説明

PSMA抗体薬物複合体

【課題】抗体薬物複合体(ADC)の提供。特に前立腺と区的膜抗原(PSMA)に結合するならびにモノメチルアウリスタチンノルエフェドリンまたはモノメチルアウリスタチンフェニルアラニンに結合する抗体またはその抗原結合断片を含むADCの提供。
【解決手段】抗体薬物複合体は、少なくとも250のC4−2またはLNCaP(TM)細胞に対する、PC−3(TM)細胞選択性を有し、1つには、ADCを用いる組成物および方法。提供される方法は、例えば、PSMA媒介疾患を処置するための方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、35U.S.C.§119の元での、2005年6月20日出願の米国仮出願60/692,399および2006年4月14日出願米国仮出願60/792,360の利益を主張し、そのそれぞれの内容の全体を明細書中に参照により組み入れる。
【0002】
政府支援
本発明の複数の側面は、国立衛生研究所助成CAl 07653 (DM)およびCA96075 (GPD)からの基金を用いてなされた可能性がある。したがって、政府は本発明に対する権利を有する場合がある。
【0003】
発明の分野
本発明は、概して抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate、ADC)に関する。特に、本発明は、モノメチルアウリスタチンノルエフェドリン(MMAE)またはモノメチルアウリスタチンフェニルアラニン(MMAF)と複合した、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合する抗体またはその抗原結合断片を含むADCに関する。かかる抗体薬物複合体は、PC−3(TM)細胞とC4−2またはLNCaP(TM)細胞との間の細胞選択性が少なくとも250である。本発明はまた、部分的に、ADCの組成物およびADCを用いる方法に関する。提供される方法は、例えば、PSMA媒介疾患を処置する方法を含む。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
前立腺癌は最もよく知られた悪性腫瘍であり、米国において男性における癌死の第2の主要原因である(Jemal A, et al., CA Cancer J Clin 2005;55:10-30)。限局性前立腺癌は、典型的には、外科手術または放射線療法で処置し、再発疾患は一時的にアンドロゲン除去で制御できる(Klein EA, et al., Urol Clin North Am 2003;30:315-30)。しかしながら、ほぼ全ての前立腺癌は、最終的には、耐ホルモン性となり、そして急速に進行する(Denmeade SR, et al., Nat Rev Cancer 2002;2:389-96)。耐ホルモン性またはアンドロゲン非依存性前立腺癌は、従来の化学療法に対して大いに耐性があることが示されている。緩和ケアを除外すると、唯一の承認された化学療法は、プレドニゾンと組み合わせたドセタキセルであり、中等度(2.4ヶ月)の延命効果を提供する(Gulley J, et al., Am J Ther. 2004;351:1513-20; Petrylalc DP, et al., New Engl J Med 2004;351:1513-20)。新規な分子標的療法が必要とされている。
【0005】
発明の要約
明細書中で提供される本発明は、特に高い選択性を呈するADCに関する。本発明の1つの側面において、抗体薬物複合体が提供され、これは、モノメチルアウリスタチンノルエフェドリンまたはモノメチルアウリスタチンフェニルアラニンに結合した、PSMAに結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、この抗体薬物複合体は、PC−3(TM)細胞とC4−2またはLNCaP(TM)との間の細胞選択性が少なくとも250である。1つの態様において、選択性は少なくとも500、1000、2500、6000または13,000である。もう1つの態様において、選択性は1567、6286または13,636である。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも3つ、4つまたは5つのモノメチルアウリスタチンノルエフェドリンまたはモノメチルアウリスタチンフェニルアラニン分子と複合している。
【0006】
本発明の組成物および方法において用いることができる抗体の例は、いくつかの態様で、本明細書中で提供される。別の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、PSMAに特異的に結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。さらに別の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、PSMAの細胞外ドメインに特異的に結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。さらなる態様において、抗体またはその抗原結合断片は、PSMAの立体構造エピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0007】
いくつかの態様において、抗原または抗原結合断片は、(i)第2の抗体のPSMA上のその標的エピトープへの特異的結合を競合的に阻害するか、または(ii)PSMA 3.7、PSMA 3.8、PSMA 3.9、PSMA 3.11、PSMA 5.4、PSMA 7.1、PSMA 7.3、PSMA 10.3、PSMA 1.8.3、PSMA A3.1.3、PSMA A3.3.1、Abgenix 4.248.2、Abgenix 4.360.3、Abgenix 4.7.1、Abgenix 4.4.1、Abgenix 4.177.3、Abgenix 4.16.1、Abgenix 4.22.3、Abgenix 4.28.3、Abgenix 4.40.2、Abgenix 4.48.3、Abgenix 4.49.1、Abgenix 4.209.3、Abgenix 4.219.3、Abgenix 4.288.1、Abgenix 4.333.1、Abgenix 4.54.1、Abgenix 4.153.1、Abgenix 4.232.3、Abgenix 4.292.3、Abgenix 4.304.1、Abgenix 4.78.1 and Abgenix 4.152.1からなる群から選択される抗体で定義されるPSMA上のエピトープに結合する。他の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、(a)配列番号:2〜7で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖と、(b)配列番号:8〜13で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖とを含む抗体からなる群から選択される抗体で定義されるPSMA上のエピトープに結合する。
【0008】
いくつかの態様において、第2の抗体は、PSMA 3.7、PSMA 3.8、PSMA 3.9、PSMA 3.11、PSMA 5.4、PSMA 7.1、PSMA 7.3、PSMA 10.3、PSMA 1.8.3、PSMA A3.1.3、PSMA A3.3.1、Abgenix 4.248.2、Abgenix 4.360.3、Abgenix 4.7.1 、Abgenix 4.4.1、Abgenix 4.177.3、Abgenix 4.16.1 、Abgenix 4.22.3、Abgenix 4.28.3、Abgenix 4.40.2、Abgenix 4.48.3、Abgenix 4.49.1、Abgenix 4.209.3、Abgenix 4.219.3、Abgenix 4.288.1、Abgenix 4.333.1、Abgenix 4.54.1、Abgenix 4.153.1、Abgenix 4.232.3、Abgenix 4.292.3、Abgenix 4.304.1、Abgenix 4.78.1、Abgenix 4.152.1および(a)配列番号2〜7で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖と、(b)配列番号8〜13で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖とを含む抗体からなる群から選択される。
【0009】
他の態様において、第2の抗体は、AB-PG1-XG1-006、AB-PG1-XG1-026および(a)配列番号:2および3で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖と、(b)配列番号:8および9規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖とを含む抗体からなる群から選択される。1つの態様において、第2の抗体は、(a)配列番号2で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖と、(b)配列番号:8で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖とを含む。さらなる態様において、第2の抗体は、配列番号:3で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖と、(b)配列番号:9で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖とを含む。
【0010】
いくつかの態様において、抗体薬物複合体の抗体は、AB-PG1-XG1-006、AB-PG1-XG1-026および(a)配列番号:2および3で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖と、(b)配列番号:8および9で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖とを含む抗体からなる群から選択される抗体をコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子でコードされる抗体である。1つの態様において、抗体は、少なくとも95%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子でコードされる。別の態様において、抗体は少なくとも97%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子でコードされる。さらに別の態様において、抗体は少なくとも98%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子でコードされる。さらなる態様において、抗体は少なくとも99%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子でコードされる。
【0011】
他の態様において、明細書中で提供される抗体薬物複合体の抗体またはその抗原結合断片は、AB-PG1-XG1-006、AB-PG1-XG1-026またはその抗原結合断片である。さらに他の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、(a)配列番号:2および3で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖と、(b)配列番号:8および9で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖とを含む抗体およびその抗原結合断片からなる群から選択される。1つの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、(a)配列番号:2で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、(b)配列番号:8で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖、およびその抗原結合断片を含む。別の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、(a)配列番号:3で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、(b)配列番号:9で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖、およびその抗原結合断片を含む。
【0012】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、IgEであるか、あるいはIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgDまたはIgEの免疫グロブリン定常領域および/または可変領域を有する。
【0013】
さらなる態様において、抗体はモノクローナル抗体である。さらに他の態様において、抗体はヒト化抗体である。さらに他の態様において、抗体はヒト抗体である。さらに他の態様において、抗体は組換え抗体である。さらなる態様において、抗体はキメラ抗体である。さらに追加的な態様において、抗体は二重特異性抗体または多重特異性抗体である。さらに他の態様において、抗体は一本鎖抗体である。
【0014】
他の態様において、抗原結合断片は、Fab断片、F(ab’)断片またはFv断片である。さらに他の態様において、抗原結合断片はCDR3含有断片である。
【0015】
いくつかの態様において、モノメチルアウリスタチンノルエフェドリン(MMAE)またはモノメチルアウリスタチンフェニルアラニン(MMAF)は、抗体またはその抗原結合断片に、式(式1)−A−Y−Z−X−W−、式中Aはカルボン酸アシル単位であり;Yはアミノ酸であり;Zはアミノ酸であり;XおよびWはそれぞれ自壊的(self-immolative)スペーサーであり;nは0または1の整数であり;およびmは0または1、2、3、4、5または6の整数である、で表される化合物とともに複合している。いくつかの態様において、本発明の複合体は、式(式2):L−{A−Y−Z−X−W−D}、式中LはPSMAに結合する抗体またはその抗原結合断片であり、DはMMAEまたはMMAFであり、およびpは1、2、3、4、5、6、7または8の整数である、で表される。複合体の残りの構成成分は、直上で定義したとおりである。
【0016】
1つの態様において、カルボン酸単位"A"は、抗体またはその抗原結合断片に、抗体またはその抗原結合断片由来の硫黄原子を介して連結している:
【化1】

【0017】
1つの態様において、Aは
【化2】

式中、qは1〜10である、
で表される。それゆえ、1つの態様において、式2で表される複合体は:
【化3】

式中、L、Y、Z、X、W、D、n、m、qおよびpは先に定義したとおりである、
である。
【0018】
別の態様において、Aは4−(N−スクシンイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボニル、m−スクシンイミドベンゾイル、4−(p−スクシンイミドフェニル)−ブチリル、4−(2−アセトアミド)ベンゾイル、3−チオプロピオニル、4−(1−チオエチル)−ベンゾイル、6−(3−チオプロピオニルアミド)−ヘキサノイルまたはマレイミドカプロイルである。さらなる態様において、Aはマレイミドカプロイルである。
【0019】
別の態様において、Yはアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンまたはプロリンである。さらに別の態様において、Yはバリンである。さらなる態様において、Zはリジン、アセチルまたはホルミルで保護されたリジン、アルギニン、トシル基またはニトロ基で保護されたアルギニン、ヒスチジン、オルニチン、アセチルまたはホルミルで保護されたオルニチン、あるいはシトルリンである。さらに追加の態様において、Zはシトルリンである。1つの態様において、Y−Zはバリン−シトルリンである。別の態様において、Y−Zは、プロテアーゼで選択的に切断可能なタンパク質配列である。
【0020】
さらなる態様において、Xは式
【化4】

式中、TはO、N、またはSである、
を有する化合物である。別の態様において、Xは式
−HN−R−COT
式中、RはC〜Cアルキルであり、TはO、N、またはSである、
を有する化合物である。さらなる態様において、Xは式
【化5】

式中、TはO、N、またはSであり、RはHまたはC〜Cアルキルである、
を有する化合物である。1つの態様において、Xはp−アミノベンジルカルバモイルオキシである。別の態様において、Xはp−アミノベンジルアルコールである。さらなる態様において、Xはp−アミノベンジルカルバメートである。さらに追加の態様において、Xはp−アミノベンジルオキシカルボニルである。別の態様において、Xはγ−アミノ酪酸;α,α−ジメチル γ−アミノ酪酸またはβ,βジメチル γ−アミノ酪酸である。
【0021】
いくつかの態様において、Wは
【化6】

式中、TはO、SまたはNである、
である。
【0022】
他の態様において、mおよびnは0である。
【0023】
1つの態様において、抗体薬物複合体は、AB−PG1−XG1−006−マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンノルエフェドリンである。別の態様において、抗体薬物複合体はAB−PG1−XG1−006−マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンフェニルアラニンである。さらなる態様において、抗体薬物複合体は、AB−PG1−XG1−006−マレイミドカプロイル−モノメチルアウリスタチンフェニルアラニンである。別の態様において、抗体薬物複合体は、AB−PG1−XG1−026−マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンノルエフェドリンである。さらに別の態様において、抗体薬物複合体は、AB−PG1−XG1−026−マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンフェニルアラニンである。さらなる態様において、抗体薬物複合体は、AB−PG1−XG1−026−マレイミドカプロイル−モノメチルアウリスタチンフェニルアラニンである。別の態様において、抗体薬物複合体は、図6A、図6Bまたは図6Cで示される化合物に複合したPSMA結合性抗体またはその抗原結合断片である。
【0024】
いくつかの態様において、抗体薬物複合体は生細胞に結合する。1つの態様において、細胞は腫瘍細胞である。別の態様において、腫瘍細胞は前立腺腫瘍細胞である。さらなる態様において、腫瘍細胞は非前立腺腫瘍の新生脈管系の細胞である。他の態様において、抗体薬物複合体はPSMAに結合するために細胞溶解を必要としない。さらに他の態様において、抗体薬物複合体は細胞周期停止を誘導する。さらに追加の態様において、抗体薬物複合体はPSMA発現細胞の増殖を阻害する。1つの態様において、抗体薬物複合体は1×10−10M未満のIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する。別の態様において、IC50は1×10−11M未満である。さらに別の態様において、IC50は1×10−12M未満である。さらなる態様において、抗体薬物複合体は、11〜208×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する。さらに追加の態様において、抗体薬物複合体は、42〜208×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する。
【0025】
さらに追加の態様において、抗体薬物複合体は、60〜208×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する。別の態様において、抗体薬物複合体は、65〜208×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する。1つの態様において、抗体薬物複合体は、11×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する。別の態様において、抗体薬物複合体は、42×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する。さらに別の態様において、抗体薬物複合体は、60×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する。さらなる態様において、抗体薬物複合体は、83×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する。
【0026】
別の態様において、6mg/kgの用量でのq4d×6の投与計画でマウスに投与した場合に、抗体薬物複合体は少なくとも20%、30%、40%または50%の治癒率をもたらす。1つの態様において、治癒率は20%、30%、40%50%、60%、70%、80%であるかまたは80%を超える。1つの態様において、マウスはアンドロゲン非依存性ヒト前立腺癌モデルであるものである。別の態様において、マウスは左後肢にC4−2細胞を筋内移植したヌードマウスである。さらなる態様において、マウスは例において提供されるものである。
【0027】
いくつかの態様において、抗体薬物複合体は標識に結合している。他の態様において、標識は蛍光標識、酵素標識、放射性標識、核磁気共鳴活性標識、発光性標識または発色性標識である。
【0028】
いくつかの態様において、抗体薬物複合体は、凍結乾燥形態で包装される。他の態様において、抗体薬物複合体は、水性培地中に包装される。さらなる態様において、抗体薬物複合体は滅菌形態である。
【0029】
また明細書中において、1つまたは2つ以上の抗体薬物複合体を含む組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物は2つまたは3つ以上の異なる抗体薬物複合体を含む。他の態様において、1つまたは2つ以上の抗体薬物複合体と、1つまたは2つ以上の非複合抗PSMA抗体とを含む組成物を提供する。
【0030】
いくつかの態様において、組成物は薬学的に許容し得るキャリア、賦形剤または安定化剤をさらに含む。他の態様において、組成物は抗癌剤、免疫刺激剤、免疫調整剤、コルチコステロイドまたはその組み合わせをさらに含む。1つの態様において、抗癌剤は細胞毒性剤、腫瘍新生脈管系に作用する薬剤またはその組み合わせである。別の態様において、抗癌剤はドセタキセルである。さらに別の態様において、免疫調整剤はサイトカイン、ケモカイン、アジュバントまたはその組み合わせである。さらに別の態様において、免疫刺激剤は、インターロイキン−2、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、腫瘍壊死因子−α、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはその組み合わせである。さらなる態様において、コルチコステロイドはプレドニゾンまたはヒドロコルチゾンである。さらに追加の態様において、組成物はプレドニゾンおよびドセタキセルを含む。
【0031】
本発明の抗体薬物複合体および組成物を用いるためのさまざまな方法が提供される。1つの態様において、PSMA発現細胞をPSMA発現細胞の増殖を阻害するに有効な量の抗体薬物複合体に接触させることを含む、PSMA発現細胞の増殖を阻害するための方法が提供される。別の態様において、PSMA発現細胞をPSMA発現細胞において細胞周期停止を誘導するのに有効な量の抗体薬物複合体に接触させることを含む、PSMA発現細胞における細胞周期停止をもたらすための方法が提供される。さらに別の態様において、PSMA媒介疾患を有する対象にPSMA媒介疾患を処置するのに有効な量の抗体薬物複合体を投与することを含む、PSMA媒介疾患を処置する方法が提供される。さらなる態様において、腫瘍の新生脈管系のPSMA発現細胞を腫瘍増殖を阻害するのに有効な量の抗体薬物複合体に接触させることを含む、腫瘍増殖を阻害するための方法が提供される。
【0032】
1つの態様において、PSMA媒介疾患は癌である。別の態様において、癌は前立腺癌である。さらに別の態様において、癌は非前立腺癌である。いくつかの態様において、非前立腺癌は膀胱癌、膵臓癌、肺癌、腎臓癌、肉腫、乳癌、脳腫瘍、神経内分泌癌、結腸癌、精巣癌または黒色腫である。
【0033】
いくつかの態様において、本方法は、別の治療剤をPSMA媒介疾患を処置するために併用投与することを含む。他の態様において、本方法はPSMA発現細胞を他の治療剤に接触させることをさらに含む。いくつかの態様において、他の治療剤は抗体薬物複合体の投与前、投与中または投与後に投与される。1つの態様において、他の治療剤は抗癌剤、免疫刺激剤、免疫調整剤、コルチコステロイドまたはその組み合わせである。別の態様において、抗癌剤は細胞毒性剤、腫瘍新生脈管系に作用する薬剤またはその組み合わせである。さらに別の態様において、抗癌剤はドセタキセルである。さらに別の態様において、免疫調整剤はサイトカイン、ケモカイン、アジュバントまたはその組み合わせである。
【0034】
さらに別の態様において、免疫刺激剤はインターロイキン−2、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、腫瘍壊死因子−α、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはその組み合わせである。さらなる態様において、コルチコステロイドはプレドニゾンまたはヒドロコルチゾンである。1つの態様において、治療剤はワクチンである。別の態様において、ワクチンは対象をPSMAに対して免疫する。別の態様において、本方法はさらに別の治療剤を投与することをさらに含む。1つの態様において、さらに別の治療剤はプレドニゾンである。それゆえ、1つの態様において、ドセタキセルおよびプレドニゾンの両方が投与される。
【0035】
いくつかの態様において、PSMA発現細胞は前立腺腫瘍細胞または非前立腺腫瘍の新生脈管系の細胞である。いくつかの態様において、PSMA発現細胞はアンドロゲン依存性細胞またはアンドロゲン非依存性細胞である。
【0036】
本発明の限定のそれぞれは、本発明のさまざまな態様を包含することができる。それゆえ、任意の1つの要素または要素の組み合わせに関連する本発明の限定のそれぞれが、本発明のそれぞれの側面を含むことができることが予測される。
【0037】
図の簡単な説明
図1は、C4−2細胞における111In−標識化PSMAの取り込みパーセントおよび総結合を示す。C4−2細胞を、111In−標識mAbとともに37℃、5%COで培養した。指定された時間に、細胞を洗浄して非結合mAbを除去し、そして表面に結合したmAbを低pHバッファを用いて剥がした。低pH溶出液および細胞ペレットの放射活性(カウント毎分(CPM))を、ガンマカウンターを用いて別々にカウントした。取り込み%(図1A)は、細胞ペレットのCPM/(細胞ペレットのCPM+低pH溶出液のCPM)×100で計算した。総結合(図1B)は、細胞ペレットのCPMに低pH溶出液のCPMを足したものを表す。
【0038】
図2は、3T3(TM)−PSMA細胞に対するPSMA mABおよびADCの結合を示すグラフである。3T3(TM)−PSMA細胞を、漸増濃度のPSMA mAB(黒四角)、PSMA ADC(白四角)またはアイソタイプ対照ADC(白三角)とともに培養した。細胞を氷上で1時間培養し、洗浄して非結合mAbまたはADCを除去した。それから、細胞をヤギ抗ヒトIgG−FITCとともに培養し、再び洗浄し、そしてフローサイトメトリーで観察した。平均蛍光強度(MFI)をmAbまたはADC濃度の関数でプロットした。
【0039】
図3は、PSMA陽性およびPSMA陰性前立腺癌細胞株における、PSMA ADCおよび対照ADCのin vitroでの細胞毒性を示すグラフである。96穴マイクロプレート中のPSMA陽性C4−2細胞(図3A)およびPSMA陰性PC−3(TM)細胞(図3B)をさまざまな濃度のADCに暴露した。96時間後、処置および非処置培養における細胞生存を、アラマーブルーを用いてアッセイした。
【0040】
図4は、異種移植研究でのカプランマイヤー生存および血清PSAレベルを示すグラフである。ヌードマウスにC4−2細胞を筋肉内移植し、第17日における血清PSAに従って処置群(群あたり6マウス)に無作為に割り当て、それからPSMA ADCまたはビヒクルでq4d×3で処置した。図4Aは、0(ビヒクル対照、点線)、2mg/kg(細い実線)および10mg/kgのPSMA ADCで処置した動物の生存を示す。図4Bは、0(黒棒グラフ)、2mg/kg(斜線棒グラフ)および10mg/kg(白棒グラフ)のPSMA ADCで処置したマウスにおける、30日にわたる平均PSA値を提供する。対照群の第30日のデータは、30日間生存しなかった2匹のマウスの第27日の評価を含む。
【0041】
図5は、別の異種移植研究において処置した動物のカプランマイヤー生存曲線を示す。ヌードマウスにC4−2細胞を筋肉内移植し、第14日における血清PSAの従って処置群(群あたり5マウス)に無作為に割り当て、その後PSMA ADCおよび対照でq4d×6で処置した。マウスを0(ビヒクル対照、黒丸)、6mg/kg非修飾PSMA mAb(黒三角)、6mg/kg対照ADC(白三角)、3mg/kgPSMA ADC(白四角)および6mg/kgPSMA ADC(黒四角)で処置した。
【0042】
図6は、3つの異なる薬物リンカー(drug-linker)の化学構造を示す。図6AはvcMMAE(マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンE)の構造を示す。図6Bは、vcMMAF(マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンF)の構造を示す。図6Cは、mcMMAF(マレイミドカプロイル−モノメチルアウリスタチンF)の構造を示す。
【0043】
図7Bは、PSMA陽性(C4−2)およびPSMA陰性(PC−3(TM))前立腺癌細胞株における、PSMA ADC(vcMMAE(図7A)、vcMMAF(図7B)、mcMMAF(図7C))のin vitro細胞毒性を示す。96穴マイクロプレート中の細胞をさまざまな濃度のADCに暴露した。4日後、処置および非処置培養物における細胞生存をアラマーブルーを用いてアッセイした。
【0044】
図8は、PSMA ADCの細胞周期に対する影響を示す。それぞれのパネルにおいて、左のピークはG期に対応し、右のピークはG/M期に対応する。G/M期における細胞のパーセントはPSMA ADCでの処置で有意に増加し、DNA合成後に起こる細胞分裂の停止と整合する。PSMA ADCは、親3T3(TM)細胞の周期に影響を及ぼさない。
【0045】
図9は、PSMA ADVのvcMMAE対vcMMAFの比較からの結果を示す。
【0046】
発明の詳細な説明
本発明は、ひとつには、MMAE(本明細書中においてモノメチルアウリスタチンEおよびモノメチルアウリスタチンノルエフェドリンとも呼称する)またはMMAF(本明細書中においてモノメチルアウリスタチンFおよびモノメチルアウリスタチンフェニルアラニンとも呼称する)に複合した、PSMA結合性抗体またはその抗原結合断片を含むADCが、PSMA発現細胞を殺滅するのに特に有用であるという、驚くべき発見に関する。ADCは、PC−3(TM)細胞とC4−2またはLNCaP(TM)細胞との間の細胞選択性が少なくとも250であり得る。いくつかの態様において、ADCは、(PSMA発現細胞の)あるレベルの細胞殺滅、例えばピコモル濃度またはそれに近いIC50値を呈する。他の態様において、ADCは、6mg/kgでのq4d×6の投与計画でADC処置したマウスにおいて、少なくとも20%、30%、40%または50%の治癒率をもたらす。それゆえ、これらのADCを用いる組成物および方法を提供する。いくつかの態様において、マウスは例において提供されるものである。1つの態様において、マウスはアンドロゲン非依存性ヒト前立腺癌のモデルであるものである。別の態様において、マウスは左後肢にC4−2細胞を筋肉内移植したヌードマウスである。
【0047】
ADCの抗体またはその抗原結合断片は、PSMAに結合する任意の抗体またはその抗原結合断片である。1つの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、特異的にPSMAに結合し(例えば、特異的にPSMAの細胞外ドメインに結合する、特異的にPSMAの立体構造エピトープに結合する、など)、そしてPSMA上の標的エピトープに対する第2の抗体の特異的結合を競合的に阻害することができる。ここで、第2の抗体はPSMA 3.7、PSMA 3.8、PSMA 3.9、PSMA 3.11、PSMA 5.4、PSMA 7.1、PSMA 7.3、PSMA 10.3、PSMA 1.8.3、PSMA A3.1.3、PSMA A3.3.1、Abgenix 4.248.2、Abgenix 4.360.3、Abgenix 4.7.1、Abgenix 4.4.1、Abgenix 4.177.3、Abgenix 4.16.1、Abgenix 4.22,3、Abgenix 4.28.3、Abgenix 4.40.2、Abgenix 4.48.3、Abgenix 4.49.1、Abgenix 4.209.3、Abgenix 4.219.3、Abgenix 4.288.1、Abgenix 4.333.1、Abgenix 4.54.1、Abgenix 4.153.1、Abgenix 4.232.3、Abgenix 4.292.3、Abgenix 4.304.1、Abgenix 4.78.1、Abgenix 4.152.1ならびに(a)配列番号:2〜7で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖と、(b)配列番号:8〜13で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖とを含む抗体からなる群から選択される。
【0048】
それゆえ、第2の抗体は、下記表1に示すハイブリドーマで製造されたまたは下記表1に示すプラスミドでコードされた任意の抗体を含む。これらのハイブリドーマおよびプラスミドは、国際寄託当局としてのアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)に、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の要件に準拠し、かつ同要件を充足して寄託され、上記および表1において示す特許寄託指定を与えられている。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
競合阻害を決定するため、当業者に公知のさまざまなアッセイを採用することができる。例えば、交差競合(cross-competition)アッセイを用いて、抗体またはその抗原結合断片が、別の抗体またはその抗原結合断片によるPSMAへの結合を競合的に阻害するかどうかを決定することができる。これらにはフローサイトメトリーまたは固相結合解析を利用した細胞ベースの方法を含む。固相または溶液相において、細胞表面に発現しないPSMA分子に対して交差競合する抗体またはその抗原結合断片の能力を評価する他のアッセイもまた用いることができる。
【0052】
いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、第2の抗体のPSMA上のその標的エピトープへの特異的結合を、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%、競合的に阻害する。阻害は、さまざまなモル比または質量比で評価することができる。例えば、競合結合実験は、第2の抗体またはその抗原結合断片に対し、2倍、3倍、4倍、5倍、7倍、10倍または10倍を超えるモル過剰の第1の抗体またはその抗原結合断片で行うことができる。
【0053】
別の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、PSMA 3.7、PSMA 3.8、PSMA 3.9、PSMA 3.11、PSMA 5.4、PSMA 7.1、PSMA 7.3、PSMA 10.3、PSMA 1.8.3、PSMA A3.1.3、PSMA A3.3.1、4.248.2、4.360.3、4.7.1、4.4.1、4.177.3、4.16.1、4.22.3、4.28.3、4.40.2、4.48.3、4.49.1、4.209.3、4.219.3、4.288.1、4.333.1、4.54.1、4.153.1、4.232.3、4.292.3、4.304.1、4.78.1、および4.152.1、PSMA 3.7、PSMA 3.8、PSMA 3.9、PSMA 3.11、PSMA 5.4、PSMA 7.1、PSMA 7.3、PSMA 10.3、PSMA 1.8.3、PSMA A3.1.3、PSMA A3.3.1、Abgenix 4.248.2、Abgenix 4.360.3、Abgenix 4.7.1、Abgenix 4.4.1、Abgenix 4.177.3、Abgenix 4.16.1、Abgenix 4.22.3、Abgenix 4.28.3、Abgenix 4.40.2、Abgenix 4.48.3、Abgenix 4.49.1、Abgenix 4.209.3、Abgenix 4.219.3、Abgenix 4.288.1、Abgenix 4.333.1、Abgenix 4.54.1、Abgenix 4.153.1、Abgenix 4.232.3、Abgenix 4.292.3、Abgenix 4.304.1、Abgenix 4.78.1、Abgenix 4.152.1および(a)配列番号:2〜7で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖と、(b)配列番号:8〜13で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖とを含む抗体からなる群から選択される抗体で定義されるPSMA上のエピトープへ特異的に結合することができる。それゆえ、ADCの抗体または抗原結合断片は、上記表1に示されるハイブリドーマにより産生されるか、または同表に示されるプラスミドによりコードされる抗体で定義されるPSMA上のエピトープに特異的に結合するものを含む。
【0054】
エピトープを決定するために、業界で公知の標準的なエピトープマッピング法を用いることができる。例えば、抗体に結合するPSMA抗原(例えば、合成ペプチド)の断片(ペプチド)を用いて、候補の抗体またはその抗原結合断片が同じエピトープに結合するかどうかを決定することができる。直線状エピトープに対し、所定の長さ(例えば8以上のアミノ酸)のオーバーラップペプチドを合成する。PSMAタンパク質配列の8アミノ酸の断片のそれぞれをカバーする一連のペプチドを産生するように、ペプチドのオフセットを1アミノ酸とすることができる。より大きなオフセット、例えば2または3アミノ酸を用いて、産生するペプチドをより少なくすることができる。さらに、より大きなペプチド(例えば、9−、10−または11−マー)を合成することができる。抗体または抗原結合断片へのペプチドの結合は、表面プラズモン共鳴(BIACORE)およびELISAアッセイを含む、標準的な手順を用いて決定することができる。
【0055】
立体構造エピトープの調査のために、より大きなPSMA断片を用いることができる。質量分析を用いて立体構造エピトープを決定する他の方法が記載されており、用いることができる(例えば、Baerga-Ortiz et al., Protein Science 11:1300-1308,2002およびそこに引用される参考文献を参照)。エピトープ決定のためのさらに他の方法が、標準的な実験室参考資料、例えばCurrent Protocols in Immunology, Coligan et al., eds., John Wiley & SonsのUnit 6.8(「B細胞エピトープのファージディスプレイ選択および解析」)およびUnit 9.8(「合成ペプチドコンビナトリアルライブラリーを用いる抗原決定基の同定」)などにおいて提供される。点変異または点欠失を公知のエピトープに導入し、それから1つまたは2つ以上の抗体または抗原結合断片との結合を試験し、どの変異が抗体または抗原結合断片の結合を減少させるかを決定することにより、エピトープを確認することができる。
【0056】
特定の態様において、ADCの抗体、またはADCの抗原結合断片が由来する抗体は、ハイブリドーマにより産生されるものであり、これらは本明細書中で、それぞれ、PSMA 3.7、PSMA 3.8、PSMA 3.9、PSMA 3.11、PSMA 5.4、PSMA 7.1、PSMA 7.3、PSMA 10.3、PSMA 1.8.3、PSMA A3.1.3、PSMA A3.3.1、Abgenix 4.248.2、Abgenix 4.360.3、Abgenix 4.7.1、Abgenix 4.4.1、Abgenix 4.177.3、Abgenix 4.16.1、Abgenix 4.22.3、Abgenix 4.28.3、Abgenix 4.40.2、Abgenix 4.48.3、Abgenix 4.49.1、Abgenix 4.209.3、Abgenix 4.219.3、Abgenix 4.288.1、Abgenix 4.333.1、Abgenix 4.54.1、Abgenix 4.153.1、Abgenix 4.232.3、Abgenix 4.292.3、Abgenix 4.304.1、Abgenix 4.78.1、およびAbgenix 4.152.1と称される。他の態様において、抗体は、表1で示されるプラスミドによりコードされるものである。さらに他の特別な態様において、抗体は、配列番号:2〜7で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数の重鎖コード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、および配列番号:8〜13で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数の軽鎖コード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖とを含むものである。
【0057】
本明細書中で用いる、寄託されたハイブリドーマまたはプラスミドの名称は、抗体の名称と相互的に用いてもよい。名称が抗体を称することを意図するか、または抗体をコードするまたは産生するプラスミドまたはハイブリドーマを称するかは、それぞれ、当業者には明らかである。さらに、抗体の名称は、表1で示す名称の短縮形であってもよい。例えば、抗体AB-PG1-XG1-006は、AB-PG1-XG1-006、PG1-XG1-006、XG1-006、006、などと称してもよい。もう1つの例として、抗体の名称PSMA 4.232.3は、PSMA 4.232.1、4.232.3、4.232.1、4.232、などと称してもよい。抗体の名称における変化形の全ては、同じ抗体を称するものであり、異なるものを称するものではないことを意図する。
【0058】
ADCの抗体、またはADCの抗原結合断片が由来する抗体は、特別な組み合わせの重鎖および軽鎖配列でコードされたものを含む。1つの態様において、抗体(AB-PG1-XG1-006)は、配列番号:2および8で規定される核酸配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる。別の態様において、抗体(AB-PG1-XG1-026)は、配列番号:3および9で規定される核酸配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる。さらに別の態様において、抗体(AB-PG1-XG1-051)は、配列番号:4および10で規定される核酸配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる。さらに別の態様において、抗体(AB-PG1-XG1-069)は、配列番号:5および11で規定される核酸配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる。
【0059】
別の態様において、抗体(AB-PG1-XG1-077)は、配列番号:6および12で規定される核酸配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる。さらに別の態様において、抗体(PSMA 10.3)は、配列番号7および13で規定される核酸配列の1つまたは複数のコード領域を含む。他の態様において、ADCの抗体またはADCの抗原結合断片が由来とするものは、配列番号:14、18、22、26および30で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖可変領域、および配列番号:16、20、24、28および32で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖可変領域を含む。
【0060】
1つの態様において、抗体(AB-PG1-XG1-006)は、配列番号:14および16で規定される核酸配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる免疫グロブリン可変配列を含む。同様に、抗体は、配列番号:15および17で規定されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン可変配列を含むものであることができる。別の態様において、抗体(AB-PG1-XG1-026)は、配列番号:18および20で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる免疫グロブリン可変領域を含むか、または配列番号:19および21で規定されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン可変配列を含む。さらに別の態様において、抗体(AB-PG1-XG1-051)は、配列番号:22および24で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる免疫グロブリン可変配列を含むか、または配列番号:23および25で規定されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン可変配列を含む。
【0061】
さらに別の態様において、抗体(AB-PG1-XG1-069)は、配列番号:26および28で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる免疫グロブリン可変配列を含むか、または配列番号:27および29で規定されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン可変配列を含む。別の態様において、抗体(AB-PG1-XG1-077)は配列番号:30および32で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる免疫グロブリン可変配列を含むか、または配列番号31および33で規定されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン可変配列を含む。他の態様において、抗体は、配列番号:15、19、23、27および31で規定されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号:17、21、25、29および33で規定されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0062】
本明細書中で使用する「コード領域」は、ポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列の領域を指す。本明細書におけるその使用は、当該技術分野で知られた、広く認められた意味と一致する。
【0063】
ある態様において、ADCの抗体、またはADVの抗原結合断片が由来する抗体は、前述の核酸と高度に相同な核酸分子でコードされるものである。いくつかの態様において、相同な核酸分子は、本明細書中で提供されるヌクレオチド配列に対して少なくとも約90%相同であるヌクレオチド配列を含むことができる。他の態様において、ヌクレオチド配列は、本明細書中で提供されるヌクレオチド配列に対して少なくとも95%相同、少なくとも97%相同、少なくとも98%相同、または少なくとも99%相同である。相同性は、当業者に周知の、さまざまな、公表されているソフトウェアツールを用いて計算することができる。例示的なツールは、米国国立衛生研究所の米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のウェブサイトより入手可能なBLASTシステムを含む。
【0064】
高度に相同なヌクレオチド配列を同定する1つの方法は、核酸ハイブリダイゼーションを介するものである。そのため、本発明は、また、本明細書中に記載するPSMA結合特性および他の機能的な特性を有する抗体を含み、これは、高度なストリンジェンシーの条件下で前述の核酸分子にハイブリダイズする核酸分子でコードされる。関連配列の同定は、また、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および関連核酸配列のクローニングに適した他の増幅技術を用いて達成することができる。PCRのプライマーを選択し、対象となる核酸配列の部分、例えばCDRなどを増幅することができる。
【0065】
本明細書中で用いる「高ストリンジェンシー条件」は、当該技術分野でよく知られたパラメーターを指す。核酸ハイブリダイゼーションパラメーターは、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrook, et al., eds., Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M, Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons, Inc., New Yorkなど、かかる方法をまとめた文献において見出すことができる。高ストリンジェンシー条件の一例は、ハイブリダイゼーションバッファー(3.5×SSC、0.02% Ficoll、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン、2.5mM NaHPO(pH7)、0.5%SDS、2mM EDTA)中、65℃でのハイブリダイゼーションである。SSCは0.15M塩化ナトリウム/0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7であり、SDSはドデシル硫酸ナトリウムであり、EDTAはエチレンジアミン四酢酸である。ハイブリダイゼーション後、核酸をトランスファーしたメンブレンを、例えば室温の2×SSC中、次いで68℃以下の温度の0.1〜0.5×SSC/0.1×SDS中で洗浄する。
【0066】
本明細書中で用いる、「抗体」という用語は、ジスルフィド結合で内部連結した少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質を指す。それぞれの重鎖は重鎖可変領域(本明細書中、HCVRまたはVと略す)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つの領域、C1、C2およびC3からなる。それぞれの軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書中、LCVRまたはVLと略す)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つの領域、CLからなる。VおよびV領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域によって隔てられた、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域に、さらに細分化することができる。それぞれのVおよびVは、3つのCDRおよび4つのFRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、以下の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫グロブリンの、免疫系のさまざまな細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的な補体系の第1成分(C1q)を含む、宿主組織または因子への結合を媒介する。
【0067】
本明細書中で用いる、抗体の「抗原結合断片」の用語は、抗原(つまり、PSMA)に特異的に結合する能力を保つ抗体の1つまたは2つ以上の部分を指す。抗体の抗原結合機能は完全長抗体の断片により実行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合断片」の用語の範疇に包含される結合断片の例は、(i)Fab断片、V、V、CおよびC1ドメインからなる一価の断片、(ii)F(ab’)断片、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合により連結した2つのFab断片を含む二価の断片;(iii)VおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVおよびVドメインからなるFv断片、(v)VドメインからなるdAb断片(Ward et ah, (1989) Nature 341 :544-546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。
【0068】
CDR、特にCDR3領域、そしてより特別には重鎖CDR3は、抗体の特異性に寄与する。これらのCDR領域、特にCDR3領域は、抗体に抗原特異性を賦与するため、これらの領域を、他の抗体または抗原結合断片に組み込み、抗体またはペプチドに同一の抗原特異性を賦与することができる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VおよびV、は、別々の遺伝子によりコードされるが、それらを、組換え手法を用い、VおよびV領域が対となり一価の分子を形成する単一のタンパク質鎖(一本鎖Fv(scFV)として知られる;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照)として作製することを可能とする合成リンカーにより結合することができる。かかる一本鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合断片」の用語の範疇に包含されることを意図する。これらの抗体断片は、従来の手順、例えば本明細書中に引用文献として組み入れる、J. Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp 98-118 (N. Y. Academic Press 1983)において記載されるタンパク質分解断片化手順などの従来の手順を用いて、ならびに当業者に公知の他の技術により得られる。断片は、インタクト抗体と同様の方法で、有用性についてスクリーニングする。
【0069】
いくつかの態様において、ADVの抗体、またはその抗原結合断片は単離されたものである。本明細書中で用いる「単離された」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体(または抗原結合断片)を実質的に含まない抗体(またはその抗原結合断片)を指すものとする(例えば、PSMAに特異的に結合する単離された抗体は、PSMA以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。PSMAのエピトープ、アイソフォームまたは変異体に特異的に結合する単離された抗体は、しかしながら、他の関連する抗原、例えば他の種(例えば、PSMA種ホモログ)からのものに対する交差反応性を有してもよい。さらに、単離された抗体(またはその抗原結合断片)は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。本明細書中で用いる、「特異的結合」は、事前に決定された抗原、この場合はPSMAに結合する抗体を指す。典型的には、抗体は、PSMA、PSMAのアイソフォームまたは変異体、または密接に関連した抗原以外の抗原である、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合についての親和性より少なくとも2倍大きな親和性で結合する。
【0070】
抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、IgEなどの、さまざまな抗体アイソタイプを包含する。本明細書中で用いる「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子でコードされる抗体クラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。抗体は完全長であることができ、またはIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgDまたはIgEの抗体定常領域および/または可変領域などの抗原結合断片のみを含むことができ、またはFab断片、F(ab’)断片およびFv断片からとなることができる。
【0071】
ADCの抗体またはADCの抗原結合断片が由来する抗体は、いくつかの態様において、モノクローナルである。抗体は、当該技術分野で周知のさまざまな技術で産生できる。モノクローナル抗体産生は、当該技術分野で周知の技術によりもたらされてもよい。本明細書中で用いる「モノクローナル抗体」の用語は、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体は、単一の結合特異性および特定のエピトープに対する親和性を呈する。モノクローナル抗体産生の過程は、抗体を産生する能力を有する免疫体細胞、特に、対象となる抗原で事前にin vivoまたはin vitroのいずれかで免疫され、そしてB細胞骨髄腫ラインとの融合に適するB細胞を獲得することを伴う。
【0072】
哺乳類リンパ球は、典型的には、所望のタンパク質またはポリペプチドによる動物(例えばマウス)のin vivo免疫付与により、免疫される。免疫賦与は、必要に応じて数週間までの間隔をおいて繰り返し、抗体の十分な力価を獲得する。いったん免疫されると、動物は抗体産生リンパ球のソースとして用いることができる。最後の抗原ブーストのあと、動物を殺処分し、脾臓を除去する。マウスリンパ球は、本明細書中に記載するマウス骨髄腫ラインと高いパーセンテージで安定した融合を示す。例えば、BALB/cマウスのものである。しかしながら、他のマウス系統、ウサギ、ハムスター、ヒツジおよびカエルを、また、抗体産生細胞調製のための宿主として用いてもよい。Goding(in Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 2d ed., pp. 60-61, Orlando, FIa., Academic Press, 1986)を参照のこと。特に、ゲノム中に挿入されたヒト免疫グロブリンを有する(そしてマウス免疫グロブリンを産生できない)マウス株を用いることができる。例は、Medarex/GenPharm Internationalにより産生されたHuMabマウス系統、およびAbgenixにより産生されたXenoMouse系統を含む。かかるマウスは、免疫賦与に応答して、完全なヒト免疫グロブリン分子を産生する。いくつかの態様において、それゆえ、ADCは、PSMAに結合する、完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原断片を含む。
【0073】
分割形質芽球段階の抗体産生細胞は、優先的に融合する。体細胞を、抗原感作した動物のリンパ節、脾臓および末梢血から得てもよく、最適なリンパ細胞は、特定の融合系における経験に基づいた有用性に大いに依存する。抗体分泌リンパ球は、その後、細胞培養において無限に複製可能な、マウス)B細胞骨髄腫細胞または形質転換細胞と融合され、それにより、不死の、免疫グロブリン分泌細胞系を産生される。得られた融合細胞、またはハイブリドーマを培養し、得られたコロニーを所望のモノクローナル抗体の産生に関してスクリーニングする。抗体を産生するコロニーをクローニングし、in vivoまたはin vitroのいずれかで増殖させ、大量の抗体を産生する。細胞を融合する理論的基礎および実践的な手順の説明はKohler and Milstein, Nature 256:495 (1975)に記載されており、これを本明細書中に引用文献として組み入れる。
【0074】
代替的に、抗体を産生することができるヒト体細胞、特にBリンパ球は、骨髄腫細胞系との融合に適する。個体の生検した脾臓、扁桃腺またはリンパ節からのBリンパ球を用いてもよいが、より簡便に得られる末梢血Bリンパ球も用いることができる。リンパ球は、診断された前立腺癌または他のPSMA発現癌の患者から由来してもよい。さらに、ヒトB細胞をEpstein-Barrウイルスで直接不死化してもよい(Cole et al., 1995, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77- 96)。体細胞ハイブリダイゼーション手順を主に用いることができるが、モノクローナル抗体産生のための他の技術、例えばBリンパ球のウイルス形質転換または発癌性形質転換、を用いることができる。
【0075】
ハイブリドーマ産生融合手順での使用に適する骨髄腫細胞系は、非抗体産生性であることができ、高い融合効率、および所望のハイブリドーマの増殖を支持する、ある選択培地における増殖を不可能にする酵素欠損を有する。融合細胞系の産生のために用いることができる、かかる骨髄腫細胞系の例は、マウス由来のP3-X63/Ag8、X63-Ag8.653、NSl/l.Ag 4.1、Sp2/0-Agl4、FO、NSO/U、MPC-11、MPC11-X45-GTG 1.7、S194/5XX0 BuI、ラット由来のR210.RCY3、Y3-Ag 1.2.3、IR983Fおよび4B210ならびにヒト由来のU-266、GM1500-GRG2、LICR-LON-HMy2、UC729-6を含む(Goding, in Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 2d ed., pp. 65-66, Orlando, FIa., Academic Press, 1986; Campbell, in Monoclonal Antibody Technology, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology Vol. 13, Burden and Von Knippenberg, eds. pp. 75-83, Amsterdam, Elseview, 1984)。
【0076】
哺乳類骨髄腫細胞または細胞培養において無限の複製を可能とする他の融合パートナーは、標準的な周知の技術、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)または他の融合剤を用いることによりもたらされる(Milstein and Kohler, Eur. J. Immunol. 6:511 (1976)を参照のこと、これを本明細書中に引用文献として組み入れる)。
【0077】
他の態様において、ADCの抗体、またはADCの抗原結合断片が由来する抗体は、組み換え抗体である。本明細書中で用いる「組み換え抗体」という用語は、組み換え手段により作製、発現、生成または単離された抗体、例えば他の種の免疫グロブリンのトランスジェニック動物(例えば、マウス)から単離された抗体、ホスト細胞に形質導入された組み換え発現ベクターを用いて発現された抗体、組み換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離した抗体、または他のDNA配列への免疫グロブリン遺伝子のスプライシングを伴う任意の他の手段により作製、発現、生成または単離された抗体を含むことを意図する。
【0078】
さらに他の態様において、抗体はキメラ抗体またはヒト化抗体である。本明細書中で用いる「キメラ抗体」の用語は、ヒト定常領域または定常および可変フレームワーク領域と、マウス可変領域または超可変領域とを組み合わせた抗体を指す。本明細書中で用いる「ヒト化抗体」の用語は、ヒトフレームワーク領域と結合した、親抗体からの抗原結合CDRのみを保つ抗体を指す(Waldmann, 1991, Science 252:1657参照)。マウス抗体の結合特異性を保つかかるキメラ抗体またはヒト化抗体は、本発明による適用のためにin vivoで投与した場合、低下した免疫原性を有すると見込まれる。
【0079】
代替的な態様によると、本発明によるモノクローナル抗体は、二重特異性抗体、または多特異性抗体の形態に改変することができる。「二重特異性抗体」の用語は、(a)細胞表面抗原、および(b)エフェクター細胞の表面上のFc受容体に結合する、またはそれらと相互作用する、2つの異なる結合特異性を有する任意の物質、例えばタンパク質、ペプチド、あるいはタンパク質またはペプチド複合体を含むことを意図する。「多特異性抗体」の用語は、(a)細胞表面抗原、(b)エフェクター細胞の表面上のFc受容体、または(c)少なくとも1つの他の構成要素に結合する、またはそれらと相互作用する、2つより多い異なる結合特異性を有する任意の物質、例えばタンパク質、ペプチド、あるいはタンパク質またはペプチド複合体を含むことを意図する。
【0080】
したがって、抗体は、エフェクター細胞上のPSMAおよびFc受容体に向けられた二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、および他の多特異性抗体を限定することなく含む。ダイアボディーは、二価の、二重特異性抗体であり、そこではVおよびVドメインが単一のポリペプチド鎖に発現されるが、がゆえに同一鎖上の2つのドメイン間のペアリングを可能とするには余りに短いリンカーを用いることにより、これらのドメインを別の鎖の相補ドメインとともにペアリングさせ、2つの抗原結合部位を作出している(例えば、Holliger, P., et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448; Poijak, R.J., et al. (1994) Structure 2:1121-1123を参照のこと)。
【0081】
二重特異性抗体を、PSMA特異的抗原結合領域および殺腫瘍活性または抗腫瘍活性を有するエフェクター細胞特異的抗原結合領域から形成することができる。二重特異性抗体の2つの抗原結合領域は、化学的に連結するかまたは二重特異性抗体を産生するよう遺伝子操作された細胞により発現させることができる(一般的には、Fanger et al., 1995 Drug News & Perspec. 8(3):133-137を参照のこと)。殺腫瘍活性を有する好適なエフェクター細胞は、細胞障害性T細胞(主にCD8細胞)、ナチュラルキラー細胞などを限定することなく含む。有効量の本発明による二重特異性抗体を、癌を有する対象に投与することができ、そして二重特異性抗体は、PSMAを有する原発腫瘍または転移性腫瘍の部位への局在化後に、癌細胞を殺傷し、かつ/または増殖を阻害する。
【0082】
ある態様において、ADCの抗体、またはADCの抗原結合断片が由来する抗体は、ヒト抗体である。本明細書中で用いる「ヒト抗体」の用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する抗体を含むことを意図する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列でコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでランダム突然変異または部位特異性突然変異により導入された、またはin vivoで体細胞変異により導入された変異)を含むことができる。しかしながら、本明細書中で用いる「ヒト抗体」の用語は、他の哺乳類種、例えばマウスなどの生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列中へと移植された抗体(本明細書中「ヒト化抗体」と呼ぶ)を含むことを意図しない。PSMAに対するヒト抗体は、マウスの免疫系よりむしろヒト免疫系の部分を保持するトランスジェニックマウスを用いて生成することができる。そのいくつかの例は上述した。
【0083】
完全ヒトモノクローナル抗体はまた、ヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子座の大部分が遺伝子導入されたマウスを免疫することにより作製することができる。例えば、その内容を本明細書中に参照として組み入れる、米国特許第5,591,669号、第5,598,369号、第5,545,806号、第5,545,807号、第6,150,584号、およびそこに引用される引用文献を参照。これらの動物は、内因性の(例えば、マウスの)抗体産生の機能的欠失が存在するよう、遺伝学的に改変されている。動物は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部分を含むようさらに改変され、これらの動物の免疫の結果、対象とする抗原に対する完全ヒト抗体を産生するようになる。これらのマウス(例えば、XenoMouse (Abgenix)、HuMAbマウス(Medarex/GenPharm))の免疫に次いで、モノクローナル抗体が標準的なハイブリドーマ技術に従って作製される。これらのモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリンアミノ酸配列を有し、それゆえ、ヒトに投与された場合にヒト抗マウス抗体(HAMA)反応を誘発しない。
【0084】
概して、限定こそしないが、マウスは最初の免疫において6〜16週齢である。例えば、PSMA抗原(例えば、組み換えPSMAまたはPSMA発現細胞)の精製または濃縮調製物を用いて、腹腔内(IP)免疫するが、当業者に公知の他の免疫ルートも用いることができる。PSMA抗原はアジュバント、例えば完全フロイトアジュバントなどと組み合わせて注入され、いくつかの態様においては、最初の注入に続いて、アジュバント、例えば不完全フロイトアジュバントなどの中の抗原で追加免疫する。免疫反応は、免疫プロトコールの経過中にわたって、例えば眼窩後部出血(retroorbital bleeds)により得た血漿試料でモニターする。血漿をELISAでスクリーニングし、抗PSMAヒト免疫グロブリンの十分な力価のマウスを融合に用いる。マウスを、殺処分および脾臓摘出の3日前に抗原で静脈内に追加免疫する。
【0085】
ADCの抗体またはその抗原結合断片は、いくつかの態様において、生存PSMA発現細胞への結合能について選択することができる。生存PSMA発現細胞への結合を実証するため、フローサイトメトリーを用いることができる。例えば、PSMA発現細胞系(標準増殖条件下での増殖)またはPSMAを発現する前立腺細胞を、さまざまな濃度のモノクローナル抗体とともに0.1%Tween 80および20%マウス血清を含有するPBS中で混合し、37℃で1時間培養する。洗浄後、細胞を蛍光標識抗ヒトIgG抗体(ヒト抗PSMA抗体を用いる場合)と一次抗体染色と同じ条件下で反応させた。試料は、蛍光活性化細胞選別(FACS)装置で、単一細胞をゲートする光および側方散乱特性を用いて解析することができる。蛍光顕微鏡検査法を用いる代替的なアッセイを、フローサイトメトリーに加えて、またはこれに代えて用いることができる。細胞は、染色して蛍光顕微鏡検査法で検査することができる。この方法により、個々の細胞の可視化が可能となるが、抗原の濃度に依存して感度は低下するかもしれない。したがって、いくつかの態様において、ADCは生細胞に結合する。それゆえ、ADCは、いくつかの態様において、PSMAと結合するために細胞溶解を要しない。
【0086】
抗体は、いくつかの態様において、PSMA発現細胞の細胞溶解を推進する。細胞溶解は補体媒介性であってもよく、またはエフェクター細胞により媒介されてもよい。1つの態様において、細胞溶解を、生体、例えば哺乳類において実行することができ、そして、生細胞は腫瘍細胞である。抗体またはその抗原結合断片で標的化できる腫瘍の例は、前立腺、膀胱、膵臓、肺、大腸、腎臓、黒色腫および肉腫などの、PSMAを発現する任意の腫瘍を含む(これはPSMAを発現する新生脈管系を有する腫瘍を含む)。1つの態様において、腫瘍細胞は前立腺癌細胞である。
【0087】
クロム放出アッセイによるin vitroでの細胞溶解活性の試験により、in vivoモデルにおける試験に先立つ、初期スクリーニングを提供することができる。この試験は、標準のクロム放出アッセイを用いて実行することができる。簡潔には、健康なドナーからの多形核白血球(PMN)、または他のエフェクター細胞を、フィコール・ハイパック(Ficoll Hypaque)密度遠心法で精製することができ、次いで混入赤血球を溶解させる。洗浄したPMNは、熱不活性化ウシ胎仔血清を10%添加したRPMI中に懸濁し、PSMA発現51Cr標識細胞と、さまざまな腫瘍細胞対エフェクター細胞比(エフェクター細胞:腫瘍細胞)で混合することができる。その後、精製抗PSMA IgGをさまざまな濃度で添加することができる。無関係のIgGを陰性対照として用いることができる。アッセイは、0〜120分間、37℃で実行することができる。試料は、培養上清への51Cr放出を測定することにより、細胞溶解に関してアッセイすることができる。また、抗PSMAモノクローナル抗体および/またはADCを互いに組み合わせて試験し、細胞溶解が複数のモノクローナル抗体および/またはADCにより増強されるかどうかを決定できる。PSMAおよび/またはADCに結合する抗体はまた、in vivoモデルにおいて(例えば、マウスにおいて)試験し、PSMA発現細胞、例えば腫瘍細胞の細胞溶解を媒介し、これを殺傷する効力を決定することができる。
【0088】
ADCの抗体、またはADCが由来する抗原結合断片を、例えば、排他的であることを意図しない、以下の基準に基づいて選択することができる:
1)PSMAを発現する生細胞への結合;
2)PSMAに対する結合の高い親和性;
3)PSMA上のユニークなエピトープ(例えば、前に産生された抗体で認識されないエピトープ)への結合;
4)PSMA発現細胞のオプソニン化;
5)エフェクター細胞の存在下におけるPSMA発現細胞の増殖阻害、食作用および/または殺傷の媒介;
6)NAALADase、葉酸ヒドラーゼ、ジペプチジルペプチダーゼIVおよび/またはγ−グルタミルヒドラーゼ活性の調節(阻害または増強);
7)増殖阻害、細胞周期停止および/またはエフェクター細胞の非存在下における細胞毒性;
8)PSMAの内在化;
9)PSMA上の立体構造エピトープへの結合;
10)PSMAを発現しない細胞または組織との最小限の交差反応性;および、
11)PSMAの単量体形態よりむしろPSMAの二量体形態に対する優先的な結合。
抗体は、これらの基準の1つまたは2つ以上、そしてできる限り全てを満たす。
【0089】
1つの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、立体構造エピトープ、例えばPSMAの細胞外ドメイン内の立体構造エピトープなどに結合する。抗PSMA抗体またはその抗原結合断片が立体構造エピトープに結合するか否かを決定するために、それぞれの抗体を天然タンパク質を用いたアッセイ(例えば、細胞表面結合の非変性免疫沈降、フローサイトメトリー解析など)および変性タンパク質(例えば、変性タンパク質のウエスタンブロット、免疫沈降、など)を用いたアッセイで試験することができる。結果の比較により、抗体またはその抗原結合断片が立体構造エピトープに結合するかどうかが示される。天然タンパク質には結合するが変性タンパク質には結合しない抗体またはその結合断片は、いくつかの態様において、立体構造エピトープに結合するものである。したがって、いくつかの態様において、ADCはPSMAの構造エピトープに結合する。
【0090】
別の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、PSMA上の二量体特異的なエピトープに結合する。概して、二量体特異的エピトープに結合する抗体またはその抗原結合断片は、PSMA単量体よりもむしろPSMA二量体に優先的に結合する。抗体またはその抗原結合断片が優先的に(つまり、選択的におよび/または特異的に)PSMA二量体に結合するか否かを決定するために、抗体またはその抗原結合断片を、天然の二量体PSMAタンパク質および解離した単量体PSMAタンパク質を用いたアッセイ(例えば、免疫沈降、次いでウエスタンブロット)で試験することができる。結果の比較により、抗体またはその抗原結合断片が優先的に二量体に結合するか否かが示される。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、PSMA二量体には結合するが、単量体PSMAタンパク質には結合しない。したがって、いくつかの態様において、ADVはPSMA上の二量体特異的エピトープに結合する。
【0091】
それゆえ、本発明はまた、PSMA多量体を選択的に結合するADCもまた含む。特にADCによるPSMA多量体の結合に関して、本明細書中で用いる「選択的に結合する」は、抗体が、PSMAタンパク質単量体よりむしろPSMAタンパク質多量体に優先的に結合する(例えば、より大きな結合力で、より高い結合親和性で)ことを意味する。いくつかの態様において、本発明のADCは、PSMAタンパク質多量体に、PSMAタンパク質単量体に対してADCが呈するよりも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、3倍、4倍、5倍、7倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、70倍、100倍、200倍、300倍、500倍、1000倍またはこれを超える結合力および/または結合親和性で結合する。ADCは、いくつかの態様において、PSMAタンパク質多量体に選択的に結合するが、PSMAタンパク質単量体には結合せず、すなわち、PSMAタンパク質多量体へと独占的に結合する。いくつかの態様において、ADCはPSMAタンパク質二量体を選択的に結合する。
【0092】
本明細書中で用いるPSMAタンパク質多量体は、少なくとも2つのPSMAタンパク質またはその断片のタンパク質複合体である。PSMAタンパク質多量体は、完全長PSMAタンパク質(例えば、配列番号:1)、組み換え可溶性PSMA(rsPSMA、例えば配列番号:1の44〜750のアミノ酸)および多量体を形成する前述の断片(例えば、二量体および/または高次のPSMA多量体を形成するのに必要なタンパク質ドメインを保持するもの)のさまざまな組み合わせで構成することができる。いくつかの態様において、多量体を形成するPSMAタンパク質の少なくとも1つは、組み換え可溶性PSMA(rsPSMA)ポリペプチドである。PSMAタンパク質多量体は、二量体、例えば組み換え可溶性PSMAタンパク質から形成されるものなどであることができる。1つの態様において、二量体はrsPSMAホモ二量体である。本明細書中で言及されるPSMAタンパク質多量体は、天然のコンフォメーションを取っていると想定されており、かかるコンフォメーションを有することができる。PSMAタンパク質は、ある態様において、ともに非共有的に結合し、PSMAタンパク質多量体を形成する。例えば、PSMAタンパク質は非共有的に結合し、非変性条件下で二量体を形成することが見出された。PSMAタンパク質多量体は、PSMA活性を保つことができる。PSMA活性は、葉酸ヒドラーゼ活性、NAALADase活性、ジペプチジルペプチダーゼIV活性またはγ−グルタミルヒドラーゼ活性などの、酵素活性であってよい。多量体のPSMA活性を試験する方法は、当該技術分野において周知である(O'Keefe et al. in: Prostate Cancer: Biology, Genetics, and the New Therapeutics, L.W.K. Chung, W.B. Isaacs and J.W. Simons (eds.) Humana Press, Totowa, NJ, 2000, pp. 307-326で概説される)。
【0093】
ADCの抗体またはその抗原結合断片は、細胞上に発現されるPSMAに結合できるかまたはそれとともに内在化される。例えば、抗体またはその抗原結合断片は、PSMAの内在化を誘発する。あるいは、抗体またはその抗原結合断片の内在化は、PSMAの日常的な内在化の結果であり得る。したがって、ADCは細胞上に発現されるPSMAとともに内在化され得る。
【0094】
抗体またはその抗原結合断片、およびそれゆえ本発明のADCは、細胞表面PSMAおよび/またはrsPSMAを、サブナノモーラーの親和性で特異的に結合することができる。結合親和性は、約1×10−9Mまたはそれ未満、約1×10−10Mまたはそれ未満、または約1×10−11Mまたはそれ未満であり得る。特定の態様において、結合親和性は、約5×10−10M未満である。
【0095】
抗体またはその抗原結合断片は、いくつかの態様において、少なくとも1つのPSMAの酵素活性を調節することができる。活性は、in vitroおよびin vivoでのN−アセチル化α−連結酸性ジペプチダーゼ(NAALADase)、葉酸ヒドラーゼ、ジペプチジルジペプチダーゼIV、γ−グルタミルヒドラーゼ活性、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。調節は、少なくと1つのPSMA酵素活性の増強または阻害であってよい。
【0096】
NAALADaseの組織レベルは、ホモゲナイズした組織を界面活性剤で可溶化し、不溶性物質を遠心分離によりペレッティングし、そして残った上清におけるNAALADase活性を測定することにより決定できる。同様に、体液におけるNAALADase活性はまた、はじめに遠心分離で細胞物質をペレッティングし、そして上清に対しNAALADase活性についての典型的な酵素アッセイを実行することにより測定することができる。NAALADase酵素アッセイは、Frieden, 1959, J. Biol, Chem., 234:2891に記載されている。このアッセイにおいて、NAALADase酵素の反応産生物はグルタミン酸である。これは、N−アセチルアスパラギン酸およびグルタミン酸を生じる、酵素が触媒するN−アセチルアスパルチルグルタミン酸の切断に由来するものである。NAD(P)要求段階において、グルタミン酸は、グルタミン酸脱水素酵素により触媒される反応において、2−オキソグルタル酸、さらにNAD(P)Hを生じる。反応の過程は、NAD(P)のNAD(P)Hへの転換に起因する340nmでの吸光度の変化により、簡便にかつ便利に測定することができる。
【0097】
PSMAの葉酸ヒドラーゼ活性は、Hestonなど(例えば、Clin. Cancer Res. 2(9):1445-51, 1996; Urology 49(3A Suppl): 104-12,1997)に記載されている酵素アッセイを実行することにより測定することができる。PSMAなどの葉酸ヒドラーゼは、ポリグルタミン酸化葉酸からガンマ結合グルタミン酸塩を除去する。葉酸ヒドラーゼ活性は、トリ−ガンマグルタミン酸メトトレキサート(MTXGlu3)、ジ−ガンマグルタミン酸メトトレキサート(MTXGlu2)またはプテロイルグルタミン酸塩(PteGlu5)などの基質を用いて、例えばキャピラリー電気泳動により測定できる(Clin. Cancer Res. 2(9):1445-51, 1996を参照のこと)。PSMAをポリグルタミン酸塩基質とともに時限培養(timed incubation)し、次いで分離し、そして加水分解産物を同定する。
【0098】
本発明のADCは、MMAEまたはMMAFに複合した抗体またはその抗原結合断片を含む。抗体またはその抗原結合断片は、いくつかの態様において、MMAEまたはMMAFに、以下の式(式1)で表される化合物と共に複合することができる。(式1):−A−Y−Z−X−W−、式中、Aはカルボン酸アシル単位であり;Yはアミノ酸であり;Zはアミノ酸であり;XおよびWはそれぞれ自壊的スペーサーであり;nは0または1の整数であり;およびmは0あるいは1、2、3、4、5または6の整数である。本発明の複合体は、いくつかの態様において、式(式2)で表される。(式2):L−{A−Y−Z−X−W−D}、式中LはPSMAに結合する抗体またはその抗原結合断片であり、DはMMAEまたはMMAFであり、およびpは1、2、3、4、5、6、7または8の整数である。他の構成要素は上記のとおりである。1つの態様において、カルボン酸単位「A」は、抗体または抗原結合断片に由来する硫黄原子を介して抗体または抗原結合断片に結合する:
【化7】

【0099】
1つの態様において、Aは、
【化8】

式中、qは1〜10である、
である。それゆえ、1つの態様において、複合体は:
【化9】

式中、L、Y、Z、X、W、D、n、m、qおよびpは上記で定義したものである、
である。
【0100】
別の態様において、Aは4−(N−スクシンイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボニル、m−スクシンイミドベンゾイル、4−(p−スクシンイミドフェニル)−ブチリル、4−(2−アセトアミド)ベンゾイル、3−チオプロピオニル、4−(1−チオエチル)−ベンゾイル、6−(3−チオプロピオニルアミド)−ヘキサノイルまたはマレイミドカプロイルである。さらなる態様において、Aはマレイミドカプロイルである。さまざまなカルボン酸アシル単位およびその合成および付着の方法の代表的な例は、米国特許第6,214,345号に記載され、その全体の内容を本明細書中に参照として組み入れる。
【0101】
別の態様において、Yはアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンまたはプロリンである。さらに別の態様において、Yはバリンである。さらなる態様において、Zはリジン、アセチルまたはホルミルで保護されたリジン、アルギニン、トシル基またはニトロ基で保護されたアルギニン、ヒスチジン、オルニチン、アセチルまたはホルミルで保護されたオルニチン、あるいはシトルリンである。さらに追加の態様において、Zはシトルリンである。1つの態様において、Y−Zはバリン−シトルリンである。別の態様において、Y−Zはプロテアーゼで選択的に切断可能なタンパク質配列である。
【0102】
さらなる態様において、Xは式:
【化10】

式中、TはO、N、またはSである、
を有する化合物である。別の態様において、Xは式−HN−R−COT、式中RはC〜Cアルキルであり、TはO、NまたはSである、で表される化合物である。さらなる態様において、Xは式
【化11】

式中、TはO、N、またはSであり、RはHまたはC〜Cアルキルである、
を有する化合物である。1つの態様において、Xはp−アミノベンジルカルバモイルオキシである。別の態様において、Xはp−アミノベンジルアルコールである。さらなる態様において、Xはp−アミノベンジルカルバミン酸塩である。さらに追加の態様において、Xはp−アミノベンジルオキシカルボニルである。別の態様において、Xはγ−アミノ酪酸、α,α−ジメチルγ−アミノ酪酸またはβ,β−ジメチルγ−アミノ酪酸である。
【0103】
いくつかの態様において、Wは
【化12】

式中、TはO、SまたはNである、
である。
【0104】
1つの態様において、式1で表される化合物は、マレイミドカプロイルである。マレイミドカプロイルは、2つの特異的アウリスタチンを抗CD30mAb(AC10)に結合するために用いられてきた(Doronina, Svetlana et al. "Novel Linkers for Monoclonal AntibodyMediated Delivery of Anticancer Agents", AACR, Anaheim, CA, Abstract No. 1421, April 16-20, 2005)。マレイミドカプロイルはチオール基と反応し、チオエーテルを形成する。
【0105】
MMAEまたはMMAFは、抗体またはその抗原結合断片に、当業者に公知の(例えば、Niemeyer, CM, Bioconjugation Protocols, Strategies and Methods, Humana Press, 2004)または本明細書中に記載の方法を用いて結合させることができる。いくつかの態様において、1つより多いMMAEまたはMMAF分子を、抗体またはその抗原結合断片に複合することできる。他の態様において、1、2、3、4、5、6、7または8個のMMAEまたはMMAF分子が抗体またはその抗原結合断片に結合する。さらに他の態様において、少なくとも3、4または5個のMMAEまたはMMAF分子が抗体またはその抗原結合断片に結合する。さらなる態様において、3、4または5個のMMAEまたはMMAF分子が抗体またはその抗原結合断片に結合する。
【0106】
本発明によるADCは、非PSMA発現細胞の殺傷をPSMA発現細胞の殺傷と比較した場合に、特に高いレベルの選択性を有することが見出された。それゆえ、いくつかの態様において、ADCのPC−3(TM)細胞とC4−2細胞またはLNCaP(TM)細胞との間の選択性は、少なくとも250である。他の態様において、選択性は、少なくとも300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2250、2500、2750、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、11000、12000、13000、14000、15000、17500、20000であるかまたはこれを超える。いくつかの態様において、選択性は、250〜500、500〜750、750〜1000、1000〜2000、2000〜5000、5000〜10000、10000〜15000または15000〜20000の間である。本明細書中で定義される「選択性」は、C4−2細胞またはLNCaP(TM)細胞(PSMA発現細胞)に対するPC−3(TM)細胞(非PSMA発現細胞)におけるADCのIC50値の比率を指す。
【0107】
本発明のADCが、いくつかの態様において、PSMA発現特異的細胞殺滅を、非常に低濃度、例えばピコモル濃度またはその付近で媒介することもまた見出された。ADCは、いくつかの態様において、1×10−10M未満、1×10−11M未満、または1×10−12M未満の濃度のIC50を呈する。特定の態様において、IC50は約1.5×10−11M未満の濃度で達成される。別の態様において、提供されるADCは、10〜210、40〜210、60〜210または65〜210pMの間のIC50を呈する。さらに別の態様において、提供されるADCは約10.40、60、または80pMのIC50を呈する。さらに別の態様において、提供されるADCは約11、42、60または83pMのIC50を呈する。
【0108】
ADCが、いくつかの態様において、マウスにおける少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%の治癒率をもたらすこともまた明らかとなった。他の態様において、マウスにおける治癒率は、約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%である。さらに他の態様において、治癒率は20〜40%、40〜60%または60〜80%である。本明細書中で用いる「治癒率」は、研究期間の開始から約500日後でなお生存する、腫瘍の形跡がなく、計測できるPSAレベルを有しないマウスの数を、研究期間の開始時のマウスの数で割ったものを指す。治癒率を評価するため、マウスに6mg/kgのADCをq4d×6の投与計画で投与した。いくつかの態様において、研究開始時におけるマウスの数は、少なくとも5、6、7、8、9、10、12、15、17、20、25、30匹であるかまたはこれを超える。研究の例に関するさらなる詳細を、本明細書中の下記の例で提供する。1つの態様において、マウスはアンドロゲン非依存性ヒト前立腺癌のモデルのものである。別の態様において、マウスはC4−2細胞を左後肢に筋肉内移植したヌードマウスである。腫瘍の存在を決定するためのおよびPSAレベルを測定するための技術は、当業者に周知である。
【0109】
本発明のADCの生存PSMA発現細胞に対する結合は、PSMA発現細胞の増殖を阻害でき、その結果として細胞周期停止(例えば、G/M停止)が起こり、PSMA発現細胞などのアポトーシスを促進する。本明細書中で用いる「結果として細胞周期停止を起こす」は、ADCの投与に起因するG/M期の細胞の数の増加を指す。いくつかの態様において、ADCはアポトーシスをもたらすことができる。いくつかの態様において、ADCは、結果として細胞周期停止および引き続くアポトーシスの両方を引き起こす。それゆえ、本発明のADCを、これらの可能性のあるエンドポイントをもたらすための、in vitroおよびin vivoの方法において用いることができる。特に、本発明のADCをPSMA媒介疾患を処置するための方法において用いることができる。
【0110】
本明細書中で用いる「PSMA媒介疾患」は、PSMAがこれらの疾患の原因となるか、または兆候である任意の疾患である。PSMA媒介疾患は、また、PSMAの異常(例えば過剰発現)がある疾患または障害を含む。PSMAは100kDの前立腺組織に発現するII型膜糖タンパク質である(Horoszewicz et al., 1987, Anticancer Res. 7:927-935;米国特許番号第5,162,504号)。PSMAは、トランスフェリン受容体と配列同一性を有し(Israeli et al., 1994, Cancer Res. 54: 1807-1811)、かつNAALADase活性を示す(Carter et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A. 93:749-753)II型膜貫通タンパク質として特徴付けられた。より重要には、PSMAは前立腺癌において増加した量で発現され、そして上昇したレベルのPSMAがまたこれらの患者の血清において検出可能である(Horoszewicz et al., 1987;Rochon et al., 1994, Prostate 25:219-223;Murphy et al., 1995, Prostate 26:164-168;およびMurphy et al., 1995, Anticancer Res. 15:1473-1479)。それゆえ、PSMA媒介障害は、例えば、前立腺癌である。PSMA発現は疾患の進行とともに増加し、現在は治療法のない転移、耐ホルモン性疾患において最高となる。さらに、興味深いデータによれば、PSMAはまた、膀胱、膵臓、肉腫、黒色腫、肺、および腎臓の腫瘍細胞を含む、さまざまな他の重要な腫瘍の新生脈管系において豊富に発現するが、正常な脈管系においては発現しないことが示された。それゆえ、PSMA媒介疾患は、PSMAが腫瘍または腫瘍の新生脈管系の細胞において発現する癌を含む。
【0111】
それゆえ、任意のPSMA媒介障害を処置するために用いることができる組成物および方法を提供する。例えば、ADCを用いて腫瘍の脈管新生を阻害することができる。別の例において、PSMA ADCを用いて腫瘍細胞を殺傷することができる。いくつかの態様において、2つまたは3つ以上の異なるADCを組み合わせて用いる。別の態様において、1つまたは2つ以上の非結合抗PSMA抗体またはその抗原結合断片を、1つまたは2つ以上のADCとともに単一の治療において組み合わせて、所望の治療効果を達成することができる。例として、エフェクター細胞の存在下において標的細胞の高度に有効な殺傷を媒介する、および/またはPSMAを発現する細胞の増殖を阻害する、非結合抗PSMA抗体を、1つまたは2つ以上のADCとともに用いることができる。さらに別の態様において、ADCを1つまたは2つ以上の追加の治療剤と組み合わせることができる。治療剤は、抗癌剤、例えばドセタキセルなど;コルチコステロイド、例えばプレドニゾンまたはヒドロコルチゾンなど;免疫刺激剤;免疫調整剤;またはそれらのある組み合わせを含む。
【0112】
抗癌剤は、細胞毒性剤、化学療法剤および腫瘍新生脈管系に作用する薬剤を含む。細胞毒性剤は、細胞障害性放射性核種、化学毒素およびタンパク質毒素を含む。細胞障害性放射性核種または放射線治療アイソトープは、アルファ線放射アイソトープ、例えば25Ac、211At、212Bi、213Bi、212Pb、224Raまたは223Raなどであってもよい。あるいは、細胞障害性放射性核種は、ベータ線放射性アイソトープ、例えば86Rh、188Rh、177Lu、90Y、131I、67Cu、64Cu、153Smまたは166Hoなどであってもよい。さらに、細胞障害性放射性核種はオージェおよび低エネルギー電子を放射することができ、アイソトープ125I、123I、または77Brを含む。
【0113】
好適な化学毒素または化学療法剤は、エンジインファミリー分子の成員、例えばカリケアマイシンおよびエスペラマイシンなどを含む。化学毒素はまた、メトトレキサート、ドキソルビシン、メルファラン、クロラムブシル、ARA−C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンおよび5−フルオロウラシルからなる群から選択することができる。他の抗新生物剤は、ドラスタチン類(米国特許番号第6,034,065号および第6,239,104号)およびその誘導体を含む。ドラスタチン類およびその誘導体は、ドラスタチン10(ドラバリン−バリン−ドライソロイシン−ドラプロリン−ドラフェニン)ならびにその誘導体であるアウリスタチンPHE(ドラバリン−バリン−ドライソロイシン−ドラプロリン−フェニルアラニン−メチルエステル)(Pettit, G.R. et al., Anticancer Drug Des. 13(4):243-277, 1998;Woyke, T. et al., Antimicrob. Agents Chemother. 45(12):3580-3584, 2001)、およびアウラスタチンEなどを含む。毒素はまた、毒性レクチン類、植物毒素、例えばリシン毒素、アブリン毒素、モデシン毒素、ボツリヌス毒素およびジフテリア毒素を含む。他の化学療法剤は、当業者に公知である。
【0114】
腫瘍脈管系に作用する薬剤は、チューブリン結合剤、例えばコンブレスタチンA4(Griggs et al., Lancet Oncol. 2:82, 2001)、アンギオスタチンおよびエンドスタチン(Rosen, Oncologist 5:20, 2000において総説され、本明細書中に参照により組み込む)ならびにインターフェロン誘導性タンパク質 10 (米国特許番号第. 5,994,292)を含む。多数の他の抗血管新生剤もまた意図されており、これらは以下を含む:2ME2、アンギオスタチン、アンギオザイム、抗VEGF RhuMAb、Apra(CT−2584)、Avicine、ベネフィン、BMS275291、カルボキシアミドトリアゾール、CC4047、CC5013、CC7085、CDC801、CGP−41251(PKC412)、CM101、コンブレスタチンA−4プロドラッグ、EMD121974、エンドスタチン、フラボピリドール、ゲニステイン(GCP)、緑茶抽出物、IM−862、ImmTher、インターフェロンアルファ、インターロイキン−12、イレッサ(ZD1839)、マリマスタット、メタスタット(Col−3)、ネオバスタット、オクトレオチド、パクリタキセル、ペニシラミン、フォトフリン、フォトポイント、PI−88、プリノマスタット(AG−3340)、PTK787(ZK22584)、RO317453、ソリマスタット、スクアラミン、SU101、SU5416、SU−6668、スラジスタ(FCE26644)、スラミン(Metaret)、テトラチオモリブデン酸塩、サリドマイド、TNP−470およびバイタクシン。さらなる抗血管新生剤がKerbel, J. Clin. Oncol. 19(18s):45s-51s, 2001に記載され、それを本明細書中に参照により組み入れる。
【0115】
ADCを1つまたは2つ以上の免疫刺激剤、例えばIL−2および免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGモチーフを含むもの)などとともに投与し、免疫反応を誘発または増強することができる。免疫刺激剤は、いくつかの態様において、免疫系の特定のアーム、例えば抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)を媒介するナチュラルキラー(NK)細胞などを刺激することができる。免疫刺激剤は、インターロイキン−2、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはその組み合わせを含む。免疫調整剤は、サイトカイン、ケモカイン、アジュバントまたはその組み合わせを含む。免疫応答を増加させるのに有用なケモカインは、限定することなく、SLC、ELC、MIP3α、MIP3β、IP−10、MIG、およびその組み合わせを含む。
【0116】
他の治療剤はワクチンであることができる。いくつかの態様において、ワクチンは、対象をPSMAに対して免疫する。かかるワクチンは、いくつかの態様において、任意に免疫応答を誘発または増強する1種または2種以上のアジュバントとともに、抗原、例えばPSMA二量体などを含む。アジュバントは、免疫応答を高める物質である。多くの種類のアジュバントが当該技術分野で周知である。アジュバントの特定の例は、モノホスホリル脂質A(MPL, SmithKline Beecham);QS21(SmithKline Beecham)を含むサポニン類;免疫刺激性オリゴヌクレオチド類(例えば、Kreig et al., Nature 374:546-9, 1995に記載されたCpGオリゴヌクレオチド類);フロイント不完全アジュバント;フロイント完全アジュバント;モンタニド;ビタミンEおよびスクワレンおよび/またはトコフェロールなどの生分解性油から作製されるさまざまな油中水エマルジョン、Quil A、Ribi Detox、CRL−1005、L−121、ならびにその組み合わせを含む。製剤、例えば米国出願番号第10/976352号に記載されるものなどもまた、本明細書中で提供される方法におけるワクチンとしての使用を意図している。製剤の開示を、本明細書中に参照により組み入れる。
【0117】
ワクチンは、いくつかの態様において、本明細書中に記載されたPSMAタンパク質二量体などの、1つまたは2つ以上の単離されたPSMAタンパク質多量体を含む。いくつかの態様において、PSMAタンパク質多量体組成物は、(組成物におけるPSMAタンパク質の総量の)少なくとも約10%のPSMAタンパク質多量体を含有する。他の態様において、PSMAタンパク質多量体組成物は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または99.5%のPSMAタンパク質多量体を含有する。1つの態様において、PSMAタンパク質多量体組成物は、実質的にPSMAタンパク質単量体を伴わない実質的に純粋なPSMAタンパク質多量体を含有する。特定のパーセンテージのリストは、推論により、列挙したパーセンテージの間の挙げていないパーセンテージの全てを含むものと理解される。
【0118】
サイトカインはまた、そのリンパ球調節特性の結果として、ワクチン接種プロトコールにおいて用いることができる。かかる目的に有用な多くのサイトカインが当業者にし知られており、これらはインターロイキン−2(IL−2);IL−4;IL−5;ワクチンの保護効果を増強することが示されているIL−12(例えば、Science 268: 1432-1434, 1995を参照のこと);GM−CSF;IL−15;IL−18;その組み合わせなどを含む。そのため、サイトカインを抗原、ケモカインおよび/またはアジュバントと併せて投与し、免疫応答を増加させることができる。
【0119】
他の治療剤を、非複合形態または複合形態、例えば抗PSMA抗体またはその抗原結合断片に複合した形態で、本発明の組成物中に存在させることまたは本発明の方法において使用することができる。1つまたは2つ以上の毒素分子の抗PSMA抗体またはその抗原結合断片へのカップリングは、多くの化学メカニズム、例えば共有結合、親和結合、インターカレーション、配位結合および錯体形成を含むことができる。
【0120】
共有結合は、既存の側鎖の直接縮合、または外部架橋分子の組み込みのいずれかにより達成することができる。多くの二価のまたは多価の薬剤は、タンパク質分子を他のタンパク質、ペプチドまたはアミン基などにカップリングするのに有用である。例えば、文献には、カルボジイミド類、ジイソシアン酸塩類、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン類、およびヘキサメチレンジアミン類などのカップリング剤が多数記載されている。このリストは、当該技術分野で公知のさまざまなカップリング剤を網羅することを意図するものではないが、むしろ、より一般的なカップリング剤を例示するものである。
【0121】
いくつかの態様において、まず抗体を誘導体化し、それから治療剤を誘導体化産物に付着させることが望まれる場合のあることが意図される。この手法で用いるための好適な架橋剤は、例えば、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)、およびSMPT、4−スクシンイミジル−オキシカルボニル−メチル−(2−ピリジルジチオ)トルエンなどを含む。
【0122】
さらに、タンパク毒素は、抗PSMA抗体またはその抗原結合断片に遺伝子的手法で融合し、ハイブリッド免疫毒素融合タンパク質を形成することができる。融合タンパク質は、追加のペプチド配列、例えば抗PSMA抗体と毒素とを作動可能に付着するペプチドスペーサーなどの、付加的なペプチド配列を、かかる付加的な配列が融合タンパク質の標的化または毒素活性を明確に損なわない限り含むことができる。タンパク質は、当該技術分野で周知の、ペプチドリンカーまたはスペーサー、例えばグリシン−セリンスペーサーペプチド、またはペプチドヒンジなどで付着させることができる。したがって、例えば、抗PSMA抗体またはその抗原結合断片のC末端は、タンパク毒素分子のN末端に融合し、抗PSMA抗体の結合特性を保つ免疫毒素を形成することができる。他の融合配置は当業者に公知であろう。融合免疫毒素を発現するために、融合タンパク質をコードする核酸を、標準的な方法に従って、融合タンパク質の安定した発現、、例えば哺乳類細胞、例えばCHO細胞などにおける発現のために、発現ベクター中に挿入する。融合タンパク質は、細胞または培養上清から、標準的な手順、例えばPSMAアフィニティーカラムなどを用いて、単離および精製することができる。
【0123】
放射性核種は、典型的には、キレート化により抗体またはその抗原結合断片にカップリングする。例えば、金属性放射性核種の場合、二価のキレート剤を通常用いて、アイソトープを抗体または他の対象とするタンパク質に連結する。典型的には、キレート剤を、はじめに抗体に付着させ、そしてキレート剤−抗体複合体を金属性放射性同位体に接触させる。米国特許第5,124,471号、第5,286,850号および第5,434,287号(これらを本明細書中に参照により組み入れる)に記載される、ペンタ酢酸ジエチレントリアミン(DTPA)系のアミノ酸を含む、多数の二価のキレート剤がこの目的のために開発されている。別の例として、ヒドロキサム酸に基づく二価のキレート化剤が米国特許第5,756,825号に記載されており、その内容を本明細書中に組み入れる。別の例は、p-SCN-Bz-HEHA(N,N',N'',N''',N'''',N'''''−ヘキサ酢酸l,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロ−オクタデカン)(Deal et al, J Med. Chem. 42:2988, 1999)であり、それは225Acなどの放射性金属の有効なキレート化剤である。さらにもう1つの例はDOTA(N,N',N'',N'''−テトラ酢酸1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)であり、それは二価のキレート化剤(McDevitt et al., Science 294:1537-1540, 2001)であり、標識化し次いで複合させる、二段法で用いることができる。
【0124】
他の治療剤はまた、選択的複製ウイルスを含む。p53経路標的アデノウイルス突然変異体dl1520、ONYX−015などの複製能を有するウイルスは、腫瘍細胞を選択的に殺傷する(Biederer, C. et al., J. MoL Med. 80(3):163-175, 2002)。ウイルスは、いくつかの態様において、PSMA抗体またはその抗原結合断片に複合できる。
【0125】
本発明で提供される組成物を、他の治療的処置様式と併せて用いることができる。そのような他の処置は、外科手術、放射線療法、凍結外科手術、温熱療法、ホルモン処置、化学療法、ワクチンおよび他の免疫療法を含む。
【0126】
本発明のADCは、その抗体またはその抗原結合断片を介するなどして、標識に連結することができる。標識は、例えば、蛍光標識、酵素標識、放射性標識、核磁気共鳴活性標識、発光性標識または発色性標識を含む。
【0127】
提供される組成物は、ADCと混合される、生理学的にまたは薬学的に受許容し得るキャリア、賦形剤または安定化剤を含むことができる。いくつかの態様において、組成物が2つまたは3つ以上の異なるADCを含む場合、ADCの抗体またはその抗原結合断片のそれぞれはPSMAの異なる立体構造エピトープに結合する。
【0128】
本明細書中で用いる、「標的細胞」は、本発明のADCが標的とすることができる、対象(例えば、ヒトまたは動物)における任意の望まない細胞を意味する。いくつかの態様において、標的細胞はPSMAを発現するまたは過剰発現する細胞である。PSMAを発現する細胞またはPSMA発現細胞は、腫瘍細胞、例えば、前立腺、膀胱、膵臓、肺、腎臓、大腸腫瘍細胞、ならびに黒色腫および肉腫細胞を典型的に含む。
【0129】
本発明の薬学的組成物は、併用療法において、つまり、他の剤を組み合わせて、投与することができる。例えば、併用療法は、本発明の組成物を、少なくとも1種の抗腫瘍剤、免疫調整剤、免疫刺激剤また他の慣用の療法とともに含むことができる。他の剤は、剤のPSMA発現細胞に対する指向性ターゲティング(directed targeting)のために、PSMA抗体またはその抗原結合断片に複合させてもよく、またはPSMA抗体またはその抗原結合断片を含む組み換え融合分子として形成してもよい。別の態様において、他の治療剤は複合していなくてもよい。追加の治療剤を、併用投与により、PSMA発現細胞に投与するか、またはこれに接触させることができる。本明細書中で用いる「併用投与する」は、2つまたは3つ以上の治療剤を、同時に単一の組成物における混合物として、または順次、混合物が付加的効果さらには相乗効果さえ発揮するような十分に近接した時間で投与することを指す。さらなる態様において、追加の治療剤を、1つまたは2つ以上のADCあるいはその組成物の投与前、投与中または投与後に、投与することができる。
【0130】
本明細書中で用いる、「薬学的に許容し得るキャリア」または「生理学的に許容し得るキャリア」は、生理学的に適合性の任意のおよび全ての塩、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。いくつかの態様において、キャリアは、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、非経口投与、脊髄投与または表皮投与(例えば、注射または注入による)に適したものである。投与経路に依存して、活性化合物を、化合物を不活性化し得る酸および他の自然条件の作用から化合物を保護する材料でコーティングできる。
【0131】
投与の際、本発明の医薬製剤は、薬学的に許容し得る量および薬学的に許容し得る組成物にて適用する。「薬学的に許容し得る」の用語は、有効成分の生物学的活性の有効性を妨げない非毒性物質を意味する。かかる製剤は、塩、緩衝剤、防腐剤、相溶性キャリア、および任意に他の治療剤、例えば、アジュバント、ケモカインおよびサイトカインを含む追加の免疫増強剤などを、通常的に含んでもよい。医薬に用いられる場合、塩は薬学的に許容し得るものであるべきだが、薬学的に許容し得ない塩を便利に用いて、その薬学的に許容し得る塩を製造してもよく、これは本発明の範疇から除外されない。
【0132】
塩は親化合物の所望の生物学的活性を保ち、いかなる好ましくない毒物学的効果も示さない(例えば、Berge, S.M., et al. (1977) J Pharm. Sci. 66: 1-19を参照のこと)。かかる塩の例は、酸付加塩および塩基付加塩を含む。酸付加塩は、非毒性の無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など、ならびに非毒性有機酸、例えば脂肪酸、モノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族スルホン酸および芳香族スルホン酸などに由来するものを含む。塩基付加塩は、アルカリ土類金属、例えばナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カルシウムなど、ならびに、非毒性有機アミン類、例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、チオロプロカイン(chioroprocaine)、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどに由来するものを含む。
【0133】
所望により、ADCを薬学的に許容し得るキャリアと組み合わせることができる。本明細書中で用いる「薬学的に許容し得るキャリア」は、ヒトへの投与に好適な、1つまたは2つ以上の適合性の固体または液体増量剤、希釈剤または被包物質を意味する。「キャリア」の用語は、それによって有効成分が混合され、適用が容易になる、天然または合成の、有機または無機成分を示す。薬学的な組成物の構成要素はまた、所望の薬学的な効能を実質的に障害する相互作用がないような方法で混合することができる。
【0134】
薬学的な組成物は、以下のものを含む、好適な緩衝剤を含有してもよい:塩中の酢酸:塩中のクエン酸;塩中のクエン酸;塩中のホウ酸;および塩中のリン酸。
【0135】
薬学的な組成物は、また、随意に、好適な保存料、例えば以下のものを含有してもよい:塩化ベンザルコニウム;クロロブタノール;パラベン類およびチメロサール。
【0136】
薬学的な組成物は都合よく薬学的投薬形態で存在してもよく、製薬当該技術分野で周知の任意の方法で作製してもよい。全ての方法は、活性薬剤を1つまたは2つ以上の副成分を構成するキャリアとの組み合わせにする段階を含む。概して、活性化合物を液体キャリア、微粉化した固体キャリア、またはその療法とともに、均一にそして密接に組み合わせにすることにより、組成物を作成し、それから、必要ならば、産生物を成形する。
【0137】
非経口投与に好適な組成物は、化合物の滅菌水性または非水性生成物を含み、それは、いくつかの態様において、被投与者の血液と等張である。この生成物は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いた公知の方法に従って製造してもよい。滅菌注射可能な生成物は、また、非毒性の非経口の許容し得る希釈剤または溶媒中、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液など、の滅菌の注射可能な溶液または懸濁液であってよい。採用してもよい許容し得るビヒクルおよび溶媒にあるのは、水、リンガー溶液、および生理食塩水である。さらに、滅菌の、固定油を、溶媒または懸濁培地として都合よく採用する。この目的のために、モノ−またはジ−グリセリドを含む、任意の無刺激性の固定油を採用してもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射可能な生成物中で用いてもよい。経口、皮下、静脈内、筋内、などの投与に適合するキャリア製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PAにおいて見つけることができる。
【0138】
活性化合物を、例えばインプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化搬送システムを含む、制御放出製剤など、急速な放出に対して化合物を保護するキャリアとともに作製することができる。生分解性、生体適合性ポリマー類、例えば酢酸エチレンビニル、ポリ無水物類、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル類、およびポリ酢酸などを用いることができる。製剤の施生物のための多くの方法が特許化され、当業者に一般的に公知となっている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照のこと。
【0139】
本発明の治療剤を、注射または時間を掛けての漸進的注入によってなどの、任意の慣用の経路で投与することができる。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋内、腔内、腫瘍内、または経皮であってよい。抗体を含有する化合物を治療的に用いるとき、投与経路は静脈内および肺のアエロゾルによるものを含む。抗体を含むアエロゾル搬送系を製造するための技術は、当業者に周知である。概して、系は抗体の生物学的特性、例えばパラトープ結合能、を有意には損なわない構成要素を利用すべきである(例えば、Sciarra and Cutie, "Aerosols," in Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, 1990, pp. 1694-1712を参照のこと;参照により組み入れる)。当業者は、過度の実験を用いることなく、抗体を産生するためのさまざまなパラメーターおよび条件を容易に決定することができる。
【0140】
本発明の化合物を、有効量で投与する。「有効量」は、単独で、またはさらなる用量および/または他の治療剤とともに所望の反応を引き起こす、例えば対象においてPSMA媒介疾患を処置する、本明細書中で提供される任意のADCの量である。これは疾患の一時的な進行をゆっくりとすることのみに関連することができるが、いくつかの態様において、それは恒久的に疾患の進行を停止することに関連する。これを、決められた方法でモニターできる。疾患または状態の処置に対する所望の反応は、また、発病を遅延させることができ、あるいは疾患または状態の発病を阻害さえできる。有効な量は、所望の治療的終点をもたらす、ADC単独の量とすることができる。有効な量は、また、所望の結果をもたらすもう1つの剤とともに組み合わせたADCの量でもある。
【0141】
量は、もちろん、処置する独自のPSMA媒介疾患、状態の重篤度、年齢を含めた個々の患者のパラメーター、健康状態、サイズおよび体重、処置の期間、併用方法の性質(もしあれば)、投与の特別な経路および医療関係者の知識および技能の範疇内の要素のようなものに、依存するであろう。これらの要素は当業者に周知であり、決められた実験のみで対処できる。個々の構成要素またはその組み合わせの最大量、つまり、正常な医学的判断に従った最大安全量を用いることが、一般的に好まれる。しかしながら、患者は医学的な理由、心理的理由のため、または、実質的ないかなる他の理由のために、最低用量または耐量を主張するかもしれないということを、当業者は理解しているであろう。
【0142】
前述の方法において用いられる薬学的組成物は、好ましくは滅菌され、単独またはもう1つの剤と組み合わせて、有効量のADCを含有し、患者への投与に適合する重量単位または用量における所望の反応をもたらす。反応は、例えば、ADC組成物の生理学的効果、例えば腫瘍の退化または疾患兆候の減少など、を決定することにより測定できる。他のアッセイが当業者に公知であり、反応のレベルを決定するために採用することができる。
【0143】
対象に投与するADCの用量を、異なるパラメーターに従って、用いる投与様式および対象の状態に従って、選択することができる。他の要素は、処置の所望の期間を含む。対象における反応が最初の適用量で不十分である場合、より高用量(または異なる、より限局的な送達ルートによる有効な高用量)を患者の耐容性が許す範囲で採用してもよい。
【0144】
概して、用量は約10μg/kg〜約100,000μg/kgの範囲とすることができる。いくつかの態様において、用量は約0.1mg/kg〜約20mg/kgの範囲とすることができる。さらに他の態様において、用量は、約0.1mg/kg〜5mg/kg、0.1mg/kg〜10mg/kgまたは0.1mg/kg〜15mg/kgの範囲とすることができる。さらに他の態様において、用量は、約1mg/kg〜5mg/kg、5mg/kg〜10mg/kg、10mg/kg〜15mg/kgまたは15mg/kg〜20mg/kgの範囲とすることができる。さらなる態様において、用量は、約0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、17mg/kg、20mg/kg、25mg/kgまたは30mg/kgである。別の態様において、用量は、約1mg/kg、3mg/kg、5mg/kgまたは6mg/kgである。組成物に基づき、用量を連続的に、例えば持続性輸注ポンプにより、または定期的な間隔で、送達することができる。いくつかの態様において、ADCを経静脈で投与するとき、用量は0.1〜20mg/kgの間、またはその間の任意の値である。特別な組成物の複数の用量の所望の時間間隔を、当業者により、過度の実験をすることなく、決定することができる。組成物の投与のための他のプロトコールは、当業者に公知であろうところ、投与量、投与のスケジュール、投与部位、投与の様式などは前述のものと異なる。いくつかの態様において、q4d×3またはq4d×6の投与計画で、対象にADCを投与する。1つの態様において、用量を経静脈で投与する。別の態様において、投与計画は、単回静脈内投与である。
【0145】
例えば、試験目的または獣医学的治療目的のための、ヒト以外の哺乳類へのADC組成物の投与を、上記のものと実質的に同様の条件下で実行する。
【0146】
本発明の組成物は、in vitroおよびin vivo診断的または治療的有用性を有する。例えば、これらの分子を培養物における、例えばin vitroまたはex vivoにおける、または対象における、例えば、in vivoにおける、細胞へと投与し、さまざまなPSMA媒介疾患を処置、予防または診断することができる。本明細書中で用いる「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことを意図する。対象は、PSMAの典型的な異常発現(例えば、過剰発現)を特徴とする障害を有するヒト患者を含み、そのような障害は「PSMA媒介疾患」の定義に含まれる。
【0147】
本明細書中で提供される組成物を、癌のin vivo治療において利用することができる。ADCを用いて、複合物の投与および局在化に続き、悪性細胞または組織の増殖を阻害することができる。提供される組成物は、いくつかの態様において、抗PSMA抗体を含むことができ、補体結合または抗体依存性細胞毒性により腫瘍の崩壊を媒介するかもしれない。代わりに、組成物は追加の治療剤を含有することができ、その結果、相乗治療効果をもたらす(Baslya and Mendelsohn, 1994 Breast Cancer Res. and Treatment 29:127-138)。
【0148】
本発明の組成物を、また、いくつかの態様において、補体および/または非複合抗PSMA抗体とともに投与することができる。従って、ADCおよび血清または補体を含む組成物は本発明の範疇内にある。組成物は、補体がヒト抗体またはその抗原結合断片に対して近接近して位置している点で有利である。代わりに、ADC、抗体またはその抗原結合断片ならびに/あるいは補体または血清を別々に投与することができる。
【0149】
本発明の治療の使用は、多くの利点を有する。ADCは、例えば前立腺癌細胞における、PSMAを標的にするため、他の組織を傷つけずにしておくことができる。結果として、そのような生物学的薬剤での処置は、とくに高齢の患者において、より安全である。本発明による処置は、いくつかの態様において、特に有効であると期待される、なぜなら、癌の転移が、例えば前立腺癌の転移などが優位となりうる、骨髄およびリンパ節へと、高レベルのADCを誘導するからである。本発明による治療を、血清前立腺特異性抗原および/またはステージ、嚢胞外、精液または神経周囲の浸潤、断端陽性、発症しているリンパ節などの患者の癌の病理学的性質などの臨床的パラメーターで有効にモニターすることができる。代わりに、これらのパラメータを用いて、治療を採用すべき時を示すことができる。
【0150】
本発明の組成物、例えば1つまたは2つ以上のADCおよびおよび取り扱い説明書を含むキットも、また、本発明の範疇内にある。キットは、少なくとも1つの追加の試薬、例えば補体、化学療法剤、コルチコステロイド、またはPSMAを結合する1つまたは2つ以上の抗体をさらに含有することができる。他のキットは、また、PSMA多量体を含むことができる。別の態様において、キットは、試験管、バイアル、フラスコ、ボトル、シリンジなどの1つまたは2つ以上の収容手段または一式の収容手段を厳重な管理下で受け入れる、区分化されたキャリアを含むことができる。第1の搬送手段または一連の搬送手段は、1つまたは2つ以上の抗PSMA抗体またはその抗原結合断片を含有してもよい。第2の搬送手段または一連の搬送手段は、いくつかの態様において、MMAEまたはMMAFあるいはMMAEまたはMMAFへと複合した式1で表される化合物を含有する。いくつかの態様において、第3の搬送手段または一連の搬送手段は、式1で表される化合物を含有する。in vivo腫瘍局在化およびADCを含有する治療手段において用いるためのキットを、作製することができる。キットの構成要素を、水性培地においてまたは凍結乾燥形態において、パッケージ化することができる。ADC複合の構成要素を、完全に複合した形態で、中間体の形態で、またはキットの使用者により複合される分離した部分として、供給することができる。
【0151】
本明細書中で用いる、ポリペプチド、タンパク質またはその断片に関し、「単離される」は、その天然環境から分離され、十分量で存在し、その同定または使用が可能となることを意味する。単離されるは、タンパク質またはポリペプチドを指すとき、例えば以下のことを意味する:(i)発現クローニングにより選択的に生産される、または(ii)クロマトグラフまたは電気泳動によるものとして精製される。単離されるタンパク質またはポリペプチドは、実質的に純粋なものであってもよいが、そうである必要もない。「実質的に純粋である」という用語は、タンパク質またはポリペプチドが、その意図する使用に対して実践的および適切な範囲において、天然またはin vivoの系で見受けられるかもしれない他の物質が実質的にないということを意味する。実質的に純粋なポリペプチドは、当該技術分野で周知の技術により産生してもよい。単離されるタンパク質を、薬学的に許容し得るキャリアとともに薬学生成物中で混合してもよく、タンパク質はごく僅かな重量パーセントの生成物のみを含んでもよい。それにも関わらず、タンパク質は、生物系と関連するかもしれない物質から分離される、つまり他のタンパク質から単離されるという点において、単離される。
【0152】
本明細書中で提供される組成物は、凍結乾燥形態であることができ、または水性培地中に提供されることができる。
【0153】
本発明を以下の例でさらに説明するが、決して、さらなる限定として解釈されるべきではない。本出願の全体において引用される、全ての引用文献(印刷物の引用文献、公開特許、および同時継続中の特許出願)の全体の内容は、本明細書中参照により組み入れると明示する。
【0154】

例1:アウリスタチンが結合した、前立腺特異的膜抗原に対する完全ヒトモノクローナル抗体の強力な抗癌活性
材料および方法
細胞系および抗体
LNCaP(TM)(CRL−1740)、PC−3(TM)(CRL−1435)、および3T3(TM)(CRL−2752)は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Rockville, MD)より得た。LNCaP(TM)からのサブ細胞系(sub-cell line)であるC4−2細胞系は、The Cleveland Clinic Foundation (Cleveland, OH)より得た。3T3(TM)−PSMA細胞系は、Memorial Sloan-Kettering Cancer Center (New York, NY)より得た。LNCaP(TM)、C4−2およびPC−3(TM)はRPMI1640(Life Technologies, Gaithersburg, MD)中で培養し、3T3(TM)および3T3(TM)−PSMAはDMEM(Life Technologies)中で培養した。培養培地に、10%ウシ胎仔血清(Hyclone, Logan, UT)、L−グルタミン、ペニシリンおよびストレプトマイシン(Life Technologies)を添加した。
【0155】
公開されている方法(Ma D, et al., Leukemia 2002; 16:60-6.)に従い、C4−2、LNCaP(TM)および3T3(TM)−PSMAが、それぞれ約2×10、6×10および>1×10コピー数/細胞のレベルのPSMAを発現していることを決定した。C4−2は、アンドロゲン依存性のLNCaP(TM)細胞のアンドロゲン非依存性サブクローンである。PC−3(TM)は、PSMAを発現しない、脱分化(de-differentiated)前立腺癌細胞系である。PSMA mAb(AB-PG1-XG1-006(PTA-4403およびPTA-4404)ならびにAbgenix 4.40.2(PTA-4360))は、米国特許出願第10/395,894号およびSchulke N et al., PNAS USA, 2003; 100:12590-5(そのそれぞれの全体を参照により本明細書中に組み入れる)に先に記載されたとおりに産生した。Abgenix 4.40.2を対照群として用いた。完全ヒトPSMA mAb(IgG1、κ)は、先に記載されたとおりに(Schulke N et al., PNAS USA, 2003; 100:12590-5)、組み換え可溶性PSMAおよびLNCaP細胞で免疫した後のヒト免疫グロブリン遺伝子座トランスジェニックマウス(XenoMice(TM), Abgenix, Inc., Fremont, CA)において産生した。
【0156】
PSMAの内在化
mAbを、National Cancer Institute (Bethesda, MD)より得た二価のキレートであるペンタ酢酸シクロヘキシル−ジエチレントリアミ(CHX−DTPA)で修飾し、先に記載されたとおりに(Ma D, et al., Leukemia 2002;16:60-6; Nikula TK, et al., JNucl.Med 1999;40: 166-76)、111In(PerkinElmer, Boston, MA)で標識した。放射性複合体を過剰の3T3(TM)−PSMA細胞とインキュベートし、公開されている方法(Ma D, et al., Leukemia 2002; 16:60-6; Nikula TK, et al., JNucl.Med 1999;40: 166-76)に従って結合分画を測定することにより、111In標識mAbが>90%免疫反応性であることを決定した。内在化解析のために、111In標識mAbを、2×10個のC4−2細胞とともに37℃、5%CO中で培養した。連続する時点において(at sequential time points)、非結合mAbをPBS中で洗浄することにより除去し、細胞表面mAbを低pHバッファ(pH2.4、グリシン/NaCl)を用いて溶出した。低pH溶出液を細胞ペレットから分離して計数し、取り込み%を先に記載されたとおりに計算した(McDevitt MR, et al., Cancer Res 2000;60:6095-100)。
【0157】
抗体薬物複合体の製造
リンカーの合成および設計、ならびに細胞毒性剤とリンカーとの結合は、米国特許第6,884,889号および米国特許第6,214,345号(そのそれぞれの全体を本明細書中に参照により組み入れる)に記載されたとおりに実行した。mAbと、マレイミドカプロイル(mc)−バリン(Val)−シトルリン(Cit)−モノメチルアウリスタチンE(MMAE)との結合は、記載されたとおりに実行した(Doronina SO, et al., Nat. Biotechnology. 2003 ;21 :778- 84)。50mMホウ酸塩を含有するpH8.0のPBS中のPSMA mAbおよびアイソタイプ対照ヒトIgG1(Calbiochem, San Diego, CA)を、ジチオスレイトール(DTT)(最終10mM)で37℃にて30分間処理した。最終反応濃度は、7.5mL〜8.0ml、1mLの0.5Mホウ酸ナトリウムpH8および0.5M NaCL、1mLの100mM DTT、およびそれぞれ0.5mLまたは0mLのPBSであった。溶液を40℃で1時間インキュベートし、抗体をゲルろ過カラム上で精製した。カラムをPBS中の10mM DTPAで平衡化し、10mLの抗体還元混合物を搭載し、そしてPBS/DTPAバッファ中、8mL/分で溶出した。産生された抗体−システインチオールの濃度を、5,5’−ジチオ−ビス−(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)での滴定により決定した(Pierce Chemical Co., Rockford, IL)。同等の化学物質を、Sigma (St. Louis, MO)より得ることができる。
【0158】
完全に還元したmAb Abgenix 4.40.2 (22.6mLの7.8μM mAb、75.6μMシステインチオール)を、35.43μLの10mM DTNBで部分的に再酸化し、そして完全に還元したmAb AB-PG1 -XG1 -006(25.1mLの11.2μM mAb、95.8μMシステインチオール)を56.27μLの10mM DTNBで部分的に再酸化した。溶液の色は、即座に黄色となった。
【0159】
次いで、薬剤mc−Val−Cit−パラアミノベンジルカルバメート−MMAE(vcMMAE)を、部分的に再酸化したmAbに以下のように結合した。最初にmAbを0℃に冷却した。vcMMAE(抗体あたり5モル当量:vcMMAEの10mMストック溶液、それぞれ89.7および140.6μL)を5mLのアセトニトリルに溶解し、その後慎重にボルテックスしながら抗体溶液に添加した。反応溶液を氷上でインキュベートした。さらなる色の変化は観察されなかった。反応混合物を20モル当量のシステイン/薬剤とともに急冷した。複合体は、ゲルろ過カラムを用いて4℃で精製し、8.0mL/分のPBSで溶出した。公開されている方法(Doronina SO, et al.、Nat Biotechnol. 2003;21:778-84)を用いて、ADCが、mAbあたり3.0〜3.5の薬剤を含有する≧98%の単量体mAbを有することを決定した。
【0160】
代替的に、mAbと、マレイミドカプロイル(mc)−バリン(Val)−シトルリン(Cit)−モノメチルアウリスタチンE(MMAE)との結合を記載されたとおりに(Doronina SO, et al., Nat. Biotechnology. 2003 ;21 :778-84)実施した。50mMホウ酸塩含有PBS、pH8.0中のPSMA mAbおよびアイソタイプ対照ヒトIgG1(Calbiochem, San Diego, CA)を、ジチオスレイトール(DTT)(10mM最終)で、37℃にて30分間処理した。mAbを、Sephadex G-25カラム(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)に通すことにより、1mM DTPA(Aldrich, Milwaukee, WI)含有PBS中へと交換した。mAb溶液を4℃に冷却し、冷CHCN中でマレイミド薬物誘導体と混合した。1時間後、反応物を過剰のシステインとともに急冷し、そして複合体を濃縮し、PBSバッファへと交換した。公開されている方法(Doronina SO, et al., Nat Biotechnol. 2003;21:778-84)を用いて、ADCが、mAbあたり3.0〜3.5の薬剤を含有する、≧98%の単量体mAbを有することを決定した。
【0161】
ADCの細胞表面PSMAとの反応性
3T3(TM)−PSMAおよび親3T3(TM)細胞に対するPSMA mAbおよびADCの結合を、FACSCaliburフローサイトメーター(BD Bioscience, San Diego, CA)を用いて解析した。簡潔に述べると、2×10の3T3(TM)−PSMA(または3T3(TM))細胞を、異なる濃度のmAbまたはADCとともに、氷上で1時間インキュベートした。洗浄後、結合抗体の存在を、ヤギ抗ヒトIgG−FITC(Caltag Laboratories, Burlingame, CA)を用いて検出した。アイソタイプ対照抗体およびADCを同時に調べた。
【0162】
in vitro細胞毒性アッセイ
PSMA陽性細胞(C4−2、LNCaP(TM)または3T3(TM)−PSMA)およびPSMA陰性細胞(PC−3(TM)または3T3(TM))を、96穴マイクロプレート(Falcon, BD Biosciences, San Jose, CA)に2.5×10細胞/ウェルで添加し、37℃、5%COで一晩培養した。それから、細胞を連続希釈したADCとともに4日間培養した。細胞培養培地を、10%のアラマーブルー(Biosource International, Camarillo, CA)を含有する新鮮培地と交換し、細胞を4時間培養した。次いで、プレートを530nmの励起波長および590nmの発光波長を用いて、蛍光プレートリーダーで読み込んだ。細胞生存を処置および非処置培養物において比較し、そして50%細胞殺傷のために必要なADCの濃度(IC50値)を決定した。
【0163】
アンドロゲン非依存性前立腺癌の異種移植モデル
全ての動物研究は、動物管理使用委員会(Animal Care and Use Committee)ガイドラインにしたがって実行した。6〜8週齢の無胸腺雄ヌードマウス(National Cancer Institute, Frederick, MD)に、記載されたとおりに(McDevitt MR, et al. Cancer Res 2000;60:6095-100)、左後肢へ50%Matrigel(Beckon Dickinson Labware, Bedford, MA)と混合した5×10個のC4−2細胞の筋肉内注射で移植した。処置開始の約1日前に、ELISA(Medicorp, Montreal, Quebec, Canada)で測定した前立腺特異的抗原(PSA)の血清レベルに従って、動物をランダム化した。ADC、mAbおよびビヒクル対照を尾静脈注射を介して投与した。実験の第1シリーズにおいて、マウスを6匹の群にて、2または10mg/kgのPSMA ADCまたはビヒクル対照で処置した。処置は移植後17日目に開始し、これは4日間隔での3回の注射(q4d×3)からなるものであった。実験の第2シリーズにおいては、0、3または6mg/kgの用量レベルで試験した。処置は移植後14日目に開始し、これは4日間隔での6回の注射(q4d×6)からなるものであった。動物を、その外見、PSAレベルおよび腫瘍サイズについてモニターした。生存率を実験を通して記録した。
【0164】
研究解析
処置の効果を、両側で対応のある分析を用いたt−検定(PSAレベルについて)またはログランク検定(動物生存について)により、有意性に関して検討した。p<0.05であるとき、データは有意性があると考えた。
【0165】
結果
PSMA mAbのヒト前立腺癌細胞への内在化
内在化を111In−標識PSMA mAbおよびC4−2細胞を用いて試験した。長時間にわたる総結合および取り込み%を図1に示す。半分より多い結合mAbは、2時間以内に内在化された(図1A)。総結合は長時間にわたって増加しているが、これは恐らくPSMAリサイクリングによるものである(図1B)。したがって、PSMA mAbは、容易にPSMA発現細胞へと内在化される。
【0166】
PSMA ADCのPSMA発現細胞との反応性
フローサイトメトリーを用いて、PSMA mAbおよびADCの結合を比較した。非修飾mAbおよびADCは、広範囲の希釈の範囲にわたって、同程度のレベルの3T3(TM)−PSMAへの結合を示した(図2)。結合の最大量も、最大結合の半分に対して必要な濃度のいずれも、複合により明確には影響されなかった。3T3(TM)−PSMA細胞上のアイソタイプ対照ADCまたは抗体、または親3T3(TM)細胞上のPSMA mAbまたはADCに対して、有意な結合は観察されなかった。
【0167】
PSMA ADCのin vitroでの有効性および選択性
PSMAおよび対照ADCを、ヒト前立腺癌細胞系および3T3(TM)−PSMA細胞に対して、in vitroでの細胞毒性について試験をした。図3は、代表的実験における、PSMA陽性C4−2細胞およびPSMA陰性PC−3(TM)細胞に対する用量反応曲線を示し、そしてさまざまな細胞系に対するIC50値を表2に列挙する。PSMA ADCは、65〜210pMのIC50で、観察した全てのPSMA陽性細胞系を強く排除したところ、一方、これらの濃度はPSMA陰性細胞に対しては影響をおよぼさなかった。対照的に、およそ1000倍の高濃度が対照ADCに対しては必要とされ、その活性はPSMAの発現に非依存的であった(図3および表2)。
【0168】
【表3】

【0169】
アンドロゲン非依存性前立腺癌の異種移植モデルにおけるPSMA ADCの効能
PSMA ADCのin vivoでの効能は、アンドロゲン非依存性ヒト前立腺癌のマウスモデルにおいて評価した。ヌードマウスの左後肢にC4−2細胞を移植した。約14〜17日後、血清PSAレベルを測定し、動物を無作為に処置群へと割り当てるために用いた。動物をPSMA ADCで経静脈的に処置し、腫瘍量、PSAレベルおよび他のパラメーターを、500日の間にわたってモニターした。
【0170】
第1の実験において、動物をq4d×3で、0、2または10mg/kgのPSMA ADCにて処置した。処置せずにおくと、腫瘍は急速に増殖し、動物の生存期間の中央値は32日であった。対照的に、2mg/kgおよび10mg/kgのPSMA ADCで処置した群の生存期間の中央値は、それぞれ、58日(P=0.0035)および94.5日(P=0.0006)であった(図3、表4A)。PSMA ADC処置により、用量依存的な様式で、生存期間の中央値は4.5倍にまで、有意に改善した。治療関連毒性の徴候はなかった。
【0171】
血清PSAレベルを、長期にわたってELISAで測定した。図4Bは、調査第17、23および30日におけるそれぞれの群の平均PSA濃度を描く。10mg/kgでの処置により、PSAレベルは第17日で8.8±11.7mg/mLから第30日で0.7±0.9ng/mLへと、>10倍で低下したところ、一方、対照群のPSAレベルは同じ期間においては>60倍増加した。中間の反応が2mg/kgのPSMA ADCにおいて観察された。第30日におけるPSAレベルにおける違いは、2mg/kg(P=0.0048)および10mg/kg(P=0.0048)投与群の両方に対して有意であった。10mg/kg群における6匹のうちの3匹の動物は、調査第52日において検出不可能なPSAを有した。
【0172】
これらの所見から延長して、非修飾mAbおよびアイソタイプ対照ADCをまた含む、
第2のPSMA ADC調査を実施した。第14日において、それぞれの群(n=5)において、平均PSAレベル2.0±1.1ng/mlランダム化し、動物をq4d×6の投与計画で処置した。それぞれの群に対するカプラン・マイヤー生存曲線を、図5で描く。ビヒクル対照、6mg/kg非修飾PSMA mAbおよび6mg/kg対照ADCで処置した動物は、それぞれ、29日、31日および31日の、類似した生存期間の中央値を有した;そして差異は有意ではなかった。しかしながら、生存期間の中央値は、3mg/kgおよび6mg/kgのPSMA ADCで処置した動物に対しては、それぞれ、49日および148日へと延長した(表3)。
【0173】
6mg/kgでのPSMA ADC処置群は、ランダム化後の生存を、対照ADC群に対して7.9倍に改善した(P=0.0018)。第500日において、5動物のうち2動物は腫瘍の徴候を示さず、測定不可能なPSAであり、処置により治癒したと見なされた。第1の調査におけるように、処置により第29日におけるPSAレベルに対して有意な効果を有した(6mg/kg PSMAおよびビヒクル群に対してP=0.0068)。さらに、6mg/kg PSMA ADC群において、血清PSAは処置後、検出不可能なレベルへと減少し、5動物のうち4動物において第63日まで検出不可能であった。ADC両方に関連する明白な毒性はなかった。外見および活動性は治療によって影響されず、処置動物およびビヒクル対照動物の体重は、いかなる時点においても、顕著に異なることはなかった。
【0174】
【表4】

【0175】
例2:3つの異なる薬物リンカーへと複合したPSMA mAbの評価
vcMMAEおよび2つの他の薬物リンカーへと複合するときのPSMAである、vcMMAFおよびmcMMAFは、上昇した。3つの異なる薬物リンカーの完全な化学構造を、図6で描く。
【0176】
PSMA mAbの3つの薬物リンカー複合体の生成物
3つの薬物リンカーを、チオエーテル結合を介してPMSA mAbへと直接複合し、抗体複合あたり約4つの薬物を作製した。mAb鎖間ジスルフィドの部分的還元を、僅かに過剰なトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)とともに、pH7.2および37℃で進行させ、生じた薬物リンカーとの遊離チオールの複合体を定量化した。簡潔には、PSMA mAb(10mg、PBS中67.5nmol)を37℃で1mMのDTPAおよび169nmolのTTCEPとともに90分間培養した。培養中3時点(30、60および90分)で、mAbの50μgのアリコートを除去し、過剰のvcMMAEとともに反応させた。得られたADCの疎水性相互作用クロマトグラフィーによる解析により還元の進行が分かった。結果は、mAbが急速に上の条件下で、還元され、必然的に1時間後に完了したことを示した。さらに、還元の範囲は、平均5薬物/mAbの薬物負荷となった。
【0177】
上の部分部分的に還元されたmAbからの薬物リンカーで4負荷したADCを作製するために、0.5当量のDTNBを添加し、mAb群を再酸化し、所望のレベルへと戻した。次いで、3mgのこの物質(20.3nmol)を、15%ジメチルスルホキシド(DMSO)反応溶液中のvcMMAE、vcMMAFまたはmcMMAFとともに反応させた。反応を1時間0℃で進行させ、次いで20%の過剰N−アセチルシステインで急冷した。ADCを未反応薬物および他の小分子不純物からPD-10カラム(Amersham Biosciences/GE Healthcare, Piscataway, NJ)上のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分離し、遠心分離機濃縮機器(30kD MWCO)(Amicon Bioseparations, Millipore Corporation, Bedford, MA)で濃縮した。
【0178】
3つの薬物リンカー複合の特徴づけの概要を、表4〜6において、vcMMAE、vcMMAFおよびmcMMAFに対して各々提供する。3つの薬物リンカーのそれぞれに対し、H/L鎖負荷分布および種類の分布で決定されるように、ADCはmAbあたり約4つの薬物、および逆相(RP)HPLCを用いて決定されるように<2%の遊離薬物を含有する。全ての複合に対し、SEC−HPLCにより凝集は検出されなかった。さらに、総体的なmAbの収率は70〜80%であった。
【0179】
【表5】

【0180】
【表6】

【0181】
【表7】

【0182】
ヒト前立腺癌細胞におけるPSMA mAb複合体の有効性および選択性
in vitro細胞毒性研究を、PSMA陽性細胞系およびPSMA陰性細胞系で実施した。簡潔には、PSMA陽性細胞(C4−2、LNCaP(TM)または3T3(TM)−PSMA)およびPSMA陰性細胞(PC−3(TM)または3T3(TM))を96ウェルマイクロプレートへと2.5×10細胞数/ウェルで添加し、一晩37℃および5%COで培養した。次いで細胞を段階希釈したADCで4日間培養し、10%Alamar Blueを用いた非処置対照群に対して比較したパーセント細胞殺傷をアッセイした。50%細胞殺傷に必要なADCの濃度(IC50値)を決定した。
【0183】
図5は、代表的実験における、vcMMAE(図7A)、vcMMAF(図7B)およびmcMMAF(図7C)複合体の、PSMA陽性C4−2細胞およびPSMA陰性PC−3(TM)細胞に対する用量反応曲線を描く。C4−2およびPC−3(TM)細胞系における有効性(IC50)および選択性の概要を表7でリスト化する。PSMA発現C4−2細胞におけるIC50は、vcMMAF、mcMMAFおよびvcMMAE複合体それぞれに対して、11、42、および60のピコモル濃度であった。対照的に、PC−3(TM)PSMA陰性細胞におけるIC50は、90nMより大きく、94から264nMの範囲にわたった。PC−3(TM)およびC4−2におけるそれぞれの複合体の有効性に基づき、選択性は、vcMMAF、mcMMAFおよびvcMMAE複合体それぞれに対して、13,636;6,286および1,567であると計算された。vcMMAF複合体は、C4−2 PSMA陽性細胞系に対して最も有効的であり、mcMMAFはPC−3(TM)対照細胞系に対して最も非毒性的であった。vcMMAE複合体を比較し、mcMMAFおよびvcMMAF複合体、それぞれに対しての選択性において、4倍および9倍の改善があった。
【0184】
【表8】

【0185】
PSMA mAb薬物複合体による細胞殺滅の機構
細胞周期解析を実施し、MMAE複合mAbにより媒介される細胞毒性のメカニズムを決定した。3T3(TM)−PSMAまたはC4−2細胞を、0.2nM PSMA ADCまたは20nM非修飾PSMA mAbの存在下で培養した。非処置細胞は対照培養の役割を果たした。12時間、24時間および48時間において、細胞をヨウ化プロピジウム(PI)で染色し、総DNAを検出し、フローサイトメトリーで解析した。図8で示すように、PSMA ADCで処置した細胞をG期で停止させた。処置後48時間までに、染色体で複製したセットの細胞の百分率は、PSMA ADC培養に対しては>50%、および非処置培養に対しては2%となった。非修飾mAbで処置された細胞の3%のみが48時間においてG/M期であったため、細胞周期停止には毒性、この場合はMMAEの存在が必要であった。データにより、MMAE ADDCでの前立腺癌細胞の処置によりG/M停止、次いで標的細胞のアポトーシスを誘導することが示された。
【0186】
本出願に引用される、前述の特許、特許出願および引用文献のそれぞれを、本明細書中にその全体を参照により組み入れる。引用文献の列挙は、引用文献のいかなるものも先行技術の引用文献であることを承認することを意図するものではない。今、好ましい態様に記載したように、本明細書中で規定される教示の視点において当業者に提唱するであろう。それゆえ、すべての変形、修飾および変化は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範疇内にあると考えられると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1A】C4−2細胞における111In−標識化PSMAの取り込みパーセントを示すグラフである。
【図1B】C4−2細胞における111In−標識化PSMAの総結合を示すグラフである。
【図2】3T3(TM)−PSMA細胞に対するPSMA mABおよびADCの結合を示すグラフである。
【図3A】PSMA陽性前立腺癌細胞系における、PSMA ADCおよび対照ADCのin vitroでの細胞毒性を示すグラフである。
【図3B】PSMA陰性前立腺癌細胞系における、PSMA ADCおよび対照ADCのin vitroでの細胞毒性を示すグラフである。
【0188】
【図4A】異種移植研究でのカプランマイヤー生存を示すグラフである。
【図4B】異種移植研究での血清PSAレベルを示すグラフである。
【図5】別の異種移植研究において処置した動物のカプランマイヤー生存曲線である。
【図6A】vcMMAE(マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンE)の化学構造である。
【図6B】vcMMAF(マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンF)の化学構造である。
【図6C】mcMMAF(マレイミドカプロイル−モノメチルアウリスタチンF)の化学構造である。
【0189】
【図7A】PSMA陽性(C4−2)およびPSMA陰性(PC−3(TM))前立腺癌細胞系における、PSMA ADC(vcMMAE)のin vitro細胞毒性を示すグラフである。
【図7B】PSMA陽性(C4−2)およびPSMA陰性(PC−3(TM))前立腺癌細胞系における、PSMA ADC(vcMMAF)のin vitro細胞毒性を示すグラフである。
【図7C】PSMA陽性(C4−2)およびPSMA陰性(PC−3(TM))前立腺癌細胞系における、PSMA ADC(mcMMAF)のin vitro細胞毒性を示すグラフである。
【図8】PSMA ADCの細胞周期に対する影響を示すグラフである。
【図9】vcMMAEおよびvcMMAFの細胞生存への影響を比較した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノメチルアウリスタチンノルエフェドリンまたはモノメチルアウリスタチンフェニルアラニンに複合した、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合する抗体または抗原結合断片を含む抗体薬物複合体であって、PC−3(TM)細胞とC4−2またはLNCaP(TM)細胞との間の細胞選択性が少なくとも250である前記抗体薬物複合体。
【請求項2】
抗体または抗原結合断片が、特異的にPSMAに結合するモノクローナル抗体または抗原結合断片である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項3】
モノクローナル抗体または抗原結合断片がPSMAの細胞外ドメインに結合する、請求項2に記載の抗体薬物複合体。
【請求項4】
抗体または抗原結合断片が、PSAMの立体構造エピトープに特異的に結合する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項5】
抗体または抗原結合断片が、
(i)第2の抗体の、PSMA上のその標的エピトープへの特異的結合を競合的に阻害する、または、
(ii)PSMA 3.7、PSMA 3.8、PSMA 3.9、PSMA 3.11、PSMA 5.4、PSMA 7.1、PSMA 7.3、PSMA 10.3、PSMA 1.8.3、PSMA A3.1.3、PSMA A3.3.1、Abgenix 4.248.2、Abgenix 4.360.3、Abgenix 4.7.1、Abgenix 4.4.1、Abgenix 4.177.3、Abgenix 4.16.1、Abgenix 4.22.3、Abgenix 4.28.3、Abgenix 4.40.2、Abgenix 4.48.3、Abgenix 4.49.1、Abgenix 4.209.3、Abgenix 4.219.3、Abgenix 4.288.1、Abgenix 4.333.1、Abgenix 4.54.1、Abgenix 4.153.1、Abgenix 4.232.3、Abgenix 4.292.3、Abgenix 4.304.1、Abgenix 4.78.1、Abgenix 4.152.1および
(a)配列番号:2〜7で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、および、
(b)配列番号:8〜13で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖
を含む抗体からなる群から選択される抗体で定義される、PSMA上のエピトープに結合する、
請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項6】
第2の抗体がPSMA 3.7、PSMA 3.8、PSMA 3.9、PSMA 3.11、PSMA 5.4、PSMA 7.1、PSMA 7.3、PSMA 10.3、PSMA 1.8.3、PSMA A3.1.3、PSMA A3.3.1、Abgenix 4.248.2、Abgenix 4.360.3、Abgenix 4.7.1、Abgenix 4.4.1、Abgenix 4.177.3、Abgenix 4.16.1、Abgenix 4.22.3、Abgenix 4.28.3、Abgenix 4.40.2、Abgenix 4.48.3、Abgenix 4.49.1、Abgenix 4.209.3、Abgenix 4.219.3、Abgenix 4.288.1、Abgenix 4.333.1、Abgenix 4.54.1、Abgenix 4.153.1、Abgenix 4.232.3、Abgenix 4.292.3、Abgenix 4.304.1、Abgenix 4.78.1、Abgenix 4.152.1ならびに、
(a)配列番号:2〜7で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、および、
(b)配列番号:8〜13で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖
を含む抗体からなる群から選択される、請求項5に記載の抗体薬物複合体。
【請求項7】
第2の抗体がAB-PGl-XGl-006、AB-PGl-XGl-026ならびに、
(a)配列番号:2および3で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、および、
(b)配列番号:8および9で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖
を含む抗体からなる群から選択される、請求項5に記載の抗体薬物複合体。
【請求項8】
第2の抗体が、
(a)配列番号:2で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、および、
(b)配列番号:8で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖
を含む、請求項7に記載の抗体薬物複合体。
【請求項9】
第2の抗体が、
(a)配列番号:3で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、および、
(b)配列番号:9で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖:
を含む、請求項7に記載の抗体薬物複合体。
【請求項10】
抗体が、AB-PGl-XGl-006、AB-PGl-XGl-026ならびに、
(a)配列番号:2および3で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子をコードする重鎖、および、
(b)配列番号:8および9で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子をコードする軽鎖
を含む抗体からなる群から選択される抗体をコードするヌクレオチド配列と少なくとも90%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子でコードされる、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項11】
抗体が少なくとも95%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子でコードされる、請求項10に記載の抗体薬物複合体。
【請求項12】
抗体が少なくとも97%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子でコードされる、請求項11に記載の抗体薬物複合体。
【請求項13】
抗体が少なくとも98%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子でコードされる、請求項12に記載の抗体薬物複合体。
【請求項14】
抗体が少なくとも99%相同であるヌクレオチド配列を含む核酸分子でコードされる、請求項13に記載の抗体薬物複合体。
【請求項15】
抗体またはその抗原結合断片が、AB-PG1-XG1-006、AB-PGl-XGl-026またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項16】
抗体またはその抗原結合断片が、
(a)配列番号:2および3で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、および、
(b)配列番号:8および9で規定されるヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖
を含む抗体、およびその抗原結合断片からなる群から選択される、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項17】
抗体またはその抗原結合断片が、
(a)配列番号:2で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、および、
(b)配列番号:8で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖、および、
その抗原結合断片
を含む、請求項16に記載の抗体薬物複合体。
【請求項18】
抗体またはその抗原結合断片が、
(a)配列番号:3で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる重鎖、および、
(b)配列番号:9で規定されるヌクレオチド配列の1つまたは複数のコード領域を含む核酸分子でコードされる軽鎖、および、
その抗原結合断片:
を含む、請求項16に記載の抗体薬物複合体。
【請求項19】
抗体またはその抗原結合断片が、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgAl、IgA2、IgAsec、IgD、IgEであるか、またはIgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgAl、IgA2、IgAsec、IgDまたはIgEの免疫グロブリン定常領域および/または可変領域を有する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項20】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項21】
抗体がヒト化抗体である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項22】
抗体がヒト抗体である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項23】
抗体が組み換え抗体である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項24】
抗体がキメラ抗体である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項25】
抗体が二重特異性抗体または多特異性抗体である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項26】
抗原結合断片が、Fab断片、F(ab’)断片またはFv断片である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項27】
抗原結合断片がCRD3含有断片である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項28】
PC−3(TM)細胞とC4−2またはLNCaP(TM)細胞との間の選択性が少なくとも500、1000、2500、6000または13,000である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項29】
抗体またはその抗原結合断片が、少なくとも3つのモノメチルアウリスタチンノルエフェドリンまたはモノメチルアウリスタチンフェニルアラニン分子に複合している、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項30】
抗体またはその抗原結合断片が少なくとも4つのモノメチルアウリスタチンノルエフェドリンまたはモノメチルアウリスタチンフェニルアラニン分子に複合している、請求項29に記載の抗体薬物複合体。
【請求項31】
モノメチルアウリスタチンノルエフェドリンまたはモノメチルアウリスタチンフェニルアラニンが、抗体またはその抗原結合断片に、式:
−A−Y−Z−X−W
式中、Aはカルボン酸アシル単位であり;
Yはアミノ酸であり;
Zはアミノ酸であり;
XおよびWはそれぞれ自壊的スペーサーであり;
nは0または1の整数であり;および
mは0または1、2、3、4、5または6の整数である、
で表される化合物とともに複合している、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項32】
Aが
【化1】

式中、qは1〜10である、
である、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項33】
Aが、4−(N−スクシンイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボニル、m−スクシンイミドベンゾイル、4−(p−スクシンイミドフェニル)−ブチリル、4−(2−アセトアミド)ベンゾイル、3−チオプロピオニル、4−(l−チオエチル)−ベンゾイル、6−(3−チオプロピオニルアミド)−ヘキサノイルまたはマレイミドカプロイルである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項34】
Aがマレイミドカプロイルである、請求項33に記載の抗体薬物複合体。
【請求項35】
Yが、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンまたはプロリンである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項36】
Yがバリンである、請求項35に記載の抗体薬物複合体。
【請求項37】
Zが、リジン、アセチルまたはホルミルで保護されたリジン、アルギニン、トシル基またはニトロ基で保護されたアルギニン、ヒスチジン、オルニチン、アセチルまたはホルミルで保護されたオルニチン、またはシトルリンである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項38】
Zがシトルリンである、請求項37に記載の抗体薬物複合体。
【請求項39】
−Zがバリン−シトルリンである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項40】
−Zがプロテアーゼで選択的に切断可能なタンパク質配列である、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項41】
Xが、式
【化2】

式中、TはO、N、またはSである、
を有する化合物である、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項42】
Xが、式
−HN−R−COT
式中、RはC〜Cアルキルであり、TはO、NまたはSである、
を有する化合物である、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項43】
Xが、式
【化3】

式中、TはO、N、またはSであり、RはHまたはC〜Cアルキルである、
を有する化合物である、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項44】
Xがp−アミノベンジルカルバモイルオキシである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項45】
Xがp−アミノベンジルアルコールである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項46】
Xがp−アミノベンジルカルバメートである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項47】
Xがp−アミノベンジルオキシカルボニルである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項48】
Xが、γ−アミノ酪酸;α,α−ジメチルγ−アミノ酪酸またはβ,β−ジメチルγ−アミノ酪酸である、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項49】
Wが
【化4】

式中TはO、SまたはNである、
である、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項50】
mおよびnが0である、請求項31〜49のいずれかに記載の抗体薬物複合体。
【請求項51】
AB−PGl−XGl−006−マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンノルエフェドリンである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項52】
AB−PGl−XGl−006−マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンフェニルアラニンである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項53】
AB−PGl−XGl−006−マレイミドカプロイル−モノメチルアウリスタチンフェニルアラニンである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項54】
AB−PGl−XGl−026−マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンノルエフェドリンである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項55】
AB−PGl−XGl−026−マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンフェニルアラニンである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項56】
AB−PGl−XGl−026−マレイミドカプロイル−モノメチルアウリスタチンフェニルアラニンである、請求項31に記載の抗体薬物複合体。
【請求項57】
抗体薬物複合体が生細胞を結合する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項58】
細胞が腫瘍細胞である、請求項57に記載の抗体薬物複合体。
【請求項59】
腫瘍細胞が前立腺腫瘍細胞である、請求項58に記載の抗体薬物複合体。
【請求項60】
抗体薬物複合体が腫瘍の新生脈管系の内皮細胞に結合する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項61】
抗体薬物複合体がPSMAに結合するために細胞溶解を必要としない、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項61】
抗体薬物複合体が細胞周期停止を誘導する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項62】
抗体薬物複合体がPSMA発現細胞の増殖を阻害する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項63】
抗体薬物複合体が1×10−10M未満のIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項64】
IC50が1×10−11M未満である、請求項63に記載の抗体薬物複合体。
【請求項65】
IC50が1×10−12M未満である、請求項64に記載の抗体薬物複合体。
【請求項66】
抗体薬物複合体が11〜208×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項67】
抗体薬物複合体が42〜208×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する、請求項66に記載の抗体薬物複合体。
【請求項68】
抗体薬物複合体が60〜208×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する、請求項67に記載の抗体薬物複合体。
【請求項69】
抗体薬物複合体が65〜208×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する、請求項68に記載の抗体薬物複合体。
【請求項70】
抗体薬物複合体が11×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項71】
抗体薬物複合体が42×10−12のIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項72】
抗体薬物複合体が60×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項73】
抗体薬物複合体が83×10−12MのIC50でPSMA発現細胞の特異的細胞殺滅を媒介する、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項74】
6mg/kgの用量でのq4d×6の投与計画でマウスへ投与した場合に、抗体薬物複合体が少なくとも20%、30%、40%または50%の治癒率をもたらす、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項75】
標識に結合している、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項76】
標識が、蛍光標識、酵素標識、放射性標識、核磁気共鳴活性標識、発光性標識または発色性標識である、請求項75に記載の抗体薬物複合体。
【請求項77】
凍結乾燥形態で包装された、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項78】
水性媒体中に包装された、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項79】
滅菌形態である、請求項1に記載の抗体薬物複合体。
【請求項80】
請求項1に記載の抗体薬物複合体と、薬学的に許容し得るキャリア、賦形剤または安定化剤とを含む、組成物。
【請求項81】
2つまたは3つ以上の異なる請求項1に記載の抗体薬物複合体の組み合わせと、薬学的に許容し得るキャリア、賦形剤または安定化剤とを含む、組成物。
【請求項82】
抗癌剤、免疫刺激剤、免疫調整剤、コルチコステロイドまたはその組み合わせをさらに含む、請求項80または81に記載の組成物。
【請求項83】
抗癌剤が細胞毒性剤、腫瘍脈管系に作用する薬剤またはその組み合わせである、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
抗癌剤がドセタキセルである、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
免疫調整剤が、サイトカイン、ケモカイン、アジュバントまたはその組み合わせである、請求項82に記載の組成物。
【請求項86】
免疫刺激剤が、インターロイキン−2、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、腫瘍壊死因子−α、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはその組み合わせである、請求項82に記載の組成物。
【請求項87】
コルチコステロイドがプレドニゾンまたはヒドロコルチゾンである、請求項82に記載の組成物。
【請求項88】
請求項1に記載の1つまたは2つ以上の抗体薬物複合体と、1つまたは2つ以上の非結合抗PSMA抗体とを含む組成物。
【請求項89】
PSMA発現細胞の増殖を阻害するための方法であって、
PSMA発現細胞と、PSMA発現細胞の増殖を阻害するのに有効な量の請求項1〜74のいずれかに記載の抗体薬物複合体とを接触させること
を含む、前記方法。
【請求項90】
PSMA発現細胞が前立腺腫瘍細胞である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
PSMA発現細胞が非前立腺腫瘍の新生脈管系の細胞である、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
PSMA発現細胞が、アンドロゲン依存性細胞またはアンドロゲン非依存性細胞である、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
PSMA発現細胞と、抗癌剤、免疫刺激剤、免疫調節剤、コルチコステロイドまたはその組み合わせとを接触させることをさらに含む、請求項89に記載の方法。
【請求項94】
抗癌剤が、細胞毒性剤、腫瘍新生脈管系に作用する薬剤またはその組み合わせである、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
抗癌剤がドセタキセルである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
免疫調整剤が、サイトカイン、ケモカイン、アジュバントまたはその組み合わせである、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
免疫刺激剤がインターロイキン−2、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、腫瘍壊死因子−α、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはその組み合わせである、請求項93に記載の方法。
【請求項98】
コルチコステロイドがプレドニゾンまたはヒドロコルチゾンである、請求項93に記載の方法。
【請求項99】
PSMA発現細胞において細胞周期停止をもたらすための方法であって、
PSMA発現細胞と、PSMA発現細胞において細胞周期停止を誘導するのに有効な量の請求項1〜74のいずれかに記載の抗体薬物複合体とを接触させること
を含む、前記方法。
【請求項100】
PSMA媒介疾患を処置するための方法であって、
PSMA媒介疾患を有する対象に、PSMA媒介疾患を処置するのに有効な量の請求項1〜74のいずれかに記載の抗体薬物複合体を投与すること
を含む、前記方法。
【請求項101】
PSMA媒介疾患が癌である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
癌が前立腺癌である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
癌が非前立腺癌である、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
非前立腺癌が、膀胱癌、膵臓癌、肺癌、腎臓癌、肉腫、乳癌、脳腫瘍、神経内分泌癌、結腸癌、精巣癌または黒色腫である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
PSMA媒介疾患を処置する他の治療剤を併用投与することをさらに含み、該併用投与が抗体薬物複合体の投与前、投与中または投与後になされる、請求項100に記載の方法。
【請求項106】
他の治療剤が、抗癌剤、免疫刺激剤、免疫調整剤、コルチコステロイドまたはその組み合わせである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
抗癌剤が、細胞毒性剤、腫瘍新生脈管系に作用する薬剤またはその組み合わせである、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
抗癌剤がドセタキセルである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
免疫調整剤が、サイトカイン、ケモカイン、アジュバントまたはその組み合わせである、請求項106に記載の方法。
【請求項110】
免疫刺激剤が、インターロイキン−2、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、腫瘍壊死因子−α、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはその組み合わせである、請求項106に記載の方法。
【請求項111】
コルチコステロイドがプレドニゾンまたはヒドロコルチゾンである、請求項106に記載の方法。
【請求項112】
治療剤がワクチンである、請求項105に記載の方法。
【請求項113】
ワクチンが対象をPSMAに対して免疫する、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
方法が、さらなる他の治療剤を投与することをさらに含む、請求項105〜108のいずれかに記載の方法。
【請求項115】
さらなる他の治療剤がプレドニゾンである、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
腫瘍の増殖を阻害するための方法であって、
腫瘍の新生脈管系のPSMA発現細胞と、腫瘍増殖を阻害するのに有効な量の請求項1〜74のいずれかに記載の抗体薬物複合体とを接触させること
を含む、前記方法。
【請求項117】
PSMA発現細胞と、抗癌剤、免疫刺激剤、免疫調製剤、コルチコステロイドまたはその組み合わせとを接触させることをさらに含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
抗癌剤が、細胞毒性剤、腫瘍新生脈管系に作用する薬剤またはその組み合わせである、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
免疫調整剤が、サイトカイン、ケモカイン、アジュバントまたはその組み合わせである、請求項117に記載の方法。
【請求項120】
免疫刺激剤が、インターロイキン−2、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、腫瘍壊死因子−α、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたはその組み合わせである、請求項117に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−100314(P2013−100314A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−244(P2013−244)
【出願日】平成25年1月4日(2013.1.4)
【分割の表示】特願2008−518359(P2008−518359)の分割
【原出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(507416241)ピーエスエムエー ディベロップメント カンパニー,エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】