説明

PTFE膜、及びそれから作製されたガスケット

【課題】改善された延伸PTFE材料、及びそれから作製された改善されたガスケット材料の提供。
【解決手段】このガスケットは、ボルト負荷保持率が、既存のPTFEガスケットよりも大きなシールを形成できる。本発明の延伸PTFE膜を、少なくとも一方向のマトリックス引張強さが少なくとも25,000psi、2つの直交する方向におけるマトリックス引張強さ比が0.025〜4、配向指数が50°以下、密度が2.0g/cc以下となるように構成できる。この改善されたガスケットは、改善された機械特性、例えば高ボルト負荷保持率、低クリープ、高引張強さ、低シール応力及び高結晶度指数を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された延伸PTFE材料、及びそれから作製された改善されたガスケットに関する。このガスケットは、ボルト負荷保持率が既存のPTFEガスケットで得られるよりも大きなシールを形成できる。
【背景技術】
【0002】
多種多様なガスケットが、シール用途で使用されることが知られている。延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、今日ガスケット材料として広く使用されている。米国特許第3953566号(Gore)に開示されているように、この材料は、非常に数多くの特性を有し、ガスケットとして非常に望ましい。これらの特性には、容易に圧縮できたり、追従できたりすること、化学的に耐性があること、比較的高い強度を有すること、及び非延伸非多孔質PTFE単独でよりもクリープがはるかに小さく且つシール圧損失が小さい傾向があることなどがある。
【0003】
数多くのシール用途において、ガスケットを使用して、フランジ間の接合部、例えばパイプ間の接合部をシールしている。このような用途において、延伸PTFEガスケットは、フランジの間に配置することができ、これらのフランジを、次に例えばボルトで締めつけることにより力をかけて一緒にプレスできることから、延伸PTFEは、ガスケットには望ましい材料である。力をかけることにより、延伸PTFEが圧縮される。延伸PTFEを圧縮すると、初期細孔容積が減少するので、延伸PTFEが緻密化される。特に、金属対金属フランジでは、十分な力(又は「応力」)をフランジにかけて、延伸PTFEを十分に緻密化できる。したがって、延伸PTFEガスケットの少なくとも一部分において、細孔容積を実質的にゼロまで減少させて、パイプに入っている流体が、フランジをシールしている緻密化非多孔質PTFEガスケットにより、フランジ間に漏れないようにする。
【0004】
数多くの用途において、特に、金属を容易に破壊するきつい化学薬品が使用されたり、又は金属が、輸送されている又は収容されている薬品を汚染することがある場合には、一般的にガラスライニングスチール、ガラス又はファイバーグラス強化プラスチック(「FRP」)配管又は容器が使用される。この装置は、極めてきつい薬品とともに頻繁に使用されるので、PTFEが周知のなみはずれて優れている耐薬品性を有することから、この装置の接続フランジをシールするPTFEガスケットを使用することが非常に望ましい。残念ながら、非延伸非多孔質PTFEガスケットは、一般的にこの種の装置を効率的にシールするのに十分なほどには追従性がない。ガラスライニングを施したスチールフランジの場合には、比較的仕上げ面が平滑であるが、フランジと関連した凹凸が大きいか又は平坦度を欠くことがよくある。この凹凸があったり、又は平坦性が欠如している場合には、ガスケットが、周囲だけでなく、フランジの内径と外径との間の大きな変化に追従して、シールを効率的におこなう必要がある。したがって、非延伸非多孔質PTFEガスケットは、これらの用途のうちの多くをシールする程度には十分に追従性がない。
【0005】
延伸PTFEが非常に追従性があるので、延伸PTFEを使用してこれらの一般的に凹凸のあるフランジをシールすることが望ましいであろう。残念ながら、これらの用途のうちの多くでは、フランジに十分な力をかけて延伸PTFEガスケットを十分に緻密化して効果的にシールするのに十分なガスケット応力を得ることができない。例えば、ガラスをライニングしたスチール配管フランジ、ガラスフランジ又はFRP配管フランジは、大きな応力がかかると変形、破壊又は割れが生じることがある。したがって、これらの用途では、延伸PTFEガスケットは、非多孔質状態とする程度には完全に緻密化されないことがあり、したがって耐液漏れ性とならない。これは、フランジを破壊することなく、フランジにかけることができる最大応力では、ガスケットが緻密化するには十分でないからである。
【0006】
米国特許第6485809号(Minor等)は、ガスケット構成物をシールする低応力を教示している。この構成物は、第一の実質的に空気不透過性の外層と第二の実質的に空気不透過性の外層との間に配置した延伸PTFEからなる少なくとも1層の内層と、第一の実質的に空気不透過性の層と第二の実質的に空気不透過性の層とをブリッジしている実質的に空気不透過性の領域を有する多層単一ガスケットを備えている。「低シール応力」は、比較的低応力(すなわち、多孔質延伸PTFEガスケットを十分に緻密化するのに必要とするよりも低い応力、一般的に約20,700kPa(3000psi)未満)をかけると、実質的に気密又は空気不透過性シールを形成するガスケットである。Minor等のガスケットは、低応力で圧縮すると実質的に空気不透過性であるシールを形成する。この特許の構成により、ガスケットをシールするための所望の低応力を得るのにともなう数多くの難問が克服できる。しかしながら、このような構成をさらに改善することが、望まれている。
【0007】
ガスケットの用途では、延伸PTFE材料は、非延伸非多孔質PTFEよりもはるかによい性能を示すが、まだ負荷下において、クリープの傾向と流動する傾向が多少ある。したがって、改善された性能特性を有する延伸PTFE材料が望まれている。
【0008】
PTFE構造体を溶融温度超で延伸して、PTFEに改善された特性を付与できることが教示された。米国特許第2776465号(Smith)は、例えば約325℃を超える温度で非延伸PTFE材料を延伸して、得られた構造体の強靱性及びモジュラスを高くすることができることを教示している。
【0009】
米国特許第5814405号(Branca等)は、延伸した非晶質に固定した物品を、PTFEの結晶溶融温度を超えた温度に加熱し、少なくとも溶融温度より低い温度で実施した延伸の方向と直交する方向に延伸することを教示している。得られた物品は、アスペクト比が25超〜50、好ましくは150を超える非常に細長いノードを有する特徴がある微細構造を示す。このような膜も、通気量が大きく且つ強度も高い。これらの膜は、濾過装置におけるフィルターとして、反応性又は導電性フィラーを保持するための足場として、及び複合構成物における支持層として有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、改善されたガスケット性能だけでなく、他の高性能用途についてのますます増加している要望を満たすための特性が高まった改善された延伸PTFE材料が必要とされていた。
【0011】
特に、ガスケットにおいて低シール応力特性を有することが望ましいが、ガスケットが良好なボルト負荷保持率(ガスケット材料の応力緩和に対する耐性の目安)を示すことも、性能の面から重要である。ガスケット化アセンブリに関連する漏れ量は、ガスケットに対するボルト負荷としても知られている圧縮負荷の量に依存する。本明細書で使用される「ボルト負荷保持率」は、一対のフランジを固定するのに使用されるボルト又はクランプを締めつけて一対のフランジを介してガスケットに供給される圧縮負荷の保持率を意味する。典型的には、ガスケットに対するボルト負荷が大きいほど、ガスケット化アセンブリからの漏れが小さい。PTFEガスケット(すなわち、PTFE約50重量%超)は、圧縮負荷を受けたときに、クリープ及び応力緩和を生じやすい。ガスケット材料におけるクリープ及び応力緩和の量を減少させると、ガスケットによるボルト負荷保持率が高くなる。ガスケットにおけるボルト負荷保持率が高いほど、シールがしっかりとでき、ガスケットの寿命の全期間にわたって漏れが少なくなる。
【0012】
したがって、長年望まれていたものは、ガスケットの寿命の全期間にわたって、フランジ表面に効果的に追従でき、且つ気密シールを維持するのに十分な大きさのボルト負荷保持率を維持することができる、使用しやすい、非常に耐薬品性が大きなガスケットである。したがって、本発明の目的は、このような高性能ガスケットを提供するだけでなく、これらの目的を達成するのに使用することができる改善された延伸PTFE材料を提供することである。
【0013】
さらに、低負荷でシールすることができるだけでなく、たとえ高負荷を受けたときにも高ボルト負荷保持率を維持することができる高耐薬品性、高追従性ガスケットを提供することが望まれていた。このようなユニバーサルガスケットは、ガラスをライニングしたスチール、ガラス及びFRP配管及び容器等の低負荷用途だけでなく、金属配管及び容器を用いる等の高負荷用途にも効果的に使用できるであろう。
【0014】
本発明のこれら及び他の目的は、本明細書において記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、改善された延伸PTFE膜、並びにこれらの改善されたPTFE膜を含むガスケッチング材料及びガスケットに関する。
【0016】
改善された延伸PTFE膜は、いままで従来技術の教示によっては達成できなかった、機械特性の改善された組み合わせを示す。具体的には、本発明のPTFE膜は、マトリックスの引張強さが、少なくとも一方向において少なくとも25,000psi(172MPa)であり、2つの直交又は垂直の方向におけるマトリックスの引張強さ比が0.025〜4であり、配向指数が50°以下であるように構成できる。これらの膜の密度は、2.0g/cc以下、より好ましくは1.9g/cc以下、さらにより好ましくは1.8g/cc以下、さらにより好ましくは1.7g/cc以下、より好ましくは1.6g/cc以下、より好ましくは1.5g/cc以下、より好ましくは1.0g/cc以下、最も好ましくは0.5g/cc以下である。別の実施態様によれば、膜は、マトリックスの引張強さが少なくとも一方向において少なくとも34,000psi(234MPa)であり、より好ましくは少なくとも44,800psi(309MPa)であり、マトリックスの引張強さ比が0.025〜4であり、密度が2.0g/cc以下を示すことができる。さらに、膜は、結晶度指数が50%超、より好ましくは60%超、最も好ましくは68%超であり、エンタルピーが少なくとも9.0J/g、より好ましくは少なくとも10.0J/gであり、最も好ましくは少なくとも11.0J/gであることができる。配向指数50°未満、より好ましくは40°未満、さらにより好ましくは30°未満、最も好ましくは、20°未満も、本発明の独特の膜で実現できる。
【0017】
このような改善された機械的特性の組み合わせを示す本発明の延伸PTFE膜は、滑剤添加PTFE粉末をラム押出ししてテープを形成した後、325℃以上の温度でカレンダー加工、乾燥、MD又は縦方向に延伸し、その後再び325℃以上の温度でMD方向と垂直(すなわち、横方向)(テープが縦方向に収縮するのを抑制しながら)に延伸し、その後延伸テープを、拘束したまま380℃の加熱帯で処理することにより作製する。本発明の独特の特徴は、テープのカレンダー加工度を変化させること、並びに両方向について延伸温度、延伸速度及び延伸比を変化させることにより、驚くべき強度及び極めてバランスのとれた強さの膜を製造できることである。さらに、より高い結晶度指数及びより低い配向指数を実現できる。これらの増加した特性を有する膜を実現するのに好適な処理のバリエーションが、本明細書の実施例に記載されている。
【0018】
本発明のこの改善されたPTFE膜は、ガスケット材料及びガスケットに組み込んで、改善された機械的特性、例えば高ボルト負荷保持率、低クリープ、高引張強さ、低シール応力及び高結晶度指数を示すことができることが判明した。さらに、これらの改善されたPTFE膜を用いて、これまで製造されたうちで最高のボルト負荷保持率及び最低のクリープ特性を示すPTFEガスケットを製造できることが判明した。便宜上、本明細書で使用される用語「ガスケット」は、シート、テープ又は仕上げ(すなわち、切断又は付形したもの、例えば環状等)ガスケットの形態の材料を意味する。
【0019】
一実施態様によれば、本発明のガスケット材料は、PTFE膜を備えた多層構成を有する。例えば、ガスケット材料は、マンドレル上にPTFE膜を所望の厚さになるまでラッピングし、加熱して層を一体化することにより単一の多層構成を形成し、その後この構成物をマンドレルから切除して一枚のガスケット材料を得ることにより形成できる。所望の最終用途に応じて、ガスケットを、ガスケット材料から切断又は構成していずれかの規定の寸法とすることができる。
【0020】
別法として、本発明のガスケット材料を、マンドレルから切除して、連続の所定の位置に形成されたガスケット、例えば米国特許第5964465号に記載のものを形成できる。さらなる実施態様によれば、本発明のガスケット材料は、米国特許第6485809号に記載されているような低シール応力ガスケット構成に組み込むことができる。さらなる実施態様によれば、本発明のガスケット材料を、米国特許第5879789号に記載されているようなガスケット構成に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1a】例1に従って作製した膜の1000×の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図1b】例1に従って作製した膜の4000×の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図2a】例2に従って作製した膜の1000×のSEMである。
【図2b】例2に従って作製した膜の4000×のSEMである。
【図3a】例3に従って作製した膜の1000×のSEMである。
【図3b】例3に従って作製した膜の4000×のSEMである。
【図4a】例4に従って作製した膜の1000×のSEMである。
【図4b】例4に従って作製した膜の4000×のSEMである。
【図5a】例5に従って作製した膜の1000×のSEMである。
【図5b】例5に従って作製した膜の4000×のSEMである。
【図6a】例6に従って作製した膜の1000×のSEMである。
【図6b】例6に従って作製した膜の4000×のSEMである。
【図7a】例7に従って作製した膜の1000×のSEMである。
【図7b】例7に従って作製した膜の4000×のSEMである。
【図8a】例8に従って作製した膜の1000×のSEMである。
【図8b】例8に従って作製した膜の4000×のSEMである。
【図9a】例9に従って作製した膜の1000×のSEMである。
【図9b】例9に従って作製した膜の4000×のSEMである。
【図10】本発明のガスケット又はガスケット材料の一実施態様の4分の3斜視図である。
【図11】本発明のガスケットを製造するのに使用することができる装置の一実施態様の正面図である。
【図12】本発明のガスケットを製造するのに使用することができる装置の別の実施態様の正面図である。
【図13】本発明の典型的な実施態様によるガスケットの上面図である。
【図14】図13のガスケットの垂直断面図である。
【図15】図14のガスケットの一部分の分解垂直断面図である。
【図16】本発明のガスケット構成の別の実施態様の正面図である。
【図17】本発明のガスケット構成のさらなる別の実施態様の正面図である。
【図18】本発明のガスケットが示すボルト負荷保持率と厚さとの関係の独特の特性を示すプロットを示すグラフである。
【図19】本発明の材料の結晶度指数特性を測定するのに使用されるI対2θスキャンのグラフである。
【図20】本発明の材料の結晶度指数特性を測定するのに使用される代表的な方位スキャンである。
【図21】本発明の材料の結晶度指数特性を測定するのに使用される代表的な方位スキャンである。
【図22】本発明の材料のシール応力値を測定するのに使用される装置を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、改善された延伸PTFE膜、及びこれらの改善されたPTFE膜を含むガスケッチング材料及びガスケットに関する。
【0023】
図1a及び図1bは、本明細書の例1に準じて作製した本発明の典型的な膜の走査型電子顕微鏡写真(SEM)(それぞれ1000x及び4000x)を示す。図から明らかなように、膜は、ランダムに配置されたフィブリルにより接続された小ノード(直径1μm未満)の構造を有する。
【0024】
図2a及び図2bは、本明細書の例2に準じて作製した本発明の膜のSEM(それぞれ1000x及び4000x)を示す。図から明らかなように、膜は、主にノード長軸に垂直なフィブリルにより接続された平行に延びる細長いノードの構造を有する。
【0025】
図3a及び図3bは、本明細書の例3に準じて作製した本発明の膜のSEM(それぞれ1000x及び4000x)を示す。図から明らかなように、膜は、ランダムに配置されたフィブリルにより接続された小ノード(2μm未満)の構造を有する。
【0026】
図4a及び図4bは、本明細書の例4に準じて作製した本発明の膜のSEM(それぞれ1000x及び4000x)を示す。図から明らかなように、膜は、主にノード長軸に垂直なフィブリルにより接続された平行に延びる細長いノードの構造を有する。
【0027】
図5a及び図5bは、本明細書の例5に準じて作製した本発明の膜のSEM(それぞれ1000x及び4000x)を示す。図から明らかなように、膜は、ランダムに配置されたフィブリルにより接続された小ノード(長軸について約5μm未満)の構造を有する。
【0028】
図6a及び図6bは、本明細書の例6に準じて作製した本発明の膜のSEM(それぞれ1000x及び4000x)を示す。図から明らかなように、膜は、主にノード長軸に垂直なフィブリルにより接続された平行に延びる細長いノードの構造を有する。
【0029】
図7a及び図7bは、本明細書の例7に準じて作製した本発明の膜のSEM(それぞれ1000x及び4000x)を示す。図から明らかなように、膜は、一方向に主に配列したフィブリルにより接続された小ノード(長軸について5μm未満)の構造を有する。
【0030】
図8a及び図8bは、本明細書の例8に準じて作製した本発明の膜のSEM(それぞれ1000x及び4000x)を示す。図から明らかなように、膜は、主にノード長軸に垂直なフィブリルにより接続された平行に延びる細長いノードの構造を有する。
【0031】
図9a及び図9bは、本明細書の例9に準じて作製した本発明の膜のSEM(それぞれ1000x及び4000x)を示す。図から明らかなように、膜は、主にノード長軸に垂直なフィブリルにより接続された平行に延びる極めて微細な細長いノード(幅約2μm未満)から実質的に構成されている構造を有する。
【0032】
本発明の延伸PTFE(ePTFE)膜の機械的特性は、従来技術において達成できなかった機械的特性の独特な組み合わせを示すように構成できる。例えば、マトリックス引張強さが少なくとも一方向において少なくとも25,000psiであり、2つの直交する方向におけるマトリックスの引張強さ比が0.025〜4であり、密度が2.0g/cc以下である、ePTFEの単層を含む膜を作製できる。
【0033】
本発明のPTFE膜は、マトリックス引張強さが少なくとも一方向において少なくとも25,000psiであり、2つの直交する方向においてマトリックスの引張強さ比が0.025〜4であり、配向指数が約50°以下であり、密度が2.0g/cc以下であることができる。より好ましい実施態様によれば、膜は、少なくとも一方向におけるマトリックスの引張強さが少なくとも34,000psi、より好ましくは少なくとも44,800psiであり、及び上記したようにさらに低い密度を有する。
【0034】
本発明の膜は、好ましくは配向指数が50°以下である。配向指数は、ノード及びフィブリル構造を構成するPTFE鎖の方向性分子配列度の特徴付けである。配向指数40°未満、より好ましくは30°未満、最も好ましくは、20°未満が、本発明では実現できる。
【0035】
また、本発明の膜は、結晶度指数が少なくとも60%であることもできる。結晶度指数は、ノード及びフィブリル構造を構成しているPTFE鎖の分子秩序の度合いの目安である。また、この結晶度指数は、存在する結晶欠陥数に反比例するものとして特徴付けることもできる。本発明の膜の結晶度指数は、約65%超、最も好ましくは約70%以上となるように調整できる。
【0036】
本発明の延伸PTFE膜のエンタルピーは、典型的には少なくとも約9.0J/g、より好ましくは少なくとも約10.0J/g、最も好ましくは少なくとも約11.0J/gである。
【0037】
本発明のガスケット材料は、特定の必要性を満たすように調整される厚さを有する、好ましくは積層また層状の構成のPTFE膜を備えている。便宜上、ガスケットは、ここでは、市販のガスケット厚さが報告される方法と一致する特定の公称又は概略の厚さを有するものとする。典型的には、ガスケットの製造業者は、特定の厚さのガスケットを製造し、その材料に商業的に公称メートル単位及び英単位の両方のラベルをつける。例えば、公称1.5mmガスケットは、公称1/16インチガスケットとも称される。実際の厚さ範囲は、これらの公称報告厚さの±20%で変化できる。本発明の目的では、公称厚さに言及するときには、いつでも、公称英単位と公称メートル単位の両方が含まれる。例えば、公称厚さ1mm(1/32インチ)、1.5mm(1/16インチ)、3mm(1/8インチ)、6mm(1/4インチ)及び9mm(3/8インチ)のガスケットは、最も一般的に入手できる。
【0038】
図10は、本発明のガスケット材料24の一実施態様である。本発明は、この図に示される層数には限定されないが、本発明のこの典型的なガスケット材料24は、複数の層26、28、30、32及び34を備えている。層26、28、30、32及び34は、接触している各層に粘着しており、層26及び34は露出している外表面を有する。
【0039】
本発明のガスケット材料24は、マンドレル上にPTFE膜をラッピングするか、膜を積層するか、又は他の好適な形成方法により製造できる。本明細書で使用される用語「PTFE膜」は、単一膜層を備えていてもよいし、又は同一又は異なる特性の複数の膜層(但し、層の少なくとも1層は、PTFEである)を備えていてもよい。例えば、膜は、同一又は異なる膜特性のePTFE膜の一層以上の層を備えることができる。さらに、PTFE膜は、例えばPTFE以外の化学組成の一層以上の追加の層を備えることができる。各PTFE膜又は層の厚さは、約0.0005〜0.50インチ(0.013〜12.7mm)、好ましくは約0.001〜0.02インチ(0.025〜0.51mm)であることができる。ガスケット材料は、シール用途にとって重要である実質的にいずれの四辺形断面寸法で形成されていてもよく、必要に応じて粒状フィラーを充填してもよく、又はガスケット材料の製造の前に高分子材料をコーティングしてもよい。
【0040】
図11は、本発明のPTFEガスケット要素を形成するための装置36の一実施態様である。この装置は、加熱能を有する2つの金属ドラム38及び40と、複数のペイオフアーム50、52、54、56及び58(この量には限定されない)からなるペイオフ48及び巻き取り装置60を備えている。
【0041】
本発明のガスケット材料24を形成するために、巻かれたある長さのPTFE64、66、68、70及び72(ここでも、この量には限定されない)を、ペイオフ50、52、54、56及び58からドラム38及び40の間に供給する。PTFE長さ64及び72の外表面は、ガスケット材料の形成中、ドラム38及び40と直接接触する。ドラム38及び40は、典型的には粘着を促進せず且つ好ましくは加熱して温度を300〜450℃に維持する表面を有する。ドラム38及び40によりかけられる圧力、温度及び速度は、ドラム38、40の間に供給されているPTFE64、66、68、70及び72の層が、ドラムの間を通過するときに、それぞれ互いに粘着することにより、同心状に巻かれ且つそれら自体に接着したPTFEの複数の層を含むガスケット材料74を形成するようなものでなければならない。ペイオフアーム50、52、54、56及び58並びに巻き取り装置60により供給される張力は、ドラム前後の材料が、実質的に張っており、垂れない状態を維持するように制御する必要がある。
【0042】
図12は、本発明のPTFEガスケット材料24を形成するための装置80の別の実施態様を示す。この装置は、ペイオフ82、アイドラードラム84(とりわけ位置制御させる役割りを果たす)、巻き取り装置86、及び材料を拘束するためのピン91を備えたマンドレル90を備えている。
【0043】
本発明のPTFE要素を形成するために、巻かれたある長さのPTFE88膜を、アイドラードラム84上及びマンドレル90上に、ペイオフ82から供給される。PTFE88は、マンドレルが巻き取り装置86により回転されると、それ自体の上に層状になる。マンドレルが所定の回数回転するか、又はPTFE層92が供給されると、PTFE88は、切断されるか又は切り離され、且つマンドレルが巻き取り装置86から除去される。PTFE層92を含むマンドレル90を、PTFE92の層が、以下でより詳細に説明するように互いに粘着するような、温度及び十分な時間で加熱する。加熱後、マンドレル及びPTFEを冷却し、ガスケット材料をマンドレルから切断する。
【0044】
別の実施態様によれば、ガスケットを、米国特許第6485809B1号(ここに記載の要旨は、引用することにより、本明細書の内容とする)の教示に従って構成できる。ガスケットは、延伸PTFEからなる少なくとも1層の内層が、第一の実質的に空気不透過性の外層と、第二の実質的に空気不透過性の外層との間に配置されている。ガスケットは、さらに実質的に空気不透過性である領域を備えている。この実質的に空気不透過性である領域は、例えばそのエッジに位置していてもよいか、2つの部分をブリッジして備えていてもよい。例えば、図13〜15に示すように、本発明のガスケット20は、実質的に空気不透過性領域13をガスケット20の内周上に配置した、単一のチャンバー21を備えて構成してもよい。チャンバー21は、延伸PTFEの内層15を実質的に空気不透過性である層140からなる外層により挟持して形成されている。
【0045】
図16は、本発明の新規な特徴を有するように形成されていてもよいガスケット10の別の実施態様であり、この構成は、米国特許第5879789号(Dolan等)(ここに記載の要旨は、引用することにより、本明細書の内容とする)における教示によるものである。このガスケット10は、本発明の多孔質延伸PTFE膜からなる外層12、14と、より高い剛性のPTFE膜のコア材料16とを備えている。層12、14は、コア材料16に、いずれかの好適な方法、例えば接着材を用いて溶融することによるか、又は他の接着法により付着させることができる。ガスケットの剛性は、コア16により得られる。この材料は、ガスケットが、エッジに保持されたときに「つぶれ」ない程度に十分な剛さを有する必要がある。さらに、コア16は、外層12、14と同じ化学的性質を有するフルオロポリマー材料を含む。好ましくは、コア材料16は、外層12、14よりも大きな剛性を有する延伸PTFE層である。コア16を形成したら、外層12、14の各々を、コア16の周囲に配置させ、この構造体を、次に一緒に積層して本発明のガスケット材料10とする。
【0046】
米国特許第5879789号の教示にも基づいている、本発明のさらなる実施態様を、図17に示す。この実施態様によれば、ガスケットシート材料18は、追従性PTFE材料からなる外層20、22;外層20、22の各々に付着させた剛体PTFE材料からなる剛体内層24、26;及び剛体内PTFE材料層24、26の各々の間に付着させた追従性PTFEからなる中心層28を備えている。層の各々の特性を変更して、シート18に対する特定の性能特性を満足させることができるが、ほとんどの用途では、追従性層20、22及び28は、上記したような可撓性延伸PTFE材料を含む必要がある。図示した実施態様では、外層20、22は、幅約0.006”(0.15mm)であり、中心層28は、幅約0.034”(0.86mm)である。同様に、剛性内層24、26は、上記したコア16のような緻密化延伸PTFE材料を含む。
【0047】
PTFEを含む本発明の改善されたガスケットは、望ましくは厚さが約1.5mm〜約9mmの範囲であり、圧縮率が少なくとも約40%であり、ボルト負荷保持率(BLR%)対厚さが図18に示す点Aと点Bを結ぶラインに等しいか又はそれよりも大きく、且つ下表に規定する通りである:
点 室温でのBLR% 厚さ
A 92% 1.5mm
B 52% 9mm
さらに、本発明のガスケットは、圧縮率が少なくとも40%、デューロメーターが85以下、結晶度が少なくとも約60%であることができる。
【0048】
あるいは、本発明のガスケットは、ボルト負荷保持率対厚さが図18に示す点Cと点Dを結ぶラインに等しいか又はそれよりも大きく、且つ下表に規定する通りであることができる:
点 室温でのBLR% 厚さ
C 93% 1.5mm
D 70% 9mm
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定しない。実施例では、以下の試験方法を用いた。
【0050】
試験方法
DSC測定
示差走査熱量測定(DSC)を実施して、横延伸プロセス前後の材料の結晶状態を測定した。横延伸前の特徴付けを実施して、縦方向延伸プロセスで加える熱調節レベルを求めた。これらの測定を実施するのに、冷蔵装置(TA RCSモデル♯991100.901)を取り付けた、適切な標準を用いて較正したTA示差走査熱量計(モデル♯2920)を用いた。
【0051】
試料は、まずePTFE膜ウエブの中心から、重量約10ミリグラムを切断(手術用メスの刃又はかみそりの刃を用いて)することにより作製した。試料を計るのに使用したはかりは、Mettler AT20 Electronic Microbalanceであった。次に、切断した試料を、アルミニウム試料パン(TA P/N 990999.901)に嵌め込まれるように、それ自体を折り重ねた。試料をパン内に配置し、供給ふたを試料上に置き、ふたを、試料プレスを用いて所定位置にクリンピングした(TAモデル♯900680.902)。次に、試料を、DSC試験チャンバー内に配置した。空のアルミニウム試料パンとふたを、この一連の測定に標準材料として使用した。
【0052】
試料と標準パンを試験チャンバーに挿入したら、試験チャンバー内と周囲の雰囲気を、窒素ガスをパージして置き換えた。試験サイクルを、−20℃で平衡化した後、10℃/分で60℃に上昇させるように設定した。試験の終わりに、熱流(ワット/グラム)の測定値(すなわち、試験しているePTFE試料の実際の質量に対して正規化された出力測定値)対走査中の温度を示すエネルギープロット出力を作製する。TA Instruments社製のUniversal Analysis2000(バージョン3.0G、ビルド3.0.0.93)と称されるプログラムを用いて、ベースラインを、0℃での実測データと45℃での実測データとの間にラインを引くことにより作成する。次に、実測データとベースラインとの間の領域を積分して、エンタルピー値(ジュール/グラム)を得る。このエンタルピー値を使用して、試験されているePTFE物品の状態を表す。このエンタルピー値は、一般的に5〜15ジュール/グラムである。
【0053】
引張強さ(カレンダーテープ)
未延伸カレンダーテープの機械試験を、ePTFE膜に使用したのと同様の方法で実施した。これらの主要な差は、ここで使用した試料の形状大きさは、幅0.635cm×長さ10.16cmの長方形試料であり、ゲージ長が1.27cmであり、クロスヘッドスピード(引っ張り速度)が2540mm/分であることである。データ解析とマトリックスの引張強さの計算は、以下の膜について示すのと同一である。
【0054】
マトリックスの引張強さ(膜について)
ダイパンチを用いて、ePTFE膜ウエブから、長さ165mm×幅15mmの長方形試料を切断することにより、試料を作製した。膜ウエブを、試料が切断される領域においてしわがないように、切断テーブル上に配置した。次に、165mm×15mmダイを、その縦軸が、試験される方向に平行となるように、膜上(一般的にウエブの中心200mm内)に配置した。この刊行物に示されている方向を、縦方向 (MD)(加工中の移動の方向に平行)及び横方向(TD)(加工中の移動の方向に垂直)で測定した。ダイを整列させたら、それに圧力を加えて、膜ウエブを介して切断した。この圧力を除去した後、試験用長方形試料を、検査して、引張試験に影響することがある角欠けがないかどうかを確認した。縦方向で少なくとも3つの試料、横方向に3つの試料を切断して、膜ウエブを特徴付けした。試料を調製したら、それらの質量(Mettler−Toledo化学天秤、モデルAB104を使用)と、厚さ(Kafer−FZ1000/30スナップゲージを使用)を測定した。続いて、Merlin Series IXソフトウエア(バージョン7.51)で動作するInstron5500引張り試験器を用いて各試料を試験して、その引張り特性を測定した。試料を、引張り試験器に挿入し、Instronカタログ2702−015(ゴムをコーティングした面板)及び2702−016(鋸状面板)グリッププレートを用いて、試料の各端が一つのゴムをコーティングした面板と一つの鋸状面板との間に保持されるようにした。グリッププレートにかけた圧力は、約50psiであった。グリップの間のゲージ長さを、50mmに設定し、クロスヘッドスピード(引張り速度)を、508mm/分に設定した。0.1kNロードセルを使用して、これらの測定を実施し、データを、50ポイント/秒の速度で集めた。試験室温度は、68〜72°Fとして、同様の結果が確実に得られるようにした。最後に、試料がグリップ界面で壊れた場合には、そのデータは破棄した。縦方向での少なくとも3つの試料と横方向での3つの試料は、うまく引っ張られて(グリップからスリップしたり、グリップで破壊することなく)、膜ウエブを特徴付けできた。
【0055】
Merlinソフトウエア又は他のデータ解析パッケージを用いて、データ解析と計算を実施した。最初に引張り試験中に試料により支持されることができる最大負荷を見つけた。次に、この最大負荷を、下式により試料の物性(厚さ及び密度)に対して正規化して、マトリックスの引張強さを計算した:
【化1】

(式中、MTS=マトリックスの引張強さ(MPa)、
Fmax=試験中に測定した最大負荷(ニュートン)、
ρo=PTFEの理論密度(2.2グラム/cc)、
l=試料の長さ(cm)、
m=試料の質量(グラム)である)。
【0056】
膜密度
本発明の膜材料例と比較例の密度を測定するために、引張り試料について測定した特性データを使用した。上記したように、165mm×15mmの試料を測定して、それらの質量(Mettler−Toledo化学天秤、モデルAB104を使用)と、厚さ(Kafer−FZ1000/30スナップゲージを使用)を測定した。このデータを用いて、下式により密度を算出できる:
【化2】

(式中、ρ=密度(g/cc)、
m=質量(g)、
w=幅(1.5cm)、
l=長さ(16.5cm)、
t=厚さ(cm)である)。
【0057】
ガスケットの密度
本発明のガスケッチング材料例の密度と比較例の密度を測定するために、寸法が長さ約25.4mm×幅25.4mmである試験片を、例シートから切断した。各試験片の長さ、幅、厚さ及び質量を、測定し、記録した。試験片の密度を、下式から求めた:
密度(g/cc)=質量(g)/容積(cc)
(式中、容積(cc)=長さ(cm)×幅(cm)×厚さ(cm)である)。
【0058】
ガスケットの引張強さ
ASTM D638−00及びASTM F152−95試験法に概略記載されている方法により引張強さを求めた。I型試験片のASTM規格D638−00(プラスチックの引張特性の標準試験法)に準じた寸法の試験片を、ガスケッチング材料例から切り取った。試験片を、シートの縦方向(MD)と横方向(TD)として定義した方向で切り取った。シートの配向がわからないか、又は関連していない場合には、一組の試験片を、シートのエッジの一つと一致させて切り取り、2組目を、一組目に対して90°で切断した。試験片の幅と厚さを、試験片の狭い部分で測定し、記録した。
【0059】
10kNロードセルを備えたInstron試験機を用いて、試験片を試験した。伸長速度は、12インチ/分(305mm/分)に設定し、初期ジョー分離を4インチ(102mm)に設定した。Instron試験機は、負荷と伸長データを自動的に記録した。試験データから、引張強さを、試験中に得られる最大負荷を、試験片の狭い領域の初期断面積により割ることにより求めた:
引張強さ(TS)=最大負荷/断面積
【0060】
報告されている引張強さは、一定の試料について、2つの直交する方向で測定したより高い引張強さである。
【0061】
マトリックスの引張強さ
延伸PTFEから実質的になるガスケット材料のマトリックス引張強さ(MTS)を、下式を用いて算出した:
MTS=TS×(2.2/ρ)
(式中、TS=引張強さ、
ρ=ガスケット材料の密度、
及び2.2は固体PTFEの密度である)。
【0062】
結晶度指数及び配向指数
広角X線散乱を使用して、ガスケット及び膜のPTFE成分の結晶度指数及び配向指数を求めた。全ての測定は、黒鉛モノクロメータ及び0.3mmピンホールコリメータを備えた理学ウルトラ18kW回転アノードX線発生器上に取り付けた理学R軸IV画像プレートX線アナライザーを用いて、透過モードでおこなった。全ての実験について、発生器の動作条件は、50kV及び200mAであった。放射型は、CuKαであった。試料と検出器との間の距離は、125〜135mmに設定し、シリコン粉末標準を用いて較正した。二次元画像データを、理学R軸画像処理ソフトウエアを用いて処理して、ラジアル(I対2θ)スキャン及び方位(I対φ)スキャンを得た。方位スキャンは、Δφ=1.0°の増分で2θ=17.5°〜2θ=19.0°の角度範囲について積分することにより集めて、繊維軸の方向の配向に関連する、ポリテトラフルオロエチレンの100面における配向度を求めた。ラジアルスキャンは、典型的にはΔ2θ=0.044°の増分で2θほぼ0°〜2θほぼ55°の角度範囲にわたって積分することにより集めた。
【0063】
膜試料は、幅約2.54cmのストリップを切断し、積層することにより作製した。スタックにおける全てのストリップを、最初の膜試料の縦方向と横方向に対して同じ方向に整列した。大きなシートから、エッジを縦方向と横方向にほぼ平行に整列させた状態で、ほぼ0.5cm×0.5cm角片を切り取った後、それらをそれらの面に対して平行にスライスして総試料厚さをほぼ0.6〜1.0mmに減少させることにより試料をセクショニングすることにより、ガスケット試料を作製した。全ての試料について、X線ビームを、MDとTDの両方に垂直であるガスケット又は膜のシートに対して直角の方向に平行にあてて測定して、平面配向及び平面結晶度についての情報を得た。便宜上、膜試料は、MDを水平に配置した状態で測定し、ガスケット試料は、MDを垂直に配置した状態で測定した。
【0064】
結晶度指数は、Materials Data社製Jade6.1コマーシャルXRD処理ソフトウエアを用いてI対2θスキャンのピークフィッティングにより得た。スキャンを、ソフトウエアプログラムに読み込み、さらなる処理なしにフィッティングさせた。フィッティングは、以下の手順でおこなった。プロファイルフィッティングレンジを、2θ=12°〜22.0°に限定し、線形バックグラウンドを、2θ=12°及び2θ=22°での測定強度と一致するように規定した。このバックグラウンドは、空気散乱、及びフィッティング範囲にわたって直線である「ブランク」スキャンから求めた検出器の読取ノイズによる強度寄与を考慮する必要がある。2つの初期ピークを、ほぼ18.2°及びほぼ16.5°で挿入し、それぞれ結晶部分及び非晶質ピークの100ピークの位置を近似した後、プロファイルフィッティング関数を使用して、ピークをスキャンにフィッティングさせた。PearsonVII関数を使用して、両方のピークをフィッティングした。これは、最初に両方のピークの形状とスキューを統合し、同時に線形バックグラウンド及び高さ、2θ位置、最大半減強度(FWHM)での全幅、形状及びスキューをフィッティングした後、最初にピークスキューを統合する条件をリリースした後、ピーク形状を統合する条件をリリースすることによりさらにプロファイルを微調整した。このフィッティングシーケンスを用いて、非晶質及び結晶ピークの両方の高度に再現性のあるフィッティングを、2.5%以下のフィッティング値の残留誤差で得た。典型的なフィッティングプロファイルを、図19に示す。次に、結晶度指数を、フィッティングした100の結晶ピーク(A100)下の面積及びフィッティングした非晶質ピーク(Aamorphous)下の面積から、式[1]に従って計算した:
結晶度指数={A100/(A100+Aamorphous)}×100% [1]
結晶度指数は、このようにして、膜試料とガスケット試料の両方について求めた。
【0065】
配向度は、2つの異なるパラメータである配向角指数及び方位強度比指数を用いて、I対φ方位スキャンから定量化した。代表的な方位スキャンを、図20及び図21に示す。図21に示すような方位スキャンにおける4つの強度ピークが現れることは、例えばMD及びTDの両方において、異なる2方向の結晶配向を表す。これは、本発明による単層膜材料に独特の特徴であると思われる。
【0066】
各方位スキャンについて、ピーク強度(Ipeak)、最小測定強度(Imin)、及びその方位スキャンのバックグラウンド強度(Iφ-bkg)を表す強度値を明らかにする。方位スキャンについてのバックグラウンド強度を、I対2θ積分強度スキャンから抽出する。これには、非晶質寄与、空気散乱、及び検出器読取ノイズからの寄与が含まれる。非晶質寄与は、Iφ-bkgを算出する目的には合っていないと思われる。Iφ-bkgは、方位強度を算出する範囲の直前と後の範囲のI対2θスキャンにおけるデータ点の平均強度から求める。より詳細には、Iφ-bkgは、方位スキャン積分範囲(2θ=17.5°〜19.0°)の全ての2θ値についての方位スキャンにおける強度の合計について正規化し、全360°方位範囲にわたって積分した総強度を360Δφ=1.0°値に分割した、17.0°≦2θ≦17.5°及び19.0°≦2θ≦19.5°のI対2θスキャンにおけるデータ点に対応する強度値の平均の平均値に等しい。最小測定強度Iminは、ビーム停止による物理的ブロッキングに相当する見かけ上低い強度値をデータセットから除去した後の、I対φプロットについて観察される2つの最低強度最小値の各々に相当する最小数値強度値の平均として定義される。ピーク強度Ipeakは、I対φプロット上の観察される強度ピークに相当する最大数値強度値に等しいように単純に選択した。
【0067】
各I対φスキャンにおける2つの最高強度ピークについては、最大ピーク強度半減での全幅を、ピークのどちらかの側のIpeak/2に最も近い強度値に相当する角度の差から求める。これらの2つのFWHM値を平均して、配向角指数を得る。方位強度比は、式[2]により定義される:
方位強度比=(Imin〜Iφ-bkg)/(Ipeak〜Iφ-bkg) [2]
【0068】
方位強度比は、各I対φスキャンに存在する2つの最高強度ピークについて算出し、平均して方位強度比指数を得た。この指数により、一定方向に配向した材料の結晶部の割合の、ランダム配向材料の結晶部の割合に対する目安が得られる。材料の結晶部分が完全に方向配向し、Imin〜Iφ-bkgであるときにほぼゼロの値をとり、材料が完全にランダムに配向し、Ipeak〜Iminであるときにほぼ1の値をとる。
【0069】
ボルト負荷保持率
ボルト負荷保持率試験では、経時的に且つ熱サイクルを介して、ガスケット試料についての圧縮負荷の量を測定する。熱サイクルは、室温から規定の高温までのランプセグメント、高温での規定の保持時間、及び室温へのクールダウンセグメントからなる。試験ガスケットへの負荷は、ガスケット材料の応力緩和特性に基づく試験により異なる。
【0070】
環状試験片を、切断して外径4.125”(104.8mm)、内径2.375”(60.3mm)のANSI2”x150ポンドクラスのリング状ガスケット寸法とした。試験ガスケットを、250RMSの表面仕上げの2つのブラインドカーボンスチールANSI2”x150ポンドクラスのフランジの間に配置した。ガスケット/フランジを、プラテンプレスにローディングした。プラテンプレスは、電気カートリッジヒーターを有し、ロードキャパシテーが60,000ポンドであるプラテンを備えていた。フランジを、3分間かけて一定速度で約46,100ポンドの初期負荷まで圧縮した。初期負荷に達したら、プラテンの温度を、100℃まで増加させた。温度を、少なくとも4時間、最大で8時間保持した。高温での保持時間の終わりに、プラテンを室温に冷却した。プラテンが室温(約23℃)になったら、試験を完了させ、ガスケットをプレス及びフランジから除去した。
【0071】
ガスケットに対する負荷を測定し、試験全体を通じて電子的に記録した。ボルト負荷保持率(BLR%)を、室温でのガスケットに対する最終負荷を初期負荷で割り、100をかけて得た値として定義する:
BLR%=(室温での最終負荷/初期負荷)x100%。
【0072】
ボルト負荷保持試験の結果により、異なるガスケット材料のクリープ及び応力緩和特性を比較するための手段が得られる。高分子材料におけるクリープ及び応力緩和は質量に依存するので、公称の市販のガスケット厚さ、例えば1mm〜6mmの範囲の厚さの試験片を、作製し、試験した。本発明例からの異なる厚さの試験片を作製するために、ePTFE膜の層を、環状リングを切り取る前にガスケット材料シートから除去して、本発明例に記載のシート材料の初期厚さよりも小さい厚さの試験片を作製した。本発明の試料のガスケット材料の最初の厚さよりも大きな厚さの試験片を作製するために、膜層を必要に応じて除去しながら、環状リングを、所望の厚さとなるまで積層した。ボルト負荷保持試験を実施する前に、試験片の厚さ及び質量を測定し、記録した。
【0073】
シール応力試験
y値としても知られているガスケットの「シール応力」は、規定の内圧及び周囲条件での初期気密シールを得るためのガスケットに対して必要とする圧縮応力の量である。図22は、例のガスケット材料についてのシール応力値を測定するのに使用される装置101を示す。気密又は空気不透過性シールは、ここでは試験装置のマノメータにおける流体レベルにより示される実質的に漏れのないこととして定義される。これらの試験方法は、ASTM F37−00の試験法(ガスケット材料のシール性についての標準試験方法)に基づいて開発された。
【0074】
この試験のために、環状試験ガスケット試料102を、例のガスケット材料シートから、環状試験ガスケットの内径が約2.38インチ(60.5mm)及び外径が約4.13インチ(105mm)となるように切り取った。各試験ガスケット試料の厚さと質量を、測定し、記録した。ガスケットの応力は、ガスケットに対する負荷を、公称内径及び外径により定義される初期ガスケット面積により割ることにより求めた。
【0075】
試験ガスケットを、下試験プラテン103上の中心に配置した。上試験プラテン104を、次に中心位置から試験ガスケットが動かないように注意しながら、試験ガスケットの上部に配置した。試験プラテンは、表面仕上げ面の平滑度は少なくともRMS32であった。次に、ガスケット/試験プラテンアセンブリを、プラテンプレスにおける上プラテン105と下プラテン106との間に配置し、負荷表示トランスデューサ上にプレスプラテンを中心とした。予め選択した初期負荷を、ほぼ1分間にわたって定率でガスケットにかけた。初期負荷を、種々のガスケット材料についての経験に基づく初期負荷として選択した。初期負荷を、1分間待機してガスケット材料の初期緩和した後にガスケットに再びかけた。圧縮空気を、空気レギュレータ107及びバルブ108、109及び110を介して試験ガスケットに供給した。空気ライン111を、下試験プラテン上のフィッティングに接続した。バルブ108、109及び110を、完全に開いた。レギュレータ107を調整して、ゲージ112の圧力を30psig(207kPa)とした。次に、バルブ107を閉めた。この時点で、マノメータ113のレベルをチェックして、システムにおける差圧がゼロとなるようにした。次に、バルブ109を閉めて、漏れ試験を開始した。漏れは、マノメータの流体レベルの変化により確認した。
【0076】
漏れが存在していたら、空気圧を、システムから放出し、ガスケットに対する負荷を増加した。再び、圧縮空気をガスケットに供給し、マノメータをチェックして漏れがないかどうかを調べた。これらの工程を、漏れが生じない場合の負荷となるまで負荷を増加して反復した。初期漏れが発生しない負荷となったら、試験ガスケットに対する空気圧と負荷を、30分間維持して確実に実質的に漏れのないようにした。30分後に、マノメータレベルが実質的に変化しないときに、「シール応力」値に達したとした。
【0077】
ガスケットのクリープ
ガスケット材料例のクリープを、DIN28090−2に規定されている試験法に準じて測定した。試験ガスケットを、内径49mm、外径92mm、公称厚さ1.6mmの例のシートから切断した。DIN28090−2試験法では、ガスケット材料の変形特性、具体的にクリープを試験する。クリープは、応力を一定として歪みを増加したときの過渡的応力−歪み状態として、ASTM国際規格F118−97に定義されている。DIN28090−2法における試験ガスケットにかけられている応力は、圧縮的である。したがって、ガスケット材料におけるクリープによる圧縮応力下での歪みが変化すると、試験ガスケットの厚さが減少する。
【0078】
DIN28090−2試験の試験装置は、力測定セルを備えたコンピュータ制御油圧プレス、2つの独立した加熱プレート及びガスケット高さキャリパーから構成されていた。ガスケットを、圧縮負荷を、内径55mm、外径75mm、表面仕上げRz<6.3μmの表面にかけるように構成させた一対のプレートの間で試験した。ガスケットに、1Mpaのプレロードを1分間かけた。次に、25Mpaのメインロードを、5分間かけた。次に、負荷を、5分間1Mpaに戻した。メインロードを再びかけ、16時間保持した。第二のメインロード中、温度を、5K/分の速度で150℃に増加し、16時間保持した。
【0079】
クリープ%は、メインロードの第一印加の保持時間の終了時と、メインロードの第二印加の保持時間の終了時のガスケット試料の厚さ変化%として定義される。
【0080】
デューロメーター硬度
種々のガスケット材料例のデューロメーターを、カリフォルニア州ロサンゼルスにあるPacific Transducer社から入手したPTCインストルメントA型デューロメーターモデル♯306Lを用いて測定した。公称厚さ1/8インチ(3mm)の試験試料を、例のガスケット材料シートから切断し、ほぼ0.5インチ(12.7mm)離れた3つの位置で試験した。デューロメーター試験器を試料上に配置し、試験器を軽く手で押して、試験器のベースを試験試料の表面に接触させた。デューロメーター読取値(ショアAスケール)を、試験器のダイヤルゲージから読取り、記録した。また、各試験試料の厚さも、測定し、記録した。
【0081】
圧縮性
例のガスケット材料の圧縮性を、試験試料を、規定の応力に短時間圧縮することにより求めた。以下に記載の方法は、ASTM F 36−99(ガスケット材料の圧縮性及び回復の標準試験法)に記載の試験法に基づいて開発された。
【0082】
環状試験片を、例のガスケット材料シートから、環状試験片が、内径約0.5インチ(12.7mm)、外径約1インチ(25.4mm)、公称厚さ1/16インチ(1.5mm)となるように切り取った。より厚い寸法のガスケットについては、層を除去してこの公称厚さとなるようにした。各試験片の初期厚さを、測定し、記録した。試験片を、試験装置の下プラテン上に置き、中心に配置した。長さ約0.25インチ(6.4mm)のはんだプラグを、試験片の内径内の下プラテン上に配置した。はんだを使用して、負荷下での試験片の圧縮厚さとした。はんだは、負荷を除いた後を厚さの顕著な回復を示さない。したがって、負荷を除去した後のはんだプラグの厚さを、主要負荷下での圧縮厚さと等しくした。試験は、3つの部分から構成されていた。第一の部分では、試験片に、約500psi(3.4MPa)で15秒間負荷をかけるプレロード部分であった。第二の部分では、約2500psi(17.2MPa)の応力の主負荷を60秒間加えた。第三の部分では、負荷を約500psi(3.4MPa)のプレロードレベルに60秒間戻した。試験が完了した後、試験片とはんだプラグの最終厚さを、測定し、記録した。材料の圧縮率を、下式から算出した:
圧縮率(%)=(初期厚さ−圧縮厚さ)/初期厚さ×100。
【0083】
膜の比較例
従来技術の膜を得て、試験した。従来技術の膜AとBを、米国特許第3953566号の教示により作製し、従来の膜CとDを、米国特許第5476589号の教示により作製した。
【0084】
【表1】

【0085】
例1
以下の工程を順次実施することにより、延伸PTFE膜を製造した:
1.PTFE微粉末(PTFE601A、デラウエア州ウィルミントンにあるDupont社製)と、滑剤(Isopar K、テキサス州ヒューストンにあるExxon社製)(130cc/ポンドの割合)とを、配合すること。
2.滑剤添加粉末を圧縮して、円筒形状とすること。
3.135:1の縮小率でペースト押出しすること。
4.カレンダー加工して厚さ0.018インチとすること。
5.210℃に設定した対流オーブンで、テープを乾燥。
6.325℃加熱帯により分離した2つのローラーバンクの間でテープを縦方向に延伸すること。
7.縦方向に延伸したテープを、テープが縦方向に収縮しないように拘束しながら、335℃の加熱帯で横方向に延伸すること。
8.延伸したテープを、拘束しながら380℃の加熱帯にさらすこと。
【0086】
縦方向及び横方向の延伸速度は、それぞれ39.7%/秒及び56.2%/秒であった。縦方向及び横方向についての延伸比は、それぞれ6.05:1及び16.1:1であった。
【0087】
引張強さを、カレンダーテープ試料について、歪み速度20000%/分で測定した。膜試料の引張強さを、歪み速度1016%/分で測定した。乾燥カレンダーテープの引張強さは、縦方向が約5520psi(38MPa)であり、横方向が1760psi(12.1Mpa)であった。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約223MPa、横方向が200MPaであった。膜密度は、0.27g/ccであった。
【0088】
配向指数は42.8°であり、結晶度指数は61.2%であった。
【0089】
例2
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ4.1:1及び7.6:1であった。
【0090】
カレンダー加工テーププロセス条件を同じにして、ほぼ同じ縦方向強さ及び横方向強さを得た。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約186MPa、横方向が175MPaであった。膜密度は、0.38g/ccであった。配向指数は27.62°であり、結晶度指数は55.06%であった。
【0091】
例3
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ4.75:1及び15.3:1であった。
【0092】
カレンダー加工テーププロセス条件を同じにして、ほぼ同じ縦方向強さ及び横方向強さを得た。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約185MPa、横方向が250MPaであった。膜密度は、0.28g/ccであった。配向指数は50.33°であり、結晶度指数は61.95%であった。
【0093】
例4
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ8:1及び17.2:1であった。
【0094】
カレンダー加工テーププロセス条件を同じにして、ほぼ同じ縦方向強さ及び横方向強さを得た。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約245MPa、横方向が287MPaであった。膜密度は、0.32g/ccであった。配向指数は20.27°であり、結晶度指数は68.67%であった。
【0095】
例5
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。滑剤添加率は、120cc/ポンドであった。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ4.75:1及び16.1:1であった。
【0096】
本例で得られた乾燥カレンダーテープは、引張強さが、縦方向が約5860psi(40.4MPa)であり、横方向が1840psi(12.7MPa)であった。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約203MPa、横方向が231MPaであった。膜密度は、0.28g/ccであった。
【0097】
例6
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。滑剤添加率は、120cc/ポンドであった。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ7.35:1及び22.4:1であった。
【0098】
本例の得られた乾燥カレンダーテープは、引張強さは、縦方向が約5860psi(40.4MPa)であり、横方向が1840psi(12.7MPa)であった。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約235MPa、横方向が294MPaであった。膜密度は、0.38g/ccであった。配向指数は20.35°であり、結晶度指数は70.02%であった。
【0099】
例7
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ8:1及び7.1:1であった。
【0100】
カレンダー加工テーププロセス条件を同じにして、ほぼ同じ縦方向強さ及び横方向強さを得た。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約310MPa、横方向が77MPaであった。膜密度は、0.28g/ccであった。配向指数は27.34°であり、結晶度指数は61.51%であった。
【0101】
例8
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ1.5:1及び10.4:1であった。このテープを、カレンダー加工して厚さを0.008インチとした。
【0102】
乾燥カレンダーテープは、引張強さが、縦方向が約9620psi(66.3MPa)であり、横方向が1400psi(9.7MPa)であった。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約90MPa、横方向が280MPaであった。膜密度は、0.55g/ccであった。配向指数は16.12°であり、結晶度指数は57.17%であった。
【0103】
例9
別の膜を、以下の事柄を除いて、例1と同様にして作製した。縦方向及び横方向の延伸比は、それぞれ6.7:1及び14.3:1であった。
【0104】
カレンダー加工テーププロセス条件を同じにして、ほぼ同じ縦方向強さ及び横方向強さを得た。最終的な膜のマトリックス引張強さは、縦方向が約251MPa、横方向が258MPaであった。膜密度は、0.31g/ccであった。配向指数は35.88°であり、結晶度指数は66.77%であった。
【0105】
例1〜9に関係するプロセス及び膜特性データを、下表に示す:
【表2】

【表3】

【表4】

【0106】
ガスケットの比較例
従来技術のガスケットを得て、機械特性について試験した。試験結果を下表に示す:
【表5】

【表6】

【0107】
例10
ガスケット材料を、例4の膜を利用して構成した。約143層のePTFE膜を、ステンレス鋼マンドレルに、膜の縦方向がマンドレルの周囲に配向するようにラッピングした。マンドレルは、外径が約600mmであり、長さが約1370mmであった。膜層を、マンドレルの端部に固定して、高温で膜が収縮しないように拘束した。膜とマンドレルを、365℃に設定した強制空気オーブンに約45分間入れた。オーブンから取り出し、冷却した後、ePTFE材料を、マンドレルの両端で、円周方向に切断した後、マンドレルの長さに沿って切断した。次に、延伸PTFEを、シート状マンドレルから取り出した。
【0108】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、53.3MPa(MTS=186.3MPa)であった。横方向のガスケット材料の引張強さは、64.5MPa(MTS=225.2MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、64.5MPa(MTS=225.2MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ2.0mm及び0.63g/ccであった。ガスケット材料の結晶度指数は、69.5%であった。
【0109】
本例の公称厚さ1mmのガスケット(すなわち、この公称厚さとするために層を除去)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は93.35%であった。本例の公称厚さ1.5mmのガスケット(層を除去)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は93.17%であり、シール応力値が18.4MPaであった。本例の公称厚さ3mmのガスケット(層を積層して形成)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は88.5%であった。本例の公称厚さ6mmのガスケット(層を積層して形成)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は83.95%であった。圧縮率を測定したところ、63.3%であった。圧縮率を測定するのに使用した試料の厚さは、平均で1.69mmであった。クリープを測定したところ、3.1%であった。クリープ試料の厚さは、1.84mmであった。デューロメーターを測定したところ、67であった。デューロメーター試料の厚さは、2.92mmであった。
【0110】
例11
以下の事柄を除いて、例10に記載のプロセスに従って、別のガスケット材料を作製した。例3の膜を約130層、マンドレルの円周方向にラッピングした。
【0111】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、43.9MPa(MTS=146.4MPa)であった。横方向のガスケット材料の引張強さは、50.3MPa(MTS=167.7MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、50.3MPa(MTS=167.7MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ3.3mm及び0.66g/ccであった。ガスケット材料の結晶度指数は、62.7%であった。
【0112】
本例の公称厚さ1mmのガスケット(層を除去)を測定したところ、ボルト負荷保持率値は93.25%であった。公称厚さ3mmのガスケット(層を除去)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は86.77%であり、シール応力値が22.5MPaであった。公称厚さ6mmのガスケット(層を積層)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は69.40%であった。圧縮率を測定したところ、61.0%であった。圧縮率を測定するのに使用した試料の厚さは、平均で1.69mmであった。デューロメーターを測定したところ、66であった。デューロメーター試料の厚さは、2.82mmであった。
【0113】
例12
以下の事柄を除いて、例10に記載のプロセスに従って、別のガスケット材料を作製した。例1の膜を約110層、マンドレルの円周方向にラッピングした。
【0114】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、42.7MPa(MTS=177.3MPa)であった。横方向のガスケット材料の引張強さは、42.4MPa(MTS=176.0MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、42.7MPa(MTS=177.3MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ2.3mm及び0.53g/ccであった。ガスケット材料の結晶度指数は、60.83%であった。
【0115】
本例の公称厚さ1mmのガスケット(層を除去)を測定したところ、ボルト負荷保持率値は93.10%であった。公称厚さ1.5mmのガスケット(層を除去)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は91.33%であり、シール応力値が20.2MPaであった。公称厚さ3mmのガスケット(層を積層)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は86.03%であった。圧縮率を測定したところ、64.9%であった。圧縮率を測定するのに使用した試料の厚さは、平均で1.59mmであった。デューロメーターを測定したところ、67であった。デューロメーター試料の厚さは、2.74mmであった。
【0116】
例13
以下の事柄を除いて、例10に記載のプロセスに従って、別のガスケット材料を作製した。例7の膜を約40層、マンドレルの円周方向にラッピングした。また、異なるマンドレルサイズを使用した。マンドレルの外径と長さの両方とも、約600mmであった。
【0117】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、54.6MPa(MTS=230.9MPa)であった。横方向のガスケット材料の引張強さは、13.4MPa(MTS=56.7MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、54.6MPa(MTS=230.9MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ2.3mm及び0.52g/ccであった。
【0118】
本例の公称厚さ1.5mmのガスケット(層を除去)を測定したところ、ボルト負荷保持率値は90.90%であった。公称厚さ2mmのガスケット(層を積層)を、測定したところ、シール応力値が20.2MPaであった。公称厚さ3mmのガスケット(層を積層)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は87.45%であった。デューロメーターを測定したところ、51であった。デューロメーター試料の厚さは、3.56mmであった。
【0119】
例14
以下の事柄を除いて、例10に記載のプロセスに準じて、別のガスケット材料を作製した。外径600mm、長さ600mmのマンドレルを、使用した。シートの構成において、2つの異なる膜を使用した。例7の膜を約22層と、例8の膜を約22層とを、マンドレルの円周方向にラッピングした。一つのペイオフスプールを、他の上に配置し、両種類の膜が、マンドレル上に一緒に供給されることにより、膜の交互層を形成した。
【0120】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、32.7MPa(MTS=138.3MPa)であった。横方向のガスケット材料の引張強さは、28.8MPa(MTS=121.8MPa)であった。したがって、製造したガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、32.7MPa(MTS=138.3MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ1.9mm及び0.52g/ccであった。
【0121】
公称厚さ1.5mmのガスケットを、測定したところ、シール応力値が23.8MPaであった。公称厚さ3mmのガスケット(層を積層)を、測定したところ、ボルト負荷保持率値は87.07%であった。
【0122】
例15
以下の事柄を除いて、例10に記載のプロセスに従って、別のガスケット材料を作製した。例6の膜を約250層、外径と長さが約600mmであるマンドレルの円周方向にラッピングした。
【0123】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、44.1MPa(MTS=183.1MPa)であった。横方向(TD)のガスケット材料の引張強さは、61.1MPa(MTS=253.5MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、61.1MPa(MTS=253.5MPa)であった。製造したガスケット材料の厚さと結晶度指数は、それぞれ3.13mm及び73.6%であった。
【0124】
公称厚さ3mmのガスケットを、測定したところ、ボルト負荷保持率値は91.87%であり、シール応力値が24.8MPaであった。公称厚さ6mmのガスケットを、測定したところ、ボルト負荷保持率値は79.0%であった。デューロメーターを測定したところ、67であった。デューロメーター試料の厚さは、3.30mmであった。
【0125】
例16
ガスケット材料を、例5の膜と、カレンダー加工して中の細孔を減少させた延伸PTFEシートとを用いて、米国特許第6485809号(Minor等)の教示に従って構成した。細孔が減少した延伸PTFEシートを、固定ギャップで分離された2つのローラーの間で3層のePTFE膜をカレンダー加工することにより製造した。減少した細孔延伸PTFEシートを製造するのに使用した延伸PTFE膜は、米国特許第3953566号(Gore)の教示により製造した。延伸PTFE膜の厚さ及び密度は、それぞれ0.082mm及び0.4g/ccであった。3層の膜層をカレンダー加工した後の減少した細孔延伸PTFEシートは、厚さが0.045mmであり、密度が1.85g/ccであった。一層のシートを、外径が約1000mm、長さが約1600mmであるステンレス鋼マンドレルの周囲にラッピングした。
【0126】
次に、例5の膜の約104層を、上記でラッピングした減少した細孔延伸PTFEシートの上部にラッピングした。次に、減少した細孔ePTFEシートからなる第二層を、ePTFE膜の上層上にラッピングした。別の例5のePTFE膜からなるほぼ110層を、第二のほぼ非多孔質ePTFEシートの上部にラッピングした。これらの層を、マンドレルの端部で固定して高温で収縮しないようにした。ePTFE層を、365℃に設定した強制空気オーブン中、約55分間焼結した。冷却後、ePTFE材料を、マンドレルの両端で円周方向に切断した後、マンドレルの長さに沿って切断し、複合シートの形態で取り出した。この複合シートを、第二の減少した細孔延伸PTFEシート層と第二の例5の膜からなるほぼ110層との間の界面で複合シートを剥離することにより、複合シートを2つに分離した。減少した細孔延伸PTFEシートからなる2層の外層と例5の膜からなる約104層を備えたシートにより、本例のガスケット材料を構成した。
【0127】
ガスケット材料から切断した後、ボルト負荷保持率とシール応力の測定用試料を、米国特許第6485809号(Minor等)に教示されているように、内径に沿って圧縮して、低シール応力ガスケット構成物を完成させた。公称厚さ3mmのガスケットを測定したところ、ボルト負荷保持率が88.5%であり、シール応力が9.7MPaであった。デューロメーターを測定したところ、73であった。デューロメーター試料の厚さは、2.54mmであった。
【0128】
例17
本例のガスケット材料は、例16に記載の複合シートから分離したePTFE膜からなる約110層を有するものであった。
【0129】
縦方向(MD)におけるガスケット材料の引張強さは、45.4MPa(MTS=146.9MPa)であった。横方向(TD)のガスケット材料の引張強さは、51.8MPa(MTS=167.5MPa)であった。したがって、ガスケット材料の報告された引張強さ(最高)は、51.8MPa(MTS=167.5MPa)であった。製造したガスケット材料の平均厚さ及び密度は、それぞれ2.5mm及び0.68g/ccであった。
【0130】
公称厚さ3mmのガスケット(層を積層)を測定したところ、ボルト負荷保持率値は87.64%であった。デューロメーターを測定したところ、69であった。デューロメーター試料の厚さは、2.36mmであった。
【0131】
例10〜17に関するガスケット材料特性データを、下表に示す:
【表7】

【表8】

【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTFEを含む膜であって、少なくとも一方向におけるマトリックスの引張強さが少なくとも25,000psiであり、
2つの直交方向におけるマトリックスの引張強さ比が約0.25〜4であり、
配向指数が約50°以下であり、そして
密度が約2.0g/cc以下である、
膜。
【請求項2】
配向指数が、40°以下である、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
配向指数が、30°以下である、請求項2に記載の膜。
【請求項4】
配向指数が、20°以下である、請求項3に記載の膜。
【請求項5】
結晶度指数が、60%以上である、請求項1に記載の膜。
【請求項6】
結晶度指数が、65%以上である、請求項5に記載の膜。
【請求項7】
結晶度指数が、70%以上である、請求項6に記載の膜。
【請求項8】
密度が、約1.0g/cc以下である、請求項1に記載の膜。
【請求項9】
密度が、約0.5g/cc以下である、請求項8に記載の膜。
【請求項10】
エンタルピーが、少なくとも約9.0ジュール/グラム(J/g)である、請求項1に記載の膜。
【請求項11】
エンタルピーが、少なくとも10.0J/gである、請求項10に記載の膜。
【請求項12】
エンタルピーが、少なくとも11.0J/gである、請求項11に記載の膜。
【請求項13】
PTFEを含む膜であって、少なくとも一方向におけるマトリックスの引張強さが少なくとも約34,000psiであり、
2つの直交方向におけるマトリックスの引張強さ比が約0.25〜4であり、
密度が約2.0g/cc以下である、
膜。
【請求項14】
配向指数が、50°以下である、請求項13に記載の膜。
【請求項15】
配向指数が、40°以下である、請求項14に記載の膜。
【請求項16】
配向指数が、30°以下である、請求項15に記載の膜。
【請求項17】
結晶度指数が、60%以上である、請求項13に記載の膜。
【請求項18】
結晶度指数が、65%以上である、請求項17に記載の膜。
【請求項19】
結晶度指数が、70%以上である、請求項18に記載の膜。
【請求項20】
密度が、約1.0g/cc以下である、請求項13に記載の膜。
【請求項21】
密度が、約0.5g/cc以下である、請求項20に記載の膜。
【請求項22】
エンタルピーが、少なくとも約9.0ジュール/グラム(J/g)である、請求項13に記載の膜。
【請求項23】
エンタルピーが、少なくとも10.0J/gである、請求項22に記載の膜。
【請求項24】
エンタルピーが、少なくとも11.0J/gである、請求項23に記載の膜。
【請求項25】
PTFEを含む膜であって、少なくとも一方向におけるマトリックスの引張強さが少なくとも約44,800psiであり、
2つの直交方向におけるマトリックスの引張強さ比が約0.25〜4であり、
密度が約2g/cc以下である、
膜。
【請求項26】
配向指数が、50°以下である、請求項25に記載の膜。
【請求項27】
配向指数が、40°以下である、請求項26に記載の膜。
【請求項28】
配向指数が、30°以下である、請求項27に記載の膜。
【請求項29】
結晶度指数が、60%以上である、請求項25に記載の膜。
【請求項30】
結晶度指数が、65%以上である、請求項29に記載の膜。
【請求項31】
結晶度指数が、70%以上である、請求項30に記載の膜。
【請求項32】
密度が、約1.0g/cc以下である、請求項25に記載の膜。
【請求項33】
密度が、約0.5g/cc以下である、請求項32に記載の膜。
【請求項34】
エンタルピーが、少なくとも約9.0ジュール/グラム(J/g)である、請求項25に記載の膜。
【請求項35】
エンタルピーが、少なくとも10.0J/gである、請求項34に記載の膜。
【請求項36】
エンタルピーが、少なくとも11.0J/gである、請求項35に記載の膜。
【請求項37】
PTFEの単層から実質的になる膜であって、少なくとも一方向のマトリックスの引張強さが少なくとも25,000psiであり、
2つの直交方向におけるマトリックスの引張強さ比が約0.25〜4であり、
密度が約2.0g/cc以下である、
膜。
【請求項38】
配向指数が、50°以下である、請求項37に記載の膜。
【請求項39】
配向指数が、40°以下である、請求項38に記載の膜。
【請求項40】
配向指数が、30°以下である、請求項39に記載の膜。
【請求項41】
結晶度指数が、60%以上である、請求項37に記載の膜。
【請求項42】
結晶度指数が、65%以上である、請求項41に記載の膜。
【請求項43】
結晶度指数が、70%以上である、請求項42に記載の膜。
【請求項44】
密度が、約1.0g/cc以下である、請求項37に記載の膜。
【請求項45】
密度が、約0.5g/cc以下である、請求項44に記載の膜。
【請求項46】
エンタルピーが、少なくとも約9.0ジュール/グラム(J/g)である、請求項37に記載の膜。
【請求項47】
エンタルピーが、少なくとも10.0J/gである、請求項46に記載の膜。
【請求項48】
エンタルピーが、少なくとも11.0J/gである、請求項47に記載の膜。
【請求項49】
PTFEを含むガスケットであり、
厚さが、約1.5mm〜約9mmの範囲であり、
圧縮率が、少なくとも約40%であり、
ボルト負荷保持率対厚さが、図18に示され且つ下表に定義されるA点とB点とを結ぶ線に等しいか、又はそれよりも大きい、ガスケット:
点 RTでのBLR% 厚さ
A 92% 1.5mm
B 52% 9mm
【請求項50】
前記ガスケットの結晶度指数が、少なくとも約60%である、請求項49に記載のガスケット。
【請求項51】
前記ガスケットの少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、請求項49に記載のガスケット。
【請求項52】
前記ガスケットのデューロメーターが、約85以下である、請求項49に記載のガスケット。
【請求項53】
前記ガスケットのマトリックスの引張強さが、少なくとも約22,000psi(151.7MPa)である、請求項49に記載のガスケット。
【請求項54】
前記ガスケットが、実質的にPTFEからなる、請求項49に記載のガスケット。
【請求項55】
前記ガスケットのボルト負荷保持率対厚さが、図18に示され且つ下表に定義されるC点とD点とを結ぶ線に等しいか、又はそれよりも大きい、請求項49に記載のガスケット:
点 RTでのBLR% 厚さ
C 93% 1.5mm
D 70% 9mm
【請求項56】
前記ガスケットの結晶度指数が、少なくとも約60%である、請求項55に記載のガスケット。
【請求項57】
前記ガスケットの少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、請求項55に記載のガスケット。
【請求項58】
前記ガスケットのデューロメーターが、約85以下である、請求項55に記載のガスケット。
【請求項59】
前記ガスケットのマトリックスの引張強さが、少なくとも約22,000psi(151.7MPa)である、請求項55に記載のガスケット。
【請求項60】
前記ガスケットが、実質的にPTFEからなる、請求項55に記載のガスケット。
【請求項61】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが1.5mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約91%であり、圧縮率が少なくとも40%である、ガスケット。
【請求項62】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが2mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約90%であり、圧縮率が少なくとも40%である、ガスケット。
【請求項63】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが3mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約85%であり、圧縮率が少なくとも40%である、ガスケット。
【請求項64】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが6mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約65%であり、圧縮率が少なくとも40%である、ガスケット。
【請求項65】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが1.5mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約91%であり、デューロメーターが85以下である、ガスケット。
【請求項66】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが2mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約90%であり、デューロメーターが85以下である、ガスケット。
【請求項67】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが3mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約85%であり、デューロメーターが85以下である、ガスケット。
【請求項68】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが6mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約65%であり、デューロメーターが85以下である、ガスケット。
【請求項69】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが1mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約93%であり、圧縮率が少なくとも40%であり、結晶度指数が少なくとも約60%である、ガスケット。
【請求項70】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが1mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約93%であり、圧縮率が少なくとも40%であり、少なくとも一方向の引張強さが少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、ガスケット。
【請求項71】
前記ガスケットの結晶度指数が、少なくとも約60%である、請求項61に記載のガスケット。
【請求項72】
前記ガスケットの少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、請求項61に記載のガスケット。
【請求項73】
前記ガスケットの結晶度指数が、少なくとも約60%である、請求項62に記載のガスケット。
【請求項74】
前記ガスケットの少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、請求項62に記載のガスケット。
【請求項75】
前記ガスケットの結晶度指数が、少なくとも約60%である、請求項63記載のガスケット。
【請求項76】
前記ガスケットの少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、請求項63に記載のガスケット。
【請求項77】
前記ガスケットの結晶度指数が、少なくとも約60%である、請求項64に記載のガスケット。
【請求項78】
前記ガスケットの少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、請求項64に記載のガスケット。
【請求項79】
前記ガスケットの結晶度指数が、少なくとも約60%である、請求項65に記載のガスケット。
【請求項80】
前記ガスケットの少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、請求項65に記載のガスケット。
【請求項81】
前記ガスケットの結晶度指数が、少なくとも約60%である、請求項66に記載のガスケット。
【請求項82】
前記ガスケットの少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、請求項66に記載のガスケット。
【請求項83】
前記ガスケットの結晶度指数が、少なくとも約60%である、請求項67に記載のガスケット。
【請求項84】
前記ガスケットの少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、請求項67に記載のガスケット。
【請求項85】
前記ガスケットの結晶度指数が、少なくとも約60%である、請求項68に記載のガスケット。
【請求項86】
前記ガスケットの少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約5,500psi(37.9MPa)である、請求項68に記載のガスケット。
【請求項87】
PTFEを含むガスケットであって、
公称厚さが、3mmであり、
少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも4,500psi(31.0MPa)であり、
ボルト負荷保持率が、少なくとも85%であり、
シール応力が、3500psi(24.1MPa)以下である、
ガスケット。
【請求項88】
少なくとも一方向における前記引張強さが、少なくとも5,500psi(37.9MPa)である、請求項87に記載のガスケット。
【請求項89】
前記引張強さが、少なくとも6,000psi(41.4MPa)である、請求項87に記載のガスケット。
【請求項90】
前記引張強さが、少なくとも7,000psi(48.3MPa)である、請求項87に記載のガスケット。
【請求項91】
前記ガスケットが、複数のPTFE膜を備えている、請求項87に記載のガスケット。
【請求項92】
前記ガスケットが、少なくとも1層の剛体層を備えている、請求項87に記載のガスケット。
【請求項93】
前記剛体層が、PTFEを含む、請求項87に記載のガスケット。
【請求項94】
FIP(form−in−place)テープの形態である、請求項87に記載のガスケット。
【請求項95】
PTFEを含むガスケットであって、
公称厚さが、1.5mmであり、
少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも4,500psi(31.0MPa)であり、
ボルト負荷保持率が、少なくとも91%であり、
シール応力が、3500psi(24.1MPa)以下である、
ガスケット。
【請求項96】
少なくとも一方向における前記引張強さが、少なくとも5,500psi(37.9MPa)である、請求項95に記載のガスケット。
【請求項97】
前記引張強さが、少なくとも6,000psi(41.4MPa)である、請求項95に記載のガスケット。
【請求項98】
前記引張強さが、少なくとも7,000psi(48.3MPa)である、請求項95に記載のガスケット。
【請求項99】
前記ガスケットが、複数のPTFE膜を備えている、請求項95に記載のガスケット。
【請求項100】
前記ガスケットが、少なくとも1層の剛体層を備えている、請求項95に記載のガスケット。
【請求項101】
前記剛体層が、PTFEを含む、請求項95に記載のガスケット。
【請求項102】
FIP(form−in−place)テープの形態である、請求項95に記載のガスケット。
【請求項103】
PTFEを含むガスケットであって、前記PTFEの少なくとも一方向の引張強さが少なくとも約5,500psi(37.9MPa)であり、圧縮率が少なくとも約40%である、ガスケット。
【請求項104】
少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約6,000psi(41.4MPa)である、請求項103に記載のガスケット。
【請求項105】
少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約7,000psi(48.3MPa)である、請求項103に記載のガスケット。
【請求項106】
前記ガスケットが、複数のPTFE膜を備えている、請求項103に記載のガスケット。
【請求項107】
前記ガスケットが、少なくとも1層の剛体層を備えている、請求項103に記載のガスケット。
【請求項108】
前記剛体層が、PTFEを含む、請求項107に記載のガスケット。
【請求項109】
PTFEを含むガスケットであって、前記PTFEの少なくとも一方向の引張強さが少なくとも約5,500psi(37.9MPa)であり、デューロメーターが85以下である、ガスケット。
【請求項110】
少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約6,000psi(41.4MPa)である、請求項109に記載のガスケット。
【請求項111】
少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約7,000psi(48.3MPa)である、請求項109に記載のガスケット。
【請求項112】
前記ガスケットが、複数のPTFE膜を備えている、請求項109に記載のガスケット。
【請求項113】
前記ガスケットが、少なくとも1層の剛体層を備えている、請求項109に記載のガスケット。
【請求項114】
前記剛体層が、PTFEを含む、請求項109に記載のガスケット。
【請求項115】
PTFEから実質的になるガスケットであって、ボルト負荷保持率が、公称厚さ3mmについて少なくとも約85%である、ガスケット。
【請求項116】
PTFEから実質的になるガスケットであって、ボルト負荷保持率が、公称厚さ1.5mmについて少なくとも約91%である、ガスケット。
【請求項117】
PTFEから実質的になるガスケットであって、マトリックスの引張強さが少なくとも約22,000psi(151.7MPa)である、ガスケット。
【請求項118】
前記マトリックスの引張強さが少なくとも約25,000psi(172.4MPa)である、請求項117に記載のガスケット。
【請求項119】
PTFEから実質的になるガスケットであって、クリープが5.0%未満であり、公称厚さが1.5mmである、ガスケット。
【請求項120】
PTFEを含むガスケットであって、圧縮率が少なくとも約40%であり、クリープが5%未満であり、公称厚さが1.5mmである、ガスケット。
【請求項121】
PTFEを含むガスケットであって、デューロメーターが85以下であり、クリープが5%未満であり、公称厚さが1.5mmである、ガスケット。
【請求項122】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが1.5mmであり、少なくとも一方向の引張強さが少なくとも約5,500psi(37.9MPa)であり、クリープが5%未満である、ガスケット。
【請求項123】
少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約6,000psi(41.4MPa)である、請求項122に記載のガスケット。
【請求項124】
少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも約7,000psi(48.3MPa)である、請求項122に記載のガスケット。
【請求項125】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが1.5mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約91%であり、シール応力が3500psi(24.1MPa)未満か又はそれに等しい、ガスケット。
【請求項126】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが3mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約85%であり、シール応力が3500psi(24.1MPa)未満か又はそれに等しい、ガスケット。
【請求項127】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが1.5mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約91%であり、シール応力が1500psi(10.3MPa)未満か又はそれに等しい、ガスケット。
【請求項128】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが3mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約85%であり、シール応力が1500psi(10.3MPa)未満か又はそれに等しい、ガスケット。
【請求項129】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが6mmであり、ボルト負荷保持率が少なくとも約65%であり、シール応力が1500psi(10.3MPa)未満か又はそれに等しい、ガスケット。
【請求項130】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが1.5mmであり、クリープが5%未満であり、シール応力が3500psi(24.1MPa)未満か又はそれに等しい、、ガスケット。
【請求項131】
シール応力が、1500psi(10.3MPa)未満又はそれと等しい、請求項130に記載のガスケット。
【請求項132】
PTFEを含むガスケットであって、公称厚さが3mmであり、少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも5,500psi(37.9MPa)であり、シール応力が3500psi(24.1MPa)以下である、ガスケット。
【請求項133】
少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも6000psi(41.4MPa)である、請求項132に記載のガスケット。
【請求項134】
少なくとも一方向の引張強さが、少なくとも7000psi(48.3MPa)である、請求項132に記載のガスケット。
【請求項135】
シール応力が1500psi(10.3MPa)以下である、請求項132に記載のガスケット。

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate


【公開番号】特開2012−107242(P2012−107242A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255930(P2011−255930)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2006−506955(P2006−506955)の分割
【原出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】