12A】本発明の化合物12-142(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病のPCP誘導モデルにおけるマウスの活動亢進を、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【図12B】本発明の化合物12-142(実施例12の表1に定義されるもの)が、精神病の条件回避反応(CAR)モデルで訓練したマウスにおけるCARを、ビヒクル対照と比較して有意に減少させることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
上記の通り、本発明は、一般に、PDE10阻害剤として有用な化合物、ならびにそれらの調製および使用、ならびに前記化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0018】
一実施形態において、PDE10阻害剤は下記の構造(I):
【化3】
[式中、
Xは、-O-または-S-であり;
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2およびR3は同一であるか異なっており、独立して置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有し、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物またはプロドラッグである。
【0019】
別の実施形態において、PDE10阻害剤は下記の構造(IV):
【化4】
[式中、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、置換または無置換アリールであり;
R3は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有し、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物またはプロドラッグである。
【0020】
本明細書において使用する場合、上記の用語は以下の意味を有する。
【0021】
「アミノ」は、-NH2基を指す。
【0022】
「シアノ」は、-CN基を指す。
【0023】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0024】
「イミノ」は、=NH置換基を指す。
【0025】
「ニトロ」は、-NO2基を指す。
【0026】
「オキソ」は、=O置換基を指す。
【0027】
「チオキソ」は、=S置換基を指す。
【0028】
「C1-6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖、非環式または環式、不飽和または飽和脂肪族炭化水素基を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等が挙げられ;一方、飽和分枝鎖アルキルとしては、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル等が挙げられる。代表的な飽和環式アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられ;一方、不飽和環式アルキルとしては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニル等が挙げられる。不飽和アルキルは、隣接する炭素原子間に少なくとも1個の二重結合または三重結合を有する(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ぶ)。代表的な直鎖および分枝鎖アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル等が挙げられ;一方、代表的な直鎖および分枝鎖アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニル等が挙げられる。
【0029】
「C1-6アルキレン」または「C1-6アルキレン鎖」は、炭素および水素のみからなり、飽和または不飽和(すなわち、1個以上の二重結合および/または三重結合を有する)であり、1〜6個の炭素原子を有する、分子の残りの部分をラジカル基に連結する直鎖または分枝鎖二価炭化水素鎖を指し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン、プロピニレン、n-ブチニレン等を指す。アルキレン鎖は単結合または二重結合を介して分子の残りの部分に結合し、また、単結合または二重結合を介してラジカル基に結合する。アルキレン鎖の分子の残りの部分およびラジカル基への結合の位置は、1個の炭素または鎖内の任意の2個の炭素であってよい。
【0030】
「C1-6アルコキシ」は、式-ORa [式中、Raは、上に定義した通りのアルキル基である]の基、例えば、メトキシ、エトキシ等を指す。
【0031】
「アリール」は、水素、6〜18個の炭素原子、および少なくとも1個の芳香環を含む炭化水素環系基を意味する。アリール基は単環、二環、三環または四環系であってよく、縮合環系または架橋環系を含み得る。アリール基としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、およびトリフェニレンに由来するアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
「C1-6アラルキル」は、式-Rb-Rc [式中、Rbは上に定義した通りのアルキレン鎖であり、Rcは上に定義した通りの1個以上のアリール基である]の基、例えばベンジル、ジフェニルメチル等を意味する。
【0033】
「シクロアルキル」または「炭素環」は、炭素および水素のみからなる安定な非芳香族単環式または多環式炭化水素基を指し、該基は、3〜15個の炭素原子を有する、好ましくは3〜10個の炭素原子を有する縮合環系または架橋環系を含み、かつ飽和または不飽和であり、単結合により分子の残りの部分に結合する。単環系基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。多環式基としては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル等が挙げられる。
【0034】
「ハロ」または「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードを指す。
【0035】
「C1-6ハロアルキル」は、上に定義した通りの1個以上のハロ基により置換された上に定義した通りのC1-6アルキル基、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチル等を指す。
【0036】
「複素環」または「ヘテロシクリル」は、4〜7員単環式または7〜10員二環式複素環を意味する。これは、飽和、不飽和または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、そこにおいて、窒素および硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、また、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよい。また、これには上記のいずれかの複素環がベンゼン環に縮合した二環も含まれる。複素環は任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合することができる。芳香族複素環は、本明細書において「ヘテロアリール」と呼ばれ、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ベンズイソキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリルおよびキナゾリニルが含まれる(これらに限定されない)。上に挙げたヘテロアリールに加えて、複素環には、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル等も含まれる。さらに、複素環にはベンゾチオフェン-2-イル、2,3-ジヒドロベンゾ-1,4-ジオキシン-6-イル、ベンゾ-1,3-ジオキソール-5-イル等も含まれる。
【0037】
本明細書において使用する用語「置換」は(例えば、置換ヘテロシクシルまたは置換アリールという文脈で)、少なくとも1個の水素原子が置換基により置き換えられていることを意味する。本発明の文脈における「置換基」には、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ニトロ、イミノ、チオキソ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環およびヘテロシクロアルキル、ならびに-NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-NRaC(=O)NRaNRb、-NRaC(=O)ORb、-NRaSO2Rb、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-C(=O)NRaRb、-OC(=O)NRaRb、-ORa、-SRa、-SORa、-S(=O)2Ra、-OS(=O)2Ra、-S(=O)2ORa、=NSO2Raおよび-SO2NRaRbが含まれる。前記において、この文脈におけるRaおよびRbは同一であるか異なっており、独立して水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルであり得る。さらに、前記置換基は1個以上の前記置換基によりさらに置換されていてもよい。
【0038】
構造(I)の別の実施形態において、Xは-O-であり、化合物は下記の構造(II):
【化5】
を有する。
【0039】
構造(II)のより特定的な実施形態において、
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、置換フェニル、または置換もしくは無置換ナフチルであり;
R3は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0040】
構造(II)のさらなるより特定的な実施形態において、R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキル(例えば、水素)であり、R1はC1-6アルキル(例えば、メチル、エチルまたはイソプロピル)であり、R3は置換フェニル(例えば、3,4,5-トリメトキシフェニルまたは4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)であり、および/またはR2は置換もしくは無置換フェニル(例えば、4-モルホリノフェニルまたは4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)、置換もしくは無置換ナフチル、または置換もしくは無置換ヘテロアリールである。
【0041】
構造(I)の別のさらなる実施形態において、Xは-S-であり、化合物は下記の構造(III):
【化6】
を有する。
【0042】
構造(III)のより特定的な実施形態において、
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2およびR3は同一であるか異なっており、独立して置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0043】
構造(III)のさらなるより特定的な実施形態において、R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキル(例えば、水素)であり、R1はC1-6アルキル(例えば、メチル、エチルまたはイソプロピル)であり、R3は置換フェニル(例えば、3,4,5-トリメトキシフェニルまたは4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)であり、および/またはR2は置換もしくは無置換フェニル(例えば、4-モルホリノフェニルまたは4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)、置換もしくは無置換ナフチル、または置換もしくは無置換ヘテロアリールである。
【0044】
構造(IV)のより特定的な実施形態において、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、
【化7】
[式中、
R2aは、-N(R2bR2c)または少なくとも1個のN環原子を有する複素環であり、かつ
R2bおよびR2cは同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキルまたはアリールである]
であり;
R3は、
【化8】
[式中、
R3aは-C1-6アルコキシであり、
R3bはハロゲンであり、かつ
R3cは-C1-6アルコキシである]
であり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0045】
構造(IV)の別のより特定的な実施形態において、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、
【化9】
[式中、
R2aは、-N(R2bR2c)または少なくとも1個のN環原子を有する複素環であり、ただし、R2aは1H-テトラゾール-1-イルではなく、かつ
R2bおよびR2cは同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキルまたはアリールである]
であり;
R3は、
【化10】
[式中、
R3aは-C1-6アルコキシであり、かつ
R3cは-C1-6アルコキシである]
であり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0046】
構造(IV)の別のより特定的な実施形態において、R4およびR5は水素またはC1-6アルキル(例えば、水素)であり、R1は水素またはC1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピルまたはシクロプロピル)であり、R3は置換フェニル(例えば、3,4,5-トリメトキシフェニルまたは4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)であり、および/またはR2は置換もしくは無置換フェニル(例えば、4-モルホリノフェニルまたは4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)または置換もしくは無置換ナフチルである。
【0047】
本発明の化合物は、実施例においてより詳細に説明する方法を含む公知の有機合成技術により調製することができ、またはある場合には販売元から購入することができる。一般に上記の構造(I)および(IV)の化合物は、下記の反応式(式中、すべての置換基は他に指示しない限り上に定義する通りである)により製造することができる。
【化11】
【0048】
式1の化合物は市販されているか、標準的な文献の方法により合成することができる。式1の化合物を、米国特許第7,129,238号(その全体を参照により本明細書に組み入れる)に開示された方法を用いて種々のアルコールと反応させて、式2の化合物を得ることができる。式2の化合物を酸性条件下で種々のアルコールと共に加熱して、式3の化合物を得ることができる。次に式3の化合物をアルコール性溶媒中、ヒドラジン水和物の存在下で加熱還流して、式4の化合物を得ることができる。式4の化合物を式5のアルデヒドまたはケトンと反応させて、構造(II)の化合物を得ることができる。
【化12】
【0049】
式1の化合物は市販されているか、標準的な文献の方法により合成することができる。式1の化合物を、種々のハロゲン化試薬、例えばNCSと反応させて、式2の化合物を得ることができる。式2の化合物をフリーデル・クラフツ反応の条件下で芳香族化合物と反応させて、式3の化合物を得ることができる。次に式3の化合物をアルコール性溶媒中、ヒドラジン水和物の存在下で加熱還流して、式4の化合物を得ることができる。式4の化合物を式5のアルデヒドまたはケトンと反応させて、構造(III)の化合物を得ることができる。
【化13】
【0050】
式1の化合物は市販されているか、標準的な文献の方法により合成することができる。式1の化合物を酸性条件下で種々のアルコールと反応させて、式2の化合物を得ることができる。式2の化合物を種々の塩基およびアルキル化試薬により処理して、式3の化合物を得ることができる。次に式3の化合物をアルコール性溶媒中、ヒドラジン水和物の存在下で加熱還流して、式4の化合物を得ることができる。式4の化合物を式5のアルデヒドまたはケトンと反応させて、構造(IV)の化合物を得ることができる。
【0051】
本発明の化合物は、一般に遊離酸または遊離塩基として利用し得る。あるいは、本発明の化合物は、酸または塩基付加塩の形態で使用し得る。本発明の遊離アミノ化合物の酸付加塩は当業者に公知の方法により調製可能であり、有機および無機酸から形成し得る。好適な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。好適な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。塩基付加塩にはカルボキシレートアニオンと共に形成される塩が含まれ、有機および無機カチオン、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウムおよびカルシウム)、ならびにアンモニウムイオンおよびその置換された誘導体(例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム等)より選択されるカチオンと共に形成される塩が含まれる。したがって、構造(I)〜(IV)の「製薬上許容される塩」という用語は、任意のおよびすべての許容される塩の形態を包含することが意図される。
【0052】
さらに、プロドラッグも本発明に包含される。プロドラッグは共有結合により結合した担体であり、このようなプロドラッグが患者に投与された時にin vivoで構造(I)〜(IV)の化合物を放出する。プロドラッグは、一般に、日常的な操作によりまたはin vivoで修飾が開裂して親化合物を生成するような方法で官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグには、例えば、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が何らかの基と結合しており、患者に投与した時に開裂してヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基を形成する本発明の化合物が含まれる。したがって、プロドラッグの代表的な例としては、構造(I)〜(IV)の化合物のアルコールおよびアミン官能基の酢酸、ギ酸および安息香酸誘導体が挙げられる(しかしこれらに限定されない)。さらに、カルボン酸(-COOH)の場合、エステル、例えばメチルエステル、エチルエステル等を使用し得る。
【0053】
さらに、下記の構造(I-A)、(I-B)、(IV-A)および(IV-B)を有するプロドラッグが、本発明の範囲に含まれる。
【化14】
[式中、R10は、C1-6アルキル、アリール、-OC1-6アルキル、-O-アリールまたは-NC1-6アルキルである]
構造(I-A)および(IV-A)のエノールプロドラッグは、それぞれ構造(I)または構造(IV)の化合物を、溶媒(例えばジクロロメタン)中で塩基(例えばトリエチルアミン)により処理した後、求電子試薬(例えば塩化アセチル)を加えることにより調製することができる。構造(I-B)および(IV-B)のN-アシル化プロドラッグは、それぞれ構造(I-A)または(IV-A)のプロドラッグを溶媒(例えばトルエン)中で加熱することによる熱転位により調製することができる。例えば、Carpinoら, J. Org. Chem., 53, 6047-6053 (1988); Geitaら, Zhurnal Organicheskoi Khimii, 13(7), 1461-1465 (1977) (Institute of Organic Synthesis, Academy of Sciences of the Latvian SSR, 1346-1350より翻訳が入手可能); Maroulisら, J. Heterocyclic Chem., 21, 1653-1656 (1984); Mongeら, J. Heterocyclic Chem., 21, 397-400 (1984);およびSinghら, Tetrahedron Letters, 29, 2711-2714 (1973)を参照されたい。
【0054】
立体異性体に関して、構造(I)〜(IV)の化合物はキラル中心を有する可能性があり、ラセミ体、ラセミ混合物および個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在し得る。このような異性体のすべてが、それらの混合物を含めて、本発明の範囲に含まれる。さらに、構造(I)〜(IV)の化合物の結晶型のいくつかは多形として存在する可能性があり、それらは本発明に含まれる。それに加えて、構造(I)〜(IV)の化合物のいくつかは、水または他の有機溶媒と溶媒和物を形成する可能性がある。このような溶媒和物も同様に本発明の範囲に含まれる。
【0055】
本発明の別の実施形態において、1種以上の構造(I)〜(IV)の化合物を含有する医薬組成物が開示される。投与の目的で、本発明の化合物は医薬組成物として製剤することができる。本発明の医薬組成物は、1種以上の本発明の化合物ならびに製薬上許容される担体および/または希釈剤を含む。PDE10阻害剤は、特定の障害を治療するのに有効な量で組成物中に存在する。すなわち、所望のPDE10阻害を達成するのに十分で、好ましくは温血動物に対して許容される毒性を有する量で存在する。典型的には、本発明の医薬組成物は、PDE10阻害剤を、投与経路に依存して、投与量あたり0.1 mg〜250 mg、より典型的には1 mg〜60 mgの量で含み得る。適切な濃度および投与量は、当業者が容易に決定することができる。
【0056】
一般論として、典型的な1日投与量は、病気のタイプおよび重篤度に依存して、1μg/kg〜100 mg/kg、好ましくは0.01〜100 mg/kg、より好ましくは0.1〜70 mg/kgの範囲であり、例えば、1回でまたは複数回に分けて投与する。数日以上に渡って繰り返して投与する場合には、病状に依存して、目的とする病徴の抑制が起こるまで治療を持続する。けれども、他の投与計画も有用であり得る。この治療法の進行は標準的な技術およびアッセイによりモニターすることができる。本発明の投薬単位の剤形の仕様は、活性化合物の固有の特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに個体の治療のためにこのような活性化合物を配合する技術に内在する限定により決定され、それらに直接依存する。
【0057】
製薬上許容される担体および/または希釈剤は当業者に公知である。液体の溶液として製剤される組成物としては、許容される担体および/または希釈剤として、生理食塩水および滅菌水が挙げられ、場合により抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および他の一般的な添加剤を加えてもよい。組成物は、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、または錠剤として製剤することも可能であり、それらはPDE10阻害剤に加えて、希釈剤、分散剤および界面活性剤、結合剤、および滑沢剤を含有する。当業者は、適切な方法で、かつ例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA 1990に開示されるもののような一般に認められた実践方法に従って、PDE10阻害剤を別の方法で製剤してもよい。
【0058】
別の実施形態において、本発明は、上に論じた通りの疾病、例えば(これらに限定されないが)、精神障害、不安障害、運動障害および/または神経障害、例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳炎、恐怖症、てんかん、失語症、ベル麻痺、脳性麻痺、睡眠障害、疼痛、トゥレット症候群、統合失調症、妄想障害、双極性障害、心的外傷後ストレス障害、薬剤性精神病、パニック障害、強迫性障害、注意欠陥障害、崩壊性行動障害、自閉症、鬱病、認知症、認知障害、てんかん、不眠症および多発性硬化症を治療する方法を提供する。上記方法は、本発明の化合物を、疾患を治療するのに十分な量で温血動物に投与することを含む。この文脈において、「治療」は、予防的投与を含む。上記方法には、本発明のPDE10阻害剤の、好ましくは上で論じた通りの医薬組成物の形態での全身投与が含まれる。本発明において使用する場合、全身投与には、経口および非経口法の投与、例えば、皮下、筋内、頭蓋内、眼窩内、眼科的、脳室内、包内、関節内、髄腔内、嚢内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、静脈内、皮内、吸入、経皮、経粘膜、および直腸投与が含まれる。
【0059】
経口投与に好適なPDE10阻害剤の医薬組成物としては、粉剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、およびカプセル剤、ならびに液剤、シロップ剤、懸濁剤、および乳剤が挙げられる。これらの組成物は、香味料、保存剤、懸濁、増粘および乳化剤、ならびに他の製薬上許容される添加剤および賦形剤を含んでもよい。非経口投与には、本発明の化合物は水性注射溶液として調製することができ、これは、PDE10阻害剤に加えて、緩衝剤、抗酸化剤、静菌剤、およびこのような溶液に広く使用される他の添加剤および賦形剤を含有してもよい。本発明の組成物は、治療用化合物の持続放出または取り込みもしくは活性の増大を提供する送達系、例えば注射用のリポソーム系もしくはヒドロゲル系、経口もしくは非経口送達のためのマイクロパーティクル、ナノパーティクルもしくはミセル系、または経口送達のための段階的カプセル系により送達されてもよい。
【0060】
本発明の別の利点において、構造(I)〜(IV)の化合物は、従来の抗精神病薬に付随する代謝性副作用、特に治療により誘導される肥満の発生を回避または減少させると考えられる。例えば、統合失調症の治療に最も広く処方される薬物であるオランザピン(olanzapine)(Zyprexa(登録商標))および関連する非定型抗精神病薬の慢性的使用は、肥満および糖尿病などの関連する疾患を含む重大な代謝性副作用を伴う。
【0061】
動物において、オランザピンによる亜慢性治療は食物摂取を刺激して体重を増加させ、ヒトの状況と一致する。さらに、オランザピンは血中のレプチンレベルを急激に低下させる。レプチンは脂肪組織から産生される満腹ホルモンであり、レプチンレベルの減少は食欲を刺激する。オランザピンは、少なくとも部分的には、レプチンレベルを減少させることにより食物摂取を刺激するのであろうと理論付けられている。オランザピンの急性投与は、グルコース耐性試験でのグルコースおよびインスリンレベルにおける動物の応答をも変化させる。これもオランザピンの食物摂取および体重増加における効果に直接関連している可能性がある。オランザピンと比較した本発明のPDE10阻害剤の代謝に対する急性効果、例えば標準的な動物モデルにおける代謝試験の間のレプチン、インスリンおよびグルコースの変化、ならびに食物摂取、体重およびエネルギー恒常性における本発明のPDE10阻害剤の慢性効果を試験することにより、副作用の心配が少ないという点での抗精神病薬としてのPDE10阻害剤の薬理的利点に関する証拠が得られるに違いない。
【0062】
本発明の組成物は、1種以上のさらなる治療薬と、組み合わせて、または同時のもしくは連続的な投与により、併用投与してもよい。好適なさらなる薬剤(すなわち、アジュバント)としては、ドーパミン-D2受容体およびセロトニン5HT2受容体を遮断する定型抗精神病薬、例えば、ハロペリドール(haloperidol)、フルフェナジン(fluphenazine)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、および非定型抗精神病薬、例えば、クロザピン(clozapine)、オランザピン、リスペリドン(risperidone)、クエチアピン(quetiapine)、ジプラシドン(ziprasidone)が挙げられる。
【0063】
本発明の化合物は、ThompsonおよびApplemanの二段階法(Biochemistry 10; 311-316; 1971)の修正法により、そのIC50値を測定するアッセイをおこなうことができる。簡単に述べると、cAMPに(3H)cAMPを加えて、PDE10およびさまざまな濃度の構造(I)の化合物と共にインキュベートする。適切なインキュベーション時間の後、加熱により反応を終結させる。次に混合物をヘビ毒ホスファターゼにより処理する。ホスファターゼは混合物中のすべてのAMPを加水分解するが、未反応のcAMPはそのまま残る。そのため、混合物からcAMPを分離してその濃度を測定することにより(ラジオグラフィーにより)、阻害のパーセントを決定することができる。IC50値は、いくつかの濃度で実験をおこない、標準的なグラフ化手段を用いることにより計算することができる。IC50アッセイに用いた実際の技術の詳細な説明は、下記の実施例に記載する。この目的で、本発明のPDE10阻害剤は100μM以下、一般に10μM未満、典型的には1μM未満のIC50を有する。
【0064】
下記の実施例は説明の目的で提供するものであり、限定を目的とするものではない。
【実施例】
【0065】
実施例1
(E)-2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドの合成
2-ヒドロキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸
【化15】
【0066】
2-ナフトアルデヒド(2.0 g、1.0当量)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(BTEAC)(0.13 g)、および50% NaOH水溶液(2.3 mL)、およびβ-シクロデキストリン(0.10 g)のクロロホルム(10 mL)溶液を55℃で12時間加熱した。次に混合物を水中に注ぎ、溶液をEtOAcにより洗浄した。次に水層に濃HClを滴下することによりpH 1に酸性化した。これをEtOAcにより抽出し、Na2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、黄色のオイル(0.75 g、29%)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0067】
2-ヒドロキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸メチル
【化16】
【0068】
2-ヒドロキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸(0.75 g、1当量)の乾燥MeOH溶液を撹拌して、硫酸(0.1 mL)を滴下し、加熱還流した。次に攪拌を2時間続けた。次に反応混合物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液中に注ぎ、EtOAcにより抽出した。有機フラクションを合わせてNa2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮してオイル(0.63 g、78%)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0069】
2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸メチル
【化17】
【0070】
2-ヒドロキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸メチル(0.63g、1当量)の乾燥DMF溶液を撹拌して、NaH(0.45g、4当量)およびヨウ化メチル(0.74 mL、4.1当量)を加えた。次に撹拌を24時間続けた。次に反応混合物を酢酸エチル中に注いで、H2Oにより洗浄した。有機フラクションを合わせてNa2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮してオイルを得た。これをカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチルおよびヘキサンを用いて精製して、オイル(0.358 g、53%)を得た。
【0071】
2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)アセトヒドラジド
【化18】
【0072】
2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)酢酸メチル(0.358 g、1当量)およびヒドラジン水和物(4 mL)の溶液を撹拌しながら1時間加熱還流した。次に反応混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。粗オイルをEtOAcにより希釈し、H2Oにより洗浄し、有機相をNa2SO4により乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去して、黄色のオイル(0.17 g、47%)を得た。これをさらに精製することなく使用した。
【0073】
(E)-2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジド
【化19】
【0074】
マグネチック撹拌バーを取り付けたガラス製の丸底フラスコ中で、メチル2-メトキシ-2-(ナフタレン-2-イル)アセトヒドラジド(0.17g、1当量)を室温でエタノール(10 mL)に溶解した。この溶液をよく撹拌し、酢酸(10 mL)および3,4,5-トリメトキシ-ベンズアルデヒド(0.145 g、1当量)を加え、反応混合物を90℃に2時間加熱した。次に混合物を冷却し、粗生成物をEt2Oにより希釈し、濾過し、固体をEt2Oによりよく洗浄して、生成物(1-1)を白色の固体(0.176 g、58%)として得た。
【0075】
実施例2
(E)-2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドの合成
2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ酢酸
【化20】
【0076】
2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-カルバルデヒド(3.0 g、1.0当量)およびブロモホルム(2.0 mL、1.27当量)のMeOH(18 mL)およびジオキサン(18 mL)中の溶液を撹拌し、水酸化カリウム(5.1 g、5.0当量)のMeOH(18 mL)溶液を15分間かけて滴下した。次に攪拌を24時間続けた。次に混合物を水中に注ぎ、溶液をEtOAcにより洗浄して、濃HClを滴下することによりpH 1に酸性化した。これをEtOAcにより抽出し、Na2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、黄色のオイル(4.1 g)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0077】
2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ酢酸メチル
【化21】
【0078】
2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ酢酸(18.3 mmol)の乾燥MeOH溶液を撹拌して、硫酸(2.5 mL)を滴下し、90℃に加熱した。次に攪拌を3時間続けた。次に反応混合物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液中に注ぎ、EtOAcにより抽出した。有機フラクションを合わせてNa2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮してオイル(3.7 g)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0079】
2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシアセトヒドラジド
【化22】
【0080】
2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ酢酸メチル(18.3 mmol)の無水EtOH(150 mL)溶液を攪拌して、ヒドラジン水和物(73.2 mmol、4当量)を加えて90℃に加熱した。次に撹拌を24時間続けた。次に反応混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。粗オイルをEtOAcにより希釈し、H2Oにより洗浄し、有機相をNa2SO4により乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去して、黄色のオイル(3.5 g)を得た。これをさらに精製することなく使用した。
【0081】
(E)-2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジド
【化23】
【0082】
マグネチック撹拌バーを取り付けたガラス製の丸底フラスコ中で、2-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-メトキシアセトヒドラジド(1当量、1.1 mmol;260 mg)を室温でエタノール(10 mL)に溶解した。この溶液をよく撹拌し、酢酸(〜3滴)および3,4,5-トリメトキシ-ベンズアルデヒド(1.2当量、1.3 mmol;260 mg)を加え、反応混合物を12時間加熱した。次に混合物を冷却し、粗生成物をEt2Oにより希釈し、濾過し、固体をEt2Oによりよく洗浄して、(2-1)(300 mg、65%)を得た。
【0083】
実施例3
(E)-2,2-ジフェニル-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドの合成
2,2-ジフェニル酢酸メチル
【化24】
【0084】
2,2-ジフェニル酢酸(1 g、1当量)の乾燥MeOH(50 mL)溶液を撹拌して、硫酸(0.4 mL)を滴下し、加熱還流した。次に撹拌を3時間続けた。次に反応混合物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液中に注ぎ、EtOAcにより抽出した。有機フラクションを合わせてNa2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮してオイル(1.0 g、93%)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0085】
2,2-ジフェニルアセトヒドラジド
【化25】
【0086】
2,2-ジフェニル酢酸メチル(0.5 g、1当量)の無水EtOH(150 mL)溶液を攪拌して、ヒドラジン水和物(8 mL)を加えて加熱還流した。次に撹拌を1時間続けた。次に反応混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。粗オイルをEtOAcにより希釈し、H2Oにより洗浄し、有機相をNa2SO4により乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去して、黄色のオイル(0.97g、97%)を得た。これをさらに精製することなく使用した。
【0087】
(E)-2,2-ジフェニル-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジド
【化26】
【0088】
マグネチック撹拌バーを取り付けたガラス製の丸底フラスコ中で、2,2-ジフェニルアセトヒドラジド(0.33 g、1当量)を室温でエタノール(20 mL)に溶解した。この溶液をよく撹拌し、酢酸(1.4 mL)および3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド(0.29 g、1当量)を加え、反応混合物を2時間加熱還流した。次に混合物を冷却し、粗生成物をEt2Oにより希釈し、濾過し、固体をEt2Oによりよく洗浄して、生成物(3-1)(0.056 g、10%)を得た。
【0089】
実施例4
(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-2-(メチルチオ)-2-フェニルアセトヒドラジドの合成
2-クロロ-2-(メチルチオ)酢酸メチル
【化27】
【0090】
2-クロロ-2-(メチルチオ)酢酸メチルは、文献の方法(Boehme, H.; Krack, W.; Justus Liebigs Annalen der Chemie; 1977; 51-60. Iwama, Tetsuo; Harutoshi, Matsumoto; Tadashi, Kataoka; Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and
Bio-Organic Chemistry (1972-1999); 1997; 835-844)に従って合成することができる。
【0091】
2-(メチルチオ)-2-フェニル酢酸メチル
【化28】
【0092】
マグネチック撹拌バーを取り付けたガラス製の丸底フラスコ中で、2-クロロ-2-(メチルチオ)酢酸メチル(1.3 g、1当量)をベンゼン(20 mL)に溶解し、塩化アルミニウム(3.36 g、2.8当量)を一度に加えて、3時間加熱還流した。次に混合物を冷却し、H2O、食塩水により洗浄し、MgSO4により乾燥した。有機層を減圧濃縮して黄色のオイルを得た(0.56 g、35%)。これをさらに精製することなく使用した。
【0093】
2-(メチルチオ)-2-フェニルアセトヒドラジド
【化29】
【0094】
2-(メチルチオ)-2-フェニル酢酸メチル(0.300 g、1当量)の無水EtOH(5 mL)溶液を撹拌し、ヒドラジン水和物(0.15 mL、2当量)を加えて加熱還流した。次に撹拌を18時間続けた。次に反応混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。粗オイルをEtOAcにより希釈し、H2Oにより洗浄し、有機相をNa2SO4により乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去して黄色のオイルを得た。これをシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、酢酸エチルおよびヘキサンを用いて精製した。精製された生成物は白色の固体(193 mg、66%)であった。
【0095】
(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-2-(メチルチオ)-2-フェニルアセトヒドラジド
【化30】
【0096】
マグネチック撹拌バーを取り付けたガラス製の丸底フラスコ中で、2-(メチルチオ)-2-フェニルアセトヒドラジド(0.132 g、1当量)を室温でエタノール(5 mL)に溶解した。この溶液をよく撹拌し、酢酸(2滴)および3,4-ジメトキシベンズアルデヒド(0.111 g、1当量)を加えて、反応混合物を12時間加熱還流した。次に混合物を冷却し、粗生成物をEt2Oにより希釈し、濾過し、固体をEt2Oによりよく洗浄して、生成物(4-1)(0.120 g、52%)を得た。
【0097】
実施例5
(1Z,N'E)-2-メトキシ-2-(ナフタレン-1-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラゾン酸ピバル酸無水物の合成
【化31】
【0098】
オーブンにより乾燥したフラスコに(E)-2-メトキシ-2-(ナフタレン-1-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジド(0.1 g、0.25 mmol)(前述の方法により調製した)を入れ、アルゴン雰囲気下に置いた。無水ジクロロメタン(20 mL)、トリエチルアミン(0.17 mL、1.2 mmol)、および塩化ピバロイル(0.081 mL、0.67 mmol)を加えて、混合物を室温で18時間撹拌した。混合物をH2O中に注ぎ、得られた水層をジクロロメタンにより2回抽出した。有機相を合わせて水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(酢酸エチル-ヘキサン)により精製して、生成物(5-1)を淡黄色の固体(0.12 g、100%)として得た。
【0099】
実施例6
(E)-2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-アセトヒドラジドの合成
【化32】
【0100】
キノリン-5-カルボキシアルデヒド(3.12 g、19.9 mmol)のジエチルエーテル(42 mL)中の懸濁液を氷浴で冷却した。冷却したNH4Cl(1.09 g、18.7 mmol)の水(4.5 mL)溶液およびKCN(1.34 g、20.5 mmol)の水(4.5 mL)溶液を順に加えた。混合物を急速に撹拌しながらゆっくりと室温に温めた。合計1.75時間の反応時間の後、混合物を氷浴で冷却し、黄褐色の固体をブフナーロートにより収集し、水、少量のメタノール、およびジエチルエーテルにより洗浄した。生成物を減圧乾燥して黄褐色の固体(2.6 g、収率76%)を得た。この化合物をさらに精製することなく使用した。
【化33】
【0101】
2-ヒドロキシ-2-(キノリン-5-イル)アセトニトリル(2.56 g、13.9 mmol)の無水エタノール(70 mL)中の懸濁液を氷浴で冷却した。混合物中にHClの気泡をゆっくりと1時間通した後、氷浴上で15分間撹拌した。氷浴を取り除き、反応液に水(5 mL)を注意深く加えた。混合物を60℃で15分間、50℃で2時間加熱した後、室温に冷却した。反応混合物に水を加え、固体のKOH、固体のNaHCO3および飽和NaHCO3水溶液をゆっくりと加えて、pH = 9まで塩基性にした。混合物をEtOAcにより3回抽出し、有機相を合わせて水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮して、2-ヒドロキシ-2-(キノリン-5-イル)酢酸エチルを褐色のオイル(2.39 g、収率74%)として得た。
【化34】
【0102】
オーブンで乾燥したフラスコ中、アルゴン雰囲気下で、2-ヒドロキシ-2-(キノリン-5-イル)酢酸エチル(1.5 g、6.5 mmol)の無水THF溶液にヨードメタン(1.2 mL、19.2 mmol)を加え、混合物を氷浴で冷却した。NaH(油中60%;0.26 g、6.5 mmol)を加え、混合物を氷浴上で1時間攪拌した。氷浴を取り除いた後、撹拌をさらに3.25時間続け、さらにNaH(60%;0.030 g、0.75 mmol)を加えた。混合物を45分間撹拌した後、食塩水を加えて反応を止め、水によりさらに希釈した。水性混合物をEtOAcにより抽出し、有機相を合わせて水により3回、食塩水により1回洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(50% EtOAc-ヘキサン)により精製して、2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)酢酸エチルを黄色のオイル(0.9 g、収率57%)として得た。
【化35】
【0103】
2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)酢酸エチル(0.9 g、3.67 mmol)の無水エタノール(25 mL)溶液にヒドラジン水和物(1.0 mL、20.5 mmol)を加えて、混合物を85℃に18.5時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を氷水(〜150 mL)中に注ぎ、減圧濃縮した。残渣をEtOAcに溶かし、希食塩水により1回、水により2回、次いで食塩水により洗浄した。有機相をNa2SO4により乾燥し、減圧濃縮して、2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)アセトヒドラジドを白っぽい泡(0.651 g、収率77%)として得た。これをさらに精製することなく使用した。
【化36】
【0104】
2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)アセトヒドラジド(0.149 g、0.65 mmol)および3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド(0.138 g、0.70 mmol)の無水エタノール(5 mL)中の混合物に酢酸(1滴)を加えた。混合物を60℃に17時間加熱した。室温に冷却した後、固体をブフナーロートにより収集し、エタノールおよびジエチルエーテルにより洗浄した後、減圧乾燥して、(E)-2-メトキシ-2-(キノリン-5-イル)-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジド(6-1)を白色の粉末(0.197 g、収率75%)として得た。
【0105】
実施例7
(E)-2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドの合成
【化37】
【0106】
オーブンで乾燥したフラスコ中、アルゴン雰囲気下で、4-(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド(5.05 g、33.85 mmol)のジエチルエーテル(60 mL)中の懸濁液に、ZnI2(0.325 g、1.0 mmol)を加えた。トリメチルシリルシアニド(5.00 mL、40.0 mmol)をゆっくりと加え、混合物を室温で1.75時間撹拌した。溶液をEtOAcにより希釈し、飽和NaHCO3水溶液、水および食塩水により洗浄した後、Na2SO4により乾燥した。減圧濃縮した後、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(トリメチルシリルオキシ)アセトニトリルが灰色の固体(8.3 g、収率99%)として得られた。
【化38】
【0107】
2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(トリメチルシリルオキシ)アセトニトリル(7.19 g、28.9 mmol)のTHF(35 mL)溶液に、1M HCl水溶液(1 mL)を加えて、混合物を1時間攪拌した。次に追加の1M HCl(1 mL)を加えて、反応混合物をさらに50分間撹拌した。混合物に固体のNaHCO3を加えて塩基性にした後、EtOAcおよび水により希釈した。相を分離し、有機相を飽和NaHCO3水溶液、水および食塩水により洗浄した。溶液をNa2SO4により乾燥し、減圧濃縮して、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-ヒドロキシアセトニトリルを白っぽい固体(5.2 g、定量的収率)として得た。生成物をさらに精製することなく使用した。
【化39】
【0108】
2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-ヒドロキシアセトニトリル(5.7 g、32.3 mmol)の無水エタノール(60 mL)中の懸濁液を氷冷して、HClの気泡を15分間通した。すべての固体が溶解した。氷浴を取り除き、混合物を15分間撹拌した。水(5 mL)を加えて、混合物を40分間撹拌した後、60℃で1.5時間加熱した。混合物をさらに水により希釈した後、NaHCO3を加えてpH9〜10の塩基性にした。水性混合物をEtOAcにより2回抽出し、有機相を合わせて水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、セライトにより吸引濾過し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(25〜50% EtOAc-ヘキサン)により精製して、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-ヒドロキシ酢酸エチルを淡黄色の固体(2.32 g、収率32%)として得た。
【化40】
【0109】
実施例6の調製に使用した方法により、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-ヒドロキシ酢酸エチルから2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシ酢酸エチルを合成した。生成物は、抽出による後処理の後、橙色のオイル(0.675 g、収率65%)として単離され、それ以上の精製をおこなうことなく使用した。
【化41】
【0110】
2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシ酢酸エチル(0.675 g、2.84 mmol)の無水エタノール(20 mL)溶液に、ヒドラジン水和物(0.8 mL、16.4 mmol)を加えて、混合物を22時間加熱還流した。追加のヒドラジン水和物(1.0 mL、20.6 mmol)を加えて、7時間加熱を続けた。室温に冷却した後、混合物を減圧濃縮した。残渣をEtOAcに溶解し、水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。固体の生成物に熱いジエチルエーテルを加えて撹拌し、次いでヘキサンを加えた。室温に冷却した後、固体をブフナーロートにより収集し、50%ジエチルエーテル-ヘキサンにより洗浄し、減圧乾燥して、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシアセトヒドラジドを、橙色の固体(0.246 g)として得た。クロマトグラフィー(80〜100% EtOAc-ヘキサン、次いで5% メタノール-EtOAc)により母液からさらなる生成物が単離され、白っぽい固体(0.173 g、合計収率66%)として得た。
【化42】
【0111】
実施例6の調製に使用した方法により、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシアセトヒドラジドから(E)-2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドを合成した。生成物(7-1)を白色の固体(0.0626 g、収率34%)として得た。
【0112】
実施例8
(E)-2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドの合成
【化43】
【0113】
ベンゾ[b]チオフェン-2-カルバルデヒド(2.19 g、13.5 mmol)の無水THF(200 mL)溶液に、NaHSO3(6.18 g、59.4 mmol)の水(50 mL)溶液を加えた。KCN(3.248 g、49.9 mmol)を加えて、混合物を室温で22時間撹拌した。次に反応混合物を45℃に1時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を水および食塩水により希釈し、EtOAcにより3回抽出した。有機相を合わせて食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(0〜25% EtOAc-ヘキサン)により精製して、2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-ヒドロキシアセトニトリルを白っぽい固体(1.09 g、収率46%)として得た。
【化44】
【0114】
2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-ヒドロキシアセトニトリル(5.76 mmol)の3M HCl水溶液(20 mL)およびメタノール(8 mL)中の混合物を60℃に10分間、次いで80℃に20時間加熱した。次に濃HCl(10 mL)を加えて、加熱を5時間続けた。室温に冷却した後、揮発物質を減圧除去した。残渣をEtOAcにより抽出し、有機相を合わせて水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮して、2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-ヒドロキシ酢酸を褐色のオイル(1.20 g)として得た。これをさらに精製して使用した。
【0115】
2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-ヒドロキシ酢酸(1.20 g、約5.76 mmol)の無水メタノール(10 mL)溶液に濃H2SO4(0.25 mL)を加えた。混合物を60℃に19時間加熱した。加熱温度を70℃に上げ、3.5時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を水により希釈し、EtOAcにより抽出した。有機相を合わせて希NaHCO3水溶液および食塩水により洗浄した後、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(10〜25% EtOAc-ヘキサン)により精製して、2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-メトキシ酢酸メチル(0.464 g、35%)を得た。
【化45】
【0116】
2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-メトキシ酢酸メチル(0.174 g、0.74 mmol)の無水エタノール(3 mL)溶液に、ヒドラジン水和物(0.14 mL、2.87 mmol)を加えて、混合物を50℃に20時間加熱した。室温に冷却した後、溶液を減圧濃縮した。残渣をEtOAcに溶解し、水および食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮して、2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-メトキシアセトヒドラジドを無色のオイル(0.182 g、定量的収率)として得た。
【化46】
【0117】
実施例6の調製に使用した方法により、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-メトキシアセトヒドラジドから(E)-2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)-2-メトキシ-N'-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)アセトヒドラジドを合成した。生成物(8-1)が白色の固体(0.089 g、収率60%)として得られた。
【0118】
実施例9
(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-3-メチル-2-フェニルブタンヒドラジドの合成
2-フェニル酢酸メチル
【化47】
【0119】
2-メチル-2-フェニル酢酸(10g、1当量)の乾燥MeOH溶液を撹拌して、硫酸(1.0 mL)を滴下し、加熱還流した。次に撹拌を2時間続けた。次に反応混合物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液中に注ぎ、EtOAcにより抽出した。有機フラクションを合わせてNa2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、オイル(10.5 g、95%)を得た。これはそれ以上精製しなかった。
【0120】
3-メチル-2-フェニル酪酸メチル
【化48】
【0121】
3-メチル-2-フェニル酪酸メチル (0.5g、1当量)の乾燥THF溶液を撹拌して、HMPA(1当量)、LiHMDS(1当量)、および2-ブロモプロパンを-40〜0℃で1時間かけて加えた。反応混合物に水を加えて反応を止め、EtOAcにより抽出した。有機フラクションを合わせて、Na2SO4により乾燥し、濾過し、減圧濃縮してオイルを得た。これを、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物(0.24 g、34%)を得た。
【0122】
3-メチル-2-フェニルブタンヒドラジド
【化49】
【0123】
3-メチル-2-フェニル酪酸メチル(0.87g、1当量)およびヒドラジン水和物(10 mL)の溶液を撹拌しながら110℃に12時間加熱した。次に反応混合物を冷却し、溶媒を減圧除去した。粗オイルをEtOAcにより希釈し、H2Oにより洗浄し、有機相をNa2SO4により乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去して、黄色のオイル(0.17 g、47%)を得た。これを、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して生成物(0.61 g)を得た。
【0124】
(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-3-メチル-2-フェニルブタンヒドラジド
【化50】
【0125】
実施例1の調製に使用した方法により、3-メチル-2-フェニルブタンヒドラジドから(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-3-メチル-2-フェニルブタンヒドラジドを合成した。生成物(9-1)を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル/ヘキサンを用いて精製して、固体(0.109 g、収率10%)を得た。
【0126】
実施例10
(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-2-メトキシ-N-メチル-2-フェニルアセトヒドラジドの合成
【化51】
【0127】
実施例6の調製に使用した方法により(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-2-メトキシ-N-メチル-2-フェニルアセトヒドラジド(12-70)を合成した。オーブンで乾燥したフラスコ中、アルゴン雰囲気下で、(E)-N'-(3,4-ジメトキシベンジリデン)-2-メトキシ-2-フェニルアセトヒドラジド(12-21)(0.56g)の無水DMF溶液に、ヨードメタン(1当量)、次いでNaH(油中60%;1.1当量)を加えて、混合物を2時間撹拌した。食塩水を加えて反応を止め、水によりさらに希釈した。水性混合物をEtOAcにより抽出し、有機相を合わせて水により3回、食塩水により1回洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィーにより精製して、生成物(12-70)(0.4 g、70%)を得た。
【0128】
実施例11
(E)-2-(4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)-N'-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-メトキシ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)アセトヒドラジドの合成
【化52】
【0129】
(E)-2-(4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)-N'-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-メトキシアセトヒドラジド(0.167 g、0.35 mmol)の無水DMF(3.0 mL)溶液に、アルゴン雰囲気下でNaHの鉱油中60%分散物(0.017 g、0.43 mmol)を加えて10分間撹拌した。1,1,1-トリフルオロ-3-ヨードプロパン(0.042 mL、0.43 mmol)を加えて、混合物を室温で24時間撹拌した後、100℃に10日間加熱した。次に追加の1,1,1-トリフルオロ-3-ヨードプロパン(0.042 mL、0.43 mmol)を加えて、反応液を150℃に1時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を水および食塩水により希釈し、EtOAcにより抽出した。有機相を合わせて食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(20〜50% EtOAc-ヘキサン)により精製して、生成物(11-1)を淡黄色の固体(0.0543 g、収率28%)として得た。
【0130】
実施例12
さらなる代表的な化合物の合成
下記の表1に示す通りの代表的な化合物を、(i)適切な出発物質を選択することにより前記方法に従って合成し(例えば、4-フルオロマンデル酸誘導体(例えば、実施例12-1および12-3)を市販の4-フルオロマンデル酸を使用して合成した)、また、(ii)公知の有機合成技術に従って合成した(例えば、市販のα-フェニル酢酸メチルエステルをエタノール中、加熱しながらヒドラジン水和物により処理することにより、フェニル-酢酸ヒドラジドが得られ(例えば、Pandeye, S. N.; Manjula, H.; Stables, J. P.; Pharmazie; 2001, 56, 121-124を参照されたい)、フェニル酢酸ヒドラジドを触媒量の酢酸の存在下、エタノール中で加熱しながら置換ベンズアルデヒドにより処理することにより、対応する置換フェニル-酢酸ベンジリデンヒドラジドが得られる(例えば、Stephanidou-Stephanatou, J.; Lefkopoulou, S; Journal of Heterocyclic Chemistry; 1982; 19; 705-711.0を参照されたい))。
【表1】
【0131】
実施例13
化合物のアッセイ
PDE10生化学アッセイ
ホスホジエステラーゼ(PDE)アッセイを、Sf9細胞を使用してバキュロウイルス発現系に発現した組換えヒトPDE 1A3、2A3、3触媒領域、4触媒領域、5触媒領域、7A、8A、9A2、10A1および11A1酵素を用いて実施した。PDE活性を、96ウェルプレートフォーマットに適合するように修正した上記のThompsonおよびApplemanの二段階法を使用して測定した。PDE阻害剤の効果を、KiがIC50に等しくなるようなKmである、下記の試験化合物濃度および基質濃度の存在下で一定量の酵素をアッセイすることにより測定した。最終アッセイ体積は、アッセイ緩衝液(10mM MgCl2;40mM Tris.HCl;pH 7.4)を加えて110μlとした。酵素により反応を開始し、(3H)-基質および物質と共に30℃で20分間インキュベートした。酵素を変性させることにより反応を終結した(反応液を70℃に2分間加熱した)。次に,反応液を4℃に10分間冷却した後、ヘビ毒(Crotalus atrox、0.2 mg/ml)を30℃で10分間加えて、トリチウム化された基質の非特異的加水分解をおこなった。残った加水分解されていない環状ヌクレオチドの分離を、活性化されたDowex(200μl)アニオン交換樹脂への混合物のバッチ結合により達成した。アニオン交換樹脂は荷電したヌクレオチドに結合し、加水分解された(3H)基質のみが可溶性分画に残った。次に可溶性分画(50μl)をmicroscint-20 (200μl)に加えて、Top Countプレートリーダーによりカウントした。Graph Pad Prismソフトウェアを用いて放射能単位を阻害剤濃度に対してプロットし、IC50値を得た。
【0132】
あるいは、ホスホジエステラーゼ活性を、基質として[3H]-cGMPを用いるシンチレーション近接アッセイ(SPA)により測定した。精製PDE10を25 mM Tris-Cl(pH 8.0)/100 mM NaCl/0.05% Tween 20/50%グリセリン/3 mM DTTにより希釈して保存した。アッセイは、0.1 mLの最終体積中に、50 mM Tris-Cl(pH 7.5)/8.3 mM MgCl2/1.7 mM EGTA/0.5 mg/ml BSA/5% DMSOおよび2 ng PDE10を含有した(最終濃度)。8つの濃度で2回ずつ阻害を評価した。酵素を加えることにより反応を開始し、30℃で20分の後、50μlのZn++を含有するSPAビーズを加えることにより反応を終結させた。混合物を振盪し、3時間沈殿させ、Wallacプレートカウンターによりカウントした。結果(正味のcpm)をExcel Solver(登録商標)を用いて4パラメーターロジスティックモデルに当てはめた。
【0133】
さらに、PDE10阻害剤による他のPDE酵素の阻害を、加える酵素の量をそれぞれのPDEに最適化した点以外は、上記のPDE10の場合と同じ条件下で評価した。4つの濃度(0.1、1、10、および100μM)で阻害率(fractional inhibition)を評価した。最も高い濃度における阻害が50%未満である場合、ロジスティックモデルにおける下限値を0%活性に固定した。
【0134】
上記アッセイにおいて、本発明の化合物は100μM以下、一般に10μM未満、典型的には1μM未満のIC50を有するPDE10阻害剤である。例えば、化合物1-1、2-1、3-1、4-1、5-1、6-1、7-1、8-1、9-1、11-1、12-1、12-2、12-3、12-4、12-5、12-6、12-7、12-8、12-9、12-10、12-12、12-13、12-14、12-15、12-16、12-17、12-18、12-19、12-20、12-21、12-22、12-23、12-24、12-25、12-26、12-41、12-42、12-43、12-44、12-45、12-46、12-47、12-48、12-49、12-50、12-51、12-52、12-55、12-56、12-57、12-58、12-59、12-60、12-61、12-62、12-63、12-64、12-65、12-66、12-67、12-68、12-69、12-70、12-71、12-80、12-82、12-83、12-84、12-85、12-86、12-87、12-88、12-89、12-90、12-104、12-105、12-107、12-108、12-109、12-111、12-112、12-114、12-115、12-116、12-117、12-118、12-119、12-120、12-121、12-122、12-123、12-124、12-125、12-126、12-127、12-128、12-129、12-130、12-131、12-132、12-133、12-134、12-135、12-136、12-137、12-138、12-139、12-140、12-141、12-142、12-144および12-155は、1μM以下のIC50値を有することが見出された。
【0135】
実施例14〜15
行動モデルにおける代表的化合物の評価
統合失調症は、ドーパミン、グルタミン酸およびセロトニン神経伝達の機能不全と関連づけられてきた。これら3つのクラスの精神刺激薬、ドーパミン作動薬(例えばアンフェタミンおよびアポモルフィン)、グルタミン酸拮抗薬(例えば、PCPおよびケタミン)、およびセロトニン作動薬(例えば、LSDおよびMDMA)はすべて、動物においてヒトの統合失調症の症状に極めて類似した精神異常発現状態(例えば、活動亢進およびプレパルス抑制の障害)を誘導する。公知の抗精神病薬は、定型抗精神病薬(例えば、ハロペリドール)および非定型抗精神病薬(例えば、オランザピン)のどちらも、動物におけるこのような精神異常発現状態を回復させる。下記の実施例14〜15において、本発明の代表的な化合物を動物行動モデルにおいて評価して、公知の抗精神病薬のそれに対する効果と比較する。実施例14〜15において使用した方法は、以下の通りである。
【0136】
精神刺激薬誘導性活動亢進を、動物にPCPを注射して、40×40 cmの大きさのVersaMax室(Accuscan Instruments, Columbus, OH)中の動物の活動レベルをモニターすることにより測定する。動物が各ビームを横切る際の光ビームの切断により自発運動活性を検出する。動物をフィールドの中心に置き、一定時間(20分間または2時間)自由にさせて、新しい環境における動物の自発的活動性を測定する。自発運動活性を評価するために使用した測定には、水平運動活性、総移動距離、垂直運動活性(立ち上がり行動 - 動物が後肢で立ち上がる)、回転、常同、および総移動距離と比較した中心における移動距離(中心:総移動距離)が含まれる。NMDA拮抗薬のPCPは、活動亢進および常同行動の増加として現れる精神病様状態を誘導する。公知の抗精神病薬は、精神刺激薬誘導性活動亢進および増大した常同行動を回復することが可能である。
【0137】
条件回避反応(CAR)は、試験化合物の抗精神病薬効果を評価する行動試験である。これは、格納式のドアにより分離された2つの等しい室を有するシャトルボックス(Med Associates, St. Albans, VT)を利用する。それぞれの室に独立して電気ショックを送ることができる金属製格子床が取り付けられている。コンピュータープログラムを使用して、試験パラダイムを実行し、ならびに赤外線ビームセンサーにより2つの室の間の動物の動きを記録する。試験パラダイムは以下の通りである。マウスを1つの室に入れる。光(条件刺激、CS)を点ける。5秒後、弱い電気ショック(0.4 mA)(無条件刺激、US)を、マウスが位置する方の室(赤外線ビームにより検出する)に送り、マウスが隣の室に逃げるか、10秒が経過するまで続ける。USおよびCSは常に同時終了する。平均15秒のランダム化された試験間隔で、それぞれのマウスに1日30回の上記CS-US対試験をおこなう。それぞれの試験について、ショックを与えた後に(すなわち、10秒のUS時間内に)マウスが他の室に渡った場合には逃避反応が記録され、マウスが最初の5秒のCSのみの時間に他の室に渡った場合には回避反応が記録される。動物を上記のパラダイムにより15〜20日間訓練すると、その間に回避反応の平均パーセンテージは60〜80%に改善される。これは、動物がCS(光)の活性化で反対側の室に移動することにより足のショックの開始を回避することを学んだことを示す。これらの訓練された動物を、次に同じパラダイムを用いる化合物試験に使用する。公知の抗精神病薬は条件回避反応を阻害することが見出されており、新規化合物のこの反応を阻害する能力はヒトにおける抗精神病効果を予測させるものであると考えられる。
【0138】
実施例14
PCP誘導性活動亢進の抑制
本発明の化合物12-63、12-55および12-60(実施例12の表1に定義されるもの)を、PCP誘導性活動亢進を有意におよび実質的に抑制する能力について評価した。C57BL/6雄マウスに化合物(10 mg/kg)またはビヒクルのいずれかを腹腔内注射した。10分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの自発運動活性を20分間赤外線ビームの切断によりモニターした。図1は、化合物12-63が、PCPにより誘発される活動亢進をビヒクルと比較して有意に抑制したことを示している(p<0.0001、群あたりn=8、反復測定ANOVA)。図2は、化合物12-55(10 mg/kg、腹腔内)も実質的に活動亢進を抑制することを示しており(ビヒクルと比較してp=0.0008、群あたりn=8、反復測定ANOVA)、図3は、化合物12-60に関して同様の結果を示している(ビヒクルと比較してp<0.0001、群あたりn=8、反復測定ANOVA)。
【0139】
実施例15
条件回避反応の抑制
本発明の化合物12-44(実施例12の表1に定義されるもの)を、経口投与後に条件回避反応を抑制する能力について評価し、結果を図4に示した。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約20〜25回の回避反応のプラトーに達した(「トレーニングプラトー」)。次に、マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを腹腔内注射して、20分後にそれらをCARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図4は、化合物12-44が、10 mg/kg(p=0.01、群あたりn=6、2標本t検定)および30 mg/kg(p=0.001、群あたりn=6、2標本t検定)の両方の経口投与で回避反応の数を有意に減少させることを示している。後者の用量では、回避の数は28から7に大幅に減少する。
【0140】
実施例16
化合物12-63によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図5Aに示す通り、化合物12-63(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。15分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図5Aは、化合物12-63(4および10 mg/kg)が、ビヒクル+PCP対照群と比較して、PCPにより誘導された活動亢進を減少または消失させることを示している(用量10 mg/kgに対してp = 0.00003、群あたりn=8、2標本t検定)。
【0141】
実施例17
化合物12-63による条件回避反応の抑制
図5Bに示す通り、化合物12-63(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した(「トレーニングプラトー」)。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、CARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図5Bは、化合物12-63(10 mg/kg)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(p = 0.007、群あたりn=6)。これらすべてのケースにおいて、逃避反応の数は対応して増加し、2つの室の間の移動の総数は変化しなかった(データは示さない)。これは、運動機能不全のためでなく、CARの特異的抑制であることを示している。
【0142】
実施例18
化合物12-104によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図6Aに示す通り、化合物12-104(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図6Aは、化合物12-104(3および6 mg/kg)が、ビヒクル+PCP対照との比較によりわかる通り、PCPにより誘導された活動亢進を減少または消失させることを示している(p = 0.0189、群あたりn=8、独立標本t検定)。
【0143】
実施例19
化合物12-104による条件回避反応の抑制
図6Bに示す通り、化合物12-104(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、次いでCARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図6Bは、化合物12-104(10および30 mg/kg)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(p = 0.0159、群あたりn=7)。
【0144】
実施例20
化合物12-114によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図7Aに示す通り、化合物12-114(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、それらにPCP(5 mg/kg、腹腔内)を注射した。10分後、マウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図7Aは、化合物12-114(10 mg/kg)が、ビヒクル+PCP対照との比較によりわかる通り、PCPにより誘導された活動亢進を完全に消失させることを示している(p < 0.0000001、群あたりn=8、独立標本t検定)。
【0145】
実施例21
化合物12-114による条件回避反応の抑制
図7Bに示す通り、化合物12-114(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、次いでCARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図7Bは、化合物12-114(10 mg/kg)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(p = 0.0003、群あたりn=7、2標本t検定)。
【0146】
実施例22
化合物12-132によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図8Aに示す通り、化合物12-132(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスにPCP(5 mg/kg)および化合物またはビヒクルのいずれかを腹腔内経路により同時注射した。10分後、マウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図8Aは、化合物12-132(10 mg/kg)が、ビヒクル+PCP対照との比較によりわかる通り、PCPにより誘導された活動亢進を実質的に減少させることを示している(p < 0.0000001、群あたりn=8、2標本t検定)。
【0147】
実施例23
化合物12-132による条件回避反応の抑制
図8Bに示す通り、化合物12-132(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した(「トレーニングプラトー」)。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、次いでCARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図8Bは、化合物12-132(10 mg/kg)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(p = 0.044、群あたりn=7)。これらすべてのケースにおいて、逃避反応の数は対応して増加し、2つの室の間の移動の総数は変化しなかった(データは示さない)。これは、運動機能不全のためでなく、CARの特異的抑制であることを示している。
【0148】
実施例24
化合物12-134によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図9Aに示す通り、化合物12-134(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図9Aは、化合物12-134(4、6および10 mg/kg)が、ビヒクル+PCP対照との比較によりわかる通り、PCPにより誘導された活動亢進を減少または消失させることを示している(それぞれp = 0.0033、0.0012、および0.00001、群あたりn=8、独立標本t検定)。
【0149】
実施例25
化合物12-134による条件回避反応の抑制
図9Bに示す通り、化合物12-134(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、次いでCARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図9Bは、化合物12-134(3、6および10 mg/kg)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(それぞれp = 0.0117、0.0043、および8E-9、群あたりn=7)。
【0150】
実施例26
化合物12-115によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図10Aに示す通り、化合物12-115(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図10Aは、化合物12-115が、2および5 mg/kgの経口投与で活動亢進を有意に抑制し(それぞれp = 0.02および0.001)、10 mg/kgの経口投与において活動亢進を消失させること(p = 1.5 E-5、群あたりn=8、独立標本t検定)を示している。
【0151】
実施例27
化合物12-115による条件回避反応の抑制
図10Bに示す通り、化合物12-115(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、CARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図10Bは、化合物12-115(10 mg/kg、経口)が、回避反応の数を有意に減少させることを示している(p = 1.2 E-5、群あたりn=7、2標本t検定)。
【0152】
実施例28
化合物12-140によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図11Aに示す通り、化合物12-140(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図11Aは、化合物12-140が、4および8 mg/kgの経口投与で活動亢進を有意に減少または消失させることを示している(それぞれp = 0.004および5.9 E-8、群あたりn=8、独立標本t検定)。
【0153】
実施例29
化合物12-140による条件回避反応の抑制
図11Bに示す通り、化合物12-140(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、CARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図11Bは、化合物12-140が、6および10 mg/kgの用量で回避反応の数を有意に減少させることを示している(それぞれp = 0.00053および3.1 E-12、群あたりn=7、2標本t検定)。
【0154】
実施例30
化合物12-142によるPCP誘導性活動亢進の抑制
図12Aに示す通り、化合物12-142(実施例12の表1に定義されるもの)がPCP誘導性活動亢進を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスに化合物またはビヒクルのいずれかを強制経口投与した。25分後、マウスにPCP(5 mg/kg)を腹腔内経路で注射した。PCP注射の10分後にマウスを活動室に入れ、それらの水平方向における自発運動活性を赤外線ビームの切断により20分間モニターした(指示された通りの5回の連続した4分間隔(INT))。図12Aは、化合物12-142が、8 mg/kgの経口投与で活動亢進を基本的に消失させることを示している(p = 5.9 E-6、群あたりn=8、独立標本t検定)。
【0155】
実施例31
化合物12-142による条件回避反応の抑制
図11Bに示す通り、化合物12-142(実施例12の表1に定義されるもの)が条件回避反応(CAR)を抑制することが見出された。C57BL/6雄マウスを、CARパラダイムにおいて不快な刺激(足のショック)を予測し回避するように訓練し、1日30回の試験あたり約25回の回避反応のプラトーに達した。次に、マウスにビヒクル(試験の15分前)または化合物(試験の25分前)のいずれかを強制経口投与し、CARパラダイムにより30回試験した。同じ動物に対してビヒクル処理および化合物処理を1日おきに実施し、回避反応の抑制における化合物の効果を個体内比較により分析した(2標本t検定)。ビヒクル曝露(「ビヒクル」)はこれらの訓練された動物の回避反応を変化させない。図11Bは、化合物12-142が、5 mg/kgの用量で回避反応の数を有意に減少させることを示している(それぞれp = 0.033、群あたりn=7、2標本t検定)。
【0156】
本明細書において、説明の目的で本発明の特定の実施形態について記載したが、発明の趣旨および範囲から逸脱することなく種々の変更をおこなうことが可能である。したがって、本発明は特許請求の範囲以外のものにより限定されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の下記の構造(I):
【化1】
[式中、
Xは、-O-または-S-であり;
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2およびR3は同一であるか異なっており、独立して置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグを温血動物に投与することを含む、温血動物においてPDE10を阻害する方法。
【請求項2】
有効量の下記の構造(I):
【化2】
[式中、
Xは、-O-または-S-であり;
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2およびR3は同一であるか異なっており、独立して置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグを温血動物に投与することを含む、それを必要とする温血動物における神経障害を治療する方法。
【請求項3】
神経障害が、精神障害、不安障害、運動障害および/または神経障害(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳炎、恐怖症、てんかん、失語症、ベル麻痺、脳性麻痺、睡眠障害、疼痛、トゥレット症候群、統合失調症、妄想障害、双極性障害、心的外傷後ストレス障害、薬剤性精神病、パニック障害、強迫性障害、注意欠陥障害、崩壊性行動障害、自閉症、鬱病、認知症、認知障害、てんかん、不眠症および多発性硬化症)からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
神経障害が統合失調症である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
神経障害が心的外傷後ストレス障害である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
化合物が下記の構造(II):
【化3】
を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
R4およびR5が水素である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
R1がC1-6アルキルである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
R1がメチルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
R1がエチルである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
R1がイソプロピルである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
R3が置換フェニルである、請求項6〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
R3が3,4,5-トリメトキシフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
R2が置換または無置換フェニルである、請求項6〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
R2が置換または無置換ナフチルである、請求項6〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
R2が置換または無置換ヘテロアリールである、請求項6〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
化合物が下記の構造(III):
【化4】
を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
R4およびR5が水素である、請求項21また22に記載の方法。
【請求項24】
R1がC1-6アルキルである、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
R1がメチルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
R1がエチルである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
R1がイソプロピルである、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
R3が置換フェニルである、請求項21〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
R3が3,4,5-トリメトキシフェニルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
R2が置換または無置換フェニルである、請求項21〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
R2が置換または無置換ナフチルである、請求項21〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
R2が置換または無置換ヘテロアリールである、請求項21〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
有効量の下記の構造(IV):
【化5】
[式中、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、置換または無置換アリールであり;
R3は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグを温血動物に投与することを含む、温血動物においてPDE10を阻害する方法。
【請求項37】
有効量の下記の構造(IV):
【化6】
[式中、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、置換または無置換アリールであり;
R3は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグを温血動物に投与することを含む、それを必要とする温血動物における神経障害を治療する方法。
【請求項38】
神経障害が、精神障害、不安障害、運動障害および/または神経障害(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳炎、恐怖症、てんかん、失語症、ベル麻痺、脳性麻痺、睡眠障害、疼痛、トゥレット症候群、統合失調症、妄想障害、双極性障害、心的外傷後ストレス障害、薬剤性精神病、パニック障害、強迫性障害、注意欠陥障害、崩壊性行動障害、自閉症、鬱病、認知症、認知障害、てんかん、不眠症および多発性硬化症)からなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
神経障害が統合失調症である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
神経障害が心的外傷後ストレス障害である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキルである、請求項36〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
R4およびR5が水素である、請求項36〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
R1が水素である、請求項36〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
R1がC1-6アルキルである、請求項36〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
R1がメチルである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
R1がエチルである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
R1がイソプロピルである、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
R3が置換フェニルである、請求項36〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
R3が3,4,5-トリメトキシフェニルである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
R2が置換または無置換フェニルである、請求項36〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
R2が置換または無置換ナフチルである、請求項36〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
下記の構造(II):
【化7】
[式中、
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、置換フェニル、または置換もしくは無置換ナフチルであり;
R3は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項56】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
R4およびR5が水素である、請求項55または56に記載の化合物。
【請求項58】
R1がC1-6アルキルである、請求項55〜57のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項59】
R1がメチルである、請求項58に記載の化合物。
【請求項60】
R1がエチルである、請求項58に記載の化合物。
【請求項61】
R1がイソプロピルである、請求項58に記載の化合物。
【請求項62】
R3が置換フェニルである、請求項55〜61のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項63】
R3が3,4,5-トリメトキシフェニルである、請求62に記載の化合物。
【請求項64】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項62に記載の化合物。
【請求項65】
R2が置換フェニルである、請求項55〜64のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項66】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項65に記載の化合物。
【請求項67】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項65に記載の化合物。
【請求項68】
R2が置換または無置換ナフチルである、請求項55〜64のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項69】
R2が置換または無置換ヘテロアリールである、請求項55〜64のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項70】
請求項55〜69のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項71】
下記の構造(III):
【化8】
[式中、
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2およびR3は同一であるか異なっており、独立して置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項72】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキルである、請求項71に記載の化合物。
【請求項73】
R4およびR5が水素である、請求項71または72に記載の化合物。
【請求項74】
R1がC1-6アルキルである、請求項71〜73のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項75】
R1がメチルである、請求項74に記載の化合物。
【請求項76】
R1がエチルである、請求項74に記載の化合物。
【請求項77】
R1がイソプロピルである、請求項74に記載の化合物。
【請求項78】
R3が置換フェニルである、請求項71〜77のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項79】
R3が3,4,5-トリメトキシフェニルである、請求項78に記載の化合物。
【請求項80】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項78に記載の化合物。
【請求項81】
R2が置換または無置換フェニルである、請求項71〜80のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項82】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項81に記載の化合物。
【請求項83】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項81に記載の化合物。
【請求項84】
R2が置換または無置換ナフチルである、請求項71〜80のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項85】
R2が置換または無置換ヘテロアリールである、請求項71〜80のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項86】
請求項71〜85のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項87】
下記の構造(IV):
【化9】
[式中、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、
【化10】
[式中、
R2aは、-N(R2bR2c)または少なくとも1個のN環原子を有する複素環であり、かつ
R2bおよびR2cは同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキルまたはアリールである]
であり;
R3は、
【化11】
[式中、
R3aは、-C1-6アルコキシであり、
R3bは、ハロゲンであり、かつ
R3cは、-C1-6アルコキシである]
であり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項88】
下記の構造(IV):
【化12】
[式中、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、
【化13】
[式中、
R2aは、-N(R2bR2c)または少なくとも1個のN環原子を有する複素環であり、ただし、R2aは1H-テトラゾール-1-イルではなく、かつ
R2bおよびR2cは同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキルまたはアリールである]
であり;
R3は、
【化14】
[式中、
R3aは、-C1-6アルコキシであり、かつ
R3cは、-C1-6アルコキシである]
であり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項89】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルである、請求項87または88に記載の化合物。
【請求項90】
R4およびR5が水素である、請求項87〜89のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項91】
R1が水素である、請求項87〜90のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項92】
R1がC1-6アルキルである、請求項87〜90のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項93】
R1がメチルである、請求項92に記載の化合物。
【請求項94】
R1がエチルである、請求項92に記載の化合物。
【請求項95】
R1がイソプロピルである、請求項92に記載の化合物。
【請求項96】
R1がシクロプロピルである、請求項92に記載の化合物。
【請求項97】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項87〜96のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項98】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項87〜97のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項99】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項87〜97のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項100】
請求項87〜99のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項1】
有効量の下記の構造(I):
【化1】
[式中、
Xは、-O-または-S-であり;
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2およびR3は同一であるか異なっており、独立して置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグを温血動物に投与することを含む、温血動物においてPDE10を阻害する方法。
【請求項2】
有効量の下記の構造(I):
【化2】
[式中、
Xは、-O-または-S-であり;
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2およびR3は同一であるか異なっており、独立して置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグを温血動物に投与することを含む、それを必要とする温血動物における神経障害を治療する方法。
【請求項3】
神経障害が、精神障害、不安障害、運動障害および/または神経障害(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳炎、恐怖症、てんかん、失語症、ベル麻痺、脳性麻痺、睡眠障害、疼痛、トゥレット症候群、統合失調症、妄想障害、双極性障害、心的外傷後ストレス障害、薬剤性精神病、パニック障害、強迫性障害、注意欠陥障害、崩壊性行動障害、自閉症、鬱病、認知症、認知障害、てんかん、不眠症および多発性硬化症)からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
神経障害が統合失調症である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
神経障害が心的外傷後ストレス障害である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
化合物が下記の構造(II):
【化3】
を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
R4およびR5が水素である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
R1がC1-6アルキルである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
R1がメチルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
R1がエチルである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
R1がイソプロピルである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
R3が置換フェニルである、請求項6〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
R3が3,4,5-トリメトキシフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
R2が置換または無置換フェニルである、請求項6〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
R2が置換または無置換ナフチルである、請求項6〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
R2が置換または無置換ヘテロアリールである、請求項6〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
化合物が下記の構造(III):
【化4】
を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
R4およびR5が水素である、請求項21また22に記載の方法。
【請求項24】
R1がC1-6アルキルである、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
R1がメチルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
R1がエチルである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
R1がイソプロピルである、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
R3が置換フェニルである、請求項21〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
R3が3,4,5-トリメトキシフェニルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
R2が置換または無置換フェニルである、請求項21〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
R2が置換または無置換ナフチルである、請求項21〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
R2が置換または無置換ヘテロアリールである、請求項21〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
有効量の下記の構造(IV):
【化5】
[式中、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、置換または無置換アリールであり;
R3は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグを温血動物に投与することを含む、温血動物においてPDE10を阻害する方法。
【請求項37】
有効量の下記の構造(IV):
【化6】
[式中、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、置換または無置換アリールであり;
R3は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグを温血動物に投与することを含む、それを必要とする温血動物における神経障害を治療する方法。
【請求項38】
神経障害が、精神障害、不安障害、運動障害および/または神経障害(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脳炎、恐怖症、てんかん、失語症、ベル麻痺、脳性麻痺、睡眠障害、疼痛、トゥレット症候群、統合失調症、妄想障害、双極性障害、心的外傷後ストレス障害、薬剤性精神病、パニック障害、強迫性障害、注意欠陥障害、崩壊性行動障害、自閉症、鬱病、認知症、認知障害、てんかん、不眠症および多発性硬化症)からなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
神経障害が統合失調症である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
神経障害が心的外傷後ストレス障害である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキルである、請求項36〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
R4およびR5が水素である、請求項36〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
R1が水素である、請求項36〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
R1がC1-6アルキルである、請求項36〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
R1がメチルである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
R1がエチルである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
R1がイソプロピルである、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
R3が置換フェニルである、請求項36〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
R3が3,4,5-トリメトキシフェニルである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
R2が置換または無置換フェニルである、請求項36〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
R2が置換または無置換ナフチルである、請求項36〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
下記の構造(II):
【化7】
[式中、
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、置換フェニル、または置換もしくは無置換ナフチルであり;
R3は、置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項56】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
R4およびR5が水素である、請求項55または56に記載の化合物。
【請求項58】
R1がC1-6アルキルである、請求項55〜57のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項59】
R1がメチルである、請求項58に記載の化合物。
【請求項60】
R1がエチルである、請求項58に記載の化合物。
【請求項61】
R1がイソプロピルである、請求項58に記載の化合物。
【請求項62】
R3が置換フェニルである、請求項55〜61のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項63】
R3が3,4,5-トリメトキシフェニルである、請求62に記載の化合物。
【請求項64】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項62に記載の化合物。
【請求項65】
R2が置換フェニルである、請求項55〜64のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項66】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項65に記載の化合物。
【請求項67】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項65に記載の化合物。
【請求項68】
R2が置換または無置換ナフチルである、請求項55〜64のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項69】
R2が置換または無置換ヘテロアリールである、請求項55〜64のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項70】
請求項55〜69のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項71】
下記の構造(III):
【化8】
[式中、
R1は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2およびR3は同一であるか異なっており、独立して置換もしくは無置換ヘテロシクリル、または置換もしくは無置換アリールであり;かつ
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項72】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素またはC1-6アルキルである、請求項71に記載の化合物。
【請求項73】
R4およびR5が水素である、請求項71または72に記載の化合物。
【請求項74】
R1がC1-6アルキルである、請求項71〜73のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項75】
R1がメチルである、請求項74に記載の化合物。
【請求項76】
R1がエチルである、請求項74に記載の化合物。
【請求項77】
R1がイソプロピルである、請求項74に記載の化合物。
【請求項78】
R3が置換フェニルである、請求項71〜77のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項79】
R3が3,4,5-トリメトキシフェニルである、請求項78に記載の化合物。
【請求項80】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項78に記載の化合物。
【請求項81】
R2が置換または無置換フェニルである、請求項71〜80のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項82】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項81に記載の化合物。
【請求項83】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項81に記載の化合物。
【請求項84】
R2が置換または無置換ナフチルである、請求項71〜80のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項85】
R2が置換または無置換ヘテロアリールである、請求項71〜80のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項86】
請求項71〜85のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項87】
下記の構造(IV):
【化9】
[式中、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、
【化10】
[式中、
R2aは、-N(R2bR2c)または少なくとも1個のN環原子を有する複素環であり、かつ
R2bおよびR2cは同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキルまたはアリールである]
であり;
R3は、
【化11】
[式中、
R3aは、-C1-6アルコキシであり、
R3bは、ハロゲンであり、かつ
R3cは、-C1-6アルコキシである]
であり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項88】
下記の構造(IV):
【化12】
[式中、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキル、アリール、-(CH2)nO(CH2)mCH3または-(CH2)nN(CH3)2であり;
R2は、
【化13】
[式中、
R2aは、-N(R2bR2c)または少なくとも1個のN環原子を有する複素環であり、ただし、R2aは1H-テトラゾール-1-イルではなく、かつ
R2bおよびR2cは同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アラルキルまたはアリールである]
であり;
R3は、
【化14】
[式中、
R3aは、-C1-6アルコキシであり、かつ
R3cは、-C1-6アルコキシである]
であり;
R4およびR5は同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルであり;
nは、1、2、3、4、5または6であり;かつ
mは、0、1、2、3、4、5または6である]
を有する化合物、またはその製薬上許容される塩、立体異性体、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項89】
R4およびR5が同一であるか異なっており、独立して水素、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルである、請求項87または88に記載の化合物。
【請求項90】
R4およびR5が水素である、請求項87〜89のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項91】
R1が水素である、請求項87〜90のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項92】
R1がC1-6アルキルである、請求項87〜90のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項93】
R1がメチルである、請求項92に記載の化合物。
【請求項94】
R1がエチルである、請求項92に記載の化合物。
【請求項95】
R1がイソプロピルである、請求項92に記載の化合物。
【請求項96】
R1がシクロプロピルである、請求項92に記載の化合物。
【請求項97】
R3が4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニルである、請求項87〜96のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項98】
R2が4-モルホリノフェニルである、請求項87〜97のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項99】
R2が4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニルである、請求項87〜97のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項100】
請求項87〜99のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【公表番号】特表2011−530521(P2011−530521A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522195(P2011−522195)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/052754
【国際公開番号】WO2010/017236
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(310008848)オメロス コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/052754
【国際公開番号】WO2010/017236
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(310008848)オメロス コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
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