POPラベル
【課題】 本発明は、表示スペースのさらなる増大を図ることができるPOPラベルを提供する。
【解決手段】 本発明のPOPラベル1は、第1シート21及び第2シート22が粘着剤層31を介して積層されたラベル基材2から形成されており、第2シート22側を商品に向けて貼付されるラベルであって、商品に貼着可能な貼着領域S1と、前記商品に貼着不能で且つ商品の端部から突出させる突出領域Tと、を有し、前記貼着領域S1における前記第2シート22の所定部分22aを分離するための切込み線4が前記第2シート22に形成されており、前記所定部分22aに対応した前記第1シート21と第2シート22の層間に、剥離層5が設けられている。
【解決手段】 本発明のPOPラベル1は、第1シート21及び第2シート22が粘着剤層31を介して積層されたラベル基材2から形成されており、第2シート22側を商品に向けて貼付されるラベルであって、商品に貼着可能な貼着領域S1と、前記商品に貼着不能で且つ商品の端部から突出させる突出領域Tと、を有し、前記貼着領域S1における前記第2シート22の所定部分22aを分離するための切込み線4が前記第2シート22に形成されており、前記所定部分22aに対応した前記第1シート21と第2シート22の層間に、剥離層5が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の端部から突出するように貼着できるPOPラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料、菓子、化粧品、薬、洗剤、シャンプーなどの様々な物品が容器や箱などに包装され、商品として流通している。
これら商品には、広告宣伝及び原材料表示などのため、ラベルが貼着されている。
このラベルの中で、主として消費者の注意を惹き且つ広告宣伝機能を高めるため、一部分を商品の端部から突出させた状態で貼着できるPOPラベルが知られている(特許文献1)。POPラベルは、アイキャッチラベルとも呼ばれる。
POPラベルは、一般に所定形状のラベル基材から形成されており、商品の一部分に貼着可能な貼着領域と、商品の端部から外側へ突出させる突出領域と、を有する。
この貼着領域を商品に貼着することにより、POPラベルの一部分である突出領域が商品の外側に突出するので、デザインの表示面積が拡大すると共に商品が大きく見え、消費者の注意を惹き付けることができる。
【0003】
広告宣伝の対象である商品は、それ自体にデザインを施すスペースに限界があるが、上記POPラベルを貼り付けることにより、広告宣伝スペースの増大を図ることができる。
ところで、商品には、消費者の注意を惹くための広告宣伝的な表示だけでなく、商品の使用説明、物品の原材料、商品名及び製造元などの表示も表される。以下、本明細書において、消費者の注意を惹くための広告宣伝的な表示を「広告宣伝表示」といい、前記例示のような広告宣伝目的でない表示を「非広告宣伝表示」という。
よって、商品には、広告宣伝表示だけでなく、非宣伝広告表示も十分に施されていなければならない。
【0004】
しかしながら、上述のように商品自体の表示スペースは限界がある上、その商品に貼着されるPOPラベルの大きさ自体にも限界がある。
それ故、さらに表示スペースを増大させることができるPOPラベルが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−351333
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、表示スペースのさらなる増大を図ることができるPOPラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、POPラベルの特性に着目した。すなわち、消費者がPOPラベル付きの商品を使用する際には、商品の外形よりも大きいPOPラベルが却って邪魔になるため、POPラベルを引き剥がして廃棄する。このPOPラベルが引き剥がされた後にも、商品に所望の表示が付随するようにすれば、廃棄前後でも消費者に所望の表示を見せることができるので、結果的に表示スペースの増大を図ることができる。このような考えの下、本発明者らは、以下の手段を案出した。
【0008】
本発明のPOPラベルは、第1シート及び第2シートが粘着剤層を介して積層されたラベル基材から形成されており、第2シート側を商品に向けて貼着されるPOPラベルであって、商品に貼着可能な貼着領域と、前記商品に貼着不能で且つ商品の端部から突出させる突出領域と、を有し、前記貼着領域における前記第2シートの所定部分を分離するための切込み線が前記第2シートに形成されており、前記所定部分に対応した前記第1シートと第2シートの層間に、剥離層が設けられている。
【0009】
本発明の好ましいPOPラベルは、前記貼着領域が複数設けられ、前記各貼着領域が、離れて独立しており、前記切込み線が前記複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域に対応した前記第2シートに形成されており、前記複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域には、前記切込み線が形成されていない。
本発明の好ましいPOPラベルは、前記第2シートの所定部分を仮止めする仮止め手段が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のPOPラベルは、その突出領域が商品の端部から突出し且つ貼着領域が商品の一面に貼着するように位置合わせすることによって、商品に貼着される。この突出領域を含むPOPラベルを商品から引き剥がすと、第2シートの所定部分が切取り線に従って分離され、それが商品に貼り付いたままで残存する。従って、本発明のPOPラベルを用いれば、そのラベルが商品に貼着されている間は、そのラベル全体において広告宣伝表示などの所望の表示を消費者に見せることができ、それが剥がされた後は、所定部分が商品に付随して残るので、その所定部分に表された所望の表示を消費者に見せることができる。
よって、本発明のPOPラベルは、さらなる表示スペースの増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係るPOPラベルの複数が離型紙上に貼付されたラベル連続体の正面図。
【図2】同POPラベルのみを背面から見た拡大図。判りやすく図示するため、貼着領域を網掛けで示している(図9、図16〜図18も同様に、貼着領域を網掛けで示している)。
【図3】図1のIII−III線で切断した拡大断面図。
【図4】図1のIV−IV線で切断した拡大断面図。
【図5】同POPラベルがキャップ付き容器(商品)に貼着されたラベル付き商品の正面図。
【図6】同ラベル付き商品の右側面図。
【図7】同ラベル付き商品からPOPラベルを引き剥がした状態を示す正面図。
【図8】第2実施形態に係るPOPラベルの複数が離型紙上に貼付されたラベル連続体の正面図。
【図9】同POPラベルのみを背面から見た拡大図。
【図10】図8のX−X線で切断した拡大断面図。
【図11】図8のXI−XI線で切断した拡大断面図。
【図12】図8のXII−XII線で切断した拡大断面図。
【図13】同POPラベルがトリガースプレー容器(商品)に貼着されたラベル付き商品の正面図。
【図14】同ラベル付き商品の右側面図。
【図15】同ラベル付き商品からPOPラベルを引き剥がした状態を示す正面図。
【図16】他の実施形態に係るPOPラベルの背面図。
【図17】更なる他の実施形態に係るPOPラベルの背面図。
【図18】更なる他の実施形態に係るPOPラベルの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1〜図4に於いて、本発明のPOPラベル1は、第1シート21及び第2シート22が粘着剤層31を介して積層されたラベル基材2から形成されており、このラベル1は、第2シート22側を商品に対面させて貼着される。
このPOPラベル1は、商品に装着されるときの商品との位置関係に従って区分けすると、商品の一面に面し且つ商品の一面に貼着可能な貼着領域S1,S2と、商品に貼着不能で且つ商品の端部から突出させる突出領域Tと、を有する。
【0013】
ラベル基材2の貼着領域S1において、その第2シート22のみに切込み線4が設けられている。この切込み線4によって区画された、第2シート22の所定部分22aは、第2シート22のその他の部分22bから分離可能である。
前記所定部分22aに対応した第1シート21と第2シート22の層間には、剥離層5が設けられている。この第2シート22の所定部分22aは、POPラベル1を商品から引き剥がした後、その商品に残存するラベルの残存部分である。
POPラベル1は、通常、帯状の離型紙8の長手方向に向きを揃えて順に貼付されている。本発明のPOPラベル1は、図1に示すように、その複数が離型紙8の一面上に貼付されたラベル連続体の態様で、通常提供される。
【0014】
POPラベル1の全体的な形状は特に限定されず、図1及び図2のような平面視略矩形状、図示しないが、平面視略円形状、平面視略楕円形状、平面視略三角形状、平面視略T字状などの任意の形状に形成できる。なお、平面視の形状は、ラベル基材2の表面の法線方向から見た形状を意味する。ここで、本明細書において、裏面は、商品と対面する側の面(つまり、POPラベル1を商品に貼着したときに、商品に近い側の面)を指し、表面は、その裏面とは反対側の面を指す。
【0015】
POPラベル1を形成するラベル基材2は、表面側から順に、第1シート21、粘着剤層31、第2シート22及び粘着剤層32が積層された積層体からなる。以下、第1シート21の裏面と第2シート22の表面の間に設けられた粘着剤層31を第1粘着剤層といい、第2シート22の裏面に設けられた粘着剤層32を第2粘着剤層という。
さらに、第1シート21と第2シート22の間には、剥離層5が部分的に設けられ、第2粘着剤層32の裏面には、隠蔽層6が部分的に設けられている。
【0016】
第1シート21及び第2シート22は、それぞれシート材(一般にフィルムと呼ばれるものも同義である)から形成されている。このシート材としては、例えば、紙、合成紙、合成樹脂製シート、金属蒸着シート、発泡樹脂シート、及びこれらが2層以上積層された積層シートなどが挙げられる。合成樹脂製シート等の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリエチレンを含む共重合ポリマーなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系などが挙げられる。合成樹脂製シートは、後述するデザインを裏面に施す場合には、それを良好に視認できるようにするため、透明なものが好ましい。
【0017】
第1シート21及び第2シート22の厚みは、特に限定されず、通常、それぞれ30μm〜150μm程度である。
第1シート21及び第2シート22は、同一材料のシート材でもよいし、異なる材料からなるシート材でもよいし、同じ厚みのシート材でもよいし、或いは、異なる厚みのシート材でもよい。
【0018】
第1シート21の表面又は裏面には、所望のデザインを表す意匠印刷(図示せず)が施されている。第1シート21の意匠印刷のデザインは、特に限定されないが、好ましくは広告宣伝表示を含み、必要に応じて非広告宣伝表示も含んでいてもよい。第1シート21が透明である場合には、意匠印刷の傷付き防止のため、前記意匠印刷は、第1シート21の裏面に施すことが好ましい。
【0019】
第2シート22の少なくとも所定部分22aの表面又は裏面には、所望のデザインを表す意匠印刷(図示せず)が施されている。第1シート21が第2シート22に積層された状態においては、前記所定部分22aのデザインは、第1シート21の表面側から見えないようになっている。すなわち、第1シート21が不透明なシート材からなる又は第1シート21に施された意匠印刷によって、所定部分22aのデザインは、第1シート21の表面側から透視不能とされている。一方、所定部分22aのデザインは、第1シート21を除去した後に、所定部分22aの表面側から良好に視認できる。
第2シート22の意匠印刷のデザインは、特に限定されないが、好ましくは非広告宣伝表示を含み、必要に応じて広告宣伝表示も含んでいてもよい。
第2シート22が透明である場合には、意匠印刷の傷付き防止のため、前記意匠印刷は、第2シート22の裏面に施すことが好ましい。
【0020】
第1粘着剤層31は、第1シート21と第2シート22を接着するために設けられている。
第1粘着剤層31は、第1シート21の裏面に粘着剤を塗布することによって設けられている。なお、本実施形態では、第1シート21の裏面に第1粘着剤層31が設けられている。もっとも、第2シート22の表面に第1粘着剤層31を設けても、第1シート21及び第2シート22を接着できることには変わりがない。つまり、第1粘着剤層31は、第1シート21の裏面及び第2シート22の表面の少なくとも何れか一方の面に設けられていればよい。ただし、第1シート21を第2シート22の所定部分22aから剥がしたときに、所定部分22aの表面に粘着剤が残らないようにするため、第1粘着剤層31は第1シート21と共に所定部分22aから剥がれるようになっていることが好ましい。
以下では、第1シート21の裏面に第1粘着剤層31が設けられている場合を例に採って説明していく。
【0021】
第1粘着剤層31は、第1シート21の裏面全体に設けられている。例えば、第1シート21の裏面全体に粘着剤をベタ状に塗布する、又は、第1シート21の裏面全体に粘着剤を網目状若しくは無数のドット状に塗布することによって、第1シート21の裏面全体に第1粘着剤層31を設けることができる。
【0022】
かかる第1粘着剤層31によって、第1シート21と第2シート22は、剥離層5が設けられた部分を除いて、強く接着している。なお、前記強く接着とは、手で剥がそうとしてしても簡単に剥がれない程度に接着しているという意味である。
前記第1粘着剤層31を形成するための粘着剤としては、感圧型粘着剤が好ましいが、感熱型粘着剤を用いることもできる。なお、感圧型粘着剤は、室温で粘着力を有し且つその粘着力が長期間持続している粘着剤であり、従来公知のタックラベルで広く使用されているものである。感熱型粘着剤は、室温で粘着性を示さず、加熱することにより粘着力を発揮し且つその粘着力が長期間持続する粘着剤である。
【0023】
第2粘着剤層32は、POPラベル1を商品に貼着するために設けられている。
第2粘着剤層32は、第2シート22の裏面に粘着剤を塗布することによって設けられている。
本実施形態では、第2粘着剤層32は、第2シート22の裏面全体に設けられている。例えば、第2シート22の裏面全体に粘着剤をベタ状に塗布する、又は、第2シート22の裏面全体に粘着剤を網目状若しくは無数のドット状に塗布することによって、第2シート22の裏面全体に第2粘着剤層32を設けることができる。
前記第2粘着剤層32を形成するための粘着剤としては、第1粘着剤層31と同様に、従来公知の感圧型粘着剤が好ましいが、感熱型粘着剤を用いることもできる。なお、第2粘着剤層32が感熱型粘着剤である場合には、本発明のPOPラベル1は離型紙8に貼付しないでラベラーに装填することもできる。
【0024】
さらに、第2粘着剤層32の裏面には、第2粘着剤層32の粘着力を隠蔽するための隠蔽層6が部分的に設けられている。
隠蔽層6は、第2粘着剤層32の裏面内(第2シート22の面内)において離れて独立した複数の部分を除き、第2粘着剤層32の裏面に隠蔽層形成材料をベタ状に塗工することによって形成されている。前記隠蔽層形成材料としては、紫外線硬化型インキ、シリコーンを含むコート剤などが挙げられる。隠蔽層6の厚みは、通常、3μm〜20μmである。隠蔽層6を比較的厚く形成することにより、第2粘着剤層32の粘着力を確実に隠蔽できる。
前記隠蔽層6が設けられた部分は、商品に貼着不能な部分である。この隠蔽層6が設けられた部分のうち、貼着領域S1,S2を介してPOPラベル1を商品に貼着したときにその商品の端部から突出する領域が、POPラベル1の突出領域Tである。
【0025】
前記隠蔽層6が設けられていない、独立した複数の部分においては、第2粘着剤層32の裏面が露出している。図2の網掛けが第2粘着剤層32が露出した部分であり、よって、図2の無地が隠蔽層6が設けられた部分である。前記第2粘着剤層32の裏面が露出した部分が商品に貼り付くので、その部分を介してPOPラベル1を商品に貼着できる。つまり、その部分に対応した領域が、POPラベル1の貼着領域S1,S2である。
【0026】
本実施形態では、離れて独立した貼着領域S1,S2が、2箇所形成されている。以下、便宜上、両者を区別するために、第1貼着領域及び第2貼着領域という。
もっとも、前記貼着領域S1,S2は、2箇所に限定されず、3箇所以上形成されていてもよいし、後述するように、1箇所だけ形成されていてもよい。
【0027】
第1貼着領域S1は、ラベル基材2の略中央部から下方全部である。
第2貼着領域S2は、ラベル基材2の略中央部において、一方の側端から他方の側端にまで形成された横長の帯状部である。
第1貼着領域S1と第2貼着領域S2は連続しておらず、第1貼着領域S1と第2貼着領域S2の間には、隠蔽層6が介在している。従って、第2貼着領域S2と第1貼着領域S1の間の領域Mは、商品に対して貼着不能である。
【0028】
前記第1貼着領域S1は、ラベル基材2の一部の領域であるため、第1基材及び第2基材を有するが、その第1貼着領域S1の範囲内における第2シート22の所定部分22aを分離するために、第2シート22に切込み線4が形成されている。
この切込み線4は、粘着剤が露出した部分である第1貼着領域S1の周縁よりも内側寄りの位置に形成されている。例えば、切込み線4は、第1貼着領域S1の範囲内に形成され、その平面視形状が、横長の長方形状に形成されている。従って、切込み線4の内側部分(所定部分22a)だけでなく、切込み線4の外側近傍にも第2粘着剤層32の裏面が露出している。
【0029】
切込み線4は、第2シート22及び第2粘着剤層32を厚み方向に切断した切り目の連続線である。本実施形態では、切込み線4は、無端状である。この無端状の切込み線4から形成される所定部分22aの形状は、第1貼着領域S1の貼着対象である商品の一面の形状と同じ又はその形状よりも小さいことが好ましい。一方、第2貼着領域S2には、前記切込み線4は形成されていない。もっとも、第2貼着領域S2にも同様の切込み線を形成してもよい。
【0030】
また、第1貼着領域S1には、第1貼着領域S1を2分するためのミシン目線79が形成されている。このミシン目線79は、ラベル基材2(少なくとも第1シート21及び第2シート22)の厚み方向に貫通する貫通孔が断続的に形成された線である。ミシン目線79は、切込み線4と交差せず且つ第1貼着領域S1を2分するように、一方の側端から他方の側端にまで横方向に延びている。なお、図1、図5及び6においては、隠れ線と区別するために、ミシン目線を二点鎖線で表している。
【0031】
第2シート22は、第1粘着剤層31を介して第1シート21に強く接着しているため、前記切込み線4を形成しただけでは、前記切込み線4によって囲われた第2シート22の所定部分22aを、第2シート22のその他の部分22bから分離することはできない。この第2シート22の所定部分22aを第2シート22のその他の部分22bから分離できるようにするために、前記所定部分22aに対応した前記第1シート21と第2シート22の層間に剥離層5が設けられている。
【0032】
剥離層5は、第1粘着剤層31の粘着力を弱める層である。剥離層5は、所定部分22aに対応した第2シート22の表面又は所定部分22aに対応した第1粘着剤層31の裏面に設けられている。好ましくは、剥離層5は、所定部分22aに対応した第2シート22の表面に設けられている。このように第2シート22の表面に剥離層5を設けておくと、第1シート21を第2シート22の所定部分22aから剥がした後、第2シート22の所定部分22aの表面に剥離層5が付着したままで残るので、その剥離層5が所定部分22bの表面を保護する保護膜として機能する。さらに、第1シート21に第1粘着剤層31を設け且つ第2シート22の表面に剥離層5を設けることにより、消費者がPOPラベル1を引き剥がすまで、所定部分22aを第1シート21に対して安定的に付着させておくことができる。
また、剥離層5は、少なくとも所定部分22aに対応して設けられていればよく、所定部分22aから僅かに外側にはみ出ていてもよい。
【0033】
なお、第1粘着剤層31が第2シート22の表面に設けられている場合には、前記剥離層5は、所定部分22aに対応した第1シート21の裏面又は所定部分22aに対応した第1粘着剤層31の表面に設けられる。
【0034】
剥離層5は、例えば、切込み線4で囲われた第2シート22の表面に剥離層形成材料をベタ状に塗工することによって形成できる。また、切込み線4で囲われた部分だけでなく切込み線4の外側近傍領域を含んで剥離層形成材料を塗工することにより、所定部分22aから僅かに外側にはみ出だした剥離層5を形成できる。実際のPOPラベル1の製造工程では、剥離層5を形成した後に切込み線4が形成されるが、切込み線4の形成位置が少しずれることがあるからである。
【0035】
剥離層形成材料としては、例えば、シリコーン、フッ素化合物、ワックス類などの剥離剤を含有するインキ(着色剤を含まない所謂メジウムインキなど)などを用いることができる。
剥離層5や隠蔽層6の形成材料としてインキを用いれば、公知の印刷法によってそれらを容易に形成できる。
剥離層5の厚みは、特に限定されないが、第1粘着剤層31の粘着力を弱めるために、1μm〜3μmが好ましい。
【0036】
なお、前記剥離層5が第2シート22の所定部分22aと第1シート21の間に設けられているが故に、POPラベル1を離型紙8から引き剥がすときに前記所定部分22aが分離して、前記所定部分22aのみが離型紙8の上に残るおそれがある。或いは、所定部分22aと第1シート21及び他の部分22bとが自然に離反するおそれがある。
このような事態を防止するために、前記第2シート22の所定部分22aを仮止めする仮止め手段が設けられている。
本実施形態では、仮止め手段として、所定部分22aの面内の一部分に剥離層5を設けず、第2シート22の所定部分22a内の一部分と第1シート21とを第1粘着剤層31を介して部分的に接着させている。以下、所定部分22a内の一部分と第1シート21とを接着させた箇所を「部分接着部」という。
【0037】
この部分接着部71は、第2シート22の所定部分22aの面内に設けられていれば、その位置や数は特に限定されない。
前記所定部分22aは切込み線4(つまり、所定部分22aの周縁)から第2シート22のその他の部分22bと分離し始めるので、部分接着部71の形成位置は、所定部分22aの周縁近傍であることが好ましい。
また、長尺状の離型紙8上に並んで貼付されたPOPラベル1は、離型紙8の先端側Xに対応したPOPラベル1の縁部から引き剥がされるので、部分接着部71の形成位置は、前記所定部分22aの周縁近傍であって離型紙8の長手方向の先端側Xであることがより好ましい。
【0038】
さらに、部分接着部71の形成数は、少なくとも1箇所であるが、その数が多ければそれに応じて所定部分22aの分離を確実に防止できるので、2箇所以上が好ましい。もっとも、部分接着部71を余りに多く設けると、商品に貼着したPOPラベル1を引き剥がすときに、所定部分22aが商品に残存しなくなるおそれがある。このような点から、前記部分接着部71の形成数は、4箇所以下が好ましい。
【0039】
本実施形態では、部分接着部71は2箇所形成されており、その一方の部分接着部71は、所定部分22aの周縁近傍であって離型紙8の長手方向の先端側Xに配置され、且つ、その他方の部分接着部71は、前記所定部分22aの周縁近傍であって離型紙8の長手方向の先端とは反対側Yに配置されている。
1つの部分接着部71の平面視形状は、特に限定されず、本実施形態では、略円形状とされている。1箇所の部分接着部71の面積も特に限定されないが、余りに大きいと相対的に剥離層5の面積が小さくなり過ぎるので、通常、1mm2〜10mm2程度が好ましい。
【0040】
本発明のPOPラベル1は、通常、その複数が離型紙8上に貼付されたラベル連続体(図1参照)をロールに巻いた態様でラベラーに装填される。ラベラーは、そのロールからラベル連続体を離型紙8の先端から長手方向に引き出しながら1枚のPOPラベル1を離型紙8から引き剥がし、そのPOPラベル1の貼着領域S1,S2を商品の一面に貼り付ける工程を繰り返して行う。
【0041】
離型紙8から引き剥がされたPOPラベル1は、第1貼着領域S1及び第2貼着領域S2において第2粘着剤層32が露出している。突出領域Tを商品の端部から外側へ突出するように、第1貼着領域S1及び第2貼着領域S2を商品の任意の一面に貼着することにより、POPラベル1を商品に貼着できる。なお、商品の端部とは、貼着領域S1を介して貼着されたPOPラベル1と商品とが接触した部分と接触していない部分の境界を意味する。
POPラベル1を貼着する商品は、特に限定されず、飲料や調味料などの食品が充填され容器、医薬品又は化粧品が充填された容器、その他の容器、各種物品を包装した包装箱などが挙げられる。
【0042】
本実施形態で例示したPOPラベル1は、商品の一例であるキャップ付き容器に貼着するために好適な形態である。
図5及び図6は、一般的なキャップ付き容器91に前記POPラベル1が貼着されたラベル付き商品10を示す。
このキャップ付き容器91は、収納部が形成された容器本体911と、前記容器本体911の上方に取り付けられたキャップ912と、を有する。この収納部内には、一般に、化粧品などが収納されている。このキャップ912の表面には、デザインが表示されていないか、又は一部分だけにデザインが表示されている。容器本体911の表面には、デザインが表示されている。
【0043】
図示したラベル付き商品10は、キャップ912の下方にPOPラベル1のミシン目線79を位置合わせし、POPラベル1をキャップ付き容器91の周囲に巻き付けるように湾曲をさせることによって得られる。
得られたラベル付き商品10は、容器本体911とキャップ912に跨ってPOPラベル1の第1貼着領域S1が貼着され、且つ、キャップ912の上方にPOPラベル1の第2貼着領域S2が貼着されている。このように本発明のPOPラベル1は、独立した第1貼着領域S1及び第2貼着領域S2を、1つの商品の中の異なる部分の面に貼着できる。
前記一部分にデザインが表示されているキャップ912である場合、POPラベル1の第1貼着領域S1及び第2貼着領域S2は、キャップ912のデザインが表示されていない部分に対応するように位置合わせして貼着される。
【0044】
一方、このPOPラベル1の突出領域Tは、キャップ付き容器91に接着しておらず、キャップ912の外形から外側に突出している。なお、POPラベル1の第2貼着領域S2の上方と第1貼着領域S1の間の領域Mには、隠蔽層6が設けられているので、その間の領域Mは、キャップ付き容器91に接着していないが、その領域Mは、容器91の外形から外側には出ていない。
【0045】
このPOPラベル1をキャップ容器91から引き剥がすと、剥離層5及び切込み線4によって第2シート22の所定部分22aがPOPラベル1から分離され、キャップ912の表面に貼り付いたままで残存する(図7参照)。
本発明のラベル付き商品10によれば、消費者がその商品を購入後にPOPラベル1を引き剥がしても、商品の一面にPOPラベル1の一部(所定部分22a)が残るため、その所定部分22aに表された所望の表示(例えば商品の使用説明など。図7の×××で示す)を商品に付随させ、消費者に見せることができる。また、POPラベル1を商品から引き剥がすと、必然的に突出領域Tが商品から除去される一方で、残存する所定部分22aは商品の一面の範囲内に貼り付いているので、その商品の使用上、残存部分が邪魔になることもない。また、キャップ912にデザインが表示されていても、残存する所定部分22が、そのデザインを隠すこともない。
【0046】
本発明のPOPラベル1を用いれば、それが商品に貼着されている間は、POPラベル全体において広告宣伝表示などの所望の表示を消費者に見せることができ、それが剥がされた後は、所定部分が商品に付随しているので、その所定部分に表された所望の表示を消費者に見せることができる。よって、本発明のPOPラベル1を用いれば、表示スペースのさらなる増大を図ることができる。
【0047】
さらに、上記POPラベル1は、第1貼着領域S1とは独立した第2貼着領域S2が設けられているので、第1シート21と所定部分22aの層間が離れることによって第1シート21及び第2シート22の他の部分22bが商品から不用意に外れることを防止できる。特に、第2貼着領域S2は、突出領域Tと第1貼着領域S1の間において、第1貼着領域S1とは独立して設けられているので、例えば、貼着領域S1又は貼着領域S2のいずれか一方にそれを商品から剥がすような衝撃が加わった際に、その衝撃が他方に伝搬することを緩和でき、前記第1シート21及び第2シート22の他の部分22bが商品から不用意に外れることを効果的に防止できる。
【0048】
なお、POPラベル1を剥ぎ取る前に、POPラベル1と共にキャップ912を回せば、ミシン目線79に沿って、POPラベル1の第1貼着領域S1を分断できる。このように第1貼着領域S1を分断した後、キャップ912に貼着されているPOPラベル1の残部を引き剥がしてもよい。ミシン目線79が設けられていると、このような開封方法ができる上、所定部分22だけでなく、ミシン目線79よりも下方側にある第1貼着領域S1の一部分を、容器本体911に貼着したままで残すこともできる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。以下、本発明の第2実施形態を説明するが、上記第1実施形態と同様の構成については、説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0050】
図8〜図12は、第2実施形態のPOPラベル1を示す。なお、図8及び図10〜図12においては、第1実施形態と同様に、POPラベル1が離型紙上に貼付された状態で示している。
第2実施形態のPOPラベル1も、表面側から順に、第1シート21、第1粘着剤層31、第2シート22及び第2粘着剤層32が積層されたラベル基材2から形成されている。第1シート21と第2シート22の間には、剥離層5が部分的に設けられ、第2粘着剤層32の裏面には、隠蔽層6が部分的に設けられている。
このPOPラベル1は、同様に、2つの貼着領域S1,S2を有するが、その形状及び配置が第1実施形態と異なっている。
【0051】
図9の網掛けに示す部分が第2粘着剤層32が露出した部分であり、この部分が、第1及び第2貼着領域S1,S2である。
第1貼着領域S1は、ラベル基材2の一方の側端寄りに形成され、その一方の側端と略平行に延びた横長の帯状である。
第2貼着領域S2は、ラベル基材2の中央部から他方の側端にまで形成された縦長の帯状である。
第1貼着領域S1と第2貼着領域S2は連続しておらず、第1貼着領域S1と第2貼着領域S2の間には、隠蔽層6が介在している。従って、第2貼着領域S2の上方と第1貼着領域S1の間の領域Mは、商品に対して貼着不能である。
【0052】
切込み線4は、無端状であり、その切込み線4から形成される所定部分22aの形状は、第1貼着領域S1の貼着対象である商品の一面の形状と同じ又はその形状よりも小さいことが好ましい。本実施形態では、後述するように、第1貼着領域S1をトリガースプレー容器のケース体の一面に貼着するので、切込み線4は、そのケース体の外形よりも小さな形状に形成されている。
【0053】
切込み線4は、粘着剤が露出した部分である第1貼着領域S1の周縁よりも内側寄りで、その周縁形状に沿って形成されている。例えば、切込み線4は、第1貼着領域S1の範囲内に形成され、その平面視形状が、第1貼着領域S1の平面視形状よりも僅かに小さい相似形に形成されている。従って、切込み線4の内側部分(所定部分22a)だけでなく、切込み線4の外側近傍にも第2粘着剤層32の裏面が露出している。
【0054】
前記切込み線4は、第2粘着剤層32が露出した部分である第1貼着領域S1の周縁よりも内側に形成されているが、これに限られず、切込み線4は、第1貼着領域S1においてその周縁に一致して形成されていてもよいし、或いは、第1貼着領域S1においてその周縁よりも僅かに外側に形成されていてもよい。例えば、切込み線4が、第1貼着領域S1の周縁よりも外側に形成されていてもよい(これは、切込み線4が、第1貼着領域S1の範囲外に形成され、その平面視形状が、第1貼着領域S1の平面視形状よりも僅かに大きい相似形などに形成される場合を含む)。
【0055】
もっとも、切込み線4が第1貼着領域S1の周縁形状に一致するように精度良く形成することは、ラベル製造上、困難である。また、切込み線4が第1貼着領域S1の周縁形状に一致し又は第1貼着領域S1の周縁よりも外側に形成されていると、第1貼着領域S1の全体が切込み線4で囲われた範囲内のみとなるので、第1貼着領域S1を商品の一面に貼った後、POPラベル1を引き剥がす行為を行わなくても、所定部分22aが自然に第2シート22から分離したり、或いは、位置ずれを起こす可能性がある。このような理由から、切込み線4は、上述のように第1貼着領域S1においてその周縁よりも内側に形成されていることが好ましい。
【0056】
前記所定部分22aに対応した前記第1シート21と第2シート22の層間に剥離層5が設けられている。
また、前記所定部分22aのみが離型紙8の上に残ることを防止するために、前記第2シート22の所定部分22aを仮止めする仮止め手段(例えば、部分接着部71)が設けられている。
なお、本実施形態のPOPラベル1には、ミシン目線が形成されていないが、適宜ミシン目線を形成してもよい。
【0057】
本実施形態のPOPラベル1は、商品の一例であるトリガースプレー容器に貼着するために好適な形態である。
図13及び図14は、一般的なトリガースプレー容器92に前記POPラベル1が貼着されたラベル付き商品10を示す。
このトリガースプレー容器92は、収納部が形成された容器本体921と、前記容器本体921の上方に取り付けられたトリガースプレー部922と、を有する。この収納部内には、一般に、洗剤などのサニタリー品、香水などの化粧品、消毒液などの医療品などの各種の液状物品が充填されている。
トリガースプレー部922は、前記容器本体921に取り付けるための取付け部922aと、前記取付け部922aの上方に設けられたケース体922bと、前記ケース体922bの前方に突設されたレバー付き噴射部922cと、を有する。なお、前記取付け部922aの直径は、前記ケース体922bの幅よりも大きく、従って、取付け部922aとケース体922bの間には、段差(又は窪み)が存在している。
【0058】
図示したラベル付き商品10は、前記ケース体922bの表面にPOPラベル1の第1貼着領域S1が貼着され、且つ、取付け部922aの表面にPOPラベル1の第2貼着領域S2が貼着されている。このように独立した第1貼着領域S1及び第2貼着領域S2は、1つの商品の中の異なる部分の面に貼着できる。
一方、このPOPラベル1の突出領域Tは、トリガースプレー容器92に接着しておらず、ケース体922b及び取付け部922aの外形から外側に突出している。なお、POPラベル1の第2貼着領域S2の上方と第1貼着領域S1の間の領域Mには、隠蔽層6が設けられているので、その間の領域Mは、トリガースプレー容器92に接着していないが、ケース体922b及び取付け部922aの外形から外側に出ていない。取付け部922aとケース体922bの間には上述のように段差又は窪みが存在しているが、前記領域Mに隠蔽層6が設けられている(前記領域Mが非接着領域とされている)ことによって、この領域Mが前記段差又は窪みに対応した商品の表面に貼り付かない。このため、皺を生じることなく、POPラベル1を滑らかな曲線を以て商品に貼着できる(図14参照)。
【0059】
このPOPラベル1をトリガースプレー容器92から引き剥がすと、剥離層5及び切込み線4によって第2シート22の所定部分22aがPOPラベル1から分離され、ケース体922bの表面に貼り付いたままで残存する(図15参照)。
本発明のラベル付き商品10によれば、消費者がその商品を購入後にPOPラベル1を引き剥がしても、商品の一面にPOPラベル1の一部(所定部分22a)が残るため、その所定部分22aに表された所望の表示(例えば商品の使用説明など。図15の×××で示す)を商品に付随させ、消費者に見せることができる。また、POPラベル1を商品から引き剥がすと、必然的に突出領域Tが商品から除去される一方で、残存する所定部分22aは商品の一面の範囲内に貼り付いているので、その商品の使用上、残存部分が邪魔になることもない。
【0060】
<他の実施形態>
本発明は、上記第1及び第2実施形態に限られず、適宜設計変更することができる。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記第1及び第2実施形態と同様の構成については、説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。
【0061】
上記実施形態において、ラベル基材2に貼着領域S1,S2及び突出領域Tを設ける方法として、第2シート22の裏面全体に第2粘着剤層32を設け且つその第2粘着剤層32の裏面に隠蔽層6を部分的に設けるという方法を例示しているが、これに限定されない。例えば、第2シート22の裏面のうち、貼着領域形成予定箇所にのみ粘着剤を塗布することによって、第2粘着剤層32が露出した貼着領域S1,S2を形成することもできる。この場合、前記隠蔽層6の形成は不要となる。
【0062】
上記実施形態において、仮止め手段として、第2シート22の所定部分22aと第1シート21の層間を部分的に接着する部分接着部71を例示したが、仮止め手段は、これに限られない。
例えば、上記実施形態の切込み線4を、図16に示すように、長い切り目からなる有端状の線が断続的に連続したもの(上記実施形態で示した無端状の切込み線の一部分に、切り目の途切れ部72を形成したようなもの)に変更してもよい。仮止め手段に相当する前記途切れ部72が設けられていれば、第2シート22の所定部分22aは第2シート22のその他の部分22bと完全に分離されておらず、両部分22a,22bは途切れ部72を介して繋がった状態である。このため、POPラベル1を離型紙8から引き剥がすときに前記所定部分22aが第2シート22から分離してしまう事態を防止できる。
【0063】
前記途切れ部72の形成数は、少なくとも1箇所であるが、その数が余りに多いと、商品に貼着したPOPラベル1を引き剥がすときに、所定部分22aが商品に残存しなくなるおそれがある。このような点から、前記途切れ部72は、3箇所以下が好ましい。途切れ部72が複数設けられる場合、各途切れ部72は、切込み線4の中に略均等に設けられていることが好ましい。また、少なくとも1つの途切れ部72は、切込み線4の、離型紙8の長手方向の先端側Xに配置されていることが好ましい。また、1つの途切れ部72の長さは、1mm〜3mm程度が好ましい。
なお、仮止め手段として、上記部分接着部71及び途切れ部72を併用してもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、キャップ付き容器91やトリガースプレー容器92のトリガースプレー部92に貼着するのに好適なPOPラベル1を例示したが、本発明のPOPラベル1は、貼着対象である商品に応じて、そのラベル基材2、貼着領域S1、突出領域T及び所定部分22aの各平面視形状を適宜変更できる。
【0065】
図17は、菓子などを包装した包装箱に貼着するのに好適なPOPラベル1を示す。
このPOPラベル1は、上記実施形態と同様に、第1シート21及び第2シート22が第1粘着剤層31を介して積層されたラベル基材2を有し、このラベル基材2が平面視略矩形状に形成されている。
【0066】
このラベル基材2には、離れて独立した3つの貼着領域(第1〜第3貼着領域S1,S2,S3)と、1つの突出領域Tとが形成されている。そのうち第1貼着領域S1及び第3貼着領域S3における第2シート22のみにそれぞれ切込み線4が設けられている。この各切込み線4によって区画された、第2シート22の各所定部分22aに対応して、剥離層5がそれぞれ設けられている。
この他の実施形態のPOPラベル1は、突出領域Tを包装箱の一面の側部(例えば、包装箱の上側部)から外側に突出するように、包装箱の一面(例えば、直方体状の包装箱の正面)に第1〜第3貼着領域S1,S2,S3を全て貼着することによって使用される。
このPOPラベル1を包装箱から引き剥がすと、第1貼着領域S1及び第3貼着領域S3における2つの所定部分22aが包装箱の一面に残存するので、POPラベル1を除去した後に、より多くの表示を商品に付随させることができる。
【0067】
また、上記実施形態において、切込み線4は貼着領域S1の周縁形状に沿って形成されているが、これに限られず、図17に示すように、切込み線4が、貼着領域S1の周縁よりも内側で、その周縁形状とは異なる形状に形成されていてもよい。
【0068】
さらに、上記実施形態において、複数の貼着領域のうち、少なくとも1つの貼着領域S1に対応した第2シート22に切込み線4が形成され、且つ残る貼着領域S2には切込み線4が形成されていないが、複数の貼着領域の全てにそれぞれ上記切込み線4及び剥離層5が形成されていてもよい。
もっとも、POPラベル1を安定的に商品に貼着するために、複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域S1に対応した第2シート22に前記切込み線4が形成され、且つ、複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域S2に、前記切込み線4が形成されていないPOPラベル1が好ましい。
【0069】
また、上記実施形態においては、1つのPOPラベル1に複数の貼着領域S1,S2,S3が設けられているが、図18に示すように、POPラベル1は貼着領域S1が1箇所だけ形成されているものでもよい。この場合、その貼着領域S1に対応した第2シート22に切込み線4及び剥離層5が形成される。なお、図18に示すPOPラベル1は、平面視略T字状に形成されている。
【0070】
なお、本発明の意図する範囲で、上記各実施形態に示した様々な構成を、適宜組み合わせ、又は、置換することができる。
【符号の説明】
【0071】
1…POPラベル、2…ラベル基材、21…第1シート、22…第2シート、22a…第2シートの所定部分、22b…第2シートのその他の部分、31…第1粘着剤層、32…第2粘着剤層、4…切込み線、5…剥離層、6…隠蔽層、71…部分接着部(仮止め手段)、72…途切れ部(仮止め手段)、8…離型紙、9…商品、10…ラベル付き商品、S1,S2,S3…貼着領域、T…突出領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の端部から突出するように貼着できるPOPラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料、菓子、化粧品、薬、洗剤、シャンプーなどの様々な物品が容器や箱などに包装され、商品として流通している。
これら商品には、広告宣伝及び原材料表示などのため、ラベルが貼着されている。
このラベルの中で、主として消費者の注意を惹き且つ広告宣伝機能を高めるため、一部分を商品の端部から突出させた状態で貼着できるPOPラベルが知られている(特許文献1)。POPラベルは、アイキャッチラベルとも呼ばれる。
POPラベルは、一般に所定形状のラベル基材から形成されており、商品の一部分に貼着可能な貼着領域と、商品の端部から外側へ突出させる突出領域と、を有する。
この貼着領域を商品に貼着することにより、POPラベルの一部分である突出領域が商品の外側に突出するので、デザインの表示面積が拡大すると共に商品が大きく見え、消費者の注意を惹き付けることができる。
【0003】
広告宣伝の対象である商品は、それ自体にデザインを施すスペースに限界があるが、上記POPラベルを貼り付けることにより、広告宣伝スペースの増大を図ることができる。
ところで、商品には、消費者の注意を惹くための広告宣伝的な表示だけでなく、商品の使用説明、物品の原材料、商品名及び製造元などの表示も表される。以下、本明細書において、消費者の注意を惹くための広告宣伝的な表示を「広告宣伝表示」といい、前記例示のような広告宣伝目的でない表示を「非広告宣伝表示」という。
よって、商品には、広告宣伝表示だけでなく、非宣伝広告表示も十分に施されていなければならない。
【0004】
しかしながら、上述のように商品自体の表示スペースは限界がある上、その商品に貼着されるPOPラベルの大きさ自体にも限界がある。
それ故、さらに表示スペースを増大させることができるPOPラベルが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−351333
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、表示スペースのさらなる増大を図ることができるPOPラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、POPラベルの特性に着目した。すなわち、消費者がPOPラベル付きの商品を使用する際には、商品の外形よりも大きいPOPラベルが却って邪魔になるため、POPラベルを引き剥がして廃棄する。このPOPラベルが引き剥がされた後にも、商品に所望の表示が付随するようにすれば、廃棄前後でも消費者に所望の表示を見せることができるので、結果的に表示スペースの増大を図ることができる。このような考えの下、本発明者らは、以下の手段を案出した。
【0008】
本発明のPOPラベルは、第1シート及び第2シートが粘着剤層を介して積層されたラベル基材から形成されており、第2シート側を商品に向けて貼着されるPOPラベルであって、商品に貼着可能な貼着領域と、前記商品に貼着不能で且つ商品の端部から突出させる突出領域と、を有し、前記貼着領域における前記第2シートの所定部分を分離するための切込み線が前記第2シートに形成されており、前記所定部分に対応した前記第1シートと第2シートの層間に、剥離層が設けられている。
【0009】
本発明の好ましいPOPラベルは、前記貼着領域が複数設けられ、前記各貼着領域が、離れて独立しており、前記切込み線が前記複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域に対応した前記第2シートに形成されており、前記複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域には、前記切込み線が形成されていない。
本発明の好ましいPOPラベルは、前記第2シートの所定部分を仮止めする仮止め手段が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のPOPラベルは、その突出領域が商品の端部から突出し且つ貼着領域が商品の一面に貼着するように位置合わせすることによって、商品に貼着される。この突出領域を含むPOPラベルを商品から引き剥がすと、第2シートの所定部分が切取り線に従って分離され、それが商品に貼り付いたままで残存する。従って、本発明のPOPラベルを用いれば、そのラベルが商品に貼着されている間は、そのラベル全体において広告宣伝表示などの所望の表示を消費者に見せることができ、それが剥がされた後は、所定部分が商品に付随して残るので、その所定部分に表された所望の表示を消費者に見せることができる。
よって、本発明のPOPラベルは、さらなる表示スペースの増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係るPOPラベルの複数が離型紙上に貼付されたラベル連続体の正面図。
【図2】同POPラベルのみを背面から見た拡大図。判りやすく図示するため、貼着領域を網掛けで示している(図9、図16〜図18も同様に、貼着領域を網掛けで示している)。
【図3】図1のIII−III線で切断した拡大断面図。
【図4】図1のIV−IV線で切断した拡大断面図。
【図5】同POPラベルがキャップ付き容器(商品)に貼着されたラベル付き商品の正面図。
【図6】同ラベル付き商品の右側面図。
【図7】同ラベル付き商品からPOPラベルを引き剥がした状態を示す正面図。
【図8】第2実施形態に係るPOPラベルの複数が離型紙上に貼付されたラベル連続体の正面図。
【図9】同POPラベルのみを背面から見た拡大図。
【図10】図8のX−X線で切断した拡大断面図。
【図11】図8のXI−XI線で切断した拡大断面図。
【図12】図8のXII−XII線で切断した拡大断面図。
【図13】同POPラベルがトリガースプレー容器(商品)に貼着されたラベル付き商品の正面図。
【図14】同ラベル付き商品の右側面図。
【図15】同ラベル付き商品からPOPラベルを引き剥がした状態を示す正面図。
【図16】他の実施形態に係るPOPラベルの背面図。
【図17】更なる他の実施形態に係るPOPラベルの背面図。
【図18】更なる他の実施形態に係るPOPラベルの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1〜図4に於いて、本発明のPOPラベル1は、第1シート21及び第2シート22が粘着剤層31を介して積層されたラベル基材2から形成されており、このラベル1は、第2シート22側を商品に対面させて貼着される。
このPOPラベル1は、商品に装着されるときの商品との位置関係に従って区分けすると、商品の一面に面し且つ商品の一面に貼着可能な貼着領域S1,S2と、商品に貼着不能で且つ商品の端部から突出させる突出領域Tと、を有する。
【0013】
ラベル基材2の貼着領域S1において、その第2シート22のみに切込み線4が設けられている。この切込み線4によって区画された、第2シート22の所定部分22aは、第2シート22のその他の部分22bから分離可能である。
前記所定部分22aに対応した第1シート21と第2シート22の層間には、剥離層5が設けられている。この第2シート22の所定部分22aは、POPラベル1を商品から引き剥がした後、その商品に残存するラベルの残存部分である。
POPラベル1は、通常、帯状の離型紙8の長手方向に向きを揃えて順に貼付されている。本発明のPOPラベル1は、図1に示すように、その複数が離型紙8の一面上に貼付されたラベル連続体の態様で、通常提供される。
【0014】
POPラベル1の全体的な形状は特に限定されず、図1及び図2のような平面視略矩形状、図示しないが、平面視略円形状、平面視略楕円形状、平面視略三角形状、平面視略T字状などの任意の形状に形成できる。なお、平面視の形状は、ラベル基材2の表面の法線方向から見た形状を意味する。ここで、本明細書において、裏面は、商品と対面する側の面(つまり、POPラベル1を商品に貼着したときに、商品に近い側の面)を指し、表面は、その裏面とは反対側の面を指す。
【0015】
POPラベル1を形成するラベル基材2は、表面側から順に、第1シート21、粘着剤層31、第2シート22及び粘着剤層32が積層された積層体からなる。以下、第1シート21の裏面と第2シート22の表面の間に設けられた粘着剤層31を第1粘着剤層といい、第2シート22の裏面に設けられた粘着剤層32を第2粘着剤層という。
さらに、第1シート21と第2シート22の間には、剥離層5が部分的に設けられ、第2粘着剤層32の裏面には、隠蔽層6が部分的に設けられている。
【0016】
第1シート21及び第2シート22は、それぞれシート材(一般にフィルムと呼ばれるものも同義である)から形成されている。このシート材としては、例えば、紙、合成紙、合成樹脂製シート、金属蒸着シート、発泡樹脂シート、及びこれらが2層以上積層された積層シートなどが挙げられる。合成樹脂製シート等の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリエチレンを含む共重合ポリマーなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系などが挙げられる。合成樹脂製シートは、後述するデザインを裏面に施す場合には、それを良好に視認できるようにするため、透明なものが好ましい。
【0017】
第1シート21及び第2シート22の厚みは、特に限定されず、通常、それぞれ30μm〜150μm程度である。
第1シート21及び第2シート22は、同一材料のシート材でもよいし、異なる材料からなるシート材でもよいし、同じ厚みのシート材でもよいし、或いは、異なる厚みのシート材でもよい。
【0018】
第1シート21の表面又は裏面には、所望のデザインを表す意匠印刷(図示せず)が施されている。第1シート21の意匠印刷のデザインは、特に限定されないが、好ましくは広告宣伝表示を含み、必要に応じて非広告宣伝表示も含んでいてもよい。第1シート21が透明である場合には、意匠印刷の傷付き防止のため、前記意匠印刷は、第1シート21の裏面に施すことが好ましい。
【0019】
第2シート22の少なくとも所定部分22aの表面又は裏面には、所望のデザインを表す意匠印刷(図示せず)が施されている。第1シート21が第2シート22に積層された状態においては、前記所定部分22aのデザインは、第1シート21の表面側から見えないようになっている。すなわち、第1シート21が不透明なシート材からなる又は第1シート21に施された意匠印刷によって、所定部分22aのデザインは、第1シート21の表面側から透視不能とされている。一方、所定部分22aのデザインは、第1シート21を除去した後に、所定部分22aの表面側から良好に視認できる。
第2シート22の意匠印刷のデザインは、特に限定されないが、好ましくは非広告宣伝表示を含み、必要に応じて広告宣伝表示も含んでいてもよい。
第2シート22が透明である場合には、意匠印刷の傷付き防止のため、前記意匠印刷は、第2シート22の裏面に施すことが好ましい。
【0020】
第1粘着剤層31は、第1シート21と第2シート22を接着するために設けられている。
第1粘着剤層31は、第1シート21の裏面に粘着剤を塗布することによって設けられている。なお、本実施形態では、第1シート21の裏面に第1粘着剤層31が設けられている。もっとも、第2シート22の表面に第1粘着剤層31を設けても、第1シート21及び第2シート22を接着できることには変わりがない。つまり、第1粘着剤層31は、第1シート21の裏面及び第2シート22の表面の少なくとも何れか一方の面に設けられていればよい。ただし、第1シート21を第2シート22の所定部分22aから剥がしたときに、所定部分22aの表面に粘着剤が残らないようにするため、第1粘着剤層31は第1シート21と共に所定部分22aから剥がれるようになっていることが好ましい。
以下では、第1シート21の裏面に第1粘着剤層31が設けられている場合を例に採って説明していく。
【0021】
第1粘着剤層31は、第1シート21の裏面全体に設けられている。例えば、第1シート21の裏面全体に粘着剤をベタ状に塗布する、又は、第1シート21の裏面全体に粘着剤を網目状若しくは無数のドット状に塗布することによって、第1シート21の裏面全体に第1粘着剤層31を設けることができる。
【0022】
かかる第1粘着剤層31によって、第1シート21と第2シート22は、剥離層5が設けられた部分を除いて、強く接着している。なお、前記強く接着とは、手で剥がそうとしてしても簡単に剥がれない程度に接着しているという意味である。
前記第1粘着剤層31を形成するための粘着剤としては、感圧型粘着剤が好ましいが、感熱型粘着剤を用いることもできる。なお、感圧型粘着剤は、室温で粘着力を有し且つその粘着力が長期間持続している粘着剤であり、従来公知のタックラベルで広く使用されているものである。感熱型粘着剤は、室温で粘着性を示さず、加熱することにより粘着力を発揮し且つその粘着力が長期間持続する粘着剤である。
【0023】
第2粘着剤層32は、POPラベル1を商品に貼着するために設けられている。
第2粘着剤層32は、第2シート22の裏面に粘着剤を塗布することによって設けられている。
本実施形態では、第2粘着剤層32は、第2シート22の裏面全体に設けられている。例えば、第2シート22の裏面全体に粘着剤をベタ状に塗布する、又は、第2シート22の裏面全体に粘着剤を網目状若しくは無数のドット状に塗布することによって、第2シート22の裏面全体に第2粘着剤層32を設けることができる。
前記第2粘着剤層32を形成するための粘着剤としては、第1粘着剤層31と同様に、従来公知の感圧型粘着剤が好ましいが、感熱型粘着剤を用いることもできる。なお、第2粘着剤層32が感熱型粘着剤である場合には、本発明のPOPラベル1は離型紙8に貼付しないでラベラーに装填することもできる。
【0024】
さらに、第2粘着剤層32の裏面には、第2粘着剤層32の粘着力を隠蔽するための隠蔽層6が部分的に設けられている。
隠蔽層6は、第2粘着剤層32の裏面内(第2シート22の面内)において離れて独立した複数の部分を除き、第2粘着剤層32の裏面に隠蔽層形成材料をベタ状に塗工することによって形成されている。前記隠蔽層形成材料としては、紫外線硬化型インキ、シリコーンを含むコート剤などが挙げられる。隠蔽層6の厚みは、通常、3μm〜20μmである。隠蔽層6を比較的厚く形成することにより、第2粘着剤層32の粘着力を確実に隠蔽できる。
前記隠蔽層6が設けられた部分は、商品に貼着不能な部分である。この隠蔽層6が設けられた部分のうち、貼着領域S1,S2を介してPOPラベル1を商品に貼着したときにその商品の端部から突出する領域が、POPラベル1の突出領域Tである。
【0025】
前記隠蔽層6が設けられていない、独立した複数の部分においては、第2粘着剤層32の裏面が露出している。図2の網掛けが第2粘着剤層32が露出した部分であり、よって、図2の無地が隠蔽層6が設けられた部分である。前記第2粘着剤層32の裏面が露出した部分が商品に貼り付くので、その部分を介してPOPラベル1を商品に貼着できる。つまり、その部分に対応した領域が、POPラベル1の貼着領域S1,S2である。
【0026】
本実施形態では、離れて独立した貼着領域S1,S2が、2箇所形成されている。以下、便宜上、両者を区別するために、第1貼着領域及び第2貼着領域という。
もっとも、前記貼着領域S1,S2は、2箇所に限定されず、3箇所以上形成されていてもよいし、後述するように、1箇所だけ形成されていてもよい。
【0027】
第1貼着領域S1は、ラベル基材2の略中央部から下方全部である。
第2貼着領域S2は、ラベル基材2の略中央部において、一方の側端から他方の側端にまで形成された横長の帯状部である。
第1貼着領域S1と第2貼着領域S2は連続しておらず、第1貼着領域S1と第2貼着領域S2の間には、隠蔽層6が介在している。従って、第2貼着領域S2と第1貼着領域S1の間の領域Mは、商品に対して貼着不能である。
【0028】
前記第1貼着領域S1は、ラベル基材2の一部の領域であるため、第1基材及び第2基材を有するが、その第1貼着領域S1の範囲内における第2シート22の所定部分22aを分離するために、第2シート22に切込み線4が形成されている。
この切込み線4は、粘着剤が露出した部分である第1貼着領域S1の周縁よりも内側寄りの位置に形成されている。例えば、切込み線4は、第1貼着領域S1の範囲内に形成され、その平面視形状が、横長の長方形状に形成されている。従って、切込み線4の内側部分(所定部分22a)だけでなく、切込み線4の外側近傍にも第2粘着剤層32の裏面が露出している。
【0029】
切込み線4は、第2シート22及び第2粘着剤層32を厚み方向に切断した切り目の連続線である。本実施形態では、切込み線4は、無端状である。この無端状の切込み線4から形成される所定部分22aの形状は、第1貼着領域S1の貼着対象である商品の一面の形状と同じ又はその形状よりも小さいことが好ましい。一方、第2貼着領域S2には、前記切込み線4は形成されていない。もっとも、第2貼着領域S2にも同様の切込み線を形成してもよい。
【0030】
また、第1貼着領域S1には、第1貼着領域S1を2分するためのミシン目線79が形成されている。このミシン目線79は、ラベル基材2(少なくとも第1シート21及び第2シート22)の厚み方向に貫通する貫通孔が断続的に形成された線である。ミシン目線79は、切込み線4と交差せず且つ第1貼着領域S1を2分するように、一方の側端から他方の側端にまで横方向に延びている。なお、図1、図5及び6においては、隠れ線と区別するために、ミシン目線を二点鎖線で表している。
【0031】
第2シート22は、第1粘着剤層31を介して第1シート21に強く接着しているため、前記切込み線4を形成しただけでは、前記切込み線4によって囲われた第2シート22の所定部分22aを、第2シート22のその他の部分22bから分離することはできない。この第2シート22の所定部分22aを第2シート22のその他の部分22bから分離できるようにするために、前記所定部分22aに対応した前記第1シート21と第2シート22の層間に剥離層5が設けられている。
【0032】
剥離層5は、第1粘着剤層31の粘着力を弱める層である。剥離層5は、所定部分22aに対応した第2シート22の表面又は所定部分22aに対応した第1粘着剤層31の裏面に設けられている。好ましくは、剥離層5は、所定部分22aに対応した第2シート22の表面に設けられている。このように第2シート22の表面に剥離層5を設けておくと、第1シート21を第2シート22の所定部分22aから剥がした後、第2シート22の所定部分22aの表面に剥離層5が付着したままで残るので、その剥離層5が所定部分22bの表面を保護する保護膜として機能する。さらに、第1シート21に第1粘着剤層31を設け且つ第2シート22の表面に剥離層5を設けることにより、消費者がPOPラベル1を引き剥がすまで、所定部分22aを第1シート21に対して安定的に付着させておくことができる。
また、剥離層5は、少なくとも所定部分22aに対応して設けられていればよく、所定部分22aから僅かに外側にはみ出ていてもよい。
【0033】
なお、第1粘着剤層31が第2シート22の表面に設けられている場合には、前記剥離層5は、所定部分22aに対応した第1シート21の裏面又は所定部分22aに対応した第1粘着剤層31の表面に設けられる。
【0034】
剥離層5は、例えば、切込み線4で囲われた第2シート22の表面に剥離層形成材料をベタ状に塗工することによって形成できる。また、切込み線4で囲われた部分だけでなく切込み線4の外側近傍領域を含んで剥離層形成材料を塗工することにより、所定部分22aから僅かに外側にはみ出だした剥離層5を形成できる。実際のPOPラベル1の製造工程では、剥離層5を形成した後に切込み線4が形成されるが、切込み線4の形成位置が少しずれることがあるからである。
【0035】
剥離層形成材料としては、例えば、シリコーン、フッ素化合物、ワックス類などの剥離剤を含有するインキ(着色剤を含まない所謂メジウムインキなど)などを用いることができる。
剥離層5や隠蔽層6の形成材料としてインキを用いれば、公知の印刷法によってそれらを容易に形成できる。
剥離層5の厚みは、特に限定されないが、第1粘着剤層31の粘着力を弱めるために、1μm〜3μmが好ましい。
【0036】
なお、前記剥離層5が第2シート22の所定部分22aと第1シート21の間に設けられているが故に、POPラベル1を離型紙8から引き剥がすときに前記所定部分22aが分離して、前記所定部分22aのみが離型紙8の上に残るおそれがある。或いは、所定部分22aと第1シート21及び他の部分22bとが自然に離反するおそれがある。
このような事態を防止するために、前記第2シート22の所定部分22aを仮止めする仮止め手段が設けられている。
本実施形態では、仮止め手段として、所定部分22aの面内の一部分に剥離層5を設けず、第2シート22の所定部分22a内の一部分と第1シート21とを第1粘着剤層31を介して部分的に接着させている。以下、所定部分22a内の一部分と第1シート21とを接着させた箇所を「部分接着部」という。
【0037】
この部分接着部71は、第2シート22の所定部分22aの面内に設けられていれば、その位置や数は特に限定されない。
前記所定部分22aは切込み線4(つまり、所定部分22aの周縁)から第2シート22のその他の部分22bと分離し始めるので、部分接着部71の形成位置は、所定部分22aの周縁近傍であることが好ましい。
また、長尺状の離型紙8上に並んで貼付されたPOPラベル1は、離型紙8の先端側Xに対応したPOPラベル1の縁部から引き剥がされるので、部分接着部71の形成位置は、前記所定部分22aの周縁近傍であって離型紙8の長手方向の先端側Xであることがより好ましい。
【0038】
さらに、部分接着部71の形成数は、少なくとも1箇所であるが、その数が多ければそれに応じて所定部分22aの分離を確実に防止できるので、2箇所以上が好ましい。もっとも、部分接着部71を余りに多く設けると、商品に貼着したPOPラベル1を引き剥がすときに、所定部分22aが商品に残存しなくなるおそれがある。このような点から、前記部分接着部71の形成数は、4箇所以下が好ましい。
【0039】
本実施形態では、部分接着部71は2箇所形成されており、その一方の部分接着部71は、所定部分22aの周縁近傍であって離型紙8の長手方向の先端側Xに配置され、且つ、その他方の部分接着部71は、前記所定部分22aの周縁近傍であって離型紙8の長手方向の先端とは反対側Yに配置されている。
1つの部分接着部71の平面視形状は、特に限定されず、本実施形態では、略円形状とされている。1箇所の部分接着部71の面積も特に限定されないが、余りに大きいと相対的に剥離層5の面積が小さくなり過ぎるので、通常、1mm2〜10mm2程度が好ましい。
【0040】
本発明のPOPラベル1は、通常、その複数が離型紙8上に貼付されたラベル連続体(図1参照)をロールに巻いた態様でラベラーに装填される。ラベラーは、そのロールからラベル連続体を離型紙8の先端から長手方向に引き出しながら1枚のPOPラベル1を離型紙8から引き剥がし、そのPOPラベル1の貼着領域S1,S2を商品の一面に貼り付ける工程を繰り返して行う。
【0041】
離型紙8から引き剥がされたPOPラベル1は、第1貼着領域S1及び第2貼着領域S2において第2粘着剤層32が露出している。突出領域Tを商品の端部から外側へ突出するように、第1貼着領域S1及び第2貼着領域S2を商品の任意の一面に貼着することにより、POPラベル1を商品に貼着できる。なお、商品の端部とは、貼着領域S1を介して貼着されたPOPラベル1と商品とが接触した部分と接触していない部分の境界を意味する。
POPラベル1を貼着する商品は、特に限定されず、飲料や調味料などの食品が充填され容器、医薬品又は化粧品が充填された容器、その他の容器、各種物品を包装した包装箱などが挙げられる。
【0042】
本実施形態で例示したPOPラベル1は、商品の一例であるキャップ付き容器に貼着するために好適な形態である。
図5及び図6は、一般的なキャップ付き容器91に前記POPラベル1が貼着されたラベル付き商品10を示す。
このキャップ付き容器91は、収納部が形成された容器本体911と、前記容器本体911の上方に取り付けられたキャップ912と、を有する。この収納部内には、一般に、化粧品などが収納されている。このキャップ912の表面には、デザインが表示されていないか、又は一部分だけにデザインが表示されている。容器本体911の表面には、デザインが表示されている。
【0043】
図示したラベル付き商品10は、キャップ912の下方にPOPラベル1のミシン目線79を位置合わせし、POPラベル1をキャップ付き容器91の周囲に巻き付けるように湾曲をさせることによって得られる。
得られたラベル付き商品10は、容器本体911とキャップ912に跨ってPOPラベル1の第1貼着領域S1が貼着され、且つ、キャップ912の上方にPOPラベル1の第2貼着領域S2が貼着されている。このように本発明のPOPラベル1は、独立した第1貼着領域S1及び第2貼着領域S2を、1つの商品の中の異なる部分の面に貼着できる。
前記一部分にデザインが表示されているキャップ912である場合、POPラベル1の第1貼着領域S1及び第2貼着領域S2は、キャップ912のデザインが表示されていない部分に対応するように位置合わせして貼着される。
【0044】
一方、このPOPラベル1の突出領域Tは、キャップ付き容器91に接着しておらず、キャップ912の外形から外側に突出している。なお、POPラベル1の第2貼着領域S2の上方と第1貼着領域S1の間の領域Mには、隠蔽層6が設けられているので、その間の領域Mは、キャップ付き容器91に接着していないが、その領域Mは、容器91の外形から外側には出ていない。
【0045】
このPOPラベル1をキャップ容器91から引き剥がすと、剥離層5及び切込み線4によって第2シート22の所定部分22aがPOPラベル1から分離され、キャップ912の表面に貼り付いたままで残存する(図7参照)。
本発明のラベル付き商品10によれば、消費者がその商品を購入後にPOPラベル1を引き剥がしても、商品の一面にPOPラベル1の一部(所定部分22a)が残るため、その所定部分22aに表された所望の表示(例えば商品の使用説明など。図7の×××で示す)を商品に付随させ、消費者に見せることができる。また、POPラベル1を商品から引き剥がすと、必然的に突出領域Tが商品から除去される一方で、残存する所定部分22aは商品の一面の範囲内に貼り付いているので、その商品の使用上、残存部分が邪魔になることもない。また、キャップ912にデザインが表示されていても、残存する所定部分22が、そのデザインを隠すこともない。
【0046】
本発明のPOPラベル1を用いれば、それが商品に貼着されている間は、POPラベル全体において広告宣伝表示などの所望の表示を消費者に見せることができ、それが剥がされた後は、所定部分が商品に付随しているので、その所定部分に表された所望の表示を消費者に見せることができる。よって、本発明のPOPラベル1を用いれば、表示スペースのさらなる増大を図ることができる。
【0047】
さらに、上記POPラベル1は、第1貼着領域S1とは独立した第2貼着領域S2が設けられているので、第1シート21と所定部分22aの層間が離れることによって第1シート21及び第2シート22の他の部分22bが商品から不用意に外れることを防止できる。特に、第2貼着領域S2は、突出領域Tと第1貼着領域S1の間において、第1貼着領域S1とは独立して設けられているので、例えば、貼着領域S1又は貼着領域S2のいずれか一方にそれを商品から剥がすような衝撃が加わった際に、その衝撃が他方に伝搬することを緩和でき、前記第1シート21及び第2シート22の他の部分22bが商品から不用意に外れることを効果的に防止できる。
【0048】
なお、POPラベル1を剥ぎ取る前に、POPラベル1と共にキャップ912を回せば、ミシン目線79に沿って、POPラベル1の第1貼着領域S1を分断できる。このように第1貼着領域S1を分断した後、キャップ912に貼着されているPOPラベル1の残部を引き剥がしてもよい。ミシン目線79が設けられていると、このような開封方法ができる上、所定部分22だけでなく、ミシン目線79よりも下方側にある第1貼着領域S1の一部分を、容器本体911に貼着したままで残すこともできる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。以下、本発明の第2実施形態を説明するが、上記第1実施形態と同様の構成については、説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0050】
図8〜図12は、第2実施形態のPOPラベル1を示す。なお、図8及び図10〜図12においては、第1実施形態と同様に、POPラベル1が離型紙上に貼付された状態で示している。
第2実施形態のPOPラベル1も、表面側から順に、第1シート21、第1粘着剤層31、第2シート22及び第2粘着剤層32が積層されたラベル基材2から形成されている。第1シート21と第2シート22の間には、剥離層5が部分的に設けられ、第2粘着剤層32の裏面には、隠蔽層6が部分的に設けられている。
このPOPラベル1は、同様に、2つの貼着領域S1,S2を有するが、その形状及び配置が第1実施形態と異なっている。
【0051】
図9の網掛けに示す部分が第2粘着剤層32が露出した部分であり、この部分が、第1及び第2貼着領域S1,S2である。
第1貼着領域S1は、ラベル基材2の一方の側端寄りに形成され、その一方の側端と略平行に延びた横長の帯状である。
第2貼着領域S2は、ラベル基材2の中央部から他方の側端にまで形成された縦長の帯状である。
第1貼着領域S1と第2貼着領域S2は連続しておらず、第1貼着領域S1と第2貼着領域S2の間には、隠蔽層6が介在している。従って、第2貼着領域S2の上方と第1貼着領域S1の間の領域Mは、商品に対して貼着不能である。
【0052】
切込み線4は、無端状であり、その切込み線4から形成される所定部分22aの形状は、第1貼着領域S1の貼着対象である商品の一面の形状と同じ又はその形状よりも小さいことが好ましい。本実施形態では、後述するように、第1貼着領域S1をトリガースプレー容器のケース体の一面に貼着するので、切込み線4は、そのケース体の外形よりも小さな形状に形成されている。
【0053】
切込み線4は、粘着剤が露出した部分である第1貼着領域S1の周縁よりも内側寄りで、その周縁形状に沿って形成されている。例えば、切込み線4は、第1貼着領域S1の範囲内に形成され、その平面視形状が、第1貼着領域S1の平面視形状よりも僅かに小さい相似形に形成されている。従って、切込み線4の内側部分(所定部分22a)だけでなく、切込み線4の外側近傍にも第2粘着剤層32の裏面が露出している。
【0054】
前記切込み線4は、第2粘着剤層32が露出した部分である第1貼着領域S1の周縁よりも内側に形成されているが、これに限られず、切込み線4は、第1貼着領域S1においてその周縁に一致して形成されていてもよいし、或いは、第1貼着領域S1においてその周縁よりも僅かに外側に形成されていてもよい。例えば、切込み線4が、第1貼着領域S1の周縁よりも外側に形成されていてもよい(これは、切込み線4が、第1貼着領域S1の範囲外に形成され、その平面視形状が、第1貼着領域S1の平面視形状よりも僅かに大きい相似形などに形成される場合を含む)。
【0055】
もっとも、切込み線4が第1貼着領域S1の周縁形状に一致するように精度良く形成することは、ラベル製造上、困難である。また、切込み線4が第1貼着領域S1の周縁形状に一致し又は第1貼着領域S1の周縁よりも外側に形成されていると、第1貼着領域S1の全体が切込み線4で囲われた範囲内のみとなるので、第1貼着領域S1を商品の一面に貼った後、POPラベル1を引き剥がす行為を行わなくても、所定部分22aが自然に第2シート22から分離したり、或いは、位置ずれを起こす可能性がある。このような理由から、切込み線4は、上述のように第1貼着領域S1においてその周縁よりも内側に形成されていることが好ましい。
【0056】
前記所定部分22aに対応した前記第1シート21と第2シート22の層間に剥離層5が設けられている。
また、前記所定部分22aのみが離型紙8の上に残ることを防止するために、前記第2シート22の所定部分22aを仮止めする仮止め手段(例えば、部分接着部71)が設けられている。
なお、本実施形態のPOPラベル1には、ミシン目線が形成されていないが、適宜ミシン目線を形成してもよい。
【0057】
本実施形態のPOPラベル1は、商品の一例であるトリガースプレー容器に貼着するために好適な形態である。
図13及び図14は、一般的なトリガースプレー容器92に前記POPラベル1が貼着されたラベル付き商品10を示す。
このトリガースプレー容器92は、収納部が形成された容器本体921と、前記容器本体921の上方に取り付けられたトリガースプレー部922と、を有する。この収納部内には、一般に、洗剤などのサニタリー品、香水などの化粧品、消毒液などの医療品などの各種の液状物品が充填されている。
トリガースプレー部922は、前記容器本体921に取り付けるための取付け部922aと、前記取付け部922aの上方に設けられたケース体922bと、前記ケース体922bの前方に突設されたレバー付き噴射部922cと、を有する。なお、前記取付け部922aの直径は、前記ケース体922bの幅よりも大きく、従って、取付け部922aとケース体922bの間には、段差(又は窪み)が存在している。
【0058】
図示したラベル付き商品10は、前記ケース体922bの表面にPOPラベル1の第1貼着領域S1が貼着され、且つ、取付け部922aの表面にPOPラベル1の第2貼着領域S2が貼着されている。このように独立した第1貼着領域S1及び第2貼着領域S2は、1つの商品の中の異なる部分の面に貼着できる。
一方、このPOPラベル1の突出領域Tは、トリガースプレー容器92に接着しておらず、ケース体922b及び取付け部922aの外形から外側に突出している。なお、POPラベル1の第2貼着領域S2の上方と第1貼着領域S1の間の領域Mには、隠蔽層6が設けられているので、その間の領域Mは、トリガースプレー容器92に接着していないが、ケース体922b及び取付け部922aの外形から外側に出ていない。取付け部922aとケース体922bの間には上述のように段差又は窪みが存在しているが、前記領域Mに隠蔽層6が設けられている(前記領域Mが非接着領域とされている)ことによって、この領域Mが前記段差又は窪みに対応した商品の表面に貼り付かない。このため、皺を生じることなく、POPラベル1を滑らかな曲線を以て商品に貼着できる(図14参照)。
【0059】
このPOPラベル1をトリガースプレー容器92から引き剥がすと、剥離層5及び切込み線4によって第2シート22の所定部分22aがPOPラベル1から分離され、ケース体922bの表面に貼り付いたままで残存する(図15参照)。
本発明のラベル付き商品10によれば、消費者がその商品を購入後にPOPラベル1を引き剥がしても、商品の一面にPOPラベル1の一部(所定部分22a)が残るため、その所定部分22aに表された所望の表示(例えば商品の使用説明など。図15の×××で示す)を商品に付随させ、消費者に見せることができる。また、POPラベル1を商品から引き剥がすと、必然的に突出領域Tが商品から除去される一方で、残存する所定部分22aは商品の一面の範囲内に貼り付いているので、その商品の使用上、残存部分が邪魔になることもない。
【0060】
<他の実施形態>
本発明は、上記第1及び第2実施形態に限られず、適宜設計変更することができる。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記第1及び第2実施形態と同様の構成については、説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。
【0061】
上記実施形態において、ラベル基材2に貼着領域S1,S2及び突出領域Tを設ける方法として、第2シート22の裏面全体に第2粘着剤層32を設け且つその第2粘着剤層32の裏面に隠蔽層6を部分的に設けるという方法を例示しているが、これに限定されない。例えば、第2シート22の裏面のうち、貼着領域形成予定箇所にのみ粘着剤を塗布することによって、第2粘着剤層32が露出した貼着領域S1,S2を形成することもできる。この場合、前記隠蔽層6の形成は不要となる。
【0062】
上記実施形態において、仮止め手段として、第2シート22の所定部分22aと第1シート21の層間を部分的に接着する部分接着部71を例示したが、仮止め手段は、これに限られない。
例えば、上記実施形態の切込み線4を、図16に示すように、長い切り目からなる有端状の線が断続的に連続したもの(上記実施形態で示した無端状の切込み線の一部分に、切り目の途切れ部72を形成したようなもの)に変更してもよい。仮止め手段に相当する前記途切れ部72が設けられていれば、第2シート22の所定部分22aは第2シート22のその他の部分22bと完全に分離されておらず、両部分22a,22bは途切れ部72を介して繋がった状態である。このため、POPラベル1を離型紙8から引き剥がすときに前記所定部分22aが第2シート22から分離してしまう事態を防止できる。
【0063】
前記途切れ部72の形成数は、少なくとも1箇所であるが、その数が余りに多いと、商品に貼着したPOPラベル1を引き剥がすときに、所定部分22aが商品に残存しなくなるおそれがある。このような点から、前記途切れ部72は、3箇所以下が好ましい。途切れ部72が複数設けられる場合、各途切れ部72は、切込み線4の中に略均等に設けられていることが好ましい。また、少なくとも1つの途切れ部72は、切込み線4の、離型紙8の長手方向の先端側Xに配置されていることが好ましい。また、1つの途切れ部72の長さは、1mm〜3mm程度が好ましい。
なお、仮止め手段として、上記部分接着部71及び途切れ部72を併用してもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、キャップ付き容器91やトリガースプレー容器92のトリガースプレー部92に貼着するのに好適なPOPラベル1を例示したが、本発明のPOPラベル1は、貼着対象である商品に応じて、そのラベル基材2、貼着領域S1、突出領域T及び所定部分22aの各平面視形状を適宜変更できる。
【0065】
図17は、菓子などを包装した包装箱に貼着するのに好適なPOPラベル1を示す。
このPOPラベル1は、上記実施形態と同様に、第1シート21及び第2シート22が第1粘着剤層31を介して積層されたラベル基材2を有し、このラベル基材2が平面視略矩形状に形成されている。
【0066】
このラベル基材2には、離れて独立した3つの貼着領域(第1〜第3貼着領域S1,S2,S3)と、1つの突出領域Tとが形成されている。そのうち第1貼着領域S1及び第3貼着領域S3における第2シート22のみにそれぞれ切込み線4が設けられている。この各切込み線4によって区画された、第2シート22の各所定部分22aに対応して、剥離層5がそれぞれ設けられている。
この他の実施形態のPOPラベル1は、突出領域Tを包装箱の一面の側部(例えば、包装箱の上側部)から外側に突出するように、包装箱の一面(例えば、直方体状の包装箱の正面)に第1〜第3貼着領域S1,S2,S3を全て貼着することによって使用される。
このPOPラベル1を包装箱から引き剥がすと、第1貼着領域S1及び第3貼着領域S3における2つの所定部分22aが包装箱の一面に残存するので、POPラベル1を除去した後に、より多くの表示を商品に付随させることができる。
【0067】
また、上記実施形態において、切込み線4は貼着領域S1の周縁形状に沿って形成されているが、これに限られず、図17に示すように、切込み線4が、貼着領域S1の周縁よりも内側で、その周縁形状とは異なる形状に形成されていてもよい。
【0068】
さらに、上記実施形態において、複数の貼着領域のうち、少なくとも1つの貼着領域S1に対応した第2シート22に切込み線4が形成され、且つ残る貼着領域S2には切込み線4が形成されていないが、複数の貼着領域の全てにそれぞれ上記切込み線4及び剥離層5が形成されていてもよい。
もっとも、POPラベル1を安定的に商品に貼着するために、複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域S1に対応した第2シート22に前記切込み線4が形成され、且つ、複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域S2に、前記切込み線4が形成されていないPOPラベル1が好ましい。
【0069】
また、上記実施形態においては、1つのPOPラベル1に複数の貼着領域S1,S2,S3が設けられているが、図18に示すように、POPラベル1は貼着領域S1が1箇所だけ形成されているものでもよい。この場合、その貼着領域S1に対応した第2シート22に切込み線4及び剥離層5が形成される。なお、図18に示すPOPラベル1は、平面視略T字状に形成されている。
【0070】
なお、本発明の意図する範囲で、上記各実施形態に示した様々な構成を、適宜組み合わせ、又は、置換することができる。
【符号の説明】
【0071】
1…POPラベル、2…ラベル基材、21…第1シート、22…第2シート、22a…第2シートの所定部分、22b…第2シートのその他の部分、31…第1粘着剤層、32…第2粘着剤層、4…切込み線、5…剥離層、6…隠蔽層、71…部分接着部(仮止め手段)、72…途切れ部(仮止め手段)、8…離型紙、9…商品、10…ラベル付き商品、S1,S2,S3…貼着領域、T…突出領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート及び第2シートが粘着剤層を介して積層されたラベル基材から形成されており、前記第2シート側を商品に向けて貼付されるラベルであって、
商品に貼着可能な貼着領域と、前記商品に貼着不能で且つ商品の端部から突出させる突出領域と、を有し、
前記貼着領域における前記第2シートの所定部分を分離するための切込み線が前記第2シートに形成されており、
前記所定部分に対応した前記第1シートと第2シートの層間に、剥離層が設けられている、ことを特徴とするPOPラベル。
【請求項2】
前記貼着領域が複数設けられ、前記各貼着領域は、離れて独立しており、
前記切込み線が前記複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域に対応した前記第2シートに形成されており、
前記複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域には、前記切込み線が形成されていない、請求項1に記載のPOPラベル。
【請求項3】
前記第2シートの所定部分を仮止めする仮止め手段が設けられている、請求項1又は2に記載のPOPラベル。
【請求項1】
第1シート及び第2シートが粘着剤層を介して積層されたラベル基材から形成されており、前記第2シート側を商品に向けて貼付されるラベルであって、
商品に貼着可能な貼着領域と、前記商品に貼着不能で且つ商品の端部から突出させる突出領域と、を有し、
前記貼着領域における前記第2シートの所定部分を分離するための切込み線が前記第2シートに形成されており、
前記所定部分に対応した前記第1シートと第2シートの層間に、剥離層が設けられている、ことを特徴とするPOPラベル。
【請求項2】
前記貼着領域が複数設けられ、前記各貼着領域は、離れて独立しており、
前記切込み線が前記複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域に対応した前記第2シートに形成されており、
前記複数の貼着領域から選ばれる少なくとも1つの貼着領域には、前記切込み線が形成されていない、請求項1に記載のPOPラベル。
【請求項3】
前記第2シートの所定部分を仮止めする仮止め手段が設けられている、請求項1又は2に記載のPOPラベル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−173673(P2012−173673A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37944(P2011−37944)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
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