説明

PDGFRによって仲介される病気のためのジアリール尿素

本発明は、式Iのジアリール尿素を投与することにより、血小板誘導成長因子レセプター(PDGFR)を含む信号形質導入経路に関連および/または仲介されるヒトおよび他の哺乳類の状態および病気を処置および/または防止するための方法を提供する。本発明はまた、血管形成手術または脈管系に影響または傷つける他の侵襲的操作の再狭窄、および宿主中へドナー組織の移植後グラフト拒絶を処置、緩和、防止または変調するためのデバイスおよび方法を提供し、その場合ステントはまたは他の内植し得るデバイスは式Iのジアリール尿素の有効量を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ストローマ形のキーレギュレーターは、PDGFとも呼ばれる血小板誘導成長因子である。PDGFは当初サル肉腫ウイルスのv−sis癌遺伝子生産物として同定された(Heldin,C.H.et al.,J.cell Sci suppl,1985,3,65−76)。この成長因子はA鎖およびB鎖と呼ばれる二つのペプチド鎖からできており、両者はそれらの主アミノ酸配列において60%相同性を占める。これらの鎖はAA,BBまたはABホモまたはヘテロダイマーのいずれかよりなる30kDa成熟タンパクを形成するように架橋したジサルファイドである。PDGFは血小板中に高いレベルで発見され、そして内皮細胞および脈管平滑筋細胞によって発現される。PDGFは高い親和性をもって1106アミノ酸124kDa膜横断チロシンキナーゼレセプターであるPDGFレセプターへ結合する(Heldin,C.H.,A.Ostman,and L.Ronnstrand,Biochim Biophys Acta,1998,1378(1),79−113)。PDGFRはアミノ酸配列において全体として30%相同性とそしてそれらのキナーゼドメインの間で64%相同性を有するホモまたはヘテロダイマー鎖として見出される(Heldin,C.H.et al,Embo J.1988,7(5),1387−93)。PDGFRはVEGFR2(KDR),VEGFR3(Flt4),c−kitおよびFLT3を含むキナーゼドメインに分かれるチロシンキナゼレセプターのファミリーメンバーである。PDGFレセプターは主として線維芽細胞、平滑筋細胞および周皮細胞上に、そして少ない程度でニューロン、腎臓メサンギウムおよび中枢神経系のLeydigおよびSchwann細胞上に発現される。
【0002】
そのレセプターへ結合する時、PDGFはレセプター二量化を誘発し、そしてチロシン残基の自家およびトランスホスフォリル化を受け、これがレセプターのキナーゼ活性を増強し、そしてSH2タンパク結合ドメインの活性化を通じて下流エフェクターの補充を促進する。PI−3−キナーゼ、ホスフォリパーゼC−ガンマ、srcおよびGAP(p21−rasのためのGTPファーゼ活性化タンパク)を含む多数の信号分子が活性化されたPDGFRと複合体を形成する(Soskic,V.et al.Biochemistry 1999,38(6),1757−64)。PI−3−キナーゼの活性化を通じて、PDGFはRho信号経路を活性化し、細胞生存性および移動性を誘発し、GAPの活性化を通じてp21−rasおよびMAPK信号経路の活性化によりミトゲン形成を誘発する。
【0003】
成人において、PDGFの主要な機能は創傷治癒の容易化と速度増大と、そして血管ホメオスタシスの維持であると信じられる(Baker,E.A.and D.J.Leaper,Wound Repair Regen,2000,865),392−8;Yn,J.A.Moon And H.R.kim,Biochem Biophys Res Commun,2001,282(3),697−700)。PDGFは血小板中に高濃度に見出され、そして線維芽細胞、平滑筋細胞、好中球およびマクロファージのための強力なケモアトラクタントである。創傷治癒における役割に加えて、PDGFは脈管ホモオスタシスの維持を助けることが知られている。新しい血管の発達の間、PDGFは血管の構造的一体性のために必要な周皮細胞および平滑筋細胞を補給する。PDGFは腫瘍新生脈管化の間も同様な役割を果すものと考えられる。脈管形成におけるその役割の一部として、PDGFは間隙流体圧力をコントロールし、結合組織細胞と細胞外マトリックス間の相互作用の調節を通じて脈管の透過性を調節する。
【0004】
リガンドPDGFRファミリーは、ジスルフィド架橋を通じて結合したホモおよびヘテロダイマーリンガンドのセットであり、AA,ABおよびBBの三つの形で見出し得る。PDGFは、線維芽、脈管平滑筋細胞、糸球体メサンギウム細胞および脳神経膠細胞のような種々の間葉細胞のための強力なミトゲンおよび化学走性因子である。PDGFは、癌、動脈硬化、再狭窄、肝硬変、肺線維症および真正糖尿病のような多数の病理学的状態に関与する。PDGFはPDGFレセプター(PDGFR)へ結合し、レセプター二量化を誘発することによりその生物学的活性を発現する。PDGF−AAはα−αレセプターダイマーのみを誘発し、PDGF−ABはα−αおよびα/βダイマーを誘発し、そしてPDGF−BBは三つのダイマーの組合わせを誘発する。一旦ダイマー化すると、PDGFRはチロシン上でトランスホスフォリル化を受け、遺伝子発現、細胞移動および増殖を仲介するのに必須な細胞内シグナリング相互作用のためにそれを活性化する。
【0005】
脈管損傷に続いて、再狭窄修復プロセスが約束され、数日内に損傷し死滅した脈管平滑筋細胞(vSMC)がbFGFのような成長因子を放出し、次の3−4日にわたって中間のvSMC増殖を誘発する。vSMCは新内膜へ移動し、そこでおよそ半分は内膜中で細胞サイクル増殖を受け残りの半分は分裂しない。PDGF−BBは脈管損傷後の損傷治癒に含まれる中心的化学走性因子である。何故ならばそれはPDGFレセプターの活性化を通じて培養したvSCMのためミトゲンであり、そしてPDGFRβの活性化を通じて活性走性であるからである。インビボにおいては、PDGF−BBは主としてvSMCに対する化学走性因子として作用する。PDGFの注射は10倍より大きいvSMC移動の増加を示したが、しかし増殖はたった2倍であった(A.Jawein et al,J.Clin.Invest.1992,89,507)。加えて、抗PDGF抗体はvSMCの移動を阻害したが、しかしそれらの増殖を阻害しなかった(G.A.A.Ferns,Science 1991,253,1129)。PDGFR阻害剤RPR101511Aは血管形成術後の血管造影的に画された再狭窄を防止した(G.Bilder et al,Circulation 1999,99,3292)。同様にPDGFR阻害剤CT52923は、インビボ研究において頸動脈傷害後の新内膜形成を阻害することを示した(J.C.Yu et al,J.Phamacol.Exd.Therap.2001,298,1172)。
【0006】
PDGFRを経由する信号形質導入は脈管平滑筋細胞(vSMC)移動および増殖へリンクしており、アログラフト脈管形成術および終局的にグラフト拒絶へ導く。PDGFR阻害剤AG−1295は新内膜形成のラットモデルにおいて大動脈アログラフト脈管形成術において新内膜形成を減らすことが示された(M,Karck et al,Transplantation 2002,74,1335)。
【0007】
この分野で既知のPDGFR阻害剤は医薬として使用される可能性を持っている生物学的証拠にもかかわらず、このレセプターチロシンキナーゼの新しい阻害剤に対し需要が残っている。
【0008】
ジアリール尿素はこの分野でよく知られたセリン−スレオニンキナーゼ阻害剤、それにチロシンキナーゼ阻害剤である。以下の刊行物は癌、血管形成障害および炎症性障害の処置のための薬剤組成物における活性成分としてそれらの有用性を例証する。
【0009】
Redfman et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2001,11,9−12;Smith et al.,Bioorg,med.Chem.Lett.2001,11,2775−2778;Dumas et al,Bioorg,Med.Chem.Lett.2000,10,2047−2050;Dumas et al.,Bioorg,Med.Chem.Lett.2000,10,2051−2054;Ranger et al.,Book of Abstracts,220th ACS National Meeting,Washington,DC,USA,MEDI 149;Dumas et al.,Bioorg,Med.Chem.Lett.2002,12,1559−1562;Lowinger et al.,Clin Cancer Res.2000,6(suppl.),335;Lyons et al.,Endocr−Relat.Cancer 2001,8,219−225,Riedl et al.,Book of Abstracts,92nd AACR Meeting,New Orleans,LA,USA,abstract 4956;Khire et al.,Book of Abstracts,93rd AACR Meeting,San Francisco,CA,USA,abstract 4211;Lowinger et al.,Curr.Pharm.Design 2002,8,99−110;Regan et al.,J.Med.Chem.2002,45,2994−3008;Pargellis et al.,Nature Struct.Biol.2002,9(4),268−272;Carter et al.,Book of Abstracts,92nd AACR Meeting,New Orleans,LA,USA,abstract 4954;Vincent et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orlando,FL,USA,abstract 1900;Hilger et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orlando,FL,USA,abstract 1916;Moore et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orjlando,FL,USA,abstract 1816;Strumberg et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orjlando,FL,USA,abstract 121;Madwed JB;Book of Abstracts,Protein Kinases;Novel Target Identification and Validation for Therapeutic Development,San Diego,CA,USA,March 2002;Roberts et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orlando,Fl,USA,abstract 473;Tolcher et al.,Book of Abstracts, 38th ASCO Meeting,Orjlando,abstract 334;and Karp et al.,Book of Abstracts,38th AACR Meetingt,San Francisco,CA,USA,abstract 2753.
【発明の開示】
【0010】
本発明は、血小板誘導成長因子レセプター(PDGFR)を含む信号形質導入経路に関連しおよび/または仲介されるヒトおよび他の哺乳類における状態および病気の処置、緩和、防止、変調等の方法を特に提供する。
【0011】
特に本発明は、血管形成手術または脈管形に影響する他の侵襲的操作後の再狭窄、およびドナー組織の宿主への移植後の移植拒絶を処置、緩和、防止または変調するためのデバイス(例えばステントおよび他の血液および/または細胞と接触する材料)、組成物および方法を提供する。この方法は、例えば以下に記載するアリール尿素、その薬学的に許容し得る塩、およびそのプロドラッグを投与することを含むことができる。
【0012】
本発明の化合物は、限定でなく血管形成術、アテレクトミー、動脈移植、脈管壁ステント挿入、および動脈内膜切除術を含む、生体、特に脈管に実施される侵襲的操作の欲しないおよび/または有害な結果を含む、PDGFR−βによって仲介される状態または病気の処置に利用することができる。化合物は影響された区域へ直接(例えば化合物を放出するように設計された材料または担体と組合せて)、または標的部位へ導入されるデバイスまたは材料へ適用することができる。
【0013】
本発明方法に使用されるアリール尿素化合物は、式Iの化合物、その薬学的に許容し得る塩、そのプロドラッグ、およびその活性誘導体であり、これらはここで「本発明の化合物」等と集合的に呼ぶ。
【0014】
A−NH−C(O)−NH−B−L−M−Q (I)
【0015】
式中、
Aは、任意にC−Cアルキル、ペルハロアルキルまでのC−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基によって置換されたフェニルであるか、代ってAは任意にC−Cアルキルおよびハロゲンから選ばれた1〜6の置換基によって置換された下記式の基であり;
【0016】
【化1】

【0017】
Bは、任意にC−Cアルキル、ペルハロアルキルまでのC−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基によって置換されたフェニレンまたはナフチレンであり;
Lは、−O−または−S−から選ばれた連結基であり;
Mは、任意にC−Cアルキル、ペルハロアルキルまでのC−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれたピリジン環であた;そして
Qは、シアノ、−C(O)−R,または−C(O)NRであり、RおよびRは独立にHまたは低級アルキルから選ばれる。
【0018】
好適なC−Cアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびペンチルと、イソプロチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等のようて分岐異性体を含む。用語「C−Cアルコキシ」は、直鎖または単数もしくは多数の分岐を有する飽和炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシ基を意味し、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等のような基を含む。それは2,2−ジクロロエチル、トリフルオロメトキシのようなハロゲン化された基をも含む。
【0019】
好適なハロゲンはF,Cl,Brおよび/またはIを含み、1からペル置換まで(すなわち基上のすべてのH原子がハロゲン置換される)が可能であり、アルキル基がハロゲンで置換される場合、ハロゲンタイプの混合置換が与えられた基に対して可能である。好ましいハロゲンCl,BrおよびFである。
【0020】
用語「ペルハロアルキルまでのC−Cハロアルキル」は、ハロゲンで置換された一以上のアルキル水素を有するアルキル基と、そしてすべてのアルキル水素がハロゲンによって置換されたアルキル基を含む。その例はクロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル等を含む。
【0021】
どれかの基が置換される時は、それは指示した置換基の最大数まで可能であり、そして各置換基は該基をどの利用可能な位置にも存在することができ、そして置換基上のどの利用可能な原子を介して結合することができる。「どの利用可能な位置」とは、当分野で既知またはここに教示して手段を通じて化学的にアクセス可能であり、そして不当に不安定な分子を生じないことを意味する。どれかの基上に二以上の置換基が存在する時、各置換基に他の置換基とは独立に定義され、従って同一または異なることができる。用語「任意に置換された」とは、そのように修飾された基は未置換か、または同定した置換基で置換されても良いことを意味する。
【0022】
Mはピリジンであるので、任意のピリジン置換基としての用語「ヒドロキシ」は、2−,3−および4−ヒドロキシピリジンのみならず、この分野で1−オキソピリジン、1−ヒドロキシピリジンおよびピリジンN−オキシドと呼ばれる構造をも含むことを理解すべきである。
【0023】
化合物、塩等の語の複数形がここで使用される時、これは単一化合物、塩等をも意味する。
【0024】
特に関心ある本発明の化合物は、Bが任意にハロゲンで置換されたフェニレンである式Iの化合物を含む。
【0025】
特に関心ある本発明の化合物は、Lが−O−である式Iの化合物を含む。
【0026】
特に関心ある本発明の化合物は、AがC−Cアルキル、ペルハロまでのC−Cハロアルキル、C−Cアルコキシおよびハロゲンよりなる群から選ばれた1〜3の置換基で置換されたフェニルであり、またはAが任意に1〜6のハロゲン原子で置換された下記式の基である式Iの化合物である。
【0027】
【化2】

【0028】
特に関心ある本発明の化合物は、式Iにおいて、
Aが4−クロロー3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル、4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル、または2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシン−6−イルであり、
Bがフェニレン、クロロフェニレンまたはフルオロフェニレンであり、
Lが−O−であり、
Mがピリジンまたは1−ヒドロキシピリジンであり、そして
Qがシアノ、C(O)−NHまたはC(O)−NHMeである化合物を含む。
【0029】
特に関心ある本発明の化合物は以下の化合物を含む。
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−クロロフェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−カルバモイル−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(1−ヒドロキシ−2−カルバモイル−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(1−ヒドロキシ−2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−クロロフェニル)尿素;
N−(6−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシニル))−N’−(4−(2−シアノ−4−ピリジルキシ)フェニル)尿素;または
N−(6−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシニル))−N’−(4−(2−シアノ−4−ピリジルキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
式Iの化合物のあるものは異なる幾何異性体形で存在できる。すべてのそのような構造(エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)が本発明の範囲内に含まれることが意図される。式Iの化合物の多数が種々の置換基の位置および性格に応じて不斉中心を有し、それ故ラセミおよび光学活性形で、それにそれらのラセミまたは非ラセミ混合物の形で、そしてジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物の形で存在し得る。不斉炭素原子は(R)または(S)構造、または(R,S)構造において存在し得る。ある場合には、不斉は与えられた結合、例えば特定の化合物の二つの置換芳香環と隣接する中心結合手のまわりの制限された回転によっても存在することができる。シス異性体、トランス異性体、ジアステレオマー混合物、ラセミ体、エナンチオマーの非ラセミ混合物、実質上純粋および純粋エナンチオマーを含む。これらすべての混合物が本発明の化合物の範囲内であると考えられ、そして本発明の化合物を参照する時集合物にそのように呼ばれる。それ故本発明の方法は、PDGFR阻害活性を有する、式Iに記載された化合物の任意の単離されたラセミまたは光学活性形の使用を包含する。
【0030】
エナンチオマーおよびジアステレオマー混合物の分離方法は当業者に良く知られている。光学異性体は、慣用のプロセスに従って、例えば光学活性酸または塩基を使用してジアスステレオマー塩の形成によって、ラセミ体混合物の分割により得ることができる。適切な酸の例は酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、およびカンファースルホン酸である。ジアステレオマーの混合物は、それらの物理学的相違を基にして当業者に既知の方法により、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶によってそれらの個々のジアステレオマーに分離することができる。光学活性塩基または酸は分離されたジアステレオマー塩から遊離される。
【0031】
光学異性体の分離のための他のプロセスは、エナンチオマーの分離を最大にするように最適に選んだキラールクロマトグラフィーカラム(例えばキラールHPLCカラム)の使用を含む。好適なキラールHPLCカラムはダイセルによって製造されたChiracel OBおよびOJである。式Iの光学活性化合物は光学活性出発物質を利用して同様に得ることができる。
【0032】
用語「立体異性体」は、ジアステレオマー、エナンチオマー、幾何異性体等を包含するものと理解される。
【0033】
好ましい化合物は、一層望ましい活性を誘発する式Iの化合物の絶対配位を持つ化合物であり、やはり本発明の範囲内に含まれる。前記異性体の精製および前記異性体混合物の分離は当分野で知られた標準的技術によって達成することができる。ここでは実質的に純粋なエナンチオマーは対応する反対のエナンチオマーの5%w/wが存在しないことを意味する。
【0034】
これらの化合物の薬学的に許容し得る塩およびこれらの化合物の普通に使用されるプロドラッグも本発明の範囲内である。用語「薬学的に許容し得る塩」は、本発明の化合物の比較的無毒性の無機または有機酸付加塩をいう。例えば、S.M.Berge et al.“Phamaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.1977,66,1−19を参照。
【0035】
好適な塩は、特に式Iの化合物の薬学的に許容し得る塩、または例えば式Iの化合物の有機または無機酸付加塩のような塩である。好適な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、ケイ皮酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、イタコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩を含む。好適な無機酸は、限定でなく、ハロゲン酸(塩酸および臭化水素酸のような)、硫酸またはリン酸を含む。好適な有機酸は、限定でなく、カルボン酸、スルフォン酸またはスルファミン酸を含み、その例は酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、トリフルオロ酢酸、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、2−または3−ヒドロキシ酪酸、γ−アミノ酪酸(GABA)、グルコン酸、グルコースモノカルボン酸、安息香酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、グルタル酸、ガラクタリン酸、アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸、N−メチルグリシン、アセチルアミノ酢酸、N−アセチルアスパラギン、またはN−アセチルシスティンのような)、ピルビン酸、アセト酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ホスフォセリン、および2−または3−グリセロリン酸を含む。
【0036】
加えて、薬学的に許容し得る塩は、アルカリカチオン(例えばLi+ ,Na+ またはK+ )、アルカリ土類カチオン(例えばMg+2,Ca+2またはBa+2)、アンモニウムカチオンのような無機塩基の酸塩、それにトリエチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、リジン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4ージアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネンー5(DBN)、および1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)のプロトン化またはペルアルキル化から生ずるような脂肪族および芳香族置換アンモニウムおよび4級アンモニウムカチオンを含む有機塩基の酸塩を含む。
【0037】
塩基塩は、カリウムおよびナトリウムのようなアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属塩、およびジシクロヘキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミンのような有機塩基のアンモニウム塩を含む。加えて、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルクロライド、ブロマイドおよびヨーダイドのような低級アルキルハライド、ジメチル、ジエチルおよびジブチルサルフェートのようなジアルキルサルフェート、およびジアミルサルフェート、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルクロライド、ブロマイドおよびヨーダイドのような長鎖ハライド、ベンジルおよびフェネチルブロマイド等のようなアラルキルハライドで4級化することができる。
【0038】
プロドラッグの形成は親化合物の性質を増強するためのこの分野では良く知られている。そのような性質は、溶解度、吸収、バイオアベイラビリティおよび放出時間を含む(Phamacecctical Dosage Form and Drug Delivery Systems(Sixth Edition),edited by Ancel et al.,pubished by Williams & Wilkins,pages 27−29(1955)参照。これは参照としてここに取り入れる)。開示されたオキサゾリル−フェニル−2,4−ジアミノピリミジン化合物の普通に使用されるプロドラッグは、主要な薬物バイオトランスフォーメーション反応の利益を得るために設計され、そして本発明の範囲内であると考えるべきである。主要な薬物バイオトランスフォーメーション反応は、N−デアルキル化、Oーデアルキル化、脂肪族ヒドロキシル化、芳香族ヒドロキシル化、N−酸化、S−酸化、デアミノ化、加水分解反応、、グルクロナイド化、サルフェート化およびアセチル化を含む(Goodman and Gilman’s The Phamacological Basis of Therapeutics(Ninth Edition),edited Molinoff et al.,published by McGraw−Hill,pages 11−13(1996)を見よ。これを参照としてここに取れ入れる)。
【0039】
本発明化合物、N−〔4−クロロ−3(トリフルオロメチル)フェニル〕−N’−{4−〔2−N−メチルカルバモイル〕−4−ピリジルオキシ〕フェニル}尿素およびここに記載したいくつかのそのアナログの強力な阻害活性は、インビトロ(生化学的)およびインビボ(細胞)PDGFR活性のアッセイにおいて証明された。
【0040】
特定の作用の理論またはメカニズムに拘束されることを欲するものではないが、本発明の化合物はPDGFRキナーゼ活性を変調する能力を有していることが発見された。用語「変調」とは、経路(またその成分)の機能的活性が化合物の不存在下のその正常活性に比較して変化することを意味する。この効果は、増大、アゴナイジング、増強、容易化、刺激、減少、ブロッキング、阻害、消失、拮抗化等を含む、変調のどのような品質または程度を含む。
【0041】
用語「キナーゼ活性」とは、アデノシントリリン酸(ATP)からのガンマリン酸エステルがタンパク基質中でアミノ酸残基(例えばセリン、スレオニンまたはチロシン)に変換される触媒活性を意味する。ある化合物は、例えばキナーゼのATP結合ポケットに対してATPと直接競合することにより、活性に影響する酵素のコンフォメーション変化を生じさせることにより(例えば生物学的に活性な三次元構造の破壊により)等によってキナーゼ活性を阻害することができる。
【0042】
キナーゼ活性は慣用のアッセイ方法を使用して日常的に決定することができる。キナーゼアッセイは、典型的にはキナーゼ酵素、基質および検出系の成分を含む。典型的なキナーゼアッセイは、ホスフォリル化最終生成物(例えばペプチド基質を使用する時ホスフォタンパク)を生成するように、タンパクキナーゼのペプチド基質およびATPとの反応を含む。生成した最終生成物は適当な方法を使用して検出することができる。放射活性ATPが使用される時、放射活性標識ホスフォタンパクはアフィニティメンブレンまたはゲル電気泳動を使用して未反応ガンマ−32P−ATPから分離することができ、次にオートラジオグラフィーを用いてゲル上で可視化されるか、またはシンチレーションカウンターで検出することができる。非放射活性方法も使用できる。これら方法はホスフォリル化された基質を認識する抗体、例えば抗ホスフォチロシン抗体を利用する。例えば、キナーゼ酵素は、酵素が基質をホスフォリル化するのに有効な条件下、ATPとバッファーの存在下で基質とインキュベートされる。反応混合物は例えば電気泳動によって分離することができ、次に基質のホスフォリル化を例えば抗ホスフォチロシン抗体を用いてウエスタンブロックにより測定することができる。抗体は検出可能な標識、例えばHRPのような酵素、アビジンまたはビオチン、ケミルミネセント試薬で標識することができる。他の方法はELISAフォーマット、アフィニティメンブレン分離、蛍光分極アッセイ、ルミネッセントアッセイ等を使用することができる。
【0043】
放射活性フォーマットの代替法は、時間解像蛍光共鳴エネルギー移動(TR−TRET)である。この方法は標準的キナーゼ反応に従い、ここでは基質、例えばビオチニル化ポリ(GluTyr)がATPの存在下タンパクキナーゼによってホスフォリル化される。次に最終生成物はユウロピウムキレートホスフォ特異性抗体(抗ホスフォチロシンまたはホスフォセリン/スレオニン)と、そしてビオチニル化基質と結合するストレプトアビジンAPCで検出することができる。これら2成分は結合において空間的に一緒にされ、そしてホスフォ特異性抗体からアクセプター(SA−APC)へのエネルギー移動が均質フォーマットによって蛍光読みを発生させる。
【0044】
本発明の化合物は、血小板誘導成長因子レセプター(PDGFR)を含む信号形質導入経路によって仲介されるいかなる病気または状態を処置および/または防止するために使用することができる。PDGFRによって仲介される病気または状態は、このレセプターが病気表現型のどれかの局面に含まれる信号形質導入経路の一部であることを指示する(例えばレセプター自体の欠陥が発病に含まれる場合、レセプターのそのリガンドによる刺激が細胞運動性、移動性およびまたは病気発現型を産む増殖を誘発する場合、レセプター刺激またはホスフォリル化が再狭窄を発生させる場合、不適切に発現される時病的症状および/または表現型を発生させるPDGFRのいずれかの機能的活性)。用語「処置」とは、例えば病気または障害の闘争、緩和、減少、解除、状態の改善等の目的で対象の管理またはケアに慣用的に使用される。
【0045】
処置することができる病気および状態は、限定でなく再狭窄および移植拒絶の防止を含む。
【0046】
以下の特許および刊行物はPDGF/PDGFRの阻害に関し、それらのPDGFR−βおよびそのような活性を決定するためのアッセイの説明のためここに参照として取入れる。
【0047】
【表1】



【0048】
PDGFR−β関連病は、例えば細胞増殖、細胞マトリッス生産、細胞運動、および/または細胞外マトリッス生産によって特徴付けられる病気または状態である。特定の例は、例えば腫瘍、悪性腫瘍、癌、転移、慢性骨髄白血病、炎症、腎臓病、糖尿性ネフロパシー、糸状体増殖性糸状体腎炎、線維症状態、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧関連動脈硬化、静脈パイパス移植動脈硬化、硬皮症、間隙性呼吸器病、滑液障害、関節炎、白血病、リンパ腫等を含む。
【0049】
化合物を含むデバイスおよび他の材料
本発明はまた、本発明の化合物を含む、人工血管、心臓弁、ステントおよびカテールのようなデバイスおよび他の血液および細胞接触材料に関する。
【0050】
経皮的経内腔冠血管形成術(PTCA)は冠動脈病を有する患者を処置するために広く使用されている。PTCAは内腔妨害を減らし、そして冠血流を改善することにより、冠動脈病を有する患者における心筋虚血を軽減することができる。しかしながらPTCA後の狭窄は有意な問題であり、患者の約25%ないし35%は1ないしと3日以内に再狭窄を発症する。ステント(例えば金属チューブまたはスキャフォールド)および他のデバイスがPTCAに関連した合併症に向けて使用されている。再狭窄の率は低下したが、多数の患者が再ブロッキングを経験し、くり返し操作を必要とする。これらの問題に立ち向うため、ステントは再狭窄を起こす生物学的プロセスを妨害するための種々の異なる材料および活性物質でコートされている。それ故本発明は、本発明の一以上の化合物を含む、ステントまたはグラフトのような内植し得る医療デバイスを提供する。
【0051】
ステントは典型的には形が円筒形またはチューブ形の足場であり、解剖学的チャンネルを物現的にオープンに保ち、もし望むならばチャンネルの壁を拡張するために挿入される。ステントは小さい空胴を通って挿入のためバルーンカテーテル上に縮められ、所望の場所に配置され、そして次に大直径へ拡張されることができる。ステントはバルーンで拡張できるか、または自己拡張する。
【0052】
グラフトは除去された病気のセグメントを置換するか、または例えば不整脈の場合のように損傷した血管壁を通るバイパス導管を形成するために血管内に配置される。グラフトは損傷した組織部位を差し渡し、そしてそれを通って血液が流れるチューブ状部分を持っている。グラフトは血管壁の内側へ固定するために使用されるセクションをチューブの両端に持っている。グラフトはまた、血管壁の内表面と接触する部分である外表面と、血管を通って流れる血液と接触する内表面を持っている。
【0053】
ステントは望む目的に対して有用な任意のデザインまたは形状であることができる。例えば、ステントはバルーン拡張可能、自己拡張、チューブ、ワイヤー、シート、リボン、コイル、らせん、織成、個々のリング逐次的リング、閉鎖セル、開放セル、らせん形関節スロットチューブ、シヌソイドパターン、はらせん形融着シヌソイドエレメント、波形リング、Wiktorトランスルーメンステントであることができる。商業的に入手し得るステントは、Cordis Palmaz−Schatz,Cordis Crown,Bx−Veclocity,S670,S7,ACS Multi−Link,Multi−Link Tetra,Multi−Link Penta,NIRおよびExpressを含む。それらは例えばステンレス鋼、金、白金、イリジウム、ポリマー、ニオビウム合金、コバルト合金、ニッケル−チタン、コバルト−クロム等を含む任意の材料でつくることができる。
【0054】
活性剤は内植し得る医療デバイスへ直接コートするか、またはその後接触に配置される材料または担体(例えばポリマー)で含浸または他のように結合することができる。ステントまたはグラフトが循環系ルーメンに内植されたならば活性剤が放出され、それにより局部組織への送達を発生する。これらはコートされた、薬物添加または薬物溶出内植デバイスと呼ぶこともできる。金属デザインは活性剤を含む薄い(例えば5〜10μm)エラストマー生安定性ポリマー表面膜コーティングでコートすることができる。ステント本体は薬物(例えばポリマ時間放出基質中の)を含むドリル孔またはウエルを含むこともできる。代ってそれはステント本体上にキャストされたフィルム内に存在することができる。
【0055】
内植し得るデバイスへの本発明化合物の任意の結合方法を使用することができる。化合物の任意の結合方法を使用することができる。化合物はデバイスへ直接、または担体物質と組合わせて埋め込み、インプラント、被覆、含浸、層形成、カバー等によって付着させることができる。内植し得るデバイス、薬物溶出デバイス、薬物送達を達成する材料等には多数の例が存在し、そして本発明はそのどれを利用かによって制限されない。例えば、Waksman,Cardiovasc Radiat Med.2002,Jul−Dec;3(3−4):226−41;Eberhart et al,J.BiomaterSci Polym Ed.2003;14(4):299−312;Wieneke et al,Expert Opin Investig Drugs.2003 May;12(5):771−9;Tsuji et al,Int J Cardiovasc Intervent.2003;5(1):13−6;および米国特許Nos.6,712,845;6,709,514;6,702,850;6,673,385;6,620,194;6,613,084;6,589,546;6,585,765;6,574,851;6,569,195;6,555,157;6,545,097;6,530,951;6,475,235;6,395,326;6,375,677;6,364,893;6,335,029;6,316,018;6,273,908;6,258,121;6,245,102;6,179,789;6,080,190;5,879,697;5,876,433;5,527,324;5,469,868;5,464,650;5,700,286;5,605,696を参照。化合物は、例えば堅実状態の化合物濃度を達成するためシステム中へそれを制御可能に放出する材料と組合わせることができる。
【0056】
デバイスはさらに、限定でなく抗生物質、抗腫瘍性剤、抗炎症剤、抗血小板剤、抗凝固剤、フィブリン溶解剤、トロンビン阻害剤、抗分裂剤、および抗増殖剤を含む、薬理または活性剤を含むことができる。
【0057】
本発明は、例えば表面を有する細長い本体よりなる、血管内腔へ挿入するための血管内ステントを提供し、ここで該表面は再狭窄を防止および/または処置および/または遅延させるのに有効量の本発明化合物を含んでいる。ステントは内表面および外表面を有し、その一方または両方が化合物でコートされる。
【0058】
ステントは、以前に述べたように、任意の構造、例えば拡張し得るスキャフォールドまたは本体、チューブ、ワイヤー、シート、リボン、コイル、らせん、織成等を持つことができる。ステントの表面は化合物でコートすることができ、または例えば基質または担体が式Iの化合物で含浸される場合、化合物を含む担体または基質を組合わせることができる。ステントは任意の好適な幾何形状、例えば実質上円筒形の細長い本体を持つことができる。
【0059】
一般的製造方法
式Iの化合物は既知の化学反応および操作の使用により製造することができ、あるものは商業的に入手し得る出発原料から出発する。それにもかかわらず一般的製造方法が当業者がこれら化合物の合成を助けるために以下に提供され、さらに詳細な実施例が後の実験の部に提供される。
【0060】
以下の一般的製造方法は読者が本発明の化合物を合成する助けとして提供される。これら方法のすべての可変基は、もしそれらが以下に特定的に規定されていなければ一般的説明に記載されているとおりである。クレームされている任意の各官能基を有する本発明の化合物は以下に掲げた各方法によって製造できないことが認められるであろう。各方法の範囲内において任意の置換基は反応条件において安定なものが使用されるが、または反応に参加する官能基は必要な場合保護形で存在し、そのような保護基は適切な段階において当業者に既知の方法によって除去される。
【0061】
一般的方法
【化3】

【0062】
尿素化合物(I)は、上のようにアミノ化合物(III)をイソシアネート化合物(II)と反応させることによって合成できる。
【0063】
化合物(II)は商業的に入手し得るか、または当業者に普通に知られた方法に従って合成することができる(例えばアミンのホスゲンまたはトリクロロメチルクロロホルメート(ジホスゲン)、ビス(トリクロロメチル)カーボネート(トリホスゲン)、またはN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)のようなホスゲン均等物による処理;または代ってアミド、またはエステル、酸ハライドまたは酸無水物のようなカルボン酸誘導体のクルチウス型転位)。
【0064】
加えて、ジアリール尿素の製造のための特定の方法は以下の特許文献に既に記載され、本発明の化合物に適応させることができる。
【0065】
Miller S.et al,WO99/32463;
Miller S.et al,WO99/32436;
Dumas,J.et al,WO99/32111;
Dumas,J.et al,WO99/32106;
Dumas,J.et al,WO99/32110;
Dumas,J.et al,WO99/32455;
Riedl,B.et al,WO00/42012;
Riedl,B.et al,WO00/41698;
Dumas,J.et al,米国特許公開20020065296;
Dumas,J.et al,WO02/62763;
Dumas,J.et al,WO02/85857;
Dumas,J.et al,米国特許公開20020165394
【0066】
化合物(III)と(II)との反応は好ましくは溶媒中で実施される。好適な溶媒は反応条件下不活性な慣用の有機溶媒を含む。非限定的例は、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンのようなエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、鉱油フラクションのような炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;酢酸エチルのようなエステル類;アセトンのようなケトン類;アセトニトリルのようなニトリル類;ピリジンのようなヘテロ芳香族類;ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリスアミドのような極性溶媒;および上記溶媒の混合物を含む。トルエン、ベンゼンおよびジクロロメタンが好ましい。
【0067】
化合物(III)は一般に化合物(II)1モルに対して約1ないし3モルの量で使用され、化合物(III)の等モルまたは僅か過剰が好ましい。
【0068】
化合物(II)と(III)の反応は一般に比較的広い温度範囲内で実施される。一般に反応は約−20℃から200℃の範囲内、好ましくは約0℃から100℃、最も好ましくは約25ないし50℃において実施される。この反応のステップは一般に大気圧で実施される。しかしながらそれらを超大気圧または減圧下(例えば約0.5ないし5バール)で実施することも可能である。反応時間は一般に広い範囲内で変動する。一般に反応は約2ないし24時間、好ましくは約6ないし12時間の期間の後に終了する。
【0069】
式Iの化合物の合成および式Iの化合物の合成に含まれる中間体の合成に使用できる合成変換は当業者に既知であるかまたはアクセスし得る。
【0070】
合成変換のコレクションは以下の編集物に見られる。
【0071】
J.March.Advanced Organic Chemistry,4th ed.;John Wiley,New York(1992);
R.C.Larock.Comprehensive Organic Transfomations,2nd ed.;Wiley−VCH:New York(1999);
F.A.Carey;R.J.Sundberg.Advanced Organic Chemistry,2nd ed.;Plenum Press:New York(1984);
T.W.Greene;P.G.M.Wuts.Protective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.;John Wiley,New York(1999);
L.S.Hegedus.Transition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules,2nd ed.;University Science Books:Mill Valley,CA(1994);
L.A.Paquette,Ed.The Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis;John Wiley;New York(1994);
A.R.Katrizky;O.Meth−Cohn;C.W.Rees,Eds.Comprehensive Organic Functijonal Group Transfomations;Pergemon Press:Oxford,UK(1995);
G.Wikinson;F.G A.Stone;E.W.Abel,Eds.Comprehensive Organometallic Chemistry;Pergamon Press;Oxford,UK(1982);
B.M.Trost;I.Fleming.Comprehensive Organic Synthesis;Pergamon Press:Oxford,UK(1991);
A.R.Katrizky;C.W.Rees Eds.Comprehensive Heterocylic Chemistry;Pergamon Press;Oxford,UK 1984);
A.R.Katrizky;C.W.Rees;E.F.V.Scriven,Eds,Comprehensive Heterocylic Chemistry //;Pergamon Press;Oxford,UK(1996);
C.Hansch;P.G.Sammes;J.B.Taylor,Eds.Comprehensive Medicinal Chemistry;Pergamon Press;Oxford,UK(1990);
【0072】
加えて、合成方法論および関係するトピックの評論は、Organic Reactions,John Wiley,New York;Organic Syntheses,John Wiley,New York;The Total Synthesis Natural Products,John Wiley,New York;Reagents for Organic Synthesis,John Wiley,New York;The Organic Chemistry of Drug Synthesis,John Wiley,New York;Annual Reports in Organic Syntheses,Academic Press,San Diego Ca;Methodender Orannischon Chemie,(Houben−Weyl),Thieme,Stuttgart,Germanyに見られる。さらに合成変換のデータベースは、CAS OnLineまたはSciFinderを用いて検索し得るChemical Abstracts,SpotFireを用いて検索し得るHandbuch der Organischen Chemie(Beilstein)、およびREACCSを含む。
【0073】
化合物は、経口的、局所的、非経口的、吸入もしくはスプレーにより、経直腸的に投与単位製剤において投与することができる。注射による投与は、静脈内、筋肉内、皮下および非経口注射、および注入技術の使用を含む。一以上の化合物は一以上の薬学的に許容し得る担体およびもし望むならば他の活性成分と組合せて存在することができる。
【0074】
経口使用を意図する組成物は、薬剤組成物の製造のための当業者に知られた適当な方法に従って調製することができる。そのような組成物は希釈剤、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤よりなる群から選ばれた一以上の剤を服用可能な製剤を調製するために含むことができる。錠剤は錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容し得る補助剤との混合物中の活性成分を含有する。これら補助剤は、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤;例えばコーンスターチまたはアルギン酸のような顆粒化および崩壊剤;および例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクのような結合剤であることができる。錠剤は未被覆か、またはそれらは胃腸管において崩壊および吸収を遅らせ、それにより長期間にわたって持続作用を提供するため公知技術によって被覆されることができる。例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのような時間遅延材料を使用することができる。これらの化合物は固形の速放形に調製することもできる。
【0075】
経口使用のための製剤は、活性成分が例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンのような不活性個体希釈剤と混合された硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水または油性媒体、例えばピーナッツオイル、流状パラフィンもしくはオリーブ油と混合された軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0076】
水性懸濁液の製造に適した補助剤との混合物中の活性成分を含有する水性懸濁液も使用し得る。そのような補助剤は懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、アカシアガムであり、分散または湿潤剤は天然に存在するフォスファチド、例えばレシチン、または長鎖脂肪族アルコールとのエチレンオキシドの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような脂肪酸とヘキシトールから得られた部分エステルとのエチレンオキシドの縮合生成物、または脂肪酸と無水ヘキシトールから得られた部分エステルとのエチレンオキシドの縮合生成物例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。水性懸濁液は一以上の保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはn−プロピル;一以上の着色剤;一以上の香味剤、およびショ糖もしくはサッカリンのような一以上の甘味剤を含むことができる。
【0077】
水の添加により水性懸濁液の調製に適した分散し得る粉末および顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁剤および一以上の保存剤との混合物の活性成分を提供する。適切な分散もしくは湿潤剤および分散剤は既に上述したものによって例示されている。追加の補助剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤も存在することができる。
【0078】
化合物は非水性液体製剤の形、例えば活性成分を植物油、例えばアラキス油、オリーブ油もしくはピーナッツ油中に、または液状パラフィンのような鉱油中に分散することによって製剤化することができる油性懸濁液の形であってもよい。油性懸濁液は増粘剤、例えば蜜ロウ、硬パラフィンまたはセチルアルコールを含有することができる。服用し得る経口製剤を提供するため、上で述べたような甘味剤および香味剤を加えることができる。これら組成物はアスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存することができる。
【0079】
本発明の薬剤組成物は水中油型のエマルジョンの形にあることができる。油相は植物油例えばオリーブ油もしくはアラキス油、または鉱油例えば液状パラフィン、またはこれらの混合物でよい。好適な乳化剤は天然ガム例えばアカシアガムもしくはトラガントガム、天然フォスファチド例えば大豆レシチン、および脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されたエステルもしくは部分エステル例えばソルビタンモノオレエート、および前記エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを含む。エマルジョンは甘味剤および香味剤を含むことができる。
【0080】
シロップおよびエリキサーは甘味剤例えばグリセロース、プロピレングリコール、ソクビトールもしくはショ糖で処方することができる。そのような処方は緩和剤、保存剤、香味剤および着色剤を含有することができる。
【0081】
化合物は薬物の直腸投与のための坐剤の形で投与することもできる。これらの組成物は、薬物を常温で固体であるがしかし直腸または膣温度では液体であり、そして直腸または膣内で溶融して薬物を放出する適当な非刺激性補助剤と混合することによって調製することができる。そのような材料はココアバターおよびポリエチレングリコールを含む。
【0082】
本発明の化合物は、水、食塩水、デキストロース水溶液および関連する糖溶液、エタノール、イソプロパノールまたはヘキサデシルアルコールのようなアルコール類、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコール類、2,2−ジメチル−1,4−ジオキソラン−4−メタノールのようなグリセロールケタール、ポリエチレングリコール400のようなエーテル類、油、脂肪酸、脂肪酸エステルまたは脂肪酸グリセライドまたはアセチル化脂肪酸グリセライドのような無菌液体または液体混合物であることができる、薬剤担体を有する生理学的に許容し得る希釈剤中の、石鹸または洗剤のような界面活性剤、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースのような懸濁剤、または乳化剤および他の薬学的アジュバントの添加ありなしで化合物の注射可能な投与形として、非経口的に、すなわち皮下、静脈内、眼内、滑液内、筋内または腹腔内投与することができる。
【0083】
本発明の非経口製剤に使用できる油の例は、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば落花生油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、ペトロラタムおよび鉱油である。好適な脂肪酸はオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびミリスチン酸を含む。好適な脂肪酸エステルは、例えばオレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルである。好適な石鹸は脂肪酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩およびトリエタノールアミン塩であり、そして好適な洗剤はカチオン性洗剤、例えばジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライド、アルキルアミンアセテート;アニオン性洗剤、例えばアルキル、アリールおよびオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテルおよびモノグリセライドサルフェートおよびスルホサクシネート;非イオン洗剤、例えば脂肪アミンオキサイド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)、またはエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体;および両性洗浄剤、例えばアルキル−β−アミノプロピオネートおよび2−アルキルイミダゾリン4級アンモニウム塩、および混合物を含む。
【0084】
本発明の非経口組成物は、典型的には溶液中約0.5%ないし約25%の活性成分を含むであろう。保存剤およびバッファーも有利に使用し得る。注射部位での刺激を最小化またはなくすために、そのような組成物は、好ましくは約12ないし約17のHLBを有する非イオン界面活性剤を含むことができる。そのような製剤中の界面活性剤の量は好ましくは約5ないし約15重量%の範囲である。界面活性剤は上のHLBを有する単一成分か、または所望のHLBを有する2以上の成分の混合物であることができる。
【0085】
非経口製剤に使用される界面活性剤の例は、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルクラス、例えばソルビタンモノオレエートおよびポリエチレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって生成したエチレンオキシドと疎水性ベースの高分子量付加物である。
【0086】
医薬組成物は無菌の注射可能水性懸濁液の形でもよい。そのような懸濁液は、既知の方法に従って、適当な分散または湿潤剤および、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トランガントガムおよびアカシアガムのような懸濁剤;レシチンのような天然ホスファチド、エチレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばポリオキシエチレンステアレート、エチレンオキシドと長鎖脂肪酸との縮合生成物例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、または脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる分散または湿潤剤を使用して処方することができる。
【0087】
無菌の注射可能な製剤は、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射溶液または懸濁液であることもできる。
【0088】
採用し得る希釈剤または溶媒は、例えば水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液または等張グルコース溶液である。加えて、無菌の固定油を溶媒または懸濁媒として慣用的に採用し得る。この目的のため合成モノまたはジグリセライドを含む任意のブランドの固定油を採用することができる。加えてオレイン酸のような脂肪酸を注射製剤に使用することができる。
【0089】
本発明の化合物は当業者に既知の方法(パッチ)を使用して経皮的に投与することもできる(例えば、Chien;“Transdermal Controll Systemic Medications”;Marcel Decker,Inc.;1987,Lipp et al,WO94/04157,3Mar94を見よ)。そのような経皮パッチは、本発明の化合物を制御された量で連続または非連続注入することを提供するために使用し得る。薬物の送達のための経皮パッチの構造および使用はこの分野では良く知られている(例えば米国特許No.5,023,252,1991年6月1日発行を見よ。参照としてここに取入れる)。そのようなパッチは薬剤の連続的脈動的またはオンデマンド送達のために構成することができる。
【0090】
例えば、任意に浸透促進剤を含んでいる適当な揮発性溶媒中の式Iの化合物の溶液または懸濁液は、マトリックス材料および殺バクテリア剤のような当業者に既知の追加の添加剤と組合せることができる。滅菌後、得られる混合物は既知の操作に従って投与形態に製剤化することができる。加えて、乳化剤および水との処理により、式Iの化合物の溶剤もしくは懸濁液はローションまたはザルベに製剤化することができる。
【0091】
経皮放出システムを処理するための適切な溶剤は当業者に既知であり、そしてエタノールまたはイソプロピルアルコールのような低級アルコール、アセトンのような低級ケトン、酢酸エチルのような低級カルボキシル酸エステル、テトラヒドロフランのような極性エーテル、ヘキサン、シクロヘキサンまたはベンゼンのような低級炭化水素、またはジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロトリフロロエタンもしくはトリクロロフロロエタンのようなハロゲン化炭化水素を含む。好適な溶媒はまた、低級アルコール、低級ケトン、低級カルボキシル酸エステル、極性エーテル、低級炭化水素、ハロゲン化炭化水素から選ばれた一以上の物質の混合物を含むことができる。
【0092】
経皮放出システムのための好適な浸透促進剤は当業者に既知であり、そして例えばエタノール、プロピレングリコールもしくはベンジルアルコールのようなモノヒドロキシまたはポリヒドロキシアルコール;ラウリルアルコールまたはセチルアルコールのような飽和もしくは不飽和C8-18脂肪アルコール;ステアリン酸のような飽和もしくは不飽和C8-18脂肪酸;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルのような24炭素までの飽和もしくは不飽和脂肪エステル;酢酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸またはパルミチン酸のモノグリセリンエステル;またはジイソプロピルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ジイソプロピルマレエートもしくはジイソプロピルフマレートのようなトータルで24炭素までの飽和もしくは不飽和ジカルボン酸のジエステルを含む。追加の浸透促進剤は、レシチンもしくはセファリンのようなフォスファチジル誘導体、テルペン、アミド、ケトン、尿素およびその誘導体、およびジメチルイソソルビットおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルのようなエーテルを含む。好適な浸透促進製剤はまた、モノヒドロキシもしくはポリヒドロキアルコール、飽和もしくは不飽和C8-18脂肪アルコール、飽和もしくは不飽和C8-18脂肪酸、24炭素までの飽和もしくは不飽和脂肪エステル、トータルで24炭素までの飽和もしくは不飽和ジカルボン酸のジエステル、フォスファチジル誘導体、テルペン、アミド、ケトン、尿素およびその誘導体およびエーテルから選ばれた一以上の物質の混合物を含むことができる。
【0093】
経皮放出システムに適した結合剤は当業者に既知であり、そしてポリアクリレート、シリコーン、ポリウレタン、ブロック共重合体、スチレンブタジエン共重合体および天然および合成ゴムを含む。セルロースエーテル、誘導体化ポリエチレンおよびシリケートもマトリックス成分として使用し得る。粘性樹脂もしくはオイルのような追加の添加剤はマトリックスの粘度を増すために添加することができる。
【0094】
非経口投与のための制御された放出製剤は、この分野で既知のリポソーム、ポリマーマイクロスフェアおよびポリマーゲル製剤を含む。
【0095】
医薬組成物は機械的送達器具を用いて患者へ導入することが望ましいか必要である。薬剤の送達のための機械的送達器の構造および使用は当分野で良く知られている。例えば薬物を脳へ直接投与するための直接の技術は、通常血液−脳バリヤーをパイパスするため患者の心室系に配置された薬物送達カテーテルを含む。薬剤を体の特定の解剖学的区域へ輸送するため内植し得る送達システムの一例は、1991年4月30日発行の米国特許第5,011,472号記載されている。
【0096】
本発明の組成物は、必要または所望に応じ、一般に担体または希釈剤と呼ばれる他の慣用の薬学的に許容し得る配合成分を含むことができる。適切な投与形のそのような組成物を調製するための慣用操作を利用することができる。そのような成分および操作はここに参照として取り入れる以下の参考文献に記載されているものを含む。Powell,M.F.et al,Compendium of Excipients for Parenteral Formulations,PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1993,52(5),238−311;Strickey,R.G.,Parenteral Formulations of Small Molecule Therapeutics Marketed in the Vnited States(1999)Part−1,PDA Jounal of Pharmacentical Science & Technology 1999,53(6),324−348;Nema,S.et al,Excipients and Their Use in injjectable Products,PDA Jounal of Pharmacentical Science & Technology 1997,51(4),166−171。
【0097】
本発明は、1以上の本発明の化合物を含む医薬組成物の投与にも関する。これらの組成物はそれを必要とする患者へ投与することによって所望の薬理効果を達成するために利用される。本発明の目的のための患者は特定の状態および疾病のための処置を含むヒトを含む哺乳類である。それ故本発明は、薬学的に許容し得る担体と、有効量の本発明の化合物それらの塩よりなる医薬組成物を含む。薬学的に許容し得る担体は、担体に帰すべき副作用が活性成分の有益な効果を損なわないように、活性成分の有効活性と矛盾しない濃度において無毒性でありかつ患者に対して無害の担体である。化合物の薬学的に有効量は、処置されている特定の状態に結果を産むまたは影響する量である。本発明の化合物は、薬学的に許容し得る担体と共に、即時、遅延および時間放出製剤を含む有効な慣用の投与単位形において経口、非経口、局所、経鼻、経眼、経耳的、舌下、経直腸、経膣等により投与することができる。
【0098】
経口投与のため、化合物はカプセル、ピル、錠剤、トローチ、ひし形錠、溶融物、粉末、溶液、サスペンジョン、またはエマルジョンのような固形または液状製剤に製剤することができ、そして医薬製剤の分野において知られた方法によって製造することができる。固形単位投与形は、例えば界面活性剤、滑沢剤、および乳糖、ショ糖、リン酸カルシウムおよびコーンスターチのような不活性フィラーを含んでいる通常の硬また軟ゼラチンシェルのカプセルであることができる。
【0099】
他の具体例において、本発明の化合物は、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのようなバインダー、バレイショデンプン、アルギン酸、コーンスターチ、グアーガム、トラガントガム、アカシアのような投与後錠剤の崩壊を助けることを意図した崩壊剤、錠剤顆粒の流動を改善し、そして錠剤臼および杵の表面への錠剤原料の付着を防止することを意図した滑沢剤例えばタルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、カルシウムまたは亜鉛、染料、着色剤および錠剤の美的品質を増強しそしてそれらの患者に対して受入れ易くすることを意図した、染料着色料、およびペパーミント、ウインターグリーンまたはチェリー香料のような香料と組合せて乳糖、ショ糖およびコーンスターチのような錠剤ベースと共に打錠することができる。経口液体形に使用するための好適な補助剤は、リン酸ジカルシウム、および薬学的に許容し得る界面活性剤、懸濁剤または乳化剤の添加ありなしの水およびアルコール、例えばエタノール、ベンジルアルコールおよびポリエチレンアルコールのような希釈剤を含む。コーティングとして、または他のように投与単位の物理的形状を修飾するための種々の他の材料が存在し得る。例えば錠、ピルまたはカプセルはシェラック、糖または両者でコーティングし得る。
【0100】
本発明の組成物は、必要または所望に応じ、一般に担体または希釈剤と呼ばれる他の慣用の薬学的に許容し得る配合成分を含むことができる。適切な投与形のそのような組成物を調製するための慣用操作を利用することができる。そのような成分および操作はここに参照として取り入れる以下の参考文献に記載されているものを含む。Powell,M.F.et al,Compendium of Excipients for Parenteral Formulations,PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1993,52(5),238−311;Strickey,R.G.,Parenteral Formulations of Small Molecule Therapeutics Marketed in the Vnited States(1999)Part−1,PDA Jounal of Pharmacentical Science & Technology 1999,53(6),324−348;Nema,S.et al,Excipients and Their Use in injjectable Products,PDA Jounal of Pharmacentical Science & Technology 1997,51(4),166−171。
【0101】
意図した投与ルートのための組成物を処方するために適切として使用することができる普通に使用される薬剤成分は以下のものを含む。
【0102】
酸性化剤(非限定的な例は、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、硝酸を含む);
アルカリ化剤(非限定的な例は、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロールアミンを含む);
吸着剤(非限定的な例は、粉末セルロースおよび活性炭を含む);
エアゾル噴射剤(非限定的な例は、二酸化炭素、CCl,FClC−CClFおよびCClF);
空気置換剤(非限定的な例は、窒素およびアルゴンを含む);
抗カビ保存剤(非限定な例は、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムを含む);
抗微生物保存剤(非限定的な例は、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、およびメチロサールを含む);
抗酸化剤(非限定的な例は、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む);
結合物質(非限定的な例は、ブロック共重合体、天然および合成ゴム、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、ポリシロキサン、スチレンブタジエン共重合体を含む);
緩衝剤(非限定な例は、メタリン酸カリウム、リン酸二カリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物を含む);
担持剤(非限定的な例は、アカシアシロップ、芳香シロップ、芳香エリキサー、チェリーシロップ、ココアシロップ、オレンジシロップ、シロップ、コーンオイル、鉱油、落花生油、ゴマ油、静菌塩化ナトリウム注射液、注射用静菌水を含む);
キレート剤(非限定的な例は、エデト酸ジナトリウムおよびエデト酸を含む);
着色剤(非限定的な例は、FD & CレッドNo.3,FD & CレッドNo.20,FD & CイエローNo.6,FD & CブルーNo.2,D & CグリーンNo.5,D & CオレンジNo.5,D & CレッドNo.8,カラメル、赤色酸化鉄を含む);
清澄化剤(非限定な例はベントナイト);
乳化剤(非限定的な例は、アカシア、セトマクロゴール、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、レシチン、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン50モノステアレートを含む);
カプセル化剤(非限定的な例は、ゼラチンおよびセルロースアセテートフタレートを含む);
香味剤(非限定的な例は、アニス油、シナモン油、ココア、メンソール、オレンジ油、ペパーミント油、バニリンを含む);
調湿剤(非限定的な例は、グリセロール、プロピレン、グリコール、ソルビトールを含む);
滑剤(非限定な例は鉱油およびグリセリン);
オイル(非限定的な例は、アラキス油、鉱油、オリーブ油、グリセリンを含む);
軟膏基剤(非限定的な例は、ラノリン、親水性軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、ペテロラタム、親水性ペトロラタム、白色軟膏、黄色軟膏、ローズウォーター軟膏を含む);
浸透促進剤(経皮送達)(非限定的な例は、モノまたはポリヒドロキシアルコール、モノまたは多価アルコール、飽和または不飽和脂肪アルコール、飽和または不飽和脂肪エステル、飽和または不飽和ジカルボン酸、精油、ホスフェチジル誘導体、セファリン、テルペン、アミド、エーテル、ケトンおよび尿素を含む);
可塑剤(非限定的な例は、フタル酸ジエチルおよびグリセロールを含む);
溶媒(非限定的な例は、エタノール、コーンオイル、綿実油、グリセロール、イソプロパノール、鉱油、オレイン酸、落花生油、精製水、注射用水、注射用無菌水、洗浄のための無菌水を含む);
硬化剤(非限定的な例は、セチルアルコール、セチルエステルワックス、微結晶ワックス、パラフィン、ステアリルアルコール、白ロウ、黄色ロウを含む);
坐薬基剤(非限定な例はカカオバターおよびポリエチレングリコール);
界面活性剤(非限定的な例は、塩化ベンゼトニウム、ノノキシノール10、オキシトキシリノール9、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノパルミテートを含む);
懸濁剤(非限定的な例は、寒天、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カオリン、メチルセルロース、トラガントガム、ビーガムを含む);
甘味剤(非限定的な例は、アスパルテーム、デキストロース、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトール、ショ糖を含む);
錠剤抗粘着剤(非限定的な例は、ステアリン酸マグネシウム、タルクを含む);
錠剤バインダー(非限定的な例は、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮性糖、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、非架橋ポリビニルピロリドン、プレゼラチン化デンプンを含む);
錠剤およびカプセル希釈剤(非限定的な例は、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、乳糖、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、沈降性炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ソルビトール、デンプンを含む);
錠剤コーティング剤(非限定的な例は、液体グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、シエラックを含む);
錠剤直打賦形剤(非限定的な例は、二塩基性リン酸カルシムウムを含む);
錠剤崩壊剤(非限定的な例は、アルギン酸、カルボキメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、ポラクリンカリウム、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンを含む);
錠剤滑剤(非限定的な例は、コロイド状シリカ、コーンスターチおよびタルクを含む);
錠剤滑沢剤(非限定的な例は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛を含む);
錠剤/カプセル不透明化剤(非限定な例は、二酸化チタンを含む);
錠剤研磨剤(非限定的な例は、カルナウバロウ、シロロウを含む);
濃化剤(非限定的な例は、蜜ロウ、セチルアルコール、パラフィンを含む);
浸透圧調節剤(非限定的な例は、デキストロース、塩化ナトリウムを含む);
増粘剤(非限定的な例は、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、トラガントガムを含む);そして
湿潤剤(非限定的な例は、ペプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、ソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートを含む)
【0103】
投与すべき活性成分の総量は1日体重kgあたり、一般に約0.001mg/kgないし約200mg/kg、好ましくは約0.01mg/kgないし約20mg/kgの範囲であろう。単位投与量は活性成分約0.5mgないし約1500mgを含有することができ、例えば1日1回以上投与することができる。
【0104】
式Iの化合物のためここに記載したすべての療法のため、1日当りの経口投与療法は好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。静脈内、筋肉内、皮下および非経口的、および注入技術の使用を含む注射投与のための1日当りの投与量は0.01ないし200mg/kg全体重であろう。1日当りの経膣投与療法は好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。1日当りの経直腸投与療法は好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。1日当りの局所投与療法は好ましくは1日1ないし4回投与される0.1ないし200mgであろう。経皮濃度は、好ましくは1日当り0.01ないし200mg/kgの投与量を維持するのに要する濃度であろう。1日当りの吸入投与量は好ましくは0.01ないし10mg/kg全体重であろう。これらの投与療法は1日で、または週または月ベースのような延長投与において多数回投与によって達成することができる。
【0105】
当業者には、特定の投与方法は種々のファクターに依存し、そのすべての治療剤を投与する時日常的に考慮されるものであることが認められるであろう。しかしながら、与えられた患者に対する特定の投与量レベルは、投与される化合物の特定の活性、患者の年令、患者の体重、患者の一般的健康、患者の性別、患者の食事、投与時間、投与ルート、排泄速度、薬物併用、および治療を受ける症状の重篤度等を含む、種々のファクターに依存することが理解されるであろう。さらに当業者には、最適の治療コース、すなわち処置モードおよび限られた日数について式Iの化合物または薬学的に許容し得るその塩の日毎の投与回数は慣用の処置テストコースを使用して当業者により確かめることができることが認められるであろう。
【0106】
しかしながら、特定の患者に対する特定の投与量レベルは、投与される特定の化合物の活性、年令、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与ルート、排泄速度、薬物併用、および治療を受ける症状の重篤度を含む、種々のファクターに依存することが理解されるであろう。
【0107】
投与および化合物の有効性はインビトロおよびインビボ動物試験を使用して日常的に決定することができる。例えば、ネズミモデルはアポリポタンパク欠乏マウスを使用して発生させることができる(Leidenfrost et al,Am.J.Pathol.163:773−778,2003)。ラット、ウサギ、ネコ、ヒヒ、およびブタモデルのレビューについては、Bayes−Genis et al,Curr.Intv.Cardio.Rep.2:203−308を参照。
【0108】
本発明に従って医薬組成物は以下に例示することができる。
【0109】
無菌IV溶液:本発明の所望の化合物の5mg/ml溶液は、無菌の注射用水を使用して製造することができ、そしてもし必要ならpHが調節される。この溶液は無菌5%デキストロースで投与のため1−2mg/mlに希釈され、そして60分にわたるIV注入液として投与される。
【0110】
IV投与のための凍結乾燥粉末:無菌製剤は、(i)凍結乾燥粉末として本発明の所望の化合物100−1000mgと、(ii)32−327mg/mlクエン酸ナトリウムと、そして(iii)300−3000mgのデキストラン40とで調製することができる。この処方は無菌注射用食塩水またはデキストロースで10−20mg/mlの濃度で復元され、これはさらに食塩または5%デキストロースで0.2−0.4mg/mlへ希釈され、ボーラスIVとしてまたは15−60分にわたるIV注入によって投与される。
【0111】
筋肉内懸濁液:筋肉内注射のため以下の溶液または懸濁液を調製することができる。
本発明の所望の水不溶性化合物 50mg/ml
カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mg/ml
TWEEN80 4mg/ml
塩化ナトリウム 9mg/ml
ベンジルアルコール 9mg/ml
【0112】
硬カプセル:多数の単位カプセルは、標準2片硬ゼラチンカプセルへ、各自活性成分粉末100mgと、乳糖150mgと、セルロース50mgと、そしてステアリン酸マグネシウム6mgを充填することによって調製することができる。
【0113】
軟ゼラチンカプセル:大豆油、綿実油またはオリーブ油のような消化し得る油中の活性成分の混合物が調製され、そして積極移動ポンプにより溶融ゼラチン中へ注入され、活性成分100mgを含有する軟ゼラチンカプセルに形成される。活性成分は、水混和性薬物ミックスを調製するためポリエチレングリコールと、グリセリンと、ソルビトールの混合物中に溶かすことができる。
【0114】
錠剤:投与単位が活性成分100mg、コロイド状二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微結晶セルロース275mg、デンプン11mg、および乳糖98.8mgであるように、慣用の操作に従って多類の錠剤が調製される。服用性を増大し、エレガンスおよび安定性を改良し、また遅延吸収のため、適切な水性および非水性コーティングを適用することができる。
【0115】
即時放出錠剤/カプセル:これらは慣用および新しいプロセスによって製造された固形経口投与形である。これらの単位は即時溶解および投薬の送達のため水なしで服用される。活性成分は糖、ゼラチン、ペクチンおよび甘味剤のような液体含有成分中に混合される。これらの液体は凍結乾燥および固相抽出技術によって固体錠剤またはカプセルに固化される。薬物化合物は、水なしで即時放出を意図した多孔質マトリックスを製造する粘弾性および熱弾性糖およびポリマーまたは発泡成分と共に圧縮することができる。
【実施例】
【0116】
ネズミPDGFR FRET生化学アッセイ
このアッセイは96ウエルブラックプレート(Costar3915)中にフォーマット化された。以下の試薬(およびそれらのソース)が使用された。ユーロピウム標識抗ホスフォチロシン抗体pY20およびストレプトアビジン−APC;ポリGT−ビオチン、およびDRT中のマウスPDGFR。反応条件は以下のとおり。1nMマウスPDGFRがアッセイバッファー(50mM HEPES pH7.5,10mM MgCl,0.1mM EDTA,0.015% BRIJ 35,0.1mg/ml BSA,0.1%メルカプトエタノール)中、20μM ATP,7nM ポリGT−ビオチン、1nMpY20抗体、5nMストレプトアビジン−APCおよび1%DMSOと混合される。各ウエル中の最終反応容積は100μLである。90分後10μL/ウエルの5μMスタウロスポリンを添加して反応を停止する。反応停止約1時間後、プレートはPerkin Elmer VictorVマルチラベルカウンター上615および665nmにおいて読み取られる。信号は各ウエルについて比:(665nm/615nm)×1000として計算される。
【0117】
PDGFR−βのためのIC50発生のため、酵素開始前に化合物が加えられた。50倍ストックプレートは50%DMSO/50%dHO溶液中段階的に1:3希釈した化合物でつくられた。ストックの2μL添加は1%DMSO中10μMないし4.56nMの範囲の化合物最終濃度を与えた。データは%阻害として表わされた。%阻害=100−(阻害剤あり信号−バックグランド)/(阻害剤なしの信号−バックグランド)×100
【0118】
以下の化合物がこの生化学的アッセイにおいて著しくPDGFR阻害を表わす10マイクロモル以下のIC50を示す。
【0119】
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−クロロフェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−カルバモイル−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(1−ヒドロキシ−2−カルバモイル−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(1−ヒドロキシ−2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−クロロフェニル)尿素;
N−(6−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシニル))−N’−(4−(2−シアノ−4−ピリジルキシ)フェニル)尿素;
N−(6−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシニル))−N’−(4−(2−シアノ−4−ピリジルキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
【0120】
AoSMC細胞中のpPDGFRサンドイッチELISA
100K P3−P6大動脈SMCが、標準的細胞培養技術を用いてSGM−2の1000μL/ウエル中12ウエルクラスターの各ウエルにプレートされた。翌日細胞は1000μL D−PBS(Gibco)で1回リンスされ、500μL SBM(平滑筋細胞ベーサル培地)中0.1%BSA(Sigma,カタログA9576)で一夜血清餓死させられた。化合物はDMSO中10倍希釈ステップにおいて10μMないし1nMの投与量範囲に希釈された。最終DMSO濃度0.1%流し中へ反転により古い培地を除去し、次に細胞の対応するウエルへ1時間37℃において各希釈液の100μLを加えた。次に細胞を10ng/mlのPDGR BBリガンドで7分間37℃で刺激された。培地を傾斜し、プロテアーゼ阻害剤錠(完全;EDTAフリー)と0.2mM Naバナデートを加えた等張溶解バッフォ150μLを加える。細胞は冷室中シェーカー上で4℃において15分間溶解される。溶解物はエッペンドルフチューブに移され、それへアガロース接合抗PDGFR−β抗体15μL(Santa Cruz,sc−339)が加えられ、4℃で一夜インキュベートされる。翌日ビーズはPBSの50容積で3回リンスされ、1×LDSサンプルバッファー(Invitrogen)中5分間ボイルされる。サンプルは3〜8%勾配トリス−アセテートゲル(Invitrogen)上を流され、そしてニトロセルロース上へ移された。膜は1%BSA/TBS−Tで1時間トブロックされ、次にブロッキングバッファー中抗ホスフォPDGFR−β(Tyr−857)抗体(1:1000希釈)中で1時間インキュベートされた。TBS−T中3回洗浄後、膜はヤギ抗ウサギHRP IgG(アマ−シャム、1:25000)中1時間インキュベートされた。ECL基質添加前もう3回の洗浄が続いた。膜はHyperfilm−ECLへ露出された。その後膜が剥がされ、総PDGFR−βのために抗PDGFR−β抗体(Santa Cruz,SC−339)で再びプローブされた。
【0121】
この細胞中のPDGFR阻害のバイオアッセイにおいて以下の化合物が10マイロクモル以下のIC50を示す。
【0122】
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−クロロフェニル)尿素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象へ、下記式Iの化合物、式Iの化合物の塩、式Iの化合物の単離または混合立体異性体、式Iの化合物のエステル、式Iの化合物の代謝物、または式Iの化合物のプロドラッグの有効量を投与することよりなる、血小板誘導成長因子レセプターβによって仲介されるヒトおよび他の哺乳類における病気または状態を処置または防止する方法:
【化1】

式中、
Aは、任意にC−Cアルキル、ペルハロアルキルまでのC−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基によって置換されたフェニルであるか、代ってAは任意にC−Cアルキルおよびハロゲンから選ばれた1〜6の置換基によって置換された下記式の基であり;
【化2】

Bは、任意にC−Cアルキル、ペルハロアルキルまでのC−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基によって置換されたフェニレンまたはナフチレンであり;
Lは、−O−または−S−から選ばれた連結基であり;
Qは、シアノ、−C(O)−Rまたは−C(O)−NRであり、各R,RおよびRは独立にHまたはC−Cアルキルであり;
mは整数0,1,2または3であり;
各Rは、独立にハロゲン、C−Cアルキル、ペルハロアルキルまでのC−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシである。
【請求項2】
式Iの化合物の各Rは、独立にフッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシ、CNまたはNOである請求項1の方法。
【請求項3】
式Iの化合物の各Rは、独立にフッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、CNまたはNOであり、各Rは独立にフッ素、塩素、臭素またはメチルである請求項1または2の方法。
【請求項4】
式Iの化合物の各Rは独立にメチル、エチル、プロピル、酸素、シアノ、N−オキソまたはN−ヒドロキシであり、各R,RおよびRは独立にHまたはメチルである請求項1または2または3の方法。
【請求項5】
式Iの化合物のAは、置換フェニルである請求項1ないし4のいずれかの方法。
【請求項6】
式Iの化合物のAは、任意に4回までRによって置換され、各Rは独立に塩素またはフッ素である、下記の式の基である請求項1ないし4のいずれかの方法。
【化3】

【請求項7】
式Iの化合物のBは、フェニレンである請求項1ないし6のいずれかの方法。
【請求項8】
式Iの化合物のBは、ナフチレンである請求項1ないし6のいずれかの方法。
【請求項9】
式Iの化合物のBは、少なくとも1のフッ素原子によって置換されたフェニレンである請求項1ないし6のいずれかの方法。
【請求項10】
式Iの化合物のLは酸素である請求項1ないし9のいずれかの方法。
【請求項11】
式Iの化合物の各Rは、塩素、臭素、t−ブチル、トリフルオロメチルまたはメトキシである請求項1ないし10のいずれかの方法。
【請求項12】
式Iの化合物において、
Aは、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル、4−ブロモ−3−トリフルオロメチルフェニル、または2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシン−6−イルであり;
Bは、フェニレン、クロロフェニレンまたはフルオロフェニレンであり;
Lは−O−であり;そして
Qは、シアノ、−C(O)−NHまたは−C(O)−NHMeである;
請求項1の方法。
【請求項13】
式Iの化合物は下記化合物である請求項1の方法:
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−クロロフェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−カルバモイル−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(1−ヒドロキシ−2−カルバモイル−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(1−ヒドロキシ−2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−フルオロフェニル)尿素;
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)−2−クロロフェニル)尿素;
N−(6−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシニル))−N’−(4−(2−シアノ−4−ピリジルキシ)フェニル)尿素;および
N−(6−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ〔1,3〕ジオキシニル))−N’−(4−(2−シアノ−4−ピリジルキシ)−2−フルオロフェニル)尿素
【請求項14】
式Iの化合物の薬学的に許容し得る有機酸塩基塩が投与される請求項1ないし13のいずれかの方法。
【請求項15】
塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸(トシレート塩)、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フェニル酢酸またはマンデル酸から選ばれた式Iの化合物の薬学的に許容し得る有機酸塩基塩が投与される請求項1ないし13のいずれかの方法。
【請求項16】
式Iの化合物は、N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−2−クロロ−(4−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル尿素、またはN−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素の薬学的に許容し得る塩酸塩、ベンゼンスルホン酸塩またはメタンスルホン酸塩である請求項1の方法。
【請求項17】
式Iの化合物は、N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(4−(2−(N−メチルカルバモイル)−4−ピリジルオキシ)フェニル)尿素のトジレート塩である請求項1の方法。
【請求項18】
それを必要とする患者へ式Iの化合物と共に追加的薬剤を投与することを含む請求項1ないし17のいずれかの方法。
【請求項19】
追加の薬剤は抗増殖剤である請求項18の方法。
【請求項20】
式Iの化合物はそれを必要とする患者へ約0.1ないし約300mg/kg体重の経口、筋肉内、静脈、皮下、または非経口投与量において投与される請求項1ないし19のいずれかの方法。
【請求項21】
前記状態は血管形成術後の再狭窄である請求項1ないし20のいずれかの方法。
【請求項22】
前記状態は宿主へのドナー組織の移植後のグラフト拒絶である請求項1ないし20のいずれかの方法。
【請求項23】
それを必要とする対象へ、式X,Y,ZA,ZB,ZCまたはZDのアリール尿素化合物;
式X,Y,ZA,ZB,ZCまたはZDの化合物の塩;
式X,Y,ZA,ZB,ZCまたはZDの化合物の単離または混合立体異性体;
式X,Y,ZA,ZB,ZCまたはZDの化合物のエステル;
式X,Y,ZA,ZB,ZCまたはZDの化合物の代謝物;または
式X,Y,ZA,ZB,ZCまたはZDの化合物のプロドラッグ;
の有効量を投与することよりなる、血小板誘導成長因子レセプターβによって仲介されるヒトおよび他の哺乳類における病気または状態を処置または防止する方法。
【化4】

式中、各Rは独立にハロゲンまたはトリフルオロメチル;
各Rは独立にフッ素、塩素または臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、CNまたはNO
変数nは0,1,2,3または4;そして
変数pは0,1または2である。
【請求項24】
式Iの化合物の薬学的に許容し得る有機酸塩基塩が投与される請求項23の方法。
【請求項25】
塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸(トシレート塩)、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フェニル酢酸またはマンデル酸から選ばれた式Iの化合物の薬学的に許容し得る有機酸塩基塩が投与される請求項23の方法。
【請求項26】
前記状態は血管形成術後の再狭窄である請求項23ないし25のいずれかの方法。
【請求項27】
前記状態は宿主へのドナー組織の移植後のグラフト拒絶である請求項23ないし25のいずれかの方法。
【請求項28】
表面を有し、該表面は請求項1または23の化合物の再狭窄を防止するのに有効量を含んでいる細長い本体よりなる、脈管内腔中へ導入するための脈管内ステント。
【請求項29】
前記化合物を含む基質が前記表面の上にある請求項28の脈管内ステント。
【請求項30】
前記基質は前記化合物で含浸されている請求項29の脈管内ステント。
【請求項31】
前記本体は実質円筒形である請求項28の脈管内ステント。
【請求項32】
前記表面は、円筒形で内側および外側を有する金属スキャフォールドを含んでいる請求項28の脈管内ステント。

【公表番号】特表2006−528986(P2006−528986A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533210(P2006−533210)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/015653
【国際公開番号】WO2005/000284
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(504210617)バイエル、ファーマシューテイカルズ、コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】