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PDE10A阻害剤を用いる糖尿病および関連障害の処置方法
説明

PDE10A阻害剤を用いる糖尿病および関連障害の処置方法

本発明は、PDE10A阻害剤の投与による2型糖尿病を包含する糖尿病および関連障害の処置に関する。そのようなPDE10A阻害剤は、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、インシュリン増感剤、インシュリン分泌促進薬、肝臓グルコース生産低下化合物、β−3アゴニストもしくはインシュリンと併せて投与することができる。そのようなPDE10A阻害剤はまた、体重減少剤と併せて投与することもできる。さらに、本発明の方法は、PDE10A阻害剤の投与により、例えば血糖濃度の上昇に応答して、膵臓細胞からのインシュリン放出を刺激することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年7月31日に出願された米国仮出願第60/491,730号の利益を請求し、その内容はそれら全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、PDE10Aを阻害する化合物を投与することにより糖尿病および関連障害を処置する方法に関する。そのようなPDE10A阻害剤は、他の製薬学的因子、例えば抗糖尿病薬もしくは体重減少剤と組み合わせて投与することができる。本発明のさらなる方法は、PDE10A阻害剤の投与により、例えば血糖濃度の上昇に応答して、膵臓細胞からのインシュリン放出を刺激することに関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、糖尿病患者における上昇した血糖レベルによりとりわけ現れるグルコース代謝障害を特徴とする。根底にある欠陥は、2つの主要なグループ:1型および2型への糖尿病の分類をもたらす。1型糖尿病、すなわちインシュリン依存性糖尿病(IDDM)は、患者がそれらの膵腺にインシュリンを生産するβ細胞を欠く場合に起こる。2型糖尿病、すなわちインシュリン非依存性糖尿病(NIDDM)は、β細胞機能障害およびインシュリン作用の改変を有する患者において起こる。
【0004】
1型糖尿病患者の現在の処置はインシュリンの注射であり、一方、2型糖尿病患者の大部分は、β細胞機能を刺激する因子でもしくはインシュリンへの患者の組織感受性を高める因子で処置される。2型糖尿病を処置するために現在使用される薬剤には、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、インシュリン感作剤(sensitizer)、インシュリン分泌促進薬、メトホルミンおよびインシュリンが包含される。
【0005】
時間とともに、全ての2型糖尿病被験体の1/3より多くは、経口剤への応答を失う。インシュリン処置が食後に行われ、運動および経口薬は血糖を適切に制御することができない。インシュリン処置の欠点には、例えば、薬剤注射の必要性、低血糖症の可能性および体重増加が包含される。
【0006】
糖尿病治療の別の戦略は、環状アデノシン1リン酸(cAMP)シグナル伝達機構およびインシュリン分泌へのその影響に基づく。グルコースの代謝はATP依存性Kチャンネルの閉鎖を促進し、それは細胞脱分極およびその後のCa++チャンネルの開口をもたらす。これは次にインシュリン顆粒のエキソサイトーシスをもたらす。cAMPは、グルコースにより刺激されるインシュリン分泌の主要な調節因子である。しかしながら、cAMPの影響はグルコース依存的であり、すなわち、cAMPは低いグルコース濃度でインシュリン分泌にたとえあったとしてもほとんど影響を及ぼさない(非特許文献1)。インシュリン分泌へのcAMPの影響は、プロテインキナーゼA経路により媒介されると考えられる。
【0007】
内因性分泌促進薬は、グルコースに依存した方法でインシュリン分泌を調節するためにcAMP系を利用する(非特許文献2)。そのような内因性分泌促進薬の例には、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)、血管作用性腸ポリペプチド(VIP)およびグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)が包含される。
【0008】
PACAPは、膵臓β細胞からのグルコース依存性インシュリン分泌の強力な刺激因子である。3つの異なるPACAP受容体タイプ(R1、R2およびR3)が記述されている(非特許文献3)。PACAPのインシュリン分泌促進作用は、GTP結合タンパク質
Gsにより媒介される。細胞内cAMPの蓄積は次にβ細胞における非選択性陽イオンチャンネルを活性化し、[Ca++]を増加し、そしてインシュリンを含有する分泌顆粒のエキソサイトーシスを促進する。
【0009】
血管作用性腸ペプチド(VIP)は、ブタ上部小腸から最初に単離された28アミノ酸ペプチドである(非特許文献4;特許文献1)。VIPの生物学的効果は、細胞内cAMPシグナル伝達系と共役している膜結合受容体タンパク質の活性化により媒介される。
【0010】
GLP−1は食後に腸L細胞から放出され、そしてインクレチンホルモンとして働く(すなわち、それは膵臓β細胞からのグルコース誘発性インシュリン放出を増強する)。それは、組織タイプに依存して、グルカゴン遺伝子により異なって発現される37アミノ酸ペプチドである。β細胞におけるcAMPレベルを上昇することの有益な効果を裏付ける臨床データは、GLP−1で示されている。制御不良の2型糖尿病患者におけるGLP−1の注入は、空腹時血糖レベルを正常化し(非特許文献5)、そして長期の注入に伴って正常な被験体と比較した場合にβ細胞機能を改善した(非特許文献6)。最近の報告により、GLP−1は耐糖能障害を有する被験体においてグルコースに応答するβ細胞の能力を改善することが示されている(非特許文献7)。
【0011】
2型糖尿病を処置するためのそのような内因性分泌促進薬の使用はまた、いくつかの欠点も有する。例えば、これらの化合物のペプチジル性質は、それらが注射により投与されることを必要とする。さらに、内因性分泌促進薬の効果は、ペプチドの短い半減期のために短期間である。
【0012】
現在の処置に関連する問題のために、2型腸尿病を処置する新規な治療が必要とされる。特に、正常な(グルコース依存性)インシュリン分泌を維持する新規な処置が必要とされる。そのような新薬は、以下の特性:1)インシュリン分泌を促進するためのグルコースへの依存性、すなわち、上昇した血糖の存在下でのみインシュリン分泌を促進する化合物およびそれ故に低血糖症の低い可能性;2)低い一次および二次失敗率;ならびに3)島細胞機能の維持を有するべきである。
【0013】
本発明は、ホスホジエステラーゼ10A(PDE10A)の阻害によるcAMPシグナル伝達系の調節に焦点を当てることにより糖尿病および関連障害の新規な処置を提供する。ホスホジエステラーゼ(PDE)は、3’,5’−環状ヌクレオチド1リン酸を5’−ヌクレオチド1リン酸に切断するcAMPおよび/もしくはcGMP加水分解酵素のファミリーである。PDEは、cAMP系の調節に関与することが知られている。特に、PDE10Aは、約0.05〜14μMのK値でcAMPおよびcGMPを加水分解するホスホジエステラーゼである(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。それらのC末端触媒ドメインは同一であるが分子のN末端部分のサイズが異なるPDE10Aの少なくとも3つのスプライスバリアントが記述されている(非特許文献11;非特許文献12)。
【0014】
従って、PDE10A活性を阻害することにより、cAMPの細胞内レベルは増加され、それによりインシュリンを含有する分泌顆粒の放出を増加し、そしてそれ故にインシュリン分泌を増加する。従って、本発明は糖尿病および関連障害の新規な処置、すなわち、PDE10A阻害剤の投与を提供する。
【特許文献1】米国特許第3,879,371号明細書
【非特許文献1】Weinhaus,et al.,Diabetes 47:1426−1435,1998
【非特許文献2】Komatsu,et al.,Diabetes 46:1928−1938,1997
【非特許文献3】Harmar,et al.,Pharmacol.Rev.50:265−270,1998
【非特許文献4】Said and Mutt,Science 169:1217−1218,1970
【非特許文献5】Gutniak,et al.,New Eng.J.Med.326:1316−1322,1992
【非特許文献6】Rachman,et al.,Diabetes 45:1524−1530,1996
【非特許文献7】Byrne,et al.,Diabetes 47:1259−1265,1998
【非特許文献8】Fujishige,et al.,J.Biol.Chem.274(26):18438−18445,1999
【非特許文献9】Soderling,et al.,PNAS 96:7071−7076,1999
【非特許文献10】Loughney,et al.,Gene 234:109−117,1999
【非特許文献11】Kotera,et al.,Biochem.Biophy.Res.Comm.261:551−557,1999
【非特許文献12】Fujishige,et al.,Eur.J.Biochem.267:5943−5951,2000
【発明の開示】
【0015】
[本発明の要約]
本発明は、PDE10A阻害剤の有効量を投与することにより哺乳類における2型糖尿病を包含する糖尿病を処置する方法に関する。本発明の他の方法は、PDE10A阻害剤を投与することによる、症候群X、耐糖能障害および空腹時血糖障害のような、糖尿病に関連する他の障害の処置に関する。さらに、本発明は1型糖尿病、妊娠糖尿病、若年発症の成人型糖尿病(MODY)、成人性潜在型自己免疫性糖尿病(latent autoimmune diabetes adult)(LADA)ならびに関連する糖尿病性異常脂質血症および他の糖尿病性合併症、ならびに高血糖症、高インシュリン血症、異常脂質血症、高トリグリセリド血症およびインシュリン抵抗性を処置する方法に関する。
【0016】
本発明はさらに、PDE10A阻害剤の有効量を投与することにより哺乳類における膵臓細胞からのインシュリン放出を刺激する方法に関する。インシュリン放出のこの方法は、哺乳類の血中グルコース濃度の上昇に応答してであることができる。本発明の方法において、PDE10A阻害剤はまた、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース)、インシュリン増感剤(例えばチアゾリジンジオン)、肝臓グルコース生産を減少する化合物(例えばメトホルミン)、インシュリン分泌促進薬(例えばスルホニル尿素)、β−3アゴニストおよびインシュリンのような他の糖尿病治療と併せて投与することもできる。さらに、PDE10A阻害剤は、ゼニカル、メリジア、β−3アゴニストもしくはCB−1アンタゴニストのような1つもしくはそれ以上の減量薬と併せて投与することができる。最後に、別の態様として、本発明の方法は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、ニコチン酸、胆汁酸金属イオン封鎖剤、フィブリン酸誘導体もしくは抗高血圧薬と組み合わせたPDE10A阻害剤の投与を提供する。
【0017】
本発明の別の態様として、PDE10A阻害剤は、認知症もしくは尿生殖路障害の処置のために投与することができる。尿生殖路障害には、失禁、緊張性失禁、良性前立腺過形成、勃起不全、女性の性機能不全および前立腺の肥大が包含されるが、これらに限定されるものではない。本発明のさらなる態様として、PDE10A阻害剤は、高血圧、虚血性心疾患、心筋梗塞、安定および不安定狭心症、末梢閉塞性疾患ならびに虚血性脳卒中のよ
うな心臓血管障害の処置のために投与することができる。
【0018】
従って、本発明は、PDE10A阻害剤の投与を通したPDE10Aの阻害による糖尿病の処置の方法を提供する。本発明のこれらおよび他の態様は、以下の記述および請求項からさらに明らかである。
[発明の詳細な記述]
本発明の方法は、PDE10A阻害剤の投与による、糖尿病および関連障害、特に2型糖尿病の処置、ならびに/もしくは膵臓細胞からのインシュリン放出の刺激を提供する。そのような方法は、PDE10A阻害剤の投与による、空腹もしくは食後状態においてグルコースが上昇している任意の症状の処置を提供する。PDE10Aは、ランゲルハンス島において同定されている。PDE10Aは、cAMPをAMPに加水分解し、そしてそれによりcAMPの細胞内濃度を減少する。PDE10A活性を阻害することにより、cAMPの細胞内レベルは増加され、それによりインシュリンを含有する分泌顆粒の放出を増加し、そしてそれ故にインシュリン分泌を増加する。また本明細書に記述するように、PDE10A阻害剤は、痴呆症、心臓血管障害もしくは尿生殖路障害の処置のために投与することもできる。
【0019】
処置の方法
本明細書において用いる場合に、様々な用語が以下に定義される。
【0020】
本発明もしくはその好ましい態様(1つもしくは複数)の要素を導入する場合に、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」および「該」という冠詞は、該要素の1つもしくはそれ以上があることを意味するものとする。「含んでなる」、「包含する」および「有する」という用語は包括的であるものとし、そして記載する要素以外の追加の要素があり得ることを意味する。
【0021】
「被験体」という用語には、本明細書において用いる場合、哺乳類(例えば、ヒトおよび動物)が包含される。
【0022】
「処置」という用語には、任意の方法、作用、適用、治療などが包含され、ここで、ヒトを包含する被験体には、直接的もしくは間接的に、被験体の症状を改善するか、または被験体における症状もしくは障害の進行を遅くする目的で医療扶助が提供される。
【0023】
「組み合わせ治療」もしくは「共治療(co−therapy)」という用語は、糖尿病症状および/もしくは障害を処置するための2つもしくはそれ以上の治療薬の投与を意味する。そのような投与には、固定比率の有効成分を有する単一のカプセルにおけるかもしくは各阻害剤薬の複数の別個のカプセルにおけるような、実質的に同時の方法での2つもしくはそれ以上の治療薬の共投与が包含される。さらに、そのような投与には、順次の方法での治療薬の各タイプの使用が包含される。
【0024】
「治療的に有効な」という語句は、既定の治療処置と関連する不都合な副作用を回避するかもしくは最小限に抑えながら、糖尿病症状もしくは障害の重症度の改善の目的を果たす投与される各因子の量を意味する。
【0025】
「製薬学的に許容しうる」という用語は、対象事項が製薬学的製品における使用に適切であることを意味する。
【0026】
本発明の方法は、1型および2型糖尿病の両方を包含する糖尿病のような疾患を処置するために用いることができる。そのような方法はまた、糖尿病および糖尿病性合併症の発症を遅らせることもできる。本発明の方法を用いて処置するかもしくは予防することがで
きる他の疾患および症状には:若年発症の成人型糖尿病(MODY)(Herman,et al.,Diabetes 43:40,1994)、成人性潜在型自己免疫性糖尿病(LADA)(Zimmet,et al.,Diabetes Med.11:299,1994)、耐糖能障害(IGT)(Expert Committee on Classification of Diabetes Mellitus,Diabetes Care 22(Supp.1):S5,1999)、空腹時血糖障害(IFG)(Charles,et al.,Diabetes 40:796,1991)、妊娠糖尿病(Metzger,Diabetes,40:197,1991)および代謝症候群Xが包含される。
【0027】
本発明の方法はまた、糖尿病の副因を処置するために用いることもできる(Expert Committee on Classification of Diabetes Mellitus,Diabetes Care 22(Supp.1):S5,1999)。そのような副因には、グルココルチコイド過剰、成長ホルモン過剰、褐色細胞腫および薬剤誘発性糖尿病が包含される。糖尿病を誘発し得る薬剤には、ピリミニル、ニコチン酸、グルココルチコイド、フェニトイン、甲状腺ホルモン、β−アドレナリン作動薬、α−インターフェロンおよびHIV感染を処置するために使用される薬剤が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0028】
cAMPにより媒介されるインシュリンの放出はまた、刺激グルコース濃度の存在にも依存する。本発明の方法はさらに、PDE10A阻害剤の投与により島細胞からのインシュリン放出を刺激することに関する。従って、非ペプチド化合物でのインシュリン分泌のグルコース依存性刺激は、低血糖症を引き起こすことなしに血糖濃度を下げる。
【0029】
本発明の方法は、単独でまたは糖尿病および関連障害の処置において当業者に既知である追加の治療および/もしくは化合物と組み合わせて使用することができる。あるいはまた、PDE10A阻害剤は、組み合わせ治療において部分的にもしくは完全に使用することができる。
【0030】
例えば、PDE10A阻害剤は、PPARリガンド(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト)、インシュリン分泌促進薬、例えば、スルホニル尿素薬および非スルホニル尿素分泌促進薬、α−グルコシダーゼ阻害剤、インシュリン増感剤、肝臓グルコース生産低下化合物、インシュリンおよびインシュリン誘導体、ならびに抗肥満薬を包含する、糖尿病の処置のための他の既知の治療と組み合わせて投与することができる。そのような治療は、本発明の化合物の投与の前に、それと同時にもしくは後に投与することができる。インシュリンおよびインシュリン誘導体には、インシュリンの長時間および短時間の両方の作用形態および製剤が包含される。PPARリガンドには、PPAR受容体もしくはその組み合わせのいずれかのアゴニストおよび/もしくはアンタゴニストを包含することができる。例えば、PPARリガンドには、PPAR−α、PPAR−γ、PPAR−δまたはPPARの受容体の2つもしくは3つの任意の組み合わせのリガンドを包含することができる。PPARリガンドには、例えば、ロシグリタゾン、トログリタゾンおよびピオグリタゾンが包含される。スルホニル尿素薬には、例えば、グリブリド、グリメピリド、クロルプロパミド、トルブタミドおよびグリピジドが包含される。本発明の化合物と投与する場合に糖尿病を処置することにおいて有用であることができるα−グルコシダーゼ阻害剤には、アカルボース、ミグリトールおよびボグリボースが包含される。糖尿病を処置することにおいて有用であることができるインシュリン増感剤には、グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾンなど)ならびに他のチアゾリジンジオンおよび非チアゾリジンジオン化合物のようなPPAR−γアゴニスト;メトホルミンおよびフェンホルミンのようなビグアニド;プロテインチロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤;ならびに11ベータ−HSD阻害剤が包含される。本発明の化合物と投与する場合に糖尿病を処置することにおいて有用であることができる肝臓グルコース生産低下化合物には、例えば、グルカゴンアンタゴニストならびにグルコファージおよびグルコファージXRのようなメトホルミンが包含される。本発明の化合物と投与する場合に糖尿病を処置することにおいて有用であることができるインシュリン分泌促進薬には、スルホニル尿素および非スルホニル尿素薬:GLP−1、GIP、PACAP、セクレチン、およびその誘導体;ナテグリニド、メグリチニド、レパグリニド、グリベンクラミド、グリメピリド、クロルプロパミドおよびグリピジドが包含される。例えば、GLP−1には、例えば脂肪酸誘導体化GLP−1およびエキセンディンのような、天然のGLP−1より長い半減期を有するGLP−1の誘導体が包含される。
【0031】
PDE10A阻害剤はまた、抗肥満薬と組み合わせて投与することもできる。抗肥満薬には、β−3アゴニスト;CB−1アンタゴニスト;神経ペプチドY5阻害剤;毛様体神経栄養因子および誘導体(例えばアクソカイン);例えばシブトラミン(メリジア)のような食欲抑制剤;ならびに例えばオルリスタット(ゼニカル)のようなリパーゼ阻害剤が包含される。
【0032】
さらに、PDE10A阻害剤はまた、糖尿病患者における脂質障害を処置するために一般に用いられる薬剤と組み合わせて投与することもできる。そのような薬剤には、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、ニコチン酸、脂肪酸低下化合物(例えば、アシピモックス);脂質低下薬(例えば、スタノールエステル、チクエシド(tiqueside)のようなステロールグリコシド、およびエゼチミブのようなアゼチジノン)、ACAT阻害剤(アバシミベ(avasimibe)のような)、胆汁酸金属イオン封鎖剤、胆汁酸再摂取抑制剤、ミクロソームトリグリセリド輸送抑制剤およびフィブリン酸誘導体が包含されるが、これらに限定されるものではない。HMG−CoAレダクターゼ阻害剤には、例えば、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、セリバスタチンおよびZD−4522が包含される。フィブリン酸誘導体には、例えば、クロフィブレート、フェノフィブレート、ベザフィブレート、シプロフィブレート、ベクロフィブレート、エトフィブレートおよびジェムフィブロジルが包含される。金属イオン封鎖剤には、例えば、コレスチラミン、コレスチポール、および架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体が包含される。
【0033】
さらに、PDE10A阻害剤はまた、例えば、β−遮断薬およびACE阻害剤のような抗高血圧薬と組み合わせて投与することもできる。本発明の化合物と組み合わせて使用する追加の抗高血圧薬の例には、カルシウムチャンネル遮断薬(L型およびT型;例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピンおよびミベフラジル)、利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン(tricrynafen)、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムトレネン(triamtrenene)、アミロリド、スピロノラクトン)、レニン阻害剤、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラゾプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、AT−1受容体アンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、ET受容体アンタゴニスト(例えば、シタキセンタン(sitaxsentan)、アトラセンタン(atrsentan)、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプシダーゼ阻害剤(デュアルNEP−ACE阻害剤)(例えばオマパトリラートおよびジェモパトリラート(gemopatrilat))ならびにナイトレート(nitrate)が包含される。
【0034】
そのような共治療は、2つもしくはそれ以上の薬剤の任意の組み合わせで投与することができる(例えば、インシュリン増感剤および抗肥満薬と組み合わせたPDE10A阻害剤)。そのような共治療は、下記のように、製薬学的組成物の形態で投与することができる。
【0035】
本発明の他の方法は、認知症の処置のためのPDE10A阻害剤の投与に関する(Shimamoto,et al.,Mech.Aging Dev.5(4):241−250,1976;Nicholson,et al.,Trend Pharmacol.Sci.12(1):19−27,1991)。
【0036】
本発明のなおさらなる方法は、PDE10A阻害剤の投与による尿生殖路障害の処置に関する。そのような尿生殖路障害には、失禁、緊張性失禁、良性前立腺過形成、勃起不全、女性の性機能不全(女性の性的興奮障害を包含する)および前立腺の肥大が包含されるが、これらに限定されるものではない(Ballard,et al.,J.Urol.159(6):2164−2171,1998)。
【0037】
本発明の他の方法は、高血圧、虚血性心疾患、心筋梗塞、安定および不安定狭心症、末梢閉塞性疾患ならびに虚血性脳卒中のような心臓血管障害を処置するためのPDE10A阻害剤の投与に関する。PDE10の発現は、心臓において検出されることができ(Loughney,et al.,Gene 234:109−117,1999;Kotera,et al.,Biochem.Biophy.Res.Comm.261:551−557,1999)、そしてcGMPおよびcAMPは、血管平滑筋緊張の調節に関与する重要な二次メッセンジャーである。PDE10ファミリーは、様々な組織におけるcAMPおよびcGMPの分解に関与する酵素を含んでなる(Fujishige,et al.,J.Biol.Chem.274(26):18438−18445,1999)可溶性および膜結合グアニル酸シクラーゼの活性化は、増加した細胞内cGMPレベルをもたらし、そして血管拡張を誘導する。血管平滑筋細胞において発現される様々なGタンパク質共役受容体(GPCR)(例えばアドレノメデュリンおよびCGRP受容体)の刺激は、アデニル酸シクラーゼの活性化、細胞内cAMPの生成を誘導し、そして血管拡張をもたらす。3’,5’−環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)は、3’,5’−環状ヌクレオチドのそれらのそれぞれのヌクレオシド5’−1リン酸への加水分解を触媒する。従って、PDE10Aは、心臓血管系において役割を果たすと思われる。
【0038】
製薬学的組成物
哺乳類における上記に同定する症状の処置の効能を決定するために用いられる周知のアッセイに基づいて、そしてこれらの症状を処置するために用いられる既知の薬剤の結果とこれらの結果との比較により、PDE10阻害剤(1つもしくは複数)の有効投薬量を各所望の適応症の処置について容易に決定することができる。これらの症状の1つの処置において投与される有効成分(例えばPDE10阻害剤)の量は、用いる特定の化合物および投薬量単位、投与の形態、処置の期間、処置する患者の年齢および性別、ならびに処置する症状の性質および程度のような考慮すべき事項に従って広く異なることができる。
【0039】
本発明の方法において使用するPDE10A阻害剤(1つもしくは複数)は、化合物それ自体として投与することができる。あるいはまた、PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)は、製薬学的組成物の形態で許容しうる担体とともに投与することができる。製薬学的に許容しうる担体は、組成物の他の成分と適合しなければならず、そしてレシピエントにとって許容できないほどに有害であってはならない。担体は固体もしくは液体、または両方であることができ、そして好ましくは投与形態物の総重量に基づいて約0.05%〜約95重量%の活性化合物(1つもしくは複数)を含有することができる単位用量組成
物、例えば錠剤として化合物と調合される。糖尿病症状の処置において有用な他の化合物を包含する他の薬理活性物質もまた存在することができる。
【0040】
本発明の方法に使用するPDE10A阻害剤(1つもしくは複数)は、任意の適当な経路により、好ましくはそのような経路に適した製薬学的組成物の形態で、そして意図される処置に治療的に有効な用量で投与することができる。PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)は、例えば、経口で、舌下に、経鼻的に、肺に、粘膜に、非経口で、脈管内に、腹腔内に、皮下に、筋肉内にもしくは局所的に投与することができる。単位用量製剤、特に錠剤もしくはカプセル剤のような経口で投与可能な単位用量製剤は、一般に、例えば約0.001〜約500mg、好ましくは約0.005mg〜約100mg、そしてより好ましくは約0.01〜約50mgの有効成分を含有する。製薬学的に許容しうる塩の場合、有効成分について上記に示す重量は、該塩から生じる製薬学的活性イオンの重量をさす。
【0041】
もちろん、糖尿病症状もしくは障害を防ぐか、処置するか、それから救済するかもしくは改善するための、またはそうでなければ各患者の糖尿病症状を防御するかもしくは処置するための特定の初期および継続投薬量処方計画は、主治医である診断医により決定されるような症状の性質および重症度、用いる特定のPDE10A阻害剤の活性、患者の年齢、患者の食事、投与の時間、投与の経路、薬剤の排出の速度、薬剤の組み合わせ、用いる特定のPDE10A阻害剤の活性、効能、薬物動態学および毒物学的プロフィールのような薬理学的考慮事項、薬剤送達系を利用するかどうか、ならびにPDE10A阻害剤を他の有効成分とともに投与するかどうかなどに従って異なる。PDE10A阻害剤の所望の処置形態および投与回数は、通常の処置試験を用いて当業者により確かめられることができる。
【0042】
PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)は、適切に調合された製薬学的組成物におけるそれを必要とする患者への投与により所望の薬理学的効果を得るために利用することができる。患者は、本発明の目的のためには、特定の症状もしくは疾患の処置を必要とする、ヒトを包含する哺乳類である。従って、本発明には、製薬学的に許容しうる担体および治療的に有効な量のPDE10A阻害剤(1つもしくは複数)を含んでなる製薬学的組成物が包含される。製薬学的に許容しうる担体は、該担体に起因する任意の副作用が有効成分の有益な効果を損なわないように有効成分の有効活性と一致する濃度で患者に対して比較的無毒でありそして無害である任意の担体である。PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)は、例えば、即時および持続放出製剤を包含する任意の有効な通常の投与単位形態物を用いて、経口で、非経口で、局所的になど製薬学的に許容しうる担体とともに投与することができる。
【0043】
経口投与用に、PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)は、例えば、カプセル剤、丸剤、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、メルト(melt)、散剤、液剤、パスタ剤、シロップ剤、懸濁剤もしくはエマルジョンのような固形もしくは液状製剤に調合することができ、そして製薬学的組成物の製造のための当該技術分野に既知である方法に従って製造することができる。固形単位投与形態物は、例えば、界面活性剤、潤滑剤、ならびにラクトース、ショ糖、リン酸カルシウムおよびコーンスターチのような不活性増量剤を含有する通常の硬殻もしくは軟殻ゼラチンタイプのものであることができるカプセル剤であり得る。製薬学的組成物は、好ましくは、特定量の有効成分を含有する投与単位の形態で製造される。
【0044】
PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)は、アカシア、コーンスターチもしくはゼラチンのような結合剤;ジャガイモ澱粉、アルギン酸、コーンスターチおよびグアルゴムのような投与後の錠剤の分解および溶解を助けることを目的とする崩壊剤;錠剤造粒の流れ
を良くすることならびに錠剤金型およびパンチの表面への錠剤材料の接着を防ぐことを目的とする潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸、またはステアリン酸マグネシウム、カルシウムもしくは亜鉛;色素;着色剤;ならびに錠剤の美的品質を高めそして患者にそれらをより受け入れやすくすることを目的とする香味料と組み合わせてラクトース、ショ糖およびコーンスターチのような通常の錠剤ベースで錠剤にすることができる。経口用液状投与形態物における使用に適当な賦形剤には、製薬学的に許容しうる界面活性剤、沈殿防止剤もしくは乳化剤を加えたもしくは加えないいずれかの、水およびアルコール、例えば、エタノール、ベンジルアルコールおよびポリエチレンアルコールのような希釈剤が包含される。様々な他の物質は、コーティングとしてもしくはそうでなければ投与単位の物理的形状を改変するために存在することができる。例えば、錠剤、丸剤もしくはカプセル剤は、シェラック、糖もしくは両方でコーティングすることができる。
【0045】
分散可能な粉末および顆粒は、水性懸濁剤の製造に適している。それらは、分散剤もしくは湿潤剤、沈殿防止剤および1つもしくはそれ以上の防腐剤と混合した有効成分を提供する。適当な分散剤もしくは湿潤剤および沈殿防止剤は、上記にすでに触れたものにより例示される。追加の賦形剤、例えば、上記の甘味料、香味料および着色剤もまた存在することができる。
【0046】
本発明の製薬学的組成物はまた、水中油滴型エマルジョンの形態であることもできる。油相は、流動パラフィンのような植物油もしくは植物油の混合物であることができる。適当な乳化剤は、(1)アカシアゴムおよびトラガカントゴムのような天然に存在するゴム、(2)ダイズおよびレシチンのような天然に存在するリン脂質、(3)脂肪酸と無水ヘキシトールから得られるエステルもしくは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ならびに(4)酸化エチレンと該部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。エマルジョンはまた、甘味料および香味料を含有することもできる。
【0047】
油状懸濁剤は、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油のような植物油に;または流動パラフィンのような鉱油に有効成分を懸濁することにより調合することができる。油状懸濁剤は、例えば、蜜蝋、固形パラフィンもしくはセチルアルコールのような増粘剤を含有することができる。懸濁剤はまた、1つもしくはそれ以上の防腐剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはn−プロピル;1つもしくはそれ以上の着色剤;1つもしくはそれ以上の香味料;およびショ糖もしくはサッカリンのような1つもしくはそれ以上の甘味料を含有することもできる。
【0048】
シロップ剤およびエリキシル剤は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールもしくはショ糖のような甘味料で調合することができる。そのような製剤はまた、粘滑剤、ならびに防腐剤、香味料および着色剤を含有することもできる。
【0049】
PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)の経口送達には、任意の数の機序により胃腸管への薬剤の即時送達または長期もしくは持続送達を与えるために当該技術分野において周知である製剤を包含することができる。即時送達製剤には、経口用液剤、経口用懸濁剤、速溶性錠剤もしくはカプセル剤、舌下錠、崩壊錠などが包含されるがこれらに限定されるものではない。長期もしくは持続送達製剤には、小腸の変化するpHに基づく投与形態物からの有効成分のpH感受性放出、錠剤もしくはカプセル剤のゆっくりとした侵食、製剤の物理的性質に基づく胃における貯留、腸管の粘膜内層への投与形態物の生体接着、または投与形態物からの有効薬剤の酵素的放出が包含されるがこれらに限定されるものではない。意図される効果は、投与形態物の操作により有効薬剤分子が作用部位に送達される期間を延長することである。従って、腸溶コーティングおよび腸溶コーティング制御放出製剤を本発明の方法において用いることができる。適当な腸溶コーティングには、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートならびにメタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルの陰イオン性ポリマーが包含される。
【0050】
製薬学的組成物は、PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)および担体(これは1つもしくはそれ以上の副成分を構成することができる)を会合させる段階を含む、薬学の任意の適当な方法により製造することができる。一般に、組成物は、PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)を液状もしくは細かく分割した固形担体、または両方と均一にそして密接に混合し、そして次に必要に応じて生成物を成形することにより製造される。例えば、錠剤は、場合により1つもしくはそれ以上の副成分とともに、阻害剤の粉末もしくは顆粒を圧縮するかもしくは成形することにより製造することができる。圧縮錠剤は、場合により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤および/もしくは界面活性剤/分散剤(1つもしくは複数)と混合した粉末もしくは顆粒のような自由流動形態の化合物を適当な機械において圧縮することにより製造することができる。成形錠剤は、例えば、適当な機械において粉末化合物を成形することにより製造することができる。
【0051】
経口投与用の液状投与形態物には、水のような当該技術分野において一般に用いられる不活性希釈剤を含有する製薬学的に許容しうるエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を包含することができる。そのような組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および沈殿防止剤、ならびに甘味料、香味料および香料のような添加剤を含んでなることもできる。
【0052】
口腔(舌下)投与に適当な製薬学的組成物には、風味をつけたベース、通常はショ糖、およびアカシアもしくはトラガカントにPDE10A阻害剤を含んでなるロゼンジ、ならびにゼラチンおよびグリセリンもしくはショ糖およびアカシアのような不活性ベースに阻害剤を含んでなるトローチ剤が包含される。
【0053】
PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)はまた、石鹸もしくは洗剤のような製薬学的に許容しうる界面活性剤、ペクチン、カーボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロースのような沈殿防止剤、または乳化剤および他の製薬学的添加剤を加えたもしくは加えない水、食塩水、水性デキストロースおよび関連糖溶液;エタノール、イソプロパノールもしくはヘキサデシルアルコールのようなアルコール;プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールのようなグリコール;2,2−ジメチル−1,1−ジオキソラン−4−メタノールのようなグリセロールケタール、ポリ(エチレングリコール)400のようなエーテル;油;脂肪酸;脂肪酸エステルもしくはグリセリド;またはアセチル化脂肪酸グリセリドのような滅菌した液体もしくは液体の混合物であることができる製薬学的担体とともに生理的に許容しうる希釈剤における化合物の注入可能な投薬量として、非経口的に、すなわち、皮下に、静脈内に、筋肉内にもしくは腹腔内に投与することもできる。
【0054】
本発明の非経口用製剤において使用することができる油の実例となるのは、石油、動物、植物もしくは合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ワセリンおよび鉱油である。適当な脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸が包含される。適当な脂肪酸エステルは、例えば、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルである。適当な石鹸には、脂肪酸アルカリ金属(fatty alkali metal)、アンモニウムおよびトリエタノールアミン塩が包含され、そして適当な洗剤には、陽イオン洗剤、例えば、ハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウム、ハロゲン化アルキルピリジニウムおよび酢酸アルキルアミン;陰イオン洗剤、例えば、スルホン酸アルキル、アリールおよびオレフィン、硫酸およびスルホコハク酸アルキル、オレフィン、エーテルおよびモノグリセリド;非イオン洗剤、例えば、脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミドおよびポリオキシエチレンポリプロピレンコポリマー;ならびに両性洗剤、例えば、アルキル−ベータ−アミノプロピオネートおよび2−アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩、ならびに混合物が包含される。
【0055】
本発明の非経口用組成物は、典型的に、溶液中に約0.5%〜約25重量%の有効成分を含有することができる。防腐剤およびバッファーもまた、都合よく用いることができる。注射の部位での刺激を最小限に抑えるかもしくはなくすために、そのような組成物は約12〜約17の親水性・親油性バランス(HLB)を有する非イオン性界面活性剤を含有することができる。そのような製剤における界面活性剤の量は、約5%〜約15重量%の間である。界面活性剤は上記のHLBを有する単一の成分であることができ、または所望のHLBを有する2つもしくはそれ以上の成分の混合物であることができる。
【0056】
非経口製剤において使用する界面活性剤の実例となるのは、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、例えば、ソルビタンモノオレエートおよびプロピレングリコールとプロピレンオキシドとの縮合により形成される、疎水性塩基とエチレンオキシドとの高分子量付加物である。
【0057】
製薬学的組成物は、滅菌した注入可能な水性懸濁剤の形態であることができる。そのような懸濁剤は、適当な分散剤もしくは湿潤剤および例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムのような沈殿防止剤;レシチンのような天然に存在するリン脂質、脂肪酸とアルキレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような脂肪酸とヘキシトールから得られる部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、もしくは脂肪酸と無水ヘキシトールから得られる部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる分散剤もしくは湿潤剤を用いて既知の方法に従って調合することができる。
【0058】
滅菌した注入可能な製剤はまた、無毒の非経口的に許容しうる希釈剤もしくは溶媒における滅菌した注入可能な液剤もしくは懸濁剤であることもできる。用いることができる希釈剤および溶媒は、例えば、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌した不揮発性油が溶媒もしくは懸濁媒質として都合よく用いられる。この目的のために、合成のモノもしくはジグリセリドを包含する任意のやわらかい(bland)不揮発性油を用いることができる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸を注入剤の製造において用いることができる。
【0059】
本発明の組成物はまた、薬剤の直腸投与用の座薬の形態で投与することもできる。これらの組成物は、常温で固体であるが直腸温度で液体でありそしてそのために直腸において融解して薬剤を放出する適当な非刺激賦形剤と薬剤(例えばPDE10A阻害剤)を混合することにより製造することができる。そのような物質は、例えば、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0060】
本発明の方法において用いる別の製剤は、経皮送達装置(「パッチ」)を使用する。そのような経皮パッチは、制御された量の本発明の化合物の連続もしくは不連続注入を与えるために用いることができる。製薬学的因子の送達のための経皮パッチの構築および使用は、当該技術分野において周知である(例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,023,252号を参照)。そのようなパッチは、製薬学的因子の
連続、パルスもしくはオンデマンド送達用に構築することができる。
【0061】
機械的送達装置を介して患者に製薬学的組成物を導入することが望ましいかもしくは必要であり得る。製薬学的因子の送達のための機械的送達装置の構築および使用は、当該技術分野において周知である。例えば、脳に直接薬剤を投与するための直接技法は、通常、血液脳関門を迂回するために患者の脳室系に薬剤送達カテーテルを置くことを含む。体の特定の解剖学的領域への因子の運搬に用いられる1つのそのような埋め込み可能な送達系は、引用することにより本明細書に組み込まれる米国特許第5,011,472号に記述されている。
【0062】
本発明の組成物はまた、必要もしくは所望に応じて、担体もしくは希釈剤と一般に呼ばれる、他の通常の製薬学的に許容しうる配合成分を含有することもできる。本発明の組成物のいずれも、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加によりもしくは他の適当な防腐剤により保存することができる。適切な投与形態物のそのような組成物を製造するための通常の方法を利用することができる。
【0063】
その目的とする投与経路のための組成物を調合するために必要に応じて使用することができる一般に用いられる製薬学的成分には:酸性化剤、例えば、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、硝酸(しかし、これらに限定されるものではない);およびアンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロラミンのようなしかしこれらに限定されるものではないアルカリ化剤が包含される。
【0064】
他の製薬学的成分には、例えば、吸着剤(例えば、粉末セルロースおよび活性炭);エアゾール噴射剤(例えば、二酸化炭素、CCl、FClC−CClFおよびCClF);空気置換剤(例えば、窒素およびアルゴン);抗真菌性防腐剤(例えば、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム);抗微生物性防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀およびチメロサール);酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム);結合剤(例えば、ブロックポリマー、天然および合成ゴム、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーンならびにスチレン−ブタジエンコポリマー);緩衝剤(例えば、メタリン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム二水和物);運搬剤(carrying agents)(例えば、アカシアシロップ、芳香族シロップ、芳香族エリキシル剤、チェリーシロップ、ココアシロップ、オレンジシロップ、シロップ、トウモロコシ油、鉱油、ピーナッツ油、ゴマ油、静菌性塩化ナトリウム注射液および注射用静菌水);キレート剤(例えば、エデト酸二ナトリウムおよびエデト酸);着色剤(例えば、FD&C赤色3号、FD&C赤色20号、FD&C黄色6号、FD&C青色2号、D&C緑色5号、D&C橙色5号、D&C赤色8号、カラメルおよび酸化鉄赤);清澄剤(例えば、ベントナイト);乳化剤(アカシア、セトマクロゴール、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、レシチン、ソルビタンモノオレエート、ポリエチレン50ステアレート、しかしこれらに限定されるものではない);封入剤(encapsulating agents)(例えば、ゼラチンおよび酢酸フタル酸セルロース);香味料(例えば、アニス油、桂皮油、ココア、メントール、オレンジ油、ペパーミント油およびバニリン);湿潤剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよびソルビトール);磨砕剤(levigating agents)(例えば、鉱油およびグリセリン);油(例えば、アラキス油、鉱油、オリーブ油、ピーナッツ油、ゴマ油および植物油);軟膏ベース(例えば、ラノリン、親水性軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、ワセリン、親水性ワセリン、白色軟膏、黄色軟膏およびローズ水軟膏);浸透促進剤(経皮送達)(例えば、モノヒドロキシもしくはポリヒドロキシアルコール、飽和もしくは不飽和脂肪アルコール、飽和もしくは不飽和脂肪エステル、飽和もしくは不飽和ジカルボン酸、精油、ホスファチジル誘導体、ケファリン、テルペン、アミド、エーテル、ケトンおよび尿素);可塑剤(例えば、フタル酸ジエチルおよびグリセリン);溶媒(例えば、アルコール、トウモロコシ油、綿実油、グリセリン、イソプロピルアルコール、鉱油、オレイン酸、ピーナッツ油、精製水、注射用水、注射用滅菌水および洗浄用滅菌水);硬化剤(例えば、セチルアルコール、セチルエステルワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ステアリルアルコール、白蝋および黄蝋);座薬ベース(例えば、ココアバターおよびポリエチレングリコール(混合物));界面活性剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、ノノキシノール10、オキシトキシノール(oxtoxynol)9、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウムおよびソルビタンモノパルミテート);沈殿防止剤(例えば、寒天、ベントナイト、カーボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カオリン、メチルセルロース、トラガカントおよびビーガム);甘味料(例えば、アスパルテーム、デキストロース、グリセリン、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトールおよびショ糖);錠剤接着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびタルク);錠剤結合剤(例えば、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮可能な糖、エチルセルロース、ゼラチン、液状グルコース、メチルセルロース、ポビドンおよびアルファ化澱粉);錠剤およびカプセル剤希釈剤(例えば、第二リン酸カルシウム、カオリン、ラクトース、マンニトール、微晶質セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ソルビトールおよび澱粉);錠剤コーティング剤(例えば、液状グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースおよびシェラック);錠剤直接圧縮賦形剤(例えば、第二リン酸カルシウム);錠剤崩壊剤(例えば、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微晶質セルロース、ポラクリリン(polacrillin)カリウム、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム澱粉および澱粉);錠剤流動促進剤(例えば、コロイドシリカ、コーンスターチおよびタルク);錠剤潤滑剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛);錠剤/カプセル剤不透明化剤(opaquants)(例えば、二酸化チタン);錠剤研磨剤(例えば、カルナバ蝋および白蝋);増粘剤(例えば、蜜蝋、セチルアルコールおよびパラフィン);等張化剤(例えば、デキストロースおよび塩化ナトリウム);粘度増加剤(例えば、アルギン酸、ベントナイト、カーボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウムおよびトラガカント);ならびに湿潤剤(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、ポリエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートおよびポリオキシエチレンステアレート)が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0065】
本発明の方法において使用するPDE10A阻害剤の投薬量レベルは、典型的に、毎日約0.001mg〜約10,000mg、好ましくは毎日約0.005mg〜約1,000mgである。単一もしくは分割用量のいずれかで与えられる、mg/kgの1日用量に基づいて、投薬量は典型的に約0.001/75mg/kg〜約10,000/75mg/kg、好ましくは約0.005/75mg/kg〜約1,000/75mg/kgの間である。
【0066】
各阻害剤の全1日用量は、単一用量でもしくは複数のサブ用量で患者に投与することが
できる。典型的に、サブ用量は1日当たり2〜6回、好ましくは1日当たり2〜4回、そしてさらにより好ましくは1日当たり2〜3回投与することができる。用量は、糖尿病症状の所望の制御を得るために十分に有効な即時放出形態もしくは持続放出形態であることができる。
【0067】
PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)は、単独の製薬学的因子としてまたは1つもしくはそれ以上の他の製薬学的因子と組み合わせて投与することができ、ここで、該組み合わせは許容できない不都合な影響を及ぼさない。例えば、PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)は、既知の抗肥満薬と、または既知の抗糖尿病薬もしくは他の適応症薬などと、ならびにその混合物および組み合わせと組み合わせることができる。
【0068】
PDE10A阻害剤(1つもしくは複数)はまた、組成物において、研究および診断において、もしくは分析対照基準としてなど利用することもできる。従って、本発明には、不活性担体および有効量のPDE10A阻害剤(1つもしくは複数)を含んでなる組成物が包含される。不活性担体は、保有される化合物と相互作用せずそして保有される化合物に支持、運搬の手段、かさ、追跡可能な物質などを与える任意の物質である。化合物の有効量は、行われる特定の方法に結果をもたらすかもしくは影響を及ぼす量である。
【0069】
本発明の方法において使用するPDE10A阻害剤はまた、PDE10Aの活性を阻害することが認められる化合物の製薬学的に許容しうる塩、保護された酸、共役酸、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体として投与することもできる。互変異性体には、例えばヒドロキシ互変異性体が包含される。保護された酸には、エステル、ヒドロキシアミノ誘導体、アミドおよびスルホンアミドのような保護された酸が包含されるが、これらに限定されるものではない。プロドラッグの形成は、親化合物の特性を高めるために当該技術分野において周知であり;そのような特性には、可溶性、吸収、生体安定性(biostability)および放出時間が包含される(引用することにより本明細書に組み込まれる、“Pharmaceutical Dosage Form and Drug Delivery Systems”(第6版),Ansel et al.編集,Williams & Wilkins出版,pgs.27−29,(1995)を参照)。一般に用いられるプロドラッグは、主要な薬剤生体内転化反応を利用するように設計され、そしてまた本発明の範囲内であると考えられるものとする。主要な薬剤生体内転化反応には、N−脱アルキル化、O−脱アルキル化、脂肪族ヒドロキシル化、芳香族ヒドロキシル化、N−酸化、S−酸化、脱アミノ化、加水分解反応、グルクロン酸化、硫酸化およびアセチル化が包含される(引用することにより本明細書に組み込まれる、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics (第9版),Molinoff et al.編集,McGraw−Hill出版,11−13頁,(1996)を参照)。
【0070】
ヒト処置に有用であることに加えて、PDE10A阻害剤の投与はまた、コンパニオンアニマル(例えば、ウマ、イヌ、ネコなど)、外来動物および家畜の獣医学的処置に有用であることもできる。本発明はヒト生物学に関して記述されるが、本発明は同様に他の哺乳類に適応可能であることが当業者により理解される。
【0071】
皮下、静脈内、筋肉内などに適当な製剤;適当な製薬学的担体;ならびに製剤および投与の技術は、当該技術分野において周知である方法のいずれかにより準備することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,第20版,2000を参照)。
【0072】
本明細書に記載するような本発明の精神もしくは範囲からそれることなしに本発明に変
更および改変を行うことができることは、当業者に明らかであるはずである。
【実施例】
【0073】
本発明をよりよく理解することができるように、以下の実施例を記載する。これらの実施例は説明の目的のためだけであり、そして決して本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本明細書に記載する全ての公開は、それらの全部が引用することにより組み込まれる。
【0074】
本発明の化合物の活性の実証は、当該技術分野において周知であるインビトロ、エクスビボおよびインビボアッセイによって成し遂げられることができる。例えば、糖尿病および関連障害の処置のための製薬学的因子の効能を示すために、以下のアッセイを用いることができる。
【0075】
発現プロファイリング
【0076】
定量的PCR発現分析
INS−1E(44)細胞系および分散した島におけるPDE10Aの発現をPCRにより確かめた。
【0077】
RNA抽出およびcDNA調製
TaqMan定量分析用の全RNAを動物細胞からの全RNAの単離用のRNeasyプロトコルを利用する供給業者のプロトコルに従って細胞から抽出した(Qiagen,Valencia,CA)。
【0078】
RNA(100μg)をRNアーゼフリーDNアーゼ(Qiagen,Valencia,CA)を用いてDNアーゼIで処理した。Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies,Palo Alto,CA)上での溶出および定量後に、各サンプルを供給業者のプロトコル(Invitrogen,Carlsbad,CA)に従ってRT−PCR用のSuperscript II第一鎖合成システムを用いて逆転写した。反応ミックスにおけるRNAの最終濃度は50ng/μLであった。
【0079】
TaqMan定量分析
特異的プライマーおよびプローブをApplied Biosystems(Foster City,CA)Assays−By−Designサービスに従って設計し、そして以下に記載する:
TaqManプライマー配列:
PDE10A−フォワードプライマー:5’−(CAGATCCTCCCACCCACAGA)−3’
PDE10A−リバースプライマー:5’−(TCGAATTACCTTCTCCCACTGATT)−3’
PDE10A−プローブ:5’−(FAM)−(TGCAGGGATAACCTC)(MGB)−3’
ここで、FAM=6−カルボキシ−フルオレセイン、そしてMGB=マイナーグルーブ結合剤(minor groove binder)。PCR生成物の予想される長さは、75bpであった。
【0080】
各サンプルからの逆転写RNA(25ng)に定量実験を行った。Pre−Developed TaqMan Assay Reagents(PDAR)(Applied
Biosystems,Foster City,CA)を用いてリボソームRNA(
18S)をコントロールとして測定した。
【0081】
アッセイ反応ミックスは、以下のとおりであった:
最終
TaqManユニバーサルPCRマスターミックス(2x) 1x
PDARコントロール−18S RNA(20x) 1x
フォワードプライマー 300nM
リバースプライマー 300nM
プローブ 200nM
cDNA 25ng
水 25μLまで
【0082】
PCR条件
1サイクル: 50℃で2分
95℃で10分
40サイクル: 95℃で15秒
60℃で1分
【0083】
実験は、ABI Prism 7700 Sequence Detector(Applied Biosystems,Foster City,CA)上で行った。実行の最後に、PCR中に得られる蛍光データをABI Prism 7700ユーザー用マニュアルに記述されているように処理した。
【0084】
表1は、上記のプライマーの組み合わせを用いたPDE10Aおよび18SハウスキーピングCT値を示す。CT値は、生成物蛍光がバックグラウンドより高くなる閾値サイクルである。CT値>35は、遺伝子が発現されないことを示し;30〜35のCT値は、遺伝子の低発現を示し;25〜30のCT値は、発現を示し;そしてCT値<25は、高発現を示す。表1に提示するデータは、3回の測定の代表である。表1に示すように、PDE10AはINS−1E(44)細胞系および分散した島細胞において発現される。島細胞におけるPDE10Aの発現は、PDE10Aがインシュリン放出/血糖濃度を調節することにおいて役割を有し得ることを示す。NTC=鋳型なしのコントロール。
【0085】
【表1】

【0086】
PDE10A阻害アッセイ
アッセイバッファー中の試験化合物およびPDE10A酵素を96ウェルホワイトウォール/クリアーボトムisoplate(Wallac)に加える。H−cAMP(Amersham)もしくはH−cGMP(Amersham)の添加により反応を開始する。室温で45分のインキュベーション後に、SPAケイ酸イットリウムビーズ(Amersham)の添加により反応を停止する。サンプルをさらに30分間インキュベーションし、そしてプレートをSPAモードで30秒間Microbeta(Wallac)において読み取る。データは、コントロールのパーセンテージとして表されることができる。PDE2、PDE3A、PDE4BおよびPDE10A活性を測定するために、H−cAMPを基質として使用することができ;そしてPDE5活性を測定するために、H−cGMPを基質として使用することができる。
【0087】
0.1μM以下のIC50値でPDE10Aの活性を阻害する化合物が同定された(例えば、その全部が引用することにより組み込まれる、WO 02/048144およびWO 03/014116を参照)。例えば、化合物には下記のものが包含される:
【0088】
【化1】

【0089】
これらの同じ化合物をPDE2、PDE3A、PDE4BおよびPDE5の阻害アッセイにおいて実施した。これらのアッセイにおいて、該化合物はPDE10AのIC50値より少なくとも100倍大きいIC50値を有することが見出された(表2)。従って、該化合物はPDE10Aに選択的である。
【0090】
【表2】

【0091】
分散した島アッセイ
分散した膵島単離.やせたラット(オスのSprague−Dawley、200〜250g)をネムブタル(60mg/kg、i.p.)で麻酔し、そして腹部を開いて肝臓および膵臓を露出する。胆管へのハンクス溶液の注射により膵臓を膨張させ、そして次にハンクス溶液中で膵臓をはさみで切り取りそして刻む。組織をバッファーですすいだ後に、膵臓をコラゲナーゼで10分間消化し、すすぎ、そしてフィコール勾配上で島を残屑から分離する。単離された島画分を次にバッファーですすぎ、EDTAと8分間インキュベーションし、続いてトリプシンおよびDNアーゼIとさらに10分間インキュベーションする。分散した島を8mMのグルコースを含有する培養培地に移し、「V底」96ウェルプレートに接種し(ウェル当たり2,500細胞)、そして一晩培養する。
【0092】
インシュリン分泌促進化合物をアッセイするために、分散した島を3mMのグルコース中で30分間プレインキュベーションする。次に、島を8mMのグルコース、試験化合物
および0.3μMのホルスコリンを含有する培地に移し;そしてさらに30分間インキュベーションする。次に、培地を例えばSPAアッセイを用いてインシュリン含有量についてアッセイする。インシュリン分泌は、コントロールに対する倍数(FOC)として報告され、ここで、コントロールは、8mMのグルコースおよび0.3μMのホルスコリンの存在下でのインシュリン分泌の量である。化合物A、BおよびCの結果を表3に見ることができる。
【0093】
【表3】

【0094】
インビボアッセイ
やせたラット(オスのWistar、250〜300g)を一晩絶食させ、そして2群:賦形剤および化合物処置(群当たり8匹のラット)に分ける。賦形剤もしくは化合物を経口強制栄養によって投与する(1.5mL/ラット)。2時間後に、グルコース溶液(30%、2g/kg体重)を腹腔内に注射する。尾の血液サンプルをグルコース注射後0、15、30および60分の時点で集め、そして血糖をGlucometer(Bayer Diagnostics,Mishawaka,IN)を用いて測定する。
【0095】
上記の明細書に記載する全ての公開および特許は、引用することにより本明細書に組み込まれる。本発明の記述する方法の様々な改変およびバリエーションは、本発明の範囲および精神からそれることなしに当業者に明らかである。本発明は特定の好ましい態様と関連して記述されているが、請求するような本発明はそのような特定の態様に過度に限定されるべきではないことが理解されるはずである。実際に、糖尿病の分野もしくは関連分野の当業者に明らかである本発明を実施するための上記の形態の様々な改変は、以下の請求項の範囲内であるものとする。当業者は、本明細書に記述する本発明の特定の態様の多数の同等物を日常的な実験のみを用いて認識するか、もしくは確かめることができる。そのような同等物は、以下の請求項により包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PDE10A阻害剤の有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、糖尿病、若年発症の成人型糖尿病(MODY)、成人性潜在型自己免疫性糖尿病(latent autoimmune diabetes adult)(LADA)、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖障害(IFG)、妊娠糖尿病および代謝症候群Xよりなる群から選択される疾患もしくは症状の処置もしくは予防方法。
【請求項2】
糖尿病が2型糖尿病である請求項1の方法。
【請求項3】
該PDE10A阻害剤と組み合わせてインシュリン、インシュリン誘導体、PPARリガンド、スルホニル尿素剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、PTP−1B阻害剤、DPP−IV阻害剤、11−ベータ−HSD阻害剤、GLP−1およびGLP−1誘導体、GIPおよびGIP誘導体、PACAPおよびPACAP誘導体、もしくはセクレチンおよびセクレチン誘導体を投与することをさらに含んでなる請求項1の方法。
【請求項4】
該PPARリガンドがロシグリタゾン、トログリタゾンおよびピオグリタゾンから選択される請求項3の方法。
【請求項5】
該スルホニル尿素がグリベンクラミド、グリメピリド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリドおよびトルブタミドから選択される請求項3の方法。
【請求項6】
該α−グルコシダーゼ阻害剤がアカルボース、ミグリトールおよびボグリボースから選択される請求項3の方法。
【請求項7】
該PDE10A阻害剤と組み合わせてHMG−CoA阻害剤、ニコチン酸、脂肪酸低下化合物、脂質低下薬、ACAT阻害剤、胆汁金属イオン封鎖剤、胆汁酸再摂取抑制剤、ミクロソームトリグリセリド輸送抑制剤もしくはフィブリン酸誘導体を投与することをさらに含んでなる請求項1の方法。
【請求項8】
該PDE10A阻害剤と組み合わせてβ−3−アゴニスト、CB−1アンタゴニスト、神経ペプチドY5阻害剤、食欲抑制剤およびリパーゼ阻害剤よりなる群から選択される抗肥満薬を投与することをさらに含んでなる請求項1の方法。
【請求項9】
該PDE10A阻害剤と組み合わせてβ−遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、利尿薬、レニン阻害剤、ACE阻害剤、AT−1受容体アンタゴニスト、ET受容体アンタゴニストおよびナイトレート(nitrate)よりなる群から選択される抗高血圧薬を投与することをさらに含んでなる請求項1の方法。
【請求項10】
PDE10A阻害剤の有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、グルココルチコイド過剰、成長ホルモン過剰、褐色細胞腫および薬剤誘発性糖尿病から選択される糖尿病の副因の処置もしくは予防方法。
【請求項11】
PDE10A阻害剤の有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、インシュリン分泌促進薬への膵臓β細胞の感受性を増加する方法。
【請求項12】
該インシュリン分泌促進薬がGLP−1、GIP、PAC/VPAC受容体アゴニスト、セクレチン、ナテグリニド、メグリチニド、レパグリニド、グリベンクラミド、グリメピリド、クロルプロパミドおよびグリピジドから選択される請求項11の方法。
【請求項13】
PDE10A阻害剤の有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、認知症の処置もしくは予防方法。
【請求項14】
PDE10A阻害剤の有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、高血圧、虚血性心疾患、心筋梗塞、安定および不安定狭心症、末梢閉塞性疾患ならびに虚血性脳卒中から選択される心臓血管障害の処置もしくは予防方法。
【請求項15】
PDE10A阻害剤の有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、失禁、緊張性失禁、良性前立腺過形成、勃起不全、女性の性機能不全および前立腺肥大から選択される尿生殖路障害の処置もしくは予防方法。
【請求項16】
該女性の性機能不全が女性の性的興奮障害である請求項15の方法。
【請求項17】
化合物がPDE10Aを阻害するかどうかを決定する段階を含んでなる、糖尿病、若年発症の成人型糖尿病(MODY)、成人性潜在型自己免疫性糖尿病(LADA)、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖障害(IFG)、妊娠糖尿病、代謝症候群X、認知症、心臓血管障害および尿生殖路障害の処理に有用である化合物の同定方法。
【請求項18】
請求項17の方法により同定される化合物の有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、糖尿病、若年発症の成人型糖尿病(MODY)、成人性潜在型自己免疫性糖尿病(LADA)、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖障害(IFG)、妊娠糖尿病、代謝症候群X、認知症、心臓血管障害および尿生殖路障害の処理方法。
【請求項19】
製薬学的に許容しうる担体と組み合わせてPDE10Aを阻害する化合物の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項20】
製薬学的に許容しうる担体および1種もしくはそれ以上の製薬学的因子と組み合わせてPDE10Aを阻害する化合物の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項21】
該製薬学的因子がインシュリン、インシュリン誘導体、PPARリガンド、スルホニル尿素剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、PTP−1B阻害剤、DPP−IV阻害剤、11−ベータ−HSD阻害剤、GLP−1およびGLP−1誘導体、GIPおよびGIP誘導体、PACAPおよびPACAP誘導体、ならびにセクレチンおよびセクレチン誘導体よりなる群から選択される請求項20の製薬学的組成物。
【請求項22】
該製薬学的因子がβ−3−アゴニスト、CB−1アンタゴニスト、神経ペプチドY5阻害剤、食欲抑制剤およびリパーゼ阻害剤よりなる群から選択される請求項20の製薬学的組成物。
【請求項23】
該製薬学的因子がHMG−CoA阻害剤、ニコチン酸、脂肪酸低下化合物、脂質低下薬、ACAT阻害剤、胆汁金属イオン封鎖剤、胆汁酸再摂取抑制剤、ミクロソームトリグリセリド輸送抑制剤およびフィブリン酸誘導体よりなる群から選択される請求項20の製薬学的組成物。
【請求項24】
該製薬学的因子がβ−遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、利尿薬、レニン阻害剤、ACE阻害剤、AT−1受容体アンタゴニスト、ET受容体アンタゴニストおよびナイトレートよりなる群から選択される抗高血圧薬である請求項20の製薬学的組成物。

【公表番号】特表2007−508241(P2007−508241A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521981(P2006−521981)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/024073
【国際公開番号】WO2005/012485
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(503211596)バイエル・フアーマシユーチカルズ・コーポレーシヨン (46)
【Fターム(参考)】