説明

PTPシートの排出装置

【課題】PTPシートを搬送する搬送ラインを高速化することができ、PTPシートを搬送する搬送ラインが3列以上になっても、各列からPTPシートを排出することができるとともに装置構造が簡易になり装置コストを低減することができ、かつ多列の搬送ラインの片側に全てのPTPシートを排出することができるPTPシートの排出装置を提供する。
【解決手段】搬送手段により搬送される複数のPTPシート5から所定のPTPシート5を選択して排出するPTPシート5の排出装置において、搬送手段の搬送面の一側に設けられ、選択されたPTPシート5に向かって高速のエアを吹き付けるエアブロー手段11と、搬送手段の搬送面の他側にエアブロー手段11と対向する位置に設けられ、エアブロー手段11から吹き出した高速のエアによって搬送面1から排出されたPTPシート5を案内して排出するシュート12とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTP包装された錠剤シート又はカプセル剤シート等のPTPシートを検査した後に、不良品のPTPシートを排出するPTPシートの排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、錠剤、カプセル剤の包装形態は、その携帯性、認識性などの優位性によりPTP(Press Through Package)包装が主流になってきている。このPTP包装された錠剤シート又はカプセル剤シート(以下、PTPシートと云う)は、シート上の異物、シール不良、異物混入等の各種検査が行われ、検査によって不良品と判断されたPTPシートは排出装置によって排出される。この排出装置として、従来から、搬送コンベアの流れ方向と直角に搬送レールを設置し、この搬送レール上で排出機能を持たせたガイドを駆動手段で移動させることにより、不良品のPTPシートを搬送コンベア上から排除する構造のものがあった。
【0003】
また、排出装置として、特開2008−150092号公報(特許文献1)において、PTPシートを左右一対の爪によって押して搬送する搬送系路(搬送ライン)に、排出孔と、排出孔を開閉するダンパ状の蓋体と、蓋体を開閉操作するエアシリンダ等の開閉操作部とを設け、不良なPTPシートが排出孔の位置に到達したとき、開閉操作部によって蓋体を開き、PTPシートを排出孔から自重で落下させるようにした構造のものが開示されている。
さらに、他のタイプの排出装置として、特開2009−46223号公報(特許文献2)において、搬送コンベアと対向するように配置され周面にPTPシートを吸引する吸引部を形成した固定ドラムと、通気孔が複数形成され前記固定ドラムの外周側を回転する回転ドラムとを備え、排出すべきPTPシートを回転ドラムに吸着して所定の離脱位置まで移動させた後に、PTPシートを回転ドラムから離脱させるようにした構造のものが開示されている。この排出装置においては、固定ドラムには真空経路が独立して複数確保され、それぞれの真空経路は各々別々の真空装置に接続されている。排出されるべきPTPシートが上流側から回転ドラムの下に到着すると、回転ドラムの真空装置を作動させてPTPシートを回転ドラムに吸着させ、所定の位置まで運ばれた後に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−150092号公報
【特許文献2】特開2009−46223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実ラインで多く採用されている搬送レール上を移動するガイドによる排除方式は、搬送コンベア上のシートをコンベアの流れ方向と直角方向のコンベア外に排除する方式の為、コンベアが単列や2列の場合には対応可能であるが、コンベアが3列以上になると、一番外側の搬送コンベア以外で搬送されたシートは、その両側にもシートを搬送するコンベアが稼働しているので、どちらの側にも排出ができなかった。すなわち、搬送レール上を移動するガイドによる排除方式は、搬送コンベアが3列以上の構成には対応できていなかった。
【0006】
特許文献1に開示された開閉ダンパ方式の排出装置にあっては、ダンパ状の蓋体を開くことによって搬送ラインからPTPシートを自重で落下させるようにしている。しかしながら、近年、単位時間あたりの検査処理数量を増加したいという要求が強くなってきており、装置をますます高速化することが必要になってきた。このように装置を高速化した場合、検査後に不良品のPTPシートを搬送系路の途中にある排出孔の位置で蓋体を開いて排出した後に蓋体を速やかに閉じなければ、後続の良品のPTPシートも落下してしまうという問題点がある。ところが、PTPシートは比較的軽量であり、PTPシートを自重で落下させるだけでは速やかに排出できないという問題点があり、しかも蓋体を閉じる動作も短時間で行うことができないという問題点もある。
【0007】
また、特許文献2に開示された回転ドラム方式の排出装置は、回転ドラム、この回転ドラムを回転駆動するモータ、回転ドラムに真空を供給する真空ポンプ等の真空装置等の各種機器を必要とし、装置構造が複雑となり、装置コストが上昇するという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、PTPシートを搬送する搬送ラインを高速化することができ、PTPシートを搬送する搬送ラインが3列以上になっても、各列からPTPシートを排出することができるとともに装置構造が簡易になり装置コストを低減することができ、かつ多列の搬送ラインの片側に全てのPTPシートを排出することができるPTPシートの排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様は、搬送手段により搬送される複数のPTPシートから所定のPTPシートを選択して排出するPTPシートの排出装置において、前記搬送手段の搬送面の一側に設けられ、選択されたPTPシートに向かって高速のエアを吹き付けるエアブロー手段と、前記搬送手段の搬送面の他側に前記エアブロー手段と対向する位置に設けられ、前記エアブロー手段から吹き出した高速のエアによって前記搬送面から排出されたPTPシートを案内して排出するシュートとを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、エアブロー手段からエアの高速流をPTPシートに向かって吹きつけると、高速流およびその近傍の圧力が低下してPTPシートは高速流体側に吸い寄せられるため、PTPシートは高速流に乗ってシュートまで運ばれ、シュートの案内面に沿って外部に運ばれる。
【0011】
本発明の1態様によれば、前記シュートは、前記搬送面から上方に向かって傾斜した傾斜シュートであることを特徴とする。
本発明によれば、傾斜シュートにより、PTPシートを搬送面より上方にある所望の位置まで運ぶことができる。
本発明の1態様によれば、前記エアブロー手段は、高速のエアを一定方向に吹き出すノズルからなることを特徴とする。
本発明によれば、ノズルから吹き出す高速のエアを360m/s〜450m/sに設定することにより、PTPシートを高速流に乗せて運ぶことができる。この時のエア圧力は0.2MPa〜0.3MPaである。
【0012】
本発明の1態様によれば、前記シュートに接続され、前記シュートから排出されたPTPシートを回収部まで搬送する排出路を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、不良のPTPシートを排出路により所望の位置にある回収部まで搬送できる。
本発明の1態様によれば、前記排出路は、PTPシートを気流搬送する排出ダクトからなることを特徴とする。
本発明によれば、排出ダクトによりPTPシートを気流搬送することができるため、エアブロー手段の高速のエアも排出ダクト内に取り込むことにより気流搬送にも寄与させることができる。
【0013】
本発明の1態様によれば、3つ以上の前記搬送面を水平面上に並列して設置し、前記各搬送面に対応して前記エアブロー手段と前記シュートを設けたことを特徴とする。
本発明の1態様によれば、前記複数のシュートは、上下方向に階層状に設けられていることを特徴とする。
本発明の1態様によれば、前記複数のシュートに個別に接続され、前記シュートから排出されたPTPシートを回収部まで搬送する排出路を上下方向に階層状に設けたことを特徴とする。
本発明によれば、多列の搬送面(搬送ライン)からPTPシートを排出するためのエアブロー手段を搬送面(搬送ライン)に隣接して設置し、PTPシートを排出案内するためのシュートを階層状に配置し、かつシュートからPTPシートを回収部まで搬送するための排出路を階層状に配置したため、多列の搬送面(搬送ライン)の片側に全てのPTPシートを排出することができる。したがって、作業者が不良のPTPシートを回収する労力を飛躍的に減らすことができる。
【0014】
本発明の第二の態様は、複数の並列した搬送ラインにより搬送される複数のPTPシートから所定のPTPシートを選択して排出するPTPシートの排出装置において、前記各搬送ラインの一側に設けられ、選択されたPTPシートに向かって高速のエアを吹き付けて搬送ラインから排出するためのエアブロー手段と、前記複数の搬送ラインのうち、少なくとも1つの搬送ラインの他側に前記エアブロー手段と対向する位置に設けられ、前記エアブロー手段によって前記少なくとも1つの搬送ラインから排出されたPTPシートを案内して排出するための斜め上方に傾斜した傾斜シュートとを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、複数の並列した搬送ラインによってPTPシートを搬送している間に、少なくとも1つの搬送ラインに設けられたエアブロー手段から高速のエアをPTPシートに向かって吹きつけることにより、PTPシートを搬送ラインから傾斜シュートに排出し、排出されたPTPシートを傾斜シュートにより案内して外部に運ぶことができる。一方、他の搬送ラインにおいては、この搬送ライン用のエアブロー手段から高速のエアをPTPシートに向かって吹きつけることにより、PTPシートを搬送ラインからそのまま横に排出して外部に排出することができる。このように、複数の搬送ラインが並列していても傾斜シュートを利用してPTPシートを高い位置まで運んで排出するか、搬送ラインからそのまま排出することにより、高低差をつけて高い位置と低い位置とからPTPシートを外部に排出することができるために、搬送ラインが3列以上の多列になっても、各列から確実にPTPシートを排出することができる。
【0016】
本発明の1態様によれば、前記エアブロー手段は、高速のエアを一定方向に吹き出すノズルからなることを特徴とする。
本発明の1態様によれば、前記複数の並列した搬送ラインは4列の並列した搬送ラインからなり、前記4列の並列した搬送ラインのうち、内側の2列の搬送ラインに対応して設置された2つの前記傾斜シュートは、互いに反対方向に延びて前記4列の並列した搬送ラインの両側にPTPシートを排出可能であることを特徴とする。
本発明の1態様によれば、前記複数の並列した搬送ラインの一側に設置され、前記傾斜シュートに接続される延長シュートを設け、該延長シュートは前記傾斜シュートから排出されたPTPシートを受け入れて排出するとともに前記複数の並列した搬送ラインのうち外側の搬送ラインから排出されたPTPシートを受け入れて排出することを特徴とする。
本発明の1態様によれば、前記4列の並列した搬送ラインの両側に設置され、前記2つの傾斜シュートにそれぞれ接続される2つの延長シュートを設け、該2つの延長シュートは前記2つの傾斜シュートからそれぞれ排出されたPTPシートを受け入れて排出するとともに前記4列の並列した搬送ラインのうち外側の搬送ラインから排出されたPTPシートを受け入れて排出することを特徴とする。
本発明の1態様によれば、前記2つの延長シュートのうち一方の延長シュートの下方にコンベアを設け、前記一方の延長シュートから排出されたPTPシートを前記コンベアにより他方の延長シュートの排出端の近傍まで搬送するようにしたことを特徴とする。
本発明の1態様によれば、前記他方の延長シュートから排出されたPTPシートと前記コンベアから排出されたPTPシートとを回収する回収部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下に列挙する効果を奏する。
(1)実ラインで多く採用されている搬送レール上を移動するガイドによる排除方式では、コンベアが3列以上になると、一番外側の搬送コンベア以外で搬送されたシートは、その両側にもシートを搬送するコンベアが稼働しているので、どちらの側にも排出ができないという欠点があったが、本発明によれば、エアブロー手段によって搬送面(搬送ライン)から排出されたPTPシートをシュートにより案内して外部に排出するようにしたため、搬送面(搬送ライン)が3列以上になっても、各列からPTPシートを排出することができる。
(2)回転ドラム方式の排出装置においては、回転ドラム、この回転ドラムを回転駆動するモータ、回転ドラムに真空を形成する真空ポンプ等の真空装置等の各種機器を必要としたが、本発明によれば、搬送面からPTPシートを排出するエアブロー手段と、排出されたPTPシートを案内するシュートから排出装置を構成できるため、装置構造が簡易になり装置コストを飛躍的に低減することができる。
(3)本発明によれば、多列の搬送面(搬送ライン)からPTPシートを排出するためのエアブロー手段を搬送面に隣接して設置し、PTPシートを排出案内するためのシュートを階層状に配置し、かつシュートからPTPシートを所定の回収部まで搬送するための排出路を階層状に配置したため、多列の搬送面の片側に全てのPTPシートを排出することができる。したがって、作業者が不良のPTPシートを回収する労力を飛躍的に減らすことができる。
(4)本発明によれば、PTPシートを搬送ラインによって搬送中に、エアブロー手段によってPTPシートを搬送ラインから排出し、排出されたPTPシートを傾斜シュートにより案内して外部に排出するようにしたため、搬送ラインが高速になってもまた搬送ラインが3列以上の多列になっても、搬送ラインからPTPシートを確実に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る排出装置が設置されたPTPシートの搬送ラインを示す縦断面図である。
【図2】図2は、1つの搬送ラインを示す斜視図である。
【図3】図3は、搬送ラインに設置された排出装置を示す縦断面図である。
【図4】図4は、ノズルからPTPシートに向けて高速流を吹きつけることによりPTPシートが気流搬送される状態を示す模式図であり、図4(a)は、ノズルから高速流をPTPシートの錠剤側である表面側に沿って吹きつける場合を示す図であり、図4(b)は、ノズルから高速流をPTPシートの表面側と裏面側の両面に沿って吹きつける場合を示す図である。
【図5】図5は、PTPシートの排出装置の全体構成を示す正面図である。
【図6】図6は、搬送ラインの要部を示す正面図である。
【図7】図7は、4列の搬送ラインのうち内側の2列の搬送ラインと傾斜シュートとの関係を示す正面図である。
【図8】図8は、延長シュートの外観を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るPTPシートの排出装置の実施の形態を図1乃至図4を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る排出装置が設置されたPTPシートの搬送ラインを示す縦断面図である。図1に示すように、PTPシート5を搬送する搬送ライン1は複数列設けられている。図1に示す実施形態においては4列の搬送ライン1,1,1,1が設けられている。
【0020】
図2は、1つの搬送ラインを示す斜視図である。図2に示すように、各搬送ライン1は、平行に配置された2本の案内レール2,2と、これらの案内レール2,2のやや下側で2本の案内レール2,2の間に配置され、案内レール2,2の延びる方向に沿って駆動されるベルトコンベア3とを備えている。PTPシート5は、案内レール2,2の長手方向の所定間隔毎に、これら案内レール2,2に跨るようにして支持されている。ベルトコンベア3の両側部には、長手方向の所定間隔毎に上方に向けて突出している爪4…4が取り付けられており、各PTPシート5は、これら爪4…4により前方に押されて案内レール2,2上を摺動して搬送される。案内レール2,2、ベルトコンベア3および爪4は、搬送手段を構成している。また、案内レール2,2は搬送面を構成している。
【0021】
前記搬送ライン1の図1に示された部分より上流側の工程では、検査用カメラ(図示せず)が設けられており、各PTPシート5をカメラにより撮像し、搬送されているPTPシート5について種々の検査が行われるようになっている。検査の項目としては、PTPシート5に収納された錠剤の形状不良の検査、錠剤を収納するための各収納部5a(図2参照)に異物が含まれていないかの検査、錠剤の表面にプリントされた文字の検査等がある。
【0022】
図1に示すように、本発明に係るPTPシートの排出装置10は、搬送ライン1に沿って配置されており、上流側の検査工程で検出された不良品を搬送ライン1から除去するために使用されている。排出装置10は各搬送ライン1ごとに設けられており、本実施形態においては4つの搬送ライン1に対応して4つの排出装置10が設けられている。排出装置10は、搬送ライン1の側方に設けられ搬出すべきPTPシート5にエアを吹きつけて(ブローして)搬送ライン1から排除するためのノズル11と、搬送ライン1から排除されたPTPシート5を案内して外部に排出するための傾斜シュート12とを備えている。前記ノズル11は搬送ライン1の一側に設置され、前記傾斜シュート12は搬送ライン1の他側にノズル11に対向した位置に設置されている。傾斜シュート12は排出ダクト13に接続されており、排出ダクト13によりPTPシート5はエア等の気流搬送を利用してPTPシート受箱14まで搬送されるようになっている。排出ダクト13は矩形の断面を有したダクトである。
【0023】
図3(a)および図3(b)は、搬送ライン1に設置された排出装置10を示す縦断面図である。図3(a)および図3(b)においては、最前列(右側)の搬送ライン1と、2列目(左側)の搬送ライン1とが図示されており、最前列の搬送ライン1における一方の案内レール2に隣接してエアブロー用のノズル11が配置されている。なお、図3(a)および図3(b)においては、2本の案内レール2,2の間に中央ガイド6が設置されている。
【0024】
また、最前列の搬送ライン1における他方の案内レール2の側方に傾斜シュート12が配置されている。傾斜シュート12は、水平面に対して角度(θ)だけ傾斜しており、この角度(θ)は20°〜30°に設定されている。そして、傾斜シュート12の下方には、2列目の搬送ライン用の排出装置10におけるノズル11が配置されている。各ノズル11はエア供給配管16を介して圧縮空気源(図示せず)に接続されている。
図3(a)に示すように、ノズル11からエアの高速流を噴出してPTPシート5に吹き付けると、図3(b)に示すように、PTPシート5は高速流に乗って傾斜シュート12まで運ばれ、傾斜シュート12の傾斜面に沿って排出ダクト13(図1参照)に運ばれる。PTPシート5が傾斜シュート12に乗り移る際には、PTPシート5の後部は中央ガイド6に保持されつつ運ばれる。前記ノズル11から噴出されるエアの高速流は、360m/s〜450m/sに設定されている。この時のエア圧力は0.2MPa〜0.3MPaである。
【0025】
図4は、ノズル11からPTPシート5に向けて高速流を吹きつけることによりPTPシート5が気流搬送される状態を示す模式図である。図4(a)は、ノズル11から高速流をPTPシート5の錠剤側である表面側に沿って吹きつける場合を示す図であり、図4(b)は、ノズル11から高速流をPTPシート5の表面側と裏面側の両面に沿って吹きつける場合を示す図である。
図4(a)に示すように、ノズル11から高速流をPTPシート5の錠剤側である表面側に沿って吹きつけると、高速流およびその近傍の圧力が低下してPTPシート5は高速流体側に吸い寄せられるため、PTPシート5は高速流に乗って傾斜シュート12まで運ばれ、傾斜シュート12の傾斜面に沿って排出ダクト13に運ばれる。
図4(b)に示すように、ノズル11から高速流をPTPシート5の表面側と裏面側の両面に沿って吹きつけると、PTPシート5の表側には収納部5aの凹凸があるため、PTPシート5の表側の流路はPTPシート5の裏側の流路より長いので、PTPシート5の表側の圧力が低下してPTPシート5の表側を流れる高速流体側に吸い寄せられるため、PTPシート5は高速流に乗って傾斜シュート12まで運ばれ、傾斜シュート12の傾斜面に沿って排出ダクト13に運ばれる。
図4(a)および図4(b)のいずれの場合にも、PTPシート5を高速流体の作用を利用して傾斜シュート12まで搬送することができる。
【0026】
次に、図1を参照して4列の搬送ライン1,1,1,1に設けられたノズル11、傾斜シュート12および排出ダクト13の位置関係について説明する。
図1に示すように、最前列(図1の右側)の搬送ライン1の右側の案内レール2に隣接してノズル11が配置されており、最前列の搬送ライン1の左側の案内レール2に隣接して最前列の搬送ライン用の傾斜シュート12が配置されている。2列目の搬送ライン1の右側の案内レール2に隣接してノズル11が配置されており、2列目の搬送ライン1の左側の案内レール2に隣接して2列目の搬送ライン用の傾斜シュート12が配置されている。3列目の搬送ライン1の右側の案内レール2に隣接してノズル11が配置されており、3列目の搬送ライン1の左側の案内レール2に隣接して3列目の搬送ライン用の傾斜シュート12が配置されている。さらに、4列目の配送ライン1の右側の案内レール2に隣接してノズル11が配置されており、4列目の搬送ライン1の左側の案内レール2に隣接して排出ダクト13が配置されている。すなわち、4列目の搬送ライン1には傾斜シュート12が配置されず、排出されたPTPシート5は傾斜シュート12を介さずに排出ダクト13に直接排出されるようになっている。
【0027】
4つの排出ダクト13は階層状に配置されており、最前列用の排出ダクト13が最も高い位置にあり、2列目用の排出ダクト13、3列目用の排出ダクト13、4列目用の排出ダクト13にいくにつれて低い位置にある。4列目用の排出ダクト13は、各排出ライン1の案内レール2と概略同一面上に配置されている。したがって、階層状の排出ダクト13にPTPシート5を案内するための傾斜シュート12も階層状になっている。すなわち、3つの傾斜シュート12のうち、最前列用の傾斜シュート12が最も高い位置の排出ダクト13にPTPシート5を案内し、2列目用の傾斜シュート12、3列用の傾斜シュート12にいくにつれて低い位置にある排出ダクト13にPTPシート5を案内するようになっている。3つの傾斜シュート12の傾斜角(θ)は、同一の角度に設定されている。
【0028】
また、各排出ダクト13は、水平方向に延びた後に、折曲して下方に延び、PTPシート受箱14に接続されている。各排出ダクト13内には、エアが供給されてPTPシート5は気流搬送されるようになっている。このように、排出ダクト13においても気流搬送を利用することにより、ノズル11から吹き出した高速流のエアは、傾斜シュート12に沿って流れた後に排出ダクト13内に流入するようにでき、排出ダクト13内の気流搬送にも寄与する。
【0029】
図1および図3に示すように、多列の搬送ライン1からPTPシート5を排出するためのノズル11を搬送ライン1のベルトコンベア3に隣接して設置し、PTPシート5を排出案内するための傾斜シュート12を階層状に配置し、かつ傾斜シュート12からPTPシート5をPTPシート受箱14まで搬送するための排出ダクト13を階層状に配置したため、多列の搬送ラインの片側に全てのPTPシート5を排出することができる。したがって、作業者が不良のPTPシート5を回収する労力を飛躍的に減らすことができる。
【0030】
次に、本発明に係るPTPシートの排出装置の他の実施形態を図5乃至図8を参照して説明する。
図5および図6は、本発明の他の実施形態に係るPTPシートの排出装置が設置されたPTPシートの搬送ラインを示す図であり、図5はPTPシートの排出装置の全体構成を示す正面図、図6は搬送ラインの要部を示す正面図である。図5および図6に示すように、PTPシート5を搬送する搬送ラインは複数列設けられている。図5および図6に示す実施形態においては4列の搬送ライン1,1,1,1が並列して設置されている。各搬送ライン1は、図2に示す搬送ラインと同様の構成である。すなわち、各搬送ライン1は、平行に配置された2本の案内レール2,2と、これらの案内レール2,2のやや下側で2本の案内レール2,2の間に配置され、案内レール2,2の延びる方向に沿って駆動されるベルトコンベア3とを備えている。PTPシート5は、案内レール2,2の長手方向の所定間隔毎に、これら案内レール2,2に跨るようにして支持されている。ベルトコンベア3の両側部には、長手方向の所定間隔毎に上方に向けて突出している爪4…4が取り付けられており、各PTPシート5は、これら爪4…4により前方に押されて案内レール2,2上を摺動して搬送される。
【0031】
図6に示すように、本発明に係るPTPシートの排出装置は、搬送ライン1に沿って配置されており、上流側の検査工程で検出された不良品を搬送ライン1から排出するために使用されている。排出装置は各搬送ラインごとに設けられており、本実施形態においては4つの搬送ライン1に対応して4つの排出装置10が設けられている。各排出装置10は、各搬送ライン1の側方に設けられ搬出すべきPTPシート5にエアを吹きつけて(ブローして)搬送ライン1から排除するためのノズル11A,11B,11C,11Dを備えている。
【0032】
図1に示す実施形態においては4つのノズルを同一の符号11で示したが、図6に示す実施形態においては並列する4つの搬送ライン1のうち何れの搬送ライン用のノズルかを峻別するために添字A〜Dを用いて示す。すなわち、並列する4列の搬送ライン1のうち外側の2列の搬送ライン用のノズルとして、ノズル11Aとノズル11Dとが設置されている。ノズル11Aは、対応する搬送ライン1の左側に配置され、ノズル11Dは、対応する搬送ライン1の右側に配置されている。また、並列する4列の搬送ライン1のうち内側の2列の搬送ライン用のノズルとして、ノズル11Bとノズル11Cとが設置されている。ノズル11Bは、対応する搬送ライン1の左側に配置され、ノズル11Cは、対応する搬送ライン1の右側に配置されている。ノズル11Bとノズル11Cとは背面合わせに設置されている。
【0033】
また、4列の搬送ラインのうち内側の2列の搬送ライン1,1から排出されたPTPシート5を案内して外部に排出するために、内側の2列の搬送ライン1,1に隣接して2つの傾斜シュート12A,12Bが設置されている。図1に示す実施形態においては3つの傾斜シュートを同一の符号12で示したが、図6に示す実施形態においては左右の2つの傾斜シュートを峻別するために添字A,Bを用いて示す。すなわち、内側の2列の搬送ラインのうち右側の搬送ライン1から排出されたPTPシート5を案内して外部に排出するための傾斜シュート12Aが設置されており、左側の搬送ライン1から排出されたPTPシート5を案内して外部に排出するための傾斜シュート12Bが設置されている。
【0034】
図7は、4列の搬送ライン1のうち内側の2列の搬送ライン1と傾斜シュート12Bとの関係を示す正面図である。図7に示すように、各搬送ライン1の各案内レール2は、PTPシート5を案内するための水平な案内面2sと、PTPシート5が搬送中に案内面2sから横ずれを起こすことを防止するための切り立った壁部2wとを備えている。したがって、PTPシート5が案内レール2上を摺動して搬送される際にPTPシート5が横ずれを起こすことはない。なお、案内レール2の壁部2wは、ノズル11A〜11Dがある部分では、除去されていて水平な案内面2sのみとなっており、PTPシート5の排出に支障がないように構成されている。傾斜シュート12Bは2本の案内レール2,2の上方を横切って左側に延びている。また、検査部においては、PTPシート5を照明する際に案内レール2の切り立った壁部2wが光を遮らないように、壁部2wの上部は面取りがされて傾斜面になっている(図7では図示せず)。
【0035】
図5および図6に示すように、傾斜シュート12Aは外側の搬送ライン1の上方を右側に延び、傾斜シュート12Bは外側の搬送ライン1の上方を左側に延び、両傾斜シュート12A,12Bは延長シュート15A,15Bに接続されている(図6参照)。したがって、内側の2列の搬送ライン1,1のうち右側の搬送ライン1においては、ノズル11Bからのエアの高速流によりPTPシート5は傾斜シュート12Aに運ばれる。PTPシート5が傾斜シュート12Aに乗り移る際には、図3(b)と同様にPTPシート5の後部は中央ガイド6に保持されつつ運ばれる。そして、PTPシート5は傾斜シュート12Aの傾斜面に沿って運ばれ、延長シュート15Aに受け入れられる。また、内側の2列の搬送ライン1,1のうち左側の搬送ライン1においては、ノズル11Cからのエアの高速流によりPTPシート5は傾斜シュート12Bに運ばれる。PTPシート5が傾斜シュート12Bに乗り移る際には、図3(b)と同様にPTPシート5の後部は中央ガイド6に保持されつつ運ばれる。そして、PTPシート5は傾斜シュート12Bの傾斜面に沿って運ばれ、延長シュート15Bに受け入れられる。
【0036】
一方、4列の搬送ラインのうち外側の2列の搬送ライン1,1においては、PTPシート5はノズル11A,11Dにより概略水平方向に排出され、排出されたPTPシート5は延長シュート15A,15Bに受け入れられる。
【0037】
図5に示すように、前記延長シュート15A,15B内は、搬送ラインに近い側にある第1振り分けシュート15A1,15B1と搬送ラインから遠い側にある第2振り分けシュート15A2,15B2とに区分けされている。これにより、4列の搬送ラインのうち外側の2列の搬送ライン1から概略水平方向に排出されたPTPシート5は第1振り分けシュート15A1,15B1に流入し、第1振り分けシュート15A1,15B1により下方に排出される。また、4列の搬送ラインのうち内側の2列の搬送ライン1から排出されたPTPシート5は傾斜シュート12A,12Bを介して第2振り分けシュート15A2,15B2に流入し、第2振り分けシュート15A2,15B2により下方に排出される。
【0038】
また、延長シュート15Aの排出端、すなわち、第1振り分けシュート15A1および第2振り分けシュート15A2の下端の直下には、2台の並列するベルトコンベア18が設置されている。なお、図5では、2台のベルトコンベア18のうち、前方のベルトコンベアのみが図示されている。そして、2台のベルトコンベア18の下流端の下方であって、延長シュート15Bの下方には、PTPシートを回収するための4個の回収用トレイ19が配置されている。これにより、延長シュート15Aの第1振り分けシュート15A1および第2振り分けシュート15A2から排出されたPTPシート5は、2台のベルトコンベア18により回収用トレイ19の斜め上方まで搬送されて個別に回収用トレイ19に回収されるようになっている。また、延長シュート15Bの第1振り分けシュート15B1および第2振り分けシュート15B2から排出されたPTPシート5は、個別に回収用トレイ19に回収されるようになっている。
【0039】
図8は、延長シュート15Aの外観を示す正面図である。図8に示すように、延長シュート15Aは、多数の長孔hを有した外側板Pにより覆われている。多数の長孔hは、ノズルからのエアをシュート内部から外部に逃がすために設けられたものである。延長シュート15Bは延長シュート15Aと同様の構成になっている。
【0040】
図5乃至図8に示す実施形態においては、並列する4列の搬送ライン1からPTPシート5を排出するためのノズル11A〜11Dを各搬送ライン1の案内レール2に隣接して設置し、4列の搬送ライン1のうち内側の2列の搬送ライン1からPTPシート5を排出案内するための傾斜シュート12A,12Bを外側の搬送ライン1の上方を横切るように配置したため、4列の搬送ライン1の各列から確実にPTPシート5を排出することができ、4列の搬送ライン1の両側にPTPシート5を排出することができる。そして、4列の搬送ライン1の両側には、延長シュート15A,15Bを設置しており、外側の2列の搬送ライン1から排出されたPTPシート5を延長シュート15A,15Bによって排出することができ、内側の2列の搬送ライン1から排出されたPTPシート5を傾斜シュート12A,12Bを介して延長シュート15A,15Bによって排出することができる。左右の延長シュート15A,15Bはベルトコンベア18により接続されているため、4列の搬送ライン1から排出されたPTPシート5を4列の搬送ライン1の片側にある4つの回収用トレイ19に個別に回収することができる。
【0041】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1 搬送ライン
2 案内レール
2s 案内面
2w 壁部
3 ベルトコンベア
4 爪
5 PTPシート
5a 収納部
6 中央ガイド
10 排出装置
11 ノズル
12,12A,12B 傾斜シュート
13 排出ダクト
14 PTPシート受箱
15A,15B 延長シュート
15A1,15B1 第1振り分けシュート
15A2,15B2 第2振り分けシュート
16 エア供給配管
18 ベルトコンベア
19 回収用トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により搬送される複数のPTPシートから所定のPTPシートを選択して排出するPTPシートの排出装置において、
前記搬送手段の搬送面の一側に設けられ、選択されたPTPシートに向かって高速のエアを吹き付けるエアブロー手段と、
前記搬送手段の搬送面の他側に前記エアブロー手段と対向する位置に設けられ、前記エアブロー手段から吹き出した高速のエアによって前記搬送面から排出されたPTPシートを案内して排出するシュートとを備えたことを特徴とする排出装置。
【請求項2】
前記シュートは、前記搬送面から上方に向かって傾斜した傾斜シュートであることを特徴とする請求項1記載の排出装置。
【請求項3】
前記エアブロー手段は、高速のエアを一定方向に吹き出すノズルからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の排出装置。
【請求項4】
前記シュートに接続され、前記シュートから排出されたPTPシートを回収部まで搬送する排出路を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排出装置。
【請求項5】
前記排出路は、PTPシートを気流搬送する排出ダクトからなることを特徴とする請求項4記載の排出装置。
【請求項6】
3つ以上の前記搬送面を水平面上に並列して設置し、前記各搬送面に対応して前記エアブロー手段と前記シュートを設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排出装置。
【請求項7】
前記複数のシュートは、上下方向に階層状に設けられていることを特徴とする請求項6記載の排出装置。
【請求項8】
前記複数のシュートに個別に接続され、前記シュートから排出されたPTPシートを回収部まで搬送する排出路を上下方向に階層状に設けたことを特徴とする請求項7記載の排出装置。
【請求項9】
複数の並列した搬送ラインにより搬送される複数のPTPシートから所定のPTPシートを選択して排出するPTPシートの排出装置において、
前記各搬送ラインの一側に設けられ、選択されたPTPシートに向かって高速のエアを吹き付けて搬送ラインから排出するためのエアブロー手段と、
前記複数の搬送ラインのうち、少なくとも1つの搬送ラインの他側に前記エアブロー手段と対向する位置に設けられ、前記エアブロー手段によって前記少なくとも1つの搬送ラインから排出されたPTPシートを案内して排出するための斜め上方に傾斜した傾斜シュートとを備えたことを特徴とする排出装置。
【請求項10】
前記エアブロー手段は、高速のエアを一定方向に吹き出すノズルからなることを特徴とする請求項9記載の排出装置。
【請求項11】
前記複数の並列した搬送ラインは4列の並列した搬送ラインからなり、前記4列の並列した搬送ラインのうち、内側の2列の搬送ラインに対応して設置された2つの前記傾斜シュートは、互いに反対方向に延びて前記4列の並列した搬送ラインの両側にPTPシートを排出可能であることを特徴とする請求項9又は10に記載の排出装置。
【請求項12】
前記複数の並列した搬送ラインの一側に設置され、前記傾斜シュートに接続される延長シュートを設け、該延長シュートは前記傾斜シュートから排出されたPTPシートを受け入れて排出するとともに前記複数の並列した搬送ラインのうち外側の搬送ラインから排出されたPTPシートを受け入れて排出することを特徴とする請求項9又は10に記載の排出装置。
【請求項13】
前記4列の並列した搬送ラインの両側に設置され、前記2つの傾斜シュートにそれぞれ接続される2つの延長シュートを設け、該2つの延長シュートは前記2つの傾斜シュートからそれぞれ排出されたPTPシートを受け入れて排出するとともに前記4列の並列した搬送ラインのうち外側の搬送ラインから排出されたPTPシートを受け入れて排出することを特徴とする請求項11記載の排出装置。
【請求項14】
前記2つの延長シュートのうち一方の延長シュートの下方にコンベアを設け、前記一方の延長シュートから排出されたPTPシートを前記コンベアにより他方の延長シュートの排出端の近傍まで搬送するようにしたことを特徴とする請求項13記載の排出装置。
【請求項15】
前記他方の延長シュートから排出されたPTPシートと前記コンベアから排出されたPTPシートとを回収する回収部を設けたことを特徴とする請求項14記載の排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−26115(P2011−26115A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282437(P2009−282437)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】