説明

Pt族金属を添加したγNi+γ’Ni3Alの2相組成を用いた高温被膜

Pt族金属、NiおよびAlを、γNi+γ'NiAlの2相構造が生成する相対比率で含んで成る合金およびこの合金を含む被膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温耐酸化性被膜用の合金組成に関する。この合金組成に基づく被膜は、一例として、高温システムの構成要素の熱障壁システムの一部として用いることができる。
【背景技術】
【0002】
高温機械システムの構成要素、例えば、ガスタービンエンジンは、厳しい環境中で作動しなくてはならない。例えば、航空機エンジン内で高温ガスに曝される高圧タービンのブレードおよびベインは、典型的には金属表面の温度が約1000℃になり、短時間のピーク温度は1100℃に達する。図1に、高温機械システムに用いられる典型的な金属部材10の一部分を示す。ブレード10は、Ni基またはCo基の超合金基材12に熱障壁被膜(TBC:thermal barrier coating)14を被覆して成る。熱障壁被膜14は断熱性セラミック最表面被膜20とその下の金属接合被膜16とを備えている。最表面被膜20は、通常は空気プラズマ溶射または電子ビーム物理蒸着によって形成され、厚さ300〜600μm程度のイットリア安定化ジルコニア(YSZ:yttria-stabilized zirconia)層が最も多く用いられる。YSZの性質として、熱伝導性が低く、酸素透過性が高く、熱膨張が比較的大きい。YSZ最表面被膜20は、多数の気孔および/または透過孔を含む構造であるため「歪み許容性」も持つ。YSZ最表面被膜20の酸素透過性が高い結果、金属接合被膜16は耐酸化性を持たなくてはならない。そのため、αAlの熱生成酸化物(TGO:thermally grown oxide)スケールを形成させるのに十分な多量のAlを接合被膜16に含有させる。TGOには、耐酸化性を付与する作用だけでなく、セラミクス最表面被膜20を基材12および接合被膜16と接合する作用もある。熱障壁被膜14によって耐熱保護がなされても、厚いTGOスケール層18のスポーリングと割れが、通常のTBCの最終的な破損メカニズムであることに変わりはない。そこで、中間層としてのTGOスケール18の密着性および強度を高めることが、TBCの信頼性を高めるために必須である。これと関連して、高温暴露中に接合被膜の表面に粗化や「しわ」が発生することは極力低減する必要があり、これが従来の接合被膜システムの決定的な限界であった。
【0003】
TGOスケール層18の密着性および機械強度は接合被膜16の組成と構造に大きく依存している。理想的には、高温に暴露されたときに、接合被膜16の酸化により、成長が遅くて多孔質でないTGOが生成し、これが超合金基材12に強固に密着すればよい。従来の接合被膜16は、典型的には、MCrAlYオーバレイ(M=Ni、Co、NiCo、またはFe)であるか、または白金添加拡散アルミナイド(βNiAl−Pt)である。これらの被膜組成物は、タービン部材使用中にスポーリングが繰り返し起きてもAlスケール層18が「回復」できるように、Al含有量が十分に高い。
【0004】
しかし、TBCシステムの密着性およびそれに基づく信頼性は、TGOスケール層18の第1回目のスポーリング発生で決まる。その結果、スケール相18で第1回目のスポーリングが発生してしまうと、セラミクス最表面被膜20の剥離・脱落が開始する可能性があるので、スケール層18の回復はセラミクス最表面被膜20の密着性にとって決定的に重要な特性ではない。このように、従来の接合被膜は、AlTGOスケール層の回復を起こさせるように基本設計されているので、必ずしもスケール層の密着性を高めてTBC信頼性を向上させるために最適な組成および/または相構成を備えているとは限らない。
【0005】
図2Aに、第2の金属部材28上のTGOスケール層の密着性を向上させるもう一つの方法を示す。超合金基材30は外表面にPtの層32を被覆した後、熱処理してある。図2Bに示すように、上記の熱処理によって超合金基材30のAlがPt層32中に拡散して超合金基材の表面に外表面改質層34が形成される(図2B)。次に、AlTGOスケール層38およびセラミクス最表面層40を表面改質領域34上に従来の方法で形成する。しかし、表面改質領域34には超合金基材30からの遷移金属も存在しているので、TGOスケール層38の密着性を向上させるために最適な特性が得られるように表面領域34の組成および相構成を正確に制御することは困難である。
【0006】
ガスタービンの性能を更に向上させるには、運転効率を高め、運転寿命を伸ばし、排ガス量を低減する必要があり、そのためにはタービンの運転温度を上昇させる必要がある。上昇した温度(例えば1150℃)でタービンの作動各部を保護するにはTBCの改良が必要であり、TGO層のスポーリングを低減し密着性を高めセラミクス最表面被膜層の信頼性を向上させるには、新たな接合被膜組成物を開発しなくてはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来のβNiAl−Pt接合被膜は、スポーリング後のAlTGOスケール層の回復を促進するために、Al含有量を比較的高くしてあった。このように組成が高Alで、ミクロ組織の主要部がβNiAl相であると、ミクロ組織がγNi+γ'NiAlの2相組織であるNi基超合金基材の相構成とは適合しない。γNi+γ'NiAlの2相構造の超合金基材に、高濃度のAlを含有するβNiAl−Pt合金を被覆すると、両者の界面では接合被膜層からのAlの拡散が生ずる。このようにAlが層間で拡散すると接合被膜層のAlが欠乏し、Alスケールの成長を確保できなくなる。酸化スケールのスポーリングを助長するような望ましくない元素も拡散し進入してくる。被膜/基材間の層間拡散によるもう一つの結果として、特に6wt%までのレニウムを含有する次世代の超合金の場合は、σ相のように脆くて有害なトポロジー的に稠密な(TCP)相が元の被膜/基材界面に生成する。このTCP相が生成すると、被膜付き部材の機械的性質が致命的な影響を受けて使用寿命が大幅に短縮する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態は、Pt族金属、NiおよびAlを、γNi+γ'NiAlの2相構造が生成する相対比率で含む合金である。本願において、γ相は固溶体Ni相、γ'は固溶体NiAl相を指す。
【0009】
本発明の別の形態は、Pt族金属、NiおよびAlを含み、Alの含有量はNiの含有量に対して限定されており、Pt族金属の含有量はβNiAl相が実質的に存在しないように限定されている合金である。
【0010】
本発明の更に別の形態は、約23at%未満のAl、約10at%〜約30at%のPt族金属、および残部のNiを含むNi−Al−Pt3元合金である。
【0011】
本発明の更に別の形態は、図3の領域A内に規定される、Ni、AlおよびPtを含む合金である。
【0012】
本発明の更に別の形態は、Pt族金属、NiおよびAlを含み、γNi+γ'NiAlの2相構造を持つ被膜組成物である。この組成物は、γ+γ2相構造またはγ'相のいずれかが生成させるのに十分な含有量のHfのような反応元素を更に含有してよい。
【0013】
本発明の更に別の形態は、(a)超合金基材、および(b)上記基材上の接合被膜であって、Pt族金属、NiおよびAlを含有し、γNi+γ'NiAlの2相構造を持つ接合被膜を含む、熱障壁被膜付き製品である。上記接合被膜は、γ+γ'2相構造またはγ相のいずれかが生成するのに十分な含有量のHfのような反応元素を更に含有してよい。
【0014】
本発明の更に別の形態は、NiおよびAlをγNi+γ'NiAlの2相構造として含んで成る被膜を基材上に形成する工程を含む、耐熱基材を作製する方法である。上記被膜は、γ+γ'2相構造またはγ相のいずれかが生成するのに十分な含有量のHfのような反応元素を更に含有してよい。
【0015】
本発明の更に別の形態は、超合金基材と、上記基材上の接合被膜であって、Pt−Ni−Al3元合金を含んで成り、γNi+γ'NiAlの2相構造を有する接合被膜と、上記接合被膜上の密着酸化物層と、上記密着酸化物層上のセラミクス被膜とを含む、熱障壁被覆された製品である。
【0016】
本発明の更に別の形態は、γNi+γ'NiAl合金の酸化を減ずる方法であって、Pt族金属および活性金属のうちの少なくとも1種を添加する工程を含む方法である。
【0017】
本発明の更に別の形態は、γNi+γ'NiAlの2相構造を持つ合金を含む均質被膜である。
【0018】
Pt族金属を添加した本発明の合金は、γNi相およびγ'NiAl相(γNi+γ'NiAlまたはγ+γ'とも表示)の相構造を備えており、この相構造は、典型的なNi基超合金基材のγ+γ'ミクロ組織に化学的にも機械的にも匹敵する。本発明のPt族金属添加γ+γ'合金は、耐熱機械要素に用いる超合金基材の表面に施す接合被膜層として特に有用である。
【0019】
本発明の種々の実施形態の詳細については添付図面および以下の説明に示す。本発明の他の特徴、目的、利点は、説明、図面、特許請求の範囲に示したとおりである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図において、同様の参照符号は同様の部位を示す。
【0021】
本発明の一実施形態は、Pt族金属を添加したγNi+γ'NiAlの2相構造を持つ合金であり、すなわち、Pt族金属、NiおよびAlを、γNi+γ'NiAlの2相構造が生成する相対濃度で含有する合金である。本発明の合金においては、NiおよびPt族金属の濃度に対してAlの濃度を限定し、それにより、βNiAl相が実質的に存在しないか又は全く存在せず、γNi+γ'NiAlの2相構造を主体としている。
【0022】
Pt族金属は、例えばPt、Pd、Ir、Rh、およびRuまたはこれらの組合せから選択することができる。Ptを含むPt族金属が望ましく、Ptが特に望ましい。
【0023】
本発明の合金においては、Al含有量は23at%未満が望ましく、約10at%〜約22at%(3wt%〜9wt%)が更に望ましく、Pt族金属の含有量は焼く10at%〜約30at%(12wt%〜63wt%)が望ましく、約15at%〜約30at%が更に望ましく、残部はNiである。本願において、全ての元素についてat%値は公称値であり、±1〜2at%の変動がある。
【0024】
更に、Hf、Y、La、Ce、Zrまたはこれらの組合せのような反応元素を、Pt族金属添加γNi+γ'NiAl2相構造3元合金に添加して、性質を変更または向上させることができる。上記反応元素を添加すると、γ'相が安定化する傾向がある。したがって、反応元素の添加量が十分であると、γ'相が主体またはγ'相単独になる。Pt族金属添加γNi+γ'NiAl2相構造3元合金は、従来のβNiAl合金に比べて活性金属の溶解度が高く、典型的にはγ+γ'合金への活性金属の許容添加量は、約2at%(4wt%)、望ましくは0.3at%〜2at%(0.5wt%〜4wt%)、更に望ましくは0.5at%〜1at%(1wt%〜2wt%)である。望ましい活性金属にはHfが含まれ、特にHfが望ましい。
【0025】
更に、超合金基材の典型的な他の成分としては、例えば、Cr、Co、Mo、Ta、Reおよびこれらの組合せを、γ+γ'相が主体と成る範囲で、Pt族金属添加γNi+γ'NiAl2相構造3元合金に任意に添加してよい。
【0026】
図3に、本発明においてPt族金属としてPtを用いた実施形態の状態図の一部を示す。この実施形態では、Ni−Al−Pt状態図に、βNiAl(領域β)、γNi(領域γ)、γ'NiAl(領域γ')の各相が存在している。この場合、γNi相の領域とγ'NiAl相の領域との間の斜線部領域Aの範囲内に3元合金が入るように、Al濃度を選定すると、γ+γ'組織になる。
【0027】
図3の領域Aで示された実施形態においては、Al含有量は約23at%未満が望ましく、約10at%〜約22at%(3wt%〜9wt%)が更に望ましく、Pt含有量は約10at%〜約30at%(12wt%〜63wt%)が望ましく、約15at%〜約30at%が更に望ましく、残部はNiである。Hfのような任意の反応元素の添加量は、約0.3at%〜約2at%(0.5wt%〜4wt%)である。
【0028】
本発明の合金の製造は、例えば高純度のNi、Al、Pt族金属の断片と、任意の反応元素および/または超合金金属およびこれらの組合せの断片とを、アルゴン・アーク溶解する等の従来技術を用いて行なえる。
【0029】
Pt族金属添加γNi+γ'NiAl2相合金を基材表面に被覆することにより、基材に高温劣化抵抗を付与することができる。図4において、典型的な基材はNi基またはCo基の超合金基材102である。基材102としては、従来のNi基またはCo基超合金、例えば、Martin-Marietta Corp., Bethesda, MDの商品名MAR-M002、Cannon-Muskegon Corp., Muskegon, MIの商品名CMSX-10などを用いることができる。
【0030】
Pt族金属添加γNi+γ'NiAl2相合金を基材102に被覆する方法としては、例えばプラズマ溶射、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、スパッタリング等の公知の方法を用いることができ、それにより被膜104を形成して耐熱製品100が得られる。この被膜形成処理は典型的には減圧チャンバ内で行う。
【0031】
被膜104の厚さは対象用途に応じて種々に変えることができるが、典型的には約5μm〜約10μm、望ましくは約5μm〜約50μm、最も望ましくは約10μm〜約50μmである。被膜104の組成は精密に制御できるので、被膜は実質的に均質なγ+γ'構造であり、これは本願においては、被膜の厚さ全体に渡ってγ+γ'組織が主組織となっていることを意味する。更に、被膜104は、厚さ全体に渡ってPt族金属の濃度が実質的に一定である。
【0032】
被膜104を接合被膜層として用いる場合、その上に従来のPVD法により典型的には部分安定化ジルコニアから成るセラミクスの層を形成して最表面セラミクス被膜108とすることができる。これに適した最表面セラミクス被膜は、例えばChromalloy Gas Turbine Corp., Delaware, USAから提供されている。最表面セラミクス被膜108の形成は、従来から酸素とアルゴン等の不活性ガスとを含む雰囲気中で行なっている。セラミクス形成過程で酸素が存在するため、接合被膜104の表面に薄い酸化スケール層106が不可避的に生成する。熱的に成長した酸化物(TGO:thermally grown oxide)層106としてはアルミナがあり、典型的にはαAlの密着層である。接合層104と、TGO層106と、最表面セラミクス被膜層108とで、超合金基材102の表面に熱障壁被膜110を形成する。
【0033】
接合被膜層104に用いたPt族金属添加γNi+γ'NiAl合金は、化学的にも機械的にもNi基またはCo基の超合金102のγ+γ'相構造と対等である。これらの合金で規定される保護接合被膜は、熱膨張係数(CTE:coefficient of thermal expansion)がβNiAl基合金の接合被膜のCTEに比べてNi基超合金のCTEに近い。その結果、本発明の接合被膜により、高温機械システムの機械要素に負荷される厳しい熱サイクルに対して熱障壁被膜の安定性が向上する。
【0034】
Pt族金属添加γNi+γ'NiAl2相合金が熱酸化されるとαAlスケール層が成長するが、その成長速度は従来のβNiAl接合被膜で生成するスケール層の熱成長と同等または遅い速度であるため、γNi+γ'NiAl合金は酸化抵抗が優れている。Pt族金属添加γNi+γ'NiAl合金はまた、従来のβNiAl−Pt合金に比べて、Hf等の活性金属の溶解度が高いため、用途に応じた合金設計の幅を拡大できる。例えば、Pt族金属添加γ+γ'合金に他の成分として例えばHfを付加した組成として超合金基材表面に接合被膜として形成すれば、TGOスケール層の成長速度を更に遅くできる。熱負荷が長期になると、従来のβNiAl−Pt接合被膜材料に生成するスケール層に比べて、本発明によるTGOスケール層は平坦化が進み密着性が高まる。
【0035】
また、Pt族金属添加γNi+γ'NiAl合金中のAlの熱力学的活性は、Pt量が十分であれば、Ni基超合金基材中のAlの活性よりも低いレベルまで低下する。Pt族金属添加γNi+γ'NiAl合金を含むこのような接合被膜を超合金基材に被覆すると、上記のような熱力学的活性の変化によりAlが拡散して超合金基材から被膜へ向けて上昇する濃度勾配が生ずる。この「上昇拡散(uphill diffusion)」により、被膜のAl欠乏が減少および/または実質的に解消する。その結果、スケール層のスポーリングが減少し、スケール層の安定性が高まり、熱障壁被膜の最表面セラミクス被膜の寿命が向上する。
【0036】
Pt族金属添加γNi+γ'NiAl合金を含む接合被膜を備えた熱障壁被膜を金属部品に被覆することにより、厳しい熱的条件に対する抵抗を付与することができる。これに適した金属部品としては、ガスタービン用のNi基およびCo基の超合金部品、特に航空機および船舶のエンジン用がある。
【実施例】
【0037】
〔実施例1〕
高純度のNi、Al、Pt、Hfの断片をアルゴン・アーク溶解して、Ni−Al−Pt合金およびHf添加Ni−Al−Pt合金を作製した。均質化および平衡化のために、得られた各合金に、アルゴン流雰囲気中にて1100℃または1150℃で1週間の焼鈍を施した後、水中に急冷して高温組織を固定した。各合金から試験サンプルを切り出し、600グリットに仕上げ研磨し、相平衡試験、酸化試験、相互拡散試験に供した。
【0038】
平衡化熱処理後の状態で、先ずX線回折(XRD)により解析して相を同定し、次いでエポキシ樹脂中に冷間埋め込みして研磨により0.5μm仕上げし、金属組織を解析した。先ず光学顕微鏡によりサンプルエッチング面のミクロ組織観察を行なった。サンプルの非エッチング面(再研磨面)でエネルギー分散分光法(EDS)または波長分散分光法(WDS)により濃度分布を求めた。前者は二次電子線顕微鏡(SEM)を用い、後者は電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて行なった。選定したサンプルについては示差熱分析(DTA)も行い、種々の相の熱的な安定性を求めた。
【0039】
同定された合金組成を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
同定された合金組成は図5のNiAlPt状態図のNiコーナー付近にも示した。この部分の状態図から分かるように、合金7、27、28、32、42はγ'相を主相とし、合金29、38はγ相を主相とする。
【0042】
〔実施例2〕等温および繰り返し酸化
竪型炉を用い静止大気中にて1100℃および1150℃で、等温酸化試験および繰り返し酸化試験を行なった。間歇的にサンプルを室温まで冷却して化学天秤でサンプルの重量変化を測定することにより、等温酸化過程を観察した。室温への冷却中や取り扱い中のスケールのスポーリングを防止する手段は特に講じなかった。その結果、場合によっては重量減少が観察された。繰り返し酸化試験は、所定温度(1100℃または1150℃)に1時間保持し、120℃に冷却して15分保持する繰り返しにより行なった。冷却期間中に周期的にサンプル重量変化を測定した。タイマー制御したモーター駆動装置により竪型炉を上下することにより熱サイクルを生じさせた。試験終了後に、XRD、SEM、EDSにより酸化サンプルを調べた。
【0043】
〔実施例2A〕
図6に、Ni−Al−Pt合金範囲内の種々の相構成について静止大気中にて1150℃での等温酸化挙動を示す。本実施例のγ+γ'合金は前記実施例1の合金7と同じである。図示した合金はいずれも、Al濃度の高いTGOスケール層がXRDにより同定された。サンプルの重量変化は、暴露時間20、40、60、100時間後に室温で測定した。したがって、この酸化試験は真の意味での等温試験ではない。図6中でβを付した合金は50at%Alおよび10at%Ptを含有するβNiAlである。この合金は、全期間を通して正の重量変化を示しており、スケールのスポーリングが少ない。2元系βNiAlとPt添加βNiAlとで酸化挙動を比較すると、NiAl系合金にPtを添加することでスポーリングが減少しTGOスケールの密着性が高まることが分かる。3元系Pt添加γ+γ'合金の少ない重量変化は、Al濃度の高い各β含有合金の少ない重量変化と同等である。2元系γ+γ'合金は同様の条件に暴露されたときに、重量変化が著しく大きく、後にスケールのスポーリングが起きることが分かる。このように、γ+γ'合金にPtを添加すると、スケールの密着性が高まるだけでなく、Alスケールの生成も促進される。
【0044】
1150℃の等温酸化試験(図6)後のサンプルの幾つかについて断面のSEM像を図7に示す。いずれの合金も100時間の酸化試験後である。2元系βNiAl接合被膜上のAlTGOスケール層の密着性が劣ることは、スケール層と接合被膜との間に隙間が空いていることから明瞭に分かる。Pt添加β含有合金の接合被膜およびPt添加γ+γ'合金の接合被膜は、スケールの密着性が極めて良好であるように見える。しかし、Pt添加γ+γ'合金の接合被膜の場合、接合被膜/TGOスケール界面が平坦でなく、皺がある。Alの選択的な酸化によって、このPt添加γ+γ'合金(合金7)の表面下の領域は、連続したγ層と隣接するγ+αの層とに変態する。両層とも酸化時間の増加に伴い厚さが増加することが分かった。図7に示したPt添加γ+γ'合金の接合被膜は前記実施例1の合金7(Ni−22Al−30Pt)である。
【0045】
図8に示すように、このNi−22Al−30Pt合金に0.5at%(1wt%)のHfを添加するか(Ni−22Al−30Pt−0.5Hf)、あるいは、Pt含有量を少なくすると、合金/スケール界面の平坦性は非常に向上する。更に、合金/スケール界面の平坦性が非常に向上した合金は、試験時間内で(1000時間まで)はγ+α中間層が形成した証拠は何ら認められなかった。図8の観察像を比較すると、Hf添加によるもう一つの利点として、酸化中にγ+γ'合金表面に生成するAlスケールの厚さがかなり低減することである。
【0046】
〔実施例2B〕
実施例1の合金サンプルを1150℃で等温酸化および繰り返し酸化させた。図9中のプロットから、Pt無添加のγ+γ'合金(♯B3:Ni−22at%Al)は繰り返し酸化に対する抵抗が非常に低いが、この合金に10〜30at%のPtを添加する(Al含有量は22at%一定として、主相をγ'相にしておく)と、繰り返し酸化抵抗が顕著に向上することが分かる。更に合金♯29の結果から、Pt含有量は20at%一定にして、Al含有量を22at%から16at%に減少させた場合(γが主相)にも、繰り返し酸化抵抗が非常に良好であることが分かる。
【0047】
図10に、実施例1の合金を等温酸化させた後の断面の観察像を示す。Ni−22at%Alに10〜30at%のPtを添加すると、連続した密着性のあるAlスケールの独占的な生成が促進される。図中に記したように、2元系Ni−22at%Al合金B3は外層としてスピネル相NiO−Alを含む密着性の悪いスケールが生成する。
【0048】
〔実施例2C〕
図11に、βNiAl(50at%Al)、γNi+γ'Ni3Al+(22at%Al)、Hf添加γNi+γ'Ni3Al+(22at%Al)の各合金にPtを添加したバルク合金の1150℃での繰り返し酸化過程を比較して示す。1回の熱サイクルは、大気中で1150℃に1時間保持した後、大気中で約120℃に15分保持する。β合金(共通して用いている接合被膜組成に基づく)は重量損失を生じ、これは酸化スケールのスポーリングが発生したためであり、一方、良好な特性を示している各γ+γ'合金にははっきりとしたスケールのスポーリングの兆候はない。Hf添加した合金の特性は特に優れており、重量増加が最小であり、酸化スケールの成長速度が例外的に遅い。更に、Hfは添加量2wt%でも有利な効果が確認された。このように多量のHfを含有すると、有利な効果に必要なHf含有量が約0.1wt%以下であるβ系被膜のp酸化抵抗にとって極めて致命的である。実用上の観点からは、このように低い上限値未満に抑えることは非常に困難であるため、β系被膜にHfを意図的に添加することは行なわれていない。本願で提案しているγ+γ'接合被膜組成であれば、Hfの添加が容易に許容されるので、最適な保護スケールの形成ができる。
【0049】
〔実施例2D〕
この実施例においては、種々の合金組成について空気中1150℃の繰り返し酸化挙動を比較した。図12にプロットから、Pt添加γNi+γ'NiAl合金の繰り返し酸化挙動はPt添加βNiAl合金と同等であることが分かる。図示したβNiAl合金は50at%Al(すなわちPt添加γNi+γ'NiAl合金のAl含有量の2倍以上)を含有しており、従来のPt添加βNiAl接合被膜を代表する合金として用いた。更に図12のプロットから、Pt添加γNi+γ'NiAl合金に1wt%(約0.5at%)のHfを添加することによる利点が分かる。Hf添加によりAlスケールの成長速度が1桁近く減少している。
【0050】
〔実施例2E〕
この実施例においては、実施例1の種々のγ+γ'合金について空気中1150℃の繰り返し酸化挙動を比較した。図13のプロットは、実施例1の種々のPt添加γNi+γ'NiAl合金の繰り返し酸化特性を、2元系γNi+γ'NiAl合金(実施例1のB3:22at%Al)および化学量論的なβNiAl合金と対比して示す。図に示したように、10at%以上のPtを含有する合金は耐酸化性が非常に優れており、重量変化は常に正であるので、測定可能なスケールのスポーリングは無い。
【0051】
〔実施例2F〕
図14のプロットは、実施例1の種々のPt添加γNi+γ'NiAl合金の耐酸化性に対するHf添加の有利な効果を、化学量論的なβNiAl合金と対比して示す。詳細に見ると、γ'相を主相とする合金(合金32:合金7に1wt%Hfを添加)は、γを主相とする合金(合金38:合金29に1wt%Hfを添加)よりも、向上効果が大きいことが分かる。これは、Hfがγよりもγ'により多く固溶するため、γ'系合金の方がHfの分散が均一性が高いからである。
【0052】
図15に表面および断面の組織を示したように、Ni−22at%Al−30at%Pt合金にHfを1wt%(約0.5at%)添加するとスケールの密着性は著しく向上する。1150℃で1時間保持し約120℃で15分保持するサイクルを1000回繰り返した試験は、長期間試験と考えられる。
【0053】
〔実施例2G〕
図16のプロットは、実施例1の種々のPt添加γNi+γ'NiAl合金(主相がγ'のもの)の繰り返し酸化抵抗が、Hfを2wt%(約1at%)も添加した場合も向上することを示す(合金36:合金7に2wt%のHfを添加)。従来用いられていたβNiAl系被膜の観点からは、このような多量のHf添加は、耐酸化性に対して致命的であるため、決して行なわれなかった。
【0054】
図17の断面組織から、高Pt合金♯7にHfを1wt%、2wt%添加すると、合金/スケール界面の皺発生が大幅に低減することが分かる。皺発生は進行性の表面粗化であり、耐酸化性を最適化するためには回避しなくてはならない。
【0055】
〔実施例3〕
合金の断片同士を1150℃で1時間熱間等方プレス(HIP)して相互拡散用組合せサンプルを作製した。各サンプルについて、アルゴン流雰囲気中にて1100℃〜1150℃で50時間までの相互拡散焼鈍を行なった。所定の相互拡散処理後、サンプルを水中に急冷した。上述の実施例と同様の試験および観察を行なってNi−Al−Pt系の相互拡散挙動を調べた。
【0056】
Pt添加γNi+γ'NiAl合金中のAlの1150℃における相互拡散に及ぼすPtの影響を調べた。Pt含有量が十分(例えば約15at%以上)であれば、22at%のAlを含有するγ+γ'合金中のAlの化学的活性が低下して、基材(Al含有量が約13〜19at%)からγ+γ'被膜へのAlの上昇拡散(uphill diffusion)が起きる程になる。
【0057】
図18に代表的な実例として、γ+γ'(Ni−22Al−30Pt)とγ+γ'(Ni−19Al)の組合せサンプルに、1150℃で50時間の相互拡散処理を行った場合を示す。
【0058】
図19にもう一つの代表例として、γ+γ'(Ni−22Al−30Pt)とCMSX−4の組合せサンプルに、1150℃で50時間の相互拡散処理を行った場合を示す。
【0059】
いずれの場合にも、組合せサンプルのうち高Alのγ+γ'「被膜」側にAlの富化が起きていることが、図18〜19の組成プロファイルから明らかに分かる。Alの上昇拡散の発見は重要である。それは、基材から被膜へのAlの拡散によってAlが補充され又は富化されることを前提として、Pt添加γNi+γ'NiAl合金被膜を合金設計できるからである。この挙動は、βNiAl含有被膜で生ずる現象とは全く逆である。
【0060】
以上、本発明の種々の実施形態を説明した。ただし、もちろん本発明の趣旨および範囲を逸脱せずに種々の改変が可能である。各実施形態は特許請求の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】熱障壁被膜を備えた金属製品の断面図である。
【図2A】Pt層を被覆された金属製品の熱処理前の状態を示す断面図である。
【図2B】図2の金属製品に超合金基材の熱処理と従来の熱障壁被膜の形成とを行なった状態を示す断面図である。
【図3】本発明のPt添加γNi+γ'NiAl合金の一実施形態を示す1100℃におけるNi−Al−Pt状態図の一部分である。
【図4】熱障壁被膜を備えた金属製品の断面図である。
【図5】実施例1の各合金組成を示すNi−Al−Pt状態図である。
【図6】種々の相構成を持つNi−Al−Pt合金を1150℃の静止大気中に「等温」暴露した後の重量変化を示すグラフである。
【図7】図6に示した合金の幾つかについて、大気中にて1150℃で100時間酸化した後の断面組織写真である。組成は公称値であり、単位はat%である。
【図8】Pt添加γNi+γ'NiAl合金の幾つかについて、大気中にて1150℃で1000時間の等温酸化を行なった後の断面組織写真である。全て同一倍率(×500)である。組成は公称値であり、単位はat%である。
【図9】種々のPt添加γNi+γ'NiAl合金、Pt無添加のγNi+γ'NiAl合金、Pt添加βNiAl合金について、大気中1150℃での繰り返し酸化過程を示すグラフである。
【図10】Pt添加γNi+γ'NiAl合金、Pt・Hf添加γNi+γ'NiAl合金、Pt無添加γNi+γ'NiAl合金について、大気中1150℃での等温酸化後の断面組織写真である。
【図11】Pt添加βNiAl合金、Pt添加γNi+γ'NiAl合金、Hf添加Pt添加γNi+γ'NiAl合金について、大気中1150での繰り返し酸化過程を比較して示すグラフである。
【図12】Pt添加βNiAl合金、γNi+γ'NiAl合金、Pt添加βNiAl合金について、大気中1150℃での繰り返し酸化過程を比較して示すグラフである。
【図13】実施例1のPt添加βNiAl合金およびPt添加γNi+γ'NiAl合金、Pt添加βNiAl合金について、大気中1150℃での繰り返し酸化過程を比較して示すグラフである。
【図14】実施例1のPt添加βNiAl合金およびPt添加γNi+γ'NiAl合金について、繰り返し酸化過程に及ぼすHf添加の影響を示すグラフである。
【図15】実施例1および図14のPt添加βNiAl合金およびPt添加γNi+γ'NiAl合金について、繰り返し酸化過程に及ぼすHf添加の影響を示す表面および断面の組織写真である。
【図16】実施例1のPt添加βNiAl合金およびPt添加γNi+γ'NiAl合金について、繰り返し酸化過程に及ぼすHf添加の影響を示すグラフである。
【図17】実施例1および図16のPt添加βNiAl合金およびPt添加γNi+γ'NiAl合金について、大気中1150℃で1000時間の等温酸化に及ぼすHf添加の影響を示す表面および断面の組織写真である。
【図18】γ+γ'(Ni−22Al−30Pt)とγ+γ'(Ni−22Al)の組合せサンプルに、1150℃で50時間の相互拡散処理を行った後の、ミクロ組織および組成プロファイルを示す写真およびグラフである。
【図19】γ+γ'(Ni−22Al−30Pt)とCMSX−4の組合せサンプルに、1150℃で50時間の相互拡散処理を行った後の、ミクロ組織および組成プロファイルを示す写真およびグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pt族金属、NiおよびAlを、γNi+γ'NiAlの2相構造が生成する相対比率で含んで成る合金。
【請求項2】
請求項1において、上記Pt族金属がPt、Pd、Ir、Rh、Ruおよびこれらの組合せから成る群から選択される合金。
【請求項3】
請求項1において、上記Pt族金属がPtである合金。
【請求項4】
請求項1において、Hf、Y、La、Ce、Zrおよびこれらの組合せから成る群から選択した反応元素を更に含有する合金。
【請求項5】
請求項4において、上記反応元素がHfである合金。
【請求項6】
請求項1において、Hf、Y、La、Ce、Zrおよびこれらの組合せから成る群から選択した反応元素を、γ'相構造が生成するのに十分な量で含有する合金。
【請求項7】
請求項6において、上記反応元素がHfである合金。
【請求項8】
請求項1において、Cr、Co、Mo、Ta、Reおよびこれらの組合せから成る群から選択した金属を更に含有する合金。
【請求項9】
請求項4において、Cr、Co、Mo、Ta、Reおよびこれらの組合せから成る群から選択した金属を更に含有する合金。
【請求項10】
請求項7において、Cr、Co、Mo、Ta、Reおよびこれらの組合せから成る群から選択した金属を更に含有する合金。
【請求項11】
Pt族金属、NiおよびAlを含んで成り、Alの含有量はNiの含有量に対して限定されており、Pt族金属の含有量はβNiAl相が実質的に存在しないように限定されている合金。
【請求項12】
請求項11において、上記Pt族金属がPt、Pd、Ir、Rh、Ruおよびこれらの組合せから成る群から選択される合金。
【請求項13】
請求項11において、上記Pt族金属がPtである合金。
【請求項14】
請求項11において、Hf、Y、La、Ce、Zrおよびこれらの組合せから成る群から選択した反応元素を更に含有する合金。
【請求項15】
請求項11において、上記反応元素がHfである合金。
【請求項16】
請求項11において、Cr、Co、Mo、Ta、Reおよびこれらの組合せから成る群から選択した金属を更に含有する合金。
【請求項17】
請求項14において、Cr、Co、Mo、Ta、Reおよびこれらの組合せから成る群から選択した金属を更に含有する合金。
【請求項18】
請求項11において、Cr、Co、Mo、Ta、Reおよびこれらの組合せから成る群から選択した金属を更に含有する合金。
【請求項19】
約23at%未満のAl、約10at%〜約30at%のPt族金属、および残部のNiを含んで成るNi−Al−Pt3元合金。
【請求項20】
請求項19において、上記Pt族金属がPtである合金。
【請求項21】
請求項19において、Hf、Y、La、Ce、Zrおよびこれらの組合せから成る群から選択した反応元素を、約2at%未満の量で更に含有する合金。
【請求項22】
請求項21において、上記反応元素がHfである合金。
【請求項23】
請求項21において、上記反応元素の含有量が約0.3at%〜約2at%である合金。
【請求項24】
請求項19において、約10at%〜約22at%のAlおよび約15at%〜約30at%のPt族金属を含んで成る合金。
【請求項25】
図3の領域A内に規定される、Ni、AlおよびPtを含んで成る合金。
【請求項26】
約23at%未満のAl、約10at%〜約30at%のPt、約0.3at%〜約2at%のHf、および残部のNiを含んで成る合金。
【請求項27】
請求項26において、Al含有量が約10at%〜約22at%、Pt含有量が約15at%〜約30at%、Hf含有量が約0.5at%〜約2at%である合金。
【請求項28】
Pt族金属、NiおよびAlを含んで成り、γNi+γ'NiAlの2相構造を持つ被膜組成物。
【請求項29】
請求項28において、Pt、Pd、Ir、Rh、Ruおよびこれらの組合せから成る群から選択したPt族金属を更に含有する被膜組成物。
【請求項30】
請求項29において、上記Pt族金属がPtである被膜組成物。
【請求項31】
請求項28において、Hf、Y、La、Ce、Zrおよびこれらの組合せから成る群から選択した反応元素を更に含有する被膜組成物。
【請求項32】
請求項31において、上記活性金属がHfである被膜組成物。
【請求項33】
請求項28において、Cr、Co、Mo、Ta、Reおよびこれらの組合せから成る群から選択した金属を更に含有する被膜組成物。
【請求項34】
請求項31において、上記反応元素を、γ'相構造が生成するのに十分な量で含有する被膜組成物。
【請求項35】
請求項28の組成物で被覆された金属。
【請求項36】
請求項31の組成物で被覆された金属。
【請求項37】
請求項32の組成物で被覆された金属。
【請求項38】
下記:
(a)超合金基材、
(b)上記基材上の接合被膜であって、Pt族金属、NiおよびAlを含有し、γNi+γ'NiAlの2相構造を持つ接合被膜
を含んで成る、熱障壁被膜付き製品。
【請求項39】
請求項38において、上記Pt族金属がPt、Pd、Ir、Rh、Ruおよびこれらの組合せから成る群から選択される製品。
【請求項40】
請求項39において、上記Pt族金属がPtである製品。
【請求項41】
請求項38において、上記接合被膜上に密着酸化物層を有する製品。
【請求項42】
請求項41において、上記密着酸化物層上にセラミクス被膜を有する製品。
【請求項43】
請求項40において、上記接合被膜がHf、Y、La、Ce、Zrおよびこれらの組合せから成る群から選択した反応元素を更に含有する製品。
【請求項44】
請求項43において、上記活性金属がHfである製品。
【請求項45】
請求項40において、上記接合被膜がCr、Co、Mo、Ta、Reおよびこれらの組合せから成る群から選択した金属を更に含有する製品。
【請求項46】
NiおよびAlをγNi+γ'NiAlの2相構造として含んで成る被膜を基材上に形成する工程を含んで成る、耐熱基材を作製する方法。
【請求項47】
請求項46において、上記被膜が、Pt、Pd、Ir、Rh、Ruおよびこれらの組合せから成る群から選択した上記Pt族金属を更に含有する方法。
【請求項48】
請求項47において、上記Pt族金属がPtである方法。
【請求項49】
請求項48において、上記被膜が、Hf、Y、La、Ce、Zrおよびこれらの組合せから成る群から選択した反応元素を更に含有する方法。
【請求項50】
請求項48において、上記反応元素がHfである方法。
【請求項51】
請求項48において、上記接合被膜が、Cr、Co、Mo、Ta、Reおよびこれらの組合せから成る群から選択した金属を更に含有する方法。
【請求項52】
請求項46において、上記基材がNiおよびCoの超合金製品から選択される方法。
【請求項53】
下記:
(a)超合金基材、
(b)上記基材上の接合被膜であって、Pt−Ni−Al3元合金を含んで成り、γNi+γ'Ni3Alの2相構造を有する接合被膜、
(c)上記接合被膜上の密着酸化物層、および
(d)上記密着酸化物層上のセラミクス被膜
を含んで成る、熱障壁被覆された製品。
【請求項54】
請求項53において、上記接合被膜がHfを含んで成る製品。
【請求項55】
γNi+γ'NiAl合金の酸化を減ずる方法であって、Pt族金属および活性金属のうちの少なくとも1種を添加する工程を含んで成る方法。
【請求項56】
請求項55において、上記Pt族金属がPtであり、上記活性金属がHfである方法。
【請求項57】
γ+γ'の2相構造を持つ合金を含んで成る均質被膜。
【請求項58】
請求項57において、上記合金が更にPt族金属を含有する均質被膜。
【請求項59】
請求項58において、上記Pt族金属がPtである均質被膜。
【請求項60】
請求項58において、上記合金が更に、Hf、Y、La、Ce、Zrおよびこれらの組合せから成る群から選択した反応元素を含む均質被膜。
【請求項61】
請求項60において、上記反応元素がHfである均質被膜。
【請求項62】
請求項57において、厚さが約5μm〜約100μmである均質被膜。
【請求項63】
請求項57において、厚さが約5μm〜約50μmである均質被膜。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公表番号】特表2007−503530(P2007−503530A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532957(P2006−532957)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/014740
【国際公開番号】WO2004/104243
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(501101523)アイオワ ステイト ユニバーシティ リサーチ ファウンデーション,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】