説明

PTPカセット

【課題】可撓性留具を工夫して可動部材への反力を緩和抑制する。
【解決手段】PTP包装剤8を各々は横にしたうえで収納空間底部材15の上面に載せて縦に積み重ねて整列収納させた状態で保持する整列収納部11と、PTP包装剤8のうち最下のものの後端に作用する可動部材19を送り機構16にて収納空間底部材15に沿って前送りする順次排出機構16〜19とを備えていて、PTP包装剤8を下から順に横送りして整列収納部11の排出口13から前方へ排出するPTPカセット10において、排出口13の上側部分に設けられた髭状の可撓性留具14の垂下方向Bと可動部材19の送り方向Aとのなす角度を鈍角にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PTP包装した薬剤またはそれと等価な薬剤(以下、PTP包装剤等と呼ぶ)を整列収納して順次排出するPTPカセットに関し、詳しくは、PTP包装剤等を積み重ねて多数保持するとともに下から順に長手方向へ横送りして排出するPTPカセットに関する。なお、PTPカセットは、一体物に纏められていることもあれば、着脱式の複数部分たとえば整列収納部と順次排出機構とに分かれていることもある。また、PTP包装剤は、複数個・多数個の薬剤をPTPシートにて包装したものであり、一枚ずつバラの状態で取り扱われることもあれば、複数枚・多数枚を結束帯で結束したPTP結束体の状態で取り扱われることもある。
【背景技術】
【0002】
シートのカール性が大きいことからシートが浅溝状の樋のように反ったり更にはシートが捻れることもあるPTP包装剤を対象として、簡便な手法でも安定に順次排出できるようになったPTPカセットが、幾つか実用に供されている(例えば特許文献1〜3参照)。何れのPTPカセットも、内底部材(収納空間底部材)を具備した箱状の整列収納部と、その下に固定の又は着脱式の順次排出機構とを備えており、そのうち整列収納部は、PTP包装剤等を各々は横にしたうえで内底部材の上面に載せて縦に積み重ねて整列収納させた状態で保持するようになっており、順次排出機構は、整列収納部に保持されているPTP包装剤等を下から順に横送りして前方へ排出するようになっている。
【0003】
整列収納部は、何れのカセットでも構成が似ており、内底部材の上の整列収納空間が前板と両側板で囲まれているが上面と後背面が解放されており、前板のうち内底部材の前端のところが切り欠かれて排出口が形成されている。その排出口の上側部分には髭状の可撓性留具(弾性留具)が垂れ下がっており、排出口の下方には排出センサが置かれている。
順次排出機構は、PTP包装剤等のうち最下のものの後端に作用する可動部材と、この可動部材を内底部材に沿って前送りする送り機構とを備えている点は、何れのカセットにも共通しているが、可動部材には、PTP包装剤等の後端を引掛部材で引っ掛けるタイプと(特許文献1,3参照)、PTP包装剤等の後端を押出部材で押すタイプとがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−131560号公報
【特許文献2】特開2009−165675号公報
【特許文献3】特開2009−297466号公報
【特許文献4】特願2010−037980号
【特許文献5】特願2010−198721号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような従来のPTPカセットでは、PTP包装剤等がカール変形しても逐次排出は的確になされるよう、送出用の可動部材の形状等に工夫を凝らすことで最下のものの後端にだけ作用させるとともに、排出口の上側部分に可撓性留具(弾性留具)を設置することで、最下のものの不所望な自然滑落を防止しつつ、下から二番目やそれより上のものの不所望な破損と随伴排出をも防止している。
しかしながら、PTP包装剤等の変形の態様やバラツキが大きいため、不所望な随伴排出による二枚落ちを確実に防止するには、可撓性留具の調整に手間取ることが多い。
そこで、可撓性留具の調整の容易なPTPカセットを実現することが要請される。
【0006】
そして、かかる要請に応えるPTPカセットが開発されており、具体的には、PTP包装した薬剤またはそれと等価な薬剤を各々は横にしたうえで収納空間底部材の上面に載せて縦に積み重ねて整列収納させた状態で保持する整列収納部と、前記薬剤のうち最下のものの後端に作用する可動部材を送り機構にて前記収納空間底部材に沿って前送りする順次排出機構とを備えていて、前記薬剤を下から順に横送りして前記整列収納部の排出口から前方へ排出するPTPカセットにおいて、前記排出口の上側部分に髭状の可撓性留具が複数設けられ、その高さ調整が個々に行えるようになっている(特許文献4参照)。
【0007】
このようなPTPカセットにあっては、可撓性留具(弾性留具)が複数になって個々に調整することまで可能になっているので、最下の薬剤(PTP包装剤等)の自然滑落防止を目的として何れかの可撓性留具の高さ調整が行われるとともに、下から二番目の薬剤の随伴排出防止を目的として他の可撓性留具の高さ調整が行われる。このように個々の可撓性留具の役目を明確化するとともに役割を分担させたことにより、何れの可撓性留具も調整が容易になるうえ、適切な調整結果が迅速に得られることとなる。
【0008】
このように、可撓性留具を個別調整可能な状態で二段化したPTPカセットは、可撓性留具そのものを改良することにより、可撓性留具の調整の容易化を実現している。
しかしながら、整列収納部に設けられた可撓性留具がPTP包装剤等に対して受動的に作用して逐次排出動作を安定させるものであるところ、PTP包装剤等に対して能動的に作用して逐次排出機能を発揮するのは、順次排出機構に設けられた可動部材や送り機構であり、両機構がPTP包装剤等を介して相互作用しつつ協働するのであるから、順次排出機構を改良することでも可撓性留具の調整の容易化が図れるはずである。
そこで、下から二番目以上のPTP包装剤等の随伴排出を防止するという可撓性留具の機能が強化されるよう順次排出機構に工夫を凝らすことも要請される。
【0009】
そして、かかる要請に応えるPTPカセットも開発されており、具体的には、PTP包装した薬剤またはそれと等価な薬剤を各々は横にしたうえで収納空間底部材の上面に載せて縦に積み重ねて整列収納させた状態で保持する整列収納部と、前記薬剤のうち最下のものの後端に作用する可動部材を送り機構にて前記収納空間底部材に沿って前送りする順次排出機構とを備えていて、前記薬剤を下から順に横送りして前記整列収納部の排出口から前方へ排出するPTPカセットにおいて、前記排出口の上側部分に髭状の可撓性留具が設けられており、前記送り機構にて前記可動部材に後続して前送りされて前記薬剤のうち下から二番目の薬剤の落下を妨げる押上部材が前記可動部材と別体で又は一体で前記順次排出機構に設けられている(特許文献5参照)。
【0010】
このようなPTPカセットにあっては、可動部材に後続する押上部材を順次排出機構に設けて、薬剤のうち下から二番目の薬剤の落下が押上部材によって妨げられるようにしたことにより、最下の薬剤が排出口から外へ排出されてから二番目の薬剤が排出口下部へ落下するまでの時間が、排出口および可撓性留具のところを通過する可動部材と押上部材との時間差の分だけ、延長されることとなる。そして、最下の薬剤の通過によって曲げられた可撓性留具が姿勢を戻して安定するのに必要な時間が確保されるので、姿勢を乱されて弱まった可撓性留具の自然滑落防止機能や随伴排出防止機能が二番目の薬剤の落下前に姿勢安定によって可撓性留具の下端まで回復することとなる。このように順次排出機構に押上部材を追加して、下から二番目のPTP包装剤等の随伴排出を防止するという可撓性留具の機能を強化したことにより、可撓性留具の調整が容易になっている。
【0011】
しかしながら、このような改良によって可撓性留具の機能ひいては二枚落ち防止の機能が強化されると、その煽りを受けて負担が増えるところもあり、その負担が無視できなくなると、負担軽減のための更なる改良が求められることとなる。
具体的には、下から二番目のPTP包装剤等が最下のPTP包装剤等を押さえ付ける押付力が強いと、最下のPTP包装剤等の後端に作用する可動部材への反力(すなわち可動部材がPTP包装剤等の後端を押したときに可動部材がPTP包装剤等の後端から受ける反力)も強くなるところ、積み上げられたPTP包装剤等の重量による押付力に、可撓性留具の出す二枚落ち防止のための力が、一部であれ、同様の押付力となって加勢すると、可動部材への反力が増大する。特に最下のPTP包装剤等を静止状態から急加速にて移動状態に遷移させるときの反力は衝撃的で過大になりやすい。
【0012】
PTP包装剤等の端面は薄いので、そこに可動部材が高速で衝突すると、可動部材の当接部位にPTP包装剤等の端面が刃物のように食い込んでくるが、PTP包装剤等の損傷を回避するため可動部材には衝撃吸収用の比較的柔軟な部材が用いられることから、可動部材は衝突の繰り返しによる変形や損傷から逃れることができないので、カセット使用中に可動部材の寿命が尽きたら可動部材を修繕したり交換することとなる。このため、可動部材への反力が強くなると、可動部材の寿命が短くなって、不都合である。
そこで、可動部材の寿命が縮まないよう又は伸びるよう、可撓性留具に関して更に工夫を凝らすことにより可動部材への反力を緩和抑制することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のPTPカセットは(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、PTP包装した薬剤またはそれと等価な薬剤を各々は横にしたうえで収納空間底部材の上面に載せて縦に積み重ねて整列収納させた状態で保持する整列収納部と、前記薬剤のうち最下のものの後端に作用する可動部材を送り機構にて前記収納空間底部材に沿って前送りする順次排出機構とを備えていて、前記薬剤を下から順に横送りして前記整列収納部の排出口から前方へ排出するPTPカセットにおいて、前記排出口の上側部分に設けられた髭状の可撓性留具の垂下方向と前記可動部材の送り方向とのなす角度が鈍角になっていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のPTPカセットは(解決手段2)、上記解決手段1のPTPカセットであって、前記可撓性留具が前後配置で複数設けられており、そのうち前側に位置していて前記薬剤のうち最下のものの前端に作用する最下薬剤向け可撓性留具は、その垂下方向と前記可動部材の送り方向とのなす第1角度が鈍角であるが、前記可撓性留具のうち後側に位置していて前記薬剤のうち最下のものでなく下から二番目の薬剤の前端に作用する二番目薬剤向け可撓性留具は、その垂下方向と前記可動部材の送り方向とのなす第2角度が前記第1角度より小さな鈍角か直角になっていることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明のPTPカセットは(解決手段3)、上記解決手段1,2のPTPカセットであって、前記送り機構にて前記可動部材に後続して前送りされて前記薬剤のうち下から二番目の薬剤の落下を妨げる押上部材が前記順次排出機構に設けられていることを特徴とする。
ここで、前記可動部材と前記押上部材は、上述したように、別体に限られる訳でなく、一体物になっていても良い。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明のPTPカセットにあっては(解決手段1)、可撓性留具の垂下方向と可動部材の送り方向とのなす角度が以前の直角か鋭角から鈍角になったことにより、可動部材の後端衝突によって動きかけた最下のPTP包装剤等の前端が少々かつ短時間ではあるが可撓性留具に乗り上げるかのようにして持ち上がり気味になる。そうすると、下から二番目のPTP包装剤等の前端部が押し上げられるようにしてやはり上がり気味になるので、最下のPTP包装剤等の前側部分を押さえ付ける押付力が弱まって、最下のPTP包装剤等の前側部分の束縛が緩むため、最下のPTP包装剤等が軽やかに加速されるので、最下のPTP包装剤等の後端に作用する可動部材への反力が弱くなる。一旦加速してしまえば、摩擦力や慣性力などが有利に働く状態になるため、押付力が元の強さに戻っても、最下のPTP包装剤等の前送りが円滑に進行することから、最下のPTP包装剤等に対する押付力の緩和抑制は一瞬でも可動部材への反力は大きく緩和抑制される。
【0017】
また、本発明のPTPカセットにあっては(解決手段2)、可撓性留具を前後配置で複数化したうえで、前側で最下のPTP包装剤等の前端に作用する最下薬剤向け可撓性留具については、解決手段1のようにその垂下方向を可動部材の送り方向に対して鈍角(第1角度)にしたことにより、上述した解決手段1の作用効果が発揮される。
一方、前後配置の可撓性留具のうち後側で最下のPTP包装剤等前記薬剤の前端には作用しないが下から二番目のPTP包装剤等の前端には作用する二番目薬剤向け可撓性留具については、その垂下方向と可動部材の送り方向とのなす第2角度までも第1角度と同じ鈍角にすると、下から二番目のPTP包装剤等の前端部が上がり気味になったままの状態が長引いて、最下のPTP包装剤等が排出された後に二番目のPTP包装剤等が下降するのが遅れるおそれが生じるが、その遅れ時間は制御不能でありバラツキが大きいため、安全を見込むと薬剤逐次排出の周期が不所望に延びてしまうことになりかねない。
【0018】
しかしながら、この解決手段2では、二番目薬剤向け可撓性留具の垂下方向と可動部材の送り方向とのなす第2角度は第1角度より小さい鈍角か直角にしたことにより、下から二番目のPTP包装剤等の前端部が上がり気味になっても、その状態は短時間にとどまり、最下のPTP包装剤等の前端部が下降すると、少し遅れて二番目のPTP包装剤等が速やかに下降するので、薬剤逐次排出が短周期で迅速かつ円滑に行われる。
なお、必須ではないが、長短の前後配置で二段化・多段化された可撓性留具すなわち最下薬剤向け可撓性留具や二番目薬剤向け可撓性留具は、その高さ調整が個々に行えるようになっていると、可撓性留具の調整がより容易になるので、更に良い。
【0019】
さらに、本発明のPTPカセットにあっては(解決手段3)、下から二番目のPTP包装剤等の落下を妨げるために押上部材を可動部材に後続させたことに伴って、下から二番目のPTP包装剤等に対して最下のPTP包装剤等だけでなく押上部材からも前進力が作用することから、二番目のPTP包装剤等の前端を可撓性留具に押し当てる力が強くなっているので、二番目のPTP包装剤等の当接する可撓性留具の垂下方向と可動部材の送り方向すなわち二番目のPTP包装剤等の前端の向きとのなす角度が鋭角であると、二番目のPTP包装剤等の前端が下方へ曲がり気味になって、最下のPTP包装剤等を下向きに押し付ける押付力が不所望に強くなってしまうこととなる。
しかしながら、この解決手段3では、可撓性留具の垂下方向と可動部材の送り方向とのなす角度が鈍角か直角になっていることから、そのような不所望な事態に至るのが簡便かつ確実に回避されるので、押上部材の追加による可撓性留具の二枚落ち防止機能の強化という作用効果に加えて、上述した解決手段1の作用効果をも減じることなく享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1について、PTPカセットの構造を示し、(a)が空のカセットの斜視図、(b)がPTP包装剤を収納したカセットの斜視図、(c)が空のカセットの要部の縦断面図である。
【図2】(a)がPTP包装剤を収納して排出態勢を整えたカセット要部の縦断面図、(b)〜(d)がPTP包装剤排出時のカセット要部の縦断面図である。
【図3】本発明の実施例2について、PTPカセットの構造を示し、(a)が空のカセットの斜視図、(b)がPTP包装剤を収納したカセットの斜視図、(c)が空のカセットの要部の縦断面図、(d)が二段重ね可撓性留具の正面図、(e)が最下薬剤向け可撓性留具の正面図、(f)が二番目薬剤向け可撓性留具の正面図である。
【図4】(a)〜(c)、何れも、カセット要部の縦断面である。
【図5】(a)がPTP包装剤を収納して排出態勢を整えたカセット要部の縦断面図、(b)〜(d)がPTP包装剤排出時のカセット要部の縦断面図である。
【図6】本発明の実施例3について、PTPカセットの構造を示し、(a)が空のカセットの斜視図、(b)がPTP包装剤を収納したカセットの斜視図、(c)が空のカセットの要部の縦断面図、(d)が無端ベルト外周面と可動部材と押上部材との斜視図である。
【図7】(a)がPTP包装剤を収納して排出態勢を整えたカセット要部の縦断面図、(b)〜(d)がPTP包装剤排出時のカセット要部の縦断面図である。
【図8】対比される改良前PTPカセットの要部の縦断面図である。
【図9】本発明の実施例4について、PTPカセットの構造を示し、(a)が空のカセットの斜視図、(b)がPTP包装剤を収納したカセットの斜視図、(c)が空のカセットの要部の縦断面図である。
【図10】(a)がPTP包装剤を収納して排出態勢を整えたカセット要部の縦断面図、(b)〜(d)がPTP包装剤排出時のカセット要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
このような本発明のPTPカセットについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜4により説明する。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1(出願当初の請求項1)を具現化したものであり、図3〜5に示した実施例2は、上述した解決手段2(出願当初の請求項2)を具現化したものであり、図6〜7に示した実施例3は、上述した解決手段3(出願当初の請求項3のうち請求項1引用部分)を具現化したものであり、図9〜10に示した実施例4は、上述した解決手段3(出願当初の請求項3のうち請求項2引用部分)を具現化したものである。
【0022】
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ヒンジ等の連結具や,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
また、PTP包装剤の図示と文中引用に際し、個々のものを区別しない場合は単に符号「8」を付したが、最下のPTP包装剤を明確にするときには符号「8a」を付し、下から二番目のPTP包装剤8を明確にするときには符号「8b」を付している。
【実施例1】
【0023】
本発明のPTPカセットの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)がPTPカセット10の斜視図、(b)がPTP包装剤8を収納したカセット10の斜視図、(c)が空のカセット10の要部の縦断面図である。
【0024】
このPTPカセット10は、PTP包装剤等の薬剤を各々は横にしたうえで縦に積み重ねて整列収納させた状態で保持する箱体11(整列収納部)と、その中の薬剤を下から順に横送りして前方へ排出する順次排出機構16〜19とを具えている。
このカセット10に整列収納される薬剤の典型例はPTP包装剤8であり、その典型的な形状は片面が平坦で片面に薬剤収納用突部(ポケット)の列設された角板状である。PTP包装剤8の典型的なサイズは幅が数十mmで長さが百数十mmであり、典型的な重量・質量は数十mg〜百数十mgであり、典型的な厚みは数mmである。
【0025】
箱体11は(図1参照)、整列収納のため鉛直から僅かに前傾した前板と左右の鉛直な側板と水平な外底板とを具えているが、補充容易化のため上面と後背面は解放されている。箱体11の前面には、補充時の薬品確認やバーコード入力作業が容易かつ的確に行えるよう、例えばPTP包装剤8の品名や識別コードを印刷したラベル12が貼り付けられている。箱体11の前面の下部には、PTP包装剤8が順次排出されるときに通過する排出口13が開口形成されており、排出口13の上側部分には横幅全域に亘って列設された髭状の可撓性留具14が垂れ下がっており、可撓性留具14の先端・下端の近くに前端を位置させた一対の内底板15,15(内底部材)が左右に分かれて並置されている。
【0026】
この内底板対15,15は両者の間を開けて箱体11の前後に亘って延びており、左の内底板15は箱体11の左側板の内側に取り付けられ、右の内底板15は箱体11の右側板の内側に取り付けられて、前下がり状態・後上がり状態を維持するので、PTP包装剤8が内底板15の上面に載せられて積み重ね収納されると、そのPTP包装剤8が自重の分力によって前方へ僅かに付勢されて箱体11の前板に前端を当接させた状態を採ることにより整列収納時の姿勢が安定するようになっている。また、最下のPTP包装剤8aやその直ぐ上のPTP包装剤8bは、その前端が排出口13のところで可撓性留具14に当接することで、勝手には滑り出ないようになっている。
【0027】
可撓性留具14は上端が固定され下端が固定されていないので、最下PTP包装剤8aは弱い力で押し出せるが、その上のPTP包装剤8は可撓性留具14や前板に止められて排出されないようになっている。その可撓性留具14の垂下方向Bと可動部材19の送り方向Aとのなす角度θ1は、鈍角であり、図示の例では110゜程度になっているが、可撓性留具14やPTP包装剤8の特性に応じて適宜な角度に設定される。また、この例では、箱体11の前板と可動部材19の送り方向Aとのなす角度θoが直角で、内底板15の前下がり傾斜と同じ角度だけ箱体11の前板が前傾している。
【0028】
順次排出機構16〜19は、無端ベルト16と排出センサ17と電動モータ18と可動部材19とを具えたものであり、箱体11の外底板の上に設けられている。
無端ベルト16は、両端をローラで支持されて前後に延びており、平面視ではほぼ全体が内底板対15,15の間に位置し、側面視では上辺部分が内底板15より僅かに低いところに位置する状態で、内底板15に沿って傾斜しており、電動モータ18の駆動によって上側を前進させるようになっている。電動モータ18は、図示しない制御回路の動作制御に従って、PTP包装剤8を一枚だけ排出するときには間欠動作し、PTP包装剤8を複数枚続けて順次排出するときには連続動作するようになっている。
【0029】
可動部材19は、無端ベルト16の外周側に装着されていて、無端ベルト16の循環動作に随伴して巡回移動することにより、内底板対15,15の間に来たときには内底板対15,15(収納空間底部材)に沿って後ろから前へ移動して、箱体11に整列収納されたPTP包装剤8のうち最下のPTP包装剤8aの後端に当接作用するものなので、PTP包装剤8を傷つけないよう且つ十分な可撓性を発揮するよう例えばエンジニアリングプラスチックから作られている。可動部材19は、最下PTP包装剤8aを前方へ横送りできれる形状であれば、丸鉤状の引掛部材でも良く(例えば特許文献1参照)、硬質部材と軟質部材とを組み合わせた押出部材でも良く(例えば特許文献2参照)、鋭角な逆鉤を持った引掛部材でも良い(例えば特許文献3参照)。
【0030】
排出センサ17は、例えば反射式の光学センサからなり、この例では排出口13や無端ベルト16の前端の斜め下方で箱体11の外底板の上面に設けられて、検出方向を上に向けている。そして、上方にPTP包装剤8が有って反射光が検出されるか或いは上方にPTP包装剤8が無くて反射光が検出されないかに応じてオンオフ信号を出力するものである。この信号に基づいて図示しない上述の制御回路が、最下のPTP包装剤8aが前方へ横送りされて排出口13から出てくると、その最下PTP包装剤8aの排出開始を検知し、その最下PTP包装剤8aが排出口13から抜け落ちて上方から前方へ去ると、排出完了を検知するようになっている。
【0031】
この実施例1のPTPカセット10について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図2は、(a)が多数のPTP包装剤8を収納して排出態勢を整えたPTPカセット10の要部の縦断面図、(b)〜(d)が最下のPTP包装剤8aを排出しているカセット10の要部の縦断面図であり、そのうち図2(b)は、最下PTP包装剤8aの横送り開始時の状態を示し、図2(c)は、その直後の状態を示し、図2(d)は、最下PTP包装剤8aの横送り途中の状態を示している。
【0032】
PTPカセット10を初めて使用するときや、PTP包装剤8の種類を変えるようなときには、二枚落ちのおそれがなく高速でも安定して逐次排出が行われるよう、可撓性留具14を処理対象のPTP包装剤8に適合させるべく、可撓性留具14の選択取付や交換を行うとともに可撓性留具14の長さ調整や高さ調整さらには垂下方向Bの調整などを行う。例えば、可撓性留具14の髭部の先端部・下端部が最下のPTP包装剤8aの前端と干渉してその自然滑落を阻止するとともに、可撓性留具14の髭部の基端部が二番目のPTP包装剤8bの前端と干渉してその前進を阻止するよう、箱体11の前板に対する取付位置や傾き等が調整される。
【0033】
それから、PTPカセット10が空の場合は手作業でPTP包装剤8を解放上面や解放背面から補充する。そのとき、各々のPTP包装剤8を横にしたうえで、多数のPTP包装剤8の表裏を同じ向きに揃え、なるべくポケット側(薬剤収納用突部形成側)を上にして、それらを内底板15の上面に積み上げることで、箱体11内にPTP包装剤8を収納する。それから、収納したPTP包装剤8の後端を指等で軽く押して、PTP包装剤8の列を整える。こうして、整列収納されたPTP包装剤8は前端を箱体11の前板か可撓性留具14に当てて位置が決まり、その順次排出の準備が整う(図2(a)参照)。
【0034】
その後、PTP包装剤8を一つずつ排出させるときには、図示しない制御回路に排出の指令や指示を与えて、PTPカセット10に排出動作を行わせる。具体的には、制御回路が、排出センサ17の反射光不検出を確認しつつ、電動モータ18を作動させる。そうすると、無端ベルト16が循環し、それに随伴して可動部材19が巡回移動し、後方で上向きになった又はなっていた可動部材19が後方から前方へ進行する。そして、PTP包装剤8のところまで前進すると、その可動部材19が最下PTP包装剤8aの後端に当接して最下PTP包装剤8aを前進させる。
【0035】
このとき(図2(b)参照)、可撓性留具14の髭部が最下のPTP包装剤8aの前端を押さえようとするが、可撓性留具14の垂下方向Bと可動部材19の送り方向Aとのなす角度θ1が鈍角になっているため、動きかけた最下PTP包装剤8aの前端が一瞬ではあるが可撓性留具14に乗り上げるかのようにして持ち上がり気味になる。そうすると、下から二番目のPTP包装剤8bの前端部も、最下PTP包装剤8aによって押し上げられるようにして、やはり上がり気味になる。
とはいえ、可撓性留具14は、柔らかいので、最下PTP包装剤8aの自然滑落を阻止することはできても、可動部材19の推進力には抗えない。
【0036】
そのため(図2(c)参照)、最下のPTP包装剤8aが更に前進すると、それに押されて可撓性留具14の下端部が前方へ曲がることから、その反力の向きが斜め上向きから斜め下向きに変わるので、それに押し下げられるようにして最下PTP包装剤8aの前端が下がる。この最下PTP包装剤8aの前端の降下速度は二番目PTP包装剤8bの前端の自然落下より速くので、一瞬ではあるが、最下PTP包装剤8aの前側部分を押さえ付ける押付力が弱まって、最下PTP包装剤8aの前側部分の束縛が緩むこととなる。そうすると、最下PTP包装剤8aが軽やかに而も短時間で加速されるので、最下PTP包装剤8aの後端に作用する可動部材19への反力(すなわち可動部材19が最下PTP包装剤8aの後端を押したときに可動部材19が最下PTP包装剤8aの後端から受ける反力)が弱くなる。
【0037】
それから、その可動部材19が無端ベルト16によって更に前送りされると(図2(d)参照)、可動部材19の後押しによって最下PTP包装剤8aが横送りされて排出口13から外に出る。そして、最下PTP包装剤8が排出口13から前方へ排出されると、その排出中の最下PTP包装剤8aからの反射光が排出センサ17によって検出され、これに応じて適宜なタイミングで電動モータ18の作動が停止されるので、無端ベルト16の循環動作も可動部材19の巡回移動も止まる。それと並行して、最下PTP包装剤8aの抜けた内底板15上では、次のPTP包装剤8bが最下PTP包装剤となる。こうして、このPTPカセット10にあっては、PTP包装剤8が一枚ずつ排出される。
【実施例2】
【0038】
本発明のPTPカセットの実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図3は、(a)が空のPTPカセット30の斜視図、(b)が多数のPTP包装剤8を収納したPTPカセット30の斜視図、(c)が空のPTPカセット30の要部の縦断面図、(d)が可撓性留具140(二段重ね可撓性留具)の正面図、(e)が最下薬剤向け可撓性留具141+143(自然滑落防止用の第1可撓性留具)の正面図、(f)が二番目薬剤向け可撓性留具142+144(二枚落ち防止用の第2可撓性留具)の正面図である。また、図4は、(a)〜(c)、何れも、カセット要部の縦断面である。
【0039】
このPTPカセット30(図1参照)が上述した実施例1のPTPカセット10と相違するのは、可撓性留具14が二段化されて可撓性留具140になった点である。
可撓性留具140も要部が髭状になっており、その髭部141,142が前後配置の状態で排出口13の上側部分の横幅ほぼ全域に亘って列設されており、髭部141,142の先端・下端が内底板15,15の前端に向けて垂れ下がっている。
【0040】
可撓性留具140について更に説明すると、自然滑落防止用の第1可撓性留具である最下薬剤向け可撓性留具141+143と、二枚落ち防止用の第2可撓性留具である二番目薬剤向け可撓性留具142+144とに複数化されて、前後に並んだ二段重ね可撓性留具になっている。二番目薬剤向け可撓性留具142+144は、髭状・櫛歯状の可撓性部材からなり要部をなす髭部142が下側部分になって排出口13に位置し、その支持と高さ調整を担う板状の調整部144が上側部分になって箱体11の前板に装着されたものである。最下薬剤向け可撓性留具141+143は、髭状・櫛歯状の可撓性部材からなり要部をなす髭部141が下側部分になって排出口13に位置し、その支持と高さ調整を担う板状の調整部143が上側部分になって調整部144の上から箱体11の前板に装着されたものであり、二番目薬剤向け可撓性留具142+144の前側に位置している。
【0041】
調整部143,144には、高さ即ち鉛直方向位置が容易に変更しうるよう、例えば止めネジ挿通孔が上下に長く形成されている。また、その高さ調整が個々に行えるよう、調整部143と箱体11の前板との間で両者に前後から挟まれている調整部144には、それに重なる調整部143の止めネジを遊挿させる長孔も形成されている。調整部143を調整部144に密着させた場合は、調整部144の調整を先に済ませてから調整部143の調整を行うことになるが、例えば調整部143の止めネジに適宜なスペーサを嵌装させる等のことで、調整部144と調整部143とを僅かでも離して個別に箱体11へ固定すれば、後先を気にせず調整部143,144それぞの高さ延いては髭部141,142それぞれの高さを調整することができる。
【0042】
髭部141,142は、何れも、排出口13の上側部分に垂下状態で位置していて、排出口13の横幅ほぼ全域に亘っている。そのうち後方・内側の二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142は、二枚落ち防止用なので、下から二番目のPTP包装剤8bの前端に強く干渉するよう、比較的堅めになっていて、相対的に高いところに位置している。これに対し、前方・外側の最下薬剤向け可撓性留具141+143の髭部141は、自然滑落防止用なので、最も下のPTP包装剤8aの前端に弱く干渉するよう、比較的柔らかになっていて、相対的に低いところに位置している。また、髭部141は、最下PTP包装剤8aの前進時に押されて曲がって大きく変形するので長めになっている。
【0043】
また(図4参照)、可撓性留具140が二段重ねになったので、可撓性留具の垂下方向も、最下薬剤向け可撓性留具141+143の髭部141の垂下方向Bと、二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142の垂下方向Cとの二つになっている。そのうち前側に位置していて最下PTP包装剤8aの前端に作用する最下薬剤向け可撓性留具141+143の髭部141は、その垂下方向Bと可動部材19の送り方向Aとのなす第1角度θ1が上述した可撓性留具14のそれと同程度の鈍角であるが、可撓性留具140のうち後側に位置していて最下PTP包装剤8aでなく二番目PTP包装剤8bの前端に作用する二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142は、その垂下方向Cと可動部材19の送り方向Aとのなす第2角度θ2が第1角度θ1より小さな鈍角か直角になっている。
【0044】
図示した三例を説明すると、一例目のものでは(図4(a)参照)、箱体11の前板が鉛直で、箱体11の前板と可動部材19の送り方向Aとのなす角度θoが鋭角になっており、第1角度θ1が110゜程度になっており、第2角度θ2が直角になっている。また、二例目のものでは(図4(b)参照)、箱体11の前板が前傾するとともに、二番目薬剤向け可撓性留具142+144の調整部143が平板に変わって、角度θoが直角になっており、第1角度θ1が110゜程度になっており、第2角度θ2が直角になっている。さらに、三例目のものでは(図4(c)参照)、角度θoが直角になっており、第1角度θ1が110゜程度になっており、第2角度θ2が100゜程度になっている。
【0045】
この実施例2のPTPカセット30について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図5は、(a)が多数のPTP包装剤8を収納して排出態勢を整えたPTPカセット30の要部の縦断面図、(b)〜(d)が最下のPTP包装剤8aを排出しているPTPカセット30の要部の縦断面図であり、そのうち図5(b)は、最下PTP包装剤8aの横送り開始時の状態を示し、図5(c)は、その直後の状態を示し、図5(d)は、最下PTP包装剤8aの排出完了直後の状態を示している。
【0046】
PTPカセット30を初めて使用するときや、PTP包装剤8の種類を変えるようなときには、処理対象のPTP包装剤8に適合させるべく可撓性留具140の高さ調整を行うが、可撓性留具140が最下薬剤向け可撓性留具141+143と二番目薬剤向け可撓性留具142+144とに複数化されているうえ個々に調整することまで可能になっているので、二枚落ちのおそれがなく高速でも安定して逐次排出が行われるよう、それぞれの高さ調整が行われる。さらに、最下薬剤向け可撓性留具141+143の髭部141の垂下方向Bや二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142の垂下方向CについてもPTP包装剤8に適合するよう角度調整するのが望ましい。
【0047】
具体的には、最下薬剤向け可撓性留具141+143については、髭部141が最下のPTP包装剤8の前端と干渉してその自然滑落を阻止するよう、調整部143の箱体11の前面板に対する取付位置が調整される。
また、二番目薬剤向け可撓性留具142+144については、髭部142が下から二番目のPTP包装剤8の前端と干渉してその随伴排出を阻止するが最下のPTP包装剤8の排出は妨げないよう、調整部144の箱体11に対する取付位置が調整される。
さらに、垂下方向B,Cが、例えばスペーサ等を用いて、角度調整される。
【0048】
調整が済んだら、空のPTPカセット30にPTP包装剤8を解放上面や解放背面から手作業で補充するが、PTPカセット10について述べたようにして多数のPTP包装剤8を内底板15上に積み上げて箱体11内に収納する。それから、収納したPTP包装剤8の後端を指等で軽く押して、PTP包装剤8の列を整える。こうして、整列収納されたPTP包装剤8は、最下のPTP包装剤8aが前端を可撓性留具140の最下薬剤向け可撓性留具141+143の髭部141に当てて位置が決まり、下から二番目のPTP包装剤8bが前端を二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142に当てて位置が決まり、下から三番目以上のものが前端を箱体11の前板に当てて位置が決まり、それらの順次排出の準備が整う(図5(a)参照)。
【0049】
その後、図示しない制御回路に指示して、PTPカセット30に排出動作を行わせると、後方で上向きになった又はなっていた可動部材19が後方から前方へ進行する。そして、PTP包装剤8のところまで前進すると、その可動部材19が最下PTP包装剤8aの後端に当接して最下PTP包装剤8aを前進させる。このとき(図5(b)参照)、上述した可撓性留具14と同様、可撓性留具140の最下薬剤向け可撓性留具141+143の髭部141が最下PTP包装剤8aの前端を押さえようとするが、髭部141の垂下方向Bと可動部材19の送り方向Aとのなす第1角度θ1が鈍角になっているため、動きかけた最下PTP包装剤8aの前端が一瞬ではあるが髭部141に乗り上げるかのようにして持ち上がり気味になる。そうすると、下から二番目のPTP包装剤8bの前端部も、最下PTP包装剤8aによって押し上げられるようにして、やはり上がり気味になる。
【0050】
とはいえ、最下薬剤向け可撓性留具141+143の髭部141は、柔らかいので、最下PTP包装剤8aの自然滑落を阻止することはできても、可動部材19の推進力には抗えない。そのため(図5(c)参照)、最下PTP包装剤8aが更に前進すると、それに押されて髭部141の下端部が前方へ曲がることから、その反力の向きが斜め上向きから斜め下向きに変わるので、それに押し下げられるようにして最下PTP包装剤8aの前端が下がる。この最下PTP包装剤8aの前端の降下速度は二番目PTP包装剤8bの前端の自然落下より速いので、一瞬ではあるが、最下PTP包装剤8aの前側部分を押さえ付ける押付力が弱まって、最下PTP包装剤8aの前側部分の束縛が緩むこととなる。そうすると、最下PTP包装剤8aが軽やかに而も短時間で加速されるので、最下PTP包装剤8aの後端に作用する可動部材19への反力が弱くなる。
【0051】
それから、その可動部材19が無端ベルト16によって更に前送りされると(図5(d)参照)、可動部材19の後押しによって最下PTP包装剤8aが横送りされて排出口13から外に出る。このとき、下から二番目のPTP包装剤8bが、最下のPTP包装剤8に摩擦で引きずられて一緒に排出口13から外へ出ようとするが、二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142によって傷つかない程度ではあるが強く止められるので、箱体11の中にとどまる。そして、最下PTP包装剤8が排出口13から前方へ排出されると、最下PTP包装剤8aの抜けた内底板15上では、下から二番目だった次のPTP包装剤8bが下降して次の最下PTP包装剤となるが、第2角度θ2が第1角度θ1より小さい鈍角か直角になっているので、PTP包装剤8bは速やかに下降する。また、それと並行して、排出中のPTP包装剤8aからの反射光が排出センサ17によって検出されていて、これに応じて適宜なタイミングで排出動作が停止される。こうして、このPTPカセット30にあっても、PTP包装剤8が下から一枚ずつ排出される。
【実施例3】
【0052】
本発明のPTPカセットの実施例3について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図6は、(a)が空のPTPカセット60の斜視図、(b)が多数のPTP包装剤8を収納したPTPカセット60の斜視図、(c)が空のPTPカセット60の要部の縦断面図、(d)が送り機構の無端ベルト16の外周面と可動部材19と押上部材62との斜視図である。
このPTPカセット60が上述した実施例1のPTPカセット10と相違するのは、順次排出機構16〜19が押上部材62を追加されて順次排出機構16〜19+62になっている点である。
【0053】
押上部材62は、可動部材19の近くで無端ベルト16の外周側に装着されており、可動部材19と共に無端ベルト16の循環動作に随伴して巡回移動することにより、内底板対15,15の間に来たときには内底板対15,15に沿って可動部材19の後に続いて前へ移動して、箱体11に整列収納されたPTP包装剤8のうち下から二番目のPTP包装剤8bの落下を妨げるようになっている。押上部材62は、二番目PTP包装剤8bの下面を押し上げるようにして擦りながら前進するので、やはり二番目PTP包装剤8bを傷つけないよう且つ十分な円滑性や適度な弾性を発揮するよう例えばエンジニアリングプラスチックから作られ、PTP包装剤8の厚みと同じか少し低い背高で、後ろ向きに傾いた姿勢で設けられている。
【0054】
押上部材62と可動部材19との離隔距離は、両部材の動作妨害を招く直接干渉距離より遠く、PTP包装剤8の長さの半分より近くなっている。そして、その範囲内に両部材19,62の距離が収まっていることを前提として、可撓性留具の自然滑落防止機能や随伴排出防止機能の回復時間を稼ぐために、可能であれば、可撓性留具14のところを通過するときの可動部材19と押上部材62との時間差が、最下のPTP包装剤8aの通過によって曲げられた可撓性留具14が姿勢を元に戻して安定するのに十分な時間を上回るよう、押上部材62と可動部材19との距離が広げられる。一方、PTP包装剤8の落下時間が過剰に延びるのを防止する観点からは、上述した条件に反しない範囲で、押上部材62と可動部材19とを近づけるのが望ましい。
【0055】
この実施例3のPTPカセット60について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図7は、PTP包装剤8の排出動作を時系列で示しており、(a)が多数のPTP包装剤8を収納して排出態勢を整えたPTPカセット60の要部の縦断面図、(b)〜(d)が最下のPTP包装剤8aを排出しているPTPカセット60の要部の縦断面図であり、そのうち図7(b)は、押上部材62が下から二番目のPTP包装剤8bの下に入ったときの状態を示し、図7(c)は、最下PTP包装剤8aを排出した直後の状態を示し、図7(d)は、押上部材62が二番目PTP包装剤8bの下から抜け出たところを示している。
【0056】
PTPカセット60の場合も上述したPTPカセット10と同様にして部材調整や薬剤収納の作業を行うと順次排出の準備が整う(図7(a)参照)。
それから、やはり上述したのと同様にしてPTPカセット60に排出動作を行わせると、無端ベルト16の循環に随伴して可動部材19と押上部材62とが連なって巡回移動し、そのうち可動部材19が後方から前方へ進行して最下PTP包装剤8aの後端に当接して最下PTP包装剤8aを前進させる。
【0057】
このとき、可撓性留具14の髭部が最下PTP包装剤8aの前端を押さえようとするが、可撓性留具14の垂下方向Bと可動部材19の送り方向Aとのなす角度θ1が鈍角になっているため、動きかけた最下PTP包装剤8aの前端が一瞬ではあるが可撓性留具14に乗り上げるかのようにして持ち上がり気味になる。そして、下から二番目のPTP包装剤8bの前端部も上がり気味になったところで、可撓性留具14の下端部が前方に曲がって最下PTP包装剤8aの前端が下がり、最下PTP包装剤8aの前側部分の束縛が緩んで、最下PTP包装剤8aが軽やかに而も短時間で加速されるので、上述したのと同様、最下PTP包装剤8aの後端に作用する可動部材19への反力が弱くなる。
【0058】
それから(図7(b)参照)、その可動部材19と後続の押上部材62が無端ベルト16によって更に前送りされると、可動部材19の後押しによって最下のPTP包装剤8aが横送りされて最下PTP包装剤8aの前端部さらには前側部分が排出口13から外に出る。このとき、下から二番目のPTP包装剤8bが、最下PTP包装剤8aに摩擦で引きずられて一緒に排出口13から外へ出ようとするが、可撓性留具14の髭部の基端部によって傷つかない程度ではあるが強く止められるので、箱体11の中にとどまる。また、可動部材19に続いて前進した押上部材62が二番目PTP包装剤8bの下に入り込んで、そのPTP包装剤8bの後端部さらには後側部分の落下を阻止するので、二番目PTP包装剤8bの不所望な傾動が防止・抑制される。
【0059】
ところで、もしも可撓性留具14の垂下方向Bと可動部材19の送り方向Aとのなす角度θ1が鋭角か直角であったとすると(図8参照)、最下PTP包装剤8aが排出口13を通過している状態では可撓性留具14の下端が前方へ曲げられていて可撓性留具14の基端部にもその影響が及ぶので、そこに当接している二番目PTP包装剤8bの前端に押下力が掛かるところ、押上部材62が二番目PTP包装剤8bの下面を擦っている状態では、当接力が大きく、その分力を主とする押下力も大きくなることから、二番目PTP包装剤8bの前端が最下PTP包装剤8aを強く押さえ付けるので、可動部材19への反力も大きくなりがちであるが、PTPカセット60にあっては角度θ1が鈍角なため、可撓性留具14の下端部の曲げの影響が基端部では緩和・解消されて、可撓性留具14と二番目PTP包装剤8bとのなす角度が鈍角を維持するか精々直角にとどまるので、二番目PTP包装剤8bから最下PTP包装剤8aへ不所望な押下力が強く働くことがない。
【0060】
そして(図7(c)参照)、可動部材19が更に前進して排出口13から外に出たときには、最下PTP包装剤8aが排出口13から前方へ排出されるとともに、押上部材62が排出口13に近づいて二番目PTP包装剤8bの前端寄りの部分を下から押し上げるようにして二番目PTP包装剤8bの前端の落下を阻止する。そのため、最下だったPTP包装剤8aが排出された後も暫くは、下から二番目だったPTP包装剤8bは、前端を可撓性留具14の髭部の基端部に当接し続けるので、確実に箱体11の中にとどまる。その後(図7(d)参照)、可動部材19に続いて押上部材62が排出口13から外に出ると、下から二番目だったPTP包装剤8bが前端部まで内底板15の上に落下するが、そのときには、可撓性留具14の髭部が下向きに戻って真っ直ぐになっているので、その髭部の下端部との干渉によりPTP包装剤8bの自然滑落が阻止される。
【0061】
また、最下だったPTP包装剤8aが排出口13から前方へ排出されたときには、その排出中のPTP包装剤8aからの反射光が排出センサ17によって検出され、これに応じて適宜なタイミングで電動モータ18の作動が停止されるので、無端ベルト16の循環動作も可動部材19と押上部材62の巡回移動も止まる。そして、最下だったPTP包装剤8aの抜けた内底板15上では、二番目だった次のPTP包装剤8bが最下のものとなる。ただし、続けて二枚目のPTP包装剤8も排出する場合は、無端ベルト16が循環動作を続行するので、可動部材19と押上部材62の巡回移動も続行される。
【0062】
こうして、PTP包装剤8が一枚ずつ排出されるが、このPTPカセット60にあっては、最下のPTP包装剤8aの後端が排出口13から外へ排出されてから二番目のPTP包装剤8bの前端が排出口13の下部へ落下するまでの時間が、押上部材62の働きによって、可撓性留具14の姿勢が真っ直ぐに戻って安定するのに要する整定時間より長くなっているので又はその整定時間に近づけられているので、可撓性留具14の髭部の長さ調整や高さ調整が多少なら大まかであっても、更には髭形状等が多少経年変化しても、PTP包装剤8の逐次排出が的確に行われる。
【実施例4】
【0063】
本発明のPTPカセットの実施例4について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図9は、(a)が空のPTPカセット90の斜視図、(b)が多数のPTP包装剤8を積み重ね収納したPTPカセット90の斜視図、(c)が空のPTPカセット90の要部の縦断面図である。
【0064】
このPTPカセット90が上述した実施例2のPTPカセット30と相違するのは、順次排出機構16〜19が押上部材62を追加されて順次排出機構16〜19+62になっている点である。
このPTPカセット90が上述した実施例3のPTPカセット60と相違するのは、可撓性留具14が二段化されて可撓性留具140になっている点である。
可撓性留具140については実施例2で説明し、順次排出機構16〜19については実施例1で説明し、それに追加された押上部材62については実施例3で説明している。
【0065】
この実施例4のPTPカセット90について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図10は、(a)がPTP包装剤8を収納して排出態勢を整えたPTPカセット90の要部の縦断面図、(b)〜(d)がPTP包装剤8を排出しているPTPカセット90の要部の縦断面図であり、そのうち図10(b)は、押上部材62が下から二番目のPTP包装剤8bの下に入ったときの状態を示し、図10(c)は、最下のPTP包装剤8aを排出した直後の状態を示し、図10(d)は、押上部材62が二番目PTP包装剤8bの下から抜け出たところを示している。
【0066】
PTPカセット90の場合も上述したPTPカセット30,60と同様にして部材調整や薬剤収納の作業を行うと順次排出の準備が整う(図10(a)参照)。
それから、やはり上述したのと同様にしてPTPカセット90に排出動作を行わせると、無端ベルト16の循環に随伴して可動部材19と押上部材62とが連なって巡回移動し、そのうち可動部材19が後方から前方へ進行して最下PTP包装剤8aの後端に当接して最下PTP包装剤8aを前進させる。
【0067】
このとき、上述した可撓性留具140と同様、可撓性留具140の最下薬剤向け可撓性留具141+143の髭部141が最下PTP包装剤8aの前端を押さえようとするが、髭部141の垂下方向Bと可動部材19の送り方向Aとのなす第1角度θ1が鈍角になっているため、動きかけた最下PTP包装剤8aの前端が一瞬ではあるが髭部141に乗り上げるかのようにして持ち上がり気味になる。そして、下から二番目のPTP包装剤8bの前端部も上がり気味になったところで、髭部141の下端部が前方に曲がって最下PTP包装剤8aの前端が下がり、最下PTP包装剤8aの前側部分の束縛が緩んで、最下PTP包装剤8aが軽やかに而も短時間で加速されるので、上述したのと同様、最下PTP包装剤8aの後端に作用する可動部材19への反力が弱くなる。
【0068】
それから(図10(b)参照)、その可動部材19と後続の押上部材62が無端ベルト16によって更に前送りされると、可動部材19の後押しによって最下のPTP包装剤8aが横送りされて最下PTP包装剤8aの前端部さらには前側部分が排出口13から外に出る。このとき、下から二番目のPTP包装剤8bが、最下PTP包装剤8aに摩擦で引きずられて一緒に排出口13から外へ出ようとするが、二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142によって傷つかない程度ではあるが強く止められるので、箱体11の中にとどまる。しかも、可動部材19に続いて前進した押上部材62が二番目PTP包装剤8bの下に入り込んで、その二番目PTP包装剤8bの後端部さらには後側部分の落下を阻止するので、二番目PTP包装剤8bの不所望な傾動が防止・抑制される。
【0069】
また、二番目PTP包装剤8bの下に入って前進する押上部材62が二番目PTP包装剤8bの下面を擦り、その摩擦力が上述した最下PTP包装剤8aの摩擦力に加わるため、二番目PTP包装剤8bが二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142を押す当接力が大きくなり、髭部142の垂下方向Cと可動部材19の送り方向Aとのなす第2角度θ2が鋭角であると当接力の分力を主とする不所望な押下力も大きくなるが(図8参照)、最下PTP包装剤8aに作用する最下薬剤向け可撓性留具141+143の髭部141と二番目PTP包装剤8bに作用する二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142とが分かれているうえ、髭部142の垂下方向Cと可動部材19の送り方向Aとのなす第2角度θ2が第1角度θ1より小さい鈍角か直角になっているので、二番目PTP包装剤8bから最下PTP包装剤8aへ不所望に大きな押下力が働くこともない。
【0070】
そして(図10(c)参照)、可動部材19が更に前進して排出口13から外に出たときには、最下PTP包装剤8aが排出口13から前方へ排出されるとともに、押上部材62が排出口13に近づいて二番目PTP包装剤8bの前端寄りの部分を下から押し上げるようにして二番目PTP包装剤8bの前端の落下を阻止する。そのため、最下だったPTP包装剤8aが排出された後も暫くは、下から二番目だったPTP包装剤8bは、前端を二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142に当接し続けるので、確実に箱体11の中にとどまる。
【0071】
その後(図10(d)参照)、可動部材19に続いて押上部材62が排出口13から外に出ると、最下PTP包装剤8aの抜けた内底板15上では、下から二番目だった次のPTP包装剤8bが下降して次の最下PTP包装剤となるが、第2角度θ2が第1角度θ1より小さい鈍角か直角になっているので、PTP包装剤8bは二番目薬剤向け可撓性留具142+144の髭部142によって妨げられることなく速やかに下降する。しかも、そのときには、最下薬剤向け可撓性留具141+143の髭部141が下向きに戻って真っ直ぐになっているので、その髭部141の下端部との干渉によりPTP包装剤8bの自然滑落が阻止される。
【0072】
また、最下だったPTP包装剤8aが排出口13から前方へ排出されたときには、その排出中のPTP包装剤8aからの反射光が排出センサ17によって検出され、これに応じて適宜なタイミングで電動モータ18の作動が停止されるので、無端ベルト16の循環動作も可動部材19と押上部材62の巡回移動も止まる。そして、最下だったPTP包装剤8aの抜けた内底板15上では、二番目だった次のPTP包装剤8bが最下のものとなる。ただし、続けて二枚目のPTP包装剤8も排出する場合は、無端ベルト16が循環動作を続行するので、可動部材19と押上部材62の巡回移動も続行される。
【0073】
こうして、PTP包装剤8が一枚ずつ排出されるが、このPTPカセット90にあっては、最下のPTP包装剤8aの後端が排出口13から外へ排出されてから二番目のPTP包装剤8bの前端が排出口13の下部へ落下するまでの時間が、押上部材62の働きによって、可撓性留具14の姿勢が真っ直ぐに戻って安定するのに要する整定時間より長くなっているので又はその整定時間に近づけられているので、可撓性留具140の髭部141,142の長さ調整や高さ調整が多少なら大まかであっても、更には髭形状等が多少経年変化しても、PTP包装剤8の逐次排出が的確に行われる。
【0074】
[その他]
上記実施例では押上部材62が可動部材19と別体になっていたが、押上部材62と可動部材19は一体物であっても良い(例えば特許文献5参照)。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のPTPカセットは、PTP包装した薬剤の他、それと等価な薬剤たとえばシート状包装やカード状包装の薬剤などにも、適用することができる。
また、本発明のPTPカセットは、単体で使用できる他、薬剤払出装置の一部や全部に組み込んでも良い(例えば特許文献1〜3参照)。
【符号の説明】
【0076】
8,8a,8b…PTP包装剤(薬剤)、
10…PTPカセット、
11…箱体(整列収納部)、12…ラベル、13…排出口、14…可撓性留具、
15…内底板(収納空間底部材)、16…無端ベルト(送り機構)、
17…排出センサ、18…電動モータ、19…可動部材、
30…PTPカセット、
60…PTPカセット、62…押上部材、
90…PTPカセット、
140…可撓性留具(二段重ね可撓性留具)、
141…髭部(第1可撓性留具)、142…髭部(第2可撓性留具)、
143…調整部(第1可撓性留具)、144…調整部(第2可撓性留具)、
A…送り方向、B,C…垂下方向、
θo…箱体の前板と可動部材の送り方向とのなす角度、
θ1…可撓性留具の垂下方向と可動部材の送り方向とがなす角度,及び第1可撓性留具の髭部の垂下方向と可動部材の送り方向とがなす第1角度、
θ2…第2可撓性留具の髭部の垂下方向と可動部材の送り方向とがなす第2角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTP包装した薬剤またはそれと等価な薬剤を各々は横にしたうえで収納空間底部材の上面に載せて縦に積み重ねて整列収納させた状態で保持する整列収納部と、前記薬剤のうち最下のものの後端に作用する可動部材を送り機構にて前記収納空間底部材に沿って前送りする順次排出機構とを備えていて、前記薬剤を下から順に横送りして前記整列収納部の排出口から前方へ排出するPTPカセットにおいて、前記排出口の上側部分に設けられた髭状の可撓性留具の垂下方向と前記可動部材の送り方向とのなす角度が鈍角になっていることを特徴とするPTPカセット。
【請求項2】
前記可撓性留具が前後配置で複数設けられており、そのうち前側に位置していて前記薬剤のうち最下のものの前端に作用する最下薬剤向け可撓性留具は、その垂下方向と前記可動部材の送り方向とのなす第1角度が鈍角であるが、前記可撓性留具のうち後側に位置していて前記薬剤のうち最下のものでなく下から二番目の薬剤の前端に作用する二番目薬剤向け可撓性留具は、その垂下方向と前記可動部材の送り方向とのなす第2角度が前記第1角度より小さな鈍角か直角になっていることを特徴とする請求項1記載のPTPカセット。
【請求項3】
前記送り機構にて前記可動部材に後続して前送りされて前記薬剤のうち下から二番目の薬剤の落下を妨げる押上部材が前記順次排出機構に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたPTPカセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−65930(P2012−65930A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214620(P2010−214620)
【出願日】平成22年9月26日(2010.9.26)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】