PTFE部品を備えたバルーン構造
【課題】高い耐破裂強度、及び繰り返された拡張の後にその拡張前の直径に戻すべき能力を有した医療用バルーン(112)を提供する。
【解決手段】 高い耐破裂強度、及び繰り返された拡張の後にその拡張前の直径に戻すべき能力を有した医療用バルーン(112)に関する。これは、第1の内部材料層(118)、拡張PTFEの第2の中間層(122)及び第3の材料の外部層(126)から形成され得る。
【解決手段】 高い耐破裂強度、及び繰り返された拡張の後にその拡張前の直径に戻すべき能力を有した医療用バルーン(112)に関する。これは、第1の内部材料層(118)、拡張PTFEの第2の中間層(122)及び第3の材料の外部層(126)から形成され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の技術分野)
本発明は、少なくとも部分的にポリテトラフルオロエチレンから形成された医療用バルーン一般に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景技術)
ステントなど医療用具の拡張及び配置のためのみならず、身体血管の拡張のために医療用バルーンを使用することが公知である。医療用バルーンは、単一の材料層、或いは多数の材料層から形成され得る。多層のバルーンの場合には、多数の層が同一又は異なる材料であってもよい。
【0003】
医療用バルーンを形成するために様々な材料が使用されている。これら材料には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン、ノンコンプライアント(non−compliant)PETを含むポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、アーニテル樹脂、ハイトレル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルポリマーとエルムアトケムノースアメリカから入手可能なペバックス(登録商標)(あらゆるグレード)などのポリアミドとのブロックコポリマー、ポリエーテルと米国デラウェア州ウィルミントンのイー アイ デュポン ドヌムール アンド カンパニーから入手可能なハイトレル(登録商標)などのポリエステルポリマーとのブロックコポリマー、テフロン(登録商標)、ナイロン−11及びナイロン−12などのポリアミド、ブロックポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、SBR及びEPDMを含む合成ゴム、及び他のポリオレフィン及びシリコーンエラストマーが含まれる。冠状動脈の血管形成の中で使用されるカテーテルバルーンについては、好適なポリマー製基材はPET、ナイロン及びPBである。材料の特定の選択は、バルーンに所望の特性に依存する。
【0004】
これら材料のうち、PTFEは、その低い摩擦係数、耐薬品性、可撓性及び強度のために医療用バルーンに関心が寄せられている。しかしながらPTFEの物理的性質のために、この材料は、従来の熱可塑性エラストマーの加工と同一の方法で加工できない。
【0005】
バルーンなどの埋込可能な医療用器具におけるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び拡張PTFE(EPTFE)の使用は、米国特許第5752934号及び米国特許5868704号に開示されている。これらは両方とも、多孔性のEPTFE層と、可撓性又は非可撓性の層で構成されたバルーンを開示している。EPTFE膜は、バルーン用のコート、又は外部層の形態をなすバルーンに一体化された部品としての役割を果たし得る。その文献に示されたバルーンは、らせん状に巻回された多孔性EPTFEから形成される。一例において、バルーンのEPTFE部分を形成するために20層のEPTFE膜が使用される。その結果、これらのバルーンは、大型の外形を有する傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PTFEバルーンの特性のうちのいくつかを有する一方で、小型の外形を有した医療用バルーンを製造することが望ましい。より詳細には、高い耐破裂強度及び、繰り返された拡張/収縮サイクルの後にその拡張前の直径に戻る能力を有したノンコンプライアントEPTFEバルーンを提供することが本発明の目的である。その目的のために、本発明は、内部のバルーン材料と外部のバルーン材料の間に1つ以上のEPTFE層を有した医療用
バルーンを提供する。
本出願のあらゆる箇所にて言及された米国特許及び他のすべての出版された文献は全て、それらの全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の簡潔な要約)
本発明はEPTFE及び同様の材料をからなる医療用バルーン、並びにそのようなバルーンが取り付けられたカテーテルに関する。本明細書に開示された医療用バルーンは、少なくともその一部に内部層、中間層及び外部層を有する。内部層と外部層との間に設けられた中間層は、EPTFEから形成される。内部及び外部層には、熱可塑性材料、可撓性材料及び熱可塑性エラストマー材料を含む、多様な材料が使用され得る。
【0008】
中間の拡張PTFE層は、バルーンの全長に亙り延伸してもよく、或いはバルーンの一部分のみに延伸してもよい。
本発明は、破壊試験圧力に対してほぼ線形のコンプライアンス曲線を有した第1部分、及び段階的なコンプライアンス曲線を有した第2部分を有したバルーンに関する。
【0009】
本発明のバルーンは、EPTFEチューブの内部及び外部に第1と第2材料をコーティングすること、及び適切な温度において1つ以上のEPTFE層に対して内部及び外部材料層を積層することを含めて、様々な方法で形成され得る。代替手段においてバルーンは、PTFE又はEPTFEチューブを他の材料の内部及びチューブの間に挿入し、このチューブを張力、及び/又はブローイングなど径方向に外側への圧力の使用によって好適な温度で適切に成形することにより形成され得る。PTFEチューブが使用される場合、PTFEは、EPTFEチューブを形成すべく径方向にチューブを拡張する工程の間に拡張されてもよい。EPTFEチューブは、押出成形されたPTFEのチューブを径方向の拡張とは別に拡張することにより形成されてもよく、或いはチューブ形状に設けられたシート状のEPTFEから形成されてもよい。
【0010】
本発明も本発明のバルーンを形成する方法にも関する。そのような方法の1つは内側及び外側にPTFE或いはEPTFEのチューブをコーティングする工程を有する。別の方法は内部、外部及び中間のチューブを同心的に配置し、積層、加熱、或いは他の適切な方式でチューブを一体に結合させる工程を伴う。さらなる別の方法はバルーン材料の3つ以上の層を共に押し出す工程を伴う。
【0011】
本発明のカテーテルは、本明細書に開示された医療用バルーンをチューブの周囲に配置し、同バルーンとの液体連通している拡張ルーメンを有する。本発明のカテーテルは、拡張カテーテル、医療器具送達カテーテル、或いは医療用バルーンを運搬する他のカテーテルであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明は様々な形式で実施され得るが、本発明の特定の好適な実施形態がここに詳細に記載される。この記載は発明の原理の例示であり、本発明を例示された特定の実施形態に制限するものではない。
【0013】
本発明の医療用バルーンは、血管形成及び塞栓摘出術、並びに、ステント、グラフト、ステントグラフト、及び大静脈フィルタなどの医療用具の拡張を含む、様々な目的のために使用され得る。
【0014】
本発明の医療用バルーンは、PTFE、EPTFE、或いは線状高密度ポリエチレンな
どのフッ化されたポリマー材料の少なくとも1つの中間層が存在すること一般を特徴とする。中間層は、中間層の材料と異なる第1のバルーン材料の内部層と、中間層の材料と異なる第2のバルーン材料の外部層の間に配置される。第1及び第2バルーン材料は同一、又は互いに異なり得る。
【0015】
PTFEの適切な形状は米国特許第5480711号に従って形成され得る。PTFE材料の一例は、米国デラウェア州ウィルミントンのデュポン ドヌムール アンド カンパニーによって、テフロン(登録商標)の商品名で製造されている。適切なEPTFE膜は、米国特許第3953566号及び第4187390号に従って形成され得る。図1Aに示されるEPTFEの形態では、小繊維がすべて拡張の方向とほぼ平行な小繊維104によって相互に連結された結節点102から成る微細構造を有する。より好適には、ここに示された本発明のバルーンにて使用されるEPTFEは図1Bに示されるような、曲折した又は波状の小繊維104によって相互に結合された結節点102から成る微構造を有する。米国特許第5752934号に示されたこの後者のEPTFEの形態は、米国特許第3953566号或いは米国特許第4187390号のいずれかに示されたEPTFEより弾性を有し、5.5%以上の迅速な回復を特徴とする。参照した特許はすべて、それらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0016】
1つの実施形態の中で、図2に示されたように、本発明のバルーン112は、内部層118、拡張PTFEから形成された中間層122、及び外部層126を含む3つの層から形成される。図1に示される実施形態では、中間層122はバルーン110の本体部130に亙り延伸する。
【0017】
図3に示される別の実施形態では、中間層122は、本体部分を越えて、基端側及び末端側の錐体134部の少なくとも一部まで延伸する。
図4に示される別の実施形態では、中間層122は、基端側及び末端側胴部138の少なくとも一部に亙り拡張する。
【0018】
図5に示される別の実施形態では、中間層122は、バルーン110の全長に亙り内部層118及び外部層126と同一ともに延伸している。
本発明は、図6において112で示される箇所に内部層118、外部層126及び中間層122を少なくとも有した医療用バルーンに関する。中間層122は、内部層118及び外部層126によって包囲され、或いは被殻される。内部層118及び外部層126は中間層122を包囲すべくともに結合される。図6に示されるように、内部層118及び外部層126は基端側と末端側の胴部138で結合される。それらは錐体部分134において結合されてもよい。
【0019】
さらに別の実施形態において、本発明は上記したように最内部層、同最内部層より外側に設けられた最外部層、及び、最内部層と最外部層との間に設けられた中間層を有した医療用バルーンに関する。中間層は、多数の繊維によって結節点構造を結合している材料から形成される。そのような構造を有した適切な材料には、拡張PTFE及び高密度ポリエチレンが含まれる。好適には、繊維は曲折され、或いは波状である。
【0020】
さらに別の実施形態において、本発明は上記したように最内部層、同最内部層より外側に設けられた最外部層、及び、最内部層と最外部層との間に設けられた中間層を有した医療用バルーンに関する。中間層は、拡張されたときには多数の繊維によって結節点構造を結合している材料から形成される。
【0021】
上記された本発明のバルーンは、低い拡張圧において正常な拡張、及び高圧にてより小さな拡張を示すべく、内部の材料及び外部の材料の適切な選択によって作製され得る。
【0022】
別の実施形態では、本発明は図7Aに112で示され、それぞれ130a及び130bと表記された第1及び第2の隣接した本体長手方向部分を有したバルーンに関する。第1の本体部分130aは破壊圧力に対してほぼ直線形コンプライアンス曲線を有する。第2の本体部分130bは段階的なコンプライアンス曲線を有する。同曲線は、第1本体部分の対応する区間と同様な線形の低圧区間と、バルーンが第1本体部分に相対して急速に拡大する遷移区間と、第2部分のコンプライアンス曲線が遷移領域に比べて緩慢に拡大する高圧区間とを特徴とする。バルーン112は図7Bにおいて、第1及び第2本体部分のコンプライアンス曲線がほぼ同一に線形となる圧力で、部分的に拡張した状態で示される。バルーン112の断面図は図7Cに示される。内部層118及び外部層126はバルーンの全長に亙り伸びている。中間層122は、バルーン両側の本体部分130aの全長に亙り伸び、第2本体部分130bの領域では不連続である。不連続箇所は132で示される。
【0023】
図7A〜7Cの実施形態では、中間層がバルーンの第1部分に類似したコンプライアンス曲線を特徴とする一方、内部材料及び外部材料は、バルーンの第2部分に類似したコンプライアンス曲線を特徴とする。
【0024】
中間層は好適には、PTFE又は上記された拡張PTFEなどのフッ化されたコポリマー、或いは高密度ポリエチレンから形成される。
異なるコンプライアンス曲線を有した区間を特徴とするバルーンは、米国特許第574985号、米国特許第5447497号及び米国特許第5358487号により一般的に記載されている。これらは、参照によってそれらの全体において本明細書に組み入れられる。
【0025】
本発明は、バルーンと同様に本発明のバルーン予備的形成品も形成する方法にも関する。そのような方法の1つでは、EPTFEで作られていたチューブが提供される。EPTFEチューブは、押出成形されたPTFEチューブから形成され得る。そのチューブは適切な条件下で伸縮されたか、又は適切な条件下で伸縮及び圧縮されている。適切な押出成形されたEPTFEチューブは、参照によってその全体が本明細書に組み入れられた米国特許第5505887号に従って形成され得る。EPTFEチューブは、1枚のEPTFE(好適にはほぼ平行又は曲折された小繊維を備えたもの)をチューブ状に配置し、適温でチューブを加熱することにより2つの隣接した縁部を密閉することによっても形成され得る。このシートは、1層のEPTFE、或いは2層以上を含むEPTFEの多層から形成され得る。層は、これら層の間のシールを形成すべく加熱されてもよい。
【0026】
チューブの内部は第1の材料でコーティングされ、チューブの外側は第2の材料でコーティングされる。チューブの内部及び外部に同じ材料が使用される場合、コーティングは、コーティング材料のバスにチューブを浸すことにより、或いは他の適切なコーティング技術によって遂行され得る。これには、コーティングの噴霧、チューブに対するコーティングの塗布、チューブの内部及び外部に材料を押出成形することが含まれる。チューブの内部及び外部に異なる材料が使用される場合、コーティングは、コーティングの噴霧、チューブに対するコーティングの塗布、材料の押出成形、或いは他の適切な塗布工程により塗布され得る。コーティングされない部分が適切に被覆される場合、浸す方法が使用され得る。
【0027】
形成されたチューブは、直接バルーンとして、或いはより好適にはバルーンをそこから形成すべく追加の加工を行うためのバルーン予備的形成品のいずれかとして使用され得る。後者の場合では、当該技術分野において公知であるように、予備的形成品は適切なバルーン成形技術によって予め設定された温度で成形されうる。成形工程には、伸縮すべくバ
ルーンへ張力を与えること、及び/又は予備的形成品をブローイングすることにより一定の径方向に外部への力を与えることが含まれ得る。
【0028】
好適には予備的形成品は、約700〜約1000℃の範囲の温度、及び、約20g〜200gの張力が与えられ、その後約1380kPa〜約4146kPa(約200psi〜約600psi)の圧力でブローイングされる。言うまでもなく、他の適切な操作上のパラメータも使用され得る。予備的形成品からのバルーンの形成は当技術において公知であり、例えば米国特許第4490421号、米国特許第5807520号及び米国特許第5348538号に記載されている。それらはすべて、参照によってそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0029】
EPTFE層を備えたバルーンは、PTFE層を有したチューブ状予備的形成品を径方向に拡張することによっても作製され得る。
その発明は、さらに本発明のバルーンを形成方法にも関する。この方法は、第1、第2及び第3チューブを提供する工程と、第1チューブを第2チューブに挿入する工程と、第3チューブに第2チューブを挿入する工程と、バルーン成形用型に第1、第2及び第3チューブを挿入する工程と、バルーンを形成すべく第1、第2及び第3チューブを好適な温度で拡張する工程とを有する。第2のチューブはEPTFEから形成される。
【0030】
本発明のバルーンを形成する別の方法は、バルーン予備的形成品を形成すべく第1、第2及び第3材料を共に押出成形する工程を有する。第2の材料はPTFEなどのフッ化されたコポリマー、或いは高密度ポリエチレンであり、第1及び第2材料の間に配置される。EPTFEチューブが好適である場合、バルーン予備的形成品は伸縮され、EPTFEを形成すべく処理され得る。形成されたバルーン予備的形成品はバルーンを形成すべく成形され得る。成形は所望の温度で実行され得る。成形、予備的形成品を張力下に配置することによって、予備的形成品をブローイングすることによって、バルーンを張力の下に配置しかつバルーンをブローイングする組合せによって、或いは当技術にて公知の他の適切な技術によって実行され得る。
【0031】
本発明のバルーンは、第1材料の第1チューブを提供し、シート状のPTFE、EPTFE、高密度ポリエチレン又は本明細書に示される他の適切な材料を第1のチューブの周囲に配置するによっても形成され得る。その後、第2材料が第1チューブの周囲に配置されるか、或いは、第1のチューブがバルーンの外殻の役割を果たす第2材料の第2チューブ内に配置され得る。その後、材料は、それらをともに積層し、或いは外部の第2材料へ第1チューブ材料を積層させるべく加熱される。材料は当技術において公知の適切な接着剤を使用して、ともに接着され得る。
【0032】
PTFEの中間層がバルーン予備的形成品に使用される場合には、予備的形成品中のPTFE層が完成したバルーンではEPTFE層に変形されるべく、PTFEは予備的形成品をブローイングすることによって拡張され得る点を注記する。
【0033】
積層されたバルーン予備的形成品をブローイングすると直ちに、PTFE、EPTFE、ポリエチレン等などの中間層が内部及び外部層から離層する場合があり、そのために中間層を包囲することがある点もさらに注記する。
【0034】
別の実施形態において本発明は、その上に医療用バルーンを配置するカテーテルにも関する。図8は、カテーテルチューブ210の周囲に設けられたバルーン212を示す。ガイドワイヤ213がカテーテルチューブ210を貫通している。カテーテルチューブ210はバルーン212と液体連通にある。代替手段においては、バルーンを拡張させるべく個別の拡張ルーメン(図示せず)が設けられ得る。図8にさらに示されるように、カテー
テル210は、内部に傷216を有した血管214内にある。バルーン212は傷216内に配置され、血管の拡張直前の部分的に拡張した状態が示される。
【0035】
ここに示された本発明のバルーンは、3層のバルーンに限定されない。本発明のバルーンはより一般に、フッ化されたコポリマー及び上記の高密度ポリエチレンからなるグループから選択された材料の少なくとも1つの中間層を備えた3つ以上の材料層から形成され得る。
【0036】
本発明は、本発明のバルーンを使用可能な医療器具送達カテーテルを含む他の種類のカテーテルにも関する。1つのそのような適切なステント送達カテーテルはバーバ(Vrba)の米国特許第5772669号に開示される。本発明のカテーテルは、当技術にて公知のオーバーザワイヤのデザイン、固定ワイヤのデザイン、迅速交換のデザイン、或いは他の適切なデザインであってもよい。
【0037】
上記の開示は、本発明の例示であり排他的なものではない。この記載事項は、当業者に多数の変形及び代替手段を示唆する。これらの代替手段及び変形は全て付属のクレームの範囲に包含されるものである。当業者は、本明細書に記載した特定の実施形態に対する等価物も認識し得るが、これら等価物も付属のクレームに包含されるものである。
【0038】
(実施例)
(実施例1)
構造バルーンの外部及び内部層が、アーニテル樹脂(登録商標)EM−740から形成されたチューブ状予備的形成品から形成された。中間層はEPTFEから形成された。2本のアーニテル樹脂(登録商標)EM−740チューブは、内径、外径として内部チューブについてそれぞれ0.043cm(0.017インチ)及び0.079cm(0.03
1インチ)、外部チューブについてそれぞれ0.127cm(0.050インチ)及び0.152cm(0.060インチ)を有していた。その後、チューブは同軸に組み立てられてサンドイッチ構造に帰着した。また、アッセンブリはEPTFEチューブを伸長せずに、室温にて伸縮された。
【0039】
その後サンドイッチ構造は型に挿入され、95℃で31気圧(450psi)及び70グラムの張力のブローイング圧にて、3.0mmのバルーンが形成された。形成された3層バルーンは0.00643cm(0.00253インチ)の壁厚、6〜12気圧において5.1%及び12〜18気圧において5.5%のコンプライアンスを有していた。また、破壊圧力は24気圧(353psi)であった。
【0040】
形成されたバルーンはアーニテル樹脂(登録商標)EM−740から同一壁厚で形成された単層バルーンよりはるかに高い耐穿孔抵抗を有していた。
形成されたバルーンはサンドイッチ構造を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】ほぼ平行の小繊維を有したEPTFEの結節点及び小繊維の構造を示す概念図。
【図1B】小繊維が曲折しているEPTFEの結節点及び小繊維の構造を示す概念図。
【図2】バルーンの本体部のみに亙り延伸する中間層を備えた医療用バルーンを示す長手方向断面図。
【図3】バルーンの錐体部分に亙り延伸する中間層を備えた医療用バルーンを示す長手方向断面図。
【図4】バルーンの胴部の一部に亙り延伸する中間層を備えた医療用バルーンを示す長手方向断面図。
【図5】バルーンの胴部に亙り延伸する中間層を備えた医療用バルーンを示す長手方向断面図。
【図6】包囲された中間層を備えた医療用バルーンを示す長手方向断面図。
【図7A】完全に拡張したバルーンを概略的に示す側面図。
【図7B】部分的に拡張したバルーンを概略的に示す側面図。
【図7C】図7Bの直線8−8におけるバルーンの長手方向断面図。
【図8】カテーテル上に取り付けられたバルーンを示す概念図。
【技術分野】
【0001】
(本発明の技術分野)
本発明は、少なくとも部分的にポリテトラフルオロエチレンから形成された医療用バルーン一般に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景技術)
ステントなど医療用具の拡張及び配置のためのみならず、身体血管の拡張のために医療用バルーンを使用することが公知である。医療用バルーンは、単一の材料層、或いは多数の材料層から形成され得る。多層のバルーンの場合には、多数の層が同一又は異なる材料であってもよい。
【0003】
医療用バルーンを形成するために様々な材料が使用されている。これら材料には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン、ノンコンプライアント(non−compliant)PETを含むポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、アーニテル樹脂、ハイトレル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルポリマーとエルムアトケムノースアメリカから入手可能なペバックス(登録商標)(あらゆるグレード)などのポリアミドとのブロックコポリマー、ポリエーテルと米国デラウェア州ウィルミントンのイー アイ デュポン ドヌムール アンド カンパニーから入手可能なハイトレル(登録商標)などのポリエステルポリマーとのブロックコポリマー、テフロン(登録商標)、ナイロン−11及びナイロン−12などのポリアミド、ブロックポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、SBR及びEPDMを含む合成ゴム、及び他のポリオレフィン及びシリコーンエラストマーが含まれる。冠状動脈の血管形成の中で使用されるカテーテルバルーンについては、好適なポリマー製基材はPET、ナイロン及びPBである。材料の特定の選択は、バルーンに所望の特性に依存する。
【0004】
これら材料のうち、PTFEは、その低い摩擦係数、耐薬品性、可撓性及び強度のために医療用バルーンに関心が寄せられている。しかしながらPTFEの物理的性質のために、この材料は、従来の熱可塑性エラストマーの加工と同一の方法で加工できない。
【0005】
バルーンなどの埋込可能な医療用器具におけるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び拡張PTFE(EPTFE)の使用は、米国特許第5752934号及び米国特許5868704号に開示されている。これらは両方とも、多孔性のEPTFE層と、可撓性又は非可撓性の層で構成されたバルーンを開示している。EPTFE膜は、バルーン用のコート、又は外部層の形態をなすバルーンに一体化された部品としての役割を果たし得る。その文献に示されたバルーンは、らせん状に巻回された多孔性EPTFEから形成される。一例において、バルーンのEPTFE部分を形成するために20層のEPTFE膜が使用される。その結果、これらのバルーンは、大型の外形を有する傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PTFEバルーンの特性のうちのいくつかを有する一方で、小型の外形を有した医療用バルーンを製造することが望ましい。より詳細には、高い耐破裂強度及び、繰り返された拡張/収縮サイクルの後にその拡張前の直径に戻る能力を有したノンコンプライアントEPTFEバルーンを提供することが本発明の目的である。その目的のために、本発明は、内部のバルーン材料と外部のバルーン材料の間に1つ以上のEPTFE層を有した医療用
バルーンを提供する。
本出願のあらゆる箇所にて言及された米国特許及び他のすべての出版された文献は全て、それらの全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の簡潔な要約)
本発明はEPTFE及び同様の材料をからなる医療用バルーン、並びにそのようなバルーンが取り付けられたカテーテルに関する。本明細書に開示された医療用バルーンは、少なくともその一部に内部層、中間層及び外部層を有する。内部層と外部層との間に設けられた中間層は、EPTFEから形成される。内部及び外部層には、熱可塑性材料、可撓性材料及び熱可塑性エラストマー材料を含む、多様な材料が使用され得る。
【0008】
中間の拡張PTFE層は、バルーンの全長に亙り延伸してもよく、或いはバルーンの一部分のみに延伸してもよい。
本発明は、破壊試験圧力に対してほぼ線形のコンプライアンス曲線を有した第1部分、及び段階的なコンプライアンス曲線を有した第2部分を有したバルーンに関する。
【0009】
本発明のバルーンは、EPTFEチューブの内部及び外部に第1と第2材料をコーティングすること、及び適切な温度において1つ以上のEPTFE層に対して内部及び外部材料層を積層することを含めて、様々な方法で形成され得る。代替手段においてバルーンは、PTFE又はEPTFEチューブを他の材料の内部及びチューブの間に挿入し、このチューブを張力、及び/又はブローイングなど径方向に外側への圧力の使用によって好適な温度で適切に成形することにより形成され得る。PTFEチューブが使用される場合、PTFEは、EPTFEチューブを形成すべく径方向にチューブを拡張する工程の間に拡張されてもよい。EPTFEチューブは、押出成形されたPTFEのチューブを径方向の拡張とは別に拡張することにより形成されてもよく、或いはチューブ形状に設けられたシート状のEPTFEから形成されてもよい。
【0010】
本発明も本発明のバルーンを形成する方法にも関する。そのような方法の1つは内側及び外側にPTFE或いはEPTFEのチューブをコーティングする工程を有する。別の方法は内部、外部及び中間のチューブを同心的に配置し、積層、加熱、或いは他の適切な方式でチューブを一体に結合させる工程を伴う。さらなる別の方法はバルーン材料の3つ以上の層を共に押し出す工程を伴う。
【0011】
本発明のカテーテルは、本明細書に開示された医療用バルーンをチューブの周囲に配置し、同バルーンとの液体連通している拡張ルーメンを有する。本発明のカテーテルは、拡張カテーテル、医療器具送達カテーテル、或いは医療用バルーンを運搬する他のカテーテルであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明は様々な形式で実施され得るが、本発明の特定の好適な実施形態がここに詳細に記載される。この記載は発明の原理の例示であり、本発明を例示された特定の実施形態に制限するものではない。
【0013】
本発明の医療用バルーンは、血管形成及び塞栓摘出術、並びに、ステント、グラフト、ステントグラフト、及び大静脈フィルタなどの医療用具の拡張を含む、様々な目的のために使用され得る。
【0014】
本発明の医療用バルーンは、PTFE、EPTFE、或いは線状高密度ポリエチレンな
どのフッ化されたポリマー材料の少なくとも1つの中間層が存在すること一般を特徴とする。中間層は、中間層の材料と異なる第1のバルーン材料の内部層と、中間層の材料と異なる第2のバルーン材料の外部層の間に配置される。第1及び第2バルーン材料は同一、又は互いに異なり得る。
【0015】
PTFEの適切な形状は米国特許第5480711号に従って形成され得る。PTFE材料の一例は、米国デラウェア州ウィルミントンのデュポン ドヌムール アンド カンパニーによって、テフロン(登録商標)の商品名で製造されている。適切なEPTFE膜は、米国特許第3953566号及び第4187390号に従って形成され得る。図1Aに示されるEPTFEの形態では、小繊維がすべて拡張の方向とほぼ平行な小繊維104によって相互に連結された結節点102から成る微細構造を有する。より好適には、ここに示された本発明のバルーンにて使用されるEPTFEは図1Bに示されるような、曲折した又は波状の小繊維104によって相互に結合された結節点102から成る微構造を有する。米国特許第5752934号に示されたこの後者のEPTFEの形態は、米国特許第3953566号或いは米国特許第4187390号のいずれかに示されたEPTFEより弾性を有し、5.5%以上の迅速な回復を特徴とする。参照した特許はすべて、それらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0016】
1つの実施形態の中で、図2に示されたように、本発明のバルーン112は、内部層118、拡張PTFEから形成された中間層122、及び外部層126を含む3つの層から形成される。図1に示される実施形態では、中間層122はバルーン110の本体部130に亙り延伸する。
【0017】
図3に示される別の実施形態では、中間層122は、本体部分を越えて、基端側及び末端側の錐体134部の少なくとも一部まで延伸する。
図4に示される別の実施形態では、中間層122は、基端側及び末端側胴部138の少なくとも一部に亙り拡張する。
【0018】
図5に示される別の実施形態では、中間層122は、バルーン110の全長に亙り内部層118及び外部層126と同一ともに延伸している。
本発明は、図6において112で示される箇所に内部層118、外部層126及び中間層122を少なくとも有した医療用バルーンに関する。中間層122は、内部層118及び外部層126によって包囲され、或いは被殻される。内部層118及び外部層126は中間層122を包囲すべくともに結合される。図6に示されるように、内部層118及び外部層126は基端側と末端側の胴部138で結合される。それらは錐体部分134において結合されてもよい。
【0019】
さらに別の実施形態において、本発明は上記したように最内部層、同最内部層より外側に設けられた最外部層、及び、最内部層と最外部層との間に設けられた中間層を有した医療用バルーンに関する。中間層は、多数の繊維によって結節点構造を結合している材料から形成される。そのような構造を有した適切な材料には、拡張PTFE及び高密度ポリエチレンが含まれる。好適には、繊維は曲折され、或いは波状である。
【0020】
さらに別の実施形態において、本発明は上記したように最内部層、同最内部層より外側に設けられた最外部層、及び、最内部層と最外部層との間に設けられた中間層を有した医療用バルーンに関する。中間層は、拡張されたときには多数の繊維によって結節点構造を結合している材料から形成される。
【0021】
上記された本発明のバルーンは、低い拡張圧において正常な拡張、及び高圧にてより小さな拡張を示すべく、内部の材料及び外部の材料の適切な選択によって作製され得る。
【0022】
別の実施形態では、本発明は図7Aに112で示され、それぞれ130a及び130bと表記された第1及び第2の隣接した本体長手方向部分を有したバルーンに関する。第1の本体部分130aは破壊圧力に対してほぼ直線形コンプライアンス曲線を有する。第2の本体部分130bは段階的なコンプライアンス曲線を有する。同曲線は、第1本体部分の対応する区間と同様な線形の低圧区間と、バルーンが第1本体部分に相対して急速に拡大する遷移区間と、第2部分のコンプライアンス曲線が遷移領域に比べて緩慢に拡大する高圧区間とを特徴とする。バルーン112は図7Bにおいて、第1及び第2本体部分のコンプライアンス曲線がほぼ同一に線形となる圧力で、部分的に拡張した状態で示される。バルーン112の断面図は図7Cに示される。内部層118及び外部層126はバルーンの全長に亙り伸びている。中間層122は、バルーン両側の本体部分130aの全長に亙り伸び、第2本体部分130bの領域では不連続である。不連続箇所は132で示される。
【0023】
図7A〜7Cの実施形態では、中間層がバルーンの第1部分に類似したコンプライアンス曲線を特徴とする一方、内部材料及び外部材料は、バルーンの第2部分に類似したコンプライアンス曲線を特徴とする。
【0024】
中間層は好適には、PTFE又は上記された拡張PTFEなどのフッ化されたコポリマー、或いは高密度ポリエチレンから形成される。
異なるコンプライアンス曲線を有した区間を特徴とするバルーンは、米国特許第574985号、米国特許第5447497号及び米国特許第5358487号により一般的に記載されている。これらは、参照によってそれらの全体において本明細書に組み入れられる。
【0025】
本発明は、バルーンと同様に本発明のバルーン予備的形成品も形成する方法にも関する。そのような方法の1つでは、EPTFEで作られていたチューブが提供される。EPTFEチューブは、押出成形されたPTFEチューブから形成され得る。そのチューブは適切な条件下で伸縮されたか、又は適切な条件下で伸縮及び圧縮されている。適切な押出成形されたEPTFEチューブは、参照によってその全体が本明細書に組み入れられた米国特許第5505887号に従って形成され得る。EPTFEチューブは、1枚のEPTFE(好適にはほぼ平行又は曲折された小繊維を備えたもの)をチューブ状に配置し、適温でチューブを加熱することにより2つの隣接した縁部を密閉することによっても形成され得る。このシートは、1層のEPTFE、或いは2層以上を含むEPTFEの多層から形成され得る。層は、これら層の間のシールを形成すべく加熱されてもよい。
【0026】
チューブの内部は第1の材料でコーティングされ、チューブの外側は第2の材料でコーティングされる。チューブの内部及び外部に同じ材料が使用される場合、コーティングは、コーティング材料のバスにチューブを浸すことにより、或いは他の適切なコーティング技術によって遂行され得る。これには、コーティングの噴霧、チューブに対するコーティングの塗布、チューブの内部及び外部に材料を押出成形することが含まれる。チューブの内部及び外部に異なる材料が使用される場合、コーティングは、コーティングの噴霧、チューブに対するコーティングの塗布、材料の押出成形、或いは他の適切な塗布工程により塗布され得る。コーティングされない部分が適切に被覆される場合、浸す方法が使用され得る。
【0027】
形成されたチューブは、直接バルーンとして、或いはより好適にはバルーンをそこから形成すべく追加の加工を行うためのバルーン予備的形成品のいずれかとして使用され得る。後者の場合では、当該技術分野において公知であるように、予備的形成品は適切なバルーン成形技術によって予め設定された温度で成形されうる。成形工程には、伸縮すべくバ
ルーンへ張力を与えること、及び/又は予備的形成品をブローイングすることにより一定の径方向に外部への力を与えることが含まれ得る。
【0028】
好適には予備的形成品は、約700〜約1000℃の範囲の温度、及び、約20g〜200gの張力が与えられ、その後約1380kPa〜約4146kPa(約200psi〜約600psi)の圧力でブローイングされる。言うまでもなく、他の適切な操作上のパラメータも使用され得る。予備的形成品からのバルーンの形成は当技術において公知であり、例えば米国特許第4490421号、米国特許第5807520号及び米国特許第5348538号に記載されている。それらはすべて、参照によってそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0029】
EPTFE層を備えたバルーンは、PTFE層を有したチューブ状予備的形成品を径方向に拡張することによっても作製され得る。
その発明は、さらに本発明のバルーンを形成方法にも関する。この方法は、第1、第2及び第3チューブを提供する工程と、第1チューブを第2チューブに挿入する工程と、第3チューブに第2チューブを挿入する工程と、バルーン成形用型に第1、第2及び第3チューブを挿入する工程と、バルーンを形成すべく第1、第2及び第3チューブを好適な温度で拡張する工程とを有する。第2のチューブはEPTFEから形成される。
【0030】
本発明のバルーンを形成する別の方法は、バルーン予備的形成品を形成すべく第1、第2及び第3材料を共に押出成形する工程を有する。第2の材料はPTFEなどのフッ化されたコポリマー、或いは高密度ポリエチレンであり、第1及び第2材料の間に配置される。EPTFEチューブが好適である場合、バルーン予備的形成品は伸縮され、EPTFEを形成すべく処理され得る。形成されたバルーン予備的形成品はバルーンを形成すべく成形され得る。成形は所望の温度で実行され得る。成形、予備的形成品を張力下に配置することによって、予備的形成品をブローイングすることによって、バルーンを張力の下に配置しかつバルーンをブローイングする組合せによって、或いは当技術にて公知の他の適切な技術によって実行され得る。
【0031】
本発明のバルーンは、第1材料の第1チューブを提供し、シート状のPTFE、EPTFE、高密度ポリエチレン又は本明細書に示される他の適切な材料を第1のチューブの周囲に配置するによっても形成され得る。その後、第2材料が第1チューブの周囲に配置されるか、或いは、第1のチューブがバルーンの外殻の役割を果たす第2材料の第2チューブ内に配置され得る。その後、材料は、それらをともに積層し、或いは外部の第2材料へ第1チューブ材料を積層させるべく加熱される。材料は当技術において公知の適切な接着剤を使用して、ともに接着され得る。
【0032】
PTFEの中間層がバルーン予備的形成品に使用される場合には、予備的形成品中のPTFE層が完成したバルーンではEPTFE層に変形されるべく、PTFEは予備的形成品をブローイングすることによって拡張され得る点を注記する。
【0033】
積層されたバルーン予備的形成品をブローイングすると直ちに、PTFE、EPTFE、ポリエチレン等などの中間層が内部及び外部層から離層する場合があり、そのために中間層を包囲することがある点もさらに注記する。
【0034】
別の実施形態において本発明は、その上に医療用バルーンを配置するカテーテルにも関する。図8は、カテーテルチューブ210の周囲に設けられたバルーン212を示す。ガイドワイヤ213がカテーテルチューブ210を貫通している。カテーテルチューブ210はバルーン212と液体連通にある。代替手段においては、バルーンを拡張させるべく個別の拡張ルーメン(図示せず)が設けられ得る。図8にさらに示されるように、カテー
テル210は、内部に傷216を有した血管214内にある。バルーン212は傷216内に配置され、血管の拡張直前の部分的に拡張した状態が示される。
【0035】
ここに示された本発明のバルーンは、3層のバルーンに限定されない。本発明のバルーンはより一般に、フッ化されたコポリマー及び上記の高密度ポリエチレンからなるグループから選択された材料の少なくとも1つの中間層を備えた3つ以上の材料層から形成され得る。
【0036】
本発明は、本発明のバルーンを使用可能な医療器具送達カテーテルを含む他の種類のカテーテルにも関する。1つのそのような適切なステント送達カテーテルはバーバ(Vrba)の米国特許第5772669号に開示される。本発明のカテーテルは、当技術にて公知のオーバーザワイヤのデザイン、固定ワイヤのデザイン、迅速交換のデザイン、或いは他の適切なデザインであってもよい。
【0037】
上記の開示は、本発明の例示であり排他的なものではない。この記載事項は、当業者に多数の変形及び代替手段を示唆する。これらの代替手段及び変形は全て付属のクレームの範囲に包含されるものである。当業者は、本明細書に記載した特定の実施形態に対する等価物も認識し得るが、これら等価物も付属のクレームに包含されるものである。
【0038】
(実施例)
(実施例1)
構造バルーンの外部及び内部層が、アーニテル樹脂(登録商標)EM−740から形成されたチューブ状予備的形成品から形成された。中間層はEPTFEから形成された。2本のアーニテル樹脂(登録商標)EM−740チューブは、内径、外径として内部チューブについてそれぞれ0.043cm(0.017インチ)及び0.079cm(0.03
1インチ)、外部チューブについてそれぞれ0.127cm(0.050インチ)及び0.152cm(0.060インチ)を有していた。その後、チューブは同軸に組み立てられてサンドイッチ構造に帰着した。また、アッセンブリはEPTFEチューブを伸長せずに、室温にて伸縮された。
【0039】
その後サンドイッチ構造は型に挿入され、95℃で31気圧(450psi)及び70グラムの張力のブローイング圧にて、3.0mmのバルーンが形成された。形成された3層バルーンは0.00643cm(0.00253インチ)の壁厚、6〜12気圧において5.1%及び12〜18気圧において5.5%のコンプライアンスを有していた。また、破壊圧力は24気圧(353psi)であった。
【0040】
形成されたバルーンはアーニテル樹脂(登録商標)EM−740から同一壁厚で形成された単層バルーンよりはるかに高い耐穿孔抵抗を有していた。
形成されたバルーンはサンドイッチ構造を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】ほぼ平行の小繊維を有したEPTFEの結節点及び小繊維の構造を示す概念図。
【図1B】小繊維が曲折しているEPTFEの結節点及び小繊維の構造を示す概念図。
【図2】バルーンの本体部のみに亙り延伸する中間層を備えた医療用バルーンを示す長手方向断面図。
【図3】バルーンの錐体部分に亙り延伸する中間層を備えた医療用バルーンを示す長手方向断面図。
【図4】バルーンの胴部の一部に亙り延伸する中間層を備えた医療用バルーンを示す長手方向断面図。
【図5】バルーンの胴部に亙り延伸する中間層を備えた医療用バルーンを示す長手方向断面図。
【図6】包囲された中間層を備えた医療用バルーンを示す長手方向断面図。
【図7A】完全に拡張したバルーンを概略的に示す側面図。
【図7B】部分的に拡張したバルーンを概略的に示す側面図。
【図7C】図7Bの直線8−8におけるバルーンの長手方向断面図。
【図8】カテーテル上に取り付けられたバルーンを示す概念図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)第1材料で形成されるとともにバルーン形状を有する内部層と、
ii)第2材料から形成され、前記内部層とともに延伸している外部層と、
iii)ePTFE及び高密度ポリエチレンからなるグループから選択される、結節点
及び小繊維の構造を有した材料からなり、前記内部層及び外部層の間に形成されている中間層とを含む少なくとも3つの層を有した部分を有する積層形態の医療用バルーンにおいて、
前記第1材料及び第2材料は前記中間層の材料と異なり、前記中間層は前記内部層に積層され、かつ前記中間層は前記外部層に積層されている、医療用バルーン。
【請求項2】
i)第1材料で形成されるとともにバルーン形状を有する内部層と、
ii)第2材料から形成され、前記内部層とともに延伸している外部層と、
iii)ePTFE及び高密度ポリエチレンからなるグループから選択される、結節点
及び小繊維の構造を有した材料からなり、前記内部層及び外部層の間に形成されている中間層とを含む少なくとも3つの層を有した部分を有する医療用バルーンにおいて、
前記第1材料及び第2材料は前記中間層の材料と異なり、前記中間層が本体部分上にのみ延伸している、医療用バルーン。
【請求項3】
i)第1材料で形成されるとともにバルーン形状を有する内部層と、
ii)第2材料から形成され、前記内部層とともに延伸している外部層と、
iii)ePTFE及び高密度ポリエチレンからなるグループから選択される、結節点
及び小繊維の構造を有した材料からなり、前記内部層及び外部層の間に形成されている中間層とを含む少なくとも3つの層を有した部分を有する医療用バルーンにおいて、
前記中間層は前記内部層と外部層によって被殻され、前記中間層は前記内部層に積層され、かつ前記中間層は前記外部層に積層されている、医療用バルーン。
【請求項1】
i)第1材料で形成されるとともにバルーン形状を有する内部層と、
ii)第2材料から形成され、前記内部層とともに延伸している外部層と、
iii)ePTFE及び高密度ポリエチレンからなるグループから選択される、結節点
及び小繊維の構造を有した材料からなり、前記内部層及び外部層の間に形成されている中間層とを含む少なくとも3つの層を有した部分を有する積層形態の医療用バルーンにおいて、
前記第1材料及び第2材料は前記中間層の材料と異なり、前記中間層は前記内部層に積層され、かつ前記中間層は前記外部層に積層されている、医療用バルーン。
【請求項2】
i)第1材料で形成されるとともにバルーン形状を有する内部層と、
ii)第2材料から形成され、前記内部層とともに延伸している外部層と、
iii)ePTFE及び高密度ポリエチレンからなるグループから選択される、結節点
及び小繊維の構造を有した材料からなり、前記内部層及び外部層の間に形成されている中間層とを含む少なくとも3つの層を有した部分を有する医療用バルーンにおいて、
前記第1材料及び第2材料は前記中間層の材料と異なり、前記中間層が本体部分上にのみ延伸している、医療用バルーン。
【請求項3】
i)第1材料で形成されるとともにバルーン形状を有する内部層と、
ii)第2材料から形成され、前記内部層とともに延伸している外部層と、
iii)ePTFE及び高密度ポリエチレンからなるグループから選択される、結節点
及び小繊維の構造を有した材料からなり、前記内部層及び外部層の間に形成されている中間層とを含む少なくとも3つの層を有した部分を有する医療用バルーンにおいて、
前記中間層は前記内部層と外部層によって被殻され、前記中間層は前記内部層に積層され、かつ前記中間層は前記外部層に積層されている、医療用バルーン。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【公開番号】特開2009−101170(P2009−101170A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301425(P2008−301425)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【分割の表示】特願2001−563173(P2001−563173)の分割
【原出願日】平成13年2月22日(2001.2.22)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【分割の表示】特願2001−563173(P2001−563173)の分割
【原出願日】平成13年2月22日(2001.2.22)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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