説明

PPARγ機能調節剤

【課題】 ジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を含有するPPARγ機能調節剤などを提供すること。
【解決手段】一般式(I)
【化53】


(式中、Xは水素原子または置換基を有していてもよい低級アルキルを表し、Yは、シアノまたは置換基を有していてもよい芳香族複素環基などを表し、R〜Rは、同一または異なって水素、低級アルキル、ハロゲンなどを表し、Aは置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す)で表されるジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ機能調節剤などを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジフェニルエテン誘導体等を有効成分として含有するペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)γの機能調節剤およびPPARγの機能調節剤等として有用なジフェニルエテン誘導体等に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR) はリガンド活性化転写因子の核レセプタースーパーファミリーのメンバーである。PPARの3 種類のサブタイプ、すなわち、PPARα 、PPARγ 、およびPPARδ がマウスおよびヒトからクローン化されている。PPARは炭水化物および脂質代謝、細胞の増殖および分化、表現型転位、アポトーシス、血管新生、免疫調節および炎症性反応の重要な核内ホルモン受容体として知られている。PPARを活性化する化合物類は、代謝性症候群、肥満、前糖尿病、2型糖尿病およびその他のインスリン抵抗性症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、脂肪血症、例えば乾癬などの炎症性皮膚疾患、炎症性腸疾患、多発性硬化症やアルツハイマー病などの炎症性神経変性病、良性、悪性腫瘍または転移腫瘍などの増殖性疾患など、種々の臨床的疾患の処置および予防のために有用であると考えられている。特にPPARγは脂肪細胞の分化に重要な役割を果たしていることが知られている。肥大化した脂肪細胞は、インスリン抵抗性を惹起するサイトカインであるTNF-αや遊離脂肪酸を多く分泌していることが知られているが、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンなどのチアゾリジンジオン誘導体は、PPARγを活性化することにより、肥大化した脂肪細胞をアポトーシスによって減少させ、さらに前駆脂肪細胞から正常な機能を有する小型脂肪細胞への分化を促進することでインスリン抵抗性を改善することが報告されている(非特許文献1、2)。すでに、ピオグリタゾンとロシグリタゾンのPPARγ作動薬が糖尿病治療薬として臨床的に用いられている(特許文献1、2)。
【0003】
PPARγ作動薬は、糖尿病以外にもメタボリックシンドローム、肥満、前糖尿病状態である耐糖能異常およびその他のインスリン抵抗性症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、乾癬などの炎症性疾患、炎症性腸疾患などの疾患の治療および/または予防剤として有用であると考えられている。また、良性あるいは悪性腫瘍または転移腫瘍などの増殖性疾患の治療および/または予防剤として有用であることが報告されている(非特許文献3、4)。
【0004】
PPARγに対する選択的な部分作動薬は既存の完全作動薬(チアゾリジンジオン誘導体など)と比較し、体重増加、脂肪細胞蓄積などの副作用を伴わないことが報告されている(非特許文献5)。
下記式(A)で表されるジフェニルエテン化合物およびその誘導体がアンジオテンシンIIレセプター(AT1)拮抗薬として知られている(特許文献3)。
【0005】
【化1】

【0006】
下記式(B)で表されるジフェニルエテン化合物およびその誘導体が、アンジオテンシンII受容体拮抗作用を示すことが知られている(特許文献4参照)。
【0007】
【化2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−267580号公報
【特許文献2】特開平1−131169号公報
【特許文献3】ヨーロッパ特許第669333号明細書
【特許文献4】米国特許第5274104号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、1995年、第270巻、p.12953
【非特許文献2】ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、1996年、第39巻、p.665
【非特許文献3】オンコジーン(Oncogen)、2006年、第25巻、p.2304
【非特許文献4】ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー(Eur.J.Cancer)、2008年、44巻、12号、p.1734
【非特許文献5】モレキュラー・エンドクリノロジー(Molecular Endocrinology)、2003年、17巻、4号、p.662
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγの作動剤等を提供することにある。また別の目的は、PPARγの作動剤等として有用なジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の(1)〜(21)に関する。
(1)一般式(I)
【0012】
【化3】

【0013】
[式中、Yは、水素原子、または置換基を有していてもよい低級アルキルを表し、
Xは、シアノ、カルボキシ、置換基を有していてもよい脂肪族複素環基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
Aは、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
、R、R、R、RおよびRは、同一または異なって水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、または低級アルキルを表す]で表されるジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
(2)一般式(I−1)
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、X、Y、A、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義である)で表される(1)記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
(3)一般式(I−2)
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、X、Y、A、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義である)で表される(1)記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
(4)Aが、式(a1)〜(a7)
【0018】
【化6】

【0019】
(式中、R1−1は、同一または異なって、置換基を有していてもよい低級アルキル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、または置換基を有していてもよい低級アルコキシを表し、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン、または置換基を有していてもよい低級アルキルを表す)のいずれかで表される(1)、(2)または(3)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
(5)Xが、シアノまたは式(b1)〜(b10)
【0020】
【化7】

【0021】
(式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい低級アルキルまたは置換基を有していてもよいシクロアルキルを表し、破線は存在しないかまたは単結合を表す)のいずれかで表される(1)、(2)、(3)または(4)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
(6)一般式(IA)
【0022】
【化8】

【0023】
[式中、XAはシアノ、カルボキシ、置換基を有していてもよい脂肪族複素環基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Yは前記と同義であり、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義であり、AAが、式(a1)〜(a6)
【0024】
【化9】

【0025】
(式中、R1−1は、前記と同義であり、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、前記と同義である)のいずれかを表す]で表されるジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(7)一般式(IA−1)
【0026】
【化10】

【0027】
(式中、XA、Y、AA、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義である)で表される(6)記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(8)一般式(IA−2)
【0028】
【化11】

【0029】
(式中、XA、Y、AA、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義である)で表される(6)記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(9)AAが、式(a1)または(a5)
【0030】
【化12】

【0031】
(式中、R1−1は前記と同義であり、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義である)で表される(6)、(7)または(8)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(10)AAが下記式 (a1-1)
【0032】
【化13】

【0033】
(式中、R1−1は前記と同義であり、RおよびRはそれぞれ同一または異なって前記と同義である)である(6)、(7)または(8)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(11)XAが、シアノ、カルボキシまたは下記式(b1)〜(b10)
【0034】
【化14】

【0035】
(式中、Rは前記と同義であり、破線は存在しないかまたは単結合を表す)のいずれかである(6)、(7)、(8)、(9)または(10)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(12)XAが、シアノ、カルボキシ、または下記基(b1)〜(b4)
【0036】
【化15】

【0037】
のいずれかである(6)、(7)、(8)、(9)または(10)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(13)XAが、下記式(b1)、(b2)または(b3)
【0038】
【化16】

【0039】
のいずれかである(6)、(7)、(8)、(9)または(10)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(14)一般式(IA)
【0040】
【化17】

【0041】
が下記式(IB)
【0042】
【化18】

【0043】
[式中、RおよびRはそれぞれ同一または異なって前記と同義であり、XA-1は、シアノ、カルボキシ、または下記基(b1)〜(b4)
【0044】
【化19】

【0045】
のいずれかを表し、
は置換基を有していてもよい低級アルキルを表し、
Bが下記式 (a1-1)
【0046】
【化20】

【0047】
(式中、R1−1、RおよびRDはそれぞれ前記と同義である)を表す]である(6)記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(15)一般式(IB)が、一般式(IB−1)
【0048】
【化21】

【0049】
(式中、XA-1、Y、A、RまたはRは、同一または異なってそれぞれ前記と同義である)である(14)記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(16)一般式(IB)が、一般式(IB−2)
【0050】
【化22】

【0051】
(式中、XA-1、Y、A、RまたはRは、同一または異なってそれぞれ前記と同義である)である(14)記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(17)XA-1が、下記式(b1)、(b2)または(b3)
【0052】
【化23】

【0053】
である(14)、(15)または(16)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
(18)(6)〜(17)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
(19)(6)〜(17)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
(20)(6)〜(17)のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγが関与する疾患の治療および/または予防剤。
(21)PPARγが関与する疾患が、2型糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドローム、内臓肥満、肥満症、高トリグリセリド血症および腫瘍からなる群から選ばれる疾患である(20)記載の剤。
【発明の効果】
【0054】
本発明により、ジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγの作動剤等が提供される。また、PPARγの作動剤等として有用なジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩等が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である。
一般式(I)の各基の定義において、
低級アルキルおよび低級アルコキシの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキルがあげられ、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどがあげられる。
【0056】
シクロアルキルとしては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキルがあげられ、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあげられる。
脂肪族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂肪族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂肪族複素環基などがあげられ、より具体的にはアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ピペリジニル、アゼパニル、1,2,5,6−テトラヒドロピリジル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピラゾリニル、オキシラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−2H−ピラニル、5,6−ジヒドロ−2H−ピラニル、オキサゾリジニル、モルホリノ、モルホリニル、チオキサゾリジニル、チオモルホリニル、2H−オキサゾリル、2H−チオキサゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリジニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾチオキサゾリル、ベンゾジオキソリニル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロ−2H−クロマニル、ジヒドロ−1H−クロマニル、ジヒドロ−2H−チオクロマニル、ジヒドロ−1H−チオクロマニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロキナゾリニル、ジヒドロベンゾジオキサニルなどがあげられる。
【0057】
芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基などがあげられ、より具体的にはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、ピロロピリジニル、ピロロピリミジニル、イミダゾピリジニル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニルなどがあげられる。
【0058】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
置換基を有していてもよい低級アルキルおよび置換基を有していてもよい低級アルコキシにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、
ハロゲン、ヒドロキシ、スルファニル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバモイル、C3−8シクロアルキル、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、C1−10アルコキシ、C3−8シクロアルコキシ、C6−14アリール、C6−14アリールオキシ、C7−16アラルキルオキシ、C2−11アルカノイルオキシ、C7−15アロイルオキシ、C1−10アルキルスルファニル、−NR(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、C1−10アルキル、C3−8シクロアルキル、C6−14アリール、芳香族複素環基、C7−16アラルキル、C2−11アルカノイル、C7−15アロイル、C1−10アルコキシカルボニルまたはC7−16アラルキルオキシカルボニルを表す)、C2−11アルカノイル、C7−15アロイル、C1−10アルコキシカルボニル、C6−14アリールオキシカルボニル、C1−10アルキルカルバモイル、ジC1−10アルキルカルバモイルなどからなる群から選ばれる置換基があげられる。
【0059】
置換基を有していてもよい芳香族複素環基における置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、スルファニル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバモイル、C1−10アルキル、トリフルオロメチル、C3−8シクロアルキル、C6−14アリール、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、C1−10アルコキシ、C3−8シクロアルコキシ、C6−14アリールオキシ、C7−16アラルキルオキシ、C2−11アルカノイルオキシ、C7−15アロイルオキシ、C1−10アルキルスルファニル、−NR(式中、RおよびRは同一または異なってそれぞれ前記と同義である)、C2−11アルカノイル、C7−15アロイル、C1−10アルコキシカルボニル、C6−14アリールオキシカルボニル、C1−10アルキルカルバモイル、ジC1−10アルキルカルバモイル、C1−10アルコキシC1−10アルキル、ヒドロキシC1−10アルキルなどからなる群から選ばれる置換基があげられる。
【0060】
置換基を有していてもよいシクロアルキルおよび置換基を有していてもよい脂肪族複素環基における置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、オキソ、ハロゲン、ヒドロキシ、スルファニル、ニトロ、シアノ、カルバモイル、C1−10アルキル、トリフルオロメチル、C3−8シクロアルキル、C6−14アリール、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、C1−10アルコキシ、C3−8シクロアルコキシ、C6−14アリールオキシ、C7−16アラルキルオキシ、C2−11アルカノイルオキシ、C7−15アロイルオキシ、C1−10アルキルスルファニル、−NR(式中、RおよびRは同一または異なってそれぞれ前記と同義である)、C2−11アルカノイル、C7−15アロイル、C1−10アルコキシカルボニル、C6−14アリールオキシカルボニル、C1−10アルキルカルバモイル、ジC1−10アルキルカルバモイルなどからなる群から選ばれる置換基があげられる。
【0061】
ここで示したC1−10アルキルならびにC1−10アルコキシ、C2−11アルカノイルオキシ、C1−10アルキルスルファニル、C2−11アルカノイル、C1−10アルコキシカルボニル、C1−10アルキルカルバモイルおよびジC1−10アルキルカルバモイルのC1−10アルキル部分としては、例えば前記低級アルキルの例示であげた基が例示される。ジC1−10アルキルカルバモイルにおける2つのC1−10アルキルは同一でも異なっていてもよい。
【0062】
3−8シクロアルキルおよびC3−8シクロアルコキシのシクロアルキル部分としては、例えば前記シクロアルキルの例示であげた基が例示される。
6−14アリールならびにC6−14アリールオキシ、C7−15アロイル、C7−15アロイルオキシおよびC6−14アリールオキシカルボニルのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14のアリールがあげられ、より具体的にはフェニル、ナフチル、アズレニル、アントリルなどがあげられる。
【0063】
7−16アラルキルならびにC7−16アラルキルオキシおよびC7−16アラルキルオキシカルボニルのC7−16アラルキル部分としては、例えばベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシル、フェニルヘプチル、フェニルオクチル、フェニルノニル、フェニルデシル、ナフチルメチル、ナフチルエチル、ナフチルプロピル、ナフチルブチル、ナフチルペンチル、ナフチルヘキシル、アントリルメチル、アントリルエチルなどが例示される。
【0064】
脂肪族複素環基、芳香族複素環基およびハロゲンは、それぞれ例えば前記脂肪族複素環基、前記芳香族複素環基および前記ハロゲンの例示であげた基が例示される。
1−10アルコキシC1−10アルキルのC1−10アルコキシのC1−10アルキル部分としては、例えば前記低級アルキルの例示であげた基が例示され、C1−10アルコキシC1−10アルキルのC1−10アルキル部分としては、例えば前記低級アルキルの例示であげた基から水素原子を一つ除いた基が例示される。
【0065】
ヒドロキシC1−10アルキルのC1−10アルキル部分としては、例えば前記低級アルキルの例示であげた基から水素原子を一つ除いた基が例示される。
化合物(I)、(IA)の薬学的に許容される塩は、例えば薬学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。化合物(I)、(IA)の薬学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩などの有機酸塩などがあげられ、薬学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬学的に許容される有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばリジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
【0066】
次に化合物(I)の製造法について説明する。
なお、以下に示す製造法において、定義した基が該製造法の条件下で変化するかまたは該製造法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される保護基の導入および除去方法[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第3版(Protective Groups in Organic Synthesis,third edition)、グリーン(T.W.Greene)著、John Wiley&Sons Inc.(1999年)などに記載の方法]などを用いることにより、目的化合物を製造することができる。また、必要に応じて置換基導入などの反応工程の順序を変えることもできる。
製造法1
化合物(I)のうち、Xがシアノである化合物(Ia)またはXがカルボキシである化合物(Ib)は、以下の工程に従い製造することができる。
【0067】
【化24】

【0068】
[式中、A、R、R、R、RおよびYはそれぞれ前記と同義であり、RおよびRは同一または異なって水素または低級アルキルを表し、Wは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシなどの脱離基を表し、RaaおよびRbbはそれぞれメチル、エチルなどの低級アルキルまたはフェニルなどのアリールを表す。]
工程1
化合物(III)は、化合物(IIa)と1当量〜5当量の化合物(IIb)とを、1当量〜大過剰の塩基の存在下、溶媒中、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜120時間反応させることにより得ることができる。
【0069】
塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどがあげられる。溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリルなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
【0070】
ここで、化合物(IIa)は市販もしくは公知の方法[例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1921年、43巻、p.1920]などに記載の方法により得ることができ、化合物(IIb)は市販あるいは公知の方法[例えば、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティー・パーキン・トランザクション1(J.Chem.Soc.Perkin Trans.1)、1992年、p.313、シンセティック・コミュニケーションズ(Synthetic Communications)、1997年、第27巻、p.1621、シンセシス(Synthesis)、1987年、p.411]またはそれに準じた方法により得ることができる。
工程2
およびRが同一である化合物(IV)は、化合物(III)と1当量〜大過剰のアルキル金属試薬を、溶媒中、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜120時間反応させることにより、得ることができる。RおよびRが共に水素である化合物(IV)は、化合物(III)と1当量〜大過剰の還元剤を、溶媒中、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜120時間反応させることにより、得ることができる。RとRが異なる化合物(IV)は、上記RおよびRが共に水素である化合物(IV)を酸化剤と反応させアルデヒドとし、アルキル金属試薬で上記と同様に処理した後、再度同様に酸化剤と反応させケトンに変換後、アルキル金属試薬で同様に処理することで合成することができる。
【0071】
還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、リチウムアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどがあげられ、アルキル金属試薬としては、例えばアルキルリチウム、アルキルマグネシウムクロリド、アルキルマグネシウムブロミド、アルキルマグネシウムヨージド、アルキル亜鉛などがあげられ、酸化剤としては、1,1,1-トリアセトキシ-1,1-ジヒドロ-1,2-ベンズヨードキソール-3(1H)-オン、三酸化硫黄ピリジン錯体、クロロクロム酸ピリジニウムなどがあげられる。溶媒としては、例えばTHF、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、ヘキサン、トルエンなどがあげられれ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
工程3
化合物(V)は、化合物(IV)を1当量〜大過剰量のハロゲン化剤または塩基およびスルホニル化剤の存在下、溶媒中または無溶媒で、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させることで得ることができる。ハロゲン化剤としては、例えば塩化チオニル;三臭化リン;三臭化ホウ素;トリフェニルホスフィン、2,6−ルチジンおよび四塩化炭素の組み合わせ;トリフェニルホスフィン、2,6−ルチジンおよび四臭化炭素の組み合わせ;メタンスルホニルクロリド、2,6−ルチジンおよび塩化リチウムの組み合わせ;メタンスルホニルクロリド、2,6−ルチジンおよび臭化リチウムの組み合わせなどがあげられる。スルホニル化剤としては、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物、ベンゼンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリドなどがあげられ、塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンなどがあげられる。溶媒としては、例えばTHF、DMF、DMA、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリルなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
工程4
化合物(Ia)は、化合物(V)と1当量〜15当量の化合物(Va)とを、必要により1当量〜大過剰の塩基の存在下、溶媒中、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜120時間反応させることにより得ることができる。
【0072】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ブチルリチウム、LDA、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミンなどがあげられる。溶媒としては、例えばDMF、DMA、NMP、DMSO、THF、アセトニトリル、イソプロピルアルコールなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
【0073】
ここで、化合物(Va)は市販あるいは公知の方法(例えば、米国特許第5332744号、欧州特許第400835号など)またはそれに準じた方法により得ることができる。
工程4’
およびRが共に水素である化合物(Ia)は、RおよびRが共に水素である化合物(IV)と1当量〜5当量の化合物(Va)を、1当量〜大過剰の縮合剤、および必要により1当量〜大過剰のホスフィン化合物の存在下、溶媒中、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより得ることができる。
【0074】
縮合剤としては、例えばアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジ(tert−ブチル)、(シアノメチレン)トリメチルホスホラン、(シアノメチレン)トリブチルホスホランなどがあげられる。ホスフィン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、ポリマー担持トリフェニルホスフィンなどがあげられる。溶媒としては、例えばTHF、DMF、ジクロロメタン、アセトニトリルなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
工程5
化合物(Ib)は、化合物(Ia)を、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムなどの塩基の存在下、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール、ジオキサン、グライムなどの溶媒と水との混合溶媒中、室温と用いる溶媒の沸点の間の温度で、1時間〜120時間反応させるか、または、硫酸、塩酸、酢酸などの酸性水溶液もしくはそれらの酸よりなる混合水溶液中で、室温と用いる溶媒の沸点の間の温度で、1時間〜120時間反応させ、ニトリル基を加水分解することにより得ることができる。または、一旦中間体のカルバモイルを得たのち、再び上記の反応を行うことにより合成することもできる。
製造法2
化合物(I)のうち、Xがシアノである化合物(Ia)は、以下の工程に従い製造することもできる。
【0075】
【化25】

【0076】
[式中、A、R、R、R、R、R、R、YおよびRbbはそれぞれ前記と同義であり、Waは、塩素原子、臭素原子などのハロゲン基を表す。]
工程6
化合物(VII)は、化合物(VI)と1〜2当量のハロゲン化剤とを、必要によりラジカル開始剤の存在下、溶媒中、使用する溶媒の沸点以下の温度で、1〜10時間反応させることにより得ることができる。
【0077】
ハロゲン化剤としては、例えばN−ブロモコハク酸イミドあるいはN−クロロコハク酸イミドなどがあげらえる。溶媒としては、例えば四塩化炭素、クロロホルム、ベンゼンなどがあげられる。ラジカル開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイルなどがあげられる。
工程7
化合物(VIII)は、化合物(VII)と1当量〜5当量の化合物(Va)とを、必要により1当量〜大過剰の塩基の存在下、溶媒中、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜120時間反応させることにより得ることができる。
【0078】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ブチルリチウム、LDA、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミンなどがあげられる。溶媒としては、例えばDMF、DMA、NMP、DMSO、THF、アセトニトリル、イソプロピルアルコールなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
【0079】
ここで、化合物(Va)は市販品として、あるいは公知の方法(例えば、米国特許第5332744号、欧州特許第400835号など)またはそれに準じた方法により得ることができる。
工程8
化合物(Ia)は、化合物(VIII)と1当量〜5当量の化合物(IIb)とを、1当量〜大過剰の塩基の存在下、溶媒中、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜120時間反応させることにより得ることができる。
【0080】
塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム、ブチルリチウム、LDA、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、DBU、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどがあげられる。溶媒としては、例えばDMF、DMA、NMP、DMSO、THF、アセトニトリルなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
製造法3
化合物(I)のうち、RおよびRが共に水素で、Xがシアノである化合物(Ia-1)は、以下の工程に従い製造することができる。
【0081】
【化26】

【0082】
[式中、A、R、R、R、R、Raa、WaおよびYはそれぞれ前記と同義であり、Rはトリフルオロメタンスルホニルを表す。]
工程9
化合物(X)は、市販品として、もしくは公知の方法[例えば、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、1996年、39巻、25号、p.4871]で得られる1当量〜5当量の化合物(IX)と化合物(Va)とを、必要により1当量〜大過剰の塩基の存在下、溶媒中、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜120時間反応させることにより得ることができる。
【0083】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ブチルリチウム、LDA、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミンなどがあげられる。溶媒としては、例えばDMF、DMA、NMP、DMSO、THF、アセトニトリル、イソプロピルアルコールなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
【0084】
ここで、化合物(Va)は市販品として、あるいは公知の方法(例えば、米国特許第5332744号、欧州特許第400835号など)またはそれに準じた方法により得ることができる。
工程10
化合物(XI)は、化合物(X)を溶媒中、1当量〜大過剰量の塩基の存在下、0℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間処理することにより製造することができる。
【0085】
塩基としては、例えば炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシドなどがあげられる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン、DMF、DMA、NMP、ピリジンなどがあげられ、これらは水と混合して、またはそれぞれを混合してさらに水を添加して用いられる。
工程11
化合物(XII)は、(1)化合物(XI)を無溶媒または溶媒中、必要により0.1〜10当量の添加剤の存在下、1当量〜大過剰量のハロゲン化剤で、−20℃と150℃の間の温度で、5分間〜72時間処理し、(2)得られた化合物を1〜10当量のNHCHOCHもしくはNHCHOCH・塩酸塩と、無溶媒でまたは溶媒中、必要により1〜10当量の塩基の存在下、−20℃と150℃の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより製造することができる。
【0086】
(1)で用いるハロゲン化剤としては、例えば塩化チオニル、塩化オキザリル、オキシ塩化リン、臭化チオニル、オキシ臭化リンなどがあげられる。
(1)で用いる添加剤としては、例えばDMF、ピリジンなどがあげられる。
(1)で用いる溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、DME、ジオキサン、DMF、DMA、NMP、ピリジンなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
【0087】
(2)で用いる塩基としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、DBU、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などがあげられる。
(2)で用いる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、DME、ジオキサン、DMF、DMA、NMP、ピリジン、水などがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
【0088】
また、別法として、化合物(XII)は、化合物(XI)を1〜5当量のNHCHOCHもしくはNHCHOCH・塩酸塩と、必要により1〜10当量の塩基の存在下、溶媒中、1〜5当量の縮合剤の存在下、必要により1〜5当量の添加剤の存在下、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させることによっても製造することができる。
【0089】
塩基としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、DBU、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などがあげられる。
縮合剤としては、例えば1,3−ジシクロヘキサンカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(EDC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ヨウ化 2−クロロ−1−メチルピリジニウムなどがあげられる。
【0090】
添加剤としては、例えば1−ヒドロキシベンズトリアゾール・一水和物(HOBt)などがあげられる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、DME、ジオキサン、DMF、DMA、NMP、ピリジン、水などがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
工程12
化合物(XIII)は1当量〜6当量のYCH2CN(式中、Yは前記と同義である)と1当量〜大過剰の塩基の存在下、溶媒中、−78℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜120時間反応させることにより得ることができる。
【0091】
塩基としては、例えばtert−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ブチルリチウム、LDA、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミドなどがあげられる。溶媒としては、例えばジエチルエーテル、THF、DME、1,4-ジオキサンなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
工程13
化合物(XIV)はトリフレート化剤と、1当量〜大過剰の塩基の存在下、溶媒中、−78℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜24時間反応させることにより得ることができる。
【0092】
トリフレート化剤としては、例えば無水トリフルオロメタンスルホン酸 (TfO)、N-フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)[= N,N-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリン](PhNTf) などがあげられる。
塩基としては、例えばtert−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ブチルリチウム、LDA、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミンなどがあげられる。溶媒としては、例えばジエチルエーテル、DMF、NMP、DMSO、THF、DME、ジクロロメタンなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
工程14
化合物(Ia-1)は、化合物(XIV)を1〜5当量の化合物(Vb)と、溶媒中、0.1〜10当量の塩基を加え、必要により0.1〜10当量の添加剤を加え、0.001〜0.5当量のパラジウム触媒の存在下、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより製造することができる。
【0093】
化合物(Vb)は市販品として得られるか、または公知の方法[例えば、「第5版実験化学講座18 有機化合物の合成VI 金属を用いる有機合成」、第5版、p.97、丸善(2005年)]により、もしくはそれに準じて得ることができる。
塩基としては、例えば炭酸カリウム、リン酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、DBU、炭酸ナトリウムなどがあげられる。
【0094】
使用される添加剤としては、目的の化合物を得ることができ、かつ、分離不可能な副生成物を生成しないものであれば特に限定はないが、具体的には、塩化リチウム、塩化ナトリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化テトラブチルアンモニウム等を挙げることができる。
パラジウム触媒としては、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム、パラジウム黒等であるかまたは、下記に示すパラジウム(0)前駆体となる各種パラジウム錯体および下記に示す各種配位子との組み合わせにより反応系中で生成するパラジウム(0)触媒である。
【0095】
即ち、パラジウム(0)前駆体となる各種パラジウム錯体としては、目的の化合物を得ることができ、かつ、分離不可能な副生成物を生成しないものであれば特に限定はないが、具体的には、酢酸パラジウム、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリスシクロヘキシルホスフィン)パラジウム等があり、配位子としては、目的の化合物を得ることができ、かつ、分離不可能な副生成物を生成しないものであれば特に限定はないが、具体的には、BINAP、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(Xantphos)、トリ−t−ブチルホスフィン、トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−2−フリルホスフィン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、トリシクロヘキシルホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ジ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−イリデン等を挙げることができる。
【0096】
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、DME、ジオキサン、DMF、DMA、NMP、水などがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
製造法4
化合物(I)のうち、RおよびRがともに水素で、Xがシアノである化合物(Ia-1)は、以下の工程に従い製造することもできる。
【0097】
【化27】

【0098】
[式中、A、R、R、R、R、Rz、WaおよびYはそれぞれ前記と同義である。]
工程15
化合物(XVI)は、化合物(XI)の代わりに化合物(XV)を用い、工程11と同様にして製造することができる。
工程16
化合物(XVII)は、化合物(XII)の代わりに化合物(XVI)を用い、工程12と同様にして製造することができる。
工程17
化合物(XVIII)は、化合物(XIII)の代わりに化合物(XVII)を用い、工程13と同様にして製造することができる。
工程18
化合物(XIX)は、化合物(XIV)の代わりに化合物(XVIII)を用い、工程14と同様にして製造することができる。
工程19
化合物(XX)は、化合物(VI)の代わりに化合物(XIX)を用い、工程6と同様にして製造することができる。
工程20
化合物(Ia-1)は、化合物(VII)の代わりに化合物(XX)を用い、工程7と同様にして製造することができる。
製造法5
化合物(I)のうち、Xが下記式(b1)、(b2)、(b3)または(b4)
【0099】
【化28】

【0100】
である化合物(Ic)〜(If)は、以下の工程に従い製造することができる。
【0101】
【化29】

【0102】
(式中、A、R、R、R、R、R、RおよびYはそれぞれ前記と同義である)
工程21
化合物(Ic)は、工程4、4’、8で得られる化合物(Ia)と1当量〜10当量のナトリウムアジドとを、1当量〜大過剰量の弱酸の存在下、溶媒中、−20℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜120時間反応させることにより得ることができる。
【0103】
弱酸としては、例えば塩化アンモニウム、トリエチルアミン塩酸塩などがあげられる。溶媒としては、例えばDMF、DMA、NMP、DMSOなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
また別法として、化合物(Ic)は、化合物(Ia)と、1当量〜10当量のナトリウムアジドとを、0.01〜10当量の添加剤の存在下、溶媒中、−10℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、1時間〜120時間反応させることにより得ることもできる。
【0104】
添加剤としては、例えば塩化トリブチルスズ、塩化トリメチルスズ、ジブチルスズオキシドなどがあげられる。溶媒としては、例えばトルエン、キシレンなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
工程22
化合物(XXI)は、化合物(Ia)と、1当量〜大過剰量のヒドロキシルアミンとを、溶媒中、−20℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜120時間反応させることにより得ることができる。
【0105】
ヒドロキシルアミンは、例えば塩酸ヒドロキシルアミンなどの無機酸塩を用いることもでき、この場合は、等量程度のナトリウムメトキシドなどの塩基を共存させると良い。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、DMF、DMA、DMSOなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
工程23
化合物(Id)は、化合物(XXI)と、1当量〜大過剰のクロロ炭酸エステルとを、1当量〜大過剰のトリエチルアミンなどの塩基存在下、例えばジクロロメタン、THF、DMF、DMA、トルエン、キシレンなどの溶媒中、−20℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させ、中間体となる化合物を単離した後、続いて、例えばTHF、DMF、DMA、トルエン、キシレンなどの溶媒またはそれらの2種類以上の混合溶媒中、必要により触媒量〜10当量のtert-ブトキシカリウムなどの塩基の存在下、−20℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより得ることができる。上記工程は、中間体となる化合物を単離することなく、連続して行うこともできる。
【0106】
クロロ炭酸エステルとしては、例えばクロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸プロピル、クロロ炭酸フェニルなどがあげられる。
あるいは化合物(Id)は、化合物(XXI)と、1当量〜大過剰のN,N’−カルボニルジイミダゾールと、1当量〜大過剰の塩基存在下、溶媒中、室温から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより得ることができる。
【0107】
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、DMAP、DBUなどがあげられる。溶媒としては、例えばTHF、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、アセトンなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
工程24
化合物(Ie)は、化合物(XXI)を、1当量〜大過剰のN,N’−チオカルボニルジイミダゾールと、1当量〜大過剰の塩基存在下、溶媒中、−20℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより得ることができる。
【0108】
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、DMAP、DBUなどがあげられる。溶媒としては、例えばTHF、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、アセトンなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
工程25
化合物(If)は、化合物(XXI)を、1当量〜大過剰のN,N’−チオカルボニルジイミダゾールと、1当量〜大過剰のルイス酸存在下、溶媒中、−20℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより得ることができる。
【0109】
ルイス酸としては、例えば三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、塩化第一スズ、塩化亜鉛、シリカゲルなどがあげられる。溶媒としては、例えばTHF、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノールなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
製造法6
化合物(I)のうち、Xが下記式(b5)
【0110】
【化30】

【0111】
である化合物(Ig)は、以下の工程に従い製造することができる。
【0112】
【化31】

【0113】
(式中A、R、R、R、R、R、RおよびYはそれぞれ前記と同義である)
工程26
化合物(XXII)は、化合物(Ib)を、1当量〜50当量の縮合剤、1当量〜大過剰のヒドラジンと、必要に応じて塩基の存在下、溶媒中、−20℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより得ることができる。縮合剤としては、例えばCDI、DCC、EDCなどがあげられる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、DMAP、DBUなどがあげられる。溶媒としては、例えばTHF、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、アセトンなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
工程27
化合物(Ig)は、化合物(XXII)を、1当量〜50当量のCDIと、必要に応じて塩基の存在下、溶媒中、−20℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより得ることができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、DMAP、DBUなどがあげられる。溶媒としては、例えばTHF、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、アセトンなどがあげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
【0114】
化合物(I)および(IA)におけるR、R1−1、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、XA、XA-1、Y、YA、AおよびAAなどに含まれる官能基の変換は、公知の方法[例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ 第2版(Comprehensive Organic Transformations 2nd edition)、R.C.ラロック(Larock)著、Vch Verlagsgesellschaft Mbh(1999年)などに記載の方法]でまたはそれらに準じて行うこともできる。
【0115】
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィーなどに付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
化合物(I)および化合物(IA)の中には、幾何異性体、光学異性体などの立体異性体、互変異性体などが存在し得るものもあるが、本発明は、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を包含する。
【0116】
化合物(I)または化合物(IA)中の各原子の一部またはすべては、それぞれ対応する同位体原子で置き換わっていてもよく、これら同位体原子で置き換わった化合物も本発明に包含される。例えば、化合物(I)または化合物(IA)中の水素原子の一部またはすべては、原子量2の水素原子(重水素原子)であってもよい。
化合物(I)または化合物(IA)中の各原子の一部またはすべてが、それぞれ対応する同位体原子で置き換わった化合物は、市販のビルディングブロックを用いて、上記各製造法と同様な方法で製造することができる。また、化合物(I)または化合物(IA)中の水素原子の一部またはすべてが重水素原子で置き換わった化合物は、例えば、1)過酸化重水素を用い、塩基性条件下にカルボン酸などを重水素化する方法(USP3849458号公報参照)、2)イリジウム錯体を触媒として用い、重水を重水素源として用いてアルコールやカルボン酸などを重水素化する方法[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)Vol.124,No.10,2092(2002)参照]、3)パラジウムカーボンを触媒として用い、重水素源として重水素ガスのみを用いて脂肪酸を重水素化する方法[リピッズ(LIPIDS),Vol.9,No.11,913(1974)参照]、4)白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムなどの金属を触媒として用い、重水または重水および重水素ガスを重水素源として用いてアクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチルを重水素化する方法(特公平5−19536号公報、特開昭61−277648号公報及び特開昭61−275241号公報参照)、5)パラジウム、ニッケル、銅または亜クロム酸銅などの触媒を用い、重水を重水素源として用いて、アクリル酸やメタクリル酸メチル等を重水素化する方法(特開昭63−198638号公報参照)などを用いて合成することもできる。
【0117】
化合物(I)または化合物(IA)の塩を取得したいとき、化合物(I)または化合物(IA)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)または化合物(IA)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えることにより塩を形成させて単離、精製すればよい。
また、化合物(I)および化合物(IA)ならびにその薬学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明に包含される。
【0118】
本発明によって得られる化合物(I)および化合物(IA)の具体例を第1表〜第4表に示す。ただし、本発明の化合物はこれらに限定されるものではない。
【0119】
【表1】

【0120】
【表2】

【0121】
【表3】

【0122】
【表4】

【0123】
【表5】

【0124】
次に、代表的な化合物(I)および化合物(IA)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1:一過的遺伝子導入によるPPARγのトランスアクチベーションアッセイによるPPARγ活性化作用
化合物(I)および化合物(IA)のPPARγに対するアゴニスト活性は、酵母の転写因子であるGAL4のDNA結合領域とPPARγリガンド結合領域とのキメラ核内レセプターを用いたトランスアクチベーションアッセイ法により測定した。具体的にはLehmannらの方法[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、1995年、第270巻、12953ページ]に準じた下記の方法で、試験化合物のPPARγのアゴニスト活性を評価した。
【0125】
10容量/容量%ウシ胎児血清(インビトロジェン社)の入ったダルベッコ改良イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle培地)(インビトロジェン社)で培養したHEK293EBNA細胞を用いた。10 cm2カルチャーディッシュ(岩城硝子)に密度1×105個/mLの上記の細胞を30 mL播種し、一晩培養した。スーパーフェクト トランスフェクション試薬(SuperFect Transfection Reagent)(キアゲン社)を用いて、ヒトPPARγのリガンド結合領域である174−475アミノ酸とGAL4のDNA結合領域である1−147アミノ酸を融合させたGAL4-PPARγキメラ核内レセプターを発現するプラスミドおよびGAL4応答性ルシフェラーゼを発現するレポータープラスミドを4:1の割合で一過的に細胞内に導入した。遺伝子導入の5時間後、カルチャーディッシュから細胞を剥離し、96ウェル白色プレート(住友ベークライト社)の各ウェルに密度2×10 4個/mLの剥離した細胞を100 μL播種し、一晩培養した。培地を取り除き、無血清のダルベッコ改良イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle培地)で希釈した種々の濃度の試験化合物を100 μL添加し、5%炭酸ガス気流下(5% CO2)、37℃で24時間反応させた。一方、陽性コントロールとして、10 μmol/Lのピオグリタゾンを100 μL添加して、5%炭酸ガス気流下(5% CO2)、37℃で24時間反応させた。ルシフェラーゼの基質としてステディー−グロ(Steady-Glo)(プロメガ社)を各ウェルに100 μL添加して、よく攪拌した。直ちに、トップカウントNTX(TopCount NTX)(パッカード社)を用いてルシフェラーゼによる化学発光を測定した。
【0126】
PPARγに対する試験化合物のアゴニスト活性[活性率(%)]を、ピオグリタゾン10 μmol/L添加時のアゴニスト活性を100%とした場合の相対活性として、以下の式に従って算出した。
【0127】
【数1】

【0128】
試験化合物が最大活性を示す活性率をエフィカシーとし、エフィカシーの50%の活性率を示す濃度をEC50値として算出した。結果を第5表に示した。
【0129】
【表6】

【0130】
上記の結果から、本発明の化合物(I)および化合物(IA)ならびにその薬学的に許容される塩は、PPARγ作動活性を有すると考えられた。従って、本発明の化合物(I)および化合物(IA)ならびにその薬学的に許容される塩は、PPARγが関与する各種疾患、例えば、2型糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドローム、内臓肥満、肥満症、高トリグリセリド血症、炎症性皮膚疾患(例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、日光性皮膚炎など)、炎症性疾患(例えば、リウマチ性関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、子宮内膜炎など)、増殖性疾患(例えば、アテローム性硬化症、血管狭窄、再狭窄、良性、悪性腫瘍または転移腫瘍の増殖など)、炎症性神経精神疾患(例えば、多発性硬化症など)、腫瘍増殖および転移に関連する血管新生および病的血管形成、神経変性性神経精神疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病など)、動脈硬化、心臓病、脳卒中、腎疾患などの循環器疾患などの治療および/または予防剤として期待される。
【0131】
化合物(I)および化合物(IA)ならびにその薬学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物または人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)または化合物(IA)あるいはその薬学的に許容される塩を単独で、または任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬学的に許容される一種またはそれ以上の担体(例えば、希釈剤、溶剤、賦形剤など)と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
【0132】
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、例えば錠剤、注射剤などがあげられる。
経口投与に適当な、例えば錠剤などは、乳糖などの賦形剤、澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤などを用いて製造できる。
【0133】
非経口投与に適当な、例えば注射剤などは、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合液などの希釈剤または溶剤などを用いて製造できる。
化合物(I)または化合物(IA)あるいはその薬学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などにより異なるが、通常経口の場合、成人一人あたり、0.01〜1000mg、好ましくは0.05〜100mgの範囲で、1日1回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、成人一人あたり0.001〜1000mg、好ましくは0.01〜100mgを1日1回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
【0134】
以下、本発明を実施例および参考例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されることはない。
なお、実施例および参考例で用いられるプロトン核磁気共鳴スペクトル(H NMR)は、270MHzまたは300MHzで測定されたものであり、化合物および測定条件によって交換性プロトンが明瞭には観測されないことがある。なお、シグナルの多重度の表記としては通常用いられるものを用いるが、brとは見かけ上幅広いシグナルであることを表す。
【実施例1】
【0135】
(E)-2-メチル-3-{4-[(4-メチル-2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-3-フェニルアクリロニトリル (化合物1)
(Z)-2-メチル-3-{4-[(4-メチル-2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-3-フェニルアクリロニトリル (化合物2)
水素化ナトリウム (60%, 0.20 g, 5.1 mmol) をN,N-ジメチルホルムアミド (6 mL) に懸濁し、0 ℃で(1-シアノエチル)ホスホン酸ジエチル (0.9 mL, 5.1 mmol) を滴下した。室温で2時間撹拌した後に、参考例1で得られた化合物A (0.94 g, 2.6 mmol) のN,N-ジメチルホルムアミド溶液 (7 mL) を加え、80 ℃で3時間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液 (30 mL) を加え、酢酸エチル (150 mL) で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下乾燥した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/0~60/40)で精製することにより標記化合物1 (0.23 g, 22%) と標記化合物2 (0.42 g, 40%) を得た。
(化合物1)
ESIMS m/z: 406 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ):1.00 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.70-1.87 (m, 2H), 2.04 (s, 3H), 2.69 (s, 3H), 2.85 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 5.35 (s, 2H), 7.00-7.15 (m, 7H), 7.25-7.32 (m, 2H), 7.32-7.38 (m, 3H).
(化合物2)
ESIMS m/z: 406 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ):0.99 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.70-1.88 (m, 2H), 2.05 (s, 3H), 2.68 (s, 3H), 2.84 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 5.33 (s, 2H), 6.99-7.13 (m, 7H), 7.24-7.30 (m, 2H), 7.32-7.38 (m, 3H).
【実施例2】
【0136】
(E)-3-(1-{4-[(4-メチル-2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-1-フェニル-1-プロペン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン(化合物3)
実施例1で得られた化合物1 (199 mg, 0.49 mmol) をエタノール (2.5 mL) に溶解し、ヒドロキシルアミン (50%水溶液, 1.50 mL, 24.5 mmol) を加え、還流下15時間撹拌した。混合物に水 (15 mL) を加え、クロロホルム (70 mL) で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣を、ジクロロメタン (2.5 mL) に溶解し、0 ℃でトリエチルアミン (102 μL, 0.74 mmol) 及びクロロ炭酸エチル (70 μL, 0.74 mmol) を加え、室温で30分間撹拌した。混合物に水 (15 mL) を加え、クロロホルム (50 mL) で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をトルエン (1.2 mL) 及びTHF (1.2 mL) に溶解し、tert-ブトキシカリウム (110 mg, 0.98 mmol) を加え、室温で30分間撹拌した。混合物に5%クエン酸水溶液 (15 mL) を加え、クロロホルム (70 mL) で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=70/30~20/80)で精製することにより標記化合物3(122 mg, 54%) を得た。
ESIMS m/z: 465 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 0.99 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.71-1.85 (m, 2H), 2.13 (s, 3H), 2.68 (s, 3H), 2.84 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 5.33 (s, 2H), 6.99-7.12 (m, 7H), 7.12-7.18 (m, 2H), 7.36-7.44 (m, 3H).
【実施例3】
【0137】
(Z)-3-(1-{4-[(4-メチル-2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-1-フェニル-1-プロペン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン(化合物4)
実施例1で得られた化合物2 (390 mg, 0.96 mmol) を用いて実施例2と同様にして標記化合物4 (188 mg, 42%) を得た。
ESIMS m/z: 465 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.00 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.71-1.86 (m, 2H), 2.14 (s, 3H), 2.67 (s, 3H), 2.80 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 5.34 (s, 2H), 6.96-7.15 (m, 9H), 7.29-7.37 (m, 3H).
【実施例4】
【0138】
(E)-2-メチル-3-フェニル-3-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}アクリロニトリル (化合物5)
(Z)-2-メチル-3-フェニル-3-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}アクリロニトリル (化合物6)
参考例11で得た化合物K (0.40 g, 1.1 mmol) を用いて、参考例3と同様にして化合物5 (0.13 g, 30%) および化合物6 (0.11 g, 26%) を得た。
(化合物5)
ESIMS m/z: 392 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.01 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.87 (dd, J = 15.2, 7.5 Hz, 2H), 2.04 (s, 3H), 2.82 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 5.36 (s, 2H), 7.07 (dd, J = 10.6, 8.8 Hz, 4H), 7.21-7.23 (m, 3H), 7.28-7.36 (m, 5H), 7.76-7.79 (m, 1H).
(化合物6)
ESIMS m/z: 392 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.01 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.87 (dd, J = 15.2, 7.5 Hz, 2H), 2.05 (s, 3H), 2.81 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 5.35 (s, 2H), 7.02-7.10 (m, 4H), 7.19-7.22 (m, 3H), 7.26-7.30 (m, 2H), 7.35-7.38 (m, 3H), 7.74-7.77 (m, 1H).
【実施例5】
【0139】
(E)-3-(1-フェニル-1-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-1-プロぺン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン (化合物7)
実施例4で得られた化合物5(0.13 g, 0.29 mmol) を用いて、実施例2と同様にして標記化合物7 (0.031 g, 20%) を得た。
ESIMS m/z: 451 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.00 (t, J= 7.5 Hz, 3H), 1.78-1.93 (m, 2H), 2.12 (s, 3H), 2.79-2.90 (m, 2H), 5.37 (s, 2H), 7.06-7.29 (m, 10H), 7.34-7.42 (m, 2H), 7.70-7.77 (m, 1H).
【実施例6】
【0140】
(Z)-3-(1-フェニル-1-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-1-プロぺン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン (化合物8)
実施例4で得られた化合物6(0.11 g, 0.29 mmol) を用いて、実施例2と同様にして標記化合物8 (0.023 g, 18%) を得た。
ESIMS m/z: 451 (M + H)+; 1H NMR (270 MHz, CDCl3, δ): 1.02 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.88 (td, J = 14.5, 7.5 Hz, 2H), 2.15 (s, 3H), 2.81 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 5.38 (s, 2H), 7.05-7.25 (m, 10H), 7.32-7.35 (m, 2H), 7.75-7.79 (m, 1H).
【実施例7】
【0141】
(Z)-3-(4-{[2-(メトキシメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル]メチル}フェニル)-2-メチル-3-フェニルアクリロニトリル(化合物9)
参考例13で得た化合物M(0.39 g, 1.1 mmol)を用いて、実施例1と同様にして化合物9(0.169 g, 39%)を得た。
ESIMS m/z: 394 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 2.06 (s, 3H), 3.36 (s, 3H), 4.71 (s, 2H), 5.50 (s, 2H), 7.07-7.11 (m, 4H), 7.28-7.30 (m, 5H), 7.35-7.38 (m, 3H), 7.77-7.81 (m, 1H).
【実施例8】
【0142】
(Z)-3-[1-(4-{[2-(メトキシメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル]メチル}フェニル)-1-フェニル-1-プロペン-2-イル]-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン(化合物10)
実施例7で得られた化合物9(0.15 g, 0.38 mmol)を用いて、実施例2と同様にして標記化合物10(0.055 g, 32%)を得た。
ESIMS m/z: 453 (M + H)+; 1H NMR (270 MHz, CDCl3, δ): 2.16 (s, 3H), 3.36 (s, 3H), 4.68 (s, 2H), 5.51 (s, 2H), 7.08-7.11 (m, 6H), 7.22-7.36 (m, 6H), 7.77-7.80 (m, 1H).
【実施例9】
【0143】
(E)-3-(4-{[4-クロロ-2-(メトキシメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル]メチル}フェニル)-2-メチル-3-フェニルアクリロニトリル(化合物11)
(Z)-3-(4-{[4-クロロ-2-(メトキシメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル]メチル}フェニル)-2-メチル-3-フェニルアクリロニトリル(化合物12)
参考例12で得た化合物L (0.19 g, 0.48 mmol) を用いて、参考例3と同様にして標記化合物11 (0.082 g, 40%) および標記化合物12(0.084 g, 41%) を得た。
(化合物11)
ESIMS m/z: 428 (M + H)+; 1H NMR (270 MHz, CDCl3, δ): 2.05 (s, 3H), 3.38 (s, 3H), 4.75 (s, 2H), 5.50 (s, 2H), 7.07-7.09 (m, 4H), 7.17-7.18 (m, 2H), 7.28-7.37 (m, 6H).
(化合物12)
ESIMS m/z: 428 (M + H)+; 1H NMR (270 MHz, CDCl3, δ): 2.05 (s, 3H), 3.38 (s, 3H), 4.78 (s, 2H), 5.52 (s, 2H), 7.03-7.22 (m, 8H), 7.30-7.37 (m, 4H).
【実施例10】
【0144】
(E)-3-[1-(4-{[4-クロロ-2-(メトキシメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル]メチル}フェニル)-1-フェニル-1-プロペン-2-イル]-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン(化合物13)
実施例9で得られた化合物11 (0.82 g, 0.19 mmol) を用いて、実施例2と同様にして標記化合物13 (9 mg, 10%) を得た。
ESIMS m/z: 487 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6, δ): 2.15 (s, 3H), 3.37 (s, 3H), 4.72 (s, 2H), 5.55 (s, 2H), 6.93-7.31 (m, 12H).
【実施例11】
【0145】
(Z)-3-[1-(4-{[4-クロロ-2-(メトキシメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル]メチル}フェニル)-1-フェニル-1-プロペン-2-イル]-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン(化合物14)
実施例9で得られた化合物12 (0.11 g, 0.25 mmol) を用いて、実施例2と同様にして標記化合物14 (0.030 g, 26%) を得た。
ESIMS m/z: 487 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 2.15 (s, 3H), 3.37 (s, 3H), 4.77 (s, 2H), 5.53 (s, 2H), 7.08-7.18 (m, 8H), 7.29-7.36 (m, 4H).
【実施例12】
【0146】
(Z)-3-{4-[(4-クロロ-2-シクロプロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-2-メチル-3-フェニルアクリロニトリル(化合物15)
参考例5で得られた化合物E (0.13 g, 0.41 mmol) と炭酸カリウム (0.282 g, 2.05 mmol) 、4-クロロ-2-シクロプロピルベンゾイミダゾール (0.082 g, 43 mmol) をDMF (5 mL) に溶解させ、室温で一晩攪拌した。水を用いて反応を停止後、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/3)で精製することにより標記化合物15 (0.12 g, 67%) を得た。
ESIMS m/z: 424 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.09 (dd, J = 17.8, 12.3 Hz, 2H), 1.29 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 1.90 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.06 (s, 3H), 5.46 (s, 2H), 7.07-7.14 (m, 7H), 7.21-7.37 (m, 5H).
【実施例13】
【0147】
(Z)-3-(1-{4-[(4-クロロ-2-シクロプロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-1-フェニル-1-プロペン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン(化合物16)
実施例12で得られた化合物15 (0.12 g, 0.27 mmol) と50%ヒドロキシルアミン水溶液 (0.42 mL, 14 mmol) をエタノール (2 mL) に溶解させ、一晩還流した。混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をジクロロメタン (2 mL) に溶解させ、0 ℃でトリエチルアミン (0.076 mL, 0.54 mmol) とクロロギ酸エチル (0.052 mL, 0.54 mmol) を加え、室温で30分間攪拌した。混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をトルエン/THF (1 mL/1 mL) 混合溶媒に溶解させ、tert-ブトキシカリウム (0.061 g, 0.54 mmol) を加え、室温で30分間攪拌した。混合物に5%クエン酸水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=95/5)で精製することにより標記化合物16 (65 mg, 49%) を得た。
ESIMS m/z: 483 (M + H)+; 1H NMR (270 MHz, CDCl3, δ): 1.05-1.10 (m, 2H), 1.25-1.33 (m, 2H), 1.85-1.94 (m, 1H), 2.15 (s, 3H), 5.50 (s, 2H), 7.08-7.16 (m, 8H), 7.19-7.23 (m, 1H), 7.32-7.36 (m, 3H).
【実施例14】
【0148】
(Z)-3-(4-{[4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル]メチル}フェニル)-2-メチル-3-フェニルアクリロニトリル(化合物17)
4-クロロ-2-シクロプロピルベンゾイミダゾールの代わりに2-(2-プロピルベンゾイミダゾール-4-イル)プロパン-2-オール (0.077 g, 0.34 mmol) を用いて、参考例5で得られた化合物E(0.10 g, 0.33 mmol) から実施例12と同様にして標記化合物17 (0.15 g, 99%) を得た。
ESIMS m/z: 450 (M + H)+;1H NMR (270 MHz, CDCl3, δ): 1.01 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.72 (s, 6H), 1.80-1.93 (m, 2H), 2.07 (s, 3H), 2.78 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 5.32 (s, 2H), 6.79 (s, 1H), 7.03-7.14 (m, 8H), 7.26-7.31 (m, 1H), 7.35-7.39 (m, 3H).
【実施例15】
【0149】
(Z)-3-[1-(4-{[4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル]メチル}フェニル)-1-フェニル-1-プロペン-2-イル]-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン(化合物18)
実施例14で得られた化合物17 (0.17 g, 0.39 mmol) を用いて、実施例13と同様の方法で、標記化合物18 (0.068 g, 40%) を得た。
ESIMS m/z: 509 (M + H)+; 1H NMR (270 MHz, CDCl3, δ): 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 1.72 (s, 6H), 1.83-1.95 (m, 2H), 2.15 (s, 3H), 2.80 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 5.36 (s, 2H), 7.05-7.17 (m, 9H), 7.33-7.35 (m, 3H).
【実施例16】
【0150】
(E)-3-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-3-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}アクリロニトリル(化合物19)
参考例10で得られた化合物J (0.067 g, 0.14 mmol) をDME (0.72 mL) に溶解させ、2 mol/L 炭酸ナトリウム水溶液(0.2 mL, 0.4 mmol)、塩化リチウム(0.018 g, 0.42 mmol) 、4-フルオロフェニルボロン酸 (0.028 g, 0.20 mmol)を加え、さらにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム (0.017 g, 0.014 mmol) を加えて、100 ℃で45分攪拌した。反応終了後、セライトを通じて濾過を行い、溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=8/2)で精製することにより標記化合物19 (55 mg, 89%) を得た。
ESIMS m/z: 410 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.01 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.87 (td, J = 15.0, 7.3 Hz, 2H), 2.06 (s, 3H), 2.81 (dd, J = 9.0, 6.0 Hz, 2H), 5.35 (s, 2H), 7.02-7.08 (m, 3H), 7.20-7.22 (m, 2H), 7.24-7.30 (m, 6H), 7.74-7.78 (m, 1H).
【実施例17】
【0151】
(E)-3-[1-(4-フルオロフェニル)-1-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-1-プロペン-2-イル]-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン(化合物20)
実施例16で得られた化合物19 (0.084 g, 0.21 mmol) と50%ヒドロキシルアミン水溶液 (0.630 mL, 10.3 mmol) をエタノール (2 mL) に溶解させ、一晩還流した。混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をジクロロメタン (1 mL) に溶解させ、0 ℃でトリエチルアミン (0.057 mL, 0.42 mmol) とクロロ炭酸エチル(0.039 mL, 0.42 mmol) を加え、室温で30分攪拌した。混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をトルエン/THF (1 mL/1 mL) 混合溶媒に溶解させ、tert-ブトキシカリウム (0.046 g, 0.42 mmol) を加え、室温で30分攪拌した。混合物に5%クエン酸水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=95/5)で精製することにより標記化合物20 (46 mg, 48%) を得た。
ESIMS m/z: 469 (M + H)+; 1H NMR (270 MHz, CDCl3, δ): 1.00 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 1.85 (dd, J = 15.2, 7.4 Hz, 2H), 2.15 (s, 3H), 3.00 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 5.43 (s, 2H), 7.04-7.17 (m, 8H), 7.26-7.37 (m, 3H), 7.86-7.88 (m, 1H).
【実施例18】
【0152】
(E)-3-(4-クロロフェニル)-2-メチル-3-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}アクリロニトリル(化合物21)
(Z)-3-(4-クロロフェニル)-2-メチル-3-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}アクリロニトリル(化合物23)
4-フルオロフェニルボロン酸の代わりに4-クロロフェニルボロン酸を用いて、実施例16と同様の方法により化合物21(0.26 g, 71%)と化合物23 (0.076g, 21%) を得た。
(化合物21)
ESIMS m/z: 426 (M + H)+; 1H NMR (270 MHz, CDCl3, δ): 1.01 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.80-1.91 (m, 2H), 2.05 (s, 3H), 2.81 (t, J= 7.5 Hz, 2H), 5.35 (s, 2H), 7.02-7.05 (m, 4H), 7.19-7.23 (m, 3H), 7.23-7.28 (m, 2H), 7.33-7.35 (m, 2H), 7.75-7.77 (m, 1H).
(化合物23)
ESIMS m/z: 426 (M + H)+; 1H NMR (270 MHz, CDCl3, δ): 1.05 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.80-1.92 (m, 2H), 2.04 (s, 3H), 2.79-2.96 (m, 2H), 5.36 (s, 2H), 7.02-7.05 (m, 4H), 7.19-7.23 (m, 3H), 7.23-7.28 (m, 2H), 7.29-7.36 (m, 2H), 7.75-7.77 (m, 1H).
【実施例19】
【0153】
(E)-3-[1-(4-クロロフェニル)-1-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-1-プロペン-2-イル]-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン(化合物22)
実施例18で得られた化合物21 (0.26 g, 0.61 mmol) を用いて、実施例17と同様の方法により標記化合物 22(0.16 g, 53%) を得た。
ESIMS m/z: 485 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.01 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.85 (td, J = 14.8, 7.5 Hz, 2H), 2.16 (s, 3H), 2.76 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 5.33 (s, 2H), 6.86-6.89 (m, 2H), 6.94-6.98 (m, 4H), 7.10-7.15 (m, 3H), 7.22-7.26 (m, 2H), 7.58-7.61 (m, 1H).
【実施例20】
【0154】
(Z)-3-[1-(4-クロロフェニル)-1-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}-1-プロペン-2-イル]-1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン(化合物24)
実施例18で得られた化合物23 (0.12 g, 0.28 mmol) を用いて、実施例17と同様の方法により標記化合物24 (0.028 g, 20%) を得た。
ESIMS m/z: 485 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.00 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.83-1.90 (m, 2H), 2.13 (s, 3H), 2.78-2.85 (m, 2H), 5.33 (s, 2H), 6.97-7.08 (m, 6H), 7.16-7.24 (m, 3H), 7.28-7.37 (m, 2H), 7.76-7.78 (m, 1H).
【実施例21】
【0155】
錠剤(化合物4)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物4(40g)、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。得られた混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物4 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
【実施例22】
【0156】
注射剤(化合物4)
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物4(1g)を注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物4 2 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
2.00 mL
[参考例1]
4-(4-メチル-2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチルベンゾフェノン(化合物A)
4-メチル-2-プロピルベンゾイミダゾール (ヨーロッパ特許EP400835; 0.60 g, 3.5 mmol) をN,N-ジメチルホルムアミド (20 mL) に溶解し、4-ブロモメチルベンゾフェノン (1.00 g, 3.64 mmol) と 炭酸カリウム (2.40 g, 17.3 mmol) を加え、室温で13時間撹拌した。混合物に水 (30 mL) を加え、酢酸エチル (150 mL) で抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下乾燥した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=90/10~50/50)で精製することにより化合物A (1.10 g, 87%) を得た。
ESIMS m/z: 369 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.74-1.89 (m, 2H), 2.70 (s, 3H), 2.83-2.91 (m, 2H), 5.41 (s, 2H), 6.98-7.17 (m, 5H), 7.42-7.50 (m, 2H), 7.58 (tt, J = 1.6 Hz, 7.3 Hz, 1H), 7.71-7.79 (m, 4H).
[参考例2]
エチル 4-ベンゾイルベンゾエート(化合物B)
4-ベンゾイル安息香酸 (7.00 g, 31.0 mmol)とヨウ化エチル(9.26 mL, 90.0 mmol)とフッ化セシウム(7.05 g, 46.4 mmol)をDMF(60 mL)に溶解させ、2時間攪拌した。飽和重曹水を用いて反応を停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮することにより標記化合物B (7.55 g, 96%) を得た。
ESIMS m/z: 255 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.43 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 4.43 (q, J= 7.1 Hz, 2H), 7.47-7.53 (m, 2H), 7.60-7.64 (m, 1H), 7.79-7.83 (m, 4H), 8.10-8.18 (m, 2H).
[参考例3]
エチル 4-(2-シアノ-1-フェニルプロペン-1-イル)ベンゾエート(化合物C)
市販のLDA (47.2 mL, 95 mmol, 2.0 mol/L ヘプタン/THF/エチルベンゼン溶液) をTHF (40 mL) に溶解させ、0 ℃でプロピオニトリル (3.37 mL, 47.2 mmol) を加え、室温で1時間攪拌した。THF (20 mL) に溶解させたクロロリン酸ジエチル (6.83 mL, 47.2 mmol) を0 ℃で加え、室温で一時間攪拌した。THFに溶解させた参考例2で得られた化合物B (4.00 g, 15.7 mmol) を加え、80 ℃で2時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン/酢酸エチル=7/3)で精製することによりすることにより標記化合物C (2.52 g, 55%, E/Z=1/1) を得た。
(E/Z混合物)
ESIMS m/z: 292 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.39 (td, J = 7.1, 3.4 Hz, 3H), 2.06 (s, 1.5H), 2.11 (s, 1.5H), 4.39 (ddd, J = 14.2, 7.1, 4.3 Hz, 2H), 7.09-7.14 (m, 1H), 7.24 (td, J= 5.5, 2.4 Hz, 1H), 7.30-7.44 (m, 5H), 8.05 (td, J = 6.4, 1.8 Hz, 2H).
[参考例4]
(Z)-3-[4-(ヒドロキシメチル)フェニル]-2-メチル-3-フェニルアクリロニトリル(化合物D)
参考例3で得られた化合物C (2.52 g, 8.65 mmol) とLiBH4 (1.13 g, 51.9 mmol) をTHF (43 mL) に溶解させ、60 ℃で3時間攪拌した。0 ℃で2 mol/L 塩酸を用いて反応を停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=8/2)で精製することにより標記化合物D (0.82 g, 38%) を得た。
ESIMS m/z: 250 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 2.08 (s, 3H), 4.72 (s, 2H), 7.12-7.15 (m, 2H), 7.32-7.40 (m, 7H).
[参考例5]
(Z)-3-[4-(ブロモメチル)フェニル]-2-メチル-3-フェニルアクリロニトリル(化合物E)
参考例4で得られた化合物D (0.23 g, 1.1 mmol) とメタンスルホン酸無水物 (0.46 g, 2.7 mmol) 、臭化リチウム (0.55 g, 6.4 mmol) 、2,6-ルチジン (0.74 mL, 6.36 mmol) をTHF (10 mL) に溶解させ、室温で3時間攪拌した。水を加えて反応を停止後、酢酸エチルで抽出した。有機層を1mol/L 塩酸と飽和重曹水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/3)で精製することにより標記化合物E (231 mg, 70%) を得た。
ESIMS m/z: 312 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 2.08 (s, 3H), 4.49 (s, 2H), 7.11-7.15 (m, 2H), 7.31-7.41 (m, 7H).
[参考例6]
メチル4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]ベンゾエート(化合物F)
炭酸カリウム (78.8 g, 57.0 mmol) と2-プロピルベンゾイミダゾール (20.0 g, 12.5 mmol) をDMF (290 mL) に溶解し、室温で30分間攪拌した反応液へ、DMF (290 mL) に溶解したメチル4-(ブロモメチル)ベンゾエート (78.8 g, 57.0 mmol) を滴下し、50 ℃で3時間撹拌した。混合物を内温25 ℃まで下げた後、水 (700 mL) を加え、0 ℃で1時間攪拌した。析出した結晶を濾取することで、標記化合物F (27.5 g, 80%) を得た。
ESIMS m/z: 309 (M + H)+ ;1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.01 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.87 (td, J = 15.0, 7.5 Hz, 2H), 2.80 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.91 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 5.39 (s, 2H), 7.08-7.28 (m, 5H), 7.58-7.61 (m, 2H), 7.77-7.80 (m, 1H).
[参考例7]
4-[(2-プロピル-1H-べンゾミダゾール-1-イル)メチル]安息香酸(化合物G)
参考例6で得られた化合物F (20.0 g, 64.9 mmol) と水酸化リチウム1水和物 (13.6 g, 324 mmol) をエタノール/水(490 mL/160 mL) に溶解し、室温で3時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、0 ℃で2 mol/L 塩酸 (150 mL) をpH=4.9になるまで滴下し、その後1時間攪拌した。析出した結晶を濾取することで、標記化合物G (16.3 g, 86%) を得た。
ESIMS m/z: 295 (M + H)+ ;1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.00 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 1.84 (dd, J = 15.2, 7.4 Hz, 2H), 3.39 (d, J = 1.7 Hz, 2 H), 5.43 (s, 2H), 7.10-7.32 (m, 5H), 7.70-7.73 (m, 1H), 7.95-7.98 (m, 2H).
[参考例8]
N-メトキシ-N-メチル-4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]ベンズアミド(化合物H)
参考例7で得られた化合物G (14.0 g, 47.6 mmol) を塩化チオニル (50 mL) に溶解させ、50 ℃で4時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を0 ℃でジクロロメタン (120 mL) に溶解させ、飽和重曹水 (120 mL) とMeONHMe・HCl (9.30 g, 95.2 mmol) を加え、室温で1時間攪拌した。ジクロロメタン (400 mL) を用いて抽出後、1 mol/L水酸化ナトリウム水溶液 (400 mL) で洗浄した有機層を濃縮することで、標記化合物H (14.2 g, 88%) を得た。
ESIMS m/z: 338 (M + H)+ ;1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.01 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.87 (dd, J = 15.2, 7.3 Hz, 2H), 2.81 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 3.34 (s, 3H), 3.52 (s, 3H), 5.38 (s, 2H), 7.06-7.29 (m, 5H), 7.69-7.72 (m, 2H), 8.02-8.05 (m, 1H).
[参考例9]
2-メチル-3-オキソ-3-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}プロパンニトリル(化合物I)
プロピオニトリル (0.27 mL, 3.0 mmol) をTHF (3 mL) に溶解させ、-78 ℃でn-BuLi (1.88 mL, 3.00 mmol, 1.6 mol/L ヘキサン溶液) を加え、30分間攪拌した。反応液に参考例8で得られた化合物H (0.20 g, 0.59 mmol) のTHF (3 mL) 溶液を加え、1時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を停止後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/3)で精製することにより標記化合物I (120 mg, 62%) を得た。
ESIMS m/z: 332 (M + H)+ ;1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.62 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.87 (td, J= 11.3, 7.3 Hz, 2H), 2.81 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 4.28 (q, J = 7.2 Hz, 1H), 5.43 (s, 2H), 7.13-7.30 (m, 6H), 7.78-7.80 (m, 1H), 7.92-7.95 (m, 1H).
[参考例10]
(E)-2-シアノ-1-{4-[(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチル]フェニル}プロペン-1-イルトリフルオロメタンスルホナート(化合物J)
参考例9で得られた化合物I (0.31 g, 0.95 mmol) をTHF (3 mL) に溶解させ、-78 ℃でn-BuLi (0.72 mL, 1.1 mmol, 1.6 mol/L ヘキサン溶液) とジイソプロピルアミン (0.16 mL, 1.1 mmol) をTHF (2 mL) に溶解させ調製したLDAを加え、15分間攪拌した。反応液に、THF (4 mL) に溶解させた1,1,1-トリフルオロ-N-フェニル-N-(トリフルオロメチルスルホニル)メタンスルホナミド (0.47 g, 1.3 mmol) を加え、室温で1時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を停止後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン/酢酸エチル=7/3)で精製することにより標記化合物J (315 mg, 72%) を得た。
ESIMS m/z: 464 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CD3OD, δ): 1.00 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.85 (dd, J = 15.0, 7.3Hz, 2H), 2.19 (s, 3H), 2.79 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 5.40 (s, 2H), 7.13-7.30 (m, 5H), 7.58-7.61 (m, 2H), 7.77-7.79 (m, 1H).
[参考例11]
4-(2-プロピル-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチルベンゾフェノン(化合物K)
4-メチル-2-プロピルベンゾイミダゾール の代わりに、2-プロピルベンゾイミダゾール (0.167 g, 1.0 mmol) を用いて、4-ブロモメチルベンゾフェノン (0.31 g, 1.0 mmol) から、参考例1と同様にして、標記化合物K (0.38 g, 98%) を得た。
ESIMS m/z: 355 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 1.01-1.07 (m, 3H), 1.83-1.96 (m, 2H), 2.81-2.86 (m, 2H), 5.43 (s, 2H), 7.13-7.20 (m, 2H), 7.18-7.30 (m, 2H,), 7.44-7.49 (m, 2H), 7.55-7.61 (m, 1H), 7.74-7.80 (m, 5H), 8.02 (s, 1H).
[参考例12]
4-[4-クロロ-2-(メトキシメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル]メチルベンゾフェノン(化合物L)
4-メチル-2-プロピルベンゾイミダゾール の代わりに、4-クロロ-2-(メトキシメチル)-1H-ベンゾイミダゾール (0.14 g, 0.73 mmol) を用いて、4-ブロモメチルベンゾフェノン (0.20 g, 73 mmol) から、参考例1と同様にして、標記化合物L (0.284 g, 100%) を得た。
ESIMS m/z: 391 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 3.38 (s, 3H), 4.79 (s, 2H), 5.59 (s, 2H), 7.14-7.21 (m, 3H), 7.30-7.33 (m, 1H), 7.44-7.59 (m, 3H), 7.74-7.77 (m, 4H), 8.02 (s,1H).
[参考例13]
4-(2-(メトキシメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)メチルベンゾフェノン(化合物M)
2-(メトキシメチル)-1H-ベンゾイミダゾール(0.196 g, 1.21 mmol)を用いて、参考例1と同様にして標記化合物M(0.395 g, 92%)を得た。
ESIMS m/z: 357 (M + H)+; 1H NMR (300 MHz, CDCl3, δ): 3.39 (s, 3H), 4.75 (s, 2H), 5.58 (s, 2H), 7.20-7.31 (m, 5H), 7.44-7.49 (m, 2H), 7.56-7.58 (m, 1H), 7.74-7.83 (m, 5H).
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明により、ジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を含有するPPARγ作動剤およびPPARγ作動剤などとして有用なジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩等を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化32】

[式中、Yは、水素原子、または置換基を有していてもよい低級アルキルを表し、
Xは、シアノ、カルボキシ、置換基を有していてもよい脂肪族複素環基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
Aは、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
、R、R、R、RおよびRは、同一または異なって水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、または低級アルキルを表す]で表されるジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
【請求項2】
一般式(I−1)
【化33】

(式中、X、Y、A、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義である)で表される請求項1記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
【請求項3】
一般式(I−2)
【化34】

(式中、X、Y、A、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義である)で表される請求項1記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
【請求項4】
Aが、式(a1)〜(a7)
【化35】

(式中、R1−1は、同一または異なって、置換基を有していてもよい低級アルキル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、または置換基を有していてもよい低級アルコキシを表し、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン、または置換基を有していてもよい低級アルキルを表す)のいずれかで表される請求項1、2または3のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
【請求項5】
Xが、シアノまたは式(b1)〜(b10)
【化36】

(式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい低級アルキルまたは置換基を有していてもよいシクロアルキルを表し、破線は存在しないかまたは単結合を表す)
のいずれかで表される請求項1、2、3または4のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
【請求項6】
一般式(IA)
【化37】

[式中、X Aはシアノ、カルボキシ、置換基を有していてもよい脂肪族複素環基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Yは前記と同義であり、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義であり、
Aが、式(a1)〜(a6)
【化38】

(式中、R1−1は、前記と同義であり、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって、前記と同義である)のいずれかを表す]で表されるジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
一般式(IA−1)
【化39】

(式中、XA、Y、AA、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義である)で表される請求項6記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
一般式(IA−2)
【化40】

(式中、XA、Y、AA、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義である)で表される請求項6記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
AAが、式(a1)または(a5)
【化41】

(式中、R1−1は前記と同義であり、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なって前記と同義である)で表される請求項6、7または8のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
AAが下記式 (a1-1)
【化42】

(式中、R1−1は前記と同義であり、RおよびRはそれぞれ同一または異なって前記と同義である)である請求項6、7または8のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
Aが、シアノ、カルボキシまたは下記式(b1)〜(b10)
【化43】

(式中、Rは前記と同義であり、破線は存在しないかまたは単結合を表す)のいずれかである請求項6、7、8、9または10のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
XAが、シアノ、カルボキシ、または下記基(b1)〜(b4)
【化44】

のいずれかである請求項6、7、8、9または10のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
Aが、下記式(b1)、(b2)または(b3)
【化45】

のいずれかである請求項6、7、8、9または10のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
一般式(IA)
【化46】

が下記式(IB)
【化47】

[式中、RおよびRはそれぞれ同一または異なって前記と同義であり、XA-1は、シアノ、カルボキシ、または下記基(b1)〜(b4)
【化48】

のいずれかを表し、
は置換基を有していてもよい低級アルキルを表し、
Bが下記式 (a1-1)
【化49】

(式中、R1−1、RおよびRDはそれぞれ前記と同義である)を表す]である請求項6記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
一般式(IB)が、一般式(IB−1)
【化50】

(式中、XA-1、Y、A、RまたはRは、同一または異なってそれぞれ前記と同義である)である請求項14記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
一般式(IB)が、一般式(IB−2)
【化51】

(式中、XA-1、Y、A、RまたはRは、同一または異なってそれぞれ前記と同義である)である請求項14記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
A-1が、下記式(b1)、(b2)または(b3)
【化52】

である請求項14、15または16のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
請求項6〜17のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項19】
請求項6〜17のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγ作動剤。
【請求項20】
請求項6〜17のいずれかに記載のジフェニルエテン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARγが関与する疾患の治療および/または予防剤。
【請求項21】
PPARγが関与する疾患が、2型糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドローム、内臓肥満、肥満症、高トリグリセリド血症および腫瘍からなる群から選ばれる疾患である請求項20記載の剤。

【公開番号】特開2012−116799(P2012−116799A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269085(P2010−269085)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000001029)協和発酵キリン株式会社 (276)
【Fターム(参考)】