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PKCθ阻害薬による免疫学的疾患のEX−VIVO治療
説明

PKCθ阻害薬による免疫学的疾患のEX−VIVO治療

免疫学的疾患及びアテローム性動脈硬化症といった、PKCθの活性によって媒介又は持続される種々の疾患及び障害の治療方法を開示する。詳細には、本発明は、患者の免疫学的疾患又はアテローム性動脈硬化症の治療方法であって、患者由来の血液、又は前記血液の規定成分をPKCθの阻害薬でex vivoにて処理する工程、次にこの処理した血液を前記患者に再投与する工程を含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
この発明は、免疫学的疾患及びアテローム性動脈硬化症といった、PKCθの活性によって媒介又は持続される種々の疾患及び障害の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
タンパク質キナーゼCファミリーは、12の関連アイソザイムで構成されるセリン/スレオニンキナーゼの群である。これらのキナーゼは広範な組織及び細胞型内で発現される。そのメンバーは異なる遺伝子によってコードされ、活性化のためのそれらの要求に応じて下位分類される。在来型(classical)PKC酵素(cPKC)は、活性化のためジアシルグリセロール(DAG)、ホスファチジルセリン(PS)及びカルシウムを必要とする。新型(novel)PKC(nPKC)はDAG及びPSを必要とするがカルシウム非依存性である。非典型(atypical)PKC(aPKC)はカルシウム又はDAGを必要としない。
【0003】
PKCθは、nPKCサブファミリーのメンバーである。PKCθは、限られた発現パターンを有し、主にT細胞及び骨格筋内で見られる。T細胞活性化によって、T細胞と抗原提示細胞(antigen presenting cell)(APC)の接触部位に超分子活性化クラスター(supramolecular activation cluster)(SMAC)で構成された免疫シナプス(immunological synapse)(IS)が生じる。PKCθは、SMACに局在することが分かっている唯一のPKCアイソフォームであり(C. Monks et al., Nature, 1997, 385, 83)、SMACはPKCθをT細胞活性化プロセスを媒介する他のシグナル伝達酵素と近接して配置する。別の研究では(G. Baier-Bitterlich et al., Mol. Cell. Biol., 1996, 16, 842)、IL-2遺伝子の活性化で重要な転写因子であるAP-1の活性化におけるPKCθの役割を確認した。未刺激T細胞では、恒常的活性型PKCθがAP-1活性を刺激したが、ドミナントネガティブなPKCθを有する細胞では、PMAによる活性化によってAP-1活性は誘発されなかった。他の研究は、PKCθが、IκBキナーゼβの活性化によって、T細胞受容体/CD28同時刺激によって誘発されるNF-κBの活性化を媒介することを示した(N. Coudronniere et al., Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A., 2000, 97, 3394; X. Lin et al., Moll. Cell. Biol., 2000, 20, 2933)。PKCθノックアウトマウス由来の末梢T細胞の増殖は、T細胞受容体(TCR)/CD28刺激に応答して、野生型マウス由来のT細胞に比べて大きく減少した。さらに、T細胞から放出されたIL-2の量も大いに減少した(Z. Sun et al., Nature, 2000, 404, 402)。その他の点では、PKCθノックアウトマウスは正常に見えるし、繁殖性だった。
上で引用した研究及び他の研究は、T細胞の活性化とその後のIL-2等のサイトカインの放出及びT細胞の増殖におけるPKCθの重大な役割を確証する(A. Altman et al., Immunology Today, 2000, 21, 567)。従って、PKCθの阻害薬は、T細胞の不適切な活性化によって媒介される免疫学的疾患及び他の疾患を治療する際に治療上有効であろう。
【0004】
T細胞が免疫反応の制御で重要な役割を果たすことは十分に確立している(Powrie and Coffman, Immunology Today, 1993, 14, 270)。実際に、T細胞の活性化は免疫学的疾患の起因事象であることが多い。TCRの活性化後に、T細胞の活性化に必要なカルシウムが流入される。活性化によって、T細胞は例えばIL-2のようなサイトカインを産生し、T細胞の増殖、分化、及びエフェクター機能をもたらす。IL-2の阻害薬による臨床研究は、T細胞の活性化及び増殖の妨害が、免疫反応をin vivoで有効に抑制することを示した(Waldmann, Immunology Today, 1993, 14, 264)。従って、Tリンパ球の活性化とその後のサイトカインの産生を阻害する薬剤は、免疫抑制が必要な患者の免疫反応を選択的に抑制するために治療的に有用であり、ひいては自己免疫性及び炎症性疾患のような免疫学的疾患の治療に有用である。
参照によって本明細書に援用される米国特許出願公開第US2005/0124640号は、PKCθによって媒介される免疫疾患などの種々の疾患の治療に有用な、PKCθの阻害薬である下記式(I)の化合物を開示している。
【0005】
【化1】

(I)
【発明の概要】
【0006】
(本発明の簡単な概要)
一般態様では、本発明は、患者の免疫学的疾患又はアテローム性動脈硬化症の治療方法であって、患者由来の血液をPKCθの阻害薬でex vivoにて処理する工程、次にこの処理した血液を患者に再投与する工程を含む方法に関する。
本発明の別の態様では、患者の血液由来の白血球フラクションを単離し、PKCθの阻害薬でex vivoにて処理してから、患者に再投与する。
本発明の別の態様では、患者の血液由来の制御性T細胞(Treg細胞)を単離し、PKCθの阻害薬でex vivoにて処理してから、患者に再投与する。
本発明の別の態様では、患者の血液由来のTreg細胞を単離し、ex vivoで増殖させて、より多数のTreg細胞を発生させ、PKCθの阻害薬で処理してから患者に再投与する。
本発明の別の態様では、PKCθ阻害薬が、下記式(I)
【0007】
【化2】

(I)
【0008】
(式中、R1、R2及びR3は、本明細書の定義どおりである)
の化合物である。
別の態様では、免疫学的疾患が、炎症性疾患、自己免疫疾患、臓器及び骨髄移植拒絶反応並びにT細胞媒介免疫反応と関係がある他の障害、例えば急性又は慢性炎症、アレルギー、接触皮膚炎、乾癬、関節リウマチ、多発性硬化症、I型糖尿病、炎症性腸疾患、ギラン・バレー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(及び他の型の臓器又は骨髄移植拒絶反応)及びエリテマトーデスから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】特定の阻害薬である化合物IaによるPKCθの阻害がCD4+CD25+Treg細胞の抑制機能をin vitroで上方制御することを示す。Treg細胞及びCD4+CD25-Teff(non-Treg)細胞を化合物Iaで0.001〜1μMにて30分間(1a〜1b)、又は1μMにて0〜60分間(1c)処理した。処理した細胞をCD4+CD25-T(Teff)細胞と1:9比で混合し、固定化抗CD3 mAb上にプレートした。24〜48時間後にIFNγについて上清を分析した(1a及び1c)。96時間後に細胞増殖を定量した。4つの異なる実験の平均を示す。
【図2】PKCθの阻害薬による抑制機能の上方制御はそれらのIC50と相関することを示す。グラフに示すようにIC50値が異なる1μMのPKCθ阻害薬でTreg細胞を処理した。処理した細胞をCD4+CD25-T(Teff)細胞と1:9比で混合し、固定化抗CD3 mAb上にプレートした。24〜48時間後IFNγについて上清を分析した。4つの異なる実験の平均を示す。グラフに示すように、IFNγ分泌に及ぼす抑制効果の増強は、一般的に阻害薬の効力と相関する。
【図3】Treg細胞にPKCθを標的にするサイレントRNA、又はコントロールのサイレントRNAをトランスフェクトし、抗CD3 mAb上にプレートした。48時間後にPKCθの発現をウエスタンブロット解析で測定した。
【図4】siRNAによるPKCθの阻害がCD4+CD25+Treg細胞の抑制機能をin vitroで上方制御することを示す。処理したTreg及びnon-Treg、又はsiRNAをトランスフェクトしたTregをCD4+CD25-T(Teff)細胞と1:9比で混合し、固定化抗CD3 mAb上にプレートした。24〜48時間後IFNγについて上清を分析した。4つの異なる実験の平均を示す。
【図5a】PKCθ阻害薬による処理がin vivoでTreg機能を上方制御することを示す。方法概要に記載のように大腸炎をC57BL/10.PL TCRα-/-β-/-マウスに誘発した。マウス数は5(PBS)、8(Teff)、7(Teff/Tregコントロール)、7(Teff/Treg PKCθ阻害薬)だった。
【図5b】図5aにおける異なる群の遠位結腸の組織構造のスライドを示す。PKCθ処理マウスで正常な組織構造が観察される。
【図5c】健常ドナー及びRA患者から精製したてのTreg細胞をPKCθ阻害薬で1μMにて30分間処理するか又は処理せず、3回洗浄し、CD4+CD25-T細胞と比1:3で混合し、抗CD3 mAb上にプレートした。24〜48時間後に上清をIFNγについて分析した。3つの独立した実験のデータを併せて提示する。Treg媒介阻害%は以下のように計算した:1-(Treg存在下のIFNγのレベル/Treg非存在下のIFNγのレベル)×100%。P値はt検定によって計算した。
【図5d】RA患者の不完全なTreg機能は、疾患の活性スコアと逆相関し、PKCθ阻害薬Iaによる処理は、25人全てのRA患者から精製したTreg細胞の抑制機能を健常ドナー由来のTreg細胞に匹敵するレベルまで有意に高めたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
CD4+CD25+制御性T細胞(Treg)は、抗原受容体及び細胞接触機構を介してCD4+及びCD8+エフェクター細胞(Teff)の機能を抑制する。最近の研究は、Treg細胞がレスポンダーCD4+CD25-T細胞の増殖を阻害する能力にTCR活性化が必要であることをin vitroで実証した(A.M. Thornton et al., Eur. J. Immunol, 2004, 34, 366)。我々は、in vitroでPKCθの阻害がヒトCD4+CD25+Treg細胞の抑制機能に影響を及ぼし得るかを調べた。この目的のため、我々は、特定のPKCθ阻害薬、すなわち、化合物IaでCD4+CD25+Treg又はCD4+CD25-Teff細胞(図1a及び1bではそれぞれTreg又はnon-Treg)を処理し、洗浄し、1:9の比の未処理Teff細胞と共に抗CD3抗体上で培養した。24及び96時間後にそれぞれIFNγ分泌及び細胞増殖を測定した。我々は、PKCθ阻害薬はTreg細胞の抑制能力を有意に上方制御するが、未処理レスポンダーTeffが加えられているTeffでは抑制活性を誘発しないことを見い出した(図1a及び1b)。図1aは、IFNγの産生に及ぼす阻害効果を示し、図1bは、細胞増殖に及ぼす効果を示す。さらに、PKCθ阻害薬がTreg機能に及ぼす効果は時間依存性であり;増強された抑制機能の最大レベルは、化合物によるTreg処理の30分後に達成された(図1c)。
【0011】
PKCθ阻害薬の異なるIC50値を有する類似体によるTreg細胞の処理は、抑制効果と阻害薬の効力との相関関係を実証した。IC50≦1nMのPKCθ阻害薬はそれらの抑制機能を有意に上方制御するが(図2)、IC50が8nM以上の阻害薬の効果は有意でなかった。従って、Treg機能をブーストするためのPKCθ阻害薬の能力は一般的にそれらの阻害能と相関する。
PKCθの阻害がヒトTregの抑制活性を上方制御するという結論を確証するため、我々は、RNA干渉を利用してPKCθ遺伝子発現を特異的に停止させた(K.K. Srivastava et al., J. Biol. Chem., 2004, 279, 29911)。この処置はTreg細胞におけるPKCθの発現を80%抑止した(図3)。さらに、Treg細胞がTeff細胞におけるIFNγ分泌を阻害する能力は、PKCθ遺伝子を特異的に発現停止させるのみならず、PKCθ阻害薬IaでTreg細胞を処理することによって上昇した(図4)。Teff細胞におけるPKCθ遺伝子の発現停止は、IFNγ分泌の有意な下方制御をもたらした。要約すれば、我々は、特定の阻害薬又はsiRNAのどちらかによるPKCθの阻害が、in vitroでヒトTreg細胞の抑制機能を上方制御すると結論づけた。
【0012】
次に、我々は、エフェクターCD4+CD25-CD45RB+Teff細胞の伝達によって誘発されたTCRα-/-β-/-マウスの大腸炎モデルを用いて、in vivoでPKCθ阻害薬IaがTreg機能を上方制御する能力を決定した(F. Powrie, et al., J. Exp. Med. 1996, 183, 2669)。1:4比のTreg/Teffでは、8匹中7匹のマウスで正常な体重増加及び遠位結腸の正常な組織構造によって実証されるように、PKCθ阻害薬で処理したCD4+CD25+Treg細胞は、レシピエントマウスを大腸炎からほとんど100%防御した(図5a及び5b)。この防御は、未処理のままであるか又は同一Treg/Teff比でずっと弱いPKCθ阻害薬によって処理したTregによって与えられる防御よりはるかに優れた。このように、マウスTregにおけるPKCθの阻害は、それらの抑制機能をin vivoで有意に上方制御する。
【0013】
関節リウマチ(RA)は、慢性自己免疫学的疾患であり、究極的に関節構造の破壊につながる。RA患者の最近の研究は、D4+CD25+Treg細胞の機能が損なわれることを示唆した(Ehrenstein, M.R., et al., J. Exp. Med., 2004, 200, 277)。疾患の重症度が異なる25人のRA患者の末梢血から精製したCD4+CD25+Treg細胞を用いて、我々は、Treg数は健常ドナーに匹敵するが、Treg細胞は自己Teff細胞からのIFNγの産生を抑制する能力が健常ドナーに比べて有意に低いことを見い出した(図5c)。さらに、RA患者の不完全なTreg機能は、疾患の活性スコアと逆相関した(DASスコア;図5d)。進行性及び活性が高い疾患(DAS>5)の患者由来のTreg細胞は、Teff細胞からのIFNγのTreg媒介抑制が約2〜4倍少ないことを示したが、中程度又は不活性な疾患(DAS<5)のRA患者由来のTreg細胞は、より有効であり、健常ドナー由来のTreg細胞と同様のレベルでIFNγ分泌を抑制した(1:3のTreg/Teffで24〜40%の阻害)。さらに、PKCθ阻害薬Iaによる処理は、25人全てのRA患者から精製したTreg細胞の抑制機能を健常ドナー由来のTreg細胞に匹敵するレベルまで有意に高めた(図5d)。これらの結果は、PKCθの阻害が、RA患者から単離されたTreg細胞の不完全な抑制機能を逆転させることを示唆している。
【0014】
多数のTregをin vitroで育てる方法が改良されたため、最近は自己免疫疾患の治療にTregベースの養子免疫療法を適用することが実行可能になってきた(C.H. June and B.R. Blazar Seminars in immunology, 2006, 18, 78及びHippen, et al., Blood 2008, 112: 2847のレビュー参照)。可能な適用には、移植片対宿主病、臓器拒絶反応及び自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ及び1型糖尿病などの治療が含まれる。養子免疫療法で使うためのTreg集団の単離及びex vivo増殖は文献で実証されており、技術上周知である(参照によって本明細書に援用されるUS2009/0010950A1をも参照されたい)。上記研究において、我々は、PKCθの阻害がTregベースの養子免疫療法で利用価値があることを初めて示した。
Treg細胞は、アテローム性動脈硬化症に阻害作用を及ぼすことも報告されており(P. Aukrust et al., Curr. Atherosclerosis Reports, 2008, 10, 236)、またアテローム性動脈硬化症のマウスモデルで阻害作用をもたらすことが分かっている(H. Ait-Oufella et al., Nature Medicine, 2006, 12, 178)。従って、Treg細胞集団の抑制作用をブーストすることが分かっている、Treg細胞におけるPKCθの阻害は、アテローム性動脈硬化症に有益な作用を及ぼすはずである。
【0015】
一実施形態では、免疫学的疾患のある患者から血液を単離し、この血液をPKCθの阻害薬でex vivoにて処理してから患者に注入して戻す。
別の実施形態では、アテローム性動脈硬化症の患者から血液を単離し、この血液をPKCθの阻害薬でex vivoにて処理してから患者に注入して戻す。
別の実施形態では、免疫学的疾患のある患者から血液の白血球フラクションを単離し、この白血球フラクションをPKCθの阻害薬でex vivoにて処理してから患者に注入して戻す。
別の実施形態では、免疫学的疾患のある患者から血液を単離し、Treg細胞をex vivoで単離かつ拡張し、PKCθの阻害薬で処理してから患者に注入して戻す。
別の実施形態では、アテローム性動脈硬化症の患者から血液を単離し、Treg細胞をex vivoで単離かつ拡張し、PKCθの阻害薬で処理してから患者に注入して戻す。
別の実施形態では、免疫学的疾患のある患者から単離した血液からプラスマフェレーシスによって末梢血単核細胞及びT細胞を分離し、PKCθの阻害薬で処理してから患者に注入して戻す。
別の実施形態では、アテローム性動脈硬化症の患者から単離した血液からプラスマフェレーシスによって末梢血単核細胞及びT細胞を分離し、PKCθの阻害薬で処理してから患者に注入して戻す。
別の実施形態では、PKCθ阻害薬が、下記式(I)
【0016】
【化3】

(I)
【0017】
(式中、
R1は、アリール-C1-4アルキル又はヘテロアリール-C1-4アルキルであり、前記各C1-4アルキル基中、メチレン基が任意に-NHC(O)-又は-C(O)NH-と置き換わっていてもよく、かつ前記各C1-4アルキル基は、任意にオキソ基又は1つ以上のC1-3アルキル基で置換されていてもよく、ここで、C1-4アルキル基の同一炭素原子上の2つのアルキル置換基は、任意に結合してC2-5アルキレンブリッジを形成してもよく、かつ前記アリール基は、任意に隣接炭素原子上でC3-6アルキレンブリッジ基(メチレン基が任意に酸素、イオウ又は-N(R6)-と置き換わっていてもよい)によって置換されていてもよく;
或いはR1は、下記構造:
【0018】
【化4】

【0019】
(式中、x及びyは独立に0、1、2又は3であり、但し、x+yは2〜3であり、かつzは0又は1である)
を有し;
ここで、「ヘテロアリール」は、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、又はインドリルと定義され;
各R1基は、任意に、1つ以上の下記基:C1-6アルキル、Cl、Br、F、ニトロ、ヒドロキシ、CF3、-OCF3、-OCF2H、-SCF3、C1-4アルキルオキシ、C1-4アルキルチオ、フェニル、ベンジル、フェニルオキシ、フェニルチオ、アミノスルホニル、又は任意に1若しくは2つのC1-3アルキル基で置換されていてもよいアミノで置換されていてもよく;
R2は、下記基:
【0020】
【化5】

【0021】
(式中、
nは5〜7の整数であり;
pは1〜2の整数であり;
qは1〜2の整数であり;
R4及びR5は、それぞれ独立に水素、C1-6アルキル、アリールC1-6アルキル、又はアミジノから選択され;
R6は水素である)
から選択され;
R3は、Br、Cl、F、シアノ又はニトロである)
の化合物、
又はその互変異性体、医薬的に許容できる塩若しくは溶媒和物である。
【0022】
別の実施形態では、PKCθ阻害薬が、米国特許出願公開第US2005/0124640号(その全ての一般的及び特定の実施形態は参照によって本明細書に援用される)で開示されているPKCθのいずれかの阻害薬である。
別の実施形態では、PKCθのsiRNA又はshRNA媒介抑制によってPKCθの阻害を達成し、かつ(a)Tregを含む細胞をsiRNA又はshRNAがex vivoで標的にした後、この処理した細胞を患者に注入するか、或いは(b)siRNA又はshRNAを患者に直接投与する。特定の実施形態では、患者から血液を単離し、Treg細胞をex vivoで単離かつ拡張し、siRNA又はshRNAで処理してから患者に注入して戻す。
このように、特定の実施形態では、PKCθのsiRNA又はshRNA媒介抑制によってPKCθの阻害を達成し、この方法は、患者由来の血液をsiRNA又はshRNAでex vivoにて処理する工程、次にこの処理した血液を患者に再投与する工程を含む。さらに特定の実施形態では、患者の血液由来のTreg細胞をex vivoで単離してsiRNA又はshRNAで処理してから患者に再投与する。
別の実施形態では、免疫学的疾患が、乾癬、関節リウマチ、多発性硬化症、I型糖尿病、炎症性腸疾患、ギラン・バレー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(及び他の型の臓器又は骨髄移植拒絶反応)、全身性エリテマトーデスから選択される。
【実施例】
【0023】
(実験)
文献(M.L. Prevoo, et al., Arthritis and rheumatism, 1995, 38, 44; A. Zanin-Zhorov, et al., J. Clin. Invest, 2006, 116, 2022)に記載されているように健常ヒトドナー又は異なる段階の(疾患活性スコア(DAS)に応じて)関節リウマチの25人の患者由来の末梢血液からCD4+CD25+Treg及びCD4+CD25-Teff細胞を精製した。共培養実験では、CD4+CD25+Teff細胞を処理するか又は処理せず、洗浄し、異なる比(1:9、1:3又は1:1)でCD4+CD25-Teff細胞に添加した。抗CD3 mAbをプレコートした24ウェルプレート上で細胞を24〜48時間(サイトカイン分泌)、又は96時間(増殖)共培養した。以前に記載されたように(A. Zanin-Zhorov, et al., ibid., 2006)、ヒトIFNγCytosettm(Biosource; Camarillo, CA)を用いて、ELISAでサイトカインの分泌を定量した。以前に記載されたように(S.A. Ahmed, et al., J. immunological Methods, 1994, 170, 211-224)、Alamar Bluetmアッセイ(Invitrogen)で増殖を評価した。
文献(K.K. Srivastava, et al., J. Biol. Chem. 2004, 279, 29911)に記載されているように、Qiagen IncがSiRNA二本鎖(siRNAs)を合成かつ精製した。PKCθ標的配列は以下のとおりだった:siRNA1(5'-AAACCACCGTGGAGCTCTACT-3')及びsiRNA2(5'-AAGAGCCCGACCTTCTGTGAA-3');コントロールsiRNAはQiagen(1027281)から購入した。ヒトT細胞Nucleofectorキット(Amaxa Biosystems)を用いて、精製したてのT細胞のトランスフェクションを行なった。トランスフェクトされた細胞を、固定化抗CD3抗体上に10%のFCSを含むRPMI 1640内で48〜72時間培養した。ウエスタンブロット解析を利用してPKCθレベルを評価することによってトランスフェクション効率を制御した。
大腸炎のT細胞伝達モデルのため、我々は、C57BL/10.PL TCRα-/-β-/-マウスに5×105個の選別されたCD4+CD25-CD45RB+T細胞のみ或いは示したように前処理したか又は処理していない0.125×105個のCD4+CD25+T細胞と共に静脈内注射した。以前に記載されたように(F. Powrie, et al., J. Exp. Med. 1996, 183, 2669)、体重減少、下痢及び組織学解析によって疾患の進行をモニターした。GraphPad Prismソフトウェア(San Diego, CA)を用いてマン・ホイットニー(Mann-Whitney)検定又は両側t検定(two-tailed t-test)でP値を決定した。
使用したPKCθ阻害薬及びそれらのIC50を下表1に示す。これらの化合物の調製及びPKCθのキナーゼ活性の阻害についてのIC50を決定するために用いたルシフェラーゼアッセイは、米国特許出願公開第2005/0124640号に記載されている。上記in vitro及びex vivoアッセイでは、化合物をDMSOに溶かした。指示濃度の阻害薬又はDMSOコントロールでT細胞を30分間37℃で前処理し、3回洗浄した。
【0024】
表1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の免疫学的疾患又はアテローム性動脈硬化症の治療方法であって、前記患者由来の血液をPKCθの阻害薬でex vivoにて処理する工程、次にこの処理した血液を前記患者に再投与する工程を含む方法。
【請求項2】
前記患者が免疫学的疾患を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者がアテローム性動脈硬化症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の血液由来の白血球フラクションを単離し、PKCθの阻害薬でex vivoにて処理してから前記患者に再投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者の血液由来のTreg細胞を単離し、PKCθの阻害薬でex vivoにて処理してから前記患者に再投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記患者の血液由来のTreg細胞を単離し、ex vivoで増殖させて、より多数のTreg細胞を発生させ、PKCθの阻害薬で処理してから前記患者に再投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記患者が免疫学的疾患を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記患者がアテローム性動脈硬化症を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
免疫学的疾患のある患者から単離した血液からプラスマフェレーシスによって末梢血単核細胞及びT細胞を分離し、PKCθの阻害薬でex vivoにて処理してから前記患者に注入して戻す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アテローム性動脈硬化症の患者から単離した血液からプラスマフェレーシスによって末梢血単核細胞及びT細胞を分離し、PKCθの阻害薬でex vivoにて処理してから前記患者に注入して戻す、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記PKCθ阻害薬が、米国特許第7,550,473号で開示された、PKCθのいずれかの阻害薬である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記PKCθ阻害薬が、下記式(I)
【化1】

(I)
(式中、
R1は、アリール-C1-4アルキル又はヘテロアリール-C1-4アルキルであり、前記各C1-4アルキル基中、メチレン基が任意に-NHC(O)-又は-C(O)NH-と置き換わっていてもよく、かつ前記各C1-4アルキル基は、任意にオキソ基又は1つ以上のC1-3アルキル基で置換されていてもよく、ここで、C1-4アルキル基の同一炭素原子上の2つのアルキル置換基は、任意に結合してC2-5アルキレンブリッジを形成してもよく、かつ前記アリール基は、任意に隣接炭素原子上でC3-6アルキレンブリッジ基(メチレン基が任意に酸素、イオウ又は-N(R6)-と置き換わっていてもよい)によって置換されていてもよく;
或いはR1は、下記構造:
【化2】

(式中、x及びyは独立に0、1、2又は3であり、但し、x+yは2〜3であり、かつzは0又は1である)
を有し;
ここで、「ヘテロアリール」は、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、又はインドリルと定義され;
各R1基は、任意に、1つ以上の下記基:C1-6アルキル、Cl、Br、F、ニトロ、ヒドロキシ、CF3、-OCF3、-OCF2H、-SCF3、C1-4アルキルオキシ、C1-4アルキルチオ、フェニル、ベンジル、フェニルオキシ、フェニルチオ、アミノスルホニル、又は任意に1若しくは2つのC1-3アルキル基で置換されていてもよいアミノで置換されていてもよく;
R2は、下記基:
【化3】

(式中、
nは5〜7の整数であり;
pは1〜2の整数であり;
qは1〜2の整数であり;
R4及びR5は、それぞれ独立に水素、C1-6アルキル、アリールC1-6アルキル、又はアミジノから選択され;
R6は水素である)
から選択され;
R3は、Br、Cl、F、シアノ又はニトロである)
の化合物、
又はその互変異性体、医薬的に許容できる塩若しくは溶媒和物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
PKCθのsiRNA又はshRNA媒介抑制によって前記PKCθの阻害を達成し、かつ前記患者由来の血液をsiRNA又はshRNAでex vivoにて処理する工程、次にこの処理した血液を前記患者に再投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記患者の血液由来のTreg細胞を単離し、siRNA又はshRNAでex vivoにて処理してから前記患者に再投与する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫学的疾患が、炎症性疾患、自己免疫疾患、臓器及び骨髄移植拒絶反応並びにT細胞媒介免疫反応と関係がある他の障害、例えば急性又は慢性炎症、アレルギー、接触皮膚炎、乾癬、関節リウマチ、多発性硬化症、I型糖尿病、炎症性腸疾患、ギラン・バレー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(及び他の型の臓器又は骨髄移植拒絶反応)及び全身性エリテマトーデスから選択される、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【公表番号】特表2012−525403(P2012−525403A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508629(P2012−508629)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/032707
【国際公開番号】WO2010/126967
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【出願人】(594032322)ニューヨーク・ユニバーシティ (34)
【氏名又は名称原語表記】New York University
【Fターム(参考)】