PET装置及びPET−MRI装置
【課題】撮像されるPET画像の画質を向上させることが可能なPET装置及びPET−MRI装置を実現する。
【解決手段】実施形態のPET装置において、第2検出部は、第1検出部の外周側に設けられ、第1検出部を通過したガンマ線を検出する。計数情報収集部は、第1検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、第2検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。エネルギー値加算部は、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。同時計数情報生成部は、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。画像再構成部は、同時計数情報をもとにPET画像を再構成する。
【解決手段】実施形態のPET装置において、第2検出部は、第1検出部の外周側に設けられ、第1検出部を通過したガンマ線を検出する。計数情報収集部は、第1検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、第2検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。エネルギー値加算部は、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。同時計数情報生成部は、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。画像再構成部は、同時計数情報をもとにPET画像を再構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、PET装置及びPET−MRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陽電子放出核種で標識された薬剤の被検体内での分布を示すPET画像を生成する陽電子放出コンピュータ断層撮影(Positron Emission computed Tomography:PET)装置が知られている。かかるPET装置は、一般的に、被検体を囲むように配置されるリング状のPET検出器を備える。このPET検出器は、例えば、ガンマ線(消滅放射線を含む)を可視光に変換するシンチレータなどを有する複数の検出器モジュールをリング状に配置することで形成される。そして、PET装置では、PET検出器の製造コストを低くすることや、例えば、TOF(Time Of Flight)時間分解能を向上させるためには、PET検出器が有するシンチレータの厚さを薄くすることが求められる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−525161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のPET装置では、PET検出器のシンチレータの厚さを薄くした場合に、PET検出器によって検出されずに通過してしまうガンマ線が生じる確率が高くなり、撮像されるPET画像の画質が低下してしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のPET装置は、第1検出部と、第2検出部と、計数情報収集部と、エネルギー値加算部と、同時計数情報生成部と、画像再構成部とを有する。第1検出部は、リング状に形成され、被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。第2検出部は、リング状に形成され、前記第1検出部の外周側に設けられ、前記第1検出部を通過したガンマ線を検出する。計数情報収集部は、前記第1検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、前記第2検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。エネルギー値加算部は、前記第1計数情報に含まれる検出時間と前記第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、前記第1計数情報に含まれるエネルギー値に前記第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。同時計数情報生成部は、前記エネルギー値加算部により生成された補正計数情報に基づいて、前記陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。画像再構成部は、前記同時計数情報生成部により生成された同時計数情報をもとにPET画像を再構成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本実施例1に係るPET装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施例1に係るPET検出器の断面図である。
【図3】図3は、本実施例1に係る計数情報記憶部により記憶される第1計数情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、本実施例1に係る計数情報記憶部により記憶される第2計数情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施例1に係るエネルギー値加算部により生成される補正計数情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施例1に係る同時計数情報生成部により生成される同時計数情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、本実施例1に係るPET装置によるPET画像の撮像の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施例1に係るエネルギー値加算部により生成される補正計数情報の他の例を示す図(1)である。
【図9】図9は、本実施例1に係るエネルギー値加算部により生成される補正計数情報の他の例を示す図(2)である。
【図10】図10は、本実施例1に係るエネルギー値加算部により生成される補正計数情報の他の例を示す図(3)である。
【図11】図11は、本実施例2に係るPET−MRI装置の構成を示す図である。
【図12】図12は、本実施例2に係るPET検出器の配置を示す図である。
【図13】図13は、本実施例2に係る計算機の構成を示す機能ブロック図である。
【図14】図14は、本実施例2に係る計数情報記憶部により記憶される第3計数情報の一例を示す図である。
【図15】図15は、本実施例2に係る計数情報記憶部により記憶される第4計数情報の一例を示す図である。
【図16】図16は、本実施例2に係るエネルギー値加算部により生成される第1補正計数情報の一例を示す図である。
【図17】図17は、本実施例2に係るエネルギー値加算部により生成される第2補正計数情報の一例を示す図である。
【図18】図18は、本実施例2に係る同時計数情報生成部により生成される同時計数情報の一例を示す図である。
【図19】図19は、本実施例2に係るPET画像再構成部により再構成されるPET画像の撮像領域を示す図である。
【図20】図20は、本実施例2に係るPET−MRI装置によるPET画像の撮像の流れを示すフローチャートである。
【図21】図21は、本実施例2に係るPET−MRI装置によるMR画像の撮像の流れを示すフローチャートである。
【図22】図22は、本実施例3に係るステップ・アンド・シュートを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、図面を参照して、本実施形態に係るPET装置及びPET−MRI装置について詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、実施例1として、PET装置に関する実施例を説明する。図1は、本実施例1に係るPET装置100の構成を示す図である。図1に示すように、このPET装置100は、架台/寝台装置10と、コンソール装置20とを有する。
【0009】
架台/寝台装置10は、被検体Pに投与され、被検体Pの生体組織に選択的に取り込まれた陽電子放出核種から放出される一対のガンマ線を所定のモニタリング期間において計数する。例えば、架台/寝台装置10は、天板11と、寝台12と、寝台駆動部13と、PET検出器14及び15と、計数情報収集部16とを有する。なお、架台/寝台装置10は、図1に示すように、撮影口となる空洞を有する。
【0010】
天板11は、被検体Pが横臥するベッドであり、寝台12の上に配置される。寝台駆動部13は、後述する寝台制御部23の制御のもと、寝台12を移動することにより、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動させる。
【0011】
PET検出器14は、リング状に形成され、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。PET検出器15は、リング状に形成され、PET検出器14の外周側に設けられる。このPET検出器15は、PET検出器14を通過したガンマ線を検出する。これらPET検出器14及び15は、例えば、複数の検出器モジュールをリング状に配置することで形成され、通常、図1における奥行き方向に多重に配設されている。
【0012】
ここで、PET検出器14及び15を形成する各検出器モジュールは、被検体Pから放出されるガンマ線を検出するフォトンカウンティング(photon counting)方式の検出器である。例えば、各検出器モジュールは、シンチレータと、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)とを有し、さらにライトガイドを有するものもある。シンチレータは、被検体Pから放出されて入射したガンマ線を可視光に変換するNaI(Sodium Iodide)、BGO(Bismuth Germanate)、LYSO(Lutetium Yttrium Oxyorthosilicate)、LSO(Lutetium Oxyorthosilicate)、LGSO(Lutetium Gadolinium Oxyorthosilicate)などを2次元に配列して形成される。また、光電子増倍管は、ライトガイドを介して稠密に複数個配置され、シンチレータから出力された可視光を増倍して電気信号に変換する。ライトガイドは、光透過性に優れたプラスチック素材又はガラス素材などからなり、シンチレータから出力された可視光を光電子増倍管に伝達する。
【0013】
なお、光電子増倍管は、シンチレーション光を受光し光電子を発生させる光電陰極、発生した光電子を加速する電場を与える多段のダイノード、および電子の流れ出し口である陽極からなる。光電効果により光電陰極から放出された電子は、ダイノードに向って加速されてダイノードの表面に衝突し、複数の電子を叩き出す。この現象が多段のダイノードに渡って繰り返されることにより、なだれ的に電子数が増倍され、陽極での電子数は約100万にまで達する。この場合には、光電子増倍管の利得率は100万倍となる。また、なだれ現象を利用した増幅のためにダイノードと陽極との間には、通常1000ボルト程度の電圧が印加される。
【0014】
すなわち、PET検出器14及び15を形成する各検出器モジュールは、ガンマ線をシンチレータにより可視光に変換し、変換した可視光を光電子増倍管により電気信号に変換することで、被検体Pから放出されたガンマ線の数と、その検出された位置、エネルギー、タイミングを計測する。
【0015】
なお、各PET検出器が有するシンチレータの厚さは、所定値以上のガンマ線の検出効率が得られるように、例えばLYSOなどでは厚さの合計が20mm以上となるように形成される。例えば、各PET検出器が有するLYSOシンチレータでは、厚さの合計が22mm程度になるように形成される。このとき、例えば、PET検出器14が有するシンチレータの厚さは、7mm〜12mm程度とするのが好適である。また、PET検出器15が有するシンチレータの厚さは、10mm〜15mm程度とするのが好適である。ただし、PET検出器14のシンチレータは、PET検出器15のシンチレータよりも薄いことが望ましい。
【0016】
また、PET検出器14が有するシンチレータは、PET検出器15が有するシンチレータよりもリングの軸方向の幅が同じ又は小さくなるように形成される。図2は、本実施例1に係るPET検出器14及びPET検出器15の断面図である。この図2は、PET検出器14が有する検出モジュールのシンチレータ14aと、PET検出器15が有する検出モジュールのシンチレータ15aとを示している。
【0017】
例えば、図2に示すように、PET検出器14が有するシンチレータ14aは、PET検出器15が有するシンチレータ15aよりもリングの軸方向の幅が小さくなるように形成され、図1に示すような角度で見た場合の周方向の幅も同様に小さくなるように形成される。すなわち、内側に位置するPET検出器14についてはシンチレータの配置面密度が高くなり、ピクセル単位が細かくなる。また、外側に位置するPET検出器15についてはシンチレータの配置面密度が低くなり、ピクセル単位が粗くなる。また、シンチレータ14aの材質とシンチレータ15aの材質は互いに異なるものであってもよい。
【0018】
このように、PET検出器を2重に配置することで、ガンマ線の検出確率を高めることができる。そして、内側のPET検出器についてはシンチレータを薄く、かつ幅を小さくしてピクセル単位を細かくすることで、PET画像の画質を高めることができる。また、外側のPET検出器についてはピクセル単位を粗くすることで、PET検出器の製造コストを抑えることができる。
【0019】
また、図2に示すように、PET検出器15の軸方向の長さは、PET検出器14よりも長くするのが望ましい。これにより、PET検出器15によって、PET検出器14内で発生したガンマ線の散乱線がより確実に検出されるようになる。
【0020】
また、図2では、PET検出器14とPET検出器15との間に隙間が形成されるように、それぞれのPET検出器を配置した場合を示した。しかし、必ずしも、PET検出器14とPET検出器15との間に隙間を設ける必要はない。この隙間を小さくする場合、例えば、外側のPET検出器15の厚さを保ちつつPET検出器15のリング径を小さくすれば、ガンマ線の検出率を維持しつつ、PET検出器15に用いられるシンチレータの体積を小さくすることができるので、作製コストを減らすことができる。また、内側のPET検出器15のリング径を大きくすれば、被検体が配置される空間を広くすることができるので、体格の大きな被検体を診断することができるようになる。
【0021】
なお、PET検出器14及び15が有する各検出モジュールは、ノイズ変化や経時変化などによる出力の変化に対応するため、定期的にキャリブレーションが行われる。ここでいうキャリブレーションには、例えば、エネルギー・キャリブレーションやタイム・キャリブレーションがある。エネルギー・キャリブレーションとは、各検出モジュールのゲインとオフセットを調整して揃えることである。また、タイム・キャリブレーションとは、各検出モジュールがガンマ線を検出した際に出力される時間情報の出力タイミングを検出器モジュール間で揃えることである。
【0022】
図1の説明にもどって、計数情報収集部16は、PET検出器14及び15それぞれの計数結果に基づく情報を計数情報として収集する。具体的には、計数情報収集部16は、PET検出器14により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集する。また、計数情報収集部16は、PET検出器15により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。そして、計数情報収集部16は、PET検出器14及び15が有する検出器モジュールごとに計数情報を収集し、収集した計数情報を後述するコンソール装置20に送信する。
【0023】
まず、計数情報収集部16は、PET検出器がライトガイドを有する場合、各検出器モジュールの計数結果から検出シンチレータの位置を収集するために、アンガー型位置計算処理を行なう。あるいは、計数情報収集部16は、検出器モジュールの光電子増倍管が位置検出型光電子増倍管である場合には、検出シンチレータ及びその内部での発光位置の収集を位置検出型光電子増倍管で行なう。その場合、計数情報収集部16は、シンチレータのシンチレーション光を同じ検出時間帯に電気信号に変換出力した各光電子増倍管の位置および電気信号の強度から重心の位置を演算することで、ガンマ線が入射したシンチレータの位置を示すシンチレータ番号(P)を決定する。また、計数情報収集部16は、各光電子増倍管が出力した電気信号の強度を加算することで、検出器モジュールに入射したガンマ線の全エネルギー値(E)を決定する。また、計数情報収集部16は、検出器モジュールがガンマ線を検出した検出時間(T)も収集する。
【0024】
なお、検出時間(T)は、絶対時間である場合であってもよいし、PET画像の撮影開始時点からの相対時間であってもよい。ここで、時間は時刻でもカウンターのカウント数でもよい。いずれの場合でも、計数情報収集部16は、検出時間(T)を、例えば、10−12秒(psec)単位の精度にて収集する。かかる処理により、計数情報収集部16は、検出器モジュールを一意に特定するための「モジュールID」に対応付けた『「P:シンチレータ番号」、「E:エネルギー値」および「T:検出時間」』を計数情報として収集する。
【0025】
コンソール装置20は、操作者によるPET装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された計数情報からPET画像を再構成する。例えば、コンソール装置20は、入力部21と、表示部22と、寝台制御部23と、計数情報記憶部24と、エネルギー値加算部25と、同時計数情報生成部26と、画像再構成部27と、データ記憶部28と、システム制御部29とを有する。なお、コンソール装置20が有する各部は、内部バスを介して接続される。
【0026】
入力部21は、PET装置の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボードなどを有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御部29に転送する。例えば、入力部21は、操作者からPET画像を再構成する際の再構成条件や、画像補正を行なうための補正条件などを受け付ける。
【0027】
表示部22は、操作者によって参照されるモニタであり、システム制御部29による制御のもと、PET画像を操作者に表示したり、入力部21を介して操作者から各種指示や各種設定などを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
【0028】
寝台制御部23は、寝台駆動部13を制御することで、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動させる。
【0029】
計数情報記憶部24は、計数情報収集部16により収集された検出器モジュールごとの第1計数情報及び第2計数情報を記憶する。図3は、本実施例1に係る計数情報記憶部24により記憶される第1計数情報の一例を示す図である。また、図4は、本実施例1に係る計数情報記憶部24により記憶される第2計数情報の一例を示す図である。図3及び4において、「P」、「E」および「T」は、それぞれ「シンチレータ番号」、「エネルギー値」および「検出時間」を示す。
【0030】
例えば、計数情報記憶部24は、図3に示すように、PET検出器14が有する「モジュールID:D11」の検出器モジュールによる計数結果から収集された第1計数情報として、「P:P111、E:E111、T:T111」や「P:P112、E:E112、T:T112」などを記憶する。また、計数情報記憶部24は、PET検出器14が有する「モジュールID:D12」や「モジュールID:D13」などの検出器モジュールによる計数結果から収集された第1計数情報についても同様に記憶する。
【0031】
また、例えば、計数情報記憶部24は、図4に示すように、PET検出器15が有する「モジュールID:D21」の検出器モジュールによる計数結果から収集された第2計数情報として、「P:P211、E:E211、T:T211」や「P:P212、E:E212、T:T212」などを記憶する。また、計数情報記憶部24は、PET検出器15が有する「モジュールID:D22」や「モジュールID:D23」などの検出器モジュールによる計数結果から収集された第2計数情報についても同様に記憶する。
【0032】
図1の説明にもどって、エネルギー値加算部25は、第1計数情報に含まれる検出時間と第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。
【0033】
例えば、エネルギー値加算部25は、操作者が入力部21を介して入力した近傍条件に基づいて、PET検出器14に対する近傍条件を満たすPET検出器15を検索する。近傍条件は、例えば、シンチレーション光を検出したPET検出器14のシンチレータのすぐ外側にあるPET検出器15のシンチレータの両側2個ずつ計5個のシンチレータとする。
【0034】
具体的には、エネルギー値加算部25は、操作者が入力部21を介して入力した再構成条件に含まれる時間ウィンドウ幅に基づいて、補正計数情報を生成する。ここでいう時間ウィンドウ幅の値としては、例えば、検出器の時間分解能(FWHM)である600psecなどが指定される。例えば、エネルギー値加算部25は、図3に示した第1計数情報と図4に示した第2計数情報とを参照して、検出時間(T)の差が「時間ウィンドウ幅:600psec」以内である第1計数情報と第2計数情報との組み合わせで且つ前記近傍条件を満たす組み合わせを検索する。
【0035】
ガンマ線は、薬剤から放出された陽電子が電子と結合して対消滅する際にほぼ反対方向に放出されるので、1回のガンマ線の発生においてPET検出器14に含まれる2つのシンチレータと相互作用を起こすことになり、第1計数情報には2つの情報が含まれる可能性が高い。このようにして、2つの情報が含まれる場合は、その情報はほぼ180度対向する検出器モジュールから得られる。
【0036】
一方、第2計数情報には、1回の対消滅により発生したガンマ線がPET検出器14に含まれるシンチレータを通過するときに、散乱したガンマ線の情報が含まれる確率が高くなる。このとき、600psecのウィンドウ幅の条件と近傍条件とを適用することで、第1計数情報及び第2計数情報の中から、対消滅位置から1方向へ飛行し相互作用を起こしたガンマ線のペアとなる情報を選択することができる。
【0037】
なお、時間ウィンドウは規準クロックに基づき、PET検出器14の第1計数情報の発生が観測された時点で600psec幅の時間ウィンドウを生成するようにしてもよい。あるいは、例えば200psec幅の時間ウィンドウが連続して生成されるようにし、第1計数情報の発生が観測された時点から下流側3つの時間ウィンドウを含む計4つの時間ウィンドウを1つの時間ウィンドウとみなすようにしてもよい。この場合、時間ウィンドウ幅は、600psecから800psecの間となる。
【0038】
そして、エネルギー値加算部25は、検索により得られたウィンドウごとに、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで補正計数情報を生成する。このとき、エネルギー値加算部25は、加算した補正計数情報に基づいて、補正計数情報に含まれるエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との比較を行い、所定エネルギー差内に含まれる補正計数情報のみを選択データとして残す。その後、エネルギー値加算部25は、そのように抽出した補正計数情報をデータ記憶部28に格納する。
【0039】
図5は、本実施例1に係るエネルギー値加算部25により生成される補正計数情報の一例を示す図である。図5に示すように、例えば、エネルギー値加算部25は、図3に示した第1計数情報「P:P111、E:E111、T:T111」と図4に示した第2計数情報「P:P211、E:E211、T:T211」との組み合わせから、補正計数情報として「P:P111、E:E111+E211、T:T111」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部25は、補正計数情報として、「P:P112、E:E112+E212、T:T112」や「P:P113、E:E113+E213、T:T113」なども生成する。
【0040】
また、例えば、エネルギー値加算部25は、第1計数情報「P:P151、E:E151、T:T151」と第2計数情報「P221、E:E221、T:T221」との組み合わせから、補正計数情報として「P:P151、E:E151+E221、T:T151」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部25は、補正計数情報として、「P:P152、E:E152+E222、T:T152」や「P:P153、E:E153+E223、T:T153」なども生成する。
【0041】
なお、PET検出器14に含まれる1つのシンチレータを通過したガンマ線は、散乱などにより、PET検出器15に含まれる複数のシンチレータによって検出される場合もある。この場合には、エネルギー加算部25が時間ウィンドウ幅及び近傍条件に基づいて第1計数情報と第2計数情報のペアとなる組み合わせを検索した結果、1つの第1計数情報について、複数の異なる第2計数情報との組み合わせが検索されることになる。この場合には、エネルギー値加算部25は、第1計数情報に含まれるエネルギー値に各第2計数情報に含まれるエネルギー値をそれぞれ加算することで、補正計数情報を生成する。
【0042】
例えば、第1計数情報「P:P112、E:E112、T:T112」について、第2計数情報「P:P211、E:E211、T:T211」との組み合わせと、第2計数情報「P:P212、E:E212、T:T212」との組み合わせと、第2計数情報「P:P213、E:E213、T:T213」との組み合わせが検索されたとする。この場合には、エネルギー加算部25は、補正計数情報として「P:P112、E:E112+E211+E212+E213、T:T112」を生成する。
【0043】
このように、エネルギー値加算部25が、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、PET検出器15によって検出されたガンマ線のエネルギー値が、PET検出器14によって検出されたガンマ線のエネルギー値に加算されることになる。これにより、PET検出器14において検出されずに通過したガンマ線のエネルギー値を補償することができるようになる。
【0044】
図1の説明にもどって、同時計数情報生成部26は、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを、同時計数情報として生成する。ここで使用される時間情報はPET検出器14の時間情報である。ここで、ガンマ線とは、薬剤から放出された陽電子が電子と結合して消滅する際に、ほぼ反対方向に放出する511keVの一対のガンマ線である。
【0045】
具体的には、同時計数情報生成部26は、操作者が入力部21を介して入力した再構成条件に含まれる時間ウィンドウ幅とその開始時間とエネルギーウィンドウ幅とに基づいて、同時計数情報を生成する。ここでいう時間ウィンドウ幅の値としては、例えば、検出器の時間分解能と視野サイズを加味して4npsecなどが指定される。また、エネルギーウィンドウ幅の値としては、例えば、350keV〜650keVが指定される。
【0046】
例えば、同時計数情報生成部26は、データ記憶部28に記憶されている補正計数情報を参照して、検出時間(T)の差が「時間ウィンドウ幅:4npsec」以内であり、かつ、エネルギー値(E)がともに「エネルギーウィンドウ幅:350keV〜650keV」にある補正計数情報の組み合わせを検索する。そして、同時計数情報生成部26は、検索により得られた補正計数情報の組み合わせを対応付けて同時計数情報を生成する。その後、同時計数情報生成部26は、生成した同時計数情報を被検体Pの投影データ(サイノグラムデータ)、又はリストモードデータとして、データ記憶部28に格納する。
【0047】
図6は、本実施例1に係る同時計数情報生成部26により生成される同時計数情報の一例を示す図である。図6に示すように、例えば、同時計数情報生成部26は、図5に示した補正計数情報「P:P111、E:E111+E211、T:T111」と「P:P151、E:E151+E221、T:T151」との組み合わせを、2つの消滅フォトンが同時計数された情報である同時計数情報として生成する。同様に、例えば、同時計数情報生成部26は、同時計数情報として、「P:P112、E:E112+E212、T:T112」と「P:P132、E:E132+E232、T:T132」との組み合わせや、「P:P113、E:E113+E213、T:T113」と「P:P133、E:E133+E233、T:T133」との組み合わせなども生成する。
【0048】
なお、操作者は、時間ウィンドウ幅およびエネルギーウィンドウ幅以外にも、偶発同時計数を除外するためのランダム補正や、散乱したガンマ線の計数情報が同時計数情報として生成されることを除外するための散乱補正や、各検出器モジュール間の感度の違いを補正するための感度補正や、被検体Pの内部で減弱されるガンマ線のエネルギー値を補正するための減弱補正などを行なうためのパラメータも同時計数情報生成条件に組み込むことができる。
【0049】
図1の説明にもどって、画像再構成部27は、同時計数情報生成部26が生成した同時計数情報を投影データとしてデータ記憶部28から読み出して、読み出した投影データを逆投影処理することでPET画像を再構成する。また、画像再構成部27は、再構成したPET画像をデータ記憶部28に格納する。
【0050】
システム制御部29は、架台装置10およびコンソール装置20の動作を制御することによって、PET装置の全体制御を行う。具体的には、システム制御部29は、寝台12の移動や、計数情報収集部16における計数情報の収集処理を制御する。また、システム制御部29は、入力部21を介して入力された操作者からの設定情報に基づいて、同時計数情報生成部26における同時計数情報の生成処理や画像再構成部27におけるPET画像の再構成処理を制御する。また、システム制御部29は、データ記憶部28が記憶するPET画像を、表示部22に表示するように制御する。
【0051】
次に、本実施例1に係るPET装置100によるPET画像の撮像の流れについて説明する。図7は、本実施例1に係るPET装置100によるPET画像の撮像の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、PET装置100は、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動した後に、入力部21を介して操作者から撮像開始指示を受け付けると(ステップS101,Yes)、以下の処理を実行する。
【0052】
まず、計数情報収集部16が、PET検出器14により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集する。また、計数情報収集部16は、PET検出器15により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する(ステップS102)。
【0053】
続いて、エネルギー値加算部25が、第1計数情報に含まれる検出時間と第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第1計数情報に含まれるエネルギー値に近傍条件を満たし且つ同一時間ウィンドウ内で発生した第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する(ステップS103)。
【0054】
続いて、同時計数情報生成部26が、エネルギー値加算部25により生成された補正計数情報に基づいて、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する(ステップS104)。ここで使用される時間情報はPET検出器14の時間情報である。
【0055】
そして、画像再構成部27が、同時計数情報生成部26により生成された同時計数情報をもとにTOF技術などを用いて消滅放射線の発生位置を求め、その多数のデータの集合から投影データとしてPET画像を再構成する(ステップS105)。再構成されたPET画像は、表示部22に表示される。
【0056】
上述したように、本実施例1に係るPET装置100は、PET検出器14と、PET検出器15と、計数情報収集部16と、エネルギー値加算部25と、同時計数情報生成部26と、画像再構成部27とを有する。PET検出器14は、リング状に形成され、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。PET検出器15は、リング状に形成され、PET検出器14の外周側に設けられ、PET検出器14を通過したガンマ線を検出する。計数情報収集部16は、PET検出器14により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、PET検出器15により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。エネルギー値加算部25は、第1計数情報に含まれる検出時間と第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。同時計数情報生成部26は、エネルギー値加算部25により生成された補正計数情報に基づいて、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。ここで使用される時間情報はPET検出器14の時間情報である。画像再構成部27は、同時計数情報生成部26により生成された同時計数情報を投影データとしてPET画像を再構成する。すなわち、本実施例1では、内側のPET検出器14によってPET画像の画質が担保され、外側のPET検出器15によってガンマ線の検出効率が担保される。したがって、本実施例1によれば、撮像されるPET画像の画質を向上させることが可能になる。
【0057】
なお、本実施例1では、エネルギー値加算部25が、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、内側のPET検出器14によって検出しきれなかったガンマ線のエネルギー値を外側のPET検出器15によって補償する場合について説明した。
【0058】
しかしながら、例えば、PET検出器14によって検出されずに通過したガンマ線が先にPET検出器15によって検出され、その後、PET検出器15のシンチレータで反射してPET検出器14によって検出されることもあり得る。そこで、例えば、外側のPET検出器15によって検出しきれなかったガンマ線のエネルギー値を内側のPET検出器14によって補償するようにしてもよい。
【0059】
この場合には、エネルギー値加算部25は、実施例1で説明したように、内側のPET検出器14に対する近傍条件を満たすPET検出器15を検索して、「内側のPET検出器14を基準とした補正計数情報」を生成する(図5を参照)。
【0060】
また、エネルギー値加算部25は、さらに、外側のPET検出器15に対する近傍条件を満たすPET検出器14を検索して、「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」を生成する。ここで、PET検出器15に対する近傍条件は、例えば、シンチレーション光を検出したPET検出器15のシンチレータのすぐ内側にあるPET検出器14のシンチレータの両側2個ずつ計5個のシンチレータとする。
【0061】
このとき、エネルギー値加算部25は、例えば、図3に示した第1計数情報と図4に示した第2計数情報とを参照して、検出時間(T)の差が「時間ウィンドウ幅:600psec」以内である第1計数情報と第2計数情報との組み合わせであり、かつ、PET検出器15に対する近傍条件を満たす組み合わせを検索する。
【0062】
そして、エネルギー値加算部25は、検索により得られた組み合わせごとに、第2計数情報に含まれるエネルギー値に第1計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで補正計数情報を生成する。このとき、エネルギー値加算部25は、加算した補正計数情報に基づいて、補正計数情報に含まれるエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との比較を行い、エネルギー値の差が所定値以内である補正計数情報のみを選択データとして残す。その後、エネルギー値加算部25は、このように抽出した補正計数情報を「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」としてデータ記憶部28に格納する。
【0063】
図8は、本実施例1に係るエネルギー値加算部25により生成される補正計数情報の他の例を示す図である。図8に示すように、例えば、エネルギー値加算部25は、第2計数情報「P:P241、E:E241、T:T241」と第1計数情報「P:P161、E:E161、T:T161」との組み合わせから、補正計数情報として「P:P241、E:E241+E161、T:T241」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部25は、補正計数情報として、「P:P251、E:E251+E181、T:T251」や「P:P261、E:E261+E191、T:T261」なども生成する。
【0064】
このように、エネルギー値加算部25が、第2計数情報に含まれるエネルギー値に第1計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、PET検出器14によって検出されたガンマ線のエネルギー値がPET検出器15によって検出されたガンマ線のエネルギー値に加算されることになる。これにより、PET検出器15によって検出しきれなかったガンマ線のエネルギー値をPET検出器14によって補償することができるようになる。
【0065】
また、本実施例1では、エネルギー値加算部25が、第1計数情報のエネルギー値と第2計数情報のエネルギー値とを加算して得られる補正計数情報のエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との比較を行って、エネルギーの差が所定値以内である補正計数情報を抽出する場合について説明した。
【0066】
しかしながら、例えば、第1計数情報のエネルギー値又は第2計数情報のエネルギー値の一方のみで、陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内となる場合もあり得る。このような場合には、例えば、エネルギー値加算部25は、第1計数情報のエネルギー値又は第2計数情報のエネルギー値の一方のみを用いて、補正計数情報を生成するようにしてもよい。
【0067】
図9及び10は、本実施例1に係るエネルギー値加算部25により生成される補正計数情報の他の例を示す図である。図9に示すように、例えば、エネルギー値加算部25は、「内側のPET検出器14を基準とした補正計数情報」を生成する際に、図3に示した第1計数情報「P:P112、E:E112、T:T112」において、E112のエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内であった場合には、E112のエネルギー値のみを用いて、補正情報として「P:P112、E:E112、T:T112」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部25は、図3に示した第1計数情報「P:P131、E:E131、T:T131」において、E132のエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内であった場合には、E132のエネルギー値のみを用いて、補正情報として「P:P131、E:E131、T:T131」を生成する。
【0068】
また、図10に示すように、例えば、エネルギー値加算部25は、「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」を生成する際に、第2計数情報「P:P242、E:E242、T:T242」において、E242のエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内であった場合には、E242のエネルギー値のみを用いて、補正情報として「P:P242、E:E242、T:T242」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部25は、第2計数情報「P:P252、E:E252、T:T252」において、E252のエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内であった場合には、E252のエネルギー値のみを用いて、補正情報として「P:P252、E:E252、T:T252」を生成する。
【0069】
なお、ここで説明したように、エネルギー値加算部25が、「内側のPET検出器14を基準とした補正計数情報」と「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」とをそれぞれ生成した場合には、同時計数情報生成部26は、「内側のPET検出器14を基準とした補正計数情報」又は「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」のいずれか一方を参照し、検出時間(T)が所定の時間ウィンドウ幅以内であり、かつ、エネルギー値(E)がともに所定のエネルギーウィンドウ幅以内である補正計数情報の組み合わせを検索して、同時計数情報を生成する。または、エネルギー値加算部25は、「内側のPET検出器14を基準とした同時計数情報」及び「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」の両方を参照して、同時計数情報を生成してもよい。
【実施例2】
【0070】
次に、実施例2として、PET−MRI装置の実施例を説明する。図11は、本実施例2に係るPET−MRI装置200の構成を示す図である。図11に示すように、このPET−MRI装置200は、静磁場磁石31、寝台32、傾斜磁場コイル33、傾斜磁場コイル駆動回路34、送信用高周波コイル35、送信部36、受信用高周波コイル37、受信部38、MRデータ収集部39、PET検出器用電源40、PET検出器41〜44、計数情報収集部45、計算機46、及びシーケンスコントローラ47を有する。
【0071】
静磁場磁石31は、略円筒状のボア内に静磁場を発生させる。ここで、ボアは、静磁場磁石31や傾斜磁場コイル33などを収容する略円筒状の架台の内壁として形成される。寝台32は、被検体Pが載せられる天板32aを有する。この寝台32は、撮像時には、天板32aをボア内へ移動することで、被検体Pを静磁場内に移動する。
【0072】
傾斜磁場コイル33は、被検体Pに対して、磁場強度がX,Y,Z方向に直線的に変化する傾斜磁場Gx,Gy,Gzを印加する。この傾斜磁場コイル33は、略円筒状に形成され、静磁場磁石31の内周側に配置される。傾斜磁場コイル駆動回路34は、シーケンスコントローラ47による制御のもと、傾斜磁場コイル33を駆動する。
【0073】
送信用高周波コイル35は、送信部36から送信される高周波パルスに基づいて、静磁場内に置かれた被検体Pに高周波磁場を印加する。この送信用高周波コイル35は、略円筒状に形成され、傾斜磁場コイル33の内周側に配置される。送信部36は、シーケンスコントローラ47による制御のもと、送信用高周波コイル35に高周波パルスを送信する。
【0074】
受信用高周波コイル37は、高周波磁場及び傾斜磁場の印加により被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を検出する。例えば、受信用高周波コイル37は、撮像対象の部位に応じて被検体Pの表面に配置される表面コイルである。例えば、被検体Pの体部が撮像される場合には、2つの受信用高周波コイル37が被検体の上部及び下部に配置される。受信部38は、シーケンスコントローラ47による制御のもと、受信用高周波コイル37によって検出された磁気共鳴信号を受信する。そして、受信部38は、受信した磁気共鳴信号をMRデータ収集部39に送る。
【0075】
MRデータ収集部39は、シーケンスコントローラ47による制御のもと、受信部38から送られた磁気共鳴信号を収集する。そして、MRデータ収集部39は、収集した磁気共鳴信号を増幅及び検波した後にA/D変換し、計算機46に送る。PET検出器用電源40は、例えば光電子増倍管などの光検出器を駆動するための電力をPET検出器41〜44に供給する。
【0076】
PET検出器41〜44は、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を計数情報として検出する。これらPET検出器41〜44は、リング状に形成され、送信用高周波コイル35の内周側に配置される。例えば、PET検出器41〜44は、シンチレータと光検出器とを有する検出器モジュールをリング状に多数配置することで形成される。ここで、シンチレータは、例えば、LYSO、LSO、LGSOなどである。また、光検出器は、例えば、APD(Avalanche Photodiode)素子を有するSiPM(Silicon Photomultiplier)などの半導体検出器である。そして、PET検出器41〜44は、検出した計数情報を計数情報収集部45に送る。
【0077】
ここで、PET検出器41〜44の配置について詳細に説明する。図12は、本実施例2に係るPET検出器41〜44の配置を示す図である。なお、図12示す点48は、静磁場の磁場中心を示している。また、図12では、送信用高周波コイル35については図示を省略している。
【0078】
図12に示すように、PET検出器41〜44は、各々ボア49の軸方向に並ぶ検出器モジュールをボア49と同軸の円筒面に沿って密に配設して形成され、ボア49内に配置される。ここで、PET検出器42は、PET検出器41の外周側に設けられる。このPET検出器42は、PET検出器41を通過したガンマ線を検出する。また、PET検出器43は、PET検出器41との間に静磁場の磁場中心を挟むように、ボア49の軸方向に沿ってPET検出器41から間隔を開けて配置される。また、PET検出器44は、PET検出器43の外周側に設けられる。このPET検出器44は、PET検出器43を通過したガンマ線を検出する。
【0079】
なお、各PET検出器が有するシンチレータの厚さは、所定値以上のガンマ線の検出効率が得られるように、例えばLYSOなどでは厚さの合計が20mm以上となるように形成される。例えば、各PET検出器が有するLYSOシンチレータでは、厚さの合計が22mm程度になるように形成される。このとき、例えば、PET検出器41及び43が有するシンチレータの厚さは、7mm〜12mm程度とするのが好適である。また、PET検出器42及び44が有するシンチレータの厚さは、10mm〜15mm程度とするのが好適である。ただし、PET検出器41及び43のシンチレータは、PET検出器42及び44のシンチレータよりも薄いことが望ましい。
【0080】
また、図12に示すように、本実施例2でも、内側に配置されるPET検出器41及び43が有するシンチレータは、外側に配置されるPET検出器42及び44が有するシンチレータよりもリングの軸方向の幅が同じ又は小さくなるように形成される。
【0081】
例えば、図12に示すように、PET検出器41及び43が有するシンチレータの各々は、PET検出器42及び44が有するシンチレータよりもリングの軸方向の幅が小さくなるように形成され、図1に示すような角度で見た場合の周方向の幅も同様に小さくなるように形成される。すなわち、内側に位置するPET検出器41及び43についてはシンチレータの配置面密度が高なり、ピクセル単位が細かくなる。また、外側に位置するPET検出器42及び44についてはシンチレータの配置面密度が低くなり、ピクセル単位が粗くなる。また、PET検出器41及び43が有するシンチレータの材質とPET検出器42及び44が有するシンチレータの材質は互いに異なるものであってもよい。
【0082】
このように、PET検出器を2重に配置することで、ガンマ線の検出確率を高めることができる。そして、内側のPET検出器についてはシンチレータを薄く、かつ幅を小さくしてピクセル単位を細かくすることで、PET画像の画質を高めることができる。また、外側のPET検出器についてはピクセル単位を粗くすることで、PET検出器の製造コストを抑えることができる。
【0083】
図11の説明にもどって、計数情報収集部45は、シーケンスコントローラ47による制御のもと、PET検出器41〜44それぞれの計数結果に基づく情報を計数情報として収集する。この計数情報収集部45は、実施例1における計数情報収集部16と同様に、検出器モジュールを一意に特定するための「モジュールID」に対応付けた『「P:シンチレータ番号」、「E:エネルギー値」および「T:検出時間」』を計数情報として収集する。
【0084】
具体的には、計数情報収集部45は、PET検出器41により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集する。また、計数情報収集部45は、PET検出器42により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。また、計数情報収集部45は、PET検出器43により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第3計数情報として収集する。また、計数情報収集部45は、PET検出器44により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第4計数情報として収集する。
【0085】
計算機46は、操作者から各種操作を受け付け、受け付けた操作に基づいてPET−MRI装置200全体を制御する。例えば、計算機46は、MRデータ収集部39から送られた磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成する。また、計算機46は、計数情報収集部45によって収集された計数情報に基づいて、PET画像を再構成する。シーケンスコントローラ47は、撮像時に実行される各種撮像シーケンスに基づいて上記各部を制御することで、PET画像及びMR画像の撮像を実行する。
【0086】
なお、ここでは、上記各部を1台の計算機46が有する場合について説明した。しかし、例えば、計算機46の負荷を考慮し、複数の計算機が上記各部を分散して有するようにしてもよい。例えば、2台の計算機を用いて、一方の計算機がPET撮像に関する機能部を有し、他方の計算機がMR撮像に関する機能部を有するようにしてもよい。
【0087】
次に、図11に示した計算機46について詳細に説明する。図13は、本実施例2に係る計算機46の構成を示す機能ブロック図である。図13に示すように、計算機46は、入力部46aと、表示部46bと、計数情報記憶部46cと、エネルギー値加算部46dと、同時計数情報生成部46eと、PET画像再構成部46fと、MR画像再構成部46gと、データ記憶部46hと、システム制御部46iとを有する。なお、計算機46が有する各部は、内部バスを介して接続される。
【0088】
入力部46aは、PET−MRI装置200の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボードなどを有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御部46iに転送する。例えば、入力部46aは、操作者からPET画像を再構成する際の再構成条件や、画像補正を行なうための補正条件などを受け付ける。または、入力部46aは、MR画像の撮像に関する撮像条件などを受け付ける。
【0089】
表示部46bは、操作者によって参照されるモニタであり、システム制御部46iによる制御のもと、PET画像やMR画像を表示したり、入力部46aを介して操作者から各種指示や各種設定などを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
【0090】
計数情報記憶部46cは、計数情報収集部45により収集された検出器モジュールごとの第1計数情報、第2計数情報、第3計数情報、及び第4計数情報を記憶する。例えば、計数情報記憶部46cは、PET検出器41が有する検出器モジュールによる計数結果から収集された第1計数情報として、図3に示した第1計数情報と同様の情報を記憶する。また、例えば、計数情報記憶部46cは、PET検出器42が有する検出器モジュールによる計数結果から収集された第2計数情報として、図3に示した第2計数情報と同様の情報を記憶する。
【0091】
そして、計数情報記憶部46cは、さらに第3計数情報及び第4計数情報も記憶する。図14は、本実施例2に係る計数情報記憶部46cにより記憶される第3計数情報の一例を示す図である。また、図15は、本実施例2に係る計数情報記憶部46cにより記憶される第4計数情報の一例を示す図である。図14及び15において、「P」、「E」および「T」は、それぞれ「シンチレータ番号」、「エネルギー値」および「検出時間」を示す。
【0092】
例えば、計数情報記憶部46cは、図14に示すように、PET検出器43が有する「モジュールID:D31」の検出器モジュールによる計数結果から収集された第3計数情報として、「P:P311、E:E311、T:T311」や「P:P312、E:E312、T:T312」などを記憶する。また、計数情報記憶部46cは、PET検出器43が有する「モジュールID:D32」や「モジュールID:D33」などの検出器モジュールによる計数結果から収集された第3計数情報についても同様に記憶する。
【0093】
また、例えば、計数情報記憶部46cは、図15に示すように、PET検出器44が有する「モジュールID:D41」の検出器モジュールによる計数結果から収集された第4計数情報として、「P:P411、E:E411、T:T411」や「P:P412、E:E412、T:T412」などを記憶する。また、計数情報記憶部46cは、PET検出器44が有する「モジュールID:D42」や「モジュールID:D43」などの検出器モジュールによる計数結果から収集された第4計数情報についても同様に記憶する。
【0094】
図13の説明にもどって、エネルギー値加算部46dは、計数情報記憶部46cに記憶された計数情報に基づいて、補正計数情報を生成する。このエネルギー値加算部46dは、実施例1におけるエネルギー値加算部25と同様に、操作者が入力部46aを介して入力した再構成条件に含まれる時間ウィンドウ幅に基づいて、補正計数情報を生成する。
【0095】
具体的には、エネルギー値加算部46dは、同一時間ウィンドウ内に発生した第1計数情報に含まれるエネルギー値と第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第1補正計数情報を生成する。さらに、エネルギー値加算部46dは、同一時間ウィンドウ内に発生した第3計数情報に含まれるエネルギー値と第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第2補正計数情報を生成する。そして、エネルギー値加算部46dは、生成した各補正計数情報をデータ記憶部46hに格納する。
【0096】
具体的には、エネルギー値加算部46dは、前記の如く、第1計数情報と第2計数情報との組み合わせで且つ前記近傍条件を満たす組み合わせを検索し、エネルギー値を加算して第1補正計数情報のエネルギー値を求める。また、エネルギー値加算部46dは、第3計数情報と第4計数情報との組み合わせで且つ前記近傍条件を満たす組み合わせを同様に検索し、エネルギー値を加算して第2補正計数情報のエネルギー値を求める。次に、エネルギー値加算部46dは、各々の加算した補正計数情報のエネルギー値に基づいて、陽電子放出核種から放出される消滅放射線のエネルギーとの比較を行い、所定エネルギー差内に含まれる補正計数情報のみを選択データとして残す。
【0097】
図16は、本実施例2に係るエネルギー値加算部46dにより生成される第1補正計数情報の一例を示す図である。図16に示すように、例えば、エネルギー値加算部46dは、図3に示した第1計数情報「P:P111、E:E111、T:T111」と図4に示した第2計数情報「P:P211、E:E211、T:T211」との組み合わせから、第1補正計数情報として「P:P111、E:E111+E211、T:T111」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部46dは、第1補正計数情報として、「P:P112、E:E112+E212、T:T112」や「P:P113、E:E113+E213、T:T113」なども生成する。
【0098】
また、例えば、エネルギー値加算部46dは、第1計数情報「P:P151、E:E151、T:T151」と第2計数情報「P:P221、E:E221、T:T221」との組み合わせから、第1補正計数情報として「P:P151、E:E151+E221、T:T151」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部46dは、第1補正計数情報として、「P:P152、E:E152+E222、T:T152」や「P:P153、E:E153+E223、T:T153」なども生成する。
【0099】
図17は、本実施例2に係るエネルギー値加算部46dにより生成される第2補正計数情報の一例を示す図である。図17に示すように、例えば、エネルギー値加算部46dは、図14に示した第3計数情報「P:P311、E:E311、T:T311」と図15に示した第4計数情報「P411、E:E411、T:T411」との組み合わせから、第2補正計数情報として「P:P311、E:E311+E411、T:T311」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部46dは、第2補正計数情報として、「P:P312、E:E312+E412、T:T312」や「P:P313、E:E313+E413、T:T313」なども生成する。
【0100】
また、例えば、エネルギー値加算部46dは、第3計数情報「P:P351、E:E351、T:T351」と第4計数情報「P421、E:E421、T:T421」との組み合わせから、第2補正計数情報として「P:P351、E:E351+E421、T:T351」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部46dは、第2補正計数情報として、「P:P352、E:E352+E422、T:T352」や「P:P353、E:E353+E423、T:T353」なども生成する。
【0101】
このように、エネルギー値加算部46dが、同一時間ウィンドウ内に発生した第1計数情報に含まれるエネルギー値と第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、PET検出器42によって検出されたガンマ線のエネルギー値が、PET検出器41によって検出されたガンマ線のエネルギー値に加算されることになる。また、エネルギー値加算部46dが、同一時間ウィンドウ内に発生した第3計数情報に含まれるエネルギー値に第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、PET検出器43によって検出されたガンマ線のエネルギー値が、PET検出器44によって検出されたガンマ線のエネルギー値に加算されることになる。これにより、PET検出器41及び43において検出されずに通過したガンマ線のエネルギー値を補償することができるようになる。
【0102】
図13の説明にもどって、同時計数情報生成部46eは、ガンマ線を略同時に検出した補正計数情報又は計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。この同時計数情報生成部46eは、実施例1における同時計数情報生成部26と同様に、操作者が入力部21を介して入力した再構成条件に含まれる時間ウィンドウ幅とその開始時間とエネルギーウィンドウ幅とに基づいて、同時計数情報を生成する。
【0103】
ここでは、同時計数情報生成部46eは、第1補正計数情報と第2補正計数情報に基づいて、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。
【0104】
さらに、同時計数情報生成部46eは、同時計数情報として求めた補正計数情報について、ガンマ線を略同時に検出した第1補正計数情報の第1計数情報と第2計数情報と、第2補正計数情報の第3計数情報と第4計数情報を同時計数情報として生成する。また、同時計数情報生成部46eは、時間情報として第1補正計数情報の計数情報と第2補正計数情報の計数情報の組み合わせも同時計数情報として生成する。さらに、同時計数情報生成部46eは、第3計数情報と第4計数情報の一方と第1補正計数情報との組み合わせ、あるいは、第1計数情報と第2計数情報の一方と第2補正計数情報との組み合わせを同時計数情報として生成することもできる。そして、同時計数情報生成部26は、生成した同時計数情報を被検体Pの投影データ(サイノグラムデータ)、又はリストモードデータとして、フラッグ付けしてデータ記憶部46hに格納する。
【0105】
なお、同時計数情報生成部46eは、同時計数情報を生成する際に、第1補正計数情報と第2補正計数情報のうち、いずれか一方の2つの計数情報を組み合わせたもの、さらに4つの計数情報を組み合わせたものである場合には、ノイズとなるデータがより除外されている分だけ高分解能なPET画像が得られる情報であることを示す高分解能識別情報を同時計数情報に関連付けてデータ記憶部46hに格納する。なお、いずれの組み合わせを選択するかは、計算機46の処理能力や処理時間により決定する。
【0106】
さらに、同時計数情報生成部46eは、同時計数情報を生成する際に、その同時計数情報がMR画像の有効撮像領域内を通過したガンマ線に関するものであった場合には、MR画像とPET画像とを同時に撮像可能な領域に関する情報であることを示す同時撮像識別情報を同時計数情報に関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0107】
例えば、同時計数情報生成部46eは、同時計数情報を生成する際に、その同時計数情報が第1補正計数情報と第4計数情報とを組み合わせたものであるか、又は、第3補正計数情報と第2計数情報とを組み合わせたものである場合には、同時撮像識別情報を同時計数情報に関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0108】
なお、近年、一対の消滅ガンマ線の検出時間差を利用して、ガンマ線が放出された位置を正確に特定するTOF(Time Of Flight)と呼ばれる技術が知られている。そこで、例えば、同時計数情報生成部46eが、同時計数情報が第1補正計数情報と第4計数情報とを組み合わせたもの、又は、第3補正計数情報と第2計数情報とを組み合わせたものであった場合に、TOFなどを利用してガンマ線が放出された位置を特定し、特定した位置がPET検出器41とPET検出器43との間に挟まれる領域内であった場合に、同時撮像識別情報を同時計数情報に関連付けるようにしてもよい。
【0109】
図18は、本実施例2に係る同時計数情報生成部46eにより生成される同時計数情報の一例を示す図である。図18に示すように、例えば、同時計数情報生成部46eは、図16に示した第1補正計数情報「P:P111、E:E111+E211、T:T111」と「P:P151、E:E151+E221、T:T151」との組み合わせを、同時計数情報として生成する。なお、この場合には、同時計数情報生成部46eは、生成した同時計数情報に高分解能識別情報を関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0110】
また、例えば、同時計数情報生成部46eは、図17に示した第2補正計数情報「P:P311、E:E311+E411、T:T311」と「P:P351、E:E351+E421、T:T351」との組み合わせを、同時計数情報として生成する。なお、この場合には、同時計数情報生成部46eは、生成した同時計数情報に高分解能識別情報を関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0111】
また、例えば、同時計数情報生成部46eは、図16に示した第1補正計数情報「P:P152、E:E152+E222、T:T152」と図17に示した第2補正計数情報「P:P352、E:E352+E422、T:T352」との組み合わせを、同時計数情報として生成する。なお、この場合には、同時計数情報生成部46eは、生成した同時計数情報に高分解能識別情報及び同時撮像識別情報を関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0112】
また、例えば、同時計数情報生成部46eは、図16に示した第1補正計数情報「P:P112、E:E112+E212、T:T112」と図15に示した第4計数情報「P:P412、E:E412、T:T412」との組み合わせを、同時計数情報として生成する。なお、この場合には、同時計数情報生成部46eは、生成した同時計数情報に同時撮像識別情報を関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0113】
また、例えば、同時計数情報生成部46eは、図17に示した第2補正計数情報「P:P312、E:E312+E412、T:T312」と図4に示した第2計数情報「P:P212、E:E212、T:T212」との組み合わせを、同時計数情報として生成する。なお、この場合には、同時計数情報生成部46eは、生成した同時計数情報に同時撮像識別情報を関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0114】
なお、図18では、同時計数情報、高分解能識別情報、及び同時撮像識別情報をそれぞれ対応付けて1つの情報にした場合の例を示したが、それぞれの情報は互いに関連付けられて別々のテーブルに記憶されてもよい。
【0115】
図13の説明にもどって、PET画像再構成部46fは、同時計数情報生成部46eが生成した同時計数情報を投影データとしてデータ記憶部46hから読み出して、読み出した投影データを逆投影処理することでPET画像を再構成する。また、PET画像再構成部46fは、再構成したPET画像をデータ記憶部46hに格納する。
【0116】
図19は、本実施例2に係るPET画像再構成部46fにより再構成されるPET画像の撮像領域を示す図である。図19に示すように、PET−MRI装置200では、PET検出器41の内周面で囲まれた領域50と、PET検出器43の内周面で囲まれた領域51とが、それぞれPET画像のみに関する有効撮像領域となる。
【0117】
ここで、有効撮像領域50に関するPET画像は、例えば、図18に示した同時計数情報「P:P111、E:E111+E211、T:T111、P:P121、E:E121+E221、T:T121」から再構成される。また、有効撮像領域50に関するPET画像は、例えば、図18に示した同時計数情報「P:P311、E:E311+E411、T:T311、P:P321、E:E321+E421、T:T321」から再構成される。
【0118】
かかる有効撮像領域50及び51については、PET検出器41及び43によって細かいピクセル単位でガンマ線が検出され、かつ、PET検出器41及び43で検出されなかったガンマ線がPET検出器42及び43によって補償される。したがって、有効撮像領域50及び51については、高分解能なPET画像すなわち空間分解能が高く定量性の高いPET画像が得られる。
【0119】
さらに、図19に示すように、PET検出器41の内周面とPET検出器43の内周面とを結ぶ空間の中央部に形成され、磁場中心48を内包する領域52が、PET画像及びMR画像を同時に撮像可能な有効撮像領域となる。このPET画像及びMR画像に関する有効撮像領域52は、円錐の底面を張り合わせた形状になる。
【0120】
ここで、有効撮像領域52に関するPET画像は、例えば、図18に示した同時計数情報「P:P122、E:E122+E222、T:T122、P:P322、E:E322+E422、T:T322」から再構成される。
【0121】
この有効撮像領域52についても、PET検出器41及び43によって細かいピクセル単位でガンマ線が検出され、かつ、PET検出器41及び43で検出されなかったガンマ線がPET検出器42及び44によって補償される。したがって、有効撮像領域52についても、空間分解能が高く定量性の高いPET画像が得られる。
【0122】
また、図19に示すように、PET画像及びMR画像に関する有効撮像領域52の周辺に位置する領域53についても、PET画像及びMR画像を同時に撮像可能な有効撮像領域となる。この有効撮像領域53は、PET検出器41の磁場中心48側端部に配置されたシンチレータとPET検出器44のボア49開口部側端部に配置されたシンチレータとの組、又は、PET検出器43の磁場中心48側端部に配置されたシンチレータとPET検出器42のボア49開口部側端部に配置されたシンチレータとの組によってガンマ線が略同時に検出される領域である。
【0123】
ここで、有効撮像領域53に関するPET画像は、例えば、図18に示した同時計数情報「P:P112、E:E112+E212、T:T112、P:P412、E:E412、T:T412」、又は、「P:P312、E:E312+E412、T:T312、P:P212、E:E212、T:T212」から再構成される。
【0124】
この有効撮像領域53については、ガンマ線を検出したPET検出器のうち一方が、内側のPET検出器と比べてピクセル単位が粗い外側のPET検出器となる。したがって、有効撮像領域50〜52よりも空間分解能が低くなるものの、有効撮像領域53についてPET画像が得られる。これにより、PET画像及びMR画像を同時に撮像可能な領域を拡げることができる。
【0125】
図13の説明にもどって、MR画像再構成部46gは、MRデータ収集部39によって収集された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成する。例えば、MR画像再構成部46gは、MRデータ収集部39によって収集された磁気共鳴信号をk空間に配置してk空間データを生成する。そして、MR画像再構成部46gは、生成したk空間データに対して後処理すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体Pの体内を表すMR画像を生成する。
【0126】
データ記憶部46hは、各種情報や各種プログラムなどを記憶する。例えば、データ記憶部46hは、エネルギー値加算部46dによって生成された各補正計数情報を記憶する。また、データ記憶部46hは、同時計数情報生成部26によって生成された同時計数情報、高分解能識別情報、及び同時撮像識別情報を記憶する。また、データ記憶部46hは、PET画像再構成部46fによって再構成されたPET画像や、MR画像再構成部46gによって再構成されたMR画像を記憶する。
【0127】
システム制御部46iは、操作者からの指示に基づいて、PET−MRI装置200が有する各部の動作を制御することによって、PET−MRI装置200の全体制御を行う。例えば、システム制御部46iは、PET画像を再構成する際の再構成条件や画像補正を行なうための補正条件、MR画像の撮像に関する撮像条件などを受け付ける。そして、システム制御部46iは、受け付けた各種条件に応じて、シーケンスコントローラ47を制御する。また、システム制御部46iは、データ記憶部46hが記憶するPET画像やMR画像を表示部466に表示するよう制御する。
【0128】
次に、本実施例2に係るPET−MRI装置200によるPET画像の撮像の流れについて説明する。図20は、本実施例2に係るPET−MRI装置200によるPET画像の撮像の流れを示すフローチャートである。図20に示すように、PET−MRI装置200は、被検体Pをボア内に移動した後に、入力部46aを介して操作者からPET画像の撮像開始指示を受け付けると(ステップS201,Yes)、以下の処理を実行する。
【0129】
まず、計数情報収集部45が、PET検出器41〜44により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1〜第4計数情報として収集する(ステップS202)。
【0130】
続いて、エネルギー値加算部46dが、第1計数情報に含まれる検出時間と第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第1補正計数情報を生成する(ステップS203)。さらに、エネルギー値加算部46dは、第3計数情報に含まれる検出時間と第3計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第3計数情報に含まれるエネルギー値に第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第2補正計数情報を生成する(ステップS204)。
【0131】
続いて、同時計数情報生成部46eが、ガンマ線を略同時に検出した第1補正計数情報の組み合わせ、第2補正計数情報の組み合わせ、第1補正計数情報と第2補正計数情報との組み合わせ、第1補正計数情報と第4計数情報との組み合わせ、及び、第3補正計数情報と第2計数情報との組み合わせを同時計数情報として生成する(ステップS205)。ここで使用される時間情報は、使用されたPET検出器41又は43の時間情報である。
【0132】
そして、PET画像再構成部46fが、同時計数情報生成部46eにより生成された同時計数情報を投影データとしてPET画像を再構成する(ステップS206)。撮像されたPET画像は、例えば、計算機46が有する表示部に表示される。
【0133】
次に、本実施例2に係るPET−MRI装置200によるMR画像の撮像の流れについて説明する。図21は、本実施例2に係るPET−MRI装置200によるMR画像の撮像の流れを示すフローチャートである。図21に示すように、PET−MRI装置200は、被検体Pをボア内に移動した後に、入力部46aを介して操作者からPET画像の撮像開始指示を受け付けると(ステップS301,Yes)、以下の処理を実行する。
【0134】
まず、シーケンスコントローラ47が、傾斜磁場コイル33、送信部36、受信部38、及びMRデータ収集部39を制御することで、操作者によって設定された撮像シーケンスを実行して磁気共鳴信号を収集する(ステップS302)。
【0135】
そして、計算機46が、収集された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成する(ステップS303)。撮像されたMR画像は、例えば、計算機46が有する表示部に表示される。
【0136】
なお、図20に示したPET画像の撮像と図21に示したMR画像の撮像は、それぞれ単独で実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0137】
上述したように本実施例2に係るPET−MRI装置200は、静磁場磁石31と、受信用高周波コイル37、MR画像再構成部46gと、PET検出器41〜44と、計数情報収集部45と、エネルギー値加算部46dと、同時計数情報生成部46eと、PET画像再構成部46fとを有する。静磁場磁石31は、円筒状のボア内に静磁場を発生させる。受信用高周波コイル37は、静磁場内に置かれた被検体Pに高周波パルス及び傾斜磁場を印加することにより被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する。MR画像再構成部46gは、受信用高周波コイル37により検出された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成する。PET検出器41及び43は、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。PET検出器42及び44は、PET検出器41及び43の外周側に設けられ、PET検出器41及び43を通過したガンマ線を検出する。計数情報収集部45は、PET検出器41及び43により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、PET検出器42及び44により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。計数情報収集部45は、第1計数情報に含まれる検出時間と第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。同時計数情報生成部46eは、エネルギー値加算部46dにより生成された補正計数情報に基づいて、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。PET画像再構成部46fは、同時計数情報生成部46eにより生成された同時計数情報を投影データとしてPET画像を再構成する。すなわち、本実施例2では、内側のPET検出器41及び43によってPET画像の空間分解能が担保され、外側のPET検出器42及び44によってガンマ線の検出効率が担保される。したがって、本実施例2によれば、撮像されるPET画像の空間分解能や定量性を向上させることが可能になる。
【0138】
また、本実施例2では、PET検出器41及びPET検出器43は、静磁場の磁場中心を間に挟むようにボアの軸方向に沿って間隔を開けて配置される。また、計数情報収集部45は、PET検出器43により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第3計数情報として収集し、PET検出器44により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第4計数情報として収集する。また、エネルギー値加算部46dは、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第1補正計数情報を生成し、第3計数情報に含まれるエネルギー値に第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第2補正計数情報を生成する。また、同時計数情報生成部46eは、第1補正計数情報及び第2補正計数情報に基づいて、ガンマ線を略同時に検出した第1補正計数情報の組み合わせと、ガンマ線を略同時に検出した第2補正計数情報の組み合わせと、ガンマ線を略同時に検出した第1補正計数情報と第2補正計数情報との組み合わせとをそれぞれ同時計数情報として生成する。したがって、本実施例2によれば、MR画像の撮像有効領域となる磁場中心の周辺を避けて、PET検出器41及び43が配置される。したがって、本実施例2によれば、PET検出器の影響によるMR画像の画質劣化を抑えることができる。
【0139】
また、本実施例2では、計数情報収集部45は、PET検出器42により検出されたガンマ線の検出位置を第2計数情報としてさらに収集し、PET検出器44により検出されたガンマ線の検出位置を第4計数情報としてさらに収集する。また、同時計数情報生成部46eは、ガンマ線を略同時に検出した第1補正計数情報と第4計数情報との組み合わせ、及び、ガンマ線を略同時に検出した第3補正計数情報と第2計数情報との組み合わせを同時計数情報としてさらに生成する。したがって、本実施例2によれば、より広い領域でPET画像及びMR画像を同時に撮像することができる。
【0140】
また、本実施例2では、同時計数情報生成部46eは、同時計数情報を生成する際に、該同時計数情報がMR画像の有効撮像領域内を通過したガンマ線に関するものであった場合には、MR画像とPET画像とを同時に撮像可能な領域に関する情報であることを示す同時撮像識別情報をその同時計数情報に対応付けてデータ記憶部46hに格納する。したがって、本実施例2によれば、同時計数情報がMR画像の有効撮像領域内に関するものであるか否かを容易に判別することができるようになる。これにより、例えば読影医などに対して、臨床用のPET画像がMR画像と同時に撮影されたものであるか、または、臨床用のMR画像がPET画像と同時に撮影されたものであるかを報知することができるようになる。
【0141】
なお、本実施例2では、エネルギー値加算部46dが、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算し、第3計数情報に含まれるエネルギー値に第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、内側のPET検出器41及び43によって検出しきれなかったガンマ線のエネルギー値を外側のPET検出器42及び44によって補償する場合について説明した。
【0142】
しかしながら、実施例1で説明したように、例えば、外側のPET検出器42及び44によって検出しきれなかったガンマ線のエネルギー値を内側のPET検出器41及び43によって補償するようにしてもよい。
【0143】
この場合には、エネルギー値加算部46dは、実施例1と同様に、内側のPET検出器41に対する近傍条件を満たすPET検出器42を検索して、「内側のPET検出器41を基準とした第1補正計数情報」を生成する。また、エネルギー値加算部25は、外側のPET検出器42に対する近傍条件を満たすPET検出器41を検索して、「外側のPET検出器42を基準とした第1補正計数情報」を生成する(図8を参照)。また、同様に、エネルギー値加算部46dは、「内側のPET検出器43を基準とした第2補正計数情報」及び「外側のPET検出器44を基準とした第2補正計数情報」を生成する。
【0144】
ここで、例えば、第1計数情報のエネルギー値又は第2計数情報のエネルギー値の一方のみで、陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内となる場合には、エネルギー値加算部46dは、第1計数情報のエネルギー値又は第2計数情報のエネルギー値の一方のみを用いて、第1補正計数情報を生成するようにしてもよい(図9、図10を参照)。同様に、第3計数情報のエネルギー値又は第4計数情報のエネルギー値の一方のみで、陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内となる場合には、エネルギー値加算部46dは、第3計数情報のエネルギー値又は第4計数情報のエネルギー値の一方のみを用いて、第2補正計数情報を生成するようにしてもよい。
【0145】
なお、ここで説明したように、エネルギー値加算部46dが、「内側のPET検出器41を基準とした第1補正計数情報」、「外側のPET検出器42を基準とした第1補正計数情報」、「内側のPET検出器43を基準とした第2補正計数情報」及び「外側のPET検出器44を基準とした第2補正計数情報」をそれぞれ生成した場合には、同時計数情報生成部46eは、「内側のPET検出器41を基準とした第1補正計数情報」及び「内側のPET検出器43を基準とした第2補正計数情報」を用いて同時計数情報を生成してもよいし、「外側のPET検出器42を基準とした第1補正計数情報」及び「外側のPET検出器44を基準とした第2補正計数情報」を用いて同時計数情報を生成してもよい。また、エネルギー値加算部46eは、全ての補正計数情報を参照して、同時計数情報を生成してもよい。
【実施例3】
【0146】
次に、実施例3について説明する。実施例3では、上記実施例2で説明したPET−MRI装置200において、被検体Pが置かれた天板32aをボア49内の軸方向に段階的に移動しながら撮像を繰り返す場合について説明する。このような撮像法は、ステップ・アンド・シュートと呼ばれる。
【0147】
図22は、本実施例3に係るステップ・アンド・シュートを説明するための図である。本実施例3に係るステップ・アンド・シュートでは、寝台32が、天板32aを移動させることで、ボア49の軸方向に沿って被検体Pを移動する。また、計算機46が、PET検出器43の略中心位置、PET検出器41とPET検出器43との間に挟まれた領域の略中心位置、PET検出器41の略中心位置の順で被検体Pの撮像部位が段階的に移動するように、寝台32を制御する。
【0148】
これにより、図22に示すように、被検体Pの撮像位置に付けられた受信用高周波コイル37が段階的に移動する。具体的には、受信用高周波コイル37は、ボア49の軸方向に、PET検出器41の中心とPET検出器41の中心との間隔の半分の距離dだけ段階的に移動する。この結果、撮像部位は、ボア49の軸方向に、PET画像のみが撮像可能な範囲55、MRI画像及びPET画像を同時に撮像可能な範囲56、及び、PET画像のみが撮像可能な範囲54に順に移動することになる。
【0149】
そして、例えば、計算機46は、撮像部位がPET検出器41の略中心位置、又は、PET検出器43の略中心位置に移動した際には、PET画像を撮像するようにPET−MRI装置200を制御する。また、計算機46は、撮像部位がPET検出器41とPET検出器43との間に挟まれた領域の略中心位置に移動した際には、PET画像及びMR画像の両方又は一方を撮像するようにPET−MRI装置200を制御する。これにより、撮像部位を段階的に移動しながら、PET画像と、MR画像及びPET画像の両方又は一方とを順に撮像することができる。
【0150】
なお、上記実施例1〜3では、内側のPET検出器により検出されたガンマ線だけでなく、外側のPET検出器により検出されたガンマ線についても検出位置を収集する場合について説明した。しかし、例えば、外側のPET検出器については、ガンマ線の検出位置を収集しないようにしてもよい。その場合には、ボアの軸方向に複数のシンチレータを配置する必要がなくなるので、PET検出器のコストをさらに低減することができる。
【0151】
また、上記実施例1〜3では、PET検出器が2重に配置される場合について説明した。しかし、PET装置及びPET−MRI装置の実施形態はこれに限られない。例えば、PET検出器は3重以上に配置されてもよい。すなわち、外側のPET検出器の外側に、さらにPET検出器を配置する。これにより、内側のPET検出器で検出されなかったガンマ線をより精度よく補償することができる。
【0152】
また、上記実施例2及び3では、2重に配置されたPET検出器の組が2組配置される場合について説明した。しかし、PET−MRI装置の実施形態はこれに限られない。例えば、2重に配置されたPET検出器の組が、ボアの軸方向に沿って3組以上配置されてもよい。すなわち、3組以上のPET検出器13a及び13bが配置された場合でも、各PET検出器の間に挟まれる領域において、PET画像とMR画像とを同時に撮像することができる。
【0153】
また、上記実施例1では、2重に配置されたPET検出器の組が1組配置される場合について説明した。しかし、PET装置の実施形態はこれに限られない。例えば、上記実施例2及び3で説明したPET−MRI装置200と同様に、2重に配置されたPET検出器の組が複数組配置されてもよい。その場合には、例えば、実施例1に係るPET装置100が、PET検出器14の軸方向に沿ってPET検出器14から間隔を開けて配置され、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状の第3のPET検出器をさらに備える。また、PET装置100は、第3のPET検出器の外周側に設けられ、第3のPET検出器を通過したガンマ線を検出するリング状の第4のPET検出器をさらに備える。そして、計数情報収集部16が、実施例2で説明した計数情報収集部45と同様に、各PET検出器により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を収集する。また、エネルギー値加算部46dが、実施例2で説明したエネルギー値加算部25と同様に、内側のPET検出器により検出されたエネルギー値に外側のPET検出器により検出されたエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。また、同時計数情報生成部46eが、実施例2で説明した同時計数情報生成部26と同様に、ガンマ線を略同時に検出した補正計数情報及び計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。
【0154】
以上のように、実施例1〜3によれば、撮像されるPET画像の画質を向上させることが可能なPET装置及びPET−MRI装置を実現することができる。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0156】
100 PET装置
14 PET検出器
15 PET検出器
16 計数情報収集部
25 エネルギー値加算部
26 同時計数情報生成部
27 画像再構成部
200 PET−MRI装置
31 静磁場磁石
37 受信用高周波コイル
46g MR画像再構成部
41〜44 PET検出器
45 計数情報収集部
46d エネルギー値加算部
46e 同時計数情報生成部
46f PET画像再構成部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、PET装置及びPET−MRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陽電子放出核種で標識された薬剤の被検体内での分布を示すPET画像を生成する陽電子放出コンピュータ断層撮影(Positron Emission computed Tomography:PET)装置が知られている。かかるPET装置は、一般的に、被検体を囲むように配置されるリング状のPET検出器を備える。このPET検出器は、例えば、ガンマ線(消滅放射線を含む)を可視光に変換するシンチレータなどを有する複数の検出器モジュールをリング状に配置することで形成される。そして、PET装置では、PET検出器の製造コストを低くすることや、例えば、TOF(Time Of Flight)時間分解能を向上させるためには、PET検出器が有するシンチレータの厚さを薄くすることが求められる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−525161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のPET装置では、PET検出器のシンチレータの厚さを薄くした場合に、PET検出器によって検出されずに通過してしまうガンマ線が生じる確率が高くなり、撮像されるPET画像の画質が低下してしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のPET装置は、第1検出部と、第2検出部と、計数情報収集部と、エネルギー値加算部と、同時計数情報生成部と、画像再構成部とを有する。第1検出部は、リング状に形成され、被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。第2検出部は、リング状に形成され、前記第1検出部の外周側に設けられ、前記第1検出部を通過したガンマ線を検出する。計数情報収集部は、前記第1検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、前記第2検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。エネルギー値加算部は、前記第1計数情報に含まれる検出時間と前記第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、前記第1計数情報に含まれるエネルギー値に前記第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。同時計数情報生成部は、前記エネルギー値加算部により生成された補正計数情報に基づいて、前記陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。画像再構成部は、前記同時計数情報生成部により生成された同時計数情報をもとにPET画像を再構成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本実施例1に係るPET装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施例1に係るPET検出器の断面図である。
【図3】図3は、本実施例1に係る計数情報記憶部により記憶される第1計数情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、本実施例1に係る計数情報記憶部により記憶される第2計数情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施例1に係るエネルギー値加算部により生成される補正計数情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施例1に係る同時計数情報生成部により生成される同時計数情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、本実施例1に係るPET装置によるPET画像の撮像の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施例1に係るエネルギー値加算部により生成される補正計数情報の他の例を示す図(1)である。
【図9】図9は、本実施例1に係るエネルギー値加算部により生成される補正計数情報の他の例を示す図(2)である。
【図10】図10は、本実施例1に係るエネルギー値加算部により生成される補正計数情報の他の例を示す図(3)である。
【図11】図11は、本実施例2に係るPET−MRI装置の構成を示す図である。
【図12】図12は、本実施例2に係るPET検出器の配置を示す図である。
【図13】図13は、本実施例2に係る計算機の構成を示す機能ブロック図である。
【図14】図14は、本実施例2に係る計数情報記憶部により記憶される第3計数情報の一例を示す図である。
【図15】図15は、本実施例2に係る計数情報記憶部により記憶される第4計数情報の一例を示す図である。
【図16】図16は、本実施例2に係るエネルギー値加算部により生成される第1補正計数情報の一例を示す図である。
【図17】図17は、本実施例2に係るエネルギー値加算部により生成される第2補正計数情報の一例を示す図である。
【図18】図18は、本実施例2に係る同時計数情報生成部により生成される同時計数情報の一例を示す図である。
【図19】図19は、本実施例2に係るPET画像再構成部により再構成されるPET画像の撮像領域を示す図である。
【図20】図20は、本実施例2に係るPET−MRI装置によるPET画像の撮像の流れを示すフローチャートである。
【図21】図21は、本実施例2に係るPET−MRI装置によるMR画像の撮像の流れを示すフローチャートである。
【図22】図22は、本実施例3に係るステップ・アンド・シュートを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、図面を参照して、本実施形態に係るPET装置及びPET−MRI装置について詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、実施例1として、PET装置に関する実施例を説明する。図1は、本実施例1に係るPET装置100の構成を示す図である。図1に示すように、このPET装置100は、架台/寝台装置10と、コンソール装置20とを有する。
【0009】
架台/寝台装置10は、被検体Pに投与され、被検体Pの生体組織に選択的に取り込まれた陽電子放出核種から放出される一対のガンマ線を所定のモニタリング期間において計数する。例えば、架台/寝台装置10は、天板11と、寝台12と、寝台駆動部13と、PET検出器14及び15と、計数情報収集部16とを有する。なお、架台/寝台装置10は、図1に示すように、撮影口となる空洞を有する。
【0010】
天板11は、被検体Pが横臥するベッドであり、寝台12の上に配置される。寝台駆動部13は、後述する寝台制御部23の制御のもと、寝台12を移動することにより、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動させる。
【0011】
PET検出器14は、リング状に形成され、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。PET検出器15は、リング状に形成され、PET検出器14の外周側に設けられる。このPET検出器15は、PET検出器14を通過したガンマ線を検出する。これらPET検出器14及び15は、例えば、複数の検出器モジュールをリング状に配置することで形成され、通常、図1における奥行き方向に多重に配設されている。
【0012】
ここで、PET検出器14及び15を形成する各検出器モジュールは、被検体Pから放出されるガンマ線を検出するフォトンカウンティング(photon counting)方式の検出器である。例えば、各検出器モジュールは、シンチレータと、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)とを有し、さらにライトガイドを有するものもある。シンチレータは、被検体Pから放出されて入射したガンマ線を可視光に変換するNaI(Sodium Iodide)、BGO(Bismuth Germanate)、LYSO(Lutetium Yttrium Oxyorthosilicate)、LSO(Lutetium Oxyorthosilicate)、LGSO(Lutetium Gadolinium Oxyorthosilicate)などを2次元に配列して形成される。また、光電子増倍管は、ライトガイドを介して稠密に複数個配置され、シンチレータから出力された可視光を増倍して電気信号に変換する。ライトガイドは、光透過性に優れたプラスチック素材又はガラス素材などからなり、シンチレータから出力された可視光を光電子増倍管に伝達する。
【0013】
なお、光電子増倍管は、シンチレーション光を受光し光電子を発生させる光電陰極、発生した光電子を加速する電場を与える多段のダイノード、および電子の流れ出し口である陽極からなる。光電効果により光電陰極から放出された電子は、ダイノードに向って加速されてダイノードの表面に衝突し、複数の電子を叩き出す。この現象が多段のダイノードに渡って繰り返されることにより、なだれ的に電子数が増倍され、陽極での電子数は約100万にまで達する。この場合には、光電子増倍管の利得率は100万倍となる。また、なだれ現象を利用した増幅のためにダイノードと陽極との間には、通常1000ボルト程度の電圧が印加される。
【0014】
すなわち、PET検出器14及び15を形成する各検出器モジュールは、ガンマ線をシンチレータにより可視光に変換し、変換した可視光を光電子増倍管により電気信号に変換することで、被検体Pから放出されたガンマ線の数と、その検出された位置、エネルギー、タイミングを計測する。
【0015】
なお、各PET検出器が有するシンチレータの厚さは、所定値以上のガンマ線の検出効率が得られるように、例えばLYSOなどでは厚さの合計が20mm以上となるように形成される。例えば、各PET検出器が有するLYSOシンチレータでは、厚さの合計が22mm程度になるように形成される。このとき、例えば、PET検出器14が有するシンチレータの厚さは、7mm〜12mm程度とするのが好適である。また、PET検出器15が有するシンチレータの厚さは、10mm〜15mm程度とするのが好適である。ただし、PET検出器14のシンチレータは、PET検出器15のシンチレータよりも薄いことが望ましい。
【0016】
また、PET検出器14が有するシンチレータは、PET検出器15が有するシンチレータよりもリングの軸方向の幅が同じ又は小さくなるように形成される。図2は、本実施例1に係るPET検出器14及びPET検出器15の断面図である。この図2は、PET検出器14が有する検出モジュールのシンチレータ14aと、PET検出器15が有する検出モジュールのシンチレータ15aとを示している。
【0017】
例えば、図2に示すように、PET検出器14が有するシンチレータ14aは、PET検出器15が有するシンチレータ15aよりもリングの軸方向の幅が小さくなるように形成され、図1に示すような角度で見た場合の周方向の幅も同様に小さくなるように形成される。すなわち、内側に位置するPET検出器14についてはシンチレータの配置面密度が高くなり、ピクセル単位が細かくなる。また、外側に位置するPET検出器15についてはシンチレータの配置面密度が低くなり、ピクセル単位が粗くなる。また、シンチレータ14aの材質とシンチレータ15aの材質は互いに異なるものであってもよい。
【0018】
このように、PET検出器を2重に配置することで、ガンマ線の検出確率を高めることができる。そして、内側のPET検出器についてはシンチレータを薄く、かつ幅を小さくしてピクセル単位を細かくすることで、PET画像の画質を高めることができる。また、外側のPET検出器についてはピクセル単位を粗くすることで、PET検出器の製造コストを抑えることができる。
【0019】
また、図2に示すように、PET検出器15の軸方向の長さは、PET検出器14よりも長くするのが望ましい。これにより、PET検出器15によって、PET検出器14内で発生したガンマ線の散乱線がより確実に検出されるようになる。
【0020】
また、図2では、PET検出器14とPET検出器15との間に隙間が形成されるように、それぞれのPET検出器を配置した場合を示した。しかし、必ずしも、PET検出器14とPET検出器15との間に隙間を設ける必要はない。この隙間を小さくする場合、例えば、外側のPET検出器15の厚さを保ちつつPET検出器15のリング径を小さくすれば、ガンマ線の検出率を維持しつつ、PET検出器15に用いられるシンチレータの体積を小さくすることができるので、作製コストを減らすことができる。また、内側のPET検出器15のリング径を大きくすれば、被検体が配置される空間を広くすることができるので、体格の大きな被検体を診断することができるようになる。
【0021】
なお、PET検出器14及び15が有する各検出モジュールは、ノイズ変化や経時変化などによる出力の変化に対応するため、定期的にキャリブレーションが行われる。ここでいうキャリブレーションには、例えば、エネルギー・キャリブレーションやタイム・キャリブレーションがある。エネルギー・キャリブレーションとは、各検出モジュールのゲインとオフセットを調整して揃えることである。また、タイム・キャリブレーションとは、各検出モジュールがガンマ線を検出した際に出力される時間情報の出力タイミングを検出器モジュール間で揃えることである。
【0022】
図1の説明にもどって、計数情報収集部16は、PET検出器14及び15それぞれの計数結果に基づく情報を計数情報として収集する。具体的には、計数情報収集部16は、PET検出器14により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集する。また、計数情報収集部16は、PET検出器15により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。そして、計数情報収集部16は、PET検出器14及び15が有する検出器モジュールごとに計数情報を収集し、収集した計数情報を後述するコンソール装置20に送信する。
【0023】
まず、計数情報収集部16は、PET検出器がライトガイドを有する場合、各検出器モジュールの計数結果から検出シンチレータの位置を収集するために、アンガー型位置計算処理を行なう。あるいは、計数情報収集部16は、検出器モジュールの光電子増倍管が位置検出型光電子増倍管である場合には、検出シンチレータ及びその内部での発光位置の収集を位置検出型光電子増倍管で行なう。その場合、計数情報収集部16は、シンチレータのシンチレーション光を同じ検出時間帯に電気信号に変換出力した各光電子増倍管の位置および電気信号の強度から重心の位置を演算することで、ガンマ線が入射したシンチレータの位置を示すシンチレータ番号(P)を決定する。また、計数情報収集部16は、各光電子増倍管が出力した電気信号の強度を加算することで、検出器モジュールに入射したガンマ線の全エネルギー値(E)を決定する。また、計数情報収集部16は、検出器モジュールがガンマ線を検出した検出時間(T)も収集する。
【0024】
なお、検出時間(T)は、絶対時間である場合であってもよいし、PET画像の撮影開始時点からの相対時間であってもよい。ここで、時間は時刻でもカウンターのカウント数でもよい。いずれの場合でも、計数情報収集部16は、検出時間(T)を、例えば、10−12秒(psec)単位の精度にて収集する。かかる処理により、計数情報収集部16は、検出器モジュールを一意に特定するための「モジュールID」に対応付けた『「P:シンチレータ番号」、「E:エネルギー値」および「T:検出時間」』を計数情報として収集する。
【0025】
コンソール装置20は、操作者によるPET装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された計数情報からPET画像を再構成する。例えば、コンソール装置20は、入力部21と、表示部22と、寝台制御部23と、計数情報記憶部24と、エネルギー値加算部25と、同時計数情報生成部26と、画像再構成部27と、データ記憶部28と、システム制御部29とを有する。なお、コンソール装置20が有する各部は、内部バスを介して接続される。
【0026】
入力部21は、PET装置の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボードなどを有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御部29に転送する。例えば、入力部21は、操作者からPET画像を再構成する際の再構成条件や、画像補正を行なうための補正条件などを受け付ける。
【0027】
表示部22は、操作者によって参照されるモニタであり、システム制御部29による制御のもと、PET画像を操作者に表示したり、入力部21を介して操作者から各種指示や各種設定などを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
【0028】
寝台制御部23は、寝台駆動部13を制御することで、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動させる。
【0029】
計数情報記憶部24は、計数情報収集部16により収集された検出器モジュールごとの第1計数情報及び第2計数情報を記憶する。図3は、本実施例1に係る計数情報記憶部24により記憶される第1計数情報の一例を示す図である。また、図4は、本実施例1に係る計数情報記憶部24により記憶される第2計数情報の一例を示す図である。図3及び4において、「P」、「E」および「T」は、それぞれ「シンチレータ番号」、「エネルギー値」および「検出時間」を示す。
【0030】
例えば、計数情報記憶部24は、図3に示すように、PET検出器14が有する「モジュールID:D11」の検出器モジュールによる計数結果から収集された第1計数情報として、「P:P111、E:E111、T:T111」や「P:P112、E:E112、T:T112」などを記憶する。また、計数情報記憶部24は、PET検出器14が有する「モジュールID:D12」や「モジュールID:D13」などの検出器モジュールによる計数結果から収集された第1計数情報についても同様に記憶する。
【0031】
また、例えば、計数情報記憶部24は、図4に示すように、PET検出器15が有する「モジュールID:D21」の検出器モジュールによる計数結果から収集された第2計数情報として、「P:P211、E:E211、T:T211」や「P:P212、E:E212、T:T212」などを記憶する。また、計数情報記憶部24は、PET検出器15が有する「モジュールID:D22」や「モジュールID:D23」などの検出器モジュールによる計数結果から収集された第2計数情報についても同様に記憶する。
【0032】
図1の説明にもどって、エネルギー値加算部25は、第1計数情報に含まれる検出時間と第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。
【0033】
例えば、エネルギー値加算部25は、操作者が入力部21を介して入力した近傍条件に基づいて、PET検出器14に対する近傍条件を満たすPET検出器15を検索する。近傍条件は、例えば、シンチレーション光を検出したPET検出器14のシンチレータのすぐ外側にあるPET検出器15のシンチレータの両側2個ずつ計5個のシンチレータとする。
【0034】
具体的には、エネルギー値加算部25は、操作者が入力部21を介して入力した再構成条件に含まれる時間ウィンドウ幅に基づいて、補正計数情報を生成する。ここでいう時間ウィンドウ幅の値としては、例えば、検出器の時間分解能(FWHM)である600psecなどが指定される。例えば、エネルギー値加算部25は、図3に示した第1計数情報と図4に示した第2計数情報とを参照して、検出時間(T)の差が「時間ウィンドウ幅:600psec」以内である第1計数情報と第2計数情報との組み合わせで且つ前記近傍条件を満たす組み合わせを検索する。
【0035】
ガンマ線は、薬剤から放出された陽電子が電子と結合して対消滅する際にほぼ反対方向に放出されるので、1回のガンマ線の発生においてPET検出器14に含まれる2つのシンチレータと相互作用を起こすことになり、第1計数情報には2つの情報が含まれる可能性が高い。このようにして、2つの情報が含まれる場合は、その情報はほぼ180度対向する検出器モジュールから得られる。
【0036】
一方、第2計数情報には、1回の対消滅により発生したガンマ線がPET検出器14に含まれるシンチレータを通過するときに、散乱したガンマ線の情報が含まれる確率が高くなる。このとき、600psecのウィンドウ幅の条件と近傍条件とを適用することで、第1計数情報及び第2計数情報の中から、対消滅位置から1方向へ飛行し相互作用を起こしたガンマ線のペアとなる情報を選択することができる。
【0037】
なお、時間ウィンドウは規準クロックに基づき、PET検出器14の第1計数情報の発生が観測された時点で600psec幅の時間ウィンドウを生成するようにしてもよい。あるいは、例えば200psec幅の時間ウィンドウが連続して生成されるようにし、第1計数情報の発生が観測された時点から下流側3つの時間ウィンドウを含む計4つの時間ウィンドウを1つの時間ウィンドウとみなすようにしてもよい。この場合、時間ウィンドウ幅は、600psecから800psecの間となる。
【0038】
そして、エネルギー値加算部25は、検索により得られたウィンドウごとに、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで補正計数情報を生成する。このとき、エネルギー値加算部25は、加算した補正計数情報に基づいて、補正計数情報に含まれるエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との比較を行い、所定エネルギー差内に含まれる補正計数情報のみを選択データとして残す。その後、エネルギー値加算部25は、そのように抽出した補正計数情報をデータ記憶部28に格納する。
【0039】
図5は、本実施例1に係るエネルギー値加算部25により生成される補正計数情報の一例を示す図である。図5に示すように、例えば、エネルギー値加算部25は、図3に示した第1計数情報「P:P111、E:E111、T:T111」と図4に示した第2計数情報「P:P211、E:E211、T:T211」との組み合わせから、補正計数情報として「P:P111、E:E111+E211、T:T111」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部25は、補正計数情報として、「P:P112、E:E112+E212、T:T112」や「P:P113、E:E113+E213、T:T113」なども生成する。
【0040】
また、例えば、エネルギー値加算部25は、第1計数情報「P:P151、E:E151、T:T151」と第2計数情報「P221、E:E221、T:T221」との組み合わせから、補正計数情報として「P:P151、E:E151+E221、T:T151」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部25は、補正計数情報として、「P:P152、E:E152+E222、T:T152」や「P:P153、E:E153+E223、T:T153」なども生成する。
【0041】
なお、PET検出器14に含まれる1つのシンチレータを通過したガンマ線は、散乱などにより、PET検出器15に含まれる複数のシンチレータによって検出される場合もある。この場合には、エネルギー加算部25が時間ウィンドウ幅及び近傍条件に基づいて第1計数情報と第2計数情報のペアとなる組み合わせを検索した結果、1つの第1計数情報について、複数の異なる第2計数情報との組み合わせが検索されることになる。この場合には、エネルギー値加算部25は、第1計数情報に含まれるエネルギー値に各第2計数情報に含まれるエネルギー値をそれぞれ加算することで、補正計数情報を生成する。
【0042】
例えば、第1計数情報「P:P112、E:E112、T:T112」について、第2計数情報「P:P211、E:E211、T:T211」との組み合わせと、第2計数情報「P:P212、E:E212、T:T212」との組み合わせと、第2計数情報「P:P213、E:E213、T:T213」との組み合わせが検索されたとする。この場合には、エネルギー加算部25は、補正計数情報として「P:P112、E:E112+E211+E212+E213、T:T112」を生成する。
【0043】
このように、エネルギー値加算部25が、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、PET検出器15によって検出されたガンマ線のエネルギー値が、PET検出器14によって検出されたガンマ線のエネルギー値に加算されることになる。これにより、PET検出器14において検出されずに通過したガンマ線のエネルギー値を補償することができるようになる。
【0044】
図1の説明にもどって、同時計数情報生成部26は、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを、同時計数情報として生成する。ここで使用される時間情報はPET検出器14の時間情報である。ここで、ガンマ線とは、薬剤から放出された陽電子が電子と結合して消滅する際に、ほぼ反対方向に放出する511keVの一対のガンマ線である。
【0045】
具体的には、同時計数情報生成部26は、操作者が入力部21を介して入力した再構成条件に含まれる時間ウィンドウ幅とその開始時間とエネルギーウィンドウ幅とに基づいて、同時計数情報を生成する。ここでいう時間ウィンドウ幅の値としては、例えば、検出器の時間分解能と視野サイズを加味して4npsecなどが指定される。また、エネルギーウィンドウ幅の値としては、例えば、350keV〜650keVが指定される。
【0046】
例えば、同時計数情報生成部26は、データ記憶部28に記憶されている補正計数情報を参照して、検出時間(T)の差が「時間ウィンドウ幅:4npsec」以内であり、かつ、エネルギー値(E)がともに「エネルギーウィンドウ幅:350keV〜650keV」にある補正計数情報の組み合わせを検索する。そして、同時計数情報生成部26は、検索により得られた補正計数情報の組み合わせを対応付けて同時計数情報を生成する。その後、同時計数情報生成部26は、生成した同時計数情報を被検体Pの投影データ(サイノグラムデータ)、又はリストモードデータとして、データ記憶部28に格納する。
【0047】
図6は、本実施例1に係る同時計数情報生成部26により生成される同時計数情報の一例を示す図である。図6に示すように、例えば、同時計数情報生成部26は、図5に示した補正計数情報「P:P111、E:E111+E211、T:T111」と「P:P151、E:E151+E221、T:T151」との組み合わせを、2つの消滅フォトンが同時計数された情報である同時計数情報として生成する。同様に、例えば、同時計数情報生成部26は、同時計数情報として、「P:P112、E:E112+E212、T:T112」と「P:P132、E:E132+E232、T:T132」との組み合わせや、「P:P113、E:E113+E213、T:T113」と「P:P133、E:E133+E233、T:T133」との組み合わせなども生成する。
【0048】
なお、操作者は、時間ウィンドウ幅およびエネルギーウィンドウ幅以外にも、偶発同時計数を除外するためのランダム補正や、散乱したガンマ線の計数情報が同時計数情報として生成されることを除外するための散乱補正や、各検出器モジュール間の感度の違いを補正するための感度補正や、被検体Pの内部で減弱されるガンマ線のエネルギー値を補正するための減弱補正などを行なうためのパラメータも同時計数情報生成条件に組み込むことができる。
【0049】
図1の説明にもどって、画像再構成部27は、同時計数情報生成部26が生成した同時計数情報を投影データとしてデータ記憶部28から読み出して、読み出した投影データを逆投影処理することでPET画像を再構成する。また、画像再構成部27は、再構成したPET画像をデータ記憶部28に格納する。
【0050】
システム制御部29は、架台装置10およびコンソール装置20の動作を制御することによって、PET装置の全体制御を行う。具体的には、システム制御部29は、寝台12の移動や、計数情報収集部16における計数情報の収集処理を制御する。また、システム制御部29は、入力部21を介して入力された操作者からの設定情報に基づいて、同時計数情報生成部26における同時計数情報の生成処理や画像再構成部27におけるPET画像の再構成処理を制御する。また、システム制御部29は、データ記憶部28が記憶するPET画像を、表示部22に表示するように制御する。
【0051】
次に、本実施例1に係るPET装置100によるPET画像の撮像の流れについて説明する。図7は、本実施例1に係るPET装置100によるPET画像の撮像の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、PET装置100は、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動した後に、入力部21を介して操作者から撮像開始指示を受け付けると(ステップS101,Yes)、以下の処理を実行する。
【0052】
まず、計数情報収集部16が、PET検出器14により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集する。また、計数情報収集部16は、PET検出器15により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する(ステップS102)。
【0053】
続いて、エネルギー値加算部25が、第1計数情報に含まれる検出時間と第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第1計数情報に含まれるエネルギー値に近傍条件を満たし且つ同一時間ウィンドウ内で発生した第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する(ステップS103)。
【0054】
続いて、同時計数情報生成部26が、エネルギー値加算部25により生成された補正計数情報に基づいて、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する(ステップS104)。ここで使用される時間情報はPET検出器14の時間情報である。
【0055】
そして、画像再構成部27が、同時計数情報生成部26により生成された同時計数情報をもとにTOF技術などを用いて消滅放射線の発生位置を求め、その多数のデータの集合から投影データとしてPET画像を再構成する(ステップS105)。再構成されたPET画像は、表示部22に表示される。
【0056】
上述したように、本実施例1に係るPET装置100は、PET検出器14と、PET検出器15と、計数情報収集部16と、エネルギー値加算部25と、同時計数情報生成部26と、画像再構成部27とを有する。PET検出器14は、リング状に形成され、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。PET検出器15は、リング状に形成され、PET検出器14の外周側に設けられ、PET検出器14を通過したガンマ線を検出する。計数情報収集部16は、PET検出器14により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、PET検出器15により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。エネルギー値加算部25は、第1計数情報に含まれる検出時間と第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。同時計数情報生成部26は、エネルギー値加算部25により生成された補正計数情報に基づいて、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。ここで使用される時間情報はPET検出器14の時間情報である。画像再構成部27は、同時計数情報生成部26により生成された同時計数情報を投影データとしてPET画像を再構成する。すなわち、本実施例1では、内側のPET検出器14によってPET画像の画質が担保され、外側のPET検出器15によってガンマ線の検出効率が担保される。したがって、本実施例1によれば、撮像されるPET画像の画質を向上させることが可能になる。
【0057】
なお、本実施例1では、エネルギー値加算部25が、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、内側のPET検出器14によって検出しきれなかったガンマ線のエネルギー値を外側のPET検出器15によって補償する場合について説明した。
【0058】
しかしながら、例えば、PET検出器14によって検出されずに通過したガンマ線が先にPET検出器15によって検出され、その後、PET検出器15のシンチレータで反射してPET検出器14によって検出されることもあり得る。そこで、例えば、外側のPET検出器15によって検出しきれなかったガンマ線のエネルギー値を内側のPET検出器14によって補償するようにしてもよい。
【0059】
この場合には、エネルギー値加算部25は、実施例1で説明したように、内側のPET検出器14に対する近傍条件を満たすPET検出器15を検索して、「内側のPET検出器14を基準とした補正計数情報」を生成する(図5を参照)。
【0060】
また、エネルギー値加算部25は、さらに、外側のPET検出器15に対する近傍条件を満たすPET検出器14を検索して、「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」を生成する。ここで、PET検出器15に対する近傍条件は、例えば、シンチレーション光を検出したPET検出器15のシンチレータのすぐ内側にあるPET検出器14のシンチレータの両側2個ずつ計5個のシンチレータとする。
【0061】
このとき、エネルギー値加算部25は、例えば、図3に示した第1計数情報と図4に示した第2計数情報とを参照して、検出時間(T)の差が「時間ウィンドウ幅:600psec」以内である第1計数情報と第2計数情報との組み合わせであり、かつ、PET検出器15に対する近傍条件を満たす組み合わせを検索する。
【0062】
そして、エネルギー値加算部25は、検索により得られた組み合わせごとに、第2計数情報に含まれるエネルギー値に第1計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで補正計数情報を生成する。このとき、エネルギー値加算部25は、加算した補正計数情報に基づいて、補正計数情報に含まれるエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との比較を行い、エネルギー値の差が所定値以内である補正計数情報のみを選択データとして残す。その後、エネルギー値加算部25は、このように抽出した補正計数情報を「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」としてデータ記憶部28に格納する。
【0063】
図8は、本実施例1に係るエネルギー値加算部25により生成される補正計数情報の他の例を示す図である。図8に示すように、例えば、エネルギー値加算部25は、第2計数情報「P:P241、E:E241、T:T241」と第1計数情報「P:P161、E:E161、T:T161」との組み合わせから、補正計数情報として「P:P241、E:E241+E161、T:T241」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部25は、補正計数情報として、「P:P251、E:E251+E181、T:T251」や「P:P261、E:E261+E191、T:T261」なども生成する。
【0064】
このように、エネルギー値加算部25が、第2計数情報に含まれるエネルギー値に第1計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、PET検出器14によって検出されたガンマ線のエネルギー値がPET検出器15によって検出されたガンマ線のエネルギー値に加算されることになる。これにより、PET検出器15によって検出しきれなかったガンマ線のエネルギー値をPET検出器14によって補償することができるようになる。
【0065】
また、本実施例1では、エネルギー値加算部25が、第1計数情報のエネルギー値と第2計数情報のエネルギー値とを加算して得られる補正計数情報のエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との比較を行って、エネルギーの差が所定値以内である補正計数情報を抽出する場合について説明した。
【0066】
しかしながら、例えば、第1計数情報のエネルギー値又は第2計数情報のエネルギー値の一方のみで、陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内となる場合もあり得る。このような場合には、例えば、エネルギー値加算部25は、第1計数情報のエネルギー値又は第2計数情報のエネルギー値の一方のみを用いて、補正計数情報を生成するようにしてもよい。
【0067】
図9及び10は、本実施例1に係るエネルギー値加算部25により生成される補正計数情報の他の例を示す図である。図9に示すように、例えば、エネルギー値加算部25は、「内側のPET検出器14を基準とした補正計数情報」を生成する際に、図3に示した第1計数情報「P:P112、E:E112、T:T112」において、E112のエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内であった場合には、E112のエネルギー値のみを用いて、補正情報として「P:P112、E:E112、T:T112」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部25は、図3に示した第1計数情報「P:P131、E:E131、T:T131」において、E132のエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内であった場合には、E132のエネルギー値のみを用いて、補正情報として「P:P131、E:E131、T:T131」を生成する。
【0068】
また、図10に示すように、例えば、エネルギー値加算部25は、「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」を生成する際に、第2計数情報「P:P242、E:E242、T:T242」において、E242のエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内であった場合には、E242のエネルギー値のみを用いて、補正情報として「P:P242、E:E242、T:T242」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部25は、第2計数情報「P:P252、E:E252、T:T252」において、E252のエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内であった場合には、E252のエネルギー値のみを用いて、補正情報として「P:P252、E:E252、T:T252」を生成する。
【0069】
なお、ここで説明したように、エネルギー値加算部25が、「内側のPET検出器14を基準とした補正計数情報」と「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」とをそれぞれ生成した場合には、同時計数情報生成部26は、「内側のPET検出器14を基準とした補正計数情報」又は「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」のいずれか一方を参照し、検出時間(T)が所定の時間ウィンドウ幅以内であり、かつ、エネルギー値(E)がともに所定のエネルギーウィンドウ幅以内である補正計数情報の組み合わせを検索して、同時計数情報を生成する。または、エネルギー値加算部25は、「内側のPET検出器14を基準とした同時計数情報」及び「外側のPET検出器15を基準とした補正計数情報」の両方を参照して、同時計数情報を生成してもよい。
【実施例2】
【0070】
次に、実施例2として、PET−MRI装置の実施例を説明する。図11は、本実施例2に係るPET−MRI装置200の構成を示す図である。図11に示すように、このPET−MRI装置200は、静磁場磁石31、寝台32、傾斜磁場コイル33、傾斜磁場コイル駆動回路34、送信用高周波コイル35、送信部36、受信用高周波コイル37、受信部38、MRデータ収集部39、PET検出器用電源40、PET検出器41〜44、計数情報収集部45、計算機46、及びシーケンスコントローラ47を有する。
【0071】
静磁場磁石31は、略円筒状のボア内に静磁場を発生させる。ここで、ボアは、静磁場磁石31や傾斜磁場コイル33などを収容する略円筒状の架台の内壁として形成される。寝台32は、被検体Pが載せられる天板32aを有する。この寝台32は、撮像時には、天板32aをボア内へ移動することで、被検体Pを静磁場内に移動する。
【0072】
傾斜磁場コイル33は、被検体Pに対して、磁場強度がX,Y,Z方向に直線的に変化する傾斜磁場Gx,Gy,Gzを印加する。この傾斜磁場コイル33は、略円筒状に形成され、静磁場磁石31の内周側に配置される。傾斜磁場コイル駆動回路34は、シーケンスコントローラ47による制御のもと、傾斜磁場コイル33を駆動する。
【0073】
送信用高周波コイル35は、送信部36から送信される高周波パルスに基づいて、静磁場内に置かれた被検体Pに高周波磁場を印加する。この送信用高周波コイル35は、略円筒状に形成され、傾斜磁場コイル33の内周側に配置される。送信部36は、シーケンスコントローラ47による制御のもと、送信用高周波コイル35に高周波パルスを送信する。
【0074】
受信用高周波コイル37は、高周波磁場及び傾斜磁場の印加により被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を検出する。例えば、受信用高周波コイル37は、撮像対象の部位に応じて被検体Pの表面に配置される表面コイルである。例えば、被検体Pの体部が撮像される場合には、2つの受信用高周波コイル37が被検体の上部及び下部に配置される。受信部38は、シーケンスコントローラ47による制御のもと、受信用高周波コイル37によって検出された磁気共鳴信号を受信する。そして、受信部38は、受信した磁気共鳴信号をMRデータ収集部39に送る。
【0075】
MRデータ収集部39は、シーケンスコントローラ47による制御のもと、受信部38から送られた磁気共鳴信号を収集する。そして、MRデータ収集部39は、収集した磁気共鳴信号を増幅及び検波した後にA/D変換し、計算機46に送る。PET検出器用電源40は、例えば光電子増倍管などの光検出器を駆動するための電力をPET検出器41〜44に供給する。
【0076】
PET検出器41〜44は、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を計数情報として検出する。これらPET検出器41〜44は、リング状に形成され、送信用高周波コイル35の内周側に配置される。例えば、PET検出器41〜44は、シンチレータと光検出器とを有する検出器モジュールをリング状に多数配置することで形成される。ここで、シンチレータは、例えば、LYSO、LSO、LGSOなどである。また、光検出器は、例えば、APD(Avalanche Photodiode)素子を有するSiPM(Silicon Photomultiplier)などの半導体検出器である。そして、PET検出器41〜44は、検出した計数情報を計数情報収集部45に送る。
【0077】
ここで、PET検出器41〜44の配置について詳細に説明する。図12は、本実施例2に係るPET検出器41〜44の配置を示す図である。なお、図12示す点48は、静磁場の磁場中心を示している。また、図12では、送信用高周波コイル35については図示を省略している。
【0078】
図12に示すように、PET検出器41〜44は、各々ボア49の軸方向に並ぶ検出器モジュールをボア49と同軸の円筒面に沿って密に配設して形成され、ボア49内に配置される。ここで、PET検出器42は、PET検出器41の外周側に設けられる。このPET検出器42は、PET検出器41を通過したガンマ線を検出する。また、PET検出器43は、PET検出器41との間に静磁場の磁場中心を挟むように、ボア49の軸方向に沿ってPET検出器41から間隔を開けて配置される。また、PET検出器44は、PET検出器43の外周側に設けられる。このPET検出器44は、PET検出器43を通過したガンマ線を検出する。
【0079】
なお、各PET検出器が有するシンチレータの厚さは、所定値以上のガンマ線の検出効率が得られるように、例えばLYSOなどでは厚さの合計が20mm以上となるように形成される。例えば、各PET検出器が有するLYSOシンチレータでは、厚さの合計が22mm程度になるように形成される。このとき、例えば、PET検出器41及び43が有するシンチレータの厚さは、7mm〜12mm程度とするのが好適である。また、PET検出器42及び44が有するシンチレータの厚さは、10mm〜15mm程度とするのが好適である。ただし、PET検出器41及び43のシンチレータは、PET検出器42及び44のシンチレータよりも薄いことが望ましい。
【0080】
また、図12に示すように、本実施例2でも、内側に配置されるPET検出器41及び43が有するシンチレータは、外側に配置されるPET検出器42及び44が有するシンチレータよりもリングの軸方向の幅が同じ又は小さくなるように形成される。
【0081】
例えば、図12に示すように、PET検出器41及び43が有するシンチレータの各々は、PET検出器42及び44が有するシンチレータよりもリングの軸方向の幅が小さくなるように形成され、図1に示すような角度で見た場合の周方向の幅も同様に小さくなるように形成される。すなわち、内側に位置するPET検出器41及び43についてはシンチレータの配置面密度が高なり、ピクセル単位が細かくなる。また、外側に位置するPET検出器42及び44についてはシンチレータの配置面密度が低くなり、ピクセル単位が粗くなる。また、PET検出器41及び43が有するシンチレータの材質とPET検出器42及び44が有するシンチレータの材質は互いに異なるものであってもよい。
【0082】
このように、PET検出器を2重に配置することで、ガンマ線の検出確率を高めることができる。そして、内側のPET検出器についてはシンチレータを薄く、かつ幅を小さくしてピクセル単位を細かくすることで、PET画像の画質を高めることができる。また、外側のPET検出器についてはピクセル単位を粗くすることで、PET検出器の製造コストを抑えることができる。
【0083】
図11の説明にもどって、計数情報収集部45は、シーケンスコントローラ47による制御のもと、PET検出器41〜44それぞれの計数結果に基づく情報を計数情報として収集する。この計数情報収集部45は、実施例1における計数情報収集部16と同様に、検出器モジュールを一意に特定するための「モジュールID」に対応付けた『「P:シンチレータ番号」、「E:エネルギー値」および「T:検出時間」』を計数情報として収集する。
【0084】
具体的には、計数情報収集部45は、PET検出器41により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集する。また、計数情報収集部45は、PET検出器42により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。また、計数情報収集部45は、PET検出器43により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第3計数情報として収集する。また、計数情報収集部45は、PET検出器44により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第4計数情報として収集する。
【0085】
計算機46は、操作者から各種操作を受け付け、受け付けた操作に基づいてPET−MRI装置200全体を制御する。例えば、計算機46は、MRデータ収集部39から送られた磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成する。また、計算機46は、計数情報収集部45によって収集された計数情報に基づいて、PET画像を再構成する。シーケンスコントローラ47は、撮像時に実行される各種撮像シーケンスに基づいて上記各部を制御することで、PET画像及びMR画像の撮像を実行する。
【0086】
なお、ここでは、上記各部を1台の計算機46が有する場合について説明した。しかし、例えば、計算機46の負荷を考慮し、複数の計算機が上記各部を分散して有するようにしてもよい。例えば、2台の計算機を用いて、一方の計算機がPET撮像に関する機能部を有し、他方の計算機がMR撮像に関する機能部を有するようにしてもよい。
【0087】
次に、図11に示した計算機46について詳細に説明する。図13は、本実施例2に係る計算機46の構成を示す機能ブロック図である。図13に示すように、計算機46は、入力部46aと、表示部46bと、計数情報記憶部46cと、エネルギー値加算部46dと、同時計数情報生成部46eと、PET画像再構成部46fと、MR画像再構成部46gと、データ記憶部46hと、システム制御部46iとを有する。なお、計算機46が有する各部は、内部バスを介して接続される。
【0088】
入力部46aは、PET−MRI装置200の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボードなどを有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御部46iに転送する。例えば、入力部46aは、操作者からPET画像を再構成する際の再構成条件や、画像補正を行なうための補正条件などを受け付ける。または、入力部46aは、MR画像の撮像に関する撮像条件などを受け付ける。
【0089】
表示部46bは、操作者によって参照されるモニタであり、システム制御部46iによる制御のもと、PET画像やMR画像を表示したり、入力部46aを介して操作者から各種指示や各種設定などを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
【0090】
計数情報記憶部46cは、計数情報収集部45により収集された検出器モジュールごとの第1計数情報、第2計数情報、第3計数情報、及び第4計数情報を記憶する。例えば、計数情報記憶部46cは、PET検出器41が有する検出器モジュールによる計数結果から収集された第1計数情報として、図3に示した第1計数情報と同様の情報を記憶する。また、例えば、計数情報記憶部46cは、PET検出器42が有する検出器モジュールによる計数結果から収集された第2計数情報として、図3に示した第2計数情報と同様の情報を記憶する。
【0091】
そして、計数情報記憶部46cは、さらに第3計数情報及び第4計数情報も記憶する。図14は、本実施例2に係る計数情報記憶部46cにより記憶される第3計数情報の一例を示す図である。また、図15は、本実施例2に係る計数情報記憶部46cにより記憶される第4計数情報の一例を示す図である。図14及び15において、「P」、「E」および「T」は、それぞれ「シンチレータ番号」、「エネルギー値」および「検出時間」を示す。
【0092】
例えば、計数情報記憶部46cは、図14に示すように、PET検出器43が有する「モジュールID:D31」の検出器モジュールによる計数結果から収集された第3計数情報として、「P:P311、E:E311、T:T311」や「P:P312、E:E312、T:T312」などを記憶する。また、計数情報記憶部46cは、PET検出器43が有する「モジュールID:D32」や「モジュールID:D33」などの検出器モジュールによる計数結果から収集された第3計数情報についても同様に記憶する。
【0093】
また、例えば、計数情報記憶部46cは、図15に示すように、PET検出器44が有する「モジュールID:D41」の検出器モジュールによる計数結果から収集された第4計数情報として、「P:P411、E:E411、T:T411」や「P:P412、E:E412、T:T412」などを記憶する。また、計数情報記憶部46cは、PET検出器44が有する「モジュールID:D42」や「モジュールID:D43」などの検出器モジュールによる計数結果から収集された第4計数情報についても同様に記憶する。
【0094】
図13の説明にもどって、エネルギー値加算部46dは、計数情報記憶部46cに記憶された計数情報に基づいて、補正計数情報を生成する。このエネルギー値加算部46dは、実施例1におけるエネルギー値加算部25と同様に、操作者が入力部46aを介して入力した再構成条件に含まれる時間ウィンドウ幅に基づいて、補正計数情報を生成する。
【0095】
具体的には、エネルギー値加算部46dは、同一時間ウィンドウ内に発生した第1計数情報に含まれるエネルギー値と第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第1補正計数情報を生成する。さらに、エネルギー値加算部46dは、同一時間ウィンドウ内に発生した第3計数情報に含まれるエネルギー値と第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第2補正計数情報を生成する。そして、エネルギー値加算部46dは、生成した各補正計数情報をデータ記憶部46hに格納する。
【0096】
具体的には、エネルギー値加算部46dは、前記の如く、第1計数情報と第2計数情報との組み合わせで且つ前記近傍条件を満たす組み合わせを検索し、エネルギー値を加算して第1補正計数情報のエネルギー値を求める。また、エネルギー値加算部46dは、第3計数情報と第4計数情報との組み合わせで且つ前記近傍条件を満たす組み合わせを同様に検索し、エネルギー値を加算して第2補正計数情報のエネルギー値を求める。次に、エネルギー値加算部46dは、各々の加算した補正計数情報のエネルギー値に基づいて、陽電子放出核種から放出される消滅放射線のエネルギーとの比較を行い、所定エネルギー差内に含まれる補正計数情報のみを選択データとして残す。
【0097】
図16は、本実施例2に係るエネルギー値加算部46dにより生成される第1補正計数情報の一例を示す図である。図16に示すように、例えば、エネルギー値加算部46dは、図3に示した第1計数情報「P:P111、E:E111、T:T111」と図4に示した第2計数情報「P:P211、E:E211、T:T211」との組み合わせから、第1補正計数情報として「P:P111、E:E111+E211、T:T111」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部46dは、第1補正計数情報として、「P:P112、E:E112+E212、T:T112」や「P:P113、E:E113+E213、T:T113」なども生成する。
【0098】
また、例えば、エネルギー値加算部46dは、第1計数情報「P:P151、E:E151、T:T151」と第2計数情報「P:P221、E:E221、T:T221」との組み合わせから、第1補正計数情報として「P:P151、E:E151+E221、T:T151」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部46dは、第1補正計数情報として、「P:P152、E:E152+E222、T:T152」や「P:P153、E:E153+E223、T:T153」なども生成する。
【0099】
図17は、本実施例2に係るエネルギー値加算部46dにより生成される第2補正計数情報の一例を示す図である。図17に示すように、例えば、エネルギー値加算部46dは、図14に示した第3計数情報「P:P311、E:E311、T:T311」と図15に示した第4計数情報「P411、E:E411、T:T411」との組み合わせから、第2補正計数情報として「P:P311、E:E311+E411、T:T311」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部46dは、第2補正計数情報として、「P:P312、E:E312+E412、T:T312」や「P:P313、E:E313+E413、T:T313」なども生成する。
【0100】
また、例えば、エネルギー値加算部46dは、第3計数情報「P:P351、E:E351、T:T351」と第4計数情報「P421、E:E421、T:T421」との組み合わせから、第2補正計数情報として「P:P351、E:E351+E421、T:T351」を生成する。同様に、例えば、エネルギー値加算部46dは、第2補正計数情報として、「P:P352、E:E352+E422、T:T352」や「P:P353、E:E353+E423、T:T353」なども生成する。
【0101】
このように、エネルギー値加算部46dが、同一時間ウィンドウ内に発生した第1計数情報に含まれるエネルギー値と第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、PET検出器42によって検出されたガンマ線のエネルギー値が、PET検出器41によって検出されたガンマ線のエネルギー値に加算されることになる。また、エネルギー値加算部46dが、同一時間ウィンドウ内に発生した第3計数情報に含まれるエネルギー値に第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、PET検出器43によって検出されたガンマ線のエネルギー値が、PET検出器44によって検出されたガンマ線のエネルギー値に加算されることになる。これにより、PET検出器41及び43において検出されずに通過したガンマ線のエネルギー値を補償することができるようになる。
【0102】
図13の説明にもどって、同時計数情報生成部46eは、ガンマ線を略同時に検出した補正計数情報又は計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。この同時計数情報生成部46eは、実施例1における同時計数情報生成部26と同様に、操作者が入力部21を介して入力した再構成条件に含まれる時間ウィンドウ幅とその開始時間とエネルギーウィンドウ幅とに基づいて、同時計数情報を生成する。
【0103】
ここでは、同時計数情報生成部46eは、第1補正計数情報と第2補正計数情報に基づいて、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。
【0104】
さらに、同時計数情報生成部46eは、同時計数情報として求めた補正計数情報について、ガンマ線を略同時に検出した第1補正計数情報の第1計数情報と第2計数情報と、第2補正計数情報の第3計数情報と第4計数情報を同時計数情報として生成する。また、同時計数情報生成部46eは、時間情報として第1補正計数情報の計数情報と第2補正計数情報の計数情報の組み合わせも同時計数情報として生成する。さらに、同時計数情報生成部46eは、第3計数情報と第4計数情報の一方と第1補正計数情報との組み合わせ、あるいは、第1計数情報と第2計数情報の一方と第2補正計数情報との組み合わせを同時計数情報として生成することもできる。そして、同時計数情報生成部26は、生成した同時計数情報を被検体Pの投影データ(サイノグラムデータ)、又はリストモードデータとして、フラッグ付けしてデータ記憶部46hに格納する。
【0105】
なお、同時計数情報生成部46eは、同時計数情報を生成する際に、第1補正計数情報と第2補正計数情報のうち、いずれか一方の2つの計数情報を組み合わせたもの、さらに4つの計数情報を組み合わせたものである場合には、ノイズとなるデータがより除外されている分だけ高分解能なPET画像が得られる情報であることを示す高分解能識別情報を同時計数情報に関連付けてデータ記憶部46hに格納する。なお、いずれの組み合わせを選択するかは、計算機46の処理能力や処理時間により決定する。
【0106】
さらに、同時計数情報生成部46eは、同時計数情報を生成する際に、その同時計数情報がMR画像の有効撮像領域内を通過したガンマ線に関するものであった場合には、MR画像とPET画像とを同時に撮像可能な領域に関する情報であることを示す同時撮像識別情報を同時計数情報に関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0107】
例えば、同時計数情報生成部46eは、同時計数情報を生成する際に、その同時計数情報が第1補正計数情報と第4計数情報とを組み合わせたものであるか、又は、第3補正計数情報と第2計数情報とを組み合わせたものである場合には、同時撮像識別情報を同時計数情報に関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0108】
なお、近年、一対の消滅ガンマ線の検出時間差を利用して、ガンマ線が放出された位置を正確に特定するTOF(Time Of Flight)と呼ばれる技術が知られている。そこで、例えば、同時計数情報生成部46eが、同時計数情報が第1補正計数情報と第4計数情報とを組み合わせたもの、又は、第3補正計数情報と第2計数情報とを組み合わせたものであった場合に、TOFなどを利用してガンマ線が放出された位置を特定し、特定した位置がPET検出器41とPET検出器43との間に挟まれる領域内であった場合に、同時撮像識別情報を同時計数情報に関連付けるようにしてもよい。
【0109】
図18は、本実施例2に係る同時計数情報生成部46eにより生成される同時計数情報の一例を示す図である。図18に示すように、例えば、同時計数情報生成部46eは、図16に示した第1補正計数情報「P:P111、E:E111+E211、T:T111」と「P:P151、E:E151+E221、T:T151」との組み合わせを、同時計数情報として生成する。なお、この場合には、同時計数情報生成部46eは、生成した同時計数情報に高分解能識別情報を関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0110】
また、例えば、同時計数情報生成部46eは、図17に示した第2補正計数情報「P:P311、E:E311+E411、T:T311」と「P:P351、E:E351+E421、T:T351」との組み合わせを、同時計数情報として生成する。なお、この場合には、同時計数情報生成部46eは、生成した同時計数情報に高分解能識別情報を関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0111】
また、例えば、同時計数情報生成部46eは、図16に示した第1補正計数情報「P:P152、E:E152+E222、T:T152」と図17に示した第2補正計数情報「P:P352、E:E352+E422、T:T352」との組み合わせを、同時計数情報として生成する。なお、この場合には、同時計数情報生成部46eは、生成した同時計数情報に高分解能識別情報及び同時撮像識別情報を関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0112】
また、例えば、同時計数情報生成部46eは、図16に示した第1補正計数情報「P:P112、E:E112+E212、T:T112」と図15に示した第4計数情報「P:P412、E:E412、T:T412」との組み合わせを、同時計数情報として生成する。なお、この場合には、同時計数情報生成部46eは、生成した同時計数情報に同時撮像識別情報を関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0113】
また、例えば、同時計数情報生成部46eは、図17に示した第2補正計数情報「P:P312、E:E312+E412、T:T312」と図4に示した第2計数情報「P:P212、E:E212、T:T212」との組み合わせを、同時計数情報として生成する。なお、この場合には、同時計数情報生成部46eは、生成した同時計数情報に同時撮像識別情報を関連付けてデータ記憶部46hに格納する。
【0114】
なお、図18では、同時計数情報、高分解能識別情報、及び同時撮像識別情報をそれぞれ対応付けて1つの情報にした場合の例を示したが、それぞれの情報は互いに関連付けられて別々のテーブルに記憶されてもよい。
【0115】
図13の説明にもどって、PET画像再構成部46fは、同時計数情報生成部46eが生成した同時計数情報を投影データとしてデータ記憶部46hから読み出して、読み出した投影データを逆投影処理することでPET画像を再構成する。また、PET画像再構成部46fは、再構成したPET画像をデータ記憶部46hに格納する。
【0116】
図19は、本実施例2に係るPET画像再構成部46fにより再構成されるPET画像の撮像領域を示す図である。図19に示すように、PET−MRI装置200では、PET検出器41の内周面で囲まれた領域50と、PET検出器43の内周面で囲まれた領域51とが、それぞれPET画像のみに関する有効撮像領域となる。
【0117】
ここで、有効撮像領域50に関するPET画像は、例えば、図18に示した同時計数情報「P:P111、E:E111+E211、T:T111、P:P121、E:E121+E221、T:T121」から再構成される。また、有効撮像領域50に関するPET画像は、例えば、図18に示した同時計数情報「P:P311、E:E311+E411、T:T311、P:P321、E:E321+E421、T:T321」から再構成される。
【0118】
かかる有効撮像領域50及び51については、PET検出器41及び43によって細かいピクセル単位でガンマ線が検出され、かつ、PET検出器41及び43で検出されなかったガンマ線がPET検出器42及び43によって補償される。したがって、有効撮像領域50及び51については、高分解能なPET画像すなわち空間分解能が高く定量性の高いPET画像が得られる。
【0119】
さらに、図19に示すように、PET検出器41の内周面とPET検出器43の内周面とを結ぶ空間の中央部に形成され、磁場中心48を内包する領域52が、PET画像及びMR画像を同時に撮像可能な有効撮像領域となる。このPET画像及びMR画像に関する有効撮像領域52は、円錐の底面を張り合わせた形状になる。
【0120】
ここで、有効撮像領域52に関するPET画像は、例えば、図18に示した同時計数情報「P:P122、E:E122+E222、T:T122、P:P322、E:E322+E422、T:T322」から再構成される。
【0121】
この有効撮像領域52についても、PET検出器41及び43によって細かいピクセル単位でガンマ線が検出され、かつ、PET検出器41及び43で検出されなかったガンマ線がPET検出器42及び44によって補償される。したがって、有効撮像領域52についても、空間分解能が高く定量性の高いPET画像が得られる。
【0122】
また、図19に示すように、PET画像及びMR画像に関する有効撮像領域52の周辺に位置する領域53についても、PET画像及びMR画像を同時に撮像可能な有効撮像領域となる。この有効撮像領域53は、PET検出器41の磁場中心48側端部に配置されたシンチレータとPET検出器44のボア49開口部側端部に配置されたシンチレータとの組、又は、PET検出器43の磁場中心48側端部に配置されたシンチレータとPET検出器42のボア49開口部側端部に配置されたシンチレータとの組によってガンマ線が略同時に検出される領域である。
【0123】
ここで、有効撮像領域53に関するPET画像は、例えば、図18に示した同時計数情報「P:P112、E:E112+E212、T:T112、P:P412、E:E412、T:T412」、又は、「P:P312、E:E312+E412、T:T312、P:P212、E:E212、T:T212」から再構成される。
【0124】
この有効撮像領域53については、ガンマ線を検出したPET検出器のうち一方が、内側のPET検出器と比べてピクセル単位が粗い外側のPET検出器となる。したがって、有効撮像領域50〜52よりも空間分解能が低くなるものの、有効撮像領域53についてPET画像が得られる。これにより、PET画像及びMR画像を同時に撮像可能な領域を拡げることができる。
【0125】
図13の説明にもどって、MR画像再構成部46gは、MRデータ収集部39によって収集された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成する。例えば、MR画像再構成部46gは、MRデータ収集部39によって収集された磁気共鳴信号をk空間に配置してk空間データを生成する。そして、MR画像再構成部46gは、生成したk空間データに対して後処理すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体Pの体内を表すMR画像を生成する。
【0126】
データ記憶部46hは、各種情報や各種プログラムなどを記憶する。例えば、データ記憶部46hは、エネルギー値加算部46dによって生成された各補正計数情報を記憶する。また、データ記憶部46hは、同時計数情報生成部26によって生成された同時計数情報、高分解能識別情報、及び同時撮像識別情報を記憶する。また、データ記憶部46hは、PET画像再構成部46fによって再構成されたPET画像や、MR画像再構成部46gによって再構成されたMR画像を記憶する。
【0127】
システム制御部46iは、操作者からの指示に基づいて、PET−MRI装置200が有する各部の動作を制御することによって、PET−MRI装置200の全体制御を行う。例えば、システム制御部46iは、PET画像を再構成する際の再構成条件や画像補正を行なうための補正条件、MR画像の撮像に関する撮像条件などを受け付ける。そして、システム制御部46iは、受け付けた各種条件に応じて、シーケンスコントローラ47を制御する。また、システム制御部46iは、データ記憶部46hが記憶するPET画像やMR画像を表示部466に表示するよう制御する。
【0128】
次に、本実施例2に係るPET−MRI装置200によるPET画像の撮像の流れについて説明する。図20は、本実施例2に係るPET−MRI装置200によるPET画像の撮像の流れを示すフローチャートである。図20に示すように、PET−MRI装置200は、被検体Pをボア内に移動した後に、入力部46aを介して操作者からPET画像の撮像開始指示を受け付けると(ステップS201,Yes)、以下の処理を実行する。
【0129】
まず、計数情報収集部45が、PET検出器41〜44により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1〜第4計数情報として収集する(ステップS202)。
【0130】
続いて、エネルギー値加算部46dが、第1計数情報に含まれる検出時間と第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第1補正計数情報を生成する(ステップS203)。さらに、エネルギー値加算部46dは、第3計数情報に含まれる検出時間と第3計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第3計数情報に含まれるエネルギー値に第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第2補正計数情報を生成する(ステップS204)。
【0131】
続いて、同時計数情報生成部46eが、ガンマ線を略同時に検出した第1補正計数情報の組み合わせ、第2補正計数情報の組み合わせ、第1補正計数情報と第2補正計数情報との組み合わせ、第1補正計数情報と第4計数情報との組み合わせ、及び、第3補正計数情報と第2計数情報との組み合わせを同時計数情報として生成する(ステップS205)。ここで使用される時間情報は、使用されたPET検出器41又は43の時間情報である。
【0132】
そして、PET画像再構成部46fが、同時計数情報生成部46eにより生成された同時計数情報を投影データとしてPET画像を再構成する(ステップS206)。撮像されたPET画像は、例えば、計算機46が有する表示部に表示される。
【0133】
次に、本実施例2に係るPET−MRI装置200によるMR画像の撮像の流れについて説明する。図21は、本実施例2に係るPET−MRI装置200によるMR画像の撮像の流れを示すフローチャートである。図21に示すように、PET−MRI装置200は、被検体Pをボア内に移動した後に、入力部46aを介して操作者からPET画像の撮像開始指示を受け付けると(ステップS301,Yes)、以下の処理を実行する。
【0134】
まず、シーケンスコントローラ47が、傾斜磁場コイル33、送信部36、受信部38、及びMRデータ収集部39を制御することで、操作者によって設定された撮像シーケンスを実行して磁気共鳴信号を収集する(ステップS302)。
【0135】
そして、計算機46が、収集された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成する(ステップS303)。撮像されたMR画像は、例えば、計算機46が有する表示部に表示される。
【0136】
なお、図20に示したPET画像の撮像と図21に示したMR画像の撮像は、それぞれ単独で実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0137】
上述したように本実施例2に係るPET−MRI装置200は、静磁場磁石31と、受信用高周波コイル37、MR画像再構成部46gと、PET検出器41〜44と、計数情報収集部45と、エネルギー値加算部46dと、同時計数情報生成部46eと、PET画像再構成部46fとを有する。静磁場磁石31は、円筒状のボア内に静磁場を発生させる。受信用高周波コイル37は、静磁場内に置かれた被検体Pに高周波パルス及び傾斜磁場を印加することにより被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する。MR画像再構成部46gは、受信用高周波コイル37により検出された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成する。PET検出器41及び43は、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。PET検出器42及び44は、PET検出器41及び43の外周側に設けられ、PET検出器41及び43を通過したガンマ線を検出する。計数情報収集部45は、PET検出器41及び43により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、PET検出器42及び44により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する。計数情報収集部45は、第1計数情報に含まれる検出時間と第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。同時計数情報生成部46eは、エネルギー値加算部46dにより生成された補正計数情報に基づいて、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。PET画像再構成部46fは、同時計数情報生成部46eにより生成された同時計数情報を投影データとしてPET画像を再構成する。すなわち、本実施例2では、内側のPET検出器41及び43によってPET画像の空間分解能が担保され、外側のPET検出器42及び44によってガンマ線の検出効率が担保される。したがって、本実施例2によれば、撮像されるPET画像の空間分解能や定量性を向上させることが可能になる。
【0138】
また、本実施例2では、PET検出器41及びPET検出器43は、静磁場の磁場中心を間に挟むようにボアの軸方向に沿って間隔を開けて配置される。また、計数情報収集部45は、PET検出器43により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第3計数情報として収集し、PET検出器44により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第4計数情報として収集する。また、エネルギー値加算部46dは、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第1補正計数情報を生成し、第3計数情報に含まれるエネルギー値に第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第2補正計数情報を生成する。また、同時計数情報生成部46eは、第1補正計数情報及び第2補正計数情報に基づいて、ガンマ線を略同時に検出した第1補正計数情報の組み合わせと、ガンマ線を略同時に検出した第2補正計数情報の組み合わせと、ガンマ線を略同時に検出した第1補正計数情報と第2補正計数情報との組み合わせとをそれぞれ同時計数情報として生成する。したがって、本実施例2によれば、MR画像の撮像有効領域となる磁場中心の周辺を避けて、PET検出器41及び43が配置される。したがって、本実施例2によれば、PET検出器の影響によるMR画像の画質劣化を抑えることができる。
【0139】
また、本実施例2では、計数情報収集部45は、PET検出器42により検出されたガンマ線の検出位置を第2計数情報としてさらに収集し、PET検出器44により検出されたガンマ線の検出位置を第4計数情報としてさらに収集する。また、同時計数情報生成部46eは、ガンマ線を略同時に検出した第1補正計数情報と第4計数情報との組み合わせ、及び、ガンマ線を略同時に検出した第3補正計数情報と第2計数情報との組み合わせを同時計数情報としてさらに生成する。したがって、本実施例2によれば、より広い領域でPET画像及びMR画像を同時に撮像することができる。
【0140】
また、本実施例2では、同時計数情報生成部46eは、同時計数情報を生成する際に、該同時計数情報がMR画像の有効撮像領域内を通過したガンマ線に関するものであった場合には、MR画像とPET画像とを同時に撮像可能な領域に関する情報であることを示す同時撮像識別情報をその同時計数情報に対応付けてデータ記憶部46hに格納する。したがって、本実施例2によれば、同時計数情報がMR画像の有効撮像領域内に関するものであるか否かを容易に判別することができるようになる。これにより、例えば読影医などに対して、臨床用のPET画像がMR画像と同時に撮影されたものであるか、または、臨床用のMR画像がPET画像と同時に撮影されたものであるかを報知することができるようになる。
【0141】
なお、本実施例2では、エネルギー値加算部46dが、第1計数情報に含まれるエネルギー値に第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算し、第3計数情報に含まれるエネルギー値に第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算することで、内側のPET検出器41及び43によって検出しきれなかったガンマ線のエネルギー値を外側のPET検出器42及び44によって補償する場合について説明した。
【0142】
しかしながら、実施例1で説明したように、例えば、外側のPET検出器42及び44によって検出しきれなかったガンマ線のエネルギー値を内側のPET検出器41及び43によって補償するようにしてもよい。
【0143】
この場合には、エネルギー値加算部46dは、実施例1と同様に、内側のPET検出器41に対する近傍条件を満たすPET検出器42を検索して、「内側のPET検出器41を基準とした第1補正計数情報」を生成する。また、エネルギー値加算部25は、外側のPET検出器42に対する近傍条件を満たすPET検出器41を検索して、「外側のPET検出器42を基準とした第1補正計数情報」を生成する(図8を参照)。また、同様に、エネルギー値加算部46dは、「内側のPET検出器43を基準とした第2補正計数情報」及び「外側のPET検出器44を基準とした第2補正計数情報」を生成する。
【0144】
ここで、例えば、第1計数情報のエネルギー値又は第2計数情報のエネルギー値の一方のみで、陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内となる場合には、エネルギー値加算部46dは、第1計数情報のエネルギー値又は第2計数情報のエネルギー値の一方のみを用いて、第1補正計数情報を生成するようにしてもよい(図9、図10を参照)。同様に、第3計数情報のエネルギー値又は第4計数情報のエネルギー値の一方のみで、陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値との差が所定値以内となる場合には、エネルギー値加算部46dは、第3計数情報のエネルギー値又は第4計数情報のエネルギー値の一方のみを用いて、第2補正計数情報を生成するようにしてもよい。
【0145】
なお、ここで説明したように、エネルギー値加算部46dが、「内側のPET検出器41を基準とした第1補正計数情報」、「外側のPET検出器42を基準とした第1補正計数情報」、「内側のPET検出器43を基準とした第2補正計数情報」及び「外側のPET検出器44を基準とした第2補正計数情報」をそれぞれ生成した場合には、同時計数情報生成部46eは、「内側のPET検出器41を基準とした第1補正計数情報」及び「内側のPET検出器43を基準とした第2補正計数情報」を用いて同時計数情報を生成してもよいし、「外側のPET検出器42を基準とした第1補正計数情報」及び「外側のPET検出器44を基準とした第2補正計数情報」を用いて同時計数情報を生成してもよい。また、エネルギー値加算部46eは、全ての補正計数情報を参照して、同時計数情報を生成してもよい。
【実施例3】
【0146】
次に、実施例3について説明する。実施例3では、上記実施例2で説明したPET−MRI装置200において、被検体Pが置かれた天板32aをボア49内の軸方向に段階的に移動しながら撮像を繰り返す場合について説明する。このような撮像法は、ステップ・アンド・シュートと呼ばれる。
【0147】
図22は、本実施例3に係るステップ・アンド・シュートを説明するための図である。本実施例3に係るステップ・アンド・シュートでは、寝台32が、天板32aを移動させることで、ボア49の軸方向に沿って被検体Pを移動する。また、計算機46が、PET検出器43の略中心位置、PET検出器41とPET検出器43との間に挟まれた領域の略中心位置、PET検出器41の略中心位置の順で被検体Pの撮像部位が段階的に移動するように、寝台32を制御する。
【0148】
これにより、図22に示すように、被検体Pの撮像位置に付けられた受信用高周波コイル37が段階的に移動する。具体的には、受信用高周波コイル37は、ボア49の軸方向に、PET検出器41の中心とPET検出器41の中心との間隔の半分の距離dだけ段階的に移動する。この結果、撮像部位は、ボア49の軸方向に、PET画像のみが撮像可能な範囲55、MRI画像及びPET画像を同時に撮像可能な範囲56、及び、PET画像のみが撮像可能な範囲54に順に移動することになる。
【0149】
そして、例えば、計算機46は、撮像部位がPET検出器41の略中心位置、又は、PET検出器43の略中心位置に移動した際には、PET画像を撮像するようにPET−MRI装置200を制御する。また、計算機46は、撮像部位がPET検出器41とPET検出器43との間に挟まれた領域の略中心位置に移動した際には、PET画像及びMR画像の両方又は一方を撮像するようにPET−MRI装置200を制御する。これにより、撮像部位を段階的に移動しながら、PET画像と、MR画像及びPET画像の両方又は一方とを順に撮像することができる。
【0150】
なお、上記実施例1〜3では、内側のPET検出器により検出されたガンマ線だけでなく、外側のPET検出器により検出されたガンマ線についても検出位置を収集する場合について説明した。しかし、例えば、外側のPET検出器については、ガンマ線の検出位置を収集しないようにしてもよい。その場合には、ボアの軸方向に複数のシンチレータを配置する必要がなくなるので、PET検出器のコストをさらに低減することができる。
【0151】
また、上記実施例1〜3では、PET検出器が2重に配置される場合について説明した。しかし、PET装置及びPET−MRI装置の実施形態はこれに限られない。例えば、PET検出器は3重以上に配置されてもよい。すなわち、外側のPET検出器の外側に、さらにPET検出器を配置する。これにより、内側のPET検出器で検出されなかったガンマ線をより精度よく補償することができる。
【0152】
また、上記実施例2及び3では、2重に配置されたPET検出器の組が2組配置される場合について説明した。しかし、PET−MRI装置の実施形態はこれに限られない。例えば、2重に配置されたPET検出器の組が、ボアの軸方向に沿って3組以上配置されてもよい。すなわち、3組以上のPET検出器13a及び13bが配置された場合でも、各PET検出器の間に挟まれる領域において、PET画像とMR画像とを同時に撮像することができる。
【0153】
また、上記実施例1では、2重に配置されたPET検出器の組が1組配置される場合について説明した。しかし、PET装置の実施形態はこれに限られない。例えば、上記実施例2及び3で説明したPET−MRI装置200と同様に、2重に配置されたPET検出器の組が複数組配置されてもよい。その場合には、例えば、実施例1に係るPET装置100が、PET検出器14の軸方向に沿ってPET検出器14から間隔を開けて配置され、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状の第3のPET検出器をさらに備える。また、PET装置100は、第3のPET検出器の外周側に設けられ、第3のPET検出器を通過したガンマ線を検出するリング状の第4のPET検出器をさらに備える。そして、計数情報収集部16が、実施例2で説明した計数情報収集部45と同様に、各PET検出器により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を収集する。また、エネルギー値加算部46dが、実施例2で説明したエネルギー値加算部25と同様に、内側のPET検出器により検出されたエネルギー値に外側のPET検出器により検出されたエネルギー値を加算して補正計数情報を生成する。また、同時計数情報生成部46eが、実施例2で説明した同時計数情報生成部26と同様に、ガンマ線を略同時に検出した補正計数情報及び計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。
【0154】
以上のように、実施例1〜3によれば、撮像されるPET画像の画質を向上させることが可能なPET装置及びPET−MRI装置を実現することができる。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0156】
100 PET装置
14 PET検出器
15 PET検出器
16 計数情報収集部
25 エネルギー値加算部
26 同時計数情報生成部
27 画像再構成部
200 PET−MRI装置
31 静磁場磁石
37 受信用高周波コイル
46g MR画像再構成部
41〜44 PET検出器
45 計数情報収集部
46d エネルギー値加算部
46e 同時計数情報生成部
46f PET画像再構成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状の第1検出部と、
前記第1検出部の外周側に設けられ、前記第1検出部を通過したガンマ線を検出するリング状の第2検出部と、
前記第1検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、前記第2検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する計数情報収集部と、
前記第1計数情報に含まれる検出時間と前記第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、前記第1計数情報に含まれるエネルギー値に前記第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成するエネルギー値加算部と、
前記エネルギー値加算部により生成された補正計数情報に基づいて、前記陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する同時計数情報生成部と、
前記同時計数情報生成部により生成された同時計数情報をもとにPET画像を再構成する画像再構成部と
を備えたことを特徴とするPET装置。
【請求項2】
前記第1検出部の軸方向に沿って前記第1検出部から間隔を開けて配置され、前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状の第3検出部と、
前記第3検出部の外周側に設けられ、前記第3検出部を通過したガンマ線を検出するリング状の第4検出部とをさらに備え、
前記計数情報収集部は、前記第3検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第3計数情報として収集し、前記第4検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第4計数情報として収集し、
前記エネルギー値加算部は、前記第1計数情報に含まれるエネルギー値に前記第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第1補正計数情報を生成し、前記第3計数情報に含まれるエネルギー値に前記第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第2補正計数情報を生成し、
前記同時計数情報生成部は、前記第1補正計数情報及び前記第2補正計数情報に基づいて、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第1補正計数情報の組み合わせと、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第2補正計数情報の組み合わせと、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第1補正計数情報と前記第2補正計数情報との組み合わせとをそれぞれ同時計数情報として生成することを特徴とする請求項1に記載のPET装置。
【請求項3】
前記エネルギー加算部は、生成した補正計数情報に含まれるエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値とを比較し、エネルギー値の差が所定値以内となる補正計数情報を選択し、
前記同時計数情報生成部は、前記エネルギー値加算部により選択された補正計数情報に基づいて、前記同時計数情報として生成することを特徴とする請求項1又は2に記載のPET装置。
【請求項4】
円筒状のボア内に静磁場を発生させる静磁場磁石と、
静磁場内に置かれた被検体に高周波パルス及び傾斜磁場を印加することにより該被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する高周波コイルと、
前記高周波コイルにより検出された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成するMR画像再構成部と、
被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状の第1検出部と、
前記第1検出部の外周側に設けられ、前記第1検出部を通過したガンマ線を検出するリング状の第2検出部と、
前記第1検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、前記第2検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する計数情報収集部と、
前記第1計数情報に含まれる検出時間と前記第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、前記第1計数情報に含まれるエネルギー値に前記第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成するエネルギー値加算部と、
前記エネルギー値加算部により生成された補正計数情報に基づいて、前記陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する同時計数情報生成部と、
前記同時計数情報生成部により生成された同時計数情報をもとにPET画像を再構成するPET画像再構成部と
を備えたことを特徴とするPET−MRI装置。
【請求項5】
前記第1検出部との間に前記静磁場の磁場中心を挟むように前記ボアの軸方向に沿って前記第1検出部から間隔を開けて配置され、前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状の第3検出部と、
前記第3検出部の外周側に設けられ、前記第3検出部を通過したガンマ線を検出するリング状の第4検出部とをさらに備え、
前記計数情報収集部は、前記第3検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第3計数情報として収集し、前記第4検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第4計数情報として収集し、
前記エネルギー値加算部は、前記第1計数情報に含まれるエネルギー値に前記第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第1補正計数情報を生成し、前記第3計数情報に含まれるエネルギー値に前記第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第2補正計数情報を生成し、
前記同時計数情報生成部は、前記第1補正計数情報及び前記第2補正計数情報に基づいて、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第1補正計数情報の組み合わせと、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第2補正計数情報の組み合わせと、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第1補正計数情報と前記第2補正計数情報との組み合わせとをそれぞれ同時計数情報として生成することを特徴とする請求項4に記載のPET−MRI装置。
【請求項6】
前記計数情報収集部は、前記第2検出部により検出されたガンマ線の検出位置を前記第2計数情報としてさらに収集し、前記第4検出部により検出されたガンマ線の検出位置を前記第4計数情報としてさらに収集し、
前記同時計数情報生成部は、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第1補正計数情報と前記第4計数情報との組み合わせ、及び、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第3補正計数情報と前記第2計数情報との組み合わせを同時計数情報としてさらに生成することを特徴とする請求項5に記載のPET−MRI装置。
【請求項7】
前記同時計数情報生成部は、前記同時計数情報を生成する際に、該同時計数情報がMR画像の有効撮像領域内を通過したガンマ線に関するものであった場合には、前記MR画像と前記PET画像とを同時に撮像可能な領域に関する情報であることを示す同時撮像識別情報を当該同時計数情報に対応付けて記憶部に格納することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【請求項8】
前記ボアの軸方向に沿って前記被検体を移動する移動部と、
少なくとも、前記第1検出部又は前記第3検出部のいずれか一方の略中心と、前記第1検出器と前記第3検出部との間に挟まれた領域の略中心位置とに前記被検体の撮像部位が段階的に移動するように前記移動部を制御し、前記撮像部位が前記第1検出器又は前記第3検出器の略中心位置に移動した際には前記PET画像が撮像されるように制御し、前記撮像部位が前記第1検出器と前記第3検出部との間に挟まれた領域の略中心位置に移動した際には前記MR画像及び前記PET画像の両方又は一方が撮像されるように制御する制御部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【請求項9】
前記エネルギー加算部は、生成した補正計数情報に含まれるエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値とを比較し、エネルギー値の差が所定値以内となる補正計数情報を選択し、
前記同時計数情報生成部は、前記エネルギー値加算部により選択された補正計数情報に基づいて、前記同時計数情報として生成することを特徴とする請求項4〜8のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【請求項1】
被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状の第1検出部と、
前記第1検出部の外周側に設けられ、前記第1検出部を通過したガンマ線を検出するリング状の第2検出部と、
前記第1検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、前記第2検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する計数情報収集部と、
前記第1計数情報に含まれる検出時間と前記第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、前記第1計数情報に含まれるエネルギー値に前記第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成するエネルギー値加算部と、
前記エネルギー値加算部により生成された補正計数情報に基づいて、前記陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する同時計数情報生成部と、
前記同時計数情報生成部により生成された同時計数情報をもとにPET画像を再構成する画像再構成部と
を備えたことを特徴とするPET装置。
【請求項2】
前記第1検出部の軸方向に沿って前記第1検出部から間隔を開けて配置され、前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状の第3検出部と、
前記第3検出部の外周側に設けられ、前記第3検出部を通過したガンマ線を検出するリング状の第4検出部とをさらに備え、
前記計数情報収集部は、前記第3検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第3計数情報として収集し、前記第4検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第4計数情報として収集し、
前記エネルギー値加算部は、前記第1計数情報に含まれるエネルギー値に前記第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第1補正計数情報を生成し、前記第3計数情報に含まれるエネルギー値に前記第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第2補正計数情報を生成し、
前記同時計数情報生成部は、前記第1補正計数情報及び前記第2補正計数情報に基づいて、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第1補正計数情報の組み合わせと、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第2補正計数情報の組み合わせと、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第1補正計数情報と前記第2補正計数情報との組み合わせとをそれぞれ同時計数情報として生成することを特徴とする請求項1に記載のPET装置。
【請求項3】
前記エネルギー加算部は、生成した補正計数情報に含まれるエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値とを比較し、エネルギー値の差が所定値以内となる補正計数情報を選択し、
前記同時計数情報生成部は、前記エネルギー値加算部により選択された補正計数情報に基づいて、前記同時計数情報として生成することを特徴とする請求項1又は2に記載のPET装置。
【請求項4】
円筒状のボア内に静磁場を発生させる静磁場磁石と、
静磁場内に置かれた被検体に高周波パルス及び傾斜磁場を印加することにより該被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する高周波コイルと、
前記高周波コイルにより検出された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成するMR画像再構成部と、
被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状の第1検出部と、
前記第1検出部の外周側に設けられ、前記第1検出部を通過したガンマ線を検出するリング状の第2検出部と、
前記第1検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第1計数情報として収集し、前記第2検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第2計数情報として収集する計数情報収集部と、
前記第1計数情報に含まれる検出時間と前記第2計数情報に含まれる検出時間とに基づいて、前記第1計数情報に含まれるエネルギー値に前記第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して補正計数情報を生成するエネルギー値加算部と、
前記エネルギー値加算部により生成された補正計数情報に基づいて、前記陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した補正計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する同時計数情報生成部と、
前記同時計数情報生成部により生成された同時計数情報をもとにPET画像を再構成するPET画像再構成部と
を備えたことを特徴とするPET−MRI装置。
【請求項5】
前記第1検出部との間に前記静磁場の磁場中心を挟むように前記ボアの軸方向に沿って前記第1検出部から間隔を開けて配置され、前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状の第3検出部と、
前記第3検出部の外周側に設けられ、前記第3検出部を通過したガンマ線を検出するリング状の第4検出部とをさらに備え、
前記計数情報収集部は、前記第3検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第3計数情報として収集し、前記第4検出部により検出されたガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を第4計数情報として収集し、
前記エネルギー値加算部は、前記第1計数情報に含まれるエネルギー値に前記第2計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第1補正計数情報を生成し、前記第3計数情報に含まれるエネルギー値に前記第4計数情報に含まれるエネルギー値を加算して第2補正計数情報を生成し、
前記同時計数情報生成部は、前記第1補正計数情報及び前記第2補正計数情報に基づいて、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第1補正計数情報の組み合わせと、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第2補正計数情報の組み合わせと、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第1補正計数情報と前記第2補正計数情報との組み合わせとをそれぞれ同時計数情報として生成することを特徴とする請求項4に記載のPET−MRI装置。
【請求項6】
前記計数情報収集部は、前記第2検出部により検出されたガンマ線の検出位置を前記第2計数情報としてさらに収集し、前記第4検出部により検出されたガンマ線の検出位置を前記第4計数情報としてさらに収集し、
前記同時計数情報生成部は、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第1補正計数情報と前記第4計数情報との組み合わせ、及び、前記ガンマ線を略同時に検出した前記第3補正計数情報と前記第2計数情報との組み合わせを同時計数情報としてさらに生成することを特徴とする請求項5に記載のPET−MRI装置。
【請求項7】
前記同時計数情報生成部は、前記同時計数情報を生成する際に、該同時計数情報がMR画像の有効撮像領域内を通過したガンマ線に関するものであった場合には、前記MR画像と前記PET画像とを同時に撮像可能な領域に関する情報であることを示す同時撮像識別情報を当該同時計数情報に対応付けて記憶部に格納することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【請求項8】
前記ボアの軸方向に沿って前記被検体を移動する移動部と、
少なくとも、前記第1検出部又は前記第3検出部のいずれか一方の略中心と、前記第1検出器と前記第3検出部との間に挟まれた領域の略中心位置とに前記被検体の撮像部位が段階的に移動するように前記移動部を制御し、前記撮像部位が前記第1検出器又は前記第3検出器の略中心位置に移動した際には前記PET画像が撮像されるように制御し、前記撮像部位が前記第1検出器と前記第3検出部との間に挟まれた領域の略中心位置に移動した際には前記MR画像及び前記PET画像の両方又は一方が撮像されるように制御する制御部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【請求項9】
前記エネルギー加算部は、生成した補正計数情報に含まれるエネルギー値と陽電子放出核種から放出されるガンマ線のエネルギー値とを比較し、エネルギー値の差が所定値以内となる補正計数情報を選択し、
前記同時計数情報生成部は、前記エネルギー値加算部により選択された補正計数情報に基づいて、前記同時計数情報として生成することを特徴とする請求項4〜8のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−145419(P2012−145419A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3413(P2011−3413)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(301032942)独立行政法人放射線医学総合研究所 (149)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(301032942)独立行政法人放射線医学総合研究所 (149)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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