PHASEDマイクロアナライザIV
最大約10000psi(〜700bar)の圧力で流体試料を濃縮および分離するための濃縮器および分離器を有する流体アナライザ。濃縮器および分離器は、ソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体と、固体基板によって支持されるチャンネルとから構成され得る。濃縮器は、試料流体の構成成分を吸収および脱着するための複数の加熱される相互作用的要素を有することができる。相互作用的要素は、ヒータによって時間段階的シーケンス方式で加熱されることができる。分離器は、化合物によって試料流体を分離することができる。熱伝導率検出器、流量センサ、および導電率検出器が、チャンネルに隣接して存在することができる。濃縮器、分離器、ヒータ、およびセンサからなるこのシステムは、試料流体組成についての情報を提供することができる。試料流体がチャンネル内を通り抜けるように、ポンプがチャンネルに接続されることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年1月15日に出願された「PHASED−III SENSOR」と題する同時係属中の米国仮特許出願第60/440108号に基づく、米国特許法119条(e)(1)の下での優先権を主張し、同文書は参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、2003年9月4日に出願された「PHASED V,VI SENSOR SYSTEM」と題する同時係属中の米国仮特許出願第60/500821号に基づく、米国特許法119条(e)(1)の下での優先権を主張し、同文書は参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、2002年9月27日に出願された米国仮出願第60/414211号の恩典を主張する、2003年9月26日に出願された「PHASED MICRO ANALYZER V,VI」と題する同時係属中の米国非仮出願第10/672483号に対する一部継続出願としての優先権を主張し、同時係属中の米国非仮出願第10/672483号は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、流体の検出に関する。詳細には、本発明は、フェーズド・ヒータ・アレイ(phased heater array)構造に関し、より詳細には、流体成分の同定および定量化用センサとしてのフェーズド・ヒータ・アレイ構造の応用に関する。「流体」という用語は、種として気体および液体を含む汎用語として使用されてよい。例えば、空気、ガス、水、油は、流体である。
【背景技術】
【0003】
流体アナライザに関する構造および処理の態様が、Ulrich Bonne他に対して2002年5月28日に発行された「Gas Sensor with Phased Heaters for Increased Sensitivity」と題する米国特許第6393894 B1号(同特許は参照により本明細書に組み込まれる)、Ulrich Bonne他に対して2001年10月30日に発行された「Self−Normalizing Flow Sensor and Method for the Same」と題する米国特許第6308553 B1号(同特許は参照により本明細書に組み込まれる)、およびRoger L.Aagard他に対して1990年7月24日に発行された「Measurement of Thermal Conductivity and Specific Heat」と題する米国特許第4944035号(同特許は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0004】
現在利用可能な気体組成アナライザは、選択性に優れ、高感度であり得るが、未知成分を含む試料気体混合物の成分を同定する能力を欠いているうえ、一般に大型で費用がかかる。最新の組み合わせアナライザGC−GCおよびGC−MS(ガスクロマトグラフ−質量分析器)は、選択性、感度、および機能性(smartness)の所望の組み合わせをほぼ実現しているが、大型で費用がかかり、速度も遅く、バッテリ動作の機器には適さない。GC−AED(ガスクロマトグラフ−原子発光検出器)では、AEDだけが、100ワット超の電力、および水冷を使用し、10MHz超のマイクロ波放電を有し、費用がかかる。
【0005】
フェーズド・ヒータ・アレイ・センサは、濃縮器、分離器用に、およびオフチップ流量センサ用に別々のチップを有することができる。しかし、これらは、1つのチップ上に統合され、電力消費を削減しながら、構造的統合性および温度制御上の改善を提供することができる。次のフェーズド・ヒータ・アレイ・センサは、分析物の検出、同定、および定量化のための統合可能なマイクロ放電装置を追加的に含んでいた。しかし、FETスイッチおよびシフトレジスタのチップ上への完全な統合を欠いており、ドーターボード(daughter−board)から、マイクロプロセッサ制御FETスイッチを有するマザーボードまで、約110本のワイヤをワイヤボンドし、ルート付けし、接続し、ルート付けする必要が依然として存在し、そのことが、大型化および人件費の原因になっていた。加えて、フェーズド・ヒータ・アレイ・センサ・アナライザおよび従来のGCは、前濃縮および分離をオンラインで変更する柔軟性を欠いているように思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より低コストで効率のよい方式により、ごく少量の流体を検出、同定、および分析することが望まれる。関連技術の液体クロマトグラフィ・アナライザは、可搬性がなく、多くの電力を消費し、速度が遅く、かなり費用がかかる。(例えば、医学、製薬、食品および水質、薬物試験、ならびに工業的に)分析を必要とする試料の80パーセントは液体であるが、そのための関連技術アナライザは、特に差圧が50ポンド/平方インチ(psi)から10000psi(〜3.5から700バール)の範囲になる場合、あまり適していない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマイクロアナライザは、改善された構造的統合性を有し、(石英キャピラリの圧力限界と類似した)実用的に限界のない圧力範囲を特徴とし、実質的に漏れ問題のないフェーズド・アナライザである。従来のHPLC/CLCアナライザと比べて、本発明のアナライザは、価格がはるかに手ごろであり(例えば、人件費および設備償却費を節約し)、より速度が速く、液体または気体いずれかの試料分析に適し得るのでより広い用途をもつことができる。
【0008】
ヒータ要素は、時間段階的シーケンス(time−phased sequence)で電圧を加えられ得るので、省略的に、「フェーズド・ヒータ」、「フェーズド・ヒータ・アレイ」、「フェーズド・アナライザ」、「フェーズド・センサ」などと見なされ得る。そのようなヒータと、濃度パルス(concentration pulse)を発生させ、それが複数のヒータを通過するにつれて濃度パルスのサイズを増大させる関連する相互作用的要素構成とを有するアナライザまたはセンサは、「高度検出用フェーズド・ヒータ・アレイ構造(phased heater array structure for enhanced detection)」と見なされ、それぞれに頭字語「PHASED」を付けて呼ばれることができる。
【0009】
センサシステム/マイクロアナライザは、流体成分の存在、同定、および定量化を達成するために、選択性に優れ、高感度で、速度が速く、低電力のPHASEDヒータ要素のアレイと、コンパクトで、速度が速く、低電力の周囲圧力、最小ポンピング・スペクトル分析装置のアレイとから構成される。
【0010】
マイクロ流体アナライザは、濃縮器と、2以上の分離器とを有することができる。アナライザは、1つ、2つ、またはより多くのポンプを有することができる。アナライザは、複数のチャンネルを有するハイパー前濃縮器を有することができる。アナライザの流路に沿って複数の検出器が配置される。また、1つまたは複数の開口部およびマイクロバルブも、流路内に配置されることができる。アナライザは、多流体または多ガスクロマトグラフとして構成されることができる。
【0011】
濃縮器は、流路に沿って移動する熱パルスを提供して、より一層集中した熱を試料流体ストリームに提供するPHASEDヒータ要素のアレイを有することができる。相互作用的要素は、試料流体ストリームに沿って間隔をおいて配置され、試料流体ストリームにさらされる。相互作用的要素は各々、相互作用的要素の温度に応じて流体ストリームの構成成分を吸収および脱着できる相互作用物質を含むことができる。各相互作用的要素は、それと熱伝達を行うヒータ要素を有することができる。ヒータ要素に時間段階的シーケンスで電圧を加えるため、コントローラが、ヒータ要素に結合されることができる。コントローラは、第1のヒータ要素に第1のエネルギーパルスによって電圧を加え、その後、第1のヒータ要素の下流に配置される第2のヒータ要素に第2のエネルギーパルスによって電圧を加え、それ以降も同様である。対応する相互作用的要素は、順次熱せられ、選択された構成成分を試料流体ストリームに脱着することができる。第1の要素は、試料流体ストリームによって下流の第2のヒータ要素へと搬送される第1の濃度パルスを生成することができ、第2のヒータ要素は、第1の濃度パルスが第2の相互作用的要素に到達すると、電圧を加えられ、第2の相互作用的要素を熱することができる。ここにおいて、第1のエネルギーパルスと第2のエネルギーパルスとが順番に混成されて、流体ストリーム内でより大きな複合濃度温度パルスとなり、そのパルスは、濃縮器のチャンネルを下流へと進行し、後続要素によってさらにサイズを増大させられる。
【0012】
加えて、柔軟性、低コスト、およびコンパクト性といった特徴が、ドーターPCB(約10本のリード線だけを介してマザーPCBに接続されるプリント回路基板)上でワイヤボンドまたははんだバンプを介してフェーズド・ヒータ・アレイ・センサ・チップに接続される同一または別個のチップ上に、FETスイッチ、シフトレジスタ、および制御ロジックによって組み込まれ、前濃縮および分離のために全加熱可能要素の一部を選択できるユーザ柔軟性と、分析ロジックの選択性とを提供する。
【0013】
多流体検出および分析は、価格が手ごろで、現場で利用でき、超高感度で、電力消費が少なく、保守に手間のかからない、コンパクトなマイクロ検出器およびアナライザによって自動化されることができ、マイクロ検出器およびアナライザは、検出および/または分析結果を中央ステーションまたは他の有人ステーションに無線または別の媒体(例えば、有線もしくは光ファイバ)によって送信することができる。マイクロ流体アナライザは、フェーズド・ヒータ・アレイと、濃縮器と、分離器と、多様な手法を含むことができる。このアナライザは、ホストもしくはベース試料気体内の微量化合物またはホスト液体内の微量化合物の混合物を検出することができる。
【0014】
流体アナライザは、関連するマイクロコントローラまたはプロセッサへの接続構成を含むことができる。センサの応用は、従来のCO2、H2O、COの他、アルデヒド、酪酸、トルエン、ヘキサンなど、航空機空間内の空気汚染物の検出および分析を含むことができる。その他のセンシングは、CO2、H2O、アルデヒド、炭化水素、アルコールなどの気体に関して、空調屋内空間をセンシングすること、ならびに戸外空間、および化学、精錬、製品純度、食品、紙、金属、ガラス、製薬産業などの産業のステップの流れをセンシングすることを含むことができる。また、センシングは、環境保証および保護において重要な場所を占めることができる。センシングは、化学物質の濃度が増して危険になる前に化学物質を早期検出することによって、施設の内外で防御的安全性を提供することができる。
【0015】
センサの大半の部分は、従来の半導体プロセスまたは電気機械システム(MEMS)技法を用いてチップ上に組み込まれることができる。この種の製造は、小型で低電力消費のマイクロアナライザという結果を、またマイクロアナライザの現場内配置という結果をもたらす。監視器を通る空気または気体試料の流量も、非常にわずかであることができる。さらに、試料用のキャリアガスは、必ずしも必要ではなく、その結果、このキャリアガスの欠如は、試験される試料の希釈化を弱めるだけでなく、関連する保守、および加圧ガスタンク操作の大半を排除するこの手法は、センサが迅速な分析および即座の結果を提供することを可能にし、いくつかの関連技術の装置より少なくとも1桁分は高速であり得る。この手法は、労働集約的な研究室での分析から発生する遅延および費用を回避する。センサは、検出された気体を分析および決定するための組み込みマイクロコントローラを有することができ、また無人の遠隔地で正確性を維持し、正常に動作することができ、無人の遠隔地から情報を伝えることができるという点でインテリジェントである。センサは、検出器情報、分析、および結果を、有用回線または光もしくは無線媒体を介して、全2重通信機能によって、「プラグアンドプレイ」に対応し簡易性を備えた相当距離の離れたホストシステムに伝えることができる。センサは、ネットワークに対応することができる。センサは、その他の気体試料コンディショニング装置(例えば、粒子フィルタ、バルブ、流れおよび圧力センサ)、ローカル保守制御地点と相互接続可能であり、インターネットを介してモニタリングを提供することができる。センサは、堅牢である。センサは、非常に強い電界および磁界を有する高電磁干渉(EMI)環境において正確性を維持することができる。センサは、高い感度を有する。センサは、1から10ppmの範囲の感度を提供できる従来のガスクロマトグラフィなどの関連技術より100から10000倍良好な、サブppm(100万分率)レベルの検出を提供する。センサは、中でもとりわけ、より電力消費が少なく、より速度が速く、よりコンパクトで、より感度が良く、価格が手ごろなガスクロマトグラフの変型である。センサは、構造的統合性を有することができ、非常に大きな差圧範囲にわたって加圧流体試料を検出および分析する応用において、漏れの恐れは非常に低いか、またはまったくない。
【0016】
センサでは、Honeywell MesoPump(登録商標)などの小型ポンプが、システム内に試料を取り込むことができるが、その一部だけが、(Honeywell MesoValve(登録商標)またはHoerbiger PiezoValve(登録商標)とすることができる)バルブによって制御される速度でフェーズド・ヒータ・センサ内を流れ抜けることができる。この手法は、サンプリングラインが長いにもかかわらず、高速の試料取得を可能にし、規制されたほぼ0.1から3cm3/分の流れを検出器に供給することができる。センサのポンプは、高速の試料取得と、フェーズド・ヒータ・センサ内での規制された流れとを共に提供するような方法で、フィルタを通して試料気体を取り込むように構成されることができる。
【0017】
ポンプが試料気体をセンサに取り込むと、気体は膨張し、その結果、体積と線速度を増すことがある。制御回路は、この速度変化を補償して、センサ内でヒータ「波」を変化する気体速度に同期した状態に保つように設計されることができる。試料気体がヒータチャンネル内を通されるとき、その体積変化を補償するため、ヒータの電子機器は、流量制御および/またはヒータ「波」速度を調整して、内部気体流れ速度をヒータ「波」に同期した状態に保つ必要があり得る。
【0018】
気体調査活動中、センサの能力は(その他の任意のより低速なガスクロマトグラフィと同様に)、約330から700ppmのCO2、約1から2ppmのCH4、約0.5から2.5パーセントのH2Oなど、空気の多数の微量構成成分を感知することができる。これは、出力溶離時間のオンライン較正を可能にし、天然ガス、プロパンまたはその他のガスの導管の漏れをおそらく指摘するエタンなどの追加的ピークの存在を検査することも可能にする。したがって、試料気体構成成分ピーク高の比率は、自動車の排気またはガソリン蒸気を含み得る微量気体の出所についての手掛かりを明かすことができる。
【0019】
センサは、安全性の観点から命じられる、伝送または配送導管システムに沿った天然ガスまたはプロパンガスの定期的な漏れ調査、および化学処理工場でのその他の気体の定期的な漏れ調査にとって、それを特に良く適したものにする、感度、速度、可搬性、および低電力性を有することができる。
【0020】
センサは、漏れ感知用途において、一部または全部の試料気体構成成分(およびそれらのピーク率)を、較正マーカ(溶離時間は気体構成成分の性質を識別する)および/または漏れ源識別情報として使用する。(山の空気に約1から2ppm存在する)メタンなどある種のピークの存在だけでは、その構成成分の出所が沼気なのか、天然もしくは導管ガスなのか、または別の流体なのかを指摘するための十分な情報になり得ない場合。
【0021】
センサは、ポータブル装置として使用されることができ、または固定場所に設置されることができる。同等の関連技術センサとは対照的に、センサは、かさばる水素タンクを必要としないポータブル水素炎イオン化検出器よりもコンパクトであることができ、熱フィラメントまたは金属酸化物可燃ガスセンサよりも高速かつ高感度であることができ、従来および/またはポータブル・ガスクロマトグラフィよりもはるかに高速、コンパクト、かつ電力節約的であることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1のセンサ15による検出および分析は、流体成分の検出、同定、および定量化を含むことができる。それは、検出された流体の濃度または100万分率の決定を含むことができる。センサ15は、環境内の流体を検出するために使用されることができる。また、センサ15は、空調または試験空間の周囲環境における微小量の汚染物を検出することができる。センサ15は、周囲空気または発散空気の衛生および人体への毒素レベルを示すことができる。
【0023】
図1は、低電力センサシステム11の例示的な図を示している。処理ストリーム、周囲空間、または容積61からの試料流体25は、センサまたはマイクロガス装置15の入力34に接続された導管またはチューブ19に入ることができる。流体25は、センサ15によって処理されることができる。処理された流体37は、センサ15の出力36から出て、導管またはチューブ39を介して、容積61にまたは指定されれば別の容積に排出されることができる。
【0024】
センサ15の結果は、分析を行い、即座の結論および結果を得るために、マイクロコントローラ/プロセッサ29に送信されることができる。この情報は、再検査およびさらなる分析、評価、ならびに見出された結果の判定のために、観測ステーション31に送信されることができる。データおよび制御情報は、ステーション31からマイクロコントローラ/プロセッサ29に送信されることができる。データおよび情報は、センサ11およびステーション31の送信機/受信機33によって無線媒体を介して送信および受信されることができる。あるいは、データおよび情報は、モニタ11およびステーション31のモデム35によって通信用の有線または光回線を介して送信および受信されることができる。データおよび情報は、SCAM(監視制御およびデータ取得)システムに送信されることができる。これらのシステムは、ある種の気体を検出し、検出に関する情報を遠隔の受信者に提供するために産業(加工、製造、サービス、保健など)において使用されることができる。
【0025】
マイクロコントローラまたはプロセッサ29は、制御、調整、較正、またはその他の目的のため、様々な信号をアナライザ15に送信することができる。また、マイクロコントローラ/プロセッサ29は、検出結果に基づいて環境予測を提供するためにプログラムされることができる。分析計算、結果、またはその他の情報は、回線、ファイバ、またはその他の類似媒体を介してステーション31に送信される信号への変換のため、モデム35に送信されることができる。また、モデム35へのそのような出力は、ステーション31への無線送信のため、代わりにまたは同時に送信機33に送信されることができ、ポータブル装置として使用される場合は特に、例えば、GPSを介して取得された実際の検出位置に関する情報と一緒に送信されることができる。また、ステーション31は、制御、調整、較正、またはその他の目的のため、マイクロコントローラまたはプロセッサ29に渡されることができる様々な信号を、モデム35および受信機33に送信することができる。
【0026】
図1では、空間61は、開かれた空間でも、または閉じられた空間でもよい。センサシステム11は、航空機のキャビン、機械室、工場、または別の環境での何らかの場所などの閉じられた空間61で使用可能な接続部を有することができる。あるいは、センサシステムは、地球環境の開かれた空間61で使用可能であることができる。入力チューブまたは管19の端部は、開かれた空間61にあることができ、出口チューブ37の排気は、閉じられた空間61から幾分離れた地点に排出されることができる。空間61が処理ストリームである場合に特に下流でチューブ39が空間61に出て行くことができる以外は、空間61のためのシステム11は、それ自体が空間61内に存在することができる。
【0027】
図2は、マイクロガス装置15のいくらか詳細に示している。マイクロガス装置のさらなる細部および変形は、後続の図に関連させて以下で説明される。試料ストリーム25は、管またはチューブ19から入力ポート34に入ることができる。これから装置15に入る流体25のストリームからごみおよびその他の粒子を除去するための粒子フィルタ43が存在することができる。この除去は、装置を保護するためであり、フィルタリングが、流体25の組成を正確に分析する装置能力を低下させるべきではない。(浮遊する固体または液体の不揮発性粒子で)汚れた流体は、適切なセンサ機能を損ねることがある。流体25の一部45は、示差熱伝導度検出器(TCD、または化学センサ(CRD)、または光イオン化センサ/検出器(PID)、またはその他の装置)127の第1の脚を流れ抜けることができ、流体25の一部47は、チューブ49を通ってポンプに流れ込むことができる。相対的により高い流動性47はフィルタ浄化時間の短縮に役立つので、「T」チューブを導入口45のすぐ隣に配置することによって、最小時間遅延によるサンプリングが達成されることができる。ポンプ51は、流体47が粒子フィルタ43の出力からチューブ49を通ってポンプ51から出て行く原因となることができる。ポンプ53は、チューブ57を介してセンサを通る流体45の流れに影響することができる。ポンプ51は、1psi(〜7kPa)より低い圧力降下(Δp)で10〜300cm3/分の吸込み容量を提供することができ、低流れ容量ポンプ53は、最大10psi(〜70kPa)のΔpで0.1〜3cm3/分を実現することができる。図2のシステム15用に、追加のポンプまたはより少数のポンプが存在することができ、様々なチューブまたは配管の配置または構成が存在することができる。検出器127および128からのデータは、コントローラ130に送信されることができ、コントローラは、処理するためにデータをマイクロコントローラおよび/またはプロセッサ29に中継することができる。結果の情報は、ステーション31に送信されることができる。
【0028】
ポンプ51および53は、ある場所から可能な気体を検出するために検査される流体の試料を取り込むために実施される非常に節約的かつ効率的な構成であることができる。使用されていないときのスリープモードを有する低電力電子機器が利用されることができる。濃縮器および/またはアナライザシステム11の測定サイクルの開始前に約1〜10秒または約1〜10秒未満だけ動作できるこの特定の節約的だが適切に機能するポンプ51および53の使用、およびコントローラ130および/またはマイクロコントローラ/プロセッサ29用の(使用されていないときにスリープモードを使用できる)低電力電子機器の使用は、そのような電力使用量を約2倍低減するという結果をもたらすことができる。
【0029】
図3は、図2の濃縮器124または分離器126の一部を表す、センサ装置10、15の部分の概略図である。センサ装置は、基板12と、コントローラ130を含むことができる。コントローラ130は、基板12に組み込まれても、または組み込まれなくてもよい。基板12は、基板上に配置された複数の薄膜ヒータ要素20、22、24、26を有することができる。4つのヒータ要素しか示されていないが、例えば、2から1000の間の、しかし一般には、20〜100の範囲の任意の数のヒータ要素が、設けられることができる。ヒータ要素20、22、24、26は、パーマロイと呼ばれることもある80パーセントのニッケルと20パーセントの鉄という組成をもつニッケル−鉄合金、白金、白金シリコン、および多結晶シリコンなど、任意の適切な電気導体、安定な金属、または合金膜から製作されることができる。ヒータ要素20、22、24、26は、図4および図5に示されるように、薄く、熱質量が低く、平面内熱伝導が低い支持部材30上に設けられることができる。支持部材または膜30は、Si3N4またはその他の適切もしくは同様の素材から作成されることができる。ヒータ要素は、Ptまたはその他の適切もしくは同様の素材から作成されることができる。
【0030】
基板12は、図4に示されるように、試料流体ストリーム45を受け入れるためのチャンネル32を有する明確に定義された単一チャンネルのフェーズド・ヒータ機構41を有することができる。図5は、チャンネル31および32を有する2重チャンネルのフェーズド・ヒータ機構41を示している。基板12および部分またはウェーハ65は、ストリーミング試料流体45を受け入れるためのチャンネル31および32を確定することができる。チャンネルは、支持部材30および支持部材の上側のウェーハまたは部分65の下方のシリコンチャンネルウェーハ基板12を選択的にエッチングすることによって製作されることができる。チャンネルは、流入ポート34と、排出ポート36とを含むことができる。
【0031】
センサ装置は、チャンネル31および32の内部にストリーミング試料流体45にさらされるように複数の相互作用的要素も含むことができる。相互作用的要素の各々は、対応するヒータ要素に隣接して、すなわち、可能な限り近く接するように配置されることができる。例えば、図4では、相互作用的要素40、42、44、46は、チャンネル32内の支持部材30の下側面に設けられ、それぞれヒータ要素20、22、24、26に隣接することができる。図5では、追加の相互作用的要素140、142、144、146が、チャンネル31内の支持部材30の上側面に設けられ、それぞれヒータ要素20、22、24、26に隣接することができる。本発明の例示的な実施例には示されていないが、追加の相互作用的膜要素を備えるその他のチャンネルが存在することもできる。相互作用的要素は、シリカゲル、ポリメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール、多孔質シリカ、Nanoglass(登録商標)、活性炭、およびその他の高分子物質など、液体またはガスクロマトグラフィで一般に使用される任意の数の膜から形成されることができる。さらに、上記の相互作用的物質は、極性および/または疎水性の程度を変化させるため、対象分析物の最適吸収および/または分離を達成するため、適切なドーパントによって改質されることができる。
【0032】
図6aは、2チャンネルフェーズド・ヒータ構成41の横断端面図を示している。図6a、図6b、および図6cの部分の上部および下部透視または方向付けは、必ずしも同じように見えなくてもよい。図6bおよび図6cでは、単一チャンネルフェーズド・ヒータ構成41の端面図は、支持部材30と、基板12と、それらの間の品目を含むことができる。図6bは、さらされる1ミクロンの膜を有するフェーズド・ヒータ構成41の変形を示している。図6bには、開かれた空間392が示されている。図6cは、狭い閉じられた空間394を有する耐久性が高く低電力の変形を示している。支持部材30は、上部構造65に結合されることができる。アンカー67は、支持部材30をチャンネル31に対して適切な位置に保持することができる。アンカー67の接点が少ないほど、支持30から構造41のその他の部分への熱伝導による熱損失を最小限に抑える。ヒータ要素からの熱伝導を少なくするために少数のアンカー接点を有するヒータ膜が存在することができる。通常の固定方式とは対照的に、本発明の実施例は、固定具接点を減らすことができ、残りのヒータ要素の入力電力を約1.5倍節約するという結果をもたらす。
【0033】
フェーズド・ヒータ・アレイのヒータ要素は、より少ない電力損および入ってくる検出対象気体のより効率的な加熱のため、両面、すなわち、上側および下側を吸収素材で被覆されることができる。ヒータ要素は、電力損を低減するため、狭い幅をもつことができる。
【0034】
相互作用的膜要素は、所望の吸収素材を運ぶ素材ストリームを単一チャンネル加熱機構41のチャンネル32の中を通すことによって形成されることができる。これによって、チャンネル全体に相互作用的層を形成することができる。別々の相互作用的要素40、42、44、46が望ましい場合、図6aの上部ウェーハ65に結合する前に、被覆が、下部ウェーハ12に結合された基板30にスピンコーティングされ、その後、標準的なフォトレジストマスキングおよびパターニング方法を使用することによって、またはヒータ要素20、22、24、26を介して被覆に温度変化を与えることによって、選択的に「現像される」ことができる。
【0035】
ヒータ・アレイの内部チャンネルの表面は、設計により意図的に吸収素材で被覆された表面を除いて、非吸収断熱層で被覆されることができる。吸収被覆または膜の厚さは、減らされ、それによって、吸収および脱着に必要な時間を短くすることができる。図6aにあるように、非吸収断熱素材の被覆69は、設計により相互作用的要素などの吸収被覆面が存在する場所を除いて、単一チャンネルヒータ41のチャンネル31の内壁、および2重チャンネルヒータ機構41のチャンネル31および32の壁に施されることができる。被覆69は、必要とされるヒータ要素電力を焼く1.5倍削減することができる。素材は、チャンネル壁に使用される素材よりかなり小さい熱伝導性を有するべきである。後者はシリコンとすることができる。被覆69の代替素材は、SiO2またはその他の金属酸化物を含むことができる。被覆69は、支持30内のヒータ要素用に使用される電力を削減することができる。移動相/固定相容積の妥当な比率を保持しながら、ヒータ要素膜および吸収膜のサイズ(幅、長さ、厚さ)を最小化または低減することで、約4倍の電力削減という結果をもたらすことができる。最小化または低減された吸収膜の厚さは、吸収−脱着に必要とされる時間を短縮し、流体分析当たりに必要とされるエネルギーを約1.5倍節約する。
【0036】
ヒータ要素20、22、24、26は、上側および下側にGC膜被覆が施され、その結果、ヒータ要素表面の幅および電力散逸が約2倍である。これらのヒータ要素の製作は、2つの被覆ステップを含み、第2のステップは、ウェーハ対ウェーハ接合と、第2のウェーハ内の第1の被覆を保護し、第1のウェーハを溶解した後に被覆を行うことを必要とする。
【0037】
所望の耐久性を達成する(すなわち、薄膜20、22、24...を外部環境にさらさない)が、上側および下側の両方を被覆する必要のない別の手法は、上側だけを被覆し、下側チャンネル32の高さを低くするもので(図6a参照)、その結果、容積率(空気/膜)は、500より小さな値になる。
【0038】
マイクロガスアナライザは、順次反復スピンコーティング(またはその他の付着手段)ステップを介して製作されるヒータ要素40、42、...、44、46および140、142、...、144、146を有することができ、その結果、濃縮器および分離器要素の予定パターンが、(GC文献では固定相として知られる)異なる吸収素材A、B、C、...で被覆され、その結果、濃縮器/分離器要素の比率を選択することができるだけでなく、濃縮ステップに寄与し、電子的に分離器に注入されるために、A、B、Cなどで被覆されたそれらのいずれかを(いずれかの脱着温度で)選択することができ、分離器ではやはり、要素の温度ランピングレートの選択を、B、C、...要素とは異なるようにAのために行うことができ、さらに、「A」要素の群から気体を分離した後、「B」要素の群から別の気体の組が分離されることができ、以下も同様であるような方法で、このシステムに多用性を追加する。濃縮器の分離器ヒータ要素に対する比率は、一定であっても、コントローラ130に接続された比率制御機構490によって変更されてもよい。
【0039】
コントローラ130は、図3に示されるように、各ヒータ要素20、22、24、26と、検出器50とに電気的に接続されることができる。コントローラ130は、時間段階的シーケンスで(図7の下部を参照)ヒータ要素20、22、24、26に電圧を加え、その結果、対応する相互作用的要素40、42、44、46の各々が加熱され、1つまたは複数の上流の相互作用的要素によって生成された上流濃度パルスが相互作用的要素に到達したあたりの時点で、選択された構成成分をストリーミング試料流体45に脱着することができる。濃度パルスにおいて構成成分気体の所望の濃度を達成するために、任意の数の相互作用的要素が使用されることができる。結果の濃度パルスは、検出および分析のために検出器50、128に提供されることができる。検出器50、127、または128(図2および図3)は、熱伝導検出器、放電イオン化検出器、CRD、PID、MDD、または一般にガスまたは流体クロマトグラフィで使用されるその他の任意のタイプの検出器とすることができる。
【0040】
図7は、例示的な関連するヒータ温度を、各ヒータ要素で生成される対応する濃度パルスとともし示したグラフである。上で指摘されたように、コントローラ130は、電圧信号71によって時間段階的シーケンスでヒータ要素20、22、24、26に電圧を加えることができる。ヒータ要素20、22、24、26用の例示的な時間段階的ヒータ関連温度が、それぞれ温度プロフィールまたは線60、62、64、66によって示されている。
【0041】
示された例では、コントローラ130(図3)は、最初に第1のヒータ要素20に電圧を加えて、その温度を図7の線60に示されるように上昇させることができる。第1のヒータ要素20は、第1の相互作用的要素40(図4および図5)に熱的に結合されているので、第1の相互作用的要素は、選択された構成成分をストリーミング試料流体45に脱着して、その他のヒータ要素が律動的に動作させられないならば、検出器128または50で第1の濃度パルス70(図7)を生成する。ストリーミング試料流体45は、矢印72に示されるように、第1の濃度パルス70を第2のヒータ要素22へと運ぶ。
【0042】
コントローラ130は、次に第2のヒータ要素22に電圧を加えて、要素20へのエネルギーパルスが止められるときまたは前に始まる線62で示されるようにその温度を上昇させることができる。第2のヒータ要素22は、第2の相互作用的要素42に熱的に結合されているので、第2の相互作用的要素も、選択された構成成分をストリーミング試料流体45に脱着して、第2の濃度パルスを生成する。コントローラ130は、図7に示されるように、第2の濃度パルスが第1の濃度パルス70と実質的にオーバラップして、より高い濃度パルス74を生成するように、第2のヒータ要素22に電圧を加えることができる。ストリーミング試料流体45は、矢印76に示されるように、より大きな濃度パルス74を下流の第3のヒータ要素24へと運ぶ。
【0043】
コントローラ130は、次に第3のヒータ要素24に電圧を加えて、図7の線64で示されるようにその温度を上昇させることができる。第3のヒータ要素24は、第3の相互作用的要素44に熱的に結合されているので、第3の相互作用的要素44は、選択された構成成分をストリーミング試料流体に脱着して、第3の濃度パルスを生成することができる。コントローラ130は、第3の濃度パルスが第1および第2のヒータ要素20および22によって提供されたより大きな濃度パルス74と実質的にオーバラップして、さらにより大きな濃度パルス78を生成するように、第3のヒータ要素24に電圧を加えることができる。ストリーミング試料流体45は、矢印80に示されるように、このより大きな濃度パルス78を下流の「第N」のヒータ要素26へと運ぶ。
【0044】
コントローラ130は、次に「第N」のヒータ要素26に電圧を加えて、線66で示されるようにその温度を上昇させることができる。「第N」のヒータ要素26は、「第N」の相互作用的要素46に熱的に結合されているので、「第N」の相互作用的要素46は、選択された構成成分をストリーミング試料流体45に脱着して、「第N」の濃度パルスを生成することができる。コントローラ130は、「第N」の濃度パルスがそれまでのN−1個の相互作用的要素によって提供されたより大きな濃度パルス78と実質的にオーバラップするように、「第N」のヒータ要素26に電圧を加えることができる。ストリーミング試料流体は、「第N」の濃度パルス82を、以下で説明される分離器126または検出器50もしくは128に運ぶ。
【0045】
上で指摘されたように、ヒータ要素20、22、24、26は、共通の長さを有することができる。その場合、コントローラ130は、等しい電圧、電流、または電力パルスを各ヒータ要素に供給することによって、等しい温度のヒータ要素を達成することができる。電圧、電流、または電力パルスは、三角形状、四角形状、釣鐘形状、またはその他の任意の形状を含む任意の所望の形状を有することができる。ほぼ四角形状の電圧、電流、または電力パルスが、図7に示された温度プロフィール60、62、64、66を達成するために使用される。温度プロフィールはそのように見え、脱着種は電圧パルスに対してわずかな時間遅延をもって生成されることに留意されたい。
【0046】
図8は、第1に、後続要素による脱着がストリーミング試料流体速度に適切に同期させられる場合、濃度がどのように段階的に上昇するかを図説するため、第2に、個々の要素の長さが濃度レベルおよび勾配が上昇するときの質量拡散流束の期待上昇率にどのように調和させられるかを図説するための、複数のヒータ要素を示したグラフである。要素100(H1)として示される要素よりF倍長い最初の要素にパルスを印加することによって、あるいは代替として、要素1、2、...、Fに同時にパルスを印加し、パルスを印加する前のまた低温の要素100(H1)ですべての脱着分析物を収集することによって、分析物濃度は図8に示された要素の前で係数Fだけすでに拡大されていることがここで指摘されるべきである。各濃度パルスは、チャンネル32を下流に進むとき、拡散のために振幅を低下させ、長さを増大させる傾向をもち得ることが理解される。この増大した長さに対処するため、連続する各ヒータ要素の長さをストリーミング試料流体に沿って増大させることが企図される。例えば、第2のヒータ要素102は、第1のヒータ要素100の長さW1より大きい長さW2を有することができる。同様に、第3のヒータ要素104は、第2のヒータ要素102の長さW2より大きい長さW3を有することができる。したがって、各ヒータ要素100、102、104の長さは、隣接する上流のヒータ要素と比べて、拡散に起因する上流ヒータ要素での濃度パルスの予想増大長に対応する量だけ増大させ得ることが企図される。しかし、対象分析物濃度が非常に低い場合や、吸収膜容量が非常に大きい場合などには、一定時間の間にポンプ(図2のポンプ51)で濃縮器に通される一定量の試料気体から一定量の分析物を吸収できる膜体積を最小化することに基づく、濃縮器機能の最大集束性能を達成して、その結果、試料体積/(最後のヒータ要素の)膜体積と同じ比率だけ分析物濃度を上昇させるため、後続または最後のヒータ要素の長さを著しく縮小することが可能であり有利であり得る。
【0047】
ヒータ要素の制御を簡単にするため、連続する各ヒータ要素の長さは、ヒータ要素間で同じ全ヒータ抵抗を生成するように一定に保たれることができ、それによって、同様の温度プロフィールを生成するために、等しい電圧、電流、電力パルスが使用されることを可能にする。代替として、ヒータ要素は、異なる長さを有することができ、コントローラは、同様の温度プロフィールを生成するために、ヒータ要素に異なる電圧、電流、電力パルス振幅を供給することができる。
【0048】
図9は、100パーセント濃度レベルを達成する濃度パルス110を示したグラフである。濃度パルス110が100パーセントなどの最大濃度レベルを達成しても、対応する構成成分の濃度はまだ決定され得ることが理解される。そのようにするため、検出器50、128、164は、濃度パルス110を検出することができ、コントローラ130は、元試料のストリーム45内の構成成分の濃度を決定するため、検出器の出力信号を時間で積分することができる。
【0049】
「GCピーク同定」では、個々の構成成分の互いからの分離を達成するツールであるガスクロマトグラフ(GC)から出る各気体ピークに化学化合物を明瞭に結び付けることが望ましい。気体の成分を同定するための複数の手法が存在する。GC−MSの組み合わせでは、MS入口で必要とされるイオン化処理から得られる分子フラグメントを処理しながら、各GCピークが質量に関して分析される。GC−GCの組み合わせでは、化合物同定に役立ち得る情報を分析記録に追加するため、第1および第2のGCで異なる分離カラム素材が使用される。GC−AEDの組み合わせでは、マイクロ波給電気体放電が、気体放電プラズマにおけるGCピークの気体の同定に役立つように、証拠となる光スペクトル発光線(原子)および発光帯(分子)を生成することができる。GC−MDDまたはGC−GC−MDD構成では、マイクロ放電装置(MDD)が、分析物がGCまたはGC−GCから溶離するときに分析物ピークのスペクトルを発し、分子および原子構造を明かし、その結果、分析物ピークを同定することができる。
【0050】
AEDの選択波長チャンネルがGCによって分離された化合物の原子構成をいかにして同定できるかの例が、図11に示されており、図11は、C、H、N、O、S、Cl、Br、P、D、Si、およびF原子発光用の別個のチャンネルを示し、図10の既知の検出限界および感度の表には、対応するチャンネルの一覧が示されている。図11は、元素およびその近似量を示すことができる様々なピークをもつ多元素試験混合物の知られた最新のクロマトグラムを示している。ピーク301は、2.5ngの4−フルオロアニソールを示し、ピーク302は、2.6ngの1−ブロモヘキサンを示し、ピーク303は、2.1ngのテトラエチルオルトシリケートを示し、ピーク304は、1.9ngのn−過重水素化デカン(n−perdeuterodecane)を示し、ピーク305は、2.7ngのニトロベンゼンを示し、ピーク306は、2.4ngのトリエチルホスフェートを示し、ピーク307は、2.1ngのt−ブチルジスルフィドを示し、ピーク308は、3.3ngの1,2,4−トリクロロベンゼンを示し、ピーク309は、170ngのn−ドデカンを示し、ピーク310は、17ngのn−トリデカンを示し、ピーク311は、5.1ngのn−テトラデカンを示す。そのようなクロマトグラムの場合、GC条件は、3.3mL/分のカラム流量、36:1のスプリットレシオ、および摂氏30度/分で摂氏60度から180度のオーブンプログラムを含むことができる。低電力マイクロ放電で生成される、Neの中性およびイオン化放射源のUVスペクトルの一部が、図12に示されている。図12のグラフは、イリノイ大学によって行われた研究からのものである。この図には、「Ne」圧力が変化すると、スペクトル種が強度を変化させることも示されている。光出力は、放電キャビティ形状寸法、印加電圧、および圧力など複数のパラメータに依存することができる。分子帯が放射され、ジェットエンジンの高温排気中の気体などの「NO」測定用に使用されることすらできる。
【0051】
環境気体試料をマイクロ放電装置に供給することによって、有益な気体組成情報を得ることができる。第1の手法では、1つのマイクロガス放電装置を使用することができ、その動作パラメータ(電圧、圧力、流量、...場合によっては形状寸法)は、出力発光スペクトルに変化を生じさせるために変更されることができ、その結果、そのような発光データの評価および処理の後で、気体試料構成成分のタイプおよび濃度に関する情報が作成されることができる。第2の手法では、複数のマイクロガス放電装置を使用することができ、各々の動作パラメータは、第1の手法でのように、発光出力評価のために変更されることができ、統計分析によってより良好な結果を得ることができる。第3の手法は、各マイクロ放電は他のマイクロ放電の設定点の条件とは異なるように設定された1つの条件だけで動作させることができる点を除いて、第1の手法と同じであることができる。
【0052】
図13は、第3の手法を表しており、気体試料は、1つのタイプの放電から次の放電へと直列に進行することができ、気体試料の性質は、このステップの間変化しないと仮定することができる。この図は、様々な圧力および電圧で気体45のストリームの気体組成を感知するための光源−検出器の対のアレイ350を示している。異なる電圧+V1、+V2、...ならびに圧力P1およびP2は、そのようなものとして特徴付けられることができる。光源ブロック351からのマイクロ放電352のプラズマは、(+)および(−)電極の間の楕円面によって示されている。光源ブロック351の反対側に、光源の放電352からの光の検出器354として動作するマイクロガス放電装置を有する検出器ブロック353が存在する。検出器354上に配置されたフィルタが存在してもよい。フィルタは、特定の群の気体の検出および分析用に異なることができ、選択されることができる。マイクロ放電からの気体の発光の様々な線が、検出される気体の組成を決定するため、検出され、同定されることができる。アレイ350は、コントローラ130に接続されることができる。プロセッサは、マイクロ放電の制御、およびアレイ350を通る気体45の流れにおける放電の影響の検出に利用されることができる。
【0053】
光源ブロック351は、シリコンから作成されることができる。ブロック351上には、Si3N4またはパイレックス(登録商標)の壁状構造355が配置されることができ、装置350を通る気体45の流れを含むためのチャンネルを形成する。構造355の上には、PtまたはCu素材の導電層356が存在することができる。Pt素材の上には、流路の上に広がることができるSi3N4の層357が存在する。層357の上には、検出器354用のチャンネルを形成するための壁として、Ptの層358とSi3N4の層359が存在することができる。第4の手法は、直列方式ではなく並列に各放電に気体試料を供給する点を除いて、第3の手法と同様とすることができる。
【0054】
第5の手法は、気体試料が、例えば、従来のGCによって提供されるような分離ステップを経ることができる点を除いて、第4または第3の手法と同様とすることができる。第6の手法は、分離ステップの前に、対象試料分析物が従来の前濃縮ステップによって最初に濃縮されることができる点を除いて、第5の手法と同様とすることができる。
【0055】
第7の手法は、分離ステップの前に、フェーズド・ヒータ・アレイ・センサによって提供されるように、対象試料分析物が多段階前濃縮ステップによって事前に濃縮され、その後、分離器に電子的に注入されることができる点を除いて、第6の手法と同様とすることができる。
【0056】
図2に関連する第6および第7の手法では、その発想は、GCカラムまたはフェーズド・ヒータ・アレイ・センサ分離器チャンネルから溶離する個々の気体分析物ピークを、示された放電のアレイにおいて各放電装置に供給するというものである。
【0057】
気体の流れは、図13に示されるように、直列であることができる。あるいは、気体の流れは、最適ピーク同定に必要であり得る並列であることもでき、それによって、(全体の分析時間を最小化するために)各放電セルは、一定の条件の印加電圧、(アレイの出口の真空または吸引ポンプによって、例えば、Mesopump(登録商標)によって決定される)気体圧力で動作することができる。図13では、第4および第5の放電要素の間の流れ制限によって容易に達成されるように、例として、2つの圧力だけが示されている。流速、(局所的マイクロヒータによる)温度、形状寸法(中空陰極放電または平板放電、さらにはセルの識別における簡単な変更)など、放電パラメータの複数の変更は示されていないが、同様に実施されることができる。
【0058】
これらのセンサは、一般には小さなサイズ(10〜100μm)のため、多くの場所を使用しないように思われ、図2のブロック128に含まれることができる。
【0059】
センサ15は、濃縮器124と分離器126の間に配置される流量センサ125と、濃縮器124の入力にある熱伝導率検出器とを有することができる。センサ15は、濃縮器124と分離器126の間に熱伝導率検出器を有することもできる。熱伝導率検出器は、放電機構350の出力に存在することもできる。センサ15は、所望の用途に応じて、図2のセンサ128の様々な位置に、いくつかの良く知られた構成要素の様々な組み合わせを含むことができる。図2のセンサ15の図面は、センサの説明的な例である。センサ15は、この図に示されていないその他の構成を有することもできる。
【0060】
ガスマイクロ放電セルは、フェーズド・ヒータ・アレイ・センサの有用性、多用性、および価値を著しく高め得る魅力的な特徴を提供することができる。特徴の例は、1)各放電が700〜900Torr(0.92〜1.18bar)、120Vほどの小さなDC、10μmで動作し、それは1.2mWに相当することができ、マイクロTDCによっても達成されない最小電力であると思われる低電力能力と、2)図12の挿入図に示される、コンパクト性(50×50nm)を伴う構築の容易性と、3)(水冷を必要とする)100Wマイクロ波駆動AEDなどの他のどのような光源も行うことが知られていない、(イリノイ大学による研究からのグラフである)図14の100μmマイクロ放電とSi APDの間の分光感度比較によって示され得る光検出器としてのマイクロ放電器の運用性と、4)モノリシックSi光ダイオードを製造するためにSiドーピングに頼る必要のない、フェーズド・ヒータ・アレイ構造による、放電源と光ダイオードの統合可能性およびウェーハレベル集成と、5)上で述べられたように放電パラメータを変更することによる追加次元(すなわち、選択性)とを含む。
【0061】
本発明は、1)フェーズド・ヒータ・アレイ・センサとマイクロガス放電装置との組み合わせと、2)ガス放電装置の1つの組またはアレイがスペクトル発光を提供でき、(狭帯域バンドパスフィルタまたはマイクロスペクトロメータを有するまたは有しない)別の相補的な組が光検出機能を提供できる1)の組み合わせと、3)2)と第1から第7の手法に関して上で説明された設計の適切な置換との組み合わせと、4)最適前濃縮または分離性能を達成するために、特定の分析にとって必要であるならば、加熱可能要素をフェーズド・ヒータ・アレイ構造の追加の前濃縮器または追加の分離器要素としてプログラムする柔軟性とを有する、マイクロ放電による気体組成感知機能を有することができる。
【0062】
これまで提案されたマイクロガスアナライザにまさる本発明のフェーズド・ヒータ・アレイ・センサとマイクロ放電検出器の組み合わせは、他のどのマイクロアナライザも達成したことが知られていない、マイクロガス放電装置によって与えられる選択性、「ピーク同定」能力、低電力、光源および検出能力、統合可能性、簡易性、コンパクト性と結び付けられた、フェーズド・ヒータ・アレイ・センサの感度、速度、可搬性、および低電力を提供することができる。
【0063】
図15は、回路基板に取り付けられ、接続され、その回路基板も他のチップに同様に接続されるシングルチップ401上への、マイクロガス装置15(すなわち、フェーズド・ヒータ・アレイ構造)のセンサと、前濃縮器および/または濃縮器124と、分離器126の統合を示している。そのような他のチップの1つは、FETスイッチ、シフトレジスタ、およびロジックを有することができる。401チップは、ドーターボード上に存在することができる。401チップと主回路基板は、元々は約110本のワイヤで接続されていた。しかし、すべてのスイッチをドーターボード上の別個のチップ上に統合した後、プリント回路基板配線およびコネクタピンの数は、約10本に減少した(すなわち、示差温度補償、流量センサ、スイッチクロック、ロジック、電源、およびアース用)。別個のICに配置されるFETスイッチ、シフトレジスタ、および制御ロジックは、ワイヤボンドまたははんだバンプによってフェーズド・ヒータ・アレイ構造チップに接続されることができる。FETの新しいロジックによって、センサシステム15のユーザは、分離器に対する前濃縮器として動作する加熱可能要素全体のうちの一部を選択することができる。
【0064】
図16は、センサシステム11用の制御ロジックの説明的な実施例の回路図である。回路410は、アレイ内のロジックセルの一例とすることができる。回路410は、Dフリップフロップ403と、R−Sフリップフロップ404と、ANDゲート405および415と、ORゲート406と、FET407と、インバータ408と、さらに必要ならば追加の回路を含むことができる。clockライン411は、Dフリップフロップ403のclock入力に接続されることができる。separator enableライン413は、ANDゲート405の第1の入力に接続されることができる。data−inライン412は、フリップフロップ403のD入力に接続されることができる。resetライン434は、フリップフロップ404のS入力とフリップフロップ403のreset入力とに接続されることができる。フリップフロップ404のQ出力は、ANDゲート405の第2の入力に接続されることができる。フリップフロップ403のQ出力は、フリップフロップ404のR入力とANDゲート415の第1の入力とに接続されることができる。separator enableライン413は、インバータ408の入力に接続されることができる。インバータ408の出力は、ANDゲート415の第2の入力に接続されることができる。ANDゲート415および405の出力は、ORゲート406の第1および第2の入力にそれぞれ接続されることができる。ORゲート406の出力は、FET407のゲートに接続されることができる。FET407のその他の端子は、FET commonライン416およびFET出力端子417にそれぞれ接続されることができる。最も右側のロジックセルは、data outライン418に接続されたフリップフロップ403のQ出力をもつことができる。
【0065】
このロジックは、区分された分離器の部分としてその後機能し得る残りのヒータ要素のすべての温度を停止させ、次に上昇させる前に、回路がパルスを印加し、加熱する前濃縮器要素の数をユーザが事前選択することを可能にする。選択的な前濃縮、干渉のフィルタリング、およびカスケード分離が可能にされ得るように、適切なマスキングによってチップ401チップのフェーズド・ヒータ・アレイ・センサ要素のいずれかに異なる素材を付着させることを可能にする柔軟性の追加の次元が存在する。
【0066】
図16はさらに、各々が0.5オームまたはそれ未満でオン抵抗を有し、約12ボルトの電位差をスイッチすることができる最大50個のFETスイッチが、どのようにしてオンチップロジックによって制御されることができるかを示している。オンチップロジックは、2つのモード、すなわち、濃縮器または第1のモードおよび分離器または第2のモードで動作することができ、それぞれのモードは、制御ラインビットによって決定される。第1のモードは、リセット後に、順次低抵抗FETをオンにし、それと同じFETに関連付けられたフリップフロップを使用不可にするシフトレジスタを含むことができる。次のクロックサイクルで、第1のFETはオフになり、次のFETがオンになり、その関連フリップフロップが使用不可にされる。このシーケンスは、いくつかの回路部駆動電子機器がクロックをオフにし、第2の動作モードを使用可能にするまで繰り返されることができる。第2のモードが使用可能にされると、フリップフロップが使用不可にされていたすべてのFETは、同時にオンになることができる。第2のモードは、リセットがトリガされ、フリップフロップがリセットされ、FETがオフにされ、プロセスが繰り返されることができるまで、その状態に留まることができる。
【0067】
順次スイッチングが第1のチップから第2のチップに進むように、2つのチップが直列に使用されて、その各側面の(最大50個の)フェーズド・ヒータ・アレイ・センサ・チップ・パッドに接合することができる。第1のチップの最後のスイッチからの信号が、第2のチップの最初のスイッチをトリガすることが必要であることもある。スイッチングが第2のチップに移動する前または後のあるときに、並列の残りのFETの順次アドレシングからのモードスイッチが起こることが可能である。
【0068】
吸収被覆の多様性をフェーズド・ヒータ・アレイ・センサのヒータ要素に導入することができ、その結果、前濃縮器もしくは分離器または両方の個々の要素または要素グループを2以上の吸収素材を用いて交互に変え、図16にあるようなスイッチ用のロジックプログラムを調整するか、または(最大印加電圧もしくは温度に関して)前濃縮器ではあるタイプの被覆を、分離器では等しいもしくは異なる被覆を選択することによって、所望の分析物前濃縮、分析物フィルタリング、および選択グループ前濃縮器パルスまたは(時間的)カスケード前濃縮器分析物パルスの分析とすることができる分析結果を達成する。
【0069】
ユーザは、分析問題によって課された様々な必要に合わせて、フェーズド・ヒータ・アレイ・センサの動作および実行を大きな柔軟性をもって調整することができる。ユーザは、分離器に対する前濃縮器として機能するヒータ・アレイ要素の数または全ヒータ・アレイ要素の一部を選択することができ、したがって、TCおよびマイクロプラズマ放電センサなど、構造的統合性、最適集束特徴、分析物選択性/フィルタリング、ならびに前濃縮、分離、流量制御、および検出技術の高機能統合を特徴とする、低電力の最適温度制御ヒータ要素を設計および製作する能力を保持しながら、分離に関連する分析物の濃度、すなわち、分析物成分の分離度および感度を変化させることができる。CMOS駆動電子機器をフェーズド・ヒータ・アレイ・センサ流路チップと統合することができる。
【0070】
健康を脅かす毒素など重大な気体分析状況では、化学薬剤またはプロセス発光(process emission)は、小さな不確実性(低確率の偽陽性)で同定および定量化される必要があり、従来の検出器は、所望の低レベルの偽陽性確率Pfpを提供することができず、(MS、GC、または光)スペクトロメータでさえもできない。
【0071】
GC−MSおよびGC−GCシステムなどの組み合わせアナライザは、所望のPfp値に近づくことができるが、2組の複雑で大型の注入システム、大型のMSポンプシステム、および各分析で必要とされる大量のエネルギーのため、一般に非ポータブルのデスクトップシステムである。より重要なことに、デスクトップまたはポータブルシステムが必要な感度を提供できないと、分離能力が優れているとしても、偽陽性確率は速やかに上昇する。
【0072】
解決策は、図17に示されるマイクロアナライザ500で実施され、マイクロアナライザは、必要ならば、すなわち、単純でないマイクロガスクロマトグラフ(μGC)が役立つならば、μGC−μGCのような構成によって提供される選択性、および複数レベル多段階前濃縮によって与えられる感度を結合する。この構成では、マイクロアナライザ500は、その(パームトップから立方インチ型までの)コンパクト性、3秒分析、ppb感度、柔軟性、機能性、統合構造、低電力、および低コストといった特徴を依然として保持することができる。別の解決策は、図21のマイクロアナライザ600で実施されることができる。
【0073】
マイクロアナライザ500は、流体530の試料ストリームを入力からフィルタ527に取り込む。フィルタ527から、流体530は、マイクロ検出器(μD)531を通り、並列チャンネル527を有する第1のレベルの前濃縮器526に入る。流体530は、ポンプ521またはポンプ522によって、チャンネル527からマイクロアナライザ500の主要部分に取り込まれることができる。ポンプ521および522は、同時または個々のスケジュールに従って動作することができる。流体530の一部は、濃縮器523と、流量センサ532を通ることができる。濃縮器523は、約100ミクロンの内径を有することができる。流量センサ532から、流体530は、分離器524と、マイクロ検出器533と、分離器525と、マイクロ検出器534を通ることができる。分離器524および525は、約140ミクロンおよび70ミクロンの内径をそれぞれ有することができる。流体530は、ポンプ522に流れ込むことができる。ポンプ521および522から出た流体530は、流体が最初に取り込まれた場所または別の場所に戻されることができる。マイクロ検出器531、533、および534は、TCD、MDD、PID、CRD、MS、または別の種類の検出器とすることができる。アナライザ500は、図示されたものより多いまたは少ない検出器を有することができる。アナライザ500は、マイクロ検出器533および534の出口にそれぞれあるオリフィス541および542などのオリフィスも有することができる。アナライザ500は、バルブおよびその他の構成要素も有することができる。制御装置535またはマイクロコントローラまたはプロセッサは、この説明で説明されるマイクロ流体アナライザの動作と同様とすることができるアナライザ500の動作を適切に制御し調整するために、必要に応じて、ポンプ521、522と、検出器531、533、534と、センサ532と、濃縮器523と、分離器524、525と、その他の構成要素に接続されることができる。
【0074】
マイクロアナライザ500の特徴は、追加の前濃縮次元に関することができる。これらの各々は、図17に概略的に示されるように、高められた分析物濃度を後続の前濃縮器動作に与える。これは、先に提案され構築された単一レベル多段階前濃縮器(PC)とは異なる。複数レベルPCシステムでは、第1のレベルのPCで達成され、吸収のため次または最終レベルの(多要素および多段階)前濃縮器に提供される分析物濃度は、第1のレベルの前濃縮器によってすでに高められ、この前の前濃縮器は、第2のレベルまたは最後の前濃縮器のほぼ完全な動作で必要とされる時間のうちに分析物を解放できるように十分に大きいことが必要である。
【0075】
移動相の固定相に対する容積比率、ならびに吸収および脱着温度での分配関数の比率は、G=100倍濃度増加が仮想分析物で達成され得るようなものと仮定すると、上昇濃度レベルのタイミングは、以下のように図18の番号511、512、513、514、515、516のシーケンスによって示される(それは、除去または脱着される気体を横断側面が正方形のチャンネルに均等に再配分する気体拡散の場合、d=0.01cmは、Δt=d2/(2D)=0.012/2/0.1=0.0005秒しか要さないことを思い出させるのに役立つ)。
【0076】
多段階PC動作は、一連のステップを通るものとして説明されることができる。1)吸収時間za。モル分率X=1pptの分析物が、固定相と平衡を保つため、試料気体と共にv=110cm/sで十分な時間zaの間流れ、za=N1GL/vであり、ここで、N1=吸収要素の数、Lは流れ方向の吸収膜要素の長さである。N1=500、L=0.5cmの場合、z=500×100×0.5/110=227秒を得ることができる。すべての前濃縮ステップが完了された後であっても、Xが1に比べて小さい場合、zaはXとは独立であることに留意されたい(N1=50のチップの場合、時間は22.7秒、L=0.1の場合、この時間は4.3秒になることができる。試料気体の流速を上げると、この時間は短くなるが、膜の厚さを大きくすると、この時間は長くなる)。
【0077】
2)飽和。z=zaとなる時間の終わりで、第1段階の吸収器は、大きく飽和させられるが(明瞭性のため、試料気体から固定膜への拡散物質移動の指数的性質を無視することができる)、破線によって示されるように、試料気体は、分析物濃度xで流れ続ける。図18では、これは、それぞれ気体および固定相のための濃縮領域511および512によって示されている。
【0078】
3)第1レベルの脱着開始。例えば、z=zoなどz≧zaである任意の時間で、速やかに(1ms以内に)N1個の要素すべてを加熱することができ、その後、それらは、試料気体チャンネルを100倍高い濃度、すなわち、x=100pptで満たす(図18の領域513参照)。この100倍濃縮された試料気体の「プラグ(plug)」が、次のレベルのPCであるN2の最初の要素に入ると、それは、N2のN1/G個の吸収器要素からなる次の組を平衡させ、前の領域512におけるよりも100倍高い分析物濃度で飽和させようと試みる(図18の領域514)。
【0079】
4)第2レベルの吸収時期。非濃縮試料気体が濃縮分析物を図18の領域514から追い出す前に、これを行うために、利用可能な有限の時間と、速度vで移動する気体の有限のプラグまたはカラムをもち得るだけである。N1=500、L=0.5cm、v=110cm/sである上記のしかし恣意的な例の場合、利用可能な時間は、z≒N1L/v=za/G、または2.27秒である。
【0080】
5)第2レベルの脱着時間開始。第2の脱着は、N2個の要素の最初のものだけを、1から5msの間とすることができる時間Δz=L/v(例ではΔz=4.5ms)の間加熱することによって、z=zo+za/Gまでには開始するべきである。これは、ちゃんチャンネル内の分析物濃度(図18の領域515)を生成し、元のx値に比べて10000倍に上昇させることができる。時間Δzが経過すると、第2の要素が加熱されることができ、N2=N1/G個の要素すべてがパルスの印加を受け、その結果、それらの脱着分析物を通過気体に加えるまで繰り返されることができる。これを行うのに必要な時間は、N1=500、N2=N1/G=5、L=0.5cm、v=110cm/sである任意の例の場合、Σ(Δz)=Δz・N2=(N1/G)(L/v)=za/G2、すなわち227/104=23msとすることができる。
【0081】
6)第2レベルの脱着期間。図18の領域516でこの前濃縮器から出る最終分析物濃度は、x=xoG2N2=xoN1G=50000、すなわち、試料気体中の開始分析物濃度より50000倍の上昇とすることができる。これは、元の分析物が1度だけ吸収され、1組だけのフェーズド要素で濃縮される場合に達成されるよりも〜10倍高い前濃縮増加であることができる。
【0082】
上で使用されたN1=500の例は、図19の表に行Aとして載せられた。行B〜Eは、次第に個数が多くなる要素と対応するより大きな達成される全濃度増加についての追加の例を載せている。しかし、図20の表に示されるように、要素の数を増やすにつれて、横断面が100×100μmの典型的なMEMSチャンネルによる圧力降下は速やかに増大する。ちょうどN1=50、v=100cm/s、L=0.5cmの場合、試料気体中の主要成分を空気として、Δp=2.6psid(〜18kPa d)を得ることができる。それぞれ5.3および10.6psi(〜36.5および73.1kPa)のΔp値を示す計算され図20に載せられた圧力降下と、ピーク電力データによって示されるように、N1+N2=505または1010要素の前濃縮器の場合のΔpは、各要素がL=0.1cmに短縮されたとしても、速やかに非実際的なほど大きくなることができる。試料が吸引ポンプを介して取り込まれるシステムで特に望ましくないこの高い圧力降下を緩和する1つの方法は、2つまたはより多くの等しい並列チャンネル内にN1個の要素を設定することによる。q本の並列チャンネルの場合、N1のすべての並列要素の脱着は、それらが順次脱着され得るように、各チャンネルに適切なバルブが設けられない限り、同時に生じる必要があるので、ソーキング時間(soaking time)または必要なピーク電力を変更することなく、圧力降下はΔp/qまで落ちることができる。好ましくは、ソーキング時間は、並列チャンネルというこの方式によって、バルブなしに、図17に示されるように2つのポンプ521および522を使用することによって短縮されることができる。
【0083】
ポンプ521および522は共にソーキング期間中に試料気体を取り込むことができるが、マイクロアナライザ500を通る流れは、ポンプ522のより強力な真空のため影響を受けず、しかし、第1のレベルの前濃縮器526が、ポンプ521を用いて10〜100倍大きな流量を取り込み、その結果、このソーキング期間を10〜100分の1の時間で完了することを可能にすることができる。ソーキング期間の終了後、ポンプ521を止め、ポンプ522にマイクロアナライザ500の濃縮器523および分離器524、525、ならびに並列チャンネル527を有する追加の前濃縮器526へと試料気体を取り込ませることができる。
【0084】
ハイパー前濃縮器526、濃縮器523、および濃縮器623は、図3〜図5でのように、相互作用的要素40、42、44、46などおよび代替として追加の相互作用的要素140、142、144、146などを伴うヒータ要素20、22、24、26などを含むチャンネルを有することができる。コントローラ535および635は、各ヒータ要素20、22、24、26に電気的に接続されることができる。コントローラ535および635は、時間段階的シーケンスで(図7の下部を参照)ヒータ要素20、22、24、26に電圧を印加し、その結果、対応する各相互作用的要素40、42、44、46が加熱され、1つまたは複数の上流の相互作用的要素によって生成された上流濃度パルスが相互作用的要素に到達するほぼそのときに、選択された構成成分をストリーミング試料流体530および630に脱着する。任意の数の相互作用的要素が、濃度パルスにおいて所望の濃度の構成成分気体を達成するために使用されることができる。
【0085】
マイクロアナライザ500の特徴は、1)他のマイクロアナライザに複数レベル多段階前濃縮を実行する手法を組み込むことと、2)低圧力ポンプの目的が、そのときは単純にフィルタパージ速度を加速するためであったのが、ここでは第1レベルの前濃縮器のソーキング時間を短縮する方法として利用し得る点を除いて、マイクロアナライザ500でのように、2つのポンプを用いて達成されるそのような手法を有することと、3)第1レベルの前濃縮の出力が、多段階タイプとすることができる第2レベルの前濃縮器用のより高濃度の分析物源として簡潔に機能できるような方法で、第1レベルの前濃縮を実行することと、4)(例えば、サブpptレベルで存在する分析物用など)きわめて高い感度を必要とする場合、第1レベルの前濃縮の出力が、第2レベルの前濃縮器用のより高濃度の分析物源として簡潔に機能でき、今度は第2レベルの前濃縮器が、多段階タイプとすることができる第3レベルの前濃縮器用のより高濃度の分析物源として機能できるような方法で、第1レベルの前濃縮を実行することと、5)あまりに高い圧力降下を引き起こし得る最終前濃縮器レベル用の100倍高濃度の分析物の飽和源として機能する、(G=100が各吸収−脱着段階で達成可能な濃度増加である場合、これまで開示された多段階前濃縮器より〜100倍長い)単に非常に長いチャンネルというわけではない第1レベルの前濃縮器であって、最終前濃縮器レベルの圧力降下よりはるかに低い圧力降下を達成する並列の複数のチャンネルから構成される第1レベルの前濃縮器と、6)前濃縮チャンネル、ヒータ、および吸収膜の幅を広げることによって、気体/固定相の望ましい低容積比率を犠牲にすることなく、その低い圧力降下を達成することと、7)吸収膜の厚さを増やすことによって、不適当に脱着時間を増やすことなく、しかし、気体/固定相の望ましい低容積比率を低下させて、その低い圧力降下を達成することと、8)例えば、並列の第1レベルの前濃縮器を動作させることなく、かつ/またはそのような究極の分離が必要でないならば第2の分離器(μGC)をもたず、低感度分析に対する必要を満たすために、柔軟な方法でマイクロアナライザ500構造を動作させ得ることとを含むことができる。
【0086】
GC#1およびGC#2は、マイクロアナライザの第1および第2の流体またはガスクロマトグラフをそれぞれ指示することができる。それぞれカラム#1および#2と見なされ得る第1および第2の分離器は、マイクロアナライザのその他の構成要素と共に、それぞれGC#1およびGC#2の一部とすることができる。
【0087】
マイクロアナライザ500の利点は、1)そのような選択性、ピーク容量、および感度のμGCのための(薄膜ベースの固定膜支持に起因する)非常に短い分析時間と、2)選択性または分析速度を低下させることなく(非常に高いPCレベルに起因する)可能な限りで最高の感度を達成することと、3)(低圧力のパージおよびソーキング機能と、最終前濃縮レベルおよび分離機能用のより高圧力の機能のための2つの別々のポンプの使用による)可能な限りで最高の感度、選択性、低い分析当たりエネルギーの能力の同時達成とを含むことができる。
【0088】
図21は、GC−GCタイプの2次元構造を有するマイクロアナライザ600を示している。キャリアガスとしても機能し得る試料気体ストリーム630は、粒子フィルタ627の入力に入り、ポンプ640によって2つの並列チャンネルを介して取り込まれる。主要チャンネルでは、流体630は、マイクロ検出器631と、濃縮器623とをそれぞれ通って進むことができる。濃縮器623は、約100ミクロンの直径を有することができる。流体630は、濃縮器623から流量センサ632を通って、約100ミクロンの内径を有することができる分離器624に流れ込むことができる。分離器624から、流体630は、第2の分離器625とマイクロ検出器633とを通って流れるために分かれることができる。分離器625は、約50ミクロンの内径を有することができる。分離器625からの流体630の出力は、マイクロ検出器634とオリフィス644とを通ることができる。マイクロ検出器633からの流体630の出力は、管路643を介してマイクロバルブ642を通ることができる。ポンプで管路646に取り込まれる、フィルタ627の出力における「T」接続からの流体630の流れは、オリフィス645によって制御されることができる。コントロール、マイクロコントローラ、またはプロセッサ635は、アナライザ600の適切な動作を達成するため、ポンプ640と、マイクロ検出器631、633、634と、流量センサ632と、濃縮器623と、分離器624、625と、マイクロバルブ641とに接続されることができる。各マイクロ検出器631、633、634は、TCD、MDD、PIA、ECD、または別の種類の検出器とすることができる。アナライザ600は、図示されたものより多いまたは少ない検出器を有することができる。アナライザは、追加のバルブおよびその他の構成要素も有することができる。その他の実施形態では、無制御ポンプおよび不可欠なオリフィス流量規制だけが残るように、マイクロバルブ641は、除去されることができる。
【0089】
主要チャンネルが、本明細書で開示され、第2のμGCを実施する第2のチャンネルは、発生する相対的に広い(μGC#1のピークの半値幅−μGC#2の全「自由」溶離時間to)を「サンプリング」する。
【0090】
その統合構造に構築された2以上の分離膜素材を伴うマイクロ流体アナライザ構造によって分離され得ないものが、ここでは拡張された従来のGC−GC構造によって実現されることができる。相対的に遅く動く第1のGCは、10〜30msの半値幅を有するピークを生成することができ、それは、決められた時間に基づきまたはその第1のGCの終わりで検出器によってトリガされる要求に基づき、20〜100msごとにパルスを印加される第2のGCによって分析されることができる。第2のGCは、第1のヒータ要素の急速な(〜1ms)加熱および冷却によって、入口ピークを追加的に集束することができ、その結果、その電子的にまたはマイクロバルブで制御される注入ピークは、〜1ms以上にはならない半値幅を有する。
【0091】
図21のアナライザ600である実施形態#1では、μGC#1の流れは、能動マイクロバルブ641によって制御されることができ、バイパスおよびカラム#2を通る流れは、634および645などの固定のオリフィスによって制御、すなわち、設定されることができる。実施形態#2では、マイクロバルブ641は、追加の固定オリフィス流量制御によって置き換えられることができる。
【0092】
図22を参照すると、実施形態#3では、μGC#1のすべての流体630の流れは、μGC#2に流れ込むことができ、その流れは、(高いが無制御の速度について)ポンプ640の前の1つの固定オリフィス647によって制御されることができ、必要ならば別の固定オリフィス/制限648の後で、カラム#2の横断面に移動する際に、自動的に加速されることができる。
【0093】
図23は、流体630をポンプでより良く取り込むために2つのポンプ621および622を有するマイクロアナライザ620を示している。流量センサ632に隣接して、約140ミクロンの内径を有する分離器651が存在することができる。分離器からの流れ630は、マイクロ検出器652と、マイクロ検出器652と、オリフィス653をそれぞれ通り抜けることができる。オリフィス653から、流体630は、約70ミクロンの内径を有する分離器654を通り抜けることができる。分離器654から、流体630は、マイクロ検出器と、オリフィス656と、管路657をそれぞれ通り抜け、ポンプ622に到ることができる。オプションで、アナライザ500、610、620の分離器525、625、654にそれぞれ接続されたマイクロバルブ561、661が存在することができる。
【0094】
すべての場合で、サンプリングされた広いピークが、短い集束期間を介しておよびその後で、好ましくは固定相膜素材で作成される、カラム#1の厚さをもったμGC#2カラムの短い第1の吸収要素の助けを借りて、μGC#2に「注入」されることができる。その後の急速な加熱および脱着は、その分析物をμGC#2に注入するために使用されることができ、μGC#2は、μGC#2の最大分離度のためのより高い最適速度に接近するため、より狭いカラム、より高い速度、およびより薄い吸収膜を特徴とすることができる。そのより高い速度は、カラム#2全体にわたる大きな圧力降下を介する、またはカラム#2の上記要素#1の終わりとカラム#2の残りとの間の接合点、もしくはカラム#1とカラム#2の間の接合点における(図21には図示されない)固定オリフィスを介する、そのカラム内のより低い圧力によって実施されることもできる。
【0095】
動作中、集束プロセスは、一定の時間間隔で、またはカラム#1の検出器がピークを感知した時だけ、繰り返されることができる。そのような集束動作は、一般に2×ピークの半値幅Δtの期間、例えば、2×20ms(図24の表1を参照)の期間に、カラム#2の第1の要素の温度の急峻な降下で始まることができる。そのような濃縮期間tcの後、吸収分析物は速やかに解放されて、約2msのピーク半値幅を生じさせる。図24に列挙された例示的なデータのその他の特徴は、実施形態#3では等しいことを必要とする、カラム#1および#2における試料気体の流量Vと、濃縮時間tc=to(#2)=2Δt(#1)と、k=(tR−to)/toであるとし、0≦k≦5の中程度で、分離度R=tR/Δtを最大化するために最適速度に近いことを必要とする試料気体の速度vと、1/v≦Δt(#2)≦2 1/vとなるように局所流速と適合することを必要とする、カラム#2の第1の要素(またはカラム#1の最終要素)からの脱着のための時間〜Δt/2とを含む。
【0096】
独立測定(すなわち、分解可能ピークまたは全ピーク容量)の数は、μGC−μGC−μDでは、特にμDがMDD、μECD、μFD(μ蛍光検出器)などの多チャンネル検出器の場合は、はるかに大きくなり得るので、偽陽性の確率は、低下させられることができる。μGC#1の全ピーク容量が〜50、μGC#2の全ピーク容量は〜30、MDDの全ピーク容量は〜10である場合、独立測定の総数は、50×30×10=15000となることができる。
【0097】
マイクロアナライザ600、610、および/または620の特徴は、1)多段階前濃縮器(PC)−μGC−μGC−検出器の1つのチップ上への統合であって、追加の検出器のさらなる統合のオプションを有し、おそらくより重要なこととして、μDが反応する干渉物質は保持および/または前濃縮されないが、目標分析物は前濃縮され、良く分離されるように、PC、GC#1、およびGC#2膜、ならびにマイクロ検出器μD用の素材の最適混合および相乗作用を使用する統合と、2)例えば、分離器(S)に対する前濃縮器(PC)として機能するヒータ・アレイ要素の数もしくは全ヒータ・アレイ要素の一部をユーザが選択し、かつ/または(様々な前濃縮器要素からすべての物質を脱着するのとは反対に)それぞれの前濃縮器素材から選択および脱着される化合物のタイプをユーザが選択するなど、本発明のマイクロアナライザの一方または両方のμGCの機能的かつ柔軟な動作と、3)(パームトップから立方インチ型までの)コンパクト性、3秒分析、≦ppb感度、柔軟性、機能性、統合構造、低電力、無バルブ電子注入、および全体的低コストといった特徴を保持する、この段落の項目1)の設計と、4)図21に示された能動マイクロバルブ641が除去されることができ、無制御ポンプおよび不可欠なオリフィスだけが流れ規制のために残るようにする、この段落の項目1)および3)の設計と、5)μGC#1および#2を通る質量流量は等しいが、これらのカラム(およびカラム#1の終わりでの固定圧力降下オリフィスまたはノズル)が、流速をカラム#1のレベルの〜3〜10倍だけ上昇させるように、またほぼ完了(約toから2toの時間内)の分析がカラム#1から溶離するピークの半値幅の時間内にカラム#2によって達成されることが可能なように、(ID、ポンプ容量、および音速ノズルを介してポンプ速度を制御するためのその他の固定オリフィスについて)構成されることができ、ゴレイの式(Golay’s equation)の値を最適に満たすように調整された吸収膜厚さを特徴とすることができる、この段落の項目1から4による設計と、6)適切な(同じまたは好ましくは約半分のサイズの)要素内および2Δtの時間内で、カラム#1からの完全なピークを「集束」し(図24を参照、Δt=20ms)、それが〜1〜2msのΔt2の時間内に脱着および出水され得るようにすることによって、マイクロアナライザ600、610、および/または610の動作を達成することと、7)2つの作業の最大質量流量、ポンピング時間、および圧力要件を共に満たさなければならない1つのポンプを使用するのではなく、各々が特定の流量および吸引圧力でポンプ動作を行うように設計された、図23の2つのポンプ621および622の使用と、8)独立測定の数を増やすにつれて低下する偽陽性の確率を低下させるための、好ましくは2つの別個の機能を、すなわち、(例えば、光吸収、質量、沸点などの属性に基づいて分析物を分離するスペクトロメータ機能による)選択性と、非選択的だが非常に高感度の検出器による感度とをマイクロアナライザに組み込むことによる、多くのタイプの組み込み検出器の組み込みおよび使用とを含むことができる。
【0098】
マイクロアナライザの実施形態#3の利点は、1)より大きな分離度を可能にし、その結果、異なる吸収膜素材の特別のマスクおよび付着のためのコストが必要最低限だけ増加するより完全な分析を可能にする、μGC−μGCの組み合わせと、2)能動バルブを除去することと、「ヒータ波」伝播の電子的に制御される速度のわずかな調整を介して適切な同期を管理することに基づくコスト削減と、3)ヒータ速度の電子的調整を介する流量センサ用にこれまで必要とされていた較正精度の低下に起因する(流れはこの流量センサの助けでおおまかに測定および調整されることができるが、最適同期はこの段落の項目2)で説明されたように達成されることができる)、さらなるコスト削減と、4)(コストは同じで)必要とされるよりも20〜80%高いポンプ容量を使用する一方で、ポンプ速度制御で必要とされる制御設計およびデバッギング労力を省くことによる(超過容量は単に固定オリフィスによって制限される流れを介して制御されることができる)、さらなるコストおよび保守削減と、5)特定の作業用に設計された各ポンプが、最大流量、ポンピング時間、および圧力要件を共に満たさなければならない1つのポンプを使用するよりも効率的であり、追加のオリフィスのコストおよび設計労力を節約できる、図23にあるような2つのポンプ621および622の使用と、6)偽陽性の確率Pfpを最小化するのに役立つことができる、要素のmチェーンPC−μGC−μGC−μD3...μDmから構成されるシステム内の各niの寄与であって、ここで、
1/Pfp=[1−exp{−(RSN−1)/4}](n1,n2,...nm)0.8(Y+1)
であり、RSN=信号/雑音比、n1,n2,n3,...nm=独立測定または除去基準(例えば、選択的PC要素によるフィルタリングステップ、μGC#1およびμGC#2による分光分解要素、または複数の異なるμDiの各々による測定チャンネル)の数、Y=1/P、すなわち、1度登録された特定の偽陽性が、冗長センサ、繰り返し測定、センサグリッド内の近隣センサ、および/または交差感度が異常に高い干渉物質の出現の発生を介してそのようなものとして確認され得る確率の逆数であるシステム内の各niの寄与とを含むことができる。
【0099】
図25は、HPLC/CLCマイクロアナライザ701の図である。HPLCは、高圧液体クロマトグラフィのことであり、CLCは、毛細管液体クロマトグラフィのことである。アナライザ701は、アナライザに入力されるストリーム711および712に分割されることができる入力試料ストリーム710をフィルタリングするための入口粒子フィルタ702を有することができる。ストリーム711は、熱伝導率(TC)検出器702を通って進むことができる。検出器702の後、ストリーム711の分析物は、フェーズド・ヒータ20、22、24、26および設計に応じてより多くのフェーズド・ヒータを有する濃縮器704によって濃縮されることができる。その後、ストリーム711は、流量センサ705を通り抜け、分析物が化合物によって分離される分離器706に到ることができる。
【0100】
その後、ストリーム711は、TC検出器707を通り抜けることができる。コントローラ708は、ストリーム711に対する濃縮器内でのフェーズド・ヒータ・パルスの移動を制御するため、濃縮器704に接続されることができる。コントローラ708は、分離器706と、TC検出器703、707と、流量センサ705にも接続されることができる。センサおよび検出器の情報、ならびに濃縮器および分離器への入力信号を用いて、試料の情報は処理されることができる。検出器707を出て行くストリーム711は、「T」接続709においてストリーム712と合流して、出力ストリーム713を形成することができる。
【0101】
バルブ714は、ストリーム712の流れを、それが接続709に来たときにストリーム711の流れと比例するように制御することができる。T接続709の出力には、ポンプ715およびアナライザ701から出力されるストリーム713を引き込むポンプ715が存在することができる。バルブ714およびポンプ715は、ストリーム711の流れを制御するコントローラ708に接続され、ストリーム711の流れは、濃縮器704内を移動していくにつれて増大するストリーム711中の熱パルスを維持するように、バルブ714およびポンプ715によって、適切なフェーズド加熱のための特定の速度で濃縮器を通り抜ける。
【0102】
本発明のPHASEDマイクロアナライザの態様は、液体および気体のための2重使用を含む。これらの態様は、図6c、図6d、図26a、図26bの助けを借りて以下で説明されるが、図25は、これらのすべてのためのシステムを表している。
【0103】
図6bは、フェーズド・ヒータ(PHASED)マイクロアナライザの基準設計41を示している。この図は、フェーズド・ヒータ・アナライザのIおよびIIの横断面図であり、約1ミクロンの厚さをもつことができる露出された膜716を示している。膜の露出は、開かれた空間392に向いている。膜716は、窒化シリコン(Si3N4)から構成され、膜の内部にPtヒータ20、22、...を有することができる。この設計は、その膜ベースのヒータ要素が環境に関する約50psi(≒3.5bar)より大きい圧力に耐えることができないので、主として気体分析物の初期アナライザ用とすることができる。
【0104】
図6cは、PHASED (すなわち、バージョンIII)マイクロアナライザを示している。この設計は、図6bの基準設計のようには、マイクロチャンネル内32の50psi(≒3.5bar)の最大圧力に制約されない。図6aにも、類似の設計が存在し、(膜の上側および下側に)サイズが等しく、それぞれ吸収被覆140および40を有するチャンネル31および32を有する点だけが異なる。図6cの手法は、断熱用には十分深いより低いチャンネル394を作成し、質量拡散に依存して上部および下部の気体濃度を平衡させることによって、問題を解決することができる。液体と共に使用される場合、膜716が十分に丈夫であり、十分に速い液体拡散速度を有するかどうかについての問題が起こり得る。
【0105】
図26aは、Microbrick(登録商標)マイクロアナライザまたはPHASED IVアナライザと見なされ得るアナライザ701のマイクロブリック(micro−brick)ベースの設計720を示している。この設計は、液体と共に使用される場合の丈夫さおよび拡散速度についての問題をなくすことができる特徴を有する。示されるように、丈夫さは、Si、シリカ(SiO2)、Pyrex(登録商標)、シリコン水上の厚いシリカ被覆、ポリマ、またはその他の十分に安定で耐熱性があるが断熱性の素材から構成され得る固体(マイクロ)基板(すなわち、れんがのような固体、したがって、Microbrick(登録商標)と呼ばれ得るマイクロブリック)上に、ヒータ要素20、22、24、...のアレイ、(例えば、Ptヒータを内部に有するSi3N4とすることができる)膜716、(例えば、SiO2とすることができる)誘電体717、およびセンサを構築することによって達成される。基板718は、ヒータを有することができる。この丈夫さとのトレードオフは、特定電力消費の約3から8倍の増加とすることができる。マイクロブリッジ(micro−bridge)、マイクロ膜、およびマイクロブリック流量センサ設計の間でそれぞれ、約20から10度への、および約2度C/mWへの加熱能力の低下が測定された。マイクロ膜ベースのPHASED装置の場合、5000×100の各マイクロメータ・ヒータ要素について、0.43度C/mWが測定された。液体において許されるヒータ温度の上昇は、気体の約4から10分の1に低くできるので、液体を分析するのにこの構造が使用されて、ヒータ温度上昇が20から25度Cを超えないならば、スイッチング要素および回路の電力要求はほぼ同じ水準を維持することが予想され得るが、最大200から250度Cの温度上昇を使用する気体については、図6cの設計41と比べて約4倍高くなる。層717は、ウェーハ718上に形成されることができる。
【0106】
図26bは、毛細管ベースの設計730を示している。図6b、図6c、および図26aのマイクロチャンネル設計の1つのあり得る短所は、吸収膜40が長方形チャンネル32の4つの側面のうち1つだけしか被覆せず、それが容積移動相/固定相比率を増大させることである。この比率は、(一定の膜の厚さを仮定すれば)分離度および溶離時間に影響するべきではなく、固定容積「吸収容量」が移動相の容積に比べてはるかに小さいならば、感度に影響を与えることができる。したがって、チャンネルの最適使用のため、感度を低下させないのならば、できるだけ薄くあるべき吸収膜で覆われた可能な限りで最大の内部表面を有することができる望ましい。図26bは、そのような1つの設計730を概略的に示している。
【0107】
100マイクロメートルの例示的な内径と300マイクロメートルの外径を有する毛細管730は、適切な吸収素材など所望のGC膜素材732および厚さで内側を被覆されることができる。外側(または吸収被覆の下の内側)に、均一な抵抗性のヒータ膜731が、100マイクロメートルの非導電ギャップ734によって隔てられた長さ733が5ミリメートルの例示的なセグメント735に配置されることができる。基本フェーズド設計および動作において各要素が加熱されると、前濃縮器704の毛細管セグメント735は、次のセグメント735に切り換わる前に各々約5ミリ秒、加熱されることができる。毛細管730の寸法および構成要素は、ここで述べられたのとは異なることもできる。
【0108】
毛細管730は、本発明の説明で説明された流体アナライザの構造において適用例を有することができる。分離器706の場合、より重い分析物の溶離時間を短縮するため、温度が上昇するようにプログラムされることができる。より小さい要素が、流量センサ705、熱伝導率検出器(TCD)703、707、および使用されるならば導電率検出器(EGC)のために使用されることができる。EDCは、(壁が非導電性の場合に限り)毛細管壁736によって導電率を感知するため、ACモードで使用されることができる。流量センサ705およびTCセンサ703、707も、(非導電性の如何に関わらず)毛細管壁736によって流れおよび熱伝導率を測定するために使用されることができる。代替として、ヒータ膜731は、毛細管730の内側のGC膜732の下に配置されることができ、その結果、それらが約0.5マイクロメートルの厚さの窒化シリコンだけによって気体から隔てられる場合、マイクロブリッジおよびマイクロブリック設計で測定可能な≦1ミリ秒から上への応答時間の増大を回避する。別のヒータ膜構造731は、毛細管730全体で連続しており、約100マイクロメートルの幅と約5ミリメートルの間隔の導電金属膜リング735を特徴とする構造とすることができ、その結果、スイッチング回路は、移動窓(moving window)におけるように、1度に約5ミリ秒、1つのセグメントに電圧を印加することができる(この特徴は、ヒータ膜が外側にある場合、より製造し易すくなる)。導電リング735は、プリント基板(PCB)737上の対応するバンプにはんだバンプされることもできる。PCB737は、アナライザ701の毛細管730を加熱されて流れ抜ける試料液体711に熱パルスを与えるためのヒータ要素735に順番に電力を切り替えるためのスイッチング回路を有することができる。毛細管730は、10から15センチメートルの長さで十分ならば真直ぐであることができ、あるいは石英またはスチール毛細管曲率半径の有限最小半径を可能にするため、0度のところにだけ、または180度のところにも、または90度ごとに、または1〜5mmの適当な距離ごとに電気接点を有する、「8」もしくは「0」字状、蛇行、または(管状もしくは平らの)コイル巻線の形状をとることができる。このように、最大100センチメートルの毛細管長は、コンパクトされ、PCB731上の40から200個の電気接点に適合されることができる。
【0109】
そのような毛細管ヒータ735のステンレス鋼上への実装は、ステンレス素材の抵抗がヒータとして使用され得るならば、約5ミリメートルずつ間隔を置いた導電リングの配置を必要とするだけとすることができる。石英毛細管の場合、加熱要素の内部アレイへの接続は、最近現れたTTW(スルー・ザ・ウェーブ(through the wave))はんだ技術の使用を必要とする。したがって、より簡単な製造方法は、ヒータ膜731の外部適用に基づくことができる。内部薄膜ヒータ膜のオプションは、薄膜導電性素材へのマイクロ波結合を介して加熱されることができる。
【0110】
上記の設計のいずれかを実現するには、多段階前濃縮が有効であり得るように、安定で寿命が長く反復可能な流量制御を必要とする。開発された圧電、静電、および電磁バルブおよびポンプが利用可能であり得る。最適性能を達成する1つの手法は、前濃縮器704および分離器706用に毛細管カラム730を選択するが、毛細管構造735の終わりを示差熱伝導および示差電気伝導のセンサの入力およびに出力ポートに合わせることであり得る。ゴレイの式によれば、長さ25センチメートル、カラム内径100マイクロメートル、膜厚0.6マイクロメートルの場合の最適水速度は、15psi(〜1bar)の圧力降下に打ち勝ちながら、約毎秒10センチメートルであり、15:1(Ds=0.00001、Dm=0.01cm2/秒)の分離度を達成する。
【0111】
ゴレイの式は、以下の形をとることができる。
【0112】
【数1】
【0113】
ここで、Hは与えられた溶質のカラム単位長当たりの分散、k’は溶質の容量率(capacity factor)、Kは2つの相の間の溶質の分布係数、Dmは移動相における溶質の拡散率、Dsは固定相における溶質の拡散率、rはカラム半径、uは移動相の線速度である。
【0114】
PHASEDベースのHPLC/CLCマイクロアナライザ701は、以下の特徴を含むことができる。1つの特徴は、フェーズド多段階前濃縮および電子注入、そのような前濃縮、注入、分離、流れセンシング、および検出の統合機能、製作中における固定相用のスピンオン被覆素材の挿入、試料フローチャンネルの製作用の統合真空パッケージング(IVP)技術の使用、有利なキャリア液体としての大量の試料液体の使用、直接または間接流れおよびTCセンシング用の熱マイクロセンサ技術の利用の、液体クロマトグラフィ応用とすることができる。
【0115】
前濃縮、分離、流れセンシング、ならびに熱および電気示差伝導センシング機能用の毛細管730カラムの具体的設計は、様々な特性に基づくことができる(図26bを参照)。カラムおよびセンサのIVP統合用の手法として、ブリッジおよび1つの主要試料フローチャンネルの一方の側に吸収素材を有する、(高圧の影響を受けない)マイクロブリッジ技術を含むことができる。しかし、マイクロ膜技術はそれ自体、50psi(≒3.5bar)を超える液体圧力の適用に耐久性をもたないことがあり得る。装置は、カラムおよびセンサのIVP統合用にマイクロブリック技術を含むことができる。別の特性または特徴は、ヒータおよびセンサ用の外部被覆を有し、適切なヒータスイッチング手段およびセンサ入力/出力回路(I/O)を有する回路に圧着される、石英またはスチール毛細管の1つまたは複数のターンを含むことができる。
【0116】
1つの手法は、前濃縮器の圧力降下によって取り込まれた分析物が波速度を加速させ、膨張するときに、検出器ピークの半値幅を感知し、その幅を最小化するように流量を調整することに基づいて、エネルギーパルスをヒータ・アレイの要素に同期させることであり得る。
【0117】
従来のHPLC/CLCにまさるマイクロアナライザ701の利点は、100から10000倍の感度の上昇を含むことができる。PHASEDマイクロアナライザ701の動作は、キャリア流体を必要とせず、使用が非常に容易であり、信頼性がより高く、より低コストであることができるが、それは現在の単純な電子注入のコストが、より信頼性が低く、より複雑で、よりエネルギー消費が高い機械バルビングに依存する注入よるはるかに低いからである。従来のHPLC/CLCの動作は、少量の試料が機械バルビングによって注入される非導電キャリア液体の使用を含むことができる。PHASEDマイクロアナライザ701では、キャリア流体の使用は、任意選択とすることができる。本発明のアナライザでキャリア流体が使用される場合、キャリア流体および試料流体は、継続的に混合されることができる。有効に希釈された分析物濃度は、試料前濃縮ステップ中に回復され(かつ上回る)ことができる。マイクロブリック720または毛細管730構成のアナライザ701は、(環境的および構造的に)非常に丈夫であり、液体または気体を分析することができる。HPCL/LC/GCアナライザ701は、必ずしもSi加工を必要としない。
【0118】
本発明は、少なくとも1つの例示的な実施形態に関して説明されたが、本明細書を読めば、当業者には多くの変形および変更が明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような変形および変更を含むため、従来技術に照らして、できるだけ広く解釈されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】センサシステムの図である。
【図2】マイクロガス装置の細部の図である。
【図3】例示的なフェーズド・ヒータ機構のレイアウトである。
【図4】強化チャンネル上の薄膜ヒータ要素の長手方向断面図である。
【図5】強化チャンネル上の薄膜ヒータ要素の第2の実施形態の長手方向断面図である。
【図6a】膜が2つのヒータ要素の実施形態の横断端面図である。
【図6b】膜が単一の要素の実施形態の横断端面図である。
【図6c】膜が単一の要素の実施形態の横断端面図である。
【図7】ヒータ温度プロフィールをセンサ装置の各ヒータ要素で生成される対応する濃度パルスと共に示したグラフである。
【図8】前濃縮器における分析物濃度の段階的積み上げを説明するための複数のヒータ要素を示したグラフである。
【図9】約100パーセントの濃度レベルに達した濃度パルスを示したグラフである。
【図10】様々な元素の既知の検出限界および感度の表である。
【図11】多元素試験混合物の知られた最新のクロマトグラムを示す図である。
【図12】ある気体の相対強度、放電対圧力のグラフである。
【図13】気体感知用の光源と検出器(MDD)の対のアレイの断面図である。
【図14】MDDとSi光ダイオードの間の分光感度比較のグラフである。
【図15】センサと、濃縮器と、分離器とを含むフェーズド・ヒータ・アレイ構造用の統合レイアウトの図である。
【図16】センサの濃縮器および分離器部分用の加熱要素選択ロジックの回路図である。
【図17】ハイパー前濃縮器を備えるマイクロアナライザの図である。
【図18】時間および分析物の位置に対する分析物濃度のグラフである。
【図19】分析物の質量および対応する膜の長さおよび濃度の表である。
【図20】横断面が100×100ミクロンのチャンネルによる要素の数に対する圧力降下を示す表である。
【図21】一般的なガスクロマトグラフ−ガスクロマトグラフタイプの2次元構造を有するマイクロアナライザの図である。
【図22】図21の構造に類似するが異なる構成を有する構造の図である。
【図23】図21の構造に類似するが異なる構成を有する構造の図である。
【図24】デュアル・マイクロガスクロマトグラフ・システムの設計および性能パラメータの表である。
【図25】高圧液体クロマトグラフの図である。
【図26A】高圧クロマトグラフのマイクロブリック構成要素の図である。
【図26B】高圧クロマトグラフの毛細管構成要素の図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年1月15日に出願された「PHASED−III SENSOR」と題する同時係属中の米国仮特許出願第60/440108号に基づく、米国特許法119条(e)(1)の下での優先権を主張し、同文書は参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、2003年9月4日に出願された「PHASED V,VI SENSOR SYSTEM」と題する同時係属中の米国仮特許出願第60/500821号に基づく、米国特許法119条(e)(1)の下での優先権を主張し、同文書は参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、2002年9月27日に出願された米国仮出願第60/414211号の恩典を主張する、2003年9月26日に出願された「PHASED MICRO ANALYZER V,VI」と題する同時係属中の米国非仮出願第10/672483号に対する一部継続出願としての優先権を主張し、同時係属中の米国非仮出願第10/672483号は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、流体の検出に関する。詳細には、本発明は、フェーズド・ヒータ・アレイ(phased heater array)構造に関し、より詳細には、流体成分の同定および定量化用センサとしてのフェーズド・ヒータ・アレイ構造の応用に関する。「流体」という用語は、種として気体および液体を含む汎用語として使用されてよい。例えば、空気、ガス、水、油は、流体である。
【背景技術】
【0003】
流体アナライザに関する構造および処理の態様が、Ulrich Bonne他に対して2002年5月28日に発行された「Gas Sensor with Phased Heaters for Increased Sensitivity」と題する米国特許第6393894 B1号(同特許は参照により本明細書に組み込まれる)、Ulrich Bonne他に対して2001年10月30日に発行された「Self−Normalizing Flow Sensor and Method for the Same」と題する米国特許第6308553 B1号(同特許は参照により本明細書に組み込まれる)、およびRoger L.Aagard他に対して1990年7月24日に発行された「Measurement of Thermal Conductivity and Specific Heat」と題する米国特許第4944035号(同特許は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0004】
現在利用可能な気体組成アナライザは、選択性に優れ、高感度であり得るが、未知成分を含む試料気体混合物の成分を同定する能力を欠いているうえ、一般に大型で費用がかかる。最新の組み合わせアナライザGC−GCおよびGC−MS(ガスクロマトグラフ−質量分析器)は、選択性、感度、および機能性(smartness)の所望の組み合わせをほぼ実現しているが、大型で費用がかかり、速度も遅く、バッテリ動作の機器には適さない。GC−AED(ガスクロマトグラフ−原子発光検出器)では、AEDだけが、100ワット超の電力、および水冷を使用し、10MHz超のマイクロ波放電を有し、費用がかかる。
【0005】
フェーズド・ヒータ・アレイ・センサは、濃縮器、分離器用に、およびオフチップ流量センサ用に別々のチップを有することができる。しかし、これらは、1つのチップ上に統合され、電力消費を削減しながら、構造的統合性および温度制御上の改善を提供することができる。次のフェーズド・ヒータ・アレイ・センサは、分析物の検出、同定、および定量化のための統合可能なマイクロ放電装置を追加的に含んでいた。しかし、FETスイッチおよびシフトレジスタのチップ上への完全な統合を欠いており、ドーターボード(daughter−board)から、マイクロプロセッサ制御FETスイッチを有するマザーボードまで、約110本のワイヤをワイヤボンドし、ルート付けし、接続し、ルート付けする必要が依然として存在し、そのことが、大型化および人件費の原因になっていた。加えて、フェーズド・ヒータ・アレイ・センサ・アナライザおよび従来のGCは、前濃縮および分離をオンラインで変更する柔軟性を欠いているように思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より低コストで効率のよい方式により、ごく少量の流体を検出、同定、および分析することが望まれる。関連技術の液体クロマトグラフィ・アナライザは、可搬性がなく、多くの電力を消費し、速度が遅く、かなり費用がかかる。(例えば、医学、製薬、食品および水質、薬物試験、ならびに工業的に)分析を必要とする試料の80パーセントは液体であるが、そのための関連技術アナライザは、特に差圧が50ポンド/平方インチ(psi)から10000psi(〜3.5から700バール)の範囲になる場合、あまり適していない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマイクロアナライザは、改善された構造的統合性を有し、(石英キャピラリの圧力限界と類似した)実用的に限界のない圧力範囲を特徴とし、実質的に漏れ問題のないフェーズド・アナライザである。従来のHPLC/CLCアナライザと比べて、本発明のアナライザは、価格がはるかに手ごろであり(例えば、人件費および設備償却費を節約し)、より速度が速く、液体または気体いずれかの試料分析に適し得るのでより広い用途をもつことができる。
【0008】
ヒータ要素は、時間段階的シーケンス(time−phased sequence)で電圧を加えられ得るので、省略的に、「フェーズド・ヒータ」、「フェーズド・ヒータ・アレイ」、「フェーズド・アナライザ」、「フェーズド・センサ」などと見なされ得る。そのようなヒータと、濃度パルス(concentration pulse)を発生させ、それが複数のヒータを通過するにつれて濃度パルスのサイズを増大させる関連する相互作用的要素構成とを有するアナライザまたはセンサは、「高度検出用フェーズド・ヒータ・アレイ構造(phased heater array structure for enhanced detection)」と見なされ、それぞれに頭字語「PHASED」を付けて呼ばれることができる。
【0009】
センサシステム/マイクロアナライザは、流体成分の存在、同定、および定量化を達成するために、選択性に優れ、高感度で、速度が速く、低電力のPHASEDヒータ要素のアレイと、コンパクトで、速度が速く、低電力の周囲圧力、最小ポンピング・スペクトル分析装置のアレイとから構成される。
【0010】
マイクロ流体アナライザは、濃縮器と、2以上の分離器とを有することができる。アナライザは、1つ、2つ、またはより多くのポンプを有することができる。アナライザは、複数のチャンネルを有するハイパー前濃縮器を有することができる。アナライザの流路に沿って複数の検出器が配置される。また、1つまたは複数の開口部およびマイクロバルブも、流路内に配置されることができる。アナライザは、多流体または多ガスクロマトグラフとして構成されることができる。
【0011】
濃縮器は、流路に沿って移動する熱パルスを提供して、より一層集中した熱を試料流体ストリームに提供するPHASEDヒータ要素のアレイを有することができる。相互作用的要素は、試料流体ストリームに沿って間隔をおいて配置され、試料流体ストリームにさらされる。相互作用的要素は各々、相互作用的要素の温度に応じて流体ストリームの構成成分を吸収および脱着できる相互作用物質を含むことができる。各相互作用的要素は、それと熱伝達を行うヒータ要素を有することができる。ヒータ要素に時間段階的シーケンスで電圧を加えるため、コントローラが、ヒータ要素に結合されることができる。コントローラは、第1のヒータ要素に第1のエネルギーパルスによって電圧を加え、その後、第1のヒータ要素の下流に配置される第2のヒータ要素に第2のエネルギーパルスによって電圧を加え、それ以降も同様である。対応する相互作用的要素は、順次熱せられ、選択された構成成分を試料流体ストリームに脱着することができる。第1の要素は、試料流体ストリームによって下流の第2のヒータ要素へと搬送される第1の濃度パルスを生成することができ、第2のヒータ要素は、第1の濃度パルスが第2の相互作用的要素に到達すると、電圧を加えられ、第2の相互作用的要素を熱することができる。ここにおいて、第1のエネルギーパルスと第2のエネルギーパルスとが順番に混成されて、流体ストリーム内でより大きな複合濃度温度パルスとなり、そのパルスは、濃縮器のチャンネルを下流へと進行し、後続要素によってさらにサイズを増大させられる。
【0012】
加えて、柔軟性、低コスト、およびコンパクト性といった特徴が、ドーターPCB(約10本のリード線だけを介してマザーPCBに接続されるプリント回路基板)上でワイヤボンドまたははんだバンプを介してフェーズド・ヒータ・アレイ・センサ・チップに接続される同一または別個のチップ上に、FETスイッチ、シフトレジスタ、および制御ロジックによって組み込まれ、前濃縮および分離のために全加熱可能要素の一部を選択できるユーザ柔軟性と、分析ロジックの選択性とを提供する。
【0013】
多流体検出および分析は、価格が手ごろで、現場で利用でき、超高感度で、電力消費が少なく、保守に手間のかからない、コンパクトなマイクロ検出器およびアナライザによって自動化されることができ、マイクロ検出器およびアナライザは、検出および/または分析結果を中央ステーションまたは他の有人ステーションに無線または別の媒体(例えば、有線もしくは光ファイバ)によって送信することができる。マイクロ流体アナライザは、フェーズド・ヒータ・アレイと、濃縮器と、分離器と、多様な手法を含むことができる。このアナライザは、ホストもしくはベース試料気体内の微量化合物またはホスト液体内の微量化合物の混合物を検出することができる。
【0014】
流体アナライザは、関連するマイクロコントローラまたはプロセッサへの接続構成を含むことができる。センサの応用は、従来のCO2、H2O、COの他、アルデヒド、酪酸、トルエン、ヘキサンなど、航空機空間内の空気汚染物の検出および分析を含むことができる。その他のセンシングは、CO2、H2O、アルデヒド、炭化水素、アルコールなどの気体に関して、空調屋内空間をセンシングすること、ならびに戸外空間、および化学、精錬、製品純度、食品、紙、金属、ガラス、製薬産業などの産業のステップの流れをセンシングすることを含むことができる。また、センシングは、環境保証および保護において重要な場所を占めることができる。センシングは、化学物質の濃度が増して危険になる前に化学物質を早期検出することによって、施設の内外で防御的安全性を提供することができる。
【0015】
センサの大半の部分は、従来の半導体プロセスまたは電気機械システム(MEMS)技法を用いてチップ上に組み込まれることができる。この種の製造は、小型で低電力消費のマイクロアナライザという結果を、またマイクロアナライザの現場内配置という結果をもたらす。監視器を通る空気または気体試料の流量も、非常にわずかであることができる。さらに、試料用のキャリアガスは、必ずしも必要ではなく、その結果、このキャリアガスの欠如は、試験される試料の希釈化を弱めるだけでなく、関連する保守、および加圧ガスタンク操作の大半を排除するこの手法は、センサが迅速な分析および即座の結果を提供することを可能にし、いくつかの関連技術の装置より少なくとも1桁分は高速であり得る。この手法は、労働集約的な研究室での分析から発生する遅延および費用を回避する。センサは、検出された気体を分析および決定するための組み込みマイクロコントローラを有することができ、また無人の遠隔地で正確性を維持し、正常に動作することができ、無人の遠隔地から情報を伝えることができるという点でインテリジェントである。センサは、検出器情報、分析、および結果を、有用回線または光もしくは無線媒体を介して、全2重通信機能によって、「プラグアンドプレイ」に対応し簡易性を備えた相当距離の離れたホストシステムに伝えることができる。センサは、ネットワークに対応することができる。センサは、その他の気体試料コンディショニング装置(例えば、粒子フィルタ、バルブ、流れおよび圧力センサ)、ローカル保守制御地点と相互接続可能であり、インターネットを介してモニタリングを提供することができる。センサは、堅牢である。センサは、非常に強い電界および磁界を有する高電磁干渉(EMI)環境において正確性を維持することができる。センサは、高い感度を有する。センサは、1から10ppmの範囲の感度を提供できる従来のガスクロマトグラフィなどの関連技術より100から10000倍良好な、サブppm(100万分率)レベルの検出を提供する。センサは、中でもとりわけ、より電力消費が少なく、より速度が速く、よりコンパクトで、より感度が良く、価格が手ごろなガスクロマトグラフの変型である。センサは、構造的統合性を有することができ、非常に大きな差圧範囲にわたって加圧流体試料を検出および分析する応用において、漏れの恐れは非常に低いか、またはまったくない。
【0016】
センサでは、Honeywell MesoPump(登録商標)などの小型ポンプが、システム内に試料を取り込むことができるが、その一部だけが、(Honeywell MesoValve(登録商標)またはHoerbiger PiezoValve(登録商標)とすることができる)バルブによって制御される速度でフェーズド・ヒータ・センサ内を流れ抜けることができる。この手法は、サンプリングラインが長いにもかかわらず、高速の試料取得を可能にし、規制されたほぼ0.1から3cm3/分の流れを検出器に供給することができる。センサのポンプは、高速の試料取得と、フェーズド・ヒータ・センサ内での規制された流れとを共に提供するような方法で、フィルタを通して試料気体を取り込むように構成されることができる。
【0017】
ポンプが試料気体をセンサに取り込むと、気体は膨張し、その結果、体積と線速度を増すことがある。制御回路は、この速度変化を補償して、センサ内でヒータ「波」を変化する気体速度に同期した状態に保つように設計されることができる。試料気体がヒータチャンネル内を通されるとき、その体積変化を補償するため、ヒータの電子機器は、流量制御および/またはヒータ「波」速度を調整して、内部気体流れ速度をヒータ「波」に同期した状態に保つ必要があり得る。
【0018】
気体調査活動中、センサの能力は(その他の任意のより低速なガスクロマトグラフィと同様に)、約330から700ppmのCO2、約1から2ppmのCH4、約0.5から2.5パーセントのH2Oなど、空気の多数の微量構成成分を感知することができる。これは、出力溶離時間のオンライン較正を可能にし、天然ガス、プロパンまたはその他のガスの導管の漏れをおそらく指摘するエタンなどの追加的ピークの存在を検査することも可能にする。したがって、試料気体構成成分ピーク高の比率は、自動車の排気またはガソリン蒸気を含み得る微量気体の出所についての手掛かりを明かすことができる。
【0019】
センサは、安全性の観点から命じられる、伝送または配送導管システムに沿った天然ガスまたはプロパンガスの定期的な漏れ調査、および化学処理工場でのその他の気体の定期的な漏れ調査にとって、それを特に良く適したものにする、感度、速度、可搬性、および低電力性を有することができる。
【0020】
センサは、漏れ感知用途において、一部または全部の試料気体構成成分(およびそれらのピーク率)を、較正マーカ(溶離時間は気体構成成分の性質を識別する)および/または漏れ源識別情報として使用する。(山の空気に約1から2ppm存在する)メタンなどある種のピークの存在だけでは、その構成成分の出所が沼気なのか、天然もしくは導管ガスなのか、または別の流体なのかを指摘するための十分な情報になり得ない場合。
【0021】
センサは、ポータブル装置として使用されることができ、または固定場所に設置されることができる。同等の関連技術センサとは対照的に、センサは、かさばる水素タンクを必要としないポータブル水素炎イオン化検出器よりもコンパクトであることができ、熱フィラメントまたは金属酸化物可燃ガスセンサよりも高速かつ高感度であることができ、従来および/またはポータブル・ガスクロマトグラフィよりもはるかに高速、コンパクト、かつ電力節約的であることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1のセンサ15による検出および分析は、流体成分の検出、同定、および定量化を含むことができる。それは、検出された流体の濃度または100万分率の決定を含むことができる。センサ15は、環境内の流体を検出するために使用されることができる。また、センサ15は、空調または試験空間の周囲環境における微小量の汚染物を検出することができる。センサ15は、周囲空気または発散空気の衛生および人体への毒素レベルを示すことができる。
【0023】
図1は、低電力センサシステム11の例示的な図を示している。処理ストリーム、周囲空間、または容積61からの試料流体25は、センサまたはマイクロガス装置15の入力34に接続された導管またはチューブ19に入ることができる。流体25は、センサ15によって処理されることができる。処理された流体37は、センサ15の出力36から出て、導管またはチューブ39を介して、容積61にまたは指定されれば別の容積に排出されることができる。
【0024】
センサ15の結果は、分析を行い、即座の結論および結果を得るために、マイクロコントローラ/プロセッサ29に送信されることができる。この情報は、再検査およびさらなる分析、評価、ならびに見出された結果の判定のために、観測ステーション31に送信されることができる。データおよび制御情報は、ステーション31からマイクロコントローラ/プロセッサ29に送信されることができる。データおよび情報は、センサ11およびステーション31の送信機/受信機33によって無線媒体を介して送信および受信されることができる。あるいは、データおよび情報は、モニタ11およびステーション31のモデム35によって通信用の有線または光回線を介して送信および受信されることができる。データおよび情報は、SCAM(監視制御およびデータ取得)システムに送信されることができる。これらのシステムは、ある種の気体を検出し、検出に関する情報を遠隔の受信者に提供するために産業(加工、製造、サービス、保健など)において使用されることができる。
【0025】
マイクロコントローラまたはプロセッサ29は、制御、調整、較正、またはその他の目的のため、様々な信号をアナライザ15に送信することができる。また、マイクロコントローラ/プロセッサ29は、検出結果に基づいて環境予測を提供するためにプログラムされることができる。分析計算、結果、またはその他の情報は、回線、ファイバ、またはその他の類似媒体を介してステーション31に送信される信号への変換のため、モデム35に送信されることができる。また、モデム35へのそのような出力は、ステーション31への無線送信のため、代わりにまたは同時に送信機33に送信されることができ、ポータブル装置として使用される場合は特に、例えば、GPSを介して取得された実際の検出位置に関する情報と一緒に送信されることができる。また、ステーション31は、制御、調整、較正、またはその他の目的のため、マイクロコントローラまたはプロセッサ29に渡されることができる様々な信号を、モデム35および受信機33に送信することができる。
【0026】
図1では、空間61は、開かれた空間でも、または閉じられた空間でもよい。センサシステム11は、航空機のキャビン、機械室、工場、または別の環境での何らかの場所などの閉じられた空間61で使用可能な接続部を有することができる。あるいは、センサシステムは、地球環境の開かれた空間61で使用可能であることができる。入力チューブまたは管19の端部は、開かれた空間61にあることができ、出口チューブ37の排気は、閉じられた空間61から幾分離れた地点に排出されることができる。空間61が処理ストリームである場合に特に下流でチューブ39が空間61に出て行くことができる以外は、空間61のためのシステム11は、それ自体が空間61内に存在することができる。
【0027】
図2は、マイクロガス装置15のいくらか詳細に示している。マイクロガス装置のさらなる細部および変形は、後続の図に関連させて以下で説明される。試料ストリーム25は、管またはチューブ19から入力ポート34に入ることができる。これから装置15に入る流体25のストリームからごみおよびその他の粒子を除去するための粒子フィルタ43が存在することができる。この除去は、装置を保護するためであり、フィルタリングが、流体25の組成を正確に分析する装置能力を低下させるべきではない。(浮遊する固体または液体の不揮発性粒子で)汚れた流体は、適切なセンサ機能を損ねることがある。流体25の一部45は、示差熱伝導度検出器(TCD、または化学センサ(CRD)、または光イオン化センサ/検出器(PID)、またはその他の装置)127の第1の脚を流れ抜けることができ、流体25の一部47は、チューブ49を通ってポンプに流れ込むことができる。相対的により高い流動性47はフィルタ浄化時間の短縮に役立つので、「T」チューブを導入口45のすぐ隣に配置することによって、最小時間遅延によるサンプリングが達成されることができる。ポンプ51は、流体47が粒子フィルタ43の出力からチューブ49を通ってポンプ51から出て行く原因となることができる。ポンプ53は、チューブ57を介してセンサを通る流体45の流れに影響することができる。ポンプ51は、1psi(〜7kPa)より低い圧力降下(Δp)で10〜300cm3/分の吸込み容量を提供することができ、低流れ容量ポンプ53は、最大10psi(〜70kPa)のΔpで0.1〜3cm3/分を実現することができる。図2のシステム15用に、追加のポンプまたはより少数のポンプが存在することができ、様々なチューブまたは配管の配置または構成が存在することができる。検出器127および128からのデータは、コントローラ130に送信されることができ、コントローラは、処理するためにデータをマイクロコントローラおよび/またはプロセッサ29に中継することができる。結果の情報は、ステーション31に送信されることができる。
【0028】
ポンプ51および53は、ある場所から可能な気体を検出するために検査される流体の試料を取り込むために実施される非常に節約的かつ効率的な構成であることができる。使用されていないときのスリープモードを有する低電力電子機器が利用されることができる。濃縮器および/またはアナライザシステム11の測定サイクルの開始前に約1〜10秒または約1〜10秒未満だけ動作できるこの特定の節約的だが適切に機能するポンプ51および53の使用、およびコントローラ130および/またはマイクロコントローラ/プロセッサ29用の(使用されていないときにスリープモードを使用できる)低電力電子機器の使用は、そのような電力使用量を約2倍低減するという結果をもたらすことができる。
【0029】
図3は、図2の濃縮器124または分離器126の一部を表す、センサ装置10、15の部分の概略図である。センサ装置は、基板12と、コントローラ130を含むことができる。コントローラ130は、基板12に組み込まれても、または組み込まれなくてもよい。基板12は、基板上に配置された複数の薄膜ヒータ要素20、22、24、26を有することができる。4つのヒータ要素しか示されていないが、例えば、2から1000の間の、しかし一般には、20〜100の範囲の任意の数のヒータ要素が、設けられることができる。ヒータ要素20、22、24、26は、パーマロイと呼ばれることもある80パーセントのニッケルと20パーセントの鉄という組成をもつニッケル−鉄合金、白金、白金シリコン、および多結晶シリコンなど、任意の適切な電気導体、安定な金属、または合金膜から製作されることができる。ヒータ要素20、22、24、26は、図4および図5に示されるように、薄く、熱質量が低く、平面内熱伝導が低い支持部材30上に設けられることができる。支持部材または膜30は、Si3N4またはその他の適切もしくは同様の素材から作成されることができる。ヒータ要素は、Ptまたはその他の適切もしくは同様の素材から作成されることができる。
【0030】
基板12は、図4に示されるように、試料流体ストリーム45を受け入れるためのチャンネル32を有する明確に定義された単一チャンネルのフェーズド・ヒータ機構41を有することができる。図5は、チャンネル31および32を有する2重チャンネルのフェーズド・ヒータ機構41を示している。基板12および部分またはウェーハ65は、ストリーミング試料流体45を受け入れるためのチャンネル31および32を確定することができる。チャンネルは、支持部材30および支持部材の上側のウェーハまたは部分65の下方のシリコンチャンネルウェーハ基板12を選択的にエッチングすることによって製作されることができる。チャンネルは、流入ポート34と、排出ポート36とを含むことができる。
【0031】
センサ装置は、チャンネル31および32の内部にストリーミング試料流体45にさらされるように複数の相互作用的要素も含むことができる。相互作用的要素の各々は、対応するヒータ要素に隣接して、すなわち、可能な限り近く接するように配置されることができる。例えば、図4では、相互作用的要素40、42、44、46は、チャンネル32内の支持部材30の下側面に設けられ、それぞれヒータ要素20、22、24、26に隣接することができる。図5では、追加の相互作用的要素140、142、144、146が、チャンネル31内の支持部材30の上側面に設けられ、それぞれヒータ要素20、22、24、26に隣接することができる。本発明の例示的な実施例には示されていないが、追加の相互作用的膜要素を備えるその他のチャンネルが存在することもできる。相互作用的要素は、シリカゲル、ポリメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール、多孔質シリカ、Nanoglass(登録商標)、活性炭、およびその他の高分子物質など、液体またはガスクロマトグラフィで一般に使用される任意の数の膜から形成されることができる。さらに、上記の相互作用的物質は、極性および/または疎水性の程度を変化させるため、対象分析物の最適吸収および/または分離を達成するため、適切なドーパントによって改質されることができる。
【0032】
図6aは、2チャンネルフェーズド・ヒータ構成41の横断端面図を示している。図6a、図6b、および図6cの部分の上部および下部透視または方向付けは、必ずしも同じように見えなくてもよい。図6bおよび図6cでは、単一チャンネルフェーズド・ヒータ構成41の端面図は、支持部材30と、基板12と、それらの間の品目を含むことができる。図6bは、さらされる1ミクロンの膜を有するフェーズド・ヒータ構成41の変形を示している。図6bには、開かれた空間392が示されている。図6cは、狭い閉じられた空間394を有する耐久性が高く低電力の変形を示している。支持部材30は、上部構造65に結合されることができる。アンカー67は、支持部材30をチャンネル31に対して適切な位置に保持することができる。アンカー67の接点が少ないほど、支持30から構造41のその他の部分への熱伝導による熱損失を最小限に抑える。ヒータ要素からの熱伝導を少なくするために少数のアンカー接点を有するヒータ膜が存在することができる。通常の固定方式とは対照的に、本発明の実施例は、固定具接点を減らすことができ、残りのヒータ要素の入力電力を約1.5倍節約するという結果をもたらす。
【0033】
フェーズド・ヒータ・アレイのヒータ要素は、より少ない電力損および入ってくる検出対象気体のより効率的な加熱のため、両面、すなわち、上側および下側を吸収素材で被覆されることができる。ヒータ要素は、電力損を低減するため、狭い幅をもつことができる。
【0034】
相互作用的膜要素は、所望の吸収素材を運ぶ素材ストリームを単一チャンネル加熱機構41のチャンネル32の中を通すことによって形成されることができる。これによって、チャンネル全体に相互作用的層を形成することができる。別々の相互作用的要素40、42、44、46が望ましい場合、図6aの上部ウェーハ65に結合する前に、被覆が、下部ウェーハ12に結合された基板30にスピンコーティングされ、その後、標準的なフォトレジストマスキングおよびパターニング方法を使用することによって、またはヒータ要素20、22、24、26を介して被覆に温度変化を与えることによって、選択的に「現像される」ことができる。
【0035】
ヒータ・アレイの内部チャンネルの表面は、設計により意図的に吸収素材で被覆された表面を除いて、非吸収断熱層で被覆されることができる。吸収被覆または膜の厚さは、減らされ、それによって、吸収および脱着に必要な時間を短くすることができる。図6aにあるように、非吸収断熱素材の被覆69は、設計により相互作用的要素などの吸収被覆面が存在する場所を除いて、単一チャンネルヒータ41のチャンネル31の内壁、および2重チャンネルヒータ機構41のチャンネル31および32の壁に施されることができる。被覆69は、必要とされるヒータ要素電力を焼く1.5倍削減することができる。素材は、チャンネル壁に使用される素材よりかなり小さい熱伝導性を有するべきである。後者はシリコンとすることができる。被覆69の代替素材は、SiO2またはその他の金属酸化物を含むことができる。被覆69は、支持30内のヒータ要素用に使用される電力を削減することができる。移動相/固定相容積の妥当な比率を保持しながら、ヒータ要素膜および吸収膜のサイズ(幅、長さ、厚さ)を最小化または低減することで、約4倍の電力削減という結果をもたらすことができる。最小化または低減された吸収膜の厚さは、吸収−脱着に必要とされる時間を短縮し、流体分析当たりに必要とされるエネルギーを約1.5倍節約する。
【0036】
ヒータ要素20、22、24、26は、上側および下側にGC膜被覆が施され、その結果、ヒータ要素表面の幅および電力散逸が約2倍である。これらのヒータ要素の製作は、2つの被覆ステップを含み、第2のステップは、ウェーハ対ウェーハ接合と、第2のウェーハ内の第1の被覆を保護し、第1のウェーハを溶解した後に被覆を行うことを必要とする。
【0037】
所望の耐久性を達成する(すなわち、薄膜20、22、24...を外部環境にさらさない)が、上側および下側の両方を被覆する必要のない別の手法は、上側だけを被覆し、下側チャンネル32の高さを低くするもので(図6a参照)、その結果、容積率(空気/膜)は、500より小さな値になる。
【0038】
マイクロガスアナライザは、順次反復スピンコーティング(またはその他の付着手段)ステップを介して製作されるヒータ要素40、42、...、44、46および140、142、...、144、146を有することができ、その結果、濃縮器および分離器要素の予定パターンが、(GC文献では固定相として知られる)異なる吸収素材A、B、C、...で被覆され、その結果、濃縮器/分離器要素の比率を選択することができるだけでなく、濃縮ステップに寄与し、電子的に分離器に注入されるために、A、B、Cなどで被覆されたそれらのいずれかを(いずれかの脱着温度で)選択することができ、分離器ではやはり、要素の温度ランピングレートの選択を、B、C、...要素とは異なるようにAのために行うことができ、さらに、「A」要素の群から気体を分離した後、「B」要素の群から別の気体の組が分離されることができ、以下も同様であるような方法で、このシステムに多用性を追加する。濃縮器の分離器ヒータ要素に対する比率は、一定であっても、コントローラ130に接続された比率制御機構490によって変更されてもよい。
【0039】
コントローラ130は、図3に示されるように、各ヒータ要素20、22、24、26と、検出器50とに電気的に接続されることができる。コントローラ130は、時間段階的シーケンスで(図7の下部を参照)ヒータ要素20、22、24、26に電圧を加え、その結果、対応する相互作用的要素40、42、44、46の各々が加熱され、1つまたは複数の上流の相互作用的要素によって生成された上流濃度パルスが相互作用的要素に到達したあたりの時点で、選択された構成成分をストリーミング試料流体45に脱着することができる。濃度パルスにおいて構成成分気体の所望の濃度を達成するために、任意の数の相互作用的要素が使用されることができる。結果の濃度パルスは、検出および分析のために検出器50、128に提供されることができる。検出器50、127、または128(図2および図3)は、熱伝導検出器、放電イオン化検出器、CRD、PID、MDD、または一般にガスまたは流体クロマトグラフィで使用されるその他の任意のタイプの検出器とすることができる。
【0040】
図7は、例示的な関連するヒータ温度を、各ヒータ要素で生成される対応する濃度パルスとともし示したグラフである。上で指摘されたように、コントローラ130は、電圧信号71によって時間段階的シーケンスでヒータ要素20、22、24、26に電圧を加えることができる。ヒータ要素20、22、24、26用の例示的な時間段階的ヒータ関連温度が、それぞれ温度プロフィールまたは線60、62、64、66によって示されている。
【0041】
示された例では、コントローラ130(図3)は、最初に第1のヒータ要素20に電圧を加えて、その温度を図7の線60に示されるように上昇させることができる。第1のヒータ要素20は、第1の相互作用的要素40(図4および図5)に熱的に結合されているので、第1の相互作用的要素は、選択された構成成分をストリーミング試料流体45に脱着して、その他のヒータ要素が律動的に動作させられないならば、検出器128または50で第1の濃度パルス70(図7)を生成する。ストリーミング試料流体45は、矢印72に示されるように、第1の濃度パルス70を第2のヒータ要素22へと運ぶ。
【0042】
コントローラ130は、次に第2のヒータ要素22に電圧を加えて、要素20へのエネルギーパルスが止められるときまたは前に始まる線62で示されるようにその温度を上昇させることができる。第2のヒータ要素22は、第2の相互作用的要素42に熱的に結合されているので、第2の相互作用的要素も、選択された構成成分をストリーミング試料流体45に脱着して、第2の濃度パルスを生成する。コントローラ130は、図7に示されるように、第2の濃度パルスが第1の濃度パルス70と実質的にオーバラップして、より高い濃度パルス74を生成するように、第2のヒータ要素22に電圧を加えることができる。ストリーミング試料流体45は、矢印76に示されるように、より大きな濃度パルス74を下流の第3のヒータ要素24へと運ぶ。
【0043】
コントローラ130は、次に第3のヒータ要素24に電圧を加えて、図7の線64で示されるようにその温度を上昇させることができる。第3のヒータ要素24は、第3の相互作用的要素44に熱的に結合されているので、第3の相互作用的要素44は、選択された構成成分をストリーミング試料流体に脱着して、第3の濃度パルスを生成することができる。コントローラ130は、第3の濃度パルスが第1および第2のヒータ要素20および22によって提供されたより大きな濃度パルス74と実質的にオーバラップして、さらにより大きな濃度パルス78を生成するように、第3のヒータ要素24に電圧を加えることができる。ストリーミング試料流体45は、矢印80に示されるように、このより大きな濃度パルス78を下流の「第N」のヒータ要素26へと運ぶ。
【0044】
コントローラ130は、次に「第N」のヒータ要素26に電圧を加えて、線66で示されるようにその温度を上昇させることができる。「第N」のヒータ要素26は、「第N」の相互作用的要素46に熱的に結合されているので、「第N」の相互作用的要素46は、選択された構成成分をストリーミング試料流体45に脱着して、「第N」の濃度パルスを生成することができる。コントローラ130は、「第N」の濃度パルスがそれまでのN−1個の相互作用的要素によって提供されたより大きな濃度パルス78と実質的にオーバラップするように、「第N」のヒータ要素26に電圧を加えることができる。ストリーミング試料流体は、「第N」の濃度パルス82を、以下で説明される分離器126または検出器50もしくは128に運ぶ。
【0045】
上で指摘されたように、ヒータ要素20、22、24、26は、共通の長さを有することができる。その場合、コントローラ130は、等しい電圧、電流、または電力パルスを各ヒータ要素に供給することによって、等しい温度のヒータ要素を達成することができる。電圧、電流、または電力パルスは、三角形状、四角形状、釣鐘形状、またはその他の任意の形状を含む任意の所望の形状を有することができる。ほぼ四角形状の電圧、電流、または電力パルスが、図7に示された温度プロフィール60、62、64、66を達成するために使用される。温度プロフィールはそのように見え、脱着種は電圧パルスに対してわずかな時間遅延をもって生成されることに留意されたい。
【0046】
図8は、第1に、後続要素による脱着がストリーミング試料流体速度に適切に同期させられる場合、濃度がどのように段階的に上昇するかを図説するため、第2に、個々の要素の長さが濃度レベルおよび勾配が上昇するときの質量拡散流束の期待上昇率にどのように調和させられるかを図説するための、複数のヒータ要素を示したグラフである。要素100(H1)として示される要素よりF倍長い最初の要素にパルスを印加することによって、あるいは代替として、要素1、2、...、Fに同時にパルスを印加し、パルスを印加する前のまた低温の要素100(H1)ですべての脱着分析物を収集することによって、分析物濃度は図8に示された要素の前で係数Fだけすでに拡大されていることがここで指摘されるべきである。各濃度パルスは、チャンネル32を下流に進むとき、拡散のために振幅を低下させ、長さを増大させる傾向をもち得ることが理解される。この増大した長さに対処するため、連続する各ヒータ要素の長さをストリーミング試料流体に沿って増大させることが企図される。例えば、第2のヒータ要素102は、第1のヒータ要素100の長さW1より大きい長さW2を有することができる。同様に、第3のヒータ要素104は、第2のヒータ要素102の長さW2より大きい長さW3を有することができる。したがって、各ヒータ要素100、102、104の長さは、隣接する上流のヒータ要素と比べて、拡散に起因する上流ヒータ要素での濃度パルスの予想増大長に対応する量だけ増大させ得ることが企図される。しかし、対象分析物濃度が非常に低い場合や、吸収膜容量が非常に大きい場合などには、一定時間の間にポンプ(図2のポンプ51)で濃縮器に通される一定量の試料気体から一定量の分析物を吸収できる膜体積を最小化することに基づく、濃縮器機能の最大集束性能を達成して、その結果、試料体積/(最後のヒータ要素の)膜体積と同じ比率だけ分析物濃度を上昇させるため、後続または最後のヒータ要素の長さを著しく縮小することが可能であり有利であり得る。
【0047】
ヒータ要素の制御を簡単にするため、連続する各ヒータ要素の長さは、ヒータ要素間で同じ全ヒータ抵抗を生成するように一定に保たれることができ、それによって、同様の温度プロフィールを生成するために、等しい電圧、電流、電力パルスが使用されることを可能にする。代替として、ヒータ要素は、異なる長さを有することができ、コントローラは、同様の温度プロフィールを生成するために、ヒータ要素に異なる電圧、電流、電力パルス振幅を供給することができる。
【0048】
図9は、100パーセント濃度レベルを達成する濃度パルス110を示したグラフである。濃度パルス110が100パーセントなどの最大濃度レベルを達成しても、対応する構成成分の濃度はまだ決定され得ることが理解される。そのようにするため、検出器50、128、164は、濃度パルス110を検出することができ、コントローラ130は、元試料のストリーム45内の構成成分の濃度を決定するため、検出器の出力信号を時間で積分することができる。
【0049】
「GCピーク同定」では、個々の構成成分の互いからの分離を達成するツールであるガスクロマトグラフ(GC)から出る各気体ピークに化学化合物を明瞭に結び付けることが望ましい。気体の成分を同定するための複数の手法が存在する。GC−MSの組み合わせでは、MS入口で必要とされるイオン化処理から得られる分子フラグメントを処理しながら、各GCピークが質量に関して分析される。GC−GCの組み合わせでは、化合物同定に役立ち得る情報を分析記録に追加するため、第1および第2のGCで異なる分離カラム素材が使用される。GC−AEDの組み合わせでは、マイクロ波給電気体放電が、気体放電プラズマにおけるGCピークの気体の同定に役立つように、証拠となる光スペクトル発光線(原子)および発光帯(分子)を生成することができる。GC−MDDまたはGC−GC−MDD構成では、マイクロ放電装置(MDD)が、分析物がGCまたはGC−GCから溶離するときに分析物ピークのスペクトルを発し、分子および原子構造を明かし、その結果、分析物ピークを同定することができる。
【0050】
AEDの選択波長チャンネルがGCによって分離された化合物の原子構成をいかにして同定できるかの例が、図11に示されており、図11は、C、H、N、O、S、Cl、Br、P、D、Si、およびF原子発光用の別個のチャンネルを示し、図10の既知の検出限界および感度の表には、対応するチャンネルの一覧が示されている。図11は、元素およびその近似量を示すことができる様々なピークをもつ多元素試験混合物の知られた最新のクロマトグラムを示している。ピーク301は、2.5ngの4−フルオロアニソールを示し、ピーク302は、2.6ngの1−ブロモヘキサンを示し、ピーク303は、2.1ngのテトラエチルオルトシリケートを示し、ピーク304は、1.9ngのn−過重水素化デカン(n−perdeuterodecane)を示し、ピーク305は、2.7ngのニトロベンゼンを示し、ピーク306は、2.4ngのトリエチルホスフェートを示し、ピーク307は、2.1ngのt−ブチルジスルフィドを示し、ピーク308は、3.3ngの1,2,4−トリクロロベンゼンを示し、ピーク309は、170ngのn−ドデカンを示し、ピーク310は、17ngのn−トリデカンを示し、ピーク311は、5.1ngのn−テトラデカンを示す。そのようなクロマトグラムの場合、GC条件は、3.3mL/分のカラム流量、36:1のスプリットレシオ、および摂氏30度/分で摂氏60度から180度のオーブンプログラムを含むことができる。低電力マイクロ放電で生成される、Neの中性およびイオン化放射源のUVスペクトルの一部が、図12に示されている。図12のグラフは、イリノイ大学によって行われた研究からのものである。この図には、「Ne」圧力が変化すると、スペクトル種が強度を変化させることも示されている。光出力は、放電キャビティ形状寸法、印加電圧、および圧力など複数のパラメータに依存することができる。分子帯が放射され、ジェットエンジンの高温排気中の気体などの「NO」測定用に使用されることすらできる。
【0051】
環境気体試料をマイクロ放電装置に供給することによって、有益な気体組成情報を得ることができる。第1の手法では、1つのマイクロガス放電装置を使用することができ、その動作パラメータ(電圧、圧力、流量、...場合によっては形状寸法)は、出力発光スペクトルに変化を生じさせるために変更されることができ、その結果、そのような発光データの評価および処理の後で、気体試料構成成分のタイプおよび濃度に関する情報が作成されることができる。第2の手法では、複数のマイクロガス放電装置を使用することができ、各々の動作パラメータは、第1の手法でのように、発光出力評価のために変更されることができ、統計分析によってより良好な結果を得ることができる。第3の手法は、各マイクロ放電は他のマイクロ放電の設定点の条件とは異なるように設定された1つの条件だけで動作させることができる点を除いて、第1の手法と同じであることができる。
【0052】
図13は、第3の手法を表しており、気体試料は、1つのタイプの放電から次の放電へと直列に進行することができ、気体試料の性質は、このステップの間変化しないと仮定することができる。この図は、様々な圧力および電圧で気体45のストリームの気体組成を感知するための光源−検出器の対のアレイ350を示している。異なる電圧+V1、+V2、...ならびに圧力P1およびP2は、そのようなものとして特徴付けられることができる。光源ブロック351からのマイクロ放電352のプラズマは、(+)および(−)電極の間の楕円面によって示されている。光源ブロック351の反対側に、光源の放電352からの光の検出器354として動作するマイクロガス放電装置を有する検出器ブロック353が存在する。検出器354上に配置されたフィルタが存在してもよい。フィルタは、特定の群の気体の検出および分析用に異なることができ、選択されることができる。マイクロ放電からの気体の発光の様々な線が、検出される気体の組成を決定するため、検出され、同定されることができる。アレイ350は、コントローラ130に接続されることができる。プロセッサは、マイクロ放電の制御、およびアレイ350を通る気体45の流れにおける放電の影響の検出に利用されることができる。
【0053】
光源ブロック351は、シリコンから作成されることができる。ブロック351上には、Si3N4またはパイレックス(登録商標)の壁状構造355が配置されることができ、装置350を通る気体45の流れを含むためのチャンネルを形成する。構造355の上には、PtまたはCu素材の導電層356が存在することができる。Pt素材の上には、流路の上に広がることができるSi3N4の層357が存在する。層357の上には、検出器354用のチャンネルを形成するための壁として、Ptの層358とSi3N4の層359が存在することができる。第4の手法は、直列方式ではなく並列に各放電に気体試料を供給する点を除いて、第3の手法と同様とすることができる。
【0054】
第5の手法は、気体試料が、例えば、従来のGCによって提供されるような分離ステップを経ることができる点を除いて、第4または第3の手法と同様とすることができる。第6の手法は、分離ステップの前に、対象試料分析物が従来の前濃縮ステップによって最初に濃縮されることができる点を除いて、第5の手法と同様とすることができる。
【0055】
第7の手法は、分離ステップの前に、フェーズド・ヒータ・アレイ・センサによって提供されるように、対象試料分析物が多段階前濃縮ステップによって事前に濃縮され、その後、分離器に電子的に注入されることができる点を除いて、第6の手法と同様とすることができる。
【0056】
図2に関連する第6および第7の手法では、その発想は、GCカラムまたはフェーズド・ヒータ・アレイ・センサ分離器チャンネルから溶離する個々の気体分析物ピークを、示された放電のアレイにおいて各放電装置に供給するというものである。
【0057】
気体の流れは、図13に示されるように、直列であることができる。あるいは、気体の流れは、最適ピーク同定に必要であり得る並列であることもでき、それによって、(全体の分析時間を最小化するために)各放電セルは、一定の条件の印加電圧、(アレイの出口の真空または吸引ポンプによって、例えば、Mesopump(登録商標)によって決定される)気体圧力で動作することができる。図13では、第4および第5の放電要素の間の流れ制限によって容易に達成されるように、例として、2つの圧力だけが示されている。流速、(局所的マイクロヒータによる)温度、形状寸法(中空陰極放電または平板放電、さらにはセルの識別における簡単な変更)など、放電パラメータの複数の変更は示されていないが、同様に実施されることができる。
【0058】
これらのセンサは、一般には小さなサイズ(10〜100μm)のため、多くの場所を使用しないように思われ、図2のブロック128に含まれることができる。
【0059】
センサ15は、濃縮器124と分離器126の間に配置される流量センサ125と、濃縮器124の入力にある熱伝導率検出器とを有することができる。センサ15は、濃縮器124と分離器126の間に熱伝導率検出器を有することもできる。熱伝導率検出器は、放電機構350の出力に存在することもできる。センサ15は、所望の用途に応じて、図2のセンサ128の様々な位置に、いくつかの良く知られた構成要素の様々な組み合わせを含むことができる。図2のセンサ15の図面は、センサの説明的な例である。センサ15は、この図に示されていないその他の構成を有することもできる。
【0060】
ガスマイクロ放電セルは、フェーズド・ヒータ・アレイ・センサの有用性、多用性、および価値を著しく高め得る魅力的な特徴を提供することができる。特徴の例は、1)各放電が700〜900Torr(0.92〜1.18bar)、120Vほどの小さなDC、10μmで動作し、それは1.2mWに相当することができ、マイクロTDCによっても達成されない最小電力であると思われる低電力能力と、2)図12の挿入図に示される、コンパクト性(50×50nm)を伴う構築の容易性と、3)(水冷を必要とする)100Wマイクロ波駆動AEDなどの他のどのような光源も行うことが知られていない、(イリノイ大学による研究からのグラフである)図14の100μmマイクロ放電とSi APDの間の分光感度比較によって示され得る光検出器としてのマイクロ放電器の運用性と、4)モノリシックSi光ダイオードを製造するためにSiドーピングに頼る必要のない、フェーズド・ヒータ・アレイ構造による、放電源と光ダイオードの統合可能性およびウェーハレベル集成と、5)上で述べられたように放電パラメータを変更することによる追加次元(すなわち、選択性)とを含む。
【0061】
本発明は、1)フェーズド・ヒータ・アレイ・センサとマイクロガス放電装置との組み合わせと、2)ガス放電装置の1つの組またはアレイがスペクトル発光を提供でき、(狭帯域バンドパスフィルタまたはマイクロスペクトロメータを有するまたは有しない)別の相補的な組が光検出機能を提供できる1)の組み合わせと、3)2)と第1から第7の手法に関して上で説明された設計の適切な置換との組み合わせと、4)最適前濃縮または分離性能を達成するために、特定の分析にとって必要であるならば、加熱可能要素をフェーズド・ヒータ・アレイ構造の追加の前濃縮器または追加の分離器要素としてプログラムする柔軟性とを有する、マイクロ放電による気体組成感知機能を有することができる。
【0062】
これまで提案されたマイクロガスアナライザにまさる本発明のフェーズド・ヒータ・アレイ・センサとマイクロ放電検出器の組み合わせは、他のどのマイクロアナライザも達成したことが知られていない、マイクロガス放電装置によって与えられる選択性、「ピーク同定」能力、低電力、光源および検出能力、統合可能性、簡易性、コンパクト性と結び付けられた、フェーズド・ヒータ・アレイ・センサの感度、速度、可搬性、および低電力を提供することができる。
【0063】
図15は、回路基板に取り付けられ、接続され、その回路基板も他のチップに同様に接続されるシングルチップ401上への、マイクロガス装置15(すなわち、フェーズド・ヒータ・アレイ構造)のセンサと、前濃縮器および/または濃縮器124と、分離器126の統合を示している。そのような他のチップの1つは、FETスイッチ、シフトレジスタ、およびロジックを有することができる。401チップは、ドーターボード上に存在することができる。401チップと主回路基板は、元々は約110本のワイヤで接続されていた。しかし、すべてのスイッチをドーターボード上の別個のチップ上に統合した後、プリント回路基板配線およびコネクタピンの数は、約10本に減少した(すなわち、示差温度補償、流量センサ、スイッチクロック、ロジック、電源、およびアース用)。別個のICに配置されるFETスイッチ、シフトレジスタ、および制御ロジックは、ワイヤボンドまたははんだバンプによってフェーズド・ヒータ・アレイ構造チップに接続されることができる。FETの新しいロジックによって、センサシステム15のユーザは、分離器に対する前濃縮器として動作する加熱可能要素全体のうちの一部を選択することができる。
【0064】
図16は、センサシステム11用の制御ロジックの説明的な実施例の回路図である。回路410は、アレイ内のロジックセルの一例とすることができる。回路410は、Dフリップフロップ403と、R−Sフリップフロップ404と、ANDゲート405および415と、ORゲート406と、FET407と、インバータ408と、さらに必要ならば追加の回路を含むことができる。clockライン411は、Dフリップフロップ403のclock入力に接続されることができる。separator enableライン413は、ANDゲート405の第1の入力に接続されることができる。data−inライン412は、フリップフロップ403のD入力に接続されることができる。resetライン434は、フリップフロップ404のS入力とフリップフロップ403のreset入力とに接続されることができる。フリップフロップ404のQ出力は、ANDゲート405の第2の入力に接続されることができる。フリップフロップ403のQ出力は、フリップフロップ404のR入力とANDゲート415の第1の入力とに接続されることができる。separator enableライン413は、インバータ408の入力に接続されることができる。インバータ408の出力は、ANDゲート415の第2の入力に接続されることができる。ANDゲート415および405の出力は、ORゲート406の第1および第2の入力にそれぞれ接続されることができる。ORゲート406の出力は、FET407のゲートに接続されることができる。FET407のその他の端子は、FET commonライン416およびFET出力端子417にそれぞれ接続されることができる。最も右側のロジックセルは、data outライン418に接続されたフリップフロップ403のQ出力をもつことができる。
【0065】
このロジックは、区分された分離器の部分としてその後機能し得る残りのヒータ要素のすべての温度を停止させ、次に上昇させる前に、回路がパルスを印加し、加熱する前濃縮器要素の数をユーザが事前選択することを可能にする。選択的な前濃縮、干渉のフィルタリング、およびカスケード分離が可能にされ得るように、適切なマスキングによってチップ401チップのフェーズド・ヒータ・アレイ・センサ要素のいずれかに異なる素材を付着させることを可能にする柔軟性の追加の次元が存在する。
【0066】
図16はさらに、各々が0.5オームまたはそれ未満でオン抵抗を有し、約12ボルトの電位差をスイッチすることができる最大50個のFETスイッチが、どのようにしてオンチップロジックによって制御されることができるかを示している。オンチップロジックは、2つのモード、すなわち、濃縮器または第1のモードおよび分離器または第2のモードで動作することができ、それぞれのモードは、制御ラインビットによって決定される。第1のモードは、リセット後に、順次低抵抗FETをオンにし、それと同じFETに関連付けられたフリップフロップを使用不可にするシフトレジスタを含むことができる。次のクロックサイクルで、第1のFETはオフになり、次のFETがオンになり、その関連フリップフロップが使用不可にされる。このシーケンスは、いくつかの回路部駆動電子機器がクロックをオフにし、第2の動作モードを使用可能にするまで繰り返されることができる。第2のモードが使用可能にされると、フリップフロップが使用不可にされていたすべてのFETは、同時にオンになることができる。第2のモードは、リセットがトリガされ、フリップフロップがリセットされ、FETがオフにされ、プロセスが繰り返されることができるまで、その状態に留まることができる。
【0067】
順次スイッチングが第1のチップから第2のチップに進むように、2つのチップが直列に使用されて、その各側面の(最大50個の)フェーズド・ヒータ・アレイ・センサ・チップ・パッドに接合することができる。第1のチップの最後のスイッチからの信号が、第2のチップの最初のスイッチをトリガすることが必要であることもある。スイッチングが第2のチップに移動する前または後のあるときに、並列の残りのFETの順次アドレシングからのモードスイッチが起こることが可能である。
【0068】
吸収被覆の多様性をフェーズド・ヒータ・アレイ・センサのヒータ要素に導入することができ、その結果、前濃縮器もしくは分離器または両方の個々の要素または要素グループを2以上の吸収素材を用いて交互に変え、図16にあるようなスイッチ用のロジックプログラムを調整するか、または(最大印加電圧もしくは温度に関して)前濃縮器ではあるタイプの被覆を、分離器では等しいもしくは異なる被覆を選択することによって、所望の分析物前濃縮、分析物フィルタリング、および選択グループ前濃縮器パルスまたは(時間的)カスケード前濃縮器分析物パルスの分析とすることができる分析結果を達成する。
【0069】
ユーザは、分析問題によって課された様々な必要に合わせて、フェーズド・ヒータ・アレイ・センサの動作および実行を大きな柔軟性をもって調整することができる。ユーザは、分離器に対する前濃縮器として機能するヒータ・アレイ要素の数または全ヒータ・アレイ要素の一部を選択することができ、したがって、TCおよびマイクロプラズマ放電センサなど、構造的統合性、最適集束特徴、分析物選択性/フィルタリング、ならびに前濃縮、分離、流量制御、および検出技術の高機能統合を特徴とする、低電力の最適温度制御ヒータ要素を設計および製作する能力を保持しながら、分離に関連する分析物の濃度、すなわち、分析物成分の分離度および感度を変化させることができる。CMOS駆動電子機器をフェーズド・ヒータ・アレイ・センサ流路チップと統合することができる。
【0070】
健康を脅かす毒素など重大な気体分析状況では、化学薬剤またはプロセス発光(process emission)は、小さな不確実性(低確率の偽陽性)で同定および定量化される必要があり、従来の検出器は、所望の低レベルの偽陽性確率Pfpを提供することができず、(MS、GC、または光)スペクトロメータでさえもできない。
【0071】
GC−MSおよびGC−GCシステムなどの組み合わせアナライザは、所望のPfp値に近づくことができるが、2組の複雑で大型の注入システム、大型のMSポンプシステム、および各分析で必要とされる大量のエネルギーのため、一般に非ポータブルのデスクトップシステムである。より重要なことに、デスクトップまたはポータブルシステムが必要な感度を提供できないと、分離能力が優れているとしても、偽陽性確率は速やかに上昇する。
【0072】
解決策は、図17に示されるマイクロアナライザ500で実施され、マイクロアナライザは、必要ならば、すなわち、単純でないマイクロガスクロマトグラフ(μGC)が役立つならば、μGC−μGCのような構成によって提供される選択性、および複数レベル多段階前濃縮によって与えられる感度を結合する。この構成では、マイクロアナライザ500は、その(パームトップから立方インチ型までの)コンパクト性、3秒分析、ppb感度、柔軟性、機能性、統合構造、低電力、および低コストといった特徴を依然として保持することができる。別の解決策は、図21のマイクロアナライザ600で実施されることができる。
【0073】
マイクロアナライザ500は、流体530の試料ストリームを入力からフィルタ527に取り込む。フィルタ527から、流体530は、マイクロ検出器(μD)531を通り、並列チャンネル527を有する第1のレベルの前濃縮器526に入る。流体530は、ポンプ521またはポンプ522によって、チャンネル527からマイクロアナライザ500の主要部分に取り込まれることができる。ポンプ521および522は、同時または個々のスケジュールに従って動作することができる。流体530の一部は、濃縮器523と、流量センサ532を通ることができる。濃縮器523は、約100ミクロンの内径を有することができる。流量センサ532から、流体530は、分離器524と、マイクロ検出器533と、分離器525と、マイクロ検出器534を通ることができる。分離器524および525は、約140ミクロンおよび70ミクロンの内径をそれぞれ有することができる。流体530は、ポンプ522に流れ込むことができる。ポンプ521および522から出た流体530は、流体が最初に取り込まれた場所または別の場所に戻されることができる。マイクロ検出器531、533、および534は、TCD、MDD、PID、CRD、MS、または別の種類の検出器とすることができる。アナライザ500は、図示されたものより多いまたは少ない検出器を有することができる。アナライザ500は、マイクロ検出器533および534の出口にそれぞれあるオリフィス541および542などのオリフィスも有することができる。アナライザ500は、バルブおよびその他の構成要素も有することができる。制御装置535またはマイクロコントローラまたはプロセッサは、この説明で説明されるマイクロ流体アナライザの動作と同様とすることができるアナライザ500の動作を適切に制御し調整するために、必要に応じて、ポンプ521、522と、検出器531、533、534と、センサ532と、濃縮器523と、分離器524、525と、その他の構成要素に接続されることができる。
【0074】
マイクロアナライザ500の特徴は、追加の前濃縮次元に関することができる。これらの各々は、図17に概略的に示されるように、高められた分析物濃度を後続の前濃縮器動作に与える。これは、先に提案され構築された単一レベル多段階前濃縮器(PC)とは異なる。複数レベルPCシステムでは、第1のレベルのPCで達成され、吸収のため次または最終レベルの(多要素および多段階)前濃縮器に提供される分析物濃度は、第1のレベルの前濃縮器によってすでに高められ、この前の前濃縮器は、第2のレベルまたは最後の前濃縮器のほぼ完全な動作で必要とされる時間のうちに分析物を解放できるように十分に大きいことが必要である。
【0075】
移動相の固定相に対する容積比率、ならびに吸収および脱着温度での分配関数の比率は、G=100倍濃度増加が仮想分析物で達成され得るようなものと仮定すると、上昇濃度レベルのタイミングは、以下のように図18の番号511、512、513、514、515、516のシーケンスによって示される(それは、除去または脱着される気体を横断側面が正方形のチャンネルに均等に再配分する気体拡散の場合、d=0.01cmは、Δt=d2/(2D)=0.012/2/0.1=0.0005秒しか要さないことを思い出させるのに役立つ)。
【0076】
多段階PC動作は、一連のステップを通るものとして説明されることができる。1)吸収時間za。モル分率X=1pptの分析物が、固定相と平衡を保つため、試料気体と共にv=110cm/sで十分な時間zaの間流れ、za=N1GL/vであり、ここで、N1=吸収要素の数、Lは流れ方向の吸収膜要素の長さである。N1=500、L=0.5cmの場合、z=500×100×0.5/110=227秒を得ることができる。すべての前濃縮ステップが完了された後であっても、Xが1に比べて小さい場合、zaはXとは独立であることに留意されたい(N1=50のチップの場合、時間は22.7秒、L=0.1の場合、この時間は4.3秒になることができる。試料気体の流速を上げると、この時間は短くなるが、膜の厚さを大きくすると、この時間は長くなる)。
【0077】
2)飽和。z=zaとなる時間の終わりで、第1段階の吸収器は、大きく飽和させられるが(明瞭性のため、試料気体から固定膜への拡散物質移動の指数的性質を無視することができる)、破線によって示されるように、試料気体は、分析物濃度xで流れ続ける。図18では、これは、それぞれ気体および固定相のための濃縮領域511および512によって示されている。
【0078】
3)第1レベルの脱着開始。例えば、z=zoなどz≧zaである任意の時間で、速やかに(1ms以内に)N1個の要素すべてを加熱することができ、その後、それらは、試料気体チャンネルを100倍高い濃度、すなわち、x=100pptで満たす(図18の領域513参照)。この100倍濃縮された試料気体の「プラグ(plug)」が、次のレベルのPCであるN2の最初の要素に入ると、それは、N2のN1/G個の吸収器要素からなる次の組を平衡させ、前の領域512におけるよりも100倍高い分析物濃度で飽和させようと試みる(図18の領域514)。
【0079】
4)第2レベルの吸収時期。非濃縮試料気体が濃縮分析物を図18の領域514から追い出す前に、これを行うために、利用可能な有限の時間と、速度vで移動する気体の有限のプラグまたはカラムをもち得るだけである。N1=500、L=0.5cm、v=110cm/sである上記のしかし恣意的な例の場合、利用可能な時間は、z≒N1L/v=za/G、または2.27秒である。
【0080】
5)第2レベルの脱着時間開始。第2の脱着は、N2個の要素の最初のものだけを、1から5msの間とすることができる時間Δz=L/v(例ではΔz=4.5ms)の間加熱することによって、z=zo+za/Gまでには開始するべきである。これは、ちゃんチャンネル内の分析物濃度(図18の領域515)を生成し、元のx値に比べて10000倍に上昇させることができる。時間Δzが経過すると、第2の要素が加熱されることができ、N2=N1/G個の要素すべてがパルスの印加を受け、その結果、それらの脱着分析物を通過気体に加えるまで繰り返されることができる。これを行うのに必要な時間は、N1=500、N2=N1/G=5、L=0.5cm、v=110cm/sである任意の例の場合、Σ(Δz)=Δz・N2=(N1/G)(L/v)=za/G2、すなわち227/104=23msとすることができる。
【0081】
6)第2レベルの脱着期間。図18の領域516でこの前濃縮器から出る最終分析物濃度は、x=xoG2N2=xoN1G=50000、すなわち、試料気体中の開始分析物濃度より50000倍の上昇とすることができる。これは、元の分析物が1度だけ吸収され、1組だけのフェーズド要素で濃縮される場合に達成されるよりも〜10倍高い前濃縮増加であることができる。
【0082】
上で使用されたN1=500の例は、図19の表に行Aとして載せられた。行B〜Eは、次第に個数が多くなる要素と対応するより大きな達成される全濃度増加についての追加の例を載せている。しかし、図20の表に示されるように、要素の数を増やすにつれて、横断面が100×100μmの典型的なMEMSチャンネルによる圧力降下は速やかに増大する。ちょうどN1=50、v=100cm/s、L=0.5cmの場合、試料気体中の主要成分を空気として、Δp=2.6psid(〜18kPa d)を得ることができる。それぞれ5.3および10.6psi(〜36.5および73.1kPa)のΔp値を示す計算され図20に載せられた圧力降下と、ピーク電力データによって示されるように、N1+N2=505または1010要素の前濃縮器の場合のΔpは、各要素がL=0.1cmに短縮されたとしても、速やかに非実際的なほど大きくなることができる。試料が吸引ポンプを介して取り込まれるシステムで特に望ましくないこの高い圧力降下を緩和する1つの方法は、2つまたはより多くの等しい並列チャンネル内にN1個の要素を設定することによる。q本の並列チャンネルの場合、N1のすべての並列要素の脱着は、それらが順次脱着され得るように、各チャンネルに適切なバルブが設けられない限り、同時に生じる必要があるので、ソーキング時間(soaking time)または必要なピーク電力を変更することなく、圧力降下はΔp/qまで落ちることができる。好ましくは、ソーキング時間は、並列チャンネルというこの方式によって、バルブなしに、図17に示されるように2つのポンプ521および522を使用することによって短縮されることができる。
【0083】
ポンプ521および522は共にソーキング期間中に試料気体を取り込むことができるが、マイクロアナライザ500を通る流れは、ポンプ522のより強力な真空のため影響を受けず、しかし、第1のレベルの前濃縮器526が、ポンプ521を用いて10〜100倍大きな流量を取り込み、その結果、このソーキング期間を10〜100分の1の時間で完了することを可能にすることができる。ソーキング期間の終了後、ポンプ521を止め、ポンプ522にマイクロアナライザ500の濃縮器523および分離器524、525、ならびに並列チャンネル527を有する追加の前濃縮器526へと試料気体を取り込ませることができる。
【0084】
ハイパー前濃縮器526、濃縮器523、および濃縮器623は、図3〜図5でのように、相互作用的要素40、42、44、46などおよび代替として追加の相互作用的要素140、142、144、146などを伴うヒータ要素20、22、24、26などを含むチャンネルを有することができる。コントローラ535および635は、各ヒータ要素20、22、24、26に電気的に接続されることができる。コントローラ535および635は、時間段階的シーケンスで(図7の下部を参照)ヒータ要素20、22、24、26に電圧を印加し、その結果、対応する各相互作用的要素40、42、44、46が加熱され、1つまたは複数の上流の相互作用的要素によって生成された上流濃度パルスが相互作用的要素に到達するほぼそのときに、選択された構成成分をストリーミング試料流体530および630に脱着する。任意の数の相互作用的要素が、濃度パルスにおいて所望の濃度の構成成分気体を達成するために使用されることができる。
【0085】
マイクロアナライザ500の特徴は、1)他のマイクロアナライザに複数レベル多段階前濃縮を実行する手法を組み込むことと、2)低圧力ポンプの目的が、そのときは単純にフィルタパージ速度を加速するためであったのが、ここでは第1レベルの前濃縮器のソーキング時間を短縮する方法として利用し得る点を除いて、マイクロアナライザ500でのように、2つのポンプを用いて達成されるそのような手法を有することと、3)第1レベルの前濃縮の出力が、多段階タイプとすることができる第2レベルの前濃縮器用のより高濃度の分析物源として簡潔に機能できるような方法で、第1レベルの前濃縮を実行することと、4)(例えば、サブpptレベルで存在する分析物用など)きわめて高い感度を必要とする場合、第1レベルの前濃縮の出力が、第2レベルの前濃縮器用のより高濃度の分析物源として簡潔に機能でき、今度は第2レベルの前濃縮器が、多段階タイプとすることができる第3レベルの前濃縮器用のより高濃度の分析物源として機能できるような方法で、第1レベルの前濃縮を実行することと、5)あまりに高い圧力降下を引き起こし得る最終前濃縮器レベル用の100倍高濃度の分析物の飽和源として機能する、(G=100が各吸収−脱着段階で達成可能な濃度増加である場合、これまで開示された多段階前濃縮器より〜100倍長い)単に非常に長いチャンネルというわけではない第1レベルの前濃縮器であって、最終前濃縮器レベルの圧力降下よりはるかに低い圧力降下を達成する並列の複数のチャンネルから構成される第1レベルの前濃縮器と、6)前濃縮チャンネル、ヒータ、および吸収膜の幅を広げることによって、気体/固定相の望ましい低容積比率を犠牲にすることなく、その低い圧力降下を達成することと、7)吸収膜の厚さを増やすことによって、不適当に脱着時間を増やすことなく、しかし、気体/固定相の望ましい低容積比率を低下させて、その低い圧力降下を達成することと、8)例えば、並列の第1レベルの前濃縮器を動作させることなく、かつ/またはそのような究極の分離が必要でないならば第2の分離器(μGC)をもたず、低感度分析に対する必要を満たすために、柔軟な方法でマイクロアナライザ500構造を動作させ得ることとを含むことができる。
【0086】
GC#1およびGC#2は、マイクロアナライザの第1および第2の流体またはガスクロマトグラフをそれぞれ指示することができる。それぞれカラム#1および#2と見なされ得る第1および第2の分離器は、マイクロアナライザのその他の構成要素と共に、それぞれGC#1およびGC#2の一部とすることができる。
【0087】
マイクロアナライザ500の利点は、1)そのような選択性、ピーク容量、および感度のμGCのための(薄膜ベースの固定膜支持に起因する)非常に短い分析時間と、2)選択性または分析速度を低下させることなく(非常に高いPCレベルに起因する)可能な限りで最高の感度を達成することと、3)(低圧力のパージおよびソーキング機能と、最終前濃縮レベルおよび分離機能用のより高圧力の機能のための2つの別々のポンプの使用による)可能な限りで最高の感度、選択性、低い分析当たりエネルギーの能力の同時達成とを含むことができる。
【0088】
図21は、GC−GCタイプの2次元構造を有するマイクロアナライザ600を示している。キャリアガスとしても機能し得る試料気体ストリーム630は、粒子フィルタ627の入力に入り、ポンプ640によって2つの並列チャンネルを介して取り込まれる。主要チャンネルでは、流体630は、マイクロ検出器631と、濃縮器623とをそれぞれ通って進むことができる。濃縮器623は、約100ミクロンの直径を有することができる。流体630は、濃縮器623から流量センサ632を通って、約100ミクロンの内径を有することができる分離器624に流れ込むことができる。分離器624から、流体630は、第2の分離器625とマイクロ検出器633とを通って流れるために分かれることができる。分離器625は、約50ミクロンの内径を有することができる。分離器625からの流体630の出力は、マイクロ検出器634とオリフィス644とを通ることができる。マイクロ検出器633からの流体630の出力は、管路643を介してマイクロバルブ642を通ることができる。ポンプで管路646に取り込まれる、フィルタ627の出力における「T」接続からの流体630の流れは、オリフィス645によって制御されることができる。コントロール、マイクロコントローラ、またはプロセッサ635は、アナライザ600の適切な動作を達成するため、ポンプ640と、マイクロ検出器631、633、634と、流量センサ632と、濃縮器623と、分離器624、625と、マイクロバルブ641とに接続されることができる。各マイクロ検出器631、633、634は、TCD、MDD、PIA、ECD、または別の種類の検出器とすることができる。アナライザ600は、図示されたものより多いまたは少ない検出器を有することができる。アナライザは、追加のバルブおよびその他の構成要素も有することができる。その他の実施形態では、無制御ポンプおよび不可欠なオリフィス流量規制だけが残るように、マイクロバルブ641は、除去されることができる。
【0089】
主要チャンネルが、本明細書で開示され、第2のμGCを実施する第2のチャンネルは、発生する相対的に広い(μGC#1のピークの半値幅−μGC#2の全「自由」溶離時間to)を「サンプリング」する。
【0090】
その統合構造に構築された2以上の分離膜素材を伴うマイクロ流体アナライザ構造によって分離され得ないものが、ここでは拡張された従来のGC−GC構造によって実現されることができる。相対的に遅く動く第1のGCは、10〜30msの半値幅を有するピークを生成することができ、それは、決められた時間に基づきまたはその第1のGCの終わりで検出器によってトリガされる要求に基づき、20〜100msごとにパルスを印加される第2のGCによって分析されることができる。第2のGCは、第1のヒータ要素の急速な(〜1ms)加熱および冷却によって、入口ピークを追加的に集束することができ、その結果、その電子的にまたはマイクロバルブで制御される注入ピークは、〜1ms以上にはならない半値幅を有する。
【0091】
図21のアナライザ600である実施形態#1では、μGC#1の流れは、能動マイクロバルブ641によって制御されることができ、バイパスおよびカラム#2を通る流れは、634および645などの固定のオリフィスによって制御、すなわち、設定されることができる。実施形態#2では、マイクロバルブ641は、追加の固定オリフィス流量制御によって置き換えられることができる。
【0092】
図22を参照すると、実施形態#3では、μGC#1のすべての流体630の流れは、μGC#2に流れ込むことができ、その流れは、(高いが無制御の速度について)ポンプ640の前の1つの固定オリフィス647によって制御されることができ、必要ならば別の固定オリフィス/制限648の後で、カラム#2の横断面に移動する際に、自動的に加速されることができる。
【0093】
図23は、流体630をポンプでより良く取り込むために2つのポンプ621および622を有するマイクロアナライザ620を示している。流量センサ632に隣接して、約140ミクロンの内径を有する分離器651が存在することができる。分離器からの流れ630は、マイクロ検出器652と、マイクロ検出器652と、オリフィス653をそれぞれ通り抜けることができる。オリフィス653から、流体630は、約70ミクロンの内径を有する分離器654を通り抜けることができる。分離器654から、流体630は、マイクロ検出器と、オリフィス656と、管路657をそれぞれ通り抜け、ポンプ622に到ることができる。オプションで、アナライザ500、610、620の分離器525、625、654にそれぞれ接続されたマイクロバルブ561、661が存在することができる。
【0094】
すべての場合で、サンプリングされた広いピークが、短い集束期間を介しておよびその後で、好ましくは固定相膜素材で作成される、カラム#1の厚さをもったμGC#2カラムの短い第1の吸収要素の助けを借りて、μGC#2に「注入」されることができる。その後の急速な加熱および脱着は、その分析物をμGC#2に注入するために使用されることができ、μGC#2は、μGC#2の最大分離度のためのより高い最適速度に接近するため、より狭いカラム、より高い速度、およびより薄い吸収膜を特徴とすることができる。そのより高い速度は、カラム#2全体にわたる大きな圧力降下を介する、またはカラム#2の上記要素#1の終わりとカラム#2の残りとの間の接合点、もしくはカラム#1とカラム#2の間の接合点における(図21には図示されない)固定オリフィスを介する、そのカラム内のより低い圧力によって実施されることもできる。
【0095】
動作中、集束プロセスは、一定の時間間隔で、またはカラム#1の検出器がピークを感知した時だけ、繰り返されることができる。そのような集束動作は、一般に2×ピークの半値幅Δtの期間、例えば、2×20ms(図24の表1を参照)の期間に、カラム#2の第1の要素の温度の急峻な降下で始まることができる。そのような濃縮期間tcの後、吸収分析物は速やかに解放されて、約2msのピーク半値幅を生じさせる。図24に列挙された例示的なデータのその他の特徴は、実施形態#3では等しいことを必要とする、カラム#1および#2における試料気体の流量Vと、濃縮時間tc=to(#2)=2Δt(#1)と、k=(tR−to)/toであるとし、0≦k≦5の中程度で、分離度R=tR/Δtを最大化するために最適速度に近いことを必要とする試料気体の速度vと、1/v≦Δt(#2)≦2 1/vとなるように局所流速と適合することを必要とする、カラム#2の第1の要素(またはカラム#1の最終要素)からの脱着のための時間〜Δt/2とを含む。
【0096】
独立測定(すなわち、分解可能ピークまたは全ピーク容量)の数は、μGC−μGC−μDでは、特にμDがMDD、μECD、μFD(μ蛍光検出器)などの多チャンネル検出器の場合は、はるかに大きくなり得るので、偽陽性の確率は、低下させられることができる。μGC#1の全ピーク容量が〜50、μGC#2の全ピーク容量は〜30、MDDの全ピーク容量は〜10である場合、独立測定の総数は、50×30×10=15000となることができる。
【0097】
マイクロアナライザ600、610、および/または620の特徴は、1)多段階前濃縮器(PC)−μGC−μGC−検出器の1つのチップ上への統合であって、追加の検出器のさらなる統合のオプションを有し、おそらくより重要なこととして、μDが反応する干渉物質は保持および/または前濃縮されないが、目標分析物は前濃縮され、良く分離されるように、PC、GC#1、およびGC#2膜、ならびにマイクロ検出器μD用の素材の最適混合および相乗作用を使用する統合と、2)例えば、分離器(S)に対する前濃縮器(PC)として機能するヒータ・アレイ要素の数もしくは全ヒータ・アレイ要素の一部をユーザが選択し、かつ/または(様々な前濃縮器要素からすべての物質を脱着するのとは反対に)それぞれの前濃縮器素材から選択および脱着される化合物のタイプをユーザが選択するなど、本発明のマイクロアナライザの一方または両方のμGCの機能的かつ柔軟な動作と、3)(パームトップから立方インチ型までの)コンパクト性、3秒分析、≦ppb感度、柔軟性、機能性、統合構造、低電力、無バルブ電子注入、および全体的低コストといった特徴を保持する、この段落の項目1)の設計と、4)図21に示された能動マイクロバルブ641が除去されることができ、無制御ポンプおよび不可欠なオリフィスだけが流れ規制のために残るようにする、この段落の項目1)および3)の設計と、5)μGC#1および#2を通る質量流量は等しいが、これらのカラム(およびカラム#1の終わりでの固定圧力降下オリフィスまたはノズル)が、流速をカラム#1のレベルの〜3〜10倍だけ上昇させるように、またほぼ完了(約toから2toの時間内)の分析がカラム#1から溶離するピークの半値幅の時間内にカラム#2によって達成されることが可能なように、(ID、ポンプ容量、および音速ノズルを介してポンプ速度を制御するためのその他の固定オリフィスについて)構成されることができ、ゴレイの式(Golay’s equation)の値を最適に満たすように調整された吸収膜厚さを特徴とすることができる、この段落の項目1から4による設計と、6)適切な(同じまたは好ましくは約半分のサイズの)要素内および2Δtの時間内で、カラム#1からの完全なピークを「集束」し(図24を参照、Δt=20ms)、それが〜1〜2msのΔt2の時間内に脱着および出水され得るようにすることによって、マイクロアナライザ600、610、および/または610の動作を達成することと、7)2つの作業の最大質量流量、ポンピング時間、および圧力要件を共に満たさなければならない1つのポンプを使用するのではなく、各々が特定の流量および吸引圧力でポンプ動作を行うように設計された、図23の2つのポンプ621および622の使用と、8)独立測定の数を増やすにつれて低下する偽陽性の確率を低下させるための、好ましくは2つの別個の機能を、すなわち、(例えば、光吸収、質量、沸点などの属性に基づいて分析物を分離するスペクトロメータ機能による)選択性と、非選択的だが非常に高感度の検出器による感度とをマイクロアナライザに組み込むことによる、多くのタイプの組み込み検出器の組み込みおよび使用とを含むことができる。
【0098】
マイクロアナライザの実施形態#3の利点は、1)より大きな分離度を可能にし、その結果、異なる吸収膜素材の特別のマスクおよび付着のためのコストが必要最低限だけ増加するより完全な分析を可能にする、μGC−μGCの組み合わせと、2)能動バルブを除去することと、「ヒータ波」伝播の電子的に制御される速度のわずかな調整を介して適切な同期を管理することに基づくコスト削減と、3)ヒータ速度の電子的調整を介する流量センサ用にこれまで必要とされていた較正精度の低下に起因する(流れはこの流量センサの助けでおおまかに測定および調整されることができるが、最適同期はこの段落の項目2)で説明されたように達成されることができる)、さらなるコスト削減と、4)(コストは同じで)必要とされるよりも20〜80%高いポンプ容量を使用する一方で、ポンプ速度制御で必要とされる制御設計およびデバッギング労力を省くことによる(超過容量は単に固定オリフィスによって制限される流れを介して制御されることができる)、さらなるコストおよび保守削減と、5)特定の作業用に設計された各ポンプが、最大流量、ポンピング時間、および圧力要件を共に満たさなければならない1つのポンプを使用するよりも効率的であり、追加のオリフィスのコストおよび設計労力を節約できる、図23にあるような2つのポンプ621および622の使用と、6)偽陽性の確率Pfpを最小化するのに役立つことができる、要素のmチェーンPC−μGC−μGC−μD3...μDmから構成されるシステム内の各niの寄与であって、ここで、
1/Pfp=[1−exp{−(RSN−1)/4}](n1,n2,...nm)0.8(Y+1)
であり、RSN=信号/雑音比、n1,n2,n3,...nm=独立測定または除去基準(例えば、選択的PC要素によるフィルタリングステップ、μGC#1およびμGC#2による分光分解要素、または複数の異なるμDiの各々による測定チャンネル)の数、Y=1/P、すなわち、1度登録された特定の偽陽性が、冗長センサ、繰り返し測定、センサグリッド内の近隣センサ、および/または交差感度が異常に高い干渉物質の出現の発生を介してそのようなものとして確認され得る確率の逆数であるシステム内の各niの寄与とを含むことができる。
【0099】
図25は、HPLC/CLCマイクロアナライザ701の図である。HPLCは、高圧液体クロマトグラフィのことであり、CLCは、毛細管液体クロマトグラフィのことである。アナライザ701は、アナライザに入力されるストリーム711および712に分割されることができる入力試料ストリーム710をフィルタリングするための入口粒子フィルタ702を有することができる。ストリーム711は、熱伝導率(TC)検出器702を通って進むことができる。検出器702の後、ストリーム711の分析物は、フェーズド・ヒータ20、22、24、26および設計に応じてより多くのフェーズド・ヒータを有する濃縮器704によって濃縮されることができる。その後、ストリーム711は、流量センサ705を通り抜け、分析物が化合物によって分離される分離器706に到ることができる。
【0100】
その後、ストリーム711は、TC検出器707を通り抜けることができる。コントローラ708は、ストリーム711に対する濃縮器内でのフェーズド・ヒータ・パルスの移動を制御するため、濃縮器704に接続されることができる。コントローラ708は、分離器706と、TC検出器703、707と、流量センサ705にも接続されることができる。センサおよび検出器の情報、ならびに濃縮器および分離器への入力信号を用いて、試料の情報は処理されることができる。検出器707を出て行くストリーム711は、「T」接続709においてストリーム712と合流して、出力ストリーム713を形成することができる。
【0101】
バルブ714は、ストリーム712の流れを、それが接続709に来たときにストリーム711の流れと比例するように制御することができる。T接続709の出力には、ポンプ715およびアナライザ701から出力されるストリーム713を引き込むポンプ715が存在することができる。バルブ714およびポンプ715は、ストリーム711の流れを制御するコントローラ708に接続され、ストリーム711の流れは、濃縮器704内を移動していくにつれて増大するストリーム711中の熱パルスを維持するように、バルブ714およびポンプ715によって、適切なフェーズド加熱のための特定の速度で濃縮器を通り抜ける。
【0102】
本発明のPHASEDマイクロアナライザの態様は、液体および気体のための2重使用を含む。これらの態様は、図6c、図6d、図26a、図26bの助けを借りて以下で説明されるが、図25は、これらのすべてのためのシステムを表している。
【0103】
図6bは、フェーズド・ヒータ(PHASED)マイクロアナライザの基準設計41を示している。この図は、フェーズド・ヒータ・アナライザのIおよびIIの横断面図であり、約1ミクロンの厚さをもつことができる露出された膜716を示している。膜の露出は、開かれた空間392に向いている。膜716は、窒化シリコン(Si3N4)から構成され、膜の内部にPtヒータ20、22、...を有することができる。この設計は、その膜ベースのヒータ要素が環境に関する約50psi(≒3.5bar)より大きい圧力に耐えることができないので、主として気体分析物の初期アナライザ用とすることができる。
【0104】
図6cは、PHASED (すなわち、バージョンIII)マイクロアナライザを示している。この設計は、図6bの基準設計のようには、マイクロチャンネル内32の50psi(≒3.5bar)の最大圧力に制約されない。図6aにも、類似の設計が存在し、(膜の上側および下側に)サイズが等しく、それぞれ吸収被覆140および40を有するチャンネル31および32を有する点だけが異なる。図6cの手法は、断熱用には十分深いより低いチャンネル394を作成し、質量拡散に依存して上部および下部の気体濃度を平衡させることによって、問題を解決することができる。液体と共に使用される場合、膜716が十分に丈夫であり、十分に速い液体拡散速度を有するかどうかについての問題が起こり得る。
【0105】
図26aは、Microbrick(登録商標)マイクロアナライザまたはPHASED IVアナライザと見なされ得るアナライザ701のマイクロブリック(micro−brick)ベースの設計720を示している。この設計は、液体と共に使用される場合の丈夫さおよび拡散速度についての問題をなくすことができる特徴を有する。示されるように、丈夫さは、Si、シリカ(SiO2)、Pyrex(登録商標)、シリコン水上の厚いシリカ被覆、ポリマ、またはその他の十分に安定で耐熱性があるが断熱性の素材から構成され得る固体(マイクロ)基板(すなわち、れんがのような固体、したがって、Microbrick(登録商標)と呼ばれ得るマイクロブリック)上に、ヒータ要素20、22、24、...のアレイ、(例えば、Ptヒータを内部に有するSi3N4とすることができる)膜716、(例えば、SiO2とすることができる)誘電体717、およびセンサを構築することによって達成される。基板718は、ヒータを有することができる。この丈夫さとのトレードオフは、特定電力消費の約3から8倍の増加とすることができる。マイクロブリッジ(micro−bridge)、マイクロ膜、およびマイクロブリック流量センサ設計の間でそれぞれ、約20から10度への、および約2度C/mWへの加熱能力の低下が測定された。マイクロ膜ベースのPHASED装置の場合、5000×100の各マイクロメータ・ヒータ要素について、0.43度C/mWが測定された。液体において許されるヒータ温度の上昇は、気体の約4から10分の1に低くできるので、液体を分析するのにこの構造が使用されて、ヒータ温度上昇が20から25度Cを超えないならば、スイッチング要素および回路の電力要求はほぼ同じ水準を維持することが予想され得るが、最大200から250度Cの温度上昇を使用する気体については、図6cの設計41と比べて約4倍高くなる。層717は、ウェーハ718上に形成されることができる。
【0106】
図26bは、毛細管ベースの設計730を示している。図6b、図6c、および図26aのマイクロチャンネル設計の1つのあり得る短所は、吸収膜40が長方形チャンネル32の4つの側面のうち1つだけしか被覆せず、それが容積移動相/固定相比率を増大させることである。この比率は、(一定の膜の厚さを仮定すれば)分離度および溶離時間に影響するべきではなく、固定容積「吸収容量」が移動相の容積に比べてはるかに小さいならば、感度に影響を与えることができる。したがって、チャンネルの最適使用のため、感度を低下させないのならば、できるだけ薄くあるべき吸収膜で覆われた可能な限りで最大の内部表面を有することができる望ましい。図26bは、そのような1つの設計730を概略的に示している。
【0107】
100マイクロメートルの例示的な内径と300マイクロメートルの外径を有する毛細管730は、適切な吸収素材など所望のGC膜素材732および厚さで内側を被覆されることができる。外側(または吸収被覆の下の内側)に、均一な抵抗性のヒータ膜731が、100マイクロメートルの非導電ギャップ734によって隔てられた長さ733が5ミリメートルの例示的なセグメント735に配置されることができる。基本フェーズド設計および動作において各要素が加熱されると、前濃縮器704の毛細管セグメント735は、次のセグメント735に切り換わる前に各々約5ミリ秒、加熱されることができる。毛細管730の寸法および構成要素は、ここで述べられたのとは異なることもできる。
【0108】
毛細管730は、本発明の説明で説明された流体アナライザの構造において適用例を有することができる。分離器706の場合、より重い分析物の溶離時間を短縮するため、温度が上昇するようにプログラムされることができる。より小さい要素が、流量センサ705、熱伝導率検出器(TCD)703、707、および使用されるならば導電率検出器(EGC)のために使用されることができる。EDCは、(壁が非導電性の場合に限り)毛細管壁736によって導電率を感知するため、ACモードで使用されることができる。流量センサ705およびTCセンサ703、707も、(非導電性の如何に関わらず)毛細管壁736によって流れおよび熱伝導率を測定するために使用されることができる。代替として、ヒータ膜731は、毛細管730の内側のGC膜732の下に配置されることができ、その結果、それらが約0.5マイクロメートルの厚さの窒化シリコンだけによって気体から隔てられる場合、マイクロブリッジおよびマイクロブリック設計で測定可能な≦1ミリ秒から上への応答時間の増大を回避する。別のヒータ膜構造731は、毛細管730全体で連続しており、約100マイクロメートルの幅と約5ミリメートルの間隔の導電金属膜リング735を特徴とする構造とすることができ、その結果、スイッチング回路は、移動窓(moving window)におけるように、1度に約5ミリ秒、1つのセグメントに電圧を印加することができる(この特徴は、ヒータ膜が外側にある場合、より製造し易すくなる)。導電リング735は、プリント基板(PCB)737上の対応するバンプにはんだバンプされることもできる。PCB737は、アナライザ701の毛細管730を加熱されて流れ抜ける試料液体711に熱パルスを与えるためのヒータ要素735に順番に電力を切り替えるためのスイッチング回路を有することができる。毛細管730は、10から15センチメートルの長さで十分ならば真直ぐであることができ、あるいは石英またはスチール毛細管曲率半径の有限最小半径を可能にするため、0度のところにだけ、または180度のところにも、または90度ごとに、または1〜5mmの適当な距離ごとに電気接点を有する、「8」もしくは「0」字状、蛇行、または(管状もしくは平らの)コイル巻線の形状をとることができる。このように、最大100センチメートルの毛細管長は、コンパクトされ、PCB731上の40から200個の電気接点に適合されることができる。
【0109】
そのような毛細管ヒータ735のステンレス鋼上への実装は、ステンレス素材の抵抗がヒータとして使用され得るならば、約5ミリメートルずつ間隔を置いた導電リングの配置を必要とするだけとすることができる。石英毛細管の場合、加熱要素の内部アレイへの接続は、最近現れたTTW(スルー・ザ・ウェーブ(through the wave))はんだ技術の使用を必要とする。したがって、より簡単な製造方法は、ヒータ膜731の外部適用に基づくことができる。内部薄膜ヒータ膜のオプションは、薄膜導電性素材へのマイクロ波結合を介して加熱されることができる。
【0110】
上記の設計のいずれかを実現するには、多段階前濃縮が有効であり得るように、安定で寿命が長く反復可能な流量制御を必要とする。開発された圧電、静電、および電磁バルブおよびポンプが利用可能であり得る。最適性能を達成する1つの手法は、前濃縮器704および分離器706用に毛細管カラム730を選択するが、毛細管構造735の終わりを示差熱伝導および示差電気伝導のセンサの入力およびに出力ポートに合わせることであり得る。ゴレイの式によれば、長さ25センチメートル、カラム内径100マイクロメートル、膜厚0.6マイクロメートルの場合の最適水速度は、15psi(〜1bar)の圧力降下に打ち勝ちながら、約毎秒10センチメートルであり、15:1(Ds=0.00001、Dm=0.01cm2/秒)の分離度を達成する。
【0111】
ゴレイの式は、以下の形をとることができる。
【0112】
【数1】
【0113】
ここで、Hは与えられた溶質のカラム単位長当たりの分散、k’は溶質の容量率(capacity factor)、Kは2つの相の間の溶質の分布係数、Dmは移動相における溶質の拡散率、Dsは固定相における溶質の拡散率、rはカラム半径、uは移動相の線速度である。
【0114】
PHASEDベースのHPLC/CLCマイクロアナライザ701は、以下の特徴を含むことができる。1つの特徴は、フェーズド多段階前濃縮および電子注入、そのような前濃縮、注入、分離、流れセンシング、および検出の統合機能、製作中における固定相用のスピンオン被覆素材の挿入、試料フローチャンネルの製作用の統合真空パッケージング(IVP)技術の使用、有利なキャリア液体としての大量の試料液体の使用、直接または間接流れおよびTCセンシング用の熱マイクロセンサ技術の利用の、液体クロマトグラフィ応用とすることができる。
【0115】
前濃縮、分離、流れセンシング、ならびに熱および電気示差伝導センシング機能用の毛細管730カラムの具体的設計は、様々な特性に基づくことができる(図26bを参照)。カラムおよびセンサのIVP統合用の手法として、ブリッジおよび1つの主要試料フローチャンネルの一方の側に吸収素材を有する、(高圧の影響を受けない)マイクロブリッジ技術を含むことができる。しかし、マイクロ膜技術はそれ自体、50psi(≒3.5bar)を超える液体圧力の適用に耐久性をもたないことがあり得る。装置は、カラムおよびセンサのIVP統合用にマイクロブリック技術を含むことができる。別の特性または特徴は、ヒータおよびセンサ用の外部被覆を有し、適切なヒータスイッチング手段およびセンサ入力/出力回路(I/O)を有する回路に圧着される、石英またはスチール毛細管の1つまたは複数のターンを含むことができる。
【0116】
1つの手法は、前濃縮器の圧力降下によって取り込まれた分析物が波速度を加速させ、膨張するときに、検出器ピークの半値幅を感知し、その幅を最小化するように流量を調整することに基づいて、エネルギーパルスをヒータ・アレイの要素に同期させることであり得る。
【0117】
従来のHPLC/CLCにまさるマイクロアナライザ701の利点は、100から10000倍の感度の上昇を含むことができる。PHASEDマイクロアナライザ701の動作は、キャリア流体を必要とせず、使用が非常に容易であり、信頼性がより高く、より低コストであることができるが、それは現在の単純な電子注入のコストが、より信頼性が低く、より複雑で、よりエネルギー消費が高い機械バルビングに依存する注入よるはるかに低いからである。従来のHPLC/CLCの動作は、少量の試料が機械バルビングによって注入される非導電キャリア液体の使用を含むことができる。PHASEDマイクロアナライザ701では、キャリア流体の使用は、任意選択とすることができる。本発明のアナライザでキャリア流体が使用される場合、キャリア流体および試料流体は、継続的に混合されることができる。有効に希釈された分析物濃度は、試料前濃縮ステップ中に回復され(かつ上回る)ことができる。マイクロブリック720または毛細管730構成のアナライザ701は、(環境的および構造的に)非常に丈夫であり、液体または気体を分析することができる。HPCL/LC/GCアナライザ701は、必ずしもSi加工を必要としない。
【0118】
本発明は、少なくとも1つの例示的な実施形態に関して説明されたが、本明細書を読めば、当業者には多くの変形および変更が明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような変形および変更を含むため、従来技術に照らして、できるだけ広く解釈されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】センサシステムの図である。
【図2】マイクロガス装置の細部の図である。
【図3】例示的なフェーズド・ヒータ機構のレイアウトである。
【図4】強化チャンネル上の薄膜ヒータ要素の長手方向断面図である。
【図5】強化チャンネル上の薄膜ヒータ要素の第2の実施形態の長手方向断面図である。
【図6a】膜が2つのヒータ要素の実施形態の横断端面図である。
【図6b】膜が単一の要素の実施形態の横断端面図である。
【図6c】膜が単一の要素の実施形態の横断端面図である。
【図7】ヒータ温度プロフィールをセンサ装置の各ヒータ要素で生成される対応する濃度パルスと共に示したグラフである。
【図8】前濃縮器における分析物濃度の段階的積み上げを説明するための複数のヒータ要素を示したグラフである。
【図9】約100パーセントの濃度レベルに達した濃度パルスを示したグラフである。
【図10】様々な元素の既知の検出限界および感度の表である。
【図11】多元素試験混合物の知られた最新のクロマトグラムを示す図である。
【図12】ある気体の相対強度、放電対圧力のグラフである。
【図13】気体感知用の光源と検出器(MDD)の対のアレイの断面図である。
【図14】MDDとSi光ダイオードの間の分光感度比較のグラフである。
【図15】センサと、濃縮器と、分離器とを含むフェーズド・ヒータ・アレイ構造用の統合レイアウトの図である。
【図16】センサの濃縮器および分離器部分用の加熱要素選択ロジックの回路図である。
【図17】ハイパー前濃縮器を備えるマイクロアナライザの図である。
【図18】時間および分析物の位置に対する分析物濃度のグラフである。
【図19】分析物の質量および対応する膜の長さおよび濃度の表である。
【図20】横断面が100×100ミクロンのチャンネルによる要素の数に対する圧力降下を示す表である。
【図21】一般的なガスクロマトグラフ−ガスクロマトグラフタイプの2次元構造を有するマイクロアナライザの図である。
【図22】図21の構造に類似するが異なる構成を有する構造の図である。
【図23】図21の構造に類似するが異なる構成を有する構造の図である。
【図24】デュアル・マイクロガスクロマトグラフ・システムの設計および性能パラメータの表である。
【図25】高圧液体クロマトグラフの図である。
【図26A】高圧クロマトグラフのマイクロブリック構成要素の図である。
【図26B】高圧クロマトグラフの毛細管構成要素の図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体支持の第1のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルを有する濃縮器と、
前記第1のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルに隣接するフェーズド・ヒータ・アレイと、
前記第1のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルに接続された第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルを有する分離器と、
を備える流体アナライザ。
【請求項2】
前記濃縮器および前記分離器に接続されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載のアナライザ。
【請求項3】
前記コントローラに接続された少なくとも1つの検出器をさらに備える、請求項2に記載のアナライザ。
【請求項4】
前記第1および第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルが、50psi(≒3.5bar)より大きい圧力を有する流体を濃縮および分離するためのものである、請求項3に記載のアナライザ。
【請求項5】
前記第1および第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルが、最大約10000psi(≒700bar)の圧力にさらされる流体を濃縮および分離するためのものである、請求項4に記載のアナライザ。
【請求項6】
前記ヒータ・アレイは、
分析される流体の流れの方向に沿って列をなす複数のヒータを備え、
前記複数のヒータのうちの各ヒータは、分析される流体の流れに等しい方向に動きの速度で順番にオンにされることができる、請求項5に記載のアナライザ。
【請求項7】
前記第1および第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルが、珪素、二酸化珪素、ガラス、石英、サファイア、スチール、およびその他からなる群に属する少なくとも1つの素材を含むマイクロブリック構造の基板を有する、請求項6に記載のアナライザ。
【請求項8】
前記第1および第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルは、十分に安定で、耐熱性および断熱性を有する素材を含む、請求項7に記載のアナライザ。
【請求項9】
区分化されたヒータを備える前記第1および第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルは、毛細管である、請求項6に記載のアナライザ。
【請求項10】
前記毛細管は、吸収素材で被覆された内部表面を有する、請求項9に記載のアナライザ。
【請求項11】
前記複数のヒータのうちの各ヒータは、毛細管壁の膜セグメントとして形成される、請求項10に記載のアナライザ。
【請求項12】
前記毛細管は、ガラス、石英、サファイア、スチール、およびその他からなる群に属する素材を含む、請求項11に記載のアナライザ。
【請求項13】
前記第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルは、毛細管である、請求項9に記載のアナライザ。
【請求項14】
少なくとも1つのソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルに隣接する流量センサをさらに備える、請求項13に記載のアナライザ。
【請求項15】
少なくとも1つのソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルに隣接する導電率検出器を備える、請求項14に記載のアナライザ。
【請求項16】
前記第1のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルに接続された第3のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルを有するハイパー濃縮器をさらに備える、請求項15に記載のアナライザ。
【請求項17】
高圧力下でフェーズド加熱によって流体を濃縮する手段と、
高圧力下で流体を分離する手段とを備え、
高圧力が、約50psi(〜3.5bar)と10000psi(〜700bar)の間にある、流体を分析する手段。
【請求項18】
流体の流量を検出する手段と、
流体の熱伝導率を検出する手段とをさらに備える、請求項17に記載の手段。
【請求項19】
流体の流量および熱伝導率を処理する手段をさらに備える、請求項18に記載の手段。
【請求項20】
前記高圧力は、約50psi(〜3.5bar)と10000psi(〜700bar)の間にある、請求項19に記載の手段。
【請求項21】
流体を濃縮する前記手段は、第1の毛細管を備えることができ、
分離する前記手段が、第2の毛細管を備えることができる、請求項20に記載の手段。
【請求項22】
流体の導電率を検出する手段をさらに備える、請求項21に記載の手段。
【請求項23】
高圧力下で流体のフェーズド加熱によって流体を濃縮するステップと、
高圧力下で前記流体を分離するステップとを備え、
前記高圧力が、約50psi(〜3.5bar)より大きい、流体を分析する方法。
【請求項24】
前記流体の流量を検出するステップと、
前記流体の熱伝導率を検出するステップとをさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記流体の特性を決定するために流量および熱伝導率を処理するステップを備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
高圧力が、約10000psi(≒700bar)より大きい、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
複数のヒータを有する第1のチャンネルと、
前記第1のチャンネルに接続された第2のチャンネルと、
前記第1のチャンネルは、内部高圧力に十分耐える構造を有し、
前記第2のチャンネルは、内部高圧力に十分耐える構造を有し、
前記内部高圧力は、10000psi(≒700bar)より大きい流体アナライザ。
【請求項28】
少なくとも1つのチャンネル内に配置された少なくとも1つの熱伝導率検出器と、
少なくとも1つのチャンネル内に配置された少なくとも1つの流量センサとをさらに備える、請求項27に記載のアナライザ。
【請求項29】
前記第1のチャンネルと、前記第2のチャンネルと、前記少なくとも1つの熱伝導率検出器と、前記少なくとも1つの流量センサとに接続されたコントローラをさらに備える、請求項28に記載のアナライザ。
【請求項30】
前記第1のチャンネルが、前記複数のヒータのうちの各ヒータ要素に対応する少なくとも1つの相互作用的要素を含み、
前記複数のヒータ要素が、前記対応する少なくとも1つの相互作用的要素を加熱するために、時間段階的シーケンスで電圧を印加されることができる、請求項29に記載のアナライザ。
【請求項31】
各対応する相互作用的要素は、前記第1のチャンネルにおいて流体の構成成分を吸収および脱着することができる、請求項30に記載のアナライザ。
【請求項32】
前記第2のチャンネルは、化合物によって流体を分離することができる、請求項31に記載のアナライザ。
【請求項33】
前記第1のチャンネルは、第1の毛細管である、請求項32に記載のアナライザ。
【請求項34】
前記第2のチャンネルは、第2の毛細管である、請求項33に記載のアナライザ。
【請求項35】
内部表面と外部表面とを有する細長い構造と、
前記構造の前記内部表面上に形成された吸収素材と、
前記外部表面上に形成されたヒータ材料とを備える流体アナライザ。
【請求項36】
前記ヒータ材料は、非電導ギャップをその間に有するセグメントをなすように形成される、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項37】
前記ヒータ・セグメントは、前記構造の長手方向に沿って移動する熱パルスを供給するために、フェーズド・ヒータ回路に接続される、請求項36に記載のアナライザ。
【請求項38】
ヒータ膜は、前記構造全体にわたって連続する、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項39】
前記ヒータ膜上に形成された導体をさらに備え、前記導体は、電源回路に接続される、請求項38に記載のアナライザ。
【請求項40】
前記構造は、濃縮器である、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項41】
前記構造は、分離器である、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項42】
前記構造は、毛細管である、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項43】
前記細長い構造は、濃縮器および分離器である、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項44】
内部表面と外部表面とを有する細長い構造と、
前記内部表面上に形成されたヒータ材料と、
前記ヒータ材料上に成された吸収素材と、
を備える流体アナライザ。
【請求項45】
ヒータ膜は、マイクロ波源に結合される、請求項44に記載のアナライザ。
【請求項1】
固体支持の第1のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルを有する濃縮器と、
前記第1のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルに隣接するフェーズド・ヒータ・アレイと、
前記第1のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルに接続された第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルを有する分離器と、
を備える流体アナライザ。
【請求項2】
前記濃縮器および前記分離器に接続されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載のアナライザ。
【請求項3】
前記コントローラに接続された少なくとも1つの検出器をさらに備える、請求項2に記載のアナライザ。
【請求項4】
前記第1および第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルが、50psi(≒3.5bar)より大きい圧力を有する流体を濃縮および分離するためのものである、請求項3に記載のアナライザ。
【請求項5】
前記第1および第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルが、最大約10000psi(≒700bar)の圧力にさらされる流体を濃縮および分離するためのものである、請求項4に記載のアナライザ。
【請求項6】
前記ヒータ・アレイは、
分析される流体の流れの方向に沿って列をなす複数のヒータを備え、
前記複数のヒータのうちの各ヒータは、分析される流体の流れに等しい方向に動きの速度で順番にオンにされることができる、請求項5に記載のアナライザ。
【請求項7】
前記第1および第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルが、珪素、二酸化珪素、ガラス、石英、サファイア、スチール、およびその他からなる群に属する少なくとも1つの素材を含むマイクロブリック構造の基板を有する、請求項6に記載のアナライザ。
【請求項8】
前記第1および第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルは、十分に安定で、耐熱性および断熱性を有する素材を含む、請求項7に記載のアナライザ。
【請求項9】
区分化されたヒータを備える前記第1および第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルは、毛細管である、請求項6に記載のアナライザ。
【請求項10】
前記毛細管は、吸収素材で被覆された内部表面を有する、請求項9に記載のアナライザ。
【請求項11】
前記複数のヒータのうちの各ヒータは、毛細管壁の膜セグメントとして形成される、請求項10に記載のアナライザ。
【請求項12】
前記毛細管は、ガラス、石英、サファイア、スチール、およびその他からなる群に属する素材を含む、請求項11に記載のアナライザ。
【請求項13】
前記第2のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルは、毛細管である、請求項9に記載のアナライザ。
【請求項14】
少なくとも1つのソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルに隣接する流量センサをさらに備える、請求項13に記載のアナライザ。
【請求項15】
少なくとも1つのソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルに隣接する導電率検出器を備える、請求項14に記載のアナライザ。
【請求項16】
前記第1のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルに接続された第3のソリッドステート薄膜ヒータ−吸収体支持チャンネルを有するハイパー濃縮器をさらに備える、請求項15に記載のアナライザ。
【請求項17】
高圧力下でフェーズド加熱によって流体を濃縮する手段と、
高圧力下で流体を分離する手段とを備え、
高圧力が、約50psi(〜3.5bar)と10000psi(〜700bar)の間にある、流体を分析する手段。
【請求項18】
流体の流量を検出する手段と、
流体の熱伝導率を検出する手段とをさらに備える、請求項17に記載の手段。
【請求項19】
流体の流量および熱伝導率を処理する手段をさらに備える、請求項18に記載の手段。
【請求項20】
前記高圧力は、約50psi(〜3.5bar)と10000psi(〜700bar)の間にある、請求項19に記載の手段。
【請求項21】
流体を濃縮する前記手段は、第1の毛細管を備えることができ、
分離する前記手段が、第2の毛細管を備えることができる、請求項20に記載の手段。
【請求項22】
流体の導電率を検出する手段をさらに備える、請求項21に記載の手段。
【請求項23】
高圧力下で流体のフェーズド加熱によって流体を濃縮するステップと、
高圧力下で前記流体を分離するステップとを備え、
前記高圧力が、約50psi(〜3.5bar)より大きい、流体を分析する方法。
【請求項24】
前記流体の流量を検出するステップと、
前記流体の熱伝導率を検出するステップとをさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記流体の特性を決定するために流量および熱伝導率を処理するステップを備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
高圧力が、約10000psi(≒700bar)より大きい、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
複数のヒータを有する第1のチャンネルと、
前記第1のチャンネルに接続された第2のチャンネルと、
前記第1のチャンネルは、内部高圧力に十分耐える構造を有し、
前記第2のチャンネルは、内部高圧力に十分耐える構造を有し、
前記内部高圧力は、10000psi(≒700bar)より大きい流体アナライザ。
【請求項28】
少なくとも1つのチャンネル内に配置された少なくとも1つの熱伝導率検出器と、
少なくとも1つのチャンネル内に配置された少なくとも1つの流量センサとをさらに備える、請求項27に記載のアナライザ。
【請求項29】
前記第1のチャンネルと、前記第2のチャンネルと、前記少なくとも1つの熱伝導率検出器と、前記少なくとも1つの流量センサとに接続されたコントローラをさらに備える、請求項28に記載のアナライザ。
【請求項30】
前記第1のチャンネルが、前記複数のヒータのうちの各ヒータ要素に対応する少なくとも1つの相互作用的要素を含み、
前記複数のヒータ要素が、前記対応する少なくとも1つの相互作用的要素を加熱するために、時間段階的シーケンスで電圧を印加されることができる、請求項29に記載のアナライザ。
【請求項31】
各対応する相互作用的要素は、前記第1のチャンネルにおいて流体の構成成分を吸収および脱着することができる、請求項30に記載のアナライザ。
【請求項32】
前記第2のチャンネルは、化合物によって流体を分離することができる、請求項31に記載のアナライザ。
【請求項33】
前記第1のチャンネルは、第1の毛細管である、請求項32に記載のアナライザ。
【請求項34】
前記第2のチャンネルは、第2の毛細管である、請求項33に記載のアナライザ。
【請求項35】
内部表面と外部表面とを有する細長い構造と、
前記構造の前記内部表面上に形成された吸収素材と、
前記外部表面上に形成されたヒータ材料とを備える流体アナライザ。
【請求項36】
前記ヒータ材料は、非電導ギャップをその間に有するセグメントをなすように形成される、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項37】
前記ヒータ・セグメントは、前記構造の長手方向に沿って移動する熱パルスを供給するために、フェーズド・ヒータ回路に接続される、請求項36に記載のアナライザ。
【請求項38】
ヒータ膜は、前記構造全体にわたって連続する、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項39】
前記ヒータ膜上に形成された導体をさらに備え、前記導体は、電源回路に接続される、請求項38に記載のアナライザ。
【請求項40】
前記構造は、濃縮器である、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項41】
前記構造は、分離器である、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項42】
前記構造は、毛細管である、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項43】
前記細長い構造は、濃縮器および分離器である、請求項35に記載のアナライザ。
【請求項44】
内部表面と外部表面とを有する細長い構造と、
前記内部表面上に形成されたヒータ材料と、
前記ヒータ材料上に成された吸収素材と、
を備える流体アナライザ。
【請求項45】
ヒータ膜は、マイクロ波源に結合される、請求項44に記載のアナライザ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【公表番号】特表2007−517223(P2007−517223A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547180(P2006−547180)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/042578
【国際公開番号】WO2005/068996
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/042578
【国際公開番号】WO2005/068996
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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