ＰＶＯＨポリマーのブレンド材を有する改良された水溶性フィルムおよびそれで作られたパケット
良好な冷水溶解度、湿潤取扱適性、および熱成形適性を持ち、分子量分布がいずれも単峰性である２以上のＰＶＯＨポリマーのブレンド材で構成され、約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰ（または対応する重量平均分子量）の範囲の粘度、約８４％〜約９２％の加水分解度、約１〜約５の範囲の多分散指数値、約４質量％〜約１０質量％の残留湿分、および０．２５５〜０．３１５の範囲の樹脂選択指数値を特徴とするＰＶＯＨ樹脂を含み得る、可塑化された水溶性フィルム；該フィルムの作製方法；該フィルムを作成するためのＰＶＯＨ樹脂を含む組成物；および該フィルムで作成されたパウチおよびパケット商品、が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
関連出願への相互参照
いずれも２０１０年１月２９日に出願された米国特許仮出願第６１／２９９，８３６号および第６１／２９９，８３４号に対する優先権の利益が主張されており、それぞれが参照により全体として本明細書中に組み込まれる。
【０００２】
本開示は、一般には、液体との接触に用いられる水溶性フィルム、該フィルムの製作方法、該フィルムで作られ、洗剤などの有効成分を任意に充填して一定用量のパウチにしたパケットおよびパウチに関する。さらに具体的には、本開示は、改良された湿潤取扱適性、改良された冷水溶解度、および適切な加工性を併せ持つ上記のようなフィルム、パケット、およびパウチに関する。
【背景技術】
【０００３】
水溶性ポリマーフィルムは、送達する材料の分散、流し込み、溶解、および計量供給を簡略にするための包装材としてよく用いられる。例えば、水溶性フィルムで作られたパケットは、例えば洗濯または食器洗い用の洗剤を入れたパウチなど、家事用組成物の包装によく用いられる。消費者は、バケツ、シンク、または洗濯機などの撹拌槽に、パウチを直接添加することができる。都合の良いことに、これが正確な計量供給を提供するとともに、消費者の組成物計量の手間を省く。また、パウチは、例えば瓶から液状洗剤を注ぐ際など、同様の組成物を容器から分注する際に起こりがちな散乱も少なくする可能性がある。要するに、予め計量した薬剤を入れた可溶性ポリマーフィルムのパケットは、さまざまな用途での消費者の利便性を提供する。
【０００４】
パケットの製作に用いられる水溶性ポリマーフィルムのあるものは、洗濯サイクルの間に溶解し、洗濯中の洗濯物にフィルムの残渣を残す。このような問題は、例えばパウチが冷水中、例えば５℃程度の冷水中で用いられる場合のような応力条件下の洗濯に用いられる場合に特に起こりやすいと思われる。とりわけ、環境問題とエネルギー経費が、消費者の欲求を冷たい水での洗濯へと駆り立てている。
【０００５】
あるいは、冷水中で完全に溶解する水溶性ポリマーフィルムは、消費者市場向けにパウチを製造するには水分と湿気に対して敏感すぎる可能性もある。例えば、ぬれた手でパウチを扱ったことによる高度の湿気または水滴によって、可溶性パケットがくっつき合い、および／またはパケットを通して溶け出し、パウチの中身が漏れる原因となることもある。
【０００６】
ポリビニルアルコール系ポリマーを含む一部のフィルムで製作されたパケットは、上述の問題にある程度うまく対処することができた。しかしながら、一部のポリビニルポリマーフィルムの冷水溶解度は、特定の洗剤組成物と接触したときに低下する可能性がある。理論に縛られるわけではなく、フィルムとパウチ内の組成物との間の化学的な相互作用によって、フィルムの可溶度が低下すると考えられている。そのため、パケットが古くなるにつれて、冷水による洗濯サイクルの間に溶解しきれずに、洗濯中の洗濯ものにフィルムの残滓が残る可能性がある。
【０００７】
ポリビニルアルコール系ポリマー以外のポリマーを含む水溶性フィルムで作られたパケットは、上述の問題にそれぞれうまく対処できない可能性がある。例えば、デンプンおよび／またはセルロース誘導体を含む高分子フィルムは、良好な水滴耐性を提供する可能性がある。しかし、良好な冷水溶解度を得るには、このようなフィルムをきわめて薄くする必要があるため、加工性に係る性質を含めて、その機械的性質が損なわれる可能性がある。また、デンプンおよび／またはセルロース誘導体を含むフィルムは、同じような厚さのポリビニルアルコール系ポリマーを含むフィルムと比べて機械的な伸縮性または伸びに欠けることを考えると、加工しやすいとはとても言えない。
【０００８】
現在のところ、上に述べた３つの状況で十分な性能を発揮する市販のフィルムはない。そのため、十分な冷水溶解度、水滴耐性、および、十分な加工性を含むがこれに限定されない機械的性質という所望の特性を有する水溶性フィルムを含むパケットが、依然として必要とされる。
【発明の概要】
【０００９】
本開示の第１の態様は、水溶性のポリビニルアルコール（ＰＶＯＨ）樹脂を５０質量％以上含む水溶性フィルムであり、該樹脂は、２０℃での４質量％水溶液として、平均粘度が最低でも約１３．５ｃＰ、１４ｃＰ、１５ｃＰ、１６ｃＰ、または１７ｃＰ、および最高でも約２０ｃＰ、１９ｃＰ、１８ｃＰ、１７．５ｃＰ、例えば約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１４ｃＰ〜約１９ｃＰ、または約１６ｃＰ〜約１８ｃＰ、または約１７ｃＰ〜約１７．５ｃＰの範囲であり；ならびに、加水分解度が最低でも８４％または８５％、および最高でも約９０％、８９％、８８％、または８７％、例えば約８４％〜約９０％、または８５％〜８８％、または８６．５％の範囲であり；さらに、該樹脂は、平均粘度が約１１ｃＰ未満、多分散性指数が約１．８〜約２．３の範囲のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない。
【００１０】
本開示の第２の態様は、水を約４〜約１０質量％、ＰＶＯＨ樹脂を少なくとも５０質量％含む水溶性フィルムであり、該樹脂は第１および第２のＰＶＯＨポリマーの混合材を含み、第１のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも８ｃＰまたは１０ｃＰであり、かつ最高でも４０ｃＰ、２０ｃＰ、または１５ｃＰであり、例えば約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰの範囲であり；かつ第２のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも１０ｃＰまたは２０ｃＰであり、かつ最高でも４０ｃＰ、３０ｃＰ、または２５ｃＰであり、例えば約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約２０ｃＰ〜約３０ｃＰ、または約２０ｃＰ〜約２５ｃＰの範囲であり；第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は第２のＰＶＯＨポリマーの粘度よりも低く、そして該樹脂は、平均粘度が約１１ｃＰ未満、多分散性指数が約１．８〜約２．３の範囲のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない。
【００１１】
本開示の第３の態様は、水を約４〜約１０質量％、ＰＶＯＨ樹脂を最低でも５０質量％、および任意で可塑剤を含む水溶性フィルムであり、該樹脂は、
【化１】
が 約５０，０００〜約３００，０００ドルトンの範囲であり、かつ加水分解度が約８４％〜約９０％または約８５％〜約８８％の範囲であり；該樹脂はさらに、
【化２】
が約７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない。
【００１２】
本開示の第４の態様は、樹脂選択指数の値が０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００であるＰＶＯＨ樹脂を最低でも５０質量％含む水溶性フィルムである。
【００１３】
本開示の第５の態様は、水を約４〜約１０質量％、ＰＶＯＨ樹脂を最低でも５０質量％、および任意で可塑剤を有する水溶性フィルムの製作方法であり、該方法はＰＶＯＨ樹脂からフィルムを形成することを含み、該ＰＶＯＨ樹脂は、平均粘度が約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰであり、加水分解度が最低でも８４％または８５％、最高でも約９２％、８９％、８８％、または８７％、例えば約８４％〜約９０％、８５％〜８８％、または８６．５％の範囲であり、該樹脂はさらに、平均粘度が１１ｃＰ未満、多分散性指数が約１．８〜約２．３の範囲のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない。
【００１４】
本開示の第６の態様は、本明細書の、例えば第１から第５までの態様のいずれか１つ以上の態様に記載のＰＶＯＨフィルムを含む、密封可能パウチまたはパケットである。
【００１５】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、ＰＶＯＨフィルムはパウチまたはパケットの外壁として配置される。
【００１６】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、パウチまたはパケットは、単一の密封区画もしくは密封可能区画、または複数の密封区画もしくは密封可能区画を含んでもよく、任意で本開示のＰＶＯＨフィルムを含むパウチまたはパケット全体の外壁（複数）と、さらに任意で同じくＰＶＯＨフィルムを含む少なくとも１つの内壁とを備えてもよい。パウチまたはパケットの１つ以上の外壁を形成するＰＶＯＨフィルム（複数可）は、多区画のパウチまたはパケットの１つ以上の内壁を形成するフィルム（複数可）と同じでも異なってもよく、任意で同じである。
【００１７】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、ＰＶＯＨフィルム中のＰＶＯＨ樹脂の樹脂選択指数の値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であってよい。
【００１８】
第６の態様の一実施形態において、前記パウチは第１および第２の密封区画を含む。第２の区画は、第１の区画とは一般に重畳関係にあるため、第２の密封区画および第１の密封区画はパウチ内部の隔壁を共有する。
【００１９】
第６の態様の一実施形態において、第１および第２の区画を含むパウチは、第３の密封区画をさらに含む。該第３の密封区画は、第１の密封区画とは一般に重畳関係にあるため、第３の密封区画と第１の密封区画とはパウチ内部の隔壁を共有する。
【００２０】
第６の態様による一部の実施形態において、第１の組成物および第２の組成物は、液体および粉末から個別に選択される。例えば、該実施形態は以下の組み合わせを含むことが可能である：液体、液体；液体、粉末；粉末、粉末；および粉末、液体。
【００２１】
第６の態様によるいくつかの実施形態において、第１、第２、および第３の組成物は、それぞれ液体および粉末から個別に選択される。例えば、該実施形態は以下の組み合わせを含むことが可能である：固体、液体、液体；固体、固体、液体；および液体、液体、液体。
【００２２】
第６の態様の実施形態のうちいずれか１つにおいて、前記単一区画または複数の密封区画には、組成物が入っている。該複数の区画には、それぞれ同じまたは異なる組成物が入っている。該組成物は、液体、固体、またはその組み合わせから選択される。本明細書において、「液体」には、ペースト、液体、ゲル、発砲体、またはムースが含まれる。液体の限定されない例としては、軽質または重質の液状洗剤組成物、布地増強剤、硬表面洗浄用組成物、洗濯および食器洗いによく用いられるゲル洗剤、漂白および洗濯用添加剤、シャンプー、ボディーソープ、および他のパーソナルケア用組成物が含まれる。気体、例えば懸濁気泡、または固体、例えば粒子が、液体内部に含まれてもよい。本明細書において、「個体」には、粉末、集塊、またはその混合物が含まれる。固体の限定されない例としては、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、およびパールボール（pearlised ball）が挙げられる。固体、例えば固形組成物は、洗浄面の有益性、前処理面の有益性、および／または美的な効果を提供する可能性があるが、これに限定されるものではない。
【００２３】
第６の態様の実施形態のうちいずれか１つにおいて、組成物は、液体軽質または液体重質の液状洗剤組成物、粉末状洗剤組成物、手洗いおよび／または機械洗い用の食器洗い洗剤；硬表面洗浄用組成物、布地増強剤、洗濯によく用いられるゲル洗剤、ならびに漂白剤および洗濯用添加剤、シャンプーおよびボディーソープなどのパーソナルケア用組成物の群から選択することができる。
【００２４】
以下の詳細な説明を図面と併せて概観すれば、当業者にはさらなる態様および利点が明らかとなるであろう。本明細書に記載の組成物、フィルム、パウチ、およびパケットには、さまざまな形の実施形態が可能ではあるが、本開示が実例を示すためのものであり、本発明を本明細書に記述された具体的な実施形態に限定することを目的とするものではないということを了解したうえで、これ以降の説明では具体的な実施形態を述べる。
【００２５】
具体的な成分、その組成範囲、置換基、条件、および方法手順などの任意の特徴は、本明細書に提供されたさまざまな実施例から選択することができる。
本発明の理解をさらに容易にするため８つの作図が本明細書に添付されており、ここで、図１〜８はそれぞれ洗濯残渣等級０〜７の例を示している。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】等級０：残渣なし
【図２】等級１：それぞれ直径２ｃｍまでの小さく広がった汚点が最大３箇所まで。汚点は平らで透明。
【図３】等級２：直径２ｃｍの小さい汚点が４か所以上。パケット全体が平らで透明なフィルムに覆われるまで。
【図４】等級３：直径１〜２ｃｍの不透明な残渣（濃縮されたＰＶＯＨフィルム）
【図５】等級４：直径３〜４ｃｍの不透明な残渣（濃縮されたＰＶＯＨフィルム）
【図６】等級５：直径４〜６ｃｍの厚い残渣（＋／−半分のパケットは溶けていない。
【図７】等級６：直径６ｃｍ未満の濃縮された柔らかいＰＶＯＨ残渣の塊。パケットの半分以上が溶解していない。
【図８】等級７：パケット全体が溶解していない。ＰＶＯＨは柔らかい。
【発明を実施するための形態】
【００２７】
本明細書において、「質量％（wt.%）」および「質量％（wt%）」という用語は、別の指定のない限り、同定された要素のフィルム全体に対する組成を乾燥質量部で表わしたもの（適用できる場合）、または、パウチ内に封入された組成物全体に対する質量部で表わしたものである（適用できる場合）。
【００２８】
別の指定のない限り、測定はすべて２５℃で実施した。別の指定のない限り、掲載された成分に係わる質量はすべて活性レベルに基づくものであるため、市販の材料に含まれている可能性のある担体または副産物を含まない。
【００２９】
フィルムの一般的な説明
本明細書に記載の実施形態が対処する一つの問題は、水中ですぐに溶け、残留湿気に対して十分な耐性を示し、加工性のあるフィルムを提供することである。高分子量ＰＶＯＨポリマーは、残留湿気耐性が比較的良好であるものの、水溶性が低く、熱成形が難しいが、これはＰＶＯＨポリマーの温度感度に起因する面がある。低分子量ＰＶＯＨポリマーは、冷水溶解度が良好であるが、残留湿気に対する反応性が高くて商業環境または消費者環境では機能せず、熱成形が難しいが、これは液体またはゲルを充填した場合のpin holdingおよびそれに続く浸透に起因する面がある。本明細書に記載するのは、問題となる３つの点すべてを思いがけなく解決するＰＶＯＨポリマー系および関連するフィルムである。
【００３０】
前記フィルム、該フィルムを用いて製作したパケット、および関連する方法には、別の記載のない限り、以下においてさらに記述する任意の付加的な要素、特徴、および手順の１つ以上の任意の組み合わせを含む実施形態が含まれることが意図されている。
【００３１】
本明細書において、「含む（comprising）」という用語は、記載されたもの以外にも、別の薬剤、要素、手順、または特徴が含まれる可能性があることを示している。
【００３２】
本明細書において、パケット（複数可）およびパウチ（複数可）という用語は置き換え可能と考えなければならない。ある特定の実施形態において、パケット（複数可）およびパウチ（複数可）という用語は、それぞれ、前記フィルムを用いて製作された容器、および好ましくは中に材料を入れて密封した、例えば一定用量送達システムのような形の密封容器を指すために用いられる。該密封パウチは、ヒートシール、溶媒接着、および接着密封（例えば、水溶性接着剤を用いて）などのプロセスおよび特徴を含む任意の適切な方法で製作することができる。
【００３３】
ＰＶＯＨ樹脂組成物
本明細書に記載のフィルム形成組成物は、１つ以上のＰＶＯＨポリマーを含み、フィルムのＰＶＯＨ樹脂分を構成する。本明細書の教示によって、１つまたは複数のＰＶＯＨポリマーを選択またはブレンドし、水溶液中で溶解可能なフィルムなどの物品を創作することができる。このような水溶性フィルムは、洗濯用洗剤組成物の中に見出されるような洗浄活性剤またはリンス添加剤を遅延放出するための密封パウチの創作に有用性を見出すことができる。
【００３４】
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルの通常は加水分解または鹸化と呼ばれるアルコーリシスによって調製されるのが一般的な合成樹脂である。実質的にすべてのアセテート基がアルコール基に転換されて完全に加水分解されたＰＶＯＨは、強い水素結合で結ばれた高結晶質ポリマーであり、約１４０°Ｆ（約６０℃）を超える熱水の中でのみ溶解する。ポリ酢酸ビニルの加水分解後に十分な数のアセテート基が残留している場合、つまり、ＰＶＯＨの加水分解が部分的である場合は、ポリマーの水素結合が弱くなり、結晶性が低くなり、一般に約５０°Ｆ（約１０℃）の冷水に溶解する。そのようなものとして、部分的に加水分解されたＰＶＯＨポリマーはビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、つまりＰＶＯＨコポリマーである。そのため、上述の組成物には、水溶性の部分的に加水分解されたＰＶＯＨが１以上用いられる。
【００３５】
フィルムの総ＰＶＯＨ樹脂分の加水分解度は、最低でも８０％、８４％、または８５％、そして最高でも９２％、８９％、８８％、または８７％、例えば、約８４％〜約９０％、または８５％〜８８％の範囲、または８６．５％であってよい。本明細書において、加水分解度は、ビニルアルコール単位に変換された酢酸ビニル単位の百分率として表される。
【００３６】
ＰＶＯＨポリマーの粘度（μ）は、調整したばかりの溶液を、Ｂｒｉｔｉｓｈ Ｓｔａｎｄａｒｄ ＥＮ ＩＳＯ １５０２３−２：２００６ Ａｎｎｅｘ Ｅ Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ Ｔｅｓｔ Ｍｅｔｈｏｄに記載のＵＶアダプター付Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ＬＶ型粘度計を用いて測定することによって決定する。２０℃での４％ポリビニルアルコール水溶液の粘度を記載するのが国際慣行である。別の指定のない限り、本明細書にｃＰで指定された粘度はすべて、２０℃での４％ポリビニルアルコール水溶液の粘度を表わすと理解しなければならない。同様に、ある樹脂が特定の粘度を有する（または有さない）と記載されている場合は、別の指定のない限り、指定された粘度が、対応する分子量分布を本質的に有する該樹脂の平均粘度である。ＰＶＯＨ樹脂に応じて、該樹脂の多分散指数（ＰＤＩ）は約１．５〜約５、またはそれを超える範囲であってもよい。市販ＰＶＯＨポリマーのＰＤＩは通常約１．８〜約２．３の範囲であり、一般的な市販ＰＶＯＨポリマーは、１．７まで低く、２．９まで高いＰＤＩを有してもよい。このような市販ＰＶＯＨポリマーは、指定された公称粘度および指定された加水分解度に基づいて区別するのが一般的であり、例えば、ＭＯＷＩＯＬ １３−８８は、指定された公称粘度が１３ｃＰ、指定された加水分解度が８８％である。
【００３７】
ＰＶＯＨ樹脂は、平均粘度が最低でも約１３．５ｃＰ、１４ｃＰ、１５ｃＰ、１６ｃＰ、または１７ｃＰ、そして最高でも約２０ｃＰ、１９ｃＰ、１８ｃＰ、１７．５ｃＰ、例えば、約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１４ｃＰ〜約１９ｃＰ、または約１６ｃＰ〜約１８ｃＰ、または約１７ｃＰ〜約１７．５ｃＰの範囲であってよい。ＰＶＯＨポリマーの粘度が同じＰＶＯＨポリマーの重量平均分子量
【化３】
と相関していることは、当技術分野では周知であり、粘度は
【化４】
の代用としてよく用いられる。従って、本明細書に開示される水溶性フィルムの性能または特性にＰＶＯＨ樹脂の粘度変化が及ぼす影響に関する本開示の教示は、同じ特性にＰＶＯＨ樹脂の
【化５】
の変化が及ぼす影響にも相応に適応される。
【００３８】
通常、市販されるＰＶＯＨポリマーの多分散指数（ＰＤＩ）値は約１．８〜約２．２である。本明細書で用いる総ＰＶＯＨ樹脂分は、最低でも１．３、１．５、１．８、２、２．５、３、かつ最高でも６、５．５、５、４．５、４、３．５、例えば、約１〜約５、または約２〜約４．５の範囲、または最低でも２．５、または最低でも３、または約２．５〜約４の範囲であってよい。
【００３９】
ＰＶＯＨポリマーの混合物
ＰＶＯＨ樹脂はＰＶＯＨポリマーの混合物を含むこともできる。例えば、ＰＶＯＨ樹脂は少なくとも２種類のＰＶＯＨポリマーを含み、本明細書においては、第１のＰＶＯＨポリマーの粘度が第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より少なくてもよい。第１のＰＶＯＨポリマーの粘度が、最低でも約８ｃＰ、１０ｃＰ、１２ｃＰ、または１３ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、２０ｃＰ、１５ｃＰ、または１３ｃＰであってよく、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰ、または約１２ｃＰ〜約１４ｃＰの範囲、または１３ｃＰであってもよい。また、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度が、最低でも約１０ｃＰ、２０ｃＰ、または２２ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、３０ｃＰ、２５ｃＰ、または２４ｃＰであってよく、例えば、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または２０〜約３０ｃＰ、または約２０〜約２５ｃＰ、または約２２〜約２４の範囲、または２３ｃＰであってもよい。
【００４０】
ＰＶＯＨ樹脂の加水分解度が本明細書に記載の範囲内である限り、個々のＰＶＯＨポリマーは任意の適切な加水分解度であってよい。
【００４１】
ＰＶＯＨ樹脂は、
【化６】
が約５０，０００〜約３００，０００ドルトンまたは約６０，０００〜約１５０，０００ドルトンの範囲にある第１のＰＶＯＨポリマー、および
【化７】
が約６０，０００〜約３００，０００ドルトン、または約８０，０００〜２５０，０００ドルトンの範囲にある第２のＰＶＯＨポリマーを、追加または代替で任意に含んでもよい。
【００４２】
ＰＶＯＨ樹脂は、粘度が約１０〜約４０ＣＰの範囲であり、かつ加水分解度が約８４％〜約９２％の範囲である１以上のさらなるＰＶＯＨポリマーを、さらに含んでもよい。
【００４３】
ＰＶＯＨ樹脂に含まれる第１のＰＶＯＨポリマーの平均粘度が約１１ｃＰ未満、かつ多分散指数が約１．８〜約２．３の範囲である場合に、一つの種類の実施形態では、ＰＶＯＨ樹脂が含有する第１のＰＶＯＨポリマーは約３０質量％未満である。同様に、ＰＶＯＨ樹脂に含まれる第１のＰＶＯＨポリマーの平均粘度が約１１ｃＰ未満、かつ多分散指数が約１．８〜約２．３の範囲である場合に、別の非排他的な種類の実施形態では、ＰＶＯＨ樹脂が含有する
【化８】
が７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーは、約３０質量％未満である。
【００４４】
ＰＶＯＨ樹脂は、本明細書に記載のフィルムの総ＰＶＯＨ樹脂分のうち、第１のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％、そして第２のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％含むことができ、例えば、第１のＰＶＯＨポリマーを約３０〜約８５質量％、または、第１のＰＶＯＨポリマーを約４５〜５５質量％含むことができる。例えば、ＰＶＯＨ樹脂はそれぞれのＰＶＯＨポリマーを約５０質量％ずつ含有することができ、ここで、第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は約１３ｃＰであり、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度は約２３ｃＰである。
【００４５】
一つの種類の実施形態は、粘度が約１０〜約１５ｃＰの範囲であり、加水分解度が約８４％〜約９２％の範囲である第１のＰＶＯＨポリマーを約４０〜約８５質量％含むＰＶＯＨ樹脂を特徴とする。別の種類の実施形態は、粘度が約１０〜約１５ｃＰの範囲であり、加水分解度が約８４％〜約９２％の範囲である第１のＰＶＯＨポリマーを約４５〜約５５質量％含むＰＶＯＨ樹脂を特徴とする。ＰＶＯＨ樹脂は、粘度が約２０〜約２５ｃＰの範囲であり、加水分解度が約８４％〜約９２％の範囲である第２のＰＶＯＨポリマーを約１５〜約６０質量％含むことができる。企図される１つのクラスの実施形態は、第２のＰＶＯＨポリマーを約４５〜約５５％含むＰＶＯＨ樹脂を特徴とする。
【００４６】
ＰＶＯＨ樹脂に複数のＰＶＯＨポリマーが含まれる場合は、ＰＶＯＨ樹脂のＰＤＩ値が、含まれるいずれのＰＶＯＨポリマーのＰＤＩ値よりも大きい。任意で、ＰＶＯＨ樹脂のＰＤＩ値は、２．２、２．３、２．４、２．５、２．６、２．７、２．８、２．９、３．０、３．１、３．２、３．３、３．４、３．５、３．６、３．７、３．８、３．９、４．０、４．５、または５．０である。
【００４７】
フィルムの組成
水溶性フィルムは、最低でも約５０質量％、５５質量％、６０質量％、６５質量％、７０質量％、７５質量％、８０質量％、８５質量％、９０質量％のＰＶＯＨ樹脂を含有することができる。
【００４８】
ＰＶＯＨ樹脂の選択に当たっては、ＰＤＩ値が約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０のＰＶＯＨ樹脂を選ぶことが望ましい；例えば、ＰＶＯＨ樹脂のＰＤＩ値は、該樹脂に含まれるいずれのＰＶＯＨポリマーのＰＤＩ値よりも大きくてよい。
【００４９】
また、加重平均加水分解度
【化９】
が 約８０〜約９２％、または約８３〜約９０％、または約８５〜約８９％であるＰＶＯＨ樹脂を選ぶことが望ましい。例えば、２以上のＰＶＯＨポリマーを含むＰＶＯＨ樹脂の
【化１０】
は、
【数１】
の式で算出し、ここで、Ｗi はそれぞれのＰＶＯＨポリマーの質量パーセントであり、Ｈi はそれぞれの加水分解度である。
【００５０】
さらに、加重対数平均粘度
【化１１】
が約１０〜約２５、または約１２〜約２２、または約１３．５〜約２０であるＰＶＯＨ樹脂を選ぶのが望ましい。２以上のＰＶＯＨポリマーを含むＰＶＯＨ樹脂の
【化１２】
は、
【数２】
の式によって算出し、ここで，μiはそれぞれのＰＶＯＨポリマーの粘度である。
【００５１】
さらにまた、Ｒｅｓｉｎ Ｓｅｌｅｃｔｉｏｎ Ｉｎｄｅｘ（ＲＳＩ）（樹脂選択指数）が０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７５〜０．２９５の範囲であるＰＶＯＨ樹脂を選ぶのが望ましい。ＲＳＩは、
【数３】
の式によって算出し、ここで、μtは１７であり、μiはそれぞれのＰＶＯＨポリマーの各平均粘度であり、そしてＷiはそれぞれのＰＶＯＨポリマーの質量パーセントである。
【００５２】
任意で、水溶性フィルムは１層または類似の複数の層から成る独立したフィルムである。水溶性フィルムはさらに任意で、基本的にＰＶＯＨ樹脂ならびに本明細書に記載の可塑剤および添加剤から成ってもよく、かつ溶解度、熱成形性能、または可溶度と熱成形性能との両方に影響を及ぼすような他のフィルム層から、基本的に自由であってもよい。
【００５３】
フィルムのＰＶＯＨ樹脂部分は、基本的にＰＶＯＨポリマーから成る（つまり、例えば、製造される重合製品に存在する不純物を含む可能性がある）か、または完全にＰＶＯＨポリマーから成る。水溶性フィルムはまた、ＰＶＯＨ樹脂に加えてフィルム形成ポリマーも含むことができる。このような添加ポリマーは、フィルムの総質量に基づいて、約０．１〜約４０％、または約１〜３０％の質量パーセントでフィルムに存在することができる。限定されない例としては、デンプン、セルロース系材料、スルホポリエステル、およびその混合物が挙げられる。さらなる限定されない例としては：ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸および塩、ポリアミノ酸もしくはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸／アクリル酸の共重合体、デンプンおよびゼラチンをはじめとする多糖類、キサンタンなどの天然ゴム、およびカラゲーナンが挙げられる。
【００５４】
水溶性フィルムは、可塑剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、抗酸化剤、粘着防止剤（detackifying agent）、消泡剤、層状ケイ酸塩型ナノ粘土などのナノ粒子（例えば、ナトリウムモンモリロナイト）、漂白剤（例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、他）、および他の機能性成分などであるがこれに限定されない他の補助剤および加工剤を、意図されるその目的に適した量で含有することができる。可塑剤を含む実施形態が好ましい。かかる薬剤の量は、個別にまたは合わせて、約５０質量％まで、約２０質量％まで、または１５質量％まで、または約１０質量％まで、または約５質量％まで、例えば４質量％までであってもよい。
【００５５】
可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、４００ＭＷまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、２−メチル−１，３−プロパンジオール、エタノールアミン、およびその混合物が挙げられるが、これに限定はされない。好ましい可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、２−メチル−１，３−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、またはその組み合わせである。可塑剤の総量は、約１０質量％〜約４０質量％、または約１５質量％〜約３５質量％、または約２０質量％〜約３０質量％の範囲、例えば約２５質量％であってよい。グリセリン、プロピレングリコール、およびソルビトールの組み合わせを用いることもできる。任意で、グリセリンを約５質量％〜約３０質量％、または５質量％〜約２０質量％、例えば１３質量％の量で用いることもできる。任意で、プロピレングリコールを約１質量％〜約２０質量％、または約３質量％〜約１０質量％、例えば６質量％の量で用いることもできる。任意で、ソルビトールを約１質量％〜２０質量％、または約２質量％〜約１０質量％、例えば約５質量％の量で用いることもできる。
【００５６】
適切な界面活性剤としては、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、および両性イオン性のクラスを挙げることができる。好ましくは、界面活性剤は、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、および両性イオン性のクラス、またはその組み合わせである。適切な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三アセチレングリコール、およびアルカノールアミド（非イオン性）、ポリオキシエチレン化アミン、第四アンモニウム塩、および第四（quarternized）ポリオキシエチレン化アミン（陽イオン性）、およびアミンオキシド、Ｎ−アルキルベタイン、およびスルホベタイン（両性イオン性）があるが、これに限定はされない。好ましい界面活性剤は、アルコールエトキシレート、第四アンモニウム塩、およびアミンオキシドである。一つの種類の実施形態では、水溶性フィルムの中の界面活性剤の量は、約１．０質量％〜２．５質量％の範囲であり、任意で約１．０質量％〜２。０質量％である。
【００５７】
適切な潤滑剤／剥離剤には、脂肪酸およびその塩、脂肪アルコール、脂肪エステル、脂肪アミン、脂肪アミンアセテート、および脂肪アミドを挙げることができるが、これに限定はされない。好ましい潤滑剤／剥離剤は、脂肪酸、脂肪酸塩、および脂肪アミンアセテートである。一つの種類の実施形態では、水溶性フィルムの中の潤滑剤／剥離剤 の量は、約０．０２質量％〜約１．５質量％の範囲、任意で約０．１質量％〜約１質量％である。
【００５８】
適切な充填剤／増量剤／ブロッキング防止剤／粘着防止剤には、デンプン、化工デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶性セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、および雲母が含まれるが、これに限定はされない。好ましい材料は、デンプン、化工デンプンおよびシリカである。一つの種類の実施形態では、水溶性フィルムの中の充填剤／増量剤／ブロッキング防止剤／粘着防止剤 の量は、約０．１質量％〜約２５質量％、または約１質量％〜約１０質量％、または約２質量％〜約８質量％、または約３質量％〜約５質量％の範囲である。デンプンが存在しない場合は、適切な充填剤／増量剤／ブロッキング防止剤／粘着防止剤の好ましい一つの範囲は、約１質量％〜約６質量％、または約１質量％〜約４質量％、または約１質量％〜約２．５質量％である。
【００５９】
適切な消泡剤には、ポリジメチルシロキサンと炭化水素とのブレンド材があるが、これに限定はされない。一つの種類の実施形態では、水溶性フィルムの中の消泡剤の量は、約０．００１質量％〜約１．０質量％、または約０．１質量％〜０．７５質量％、または約０．１質量％〜約０．６質量％、または約０．４質量％〜約０．５質量％の範囲である。
【００６０】
水溶性フィルムはさらに、カールフィッシャー滴定で測定した残留湿気量が、最低でも４質量％、例えば約４〜約１０質量％の範囲であってよい。
【００６１】
フィルムの特性
予定される実施形態の一クラスは、本明細書に記載の水溶性フィルムが本明細書に記載の水滴耐性試験（Water-Drop Resistance Test ）および本明細書に記載の洗濯残渣試験（Wash-Residue Test）に合格することを特徴とし、好ましくは両方の試験に合格する。予定される実施形態の別のクラスは、本明細書の記載に従って製作される水溶性フィルムの熱成形性が良好であることを特徴とする。熱成形フィルムとは、熱および力の適用によって成形できるものを指す。好ましくは、該フィルムは水滴耐性試験および洗濯残渣試験に合格し、かつ熱成形することが可能である。
【００６２】
洗濯残渣試験は、水溶性ポリマーを冷水洗濯サイクルにかけた後の残留ポリマーを、定性的に測定する。具体的には、厚さ７６μｍのＰＶＯＨフィルム０．７ｇを約６０×６０ｍｍの大きさの単一区画のパウチに熱成形し、以下を含む試験溶液約３７．５ｍｌ／３８ｇを該パウチに充填する：
あるいは、厚さ７６μｍのＰＶＯＨフィルム０．６ｇを、約４４×４４ｍｍの大きさの３つの区画（compartments）のパウチに熱成形し、第１の区画には１７．５ｍｌ／１８ｇの試験溶液を、第２および第３の区画には１．５ｍｌ／１．５ｇの試験溶液を充填する。次に、密封したパケットを黒いベルベットの袋（２３．５ｃｍ×４７ｃｍの綿７２％／黒ベルベット２８％、好ましくは、ＤＥＮＨＯＬＭＥ ＶＥＬＶＥＴＳ， Ｈａｌｉｆａｘ Ｒｏａｄ， Ｄｅｎｈｏｌｍｅ， Ｗｅｓｔ Ｙｏｒｋｓｈｉｒｅ， Ｅｎｇｌａｎｄが製造し、ＥＱＵＥＳＴ Ｕ．Ｋ．が提供するＭｏｄａｌベルベット）に入れ、バッグの開け口の全長をプラスチック糸で縫い合わせて保護する。次に、密封されたベルベットの袋を洗濯機（好ましくは、ＭＩＥＬＥ洗濯機のＷ４６７型を水温制御装置に接続したもの）の底に配置する。機械間の変動を克服するため、好ましくは、各試験に機械を４台使用し、各機械に水溶性ポリマーの試料を４個ずつ、それぞれベルベットの袋に入れて保護したものを入れる。機械の中での袋の位置決めによる影響を排除するため、袋は各機械内のさまざまな相対位置で機械の底に並べて配置する。次に、バラストの洗濯物を追加せずに、始発水温が５℃±１℃（水温制御システムが制御）の「ウールサイクル／冷水」の設定で洗濯サイクルを予約する。洗濯サイクルの終了後、１５分のうちに、袋を機械から除去し、開いて、採点しなければならない。
【００６３】
採点は、洗濯後に袋の中／外側に残る残渣を目視で観察することによって行う。定性的尺度は、０（残渣なし）から７（ポリマーフィルムが全部袋の中に残っている）までである。フィルムは、最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは、最高でも約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０の洗濯残渣値で特性化することができる。試験回数１６回に対する平均残渣等級が４．５未満、好ましくは３未満であれば、水溶性フィルムは洗濯残渣試験に合格する。洗濯残渣値の判定には、以下の尺度、および対応する写真（図１〜８を参照されたい）が用いられた：
【００６４】
水滴耐性試験は、例えば１０分間などの設定された時間にわたって水（aqueous water）と接触した直後でも損なわれない水溶性ポリマーフィルムの能力を測定する。この試験は、厚さ３ミル（７６μｍ）の水溶性フィルムを熱成形して作る厚さ２ミル（５１μｍ）のパケット内に、試験溶液を封入することによって作製される熱成形パウチに対して実施される。代表的な測定結果を得るためには５０パウチが好ましく、また試験運転間のばらつきを最小限にするためには、温度と湿度が制御された室内（約２１℃、相対湿度（ＲＨ）：４０〜６０％）で試験を実行することが好ましい。標準のフィルムから開始めるために、パウチを３５±０．５℃、４５％ＲＨで５日間調整しなければならない。非変形の第１のフィルムおよび熱成形された第２のフィルム（例えば、当技術分野で公知の、例えば米国特許出願公開第２００５／０１８３３９４Ａ１号）で作られたパウチを、非変形フィルムを上にして配置する。これらのパウチをトレーの上に置き、２１℃、４０〜６０％ＲＨで２４時間調整する。下の変形したフィルムが上になるように裏返した後、パウチを再び２１℃／４０〜６０％ＲＨで少なくとも１５分間調整する。この事前調整によって、パウチは周囲条件と平衡をとることができ、テスト結果のばらつきを防ぐことができる。次に、パウチ底部中央の下に、２μＬの水（ＣＯＮＴＲＥＸ Ｎａｔｕｒａｌ Ｍｉｎｅｒａｌ Ｗａｔｅｒを脱イオン水で１０倍に希釈し、約２１℃まで平衡化したもの）をマイクロピペットで置く。１０分間の後、パウチを静かに持ち上げて液漏れを調べることにより、パウチの点検をする。試験の結果は、１０分後に液漏れのあったパウチの割合として得られる。水溶性フィルムが水滴耐性試験に合格するのは、本明細書に記載の水溶性ポリマーフィルムでできたパウチのうち、液漏れの認められたものが６０％未満であった場合である。好ましいフィルムは、最高でも６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％の水滴耐性値によって特徴づけることができる。
【００６５】
フィルムの熱成形は、フィルムを加熱し、型に入れて成形した後そのままさますプロセスであり、こうすればフィルムは型の形状を保持する。熱成形は、次のプロセスのうち任意の１以上を用いて実施することができる：熱で柔らかくしたフィルムを手で型全体にかぶせる工程、または柔らかくしたフィルムを型に合わせて圧力誘導により成形する工程（例えば、真空成型）、または押出成形されたばかりで温度が正確に分かるシートを成形トリミング場に自動高速割出しする工程、またはフィルムの自動配置、プラグおよび／または空気圧による延伸および加圧成形。フィルムの延伸の程度は、面積延伸倍率によって定義され、これはポケット（またはキャビティ）の表面積を成形前のフィルムの表面積で割ったものである。面積延伸倍率（areal depth of drawとも呼ばれる）は、Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ ｏｆ Ｔｈｅｒｍｏｆｏｒｍｉｎｇ、Ｊａｍｅｓ Ｌ． Ｔｈｒｏｎｅ、Ｈａｎｓｅｒ 出版（１９９６）、第７章４節、４８８〜４９４ページ（ＩＳＢＮ３−４４６−１７８１２−０）に記述された方法に従って算出することができる。本明細書の熱成形フィルムに関して、面積延伸倍率は１．０５〜２．７の間であってよく、好ましくは１．２〜２．３の範囲、最も好ましくは１．３〜２．０の範囲である。
【００６６】
本明細書に記載のフィルムは、好ましくは熱成形が可能である。本明細書において、熱成形工程後に得られた成型フィルムのピンホール試験の結果が、２％未満、好ましくは１％未満、さらに好ましくは０．５％未満であれば、フィルムは熱成形可能である（熱成形加工試験（Ｔｈｅｒｍｏｆｏｒｍｉｎｇ Ｃｏｎｖｅｒｔｉｎｇ Ｔｅｓｔ）に合格）。任意で、熱成形工程後に得られる成形フィルムの加圧ピンホール試験の結果は、４%未満、好ましくは２％未満、さらに好ましくは１％未満であってよい。
【００６７】
ピンホール試験は、出発厚さが２５〜１５０μｍの範囲、好ましくは５０〜１００μｍの範囲、最も好ましくは６０〜９０μｍの範囲のフィルムに対して実施することができる。フィルムの厚さは、当業者に公知の任意の技術を用いて測定することができる。例えば、電子膜厚計Ｔｈｗｉｎｇ−Ａｌｂｅｒｔモデル８９−１００（Ｔｈｗｉｎｇ−Ａｌｂｅｒｔ；１４Ｗ． Ｃｏｌｌｉｎｇｓ Ａｖｅｎｕｅ，Ｗｅｓｔ Ｂｅｒｌｉｎ ＮＪ ０８０９１ ＵＳＡ）を用いれば得ることができる。厚さを測定する前の少なくとも２４時間は、２２±５℃および相対湿度４０±２０％でフイルムの状態を調整する必要がある。幅６０ｍｍで長さ６０ｍｍのフィルム１シートが得られ、また２５の測定結果が得られる（シート全体にわたって間隔をあけて配置）。従って、厚さは２５の測定結果の平均値＋／−標準偏差である。
【００６８】
ピンホール試験および加圧ピンホール試験は、少なくともパウチの片面として熱成形フィルムを含むパウチの液漏れのパーセンテージを測定する。試験の試料の作成は、ＰＶＯＨフィルムから水溶性の容器を作成する手順を含み、これは、ＰＶＯＨフィルムを熱成形してポケットにし、該ポケットに組成物を充填し、充填したポケットの上に第２のフィルムを重ね、そしてこの２枚のフィルムを合わせて密封することによって実施される。密封は、任意の適切な方法で実施することができる。例えば、密封は、本明細書に組み込まれるＷＯ第０２／１６２０５号の開示に従って実施することができる。ここでは、２２±５℃および４４±２０％ＲＨの大気条件で、厚さ７６μｍ±４μｍのフィルムを１０５±１５℃で熱成形して面積延伸倍率２．０の空洞にし、最小厚さ３０μｍ±５μｍの熱成形フィルムを形成する。次に、表１の材料を含む試験溶液を熱成形フィルムに充填し、密封してパウチにする。
【表１】
【００６９】
次に、パウチを２２±５℃および４０±２０ＲＨで２４時間、熱成形フィルムが吸収紙に接触するようにして個別に吸収紙の上に置く。２４時間後、（封鎖部または密封の工程でできた欠陥を通した液漏れに対して）フィルムの熱成形部分に液漏れが起きたパウチの全数を数える。次に、ピンホールのあるパウチの割合を、（（液漏れパウチの数）／パウチの全数）＊１００％で決定する。好ましくは、約５００のパウチを製造し、試験する。特に、密封パウチに圧力をかけるとピンホールの発見が容易になる。そのために、加圧ピンホール試験では、ピンホール試験と同じ手順のほかに、パウチを吸収紙の上に置いた後でパウチの上に重り（約０．１Ｎ／ｃｍ2）を置く工程が加わる。
【００７０】
フィルムの作製方法
予定される一つのクラスの実施形態は、例えば、第１のＰＶＯＨポリマーと第２のポリマーとを混合し、一体共成形し、溶接することによって水溶性フィルムを形成することを特徴とする。このポリマーをまず混合すると、好ましくは結果として生じる混合剤を溶接することによって水溶性フィルムができる。ポリマーを溶接すると、例えば溶剤溶接または熱溶接によって水溶性フィルムを作ることができる。
【００７１】
フィルムは、洗浄用作用物質を含む洗剤組成物を入れるためのパケットを作り、それによりパウチを成形するのに有用である。洗浄用作用物質は、粉末、ゲル、ペースト、液体、錠剤、またはその任意の組み合わせなどの任意の形態であってよい。フィルムはまた、向上した湿潤取扱(wet handling)と少ない冷水残渣が所望される他の任意の用途にも有用である。フィルムは、パウチおよび／またはパケットの少なくとも１つの側壁、任意でパウチおよび／またはパケット全体、を形成し、好ましくは、前記少なくとも１つの側壁の外表面を形成する。
【００７２】
本明細書に記載のフィルムはまた、同一のフィルム、または他の高分子材料との組み合わせで作られた２つ以上の区画のあるパケットの作製にも用いることができる。さらなるフィルムは、例えば、当技術分野で公知の同じまたは異なる高分子材料を、一体成形、ブロー成形、押出成形、またはブロー押出成形することによって得ることができる。一つの種類の実施形態では、前記さらなるフィルムとしての使用に適したポリマー、コポリマー、またはその誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸および塩、ポリアミノ酸もしくはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸／アクリル酸の共重合体、デンプンおよびゼラチンをはじめとする多糖類、キサンタンなどの天然ゴム、ならびにカラゲーナンから選択される。例えば、ポリマーは、ポリアクリレートおよび水溶性アクリレート重合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ならびにその組み合わせから、または、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール重合体およびヒドロキシプロピルメチルセルロース（ＨＰＭＣ）、ならびにその組み合わせから選択することができる。予定される一つのクラスの実施形態は、パケットの材料、例えば上述のＰＶＯＨ樹脂の中のポリマーのレベルが少なくとも６０％であることを特徴とする。
【００７３】
パウチ
本開示のパウチは、少なくとも１つの密封区画を含む。従って、パウチは単一の区画または複数の区画を含むことができる。複数の区画を含む実施形態では、それぞれの区画には、同一の組成物および／または異なる組成物が入っていてよい。また、組成物は液体、固体、およびその組み合わせ（例えば、液体に懸濁された固体）をはじめとする任意の適切な形態をとることができるが、これに限定はされない。一部の実施形態では、パウチには第１、第２、および第３の区画が含まれ、その一つ一つにそれぞれ異なる第１、第２、および第３の組成物が入っている。一部の実施形態では、該組成物は、欧州特許出願第０９１６１６９２．０号（２００９年６月２日に出願され、Ｐｒｏｃｔｏｒ ＆ Ｇａｍｂｌｅ社に譲渡）に記載される通り、実質的に異なっている。
【００７４】
多区画パウチの区画は、大きさおよび／または容積が同じでも異なってもよい。本多区画パウチの区画は分離されていてもよく、または任意の適切な様式で連接されていてもよい。一部の実施形態では、第２および／または第３および／またはそれに続く区画が、第１の区画の上に重なっている。一実施形態では、第３の区画を第２の区画の上に重ね、これをさらに第１の区画に重ねてサンドイッチ構造にすることができる。あるいは、第２および第３の区画を第１の区画の上に重ねることもできる。しかし、第１、第２、および任意で第３およびそれに続く区画が、横並びの関係で互いに結合していてもよい。区画を一列に包装し、パーフォレーションラインで個別に分離できるようにしてもよい。従って、エンドユーザーが、例えばある区画の組成物を用いて布地の前処理や後処理をするために、一列に並んだ残りの区画から各区画を個別に引き離すこともできる。
【００７５】
一部の実施形態では、多区画パウチは、大きい第１の区画およびそれより小さい２つの区画から成る３つの区画を含む。第２および第３の小さめの区画は、第１の大きい区画の上に重ねられる。区画の大きさおよび幾何構造は、この並べ方を達成できるように選択される。区画の幾何構造は、同じでも異なってもよい。一部の実施形態では、第２および任意で第３の区画は、それぞれ第１の区画とは異なる幾何構造および形状を有する。これらの実施形態では、第２および任意で第３の区画は、デザインとして第１の区画の上に配置される。該デザインは、装飾的、教育的、または例示的、例えば概念または指示を例示するもの、および／または製品の由来を示すために用いられるものであってよい。一部の実施形態では、第１の区画は、周長にわたって密封された２つの大きな面を備えた最も大きい区画であり、そして第２の区画はこれより小さく、第１の区画の一つの面の表面積の約７５％未満、または約５０%未満を覆っている。第３の区画が存在する実施形態では、上述の構造は同じであってよいが、第２および第３の区画は第１の区画の一つの面の表面積の約６０％未満、または５０％未満、または４５％未満を覆っている。
【００７６】
本開示のパウチおよび／またはパケットは、１または複数の異なるフィルムを含んでよい。例えば、単一区画の実施形態では、パケットが１つの壁でできており、それ自体の上に折りたたまれて端部が密封されているか、またはその代わりに、２つの壁でできており、端部を合わせて密封してあってよい。多区画の実施形態では、パケットが１枚または複数のフィルムでできており、ある任意のパケット区画が、単一のフィルム、または異なる組成物を有する複数のフィルムで作られた壁（複数）を備えていてよい。一実施形態では、多区画パウチが少なくとも３つの壁を含む：外側上方壁；外側下方壁；および隔壁である。外側上方壁および外側下方壁は、通常対抗しており、パウチの外部を形成する。隔壁はパウチの内部にあり、通常対抗する外壁の密封線に沿って固定されている。該隔壁は、多区画パウチの内部を少なくとも第１の区画と第２の区画とに分ける。
【００７７】
パウチおよびパケットは、任意の適切な設備および方法を用いて作製することができる。例えば、単一区画パウチは、当技術分野で一般に公知の垂直形式充填技術、水平形式充填技術、またはロータリードラム充填技術を用いて作ってもよい。このような工程は、連続的か断続的かのいずれかである。フィルムを湿らせ、および／または加熱して、 その展性を向上させることもできる。この方法はまた、適切な型にフィルムを引き寄せるための真空の使用も伴ってよい。型にフィルムを引き寄せるための真空は、フィルムが表面の水平な部分に置かれてから、約０．２〜約５秒間、または約０．３〜約３、または約０．５〜約１．５秒間適用することができる。この真空は、１０ミリバール〜１０００ミリバールの範囲、または１００ミリバールから６００ミリバールの範囲の負圧（under-pressure）を提供するものであってよい。
【００７８】
パケットを製作するための型は、パウチに必要な寸法に応じて、任意の形状、長さ、幅、および深さであってよい。型はまた、所望であれば、サイズおよび形状も１個１個異なるものであってよい。例えば、最終のパウチの容積は、約５ｍｌ〜約３００ｍｌ、または約１０〜１５０ｍｌ、または約２０〜約１００ｍｌであってよく、型のサイズがそれに応じて調製される。
【００７９】
成形（shaping）および熱成形
フィルムには、通常は熱成形として知られる工程で熱を適用することができる。熱は、任意の適切な手段を用いて適用してよい。例えば、フィルムは、表面上に供給する前に、または表面上に載せてすぐに、加熱エレメントの下または熱気の中を通すことによって直接加熱してもよい。あるいは、表面を加熱するか、またはフィルム上に熱いアイテムを適用することによって、間接的に加熱してもよい。一部の実施態様では、フィルムは赤外線を用いて加熱する。フィルムは、約５０〜約１５０℃、または約５０〜約１２０℃、約６０〜約１３０℃、約７０〜約１２０℃、または約６０〜９０℃の温度まで加熱してよい。あるいは、フィルムは、任意の適切な方法で、例えば表面上にフィルムを供給する前かまたはフィルムを載せた直後に湿潤剤（水、フィルム組成物の溶液、フィルム組成物用の可塑剤、または以上のものの任意の組み合わせを含む）をフィルムにスプレーすることによって直接的に、または表面を湿潤化するかもしくは湿潤なアイテムをフィルムに適用することによって間接的に、湿潤化することができる。
【００８０】
フィルムがいったん加熱および／または湿潤化された時点で、好ましくは真空を用いて適当な型にフィルムを引き込んでよい。成形フィルムの充填は、任意の適切な手段を利用して実行することができる。一部の実施形態では、最も好ましい方法は、製品の形態および所要の充填速度によって異なる。一部の実施形態では、フィルムはインライン充填技術で充填される。充填後の開いたパケットは、次に第２のフィルムを用いて任意の適切な方法で閉じ、パウチを成形する。これは、横向姿勢の間に連続した均一の運動で実行してよい。 閉鎖は、開いたパケット上の全体にわたって第２のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給した後に、好ましくは第１および第２のフィルムを合わせて、通常は型と型との間、つまりパケット間を密封することによって実行することができる。
【００８１】
パケットおよび／またはその個々の区画の密封には、任意の適切な方法を用いることができる。このような手段の限定されない例としては、ヒートシール、溶剤接着、溶剤または湿潤接合、およびその組み合わせが挙げられる。通常は、密封を形成する部分だけを熱または溶剤で処理する。熱または溶剤は、通常は閉鎖材料上に、かつ通常は密封を形成する区域に限り、任意の方法で適用することができる。溶剤または湿潤接合または接着を用いる場合は、熱も適用することが好ましい。好ましい湿潤または溶剤接合／接着法は、型と型との間の領域または閉鎖材上に溶剤を噴霧または印刷することによって選択的に適用し、次に、これらの領域上に圧力をかけて密封を形成する。例えば、（任意で熱も供給する）上記の密封用ロールおよびベルトを用いることができる。
【００８２】
成形されたパウチを、次に切断装置で切断する。切断は、任意の公知の方法を用いて実行することができる。切断は、連続的に、かつ好ましくは一定速度で、かつ好ましくは横向姿勢の間に実施するのが好ましい場合もある。切断装置は、例えば鋭いアイテムまたは熱いアイテムであってよく、後者の場合は、熱いアイテムがフィルム／接合面を「焼き」切る。
【００８３】
多区画パウチの異なる区画は、横並びのスタイルで一緒に作製することもでき、ここで、結果として生じる結合したパウチは切断により分離されてもされなくてもよい。あるいは、区画は別々に作製することもできる。
【００８４】
一部の実施形態では、パウチは以下のステップを含む工程に従って作製することもできる：
ａ） （上述のように）第１の区画を形成するステップ；
ｂ） ステップ（ａ）で形成された閉鎖区画の一部または全部の内部にくぼみを形成し、第１の区画の上に重ねた第２の成形区画を生成するステップ；
ｃ） 第２の区画を充填し、第３のフィルムを用いて閉鎖するステップ；
ｄ） 第１、第２、および第３のフィルムを密封するステップ；および
ｅ） フィルムを切断して多区画パウチを作製するステップ
【００８５】
ステップ（ｂ）で形成されたくぼみは、ステップ（ａ）で準備された区画に真空を適用することによって得ることができる。
【００８６】
一部の実施形態では、欧州特許出願第０８１０１４４２．５号またはＷＯ２００９／１５２０３１（２００８年６月１３日に出願され、Ｐｒｏｃｔｏｒ ＆ Ｇａｍｂｌｅ社に譲渡される）に記載された通り、第２および／または第３の区画（複数可）を別のステップで作製してから、第１の区画と組み合わせることもできる。
【００８７】
一部の実施形態では、以下のステップを含む工程に従ってパウチを作成してもよい：
ａ） 第１の成形機上に第１のフィルムを用いて、任意で熱および／または真空を用いて、第１の区画を形成するステップ；
ｂ） 第１の区画に第１の組成物を充填するステップ；
ｃ） 第２の成形機上で、任意で熱および真空を用いて第２のフィルムを変形させ、第２および任意で第３の成形区画を作製するステップ；
ｄ） 第２および任意で第３の区画を充填するステップ；
ｅ） 第３のフィルムを用いて、第２および任意で第３の区画を密封するステップ；
ｆ） 密封された第２および任意で第３の区画を第１の区画の上に配置するステップ；
ｇ） 第１、第２、および任意でだい３の区画を密封するステップ；および
ｈ） フィルム（複数）を切断して多区画パウチを作製するステップ。
【００８８】
第１および第２の成形機は、上記のプロセスを実行するためのその能力に基づいて選択してよい。一部の実施形態では、第１の成形機は好ましくは横型成形機であり、第２の成形機は好ましくはロータリードラム成形機であり、好ましくは第１の成形機の上方に位置する。
【００８９】
適切な送り工程の使用によって、いくつかの異なるもしくは特定の組成物および／または異なるもしくは特定の液体、ゲル、またはペースト組成物を組み込んだ多区画パウチの製造が可能となるかもしれない。
【００９０】
パウチ充填材の説明
本発明のパウチは、さまざまな組成物を含むことができる。多区画パウチは、それぞれの区画に同じまたは異なる組成物を入れることができる。本開示のこの特徴は、相容れない成分同士（例えば、漂白剤と酵素）を含有する組成物を、互いから物理的に分離または区分して保持するために利用することができる。かかる区分が、係る成分の耐用年数を延長させ、および／または物理的な不安定性を低下させると考えられている。加えて、もしくはその代わりとして、かかる区分が、欧州特許出願第０９１６１６９２．０号（２００９年６月２日に出願され、Ｐｒｏｃｔｅｒ ＆ Ｇａｍｂｌｅ社に譲渡される）に記載されたような美的な有益性を提供することもある。
【００９１】
有用な組成物の限定されない例としては、軽質および重質の液体洗剤組成物、硬表面洗浄用組成物、洗濯によく用いられる洗剤ゲル、ならびに漂白剤および洗濯用添加物、シャンプー、ボディーソープ、および他のパーソナルケア用組成物が挙げられる。本発明のパウチに役立つ組成物は、液体、固体、または粉末の形をとってよい。液体組成物は固体を含み得る。固体には、粉末または集塊、例えばマイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、または１以上のパールボール（pearlized ball）、またはその混合物を含むことができる。
【００９２】
洗濯用組成物、洗濯用添加組成物、および／または布地増強組成物を含むパウチでは、組成物は以下の限定されない成分リストを含んでよい：布地ケア有益剤；洗浄性酵素；沈着補助剤（deposition aid）；レオロジー変性剤；ビルダー；ブリーチ；漂白剤；ブリーチ前駆体；ブリーチ増強剤；ブリーチ触媒剤；香料および／または香料マイクロカプセル（例えば、ＵＳ第５，１３７，６４６号を参照されたい）；香料添加ゼオライト；デンプン封入アコード；ポリグリセロールエステル；白化剤；真珠箔剤；酵素安定化系；陰イオン性染料固定剤、陰イオン性界面活性剤錯化剤、およびその混合物をはじめとする除去薬；蛍光増白剤または蛍光剤；防汚ポリマーおよび／または懸濁ポリマー；分散剤；消泡剤；非水溶媒；脂肪酸；石鹸水サプレッサー、例えばシリコーン石鹸水サプレッサー；（米国公開第２００３／００６０３９０Ａ１、Ｐ６５〜７７を参照されたい）；陽イオン性デンプン（米国２００４／０２０４３３７Ａ１および米国２００７／０２１９１１１Ａ１を参照されたい）；スカム分散剤（米国２００３／０１２６２８２Ａ１、Ｐ８９−９０を参照されたい）；染料；着色料；乳濁剤；抗酸化剤；トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、およびナフタレンスルホン酸塩などのヒドロトロープ；カラースペックル；着色ビーズ、球、または押出物；粘度柔軟剤 。これらの成分のうち任意の１つまたは複数が、欧州特許出願第０９１６１６９２．０号（２００９年６月２日出願）、米国公開第２００３／０１３９３１２Ａ１号（２０００年５月１１日出願）、および米国特許出願第６１／２２９９８１号（２００９年６月３０日出願）に記載されており、このいずれもがＰｒｏｃｔｅｒ ＆ Ｇａｍｂｌｅ社に譲渡されている。加えて、または代りとして、組成物は、界面活性剤および／または溶媒系を含んでもよく、そのそれぞれについて以下に述べる。
【００９３】
界面活性剤
洗剤組成物は、約１〜約８０質量％の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、第１の組成物の成分として特に好ましい。好ましくは、第１の組成物が、約５〜５０質量％の界面活性剤を含む。第２および第３の組成物は、０．１〜９９．９％のレベルの界面活性剤を含んでよい。
【００９４】
利用する洗浄性界面活性剤は、陰イオンタイプ、非イオンタイプ、両性イオンタイプ、両性タイプ、または陽イオンタイプのものであってもよく、またはこれらのタイプの適合混合物を含んでもよい。さらに好ましくは、界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性の界面活性剤、およびその混合物から成る群から選択される。好ましくは、組成物はベタイン界面活性剤を実質的に含まない。本明細書で有用な洗浄界面活性剤は、米国特許第３，６６４，９６１号；同第３，９１９，６７８号；同第４，２２２，９０５号；および同第４，２３９，６５９号に記載されている。陰イオン性および非イオン性界面活性剤が好ましい。
【００９５】
有用な陰イオン性界面活性剤はそれ自体、いくつかの異なるタイプのものであってよい。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、即ち「石鹸」は、本発明の組成物の有用な陰イオン性界面活性剤である。これには、約８〜約２４個、好ましくは約１２〜約１８個の炭素原子を含む高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、およびアルカリアンモニウム塩などのアルカリ金属石鹸が含まれる。石鹸は、脂肪または油脂の直接的な鹸化、または自由脂肪酸の中性化によって作製することができる。特に有用なのは、ココナツ油および硬脂から誘導される脂肪酸混合物のナトリウム塩およびカリウム塩、すなわち、ナトリウムまたはカリウムの硬脂およびヤシ油石鹸である。
【００９６】
本明細書の使用に適したさらなる非石鹸陰イオン性界面活性剤としては、分子構造に約１０〜約２０の炭素原子を含むアルカリ基およびスルホン酸または硫酸エステル基を持つ有機イオウ反応生成物の水溶性塩、好ましくはアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が挙げられる。「アルキル」という用語には、アクリル基のアルキル部分が含まれる）。この合成界面活性剤の群の例としては：ａ）アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、およびアルキル硫酸アンモニウム、特に、硬脂またはヤシ油のグリセリドを低下させることによって産生されたものをはじめとする高級アルコール（Ｃ8−Ｃ18）を硫酸化して得られたもの；ｂ）アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、アルキルポリエトキシレート硫酸カリウム、およびアルキルポリエトキシレート硫酸アンモニウム、特に、アルキル基が１０〜２２個、好ましくは１２〜１８個の炭素原子を含み、ポリエトキシレート鎖が１〜１５、好ましくは１〜６のエトキシレート部分を含むもの；およびｃ）直鎖または分岐鎖の立体配置の中で、アルキル基が約９〜約１５個の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば、米国特許第２，２２０，０９９号および同第２，４７７，３８３号に記載のもの、が挙げられる。特に大切なのは、Ｃ11−Ｃ13 ＬＡＳと略されるアルキル基の炭素原子平均数が約１１〜１３個のリニア直鎖（linear straight-chain）アルキルベンゼンスルホン酸塩である。
【００９７】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式がＲ1（ＯＣ2Ｈ4）nＯＨのものであり、ここでＲ1はＣ10−Ｃ16のアルキル基またはＣ8−Ｃ12のアルキルフェニル基であり、ｎは３〜約８０である。特に好ましいのは、アルコール１モル当たり約５〜約２０モルの酸化エチレンを有するＣ12−Ｃ15のアルコールの縮合生成物、例えばアルコール１モル当たり約６．５モルの酸化エチレンで縮合されたＣ12−Ｃ13のアルコールである。
【００９８】
溶媒系
本組成物の溶媒系は、水だけを含有する溶媒系、または水を含む有機溶媒混合物であってよい。好ましい有機溶媒には、１，２−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレングリコール、メチルプロパンジオール、およびその混合物がある。他の低級アルコール、モノエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどのＣ1−Ｃ4アルカノールアミンも使用することができる。溶媒系は、例えば本開示の無水固体の実施形態には存在しないことも可能であるが、約０．１％〜約９８％、好ましくは少なくとも約１％〜約５０％、より一般的には約５％〜約２５％の範囲のレベルで存在する方が一般的である。
【００９９】
本明細書の組成物は、通常は成分を混合することによって調製することができる。真珠光沢材料を用いる場合は、混合の遅い段階で添加するべきである。レオロジー変性剤を用いる場合は、まずプリミックスを作り、その中の一部の水にレオロジー変性剤および任意で本組成物の構成に用いる他の成分を分散させることが好ましい。このプリミックスは、構造性の液体になるように作ることが好ましい。次に、この構造性のプリミックスに対し、これが撹拌されている間に、界面活性剤（複数可）および基本的な洗濯用添加物質を、水および任意で用いられる洗剤組成物用添加剤と共に添加する。
【０１００】
有用な組成物のｐＨは、約４〜約１２、約５．５〜約９．５、約６〜約８．５、または約６．５〜約８．２であってよい。洗濯用洗剤組成物は、ｐＨが約６〜約１０、約６．５〜約８．５、約７〜約７．５、または約８〜約１０のｐＨであってよい。自動食器洗い機用の組成物は、ｐＨが約８〜約１２であってよい。洗濯用洗剤の添加組成物は、約４〜約８のｐＨであってよい。布地増強剤は、約４〜約８のｐＨであってよい。
【０１０１】
洗剤のｐＨは、２０±２℃における洗剤の１０％（質量／容積）水溶液のｐＨと定義される。固体および粉末洗剤の場合は、これは２０±２℃における該洗剤の１％（質量／容積）水溶液のｐＨと定義される。±０．０１ｐＨまで測定することのできる任意の計器が適している。Ｏｒｉｏｎ計器 (Thermo Scientific, Clintinpark -Keppekouter, Ninovesteenweg 198, 9320 Erembodegem -Aalst, Belgium)または同等物が、許容しうる計器である。ｐＨ計は、カロメルまたは銀／銀塩化物基準のある適切なガラスの電極を備えていなければならない。一例として、Ｍｅｔｔｌｅｒ ＤＢ １１５が挙げられる。この電極は、メーカー推奨の電解質溶液の中に保管すること。
【０１０２】
洗剤の１０％水溶液は、以下の手順で作製する。±０．０２グラムまで正確に測定することのできる天秤を用いて、１０±０．０５グラムの試料をはかる。試料を、１００ｍＬのメスフラスコに移し、精製水（水の伝導率が＜５μＳ／ｃｍであれば、脱イオン水および／または蒸留水が適している）で容積まで希釈し、完全に混合する。結果として生じる溶液の約５０ｍＬをビーカーの中に注ぎ、温度を２０±２℃に調整し、ｐＨ計のメーカーの標準手順に従ってｐＨを測定する（ｐＨアセンブリーの設定および較正にも、メーカーの取扱説明書に従うことがきわめて重要）。
【０１０３】
固形洗剤および粉末洗剤の場合は、以下の手順で洗剤の１％水溶液を調製する。±０．０２グラムまで正確に測定することのできる天秤を用いて、１０±０．０５グラムの試料をはかる。試料を１０００ｍＬのメスフラスコに移し、精製水（水の伝導率が＜５μＳ／ｃｍであれば、脱イオンおよび／または蒸留水が適している）で容積まで希釈し、完全に混合する。結果として生じる溶液の約５０ｍＬをビーカーの中に注ぎ、温度を２０±２℃に調整し、ｐＨ計のメーカーの標準手順に従ってｐＨを測定する（ｐＨアセンブリーの設定および較正にも、メーカーの取扱説明書に従うことがきわめて重要）。
【０１０４】
漂白剤
無機漂白剤および有機漂白剤が、本明細書に用いるのに適した洗浄活性剤である。無機漂白剤には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、および、過ケイ酸塩などの過酸化水素塩が含まれる。無機の過酸化水素塩は、一般にアルカリ金属塩である。無機過酸化水素塩は、さらなる保護のない結晶質固体の形で含まれてよい。あるいは、該塩は、当技術分野で公知のように被覆されてもよい。
【０１０５】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書に記載の洗剤組成物に用いるのには好ましい。該過炭酸塩は、最も好ましくは被覆された形で製品に組み込まれ、製品内部の安定性を提供する。製品内部の安定性を提供する適切な被覆材は、水溶性アルカリ金属硫酸塩と炭酸塩との混合塩を含む。かかる被覆は被覆工程と共に、英国第１，４６６，７９９号および米国特許第３，９７５，２８０号、同第４，０７５，１１６号、および同第５，３４０，４９６号にすでに記載されており、それぞれが参照によって本明細書に組み込まれる。混合塩被覆材の過炭酸塩に対する質量比は、１：９９〜１：９、好ましくは１：４９〜１：１９の範囲にある。好ましくは、該混合塩は硫酸ナトリウム塩および炭酸ナトリウム塩でできており、一般式はＮａ2ＳＯ4＋ｎ＋Ｎａ2ＣＯ3であり、ここで、ｎは０．１〜３、好ましくは０．３〜１．０、さらに好ましくは０．２〜０．５である。製品内部の安定性を提供する別の適切な被覆材は、ＳｉＯ2：Ｎａ2Ｏ比が１．８：１〜３．０：１、好ましくは１．８：１〜２．４：１のケイ酸ナトリウム、および／または、好ましくはペルオキソ一過硫酸カリウムなどの無機過酸化水素化物の２〜１０質量％（通常は３〜５質量％）のＳｉＯ2レベルで適用するメタケイ酸ナトリウムを含む。このほか、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸塩およびホウ酸塩、ケイ酸およびホウ酸、ワックス、油脂、ならびに脂肪性石鹸を含有する他の被覆も、有利に用いることができる。
【０１０６】
有機漂白剤には、ジアシルペルオキシドおよびテトラアシルペルオキシドをはじめとする有機ペルオキシ酸、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、およびジペルオキシヘキサデカン二酸を含むことができる。前記ジアシルペルオキシド、特に過酸化ジベンゾイルは、重量平均径が約０．１〜約１００ミクロン、好ましくは約０．５〜約３０ミクロン、さらに好ましくは約１〜約１０ミクロンの粒子の形で存在することができるのが好ましい。好ましくは少なくとも約２５％〜１００％、さらに好ましくは少なくとも約５０％、さらに一層このましくは少なくとも約７５％、最も好ましくは少なくとも約９０％の粒子が、１０ミクロン未満、好ましくは５ミクロン未満である。
【０１０７】
他の有機漂白剤には、ペルオキシ酸が含まれ、特定の例としてはアルキルペルオキシ酸およびアリールペルオキシ酸が挙げられる。好ましい代表的な例は：（ａ）ペルオキシ安息香酸およびその環置換誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸などであるが、このほかペルオキシ−α−ナフトエ酸およびモノ過フタル酸マグネシウム；（ｂ）脂肪族または置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸（ＰＡＰ）]、ｏ−カルボキシベンゾアミドペルオキシカプロン酸、Ｎ−非エニルアミド過アジピン酸、およびＮ−非エニルアミド過コハク酸；ならびに（ｃ）脂肪族または置換脂肪族ペルオキシ酸、例えば１，１２−ジペルオキシカルボン酸、１，９−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、２−デシルジペルオキシブタン−１，４−ジオン酸，Ｎ，Ｎ−テレフタロイルジ（６−アミノ過カプロン酸）である。
【０１０８】
漂白活性化剤には、温度６０℃以下での洗濯の過程で漂白作用を増大させる有機過酸前駆物質を含めることができる。本明細書での使用に適した漂白活性化剤には、過加水分解条件下で、好ましくは１〜１０個の炭素原子、特に２〜４個の炭素原子、および／または任意で置換過安息香酸を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸を与える化合物が含まれる。適切な物質は、指定数の炭素原子のＯ−アシルおよび／またはＮ−アシル基、および／または任意に置換されたベンゾイル基を有する。優先されるのは、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン（ＴＡＥＤ）、アシル化トリアジン誘導体、特に１，５−ジアセチル−２，４−ジオキソヘキサヒドロ−１，３，５−トリアジン（ＤＡＤＨＴ）、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル（ＴＡＧＵ）、Ｎ−アシルイミド、特にＮ−ノナノイルスクシンイミド（ＮＯＳＩ）、アシル化フェノールスルホン酸、特にｎ−ノナノイル−またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホン酸（ｎ−またはイソ−ＮＯＢＳ）、カルボン酸無水物、特にフタル酸無水物、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテート、および２，５−ジアセトキシ−２，５−ジヒドロフラン、またこのほか、クエン酸トリエチルアセチル（ＴＥＡＣ）である。
【０１０９】
本明細書の洗剤組成物に用いる漂白触媒には、トリアザシクロノナンマンガンおよび関連する錯体（米国第４，２４６，６１２号、米国出願第５，２２７，０８４号）；コバルト、銅、マンガン、および鉄ビピリジルアミンおよび関連する錯体（米国第５，１１４，６１１号）；ならびに８−アザグアニンアセタートコバルト（ＩＩＩ）および関連する錯体（米国第４，８１０，４１０号）が含まれる。本明細書の使用に適した漂白触媒の完全な記述は米国特許第６，５９９，８７１号に見出すことができ、参照によって本明細書に組み込まれる。
【０１１０】
食器洗い用洗剤
芳香族の食器洗い用洗剤に用いる好ましい界面活性剤は、単独または別の成分（例えば、石鹸水サプレッサー）と組み合わせて泡立ちが悪い。本明細書での使用に好ましいのは、低曇点および高曇点の非イオン性界面活性剤およびその混合物、例えば、非イオン性アルコキシ化界面活性剤（特に、Ｃ6−Ｃ18第一アルコールから誘導されるエトキシレート）、エトキシル化−プロポキシル化アルコール（例えば、Ｏｌｉｎ社のＰＯＬＹ−ＴＥＲＧＥＮＴ（登録商標）ＳＬＦ１８）、エポキシキャップ化ポリ（オキシアルキル化）アルコール（例えば、Ｏｌｉｎ社のＰＯＬＹ−ＴＥＲＧＥＮＴ（登録商標） ＳＬＦＩ１８Ｂ：ＷＯ−Ａ第９４／２２８００号を参照されたい）、エーテルキャップ化ポリ（オキシアルキル化）アルコール界面活性剤、および、ＰＬＵＲＯＮＩＣ（登録商標）、ＲＥＶＥＲＳＥＤ ＰＬＵＲＯＮＩＣ（登録商標）、およびＴＥＴＲＯＮＩＣ（登録商標）（ＢＡＳＦ−Ｗｙａｎｄｏｔｔｅ社、ミシガン州、Ｗｙａｎｄｏｔｔｅ）などのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー化合物など；両性界面活性剤、例えば、Ｃ12−Ｃ20アルキルアミン酸化物（本明細書での使用に好ましいアミン酸化物には、ラウリルジメチルアミン酸化物およびヘキサデシルジメチルアミン酸化物が含まれる）、およびＭＩＲＡＮＯＬ（商標）Ｃ２Ｍなどのアルキル両性カルボン酸界面活性剤など；ならびに両性イオン性界面活性剤、例えばベタインおよびスルタイン；ならびにその混合物である。本明細書での使用に適した界面活性剤は、例えば、米国特許出願第３，９２９，６７８号、同第４，２５９，２１７号、欧州特許出願第０４１４５４９号、およびＷＯ出願第９３／０８８７６号、およびＷＯ出願第９３／０８８７４号に開示されている。界面活性剤は、洗剤組成物の約０．２〜約３０質量％、さらに好ましくは約０．５〜約１０質量％、最も好ましくは、約１〜約５質量％のレベルで存在することができる。
【０１１１】
他の添加剤
本明細書での使用に適したビルダーには、クエン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、およびポリリン酸塩、例えばトリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、ならびにナトリウムおよびカリウムの混合トリポリリン酸塩などの水溶性ビルダーがある。
【０１１２】
本明細書に記載の洗剤組成物での使用に適した酵素には、細菌性および真菌性のセルラーゼ、例えばＣＡＲＥＺＹＭＥおよびＣＥＬＬＵＺＹＭＥ（Ｎｏｖｏ Ｎｏｒｄｉｓｋ Ａ／Ｓ）など；ペルオキシダーゼ；リパーゼ、例えばＡＭＡＮＯ−Ｐ（Ａｍａｎｏ Ｐｈａｒｍａｃｅｕｔｉｃａｌ Ｃｏ．）、Ｍ１ ＬＩＰＡＳＥおよびＬＩＰＯＭＡＸ（Ｇｉｓｔ−Ｂｒｏｃａｄｅｓ）、ならびにＬＩＰＯＬＡＳＥおよびＬＩＰＯＬＡＳＥ ＵＬＴＲＡ（Ｎｏｖｏ）など；クチナーゼ；プロテアーゼ、例えばＥＳＰＥＲＡＳＥ、ＡＬＣＡＬＡＳＥ、ＤＵＲＡＺＹＭ、およびＳＡＶＩＮＡＳＥ（Ｎｏｖｏ）、ならびにＭＡＸＡＴＡＳＥ、ＭＡＸＡＣＡＬ、ＰＲＯＰＥＲＡＳＥ、およびＭＡＸＡＰＥＭ（Ｇｉｓｔ−Ｂｒｏｃａｄｅｓ）など；αおよびβアミラーゼ、例えばＰＵＲＡＦＥＣＴＯＸ ＡＭ（Ｇｅｎｅｎｃｏｒ）ならびにＴＥＲＭＡＭＹＬ、ＢＡＮ、ＦＵＮＧＡＭＹＬ、ＤＵＲＡＭＹＬ、およびＮＡＴＡＬＡＳＥ（Ｎｏｖｏ）など；ペクチナーゼ；ならびにその混合物が含まれる。本明細書において、酵素は、好ましくはプリル、グラニュレート、またはコグラニュレートとして、通常は洗浄用組成物の約０．０００１〜約２質量％の範囲の純酵素レベルで添加される。
【０１１３】
本明細書での使用に適した石鹸水サプレッサーには、低曇点の非イオン性界面活性剤が含まれる。本明細書において、「曇点」は、界面活性剤の可溶性が温度の上昇に伴って低下する結果生じる非イオン性界面活性剤の周知の性質であり、第２相の外見が観察できる温度を「曇点」と呼ぶ（Van Nostrand's Scientific Encyclopedia, 4th Ed., p. 366, (1968)を参照されたい）。本明細書において、「低曇点」非イオン性界面活性剤は、曇点が３０℃未満、好ましくは約２０℃未満、一層好ましくは約１０℃未満、および最も好ましくは約７．５℃未満の非イオン性界面活性剤系成分と定義される。低曇点非イオン性界面活性剤としては、非イオン性アルコキシ化界面活性剤、特に第一アルコールから誘導されるエトキシレート、およびポリオキシプロピレン／ポリオキシエチレン／ポリオキシプロピレン（ＰＯ／ＥＯ／ＰＯ）リバースブロックポリマーを挙げることができる。また、このような低曇点非イオン性界面活性剤には、例えばエトキシ化プロポキシ化アルコール（例えば、ＢＡＳＦ Ｐｏｌｙ−Ｔｅｒｇｅｎｔ（登録商標） ＳＬＦ１８）およびエポキシキャップ化ポリ（オキシアルキル化）アルコール（例えば、米国特許出願第５，５７６，２８１号に記載されたＢＡＳＦ Ｐｏｌｙ−Ｔｅｒｇｅｎｔ（登録商標） ＳＬＦ１８Ｂシリーズの非イオン性界面活性剤）も含めることができる。
【０１１４】
本明細書に記載の洗剤組成物に用いるのに適した他の成分には、再沈着防止、防汚、または他の洗浄特性を持つ洗浄ポリマーが含まれる。本明細書の好ましい再沈着防止ポリマーは、ＳＯＫＡＬＡＮ ＰＡ３０、ＰＡ２０、ＰＡ１５、ＰＡ１０、およびＳＯＫＡＬＡＮ ＣＰ１０（ＢＡＳＦ社）、ＡＣＵＳＯＬ ４５Ｎ、４８０Ｎ、４６０Ｎ、（Ｒｏｈｍ ａｎｄ Ｈａａｓ）、アクリル酸／マレイン酸コポリマー、例えばＳＯＫＡＬＡＮ ＣＰ５、ならびにアクリル／メタクリルコポリマーが含まれる。本明細書の好ましい防汚ポリマーには、アルキルおよびヒドロキシアルキルセルロース（米国特許出願第４，０００，０９３号）、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、およびそのコポリマー、ならびにエチレングリコール、プロピレングリコール、およびその混合物を主成分とする非イオン性および陰イオン性ポリマーが含まれる。
【０１１５】
重金属イオン封鎖剤および結晶成長抑制剤も洗剤での使用に適しており、例えば、ジエチレントリアミンペンタ（ホスホン酸メチレン）、エチレンジアミンテトラ（ホスホン酸メチレン）、ヘキサメチレンジアミンテトラ（ホスホン酸メチレン）、ジホスホン酸エチレン、ヒドロキシ−エチレン−１，１−ジホスホン酸塩、ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミノ四酢酸塩、エチレンジアミン−Ｎ，Ｎ’−ジスクシネートの塩および遊離酸の形態のものが挙げられる。
【０１１６】
本明細書に記載の洗剤組成物での使用に適したものは、このほかに腐食防止剤、例えば有機銀被覆剤（特に、Ｗｉｎｔｅｒｓｈａｌｌ（Ｓａｌｚｂｅｒｇｅｎ， Ｇｅｒｍａｎｙ）社販売のＷＩＮＯＧ ７０などのパラフィン）、窒素含有腐食防止剤化合物（例えば、ベンゾトリアゾールおよびベンゾイミダゾール：英国特許出願第１１３７７４１号を参照されたい）および第二マンガン化合物、特に有機配位子の第二マンガン塩である。
【０１１７】
本明細書の他の適切な成分としては、酵素安定剤、例えばカルシウムイオン、ホウ酸、およびプロピレングリコールなどがある。
【０１１８】
適切なすすぎ用添加剤は当技術分野で公知である。市販の食器洗い用すすぎ補助剤は、通常は低発泡性脂肪アルコールポリエチレン／ポリプロピレングリコールエーテル、可溶化剤（例えば、スルホン酸クメン）有機酸（例えば、クエン酸）、および溶媒（例えば、エタノール）の混合物である。このようなすすぎ補助剤の機能は、水の界面張力に影響を及ぼし、すすぎ洗いされる表面から水が凝集した薄膜の形で流れ出るようにして、水滴、水条痕、または水膜がその後の乾燥工程で一切残らないようにすることである。すすぎ補助剤の組成の概観、およびその性能の試験方法については、Ｗ．Ｓｃｈｉｒｍｅｒらが、Ｔｅｎｓ Ｓｕｒｆ．Ｄｅｔ．２８、３１３（１９９１）に紹介している。Ｈｅｎｃｋｅｌが取得した欧州特許第０ １９７ ４３４号は、界面活性剤として混合エーテルを含有するすすぎ補助剤について記述している。織物柔軟剤などのすすぎ洗い用添加剤も意図されており、本明細書に開示されたフィルムへの封入に適している。
【実施例】
【０１１９】
指定された質量パーセントの指定されたポリマーを混合することにより、以下の試料を調製した。ＰＶＯＨポリマーは、例えば、ＫＵＲＡＲＡＹ ＡＭＥＲＩＣＡ， Ｉｎｃ．， Ｈｏｕｓｔｏｎ Ｔｅｘａｓ， ＵＳＡから購入することのできる製品ラインＭＯＷＩＯＬのものが挙げられるが、ポリマー等級の製品番号によって指定されるのが一般的である。例えば、ＰＶＯＨポリマー１３−８８は、規定の公称粘度が約１３ｃＰ、およびビニルアルコール単位に変換された酢酸ビニル単位として表わされる名目上の加水分解度が約８８％の部分的に加水分解されたＭＯＷＩＯＬポリビニルアルコールである。下記に掲載する実施例の形成に用いるＰＶＯＨポリマーは、そのポリマー等級製品番号で指定される。
【０１２０】
本明細書において下記の表２−５に提示される実施例のために、指定のポリマーを可塑剤および他の微量添加剤と共に水中で混合することにより、フィルムを作成した。下記表のＰＶＯＨポリマーの質量パーセントは、ＰＶＯＨ樹脂の質量部で特定する。ＰＶＯＨ樹脂は乾燥質量でフィルム成分の大きな部分を占め（総質量で約６７〜約７５％、平均６９％）、ほかにはグリセリン、プロピレングリコール、およびソルビトールをはじめとする総量約１９〜約２９質量％（平均２４質量％）の可塑剤、および微量（合わせて約３〜８質量％、平均６質量％）の安定剤ならびに粘着防止剤、消泡剤、漂白剤、充填材、および界面活性剤の湿潤剤をはじめとする加工助剤がある。溶液は約７１℃〜約９３℃の温度範囲に維持され、平滑面に熱い溶液を塗布して水分を乾燥させ、Ｋａｒｌ Ｆｉｓｃｈｅｒ滴定による測定で厚さ範囲約６０〜９０μｍ（通常７６μｍ）、残留水分含有量約４〜約１０質量％のフィルムを形成することによって成形された。
【０１２１】
ＰＶＯＨ樹脂溶液を調製している間に、褐変作用が起こる可能性がある。ほとんどの用途では透明無色の水溶性フィルムが望まれるため、ＰＶＯＨ樹脂溶液に適切な漂白剤を添加してもよい。メタ重亜硫酸ナトリウムを約０．０５〜約１．０質量％、または約０．０５〜約０．７質量％、または約０．１〜約０．５質量％、または約０．１〜約０．２質量％の範囲の量で使用すると、溶液の調製中の透明度と無色性が実質的に維持されることが分かっている。
【表２】
パケットタイプ − Ｓ＝単一区画 − Ｍ＝多区画
【表３】
パケットタイプ − Ｓ＝単一区画 − Ｍ＝多区画
【表４】
パケットタイプ − Ｓ＝単一区画 − Ｍ＝多区画
＊作製後３週間のパウチ ＊＊作製後２週間のパウチ
【表５】
パケットタイプ − Ｓ＝単一区画 − Ｍ＝多区画
＊作製後３週間のパウチ ＊＊作製後２週間のパウチ
【０１２２】
さらなる具体的な実施形態には、表６の個々のセルに提示された加水分解度、加重ログ平均粘度、および樹脂選択指数の合計平均が、表６の個々のセルに提示された値となるフィルムが含まれる。
【表６】
【０１２３】
一実施形態では、漂白添加剤が表７の成分を含むことができる。
【表７】
1テトラアセチルエチレンジアミン
【０１２４】
別の実施形態では、顆粒状洗濯洗剤は、表８に掲載の成分を含んでいてもよい。
【表８】
1 ランダムグラフト共重合体は、酢酸ポリビニルをグラフト化したポリエチレンオキシド共重合体であり、ポリエチレンオキシドの主鎖と多数の酢酸ポリビニル側鎖を持つ。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は約６０００であり、酢酸ポリビニルに対するポリエチレンオキシドの質量比は約４０〜６０であり、５０エチレンオキシド単位当たりのグラフト点は１以下である。
【０１２５】
別の実施形態では、液体洗濯洗剤が表９に掲載の成分を含んでいてよい。
【表９】
1 好ましいＬＡＳは、ほかにも約９〜約１５個の炭素原子を含む直鎖状のアルキル基１つを含む。
【０１２６】
別の実施形態では、洗剤は表１０の調合物を含むことができる。
【表１０】
【０１２７】
別の実施形態では、有益剤は表１１の調合物を含むことができる。
【表１１】
1 ジ（アシロキシエチル）（２−ヒドロキシエチル）メチルアンモニウム硫酸メチル、ここで、アシル基は部分的に水素化されたキャノーラ油脂肪酸に由来する。
2 部分的に水素化されたキャノーラ油脂肪酸
3 ２，２，４−トリメチル−１，３−ペンタンジオール
4 ヤシ油脂肪酸のペグ６コカミド−ポリエチレングリコールアミド
5 ヒドロキシエタンジホスホン酸のナトリウム塩
6 メーカーが柔軟作用剤に入れた材料
【０１２８】
別の実施形態では、多区画パウチが複数の有益剤を収容することが可能である。限定されない例を挙げれば、３区画のパウチが表１２ に掲載の調合物を別々の封入容器に収容することができ、１回量はそれぞれの封入容器に入った調合物の量である。
【表１２】
【０１２９】
多区画パウチの例としては、表１３に掲載の調合物を挙げることができる。
【表１３】
1 米国第７１６９７４４号に記載された硫酸モノ−[２−（３，４−ジヒドロ−イソキノリン−２−イル）−１−（２−エチル−ヘキシルオキシメチル）−エチル]エステル
2 ＰＡＰ＝フタロイル−アミノ−ペルオキシカプロン酸、７０％活性ウェットケークとして
3 −ＮＨ当たり２０エトキシレート基のポリエチレンイミン（ＭＷ＝６００）
4 エトキシレート化チオフェン、ＥＯ（Ｒ1＋Ｒ2）＝５
5 ＲＡ＝予備アルカリ度（ＮａＯＨ（ｇ）／用量）
【０１３０】
多区画パウチの別の実施形態では、それぞれの封入容器に液体および固体の有益剤を充填することができる。一つの封入容器に液体を、もう一つの容器に固体を充填する２区画パウチＷ〜Ｚの限定されない例としては、表１４および表１５に掲載の調合物が挙げられる。
【表１４】
1 直鎖Ｃ11-13アルキルベンゼンスルホン酸
2 （ビス(C2H5O)(C2H4O)n)(CH3)-N+-CxH2x-N+- (CH3)-bis((C2H5O)(C2H4O)n)、ここで、ｎ＝１５〜３０、およびｘ＝３〜８
3 ランダムグラフト共重合体は、ポリ酢酸ビニルをグラフト化したポリエチレンオキシド共重合体であり、ポリエチレンオキシドを主鎖とし、複数のポリ酢酸ビニル側鎖を持つ。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は、約６０００であり、ポリ酢酸ビニルに対するポリエチレンオキシドの質量比は約４０〜６０であり、ポリエチレンオキシド５０単位当たりのグラフト点は１以下である。
【表１５】
【０１３１】
上述の説明は明確な理解を目的として記載されたものであり、本開示の範囲内での修正が当業者には明らかであると思われるため、この説明から不必要な制限が了解されてはならない。
【０１３２】
本明細書全体を通じて、組成物が成分または材料を含むものとして記載されているが、別の記載のない限り、該組成物はまた、列挙された成分または材料の任意の組み合わせから基本的に成る、またはこのような組み合わせから成ることも予想されている。本明細書に例証的に開示された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素またはステップが存在しなくても、適切に実施することができると考える。
【０１３３】
本明細書に開示された方法の実施、およびその個々の手順は、手動で、および／または電子装置の補助により、または電子装置が提供する自動化の助けを借りて、実施することができる。特定の実施例を参照しながら工程を説明してきたが、当業者であれば、本方法に伴う行為を実行するために他のやり方も可能であることを、容易に理解されるであろう。例えば、別の記載のない限り、さまざまな手順は、本方法の範囲または精神から逸脱することなく変更することも可能である。加えて、個々の手順のいくつかは、組み合わせたり、省略したり、またはさらに追加の手順に分割することもできる。
【０１３４】
開示の態様
本開示の第１の態様は、少なくとも５０質量％の水溶性ポリビニルアルコール（ＰＶＯＨ）樹脂を含む水溶性フィルムであり、
該樹脂は、２０℃の４質量％水溶液として、平均粘度が最低でも約１３．５ｃＰ、１４ｃＰ、１５ｃＰ、１６ｃＰ、または１７ｃＰ、かつ最高でも約２０ｃＰ、１９ｃＰ、１８ｃＰ、１７．５ｃＰ、例えば、約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１４ｃＰ〜約１９ｃＰ、または約１６ｃＰ〜約１８ｃＰ、または約１７ｃＰ〜約１７．５ｃＰの範囲であり；
そして、加水分解度が最低でも８４％または８５％、かつ最高でも約９２％、９０％、８９％、８８％、または８７％、例えば、約８４％〜約９０％、または８５％〜８８％の範囲、または８６．５％であり；
該樹脂はさらに、平均粘度が約１１ｃＰ未満、多分散指数が約１．８〜２．３の範囲であるＰＶＯＨポリマーを、３０質量％以下しか持たない。
【０１３５】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は少なくとも２種類のＰＶＯＨポリマーを含むことができ、
第１のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも約８ｃＰ、１０ｃＰ、１２ｃＰ、または１３ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、２０ｃＰ、１５ｃＰ、または１３ｃＰ、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰ、または約１２ｃＰ〜約１４ｃＰの範囲、または１３ｃＰであり；そして
第２のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも約１０ｃＰ、２０ｃＰ、または２２ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、３０ｃＰ、２５ｃＰ、または２４ｃＰ、例えば、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または２０〜約３０ｃＰ、または約２０〜約２５ｃＰ、または約２２〜約２４の範囲、または約２３ｃＰであり；
第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より低い。
【０１３６】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、多分散指数（ＰＤＩ）値が約１〜約５の範囲である第１のＰＶＯＨポリマーと、ＰＤＩ値が約１〜約５の範囲である第２のＰＶＯＨポリマーとを有し、それぞれのＰＶＯＨポリマーが、約１．５〜約３、または約１．７〜約２．２の範囲のＰＤＩ値を持ち得る。
【０１３７】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、第１のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％、そして第２のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％、例えば、第１のＰＶＯＨポリマーを約３０〜約８５質量％、または第１のＰＶＯＨポリマーを約４５〜約５５質量％含み得る。
【０１３８】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、総ＰＶＯＨ樹脂分は、約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０を超えるＰＤＩ値を持ち得る。例えば、総樹脂量のＰＤＩ値は、該樹脂に含まれるいずれの個々のＰＶＯＨポリマーのＰＤＩ値よりも大きいものであり得る。
【０１３９】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、第１のＰＶＯＨポリマーは、重量平均分子量
【化１３】
が約５０，０００〜約３００，０００ドルトンまたは約６０，０００〜約１５０，０００ドルトンの範囲であり得、かつ第２のＰＶＯＨポリマーは、
【化１４】
が約６０，０００〜約３００，０００ドルトンまたは約８０，０００〜約２５０，０００ドルトンの範囲であり得る。任意で、第２のＰＶＯＨポリマーは第１のＰＶＯＨポリマーより大きい
【化１５】
を持ち得、さらに任意で、樹脂は、
【化１６】
が約７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーを約３０質量％以下しか持ち得ない。
【０１４０】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムはさらに、可塑剤を含み得る。
【０１４１】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、少なくとも４質量％、例えば約４〜約１０質量％の範囲の残留湿分を持ち得る。
【０１４２】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が約６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％であることを特徴とし得る。
【０１４３】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、洗濯残渣値が最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０であることを特徴とし得る。
【０１４４】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【０１４５】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であり得る。
【０１４６】
本開示の第２の態様は、以下のものを含む水溶性フィルムである：
約４〜約１０質量％の水；
少なくとも５０質量％のＰＶＯＨ樹脂；
該樹脂は、第１および第２のＰＶＯＨポリマーのブレンド材を含み、
第１のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも８ｃＰまたは１０ｃＰ、最高でも４０ｃＰ、２０ｃＰ，または１５ｃＰ、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰの範囲であり；かつ
第２のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも１０ｃＰまたは２０ｃＰ、最高でも４０ｃＰ、３０ｃＰ、または２５ｃＰ、例えば、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約２０ｃＰ〜約３０ｃＰ、または約２０ｃＰ〜約２５ｃＰの範囲であり；
第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より低く；
該樹脂は、平均粘度が約１１ｃＰ未満、かつ多分散指数が約１．８〜約２．３の範囲のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない。
【０１４７】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、任意で約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰの粘度平均と、さらに任意で、最低でも８４％または８５％、最高でも約９２％、９０％、８９％、８８％、または８７％、例えば約８４％〜約９０％または８５％〜８８％の範囲、または８６．５％の加水分解度とを持つ。
【０１４８】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、多分散指数（ＰＤＩ）値が約１〜約５の範囲の第１のＰＶＯＨポリマーと、ＰＤＩ値が約１〜約５の範囲の第２のＰＶＯＨポリマーとを含むことができ、それぞれのＰＤＯＨポリマーは、約１．５〜約３または約１．７〜約２．２の範囲のＰＤＩ値を持ち得る。
【０１４９】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、第１のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％、および第２のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７６、８０、８５、９０質量％、例えば、第１のＰＶＯＨポリマーを約３０〜約８５質量％または約４５〜約５５質量％含むことができる。
【０１５０】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、総ＰＶＯＨ樹脂分は、約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０のＰＤＩ値を持つことができ、例えば、総樹脂分のＰＤＩ値は、該樹脂に含まれる個々のＰＶＯＨポリマーのいずれのＰＤＩ値よりも大きくてよい。
【０１５１】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、第１のＰＶＯＨポリマーは、重量平均分子量が約５０，０００〜約３００，０００ドルトンまたは約６０，０００〜約１５０，０００ドルトンの範囲であってよく；かつ第２のＰＶＯＨポリマーは、
【化１７】
が約６０，０００〜約３００，０００ドルトンまたは約８０，０００〜約２５０，０００ドルトンの範囲であってよく；第２のポリビニルアルコールポリマーは、第１のポリビニルアルコールポリマーより
【化１８】
が大きく；そして任意で、樹脂は、
【化１９】
が約７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか持たない。
【０１５２】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、最高でも約６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％の水滴耐性値を特徴とし得る。
【０１５３】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０の洗濯残渣値を特徴とし得る。
【０１５４】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、さらに可塑剤を含み得る。
【０１５５】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【０１５６】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であり得る。
【０１５７】
本開示の第３の態様は、約１０質量％の水と、少なくとも５０質量％のＰＶＯＨ樹脂と、任意で可塑剤とを含む水溶性フィルムであり；
該樹脂は、約５０，０００〜約３００，０００ドルトンの範囲の
【化２０】
と、
約８４％〜約９２％、９０％、または約８５％〜約８８％の範囲の加水分解度とを持ち；
該樹脂はさらに、
【化２１】
が約７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか持たない。
【０１５８】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は任意で、約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰの範囲の粘度平均を持つことができ、かつ、樹脂はさらに任意で、平均粘度が１１ｃＰ未満、かつ多分散指数が約１．８〜約２．３の範囲のＰＶＯＨポリマーを以下しか持つことができない。
【０１５９】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、少なくとも２種類のＰＶＯＨポリマーを含むことができ、
第１のＰＶＯＨポリマーは、最低でも約８ｃＰ、１０ｃＰ、１２ｃＰ、または１３ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、２０ｃＰ、１５ｃＰ、または１３ｃＰ、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、約１０ｃＰ〜約１５ｃＰ、または約１２ｃＰ〜約１４ｃＰの範囲、または１３ｃＰの粘度を持ち；そして
第２のＰＶＯＨポリマーは、最低でも約１０ｃＰ、２０ｃＰ、または２２ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、３０ｃＰ、２５ｃＰ、または２４ｃＰ、例えば、約２２〜約２４、または約２３ｃＰの粘度を持ち；
第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より低い。
【０１６０】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、多分散指数（ＰＤＩ）の値が約１〜約５の範囲の第１のＰＶＯＨポリマーと；ＰＤＩ値が約１〜約５の範囲の第２のＰＶＯＨポリマーとを含むことができ；それぞれのＰＶＯＨポリマーが、約１．５〜約３、または約１．７〜約２．２の範囲のＰＤＩ値を持ち得る。
【０１６１】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％の第１のＰＶＯＨポリマー、および約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％の第２のＰＶＯＨポリマー、例えば、約３０〜約８５質量％の第１のＰＶＯＨポリマー、または、約４５〜約５５質量％の第１のＰＶＯＨポリマーを含むことができる。
【０１６２】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、総ＰＶＯＨ樹脂分は、約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０より大きいＰＤＩ値を持つことができ、例えば、該総樹脂分のＰＤＩ値は、該樹脂に含まれる個々のＰＶＯＨポリマーのいずれのＰＤＩ値より大きいものであり得る。
【０１６３】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が最高でも約６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％であることを特徴とし得る。
【０１６４】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、洗濯残渣値が最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは最高でも約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０であることを特徴とし得る。
【０１６５】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【０１６６】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であり得る。
【０１６７】
本開示の第４の態様は、樹脂選択指数の値が０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であるＰＶＯＨ樹脂を、少なくとも５０質量％含む水溶性フィルムである。
【０１６８】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、任意で約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰの範囲の粘度平均と、さらに任意で、最低でも８４％〜８５％、かつ最高でも約９２％、９０％、８９％、８８％、または８７％、例えば、約８４％〜約９０％、または８５％〜８８％の範囲、または８６．５％の加水分解度を持ち得る。
【０１６９】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、少なくとも２種類のＰＶＯＨポリマーを含むことができ、
第１のＰＶＯＨポリマーは、最低でも約８ｃＰ、１０ｃＰ、１２ｃＰ、または１３ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、２０ｃＰ、１５ｃＰ、または１３ｃＰ、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰまたは約１２ｃＰ〜約１４ｃＰの範囲、または１３ｃＰの粘度を持ち；そして
第２のＰＶＯＨポリマーは、最低でも約１０ｃＰ、２０ｃＰ、または２２ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、３０ｃＰ、２５ｃＰ、または２４ｃＰ、例えば、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または２０ｃＰ〜約３０ｃＰ、または約２０ｃＰ〜約２５ｃＰ、または約２２ｃＰ〜２４ｃＰの範囲、または約２３ｃＰの粘度を持ち；
第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より低い。
【０１７０】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、約１〜約５の範囲の多分散指数（ＰＤＩ）値をもつ第１のＰＶＯＨポリマーと、約１〜約５の範囲のＰＤＩ値を持つ第２のＰＶＯＨポリマーとを含むことができ、かつそれぞれのＰＶＯＨポリマーは、約１．５〜約３、または約１．７〜約２．２の範囲のＰＤＩ値を持ち得る。
【０１７１】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、第１のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％、および第２のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％含むことができ、例えば、第１のポリマーを約３０〜約８５質量％、または第１のポリマーを約４５〜約５５質量％含み得る。
【０１７２】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、総ＰＶＯＨ樹脂分は、約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０より大きいＰＤＩ値を持つことができ、例えば、総樹脂分のＰＤＩ値は、樹脂に含まれる個々のＰＶＯＨポリマーのいずれのＰＤＩ値よりも大きいものであり得る。
【０１７３】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、第１のＰＶＯＨポリマーは、約５０，０００〜約３００，０００ドルトン、または約６０，０００〜１５０，０００ドルトンの範囲の重量平均分子量
【化２２】
を持つことができ、かつ第２のＰＶＯＨポリマーは、約６０，０００〜約３００，０００ドルトン、または約８０，０００〜約２５０，０００ドルトンの範囲の
【化２３】
を持つことができ、第２のポリビニルアルコールポリマーは、第１のポリビニルアルコールポリマーより大きい
【化２４】
を持ち、任意で、樹脂は、約７０，０００ドルトン以下の
【化２５】
を持つＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか持たない。
【０１７４】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、さらに可塑剤を含むことができる。
【０１７５】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、約４〜約１０質量％の残留水分を持ち得る。
【０１７６】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が最高でも約６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％であることを特徴とすることができる。
【０１７７】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは、最高でも約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０であることを特徴とすることができる。
【０１７８】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【０１７９】
本開示の第５の態様は、約４〜約１０質量％の水と、少なくとも５０質量％のＰＶＯＨ樹脂と、任意で可塑剤とを持つ水溶性フィルムの作製方法であり、該方法は、ＰＶＯＨ樹脂からフィルムを成形することを含み、該樹脂は、粘度平均が約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰの範囲であり、加水分解度が最低でも８４％または８５％、かつ最高でも約９２％、９０％、８９％、８８％、または８７％、例えば、約８４％〜約９０％または８５％〜８８％の範囲、または８６．５％であり、該樹脂はさらに、約１１ｃＰより低い平均粘度と、約１．８〜約２．３の範囲の多分散指数とを持つＰＶＯＨポリマーを、３０質量％以下しか持たない。
【０１８０】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、少なくとも２種類のＰＶＯＨポリマーを含み、
第１のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも８ｃＰ、１０ｃＰ、１２ｃＰ、または１３ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、２０ｃＰ、１５ｃＰ、または１３ｃＰであり、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰ、または約１２ｃＰ〜約１４ｃＰの範囲、または１３ｃＰであり；そして
第２のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも約１０ｃＰ、２０ｃＰ，または２２ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、３０ｃＰ、２５ｃＰ，または２４ｃＰであり、例えば、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または２０〜約３０ｃＰ、または約２０〜約２５ｃＰ、または約２２〜約２４の範囲、または２３ｃＰであり；
第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のポリマーの粘度より低い。
【０１８１】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、前記方法は、第１のＰＶＯＨポリマーと第２のＰＶＯＨポリマーとを混合し、共成形し、または溶接してＰＶＯＨ樹脂を形成することを含み得る。
【０１８２】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、前記樹脂は、多分散指数（ＰＤＩ）値が約１〜約５の範囲第１のＰＶＯＨポリマーと、ＰＤＩ値が約１〜約５の範囲である第２のＰＶＯＨポリマーを含むことができ、それぞれのＰＶＯＨ樹脂は、ＰＣＩ値が約１．５〜約３、または約１．７〜約２．２の範囲であり得る。
【０１８３】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、前記樹氏は、約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％の第１のＰＶＯＨポリマーと、約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％の第２のＰＶＯＨポリマーを含むことができ、例えば、約３０〜約８５質量％の第１のＰＶＯＨポリマー、または、約４５〜約５５質量％の第１のＰＶＯＨポリマーを含み得る。
【０１８４】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、総ＰＶＯＨ樹脂分は、約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０より大きいＰＤＩ値を持つことができ、例えば、総樹脂分のＰＤＩ値は、樹脂に含まれる個々のＰＶＯＨポリマーのいずれのＰＤＩ値よりも大きいものであり得る。
【０１８５】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、第１のＰＶＯＨポリマーは、約５０，０００〜約３００，０００ドルトン、または約６０，０００〜１５０，０００ドルトンの範囲の重量平均分子量
【化２６】
を持つことができ、かつ第２のＰＶＯＨポリマーは、約６０，０００〜約３００，０００ドルトン、または約８０，０００〜約２５０，０００ドルトンの範囲の
【化２７】
を持つことができ、第２のポリビニルアルコールポリマーは、第１のポリビニルアルコールポリマーより大きい
【化２８】
を持つことができ、そして任意で、前記樹脂は、
【化２９】
が約７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーを、約３０質量％以下しか持たない。
【０１８６】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が最高でも約６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％であることを特徴とする。
【０１８７】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、洗濯残渣値が最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは、最高でも約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０であることを特徴とする。
【０１８８】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【０１８９】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であり得る。
【０１９０】
本開示の第６の態様は、本明細書の例えば第１から第５の態様のいずれか１つ以上に記述されたＰＶＯＨフィルムを含む、密封可能なパケットまたはパウチである。
【０１９１】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、ＰＶＯＨフィルムは、パウチまたはパケットの外壁として配置される。
【０１９２】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、パウチまたはパケットは、単一の密封された、または密封可能な区画、または複数の密封された、または密封可能な区画を含むことができ、任意で、本開示のＰＶＯＨフィルムを含むパウチまたはパケット全体の外壁を伴い、さらに任意で、同じく本開示のＰＶＯＨフィルムを含む少なくとも１つの外壁を伴う。パウチまたはパケットの１つ以上の外壁を形成するＰＶＯＨフィルム（単数または複数）は、多区画パウチまたはパケットの１つ以上の内壁を形成するフィルム（単数または複数）と同じであっても異なってもよく、任意で同じである。
【０１９３】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、ＰＶＯＨフィルムの中のＰＶＯＨ樹脂の樹脂選択指数値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲である。
【０１９４】
第６の態様の一実施形態において、パウチは、第１および第２の密封された区画を含む。第２の区画は、第１の密封された区画と概して重なった関係にあるため、第２の密封された区画と第１の密封された区画とは、パウチの内側にある仕切り壁を共有している。
【０１９５】
第６の態様の一実施形態において、第１および第２の区画を含むパウチは、さらに第３の密封された区画を含む。第３の密封された区画は、第１の密封された区画と概して重なった関係にあるため、第３の密封された区画と第１の密封された区画とは、パウチの内側にある仕切り壁を共有している。
【０１９６】
第６の態様による一部の実施形態では、第１の組成物および第２の組成物は、次の組み合わせの１つから選択される：液体、液体；液体、粉末；粉末、粉末；および粉末、液体。
【０１９７】
第６の態様による一部の実施形態では、第１、第２、および第３の組成物は、次の組み合わせの１つから選択される：固体、液体、液体、および液体、液体、液体。
【０１９８】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、単一の区画または複数の密封された区画は、組成物を含む。該複数の区画は、それぞれ同じまたは異なる組成物を含んでよい。組成物は、液体、固体、またはその組み合わせから選択される。
【０１９９】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、組成物は、液体軽質および液体重質の液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い用および／または機械洗い用の食器洗い洗剤；硬表面洗浄組成物、織物増強剤、洗濯によく用いられる洗剤ゲル、ならびに漂白剤および洗濯用添加剤、シャンプー、およびボディーソープの群から選択される。
【０２００】
本明細書で言及されたすべての特許、刊行物、および参考文献は、参照によって本明細書に完全に組み入れられる。本開示と組み入れられた特許、刊行物、および参考文献との間に不一致がある場合は、本開示が支配する。
【技術分野】
【０００１】
関連出願への相互参照
いずれも２０１０年１月２９日に出願された米国特許仮出願第６１／２９９，８３６号および第６１／２９９，８３４号に対する優先権の利益が主張されており、それぞれが参照により全体として本明細書中に組み込まれる。
【０００２】
本開示は、一般には、液体との接触に用いられる水溶性フィルム、該フィルムの製作方法、該フィルムで作られ、洗剤などの有効成分を任意に充填して一定用量のパウチにしたパケットおよびパウチに関する。さらに具体的には、本開示は、改良された湿潤取扱適性、改良された冷水溶解度、および適切な加工性を併せ持つ上記のようなフィルム、パケット、およびパウチに関する。
【背景技術】
【０００３】
水溶性ポリマーフィルムは、送達する材料の分散、流し込み、溶解、および計量供給を簡略にするための包装材としてよく用いられる。例えば、水溶性フィルムで作られたパケットは、例えば洗濯または食器洗い用の洗剤を入れたパウチなど、家事用組成物の包装によく用いられる。消費者は、バケツ、シンク、または洗濯機などの撹拌槽に、パウチを直接添加することができる。都合の良いことに、これが正確な計量供給を提供するとともに、消費者の組成物計量の手間を省く。また、パウチは、例えば瓶から液状洗剤を注ぐ際など、同様の組成物を容器から分注する際に起こりがちな散乱も少なくする可能性がある。要するに、予め計量した薬剤を入れた可溶性ポリマーフィルムのパケットは、さまざまな用途での消費者の利便性を提供する。
【０００４】
パケットの製作に用いられる水溶性ポリマーフィルムのあるものは、洗濯サイクルの間に溶解し、洗濯中の洗濯物にフィルムの残渣を残す。このような問題は、例えばパウチが冷水中、例えば５℃程度の冷水中で用いられる場合のような応力条件下の洗濯に用いられる場合に特に起こりやすいと思われる。とりわけ、環境問題とエネルギー経費が、消費者の欲求を冷たい水での洗濯へと駆り立てている。
【０００５】
あるいは、冷水中で完全に溶解する水溶性ポリマーフィルムは、消費者市場向けにパウチを製造するには水分と湿気に対して敏感すぎる可能性もある。例えば、ぬれた手でパウチを扱ったことによる高度の湿気または水滴によって、可溶性パケットがくっつき合い、および／またはパケットを通して溶け出し、パウチの中身が漏れる原因となることもある。
【０００６】
ポリビニルアルコール系ポリマーを含む一部のフィルムで製作されたパケットは、上述の問題にある程度うまく対処することができた。しかしながら、一部のポリビニルポリマーフィルムの冷水溶解度は、特定の洗剤組成物と接触したときに低下する可能性がある。理論に縛られるわけではなく、フィルムとパウチ内の組成物との間の化学的な相互作用によって、フィルムの可溶度が低下すると考えられている。そのため、パケットが古くなるにつれて、冷水による洗濯サイクルの間に溶解しきれずに、洗濯中の洗濯ものにフィルムの残滓が残る可能性がある。
【０００７】
ポリビニルアルコール系ポリマー以外のポリマーを含む水溶性フィルムで作られたパケットは、上述の問題にそれぞれうまく対処できない可能性がある。例えば、デンプンおよび／またはセルロース誘導体を含む高分子フィルムは、良好な水滴耐性を提供する可能性がある。しかし、良好な冷水溶解度を得るには、このようなフィルムをきわめて薄くする必要があるため、加工性に係る性質を含めて、その機械的性質が損なわれる可能性がある。また、デンプンおよび／またはセルロース誘導体を含むフィルムは、同じような厚さのポリビニルアルコール系ポリマーを含むフィルムと比べて機械的な伸縮性または伸びに欠けることを考えると、加工しやすいとはとても言えない。
【０００８】
現在のところ、上に述べた３つの状況で十分な性能を発揮する市販のフィルムはない。そのため、十分な冷水溶解度、水滴耐性、および、十分な加工性を含むがこれに限定されない機械的性質という所望の特性を有する水溶性フィルムを含むパケットが、依然として必要とされる。
【発明の概要】
【０００９】
本開示の第１の態様は、水溶性のポリビニルアルコール（ＰＶＯＨ）樹脂を５０質量％以上含む水溶性フィルムであり、該樹脂は、２０℃での４質量％水溶液として、平均粘度が最低でも約１３．５ｃＰ、１４ｃＰ、１５ｃＰ、１６ｃＰ、または１７ｃＰ、および最高でも約２０ｃＰ、１９ｃＰ、１８ｃＰ、１７．５ｃＰ、例えば約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１４ｃＰ〜約１９ｃＰ、または約１６ｃＰ〜約１８ｃＰ、または約１７ｃＰ〜約１７．５ｃＰの範囲であり；ならびに、加水分解度が最低でも８４％または８５％、および最高でも約９０％、８９％、８８％、または８７％、例えば約８４％〜約９０％、または８５％〜８８％、または８６．５％の範囲であり；さらに、該樹脂は、平均粘度が約１１ｃＰ未満、多分散性指数が約１．８〜約２．３の範囲のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない。
【００１０】
本開示の第２の態様は、水を約４〜約１０質量％、ＰＶＯＨ樹脂を少なくとも５０質量％含む水溶性フィルムであり、該樹脂は第１および第２のＰＶＯＨポリマーの混合材を含み、第１のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも８ｃＰまたは１０ｃＰであり、かつ最高でも４０ｃＰ、２０ｃＰ、または１５ｃＰであり、例えば約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰの範囲であり；かつ第２のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも１０ｃＰまたは２０ｃＰであり、かつ最高でも４０ｃＰ、３０ｃＰ、または２５ｃＰであり、例えば約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約２０ｃＰ〜約３０ｃＰ、または約２０ｃＰ〜約２５ｃＰの範囲であり；第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は第２のＰＶＯＨポリマーの粘度よりも低く、そして該樹脂は、平均粘度が約１１ｃＰ未満、多分散性指数が約１．８〜約２．３の範囲のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない。
【００１１】
本開示の第３の態様は、水を約４〜約１０質量％、ＰＶＯＨ樹脂を最低でも５０質量％、および任意で可塑剤を含む水溶性フィルムであり、該樹脂は、
【化１】
が 約５０，０００〜約３００，０００ドルトンの範囲であり、かつ加水分解度が約８４％〜約９０％または約８５％〜約８８％の範囲であり；該樹脂はさらに、
【化２】
が約７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない。
【００１２】
本開示の第４の態様は、樹脂選択指数の値が０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００であるＰＶＯＨ樹脂を最低でも５０質量％含む水溶性フィルムである。
【００１３】
本開示の第５の態様は、水を約４〜約１０質量％、ＰＶＯＨ樹脂を最低でも５０質量％、および任意で可塑剤を有する水溶性フィルムの製作方法であり、該方法はＰＶＯＨ樹脂からフィルムを形成することを含み、該ＰＶＯＨ樹脂は、平均粘度が約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰであり、加水分解度が最低でも８４％または８５％、最高でも約９２％、８９％、８８％、または８７％、例えば約８４％〜約９０％、８５％〜８８％、または８６．５％の範囲であり、該樹脂はさらに、平均粘度が１１ｃＰ未満、多分散性指数が約１．８〜約２．３の範囲のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない。
【００１４】
本開示の第６の態様は、本明細書の、例えば第１から第５までの態様のいずれか１つ以上の態様に記載のＰＶＯＨフィルムを含む、密封可能パウチまたはパケットである。
【００１５】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、ＰＶＯＨフィルムはパウチまたはパケットの外壁として配置される。
【００１６】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、パウチまたはパケットは、単一の密封区画もしくは密封可能区画、または複数の密封区画もしくは密封可能区画を含んでもよく、任意で本開示のＰＶＯＨフィルムを含むパウチまたはパケット全体の外壁（複数）と、さらに任意で同じくＰＶＯＨフィルムを含む少なくとも１つの内壁とを備えてもよい。パウチまたはパケットの１つ以上の外壁を形成するＰＶＯＨフィルム（複数可）は、多区画のパウチまたはパケットの１つ以上の内壁を形成するフィルム（複数可）と同じでも異なってもよく、任意で同じである。
【００１７】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、ＰＶＯＨフィルム中のＰＶＯＨ樹脂の樹脂選択指数の値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であってよい。
【００１８】
第６の態様の一実施形態において、前記パウチは第１および第２の密封区画を含む。第２の区画は、第１の区画とは一般に重畳関係にあるため、第２の密封区画および第１の密封区画はパウチ内部の隔壁を共有する。
【００１９】
第６の態様の一実施形態において、第１および第２の区画を含むパウチは、第３の密封区画をさらに含む。該第３の密封区画は、第１の密封区画とは一般に重畳関係にあるため、第３の密封区画と第１の密封区画とはパウチ内部の隔壁を共有する。
【００２０】
第６の態様による一部の実施形態において、第１の組成物および第２の組成物は、液体および粉末から個別に選択される。例えば、該実施形態は以下の組み合わせを含むことが可能である：液体、液体；液体、粉末；粉末、粉末；および粉末、液体。
【００２１】
第６の態様によるいくつかの実施形態において、第１、第２、および第３の組成物は、それぞれ液体および粉末から個別に選択される。例えば、該実施形態は以下の組み合わせを含むことが可能である：固体、液体、液体；固体、固体、液体；および液体、液体、液体。
【００２２】
第６の態様の実施形態のうちいずれか１つにおいて、前記単一区画または複数の密封区画には、組成物が入っている。該複数の区画には、それぞれ同じまたは異なる組成物が入っている。該組成物は、液体、固体、またはその組み合わせから選択される。本明細書において、「液体」には、ペースト、液体、ゲル、発砲体、またはムースが含まれる。液体の限定されない例としては、軽質または重質の液状洗剤組成物、布地増強剤、硬表面洗浄用組成物、洗濯および食器洗いによく用いられるゲル洗剤、漂白および洗濯用添加剤、シャンプー、ボディーソープ、および他のパーソナルケア用組成物が含まれる。気体、例えば懸濁気泡、または固体、例えば粒子が、液体内部に含まれてもよい。本明細書において、「個体」には、粉末、集塊、またはその混合物が含まれる。固体の限定されない例としては、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、およびパールボール（pearlised ball）が挙げられる。固体、例えば固形組成物は、洗浄面の有益性、前処理面の有益性、および／または美的な効果を提供する可能性があるが、これに限定されるものではない。
【００２３】
第６の態様の実施形態のうちいずれか１つにおいて、組成物は、液体軽質または液体重質の液状洗剤組成物、粉末状洗剤組成物、手洗いおよび／または機械洗い用の食器洗い洗剤；硬表面洗浄用組成物、布地増強剤、洗濯によく用いられるゲル洗剤、ならびに漂白剤および洗濯用添加剤、シャンプーおよびボディーソープなどのパーソナルケア用組成物の群から選択することができる。
【００２４】
以下の詳細な説明を図面と併せて概観すれば、当業者にはさらなる態様および利点が明らかとなるであろう。本明細書に記載の組成物、フィルム、パウチ、およびパケットには、さまざまな形の実施形態が可能ではあるが、本開示が実例を示すためのものであり、本発明を本明細書に記述された具体的な実施形態に限定することを目的とするものではないということを了解したうえで、これ以降の説明では具体的な実施形態を述べる。
【００２５】
具体的な成分、その組成範囲、置換基、条件、および方法手順などの任意の特徴は、本明細書に提供されたさまざまな実施例から選択することができる。
本発明の理解をさらに容易にするため８つの作図が本明細書に添付されており、ここで、図１〜８はそれぞれ洗濯残渣等級０〜７の例を示している。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】等級０：残渣なし
【図２】等級１：それぞれ直径２ｃｍまでの小さく広がった汚点が最大３箇所まで。汚点は平らで透明。
【図３】等級２：直径２ｃｍの小さい汚点が４か所以上。パケット全体が平らで透明なフィルムに覆われるまで。
【図４】等級３：直径１〜２ｃｍの不透明な残渣（濃縮されたＰＶＯＨフィルム）
【図５】等級４：直径３〜４ｃｍの不透明な残渣（濃縮されたＰＶＯＨフィルム）
【図６】等級５：直径４〜６ｃｍの厚い残渣（＋／−半分のパケットは溶けていない。
【図７】等級６：直径６ｃｍ未満の濃縮された柔らかいＰＶＯＨ残渣の塊。パケットの半分以上が溶解していない。
【図８】等級７：パケット全体が溶解していない。ＰＶＯＨは柔らかい。
【発明を実施するための形態】
【００２７】
本明細書において、「質量％（wt.%）」および「質量％（wt%）」という用語は、別の指定のない限り、同定された要素のフィルム全体に対する組成を乾燥質量部で表わしたもの（適用できる場合）、または、パウチ内に封入された組成物全体に対する質量部で表わしたものである（適用できる場合）。
【００２８】
別の指定のない限り、測定はすべて２５℃で実施した。別の指定のない限り、掲載された成分に係わる質量はすべて活性レベルに基づくものであるため、市販の材料に含まれている可能性のある担体または副産物を含まない。
【００２９】
フィルムの一般的な説明
本明細書に記載の実施形態が対処する一つの問題は、水中ですぐに溶け、残留湿気に対して十分な耐性を示し、加工性のあるフィルムを提供することである。高分子量ＰＶＯＨポリマーは、残留湿気耐性が比較的良好であるものの、水溶性が低く、熱成形が難しいが、これはＰＶＯＨポリマーの温度感度に起因する面がある。低分子量ＰＶＯＨポリマーは、冷水溶解度が良好であるが、残留湿気に対する反応性が高くて商業環境または消費者環境では機能せず、熱成形が難しいが、これは液体またはゲルを充填した場合のpin holdingおよびそれに続く浸透に起因する面がある。本明細書に記載するのは、問題となる３つの点すべてを思いがけなく解決するＰＶＯＨポリマー系および関連するフィルムである。
【００３０】
前記フィルム、該フィルムを用いて製作したパケット、および関連する方法には、別の記載のない限り、以下においてさらに記述する任意の付加的な要素、特徴、および手順の１つ以上の任意の組み合わせを含む実施形態が含まれることが意図されている。
【００３１】
本明細書において、「含む（comprising）」という用語は、記載されたもの以外にも、別の薬剤、要素、手順、または特徴が含まれる可能性があることを示している。
【００３２】
本明細書において、パケット（複数可）およびパウチ（複数可）という用語は置き換え可能と考えなければならない。ある特定の実施形態において、パケット（複数可）およびパウチ（複数可）という用語は、それぞれ、前記フィルムを用いて製作された容器、および好ましくは中に材料を入れて密封した、例えば一定用量送達システムのような形の密封容器を指すために用いられる。該密封パウチは、ヒートシール、溶媒接着、および接着密封（例えば、水溶性接着剤を用いて）などのプロセスおよび特徴を含む任意の適切な方法で製作することができる。
【００３３】
ＰＶＯＨ樹脂組成物
本明細書に記載のフィルム形成組成物は、１つ以上のＰＶＯＨポリマーを含み、フィルムのＰＶＯＨ樹脂分を構成する。本明細書の教示によって、１つまたは複数のＰＶＯＨポリマーを選択またはブレンドし、水溶液中で溶解可能なフィルムなどの物品を創作することができる。このような水溶性フィルムは、洗濯用洗剤組成物の中に見出されるような洗浄活性剤またはリンス添加剤を遅延放出するための密封パウチの創作に有用性を見出すことができる。
【００３４】
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルの通常は加水分解または鹸化と呼ばれるアルコーリシスによって調製されるのが一般的な合成樹脂である。実質的にすべてのアセテート基がアルコール基に転換されて完全に加水分解されたＰＶＯＨは、強い水素結合で結ばれた高結晶質ポリマーであり、約１４０°Ｆ（約６０℃）を超える熱水の中でのみ溶解する。ポリ酢酸ビニルの加水分解後に十分な数のアセテート基が残留している場合、つまり、ＰＶＯＨの加水分解が部分的である場合は、ポリマーの水素結合が弱くなり、結晶性が低くなり、一般に約５０°Ｆ（約１０℃）の冷水に溶解する。そのようなものとして、部分的に加水分解されたＰＶＯＨポリマーはビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、つまりＰＶＯＨコポリマーである。そのため、上述の組成物には、水溶性の部分的に加水分解されたＰＶＯＨが１以上用いられる。
【００３５】
フィルムの総ＰＶＯＨ樹脂分の加水分解度は、最低でも８０％、８４％、または８５％、そして最高でも９２％、８９％、８８％、または８７％、例えば、約８４％〜約９０％、または８５％〜８８％の範囲、または８６．５％であってよい。本明細書において、加水分解度は、ビニルアルコール単位に変換された酢酸ビニル単位の百分率として表される。
【００３６】
ＰＶＯＨポリマーの粘度（μ）は、調整したばかりの溶液を、Ｂｒｉｔｉｓｈ Ｓｔａｎｄａｒｄ ＥＮ ＩＳＯ １５０２３−２：２００６ Ａｎｎｅｘ Ｅ Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ Ｔｅｓｔ Ｍｅｔｈｏｄに記載のＵＶアダプター付Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ＬＶ型粘度計を用いて測定することによって決定する。２０℃での４％ポリビニルアルコール水溶液の粘度を記載するのが国際慣行である。別の指定のない限り、本明細書にｃＰで指定された粘度はすべて、２０℃での４％ポリビニルアルコール水溶液の粘度を表わすと理解しなければならない。同様に、ある樹脂が特定の粘度を有する（または有さない）と記載されている場合は、別の指定のない限り、指定された粘度が、対応する分子量分布を本質的に有する該樹脂の平均粘度である。ＰＶＯＨ樹脂に応じて、該樹脂の多分散指数（ＰＤＩ）は約１．５〜約５、またはそれを超える範囲であってもよい。市販ＰＶＯＨポリマーのＰＤＩは通常約１．８〜約２．３の範囲であり、一般的な市販ＰＶＯＨポリマーは、１．７まで低く、２．９まで高いＰＤＩを有してもよい。このような市販ＰＶＯＨポリマーは、指定された公称粘度および指定された加水分解度に基づいて区別するのが一般的であり、例えば、ＭＯＷＩＯＬ １３−８８は、指定された公称粘度が１３ｃＰ、指定された加水分解度が８８％である。
【００３７】
ＰＶＯＨ樹脂は、平均粘度が最低でも約１３．５ｃＰ、１４ｃＰ、１５ｃＰ、１６ｃＰ、または１７ｃＰ、そして最高でも約２０ｃＰ、１９ｃＰ、１８ｃＰ、１７．５ｃＰ、例えば、約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１４ｃＰ〜約１９ｃＰ、または約１６ｃＰ〜約１８ｃＰ、または約１７ｃＰ〜約１７．５ｃＰの範囲であってよい。ＰＶＯＨポリマーの粘度が同じＰＶＯＨポリマーの重量平均分子量
【化３】
と相関していることは、当技術分野では周知であり、粘度は
【化４】
の代用としてよく用いられる。従って、本明細書に開示される水溶性フィルムの性能または特性にＰＶＯＨ樹脂の粘度変化が及ぼす影響に関する本開示の教示は、同じ特性にＰＶＯＨ樹脂の
【化５】
の変化が及ぼす影響にも相応に適応される。
【００３８】
通常、市販されるＰＶＯＨポリマーの多分散指数（ＰＤＩ）値は約１．８〜約２．２である。本明細書で用いる総ＰＶＯＨ樹脂分は、最低でも１．３、１．５、１．８、２、２．５、３、かつ最高でも６、５．５、５、４．５、４、３．５、例えば、約１〜約５、または約２〜約４．５の範囲、または最低でも２．５、または最低でも３、または約２．５〜約４の範囲であってよい。
【００３９】
ＰＶＯＨポリマーの混合物
ＰＶＯＨ樹脂はＰＶＯＨポリマーの混合物を含むこともできる。例えば、ＰＶＯＨ樹脂は少なくとも２種類のＰＶＯＨポリマーを含み、本明細書においては、第１のＰＶＯＨポリマーの粘度が第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より少なくてもよい。第１のＰＶＯＨポリマーの粘度が、最低でも約８ｃＰ、１０ｃＰ、１２ｃＰ、または１３ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、２０ｃＰ、１５ｃＰ、または１３ｃＰであってよく、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰ、または約１２ｃＰ〜約１４ｃＰの範囲、または１３ｃＰであってもよい。また、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度が、最低でも約１０ｃＰ、２０ｃＰ、または２２ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、３０ｃＰ、２５ｃＰ、または２４ｃＰであってよく、例えば、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または２０〜約３０ｃＰ、または約２０〜約２５ｃＰ、または約２２〜約２４の範囲、または２３ｃＰであってもよい。
【００４０】
ＰＶＯＨ樹脂の加水分解度が本明細書に記載の範囲内である限り、個々のＰＶＯＨポリマーは任意の適切な加水分解度であってよい。
【００４１】
ＰＶＯＨ樹脂は、
【化６】
が約５０，０００〜約３００，０００ドルトンまたは約６０，０００〜約１５０，０００ドルトンの範囲にある第１のＰＶＯＨポリマー、および
【化７】
が約６０，０００〜約３００，０００ドルトン、または約８０，０００〜２５０，０００ドルトンの範囲にある第２のＰＶＯＨポリマーを、追加または代替で任意に含んでもよい。
【００４２】
ＰＶＯＨ樹脂は、粘度が約１０〜約４０ＣＰの範囲であり、かつ加水分解度が約８４％〜約９２％の範囲である１以上のさらなるＰＶＯＨポリマーを、さらに含んでもよい。
【００４３】
ＰＶＯＨ樹脂に含まれる第１のＰＶＯＨポリマーの平均粘度が約１１ｃＰ未満、かつ多分散指数が約１．８〜約２．３の範囲である場合に、一つの種類の実施形態では、ＰＶＯＨ樹脂が含有する第１のＰＶＯＨポリマーは約３０質量％未満である。同様に、ＰＶＯＨ樹脂に含まれる第１のＰＶＯＨポリマーの平均粘度が約１１ｃＰ未満、かつ多分散指数が約１．８〜約２．３の範囲である場合に、別の非排他的な種類の実施形態では、ＰＶＯＨ樹脂が含有する
【化８】
が７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーは、約３０質量％未満である。
【００４４】
ＰＶＯＨ樹脂は、本明細書に記載のフィルムの総ＰＶＯＨ樹脂分のうち、第１のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％、そして第２のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％含むことができ、例えば、第１のＰＶＯＨポリマーを約３０〜約８５質量％、または、第１のＰＶＯＨポリマーを約４５〜５５質量％含むことができる。例えば、ＰＶＯＨ樹脂はそれぞれのＰＶＯＨポリマーを約５０質量％ずつ含有することができ、ここで、第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は約１３ｃＰであり、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度は約２３ｃＰである。
【００４５】
一つの種類の実施形態は、粘度が約１０〜約１５ｃＰの範囲であり、加水分解度が約８４％〜約９２％の範囲である第１のＰＶＯＨポリマーを約４０〜約８５質量％含むＰＶＯＨ樹脂を特徴とする。別の種類の実施形態は、粘度が約１０〜約１５ｃＰの範囲であり、加水分解度が約８４％〜約９２％の範囲である第１のＰＶＯＨポリマーを約４５〜約５５質量％含むＰＶＯＨ樹脂を特徴とする。ＰＶＯＨ樹脂は、粘度が約２０〜約２５ｃＰの範囲であり、加水分解度が約８４％〜約９２％の範囲である第２のＰＶＯＨポリマーを約１５〜約６０質量％含むことができる。企図される１つのクラスの実施形態は、第２のＰＶＯＨポリマーを約４５〜約５５％含むＰＶＯＨ樹脂を特徴とする。
【００４６】
ＰＶＯＨ樹脂に複数のＰＶＯＨポリマーが含まれる場合は、ＰＶＯＨ樹脂のＰＤＩ値が、含まれるいずれのＰＶＯＨポリマーのＰＤＩ値よりも大きい。任意で、ＰＶＯＨ樹脂のＰＤＩ値は、２．２、２．３、２．４、２．５、２．６、２．７、２．８、２．９、３．０、３．１、３．２、３．３、３．４、３．５、３．６、３．７、３．８、３．９、４．０、４．５、または５．０である。
【００４７】
フィルムの組成
水溶性フィルムは、最低でも約５０質量％、５５質量％、６０質量％、６５質量％、７０質量％、７５質量％、８０質量％、８５質量％、９０質量％のＰＶＯＨ樹脂を含有することができる。
【００４８】
ＰＶＯＨ樹脂の選択に当たっては、ＰＤＩ値が約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０のＰＶＯＨ樹脂を選ぶことが望ましい；例えば、ＰＶＯＨ樹脂のＰＤＩ値は、該樹脂に含まれるいずれのＰＶＯＨポリマーのＰＤＩ値よりも大きくてよい。
【００４９】
また、加重平均加水分解度
【化９】
が 約８０〜約９２％、または約８３〜約９０％、または約８５〜約８９％であるＰＶＯＨ樹脂を選ぶことが望ましい。例えば、２以上のＰＶＯＨポリマーを含むＰＶＯＨ樹脂の
【化１０】
は、
【数１】
の式で算出し、ここで、Ｗi はそれぞれのＰＶＯＨポリマーの質量パーセントであり、Ｈi はそれぞれの加水分解度である。
【００５０】
さらに、加重対数平均粘度
【化１１】
が約１０〜約２５、または約１２〜約２２、または約１３．５〜約２０であるＰＶＯＨ樹脂を選ぶのが望ましい。２以上のＰＶＯＨポリマーを含むＰＶＯＨ樹脂の
【化１２】
は、
【数２】
の式によって算出し、ここで，μiはそれぞれのＰＶＯＨポリマーの粘度である。
【００５１】
さらにまた、Ｒｅｓｉｎ Ｓｅｌｅｃｔｉｏｎ Ｉｎｄｅｘ（ＲＳＩ）（樹脂選択指数）が０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７５〜０．２９５の範囲であるＰＶＯＨ樹脂を選ぶのが望ましい。ＲＳＩは、
【数３】
の式によって算出し、ここで、μtは１７であり、μiはそれぞれのＰＶＯＨポリマーの各平均粘度であり、そしてＷiはそれぞれのＰＶＯＨポリマーの質量パーセントである。
【００５２】
任意で、水溶性フィルムは１層または類似の複数の層から成る独立したフィルムである。水溶性フィルムはさらに任意で、基本的にＰＶＯＨ樹脂ならびに本明細書に記載の可塑剤および添加剤から成ってもよく、かつ溶解度、熱成形性能、または可溶度と熱成形性能との両方に影響を及ぼすような他のフィルム層から、基本的に自由であってもよい。
【００５３】
フィルムのＰＶＯＨ樹脂部分は、基本的にＰＶＯＨポリマーから成る（つまり、例えば、製造される重合製品に存在する不純物を含む可能性がある）か、または完全にＰＶＯＨポリマーから成る。水溶性フィルムはまた、ＰＶＯＨ樹脂に加えてフィルム形成ポリマーも含むことができる。このような添加ポリマーは、フィルムの総質量に基づいて、約０．１〜約４０％、または約１〜３０％の質量パーセントでフィルムに存在することができる。限定されない例としては、デンプン、セルロース系材料、スルホポリエステル、およびその混合物が挙げられる。さらなる限定されない例としては：ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸および塩、ポリアミノ酸もしくはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸／アクリル酸の共重合体、デンプンおよびゼラチンをはじめとする多糖類、キサンタンなどの天然ゴム、およびカラゲーナンが挙げられる。
【００５４】
水溶性フィルムは、可塑剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、抗酸化剤、粘着防止剤（detackifying agent）、消泡剤、層状ケイ酸塩型ナノ粘土などのナノ粒子（例えば、ナトリウムモンモリロナイト）、漂白剤（例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、他）、および他の機能性成分などであるがこれに限定されない他の補助剤および加工剤を、意図されるその目的に適した量で含有することができる。可塑剤を含む実施形態が好ましい。かかる薬剤の量は、個別にまたは合わせて、約５０質量％まで、約２０質量％まで、または１５質量％まで、または約１０質量％まで、または約５質量％まで、例えば４質量％までであってもよい。
【００５５】
可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、４００ＭＷまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、２−メチル−１，３−プロパンジオール、エタノールアミン、およびその混合物が挙げられるが、これに限定はされない。好ましい可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、２−メチル−１，３−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、またはその組み合わせである。可塑剤の総量は、約１０質量％〜約４０質量％、または約１５質量％〜約３５質量％、または約２０質量％〜約３０質量％の範囲、例えば約２５質量％であってよい。グリセリン、プロピレングリコール、およびソルビトールの組み合わせを用いることもできる。任意で、グリセリンを約５質量％〜約３０質量％、または５質量％〜約２０質量％、例えば１３質量％の量で用いることもできる。任意で、プロピレングリコールを約１質量％〜約２０質量％、または約３質量％〜約１０質量％、例えば６質量％の量で用いることもできる。任意で、ソルビトールを約１質量％〜２０質量％、または約２質量％〜約１０質量％、例えば約５質量％の量で用いることもできる。
【００５６】
適切な界面活性剤としては、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、および両性イオン性のクラスを挙げることができる。好ましくは、界面活性剤は、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、および両性イオン性のクラス、またはその組み合わせである。適切な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三アセチレングリコール、およびアルカノールアミド（非イオン性）、ポリオキシエチレン化アミン、第四アンモニウム塩、および第四（quarternized）ポリオキシエチレン化アミン（陽イオン性）、およびアミンオキシド、Ｎ−アルキルベタイン、およびスルホベタイン（両性イオン性）があるが、これに限定はされない。好ましい界面活性剤は、アルコールエトキシレート、第四アンモニウム塩、およびアミンオキシドである。一つの種類の実施形態では、水溶性フィルムの中の界面活性剤の量は、約１．０質量％〜２．５質量％の範囲であり、任意で約１．０質量％〜２。０質量％である。
【００５７】
適切な潤滑剤／剥離剤には、脂肪酸およびその塩、脂肪アルコール、脂肪エステル、脂肪アミン、脂肪アミンアセテート、および脂肪アミドを挙げることができるが、これに限定はされない。好ましい潤滑剤／剥離剤は、脂肪酸、脂肪酸塩、および脂肪アミンアセテートである。一つの種類の実施形態では、水溶性フィルムの中の潤滑剤／剥離剤 の量は、約０．０２質量％〜約１．５質量％の範囲、任意で約０．１質量％〜約１質量％である。
【００５８】
適切な充填剤／増量剤／ブロッキング防止剤／粘着防止剤には、デンプン、化工デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶性セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、および雲母が含まれるが、これに限定はされない。好ましい材料は、デンプン、化工デンプンおよびシリカである。一つの種類の実施形態では、水溶性フィルムの中の充填剤／増量剤／ブロッキング防止剤／粘着防止剤 の量は、約０．１質量％〜約２５質量％、または約１質量％〜約１０質量％、または約２質量％〜約８質量％、または約３質量％〜約５質量％の範囲である。デンプンが存在しない場合は、適切な充填剤／増量剤／ブロッキング防止剤／粘着防止剤の好ましい一つの範囲は、約１質量％〜約６質量％、または約１質量％〜約４質量％、または約１質量％〜約２．５質量％である。
【００５９】
適切な消泡剤には、ポリジメチルシロキサンと炭化水素とのブレンド材があるが、これに限定はされない。一つの種類の実施形態では、水溶性フィルムの中の消泡剤の量は、約０．００１質量％〜約１．０質量％、または約０．１質量％〜０．７５質量％、または約０．１質量％〜約０．６質量％、または約０．４質量％〜約０．５質量％の範囲である。
【００６０】
水溶性フィルムはさらに、カールフィッシャー滴定で測定した残留湿気量が、最低でも４質量％、例えば約４〜約１０質量％の範囲であってよい。
【００６１】
フィルムの特性
予定される実施形態の一クラスは、本明細書に記載の水溶性フィルムが本明細書に記載の水滴耐性試験（Water-Drop Resistance Test ）および本明細書に記載の洗濯残渣試験（Wash-Residue Test）に合格することを特徴とし、好ましくは両方の試験に合格する。予定される実施形態の別のクラスは、本明細書の記載に従って製作される水溶性フィルムの熱成形性が良好であることを特徴とする。熱成形フィルムとは、熱および力の適用によって成形できるものを指す。好ましくは、該フィルムは水滴耐性試験および洗濯残渣試験に合格し、かつ熱成形することが可能である。
【００６２】
洗濯残渣試験は、水溶性ポリマーを冷水洗濯サイクルにかけた後の残留ポリマーを、定性的に測定する。具体的には、厚さ７６μｍのＰＶＯＨフィルム０．７ｇを約６０×６０ｍｍの大きさの単一区画のパウチに熱成形し、以下を含む試験溶液約３７．５ｍｌ／３８ｇを該パウチに充填する：
あるいは、厚さ７６μｍのＰＶＯＨフィルム０．６ｇを、約４４×４４ｍｍの大きさの３つの区画（compartments）のパウチに熱成形し、第１の区画には１７．５ｍｌ／１８ｇの試験溶液を、第２および第３の区画には１．５ｍｌ／１．５ｇの試験溶液を充填する。次に、密封したパケットを黒いベルベットの袋（２３．５ｃｍ×４７ｃｍの綿７２％／黒ベルベット２８％、好ましくは、ＤＥＮＨＯＬＭＥ ＶＥＬＶＥＴＳ， Ｈａｌｉｆａｘ Ｒｏａｄ， Ｄｅｎｈｏｌｍｅ， Ｗｅｓｔ Ｙｏｒｋｓｈｉｒｅ， Ｅｎｇｌａｎｄが製造し、ＥＱＵＥＳＴ Ｕ．Ｋ．が提供するＭｏｄａｌベルベット）に入れ、バッグの開け口の全長をプラスチック糸で縫い合わせて保護する。次に、密封されたベルベットの袋を洗濯機（好ましくは、ＭＩＥＬＥ洗濯機のＷ４６７型を水温制御装置に接続したもの）の底に配置する。機械間の変動を克服するため、好ましくは、各試験に機械を４台使用し、各機械に水溶性ポリマーの試料を４個ずつ、それぞれベルベットの袋に入れて保護したものを入れる。機械の中での袋の位置決めによる影響を排除するため、袋は各機械内のさまざまな相対位置で機械の底に並べて配置する。次に、バラストの洗濯物を追加せずに、始発水温が５℃±１℃（水温制御システムが制御）の「ウールサイクル／冷水」の設定で洗濯サイクルを予約する。洗濯サイクルの終了後、１５分のうちに、袋を機械から除去し、開いて、採点しなければならない。
【００６３】
採点は、洗濯後に袋の中／外側に残る残渣を目視で観察することによって行う。定性的尺度は、０（残渣なし）から７（ポリマーフィルムが全部袋の中に残っている）までである。フィルムは、最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは、最高でも約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０の洗濯残渣値で特性化することができる。試験回数１６回に対する平均残渣等級が４．５未満、好ましくは３未満であれば、水溶性フィルムは洗濯残渣試験に合格する。洗濯残渣値の判定には、以下の尺度、および対応する写真（図１〜８を参照されたい）が用いられた：
【００６４】
水滴耐性試験は、例えば１０分間などの設定された時間にわたって水（aqueous water）と接触した直後でも損なわれない水溶性ポリマーフィルムの能力を測定する。この試験は、厚さ３ミル（７６μｍ）の水溶性フィルムを熱成形して作る厚さ２ミル（５１μｍ）のパケット内に、試験溶液を封入することによって作製される熱成形パウチに対して実施される。代表的な測定結果を得るためには５０パウチが好ましく、また試験運転間のばらつきを最小限にするためには、温度と湿度が制御された室内（約２１℃、相対湿度（ＲＨ）：４０〜６０％）で試験を実行することが好ましい。標準のフィルムから開始めるために、パウチを３５±０．５℃、４５％ＲＨで５日間調整しなければならない。非変形の第１のフィルムおよび熱成形された第２のフィルム（例えば、当技術分野で公知の、例えば米国特許出願公開第２００５／０１８３３９４Ａ１号）で作られたパウチを、非変形フィルムを上にして配置する。これらのパウチをトレーの上に置き、２１℃、４０〜６０％ＲＨで２４時間調整する。下の変形したフィルムが上になるように裏返した後、パウチを再び２１℃／４０〜６０％ＲＨで少なくとも１５分間調整する。この事前調整によって、パウチは周囲条件と平衡をとることができ、テスト結果のばらつきを防ぐことができる。次に、パウチ底部中央の下に、２μＬの水（ＣＯＮＴＲＥＸ Ｎａｔｕｒａｌ Ｍｉｎｅｒａｌ Ｗａｔｅｒを脱イオン水で１０倍に希釈し、約２１℃まで平衡化したもの）をマイクロピペットで置く。１０分間の後、パウチを静かに持ち上げて液漏れを調べることにより、パウチの点検をする。試験の結果は、１０分後に液漏れのあったパウチの割合として得られる。水溶性フィルムが水滴耐性試験に合格するのは、本明細書に記載の水溶性ポリマーフィルムでできたパウチのうち、液漏れの認められたものが６０％未満であった場合である。好ましいフィルムは、最高でも６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％の水滴耐性値によって特徴づけることができる。
【００６５】
フィルムの熱成形は、フィルムを加熱し、型に入れて成形した後そのままさますプロセスであり、こうすればフィルムは型の形状を保持する。熱成形は、次のプロセスのうち任意の１以上を用いて実施することができる：熱で柔らかくしたフィルムを手で型全体にかぶせる工程、または柔らかくしたフィルムを型に合わせて圧力誘導により成形する工程（例えば、真空成型）、または押出成形されたばかりで温度が正確に分かるシートを成形トリミング場に自動高速割出しする工程、またはフィルムの自動配置、プラグおよび／または空気圧による延伸および加圧成形。フィルムの延伸の程度は、面積延伸倍率によって定義され、これはポケット（またはキャビティ）の表面積を成形前のフィルムの表面積で割ったものである。面積延伸倍率（areal depth of drawとも呼ばれる）は、Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ ｏｆ Ｔｈｅｒｍｏｆｏｒｍｉｎｇ、Ｊａｍｅｓ Ｌ． Ｔｈｒｏｎｅ、Ｈａｎｓｅｒ 出版（１９９６）、第７章４節、４８８〜４９４ページ（ＩＳＢＮ３−４４６−１７８１２−０）に記述された方法に従って算出することができる。本明細書の熱成形フィルムに関して、面積延伸倍率は１．０５〜２．７の間であってよく、好ましくは１．２〜２．３の範囲、最も好ましくは１．３〜２．０の範囲である。
【００６６】
本明細書に記載のフィルムは、好ましくは熱成形が可能である。本明細書において、熱成形工程後に得られた成型フィルムのピンホール試験の結果が、２％未満、好ましくは１％未満、さらに好ましくは０．５％未満であれば、フィルムは熱成形可能である（熱成形加工試験（Ｔｈｅｒｍｏｆｏｒｍｉｎｇ Ｃｏｎｖｅｒｔｉｎｇ Ｔｅｓｔ）に合格）。任意で、熱成形工程後に得られる成形フィルムの加圧ピンホール試験の結果は、４%未満、好ましくは２％未満、さらに好ましくは１％未満であってよい。
【００６７】
ピンホール試験は、出発厚さが２５〜１５０μｍの範囲、好ましくは５０〜１００μｍの範囲、最も好ましくは６０〜９０μｍの範囲のフィルムに対して実施することができる。フィルムの厚さは、当業者に公知の任意の技術を用いて測定することができる。例えば、電子膜厚計Ｔｈｗｉｎｇ−Ａｌｂｅｒｔモデル８９−１００（Ｔｈｗｉｎｇ−Ａｌｂｅｒｔ；１４Ｗ． Ｃｏｌｌｉｎｇｓ Ａｖｅｎｕｅ，Ｗｅｓｔ Ｂｅｒｌｉｎ ＮＪ ０８０９１ ＵＳＡ）を用いれば得ることができる。厚さを測定する前の少なくとも２４時間は、２２±５℃および相対湿度４０±２０％でフイルムの状態を調整する必要がある。幅６０ｍｍで長さ６０ｍｍのフィルム１シートが得られ、また２５の測定結果が得られる（シート全体にわたって間隔をあけて配置）。従って、厚さは２５の測定結果の平均値＋／−標準偏差である。
【００６８】
ピンホール試験および加圧ピンホール試験は、少なくともパウチの片面として熱成形フィルムを含むパウチの液漏れのパーセンテージを測定する。試験の試料の作成は、ＰＶＯＨフィルムから水溶性の容器を作成する手順を含み、これは、ＰＶＯＨフィルムを熱成形してポケットにし、該ポケットに組成物を充填し、充填したポケットの上に第２のフィルムを重ね、そしてこの２枚のフィルムを合わせて密封することによって実施される。密封は、任意の適切な方法で実施することができる。例えば、密封は、本明細書に組み込まれるＷＯ第０２／１６２０５号の開示に従って実施することができる。ここでは、２２±５℃および４４±２０％ＲＨの大気条件で、厚さ７６μｍ±４μｍのフィルムを１０５±１５℃で熱成形して面積延伸倍率２．０の空洞にし、最小厚さ３０μｍ±５μｍの熱成形フィルムを形成する。次に、表１の材料を含む試験溶液を熱成形フィルムに充填し、密封してパウチにする。
【表１】
【００６９】
次に、パウチを２２±５℃および４０±２０ＲＨで２４時間、熱成形フィルムが吸収紙に接触するようにして個別に吸収紙の上に置く。２４時間後、（封鎖部または密封の工程でできた欠陥を通した液漏れに対して）フィルムの熱成形部分に液漏れが起きたパウチの全数を数える。次に、ピンホールのあるパウチの割合を、（（液漏れパウチの数）／パウチの全数）＊１００％で決定する。好ましくは、約５００のパウチを製造し、試験する。特に、密封パウチに圧力をかけるとピンホールの発見が容易になる。そのために、加圧ピンホール試験では、ピンホール試験と同じ手順のほかに、パウチを吸収紙の上に置いた後でパウチの上に重り（約０．１Ｎ／ｃｍ2）を置く工程が加わる。
【００７０】
フィルムの作製方法
予定される一つのクラスの実施形態は、例えば、第１のＰＶＯＨポリマーと第２のポリマーとを混合し、一体共成形し、溶接することによって水溶性フィルムを形成することを特徴とする。このポリマーをまず混合すると、好ましくは結果として生じる混合剤を溶接することによって水溶性フィルムができる。ポリマーを溶接すると、例えば溶剤溶接または熱溶接によって水溶性フィルムを作ることができる。
【００７１】
フィルムは、洗浄用作用物質を含む洗剤組成物を入れるためのパケットを作り、それによりパウチを成形するのに有用である。洗浄用作用物質は、粉末、ゲル、ペースト、液体、錠剤、またはその任意の組み合わせなどの任意の形態であってよい。フィルムはまた、向上した湿潤取扱(wet handling)と少ない冷水残渣が所望される他の任意の用途にも有用である。フィルムは、パウチおよび／またはパケットの少なくとも１つの側壁、任意でパウチおよび／またはパケット全体、を形成し、好ましくは、前記少なくとも１つの側壁の外表面を形成する。
【００７２】
本明細書に記載のフィルムはまた、同一のフィルム、または他の高分子材料との組み合わせで作られた２つ以上の区画のあるパケットの作製にも用いることができる。さらなるフィルムは、例えば、当技術分野で公知の同じまたは異なる高分子材料を、一体成形、ブロー成形、押出成形、またはブロー押出成形することによって得ることができる。一つの種類の実施形態では、前記さらなるフィルムとしての使用に適したポリマー、コポリマー、またはその誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸および塩、ポリアミノ酸もしくはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸／アクリル酸の共重合体、デンプンおよびゼラチンをはじめとする多糖類、キサンタンなどの天然ゴム、ならびにカラゲーナンから選択される。例えば、ポリマーは、ポリアクリレートおよび水溶性アクリレート重合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ならびにその組み合わせから、または、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール重合体およびヒドロキシプロピルメチルセルロース（ＨＰＭＣ）、ならびにその組み合わせから選択することができる。予定される一つのクラスの実施形態は、パケットの材料、例えば上述のＰＶＯＨ樹脂の中のポリマーのレベルが少なくとも６０％であることを特徴とする。
【００７３】
パウチ
本開示のパウチは、少なくとも１つの密封区画を含む。従って、パウチは単一の区画または複数の区画を含むことができる。複数の区画を含む実施形態では、それぞれの区画には、同一の組成物および／または異なる組成物が入っていてよい。また、組成物は液体、固体、およびその組み合わせ（例えば、液体に懸濁された固体）をはじめとする任意の適切な形態をとることができるが、これに限定はされない。一部の実施形態では、パウチには第１、第２、および第３の区画が含まれ、その一つ一つにそれぞれ異なる第１、第２、および第３の組成物が入っている。一部の実施形態では、該組成物は、欧州特許出願第０９１６１６９２．０号（２００９年６月２日に出願され、Ｐｒｏｃｔｏｒ ＆ Ｇａｍｂｌｅ社に譲渡）に記載される通り、実質的に異なっている。
【００７４】
多区画パウチの区画は、大きさおよび／または容積が同じでも異なってもよい。本多区画パウチの区画は分離されていてもよく、または任意の適切な様式で連接されていてもよい。一部の実施形態では、第２および／または第３および／またはそれに続く区画が、第１の区画の上に重なっている。一実施形態では、第３の区画を第２の区画の上に重ね、これをさらに第１の区画に重ねてサンドイッチ構造にすることができる。あるいは、第２および第３の区画を第１の区画の上に重ねることもできる。しかし、第１、第２、および任意で第３およびそれに続く区画が、横並びの関係で互いに結合していてもよい。区画を一列に包装し、パーフォレーションラインで個別に分離できるようにしてもよい。従って、エンドユーザーが、例えばある区画の組成物を用いて布地の前処理や後処理をするために、一列に並んだ残りの区画から各区画を個別に引き離すこともできる。
【００７５】
一部の実施形態では、多区画パウチは、大きい第１の区画およびそれより小さい２つの区画から成る３つの区画を含む。第２および第３の小さめの区画は、第１の大きい区画の上に重ねられる。区画の大きさおよび幾何構造は、この並べ方を達成できるように選択される。区画の幾何構造は、同じでも異なってもよい。一部の実施形態では、第２および任意で第３の区画は、それぞれ第１の区画とは異なる幾何構造および形状を有する。これらの実施形態では、第２および任意で第３の区画は、デザインとして第１の区画の上に配置される。該デザインは、装飾的、教育的、または例示的、例えば概念または指示を例示するもの、および／または製品の由来を示すために用いられるものであってよい。一部の実施形態では、第１の区画は、周長にわたって密封された２つの大きな面を備えた最も大きい区画であり、そして第２の区画はこれより小さく、第１の区画の一つの面の表面積の約７５％未満、または約５０%未満を覆っている。第３の区画が存在する実施形態では、上述の構造は同じであってよいが、第２および第３の区画は第１の区画の一つの面の表面積の約６０％未満、または５０％未満、または４５％未満を覆っている。
【００７６】
本開示のパウチおよび／またはパケットは、１または複数の異なるフィルムを含んでよい。例えば、単一区画の実施形態では、パケットが１つの壁でできており、それ自体の上に折りたたまれて端部が密封されているか、またはその代わりに、２つの壁でできており、端部を合わせて密封してあってよい。多区画の実施形態では、パケットが１枚または複数のフィルムでできており、ある任意のパケット区画が、単一のフィルム、または異なる組成物を有する複数のフィルムで作られた壁（複数）を備えていてよい。一実施形態では、多区画パウチが少なくとも３つの壁を含む：外側上方壁；外側下方壁；および隔壁である。外側上方壁および外側下方壁は、通常対抗しており、パウチの外部を形成する。隔壁はパウチの内部にあり、通常対抗する外壁の密封線に沿って固定されている。該隔壁は、多区画パウチの内部を少なくとも第１の区画と第２の区画とに分ける。
【００７７】
パウチおよびパケットは、任意の適切な設備および方法を用いて作製することができる。例えば、単一区画パウチは、当技術分野で一般に公知の垂直形式充填技術、水平形式充填技術、またはロータリードラム充填技術を用いて作ってもよい。このような工程は、連続的か断続的かのいずれかである。フィルムを湿らせ、および／または加熱して、 その展性を向上させることもできる。この方法はまた、適切な型にフィルムを引き寄せるための真空の使用も伴ってよい。型にフィルムを引き寄せるための真空は、フィルムが表面の水平な部分に置かれてから、約０．２〜約５秒間、または約０．３〜約３、または約０．５〜約１．５秒間適用することができる。この真空は、１０ミリバール〜１０００ミリバールの範囲、または１００ミリバールから６００ミリバールの範囲の負圧（under-pressure）を提供するものであってよい。
【００７８】
パケットを製作するための型は、パウチに必要な寸法に応じて、任意の形状、長さ、幅、および深さであってよい。型はまた、所望であれば、サイズおよび形状も１個１個異なるものであってよい。例えば、最終のパウチの容積は、約５ｍｌ〜約３００ｍｌ、または約１０〜１５０ｍｌ、または約２０〜約１００ｍｌであってよく、型のサイズがそれに応じて調製される。
【００７９】
成形（shaping）および熱成形
フィルムには、通常は熱成形として知られる工程で熱を適用することができる。熱は、任意の適切な手段を用いて適用してよい。例えば、フィルムは、表面上に供給する前に、または表面上に載せてすぐに、加熱エレメントの下または熱気の中を通すことによって直接加熱してもよい。あるいは、表面を加熱するか、またはフィルム上に熱いアイテムを適用することによって、間接的に加熱してもよい。一部の実施態様では、フィルムは赤外線を用いて加熱する。フィルムは、約５０〜約１５０℃、または約５０〜約１２０℃、約６０〜約１３０℃、約７０〜約１２０℃、または約６０〜９０℃の温度まで加熱してよい。あるいは、フィルムは、任意の適切な方法で、例えば表面上にフィルムを供給する前かまたはフィルムを載せた直後に湿潤剤（水、フィルム組成物の溶液、フィルム組成物用の可塑剤、または以上のものの任意の組み合わせを含む）をフィルムにスプレーすることによって直接的に、または表面を湿潤化するかもしくは湿潤なアイテムをフィルムに適用することによって間接的に、湿潤化することができる。
【００８０】
フィルムがいったん加熱および／または湿潤化された時点で、好ましくは真空を用いて適当な型にフィルムを引き込んでよい。成形フィルムの充填は、任意の適切な手段を利用して実行することができる。一部の実施形態では、最も好ましい方法は、製品の形態および所要の充填速度によって異なる。一部の実施形態では、フィルムはインライン充填技術で充填される。充填後の開いたパケットは、次に第２のフィルムを用いて任意の適切な方法で閉じ、パウチを成形する。これは、横向姿勢の間に連続した均一の運動で実行してよい。 閉鎖は、開いたパケット上の全体にわたって第２のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給した後に、好ましくは第１および第２のフィルムを合わせて、通常は型と型との間、つまりパケット間を密封することによって実行することができる。
【００８１】
パケットおよび／またはその個々の区画の密封には、任意の適切な方法を用いることができる。このような手段の限定されない例としては、ヒートシール、溶剤接着、溶剤または湿潤接合、およびその組み合わせが挙げられる。通常は、密封を形成する部分だけを熱または溶剤で処理する。熱または溶剤は、通常は閉鎖材料上に、かつ通常は密封を形成する区域に限り、任意の方法で適用することができる。溶剤または湿潤接合または接着を用いる場合は、熱も適用することが好ましい。好ましい湿潤または溶剤接合／接着法は、型と型との間の領域または閉鎖材上に溶剤を噴霧または印刷することによって選択的に適用し、次に、これらの領域上に圧力をかけて密封を形成する。例えば、（任意で熱も供給する）上記の密封用ロールおよびベルトを用いることができる。
【００８２】
成形されたパウチを、次に切断装置で切断する。切断は、任意の公知の方法を用いて実行することができる。切断は、連続的に、かつ好ましくは一定速度で、かつ好ましくは横向姿勢の間に実施するのが好ましい場合もある。切断装置は、例えば鋭いアイテムまたは熱いアイテムであってよく、後者の場合は、熱いアイテムがフィルム／接合面を「焼き」切る。
【００８３】
多区画パウチの異なる区画は、横並びのスタイルで一緒に作製することもでき、ここで、結果として生じる結合したパウチは切断により分離されてもされなくてもよい。あるいは、区画は別々に作製することもできる。
【００８４】
一部の実施形態では、パウチは以下のステップを含む工程に従って作製することもできる：
ａ） （上述のように）第１の区画を形成するステップ；
ｂ） ステップ（ａ）で形成された閉鎖区画の一部または全部の内部にくぼみを形成し、第１の区画の上に重ねた第２の成形区画を生成するステップ；
ｃ） 第２の区画を充填し、第３のフィルムを用いて閉鎖するステップ；
ｄ） 第１、第２、および第３のフィルムを密封するステップ；および
ｅ） フィルムを切断して多区画パウチを作製するステップ
【００８５】
ステップ（ｂ）で形成されたくぼみは、ステップ（ａ）で準備された区画に真空を適用することによって得ることができる。
【００８６】
一部の実施形態では、欧州特許出願第０８１０１４４２．５号またはＷＯ２００９／１５２０３１（２００８年６月１３日に出願され、Ｐｒｏｃｔｏｒ ＆ Ｇａｍｂｌｅ社に譲渡される）に記載された通り、第２および／または第３の区画（複数可）を別のステップで作製してから、第１の区画と組み合わせることもできる。
【００８７】
一部の実施形態では、以下のステップを含む工程に従ってパウチを作成してもよい：
ａ） 第１の成形機上に第１のフィルムを用いて、任意で熱および／または真空を用いて、第１の区画を形成するステップ；
ｂ） 第１の区画に第１の組成物を充填するステップ；
ｃ） 第２の成形機上で、任意で熱および真空を用いて第２のフィルムを変形させ、第２および任意で第３の成形区画を作製するステップ；
ｄ） 第２および任意で第３の区画を充填するステップ；
ｅ） 第３のフィルムを用いて、第２および任意で第３の区画を密封するステップ；
ｆ） 密封された第２および任意で第３の区画を第１の区画の上に配置するステップ；
ｇ） 第１、第２、および任意でだい３の区画を密封するステップ；および
ｈ） フィルム（複数）を切断して多区画パウチを作製するステップ。
【００８８】
第１および第２の成形機は、上記のプロセスを実行するためのその能力に基づいて選択してよい。一部の実施形態では、第１の成形機は好ましくは横型成形機であり、第２の成形機は好ましくはロータリードラム成形機であり、好ましくは第１の成形機の上方に位置する。
【００８９】
適切な送り工程の使用によって、いくつかの異なるもしくは特定の組成物および／または異なるもしくは特定の液体、ゲル、またはペースト組成物を組み込んだ多区画パウチの製造が可能となるかもしれない。
【００９０】
パウチ充填材の説明
本発明のパウチは、さまざまな組成物を含むことができる。多区画パウチは、それぞれの区画に同じまたは異なる組成物を入れることができる。本開示のこの特徴は、相容れない成分同士（例えば、漂白剤と酵素）を含有する組成物を、互いから物理的に分離または区分して保持するために利用することができる。かかる区分が、係る成分の耐用年数を延長させ、および／または物理的な不安定性を低下させると考えられている。加えて、もしくはその代わりとして、かかる区分が、欧州特許出願第０９１６１６９２．０号（２００９年６月２日に出願され、Ｐｒｏｃｔｅｒ ＆ Ｇａｍｂｌｅ社に譲渡される）に記載されたような美的な有益性を提供することもある。
【００９１】
有用な組成物の限定されない例としては、軽質および重質の液体洗剤組成物、硬表面洗浄用組成物、洗濯によく用いられる洗剤ゲル、ならびに漂白剤および洗濯用添加物、シャンプー、ボディーソープ、および他のパーソナルケア用組成物が挙げられる。本発明のパウチに役立つ組成物は、液体、固体、または粉末の形をとってよい。液体組成物は固体を含み得る。固体には、粉末または集塊、例えばマイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、または１以上のパールボール（pearlized ball）、またはその混合物を含むことができる。
【００９２】
洗濯用組成物、洗濯用添加組成物、および／または布地増強組成物を含むパウチでは、組成物は以下の限定されない成分リストを含んでよい：布地ケア有益剤；洗浄性酵素；沈着補助剤（deposition aid）；レオロジー変性剤；ビルダー；ブリーチ；漂白剤；ブリーチ前駆体；ブリーチ増強剤；ブリーチ触媒剤；香料および／または香料マイクロカプセル（例えば、ＵＳ第５，１３７，６４６号を参照されたい）；香料添加ゼオライト；デンプン封入アコード；ポリグリセロールエステル；白化剤；真珠箔剤；酵素安定化系；陰イオン性染料固定剤、陰イオン性界面活性剤錯化剤、およびその混合物をはじめとする除去薬；蛍光増白剤または蛍光剤；防汚ポリマーおよび／または懸濁ポリマー；分散剤；消泡剤；非水溶媒；脂肪酸；石鹸水サプレッサー、例えばシリコーン石鹸水サプレッサー；（米国公開第２００３／００６０３９０Ａ１、Ｐ６５〜７７を参照されたい）；陽イオン性デンプン（米国２００４／０２０４３３７Ａ１および米国２００７／０２１９１１１Ａ１を参照されたい）；スカム分散剤（米国２００３／０１２６２８２Ａ１、Ｐ８９−９０を参照されたい）；染料；着色料；乳濁剤；抗酸化剤；トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、およびナフタレンスルホン酸塩などのヒドロトロープ；カラースペックル；着色ビーズ、球、または押出物；粘度柔軟剤 。これらの成分のうち任意の１つまたは複数が、欧州特許出願第０９１６１６９２．０号（２００９年６月２日出願）、米国公開第２００３／０１３９３１２Ａ１号（２０００年５月１１日出願）、および米国特許出願第６１／２２９９８１号（２００９年６月３０日出願）に記載されており、このいずれもがＰｒｏｃｔｅｒ ＆ Ｇａｍｂｌｅ社に譲渡されている。加えて、または代りとして、組成物は、界面活性剤および／または溶媒系を含んでもよく、そのそれぞれについて以下に述べる。
【００９３】
界面活性剤
洗剤組成物は、約１〜約８０質量％の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、第１の組成物の成分として特に好ましい。好ましくは、第１の組成物が、約５〜５０質量％の界面活性剤を含む。第２および第３の組成物は、０．１〜９９．９％のレベルの界面活性剤を含んでよい。
【００９４】
利用する洗浄性界面活性剤は、陰イオンタイプ、非イオンタイプ、両性イオンタイプ、両性タイプ、または陽イオンタイプのものであってもよく、またはこれらのタイプの適合混合物を含んでもよい。さらに好ましくは、界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性の界面活性剤、およびその混合物から成る群から選択される。好ましくは、組成物はベタイン界面活性剤を実質的に含まない。本明細書で有用な洗浄界面活性剤は、米国特許第３，６６４，９６１号；同第３，９１９，６７８号；同第４，２２２，９０５号；および同第４，２３９，６５９号に記載されている。陰イオン性および非イオン性界面活性剤が好ましい。
【００９５】
有用な陰イオン性界面活性剤はそれ自体、いくつかの異なるタイプのものであってよい。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、即ち「石鹸」は、本発明の組成物の有用な陰イオン性界面活性剤である。これには、約８〜約２４個、好ましくは約１２〜約１８個の炭素原子を含む高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、およびアルカリアンモニウム塩などのアルカリ金属石鹸が含まれる。石鹸は、脂肪または油脂の直接的な鹸化、または自由脂肪酸の中性化によって作製することができる。特に有用なのは、ココナツ油および硬脂から誘導される脂肪酸混合物のナトリウム塩およびカリウム塩、すなわち、ナトリウムまたはカリウムの硬脂およびヤシ油石鹸である。
【００９６】
本明細書の使用に適したさらなる非石鹸陰イオン性界面活性剤としては、分子構造に約１０〜約２０の炭素原子を含むアルカリ基およびスルホン酸または硫酸エステル基を持つ有機イオウ反応生成物の水溶性塩、好ましくはアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が挙げられる。「アルキル」という用語には、アクリル基のアルキル部分が含まれる）。この合成界面活性剤の群の例としては：ａ）アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、およびアルキル硫酸アンモニウム、特に、硬脂またはヤシ油のグリセリドを低下させることによって産生されたものをはじめとする高級アルコール（Ｃ8−Ｃ18）を硫酸化して得られたもの；ｂ）アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、アルキルポリエトキシレート硫酸カリウム、およびアルキルポリエトキシレート硫酸アンモニウム、特に、アルキル基が１０〜２２個、好ましくは１２〜１８個の炭素原子を含み、ポリエトキシレート鎖が１〜１５、好ましくは１〜６のエトキシレート部分を含むもの；およびｃ）直鎖または分岐鎖の立体配置の中で、アルキル基が約９〜約１５個の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば、米国特許第２，２２０，０９９号および同第２，４７７，３８３号に記載のもの、が挙げられる。特に大切なのは、Ｃ11−Ｃ13 ＬＡＳと略されるアルキル基の炭素原子平均数が約１１〜１３個のリニア直鎖（linear straight-chain）アルキルベンゼンスルホン酸塩である。
【００９７】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式がＲ1（ＯＣ2Ｈ4）nＯＨのものであり、ここでＲ1はＣ10−Ｃ16のアルキル基またはＣ8−Ｃ12のアルキルフェニル基であり、ｎは３〜約８０である。特に好ましいのは、アルコール１モル当たり約５〜約２０モルの酸化エチレンを有するＣ12−Ｃ15のアルコールの縮合生成物、例えばアルコール１モル当たり約６．５モルの酸化エチレンで縮合されたＣ12−Ｃ13のアルコールである。
【００９８】
溶媒系
本組成物の溶媒系は、水だけを含有する溶媒系、または水を含む有機溶媒混合物であってよい。好ましい有機溶媒には、１，２−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレングリコール、メチルプロパンジオール、およびその混合物がある。他の低級アルコール、モノエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどのＣ1−Ｃ4アルカノールアミンも使用することができる。溶媒系は、例えば本開示の無水固体の実施形態には存在しないことも可能であるが、約０．１％〜約９８％、好ましくは少なくとも約１％〜約５０％、より一般的には約５％〜約２５％の範囲のレベルで存在する方が一般的である。
【００９９】
本明細書の組成物は、通常は成分を混合することによって調製することができる。真珠光沢材料を用いる場合は、混合の遅い段階で添加するべきである。レオロジー変性剤を用いる場合は、まずプリミックスを作り、その中の一部の水にレオロジー変性剤および任意で本組成物の構成に用いる他の成分を分散させることが好ましい。このプリミックスは、構造性の液体になるように作ることが好ましい。次に、この構造性のプリミックスに対し、これが撹拌されている間に、界面活性剤（複数可）および基本的な洗濯用添加物質を、水および任意で用いられる洗剤組成物用添加剤と共に添加する。
【０１００】
有用な組成物のｐＨは、約４〜約１２、約５．５〜約９．５、約６〜約８．５、または約６．５〜約８．２であってよい。洗濯用洗剤組成物は、ｐＨが約６〜約１０、約６．５〜約８．５、約７〜約７．５、または約８〜約１０のｐＨであってよい。自動食器洗い機用の組成物は、ｐＨが約８〜約１２であってよい。洗濯用洗剤の添加組成物は、約４〜約８のｐＨであってよい。布地増強剤は、約４〜約８のｐＨであってよい。
【０１０１】
洗剤のｐＨは、２０±２℃における洗剤の１０％（質量／容積）水溶液のｐＨと定義される。固体および粉末洗剤の場合は、これは２０±２℃における該洗剤の１％（質量／容積）水溶液のｐＨと定義される。±０．０１ｐＨまで測定することのできる任意の計器が適している。Ｏｒｉｏｎ計器 (Thermo Scientific, Clintinpark -Keppekouter, Ninovesteenweg 198, 9320 Erembodegem -Aalst, Belgium)または同等物が、許容しうる計器である。ｐＨ計は、カロメルまたは銀／銀塩化物基準のある適切なガラスの電極を備えていなければならない。一例として、Ｍｅｔｔｌｅｒ ＤＢ １１５が挙げられる。この電極は、メーカー推奨の電解質溶液の中に保管すること。
【０１０２】
洗剤の１０％水溶液は、以下の手順で作製する。±０．０２グラムまで正確に測定することのできる天秤を用いて、１０±０．０５グラムの試料をはかる。試料を、１００ｍＬのメスフラスコに移し、精製水（水の伝導率が＜５μＳ／ｃｍであれば、脱イオン水および／または蒸留水が適している）で容積まで希釈し、完全に混合する。結果として生じる溶液の約５０ｍＬをビーカーの中に注ぎ、温度を２０±２℃に調整し、ｐＨ計のメーカーの標準手順に従ってｐＨを測定する（ｐＨアセンブリーの設定および較正にも、メーカーの取扱説明書に従うことがきわめて重要）。
【０１０３】
固形洗剤および粉末洗剤の場合は、以下の手順で洗剤の１％水溶液を調製する。±０．０２グラムまで正確に測定することのできる天秤を用いて、１０±０．０５グラムの試料をはかる。試料を１０００ｍＬのメスフラスコに移し、精製水（水の伝導率が＜５μＳ／ｃｍであれば、脱イオンおよび／または蒸留水が適している）で容積まで希釈し、完全に混合する。結果として生じる溶液の約５０ｍＬをビーカーの中に注ぎ、温度を２０±２℃に調整し、ｐＨ計のメーカーの標準手順に従ってｐＨを測定する（ｐＨアセンブリーの設定および較正にも、メーカーの取扱説明書に従うことがきわめて重要）。
【０１０４】
漂白剤
無機漂白剤および有機漂白剤が、本明細書に用いるのに適した洗浄活性剤である。無機漂白剤には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、および、過ケイ酸塩などの過酸化水素塩が含まれる。無機の過酸化水素塩は、一般にアルカリ金属塩である。無機過酸化水素塩は、さらなる保護のない結晶質固体の形で含まれてよい。あるいは、該塩は、当技術分野で公知のように被覆されてもよい。
【０１０５】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書に記載の洗剤組成物に用いるのには好ましい。該過炭酸塩は、最も好ましくは被覆された形で製品に組み込まれ、製品内部の安定性を提供する。製品内部の安定性を提供する適切な被覆材は、水溶性アルカリ金属硫酸塩と炭酸塩との混合塩を含む。かかる被覆は被覆工程と共に、英国第１，４６６，７９９号および米国特許第３，９７５，２８０号、同第４，０７５，１１６号、および同第５，３４０，４９６号にすでに記載されており、それぞれが参照によって本明細書に組み込まれる。混合塩被覆材の過炭酸塩に対する質量比は、１：９９〜１：９、好ましくは１：４９〜１：１９の範囲にある。好ましくは、該混合塩は硫酸ナトリウム塩および炭酸ナトリウム塩でできており、一般式はＮａ2ＳＯ4＋ｎ＋Ｎａ2ＣＯ3であり、ここで、ｎは０．１〜３、好ましくは０．３〜１．０、さらに好ましくは０．２〜０．５である。製品内部の安定性を提供する別の適切な被覆材は、ＳｉＯ2：Ｎａ2Ｏ比が１．８：１〜３．０：１、好ましくは１．８：１〜２．４：１のケイ酸ナトリウム、および／または、好ましくはペルオキソ一過硫酸カリウムなどの無機過酸化水素化物の２〜１０質量％（通常は３〜５質量％）のＳｉＯ2レベルで適用するメタケイ酸ナトリウムを含む。このほか、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸塩およびホウ酸塩、ケイ酸およびホウ酸、ワックス、油脂、ならびに脂肪性石鹸を含有する他の被覆も、有利に用いることができる。
【０１０６】
有機漂白剤には、ジアシルペルオキシドおよびテトラアシルペルオキシドをはじめとする有機ペルオキシ酸、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、およびジペルオキシヘキサデカン二酸を含むことができる。前記ジアシルペルオキシド、特に過酸化ジベンゾイルは、重量平均径が約０．１〜約１００ミクロン、好ましくは約０．５〜約３０ミクロン、さらに好ましくは約１〜約１０ミクロンの粒子の形で存在することができるのが好ましい。好ましくは少なくとも約２５％〜１００％、さらに好ましくは少なくとも約５０％、さらに一層このましくは少なくとも約７５％、最も好ましくは少なくとも約９０％の粒子が、１０ミクロン未満、好ましくは５ミクロン未満である。
【０１０７】
他の有機漂白剤には、ペルオキシ酸が含まれ、特定の例としてはアルキルペルオキシ酸およびアリールペルオキシ酸が挙げられる。好ましい代表的な例は：（ａ）ペルオキシ安息香酸およびその環置換誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸などであるが、このほかペルオキシ−α−ナフトエ酸およびモノ過フタル酸マグネシウム；（ｂ）脂肪族または置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸（ＰＡＰ）]、ｏ−カルボキシベンゾアミドペルオキシカプロン酸、Ｎ−非エニルアミド過アジピン酸、およびＮ−非エニルアミド過コハク酸；ならびに（ｃ）脂肪族または置換脂肪族ペルオキシ酸、例えば１，１２−ジペルオキシカルボン酸、１，９−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、２−デシルジペルオキシブタン−１，４−ジオン酸，Ｎ，Ｎ−テレフタロイルジ（６−アミノ過カプロン酸）である。
【０１０８】
漂白活性化剤には、温度６０℃以下での洗濯の過程で漂白作用を増大させる有機過酸前駆物質を含めることができる。本明細書での使用に適した漂白活性化剤には、過加水分解条件下で、好ましくは１〜１０個の炭素原子、特に２〜４個の炭素原子、および／または任意で置換過安息香酸を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸を与える化合物が含まれる。適切な物質は、指定数の炭素原子のＯ−アシルおよび／またはＮ−アシル基、および／または任意に置換されたベンゾイル基を有する。優先されるのは、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン（ＴＡＥＤ）、アシル化トリアジン誘導体、特に１，５−ジアセチル−２，４−ジオキソヘキサヒドロ−１，３，５−トリアジン（ＤＡＤＨＴ）、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル（ＴＡＧＵ）、Ｎ−アシルイミド、特にＮ−ノナノイルスクシンイミド（ＮＯＳＩ）、アシル化フェノールスルホン酸、特にｎ−ノナノイル−またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホン酸（ｎ−またはイソ−ＮＯＢＳ）、カルボン酸無水物、特にフタル酸無水物、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテート、および２，５−ジアセトキシ−２，５−ジヒドロフラン、またこのほか、クエン酸トリエチルアセチル（ＴＥＡＣ）である。
【０１０９】
本明細書の洗剤組成物に用いる漂白触媒には、トリアザシクロノナンマンガンおよび関連する錯体（米国第４，２４６，６１２号、米国出願第５，２２７，０８４号）；コバルト、銅、マンガン、および鉄ビピリジルアミンおよび関連する錯体（米国第５，１１４，６１１号）；ならびに８−アザグアニンアセタートコバルト（ＩＩＩ）および関連する錯体（米国第４，８１０，４１０号）が含まれる。本明細書の使用に適した漂白触媒の完全な記述は米国特許第６，５９９，８７１号に見出すことができ、参照によって本明細書に組み込まれる。
【０１１０】
食器洗い用洗剤
芳香族の食器洗い用洗剤に用いる好ましい界面活性剤は、単独または別の成分（例えば、石鹸水サプレッサー）と組み合わせて泡立ちが悪い。本明細書での使用に好ましいのは、低曇点および高曇点の非イオン性界面活性剤およびその混合物、例えば、非イオン性アルコキシ化界面活性剤（特に、Ｃ6−Ｃ18第一アルコールから誘導されるエトキシレート）、エトキシル化−プロポキシル化アルコール（例えば、Ｏｌｉｎ社のＰＯＬＹ−ＴＥＲＧＥＮＴ（登録商標）ＳＬＦ１８）、エポキシキャップ化ポリ（オキシアルキル化）アルコール（例えば、Ｏｌｉｎ社のＰＯＬＹ−ＴＥＲＧＥＮＴ（登録商標） ＳＬＦＩ１８Ｂ：ＷＯ−Ａ第９４／２２８００号を参照されたい）、エーテルキャップ化ポリ（オキシアルキル化）アルコール界面活性剤、および、ＰＬＵＲＯＮＩＣ（登録商標）、ＲＥＶＥＲＳＥＤ ＰＬＵＲＯＮＩＣ（登録商標）、およびＴＥＴＲＯＮＩＣ（登録商標）（ＢＡＳＦ−Ｗｙａｎｄｏｔｔｅ社、ミシガン州、Ｗｙａｎｄｏｔｔｅ）などのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー化合物など；両性界面活性剤、例えば、Ｃ12−Ｃ20アルキルアミン酸化物（本明細書での使用に好ましいアミン酸化物には、ラウリルジメチルアミン酸化物およびヘキサデシルジメチルアミン酸化物が含まれる）、およびＭＩＲＡＮＯＬ（商標）Ｃ２Ｍなどのアルキル両性カルボン酸界面活性剤など；ならびに両性イオン性界面活性剤、例えばベタインおよびスルタイン；ならびにその混合物である。本明細書での使用に適した界面活性剤は、例えば、米国特許出願第３，９２９，６７８号、同第４，２５９，２１７号、欧州特許出願第０４１４５４９号、およびＷＯ出願第９３／０８８７６号、およびＷＯ出願第９３／０８８７４号に開示されている。界面活性剤は、洗剤組成物の約０．２〜約３０質量％、さらに好ましくは約０．５〜約１０質量％、最も好ましくは、約１〜約５質量％のレベルで存在することができる。
【０１１１】
他の添加剤
本明細書での使用に適したビルダーには、クエン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、およびポリリン酸塩、例えばトリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、ならびにナトリウムおよびカリウムの混合トリポリリン酸塩などの水溶性ビルダーがある。
【０１１２】
本明細書に記載の洗剤組成物での使用に適した酵素には、細菌性および真菌性のセルラーゼ、例えばＣＡＲＥＺＹＭＥおよびＣＥＬＬＵＺＹＭＥ（Ｎｏｖｏ Ｎｏｒｄｉｓｋ Ａ／Ｓ）など；ペルオキシダーゼ；リパーゼ、例えばＡＭＡＮＯ−Ｐ（Ａｍａｎｏ Ｐｈａｒｍａｃｅｕｔｉｃａｌ Ｃｏ．）、Ｍ１ ＬＩＰＡＳＥおよびＬＩＰＯＭＡＸ（Ｇｉｓｔ−Ｂｒｏｃａｄｅｓ）、ならびにＬＩＰＯＬＡＳＥおよびＬＩＰＯＬＡＳＥ ＵＬＴＲＡ（Ｎｏｖｏ）など；クチナーゼ；プロテアーゼ、例えばＥＳＰＥＲＡＳＥ、ＡＬＣＡＬＡＳＥ、ＤＵＲＡＺＹＭ、およびＳＡＶＩＮＡＳＥ（Ｎｏｖｏ）、ならびにＭＡＸＡＴＡＳＥ、ＭＡＸＡＣＡＬ、ＰＲＯＰＥＲＡＳＥ、およびＭＡＸＡＰＥＭ（Ｇｉｓｔ−Ｂｒｏｃａｄｅｓ）など；αおよびβアミラーゼ、例えばＰＵＲＡＦＥＣＴＯＸ ＡＭ（Ｇｅｎｅｎｃｏｒ）ならびにＴＥＲＭＡＭＹＬ、ＢＡＮ、ＦＵＮＧＡＭＹＬ、ＤＵＲＡＭＹＬ、およびＮＡＴＡＬＡＳＥ（Ｎｏｖｏ）など；ペクチナーゼ；ならびにその混合物が含まれる。本明細書において、酵素は、好ましくはプリル、グラニュレート、またはコグラニュレートとして、通常は洗浄用組成物の約０．０００１〜約２質量％の範囲の純酵素レベルで添加される。
【０１１３】
本明細書での使用に適した石鹸水サプレッサーには、低曇点の非イオン性界面活性剤が含まれる。本明細書において、「曇点」は、界面活性剤の可溶性が温度の上昇に伴って低下する結果生じる非イオン性界面活性剤の周知の性質であり、第２相の外見が観察できる温度を「曇点」と呼ぶ（Van Nostrand's Scientific Encyclopedia, 4th Ed., p. 366, (1968)を参照されたい）。本明細書において、「低曇点」非イオン性界面活性剤は、曇点が３０℃未満、好ましくは約２０℃未満、一層好ましくは約１０℃未満、および最も好ましくは約７．５℃未満の非イオン性界面活性剤系成分と定義される。低曇点非イオン性界面活性剤としては、非イオン性アルコキシ化界面活性剤、特に第一アルコールから誘導されるエトキシレート、およびポリオキシプロピレン／ポリオキシエチレン／ポリオキシプロピレン（ＰＯ／ＥＯ／ＰＯ）リバースブロックポリマーを挙げることができる。また、このような低曇点非イオン性界面活性剤には、例えばエトキシ化プロポキシ化アルコール（例えば、ＢＡＳＦ Ｐｏｌｙ−Ｔｅｒｇｅｎｔ（登録商標） ＳＬＦ１８）およびエポキシキャップ化ポリ（オキシアルキル化）アルコール（例えば、米国特許出願第５，５７６，２８１号に記載されたＢＡＳＦ Ｐｏｌｙ−Ｔｅｒｇｅｎｔ（登録商標） ＳＬＦ１８Ｂシリーズの非イオン性界面活性剤）も含めることができる。
【０１１４】
本明細書に記載の洗剤組成物に用いるのに適した他の成分には、再沈着防止、防汚、または他の洗浄特性を持つ洗浄ポリマーが含まれる。本明細書の好ましい再沈着防止ポリマーは、ＳＯＫＡＬＡＮ ＰＡ３０、ＰＡ２０、ＰＡ１５、ＰＡ１０、およびＳＯＫＡＬＡＮ ＣＰ１０（ＢＡＳＦ社）、ＡＣＵＳＯＬ ４５Ｎ、４８０Ｎ、４６０Ｎ、（Ｒｏｈｍ ａｎｄ Ｈａａｓ）、アクリル酸／マレイン酸コポリマー、例えばＳＯＫＡＬＡＮ ＣＰ５、ならびにアクリル／メタクリルコポリマーが含まれる。本明細書の好ましい防汚ポリマーには、アルキルおよびヒドロキシアルキルセルロース（米国特許出願第４，０００，０９３号）、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、およびそのコポリマー、ならびにエチレングリコール、プロピレングリコール、およびその混合物を主成分とする非イオン性および陰イオン性ポリマーが含まれる。
【０１１５】
重金属イオン封鎖剤および結晶成長抑制剤も洗剤での使用に適しており、例えば、ジエチレントリアミンペンタ（ホスホン酸メチレン）、エチレンジアミンテトラ（ホスホン酸メチレン）、ヘキサメチレンジアミンテトラ（ホスホン酸メチレン）、ジホスホン酸エチレン、ヒドロキシ−エチレン−１，１−ジホスホン酸塩、ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミノ四酢酸塩、エチレンジアミン−Ｎ，Ｎ’−ジスクシネートの塩および遊離酸の形態のものが挙げられる。
【０１１６】
本明細書に記載の洗剤組成物での使用に適したものは、このほかに腐食防止剤、例えば有機銀被覆剤（特に、Ｗｉｎｔｅｒｓｈａｌｌ（Ｓａｌｚｂｅｒｇｅｎ， Ｇｅｒｍａｎｙ）社販売のＷＩＮＯＧ ７０などのパラフィン）、窒素含有腐食防止剤化合物（例えば、ベンゾトリアゾールおよびベンゾイミダゾール：英国特許出願第１１３７７４１号を参照されたい）および第二マンガン化合物、特に有機配位子の第二マンガン塩である。
【０１１７】
本明細書の他の適切な成分としては、酵素安定剤、例えばカルシウムイオン、ホウ酸、およびプロピレングリコールなどがある。
【０１１８】
適切なすすぎ用添加剤は当技術分野で公知である。市販の食器洗い用すすぎ補助剤は、通常は低発泡性脂肪アルコールポリエチレン／ポリプロピレングリコールエーテル、可溶化剤（例えば、スルホン酸クメン）有機酸（例えば、クエン酸）、および溶媒（例えば、エタノール）の混合物である。このようなすすぎ補助剤の機能は、水の界面張力に影響を及ぼし、すすぎ洗いされる表面から水が凝集した薄膜の形で流れ出るようにして、水滴、水条痕、または水膜がその後の乾燥工程で一切残らないようにすることである。すすぎ補助剤の組成の概観、およびその性能の試験方法については、Ｗ．Ｓｃｈｉｒｍｅｒらが、Ｔｅｎｓ Ｓｕｒｆ．Ｄｅｔ．２８、３１３（１９９１）に紹介している。Ｈｅｎｃｋｅｌが取得した欧州特許第０ １９７ ４３４号は、界面活性剤として混合エーテルを含有するすすぎ補助剤について記述している。織物柔軟剤などのすすぎ洗い用添加剤も意図されており、本明細書に開示されたフィルムへの封入に適している。
【実施例】
【０１１９】
指定された質量パーセントの指定されたポリマーを混合することにより、以下の試料を調製した。ＰＶＯＨポリマーは、例えば、ＫＵＲＡＲＡＹ ＡＭＥＲＩＣＡ， Ｉｎｃ．， Ｈｏｕｓｔｏｎ Ｔｅｘａｓ， ＵＳＡから購入することのできる製品ラインＭＯＷＩＯＬのものが挙げられるが、ポリマー等級の製品番号によって指定されるのが一般的である。例えば、ＰＶＯＨポリマー１３−８８は、規定の公称粘度が約１３ｃＰ、およびビニルアルコール単位に変換された酢酸ビニル単位として表わされる名目上の加水分解度が約８８％の部分的に加水分解されたＭＯＷＩＯＬポリビニルアルコールである。下記に掲載する実施例の形成に用いるＰＶＯＨポリマーは、そのポリマー等級製品番号で指定される。
【０１２０】
本明細書において下記の表２−５に提示される実施例のために、指定のポリマーを可塑剤および他の微量添加剤と共に水中で混合することにより、フィルムを作成した。下記表のＰＶＯＨポリマーの質量パーセントは、ＰＶＯＨ樹脂の質量部で特定する。ＰＶＯＨ樹脂は乾燥質量でフィルム成分の大きな部分を占め（総質量で約６７〜約７５％、平均６９％）、ほかにはグリセリン、プロピレングリコール、およびソルビトールをはじめとする総量約１９〜約２９質量％（平均２４質量％）の可塑剤、および微量（合わせて約３〜８質量％、平均６質量％）の安定剤ならびに粘着防止剤、消泡剤、漂白剤、充填材、および界面活性剤の湿潤剤をはじめとする加工助剤がある。溶液は約７１℃〜約９３℃の温度範囲に維持され、平滑面に熱い溶液を塗布して水分を乾燥させ、Ｋａｒｌ Ｆｉｓｃｈｅｒ滴定による測定で厚さ範囲約６０〜９０μｍ（通常７６μｍ）、残留水分含有量約４〜約１０質量％のフィルムを形成することによって成形された。
【０１２１】
ＰＶＯＨ樹脂溶液を調製している間に、褐変作用が起こる可能性がある。ほとんどの用途では透明無色の水溶性フィルムが望まれるため、ＰＶＯＨ樹脂溶液に適切な漂白剤を添加してもよい。メタ重亜硫酸ナトリウムを約０．０５〜約１．０質量％、または約０．０５〜約０．７質量％、または約０．１〜約０．５質量％、または約０．１〜約０．２質量％の範囲の量で使用すると、溶液の調製中の透明度と無色性が実質的に維持されることが分かっている。
【表２】
パケットタイプ − Ｓ＝単一区画 − Ｍ＝多区画
【表３】
パケットタイプ − Ｓ＝単一区画 − Ｍ＝多区画
【表４】
パケットタイプ − Ｓ＝単一区画 − Ｍ＝多区画
＊作製後３週間のパウチ ＊＊作製後２週間のパウチ
【表５】
パケットタイプ − Ｓ＝単一区画 − Ｍ＝多区画
＊作製後３週間のパウチ ＊＊作製後２週間のパウチ
【０１２２】
さらなる具体的な実施形態には、表６の個々のセルに提示された加水分解度、加重ログ平均粘度、および樹脂選択指数の合計平均が、表６の個々のセルに提示された値となるフィルムが含まれる。
【表６】
【０１２３】
一実施形態では、漂白添加剤が表７の成分を含むことができる。
【表７】
1テトラアセチルエチレンジアミン
【０１２４】
別の実施形態では、顆粒状洗濯洗剤は、表８に掲載の成分を含んでいてもよい。
【表８】
1 ランダムグラフト共重合体は、酢酸ポリビニルをグラフト化したポリエチレンオキシド共重合体であり、ポリエチレンオキシドの主鎖と多数の酢酸ポリビニル側鎖を持つ。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は約６０００であり、酢酸ポリビニルに対するポリエチレンオキシドの質量比は約４０〜６０であり、５０エチレンオキシド単位当たりのグラフト点は１以下である。
【０１２５】
別の実施形態では、液体洗濯洗剤が表９に掲載の成分を含んでいてよい。
【表９】
1 好ましいＬＡＳは、ほかにも約９〜約１５個の炭素原子を含む直鎖状のアルキル基１つを含む。
【０１２６】
別の実施形態では、洗剤は表１０の調合物を含むことができる。
【表１０】
【０１２７】
別の実施形態では、有益剤は表１１の調合物を含むことができる。
【表１１】
1 ジ（アシロキシエチル）（２−ヒドロキシエチル）メチルアンモニウム硫酸メチル、ここで、アシル基は部分的に水素化されたキャノーラ油脂肪酸に由来する。
2 部分的に水素化されたキャノーラ油脂肪酸
3 ２，２，４−トリメチル−１，３−ペンタンジオール
4 ヤシ油脂肪酸のペグ６コカミド−ポリエチレングリコールアミド
5 ヒドロキシエタンジホスホン酸のナトリウム塩
6 メーカーが柔軟作用剤に入れた材料
【０１２８】
別の実施形態では、多区画パウチが複数の有益剤を収容することが可能である。限定されない例を挙げれば、３区画のパウチが表１２ に掲載の調合物を別々の封入容器に収容することができ、１回量はそれぞれの封入容器に入った調合物の量である。
【表１２】
【０１２９】
多区画パウチの例としては、表１３に掲載の調合物を挙げることができる。
【表１３】
1 米国第７１６９７４４号に記載された硫酸モノ−[２−（３，４−ジヒドロ−イソキノリン−２−イル）−１−（２−エチル−ヘキシルオキシメチル）−エチル]エステル
2 ＰＡＰ＝フタロイル−アミノ−ペルオキシカプロン酸、７０％活性ウェットケークとして
3 −ＮＨ当たり２０エトキシレート基のポリエチレンイミン（ＭＷ＝６００）
4 エトキシレート化チオフェン、ＥＯ（Ｒ1＋Ｒ2）＝５
5 ＲＡ＝予備アルカリ度（ＮａＯＨ（ｇ）／用量）
【０１３０】
多区画パウチの別の実施形態では、それぞれの封入容器に液体および固体の有益剤を充填することができる。一つの封入容器に液体を、もう一つの容器に固体を充填する２区画パウチＷ〜Ｚの限定されない例としては、表１４および表１５に掲載の調合物が挙げられる。
【表１４】
1 直鎖Ｃ11-13アルキルベンゼンスルホン酸
2 （ビス(C2H5O)(C2H4O)n)(CH3)-N+-CxH2x-N+- (CH3)-bis((C2H5O)(C2H4O)n)、ここで、ｎ＝１５〜３０、およびｘ＝３〜８
3 ランダムグラフト共重合体は、ポリ酢酸ビニルをグラフト化したポリエチレンオキシド共重合体であり、ポリエチレンオキシドを主鎖とし、複数のポリ酢酸ビニル側鎖を持つ。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は、約６０００であり、ポリ酢酸ビニルに対するポリエチレンオキシドの質量比は約４０〜６０であり、ポリエチレンオキシド５０単位当たりのグラフト点は１以下である。
【表１５】
【０１３１】
上述の説明は明確な理解を目的として記載されたものであり、本開示の範囲内での修正が当業者には明らかであると思われるため、この説明から不必要な制限が了解されてはならない。
【０１３２】
本明細書全体を通じて、組成物が成分または材料を含むものとして記載されているが、別の記載のない限り、該組成物はまた、列挙された成分または材料の任意の組み合わせから基本的に成る、またはこのような組み合わせから成ることも予想されている。本明細書に例証的に開示された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素またはステップが存在しなくても、適切に実施することができると考える。
【０１３３】
本明細書に開示された方法の実施、およびその個々の手順は、手動で、および／または電子装置の補助により、または電子装置が提供する自動化の助けを借りて、実施することができる。特定の実施例を参照しながら工程を説明してきたが、当業者であれば、本方法に伴う行為を実行するために他のやり方も可能であることを、容易に理解されるであろう。例えば、別の記載のない限り、さまざまな手順は、本方法の範囲または精神から逸脱することなく変更することも可能である。加えて、個々の手順のいくつかは、組み合わせたり、省略したり、またはさらに追加の手順に分割することもできる。
【０１３４】
開示の態様
本開示の第１の態様は、少なくとも５０質量％の水溶性ポリビニルアルコール（ＰＶＯＨ）樹脂を含む水溶性フィルムであり、
該樹脂は、２０℃の４質量％水溶液として、平均粘度が最低でも約１３．５ｃＰ、１４ｃＰ、１５ｃＰ、１６ｃＰ、または１７ｃＰ、かつ最高でも約２０ｃＰ、１９ｃＰ、１８ｃＰ、１７．５ｃＰ、例えば、約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１４ｃＰ〜約１９ｃＰ、または約１６ｃＰ〜約１８ｃＰ、または約１７ｃＰ〜約１７．５ｃＰの範囲であり；
そして、加水分解度が最低でも８４％または８５％、かつ最高でも約９２％、９０％、８９％、８８％、または８７％、例えば、約８４％〜約９０％、または８５％〜８８％の範囲、または８６．５％であり；
該樹脂はさらに、平均粘度が約１１ｃＰ未満、多分散指数が約１．８〜２．３の範囲であるＰＶＯＨポリマーを、３０質量％以下しか持たない。
【０１３５】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は少なくとも２種類のＰＶＯＨポリマーを含むことができ、
第１のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも約８ｃＰ、１０ｃＰ、１２ｃＰ、または１３ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、２０ｃＰ、１５ｃＰ、または１３ｃＰ、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰ、または約１２ｃＰ〜約１４ｃＰの範囲、または１３ｃＰであり；そして
第２のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも約１０ｃＰ、２０ｃＰ、または２２ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、３０ｃＰ、２５ｃＰ、または２４ｃＰ、例えば、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または２０〜約３０ｃＰ、または約２０〜約２５ｃＰ、または約２２〜約２４の範囲、または約２３ｃＰであり；
第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より低い。
【０１３６】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、多分散指数（ＰＤＩ）値が約１〜約５の範囲である第１のＰＶＯＨポリマーと、ＰＤＩ値が約１〜約５の範囲である第２のＰＶＯＨポリマーとを有し、それぞれのＰＶＯＨポリマーが、約１．５〜約３、または約１．７〜約２．２の範囲のＰＤＩ値を持ち得る。
【０１３７】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、第１のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％、そして第２のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％、例えば、第１のＰＶＯＨポリマーを約３０〜約８５質量％、または第１のＰＶＯＨポリマーを約４５〜約５５質量％含み得る。
【０１３８】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、総ＰＶＯＨ樹脂分は、約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０を超えるＰＤＩ値を持ち得る。例えば、総樹脂量のＰＤＩ値は、該樹脂に含まれるいずれの個々のＰＶＯＨポリマーのＰＤＩ値よりも大きいものであり得る。
【０１３９】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、第１のＰＶＯＨポリマーは、重量平均分子量
【化１３】
が約５０，０００〜約３００，０００ドルトンまたは約６０，０００〜約１５０，０００ドルトンの範囲であり得、かつ第２のＰＶＯＨポリマーは、
【化１４】
が約６０，０００〜約３００，０００ドルトンまたは約８０，０００〜約２５０，０００ドルトンの範囲であり得る。任意で、第２のＰＶＯＨポリマーは第１のＰＶＯＨポリマーより大きい
【化１５】
を持ち得、さらに任意で、樹脂は、
【化１６】
が約７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーを約３０質量％以下しか持ち得ない。
【０１４０】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムはさらに、可塑剤を含み得る。
【０１４１】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、少なくとも４質量％、例えば約４〜約１０質量％の範囲の残留湿分を持ち得る。
【０１４２】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が約６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％であることを特徴とし得る。
【０１４３】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、洗濯残渣値が最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０であることを特徴とし得る。
【０１４４】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【０１４５】
第１の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であり得る。
【０１４６】
本開示の第２の態様は、以下のものを含む水溶性フィルムである：
約４〜約１０質量％の水；
少なくとも５０質量％のＰＶＯＨ樹脂；
該樹脂は、第１および第２のＰＶＯＨポリマーのブレンド材を含み、
第１のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも８ｃＰまたは１０ｃＰ、最高でも４０ｃＰ、２０ｃＰ，または１５ｃＰ、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰの範囲であり；かつ
第２のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも１０ｃＰまたは２０ｃＰ、最高でも４０ｃＰ、３０ｃＰ、または２５ｃＰ、例えば、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約２０ｃＰ〜約３０ｃＰ、または約２０ｃＰ〜約２５ｃＰの範囲であり；
第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より低く；
該樹脂は、平均粘度が約１１ｃＰ未満、かつ多分散指数が約１．８〜約２．３の範囲のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない。
【０１４７】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、任意で約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰの粘度平均と、さらに任意で、最低でも８４％または８５％、最高でも約９２％、９０％、８９％、８８％、または８７％、例えば約８４％〜約９０％または８５％〜８８％の範囲、または８６．５％の加水分解度とを持つ。
【０１４８】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、多分散指数（ＰＤＩ）値が約１〜約５の範囲の第１のＰＶＯＨポリマーと、ＰＤＩ値が約１〜約５の範囲の第２のＰＶＯＨポリマーとを含むことができ、それぞれのＰＤＯＨポリマーは、約１．５〜約３または約１．７〜約２．２の範囲のＰＤＩ値を持ち得る。
【０１４９】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、第１のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％、および第２のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７６、８０、８５、９０質量％、例えば、第１のＰＶＯＨポリマーを約３０〜約８５質量％または約４５〜約５５質量％含むことができる。
【０１５０】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、総ＰＶＯＨ樹脂分は、約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０のＰＤＩ値を持つことができ、例えば、総樹脂分のＰＤＩ値は、該樹脂に含まれる個々のＰＶＯＨポリマーのいずれのＰＤＩ値よりも大きくてよい。
【０１５１】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、第１のＰＶＯＨポリマーは、重量平均分子量が約５０，０００〜約３００，０００ドルトンまたは約６０，０００〜約１５０，０００ドルトンの範囲であってよく；かつ第２のＰＶＯＨポリマーは、
【化１７】
が約６０，０００〜約３００，０００ドルトンまたは約８０，０００〜約２５０，０００ドルトンの範囲であってよく；第２のポリビニルアルコールポリマーは、第１のポリビニルアルコールポリマーより
【化１８】
が大きく；そして任意で、樹脂は、
【化１９】
が約７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか持たない。
【０１５２】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、最高でも約６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％の水滴耐性値を特徴とし得る。
【０１５３】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０の洗濯残渣値を特徴とし得る。
【０１５４】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、さらに可塑剤を含み得る。
【０１５５】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【０１５６】
第２の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であり得る。
【０１５７】
本開示の第３の態様は、約１０質量％の水と、少なくとも５０質量％のＰＶＯＨ樹脂と、任意で可塑剤とを含む水溶性フィルムであり；
該樹脂は、約５０，０００〜約３００，０００ドルトンの範囲の
【化２０】
と、
約８４％〜約９２％、９０％、または約８５％〜約８８％の範囲の加水分解度とを持ち；
該樹脂はさらに、
【化２１】
が約７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか持たない。
【０１５８】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は任意で、約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰの範囲の粘度平均を持つことができ、かつ、樹脂はさらに任意で、平均粘度が１１ｃＰ未満、かつ多分散指数が約１．８〜約２．３の範囲のＰＶＯＨポリマーを以下しか持つことができない。
【０１５９】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、少なくとも２種類のＰＶＯＨポリマーを含むことができ、
第１のＰＶＯＨポリマーは、最低でも約８ｃＰ、１０ｃＰ、１２ｃＰ、または１３ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、２０ｃＰ、１５ｃＰ、または１３ｃＰ、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、約１０ｃＰ〜約１５ｃＰ、または約１２ｃＰ〜約１４ｃＰの範囲、または１３ｃＰの粘度を持ち；そして
第２のＰＶＯＨポリマーは、最低でも約１０ｃＰ、２０ｃＰ、または２２ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、３０ｃＰ、２５ｃＰ、または２４ｃＰ、例えば、約２２〜約２４、または約２３ｃＰの粘度を持ち；
第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より低い。
【０１６０】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、多分散指数（ＰＤＩ）の値が約１〜約５の範囲の第１のＰＶＯＨポリマーと；ＰＤＩ値が約１〜約５の範囲の第２のＰＶＯＨポリマーとを含むことができ；それぞれのＰＶＯＨポリマーが、約１．５〜約３、または約１．７〜約２．２の範囲のＰＤＩ値を持ち得る。
【０１６１】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％の第１のＰＶＯＨポリマー、および約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％の第２のＰＶＯＨポリマー、例えば、約３０〜約８５質量％の第１のＰＶＯＨポリマー、または、約４５〜約５５質量％の第１のＰＶＯＨポリマーを含むことができる。
【０１６２】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、総ＰＶＯＨ樹脂分は、約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０より大きいＰＤＩ値を持つことができ、例えば、該総樹脂分のＰＤＩ値は、該樹脂に含まれる個々のＰＶＯＨポリマーのいずれのＰＤＩ値より大きいものであり得る。
【０１６３】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が最高でも約６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％であることを特徴とし得る。
【０１６４】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、洗濯残渣値が最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは最高でも約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０であることを特徴とし得る。
【０１６５】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【０１６６】
第３の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であり得る。
【０１６７】
本開示の第４の態様は、樹脂選択指数の値が０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であるＰＶＯＨ樹脂を、少なくとも５０質量％含む水溶性フィルムである。
【０１６８】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、任意で約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰの範囲の粘度平均と、さらに任意で、最低でも８４％〜８５％、かつ最高でも約９２％、９０％、８９％、８８％、または８７％、例えば、約８４％〜約９０％、または８５％〜８８％の範囲、または８６．５％の加水分解度を持ち得る。
【０１６９】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、少なくとも２種類のＰＶＯＨポリマーを含むことができ、
第１のＰＶＯＨポリマーは、最低でも約８ｃＰ、１０ｃＰ、１２ｃＰ、または１３ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、２０ｃＰ、１５ｃＰ、または１３ｃＰ、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰまたは約１２ｃＰ〜約１４ｃＰの範囲、または１３ｃＰの粘度を持ち；そして
第２のＰＶＯＨポリマーは、最低でも約１０ｃＰ、２０ｃＰ、または２２ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、３０ｃＰ、２５ｃＰ、または２４ｃＰ、例えば、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または２０ｃＰ〜約３０ｃＰ、または約２０ｃＰ〜約２５ｃＰ、または約２２ｃＰ〜２４ｃＰの範囲、または約２３ｃＰの粘度を持ち；
第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より低い。
【０１７０】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、約１〜約５の範囲の多分散指数（ＰＤＩ）値をもつ第１のＰＶＯＨポリマーと、約１〜約５の範囲のＰＤＩ値を持つ第２のＰＶＯＨポリマーとを含むことができ、かつそれぞれのＰＶＯＨポリマーは、約１．５〜約３、または約１．７〜約２．２の範囲のＰＤＩ値を持ち得る。
【０１７１】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、第１のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％、および第２のＰＶＯＨポリマーを約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％含むことができ、例えば、第１のポリマーを約３０〜約８５質量％、または第１のポリマーを約４５〜約５５質量％含み得る。
【０１７２】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、総ＰＶＯＨ樹脂分は、約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０より大きいＰＤＩ値を持つことができ、例えば、総樹脂分のＰＤＩ値は、樹脂に含まれる個々のＰＶＯＨポリマーのいずれのＰＤＩ値よりも大きいものであり得る。
【０１７３】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、第１のＰＶＯＨポリマーは、約５０，０００〜約３００，０００ドルトン、または約６０，０００〜１５０，０００ドルトンの範囲の重量平均分子量
【化２２】
を持つことができ、かつ第２のＰＶＯＨポリマーは、約６０，０００〜約３００，０００ドルトン、または約８０，０００〜約２５０，０００ドルトンの範囲の
【化２３】
を持つことができ、第２のポリビニルアルコールポリマーは、第１のポリビニルアルコールポリマーより大きい
【化２４】
を持ち、任意で、樹脂は、約７０，０００ドルトン以下の
【化２５】
を持つＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか持たない。
【０１７４】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、さらに可塑剤を含むことができる。
【０１７５】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、約４〜約１０質量％の残留水分を持ち得る。
【０１７６】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が最高でも約６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％であることを特徴とすることができる。
【０１７７】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは、最高でも約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０であることを特徴とすることができる。
【０１７８】
第４の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【０１７９】
本開示の第５の態様は、約４〜約１０質量％の水と、少なくとも５０質量％のＰＶＯＨ樹脂と、任意で可塑剤とを持つ水溶性フィルムの作製方法であり、該方法は、ＰＶＯＨ樹脂からフィルムを成形することを含み、該樹脂は、粘度平均が約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰの範囲であり、加水分解度が最低でも８４％または８５％、かつ最高でも約９２％、９０％、８９％、８８％、または８７％、例えば、約８４％〜約９０％または８５％〜８８％の範囲、または８６．５％であり、該樹脂はさらに、約１１ｃＰより低い平均粘度と、約１．８〜約２．３の範囲の多分散指数とを持つＰＶＯＨポリマーを、３０質量％以下しか持たない。
【０１８０】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂は、少なくとも２種類のＰＶＯＨポリマーを含み、
第１のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも８ｃＰ、１０ｃＰ、１２ｃＰ、または１３ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、２０ｃＰ、１５ｃＰ、または１３ｃＰであり、例えば、約８ｃＰ〜約４０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約２０ｃＰ、または約１０ｃＰ〜約１５ｃＰ、または約１２ｃＰ〜約１４ｃＰの範囲、または１３ｃＰであり；そして
第２のＰＶＯＨポリマーは、粘度が最低でも約１０ｃＰ、２０ｃＰ，または２２ｃＰ、かつ最高でも約４０ｃＰ、３０ｃＰ、２５ｃＰ，または２４ｃＰであり、例えば、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰ、または２０〜約３０ｃＰ、または約２０〜約２５ｃＰ、または約２２〜約２４の範囲、または２３ｃＰであり；
第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のポリマーの粘度より低い。
【０１８１】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、前記方法は、第１のＰＶＯＨポリマーと第２のＰＶＯＨポリマーとを混合し、共成形し、または溶接してＰＶＯＨ樹脂を形成することを含み得る。
【０１８２】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、前記樹脂は、多分散指数（ＰＤＩ）値が約１〜約５の範囲第１のＰＶＯＨポリマーと、ＰＤＩ値が約１〜約５の範囲である第２のＰＶＯＨポリマーを含むことができ、それぞれのＰＶＯＨ樹脂は、ＰＣＩ値が約１．５〜約３、または約１．７〜約２．２の範囲であり得る。
【０１８３】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、前記樹氏は、約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％の第１のＰＶＯＨポリマーと、約１０、１５、２０、２５、３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０質量％の第２のＰＶＯＨポリマーを含むことができ、例えば、約３０〜約８５質量％の第１のＰＶＯＨポリマー、または、約４５〜約５５質量％の第１のＰＶＯＨポリマーを含み得る。
【０１８４】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、総ＰＶＯＨ樹脂分は、約２、２．２、２．４、２．６、２．８、３．０、３．２、３．４、３．６、３．８、４．０、４．２、４．４、４．６、４．８、または５．０より大きいＰＤＩ値を持つことができ、例えば、総樹脂分のＰＤＩ値は、樹脂に含まれる個々のＰＶＯＨポリマーのいずれのＰＤＩ値よりも大きいものであり得る。
【０１８５】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、第１のＰＶＯＨポリマーは、約５０，０００〜約３００，０００ドルトン、または約６０，０００〜１５０，０００ドルトンの範囲の重量平均分子量
【化２６】
を持つことができ、かつ第２のＰＶＯＨポリマーは、約６０，０００〜約３００，０００ドルトン、または約８０，０００〜約２５０，０００ドルトンの範囲の
【化２７】
を持つことができ、第２のポリビニルアルコールポリマーは、第１のポリビニルアルコールポリマーより大きい
【化２８】
を持つことができ、そして任意で、前記樹脂は、
【化２９】
が約７０，０００ドルトン未満のＰＶＯＨポリマーを、約３０質量％以下しか持たない。
【０１８６】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が最高でも約６０％、５０％、４５％、４０％、または３５％であることを特徴とする。
【０１８７】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは、洗濯残渣値が最高でも約４．５、４．０、３．５、３．０、２．９、または２．８、好ましくは、最高でも約２．７、２．６、２．５、２．４、２．３、２．２、２．１、または２．０であることを特徴とする。
【０１８８】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【０１８９】
第５の態様のいずれか１つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲であり得る。
【０１９０】
本開示の第６の態様は、本明細書の例えば第１から第５の態様のいずれか１つ以上に記述されたＰＶＯＨフィルムを含む、密封可能なパケットまたはパウチである。
【０１９１】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、ＰＶＯＨフィルムは、パウチまたはパケットの外壁として配置される。
【０１９２】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、パウチまたはパケットは、単一の密封された、または密封可能な区画、または複数の密封された、または密封可能な区画を含むことができ、任意で、本開示のＰＶＯＨフィルムを含むパウチまたはパケット全体の外壁を伴い、さらに任意で、同じく本開示のＰＶＯＨフィルムを含む少なくとも１つの外壁を伴う。パウチまたはパケットの１つ以上の外壁を形成するＰＶＯＨフィルム（単数または複数）は、多区画パウチまたはパケットの１つ以上の内壁を形成するフィルム（単数または複数）と同じであっても異なってもよく、任意で同じである。
【０１９３】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、ＰＶＯＨフィルムの中のＰＶＯＨ樹脂の樹脂選択指数値は、０．２５５〜０．３１５、または０．２６０〜０．３１０、または０．２６５〜０．３０５、または０．２７０〜０．３００、または０．２７５〜０．２９５、好ましくは０．２７０〜０．３００の範囲である。
【０１９４】
第６の態様の一実施形態において、パウチは、第１および第２の密封された区画を含む。第２の区画は、第１の密封された区画と概して重なった関係にあるため、第２の密封された区画と第１の密封された区画とは、パウチの内側にある仕切り壁を共有している。
【０１９５】
第６の態様の一実施形態において、第１および第２の区画を含むパウチは、さらに第３の密封された区画を含む。第３の密封された区画は、第１の密封された区画と概して重なった関係にあるため、第３の密封された区画と第１の密封された区画とは、パウチの内側にある仕切り壁を共有している。
【０１９６】
第６の態様による一部の実施形態では、第１の組成物および第２の組成物は、次の組み合わせの１つから選択される：液体、液体；液体、粉末；粉末、粉末；および粉末、液体。
【０１９７】
第６の態様による一部の実施形態では、第１、第２、および第３の組成物は、次の組み合わせの１つから選択される：固体、液体、液体、および液体、液体、液体。
【０１９８】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、単一の区画または複数の密封された区画は、組成物を含む。該複数の区画は、それぞれ同じまたは異なる組成物を含んでよい。組成物は、液体、固体、またはその組み合わせから選択される。
【０１９９】
第６の態様のいずれか１つの実施形態において、組成物は、液体軽質および液体重質の液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い用および／または機械洗い用の食器洗い洗剤；硬表面洗浄組成物、織物増強剤、洗濯によく用いられる洗剤ゲル、ならびに漂白剤および洗濯用添加剤、シャンプー、およびボディーソープの群から選択される。
【０２００】
本明細書で言及されたすべての特許、刊行物、および参考文献は、参照によって本明細書に完全に組み入れられる。本開示と組み入れられた特許、刊行物、および参考文献との間に不一致がある場合は、本開示が支配する。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
少なくとも５０質量％の水溶性ポリビニルアルコール（ＰＶＯＨ）樹脂を含む水溶性フィルムであって、
前記樹脂は、約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰの範囲の平均粘度と、約８４％〜約９２％の範囲の加水分解度とを有し、
前記ＰＶＯＨ樹脂は、第１および第２のＰＶＯＨポリマーの混合材を含み、
前記第１のＰＶＯＨポリマーは、約８ｃＰ〜約４０ｃＰの範囲、好ましくは約１０ｃＰ〜約２０ｃＰの範囲、さらに好ましくは約１０ｃＰ〜約１５ｃＰの範囲の粘度を有し、
前記第２のＰＶＯＨポリマーは、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰの範囲、好ましくは約２０ｃＰ〜約３０ｃＰの範囲、さらに好ましくは約２０ｃＰ〜約２５ｃＰの範囲の粘度を有し、
ここで、第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より低く、そして
前記フィルムは、平均粘度が約１１ｃＰ未満のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない、
水溶性フィルム。
【請求項２】
約１質量％〜約４０質量％、好ましくは約１５質量％〜約３５質量％の可塑剤をさらに含む、上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルム。
【請求項３】
前記可塑剤が、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、２−メチル１，３−プロパンジオール、およびその混合物から成る群より選択される材料を含む、請求項２に記載の水溶性フィルム。
【請求項４】
少なくとも４質量％の残留湿分、好ましくは約４質量％〜約１０質量％の範囲の残留湿分をさらに含む、上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルム。
【請求項５】
さらに、最高でも６０％、好ましくは最高でも４５％の水滴耐性試験値を有する、上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルム。
【請求項６】
さらに、最高でも４．５、好ましくは最高でも３．５の洗濯残渣試験値を有する、上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルム。
【請求項７】
前記ＰＶＯＨ樹脂が、０．２５５〜０．３１５の範囲、好ましくは０．２６０〜０．３１０の範囲、さらに好ましくは０．２６５〜０．３０５の範囲の樹脂選択指数値を特徴とする、上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルム。
【請求項８】
上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルムを含むパケット。
【請求項１】
少なくとも５０質量％の水溶性ポリビニルアルコール（ＰＶＯＨ）樹脂を含む水溶性フィルムであって、
前記樹脂は、約１３．５ｃＰ〜約２０ｃＰの範囲の平均粘度と、約８４％〜約９２％の範囲の加水分解度とを有し、
前記ＰＶＯＨ樹脂は、第１および第２のＰＶＯＨポリマーの混合材を含み、
前記第１のＰＶＯＨポリマーは、約８ｃＰ〜約４０ｃＰの範囲、好ましくは約１０ｃＰ〜約２０ｃＰの範囲、さらに好ましくは約１０ｃＰ〜約１５ｃＰの範囲の粘度を有し、
前記第２のＰＶＯＨポリマーは、約１０ｃＰ〜約４０ｃＰの範囲、好ましくは約２０ｃＰ〜約３０ｃＰの範囲、さらに好ましくは約２０ｃＰ〜約２５ｃＰの範囲の粘度を有し、
ここで、第１のＰＶＯＨポリマーの粘度は、第２のＰＶＯＨポリマーの粘度より低く、そして
前記フィルムは、平均粘度が約１１ｃＰ未満のＰＶＯＨポリマーを３０質量％以下しか有さない、
水溶性フィルム。
【請求項２】
約１質量％〜約４０質量％、好ましくは約１５質量％〜約３５質量％の可塑剤をさらに含む、上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルム。
【請求項３】
前記可塑剤が、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、２−メチル１，３−プロパンジオール、およびその混合物から成る群より選択される材料を含む、請求項２に記載の水溶性フィルム。
【請求項４】
少なくとも４質量％の残留湿分、好ましくは約４質量％〜約１０質量％の範囲の残留湿分をさらに含む、上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルム。
【請求項５】
さらに、最高でも６０％、好ましくは最高でも４５％の水滴耐性試験値を有する、上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルム。
【請求項６】
さらに、最高でも４．５、好ましくは最高でも３．５の洗濯残渣試験値を有する、上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルム。
【請求項７】
前記ＰＶＯＨ樹脂が、０．２５５〜０．３１５の範囲、好ましくは０．２６０〜０．３１０の範囲、さらに好ましくは０．２６５〜０．３０５の範囲の樹脂選択指数値を特徴とする、上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルム。
【請求項８】
上記請求項のいずれか１項に記載の水溶性フィルムを含むパケット。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公表番号】特表２０１３−５１８１７３（Ｐ２０１３−５１８１７３Ａ）
【公表日】平成２５年５月２０日（２０１３．５．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１２−５５１２９６（Ｐ２０１２−５５１２９６）
【出願日】平成２３年１月２８日（２０１１．１．２８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＵＳ２０１１／０２２８２５
【国際公開番号】ＷＯ２０１１／０９４４７０
【国際公開日】平成２３年８月４日（２０１１．８．４）
【出願人】（５０８１２２４１５）モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー (8)
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成２５年５月２０日（２０１３．５．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１月２８日（２０１１．１．２８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＵＳ２０１１／０２２８２５
【国際公開番号】ＷＯ２０１１／０９４４７０
【国際公開日】平成２３年８月４日（２０１１．８．４）
【出願人】（５０８１２２４１５）モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー (8)
【Ｆターム（参考）】
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