説明

PTH産生に対する被験物質の作用をアッセイする方法

【課題】PTH(副甲状腺ホルモン)産生に対する被験物質の作用をアッセイする方法を提供する。
【解決手段】(i)ラットの初代培養副甲状腺細胞を調製する。(ii)(i)の細胞を、低カルシウム濃度の条件の下、種々の濃度の被験物質の存在下、或は被験物質の存在下及び非存在下でインキュベーションする。
(iii)種々の濃度の被験物質の存在下でのPTH産生レベルを比較するか、あるいは、被験物質の存在下と非存在下でのPTH産生レベルを比較する。
(iv)(iii)の結果から、PTH産生に対する被験物質の作用の強さもしくは作用の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTH産生に対する被験物質の作用をアッセイする方法に関し、例えば、Ca感受性受容体(CaSR)に対する活性化作用を有し、医薬として有用な新規アリールアルキルアミン化合物を被験物質として用いる、PTH産生に対する被験物質の作用をアッセイする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
副甲状腺ホルモン(PTH)は、骨吸収を誘導して血中カルシウム(Ca)を増加させる生理的機能を有し、血中Caの恒常性を保つための役割を担っているホルモンである。PTHの分泌亢進が慢性的に持続すると、骨からの持続的なCaの溶出によって血中Ca濃度が上昇し、代謝異常が生じる。このため、PTHの分泌と合成は、細胞外カルシウムイオン(Ca2+)濃度を感知するCa感受性受容体(CaSR)を介したシグナル伝達により厳密に制御されている。
Ca感受性受容体(CaSR)はG蛋白共役型受容体の一つであり、副甲状腺の細胞の表面などに発現している。受容体を活性化させる化合物(アゴニスト)が受容体に結合すると、細胞内Ca2+濃度が上昇し、副甲状腺の細胞からのPTH分泌が抑制されることが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Brown et al., Nature, 366:575-580, 1993;
【非特許文献2】Nemeth et al., Proc.Natl.Acad.Sci USA, 95:4040-4045, 1998);
【非特許文献3】Brown, Annu.Rev.Nutr., 20:507-533, 2000;
【非特許文献4】Chattopadhyay, The International Journal of Biochemistry & Cell Biology, 32:789-804, 2000; 及び
【非特許文献5】Coburn et al., Curr.Opin.Nephrol.Hypertens., 9:123-132, 2000)。 CaSRに対する活性化作用を有する化合物(CaSRアゴニスト)、すなわちCaSRに選択的に作用しCa2+の作用を模倣あるいは増強する化合物は、カルシミメティクス(calcimimetics)とも称される。一方、CaSRに対する拮抗作用を有する化合物(CaSRアンタゴニスト)、すなわちCa2+の作用を抑制あるいは阻害する化合物はカルシリティクス(calcilytics)とも称される。 CaSRアゴニスト(calcimimetics)またはCaSRアンタゴニスト(calcilytics)については、以下のような報告がなされている。例えば、WO93/04373、WO94/18959、WO95/11221、WO96/12697、WO97/41090、WO98/01417、WO00/21910、WO01/34562、WO02/12181)、WO01/90069、WO03/99814及びWO03/99776には、CaSRに対する活性化作用又は拮抗作用を有するアミン誘導体が開示されている。そして、CaSRに対する活性化作用を有する化合物は、血中PTH濃度の低下を通じて抗副甲状腺機能亢進作用を示すことを期待されることが報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、PTH産生に対する被験物質の作用をアッセイする方法、例えば、優れたCa感受性受容体(CaSR)活性化作用を有する新規アリールアルキルアミン化合物を被験物質として用いる、PTH産生に対する被験物質の作用をアッセイする方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するために本発明者等は、鋭意研究の結果、有用なPTH産生に対する被験物質の作用をアッセイする方法を見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の(i)〜(iii)の工程からなる、PTH産生に対する被験物質の作用をアッセイする方法に関する。
(i) ラットの初代培養副甲状腺細胞を調製する。
(ii) (i)の細胞を、低カルシウム濃度の条件の下、種々の濃度の被験物質の存在下、或は被験物質の存在下及び非存在下でインキュベーションする。
(iii)種々の濃度の被験物質の存在下でのPTH産生レベルを比較するか、
あるいは、被験物質の存在下と非存在下でのPTH産生レベルを比較する。
(iv) (iii)の結果から、PTH産生に対する被験物質の作用の強さもしくは作用の有無を判定する。
PTH産生抑制作用の試験のためには、例えば、ラットの副甲状腺細胞を用いて被験化合物の作用をアッセイする方法を好適に用いることができる。
この方法は、以下のような工程を含む。
(i) ラットの初代培養副甲状腺細胞を調製する。
(ラットから副甲状腺細胞採取してこれを初代培養する。)
(ii) (i)の細胞を低いカルシウム濃度の条件の下〔例えばCa濃度が約1.5mM以下(好ましくは1.15mM以下)の培地等の中で〕、種々の濃度の被験物質の存在下(あるいは、被験物質の存在下及び非存在下)でインキュベーションする。
(iii)種々の濃度の被験物質の存在下でのPTH産生レベルを比較する。
(あるいは、被験物質の存在下と非存在下でのPTH産生レベルを比較する。)
(iv)(iii)の結果から、PTH産生に対する被験物質の作用(抑制作用又は増強作用)の強さもしくは作用の有無を判定する。
【0007】
より詳細には、後記実施例1の記載と同様にして実施できる。
【発明の効果】
【0008】
この方法によれば、大動物(ウシ等)の副甲状腺細胞を用いる従来の方法と比べて、細胞の調製が容易である。また、適度な長さの時間のインキュベーションのもとでPTH産生の変化を見ることができるので、安定かつ効率的に試験を実施できる。また多数の被験物質の試験が可能である。
さらに、インビボ試験で通常用いられる病態モデルと同じ動物(ラット)の細胞を用いることにより、生体内で強い効果を示す物質を選別するために有利である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書においては、例えば、以下の化合物を被験化合物として用いることができる。
一般式[I]:
【化1】


[式中の記号は、以下の意味を表す。
Ar:置換基を有していてもよいアリール又は
置換基を有していてもよいヘテロアリール
該ヘテロアリールの環部分は、1〜2個の異項原子を含む
5〜6員単環式複素環とベンゼン環とが縮合してなる二環式複素環
である、を表す。
:置換基を有していてもよい環式炭化水素基、及び
置換基を有していてもよい複素環基
からなる群より選択される基を表す。
n:1〜3の整数を表す。
X:単結合手、−CH−、−CO−、
−(CH−CO−、
−CH(R)−CO−、
−(CH−Y−(C(R)(R))−CO−、
−NH−CO−又は−N(R)−CO−を表す。
上記のXの各定義において左端に記載した結合手はRとの結合を表す。
m=1〜3の整数を表す。
p=0〜2の整数を表す。
q=0〜2の整数を表す。
Y:−O−又は−SO−を表す。
:フェニル又は低級アルキルを表す。
、R:各々独立して、水素原子又は低級アルキル を表す。
:低級アルキルを表す。
但し、Rで表される基の環部分はナフチリジン又はその一部が飽和されたもの
ではない。また、Xが、−CH−又は−CO−であるとき、Rはナフチルで
はない。]
で示されるアリールアルキルアミン化合物又はその薬理的に許容し得る塩に関する。
また、前記一般式[I]で示されるアリールアルキルアミン化合物又はその薬理的に許容しうる塩を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
また、前記化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩の有効量を患者に投与することからなる治療又は予防方法、前記化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩を有効成分として含む医薬組成物の製造のための使用に関する。また、前記化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩、並びにその製造方法に関する。
【0010】
本明細書の目的化合物[I]には、光学異性体が複数存在し得る(例えば、化合物[I]のうち、nが2又は3である場合には、含窒素環構造部分の3位炭素原子を不斉中心とする光学異性体が存在する。)。本発明は、これら異性体のいずれをも含み、また、その混合物をも含むものである。
【0011】
本明細書において、低級アルキル、低級アルキルチオ、低級アルキルスルホニル基、低級アルコキシ、低級アルキルアミノとしては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、とりわけ炭素数1〜4のものが挙げられる。
また、低級アルカノイル、低級アルカノイルアミノとしては、炭素数2〜7、とりわけ炭素数2〜5のものが挙げられる。
低級アルカノイルとしては、低級アルキル−CO−又は低級シクロアルキル−CO−のいずれも含まれる。
低級シクロアルキル、低級シクロアルケニルとしては、炭素数3〜8、とりわけ炭素数3〜6のものが挙げられる。
低級アルキレンとしては、炭素数1〜6、とりわけ炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられる。
低級アルケニル、低級アルケニレンとしては、炭素数2〜7、とりわけ炭素数2〜5のものが挙げられる。
さらにハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素が挙げられる。
また、置換基を有していてもよいアミノ基としては、環状アミノ(1−ピロリジニル、1−ピペリジル、1−ピペラジニル、4−モルホリニル等)が含まれる。
【0012】
本明細書の目的化合物[I]において、Arで表される「置換基を有していてもよいアリール」のアリール部分としては、単環式もしくは二環式アリールが挙げられる。
具体的には、例えば、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。
Arで表される「置換基を有していてもよいヘテロアリール」のヘテロアリール部分としては、異項原子(酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる)を1〜2個含む単環式5〜6員複素環とベンゼン環とが縮合してなる二環式複素環基が挙げられる。
具体的には、例えば、ベンゾチエニルなどが挙げられる。
【0013】
Arで表される「置換基を有していてもよいアリール」又は「置換基を有していてもよいヘテロアリール」における置換基としては、ハロゲン(F、Cl、Br等)、ヒドロキシ、シアノ、ハロ低級アルキル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ等が挙げられる。
これらのうち、低級アルコキシ基(メトキシ、エトキシなど)、低級アルキル(メチル等)などが好適である。
【0014】
で表される「置換基を有していてもよい環式炭化水素基」の環式炭化水素基部分としては、例えば、一部又は全部が飽和していてもよい、炭素数3〜11の単環もしくは二環式炭化水素基が挙げられる。
具体的には、例えば、フェニル、シクロへキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピルなどの炭素数3〜7の単環式炭化水素基、及びインダニル、インデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどの炭素数9〜11の二環式炭化水素基等が挙げられる。
これら環式炭化水素基のうち、フェニル、シクロへキシル などの単環式炭化水素基、及び、インダニル、インデニルなどの二環式基炭化水素基が好適である。
これらのうち、単環式炭化水素基がより好ましく、とりわけフェニル及びシクロプロピル等が好ましい。
【0015】
で表される「置換基を有していてもよい複素環基」の複素環基部分としては、
窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる異項原子を1個以上含む、飽和もしくは不飽和の単環もしくは二環式複素環が挙げられる。
単環式のものとしては、飽和又は不飽和の一個の5〜7員環からなる複素環であって、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜4個の異項原子を含むもの等が挙げられる。
また二環式のものとしては、飽和又は不飽和の2個の5〜7員環が2個縮合してなる複素環であって、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜6個の異項原子を含むもの等が挙げられる。
単環式のものとしては、具体的には、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキソラニル、チオラニル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、パーヒドロアゼピニル、パーヒドロチアゼピニル、これらの一部又は全部が飽和している環式基、及び、これらのヘテロ原子(N又はS)が酸化された環式基(ピリジル−N−オキシドなど)などの単環式基が挙げられる。
これらのうち、ピロリル、チエニル、チアゾリル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルなどが好適である。
また、二環式のものとしては、例えば、インドリニル、イソインドリニル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、チエノピリジル、チアゾロピリジル、ピロロピリジル、ピロロピリミジニル、シクロペンタピリミジニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、フタラジニル、シンノリニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾチアジナニル、これらの一部又は全部が飽和している環式基、及び、これらのヘテロ原子(N又はS)が酸化された環式基などの二環式基が挙げられる。
これらのうち、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンゾチエニル、キノリル、フタラジニル、ベンゾチアジナニルなどが好適である。
1で表される「置換基を有していてもよい複素環基」の複素環基部分としては、
上記単環式及び二環式のもののうち、単環式のものがより好ましい。
【0016】
1で表される「置換基を有していてもよい環式炭化水素基」又は「置換基を有していてもよい複素環基」における置換基としては、例えば、以下の置換基群Q1のものが挙げられる。
【0017】
<置換基群Q1>
・ハロゲン(Cl、F、Br、I等)
・シアノ
・ニトロ
・オキソ基
・ヒドロキシ
・カルボキシ
・置換基されていてもよい低級アルキル
(ハロゲン、シアノ、ニトロ、オキソ、カルボキシ、ヒドロキシ、低級アルコキシ及びハロ低級アルコキシ等から選択される1又は複数の基で任意に置換されていてもよい。)
・置換基されていてもよい低級アルコキシ
(ハロゲン、シアノ、ニトロ、オキソ、カルボキシ及びヒドロキシ等から選択される1又は複数の基で任意に置換されていてもよい。)
・置換されていてもよいアミノ
(低級アルキル、ハロ低級アルキル等から選択される基でモノ−又はジ−置換されていてもよい。)
・置換されていてもよい5〜6員単環式複素環基(テトラゾール、ピリダジニル、又はこれらの一部が飽和された環式基等)
(ハロゲン、シアノ、ニトロ、オキソ、カルボキシ、ヒドロキシ、低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ低級アルコキシ及びアシル等から選択される1又は複数の基で任意に置換されていてもよい。)
・置換されていてもよいフェニル
(ハロゲン、シアノ、ニトロ、オキソ、カルボキシ、ヒドロキシ、低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ低級アルコキシ及びアシル等から選択される1又は複数の基で任意に置換されていてもよい。)
・アシル
〔例えば、置換されていてもよい低級アルカノイル
(ハロゲン、シアノ、ニトロ、オキソ、カルボキシ及びヒドロキシ等から選択される1又は複数の基で任意に置換されていてもよい);
置換されていてもよい低級シクロアルキルカルボニル
(ハロゲン、シアノ、ニトロ、オキソ、カルボキシ及びヒドロキシ等から選択される1又は複数の基基で任意に置換されていてもよい);
置換されていてもよい低級アルキルスルホニル
(ハロゲン、シアノ、ニトロ、オキソ、カルボキシ及びヒドロキシ等から選択される1又は複数の基基で任意に置換されていてもよい);
エステル化されたカルボニル
(ハロゲン、シアノ、ニトロ、オキソ、カルボキシ及びヒドロキシ等から選択される1又は複数の基で任意に置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル;D−グルクロン酸の2位ヒドロキシの水素を除去した基で置換されたカルボニル等);
置換されていてもよい脂肪族5〜6員含窒素複素環基−CO−
(ピロリジニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、モルホリノカルボニル等)
(ハロゲン;シアノ;オキソ;ヒドロキシ;カルボキシ;
ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、低級アルコキシ又はハロ低級アルコキシなどで置換されていてもよい低級アルキル;カルバモイル;低級アルキルスルホニル;及び低級アルキルスルホニルアミノから選択される1又は複数の基で任意に置換されていてもよい。);
置換されていてもよいカルバモイル
(以下の置換基群Q2から選択される基でモノ−又はジ−置換されていてもよい。);
及び;
置換されていてもよいアミノスルホニル
(以下の置換基群Q2から選択される基でモノ−又はジ−置換されていてもよい。);等。〕
【0018】
<置換基群Q2>
置換されていてもよい低級アルキル
〔ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ;アリール(フェニル等);低級シクロアルキル;低級アルコキシ;モノ−又はジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;オキソ等で置換されていてもよい脂肪族含窒素5〜6員複素環基(ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル等);及び;アシル(低級アルカノイル、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、モルホリノカルボニル等);等から選択される1又は複数の基で任意に置換されていてもよい。〕;
置換されていてもよい低級シクロアルキル
(ヒドロキシ;ヒドロキシ低級アルキル;及び;オキソ等で置換されていてもよい脂肪族含窒素5〜6員複素環基(ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル等);等から選択される1又は複数の基で任意に置換されていてもよい。);
置換されていてもよい脂肪族含窒素5〜6員複素環基(ピペリジニル等)
〔低級アルキル及びアシル(低級アルカノイル、低級アルキルスルホニル、低級アルコキシカルボニル、モノ又はジ低級アルキルアミノスルホニル、モノ又はジ低級アルキルアミノカルボニル等)などから選択される1又は複数の基で任意に置換されていてもよい。〕;及びテトラヒドロピラニル。
【0019】
1が、置換基を有していてもよいフェニルである場合、置換基は、カルボキシ、ハロゲン(F、Clなど)、非置換又は置換低級アルキル(カルボキシ低級アルキル、ハロ低級アルキルなど)、非置換又は置換低級アルコキシ(ハロ低級アルコキシ等)、アシル(低級アルキルスルホニル、カルバモイル、ヒドロキシ低級アルキルカルバモイル、低級アルキルアミノスルホニル、モノ−又はジ−低級アルキルアミノ低級アルキルアミノスルホニル等)、又は置換されていてもよい5〜6員単環式複素環基(テトラゾール又はその一部が飽和された環式基等)等であることが望ましい。
【0020】
で表される「低級アルキル」としては、メチル又はエチルが好適である。
及びRで表される「低級アルキル」としては、メチル又はエチルが好適である。
で表される「低級アルキル」としては、メチル又はエチルが好適である。
【0021】
本明細書の化合物[I]のうち、好ましい化合物としては、以下の部分構造:
【化2】


一般式〔I−e〕
【化3】


〔式中の記号は、前記と同一意味を有する。〕
で表される化合物が挙げられる。
【0022】
さらに好ましい化合物群としては、Xが単結合手、−CO−又は−(CH−CO−である化合物群が挙げられる。より好ましい化合物としては、nが1又は2であり、Xが単結合手、−CO−又は−(CH−CO−である化合物群が挙げられる。
あるいはまた、nが2であり、Xが単結合手である化合物群が挙げられる。
さらに、前記いずれかの化合物群において、Arが置換基を有していてもよい
アリールである化合物群が挙げられる。
さらに、前記いずれかの化合物群において、Arが置換基を有していてもよいフェニル又は置換基を有していてもよいナフチルである化合物群が挙げられる。
さらに、前記いずれかの化合物群において、Arが、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ハロ低級アルキル、低級アルキル、低級アルコキシ及び低級アルキルチオから選択される基で任意に置換されていてもよい基である化合物群が挙げられる。
さらに、前記いずれかの化合物群において、Arが、低級アルキル及び低級アルコキシから選択される基で任意に置換されていてもよい基である化合物群が挙げられる。
さらに、前記いずれかの化合物群において、Rで表される基の環部分が環式炭化水素基であるか、又は単環式複素環基である化合物群が挙げられる。
さらに、前記いずれかの化合物群において、Rで表される基の環式基部分が、以下の(i)(ii)又は(iii)である化合物群が挙げられる。
(i)一部又は全部が飽和していてもよい炭素数3〜11の単環もしくは二環式炭化水素基;
(ii)飽和又は不飽和の一個の5〜7員環からなる複素環であって、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜4個の異項原子を含む単環式複素環基;又は
(iii)飽和又は不飽和の2個の5〜7員環が2個縮合してなる複素環であって、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜6個の異項原子を含む二環式複素環基。
【0023】
さらに、前記いずれかの化合物群において、Rで表される基の環式基部分が、以下の(i)(ii)又は(iii)である化合物群が挙げられる。
(i)フェニル、シクロへキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピル、インダニル、インデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、及びこれらの一部又は全部が飽和している基から選択される単環もしくは二環式炭化水素基;
(ii)ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキソラニル、チオラニル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、パーヒドロアゼピニル、パーヒドロチアゼピニル、これらの一部又は全部が飽和された基、及び、これらのヘテロ原子(N又はS)が酸化された基から選択される単環式複素環基;又は
(iii)インドリニル、イソインドリニル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、チエノピリジル、チアゾロピリジル、ピロロピリジル、ピロロピリミジニル、シクロペンタピリミジニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、フタラジニル、シンノリニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾチアジナニル、これらの一部又は全部が飽和された基、及び、これらのヘテロ原子(N又はS)が酸化された基から選択される二環式複素環基。
【0024】
本明細書の化合物[I]は、遊離の形でも、薬理的に許容し得る塩の形でもよい。
薬理的に許容しうる塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩又は臭化水素酸塩の如き無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩又はマレイン酸塩の如き有機酸塩等が挙げられる。また、カルボキシル基等の置換基を有する場合には塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩又はカルシウム塩の如きアルカリ土類金属塩)が挙げられる。
本明細書の化合物[I]又はその塩は、その分子内塩や付加物、それらの溶媒和物或いは水和物等をいずれも含むものである。
【0025】
本明細書の目的化合物〔I〕(とりわけ化合物〔I−e〕)又はそのその薬理的に許容し得る塩は優れたCaSR活性化作用を有する。本明細書の目的化合物を有効成分として含有する医薬組成物は、CaSRの活性化および/又はPTHの産生抑制(および/又はこれらを介したPTHの血中レベル低下)により病態の改善が見込まれる疾患〔例えば、副甲状腺機能亢進症(原発性副甲状腺機能亢進症、二次性副甲状腺機能亢進症及び異所性副甲状腺機能亢進症等)等〕の治療又は予防のための医薬における有効成分として有用である。
【0026】
本明細書の目的化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩は、CaSRに対して優れた活性化作用を有する。また、CaSRに対して高い選択性を有する。
また、本明細書の目的化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩は、そのCaSRに対する活性化作用を介して、PTHの産生を抑制し、生体内においてPTHの血中レベルを低下させる等、種々の薬効を発揮する。従って、本明細書の目的化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩を有効成分として含有する医薬組成物は、CaSRの活性化のために使用できる。また、該医薬組成物は、PTHの産生を抑制するために使用できる。また生体内においてPTHの血中レベルを低下させるために使用できる。また、該医薬組成物は、CaSRの活性化および/又はPTHの産生抑制(および/又はこれらを介したPTHの血中レベル低下)により病態の改善が見込まれる疾患の治療又は予防のために使用できる。
【0027】
CaSRに対する活性化作用を有する化合物は、例えば、例えば、WO93/04373、WO94/18959、WO95/11221、WO96/12697、WO97/41090、WO98/01417、WO03/99814及びWO03/99776に記載されているように、血中PTH濃度の低下を通じて抗副甲状腺機能亢進作用を示すことが知られている。
【0028】
従って、本明細書の目的化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩を有効成分として含有する医薬組成物は、CaSRの活性化および/又はPTHの産生抑制(および/又はこれらを介したPTHの血中レベル低下)により病態の改善が見込まれるこれら疾患、すなわち副甲状腺機能亢進症(原発性副甲状腺機能亢進症、二次性副甲状腺機能亢進症及び異所性副甲状腺機能亢進症等)などの治療又は予防のために使用できる。
【0029】
本明細書の化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩の有効量を患者に投与する方法、本明細書の化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩を有効成分として含む医薬組成物の製造のための使用も、前記目的に適用され、本発明に含まれる。
【0030】
本明細書の化合物のCaSRに対する活性化作用及びPTH産生抑制作用等の薬理学的効果は、既知方法(WO97/37967、WO93/04373、WO94/18959、WO97/41090、Nemeth et al., Proc.Natl.Acad.Sci USA, 95:4040-4045, 1998;Racke and Nemeth, J.Physiol., 468:163-176,1993;及びNemeth et al., J.Pharmacol. Exp.Ther. 308:627-635, 2004)、もしくはそれらと同等の方法により確認できる。
【0031】
生体内におけるPTHレベル低下作用は、既知の動物モデル(副甲状腺機能亢進症の病態モデル等)を用いたインビボ試験により検出することができる。
かかる動物モデルとしては、例えば、ラットアデニンモデル、ラット5/6腎摘(腎臓摘出)モデルなどが適用でき、より具体的には例えば、後記参考実験例2及び3に記載の方法等を適用することができる。
【0032】
本明細書の化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩を、有効成分として医薬用途に使用する場合、投与方法に応じた不活性な担体とともに用い、慣用の医薬製剤(錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、溶液、懸濁液、乳液、注射剤、点滴剤等)として製剤化して用いることができる。かかる担体としては、例えば、一般的な医薬において許容される結合剤(アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、ポリビニルピロリドン等)、賦形剤(乳糖、砂糖、コーンスターチ、ソルビット等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール等)、崩壊剤(バレイショデンプン等)などが挙げられる。注射剤や点滴剤とする場合は、注射用蒸留水、生理的食塩水、ブドウ糖水溶液などを用いて製剤化することができる。
【0033】
本明細書の化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩を、医薬用途に使用する場合の投与方法は、特に限定されず、一般的な経口もしくは非経口的な方法(静脈内、筋肉内、皮下、経皮、経鼻、その他経粘膜、経腸など)を適用することができる。
本明細書の化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩を、医薬用途に使用する場合の投与量は、有効成分とする化合物のポテンシーや特性に応じ、薬効を発現するのに十分な有効量の範囲で、適宜設定すればよい。投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態によっても異なるが、一般的な投与量、例えば1日当たり、0.001〜300mg/kgの範囲で適切な量に設定される。
【0034】
本明細書の目的化合物[I]は、下記〔A法〕、〔B法〕、〔C法〕、〔D法〕、〔E法〕、〔F法〕により製造することができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
【化4】


(式中、Zは反応性残基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)
本明細書の目的化合物[I]のうち、Xが単結合手である一般式〔I-a〕で示される化合物は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、一般式〔11〕で示される化合物またはその塩を、一般式〔12〕で示される化合物と反応させ、所望により生成物を薬理学的に許容し得る塩とすることにより目的化合物〔I-a〕を製造することができる。
【0036】
で表される反応性残基としては、ハロゲン原子、低級アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等の慣用の反応性残基を好適に用いることができるが、とりわけハロゲン原子が好ましい。
化合物〔11〕の塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等の無機酸との塩が使用できる。
前記A法における反応は、例えば以下の反応A1、反応A2のようにして実施することができる。
【0037】
反応A1:
化合物〔11〕又はその塩と化合物〔12〕との反応は、例えば適当な溶媒中、触媒及び塩基の存在下に実施することができる。
触媒としては、パラジウム触媒〔例えば、酢酸パラジウム、トリスジベンジルデンアセトンジパラジウム等〕を好適に用いることができる。
また、反応促進のために、トリフェニルホスフィン、BINAP(2,2'-bis(di-phenylphosphino-1,1'-binaphthyl))、ビフェニル−2−イル−ジ−tertブチルホスファンなどの3価リン化合物 等を添加してもよい。特に、触媒として、配位子のない2価のパラジウム触媒(酢酸パラジウムなど)を用いるときは、3価リン化合物を添加する。
塩基としては、例えば、炭酸セシウム(CsCO)、ナトリウムブトキシド、アルカリ金属アミド(リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジドなど)等を好適に用いることができる。
【0038】
本反応は、0〜150℃、とりわけ室温〜120℃で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えばtert-ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、1-メチル-2-ピロリジノン、1,2-ジメトキシエタン、ジグリム、キシレン 又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができる。
【0039】
反応A2:
化合物〔11〕又はその塩と化合物〔12〕との反応は、例えば適当な溶媒中、塩基の存在下に実施することができる。
かかる塩基としては、無機塩基(例えば、水素化ナトリウムなどの水素化アルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属、ナトリウムブトキシド、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド等)又は有機塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)等を好適に用いることができる。
【0040】
本反応は、20〜200℃、とりわけ70〜140℃で好適に進行する。
溶媒としては、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、tert-ブタノール、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1,2-ジメトキシエタン、ジグリム、キシレン又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができる。
【0041】
【化5】


(式中、記号は前記と同一意味を有する。)
本明細書の目的化合物[I]のうち、Xが−CH−である一般式〔I-b〕で示される化合物は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、一般式〔11〕で示される化合物またはその塩を、一般式〔13〕で示される化合物と反応させ、所望により生成物を薬理学的に許容し得る塩とすることにより目的化合物〔I-b〕を製造することができる。
【0042】
化合物〔11〕の塩としては、前記と同様の塩が使用できる。
化合物〔11〕又はその塩と化合物〔13〕との反応は、適当な溶媒中、還元剤の存在下に実施することができる。
還元剤としては、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等を好適に用いることができる。
また、反応促進のために、酢酸、プロピオン酸などの有機酸等を添加するとよい。
【0043】
本反応は、0〜60℃、とりわけ20〜40℃で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、1,2-ジメトキシエタン、キシレン又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができ、これらのうち、とりわけ塩化メチレンを好適に用いることができる。
【0044】
【化6】


〔式中、Xは、−CO−、−(CH−CO−、−CH(R)−CO−、
−(CH−Y−(C(R)(R))−CO−、又は−N(R)−CO−を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。〕
本明細書の目的化合物[I]のうち、Xが−CO−、−(CH−CO−、−CH(R)−CO−、−(CH−Y−(C(R)(R))−CO−、又は
−N(R)−CO−である一般式〔I-c〕で示される化合物は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、一般式〔11〕で示される化合物またはその塩を、一般式〔14a〕又は〔14b〕で示される化合物と反応させ、所望により生成物を薬理学的に許容し得る塩とすることにより目的化合物〔I-c〕を製造することができる。
【0045】
化合物〔11〕の塩としては、前記と同様の塩が使用できる。
化合物〔11〕又はその塩と化合物〔14a〕との反応は、適当な溶媒中、塩基の存在下に実施することができる。
かかる塩基としては、有機塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)等を好適に用いることができる。
本反応は、−20〜50℃、とりわけ10〜30℃で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、1,2-ジメトキシエタン、キシレン又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができる。
【0046】
また、化合物〔11〕又はその塩と化合物〔14b〕との反応は、適当な溶媒中、縮合剤の存在下、必要に応じ添加剤及び/又は塩基の存在下又は非存在下に実施することができる。
縮合剤としては、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、DCC(ジシクロへキシルカルボジイミド)、EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、クロロギ酸エステル類(例えば、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル)、カルボニルジイミダゾール等を好適に用いることができる。
また、反応を促進させるために、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシスクシンイミドなどの添加剤や、塩基を上記縮合剤とともに添加することもできる。
かかる塩基としては、有機塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)、炭酸アルカリ金属(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)等を好適に用いることができる。
本反応は、0〜100℃、とりわけ20〜50℃で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1,2-ジメトキシエタン、キシレン又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができる。
【0047】
【化7】


〔式中の記号は、前記と同一意味を有する。〕
本明細書の目的化合物[I]のうち、Xが−NH−CO−である一般式〔I-d〕で示される化合物は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、一般式〔11〕で示される化合物またはその塩を、一般式〔15〕で示される化合物と反応させ、所望により生成物を薬理学的に許容し得る塩とすることにより目的化合物〔I-d〕を製造することができる。
【0048】
化合物〔11〕の塩としては、前記と同様の塩が使用できる。
化合物〔11〕又はその塩と化合物〔15〕との反応は、適当な溶媒中、塩基の存在下又は非存在下に実施することができる。
かかる塩基としては、無機塩基(例えば、水素化ナトリウムなどの水素化アルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属、ナトリウムブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属等)又は有機塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)等を好適に用いることができる。
【0049】
本反応は、0〜60℃、とりわけ10〜30℃で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1,2-ジメトキシエタン、キシレン又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができる。
【0050】
【化8】


(式中、記号は前記と同一意味を有する。)
目的化合物〔I-a〕は、例えば以下のようにして製造することもできる。
まず、一般式〔21〕で示される化合物又はその塩を、一般式〔22〕で示される化合物と反応させ、一般式〔23〕で示される化合物を得る。これを、酸化反応に付し、一般式〔24〕で示される化合物を得る。化合物〔24〕を一般式〔25〕で示される化合物又はその塩と反応させ、所望により生成物を薬理学的に許容し得る塩とすることにより目的化合物〔I-a〕を製造することができる。
【0051】
化合物〔21〕及び〔25〕の塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等の無機酸との塩が使用できる。
【0052】
E法における各反応は以下のように実施することができる。
化合物〔21〕又はその塩と化合物〔22〕との反応は、適当な溶媒中、銅試薬の存在下に実施することができる。
銅試薬としては、酢酸銅等を好適に用いることができる。
また、反応を促進させるため、塩基を添加する。かかる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等を好適に用いることができる。
また、系内に水が混入すると反応速度が低下するので、それを防ぐため、反応系内には、モレキュラーシーブ4Aなどの脱水剤を添加してもよい。
【0053】
本反応は、0〜40℃、とりわけ10〜30℃で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、塩化メチレン、ジクロロエタン又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができ、とりわけ塩化メチレンが好適である。
【0054】
化合物〔23〕の酸化反応は、常法により実施でき、例えば、適当な溶媒中、酸化剤の存在下に実施することができる。
酸化剤としては、塩化オキサリル−ジメチルスルホキシド、サルファトリオキシドピリジン錯体などを好適に用いることができる。
【0055】
本反応は、−70〜40℃、とりわけ−70〜20℃で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、酸化剤として、塩化オキサリル−ジメチルスルホキシドを用いる場合は、塩化メチレンなどを好適に用いることができ、酸化剤として、サルファトリオキシドピリジン錯体を用いる場合は、ジメチルスルホキシドを好適に用いることができる。
【0056】
化合物〔24〕と化合物〔25〕又はその塩との反応は、前記B法における化合物〔11〕と化合物〔13〕との反応と同様にして実施できる。
【0057】
【化9】


(式中、記号は前記と同一意味を有する。)
目的化合物〔I-b〕は、例えば以下のようにして製造することもできる。
まず、一般式〔21〕で示される化合物又はその塩を、前記化合物〔13〕と反応させ、一般式〔26〕で示される化合物を得る。これを、酸化反応に付し、一般式〔27〕で示される化合物を得る。化合物〔27〕を前記化合物〔25〕又はその塩と反応させ、所望により生成物を薬理学的に許容し得る塩とすることにより目的化合物〔I-b〕を製造することができる。
【0058】
F法における各反応は以下のように実施することができる。
化合物〔21〕又はその塩と化合物〔13〕との反応は、前記化合物〔11〕と化合物〔13〕との反応と同様にして実施できる。
化合物〔26〕の酸化反応は、前記化合物〔23〕の酸化反応と同様にして実施できる。
化合物〔27〕と化合物〔25〕又はその塩との反応は、前記化合物〔24〕と化合物〔25〕との反応と同様にして実施できる。
【0059】
〔原料化合物の製法〕
前記A法、B法、C法及びD法における原料化合物である、化合物〔11〕は、例えば以下のようにして製造できる。
【化10】


(式中、Qはアミノ基保護基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)
【0060】
まず、一般式〔31〕で示される化合物又はその塩を、前記化合物〔25〕又はその塩と反応させ、一般式〔33〕で示される化合物を得る。
あるいはまた、化合物〔31〕を酸化反応に付して、一般式〔32〕で示される化合物を得る。これを前記化合物〔25〕又はその塩と反応させ、化合物〔33〕を得る。
化合物〔33〕から、アミノ基保護基を除去することにより化合物〔11〕を製造することができる。
【0061】
Qで表されるアミノ基保護基としては、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基の慣用のアミノ基保護基をいずれも好適に使用できる。
【0062】
各反応は以下のように実施することができる。
化合物〔31〕と化合物〔25〕又はその塩との反応は、適当な溶媒中、無水トリフルオロメタンスルホン酸などの存在下及び塩基の存在下に実施することができる。かかる塩基としては、例えば、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基等を好適に用いることができる。
本反応は、−50℃〜室温、とりわけ−20℃〜室温で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、1,2-ジメトキシエタン、キシレン又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができ、とりわけ塩化メチレンを好適に用いることができる。
【0063】
化合物〔31〕の酸化反応は、前記化合物〔23〕の酸化反応と同様にして実施できる。
化合物〔32〕と化合物〔25〕又はその塩との反応は、前記化合物〔24〕と化合物〔25〕との反応と同様にして実施できる。
あるいは、縮合剤としてチタニウムテトライソプロポキシドなどを用い、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムなどを用いて実施することができる。
化合物〔33〕からのアミノ基保護基(Q)の除去は、常法により実施でき、例えば、適当な溶媒中又は無溶媒で酸処理、塩基処理又は接触還元により実施することができる。
【0064】
nが2又は3の場合、化合物〔33〕及び化合物〔11〕には、含窒素環の3位炭素をキラル中心とする光学異性体が存在する。
光学活性な化合物〔33〕及び化合物〔11〕は、ジアステレオマー混合物〔33〕から、例えば、以下のようにして、製造することができる。
まず、化合物〔33〕を、ホスゲン類と反応させ、得られる生成物(ジアステレオマー混合物)を、必要に応じ結晶化及び/又はカラムクロマトグラフィーにて精製・分離することにより、一般式〔34a〕及び一般式〔34b〕で示される光学活性な化合物を得る。
あるいはまた、生成するカルバモイルクロリドジアステレオマー混合物をアルコール(tert-ブタノールなど)と反応させて生じるカルバメートジアステレオマー混合物をカラム分離することによっても、同様に光学活性体を得ることができる。
化合物〔34a〕又は化合物〔34b〕をHOと反応させることにより、一般式〔33a〕及び一般式〔33b〕で示される化合物を得る。
化合物〔33a〕又は化合物〔33b〕からアミノ基保護基を除去することにより、一般式〔11a〕又は一般式〔11b〕を製造することができる。
【0065】
化合物〔33〕とホスゲン類(トリホスゲン、ジホスゲン、カルボニルジイミダゾール、4−ニトロフェニルクロロホルメート等)との反応は、適当な溶媒中、塩基の存在下に実施することができる。
かかる塩基としては、有機塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)等を好適に用いることができる。
本反応は、−40〜40℃、とりわけ−20℃〜室温で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、1,2-ジメトキシエタン、キシレン又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができ、とりわけ、塩化メチレンを好適に用いることができる。
【0066】
化合物〔34a〕又は化合物〔34b〕とHOとの反応は、適当な溶媒中、実施することができる。
本反応は、室温〜120℃、とりわけ70〜100℃で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1,2-ジメトキシエタン、キシレン又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができる。
【0067】
化合物〔33a〕又は化合物〔33b〕からのアミノ基保護基(Q)の除去は、前記化合物〔33〕からのアミノ基保護基の除去と同様にして実施できる。
その他、原料化合物は、既知方法及び/または後記参考例に記載の方法と同様にして製造できる。
また、前記製造方法(A法、B法、C法、D法、E法、F法)により製造される目的化合物〔I〕は、さらに、後記実施例に記載の方法及び/または既知方法又はそれらの組合せによって、別の目的化合物〔I〕に構造変換することができる。
【0068】
上記のようにして製造される本明細書の化合物[I]もしくはその原料化合物は、遊離のままあるいはその塩として単離され、精製される。塩は、通常用いられる造塩処理に付すことにより製造できる。単離精製は、抽出、濃縮、結晶化、ろ過、再結晶、各種クロマトグラフィーなど通常の化学的操作を適用して実施できる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例は本発明を制限するものではない。
末尾の表A1、表A2、表B、表CD、表EF、表X、表Y及び参考例表には、実施例および参考例の化合物の化学構造式および物性値などを示す。
表中、MS・APCI(m/z)は、質量分析値(大気圧化学イオン化マススペクトル)を表す。
また、本明細書中の略号
「Me」はメチル基、
「Et」エチル基、
「Bu」はブチル基を各々表す。
【0070】
実施例1 PTH産生抑制作用:
ラット副甲状腺細胞を用いたインビトロ試験
ラットの副甲状腺細胞の初代培養細胞を用い、以下のようなインビトロ試験により、PTH産生に対する抑制作用を調べた。
【0071】
(1)ラット副甲状腺細胞の分離と培養:
10週齢の雄性CD(SD)IGSラット(系統Crj、グレードSPF、日本チャールス・リバー社)36匹をエーテル麻酔にて安楽死させ、無菌的に副甲状腺が付いた状態で甲状腺を摘出し、ITS含有DMEM/F−12培地(低Ca)中にて保存した。摘出物から、実体顕微鏡下で副甲状腺を分離し、同培地中に回収した。次に培地を捨て、カルシウムおよびマグネシウムイオンを含有しないリン酸緩衝溶液(PBS(−))にて洗浄後、コラゲナーゼ液〔1.5mg/mlのコラゲナーゼタイプIV(Gibco社、カタログNo.17104-019)を含有するPBS(−)〕を5ml添加し、37℃で1時間振とうしながら消化した。消化後、酵素液を捨て、シャーレ上にて副甲状腺をメスで手早く破砕後、これをコラゲナーゼ液7mlで回収し、37℃で90分振とうしながら再び消化した。
処理物をセルストレーナーに通し、残渣を除去後、細胞を回収した。これを5%FCS含有のITS含有DMEM/F−12培地(低Ca)で2回洗浄後、同培地中に懸濁した。細胞懸濁液中の副甲状腺細胞は、細胞密度が約5x10セル/mlになるよう調製した。これを96穴プレートに播種(200μl/well)し、37℃、COインキュベータ内で約24時間培養した(前培養)。
【0072】
前記で用いるITS含有DMEM/F−12培地(低Ca)は、以下のように調製した。Ca不含のDMEM(Dulbecco's modified Eagle's medium)(Gibco社、 カタログNo.21068-028)500mlとF−12(F-12 nutrient mixture; Gibco社、 カタログNo.11765-054)500ml及びITS(insulin 5μg/ml、transferrin 5μg/ml及び selenium 5ng/mlを含む混液)(ITS+Premix;BD Biosciences社、カタログNo.35435)10mlを混合した。これにHEPES(NACALAI TESQUE社、カタログNo.17547-95)3.5745g、200mM L-グルタミン(Gibco社、カタログNo.25030-081)10mlおよびペニシリン-ストレプトマイシン液(100xPenicillin-Streptomycin, liquid;Gibco社、カタログNo.15140-122)1mlを溶解して、ろ過滅菌後、使用した。この培地中のCa濃度は約0.15mMとなる。
【0073】
(2)PTH産生抑制作用の試験
ラット副甲状腺細胞を、前記(1)のように前培養した後、培地交換し、被験化合物及びCaCl2を添加した培地中で、22〜24時間培養した(96穴プレート、200μl/well)。培地としては、FCSを含まないITS含有DMEM/F−12培地(低Ca)を基礎とし、これに各種最終濃度になるよう被験化合物及びCaCl2を添加して用いた。被験化合物を添加する場合、Ca 濃度は1.15mMになるようCaCl2を添加した。培養後、培養上清を回収し、遠心分離により細胞等を除いた後、−80℃で保存した。
前記培養上清中のPTH(1−84)をELISA法にて測定し、PTH産生値とした。PTH(1−84)の測定は、測定キット(Rat Intact PTH ELISA kit; Immutopics社、カタログNo.60-2500)を用いて行った。
測定値(PTH産生値)から、被験化合物のPTH産生阻害率を算定した。算定においては、便宜的に、1.15mMCaCl含有培地(被験化合物無添加)で培養時のPTH産生値(A)を最大産生値とし、2.15mMCaCl含有培地(被験化合物無添加)で培養時のPTH産生値(B)を最小産生と設定し、以下の式から阻害率を求めた。
【0074】
PTH産生阻害率(%)={(A)−(1.15mMCaCl及び各種濃度の被験化合物存在下でのPTH産生値)}/{(A)−(B)}x100
(被験化合物添加時のPTH産生値が、最大産生レベルと同じである場合は、阻害率0%、最小産生レベルと同じである場合は、阻害率100%となる。)
各種濃度の被験化合物存在下でのPTH産生阻害率から、IC50値を求めた。
IC50値は、濃度反応曲線プロッティング用ソフト(Graphpad PRISM 3.0;Graphpad Software社)を用いて算出した。
【0075】
参考例1 CaSR活性化作用:
CaSR発現細胞を用いたインビトロ試験
CaSRはG蛋白質共役型受容体(G protein-coupled receptor;GPCR)の一員である。細胞外Ca2+イオンやアゴニスト(CaSR活性化作用を有する化合物)等により細胞のCaSRが刺激を受けて活性化されると、G蛋白質(Gq)を介してホスホリパーゼC(PLC)が活性化され、細胞内カルシウム濃度が上昇する。
そこで、CaSR発現細胞株を用い、細胞内カルシウム濃度変化を指標にして、CaSRに対する活性化作用を調べた。細胞株の取得およびこれを用いた試験は、より詳細には、以下の(1)及び(2)のようにして行なった。
【0076】
(1)ヒトCaSR発現細胞株の取得
ヒト腎臓由来のcDNAライブラリーから、PCR法によりヒトCaSRをコードするcDNA断片を取得した。
〔PCRに用いるプライマーは、ヒトCaSRに関する既知の核酸配列情報(GenBank/EMBL accession no. D50855;GenBank/EMBL accession no. NM000388;
Aidaら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、214:524-529、1995年;
Garrettら、J.Biol.Chem.、270: 12919-12925、1995年等)
を基に設計して用いた。また、CaSRをコードするcDNAは、全長を3つの部分に分けて取得した。〕
これらcDNA断片を適宜発現ベクターに接続して、機能的なヒトCaSRを動物細胞で発現させるためのプラスミドを得た。
また、このヒトCaSR発現プラスミドを、Gα16発現プラスミド〔G蛋白質のαサブユニット(α16)を発現させるためのプラスミド〕と共に、CHO細胞にトランスフェクション後、ネオマイシン(G418)を含有する培地で選択し、安定発現細胞株を取得した。
得られた細胞株は、ヒトのCaSRと、G蛋白質のα16サブユニットを安定に発現した。
【0077】
(2)細胞内カルシウム濃度の測定
前記(1)で得られたCaSR発現細胞株を用い、被験化合物の存在下又は非存在下で刺激した時の、細胞内カルシウム濃度の変化を、以下のように測定した。
まず、細胞をセルスクレーパーで回収後、Hepes緩衝液〔10mM Hepes(7.3),10mM glucose, 140mM NaCl, 5mM KCl, 2mM CaCl2, 1mM MgCl2〕に0.1%クレモフォアと3μM Fura-2を加えた溶液に懸濁し、これに各種濃度の被験化合物を添加した条件下(又は添加しない条件下)にて、37℃で1時間、反応させた。
細胞を洗浄後、Hepes緩衝液に懸濁したものをプレートに播き(96穴プレートに1ウエルあたり細胞数約2×105)、FDSS(Functional Drug Screening Sysytem; 浜松ホトニクス社)を用いて、蛍光強度(Ratio of 340/380nm)を検出することにより、細胞内カルシウム濃度変化を測定した。
【0078】
被験化合物存在下で反応させた時の測定値(細胞内カルシウム濃度変化)をもとにCaSR活性化能を確認した。
また、被験化合物各種濃度における測定値(細胞内カルシウム濃度変化)から濃度反応曲線(concentration/response curves)を描き、EC50値(concentration of agonist giving a half maximal response )を求めた。
【0079】
参考例2 血中PTHレベルに対する作用(I):
ラットアデニンモデルでのインビボ試験
副甲状腺機能亢進症の動物モデルとして、ラットアデニンモデルを用い、以下のようなインビボ試験により、血中PTHレベルに対する作用(血中PTH低下作用)を調べた。
ラットは、雄性CD(SD)IGSラット(10週齢程度のもの)(系統Crj、グレードSPF、日本チャールス・リバー社)を用いた。
ラット入荷後7日間の馴化期間を置いた後、食餌を通常食(CRF1)からアデニン食(0.75%アデニン含有高リン低カルシウム食(Ca0.5%、Pi1.2%);オリエンタルバイオサービス社にて飼料調製〕に変更し、2週間飼育した。2週間後に各個体よりエーテル麻酔下で血液(250μl)をヘパリン血として採取した。採血は、頚静脈から25G(0.50x25mm)の針を用いて行ない、採血後は圧迫止血した。採取した血液は、12000rpmで3分間遠心分離した後に、上清を血漿サンプルとして回収した。
【0080】
採取した血漿中のPTH(PTH(1−84))をELISA法にて測定した。
PTH(1−84)の測定は、前記実施例1(2)項記載と同様に行なった。
測定結果をもとに、血中PTH濃度が十分に上がった個体を選抜し、各群の血中PTH濃度が均一になるように群分けして、試験に供した。
【0081】
翌日、被験化合物の投与前に、前採血(400μl)した後、被験物質を経口投与した。投与後、1、4及び24時間後に各400μlずつ採血し、遠心分離で得られた血漿を-80℃(又は-20℃)にて保存した。
保存サンプルについて、血漿中PTHを測定した。
PTHの測定は前記と同様に実施した。
この方法にて、被験化合物による血中PTHレベル低下作用を確認した。
【0082】
参考例3 血中PTHレベルに対する作用(II):
ラット5/6腎摘モデルでのインビボ試験
副甲状腺機能亢進症の動物モデルとして、ラット5/6腎摘モデルを用い、以下のようなインビボ試験により、血中PTHレベルに対する作用(血中PTH低下作用)を調べた。
【0083】
まず、5/6腎摘モデル動物は、以下のようにして作製した。
ラットは、雄性CD(SD)IGSラット(10週齢程度のもの)(系統Crj、グレードSPF、日本チャールス・リバー社)を用いた。
ラット左腎の2/3を切除し、一週間後に右腎を摘出した。
右腎摘出の一週間後に高リン低カルシウム食(Ca0.5%、Pi1.2%)を供与する。高リン低カルシウム食の供与開始から一週目に頚静脈より採血して血漿サンプルを調製する。体重、血中のPTH、Ca、P及びBUN濃度を測定し、得られた結果を基にして、群分けを行なった。
【0084】
前記のように調製した動物に、被験化合物を1日1回、2週間経口投与し、採血を週2回、被験化合物の投与前に行なった。採取した各血液サンプルにつき、PTH、Ca、P及びBUN濃度を測定した。
この方法にて、被験化合物による血中PTHレベル低下作用を確認した。
【0085】
参考例4 本発明の被験化合物の薬理作用
本発明の化合物について、前記実施例1及び参考例2と同様にして、CaSRに対する活性化作用及びPTHの産生抑制作用を測定した結果を以下の表に示した。
【表1】


また、これら化合物について、前記参考例3と同様にして、ラットアデニンモデルを用いたインビボ試験を行なった結果、これら化合物は、経口投与において、被験化合物を投与しないコントロール群と比較し、血中PTHレベルを低下させる作用を示した。
【0086】
合成例1.001
【化11】


(1) (S)−3−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩146.6mgおよび1−ブロモ−2−トリフルオロメチルベンゼン112.5mg、酢酸パラジウム22.5mg、BINAP(2,2'-bis(diphenylphosphino-1,1'-binaphthyl))62.3mgのトルエン5mlけん濁液にtert−ブトキシナトリウム336mgを加え、80℃で16時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、濃縮した後、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=97:3→80:20)で精製することにより、(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル−[(S)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)ピロリジン−3−イル]アミン78.9mgを得た。
【0087】
(2) (R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル−[(S)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)ピロリジン−3−イル]アミン78.9mgをクロロホルム10mlに溶解し、4M塩酸のジオキサン溶液1mlを加え、撹拌した。反応液を留去後、残渣にジエチルエーテルを加え、沈殿物を濾取した後、ジエチルエーテルで洗浄し、(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル−[(S)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)ピロリジン−3−イル]アミン二塩酸塩 (後記表A1、合成例1.001)66.7mgを得た。
【0088】
合成例1.002〜1.081
前記合成例1.001と同様に処理することにより、後記表A1、合成例1.002〜1.081の化合物を得た。
合成例1.082
【化12】


(1) (S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩200mg、4−ブロモアセトフェノン127mg、ナトリウムtert−ブトキシド214mg、およびビフェニル−2−イル−ジ−tertブチルホスファン76mgをトルエン2mlに懸濁させ、窒素ガスを15分間通じる。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム59mgを加えた後、反応容器を密閉して室温で3日間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水で洗浄した。有機層を分離後濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(S)−1−(4−アセチルフェニル)ピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミンを得た。
【0089】
(2) 前記(1)で得られる(S)−1−(4−アセチルフェニル)ピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミンをテトラヒドロフラン2mlに溶解し、4M塩酸―ジオキサン溶液0.2mlを加える。析出する固形物を濾取し、エーテルで洗浄、乾燥することにより、(S)−1−(4−アセチルフェニル)ピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン塩酸塩(後記表A1、合成例1.082)90mgを得た。
【0090】
合成例1.083
前記合成例1.082と同様に処理することにより、後記表A1、合成例1.083の化合物を得た。
【0091】
合成例2.001
【化13】


(1) (R)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩162mgおよび2,3−ジクロロ−ピラジン79.0mgのエタノール5ml溶液に炭酸カリウム345mgを加え、還流下16時間攪拌した。反応溶液を濾過後、溶媒留去し、残渣に飽和重曹水とクロロホルムを加え、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去した後、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=97:3→80:20)次いでシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10→0:100)で精製することにより、(R)−1−(3−クロロピラジン−2−イル)ピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン64.0mgを得た。
【0092】
(2) (R)−1−(3−クロロピラジン−2−イル)ピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン64.0mgをクロロホルム2mlに溶解し、4M塩酸のジオキサン溶液3mlを加え、撹拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣にジエチルエーテルを加え、沈殿物を濾取した後、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥することにより、(R)−1−(3−クロロピラジン−2−イル)ピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン二塩酸塩(後記表A2、合成例2.001)63.9mgを得た。
【0093】
合成例2.002〜2.009
前記合成例2.001と同様に処理することにより、後記表A2、合成例2.002〜2.009の化合物を得た。
【0094】
合成例2.010
【化14】


(1) (S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩156.6mgのジオキサン5mlけん濁液に2−ブロモピリミジン87.4mgおよびジイソプロピルエチルアミン207mgを加え、還流下、16時間撹拌した。反応液を留去した後、残渣に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌し、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2→0:1)で精製することにより、(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(S)−1−(ピリミジン−2−イル)ピロリジン−3−イル]アミン112mgを得た。
【0095】
(2) (R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(S)−1−(ピリミジン−2−イル)ピロリジン−3−イル]アミン112mgを酢酸エチル10mlに溶解し、4M塩酸の酢酸エチル溶液1mlを加え、撹拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣にジエチルエーテルを加え、沈殿物を濾取した後、酢酸エチルで洗浄することにより、(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(S)−1−(ピリミジン−2−イル)ピロリジン−3−イル]アミン二塩酸塩(後記表A2、合成例2.010)68.3mgを得た。
【0096】
合成例2.011〜2.018
前記合成例2.010と同様に処理することにより、後記表A2、合成例2.011〜2.018の化合物を得た。
【0097】
合成例3.001
【化15】


(1)前記合成例1.001と同様にして、4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンゾイックアシッドtert−ブチルエステル(後記表A2、合成例1.020の化合物)を得た。
【0098】
(2) 4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンゾイックアシッドtert−ブチルエステル103mgのクロロホルム5ml溶液にトリフルオロ酢酸20mlを加え、室温下、16時間攪拌した。反応液を濃縮後、残渣にトルエンを加え、再び留去した。残渣をクロロホルム10mlに溶解し、4M塩酸のジオキサン溶液20mlを加え、撹拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣にジエチルエーテルを加え、沈殿物を濾取した後、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥することにより、4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンゾイックアシッド塩酸塩(後記表A3、合成例3.001)89.2mgを得た。
【0099】
合成例3.002〜3.011
前記合成例3.001と同様に処理することにより、後記表A3、合成例3.002〜3.011の化合物を得た。
【0100】
合成例3.012
【化16】


(1)塩化メチレン(MeOH free)5mlに溶解した、4−[(S)−3−[(R)−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンゾイックアシッド塩酸塩(合成例3.001で得られる化合物)50mgの溶液に、オキサリルクロリド43μlを滴下後、ジメチルホルムアミドを数滴加え、室温下、16時間攪拌した。反応液から溶媒を留去し、残渣を得た。
【0101】
(2)前記で得られる化合物にジメチルアミン(2M THF溶液82μl)と塩化メチレン10mlを加え溶解した後、トリエチルアミン70.2μlを加え、室温下、16時間撹拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、濃縮した後、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル7:1→0:1)で精製し、N,N−ジメチル−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンズアミド22.4mgを得た。
【0102】
(3)塩化メチレン1mlに溶解したN,N−ジメチル−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]-ベンズアミド22.4mg溶液に、4M塩酸のジオキサン溶液3mlを滴下し、しばらく撹拌した。反応液を濃縮後、残渣にt−ブタノールを加え溶解し、凍結乾燥して、N,N−ジメチル−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンズアミド塩酸塩22.9mg(後記表A3、合成例3.012)を得た。
【0103】
合成例3.013〜3.016
前記合成例3.012と同様に処理することにより、後記表A3、合成例3.013〜3.016の化合物を得た。
【0104】
合成例3.017
【化17】


(1)ジメチルホルムアミド8mlに溶解した2−アミノエタノール7.7mg及び4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンゾイックアシッド塩酸塩(合成例3.001で得られる化合物)50mg混合溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール22.2mg、トリエチルアミン70μl、EDC塩酸塩31.4mgを加え、室温で16時間撹拌した。反応液を留去し、残渣に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、濃縮し、残渣をNH薄層シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=39:1)および薄層シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1)で精製し、N−(2−ヒドロキシエチル)−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンズアミド22.6mgを得た。
【0105】
(2)塩化メチレン1mlに溶解したN−(2−ヒドロキシエチル)−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンズアミド22.6mg溶液に、4M塩酸のジオキサン溶液3mlを滴下し、しばらく撹拌した。反応液を留去後、残渣にtert−ブタノールを加え溶解し、凍結乾燥して、N−(2−ヒドロキシエチル)−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンズアミド塩酸塩25.6mg(後記表A3、合成例3.017)を得た。
【0106】
合成例3.018
【化18】


(1) 前記合成例2.016と同様にして、1−[(S)−(6−クロロピリミジン−4−イル)ピロリジン−3−イル]−(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミン(後記表 合成例2.012の化合物のフリー体)を得た。
【0107】
(2) 1−[(S)−(6−クロロピリミジン−4−イル)ピロリジン−3−イル]−(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミン100mg、フェニルボロン酸52mg、炭酸カリウム78mgをトルエン2mlに懸濁し、窒素ガスを5分間通す。テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム32mgを加えた後、反応混合物を窒素気流下、100℃で一終夜撹拌した。室温まで放冷した後、反応混合物に酢酸エチルおよび飽和重曹水を加え、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)により精製し、(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(S)−1−(6−フェニルピリミジン−4−イル)ピロリジン−3−イル]アミン46mgを得た。
【0108】
(3) (R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(S)−1−(6−フェニルピリミジン−4−イル)ピロリジン−3−イル]アミン46mgをテトラヒドロフラン1mlに溶解し、4M塩酸−ジオキサン溶液0.2mlを加え、室温で放置した。析出固体を濾取し、エーテルで洗浄、乾燥して、(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(S)−1−(6−フェニルピリミジン−4−イル)ピロリジン−3−イル]アミン二塩酸塩41mg(後記表A3、合成例3.018)を得た。
【0109】
合成例3.019〜3.022
前記合成例3.018と同様に処理することにより、後記表A3、合成例3.019〜3.022の化合物を得た。
【0110】
合成例4.001
【化19】


(1) (S)−3−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩176mgおよび(3−トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド110mg、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム636mgの塩化メチレン10mlけん濁液に酢酸を数滴加え、室温下、16時間攪拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去した後、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製することにより、(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル−[(S)−1−(3−トリフルオロメチルベンジル)ピロリジン−3−イル]アミン91.2mgを得た。
【0111】
(2) (R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル−[(S)−1−(3−トリフルオロメチルベンジル)ピロリジン−3−イル]アミン91.2mgを酢酸エチル10mlに溶解し、4M塩酸の酢酸エチル溶液1mlを加え、撹拌した。反応液を留去後、残渣にジエチルエーテルを加え、沈殿物を濾取した後、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥して、(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル−[(S)−1−(3−トリフルオロメチルベンジル)ピロリジン−3−イル]アミン二塩酸塩(後記表B、合成例4.001)70.4mgを得た。
【0112】
合成例4.002〜4.038
前記合成例4.001と同様に処理することにより、後記表B、合成例4.002〜4.038の化合物を得た。
【0113】
合成例5.001
【化20】


(1) (S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩156.6mgの塩化メチレン5mlけん濁液を0℃に冷やした後、(3−トリフルオロメチル)ベンゾイルクロライド208.6mgおよびトリエチルアミン210μlを加え、反応液を室温下、1時間攪拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1→0:1)で精製することにより、(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]−1−(3−トリフルオロメチル)ベンゾイルピロリジン210mgを得た。MS・APCI(m/z):413[M+H]+
【0114】
(2) (S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]−1−(3−トリフルオロメチル)ベンゾイルピロリジン210mgをクロロホルム10mlに溶解し、4M塩酸のジオキサン溶液1mlを加え、撹拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣にジエチルエーテルを加え、沈殿物を濾取した後、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥して(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]−1−(3−トリフルオロメチル)ベンゾイルピロリジン塩酸塩(後記表C、合成例5.001)187.1mgを得た。
【0115】
合成例5.002〜5.016
前記合成例5.001と同様に処理することにより、後記表C、合成例5.002〜5.016の化合物を得た。
【0116】
合成例5.017
【化21】


(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩125.3mgのDMF5ml溶液に、(3−トリフルオロメチル)フェニル酢酸81.6mgおよび1−[3−(ジメチルアミノプロピル)]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩84.3mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール67.3mg、トリエチルアミン153μlを加え、反応液を室温下、16時間攪拌した。反応液に飽和重曹水と酢酸エチルを加え攪拌した後、分液した。有機層を水で洗浄した後、乾燥、溶媒留去し、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=19:1)で精製することにより、(S)−3−[(R)−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]−1−(3−トリフルオロメチル)フェニルアセチルピロリジン(後記表C、,合成例5.017)145.7mgを得た。
【0117】
合成例5.018〜5.056
前記合成例5.017と同様に処理することにより、後記表C、合成例5.018〜5.056の化合物を得た。
【0118】
合成例6.001
【化22】


(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩94mgの塩化メチレン5mlけん濁液に、(3−トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート56mgおよびトリエチルアミン140μlを加え、反応液を室温下、16時間攪拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去した後、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=19:1)で精製することにより、(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−カルボキシリックアシッド(3−トリフルオロメチル)フェニルアミド
(後記表 合成例6.001)125.2mgを得た。
【0119】
合成例6.002
前記合成例6.001と同様に処理することにより、後記表C、合成例6.002の化合物を得た。
【0120】
合成例7.001
【化23】


(1) 塩化メチレン150mlに溶解した3−ヒドロキシピペリジン3.03gおよび3−(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸12.4gの溶液に酢酸銅水和物5.45g、トリエチルアミン7mlおよびモレキュラーシーブ4A(粉末)15gを加え、室温下、3日間攪拌した。反応物を濾過した後、飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、再び不溶物を濾去した。濾液を分液し有機層を乾燥、濃縮した後、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1→2:1)で精製することにより、1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペリジン−3−オール526mgを得た。MS・APCI(m/z):262[M+H]+
【0121】
(2) オキサリルクロリド351μlの塩化メチレン溶液50mlを−60℃に冷やし、DMSO357μlを滴下し、−60℃で10分間撹拌した。塩化メチレン10mlに溶解した1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペリジン−3−オール526mg溶液を滴下し、さらにトリエチルアミン2.05mlを滴下した後、ゆっくり室温まで昇温しながら16時間撹拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、濃縮して、1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペリジン−3−オンを得た。
【0122】
(3) 塩化メチレン5mlに溶解した前記(2)で得られる化合物158mg溶液に(R)−(+)−1−(1−ナフチル)エチルアミン85.6mgを加え、室温下、1時間攪拌した後に、酢酸115μlおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム530mgを加え、室温下16時間攪拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去した後、残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)および薄層NHシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1→4:1)で精製し、(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(S)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペリジン−3−イル]アミンおよび(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(R)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペリジン−3−イル]アミンをそれぞれ得た。
【0123】
(4) 上記(3)で得られる(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(S)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペリジン−3−イル]アミンおよび(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(R)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペリジン−3−イル]アミンを、それぞれ酢酸エチル10mlに溶解し、4M塩酸の酢酸エチル溶液1mlを加え、撹拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣にジエチルエーテルを加え洗浄、乾燥することにより、(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(S)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペリジン−3−イル]アミン二塩酸塩(後記表EF、合成例7.001(a))23mgおよび(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[(R)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペリジン−3−イル]アミン二塩酸塩(後記表 合成例7.001(b))38mgをそれぞれ得た。
【0124】
合成例7.002〜7.007
前記合成例7.001と同様に処理することにより、後記表EF、合成例7.002〜7.007の化合物を得た。
【0125】
合成例8.001
【化24】


(1) 塩化メチレン200mlに溶解した3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド2.61g溶液に3−ピロリジノール1.31gを加え、室温下、しばらく攪拌した後に、酢酸1.3mlおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム4.77gを加え、室温下、15時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え塩基性にした後、クロロホルムを加え攪拌し、分液した。有機層を乾燥、濃縮して、1−(3−トリフルオロメチルベンジル)ピロリジン−3−オール3.34gを得た。MS・APCI(m/z):246[M+H]+
【0126】
(2) オキサリルクロリド2.38mlの塩化メチレン溶液100mlを−60℃に冷やし、DMSO2.42mlを滴下し、−60℃で10分間撹拌した。塩化メチレン25mlに溶解した1−(3−トリフルオロメチルベンジル)ピロリジン−3−オール3.34g溶液を滴下し、さらにトリエチルアミン13.9mlを滴下した後、ゆっくり室温まで昇温しながら16時間撹拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1→2:1)で精製することにより、1−(3−トリフルオロメチルベンジル)ピロリジン−3−オン2.82gを得た。MS・APCI(m/z):244[M+H]+
【0127】
(3) テトラヒドロフラン14mlに溶解した1−(3−トリフルオロメチルベンジル)ピロリジン−3−オン507mg溶液に(R)−(+)−1−(1−ナフチル)エチルアミン320mgを加え、撹拌した。その混合溶液に、チタニウムテトライソプロポキシド800mgを加え、室温下、15時間攪拌した後に、水素化ホウ素ナトリウム105mg、メタノール3mlを加え、室温下、3.5時間攪拌した。反応液にアンモニア水を加え撹拌した後、不溶物を濾去、溶媒留去した。残渣にクロロホルムと水を加え撹拌後、分液した。有機層を乾燥、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール50:1→9:1)およびNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製し、(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル−[[1−(3−トリフルオロメチルベンジル)ピロリジン]−3−イル]アミン(後記表EF、合成例8.001)443mgを得た。MS・APCI(m/z):399[M+H]+
【0128】
合成例8.002〜8.011
前記合成例8.001と同様に処理することにより、後記表EF、合成例8.002〜8.011の化合物を得た。
【0129】
合成例9.001〜9.012
前記合成例5.017と同様に処理することにより、後記表X、合成例9.001〜9.012の化合物を得た。
【0130】
合成例9.013〜9.015
前記合成例5.001と同様に処理することにより、後記表X、合成例9.013〜9.015の化合物を得た。
【0131】
合成例10.001〜10.007
前記合成例1.082と同様に処理することにより、後記表X、合成例10.001〜10.007の化合物を得た。
【0132】
合成例11.001〜11.004
前記合成例3.001と同様に処理することにより、後記表X、合成例11.001〜11.004の化合物を得た。
【0133】
合成例11.005〜11.080
前記合成例3.017と同様に処理することにより、後記表X、合成例11.005〜11.080の化合物を得た。
【0134】
合成例12.001
【化25】


(R)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩157mg、6−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ニコチン酸メチルエステル120mgのジオキサン5ml溶液に炭酸カリウム346mgを加え、反応液を100℃で1日間攪拌した。さらに、反応液をマイクロウェーブ反応装置を用いて、140℃で1時間照射し、反応液を室温まで冷却後、水と酢酸エチルを加え、攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、減圧濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20→50:50)で精製した後、NH薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=67:33)で精製し、6−[(R)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]−4−トリフルオロメチルニコチン酸メチルエステル(後記表、合成例X、12.001)を得た。
【0135】
合成例12.002
【化26】


(1)合成例3.016のN−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−1−イル]ベンゾイルグリシンtert−ブチルエステル74.5mgにクロロホルム数滴を加え、溶解させた後、トリフルオロ酢酸10mlを加え、室温下、19時間攪拌した。反応液から溶媒を留去して得られる残渣をLC/MSで精製し、さらにシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:酢酸=70:30:3)で精製することにより、N−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−1−イル]ベンゾイルグリシンを得た。
【0136】
(2)上記(1)で得られるN−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−1−イル]ベンゾイルグリシンに、4Mの塩酸ジオキサン溶液4mlを加え、しばらく撹拌した。反応液から溶媒を留去、トルエンで共沸した。得られる淡黄色粉末48mgを少量のメタノールとクロロホルムで完全に溶解した後、イソプロピルエーテルを加え、結晶化させることにより、N−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)−エチルアミノ]−ピロリジン−1−イル]ベンゾイルグリシン塩酸塩(後記表X、合成例12.002)41mgを得た。
【0137】
合成例12.003
【化27】


(1) 合成例3.001の4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンゾイックアシッド塩酸塩150mg、(l)−アラニンメチルエステル塩酸塩58mgのDMF5ml溶液に1−[3−(ジメチルアミノプロピル)]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩163mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール115mg、トリエチルアミン125μlを加え、反応液を室温下、1日間攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加え、攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、減圧濃縮した後、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=65:35→35:65)で精製することにより、N−[(S)−1−メトキシカルボニルエチル]−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンズアミド31.9mgを得た。
MS・APCI(m/z):446[M+H]
【0138】
(2) N−[(S)−1−メトキシカルボニルエチル]−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンズアミド31.9mgをTHF1mlに溶解し、リチウムボロハイドライド3.0mgを加え、室温で1日間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液、クロロホルムを加えて攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、留去後、残渣をNHシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=95:5)で精製することにより、N−[(S)−1−ヒドロキシプロパン−2−イル]−4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンズアミド(後記表X、合成例12.003)14.7mgを得た。
【0139】
合成例12.004〜12.008
前記合成例12.003と同様に処理することにより、後記表X、合成例12.004〜12.008の化合物を得た。
【0140】
合成例12.009
【化28】


(1) 4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンゾイックアシッド塩酸塩200mg、(d)−プロリンメチルエステル99.4mgのDMF5ml溶液に1−[3−(ジメチルアミノプロピル)]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩230mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール162mg、トリエチルアミン176μlを加え、反応液を室温下、1日間攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加え、攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、減圧濃縮した後、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=65:35→35:65)で精製することにより、(d)−1−{4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンゾイル}プロリンメチルエステル161.0mgを得た。
MS・APCI(m/z):472[M+H]
【0141】
(2) (d)−1−[4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンゾイル]プロリンメチルエステル80.5mgをエタノール3mlに溶解し、2Nの水酸化ナトリウム水溶液171μlを加え、室温で1日間撹拌した。反応液を濃縮した後、残渣に水2mlを加え、さらに2N塩酸171μlを加えた。析出した固体をろ過、乾燥することで、(d)−1−[4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]ベンゾイル]プロリン(後記表X、合成例 12.009)39.0mgを得た。
【0142】
合成例12.010〜12.016
前記合成例12.009と同様に処理することにより、後記表X、合成例12.010〜12.016の化合物を得た。
【0143】
合成例12.017
【化29】


(1) (S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩150mg、4−フルオロフェニルエチルスルホン108mgのDMSO2ml溶液に炭酸カリウム263mgを加え、反応液を130℃で1日間攪拌した。反応液に水とクロロホルムを加え、攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、留去した後、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20→40:60)で精製することにより、4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]フェニルエチルスルホン132.5mgを得た。
MS・APCI(m/z):409[M+H]
【0144】
(2) 4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]フェニルエチルスルホン132.5mgを酢酸エチル2mlとクロロホルム1mlの混合溶媒に溶解し、塩化水素の4Nジオキサン溶液0.8mlを加え、析出した固体をろ過、乾燥した。これをエタノールで再結晶することにより、4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]フェニルエチルスルホン塩酸塩(後記表X、合成例 12.017)40.0mgを得た。
【0145】
合成例12.018〜12.023
前記合成例12.017と同様に処理することにより、後記表X、合成例12.018〜12.023の化合物を得た。
【0146】
合成例12.024
【化30】


(1) 前記合成例12.017と同様にして、(S)−1−(4−メタンスルホニル−3−メトキシカルボニル)フェニルピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミンを得た。
【0147】
(2) (S)−1−(4−メタンスルホニル−3−メトキシカルボニル)フェニルピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン70mgをテトラヒドロフラン2mlに溶解し、氷冷下で1N水酸化ナトリウム水溶液0.32mlを加え、徐々に室温に昇温しながら一終夜攪拌した。さらに1N水酸化ナトリウム水溶液0.32mlを加え、室温で半日間攪拌した後、2時間加熱還流した。室温まで冷却後、1N塩酸で中和した。減圧濃縮後に生成する固体を濾取、水ついでジイソプロピルエーテルで洗浄、乾燥させて、(S)−1−(3−カルボキシ−4−メタンスルホニル)フェニルピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン(後記表X、合成例12.024)50mgを得た。
【0148】
合成例12.025〜12.027
前記合成例12.024と同様に処理することにより、後記表X、合成例12.025〜12.027の化合物を得た。
【0149】
合成例12.028
【化31】


(1) 前記合成例1.082(1)と同様にして、(S)−1−(2−トリチル−2H−テトラゾール−5−イル)ピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミンを得た。
MS・APCI(m/z):627[M+H]+
【0150】
(2) (S)−1−(2−トリチル−2H−テトラゾール−5−イル)ピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン361mgに水1mlおよび4M塩酸−ジオキサン溶液を加えた混合物を室温で4時間放置した。減圧濃縮して得られる残渣にエタノールを加えた後、再び減圧濃縮した。残渣にエーテルを加え、固体を粉砕後、濾取した。エタノールから再結晶することで、(S)−1−(1H−テトラゾール−5−イル)ピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン塩酸塩(後記表X、合成例12.028)185mgを得た。
【0151】
合成例12.029
【化32】


前記合成例12.025の(S)−1−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)フェニルピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン70mgおよびヒドラジン水和物8μlをエタノール1mlに溶解し、一終夜加熱還流した。混合物を室温まで冷却後、減圧濃縮して得られる固体に酢酸エチル0.5mlおよびエーテル4mlを加え、粉砕し濾取、乾燥して、(S)−1−(3−オキソ−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−6−イル)フェニルピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン(後記表X、合成例12.029)31mgを得た。
【0152】
合成例12.030
【化33】


(1) 前記合成例1.001の(S)−1−(4−カルボキシフェニル)ピロリジン−3−イル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミン4.37g、D−グルクロン酸アリルエステル1.42g、およびトリフェニルホスフィン3.18gにトルエンを加え、減圧濃縮乾固させる。混合物にテトラヒドロフラン100mlを加え、氷冷下攪拌しつつ、アゾジカルボン酸ジイソプロピル2.39mlを10分間で滴下した。反応液を氷冷下で1時間攪拌した後、減圧濃縮して得られる残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、2−[4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノピペリジン−1−イル]−ベンゾイル]−D−グルクロン酸アリル715mgを得た。
MS・APCI(m/z):577[M+H]+
【0153】
(2) 2−[4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノピペリジン−1−イル]−ベンゾイル]−D−グルクロン酸アリル615mgをテトラヒドロフラン6mlに溶解させ、氷冷下窒素雰囲気中で攪拌した。ピロリジン91μlついでテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム123mgを加え、30分間攪拌した。減圧濃縮して得られる残渣をLC−MSにて精製した。得られる固体にエーテルを加え、粉砕し、濾取、乾燥することにより、2−[4−[(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノピペリジン−1−イル]−ベンゾイル]−D−グルクロン酸 (後記表X、合成例12.030)220mgを得た。(HPLC純度67.7%)
【0154】
合成例12.031
【化34】


(1) 合成例5.017と同様にして、1−(4−メトキシカルボニルフェノキシアセチル)−(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジンを得た。
MS・APCI(m/z):433[M+H]+
【0155】
(2) 1−(4−メトキシカルボニルフェノキシアセチル)−(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン250mgのエタノール5ml溶液に2Nの水酸化ナトリウム水溶液0.64mlを加え、反応液を室温で5時間攪拌した。さらに1終夜加熱還流した後、反応液を濃縮した。残渣に水2mlを加え、さらに2N塩酸0.64mlを加えることで析出した固体をろ過、乾燥させることにより、1−(4−カルボキシルフェノキシアセチル)−(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン(後記表X、合成例12.031)26mgを得た。
【0156】
合成例13.001
【化35】


(1) 4−フルオロベンゼンスルホニルクロライド50gのTHF250ml溶液を0℃に冷却した後、50%ジメチルアミン水溶液100mlを滴下し、室温で1日間攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加え、攪拌した後、分液した。有機層を飽和重曹水で洗浄した後、乾燥、溶媒を留去後、残渣にジイソプロピルエーテルおよびヘキサンを加え、沈殿物を濾取した後、ヘキサンで洗浄し、4−フルオロ−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド49.9gを得た。
【0157】
(2) (S)−(−)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピロリジン25g、4−フルオロ−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド47.9gおよび炭酸カリウム139gをDMSO600mlに懸濁させ、130℃で1日間攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加え、攪拌した後、分液した。有機層を水で洗浄した後、乾燥、溶媒を留去した。残渣をクロロホルムに溶解させた後、NHシリカゲルを加えしばらく放置した後、シリカゲルを濾別した。シリカゲルは、さらに酢酸エチルで洗浄した。濾液および洗浄液を併せ、減圧濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20→67:33)で精製し、[(S)−1−(4−ジメチルスルファモイルフェニル)−ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル8.39gを得た。
MS・APCI(m/z):370[M+H]+
【0158】
(3) [(S)−1−(4−ジメチルスルファモイルフェニル)−ピロリジン−3−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル8.39gを酢酸エチルに溶解させた後、4M塩酸の酢酸エチル溶液200mlを加え、室温下、3日間攪拌した。溶媒を留去した後、残渣にジエチルエーテルを加え、沈殿物を濾取し、4−[(S)−3−アミノピロリジン−1−イル]−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド二塩酸塩を得た。4−[(S)−3−アミノピロリジン−1−イル]−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド二塩酸塩に、飽和重曹水とクロロホルムを加え、攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、減圧濃縮して、4−[(S)−3−アミノピロリジン−1−イル]−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド5.85gを得た。
MS・APCI(m/z):270[M+H]+
【0159】
(4) 4−[(S)−3−アミノピロリジン−1−イル]−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド54mg、2−メトキシアセトフェノン30mgのTHF1ml溶液に、チタニウムイソプロポキシド85mgを加え、室温下、1日間攪拌した。さらに、反応液に水素化ホウ素ナトリウム12mgを加えた後、メタノール0.3mlを加え、室温下、4時間攪拌した。反応液に28%アンモニア水溶液0.5mlを加え、攪拌した後、不溶物を除去し、溶媒を留去した。残渣をLC/MSで精製し、4−[(S)−3−[1−(2−メトキシフェニル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド61mgを得た。4−[(S)−3−[1−(2−メトキシフェニル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミドにtert−ブタノール1mlを加え溶解し、2M塩酸水0.15mlを加え攪拌後、凍結乾燥して、4−[(S)−3−[1−(2−メトキシフェニル)エチルアミノ]ピロリジン−1−イル]−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド二塩酸塩(後記表Y、合成例13.001)を得た。
【0160】
合成例13.002〜13.003
前記合成例13.001と同様に処理することにより、後記表Y、合成例13.002〜13.003の化合物を得た。
【0161】
参考例1.001
【化36】


(1) 塩化メチレン400mlに溶解した(R)−1−ベンジル−3−ピロリジノール8.0gおよびジイソプロピルエチルアミン16.5mlの溶液に−20℃以下で無水トリフルオロメタンスルホン酸13.4gの塩化メチレン50ml溶液を滴下した。反応液を−20℃に保ったまま15分間攪拌後、(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン9.88gの塩化メチレン溶液100mlを−20℃以下で滴下し、反応液を室温下、16時間攪拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0→50:1)およびNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=25:1→10:1)で精製することにより、(S)−(1−ベンジルピロリジン−3−イル)−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミン3.98gを得た。MS・APCI(m/z):311[M+H]+
【0162】
(2) メタノール100mlに溶解した(S)−(1−ベンジルピロリジン−3−イル)−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミン3.67g溶液に、水酸化パラジウム830mgおよび4M塩酸のジオキサン溶液8.85mlを加え、水素雰囲気3気圧下、室温で3日間振盪した。水酸化パラジウムを除去し、溶媒留去した。残渣にメタノールを加え生成する沈殿物を濾取、メタノールで洗浄、乾燥して(S)−3−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)−エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩(後記参考例表、参考例1.001)1.14gを得た。
【0163】
参考例1.002
(1) (S)−1−ベンジル−3−ピロリジノール8.0gを原料化合物として用い、参考例1.001の(1)と同様に処理することにより、(R)−(1−ベンジルピロリジン−3−イル)−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミン4.36gを得た。
MS・APCI(m/z):311[M+H]+
【0164】
(2) (R)−(1−ベンジルピロリジン−3−イル)−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル]アミンを用いて、参考例1.001の(2)と同様に処理することにより、(R)−3−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)−エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩(後記参考例表、参考例1.002)を得た。
【0165】
参考例1.003
【化37】


(1) 塩化メチレン500mlに溶解した (S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル25gおよびジイソプロピルエチルアミン25.9g溶液に、−20℃以下で無水トリフルオロメタンスルホン酸49gの塩化メチレン100ml溶液を滴下した。反応液を−20℃に保ったまま15分間攪拌後、(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン24.2gの塩化メチレン溶液100mlを−20℃以下で滴下し、反応液を室温下、16時間攪拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1→1:2)で精製することにより、3−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル19.32gを得た。
【0166】
(2) クロロホルム30mlに溶解した3−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル19.32g溶液に、4M塩酸のジオキサン溶液300mlを加え、室温下、16時間攪拌した。生成した沈殿物を濾取し、酢酸エチルで洗浄後、メタノールおよびテトラヒドロフランで再結晶を2回行い、(R)−3−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩 8.54g(後記参考例表、参考例1.003)を得た。
【0167】
参考例1.004
(R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステルを用いて、参考例1.003の(1)及び(2)と同様に処理することにより、(S)−3−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩(後記参考例表、参考例1.004)を得た。
【0168】
参考例1.005
【化38】


(1) 塩化メチレン250mlに溶解した 3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル25gおよびジイソプロピルエチルアミン25.9g溶液に、−20℃以下で無水トリフルオロメタンスルホン酸49gの塩化メチレン50mlを滴下した。反応液を−20℃に保ったまま15分間攪拌後、(R)−(+)−1−(1−ナフチル)エチルアミン27.4gの塩化メチレン溶液125mlを−20℃以下で滴下し、反応液を室温下、4.5時間攪拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥、溶媒留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→1:1)で精製することにより、(R)−3−[1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル25.8gを得た。MS・APCI(m/z):341[M+H]+
【0169】
(2) 塩化メチレン600mlに溶解したトリホスゲン36.3g溶液に、−20℃で(R)−3−[1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル62.50gおよびトリエチルアミン76.4mlの塩化メチレン250ml溶液を滴下し、室温下、1時間攪拌した。反応液に水を加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去した後、残渣にtert−ブタノール1.48Lおよびジイソプロピルエチルアミン50mlを加え、70℃で16時間攪拌した。反応液を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1→8:1)で精製することにより、(S)−3−〔tert−ブトキシカルボニル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノ〕ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル24.98gおよび(R)−3−〔tert−ブトキシカルボニル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノ〕ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル26.83gをそれぞれ得た。
【0170】
(3) クロロホルム60mlに溶解した(S)−3−〔tert−ブトキシカルボニル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノ〕ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル28.9g溶液に、4M塩酸のジオキサン溶液116mlを滴下し、室温下、16時間攪拌した。生成した沈殿物を濾取、ジエチルエーテルで洗浄後、エタノール−ジエチルエーテルで結晶化、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥して(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩22.38g(後記参考例表、参考例1.005(a))を得た。
また、(R)−3−〔tert−ブトキシカルボニル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノ〕ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル21.8gを用いて、同様に処理することにより、(R)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン二塩酸塩15.92g(後記 参考例1.005(b))を得た。
【0171】
参考例1.006
【化39】


(1) 塩化メチレン400mlに溶解したトリホスゲン14.9g溶液に、−20℃で(R)−3−[1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル(前記参考例1.005の(1)で得られる化合物)
25.68gおよびトリエチルアミン31.5mlの塩化メチレン100ml溶液を滴下し、さらにトリホスゲン7.5gを加えた後、室温下で30分間攪拌した。反応液に水を加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1→2:1)で精製することにより、下記参考例表記載の(S)−3−〔クロロカルボニル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノ〕ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル10.63gおよび、(R) −3−〔クロロカルボニル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノ〕ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル9.22gをそれぞれ得た。
【0172】
(2) (S)−3−〔クロロカルボニル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノ〕ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル18.52gにtert−ブタノール1.0lを加え、60℃で2日間攪拌した。反応液を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製することにより、(S)−3−〔tert−ブトキシカルボニル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノ〕ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル9.24g(後記 参考例1.006(a))を得た。
また、(R)−3−〔クロロカルボニル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノ〕ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル15.58gを用いて、前記と同様に処理することにより、(R)−3−〔tert−ブトキシカルボニル−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチル]アミノ〕ピロリジン−1−カルボキシリックアシッドtert−ブチルエステル7.03g(後記参考例表、参考例1.006(b))を得た。
【0173】
参考例2.001
【化40】


(1)文献(CHEM LETT 1999(7)605−606)記載と同様の方法で1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−オンを合成した。
すなわち、ジメチルスルホキシド225mlに溶解した1−ベンズヒドリルアゼタン−3−オール27.27g溶液に、トリエチルアミン135.5mlを加えたのち、氷冷下、サルファトリオキサイドピリジン錯体59.80gを加え、室温下、2時間半攪拌した。反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=15:1)で精製することにより、1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−オン21.35gを得た。
【0174】
(2) トルエン75mlに溶解した 1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−オン5.0g溶液に、ベンジルオキシカルボニルクロライド2.98mlを加え、80℃で4時間攪拌した。反応液を留去後、残渣に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、分液した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄し、乾燥、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=19:1→4:1)で精製後、ヘキサンを加え、沈殿物を濾取した後、ヘキサンで洗浄し、3−オキソアゼチジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル2.73gを得た。
【0175】
(3) 塩化メチレン170mlに溶解した3−オキソアゼチジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル8.51gおよび(R)−(+)−1−(1−ナフチル)エチルアミン7.10g溶液に硫酸マグネシウム7.49gを加え、室温下、3時間攪拌した後に、酢酸9.5mlおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム13.18gを加え、室温下、1時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え塩基性にした後、クロロホルムを加え攪拌し、分液した。有機層を乾燥、濃縮し、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→1:1)で精製し、3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]アゼチジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル7.90gを得た。
【0176】
(4) メタノール190mlに溶解した 3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]アゼチジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル9.45g溶液に、パラジウム炭素(10%wet)1gを加え、水素雰囲気下、室温で4時間反応を行う。パラジウム炭素を除去し、溶媒を留去後、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0→19:1)で精製し、3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]アゼチジン4.60gを得た。酢酸エチル30mlに溶解した3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]アゼチジン4.60g溶液に、氷冷下、4M塩酸の酢酸エチル溶液13mlを滴下し、しばらく撹拌した。
析出する沈殿物を濾取した後、メタノール、ヘキサンで再結晶し、ジエチルエーテルで洗浄することにより、3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]アゼチジン二塩酸塩(後記参考例表、参考例2.001)5.86gを得た。
【0177】
参考例3.001
【化41】


(1) 塩化メチレン250mlに溶解した3−ヒドロキシピペリジン33.5g及びトリエチルアミン62.7mlの混合溶液に、ベンジルオキシカルボニルクロリド55.7mlの塩化メチレン150ml溶液を滴下し、室温下、16時間攪拌した。反応液に飽和クエン酸水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、溶媒留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→0:1)で精製することにより、3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル75.5gを得た。MS・APCI(m/z):236[M+H]+
【0178】
(2) オキサリルクロリド52.4mlの塩化メチレン溶液800mlを−78℃に冷やし、DMSO53.2mlを滴下し、−78℃で0.5時間撹拌した。塩化メチレン200mlに溶解した3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル75.5g溶液を滴下し、さらにトリエチルアミン293mlを滴下した後、ゆっくり室温まで昇温しながら16時間撹拌した。反応液に飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、濃縮し、1−ベンジルオキシカルボニル−3−ピペリドン83.7gを得た。MS・APCI(m/z):234[M+H]+
【0179】
(3) 塩化メチレン1.2lに溶解した1−ベンジルオキシカルボニル−3−ピペリドン83.7g溶液に(R)−(+)−1−(1−ナフチル)エチルアミン55.0gを加え、室温下、2時間攪拌した後に、酢酸69mlおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム160gを加え、室温下、15時間攪拌した。反応液に水酸化ナトリウム水を加え塩基性にした後、クロロホルムを加え攪拌し、分液した。有機層を乾燥、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→0:1)で精製することにより、3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル98.7gを得た。MS・APCI(m/z):389[M+H]+
【0180】
(4) 塩化メチレン800mlに溶解したトリホスゲン40.95g溶液へ、0℃で塩化メチレン200mlに溶解した3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル80.6gおよびトリエチルアミン86.6mlの混合溶液を滴下し、室温下、16時間攪拌した。反応液に水を加え攪拌した後、分液した。有機層を乾燥、濃縮した後、残渣をジエチルエーテル200mlで洗浄、濾取した結晶をクロロホルム、ジエチルエーテルで再結晶して、(R)−3−〔クロロカルボニル−(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル48.9gを得た。
さらに、濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1→0:1)で精製することにより、(R)−3−〔クロロカルボニル−(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル5.82gおよび(S)−3−〔クロロカルボニル−(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル14.5gを得た。
【0181】
(5) テトラヒドロフラン700mlに溶解した(R)−3−〔クロロカルボニル−(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル54.6g溶液に、水を350ml加え、還流下15時間撹拌した。テトラヒドロフランを留去した後、飽和重曹水とクロロホルムを加え攪拌し、分液した。有機層を乾燥、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→0:1)で精製することにより、(R)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル24.3gを得た。MS・APCI(m/z):389[M+H]+
【0182】
(6) メタノール250mlに溶解した(R)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル24.2g溶液へ、パラジウム炭素(10% wet)2.5gを加え、水素雰囲気3気圧下、室温で40時間振とうした。パラジウム炭素を除去し、溶媒留去後、残渣を酢酸エチル−クロロホルム(10:1)で洗浄、濾取し、(R)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピペリジン(後記参考例表、参考例3.001(a))15.3gを得た。MS・APCI(m/z):255[M+H]+
【0183】
(7) (S)−3−〔クロロカルボニル−(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ〕ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル14.5gを用いて、前記(5)と同様に処理することにより、(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル4.74gを得た。MS・APCI(m/z):389[M+H]+
さらに、(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピペリジン−1−カルボキシリックアシッドベンジルエステル4.7gを用いて、前記(6)と同様に処理することにより、(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピペリジン2.89gを得た。MS・APCI(m/z):255[M+H]+
【0184】
(8) メタノール15mlに溶解した(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピペリジン3.46g溶液に、4M塩酸の酢酸エチル溶液20mlを滴下し、撹拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣にジエチルエーテルを加え洗浄、乾燥して(S)−3−[(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ]ピペリジン二塩酸塩3.33g(後記参考例表、参考例3.001(b))を得た。MS・APCI(m/z):255[M+H]+
【0185】
【表2】













【0186】
【表3】



【0187】
【表4】



【0188】
【表5】







【0189】
【表6】











【0190】
【表7】



【0191】
【表8】

























【0192】
【表9】

【0193】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(i)〜(iii)の工程からなる、PTH産生に対する被験物質の作用をアッセイする方法。
(i) ラットの初代培養副甲状腺細胞を調製する。
(ii) (i)の細胞を、低カルシウム濃度の条件の下、種々の濃度の被験物質の存在下、或は被験物質の存在下及び非存在下でインキュベーションする。
(iii)種々の濃度の被験物質の存在下でのPTH産生レベルを比較するか、
あるいは、被験物質の存在下と非存在下でのPTH産生レベルを比較する。
(iv) (iii)の結果から、PTH産生に対する被験物質の作用の強さもしくは作用の有無を判定する。

【公開番号】特開2010−279372(P2010−279372A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161413(P2010−161413)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【分割の表示】特願2006−513965(P2006−513965)の分割
【原出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】