説明

PDE4阻害薬として有用なニコチンアミド化合物

本発明は、一般式(I)(式中、R1、X、Y、ZおよびR2は、本明細書中に明示された意味を有する)のニコチンアミド誘導体に、そしてこのような誘導体の調製に用いられる中間体の製造方法に、このような誘導体を含有する組成物の製造方法に、ならびにこのような誘導体の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDE4阻害薬として有用なニコチンアミド誘導体に、ならびにこのような誘導体の調製に用いられる中間体の製造方法に、このような誘導体を含有する組成物の製造方法に、そしてこのような誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
3’,5’−環式ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)は、構造的に、生化学的におよび薬理学的に互いに異なる少なくとも11の異なるファミリーに分けられる大型クラスを含む。各ファミリー内の酵素は一般に、アイソエンザイムまたはアイソザイムと呼ばれる。総計15より多い遺伝子産物がこのクラス内に含まれ、そしてさらなる多様性はそれらの遺伝子産物の示差スプライシングおよび翻訳後プロセシングに起因する。本発明は主に、PEDの4つのファミリー、即ちPDE4A、PDE4B、PDE4CおよびPDE4Dの4つの遺伝子産物に関する。これらの酵素は集合的に、PDE4アイソザイムファミリーのアイソフォームまたはサブタイプであると言及される。
【0003】
PDE4は、二次メッセンジャー環状ヌクレオチドであるアデノシン3’,5’−環状一リン酸塩(cAMP)の選択的高親和性加水分解により、そしてロリプラムによる抑制に対する感受性により特徴づけられる。PDE4の多数の選択的阻害薬が近年発見されており、その抑制に起因する有益薬理学的作用が種々の疾患モデルで示されている(例えばTorphy et al., Environ. Health Perspect., 1994, 102 Suppl. 10, p. 79-84; Duplantier et al., J. Med. Chem., 1996, 39, p. 120-125; Schneider et al., Pharmacol. Biochem. Behav., 1995, 50, p. 211-217; Banner and Page, Br. J. Pharmacol., 1995, 114, p. 93-98; Barnette et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1995, 273, p. 674-679; Wright et al., Can. J. Physiol. Pharmacol., 1997, 75, p. 1001-1008; Manabe et al., Eur. J. Pharmacol., 1997, 332, p. 97-107およびUkita et al., J. Med. Chem., 1999, 42, p. 1088-1099参照)。したがってPDE4のさらなる選択的阻害薬の発見に関して引き続き少なからぬ関心が当該技術分野で示されている。
【0004】
選択的PDE阻害薬の発見および開発により、上首尾の結果が当該技術分野ですでに得られている。PDE4阻害薬は、in vivoでは、アレルゲン攻撃誘発動物の肺への好酸球の流入を低減する一方、アレルゲン誘発試験後に起こる気管支収縮および気管支応答性上昇も低減する。PDE4阻害薬はまた、免疫細胞(例えばCD4+Tリンパ球、単球、肥満細胞および好塩基球)の活性を抑制し、肺水腫を低減し、興奮性非アドレナリン作動性非コリン作動性神経伝達(eNANC)を抑制し、抑制性非アドレナリン作動性非コリン作動性神経伝達(iNANC)を増強し、気道平滑筋有糸分裂誘発を低減し、そして気管支拡張を誘導する。PDE4阻害薬は、COPD、例えば単球/マクロファージ、CD4+Tリンパ球、好酸球および好中球の病理生理学に関連した多数の炎症細胞の活性も抑制する。PDE4阻害薬は、血管平滑筋有糸分裂誘発も抑制し、そして前炎症媒介物質を生成する気道上皮細胞の能力を潜在的に妨げる。それらの顆粒からの中性プロテアーゼおよび酸性ヒドロラーゼの放出、ならびに反応性酸素種の生成により、好中球は慢性炎症に関連した組織破壊の一因となり、そしてさらに気腫のような症状の病態に関与する。したがってPDE4阻害薬は、多数の炎症性、呼吸器およびアレルギー性疾患、障害または症状の治療のために、ならびに創傷のために特に有用であり、そしてそれらのいくつかは、主に喘息、COPD、気管支炎および気腫の治療のために臨床的に開発中である。
【0005】
種々の炎症細胞応答に及ぼすPDE4阻害薬の作用は、さらなる研究のための阻害薬をプロファイリングし、選択するための基礎として用いられ得る。これらの作用としては、好酸球、好中球および単球におけるcAMPの上昇、スーパーオキシド産生の抑制、脱顆粒、走化性、ならびに腫瘍壊死因子α(TNFα)放出が挙げられる。
【0006】
PDE4抑制活性を有するいくつかのニコチンアミド誘導体が、すでに製造されている。例えば特許出願WO 98/45268は、PDE4Dアイソザイムの選択的阻害薬としての活性を有するニコチンアミド誘導体を開示する。
【0007】
特許出願WO 01/57036およびWO 03/068235も、種々の炎症性、アレルギー性および呼吸器疾患および症状の治療に有用なPDE4阻害薬であるニコチンアミド誘導体を開示する。
【0008】
しかしながら良好な薬剤候補であるさらなるPDE4阻害薬に対する非常に大きな必要性が依然として存在する。特に好ましい化合物は、他の受容体および酵素に対する親和性をほとんど示さずに、PDE4酵素と強力に結合すべきである。それらは、好ましい薬物動態的および代謝的活性を保有し、非毒性であり、そして副作用をほとんど示さないことも必要である。さらに理想的薬剤候補は、安定であり且つ容易に処方される物理的形態で存在する、というのも望ましい。
【発明の開示】
【0009】
したがって本発明は、式(I):
【化1】

(式中、R1は、H、ハロおよび(C1〜C4)アルキルから選択され;
Xは−CH2−でありそしてYはSであるか、またはXはSでありそしてYは−CH2−であり;
ZはCOおよびSO2から選択されるリンカー基であり;
2は、フェニル、ベンジル、ナフチル、ヘテロアリールおよび(C3〜C8)シクロアルキルから選択され(これらは各々、ハロ、CN、CONR34、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、ハロ(C1〜C6)アルキル、OH、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル−(C1〜C6)アルコキシ、ヒドロキシ(C2〜C6)アルコキシ、(C3〜C8)シクロアルキル−(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキルオキシ、フェニル(これはOH、ハロおよび/または(C1〜C6)アルコキシにより任意に置換される)、(C3〜C8)シクロアルキルおよびNR34から各々独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換される);
【0010】
3およびR4は、各々独立して、H、(C1〜C4)アルキルおよびSO2(C1〜C4)アルキルから選択される)で表される新規のニコチンアミド誘導体、その互変異性体、あるいは上記化合物または互変異性体の製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体を提供する。
【0011】
本明細書の上記一般式(I)では、ハロは、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)およびヨード(I)、特にフルオロまたはクロロからなる群から選択されるハロゲン原子を意味する。
【0012】
(C1〜C4)アルキルまたは(C1〜シイ6)アルキルラジカルは、それぞれ1〜4個または1〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖基を意味する。これは、それらが他のラジカルの置換基を保有するかまたは他のラジカルの置換基として生じる場合、例えば(C1〜シイ6)アルコキシ、ハロ(C1〜C6)アルキル、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキルおよびヒドロキシ(C2〜C6)アルコキシラジカルにおいても当てはまる。適切な(C1〜C4)アルキルおよび(C1〜C6)アルキルラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等である。適切な(C1〜C6)アルコキシおよび(C2〜C6)アルコキシラジカルの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソ−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソ−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシおよびtert−ブチルオキシ、ペントキシまたはヘキシルオキシである。ヒドロキシ(C1〜C6)アルキルおよびヒドロキシ(C2〜C6)アルコキシラジカルは、1個より多いヒドロキシ基(−OH)を含有し得る。上記の本発明の好ましい実施形態によれば、このようなラジカルは1個のヒドロキシ置換基を含有する。
【0013】
最も好ましくはR1はFである。
好ましくは、R2は、フェニル、ピロール、フラン、フラザン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、ナフチリジン、フタラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾフラン、チアジアゾール、ベンゾチアジアゾール、オキサジアゾール、ジヒドロベンゾフラン、ベンズオキサジアゾール、ベンズピリミジン、ベンゾチオフェン、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾピリジン、ベンズイミダゾール、ピラゾロピリジンおよびピラゾロピリミジン(これらは各々、CH3、N(CH3)SO2CH3、NHSO2CH2CH3、NHSO2CH(CH32、OH、CH2OH、Cl、F、C25、CH(CH32、OCH3、OC24OH、C24OH、O(CH23OH、CF3、OC25、シクロプロピルメトキシおよびシクロペンチルオキシから選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換される)から選択される。
【0014】
さらに好ましくは、R2は、フェニル、イミダゾール、インダゾール、キノリン、キナゾリン、ジヒドロベンゾフラン、ベンゾチアジアゾール、ベンズオキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾピリジン、ベンズイミダゾール、ピラゾロピリジン、ベンジルおよびシクロプロピル(これらは各々、CH3、N(CH3)SO2CH3、NHSO2CH2CH3、NHSO2CH(CH32、OH、CH2OH、Cl、F、C25、CH(CH32、OCH3、OC24OH、C24OH、O(CH23OH、CF3、OC25、シクロプロピルメトキシおよびシクロペンチルオキシから選択されるから選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換される)から選択される。
【0015】
さらに好ましくは、R2は、フェニル、インダゾールおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン(これらは各々、CH3、N(CH3)SO2CH3、NHSO2CH2CH3、NHSO2CH(CH32、OH、CH2OH、Cl、F、C25、CH(CH32、OCH3、OC24OH、C24OH、O(CH23OH、CF3、OC25、シクロプロピルメトキシおよびシクロペンチルオキシから選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換される)から選択される。
【0016】
さらに好ましくは、R2は、フェニル、インダゾールおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン(これらは各々、メチルおよびヒドロキシから各々独立して選択される1〜3つの置換基により任意に置換される)から選択される。
【0017】
最も好ましくは、R2は、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル、インダゾール−3−イルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イルから選択される。
【0018】
好ましくはZはCOである。
式(I)の化合物の好ましい実施形態は、上記の好ましいもののうちの2つまたはそれ以上を組み入れるものである。
【0019】
好ましくは、XはSでありそしてYは−CH2−であり;
1は、H、ハロ、CH3またはC25であり;
2は、フェニル、イミダゾール、インダゾール、キノリン、キナゾリン、ジヒドロベンゾフラン、ベンゾチアジアゾール、ベンズオキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾピリジン、ベンズイミダゾール、ピラゾロピリジン、ベンジルおよびシクロプロピル(これらは各々、CH3、N(CH3)SO2CH3、NHSO2CH2CH3、NHSO2CH(CH32、OH、CH2OH、Cl、F、C25、CH(CH32、OCH3、OC24OH、C24OH、O(CH23OH、CF3、OC25、シクロプロピルメトキシおよびシクロペンチルオキシから選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換される)から選択され;そして
ZはCOである。
【0020】
さらに好ましくは、XはSでありそしてYは−CH2−であり;
1は、H、F、ClまたはCH3であり;
2は、フェニル、インダゾールおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン(これらは各々、メチルおよびヒドロキシから各々独立して選択される1〜3つの置換基により任意に置換される)から選択され;そして
ZはCOである。
【0021】
さらに好ましくは、XはSでありそしてYは−CH2−であり;
1はFであり;
2は、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル、インダゾール−3−イルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イルから選択され;そして
ZはCOである。
【0022】
好ましい化合物は以下の:
syn−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、
syn−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−5−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−{4−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
【0023】
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−{4−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−3−メチル−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−{4−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−4−メチル−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−ニコチンアミド、
【0024】
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−{4−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−5−メチル−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−ニコチンアミド、
syn−N−{4−[4−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−N−{4−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−N−(4−{[5−エチル−1−(2−ヒドロキシ−エチル)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
【0025】
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−(4−{[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−イソプロピルピル−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
syn−1−(2−ヒドロキシ−エチル)−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−N−[4−(5−エチル−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−N−[4−(4−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
【0026】
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−N−[4−(4−エチル−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(4−フルオロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
【0027】
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(5−フルオロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−N−{4−[5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−N−[4−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−{4−[5−フルオロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、および
syn−N−[4−(4,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
その互変異性体、あるいは上記化合物または互変異性体の製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体である。
【0028】
最も好ましい化合物は、以下の:
syn−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、
syn−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、および
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
その互変異性体、あるいは上記化合物または互変異性体の製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体である。
【0029】
式(I)のニコチンアミド誘導体は、本明細書中で以下に開示され、そして実施例および調製で例示される経路を用いて調製され得るが、この場合、置換基R1、R2、X、YおよびZは、別記しない限り、式(I)のニコチンアミド誘導体に関して上記されたものと同様である。他の慣用的方法は、当業者の知識に従って用いられ得る。
【0030】
本明細書中で別記しない限り、下記の用語は下記の意味を有する:
PyBOP(登録商標)とは、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを意味する;
PyBrOP(登録商標)とは、ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを意味する;
CDIは、N,N’−カルボニルジイミダゾールを意味する;
WSCDIは、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドを意味する;
向山試薬とは、ヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウムを意味する;
HATUは、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを意味する;
【0031】
HBTUは、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを意味する;
DCCは、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを意味する;
CDIは、N,N’−カルボニルジイミダゾールを意味する;
HOATは、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールを意味する;
HOBTは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を意味する;
ヒューニッヒ塩基とは、N−エチルジイソプロピルアミンを意味する;
Et3Nは、トリエチルアミンを意味する;
【0032】
NMMは、N−メチルモルホリンを意味する;
NMPは、1−メチル−2−ピロリジノンを意味する;
DMAPは、4−ジメチルアミノピリジンを意味する;
NMOは、4−メチルモルホリンN−オキシドを意味する;
KHMDSは、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドを意味する;
NaHMDSは、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドを意味する;
DIADは、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートを意味する;
【0033】
DEADは、ジエチルアゾジカルボキシレートを意味する;
DIBALは、水素化ジイソブチルアンモニウムを意味する;
デス・マーチン ペルヨージナンとは、1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オンを意味する;
TBDMS−Clは、tert−ブチルジメチルクロロシランを意味する;
TMS−Clは、クロロトリメチルシランを意味する;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルを意味する;
CBzは、ベンジルオキシカルボニルを意味する;
【0034】
MeOHはメタノールを意味し、EtOHはエタノールを意味し、そしてEtOAcは酢酸エチルを意味する;
THFはテトラヒドロフランを意味し、DMSOはジメチルスルホキシドを意味し、そしてDCMはジクロロメタンを意味する;DMFはN,N−ジメチルホルムアミドを意味する;
【0035】
AcOHは酢酸を意味し、TFAはトリフルオロ酢酸を意味する;rtは室温を意味する;3°は第三級を意味する;eqは、当量を意味する;Meはメチルを意味し、Etはエチルを意味し、Bnはベンジルを意味する;その他の略号は標準合成化学実施に従って用いられる。
【0036】
【化2】

【0037】
式(II)のニコチン酸は、市販されているか、あるいはHaylor等(EP 0634413)の方法と同様にして生成され得る。保護化シクロヘキシルアミンは、市販されているか、あるいはOku等(WO 02/18333)およびMalmstrom等(J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 3434-3440)の方法と同様にして調製され得る。
【0038】
上記のスキームにおいて、R1、R2、Z、XおよびYは上記と同様であり、PGは適切なアミン保護基、典型的にはBoc、CBzまたはBn、好ましくはBocであり、そしてLGは適切な脱離基、典型的にはハロ、好ましくはClである。
【0039】
(a)−アミド結合形成は、ニコチン酸(II)とシクロヘキサン−1,4−ジアミンとの反応(この場合、一アミン機能は、適切なアミン保護基PG、例えばBoc、Bn、好ましくはBocにより保護される)により実行されて、アミド(III)を生成する。この酸/アミンカップリングは、
(i)酸(II)+アミンの塩化アシル誘導体を、適切な溶媒中の過剰量の酸受容体とともに、あるいは
(ii)酸(II)を慣用的カップリング剤+アミンとともに、任意に触媒の存在下で、適切名溶媒中の過剰量の酸受容体を伴って
用いることにより実行され得る。
【0040】
典型的には反応は、以下の条件下で実行される:
(i)酸(II)の酸塩化物(in−situで生成)、の過剰量のアミンを、任意に過剰量の3°アミン、例えばEt3N、ヒューニッヒ塩基またはNMMとともに、DCMまたはTHF中で、加熱せずに1〜24時間、あるいは
(ii)酸(II)、WSCDI/DCC/CDIを、HOBT/HOAT、過剰量のアミンの存在下で、過剰量のNMM、Et3N、ヒューニッヒ塩基とともに、THF、DCMまたはEtOAc中で、室温で4〜48時間;あるいは酸(II)、PYBOP(登録商標)/PyBrOP(登録商標)/向山試薬、過剰量のアミンを、過剰量のNMM、Et3N、ヒューニッヒ塩基とともに、THF、DCMまたはEtOAc中で、室温で4〜24時間。
【0041】
好ましい条件は、DCMおよびDMF中の酸(II)の溶液を塩化オキサリルを用いて、室温で18時間処理し(酸塩化物を生成)、その後,DCM中のアミンおよびヒューニッヒ塩基の溶液を付加し、室温で18時間撹拌することを包含する。
【0042】
(b)−エーテル生成は、適切な溶媒(例えばMeCN、ジオキサン)中で塩基の存在下で、(III)の脱離基LG(例えばHal、好ましくはCl)を過剰量の2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−オールまたは2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−5−オールで置換して化合物(IV)を得ることにより実行される。
典型的には反応は、高温中で、適切な溶媒(例えばMeCNまたはジオキサン)中で、塩基としてアルカリ金属塩(例えばCs2CO3、K2CO3)を用いて実行される。
【0043】
(c)−アミン脱保護化は、Greene et al., “Protective Groups in Organic Synthesis”により詳述されたような保護基に感受性の方法により、(IV)から保護基PGを除去してアミン(V)を生成することを包含する。
典型的には、PG=Bocである場合、反応は、室温で適切な溶媒(例えばジオキサン、DCM)中で強酸(例えばTFA、HCl)を用いて(IV)を処理することを包含する。
好ましくは、PG=Bocである場合、反応は、室温で4時間、TFAを用いてDCM中の(IV)の溶液を処理することを包含する。
【0044】
(d)−アミノ基とT−Z−R2の反応
式(I)の化合物は、アミン(V)と式T−Z−R2(式中、TはOHまたはClを表す)の適切な試薬との反応により調製され得る。ZがCOを表し、そしてTがOHまたはClを表す場合、式(I)の化合物は、段階(a)に関して上記された一般的方法に従って、式(V)のアミンをR2CO2Hと反応させることにより調製され得る。好ましい条件を以下に示す:WSCDI、HOBT、アミン(V)、R2CO2H、過剰量の3°アミン塩基(ヒューニッヒ塩基、Et3NまたはNMM)、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、NMPまたはDMA中で、室温で36時間まで;あるいは酸(V)、酸R2CO2H、HBTU、過剰量の3°アミン塩基(ヒューニッヒ塩基、Et3NまたはNMM)、DMF中で、室温で24時間まで。
【0045】
ZがSO2を表し、そしてTがClを表す場合、式(I)の化合物は、段階(a)に上記された一般的方法と同様の方法で、式(V)のアミンをR2SO2Clと反応させることにより調製され得る。好ましい条件を以下に示す:WSCDI、HOBT、アミン(V)、R2SO2Cl、過剰量の3°アミン塩基(ヒューニッヒ塩基、Et3NまたはNMM)、N,N−ジメチルホルムアミド中で、室温で18時間;あるいは酸(V)、R2SO2Cl、過剰量のEt3Nの存在下で、ジクロロメタン中で、室温で。
【0046】
式R2ZTの化合物は市販されており、あるいは標準的方法を用いて生成され得るし、またはR2が複素環である場合、Comprehensive Heterocyclic Chemistry I and II (Elsevier Science Ltd.)に、ならびにその中の参考文献中に記載された方法と同様の方法で、生成され得る。
【0047】
【化3】

【0048】
式(VII)の化合物は、段階(d)経路Aに上記された方法に従って、R2ZYとの反応により、アミン(VI)から調製され得る。
式(VIII)の化合物は、段階(c)経路Aに上記された方法と同様に、式(VII)の化合物から調製され得る。
式(IX)の化合物は、段階(a)経路Aに上記された方法に従って、式(VIII)のアミンと酸(II)との反応により調製され得る。
式(I)の化合物は、段階(b)経路Aに上記されたように、式(IX)の化合物と2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−オールまたは2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−5−オールとの反応により調製され得る。
【0049】
【化4】

【0050】
Rは、カルボン酸保護基(例えば低級アルキル、Bn、典型的には低級アルキル、好ましくはエチル)を表す。
式(X)の化合物は市販されており、あるいは標準エステル化条件を用いて、式(II)の化合物から生成され得る。
式(XI)の化合物は、段階(b)経路Aに上記されたように、エステル(X)と、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−オールまたは2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−5−オールとの反応により調製され得る。
【0051】
段階(e)−エステル加水分解
エステル(XI)の加水分解は、酸または塩基の存在下で、適切な溶媒中で、任意に高温で達成されて、酸(XII)を生成し得る。
典型的にはエステル(XI)は、室温と反応物の還流温度との間の温度で、水性溶媒(MeOH、EtOH、ジオキサン、THF)中で、アルカリ金属水酸化物(例えばLi、Na、Cs)で処理されて、式(XII)の酸を生成する。
【0052】
段階(a)に上記されたように酸(XII)とアミン(VIII)との反応は、式(I)の化合物を提供する。
あるいは式(XII)の化合物は、段階(b)経路Aに上記されたように、式(II)のニコチン酸と、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−オールまたは2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−5−オールとの反応により調製され得る。
【0053】
さらなる経路
ある種のR2基は、さらなる官能基相互変換(FGl)および転換、例えば高温で、適切な溶媒、例えばアセトニトリルおよび/またはN,得N−ジメチルホルムアルデヒド中で、適切なアルキル臭化物を用いて、適切なアルカリ金属塩基(例えばK2CO3)の存在下で、任意に触媒(例えばKI)の存在下でのフェノールヒドロキシ基のアルキル化を、あるいはピリジンまたはコリジン中の臭化リチウムを用いた処理による、あるいはジクロロメタン中のBBrを用いた処理による、メトキシ基の脱メチル化を受け得る。
【0054】
記載のある種の化合物に関しては、適切な保護基戦略が用いられ得る。例えばヒドロキシル基は、テトラヒドロフラン基を用いて保護かされ、脱保護化は、室温で18時間までの間、酢酸:水:テトラヒドロフラン(4:1:2容量%)の溶液で処理することにより達成され得る。さらにベンジルオキシ基が用いられ、例えば還元(例えば酸中のパラジウムブラックによる)を用いることにより、脱保護化されて、対応するヒドロキシル化合物を得る。
【0055】
全ての上記の反応および前述の方法に用いられる新規の出発物質の調製は、それらの性能または調製物に関する慣用的および適切な試薬および反応条件であり、ならびに所望の生成物の単離のための手法は、これに関する文献先例ならびに実施例および調製を参照すれば、当業者には周知である。
【0056】
上記のように、保護/脱保護戦略の使用は、いくつかの場合には必要である。T.W. GREENE (Protective Groups in Organic Synthesis, A. Wiley-Interscience Publication, 1981)により、またはMcOMIE (Protective Groups in Organic Chemistry, Plenum Press, 1973)により記載されたような方法が用いられ得る。
【0057】
式(I)の化合物、ならびにその調製のための中間体は、種々の周知の方法に従って、例えば結晶化またはクロマトグラフィーにより、精製され得る。
式(I)のニコチンアミド誘導体はまた、任意に、製薬上許容可能な塩に転換され得る。特に式(I)のニコチンアミド誘導体のこれらの製薬上許容可能な塩としては、その酸付加塩および塩基塩(例えば二塩)が挙げられる。
【0058】
適切な酸付加塩は、非毒性塩を生成する酸から生成される。例としては、錯酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩、カムシル酸塩、クエン酸塩、エジシラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、リン酸水素塩、イソチオ酸塩、DおよびL乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロテート、パルモエート、リン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、DおよびL酒石酸塩、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩およびトシル酸塩が挙げられる。
【0059】
適切な塩基塩は、非毒性塩を生成する塩基から生成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩が挙げられる。
【0060】
適切な塩に関する再検討のためには、Stahl and Wermuth, Handbook of Pharmaceutical Salts : Properties, Selection and Use, Wiley-VCH, Weinheim, Germany (2002)を参照されたい。
式(I)のニコチンアミド誘導体の製薬上許容可能な塩は、適切な場合、式(I)のニコチンアミド誘導体および所望の酸または塩基の溶液を一緒に混合することにより、容易に調製され得る。塩は溶液から沈殿し、そして濾過により収集され得るし、あるいは溶媒の蒸発により除去され得る。
【0061】
本発明に従った製薬上許容可能な溶媒和物としては水和物および溶媒和物が挙げられるが、この場合、結晶化の溶媒、例えばD2O、d6−アセトン、d6−DMSOは、同位体的に置換され得る。
【0062】
クラスレート、薬剤−宿主封入体複合体も、本発明の範囲内であって、この場合、上記の溶媒和物と対照して、薬剤および宿主は非化学量論的量で存在する。このような複合体の再検討のためには、J Pharm Sci, 64(8), 1269-1288 by Haleblian (August 1975)を参照されたい。
【0063】
本明細書中では以後、式(I)のニコチンアミド誘導体への言及は全て、その塩への、ならびに式(I)の化合物およびその塩の溶媒和物およびクラスレートへの言及を含む。
本発明は、式(I)のニコチン誘導体の全ての多形体を含む。
【0064】
式(I)のニコチンアミドのいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内である。したがって薬理学的活性それ自体をほとんどまたは全く有さない式(I)のニコチン誘導体のある種の誘導体は、身体中または身体上への投与時に代謝される場合、所望の活性を有する式(I)のニコチン誘導体を生じる。このような誘導体は、「プロドラッグ」と呼ばれる。
【0065】
本発明に従ったプロドラッグは、例えば“Design of Prodrugs” by H Bundgaard (Elsevier, 1985)に記載されているように、例えば式(I)のニコチンアミド誘導体中に存在する適切な官能基を、「前部分」として当業者に既知のある種の部分で置き換えることにより産生され得る。
最後に、式(I)のある種のニコチン誘導体はそれ自体、式(I)の他のニコチンアミド誘導体のプロドラッグとして作用し得る。
【0066】
1つまたは複数の不斉炭素原子を含有する式(I)のニコチンアミド誘導体は、2つまたはそれ以上の光学異性体として存在し得る。式(I)のニコチンアミド誘導体がアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体が考えられ、そしてニコチンアミド誘導体が例えばケトまたはオキシム基を含有する場合、互変異的異性(「互変異性」)が生じ得る。別記しない限り、単一ニコチンアミド誘導体は1種類より多い異性体型を示し得る、ということになる。
【0067】
1種類より多い異性体型を示す化合物、ならびにその1つまたは複数の混合物を含めて、式(I)のニコチンアミド誘導体の光学異性体、幾何異性体および互変異性形態はすべて、本発明の範囲内に含まれる。
【0068】
シス/トランス異性体は、当業者に周知の慣用的技法により、例えば分別結晶化およびクロマトグラフィーにより、分離され得る。
個々の立体異性体の調製/単離のための慣用的技法としては、適切な光学的純粋前駆体の変換、例えばキラルHPLCを用いたラセミ化合物(または塩または誘導体のラセミ化合物)の分割、キラルHPLC、あるいはラセミ化合物と適切な光学的活性酸または塩基、例えば酒石酸との反応により生成されるジアステレオマーの分別結晶化を包含する。
【0069】
本発明は、式(I)のニコチンアミド誘導体の全ての製薬上許容可能な同位体変種も含む。同位体製変種は、少なくとも1つの原子が同一原子数を有するがしかし天然に通常見出される原子質量と異なる原子質量を有する原子により置き換えられるもの、と定義される。
【0070】
本発明のニコチンアミド誘導体中に含まれるのに適した同位体の例としては、水素の同位体、例えば2Hおよび3H、炭素、例えば13Cおよび14C、窒素、例えば15N、酸素、例えば17Oおよび18O、リン、例えば32P、イオウ、例えば35S、フッ素、例えば18F、ならびに塩素、例えば36Clが挙げられる。
【0071】
式(I)のニコチンアミド同位体、例えば重水素、即ち2Hの置換は、より大きな代謝安定性、例えばin vivo半減期増大または投薬量要件低減に起因するある種の治療的利点をもたらし、それゆえいくつかの環境において選択され得る。
【0072】
式(I)のニコチンアミド誘導体のある種の同位体変種、例えば放射性同位体を組入れているものは、薬剤および/または基底組織分布試験において有用である。放射性同位体三重水素、即ち3H、および炭素−14、即ち14Cは、それらの組込み易さおよび易検出手段という点にかんがみて、この目的のために特に有用である。
【0073】
式(I)のニコチンアミド誘導体の同位体変種は一般に、適切な試薬の適切な同位体変種を用いて、当業者に既知の慣用的技法により、または添付の実施例および調製に記載された方法と同様の製法により調製され得る。
【0074】
さらなる態様によれば、本発明は、式(I)のニコチンアミド誘導体の混合物、ならびにそれらの製薬上許容可能な塩、溶媒和物、多形体、異性体形態および/または同位体形態との混合物またはそれらの混合物に関する。
【0075】
本発明によれば、式(I)のニコチンアミド誘導体の本明細書中に上記した形態は全て、製薬上許容可能な塩(即ち上記の溶媒和物、多形体、異性体形態および同位体形態)を除いて、後述のものにおいて式(I)のニコチンアミド誘導体の「誘導形態」と定義される。
【0076】
式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/または誘導形態は有益な製剤活性化合物であり、これらはPDE4酵素が関与する多数の疾患、特に炎症性障害、アレルギー性障害、呼吸器疾患および創傷の治療および予防に適している。
上記のような式(I)のニコチンアミド誘導体およびそれらの製薬上許容可能な塩および誘導形態は、治療または予防のための製剤として、本発明に従って、動物に、好ましくは哺乳類に、特にヒトに投与され得る。それらは、それ自体、互いとの混合物中で、または他の薬剤との組合せで、または腸溶性(胃)または非経口的(非胃)投与を可能にし、そして有効構成成分として有効用量の少なくとも1つの式(I)のニコチンアミド誘導体、その製薬上許容可能な塩および/または誘導形態を、慣例的な製薬上無害の賦形剤および/または添加剤のほかに含有する製剤調製物の形態で、投与され得る。「賦形剤」という用語は、本発明の化合物以外の任意の成分を記載するために本明細書中で用いられる。賦形剤の選択は、大部分が特定の投与方式によっている。
【0077】
式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/または誘導形態は、凍結乾燥され、噴霧乾燥され、または蒸発乾燥されて、結晶または非晶質物質の固体プラグ、粉末または皮膜を提供する。マイクロ波または高周波乾燥は、この目的のために用いられ得る。
【0078】
経口投与
本発明の式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/または誘導形態は、経口的に投与され得る。経口投与は、化合物が消化管に進入するよう嚥下することを包含し得るし、あるいは化合物が口から直接血流中に進入する頬または舌下投与が用いられ得る。
【0079】
経口投与に適した処方物としては、固体処方物、例えば錠剤、粒子、液体または粉末を含有するカプセル、ロゼンジ(例えば液体充填)、咀嚼錠、多およびナノ粒子、ゲル、皮膜(例えば粘液接着性)、卵形物、スプレーおよび液体処方物が挙げられる。
【0080】
液体処方物としては、懸濁液、溶液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。このような処方物は軟質または硬質カプセル中の充填剤として用いられ、そして典型的には担体、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切な油、ならびに1つまたは複数の乳化剤および/または沈殿防止剤を含み得る。液体処方物は、例えばサッシェからの固体の再構成によっても調製され得る。
【0081】
本発明の式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/または誘導形態は、迅速溶解、迅速崩壊剤形、例えばExpert Opinion in Therapeutic Ptents, 11(6), 981-986 by Liang and Chen (2001)に記載されたものにも用いられ得る。
【0082】
本発明に従う典型的錠剤の組成物は、以下のものを含み得る:
【0083】
【表1】

【0084】
典型的錠剤は、処方物化学者に既知の標準製法を用いて、例えば直接圧縮、造粒(乾式、湿式または溶融)、溶融凝固または押出しにより、調製され得る。錠剤処方物は1つまたは複数の層を含み、そして被覆され得るし、被覆されないこともある。
【0085】
経口投与に適した賦形剤の例としては、担体、例えばセルロース、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、マンニトールおよびクエン酸ナトリウム、造粒結合剤、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼラチン、崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウムおよびケイ酸塩、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸、湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、防腐剤、酸化防止剤、風味剤および着色剤が挙げられる。
【0086】
経口投与のための固体処方物は、即時および/または修飾放出されるよう処方され得る。修飾放出処方物としては、遅延性、持続性、パルス化、制御二元性、標的化およびプログラム化放出が挙げられる。適切な修飾放出技法、例えば高エネルギー分散、浸透性および被覆粒子の詳細は、Verma et al., Pharmaceutical Technology On-line, 25(2), 1-14 (2001)に見出されるものである。その他の修飾放出処方物は、米国特許第6,106,864号に記載されている。
【0087】
非経口投与
本発明の式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/または誘導形態はまた、血流中、筋肉中または内臓中に直接投与され得る。非経口投与のための適切な手段としては、静脈内、動脈内、腹腔内、鞘内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が挙げられる。非経口投与のための適切なデバイスとしては、針(例えば顕微針)、注射器、無針注射器および注入技法が挙げられる。
【0088】
非経口処方物は典型的には、賦形剤、例えば塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくは3〜9のpHに)を含有し得る水性溶液であるが、しかしいくつかの用途に関しては、それらは滅菌非水性溶液として、または滅菌発熱物質無含有水のような適切なビヒクルと一緒に用いられるべき乾燥形態として、より適切に処方され得る。
【0089】
例えば凍結乾燥による滅菌条件下での非経口処方物の調製は、当業者に周知の標準製剤技法を用いて容易に成し遂げられ得る。
非経口溶液の調製に用いられる式(I)のニコチンアミド誘導体の溶解度は、適切な処理により、例えば高エネルギー噴霧乾燥分散(WO 01/47495参照)により、および/または適切な処方物技法、例えば溶解度増強剤の使用により、増大され得る。
非経口投与のための処方物は、即時および/または修飾放出であるよう処方され得る。修飾放出処方物としては、遅延性、持続性、パルス化、制御二元性、標的化およびプログラム化放出が挙げられる。
【0090】
局所投与
本発明のニコチンアミド誘導体はまた、皮膚にまたは経皮的に、皮膚または粘膜に局所的に投与され得る。この目的のための典型的処方物としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、ダスティングパウダー、包帯、発泡体、皮膜、皮膚パッチ、ウエファー、インプラント、スポンジ、繊維、絆創膏およびマイクロエマルションが挙げられる。リポソームも用いられ得る。典型的担体としては、アルコール、水、鉱油、液体ペトロラタム、白色ペトロラタム、グリセリンおよびプロピレングリコールが挙げられる。浸透増強剤が組入れられ得る−例えばJ Pharm Sci, 88(10), 955-958 by Finnin and Morgan (October 1999)参照。
【0091】
局所投与のその他の手段としては、イオン導入、電気穿孔、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよび無針または顕微針注射が挙げられる。
局所投与のための処方物は、即時および/または修飾放出であるよう処方され得る。修飾放出処方物としては、遅延性、持続性、パルス化、制御二元性、標的化およびプログラム化放出が挙げられる。したがって式(I)のニコチンアミド誘導体は、有効化合物の長期放出を提供する移植デポ製剤としての投与のために、それ以上の固体形態で処方され得る。
【0092】
吸入/鼻内投与
式(I)のニコチンアミド誘導体は、鼻内に、または吸入により、典型的には乾燥粉末(単独で、あるいは例えば無水または一水和物形態、好ましくは一水和物形態、マンニトール、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースまたはトレハロース中でのラクトースとの乾燥配合物中の混合物として、あるいは例えばリン脂質と混合された混合構成成分粒子として)の形態で、乾燥粉末吸入器から、あるいは適切な噴射剤、例えばジクロロフルオロメタンを用いてまたは用いずに、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは微細霧を生成するために電気流体力学を用いたアトマイザー)またはネブライザーからのエーロゾル噴霧としても投与され得る。
【0093】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーは、例えばエタノール(任意に水性エタノール)、あるいは有効成分を分散し、溶解し、または拡大するための適切な代替的作用物質、溶媒としての噴射剤(単数または複数)、ならびに任意の界面活性剤、例えばソルビタントレハロースまたはオリゴ乳酸を含む有効化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0094】
乾燥粉末または懸濁液処方物中に用いる前に、薬剤生成物は、吸入による送達に適したサイズ(典型的には5ミクロン未満)に微粉状にされる。これは、任意の適切な細砕方法、例えばスパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を生成するための超臨界流体処理、高圧均質化または噴霧乾燥により達成され得る。
【0095】
微細霧を生成するために電気流体力学を用いたアトマイザー中で用いるための適切な溶液処方物は、1 μg〜20 mgの式(I)のニコチンアミド誘導体/作動を含有氏、そして作動容積は1 μlから100 μlまで変わり得る。典型的処方物は、式(I)のニコチンアミド誘導体、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含み得る。プロピレングリコールの代わりに用いられ得る代替的溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0096】
吸入器または吹込み器に用いるためのカプセル、ブリスターおよびカートリッジ(例えばゼラチンまたはHPMCから製造される)は、式(I)のニコチンアミド誘導体、適切な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプン、ならびに性能改質剤、例えばI−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムの粉末混合物を含有するよう処方され得る。
【0097】
乾燥粉末吸入器およびエーロゾルの場合、投薬量単位は、計測量を送達する弁により確定される。本発明に従う単位は、典型的には、1 μg〜4000 μgの式(I)のニコチンアミド誘導体を含有する計測用量または「パフ」を投与するよう手配される。全体的1日用量は、典型的には、1回両々で、さらに通常は1日の間の分割用量として投与されうる1 μg〜20 mgの範囲である。
【0098】
吸入/鼻内投与のための処方物は、即時および/または修飾放出であるよう処方され得る。修飾放出処方物としては、遅延性、持続性、パルス化、制御二元性、標的化およびプログラム化放出が挙げられる。持続または制御放出は、例えばポリ(D,L−乳酸−co−グリコール酸)を用いることにより得られる。
【0099】
風味剤、例えばメントールおよびレボメトールおよび/または甘味剤、例えばサッカリンまたはサッカリンナトリウムは、処方物に付加され得る。
【0100】
直腸/膣内投与
式(I)のニコチンアミド誘導体は、例えば座薬、ペッサリーまたは浣腸剤の形態で、直腸的にまたは膣的に投与され得る。ココアバターは伝統的座薬基剤であるが、しかし種々の代替物が適切な場合には用いられ得る。
直腸/膣投与のための処方物は、即時および/または修飾放出であるよう処方され得る。修飾放出処方物としては、遅延性、持続性、パルス化、制御二元性、標的化およびプログラム化放出が挙げられる。
【0101】
眼/耳投与
式(I)のニコチンアミド誘導体は、典型的には等張pH調整滅菌生理食塩水中の微粉状化懸濁液または溶液の滴薬の形態で、眼または耳に直接投与され得る。眼および耳投与に適したその他の処方物としては、軟膏、生分解性(例えば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えばシリコーン)インプラント、ウエファー、レンズおよび粒子または小胞系、例えばニオソームまたはリポソームが挙げられる。ポリマー、例えば架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはメチルセルロース、あるいはヘテロ多糖ポリマー、例えばセラチンゴムは、防腐剤、例えば塩化ベンズアルコニウムと一緒に組入れられ得る。このような処方物は、イオン導入によっても送達され得る。
【0102】
眼/耳投与のための処方物は、即時および/または修飾放出であるよう処方され得る。修飾放出処方物としては、遅延性、持続性、パルス化、制御二元性、標的化およびプログラム化放出が挙げられる。
【0103】
可能にする技術
式(I)のニコチンアミド誘導体は、可溶性高分子存在物、例えばシクロデキストリンまたはポリエチレングリコール含有ポリマーと組合せて、それらの溶解性、分解速度、味覚遮蔽、生物学的利用能および/または安定性を改善し得る。
【0104】
例えば薬剤−シクロデキストリン複合体は、ほとんどの剤形および投与経路のために一般的に有用であることが判明している。包接および非包接化合物がともに用いられ得る。薬剤との複合体生成を指図するための代替物として、シクロデキストリンが補助添加物として、即ち担体、希釈剤または可溶化剤として用いられ得る。これらの目的のために最も一般的に用いられるのは、α−、β−およびγ−シクロデキストリンであり、これらの例は、国際特許出願WO 91/11172、WO 94/02518およびWO 98/55148に見出され得る。
【0105】
投薬量
ヒト患者への投与のために、式(I)のニコチンアミド誘導体の全体的1日用量は、もちろん、投与方式によって、典型的には0.001 mg/kg〜100 mg/kgの範囲である。全体的1日用量は、1回または分割用量で投与され得る。患者の年齢、体重、健康状態および性別、ならびに疾患の重症度によって、被験者のための用量を医者は容易に確定し得る。
【0106】
本発明の別の実施形態によれば、式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/またはそれらの誘導形態は、いくつかの特に望ましい治療的最終結果を得るために患者に同時投与されるべき1つまたは複数のさらなる治療薬との組合せとしても用いられ得る。第二の、そしてさらに付加的な治療薬も、式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/またはそれらの誘導形態、あるいは当該技術分野で既知の1つまたは複数のPDE4阻害薬であり得る。さらに典型的には、第二の、そしてさらなる治療薬が、異なるクラスの治療薬から選択される。
【0107】
本明細書中で用いる場合、式(I)のニコチンアミド誘導体および1つまたは複数のその他の治療薬に言及する「同時投与」、「同時投与される」および「〜と組合せて」という用語は、以下の事項を意味し、指し、含むよう意図される:
【0108】
・治療を必要とする患者へのニコチンアミド誘導体(単数または複数)および治療薬(単数または複数)のこのような組合せの同時投与であって、この場合、このような構成成分は一緒に、上記患者に実質的に同時に上記構成成分を放出する単一剤形中に処方される、
【0109】
・治療を必要とする患者へのニコチンアミド誘導体(単数または複数)および治療薬(単数または複数)のこのような組合せの同時投与であって、この場合、このような構成成分は、上記患者により実質的に同時に摂取される別個の剤形に互いに別々に処方され、この時、上記構成成分は上記患者に実質的に同時に放出される、
【0110】
・治療を必要とする患者へのニコチンアミド誘導体(単数または複数)および治療薬(単数または複数)のこのような組合せの逐次投与であって、この場合、このような構成成分は、各投与間の有意の時間間隔で、上記患者により連続時点で摂取される別個の剤形に互いに別々に処方され、この時、上記構成成分は上記患者に実質的に異なる時点で放出される、そして
【0111】
・治療を必要とする患者へのニコチンアミド誘導体(単数または複数)および治療薬(単数または複数)のこのような組合せの逐次投与であって、この場合、このような構成成分は、制御方式で上記構成成分を放出する単一剤形中に一緒に処方され、この時、それらは、上記患者に同時および/または異なる時点で、同時的に、連続的におよび/または重複的に投与される。
【0112】
式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/またはそれらの誘導形態と組合せて用いられ得るその他の治療薬の適切な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
(a)5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害薬または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、
(b)ロイコトリエンアンタゴニスト(LTRA)、例えばLTB4、LTC4、LTD4およびLTE4のアンタゴニスト、
(c)ヒスタミン受容体アンタゴニスト、例えばH1、H3およびH4アンタゴニスト、
(d)うっ血除去用途のためのα1−およびα2−アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮薬交感神経様作動薬、
(e)ムスカリンM3重量%アンタゴニストまたは抗コリン作動薬、
(f)β2−アドレナリン受容体アゴニスト、
(g)テオフィリン、
(h)クロモグリク酸ナトリウム、
(i)COX−1阻害薬(NSAID)およびCOX−2選択的阻害薬、
(j)経口または吸入糖質コルチコステロイド、
(k)内因性炎症性存在物に対して活性であるモノクローナル抗体、
(l)抗腫瘍壊死因子(抗TNF−α)薬、
(m)接着分子阻害薬、例えばVLA−4アンタゴニスト、
(n)キニン−B1およびB2受容体アンタゴニスト、
(o)免疫抑制薬、
(p)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害薬、
(q)タチキニンNK1、NK2およびNK3受容体アンタゴニスト、
(r)エラスターゼ阻害薬、
(s)アデノシンA2a受容体アゴニスト、
(t)ウロキナーゼの阻害薬、
(u)ドーパミン受容体に作用する化合物、例えばD2アゴニスト、
(v)NFkb経路のモジュレーター、例えばIKK阻害薬、
(w)粘液溶解薬または抗咳薬として分類され得る作用物質、
(x)抗生物質、ならびに
(y)p38MAPキナーゼ阻害薬。
【0113】
本発明によれば、式(I)のニコチンアミド誘導体と、以下の:
・ムスカリンM3受容体アゴニストまたは抗コリン作動薬、例えば特にイプラトロピウム塩、即ち臭化物、チオトロピウム塩、即ち臭化物、オキシトロピウム塩、即ち臭化物、ペレンゼピンおよびテレンゼピン、
・p38MAPキナーゼ阻害薬、
・H3アンタゴニスト、
・β2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えばアルブタロール、サルブタモール、ホルモテロールおよびサルメテロール、
・糖質コルチコステロイド、特に全身性副作用低減を示す吸入糖質コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブデソニド、フルチカゾンプロピオネートおよびモメタゾンフロエート、あるいは
・アデノシンA2a受容体アゴニスト
との組合せが選択される。
【0114】
治療に対する本明細書中の全ての言及は、治癒可能な、一時緩和的な、そして予防的な処置を包含する、と理解されるべきである。以下の説明は、式(I)のニコチンアミド誘導体が用いられ得る治療的用途に関する。
【0115】
式(I)のニコチンアミド誘導体はPDE4アイソザイムを抑制し、それにより、全ての哺乳類の生理学においてPDE4ファミリーのアイソザイムが演じる不可欠な役割のため、下記でさらに説明するように、広範囲の治療的用途を有する。PDE4アイソザイムにより実施される酵素的役割は、前炎症性白血球内でのアデノシン3’,5’−一リン酸塩(cAMP)の細胞内加水分解である。cAMPは次に、身体中の多数のホルモンの作用の媒介に関与し、そしてその結果として、PDE4抑制は種々の生理学的過程において有意の役割を演じる。cAMP増大のほかに、好酸球、好中球および単球中でのスーパーオキシド産生、脱顆粒、走化性、ならびに腫瘍壊死因子(TNF)放出を含めた種々の炎症細胞応答に及ぼすPDE阻害薬の作用を記載する広範な文献が当該技術分野には存在する。
【0116】
したがって本発明のさらなる態様は、PDE4アイソザイムが関与する疾患、障害および症状の治療における式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/または誘導形態の使用に関する。さらに本発明は、以下の:
【0117】
・如何なる種類、病因または病原であれ、喘息、特にアトピー性喘息、非アトピー性喘息、アレルギー性喘息、アトピー性気管支IgE媒介性喘息、気管支喘息、本態性喘息、真性喘息、病理生理学的障害により引き起こされる内因性喘息、環境因子により引き起こされる外因性喘息、未知のまたは不顕性の原因の本態性喘息、非アトピー性喘息、気管支炎性喘息、気腫性喘息、運動誘発性喘息、アレルゲン誘発性喘息、冷気誘発性喘息、職業性喘息、細菌、真菌、原生動物またはウイルス感染により引き起こされる感染性喘息、非アレルギー性喘息、初発喘息および喘鳴乳児症候群からなる群から選択される一成員である喘息、
【0118】
・慢性または急性気管支収縮、慢性気管支炎、小気道閉塞および気腫、
・如何なる種類、病因または病原であれ、閉塞性または炎症性気道疾患、特に慢性好酸球性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、それに関連した慢性気管支炎、肺気腫または呼吸困難を含むCOPD、付加逆性進行性気道閉塞を特徴とするCOPD、成人呼吸促進症候群(ARDS)、ならびに他の薬剤療法の結果として起こる気道過敏の悪化からなる群から選択される一成員である閉塞性または炎症性気道疾患、
【0119】
・如何なる種類、病因または病原であれ、塵肺症、特にアルミニウム症またはボーキサイト塵肺症、炭粉症または坑夫喘息、石綿症または蒸気管取付け工喘息、石粉症または石粉肺症、ダチョウの羽毛からの塵埃を吸入することにより引き起こされる睫毛脱落症、鉄粒子の吸入により引き起こされる鉄沈着症、珪肺症または研磨工病、綿肺症または綿塵埃喘息、ならびにタルク塵肺症からなる群から選択される一成員である塵肺症、
【0120】
・如何なる種類、病因または病原であれ、気管支炎、特に急性気管支炎、急性喉頭気管気管支炎、アラキジン酸気管支炎、カタル性気管支炎、クループ性気管支炎、乾性気管支炎、感染性喘息性気管支炎、増殖性気管支炎、ブドウ球菌または連鎖球菌気管支炎、および小胞性気管支炎からなる群から選択される一成員である気管支炎、
【0121】
・如何なる種類、病因または病原であれ、気管支拡張症、特に円柱状気管支拡張症、小嚢性気管支拡張症、紡錘状気管支拡張症、毛細管気管支拡張症、嚢胞性気管支拡張症、乾性気管支拡張症および濾胞性気管支拡張症からなる群から選択される一成員である気管支拡張症、
【0122】
・如何なる種類、病因または病原であれ、季節性アレルギー鼻炎または多年生アレルギー鼻炎または副鼻腔炎、特に化膿性または非化膿性副鼻腔炎、急性または慢性副鼻腔炎、および篩骨、前頭骨、上顎骨または蝶形骨洞炎からなる群から選択される一成員である副鼻腔炎、
【0123】
・如何なる種類、病因または病原であれ、慢性関節リウマチ、特に急性関節炎、急性痛風性関節炎、慢性炎症性関節炎、変性関節炎、感染性関節炎、ライム関節炎、増殖性関節炎、乾癬性関節炎および脊椎骨関節炎からなる群から選択される一成員である慢性関節リウマチ、
【0124】
・痛風、ならびに炎症に関連した発熱および疼痛、
・如何なる種類、病因または病原であれ、好酸球関連障害、特に好酸球増加症、肺浸潤性好酸球増加症、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎、熱帯性肺好酸球増加症、気管支肺炎アスペルギルス症、アスペルギルス腫、好酸球を含有する肉芽腫、アレルギー性肉芽腫性脈管炎またはチャーグ・ストラウス症候群、結節性多発性動脈炎(PAN)、ならびに全身性壊死性血管炎からなる群から選択される一成員である好酸球関連障害、
・アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、接触性皮膚炎、あるいはアレルギー性アトピー性湿疹、
【0125】
・如何なる種類、病因または病原であれ、蕁麻疹、特に免疫媒介性蕁麻疹、補体媒介性蕁麻疹、蕁麻疹原性物質誘導性蕁麻疹、特発性蕁麻疹、急性蕁麻疹、慢性蕁麻疹、血管性水腫、コリン作動性蕁麻疹、常染色体優性形態の、または獲得形態の寒冷蕁麻疹、接触性蕁麻疹、巨大蕁麻疹および丘疹状蕁麻疹からなる群から選択される一成員である蕁麻疹、
【0126】
・如何なる種類、病因または病原であれ、結膜炎、特に照射性結膜炎、急性カタル性結膜炎、急性接触感染性結膜炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性結膜炎、慢性カタル性結膜炎、化膿性結膜炎および春季結膜炎からなる群から選択される一成員である結膜炎、
【0127】
・如何なる種類、病因または病原であれ、ブドウ膜炎、特にブドウ膜の全部または一部の炎症、前部ブドウ膜炎、虹彩炎、毛様体炎、虹彩毛様体炎、肉芽腫性ブドウ膜炎、非肉芽腫性ブドウ膜炎、水晶体抗原性ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、脈絡膜炎、および脈絡膜炎からなる群から選択される一成員であるブドウ膜炎、
【0128】
・如何なる種類、病因または病原であれ、多発性硬化症、特に原発性進行性多発性硬化症および再発性弛張性多発性硬化症からなる群から選択される一成員である多発性硬化症、
【0129】
・如何なる種類、病因または病原であれ、自己免疫/炎症性疾患、特に自己免疫血液学的障害、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球ろう、特発性血小板減少性紫斑病、全身性紅斑性狼瘡、多発性軟骨炎、強皮症、ウェーグナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーベンズ・ジョンソン症候群、特発性鵞口瘡、自己免疫性炎症性腸疾患、潰瘍性結腸炎、内分泌性眼障害、グレーブス病、サルコイドーシス、歯槽炎、慢性過敏症肺臓炎、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病またはI型真性糖尿病、乾性角結膜炎、流行性角結膜炎、瀰漫性間質性肺繊維症、嚢胞性繊維症、ネフローゼ症候群を伴う場合と伴わない場合の糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、特発性ネフローゼ症候群、軽度腎障害、炎症性/過増殖性皮膚疾患、良性家族性天疱瘡、紅斑性天疱瘡、落葉状天疱瘡および尋常性天疱瘡からなる群から選択される一成員である自己免疫/炎症性疾患、
【0130】
・臓器移植後の同種異系移植片拒絶の予防、
・如何なる種類、病因または病原であれ、炎症性腸疾患(IBD)、特にコラーゲン性大腸炎、大腸ポリープ、経壁結腸炎、潰瘍性結腸炎およびクローン病(CD)からなる群から選択される一成員である炎症性腸疾患、
【0131】
・如何なる種類、病因または病原であれ、敗血症性ショック、特に腎不全、急性腎不全、悪液質、マラリア性悪液質、下垂体性悪液質、尿毒症性悪液質、心性悪液質、副腎性悪液質またはアジソン病、癌性悪液質、ならびにヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染の結果としての悪液質からなる群から選択される一成員である敗血症性ショック、
【0132】
・肝臓損傷、
・如何なる種類、病因または病原であれ、肺高血圧症、例えば原発性肺高血圧症/本体性高血圧症、うっ血性心不全に派生する肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患に派生する肺高血圧症、肺静脈高血圧症、肺動脈高血圧症および低酸素症誘導性肺高血圧症、
【0133】
・骨損失性疾患、原発性骨粗鬆症および二次性骨粗鬆症、
・如何なる種類、病因または病原であれ、中枢神経系障害、特にうつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病、学習および記憶障害、遅発性ジスキネシア、薬物依存、動脈硬化性痴呆およびハンチントン舞踏病に伴う痴呆、ウィルソン病、震顫麻痺および視床萎縮からなる群から選択される一成員である中枢神経系障害、
【0134】
・感染、特にウイルスによる感染であって、この場合、それらの複製または他のウイルスの生体活性が悪影響を及ぼすよう、それらの宿主におけるTNF−αの上向き調節に対してこのようなウイルスが感受性である感染であり、ウイルスの例としては、HIV−1、HIV−2およびHIV−3、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ならびにヘルペスウイルス、例えば帯状ヘルペスおよび単純ヘルペスからなる群から選択される一成員であるウイルスが挙げられる、
【0135】
・その宿主中でTNF−αによる上向き調節に感受性でありまたはTNF−α産生を引き出す酵母および真菌感染、例えば真菌性髄膜炎(特に全身性酵母および真菌感染の治療のために選択されるその他の薬剤、例えばポリミキシン、例えばポリマイシンB、イミダゾール、例えばクロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾールおよびケトコナゾール、トリアゾール、例えばフルコナゾールおよびイトラナゾール、ならびにアンホテリシン、例えばアンホテリシンBおよびリポソーム性アンホテリシンB(これらに限定されない)と一緒に投与される場合)、
【0136】
・虚血性再還流損傷、虚血性心疾患、自己免疫性糖尿病、自己免疫網膜症、慢性リンパ性白血病、HIV感染、紅斑性狼瘡、腎臓および尿管疾患、尿生殖器および胃腸性障害、ならびに前立腺疾患、
【0137】
・ヒトまたは動物身体における瘢痕形成、例えば急性創傷における瘢痕形成、そして
・乾癬
からなる群から選択される疾患、障害および症状の治療における式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/または誘導形態の使用にも関する。
【0138】
一態様によれば、本発明は特に、呼吸器疾患、例えば成人呼吸促進症候群(ARDS)、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性繊維症、喘息、気腫、気管支拡張症、副鼻腔炎および鼻炎の治療に関する。
【0139】
別の態様によれば、本発明は特に、胃腸(GI)障害、特に炎症性腸疾患(IBD)、例えばクローン病、回腸炎、コラーゲン性大腸炎、大腸ポリープ、経壁結腸炎および潰瘍性結腸炎の治療に関する。
【0140】
さらなる態様によれば、本発明は、瘢痕形成の低減にも関する。
本発明のさらなる態様は、PDE4抑制活性を有する薬剤の製造のための、式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/または誘導形態の使用にも関する。特に本発明は、炎症性、呼吸器、アレルギー性および瘢痕形成性疾患、障害および症状の治療のための、より精確には上記した疾患、障害および症状の治療のための薬剤の製造のための、式(I)のニコチンアミド誘導体、それらの製薬上許容可能な塩および/または誘導形態の使用に関する。
【0141】
したがって本発明は、PDE4を用いた哺乳類、例えばヒトの治療の特に興味深い方法、例えば有効量の式(I)のニコチンアミド誘導体、その製薬上許容可能な塩および/または誘導形態を用いた上記哺乳類の治療を提供する。より精確には、本発明は、炎症性、呼吸器、アレルギー性および瘢痕形成性疾患、障害または症状を治療するための、哺乳類、例えばヒトの治療の特に興味深い方法、例えば有効量の式(I)のニコチンアミド誘導体、その製薬上許容可能な塩および/または誘導形態を用いた上記哺乳類の治療を提供する。
【0142】
以下の実施例は、式(I)の化合物の調製を説明する。
【実施例】
【0143】
調製1
2−クロロ−5−フルオロニコチン酸
【化5】

エチル−2−クロロ−5−フルオロニコチン酸塩(50.4 g, 0.247 mol)(J. Med. Chem., 1993, 36(18), 2676-88)をテトラヒドロフラン(350 mL)中に溶解し、水酸化リチウム(247 mL, 0.495 mol)の2 M水溶液を付加した。反応混合物を室温で3日間撹拌した。6 M塩酸の付加により溶液のpHをpH1に低減し、次にジクロロメタン(×3)で抽出した。併合抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を真空濃縮して、固体を得て、これをジエチルエーテルで粉砕し、次に乾燥して、表題化合物を白色固定40.56 gとして得た。
【化6】

【0144】
調製2
syn−tert−ブチル4−アミノシクロヘキシルカルバメート
【化7】

5%パラジウム/チャコール(5 g)をトルエン(10 mL)と混合し、メタノール(400 Ml)中のsyn−(4−アジド−シクロヘキシル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(170 g, 0.71 mol)(WO 99/54284)に付加した。混合物を室温で18時間水素添加(80気圧)して、次に濾過した。溶媒を真空蒸発して、残渣を酢酸エチル(50 mL)で、次にヘキサン(200 mL)で粉砕した。得られた固体を濾過により単離し、酢酸エチル(600 mL)中に溶解して、セライト(登録商標)を通して濾過した。濾液を真空濃縮して、スラッシュを得て、これをヘキサン(300 mL)で希釈した。得られた固体を濾過により単離し、ヘキサン中の酢酸エチル(80:20)で洗浄した。母液を併合し、真空蒸発して、残渣を、溶離液として酢酸エチルを、次にメタノールを用いたシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製した。得られた物質を酢酸エチルおよびヘキサンから結晶化し、一次生成物と併合して、表題化合物を白色固体76.0 gとして得た。
【化8】

【0145】
調製3
メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボキシレート
【化9】

エタノール(5 mL)中のメチル2−アミノニコチネート(WO 89/01488 pg33, prep 17)(1 g, 6.56 mmol)およびクロロアセトアルデヒド(1.05 mL, 6.56 mmol)の混合物を還流下で18時間加熱した。冷却混合物を水(10 mL)で希釈し、0.88アンモニア(1 mL)を付加して、溶液を真空濃縮した。残渣をメタノール中に溶解し、暗色溶液をチャーコールで処理して、混合物を濾過し、濾液を真空濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(97:2.5:0.5)を用いたシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物をエーテルで粉砕して、表題化合物786 mgを得た。
【化10】

【0146】
調製4
イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボン酸
【化11】

水酸化リチウム溶液(2.5 ml, 水中1 M)を、メタノール(5 mL)中の調製3からのエステル(400 mg, 2.27 mmol)の溶液に付加し、溶液を室温で90分間撹拌した。溶液を真空濃縮してメタノールを除去し、水溶液を2 M塩酸を用いて酸性にして、混合物を減圧下で蒸発させて、表題化合物を黄色固体として得た。
【化12】

【0147】
調製5
syn−{4−[(2−クロロ−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル)−アミノ]−シクロヘキシル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化13】

ジクロロメタン(200 mL)中の調製1の酸(8.75 g, 49 mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(5滴)の溶液を0℃に冷却し、10分間に亘って塩化オキサリル(10.4 mL, 119 mmol)で処理した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、残渣をジクロロメタン(2×)とともに共沸混合した。生成物をジクロロメタン(200 mL)中に取って、溶液をN−エチルジイソプロピルアミン(17.1 mL, 98 mmol)および調製2のアミン(11.55 g, 54 mmol)で処理した。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次に10%クエン酸溶液(2×)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×)で洗浄した。次に混合物を硫酸マグネシウム上で乾燥して、真空濃縮し、表題物質を黄色固体18.02 gとして得た。
【化14】

【0148】
調製6
syn−(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化15】

調製5のクロロ化合物(600 mg, 1.62 mmol)、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオール(WO 02/18333, pg. 67, preparation 7)(245 mg, 1.62 mmol)および炭酸セシウム(526 mg, 1.62 mmol)をアセトニトリル(20 mL)中に溶解し、反応混合物を18時間還流加熱した。反応混合物を真空濃縮して、残渣を酢酸エチル(40 mL)および水(30 mL)間に分配した。有機層をブライン(20 mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥して、真空濃縮した。残渣を、ペンタン:酢酸エチル75:25で溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。粗生成物を酢酸エチルで粉砕して、表題化合物を白色固体589 mgとして得た。
【化16】

【0149】
調製7
syn−N−(4−アミノ−シクロヘキシル)−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド
【化17】

調製6の保護化物質(580 mg, 1.19 mmol)をジクロロメタン(4 mL)中に溶解し、溶液をトリフルオロ酢酸(2 mL)で処理した。次に反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物をトルエン(5 mL)で希釈して、真空濃縮した。残渣を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10 mL)および酢酸エチル(60 mL)間に分配し、有機層をブラインで洗浄して、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空濃縮して、表題物質を白色固体500 mgとして得た。
【化18】

【0150】
実施例1
syn−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド
【化19】

調製7のアミン(150 mg, 0.39 mmol)、調製4のカルボン酸(87 mg, 0.43 mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(58 mg, 0.43 mmol)、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(82 mg, 0.43 mmol)および4−メチルモルホリン(47 μL, 0.43 mmol)をジクロロメタン(20 mL)中に溶解し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(10 mL)中に溶解して、室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、残渣を酢酸エチル(50 mL)および水(30 mL)間に分配して、有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥して、真空濃縮した。残渣を、ペンタン:酢酸エチル85:15〜0:100で溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。粗生成物を、酢酸エチルで溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより再び精製して、表題物質を白色固体130 mg(63%)として得た。
【化20】

【0151】
顕微分析:実測値−C=61.99%、H=4.90%、N=12.86%
2826FN53S計算値−C=62.00%、H=5.05%、N=12.91%
【0152】
実施例2
syn−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド
【化21】

インダゾール−3−カルボン酸を用いて、実施例1に関して記載されたのと同様の方法により、表題化合物を調製した(収率73%)。
【化22】

【0153】
顕微分析:実測値−C=61.27%、H=5.26%、N=13.17%
2826FN53S計算値−C=61.38%、H=4.83%、N=12.67%
【0154】
実施例3
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド
【化23】

調製7のアミン(150 mg, 0.39 mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(58 mg, 0.43 mmol)、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(82 mg, 0.43 mmol)および4−メチルモルホリン(47 μL, 0.43 mmol)をジクロロメタン(5 mL)中に溶解し、溶液を2−ヒドロキシ−4−メチル−安息香酸(65 mg, 0.43 mmol)で処理した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(40 mL)および水(20 mL)間に分配して、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥して、真空濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン(5 mL)中に溶解し、1 M水酸化ナトリウム溶液(5 mL)で処理し、50℃で2時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、残渣を酢酸エチル(50 mL)中に取り、2 M塩酸(5 mL)で処理した。有機層をブライン(20 mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥して、真空濃縮した。残渣を酢酸エチルで粉砕して、表題物質を白色固体159 mgとして得た。
【化24】

【0155】
顕微分析:実測値−C=63.75%、H=5.49%、N=7.72%
2828FN34S計算値−C=63.72%、H=5.57%、N=7.74%
【0156】
式(I)の化合物のin vitro活性
PDE4によるAMPへのcAMPの加水分解を抑制する化合物の能力により、式(I)のニコチンアミド誘導体のPDE4抑制活性を確定する(Thompson JW, Teraski WL, Epstein PM, Strada SJ., “Assay of nucleotidephosphodiesterase and resolution of multiple molecular forms of the isoenzyme”, Advances in cyclic nucleotides research, edited by Brooker G, Greengard P, Robinson GA. Raven Press, New York 1979, 10, p. 69-92)。トリチウム標識cAMPをPDE4でインキュベートする。インキュベーション後、生成された放射能標識AMPは、ケイ酸イットリウムSPAビーズと結合し得る。これらのSPAビーズはその後、シンチレーション計数により定量され得る光を生じる。PDE4阻害薬の付加は、cAMPからのAMPの形成を防止し、計数が減少される。PDE4阻害薬のIC50は、PDE4のみ(無阻害薬)対照ウエルと比較して、計数の50%低減をもたらす化合物の濃度と定義され得る。
【0157】
式(I)のニコチンアミド誘導体の抗炎症特性は、ヒト末梢血単核球からのTNFα放出を抑制するそれらの能力により実証される(Yoshimura T, Kurita C, Nagao T, Usami E, Nakao T, Watanabe S, Kobayashi J, Yamazaki F, Tanaka H, Nagai H., “Effects of cAMP-phosphodiesterase isozyme inhibitor on cytokine production by lipopolysaccharide-stimulated human peripheral blood mononuclear cells”, Gen. Pharmacol., 1997, 29(4), p. 63も参照)。静脈血を健常有志から採取し、単核球をHistopaque (Ficoll)クッションを通して遠心分離により精製する。これらの細胞からのTNFα産生を、リポ多糖の付加により刺激する。LPSの存在下で18時間インキュベーション後、細胞上清を取り出し、上清中のTNFαの濃度をELISAにより確定する。PDE4阻害薬の付加は、産生されるTNFαの量を低減する。LPS刺激対照ウエルと比較してTNFα産生の50%抑制を生じる化合物の濃度と等しいIC50を確定する。
【0158】
実施例は全て、上記の試験し検定において試験し、300 nM未満のIC50(TNFαスクリーン)を有することが判明した。試験した化合物のほとんどに関して、それらは、100 nM未満でさえあるIC50(TNFαスクリーン)を有することが見出された。
【0159】
説明目的のために、以下の表は、本発明のいくつかの代表的実施例の正確なIC50(TNFαスクリーン)を示す:
【0160】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、R1は、H、ハロおよび(C1〜C4)アルキルから選択され;
Xは−CH2−でありそしてYはSであるか、またはXはSでありそしてYは−CH2−であり;
ZはCOおよびSO2から選択されるリンカー基であり;
2は、フェニル、ベンジル、ナフチル、ヘテロアリールおよび(C3〜C8)シクロアルキルから選択され(これらは各々、ハロ、CN、CONR34、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、ハロ(C1〜C6)アルキル、OH、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル−(C1〜C6)アルコキシ、ヒドロキシ(C2〜C6)アルコキシ、(C3〜C8)シクロアルキル−(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキルオキシ、フェニル(これはOH、ハロおよび/または(C1〜C6)アルコキシにより任意に置換される)、(C3〜C8)シクロアルキルおよびNR34から各々独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換される);
3およびR4は、各々独立して、H、(C1〜C4)アルキルおよびSO2(C1〜C4)アルキルから選択される)で表される化合物、その互変異性体、あるいは前記化合物または互変異性体の製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体。
【請求項2】
XがSであり、そしてYが−CH2−である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1がH、ハロ、CH3またはC25である、請求項1または請求項2記載の化合物。
【請求項4】
1がH、F、ClまたはCH3である、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
1がFである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
2が、フェニル、ピロール、フラン、フラザン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、ナフチリジン、フタラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾフラン、チアジアゾール、ベンゾチアジアゾール、オキサジアゾール、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、ベンズオキサジアゾール、ベンズピリミジン、ベンゾチオフェン、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾピリジン、ベンズイミダゾール、ピラゾロピリジンおよびピラゾロピリミジン(これらは各々、CH3、N(CH3)SO2CH3、NHSO2CH2CH3、NHSO2CH(CH32、OH、CH2OH、Cl、F、C25、CH(CH32、OCH3、OC24OH、C24OH、O(CH23OH、CF3、OC25、シクロプロピルメトキシおよびシクロペンチルオキシから選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換される)から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
2が、フェニル、イミダゾール、インダゾール、キノリン、キナゾリン、ジヒドロベンゾフラン、ベンゾチアジアゾール、ベンズオキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾピリジン、ベンズイミダゾール、ピラゾロピリジン、ベンジルおよびシクロプロピル(これらは各々、CH3、N(CH3)SO2CH3、NHSO2CH2CH3、NHSO2CH(CH32、OH、CH2OH、Cl、F、C25、CH(CH32、OCH3、OC24OH、C24OH、O(CH23OH、CF3、OC25、シクロプロピルメトキシおよびシクロペンチルオキシから選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換される)から選択される、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
2が、フェニル、インダゾールおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン(これらは各々、CH3、N(CH3)SO2CH3、NHSO2CH2CH3、NHSO2CH(CH32、OH、CH2OH、Cl、F、C25、CH(CH32、OCH3、OC24OH、C24OH、O(CH23OH、CF3、OC25、シクロプロピルメトキシおよびシクロペンチルオキシから選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換される)から選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
2が、フェニル、インダゾールおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン(これらは各々、メチルおよびヒドロキシから各々独立して選択される1〜3つの置換基により任意に置換される)から選択される、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
2が、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル、インダゾール−3−イルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イルから選択される、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
ZがCOである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
XがSでありそしてYが−CH2−であり;
1が、H、ハロ、CH3またはC25であり;
2が、フェニル、イミダゾール、インダゾール、キノリン、キナゾリン、ジヒドロベンゾフラン、ベンゾチアジアゾール、ベンズオキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾピリジン、ベンズイミダゾール、ピラゾロピリジン、ベンジルおよびシクロプロピル(これらは各々、CH3、N(CH3)SO2CH3、NHSO2CH2CH3、NHSO2CH(CH32、OH、CH2OH、Cl、F、C25、CH(CH32、OCH3、OC24OH、C24OH、O(CH23OH、CF3、OC25、シクロプロピルメトキシおよびシクロペンチルオキシから選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換される)から選択され;そして
ZがCOである、
請求項1記載の化合物。
【請求項13】
XがSでありそしてYが−CH2−であり;
1が、H、F、ClまたはCH3であり;
2が、フェニル、インダゾールおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン(これらは各々、メチルおよびヒドロキシから各々独立して選択される1〜3つの置換基により任意に置換される)から選択され;そして
ZがCOである、
請求項1記載の化合物。
【請求項14】
XがSでありそしてYが−CH2−であり;
1がFであり;
2が、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル、インダゾール−3−イルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イルから選択され;そして
ZがCOである、
請求項1記載の化合物。
【請求項15】
以下の:
syn−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、
syn−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−{4−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−ニコチンアミド、
syn−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−5−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−{4−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−3−メチル−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−{4−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−4−メチル−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−{4−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−5−メチル−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−ニコチンアミド、
syn−N−{4−[4−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−N−{4−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−N−(4−{[5−エチル−1−(2−ヒドロキシ−エチル)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−(4−{[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−イソプロピルピル−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
syn−1−(2−ヒドロキシ−エチル)−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−N−[4−(5−エチル−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−N−[4−(4−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−N−[4−(4−エチル−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(4−フルオロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(5−フルオロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−N−{4−[5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−N−[4−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−{4−[5−フルオロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−シクロヘキシル}−ニコチンアミド、
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、および
syn−N−[4−(4,5−ジクロロ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ニコチンアミド
から選択される請求項1記載の化合物、その互変異性体、あるいは前記化合物または互変異性体の製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体。
【請求項16】
以下の:
syn−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、
syn−1H−インダゾール−3−カルボン酸(4−{[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−ピリジン−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキシル)−アミド、および
syn−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−6−イルオキシ)−5−フルオロ−N−[4−(2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾイルアミノ)−シクロヘキシル]−ニコチンアミド、
から選択される、請求項15記載の化合物、その互変異性体、あるいは前記化合物または互変異性体の製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体、および製薬上許容可能な担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項18】
薬剤として用いるための請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体。
【請求項19】
PDE4抑制が有益である疾患、障害または症状の治療における請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体の使用。
【請求項20】
炎症、呼吸器およびアレルギー性疾患、障害および症状の治療に、ならびに創傷の治療に用いるための請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体。
【請求項21】
以下の:
・如何なる種類、病因または病原であれ、喘息、特にアトピー性喘息、非アトピー性喘息、アレルギー性喘息、アトピー性気管支IgE媒介性喘息、気管支喘息、本態性喘息、真性喘息、病理生理学的障害により引き起こされる内因性喘息、環境因子により引き起こされる外因性喘息、未知のまたは不顕性の原因の本態性喘息、非アトピー性喘息、気管支炎性喘息、気腫性喘息、運動誘発性喘息、アレルゲン誘発性喘息、冷気誘発性喘息、職業性喘息、細菌、真菌、原生動物またはウイルス感染により引き起こされる感染性喘息、非アレルギー性喘息、初発喘息および喘鳴乳児症候群からなる群から選択される一成員である喘息、
・慢性または急性気管支収縮、慢性気管支炎、小気道閉塞および気腫、
・如何なる種類、病因または病原であれ、閉塞性または炎症性気道疾患、特に慢性好酸球性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、それに関連した慢性気管支炎、肺気腫または呼吸困難を含むCOPD、付加逆性進行性気道閉塞を特徴とするCOPD、成人呼吸促進症候群(ARDS)、ならびに他の薬剤療法の結果として起こる気道過敏の悪化からなる群から選択される一成員である閉塞性または炎症性気道疾患、
・如何なる種類、病因または病原であれ、塵肺症、特にアルミニウム症またはボーキサイト塵肺症、炭粉症または坑夫喘息、石綿症または蒸気管取付け工喘息、石粉症または石粉肺症、ダチョウの羽毛からの塵埃を吸入することにより引き起こされる睫毛脱落症、鉄粒子の吸入により引き起こされる鉄沈着症、珪肺症または研磨工病、綿肺症または綿塵埃喘息、ならびにタルク塵肺症からなる群から選択される一成員である塵肺症、
・如何なる種類、病因または病原であれ、気管支炎、特に急性気管支炎、急性喉頭気管気管支炎、アラキジン酸気管支炎、カタル性気管支炎、クループ性気管支炎、乾性気管支炎、感染性喘息性気管支炎、増殖性気管支炎、ブドウ球菌または連鎖球菌気管支炎、および小胞性気管支炎からなる群から選択される一成員である気管支炎、
・如何なる種類、病因または病原であれ、気管支拡張症、特に円柱状気管支拡張症、小嚢性気管支拡張症、紡錘状気管支拡張症、毛細管気管支拡張症、嚢胞性気管支拡張症、乾性気管支拡張症および濾胞性気管支拡張症からなる群から選択される一成員である気管支拡張症、
・如何なる種類、病因または病原であれ、季節性アレルギー鼻炎または多年生アレルギー鼻炎または副鼻腔炎、特に化膿性または非化膿性副鼻腔炎、急性または慢性副鼻腔炎、および篩骨、前頭骨、上顎骨または蝶形骨洞炎からなる群から選択される一成員である副鼻腔炎、
・如何なる種類、病因または病原であれ、慢性関節リウマチ、特に急性関節炎、急性痛風性関節炎、慢性炎症性関節炎、変性関節炎、感染性関節炎、ライム関節炎、増殖性関節炎、乾癬性関節炎および脊椎骨関節炎からなる群から選択される一成員である慢性関節リウマチ、
・痛風、ならびに炎症に関連した発熱および疼痛、
・如何なる種類、病因または病原であれ、好酸球関連障害、特に好酸球増加症、肺浸潤性好酸球増加症、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎、熱帯性肺好酸球増加症、気管支肺炎アスペルギルス症、アスペルギルス腫、好酸球を含有する肉芽腫、アレルギー性肉芽腫性脈管炎またはチャーグ・ストラウス症候群、結節性多発性動脈炎(PAN)、ならびに全身性壊死性血管炎からなる群から選択される一成員である好酸球関連障害、
・アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、接触性皮膚炎、あるいはアレルギー性アトピー性湿疹、
・如何なる種類、病因または病原であれ、蕁麻疹、特に免疫媒介性蕁麻疹、補体媒介性蕁麻疹、蕁麻疹原性物質誘導性蕁麻疹、特発性蕁麻疹、急性蕁麻疹、慢性蕁麻疹、血管性水腫、コリン作動性蕁麻疹、常染色体優性形態の、または獲得形態の寒冷蕁麻疹、接触性蕁麻疹、巨大蕁麻疹および丘疹状蕁麻疹からなる群から選択される一成員である蕁麻疹、
・如何なる種類、病因または病原であれ、結膜炎、特に照射性結膜炎、急性カタル性結膜炎、急性接触感染性結膜炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性結膜炎、慢性カタル性結膜炎、化膿性結膜炎および春季結膜炎からなる群から選択される一成員である結膜炎、
・如何なる種類、病因または病原であれ、ブドウ膜炎、特にブドウ膜の全部または一部の炎症、前部ブドウ膜炎、虹彩炎、毛様体炎、虹彩毛様体炎、肉芽腫性ブドウ膜炎、非肉芽腫性ブドウ膜炎、水晶体抗原性ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、脈絡膜炎、および脈絡膜炎からなる群から選択される一成員であるブドウ膜炎、
・如何なる種類、病因または病原であれ、多発性硬化症、特に原発性進行性多発性硬化症および再発性弛張性多発性硬化症からなる群から選択される一成員である多発性硬化症、
・如何なる種類、病因または病原であれ、自己免疫/炎症性疾患、特に自己免疫血液学的障害、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球ろう、特発性血小板減少性紫斑病、全身性紅斑性狼瘡、多発性軟骨炎、強皮症、ウェーグナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーベンズ・ジョンソン症候群、特発性鵞口瘡、自己免疫性炎症性腸疾患、潰瘍性結腸炎、内分泌性眼障害、グレーブス病、サルコイドーシス、歯槽炎、慢性過敏症肺臓炎、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病またはI型真性糖尿病、乾性角結膜炎、流行性角結膜炎、瀰漫性間質性肺繊維症、嚢胞性繊維症、ネフローゼ症候群を伴う場合と伴わない場合の糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、特発性ネフローゼ症候群、軽度腎障害、炎症性/過増殖性皮膚疾患、良性家族性天疱瘡、紅斑性天疱瘡、落葉状天疱瘡および尋常性天疱瘡からなる群から選択される一成員である自己免疫/炎症性疾患、
・臓器移植後の同種異系移植片拒絶の予防、
・如何なる種類、病因または病原であれ、炎症性腸疾患(IBD)、特にコラーゲン性大腸炎、大腸ポリープ、経壁結腸炎、潰瘍性結腸炎およびクローン病(CD)からなる群から選択される一成員である炎症性腸疾患、
・如何なる種類、病因または病原であれ、敗血症性ショック、特に腎不全、急性腎不全、悪液質、マラリア性悪液質、下垂体性悪液質、尿毒症性悪液質、心性悪液質、副腎性悪液質またはアジソン病、癌性悪液質、ならびにヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染の結果としての悪液質からなる群から選択される一成員である敗血症性ショック、
・肝臓損傷、
・如何なる種類、病因または病原であれ、肺高血圧症、例えば原発性肺高血圧症/本体性高血圧症、うっ血性心不全に派生する肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患に派生する肺高血圧症、肺静脈高血圧症、肺動脈高血圧症および低酸素症誘導性肺高血圧症、
・骨損失性疾患、原発性骨粗鬆症および二次性骨粗鬆症、
・如何なる種類、病因または病原であれ、中枢神経系障害、特にうつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病、学習および記憶障害、遅発性ジスキネシア、薬物依存、動脈硬化性痴呆およびハンチントン舞踏病に伴う痴呆、ウィルソン病、震顫麻痺および視床萎縮からなる群から選択される一成員である中枢神経系障害、
・感染、特にウイルスによる感染であって、この場合、それらの複製または他のウイルスの生体活性が悪影響を及ぼすよう、それらの宿主におけるTNF−αの上向き調節に対してこのようなウイルスが感受性である感染であり、ウイルスの例としては、HIV−1、HIV−2およびHIV−3、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ならびにヘルペスウイルス、例えば帯状ヘルペスおよび単純ヘルペスからなる群から選択される一成員であるウイルスが挙げられる、
・その宿主中でTNF−αによる上向き調節に感受性であり、またはTNF−α産生を引き出す酵母および真菌感染、例えば真菌性髄膜炎(特に全身性酵母および真菌感染の治療のために選択されるその他の薬剤、例えばポリミキシン、例えばポリマイシンB、イミダゾール、例えばクロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾールおよびケトコナゾール、トリアゾール、例えばフルコナゾールおよびイトラナゾール、ならびにアンホテリシン、例えばアンホテリシンBおよびリポソーム性アンホテリシンB(これらに限定されない)と一緒に投与される場合)、
・虚血性再還流損傷、虚血性心疾患、自己免疫性糖尿病、自己免疫網膜症、慢性リンパ性白血病、HIV感染、紅斑性狼瘡、腎臓および尿管疾患、尿生殖器および胃腸性障害、ならびに前立腺疾患、
・ヒトまたは動物身体における瘢痕形成、例えば急性創傷における瘢痕形成、そして
・乾癬
の治療に、その他の皮膚科学的および美容的用途、例えば消炎、皮膚軟化、皮膚弾性および水分量増大活動に用いるための請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体。
【請求項22】
有効量の請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物または多形体を用いた哺乳類、例えばヒトの、PDE4抑制が有益である疾患、障害または症状の治療方法。
【請求項23】
請求項21に明示されたような一覧から選択される、請求項22記載の疾患、障害または症状の治療方法。
【請求項24】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物と、以下の:
(a)5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害薬または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、
(b)ロイコトリエンアンタゴニスト(LTRA)、例えばLTB4、LTC4、LTD4およびLTE4のアンタゴニスト、
(c)ヒスタミン受容体アンタゴニスト、例えばH1、H3およびH4アンタゴニスト、
(d)うっ血除去用途のためのα1−およびα2−アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮薬交感神経様作動薬、
(e)ムスカリンM3重量%アンタゴニストまたは抗コリン作動薬、
(f)β2−アドレナリン受容体アゴニスト、
(g)テオフィリン、
(h)クロモグリク酸ナトリウム、
(i)COX−1阻害薬(NSAID)およびCOX−2選択的阻害薬、
(j)経口または吸入糖質コルチコステロイド、
(k)内因性炎症性存在物に対して活性であるモノクローナル抗体、
(l)抗腫瘍壊死因子(抗TNF−α)薬、
(m)接着分子阻害薬、例えばVLA−4アンタゴニスト、
(n)キニン−B1およびB2受容体アンタゴニスト、
(o)免疫抑制薬、
(p)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害薬、
(q)タチキニンNK1、NK2およびNK3受容体アンタゴニスト、
(r)エラスターゼ阻害薬、
(s)アデノシンA2a受容体アゴニスト、
(t)ウロキナーゼの阻害薬、
(u)ドーパミン受容体に作用する化合物、例えばD2アゴニスト、
(v)NFkb経路のモジュレーター、例えばIKK阻害薬、
(w)粘液溶解薬または抗咳薬として分類され得る作用物質、
(x)抗生物質、ならびに
(y)p38MAPキナーゼ阻害薬
から選択されるその他の治療薬との組合せ薬。

【公表番号】特表2006−528658(P2006−528658A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521683(P2006−521683)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002370
【国際公開番号】WO2005/009438
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】