説明

PSMA結合剤及びその使用

放射性同位体置換基を有する前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合化合物及びその化学前駆体が記載されている。化合物は、ピリジン含有化合物、フェニルヒドラジン構造を有する化合物及びアシル化リジン化合物を含む。本化合物は、例えば、前立腺癌細胞及び血管新生をイメージングするための単光子放出断層撮影法(SPECT)及び陽電子放出断層撮影法(PET)のための放射性核種の容易な取り込みを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国仮出願第61/085,462号(出願日:2008年8月1日)及び第61/111,791号(出願日:2008年11月6日)に基づく優先権を主張する(その全内容は参照により本願に組み込まれる)。本発明は、NIHグラント番号NIH U2492871、NIH R21CA114111、NIH CA111982及びDOD PC050825によって米国政府の支援を受けて行われた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、一般に、放射性同位体標識前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合化合物、放射性同位体標識PSMA結合化合物の化学前駆体及びこの放射性同位体標識化合物を用いるイメージング法に関する。
【背景技術】
【0003】
前立腺癌(PCa)は、成人男性患者における癌関連死の主要原因の第2位である。診断時には、PCaによる腫瘍の2分の1のみが臨床的に限局性であり、PCaによる腫瘍の2分の1は被膜外浸潤を呈する。その浸潤の局部限定及びPCaの身体総負荷量の測定は、特に新規な併用療法及び局所療法を可能とするため治療にとって重要な意味を有する。どの腫瘍が休眠状態のままであり、どの腫瘍が侵襲性転移性疾患へと分化するかを予測する能力を有する、腫瘍の生物学に関する読み出し情報を提供できる標的薬もまた極めて必要とされている。癌(PCaを含む)を局部限定するための現行の臨床基準は、X線コンピュータ断層撮影法(CT)及び核磁気共鳴(MR)イメージングなどの解剖学的技術から、MR分光法、単光子放出断層撮影法(SPECT)及び陽電子放出断層撮影法(PET)などの分子イメージングを用いる、より生理学的に関連する方法に移りつつある(2)。分子イメージングを用いる、このようなより新規な方法は、腫瘍生理学の理解に必要な生物学的読み出し情報を提供することができ、それによりより正確な予測及び治療モニタリングを可能にする。分子イメージングは、機構特異的な薬剤が用いられる場合、in vivoで腫瘍を検出する方法ばかりでなく、病変の生物学に関する情報を提供する方法も提供できる。例えば、[18F]FDHTは、腫瘍のアンドロゲン受容体状態の検査に用いることができる(3)。
【0004】
多くの他の癌とは異なり、PCaは既存の分子イメージングトレーサーを用いて検出するのが特に困難である。これにはいくつかの理由があり、それには、他の悪性腫瘍と比較してPCaの増殖及び代謝速度が比較的緩やかであることに加えて、小型の器官であることと大部分の放射性医薬品が最終的に排泄される膀胱に近接していることが含まれる。
【0005】
PCaの代謝が比較的緩やかであるため、本疾患の画像診断には、[18F]フルオロデオキシグルコースを用いるPET(FDG-PET)は無力であることがわかっている。PCaのイメージングのための他の有望な実験用放射性医薬品が出現しつつあり、それにはコリン類(4)(5)(6)、放射性標識された酢酸塩(7)、アンチ-1-アミノ-3-[18F]フルオロシクロブチル-1-カルボン酸(アンチ[18F]F-FACBC)(8)(9)、1-(2-デオキシ-2-[18F]フルオロ-L-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル([18F]FMAU)(10)及び[18F]フルオロジヒドロテストステロン([18F]FDHT)(3)が含まれる。それぞれは、それぞれの利点及び不利な点を有するが、理想的な(すなわち、合成が容易で、ほとんど代謝を受けず、すべてのPCa表現型において腫瘍特異的な取り込みを受けること)薬剤は1つもない。
【0006】
大部分の固形腫瘍新生血管(11)に加えて前立腺癌においても過剰発現される前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、癌イメージング及び癌治療(12)(13)のための魅力的な標的となりつつある。PSMAに基づく薬剤は、PCaの重要な診断決定因子であることの認識が高まっているこのマーカーの存在を知らせることができる(14)。このマーカーはまた、種々の新規PCa療法の標的でもある(15)。ProstaScint(登録商標)は、PSMAに対する111In-標識モノクローナル抗体であり、PCaのイメージングのために臨床使用できる。ProstaScint(登録商標)及びこの抗体の放射性標識体は、長い循環時間は困難であり、標的組織と非標的組織との間のコントラストは弱く、これらの薬剤の有用性は限定されている(16)(17)(18)。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、前立腺癌及び血管新生をイメージングするための新規な組織特異的化合物の、いまだ満たされていない積年のニーズを満足する。本発明は、特に、今まで未知であり、示唆されていない改変において先行技術と異なるイメージング剤を提供する。さらにまた、本発明は標的組織と非標的組織との間の良好なコントラストを提供するイメージング剤を提供する。
【0008】
本発明は、下記の構造(I)、


(I)

(式中、Zはテトラゾール又はCO2Qであり;各Qは独立して水素又は保護基から選択される)を有する化合物に関する。
【0009】
式Iのいくつかの実施形態において、mは0、1、2、3、4、5又は6であり;Rは構造



を有するピリジン環であり、ここでXはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、B(OH)2、-NHNH2、-NHN=CHR3、-NHNH-CH2R3であり;nは1、2、3、4又は5であり;YはO、S、N(R')、C(O)、NR'C(O)、C(O)N(R')、OC(O)、C(O)O、NR'C(O)NR'、NR'C(S)NR'、NR'S(O)2、S(CH2)p、NR'(CH2)p、O(CH2)p、OC(O)CHR8NHC(O)、NHC(O)CHR8NHC(O)又は共有結合であり;ここでpは1、2又は3であり、R'はH又はC1-C6アルキルであり、R8はアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれは置換されていてもよく;R2はC1-C6アルキルであり;R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換されている。
【0010】
式Iのいくつかの実施形態において、mは0、1、2、3、4、5又は6であり;YはO、S、N(R')、C(O)、NR'C(O)、C(O)N(R')、OC(O)、C(O)O、NR'C(O)NR'、NR'C(S)NR'、NR'S(O)2、S(CH2)p、NR'(CH2)p、O(CH2)p、OC(O)CHR8NHC(O)、NHC(O)CHR8NHC(O)又は共有結合であり;ここでpは1、2又は3であり、R'はH又はC1-C6アルキルであり、R8はアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれは置換されていてもよく;Rは



であり、ここでX'はNHNH2、-NHN=CHR3及びNHNH-CH2R3からなる群から選択され;R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換され;nは1、2、3、4又は5である。
【0011】
式Iの他の実施形態において、mは4であり、YはNR'であり、Rは



であり、ここでGはO、NR'又は共有結合であり;R'はH又はC1-C6アルキルであり;pは1、2、3又は4であり、R7はNH2、N=CHR3、NH-CH2R3からなる群から選択され、ここでR3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換されている。
【0012】
本発明の化合物の一部は前立腺特異的膜抗原(PSMA)と相互作用する。その結果、本化合物が放射性同位体を含む場合、本化合物はイメージング剤、診断剤、及び/又は治療剤に適することができる。
【0013】
多くの場合、本化合物に用いられる放射性同位体は寿命が短い。従って、放射性同位体標識化合物は、使用の直前もしくは少し前に調製されるか、あるいは単に投与に必要な量だけ調製される。従って、本発明はまた、本発明の放射性同位体標識化合物に化学的に変換できる、放射性同位体標識化合物の前駆体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】PSMA(PDB ID:3D7H)の活性部位における水分子の存在下での、結晶リガンド、すなわちPSMAと共結晶化された3の化合物と、3、6及び8の最良ポーズとのオーバーレイを示す図である。暗い球(亜鉛イオン)、明るい球(クロリドイオン)。
【図2】PSMAの活性部位における水分子の非存在下での、結晶リガンド(3)と最良ポーズ(3、6及び8)とのオーバーレイを示す図である。暗い球(亜鉛イオン)、明るい球(クロリドイオン)。
【図3】PCa腫瘍モデル(注入後4時間)における[125I]3 SPECT-CTを示す図である。PSMA+ PIP腫瘍内のみへの取り込みに注目のこと。腎臓への取り込みは、大部分、腎皮質への[125I]3の特異的結合によるものである。
【図4】PCa腫瘍モデル(注入後〜100分)におけるCTで位置合わせした[18F]6 PETを示す図である。PSMA+ PIP腫瘍内のみへの取り込みに注目のこと。腎臓への取り込みは、大部分、腎皮質への[125I]3の特異的結合によるものである。[125I]3と比較して、この薬剤により、腫瘍へのより強い取り込みと肝臓へのより弱い取り込みが認められた。
【図5】PSMA+ LNCaP腫瘍(注入後4時間)における[125I]8 SPECT-CTを示す図である。腫瘍への強い取り込みに注目のこと。同様な結果が、PSMA+ PIPでは得られたが、PSMA- flu腫瘍では得られなかった(データは示さず)。ハロベンゾイル化アナログである[125I]3及び[18F]6と比較して、この薬剤での腎及び肝臓取り込みは低かった。
【0015】
典型的な実施形態の詳細な説明
本発明の実施形態は、下記、


(I)

(式中、Zはテトラゾール又はCO2Qであり、各Qは独立して水素又は保護基から選択される)に示す式Iの化合物を含む。
【0016】
典型的な実施形態(A)において、mは0、1、2、3、4、5又は6であり、Rは



からなる群から選択されるピリジン環であり、ここでXはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、B(OH)2、-NHNH2、-NHN=CHR3、-NHNH-CH2R3であり;nは1、2、3、4又は5であり;YはO、S、N(R')、C(O)、NR'C(O)、C(O)N(R')、OC(O)、C(O)O、NR'C(O)NR'、NR'C(S)NR'、NR'S(O)2、S(CH2)p、NR'(CH2)p、O(CH2)p、OC(O)CHR8NHC(O)、NHC(O)CHR8NHC(O)又は共有結合であり;pは1、2又は3であり、R'はH又はC1-C6アルキルであり、R8はアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれは置換されていてもよく;R2はC1-C6アルキルであり;R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換されているか;あるいはその薬学的に許容される塩である。
【0017】
他の実施形態(B)において、mは0、1、2、3、4、5又は6であり;YはO、S、N(R')、C(O)、NR'C(O)、C(O)N(R')、OC(O)、C(O)O、NR'C(O)NR'、NR'C(S)NR'、NR'S(O)2、S(CH2)p、NR'(CH2)p、O(CH2)p、OC(O)CHR8NHC(O)、NHC(O)CHR8NHC(O)又は共有結合であり;pは1、2又は3であり;R'はH又はC1-C6アルキルであり;R8はアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれは置換されていてもよく;Rは



であり、ここでX'はNHNH2、-NHN=CHR3及びNHNH-CH2R3からなる群から選択され;R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体;NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換され;R2はC1-C6アルキルであり;nは1、2、3、4又は5であるか;あるいはその薬学的に許容される塩である。
【0018】
さらに他の実施形態(C)において、mは4であり;YはNR'であり;Rは



であり、ここでGはO、NR'又は共有結合であり;R'はH又はC1-C6アルキルであり;pは1、2、3又は4であり、R7はNH2、N=CHR3、NH-CH2R3からなる群から選択され、ここでR3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体;NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換され;R2はC1-C6アルキルであるか;あるいはその薬学的に許容される塩である。
【0019】
本明細書に記載の化合物は、1以上の不斉中心又は不斉面を有することができる。不斉置換原子を含む本発明の化合物は、光学活性体又はラセミ体で単離することができる。光学活性体の製造法は当該分野で公知であり、ラセミ体(ラセミ化合物)の分割によるもの、不斉合成によるもの又は光学活性出発物質からの合成によるものなどがある。ラセミ化合物の分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化などの慣用法によって、あるいはキラルHPLCカラムなどを用いるクロマトグラフィーによって達成できる。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体もまた本明細書記載の化合物中に存在することができ、本発明においては、これらのすべての安定な異性体が考えられる。本発明の化合物のシス及びトランス幾何異性体は記載されており、異性体の混合物又は分離された異性体として単離されることができる。特定の立体化学構造又は異性体が具体的に示されない限り、1つの構造のすべてのキラル体(エナンチオマー及びジアステレオマー)及びラセミ体ばかりでなく、すべての幾何異性体を指す。
【0020】
本明細書に記載の化合物は、1以上の荷電原子を有することができる。例えば、本化合物は双性イオンであることもできるし、全体で中性であることもできる。他の実施形態は、そのpH及び他の因子に応じて1以上の荷電基を有することができる。これらの実施形態において、本化合物は適切な対イオンと結合することができる。塩の製造方法又は対イオンの交換方法は当該分野で公知である。一般に、このような塩は、このような化合物の遊離酸型と適切な塩基(例えばNa、Ca、Mg又はKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)の化学量論量を反応させるか、又はこれらの化合物の遊離塩基型と適切な酸の化学量論量を反応させることによって製造できる。これらの反応は、一般的には、水中又は有機溶媒中又はこれら二つの混合物中で行われる。対イオンは、例えば、イオン交換クロマトグラフィーなどのイオン交換技術によって交換できる。対イオン又は塩が具体的に示されていない限り、すべての両性イオン、塩及び対イオンを意味する。特定の実施形態において、塩又は対イオンは、被験者への投与が薬学的に許容される。
【0021】
ある化合物に関する任意の成分又は式において任意の変数が2以上存在する場合、各存在におけるその定義は、他のすべての存在におけるその定義とは独立している。従って、例えばある基が(X)n(式中、nは1、2、3、4又は5である)で置換されていると示されている場合、前記基は場合により最大5個までのX基によって置換されていることができ、各存在はXの定義とは独立して選択される。また、置換基及び/又は変数の組み合わせはまた、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0022】
前述のように、種々の式の種々の置換基は、"置換されている"か又は"置換されていてもよい"。本明細書において、用語"置換されている"は、指定された原子の正常原子価を超えず、置換が安定な化合物をもたらすという条件で、指定された原子又は基のいずれか1つ以上の水素が置換基で置換されていることを意味する。置換基がオキソ(ケト、すなわち=0)である場合、1つの原子上の2つの水素が置換されている。本発明は、本化合物に存在する原子のすべての同位体(放射性同位体を含む)を含むものとする。本化合物が置換されている場合、1以上の利用可能な位置で、一般的には1、2、3又は4つの位置で、本明細書に開示されているような1以上の適切な基で置換されていることができる。"置換"基に存在することができる適切な基は、例えば、ハロゲン;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アミノ;アルカノイル(アシルなどのC1-C6アルカノイル基);カルボキサミド;アルキル基(1〜約8炭素原子、例えば1、2、3、4、5、又は6炭素原子を有するシクロアルキル基を含む);アルケニル及びアルキニル基(1以上の不飽和結合及び2〜約8、例えば2、3、4、5又は6炭素原子を有する基を含む);1以上の酸素結合及び1〜約8、例えば1、2、3、4、5又は6炭素原子を有するアルコキシ基;アリールオキシ例えばフェノキシ;1以上のチオエーテル結合及び1〜約8炭素原子、例えば1、2、3、4、5又は6炭素原子を有するものを含むアルキルチオ基;1以上のスルフィニル結合及び1〜約8炭素原子、例えば1、2、3、4、5、又は6炭素原子を有するものを含むアルキルスルフィニル基;1以上のスルホニル結合及び1〜約8炭素原子、例えば1、2、3、4、5、又は6炭素原子を有するものを含むアルキルスルホニル基;1以上のN原子及び1〜約8、例えば1、2、3、4、5又は6炭素原子を有する基を含むアミノアルキル基;4、5、6以上の炭素及び1以上の環を有する炭素環式アリール(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、各環は置換又は非置換芳香族);1〜3の単環又は縮合環及び6〜約18の環炭素原子を有するアリールアルキル(例えばベンジル);1〜3の単環又は縮合環及び6〜約18の環炭素原子を有するアリールアルコキシ(例えばO-ベンジル);あるいは環当たり3〜約8員を有し1以上のN、O又はS原子を有する1〜3の単環又は縮合環を有する飽和、不飽和又は芳香族複素環基(例えばクマリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル及びピロリジニル)を含む。このような複素環基は、さらに例えばヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロゲンおよアミノで置換されていることができる。
【0023】
本明細書において、"アルキル"は、分枝鎖、直鎖及び環式飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。アルキルの例は、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びsec-ペンチルを含む。特定の実施形態において、アルキル基はC1-C6アルキル基又はC1-C4アルキル基である。具体的なアルキル基はメチル、エチル、プロピル、ブチル及び3-ペンチルである。本明細書においては、用語"C1-C6アルキル"は、完全飽和の直鎖、分枝鎖又は環式C1-C6炭化水素及びそれらのハイブリッド、例えば(シクロアルキル)アルキルを意味する。C1-C6アルキル置換基の例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル(n-Pr、nPr)、イソプロピル(i-Pr、iPr)及びシクロプロピル(c-Pr、cPr)を含む)、ブチル(n-ブチル(n-Bu、nBu)、イソブチル(i-Bu、iBu)、sec-ブチル(s-Bu、sBu)、tert-ブチル(t-Bu、tBu)又はシクロブチル(c-Bu、cBu)を含む)などを含む。"シクロアルキル"は、飽和環基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルを含むものとする。シクロアルキル基は、一般的には3〜約8環員を有する。用語"(シクロアルキル)アルキル"において、シクロアルキル及びアルキルは上記のように定義され、結合部位はアルキル基上にある。本用語は、限定するものではないが、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル及びシクロヘキシルメチルを含む。
【0024】
本明細書において、"アルケニル"は、鎖に沿った任意の安定な部位に存在することができる1以上の不飽和炭素-炭素結合を含む直鎖又は分枝鎖配置の炭化水素鎖、例えばエテニル及びプロペニルを含むものとする。アルケニル基は、一般的には2〜約8炭素原子、より一般的には2〜約6炭素原子を有する。
【0025】
本明細書において、"アルキニル"は、鎖に沿った任意の安定な部位に存在することができる1以上の炭素-炭素三重結合を含む直鎖又は分枝鎖配置の炭化水素鎖、例えばエチニル及びプロピニルを含むものとする。アルキニル基は、一般的には2〜約8炭素原子、より一般的には2〜約6炭素原子を有する。
【0026】
本明細書において、"ハロアルキル"は、指定された数の炭素原子を有し、1以上のハロゲン原子で置換された分枝鎖及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。ハロアルキルの例は、限定するものではないが、モノ-、ジ-又はトリ-フルオロメチル、モノ-、ジ-又はトリ-クロロメチル、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-又はペンタ-フルオロエチル及びモノ-、ジ-、トリ-、テトラ-又はペンタ-クロロエチルなどを含む。典型的なハロアルキル基は、1〜約8炭素原子、より一般的には1〜約6炭素原子を有する。
【0027】
本明細書において、"アルコキシ"は、酸素架橋を介して結合した、上記で定義したアルキル基を示す。アルコキシの例は、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、2-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、2-ペントキシ、3-ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n-ヘキソキシ、2-ヘキソキシ、3-ヘキソキシ及び3-メチルペントキシを含む。アルコキシ基は、一般的には、1〜約8炭素原子、より一般的には1〜約6炭素原子を有する。
【0028】
本明細書において、"ハロアルコキシ"は、酸素架橋を介して結合した示された数の炭素原子を有する上記で定義したハロアルキル基を示す。ハロアルコキシ基は一般的には1〜約8炭素原子、より一般的には1〜約6炭素原子を有する。
【0029】
本明細書において、"アルキルチオ"は、1以上のチオエーテル結合を有し、一般的には1〜約8炭素原子、より一般的には1〜約6炭素原子を有する基を含む。
【0030】
本明細書において、用語"アルキルスルフィニル"は、1以上のスルホキシド(SO)結合基を有し、一般的には1〜約8炭素原子、より一般的には1〜約6炭素原子を有する基を含む。
【0031】
本明細書において、用語"アルキルスルホニル"は、1以上のスルホニル(SO2)結合基を有し、一般的には1〜約8炭素原子、より一般的には1〜約6炭素原子を有する基を含む。
【0032】
本明細書において、用語"アルキルアミノ"は、1以上の第一級、第二級及び/又は第三級アミン基を有し、一般的には1〜約8炭素原子、より一般的には1〜約6炭素原子を有する基を含む。
【0033】
本明細書において、"ハロ"又は"ハロゲン"はフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードのことを言い;"対イオン"は、小さな負荷電種、例えばクロリド、ブロミド、ヒドロキシド、アセタート、スルファートなどを示すために用いられる。
【0034】
本明細書において、"炭素環式基"は、任意の安定な3員〜7員単環式もしくは二環式基又は7員〜13員二環式もしくは三環式基を意味し、いずれであっても飽和、部分不飽和又は芳香族基であることができるものとする。本明細書の他の部分で例示されたものに加えて、これらの炭素環の例は、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.3.0]ビシクロオクタニル、[4.3.0]ビシクロノナニル、[4.4.0]ビシクロデカニル、[2.2.2]ビシクロオクタニル、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル及びテトラヒドロナフチルを含む。
【0035】
本明細書において、用語"アリール"は、1〜3の単環又は縮合環及び6〜約18の環原子を含み、環員としてヘテロ原子を含まない基を含む。アリール基の例は、限定するものではないが、フェニル及びナフチル(1-ナフチル及び2-ナフチルを含む)を含む。
【0036】
本明細書において、"複素環基"は、環当たり3〜約8員を有し、少なくとも1つの環がN、O又はSから選択される原子を含む1〜3の環(場合により縮合環)を有する飽和、部分不飽和又は不飽和(芳香族)基を含むものとする。窒素及び硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化されていることができる。用語"ヘテロシクロアルキル"は、飽和複素環基を指すために用いられる。
【0037】
複素環は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子部位でそのペンダント基に結合されることができる。本明細書記載の複素環は、得られる化合物が安定であれば、炭素原子上に置換されることもできるし、窒素原子上に置換されることもできる。複素環における窒素は、場合により四級化されていることができる。
【0038】
本明細書において、用語"ヘテロアリール"は、炭素原子ならびに、N、O及びSからなる群から独立して選択される1〜4ヘテロ原子を含む、任意の安定な5員〜7員単環式又は10員〜14員二環式複素芳香環系を含むものとする。典型的な実施形態において、複素芳香環におけるS原子及びO原子の総数は2以下であり、一般的には1以下である。
【0039】
ヘテロアリールの例は、限定するものではないが、本明細書の他の部分で例示したものを含み、さらに、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、NH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H.6HA,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、lH-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル;-l,2,5オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェニキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-l,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、l,3,4チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル及びキサンテニルを含む。典型的なヘテロアリール基は、限定するものではないが、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びイミダゾリルを含む。
【0040】
特定の実施形態において、Zはテトラゾール又はCO2Qである。Zがテトラゾールである場合、テトラゾール環は、下記のように炭素原子を介して結合される。


【0041】
特定の実施形態において、Qは保護基である。本明細書において、"保護基"は、分子中の再生される官能基又は他の官能基を攻撃しない、容易に入手できる試薬によって選択的に除去できる化学置換基である。適切な保護基は、例えばWutzら("Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, Fourth Edition," Wiley-Interscience, 2007) において見出すことができる。Wutzら(頁533〜643)によって記載されているカルボキシル基保護のための保護基は、特定の実施形態において用いられる。いくつかの実施形態において、保護基は酸による処理によって除去できる。保護基の具体例は、ベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、第三級ブチル(tBu)、メトキシメチル(MOM)、メトキシエトキシメチル(MEM)、メチルチオメチル(MTM)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラニル(THF)、ベンジルオキシメチル(BOM)、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)及びトリフェニルメチル(トリチル、Tr)を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、R8はアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれは置換されていてもよい。特定の実施形態において、R8は、天然又は合成のα-アミノ酸の側鎖を表す。R8の具体例は、水素、メチル(CH3)、イソプロピル(CH(CH3)2)、2,2-ジメチルエチル(CH2CH(CH3)2)、2-メチルプロピル(CH(CH3)CH2CH3)、フェニル、4-ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル(CH2OH)、カルボキシメチル(CH2CO2H)、チオメチル(CH2SH)、イミダゾリルメチル、インドリルメチルなどを含む。
【0043】
特定の実施形態は、ZがCO2Qである式Iの化合物を含む。他の実施形態において、Qは水素である。いくつかの特定の実施形態において、ZはCO2Qであり、Qは水素である。
【0044】
特定の実施形態は、mが1、2、3又は4である式Iの化合物を含む。
【0045】
他の実施形態は、mが0、1、2、3、4、5又は6であり;Rが



からなる群から選択されるピリジン環であり、ここでXがフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、B(OH)2、-NHNH2、-NHN=CHR3、-NHNH-CH2R3である式Iの化合物を含む。特定の実施形態において、nは1である。各Qは独立して水素又は保護基から選択され;Zはテトラゾール又はCO2Qであり;YはO、S、N(R')、C(O)、NR'C(O)、C(O)N(R')、OC(O)、C(O)O、NR'C(O)NR'、NR'C(S)NR'、NR'S(O)2、S(CH2)p、NR'(CH2)p、O(CH2)p、OC(O)CHR8NHC(O)、NHC(O)CHR8NHC(O)又は共有結合であり;ここでpは1、2又は3であり、R'はH又はC1-C6アルキルであり、R8はアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれは置換されていてもよく;R2はC1-C6アルキルであり;R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体;NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換されている。特定の実施形態において、R3はフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体で置換されたアリールである。
【0046】
他の実施形態は、構造



(式中、mは0ではない)を有する化合物を含む。Rは



からなる群から選択されるピリジン環であり、ここでXはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、B(OH)2、-NHNH2、-NHN=CHR3、又はNHNH-CH2R3である。R2はC1-C6アルキルであり;R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体;NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換されている。特定の実施形態において、nは1である。他の特定の実施形態は、Xがフッ素、ヨウ素又はフッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体である化合物を含む。特定の実施形態において、R3はフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体で置換されたアリールである。特定の実施形態は、上記の構造(式中、ZはCO2Qであり、Qは水素であり、mは4である)を有する化合物を含む。
【0047】
本実施形態の化合物は、例えば、下記のスキーム1



のp-メトキシベンジル(PMB)保護前駆体Lys-C(O)-Gluから製造できる。
【0048】
他の実施形態は、構造



(式中、mは0ではない)を有する化合物を含む。Rは



からなる群から選択されるピリジン環であり、ここでXはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、B(OH)2、-NHNH2、-NHN=CHR3、-NHNH-CH2R3である。R2はC1-C6アルキルであり;R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体;NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換されている。特定の実施形態において、nは1である。他の特定の実施形態は、Xがフッ素、ヨウ素又はフッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体である化合物を含む。特定の実施形態において、R3はフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体で置換されたアリールである。特定の実施形態は、上記の構造(式中、ZはCO2Qであり、Qは水素であり、mは1、2又は3である)を有する化合物を含む。
【0049】
他の実施形態は、Rが下記の構造



(式中、X'は-NHNH2、-NHN=CHR3、-NHNH-CH2R3からなる群から選択される)である式Iの化合物を含む。このような実施形態において、R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体;NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、B(OH)2で置換されている。R2はC1-C6アルキルであり;R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体;NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換されている。特定の実施形態において、R3はフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体で置換されたアリールである。特定の実施形態は、nが1である化合物を含む。
【0050】
本実施形態の化合物は、下記のスキーム2に示すように、例えばヒドラジン置換フェニル前駆体から出発し、次いでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール試薬であって、そのそれぞれがフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)及びB(OH)2で置換されている前記試薬で誘導体化することによって製造できる。



a. スクシンイミジル4-[2-(tert-ブトキシカルボニル)ヒドラジノベンゾアート、トリエチルアミン、DMF、CH2Cl2;b. TFA、CH2Cl2;c. 4-フルオロベンズアルデヒド、50mM KH2PO4、CH3CN;d. 4-[18F]フルオロベンズアルデヒド、50mM KH2PO4
【0051】
他の実施形態は、mが4であり、YがNR'であり、Rが



であり、ここでGがO、NR'又は共有結合であり、R'がH又はC1-C6アルキルであり、pが1、2、3又は4である式Iの化合物を含む。R7はNH2、N=CHR3及びNH-CH2R3から選択でき、ここでR3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換され、ここでR2はC1-C6アルキルである。特定の実施形態において、R3はフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体で置換されたアリールである。特定の実施形態において、GはO又はNR'である。
【0052】
本実施形態の化合物は、下記のスキーム3で図示されているように、例えば遊離又は保護アミンを有するアシル化剤でPMB保護Lys-C(O)-Gluをアシル化し、次いで必要に応じてアミンを脱保護し、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール試薬であって、そのそれぞれがフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換されている前記試薬で誘導体化することによって製造できる。


a. N-tert-ブチルオキシカルボニル-O-(カルボキシメチル)ヒドロキシアミンヒドロキシスクシンイミジルエステル、トリエチルアミン、CH2Cl2;b. TFA、アニソール;c. p-フルオロベンズアルデヒド、トリエチルアミン、メタノール;d. p-[18F]フルオロベンズアルデヒド、トリエチルアミン、メタノール
【0053】
他の実施形態は、本明細書に記載の実施形態のいずれかの化合物であって、放射性同位体を含むものを含む。具体的な典型的な放射性同位体は、18F、123I、124I、125I、126I、131I、75Br、76Br、77Br、80Br、80mBr、82Br、83Br及び211Atを含む。イメージング用途に用いるのに十分な放射性標識を有する、本発明の実施形態のいずれかの化合物を含む放射性同位体を製造できる。すなわち、特定の放射性同位体が天然に存在する場合の天然存在比を超える放射性同位体濃度を有する化合物を製造できる。
【0054】
これまでの実施形態の化合物の具体例は、下記の構造を含む。


【0055】
他の実施形態は、これまでの実施形態において記載されている化合物の薬学的に許容される塩を含む。
【0056】
本発明記載の化合物、特に種々の放射性標識化合物は、診断目的、イメージング目的又は治療目的に使用できる。例えば、一部の化合物、例えば125I及び123Iで標識されたものはSPECTイメージングのために設計され、そして一部の化合物、例えば18F及び124Iで標識したものはPETイメージングのために設計され、一部の放射性同位体標識化合物は治療に用いることができる。一般に、特定目的のための特定の放射性同位体の適合性は当該技術分野で公知である。他の典型的な実施形態は、置換基を1以上の段階で放射性同位体に直接に交換することができる、放射性標識化合物の前駆体として使用される化合物である。特記しない限り、用語"変換される、"誘導体化される"、"交換される"又は"反応される"は、1以上の段階を含むものとする。放射性同位体に交換できる置換基の例は、ハロゲン、NO2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)及びB(OH)2を含む。他の化合物は、放射性同位体標識試薬と化学的に反応して、安定な放射性同位体標識化合物を生じることができる前駆体である。ハロゲン、-NH2、-NHNH2、Sn(R2)3及びB(OH)2などの置換基を有する化合物は、例えば、当業者に公知の化学反応によって放射性同位体標識化合物に変換することができる。
【0057】
本発明の化合物は、当該技術分野で公知の方法で製造できる。例えば、前駆体として用いる非対称尿素は、下記の一般的スキームによって製造できるが、ここでRは、さらに誘導体化することができる基を有する天然又は合成アミノ酸の側鎖である。アミノ酸の具体例は、リジン、システイン、ホモシステイン、セリン、トレオニン、チロシン、フェニルアラニン及び置換フェニルアラニンを含む。置換フェニルアラニンは、フェニル側鎖が例えば、ニトロ、アミノ又はハロゲンで置換されたフェニルアラニンの構造を有する。


【0058】
保護尿素前駆体Cys-C(O)-Glu及びLys-C(O)-Glu(下記に示す)(式中Qはp-メトキシベンジル(PMB)である)は、典型的な化合物を合成するために用いられる。前駆体Cys-C(O)-Gluの製造は、例えばKozikowskiら(29)によって記載されており、Lys-C(O)-Gluの製造は、例えば、Banerjeeら(19)によって記載されている。


【0059】
本発明の化合物は、例えば、保護尿素前駆体と、放射性同位体又は放射性同位体含有化合物に変換もしくは誘導体化できる他の置換基で置換された試薬とを反応させることにより製造できる。保護尿素前駆体、例えば前述のものは、例えば活性化ベンゾアート又は活性化ピリジンカルボキシラートと反応させることができる。ハロベンゾアート及びピリジンカルボキシラートの放射性核種含有前駆体の合成についてはどちらも記載がある(20)(21)(22)(23)(25)(37)(38)。
【0060】
ピリジンカルボキシラート18F前駆体、例えばn-ヒドロキシスクシンイミド活性化ピリジンカルボキシラートは、例えば下記のスキームによって製造できる。


【0061】
他の18Fピリジン前駆体は、下記の、Olbergら(J. Labeled Compd. Radiopharm, vol. 52:Supplement 1, p. S160, 2009)によって記載されている方法によって製造できる。


【0062】
18Fピリジンカルボキシラート前駆体は、例えば下記のスキームに従って本発明の化合物を製造するために使用できる。


【0063】
同様に、次に18F置換化合物に変換できる前駆体を製造できる。例えば、下記のスキームに従って化合物を製造できる。


【0064】
放射性同位体置換基又は、放射性同位体に変換できるかもしくは放射性同位体含有化合物で誘導体化できる置換基を有するブロモメチルピリジン化合物と反応させることによって、適切な保護前駆体、例えば上記のものから他の化合物を製造できる。例えば、下記のスキームは、PMB保護前駆体Cys-C(O)-Gluからの典型的な化合物の製造方法を示す。


【0065】
本発明の化合物の製造に適したブロモメチルピリジン化合物、例えば18F、NO2又はN(CH3)3+置換ブロモメチルピリジンは、例えば下記のスキームに従って製造できる。


【0066】
他の化合物は、例えば、ヒドラジン(-NHNH2)置換ピリジン前駆体から出発し、次いでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール試薬であって、そのそれぞれがフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、及びB(OH)2で置換されている前記試薬で誘導体化することによって製造できる。例えば、下記のスキーム4に示すように、アルデヒド試薬をこのヒドラジン置換基に反応させることができる。得られたイミンを、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム又は他の還元剤で還元して、還元された化合物を得ることもできる。



a. スクシンイミジル6-(N'-tert-ブトキシカルボニル-ヒドラジノ)-ニコチナート、トリエチルアミン、CH2Cl2;b. TFA、CH2Cl2;c. 4-フルオロベンズアルデヒド、50mM KH2PO4、CH3CN;d. 4-[18F]フルオロベンズアルデヒド、50mM KH2PO4
【0067】
他の実施形態は、式



[式中、R5は水素又はp-メトキシベンジルであり;R4は水素、



(式中、Aはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、Sn(R2)3、Si(R2)3又はHgClである)からなる群から選択される]を有する化合物を含む。さらなる実施形態は、上記の構造の化合物であって、放射性同位体を含むものを含む。特定の一実施形態は、下記の式



(式中、PMBはp-メトキシベンジルである)を有する化合物(PMB保護Lys-C(O)-Gluとしても知られる)を含む。他の特定の実施形態は、化合物2-[3-(5-アミノ-1-カルボキシ-ペンチル)-ウレイド]ペンタン二酸(Lys-C(O)-Gluとしても知られる)を含む。他の典型的な実施形態は、下記の化合物を含む。



典型的な放射性同位体含有化合物は下記の化合物を含む。


【0068】
本発明の他の実施形態は、イメージングに適した同位体標識を有する化合物の有効量を細胞に暴露させるか又は被験者に投与することを含む、1以上の細胞、器官又は組織のイメージング法を含む。いくつかの実施形態において、1以上の器官又は組織は前立腺組織、腎組織、脳組織、血管組織又は腫瘍組織を含む。
【0069】
他の実施形態において、イメージング法は、例えば、非放射性標識阻害薬の競合結合を検査することによる、PSMA阻害薬のイメージング検査に適している。さらに他の実施形態において、イメージング法は癌、腫瘍又は新生物のイメージングに適している。他の実施形態において、癌は、目又は眼癌、直腸癌、結腸癌、子宮頚癌、前立腺癌、乳癌及び膀胱癌、口腔癌、良性及び悪性の腫瘍、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、子宮体部、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、腎癌、脳腫瘍(例えば、神経膠腫)、咽頭癌、皮膚黒色腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、基底細胞癌及び扁平上皮癌、小細胞肺癌、絨毛癌、横紋筋肉腫、血管肉腫、血管内皮腫、ウイルムス腫瘍、神経芽細胞腫、口/咽頭癌、食道癌、喉頭癌、リンパ腫、神経線維腫症、結節性硬化症、血管腫ならびにリンパ管新生から選択される。
【0070】
本発明のイメージング法は、PSMAが関与する任意の生理過程又は生理的特徴をイメージングするのに適している。一般的には、イメージング法は、高濃度のPSMAを発現する組織又は標的部位の同定に適している。典型的な用途は、グルタミン酸作動性神経伝達、シナプス前グルタミン酸作動性神経伝達、PSMAを発現する悪性腫瘍又は癌、前立腺癌(転移前立腺癌を含む)及び血管新生のイメージングを含む。本質的にすべての固形腫瘍は、新生血管においてPSMAを発現する。従って、本発明の方法は、肺、腎細胞、膠芽腫、膵臓、膀胱、肉腫、黒色腫、乳房、結腸、生殖細胞、褐色細胞腫、食道及び胃を含むほぼすべての固形腫瘍をイメージングするのに使用することができる。同様に、本発明によって、子宮内膜、神経鞘腫及びバレット食道を含む特定の良性病変及び良性組織をイメージングできる。
【0071】
本発明によって提供される血管新生のイメージング法は、血管新生が起こる種々の疾病・疾患のイメージングに使用するのに適している。例示であって限定するものではない例は、腫瘍、コラーゲン血管疾患、癌、発作、血管奇形、網膜症を含む。本発明によって提供される血管新生のイメージング法は、正常組織発生の診断・診察に使用するのにも適している。
【0072】
PSMAは、しばしば、種々の悪性腫瘍の腫瘍辺縁部及び腫瘍内部における毛細血管の内皮細胞において発現されるため、本発明の化合物及びそれを用いるイメージング法は、このような悪性腫瘍のイメージングに適している。
【0073】
特定の実施形態において、放射性標識化合物はin vivoで安定である。
【0074】
特定の実施形態において、放射性標識化合物は陽電子放出断層撮影法(PET)又は単光子放出断層撮影法(SPECT)で検出される。
【0075】
一実施形態において、本発明は、被験者がヒト、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ヒツジ、ウシ、サル、トリ又は両生類である方法を提供する。他の実施形態において、細胞はin vivo又はin vitroである。本発明の化合物を投与できる典型的な被験者は一般に哺乳動物、具体的には霊長類の動物であり、特にヒトである。獣医治療に関しては、一般にさまざまな被験者が適切であり、例えば家畜、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタなど;家禽、例えばニワトリ、カモ、ガチョウ、七面鳥など;ならびに飼い馴らされた動物、特にペット、例えばイヌ及びネコが適切である。診断用途又は研究用途に関しては、一般に、げっ歯動物(例えばマウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類の動物及びブタ例えば近交系ブタなどを含むさまざまな哺乳動物が適切な被験者である。さらに、in vitro用途、例えばin vitro診断及び研究用途に関しては、一般に、上記被験者の体液及び細胞試料、例えば哺乳動物、特にヒトなどの霊長類の血液、尿もしくは組織試料又は獣医治療に関して言及した動物の血液、尿もしくは組織試料が使用するのに適している。
【0076】
本発明の特定の方法において、患者に投与された放射性標識化合物の放射線への長期の暴露を防ぐために、本発明の化合物は身体の組織から急速に排泄される。一般的には、本発明の化合物は約24時間未満で身体から除去される。より一般的には、本発明の化合物は約16時間、12時間、8時間、6時間、4時間、2時間、90分、又は60分未満で身体から除去される。典型的な化合物は、約60分と約120分の間で除去される。
【0077】
いくつかの実施形態において、化合物は、例えば付属する結合部位に格納される構造的特徴を組み込むことによってPSMAタンパク質に強く結合する。例えば、化合物3において、4-ヨードベンゾイル基はS1結合部位に付属する疎水性ポケットに格納される(39)。
【0078】
特定の実施形態において、本発明の化合物はin vivoで安定なので、注入化合物の実質的に全部、例えば、約50%、60%、70%、80%、又は90%超は排泄前に身体によって代謝されない。本発明の化合物を投与できる典型的な被験者は、一般に哺乳動物、具体的には霊長類の動物であり、特にヒトである。獣医治療に関しては、一般にさまざまな被験者が適切であり、例えば家畜、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタなど;家禽、例えばニワトリ、カモ、ガチョウ、七面鳥など;ならびに飼い馴らされた動物、特にペット、例えばイヌ及びネコが適切である。診断用途又は研究用途に関しては、一般に、げっ歯動物(例えばマウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類の動物及びブタ例えば近交系ブタなどを含むさまざまな哺乳動物が適切な被験者である。さらに、in vitro用途、例えばin vitro診断及び研究用途に関しては、一般に、上記被験者の体液及び細胞試料、例えば哺乳動物、特にヒトなどの霊長類の血液、尿もしくは組織試料又は獣医治療に関して言及した動物の血液、尿もしくは組織試料が使用するのに適している。
【0079】
本発明の他の実施形態は、治療上有効な放射性同位体を含む本発明の化合物の治療的有効量を被験者に投与することを含む腫瘍の治療方法を提供する。特定の実施形態において、腫瘍細胞、例えば前立腺腫瘍細胞又は転移前立腺腫瘍細胞はPSMAを発現することができる。他の実施形態において、PSMAを発現する近接又は隣接細胞をターゲッティングすることによって腫瘍を治療できる。例えば、腫瘍と関連する血管新生を受けている血管細胞をターゲッティングすることができる。本質的にすべての固形腫瘍は、新生血管においてPSMAを発現する。従って、本発明の方法は、肺、腎細胞、膠芽腫、膵臓、膀胱、肉腫、黒色腫、乳房、結腸、生殖細胞、褐色細胞腫、食道及び胃を含むほぼすべての固形腫瘍を治療するのに使用することができる。同様に、本発明によって、子宮内膜、神経鞘腫及びバレット食道を含む特定の良性病変及び良性組織を治療できる。治療上有効な放射性同位体の例は131I及び211Atを含む。
【0080】
他の実施形態は、本発明の化合物を含むキットを提供する。特定の実施形態において、キットは、薬学的に許容される担体及び本発明の化合物を含むパッケージングした医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、パッケージングした医薬組成物は、一般に、放射性標識前駆体との組み合わせによって本発明の化合物を製造するのに必要な反応前駆体を含む。本発明によって提供される他のパッケージングした医薬組成物は、さらに、供給される前駆体から本発明記載の化合物を製造するための使用説明書、PSMAを発現する細胞もしくは組織をイメージングするための組成物を使用するための使用説明書、ストレス関連疾患を患っている患者におけるグルタミン酸作動性神経伝達をイメージングするための組成物を使用するための使用説明書又は前立腺癌をイメージングするための組成物を使用するための使用説明書の少なくとも1つを含む証印を含む。
【0081】
特定の実施形態において、本発明のキットは、薬学的に許容される担体と組み合わせた、約1〜約30mCiの前述の放射性核種標識イメージング剤を含む。イメージング剤及び担体は、液剤又は凍結乾燥剤で提供することができる。キットのイメージング剤及び担体が凍結乾燥剤である場合、キットは場合により、滅菌された生理学的に許容される再構成媒体、例えば水、生理食塩水、緩衝生理食塩水などを含むことができる。キットは、本発明の化合物を液剤又は凍結乾燥剤で提供することができ、本発明のキットのこれらの成分は、場合により安定剤、例えばNaCl、ケイ酸塩、リン酸緩衝液、アスコルビン酸、ゲンチジン酸などを含むことができる。この実施形態において、例えば酸化防止剤で還元剤を提供することによって、キット成分のさらなる安定化を提供できる。このような安定剤及び安定化方法の決定及び最適化は、当業者には公知である。
【0082】
特定の実施形態において、キットは、現場で放射性標識試薬と混合される非放射性標識前駆体を提供する。放射性試薬の例は、Na[125I]、Na[131I]、Na[123I]、Na[124I]、K[18F]、Na[76Br]、Na[75Br]、Na[211At]を含む。他の放射性標識試薬は、前に述べた活性化放射性標識ベンゾイル化合物、活性化放射性標識ピリジンカルボキシラート、活性化放射性標識ブロモメチルピリジン化合物及び活性化放射性標識アルデヒドを含む。
【0083】
当業者は、本発明の方法に従って本発明のイメージング剤を用いることができる。PSMAと接触する部位に集積するイメージング剤の空間的分布の差異によって画像を作成することができる。特定の標識に適した任意の手段、例えばガンマカメラ、PET装置、SPECT装置などを用いて空間的分布を測定することができる。イメージング剤の集積の程度は、放射性放出を定量する既知の方法を用いて定量できる。特に有用なイメージングアプローチは、同時検査を行うために2以上のイメージング剤を用いる。
【0084】
一般に、本発明のイメージング剤の検出可能量が被験者に投与される。本発明によれば、本発明のイメージング剤の"検出可能量(detectably effective amount)"は、臨床用途に使用できる装置を用いて許容される画像を得るのに十分な量と定義される。本発明のイメージング剤の検出可能量は、2以上の注入で投与できる。本発明のイメージング剤の検出可能量は、個体の感受性の程度、個体の年齢、性別及び体重、個体の特異体質反応ならびに線量測定などの要因によって変化しうる。本発明のイメージング剤の検出可能量は、器械及びフィルムに関連する要因によっても変化しうる。このような要因の最適化は、当業者に公知である。診断目的に用いられるイメージング剤の量及びイメージング検査の持続時間は、一般に、薬剤を標識するために用いられる放射性核種、患者の体重、治療される疾患の性質及び重症度、患者が受けてきた治療処置の性質ならびに患者の特異体質反応によって決まる。最終的には、個別の患者に投与するイメージング剤の量及びイメージング検査の持続時間は、一般に担当医が決定する。
【0085】
"薬学的に許容される担体"とは、無菌性、p[Eta]、等張性、安定性などに十分に配慮した生体適合性溶液のことを言い、ありとあらゆる溶媒、希釈剤(滅菌生理食塩水、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、乳酸リンゲル注射液ならびに他の水性緩衝液を含む)、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌薬、等張剤などを含むことができる。薬学的に許容される担体はまた、当業者に公知の安定剤、防腐薬、抗酸化剤又は他の添加剤を含むこともでき、当該技術分野で公知の他のビヒクルを含むこともできる。
【0086】
本明細書において、"薬学的に許容される塩"は、親化合物がその無毒の酸又は塩基塩にすることによって修飾された、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例は、限定するものではないが、塩基性残基、例えばアミンの鉱酸塩もしくは有機酸塩;酸性残基、例えばカルボン酸のアルカリ塩もしくは有機塩;などを含む。薬学的に許容される塩は、例えば無毒の無機酸又は有機酸から形成される、親化合物の通常の無毒の塩又は第四級アンモニウム塩を含む。例えば、通常の無毒の酸塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などから誘導される酸塩;ならびに有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メチルスルホン酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC-(CH2)n-COOH(式中nは0〜4である)から調製される塩などを含む。本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分又は酸性部分を含む親化合物から合成できる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸型と適切な塩基(例えばNa、Ca、Mg又はKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)の化学量論量を反応させるか、又はこれらの化合物の遊離塩基型と適切な酸の化学量論量を反応させることによって製造できる。このような反応は、一般的には水中又は有機溶媒中又はこれら二つの混合物中で行われる。実施可能な場合には、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルなどの非水溶媒が用いられる。さらなる適切な塩のリストは、例えば、Remington 's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton、PA, p. 1418 (1985) において見出すことができる。
【0087】
本願に引用した全ての引用文献(参考文献、発行された特許、公開特許を含む)の内容は、参照によって明確に本願に含まれる。本発明及びその製造方法及び使用方法は、十分で明確で簡潔で正確な用語で記載されているため、本発明が関連する当業者は誰でも、それを製造し、使用することが可能である。
【0088】
前述のものは、本発明の典型的な実施形態を記載したものであって、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の精神又は範囲から逸脱することなく改変を行うことが可能であることが理解されるべきである。
【実施例】
【0089】
本発明は、以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、これらを多少なりとも限定するものと解釈してはならない。本発明の実施には、一般に、特記しない限り慣用法を用いるが、これらは当該分野の技術の範囲内である。これらの技術は文献で十分に説明されている。
【0090】
合成
一般的手順。すべての試薬及び溶媒は、Sigma-Aldrich社(ウィスコンシン州ミルウォーキー)又はFisher Scientific社(ペンシルベニア州ピッツバーグ)のどちらかから購入した。PMB保護Lys-C(O)-Glu(化合物1)のトシラート塩は、報告された手順(19)に従って製造した。1H NMRスペクトルは、Varian Mercury 400mHzスペクトロメータ又はBruker Avance 400mHzスペクトロメータで得た。ESIマススペクトルは、API 15OEX(登録商標)、又はBruker Esquire 3000 plusシステムで得た。高分解能マススペクトル(HRMS)は、ノートルダム大学のMass Spectrometry FacilityにおいてJEOL JMS-AX505HA質量分析計で測定した。基準化合物のHPLC精製は、Waters 490E多波長UV/Vis検出器(マサチューセッツ州ミルフォード)を備えたWaters 625 LCシステムで行った。
【0091】
[125I]NaIは、MP Biomedicals社(カリフォルニア州コスタメサ)から購入した。General Electric PETtrace生物医学サイクロトロン(ウィスコンシン州ミルウォーキー)を用いて、高圧[18O]H2Oを標的とする18MeV陽子衝撃によって[18F]フッ化物を製造した。固相抽出カートリッジ(C18 plus、Sep-Pak)はWaters Associates社から購入した。Capintec CRC-10Rドーズキャリブレータ(ニュージャージー州ラムジー)で放射能を測定した。比放射能は、半分取HPLC精製中の生成物の保持時間で溶離する放射能をUV吸収の曲線下面積に対応する質量で割ったものとして算出した。
【実施例1】
【0092】
2-{3-[5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-1-(4-メトキシ-ベンジルオキシカルボニル)-ペンチル]-ウレイド}ペンタン二酸ビス-(4-メトキシ-ベンジル)エステル(2)。1(0.126g,0.148mmol)のCH2Cl2(4mL)溶液にトリエチルアミン(0.1mL,0.712mmol)を加え、次いでN-ヒドロキシスクシンイミジル-4-ヨードベンゾアート(24)(0.073g,0.212mmol)を加えた。室温で2時間攪拌後、溶媒をロータリーエバポレーターで留去した。メタノール/塩化メチレン(5:95)を用いるシリカカラムで粗生成物を精製して2を0.127g(94%)得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.69 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.17-7.26 (m, 6H), 6.77-6.86 (m, 7H), 5.37-5.46 (m, 2H), 4.93-5.09 (m, 6H), 4.32-4.40 (m, 2H), 3.76-3.77 (m, 9H), 3.30-3.33 (m, 2H), 2.30-2.36 (m, 2H), 2.07-2.12 (m, 1H), 1.84-1.92 (m, 1H), 1.70-1.79 (m, 1H), 1.49-1.57 (m, 3H), 1.25-1.33 (m, 2H). ESI-MS:C43H48IN3O11Na[M+Na]+として、計算値932.2;実測値932.7。
【実施例2】
【0093】
2-{3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド}ペンタン二酸(3)。0℃で2(0.117g,0.129mmol)にアニソール(3%)のTFA(15mL)溶液を加えた。混合物を室温で30分間攪拌し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物をHPLC(Econosil C18 10μ.、250x10mm、H2O/CH3CN/TFA(70/30/0.1)、4mL/分、3は11分で溶離する)で精製して、3を0.040g(57%)得た。1H NMR (400 MHz, D2O:CD3CN = 1:1 (v/v)) δ 7.79 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.08-4.16 (m, 2H), 3.26 (m, 2H), 2.35 (m, 2H), 2.00-2.03 (m, 1H), 1.72-1.84 (m, 2H), 1.52-1.62 (m, 3H), 1.34-1.36 (m, 2H). ESI-MS:C19H24IN3O8Na[M+Na]+として、計算値572.1;実測値572.0。FAB-HRMS:C19H25IN3O8[M+H]+として、計算値550.0686;実測値550.0648。
【実施例3】
【0094】
2-{3-[1-(4-メトキシ-ベンジルオキシカルボニル)-5-(4-トリブチルスタンナニル-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド}ペンタン二酸ビス-(4-メトキシ-ベンジル)エステル(4)。1(0.120g,0.148mmol)のCH2Cl2(6mL)溶液にトリエチルアミン(0.1ml,0.712mmol)を加え、次いでN-ヒドロキシスクシンイミジル-4-トリブチルスタンニルベンゾアート(24)(0.075g,0.147mmol)を加えた。室温で2時間攪拌後、反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。メタノール/塩化メチレン(5:95)を用いるシリカカラムで粗生成物を精製し、4を0.130g(86%)得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.68 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.18-7.24 (m, 6H), 6.80-6.85 (m, 6H), 6.47 (m, 1H), 5.44-5.47 (m, 2H), 4.95-5.09 (m, 6H), 4.41-4.45 (m, 2H), 3.76-3.77 (m, 9H), 3.32-3.38 (m, 2H), 2.35-2.37 (m, 2H), 2.08-2.16 (m, 1H), 1.90-1.94 (m, 1H), 1.70-1.79 (m, 1H), 1.45-1.64 (m, 9H), 1.24-1.30 (m, 8H), 1.01-1.06 (m, 6H), 0.85-0.87 (m, 9H). ESI-MS:C55H75N3O11SnNa[M+Na]+として、計算値1096.4;実測値1096.7。
【実施例4】
【0095】
2-{3-[5-(4-フルオロ-ベンゾイルアミノ)-1-(4-メトキシ-ベンジルオキシカルボニル)-ペンチル]-ウレイド}ペンタン二酸ビス-(4-メトキシ-ベンジル)エステル(5)。1(0.120g,0.164mmol)のCH2Cl2(4mL)溶液にトリエチルアミン(0.1mL,0.712mmol)を加え、次いでN-ヒドロキシスクシンイミジル-4-フルオロベンゾアート(22)(0.043g,0.181mmol)を加えた。室温で2時間攪拌後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。メタノール/塩化メチレン(5:95)を用いるシリカカラムで粗生成物を精製して、5を0.120g(91%)得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.78 (m, 2H), 7.16-7.24 (m, 6H), 7.01 (m, 2H), 6.80-6.85 (m, 7H), 5.51-5.64 (m, 2H), 4.93-5.09 (m, 6H), 4.34-4.40 (m, 2H), 3.75-3.77 (m, 9H), 3.28-3.34 (m, 2H), 2.26-2.38 (m, 2H), 2.04-2.15 (m, 1H), 1.82-1.91 (m, 1H), 1.68-1.74 (m, 1H), 1.44-1.57 (m, 3H), 1.25-1.33 (m, 2H). ESI-MS:C43H48FN3O11Na[M+Na]+として、計算値824.3;実測値824.7。
【実施例5】
【0096】
2-{3-[1-カルボキシ-5-(4-フルオロ-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド}ペンタン二酸(6)。0℃で5(0.081g,0.1mmol)にアニソール(3%)のTFA(15mL)溶液を加えた。混合物を室温で20分間攪拌し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物をHPLC(Econosil C18 10μm、250x10mm、H2O/CH3CN/TFA(75/25/0.1)、4mL/分、精製した6は約9分で溶離する)で精製して、6を0.035g(79%)得た。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 7.66-7.69 (m, 2H), 7.11-7.16 (m, 2H), 4.12-4.19 (m, 2H), 3.28-3.31 (m, 2H), 2.39-2.43 (m, 2H), 2.07-2.09 (m, 1H), 1.79-1.90 (m, 2H), 1.55-1.69 (m, 3H), 1.39-1.40 (m, 2H). ESI-MS:C19H24FN3O8Na[M+Na]+として、計算値464.1;実測値464.4。FAB-HRMS:C19H25FN3O8[M+H]+として、計算値442.1626;実測値442.1646。
【実施例6】
【0097】
2-(3-{1-(4-メトキシ-ベンジルオキシカルボニル)-5-[(5-トリブチルスタンナニル-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)ペンタン二酸ビス-(4-メトキシ-ベンジル)エステル(7)。1(0.120g,0.148mmol)のCH2Cl2(2mL)溶液にトリエチルアミン(0.1mL,0.712mmol)を加え、次いでN-ヒドロキシスクシンイミジル-5-(トリ-n-ブチルスタンニル)-3-ピリジンカルボキシラート(25)(0.075g,0.147mmol)を加えた。室温で30分間攪拌後、メタノール/塩化メチレン(5:95)を用いるシリカカラムで精製して、7を0.115g(76%)得た。1H NMR (400 MHz, CDCI3) δ 8.85 (s, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.19-7.24 (m, 6H), 6.81-6.85 (m, 6H), 6.65 (m, 1H), 5.32-5.35 (m, 1H), 5.22-5.25 (m, 1H), 4.96-5.10 (m, 6H), 4.40-4.47 (m, 2H), 3.70-3.77 (m, 9H), 3.34 (m, 2H), 2.35-2.39 (m, 2H), 2.10-2.15 (m, 1H), 1.90-1.94 (m, 1H), 1.72-1.79 (m, 1H), 1.46-1.59 (m, 9H), 1.27-1.36 (m, 8H), 1.02-1.25 (m, 6H), 0.84-0.87 (m, 9H)。ESI-MS:C54H75IN4O11Sn[M+H]+として、計算値1075.4;実測値1075.5。
【実施例7】
【0098】
2-(3-{1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)ペンタン二酸(8)。7(0.025g,0.023mmol)のメタノール(2mL)溶液に酢酸0.020mL及びヨウ化ナトリウム(0.017g,0.113mmol)を加え、次いでN-クロロスクシンイミド(0.025g,0.187mmol)を加えた。室温で20分後、溶媒を窒素気流下で除去した。次いで、TFAのCH2Cl2溶液(1:1、2mL)を残渣に加えた。室温で1時間後、HPLC(Econosphere C18 10μ.、250x10mm、H2O/CH3CN/TFA(85/15/0.1)、4mL/分、生成物ピークは10分で溶離する)で8(0.008g,62%)を単離した。 1H NMR (400 MHz, D2O) δ 9.00-9.15 (m, 3H), 4.18-4.24 (m, 2H), 3.40-3.41 (m, 2H), 2.45-2.49 (m, 2H), 2.12-2.13 (m, 1H), 1.85-1.97 (m, 2H), 1.64-1.73 (m, 3H), 1.44 (m, 2H). ESI-MS:C18H24IN4O8[M+H]+として、計算値551.1;実測値551.0。FAB-HRMS:C18H24IN4O8[M+H]+として、計算値551.0639;実測値551.0607。
【実施例8】
【0099】
2-{3-[1-カルボキシ-5-(4-[125I]ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド}ペンタン二酸([125I]3)。対応するトリ-n-ブチルスタンニル前駆体4をヨード脱スタンニル化し次いで脱保護することによって[125I]3を製造した。4(1mg,0.932μmol)のメタノール0.1mL溶液に酢酸0.001mL及び[125I]NaIを加え、N-クロロスクシンイミド(0.25mg,0.187μmol)のメタノール0.025mL溶液を加えた。室温で20分間攪拌後、溶媒をN2気流下で除去した。次いで、残渣にアニソール(3%)のTFA溶液(0.1mL)を加えた。室温で5分後、HPLC(Econosil C18 10μ.、250x4.6mm、H2O/CH3CN/TFA(72/28/0.1)、1mL/分)によって[125I]3を単離した。Waters 510ポンプ、Waters 490E可変波長UV/Vis検出器(254nm)及びBioscan Flow Count PMT放射能検出器(ワシントンDC)を用いて、[125I]3の逆相ラジオHPLC精製を行った。この反応の収率は65〜80%であった(3回の異なる測定値)。比放射能は常に>700Ci/mmol(25.9GBq/μmol)であった。
【実施例9】
【0100】
N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-[18F]フルオロベンゾアート[18F]SFB。N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-[18F]ヨードベンゾアート([18F]SFB)を文献手順(23)で製造し、HPLC(Econosphere C18 10μ.、250x10mm、H2O/CH3CN/TFA(75/25/0.1)、5mL/分、生成物ピークは19で溶離する)で精製した。
【0101】
2-{3-[1-カルボキシ-5-(4-[18F]フルオロ-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド}ペンタン二酸([18F]6)。1を2mg、Et3Nを0.002mL含むバイアル中に[18F]SFBのCH2Cl2溶液を加えた。反応混合物を45℃で20分間加熱し、次いで溶媒を窒素気流下で除去した。次いで3%アニソール/TFAを0.1mL加え、反応混合物を45℃で5分間加熱した。HPLC精製(Econosphere C18 10μ.、250x10mm、H2O/CH3CN/TFA[80/20/0.1]、4mL/分)後に最終生成物([18F]6)を得た。出発[18F]フルオリドに基づく[18F]6の減衰補正収率は30〜35%であった(3回の異なる測定値)。[18F]フルオリドの添加の時間からの平均合成時間は180分であった。40mCi [18F]フルオリドから出発して、[18F]6の比放射能は250〜300Ci/mmol(9.1〜11.1GBq/μmol)であることが見いだされた。
【実施例10】
【0102】
2-(3-{1-カルボキシ-5-[(5-[125I]ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸([125I]8)。対応するトリ-n-ブチルスタンニル前駆体7のヨード脱スタンニル化を用い、次いで脱保護して[125I]8を製造した。7(0.05mg,0.047μmol)のメタノール0.05mL溶液に酢酸0.002mL、[125I]NaIを加え、次いでN-クロロスクシンイミド(0.1mg,0.749μmol)のメタノール0.010mL溶液を加えた。室温で20分後、溶媒を窒素気流下で除去した。次いで、アニソール(3%)のTFA(0.1mL)溶液を残渣に加えた。室温で5分後、HPLC(Econosil C18 10μ.、250x4.6mm、H2O/CH3CN/TFA[85/15/0.1]、1mL/分)で[125I]8を単離した。Waters 510ポンプ、Waters 490E可変波長UV/Vis検出器(354nm)及びBioscan Flow Count PMT放射能検出器(ワシントンDC)を用いて[125I]8の逆相ラジオHPLC精製を行った。この反応の収率は59〜75%であった(3回の異なる測定値)。いずれの場合にも、比放射能は>2,000Ci/mmol(74.0GBq/μmol)であった。
【実施例11】
【0103】
2-(3-{1-カルボキシ-5-[2-(4-フルオロ-ベンジリデンアミノオキシ)-アセチルアミノ]-ペンチル}-ウレイド)ペンタン二酸(9)の合成。化合物1(0.062g,0.073mmol)のCH2Cl2(2mL)溶液にトリエチルアミン(0.045mL,0.320mmol)を加え、次いでN-tert-ブチルオキシカルボニル-O-(カルボキシメチル)ヒドロキシアミンヒドロキシスクシンイミジルエステル(0.025 g,0.087 mmol、Bioconjugate Chemistry 1993, 4, 515-20)を加えた。室温で30分間攪拌後、溶媒を留去した。メタノール/塩化メチレン(5:95)を用いるシリカカラムで粗生成物を精製し、化合物10を0.055g(89%)得た。1H NMR (400 MHz, CDC13) ( 7.98 (bs, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.25-7.27 (m, 6H), 6.85-6.88 (m, 6H), 5.56-5.63 (m, 2H), 5.01-5.11 (m, 6H), 4.47-4.53 (m, 1H), 4.27-4.38 (m, 3H), 3.79 (m, 9H), 3.30-3.38 (m, 1H), 3.15-3.21 (m, 1H), 2.36-2.41 (m, 2H), 2.10-2.15 (m, 1H), 1.89-1.95 (m, 1H), 1.74-1.81 (m, 1H), 1.23-1.61 (m, 14H). ESI-MS:C43H57N4O14[M+H]+として、計算値853.4;実測値853.5。
【0104】
アニソール(3%)のTFA(1mL)溶液を化合物10(0.031g,0.036mmol)に加えた。混合物を室温で5分間攪拌し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物をHPLC(Econosil C18 10μ、250x10mm、H2O/CH3CN/TFA(90/10/0.1)、4mL/分)で精製して、化合物11を0.009g(49%)得た。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 4.68 (s, 2H), 4.28-4.35 (m, 2H), 3.34 (m, 2H), 2.58 (m, 2H), 2.24 (m, 1H), 1.78-2.13 (m, 3H), 1.62(m, 2H), 1.49 (m, 2H). ESI-MS:C14H25N4O9[M]+として、計算値393.2;実測値393.3。
【0105】
化合物11(0.005g,0.010mmol)のメタノール(0.3mL)溶液にトリエチルアミン(0.0075ml,0.05mmol)を加え、次いで4-フルオロベンズアルデヒド(0.0017ml、0.016mmol)を加えた。室温で30分後、反応混合物をHPLC(Econosil C18 10μ、250x10mm、H2O/CH3CN/TFA(75/25/0.1)で精製して化合物9(0.002g,41%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O : CD3CN = 1:1) δ 8.26 (s, 1H), 7.56-7.80 (m, 2H), 7.10-7.14 (m, 2H), 4.53 (s, 2H), 4.13-4.17 (m, 1H), 3.96-4.00 (m, 1H), 3.16 (m, 2H), 2.37 (m, 2H), 2.10-2.16 (m, 1H), 1.80-1.88 (m, 2H), 1.65 (m, 1H), 1.54 (m, 1H), 1.42 (m, 1H), 1.28 (m, 1H). ESI-MS:C21H27F4O9Na[M+Na]+として、計算値521.2;実測値521.3。FAB-HRMS:C21H28FN4O9[M+H]+として、計算値499.1840;実測値499.1869。
【実施例12】
【0106】
2-(3-{1-カルボキシ-5-[2-(4-[18F]フルオロ-ベンジリデンアミノオキシ)-アセチルアミノ]-ペンチル}-ウレイド)ペンタン二酸([18F]9)の合成。文献手順(Nuclear Medicine and Biology 19 (1992) 275-281)を用いて4-[18F]フルオロベンズアルデヒドを合成し、HPLC(H2O/CH3CN/TFA70/30/0.1)で精製した。4-[18F]フルオロベンズアルデヒドのHPLC溶離液をH2Oで希釈し、C18 Sep Pakを通過させ、メタノール2mLで溶出した。化合物11(1mg)のメタノール(0.05mL)溶液に[18F]4-フルオロベンズアルデヒドのメタノール2mL溶液を加えた。室温で30分間攪拌し、反応混合物をHPLCで精製して化合物[18F]9を得た。放射化学的収率(減衰補正し、出発[18F]フルオリドに基づいて、n=2で)は6〜9%であった。最終化合物の比活性は350〜1300mCi/μmolであることが見いだされた。
【実施例13】
【0107】
2-[3-(1-カルボキシ-5-{4-[N'-(4-フルオロ-ベンジリデン)-ヒドラジノ]-ベンゾイルアミノ}-ペンチル)-ウレイド]ペンタン二酸(12)の合成。化合物1(0.030g,0.035mmol)のCH2Cl2(2mL)溶液にトリエチルアミン(0.020mL,0.142mmol)を加え、次いでスクシンイミジル4-[2-(tert-ブトキシカルボニル)ヒドラジノベンゾアート(0.020g,0.057mmol、Bioconjugate Chem. 1991, 2, 333-336)のDMF(0.2mL)溶液を加えた。室温で1時間攪拌後、溶媒を留去した。メタノール/塩化メチレン(5:95)を用いるシリカカラムで粗生成物を精製して、化合物13を0.025g(78%)得た。1H NMR (400 MHz, CDC13) δ 7.63 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.19-7.23 (m, 6H), 6.81-6.85 (m, 6H), 6.68 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.61 (s, 2H), 6.15 (bs, 1H) 5.68 (m, 2H), 4.95-5.07 (m, 6H), 4.34-4.45 (m, 2H), 3.74 (m, 9H), 3.25 (m, 2H), 2.31 (m, 2H), 2.10 (m, 1H), 1.84 (m, 1H), 1.19-1.74 (m, 14H). ESI-MS:C48H59N5O13Na[M+Na]+として、計算値936.4;実測値935.9。
【0108】
TFA/CH2Cl21:1(2mL)溶液を化合物13(0.025g,0.027mmol)に加えた。混合物を室温で1時間攪拌し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物をHPLC(Econosphere C18 10μ、250x10mm、H2O/CH3CN/TFA(92/8/0.1)、4mL/分)で精製して化合物14を0.010g(64%)得た。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 7.72(d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.02 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.15-4.23 (m, 2H), 3.35 (m, 2H), 2.46(m, 2H), 2.10-2.17 (m, 1H), 1.80-1.95 (m, 2H), 1.59-1.74 (m, 3H), 1.45 (m, 2H). ESI-MS:C19H28N5O8[M+H]+として、計算値454.2;実測値453.9。
【0109】
化合物14(0.004g,0.009mmol)の水(0.030mL)溶液に50mM KH2PO4(0.1mL)を加え、次いで4-フルオロベンズアルデヒド(0.0011g,0.009mmol)のアセトニトリル0.05mL溶液を加えた。反応混合物を90℃で10分間加熱し、次いでHPLC(Econosphere C18 10μ,250x10mm,H2O/CH3CN/TFA(65/35/0.1)で精製して化合物12(0.003g,76%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O:CD3CN = 3:2) δ 7.82 (s, 1H), 7.64 (m, 4H), 7.11 (m, 4H), 4.14 (m, 2H), 3.24 (m, 2H), 2.01 (m, 2H), 1.94 (m, 1H), 1.80 (m, 2H), 1.52-1.63 (m, 3H), 1.35 (m, 2H). ESI-MS:C26H31FN5O8[M+H]+として、計算値560.2;実測値560.1。
【実施例14】
【0110】
2-[3-(1-カルボキシ-5-{4-[N'-(4-[18F]フルオロ-ベンジリデン)-ヒドラジノ]-ベンゾイルアミノ}-ペンチル)-ウレイド]ペンタン二酸(18F]12)の合成。既知の手順(Nuclear Medicine and Biology 33 (2006) 677-683)を用いて4-[18F]フルオロベンズアルデヒドを合成した。4-[18F]フルオロベンズアルデヒドの粗DMSO溶液に化合物14(1〜2mg)、50mM KH2PO4(0.2mL)を加えた。バイアルをふさぎ、90℃で15分間加熱した。次いで反応混合物をHPLC(Ecomosphere C18 10μ,250x10mm、H2O/CH3CN/TFA[70/30/0.1]、4mL/分)で精製した。放射化学的収率(減衰補正し、出発[18F]フルオリドに基づき、n=2で)は30〜55%であった。化合物12は製造の直後に分解した。最終化合物の比活性は未測定である。
【実施例15】
【0111】
2-{3-[1-カルボキシ-5-({6-[N'-(4-フルオロ-ベンジリデン)-ヒドラジノ]-ピリジン-3-カルボニル}-アミノ)-ペンチル]-ウレイド}ペンタン二酸(15)の合成。化合物1(0.040g,0.047mmol)のCH2Cl2(2mL)溶液にトリエチルアミン(0.020mL,0.14mmol)を加え、次いでスクシンイミジル6-(N'-tert-ブトキシカルボニル-ヒドラジノ)-ニコチナート(0.020 g,0.057 mmol、Bioconjugate Chem. 1991, 2, 333-336)を加えた。室温で1時間攪拌後、溶媒を留去した。メタノール/塩化メチレン(10:90)を用いるシリカカラムで粗生成物精製して化合物16を0.032g(74%)得た。1H NMR (400 MHz, CDC13) δ 8.54 (s, 1H), 7.90 (m, 1H), 7.17-7.23 (m, 6H), 6.90-7.05 (m, 3H), 6.79-6.84 (m, 6H), 6.55 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 5.79 (m, 2H), 4.94-5.07 (m, 6H), 4.38-4.45 (m, 2H), 3.74 (m, 9H), 3.26 (m, 2H), 2.33 (m, 2H), 2.07 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 1.68 (m, 1H), 1.18-1.55 (m, 13H). ESI-MS:C47H59N6O13[M+H]+として計算値915.4;実測値914.9。
【0112】
化合物16(0.032g,0.035mmol)にTFA/CH2Cl21:1(2mL)溶液を加えた。混合物を室温で1時間攪拌し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物をHPLC(Econosphere C18 10μ、250x10mm、H2O/CH3CN/TFA(92/8/0.1)、4mL/分)で精製して化合物17を0.009g(45%)得た。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 8.07-8.40 (m, 2H), 7.00-7.13 (m, 1H), 4.18-4.24 (m, 2H), 3.38 (m, 2H), 2.48 (m, 2H), 2.14 (m, 1H), 1.86-1.98 (m, 2H), 1.62-1.65 (m, 3H), 1.44 (m, 2H). ESI-MS:C18H27N6O8[M+H]+として、計算値455.2;実測値455.0。
【0113】
化合物17(0.005g,0.0011mmol)の水(0.030mL)溶液に50mM KH2PO4(0.1mL)を加え、次いで4-フルオロベンズアルデヒド(0.002g,0.0016mmol)のアセトニトリル0.05mL溶液を加えた。反応混合物を90℃で10分間加熱し、次いでHPLC(Econosphere C18 10μ、250x10mm、H2O/CH3CN/TFA(80/20/0.1)で精製して化合物15(0.002g,41%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 8.38 (m, 1H), 8.22 (m, 2H), 7.83 (m, 2H), 7.20 (m, 3H), 4.26 (m, 2H), 3.41 (m, 2H), 2.52 (m, 2H), 2.11 (m, 1H), 1.92 (m, 2H), 1.73 (m, 3H), 1.47 (m, 2H). ESI-MS:C25H30FN6O8[M+H]+として、計算値561.2;実測値560.9。
【実施例16】
【0114】
2-{3-[1-カルボキシ-5-({6-[N'-(4-[18F]フルオロ-ベンジリデン)-ヒドラジノ]-ピリジン-3-カルボニル}-アミノ)-ペンチル]-ウレイド}ペンタン二酸([18F]15)の合成
【0115】
既知の手順(Nuclear Medicine and Biology 33 (2006) 677-683)を用いて4-[18F]フルオロベンズアルデヒドを合成した。4-[18F]フルオロベンズアルデヒドの粗DMSO溶液に化合物16(1〜2mg)、50mM KH2PO4(0.2mL)を加えた。バイアルをふさぎ、90℃で15分間加熱した。次いで反応混合物をHPLC(Ecomosphere C18 10μ,250x10mm、H2O/CH3CN/TFA[80/20/0.1]、4mL/分)で精製した。放射化学的収率(減衰補正し、出発[18F]フルオリドに基づき、n=1で)は49%であった。
【実施例17】
【0116】
in vitro結合
NAALADアーゼアッセイ。NAAGの加水分解は、本質的に前述の方法で行った(26)(27)。簡潔に言えば、NAALADアーゼ緩衝液(50mMトリス[pH7.4]及び0.5%トリトンX-100)中で、超音波処理によってLNCaP細胞抽出物を調製した。阻害薬の有り無しで、37℃で10分間細胞溶解物をインキュベートした。インキュベーションに続いて、放射性標識基質N-アセチル-L-アスパルチル-L-(3,4-3H)グルタマート(NEN Life Science Products社、マサチューセッツ州ボストン)を、37℃で10〜15分間、最終濃度が30nMとなるように加えた。等容量の氷冷した100mMリン酸ナトリウム及び2mM EDTAを添加して反応を停止させた。生成物をAG 1-X8ギ酸塩型樹脂(Bio-Rad Laboratories社、カリフォルニア州Hercules)陰イオン交換クロマトグラフィーによって分配し、1Mギ酸ナトリウムで溶出し、液体シンチレーション計数法で定量した。片対数プロットを用いて阻害曲線を作成し、酵素活性が50%阻害される濃度でIC50値を決定した。アッセイは3連で行い、親和性及び阻害様式を確認するために、全阻害試験を少なくとも2回行った。加水分解の直線相(すなわち、<全基質の20%切断)においてデータを採取した。チェン-プルソフ変換(28)を用いて酵素阻害定数(Ki値)を求めた。GraphPad Prism version 4.00 for Windows(登録商標) (GraphPad Software社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いてデータ分析を行った。
【0117】
同様に、以前報告された手順(29)による蛍光ベースアッセイを用いて、PSMA活性を測定した。簡潔に言えば、LNCaP細胞抽出物の溶解物を、4μM NAAGの存在下で阻害薬と共にインキュベートした。Amplex Redグルタミン酸キット(Molecular Probes社、米国オレゴン州ユージーン)の希釈標準溶液と共にインキュベートすることにより還元グルタマートの量を測定した。VICTOR3Vマルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer社、米国マサチューセッツ州ウォルサム)を用い、励起光490nm、発光642nmで読み取ることにより蛍光を測定した。
【0118】
3、6及び8(26)に対するKi値を測定するために、NAALADアーゼ阻害アッセイを企てた。所定量の[3H]NAAG(30nM)に対して、各化合物の濃度を0.01nMから1000nMまで変化させた。LNCaP細胞溶解物からNAALADアーゼ(PSMA)を調製した。生じた酵素切断産物である[3H]グルタマートの百分率をシンチレーション計数法によって測定し、研究中の化合物の対数濃度に対してプロットした。50%[3H]グルタマート生産(50%阻害)に対して得られたデータの線形回帰を求め、3に対して0.010nM、6に対して0.256nM、8に対して0.351nMのKi値を得た(表1)。この結果は、このクラスの他の化合物(30)に沿っている。これらの化合物を親和性に関する第2試験として蛍光ベースの阻害アッセイで評価したとき、3、6及び8のKi値は、それぞれ0.010、0.194及び0.557nMであった。

表1 in vitro PSMA阻害活性及び算出ClogD値

aNAALADアーゼ(放射定量)アッセイから得られた。b95%信頼区間。c蛍光ベースアッセイから得られた。
【実施例18】
【0119】
PSMA活性部位における阻害薬モデリング
タンパク質の構築。構造不規則性を補正し、アミノ酸残基の結合順序及び結合性を定めることができるDiscovery Studio 2.0(DS 2.0)で実行されるクリーンアッププロセスによって、2-PMPAとの複合体(PDB ID:2PVW)又は化合物3との複合体(PDB ID:3D7H)におけるGCPII結晶構造として、ドッキングスタディのためのGCPIIの3-D座標を求めた。タンパク質に作用するCHARMm力場及びドッキングスタディの結合部位は、受容体空洞部位の選択肢を用いて、自動化された方法によって得た。活性部位における2つの亜鉛イオン及び1つのクロリドイオンは、それぞれ+2及び1の形式電荷を有し、Zn2+及びCl-とタイプした。
【0120】
CDOCKERを用いるドッキングスタディ。デフォルト設定値を変更し(トップヒット:20、ランダム配座:20、ランダム配座動力学ステップ:1000、ランダム配座動力学標的温度:1000、精密配向:20、最大配向不良:800、配向vdWエネルギー閾値:300、加熱シミュレーションステップ:2000、標的加熱温度:700、冷却ステップ:5000、標的冷却温度:300、グリッド伸長:8、リガンド部分電荷:CHARMm)、DS 2.0により実行されるCDOCKERモジュールを用い、2PVWの2つのコンホマーを用いて、化合物3、6及び8のドッキングスタディを行った。GCPII複合体(PDB ID:3D7H)からの結晶リガンド3(明るめの色で示されている)とのオーバーレイ構造(図1及び2)を作成するために、高CDOCKERエネルギーを有する各リガンドの最良ポーズを用いた。結晶リガンド3から3Å以内の7つの水分子を3D7Hでのドッキングスタディに含めた。
【0121】
3と複合体を形成したPSMA結晶構造(タンパク質データバンク(PDB ID:3D7H)に寄託された)が解明された。3ばかりでなく、他の尿素ベースPSMA阻害薬、例えばDCIT、DCMC及びDCFBCと共結晶化されたPSMAの詳細は、Barinkaら(39)によって記載されている。モデリング研究から予測されるように、3とPSMAの複合体において、アルギニンパッチ領域の結合配座のみが見いだされた。他の2つの化合物(6及び8)の潜在的結合様式を解明するために、活性部位における水分子の存在下又は非存在下で、3D7Hの3-D座標を用いてドッキングスタディを行った。CDOCKERモジュールを用いたドッキングスタディからの3、6及び8の最良ポーズを、結晶リガンド、すなわちPSMAと共結晶化された3の化合物とオーバーレイして図1に示す。図1に示すように、すべての放射性核種含有部分(4-ヨードフェニル、4-フルオロフェニル及び5-ヨード-3-ピリジル)は、S1結合部位のアルギニンパッチ内に位置していた。4-ヨードフェニル及び4-フルオロフェニル基は、5-ヨード-3-ピリジル部分と比較して、サブポケット内に深く突き出していた。3つのポーズのCDOCKERスコアは、3(80.63)>6(72.39)>8(69.78)の順であった。3、6及び8の芳香環は、Arg463及びArg534のグアニジン官能基とπ-π相互作用を示し、サブポケット内のリガンドの安定化をもたらす。8の場合は、ピリジン環の窒素が、Asp465のカルボキシラートとの静電相互作用及び1つの水分子との水素結合を可能にする。活性部位に水分子を有さないPSMAのドッキング結果により、6及び8の放射性核種含有部分がサブポケットの外側にあり、トンネル領域(図2)に突き出しているのに対し、3の4-ヨードフェニル基はサブポケットに突き出していることが示された。in vitro PSMA阻害活性及び分子モデリング研究に基づけば、S1結合部位のサブポケットとのリガンド相互作用は、トンネル領域との相互作用よりも結合親和性により貢献すると考えられる。
【0122】
驚くことではないが、3、6及び8は、PSMA活性部位内で同様な配座をとる。いずれの場合にも、放射性核種含有部分はS1’結合部位のアルギニンパッチ領域内に格納される。しかしながら、8の場合はそのポケット内でそれほど深くない(図1)。化合物3はPSMAと共結晶化されており、その化合物の結合配座は酵素のArg463及びArg534と有効なπ-πスタッキングを示すが、8のピリジン部分は同様に有効なπ-π相互作用を生じることができない。しかしながら、3又は6と異なり、8はAsp465(ピリジン窒素を介して)、Asp453(カルボニル酸素を介して)及び水分子と相互作用できる。なぜなら、放射性核種含有部分のカルボニル基がS1サブポケットの方角を向いているからである。これらのさらなる相互作用は、8の有効性の低いπ-π結合ジオメトリーの短所を補い、高親和性相互作用を提供し、腫瘍の明確な描写を与えるイメージング剤をもたらす(図5)。6は、活性部位内で3と大変類似した配座を採用しているが、かなり低い結合親和性を示す。恐らくこれは、正に荷電したアルギニンパッチ内の3のヨウ素のさらなる相互作用によるものと考えられる。合わせて考えれば、3、6及び8の親和性(表1)は、分子モデリングに基づく断定と一致する。
【0123】
生体内分布及びイメージング
細胞株及びマウスモデル:PC-3 PIP(PSMA+)及びPC-3 flu(PSMA-)細胞株はDr. Warren Heston(クリーブランド・クリニック)から入手したものであり、既述のように維持した(19)。すべての細胞は80〜90%コンフルエンスに達するまで増殖させ、次いでトリプシン処理し、ハンクス平衡塩溶液(HBSS、Sigma社、ミズーリ州セントルイス)に加えてマウスに移植した。
【0124】
すべての動物実験は、動物実験の実施に関する施設のガイドラインを全面的に遵守して行った。雄重症複合免疫不全(SCID)マウス(Charles River Laboratories社、マサチューセッツ州ウィルミントン)の各肩の前方の皮下に細胞1〜5x106個を移植した。左肩の前方にPC-3 PIP細胞を移植し、右肩の前方にPC-3 flu細胞を移植した。腫瘍異種移植片が直径で3〜5mmに達したとき、マウスをイメージングするか又は生体内分布アッセイに用いた。
【0125】
ex vivo生体内分布及びイメージング
【実施例19】
【0126】
化合物[125I]3。異種移植SCIDマウスに、尾静脈を介して74Bq(2μCi)の[125I]3を注入した。注入後30分、60分、120分、300分、12時間、24時間及び48時間で、頸椎脱臼によってそれぞれ4匹のマウスを屠殺した。心臓、肺、肝臓、胃、膵臓、脾臓、脂肪組織、腎臓、筋肉、小腸、大腸、膀胱、PIP腫瘍及びflu腫瘍を直ちに摘出した。血液試料0.1mLもまた採取した。器官の重さをはかり、組織の放射能を自動γ線測定装置(1282 Compugamma CS、Pharmacia/LKB Nuclear社、メリーランド州ゲーサーズバーグ)で測定した。初回量の標準希釈試料との比較によって、組織1g当たりのパーセント注入量(%ID/g)を算出した。全ての測定値を減衰補正した。
【0127】
表2に、[125I]3のex vivoげっ歯類組織分布結果の概略を示す。血液、腎臓、膀胱、脾臓及びPSMA+ PC-3 PIP腫瘍は、最初の注入後30分(p.i.)時点で高い取り込みを示す。注入後60分で、膀胱は最大の取り込みを示すが、PSMA+ PC-3 PIP腫瘍における取り込みもまた、その最大絶対値に達する。腎臓は、注入後24時間で、その最大取り込みに達する。腎臓において見られる値は、腎クリアランスによるというよりはむしろ、主として近位尿細管におけるPSMAの高い発現量による特異的結合によるものである(31)(32)。膀胱取り込みは、常に排泄を表す。すなわち、膀胱壁への特異的結合は見られなかった。腫瘍取り込みは、PIP:flu比が60分において10:1であるのに48時間で140:1に上昇することによって示されるように、高度の特異性を示す。他の器官に対する腫瘍内放射性医薬品取り込みもまた時間と共に増加する。操作された(PC-3 PIP及びPC-3 flu)腫瘍の使用を考慮に入れれば、結合特異性を測定するために、部位特異的遮断研究は、それらが重複すると考えられたため行わなかった。
【0128】
表2 担腫瘍マウスにおける[125I]3のex vivo生体内分布a,b

a.数値は%ID/g±SDである;ND=未測定;48時間目(n=3)を除いてn=4である。Int.=腸である。
b.Pip腫瘍:器官比は括弧内に示してある。
【実施例20】
【0129】
化合物[18F]6。以下の例外を除いて、[125I]3と同様に、ex vivo生体内分布を得た:マウスに3.7MBq(100[μCi)の[18F]6を注入し、取り込み時間は注入後30分、60分、120分及び300分であった。
【0130】
表3は[18F]6の組織取り込みを示す。この放射性医薬品はまた、PSMA+ PIP腫瘍(注入後30分で8.58±3.09%ID/g)及び腎臓(注入後30分で72.05±3.19%ID/g)への迅速な特異的取り込みを示した。非特異的組織への取り込み及びそれからの流出は、それぞれ遅い及び速いであった。肝臓及び脾臓のみが、PIP腫瘍において見られる取り込み値と匹敵する取り込み値を示した。脾臓は、非特異的組織の中で最大の取り込みを示す(注入後30分で12.67±0.36%ID/g)が、これは恐らく、GCPII/PSMAの近いホモログであるGCPIIIの存在によるものと考えられる(33)。[18F]6はGCPIIと同様にGCPIIIに結合できると考えられる。なぜなら、いくつかの他のPSMAリガンドが同様であることが示されているからである(34)。

表3 担腫瘍マウスにおける[18F]6のex vivo生体内分布a,b

a.数値は%ID/g±SD、n=4、int.=腸である。
b.Pip腫瘍:器官比は括弧内に示してある。
【実施例21】
【0131】
化合物[125I]8。PC-3 PIP及びPC-3 flu異種移植SCIDマウスに、尾静脈を介して74KBq(2μCi)の[125I]8を注入した。注入後30分、60分、240分、8時間及び24時間で、頸椎脱臼により、それぞれ4匹のマウスを屠殺した。直ちに心臓、肺、肝臓、胃、膵臓、脾臓、脂肪組織、腎臓、筋肉、小腸、大腸、膀胱、PIP腫瘍及びflu腫瘍を除去した。血液試料0.1mLもまた採取した。すべての器官の重さをはかり、自動γ線測定装置(1282 Compugamma CS、Pharmacia/LKB Nuclear社、メリーランド州ゲーサーズバーグ)で測定した。初回量の標準希釈試料との比較によって、%ID/gを算出した。全ての測定値を減衰補正した。
【0132】
表4は[125I]8のex vivoげっ歯類組織分布結果の概略を示す。肝臓、脾臓、腎臓及びPSMA+ PC-3PIP腫瘍は、最初の注入後30分時点で高い取り込みを示した。注入後60分で腎臓は最大の取り込みを示したが、PSMA+ PC-3 PIP腫瘍は一様であり、30分での値と同様な値を示した。24時間では、個別の非標的器官からの放射能の完全なクリアランスが認められた。上記した他の放射性医薬品と同様に、腎臓において見られる値は、腎クリアランスによるというよりはむしろ主として特異的結合による。膀胱取り込みは、常に排泄を表していた。すなわち、膀胱壁への特異的結合は見られなかったが、腫瘍取り込みは、PIP:flu比が30分において18:1であるのに24時間において48:1に上昇することによって示されたように、高度の特異性を示した。[125I]3と同様に、他の器官に対する腫瘍内放射性医薬品取り込みもまた時間と共に増加する。

表4担腫瘍マウスにおける[125I]8のex vivo生体内分布a,b

a.数値は%ID/g±SD、n=4、int.=腸である。
b.Pip腫瘍:器官比は括弧内に示してある。
【0133】
ex vivo生体内分布について言えば、注入後1時間で3は6の約2倍の腫瘍取り込みを示したに過ぎないが、親和性は約25倍高い。しかしながら、6の標的対非標的(PIP:flu)比は3よりも高く、より低い非特異的結合を反映している。これらの標的対非標的比は、3に関しては注入後48時間でおおよそ140に上昇し、6に関しては5時間で31に上昇する。化合物8は、芳香環がピリジンであり、ヨウ素が3位で置換されている点で3とは異なる。注入後1時間で、8は3と比較して同様に高い腫瘍取り込み(12.05±4.92%ID/g)を示したが、その時間でずっと高い標的対非標的(PIP:flu)を示し(22)、それは注入後24時間では48.3まで上昇した。興味深いことに、8の親和性は、試験された3つの化合物の中で最も低かった(表1)。しかしながら、注入後1時間で、8は最大の標的対非標的比を与える。このシリーズの99mTc標識化合物を用いたこれまでの研究で示されたように、親和性とin vivo腫瘍取り込み選択性との間に明確な関係が存在しないことが今回も示された。特に、これらの親和性のすべては極めて高く、腫瘍は明確に描写されている(図3〜5)。
【0134】
in vivo生体内分布及びイメージング
【実施例22】
【0135】
化合物[125I]3。PC-3 PIP及びPC-3 flu異種移植片の両方を移植したスキッドマウス一匹に、37MBq(1mCi)の[125I]3の生理食塩液を静脈内に注入した。注入後4時間及び6時間で、マウスをイソフルランで麻酔し、1%イソフルランを含有する酸素下においた。マウスをX-SPECT(Gamma Medica社、カリフォルニア州ノースリッジ)のガントリー上に配置し、増分当たり45秒、6°の増分で360°回転する2つの低エネルギー高分解能ピンホールコリメータ(Gamma Medica社)を用いてスキャンした。Lunagemソフトウェア(Gamma Medica社、カリフォルニア州ノースリッジ)を用いて、すべてのガンマ画像を再構成した。SPECT収集後直ちに、600μA、50kVビームを用い、4.6cmの視野でCT(X-SPECT)でマウスをスキャンした。次いで、供給業者のソフトウェア(Gamma Medica社、カリフォルニア州ノースリッジ)を用いてSPECT及びCTデータを画像の位置合わせ処理を行い、AMIDE(http://amide.sourceforge.net/)を用いて表示した。逐次部分期待値最大化(OS-EM)アルゴリズムを用いてデータを再構成した。
【0136】
図3は、注入4時間後における放射性医薬品取り込みのSPECT-CT画像を示す。PC-3 PIPにおける強い取り込みと、PC-3 flu腫瘍における取り込みの欠如に注目のこと。ラジオトレーサーの甲状腺取り込みは、デハロゲナーゼによる脱ヨウ素反応による遊離[125I]ヨージドの存在を示す(35)(36)。しかしながら、遊離[125I]ヨージドの量は、PC-3 PIP腫瘍取り込み量と比較して小さい(甲状腺:筋肉=2;PIP腫瘍:甲状腺=12.5)。肝臓において見られる少量の放射性医薬品取り込みと同時に起こる胃腸の取り込みがないことは、[125I]3(pH7.4においてClogD=-5.16)の親水性によるものと考えられる。
【実施例23】
【0137】
[0138化合物[18F]6。in vivo PET-CT:PC-3 PIP及びPC-3 flu異種移植片を皮下に移植したスキッドマウス1匹を3%イソフルラン含有酸素を用いて麻酔を導入し、0.8L/分の流量の1.5%イソフルラン含有酸素で麻酔を維持し、GE eXplore Vista小動物PETスキャナ(GE Healthcare社、ウィスコンシン州Milwaukee、WI)のガントリー上にうつぶせに配置した。7.4MBq(200μCi)の[18F]6をマウスの静脈内に注入し、次いで以下のプロトコルを用いて画像収集を行った:準動的スキャン、すなわち3つのベッド位置で、全部で90分で得た一連の連続全身画像として画像を得た。各位置での滞留時間は5分であり、従って所定のベッド位置(又はマウス器官)は15分毎に再訪される。250〜700keVのエネルギーウィンドウを用いた。FORE/2D-OSEM法(2反復、16サブセット)を用いて画像を再構成し、放射能低下、スキャナむだ時間及び散乱線に対する補正を含めた。
【0138】
図4は、注入後94〜120分のダイナミックスキャンの平均化結果を示す。[18F]6の取り込みパターンは、[125I]3に関して観察されたものと大変類似していた。すなわち、PIP腫瘍内では容易に観察され、flu腫瘍内では観察されず、高い腎取り込みが見られ、中程度の肝臓取り込みが見られた。その結果は、[18F]6(pH7.4で-5.64)と[125I]3の類似したClogD値によって予想されたものである。[125I]3に関しては、持続的に集積する放射性尿の存在によって膀胱は視覚化される。しかしながら、膀胱壁への特異的結合は示されなかった。
【実施例24】
【0139】
化合物[125I]8。LNCaP異種移植片を移植したスキッドマウス1匹に、37MBq(1mCi)の[125I]8の生理食塩液を静脈内に注入した。注入後4時間で、マウスをイソフルランで麻酔し、1%イソフルラン含有酸素下で麻酔を維持した。マウスをX-SPECT(Gamma Medica社、カリフォルニア州ノースリッジ)のガントリー上に配置し、増分当たり45秒、6°の増分で360°回転する2つの低エネルギー高分解能ピンホールコリメータ(Gamma Medica社)を用いてスキャンした。Lunagemソフトウェア(Gamma Medica社、カリフォルニア州ノースリッジ)を用いて、すべてのガンマ画像を再構成した。SPECT収集後直ちに、600μA、50kVビームを用い、4.6cmの視野でCT(X-SPECT)でマウスをスキャンした。次いで、供給業者のソフトウェア(Gamma Medica社、カリフォルニア州ノースリッジ)を用いてSPECT及びCTデータを画像の位置合わせ処理を行い、AMIDE(http://amide.sourceforge.net/)を用いて表示した。逐次部分期待値最大化(OS-EM)アルゴリズムを用いてデータを再構成した。
【0140】
図5は、注入後4時間での放射性医薬品取り込みのSPECT-CT画像を示す。腫瘍集積と滞留は高く流出は遅いが、非標的組織からの[125I]8の流出は迅速であった。
【0141】
フェニルアナログとピリジンアナログとの標的/非標的比の比較データ
注入後5時間での化合物3(4-ヨードベンゾイル誘導体)及び注入後4時間での化合物8(3-ヨード-5-カルボキシル-ピリジル誘導体)に関する標的/非標的比を示す。標的/非標的比を下記の表5に示す。

表5

【0142】
3に対する8の改善された標的/非標的比は、それぞれの血液クリアランスが同等であり、3は特に後期の時点で腫瘍へのより高い集積を示すにもかかわらず、8のより速い非標的クリアランスによるものと考えられる。化合物3は8よりも親油性が高く、脂肪組織へのより高い取り込みを示す。脂肪組織への3の集積は、腫瘍及び正常器官への取り込みのための3の徐放性を提供する可能性がある。
【0143】
腫瘍及び腎臓(マウスにおけるPSMAリッチ)への高く長期の3の取り込みは、この化合物のPSMAへの強い結合によるものである。4-ヨードフェニル部分は、S1結合部位に付属する疎水性ポケットに格納され、さらなる疎水性-疎水性相互作用を提供する(39)。ピリジンアナログは3よりも極性が高いので、これらは、この結合部位においてより低い疎水性-疎水性相互作用を示すと考えられる。
【0144】
化合物6は化合物8よりもさらに優れた標的/非標的比を有する。従って、より極性の高い6のピリジンアナログのバックグラウンドクリアランスは、さらに優れた腫瘍-非標的比を与えると期待される。
【0145】
参考文献






【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造



[式中、Zはテトラゾール又はCO2Qであり;
各Qは独立して水素又は保護基から選択され;かつ
(A)mは0、1、2、3、4、5又は6であり;
Rは



からなる群から選択されるピリジン環であり、ここでXはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、B(OH)2、-NHNH2、-NHN=CHR3、-NHNH-CH2R3であり;
nは1、2、3、4又は5であり;
YはO、S、N(R')、C(O)、NR'C(O)、C(O)N(R')、OC(O)、C(O)O、NR'C(O)NR'、NR'C(S)NR'、NR'S(O)2、S(CH2)p、NR'(CH2)p、O(CH2)p、OC(O)CHR8NHC(O)、NHC(O)CHR8NHC(O)又は共有結合であり;ここでpは1、2又は3であり、R'はH又はC1-C6アルキルであり、R8は水素、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれは置換されていてもよく;
R2はC1-C6アルキルであり;
R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換されているか;あるいは
(B)mは0、1、2、3、4、5又は6であり;
YはO、S、N(R')、C(O)、NR'C(O)、C(O)N(R')、OC(O)、C(O)O、NR'C(O)NR'、NR'C(S)NR'、NR'S(O)2、S(CH2)p、NR'(CH2)p、O(CH2)p、OC(O)CHR8NHC(O)、NHC(O)CHR8NHC(O)又は共有結合であり;ここでpは1、2又は3であり、R'はH又はC1-C6アルキルであり、R8は水素 アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれは置換されていてもよく;
Rは



であり、ここでX'はNHNH2、-NHN=CHR3及びNHNH-CH2R3からなる群から選択され;R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体;NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換され;
R2はC1-C6アルキルであり;
nは1、2、3、4又は5であるか;あるいは
(C)mは4であり、
YはNR'であり、
Rは



であり、ここでGはO、NR'又は共有結合であり;
R'はH又はC1-C6アルキルであり;
pは1、2、3又は4であり、
R7はNH2、N=CHR3、NH-CH2R3からなる群から選択され、ここでR3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、B(OH)2で置換され;R2はC1-C6アルキルである]を有する化合物。
【請求項2】
ZがCO2Qである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Qが水素である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
mが1、2、3又は4である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
構造



[式中、mは0、1、2、3、4、5又は6であり;
Rは



からなる群から選択されるピリジン環であり、ここでXはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体、アスタチンの放射性同位体、NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、B(OH)2、-NHNH2、-NHN=CHR3及びNHNH-CH2R3であり;
各Qは独立して水素又は保護基から選択され;
YはO、S、N(R')、C(O)、NR'C(O)、C(O)N(R')、OC(O)、C(O)O、NR'C(O)NR'、NR'C(S)NR'、NR'S(O)2、S(CH2)p、NR'(CH2)p、O(CH2)p、OC(O)CHR8NHC(O)、NHC(O)CHR8NHC(O)又は共有結合であり;ここでpは1、2又は3であり、R'はH又はC1-C6アルキルであり、R8は水素、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれは置換されていてもよく;
Zはテトラゾール又はCO2Qであり;
R2はC1-C6アルキルであり;
R3はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれはフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体;NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)又はB(OH)2で置換されている]を有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
構造



(式中、mは0ではない)を有する、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
ZがCO2Qであり、Qが水素であり、mが4である、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
構造



(式中、mは0ではない)を有する、請求項5記載の化合物。
【請求項9】
ZがCO2Qであり、Qが水素であり、mが1、2又は3である、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
mが0、1、2、3、4、5又は6であり;
YがO、S、N(R')、C(O)、NR'C(O)、C(O)N(R')、OC(O)、C(O)O、NR'C(O)NR'、NR'C(S)NR'、NR'S(O)2、S(CH2)p、NR'(CH2)p、O(CH2)p、OC(O)CHR8NHC(O)、NHC(O)CHR8NHC(O)又は共有結合であり;ここでpが1、2又は3であり、R'がH又はC1-C6アルキルであり、R8が水素、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれが置換されていてもよく;
Rが



であり、ここでX'がNHNH2、-NHN=CHR3、-NHNH-CH2R3からなる群から選択され;R3がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、そのそれぞれがフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体;NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)、及びB(OH)2で置換され、R2がC1-C6アルキルであり;
nが1、2、3、4又は5である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項11】
nが1である、請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項12】
X又はX'が、フッ素、ヨウ素又はフッ素もしくはヨウ素の放射性同位体、臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体である、請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項13】
X又はX'が、フッ素、ヨウ素又はフッ素もしくはヨウ素の放射性同位体である、請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項14】
mが4であり、YがNR'でありRが



であり、ここでGがO、NR'又は共有結合であり、
pが1、2、3又は4であり、
R7がNH2、N=CHR3、NH-CH2R3からなる群から選択され、R3がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールであり、そのそれぞれがフッ素、ヨウ素、フッ素の放射性同位体、ヨウ素の放射性同位体、塩素 臭素、臭素の放射性同位体又はアスタチンの放射性同位体 NO2、NH2、N+(R2)3、Sn(R2)3、Si(R2)3、Hg(R2)及びB(OH)2で置換され、R2がC1-C6アルキルである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項15】
GがO又はNR'である、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
Rが放射性同位体を含む、請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項17】
放射性同位体が18F、123I、124I、125I、126I、131I、75Br、76Br、77Br、80Br、80mBr、82Br、83Br及び211Atからなる群から選択される、請求項16記載の化合物。
【請求項18】



からなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
構造



を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
構造



を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
1以上の細胞、器官又は組織のイメージング法であって、請求項16〜20のいずれか1つに記載の化合物の有効量を細胞に暴露させるか又は生物体に投与することを含む前記方法。
【請求項22】
1以上の器官又は組織が前立腺組織、腎組織、脳組織 血管組織又は腫瘍組織を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
治療上有効な放射性同位体を含む、請求項1〜17のいずれか1つに記載の化合物の治療的有効量を投与することを含む腫瘍の治療方法。
【請求項24】
請求項1〜20のいずれか1つに記載の化合物を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−529919(P2011−529919A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521362(P2011−521362)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/052456
【国際公開番号】WO2010/014933
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(399005046)ザ ジョンズ ホプキンズ ユニヴァーシティー (2)
【Fターム(参考)】