PSMA結合性リガンド−リンカー結合体及び使用方法
本明細書に記載されているものは、治療、診断及び画像化剤を送達するのに有用な、前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合性の結合体である。また、それらを含有する医薬組成物、並びに結合体及び組成物を使用する方法も本明細書に記載されている。また、結合体及びそれらを含有する組成物の製造するための方法も記載されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される発明は、前立腺癌のような前立腺の疾患及び関連する疾患を治療する化合物及び方法に関する。より詳細には、本明細書に記載される発明の実施態様は、PSMA結合性リガンドに結合している生物学的活性剤の結合体に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺は、骨盤内の膀胱の下部に見出される男性生殖器官の一つである。生殖の際に膣の中に導入された精子の生存に重要である栄養素及び流体を提供する精液を産生及び保存するように機能する。他の多くの組織のように、前立腺も悪性(癌性)又は良性(非癌性)腫瘍を発症する傾向がある。米国癌協会は、2005年に230,000人を超す男性が前立腺癌と診断され、30,000人を超す男性がその疾患により死亡していると予測した。事実、前立腺癌は、西洋社会における最も一般的な男性の癌の一つであり、米国男性において2番目に多い悪性形態である。現行の前立腺癌の治療方法には、ホルモン療法、放射線療法、外科治療、化学療法、光力学療法及び併用治療が含まれる。治療の選択は、一般に癌の病期に応じて変わる。しかし、これらの治療の多くは、患者の、特に前立腺癌と診断された50歳を超えた患者の生活の質に影響を与える。例えば、ホルモン薬の使用は、多くの場合に骨粗鬆症及び肝損傷のような副作用を伴う。そのような副作用は、疾患状態に関与する組織に対してより選択的又は特異的であって、骨又は肝臓のような非標的組織を回避するような治療を使用すれば、緩和することができる。本明細書に記載されるように、前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、そのような選択的又は特異的な治療のための標的となる。
【0003】
PSMAは、主に前立腺癌細胞におけるその高レベルの発現によって命名されているが、前立腺癌細胞に対するその特定の機能は依然として未解決のままである。PSMAは、腎臓、近位小腸及び唾液腺のようなヒトの体の他の臓器と比較したとき、悪性の前立腺組織において過剰に発現する。PSMAは脳に発現するが、その発現は最小限のものであり、PSMAのリガンドのほとんどは、極性を有しており、血液脳関門を透過することができない。PSMAは、細胞内セグメント(アミノ酸1〜18)、膜貫通ドメイン(アミノ酸19〜43)及び大きな細胞外ドメイン(アミノ酸44〜750)を含む、約110kDの分子量を有するII型細胞表面膜結合糖タンパク質である。細胞内セグメント及び膜貫通ドメインの機能は現在有意ではないと考えられているが、細胞外ドメインは、幾つかの異なる活性に関与している。PSMAは、中枢神経系において役割を果たし、そこでN−アセチル−アスパルチルグルタミン酸(NAAG)を代謝して、グルタミン酸とN−アセチルアスパラギン酸にする。したがって、時々、N−アセチルアルファ結合酸性ジペプチダーゼ(NAALADアーゼ)とも呼ばれる。PSMAは、時々、ポリ−γ−グルタミン酸化葉酸からγ結合グルタミン酸を、そしてペプチド及び小型分子からα結合グルタミン酸を除去する近位小腸におけるその役割によって、葉酸ヒドロラーゼI(FOLH I)又はグルタミン酸カルボキシペプチダーゼ(GCP II)とも呼ばれる。
【0004】
PSMAは、ヒトトランスフェリン受容体(TfR)と類似点もあり、それはPSMAとTfRが両方ともII型糖タンパク質であるからである。より詳細には、PSMAは、TrR1とTfR2にそれぞれ54%及び60%の相同性を示す。しかし、TfRはその鎖間スルフヒドリル架橋の形成により二量体の形態でのみ存在するが、PSMAは、二量体又は単量体のいずれの形態でも存在することができる。
【0005】
他の多くの膜結合タンパク質と異なり、PSMAは、ビタミン受容体のような細胞表面結合受容体と同様の方法で細胞内に素早く内部移行する。PSMAは、クラスリン被覆膜孔を介して内部移行し、続いて細胞表面に再循環することができる又はリソソームに行くことができる。PSMAの二量体及び単量体の形態は、相互転換可能であると示唆されてきたが、交互転換の直接的な証拠は議論中である。そうであっても、二量体のPSMAのみが酵素活性を有し、単量体は有さない。
【0006】
前立腺細胞の細胞表面におけるPSMAの活性は依然として調査中であるが、PSMAが、診断剤、画像化剤及び治療剤を含む生物学的活性剤をそのような前立腺細胞に選択的及び/又は特異的に送達することが実行可能になる標的であることが、本明細書の発明者により認識されている。
【発明の概要】
【0007】
リンカーを介して前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合することができるリガンドに結合している生物学的活性剤は、前立腺癌、並びにPSMAを発現又は過剰発現する病原性細胞集団が関与する関連疾患の画像化、診断及び/又は治療に有用でありうることが発見された。PSMAは、ビタミン受容体のような細胞表面受容体で観察されるエンドサイトーシスと類似のプロセスにより内部移行する、細胞表面タンパク質である。それ故、所定の長さ及び/又は所定の直径及び/又はその長さに沿って予め選択された官能基を有するリンカーを含む特定の結合体を使用して、そのような疾患を治療、画像化及び/又は診断できることが発見された。
【0008】
本発明の一つの例示的な実施態様において、下記式:
B−L−D
を有する結合体が記載され、ここで、Bは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合する又はそれを標的化するリガンドであり、Lはリンカーであり、そしてDは薬剤である。本明細書で使用されるとき、薬剤Dという用語は、別段の指示のない限り又は文脈にない限り、治療剤、細胞毒性剤、画像化剤、診断剤などを集合的に含む。例えば、一つの例示的な構成において、本明細書に記載される結合体は、病原性細胞集団を除去するために使用され、したがって薬剤Dは、治療剤、細胞毒性剤などである。別の例示的な構成において、本明細書に記載される結合体は、疾患又は疾患状態を画像化及び/又は診断するために使用され、したがって薬剤Dは、画像化剤、診断剤などである。他の構成も本明細書において考慮及び記載される。前述のB、L及びDのそれぞれの類似体及び誘導体も本明細書において考慮及び記載され、本明細書に使用されるとき、B、L及びDという用語は、そのような類似体及び誘導体を集合的に意味することが理解されるべきである。
【0009】
一つの例示的な実施態様において、リンカーLは、放出型又は非放出型のリンカーであることができる。一つの態様において、リンカーLは、少なくとも原子約7個の長さである。一つの変形態様において、リンカーLは、少なくとも原子約10個の長さである。一つの変形態様において、リンカーLは、少なくとも原子約14個の長さである。別の変形態様において、リンカーLは、原子が約7〜約31個、約7〜約24個又は約7〜約20個の長さである。別の変形態様において、リンカーLは、原子が約14〜約31個、約14〜約24個又は約14〜約20個の長さである。
【0010】
代替的な態様において、リンカーLは、少なくとも約10オングストローム(Å)の長さである。一つの変形態様において、リンカーLは、少なくとも約15Åの長さである。別の変形態様において、リンカーLは、少なくとも約20Åの長さである。別の変形態様において、リンカーLは、約10Å〜約30Åの範囲の長さである。
【0011】
代替的な態様において、リンカーLの長さの少なくとも一部は、結合リガンドBに連結している末端で約5Å以下の直径である。一つの変形態様において、リンカーLの長さの少なくとも一部は、結合リガンドBに連結している末端で約4Å以下又は約3Å以下の直径である。約5Å以下、約4Å以下又は約3Å以下の直径要件を含む例示的な実施態様は、所定の長さのリンカーのための要件を含み、それによってリンカーの円筒状様部分を画定することが理解される。例示的には、別の変形態様において、リンカーは、少なくとも約7Åの長さ及び約5Å以下、約4Å以下又は約3Å以下の直径の円筒状部分を、結合リガンドに連結している末端に含む。
【0012】
別の実施態様において、リンカーLは、Ser、Thr、Cys、Arg、Orn、Lys、Asp、Glu、Glnなどの残基のような疎水性側鎖を有するアミノ酸を含む1つ以上のPSMAの残基と相互作用することができる、1つ以上の親水性リンカーを含む。別の実施態様において、リンカーLは、VaI、Leu、Ile、Phe、Tyr、Metなどの残基のような親水性側鎖を有するアミノ酸を含む1つ以上のPSMAの残基と相互作用することができる、1つ以上の疎水性リンカーを含む。前述の実施態様及び態様が、単独で又は互いに組み合わされてリンカーLに含まれうることが理解されるべきである。例えば、少なくとも原子約7個の長さであり、約5Å以下、約4Å以下又は約3Å以下の直径であるリンカーLが、本明細書において考慮及び記載され、また、VaI、Leu、Ile、Phe、Tyr、Metなどの残基を含む1つ以上のPSMAの残基と相互作用することができる1つ以上の親水性リンカーを含むリンカーLも、本明細書において考慮及び記載される。
【0013】
別の実施態様において、リンカーの一端は分岐しておらず、炭素、酸素、窒素及び硫黄原子の鎖を含む。一つの実施態様において、炭素、酸素、窒素及び硫黄原子の鎖は、少なくとも原子5個の長さである。一つの変形態様において、リンカー鎖は、原子が少なくとも7個又は原子が少なくとも10個の長さである。別の実施態様において、炭素、酸素、窒素及び硫黄原子の鎖は、置換されていない。一つの変形態様において、炭素、酸素、窒素及び硫黄原子の鎖の一部は、二価フラグメントで環化されている。例えば、ジペプチドPhe−Pheを含むリンカー(L)は、エチレンフラグメントで2個の窒素を環化したピペラジン−1,4−ジイル構造又は置換されたその変形態様を含むことができる。
【0014】
別の実施態様において、医薬組成物が本明細書に記載され、医薬組成物は、疾患及び疾患状態を治療する、疾患及び疾患状態を診断する、並びに/又はPSMAを発現若しくは過剰発現する病原性細胞集団と関連する組織及び/若しくは細胞を画像化するのに有効な量で、本明細書に記載されている結合体を含む。例示的には、そのような医薬組成物は、1つ以上の担体、希釈剤及び/又は賦形剤も含む。
【0015】
別の実施態様において、疾患及び疾患状態を治療する、疾患及び疾患状態を診断する、並びに/又はPSMAを発現若しくは過剰発現する病原性細胞集団と関連する組織及び/若しくは細胞を画像化する方法が本明細書に記載される。そのような方法は、本明細書に記載されている結合体及び/又は本明細書に記載されている結合体を含有する医薬組成物を、疾患及び疾患状態を治療する、疾患及び疾患状態を診断する、並びに/又はPSMAを発現若しくは過剰発現する病原性細胞集団と関連する組織及び/若しくは細胞を画像化するのに有効な量で投与する工程を含む。
【0016】
<関連出願の相互参照>
本出願は、米国仮出願第60/956,489号(2007年8月17日出願)及び米国仮出願第61/074,358号(2008年6月20日出願)の優先権を請求する。なおこの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】過剰PMPAの(▲)存在下又は(■)不在下でのSK28−99mTc(Kd=18.12nM)の濃度に対する細胞結合放射能である。
【図1B】LNCaP細胞及びSK33(原子14個のリンカー)を使用したインビトロ結合研究である。過剰PMPAの(▲)存在下又は(■)不在下でのDUPA−99mTcの増加する濃度を含有するLNCaP細胞である。
【図2】(■)4℃及び(▲)37℃でのSK28−99mTcの濃度に対する細胞結合放射能である。
【図3A】DUPA−リンカー−99mTc画像化剤の濃度に対する細胞結合放射能のプロットである:(■)原子0個のリンカー(Kd=171nM);(▲)原子7個のリンカー(Kd=68nM);(▼)原子14個のリンカー(Kd=15nM);(■)原子16個のリンカー(Kd=40nM)。
【図3B】LNCaP細胞に結合するDUPA−リンカー−99mTc化合物のKD値である。
【図4】LNCaP腫瘍の腫瘍体積に対する注射後の日数のプロットである:(a)2千5百万+マトリゲル;(b)2千5百万+HCマトリゲル;(c)5百万+マトリゲル;(d)5百万+HCマトリゲル。
【図5A】LNCaP腫瘍(マウス27匹)及び(b)KB細胞(マウス5匹)及びA549細胞(マウス5匹)の腫瘍体積に対する注射後の日数のプロットである。
【図5B】KB細胞(マウス5匹)及びA549細胞(マウス5匹)の腫瘍体積に対する注射後の日数のプロットである。
【図6A】1ng/kgのSK28−99mTc(原子14個のリンカー)で処置した、LNCaP腫瘍を予め注射したマウス(セット1)であり、左側の画像は、白色光画像を示し、この画像は放射線画像と白色光画像の重ね合わせ示す。それぞれのパネルでは、右側のマウスを50mg/kgのPMPAで処理し(PSMA結合をブロックするため)、左側のマウスをPMPAの添加なしで処置した。
【図6B】1ng/kgのSK28−99mTc(原子14個のリンカー)で処置した、LNCaP腫瘍を予め注射したマウス(セット2)であり、左側の画像は、白色光画像を示し、この画像は放射線画像と白色光画像の重ね合わせ示す。それぞれのパネルでは、右側のマウスを50mg/kgのPMPAで処理し(PSMA結合をブロックするため)、左側のマウスをPMPAの添加なしで処置した。
【図6C】1ng/kgのSK28−99mTc(原子14個のリンカー)で処置した、LNCaP腫瘍を予め注射したマウス(セット3)であり、左側の画像は、白色光画像を示し、この画像は放射線画像と白色光画像の重ね合わせ示す。それぞれのパネルでは、右側のマウスを50mg/kgのPMPAで処理し(PSMA結合をブロックするため)、左側のマウスをPMPAの添加なしで処置した。
【図6D】1ng/kgのSK28−99mTcを皮下注射(腹腔内を介して投与)した4時間後にKodak画像装置を使用して画像化した、LNCaP腫瘍についての単一マウス研究を示しており、左側の画像に腎臓を遮蔽した放射線画像と遮蔽なしの白色光画像との重ね合わせ、右側の画像に腎臓を遮蔽した放射線画像と遮蔽なしのX線画像との重ね合わせを示す。
【図7A】SK60−99mTc(原子0個のリンカー)を使用して処置した、LNCaP腫瘍を予め注射したマウスである。左側の画像は、白色光画像を示し、中央の画像は、放射線画像と白色光画像との重ね合わせを示し、右側の画像は、放射線画像とマウスの腎臓を遮蔽した白色光画像との重ね合わせを示す。
【図7B】SK28−99mTc(原子14個のリンカー)を使用して処置した、KB細胞を予め注射したマウスである。左側の画像は、白色光画像を示し、中央の画像は、放射線画像と白色光画像との重ね合わせを示し、右側の画像は、放射線画像とマウスの腎臓を遮蔽した白色光画像との重ね合わせを示す。
【図7C】SK28−99mTc(原子14個のリンカー)を使用して処置した、A549細胞を予め注射したマウスである。左側の画像は、白色光画像を示し、中央の画像は、放射線画像と白色光画像との重ね合わせを示し、右側の画像は、放射線画像とマウスの腎臓を遮蔽した白色光画像との重ね合わせを示す。
【図7D】150μCiのDUPA−99mTcの注射の4時間後に撮影した、nu/nuマウスにおける固形腫瘍異種移植片の全身画像である。100倍モル過剰PMPAの不在下(a、c)又は存在下(b、d)でDUPA−99mTcにより処置された、LNCaP腫瘍を有するマウスの全身の放射線画像と白色光画像の重ね合わせである。DUPA−99mTcで同様に処置された、(e)A549腫瘍又は(f)KB腫瘍を有するマウスの放射線画像と白色光画像の重ね合わせである。
【図8A】雄ヌードマウスの体幹に移植された腫瘍の生体内分布を、PMPA(競合物質)あり又はなしのSK28−99mTcの組織に対する直接カウントしたcpmとして測定したデータであって、LNCaP腫瘍のPMPA(a)あり、(b)なし、(c)A549腫瘍及び(d)KB腫瘍について示す。
【図8B】雄ヌードマウスの体幹に移植された腫瘍の生体内分布のデータであって、LNCaP腫瘍について、PMPA(競合物質)(b)あり又は(a)なしのSK28−99mTcの腫瘍及び腎臓のみについて示す。
【図8C】LNCaP、A549又はKB腫瘍を有するnu/nuマウスにおけるDUPA−99mTcの生体内分布の研究である。
【図9A】生理的食塩水単独、1.1μmol/kg、2.3μmol/kg、4.5μmol/kg及び9μmol/kgのSK71の単回用量を投与した後の体重変化率を示す急性MTD(単回用量)である。
【図9B】生理的食塩水単独、2μmol/kg及び4μmol/kgを隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与した後の体重の変化率を示す慢性MTDである。
【図10A】1μmol/kgの結合体SK71を隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与して処置した動物の腫瘍体積を示す効能研究である。
【図10B】生理的食塩水単独を隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与して処置した動物の腫瘍体積を示す効能研究である(対照群)。
【図10C】過剰量のPSMA及び1μmol/kgの結合体SK71を隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与して処置した動物の腫瘍体積を示す効能研究である(競合)。
【図11】効能研究である(1μmol/kgを1日おきに10日間、すなわち5用量)。
【図12A】SK71による処置後のLNCaP細胞への〔3H〕−チミジンの取り込みである(IC50 約2nM)。
【図12B】SK77による処置後のLNCaP細胞への〔3H〕−チミジンの取り込みである(IC50 約3nM)。
【図12C】SK37による処置後のLNCaP細胞への〔3H〕−チミジンの取り込みである(IC50 約33nM)。
【図12D】SK45による処置後のLNCaP細胞への〔3H〕−チミジンの取り込みである(IC50 約29nM)。
【図13A】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける腫瘍体積に対するSK71(1.5μmol/kg)の処置の効果である。(■)処置マウス、(●)未処置マウス、(▲)100倍モル過剰のPMPAが予め注射された処置マウス。
【図13B】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける体重変化率に対するSK71(1.5μmol/kg)の処置の効果である。(■)処置マウス、(●)未処置マウス、(▲)100倍モル過剰のPMPAが予め注射された処置マウス。
【図13C】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける腫瘍体積に対するSK71(2.0μmol/kg)の処置の効果である。(■)処置マウス、(●)未処置マウス、(▼)30倍モル過剰のPMPAが予め注射された処置マウス。
【図13D】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける体重変化率に対するSK71(2.0μmol/kg)の処置の効果である。(■)処置マウス、(●)未処置マウス、(▲)30倍モル過剰のPMPAが予め注射された処置マウス。
【図14A】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける腫瘍体積に対するSK77(2.0μmol/kg)の処置の効果である。(■)未処置マウス、(▼)処置マウス。
【図14B】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける体重変化率に対するSK77(2.0μmol/kg)の処置の効果である。(■)未処置マウス、(▼)処置マウス。
【図15A】エネルギー最小化コンピューターモデルによるMUPA 99mcTc画像化剤結合体(原子9個のリンカー)である。
【図15B】エネルギー最小化コンピューターモデルによるMUPA 99mcTc画像化剤結合体(シンSK33、原子14個のリンカー)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
薬剤送達結合体が本明細書において記載され、そこではPSMA結合性リガンドが、薬剤、治療剤、診断剤又は画像化剤に結合している放出型又は非放出型リンカーに結合している。
【0019】
例示的には、本明細書に記載されている二価リンカーは、以下の式:
B−L−TA
B−L−IA
B−L−DA
〔式中、Bは、PSMA結合性部分であってその類似体又は誘導体を含み、Lは、リンカーであり、TAは、治療剤であってその類似体又は誘導体を含み、IAは、画像化剤であってその類似体又は誘導体を含み、そしてDAは、診断剤であってその類似体又は誘導体を含む〕で示されるPSMA結合性薬剤結合体、PSMA結合性画像化剤結合体及びPSMA結合性診断剤結合体を調製するのに使用されるリンカーに含まれていてもよい。リンカーLは、本明細書に記載されている二価リンカーを含む複数の二価リンカーを含むことができる。本明細書に使用されるとき、TAは、治療剤及びその類似体と誘導体を集合的に意味し、IAは、画像化剤及びその類似体と誘導体を集合的に意味し、そしてDAは、診断剤及びその類似体と誘導体を集合的に意味することも、理解されるべきである。
【0020】
リンカーは、1つ以上のスペーサーリンカー、場合により追加の放出型リンカーも含むことができる。スペーサー及び放出型リンカーは、任意の順番又は組み合わせで互いに結合していることができる。同様に、PSMA結合性リガンドは、スペーサーリンカー又は放出型リンカーに結合することができる。同様に、薬剤、治療剤、診断剤又は画像化剤は、スペーサーリンカー又は放出型リンカーに結合することができる。結合体のこれらの構成要素は、それぞれ、標的リガンド、薬剤、治療剤、診断剤、画像化剤、放出型リンカー又はスペーサーリンカーに既存の又は追加されたヘテロ原子を介して連結することができる。例示的なヘテロ原子には、窒素、酸素、硫黄、並びに式:−(NHR1NHR2)−、−SO−、−(SO2)−及び−N(R3)O−が挙げられ、ここでR1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルなどから選択され、これらはそれぞれ場合により置換されていることができる。
【0021】
一つの例示的な実施態様において、所定の寸法の長さ及び直径を有するリンカーを含む化合物が、本明細書に記載される。一つの態様において、1つ以上の最小長さ要件又は所定の範囲内に入る長さ要件を満たすリンカーが、本明細書に記載される。別の態様において、最小長さ要件を満たすことは、リンカーの拡張立体配座のコンピューターモデリングにより決定されることが理解されうる。別の態様において、最小長さ要件を満たすことは、結合リガンド(B)を薬剤(D)と連結する原子の主鎖を形成する、特定の数の原子(置換の有無を問わず)を有することによって決定されることが、理解されるべきである。別の実施態様において、原子の主鎖は、別の二価フラグメントにより環化されている。別の態様において、1つ以上の最大又は最小直径要件を満たすリンカーが、本明細書に記載される。別の態様において、最大又は最小直径要件を満たすことは、空間充填モデル、CPKモデルなどの立体配置として作製したリンカーの多様な立体配座のコンピューターモデリングにより決定されることが、理解される。別の態様において、最大又は最小直径要件を満たすことは、リンカーの1つ以上の選択された部分、例えば、結合リガンド(B)に近位のリンカー部分又は薬剤(D)から遠位のリンカー部分などに適用できることが理解される。別の態様において、PSMAの漏斗部分に見出される1つ以上のArg若しくはLys側鎖の窒素及び/又はAsp若しくはGlu側鎖の酸素と正の相互作用をしうる1つ以上の極性基を含むリンカーのような、1つ以上の化学組成要件を満たすリンカーが、本明細書に記載される。一つ態様において、PSMAの漏斗部分に見出される1つ以上のTyr又はPhe側鎖炭素と正の相互作用をしうる1つ以上の非極性基を含むリンカーのような、1つ以上の化学組成要件を満たすリンカーが、本明細書に記載される。
【0022】
一つの実施態様において、リンカーの原子長さは、結合若しくは標的リガンドB、又はその類似体若しくは誘導体と、薬剤D、又はその類似体若しくは誘導体とを隔てている原子の数によって定義される。したがって、結合リガンド又はその類似体若しくは誘導体が薬剤D又はその類似体若しくは誘導体に直接結合している立体配置では、結合は本明細書において「原子0個の」リンカーとも呼ばれる。そのような原子0個のリンカーは、B及びDが、B及びDそれぞれの結合点から水素原子を除去することにより直接結合している立体配置を含むことが理解される。そのような原子0個のリンカーは、B及びDが、B又はDの一方から水素原子を除去し、B又はDの他方からOH、SH、NH2などのようなヘテロ原子官能基を除去することにより、重複ヘテロ原子を介して結合している立体配置を含むことも理解される。そのような原子0個のリンカーは、B及びDが、B及びDそれぞれの結合点から2個の水素原子を除去することにより形成されうる二重結合を介して結合しているか、又はB及びDが、B若しくはDそれぞれから、2個の水素原子か、1個の水素原子及びOH、SH、NH2などのような1個のヘテロ原子官能基か、若しくは2個のヘテロ原子官能基を除去することにより、1つ以上の重複ヘテロ原子を介して結合している立体配置を含むことも理解される。加えて、B及びDは、B又はDの一方又は両方からO、S、NHなどのような、二重結合ヘテロ原子官能基を除去することにより形成される二重結合を介して結合することができる。そのようなヘテロ原子官能基が、飽和炭素原子、不飽和炭素原子(カルボニル基を含む)及び他のヘテロ原子に結合しているものを含むことも理解されるべきである。同様に、原子0個を超えるリンカーの長さが同様な方法により定義される。
【0023】
したがって、別の例示的な実施態様において、少なくとも原子7個の鎖長を有するリンカー(L)が記載される。一つの変形態様において、少なくとも原子14個の鎖長を有するリンカー(L)が記載される。別の変形態様において、原子約7個から約20個の範囲の鎖長を有するリンカー(L)が記載される。別の変形態様において、原子約14個から約24個の範囲の鎖長を有するリンカー(L)が記載される。
【0024】
別の実施態様において、リンカー(L)の長さは、リンカーの拡張立体配座の長さを測定することにより定義される。そのような拡張立体配座は、PC Model 7(MMX)のような当該技術で認められたコンピューターモデリングプログラムにより測定することができる。したがって、別の例示的な実施態様において、少なくとも15Å、少なくとも20Å又は少なくとも25Åの鎖長を有するリンカーが記載される。
【0025】
別の実施態様において、それぞれ場合により置換されていることができる、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルなどの基のような少なくとも1つの疎水性側鎖基を有するリンカーが記載される。一つの態様において、疎水性基は、1つ以上のPhe又はTyr基(その置換された変形態様、並びにその類似体及び誘導体を含む)をリンカー鎖に組み込むことによってリンカーに含まれる。そのようなPhe及び/又はTyr側鎖基が、PSMAの漏斗において見出されるTyr及びPhe残基と正のパイ−パイ(π−π)相互作用を形成しうることが理解される。加えて、Phe及びTyrに見出されるアリールアルキル基のような大きな側鎖分岐の存在がリンカーに一定レベルの立体配座剛性をもたらすことができ、したがって自由度を制限し、巻き付きを低減し、リンカーの拡張立体配座を促進することが理解される。理論に束縛されることなく、そのようなエントロピーの制限は、本明細書に記載されている結合した結合体の全体的な結合エネルギーを増加することができる。加えて、本明細書に記載されているPhe及びTyrのような立体障害側鎖により提供されうる剛性の増加は、リガンドと画像化剤との巻き付き及び相互作用を低減又は防止できることが理解される。例えば、代表的な原子9個及び原子14個のリンカー(例えば、図15A及び15Bを参照すること)のエネルギー最小化計算は、リガンドと画像化剤との間に分子内相互作用がないことを示す。更に、側鎖の2つのPhe側鎖の存在は、アミノヘキサン酸含有結合体(図15A)よりもシンSK33(図15B)においてより拡張した立体配座を促進すると思われる。
【0026】
PSMAの触媒部位又は活性部位に至る漏斗状のトンネルが、PSMA結合性リガンドと治療、診断及び画像化剤との結合体のリンカー部分に、PSMAとこれらの結合体との相互作用に肯定的及び否定的な影響を与える、長さ、形状及び/又は化学組成要件を課すことが、本明細書において発見された。本明細書に記載されているものは、リンカーに対するそのような長さ、形状及び/又は化学組成要件を含むこれらの結合体の例示的実施態様である。そのような長さ、形状及び/又は化学組成要件を、分子モデリングを使用して評価した。例えば、(s)−2−(4−ヨードベンゼンシルホスホノメチル)−ペンタン二酸〔2−PMPA誘導体〕PDB IDコード2C6PとのPSMA複合体の空間充填モデル及び表面モデルは、PROTEIN EXPLORERを使用して生成した。PROTEIN EXPLORERモデルは、20Åの深さの漏斗を確認し、また、好ましい構造特性を有するリンカーを定義するのに使用できる直径特徴を、漏斗に沿って多様な位置で示した。加えて、このモデルは、PSMAの活性部位に近接して、対応する官能基がリンカーに含まれる場合に追加的な結合相互作用をもたらしうる、多数の疎水性残基が存在することを示した。最後に、このモデルは、対応する官能基がリンカーに含まれる場合に追加的な結合相互作用をもたらしうる、3つの疎水性ポケットが存在することを示した。
【0027】
別の例示的な実施態様において、次の、MUPAと、原子9個のリンカーにより連結しているトリペプチド99mTcとの結合体(図15Aに示されている)及び分岐状で原子14個のリンカーを含むシンSK33との結合体(図15Bに示されている)の分子モデルを作製した。モデルは、エネルギー最小化したPC Model 7(MMX)を使用し、次の結合長さパラメーター:C−C(sp3−sp3)=1.53Å、C−C(sp3−sp2)=1.51Å、C−N(sp3−N)=1.47Å、C−N(sp2−N)=1.38Åを使用して作製した。そのようなモデルを使用して、結合リガンド(B)と薬剤(D)とを連結するリンカーの長さを計算することができる。加えて、そのようなモデルを改変して、拡張立体配座を作製することができ、続いて、結合リガンド(B)と薬剤(D)とを連結するリンカーの長さを計算するために使用することができる。
【0028】
最初のヒトPSMA遺伝子は、LNCaP細胞からクローン化され、染色体11p11−12に位置すると報告されている。加えて、PSMA様遺伝子が座位11q14.3に位置する。PSMAの結晶構造が異なる2つのグループにより異なる分解能で報告されており、それぞれ活性部位が2個の亜鉛原子を含有することを示し、PSMAが亜鉛メタロプロテアーゼとも考えられることを確認している。Davis et al, PNAS, 102:5981-86, (2005)は、低い分解能(3.5Å)の結晶構造を報告し、一方、Mesters et al, The EMBO Journal, 1-10 (2006)は、より高い分解能(2〜2.2Å)の結晶構造を報告した(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)。この結晶構造は、PSMAが、プロテアーゼドメイン、アピカルドメイン、ヘリカルドメイン及びCPG2二量体化ドメインを含有するホモ二量体であることを示す。PSMAのプロテアーゼドメインは、二核亜鉛部位、触媒残基及び3つのアルギニン残基を含む基質結合領域(基質結合アルギニンパッチとも呼ばれる)を含有する。結晶構造において、活性部位の2つの亜鉛イオンは、それぞれリン酸の酸素に連結しているか又は共結晶構造ではインヒビターGPI 1843のホスフィン酸部分に連結している。細胞外ドメインの高分解能結晶構造において、PSMAは、強力なインヒビター、弱いインヒビターの両方及びグルタミン酸とそれぞれ2.0、2.4及び2.2Åで共結晶化した。高分解能結晶構造は、PSMAの触媒部位又は活性部位に至る20Åの深さの漏斗状トンネルを示す。漏斗は、多数のArg及びLys残基、Asp及びGlu残基、Tyr及びPhe残基の側鎖で覆われている。
【0029】
別の実施態様において、リンカー(L)は、C、N、O、S、Si及びPから選択される原子の鎖である。リンカーは、約7〜約100個の範囲のような、多種多様な長さを有することができる。リンカーを形成するのに使用される原子を、例えばアルキレン基を形成する炭素原子の鎖、ポリオキシアルキレン基を形成する炭素及び酸素原子の鎖、ポリアミンを形成する炭素及び窒素原子の鎖などのような、化学的に関連する任意の方法によって組み合わせることができる。加えて、鎖における結合連結原子は、例えばアルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、アリーレン、イミドなどがリンカーに含まれる二価ラジカルでありうるように、飽和でも不飽和でもよいことが理解されるべきである。加えて、リンカーを形成する原子は、また、互いに環化して、リンカーにおいて二価環状ラジカルを形成しうることが理解されるべきである。本明細書に記載されているそれぞれの前述及び他のリンカーにおいて、リンカーを形成する鎖は、多種多様な基により置換されていることができる。
【0030】
別の実施態様において、少なくとも1つの放出型リンカーを含むリンカー(L)が記載される。一つの変形態様において、少なくとも2つの放出型リンカーを含むリンカー(L)が記載される。別の変形態様において、少なくとも1つの自壊的リンカーを含むリンカー(L)が記載される。別の変形態様において、ジスルフィドではない少なくとも1つの放出型リンカーを含むリンカー(L)が記載される。別の実施態様において、放出型リンカーを含まないリンカー(L)が記載される。
【0031】
送達される薬剤が結合リガンド−リンカー結合体から有利に遊離され、遊離薬剤が、本明細書に記載されている結合体によりもたらされる標的化なしに投与されたときのように標的に対して同じ又はほぼ同じ効果を有する場合に、放出型リンカーを使用できることが理解される。別の実施態様において、リンカーLは、非放出型リンカーを含む。非放出型リンカーを、薬剤が、画像化、診断において結合リガンド−リンカー結合体により有利に保持される場合に使用できることが理解され、その結合体の使用は本明細書に記載されている。放出型リンカー又は非放出型リンカーの選択は、本明細書に記載されている発明を制限することなく、それぞれの結合体の用途又は立体配置と関係なく実行できることが理解されるべきである。本明細書に記載されているリンカーLは、多様な原子、原子の鎖、官能基及び官能基の組み合わせを含むことが更に理解されるべきである。適切であれば、本開示において、リンカーLを、スペーサーリンカー、放出型リンカー及びヘテロ原子の存在により参照することができる。しかし、そのような選択肢は、本明細書に記載されているリンカーLの定義を制限するものとして考慮されるべきではない。
【0032】
スペーサーリンカー及び/又は放出型リンカー(すなわち、切断されうるリンカー)を含むリンカー(L)は、任意の生体適合性リンカーであることができる。放出型又は切断されうるリンカーは、例えば、細胞に存在する還元若しくは酸化条件下で切断に感受性のあるリンカー、酸不安定性若しくは塩基不安定性リンカーでありうるpH感受性リンカー、又は酵素不安定性リンカーのような生化学若しくは代謝過程により切断されうるリンカーであることができる。一つの実施態様において、スペーサー及び/又は放出型リンカーは、約1〜約30個、又は約2〜約20個の原子を含む。低分子量リンカー(すなわち、約30〜約300のおおよその分子量を有するもの)も記載される。そのようなリンカーの前駆体は、求核若しくは求電子官能基のいずれか又はその両方を、中間体種の合成におけるその使用を促進するため、場合により、容易に切断されうる保護基による保護形態で有するように選択することができる。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「放出型リンカー」は、生理学的条件下で分断されうる少なくとも1つの結合(例えば、pH不安定性、酸不安定性、酸化不安定性又は酵素不安定性の結合)を含むリンカーを意味する。切断されうる結合は、切断されうるリンカーの内部及び/又は切断されうるリンカーの一端若しくは両端に存在することができる。結合分断をもたらすような生理学的条件には、例えば生理学的pHで生じる標準的化学加水分解反応又は細胞基質のpHよりも低いpHを有するエンドソームのような細胞オルガネラへの区画化の結果によるものが含まれることが、理解されるべきである。例示的には、本明細書に記載されている二価リンカーは、グルタチオン仲介機構の作用のような、他の生理学的又は代謝的条件下で切断されうる。切断されうる結合の不安定性は、そのような結合分断を補助する又は促進することができる官能基又はフラグメントを二価リンカーLに含めることによって調整できることが理解され、これは隣接基補助とも呼ばれる。切断されうる結合の不安定性は、例えば、切断されうるジスルフィド結合に隣接してアルファ分岐を含むこと、加水分解されうるケイ素酸素結合を有する部分のケイ素の置換基の疎水性を増加すること、加水分解しうるケタール又はアセタールの一部を形成するアルコキシ基を同族体化することなどのような、切断されうる結合又はその近傍における置換変化により調整することもできる。加えて、放出型リンカーの結合分断後にPSMA結合性薬剤リンカー結合体の追加的な断片化を補助する又は促進することができる追加の官能基又はフラグメントを、二価リンカーLに含めうることが理解される。
【0034】
別の実施態様において、リンカーは、特定の長さ、直径及び/又は官能基の要件を有し、本明細書に記載されているリンカーを一緒になって形成する、1つ以上のスペーサーリンカー及び/又は放出型リンカーを形成するラジカルを含む。
【0035】
本明細書に記載されているリンカーの別の例示的な実施態様には、ベータ脱離を伴う化学的機構により本明細書に記載されている条件下で切断する放出型リンカーが含まれる。一つの態様において、そのような放出型リンカーには、ベータ−チオ、ベータ−ヒドロキシ及びベータ−アミノ置換カルボン酸、並びに、エステル類、アミド類、炭酸塩類、カルバメート類及び尿素化合物のようなそれらの誘導体が含まれる。別の態様において、そのような放出型リンカーには、2−及び4−チオアリールエステル類、カルバメート類及び炭酸塩類が含まれる。
【0036】
放出型リンカーを、これらが含有している、例えば、例示的には本明細書に記載されているジスルフィド基、ケタール基などによって参照できることも理解されるべきである。したがって、切断されうる結合は、2つの隣接する原子を放出型リンカー内で連結してもよいし、及び/或いは、他のリンカーを、又は本明細書に記載されている結合リガンドB又は治療、診断若しくは画像化剤Dを、放出型リンカーのどちらか又は両方の末端で連結してもよいことが、理解される。切断されうる結合が2つの隣接する原子を放出型リンカー内で連結する場合、結合の分断の後、放出型リンカーは、2つ以上のフラグメントに分断される。あるいは、切断されうる結合が、放出型リンカーと、追加のヘテロ原子、スペーサーリンカー、別の放出型リンカー、薬剤D又はその類似体若しくは誘導体、又は結合リガンドB又はその類似体若しくは誘導体のような別の部分との間にある場合、結合の分断の後、放出型リンカーは、他の部分から分離される。
【0037】
別の実施態様において、放出型リンカー及びスペーサーリンカーを、上記に記載したように、二価リンカーの結合の切断の後、放出された官能基が追加の結合の分断又は切断を隣接基補助するように配置することができる。そのような二価リンカー又はその一部の例示的な実施態様には、下記の式:
【化1】
〔式中、Xは、窒素、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子であり、nは、0、1、2及び3から選択される整数であり、Rは、水素、又は、正電荷を誘導的に又はアルコキシのようなアリール環の共鳴により安定化することができる置換基を含む、置換基であり、そして符号(*)は、追加のスペーサー若しくは放出型リンカー又は二価リンカーを形成するヘテロ原子の結合点、あるいは薬剤又はその類似体若しくは誘導体、又はビタミン又はその類似体若しくは誘導体の結合点を示す〕を有する化合物が含まれる。ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロなどが含まれるが、これらに限定されない他の置換基が、アリール環、ベンジル炭素、アルカン酸又はメチレン架橋に存在できることが、理解される。補助切断は、ベンジリニウム中間体、ベンジン中間体、ラクトン環化、オキソニウム中間体、ベータ脱離などを伴う機構を含むことができる。放出型リンカーの切断の後の断片化に加えて、放出型リンカーの最初の切断を隣接基補助機構により促進できることが、更に理解される。
【0038】
この実施態様において、環化されうるヒドロキシアルカン酸は、例えばオキソニウムイオンによりメチレン架橋の切断を促進して、結合切断を促進するか又は放出型リンカーの結合切断の後に続いて断片化を促進する。あるいは、メチレン架橋の酸触媒オキソニウムイオン補助切断は、この例示的な二価リンカー又はそのフラグメントの断片化カスケードを開始することができる。あるいは、カルバメートの酸触媒加水分解は、環化しうるヒドロキシアルカン酸のベータ脱離を促進して、例えばオキソニウムイオンによるメチレン架橋の切断を促進することができる。本明細書に記載されている代謝的、生理学的又は細胞条件下での結合分断又は切断の他の化学的機構は、そのような断片化のカスケードを開始できることが理解される。本明細書に記載されている代謝的、生理学的又は細胞条件下での結合分断又は切断の他の化学的機構は、そのような断片化のカスケードを開始できることが理解される。
【0039】
本明細書に記載されている二価リンカーの切断の例示的な機構には、以下の1,4及び1,6断片化機構が含まれ:
【化2】
ここで、Xは、外来性又は内在性求核剤、グルタチオン又は生体内還元剤などであり、そしてZ又はZ′のいずれかは、PSMA結合性リガンド又は薬剤、治療剤、診断剤若しくは画像化剤であるか、或いはZ又はZ′のいずれかは、二価リンカーの他の部分を介して連結しているPSMA結合性リガンド又は薬剤、治療剤、診断剤若しくは画像化剤である。上記の断片化機構は協調的機構として描かれているが、任意の数の別個の工程が生じて、二価リンカーの最終的な断片化を実施し、示されている最終生成物にできることが、理解されるべきである。例えば、結合切断は、上記の例に例示されているベータ硫黄又はジスルフィドのいずれかのアリール基により提供される安定化によって隣接基補助されうる、カルバメート部分の酸触媒脱離によっても生じうることが理解される。この実施態様のこれらの変形態様において、放出型リンカーは、カルバメート部分である。あるいは、断片化は、ジスルフィド基への求核攻撃により開始され、切断を引き起こしてチオレートを形成することができる。チオレートは、炭酸又はカルバミン酸部分を分子間で置換して、対応するチアシクロプロパンを形成することができる。ベンジル含有二価リンカーの場合では、例示的なジスルフィド結合分断の後、得られたフェニルチオレートは、共鳴安定化中間体を形成することによって、更に断片化されて炭酸又はカルバミン酸部分を放出することができる。これらのいずれかの場合において、本明細書に記載されている例示的な二価リンカーの放出可能特性は、既存の化学的、代謝的、生理学的又は生物学的条件に関連しうるどのような機構によっても実現することができる。
【0040】
放出型リンカーの結合切断の他の例示的な機構には、下記のようなオキソニウム補助切断が含まれ:
【化3】
ここで、Zは、ビタミン又はその類似体若しくは誘導体、又は薬剤又はその類似体若しくは誘導体であるか、或いは、それぞれ、1つ以上のスペーサーリンカー及び/又は他の放出型リンカーを含む薬剤又はビタミン部分のような、多価リンカーの他の部分と一緒にしたビタミン若しくは薬剤部分である。この実施態様において、カルバメートの酸触媒脱離は、CO2及びZに結合している窒素含有部分の放出をもたらし、水又は他の任意のルイス酸により捕捉されうるベンジルカチオンの形成をもたらす。
【0041】
一つの実施態様において、放出型リンカーはジスルフィドを含む。
【0042】
別の実施態様において、放出型リンカーは、アルキレンアジリジン−1−イル、アルキレンカルボニルアジリジン−1−イル、カルボニルアルキルアジリジン−1−イル、アルキレンスルホキシルアジリジン−1−イル、スルホキシルアルキルアジリジン−1−イル、スルホニルアルキルアジリジン−1−イル又はアルキレンスルホニルアジリジン−1−イルを含む、二価ラジカルであることができ、ここで放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義されている置換基X2で置換されている。
【0043】
例示的な追加の放出型リンカーには、メチレン、1−アルコキシアルキレン、1−アルコキシシクロアルキレン、1−アルコキシアルキレンカルボニル、1−アルコキシシクロアルキレンカルボニル、カルボニルアリールカルボニル、カルボニル(カルボキシアリール)カルボニル、カルボニル(ビスカルボキシアリール)カルボニル、ハロアルキレンカルボニル、アルキレン(ジアルキルシリル)、アルキレン(アルキルアリールシリル)、アルキレン(ジアリールシリル)、(ジアルキルシリル)アリール、(アルキルアリールシリル)アリール、(ジアリールシリル)アリール、オキシカルボニルオキシ、オキシカルボニルオキシアルキル、スルホニルオキシ、オキシスルホニルアルキル、イミノアルキリデニル、カルボニルアルキリデンイミニル、イミノシクロアルキリデニル、カルボニルシクロアルキリデンイミニル、アルキレンチオ、アルキレンアリールチオ及びカルボニルアルキルチオが含まれ、ここで放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義されている置換基X2で置換されている。
【0044】
前述の実施態様において、放出型リンカーは、酸素を含むことができ、放出型リンカーは、メチレン、1−アルコキシアルキレン、1−アルコキシシクロアルキレン、1−アルコキシアルキレンカルボニル及び1−アルコキシシクロアルキレンカルボニルであることができ、ここで、放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義されている置換基X2で置換されており、放出型リンカーは、酸素と結合してアセタール又はケタールを形成する。あるいは、放出型リンカーは、酸素を含むことができ、放出型リンカーは、メチレンであってもよく、ここで、メチレンは、場合により置換されているアリールで置換されており、放出型リンカーは、酸素と結合してアセタール又はケタールを形成する。更に、放出型リンカーは、酸素を含むことができ、放出型リンカーは、スルホニルアルキルであってもよく、ここで、放出型リンカーは、酸素と結合してアルキルスルホネートを形成する。
【0045】
上記の放出型リンカーの実施態様の別の実施態様において、放出型リンカーは、窒素を含むことができ、放出型リンカーは、イミノアルキリデニル、カルボニルアルキリデンイミニル、イミノシクロアルキリデニル及びカルボニルシクロアルキリデンイミニルであることができ、ここで、放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義されている置換基X2で置換されており、放出型リンカーは、窒素と結合してヒドラゾンを形成する。代替的な形態では、ヒドラゾンは、カルボン酸誘導体、オルトギ酸誘導体又はカルバモイル誘導体でアシル化されて、多様なアシルヒドラゾン放出型リンカーを形成することができる。
【0046】
あるいは、放出型リンカーは、酸素を含むことができ、放出型リンカーは、アルキレン(ジアルキルシリル)、アルキレン(アルキルアリールシリル)、アルキレン(ジアリールシリル)、(ジアルキルシリル)アリール、(アルキルアリールシリル)アリール及び(ジアリールシリル)アリールであることができ、ここで、放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義されている置換基X2で置換されており、放出型リンカーは、酸素と結合してシラノールを形成する。
【0047】
上記の放出型リンカーの実施態様において、薬剤は、窒素原子を含むことができ、放出型リンカーは、窒素を含むことができ、放出型リンカーは、カルボニルアリールカルボニル、カルボニル(カルボキシアリール)カルボニル、カルボニル(ビスカルボキシアリール)カルボニルであることができ、放出型リンカーは、ヘテロ原子の窒素と結合してアミドを形成することができ、また、薬剤の窒素と結合してアミドを形成することもできる。
【0048】
上記の放出型リンカーの実施態様において、薬剤は、酸素原子を含むことができ、放出型リンカーは、窒素を含むことができ、放出型リンカーは、カルボニルアリールカルボニル、カルボニル(カルボキシアリール)カルボニル、カルボニル(ビスカルボキシアリール)カルボニルであることができ、放出型リンカーは、アミドを形成することができ、また、薬剤の窒素と結合してエステルを形成することもできる。
【0049】
置換基X2は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロ、ハロアルキル、スルフヒドリルアルキル、アルキルチオアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボキシレート、アルキルアルカノエート、グアニジノアルキル、R4−カルボニル、R5−カルボニルアルキル、R6−アシルアミノ及びR7−アシルアミノアルキルであることができ、ここで、R4及びR5は、それぞれ独立して、アミノ酸、アミノ酸誘導体及びペプチドから選択され、そしてR6及びR7は、それぞれ独立して、アミノ酸、アミノ酸誘導体及びペプチドから選択される。この実施態様において、放出型リンカーは、窒素を含むことができ、置換基X2及び放出型リンカーは、複素環を形成することができる。
【0050】
複素環は、ピロリジン、ピペリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、ピロリジノン、ピペリジノン、オキサゾリジノン、イソオキサゾリジノン、チアゾリジノン、イソチアゾリジノン及びスクシンイミドであることができる。
【0051】
一つの実施態様において、本明細書に記載されている多価リンカーは、以下の式:
【化4】
〔式中、nは、1〜約4から選択される整数であり;Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素及び、場合により分岐鎖であるC1〜C4アルキルのような低級アルキルを含む、アルキルからなる群より選択されるか、或いはRa及びRbは、結合している炭素原子と一緒になって炭素環を形成し;Rは、場合により置換されているアルキル基、場合により置換されているアシル基又は適切に選択された窒素保護基であり;そして(*)は、薬剤、ビタミン、画像化剤、診断剤、他の多価リンカー又は結合体の他の部分の結合点を示す〕で示される化合物であるか又はそのような化合物を含む。
【0052】
別の実施態様において、本明細書に記載されている多価リンカーは、以下の式:
【化5】
〔式中、mは、1〜約4から選択される整数であり;Rは、場合により置換されているアルキル基、場合により置換されているアシル基又は適切に選択された窒素保護基であり;そして(*)は、薬剤、ビタミン、画像化剤、診断剤、他の多価リンカー又は結合体の他の部分の結合点を示す〕で示される化合物であるか又はそのような化合物を含む。
【0053】
別の実施態様において、本明細書に記載されている多価リンカーは、以下の式:
【化6】
〔式中、mは、1〜約4から選択される整数であり;Rは、場合により置換されているアルキル基、場合により置換されているアシル基又は適切に選択された窒素保護基であり;そして(*)は、薬剤、ビタミン、画像化剤、診断剤、他の多価リンカー又は結合体の他の部分の結合点を示す〕で示される化合物であるか又はそのような化合物を含む。
【0054】
別の実施態様において、リンカーLは1つ以上のスペーサーリンカーを含む。そのようなスペーサーリンカーは、場合により、下記に定義される置換基X1で置換されている1−アルキレンスクシンイミド−3−イルであることができ、放出型リンカーは、メチレン、1−アルコキシアルキレン、1−アルコキシシクロアルキレン、1−アルオキシアルキレンカルボニル、1−アルコキシシクロアルキレンカルボニルであることができ、ここで、放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義される置換基X2で置換されており、スペーサーリンカー及び放出型リンカーは、それぞれスペーサーリンカーに結合して、スクシンイミド−1−イルアルキルアセタール又はケタールを形成する。
【0055】
スペーサーリンカーは、カルボニル、チオノカルボニル、アルキレン、シクロアルキレン、アルキレンシクロアルキル、アルキレンカルボニル、シクロアルキレンカルボニル、カルボニルアルキルカルボニル、1−アルキレンスクシンイミド−3−イル、1−(カルボニルアルキル)スクシンイミド−3−イル、アルキレンスルホキシル、スルホニルアルキル、アルキレンスルホキシルアルキル、アルキレンスルホニルアルキル、カルボニルテトラヒドロ−2H−ピラニル、カルボニルテトラヒドロフラニル、1−(カルボニルテトラヒドロ−2H−ピラニル)スクシンイミド−3−イル及び1−(カルボニルテトラヒドロフラニル)スクシンイミド−3−イルであることができ、ここでスペーサーリンカーは、それぞれ場合により、下記に定義される置換基X1で置換されている。この実施態様において、スペーサーリンカーは、追加の窒素を含むことができ、スペーサーリンカーは、アルキレンカルボニル、シクロアルキレンカルボニル、カルボニルアルキルカルボニル、1−(カルボニルアルキル)スクシンイミド−3−イルであることができ、ここで、スペーサーリンカーは、それぞれ場合により、下記に定義される置換基X1で置換されており、スペーサーリンカーは、窒素と結合してアミドを形成する。あるいは、スペーサーリンカーは、追加の硫黄を含むことができ、スペーサーリンカーは、アルキレン及びシクロアルキレンであることができ、ここで、スペーサーリンカーは、場合によりカルボキシで置換されており、スペーサーリンカーは、硫黄と結合してチオールを形成する。別の実施態様において、スペーサーリンカーは、硫黄を含むことができ、スペーサーリンカーは、1−アルキレンスクシンイミド−3−イル及び1−(カルボニルアルキル)スクシンイミド−3−イルであることができ、スペーサーリンカーは、硫黄と結合してスクシンイミド−3−イルチオールを形成する。
【0056】
上記記載の実施態様の代替案として、スペーサーリンカーは、窒素を含むことができ、放出型リンカーは、アルキレンアジリジン−1−イル、カルボニルアルキルアジリジン−1−イル、スルホキシルアルキルアジリジン−1−イル又はスルホニルアルキルアジリジン−1−イルを含む二価ラジカルであることができ、ここで放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義される置換基X2で置換されている。この代替的な実施態様において、スペーサーリンカーは、カルボニル、チオノカルボニル、アルキレンカルボニル、シクロアルキレンカルボニル、カルボニルアルキルカルボニル、1−(カルボニルアルキル)スクシンイミド−3−イルであることができ、ここで、スペーサーリンカーは、それぞれ場合により、下記に定義される置換基X1で置換されており、スペーサーリンカーは、放出型リンカーと結合してアジリジンアミドを形成する。
【0057】
置換基X1は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロ、ハロアルキル、スルフヒドリルアルキル、アルキルチオアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボキシレート、アルキルアルカノエート、グアニジノアルキル、R4−カルボニル、R5−カルボニルアルキル、R6−アシルアミノ及びR7−アシルアミノアルキルであることができ、ここで、R4及びR5は、それぞれ独立して、アミノ酸、アミノ酸誘導体及びペプチドから選択され、そしてR6及びR7は、それぞれ独立して、アミノ酸、アミノ酸誘導体及びペプチドから選択される。この実施態様において、スペーサーリンカーは、窒素を含むことができ、置換基X1及びスペーサーリンカーは、それに結合して複素環を形成する。
【0058】
スペーサーリンカーの追加的な例示には、アルキレン−アミノ−アルキレンカルボニル、アルキレン−チオ−(カルボニルアルキルスクシンイミド−3−イル)などが含まれ、以下の式:
【化7】
〔式中、整数x及びyは、1、2、3、4又は5である〕により更に例示されている。
【0059】
別の実施態様において、親水性領域を含むリンカーも記載される。一つの態様において、リンカーの親水性領域は、本明細書に記載される結合体に含まれるスペーサーリンカーの全体又は一部を形成する。例示的な親水性スペーサーリンカーは、PCT国際出願PCT/US2008/068093(2008年6月25日出願)に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
本明細書に使用されるとき、用語「シクロアルキル」には、その一部が環を形成する炭素原子の二価鎖を含む、分子フラグメント又はラジカルが含まれる。本明細書に使用されるとき、シクロアルキルという用語には、環原子又は非環原子に結合しているフラグメント及びラジカルが含まれることが理解されるべきであり、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、3−エチルシクロペンタ−1−イル、シクロプロピルエチル、シクロヘキシルメチルなどである。
【0061】
本明細書に使用されるとき、用語「シクロアルキレン」には、その一部が環を形成する炭素原子の二価鎖を含む、分子フラグメント又はラジカルが含まれる。本明細書に使用されるとき、シクロアルキルという用語には、環原子又は非環原子に結合しているフラグメント及びラジカルが含まれることが理解されるべきであり、例えば、シクロプロパ−1,1−ジイル、シクロプロパ−1,2−ジイル、シクロヘキサ−1,4−ジイル、3−エチルシクロペンタ−1,2−ジイル、1−メチレンシクロヘキサ−4−イルなどである。
【0062】
本明細書に使用されるとき、用語「ヘテロアルキル」及び「ヘテロアルキレン」には、炭素原子及びヘテロ原子(ここでヘテロ原子は、窒素、酸素及び硫黄から選択される)の直鎖又は分岐鎖から形成される一価及び二価基をそれぞれ含む、分子フラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、アルコキシアルキル、アルキレンオキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アルキレンアミノアルキル、アルキルチオアルキル、アルキレンチオアルキル、アルコキシアルキルアミノアルキル、アルキルアミノアルコキシアルキル、アルキレンオキシアルキルアミノアルキルなどである。
【0063】
本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロシクリル」には、少なくとも1個のヘテロ原子を含むその一部が環を形成する炭素原子及びヘテロ原子(ここでヘテロ原子は窒素、酸素及び硫黄から選択される)の一価鎖を含む、分子フラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、アジリジン、ピロリジン、オキサゾリジン、3−メトキシピロリジン、3−メチルピペラジンなどである。したがって、本明細書に使用されるとき、ヘテロシクリルには、アルキルヘテロシクリル、ヘテロアルキルヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルへテロアルキルなどが含まれる。本明細書に使用されるとき、ヘテロシクリルという用語には、環原子又は非環原子に結合しているフラグメント及びラジカルが含まれることが理解されるべきであり、例えば、テトラヒドロフラン−2−イル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−4−イル、ピペラジン−1−イル、モルホリン−1−イル、テトラヒドロフラン−2−イルメチル、ピペリジン−1−イルエチル、ピペリジン−4−イルメチル、ピペラジン−1−イルプロピル、モルホリン−1−イルエチルなどである。
【0064】
本明細書で使用されるとき、用語「アリール」には、炭素原子の芳香族単環式又は多環式の環を含むフラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、フェニル、ナフチルなどである。
【0065】
本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロアリール」には、炭素原子及び窒素、酸素、硫黄から選択される少なくとも1個ヘテロ原子の芳香族単環式又は多環式の環を含む分子フラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、ピリジニル、ピリミジニル、インドリル、ベンゾオキサゾリルなどである。
【0066】
本明細書に使用されるとき、用語「置換アリール」又は「置換ヘテロアリール」には、1つ以上の置換基で置換されているアリール又はヘテロアリールを含む分子フラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、アルキル、ヘテロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル又はジアルキルアミノ、アルコキシ、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、カルボキシレート、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、シアノ、ニトロなどである。そのような置換基のアルキル基は場合によりハロで置換されうることが理解されるべきである。
【0067】
本明細書で使用されるとき、用語「イミノアルキリデニル」には、本明細書に定義されているアルキレン及び窒素原子を含有する二価ラジカルを含む分子フラグメン又はラジカルが含まれ、ここでアルキレンの末端炭素は窒素原子に二重結合しており、例えば、式:−(CH)=N−、−(CH2)2(CH)=N−、−CH2C(Me)=N−などが挙げられる。
【0068】
本明細書で使用されるとき、用語「アミノ酸」には、セリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのような天然に生じるアミノ酸に対応する基を含むアミノアルキルカルボキシレートを意味し、ここでアルキルラジカルは、場合により、アルキル、ヒドロキシアルキル、スルフヒドリルアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキルなどで置換されている。
【0069】
例えば、一つの実施態様において、アミノ酸は、一般式:
【化8】
〔式中、Rは、水素、アルキル、アシル又は適切な窒素保護基であり、R′及びR″は、水素又は置換基であり、それぞれ現れるときに、それぞれ独立して選択され、そしてqは、1、2、3、4又は5のような整数である〕を有する二価ラジカルである。例示的に、R′及び/又はR″は、独立して、水素又は天然に生じるアミノ酸に存在する側鎖、例えば、メチル、ベンジル、ヒドロキシメチル、チオメチル、カルボキシル、カルボキシルメチル、グアニジノプロピルなど及びそれらの誘導体と保護誘導体に対応するが、これらに限定されない。上記に記載された式は、全ての立体化学的な変形態様を含む。例えば、アミノ酸は、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、リシン、グルタミン、アルギニン、セリン、オルニチン、トレオニンなどから選択することができる。一つの変形態様において、アミノ酸は、フェニルアラニン、チロシンなどや、それらの誘導体及び置換された変形態様から選択することができる。
【0070】
本明細書に使用されるとき、用語「アリールアルキル」及び「ヘテロアリールアルキル」には、直鎖又は分岐鎖アルキレン基で置換されている、本明細書に定義されているアリール及びヘテロアリールをそれぞれ含む、分子フラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、ベンジル、フェニルエチル、α−メチルベンジル、ピコリニル、ピリミジニルエチルなどである。
【0071】
上記記載の用語を組み合わせて、化学的に関連する基を生じうることが理解されるべきであり、そのような基として、例えば、トリフルオロメチルオキシエチルや1,2−ジフルオロ−2−クロロエタ−1−イルオキシプロピルなどを意味する「ハロアルコキシアルキル」が挙げられる。
【0072】
本明細書に使用されるとき、用語「アミノ酸誘導体」は、一般に、セリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などに見出されるような天然に生じるアミノ酸に見出される側鎖に対応する基を含む、アミノアルキルカルボキシレートを意味し、ここでアミノラジカル若しくはカルボキシレートラジカルは、それぞれ場合によりアルキル、カルボキシルアルキル、アルキルアミノなどで置換されているか、又は場合により保護されており、介在二価アルキルフラグメントは、場合により、アルキル、ヒドロキシアルキル、スルフヒドリルアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキルなどで置換されている。
【0073】
本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド」には、アミド結合により互いに共有結合している一連のアミノ酸及びアミノ酸の類似体と誘導体を含む、フラグメント又はラジカルが含まれる。
【0074】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルオキシメチルオキシを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでメチルは、場合によりアルキル又は置換アリールで置換されている。
【0075】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルカルボニルを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、アシルアジリジン又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0076】
別の実施態様において、二価リンカーは、1−アルコキシシクロアルキレンオキシを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含む。
【0077】
別の実施態様において、二価リンカーは、アルキレンアミノカルボニル(ジカルボキシルアリーレン)カルボキシレートを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含む。
【0078】
別の実施態様において、二価リンカーは、ジチオアルキルカルボニルヒドラジドを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでヒドラジドは、薬剤と共に、ヒドラゾン又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0079】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルカルボニルヒドラジドを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでヒドラジドは、薬剤と共に、ヒドラゾン又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0080】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−チオアルキルスルホニルアルキル(二置換シリル)オキシを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここで二置換シリルは、アルキル又は場合により置換されているアリールで置換されている。
【0081】
別の実施態様において、二価リンカーは、天然に生じるアミノ酸及びそれらの立体異性体からなる群より選択される、複数のスペーサーリンカーを含む。
【0082】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルオキシカルボニルを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、炭酸塩又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0083】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアリールアルキルオキシカルボニルを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、炭酸塩又はその類似体若しくは誘導体を形成し、アリールは場合により置換されている。
【0084】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルオキシアルキルオキシアルキリデンを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでアルキリデンは、薬剤と共に、ヒドラゾン又はその類似体若しくは誘導体を形成し、アルキルは、それぞれ独立して選択され、そしてオキシアルキルオキシは、場合により、アルキル又は場合により置換されているアリールで置換されている。
【0085】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルオキシカルボニルヒドラジドを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含む。
【0086】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルアミノを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでアミノは、薬剤と共に、ビニル系アミド又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0087】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルアミノを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでアミノは、薬剤と共に、ビニル系アミド又はその類似体若しくは誘導体を形成し、アルキルはエチルである。
【0088】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルアミノカルボニルを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、カルバメート又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0089】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルアミノカルボニルを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、カルバメート又はその類似体若しくは誘導体を形成し、アルキルはエチルである。
【0090】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアリールアルキルオキシカルボニルを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、カルバメート若しくはカルバモイルアジリジン又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0091】
別の実施態様において、多価リンカーは、多価3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルオキシメチルオキシ基を形成する、連結したスペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、以下の式:
【化9】
により例示され、ここで、nは、1〜6の整数であり、アルキル基は、場合により置換されており、メチルは、場合により、追加のアルキル又は場合により置換されているアリール基で置換されており、これらの基はそれぞれ、独立して選択される基Rとして表されている。符号(*)は、本明細書に記載されている結合体の他の部分への多価リンカーフラグメントの結合点を示す。
【0092】
別の実施態様において、多価リンカーは、連結して、多価3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルカルボニル基を形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、以下の式:
【化10】
により例示され、ここで、nは、1〜6の整数であり、アルキル基は場合により置換されている。符号(*)は、本明細書に記載されている結合体の他の部分への多価リンカーフラグメントの結合点を示す。別の態様において、多価リンカーは、連結して、多価3−チオアルキルスルホニルアルキル(二置換シリル)オキシ基を形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここで二置換シリルは、アルキル及び/又は場合により置換されているアリール基で置換されている。
【0093】
別の実施態様において、多価リンカーは、連結して、多価ジチオアルキルカルボニルヒドラジド基又は多価3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルカルボニルヒドラジドを形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、以下の式:
【化11】
により例示され、ここで、nは1〜6の整数であり、アルキル基は、場合により置換されており、ヒドラジドは、(B)、(D)又は多価リンカー(L)の別の部分と共にヒドラゾンを形成する。符号(*)は、本明細書に記載されている結合体の他の部分への多価リンカーフラグメントの結合点を示す。
【0094】
別の実施態様において、多価リンカーは、連結して、多価3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルオキシアルキルオキシアルキリデン基を形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、以下の式:
【化12】
により例示され、ここで、nは、それぞれ、1〜6から独立して選択される整数であり、アルキル基は、それぞれ独立して選択され、場合により、例えばアルキル、又は場合により置換されているアリールで置換されており、アルキリデンは、(B)、(D)又は多価リンカー(L)の他の部分と共にヒドラゾンを形成する。符号(*)は、本明細書に記載されている結合体の他の部分への多価リンカーフラグメントの結合点を示す。
【0095】
追加の例示的なリンカーは、WO2006/012527に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。追加のリンカーが以下の表に記載されており、(*)原子は、追加のスペーサー若しくは放出型リンカー、薬剤及び/又は結合リガンドの結合点である。
【0096】
例示的な放出型リンカー
【表1】
【0097】
本明細書に記載されているスペーサー及び放出型リンカーは、それぞれ、二価である。加えて、スペーサーリンカー、放出型リンカー、薬剤D及びリガンドBの間の連結は、多様なスペーサーリンカー、放出型リンカー、薬剤D及びリガンドBにおいて見出される任意の原子において生じることができる。
【0098】
薬剤は、窒素原子を含むことができ、放出型リンカーは、場合により置換基X2で置換されている、ハロアルキレンカルボニルであることができ、放出型リンカーは、薬剤の窒素と結合してアミドを形成する。
【0099】
薬剤は、酸素原子を含むことができ、放出型リンカーは、場合により置換基X2で置換されている、ハロアルキレンカルボニルであることができ、放出型リンカーは、薬剤の酸素と結合してエステルを形成する。
【0100】
薬剤は、二重結合窒素原子を含むことができ、この実施態様において、放出型リンカーは、アルキレンカルボニルアミノ及び1−(アルキレンカルボニルアミノ)スクシンイミド−3−イルであることができ、放出型リンカーは、薬剤の窒素と結合してヒドラゾンを形成することができる。
【0101】
薬剤は、硫黄原子を含むことができ、この実施態様において、放出型リンカーは、アルキレンチオ及びカルボニルアルキルチオであることができ、放出型リンカーは、薬剤の硫黄と結合してジスルフィドを形成することができる。
【0102】
別の実施態様において、PSMAに結合する又はそれを標的化することができる結合又は標的リガンドは、リン酸、ホスホン酸若しくはホスフィン酸、又はこれらの誘導体である。一つの態様において、リン酸、ホスホン酸若しくはホスフィン酸、又はこれらの誘導体は、1つ以上のカルボン酸基を含む。別の態様において、リン酸、ホスホン酸若しくはホスフィン酸、又はこれらの誘導体は、1つ以上のチオール基又はそれらの誘導体を含む。別の態様において、リン酸、ホスホン酸若しくはホスフィン酸、又はこれらの誘導体は、1つ以上のカルボン酸の生物学的等価物を含み、例えば、場合により置換されているテトラゾールなどである。
【0103】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、ペンタン二酸の誘導体である。例示的には、ペンタン二酸の誘導体は、下記式:
【化13】
〔式中、Xは、RP(O)(OH)CH2−(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,968,915号を参照すること);RP(O)(OH)N(R1)−(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,863,536号を参照すること);RP(O)(OH)O−(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,795,877号を参照すること);RN(OH)C(O)Y−又はRC(O)NH(OH)Y(ここでYは、−CR1R2−、−NR3−又は−O−である)(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,962,521を参照すること);RS(O)Y、RSO2Y又はRS(O)(NH)Y(ここでYは、−CR1R2−、−NR3−又は−O−である)(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,902,817号を参照すること);又はRS−アルキル(ここでRは、例えば、水素、アルキル、アリール又はアリールアルキルであり、それぞれ場合により置換されている)(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、J. Med. Chem. 46:1989-1996 (2003)を参照すること)である〕で示される化合物である。
【0104】
前述のそれぞれの式において、R、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素、C1〜C9の直鎖又は分岐鎖アルキル、C2〜C9の直鎖又は分岐鎖アルケニル、C3〜C8シクロアルキル、C5〜C7シクロアルケニル及びアリールから選択される。加えて、R、R1、R2及びR3は、それぞれ場合により、例えば、C3〜C8シクロアルキル、C5〜C7シクロアルケニル、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル、C2〜C6の直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アリールから選択される1つ以上の基で置換されていることができる。一つの態様において、アリールは、1−ナフチル、2−ナフチル、2−インドリル、3−インドリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ベンジル及びフェニルから選択され、それぞれの場合において、アリールは、場合により、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル、C2〜C6の直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ及びアミノから選択される1つ以上の基、例示的には1〜3つの基で置換されていることができる。上記のそれぞれの式の一つの変形態様において、Rは水素ではない。
【0105】
米国特許第5,968,915号に記載されている例示的なPSMAリガンドには、2−〔〔メチルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔エチルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔プロピルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔ブチルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔シクロヘキシルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔フェニルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔2−(テトラヒドロフラニル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(2−テトラヒドロピラニル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((4−ピリジル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((2−ピリジル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(フェニルメチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((2−フェニルエチル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((3−フェニルプロピル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((3−フェニルブチル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((2−フェニルブチル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(4−フェニルブチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;及び2−〔〔(アミノメチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸が含まれる。
【0106】
米国特許第5,863,536号に記載されている例示的なPSMAリガンドには、N−〔メチルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔エチルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔プロピルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔ブチルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔フェニルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔(フェニルメチル)ヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔((2−フェニルエチル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;及びN−メチル−N−〔フェニルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸が含まれる。
【0107】
米国特許第5,795,877号に記載されている例示的なPSMAリガンドには、2−〔〔メチルヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔エチルヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔プロピルヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔ブチルヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔フェニルヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔((4−ピリジル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔((2−ピリジル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔(フェニルメチル)ヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;及び2〔〔((2−フェニルエチル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸が含まれる。
【0108】
米国特許第5,962,521号に記載されている例示的なPSMAリガンドには、2−〔〔(N−ヒドロキシ)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−メチル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ブチル−N−ヒドロキシ)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ベンジル−N−ヒドロキシ)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−フェニル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−2−フェニルエチル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−エチル−N−ヒドロキシ)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−プロピル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−3−フェニルプロピル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−4−ピリジル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(メチル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(ベンジル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(フェニル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(2−フェニルエチル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(エチル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(プロピル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(3−フェニルプロピル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;及び2−〔〔N−ヒドロキシ(4−ピリジル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸が含まれる。
【0109】
米国特許第5,902,817号に記載されている例示的なPSMAリガンドには、2−〔(スルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(メチルスルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(エチルスルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(プロピルスルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(ブチルスルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(フェニルスルフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(2−フェニルエチル)スルフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(3−フェニルプロピル)スルフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(4−ピリジル)スルフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔(ベンジルスルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(スルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(メチルスルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(エチルスルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(プロピルスルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(ブチルスルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(フェニルスルホニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(2−フェニルエチル)スルホニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(3−フェニルプロピル)スルホニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(4−ピリジル)スルホニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔(ベンジルスルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(スルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(メチルスルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(エチルスルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(プロピルスルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(ブチルスルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(フェニルスルホキシイミニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(2−フェニルエチル)スルホキシイミニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(3−フェニルプロピル)スルホキシイミニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(4−ピリジル)スルホキシイミニル〕メチル〕ペンタン二酸;及び2−〔(ベンジルスルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸が含まれる。
【0110】
本明細書に記載されているペンタン二酸の誘導体は、PSMAに高い結合親和性を有することが報告されており、以下のホスホン酸及びホスフィン酸の誘導体が含まれるが、これらに限定されない:
【化14】
式中、E−I複合体の解離定数(Ki値)が示されている(Current Medicinal Chem. 8:949-.957 (2001); Silverman, “The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,” Elsevier Academic Press (2nd Ed. 2003)を参照すること。なおこの開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0111】
別の例示的な実施態様において、ペンタン二酸の誘導体は、チオール基を含み、例えば、以下の式:
【化15】
で示される化合物であり、式中、E−I複合体の阻害定数(IC50値)が示されている。
【0112】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、2つのアミノ酸の尿素化合物である。一つの態様において、アミノ酸は、1つ以上の追加のカルボン酸を含む。別の態様において、アミノ酸は、1つ以上のリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルフィン酸、スルホン酸又はボロン酸を含む。別の態様において、アミノ酸は、1つ以上のチオール基又はその誘導体を含む。別の態様において、アミノ酸は、1つ以上のカルボン酸の生物学的等価物、例えばテトラゾールなどを含む。
【0113】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、ペンタン二酸のアミノカルボニル誘導体である。例示的には、アミノカルボニルペンタン二酸誘導体は、下記式:
【化16】
〔式中、R1及びR2は、それぞれ、水素や、場合により置換されている、チオール酢酸、チオールプロピオン酸などのようなカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸などから選択される〕で示される化合物である。例示的なアミノカルボニルペンタン二酸誘導体は、J. Med. Chem. 44:298-301 (2001) and J. Med. Chem. 47: 1729-38 (2004)に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、下記式で示される化合物である:
【化17】
【表2】
【0115】
本明細書に記載されている尿素化合物は、これらの化合物のサブナノモル効力、水溶性及び/又は長期安定性によって、同様に本明細書に記載されているリガンドの調製にも有利でありうることが理解される。本明細書に記載されている尿素化合物は、一般に、市販の出発材料から本明細書に記載されるようにして調製することができる。
【0116】
上記の例示のペンタン二酸化合物及び尿素化合物のそれぞれにおいて、少なくとも1つの不斉炭素原子が存在する。したがって、上記の例示式は、全ての立体異性体を、純粋な鏡像異性体として、又は、鏡像異性体及び/若しくはジアステレオマーの混合物として、個別的にも集合的にも参照することが意図され、それらには、ラセミ混合物や、1つのエピマーを最初の不斉炭素原子に含むが、ラセミ混合物を含む他の不斉炭素の混合物も許容するような混合物などが含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
別の例示的な実施態様において、結合剤は、アスパラギン酸、グルタミン酸などのようなアミノジカルボン酸と別のアミノジカルボン酸又はその類似体との尿素化合物であり、例えば下記式:
【化18】
〔式中、Qは、アスパラギン酸、グルタミン酸などのようなアミノジカルボン酸又はその類似体であり、n及びmは、それぞれ、1から約6の整数から選択され、そして(*)は、リンカーLの結合点を表す〕で示される結合剤である。
【0118】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、少なくとも4つのカルボン酸基を含むか、又は、PSMAリガンドが薬剤又はリンカーに結合した後、少なくとも3つの遊離カルボン酸基を含む。本明細書に記載されているように、PSMAリガンドのカルボン酸基には、カルボン酸の生物学的等価物が含まれることが理解される。
【0119】
例示的には、PSMAリガンドは、下記式で示される化合物である:
【化19】
【0120】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、2−〔3−(1−カルボキシ−2−メルカプト−エチル)−ウレイド〕−ペンタン二酸(MUPA)又は2−〔3−(1,3−ジカルボキシ−プロピル)−ウレイド〕−ペンタン二酸(DUPA)である。
【0121】
PSMAリガンドの他の例示的な例には、キスカル酸、アスパラギン酸グルタミン酸(Asp−Glu)、Glu−Glu、Gly−Glu、γ−Glu−Glu、ベータ−N−アセチル−L−アスパラギン酸−L−グルタミン酸(β−NAAG)などが挙げられる。
【0122】
別の例示的な実施態様において、結合剤は、アスパラギン酸、グルタミン酸などのようなアミノジカルボン酸と、別のアミノジカルボン酸又はその類似体との尿素化合物であり、リンカーは、天然に生じるアミノ酸及び非天然のアミノ酸を含むアミノ酸からなるペプチドである。一つの実施態様において、リンカーは、Glu、Asp、Phe、Cys、ベータアミノAla及びアミノアルキルカルボン酸、例えば、Gly、ベータAla、アミノ吉草酸、アミノカプロン酸などから選択されるアミノ酸を含む、ペプチドである。別の実施態様において、リンカーは、Glu、Asp、Phe、Cys、ベータアミノAla及びアミノアルキルカルボン酸、例えば、Gly、ベータAla、アミノ吉草酸、アミノカプロン酸などから選択されるアミノ酸からなるペプチドである。別の実施態様において、リンカーは、少なくとも1つのPheを含むペプチドである。変形態様において、リンカーは、少なくとも2つのPhe残基、又は少なくとも3つのPhe残基を含むペプチドである。別の実施態様において、リンカーは、Glu−Pheを含むペプチド、又はアミノアルキルカルボン酸及びPheのジペプチドである。別の実施態様において、リンカーは、Glu−Phe−Pheを含むペプチド、又はアミノアルキルカルボン酸及び2つのPhe残基のトリペプチドである。別の実施態様において、リンカーは、1つ以上のPhe残基を含むペプチドであり、ここで少なくとも1つのPheは、結合リガンドBから約7〜約11個又は約7〜約14個の原子だけ離れている。別の実施態様において、リンカーは、Phe−Pheを含むペプチドであって、Phe原子の少なくとも一つは結合リガンドBから約7〜約11個又は約7〜約14個の原子だけ離れている。前述のそれぞれの実施態様及び変形態様において、1つ以上のPhe残基を、Tyr又は別の置換変形態様に交換しうることが理解されるべきである。
【0123】
別の例示的な実施態様において、結合剤は、アスパラギン酸、グルタミン酸などのようなアミノジカルボン酸と別のアミノジカルボン酸又はその類似体との尿素化合物であり、リンカーは、リンカーの主鎖に結合している、それぞれ場合により置換されている1つ以上のアリール又はアリールアルキルを含む。別の実施態様において、リンカーは、結合リガンドBから約7〜約11個の原子だけ離れたリンカーの主鎖に結合している、それぞれ場合により置換されている1つ以上のアリール又はアリールアルキル基を含む。別の実施態様において、リンカーは、リンカーの主鎖に結合している、それぞれ場合により置換されている2つのアリール又はアリールアルキル基を含み、ここで、一方のアリール又はアリールアルキル基は、結合リガンドBから約7〜約11個又は約7〜約14個の原子だけ離れており、他方のアルキル又はアリールアルキル基は、結合リガンドBから約10〜約14個又は約10〜約17個の原子だけ離れている。
【0124】
本明細書に記載されているように、結合体は、PSMA結合性リガンドを使用して、PSMAを発現又は過剰発現している細胞を標的化する。いったん送達されると、結合体はPSMAに結合する。特定の実施態様において、結合体は、画像化及び/又は診断にとって十分な時間細胞の表面に残ることが理解される。別の実施態様において、結合体は、後の画像化及び/若しくは診断、又は治療のため、エンドサイトーシスのような内在性細胞機構により、PSMAを発現又は過剰発現している細胞に内部移行する。いったん内部移行すると、結合体は、そのまま残ってもよいし、分解、解体、そうでなければ変質して、結合体を形成している薬剤の放出を可能にしてもよい。画像化及び/又は診断の形態では、薬剤は、結合体としてそのまま残ってもよいし、又はいったん標的細胞に内部移行すると、放出されてもよいことが理解される。治療の形態では、薬剤は、いったん標的細胞に内部移行すると、結合体から放出されるのが有利であることが、更に理解される。
【0125】
一つの例示的な実施態様において、薬剤は画像化剤である。別の例示的な変形態様において、薬剤は診断剤である。別の例示的な変形態様において、薬剤は化学療法剤である。
【0126】
一つの態様において、画像化剤は、リンカーに共有結合している放射性同位体である。別の態様において、画像化剤は、キレート基に配位している放射性金属同位元素のような、放射性同位元素である。例示的な放射性金属同位元素には、111In、99mTc、64Cu、67Cu、67Ga、68Gaなどの同位元素を含む、テクネチウム、レニウム、ガリウム、ガドリニウム、インジウム、銅などが含まれる。追加の例示的な放射性核種画像化剤の例は、米国特許第7,128,893号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。追加の例示的なキレート基は、トリペプチド又はテトラペプチドであり、下記式:
【化20】
〔式中、Rは、独立して、それぞれの場合にH、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルなどから選択され、これらはそれぞれ場合により置換されている〕を有するトリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。1つのRは、ニトロ、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子を含み、リンカーLの結合点であることが理解されるべきである。例示的には、以下のキレート基が記載され:
【化21】
ここで、Xは、酸素、窒素又は硫黄であり、Xは、リンカーLに結合しており、そしてnは1〜約5の整数である。
【0127】
別の態様において、画像化剤は蛍光剤である。蛍光剤には、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514などが含まれるオレゴングリーン蛍光剤(但しこれらに限定されない)、AlexaFluor 488、AlexaFluor 647などが含まれるAlexaFluor蛍光剤(但しこれらに限定されない)、フルオレセイン及び関連する類似体、BODIPY Fl、BODIPY 505などが含まれるBODIPY蛍光剤(但しこれらに限定されない)、テトラメチルローダミンなどが含まれるローダミン蛍光剤(但しこれらに限定されない)、DyLight 680、DyLight 800などが含まれるDyLight蛍光剤(但しこれらに限定されない)、CW800、テキサスレッド、フィコエリトリンなどが含まれる。例示的な蛍光剤が、以下の例示的な一般構造により示されており:
【化22】
ここで、Xは、酸素、窒素又は硫黄であり、Xは、リンカーLに結合しており;Yは、ORa、NRa2又はNRa3+であり;そしてY′は、O、NRa又はNRa2+であり;ここで、Rは、それぞれ独立して、それぞれの場合にH、フルオロ、スルホン酸、スルホネート及びこれらの塩などから選択され、Raは、水素又はアルキルである。
【0128】
【化23】
ここで、Xは、酸素、窒素又は硫黄であり、Xは、リンカーLに結合しており;Rは、それぞれ独立して、それぞれの場合にH、アルキル、ヘテロアルキルなどから選択され;そしてnは、0〜約4の整数である。
【0129】
別の態様において、画像化剤は、PET画像化剤又はFRET画像化剤である。PET画像化剤には、18F、11C、64Cu、65Cuなどが含まれる。FRET画像化剤には、64Cu、65Cuなどが含まれる。18F、11Cの場合、画像化同位元素は、リンカーの任意の部分に存在しうるか、あるいはリンカーに結合している構造に存在しうることが理解される。例えば、18Fの場合、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、フルオロニトロフェニルなどのようなフルオロアリール基が記載される。例えば、11Cの場合、アルキル及びアルキルアリールが記載される。
【0130】
別の態様において、化学療法剤は細胞毒性化合物である。本明細書に記載される細胞毒性化合物は、多数の作用機構のいずれかにより作動する。一般に、細胞毒性化合物は、細胞の生存及び/若しくは細胞の繁殖に重要である細胞機構を妨害する、及び/又は、アポトーシスを引き起こす。
【0131】
薬剤は、細胞機能を調節、そうでなければ修飾することができる任意の分子であることができ、薬学的に活性な化合物が含まれる。適切な分子には、ペプチド、オリゴペプチド、レトロ−インバースオリゴペプチド、タンパク質、ペプチド架橋が少なくとも1つの非ペプチド架橋に代わっているタンパク質類似体、アポタンパク質、糖タンパク質、酵素、補酵素、酵素インヒビター、アミノ酸及びそれらの誘導体、受容体及び他の膜タンパク質;抗原及びその抗体;ヘプテン及びその抗体;ホルモン、脂質、リン脂質;リポソーム;毒素;抗生物質;鎮静薬;気管支拡張剤;ベータ−ブロッカー;抗菌剤;抗高血圧剤;抗不整脈薬、強心配糖体、抗狭心症薬及び血管拡張薬を含む心血管剤;興奮薬、向精神薬、抗躁薬及び抑制薬を含む中枢神経剤;抗ウイルス剤;抗ヒスタミン薬;化学療法剤を含む抗癌剤;精神安定剤;抗鬱剤;H−2アンタゴニスト;抗痙攣薬;制吐薬;プロスタグランジン及びプロスタグランジン類似体;筋弛緩薬;抗炎症性物質;刺激薬;充血除去薬;鎮吐薬;利尿薬;鎮痙薬;抗喘息薬;抗パーキンソン剤;去痰剤;鎮咳薬;粘液溶解薬;並びにミネラルおよび栄養添加物を含めることができるが、これらに限定されない。
【0132】
更に、薬剤は、細胞毒性があるか、腫瘍浸透性を増強するか、腫瘍細胞繁殖を阻害するか、アポトーシスを促進するか、標的細胞の抗アポトーシス活性を減少させるか、感染因子により引き起こされる疾患の治療に使用されるか、病原性細胞に向けられる内因性免疫反応を増強するか、又は任意の種類の病原性細胞により引き起こされる疾患状態の治療に有用であるような、当該技術において既知の任意の薬剤であることができる。本発明の使用に適切な薬剤には、アドレノコルチコイド及びコルチコステロイド、アルキル化剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、アクラマイシン及びアクラマイシン誘導体、エストロゲン、例えばシトシンアラビノサイド、プリン類似体、ピリミジン類似体及びメトトレキセートなどの抗代謝剤、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン及び他の白金化合物、例えばタモキシフェン、タキソール、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、Taxotere(登録商標)などのタキサン類、メイタンシン類とそれらの類似体及び誘導体、シクロホスファミド、ダウノマイシン、ドキソルビシン、リゾキシン、T2毒素、植物アルカロイド、プレドニゾン、ヒドロキシ尿素、 テニポシド、マイトマイシン、ディスコデルモリド、微小管インヒビター、エポチロン、ツブリシン、シクロプロピルベンズ〔e〕インドロン、セコ−シクロプロピルベンズ〔e〕インドロン、O−Ac−セコ−シクロプロピルベンズ〔e〕インドロン、ブレオマイシン及び他の任意の抗生物質、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、ビンクリスチン、ビンブラスチン、それらの類似体及び誘導体、例えばデアセチルビンブラスチンモノヒドラジド、コルヒチン、コルヒチン誘導体、アロコルヒチン、チオコルヒチン、トリチルシステイン、ハリコンドリンB、例えばドラスタチン10などのドラスタチン類、例えばαアマニチンなどのアマニチン類、カンプトテシン、イリノテカン及び他のカンプトテシン誘導体、ゲルダナマイシン及びゲルダナマイシン誘導体、エストラムスチン、ノコダゾール、MAP4、コルセミド、炎症性及び炎症誘発剤、ペプチド及びペプチド模倣信号伝達インヒビター、並びに、他の任意の当該技術で認められている薬剤又は毒素が含まれる。本発明に使用できる他の薬剤には、ペニシリン、セファロスポリン、バンコマイシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リファンピン、クロラムフェニコール、アミノ配糖体抗生物質、ゲンタマイシ、アンフォテリシンB、アシクロビル、トリフルリジン、ガンシクロビル、ジドブジン、アマンタジン、リバビリン、及び他の任意の当該技術で認められている抗菌化合物が含まれる。
【0133】
例示的な薬剤及び他の治療剤は、米国特許出願第2005−0002942−A1号、同第2001−0031252−A1号及び同第2003−0086900−A1号に記載されている。例示的な画像化剤及び診断際は、米国特許出願第2004−0033195−A1号及び国際特許公報WO03/097647に記載されている。前述のそれぞれの特許出願公報の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
本明細書に記載されている発明には、1回以上の用量が投与されたときに宿主動物において病原性細胞の集団を排除するのに有効な量の結合リガンド(B)薬剤送達結合体を含む、医薬組成物も含まれる。結合リガンド薬剤送達結合体は、好ましくは、宿主動物に非経口投与され、例えば皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内又は鞘内投与される。あるいは、結合リガンド薬剤送達結合体を、経口投与のような、他の医学的に有用な方法により宿主動物に投与することができ、任意の有効用量及び徐放性の投与形態を含む適切な治療投与形態を使用することができる。
【0135】
非経口投与形態の例には、等張食塩水、5%グルコース、又は、液体アルコール、グリコール、エステル及びアミドのような周知の薬学的に許容される他の液体担体に溶解した、活性剤の水溶液が挙げられる。本発明の非経口投与形態は、薬剤送達結合体の用量を含む、再構築可能な凍結乾燥物の形態であることができる。本発明の実施態様の一つの態様において、例えば米国特許第4,713,249号、同第5,266,333号及び同第5,417,982号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている生分解性炭水化物マトリックスのような、当該技術で既知の数多くの徐放性の投与形態のうちのいずれかを投与してもよいし、あるいは低速ポンプ(浸透圧ポンプ)を使用してもよい。
【0136】
一つの例示的な態様において、治療因子を含む少なくとも1つの追加の組成物を、上記に詳述した方法論と組み合わせて又はその佐剤として宿主に投与して、結合リガンド薬剤送達結合体により仲介される病原性細胞集団の排除を増強することができ、2つ以上の追加の治療因子を投与することもできる。治療因子は、化学療法剤から又は投与された結合リガンド薬剤送達結合体の効能を補うことができる他の治療因子から選択することができる。
【0137】
一つの例示的な態様において、これらの因子の治療的に有効な組み合わせを使用することができる。一つの実施態様において、例えば、治療因子の治療有効量、例えば、多回用量1日レジメンにおける約0.1MIU/m2/用量/日から約15MIU/m2/用量/日の範囲の量、又は例えば、多回用量1日レジメンにおける約0.1MIU/m2/用量/日から7.5MIU/m2/用量/日の範囲の量を、結合リガンド薬剤送達結合体と共に使用して、病原性細胞を有する宿主動物において病原性細胞を排除、低減又は中和することができる(MIU=ミリ国際単位;m2=平均的なヒトの体表面積の概算)。
【0138】
別の実施態様において、例えばそれ自体細胞毒性である又は腫瘍透過性を増強するように作用できる化学療法剤も、結合リガンド薬剤送達結合体と組み合わせた本発明の方法における使用に適している。そのような化学療法剤には、アドレノコルチコイド及びコルチコステロイド、アルキル化剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、アクラマイシン及びアクラマイシン誘導体、エストロゲン、例えばシトシンアラビノサイド、プリン類似体、ピリミジン類似体及びメトトレキセートなどの抗代謝剤、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン及び他の白金化合物、タモキシフェン、タキソール、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、Taxotere(登録商標)、シクロホスファミド、ダウノマイシン、ドキソルビシン、リゾキシン、T2毒素、植物アルカロイド、プレドニゾン、ヒドロキシ尿素、テニポシド、マイトマイシン、ディスコデルモリド、微小管インヒビター、エポチロン、ツブリシン、シクロプロピルベンゾ〔e〕インドロン、セコ−シクロプロピルベンゾ〔e〕インドロン、O−Ac−セコ−シクロプロピルベンゾ〔e〕インドロン、ブレオマイシン及び他の任意の抗生物質、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、ビンクリスチン、ビンブラスチン、それらの類似体及び誘導体、例えばデアセチルビンブラスチンモノヒドラジド、コルヒチン、コルヒチン誘導体、アロコルヒチン、チオコルヒチン、トリチルシステイン、ハリコンドリンB、例えばドラスタチン10などのドラスタチン類、例えばαアマニチンなどのアマニチン類、カンプトテシン、イリノテカン及び他のカンプトテシン誘導体、ゲルダナマイシン及びゲルダナマイシン誘導体、エストラムスチン、ノコダゾール、MAP4、コルセミド、炎症性及び炎症誘発剤、ペプチド及びペプチド模倣信号伝達インヒビター、並びに、他の任意の当該技術で認められている薬剤又は毒素が含まれる。本発明に使用することができる他の薬剤には、ペニシリン、セファロスポリン、バンコマイシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リファンピン、クロラムフェニコール、アミノ配糖体抗生物質、ゲンタマイシ、アンフォテリシンB、アシクロビル、トリフルリジン、ガンシクロビル、ジドブジン、アマンタジン、リバビリン、マイタンシン類とその類似体及び誘導体、ゲムシタビン、並びに、他の任意の当該技術で認められている抗菌化合物が含まれる。
【0139】
治療因子を、結合リガンド薬剤送達結合体の投与の前、後、又はそれと同時に、宿主動物に投与することができ、治療因子を、結合リガンド薬剤送達結合体を含有する同じ組成物の一部として、又は結合リガンド薬剤送達結合体と異なる組成物の一部として、投与することができる。治療因子を治療的に有効な用量で含有する任意のそのような治療組成物を、本発明に使用することができる。
【0140】
加えて、2種類以上の結合リガンド薬剤送達結合体を使用することができる。例示的には、例えば、宿主動物を、異なるビタミンを有する結合体であるが同じ薬剤の共投与プロトコールにより治療することができる。他の実施態様において、宿主動物を、異なる薬剤に結合している同じ結合リガンドを含む又は多様な薬剤に結合している多様な結合リガンドを含む結合体で治療することができる。別の例示的な実施態様において、同じ又は異なるビタミンを有する、並びに同じ薬剤送達結合体の一部として複数のビタミン及び複数の薬剤を含む同じ又は異なる薬剤を有する結合リガンド薬剤送達結合体を使用することができる。
【0141】
別の例示的な態様において、結合リガンド薬剤送達結合体を投与するための任意の有効レジメンを使用することができる。例えば、結合リガンド薬剤送達結合体を、単回用量として投与することができるか又は多回用量1日レジメンとして分割投与することができる。別の実施態様において、時差レジメン、例えば1週間あたり1〜3日間を、1日治療の代替案として使用することができ、本発明を定義するため、そのような断続的又は時差的な1日レジメンは、連日治療と同等であって本発明の方法の範囲内であると考慮される。一つの実施態様において、宿主を結合リガンド薬剤送達結合体の多回注射により治療して、病原性細胞の集団を排除する。別の実施態様において、宿主には、結合リガンド薬剤送達結合体を、例えば12〜72時間間隔又は48〜72時間間隔で複数回(好ましくは約2回から最大約50回まで)注射する。他の実施態様において、結合リガンド薬剤送達結合体の追加の注射を、最初の注射の後、数日間又は数か月の間隔で患者に投与することができ、追加の注射は、病原性細胞により引き起こされる疾患状態の再発を防止する。
【0142】
例示的には、結合リガンド薬剤送達結合体を、薬学的に許容される担体と組み合わせて、疾患状態に罹患している動物又は患者に非経口投与することができ、例えば皮内、皮下、筋肉内、腹腔内又は静脈内投与することができる。別の実施態様において、結合リガンド薬剤送達結合体を、医学的に有用な他の手順により動物又は患者に投与することができ、有効用量を標準的な又は徐放性の投与形態で投与することができる。別の態様において、治療方法は、単独で、又は活性化マクロファージにより仲介される疾患状態の治療において認められている他の治療方法と組み合わせて使用することができる。
【0143】
本明細書に記載されるものは、PSMAを発現又は過剰発現する病原性細胞集団を画像化する方法である。
【0144】
本明細書に記載されるものは、PSMAを発現又は過剰発現する病原性細胞集団に関連する疾患及び疾患状態を診断する方法である。本明細書に記載されている化合物は、PSMAを発現又は過剰発現する細胞に選択的及び/又は特異的に結合する。加えて、病原性細胞と正常細胞の間に選択性を示すばかりでなく、病原性細胞集団の間でも選択性を示す(PSMAを発現しているLnCAP細胞が、発現していないA549腫瘍又はKB腫瘍と比較して優先的に可視化されている、図8を参照すること)。加えて、本明細書に記載されている結合体により実施される競合研究で示されているように、反応はPSMA結合に特異的であり、ここで当該研究においては、結合体のみを用いて、又はPSMAの既知の結合リガンドであるPMPAの過剰量の存在下で、結合が決定される。腎臓及び腫瘍の両方における結合は、過剰量のPMPAの存在によりブロックされる(例えば、本明細書に記載されている方法実施例を参照すること)。
【0145】
別の実施態様において、結合体は約100nM以下の結合定数Kdを有する。別の態様において、結合体は約75nM以下の結合定数Kdを有する。別の態様において、結合体は約50nM以下の結合定数Kdを有する。別の態様において、結合体は約25nM以下の結合定数Kdを有する。
【0146】
別の実施態様において、本明細書に記載されている結合体は、血液、心臓、肺、肝臓、脾臓、十二指腸、皮膚、筋肉、膀胱及び前立腺のような、正常組織よりも少なくとも3倍の選択性又は少なくとも5倍の選択性でPSMAを発現又は過剰に発現する細胞又は組織に対して、選択性を示す。一つの変形態様において、本明細書に記載されている結合体は、正常組織よりも少なくとも10倍の選択性でPSMAを発現又は過剰発現する細胞又は組織に対して、選択性を示す。画像化において観察される選択性は、PSMAを発現又は過剰発現する細胞又は細胞集団の選択的又は特異的排除に反応する疾患状態の治療において観察されうる選択性を示唆することが、理解される。
【0147】
薬剤送達結合体の1日投与単位は、宿主の状態、治療される疾患の状態、結合体の分子量、その投与経路及び組織分布、並びに放射線治療のような他の治療処置の併用の可能性によって有意に変わることができる。患者に投与される有効量は、体表面積、患者の体重及び患者の状態に関する医師の評価に基づいている。有効用量は、約1ng/kg〜約1mg/kg、約1μg/kg〜約500μg/kg、約1μg/kg〜約100μg/kg及び約1μg/kg〜約10μg/kgの範囲であることができる。
【0148】
一般に、二価リンカー(L)と結合リガンド(B)、又はその類似体若しくは誘導体との間の結合体や、二価リンカー(L)と薬剤又はその類似体若しくは誘導体(任意の介在ヘテロ原子を含む)との間の結合体を形成するために、本発明に従って任意の方法を利用することができる。また、スペーサーリンカー、放出型リンカー及び二価リンカー(L)を形成する1個以上のヘテロ原子の間の結合体を形成するために、当該技術で認められた任意の方法を使用することができる。結合体は、例えば水素、イオン又は共有結合を介するような、これらの分子のいずれかの間の直接的な結合により形成することができる。共有結合は、例えば、酸、アルデヒド、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル又はヒドラゾ基の間のアミド、エステル、ジスルフィド又はイミノ結合の形成を介して生じることができる。
【0149】
合成方法は、場合により含まれるヘテロ原子又はスペーサーリンカーに既に存在しているヘテロ原子、放出型リンカー、薬剤及び/又は結合リガンドの選択に応じて選ばれる。一般に、関連する結合形成反応は、Richard C. Larock, “Comprehensive Organic Transformations, a guide to functional group preparations,” VCH Publishers, Inc. New York (1989)及びTheodora E. Greene & Peter G.M. Wuts, “Protective Groups ion Organic Synthesis,” 2d edition, John Wiley & Sons, Inc. New York (1991)に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
より詳細には、ジスルフィド基は、一般に、アルキル若しくはアリールスルホニルチオアルキル誘導体又は対応するヘテロアリールジチオアルキル誘導体、例えばピリジン−2−イルジチオアルキル誘導体などを、アルキレンチオール誘導体と反応させることにより形成することができる。例えば、必要とされるアルキル又はアリールスルホニルチオアルキル誘導体は、Ranasinghe and Fuchs, Synth. Commun. 18(3), 227-32 (1988)の方法に従って調製することができ、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。非対称ジアルキルジスルフィドを調製する他の方法は、WO88/01622、欧州特許出願第0116208A1号及び米国特許第4,691,024号(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている、アルキルチオールによる非対称ヘテロアリール−アルキルジスルフィド、例えば2−チオピリジニル、3−ニトロ−2−チオピリジニルなどのジスルフィドのチオール交換に基づいている。更に、炭酸塩、チオ炭酸塩及びカルバメートは、一般に、ヒドロキシ置換化合物、チオ置換化合物又はアミン置換化合物を、それぞれ、適切な離脱基を有する活性化アルコキシカルボニル誘導体と反応させることにより形成することができる。
【実施例】
【0151】
本明細書に記載されている化合物は、従来の有機合成方法により調製することができる。加えて、本明細書に記載されている化合物は、下記に示されているとおりに調製することもができる。特に指示のない限り、出発材料及び試薬は、全て市販品を利用することができる。アミノ酸出発材料は、全てChem-Impex Int(Chicago, IL)から購入した。1H NMRスペクトルは、特に指示のない限り、Bruker500MHzクリオプローブを使用して得た。
【0152】
実施例1A。結合体のPSMAインヒビター中間体の一般的合成。DUPA誘導体の2−〔3−(1,3−ビス−tert−ブトキシカルボニル−プロピル)−ウレイド〕−ペンタン二酸1−tert−ブチルエステル(I)の特定の合成を例示する。
【0153】
【化24】
【0154】
SK09。−78℃に冷却した、CH2Cl2(25.0mL)中のL−グルタミン酸ジ−tert−ブチルエステルHCl(1.0g、3.39mmol)及びトリホスゲン(329.8mg、1.12mmol)の混合物に、トリエチルアミン(1.0mL、8.19mmol)を加えた。窒素下、−78℃で2時間撹拌した後、CH2Cl2(5.0mL)中のL−Glu(OBn)−O−tert−Bu(1.2g、3.72mmol)及びトリエチルアミン(600μL、4.91mmol)の混合物を加えた。反応混合物を1時間かけて室温にして、室温で一晩撹拌を続けた。反応混合物を1N HClとブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1、Rt=0.67)を使用して精製して、SK09(1.76g、90.2%)を得た。C30H46N2O9;W=578.69g/mol;無色の油状物;1H NMR(CDCl3)δ1.43(s,9H,CH3−tBu);1.44(s,9H,CH3−tBu);1.46(s,9H,CH3−tBu);1.85(m,1H,Glu−H);1.87(m,1H,Glu−H);2.06(m,1H,Glu−H);2.07(m,1H,Glu−H);2.30(m,2H,Glu−H);2.44(m,2H,Glu−H);4.34[s(broad),1H,αH];4.38[s(broad),1H,α−H];5.10(s,2H,CH2−Ar);5.22[s(broad),2H,尿素−H);7.34(m,5H,Ar−H)。13C NMR(CDCl3)δ28.16;28.25;28.54;28.60;30.52;31.73;53.13;53.22;66.58;80.71;82.25;82.35;128.39;128.71;136.03;156.96;172.01;172.16;172.65;173.13:CI−MS=579(M+H)+,ESI−MS=579(M+H)+,601(M+Na付加物)。
【0155】
SK23。CH2Cl2中の化合物SK09(250mg、432mmol)の溶液に、30%Pd/C(50mg)を加えた。反応混合物を、1気圧、室温で24時間水素化した。Pd/Cをセライトパッドで濾過し、CH2Cl2で洗浄した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=40:60、Rt=0.58)を使用して精製して、SK23(169mg、80.2%)を得た。C23H40N2O9;MW=488.57g/mol;無色の油状物;1H NMR(CDCl3)δ1.46(m,27H,CH3−tBu);1.91(m,2H,Glu−H);2.07(m,1H,Glu−H);2.18(m,1H,Glu−H);2.33(m,2H,Glu−H);2.46(m,2H,Glu−H);4.31(s(broad),1H,αH);4.35(s(broad),1H,α−H);5.05(t,2H,尿素−H);CI−MS=489(M+H)+,ESI−MS=489(M+H)+,511(M+Na付加物),487(M−H)−。
【0156】
実施例1B。結合体のPSMAインヒビター中間体の一般的合成。第三級ブチル保護MUPA誘導体の2−〔3−(1−tert−ブトキシカルボニル−2−メルカプト−エチル)−ウレイド〕−ペンタン二酸ジ−tert−ブチルエステル(II)の特定の合成を例示する。
【0157】
【化25】
【0158】
SK15。−78℃に冷却した、CH2Cl2(5.0mL)中のL−グルタミン酸ジ−tert−ブチルエステルHCl(200mg、0.676mmol)及びトリホスゲン(67mg、0.228mmol)の混合物に、トリエチルアミン(50μL、0.410mmol)を加えた。窒素下、−78℃で2時間撹拌した後、CH2Cl2(1.0mL)中のD−Cys(Fm)−OtBu(291.4mg、0.774mmol)及びトリエチルアミン(30μL、240mmol)の混合物を加えた。反応混合物を1時間かけて室温にして、室温で一晩撹拌を続けた。反応混合物を1N HClとブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=50:50、Rt=0.6)を使用して精製して、SK15(374mg、86.4%)を得た。C35H48N2O7S;MW=640.83g/mol;淡黄色の油状物;1H NMR(CDCl3)δ1.45(s,27H,CH3−tBu);1.88(m,1H,Glu−H);2.10(m,1H,Glu−H);2.32(m,2H,Glu−H);2.97(m,2H,Fm−CH2);3.13(m,2H,Cys−H);4.09(t,1H,Fm−H);4.38(m,1H,αH);4.66(m,1H,α−H);5.55(d,1H,尿素−H);5.67(d,1H,尿素−H);7.30(q,2H,Ar−H);7.36(q,2H,Ar−H);7.73(m,4H,Ar−H)。13C NMR (CDCl3)δ28.05;28.14;28.42;31.64;36.27;37.25;53.07;53.73;80.51;81.98;82.42;119.85;124.95;125.09;127.09;127.51;141.09;145.99;156.76;170.80;172.15;172.43;CI−MS=641(M+H)+,ESI−MS=641(M+H)+。
【0159】
実施例2A。PSMA画像化剤結合体の一般的合成。原子14個のリンカー化合物SK28の合成を例示する。
【化26】
【0160】
SK28は、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発する、標準的なフルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)固相ペプチド合成(SPPS)を使用して合成した。SK28は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=0.1 TFA、B=アセトニトリル(ACN);λ=257nm;溶媒勾配:25分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を30分間実施)を使用して精製した(61%)。精製した化合物を、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 8μm;3.0×15mm;A=0.1 TFA、B=ACN;λ=257nm、10分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C47H65N2O17S;MW=1060.13g/mol;白色の固体;Rt=7.7分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ0.93(m,2H);1.0(m,5H);1.27(m,5H);1.69(m,2H);1.90(m,2H);1.94(m,2H);2.10(m,2H);2.24(q,2H);2.62(m,2H);2.78(m,4H);2.88(dd,1H);2.96(t,2H);3.01(dd,1H);3.31(dd,1H);3.62(dd,1H);3.80(q,1H,αH);4.07(m,1H,αH);4.37(m,1H,αH);4.42(m,2H,αH);4.66(m,1H,αH);7.18(m,10H,Ar−H):LC−MS=1061(M+H)+;ESI−MS=1061(M+H)+。
【0161】
実施例2AA。以下の実施例化合物を同様の方法により合成した。
【化27】
【0162】
実施例2B〜2E。以下の化合物を、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発するFmoc SPPSを使用して、本明細書に記載されている方法に従って合成し、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm)を使用して精製し、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm)を使用して分析した。
【0163】
【化28】
【0164】
SK60(原子0個のリンカー):溶媒勾配 A=0.1 TFA、B=ACN;λ=220nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を30分間実施、(75.3%)。C21H32N6O14S;MW=624.58g/mol;白色の固体;Rt=6.3分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ1.70(m,2H);1.92(m,2H);2.17(m,2H);2.23(m,2H);2.57(m,1H);2.77(m,4H);3.45(dd,1H);3.54(dd,1H);3.83(t,1H,αH);4.06(m,1H,αH);4.38(m,1H,α−H);4.63(m,1H,α−H);ESI−MS=625(M+H)+。
【0165】
【化29】
【0166】
SK62(原子7個のリンカー):溶媒勾配 A=0.1 TFA、TFA、B=ACN;λ=220、257nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を30分間実施、(72%)。C35H48N8O18S;MW=900.86g/mol;白色の固体;Rt=8.2分間;1H NMR(DMOS−d6/D2O)δ1.62(m,1H);1.70(m,2H);1.79(m,1H);1.90(m,2H);2.09(t,2H);2.16(m,2H);2.24(m,2H);2.60(m,1H);2.75(m,4H);2.81(m,1H);2.97(m,1H);3.33(dd,1H);3.60(dd,1H);3.81(t,1H,αH);4.07(m,2H,αH);4.33[m,1H,α−H];4.39(t,α−H);4.65(m,1H,α−H);7.20(m,5H,Ar−H);ESI−MS=901(M+H)+。
【0167】
【化30】
【0168】
SK38(原子16個のリンカー):溶媒勾配 A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=257nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから80%B、80%Bで洗浄を30分間実施、(63%)。C43H63N9O19S,MW=1042.07g/mol;白色の固体;Rt= 分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ0.94(m,2H);1.08(m,5H);1.27(m,5H);1.66(m,2H);1.70(m,2H);1.79(m,1H);1.90(m,2H);2.09(t,2H);2.74(m,2H);2.84(m,1H);2.95(t,3H);3.07(d,2H);3.23(m,1H);3.43(dd,1H);3.52(dt,1H);3.78(m,1H,αH);3.81(m,1H,αH);3.88(m,1H,αH);4.11(m,1H,αH);4.39[m,2H,α−H];4.65(m,1H,α−H);7.14(m,1H,Ar−H);7.21(m,4H,Ar−H):ESI−MS=1043(M+H)+。
【0169】
【化31】
【0170】
SK57(原子24個のリンカー):溶媒勾配 A=0.1 TFA、B=ACN;λ=257nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を30分間実施、(56%)。C45H70N8O22S,MW=1107.14g/mol;無色の固体;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ1.66(m,2H);2.07(m,4H);2.31(t,1H);2.43(m,1H);2.77(m,2H);2.98(dd,1H);3.14(t,2H);3.24(d,1H);3.40(m,4H,PEG−H);3.46(s,24H,PEG−H);3.78(t,1H);3.81(t,1H);4.03(m,1H,αH);4.40(m,2H,α−H);7.16(m,1H,Ar−H);7.22(m,4H,Ar−H):ESI−MS=1108(M+H)+。
【0171】
実施例2F。以下の化合物を本明細書に記載されている方法に従って合成することができる。
【化32】
【0172】
実施例3A。キレート基に放射性核種を付加する一般的方法。99mcTcでSK28を放射標識してSK33を調製することを例示する。
【化33】
【0173】
SK28配合キットの調製。HPLC等級Millipore濾過水(50mL)を100mLのボトルに加え、アルゴンで少なくとも10分間パージした。α−D−グルコヘプトン酸ナトリウム二水和物(800mg)を、アルゴンパージ水(5mL)に溶解した。塩化スズ二水和物(10mg)を、アルゴンで泡立てながら、0.02M HCl(10mL)に溶解した。塩化スズ(0.8mL)をグルコヘプトン酸ナトリウム溶液にアルゴン下で加えた。SK28(1.4mL)をグルコヘプトン酸ナトリウム/塩化スズ溶液にアルゴン下で加えた。反応混合物のpHを、0.1N NaOHを使用して、6.8±0.2に調整した。アルゴンパージ水(5.2mL)を反応混合物に加えて、総容量を10mLにした。1.0mLの反応混合物をアルゴン雰囲気下で各バイアル(バイアル10個)に分配し、36〜48時間凍結乾燥した。バイアルをアルゴン雰囲気下でゴム栓及びアルミニウムシールにより密閉して、SK28配合キットを作製した。配合キットバイアルを、使用するまで−20℃で保存した。
【0174】
99mTcによるSK28の標識化。99mTcによるSK28の放射標識は、公表されている手順に従って実施することができる。配合バイアルを、室温に10分間温め、沸騰水浴で3分間加熱した。次に、15mCiの過テクネチウム酸ナトリウム99mTc(1.0mL)を注射し、等容量の気体をバイアルから引き抜いて圧力を正常化した。バイアルを沸騰水浴で15〜20分間加熱し、次に、実験に使用する前に室温に冷却した。放射化学的純度を、放射能TLC(>98%)により分析したところ、放射標識化合物のシン及びアンチ異性体(SK33/SK28−99mTc)が示された。
【0175】
実施例3B〜3E。以下の実施例を本明細書に記載されている方法に従って調製した(シン異性体とアンチ異性体の両方が得られたが、シン異性体のみが示されている):
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【0176】
実施例3F。以下の化合物を本明細書に記載されている方法に従って合成することができる。
【化38】
【0177】
実施例4。PSMA画像化剤結合体の一般的合成であり、ユニバーサルPSMA(DUPA)樹脂、原子2個のリンカー及びFITCを使用してSK59により例示している。この結合体を使用して、前立腺癌患者において循環性腫瘍細胞を検出することもできる。
【0178】
【化39】
【0179】
PSMAユニバーサル樹脂及びSK59の合成。ユニバーサルPSMAリガンド(DUPA)樹脂は、ユニバーサルNovaTag(商標)樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−3910)を使用して合成した。樹脂をDCM(CH2Cl2)及びDMFで膨潤させた後、Fmoc基を、20%ピペリジン/DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)を使用して脱保護した。tert−ブチル保護DUPAを、DMF中のHATU〔ヘキサフルオロリン酸ウロニウム2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル〕及びDIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)を使用してカップリングした。側基Mmt(4−メトキシトリチル)を、DCM/TFE(トリフルオロエタノール)中の1M HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)で除去した。樹脂中間体をDMFで洗浄し、続く合成工程に直ぐに使用することができるか、又は後の使用のためにDCM/DMF、次にMeOHで洗浄し、乾燥することができる。
【0180】
ユニバーサルPSMA樹脂を、DMF中、DIPEA(4当量)の存在下で市販のFITC(1.25当量)と反応させて、SK59(原子2個のリンカー)作成物を生じることができる。最終化合物を、TFA(トリフルオロ醋酸)、TIPS(トリイソプロピルシラン)及び水の混合物を使用して、樹脂から切断した。精製には、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 5μm;19×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を用いた(63%)。SK59は、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C34H33N6O13S;MW=751.72g/mol;橙色の固体,Rt=7.2分間;ESI−MS=752(M+H)+;774(M+Na)+;750(M−H)−。
【0181】
実施例5A。PSMA画像化剤結合体の一般的合成であり、ユニバーサルPSMA(DUPA)樹脂、原子16個のリンカー及びFITCを使用してSK64により例示している。
【0182】
【化40】
【0183】
ユニバーサルPSMA樹脂を、標準Fmoc SPPSを使用して、Fmoc−Glu−(OtBu)−OH及びFmoc−EAOA(8−アミノオクトン酸)とカップリングした。DMF中、DIPEA(4当量)の存在下でイソチオシアン酸フルオレセイン(1.25当量)に結合した後、SK64(原子16個のリンカー)化合物を、TFA/TIPS/H2Oを使用して樹脂から切断した。精製は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 5μm;19×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して実施した(63%)。SK64は、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C47H55N7O17S;MW=1022.04g/mol;橙色の固体,Rt=7.8分間;ESI−MS=1022(M+H)+;1020(M−H)−。
【0184】
実施例5B〜5C。以下の化合物は、本明細書に記載されている合成方法を使用して調製した:
【化41】
【0185】
SK63(原子7個のリンカー、C39H40N6O17、分子量:864.76)は、ユニバーサルPSMA樹脂及びFmoc−Glu−(OtBu)−OHに結合した標準Fmoc SPPSを使用して調製した。FITCとカップリングした後、化合物を、TFA/TIPS/H2Oカクテルを使用して樹脂から切断し、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 5μm;19×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)により精製し(63%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。SK63:C39H40N6O16S;MW=880.83g/mol;橙色の固体,Rt=6.8分間;ESI−MS=881(M+H)+;903(M+Na)+;863(M−H)−。
【0186】
【化42】
【0187】
SK58(原子24個のリンカー、C49H62N6O20S,分子量:1087.11)は、ユニバーサルPSMA樹脂及びFmoc−(PEG)6−OHに結合した標準Fmoc SPPSを使用して調製し、HPLC(25分間で1%Bから60%B、80%Bで洗浄を40分間実施)により精製し(65%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm、10分間で1%Bから60%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C49H6ON6O20S;MW=1087.11g/mol;橙色の固体,Rt=7.3分間;ESI−MS=1087(M+H)+;1109(M+Na)+;1085(M−H)−。
【0188】
実施例6A。CysマレイミドPSMA画像化剤結合体の一般的合成であり、Wang PSMA(DUPA)樹脂、原子28個のリンカー及びオレゴングリーン488を使用してSK56により例示している(n=3)。
【0189】
【化43】
nが4〜約30の整数である関連する類似体も、本明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0190】
SK54は、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発し、標準Fmoc SPPSを使用して調製し、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=0.1 TFA;B=ACN;λ=257nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから60%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して精製し(63%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×50mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=257nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C38H59N5O18S,MW=905.96g/mol;無色の固体;Rt=9.2分間,LC−MS=906.3g/mol;ESI−MS=906(M+H)+;904(M−H)−。
【0191】
SK56(原子24個のリンカー)。HPLC等級Milli-Q水及び飽和NaHCO3をアルゴンで10分間パージした。SK54を、アルゴンで泡立てながら、1.0mLのアルゴンパージ水に溶解した。溶液のpHを6.8まで上昇させ、1.0mLのTHFに溶解したオレゴングリーン488マレイミドを、反応混合物に加えた。反応を、分析HPLC(10mM NH4OAc、pH=7.0;10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)によりモニタリングしたところ、反応は10分以内に完了した。THFを蒸発させ、反応混合物を5.0mLの7mM リン酸緩衝剤で希釈した。精製は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=7mMリン酸緩衝剤、pH=7.2、B=ACN;λ=488nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して実施し(89%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C62H70F2N6O25S;MW=1369.31g/mol;橙色の固体,Rt=7.0分間;LC−MS=1370.2;ESI−MS=1391(M+Na)+。
以下の原子24個のリンカー化合物を、本明細書に記載されている一般的合成を使用して、本明細書に記載されているものと同様の方法で調製した。
【0192】
実施例6B。以下のAlexaFluor 488結合体化合物を、SK55から出発して本明細書に記載されている方法に従って調製した(n=3)。
【0193】
【化44】
nが4〜約30の整数である関連する類似体も、本明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0194】
実施例7A〜7C。以下のDUPA画像化剤結合体化合物SK51、SK45及びSK49を、本明細書に記載されている方法に従って調製した(n=5)。
【0195】
【化45】
SK51(原子25個のリンカー及びAlexaFluor 647、MW約2300(Invitrogenから市販されている))
nが0〜約12の整数である関連する類似体も、本明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0196】
【化46】
SK45(原子25個のリンカー BODIPY 505、C67H87BF2N13O20S、分子量:1475.35)
nが0〜約12の整数である関連する類似体も、本明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0197】
【化47】
SK49(原子25個のリンカー−オレゴングリーン488、C71H76F2N10O24、分子量:1523.48)
nが0〜約12の整数である関連する類似体も、本明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0198】
リンカーの合成。前述のそれぞれの実施例において、リンカーは、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発し、標準Fmoc SPPSを使用して合成した。C47H65N2O17S;MW=1060.13g/mol;白色の固体;Rt=7.7分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ0.93(m,2H);1.08(m,5H);1.27(m,5H);1.69(m,2H);1.90(m,2H);1.94(m,2H);2.10(m,2H);2.24(q,2H);2.62(m,2H);2.78(m,4H);2.88(dd,1H);2.96(t,2H);3.01(dd,1H);3.31(dd,1H);3.62(dd,1H);3.80(q,1H,αH);4.07(m,1H,αH);4.37(m,1H,αH);4.42(m,2H,αH);4.66(m,1H,αH);7.18(m,10H,Ar−H):LC−MS=1061(M+H)+;ESI−MS=1061(M+H)+。
【0199】
SK51(AlexaFluor 647結合体)、SK45(BODIPY結合体)及びSK49(オレゴングリーン488結合体)の合成。HPLC等級Milli-Q水及び飽和NaHCO3をアルゴンで10分間パージした。リンカーを、アルゴンで泡立てながら、1.0mLのアルゴンパージ水に溶解した。溶液のpHを6.8に上昇させ、AlexaFluorマレイミド、BODIPYマレイミド又はオレゴングリーン488マレイミドを1.0mLのテトラヒドロフラン(THF)にそれぞれ溶解し、反応混合物に加えた。反応の進行を、分析HPLC(10mM NH4OAc、pH=7.0;10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)によりモニタリングしたところ、反応は10分以内に完了した。THFを蒸発させ、反応混合物を5.0mLの1mMリン酸緩衝剤(pH=7.2)で希釈した。
【0200】
各化合物は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 5μm;18×150mm;A=1mMリン酸緩衝剤、pH=7.2、B=ACN;λ=647又は488nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して精製し、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×50mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=588又は488nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。
SK51:MW約2360.13g/mol;青色の固体,Rt=6.7分間;(AlexaFluor 647の構造は未知);
SK45:C67H87BF2N13O20S;MW=1475.35g/mol;橙色の固体,Rt=7.6分間;LC−MS=1475.3(M+H)+;
SK49:C71H76F2N10O24S;MW=1523.48g/mol;橙色の固体,Rt=6.7分間;LC−MS=1524(M+H)+。
【0201】
実施例8A。放出型薬剤結合体のPSMAジスルフィトリンカー中間体の一般的合成であり、SK68により例示している。
【化48】
【0202】
SK68は、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発し標準Fmoc SPPSを使用して合成し、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=0.1 TFA;B=ACN;λ=257nm;溶媒勾配:30分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して精製し(68%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm;A=0.1 TFA、B=ACN;λ=257nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C32H42N6O17S;MW=814.77g/mol;白色の固体;Rt=8.2分間;1H NMR(DMOS−d6/D2O)δ1.70(m,3H);1.90(m,3H);2.10(m,2H);2.17(m,2H);2.23(m,2H);2.36(m,1H);2.59(dd,1H);2.79(m,3H);3.04(dd,1H);4.07(m,2H,αH);4.13(m,1H,αH);4.37[m,1H,α−H];4.47(m,2H,α−H);7.19(m,5H,Ar−H);7.87(d,尿素−NH);8.20(d,1H,尿素−NH);LC−MS=815.3(M+H)+。
【0203】
実施例8B。放出型薬剤の結合体のPSMAジスルフィトリンカー中間体の一般的合成であり、SK28Lにより例示している。
【化49】
【0204】
SK28は、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発して標準Fmoc SPPSを使用して合成し、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=0.1 TFA;B=ACN;λ=257nm;溶媒勾配:25分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を30分間実施)を使用して精製し(61%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm;A=0.1 TFA、B=ACN;λ=257nm、10分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。SK28L:C47H65N2O17S;MW=1060.13g/mol;白色の固体;Rt=7.7分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ0.93(m,2H);1.08(m,5H);1.27(m,5H);1.69(m,2H);1.90(m,2H);1.94(m,2H);2.10(m,2H);2.24(q,2H);2.62(m,2H);2.78(m,4H);2.88(dd,1H);2.96(t,2H);3.01(dd,1H);3.31(dd,1H);3.62(dd,1H);3.80(q,1H,αH);4.07(m,1H,αH);4.37(m,1H,αH);4.42(m,2H,αH);4.66(m,1H,αH);7.18(m,10H,Ar−H):LC−MS=1061(M+H)+;ESI−MS=1061(M+H)+。
【0205】
実施例9A。ジスルフィド結合した結合体を調製する一般的合成であり、チューブリシンB結合体SK71(原子20個のリンカー)により例示している。
【化50】
【0206】
EC0312の合成。チューブリシンB(30mg、0.036mmol)をアルゴン下、−15℃で醋酸エチル(600μL)に溶解した。クロロギ酸イソブチル(4.7μL、0.054mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(13.2μL、0.076mmol)を反応混合物に加え、反応をアルゴン下、−15℃で45分間撹拌した。醋酸エチル(500μL)に溶解したEC0311(13.4mg、0.054mmol)を加えた。反応混合物を−15℃で更に15分間、次に室温で45分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を、短カラム(CH2Cl2中メタノール2%〜8%)を使用して精製して、EC0312(34.4mg、90.5%)を得た。EC0312は、NMR(Varian 300 MHz、CDCl3)及びLC−MS=1058.3(M+H)+を使用して特徴決定した。
【0207】
SK71の合成。HPLC等級Milli-Q水及び飽和NaHCO3をアルゴンで10分間パージした。SK68を、溶液をアルゴンで泡立てながら、1.0mLのアルゴンパージ水に溶解した。溶液のpHを、アルゴンパージNaHCO3を使用して6.8に上昇させ、THF(2.0mL)に溶解したEC0312を反応混合物に加えた。反応の進行を、分析HPLC(10mM NH4OAc、pH=7.0;λ=254;10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)によりモニタリングしたところ、反応は10分以内に完了した。THFを蒸発させ、反応混合物を5.0mLの2mMリン酸緩衝剤で希釈した。SK71(61.3%)は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=2mMリン酸緩衝剤、B=ACN;λ=254nm;25分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して精製し、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=254nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C77H109N13O28S3:MW=1760.95g/mol;白色の固体,Rt=7.6分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)はSK71構造と一致した;HRMS(MALDI)(m/z):(M−H)−C77H110N13O28S3の計算値1758.6594;実測値1758.7033;LRMS(LCMS)(m/z):(M+H)+計算値1761.9;実測値1761.8;UV/Vis:λmax=254nm。
【0208】
実施例9B。同様に、SK71のD−Cys類似体を本明細書に記載されているとおりに調製した。
【化51】
【0209】
実施例9C。ジスルフィド結合した結合体を調製する一般的合成であり、チューブリシンB結合体SK77(原子31個のリンカー)により例示している。
【化52】
【0210】
HPLC等級Milli-Q水及び飽和NaHCO3をアルゴンで10分間パージした。SK68を、アルゴンで泡立てながら、1.0mLのアルゴンパージ水に溶解した。溶液のpHを、アルゴンパージNaHCO3を使用して6.8に上昇させ、THF(2.0mL)に溶解したEC0312を反応混合物に加えた。反応の進行を、分析HPLC(10mM NH4OAc、pH=7.0;λ=254;10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)によりモニタリングしたところ、反応は10分以内に完了した。THFを蒸発させ、反応混合物を5.0mLの2mMリン酸緩衝剤で希釈した。SK77(61%)は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=2mMリン酸緩衝剤、B=ACN;λ=254nm;25分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して精製し、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=254nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C93H133N16O28S3:MW=2006.32g/mol;白色の固体,Rt=7.7分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O);LC−MS=2007.0(M+H)+。
【0211】
実施例9D。同様に、SK77のD−Cys類似体を本明細書に記載されているとおりに調製した。
【化53】
【0212】
実施例9E。同様に、SK77のD−Cysプロパン酸類似体を本明細書に記載されているとおりに調製した。
【化54】
【0213】
実施例9F〜9G。以下のDUPAビンブラスチン化合物及びDUPAカンプトテシン化合物であるSK37及びSK45を、それぞれ、本明細書に記載されている方法に従って調製した。
【化55】
【0214】
SK37(ビンブラスチン結合体,C93H123N15O26S2,分子量:1931.19)、収率63.1%で調製。C93H123N15O26S2:MW=1931.19g/mol;白色の固体,Rt=7.7分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O);LC−MS=1932.6(M+H)+。
【0215】
【化56】
【0216】
SK45(カンプトテシン結合体,C70H83N11O23S2,分子量:1510.60)、収率66%で調製。C70H83N11O23S2:MW=1510.60g/mol;白色の固体,Rt=7.5分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O);LC−MS=1511.1(M+H)+。
【0217】
実施例9H。同様に、SK37のGlu−Asp−Phe類似体を本明細書に記載されているとおりに調製した。
【0218】
【化57】
【0219】
実施例10。以下の化合物を、本明細書に記載されている合成方法を使用して調製した:
SK125(FITC結合体)
【化58】
SK131(ローダミン結合体)
【化59】
SK179(FITC結合体)
【化60】
FITC結合体
【化61】
DyLight 680結合体
【化62】
DyLight 800結合体
【化63】
PET剤結合体
【化64】
PET剤結合体
【化65】
PET剤結合体
【化66】
例えば64Cu、65Cuなどをキレート化することができるDOTA結合体
【化67】
例えば64Cu、65Cuなどをキレート化することができるDOTA結合体
【化68】
例えばIn、Ga、Ir、Yrなどをキレート化することができるDTPA結合体
【化69】
例えばTc、Tc酸化物などをキレート化することができるトリペプチド結合体
【化70】
【0220】
前述の例示的な実施態様は、本発明を例示することが意図されており、本明細書に記載されている発明をいかようにも制限するものとして読み取る又は解釈するべきではない。
【0221】
<方法実施例>
== 実施例1A ==
LNCaP細胞及びSK28(原子14個のリンカー)を使用したインビトロ結合研究。LNCaP細胞(PSMAを過剰発現しているヒト前立腺癌細胞株、American Type Culture Collection(ATCC)から購入)を、2つの24ウエルファルコンプレートに接種し(120,000細胞/ウエル)、グルタミン(2mM)を有するRPMI(Gibco RPMI培地1640、カタログ番号22400)+10%FBS(ウシ胎児血清)、1%ピルビン酸ナトリウム(100mM)及び1%PS(ペニシリンストレプトマイシン)中で、5%のCO2雰囲気下、37℃で48時間増殖させて、接着単層にした。1つ目の24ウエルプレートの細胞を、0nMから450nMまで濃度を増加させたK28−99mTcと共に(それぞれの濃度で3通り)、5%のCO2雰囲気下、37℃で1時間インキュベートした。2つ目の24ウエルプレートの細胞を、50uMのPMPAと共に5%のCO2雰囲気下、37℃で30分間インキュベートし、次に、0nMから450nMまで濃度を増加させたK28−99mTcと共に(それぞれの濃度で3通り)、5%のCO2雰囲気下、37℃で1時間インキュベートした(競合研究)。細胞を1.0mLのRPMIで3回すすいだ。細胞をトリス緩衝剤で溶解し、個別のガンマシンチグラフィーバイアルに移し、放射能をカウントした。放射標識化合物に対する細胞結合放射能のプロットを使用して、Kd値を計算した。競合研究を使用して、PSMAに対するリガンド(DUPA)の結合特異性を決定した(図1A)。
【0222】
== 実施例1B ==
LNCaP細胞及びSK33(原子14個のスペーサー)を使用したインビトロ結合研究。LNCaP細胞を24ウエルファルコンプレートに接種し(150,000細胞/ウエル)、48時間かけてコンフルエント単層を形成させた。それぞれのウエルの消費培地を、過剰PMPAの(▲)存在下又は(■)不在下で、濃度を増加させたDUPA−99mTcを含有する新たな培地(0.5mL)に代えた。37℃で1時間インキュベートした後、細胞を培養培地(2×1.0mL)及びトリス緩衝液(1×1.0mL)ですすいで、あらゆる非結合放射能を除去した。トリス緩衝剤(0.5mL)に懸濁させた後、細胞結合放射能を、γ−カウンター(Packard, Packard Instrument Company)を使用してカウントした。解離定数(KD)は、GraphPad Prism 4による非線形回帰を使用し、放射性トレーサーの濃度に対する細胞結合放射能のプロットを使用して計算した。エラーバーは、1標準偏差を表す(n=3)。実験を3回実施して、同様の結果を得た(図1B)。
【0223】
== 実施例2 ==
LNCaP細胞に対するPSMMA分子の定量化。LNCaP細胞を24ウエルファルコンプレートに接種し、RPMI(Gibco RPMI培地1640、カタログ番号22400)+10%FBS(ウシ胎児血清)、1%グルタル酸及び1%PS(ペニシリンストレプトマイシン)中で、5%のCO2雰囲気下、37℃で48時間増殖させて、接着単層にした。次に細胞を、0nMから450nMまで濃度を増加させたSK28−99mTcと共に(それぞれの濃度で3通り)、5%のCO2雰囲気下、4℃又は37℃で1時間インキュベートした。細胞を1.0mLのRPMIで3回すすいだ。細胞をトリス緩衝剤で溶解し、個別のガンマシンチレーションバイアルに移し、放射能をカウントした。放射標識化合物に対する細胞結合放射能のプロットを使用して、PSMA/LNCaP細胞の数を計算した。SK28−99mTc(20uL)の30nMの試料の放射能をカウントした。4℃で(PSMAのエンドサイトーシスを防止するため)、30nMの試料のモル数は、30nM×20uL=(30×10−9mol/L)×(20×10−6L)=6×10−13mol。30nMの試料の原子の数は、(6×10−13mol)×(6.023×1023原子/mol)=3.6×1011原子。30nMの試料の20uLの放射能カウントは、20477cpm(cpm/原子=3.6×1011/20477=1.76×107)であった。4℃での飽和点の細胞結合放射能は、12000cpm。飽和点の原子の数は、(1.76×107原子)×(12,000cpm)。細胞/ウエルの数は、245,000個。4℃でのPSMA/細胞の数は、(2.12×1011)/2.45×105=864,396.4=約0.9×106個のPSMA/LNCaP細胞。
【0224】
37℃での飽和点の細胞結合放射能は、33,000cpmである(4℃よりおよそ3倍高い)。これは、PSMAが、薬剤を放出して再循環するという、細胞表面受容体によるものと同様のエンドサイトーシスを受けることを示している。図2を参照すること。
【0225】
== 実施例3 ==
スペーサー依存結合研究。LNCaP細胞を24ウエルファルコンプレート(プレート10枚)に接種し(120,000細胞/ウエル)、RPMI(Gibco RPMI培地1640、カタログ番号22400)+10%FBS(ウシ胎児血清)、1%ピルビン酸ナトリウム及び1%PS(ペニシリンストレプトマイシン)中で、5%のCO2雰囲気下、37℃で48時間増殖させて、接着単層にした。次に細胞を、それぞれ0nMから1280nMまで濃度を増加させたSK60−99mTc(原子0個のスペーサー)、SK62−99mTc(原子7個のスペーサー)、SK28−99mTc(原子14個のスペーサー)、SK38−99mTc(原子16個のスペーサー)及びSK57−99mTc(原子24個のスペーサー)と共に(それぞれの濃度で3通り)、5%のCO2雰囲気下、37℃で1時間インキュベートした。また、別のプレートでは、50uMのPMPAを5%のCO2雰囲気下、37℃で30分間インキュベートし、次に、それぞれ0nMから1280nMまで濃度を増加させたSK60−99mTc(原子0個のスペーサー)、SK62−99mTc(原子7個のスペーサー)、SK28−99mTc(原子14個のスペーサー)、SK38−99mTc(原子16個のスペーサー)及びSK57−99mTc(原子24個のスペーサー)と共に(それぞれの濃度で3通り)、5%のCO2雰囲気下、37℃で1時間インキュベートした(競合研究、データ示さず)。細胞を1.0mLのRPMIで3回すすいだ。細胞をトリス緩衝剤で溶解し、個別のガンマシンチグラフィーバイアルに移し、放射能をカウントした。放射標識化合物の濃度に対する細胞結合放射能のプロットを使用して、Kd値を計算した。放射標識化合物の濃度に対する飽和率のプロット、また、スペーサー長さに対するKdのプロットを示す(図3A及びB)。
【0226】
== 実施例4 ==
ヌードマウスにおけるヒトLNCaP腫瘍細胞のインビボ増殖。LNCaP細胞を、グルタミン(2mM)を有するRPMI1640(Gibco RPMI培地1640、カタログ番号22400)、10%FBS(ウシ胎児血清)、1%ピルビン酸ナトリウム(100mM)及び1%PS(ペニシリンストレプトマイシン)中で、5%のCO2雰囲気下、37℃で維持した。4〜5週齢の胸腺欠損雄ヌードマウス(nu/nu)を、NCI Charles Riverから得て、滅菌環境中で維持した。マウスを、ワイヤー上蓋を有するポリカーボネートの靴箱型ケージに収容し、通常の食餌で維持した。マウスを、LNCaP細胞を接種する1週間前に順化させた。マトリゲル及び高濃度(HC)マトリゲルをBD Biosciencesから購入した。ヌードマウスには、50%マトリゲル(100uLのPPMI培地+100uLのマトリゲル)又は50%高濃度マトリゲル(100uLのPPMI培地+100uLのHCマトリゲル)中のインビトロ繁殖LNCaP細胞を2.5×106個又は5.0×106個接種して、細胞の数、ビヒクルなどを含む最適条件を決定した。細胞を、ヌードマウスのそれぞれの体幹及びそれぞれの側腹部に皮下注射して、最適部位を決定した。それぞれの腫瘍の体積を、カリパスを使用して一週間に2回、垂直方向で測定し、体重を一週間に1回測定した(データ示さず)。
【0227】
それぞれの腫瘍の体積を、0.5×L×W2として計算したが、ここで、Lは最長軸の測定値(mm)、WはLに垂直な軸の測定値(mm)である。体幹における50%HCマトリゲル中のおよそ5.0×106個のLNCaP細胞は、30日以内に600mm3の腫瘍を生じた。図4を参照すること。
【0228】
== 実施例5 ==
マウスにおけるLNCaP、KB及びA549細胞の腫瘍増殖の比較。LNCaP、KB及びA549細胞を、グルタミン(2mM)を有するRPMI1640(Gibco RPMI培地1640、カタログ番号22400)、10%FBS(ウシ胎児血清)、1%ピルビン酸ナトリウム(100mM)及び1%PS(ペニシリンストレプトマイシン)中で、5%のCO2雰囲気下、37℃で維持した。4〜5週齢の雄ヌードマウス(nu/nu)を、NCI Charles Riverから得て、滅菌環境中で維持した。マウスを、ワイヤー上蓋を有するポリカーボネートの靴箱型ケージに収容し、通常の食餌で維持した。マウスを、細胞を接種する1週間前に順化させた。
【0229】
腫瘍細胞接種では、50%高濃縮マトリゲル中の5.0×106個のLNCaP細胞、RPMI培地中の1.0×106個のKB細胞又はRPMI培地中の1.0×106個のA549細胞を、ヌードマウスの体幹右側に皮下注射した(一部の動物には両側に注射した)。それぞれの腫瘍の体積を、カリパスを使用して一週間に2回、2つの垂直方向で測定し(図5A及び5Bを参照すること)、体重を一週間に1回測定した(データ示さず)。腫瘍の体積を、0.5×L×W2として計算したが、ここで、Lは最長軸の測定値(mm)、WはLに垂直な軸の測定値(mm)である。
【0230】
== 実施例6A ==
PSMA−99mTcを使用したマウス中の腫瘍のインビボ画像化。腫瘍が500〜600mm3の体積に達したとき、記載されているように調製した99mTc標識化合物(例えば、SK28−99mTc、SK60−99mTcなど)を、腹腔内(皮下)注射によって投与した。4時間後、動物を安楽死させ、血液を、心臓穿孔により採取し、それぞれの動物について個別のガンマシンチグラフィーバイアルに移した。画像化実験は、Kodak又はガンマシンチグラフカメラ画像装置を使用して実施した(図6A、6B、6C、7A、7B及び7C)。〔注:PMPAは、SK28−99mTc注射の30分前に注射した。癌性塊への取り込み以外では、SK28−99mTcの分布は、腎臓に限定されていた(図6A、6B及び6C)。両方のマウス(図7A、7B及び7C)にSK60−99mTcを注射したが、分布は、ほぼ腎臓に限定されていた(両方の腎臓を遮蔽した後でも腫瘍取り込みはなかった)。〕
【0231】
図6A、6B及び6Cは、SK28−99mTc(放射標識した原子14個のスペーサー)を使用した、ヒトLNCaP腫瘍を有するマウスの画像を示す。図6A〜6Cは、3つの別々のマウスのセットを表し、1ng/kgのSK28−99mTcを、PSMAをブロックする50mg/kgのPMPA(競合物質)なしで〔画像の各セットの左側のマウス〕及びありで皮下(腹腔内を介して)注射した4時間後に、Kodakカメラ画像装置を使用して画像化した、LNCaP腫瘍を有するマウスの、左側の画像は白色光画像を示し、右側の画像は放射線画像と白色光画像との重ね合わせを示す。図6Dは、1ng/kgのSK28−99mTcを皮下注射(腹腔内を介して投与)した4時間後にKodak画像装置を使用して画像化した、LNCaP腫瘍についての単一マウス研究を示しており、左側の画像に腎臓を遮蔽した放射線画像と遮蔽なしの白色光画像との重ね合わせ、右側の画像に腎臓を遮蔽した放射線画像と遮蔽なしのX線画像との重ね合わせを示す。
【0232】
== 実施例6B ==
DUPA−99mTcを使用したマウス中の腫瘍のインビボ画像化。前立腺癌細胞へのDUPA結合体の特異性を更に確立するために、DUPA−99mTcを、LNCaP腫瘍を肩に有する胸腺欠損ヌードマウスに腹腔内注射した。4時間で結合しなかった結合体のクリアランスをさせた後、保持されたDUPA−99mTcの分布を、ガンマシンチグラフィーにより画像化した。図7D(a)及び7D(c)から分かるように、標的99mTc放射性トレーサーは主にPSMA陽性LNCaP腫瘍に蓄積し、腎臓以外の他の組織にはほとんど又は全く放射能がなかった。重要なことは、腎臓の取り込みがマウスに特有でありうることであり、それは、免疫組織化学的及びRT−PCR分析が、PSMA発現がネズミの腎臓において高く、ヒトの腎臓では最小であると示唆しているからである。PSMA標的画像化剤のインビボ特異性を、DUPA−99mTc投与の前に、全てのPSMA部位をブロックする過剰PMPAを前投与することにより更に試験した。図7D(b)及び7D(d)に示されているように、ブロックされたLNCaP腫瘍は、DUPA−99mTc取り込みを示さず、インビボにおけるPSMAへのDUPA結合体の特異性が確認される。この特異性を更に証明するために、放射性トレーサーも、2つのPSMA陰性マウス異種移植片モデル〔A549(ヒト肺癌細胞株)及びKB(ヒト鼻咽腔癌細胞株)〕に投与し、ここでも全身の画像を撮影した。予測されたように、腎臓の遮蔽を実施して他の組織における低レベルのDUPA−99mTcの検出を可能にした後でも、KB腫瘍にもA549腫瘍にも放射能は観察されなかった(図7D(e)及び7D(f))。したがって、これらの研究では、インビボにおいてPSMAに無関係の部位ではDUPA−99mTc結合はほとんど生じないことが確認される。
【0233】
図7Dは、150μCiのDUPA−99mTcの注射の4時間後に撮影した、nu/nuマウスにおける固形腫瘍異種移植片の全身画像を示す。100倍モル過剰PMPAの不在下〔7D(a、c)〕又は存在下〔7D(b、d)〕でDUPA−99mTcにより処置された、LNCaP腫瘍を有するマウスの全身の放射線画像と白色光画像の重ね合わせである。DUPA−99mTcで同様に処置された、A549腫瘍〔7D(e)〕又はKB腫瘍〔7D(f)〕を有するマウスからも、放射線画像と白色光画像の重ね合わせを得た。画像7D(a)及び7D(b)を除いて、腎臓を鉛パッドで遮蔽した。全ての画像は、DUPA−99mTcの腹腔内注射の4時間後に、Kodak Imaging Stationを使用して撮影した。矢印は固形腫瘍の異種移植片を示す。同様の画像を、各処置群の5匹のマウス全てから得た。
【0234】
== 実施例7A ==
生体内分布の研究。画像化した後、全ての動物を、SK28−99mTc又はSK60−99mTc〔又は他の放射標識化合物(データ示さず)〕を投与したおよそ6〜7時間後に解剖し、臓器(血液、腫瘍、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、皮膚、筋肉など)を、それぞれの動物について個別のガンマシンチグラフィーバイアルに移し、放射能をカウントした。注:血液試料は、動物を殺処理した直後及び動物を画像化する直前に(心臓穿孔を使用して)収集した。組織に対する腫瘍と組織のcpm/g比率のプロットを使用して、画像化剤の生体内分布を決定した(図8A及び8B)。
【0235】
== 実施例7B ==
LNCaP、A549又はKB腫瘍を有するnu/nuマウスにおけるDUPA−99mTcの生体内分布の研究。腫瘍を有するマウスを、DUPA−99mTc(50μmol/kg、150μCi)の腹腔内注射の4時間後に安楽死させ、組織蓄積放射能をγカウンターを使用してカウントした。湿組織の1グラムあたりの注射用量率を、方法実施例に記載されているとおりに計算した。データは1回の実験から得て、エラーバーは、標準偏差を表す(n=5)。LNCaP腫瘍(中実バー)、100倍のモル過剰PMPAを予め注射したマウスにおけるLNCaP腫瘍(中空バー)、A549腫瘍(斜交線バー)、KB腫瘍(平行線バー)(図8C)。
【0236】
== 実施例8 ==
生存マウスにおける単回用量の毒性。SK71の投与を、示されているように単回用量で行った。データは、結合体のMTDが単回投与では約4.5μmol/kgであることを示す(図9Aを参照すること)。
【0237】
== 実施例9 ==
生存マウスにおける多回用量の毒性。SK71を隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与した。データは、SK71のMTDが多回投与では2μmol/kgであり、結合体は、LNCaP腫瘍に有効であることを示す(マウスには、処置を開始する前、LNCaP細胞の移植の2週間前にMTDを使用した)。生理的食塩水対照群における4匹のマウス全てが大きな腫瘍を有した一方、2つの処置群のマウスには、処置の18日後に目に見える腫瘍を有したものはなかった(図9Bを参照すること)。
【0238】
== 実施例10 ==
対照群と競合群を比較した効能研究。動物を、(a)1μmol/kgの結合体SK71を隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与して処置し、(b)ビヒクルで処置した動物(図10B)及び(c)PMPAと一緒に結合体で処置した動物と比較した。1μmol/kgでの処置は、処置の期間中に腫瘍サイズ(出発腫瘍サイズはおよそ250mm3)の連続的な減少を示す。図10Aに示す1μmol/kgの低い用量では、腫瘍体積は、投与を中止すると反発した。2μmol/kg以上のより高い用量では、腫瘍の完全な消滅が試験期間中に観察された。競合実験(図10Cを参照すること)から、移植腫瘍の治療が成功したことは、PSMA仲介送達の選択的又は特異的標的化に関係することが示される。
【0239】
== 実施例11 ==
効能研究(1μmol/kgを1日おきに10日間、すなわち5用量)。データは(図11を参照すること)、処置動物の腫瘍が処置期間中にサイズを減少したことを示す。
【0240】
== 実施例12 ==
PSMA標的治療剤のインビトロ評価。培養中のLNCaP細胞に対するSK71(図12A)、SK77(図12B)、SK37(図12C)及びSK45(図12D)の毒性の分析。LNCaP細胞を、濃度を増加させたSK71又はSK77により、100倍モル過剰のPMPAの(▲)存在下又は(■)不在下で2時間パルスした。2回洗浄した後、細胞を、新たな培地中で37℃で更に66時間インキュベートした。次に細胞生存率を、本明細書に記載されている〔3H〕−チミジン取り込みアッセイを使用して分析した。データは1回の実験から得て、エラーバーは、標準偏差を表す(n=1つの濃度につき3つのウエル)。
【0241】
== 実施例13 ==
インビボ効力。処置マウスの皮下腫瘍の増殖(図13A及び13C)及び体重(図13B及び13D)に対するSK71の効果。HCマトリゲル中のLNCaP細胞を、n/n雄マウスの肩に皮下移植した。いったん腫瘍が100mm3(13A、13B)又は330mm3(13C、13D)の体積に達すると、動物をSK71〔1.5μmol/kg(a、b)又は2.0μmol/kg(c、d)〕で処置した。(■)処置マウス、(●)未処置マウス、(▲)100倍(13A、13B)又は(▼)30倍(13C、13D)モル過剰のPMPAが予め注射された処置マウス。データは1回の実験から得て、エラーバーは、標準偏差を表す〔n=4(13A、13B)又は3(13C、13D)〕。図10は、SK71のインビボ効力を示す。
【0242】
インビボ効力。皮下腫瘍の増殖(図14A)及び処置マウスの体重(図14B)に対するSK77の効果。HCマトリゲル中のLNCaP細胞を、n/n雄マウスの肩に皮下移植した。いったん腫瘍が100mm3の体積に達すると、動物をSK77(2μmol/kg)で処置した。(■)未処置マウス、(▼)処置マウス。データは1回の実験から得て、エラーバーは、標準偏差を表す(n=4匹のマウス/群)。
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される発明は、前立腺癌のような前立腺の疾患及び関連する疾患を治療する化合物及び方法に関する。より詳細には、本明細書に記載される発明の実施態様は、PSMA結合性リガンドに結合している生物学的活性剤の結合体に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺は、骨盤内の膀胱の下部に見出される男性生殖器官の一つである。生殖の際に膣の中に導入された精子の生存に重要である栄養素及び流体を提供する精液を産生及び保存するように機能する。他の多くの組織のように、前立腺も悪性(癌性)又は良性(非癌性)腫瘍を発症する傾向がある。米国癌協会は、2005年に230,000人を超す男性が前立腺癌と診断され、30,000人を超す男性がその疾患により死亡していると予測した。事実、前立腺癌は、西洋社会における最も一般的な男性の癌の一つであり、米国男性において2番目に多い悪性形態である。現行の前立腺癌の治療方法には、ホルモン療法、放射線療法、外科治療、化学療法、光力学療法及び併用治療が含まれる。治療の選択は、一般に癌の病期に応じて変わる。しかし、これらの治療の多くは、患者の、特に前立腺癌と診断された50歳を超えた患者の生活の質に影響を与える。例えば、ホルモン薬の使用は、多くの場合に骨粗鬆症及び肝損傷のような副作用を伴う。そのような副作用は、疾患状態に関与する組織に対してより選択的又は特異的であって、骨又は肝臓のような非標的組織を回避するような治療を使用すれば、緩和することができる。本明細書に記載されるように、前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、そのような選択的又は特異的な治療のための標的となる。
【0003】
PSMAは、主に前立腺癌細胞におけるその高レベルの発現によって命名されているが、前立腺癌細胞に対するその特定の機能は依然として未解決のままである。PSMAは、腎臓、近位小腸及び唾液腺のようなヒトの体の他の臓器と比較したとき、悪性の前立腺組織において過剰に発現する。PSMAは脳に発現するが、その発現は最小限のものであり、PSMAのリガンドのほとんどは、極性を有しており、血液脳関門を透過することができない。PSMAは、細胞内セグメント(アミノ酸1〜18)、膜貫通ドメイン(アミノ酸19〜43)及び大きな細胞外ドメイン(アミノ酸44〜750)を含む、約110kDの分子量を有するII型細胞表面膜結合糖タンパク質である。細胞内セグメント及び膜貫通ドメインの機能は現在有意ではないと考えられているが、細胞外ドメインは、幾つかの異なる活性に関与している。PSMAは、中枢神経系において役割を果たし、そこでN−アセチル−アスパルチルグルタミン酸(NAAG)を代謝して、グルタミン酸とN−アセチルアスパラギン酸にする。したがって、時々、N−アセチルアルファ結合酸性ジペプチダーゼ(NAALADアーゼ)とも呼ばれる。PSMAは、時々、ポリ−γ−グルタミン酸化葉酸からγ結合グルタミン酸を、そしてペプチド及び小型分子からα結合グルタミン酸を除去する近位小腸におけるその役割によって、葉酸ヒドロラーゼI(FOLH I)又はグルタミン酸カルボキシペプチダーゼ(GCP II)とも呼ばれる。
【0004】
PSMAは、ヒトトランスフェリン受容体(TfR)と類似点もあり、それはPSMAとTfRが両方ともII型糖タンパク質であるからである。より詳細には、PSMAは、TrR1とTfR2にそれぞれ54%及び60%の相同性を示す。しかし、TfRはその鎖間スルフヒドリル架橋の形成により二量体の形態でのみ存在するが、PSMAは、二量体又は単量体のいずれの形態でも存在することができる。
【0005】
他の多くの膜結合タンパク質と異なり、PSMAは、ビタミン受容体のような細胞表面結合受容体と同様の方法で細胞内に素早く内部移行する。PSMAは、クラスリン被覆膜孔を介して内部移行し、続いて細胞表面に再循環することができる又はリソソームに行くことができる。PSMAの二量体及び単量体の形態は、相互転換可能であると示唆されてきたが、交互転換の直接的な証拠は議論中である。そうであっても、二量体のPSMAのみが酵素活性を有し、単量体は有さない。
【0006】
前立腺細胞の細胞表面におけるPSMAの活性は依然として調査中であるが、PSMAが、診断剤、画像化剤及び治療剤を含む生物学的活性剤をそのような前立腺細胞に選択的及び/又は特異的に送達することが実行可能になる標的であることが、本明細書の発明者により認識されている。
【発明の概要】
【0007】
リンカーを介して前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合することができるリガンドに結合している生物学的活性剤は、前立腺癌、並びにPSMAを発現又は過剰発現する病原性細胞集団が関与する関連疾患の画像化、診断及び/又は治療に有用でありうることが発見された。PSMAは、ビタミン受容体のような細胞表面受容体で観察されるエンドサイトーシスと類似のプロセスにより内部移行する、細胞表面タンパク質である。それ故、所定の長さ及び/又は所定の直径及び/又はその長さに沿って予め選択された官能基を有するリンカーを含む特定の結合体を使用して、そのような疾患を治療、画像化及び/又は診断できることが発見された。
【0008】
本発明の一つの例示的な実施態様において、下記式:
B−L−D
を有する結合体が記載され、ここで、Bは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合する又はそれを標的化するリガンドであり、Lはリンカーであり、そしてDは薬剤である。本明細書で使用されるとき、薬剤Dという用語は、別段の指示のない限り又は文脈にない限り、治療剤、細胞毒性剤、画像化剤、診断剤などを集合的に含む。例えば、一つの例示的な構成において、本明細書に記載される結合体は、病原性細胞集団を除去するために使用され、したがって薬剤Dは、治療剤、細胞毒性剤などである。別の例示的な構成において、本明細書に記載される結合体は、疾患又は疾患状態を画像化及び/又は診断するために使用され、したがって薬剤Dは、画像化剤、診断剤などである。他の構成も本明細書において考慮及び記載される。前述のB、L及びDのそれぞれの類似体及び誘導体も本明細書において考慮及び記載され、本明細書に使用されるとき、B、L及びDという用語は、そのような類似体及び誘導体を集合的に意味することが理解されるべきである。
【0009】
一つの例示的な実施態様において、リンカーLは、放出型又は非放出型のリンカーであることができる。一つの態様において、リンカーLは、少なくとも原子約7個の長さである。一つの変形態様において、リンカーLは、少なくとも原子約10個の長さである。一つの変形態様において、リンカーLは、少なくとも原子約14個の長さである。別の変形態様において、リンカーLは、原子が約7〜約31個、約7〜約24個又は約7〜約20個の長さである。別の変形態様において、リンカーLは、原子が約14〜約31個、約14〜約24個又は約14〜約20個の長さである。
【0010】
代替的な態様において、リンカーLは、少なくとも約10オングストローム(Å)の長さである。一つの変形態様において、リンカーLは、少なくとも約15Åの長さである。別の変形態様において、リンカーLは、少なくとも約20Åの長さである。別の変形態様において、リンカーLは、約10Å〜約30Åの範囲の長さである。
【0011】
代替的な態様において、リンカーLの長さの少なくとも一部は、結合リガンドBに連結している末端で約5Å以下の直径である。一つの変形態様において、リンカーLの長さの少なくとも一部は、結合リガンドBに連結している末端で約4Å以下又は約3Å以下の直径である。約5Å以下、約4Å以下又は約3Å以下の直径要件を含む例示的な実施態様は、所定の長さのリンカーのための要件を含み、それによってリンカーの円筒状様部分を画定することが理解される。例示的には、別の変形態様において、リンカーは、少なくとも約7Åの長さ及び約5Å以下、約4Å以下又は約3Å以下の直径の円筒状部分を、結合リガンドに連結している末端に含む。
【0012】
別の実施態様において、リンカーLは、Ser、Thr、Cys、Arg、Orn、Lys、Asp、Glu、Glnなどの残基のような疎水性側鎖を有するアミノ酸を含む1つ以上のPSMAの残基と相互作用することができる、1つ以上の親水性リンカーを含む。別の実施態様において、リンカーLは、VaI、Leu、Ile、Phe、Tyr、Metなどの残基のような親水性側鎖を有するアミノ酸を含む1つ以上のPSMAの残基と相互作用することができる、1つ以上の疎水性リンカーを含む。前述の実施態様及び態様が、単独で又は互いに組み合わされてリンカーLに含まれうることが理解されるべきである。例えば、少なくとも原子約7個の長さであり、約5Å以下、約4Å以下又は約3Å以下の直径であるリンカーLが、本明細書において考慮及び記載され、また、VaI、Leu、Ile、Phe、Tyr、Metなどの残基を含む1つ以上のPSMAの残基と相互作用することができる1つ以上の親水性リンカーを含むリンカーLも、本明細書において考慮及び記載される。
【0013】
別の実施態様において、リンカーの一端は分岐しておらず、炭素、酸素、窒素及び硫黄原子の鎖を含む。一つの実施態様において、炭素、酸素、窒素及び硫黄原子の鎖は、少なくとも原子5個の長さである。一つの変形態様において、リンカー鎖は、原子が少なくとも7個又は原子が少なくとも10個の長さである。別の実施態様において、炭素、酸素、窒素及び硫黄原子の鎖は、置換されていない。一つの変形態様において、炭素、酸素、窒素及び硫黄原子の鎖の一部は、二価フラグメントで環化されている。例えば、ジペプチドPhe−Pheを含むリンカー(L)は、エチレンフラグメントで2個の窒素を環化したピペラジン−1,4−ジイル構造又は置換されたその変形態様を含むことができる。
【0014】
別の実施態様において、医薬組成物が本明細書に記載され、医薬組成物は、疾患及び疾患状態を治療する、疾患及び疾患状態を診断する、並びに/又はPSMAを発現若しくは過剰発現する病原性細胞集団と関連する組織及び/若しくは細胞を画像化するのに有効な量で、本明細書に記載されている結合体を含む。例示的には、そのような医薬組成物は、1つ以上の担体、希釈剤及び/又は賦形剤も含む。
【0015】
別の実施態様において、疾患及び疾患状態を治療する、疾患及び疾患状態を診断する、並びに/又はPSMAを発現若しくは過剰発現する病原性細胞集団と関連する組織及び/若しくは細胞を画像化する方法が本明細書に記載される。そのような方法は、本明細書に記載されている結合体及び/又は本明細書に記載されている結合体を含有する医薬組成物を、疾患及び疾患状態を治療する、疾患及び疾患状態を診断する、並びに/又はPSMAを発現若しくは過剰発現する病原性細胞集団と関連する組織及び/若しくは細胞を画像化するのに有効な量で投与する工程を含む。
【0016】
<関連出願の相互参照>
本出願は、米国仮出願第60/956,489号(2007年8月17日出願)及び米国仮出願第61/074,358号(2008年6月20日出願)の優先権を請求する。なおこの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】過剰PMPAの(▲)存在下又は(■)不在下でのSK28−99mTc(Kd=18.12nM)の濃度に対する細胞結合放射能である。
【図1B】LNCaP細胞及びSK33(原子14個のリンカー)を使用したインビトロ結合研究である。過剰PMPAの(▲)存在下又は(■)不在下でのDUPA−99mTcの増加する濃度を含有するLNCaP細胞である。
【図2】(■)4℃及び(▲)37℃でのSK28−99mTcの濃度に対する細胞結合放射能である。
【図3A】DUPA−リンカー−99mTc画像化剤の濃度に対する細胞結合放射能のプロットである:(■)原子0個のリンカー(Kd=171nM);(▲)原子7個のリンカー(Kd=68nM);(▼)原子14個のリンカー(Kd=15nM);(■)原子16個のリンカー(Kd=40nM)。
【図3B】LNCaP細胞に結合するDUPA−リンカー−99mTc化合物のKD値である。
【図4】LNCaP腫瘍の腫瘍体積に対する注射後の日数のプロットである:(a)2千5百万+マトリゲル;(b)2千5百万+HCマトリゲル;(c)5百万+マトリゲル;(d)5百万+HCマトリゲル。
【図5A】LNCaP腫瘍(マウス27匹)及び(b)KB細胞(マウス5匹)及びA549細胞(マウス5匹)の腫瘍体積に対する注射後の日数のプロットである。
【図5B】KB細胞(マウス5匹)及びA549細胞(マウス5匹)の腫瘍体積に対する注射後の日数のプロットである。
【図6A】1ng/kgのSK28−99mTc(原子14個のリンカー)で処置した、LNCaP腫瘍を予め注射したマウス(セット1)であり、左側の画像は、白色光画像を示し、この画像は放射線画像と白色光画像の重ね合わせ示す。それぞれのパネルでは、右側のマウスを50mg/kgのPMPAで処理し(PSMA結合をブロックするため)、左側のマウスをPMPAの添加なしで処置した。
【図6B】1ng/kgのSK28−99mTc(原子14個のリンカー)で処置した、LNCaP腫瘍を予め注射したマウス(セット2)であり、左側の画像は、白色光画像を示し、この画像は放射線画像と白色光画像の重ね合わせ示す。それぞれのパネルでは、右側のマウスを50mg/kgのPMPAで処理し(PSMA結合をブロックするため)、左側のマウスをPMPAの添加なしで処置した。
【図6C】1ng/kgのSK28−99mTc(原子14個のリンカー)で処置した、LNCaP腫瘍を予め注射したマウス(セット3)であり、左側の画像は、白色光画像を示し、この画像は放射線画像と白色光画像の重ね合わせ示す。それぞれのパネルでは、右側のマウスを50mg/kgのPMPAで処理し(PSMA結合をブロックするため)、左側のマウスをPMPAの添加なしで処置した。
【図6D】1ng/kgのSK28−99mTcを皮下注射(腹腔内を介して投与)した4時間後にKodak画像装置を使用して画像化した、LNCaP腫瘍についての単一マウス研究を示しており、左側の画像に腎臓を遮蔽した放射線画像と遮蔽なしの白色光画像との重ね合わせ、右側の画像に腎臓を遮蔽した放射線画像と遮蔽なしのX線画像との重ね合わせを示す。
【図7A】SK60−99mTc(原子0個のリンカー)を使用して処置した、LNCaP腫瘍を予め注射したマウスである。左側の画像は、白色光画像を示し、中央の画像は、放射線画像と白色光画像との重ね合わせを示し、右側の画像は、放射線画像とマウスの腎臓を遮蔽した白色光画像との重ね合わせを示す。
【図7B】SK28−99mTc(原子14個のリンカー)を使用して処置した、KB細胞を予め注射したマウスである。左側の画像は、白色光画像を示し、中央の画像は、放射線画像と白色光画像との重ね合わせを示し、右側の画像は、放射線画像とマウスの腎臓を遮蔽した白色光画像との重ね合わせを示す。
【図7C】SK28−99mTc(原子14個のリンカー)を使用して処置した、A549細胞を予め注射したマウスである。左側の画像は、白色光画像を示し、中央の画像は、放射線画像と白色光画像との重ね合わせを示し、右側の画像は、放射線画像とマウスの腎臓を遮蔽した白色光画像との重ね合わせを示す。
【図7D】150μCiのDUPA−99mTcの注射の4時間後に撮影した、nu/nuマウスにおける固形腫瘍異種移植片の全身画像である。100倍モル過剰PMPAの不在下(a、c)又は存在下(b、d)でDUPA−99mTcにより処置された、LNCaP腫瘍を有するマウスの全身の放射線画像と白色光画像の重ね合わせである。DUPA−99mTcで同様に処置された、(e)A549腫瘍又は(f)KB腫瘍を有するマウスの放射線画像と白色光画像の重ね合わせである。
【図8A】雄ヌードマウスの体幹に移植された腫瘍の生体内分布を、PMPA(競合物質)あり又はなしのSK28−99mTcの組織に対する直接カウントしたcpmとして測定したデータであって、LNCaP腫瘍のPMPA(a)あり、(b)なし、(c)A549腫瘍及び(d)KB腫瘍について示す。
【図8B】雄ヌードマウスの体幹に移植された腫瘍の生体内分布のデータであって、LNCaP腫瘍について、PMPA(競合物質)(b)あり又は(a)なしのSK28−99mTcの腫瘍及び腎臓のみについて示す。
【図8C】LNCaP、A549又はKB腫瘍を有するnu/nuマウスにおけるDUPA−99mTcの生体内分布の研究である。
【図9A】生理的食塩水単独、1.1μmol/kg、2.3μmol/kg、4.5μmol/kg及び9μmol/kgのSK71の単回用量を投与した後の体重変化率を示す急性MTD(単回用量)である。
【図9B】生理的食塩水単独、2μmol/kg及び4μmol/kgを隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与した後の体重の変化率を示す慢性MTDである。
【図10A】1μmol/kgの結合体SK71を隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与して処置した動物の腫瘍体積を示す効能研究である。
【図10B】生理的食塩水単独を隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与して処置した動物の腫瘍体積を示す効能研究である(対照群)。
【図10C】過剰量のPSMA及び1μmol/kgの結合体SK71を隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与して処置した動物の腫瘍体積を示す効能研究である(競合)。
【図11】効能研究である(1μmol/kgを1日おきに10日間、すなわち5用量)。
【図12A】SK71による処置後のLNCaP細胞への〔3H〕−チミジンの取り込みである(IC50 約2nM)。
【図12B】SK77による処置後のLNCaP細胞への〔3H〕−チミジンの取り込みである(IC50 約3nM)。
【図12C】SK37による処置後のLNCaP細胞への〔3H〕−チミジンの取り込みである(IC50 約33nM)。
【図12D】SK45による処置後のLNCaP細胞への〔3H〕−チミジンの取り込みである(IC50 約29nM)。
【図13A】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける腫瘍体積に対するSK71(1.5μmol/kg)の処置の効果である。(■)処置マウス、(●)未処置マウス、(▲)100倍モル過剰のPMPAが予め注射された処置マウス。
【図13B】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける体重変化率に対するSK71(1.5μmol/kg)の処置の効果である。(■)処置マウス、(●)未処置マウス、(▲)100倍モル過剰のPMPAが予め注射された処置マウス。
【図13C】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける腫瘍体積に対するSK71(2.0μmol/kg)の処置の効果である。(■)処置マウス、(●)未処置マウス、(▼)30倍モル過剰のPMPAが予め注射された処置マウス。
【図13D】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける体重変化率に対するSK71(2.0μmol/kg)の処置の効果である。(■)処置マウス、(●)未処置マウス、(▲)30倍モル過剰のPMPAが予め注射された処置マウス。
【図14A】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける腫瘍体積に対するSK77(2.0μmol/kg)の処置の効果である。(■)未処置マウス、(▼)処置マウス。
【図14B】HCマトリゲル中のLNCaP細胞で予め処置されたnu/nuマウスにおける体重変化率に対するSK77(2.0μmol/kg)の処置の効果である。(■)未処置マウス、(▼)処置マウス。
【図15A】エネルギー最小化コンピューターモデルによるMUPA 99mcTc画像化剤結合体(原子9個のリンカー)である。
【図15B】エネルギー最小化コンピューターモデルによるMUPA 99mcTc画像化剤結合体(シンSK33、原子14個のリンカー)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
薬剤送達結合体が本明細書において記載され、そこではPSMA結合性リガンドが、薬剤、治療剤、診断剤又は画像化剤に結合している放出型又は非放出型リンカーに結合している。
【0019】
例示的には、本明細書に記載されている二価リンカーは、以下の式:
B−L−TA
B−L−IA
B−L−DA
〔式中、Bは、PSMA結合性部分であってその類似体又は誘導体を含み、Lは、リンカーであり、TAは、治療剤であってその類似体又は誘導体を含み、IAは、画像化剤であってその類似体又は誘導体を含み、そしてDAは、診断剤であってその類似体又は誘導体を含む〕で示されるPSMA結合性薬剤結合体、PSMA結合性画像化剤結合体及びPSMA結合性診断剤結合体を調製するのに使用されるリンカーに含まれていてもよい。リンカーLは、本明細書に記載されている二価リンカーを含む複数の二価リンカーを含むことができる。本明細書に使用されるとき、TAは、治療剤及びその類似体と誘導体を集合的に意味し、IAは、画像化剤及びその類似体と誘導体を集合的に意味し、そしてDAは、診断剤及びその類似体と誘導体を集合的に意味することも、理解されるべきである。
【0020】
リンカーは、1つ以上のスペーサーリンカー、場合により追加の放出型リンカーも含むことができる。スペーサー及び放出型リンカーは、任意の順番又は組み合わせで互いに結合していることができる。同様に、PSMA結合性リガンドは、スペーサーリンカー又は放出型リンカーに結合することができる。同様に、薬剤、治療剤、診断剤又は画像化剤は、スペーサーリンカー又は放出型リンカーに結合することができる。結合体のこれらの構成要素は、それぞれ、標的リガンド、薬剤、治療剤、診断剤、画像化剤、放出型リンカー又はスペーサーリンカーに既存の又は追加されたヘテロ原子を介して連結することができる。例示的なヘテロ原子には、窒素、酸素、硫黄、並びに式:−(NHR1NHR2)−、−SO−、−(SO2)−及び−N(R3)O−が挙げられ、ここでR1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルなどから選択され、これらはそれぞれ場合により置換されていることができる。
【0021】
一つの例示的な実施態様において、所定の寸法の長さ及び直径を有するリンカーを含む化合物が、本明細書に記載される。一つの態様において、1つ以上の最小長さ要件又は所定の範囲内に入る長さ要件を満たすリンカーが、本明細書に記載される。別の態様において、最小長さ要件を満たすことは、リンカーの拡張立体配座のコンピューターモデリングにより決定されることが理解されうる。別の態様において、最小長さ要件を満たすことは、結合リガンド(B)を薬剤(D)と連結する原子の主鎖を形成する、特定の数の原子(置換の有無を問わず)を有することによって決定されることが、理解されるべきである。別の実施態様において、原子の主鎖は、別の二価フラグメントにより環化されている。別の態様において、1つ以上の最大又は最小直径要件を満たすリンカーが、本明細書に記載される。別の態様において、最大又は最小直径要件を満たすことは、空間充填モデル、CPKモデルなどの立体配置として作製したリンカーの多様な立体配座のコンピューターモデリングにより決定されることが、理解される。別の態様において、最大又は最小直径要件を満たすことは、リンカーの1つ以上の選択された部分、例えば、結合リガンド(B)に近位のリンカー部分又は薬剤(D)から遠位のリンカー部分などに適用できることが理解される。別の態様において、PSMAの漏斗部分に見出される1つ以上のArg若しくはLys側鎖の窒素及び/又はAsp若しくはGlu側鎖の酸素と正の相互作用をしうる1つ以上の極性基を含むリンカーのような、1つ以上の化学組成要件を満たすリンカーが、本明細書に記載される。一つ態様において、PSMAの漏斗部分に見出される1つ以上のTyr又はPhe側鎖炭素と正の相互作用をしうる1つ以上の非極性基を含むリンカーのような、1つ以上の化学組成要件を満たすリンカーが、本明細書に記載される。
【0022】
一つの実施態様において、リンカーの原子長さは、結合若しくは標的リガンドB、又はその類似体若しくは誘導体と、薬剤D、又はその類似体若しくは誘導体とを隔てている原子の数によって定義される。したがって、結合リガンド又はその類似体若しくは誘導体が薬剤D又はその類似体若しくは誘導体に直接結合している立体配置では、結合は本明細書において「原子0個の」リンカーとも呼ばれる。そのような原子0個のリンカーは、B及びDが、B及びDそれぞれの結合点から水素原子を除去することにより直接結合している立体配置を含むことが理解される。そのような原子0個のリンカーは、B及びDが、B又はDの一方から水素原子を除去し、B又はDの他方からOH、SH、NH2などのようなヘテロ原子官能基を除去することにより、重複ヘテロ原子を介して結合している立体配置を含むことも理解される。そのような原子0個のリンカーは、B及びDが、B及びDそれぞれの結合点から2個の水素原子を除去することにより形成されうる二重結合を介して結合しているか、又はB及びDが、B若しくはDそれぞれから、2個の水素原子か、1個の水素原子及びOH、SH、NH2などのような1個のヘテロ原子官能基か、若しくは2個のヘテロ原子官能基を除去することにより、1つ以上の重複ヘテロ原子を介して結合している立体配置を含むことも理解される。加えて、B及びDは、B又はDの一方又は両方からO、S、NHなどのような、二重結合ヘテロ原子官能基を除去することにより形成される二重結合を介して結合することができる。そのようなヘテロ原子官能基が、飽和炭素原子、不飽和炭素原子(カルボニル基を含む)及び他のヘテロ原子に結合しているものを含むことも理解されるべきである。同様に、原子0個を超えるリンカーの長さが同様な方法により定義される。
【0023】
したがって、別の例示的な実施態様において、少なくとも原子7個の鎖長を有するリンカー(L)が記載される。一つの変形態様において、少なくとも原子14個の鎖長を有するリンカー(L)が記載される。別の変形態様において、原子約7個から約20個の範囲の鎖長を有するリンカー(L)が記載される。別の変形態様において、原子約14個から約24個の範囲の鎖長を有するリンカー(L)が記載される。
【0024】
別の実施態様において、リンカー(L)の長さは、リンカーの拡張立体配座の長さを測定することにより定義される。そのような拡張立体配座は、PC Model 7(MMX)のような当該技術で認められたコンピューターモデリングプログラムにより測定することができる。したがって、別の例示的な実施態様において、少なくとも15Å、少なくとも20Å又は少なくとも25Åの鎖長を有するリンカーが記載される。
【0025】
別の実施態様において、それぞれ場合により置換されていることができる、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルなどの基のような少なくとも1つの疎水性側鎖基を有するリンカーが記載される。一つの態様において、疎水性基は、1つ以上のPhe又はTyr基(その置換された変形態様、並びにその類似体及び誘導体を含む)をリンカー鎖に組み込むことによってリンカーに含まれる。そのようなPhe及び/又はTyr側鎖基が、PSMAの漏斗において見出されるTyr及びPhe残基と正のパイ−パイ(π−π)相互作用を形成しうることが理解される。加えて、Phe及びTyrに見出されるアリールアルキル基のような大きな側鎖分岐の存在がリンカーに一定レベルの立体配座剛性をもたらすことができ、したがって自由度を制限し、巻き付きを低減し、リンカーの拡張立体配座を促進することが理解される。理論に束縛されることなく、そのようなエントロピーの制限は、本明細書に記載されている結合した結合体の全体的な結合エネルギーを増加することができる。加えて、本明細書に記載されているPhe及びTyrのような立体障害側鎖により提供されうる剛性の増加は、リガンドと画像化剤との巻き付き及び相互作用を低減又は防止できることが理解される。例えば、代表的な原子9個及び原子14個のリンカー(例えば、図15A及び15Bを参照すること)のエネルギー最小化計算は、リガンドと画像化剤との間に分子内相互作用がないことを示す。更に、側鎖の2つのPhe側鎖の存在は、アミノヘキサン酸含有結合体(図15A)よりもシンSK33(図15B)においてより拡張した立体配座を促進すると思われる。
【0026】
PSMAの触媒部位又は活性部位に至る漏斗状のトンネルが、PSMA結合性リガンドと治療、診断及び画像化剤との結合体のリンカー部分に、PSMAとこれらの結合体との相互作用に肯定的及び否定的な影響を与える、長さ、形状及び/又は化学組成要件を課すことが、本明細書において発見された。本明細書に記載されているものは、リンカーに対するそのような長さ、形状及び/又は化学組成要件を含むこれらの結合体の例示的実施態様である。そのような長さ、形状及び/又は化学組成要件を、分子モデリングを使用して評価した。例えば、(s)−2−(4−ヨードベンゼンシルホスホノメチル)−ペンタン二酸〔2−PMPA誘導体〕PDB IDコード2C6PとのPSMA複合体の空間充填モデル及び表面モデルは、PROTEIN EXPLORERを使用して生成した。PROTEIN EXPLORERモデルは、20Åの深さの漏斗を確認し、また、好ましい構造特性を有するリンカーを定義するのに使用できる直径特徴を、漏斗に沿って多様な位置で示した。加えて、このモデルは、PSMAの活性部位に近接して、対応する官能基がリンカーに含まれる場合に追加的な結合相互作用をもたらしうる、多数の疎水性残基が存在することを示した。最後に、このモデルは、対応する官能基がリンカーに含まれる場合に追加的な結合相互作用をもたらしうる、3つの疎水性ポケットが存在することを示した。
【0027】
別の例示的な実施態様において、次の、MUPAと、原子9個のリンカーにより連結しているトリペプチド99mTcとの結合体(図15Aに示されている)及び分岐状で原子14個のリンカーを含むシンSK33との結合体(図15Bに示されている)の分子モデルを作製した。モデルは、エネルギー最小化したPC Model 7(MMX)を使用し、次の結合長さパラメーター:C−C(sp3−sp3)=1.53Å、C−C(sp3−sp2)=1.51Å、C−N(sp3−N)=1.47Å、C−N(sp2−N)=1.38Åを使用して作製した。そのようなモデルを使用して、結合リガンド(B)と薬剤(D)とを連結するリンカーの長さを計算することができる。加えて、そのようなモデルを改変して、拡張立体配座を作製することができ、続いて、結合リガンド(B)と薬剤(D)とを連結するリンカーの長さを計算するために使用することができる。
【0028】
最初のヒトPSMA遺伝子は、LNCaP細胞からクローン化され、染色体11p11−12に位置すると報告されている。加えて、PSMA様遺伝子が座位11q14.3に位置する。PSMAの結晶構造が異なる2つのグループにより異なる分解能で報告されており、それぞれ活性部位が2個の亜鉛原子を含有することを示し、PSMAが亜鉛メタロプロテアーゼとも考えられることを確認している。Davis et al, PNAS, 102:5981-86, (2005)は、低い分解能(3.5Å)の結晶構造を報告し、一方、Mesters et al, The EMBO Journal, 1-10 (2006)は、より高い分解能(2〜2.2Å)の結晶構造を報告した(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)。この結晶構造は、PSMAが、プロテアーゼドメイン、アピカルドメイン、ヘリカルドメイン及びCPG2二量体化ドメインを含有するホモ二量体であることを示す。PSMAのプロテアーゼドメインは、二核亜鉛部位、触媒残基及び3つのアルギニン残基を含む基質結合領域(基質結合アルギニンパッチとも呼ばれる)を含有する。結晶構造において、活性部位の2つの亜鉛イオンは、それぞれリン酸の酸素に連結しているか又は共結晶構造ではインヒビターGPI 1843のホスフィン酸部分に連結している。細胞外ドメインの高分解能結晶構造において、PSMAは、強力なインヒビター、弱いインヒビターの両方及びグルタミン酸とそれぞれ2.0、2.4及び2.2Åで共結晶化した。高分解能結晶構造は、PSMAの触媒部位又は活性部位に至る20Åの深さの漏斗状トンネルを示す。漏斗は、多数のArg及びLys残基、Asp及びGlu残基、Tyr及びPhe残基の側鎖で覆われている。
【0029】
別の実施態様において、リンカー(L)は、C、N、O、S、Si及びPから選択される原子の鎖である。リンカーは、約7〜約100個の範囲のような、多種多様な長さを有することができる。リンカーを形成するのに使用される原子を、例えばアルキレン基を形成する炭素原子の鎖、ポリオキシアルキレン基を形成する炭素及び酸素原子の鎖、ポリアミンを形成する炭素及び窒素原子の鎖などのような、化学的に関連する任意の方法によって組み合わせることができる。加えて、鎖における結合連結原子は、例えばアルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、アリーレン、イミドなどがリンカーに含まれる二価ラジカルでありうるように、飽和でも不飽和でもよいことが理解されるべきである。加えて、リンカーを形成する原子は、また、互いに環化して、リンカーにおいて二価環状ラジカルを形成しうることが理解されるべきである。本明細書に記載されているそれぞれの前述及び他のリンカーにおいて、リンカーを形成する鎖は、多種多様な基により置換されていることができる。
【0030】
別の実施態様において、少なくとも1つの放出型リンカーを含むリンカー(L)が記載される。一つの変形態様において、少なくとも2つの放出型リンカーを含むリンカー(L)が記載される。別の変形態様において、少なくとも1つの自壊的リンカーを含むリンカー(L)が記載される。別の変形態様において、ジスルフィドではない少なくとも1つの放出型リンカーを含むリンカー(L)が記載される。別の実施態様において、放出型リンカーを含まないリンカー(L)が記載される。
【0031】
送達される薬剤が結合リガンド−リンカー結合体から有利に遊離され、遊離薬剤が、本明細書に記載されている結合体によりもたらされる標的化なしに投与されたときのように標的に対して同じ又はほぼ同じ効果を有する場合に、放出型リンカーを使用できることが理解される。別の実施態様において、リンカーLは、非放出型リンカーを含む。非放出型リンカーを、薬剤が、画像化、診断において結合リガンド−リンカー結合体により有利に保持される場合に使用できることが理解され、その結合体の使用は本明細書に記載されている。放出型リンカー又は非放出型リンカーの選択は、本明細書に記載されている発明を制限することなく、それぞれの結合体の用途又は立体配置と関係なく実行できることが理解されるべきである。本明細書に記載されているリンカーLは、多様な原子、原子の鎖、官能基及び官能基の組み合わせを含むことが更に理解されるべきである。適切であれば、本開示において、リンカーLを、スペーサーリンカー、放出型リンカー及びヘテロ原子の存在により参照することができる。しかし、そのような選択肢は、本明細書に記載されているリンカーLの定義を制限するものとして考慮されるべきではない。
【0032】
スペーサーリンカー及び/又は放出型リンカー(すなわち、切断されうるリンカー)を含むリンカー(L)は、任意の生体適合性リンカーであることができる。放出型又は切断されうるリンカーは、例えば、細胞に存在する還元若しくは酸化条件下で切断に感受性のあるリンカー、酸不安定性若しくは塩基不安定性リンカーでありうるpH感受性リンカー、又は酵素不安定性リンカーのような生化学若しくは代謝過程により切断されうるリンカーであることができる。一つの実施態様において、スペーサー及び/又は放出型リンカーは、約1〜約30個、又は約2〜約20個の原子を含む。低分子量リンカー(すなわち、約30〜約300のおおよその分子量を有するもの)も記載される。そのようなリンカーの前駆体は、求核若しくは求電子官能基のいずれか又はその両方を、中間体種の合成におけるその使用を促進するため、場合により、容易に切断されうる保護基による保護形態で有するように選択することができる。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「放出型リンカー」は、生理学的条件下で分断されうる少なくとも1つの結合(例えば、pH不安定性、酸不安定性、酸化不安定性又は酵素不安定性の結合)を含むリンカーを意味する。切断されうる結合は、切断されうるリンカーの内部及び/又は切断されうるリンカーの一端若しくは両端に存在することができる。結合分断をもたらすような生理学的条件には、例えば生理学的pHで生じる標準的化学加水分解反応又は細胞基質のpHよりも低いpHを有するエンドソームのような細胞オルガネラへの区画化の結果によるものが含まれることが、理解されるべきである。例示的には、本明細書に記載されている二価リンカーは、グルタチオン仲介機構の作用のような、他の生理学的又は代謝的条件下で切断されうる。切断されうる結合の不安定性は、そのような結合分断を補助する又は促進することができる官能基又はフラグメントを二価リンカーLに含めることによって調整できることが理解され、これは隣接基補助とも呼ばれる。切断されうる結合の不安定性は、例えば、切断されうるジスルフィド結合に隣接してアルファ分岐を含むこと、加水分解されうるケイ素酸素結合を有する部分のケイ素の置換基の疎水性を増加すること、加水分解しうるケタール又はアセタールの一部を形成するアルコキシ基を同族体化することなどのような、切断されうる結合又はその近傍における置換変化により調整することもできる。加えて、放出型リンカーの結合分断後にPSMA結合性薬剤リンカー結合体の追加的な断片化を補助する又は促進することができる追加の官能基又はフラグメントを、二価リンカーLに含めうることが理解される。
【0034】
別の実施態様において、リンカーは、特定の長さ、直径及び/又は官能基の要件を有し、本明細書に記載されているリンカーを一緒になって形成する、1つ以上のスペーサーリンカー及び/又は放出型リンカーを形成するラジカルを含む。
【0035】
本明細書に記載されているリンカーの別の例示的な実施態様には、ベータ脱離を伴う化学的機構により本明細書に記載されている条件下で切断する放出型リンカーが含まれる。一つの態様において、そのような放出型リンカーには、ベータ−チオ、ベータ−ヒドロキシ及びベータ−アミノ置換カルボン酸、並びに、エステル類、アミド類、炭酸塩類、カルバメート類及び尿素化合物のようなそれらの誘導体が含まれる。別の態様において、そのような放出型リンカーには、2−及び4−チオアリールエステル類、カルバメート類及び炭酸塩類が含まれる。
【0036】
放出型リンカーを、これらが含有している、例えば、例示的には本明細書に記載されているジスルフィド基、ケタール基などによって参照できることも理解されるべきである。したがって、切断されうる結合は、2つの隣接する原子を放出型リンカー内で連結してもよいし、及び/或いは、他のリンカーを、又は本明細書に記載されている結合リガンドB又は治療、診断若しくは画像化剤Dを、放出型リンカーのどちらか又は両方の末端で連結してもよいことが、理解される。切断されうる結合が2つの隣接する原子を放出型リンカー内で連結する場合、結合の分断の後、放出型リンカーは、2つ以上のフラグメントに分断される。あるいは、切断されうる結合が、放出型リンカーと、追加のヘテロ原子、スペーサーリンカー、別の放出型リンカー、薬剤D又はその類似体若しくは誘導体、又は結合リガンドB又はその類似体若しくは誘導体のような別の部分との間にある場合、結合の分断の後、放出型リンカーは、他の部分から分離される。
【0037】
別の実施態様において、放出型リンカー及びスペーサーリンカーを、上記に記載したように、二価リンカーの結合の切断の後、放出された官能基が追加の結合の分断又は切断を隣接基補助するように配置することができる。そのような二価リンカー又はその一部の例示的な実施態様には、下記の式:
【化1】
〔式中、Xは、窒素、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子であり、nは、0、1、2及び3から選択される整数であり、Rは、水素、又は、正電荷を誘導的に又はアルコキシのようなアリール環の共鳴により安定化することができる置換基を含む、置換基であり、そして符号(*)は、追加のスペーサー若しくは放出型リンカー又は二価リンカーを形成するヘテロ原子の結合点、あるいは薬剤又はその類似体若しくは誘導体、又はビタミン又はその類似体若しくは誘導体の結合点を示す〕を有する化合物が含まれる。ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロなどが含まれるが、これらに限定されない他の置換基が、アリール環、ベンジル炭素、アルカン酸又はメチレン架橋に存在できることが、理解される。補助切断は、ベンジリニウム中間体、ベンジン中間体、ラクトン環化、オキソニウム中間体、ベータ脱離などを伴う機構を含むことができる。放出型リンカーの切断の後の断片化に加えて、放出型リンカーの最初の切断を隣接基補助機構により促進できることが、更に理解される。
【0038】
この実施態様において、環化されうるヒドロキシアルカン酸は、例えばオキソニウムイオンによりメチレン架橋の切断を促進して、結合切断を促進するか又は放出型リンカーの結合切断の後に続いて断片化を促進する。あるいは、メチレン架橋の酸触媒オキソニウムイオン補助切断は、この例示的な二価リンカー又はそのフラグメントの断片化カスケードを開始することができる。あるいは、カルバメートの酸触媒加水分解は、環化しうるヒドロキシアルカン酸のベータ脱離を促進して、例えばオキソニウムイオンによるメチレン架橋の切断を促進することができる。本明細書に記載されている代謝的、生理学的又は細胞条件下での結合分断又は切断の他の化学的機構は、そのような断片化のカスケードを開始できることが理解される。本明細書に記載されている代謝的、生理学的又は細胞条件下での結合分断又は切断の他の化学的機構は、そのような断片化のカスケードを開始できることが理解される。
【0039】
本明細書に記載されている二価リンカーの切断の例示的な機構には、以下の1,4及び1,6断片化機構が含まれ:
【化2】
ここで、Xは、外来性又は内在性求核剤、グルタチオン又は生体内還元剤などであり、そしてZ又はZ′のいずれかは、PSMA結合性リガンド又は薬剤、治療剤、診断剤若しくは画像化剤であるか、或いはZ又はZ′のいずれかは、二価リンカーの他の部分を介して連結しているPSMA結合性リガンド又は薬剤、治療剤、診断剤若しくは画像化剤である。上記の断片化機構は協調的機構として描かれているが、任意の数の別個の工程が生じて、二価リンカーの最終的な断片化を実施し、示されている最終生成物にできることが、理解されるべきである。例えば、結合切断は、上記の例に例示されているベータ硫黄又はジスルフィドのいずれかのアリール基により提供される安定化によって隣接基補助されうる、カルバメート部分の酸触媒脱離によっても生じうることが理解される。この実施態様のこれらの変形態様において、放出型リンカーは、カルバメート部分である。あるいは、断片化は、ジスルフィド基への求核攻撃により開始され、切断を引き起こしてチオレートを形成することができる。チオレートは、炭酸又はカルバミン酸部分を分子間で置換して、対応するチアシクロプロパンを形成することができる。ベンジル含有二価リンカーの場合では、例示的なジスルフィド結合分断の後、得られたフェニルチオレートは、共鳴安定化中間体を形成することによって、更に断片化されて炭酸又はカルバミン酸部分を放出することができる。これらのいずれかの場合において、本明細書に記載されている例示的な二価リンカーの放出可能特性は、既存の化学的、代謝的、生理学的又は生物学的条件に関連しうるどのような機構によっても実現することができる。
【0040】
放出型リンカーの結合切断の他の例示的な機構には、下記のようなオキソニウム補助切断が含まれ:
【化3】
ここで、Zは、ビタミン又はその類似体若しくは誘導体、又は薬剤又はその類似体若しくは誘導体であるか、或いは、それぞれ、1つ以上のスペーサーリンカー及び/又は他の放出型リンカーを含む薬剤又はビタミン部分のような、多価リンカーの他の部分と一緒にしたビタミン若しくは薬剤部分である。この実施態様において、カルバメートの酸触媒脱離は、CO2及びZに結合している窒素含有部分の放出をもたらし、水又は他の任意のルイス酸により捕捉されうるベンジルカチオンの形成をもたらす。
【0041】
一つの実施態様において、放出型リンカーはジスルフィドを含む。
【0042】
別の実施態様において、放出型リンカーは、アルキレンアジリジン−1−イル、アルキレンカルボニルアジリジン−1−イル、カルボニルアルキルアジリジン−1−イル、アルキレンスルホキシルアジリジン−1−イル、スルホキシルアルキルアジリジン−1−イル、スルホニルアルキルアジリジン−1−イル又はアルキレンスルホニルアジリジン−1−イルを含む、二価ラジカルであることができ、ここで放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義されている置換基X2で置換されている。
【0043】
例示的な追加の放出型リンカーには、メチレン、1−アルコキシアルキレン、1−アルコキシシクロアルキレン、1−アルコキシアルキレンカルボニル、1−アルコキシシクロアルキレンカルボニル、カルボニルアリールカルボニル、カルボニル(カルボキシアリール)カルボニル、カルボニル(ビスカルボキシアリール)カルボニル、ハロアルキレンカルボニル、アルキレン(ジアルキルシリル)、アルキレン(アルキルアリールシリル)、アルキレン(ジアリールシリル)、(ジアルキルシリル)アリール、(アルキルアリールシリル)アリール、(ジアリールシリル)アリール、オキシカルボニルオキシ、オキシカルボニルオキシアルキル、スルホニルオキシ、オキシスルホニルアルキル、イミノアルキリデニル、カルボニルアルキリデンイミニル、イミノシクロアルキリデニル、カルボニルシクロアルキリデンイミニル、アルキレンチオ、アルキレンアリールチオ及びカルボニルアルキルチオが含まれ、ここで放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義されている置換基X2で置換されている。
【0044】
前述の実施態様において、放出型リンカーは、酸素を含むことができ、放出型リンカーは、メチレン、1−アルコキシアルキレン、1−アルコキシシクロアルキレン、1−アルコキシアルキレンカルボニル及び1−アルコキシシクロアルキレンカルボニルであることができ、ここで、放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義されている置換基X2で置換されており、放出型リンカーは、酸素と結合してアセタール又はケタールを形成する。あるいは、放出型リンカーは、酸素を含むことができ、放出型リンカーは、メチレンであってもよく、ここで、メチレンは、場合により置換されているアリールで置換されており、放出型リンカーは、酸素と結合してアセタール又はケタールを形成する。更に、放出型リンカーは、酸素を含むことができ、放出型リンカーは、スルホニルアルキルであってもよく、ここで、放出型リンカーは、酸素と結合してアルキルスルホネートを形成する。
【0045】
上記の放出型リンカーの実施態様の別の実施態様において、放出型リンカーは、窒素を含むことができ、放出型リンカーは、イミノアルキリデニル、カルボニルアルキリデンイミニル、イミノシクロアルキリデニル及びカルボニルシクロアルキリデンイミニルであることができ、ここで、放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義されている置換基X2で置換されており、放出型リンカーは、窒素と結合してヒドラゾンを形成する。代替的な形態では、ヒドラゾンは、カルボン酸誘導体、オルトギ酸誘導体又はカルバモイル誘導体でアシル化されて、多様なアシルヒドラゾン放出型リンカーを形成することができる。
【0046】
あるいは、放出型リンカーは、酸素を含むことができ、放出型リンカーは、アルキレン(ジアルキルシリル)、アルキレン(アルキルアリールシリル)、アルキレン(ジアリールシリル)、(ジアルキルシリル)アリール、(アルキルアリールシリル)アリール及び(ジアリールシリル)アリールであることができ、ここで、放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義されている置換基X2で置換されており、放出型リンカーは、酸素と結合してシラノールを形成する。
【0047】
上記の放出型リンカーの実施態様において、薬剤は、窒素原子を含むことができ、放出型リンカーは、窒素を含むことができ、放出型リンカーは、カルボニルアリールカルボニル、カルボニル(カルボキシアリール)カルボニル、カルボニル(ビスカルボキシアリール)カルボニルであることができ、放出型リンカーは、ヘテロ原子の窒素と結合してアミドを形成することができ、また、薬剤の窒素と結合してアミドを形成することもできる。
【0048】
上記の放出型リンカーの実施態様において、薬剤は、酸素原子を含むことができ、放出型リンカーは、窒素を含むことができ、放出型リンカーは、カルボニルアリールカルボニル、カルボニル(カルボキシアリール)カルボニル、カルボニル(ビスカルボキシアリール)カルボニルであることができ、放出型リンカーは、アミドを形成することができ、また、薬剤の窒素と結合してエステルを形成することもできる。
【0049】
置換基X2は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロ、ハロアルキル、スルフヒドリルアルキル、アルキルチオアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボキシレート、アルキルアルカノエート、グアニジノアルキル、R4−カルボニル、R5−カルボニルアルキル、R6−アシルアミノ及びR7−アシルアミノアルキルであることができ、ここで、R4及びR5は、それぞれ独立して、アミノ酸、アミノ酸誘導体及びペプチドから選択され、そしてR6及びR7は、それぞれ独立して、アミノ酸、アミノ酸誘導体及びペプチドから選択される。この実施態様において、放出型リンカーは、窒素を含むことができ、置換基X2及び放出型リンカーは、複素環を形成することができる。
【0050】
複素環は、ピロリジン、ピペリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、ピロリジノン、ピペリジノン、オキサゾリジノン、イソオキサゾリジノン、チアゾリジノン、イソチアゾリジノン及びスクシンイミドであることができる。
【0051】
一つの実施態様において、本明細書に記載されている多価リンカーは、以下の式:
【化4】
〔式中、nは、1〜約4から選択される整数であり;Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素及び、場合により分岐鎖であるC1〜C4アルキルのような低級アルキルを含む、アルキルからなる群より選択されるか、或いはRa及びRbは、結合している炭素原子と一緒になって炭素環を形成し;Rは、場合により置換されているアルキル基、場合により置換されているアシル基又は適切に選択された窒素保護基であり;そして(*)は、薬剤、ビタミン、画像化剤、診断剤、他の多価リンカー又は結合体の他の部分の結合点を示す〕で示される化合物であるか又はそのような化合物を含む。
【0052】
別の実施態様において、本明細書に記載されている多価リンカーは、以下の式:
【化5】
〔式中、mは、1〜約4から選択される整数であり;Rは、場合により置換されているアルキル基、場合により置換されているアシル基又は適切に選択された窒素保護基であり;そして(*)は、薬剤、ビタミン、画像化剤、診断剤、他の多価リンカー又は結合体の他の部分の結合点を示す〕で示される化合物であるか又はそのような化合物を含む。
【0053】
別の実施態様において、本明細書に記載されている多価リンカーは、以下の式:
【化6】
〔式中、mは、1〜約4から選択される整数であり;Rは、場合により置換されているアルキル基、場合により置換されているアシル基又は適切に選択された窒素保護基であり;そして(*)は、薬剤、ビタミン、画像化剤、診断剤、他の多価リンカー又は結合体の他の部分の結合点を示す〕で示される化合物であるか又はそのような化合物を含む。
【0054】
別の実施態様において、リンカーLは1つ以上のスペーサーリンカーを含む。そのようなスペーサーリンカーは、場合により、下記に定義される置換基X1で置換されている1−アルキレンスクシンイミド−3−イルであることができ、放出型リンカーは、メチレン、1−アルコキシアルキレン、1−アルコキシシクロアルキレン、1−アルオキシアルキレンカルボニル、1−アルコキシシクロアルキレンカルボニルであることができ、ここで、放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義される置換基X2で置換されており、スペーサーリンカー及び放出型リンカーは、それぞれスペーサーリンカーに結合して、スクシンイミド−1−イルアルキルアセタール又はケタールを形成する。
【0055】
スペーサーリンカーは、カルボニル、チオノカルボニル、アルキレン、シクロアルキレン、アルキレンシクロアルキル、アルキレンカルボニル、シクロアルキレンカルボニル、カルボニルアルキルカルボニル、1−アルキレンスクシンイミド−3−イル、1−(カルボニルアルキル)スクシンイミド−3−イル、アルキレンスルホキシル、スルホニルアルキル、アルキレンスルホキシルアルキル、アルキレンスルホニルアルキル、カルボニルテトラヒドロ−2H−ピラニル、カルボニルテトラヒドロフラニル、1−(カルボニルテトラヒドロ−2H−ピラニル)スクシンイミド−3−イル及び1−(カルボニルテトラヒドロフラニル)スクシンイミド−3−イルであることができ、ここでスペーサーリンカーは、それぞれ場合により、下記に定義される置換基X1で置換されている。この実施態様において、スペーサーリンカーは、追加の窒素を含むことができ、スペーサーリンカーは、アルキレンカルボニル、シクロアルキレンカルボニル、カルボニルアルキルカルボニル、1−(カルボニルアルキル)スクシンイミド−3−イルであることができ、ここで、スペーサーリンカーは、それぞれ場合により、下記に定義される置換基X1で置換されており、スペーサーリンカーは、窒素と結合してアミドを形成する。あるいは、スペーサーリンカーは、追加の硫黄を含むことができ、スペーサーリンカーは、アルキレン及びシクロアルキレンであることができ、ここで、スペーサーリンカーは、場合によりカルボキシで置換されており、スペーサーリンカーは、硫黄と結合してチオールを形成する。別の実施態様において、スペーサーリンカーは、硫黄を含むことができ、スペーサーリンカーは、1−アルキレンスクシンイミド−3−イル及び1−(カルボニルアルキル)スクシンイミド−3−イルであることができ、スペーサーリンカーは、硫黄と結合してスクシンイミド−3−イルチオールを形成する。
【0056】
上記記載の実施態様の代替案として、スペーサーリンカーは、窒素を含むことができ、放出型リンカーは、アルキレンアジリジン−1−イル、カルボニルアルキルアジリジン−1−イル、スルホキシルアルキルアジリジン−1−イル又はスルホニルアルキルアジリジン−1−イルを含む二価ラジカルであることができ、ここで放出型リンカーは、それぞれ場合により、下記に定義される置換基X2で置換されている。この代替的な実施態様において、スペーサーリンカーは、カルボニル、チオノカルボニル、アルキレンカルボニル、シクロアルキレンカルボニル、カルボニルアルキルカルボニル、1−(カルボニルアルキル)スクシンイミド−3−イルであることができ、ここで、スペーサーリンカーは、それぞれ場合により、下記に定義される置換基X1で置換されており、スペーサーリンカーは、放出型リンカーと結合してアジリジンアミドを形成する。
【0057】
置換基X1は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロ、ハロアルキル、スルフヒドリルアルキル、アルキルチオアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボキシレート、アルキルアルカノエート、グアニジノアルキル、R4−カルボニル、R5−カルボニルアルキル、R6−アシルアミノ及びR7−アシルアミノアルキルであることができ、ここで、R4及びR5は、それぞれ独立して、アミノ酸、アミノ酸誘導体及びペプチドから選択され、そしてR6及びR7は、それぞれ独立して、アミノ酸、アミノ酸誘導体及びペプチドから選択される。この実施態様において、スペーサーリンカーは、窒素を含むことができ、置換基X1及びスペーサーリンカーは、それに結合して複素環を形成する。
【0058】
スペーサーリンカーの追加的な例示には、アルキレン−アミノ−アルキレンカルボニル、アルキレン−チオ−(カルボニルアルキルスクシンイミド−3−イル)などが含まれ、以下の式:
【化7】
〔式中、整数x及びyは、1、2、3、4又は5である〕により更に例示されている。
【0059】
別の実施態様において、親水性領域を含むリンカーも記載される。一つの態様において、リンカーの親水性領域は、本明細書に記載される結合体に含まれるスペーサーリンカーの全体又は一部を形成する。例示的な親水性スペーサーリンカーは、PCT国際出願PCT/US2008/068093(2008年6月25日出願)に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
本明細書に使用されるとき、用語「シクロアルキル」には、その一部が環を形成する炭素原子の二価鎖を含む、分子フラグメント又はラジカルが含まれる。本明細書に使用されるとき、シクロアルキルという用語には、環原子又は非環原子に結合しているフラグメント及びラジカルが含まれることが理解されるべきであり、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、3−エチルシクロペンタ−1−イル、シクロプロピルエチル、シクロヘキシルメチルなどである。
【0061】
本明細書に使用されるとき、用語「シクロアルキレン」には、その一部が環を形成する炭素原子の二価鎖を含む、分子フラグメント又はラジカルが含まれる。本明細書に使用されるとき、シクロアルキルという用語には、環原子又は非環原子に結合しているフラグメント及びラジカルが含まれることが理解されるべきであり、例えば、シクロプロパ−1,1−ジイル、シクロプロパ−1,2−ジイル、シクロヘキサ−1,4−ジイル、3−エチルシクロペンタ−1,2−ジイル、1−メチレンシクロヘキサ−4−イルなどである。
【0062】
本明細書に使用されるとき、用語「ヘテロアルキル」及び「ヘテロアルキレン」には、炭素原子及びヘテロ原子(ここでヘテロ原子は、窒素、酸素及び硫黄から選択される)の直鎖又は分岐鎖から形成される一価及び二価基をそれぞれ含む、分子フラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、アルコキシアルキル、アルキレンオキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アルキレンアミノアルキル、アルキルチオアルキル、アルキレンチオアルキル、アルコキシアルキルアミノアルキル、アルキルアミノアルコキシアルキル、アルキレンオキシアルキルアミノアルキルなどである。
【0063】
本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロシクリル」には、少なくとも1個のヘテロ原子を含むその一部が環を形成する炭素原子及びヘテロ原子(ここでヘテロ原子は窒素、酸素及び硫黄から選択される)の一価鎖を含む、分子フラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、アジリジン、ピロリジン、オキサゾリジン、3−メトキシピロリジン、3−メチルピペラジンなどである。したがって、本明細書に使用されるとき、ヘテロシクリルには、アルキルヘテロシクリル、ヘテロアルキルヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルへテロアルキルなどが含まれる。本明細書に使用されるとき、ヘテロシクリルという用語には、環原子又は非環原子に結合しているフラグメント及びラジカルが含まれることが理解されるべきであり、例えば、テトラヒドロフラン−2−イル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−4−イル、ピペラジン−1−イル、モルホリン−1−イル、テトラヒドロフラン−2−イルメチル、ピペリジン−1−イルエチル、ピペリジン−4−イルメチル、ピペラジン−1−イルプロピル、モルホリン−1−イルエチルなどである。
【0064】
本明細書で使用されるとき、用語「アリール」には、炭素原子の芳香族単環式又は多環式の環を含むフラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、フェニル、ナフチルなどである。
【0065】
本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロアリール」には、炭素原子及び窒素、酸素、硫黄から選択される少なくとも1個ヘテロ原子の芳香族単環式又は多環式の環を含む分子フラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、ピリジニル、ピリミジニル、インドリル、ベンゾオキサゾリルなどである。
【0066】
本明細書に使用されるとき、用語「置換アリール」又は「置換ヘテロアリール」には、1つ以上の置換基で置換されているアリール又はヘテロアリールを含む分子フラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、アルキル、ヘテロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル又はジアルキルアミノ、アルコキシ、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、カルボキシレート、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、シアノ、ニトロなどである。そのような置換基のアルキル基は場合によりハロで置換されうることが理解されるべきである。
【0067】
本明細書で使用されるとき、用語「イミノアルキリデニル」には、本明細書に定義されているアルキレン及び窒素原子を含有する二価ラジカルを含む分子フラグメン又はラジカルが含まれ、ここでアルキレンの末端炭素は窒素原子に二重結合しており、例えば、式:−(CH)=N−、−(CH2)2(CH)=N−、−CH2C(Me)=N−などが挙げられる。
【0068】
本明細書で使用されるとき、用語「アミノ酸」には、セリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのような天然に生じるアミノ酸に対応する基を含むアミノアルキルカルボキシレートを意味し、ここでアルキルラジカルは、場合により、アルキル、ヒドロキシアルキル、スルフヒドリルアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキルなどで置換されている。
【0069】
例えば、一つの実施態様において、アミノ酸は、一般式:
【化8】
〔式中、Rは、水素、アルキル、アシル又は適切な窒素保護基であり、R′及びR″は、水素又は置換基であり、それぞれ現れるときに、それぞれ独立して選択され、そしてqは、1、2、3、4又は5のような整数である〕を有する二価ラジカルである。例示的に、R′及び/又はR″は、独立して、水素又は天然に生じるアミノ酸に存在する側鎖、例えば、メチル、ベンジル、ヒドロキシメチル、チオメチル、カルボキシル、カルボキシルメチル、グアニジノプロピルなど及びそれらの誘導体と保護誘導体に対応するが、これらに限定されない。上記に記載された式は、全ての立体化学的な変形態様を含む。例えば、アミノ酸は、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、リシン、グルタミン、アルギニン、セリン、オルニチン、トレオニンなどから選択することができる。一つの変形態様において、アミノ酸は、フェニルアラニン、チロシンなどや、それらの誘導体及び置換された変形態様から選択することができる。
【0070】
本明細書に使用されるとき、用語「アリールアルキル」及び「ヘテロアリールアルキル」には、直鎖又は分岐鎖アルキレン基で置換されている、本明細書に定義されているアリール及びヘテロアリールをそれぞれ含む、分子フラグメント又はラジカルが含まれ、例えば、ベンジル、フェニルエチル、α−メチルベンジル、ピコリニル、ピリミジニルエチルなどである。
【0071】
上記記載の用語を組み合わせて、化学的に関連する基を生じうることが理解されるべきであり、そのような基として、例えば、トリフルオロメチルオキシエチルや1,2−ジフルオロ−2−クロロエタ−1−イルオキシプロピルなどを意味する「ハロアルコキシアルキル」が挙げられる。
【0072】
本明細書に使用されるとき、用語「アミノ酸誘導体」は、一般に、セリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などに見出されるような天然に生じるアミノ酸に見出される側鎖に対応する基を含む、アミノアルキルカルボキシレートを意味し、ここでアミノラジカル若しくはカルボキシレートラジカルは、それぞれ場合によりアルキル、カルボキシルアルキル、アルキルアミノなどで置換されているか、又は場合により保護されており、介在二価アルキルフラグメントは、場合により、アルキル、ヒドロキシアルキル、スルフヒドリルアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキルなどで置換されている。
【0073】
本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド」には、アミド結合により互いに共有結合している一連のアミノ酸及びアミノ酸の類似体と誘導体を含む、フラグメント又はラジカルが含まれる。
【0074】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルオキシメチルオキシを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでメチルは、場合によりアルキル又は置換アリールで置換されている。
【0075】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルカルボニルを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、アシルアジリジン又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0076】
別の実施態様において、二価リンカーは、1−アルコキシシクロアルキレンオキシを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含む。
【0077】
別の実施態様において、二価リンカーは、アルキレンアミノカルボニル(ジカルボキシルアリーレン)カルボキシレートを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含む。
【0078】
別の実施態様において、二価リンカーは、ジチオアルキルカルボニルヒドラジドを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでヒドラジドは、薬剤と共に、ヒドラゾン又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0079】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルカルボニルヒドラジドを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでヒドラジドは、薬剤と共に、ヒドラゾン又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0080】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−チオアルキルスルホニルアルキル(二置換シリル)オキシを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここで二置換シリルは、アルキル又は場合により置換されているアリールで置換されている。
【0081】
別の実施態様において、二価リンカーは、天然に生じるアミノ酸及びそれらの立体異性体からなる群より選択される、複数のスペーサーリンカーを含む。
【0082】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルオキシカルボニルを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、炭酸塩又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0083】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアリールアルキルオキシカルボニルを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、炭酸塩又はその類似体若しくは誘導体を形成し、アリールは場合により置換されている。
【0084】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルオキシアルキルオキシアルキリデンを一緒になって形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでアルキリデンは、薬剤と共に、ヒドラゾン又はその類似体若しくは誘導体を形成し、アルキルは、それぞれ独立して選択され、そしてオキシアルキルオキシは、場合により、アルキル又は場合により置換されているアリールで置換されている。
【0085】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルオキシカルボニルヒドラジドを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含む。
【0086】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルアミノを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでアミノは、薬剤と共に、ビニル系アミド又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0087】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルアミノを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでアミノは、薬剤と共に、ビニル系アミド又はその類似体若しくは誘導体を形成し、アルキルはエチルである。
【0088】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルアミノカルボニルを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、カルバメート又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0089】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアルキルアミノカルボニルを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、カルバメート又はその類似体若しくは誘導体を形成し、アルキルはエチルである。
【0090】
別の実施態様において、二価リンカーは、3−ジチオアリールアルキルオキシカルボニルを一緒になって形成する、放出型リンカー、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここでカルボニルは、薬剤と共に、カルバメート若しくはカルバモイルアジリジン又はその類似体若しくは誘導体を形成する。
【0091】
別の実施態様において、多価リンカーは、多価3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルオキシメチルオキシ基を形成する、連結したスペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、以下の式:
【化9】
により例示され、ここで、nは、1〜6の整数であり、アルキル基は、場合により置換されており、メチルは、場合により、追加のアルキル又は場合により置換されているアリール基で置換されており、これらの基はそれぞれ、独立して選択される基Rとして表されている。符号(*)は、本明細書に記載されている結合体の他の部分への多価リンカーフラグメントの結合点を示す。
【0092】
別の実施態様において、多価リンカーは、連結して、多価3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルカルボニル基を形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、以下の式:
【化10】
により例示され、ここで、nは、1〜6の整数であり、アルキル基は場合により置換されている。符号(*)は、本明細書に記載されている結合体の他の部分への多価リンカーフラグメントの結合点を示す。別の態様において、多価リンカーは、連結して、多価3−チオアルキルスルホニルアルキル(二置換シリル)オキシ基を形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、ここで二置換シリルは、アルキル及び/又は場合により置換されているアリール基で置換されている。
【0093】
別の実施態様において、多価リンカーは、連結して、多価ジチオアルキルカルボニルヒドラジド基又は多価3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルカルボニルヒドラジドを形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、以下の式:
【化11】
により例示され、ここで、nは1〜6の整数であり、アルキル基は、場合により置換されており、ヒドラジドは、(B)、(D)又は多価リンカー(L)の別の部分と共にヒドラゾンを形成する。符号(*)は、本明細書に記載されている結合体の他の部分への多価リンカーフラグメントの結合点を示す。
【0094】
別の実施態様において、多価リンカーは、連結して、多価3−チオスクシンイミド−1−イルアルキルオキシアルキルオキシアルキリデン基を形成する、スペーサーリンカー及び放出型リンカーを含み、以下の式:
【化12】
により例示され、ここで、nは、それぞれ、1〜6から独立して選択される整数であり、アルキル基は、それぞれ独立して選択され、場合により、例えばアルキル、又は場合により置換されているアリールで置換されており、アルキリデンは、(B)、(D)又は多価リンカー(L)の他の部分と共にヒドラゾンを形成する。符号(*)は、本明細書に記載されている結合体の他の部分への多価リンカーフラグメントの結合点を示す。
【0095】
追加の例示的なリンカーは、WO2006/012527に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。追加のリンカーが以下の表に記載されており、(*)原子は、追加のスペーサー若しくは放出型リンカー、薬剤及び/又は結合リガンドの結合点である。
【0096】
例示的な放出型リンカー
【表1】
【0097】
本明細書に記載されているスペーサー及び放出型リンカーは、それぞれ、二価である。加えて、スペーサーリンカー、放出型リンカー、薬剤D及びリガンドBの間の連結は、多様なスペーサーリンカー、放出型リンカー、薬剤D及びリガンドBにおいて見出される任意の原子において生じることができる。
【0098】
薬剤は、窒素原子を含むことができ、放出型リンカーは、場合により置換基X2で置換されている、ハロアルキレンカルボニルであることができ、放出型リンカーは、薬剤の窒素と結合してアミドを形成する。
【0099】
薬剤は、酸素原子を含むことができ、放出型リンカーは、場合により置換基X2で置換されている、ハロアルキレンカルボニルであることができ、放出型リンカーは、薬剤の酸素と結合してエステルを形成する。
【0100】
薬剤は、二重結合窒素原子を含むことができ、この実施態様において、放出型リンカーは、アルキレンカルボニルアミノ及び1−(アルキレンカルボニルアミノ)スクシンイミド−3−イルであることができ、放出型リンカーは、薬剤の窒素と結合してヒドラゾンを形成することができる。
【0101】
薬剤は、硫黄原子を含むことができ、この実施態様において、放出型リンカーは、アルキレンチオ及びカルボニルアルキルチオであることができ、放出型リンカーは、薬剤の硫黄と結合してジスルフィドを形成することができる。
【0102】
別の実施態様において、PSMAに結合する又はそれを標的化することができる結合又は標的リガンドは、リン酸、ホスホン酸若しくはホスフィン酸、又はこれらの誘導体である。一つの態様において、リン酸、ホスホン酸若しくはホスフィン酸、又はこれらの誘導体は、1つ以上のカルボン酸基を含む。別の態様において、リン酸、ホスホン酸若しくはホスフィン酸、又はこれらの誘導体は、1つ以上のチオール基又はそれらの誘導体を含む。別の態様において、リン酸、ホスホン酸若しくはホスフィン酸、又はこれらの誘導体は、1つ以上のカルボン酸の生物学的等価物を含み、例えば、場合により置換されているテトラゾールなどである。
【0103】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、ペンタン二酸の誘導体である。例示的には、ペンタン二酸の誘導体は、下記式:
【化13】
〔式中、Xは、RP(O)(OH)CH2−(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,968,915号を参照すること);RP(O)(OH)N(R1)−(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,863,536号を参照すること);RP(O)(OH)O−(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,795,877号を参照すること);RN(OH)C(O)Y−又はRC(O)NH(OH)Y(ここでYは、−CR1R2−、−NR3−又は−O−である)(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,962,521を参照すること);RS(O)Y、RSO2Y又はRS(O)(NH)Y(ここでYは、−CR1R2−、−NR3−又は−O−である)(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,902,817号を参照すること);又はRS−アルキル(ここでRは、例えば、水素、アルキル、アリール又はアリールアルキルであり、それぞれ場合により置換されている)(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、J. Med. Chem. 46:1989-1996 (2003)を参照すること)である〕で示される化合物である。
【0104】
前述のそれぞれの式において、R、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素、C1〜C9の直鎖又は分岐鎖アルキル、C2〜C9の直鎖又は分岐鎖アルケニル、C3〜C8シクロアルキル、C5〜C7シクロアルケニル及びアリールから選択される。加えて、R、R1、R2及びR3は、それぞれ場合により、例えば、C3〜C8シクロアルキル、C5〜C7シクロアルケニル、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル、C2〜C6の直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アリールから選択される1つ以上の基で置換されていることができる。一つの態様において、アリールは、1−ナフチル、2−ナフチル、2−インドリル、3−インドリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ベンジル及びフェニルから選択され、それぞれの場合において、アリールは、場合により、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキル、C2〜C6の直鎖又は分岐鎖アルケニル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ及びアミノから選択される1つ以上の基、例示的には1〜3つの基で置換されていることができる。上記のそれぞれの式の一つの変形態様において、Rは水素ではない。
【0105】
米国特許第5,968,915号に記載されている例示的なPSMAリガンドには、2−〔〔メチルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔エチルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔プロピルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔ブチルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔シクロヘキシルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔フェニルヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔2−(テトラヒドロフラニル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(2−テトラヒドロピラニル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((4−ピリジル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((2−ピリジル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(フェニルメチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((2−フェニルエチル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((3−フェニルプロピル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((3−フェニルブチル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔((2−フェニルブチル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(4−フェニルブチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;及び2−〔〔(アミノメチル)ヒドロキシホスフィニル〕メチル〕ペンタン二酸が含まれる。
【0106】
米国特許第5,863,536号に記載されている例示的なPSMAリガンドには、N−〔メチルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔エチルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔プロピルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔ブチルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔フェニルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔(フェニルメチル)ヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;N−〔((2−フェニルエチル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸;及びN−メチル−N−〔フェニルヒドロキシホスフィニル〕グルタミン酸が含まれる。
【0107】
米国特許第5,795,877号に記載されている例示的なPSMAリガンドには、2−〔〔メチルヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔エチルヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔プロピルヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔ブチルヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔フェニルヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔((4−ピリジル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔((2−ピリジル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;2−〔〔(フェニルメチル)ヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸;及び2〔〔((2−フェニルエチル)メチル)ヒドロキシホスフィニル〕オキシ〕ペンタン二酸が含まれる。
【0108】
米国特許第5,962,521号に記載されている例示的なPSMAリガンドには、2−〔〔(N−ヒドロキシ)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−メチル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ブチル−N−ヒドロキシ)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ベンジル−N−ヒドロキシ)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−フェニル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−2−フェニルエチル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−エチル−N−ヒドロキシ)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−プロピル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−3−フェニルプロピル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ−N−4−ピリジル)カルバモイル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(N−ヒドロキシ)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(メチル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(ベンジル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(フェニル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(2−フェニルエチル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(エチル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(プロピル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔N−ヒドロキシ(3−フェニルプロピル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸;及び2−〔〔N−ヒドロキシ(4−ピリジル)カルボキサミド〕メチル〕ペンタン二酸が含まれる。
【0109】
米国特許第5,902,817号に記載されている例示的なPSMAリガンドには、2−〔(スルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(メチルスルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(エチルスルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(プロピルスルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(ブチルスルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(フェニルスルフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(2−フェニルエチル)スルフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(3−フェニルプロピル)スルフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(4−ピリジル)スルフィニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔(ベンジルスルフィニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(スルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(メチルスルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(エチルスルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(プロピルスルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(ブチルスルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(フェニルスルホニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(2−フェニルエチル)スルホニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(3−フェニルプロピル)スルホニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(4−ピリジル)スルホニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔(ベンジルスルホニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(スルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(メチルスルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(エチルスルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(プロピルスルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(ブチルスルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸;2−〔(フェニルスルホキシイミニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(2−フェニルエチル)スルホキシイミニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(3−フェニルプロピル)スルホキシイミニル〕メチル〕ペンタン二酸;2−〔〔(4−ピリジル)スルホキシイミニル〕メチル〕ペンタン二酸;及び2−〔(ベンジルスルホキシイミニル)メチル〕ペンタン二酸が含まれる。
【0110】
本明細書に記載されているペンタン二酸の誘導体は、PSMAに高い結合親和性を有することが報告されており、以下のホスホン酸及びホスフィン酸の誘導体が含まれるが、これらに限定されない:
【化14】
式中、E−I複合体の解離定数(Ki値)が示されている(Current Medicinal Chem. 8:949-.957 (2001); Silverman, “The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,” Elsevier Academic Press (2nd Ed. 2003)を参照すること。なおこの開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0111】
別の例示的な実施態様において、ペンタン二酸の誘導体は、チオール基を含み、例えば、以下の式:
【化15】
で示される化合物であり、式中、E−I複合体の阻害定数(IC50値)が示されている。
【0112】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、2つのアミノ酸の尿素化合物である。一つの態様において、アミノ酸は、1つ以上の追加のカルボン酸を含む。別の態様において、アミノ酸は、1つ以上のリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルフィン酸、スルホン酸又はボロン酸を含む。別の態様において、アミノ酸は、1つ以上のチオール基又はその誘導体を含む。別の態様において、アミノ酸は、1つ以上のカルボン酸の生物学的等価物、例えばテトラゾールなどを含む。
【0113】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、ペンタン二酸のアミノカルボニル誘導体である。例示的には、アミノカルボニルペンタン二酸誘導体は、下記式:
【化16】
〔式中、R1及びR2は、それぞれ、水素や、場合により置換されている、チオール酢酸、チオールプロピオン酸などのようなカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸などから選択される〕で示される化合物である。例示的なアミノカルボニルペンタン二酸誘導体は、J. Med. Chem. 44:298-301 (2001) and J. Med. Chem. 47: 1729-38 (2004)に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、下記式で示される化合物である:
【化17】
【表2】
【0115】
本明細書に記載されている尿素化合物は、これらの化合物のサブナノモル効力、水溶性及び/又は長期安定性によって、同様に本明細書に記載されているリガンドの調製にも有利でありうることが理解される。本明細書に記載されている尿素化合物は、一般に、市販の出発材料から本明細書に記載されるようにして調製することができる。
【0116】
上記の例示のペンタン二酸化合物及び尿素化合物のそれぞれにおいて、少なくとも1つの不斉炭素原子が存在する。したがって、上記の例示式は、全ての立体異性体を、純粋な鏡像異性体として、又は、鏡像異性体及び/若しくはジアステレオマーの混合物として、個別的にも集合的にも参照することが意図され、それらには、ラセミ混合物や、1つのエピマーを最初の不斉炭素原子に含むが、ラセミ混合物を含む他の不斉炭素の混合物も許容するような混合物などが含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
別の例示的な実施態様において、結合剤は、アスパラギン酸、グルタミン酸などのようなアミノジカルボン酸と別のアミノジカルボン酸又はその類似体との尿素化合物であり、例えば下記式:
【化18】
〔式中、Qは、アスパラギン酸、グルタミン酸などのようなアミノジカルボン酸又はその類似体であり、n及びmは、それぞれ、1から約6の整数から選択され、そして(*)は、リンカーLの結合点を表す〕で示される結合剤である。
【0118】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、少なくとも4つのカルボン酸基を含むか、又は、PSMAリガンドが薬剤又はリンカーに結合した後、少なくとも3つの遊離カルボン酸基を含む。本明細書に記載されているように、PSMAリガンドのカルボン酸基には、カルボン酸の生物学的等価物が含まれることが理解される。
【0119】
例示的には、PSMAリガンドは、下記式で示される化合物である:
【化19】
【0120】
別の実施態様において、PSMAリガンドは、2−〔3−(1−カルボキシ−2−メルカプト−エチル)−ウレイド〕−ペンタン二酸(MUPA)又は2−〔3−(1,3−ジカルボキシ−プロピル)−ウレイド〕−ペンタン二酸(DUPA)である。
【0121】
PSMAリガンドの他の例示的な例には、キスカル酸、アスパラギン酸グルタミン酸(Asp−Glu)、Glu−Glu、Gly−Glu、γ−Glu−Glu、ベータ−N−アセチル−L−アスパラギン酸−L−グルタミン酸(β−NAAG)などが挙げられる。
【0122】
別の例示的な実施態様において、結合剤は、アスパラギン酸、グルタミン酸などのようなアミノジカルボン酸と、別のアミノジカルボン酸又はその類似体との尿素化合物であり、リンカーは、天然に生じるアミノ酸及び非天然のアミノ酸を含むアミノ酸からなるペプチドである。一つの実施態様において、リンカーは、Glu、Asp、Phe、Cys、ベータアミノAla及びアミノアルキルカルボン酸、例えば、Gly、ベータAla、アミノ吉草酸、アミノカプロン酸などから選択されるアミノ酸を含む、ペプチドである。別の実施態様において、リンカーは、Glu、Asp、Phe、Cys、ベータアミノAla及びアミノアルキルカルボン酸、例えば、Gly、ベータAla、アミノ吉草酸、アミノカプロン酸などから選択されるアミノ酸からなるペプチドである。別の実施態様において、リンカーは、少なくとも1つのPheを含むペプチドである。変形態様において、リンカーは、少なくとも2つのPhe残基、又は少なくとも3つのPhe残基を含むペプチドである。別の実施態様において、リンカーは、Glu−Pheを含むペプチド、又はアミノアルキルカルボン酸及びPheのジペプチドである。別の実施態様において、リンカーは、Glu−Phe−Pheを含むペプチド、又はアミノアルキルカルボン酸及び2つのPhe残基のトリペプチドである。別の実施態様において、リンカーは、1つ以上のPhe残基を含むペプチドであり、ここで少なくとも1つのPheは、結合リガンドBから約7〜約11個又は約7〜約14個の原子だけ離れている。別の実施態様において、リンカーは、Phe−Pheを含むペプチドであって、Phe原子の少なくとも一つは結合リガンドBから約7〜約11個又は約7〜約14個の原子だけ離れている。前述のそれぞれの実施態様及び変形態様において、1つ以上のPhe残基を、Tyr又は別の置換変形態様に交換しうることが理解されるべきである。
【0123】
別の例示的な実施態様において、結合剤は、アスパラギン酸、グルタミン酸などのようなアミノジカルボン酸と別のアミノジカルボン酸又はその類似体との尿素化合物であり、リンカーは、リンカーの主鎖に結合している、それぞれ場合により置換されている1つ以上のアリール又はアリールアルキルを含む。別の実施態様において、リンカーは、結合リガンドBから約7〜約11個の原子だけ離れたリンカーの主鎖に結合している、それぞれ場合により置換されている1つ以上のアリール又はアリールアルキル基を含む。別の実施態様において、リンカーは、リンカーの主鎖に結合している、それぞれ場合により置換されている2つのアリール又はアリールアルキル基を含み、ここで、一方のアリール又はアリールアルキル基は、結合リガンドBから約7〜約11個又は約7〜約14個の原子だけ離れており、他方のアルキル又はアリールアルキル基は、結合リガンドBから約10〜約14個又は約10〜約17個の原子だけ離れている。
【0124】
本明細書に記載されているように、結合体は、PSMA結合性リガンドを使用して、PSMAを発現又は過剰発現している細胞を標的化する。いったん送達されると、結合体はPSMAに結合する。特定の実施態様において、結合体は、画像化及び/又は診断にとって十分な時間細胞の表面に残ることが理解される。別の実施態様において、結合体は、後の画像化及び/若しくは診断、又は治療のため、エンドサイトーシスのような内在性細胞機構により、PSMAを発現又は過剰発現している細胞に内部移行する。いったん内部移行すると、結合体は、そのまま残ってもよいし、分解、解体、そうでなければ変質して、結合体を形成している薬剤の放出を可能にしてもよい。画像化及び/又は診断の形態では、薬剤は、結合体としてそのまま残ってもよいし、又はいったん標的細胞に内部移行すると、放出されてもよいことが理解される。治療の形態では、薬剤は、いったん標的細胞に内部移行すると、結合体から放出されるのが有利であることが、更に理解される。
【0125】
一つの例示的な実施態様において、薬剤は画像化剤である。別の例示的な変形態様において、薬剤は診断剤である。別の例示的な変形態様において、薬剤は化学療法剤である。
【0126】
一つの態様において、画像化剤は、リンカーに共有結合している放射性同位体である。別の態様において、画像化剤は、キレート基に配位している放射性金属同位元素のような、放射性同位元素である。例示的な放射性金属同位元素には、111In、99mTc、64Cu、67Cu、67Ga、68Gaなどの同位元素を含む、テクネチウム、レニウム、ガリウム、ガドリニウム、インジウム、銅などが含まれる。追加の例示的な放射性核種画像化剤の例は、米国特許第7,128,893号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。追加の例示的なキレート基は、トリペプチド又はテトラペプチドであり、下記式:
【化20】
〔式中、Rは、独立して、それぞれの場合にH、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルなどから選択され、これらはそれぞれ場合により置換されている〕を有するトリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。1つのRは、ニトロ、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子を含み、リンカーLの結合点であることが理解されるべきである。例示的には、以下のキレート基が記載され:
【化21】
ここで、Xは、酸素、窒素又は硫黄であり、Xは、リンカーLに結合しており、そしてnは1〜約5の整数である。
【0127】
別の態様において、画像化剤は蛍光剤である。蛍光剤には、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514などが含まれるオレゴングリーン蛍光剤(但しこれらに限定されない)、AlexaFluor 488、AlexaFluor 647などが含まれるAlexaFluor蛍光剤(但しこれらに限定されない)、フルオレセイン及び関連する類似体、BODIPY Fl、BODIPY 505などが含まれるBODIPY蛍光剤(但しこれらに限定されない)、テトラメチルローダミンなどが含まれるローダミン蛍光剤(但しこれらに限定されない)、DyLight 680、DyLight 800などが含まれるDyLight蛍光剤(但しこれらに限定されない)、CW800、テキサスレッド、フィコエリトリンなどが含まれる。例示的な蛍光剤が、以下の例示的な一般構造により示されており:
【化22】
ここで、Xは、酸素、窒素又は硫黄であり、Xは、リンカーLに結合しており;Yは、ORa、NRa2又はNRa3+であり;そしてY′は、O、NRa又はNRa2+であり;ここで、Rは、それぞれ独立して、それぞれの場合にH、フルオロ、スルホン酸、スルホネート及びこれらの塩などから選択され、Raは、水素又はアルキルである。
【0128】
【化23】
ここで、Xは、酸素、窒素又は硫黄であり、Xは、リンカーLに結合しており;Rは、それぞれ独立して、それぞれの場合にH、アルキル、ヘテロアルキルなどから選択され;そしてnは、0〜約4の整数である。
【0129】
別の態様において、画像化剤は、PET画像化剤又はFRET画像化剤である。PET画像化剤には、18F、11C、64Cu、65Cuなどが含まれる。FRET画像化剤には、64Cu、65Cuなどが含まれる。18F、11Cの場合、画像化同位元素は、リンカーの任意の部分に存在しうるか、あるいはリンカーに結合している構造に存在しうることが理解される。例えば、18Fの場合、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、フルオロニトロフェニルなどのようなフルオロアリール基が記載される。例えば、11Cの場合、アルキル及びアルキルアリールが記載される。
【0130】
別の態様において、化学療法剤は細胞毒性化合物である。本明細書に記載される細胞毒性化合物は、多数の作用機構のいずれかにより作動する。一般に、細胞毒性化合物は、細胞の生存及び/若しくは細胞の繁殖に重要である細胞機構を妨害する、及び/又は、アポトーシスを引き起こす。
【0131】
薬剤は、細胞機能を調節、そうでなければ修飾することができる任意の分子であることができ、薬学的に活性な化合物が含まれる。適切な分子には、ペプチド、オリゴペプチド、レトロ−インバースオリゴペプチド、タンパク質、ペプチド架橋が少なくとも1つの非ペプチド架橋に代わっているタンパク質類似体、アポタンパク質、糖タンパク質、酵素、補酵素、酵素インヒビター、アミノ酸及びそれらの誘導体、受容体及び他の膜タンパク質;抗原及びその抗体;ヘプテン及びその抗体;ホルモン、脂質、リン脂質;リポソーム;毒素;抗生物質;鎮静薬;気管支拡張剤;ベータ−ブロッカー;抗菌剤;抗高血圧剤;抗不整脈薬、強心配糖体、抗狭心症薬及び血管拡張薬を含む心血管剤;興奮薬、向精神薬、抗躁薬及び抑制薬を含む中枢神経剤;抗ウイルス剤;抗ヒスタミン薬;化学療法剤を含む抗癌剤;精神安定剤;抗鬱剤;H−2アンタゴニスト;抗痙攣薬;制吐薬;プロスタグランジン及びプロスタグランジン類似体;筋弛緩薬;抗炎症性物質;刺激薬;充血除去薬;鎮吐薬;利尿薬;鎮痙薬;抗喘息薬;抗パーキンソン剤;去痰剤;鎮咳薬;粘液溶解薬;並びにミネラルおよび栄養添加物を含めることができるが、これらに限定されない。
【0132】
更に、薬剤は、細胞毒性があるか、腫瘍浸透性を増強するか、腫瘍細胞繁殖を阻害するか、アポトーシスを促進するか、標的細胞の抗アポトーシス活性を減少させるか、感染因子により引き起こされる疾患の治療に使用されるか、病原性細胞に向けられる内因性免疫反応を増強するか、又は任意の種類の病原性細胞により引き起こされる疾患状態の治療に有用であるような、当該技術において既知の任意の薬剤であることができる。本発明の使用に適切な薬剤には、アドレノコルチコイド及びコルチコステロイド、アルキル化剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、アクラマイシン及びアクラマイシン誘導体、エストロゲン、例えばシトシンアラビノサイド、プリン類似体、ピリミジン類似体及びメトトレキセートなどの抗代謝剤、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン及び他の白金化合物、例えばタモキシフェン、タキソール、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、Taxotere(登録商標)などのタキサン類、メイタンシン類とそれらの類似体及び誘導体、シクロホスファミド、ダウノマイシン、ドキソルビシン、リゾキシン、T2毒素、植物アルカロイド、プレドニゾン、ヒドロキシ尿素、 テニポシド、マイトマイシン、ディスコデルモリド、微小管インヒビター、エポチロン、ツブリシン、シクロプロピルベンズ〔e〕インドロン、セコ−シクロプロピルベンズ〔e〕インドロン、O−Ac−セコ−シクロプロピルベンズ〔e〕インドロン、ブレオマイシン及び他の任意の抗生物質、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、ビンクリスチン、ビンブラスチン、それらの類似体及び誘導体、例えばデアセチルビンブラスチンモノヒドラジド、コルヒチン、コルヒチン誘導体、アロコルヒチン、チオコルヒチン、トリチルシステイン、ハリコンドリンB、例えばドラスタチン10などのドラスタチン類、例えばαアマニチンなどのアマニチン類、カンプトテシン、イリノテカン及び他のカンプトテシン誘導体、ゲルダナマイシン及びゲルダナマイシン誘導体、エストラムスチン、ノコダゾール、MAP4、コルセミド、炎症性及び炎症誘発剤、ペプチド及びペプチド模倣信号伝達インヒビター、並びに、他の任意の当該技術で認められている薬剤又は毒素が含まれる。本発明に使用できる他の薬剤には、ペニシリン、セファロスポリン、バンコマイシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リファンピン、クロラムフェニコール、アミノ配糖体抗生物質、ゲンタマイシ、アンフォテリシンB、アシクロビル、トリフルリジン、ガンシクロビル、ジドブジン、アマンタジン、リバビリン、及び他の任意の当該技術で認められている抗菌化合物が含まれる。
【0133】
例示的な薬剤及び他の治療剤は、米国特許出願第2005−0002942−A1号、同第2001−0031252−A1号及び同第2003−0086900−A1号に記載されている。例示的な画像化剤及び診断際は、米国特許出願第2004−0033195−A1号及び国際特許公報WO03/097647に記載されている。前述のそれぞれの特許出願公報の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
本明細書に記載されている発明には、1回以上の用量が投与されたときに宿主動物において病原性細胞の集団を排除するのに有効な量の結合リガンド(B)薬剤送達結合体を含む、医薬組成物も含まれる。結合リガンド薬剤送達結合体は、好ましくは、宿主動物に非経口投与され、例えば皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内又は鞘内投与される。あるいは、結合リガンド薬剤送達結合体を、経口投与のような、他の医学的に有用な方法により宿主動物に投与することができ、任意の有効用量及び徐放性の投与形態を含む適切な治療投与形態を使用することができる。
【0135】
非経口投与形態の例には、等張食塩水、5%グルコース、又は、液体アルコール、グリコール、エステル及びアミドのような周知の薬学的に許容される他の液体担体に溶解した、活性剤の水溶液が挙げられる。本発明の非経口投与形態は、薬剤送達結合体の用量を含む、再構築可能な凍結乾燥物の形態であることができる。本発明の実施態様の一つの態様において、例えば米国特許第4,713,249号、同第5,266,333号及び同第5,417,982号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている生分解性炭水化物マトリックスのような、当該技術で既知の数多くの徐放性の投与形態のうちのいずれかを投与してもよいし、あるいは低速ポンプ(浸透圧ポンプ)を使用してもよい。
【0136】
一つの例示的な態様において、治療因子を含む少なくとも1つの追加の組成物を、上記に詳述した方法論と組み合わせて又はその佐剤として宿主に投与して、結合リガンド薬剤送達結合体により仲介される病原性細胞集団の排除を増強することができ、2つ以上の追加の治療因子を投与することもできる。治療因子は、化学療法剤から又は投与された結合リガンド薬剤送達結合体の効能を補うことができる他の治療因子から選択することができる。
【0137】
一つの例示的な態様において、これらの因子の治療的に有効な組み合わせを使用することができる。一つの実施態様において、例えば、治療因子の治療有効量、例えば、多回用量1日レジメンにおける約0.1MIU/m2/用量/日から約15MIU/m2/用量/日の範囲の量、又は例えば、多回用量1日レジメンにおける約0.1MIU/m2/用量/日から7.5MIU/m2/用量/日の範囲の量を、結合リガンド薬剤送達結合体と共に使用して、病原性細胞を有する宿主動物において病原性細胞を排除、低減又は中和することができる(MIU=ミリ国際単位;m2=平均的なヒトの体表面積の概算)。
【0138】
別の実施態様において、例えばそれ自体細胞毒性である又は腫瘍透過性を増強するように作用できる化学療法剤も、結合リガンド薬剤送達結合体と組み合わせた本発明の方法における使用に適している。そのような化学療法剤には、アドレノコルチコイド及びコルチコステロイド、アルキル化剤、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、アクラマイシン及びアクラマイシン誘導体、エストロゲン、例えばシトシンアラビノサイド、プリン類似体、ピリミジン類似体及びメトトレキセートなどの抗代謝剤、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン及び他の白金化合物、タモキシフェン、タキソール、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、Taxotere(登録商標)、シクロホスファミド、ダウノマイシン、ドキソルビシン、リゾキシン、T2毒素、植物アルカロイド、プレドニゾン、ヒドロキシ尿素、テニポシド、マイトマイシン、ディスコデルモリド、微小管インヒビター、エポチロン、ツブリシン、シクロプロピルベンゾ〔e〕インドロン、セコ−シクロプロピルベンゾ〔e〕インドロン、O−Ac−セコ−シクロプロピルベンゾ〔e〕インドロン、ブレオマイシン及び他の任意の抗生物質、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、ビンクリスチン、ビンブラスチン、それらの類似体及び誘導体、例えばデアセチルビンブラスチンモノヒドラジド、コルヒチン、コルヒチン誘導体、アロコルヒチン、チオコルヒチン、トリチルシステイン、ハリコンドリンB、例えばドラスタチン10などのドラスタチン類、例えばαアマニチンなどのアマニチン類、カンプトテシン、イリノテカン及び他のカンプトテシン誘導体、ゲルダナマイシン及びゲルダナマイシン誘導体、エストラムスチン、ノコダゾール、MAP4、コルセミド、炎症性及び炎症誘発剤、ペプチド及びペプチド模倣信号伝達インヒビター、並びに、他の任意の当該技術で認められている薬剤又は毒素が含まれる。本発明に使用することができる他の薬剤には、ペニシリン、セファロスポリン、バンコマイシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リファンピン、クロラムフェニコール、アミノ配糖体抗生物質、ゲンタマイシ、アンフォテリシンB、アシクロビル、トリフルリジン、ガンシクロビル、ジドブジン、アマンタジン、リバビリン、マイタンシン類とその類似体及び誘導体、ゲムシタビン、並びに、他の任意の当該技術で認められている抗菌化合物が含まれる。
【0139】
治療因子を、結合リガンド薬剤送達結合体の投与の前、後、又はそれと同時に、宿主動物に投与することができ、治療因子を、結合リガンド薬剤送達結合体を含有する同じ組成物の一部として、又は結合リガンド薬剤送達結合体と異なる組成物の一部として、投与することができる。治療因子を治療的に有効な用量で含有する任意のそのような治療組成物を、本発明に使用することができる。
【0140】
加えて、2種類以上の結合リガンド薬剤送達結合体を使用することができる。例示的には、例えば、宿主動物を、異なるビタミンを有する結合体であるが同じ薬剤の共投与プロトコールにより治療することができる。他の実施態様において、宿主動物を、異なる薬剤に結合している同じ結合リガンドを含む又は多様な薬剤に結合している多様な結合リガンドを含む結合体で治療することができる。別の例示的な実施態様において、同じ又は異なるビタミンを有する、並びに同じ薬剤送達結合体の一部として複数のビタミン及び複数の薬剤を含む同じ又は異なる薬剤を有する結合リガンド薬剤送達結合体を使用することができる。
【0141】
別の例示的な態様において、結合リガンド薬剤送達結合体を投与するための任意の有効レジメンを使用することができる。例えば、結合リガンド薬剤送達結合体を、単回用量として投与することができるか又は多回用量1日レジメンとして分割投与することができる。別の実施態様において、時差レジメン、例えば1週間あたり1〜3日間を、1日治療の代替案として使用することができ、本発明を定義するため、そのような断続的又は時差的な1日レジメンは、連日治療と同等であって本発明の方法の範囲内であると考慮される。一つの実施態様において、宿主を結合リガンド薬剤送達結合体の多回注射により治療して、病原性細胞の集団を排除する。別の実施態様において、宿主には、結合リガンド薬剤送達結合体を、例えば12〜72時間間隔又は48〜72時間間隔で複数回(好ましくは約2回から最大約50回まで)注射する。他の実施態様において、結合リガンド薬剤送達結合体の追加の注射を、最初の注射の後、数日間又は数か月の間隔で患者に投与することができ、追加の注射は、病原性細胞により引き起こされる疾患状態の再発を防止する。
【0142】
例示的には、結合リガンド薬剤送達結合体を、薬学的に許容される担体と組み合わせて、疾患状態に罹患している動物又は患者に非経口投与することができ、例えば皮内、皮下、筋肉内、腹腔内又は静脈内投与することができる。別の実施態様において、結合リガンド薬剤送達結合体を、医学的に有用な他の手順により動物又は患者に投与することができ、有効用量を標準的な又は徐放性の投与形態で投与することができる。別の態様において、治療方法は、単独で、又は活性化マクロファージにより仲介される疾患状態の治療において認められている他の治療方法と組み合わせて使用することができる。
【0143】
本明細書に記載されるものは、PSMAを発現又は過剰発現する病原性細胞集団を画像化する方法である。
【0144】
本明細書に記載されるものは、PSMAを発現又は過剰発現する病原性細胞集団に関連する疾患及び疾患状態を診断する方法である。本明細書に記載されている化合物は、PSMAを発現又は過剰発現する細胞に選択的及び/又は特異的に結合する。加えて、病原性細胞と正常細胞の間に選択性を示すばかりでなく、病原性細胞集団の間でも選択性を示す(PSMAを発現しているLnCAP細胞が、発現していないA549腫瘍又はKB腫瘍と比較して優先的に可視化されている、図8を参照すること)。加えて、本明細書に記載されている結合体により実施される競合研究で示されているように、反応はPSMA結合に特異的であり、ここで当該研究においては、結合体のみを用いて、又はPSMAの既知の結合リガンドであるPMPAの過剰量の存在下で、結合が決定される。腎臓及び腫瘍の両方における結合は、過剰量のPMPAの存在によりブロックされる(例えば、本明細書に記載されている方法実施例を参照すること)。
【0145】
別の実施態様において、結合体は約100nM以下の結合定数Kdを有する。別の態様において、結合体は約75nM以下の結合定数Kdを有する。別の態様において、結合体は約50nM以下の結合定数Kdを有する。別の態様において、結合体は約25nM以下の結合定数Kdを有する。
【0146】
別の実施態様において、本明細書に記載されている結合体は、血液、心臓、肺、肝臓、脾臓、十二指腸、皮膚、筋肉、膀胱及び前立腺のような、正常組織よりも少なくとも3倍の選択性又は少なくとも5倍の選択性でPSMAを発現又は過剰に発現する細胞又は組織に対して、選択性を示す。一つの変形態様において、本明細書に記載されている結合体は、正常組織よりも少なくとも10倍の選択性でPSMAを発現又は過剰発現する細胞又は組織に対して、選択性を示す。画像化において観察される選択性は、PSMAを発現又は過剰発現する細胞又は細胞集団の選択的又は特異的排除に反応する疾患状態の治療において観察されうる選択性を示唆することが、理解される。
【0147】
薬剤送達結合体の1日投与単位は、宿主の状態、治療される疾患の状態、結合体の分子量、その投与経路及び組織分布、並びに放射線治療のような他の治療処置の併用の可能性によって有意に変わることができる。患者に投与される有効量は、体表面積、患者の体重及び患者の状態に関する医師の評価に基づいている。有効用量は、約1ng/kg〜約1mg/kg、約1μg/kg〜約500μg/kg、約1μg/kg〜約100μg/kg及び約1μg/kg〜約10μg/kgの範囲であることができる。
【0148】
一般に、二価リンカー(L)と結合リガンド(B)、又はその類似体若しくは誘導体との間の結合体や、二価リンカー(L)と薬剤又はその類似体若しくは誘導体(任意の介在ヘテロ原子を含む)との間の結合体を形成するために、本発明に従って任意の方法を利用することができる。また、スペーサーリンカー、放出型リンカー及び二価リンカー(L)を形成する1個以上のヘテロ原子の間の結合体を形成するために、当該技術で認められた任意の方法を使用することができる。結合体は、例えば水素、イオン又は共有結合を介するような、これらの分子のいずれかの間の直接的な結合により形成することができる。共有結合は、例えば、酸、アルデヒド、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル又はヒドラゾ基の間のアミド、エステル、ジスルフィド又はイミノ結合の形成を介して生じることができる。
【0149】
合成方法は、場合により含まれるヘテロ原子又はスペーサーリンカーに既に存在しているヘテロ原子、放出型リンカー、薬剤及び/又は結合リガンドの選択に応じて選ばれる。一般に、関連する結合形成反応は、Richard C. Larock, “Comprehensive Organic Transformations, a guide to functional group preparations,” VCH Publishers, Inc. New York (1989)及びTheodora E. Greene & Peter G.M. Wuts, “Protective Groups ion Organic Synthesis,” 2d edition, John Wiley & Sons, Inc. New York (1991)に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
より詳細には、ジスルフィド基は、一般に、アルキル若しくはアリールスルホニルチオアルキル誘導体又は対応するヘテロアリールジチオアルキル誘導体、例えばピリジン−2−イルジチオアルキル誘導体などを、アルキレンチオール誘導体と反応させることにより形成することができる。例えば、必要とされるアルキル又はアリールスルホニルチオアルキル誘導体は、Ranasinghe and Fuchs, Synth. Commun. 18(3), 227-32 (1988)の方法に従って調製することができ、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。非対称ジアルキルジスルフィドを調製する他の方法は、WO88/01622、欧州特許出願第0116208A1号及び米国特許第4,691,024号(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている、アルキルチオールによる非対称ヘテロアリール−アルキルジスルフィド、例えば2−チオピリジニル、3−ニトロ−2−チオピリジニルなどのジスルフィドのチオール交換に基づいている。更に、炭酸塩、チオ炭酸塩及びカルバメートは、一般に、ヒドロキシ置換化合物、チオ置換化合物又はアミン置換化合物を、それぞれ、適切な離脱基を有する活性化アルコキシカルボニル誘導体と反応させることにより形成することができる。
【実施例】
【0151】
本明細書に記載されている化合物は、従来の有機合成方法により調製することができる。加えて、本明細書に記載されている化合物は、下記に示されているとおりに調製することもができる。特に指示のない限り、出発材料及び試薬は、全て市販品を利用することができる。アミノ酸出発材料は、全てChem-Impex Int(Chicago, IL)から購入した。1H NMRスペクトルは、特に指示のない限り、Bruker500MHzクリオプローブを使用して得た。
【0152】
実施例1A。結合体のPSMAインヒビター中間体の一般的合成。DUPA誘導体の2−〔3−(1,3−ビス−tert−ブトキシカルボニル−プロピル)−ウレイド〕−ペンタン二酸1−tert−ブチルエステル(I)の特定の合成を例示する。
【0153】
【化24】
【0154】
SK09。−78℃に冷却した、CH2Cl2(25.0mL)中のL−グルタミン酸ジ−tert−ブチルエステルHCl(1.0g、3.39mmol)及びトリホスゲン(329.8mg、1.12mmol)の混合物に、トリエチルアミン(1.0mL、8.19mmol)を加えた。窒素下、−78℃で2時間撹拌した後、CH2Cl2(5.0mL)中のL−Glu(OBn)−O−tert−Bu(1.2g、3.72mmol)及びトリエチルアミン(600μL、4.91mmol)の混合物を加えた。反応混合物を1時間かけて室温にして、室温で一晩撹拌を続けた。反応混合物を1N HClとブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1、Rt=0.67)を使用して精製して、SK09(1.76g、90.2%)を得た。C30H46N2O9;W=578.69g/mol;無色の油状物;1H NMR(CDCl3)δ1.43(s,9H,CH3−tBu);1.44(s,9H,CH3−tBu);1.46(s,9H,CH3−tBu);1.85(m,1H,Glu−H);1.87(m,1H,Glu−H);2.06(m,1H,Glu−H);2.07(m,1H,Glu−H);2.30(m,2H,Glu−H);2.44(m,2H,Glu−H);4.34[s(broad),1H,αH];4.38[s(broad),1H,α−H];5.10(s,2H,CH2−Ar);5.22[s(broad),2H,尿素−H);7.34(m,5H,Ar−H)。13C NMR(CDCl3)δ28.16;28.25;28.54;28.60;30.52;31.73;53.13;53.22;66.58;80.71;82.25;82.35;128.39;128.71;136.03;156.96;172.01;172.16;172.65;173.13:CI−MS=579(M+H)+,ESI−MS=579(M+H)+,601(M+Na付加物)。
【0155】
SK23。CH2Cl2中の化合物SK09(250mg、432mmol)の溶液に、30%Pd/C(50mg)を加えた。反応混合物を、1気圧、室温で24時間水素化した。Pd/Cをセライトパッドで濾過し、CH2Cl2で洗浄した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=40:60、Rt=0.58)を使用して精製して、SK23(169mg、80.2%)を得た。C23H40N2O9;MW=488.57g/mol;無色の油状物;1H NMR(CDCl3)δ1.46(m,27H,CH3−tBu);1.91(m,2H,Glu−H);2.07(m,1H,Glu−H);2.18(m,1H,Glu−H);2.33(m,2H,Glu−H);2.46(m,2H,Glu−H);4.31(s(broad),1H,αH);4.35(s(broad),1H,α−H);5.05(t,2H,尿素−H);CI−MS=489(M+H)+,ESI−MS=489(M+H)+,511(M+Na付加物),487(M−H)−。
【0156】
実施例1B。結合体のPSMAインヒビター中間体の一般的合成。第三級ブチル保護MUPA誘導体の2−〔3−(1−tert−ブトキシカルボニル−2−メルカプト−エチル)−ウレイド〕−ペンタン二酸ジ−tert−ブチルエステル(II)の特定の合成を例示する。
【0157】
【化25】
【0158】
SK15。−78℃に冷却した、CH2Cl2(5.0mL)中のL−グルタミン酸ジ−tert−ブチルエステルHCl(200mg、0.676mmol)及びトリホスゲン(67mg、0.228mmol)の混合物に、トリエチルアミン(50μL、0.410mmol)を加えた。窒素下、−78℃で2時間撹拌した後、CH2Cl2(1.0mL)中のD−Cys(Fm)−OtBu(291.4mg、0.774mmol)及びトリエチルアミン(30μL、240mmol)の混合物を加えた。反応混合物を1時間かけて室温にして、室温で一晩撹拌を続けた。反応混合物を1N HClとブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=50:50、Rt=0.6)を使用して精製して、SK15(374mg、86.4%)を得た。C35H48N2O7S;MW=640.83g/mol;淡黄色の油状物;1H NMR(CDCl3)δ1.45(s,27H,CH3−tBu);1.88(m,1H,Glu−H);2.10(m,1H,Glu−H);2.32(m,2H,Glu−H);2.97(m,2H,Fm−CH2);3.13(m,2H,Cys−H);4.09(t,1H,Fm−H);4.38(m,1H,αH);4.66(m,1H,α−H);5.55(d,1H,尿素−H);5.67(d,1H,尿素−H);7.30(q,2H,Ar−H);7.36(q,2H,Ar−H);7.73(m,4H,Ar−H)。13C NMR (CDCl3)δ28.05;28.14;28.42;31.64;36.27;37.25;53.07;53.73;80.51;81.98;82.42;119.85;124.95;125.09;127.09;127.51;141.09;145.99;156.76;170.80;172.15;172.43;CI−MS=641(M+H)+,ESI−MS=641(M+H)+。
【0159】
実施例2A。PSMA画像化剤結合体の一般的合成。原子14個のリンカー化合物SK28の合成を例示する。
【化26】
【0160】
SK28は、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発する、標準的なフルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)固相ペプチド合成(SPPS)を使用して合成した。SK28は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=0.1 TFA、B=アセトニトリル(ACN);λ=257nm;溶媒勾配:25分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を30分間実施)を使用して精製した(61%)。精製した化合物を、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 8μm;3.0×15mm;A=0.1 TFA、B=ACN;λ=257nm、10分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C47H65N2O17S;MW=1060.13g/mol;白色の固体;Rt=7.7分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ0.93(m,2H);1.0(m,5H);1.27(m,5H);1.69(m,2H);1.90(m,2H);1.94(m,2H);2.10(m,2H);2.24(q,2H);2.62(m,2H);2.78(m,4H);2.88(dd,1H);2.96(t,2H);3.01(dd,1H);3.31(dd,1H);3.62(dd,1H);3.80(q,1H,αH);4.07(m,1H,αH);4.37(m,1H,αH);4.42(m,2H,αH);4.66(m,1H,αH);7.18(m,10H,Ar−H):LC−MS=1061(M+H)+;ESI−MS=1061(M+H)+。
【0161】
実施例2AA。以下の実施例化合物を同様の方法により合成した。
【化27】
【0162】
実施例2B〜2E。以下の化合物を、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発するFmoc SPPSを使用して、本明細書に記載されている方法に従って合成し、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm)を使用して精製し、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm)を使用して分析した。
【0163】
【化28】
【0164】
SK60(原子0個のリンカー):溶媒勾配 A=0.1 TFA、B=ACN;λ=220nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を30分間実施、(75.3%)。C21H32N6O14S;MW=624.58g/mol;白色の固体;Rt=6.3分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ1.70(m,2H);1.92(m,2H);2.17(m,2H);2.23(m,2H);2.57(m,1H);2.77(m,4H);3.45(dd,1H);3.54(dd,1H);3.83(t,1H,αH);4.06(m,1H,αH);4.38(m,1H,α−H);4.63(m,1H,α−H);ESI−MS=625(M+H)+。
【0165】
【化29】
【0166】
SK62(原子7個のリンカー):溶媒勾配 A=0.1 TFA、TFA、B=ACN;λ=220、257nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を30分間実施、(72%)。C35H48N8O18S;MW=900.86g/mol;白色の固体;Rt=8.2分間;1H NMR(DMOS−d6/D2O)δ1.62(m,1H);1.70(m,2H);1.79(m,1H);1.90(m,2H);2.09(t,2H);2.16(m,2H);2.24(m,2H);2.60(m,1H);2.75(m,4H);2.81(m,1H);2.97(m,1H);3.33(dd,1H);3.60(dd,1H);3.81(t,1H,αH);4.07(m,2H,αH);4.33[m,1H,α−H];4.39(t,α−H);4.65(m,1H,α−H);7.20(m,5H,Ar−H);ESI−MS=901(M+H)+。
【0167】
【化30】
【0168】
SK38(原子16個のリンカー):溶媒勾配 A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=257nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから80%B、80%Bで洗浄を30分間実施、(63%)。C43H63N9O19S,MW=1042.07g/mol;白色の固体;Rt= 分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ0.94(m,2H);1.08(m,5H);1.27(m,5H);1.66(m,2H);1.70(m,2H);1.79(m,1H);1.90(m,2H);2.09(t,2H);2.74(m,2H);2.84(m,1H);2.95(t,3H);3.07(d,2H);3.23(m,1H);3.43(dd,1H);3.52(dt,1H);3.78(m,1H,αH);3.81(m,1H,αH);3.88(m,1H,αH);4.11(m,1H,αH);4.39[m,2H,α−H];4.65(m,1H,α−H);7.14(m,1H,Ar−H);7.21(m,4H,Ar−H):ESI−MS=1043(M+H)+。
【0169】
【化31】
【0170】
SK57(原子24個のリンカー):溶媒勾配 A=0.1 TFA、B=ACN;λ=257nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を30分間実施、(56%)。C45H70N8O22S,MW=1107.14g/mol;無色の固体;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ1.66(m,2H);2.07(m,4H);2.31(t,1H);2.43(m,1H);2.77(m,2H);2.98(dd,1H);3.14(t,2H);3.24(d,1H);3.40(m,4H,PEG−H);3.46(s,24H,PEG−H);3.78(t,1H);3.81(t,1H);4.03(m,1H,αH);4.40(m,2H,α−H);7.16(m,1H,Ar−H);7.22(m,4H,Ar−H):ESI−MS=1108(M+H)+。
【0171】
実施例2F。以下の化合物を本明細書に記載されている方法に従って合成することができる。
【化32】
【0172】
実施例3A。キレート基に放射性核種を付加する一般的方法。99mcTcでSK28を放射標識してSK33を調製することを例示する。
【化33】
【0173】
SK28配合キットの調製。HPLC等級Millipore濾過水(50mL)を100mLのボトルに加え、アルゴンで少なくとも10分間パージした。α−D−グルコヘプトン酸ナトリウム二水和物(800mg)を、アルゴンパージ水(5mL)に溶解した。塩化スズ二水和物(10mg)を、アルゴンで泡立てながら、0.02M HCl(10mL)に溶解した。塩化スズ(0.8mL)をグルコヘプトン酸ナトリウム溶液にアルゴン下で加えた。SK28(1.4mL)をグルコヘプトン酸ナトリウム/塩化スズ溶液にアルゴン下で加えた。反応混合物のpHを、0.1N NaOHを使用して、6.8±0.2に調整した。アルゴンパージ水(5.2mL)を反応混合物に加えて、総容量を10mLにした。1.0mLの反応混合物をアルゴン雰囲気下で各バイアル(バイアル10個)に分配し、36〜48時間凍結乾燥した。バイアルをアルゴン雰囲気下でゴム栓及びアルミニウムシールにより密閉して、SK28配合キットを作製した。配合キットバイアルを、使用するまで−20℃で保存した。
【0174】
99mTcによるSK28の標識化。99mTcによるSK28の放射標識は、公表されている手順に従って実施することができる。配合バイアルを、室温に10分間温め、沸騰水浴で3分間加熱した。次に、15mCiの過テクネチウム酸ナトリウム99mTc(1.0mL)を注射し、等容量の気体をバイアルから引き抜いて圧力を正常化した。バイアルを沸騰水浴で15〜20分間加熱し、次に、実験に使用する前に室温に冷却した。放射化学的純度を、放射能TLC(>98%)により分析したところ、放射標識化合物のシン及びアンチ異性体(SK33/SK28−99mTc)が示された。
【0175】
実施例3B〜3E。以下の実施例を本明細書に記載されている方法に従って調製した(シン異性体とアンチ異性体の両方が得られたが、シン異性体のみが示されている):
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【0176】
実施例3F。以下の化合物を本明細書に記載されている方法に従って合成することができる。
【化38】
【0177】
実施例4。PSMA画像化剤結合体の一般的合成であり、ユニバーサルPSMA(DUPA)樹脂、原子2個のリンカー及びFITCを使用してSK59により例示している。この結合体を使用して、前立腺癌患者において循環性腫瘍細胞を検出することもできる。
【0178】
【化39】
【0179】
PSMAユニバーサル樹脂及びSK59の合成。ユニバーサルPSMAリガンド(DUPA)樹脂は、ユニバーサルNovaTag(商標)樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−3910)を使用して合成した。樹脂をDCM(CH2Cl2)及びDMFで膨潤させた後、Fmoc基を、20%ピペリジン/DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)を使用して脱保護した。tert−ブチル保護DUPAを、DMF中のHATU〔ヘキサフルオロリン酸ウロニウム2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル〕及びDIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)を使用してカップリングした。側基Mmt(4−メトキシトリチル)を、DCM/TFE(トリフルオロエタノール)中の1M HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)で除去した。樹脂中間体をDMFで洗浄し、続く合成工程に直ぐに使用することができるか、又は後の使用のためにDCM/DMF、次にMeOHで洗浄し、乾燥することができる。
【0180】
ユニバーサルPSMA樹脂を、DMF中、DIPEA(4当量)の存在下で市販のFITC(1.25当量)と反応させて、SK59(原子2個のリンカー)作成物を生じることができる。最終化合物を、TFA(トリフルオロ醋酸)、TIPS(トリイソプロピルシラン)及び水の混合物を使用して、樹脂から切断した。精製には、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 5μm;19×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を用いた(63%)。SK59は、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C34H33N6O13S;MW=751.72g/mol;橙色の固体,Rt=7.2分間;ESI−MS=752(M+H)+;774(M+Na)+;750(M−H)−。
【0181】
実施例5A。PSMA画像化剤結合体の一般的合成であり、ユニバーサルPSMA(DUPA)樹脂、原子16個のリンカー及びFITCを使用してSK64により例示している。
【0182】
【化40】
【0183】
ユニバーサルPSMA樹脂を、標準Fmoc SPPSを使用して、Fmoc−Glu−(OtBu)−OH及びFmoc−EAOA(8−アミノオクトン酸)とカップリングした。DMF中、DIPEA(4当量)の存在下でイソチオシアン酸フルオレセイン(1.25当量)に結合した後、SK64(原子16個のリンカー)化合物を、TFA/TIPS/H2Oを使用して樹脂から切断した。精製は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 5μm;19×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して実施した(63%)。SK64は、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C47H55N7O17S;MW=1022.04g/mol;橙色の固体,Rt=7.8分間;ESI−MS=1022(M+H)+;1020(M−H)−。
【0184】
実施例5B〜5C。以下の化合物は、本明細書に記載されている合成方法を使用して調製した:
【化41】
【0185】
SK63(原子7個のリンカー、C39H40N6O17、分子量:864.76)は、ユニバーサルPSMA樹脂及びFmoc−Glu−(OtBu)−OHに結合した標準Fmoc SPPSを使用して調製した。FITCとカップリングした後、化合物を、TFA/TIPS/H2Oカクテルを使用して樹脂から切断し、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 5μm;19×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)により精製し(63%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。SK63:C39H40N6O16S;MW=880.83g/mol;橙色の固体,Rt=6.8分間;ESI−MS=881(M+H)+;903(M+Na)+;863(M−H)−。
【0186】
【化42】
【0187】
SK58(原子24個のリンカー、C49H62N6O20S,分子量:1087.11)は、ユニバーサルPSMA樹脂及びFmoc−(PEG)6−OHに結合した標準Fmoc SPPSを使用して調製し、HPLC(25分間で1%Bから60%B、80%Bで洗浄を40分間実施)により精製し(65%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm、10分間で1%Bから60%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C49H6ON6O20S;MW=1087.11g/mol;橙色の固体,Rt=7.3分間;ESI−MS=1087(M+H)+;1109(M+Na)+;1085(M−H)−。
【0188】
実施例6A。CysマレイミドPSMA画像化剤結合体の一般的合成であり、Wang PSMA(DUPA)樹脂、原子28個のリンカー及びオレゴングリーン488を使用してSK56により例示している(n=3)。
【0189】
【化43】
nが4〜約30の整数である関連する類似体も、本明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0190】
SK54は、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発し、標準Fmoc SPPSを使用して調製し、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=0.1 TFA;B=ACN;λ=257nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから60%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して精製し(63%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×50mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=257nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C38H59N5O18S,MW=905.96g/mol;無色の固体;Rt=9.2分間,LC−MS=906.3g/mol;ESI−MS=906(M+H)+;904(M−H)−。
【0191】
SK56(原子24個のリンカー)。HPLC等級Milli-Q水及び飽和NaHCO3をアルゴンで10分間パージした。SK54を、アルゴンで泡立てながら、1.0mLのアルゴンパージ水に溶解した。溶液のpHを6.8まで上昇させ、1.0mLのTHFに溶解したオレゴングリーン488マレイミドを、反応混合物に加えた。反応を、分析HPLC(10mM NH4OAc、pH=7.0;10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)によりモニタリングしたところ、反応は10分以内に完了した。THFを蒸発させ、反応混合物を5.0mLの7mM リン酸緩衝剤で希釈した。精製は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=7mMリン酸緩衝剤、pH=7.2、B=ACN;λ=488nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して実施し(89%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×150mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=488nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C62H70F2N6O25S;MW=1369.31g/mol;橙色の固体,Rt=7.0分間;LC−MS=1370.2;ESI−MS=1391(M+Na)+。
以下の原子24個のリンカー化合物を、本明細書に記載されている一般的合成を使用して、本明細書に記載されているものと同様の方法で調製した。
【0192】
実施例6B。以下のAlexaFluor 488結合体化合物を、SK55から出発して本明細書に記載されている方法に従って調製した(n=3)。
【0193】
【化44】
nが4〜約30の整数である関連する類似体も、本明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0194】
実施例7A〜7C。以下のDUPA画像化剤結合体化合物SK51、SK45及びSK49を、本明細書に記載されている方法に従って調製した(n=5)。
【0195】
【化45】
SK51(原子25個のリンカー及びAlexaFluor 647、MW約2300(Invitrogenから市販されている))
nが0〜約12の整数である関連する類似体も、本明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0196】
【化46】
SK45(原子25個のリンカー BODIPY 505、C67H87BF2N13O20S、分子量:1475.35)
nが0〜約12の整数である関連する類似体も、本明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0197】
【化47】
SK49(原子25個のリンカー−オレゴングリーン488、C71H76F2N10O24、分子量:1523.48)
nが0〜約12の整数である関連する類似体も、本明細書に記載されている方法に従って調製することができる。
【0198】
リンカーの合成。前述のそれぞれの実施例において、リンカーは、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発し、標準Fmoc SPPSを使用して合成した。C47H65N2O17S;MW=1060.13g/mol;白色の固体;Rt=7.7分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ0.93(m,2H);1.08(m,5H);1.27(m,5H);1.69(m,2H);1.90(m,2H);1.94(m,2H);2.10(m,2H);2.24(q,2H);2.62(m,2H);2.78(m,4H);2.88(dd,1H);2.96(t,2H);3.01(dd,1H);3.31(dd,1H);3.62(dd,1H);3.80(q,1H,αH);4.07(m,1H,αH);4.37(m,1H,αH);4.42(m,2H,αH);4.66(m,1H,αH);7.18(m,10H,Ar−H):LC−MS=1061(M+H)+;ESI−MS=1061(M+H)+。
【0199】
SK51(AlexaFluor 647結合体)、SK45(BODIPY結合体)及びSK49(オレゴングリーン488結合体)の合成。HPLC等級Milli-Q水及び飽和NaHCO3をアルゴンで10分間パージした。リンカーを、アルゴンで泡立てながら、1.0mLのアルゴンパージ水に溶解した。溶液のpHを6.8に上昇させ、AlexaFluorマレイミド、BODIPYマレイミド又はオレゴングリーン488マレイミドを1.0mLのテトラヒドロフラン(THF)にそれぞれ溶解し、反応混合物に加えた。反応の進行を、分析HPLC(10mM NH4OAc、pH=7.0;10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)によりモニタリングしたところ、反応は10分以内に完了した。THFを蒸発させ、反応混合物を5.0mLの1mMリン酸緩衝剤(pH=7.2)で希釈した。
【0200】
各化合物は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 5μm;18×150mm;A=1mMリン酸緩衝剤、pH=7.2、B=ACN;λ=647又は488nm;溶媒勾配:25分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して精製し、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×50mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=588又は488nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。
SK51:MW約2360.13g/mol;青色の固体,Rt=6.7分間;(AlexaFluor 647の構造は未知);
SK45:C67H87BF2N13O20S;MW=1475.35g/mol;橙色の固体,Rt=7.6分間;LC−MS=1475.3(M+H)+;
SK49:C71H76F2N10O24S;MW=1523.48g/mol;橙色の固体,Rt=6.7分間;LC−MS=1524(M+H)+。
【0201】
実施例8A。放出型薬剤結合体のPSMAジスルフィトリンカー中間体の一般的合成であり、SK68により例示している。
【化48】
【0202】
SK68は、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発し標準Fmoc SPPSを使用して合成し、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=0.1 TFA;B=ACN;λ=257nm;溶媒勾配:30分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して精製し(68%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm;A=0.1 TFA、B=ACN;λ=257nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C32H42N6O17S;MW=814.77g/mol;白色の固体;Rt=8.2分間;1H NMR(DMOS−d6/D2O)δ1.70(m,3H);1.90(m,3H);2.10(m,2H);2.17(m,2H);2.23(m,2H);2.36(m,1H);2.59(dd,1H);2.79(m,3H);3.04(dd,1H);4.07(m,2H,αH);4.13(m,1H,αH);4.37[m,1H,α−H];4.47(m,2H,α−H);7.19(m,5H,Ar−H);7.87(d,尿素−NH);8.20(d,1H,尿素−NH);LC−MS=815.3(M+H)+。
【0203】
実施例8B。放出型薬剤の結合体のPSMAジスルフィトリンカー中間体の一般的合成であり、SK28Lにより例示している。
【化49】
【0204】
SK28は、Fmoc−Cys(Trt)−Wang樹脂(Novabiochem;カタログ番号04−12−2050)から出発して標準Fmoc SPPSを使用して合成し、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=0.1 TFA;B=ACN;λ=257nm;溶媒勾配:25分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を30分間実施)を使用して精製し(61%)、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm;A=0.1 TFA、B=ACN;λ=257nm、10分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。SK28L:C47H65N2O17S;MW=1060.13g/mol;白色の固体;Rt=7.7分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)δ0.93(m,2H);1.08(m,5H);1.27(m,5H);1.69(m,2H);1.90(m,2H);1.94(m,2H);2.10(m,2H);2.24(q,2H);2.62(m,2H);2.78(m,4H);2.88(dd,1H);2.96(t,2H);3.01(dd,1H);3.31(dd,1H);3.62(dd,1H);3.80(q,1H,αH);4.07(m,1H,αH);4.37(m,1H,αH);4.42(m,2H,αH);4.66(m,1H,αH);7.18(m,10H,Ar−H):LC−MS=1061(M+H)+;ESI−MS=1061(M+H)+。
【0205】
実施例9A。ジスルフィド結合した結合体を調製する一般的合成であり、チューブリシンB結合体SK71(原子20個のリンカー)により例示している。
【化50】
【0206】
EC0312の合成。チューブリシンB(30mg、0.036mmol)をアルゴン下、−15℃で醋酸エチル(600μL)に溶解した。クロロギ酸イソブチル(4.7μL、0.054mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(13.2μL、0.076mmol)を反応混合物に加え、反応をアルゴン下、−15℃で45分間撹拌した。醋酸エチル(500μL)に溶解したEC0311(13.4mg、0.054mmol)を加えた。反応混合物を−15℃で更に15分間、次に室温で45分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を、短カラム(CH2Cl2中メタノール2%〜8%)を使用して精製して、EC0312(34.4mg、90.5%)を得た。EC0312は、NMR(Varian 300 MHz、CDCl3)及びLC−MS=1058.3(M+H)+を使用して特徴決定した。
【0207】
SK71の合成。HPLC等級Milli-Q水及び飽和NaHCO3をアルゴンで10分間パージした。SK68を、溶液をアルゴンで泡立てながら、1.0mLのアルゴンパージ水に溶解した。溶液のpHを、アルゴンパージNaHCO3を使用して6.8に上昇させ、THF(2.0mL)に溶解したEC0312を反応混合物に加えた。反応の進行を、分析HPLC(10mM NH4OAc、pH=7.0;λ=254;10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)によりモニタリングしたところ、反応は10分以内に完了した。THFを蒸発させ、反応混合物を5.0mLの2mMリン酸緩衝剤で希釈した。SK71(61.3%)は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=2mMリン酸緩衝剤、B=ACN;λ=254nm;25分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して精製し、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=254nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C77H109N13O28S3:MW=1760.95g/mol;白色の固体,Rt=7.6分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O)はSK71構造と一致した;HRMS(MALDI)(m/z):(M−H)−C77H110N13O28S3の計算値1758.6594;実測値1758.7033;LRMS(LCMS)(m/z):(M+H)+計算値1761.9;実測値1761.8;UV/Vis:λmax=254nm。
【0208】
実施例9B。同様に、SK71のD−Cys類似体を本明細書に記載されているとおりに調製した。
【化51】
【0209】
実施例9C。ジスルフィド結合した結合体を調製する一般的合成であり、チューブリシンB結合体SK77(原子31個のリンカー)により例示している。
【化52】
【0210】
HPLC等級Milli-Q水及び飽和NaHCO3をアルゴンで10分間パージした。SK68を、アルゴンで泡立てながら、1.0mLのアルゴンパージ水に溶解した。溶液のpHを、アルゴンパージNaHCO3を使用して6.8に上昇させ、THF(2.0mL)に溶解したEC0312を反応混合物に加えた。反応の進行を、分析HPLC(10mM NH4OAc、pH=7.0;λ=254;10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)によりモニタリングしたところ、反応は10分以内に完了した。THFを蒸発させ、反応混合物を5.0mLの2mMリン酸緩衝剤で希釈した。SK77(61%)は、逆相分取HPLC(Waters, xTerra C18 10μm;19×250mm;A=2mMリン酸緩衝剤、B=ACN;λ=254nm;25分間で5%Bから80%B、80%Bで洗浄を40分間実施)を使用して精製し、逆相分析HPLC(Waters, X-Bridge C18 5μm;3.0×15mm;A=10mM NH4OAc、B=ACN;λ=254nm、10分間で1%Bから50%B、80%Bで洗浄を15分間実施)を使用して分析した。C93H133N16O28S3:MW=2006.32g/mol;白色の固体,Rt=7.7分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O);LC−MS=2007.0(M+H)+。
【0211】
実施例9D。同様に、SK77のD−Cys類似体を本明細書に記載されているとおりに調製した。
【化53】
【0212】
実施例9E。同様に、SK77のD−Cysプロパン酸類似体を本明細書に記載されているとおりに調製した。
【化54】
【0213】
実施例9F〜9G。以下のDUPAビンブラスチン化合物及びDUPAカンプトテシン化合物であるSK37及びSK45を、それぞれ、本明細書に記載されている方法に従って調製した。
【化55】
【0214】
SK37(ビンブラスチン結合体,C93H123N15O26S2,分子量:1931.19)、収率63.1%で調製。C93H123N15O26S2:MW=1931.19g/mol;白色の固体,Rt=7.7分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O);LC−MS=1932.6(M+H)+。
【0215】
【化56】
【0216】
SK45(カンプトテシン結合体,C70H83N11O23S2,分子量:1510.60)、収率66%で調製。C70H83N11O23S2:MW=1510.60g/mol;白色の固体,Rt=7.5分間;1H NMR(DMSO−d6/D2O);LC−MS=1511.1(M+H)+。
【0217】
実施例9H。同様に、SK37のGlu−Asp−Phe類似体を本明細書に記載されているとおりに調製した。
【0218】
【化57】
【0219】
実施例10。以下の化合物を、本明細書に記載されている合成方法を使用して調製した:
SK125(FITC結合体)
【化58】
SK131(ローダミン結合体)
【化59】
SK179(FITC結合体)
【化60】
FITC結合体
【化61】
DyLight 680結合体
【化62】
DyLight 800結合体
【化63】
PET剤結合体
【化64】
PET剤結合体
【化65】
PET剤結合体
【化66】
例えば64Cu、65Cuなどをキレート化することができるDOTA結合体
【化67】
例えば64Cu、65Cuなどをキレート化することができるDOTA結合体
【化68】
例えばIn、Ga、Ir、Yrなどをキレート化することができるDTPA結合体
【化69】
例えばTc、Tc酸化物などをキレート化することができるトリペプチド結合体
【化70】
【0220】
前述の例示的な実施態様は、本発明を例示することが意図されており、本明細書に記載されている発明をいかようにも制限するものとして読み取る又は解釈するべきではない。
【0221】
<方法実施例>
== 実施例1A ==
LNCaP細胞及びSK28(原子14個のリンカー)を使用したインビトロ結合研究。LNCaP細胞(PSMAを過剰発現しているヒト前立腺癌細胞株、American Type Culture Collection(ATCC)から購入)を、2つの24ウエルファルコンプレートに接種し(120,000細胞/ウエル)、グルタミン(2mM)を有するRPMI(Gibco RPMI培地1640、カタログ番号22400)+10%FBS(ウシ胎児血清)、1%ピルビン酸ナトリウム(100mM)及び1%PS(ペニシリンストレプトマイシン)中で、5%のCO2雰囲気下、37℃で48時間増殖させて、接着単層にした。1つ目の24ウエルプレートの細胞を、0nMから450nMまで濃度を増加させたK28−99mTcと共に(それぞれの濃度で3通り)、5%のCO2雰囲気下、37℃で1時間インキュベートした。2つ目の24ウエルプレートの細胞を、50uMのPMPAと共に5%のCO2雰囲気下、37℃で30分間インキュベートし、次に、0nMから450nMまで濃度を増加させたK28−99mTcと共に(それぞれの濃度で3通り)、5%のCO2雰囲気下、37℃で1時間インキュベートした(競合研究)。細胞を1.0mLのRPMIで3回すすいだ。細胞をトリス緩衝剤で溶解し、個別のガンマシンチグラフィーバイアルに移し、放射能をカウントした。放射標識化合物に対する細胞結合放射能のプロットを使用して、Kd値を計算した。競合研究を使用して、PSMAに対するリガンド(DUPA)の結合特異性を決定した(図1A)。
【0222】
== 実施例1B ==
LNCaP細胞及びSK33(原子14個のスペーサー)を使用したインビトロ結合研究。LNCaP細胞を24ウエルファルコンプレートに接種し(150,000細胞/ウエル)、48時間かけてコンフルエント単層を形成させた。それぞれのウエルの消費培地を、過剰PMPAの(▲)存在下又は(■)不在下で、濃度を増加させたDUPA−99mTcを含有する新たな培地(0.5mL)に代えた。37℃で1時間インキュベートした後、細胞を培養培地(2×1.0mL)及びトリス緩衝液(1×1.0mL)ですすいで、あらゆる非結合放射能を除去した。トリス緩衝剤(0.5mL)に懸濁させた後、細胞結合放射能を、γ−カウンター(Packard, Packard Instrument Company)を使用してカウントした。解離定数(KD)は、GraphPad Prism 4による非線形回帰を使用し、放射性トレーサーの濃度に対する細胞結合放射能のプロットを使用して計算した。エラーバーは、1標準偏差を表す(n=3)。実験を3回実施して、同様の結果を得た(図1B)。
【0223】
== 実施例2 ==
LNCaP細胞に対するPSMMA分子の定量化。LNCaP細胞を24ウエルファルコンプレートに接種し、RPMI(Gibco RPMI培地1640、カタログ番号22400)+10%FBS(ウシ胎児血清)、1%グルタル酸及び1%PS(ペニシリンストレプトマイシン)中で、5%のCO2雰囲気下、37℃で48時間増殖させて、接着単層にした。次に細胞を、0nMから450nMまで濃度を増加させたSK28−99mTcと共に(それぞれの濃度で3通り)、5%のCO2雰囲気下、4℃又は37℃で1時間インキュベートした。細胞を1.0mLのRPMIで3回すすいだ。細胞をトリス緩衝剤で溶解し、個別のガンマシンチレーションバイアルに移し、放射能をカウントした。放射標識化合物に対する細胞結合放射能のプロットを使用して、PSMA/LNCaP細胞の数を計算した。SK28−99mTc(20uL)の30nMの試料の放射能をカウントした。4℃で(PSMAのエンドサイトーシスを防止するため)、30nMの試料のモル数は、30nM×20uL=(30×10−9mol/L)×(20×10−6L)=6×10−13mol。30nMの試料の原子の数は、(6×10−13mol)×(6.023×1023原子/mol)=3.6×1011原子。30nMの試料の20uLの放射能カウントは、20477cpm(cpm/原子=3.6×1011/20477=1.76×107)であった。4℃での飽和点の細胞結合放射能は、12000cpm。飽和点の原子の数は、(1.76×107原子)×(12,000cpm)。細胞/ウエルの数は、245,000個。4℃でのPSMA/細胞の数は、(2.12×1011)/2.45×105=864,396.4=約0.9×106個のPSMA/LNCaP細胞。
【0224】
37℃での飽和点の細胞結合放射能は、33,000cpmである(4℃よりおよそ3倍高い)。これは、PSMAが、薬剤を放出して再循環するという、細胞表面受容体によるものと同様のエンドサイトーシスを受けることを示している。図2を参照すること。
【0225】
== 実施例3 ==
スペーサー依存結合研究。LNCaP細胞を24ウエルファルコンプレート(プレート10枚)に接種し(120,000細胞/ウエル)、RPMI(Gibco RPMI培地1640、カタログ番号22400)+10%FBS(ウシ胎児血清)、1%ピルビン酸ナトリウム及び1%PS(ペニシリンストレプトマイシン)中で、5%のCO2雰囲気下、37℃で48時間増殖させて、接着単層にした。次に細胞を、それぞれ0nMから1280nMまで濃度を増加させたSK60−99mTc(原子0個のスペーサー)、SK62−99mTc(原子7個のスペーサー)、SK28−99mTc(原子14個のスペーサー)、SK38−99mTc(原子16個のスペーサー)及びSK57−99mTc(原子24個のスペーサー)と共に(それぞれの濃度で3通り)、5%のCO2雰囲気下、37℃で1時間インキュベートした。また、別のプレートでは、50uMのPMPAを5%のCO2雰囲気下、37℃で30分間インキュベートし、次に、それぞれ0nMから1280nMまで濃度を増加させたSK60−99mTc(原子0個のスペーサー)、SK62−99mTc(原子7個のスペーサー)、SK28−99mTc(原子14個のスペーサー)、SK38−99mTc(原子16個のスペーサー)及びSK57−99mTc(原子24個のスペーサー)と共に(それぞれの濃度で3通り)、5%のCO2雰囲気下、37℃で1時間インキュベートした(競合研究、データ示さず)。細胞を1.0mLのRPMIで3回すすいだ。細胞をトリス緩衝剤で溶解し、個別のガンマシンチグラフィーバイアルに移し、放射能をカウントした。放射標識化合物の濃度に対する細胞結合放射能のプロットを使用して、Kd値を計算した。放射標識化合物の濃度に対する飽和率のプロット、また、スペーサー長さに対するKdのプロットを示す(図3A及びB)。
【0226】
== 実施例4 ==
ヌードマウスにおけるヒトLNCaP腫瘍細胞のインビボ増殖。LNCaP細胞を、グルタミン(2mM)を有するRPMI1640(Gibco RPMI培地1640、カタログ番号22400)、10%FBS(ウシ胎児血清)、1%ピルビン酸ナトリウム(100mM)及び1%PS(ペニシリンストレプトマイシン)中で、5%のCO2雰囲気下、37℃で維持した。4〜5週齢の胸腺欠損雄ヌードマウス(nu/nu)を、NCI Charles Riverから得て、滅菌環境中で維持した。マウスを、ワイヤー上蓋を有するポリカーボネートの靴箱型ケージに収容し、通常の食餌で維持した。マウスを、LNCaP細胞を接種する1週間前に順化させた。マトリゲル及び高濃度(HC)マトリゲルをBD Biosciencesから購入した。ヌードマウスには、50%マトリゲル(100uLのPPMI培地+100uLのマトリゲル)又は50%高濃度マトリゲル(100uLのPPMI培地+100uLのHCマトリゲル)中のインビトロ繁殖LNCaP細胞を2.5×106個又は5.0×106個接種して、細胞の数、ビヒクルなどを含む最適条件を決定した。細胞を、ヌードマウスのそれぞれの体幹及びそれぞれの側腹部に皮下注射して、最適部位を決定した。それぞれの腫瘍の体積を、カリパスを使用して一週間に2回、垂直方向で測定し、体重を一週間に1回測定した(データ示さず)。
【0227】
それぞれの腫瘍の体積を、0.5×L×W2として計算したが、ここで、Lは最長軸の測定値(mm)、WはLに垂直な軸の測定値(mm)である。体幹における50%HCマトリゲル中のおよそ5.0×106個のLNCaP細胞は、30日以内に600mm3の腫瘍を生じた。図4を参照すること。
【0228】
== 実施例5 ==
マウスにおけるLNCaP、KB及びA549細胞の腫瘍増殖の比較。LNCaP、KB及びA549細胞を、グルタミン(2mM)を有するRPMI1640(Gibco RPMI培地1640、カタログ番号22400)、10%FBS(ウシ胎児血清)、1%ピルビン酸ナトリウム(100mM)及び1%PS(ペニシリンストレプトマイシン)中で、5%のCO2雰囲気下、37℃で維持した。4〜5週齢の雄ヌードマウス(nu/nu)を、NCI Charles Riverから得て、滅菌環境中で維持した。マウスを、ワイヤー上蓋を有するポリカーボネートの靴箱型ケージに収容し、通常の食餌で維持した。マウスを、細胞を接種する1週間前に順化させた。
【0229】
腫瘍細胞接種では、50%高濃縮マトリゲル中の5.0×106個のLNCaP細胞、RPMI培地中の1.0×106個のKB細胞又はRPMI培地中の1.0×106個のA549細胞を、ヌードマウスの体幹右側に皮下注射した(一部の動物には両側に注射した)。それぞれの腫瘍の体積を、カリパスを使用して一週間に2回、2つの垂直方向で測定し(図5A及び5Bを参照すること)、体重を一週間に1回測定した(データ示さず)。腫瘍の体積を、0.5×L×W2として計算したが、ここで、Lは最長軸の測定値(mm)、WはLに垂直な軸の測定値(mm)である。
【0230】
== 実施例6A ==
PSMA−99mTcを使用したマウス中の腫瘍のインビボ画像化。腫瘍が500〜600mm3の体積に達したとき、記載されているように調製した99mTc標識化合物(例えば、SK28−99mTc、SK60−99mTcなど)を、腹腔内(皮下)注射によって投与した。4時間後、動物を安楽死させ、血液を、心臓穿孔により採取し、それぞれの動物について個別のガンマシンチグラフィーバイアルに移した。画像化実験は、Kodak又はガンマシンチグラフカメラ画像装置を使用して実施した(図6A、6B、6C、7A、7B及び7C)。〔注:PMPAは、SK28−99mTc注射の30分前に注射した。癌性塊への取り込み以外では、SK28−99mTcの分布は、腎臓に限定されていた(図6A、6B及び6C)。両方のマウス(図7A、7B及び7C)にSK60−99mTcを注射したが、分布は、ほぼ腎臓に限定されていた(両方の腎臓を遮蔽した後でも腫瘍取り込みはなかった)。〕
【0231】
図6A、6B及び6Cは、SK28−99mTc(放射標識した原子14個のスペーサー)を使用した、ヒトLNCaP腫瘍を有するマウスの画像を示す。図6A〜6Cは、3つの別々のマウスのセットを表し、1ng/kgのSK28−99mTcを、PSMAをブロックする50mg/kgのPMPA(競合物質)なしで〔画像の各セットの左側のマウス〕及びありで皮下(腹腔内を介して)注射した4時間後に、Kodakカメラ画像装置を使用して画像化した、LNCaP腫瘍を有するマウスの、左側の画像は白色光画像を示し、右側の画像は放射線画像と白色光画像との重ね合わせを示す。図6Dは、1ng/kgのSK28−99mTcを皮下注射(腹腔内を介して投与)した4時間後にKodak画像装置を使用して画像化した、LNCaP腫瘍についての単一マウス研究を示しており、左側の画像に腎臓を遮蔽した放射線画像と遮蔽なしの白色光画像との重ね合わせ、右側の画像に腎臓を遮蔽した放射線画像と遮蔽なしのX線画像との重ね合わせを示す。
【0232】
== 実施例6B ==
DUPA−99mTcを使用したマウス中の腫瘍のインビボ画像化。前立腺癌細胞へのDUPA結合体の特異性を更に確立するために、DUPA−99mTcを、LNCaP腫瘍を肩に有する胸腺欠損ヌードマウスに腹腔内注射した。4時間で結合しなかった結合体のクリアランスをさせた後、保持されたDUPA−99mTcの分布を、ガンマシンチグラフィーにより画像化した。図7D(a)及び7D(c)から分かるように、標的99mTc放射性トレーサーは主にPSMA陽性LNCaP腫瘍に蓄積し、腎臓以外の他の組織にはほとんど又は全く放射能がなかった。重要なことは、腎臓の取り込みがマウスに特有でありうることであり、それは、免疫組織化学的及びRT−PCR分析が、PSMA発現がネズミの腎臓において高く、ヒトの腎臓では最小であると示唆しているからである。PSMA標的画像化剤のインビボ特異性を、DUPA−99mTc投与の前に、全てのPSMA部位をブロックする過剰PMPAを前投与することにより更に試験した。図7D(b)及び7D(d)に示されているように、ブロックされたLNCaP腫瘍は、DUPA−99mTc取り込みを示さず、インビボにおけるPSMAへのDUPA結合体の特異性が確認される。この特異性を更に証明するために、放射性トレーサーも、2つのPSMA陰性マウス異種移植片モデル〔A549(ヒト肺癌細胞株)及びKB(ヒト鼻咽腔癌細胞株)〕に投与し、ここでも全身の画像を撮影した。予測されたように、腎臓の遮蔽を実施して他の組織における低レベルのDUPA−99mTcの検出を可能にした後でも、KB腫瘍にもA549腫瘍にも放射能は観察されなかった(図7D(e)及び7D(f))。したがって、これらの研究では、インビボにおいてPSMAに無関係の部位ではDUPA−99mTc結合はほとんど生じないことが確認される。
【0233】
図7Dは、150μCiのDUPA−99mTcの注射の4時間後に撮影した、nu/nuマウスにおける固形腫瘍異種移植片の全身画像を示す。100倍モル過剰PMPAの不在下〔7D(a、c)〕又は存在下〔7D(b、d)〕でDUPA−99mTcにより処置された、LNCaP腫瘍を有するマウスの全身の放射線画像と白色光画像の重ね合わせである。DUPA−99mTcで同様に処置された、A549腫瘍〔7D(e)〕又はKB腫瘍〔7D(f)〕を有するマウスからも、放射線画像と白色光画像の重ね合わせを得た。画像7D(a)及び7D(b)を除いて、腎臓を鉛パッドで遮蔽した。全ての画像は、DUPA−99mTcの腹腔内注射の4時間後に、Kodak Imaging Stationを使用して撮影した。矢印は固形腫瘍の異種移植片を示す。同様の画像を、各処置群の5匹のマウス全てから得た。
【0234】
== 実施例7A ==
生体内分布の研究。画像化した後、全ての動物を、SK28−99mTc又はSK60−99mTc〔又は他の放射標識化合物(データ示さず)〕を投与したおよそ6〜7時間後に解剖し、臓器(血液、腫瘍、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、皮膚、筋肉など)を、それぞれの動物について個別のガンマシンチグラフィーバイアルに移し、放射能をカウントした。注:血液試料は、動物を殺処理した直後及び動物を画像化する直前に(心臓穿孔を使用して)収集した。組織に対する腫瘍と組織のcpm/g比率のプロットを使用して、画像化剤の生体内分布を決定した(図8A及び8B)。
【0235】
== 実施例7B ==
LNCaP、A549又はKB腫瘍を有するnu/nuマウスにおけるDUPA−99mTcの生体内分布の研究。腫瘍を有するマウスを、DUPA−99mTc(50μmol/kg、150μCi)の腹腔内注射の4時間後に安楽死させ、組織蓄積放射能をγカウンターを使用してカウントした。湿組織の1グラムあたりの注射用量率を、方法実施例に記載されているとおりに計算した。データは1回の実験から得て、エラーバーは、標準偏差を表す(n=5)。LNCaP腫瘍(中実バー)、100倍のモル過剰PMPAを予め注射したマウスにおけるLNCaP腫瘍(中空バー)、A549腫瘍(斜交線バー)、KB腫瘍(平行線バー)(図8C)。
【0236】
== 実施例8 ==
生存マウスにおける単回用量の毒性。SK71の投与を、示されているように単回用量で行った。データは、結合体のMTDが単回投与では約4.5μmol/kgであることを示す(図9Aを参照すること)。
【0237】
== 実施例9 ==
生存マウスにおける多回用量の毒性。SK71を隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与した。データは、SK71のMTDが多回投与では2μmol/kgであり、結合体は、LNCaP腫瘍に有効であることを示す(マウスには、処置を開始する前、LNCaP細胞の移植の2週間前にMTDを使用した)。生理的食塩水対照群における4匹のマウス全てが大きな腫瘍を有した一方、2つの処置群のマウスには、処置の18日後に目に見える腫瘍を有したものはなかった(図9Bを参照すること)。
【0238】
== 実施例10 ==
対照群と競合群を比較した効能研究。動物を、(a)1μmol/kgの結合体SK71を隔日(M、W、F、M、W)で5用量投与して処置し、(b)ビヒクルで処置した動物(図10B)及び(c)PMPAと一緒に結合体で処置した動物と比較した。1μmol/kgでの処置は、処置の期間中に腫瘍サイズ(出発腫瘍サイズはおよそ250mm3)の連続的な減少を示す。図10Aに示す1μmol/kgの低い用量では、腫瘍体積は、投与を中止すると反発した。2μmol/kg以上のより高い用量では、腫瘍の完全な消滅が試験期間中に観察された。競合実験(図10Cを参照すること)から、移植腫瘍の治療が成功したことは、PSMA仲介送達の選択的又は特異的標的化に関係することが示される。
【0239】
== 実施例11 ==
効能研究(1μmol/kgを1日おきに10日間、すなわち5用量)。データは(図11を参照すること)、処置動物の腫瘍が処置期間中にサイズを減少したことを示す。
【0240】
== 実施例12 ==
PSMA標的治療剤のインビトロ評価。培養中のLNCaP細胞に対するSK71(図12A)、SK77(図12B)、SK37(図12C)及びSK45(図12D)の毒性の分析。LNCaP細胞を、濃度を増加させたSK71又はSK77により、100倍モル過剰のPMPAの(▲)存在下又は(■)不在下で2時間パルスした。2回洗浄した後、細胞を、新たな培地中で37℃で更に66時間インキュベートした。次に細胞生存率を、本明細書に記載されている〔3H〕−チミジン取り込みアッセイを使用して分析した。データは1回の実験から得て、エラーバーは、標準偏差を表す(n=1つの濃度につき3つのウエル)。
【0241】
== 実施例13 ==
インビボ効力。処置マウスの皮下腫瘍の増殖(図13A及び13C)及び体重(図13B及び13D)に対するSK71の効果。HCマトリゲル中のLNCaP細胞を、n/n雄マウスの肩に皮下移植した。いったん腫瘍が100mm3(13A、13B)又は330mm3(13C、13D)の体積に達すると、動物をSK71〔1.5μmol/kg(a、b)又は2.0μmol/kg(c、d)〕で処置した。(■)処置マウス、(●)未処置マウス、(▲)100倍(13A、13B)又は(▼)30倍(13C、13D)モル過剰のPMPAが予め注射された処置マウス。データは1回の実験から得て、エラーバーは、標準偏差を表す〔n=4(13A、13B)又は3(13C、13D)〕。図10は、SK71のインビボ効力を示す。
【0242】
インビボ効力。皮下腫瘍の増殖(図14A)及び処置マウスの体重(図14B)に対するSK77の効果。HCマトリゲル中のLNCaP細胞を、n/n雄マウスの肩に皮下移植した。いったん腫瘍が100mm3の体積に達すると、動物をSK77(2μmol/kg)で処置した。(■)未処置マウス、(▼)処置マウス。データは1回の実験から得て、エラーバーは、標準偏差を表す(n=4匹のマウス/群)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PSMAのリガンド(B)、リンカー(L)及び薬剤(D)を含む組成物であって、リンカーが薬剤と共有結合し、リンカーがリガンドと共有結合し、リガンドが抗体又は抗体の抗原結合フラグメントではない場合には、リンカーが少なくとも7個の原子の鎖を含む、組成物。
【請求項2】
リンカーが少なくとも14個の原子の鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
リンカーが約7個の原子から約20個の原子の範囲の原子鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
リンカーが約14個の原子から約24個の原子の範囲の原子鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
リンカーが少なくとも約10オングストロームの長さの原子鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
リンカーが少なくとも約20オングストロームの長さの原子鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
リンカーが約10オングストロームから約30オングストロームの長さの範囲の原子鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
原子鎖の一部が二価フラグメントで環化されている、請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
リンカーがペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
リンカーが、それぞれ独立して場合により置換されている1つ以上のフェニルアラニン残基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
リンカーが、それぞれ独立して場合により置換されている2つ以上のフェニルアラニン残基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
リンカーが、それぞれ独立して場合により置換されているフェニルアラニル−フェニルアラニルを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
リンカーが放出型リンカーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
リンカーが少なくとも2つの放出型リンカーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
リンカーがジスルフィドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
リンカーがジスルフィド以外の放出型リンカーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
リンカーが炭酸塩を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
リンカーが非放出型である、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
リガンドがホスホン酸又はホスフィン酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
リガンドが、下記:
【化1】
からなる群より選択される化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
リガンドが、下記式:
【化2】
〔式中、R1及びR2は、それぞれ、水素や、場合により置換されている、チオール酢酸、チオールプロピオン酸などのようなカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸などから選択される〕
で示される化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
リガンドが、アミノジカルボン酸と他のアミノジカルボン酸又はその類似体との尿素化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
リガンドが、下記式:
【化3】
〔式中、Qは、アミノジカルボン酸又はその類似体であり、そしてn及びmは、それぞれ、1〜約6の整数から選択される〕
で示される化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
薬剤が、ビンカアルカロイド、タキサン、チューブリシン、マイトマイシン及びカンプトテシンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
薬剤が、オレゴングリーン、AlexaFluors、フルオレセイン、BODIPY蛍光剤、ローダミン及びDyLight蛍光剤からなる群より選択される画像化剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項26】
薬剤が、下記式:
【化4】
〔式中、Rは、独立して、それぞれの場合、H、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルなどから選択され、それぞれ場合により置換されており、ここで1つのRは、ニトロ、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子を含み、リンカーLの結合点である〕
で示される化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項27】
薬剤がPET画像化剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項28】
請求項1〜7又は9〜27のいずれか1項記載の組成物の治療有効量と、担体、希釈剤及び賦形剤、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される構成成分とを含む、医薬組成物。
【請求項29】
PSMAを発現する病原性細胞集団が関与する疾患を治療する方法であって、疾患の緩和が必要な患者に、請求項1〜7又は9〜27のいずれか1項記載の組成物の治療有効量を、場合により、担体、希釈剤及び賦形剤、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される構成成分と共に、投与する工程を含む、方法。
【請求項1】
PSMAのリガンド(B)、リンカー(L)及び薬剤(D)を含む組成物であって、リンカーが薬剤と共有結合し、リンカーがリガンドと共有結合し、リガンドが抗体又は抗体の抗原結合フラグメントではない場合には、リンカーが少なくとも7個の原子の鎖を含む、組成物。
【請求項2】
リンカーが少なくとも14個の原子の鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
リンカーが約7個の原子から約20個の原子の範囲の原子鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
リンカーが約14個の原子から約24個の原子の範囲の原子鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
リンカーが少なくとも約10オングストロームの長さの原子鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
リンカーが少なくとも約20オングストロームの長さの原子鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
リンカーが約10オングストロームから約30オングストロームの長さの範囲の原子鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
原子鎖の一部が二価フラグメントで環化されている、請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
リンカーがペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
リンカーが、それぞれ独立して場合により置換されている1つ以上のフェニルアラニン残基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
リンカーが、それぞれ独立して場合により置換されている2つ以上のフェニルアラニン残基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
リンカーが、それぞれ独立して場合により置換されているフェニルアラニル−フェニルアラニルを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
リンカーが放出型リンカーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
リンカーが少なくとも2つの放出型リンカーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
リンカーがジスルフィドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
リンカーがジスルフィド以外の放出型リンカーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
リンカーが炭酸塩を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
リンカーが非放出型である、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
リガンドがホスホン酸又はホスフィン酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
リガンドが、下記:
【化1】
からなる群より選択される化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
リガンドが、下記式:
【化2】
〔式中、R1及びR2は、それぞれ、水素や、場合により置換されている、チオール酢酸、チオールプロピオン酸などのようなカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸などから選択される〕
で示される化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
リガンドが、アミノジカルボン酸と他のアミノジカルボン酸又はその類似体との尿素化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
リガンドが、下記式:
【化3】
〔式中、Qは、アミノジカルボン酸又はその類似体であり、そしてn及びmは、それぞれ、1〜約6の整数から選択される〕
で示される化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
薬剤が、ビンカアルカロイド、タキサン、チューブリシン、マイトマイシン及びカンプトテシンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
薬剤が、オレゴングリーン、AlexaFluors、フルオレセイン、BODIPY蛍光剤、ローダミン及びDyLight蛍光剤からなる群より選択される画像化剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項26】
薬剤が、下記式:
【化4】
〔式中、Rは、独立して、それぞれの場合、H、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルなどから選択され、それぞれ場合により置換されており、ここで1つのRは、ニトロ、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子を含み、リンカーLの結合点である〕
で示される化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項27】
薬剤がPET画像化剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項28】
請求項1〜7又は9〜27のいずれか1項記載の組成物の治療有効量と、担体、希釈剤及び賦形剤、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される構成成分とを含む、医薬組成物。
【請求項29】
PSMAを発現する病原性細胞集団が関与する疾患を治療する方法であって、疾患の緩和が必要な患者に、請求項1〜7又は9〜27のいずれか1項記載の組成物の治療有効量を、場合により、担体、希釈剤及び賦形剤、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される構成成分と共に、投与する工程を含む、方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【公表番号】特表2010−536790(P2010−536790A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521210(P2010−521210)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/073375
【国際公開番号】WO2009/026177
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(598063203)パーデュー・リサーチ・ファウンデーション (59)
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/073375
【国際公開番号】WO2009/026177
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(598063203)パーデュー・リサーチ・ファウンデーション (59)
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]