説明

PETの溶融重合及び固相加工の直接カップリング

【課題】ポリエチレンテレフタレートの商業的製造におけるエネルギーの消費量を減少させる方法の提供。
【解決手段】PET重縮合反応器(4)からの溶融ポリエチレンテレフタレート(PET)のストランド(5)を凝固し、ペレット化し、水との接触によって50℃〜ポリマーのほぼTgの範囲の温度にのみ冷却する。まだ高温のペレット(9)は、場合によってはその後に乾燥によって水を除去してから、PET晶析装置(20)に搬送する。非晶質ペレット(9)が水及び低温の空気によって室温まで冷却されることを回避することによって、エネルギーのかなりの節約が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマーの商業的製造に関する。
【背景技術】
【0002】
PETは多くの用途を有し、主な用途はフィルム、繊維及び食品容器である。このような用途、特に食品包装に必要な性質の厳しいマトリックスにもかかわらず、一部のPETは商品ポリマーになっている。PETの商業的製造はエネルギーを大量に消費するので、エネルギー消費の比較的少ない改良でもかなりの商業的価値がある。
【0003】
PET(コポリマーを含む)の製造は、エステル化工程から始まり、ジカルボン酸成分、主にテレフタル酸をエチレングリコール中でスラリー化し、加熱して、重合度の低いオリゴマーの混合物を生成させる。この「エステル化」工程に続いて、更に「オリゴマー化」又は「プレポリマー」工程を実施し、より高い重合度を得る。この段階ではまだ、生成物は極めて低い分子量を有する。
【0004】
次いで、前記工程に続いて重縮合を実施する。重縮合は、Sb、Ti、Ge、Snなどのような金属化合物によって触媒される。重縮合は比較的高い温度において、一般に280〜300℃の範囲の温度において真空下で行ない、重縮合によって生成された水及びエチレングリコールは除去する。重縮合終了時のポリマーは一般に0.4〜0.65の範囲のインヘレント粘度を有するが、これは多くの用途にとって低すぎる分子量に相当する。
【0005】
PETポリエステルの商業的製造は、「ソリッド・ステーティング(solid−stating)」と称する固体状態におけるその後の後重合を必要としている。プロセスのこの段階において、PET顆粒は、不活性ガス中で、好ましくは窒素中で、溶融温度未満の温度、即ち、多くの場合には210〜220℃の温度において加熱する。ソリッド・ステーティングは、溶融からの押出及びペレット化後にはほとんどのPETポリマーが実質的に非晶質である事実によって複雑になる。ソリッドステーターにおいて、ペレットが焼結及び凝集しないように、ペレットは最初に比較的に低い温度、例えば、160〜190℃で、典型的には不活性ガス又は空気下において、30〜90分間結晶化させる。本明細書中において「ソリッド・ステーティング」は、固相重縮合自体を意味し、結晶化プロセスと固相重縮合プロセスとの組合せを意味するものではないことに留意されたい。これらの方法は、特許文献1及び2に示されているように、当業者によく知られている。
【0006】
従来のPET法においては、ポリマーは、重縮合反応器から直接ストランドに押出される。高温の押出ストランドは、ペレットに細断する前に冷水と接触させ、乾燥させ、サイロ中に貯蔵してから結晶化させる。従来のペレット化方法及びストランドを伸長してからペレット化するペレット化方法が特許文献3に開示されている。従来の知識からは、貯蔵中の焼結を回避するために、ペレットの少なくとも表面を20〜30℃に冷却しなければならない。貯蔵の間に、ペレットのより高温の内部からの熱がペレット全体に分配される。従って、温ペレット、即ち外側が20〜30℃よりもかなり高温のペレットは、温度平衡化後の貯蔵の間に凝集するおそれがある。水との接触によって引き起こされる温度低下の他に、ペレットは低温の空気又は窒素によって所望の温度に更に冷却することができる。ペレットは貯蔵し、次いで続いて所望の結晶化温度まで再加熱する。これらの加熱、冷却及び再加熱の工程は、ただでさえエネルギーを大量に消費するプロセスにおいてエネルギーの面でかなりの不利益を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,597,891号
【特許文献2】米国特許第6,159,406号
【特許文献3】米国特許第5,310,515号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ポリエチレンテレフタレートの商業的製造におけるエネルギー消費量を削減することができる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従えば重縮合後にポリエチレンテレフタレートをペレット化及び結晶化するポリエチレンテレフタレート製造方法における使用エネルギーを減少させる方法であって、
a)溶融ポリエチレンテレフタレートを凝固させて非晶質ポリエチレンテレフタレートペレットを形成せしめ、そしてペレットを50℃〜ポリエチレンテレフタレートのTgの温度に冷却してポリエチレンテレフタレートの温ペレットを形成せしめ;そして
b)ポリエチレンテレフタレートの温ペレットを、晶析装置に搬送する
ことを含んでなり、前記搬送工程が、ペレット化工程からの温ペレットを50℃〜90℃の温度を有する水流中に導入することを含み、前記温ペレットを晶析装置中に導入する工程の前に、ポリエチレンテレフタレートの温ペレットから水を除去し、そしてポリエチレンテレフタレートの温ペレットの温度が晶析装置の流入口において、50℃〜ポリエチレンテレフタレートのTg未満の範囲である方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ソリッド・ステーティングを経る重縮合からの先行技術のPET製造方法を示す。
【図2】ソリッド・ステーティングを経る重縮合からの本発明のPET法の一実施態様を示す。
【図3】本発明の更に別の実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、重縮合反応器からのPETペレットは、個々のポリマー又はコポリマーのガラス転移温度未満の温度及び50℃又はそれ以上にしか冷却されず、晶析装置に入るまでこの温度範囲内に保持される。供給ペレットの温度がより高いにもかかわらず、凝集は起こらない。
【0012】
エステル化、オリゴマー化及び重縮合までの及び重縮合を含む他のプロセスは、常法に従って、又は重合メルトからペレットを製造する任意の方法によって、実施できる。本発明による改良は、ペレット化の間並びに/又はペレット化後及び結晶化段階を経て行われる。
【0013】
PETポリマーは普通のものであり、テレフタル酸及びエチレングリコールから製造されるポリマーである。基本的にはテレフタル酸ジメチルもテレフタル酸と同様に使用できるが、テレフタル酸を使用する方が好ましい。更に、PETポリマーはテレフタル酸以外のジカルボン酸を20モル%以下、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下で含むことができ、エチレングリコール以外のグリコール(ジオール)も同じモル%で含むことができる。
【0014】
テレフタル酸と共に使用できる他の適当なジカルボン酸の例は、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸等である。このリストは説明的なものであって、限定的なものではない。場合によっては、微少量のトリ−又はテトラカルボン酸の存在が、分岐又は部分架橋ポリエステルの生成に有用であることができる。酸の混合物を使用する場合には、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸が好ましいジカルボン酸である。
【0015】
使用できるエチレングリコール以外のジオールの例としては、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及びシクロヘキサンジメタノールが挙げられるが、これらに限定するものではない。エチレングリコール以外の好ましいグリコールとしては、ジエチレングリコール、最も好ましくはシクロヘキサンジメタノール(CHDM)が挙げられるが、後者は一般的に異性体の混合物として使用する。更に、分岐又は部分架橋ポリエステルが望ましい場合には、ペンタエリスリトールのようなポリオール、グリセリン及びトリメチロールプロパンも最も微少量で使用できる。最も好ましくは、二官能価ジカルボン酸及び二官能価ヒドロキシ官能性化合物(グリコール)のみを使用する。本発明の方法はまた、メルトから形成されたペレットが非晶質(無定形)である他のポリエステルに適用可能である。
【0016】
以下の説明において、押出機、ペレタイザー、機械的乾燥機、晶析装置のような装置及びその装置内で実施されるプロセス工程への言及は、特に断らない限り、従来のものである。ペレタイザーは、Reiter Automatic Apparate−Maschinenbau GmbH,Germany及びGala Industries,Eagle Rock,VAのような会社から市販されている。ペレタイザーは、例えば米国特許第4,123,207号;第4,500,271号;第4,728,276号;第5,059,103号;第5,310,515号;第5,403,176号;及び第6,551,087号に記載されており、種々の機械的乾燥機は米国特許第4,447,325号;第4,565,015号;第5,638,606号;第6,138,375号;及び第6,237,244号に開示されている。前記特許の全ては、引用することによって本明細書中に組み入れる。
【実施例】
【0017】
従来のPETプロセスを図1に示す。図1において、PETポリマー1は、重縮合反応器2中で約285℃においてメルト状態で重縮合される。ポリマーは、流出口3を通って押出ダイ4にポンプ輸送され、押出ダイ4を通って、溶融ポリマーが、まだ非常に高温のまま、複数のストランド5として出て行く。ダイより下には、溝付きプレート6が存在でき、押出されたストランドは溝に従う。冷水7はストランド及びプレートの真上に導かれ、ストランドを急冷し、例えば75℃〜150℃の範囲の表面温度まで急冷し、続いてストランドがペレタイザー8に入り、ペレタイザーがストランドを長さ数mmのペレット9に細断する。まだ温かいペレットは、導管10中の移動冷水流(一般に20℃〜30℃)中に落下し、導管10がペレットを機械的分離装置19、即ち、スクリーンへと、そしてライン13を通して供給される空気によって又は機械的手段によって乾燥機12へと、搬送する。
【0018】
乾燥機12は、Reiter又はGalaによって供給されるような任意の型の乾燥機であることができる。パドルドライヤー、蛇行性乾燥機、遠心脱水機等は全て使用できる。図1には、有孔(foraminous)材料の「S字型」蛇行通路を有する蛇行性乾燥機を示す。湿ったペレットは、空気流によって乾燥機を通るように誘導され、水及び水蒸気は通路の有孔壁を通って逃散する。水及び水蒸気は出口15を通って乾燥機から出て行き、低温で且つ実質的に乾燥したペレットが出口16を経て乾燥機12から出て行き、貯蔵サイロ17に入る。最終的に、ペレットは貯蔵サイロから導管18を経て晶析装置中に搬送され、そこでペレットが少なくとも一部分結晶化される。ペレットは、冷水中において乾燥機へ運搬されるため、既に比較的低温であって、乾燥機中で典型的にはペレット表面で20℃〜30℃の範囲まで更に温度が低下されることに留意すべきである。結晶化に続いて、ペレットは、典型的には、固相においてより高いインヘレント粘度への重縮合が行われるソリッド・ステーティング反応器へ搬送する。しかし、本発明は、固相重合(solid state polymerization)を実施しない方法においても有用である。
【0019】
本発明の実施例を図2及び3に示す。図2においては、ストランドと接触する水が、ストランドを充分に冷却するのではなく、例えば約70℃〜90℃までしか、又はポリマーのガラス転移温度(Tg)近くの温度までしか、冷却しないこと以外は、図1の方法に従う。中間の貯蔵が必要ないので、この温度はTgより高温であることすらでき、この温度は、晶析装置への空気搬送流においては若干、好ましくはTg未満まで低下するであろう。この温度は、例えば120℃であることができる。これらのペレットは本明細書中では「温ペレット」と称する。温ペレットは搬送、即ち空気流によって、好ましくは晶析装置に、直接搬送する。ペレットは依然としてかなり温かいので、ペレット上に存在する水は全て、晶析装置への運搬の間に又は晶析装置に最初に入る際に急速に蒸発するであろう。晶析装置は一般に160℃超の温度で周囲圧力又は減圧において、一般的に不活性ガス流を併用して運転する。ペレットは、晶析装置に入る際には依然として温かく、即ち、最低温度50℃に近いかそれ以上、好ましくは約90℃であるのが望ましい。
【0020】
従って、図2に示すように、本発明の方法の一実施態様において、ストランド5は水7、即ち温水又は限られた量の冷水及び場合よっては空気と接触させてから、ペレタイザー8においてペレット化する。次いで、ペレットは空気によって導管10を経て晶析装置20に直接搬送し、晶析装置20において、ペレットは従来の条件下で、即ち160℃〜190℃で不活性ガス流又は空気流中で結晶化し、その後、ペレットは導管21を経て晶析装置から出る。従って、導管21を用いる場合には、ソリッド・ステーティング反応器に誘導する。
【0021】
図3は、好ましい実施態様を示す。この実施態様においては、ペレット9を脱水スクリーン19の先に輸送するのに温水を使用し、空気流入口23を通る空気がペレットを晶析装置20に直接的に又は任意の乾燥機24を経てから晶析装置20に誘導し、ペレットは導管21を経て晶析装置を出て任意のソリッド・ステーティング反応器に向かう。脱水スクリーン19から回収された水は好ましくは再循環し、ストランドを最初に冷却する水7として、且つ/又は導管10への温かい輸送用給水として、用いる、ペレットの完全乾燥又は部分乾燥が望ましい場合には、図3中に実施態様として記載されるように、ペレットは乾燥機に導入してから、晶析装置に搬送することができる。しかし、乾燥機への空気流は、かなりの量を除去しながら、ペレットが比較的高温、即ち約70〜90℃であり続けるようなものである。本発明の方法には任意の型の乾燥機及び任意の型の晶析装置を使用できることに留意すべきである。晶析装置は比較的高温で運転し且つそれ自体が比較的多量の水を揮発させることができるので、乾燥機は比較的小型であることができる。脱水スクリーンからの湿潤ペレットは、水の40〜60重量%を構成し得る。この水の多くは、簡単な乾燥機、即ち比較的小型の遠心脱水機によって除去することができる。湿り気のあるペレットが含む水は、その時すでにそれほど多くなく、例えば5〜15%であり、湿り気のあるペレットは次に晶析装置に導入する。
【0022】
重縮合反応器から出て行く際の溶融ポリエステルストランドの温度は比較的高いため使用できる、例えば乾燥、湿潤又は湿り気のあるペレットの輸送に必要な空気を加熱するために又は晶析装置への供給材料として使用できる豊富な熱エネルギーがプロセス全体にある。ペレット温度は可能な限り高温であるが、好ましくはポリマーのほぼTg又はTg未満に、いずれにせよ50℃超に保つのが望ましいことに注意していることが重要である。晶析装置流入口におけるペレット温度が高いほど、熱の節約が大きく、プロセスもより経済的になる。本発明の方法のプロセスは、ペレットの冷却及びそれに続くそれらの再加熱に関するエネルギーの不利益のかなりの部分が発生しないという利点がある。
【0023】
本発明において、ペレットと接触する水は、温度が急上昇し且つポリマーのTgよりかなり低温にペレットを冷却するには不充分な少量の水であるか、又は同じ効果を有するこれより多量の温水とする。給水は好ましくは再循環し、過剰の熱は熱交換器において除去することができる。過剰の熱は、全プロセスの他の部分で使用できる。好ましくは、水温は40℃〜70℃、より好ましくは50℃〜70℃、そして最も好ましくは50℃〜60℃である。
【0024】
ペレットと接触する水は、溶融PETの高温ストランドの初期冷却の間に全て供給することができる。この場合には、ペレットの温度は、外側及び内側のいずれも、ペレット化を助けるためにポリマーのTgよりも若干高いのが好ましい。ペレットは、冷水流に入るのではなく、空気流と接触することができる。空気流は更に、ペレット表面をTg未満であるが、例えば70〜90℃の範囲の温度(限定ではない)に冷却する。空気は必要に応じて再循環することができ、それが通常、空気流が引き続き温かいままであることを保証するであろう。
【0025】
或いは、図3と同様に、例えば、晶析装置の前に配置された水分離器(晶析装置に入る前のペレットが貯蔵される貯蔵サイロに入る前に配置されるのが現在は普通である)を用いてペレットを晶析装置に移すのに水流を使用できる。しかし、本発明の場合、この実施態様においては冷水は使用できない。むしろ、約50℃又はそれ以上の温度を有する温水を使用するのが好ましい。水の除去前の輸送距離若しくは搬送用水流の速度又は両者が、短い通過時間がペレット温度を所望の範囲未満に低下させないようなものである場合には、水温は50℃未満であることができる。この水は、好ましくはペレットからの水の分離後に再循環し、場合によってはまた、晶析装置から出て行く高温の水蒸気によって増加され、従って、水温の維持には熱はほとんど必要ないであろう。追加の熱が必要ないのが好ましい。
【0026】
本発明において、ペレットは晶析装置に直接供給し、図3に示される実施態様においては、中間で(intermediately)、場合によっては乾燥機を経て供給する。従って、晶析装置への輸送は実質的に連続的であって、現在実施されているサイロ中におけるバルクの貯蔵は行わないのが好ましい。しかし、連続流を一時的に中断させる滞留段階を用いることは、本発明の精神から逸脱しないものとする。このような滞留段階は、使用する場合には、貯蔵サイロよりもはるかに小型のものとし、晶析装置への連続流を遅延させる効果のみを有するものとする。
【0027】
ペレット温度が「特許請求の範囲」において言及される場合には、この温度はペレットの外側の温度であることを理解されたい。外側の温度がペレット化後の時間のかなりの部分の間、ポリマーのTgより高温である場合には、ペレットは、晶析装置への空気流中を流れる際に特に、凝集するおそれがある。外側の温度は任意の常法によって測定できる。適当な方法の1つは、出来たてのペレットサンプルを採取し、1つ又は好ましくは複数の速やかに反応する温度プローブによって断熱容器中にそれらを挿入し、時間に対して温度をプロットするものである。時間「ゼロ」においてはペレット内側から熱がまだ拡散していないので、後方への時間の外挿により、ペレットの外側の温度が得られるであろう。しかし、ポリマーの中を通る熱伝導は比較的遅いので、小さいバルクサンプルの温度の簡単な測定が、外側温度に対する優れた近位値を与えるであろうから、本発明においてはそれをその目的で使用できる。ペレットの輸送に温水を用いる場合には、ペレットの外側温度は、ペレット/水分離点における水温と同じと仮定できる。
【0028】
本発明の実施態様を示し且つ説明したが、これらの実施態様は本発明の考えられる形態を全て示し且つ説明するものではない。むしろ、本明細書中で使用する用語は、限定ではなく説明の用語であり、本発明の精神及び範囲から逸脱しなければ種々の変更が可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1 PETポリマー
2 重縮合反応器
3 流出口
4 押出ダイ
5 ストランド
6 溝付きプレート
7 水
8 ペレタイザー
9 ペレット
10 導管
12 乾燥機
13 ライン
15 出口
17 サイロ
18 導管
19 機械的分離装置(脱水スクリーン)
20 晶析装置
21 導管
23 空気流入口
24 乾燥機
【0030】
以下に本発明及びその関連態様を記載する。
態様1.重縮合後にポリエチレンテレフタレートをペレット化及び結晶化するポリエチレンテレフタレート製造方法における使用エネルギーを減少させる方法であって、
a)溶融ポリエチレンテレフタレートを凝固させて非晶質ポリエチレンテレフタレートペレットを形成せしめ、そしてペレットを50℃〜ポリエチレンテレフタレートのTgの温度に冷却してポリエチレンテレフタレートの温ペレットを形成せしめ;そして
b)ポリエチレンテレフタレートの温ペレットを、晶析装置に搬送する
ことを含んでなり、前記搬送工程が、ペレット化工程からの温ペレットを50℃〜90℃の温度を有する水流中に導入することを含み、前記温ペレットを晶析装置中に導入する工程の前に、ポリエチレンテレフタレートの温ペレットから水を除去し、そしてポリエチレンテレフタレートの温ペレットの温度が晶析装置の流入口において、50℃〜ポリエチレンテレフタレートのTg未満の範囲である方法。
態様2.搬送工程の前又は搬送工程の間に、水を除去する態様1に記載の方法。
態様3.有孔スクリーンを用いて水を除去する態様1に記載の方法。
態様4.機械的乾燥機中で水を除去する態様1に記載の方法。
態様5.機械的乾燥機中で水を除去する態様3に記載の方法。
態様6.前記温ペレットが、前記晶析装置への流入口において、70℃〜90℃の範囲の温度を有する態様1に記載の方法。
態様7.前記の水流が水除去工程から再循環された水を含む態様1に記載の方法。
態様8.前記乾燥機に熱エネルギーを加えない態様4に記載の方法。
態様9.前記搬送工程がペレット化工程からの温ペレットをガス流中に導入することを含む態様1に記載の方法。
態様10.前記ペレットと接触する前の前記ガス流が40℃〜90℃の範囲の温度を有する態様9に記載の方法。
態様11.前記ペレットと接触する前の前記ガス流が50℃〜70℃の範囲の温度を有する態様9に記載の方法。
態様12.前記温ペレットを晶析装置に導入する工程の前に、凝固及び/又はペレット化工程からの水を、ポリエチレンテレフタレートの温ペレットから除去する態様9に記載の方法。
態様13.水を機械的乾燥機中で除去する態様12に記載の方法。
態様14.前記温ペレットが、晶析装置への流入口において、70℃〜90℃の範囲の温度を有する態様9に記載の方法。
態様15.前記ペレット化工程の前に、凝固ストランドから空気の噴射によって水を除去する態様1に記載の方法。
態様16.前記のポリエチレンテレフタレートの温ペレットを、中間貯蔵なしで晶析装置に直接搬送する態様1に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重縮合後にポリエチレンテレフタレートをペレット化及び結晶化するポリエチレンテレフタレート製造方法における使用エネルギーを減少させる方法であって、
a)溶融ポリエチレンテレフタレートを凝固させて非晶質ポリエチレンテレフタレートペレットを形成せしめ、そしてペレットを50℃〜ポリエチレンテレフタレートのTgの温度に冷却してポリエチレンテレフタレートの温ペレットを形成せしめ;そして
b)ポリエチレンテレフタレートの温ペレットを、晶析装置に搬送する
ことを含んでなり、前記搬送工程が、ペレット化工程からの温ペレットを50℃〜90℃の温度を有する水流中に導入することを含み、前記温ペレットを晶析装置中に導入する工程の前に、ポリエチレンテレフタレートの温ペレットから水を除去し、そしてポリエチレンテレフタレートの温ペレットの温度が晶析装置の流入口において、50℃〜ポリエチレンテレフタレートのTg未満の範囲である方法。
【請求項2】
搬送工程の前又は搬送工程の間に、水を除去する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有孔スクリーンを用いて水を除去する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
機械的乾燥機中で水を除去する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
機械的乾燥機中で水を除去する請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記温ペレットが、前記晶析装置への流入口において、70℃〜90℃の範囲の温度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記の水流が水除去工程から再循環された水を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記乾燥機に熱エネルギーを加えない請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記ペレット化工程の前に、凝固ストランドから空気の噴射によって水を除去する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記のポリエチレンテレフタレートの温ペレットを、中間貯蔵なしで晶析装置に直接搬送する請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−127129(P2011−127129A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22761(P2011−22761)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【分割の表示】特願2006−526905(P2006−526905)の分割
【原出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】