説明

PVOHポリマーの配合物を有する改善された水溶性フィルム、及び該水溶性フィルムから製造されるパケット

有利な冷水溶解度特性と、湿潤時の取り扱い性と、熱成形特性と、を有する可塑化水溶性フィルムであって、前記水溶性フィルムは、それぞれが単峰性分子量分布を有する2種以上のPVOHポリマーの配合物で形成されるPVOH樹脂を含むことができ、前記PVOH樹脂は、約13.5cP〜約20cPの範囲内の粘度(又は対応する重量平均分子量)、約84%〜約92%の加水分解度、約1〜約5の範囲内の多分散指数値、約4重量%〜約10重量%の残留含水量、及び0.255〜0.315の範囲内の樹脂選択指数値によって特徴付けられる、水溶性フィルム、前記フィルムの製造方法、フィルムを製造するためのPVOH樹脂を含む組成物、及び前記フィルムから製造されるパウチ及びパケット物品が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、液体と接触するために使用する水溶性フィルム、該フィルムの製造方法、該フィルムから製造されるパケット及びパウチ(これらは、洗剤などの活性構成要素で任意に充填されて、一定用量のパウチを形成する)に関する。より詳細には、本開示は、改善された濡れた状態での取扱い特性、改善された冷水溶解性、及び好適な加工性の組み合わせを有する、こうしたフィルム、パケット、及びパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性高分子フィルムは、供給すべき材料を分散する、注ぐ、溶解する、及び投与することを簡素化するために、梱包材料として一般的に使用される。例えば、水溶性フィルムから製造されたパケットは一般に、家庭用ケア組成物、例えば、洗濯洗剤又は食器用洗剤を収容するパウチを包装するために使用される。消費者は、バケツ、流し又は洗濯機などの混合容器にパウチを直接加えることができる。有利には、これにより、正確な用量が提供されると同時に、消費者が組成物を測定する必要性が排除される。パウチはまた、例えば、ボトルから液体洗濯洗剤を注ぐといったような、容器から同様の組成物を分配するのに付き物である厄介さを低減することができる。要約して言えば、予め計量された剤を含有する可溶性高分子フィルムのパケットは、種々の用途における消費者の使用利便性を提供する。
【0003】
パケットを作製するために使用される一部の水溶性高分子フィルムは、洗浄サイクルの間の溶解が不完全であり、洗浄液中の品物の上にフィルム残留物が残ることがある。パウチがストレスのある洗浄条件下で使用される場合に、例えば、パウチが冷水(例えば、5℃の水)の中で使用される場合に、特にこうした問題が生じることがある。とりわけ、環境への懸念及びエネルギーコストにより、消費者はより冷たい洗浄水を使用するのを望んでいる。
【0004】
あるいは、冷水に完全に溶解する水溶性高分子フィルムは、消費市場用のパウチを製造するには水分及び湿度に対して敏感過ぎる可能性がある。例えば、高湿度、又はパウチを濡れた手で扱うことからくる水滴は、可溶性のパケットがくっつく及び/又はパケットを貫通して溶解する原因となり、パウチの内容物の漏れの原因となり得る。
【0005】
ポリビニルアルコールポリマーを含む一部のフィルムから製造されるパケットは、こうした問題に対処し、ある程度成功している。しかしながら、一部のポリビニルアルコールフィルムの冷水溶解性は、ある種の洗剤組成物と接触する場合に低下する場合がある。理論に束縛されるものではないが、フィルムは、フィルムとパウチ内部の組成物との間の化学的相互作用が原因で溶解しにくくなると考えられている。したがって、パケットが古くなると、パケットは冷水洗浄サイクル中に不完全に溶解する可能性があり、その結果洗浄液中の品物の上にフィルム残留物が残る可能性がある。
【0006】
ポリビニルアルコールポリマー以外のポリマーを含む水溶性フィルムから製造されるパケットは、前述の問題に成功裏に対処することができない場合がある。例えば、デンプン及び/又はセルロース誘導体を含む高分子フィルムは、良好な水滴抵抗を提供することができる。しかしながら、良好な冷水溶解性を得るためには、そのようなフィルムは、その機械的特性(例えば、加工性に関係する特性)が損なわれるほど薄くなければならない可能性がある。更に、デンプン及び/又はセルロース誘導体を含むフィルムは、機械的伸縮性又は伸長が相対的に欠如している場合には、同様の厚さのポリビニルアルコールポリマーを含むフィルムのような容易な加工可能性からは程遠い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
こうした3つの状態で適切に機能する市販のフィルムは、現在のところ存在しない。したがって、良好な「冷水溶解性」、水滴抵抗、及び良好な加工性を含むがこれに限定されない機械的特性の所望の特性を有する水溶性フィルムを含むパケットの必要性が今尚存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、少なくとも50重量%の水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂を含む水溶性フィルムであり、樹脂は、20℃における4重量%水溶液として、少なくとも約13.5cP、14cP、15cP、16cP、又は17cP、及び最大で約20cP、19cP、18cP、17.5cP、例えば、約13.5cP〜約20cP、約14cP〜約19cP、約16cP〜約18cP、又は約17cP〜約17.5cPの範囲内の粘度平均と、少なくとも84%又は85%、及び最大で約90%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、85%〜88%、又は86.5%の範囲内の加水分解度と、を有し、該樹脂は、約11cPよりも低い平均粘度及び約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数を有するPVOHポリマーを30重量%以下で更に有する。
【0009】
本開示第2の態様は、約4重量%〜約10重量%の水と、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとの配合物を含む少なくとも50重量%のPVOH樹脂と、を含む水溶性フィルムであり、第1のPVOHポリマーは、少なくとも8cP又は10cP、及び最大で40cP、20cP、又は15cP、例えば、約8cP〜約40cP、約10cP〜約20cP、又は約10cP〜約15cPの範囲内の粘度を有し、第2のPVOHポリマーは、少なくとも10cP又は20cP、及び最大で40cP、30cP、又は25cP、例えば約10cP〜約40cP、約20cP〜約30cP、又は約20cP〜約25cPの範囲内の粘度を有し、第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度よりも低く、樹脂は、約11cPよりも低い平均粘度及び約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数を有するPVOHポリマーを30重量%以下で有する。
【0010】
本開示第3の態様は、約4重量%〜約10重量%の水と、少なくとも50重量%のPVOH樹脂と、任意に可塑剤と、を含む水溶性フィルムであり、樹脂は、約50,000〜約300,000ダルトンの範囲内の
【数1】

と、約84%〜約90%、又は約85%〜約88%の範囲内の加水分解度と、を有し、樹脂は、更に、約70,000ダルトン未満
【数2】

を有するPVOHポリマーを30重量%以下有する。
【0011】
本開示第4の態様は、0.255〜0.315、0.260〜0.310、0.265〜0.305、0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲内の樹脂選択指数値を有する、少なくとも50重量%のPVOH樹脂を含む水溶性フィルムである。
【0012】
本開示第5の態様は、約4重量%〜約10重量%の水と、少なくとも50重量%のPVOH樹脂と、任意に可塑剤と、を有する水溶性フィルムの製造方法であり、この方法は、約13.5cP〜約20cPの範囲内の平均粘度と、少なくとも84%又は85%、及び最大で約92%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%又は85%〜88%の範囲内、又は86.5%の加水分解度と、を有するPVOH樹脂からフィルムを形成することを含み、樹脂は、更に、約11cPよりも低い平均粘度と、約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数と、を有するPVOHポリマーを30重量%以下有する。
【0013】
本開示第6の態様は、例えば、第1〜第5の態様の任意の1つ以上において本明細書に記載されるPVOHフィルムを含む封止可能なパウチ又はパケットである。
【0014】
第6の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、PVOHフィルムは、パウチ又はパケットの外壁として配置される。
【0015】
第6の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、パウチ又はパケットは、封止された又は封止可能な単一区画、あるいは封止された又は封止可能な複数の区画を含むことができ、任意に、パウチ又はパケット全体の外壁は、本開示によるPVOHフィルムを含み、更に任意に、少なくとも1つの内壁もまた、本開示によるPVOHフィルムを含む。パウチ又はパケットの1つ以上の外壁を形成するPVOHフィルム(1つ又は複数)は、多区画パウチ又はパケットの1つ以上の内壁を形成するフィルム(1つ又は複数)と同じ又は異なることができ、任意に同一である。
【0016】
第6の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、PVOHフィルム中のPVOH樹脂の樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、0.260〜0.310、0.265〜0.305、0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲内であり得る。
【0017】
第6の態様の実施形態の1つにおいて、パウチは、第1の密封区画と第2の密封区画とを含む。第2の密封区画及び第1の密封区画がパウチに内設された仕切り壁を共有するように、第2の区画は、第1の密封区画と概ね重ね合わせ関係にある。
【0018】
第6の態様の実施形態の1つにおいて、第1の区画と第2の区画とを含むパウチは、第3の密封区画を更に含む。第3の密封区画及び第1の密封区画がパウチに内設された仕切り壁を共有するように、第3の密封区画は、第1の密封区画と概ね重ね合わせ関係にある。
【0019】
第6の態様によるいくつかの実施形態において、第1の組成物及び第2の組成物は、液体及び粉末から個別に選択される。例えば、実施形態は次の組み合わせを含むことができる。液体、液体、液体、粉末、粉末、粉末、及び粉末、液体。
【0020】
第6の態様によるいくつかの実施形態において、第1、第2及び第3の組成物は、個別に、液体及び粉末から個々に選択される。例えば、実施形態は次の組み合わせを含むことができる。固体、液体、液体、固体、固体、液体、及び液体、液体、液体。
【0021】
第6の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、単一区画又は複数の密封区画は組成物を収容する。複数の区画は、それぞれ、同じ又は異なる組成物を収容してもよい。組成物は、液体、固体又はこれらの組み合わせから選択される。明細書で使用される場合、「液体」は、ペースト、液体、ゲル、発泡体又はムースを含む。液体の非限定的な例には、軽質及び重質液体洗剤組成物、布地柔軟剤、硬質表面洗浄組成物、洗濯及び食器洗いで一般に使用される洗剤ゲル、漂白剤及び洗濯添加剤、シャンプー、ボディソープ、並びにその他のパーソナルケア組成物が挙げられる。気体(例えば、懸濁気泡)又は固体(例えば、粒子)は、液体に含められる。本明細書で用いられる「固体」は、粉末、粒塊又はこれらの混合物を含む。固体の非限定的な例としては、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、及び真珠光沢のあるボールが、が挙げられる。固体、例えば、固体組成物は、スルーザウォッシュ(through-the-wash)の利点、前処理の利点、及び/又は審美的効果であるがこれらに限定されない技術的利点を提供することができる。
【0022】
第6の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、組成物は、液体軽質液体洗剤組成物及び液体重質液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い及び/又は機械洗い用食器洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤、一般に洗濯で使用される洗剤ゲル、並びに漂白剤及び洗濯添加剤、シャンプー、及びボディソープ、並びにその他のパーソナルケア組成物からなる群から選択される。
【0023】
更なる態様及び利点は、以下の発明を実施するための形態を図面と併せて検討すれば、当業者には明らかになるであろう。本明細書に記載の組成物、フィルム、パウチ、及びパケットは、様々な形態の実施形態を許容できるが、本明細書の以後の説明は、本開示が例示であるという了解の下で、特定の実施形態を含み、本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に制限することを目的としない。
【0024】
特定の構成成分、その組成範囲、置換成分、条件、及び方法工程などの任意の特徴は、本明細書に提供される種々の実施形態から選択され得る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
明細書で使用される場合、用語「重量%(wt.%及びwt%)」は、特に指定のない限り、フィルム全体の乾燥重量部(適用できる場合)又はパウチ内に封入される全組成物の重量部(適用できる場合)中の特定された成分の組成物を指すことを目的としている。
【0026】
特別の定めのない限り、測定は全て25℃で行われる。列挙する成分に関連するこのような全ての重量は、活性レベルに基づくので、特別の定めのない限り、市販の物質に含まれる場合があるキャリア又は副生成物を含まない。
【0027】
フィルムの概要
本明細書における開示の実施形態が取り組む1つの問題は、水中に容易に溶解し、良好な残留水分耐性を示し、加工可能であるフィルムを提供することである。高分子量のPVOHポリマーは、比較的良好な残留水分耐性をもたらすが、水に難溶性であり、一部においてPVOHポリマーの温度感度に起因して、熱成形するのが困難である。低分子量のPVOHポリマーは、良好な冷水溶解性を提供するが、商業的環境又は消費者環境で機能するには残留水分に対してあまりに反応性であり、一部において、液体又はゲルで充填された際のピンホール及びそれに続く漏出に起因して、熱成形するのが困難である。本明細書に記載されるのは、PVOHポリマー系、及び3つの問題全てを予想外に解決する関連フィルムである。
【0028】
フィルム、該フィルムを使用して作製されるパケット、及び関連する方法は、特に明記しない限り、更に後述される任意の要素、特徴、及び工程のうちの1つ以上の任意の組み合わせを含む実施形態を含むと想到される。
【0029】
明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、特定されているもの以外の他の剤、要素、工程、特徴を潜在的に含むことを示す。
【0030】
明細書で使用される場合、パケット及びパウチという用語は、互いに置き換え可能であると考えられるべきである。特定の実施形態において、パケット及びパウチという用語は、それぞれ、フィルムを使用して作製された容器、及び好ましくはその中に材料が、例えば、一定用量のデリバリーシステムの形態で封止されている密封容器を指すために用いられる。密封パウチは、熱融着、溶剤接着、及び接着剤封止(例えば、水溶性接着剤を用いて)などのプロセス及び特徴を含む、任意の好適な方法から製造され得る。
【0031】
PVOH樹脂組成物
本明細書に記載されるフィルム形成組成物は、フィルムのPVOH樹脂分を構成するための1種以上のPVOHポリマーを含む。1種又は複数種のPVOHポリマーは、本明細書の教示によって選択または配合されて、水溶液に溶解するフィルムなどの物品を形成することができる。そのような水溶性フィルムは、例えば、洗濯洗剤組成物に見出されるもののような洗浄活性物質又はすすぎ添加剤の遅延放出を目的とした密封パウチの作製に有用性を見出すことができる。
【0032】
ポリビニルアルコールは、一般に、ポリ酢酸ビニルの加水分解又はけん化と通常称されるアルコール分解により製造される合成的樹脂である。実質上全てのアセテート基がアルコール基に変換されている、完全加水分解されたPVOHは、強く水素結合した高結晶質ポリマーであり、約60℃(約140°F)を超える温水だけに溶解する。ポリ酢酸ビニルの加水分解の後に、十分な数のアセテート基が残存している場合、つまりPVOHポリマーが部分的に加水分解されている場合には、ポリマーはより弱く水素結合し、結晶性が低く、一般に冷水(約10℃(約50°F)未満)に溶解する。したがって、部分的に加水分解されたPVOHポリマーは、ビニルアルコール−ビニルアセテートコポリマー、つまりPVOHコポリマーである。このように、水溶性で部分的に加水分解された1種以上のPVOHコポリマーが、本明細書に記載の組成物で使用される。
【0033】
フィルムの全PVOH樹脂分は、少なくとも80%、84%又は85%、最大で約92%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、85%〜88%、又は86.5%の範囲内の加水分解度を有し得る。加水分解度は、ビニルアルコール単位へと変換された酢酸ビニル単位の百分率として記される。
【0034】
PVOHポリマー(μ)の粘度は、British Standard EN ISO 15023−2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載のように、ULアダプターを備えたBrookfield LVタイプ粘度計を使用して、調製したての溶液を測定することによって決定される。これは、20℃における4%のポリビニルアルコール水溶液の粘度を決めるための国際的慣行である。本明細書においてcPで明記されている全ての粘度は、特に指定のない限り、20℃における4%のポリビニルアルコール水溶液の粘度を指すと理解すべきである。同様に、樹脂が特定の粘度を有している(又は有していない)と記載されている場合、特に指定のない限り、特定粘度は樹脂の平均粘度であり、対応する分子量分布を本質的に有することが意図されている。PVOH樹脂によっては、樹脂の分散指数(PDI)は、約1.5〜約5の範囲内、又はそれ以上であってもよい。市販のPVOHポリマーのPDIは、典型的には約1.8〜約2.3の範囲内であり、典型的なPVOHポリマーは、1.7程度に低く、2.9程度に高いPDIを有し得る。こうした市販のPVOHポリマーは、典型的には、特定の公称粘度及び特定の加水分解度に基づき区別される。例えば、MOWIOL 13〜88は、13cPの特定の公称粘度、及び88%の特定の加水分解度を有する。
【0035】
PVOH樹脂は、少なくとも約13.5cP、14cP、15cP、16cP、又は17cP、及び最大で約20cP、19cP、18cP、17.5cP、例えば、約13.5cP〜約20cP、約14cP〜約19cP、約16cP〜約18cP、又は約17cP〜約17.5cPの範囲内の平均粘度を有し得る。PVOHポリマーの粘度は、同じPVOHポリマーの重量平均分子量
【数3】

と相関し、多くの場合粘度は
【数4】

の代わりとして用いられることは、当該技術分野において周知である。したがって、PVOH樹脂の粘度の変化が本明細書に開示される水溶性フィルムの特性に与える影響に関する本開示の教示は、同様に、PVOH樹脂の
【数5】

の変化が同特性に与える影響にも当てはまる。
【0036】
市販のPVOHポリマーは、典型的には、約1.8〜約2.2の多分散指数(PDI)値を有する。本明細書で用いる全PVOH樹脂分は、少なくとも1.3、1.5、1.8、2、2.5、3、及び最大で6、5.5、5、4.5、4、3.5、例えば、約1〜約5、約2〜約4.5、又は少なくとも2.5、少なくとも3、又は約2.5〜約4の範囲内のPDI値を有し得る。
【0037】
PVOHポリマー混合物
PVOH樹脂は、PVOHポリマーの混合物を含み得る。例えば、PVOH樹脂は、少なくとも2種のPVOHポリマーを含むことができ、本明細書で使用する場合、第1のPVOHポリマーは、第2のPVOHポリマーよりも低い粘度を有する。第1のPVOHポリマーは、少なくとも約8cP、10cP、12cP、又は13cP、及び最大で約40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、約10cP〜約20cP、約10cP〜約15cP、又は約12cP〜約14cP、又は13cPの粘度を有し得る。更に、第2のPVOHポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、最大で約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、20〜約30cP、約20〜約25cP、又は約22〜約24、あるいは約23cPの粘度を有し得る。
【0038】
PVOH樹脂の加水分解度が本明細書に記載の範囲内にある限り、個々のPVOHポリマーは、任意の好適な加水分解度を有し得る。
【0039】
所望により、PVOH樹脂は、これに加えて又は選択的に、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲内の
【数6】

を有する第1のPVOHポリマーと、約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲内の
【数7】

を有する第2のPVOHポリマーと、を含む。
【0040】
PVOH樹脂は、約10〜約40cPの範囲内の粘度と、約84%〜約92%の範囲内の加水分解と、を有する、1種以上の追加のPVOHポリマーを更に含み得る。
【0041】
PVOH樹脂が、約11cPよりも低い平均粘度と約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数とを有する第1のPVOHポリマーを含む場合には、ある種の実施形態では、PVOH樹脂は、約30重量%未満の第1のPVOHポリマーを含有する。同様に、PVOH樹脂が、約11cP未満の平均粘度と、約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数と、を有する第1のPVOHポリマーを含む場合には、別の非限定的な種類の実施形態では、PVOH樹脂は、約70,000ダルトン未満の
【数8】

を有するPVOHポリマーを約30重量%未満含有する。
【0042】
本明細書に記載のフィルム中の全PVOH樹脂分のうち、PVOH樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマーと、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマーと(例えば、約30〜約85重量%の第1のPVOHポリマー、又は45〜約55重量%の第1のPVOHポリマー)を含み得る。例えば、PVOH樹脂は、各PVOHポリマーを約50重量%ずつ含有することができ、その場合、第1のPVOHポリマーの粘度は約13cPであり、第2のPVOHポリマーの粘度は約23cPである。
【0043】
ある種の実施形態は、約10〜約15cPの範囲内の粘度と、約84%〜約92%の範囲内の加水分解度と、を有する第1のPVOHポリマーを約40〜約85重量%含むPVOH樹脂によって特徴付けられる。別の種類の実施形態は、約10〜約15cPの範囲内の粘度と、約84%〜約92%の範囲内の加水分解度と、を有する第1のPVOHポリマーを約45〜約55重量%含むPVOH樹脂によって特徴付けられる。PVOH樹脂は、約20〜約25cPの範囲内の粘度と、約84%〜約92%の範囲内の加水分解度と、を有する第2のPVOHポリマーを約15〜約60重量%含み得る。1つの考えられる種類の実施形態は、約45〜約55重量%の第2のPVOHポリマーを含むPVOH樹脂によって特徴付けられる。
【0044】
PVOH樹脂が複数のPVOHポリマーを含む場合、PVOH樹脂のPDI値は、あらゆる個々の含まれたPVOHポリマーのPDI値よりも大きい。所望により、PVOH樹脂のPDI値は、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.5、又は5.0を超える。
【0045】
フィルム組成物
水溶性フィルムは、少なくとも約50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%のPVOH樹脂を含有し得る。
【0046】
PVOH樹脂を選択する際には、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0を超えるPDI値を有するPVOH樹脂を選択するのが望ましい。例えば、PVOH樹脂のPDI値は、樹脂に含まれるあらゆる個々のPVOHポリマーのPDI値よりも大きくあり得る。
【0047】
更に、約80〜約92%、約83〜約90%、又は約85〜89%の重み付けされた平均加水分解度
【数9】

を有するPVOH樹脂を選ぶのが望ましい。例えば、2種以上のPVOHポリマーを含むPVOH樹脂の
【数10】

によって計算され、式中、Wは、各PVOHポリマーの重量パーセントであり、Hは、対応の加水分解度である。
【0048】
更に、約10〜約25,約12〜22、又は約13.5〜約20の重み付け対数平均粘度
【数11】

を有するPVOH樹脂を選ぶのが望ましい。2種以上のPVOHポリマーを含むPVOH樹脂の
【数12】

によって計算され、式中、μは各PVOHポリマーの粘度である。
【0049】
更に、0.255〜0.315、0.260〜0.310、0.265〜0.305、0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲内の樹脂選択指数(Resin Selection Index)(RSI)を有するPVOH樹脂を選択するのが望ましい。RSIは、式
【数13】

によって計算され、式中、μは17であり、μはそれぞれのPVOHポリマーのそれぞれの平均粘度であり、Wは、それぞれのPVOHポリマーの重量パーセントである。
【0050】
所望により、水溶性フィルムは、一層又は複数の同様の層からなる自立型フィルムであるのが好ましい。水溶性フィルムは、更に任意に、PVOH樹脂及び可塑剤並びに本明細書に記載の添加剤から本質的になることができ、溶解度特性、熱成形性能、又は溶解度特性及び熱成形性能の両方に影響を与える他のフィルム層を本質的に含んでいない可能性がある。
【0051】
フィルムのPVOH樹脂部分は、PVOHポリマーから本質的になる(即ち、この部分は、例えば、製造時の重合製品に存在する不純物を含み得る)、又は全てPVOHポリマーからなる。水溶性フィルムは、PVOH樹脂に加えて、フィルム形成ポリマーを更に含むことができる。これらの追加のポリマーは、フィルムの総重量に基づいて、約0.1〜約40重量%、又は約1〜約30重量%でフィルム中に存在し得る。非限定的な例としては、デンプン、セルロース系材料、スルホポリエステル、及びこれらの混合物が挙げられる。更なる非限定的な例としては、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及びその塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタンなどの天然ゴム類、並びにカラギーナンが挙げられる。
【0052】
水溶性フィルムは、他の補助的な薬剤及び加工剤、例えば、これらに限定されないが、可塑剤、潤滑剤、離型剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、層状ケイ酸塩型ナノクレイ(例えば、モンモリロナイトナトリウム)などのナノ粒子、漂白剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムなど)、及び他の機能性成分を、それらの意図された目的に適した量で含有できる。可塑剤を含む実施形態が好ましい。かかる剤の量は、個々に又は集合的に、最大約50重量%、最大約20重量%、又は最大15重量%、又は最大約10重量%、又は最大約5重量%、例えば、最大4重量%であり得る。
【0053】
可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、400MWまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、又はこれらの組み合わせである。可塑剤の総量は、約10重量%〜約40重量%、約15重量%〜約35重量%、又は約20重量%〜約30重量%の範囲内、例えば、約25重量%であり得る。グリセリンと、プロピレングリコールと、ソルビトールとの組み合わせを使用することができる。所望により、グリセリンは、約5重量%〜約30重量%、又は5重量%〜約20重量%、例えば、約13重量%の量で使用され得る。所望により、プロピレングリコールは、約1重量%〜約20重量%、又は約3重量%〜約10重量%、例えば、6重量%の量で使用され得る。所望により、ソルビトールを、約1重量%〜約20重量%、又は約2重量%〜約10重量%、例えば、約5重量%の量で用いることができる。
【0054】
好適な界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び双極性の部類を挙げることができる。好ましくは、界面活性剤は、非イオン性、カチオン性若しくは双極性の部類又はこれらの組み合わせのものである。好適な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコール及びアルカノールアミド(非イオン性物質)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩、及び四級化されたポリオキシエチレン化アミン(カチオン性物質)、及びアミンオキシド、N−アルキルベタイン及びスルホベタイン(双極性物質)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい界面活性剤は、アルコールエトキシレート、第四級アンモニウム塩及びアミンオキシドである。ある種の実施形態において、水溶性フィルム中の界面活性剤の量は、約1.0重量%〜2.5重量%、任意に約1.0重量%〜2.0重量%の範囲内である。
【0055】
好適な潤滑剤/離型剤としては、脂肪酸類及びそれらの塩類、脂肪族アルコール類、脂肪酸エステル類、脂肪族アミン類、脂肪族アミンアセテート類及び脂肪酸アミド類が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい潤滑剤/離型剤は、脂肪酸類、脂肪酸塩、及び脂肪族アミンアセテート類である。ある種の実施形態において、水溶性フィルム中の潤滑剤/離型剤の量は、約0.02重量%〜約1.5重量%、任意に約0.1重量%〜約1重量%の範囲内である。
【0056】
好適な充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着性除去剤としては、デンプン、変性デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク及び雲母が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、デンプン、変性デンプン及びシリカである。ある種の実施形態において、水溶性フィルム中の充填剤/増量剤/ロッキング防止剤/粘着性除去剤の量は、約0.1重量%〜約25重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、又は約3重量%〜約5重量%の範囲内である。デンプンが存在しない場合、好適な充填剤/増量剤/ロッキング防止剤/粘着性除去剤の1つの好ましい範囲は、約1重量%〜約6重量%、約1重量%〜約4重量%、又は約1重量%〜約2.5重量%である。
【0057】
好適な消泡剤としては、ポリジメチルシロキサン及び炭化水素の配合物に基づくものが挙げられるが、これらに限定されない。ある種の実施形態では、水溶性フィルム中の消泡剤の量は、約0.001重量%〜約1.0重量%、約0.1重量%〜0.75重量%、約0.1重量%〜約0.6重量%、又は約0.4重量%〜約0.5重量%の範囲内である。
【0058】
水溶性フィルムは、カールフィッシャー滴定で測定した場合に、少なくとも4重量%、例えば、約4重量%〜約10重量%の範囲内の残留水分含量を更に有することができる。
【0059】
フィルム特性
1つの考えられる種類の実施形態は、本明細書に記載の水滴抵抗力試験、本明細書に記載の洗浄残留試験、及び好ましくは両方の試験に合格した、本明細書に記載の水溶性フィルムによって特徴付けられる。別の考えられる種類の実施形態は、本明細書に記載の通りに製造された水溶性フィルムの良好な熱成形性によって特徴付けられる。熱成形フィルムは、熱及び力の印加によって成形され得るフィルムである。好ましくは、フィルムは、水滴抵抗力試験及び洗浄残留試験に合格し、熱成形可能である。
【0060】
洗浄残留試験は、水溶性ポリマーに冷水洗浄サイクルを施した後に、残留ポリマーを定性的に測定する。具体的には、厚さ76μmの0.7gのPVOHフィルムを、約60×60mmの単一区画パウチに熱成形し、次の表に記載の成分を含む約37.5mL/38gの試験液をパウチに充填する。
【表1】

【0061】
別の方法としては、厚さ76μmの0.6gのPVOHフィルムを、約44×44mmの3区画パウチに熱成形し、第1の区画の中に17.5mL/18gの試験液、並びに第2及び第3の区画の中に約1.5mL/1.5の試験液を充填する。次に、密封パケットを、ブラッグベルベットの袋(23.5cm×47cmの72%綿/28%ブラッグベルベット、好ましくは、EQUEST U.Kより供給され、DENHOLME VELVETS(HALIFAX ROAD,DENHOLME,BRADFORD,WEST YORKSHIRE,ENGLAND)で製造されるMODALブラッグベルベット)の中に、袋の開口部側面の全長に沿ってプラスチック糸で縫製することによって取り付ける。次いで、ベルベットの密封袋を、洗濯機のドラム(好ましくは水温制御システムに接続されたMIELE洗濯機型式W467)の底部に置く。機械ごとのばらつきを克服するために、各洗濯機内のベルベットの袋の中にそれぞれ取り付けられた4つの水溶性ポリマー試料を用いた試験のそれぞれにおいて、好ましくは4つの洗濯機を使用すべきである。複数の袋は、洗濯機の中の袋の位置のあらゆる影響を回避するために、洗濯機の底部の左右に、各洗濯機の中の異なる相対位置で置かれなくてはならない。次に、洗浄サイクルを、開始水温が5℃±1℃であり(水温制御システムによって制御される)追加のバラスト負荷のない「ウールサイクル/冷水」設定に合わせる。洗浄サイクルの終わりに、袋を洗濯機から取り出し、開き、15分以内に等級付けしなければならない。
【0062】
等級付けは、洗浄後の袋の中/上に残っている残留物の目視観測により行われる。定性的尺度は、0(残留物なし)〜7(ポリマーフィルムの全部が袋の中に残っている)である。フィルムは、最大で約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは最大で約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0の洗浄残留値によって特徴付けられ得る。16回の試験に関する平均残留物等級が4.5未満、好ましくは3未満の場合に、水溶性ポリマーフィルムは洗浄残留試験に合格する。次の尺度、及び対応する写真を使用して、洗浄残留値を決定した。
【表2】

【0063】
水滴抵抗力試験は、水溶性ポリマーフィルムが予め設定された期間、例えば、10分の間水性水と接触した際に原形を保つ能力を測定する。この試験は、厚さ76μm(3ミル)の水溶性フィルムを熱成形することによって作製された厚さ51μm(2ミル)のパケットの中に試験液を封入することによって作製された熱成形パウチで行われる。代表的測定値を得るためには50個のパウチが好ましく、異なる試験間のばらつきを最小限にするために、温度及び湿度が制御された室内(約21℃、40〜60%相対湿度(RH))で試験を行うのが好ましい。標準化フィルムから開始するために、パウチを約35±0.5℃、45% RHで5日間コンディショニングする必要がある。第1の非変形フィルム及び第2の熱成形フィルム(例えば、当該技術分野において既知のもの、例えば、米国特許出願公開第2005/0183394(A1)号)で製造されたパウチを、非変形フィルムを上にして配置する。パウチをトレイの上に置き、約21℃、40〜60% RHで24時間コンディショニングする。下部の変形フィルムが上になるように回転させた後、パウチを再度約21℃/40〜60% RHで少なくとも15分間コンディショニングする。前処理プロセスは、パウチを周囲条件と平衡させることができ、試験結果のばらつきを回避する。次に、2μLの水(脱塩水で10倍に希釈し、約21℃まで平衡させたCONTREX天然鉱水)を、マイクロピペットを使用してパウチの下部の中央の下に定置する。10分後、パウチをそっと持ち上げ、液体の漏れに注意してパウチをチェックする。試験結果は、10分後に漏れたパウチの百分率として提供された。本明細書に記載されるような、水溶性ポリマーフィルムから作製されたパウチの60%未満が漏れた場合に、水溶性フィルムは水滴抵抗力試験に合格する。好ましいフィルムは、最大で約60%、50%、45%、40%、又は35%の水滴抵抗値によって特徴付けられる。
【0064】
フィルムを熱成形することは、フィルムを加熱し、成形型の中でこれを成形し、その後フィルムを冷却するプロセスであり、その結果、このフィルムは成形型の形状を保持することになる。熱成形は、次のプロセスの任意の1つ以上によって行われることができる。熱的に軟化されたフィルムを成形型の上に手でゆるやかにたらす、若しくは軟化したフィルムを成形型に対して圧力で成形する(例えば、真空成形)、又は確実にわかっている温度を有する押し出されたばかりのシートを、成形及びトリミングステーションに高速割出しする、あるいはフィルムを自動配置、プラグ及び/又は空気圧延伸、並びにプレス成形する。フィルム延伸の程度は、ポケット(又は空洞)表面積を熱成形前のフィルム表面積で割ったものである面積延伸比によって定義される。面積延伸比(領域の絞り深さ(areal depth of draw)とも呼ばれる)は、Technology of Thermoforming,James L.Throne,Hanser publisher,(1996)Chapter 7.4,pg 488〜494(ISBN 3−446−17812−0)に記載されている方法に従って計算することができる。本明細書の熱成形フィルムに関し、面積延伸比は1.05〜2.7、好ましくは1.2〜2.3の範囲内、最も好ましくは1.3〜2.0の範囲内であり得る。
【0065】
本明細書に記載のフィルムは、熱成形可能であるのが好ましい。本明細書では、熱成形プロセスの後に得た成形フィルムが、2%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満のピンホール試験結果を有する場合に、フィルムは熱成形可能である(熱成形変換試験(Thermoforming Converting Test)に合格する)。熱成形プロセスの後に得た成形フィルムは、4%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満の加圧ピンホール試験結果を有し得る。
【0066】
ピンホール試験は、25〜150μmの範囲内、好ましくは50〜100μmの範囲内、最も好ましくは60〜90μmの範囲内の開始厚を有するフィルムで実施され得る。フィルムの厚さは、当業者に既知の任意の技術を用いて測定され得る。例えば、測定は、電子厚さ試験機、Thwing−Albertモデル89〜100(Thwing−Albert、14W.Collings Avenue,West Berlin NJ 08091 USA)を使用して達成され得る。厚さ測定の前に、フィルムを、22±5℃及び40±20%相対湿度で少なくとも24時間コンディショニングすることが必要である。幅約60mm×長さ60mmのフィルムのシートを入手し、(シートにわたって離間している)25箇所の測定値を得る。従って厚さは、25箇所の測定値の平均+/−標準偏差である。
【0067】
ピンホール試験及び加圧ピンホール試験は、パウチの少なくとも片面として熱成形フィルムを含むパウチの漏れ率を測定する。試験用試料の調製は、PVOHフィルムをポケットの中に熱成形することによってPVOHフィルムから水溶性容器を調製し、ポケットに組成物を充填し、充填されたポケットの上に第2のフィルムを置き、2つのフィルムを互いに封止するプロセスを含む。封止は、任意の好適な方法により行うことができる。例えば、封止は、その開示が本明細書に組み込まれる、国際公開特許第WO 02/16205号に記載されている通りに実施され得る。ここでは、76μm±4μmの厚さのフィルムが、22±5℃及び40±20% RHの大気条件で面積延伸比2.0を有する空洞の中に、105±15℃で熱成形されて、30μm±5μmの最小厚さを有する熱成形フィルムを形成する。次いで、表1の材料を含む試験液をこの熱成形フィルムに充填し、封止してパウチを形成する。
【表3】

【0068】
次に、熱成形フィルムが吸収紙と接触するようにして、22±5℃及び40±20% RHで24時間の間パウチを吸収紙の上に個別に置く。24時間後に、フィルムの熱成形された部分の上に漏出した全パウチを数える(シールを通って又は封止プロセスによって形成された欠陥を通る漏出とは異なる)。次に、ピンホールを有するパウチの割合を、((漏出したパウチの数)/パウチの総数)100%によって決定する。好ましくは、約500個のパウチを製造して試験する。とりわけ、密封パウチに圧力を加えることによって、ピンホールの発見を容易にすることができる。そのため、加圧ピンホール試験にはピンホール試験と同じプロセスが適用されるが、パウチが吸収紙の上に置かれた後に、パウチの上におもり(約0.1N/cm)を置く工程が加えられる。
【0069】
フィルムの製造方法
1つの考えられる種類の実施形態は、例えば、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとを混合すること、共鋳造すること、又は溶接することによって水溶性フィルムが形成されることによって特徴付けられる。ポリマーが最初に混合される場合には、水溶性フィルムは、得られた混合物を鋳造してフィルムを形成することによって形成されるのが好ましい。ポリマーが溶接される場合には、水溶性フィルムは、例えば、溶剤溶接又は熱溶接によって形成され得る。
【0070】
このフィルムは、洗浄活性物質を含む洗剤組成物を収容してパウチを形成するパケットを作製するのに有用である。洗浄活性物質は、粉末、ゲル、ペースト、液体、錠剤又は任意の組み合わせのような任意の形態をとってよい。このフィルムはまた、改善された湿潤時の取り扱い性及び少ない冷水残留物が望ましい任意のその他の用途にとって有用である。フィルムは、パウチ及び/又はパケットの少なくとも側壁、任意にパウチ及び/又はパケット全体、好ましくは少なくとも側壁の外側表面を形成する。
【0071】
本明細書に記載されるフィルムを使用して、同じフィルムで又は他のポリマー材料のフィルムと組み合わされて作製される2つ以上の区画を有するパケットを作製することも可能である。追加のフィルムは、例えば、当該技術分野において既知であるように、同じ又は異なるポリマー材料の鋳造、吹込成形、押出成形又は押出ブロー成形により得ることができる。ある種の実施形態では、追加のフィルムとしての使用に適した好ましいポリマー、コポリマー又はこれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及びその塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタンなどの天然ゴム類、及びカラギーナンから選択される。例えば、ポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、並びにこれらの組み合わせから選択することができ、又はポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。1つの考えられる種類の実施形態は、パケット材料(例えば、前述のようなPVOH樹脂)中のポリマー濃度が少なくとも60%であることによって特徴付けられる。
【0072】
パウチ
本開示のパウチは、少なくとも1つの密封区画を含む。したがって、パウチは、単一区画又は複数の区画を含んでもよい。複数の区画を含む実施形態では、各区画は、同一の及び/又は異なる組成物を収容してもよい。その結果、組成物は、液体、固体及びこれらの組み合わせ(例えば、液体中に懸濁している固体)を含むが、これらに限定されない、任意の好適な形態をとることができる。いくつかの実施形態において、パウチは、第1、第2及び第3の区画を含み、各区画はそれぞれ、異なる第1、第2及び第3の組成物を収容する。いくつかの実施形態において、組成物は、欧州特許出願第09161692.0号(2009年6月2日出願、Procter & Gamble Companyに譲渡されている)に記述されているように、視覚的に区別可能であってもよい。
【0073】
多区画パウチの区画は、同じ又は異なる寸法及び/又は体積であってもよい。本発明の多区画パウチの区画は、独立していることができるが、好ましくは、任意の好適な様式で接合されることができる。いくつかの実施形態において、第2及び/又は第3及び/又は後続の区画は、第1の区画の上に重ね合わされる。1つの実施形態では、第3の区画を第2の区画上に重ね合わせ、次にこれを第1の区画上に挟み込む配置で重ね合わせることができる。あるいは、第2及び第3の区画が、第1の区画に重ね合わせられてもよい。しかしながら、第1の、第2の、所望により第3の、並びにそれに続く区画を、隣り合わせたもの同士で互いに接着できることも同様に予想される。区画を一続きにパックして、ミシン目線により各区画をそれぞれ分離できるようにしてもよい。それゆえ、例えば、区画中の組成物で布地を前処理又は後処理するために、エンドユーザが一続きの残りの部分から各区画を個々に切り離すことができてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、多区画パウチは、1つの大きな第1の区画と、2つの小さな区画とからなる3つの区画を含む。第2の及び第3のより小さな区画は、第1のより大きな区画上に重ね合わせられる。区画の大きさ及び形状は、この配置を達成できるように選択される。区画の形状は同じでも異なっていても良よ。いくつかの実施形態において、第2の及び任意に第3の区画は、それぞれ、第1の区画と異なる幾何学的形状及び形状を有する。これらの実施形態において、第2の及び任意に第3の区画は、第1の区画上の設計中に配置される。例えば、この設計は、コンセプト又は取扱の説明に役立つように装飾的、教育的、例証的であってもよく、及び/又は製品の供給元を示すために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、第1の区画は、周縁部の周りで封止された2つの大きな面を有する最も大きな区画であり、第2の区画はこれより小さく、第1の区画の1つの面の表面積の約75%未満、又は約50%未満である。第3の区画が存在する実施形態では、前述の構造は同じであり得るが、第2及び第3の区画は、第1の区画の1つの面の表面積の約60%未満、約50%未満、又は約45%未満である。
【0075】
本開示のパウチ及び/又はパケットは、1つ以上の異なるフィルムを含んでもよい。例えば、単一区画の実施形態では、パケットは、それ自体の上に折り畳まれて縁部で封止された1つの壁から形成されてもよく、別の方法としては、縁部で互いに封止された2つの壁から形成されてもよい。複数の区画の実施形態では、あらゆる所与のパケット区画が、単一フィルム又は異なる組成を有する複数のフィルムから形成される壁を含むことができるように、パケットは1つ以上のフィルムから形成されてもよい。一実施形態において、多区画パウチは、少なくとも3つの壁と、上部外壁と、下部外壁と、仕切り壁と、を含む。上部外壁及び下部外壁は、一般に対向しており、パウチの外面を形成する。仕切り壁は、パウチに内設されて、一般に対向している外壁に封止線に沿って取り付けられる。仕切り壁は、多区画パウチの内部を、少なくとも第1の区画と第2の区画とに分割する。
【0076】
パウチ及びパケットは、任意の好適装置及び方法を用いて作製されてもよい。例えば、単一区画パウチは、一般に当該技術分野において既知の垂直形式充填技術(vertical form filling technique)、水平形式充填技術(horizontal form filling technique)、又は回転ドラム充填技術(rotary drum filling technique)を用いて製造されてもよい。こうしたプロセスは、連続的又は断続的のいずれかであってもよい。フィルムは、湿らされてもよく、及び/又はその可鍛性を高めるために加熱されてもよい。上記方法はまた、フィルムを好適な成形型に引き込むための真空の使用を伴ってもよい。フィルムを成形型に引き込む真空は、フィルムが表面の水平部にある時点で、約0.2〜約5秒、約0.3〜約3、又は約0.5〜約1.5秒の間適用され得る。この真空は、例えば、1kPa(10mbar)〜100kPa(1000mbar)の範囲内、又は10kPa(100mbar)〜60kPa(600mbar)の範囲内の負圧を提供するようなものであり得る。
【0077】
その中にパケットが形成される成形型は、必要とされるパウチ寸法に応じた任意の外形、長さ、幅及び深さであってもよい。成形型はまた、必要に応じて、寸法及び形状が互いに異なっていてもよい。例えば、最終パウチの体積は、約5mL〜約300mL、約10〜150mL、又は約20〜約100mLであってもよく、成形型の寸法はこれに従って調整される。
【0078】
成形及び熱成形
熱成形として一般に知られているプロセスで、フィルムに熱を適用することができる。熱は、任意の好適な手段を用いて適用することができる。例えば、フィルムは、表面上に供給する前に、又は表面上に供給してすぐに加熱要素の下あるいは熱風の中を通過させることで直接加熱されてもよい。別の方法としては、フィルムは、例えば、表面を加熱するか、あるいはフィルム上に熱い物を適用することにより間接的に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルムは赤外光を使用して加熱される。フィルムは、約50〜約150℃、約50〜約120℃、約60〜約130℃、約70〜約120℃、又は約60〜約90℃の温度まで加熱されてもよい。あるいは、フィルムは、任意の好適な手段、例えば、フィルムを表面上に送り込む前に又はフィルムが表面上にある時点で、湿潤剤(水、フィルム組成物の溶液、フィルム組成物用の可塑剤、又はこれらの任意の組み合わせ)をフィルムに直接吹き付けることによって、又は表面を間接的に濡らすことによって、あるいはフィルムの上に濡れた部材を適用することによって、濡らされることができる。
【0079】
フィルムが加熱された及び/又は濡らされた時点で、このフィルムを、好ましくは真空を用いて適切な成形型に引き込んでもよい。成形フィルムの充填は、任意の好適な手段を利用して達成され得る。いくつかの実施形態において、最も好ましい方法は、製品形態及び充填速度によって決まる。いくつかの実施形態において、成形フィルムは、インライン充填技術によって充填される。次に、充填された開放パケットは、第2のフィルムを使用して任意の好適な方法によって閉じられて、パウチが形成される。これは、水平位置にあり、連続した一定の動きの間に達成され得る。閉鎖は、開放パケットを覆って及びその上に第2のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給し、次いで好ましくは、典型的には成形型と成形型との間、したがってパケットとパケットとの間の領域で第1のフィルムと第2のフィルムを共に封止することにより達成されることが好ましい。
【0080】
パケット及び/又はその個々の区画を封止する任意の好適な方法を用いることができる。かかる手段の非限定的な例としては、熱融着、溶剤接着、溶剤又は湿潤封止、及びこれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、封止を形成することになる領域のみが熱又は溶剤により処理される。熱又は溶剤は、任意の方法により、典型的には閉鎖材料の上に、典型的には密封を形成することになる領域の上のみに適用されることができる。溶剤若しくは湿式封止又は溶着が使用される場合、熱もまた適用されることが好ましい場合がある。好ましい湿式又は溶剤密封/溶着方法は、溶剤を成形型間、又は閉鎖材料上に、例えば、これをこれらの領域上に噴霧又は印刷することにより選択的に適用すること、次いで圧力をこれらの領域に適用して密封を形成することを含む。例えば、上記のようなシーリングロール及びベルト(任意にまた熱を提供する)が使用され得る。
【0081】
次いで、形成されたパウチを切断装置によって切断してもよい。切断は、任意の既知の方法を用いて達成されることができる。切断はまた、連続方式で、並びに好ましくは一定速度で及び好ましくは水平位置にある間に行われることが好ましい場合がある。切断装置は、例えば、鋭利な物品又は熱い物品であることができ、それによって後者の場合には、熱い物品はフィルム/封止領域を「焼き」落とす。
【0082】
多区画パウチの異なる区画は、隣合った様式で一緒に形成されてもよく、その場合、得られた接合しているパウチは、切断によって分離されてもよいし、されなくてもよい。あるいは、区画を別々に作製してもよい。
【0083】
いくつかの実施形態において、パウチは、以下の工程を含むプロセスに従って作製されてもよい。
【0084】
a)第1の区画を形成する工程(前述の通り)、
b)工程(a)で形成された閉じた区画の一部又は全ての内部に凹所を形成して、上記の第1の区画の上に重ね合わせられる第2の成形区画を作り出す工程、
c)第3のフィルムを用いて第2の区画を充填し、閉じる工程、
d)第1、第2、及び第3のフィルムを封止する工程、並びに
e)フィルムを切断して多区画パウチを製造する工程。
【0085】
工程(b)で形成される凹所は、工程(a)で調製された区画に真空を適用することによって得ることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、欧州特許出願第08101442.5号又は国際公開特許第WO 2009/152031号(2008年6月13日出願、Procter & Gamble Companyに譲渡されている)に記載されるように、第2の区画、及び/又は第3の区画は、個別の工程で製造された後、第1の区画と組み合わせることができる。
【0087】
いくつかの実施形態において、パウチは、以下の工程を含むプロセスに従って作製されてもよい。
【0088】
a)第1の形成機械上の第1のフィルムを用いて、所望により熱及び/又は真空を使用して第1の区画を形成する工程、
b)第1の区画に第1の組成物を充填する工程、
c)第2の形成機械上で第2のフィルムを変形させて、所望により熱及び真空を使用して第2の及び所望により第3の成形区画を製造する工程、
d)第2の及び所望により第3の区画を充填する工程、
e)第3のフィルムを用いて第2の及び所望により第3の区画を封止する工程、
f)封止した第2の及び所望により第3の区画を、第1の区画上に配置する工程、
g)第1、第2及び任意に第3の区画を封止する工程、並びに
h)フィルムを切断して多区画パウチを製造する工程。
【0089】
第1及び第2の形成機械は、上記のプロセスを実施するための適合性に基づいて選択され得る。いくつかの実施形態において、第1の形成機械は、水平な形成機械であるのが好ましく、第2の形成機械は、好ましくは第1の形成機械の上方に位置決めされる回転式ドラム形成機械であるのが好ましい。
【0090】
適切な供給ステーションの使用により、多くの異なる若しくは独特の組成物、及び/又は異なる若しくは独特の液体、ゲル若しくはペースト組成物を組み込む多区画パウチが製造可能であり得ることを更に理解すべきである。
【0091】
パウチ充填材料の説明
本発明のパウチは、様々な組成物を収容することができる。多区画パウチは、各独立した区画の中に、同じ又は異なる組成物を収容することができる。本開示のこの特徴を利用して、非相溶性成分(例えば、漂白剤及び酵素)を含有する組成物を、互いに物理的に分離または分割させた状態に維持することができる。こうした分割は、耐用年数を拡大する及び/又はかかる成分の物理的不安定性を低減することができると考えられている。追加的又は代替的に、こうした分割は、欧州特許出願第09161692.0号(2009年6月2日出願、Procter & Gamble Companyに譲渡されている)に記載されているような審美的利益を提供することができる。
【0092】
有用な組成物の非限定的な例としては、軽質の及び重質液体洗剤組成物、硬質表面洗浄組成物、洗濯で一般に使用される洗剤ゲル、並びに漂白剤及び洗濯添加剤、シャンプー、ボディソープ、並びにその他のパーソナルケア組成物が挙げられる。本発明のパウチで使用される組成物は、液体、固体又は粉末の形態をとることができる。液体組成物は、固体を含んでもよい。固体は、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル又は1つ以上の真珠様光沢ボール、又はこれらの混合物などの粉末又は粒塊を含んでもよい。このような固体要素は、洗浄を通して、又は前処理、遅延、若しくは順次放出成分として技術的利点をもたらし得る。追加的又は代替的に、固体要素は、審美的効果を提供することが可能である。
【0093】
洗濯、洗濯添加剤及び/又は布地柔軟剤組成物を含むパウチにおいて、組成物は、次の非限定的な成分リストの1つ以上を含んでもよい。布地ケア有益剤、洗浄性酵素、沈着助剤、レオロジー変性剤、ビルダー、漂白剤(bleach)、漂白剤(bleaching agent)、漂白剤前駆体、漂白促進剤、漂白触媒、香料及び/又は香料マイクロカプセル(例えば、米国特許第5,137,646号参照)、香料充填ゼオライト、デンプン封入アコード、ポリグリセロールエステル、白色剤、パールエッセンス剤酵素安定剤系、アニオン性染料の固着剤を含む除去剤、アニオン性界面活性剤の錯化剤、及びこれらの混合物、任意の漂白剤又は蛍光剤、汚れ放出ポリマー及び/又は汚れ懸濁ポリマーを含むがこれらに限定されないポリマー、分散剤、消泡剤、非水性溶剤、脂肪酸、抑泡剤、例えば、シリコーン抑泡剤(参照:米国公開公報第2003/0060390(A1)号、65〜77)、カチオン性デンプン(参照:米国公開公報第2004/0204337(A1)号、及び米国公開公報第2007/0219111(A1)号)、スカム分散剤(参照:米国公開公報第2003/0126282(A1)、89〜90)、染料、着色剤、乳白剤、酸化防止剤、屈水性誘発物質類、例えば、トルエンスルホネート類、クメンスルホネート類及びナフタレンスルホネート類、カラースペックル(color speckles)、着色ビーズ、球体又は押出品、粘土柔軟剤。これらの成分の任意の1つ以上は、それぞれがProcter & Gamble Companyに譲渡されている、欧州特許出願第09161692.0号(2009年6月2日出願)、米国公開公報第2003/0139312(A1)号(2000年5月11日出願)、及び米国特許出願第61/229981号(2009年7月30日出願)に更に記載されている。追加的又は代替的に、組成物は、界面活性剤及び/又は溶媒系を含んでもよく、これらはそれぞれ後述されている。
【0094】
界面活性剤
洗剤組成物は、約1%〜80重量%の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、第1の組成物の成分として特に好ましい。好ましくは、第1の組成物は約5重量%〜50重量%の界面活性剤を含む。第2及び第3の組成物は、0.1〜99.9%の濃度の界面活性剤を含んでもよい。
【0095】
使用される洗浄性界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、双極性イオン、両性若しくはカチオン性の種類のものであってもよく、又はこれらの種類の界面活性剤の相容性混合物を含んでもよい。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性の界面活性剤及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、組成物は、ベタイン界面活性剤を実質的に含まない。本明細書で有用な洗浄用界面活性剤は、米国特許第3,664,961号、同第3,919,678号、同第4,222,905号、及び同第4,239,659号に記載されている。アニオン性及び非イオン性の界面活性剤が好ましい。
【0096】
有用なアニオン性界面活性剤は、それら自体が、いくつか異なる種類の界面活性剤であってもよい。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、すなわち「石鹸」は、本明細書の組成物において有用なアニオン性界面活性剤である。これには、約8〜約24個の炭素原子、好ましくは約12〜約18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びアルキルアンモニウム塩のようなアルカリ金属石鹸が挙げられる。石鹸は、脂肪及び油の直接鹸化によって、又は遊離脂肪酸の中和によって製造することができる。特に有用であるのは、ココヤシ油及び獣脂から誘導される脂肪酸の混合物のナトリウム塩及びカリウム塩、すなわち、ナトリウム又はカリウム獣脂及びココヤシ石鹸である。
【0097】
本明細書に用いるのに好適な、石鹸以外の更なるアニオン性界面活性剤としては、その分子構造内に約10〜約20個の炭素原子を含有するアルキル基とスルホン酸又は硫酸エステル基とを有する有機イオウ反応生成物の、水溶性塩、好ましくはアルカリ金属及びアンモニウム塩が挙げられる。(用語「アルキル」にはアシル基のアルキル部分が含まれる)この群の合成界面活性剤の例としては、a)アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム及びアルキル硫酸アンモニウム、特に獣脂又はココナッツ油のグリセリドを還元することにより製造されるような高級アルコール(C〜C18)を硫酸化して得られる界面活性剤、b)アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、アルキルポリエトキシレート硫酸カリウム、及びアルキルポリエトキシレート硫酸アンモニウムであり、特に、アルキル基が、10〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有し、ポリエトキシレート鎖が1〜15個、より好ましくは1〜6個のエトキシレート部分を含有する界面活性剤、並びにc)アルキル基が9〜15個の炭素原子を、直鎖又は分子鎖の配置で含有するアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば、米国特許第2,220,099号及び第2,477,383号に記述されている種類の界面活性剤が挙げられる。とりわけ価値があるのは、アルキル基の平均炭素原子数が約11〜13個である、C11〜C13 LASと略される、直鎖アルキルベンゼンスルホネートである。
【0098】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式R(OCOHのものであり、式中、Rは、C10〜C16アルキル基又はC〜C12アルキルフェニル基であり、nは3〜約80である。特に好ましいのは、C12〜C15アルコールと、アルコール1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドとの縮合生成物であり、例えば、C12〜C13アルコールをアルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドと縮合させたものである。
【0099】
溶媒系
本発明の組成物における溶媒系は水だけ、又は有機溶媒と水との混合物を含有する溶媒系であることができる。好ましい有機溶媒としては、1,2−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレンジグリコール、メチルプロパンジオール及びこれらの混合物が挙げられる。また、他の低級アルコール、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のC〜Cアルカノールアミンを使用してもよい。溶媒系は、例えば、本開示の無水固形物の実施形態に存在しないことが可能であるが、より典型的には約0.1%〜98%の範囲内にある濃度で存在し、好ましくは少なくとも約1%〜約50%、より通常は約5%〜約25%で存在する。
【0100】
本明細書の組成物は、一般的に成分を共に混合することにより調製できる。パールエッセンス材料を使用する場合、混合の後半の段階で添加するべきである。レオロジー変性剤を使用する場合、レオロジー変性剤が水の一部に分散しているプレミックスを最初に形成することが好ましく、所望により、組成物を構成するために最終的に他の成分が用いられる。プレミックスは、構造化された液体を形成する方法で形成される。次に、プレミックスが攪拌されている間、この構造化されたプレミックスに、水及び使用するべきあらゆる任意の洗剤組成物補助剤と共に、界面活性剤及び必須の洗剤補助剤物質を添加することができる。
【0101】
有用な組成物のpHは、約4〜約12、約5.5〜約9.5、約6〜約8.5、又は約6.5〜約8.2であってもよい。洗濯洗剤組成物は、約6〜約10、約6.5〜約8.5、約7〜約7.5、又は約8〜約10のpHを有していてもよい。自動食器洗浄組成物は、約8〜約12のpHを有していてもよい。洗濯洗剤添加剤組成物は、約4〜約8のpHを有していてもよい。布地柔軟剤は、約4〜約8のpHを有していてもよい。
【0102】
洗剤のpHは、20±2℃における洗剤の10%(重量/体積)水溶液のpHとして定義される。固形及び粉末洗剤に関しては、20±2℃における洗剤の1%(重量/体積)水溶液のpHとして定義される。pHを±0.01pH単位まで測定することができる任意の計測器が好適である。Orion計測器(Thermo Scientific,Clintinpark−Keppekouter,Ninovesteenweg 198,9320 Erembodegem−Aalst,Belgium)及び等価物は、許容可能な計器である。pH計測器は、好適なガラス電極と、カロメル又は銀/塩化銀参照電極と、を備えている必要がある。例にはMettler DB 115が挙げられる。電極は、製造会社推奨の電解質溶液の中に収容される必要がある。
【0103】
洗剤の10%水溶液を、以下の手順に従って調製する。10±0.05グラムの試料を、±0.02グラムまで正確に測定することができる天秤で計量する。試料を100mLの容積測定用フラスコに移し、蒸留水(水の導電率が<5μS/cm未満である限り、脱イオン水及び/又は蒸留水が好適である)で容量まで希釈し、十分に混合する。得られた溶液のうちの約50mLをビーカーに注ぎ入れ、温度を20±2℃に調整し、pH計測器製造業者の標準手順に従ってpHを測定する(pHアセンブリを組み立て、較正する場合にも、製造業者の説明書に従うことが重要である)。
【0104】
固形洗剤及び粉末洗剤に関し、洗剤の1%水溶液を以下の手順で調製した。10±0.05グラムの試料を、±0.02グラムまで正確に測定することができる天秤で計量する。試料を1000mLの容積測定用フラスコに移し、蒸留水(水の導電率が<5μS/cm未満である限り、脱イオン水及び/又は蒸留水が好適である)で容量まで希釈し、十分に混合する。得られた溶液のうちの約50mLをビーカーに注ぎ入れ、温度を20±2℃に調整し、pH計測器製造業者の標準手順に従ってpHを測定する(pHアセンブリを組み立て、較正する場合にも、製造業者の説明書に従うことが重要である)。
【0105】
漂白剤
無機及び有機漂白剤は、本明細書において用いるのに適した洗浄活性物質である。無機漂白剤としては、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩のような過水和物塩が挙げられる。無機過水和物塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和物塩は、追加的保護なしで、結晶性固体として含まれてよい。あるいは、塩は、当該技術分野において既知の通りにコーティングされ得る。
【0106】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書に記載される洗剤組成物で使用するための好ましい過酸化水素化物である。過炭酸塩は、最も好ましくは、製品内安定性を提供するコーティングされた形態で製品に取り込まれる。製品内安定性を提供する好適なコーティング材料は、水溶性アルカリ金属硫酸塩及び炭酸塩の混合塩を含む。そのようなコーティングは、コーティングプロセスと共に、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、英国特許第1,466,799号、並びに米国特許第3,975,280号、同第4,075,116号、及び同第5,340,496号の中で既に説明されている。混合塩コーティング材料と過炭酸塩との重量比は、1:99〜1:9、好ましくは1:49〜1:19の範囲内にある。好ましくは、混合塩は、一般式NaSO+n+NaCOを有する硫酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムのものである(式中、nは、0.1〜3、好ましくは0.3〜1.0、より好ましくは0.2〜0.5である)。製品安定性を提供する別の好適なコーティング材料は、SiO:NaO比が1.8:1〜3.0:1、好ましくは1.8:1〜2.4:1であるケイ酸ナトリウム、及び/又はメタケイ酸ナトリウムを含み、好ましくはペルオキシモノ過硫酸カリウムのような無機過水和物塩の2重量%〜10重量%、(通常3重量%〜5重量%)の水準でSiOが適用される。ケイ酸マグネシウム、ケイ酸塩及びホウ酸塩、ケイ酸及びホウ酸、ワックス、油、脂肪石鹸を含有する他のコーティングもまた、本発明において有利に使用できる。
【0107】
有機漂白剤としては、ジアシル及びテトラアシルペルオキシドを含む有機ペルオキシ酸、特に、ジペルオキシドデカン二酸(diperoxydodecanedioc acid)、ジペルオキシテトラデカン二酸(diperoxytetradecanedioc acid)、及びジペルオキシヘキサデカン二酸(diperoxyhexadecanedioc acid)を挙げることができる。過酸化ジベンゾイルは、本明細書において好ましい有機ペルオキシ酸である。ジアシルペルオキシド、特にジベンゾイルペルオキシドは、約0.1〜約100マイクロメートル、好ましくは約0.5〜約30マイクロメートル、より好ましくは約1〜約10マイクロメートルの重量平均径を有する粒子の形態で存在し得る。好ましくは、少なくとも約25%〜100%、より好ましくは少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%の粒子が、10マイクロメートルより小さく、好ましくは6マイクロメートルより小さい。
【0108】
その他の有機漂白剤としては、ペルオキシ酸が挙げられ、特定の例は、アルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換誘導体、例えば、アルキルペルオキシ安息香酸類、並びにペルオキシ−α−ナフトエ酸及びモノ過フタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸類、例えば、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミノペルオキシカプロン酸[フタロイミドパーオキシヘキサン酸(PAP)]、o−カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N−ノネニルアミドペルアジピン酸、及びN−ノネニルアミドペルコハク酸、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族(araliphatic)ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12−ジペルオキシカルボン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、N,N−テレフタロイルジ(6−アミノペルカプロン酸)である。
【0109】
漂白活性化剤は、一般的に、60℃以下の温度での洗浄過程において漂白作用を増強する有機過酸前駆体であり得る。本明細書で用いるのに好適な漂白活性化剤としては、過加水分解条件(perhydrolysis condition)下で好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸、及び/又は任意に置換された過安息香酸をもたらす化合物が挙げられる。好適な物質は、指定された炭素原子数のO−アシル及び/若しくはN−アシル基並びに/又は任意に置換されたベンゾイル基を有する。好ましいのは、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn−ノナノイル−又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n−又はイソ−NOBS)、無水カルボン酸、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン及び更にはトリエチルアセチルシトレート(TEAC)である。
【0110】
本明細書の洗剤組成物で使用するのに好ましい漂白触媒としては、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体(米国特許第4,246,612号、同第5,227,084号)、Co、Cu、Mn、及びFeビスピリジルアミン及び関連する錯体(米国特許第5,114,611号)、並びにペンタミンアセテートコバルト(III)及び関連する錯体(米国特許第4,810,410号)が挙げられる。本明細書に用いるのに適した漂白触媒の完全な記述は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,599,871号に見出すことができる。
【0111】
食器洗浄剤
自動食器洗い用洗剤で使用するための好ましい界面活性剤は、それ自体が低起泡性である、又は他の構成成分(例えば、泡抑制剤)と組み合わされる。本明細書に用いるのに好ましいのは、低及び高曇点非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物であり、非イオン性アルコキシル化界面活(特にC〜C18一級アルコールから誘導されるエトキシレート)、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、Olin CorporationのPOLY−TERGENT(登録商標)SLF18)、エポキシ末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、Olin CorporationのPOLY−TERGENT(登録商標)SLF18B、国際公開第WO−A−94/22800号を参照)、エーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びBASF−Wyandotte Corp.(Wyandotte,Michigan)によるPLURONIC(登録商標)、REVERSED PLURONIC(登録商標)、及びTETRONIC(登録商標)のようなブロックポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリマー化合物、C12〜C20アルキルアミンオキシ(本明細書に用いるのに好ましいアミンオキシドとしては、ラウリルジメチルアミンオキシド及びヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる)のような両性界面活性剤、並びにMIRANOL(商標)C2Mのようなアルキルアンホカルボン酸界面活性剤、ベタイン及びスルタインのような双極性界面活性剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。本明細書での使用に適した界面活性剤は、例えば、米国特許第A−3,929,678号、同第A−4,259,217号、欧州特許第A−0414 549号、国際公開第WO−A−93/08876号及び同第WO−A−93/08874号に開示されている。界面活性剤は、洗剤組成物の約0.2重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、最も好ましくは約1重量%〜約5重量%の濃度で存在し得る。
【0112】
その他の添加剤
本明細書に用いるのに適したビルダーとしては、クエン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、及びポリリン酸塩、例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、並びにトリポリリン酸ナトリウム及びカリウムの混合塩のような水溶性ビルダーが挙げられる。
【0113】
本明細書に記載される洗剤組成物中で使用するのに適した酵素としては、細菌性又は菌性のセルラーゼ類、例えば、CAREZYME及びCELLUZYME(Novo Nordisk A/S)など、ペルオキシダーゼ、リパーゼ、例えば、AMANO−P(Amano Pharmaceutical Co.)、M1 LIPASE及びLIPOMAX(Gist−Brocades)、並びにLIPOLASE及びLIPOLASE ULTRA(Novo)など、クチナーゼ、プロテアーゼ、例えば、ESPERASE、ALCALASE、DURAZYM及びSAVINASE(Novo)、並びにMAXATASE、MAXACAL、PROPERASE及びMAXAPEM(Gist−Brocades)など、α及びβアミラーゼ、例えば、PURAFECT OX AM(Genencor)及びTERMAMYL、BAN、FUNGAMYL、DURAMYL、及びNATALASE(Novo)、ペクチナーゼ、及びこれらの混合物が挙げられる。酵素は、本明細書では、小球(prills)、顆粒(granulates)、又は共顆粒(cogranulates)として、典型的に洗浄組成物の約0.0001重量%〜約2重量%の範囲内の水準で添加されることが好ましい。
【0114】
本明細書に用いるのに適した泡抑制剤には、低曇点を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用される場合、「曇点」とは、温度が増加するにつれて溶解しにくくなる界面活性剤で生じる、非イオン性界面活性剤の周知の特性であり、第2の相の出現が観察できる温度を「曇点」と呼ぶ(Van Nostrand’s Scientific Encyclopedia,4th Ed.,p.366,(1968)参照)。本明細書で使用される場合、「低曇点」非イオン性界面活性剤とは、30℃未満、好ましくは約20℃未満、更により好ましくは約10℃未満、及び最も好ましくは約7.5℃未満の曇点を有する非イオン性界面活性剤系成分として定義される。低曇点の非イオン性界面活性剤としては、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に第一級アルコールから誘導されるエトキシレート、及びポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)リバースブロックポリマーを挙げることができる。また、このような低曇点の非イオン性界面活性剤としては、例えば、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASFのPoly−Tergent(登録商標)SLF18)及びエポキシ末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、米国特許第A−5,576,281号に記載されるような、非イオン性のBASFのPoly−Tergent(登録商標)SLF18Bシリーズ)を挙げることができる。
【0115】
本明細書に記載される洗剤組成物中で使用するのに適したその他の構成要素としては、再付着防特性、汚れ放出特性、又はその他の洗浄特性を有する洗浄ポリマーが挙げられる。本明細書において好ましい再析出防止重合体としては、SOKALAN PA30、PA20、PA15、PA10、並びにSOKALAN CP10(BASF GmbH)、ACUSOL 45N、480N、460N(Rohm and Haas)、SOKALAN CP5などのアクリル酸/マレイン酸共重合体、及びアクリル/メタクリル共重合体などのアクリル酸含有重合体が挙げられる。本明細書において好ましい汚れ剥離ポリマーとしては、アルキル及びヒドロキシアルキルセルロース(米国特許第A−4,000,093号)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン及びこれらのコポリマー、並びにエチレングリコール、プロピレングリコール及びこれらの混合物のテレフタレートエステルをベースとする、非イオン性及びアニオン性コポリマーが挙げられる。
【0116】
また重金属イオン封鎖剤及び結晶成長阻害剤、例えば、塩及び遊離酸形態のジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、エチレンジホスホネート、ヒドロキシ−エチレン−1,1−ジホスホネート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミノテトラアセテート、エチレンジアミン−N,N’−ジサクシネートもまた、本明細書での使用に適している。
【0117】
同様に本明細書に記載の洗剤組成物で使用するのに適しているのは、例えば、有機銀コーティング剤(特に、Wintershall(Salzbergen,Germany)から販売されるWINOG 70のようなパラフィン)、窒素含有腐食防止剤化合物(例えば、ベンゾトリアゾール及びベンズイミダゾール、英国特許A−1137741号参照)、並びにMn(II)化合物、特に有機配位子のMn(II)塩のような腐食防止剤である。
【0118】
本明細書において好適な他の構成要素としては、カルシウムイオン、ホウ酸及びプロピレングリコールのような酵素安定剤が挙げられる。
【0119】
好適なすすぎ添加剤は、当該技術分野において既知である。典型的に、市販の食器洗浄用すすぎ補助剤は、低起泡性脂肪族アルコールポリエチレン/ポリプロピレングリコールエーテル、可溶化剤(例えば、クメンスルホネート)、有機酸(例えば、クエン酸)及び溶媒(例えば、エタノール)の混合物である。こうしたすすぎ補助剤の機能は、水滴、筋、又はフィルムが、以降の乾燥方法後に残らないように、薄い凝集性フィルムの形態ですすいだ表面から排出され得るような方法で水の界面張力に影響することである。すすぎ補助剤の組成物及びそれらの性能の試験方法の再検討は、W.Schirmerらによる、Tens.Surf.Det.28,313(1991)に存在する。Henkelへの欧州特許第0 197 434号は、界面活性剤として混合エーテルを含有するすすぎ補助剤を記載している。柔軟仕上げ剤及び同類のもののようなすすぎ添加剤も同様に考えられ、本明細書の開示に従うフィルムへの封入に好適である。
【実施例】
【0120】
特定重量パーセントの特定ポリマーを混合して、以下の試料を調製した。PVOHポリマー、例えば、KURARAY AMERICA,Inc.(Houston Texas,USA)から入手可能なMOWIOL製品ラインからのPVOHポリマーは、典型的には、ポリマー等級製品番号(polymer grade product number)で表わされる。例えば、PVOHポリマー13〜88は、部分的に加水分解されたMOWIOLポリビニルアルコールであり、特定の公称粘度は約13cP、公称加水分解度は約88%(ビニルアルコール単位へと変換された酢酸ビニル単位の百分率として表わされる)である。以下に記載されている実施例を形成するために使用されるPVOHポリマーは、ポリマー等級製品番号で表わされる。
【0121】
本明細書において以下の表2〜5で提示される実施例のために、水中の特定ポリマーを、可塑剤及び加工助剤などのその他の微量の添加剤と混合して、フィルムを調製した。以下の表のPVOHポリマーの重量%は、PVOH樹脂の重量部として指定される。PVOH樹脂は、約19重量%〜29重量%(平均24重量%)の総可塑剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、及びソルビトールなど)、及び少量の(合計で約3重量%〜8重量%、平均6重量%)の安定剤及び加工助剤(例えば、粘着防止剤、消泡剤、漂白剤、充填剤、及び界面活性剤湿潤剤など)と共に、乾燥重量でフィルム組成物の大部分(全重量の約67%〜約75%、平均69%)を構成した。溶液は、約71℃〜約93℃の範囲内の温度に維持され、熱溶液を滑らかな表面に適用し、水を蒸発させることによって鋳造されて、約60〜90μm(典型的には76μm)の範囲内の厚さ、及びカールフィッシャー滴定で測定した場合に約4重量%〜約10重量%の残留水分含量を有するフィルムが形成された。
【0122】
PVOH樹脂溶液の調製中に、褐変作用が生じ得る。ところが、ほとんどの用途において、透明及び無色の水溶性フィルムが望ましいので、好適な漂白剤をPVOH樹脂溶液に添加することができる。メタ重亜硫酸ナトリウムが約0.05重量%〜約1.0重量%、約0.05重量%〜約0.7重量%、約0.1重量%〜約0.5重量%、又は約0.1重量%〜約0.2重量%の範囲内の量で使用される場合、メタ重亜硫酸ナトリウムの使用は、調製中に溶液を透明及び無色に実質的に維持することがわかった。
【表4】

パケットタイプ−S=単一区画−M=封数の区画
【表5】

パケットタイプ−S=単一区画−M=封数の区画
【表6】

パケットタイプ−S=単一区画−M=封数の区画
−3週間エージングしたパウチ**−2週間エージングしたパウチ
【表7】

パケットタイプ−S=単一区画−M=封数の区画
−3週間エージングしたパウチ**−2週間エージングしたパウチ
【0123】
追加の特定の実施形態は、表6の個々のます目に示されているような平均加水分解度、重み付け対数平均粘度、及び樹脂選択指数の組み合わせを有するフィルムを含む。
【表8】

【0124】
一実施形態において、漂白剤添加物は、表7に示される成分を含むことができる。
【表9】

テトラアセチルエチレンジアミン
【0125】
別の実施形態において、粒状洗濯洗剤は、表8に示される成分を含むことができる。
【表10】

ランダムグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖と複数のポリビニルアセテート側鎖とを有する、ポリビニルアセテートグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は約6000であり、ポリエチレンオキシドとポリビニルアセテートとの重量比は約40:60であり、50個のエチレンオキシド単位当たりのグラフト点は1以下である。
【0126】
別の実施形態において、液体洗濯洗剤は表9に示される成分を含むことができる。
【表11】

また、好ましいLASは、直鎖構造中に約9〜約15個の炭素原子を含むアルキル基を含む。
【0127】
別の実施形態において、洗剤は表10に示される処方を含むことができる。
【表12】

【0128】
別の実施形態において、有益剤は表11に示される処方を含むことができる。
【表13】

ジ(アシルオキシエチル)(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェートであって、アシル基は部分的に水素添加されたカノーラ脂肪酸から誘導される。
部分的に水素添加されたカノーラ脂肪酸。
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール。
PEG6コカミド−ヤシ脂肪酸のポリエチレングリコールアミド。
ヒドロキシエタンジホスホン酸のナトリウム塩。
6 供給元によって柔軟活性剤が含められた材料。
【0129】
別の実施形態において、多区画パウチは複数の有益剤を収容することができる。非限定的な例として、3区画パウチは、表12に示される処方物を別個の包囲空間の中に収容することができ、用量は各包囲空間内の処方物の量である。
【表14】

【0130】
多成分パウチの例は、表13に示される処方物を含むことができる。
【表15】

米国特許第7169744号に記載のもののような硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−エチル−ヘキシルオキシメチル)−エチル]エステル
PAP=フタロイル−アミノ−ペルオキシカプロン酸、70%活性湿潤ケーキとして
−NH1個あたり20個のエトキシル基を有するポリエチレンイミン(MW=600)。
エトキシル化チオフェン、EO(R+R)=5
5 RA=予備アルカリ度(g NaOH/用量)
6 多成分パウチの別の実施形態では、各包囲空間は液状及び固形の有益剤で充填することができる。1つの包囲空間は液体で充填され、1つの包囲空間は個体で充填されている2区画パウチの非限定的な例(W−Z)は、表14及び表15に示される処方を含む。
【表16】

1 C11〜13直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
2 (ビス(CO)(CO))(CH)−N−CxH2x−N−(CH)−ビス((CO)(CO))、式中、nは15〜30、Xは3〜8。
ランダムグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖と複数のポリビニルアセテート側鎖とを有する、ポリビニルアセテートグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は約6000であり、ポリエチレンオキシドとポリビニルアセテートとの重量比は約40:60であり、50個のエチレンオキシド単位当たりのグラフト点は1以下である。
【表17】

【0131】
先の記載は、理解を明確にするためにのみ与えられており、当業者にとって本開示の範囲内の変更は自明のことであるので、そこからは不必要な限定が無いことを理解すべきである。
【0132】
組成物が構成成分又は材料を含むものとして記載されている本明細書を通じて、組成物はまた、特に別途記載のない限り、記載の構成成分又は材料の任意の組み合わせから本質的になる又はなることができることが想到される。本明細書において解説的に開示した発明は、本明細書において具体的には開示されていない任意の要素又は工程がなくても適切に実行することができる。
【0133】
本明細書に開示されている方法の実践、及びその個別の工程は、手動で及び/又は電子装置の援助により若しくは電子装置によって提供される自動操作によって実施することができる。特定の実施形態を参照してプロセスが説明されてきたが、当業者は、本方法に関連する操作を実施する他の方法を用いることができることを容易に理解するであろう。例えば、種々の工程の順序は、特に別途記載のない限り、本方法の範囲又は趣旨から逸脱することなく変更されてもよい。更に、個別の工程のいくつかは、追加の工程に組み込むこと、省略すること、又は更に細分化することができる。
【0134】
本開示の態様
本開示の第1の態様は、少なくとも50重量%の水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂を含む水溶性フィルムであり、
樹脂は、20℃における4重量%水溶液として、少なくとも約13.5cP、14cP、15cP、16cP、又は17cP、及び最大で約20cP、19cP、18cP、17.5cP、例えば、約13.5cP〜約20cP、約14cP〜約19cP、約16cP〜約18cP、又は約17cP〜約17.5cPの範囲内の粘度平均を有し、
加水分解度は、少なくとも84%又は85%、及び最大で約92%、90%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、又は85%〜88%の範囲内、又は86.5%であり、
樹脂は、約11cPよりも低い平均粘度約及び約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数を有するPVOHポリマーを30重量%以下で更に有する。
【0135】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、少なくとも2種のPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、少なくとも約8cP、10cP、12cP、又は13cP、及び最大で約40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、約10cP〜約20cP、約10cP〜約15cP、約12cP〜約14cPの範囲内、又は13cPの粘度を有し、
第2のPVOHポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、及び最大で約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、20〜約30cP、約20〜約25cP、又は約22〜約24cP、又は約23cPの粘度を有し、
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度よりも低い。
【0136】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、約1〜約5の範囲内の多分散指数(PDI)値を有する第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲内のPDI値を有する第2のPVOHポリマーと、を含むことができ、各PVOHポリマーは、約1.5〜約3、又は約1.7〜約2.2の範囲内のPDI値を有することができる。
【0137】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマーと、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマーと、を含むことができる、例えば、約30〜約85重量%の第1のPVOHポリマー又は約45〜約55重量%の第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0138】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、全PVOH樹脂は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0を超えるPDI値を有することができ、例えば、全樹脂のPDI値は、樹脂に含まれているあらゆる個々のPVOHポリマーのPDI値を超えることができる。
【0139】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、第1のPVOHポリマーは、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量
【数14】

を有することができ、第2のPVOHポリマーは、約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量
【数15】

を有することができ、任意に、第2のPVOHポリマーは第1のPVOHポリマーを超える
【数16】

を有することができ、更に所望により、樹脂は、約70,000ダルトン未満の
【数17】

を有するPVOHポリマーを約30重量%以下有することができる。
【0140】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、可塑剤を更に含むことができる。
【0141】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、少なくとも4重量%、例えば、約4重量%〜約10重量%の範囲内の残留水分含量を有することができる。
【0142】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、最大で約60%、50%、45%、40%、又は35%の水滴抵抗値によって特徴付けることができる。
【0143】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、最大で約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは最大で約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0の洗浄残留値よって特徴付けることができる。
【0144】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、熱成形可能であり得る。
【0145】
第1の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、0.260〜0.310、0.265〜0.305、0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲内であり得る。
【0146】
本開示の第2の態様は、以下を含む水溶性フィルムである:
約4〜約10重量%の水と、
少なくとも50重量%のPVOH樹脂と、
樹脂は、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとの配合物を含み、
第1のPVOHポリマーは、少なくとも8cP又は10cP、及び最大で40cP、20cP、又は15cP、例えば、約8cP〜約40cP、約10cP〜約20cP、又は約10cP〜約15cPの範囲内の粘度を有し、
第2のPVOHポリマーは、少なくとも10cP又は20cP、及び最大で40cP、30cP、又は25cP、例えば、約10cP〜約40cP、約20cP〜約30cP、又は約20cP〜約25cPの範囲内の粘度を有し、
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度よりも低く、
樹脂は、約11cPよりも低い平均粘度及び約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数を有するPVOHポリマーを30重量%以下で有する。
【0147】
第2の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、任意に、約13.5cP〜約20cPの範囲内の粘度平均、及び更に任意に、少なくとも84%又は85%、及び最大で約92%、90%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、又は85%〜88%の範囲内、又は86.5%の加水分解度を有することができる。
【0148】
第2の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、約1〜約5の範囲内の多分散指数(PDI)値を有する第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲内のPDI値を有する第2のPVOHポリマーと、を含むことができ、各PVOHポリマーは、約1.5〜約3、又は約1.7〜約2.2の範囲内のPDI値を有することができる。
【0149】
第2の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマーと、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマーと、を含むことができる、例えば、約30重量%〜約85重量%又は約45重量%〜約55重量%の第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0150】
第2の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、全PVOH樹脂は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0を超えるPDI値を有することができ、例えば、全樹脂のPDI値は、樹脂に含まれるあらゆる個々のPVOHポリマーのPDI値を超えることができる。
【0151】
第2の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、第1のPVOHポリマーは、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量
【数18】

を有することができ、第2のPVOHポリマーは、約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲内の
【数19】

を有することができ、第2のポリビニルアルコールポリマーは第1のポリビニルアルコールポリマーよりも大きな
【数20】

を有し、所望により、樹脂は、約70,000ダルトン未満の
【数21】

を有するPVOHポリマーを約30重量%以下有する。
【0152】
第2の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、最大で約60%、50%、45%、40%、又は35%の水滴抵抗値によって特徴付けることができる。
【0153】
第2の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、最大で約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは最大で約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0の洗浄残留値によって特徴付けることができる。
【0154】
第2の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは可塑剤を更に含むことができる。
【0155】
第2の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは熱成形可能であることができる。
【0156】
第2の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、0.260〜0.310、0.265〜0.305、0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲内であり得る。
【0157】
本開示の第3の態様は、約4重量%〜約10重量%の水と、少なくとも50重量%のPVOH樹脂と、任意に可塑剤と、を含む水溶性フィルムであり、
樹脂は、約50,000〜約300,000ダルトンの範囲内の
【数22】

を有し、
加水分解度は、約84%〜約92%、90%、又は約85%〜約88%の範囲内であり、
樹脂は更に、約70,000ダルトン未満の
【数23】

を有するPVOHポリマーを30重量%以下有する。
【0158】
第3の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、任意に、約13.5cP〜約20cPの範囲内の粘度平均を有することができ、更に任意に、樹脂は、約11cPよりも低い平均粘度及び約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数を有するPVOHポリマーを30重量%以下有することができる。
【0159】
第3の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、少なくとも2種のPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、少なくとも約8cP、10cP、12cP、又は13cP、及び最大で約40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、約10cP〜約20cP、約10cP〜約15cP、又は約12cP〜約14cPの範囲内、又は13cPの粘度を有し、
第2のPVOHポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、及び最大で約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、20〜約30cP、約20〜約25cP、又は約22〜約24、又は約23cPの粘度を有し、
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度よりも低い。
【0160】
第3の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、約1〜約5の範囲内の多分散指数(PDI)値を有する第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲内のPDI値を有する第2のPVOHポリマーと、を含むことができ、各PVOHポリマーは、約1.5〜約3、又は約1.7〜約2.2の範囲内のPDI値を有する。
【0161】
第3の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマーと、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマーと、を含むことができる、例えば、約30〜約85重量%の第1のPVOHポリマー、又は約45〜約55重量%第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0162】
第3の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、全PVOH樹脂は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0を超えるPDI値を有することができ、例えば、全樹脂のPDI値は、樹脂に含まれるあらゆる個々のPVOHポリマーのPDI値を超えることができる。
【0163】
第3の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、最大で約60%、50%、45%、40%、又は35%の水滴抵抗値によって特徴付けることができる。
【0164】
第3の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、最大で約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは最大で約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0の洗浄残留値によって特徴付けることができる。
【0165】
第3の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは熱成形可能であることができる。
【0166】
第3の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、0.260〜0.310、0.265〜0.305、0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲内であり得る。
【0167】
本開示の第4の態様は、0.255〜0.315、0.260〜0.310、0.265〜0.305、0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲内の樹脂選択指数値を有するPVOH樹脂を少なくとも50重量%含む水溶性フィルムである。
【0168】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、任意に、約13.5cP〜約20cPの範囲内の粘度平均、及び更に任意に、少なくとも84%又は85%、及び最大で約92%、90%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、又は85%〜88%の範囲内、又は86.5%の加水分解度を有することができる。
【0169】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、少なくとも2種のPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、少なくとも約8cP、10cP、12cP、又は13cP、及び最大で約40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、約10cP〜約20cP、約10cP〜約15cP、又は約12cP〜約14cPの範囲内、又は13cPの粘度を有し、
第2のPVOHポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、及び最大で約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、20〜約30cP、約20〜約25cP、又は約22〜約24、又は約23cPの粘度を有し、
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度よりも低い。
【0170】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、約1〜約5の範囲内の多分散指数(PDI)値を有する第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲内のPDI値を有する第2のPVOHポリマーと、を含むことができ、各PVOHポリマーは、約1.5〜約3、又は約1.7〜約2.2の範囲内のPDI値を有することができる。
【0171】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマーと、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマーと、を含むことができる、例えば、約30〜約85重量%の第1のPVOHポリマー、又は約45〜約55重量%の第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0172】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、全PVOH樹脂は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0を超えるPDI値を有することができ、例えば、全樹脂のPDI値は、樹脂に含まれるあらゆる個々のPVOHポリマーのPDI値を超えることができる。
【0173】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、第1のPVOHポリマーは、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量
【数24】

を有することができ、第2のPVOHポリマーは、約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲内の
【数25】

を有することができ、第2のポリビニルアルコールポリマーは、第1のポリビニルアルコールポリマーよりも大きな
【数26】

を有し、所望により、樹脂は、約70,000ダルトン未満の
【数27】

を有するPVOHポリマーを約30重量%以下有する。
【0174】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは可塑剤を更に含むことができる。
【0175】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、約4重量%〜約10重量%の残留水分含量を有することができる。
【0176】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、最大で約60%、50%、45%、40%、又は35%の水滴抵抗値によって特徴付けることができる。
【0177】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、最大で約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは最大で約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0の洗浄残留値によって特徴付けることができる。
【0178】
第4の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは熱成形可能であることができる。
【0179】
本開示の第5の態様は、約4重量%〜約10重量%の水と、少なくとも50重量%のPVOH樹脂と、任意に可塑剤と、を有する水溶性フィルムの製造方法であり、この方法は、約13.5cP〜約20cPの範囲内の粘度平均、及び少なくとも84%又は85%、及び最大で約92%、90%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、又は85%〜88%の範囲内、又は86.5%の加水分解度を有するPVOH樹脂からフィルムを形成することを含み、樹脂は、更に、約11cPよりも低い平均粘度及び約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数を有するPVOHポリマーを30重量%以下有する。
【0180】
第5の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、少なくとも2種のPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、少なくとも約8cP、10cP、12cP、又は13cP、及び最大で約40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、約10cP〜約20cP、約10cP〜約15cP、又は約12cP〜約14cPの範囲内、又は13cPの粘度を有し、
第2のPVOHポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、及び最大で約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、20〜約30cP、約20〜約25cP、又は約22〜約24、又は約23cPの粘度を有し、
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度よりも低い。
【0181】
第5の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、方法は、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとを混合、共鋳造、又は溶接して、PVOH樹脂を形成することができる。
【0182】
第5の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、約1〜約5の範囲内の多分散指数(PDI)値を有する第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲内のPDI値を有する第2のPVOHポリマーと、を含むことができ、各PVOHポリマーは、約1.5〜約3、又は約1.7〜約2.2の範囲内のPDI値を有することができる。
【0183】
第5の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマーと、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマーと、を含むことができる、例えば、約30〜約85重量%の第1のPVOHポリマー、又は約45〜約55重量%第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0184】
第5の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、全PVOH樹脂は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0を超えるPDI値を有することができ、例えば、全樹脂のPDI値は、樹脂に含まれるあらゆる個々のPVOHポリマーのPDI値を超えることができる。
【0185】
第5の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、第1のPVOHポリマーは、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲内の重量平均分子量
【数28】

を有することができ、第2のPVOHポリマーは、約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲内の
【数29】

を有することができ、第2のポリビニルアルコールポリマーは、第1のポリビニルアルコールポリマーよりも大きな
【数30】

を有し、所望により、樹脂は、約70,000ダルトン未満の
【数31】

を有するPVOHポリマーを約30重量%以下有する。
【0186】
第5の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、最大で約60%、50%、45%、40%、又は35%の水滴抵抗値によって特徴付けることができる。
【0187】
第5の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは、最大で約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは最大で約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0の洗浄残留値によって特徴付けることができる。
【0188】
第5の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、フィルムは熱成形可能であることができる。
【0189】
第5の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、0.260〜0.310、0.265〜0.305、0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲内であり得る。
【0190】
本開示の第6の態様は、本明細書の、例えば、第1〜第5の態様のいずれか1つ以上に記載されるようなPVOHフィルムを含む、密封可能なパケット又はパウチである。
【0191】
第6の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、PVOHフィルムは、パウチ又はパケットの外壁として配置される。
【0192】
第6の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、パウチ又はパケットは、封止された又は封止可能な単一区画、又は封止された又は封止可能な複数の区画を含むことができ、任意に、パウチ又はパケット全体の外壁は、本開示によるPVOHフィルムを含み、更に任意に、少なくとも1つの内壁もまた、本開示によるPVOHフィルムを含む。パウチ又はパケットの1つ以上の外壁を形成するPVOHフィルム(1つ又は複数)は、多区画パウチ又はパケットの1つ以上の内壁を形成するフィルム(1つ又は複数)と同じ又は異なることができ、任意に同一である。
【0193】
第6の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、PVOHフィルム中のPVOH樹脂の樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、0.260〜0.310、0.265〜0.305、0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲内であり得る。
【0194】
第6の態様の実施形態の1つにおいて、パウチは、第1の密封区画と第2の密封区画とを含む。第2の密封区画及び第1の密封区画がパウチに内設された仕切り壁を共有するように、第2の区画は、第1の密封区画と概ね重ね合わせ関係にある。
【0195】
第6の態様の実施形態の1つにおいて、第1の区画と第2の区画とを含むパウチは、第3の密封区画を更に含む。第3の密封区画及び第1の密封区画がパウチに内設された仕切り壁を共有するように、第3の密封区画は、第1の密封区画と概ね重ね合わせ関係にある。
【0196】
第6の態様によるいくつかの実施形態において、第1の組成物及び第2の組成物は、次の組み合わせのうちの1つから選択される:液体、液体、液体、粉末、粉末、粉末、及び粉末、液体。
【0197】
第6の態様によるいくつかの実施形態において、第1、第2及び第3の組成物は、次の組み合わせのうちの1つから選択される:固体、液体、液体及び液体、液体、液体。
【0198】
第6の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、単一区画又は複数の密封区画は組成物を収容する。複数の区画は、それぞれ、同じ又は異なる組成物を収容してもよい。組成物は、液体、固体又はこれらの組み合わせから選択される。
【0199】
第6の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、組成物は、液体用軽質及び液体重質液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い及び/又は機械洗い用食器洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤、洗濯で一般に使用される洗剤ゲル、漂白剤及び洗濯添加剤、シャンプー、並びにボディソープからなる群から選択されてもよい。
【0200】
本明細書で引用された全ての特許、刊行物、及び参考文献は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。本開示と組み込まれた特許、刊行物、及び参考文献との間に不一致がある場合には、本開示が支配しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の組成物を収容する第1の密封区画を含むパウチであって、前記第1の密封区画は、水溶性フィルムを含む少なくとも1つの壁を含み、前記水溶性フィルムは、
少なくとも50重量%の水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂を含み、前記PVOH樹脂は約13.5cP〜約20cPの範囲内の平均粘度と、約84%〜約92%の範囲内の加水分解度と、を有し、前記PVOH樹脂は、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとの配合物を含み、前記第1のPVOHポリマーは、約8cP〜約40cPの範囲内の粘度を有し、前記第2のPVOHポリマーは、約10cP〜約40cPの範囲内の粘度を有し、前記第1のPVOHポリマーの前記粘度は、前記第2のPVOHポリマーの前記粘度よりも低く、前記フィルムは、更に、約11cPよりも低い粘度を有するPVOHポリマーを30重量%以下有する、パウチ。
【請求項2】
前記フィルムが、約0.255〜約0.315の範囲の樹脂選択指数値によって特徴付けられる、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記フィルムが、最大で約60%の水滴抵抗力試験値を更に含む、請求項1に記載のパウチ。
【請求項4】
前記フィルムが、最大で約4.5の洗浄残留試験値を更に含む、請求項1に記載のパウチ。
【請求項5】
前記フィルムが、少なくとも約4重量%の残留水分含量を更に含む、請求項1に記載のパウチ。
【請求項6】
前記第1の組成物が、約5.5〜約9.5のpHを有する、請求項1に記載のパウチ。
【請求項7】
前記第1の密封区画が、異なるフィルムを更に含む、請求項1に記載のパウチ。
【請求項8】
前記水溶性フィルムを含む前記壁が、前記パウチの外壁として配置される、請求項1に記載のパウチ。
【請求項9】
前記第1の組成物が、液体軽質洗剤組成物、液体重質液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い用食器洗剤組成物、機械洗い用食器洗剤組成物、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤、洗濯洗剤ゲル、漂白剤及び洗濯添加剤、シャンプー、ボディソープ、並びにこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のパウチ。
【請求項10】
前記第1の区画に取り付けられた第2の密封区画を更に含み、前記第2の密封区画が第2の組成物を収容する、請求項1に記載のパウチ。
【請求項11】
前記第1の密封区画及び前記第2の密封区画が、仕切り壁の周囲で接合されている、請求項10に記載のパウチ。
【請求項12】
前記第1の密封区画又は前記第2の密封区画のいずれかに取り付けられた第3の密封区画を更に含み、前記第3の密封区画が第3の組成物を収容する、請求項10に記載のパウチ。
【請求項13】
第1の組成物を収容する第1の密封区画と、第2の組成物を収容する第2の密封区画と、を含むパウチであって、
前記区画が前記パウチに内設される仕切り壁を共有するように、前記第2の区画が、概ね重ね合わせ関係で前記第1の区画に取り付けられ、前記パウチは、前記パウチの外壁として配置される水溶性フィルムの少なくとも1つの壁を含み、前記水溶性フィルムは、
少なくとも50重量%の水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂を含み、前記VOH樹脂は、約13.5cP〜約20cPの範囲内の平均粘度と、約84%〜約92%の範囲内の加水分解度と、を有し、前記PVOH樹脂は、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとの配合物を含み、前記第1のPVOHポリマーは、約8cP〜約40cPの範囲内の粘度を有し、前記第2のPVOHポリマーは、約10cP〜約40cPの範囲内の粘度を有し、前記第1のPVOHポリマーの前記粘度は、前記第2のPVOHポリマーの前記粘度よりも低く、
前記フィルムは、約1重量%〜約40重量%の可塑剤を更に含み、約11cPよりも低い粘度を有するPVOHポリマーを30重量%以下有し、約0.255〜約0.315の範囲の樹脂選択指数値によって特徴付けられる、パウチ。
【請求項14】
前記第1及び第2の組成物が、約5.5〜約9.5のpHを有する、請求項13に記載のパウチ。
【請求項15】
前記第1の組成物及び前記第2の組成物が、液体、液体;液体、粉末;及び粉末、粉末;からなる群から選択される組成物の組み合わせである、請求項13に記載のパウチ。
【請求項16】
前記パウチの各壁が、前記水溶性フィルムを含む、請求項13に記載のパウチ。
【請求項17】
第3の組成物を収容する第3の密封区画を更に含む、請求項13に記載のパウチ。
【請求項18】
前記第1、第2及び第3の組成物が、固体、固体、固体;固体、固体、液体;固体、液体、液体;及び液体、液体、液体;からなる群から選択される組成物の組み合わせである、請求項17に記載のパウチ。
【請求項19】
前記第1、第2及び第3の組成物が、個別に、液体軽質洗剤組成物、液体重質液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い用食器洗剤、機械洗い用食器洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤、洗濯洗剤ゲル、漂白剤及び洗濯添加剤、シャンプー、ボディソープ、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載のパウチ。
【請求項20】
a.第1の組成物を収容する第1の密封区画と、
b.第2の組成物を収容する第2の密封区画と、
c.第3の組成物を収容する第3の密封区画と、を含む、パウチであって、
前記第1、第2及び第3の組成物のそれぞれが、個別に、液体、粉末及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記パウチが、
少なくとも50重量%の水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂を含む水溶性フィルムの少なくとも1つの外壁を含み、前記PVOH樹脂が、約13.5cP〜約20cPの範囲内の平均粘度と、約84%〜約92%の範囲内の加水分解度と、を有し、前記PVOH樹脂が、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとの配合物を含み、前記第1のPVOHポリマーが、約8cP〜約40cPの範囲内の粘度を有し、前記第2のPVOHポリマーが、約10cP〜約40cPの範囲内の粘度を有し、前記第1のPVOHポリマーの前記粘度が、前記第2のPVOHポリマーの前記粘度よりも低く、
前記フィルムが、更に、約11cPよりも低い粘度を有するPVOHポリマーを30重量%以下有し、約0.255〜約0.315の範囲内の樹脂選択指数値、少なくとも約4重量%の残留水分含量、最大で約60%の水滴抵抗力試験値、及び最大で約4.5の洗浄残留試験値によって特徴付けられる、パウチ。

【公表番号】特表2013−518010(P2013−518010A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551370(P2012−551370)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2011/023180
【国際公開番号】WO2011/094690
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】