説明

PPARα/γデュアルアゴニストおよび糖尿病治療薬を組み合わせてなる医薬

【課題】PPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせることにより、PPARα/γデュアルアゴニストの単独投与より優れた効果を奏する薬剤を見出し、これらを組み合わせた新規な医薬を提供する。
【解決手段】PPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬であるジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬とを組み合わせてなる医薬を投与すると、糖負荷後の血漿グルコース濃度を低く推移させ、糖負荷後のインスリン必要量を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の薬剤を組み合わせてなる医薬に関するものであり、特にPPARα/γデュアルアゴニストおよび糖尿病治療薬を組み合わせてなる医薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、脂肪細胞分化マーカー遺伝子の発現誘導にかかわる転写因子の研究において、核内受容体であるPPAR(Peroxisome Proliferator Activated Receptor;ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体)が注目されている。PPARは、さまざまな動物種からcDNAがクローニングされ、複数のアイソフォーム遺伝子が見出されており、哺乳類ではα、δ、γの3種類が知られている(非特許文献1〜4参照)。さらに、γ型は主に脂肪組織、免疫細胞、副腎、脾臓、小腸で、α型は主に脂肪組織、肝臓、網膜で発現し、δ型は組織特異性が見られず普遍的に発現していることが知られている(非特許文献5参照)。
【0003】
ところで、ピオグリタゾン、トログリタゾン等のチアゾリジン誘導体は、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)に対する治療薬として知られており、糖尿病患者の高血糖を是正するために用いられる血糖降下薬である。また、高インスリン血症の是正または改善、耐糖能の改善、また血清脂質の低下に効果を示し、インスリン抵抗性改善薬としてきわめて有望であると考えられている化合物である。
【0004】
これらのチアゾリジン誘導体はPPARγを細胞内標的蛋白質の一つとしており、PPARγの転写活性を増大させることが判明している(非特許文献6〜9参照)。また、核内受容体PPARγは脂肪細胞分化に関わっており(非特許文献7および10参照)、これを活性化できるチアゾリジン誘導体は脂肪細胞分化を促進することが知られている。これらのことからPPARγアゴニストは血糖降下薬、脂質低下薬、糖尿病、肥満、シンドロームX、高コレステロール血症、高リポ蛋白血症等の代謝異常疾患、高脂血症、動脈硬化症、高血圧、循環器系疾患、過食症等の予防および/または治療薬として有用であることが期待される。
【0005】
また、フィブラート系化合物、例えば、クロフィブラートは脂質低下薬として知られているが、フィブラート系化合物の細胞内標的蛋白質の一つがPPARα受容体であることが判明している(非特許文献1、11および12参照)。
【0006】
これらのことから、フィブラート系化合物が活性化しうるPPARαアゴニストは、脂質低下作用を有していると考えられ、高脂血症等の予防および/または治療薬として有用であることが期待される。
【0007】
これ以外にも、PPARαが関与する生物活性として、特許文献1に抗肥満作用を有していることが報告されている。また、非特許文献13にはPPARα受容体の活性化によって高密度リポ蛋白(HDL)コレステロール上昇作用、そして、低密度リポ蛋白(LDL)コレステロールや超低密度リポ蛋白(VLDL)コレステロール、さらにはトリグリセリドの低下作用を有していることが報告されている。非特許文献14にはフィブラート系化合物の一つ、ベザフィブラートによって血中脂肪酸組成や高血圧の改善、インスリン抵抗性の改善が認められたと報告されている。従って、PPARαアゴニストは、脂質低下剤、高脂血症治療薬として有用であるばかりでなく、HDLコレステロール上昇作用、LDLコレステロールおよび/またはVLDLコレステロールの減少作用、そして動脈硬化進展抑制やその治療、また肥満抑制効果が期待され、血糖降下剤として糖尿病の治療や予防、高血圧の改善、シンドロームXのリスクファクター軽減や虚血性心疾患の発症予防にも有望であると考えられる。
【0008】
最近、PPARγアゴニスト作用とPPARαアゴニスト作用との両方の作用を有する化合物(PPARα/γデュアルアゴニスト)が見出され、γ作用による血糖降下作用とα作用による脂質低下作用を併せ持つ糖尿病治療薬の候補として注目されている。
【0009】
本発明者らも、新規なPPARα/γデュアルアゴニストを見出し(特許文献2参照)、2型糖尿病治療薬として期待している。
【0010】
糖尿病治療の現場においては、作用メカニズムの異なる2種以上の薬剤を組み合わせて適用することが知られている(特許文献3および4参照)。しかしながら、特許文献2に記載のPPARα/γデュアルアゴニストに関しては、他の糖尿病治療薬、なかでもジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬と併用することにより単独投与より優れた効果を奏することを実証した報告はない。
【特許文献1】国際公開第97/36579号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2002/51820号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2001/97808号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0270722号明細書
【非特許文献1】J.Steroid Biochem.Molec.Biol.,51,157(1994)
【非特許文献2】Gene Expression,4,281(1995)
【非特許文献3】Biochem Biophys.Res.Commun.,224,431(1996)
【非特許文献4】Mol.Endocrinology.,6,1634(1992)
【非特許文献5】Endocrinology.,137,354(1996)
【非特許文献6】Endocrinology.,137,4189(1996)
【非特許文献7】Cell.,83,803(1995)
【非特許文献8】Cell.,83,813(1995)
【非特許文献9】J.Biol.Chem.,270,12953(1995)
【非特許文献10】J.Biol.Chem.,272,5637(1997)
【非特許文献11】Nature.,347,645(1990)
【非特許文献12】Biochemistry.,32,5598(1993)
【非特許文献13】J.Lipid Res.,39,17(1998)
【非特許文献14】Diabetes.,46,348(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、PPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせることにより、PPARα/γデュアルアゴニストの単独投与より優れた効果を奏する薬剤を見出し、これらを組み合わせた新規な医薬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、PPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬であるジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬との併用投与が、糖負荷後の血漿グルコース濃度を低く推移させ、糖負荷後のインスリン必要量を減少させることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明に係る医薬は、PPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせてなることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る医薬において、糖尿病治療薬が、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬、スルホニル尿素系血糖低下薬、ビグアナイド系製剤、α−グルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、インスリン製剤、PPARアゴニスト、β3アドレナリン受容体作動薬、アルドース還元酵素阻害薬、GLP−1類縁体およびSGLT阻害薬からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る医薬において、PPARα/γデュアルアゴニストが下記一般式(I)
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、Xは(1)結合手、または(2)C1〜4アルキレン基を表わし、Yは(1)−O−基、または(2)−S−基を表わし、ZはC1〜4アルキレン基を表わし、Aは(1)−O−基、または(2)−S−基を表わし、Rは(1)COOR基、(2)CONH基、(3)CONHOH基、(4)CHOH基、(5)CHO基、(6)1H−テトラゾール−5−イル基、または(7)3,5−ジオキソイソオキサゾリン−4−イル基を表わし、Rは(1)水素原子、または(2)C1〜8アルキル基を表わし、RおよびRはそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基、(3)C1〜8アルコキシ基、または(4)フェニル基で置換されたC1〜8アルコキシ基を表わし、Rは(1)水素原子、または(2)C1〜8アルキル基を表わし、DはD、D、またはDを表わし、Dは下記式(II)
【0018】
【化2】

【0019】
を表わし、ring1は一部または全部が飽和されていてもよいC3〜10の単環または二環式炭素環アリールを表わし、Dは下記式(III)
【0020】
【化3】

【0021】
を表わし、ring2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、一部または全部が飽和されていてもよい3〜10員の単環または二環式ヘテロ環アリールを表わし、DはC1〜8アルキル基を表わし、Rは(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基、(3)ニトロ基、(4)NR基、(5)ハロゲン原子、(6)C1〜8アルコキシ基、(7)C1〜8アルキルチオ基、(8)CF基、(9)CFO基、(10)一部または全部が飽和されていてもよいC3〜10の単環または二環式炭素環アリール、または(11)酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、一部または全部が飽和されていてもよい3〜10員の単環または二環式ヘテロ環アリールを表わし、RおよびRは、それぞれ独立して(1)水素原子、または(2)C1〜8アルキル基を表わし、mは1〜3を表わす。)で示されるジヒドロナフタレン誘導体化合物、またはそれらの塩であることが好ましい。なかでも、一般式(I)で示される化合物が、3−(5−(2−(2−(4−メチルフェニル)−5−メチルオキサゾール−4−イル)エトキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロパン酸であることが特に好ましい。
【0022】
本発明に係る医薬は、3−(5−(2−(2−(4−メチルフェニル)−5−メチルオキサゾール−4−イル)エトキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロパン酸とジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬とを組み合わせてなることが好ましい。
【0023】
また、本発明に係る医薬において、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬が(2S,3S,5S)−5−{[(2S)−2−シアノピロリジン−1−イル]カルボニル}−N,N,2−トリメチルピロリジン−3−カルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホン酸塩であることが特に好ましい。
【0024】
本発明に係る医薬は、血糖降下剤として使用されることが好ましい。
【0025】
本発明に係る医薬は、耐糖能の改善剤として使用されることが好ましい。
【0026】
本発明に係る医薬は、インスリン抵抗性の改善剤として使用されることが好ましい。
【0027】
本発明に係る医薬は、糖尿病の予防および/または治療剤として使用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明のPPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせてなる医薬を用いれば、PPARα/γデュアルアゴニストを単独で用いた場合の効果(例えば、血糖降下作用、耐糖能改善作用、インスリン抵抗性改善作用等)よりも、優れた効果を得ることができるため、糖尿病の予防および/または治療剤としてより有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本明細書において「PPARα/γデュアルアゴニスト」は、PPARαおよびPPARγの両方を活性化し得る化合物を意味する。
【0030】
また、本明細書において「糖尿病治療薬」は、一般的に用いられているか、または現在開発中である糖尿病治療用薬剤の総称である。
【0031】
本発明で用いられるPPARα/γデュアルアゴニストとしては、例えば、国際公開第1999/46232号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物、国際公開第2000/12491号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物、国際公開第2000/23442号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物、国際公開第2002/51820号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物、国際公開第2002/102780号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物、国際公開第2003/42194号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物等が挙げられる。なかでも、国際公開第2002/51820号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物、および国際公開第2003/42194号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物が好ましい。
【0032】
より好ましくは、下記一般式(I)
【0033】
【化4】

【0034】
(式中、Xは(1)結合手、または(2)C1〜4アルキレン基を表わし、Yは(1)−O−基、または(2)−S−基を表わし、ZはC1〜4アルキレン基を表わし、Aは(1)−O−基、または(2)−S−基を表わし、Rは(1)COOR基、(2)CONH基、(3)CONHOH基、(4)CHOH基、(5)CHO基、(6)1H−テトラゾール−5−イル基、または(7)3,5−ジオキソイソオキサゾリン−4−イル基を表わし、Rは(1)水素原子、または(2)C1〜8アルキル基を表わし、RおよびRはそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基、(3)C1〜8アルコキシ基、または(4)フェニル基で置換されたC1〜8アルコキシ基を表わし、Rは(1)水素原子、または(2)C1〜8アルキル基を表わし、DはD、D、またはDを表わし、Dは下記式(II)
【0035】
【化5】

【0036】
を表わし、ring1は一部または全部が飽和されていてもよいC3〜10の単環または二環式炭素環アリールを表わし、Dは下記式(III)
【0037】
【化6】

【0038】
を表わし、ring2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、一部または全部が飽和されていてもよい3〜10員の単環または二環式ヘテロ環アリールを表わし、DはC1〜8アルキル基を表わし、Rは(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基、(3)ニトロ基、(4)NR基、(5)ハロゲン原子、(6)C1〜8アルコキシ基、(7)C1〜8アルキルチオ基、(8)CF基、(9)CFO基、(10)一部または全部が飽和されていてもよいC3〜10の単環または二環式炭素環アリール、または(11)酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、一部または全部が飽和されていてもよい3〜10員の単環または二環式ヘテロ環アリールを表わし、RおよびRは、それぞれ独立して(1)水素原子、または(2)C1〜8アルキル基を表わし、mは1〜3を表わす。)で示されるジヒドロナフタレン誘導体化合物(国際公開第2002/51820号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物)、またはそれらの塩である。
【0039】
上記一般式(I)において、C1〜8アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基およびそれらの異性体である。
【0040】
上記一般式(I)において、C1〜4アルキレン基とは、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基およびこれらの異性体である。
【0041】
上記一般式(I)において、C1〜8アルコキシ基とは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基およびそれらの異性体である。
【0042】
上記一般式(I)において、C1〜8アルキルチオ基とは、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基およびそれらの異性体である。
【0043】
上記一般式(I)において、ハロゲン原子とは、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子を意味する。
【0044】
上記一般式(I)において、1H−テトラゾール−5−イル基とは、
【0045】
【化7】

【0046】
を意味する。
【0047】
上記一般式(I)において、3,5−ジオキソイソオキサゾリジン−4−イル基とは、
【0048】
【化8】

【0049】
を意味する。
【0050】
上記一般式(I)において、ring1およびRによって表わされる、一部または全部が飽和されていてもよいC3〜10の単環または二環式炭素環アリールとしては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ベンゼン、ペンタレン、アズレン、パーヒドロアズレン、パーヒドロペンタレン、インデン、パーヒドロインデン、インダン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、パーヒドロナフタレン等が挙げられる。
【0051】
上記一般式(I)において、ring2およびRによって表わされる、酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、一部または全部が飽和されていてもよい3〜10員の単環または二環式ヘテロ環アリールのうち、酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、3〜10員の単環または二環式ヘテロ環アリールとしては、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チイン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0052】
また、酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和された3〜10員の単環または二環式ヘテロ環アリールとしては、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチイン(ジヒドロチオピラン)、テトラヒドロチイン(テトラヒドロチオピラン)、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、パーヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、パーヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、パーヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、パーヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、パーヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、パーヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、パーヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、パーヒドロシンノリン、ベンズオキサチアン、ジヒドロベンズオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン等が挙げられる。
【0053】
上記一般式(I)で示されるジヒドロナフタレン誘導体化合物の塩としては、例えば、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム、リチウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等)、有機アミン(トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩、酸付加物塩(無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等)が挙げられる。
【0054】
上記一般式(I)で示されるジヒドロナフタレン誘導体化合物のうち、特に好ましい化合物として、3−(5−(2−(2−(4−メチルフェニル)−5−メチルオキサゾール−4−イル)エトキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロパン酸(国際公開第2002/51820号の実施例2記載の化合物)が挙げられる。
【0055】
本発明でPPARα/γデュアルアゴニストと組み合わせて用いられる糖尿病治療薬としては、糖尿病治療に使用可能であるものであれば特に限定されないが、例えば、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬(以下、「DPP4阻害薬」と略記する。)、スルホニル尿素系血糖低下薬、ビグアナイド系製剤、α−グルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、インスリン製剤、PPARアゴニスト、β3アドレナリン受容体作動薬、アルドース還元酵素阻害薬、GLP−1類縁体、SGLT阻害薬等が挙げられる。
【0056】
DPP4阻害薬としては、例えば、ビルダグリプチン(vildagliptin)、P−32/98、P−93/01、TS−021、815541、825964、デナグリプチン(denagliptin)、TA−6666、MK−0431/ONO−5435、SYR−322、SK−042、サクサグリプチン(saxagliptin)、KRP−104等が挙げられる。
【0057】
スルホニル尿素系血糖低下薬としては、例えば、アセトヘキサミド(acetohexamide)、グリベンクラミド(glibenclamide)、グリクラジド(gliclazide)、グリクロピラミド(glyclopyramide)、クロルプロパミド(chlorpropamide)、トラザミド(tolazamide)、トルブタミド(tolbutamide)、グリメピリド(glimepiride)等が挙げられる。
【0058】
ビグアナイド系製剤としては、例えば、塩酸ブフォルミン(buformin hydrochloride)、塩酸メトフォルミン(metformin hydrochloride)等が挙げられる。
【0059】
α−グルコシダーゼ阻害薬としては、例えば、アカルボース(acarbose)、ボグリボース(voglibose)等が挙げられる。
【0060】
速効型インスリン分泌促進薬としては、例えば、ナテグリニド(nateglinide)、レパグリニド(repaglinide)等が挙げられる。
【0061】
インスリン製剤としては、例えば、インスリン・デテミール(insulin detemir)、インスリン・アスパルト(insulin aspart)、インスリン・グラルジン(insulin glargine)、インスリン・グルリジン(insulin glulysine)、インスリン・リスプロ(insulin lyspro)、インスリン(遺伝子組換え)(商品名;イスヒューマン)、吸入インスリン、経皮インスリン等が挙げられる。
【0062】
PPARアゴニストとしては、例えば、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、リボグリタゾン(riboglitazone)、JTT−501、GI−262570、MCC−555、YM−440、KRP−297、FK−614、BMS−298585、AZ−242、LY−619818、R−483等が挙げられる。
【0063】
β3アドレナリン受容体作動薬としては、AJ−9677、BMS−210285、CP−331679、KUL−1248、LY−362884、L−750335、CP−331648等が揚げられる。
【0064】
アルドース還元酵素阻害薬としては、例えば、エパルレスタット(epalrestat)、フィダレスタット(fidarestat)、ゼナレスタット(zenarestat)、ゾポルレスタット(zopolrestat)、トルレスタット(tolrestat)、AS−3201、SG−210、ソルビニール(sorbinil)、リサレスタット(risarestat)、ポナルレスタット(ponalrestat)、ミナルレスタット(minalrestat)、イミレスタット(imirestat)等が挙げられる。
【0065】
GLP−1類縁体としては、例えば、インスリノトロピン(insulinotropin)、リラグルチド(liraglutide)、CJC−1131、GLP−1、R−1583、LY−307161、rGLP−1等が挙げられる。
【0066】
SGLT阻害薬としては、例えば、T−1095、KGT−1251、KGT−1681、AVE−2268、YM−543、ダパグリフロジン(dapagliflozin)等が挙げられる。
【0067】
本発明において、任意の2種以上の糖尿病治療薬を、PPARα/γデュアルアゴニストと組み合わせて使用してもよい。
【0068】
本発明で用いられる糖尿病治療薬としては、DPP4阻害薬が好ましい。本発明において好ましく用いられるDPP4阻害薬としては、国際公開第2004/016587号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物、国際公開第2005/073186号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物、国際公開第2006/073167号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物等が挙げられる。より好ましくは、国際公開第2005/073186号パンフレット記載の一般式(I)で示される化合物であり、なかでも(2S,3S,5S)−5−{[(2S)−2−シアノピロリジン−1−イル]カルボニル}−N,N,2−トリメチルピロリジン−3−カルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。
【0069】
本発明のPPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせてなる医薬は、これらを別々の製剤で投与する形態(併用剤)、または、一つの製剤中に両成分を配合した製剤で投与する形態(配合剤)のいずれであってもよい。併用剤として投与する場合、それぞれの製剤の投与時期は限定されず、同時に投与してもよく、時間差をおいて投与してもよい。時間差をおいて投与する場合は、どちらを先に投与しても構わない。また、併用剤の投与方法は同じでもよく、異なっていてもよい。従って、それぞれの製剤の剤形は異なっていてもよく、各剤形としては通常医薬として用いられる剤形が適宜選択される。また、併用剤として実施する場合には、キットの形態とすることができる。本発明において、キットは、PPARα/γデュアルアゴニストを含む第1剤形および糖尿病治療薬を含む第2剤形の、2種類の薬剤を包含するものであればよい。
【0070】
PPARα/γデュアルアゴニストは、その副作用低減のために、上述の糖尿病治療薬以外の薬剤と併用してもよい。PPARα/γデュアルアゴニストの副作用を低減するための併用薬としては、例えば、脂質代謝改善薬、利尿薬、高血圧治療薬等を挙げることができる。
【0071】
脂質代謝改善薬としては、例えば、MTP(Microsomal Triglyceride Transfer Protein)阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、スクアレンシンセターゼ阻害薬、フィブラート系薬剤(フィブリン酸誘導体)、ACAT(アシルCoA:コレステロール Ο−アシルトランスフェラーゼ)阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬、回腸Na/胆汁酸共輸送体(ileal Na/bile acid transporter;IBAT)阻害薬、LDL受容体活性化薬・発現増強薬、膵リパーゼ阻害薬、プロブコール製剤、ニコチン酸製剤、コレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害薬、その他の抗高コレステロール血症治療薬等が挙げられる。
【0072】
ここで、MTP阻害薬としては、例えば、BMS−201038、BMS−212122、BMS−200150、GW−328713、R−103757等が挙げられる。HMG−CoA還元酵素阻害薬としては、例えば、アトルバスタチン(atorvastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、ロスバスタチン(lovastatin)、シンバスタチン(simvastatin)等が挙げられる。スクアレンシンセターゼ阻害薬としては、例えば、TAK−475等が挙げられる。フィブラート系薬剤としては、例えば、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、クロフィブラート(clofibrate)、ベザフィブラート(bezafibrate)、フェノフィブラート(fenofibrate)、クリノフィブラート(clinofibrate)、シンフィブラート(simfibrate)等が挙げられる。ACAT阻害薬としては、例えば、F−12511、F−1394、CI−1011、メリナミド(melinamide)等が挙げられる。コレステロール吸収阻害薬としては、例えば、エゼチマイブ(ezetimibe)、ソイステロール(soysterol)等が挙げられる。胆汁酸吸収阻害薬として、例えば、コレスチラミン(colestyramine)、コレセベラム(colesevelam)、コレスチミド(colestimide)等が挙げられる。LDL受容体活性化薬・発現増強薬としては、例えば、MD−700、LY295427等が挙げられる。膵リパーゼ阻害薬としては、例えば、オーリスタット(orlistat)等が挙げられる。CETP阻害薬としては、例えば、トルセトラピブ(torcetrapib)、JTT−705等が挙げられる。
【0073】
利尿薬としては、例えば、キサンチン誘導体、スルホンアミド系利尿薬、サイアザイド系利尿薬、ループ利尿薬、カリウム保持性利尿薬、心房性ナトリウム利尿ペプチド等が挙げられる。
【0074】
ここで、キサンチン誘導体としては、例えば、テオブロミン(theobromine)、テオフィリンエチレンジアミン(theophylline ethylenediamine)、コリンテオフィリン等が挙げられる。スルホンアミド系利尿薬としては、例えば、アセタゾラミド等が挙げられる。サイアザイド系利尿薬としては、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、キネサゾン、メトラゾン等が挙げられる。ループ利尿薬としては、例えば、フロセミド、アゾセミド、トラセミド等が挙げられる。カリウム保持性利尿薬としては、例えば、スピロノラクトン、トリアムテレン、アミロリド等が挙げられる。心房性ナトリウム利尿ペプチドとしては、例えば、カルペリチド等が挙げられる。
【0075】
高血圧治療薬としては、例えば、アンギオテンシンII拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウム拮抗薬、冠血管拡張薬、血管拡張薬、硝酸薬(亜硝酸薬)、抗不整脈薬、ナトリウムチャネル抑制薬、プロトンポンプ阻害薬等が挙げられる。
【0076】
ここで、アンギオテンシンII拮抗薬としては、例えば、ロサルタン(カリウム)、カンデサルタン(シレキセチル)、バルサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン(メドキソミル)、テルミサルタン等が挙げられる。アンギオテンシン変換酵素阻害薬としては、例えば、アラセプリル、塩酸イミダプリル、塩酸キナプリル、塩酸テモカプリル、塩酸デラプリル、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、トランドラプリル、ペリンドプリル エルブミン、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル等が挙げられる。カルシウム拮抗薬としては、例えば、ニフェジピン、塩酸ベニジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、ニソルジピン、ニトレンジピン、塩酸ベプリジル、ベシル酸アムロジピン、塩酸ロメリジン、塩酸エホニジピン等が挙げられる。冠血管拡張薬としては、例えば、塩酸トリメタジジン、ジピリダモール、塩酸エタフェノン、塩酸ジラゼプ等が挙げられる。血管拡張薬としては、例えば、塩酸ジルチアゼム、塩酸トリメタジジン、ジピリダモール、塩酸エタノフェン、塩酸ジラゼプ、トラピジル、ニコランジル、アルプロスタジルアルファデクス、リマプロストアルファデクス等が挙げられる。硝酸薬(亜硝酸薬)としては、例えば、亜硝酸アミル、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等が挙げられる。抗不整脈薬としては、例えば、塩酸アプリンジン、塩酸アミオダロン、塩酸ピルジカイニド、塩酸ピルメノール、塩酸プロカインアミド、塩酸プロバフェノン、塩酸メキシレチン、酢酸フレカイニド、硫酸キニジン等が挙げられる。ナトリウムチャネル抑制薬としては、例えば、塩酸ピルジカイニド、塩酸ピルメノール、塩酸プロカインアミド、塩酸プロパフェノン、酢酸フレカイニド、塩酸メキシレチン、塩酸リドカイン等が挙げられる。プロトンポンプ阻害薬としては、例えば、オメプラゾール、ランソプラゾール等が挙げられる。
【0077】
PPARα/γデュアルアゴニストの副作用を低減するための上記併用薬の使用形態は、PPARα/γデュアルアゴニストとの2剤併用に限定されず、本発明のPPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせてなる医薬に、さらに併用することができる。
【0078】
本発明のPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせてなる医薬は、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与されるが、治療に際して最も効果的な投与経路を選択することが望ましい。
【0079】
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、0.1ngから1000mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1ngから1000mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
【0080】
本発明の医薬を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤、および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等の剤形が用いられる。
【0081】
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質は、そのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも使用される。
【0082】
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0083】
非経口投与のための注射剤は、溶液、懸濁液、乳濁液、および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0084】
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点眼剤、点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造される。
【0085】
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0086】
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて製造される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0087】
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて調製される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0088】
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0089】
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0090】
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて調製される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0091】
噴霧剤、吸入剤、スプレー剤および点鼻剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と、等張性を与えるような緩衝剤として、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。また、エアゾル剤としても構わない。点鼻剤を投与する際には、通常、専用の点鼻器あるいは噴霧器が用いられ、薬剤を含有した溶液または薬剤を含有した粉末が定量的に鼻腔内にスプレー(噴霧)投与される。
【0092】
非経口投与のための点眼剤には、点眼液、懸濁型点眼液、乳濁型点眼液、用時溶解型点眼液および眼軟膏が含まれる。これらの点眼剤は公知の方法に準じて製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて製造される。点眼剤の溶剤としては、例えば、滅菌精製水、生理食塩水、その他の水性溶剤または注射用非水性用剤(例えば、植物油等)等およびそれらの組み合わせが用いられる。点眼剤は、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、界面活性化剤(ポリソルベート80(商品名)、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、安定化剤(クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等)、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)などを必要に応じて適宜選択して含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか、無菌操作法によって製造、調製される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の滅菌精製水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0093】
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤または吸入用液剤が含まれる。吸入用液剤は用時に水もしくは他の適当な媒体に溶解または懸濁させて使用する形態であってもよい。これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
【0094】
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のための腟坐剤等が含まれる。
【0095】
本発明のPPARα/γデュアルアゴニストの毒性は十分に低いものであり、十分安全であると判断できる。
【0096】
本発明のPPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせてなる医薬は、PPARα/γデュアルアゴニストを単独で用いた場合に得られる効果(例えば、血糖降下作用、耐糖能改善作用、インスリン抵抗性改善作用等)より、高い効果を得ることができる。
【0097】
本明細書において、「血糖降下作用」は、糖負荷後の血漿グルコース濃度(血糖値)を低く維持する作用を意味する。また、「血糖降下剤」とは、「血糖降下作用」を有する薬剤を意味する。
【0098】
本明細書において、「耐糖能改善作用」は、低下した糖代謝能力(耐糖能)を改善し、糖負荷後の血糖値を速やかに低下させる作用を意味する。また、「耐糖能改善剤」とは、「耐糖能改善作用」を有する薬剤を意味する。
【0099】
本明細書において、「インスリン抵抗性改善作用」は、インスリンに対する感受性が低下した状態、および/またはインスリンの作用が発現しにくい状態(インスリン抵抗性)を改善し、糖負荷後のインスリン必要量を減少させる作用を意味する。また、「インスリン抵抗性改善剤」とは、「インスリン抵抗性改善作用」を有する薬剤を意味する。
【0100】
本発明のPPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせてなる医薬は、PPARα/γデュアルアゴニストの適用対象とされる疾患、例えば、糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病等)、脂質異常症(高トリグリセライド血症、高LDL血症、低HDL血症等)、糖尿病性合併症(神経障害、腎症、網膜症、白内障等)、耐糖能不全(IGT)、肥満、骨粗鬆症、悪液質、脂肪肝、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、妊娠糖尿病、腎臓疾患、筋ジストロフィー、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害、インスリン抵抗性症候群、シンドロームX、高インスリン血症、高インスリン血症における知覚障害、腫瘍(白血病、乳癌、前立腺癌、皮膚癌等)、過敏性腸症候群、急性または慢性下痢、内臓肥満症候群などに関して、PPARα/γデュアルアゴニストを単独で用いた場合に得られる予防および/または治療効果より、優れた予防および/または治療効果を得ることができる。
【0101】
これらの疾患のなかでも、本発明に係る医薬は前記した効果(例えば、血糖降下作用、耐糖能改善作用、インスリン抵抗性改善作用等)を有するため、特に、糖尿病、耐糖能不全等に関して、PPARα/γデュアルアゴニストまたは糖尿病治療薬を単独で用いた場合に得られる予防および/または治療効果より、高い予防および/または治療効果を得ることができる。
【実施例】
【0102】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0103】
〔1:PPARα/γデュアルアゴニストおよびDPP4阻害剤の併用による耐糖能改善作用〕
PPARα/γデュアルアゴニストとして、3−(5−(2−(2−(4−メチルフェニル)−5−メチルオキサゾール−4−イル)エトキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロパン酸(以下、「化合物A」と略記する。)を用いた。化合物Aは、国際公開第2002/51820号パンフレットの実施例2記載の方法に準じて製造した。
【0104】
DPP4阻害剤として、(2S,3S,5S)−5−{[(2S)−2−シアノピロリジン−1−イル]カルボニル}−N,N,2−トリメチルピロリジン−3−カルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホン酸塩(以下、「化合物B」と略記する。)を用いた。化合物Bは、国際公開第2005/073186号パンフレットの実施例16記載の方法に準じて製造した。
【0105】
Zucker fa/faラット(系統名Crlj:ZUC−Leprfa)を9週齢で購入後、個別ケージにて7日間の予備飼育を行った。予備飼育期間中は、固形飼料および上水道水を自動給水装置から自由摂取させた。この間、一般状態観察を実施し、特に異常の認められなかった10週齢の動物を試験に供した。実験開始日の午前中に体重測定を行い、尾静脈からマイクロキャピラリーを用いて採血後、HbA1c、血漿グルコース濃度および血漿インスリン濃度を測定し、これらを指標にして層別無作為化法により以下の4群(8匹/群)に群分けした。群分け翌日以降、毎日午前中に体重を測定し、この体重に基づいて、化合物Aは1mg/kgの用量で、化合物Bは0.1mg/kgの用量で、それぞれ1日1回、経口ゾンデを用いて15日間連続強制経口投与した。なお、対照群には媒体である0.5%メチルセルロース溶液を投与した。
A群:媒体投与群(対照群)
B群:化合物A単独投与群
C群:化合物B単独投与群
D群:化合物Aおよび化合物Bの併用投与群
【0106】
15日間の反復投与終了後、15日目に経口糖負荷試験(OGTT)を実施し、耐糖能改善作用を評価した。具体的には、OGTT実施の前日より絶食とし,実施当日グルコース溶液(2g/5mL/kg)を経口投与した。負荷前ならびに負荷後15、30、60および120分に尾静脈からマイクロキャピラリーを用いて採血し、市販のキットを用いて血漿グルコース濃度および血漿インスリン濃度を測定した。
【0107】
血漿グルコース濃度の測定結果を表1に、血漿インスリン濃度の測定結果を表2に、それぞれ示した。表1から明らかなように、化合物Aおよび化合物Bの併用は糖負荷後の血漿グルコース濃度を低く推移させ、化合物A単独投与および化合物B単独投与の効果よりもZucker fa/faラットの耐糖能を強く改善した。また、表1および表2から明らかなように、化合物Aおよび化合物Bの併用は糖負荷後のインスリン必要量を減少させ、インスリン作用が効率よく発揮されることが示唆された。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
〔製剤例1〕
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤10000錠を得た。
・3−(5−(2−(2−(4−メチルフェニル)−5−メチルオキサゾール−4−イル)エトキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロパン酸・・・・・500g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ・・・・・・20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ・・・・・・10g
・微結晶セルロース ・・・・・470g
【0111】
〔製剤例2〕
以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法により滅菌し、5mLずつアンプルに充填し、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル10000本を得た。
・3−(5−(2−(2−(4−メチルフェニル)−5−メチルオキサゾール−4−イル)エトキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロパン酸・・・・200g
・マンニトール ・・・・・2kg
・蒸留水 ・・・・・50L
【0112】
〔製剤例3〕
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤10000錠を得た。
・(2S,3S,5S)−5−{[(2S)−2−シアノピロリジン−1−イル]カルボニル}−N,N,2−トリメチルピロリジン−3−カルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホン酸塩 ・・・・・500g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ・・・・・・20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ・・・・・・10g
・微結晶セルロース ・・・・・470g
【0113】
〔製剤例4〕
以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法により滅菌し、5mLずつアンプルに充填し、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル10000本を得た。
・(2S,3S,5S)−5−{[(2S)−2−シアノピロリジン−1−イル]カルボニル}−N,N,2−トリメチルピロリジン−3−カルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホン酸塩 ・・・・・・・200g
・マンニトール ・・・・・・・・2kg
・蒸留水 ・・・・・・・・50L
【0114】
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
【0115】
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明のPPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせてなる医薬を用いれば、PPARα/γデュアルアゴニストを単独で用いた場合の効果(例えば、血糖降下作用、耐糖能改善作用、インスリン抵抗性改善作用等)よりも、優れた効果を得ることができるため、糖尿病の予防および/または治療剤としてより有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PPARα/γデュアルアゴニストと糖尿病治療薬とを組み合わせてなる医薬。
【請求項2】
糖尿病治療薬が、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬、スルホニル尿素系血糖低下薬、ビグアナイド系製剤、α−グルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、インスリン製剤、PPARアゴニスト、β3アドレナリン受容体作動薬、アルドース還元酵素阻害薬、GLP−1類縁体およびSGLT阻害薬からなる群より選択される1種以上である請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
PPARα/γデュアルアゴニストが下記一般式(I)
【化1】

(式中、Xは(1)結合手、または(2)C1〜4アルキレン基を表わし、Yは(1)−O−基、または(2)−S−基を表わし、ZはC1〜4アルキレン基を表わし、Aは(1)−O−基、または(2)−S−基を表わし、Rは(1)COOR基、(2)CONH基、(3)CONHOH基、(4)CHOH基、(5)CHO基、(6)1H−テトラゾール−5−イル基、または(7)3,5−ジオキソイソオキサゾリン−4−イル基を表わし、Rは(1)水素原子、または(2)C1〜8アルキル基を表わし、RおよびRはそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基、(3)C1〜8アルコキシ基、または(4)フェニル基で置換されたC1〜8アルコキシ基を表わし、
は(1)水素原子、または(2)C1〜8アルキル基を表わし、DはD、D、またはDを表わし、Dは下記式(II)
【化2】

を表わし、ring1は一部または全部が飽和されていてもよいC3〜10の単環または二環式炭素環アリールを表わし、Dは下記式(III)
【化3】

を表わし、ring2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、一部または全部が飽和されていてもよい3〜10員の単環または二環式ヘテロ環アリールを表わし、DはC1〜8アルキル基を表わし、Rは(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基、(3)ニトロ基、(4)NR基、(5)ハロゲン原子、(6)C1〜8アルコキシ基、(7)C1〜8アルキルチオ基、(8)CF基、(9)CFO基、(10)一部または全部が飽和されていてもよいC3〜10の単環または二環式炭素環アリール、または(11)酸素原子、窒素原子または硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、一部または全部が飽和されていてもよい3〜10員の単環または二環式ヘテロ環アリールを表わし、RおよびRは、それぞれ独立して(1)水素原子、または(2)C1〜8アルキル基を表わし、mは1〜3を表わす。)で示されるジヒドロナフタレン誘導体化合物、またはそれらの塩である請求項1に記載の医薬。
【請求項4】
一般式(I)で示される化合物が、3−(5−(2−(2−(4−メチルフェニル)−5−メチルオキサゾール−4−イル)エトキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロパン酸である請求項3に記載の医薬。
【請求項5】
3−(5−(2−(2−(4−メチルフェニル)−5−メチルオキサゾール−4−イル)エトキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロパン酸とジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬とを組み合わせてなる請求項4に記載の医薬。
【請求項6】
ジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬が(2S,3S,5S)−5−{[(2S)−2−シアノピロリジン−1−イル]カルボニル}−N,N,2−トリメチルピロリジン−3−カルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホン酸塩である請求項5に記載の医薬。
【請求項7】
血糖降下剤である請求項1乃至6のいずれか1つに記載の医薬。
【請求項8】
耐糖能の改善剤である請求項1乃至6のいずれか1つに記載の医薬。
【請求項9】
インスリン抵抗性の改善剤である請求項1乃至6のいずれか1つに記載の医薬。
【請求項10】
糖尿病の予防および/または治療剤である請求項1乃至6のいずれか1つに記載の医薬。

【公開番号】特開2008−285452(P2008−285452A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133874(P2007−133874)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】