説明

PPARモジュレーターとしての化合物および組成物

本発明は、化合物、当該化合物を含む医薬組成物およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)ファミリーの活性に関連する疾患または障害の処置または予防のための当該化合物の使用法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は、合衆国法典35巻、119条(e)に基づく優先権を、米国仮出願第60/763,539号(2006年1月30日出願)について主張する。優先権基礎出願の開示を、その全体について、あらゆる目的のために出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
発明の分野
本発明は、化合物、当該化合物を含む医薬組成物およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)ファミリーの活性に関連する疾患または障害の処置または予防のための当該化合物の使用法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)は核ホルモンレセプタースーパーファミリーのメンバーであり、これは遺伝子発現を制御するリガンド活性化転写因子である。特定のPPARは、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、アテローム発生、高トリグリセリド血症、心不全、心筋梗塞、血管疾患、心臓血管疾患、高血圧、肥満、炎症、関節炎、がん、アルツハイマー病、皮膚障害、呼吸器疾患、眼障害、IBD(過敏性腸疾患)、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む複数の疾患状態に関連している。したがって、PPARの活性を調節する分子は当該疾患の処置において治療薬剤として有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の要約
1つの局面において、本発明は式I
【化1】

〔nは0、1および2から選択され;
は−XCO13および−OCR1112XCO13(ここで、Xは結合およびCアルキレンから選択され;R11およびR12は独立して水素、CアルキルおよびCアルコキシから選択されるか;またはR11およびR12はR11およびR12が結合している炭素原子と一体となってC12シクロアルキルを形成し;そしてR13は水素およびCアルキルから選択される)から選択され;
およびRは独立して、水素、ハロ、Cアルキル、ハロ−置換Cアルキル、Cアルコキシおよびハロ−置換−Cアルコキシから選択され;
Zは結合および−S(O)−から選択され;
YはOおよびSから選択され;
は水素、ハロ、Cアルキル、ハロ−置換−Cアルキル、Cアルコキシおよびハロ−置換−Cアルコキシから選択される〕
の化合物;およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々のアイソマーおよびアイソマーの混合物;および当該化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(水和物)を提供する。
【0005】
第2の局面において、本発明は、式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々のアイソマーおよびアイソマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩を、1種以上の適当な賦形剤との組合せで含む、医薬組成物を提供する。
【0006】
第3の局面において、本発明は、PPARの調節によって疾患の病状および/または症状を予防、阻害または軽減することができる動物における疾患または障害の処置法であって、当該動物に治療上有効量の式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々のアイソマーおよびアイソマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0007】
第4の局面において、本発明は、動物におけるPPAR活性が疾患の病状および/または症状に寄与する疾患の処置用医薬の製造における、式Iの化合物の使用を提供する。
【0008】
第5の局面において、本発明は、式Iの化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々のアイソマーおよびアイソマーの混合物、ならびにその薬学的に許容される塩の製造法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の詳細な説明
定義
基として、および他の基、例えばハロ−置換アルキルおよびアルコキシの構造要素としての「アルキル」は、直鎖または分枝鎖であり得る。Cアルコキシには、メトキシ、エトキシ等が含まれる。ハロ−置換アルキルには、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル等が含まれる。
【0010】
「アリール」は、6〜10個の環炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環アセンブリを意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルであり得る。「アリーレン」は、アリール基に由来する二価基を意味する。「ヘテロアリール」は、アリールの定義の通りであり、1個以上の環員がヘテロ原子である。例えばヘテロアリールには、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソル、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニル等が含まれる。「C10アリールCアルキル」は、アルキレン基を介して結合している上記アリールを意味する。例えば、C10アリールCアルキルにはフェネチル、ベンジル等が含まれる。
【0011】
「シクロアルキル」は、記載の数の環原子を含む飽和または部分不飽和、単環式、縮合二環式または架橋多環式環アセンブリを意味する。例えば、C10シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれる。「ヘテロシクロアルキル」は、記載の1個以上の環炭素がO、N=、NR、C(O)、S、S(O)またはS(O)(ここで、Rは水素、Cアルキルまたは窒素保護基である)から選択される基で置換されている本願定義のシクロアルキルが含まれる。例えば、本発明の化合物を記載するために本明細書で使用するCヘテロシクロアルキルには、モルホリノ、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル等が含まれる。
【0012】
「ハロゲン」(またはハロ)は、好ましくは、クロロまたはフルオロを意味するが、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0013】
「処置する」、「処置すること」および「処置」は、疾患および/またはそれに付随する症状を軽減または緩和する方法を意味する。
【0014】
好ましい態様の説明
本発明は、1種以上のPPARの調節によって疾患の病状および/または症状を予防、阻害または軽減することができる疾患の処置用化合物、組成物を提供し、または当該疾患の処置法であって、動物に治療上有効量の式Iの化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0015】
ひとつの態様において、式Iの化合物に関して:nが0および1から選択され;Rが−XCO13および−OCR1112XCO13から選択され;ここでXが結合およびCアルキレンから選択され;R11およびR12が独立して、水素、CアルキルおよびCアルコキシから選択されるか;またはR11およびR12が、R11およびR12が結合している炭素原子と一体となってC12シクロアルキルを形成し;そしてR13が水素およびCアルキルから選択され;RおよびRが独立して、水素、ハロ、Cアルキル、ハロ−置換Cアルキル、Cアルコキシおよびハロ−置換−Cアルコキシから選択され;Zが結合および−S(O)−から選択され;YがOおよびSから選択され;そしてRがハロ−置換−Cアルキルである。
【0016】
他の態様において、Rが−CHCOH、−(CHCOH、−OC(CHCOHおよび−OCHCOHから選択される。
【0017】
他の態様において、RおよびRが独立して、水素、メチルおよびメトキシから選択され;そしてRがトリフルオロメチルである。
【0018】
好ましい本発明の化合物は:{3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−イル]−フェニル}−酢酸;3−{3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−イル]−フェニル}−プロピオン酸;3−{4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−イル]−フェニル}−プロピオン酸;2−メチル−2−{2−メチル−4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−イル]−フェノキシ}−プロピオン酸;{4−メチル−3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェニル}−酢酸;{4−メトキシ−3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェニル}−酢酸;{4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェニル}−酢酸;{2−メチル−4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェノキシ}−酢酸;2−メチル−2−{2−メチル−4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェノキシ}−プロピオン酸;および2−{2,5−ジメチル−4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸から選択される。
【0019】
さらに好ましい本発明の化合物および中間体は、下記実施例に詳述する。
【発明の効果】
【0020】
薬理学および有用性
本発明の化合物は、PPARの活性を調節し、そしてそれ自体、PPARが疾患の病状および/または症状に寄与する疾患または障害の処置に有用である。本発明はさらに、PPARが疾患の病状および/または症状に寄与する疾患または障害の処置用医薬の製造において使用するための、本発明の化合物を提供する。
【0021】
かかる化合物は、したがって、予防、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、アテローム発生、高トリグリセリド血症、心不全、高コレステロール血症、心筋梗塞、血管疾患、心臓血管疾患、高血圧、肥満、悪液質、HIV消耗症候群、炎症、関節炎、がん、アルツハイマー病、拒食症、神経性無食欲症、過食症、皮膚障害、呼吸器疾患、眼障害、IBD(過敏性腸疾患)、潰瘍性大腸炎およびクローン病の処置に使用することができる。脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、アテローム発生、高トリグリセリド血症、心臓血管疾患、高血圧、肥満、炎症、がん、皮膚障害、IBD(過敏性腸疾患)、潰瘍性大腸炎およびクローン病の処置または予防が好ましい。
【0022】
本発明の化合物はまた、長期間重症の処置、筋肉質量および/または筋肉強度の上昇、体重上昇、高齢者における筋肉強度および機能の維持、筋肉持久性および筋肉機能の上昇、および高齢者における脆弱性の逆転または予防のために、使用することができる。
【0023】
さらに、本発明の化合物を、耐糖能異常、高血糖およびインシュリン抵抗性が関与する状態、例えば1型および2型糖尿病、糖代謝異常(IGM)、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、およびシンドロームX、好ましくは1型および2型糖尿病、糖代謝異常(IGM)、耐糖能異常(IGT)および空腹時血糖異常(IFG)の処置および予防用血糖降下剤として、哺乳類に使用することができる。
【0024】
上記によって、本発明はさらに、処置を必要とする対象における上記疾患または障害のいずれかの予防または処置法であって、当該対象に治療上有効量(下記「投与および医薬組成物」参照)の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含んでなる方法を提供する。上記使用について、必要な投与量は、投与形態、処置する具体的な状態および所望の効果に依存して変化する。本発明はまた:i)医薬として使用するための本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩;およびii)上記疾患または障害のいずれかの予防または処置用医薬の製造のための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
投与および医薬組成物
一般的に、本発明の化合物は、治療上有効量で、既知の通常かつ許容される任意の形態で、単独または1種以上の治療剤との組合せで投与される。治療上有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康、使用する化合物の能力および他の因子に依存して、広く変化し得る。一般的に、満足のいく結果は、体重あたり0.03〜2.5mg/kgの1日全身投与量で得ることができる。大型哺乳類、例えばヒトに適用される1日投与量は、約0.5mg〜約100mgの範囲であり、簡便には、例えば1日4回までの分割用量または徐放形態で投与される。経口投与のための適当な単位投与形態には、約1〜50mgの有効成分を含む。
【0026】
本発明の化合物を、医薬組成物としてあらゆる常套の経路で、とりわけ経腸、例えば経口的に、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で、または非経腸的に、例えば注射溶液または懸濁液の形態で、局所的に、例えばローション、ゲル、軟膏またはクリームの形態で、または経鼻もしくは座薬形態で投与することができる。遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物を、常套の方法で、混合、造粒またはコーティング法によって製造することができる。例えば、経口組成物は、有効成分を、a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまた、c)結合剤、例えば、マグネシウムアルミニウムシリケート、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびまたはポリビニルピロリドン;所望によりd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、芳香剤および甘味剤と共に含む、錠剤またはゼラチンカプセル剤であり得る。注射用組成物は、水性等張溶液または懸濁液であり、座薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造することができる。組成物は滅菌することができ、および/またはアジュバント、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調節のための塩および/またはバッファーを含んでいてもよい。さらに、それらはまた、他の治療上有用な物質を含んでいてもよい。経皮適用のための適当な組成物には、有効量の本発明の化合物および担体を含む。担体は、宿主の皮膚を透過するのを補助する吸収可能な薬理学的に許容される溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは裏打ち部材、所望により担体と共に化合物を含む貯蔵部、所望により化合物を患者の皮膚へ、制御されかつ予定された速度で長期にわたって送達する速度調節バリア、デバイスを皮膚に固定させる手段を含むバンデージの形態である。マトリックス経皮製剤も使用することができる。局所適当、例えば皮膚および目に適当な製剤は、好ましくは周知の水溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。これは可溶化剤、安定化剤、等張化剤、バッファーおよび保存剤を含み得る。
【0027】
本発明はまた、治療上有効量の本明細書に記載の化合物を、1種以上の薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物に関する。
【0028】
本発明の化合物を、治療上有効量で、1種以上の治療薬剤との組合せで(医薬組合せ剤)投与することができる。
【0029】
したがって、本発明はまた、1)上記定義の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩;および2)下記群から選択される少なくとも1種の有効成分;および所望により薬学的に許容される担体を含む、医薬組合せ剤、例えば組合せ製剤または医薬組成物(固定された組合せ剤)に関する:
a)抗糖尿病薬、例えばインシュリン、インシュリン誘導体および模倣物;インシュリン分泌促進剤、例えばスルホニルウレア、例えば、Glipizide、グリブリドおよびアマリール;インシュリン分泌促進スルホニルウレアレセプターリガンド、例えばメグリチニド、例えば、ナテグリニドおよびレパグリニド;インシュリン抵抗性改善薬、例えばプロテインチロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、例えばPTP−112;GSK3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3)阻害剤、例えばSB−517955、SB−4195052、SB−216763、NN−57−05441およびNN−57−05445;RXRリガンド、例えばGW−0791およびAGN−194204;ナトリウム依存性グルコース コ−トランスポーター阻害剤、例えばT−1095;グリコーゲンホスホリラーゼA阻害剤、例えばBAY R3401;ビグアニド、例えばメトホルミン;アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース;GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)、GLP−1アナログ、例えばExendin−4およびGLP−1模倣物;DPPIV(ジペプチジルペプチダーゼIV)阻害剤、例えばDPP728、LAF237(ビルダグリプチン−WO 00/34241の実施例1)、MK−0431、サキサグリプチン、GSK23A;AGEブレーカー;チアゾリドン誘導体(グリタゾン)、例えばピオグリタゾン、ロシグリタゾン、またはWO 03/043985に実施例4の化合物19として記載の(R)−1−{4−[5−メチル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−オキサゾール−4−イルメトキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸、非グリタゾンタイプPPARγアゴニスト、例えばGI−262570;
b)高脂血症薬、例えば3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリールコエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤、例えば、ロバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロバスタチン、フルバスタチン、ダルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンおよびリバスタチン;スクアレンシンターゼ阻害剤;FXR(ファルネソイドXレセプター)およびLXR(肝臓Xレセプター)リガンド;コレスチラミン;フィブレート;ニコチン酸およびアスピリン;
c)抗肥満薬または食欲調節薬、例えばフェンテルミン、レプチン、ブロモクリプチン、デキサムフェタミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、シブトラミン、オルリスタット、デクスフェンフルラミン、マズインドール、フェンテルミン、フェンジメトラジン、ジエチルプロピン、フルオキセチン、ブプロピン、トピラメート、ジエチルプロピン、ベンズフェタミン、フェニルプロパノールアミンまたはエコピパム、エフェドリン、シュードエフェドリンまたはカンビノイドレセプターアンタゴニスト;
d)抗高血圧剤、例えば、ループ利尿剤、例えばエタクリン酸、フロセミドおよびトルセミド;利尿剤、例えばチアジド誘導体、クロリチアジド、ヒドロクロロチアジド、アミロリド;アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えばベンゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリノドプリル、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリル;Na−K−ATPアーゼ膜ポンプの阻害剤、例えばジゴキシン;ニュートラレンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えばチオルファン、terteo−チオルファン、SQ29072;ECE阻害剤例えばSLV306;ACE/NEP阻害剤、例えばオマパトリラット、サムパトリラットおよびファシドトリル;アンギオテンシンIIアンタゴニスト、例えばカンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン、とりわけバルサルタン;レニン阻害剤、例えばアリスキレン、テルラキレン、ジテキレン、RO66−1132、RO−66−1168;β−アドレナリン作動性レセプターブロッカー、例えばアセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール;強心薬、例えばジゴキシン、ドブタミンおよびミルリノン;カルシウムチャネルブロッカー、例えばアムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびベラパミル;アルドステロンレセプターアンタゴニスト;およびアルドステロンシンターゼ阻害剤;
e)HDL増強化合物;
f)コレステロール吸収調節剤、例えばZetia(登録商標)およびKT6−971;
g)Apo−A1アナログおよび模倣物;
h)トロンビン阻害剤、例えばXimelagatran;
i)アルドステロン阻害剤、例えばアナストラゾール、ファドラゾール、エプレレノン;
j)血小板凝集の阻害剤、例えばアスピリン、クロピドグレルビスルフェート;
k)エストロゲン、テストステロン、選択的エストロゲンレセプター調節剤、選択的アンドロゲンレセプター調節剤;
l)化学治療剤、例えばアロマターゼインヒビター例えばフェマーラ、抗エストロゲン、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、微小管活性化剤、アルキル化剤、抗新生物代謝拮抗剤、プラチナ化合物、タンパク質キナーゼ活性を減少する化合物、例えばPDGFレセプターチロシンキナーゼ阻害剤、好ましくはEP−A−0 564 409に実施例21として記載のImatinib({N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン})、またはWO 04/005281に実施例92として記載の4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド;および
m)5−HTレセプターと相互作用する薬剤および/または5−HTレセプターと相互作用する薬剤、例えば米国特許第5510353号に実施例13として記載のテガセロド、テガセロド水素マレイン酸、シスプリド、シランセトロン;
または各々の場合においてその薬学的に許容される塩。
【0030】
最も好ましい組合せパートナーは、テガセロド、イマチニブ、ビルダグリプチン、メトホルミン、チアゾリドン誘導体(グリタゾン)、例えばピオグリタゾン、ロシグリタゾン、または(R)−1−{4−[5−メチル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−オキサゾール−4−イルメトキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸、スルホニルウレアレセプターリガンド、アリスキレン、バルサルタン、オルリスタットまたはスタチン、例えばピタバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチンもしくはプラバスタチンである。
【0031】
好ましくは、医薬組合せ剤は、治療上有効量の上記定義の本発明の化合物を、治療上有効量の上記他の治療薬剤との組合せで、例えば各々既知の有効治療用量で含む。組合せパートナー(1)および(2)を、一緒に、次々にまたは別個に、1個の組合せ単位投与形態で、または2個の別個の単位投与形態で投与することができる。単位投与形態はまた、固定された組合せ剤であってよい。
【0032】
一般名または商標名によって同定した活性剤の構造を、標準的な大要である「The Merck Index」の現行版またはPhysician’s Desk Referenceから、またはデータベース、例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications)またはCurrent Drugsから入手することができる。その対応する内容を、参照により本明細書の一部とする。当業者は、これらの参照に基づいて、活性剤を同定することは十分可能であり、同様に、製造し、インビボおよびインビトロの両方において、標準的な試験モデルで医薬適用および特性を試験することは可能である。
【0033】
他の好ましい局面において、本発明は、治療上有効量の本明細書に記載の化合物を、治療上有効量の少なくとも1種の上記群a)〜m)から選択される有効成分、または各々の場合においてその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物(固定された組合せ剤)に関する。
【0034】
脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高トリグリセリド血症、心不全、心筋梗塞、血管疾患、心臓血管疾患、高血圧、肥満、炎症、関節炎、がん、アルツハイマー病、皮膚障害、呼吸器疾患、眼障害、炎症性腸疾患、IBD(過敏性腸疾患)、潰瘍性大腸炎、クローン病、耐糖能異常、高血糖およびインシュリン抵抗性が関与する状態、例えば1型および2型糖尿病、糖代謝異常(IGM)、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、およびシンドロームXの処置用医薬の製造のために医薬組成物または組合せ剤。
【0035】
かかる治療薬剤には、エストロゲン、テストステロン、選択的エストロゲンレセプター調節剤、選択的アンドロゲンレセプター調節剤、インシュリン、インシュリン誘導体および模倣物;インシュリン分泌促進剤、例えばスルホニルウレア、例えば、Glipizideおよびアマリール;インシュリン分泌促進スルホニルウレアレセプターリガンド、例えばメグリチニド、例えば、ナテグリニドおよびレパグリニド;インシュリン抵抗性改善薬、例えばプロテインチロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、GSK3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3)阻害剤またはRXRリガンド;ビグアニド、例えばメトホルミン;アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース;GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)、GLP−1アナログ、例えばExendin−4、およびGLP−1模倣物;DPPIV(ジペプチジルペプチダーゼIV)阻害剤、例えばイソロイシン−チアゾリジン;DPP728およびLAF237、脂質低下薬、例えば3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリールコエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤、例えば、ロバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロバスタチン、フルバスタチン、ダルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、フルインドスタチンおよびリバスタチン、スクアレンシンターゼ阻害剤またはFXR(肝臓Xレセプター)およびLXR(ファルネソイドXレセプター)リガンド、コレスチラミン、フィブラート、ニコチン酸およびアスピリンが含まれる。本発明の化合物を、他の有効成分と同時に、前にまたは後に、同一または異なる投与経路で別個に、または同じ医薬製剤で同時に、投与することができる。
【0036】
本発明はまた、a)本明細書に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物である第1薬剤、およびb)少なくとも1種の共薬剤を含む医薬組合せ剤、例えばキットを提供する。キットは投与のための指示書を含んでいてもよい。
【0037】
本明細書でしようする「共投与」または「組合せ投与」等の用語は、選択された薬剤を1人の患者に投与することを含み、そして薬剤を必ずしも同じ投与経路で、または同時に投与することがない処置レジメンを含むことを意図している。
「医薬組合せ剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、1種以上の有効成分の混合または組合せによって得られるものを意味し、有効成分の固定されたおよび固定されていない組合せ剤のいずれをも含む。「固定された組合せ剤」なる用語は、有効成分、例えば式Iの化合物と共薬剤を、いずれも1人の患者に同時に、1個の物または投与形で投与することを意味する。「固定されていない組合せ剤」は、有効成分、例えば式Iの化合物と共薬剤を、いずれも1人の患者に、別々の物として、同時に、一度にまたは逐次的に、特に時間の限定なく、かかる投与によって患者の体内で2種の化合物の治療上有効レベルが得られるように投与することを意味する。後者はまた、カクテルセラピー、例えば2種以上の有効成分の投与に適用する。
【0038】
本発明の化合物の製造法
本発明はまた、本発明の化合物の製造法を含む。記載の反応において、望ましくない反応への関与を回避するために、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基を保護することが、これらが最終生成物において望まれるとき、必要であり得る。常套の保護基を標準的なプラクティスに従って使用することができる、例えばT.W. Greene および P. G. M. Wutsの「Protective Groups in Organic Chemistry」、John Wiley and Sons, 1991参照。
【0039】
式4の化合物を、反応スキーム1
【化2】

〔ここで、n、YおよびRは式Iで定義のとおりである〕
の通りに進行して製造することができる。式4の化合物を、式2の化合物(好ましくはその臭化水素酸塩または塩酸塩)を式3の化合物と、適当な溶媒(例えばDMF等)の存在下で反応させることによって製造する。反応を、約50〜約125℃の温度範囲で行い、終了まで最大約24時間を要する。
【0040】
Zが結合である式Iの化合物を、反応スキーム2
【化3】

〔n、Y、R、R、RおよびRは式Iで定義のとおりであり、Qはクロロ、ブロモまたはヨードである〕
の通りに進行して製造することができる。式Iの化合物を、式4の化合物を式5の化合物と、適当な溶媒(例えば、ジオキサン等)、適当な触媒(例えば、Pd(dba)等)、適当なリガンド(例えば、ホスフィンリガンド、例えば(tBU)PHBF等)、適当な無機塩基(例えば、炭酸セシウム等)の存在下で、適当な保護(例えばアルゴン等)雰囲気下で反応させて製造する。反応を、約80〜約150℃の温度範囲で行い、終了まで最大約24時間を要する。
【0041】
Zが−S(O)−である式Iの化合物を、反応スキーム3
【化4】

〔n、Y、R、R、RおよびRは式Iで定義のとおりであり、Qはクロロ、ブロモまたはヨードである〕
の通りに進行して製造することができる。式Iの化合物を、式4の化合物を式6の化合物と、適当な溶媒(例えば、DMC等)、適当な有機塩基(例えば、トリエチルアミン等)の存在下で反応させて製造する。反応を、約0〜約50℃の温度範囲で行い、終了まで最大約24時間を要する。
【0042】
が−XCO13および−OCR1112XCO13(そしてR13がCアルキルである)から選択される式Iの化合物を、鹸化反応によって、対応する酸(R13が水素である)に変換する。反応は、適当な塩基(例えばリチウムヒドロキシド等)および適当な溶媒混合物(例えばTHF/水等)の存在下で進行し、約0〜約50℃の温度範囲で行い、終了まで最大約30時間を要する。
【0043】
詳細な反応条件は下記実施例に記載されている。
【0044】
本発明の化合物を製造するためのさらなる方法
本発明の化合物を、薬学的に許容される酸付加塩として、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機酸または有機酸と反応させることによって製造することができる。あるいは、薬学的に許容される塩基付加塩形の本発明の化合物を、遊離酸形の化合物を薬学的に許容される無機塩基または有機塩基と反応させることによって製造することができる。あるいは、塩形の本発明の化合物を、塩形の出発物質または中間体を用いて製造することができる。
【0045】
遊離酸または遊離塩基形の本発明の化合物を、対応する塩基付加塩または酸付加塩からそれぞれ製造することができる。例えば、酸付加塩形の本発明の化合物を、適当な塩基(例えば水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウム等)で処理することによって変換することができる。塩基付加塩形の本発明の化合物を、適当な酸(例えば、塩酸等)で処理することによって変換することができる。
【0046】
未酸化形の本発明の化合物を、本発明の化合物のN−オキシドから、還元剤(例えば、硫黄、硫黄ジオキシド、トリフェニルホスフィン、ホウ化水素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、ホスホラストリクロライド、トリブロマイド等)で、適当な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサン等)中で、0〜80℃で処理することによって製造することができる。
【0047】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を、当業者に既知の方法によって製造することができる(例えば、より詳しくは、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。例えば、適当なプロドラッグを、非誘導体化本発明の化合物を適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラニトロフェニルカルボネート等)と反応させることによって製造することができる。
【0048】
本発明の化合物の保護誘導体を、当業者に既知の方法によって製造することができる。保護基の製造およびそれらの除去に使用可能な技術の詳細な説明は、T. W. Greene, 「Protecting Groups in Organic Chemistry」, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見出すことができる。
【0049】
本発明の化合物を、簡便に、溶媒和物(例えば水和物)として、本発明の方法の間に製造または形成することができる。本発明の化合物の水和物を、水/有機溶媒混合物から、有機溶媒、例えばジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールを用いて再結晶化することによって簡便に製造することができる。
【0050】
本発明の化合物を、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させてジアステレオマー化合物の対を形成し、ジアステレオマーを分割し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することによって、それら個々の立体異性体として製造することができる。エナンチオマーの分割を、本発明の化合物の共有ジアステレオマー誘導体を用いて行うことができるが、解離可能な複合体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる物理的特性を有しており(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性等)、これらの差異の利点を用いて容易に分割することができる。ジアステレオマーを、クロマトグラフィーによって、または好ましくは、溶解度の差に基づく分離/分割技術によって分割することができる。光学的に純粋なエナンチオマーを、分割剤と共に、ラセミ化を起こさないあらゆる実際的な方法で回収する。化合物のラセミ混合物からの立体異性体の分割に適用可能な技術についてのより詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, 「Enantiomers, Racemates and Resolutions」, John Wiley And Sons, Inc., 1981に見出すことができる。
【0051】
要するに、式Iの化合物を下記工程を含むプロセスによって製造することができる:
(a)上記反応スキーム;および
(b)所望により、本発明の化合物を薬学的に許容される塩に変換する工程;
(c)所望により、塩形の本発明の化合物を非塩形に変換する工程;
(d)所望により、未酸化形の本発明の化合物を薬学的に許容されるN−オキシドに変換する工程;
(e)所望により、N−オキシド形の本発明の化合物を未酸化形に変換する工程;
(f)所望により、アイソマーの混合物から本発明の化合物の個々のアイソマーを分割する工程:
(g)所望により、非誘導体化本発明の化合物を薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換する工程;および
(h)所望により、本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を、その非誘導体化形に変換する工程。
【0052】
出発物質の製造が具体的に記載されていなくとも、当該化合物は既知であるかまたは既知の方法と同様に、もしくは本明細書の実施例に記載の通りに製造することができる。
【0053】
当業者は、上記変換が本発明の化合物の製造法の代表例に過ぎず、他の既知の方法を同様に使用することができることを理解する。
【実施例】
【0054】
実施例
本発明はさらに、これらに限定されないが、下記中間体および本発明の式Iの化合物の製造を説明する実施例によって例示される。
【化5】

中間体2.2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−チアゾロ[5,4−c]ピリジン。
【0055】
工程A:3−ブロモ−ピペリジン−4−オンヒドロブロマイド 1(1.5g、5.79mmol)および4−トリフルオロメチル−チオベンズアミド(0.79g、3.96mmol)をDMF(2mL)に溶解し、100℃に8時間加熱する。室温に冷却後、混合物をEtOAcで希釈し、水で抽出する。プロトン化した生成物を含む水層を飽和ビカルボネート水溶液で塩基性にし、DCMで2回抽出する。有機層を合併し、濃縮して2(0.45g、40%)を赤色固体として得る:1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ = 8.01 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.67 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 4.12 (t, J = 1.7 Hz, 2H), 3.24 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 2.91 (m, 2H). C13H12F3N2S (M+H+)について、計算上のMS 285.1、実測値 285.1.
【0056】
【化6】

中間体2.(3−ブロモ−フェニル)−酢酸メチルエステル
工程A:3−ブロモフェニル酢酸(1.17g、5.44mmol)を、触媒量の塩化チオニル(0.2mL)を含むMeOH(15mL)に溶解する。溶液を室温で一晩攪拌する。溶媒を蒸発し、残渣をDCMに溶解し、水と飽和NaHCO水溶液で洗浄する。有機層を乾燥し(MgSO)、ろ過し、濃縮してメチルエステル 16(1.20g、5.28mmol、96%)を油状物として得る:1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ = 7.44 (s, 1H), 7.40 (ddd, J = 2.0, 2.4, 6.8 Hz, 1H), 7.20 (m, 2H), 3.70 (s, 3H), 3.59 (s, 2H). C9H10BrO2 (M+H+)のMS 計算値 229.1、実測値229.0。
【0057】
【化7】

中間体3.3−(3−ブロモ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル。
中間体2の方法に従って、ただし3−ブロモフェニル酢酸を3−(3−ブロモ−フェニル)−プロピオン酸に代えて、表題化合物を透明な液体として製造する:C10H11BrO2 (M+H+)について、計算上のMS 243.0、実測値243.1。
【0058】
【化8】

中間体4.3−(4−ブロモ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル。
中間体2の方法に従って、ただし3−ブロモフェニル酢酸を3−(4−ブロモ−フェニル)−プロピオン酸に代えて、表題化合物を透明な液体として製造する:C10H11BrO2 (M+H+)のMS 計算値 243.0、実測値 243.1。
【0059】
【化9】

中間体5.(3−ブロモ−フェノキシ)−酢酸メチルエステル。
3−ブロモ−フェノール(1.72g、10mmol)とメチル−ブロモアセテート(1.01mL、11mmol)をMeCN(600mL)に溶解する。KCO(2.07g、15mmol)を加え、混合物を50℃で一晩攪拌する。不溶性の塩をろ過し、MeCNで洗浄した後、溶媒を除去し、残渣をEtOAcに取り、水および塩水で洗浄する。有機層を乾燥し(MgSO)、ろ過し、濃縮して5(2.31g、95%)を無色半固体として得る:C9H10BrO3 (M+H+)のMS 計算値 245.0、実測値 244.9。
【0060】
【化10】

中間体6.2−(3−ブロモ−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル。
中間体5の方法に従って、ただしメチル−ブロモアセテートをα,α−ジメチル−メチル−ブロモアセテートに代えて還流温度に加熱して、表題化合物を透明な液体として製造する:C11H14BrO3 (M+H+)のMS 計算値 273.0、実測値 273.0。
【0061】
【化11】

中間体8.(4−ブロモ−2−メチル−フェノキシ)−酢酸メチルエステル。
工程A:o−Cresol(10.8g、0.10mol)をDCM(100mL)に溶解する。CaCO(15g、0.15mol)を加え、混合物を0℃に冷却する。DCM(100mL)に溶解した臭素(5.14mL、0.10mol)を30分にわたって滴下する。亜硫酸ナトリウムを加えて臭素をクエンチし、混合物を室温に温め、さらにDCM(200mL)で希釈する。MgSOを加えた後、混合物をろ過し、ろ液を濃縮して4−ブロモ−2−メチル−フェノール 7(17.5g、94%)を白色固体として得る:1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ = 7.24 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 2.3 Hz, J = 8.5 Hz, 1H), 6.65 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.69 (s, OH), 2.22 (s, 3H). C11H14BrO3 (M+H+)のMS 計算値 187.0、実測値 186.9。
【0062】
工程B:4−ブロモ−2−メチル−フェノール 7(3.74g、20mmol)とメチル−ブロモアセテート(2.03mL、22mmol)をMeCN(200mL)に溶解する。KCO(4.15g、30mmol)を加え、混合物を50℃で一晩攪拌する。不溶性の塩をろ過し、MeCNで洗浄した後、溶媒を除去し、残渣をEtOAcに取り、水および塩水で洗浄する。有機層を乾燥し(MgSO)、ろ過し、濃縮して8(4.66g、90%)を無色油状物として得る:1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ = 7.28 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.22 (dd, J = 2.4 Hz, J = 8.6 Hz, 1H), 6.56 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.63 (s, 2H), 2.26 (s, 3H). C10H12BrO3 (M+H+)のMS 計算値 259.0、実測値 258.9。
【0063】
【化12】

中間体9.2−(4−ブロモ−2−メチル−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル。
中間体8の方法に従って、ただしメチル−ブロモアセテートをα,α−ジメチル−メチル−ブロモアセテートに代えて工程Bで還流温度に加熱して、表題化合物を透明な液体として製造する: 1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ = 7.27 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.14 (dd, J = 2.5 Hz, J = 8.7 Hz, 1H), 6.50 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 2.20 (s, 3H), 1.58 (s, 6H). C12H16BrO3 (M+H+)のMS 計算値 287.0、実測値 287.0。
【0064】
【化13】

中間体10.(3−クロロスルホニル−4−メトキシ−フェニル)−酢酸メチルエステル。
表題化合物を、文献記載の方法に従って製造する。
【0065】
【化14】

中間体11.(3−クロロスルホニル−4−メトキシ−フェニル)−酢酸メチルエステル。
表題化合物を、当該技術分野で記載の方法に従って製造する。
【0066】
【化15】

中間体12.(3−クロロスルホニル−4−メチル−フェニル)−酢酸メチルエステル。
p−トリル−酢酸メチルエステル(1.0g、6.09mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶解し、0℃に冷却する。クロロスルホン酸(10mL)を攪拌しながら1時間にわたって加える。混合物を室温に温め、この温度で1時間攪拌する。反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaCOおよび塩水で洗浄する。有機層を乾燥し(MgSO)、ろ過し、濃縮して粗生成物を得て、これをシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)で精製して表題生成物(677mg、42%)を油状物として得る:1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ = 7.89 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.48 (dd, J = 1.6 Hz, J=7.6 Hz, 1H), 7.32 (d, J=7.6 Hz, 1H), 3.66 (s, 3H), 3.63 (s, 2H), 2.70 (s, 3H); C10H11O4S (M-Cl+)のMS 計算値 227.04、実測値 227.00。
【0067】
【化16】

中間体23:(4−クロロスルホニル−2−メチル−フェノキシ)−酢酸メチルエステル。
工程A:o−Cresol(10.0g、0.092mmol)を乾燥DMF(100mL)に溶解する。ブロモ酢酸メチルエステル(15.0g、0.098mmol)および炭酸セシウム(40.0g、0.123mmol)を加える。反応物を室温で3時間攪拌し続ける。水を加え、反応物を酢酸エチルで3回抽出する。有機相を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥する。溶媒を蒸発して粗生成物22を得る。C10H13O3 (M+H+)のMS 計算値 181.08、実測値 181.10。
【0068】
工程B:丸底フラスコにo−トリルオキシ−酢酸メチルエステル 22(5.0g、27.8mmol)を加える。クロロスルホン酸(13.05g、112.0mmol)を室温で、5分間にわたって加える。反応混合物を氷に注ぎ、さらに5分間攪拌する。これをろ過し、残渣をDCMに溶解し、水で3回洗浄する。有機相を飽和NaHCOおよび塩水で洗浄し、MgSOで乾燥する。溶媒を蒸発する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン:0−30%)で精製して、23(4.8g、15.6mmol、収率78%)を白色固体として得る: 1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ = 7.78 (m, 2H), 6.72 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.71 (s, 2H), 3.76 (s, 3H), 2.30 (s, 3H). C10H11O5S (M-Cl+)のMS 計算値 243.0、実測値 243.0。
【0069】
【化17】

中間体24:2−(4−クロロスルホニル−2−メチル−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル。
中間体23の方法に従って、ただしブロモ酢酸メチルエステルを2−ブロモ−2−メチル−プロピオン酸メチルエステルに代えて、表題化合物を白色固体として製造する: 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.82 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.77 (dd, J = 2.8 Hz, 8.8 Hz, 1H), 6.64 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 2.31 (s, 3H), 1.70 (s, 6H). C12H16ClO5S (M+H+)のMS 計算値 307.03、実測値 307.00。
【0070】
【化18】

中間体25:2−(4−クロロスルホニル−2,5−ジメチル−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル。
中間体23の方法に従って、ただし2−ブロモ−2−メチル−プロピオン酸メチルエステルおよび2,5−ジメチルフェノールを用いて、表題化合物を白色固体として製造する: 1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ = 7.51 (s, 1H), 6.31 (s, 1H), 3.71 (s, 3H), 2.40 (s, 3H), 2.10 (s, 3H), 1.51 (s, 6H). C13H18ClO5S (M+H+)のMS 計算値320.0、実測値320.0。
【0071】
【化19】

実施例A1
{3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−イル]−フェニル}−酢酸。
工程A:加熱乾燥した密封チューブに2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−チアゾロ[5,4−c]ピリジン 1(20mg、0.07mmol)、(3−ブロモ−フェニル)−酢酸メチルエステル16(24mg、0.11mmol)、(tBu)PHBF(2mg、0.01mmol)およびCsCO(46mg、0.14mmol)を加える。1,4−ジオキサン(0.5mL)を加え、チューブをアルゴンでパージする。Pd(dba)(3mg、0.003mmol)を加え、混合物を120℃に一晩加熱する。粗{3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−イル]−フェニル}−酢酸メチルエステルを含む混合物を、さらに精製することなく工程Bで使用する。
【0072】
工程B:工程Aの反応混合物にTHF(1.5mL)を加え、HO(0.7mL)中1M LiOH溶液を加え、混合物を12時間室温で攪拌する。混合物を1M HCl(1mL)で酸性にし、DCMで2回抽出する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、濃縮し、逆相HPLC(HO/MeCNグラジエント)で精製して、表題化合物(13mg、2工程で44%以上)を無色硝子状物として得る:1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ = 8.00 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.69 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.27 (m, 1H), 6.97 (m, 2H), 6.87 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.55 (s, 2H), 3.74 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 3.63 (s, 2H), 3.08 (t, J = 5.4 Hz, 2H). C21H18F3N2O2S (M+H+)のMS 計算値 419.1、実測値 419.0。
【0073】
【化20】

実施例B1
{4−メチル−3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェニル}−酢酸。
工程A:2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−チアゾロ[5,4−c]ピリジン 1(14mg、0.05mmol)をDCM(0.5mL)に溶解し、トリエチルアミン(14μL、0.10mmol)および(3−クロロスルホニル−4−メチル−フェニル)−酢酸メチルエステル 12(16mg、0.06mmol)を続けて加え、混合物を室温で8時間攪拌する。溶媒を真空下で除去して、粗{4−メチル−3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェニル}−酢酸メチルエステルを得て、これをさらに精製することなく工程Bで使用する。
工程B:粗{4−メチル−3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェニル}−酢酸メチルエステルをTHF(1mL)に溶解し、HO(0.6mL)中1M LiOH溶液を加え、混合物を12時間室温で攪拌する。混合物を1M HCl(0.8mL)で酸性にし、DCMで2回抽出する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、濃縮し、逆相HPLC(HO/MeCNグラジエント)で精製して、表題化合物(17mg、2工程で68%以上)を無色固体として得る:1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ = 7.97 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.92 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.41 (dd, J = 1.6 Hz, J = 7.8 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.57 (s, 2H), 3.70 (s, 2H), 3.65 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.00 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 2.60 (s, 3H). C22H20F3N2O5S2 (M+H+)のMS 計算値 497.1、実測値 497.1。
【0074】
上記実施例に記載の方法を繰り返して、適当な出発物質を用いて、表1に同定する下記式Iの化合物を得る。
表1
【表1】

【表2】

【0075】
転写アッセイ
トランスフェクションアッセイを用いて、本発明の化合物のPPARの転写活性を調節する能力について評価する。簡単に説明すると、PPARδ、PPARαまたはPPARγのリガンド結合ドメイン(LBD)と縮合したイーストGAL4のDNA結合ドメインを含むキメラタンパク質についての発現ベクターを、ルシフェラーゼ遺伝子がGAL4結合部位の制御下にあるレポータープラスミドと共に哺乳類細胞に一時トランスフェクションによって導入する。PPAR調節剤への曝露によって、PPAR転写活性が変化し、これはルシフェラーゼレベルの変化によってモニターすることができる。トランスフェクト細胞をPPARアゴニストに曝露すると、PPAR依存性転写活性が増加し、ルシフェラーゼレベルが上昇する。
【0076】
293Tヒト胚腎臓細胞(8×10)を175cmフラスコに、実験開始の前日に、10% FBS、1% ペニシリン/ストレプトマイシン/フンギゾーム、DMEM培地中に播種する。PBS(30ml)で洗浄して細胞を収穫し、トリプシン(0.05%;3ml)を用いて分離する。トリプシンをアッセイ培地(DMEM、CA−デキストラン胎児ウシ血清(5%))の添加によって不活性化する。細胞を遠心沈降し、170,000細胞/mlに再懸濁する。GAL4−PPAR LBD発現プラスミド(1μg)、UAS−ルシフェラーゼレポータープラスミド(1μg)、Fugene(3:1の比;6μL)および無血清培地(200μL)のトランスフェクション混合物を製造し、15〜40分間室温でインキュベートした。トランスフェクション混合物を細胞に加えて0.16M細胞/mLとし、細胞(50μl/ウェル)を384白色ソリッドボトムTC処理プレートに播種する。細胞をさらに、37℃、5.0% COで5〜7時間インキュベートする。12点連続希釈(3倍連続希釈)を、各試験化合物についてDMSOで、出発化合物濃度10μMで製造する。試験化合物(500nl)をアッセイプレート中細胞の各ウェルに加え、細胞を37℃、5.0% COで18〜24時間インキュベートする。細胞溶解/ルシフェラーゼアッセイバッファー、Bright−Glo(商標)(25%;25μl;Promega)を各ウェルに加える。さらに5分間室温でインキュベーションした後、ルシフェラーゼ活性を測定する。
【0077】
生の蛍光値を、各プレートのDMSO対照値で除算して正規化する。正規化したデータを分析し、用量応答曲線を、Prizmグラフフィッティングプログラムを用いてフィットさせる。EC50を、最大値と最小値の中央値である応答を誘発する化合物の濃度と定義する。相対効果(またはパーセント効果)を、レファレンスPPAR調節剤について得られた最大値と、化合物によって誘発される応答の比較によって計算する。
【0078】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、例えば本明細書に記載のインビトロ試験で示されるように、有用な薬理学的特性を示す。本発明の化合物は好ましくは、PPARδおよび/またはPPARαおよび/またはPPARγについて、5μM未満、より好ましくは1μM未満、より好ましくは500nm未満、より好ましくは100nM未満のEC50を有する。本発明の化合物は、好ましくは、PPARδについて、PPARα以下、そしてPPARγの少なくとも10倍低いEC50を有する。
【0079】
本明細書に記載の実施例および態様は説明のみを目的としており、その範囲内での様々な修飾または変化が当業者によって示唆され、本願の精神および領域ならびに付帯する請求項の範囲に含まれることが理解される。本明細書で言及した全ての公報、特許および特許出願を、あらゆる目的のために参照することによって本明細書の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

〔nは0、1および2から選択され;
は−XCO13および−OCR1112XCO13(ここで、Xは結合およびCアルキレンから選択され;R11およびR12は独立して水素、CアルキルおよびCアルコキシから選択されるか;またはR11およびR12はR11およびR12が結合している炭素原子と一体となってC12シクロアルキルを形成し;そしてR13は水素およびCアルキルから選択される)から選択され;
およびRは独立して、水素、ハロ、Cアルキル、ハロ−置換Cアルキル、Cアルコキシおよびハロ−置換−Cアルコキシから選択され;
Zは結合および−S(O)−から選択され;
YはOおよびSから選択され;
は水素、ハロ、Cアルキル、ハロ−置換−Cアルキル、Cアルコキシおよびハロ−置換−Cアルコキシから選択される〕
の化合物;およびその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物およびアイソマー。
【請求項2】
nが0および1から選択され;
が−XCO13および−OCR1112XCO13(ここで、Xは結合およびCアルキレンから選択され;R11およびR12は独立して水素、CアルキルおよびCアルコキシから選択されるか;またはR11およびR12はR11およびR12が結合している炭素原子と一体となってC12シクロアルキルを形成し;そしてR13は水素およびCアルキルから選択される)から選択され;
およびRが独立して、水素、ハロ、Cアルキル、ハロ−置換Cアルキル、Cアルコキシおよびハロ−置換−Cアルコキシから選択され;
Zが結合および−S(O)−から選択され;
YがOおよびSから選択され;そして
がハロ−置換−Cアルキルである、請求項1の化合物。
【請求項3】
が−CHCOH、−(CHCOH、−OC(CHCOHおよび−OCHCOHから選択される、請求項2の化合物。
【請求項4】
およびRが独立して水素、メチルおよびメトキシから選択され;そしてRがトリフルオロメチルである、請求項3の化合物。
【請求項5】
{3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−イル]−フェニル}−酢酸;3−{3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−イル]−フェニル}−プロピオン酸;3−{4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−イル]−フェニル}−プロピオン酸;2−メチル−2−{2−メチル−4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−イル]−フェノキシ}−プロピオン酸;{4−メチル−3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェニル}−酢酸;{4−メトキシ−3−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェニル}−酢酸;{4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェニル}−酢酸;{2−メチル−4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェノキシ}−酢酸;2−メチル−2−{2−メチル−4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェノキシ}−プロピオン酸;および2−{2,5−ジメチル−4−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−4H−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−5−スルホニル]−フェノキシ}−2−メチル−プロピオン酸から選択される請求項4の化合物。
【請求項6】
PPARの調節によって疾患の病状および/または症状を予防、阻害または軽減することができる動物における疾患または障害の処置法であって、当該動物に治療上有効量の請求項1の化合物を投与することを含んでなる方法。
【請求項7】
PPAR活性が、PPARα、PPARδおよびPPARγから選択される少なくとも1種のPPARである、請求項6の方法。
【請求項8】
PPAR活性がPPARαおよびPPARδの両方である、請求項7の方法。
【請求項9】
疾患または障害が、予防の処置、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、アテローム発生、高トリグリセリド血症、心不全、心筋梗塞、血管疾患、心臓血管疾患、高血圧、肥満、悪液質、炎症、関節炎、がん、拒食症、神経性無食欲症、過食症、アルツハイマー病、皮膚障害、呼吸器疾患、眼障害、過敏性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、1型糖尿病、2型糖尿病およびシンドロームXから選択される、請求項6の方法。
【請求項10】
疾患または障害が、HIV消耗症候群、長期間重症、筋肉質量および/または筋肉強度の減少、体重減少、高齢者における筋肉強度および機能の維持、筋肉持久性および筋肉機能の減少、および高齢者における脆弱性から選択される、請求項6の方法。
【請求項11】
動物におけるPPAR活性が疾患の病状および/または症状に寄与する疾患の処置用医薬の製造における、請求項1〜5のいずれかの化合物の使用。
【請求項12】
PPAR活性が、PPARα、PPARδおよびPPARγから選択される少なくとも1種のPPARである、請求項11の使用。
【請求項13】
PPAR活性がPPARαおよびPPARδの両方である、請求項12の使用。
【請求項14】
治療上有効量の請求項1〜5のいずれかの化合物を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤との組合せで含む医薬組成物。
【請求項15】
1)請求項1〜5のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩;および
2)下記群から選択される少なくとも1種の有効成分、ならびに所望により薬学的に許容される担体を含む、医薬組合せ剤、とりわけ医薬組成物:
a)抗糖尿病薬、例えばインシュリン、インシュリン誘導体および模倣物;インシュリン分泌促進剤、例えばスルホニルウレア、例えば、Glipizide、グリブリドおよびAmaryl;インシュリン分泌促進スルホニルウレアレセプターリガンド、例えばメグリチニド、例えばナテグリニドおよびレパグリニド;インシュリン抵抗性改善薬例えばプロテインチロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、例えばPTP−112;GSK3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3)阻害剤、例えばSB−517955、SB−4195052、SB−216763、NN−57−05441およびNN−57−05445;RXRリガンド、例えばGW−0791およびAGN−194204;ナトリウム依存性グルコース コ−トランスポーター阻害剤、例えばT−1095;グリコーゲンホスホリラーゼA阻害剤、例えばBAY R3401;ビグアニド、例えばメトホルミン;アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース;GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)、GLP−1アナログ、例えばExendin−4およびGLP−1模倣物;ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、例えばDPP728、ビルダグリプチン、MK−0431、サキサグリプチン、GSK23A;AGEブレーカー;チアゾリドン誘導体(グリタゾン)、例えばピオグリタゾン、ロシグリタゾン、または(R)−1−{4−[5−メチル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−オキサゾール−4−イルメトキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸、非グリタゾンタイプPPARγアゴニスト、例えばGI−262570;
b)高脂血症薬、例えば3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリールコエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤、例えば、ロバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロバスタチン、フルバスタチン、ダルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンおよびリバスタチン;スクアレンシンターゼ阻害剤;FXR(ファルネソイドXレセプター)およびLXR(肝臓Xレセプター)リガンド;コレスチラミン;フィブレート;ニコチン酸およびアスピリン;
c)抗肥満薬または食欲調節薬、例えばフェンテルミン、レプチン、ブロモクリプチン、デキサムフェタミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、シブトラミン、オルリスタット、デクスフェンフルラミン、マズインドール、フェンテルミン、フェンジメトラジン、ジエチルプロピン、フルオキセチン、ブプロピン、トピラメート、ジエチルプロピン、ベンズフェタミン、フェニルプロパノールアミンまたはエコピパム、エフェドリン、シュードエフェドリンまたはカンビノイドレセプターアンタゴニスト;
d)抗高血圧剤、例えば、ループ利尿剤、例えばエタクリン酸、フロセミドおよびトルセミド;利尿剤、例えばチアジド誘導体、クロリチアジド、ヒドロクロロチアジド、アミロリド;アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えばベンゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリノドプリル、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリル;Na−K−ATPアーゼ膜ポンプの阻害剤、例えばジゴキシン;ニュートラレンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えばチオルファン、terteo−チオルファン、SQ29072;ECE阻害剤、例えばSLV306;ACE/NEP阻害剤、例えばオマパトリラット、サムパトリラットおよびファシドトリル;アンギオテンシンIIアンタゴニスト、例えばカンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン、とりわけバルサルタン;レニン阻害剤、例えばアリスキレン、テルラキレン、ジテキレン、RO66−1132、RO−66−1168;β−アドレナリン作動性レセプターブロッカー、例えばアセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール;強心薬、例えばジゴキシン、ドブタミンおよびミルリノン;カルシウムチャネルブロッカー、例えばアムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびベラパミル;アルドステロンレセプターアンタゴニスト;およびアルドステロンシンターゼ阻害剤;
e)HDL増強化合物;
f)コレステロール吸収調節剤、例えばZetia(登録商標)およびKT6−971;
g)Apo−A1アナログおよび模倣物;
h)トロンビン阻害剤、例えばXimelagatran;
i)アルドステロン阻害剤、例えばアナストラゾール、ファドラゾール、エプレレノン;
j)血小板凝集の阻害剤、例えばアスピリン、クロピドグレルビスルフェート;
k)エストロゲン、テストステロン、選択的エストロゲンレセプター調節剤、選択的アンドロゲンレセプター調節剤;
l)化学治療剤、例えばアロマターゼインヒビター例えばフェマーラ、抗エストロゲン、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、微小管活性化剤、アルキル化剤、抗新生物代謝拮抗剤、プラチナ化合物、タンパク質キナーゼ活性を減少する化合物、例えばPDGFレセプターチロシンキナーゼ阻害剤、好ましくはImatinibまたは4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−ベンズアミド;および
m)5−HTレセプターと相互作用する薬剤および/または5−HTレセプターと相互作用する薬剤、例えばテガセロド、テガセロド水素マレイン酸、シスプリド、シランセトロン;
または各々の場合においてその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高トリグリセリド血症、心不全、心筋梗塞、血管疾患、心臓血管疾患、高血圧、肥満、炎症、関節炎、がん、アルツハイマー病、皮膚障害、呼吸器疾患、眼障害、炎症性腸疾患、IBD(過敏性腸疾患)、潰瘍性大腸炎、クローン病、耐糖能異常、高血糖およびインシュリン抵抗性が関与する状態、例えば1型および2型糖尿病、糖代謝異常(IGM)、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、およびシンドロームXの処置または予防のための、請求項14の医薬組成物または請求項15の組合せ剤。
【請求項17】
医薬として使用するための、請求項1〜5のいずれかの化合物、または請求項10の医薬組成物もしくは請求項11の組合せ剤。
【請求項18】
脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高トリグリセリド血症、心不全、心筋梗塞、血管疾患、心臓血管疾患、高血圧、肥満、炎症、関節炎、がん、アルツハイマー病、皮膚障害、呼吸器疾患、眼障害、炎症性腸疾患、IBD(過敏性腸疾患)、潰瘍性大腸炎、クローン病、耐糖能異常、高血糖およびインシュリン抵抗性が関与する状態、例えば1型および2型糖尿病、糖代謝異常(IGM)、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、およびシンドロームXの処置または予防用医薬の製造のための、請求項1〜5のいずれかの化合物、請求項14の医薬組成物または請求項15の組合せ剤の使用。

【公表番号】特表2009−525280(P2009−525280A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552478(P2008−552478)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/002316
【国際公開番号】WO2007/089667
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】