説明

PVDFベースの導電性組成物

【課題】PVDFベースの導電性組成物。この導電性組成物と熱可塑性ポリマーまたは金属を組み合わせた多層構造物。
【解決手段】導電性組成物は下記を含む(合計で100重量部):30〜60部の液体PVDF、25〜62部の粘性PVDF、8〜13部の導電性充填剤、0〜2部の難燃剤、0〜0.05部の核剤。好ましい組成は35〜50部の液体PVDF、45〜55部の粘性PVDF、8〜13部の導電性充填剤、0〜2部の難燃剤、0〜0.05部の核剤。本発明導電性組成物の230℃での溶融粘度が106Pa.s以下、好ましくは102〜106Pa.sであるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)をベースにした導電性組成物に関するものである。
本発明の組成物はチューブまたはパイプのような多層構造物の製造に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
PVDFは優れた機械的安定性、高い化学的不活性および優れた耐老化性を有することが知られている。例えば揮発性の可燃性溶剤またはガソリンの輸送等の用途ではPVDFを導電性にして、抵抗率を106Ω.cm以下にする必要がある。このレベルの抵抗率を達成するためには、PVDFの易押出性を維持し且つPVDFの機械的特性を損なわない状態で、十分な量の導電性充填剤(カーボンブラックまたはカーボンナノチューブなど)をPVDF中に混和する必要がある。
【0003】
この混和はコンパウンディングともよばれ、一般に押出機を用いて行い、顆粒(コンパウンド)にして回収する。次いで、このコンパウンドを再度押出して所望形状(チューブ、パイプ、コンテナなど)にする。再押出時にコンパウンドはその機械的特性および導電性を維持する必要がある。換言すれば、コンパウンドは「剪断安定性」がなければならない。
【0004】
下記文献にはBET表面積が5〜200m2/g(ASTM D 3037−89)で、DBP吸油量が50〜300ml/100g(ASTM D 2414−90)であるカーボンブラックを含むポリアミドをベースにした帯電防止組成物が記載されている。この文献にはPVDFに関する記載はない。
【特許文献1】国際特許出願第99/33908号公報
【0005】
下記文献にはPVDFと、カーボンブラックと、スチレン/ブタジエン/メチルメタクリレートトリブロックコポリマーをベースにした導電性組成物が記載されている。カーボンブラックは例えばEnsaco 250である。粘性PVDFと液体PVDFとを混合する利点に関する記載はないので、この文献には本発明の組成物に関する記載はない。
【特許文献2】米国特許出願第2003/0104150号明細書
【0006】
下記文献にはVDF、HFPおよびTFE(FKM)およびPVDFをベースにしたフルオロエラストマーをベースにした組成物が記載されている。この組成物はカーボンブラックを用いて導電性にすることができる。この文献には本発明の組成物に関する記載はない。
【特許文献3】米国特許出願第2003/0022997号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、優れた機械特性および表面抵抗率を有し、しかも、これらの特性が組成物の再押出時にも維持される(すなわち剪断安定性である)PVDFベースの導電性組成物を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記(1)〜(5)を含む(合計で100重量部)導電性組成物に関するものである:
(1)30〜60部の液体のPVDF、
(2)25〜62部の粘性のあるPVDF、
(3)8〜13部の導電性充填剤、
(4)0〜2部の難燃剤、
(5)0〜0.05部の核剤。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記導電性組成物は下記組成(合計で100重量部)であるのが好ましい:
(1)35〜50部の液体のPVDF、
(2)45〜55部の粘性のあるPVDF、
(3)8〜13部の導電性充填剤、
(4)0〜2部の難燃剤、
(5)0〜0.05部の核剤。
【0010】
上記導電性組成物の230℃での溶融粘度は106Pa.s以下、好ましくは102〜106Pa.sであるのが好ましい。
本発明はさらに、上記導電性組成物と、熱可塑性ポリマーまたは金属とを組み合わせた多層構造物に関するものである。
【0011】
PVDFはフッ化ビニリデン(式CH2=CF2のVDF)のホモポリマーまたはコポリマー、すなわちVDFとVDFと共重合可能な少なくとも一種の他のモノマーとを含むコポリマーであり、このPVDFは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、さらに好ましくは少なくとも85重量%のVDFを含むのが好ましい。
【0012】
コモノマーは下記の中から選択されるフルオロモノマーにすることができる:フッ化ビニル;トリフルオロエチレン(VF3);クロロトリフルオロエチレン(CTFE);1,2−ジフルオロエチレン;テトラフルオロエチレン(TFE);ヘキサフルオロプロピレン(HFP);ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)およびペルフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)等のペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル;ペルフルオロ(1,3−ジオキソール);ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD)。任意成分としてのコモノマーはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロエチレン(VF3)およびテトラフルオロエチレン(TFE)から選択される。コモノマーはエチレンまたはプロピレンのようなオレフィンにすることもできる。
【0013】
「液体のPVDF」とは、溶融粘度(230℃および100s-1で測定)が4〜15kP、好ましくは4〜10kPである熱可塑性PVDFを意味する。液体のPVDFはホモポリマーであるのが好ましい。
「粘性のあるPVDF」とは、溶融粘度(230℃および100s-1で測定)が15〜40kP、好ましくは15〜30kPである熱可塑性PVDFを意味する。粘性のあるPVDFはコポリマー、特にVDF/HFPコポリマーであるのが好ましい。
【0014】
導電性充填剤は例えばカーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブまたは、組成物を導電性にすることができ且つ静電気の蓄積を防止することができるその他の任意の添加剤にすることができる。カーボンブラックは広く市販されており、良好な性能を有するので特に好ましい。
【0015】
ポリマー組成物中のカーボンブラックの含有率が増加すると抵抗率は最初はほとんど変化しないが、パーコレーション(浸透)閾値として知られるカーボンブラックの臨界含有率に達すると突然減少し、相対的安定水準(プラトー領域)に達し、ここではカーボンブラック含有率がさらに増加しても抵抗率はほとんど変化しない。
【0016】
カーボンブラックは、導電性の他に、充填剤、例えばタルク、チョークまたはカオリンのような挙動もするため、ポリマーの機械特性に影響を与える。充填剤の含有率が上昇すると化合物の溶融粘度が上昇し、弾性率も高くなるということは当業者に知られている。ポリマー中の充填剤についてさらに説明が必要な場合には下記文献を参照されたい。
【非特許文献1】Van Nostrand Reinhold 社発行の" Handbook of Fillers and Reinforcemtns for Plastics"、ISBN 0-442-25372-9、特に第II章、第2節および第VI章、第16節。
【0017】
カーボンブラックは、BET表面積が50〜200m2/g、好ましくは50〜100m2/g(ASTM D 3037〜89)で、DBP(フタル酸ジブチル)吸収が150〜300ml/100g、好ましくは150〜250ml/100g(ASTM D 2414〜90)であるのが好ましい。カーボンブラックの体積抵抗率(25重量%のカーボンブラックを含むFINATHENE47100HDPE化合物で測定)が20Ω.cm以下、有利には15Ω.cm以下、好ましくは10Ω.cm以下であるのが好ましい。
【0018】
このようなカーボンブラック(低構造化)は超導電性カーボンブラック(BET表面積が500m2/g以上で、DBP吸収が300ml/100g以上)と比較した時に、導電体または半導体とよぶことができる。
こうした低構造化カーボンブラックを使用する場合に抵抗率を106Ω.cm以下(未満)にするためにはその含有率を高くする必要がある。すなわち、上記のパーコレーション閾値を得るにはより高い含有率(約10重量%)にする必要があることを意味する。このことは、パーコレーション閾値が約3重量%である超導電性カーボンブラックに対して、カーボンブラックは計量がより正確にできるという利点になる。
【0019】
ティムカル(TIMCAL)社からエンサコ(ENSACO)250 (登録商標)またはエンサコ260 (登録商標)の商標名で市販のカーボンブラックが特に有効である。
エンサコ250 (登録商標)の特徴
BET表面積(ASTM D 3037):65m2/g、
DBP吸収量(ASTM D 2414):190ml/100g、
密度(ASTM D 1513):170kg/m3
pH(ASTM D 1512):8〜11、
体積抵抗率(FINATHENE47100中に25%):<10Ω.cm。
エンサコ260 (登録商標)の特徴
BET表面積(ASTM D 3037):70m2/g、
DBP吸収量(ASTM D 2414):190ml/100g、
密度(ASTM D 1513):170kg/m3
pH(ASTM D 1512):8〜11、
体積抵抗率(FINATHENE47100中に25%):<5Ω.cm。
【0020】
難燃剤は無機または有機化合物にすることができる。これは例えば焼成または水和した珪酸アルミニウム、タングステン酸カルシウムまたは場合によってはナノフィラー、例えばモンモリロナイトにすることができる。
核剤は組成物を迅速に結晶化するのを促進させて、機械特性の点で安定な(従って「低温」結晶化を防ぐ)組成物を得ることができるようにする。核剤は例えばPTFE粒子にすることができる。
【0021】
本発明組成物は下記(1)〜(5)を含む(合計で100重量部):
(1)30〜60部の液体のPVDF、
(2)25〜62部の粘性のあるPVDF、
(3)8〜13部の導電性充填剤、
(4)0〜2部の難燃剤、
(5)0〜0.05部の核剤。
【0022】
本発明組成物は下記(1)〜(5)を含む(合計で100重量部)のが好ましい:
(1)35〜50部の液体のPVDF、
(2)45〜55部の粘性のあるPVDF、
(3)8〜13部の導電性充填剤、
(4)0〜2部の難燃剤、
(5)0〜0.05部の核剤。
【0023】
液体のPVDFはホモポリマーで、粘性のあるPVDFはコポリマー、特に10重量%以下のHFPを含むVDF/HFPコポリマーである組成物は優れた耐薬品性を有する、ということが分っており、好ましい。
さらに、上記組成物が液体のPVDFと粘性のあるPVDF以外のポリマーを含まないときにより良い耐薬品性が得られるので好ましい。
【0024】
上記組成物は押出可能(すなわち標準的な押出技術を用いて成形することができる)であり、(230℃での)溶融粘度が106Pa.sを超えない、好ましくは102〜106Pa.sであるのが好ましい。
上記組成物は各成分を溶融混合または溶剤混合することによって調製される。溶融混合の場合は、熱可塑性樹脂に適した混合用具、有利には押出機を用いる。溶剤混合の場合には、各成分を適切な溶剤中で混合し、次いで溶剤を蒸発する。
組成物が粉末状の場合には組成物の顆粒を粉砕するために低温粉砕技術を使用することができる。
【0025】
組成物の成形
本発明組成物はパイプ、プレート、ロッド、フィルムまたはシートの形に押し出すことができる。ロッドは続いて種々の部品、例えばギヤ、コンテナ、バルブ、ポンプ本体の部品などに加工されるのに用いられる。
本発明組成物は射出成形することもできる。射出成形技術によって例えば電極、シールなどを得ることができる。
本発明組成物はPVDF、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルスルホキシド(DMSO)用の溶剤中に溶解することもでき、塗料として用いることができる。さらに、アセトンを用いることもできる。
本発明組成物は静電粉体塗装によって塗布することもできる。顆粒状の組成物は初めに粉砕し、次いで粒子状にする。本発明組成物は熱間圧縮成形によって加工することもできる。
共押出し法によってパイプ、プレート、フィルム、シート、中空体などの形をした種々のタイプの多層構造物を得ることができる。
【0026】
本発明組成物の層と熱可塑性ポリマーの層とを有する多層構造物
本発明の一つの実施例の多層構造物は下記の層を下記の順番で有する:
(1)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの層、
(2)導電性組成物の層。
本発明の別の実施例の多層構造物は下記から成る:
(1)導電性組成物の層、
(2)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの層、
(3)導電性組成物の層。
【0027】
多層構造物はパイプ、プレート、フィルム、シートまたは中空体に成形することができる。パイプまたは中空体の場合は、導電性組成物の層を内層または外層にすることができる。従って、パイプまたは中空体の形をした多層構造物は下記の層を下記の順番で有する:
(1)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの内層、
(2)導電性組成物の外層、
または、
(1)導電性組成物の内層、
(2)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの外層、
または
(1)導電性組成物の内層、
(2)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの中間層、
(3)導電性組成物の外層。
【0028】
例えば、導電性組成物の内層と、少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの外層とを有するパイプは、可燃性液体(ガソリン、溶剤など)の輸送に使用できる。同様に、少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの内層と、導電性組成物の外層とを有するパイプを爆発性雰囲気下で使用できる。
【0029】
熱可塑性ポリマーは例えば下記(1)〜(11)である:
(1)ポリアミド(例えば、ナイロン−6、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6,6など)、
(2)ポリオレフィン(PE、PP、EPDM)、
(3)ポリ塩化ビニル(PVC)
(4)塩素化PVC(C−PVC)
(5)ポリエチレンテレフタレート(PET)
(6)EVOH(エチレン/ビニルアルコールコポリマー)
(7)ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
(8)ポリオキシメチレン(アセタール)
(9)ポリエーテルスルホン
(10)ポリウレタン
(11)フルオロポリマー、例えばPVDF、ポリフッ化ビニル、エチレン/THFコポリマー(ETFE)、TFE/HFPコポリマー(FEP)、エチレン/TFE/HFPコポリマー(EFEP)、TFE/HFP/VDFコポリマー(THV)またはPTFE。
【0030】
上記構造物では、少なくとも一つの導電性組成物層と少なくとも一つの熱可塑性ポリマー層との間に少なくとも一つの結合層を配置することで上記層の接着力を高めることができる。この結合層は必要に応じて二重層にすることができる。すなわち、熱可塑性ポリマー層と導電性組成物層との間に一つの結合剤の第1層と、別の結合剤の第2層とを配置することができ、この2つの結合層は互いに接している。例えば、熱可塑性ポリマーがポリエチレンの場合、第1結合層は極性官能基を有するポリオレフィンにし、第2結合層はポリオレフィンの極性官能基と反応する極性官能基を有するフルオロポリマーにすることができる。極性官能基を有するフルオロポリマーは例えば無水カルボン酸官能基がグラフトしたPVDFにすることができ、極性官能基を有するポリオレフィンはエチレン/グリシジル(メタ)アクリレートコポリマーにすることができる。
上記の全ての構造物において、各層は互いに接しているのが好ましい。
【0031】
本発明組成物の層と金属とを有する多層構造物
多層構造物は導電性組成物の層と金属の層とにすることもできる。金属層は必要に応じて接着プライマーで被覆することもできる。金属層と導電性組成物の層との間、または、接着プライマー層と導電性組成物の層との間に結合層を配置されるのが好ましい。従って、この構造物は下記の層を下記の順番で有する:
(1)金属の層
(2)任意の層としての接着プライマー層
(3)任意の層としての結合層、
(4)導電性組成物の層。
【0032】
結合層は例えば極性官能基を有するフルオロポリマー、例えば無水カルボン酸官能基またはエポキシド官能基がグラフトされたPVDFである。下記文献には極性官能基を有するPVDFを得る方法(照射グラフト法)が記載されている。
【特許文献4】欧州特許出願第1484346号公報
【0033】
この構造物はパイプまたは中空体に成形することができる。この場合は、導電性組成物の層が外層または内層になる。
【実施例】
【0034】
バス(Buss)押出機を用いて230℃、20kg/時の流量で混合した。PVDFを第1帯域に導入し、カーボンブラックは第2帯域に導入した。溶融粘度は230℃、100s-1で示す。
実施例で使用した化合物:
カイナー(Kynar)720 (K720):アルケマ社から市販のPVDFのホモポリマー、溶融粘度は6〜12kP。
カイナーフレックス(Kynarflex)2850(KF2850):VDF/HFPコポリマー(6重量%のHFP)、粘度は23〜27kP。
カイナーフレックス(Kynarflex)2950−05(KF2950):VDF/HFPコポリマー(17重量%のHFP)、粘度は6〜12kP。
カイナーフレックス(Kynarflex)2750−01(KF2750):VDF/HFPコポリマー(17重量%のHFP)、粘度は20〜25kP。
エンサコ260:上記特徴参照。
Ketjenblack 300 EC:アクゾ(Akzo Chimi)社のカーボンブラック、DBP吸収量が350〜385ml/100gで、BET表面積は800m2/g。
【0035】
測定値
σ1(Ωcm):押出機で混合後に測定した体積抵抗率、
σ2(Ωcm):第2押出し後に測定した体積抵抗率、
23(kJ/m2):23℃で測定したシャルピー衝撃強度、
-30(kJ/m2):−30℃で測定したシャルピー衝撃強度、
εr23(%):23℃で測定した破断変形量、
σT(Ωcm):外径32mm、厚さ3mmのパイプの体積抵抗率、
εr23(%):外径32mm、厚さ3mmのパイプの23℃で測定した破断変形量。
【0036】
実施例1の混合物は優れた電気的および機械的特性を示す:
(1)優れた剪断安定性(σ1およびσ2値を参照)、
(2)体積抵抗率<106Ωcm、
(3)優れた衝撃強度。
【0037】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(5)を含む(合計で100重量部)導電性組成物:
(1)30〜60部の溶融粘度(230℃および100s-1で測定)が4〜15kP、好ましくは4〜10kPである液体の熱可塑性PVDF、
(2)25〜62部の溶融粘度(230℃および100s-1で測定)が15〜40kP、好ましくは15〜30kPである粘性熱可塑性PVDF、
(3)8〜13部の導電性充填剤、
(4)0〜2部の難燃剤、
(5)0〜0.05部の核剤。
【請求項2】
下記(1)〜(5)を含む(合計で100重量部)請求項1に記載の組成物:
(1)35〜50部の液体PVDF、
(2)45〜55部の粘性PVDF、
(3)8〜13部の導電性充填剤、
(4)0〜2部の難燃剤、
(5)0〜0.05部の核剤。
【請求項3】
液体PVDFがホモポリマーである請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
粘性PVDFがコポリマーである請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
PVDFが10重量%以下のHFPを含むVDF/HFPコポリマーである請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
導電性充填剤が、BET表面積が50〜200m2/g、好ましくは50〜100m2/g(ASTM D 3037−89)で、DBP(フタル酸ジブチル)吸収量が150〜300ml/100g、好ましくは150〜250ml/100g(ASTM D 2414−90)であるカーボンブラックである請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
導電性充填剤の体積抵抗率(25重量%のカーボンブラックを含むFINATHENE47100HDPE化合物で測定)が20Ω.cm以下、有利には15Ω.cm以下、好ましくは10Ω.cm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
導電性組成物の230℃での溶融粘度が106Pa.s以下、好ましくは102〜106Pa.sである請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの層と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性組成物の層とを含む多層構造物。
【請求項10】
下記の層をこの順番で含む多層構造物:
(1)請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性組成物の層、
(2)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの層、
(3)請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性組成物の層。
【請求項11】
導電性組成物が請求項1〜8のいずれか一項に記載のものである、下記の層を下記の順番で有するパイプまたは中空体の形をした多層構造物:
(1)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの内層、
(2)導電性組成物の外層、
または、
(1)導電性組成物の内層、
(2)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの外層、
または
(1)導電性組成物の内層、
(2)少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの中間層、
(3)導電性組成物の外層。
【請求項12】
上記熱可塑性ポリマーが下記(1)〜(11)の中から選択される請求項9〜11のいずれか一項に記載の多層構造物:
(1)ポリアミド、
(2)ポリオレフィン、
(3)ポリ塩化ビニル(PVC)
(4)塩素化PVC(C−PVC)
(5)ポリエチレンテレフタレート(PET)
(6)EVOH(エチレン/ビニルアルコールコポリマー)
(7)ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
(8)ポリオキシメチレン(アセタール)
(9)ポリエーテルスルホン
(10)ポリウレタン
(11)フルオロポリマー、例えばPVDF、ポリフッ化ビニル、エチレン/THFコポリマー(ETFE)、TFE/HFPコポリマー(FEP)、エチレン/TFE/HFPコポリマー(EFEP)、TFE/HFP/VDFコポリマー(THV)またはPTFE。
【請求項13】
少なくとも一つの導電性組成物層と少なくとも一つの熱可塑性ポリマー層との間に少なくとも一つの結合層が配置される請求項9〜12のいずれか一項に記載の多層構造物。
【請求項14】
下記の層をこの順番で有する多層構造物:
(1)金属の層
(2)任意の層としての接着プライマー層
(3)任意の層としての結合層、
(4)請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性組成物の層。
【請求項15】
パイプまたは中空体の形をした請求項14に記載の多層構造物。

【公表番号】特表2009−533515(P2009−533515A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504787(P2009−504787)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/FR2007/050963
【国際公開番号】WO2007/119014
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】