説明

PDP放電特性解析装置およびPDP放電特性解析プログラム

【課題】 粒子の特性解析に十分な精度を確保しつつ、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる、或いは、計算時間を長くすることなく、一回の評価をするのにかかる計算負荷を軽減することができる。
【解決手段】 PDP放電特性解析装置1は、AC型PDPの放電現象を対象にした特性解析を、予め設定した計算条件下で、前記放電現象における放電素の過程モデルに関する入力データに基づいて行うものであって、荷電粒子の粒子密度の算出について、フルモード計算手段5と、ハーフモード計算手段7と、スキップモード計算手段9と、これらを入力データの変化に基づいて切り替える切替手段3と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AC型PDPの放電現象を対象にした特性解析を行うPDP放電特性解析装置およびPDP放電特性解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
PDP(Plasma Display Panel;プラズマディスプレイパネル)の高性能化を目指して、放電理論に基づく計算機実験(放電シミュレーション)による特性解析が行われている。放電シミュレーションによる従来の特性解析では、放電現象(放電発光現象)を放電シミュレーションによって再現し、得られた結果から発光効率等の決定要因を理論的に解明するものであり、解明した結果に従って指針を得て、PDPの高性能化が図られることになる。なお、PDPは、表示セル(PDPセル)と呼ばれる微小な放電管を格子状に配置することで構成されており、当該表示セルごとに輝度を制御して、映像(画像)を表示するものである。
【0003】
この放電シミュレーションについて、図7、図8および図9を参照して説明する。図7は、AC型PDPの1個の表示セル(1画素に該当する)の概略を説明した図である。図8は、図7に示した表示セルに入力される駆動波形の例を説明した図である。また、図9は、PDPで一般的に用いられているNe−Xe混合ガスの放電現象において、それらのガス原子・分子の状態と、放電発光に深く関わるいくつかのエネルギー準位と、それらの間の主要な衝突反応とを用いて、放電素過程を説明した図である。
【0004】
図7に示すように、AC型PDPの表示セルは、前面基板(図示せず)と背面基板(図示せず)と間に介装される長さL、幅W、高さ(h1+H+h2)の直方体形状ものである。また、この表示セルには、前面基板側に幅WsのX電極と、幅WsのY電極とが距離gだけ離間されて備えられている。そして、表示セルには、これらの電極の直下に、当該直方体の上面となる高さh1の誘電体層が当接していて、当該直方体の長手方向の側面となる高さHの隔壁が設けられ、且つ、当該直方体の底面となる高さh2の誘電体層が設けられており、底面の誘電体層の下部に幅Waのアドレス電極が設けられている。そして、表示セルでは、底面の誘電体層の上部に蛍光体が塗布されており、封入した気体が励起することで励起粒子が生成され、この励起粒子が紫外線を放射し、蛍光体によって波長変換され、発光するように構成されている。
【0005】
つまり、このAC型PDPの表示セル(AC型PDPセル)の発光は、X電極とY電極との電極間に電位差を与え、表示セル内に充填してある気体の放電によって(気体放電により)、生成される励起粒子が紫外線を放射し、蛍光体によって波長変換されて可視光となることで為される。
【0006】
なお、AC型PDPによる映像の表示は、図8に示す駆動波形によって、表示セルのX電極とY電極との電極間に電位差を与えて、繰り返し気体放電を発生させることにより、十分な光量を確保することで行われる。
このように、一般的なPDPの放電シミュレーションは、駆動波形(パルス波形)の1周期(約16×10-6s)を入力とした場合を想定して行われるものである。
【0007】
また、図9に示すように、放電素過程モデルは、表示セル内部に充填されている粒子、ここでは、キセノンXeとネオンNeについて、電子、イオンおよび励起粒子の状態の変化と、模式的に示した当該キセノンXeと当該ネオンNeとの衝突反応とを表している。
この図9では、キセノンXeおよびイオンNeの基底状態、励起状態と、放出される波長とを示している。
【0008】
また、この放電素過程モデルにおける粒子の運動を表す離散式を、次の(1)式に示す。算出される。この(1)式のおいて、nj、vj、Dj、Sjは、それぞれ粒子jの密度、ドリフト速度、拡散係数、生成項および消滅項を表している。この(1)式と、電界に関する計算式(示さず)とを連立することで、ある時刻における粒子や状態等が求まる(例えば、非特許文献1参照)。
【0009】
【数1】

【0010】
一般的なPDPの放電シミュレーションでは、(1)式の一回の評価をする時間刻みΔtは、粒子の中で、最も速度の大きい電子(図7および図8の条件下でv≦2×107m/s)に関するCFD条件(安定性を確保するため、時間刻みはサンプル間隔/速度以下でなければならないという条件)によって決定されるので、一般的なPDPの放電シミュレーションにおけるサンプル間隔(5×10-6m)では、Δt≦10-13s(0.1ピコ秒)程度になる。
【非特許文献1】「電気学会技術報告 第688号」pp27−29 1989年9月10日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、PDPの従来の放電シミュレーションでは、(1)式の離散式を用いた計算を、0.01〜0.1ピコ秒程度の時間刻み幅で繰り返し行って、表示セルにおける放電現象を評価し、この評価を10〜100マイクロ秒まで行うため、一回の評価をするのに、計算負荷が大きいと、全計算時間が非常に長くなってしまうという問題がある。
【0012】
すなわち、放電シミュレーションにおいて、計算対象となる粒子の中で、イオンと電子に関しては、イオンの速度が電子の速度に比べて、1/100程度と小さいので、CFD条件100倍程度緩和されるが、(1)式の生成項が電子の状態に依存することや、ドリフト速度や拡散係数が電界の状態に依存することや、電界が電子の状態に依存することから、電子と同様の時間刻みを用いる必要がある。
【0013】
また、計算対象となる粒子の中で、電気的に中性である励起粒子に関しては、中性であるが故に電界による加速が生じないことから移流項が存在せず、陰解法等を用いることでCFD条件の制約を取り払うことが可能であるが、(1)式の生成項が電子の状態に依存することから、電子と同様の時間刻みを用いる必要がある。
【0014】
従って、PDPの従来の放電シミュレーションにおいて、計算時間がかかる主原因は、粒子の中で、電子の速度が早く、時間刻みが大きく取れないためと、計算を行うを期間である1周期が時間刻みに比べて、圧倒的に長いことにある。さらに、電子の運動は、放電現象に大きく影響するため、十分に高い精度で計算を行う必要があり、計算時間の増加を助長することとなる。
【0015】
なお、(1)式を用いた離散化方法には、有限差分法や、Lax−Wendroff法や、Scharfetter−Gummel法等の様々な方法が存在しているが、精度が高くなればなるほど、或いは、解像度が高くなればなるほど、用いる式が複雑になり、一回の評価に要する計算時間が大きくなってしまう。
【0016】
しかし、PDPを構成する表示セル内の放電現象において、主要な役割を果たす電子の運動によって生じる空間周波数が高いにも拘わらず、一回の評価に要する計算時間が大きくなるからといって、解像度の低い離散化方法を用いることは、不適切な方法であると言える。
【0017】
また、(1)式の左辺第2項は移流項と呼ばれており、粒子の運動を解析する際に、正確な解(現実の粒子の運動)に収束することを阻害する不安定要素となるので、この不安定要素を抑制する手続きを追加する、または、安定した結果が得られる陰解法を用いて、時間積分を施すなどの対策をする必要がある。しかし、これらの手続きの追加や、時間積分を施す場合も、計算時間を増大させる要因になってしまう。従って、(1)式の一回の評価をするのにかかる計算負荷を軽減することは困難である。
【0018】
こういった場合を想定した方法としては、離散化方法における離散化を、空間微分を用いた差分に置き換える方法があり、一回の評価をするのにかかる計算負荷は、空間微分を行う空間次元数の増加に応じて、爆発的に増加することに着目し、計算条件にある対象性を仮定して、空間次元数を減少する方法(低次元流体モデルによる方法)等が多数存在している。つまり、無限平面や軸対象性等を仮定した場合、空間次元数が空間1次元や空間2次元の問題となり、計算量が減少する。
【0019】
現在、この低次元流体モデルによる方法が、PDPの放電シミュレーションに広く採用されているが、例えば、図7に示した電極構造における放電現象は、本質的に3次元空間上に生じるものであるので、離散化方法における離散化を、空間微分を用いた差分に置き換えると、現象を正しく再現することは不可能になってしまう。
【0020】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、粒子の特性解析に十分な精度を確保しつつ、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる、或いは、計算時間を長くすることなく、一回の評価をするのにかかる計算負荷を軽減することができるPDP放電特性解析装置およびPDP放電特性解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題を解決するため、請求項1に記載のPDP放電特性解析装置は、AC型PDPの放電現象を対象にした特性解析を、予め設定した計算条件下で、前記放電現象における放電素の過程モデルに関する入力データに基づいて行うPDP放電特性解析装置であって、フルモード計算手段と、ハーフモード計算手段と、スキップモード計算手段と、切替手段と、を備える構成とした。
【0022】
かかる構成によれば、PDP放電特性解析装置は、フルモード計算手段によって、特性解析を、AC型PDPの放電による流体シミュレーションによって行う場合に、AC型PDPによって放電される放電プラズマを構成している荷電粒子の粒子密度を繰り返し算出する際に、荷電粒子を構成する電子とイオンと励起粒子との粒子密度および電界強度を計算する。
【0023】
続いて、PDP放電特性解析装置は、ハーフモード計算手段によって、荷電粒子を構成するイオンと励起粒子との粒子密度および電界強度を計算し、スキップモード計算手段によって、荷電粒子を構成する励起粒子のみの粒子密度を計算する。そして、PDP放電特性解析装置は、切替手段によって、フルモード計算手段、ハーフモード計算手段およびスキップモード計算手段による計算の切替を、入力データの変化に伴って行う。
【0024】
なお、AC型PDPの放電による流体シミュレーションを行う場合、このPDP放電特性解析装置に、計算条件として入力されるのは、表示セル(PDPセル)を構成する各部の大きさや、各部同士の間隔、誘電体の比誘電率、当該表示セル内に充填される気体の組成、当該表示セルに印可されるパルス電圧の電圧値、パルス幅、パルス周期等が挙げられる。また、荷電粒子とは、表示セル内に充填されている気体を構成しているものであり、当該気体の状態によって、電子、イオン、励起粒子を含むものである。
【0025】
請求項2に記載のPDP放電特性解析装置は、請求項1に記載のPDP放電特性解析装置において、前記スキップモード計算手段が、前記励起粒子の粒子密度を計算する際に、前記放電現象を解析する手法である陰解法を用いることを特徴とする。
【0026】
かかる構成によれば、PDP放電特性解析装置は、スキップモード計算手段によって、励起粒子の粒子密度を計算する際に、陰解法を用いることで、例えば、従来の離散化方法に比べて、電界による加速によって生じる移流項が存在していないので、計算時間を短縮することができる。
【0027】
請求項3に記載のPDP放電特性解析装置は、請求項1または2に記載のPDP放電特性解析装置において、前記切替手段が、前記フルモード計算手段による計算から前記ハーフモード計算手段による計算への切替および前記ハーフモード計算手段による計算から前記スキップモード計算手段による計算への切替を、前記特性解析に要する電力消費量の閾値処理、または、計算時に通電する電流値の閾値処理に基づいて行うことを特徴とする。
【0028】
かかる構成によれば、PDP放電特性解析装置は、切替手段によって、特性解析に要する電力消費量の閾値処理、または、計算時に通電する電流値の閾値処理に基づいて行う。つまり、PDP放電特性解析装置は、例えば、フルモード計算手段によって、全ての荷電粒子の粒子密度を算出する際の電力消費量が閾値を下回った場合に、ハーフモード計算手段による、遅い荷電粒子(イオン)と、励起粒子のみの粒子密度を算出することに切り替える。
【0029】
請求項4に記載のPDP放電特性解析装置は、請求項1から3までのいずれか一項に記載のPDP放電特性解析装置において、前記切替手段が、前記ハーフモード計算手段による計算から前記スキップモード計算手段による計算への切替を、前記粒子密度の閾値処理に基づいて行うことを特徴とする。
【0030】
かかる構成によれば、PDP放電特性解析装置は、粒子密度の閾値処理に基づいて、ハーフモード計算手段による計算からスキップモード計算手段による計算に切り替えることで、計算精度を維持しつつ、高速に計算することができる。
【0031】
請求項5に記載のPDP放電特性解析プログラムは、AC型PDPの放電現象を対象にした特性解析を、予め設定した計算条件下で、前記放電現象における放電素の過程モデルに関する入力データに基づいて行うPDP放電特性解析装置であって、フルモード計算手段と、ハーフモード計算手段と、スキップモード計算手段と、切替手段と、を備える構成とした。
【0032】
かかる構成によれば、PDP放電特性解析プログラムは、フルモード計算手段によって、特性解析を、AC型PDPの放電による流体シミュレーションによって行う場合に、AC型PDPによって放電される放電プラズマを構成している荷電粒子の粒子密度を繰り返し算出する際に、荷電粒子を構成する電子とイオンと励起粒子との粒子密度および電界強度を計算する。
【0033】
続いて、PDP放電特性解析プログラムは、ハーフモード計算手段によって、荷電粒子を構成するイオンと励起粒子との粒子密度および電界強度を計算し、スキップモード計算手段によって、荷電粒子を構成する励起粒子のみの粒子密度を計算する。そして、PDP放電特性解析プログラムは、切替手段によって、フルモード計算手段、ハーフモード計算手段およびスキップモード計算手段による計算の切替を、入力データの変化に伴って行う。
【発明の効果】
【0034】
請求項1または請求項5に記載の発明によれば、予め設定した計算条件下で、入力された入力データに基づいて、全ての荷電粒子について、精度を重視して計算したり、或いは、励起粒子のみについて、速度を重視して計算したりすることで、荷電粒子の特性解析に十分な精度を確保しつつ、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。或いは、計算時間を長くすることなく、一回の評価をするのにかかる計算負荷を軽減することができる。
【0035】
請求項2に記載の発明によれば、励起粒子の粒子密度を計算する際に、陰解法を用いることで、例えば、従来の離散化方法に比べて、電界による加速によって生じる移流項が存在していないので、計算時間を短縮することができる。
【0036】
請求項3に記載の発明によれば、特性解析に要する電力消費量の閾値処理、または、計算時に通電する電流値の閾値処理に基づいて行うことで、荷電粒子の特性解析に十分な精度を確保しつつ、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。つまり、各手段にかかっている計算負荷を推定して、過剰に計算負荷がかかっている場合や殆ど計算負荷がかかっていない場合が生じないようにしているので、各手段に最適な計算負荷がかかり、荷電粒子の特性解析に十分な精度を確保しつつ、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。
【0037】
請求項4に記載の発明によれば、予め設定した粒子密度の閾値処理によって切り替えることで、荷電粒子の特性解析に十分な精度を確保しつつ、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
〈PDP放電特性解析装置の構成〉
図1はPDP放電特性解析装置のブロック図である。図1に示すように、PDP放電特性解析装置1は、AC型PDPの表示セル(PDPセル)における放電シミュレーションを行って、表示セルの放電現象を対象にした特性解析を、予め設定した計算条件下で、放電現象における放電素過程モデルに関する入力データに基づいて、切替手段3と、フルモード計算手段5と、ハーフモード計算手段7と、スキップモード計算手段9とを備えている。
【0039】
なお、このPDP放電特性解析装置1は、通常のパーソナルコンピュータや大型の計算機等によって構成されており、予め設定した計算条件(詳細は後記する)下で、入力された入力データ(詳細は後記する)に基づいて、放電シミュレーションを行うものである。
【0040】
ここで、このPDP放電特性解析装置1の構成の説明に先立ち、AC型PDPの放電現象について、図2を参照して説明する。
一般的にAC型PDP(表示セル)の放電現象は、印可された電圧パルスの先頭付近の極めて短い時間に発生する。この放電現象発生時には表示セル内に充填された気体によって励起粒子が生成され、この励起粒子の励起寿命に対応した時間だけ、当該励起粒子は紫外線を放射しながら(表示セルを発光させながら)、粒子密度を減少させて、元の状態に収束する。
【0041】
背景技術のところで説明した駆動波形(図8参照)が表示セルに入力された場合の、放電電流(放電電流値)と発光量とを図2に示す。図2は放電電流値と発光量とを示した図である。この図2(a)に示した放電電流値は、電子およびイオンによる電流密度に比例する値であり、電子およびイオンによる電流密度は、次の(2)式によって与えられる。
【0042】
【数2】

【0043】
この(2)式において、qi、ni、viはイオンiの電荷量、密度、速度を示しており、qe、ne、veは電子eの電荷量、密度、速度を示している。図2に示したように、放電現象による電流値が短い時間幅で消滅することは、イオンまたは電子の密度および速度が短い時間幅で急激に減衰することを示している。
【0044】
また、イオンおよび電子の速度は、これらのエネルギーに依存する量である移動量μiおよび移動量μeと、イオンおよび電子が存在している場所の電界(電界強度)Eとを用いて、次の(3)式によって表される。
【0045】
【数3】

【0046】
この(3)式によって表されることにより、イオンおよび電子の速度が急激に減衰することは、移動量(エネルギー)および電界(電界強度)が急激に減衰することを意味している。
【0047】
このように放電現象は、(2)式および(3)式により数式化されているが、電子の流れが電流の成分であるため消費電力に影響されることや、電子の密度および電子のエネルギー(移動量)がイオンや励起粒子の生成に影響を及ぼすと共に、放電現象や放電現象終了後の発光源となる励起粒子の生成に影響を及ぼすため、放電シミュレーションにおける電子の解析は簡単にはいかず、計算負荷の増大や計算回数の増加を生じさせてしまっている。
【0048】
しかし、放電現象が極めて短い時間に終了し、放電終了後のエネルギーが励起粒子の生成やイオンの電離を行うのに十分でない場合には、AC型PDPの放電現象の特性解析において、消費電力の影響が無視できる程度に減少する。また、電子から他の粒子への影響が少なくなる時間は、パルス周期(あるパルスが入力されてから次のパルスが入力されるまでの時間)に比べて、非常に短いと想定される。
【0049】
それゆえ、PDP放電特性解析装置1では、AC型PDPに印可する電圧となる駆動パルスによって放電現象が生じてから収束するまでの時間をとった時間軸を、複数の区間((a)〜(c))に分割して、当該放電現象を対象にした特性解析を行うことにしている。
【0050】
ここで、複数の区間(a)〜(c)について説明すると、区間(a)は駆動パルスによって放電が発生する区間であり、区間(b)は放電後に励起粒子等が減衰するだけの区間である。また、区間(c)は、区間(a)と区間(b)との間の過渡的な区間である。
これより、図1に戻って、PDP放電特性解析装置1の構成の説明を行う。
【0051】
切替手段3は、当該装置1によってAC型PDPの放電シミュレーションを行う際に、予め設定した計算条件を入力しておき、フルモード算手段5とハーフモード計算手段7とスキップモード計算手段9による荷電粒子(電子、イオン、励起粒子)の粒子密度の計算を、入力された入力データの変化に伴って、切り替えるものである。
【0052】
また、この切替手段3は、フルモード算手段5とハーフモード計算手段7とスキップモード計算手段9による荷電粒子の粒子密度の計算を、これらの各手段(5,7,9)で特性解析に要する電力消費量の閾値処理、または、計算時に通電する電流値の閾値処理に基づいて、切り替えるものである。なお、図1の点線で示したように、各手段(5,7,9)から切替手段3にフィードバックされている。
【0053】
例えば、電力消費量の閾値は、1μWである。また、通電する電流値の閾値は、0.01μAである。なお、これらの閾値は、表示セルの大きさに依存するが、この程度の値を目安にすることで差し支えない。
【0054】
さらに、この切替手段3は、ハーフモード計算手段7による計算からスキップモード計算手段9による計算への切替を、荷電粒子の粒子密度の閾値処理に基づいて、行うものである。例えば、ハーフモード計算手段7による計算からスキップモード計算手段9による計算への切替は、荷電粒子(イオン、励起粒子)の粒子密度が107[cm-3]に達した場合(閾値が107[cm-3])である。
【0055】
なお、予め設定した計算条件とは、表示セル(AC型PDPセル)に充填する気体の組成、表示セルの形状、電極(X電極、Y電極)の幅や間隔、誘電体の誘電率、印可する電圧の電圧値、パルス周期およびパルス幅等が挙げられる。
【0056】
入力データの変化とは、例えば、電子密度やイオン密度、エネルギー、速度、放電電流値に閾値を設けておき、この閾値を越えたか否かということと、表示セル内の状態とを比較した結果によって求めたものである。
【0057】
荷電粒子は、AC型PDPの表示セル内で放電現象による放電プラズマを構成しており、当該表示セル内に充填されている気体中の原子(分子)が変化することによって生じるものである。
【0058】
フルモード計算手段5は、荷電粒子を構成する電子とイオンと励起粒子との粒子密度および電界強度を計算するものである。つまり、このフルモード計算手段5は、駆動パルスによって放電が発生する区間(区間(a))について、荷電粒子の粒子密度を繰り返し算出する際に、1回当たりの計算負荷が所定負荷よりも小さくなると共に、繰り返しの計算回数が所定回数よりも多くなることにより、算出精度を重視して計算するものである。
【0059】
例えば、1つの表示セル(格子点)での計算量を見積もった場合、30回前後の乗算を1セットとして、陽解法は1セット、陰解法は10セット(計算条件によっては1桁以上変動する)程度となる。
このフルモード計算手段5では、荷電粒子の粒子密度を算出する際に、高精度な計算手法(例えば、「TVD法」)を適用している。
【0060】
ハーフモード計算手段7は、荷電粒子を構成するイオンと励起粒子との粒子密度および電界強度を計算するものである。つまり、このハーフモード計算手段7では、荷電粒子の中で、速度の遅い荷電粒子であるイオンと励起粒子とについて、粒子密度を求めている。
【0061】
スキップモード計算手段9は、励起粒子のみの粒子密度を計算するものである。つまり、このスキップモード計算手段9は、荷電粒子の粒子密度を繰り返し算出する際に、1回当たりの計算負荷が所定負荷よりも大きくなると共に、繰り返しの計算回数が所定回数よりも少なくなることにより、算出速度を重視して計算するものである。なお、このスキップモード計算手段9では、励起粒子の拡散方程式が計算される。
【0062】
ここで、前記した区間(a)〜(c)と、PDP放電特性解析装置1の構成との関わりについて説明する。
このPDP放電特性解析装置1では、区間(a)〜(c)について、必要な計算精度を維持できる手法を適用させた解析モード(フルモード計算手段5、ハーフモード計算手段7およびスキップモード計算手段9)を備えていることで、計算時間の短縮を図ることができる。
【0063】
まず、PDP放電特性解析装置1は、区間(a)の放電が発生する区間においては、電子、イオン、励起粒子共に高い精度で計算を行う必要があるため、フルモード計算手段5によって、高精度な計算手法を適用したモード(以下、フルモード)で解析を行う。
【0064】
続いて、PDP放電特性解析装置1は、区間(b)の放電後に励起粒子等が減衰するだけの区間においては、計算するものが励起粒子の拡散方程式になるので、スキップモード計算手段9によって、CFD条件による時間刻みの制限がない陰解法を適用したモード(以下、スキップモード)で解析を行う。なお、このスキップモードでは、励起粒子が減衰するだけであるので、空間電荷等は変化せず、印加電圧が変化しない限り電界も変化しないので、電界解析を行っていない。
【0065】
それゆえ、PDP放電特性解析装置1は、計算時間の短縮を重視する場合には、長い刻み時間を採用できることで計算ステップの回数が少なくなる、スキップモード計算手段9による計算への移行を、可能な限り速く行う必要がある。
【0066】
ここで、PDP放電特性解析装置1は、フルモードからスキップモードに移行する場合、つまり、切替手段3によって、フルモード計算手段5による計算からスキップモード計算手段9による計算に切り替えられる場合、予め設けられている、電子密度やイオン密度、エネルギー、速度、放電電流値等に閾値を越えたか否かによる計算条件により切り替えられる。すなわち、電子密度やイオン密度、エネルギー、速度、放電電流値等の閾値と、表示セル内の状態との関係を予め検証(比較)しておく必要がある。
【0067】
しかし、PDP放電特性解析装置1の切替手段3において、例えば、放電電流値を切替の基準に採用した場合、放電電流値における電子による電流とイオン電流との成分比には、条件によって10:1もの差があるため、放電電流値が無視できるほど小さくなった時点においても、イオン密度が十分に減衰しているとは限らない。また、放電現象においては、イオンの固体表面(原子表面または分子表面)が電気的に中和される際に、ある確率で2次電子と呼ばれる電子が放出される場合があり、これが増幅回路に正帰還に相当し、放電電流値の急激な増加の一因となる。
【0068】
また、イオン密度分布の変動に伴う電界強度の変化によっても、電子密度が増加し、再び放電電流値が増加する場合もある。これにより、イオンが残留している状態においては、何らかの事情で、大量のイオンが固体(原子または分子)に近づいた際(正負の電荷を失った際)に、電子密度が急激に増加する可能がある。また、電子密度とイオン密度に閾値を設けたとしても、一般的にイオンの速度が電子の速度に比べて非常に遅いため、イオン密度が閾値を下回るのに要する時間は長く、計算時間の短縮の効果が少なくなる。
【0069】
それゆえ、このPDP放電特性解析装置1は、前記した過渡的な区間(c)において、ハーフモード計算手段7によって、電子の計算を省略し、イオンと励起粒子とについて高精度の計算手法を適用したモード(以下、ハーフモード)で解析を行う。すなわち、PDP放電特性解析装置1では、全ての荷電粒子(電子、イオン、励起粒子)の中で粒子密度を算出する場合(区間(a)におけるフルモード)と、予め設定した速度(ここでは、電子の速度)よりも遅い荷電粒子のみ(イオン、励起粒子のみ)の粒子密度を算出する場合(区間(c)におけるハーフモード)との場合分けがなされて、荷電粒子の解析が行われる。
【0070】
なお、ハーフモードにおいては、CFD条件による時間刻みの制限は、イオンの時間刻みの制限と同じになるので、フルモードに比べて、100倍程度、計算時間を短縮することが可能である。
【0071】
ここで、図3を参照して、PDP放電特性解析装置1におけるフルモード、ハーフモードおよびスキップモードのモード構成(モードの分割法)と、各モードにおける時間刻みについて説明する。なお、図3に示したモード分割法は、背景技術のところで説明した、図7の表示セル(PDPセル)のX電極、Y電極に、図8の駆動波形の電圧を印可した場合を示したものである。
【0072】
図3に示すように、PDP放電特性解析装置1において、ハーフモードでは、イオンによって、2次電子量等を監視し、電子密度の増加の兆しを捉えた時点で、フルモードへの切替を行っている。この場合の初期条件としては、イオンによる2次電子流を採用することが可能である。
【0073】
PDP放電特性解析装置1において、ハーフモードからスキップモードへの切替は、イオン密度に対して設けた閾値を基準としており、また、スキップモードからハーフモードに切り替える場合には、励起粒子による生成と、切替時の電界分布から初期条件を作成している。
【0074】
〈PDP放電特性解析装置によるシミュレーション〉
次に、PDP放電特性解析装置1によるシミュレーションについて説明する。ここでは、PDP放電特性解析装置1によるAC型PDP放電シミュレーション用の3次元コードを例にして説明する。この3次元コードとは、Ne−Xe混合ガスが封入された表示セル(AC型PDPセル、図7参照)を対象として、当該混合ガスを、前記した図9によってモデル化し、これらに関する連続の式(前記した(1)式)と、電界に関するpoissonの式とを連立して解いていくことである。
【0075】
ここで、PDP放電特性解析装置1によるシミュレーションにおける計算条件を図4に示す。図4に示すように、ガス組成はNeが95%、Xeが5%であり、ガス圧力は67.5kPaである。表示セル(AC型PDP)の形状は、セル長さLが660μm、セル高さHが145μm、セル幅Wが160μm、アドレス電極幅Waが140μm、維持電極幅Wsが170μm、維持電極間隔gが75μmである。
【0076】
また、表示セル(AC型PDP)の形状は、前面側誘電体の厚みh1が25μm、比誘電率が15、背面側誘電体の厚みh2が10μm、比誘電率が5である。また、駆動波形として、維持パルス周期Tpが16μs、維持パルス幅Twが1μs、維持パルス電圧Vsが220Vである。なお、ここでは、電子およびイオンの連続の式に関しては、高精度なTVD法による移流項を離散化している。
【0077】
PDP放電特性解析装置1では、表示セルにパルス電圧が印可され、入力データが入力されると計算が開始される。PDP放電特性解析装置1では、まず、フルモード計算手段5によって、フルモードによる計算が開始される。このフルモードによる計算においては、電子の速度によって決まる時間刻み、具体的には、電子の速度veとメッシュ間隔ΔXから求まるτ=ΔX/veを時間刻みとして計算を行っている。
【0078】
フルモードによる計算時、パルス電圧印加直後における電界強度のピーク値は、約105[V/m]であり、電子の速度veは約109[m/s]であるので、時間刻みは10-13[s]程度になる。
【0079】
この実施形態における電流値は、時刻t=0から増加し、t=0.2μsで最大値となった後、t=0.8μsで0.01μAを下回っている。この時点での電子密度は、107[cm-3]程度であり、電子の速度およびエネルギーは共に低く、新たな放電が発生する可能性は低い。しかし、残留しているイオンの密度が109[cm-3]程度であるので、それによって生じる2次電子や、電界強度の変化等によって、再び電子数が増加する可能性があるので、PDP放電特性解析装置1では、ハーフモード計算手段7により、ハーフモードに切り替えて、電子数の監視を継続する。
【0080】
また、PDP放電特性解析装置1では、ハーフモードに切り替えた時点では、イオンの速度は105[cm/s]程度になり、これによって決定される時間刻みは10-11[s]である。イオンの密度は、時刻t=1.3μsで107[cm-3]程度まで減少し、フルモードからハーフモードへの切替時における電子密度と同程度になるため、これによって、再び放電に進展する可能性はないと判定し、スキップモードへの切替を行う。
【0081】
スキップモードでは、移流項のない励起粒子に関する連続の式を陰解法で計算するので、時間刻みの上限が存在しないことになる。そこで、この実施形態では、特性評価に必要なデータサンプル数(入力データ)から時間刻みを決定し、Δt=10-9[s]とした。
【0082】
さらに、PDP放電特性解析装置1では、スキップモードからフルモードへの復帰は、次のパルス先頭において行うこととしている。また、この実施形態におけるフルモード、ハーフモード、スキップモードによるモード分割の構成と結果について、図5に示す。
【0083】
この図5に示したように、フルモードの計算時間が25時間、ハーフモードの計算時間が25分、スキップモードの計算時間が5時間となり、従来法では、20日要した計算時間が、およそ30時間に短縮することができた。
【0084】
PDP放電特性解析装置1によれば、予め設定した計算条件下で、入力された入力データに基づいて、フルモード計算手段5やハーフモード計算手段7によって、精度を重視して計算したり(フルモード、ハーフモードによる算出)、ハーフモード計算手段9によって、速度を重視して計算したり(スキップモードによる算出)することで、荷電粒子の特性解析に十分な精度を確保しつつ、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。或いは、計算時間を長くすることなく、一回の評価をするのにかかる計算負荷を軽減することができる。
【0085】
また、PDP放電特性解析装置1によれば、スキップモード計算手段9によって、励起粒子の粒子密度を計算する際に、陰解法を用いることで、例えば、従来の離散化方法に比べて、電界による加速によって生じる移流項が存在していないので、計算時間を短縮することができる。
【0086】
さらに、PDP放電特性解析装置1によれば、フルモード計算手段5、ハーフモード計算手段7およびスキップモード計算手段9によって、特性解析に要する電力消費量の閾値処理、または、計算時に通電する電流値の閾値処理に基づいて行うことで、荷電粒子の特性解析に十分な精度を確保しつつ、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。つまり、各手段にかかっている計算負荷を推定して、過剰に計算負荷がかかっている場合や殆ど計算負荷がかかっていない場合が生じないようにしているので、各手段に最適な計算負荷がかかり、荷電粒子の特性解析に十分な精度を確保しつつ、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。
【0087】
さらに、PDP放電特性解析装置1によれば、切替手段3によって、予め設定した粒子密度の閾値処理によって切り替えることで、荷電粒子の特性解析に十分な精度を確保しつつ、計算回数を削減して計算時間を短縮することができる。
【0088】
〈PDP放電特性解析装置の動作〉
次に、図6に示すフローチャートを参照して、PDP放電特性解析装置1の概略の動作について説明する(適宜、図1参照)。
PDP放電特性解析装置1は、まず、計算条件(予め設定した条件)に入力する(ステップS1)。ここでは、切替手段3に計算条件を入力する形態をとっている。
【0089】
続いて、PDP放電特性解析装置1は、入力データが入力される(ステップS2)と、放電シミュレーションが開始され、まず、フルモード計算手段5によって、計算精度を重視した粒子密度の計算(フルモードによる算出)を行う(ステップS3)。そして、PDP放電特性解析装置1は、全ての荷電粒子について計算するか否かを判定、すなわち、フルモードからハーフモードへの切替を判定し(ステップS4)、全ての荷電粒子について計算すると判定した場合(ステップS4でYes)は、フルモードによる算出が続行され、全ての荷電粒子について計算すると判定されなかった場合(ステップS4でNo)、ハーフモード計算手段7によって、遅い荷電粒子(イオン、励起粒子のみ)について、粒子密度の計算(ハーフモードによる算出)を行う(ステップS5)。
【0090】
そして、PDP放電特性解析装置1は、粒子密度の閾値処理によって、ハーフモードからスキップモードに切り替えるか否かを判定し(ステップS6)、切り替えると判定しなかった場合(ステップS6でNo)、ハーフモードによる算出を続行し、切り替えると判定した場合(ステップS6でYes)、スキップモード計算手段9によって、荷電粒子の中で、励起粒子のみの粒子密度の計算、すなわち、計算速度を重視した粒子密度の計算(スキップモードによる算出)を行う(ステップS7)。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、PDP放電特性解析装置1として説明したが、当該装置1の各構成の処理を、汎用的または特殊なコンピュータ言語で記述したPDP放電特性解析プログラムとして構成することも可能である。この場合、PDP放電特性解析装置1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施形態に係るPDP放電特性解析装置のブロック図である。
【図2】放電電流値および発光量について説明した図である。
【図3】モードの分割法について説明した図である。
【図4】計算条件の一例を示した図である。
【図5】モード分割の構成と結果とを説明した図である。
【図6】図1に示したPDP放電特性解析装置の動作を説明したフローチャートである。
【図7】表示セル(AC型PDPセル)の概略を説明した図である。
【図8】図7に示した表示セルに入力する駆動波形の一例を示した図である。
【図9】放電素の過程モデルを説明した図である。
【符号の説明】
【0093】
1 PDP放電特性解析装置
3 切替手段
5 フルモード計算手段
7 ハーフモード計算手段
9 スキップモード計算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC型PDPの放電現象を対象にした特性解析を、予め設定した計算条件下で、前記放電現象における放電素の過程モデルに関する入力データに基づいて行うPDP放電特性解析装置であって、
前記特性解析を、前記AC型PDPの放電による流体シミュレーションによって行う場合に、前記AC型PDPによって放電される放電プラズマを構成している荷電粒子の粒子密度を繰り返し算出する際に、前記荷電粒子を構成する電子とイオンと励起粒子との粒子密度および電界強度を計算するフルモード計算手段と、
前記荷電粒子を構成するイオンと励起粒子との粒子密度および電界強度を計算するハーフモード計算手段と、
前記荷電粒子を構成する励起粒子のみの粒子密度を計算するスキップモード計算手段と、
前記フルモード計算手段、前記ハーフモード計算手段および前記スキップモード計算手段による計算の切替を、前記入力データの変化に伴って行う切替手段と、
を備えることを特徴とするPDP放電特性解析装置。
【請求項2】
前記スキップモード計算手段は、
前記励起粒子の粒子密度を計算する際に、前記放電現象を解析する手法である陰解法を用いることを特徴とする請求項1に記載のPDP放電特性解析装置。
【請求項3】
前記切替手段は、
前記フルモード計算手段による計算から前記ハーフモード計算手段による計算への切替および前記ハーフモード計算手段による計算から前記スキップモード計算手段による計算への切替を、前記特性解析に要する電力消費量、または、計算時に通電する電流値に基づいて行うことを特徴とする請求項1または2に記載のPDP放電特性解析装置。
【請求項4】
前記切替手段は、
前記ハーフモード計算手段による計算から前記スキップモード計算手段による計算への切替を、前記粒子密度に基づいて行うことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のPDP放電特性解析装置。
【請求項5】
AC型PDPの放電現象を対象にした特性解析を、予め設定した計算条件下で、前記放電現象における放電素の過程モデルに関する入力データに基づいて行うために、コンピュータを、
前記特性解析を、前記AC型PDPの放電による流体シミュレーションによって行う場合に、前記AC型PDPによって放電される放電プラズマを構成している荷電粒子の粒子密度を繰り返し算出する際に、前記荷電粒子を構成する電子とイオンと励起粒子の粒子密度および電界強度を計算するフルモード計算手段、
前記荷電粒子を構成するイオンと励起粒子との粒子密度および電界強度を計算するハーフモード計算手段、
前記荷電粒子を構成する励起粒子のみの粒子密度を計算するスキップモード計算手段、
前記フルモード計算手段、前記ハーフモード計算手段および前記スキップモード計算手段による計算の切替を、前記入力データの変化に伴って行う切替手段、
として機能させることを特徴とするPDP放電特性解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−11475(P2007−11475A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188306(P2005−188306)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】