PWM制御を用いたインバータの制御方法及び装置
【目的】PWM制御により3相交流電圧を出力するインバータにおいて、最小オンパルス幅を確保すると共に、線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦派の電圧を出力し制御不能領域を無くすこと。
【構成】各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する3相インバータの制御装置において、3相の電圧基準のそれぞれの大きさと極性から通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれか1つのモードを決定するモード決定手段2と、通常モードに決定されたとき電圧基準をそのまま出力し、矩形モード及び零補正モードが決定されたとき各モード毎に予定されたアルゴリズムに従って1相の電圧基準を所定値に固定すると共に他相の電圧基準を線間電圧が元の値と変わらないように補正した電圧基準を出力する電圧基準変換手段3を設け、最小オンパルス幅を確保し、かつ3相線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦波電圧を出力する。
【構成】各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する3相インバータの制御装置において、3相の電圧基準のそれぞれの大きさと極性から通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれか1つのモードを決定するモード決定手段2と、通常モードに決定されたとき電圧基準をそのまま出力し、矩形モード及び零補正モードが決定されたとき各モード毎に予定されたアルゴリズムに従って1相の電圧基準を所定値に固定すると共に他相の電圧基準を線間電圧が元の値と変わらないように補正した電圧基準を出力する電圧基準変換手段3を設け、最小オンパルス幅を確保し、かつ3相線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦波電圧を出力する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインバータの制御装置に係り、特に最小オンパルス幅を確保し、且つ線形特性を得るように改良したPWM制御を用いたインバータの制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】PWM制御により出力電圧を制御するインバータは、GTO(ゲートターンオフサイリスタ)等の自己消弧形のスイッチ素子が用いられ、変調周期毎に所定期間だけオン状態となってパルス状の電圧を出力し、その平均電圧を制御している。この場合、スイッチ素子がターンオフするときのサージ電圧を抑制するため、スイッチ素子と並列にスナバ回路のコンデンサが接続される。このコンデンサにサージ電流を吸収することでサージ電圧を抑制している。また、このコンデンサの電圧を初期化するためスイッチング素子をオンにしたとき、一定時間(最小オンパルス幅:例えば100 マイクロ秒程度)オン状態に維持してコンデンサの電荷を放電させるようにしている。
【0003】この種の従来装置では、図20(a)に示すように変調用三角波(キャリア)VCP,VCNと電圧基準V* を比較してコンパレータ出力VCMP が最小オンパルス幅T0 以下となるような低電圧の電圧基準のときはスイッチ素子をオンさせるゲート信号VG は最小オンパルス幅T0 以下にならないように図20(b)に示すパルス補正部180で最小幅をT0 に制限して出力している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来装置では最小オンパルス幅T0 となる基準電圧±Vmin 以下の低電圧領域で電圧制御を行うことができなくなり、制御不能領域が生じる問題がある。このような制御不能領域が生じると制御系が不安定となり、高精度の制御を行うことが困難となる。
【0005】本発明は上記の問題を解消するためなされたもので、その目的はPWM制御により3相交流電圧を出力するインバータにおいて、最小オンパルス幅を確保すると共に、線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦派の電圧を出力し制御不能領域のないPWM制御を用いたインバータの制御方法及び装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は次のような制御方法及び装置とする。
【0007】(1)請求項1に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する3相インバータの制御方法において、3相の電圧基準のそれぞれの大きさと極性から通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれか1つのモードを決定し、通常モードのときは電圧基準をそのまま使用し、矩形モード、零補正モードのときはそれぞれのモード毎に定められたアルゴリズムに従って1相の電圧基準を所定値に固定すると共に他相の電圧基準を線間電圧が元の値から変化しないように補正する制御方法とする。
【0008】(2)請求項5に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御方法において、各相の電圧基準のうち正の最大となる相の電圧基準を負の最小電圧基準または零に固定し、かつ他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第1の電圧基準変換方法と、各相の電圧基準のうち負の最大となる相の電圧基準を正の最小電圧基準または零に固定し、かつ他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第2の電圧基準変換方法とを用い、これら両変換方法を交互に切換える制御方法とする。
【0009】(3)請求項7に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する3相インバータの制御装置において、3相の電圧基準のそれぞれの大きさと極性から通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれか1つのモードを決定するモード決定手段と、通常モードに決定されたとき電圧基準をそのまま出力し、矩形モード及び零補正モードが決定されたとき各モード毎に予定されたアルゴリズムに従って1相の電圧基準を所定値に固定すると共に他相の電圧基準を線間電圧が元の値と変わらないように補正した電圧基準を出力する電圧基準変換手段を設け、最小オンパルス幅を確保し、かつ3相線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦波電圧を出力する制御装置とする。
【0010】(4)請求項9に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、線間電圧を変化させることなく、電圧基準の極性を3相全て正または1相のみ零で他の2相を正に変換する第1の電圧基準変換手段と、電圧基準の極性を3相全て負または1相のみ零で他の2相を負に変換する第2の電圧基準変換手段と、これら第1及び第2の電圧基準変換手段交互に切換える切換手段とを設け、低電圧領域でも出力電圧を制御可能にした制御装置とする。
【0011】(5)請求項10に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、線間電圧を変化させることなく、電圧基準の極性を3相全て正または1相のみ零で他の2相を正に変換する第1の電圧基準変換手段と、電圧基準の極性を3相全て負または1相のみ零で他の2相を負に変換する第2の電圧基準変換手段と、これら第1及び第2の電圧基準変換手段交互に切換える切換手段とを設け、低電圧領域でも出力電圧を制御可能にした制御装置とする。
【0012】(6)請求項11に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、各相の電圧基準のうち正の最大となる相の電圧基準に固定し他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第1の電圧基準変換手段と、各相の電圧基準のうち負の最大となる相の電圧基準を負の最大基準電圧に固定し他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第2の電圧基準変換手段と、これら第1及び第2の電圧基準変換手段を交互に切換える切換手段とを設け、低電圧領域でも出力電圧を制御可能にした制御装置とする。
【0013】
【作用】(1)請求項1に対応する発明の制御方法おいては、3相の電圧基準がすべて所定電圧を越えるとき通常モードに決定され、3相のうち2相以上の電圧基準が前記所定電圧以下のとき、あるいは3相のうち2相の電圧基準が前記所定電圧の2倍以下で異符号のとき矩形モードに決定され、3相のうち1相の電圧基準が前記所定電圧以下で、他の2相の電圧基準が前記所定電圧の2倍以下で同符号のとき零補正モードに決定される。
【0014】矩形モードに決定されたとき、所定周期毎に最大電圧となる相の電圧基準を逆極性の前記所定電圧あるいは零電圧に固定し、零補正モードに決定されたとき前記所定電圧以下となる相の電圧基準と同極性の前記所定電圧に固定する。
【0015】(2)請求項5に対応する発明の制御方法においては、第1の電圧基準変換方法と第2の電圧基準変換方法とを交互に切換えることにより、電圧基準は最小オンパルス幅以下のパルスを出力せず、しかも線間電圧は連続した正弦波となる電圧基準に変換されるので、電圧基準の切換時に最小オンパルス幅以下のパルスを出力しないように切換タイミングを選択することで、最小オンパルスを含むことなく、しかも線間電圧は連続した正弦波となるパルス列を得ることができる。
【0016】(3)請求項7に対応する発明の制御装置においては、モード決定手段は上述の制御方法の場合と同様にして通常モード、矩形モード、零補正モードを決定し、矩形モード及び零補正モードが決定されたとき、電圧基準変換手段は上述の制御方法の場合と同様にして電圧基準の補正を行う。また電圧基準補正手段はインバータとして3レベルの電圧を出力する中性点クランプ式のインバータを使用するとき、矩形モードにおいて1相の電圧基準を零電圧に固定して所定周期だけスイッチングを停止させる。
【0017】(4)請求項9に対応する発明の制御装置においては、電圧基準の零クロス近傍でも最小オンパルス幅以下のパルスを出力することなく低出力電圧を制御することが可能となり、さらに電圧基準の最大値近傍でも最小オフパルス幅以下のパルスを出力することなく高出力電圧を制御するすることが可能となるので、スイッチング回数を増加することなく低電圧領域から高電圧領域まで出力線間電圧を線形に制御することができる。
【0018】(5)請求項10に対応する発明の制御装置においては、第1の電圧基準変換手段と第2の電圧変換手段を交互に切換えることにより、3相全てが正または負に切換わる毎に新たな電圧基準が得られるので、低電圧領域においても正極性モードと負極性モードとを交互に切換えるためのスイッチング素子の熱分担を平衡に保つことができしかも出力千間電圧を線形に制御することができる。
(6)請求項11に対応する発明の制御装置においては、上記(5)と同様の作用となるが、上記(5)に比べて構成の簡略化を図ることができる。
【0019】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明によるPWM制御を用いたインバータの制御装置の第1の実施例を示すブロック図である。
【0020】図1において、コントローラ1はベクトル制御等により3相の電圧基準V* (VU * ,VV * ,VW * )を出力し、インバータの制御(例えば電動機の速度制御等)を行うものである。モード決定部2は3相の電圧基準V* が出力される度に図2に示すアルゴリズムに従って通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれかのモードを決定する。すなわち、すべての相の電圧基準が最小電圧基準Vmin より大きいとき通常モードが選択される。また、3相のうち2相以上の電圧基準が最小電圧基準Vmin 以下のとき、あるいは3相のうち2相の電圧基準が最小電圧基準Vmin の2倍以下で同符号のとき矩形モードが選択される。さらに、3相のうち1相の電圧基準が最小電圧基準Vmin 以下で2相の電圧基準が最小電圧基準Vmin の2倍以下で同符号のとき零補正モードが選択される。
【0021】モード決定部2は、上記3種のモードの何ずれか1つを選択した後、更に図3に示すように詳細なモード(Mode=0〜±6)の何ずれか1つを選択する。通常モードのときは、図3(a)に示すように一義的にMode=0が選択される。
【0022】矩形モードの場合は、図3(b)に示すように3相電圧基準V* を掛け合わせることから電圧基準の位相でおよそ60°毎に符号が変化する信号PNFLG を得る。次に信号PNFLG が正のとき、すなわちV* が1相のみ正で他の2相が負のときは3相の中で正の最大値となる電圧基準を選ぶ。これがVU * ならばMode=−1とし、VV * ,VW * ならそれぞれMode=−2,−3とする。信号PNFLG が負のときは3相の中で負の最大値となる基準を選び、これがVU * ,VV *,VW * ならそれぞれMode=1,2,3とする。
【0023】零補正モードの場合は、1相のみが最小基準電圧Vmin 以下となるので、図3(c)に示すようにVmin 以下となる相(VU * ,VV * ,VW * )とその極性によってMode=(±4〜±6)を決定する。電圧基準変換部3は、通常モード、矩形モード、零補正モードに応じて次のように電圧基準V* を補正して新たな電圧基準V**を出力する。
(a)通常モードのときモード決定部2はMode=0を選択し、新たな電圧基準V**として元の電圧基準V* をそのまま出力する。
V**(=VU **,VV **,VW **)=V* (VU * ,VV * ,VW * )
……(1)
(b)矩形モードのとき
【0024】モード決定部2はMode=±1〜±3を選択し、新たな電圧基準V**として最大電圧となる相の電圧基準を逆極性の最小電圧基準電圧Vmin あるいは零電圧に固定すると共に、他相の電圧基準線間電圧が元の値と変らないようにシフトして出力する。例えば、U相の電圧基準VU * が最も大きく正の場合、各相の電圧基準は次のように補正される。
VU **=−VminVV **=−Vmin −(VU * −VV * )
VW **=−Vmin −(VU * −VW * )
……(2)
また、VU * が最も大きく負の場合、各相の電圧基準は次のように補正される。
VU **=VminVV **=Vmin −(VU * −VV * )
VW **=Vmin −(VU * −VW * )
……(3)
この矩形モードにおける動作波形を図4に示す。図4において、VU ,VV ,VW は相電圧、VUV,Vvw,VWUは線間電圧を示す。
【0025】図4に示すように、この実施例ではおよそ60°毎にModeが切換えられ、それぞれのModeの範囲において最大となる相の電圧基準が逆極性の最小基準電圧Vmin に固定され、他相の電圧基準が線間電圧が元の値と変らないようにシフトされている。この矩形モードでは、およそ60°毎に3相すべてが正または負に切換わるので、これを60°切換方式と称する。
(c)零補正モードのとき
【0026】モード決定部2はMode=±4〜±6を選択し、新たな電圧基準V**として零クロスする相の電圧基準を最小電圧基準Vmin に固定すると共に、他相の電圧基準を線間電圧が元の値と変らないようにシフトして出力する。例えばU相の電圧基準VU * が正側から負側に零クロスする場合、各相の電圧基準は次のように補正される。
VU **=VminVV **=Vmin −(VU * −VV * )
VW **=Vmin −(VU * −VW * )
……(4)
また、VU * が負側から正側に零クロスする場合、各相の電圧基準は次のように補正される。
VU **=−VminVV **=−Vmin −(VU * −VV * )
VW **=−Vmin −(VU * −VW * )
……(5)
この零補正モードにおける動作波形を図5に示す。
【0027】データラッチ7は電圧基準変換部3の出力V**を記憶保持するもので、切換タイミング選択部4は電圧基準変換部3から得られたV**とデータクラッチ7に保持された前回のV**とから図6に示す4種の切換タイミング0X,1X,2X,3Xの何ずれか1つを選択する。タイミング/キャリア比較部5はデータラッ7の内容を更新するか否かを決定する。
【0028】切換タイミング回路6は切換タイミング選択部4で選択されたタイミングでデータラッチ8の出力を書換え、コンパレータ9はデータラッチ8からのV**とキャリアを比較してゲート信号を出力する。
【0029】上記構成において、コントローラ1、モード決定部2、電圧基準変換部3、切換タイミング選択部4、タイミング/キャリア比較部5、データラッチ7はソフトウエアで構成され、これらを総称してCPU10とする。
【0030】CPU10のデータロード、すなわちコントローラ1のデータ入力は図6に示す正側キャリアの谷(0X)と山(2X)の時点で行われ、3相の電圧基準V*が出力される。
【0031】切換タイミング選択部4は、今回出力された電圧基準V**(k)とデータラッチ7に保持された前回の電圧基準V**(k−1)から図7に示す流れ図に従って切換タイミングTChgx=0X〜3Xを選択し、2bit データ(00〜11)で出力する。
【0032】切換タイミング回路6は、図8に示すように2bit の切換タイミング信号TChgxと2bit のキャリア位相信号とを比較し、これらが等しいときデータラッチ8の内容を書換える信号を出力する。なお、2bit のキャリア位相信号はキャリア信号を4等分して0X〜3Xの位相範囲を区別することで得られる。また、図のL,Hは下位桁、上位桁を意味する。
【0033】これにより図9(a),(b)に示すように電圧基準V**の符号が変化しないときは0Xから2Xのタイミングで切換わり、符号が変化するときは1Xか3Xのタイミングで切換わる。この場合、0,2識別信号90は0が与えられ、0Xと2Xを区別しないようにしている。また、切換時点の前後で電圧基準V**とキャリアVCP,VCNが交鎖してスイッチングが行われないように決定される。
【0034】もし、上述の構成とせず切換タイミングを0Xと2Xあるいは1Xと3Xに固定すると図9(c)あるいは(d)に示すように電圧基準V**が書換えられた時点(零電圧付近あるいは高電圧領域)において電圧基準V**とキャリアVCP,VCNとがクロスして最小オンパルス幅以下のパルスが発生する危険が生じる。
【0035】タイミング/キャリア比較部5は上述した2bit の切換タイミング信号Tchgxと2bit のキャリア位相信号を比較してデータラッチ7の内容を更新し、常に正しい切換タイミングを選択するように作用する。
【0036】例えば、タイミング0aでデータロードを行い、切換タイミングが1aとなった場合、この信号の出力はタイミング2aの手前で行われるので、データラッチ8の出力はタイミング2aから0bの間で書換えられなくなる。この状態で次回の切換タイミングの選択を行うと正しい結果が得られなくなるので、このような状態のときはデータクラッチの内容を更新しないようにしている。
【0037】GTOを用いてPWM制御を行う場合、不完全なオフゲートパルスを与えるとGTO内部の一部に電流集中が生じ、素子が損傷する虞があるので、最小オンパルス幅以下にならないようにしている。即ち、図9(e)に示すように電圧基準V**がキャリアの最大値に近い最大電圧基準±Vmax を超える領域TMP,TMNにおいて最小オフパルス幅以下となる場合が生じるので、この領域TMP,TMNを全オン状態に切換える機能を設けている。
【0038】この場合、切換え時に最小オフパルス幅の1/2の幅のパルスが出力されないように正の最大電圧出力区間TMPの開始点と終了点は共にタイミング0X(谷)で切換え、負の最大電圧出力区間TMNの開始点と終了点はタイミング2X(山)で切換えるようにしている。この場合、0,2識別信号90を1にセットして0Xと2Xを区別し、正の最大電圧出力区間か負の最大電圧出力区間かを判別する。
【0039】本実施例の矩形モード(60°切換方式)では電圧基準を変換することによって符号が変化する相は、正または負の最大値となる1相なので、電圧基準変換部3の矩形モードにおける正あるいは負の最大となる3相の電圧基準を負あるいは正の最小電圧基準Vmin に固定する補正の代りに正あるいは負の最大となる相の電圧基準を零に固定するように補正することができる。
【0040】図10はこの場合の電圧基準とPWM制御された出力電圧(相電圧及び線間電圧)の波形例を示したもので、U相の電圧基準Vu * の正あるいは負の最大となる期間TUPあるいはTUNが補正された電圧基準VU **では零となっている。
【0041】中性点クランプ式インバータの主回路は、図11に示すように直流電圧源104のP,N間に備えた2個のコンデンサ103により中性点電圧が設けられ、このインバータ出力VU 〜VW を中性点電圧にクランプすることにより零電圧を出力することができ、直流電圧源のP,Nの電位と3レベルの出力が得られる。この中性点クランプ式インバータを用いて上述のように零電圧に固定すれば、スイッチング回数を大幅に低減することができ、スイッチング損失が低減するので、運転効率の向上したインバータが得られる。更に、スイッチ素子に流れる電流が正方向と負方向に交互に平衡して流れるので、スイッチ素子の発熱が平衡し、利用率が良くなる。また、零相補正モードにより電圧基準の零クロス近傍でも最小オンパルス幅以下のパルスを出力することなく出力電圧を制御することが可能となり、更に電圧基準の最大値近傍でも最小オフパルス幅以下のパルスを出力することなく高出力電圧を制御することが可能となり、低電圧領域から高電圧領域までの全出力電圧領域に亘り線間電圧を線形に制御することができ、高精度の制御の可能なインバータが得られる。次に本発明の他の実施例について説明する。
【0042】第2の実施例として、図1に示すモード決定部2において、3相の電圧基準V* (VU * ,VV * ,VW * )の中に最小電圧基準Vmin 以下の電圧基準がある場合は零補正モードに、ない場合には通常モードを選択するようにし、零補正モードの場合は図3(c)に示すように、U,V,W相のうちVmin 以下となる相と、その極性によってMode(±4〜±6)を決定するようにしたものである。
【0043】また、電圧基準変換部3においては、モード決定部で求められたModeにより次式に従って電圧基準V* を変換し、図5に示すような新たな電圧基準V**を出力するようにしたものである。
3相のうちでVU * のみが0以上、Vmin 以下の場合(Mode=4)
VU **=VminVV **=Vmin −(VU * −VV * )
VW **=Vmin −(VU * −VW * )
……(6)
3相のうちでVU * のみが−Vmin 以上0以下の場合(Mode=−4)
VU **=−VminVV **=−Vmin −(VU * −VV * )
VW **=−Vmin −(VU * −VW * )
……(7)
このようにすることで、相電圧では不連続となるが、相電圧の差である線間電圧では連続した正弦波の電圧基準が得られる。
【0044】この第2の実施例によれば、電圧基準の零クロス近傍でも最小オンパルス幅以下のパルスを出力することなく低出力電圧の制御が可能となり、さらに電圧基準の最大値近傍でも最小オフパルス幅以下のパルスを出力することなく、高出力電圧の制御が可能となるので、中性点クランプ式インバータに適用した場合、スイッチング回数を増加することなく、停電圧領域から高電圧領域まで出力線間電圧を線形に制御することができる。
【0045】第3の実施例として、図1に示すモード決定部2において、3相の電圧基準V* (VU * ,VV * ,VW * )の中から正の最大値を選ぶ方式と負の最大値を選ぶ方式とをU相電圧基準の位相でおよそ60°毎に切換え、正の最大値を選ぶ方式において例えばU相が正の最大ならMode=−1とし、負の最大値を選ぶ方式において例えばU相が負の最大ならMode=1という具合に6種類のモードに分けて出力するようにしたものである。
【0046】また、電圧基準変換部3においては、モード決定部で求められたModeにより、VU * が3相のうち正の最大値のときMode=−1として上記(7)式に従って新たな電圧基準VU **,VV **,VW **を得、VU * が3相のうち負の最大値のときMode=1として上記(6)式に従って新たな電圧基準VU **,VV **,VW **を得ることで、相電圧では不連続となるが、相電圧の差である線間電圧では連続した正弦波の基準電圧を得ることができる。この第3の実施例にあっても前述と同様の効果を得ることができる。図12は本発明の第4及び第5の実施例を示すブロック図である。
【0047】図12において、第4の実施例としては、図1の切換タイミング選択部4、タイミング/キャリア比較部5、データクラッチ7を省略し、切換タイミング回路6の代りにタイミング回路6Aを設け、このタイミング回路6Aは正側キャリアの谷(0X)と山(2X)の固定したタイミングで電圧基準を切換えるようにしている。
【0048】この場合、前述したように電圧基準の切換時に最小オンパルス幅あるいは最小オフパルス幅の1/2の幅のパルスが発生することがあるので、この実施例を用いる場合は最小オンパルス幅及び最小オフパルス幅の2倍のパルス幅となるように予め最小電圧基準Vmin 及び最大電圧基準Vmax を設定する。この第4の実施例によれば、簡潔な構成で前述と同様に全出力電圧領域で線間電圧を線形に制御することができる。
【0049】また、図12において、第5の実施例として、電圧基準V**が零クロス近傍なのか、最大電圧近傍なのかを判別するレベル検出部11と、この判定結果に基づいてコンパレータ9から出力されるゲート信号の最小オンパルス幅あるいは最小オフパルス幅に固定したゲート信号に変換して出力するパルス補正部12を設ける構成としても同様の効果を得ることができる。
【0050】また、モード決定部2の矩形モードにおけるアルゴリズムは図13に示す方法で実施することができ、図13(a)を第6の実施例、図13(b)を第7の実施例として説明する。
【0051】第6の実施例は、矩形モードに切換えられたとき一定周期毎に与えられるクロックパルスを計数するカウンタを設け、一定クロック数(Count)に達する度にカウンタの内容を零クリアすると共にフラグ(PNFLG)の符号を反転させる機能を設け、このPNFLG の符号に応じて前述と同様にMode=±1〜±3の判定を行うようにする。この方式は電圧基準V* の周波数とは無関係に一定時間毎にPNFLGの符号を変化させるので、矩形モードの時間切換方式と称する。この方式を用い、20msec毎にPNFLG の反転させたときの波形例を図14に示す。
【0052】この第6の実施例によれば、電圧基準V* の周波数に関係なく一定時間毎に正側と負側のスイッチング素子が導通するので、低周波領域並びに直流出力においてスイッチ素子の温度上昇の変動幅を少なくすることができ、その分だけ利用率の向上したインバータが得られる。
【0053】第7の実施例は図13(b)に示すように矩形モードに切換えたとき、電圧基準V* の周波数が所定周波数以上か否かを検出する判定手段を設け、所定周波数以上なら図3(b)と同様にMode判定を行い、否ならば図13(a)と同様にMode判定を行うようにしたものである。
【0054】この方式を用いて電圧基準V* の周波数を5Hz から10Hz まで変化させ、8.3Hz 付近で時間切換方式から60°切換方式に切換えたときの波形例を図15に示す。
【0055】この第7の実施例によれば、低周波領域あるいは直流出力時に時間切換方式によりスイッチ素子の温度上昇の変動を抑制し、その分だけ利用率を向上させることができ、また通常の周波数においては60°切換方式によりスイッチング回数を大幅に低減し、効率のよい運転を行うことが可能となる。図16は本発明の第8の実施例としてPWM制御を中性点クランプ式インバータに適用する場合の構成図を示すものである。
【0056】図16において、コントローラ11はベクトル制御等により、3相の電圧基準V* (VU * ,VV * ,VW * )を出力し、インバータの制御(電動機の速度制御等)を行うものである。
【0057】モード決定部12は3相の電圧基準V* が出力される度に、図17に示すようにタイマーによってP,N切換周期(T)毎に正負切換信号PNFLG を1または−1にセットする。次にPNFLG が1のときは3相の中で正の最大値となる電圧基準を選ぶ。これがVU * ならばモード1とし、VV * ,VW * ならばそれぞれモード2,3とする。また、PNFLG が−1のときは3相のなかで負の最大値となる基準を選び、これがVU * ,VV * ,VW * ならそれぞれモード−1,−2,−3とする。このようにモード決定部12から6種類のモードが出力される。電圧基準変換部13はこれらのモードに応じて次のように電圧基準V* を補正して新たな電圧基準V**を出力する。
VU * が3相のうち正の最大値のとき(Mode=1)
VU **=VmaxVV **=Vmax −(VU * −VV * )
VW **=Vmax −(VU * −VW * )
……(8)
VU * が3相のうち負の最大値のとき(Mode=−1)
VU **=−VmaxVV **=−Vmax −(VU * −VV * )
VW **=−Vmax −(VU * −VW * )
……(9)
但し、Vmax は最大電圧基準である。図18は第8の実施例における電圧基準、相電圧、線間電圧の波形図を示している。上記構成において、コントローラ11,モード決定部12,電圧基準変換部13はソフトウェアで構成され、これらを総称してCPU15とする。以上の変換方式により、相電圧では不連続となるが、相電圧の差である線間電圧では連続した正弦波の電圧基準V**が出力される。コンパレータ14はこの電圧基準V**とキャリアを比較し、インバータゲート信号を出力する。
【0058】従って、上記構成において、電圧基準VU * は電圧基準変換部13で最小オンパルス幅以下のパルスを出力せず、しかも線間電圧は連続した正弦波となる電圧基準のV**に変換されるので、インバータの出力周波数が低い場合でもスイッチング素子の温度上昇にバラツキを生じることなく、出力線間電圧を線形に制御することが可能となる。
【0059】第9の実施例として、図16に示す構成において、モード決定部12でタイマーによってPN切換周期(T)毎に正負切換信号PNFLG を1または−1にセットし、電圧基準変換部13でPNFLG に応じて次式に示すU,V,W各相の電圧基準V* (VU * ,VV * ,VW * )に一定電圧基準を重畳することによって、図19に示すようにPN切換周期(T)毎に3相すべてが正または負に切換わる新たな電圧基準V**が得られるようにしたものである。
PNFLG =1のときVU **=VU * +1/2・VmaxVV **=VV * +1/2・VmaxVW **=VW * +1/2・Vmax………(10)
PNFLG =−1のときVU **=VU * −1/2・VmaxVV **=VV * −1/2・VmaxVW **=VW * −1/2・Vmax………(11)
但し、Vmax は最大電圧基準; VU * ≦1/2・Vmax である。
【0060】この第9の実施例によれば、構成を簡略でき、しかも第8の実施例と同様にインバータの出力周波数が低い場合でもスイッチング素子の温度上昇にバラツキを生じることなく、出力線間電圧を線形に制御することができる。
【0061】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、PWM制御により3相交流電圧を出力するインバータにおいて、最小オンパルス幅を確保すると共に、線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦派の電圧を出力し制御不能領域のないPWM制御を用いたインバータの制御方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPWM制御を用いたインバータの制御装置の要部構成を示す第1乃至第3の実施例を説明するための構成図。
【図2】上記第1の実施例のモード決定部における通常モード、矩形モード、零補正モードの決定アルゴリズムを示す流れ図。
【図3】上記通常モード、矩形モード、零補正モードの各モード内を更に細分したモードに分割する流れ図。
【図4】上記第1の実施例の矩形モードにおける動作波形図。
【図5】上記第1の実施例の零補正モードにおける動作波形図。
【図6】上記第1の実施例の作用を説明するためのタイミング図。
【図7】上記第1の実施例における切換タイミング選択部のタイミング決定を示す流れ図。
【図8】上記第1の実施例における切換タイミング回路の具体的な回路図。
【図9】上記第1の実施例における電圧基準V**の切換タイミングを説明するための図で、(a),(b)は第1の実施例の構成とした場合、(c)は切換タイミングを0X,2Xに、(d)は切換テイミングを1X,3Xに固定した場合を示し、(e)は最大電圧基準±Vmax を越える場合の全オン状態に切換えるタイミングを示す波形図。
【図10】上記第1の実施例の矩形モードにおいて、正または負の最大となる相の電圧基準を零に補正した場合の動作波形図。
【図11】中性点クランプ式インバータの主回路の要部構成図。
【図12】本発明の第4及び第5の実施例を説明するための構成図。
【図13】本発明による第6及び第7の実施例を示す図で、図1及び図12のモード決定部の矩形モードにおける細分モード決定アルゴリズムを変えたもので、(a)は第6の実施例の流れ図、(b)は第7の実施例の流れ図である。
【図14】上記第6の実施例の矩形モードにおける動作波形図。
【図15】上記第7の実施例の矩形モードにおける動作波形図。
【図16】本発明の第8及び第9の実施例を示す構成図。
【図17】上記第8及び第9の実施例におけるモード決定部の流れ図。
【図18】上記第8の実施例における電圧基準、相電圧基準、線間電圧基準の波形図。
【図19】上記第9の実施例における電圧基準、相電圧基準、線間電圧基準の波形図。
【図20】従来のPWM制御を用いたインバータの制御装置を説明するためのもので、(a)は要部構成図、(b)は制御不能領域を示す図。
【符号の説明】
1……コントローラ、2……ミード決定部、3……電圧基準変換部、4……切換タイミング選択部、5……タイミング/キャリア比較部、6……切換タイミナグ回路、データラッチ、9……コンパレータ。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインバータの制御装置に係り、特に最小オンパルス幅を確保し、且つ線形特性を得るように改良したPWM制御を用いたインバータの制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】PWM制御により出力電圧を制御するインバータは、GTO(ゲートターンオフサイリスタ)等の自己消弧形のスイッチ素子が用いられ、変調周期毎に所定期間だけオン状態となってパルス状の電圧を出力し、その平均電圧を制御している。この場合、スイッチ素子がターンオフするときのサージ電圧を抑制するため、スイッチ素子と並列にスナバ回路のコンデンサが接続される。このコンデンサにサージ電流を吸収することでサージ電圧を抑制している。また、このコンデンサの電圧を初期化するためスイッチング素子をオンにしたとき、一定時間(最小オンパルス幅:例えば100 マイクロ秒程度)オン状態に維持してコンデンサの電荷を放電させるようにしている。
【0003】この種の従来装置では、図20(a)に示すように変調用三角波(キャリア)VCP,VCNと電圧基準V* を比較してコンパレータ出力VCMP が最小オンパルス幅T0 以下となるような低電圧の電圧基準のときはスイッチ素子をオンさせるゲート信号VG は最小オンパルス幅T0 以下にならないように図20(b)に示すパルス補正部180で最小幅をT0 に制限して出力している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来装置では最小オンパルス幅T0 となる基準電圧±Vmin 以下の低電圧領域で電圧制御を行うことができなくなり、制御不能領域が生じる問題がある。このような制御不能領域が生じると制御系が不安定となり、高精度の制御を行うことが困難となる。
【0005】本発明は上記の問題を解消するためなされたもので、その目的はPWM制御により3相交流電圧を出力するインバータにおいて、最小オンパルス幅を確保すると共に、線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦派の電圧を出力し制御不能領域のないPWM制御を用いたインバータの制御方法及び装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は次のような制御方法及び装置とする。
【0007】(1)請求項1に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する3相インバータの制御方法において、3相の電圧基準のそれぞれの大きさと極性から通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれか1つのモードを決定し、通常モードのときは電圧基準をそのまま使用し、矩形モード、零補正モードのときはそれぞれのモード毎に定められたアルゴリズムに従って1相の電圧基準を所定値に固定すると共に他相の電圧基準を線間電圧が元の値から変化しないように補正する制御方法とする。
【0008】(2)請求項5に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御方法において、各相の電圧基準のうち正の最大となる相の電圧基準を負の最小電圧基準または零に固定し、かつ他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第1の電圧基準変換方法と、各相の電圧基準のうち負の最大となる相の電圧基準を正の最小電圧基準または零に固定し、かつ他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第2の電圧基準変換方法とを用い、これら両変換方法を交互に切換える制御方法とする。
【0009】(3)請求項7に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する3相インバータの制御装置において、3相の電圧基準のそれぞれの大きさと極性から通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれか1つのモードを決定するモード決定手段と、通常モードに決定されたとき電圧基準をそのまま出力し、矩形モード及び零補正モードが決定されたとき各モード毎に予定されたアルゴリズムに従って1相の電圧基準を所定値に固定すると共に他相の電圧基準を線間電圧が元の値と変わらないように補正した電圧基準を出力する電圧基準変換手段を設け、最小オンパルス幅を確保し、かつ3相線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦波電圧を出力する制御装置とする。
【0010】(4)請求項9に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、線間電圧を変化させることなく、電圧基準の極性を3相全て正または1相のみ零で他の2相を正に変換する第1の電圧基準変換手段と、電圧基準の極性を3相全て負または1相のみ零で他の2相を負に変換する第2の電圧基準変換手段と、これら第1及び第2の電圧基準変換手段交互に切換える切換手段とを設け、低電圧領域でも出力電圧を制御可能にした制御装置とする。
【0011】(5)請求項10に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、線間電圧を変化させることなく、電圧基準の極性を3相全て正または1相のみ零で他の2相を正に変換する第1の電圧基準変換手段と、電圧基準の極性を3相全て負または1相のみ零で他の2相を負に変換する第2の電圧基準変換手段と、これら第1及び第2の電圧基準変換手段交互に切換える切換手段とを設け、低電圧領域でも出力電圧を制御可能にした制御装置とする。
【0012】(6)請求項11に対応する発明は、各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、各相の電圧基準のうち正の最大となる相の電圧基準に固定し他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第1の電圧基準変換手段と、各相の電圧基準のうち負の最大となる相の電圧基準を負の最大基準電圧に固定し他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第2の電圧基準変換手段と、これら第1及び第2の電圧基準変換手段を交互に切換える切換手段とを設け、低電圧領域でも出力電圧を制御可能にした制御装置とする。
【0013】
【作用】(1)請求項1に対応する発明の制御方法おいては、3相の電圧基準がすべて所定電圧を越えるとき通常モードに決定され、3相のうち2相以上の電圧基準が前記所定電圧以下のとき、あるいは3相のうち2相の電圧基準が前記所定電圧の2倍以下で異符号のとき矩形モードに決定され、3相のうち1相の電圧基準が前記所定電圧以下で、他の2相の電圧基準が前記所定電圧の2倍以下で同符号のとき零補正モードに決定される。
【0014】矩形モードに決定されたとき、所定周期毎に最大電圧となる相の電圧基準を逆極性の前記所定電圧あるいは零電圧に固定し、零補正モードに決定されたとき前記所定電圧以下となる相の電圧基準と同極性の前記所定電圧に固定する。
【0015】(2)請求項5に対応する発明の制御方法においては、第1の電圧基準変換方法と第2の電圧基準変換方法とを交互に切換えることにより、電圧基準は最小オンパルス幅以下のパルスを出力せず、しかも線間電圧は連続した正弦波となる電圧基準に変換されるので、電圧基準の切換時に最小オンパルス幅以下のパルスを出力しないように切換タイミングを選択することで、最小オンパルスを含むことなく、しかも線間電圧は連続した正弦波となるパルス列を得ることができる。
【0016】(3)請求項7に対応する発明の制御装置においては、モード決定手段は上述の制御方法の場合と同様にして通常モード、矩形モード、零補正モードを決定し、矩形モード及び零補正モードが決定されたとき、電圧基準変換手段は上述の制御方法の場合と同様にして電圧基準の補正を行う。また電圧基準補正手段はインバータとして3レベルの電圧を出力する中性点クランプ式のインバータを使用するとき、矩形モードにおいて1相の電圧基準を零電圧に固定して所定周期だけスイッチングを停止させる。
【0017】(4)請求項9に対応する発明の制御装置においては、電圧基準の零クロス近傍でも最小オンパルス幅以下のパルスを出力することなく低出力電圧を制御することが可能となり、さらに電圧基準の最大値近傍でも最小オフパルス幅以下のパルスを出力することなく高出力電圧を制御するすることが可能となるので、スイッチング回数を増加することなく低電圧領域から高電圧領域まで出力線間電圧を線形に制御することができる。
【0018】(5)請求項10に対応する発明の制御装置においては、第1の電圧基準変換手段と第2の電圧変換手段を交互に切換えることにより、3相全てが正または負に切換わる毎に新たな電圧基準が得られるので、低電圧領域においても正極性モードと負極性モードとを交互に切換えるためのスイッチング素子の熱分担を平衡に保つことができしかも出力千間電圧を線形に制御することができる。
(6)請求項11に対応する発明の制御装置においては、上記(5)と同様の作用となるが、上記(5)に比べて構成の簡略化を図ることができる。
【0019】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明によるPWM制御を用いたインバータの制御装置の第1の実施例を示すブロック図である。
【0020】図1において、コントローラ1はベクトル制御等により3相の電圧基準V* (VU * ,VV * ,VW * )を出力し、インバータの制御(例えば電動機の速度制御等)を行うものである。モード決定部2は3相の電圧基準V* が出力される度に図2に示すアルゴリズムに従って通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれかのモードを決定する。すなわち、すべての相の電圧基準が最小電圧基準Vmin より大きいとき通常モードが選択される。また、3相のうち2相以上の電圧基準が最小電圧基準Vmin 以下のとき、あるいは3相のうち2相の電圧基準が最小電圧基準Vmin の2倍以下で同符号のとき矩形モードが選択される。さらに、3相のうち1相の電圧基準が最小電圧基準Vmin 以下で2相の電圧基準が最小電圧基準Vmin の2倍以下で同符号のとき零補正モードが選択される。
【0021】モード決定部2は、上記3種のモードの何ずれか1つを選択した後、更に図3に示すように詳細なモード(Mode=0〜±6)の何ずれか1つを選択する。通常モードのときは、図3(a)に示すように一義的にMode=0が選択される。
【0022】矩形モードの場合は、図3(b)に示すように3相電圧基準V* を掛け合わせることから電圧基準の位相でおよそ60°毎に符号が変化する信号PNFLG を得る。次に信号PNFLG が正のとき、すなわちV* が1相のみ正で他の2相が負のときは3相の中で正の最大値となる電圧基準を選ぶ。これがVU * ならばMode=−1とし、VV * ,VW * ならそれぞれMode=−2,−3とする。信号PNFLG が負のときは3相の中で負の最大値となる基準を選び、これがVU * ,VV *,VW * ならそれぞれMode=1,2,3とする。
【0023】零補正モードの場合は、1相のみが最小基準電圧Vmin 以下となるので、図3(c)に示すようにVmin 以下となる相(VU * ,VV * ,VW * )とその極性によってMode=(±4〜±6)を決定する。電圧基準変換部3は、通常モード、矩形モード、零補正モードに応じて次のように電圧基準V* を補正して新たな電圧基準V**を出力する。
(a)通常モードのときモード決定部2はMode=0を選択し、新たな電圧基準V**として元の電圧基準V* をそのまま出力する。
V**(=VU **,VV **,VW **)=V* (VU * ,VV * ,VW * )
……(1)
(b)矩形モードのとき
【0024】モード決定部2はMode=±1〜±3を選択し、新たな電圧基準V**として最大電圧となる相の電圧基準を逆極性の最小電圧基準電圧Vmin あるいは零電圧に固定すると共に、他相の電圧基準線間電圧が元の値と変らないようにシフトして出力する。例えば、U相の電圧基準VU * が最も大きく正の場合、各相の電圧基準は次のように補正される。
VU **=−VminVV **=−Vmin −(VU * −VV * )
VW **=−Vmin −(VU * −VW * )
……(2)
また、VU * が最も大きく負の場合、各相の電圧基準は次のように補正される。
VU **=VminVV **=Vmin −(VU * −VV * )
VW **=Vmin −(VU * −VW * )
……(3)
この矩形モードにおける動作波形を図4に示す。図4において、VU ,VV ,VW は相電圧、VUV,Vvw,VWUは線間電圧を示す。
【0025】図4に示すように、この実施例ではおよそ60°毎にModeが切換えられ、それぞれのModeの範囲において最大となる相の電圧基準が逆極性の最小基準電圧Vmin に固定され、他相の電圧基準が線間電圧が元の値と変らないようにシフトされている。この矩形モードでは、およそ60°毎に3相すべてが正または負に切換わるので、これを60°切換方式と称する。
(c)零補正モードのとき
【0026】モード決定部2はMode=±4〜±6を選択し、新たな電圧基準V**として零クロスする相の電圧基準を最小電圧基準Vmin に固定すると共に、他相の電圧基準を線間電圧が元の値と変らないようにシフトして出力する。例えばU相の電圧基準VU * が正側から負側に零クロスする場合、各相の電圧基準は次のように補正される。
VU **=VminVV **=Vmin −(VU * −VV * )
VW **=Vmin −(VU * −VW * )
……(4)
また、VU * が負側から正側に零クロスする場合、各相の電圧基準は次のように補正される。
VU **=−VminVV **=−Vmin −(VU * −VV * )
VW **=−Vmin −(VU * −VW * )
……(5)
この零補正モードにおける動作波形を図5に示す。
【0027】データラッチ7は電圧基準変換部3の出力V**を記憶保持するもので、切換タイミング選択部4は電圧基準変換部3から得られたV**とデータクラッチ7に保持された前回のV**とから図6に示す4種の切換タイミング0X,1X,2X,3Xの何ずれか1つを選択する。タイミング/キャリア比較部5はデータラッ7の内容を更新するか否かを決定する。
【0028】切換タイミング回路6は切換タイミング選択部4で選択されたタイミングでデータラッチ8の出力を書換え、コンパレータ9はデータラッチ8からのV**とキャリアを比較してゲート信号を出力する。
【0029】上記構成において、コントローラ1、モード決定部2、電圧基準変換部3、切換タイミング選択部4、タイミング/キャリア比較部5、データラッチ7はソフトウエアで構成され、これらを総称してCPU10とする。
【0030】CPU10のデータロード、すなわちコントローラ1のデータ入力は図6に示す正側キャリアの谷(0X)と山(2X)の時点で行われ、3相の電圧基準V*が出力される。
【0031】切換タイミング選択部4は、今回出力された電圧基準V**(k)とデータラッチ7に保持された前回の電圧基準V**(k−1)から図7に示す流れ図に従って切換タイミングTChgx=0X〜3Xを選択し、2bit データ(00〜11)で出力する。
【0032】切換タイミング回路6は、図8に示すように2bit の切換タイミング信号TChgxと2bit のキャリア位相信号とを比較し、これらが等しいときデータラッチ8の内容を書換える信号を出力する。なお、2bit のキャリア位相信号はキャリア信号を4等分して0X〜3Xの位相範囲を区別することで得られる。また、図のL,Hは下位桁、上位桁を意味する。
【0033】これにより図9(a),(b)に示すように電圧基準V**の符号が変化しないときは0Xから2Xのタイミングで切換わり、符号が変化するときは1Xか3Xのタイミングで切換わる。この場合、0,2識別信号90は0が与えられ、0Xと2Xを区別しないようにしている。また、切換時点の前後で電圧基準V**とキャリアVCP,VCNが交鎖してスイッチングが行われないように決定される。
【0034】もし、上述の構成とせず切換タイミングを0Xと2Xあるいは1Xと3Xに固定すると図9(c)あるいは(d)に示すように電圧基準V**が書換えられた時点(零電圧付近あるいは高電圧領域)において電圧基準V**とキャリアVCP,VCNとがクロスして最小オンパルス幅以下のパルスが発生する危険が生じる。
【0035】タイミング/キャリア比較部5は上述した2bit の切換タイミング信号Tchgxと2bit のキャリア位相信号を比較してデータラッチ7の内容を更新し、常に正しい切換タイミングを選択するように作用する。
【0036】例えば、タイミング0aでデータロードを行い、切換タイミングが1aとなった場合、この信号の出力はタイミング2aの手前で行われるので、データラッチ8の出力はタイミング2aから0bの間で書換えられなくなる。この状態で次回の切換タイミングの選択を行うと正しい結果が得られなくなるので、このような状態のときはデータクラッチの内容を更新しないようにしている。
【0037】GTOを用いてPWM制御を行う場合、不完全なオフゲートパルスを与えるとGTO内部の一部に電流集中が生じ、素子が損傷する虞があるので、最小オンパルス幅以下にならないようにしている。即ち、図9(e)に示すように電圧基準V**がキャリアの最大値に近い最大電圧基準±Vmax を超える領域TMP,TMNにおいて最小オフパルス幅以下となる場合が生じるので、この領域TMP,TMNを全オン状態に切換える機能を設けている。
【0038】この場合、切換え時に最小オフパルス幅の1/2の幅のパルスが出力されないように正の最大電圧出力区間TMPの開始点と終了点は共にタイミング0X(谷)で切換え、負の最大電圧出力区間TMNの開始点と終了点はタイミング2X(山)で切換えるようにしている。この場合、0,2識別信号90を1にセットして0Xと2Xを区別し、正の最大電圧出力区間か負の最大電圧出力区間かを判別する。
【0039】本実施例の矩形モード(60°切換方式)では電圧基準を変換することによって符号が変化する相は、正または負の最大値となる1相なので、電圧基準変換部3の矩形モードにおける正あるいは負の最大となる3相の電圧基準を負あるいは正の最小電圧基準Vmin に固定する補正の代りに正あるいは負の最大となる相の電圧基準を零に固定するように補正することができる。
【0040】図10はこの場合の電圧基準とPWM制御された出力電圧(相電圧及び線間電圧)の波形例を示したもので、U相の電圧基準Vu * の正あるいは負の最大となる期間TUPあるいはTUNが補正された電圧基準VU **では零となっている。
【0041】中性点クランプ式インバータの主回路は、図11に示すように直流電圧源104のP,N間に備えた2個のコンデンサ103により中性点電圧が設けられ、このインバータ出力VU 〜VW を中性点電圧にクランプすることにより零電圧を出力することができ、直流電圧源のP,Nの電位と3レベルの出力が得られる。この中性点クランプ式インバータを用いて上述のように零電圧に固定すれば、スイッチング回数を大幅に低減することができ、スイッチング損失が低減するので、運転効率の向上したインバータが得られる。更に、スイッチ素子に流れる電流が正方向と負方向に交互に平衡して流れるので、スイッチ素子の発熱が平衡し、利用率が良くなる。また、零相補正モードにより電圧基準の零クロス近傍でも最小オンパルス幅以下のパルスを出力することなく出力電圧を制御することが可能となり、更に電圧基準の最大値近傍でも最小オフパルス幅以下のパルスを出力することなく高出力電圧を制御することが可能となり、低電圧領域から高電圧領域までの全出力電圧領域に亘り線間電圧を線形に制御することができ、高精度の制御の可能なインバータが得られる。次に本発明の他の実施例について説明する。
【0042】第2の実施例として、図1に示すモード決定部2において、3相の電圧基準V* (VU * ,VV * ,VW * )の中に最小電圧基準Vmin 以下の電圧基準がある場合は零補正モードに、ない場合には通常モードを選択するようにし、零補正モードの場合は図3(c)に示すように、U,V,W相のうちVmin 以下となる相と、その極性によってMode(±4〜±6)を決定するようにしたものである。
【0043】また、電圧基準変換部3においては、モード決定部で求められたModeにより次式に従って電圧基準V* を変換し、図5に示すような新たな電圧基準V**を出力するようにしたものである。
3相のうちでVU * のみが0以上、Vmin 以下の場合(Mode=4)
VU **=VminVV **=Vmin −(VU * −VV * )
VW **=Vmin −(VU * −VW * )
……(6)
3相のうちでVU * のみが−Vmin 以上0以下の場合(Mode=−4)
VU **=−VminVV **=−Vmin −(VU * −VV * )
VW **=−Vmin −(VU * −VW * )
……(7)
このようにすることで、相電圧では不連続となるが、相電圧の差である線間電圧では連続した正弦波の電圧基準が得られる。
【0044】この第2の実施例によれば、電圧基準の零クロス近傍でも最小オンパルス幅以下のパルスを出力することなく低出力電圧の制御が可能となり、さらに電圧基準の最大値近傍でも最小オフパルス幅以下のパルスを出力することなく、高出力電圧の制御が可能となるので、中性点クランプ式インバータに適用した場合、スイッチング回数を増加することなく、停電圧領域から高電圧領域まで出力線間電圧を線形に制御することができる。
【0045】第3の実施例として、図1に示すモード決定部2において、3相の電圧基準V* (VU * ,VV * ,VW * )の中から正の最大値を選ぶ方式と負の最大値を選ぶ方式とをU相電圧基準の位相でおよそ60°毎に切換え、正の最大値を選ぶ方式において例えばU相が正の最大ならMode=−1とし、負の最大値を選ぶ方式において例えばU相が負の最大ならMode=1という具合に6種類のモードに分けて出力するようにしたものである。
【0046】また、電圧基準変換部3においては、モード決定部で求められたModeにより、VU * が3相のうち正の最大値のときMode=−1として上記(7)式に従って新たな電圧基準VU **,VV **,VW **を得、VU * が3相のうち負の最大値のときMode=1として上記(6)式に従って新たな電圧基準VU **,VV **,VW **を得ることで、相電圧では不連続となるが、相電圧の差である線間電圧では連続した正弦波の基準電圧を得ることができる。この第3の実施例にあっても前述と同様の効果を得ることができる。図12は本発明の第4及び第5の実施例を示すブロック図である。
【0047】図12において、第4の実施例としては、図1の切換タイミング選択部4、タイミング/キャリア比較部5、データクラッチ7を省略し、切換タイミング回路6の代りにタイミング回路6Aを設け、このタイミング回路6Aは正側キャリアの谷(0X)と山(2X)の固定したタイミングで電圧基準を切換えるようにしている。
【0048】この場合、前述したように電圧基準の切換時に最小オンパルス幅あるいは最小オフパルス幅の1/2の幅のパルスが発生することがあるので、この実施例を用いる場合は最小オンパルス幅及び最小オフパルス幅の2倍のパルス幅となるように予め最小電圧基準Vmin 及び最大電圧基準Vmax を設定する。この第4の実施例によれば、簡潔な構成で前述と同様に全出力電圧領域で線間電圧を線形に制御することができる。
【0049】また、図12において、第5の実施例として、電圧基準V**が零クロス近傍なのか、最大電圧近傍なのかを判別するレベル検出部11と、この判定結果に基づいてコンパレータ9から出力されるゲート信号の最小オンパルス幅あるいは最小オフパルス幅に固定したゲート信号に変換して出力するパルス補正部12を設ける構成としても同様の効果を得ることができる。
【0050】また、モード決定部2の矩形モードにおけるアルゴリズムは図13に示す方法で実施することができ、図13(a)を第6の実施例、図13(b)を第7の実施例として説明する。
【0051】第6の実施例は、矩形モードに切換えられたとき一定周期毎に与えられるクロックパルスを計数するカウンタを設け、一定クロック数(Count)に達する度にカウンタの内容を零クリアすると共にフラグ(PNFLG)の符号を反転させる機能を設け、このPNFLG の符号に応じて前述と同様にMode=±1〜±3の判定を行うようにする。この方式は電圧基準V* の周波数とは無関係に一定時間毎にPNFLGの符号を変化させるので、矩形モードの時間切換方式と称する。この方式を用い、20msec毎にPNFLG の反転させたときの波形例を図14に示す。
【0052】この第6の実施例によれば、電圧基準V* の周波数に関係なく一定時間毎に正側と負側のスイッチング素子が導通するので、低周波領域並びに直流出力においてスイッチ素子の温度上昇の変動幅を少なくすることができ、その分だけ利用率の向上したインバータが得られる。
【0053】第7の実施例は図13(b)に示すように矩形モードに切換えたとき、電圧基準V* の周波数が所定周波数以上か否かを検出する判定手段を設け、所定周波数以上なら図3(b)と同様にMode判定を行い、否ならば図13(a)と同様にMode判定を行うようにしたものである。
【0054】この方式を用いて電圧基準V* の周波数を5Hz から10Hz まで変化させ、8.3Hz 付近で時間切換方式から60°切換方式に切換えたときの波形例を図15に示す。
【0055】この第7の実施例によれば、低周波領域あるいは直流出力時に時間切換方式によりスイッチ素子の温度上昇の変動を抑制し、その分だけ利用率を向上させることができ、また通常の周波数においては60°切換方式によりスイッチング回数を大幅に低減し、効率のよい運転を行うことが可能となる。図16は本発明の第8の実施例としてPWM制御を中性点クランプ式インバータに適用する場合の構成図を示すものである。
【0056】図16において、コントローラ11はベクトル制御等により、3相の電圧基準V* (VU * ,VV * ,VW * )を出力し、インバータの制御(電動機の速度制御等)を行うものである。
【0057】モード決定部12は3相の電圧基準V* が出力される度に、図17に示すようにタイマーによってP,N切換周期(T)毎に正負切換信号PNFLG を1または−1にセットする。次にPNFLG が1のときは3相の中で正の最大値となる電圧基準を選ぶ。これがVU * ならばモード1とし、VV * ,VW * ならばそれぞれモード2,3とする。また、PNFLG が−1のときは3相のなかで負の最大値となる基準を選び、これがVU * ,VV * ,VW * ならそれぞれモード−1,−2,−3とする。このようにモード決定部12から6種類のモードが出力される。電圧基準変換部13はこれらのモードに応じて次のように電圧基準V* を補正して新たな電圧基準V**を出力する。
VU * が3相のうち正の最大値のとき(Mode=1)
VU **=VmaxVV **=Vmax −(VU * −VV * )
VW **=Vmax −(VU * −VW * )
……(8)
VU * が3相のうち負の最大値のとき(Mode=−1)
VU **=−VmaxVV **=−Vmax −(VU * −VV * )
VW **=−Vmax −(VU * −VW * )
……(9)
但し、Vmax は最大電圧基準である。図18は第8の実施例における電圧基準、相電圧、線間電圧の波形図を示している。上記構成において、コントローラ11,モード決定部12,電圧基準変換部13はソフトウェアで構成され、これらを総称してCPU15とする。以上の変換方式により、相電圧では不連続となるが、相電圧の差である線間電圧では連続した正弦波の電圧基準V**が出力される。コンパレータ14はこの電圧基準V**とキャリアを比較し、インバータゲート信号を出力する。
【0058】従って、上記構成において、電圧基準VU * は電圧基準変換部13で最小オンパルス幅以下のパルスを出力せず、しかも線間電圧は連続した正弦波となる電圧基準のV**に変換されるので、インバータの出力周波数が低い場合でもスイッチング素子の温度上昇にバラツキを生じることなく、出力線間電圧を線形に制御することが可能となる。
【0059】第9の実施例として、図16に示す構成において、モード決定部12でタイマーによってPN切換周期(T)毎に正負切換信号PNFLG を1または−1にセットし、電圧基準変換部13でPNFLG に応じて次式に示すU,V,W各相の電圧基準V* (VU * ,VV * ,VW * )に一定電圧基準を重畳することによって、図19に示すようにPN切換周期(T)毎に3相すべてが正または負に切換わる新たな電圧基準V**が得られるようにしたものである。
PNFLG =1のときVU **=VU * +1/2・VmaxVV **=VV * +1/2・VmaxVW **=VW * +1/2・Vmax………(10)
PNFLG =−1のときVU **=VU * −1/2・VmaxVV **=VV * −1/2・VmaxVW **=VW * −1/2・Vmax………(11)
但し、Vmax は最大電圧基準; VU * ≦1/2・Vmax である。
【0060】この第9の実施例によれば、構成を簡略でき、しかも第8の実施例と同様にインバータの出力周波数が低い場合でもスイッチング素子の温度上昇にバラツキを生じることなく、出力線間電圧を線形に制御することができる。
【0061】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、PWM制御により3相交流電圧を出力するインバータにおいて、最小オンパルス幅を確保すると共に、線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦派の電圧を出力し制御不能領域のないPWM制御を用いたインバータの制御方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPWM制御を用いたインバータの制御装置の要部構成を示す第1乃至第3の実施例を説明するための構成図。
【図2】上記第1の実施例のモード決定部における通常モード、矩形モード、零補正モードの決定アルゴリズムを示す流れ図。
【図3】上記通常モード、矩形モード、零補正モードの各モード内を更に細分したモードに分割する流れ図。
【図4】上記第1の実施例の矩形モードにおける動作波形図。
【図5】上記第1の実施例の零補正モードにおける動作波形図。
【図6】上記第1の実施例の作用を説明するためのタイミング図。
【図7】上記第1の実施例における切換タイミング選択部のタイミング決定を示す流れ図。
【図8】上記第1の実施例における切換タイミング回路の具体的な回路図。
【図9】上記第1の実施例における電圧基準V**の切換タイミングを説明するための図で、(a),(b)は第1の実施例の構成とした場合、(c)は切換タイミングを0X,2Xに、(d)は切換テイミングを1X,3Xに固定した場合を示し、(e)は最大電圧基準±Vmax を越える場合の全オン状態に切換えるタイミングを示す波形図。
【図10】上記第1の実施例の矩形モードにおいて、正または負の最大となる相の電圧基準を零に補正した場合の動作波形図。
【図11】中性点クランプ式インバータの主回路の要部構成図。
【図12】本発明の第4及び第5の実施例を説明するための構成図。
【図13】本発明による第6及び第7の実施例を示す図で、図1及び図12のモード決定部の矩形モードにおける細分モード決定アルゴリズムを変えたもので、(a)は第6の実施例の流れ図、(b)は第7の実施例の流れ図である。
【図14】上記第6の実施例の矩形モードにおける動作波形図。
【図15】上記第7の実施例の矩形モードにおける動作波形図。
【図16】本発明の第8及び第9の実施例を示す構成図。
【図17】上記第8及び第9の実施例におけるモード決定部の流れ図。
【図18】上記第8の実施例における電圧基準、相電圧基準、線間電圧基準の波形図。
【図19】上記第9の実施例における電圧基準、相電圧基準、線間電圧基準の波形図。
【図20】従来のPWM制御を用いたインバータの制御装置を説明するためのもので、(a)は要部構成図、(b)は制御不能領域を示す図。
【符号の説明】
1……コントローラ、2……ミード決定部、3……電圧基準変換部、4……切換タイミング選択部、5……タイミング/キャリア比較部、6……切換タイミナグ回路、データラッチ、9……コンパレータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する3相インバータの制御方法において、3相の電圧基準のそれぞれの大きさと極性から通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれか1つのモードを決定し、通常モードのときは電圧基準をそのまま使用し、矩形モード、零補正モードのときはそれぞれのモード毎に定められたアルゴリズムに従って1相の電圧基準を所定値に固定すると共に他相の電圧基準を線間電圧が元の値から変化しないように補正することを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項2】 3相の電圧基準がすべて所定電圧を越えるとき通常モードに決定し、3相のうち2相以上の電圧基準が前記所定電圧以下のときあるいは3相のうち2相の電圧基準が前記所定電圧の2倍以下で異符号のとき矩形モードを決定し、3相のうち1相の電圧基準が前記所定電圧以下で他の2相の電圧基準が前記所定電圧の2倍以下で同符号のとき零補正モードに決定することを特徴とする請求項1記載のPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項3】 矩形モードに決定されたとき、所定周期毎に最大電圧となる相の電圧基準を逆極性の前記所定電圧あるいは零電圧に固定し、零補正モードに決定されたとき、前記所定電圧以下となる相の電圧基準を同極性の前記所定電圧に固定することを特徴とする請求項1記載のPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項4】 矩形モードに決定された場合において、電圧基準の周波数が所定周波数以下のとき前記所定周期を一定時間の周期とし、電圧基準の周波数が前記所定周波数を越えるとき前記所定周期を一定位相の周期とすることを特徴とする請求項3記載のPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項5】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御方法において、各相の電圧基準のうち正の最大となる相の電圧基準を負の最小電圧基準または零に固定し、かつ他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第1の電圧基準変換方法と、各相の電圧基準のうち負の最大となる相の電圧基準を正の最小電圧基準または零に固定し、かつ他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第2の電圧基準変換方法とを用い、これら両変換方法を交互に切換えるようにしたことを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項6】 電圧基準を切換えるタイミングを複数個持ち電圧基準の符号の切換え前後で異なる場合と同じ場所とに応じて切換えタイミングを変化させることにより電圧基準の切換時においてもスイッチング素子の最小オンパルス以下の幅のパルスを発生させないようにしたことを特徴とする請求項5記載のPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項7】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する3相インバータの制御装置において、3相の電圧基準のそれぞれの大きさと極性から通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれか1つのモードを決定するモード決定手段と、通常モードに決定されたとき電圧基準をそのまま出力し、矩形モード及び零補正モードが決定されたとき各モード毎に予定されたアルゴリズムに従って1相の電圧基準を所定値に固定すると共に他相の電圧基準を線間電圧が元の値と変わらないように補正した電圧基準を出力する電圧基準変換手段を設け、最小オンパルス幅を確保し、かつ3相線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦波電圧を出力することを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御装置。
【請求項8】 前記電圧基準変換手段は、インバータとして3レベルの電圧電圧を出力する中性点クランプ式のインバータを使用するとき矩形モードにおいて、1相の電圧基準を零電圧に固定して所定期間だけスイッチングを停止することを特徴とする請求項7記載のPWM制御を用いたインバータの制御装置。
【請求項9】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、各相の電圧基準のうち唯一1相が素子の最小オンパルス幅に相当する最小電圧基準以下となるときこの相の電圧基準を正の最小電圧基準または負の最小電圧基準に固定し、他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する電圧基準変換手段を設け、この電圧基準変換手段により電圧基準の零クロス近傍でも出力線間電圧を制御可能にしたことを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御装置。
【請求項10】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、線間電圧を変化させることなく、電圧基準の極性を3相全て正または1相のみ零で他の2相を正に変換する第1の電圧基準変換手段と、電圧基準の極性を3相全て負または1相のみ零で他の2相を負に変換する第2の電圧基準変換手段と、これら第1及び第2の電圧基準変換手段交互に切換える切換手段とを設け、低電圧領域でも出力電圧を制御可能にしたことを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御装置。
【請求項11】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、各相の電圧基準のうち正の最大となる相の電圧基準に固定し他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第1の電圧基準変換手段と、各相の電圧基準のうち負の最大となる相の電圧基準を負の最大基準電圧に固定し他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第2の電圧基準変換手段と、これら第1及び第2の電圧基準変換手段を交互に切換える切換手段とを設け、低電圧領域でも出力電圧を制御可能にしたことを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御装置。
【請求項1】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する3相インバータの制御方法において、3相の電圧基準のそれぞれの大きさと極性から通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれか1つのモードを決定し、通常モードのときは電圧基準をそのまま使用し、矩形モード、零補正モードのときはそれぞれのモード毎に定められたアルゴリズムに従って1相の電圧基準を所定値に固定すると共に他相の電圧基準を線間電圧が元の値から変化しないように補正することを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項2】 3相の電圧基準がすべて所定電圧を越えるとき通常モードに決定し、3相のうち2相以上の電圧基準が前記所定電圧以下のときあるいは3相のうち2相の電圧基準が前記所定電圧の2倍以下で異符号のとき矩形モードを決定し、3相のうち1相の電圧基準が前記所定電圧以下で他の2相の電圧基準が前記所定電圧の2倍以下で同符号のとき零補正モードに決定することを特徴とする請求項1記載のPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項3】 矩形モードに決定されたとき、所定周期毎に最大電圧となる相の電圧基準を逆極性の前記所定電圧あるいは零電圧に固定し、零補正モードに決定されたとき、前記所定電圧以下となる相の電圧基準を同極性の前記所定電圧に固定することを特徴とする請求項1記載のPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項4】 矩形モードに決定された場合において、電圧基準の周波数が所定周波数以下のとき前記所定周期を一定時間の周期とし、電圧基準の周波数が前記所定周波数を越えるとき前記所定周期を一定位相の周期とすることを特徴とする請求項3記載のPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項5】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御方法において、各相の電圧基準のうち正の最大となる相の電圧基準を負の最小電圧基準または零に固定し、かつ他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第1の電圧基準変換方法と、各相の電圧基準のうち負の最大となる相の電圧基準を正の最小電圧基準または零に固定し、かつ他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第2の電圧基準変換方法とを用い、これら両変換方法を交互に切換えるようにしたことを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項6】 電圧基準を切換えるタイミングを複数個持ち電圧基準の符号の切換え前後で異なる場合と同じ場所とに応じて切換えタイミングを変化させることにより電圧基準の切換時においてもスイッチング素子の最小オンパルス以下の幅のパルスを発生させないようにしたことを特徴とする請求項5記載のPWM制御を用いたインバータの制御方法。
【請求項7】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する3相インバータの制御装置において、3相の電圧基準のそれぞれの大きさと極性から通常モード、矩形モード、零補正モードの何ずれか1つのモードを決定するモード決定手段と、通常モードに決定されたとき電圧基準をそのまま出力し、矩形モード及び零補正モードが決定されたとき各モード毎に予定されたアルゴリズムに従って1相の電圧基準を所定値に固定すると共に他相の電圧基準を線間電圧が元の値と変わらないように補正した電圧基準を出力する電圧基準変換手段を設け、最小オンパルス幅を確保し、かつ3相線間電圧の全出力電圧領域において滑らかな正弦波電圧を出力することを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御装置。
【請求項8】 前記電圧基準変換手段は、インバータとして3レベルの電圧電圧を出力する中性点クランプ式のインバータを使用するとき矩形モードにおいて、1相の電圧基準を零電圧に固定して所定期間だけスイッチングを停止することを特徴とする請求項7記載のPWM制御を用いたインバータの制御装置。
【請求項9】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、各相の電圧基準のうち唯一1相が素子の最小オンパルス幅に相当する最小電圧基準以下となるときこの相の電圧基準を正の最小電圧基準または負の最小電圧基準に固定し、他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する電圧基準変換手段を設け、この電圧基準変換手段により電圧基準の零クロス近傍でも出力線間電圧を制御可能にしたことを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御装置。
【請求項10】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、線間電圧を変化させることなく、電圧基準の極性を3相全て正または1相のみ零で他の2相を正に変換する第1の電圧基準変換手段と、電圧基準の極性を3相全て負または1相のみ零で他の2相を負に変換する第2の電圧基準変換手段と、これら第1及び第2の電圧基準変換手段交互に切換える切換手段とを設け、低電圧領域でも出力電圧を制御可能にしたことを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御装置。
【請求項11】 各相毎に電圧基準に応じた電圧をPWM制御を用いて出力する中性点クランプ式3相インバータの制御装置において、各相の電圧基準のうち正の最大となる相の電圧基準に固定し他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第1の電圧基準変換手段と、各相の電圧基準のうち負の最大となる相の電圧基準を負の最大基準電圧に固定し他の2相の電圧基準を線間電圧が変化しないように変換する第2の電圧基準変換手段と、これら第1及び第2の電圧基準変換手段を交互に切換える切換手段とを設け、低電圧領域でも出力電圧を制御可能にしたことを特徴とするPWM制御を用いたインバータの制御装置。
【図2】
【図1】
【図3】
【図4】
【図16】
【図5】
【図6】
【図18】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図19】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図20】
【図1】
【図3】
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【図9】
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【図17】
【図20】
【公開番号】特開平5−268773
【公開日】平成5年(1993)10月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−244428
【出願日】平成4年(1992)9月14日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成5年(1993)10月15日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)9月14日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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