説明

R,R(又はS,S)配置されたグリコピロニウム−立体異性体の製造方法

本発明は、R,R−又はS,S−配置されたグリコピロニウム−異性体及びR,S−又はS,R−配置のそのチエニル誘導体の凝縮方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R,R−又はS,S−配置されたグリコピロニウム−異性体及びR,S−又はS,R−配置を有するそのチエニル−同族体を凝縮(Anreicherung)する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ムスカリン受容体を遮断する物質(抗ムスカリン薬)は世界的に広範囲で多くの病像に使用され(非特許文献1)、たとえば慢性閉塞性気道疾患,排尿障害,腎石−及び胆石仙痛並びに胃腸経路の平滑筋刺激(特に結腸刺激で)の治療に使用されている。
【0003】
この作用は5つの異なるムスカリン受容体−サブタイプによって仲介される。 個々のリガンド−立体異性体はこの5つの受容体−サブタイプに異なる親和性を示し、そしてそれ故に種々の−所望される−作用がその他の−所望されない−作用に比べて有利に喚起される。選択的物質はその僅かな副作用の故に選択的有効物質でないのが有利である。このことは2、3の場合に個々の純粋な立体異性体の使用によって達成することができる。
【0004】
R,R−配置のグリコピロニウム−異性体は、特に有益な薬理学的性質を示す(特許文献1)。その製造法は(特許文献1)に開示されている。グリコピロニウムブロミド又はこれに由来する化合物は2つの不斉中心(stereogene Zentren)を含み,これからそれぞれ4つの立体異性体の存在が明らかである。
【特許文献1】特許出願公開(WO)第9821183号明細書
【非特許文献1】Goodman&Gilman′s The Pharmacological Basis of Therapeutics,Ninth Edition,McGraw Hill,1996;Mutschler Arzneimittelwirkungen,8.Auflage,Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft Stuttgart,2001。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の対象は,3R,2’R−配置のグリコピロニウム塩又はグリコピロニウムブロミドと共に使用される、対応する立体配置を有する化合物(たとえばチエニルの場合Cahn,Ingold,Prelog−則によれば=3R,2’S−配置)の製造方法において,3R,2‘R−及び3R,2‘S−異性体から又は3R,2‘R−及び3S,2‘R−異性体からなるエナンチオマー純粋なジアステレオマー混合物(又はチエニル−同族体の場合、3R,2‘S−及び3R,2‘R−異性体又は3R,2‘S−及び3S,2‘S−異性体からなるエナンチオマー純粋なジアステレオマー混合物)から、四級化の間、適当な溶剤を用いて及び(又は)四級化された塩の再結晶によって所望の立体異性体を単離することを特徴とする、上記製造方法である。
【0006】
この方法は原則的に同一方法で、対掌体(フェニル−化合物の場合,3S,2‘S又はチエニル−同族体の場合、3S,2‘R)を製造するのに適する。その際、対掌体(フェニル−化合物の場合、3S,2‘S+3S,2‘R又は3S,2‘S+3R,2‘S,あるいはチエニル−同族体の場合、3S,2‘R+3S,2‘S又は3S,2‘R+3R,2’R)を使用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の対象は、
a)グリコピロニウムブロマイド又は−ヨーダイドの3R,2‘R−立体異性体(式II:A=Br又はI)
【0008】
【化1】

【0009】
を、3R,2‘R−及び3R,2‘S−異性体(式III)
【0010】
【化2】

【0011】
からなるジアステレオマー混合物から単離するか
又は
3R,2‘R−及び3S,2‘R−異性体(式IIIb)
【0012】
【化3】

【0013】
からなるジアステレオマー混合物から単離するか
あるいは
b)3S,2‘S−異性体(式IV,A=Br又はI)
【0014】
【化4】

【0015】
を、3S,2‘R−及び3S,2‘S−異性体(式V)
【0016】
【化5】

【0017】
からなるジアステレオマー混合物から単離するか、
又は
3R,2‘S−及び3S,2‘S−異性体(式Vb)
【0018】
【化6】

【0019】
からなるジアステレオマー混合物から単離するか
あるいは
c)グリコピロニウムのチエニル−同族体の3R,2‘S−立体異性体(式 VI:A=Br又はI)
【0020】
【化7】

【0021】
を、3R,2‘S−及び3R,2‘R−異性体(式VII)
【0022】
【化8】

【0023】
からなるジアステレオマー混合物から単離するか、
又は
3R,2‘S−及び3S,2‘S−異性体(式 VIIb)
【0024】
【化9】

【0025】
からなるジアステレオマー混合物から単離するか
又は
d)3S,2‘R−異性体(式VIII,A=Br又はI)
【0026】
【化10】

【0027】
を3S,2‘S−及び3S,2‘R−異性体(式IX)
【0028】
【化11】

【0029】
からなるジアステレオマー混合物から単離するか、
又は
3S,2‘R−及び3R,2‘R−異性体(式IXb)
【0030】
【化12】

【0031】
からなるジアステレオマー混合物から単離する方法において、四級化して上記ジアステレオマー混合物とする際に、適当な溶剤を使用して、それぞれ単離すべき立体異性体を凝縮させて沈殿として得るか、
及び(又は)
四級化された化合物の上記ジアステレオマー混合物を適当な溶剤又は溶剤混合物中で再結晶させ、その際それぞれ所望の異性体が凝縮されて得られることを特徴とする、上記単離する方法である。
【0032】
本発明の実施態様の1つで、上記方法において水を含有する溶剤を使用し、この溶剤が所望のジアステレオマーのみを結晶状で生じさせ、一方他方のジアステレオマーを溶解させた形で残存させるか又は油状物として生じさせる。
【0033】
四級塩基の基礎となるジアステレオマー混合物を四級化して、アンモニウム塩の上記ジアステレオマー混合物とする際、十分な水分含有率の適当な溶剤中で実施して,所望の立体異性体が沈殿中に凝縮されて得られるが、それぞれの他方のジアステレオマーは溶液中に残存する。
【0034】
本発明の方法の実施にあたり、四級化のために、次のような溶剤を使用する。それは四級塩基並びに対応する四級化された塩が溶解され、そして更なる溶剤の添加が所望の異性体の結晶化を生じさせるものである。
【0035】
本発明の方法のもう一つの特徴によれば、四級化のために、次のような溶剤を使用する。それは生じる四級化された塩の2つのジアステレオマーが溶解されにくく、そして更なる溶剤の添加が所望されない異性体を溶解させるか又は油状物として生じさせる溶剤を使用する。
【0036】
四級化に適する溶剤として、たとえば低分子量の分枝状及び非分枝状アルコール類,たとえばメタノール,エタノール,イソプロパノール,1−プロパノ−ル,tert−ブタノール,イソブタノール,n−ブタノール,並びにアセトン,ブタノン,アセトニトリル等々(それぞれ単独で又はこれらとその他の溶剤との混合物として)を挙げることできる。
【0037】
実際に、本発明の方法において四級化のために、溶剤として、好ましくはアセトン,好ましくは約0,5−2%の水分含有率(溶剤中に約5−20%塩基濃度で),より好ましくは約1%の水分含有率を有するアセトンを使用する。
【0038】
本発明の方法の別の特徴によれば、再結晶のために,ジアステレオマー混合物が十分に溶解される溶剤を使用し、ついで結晶化を引き起こすために、第二の、結晶化を生じさせる溶剤を添加する。
【0039】
溶解のために、メタノール及び(又は)エタノールを使用し、ついで結晶化を酢酸エチル及び(又は)tert−ブチルメチルエーテルを用いても引き起こすのが好ましい。
【0040】
別の特徴によれば、本発明の方法において、再結晶のために、ジアステレオマー混合物を加熱された溶剤中に溶解させ、ついで冷却によって結晶化が行われる。
【0041】
本発明の方法において、再結晶のために、ジアステレオマー混合物を沸騰加熱状態で2−プロパノール又はエタノールに溶解させ、ついで結晶化を室温に又はそれ以下に冷却することによって行う。
【0042】
本発明の方法において、再結晶のために、ジアステレオマー混合物を沸騰加熱状態で約0,2−3%(溶剤中に約5−30%四級アンモニウム塩濃度で)の水分含有率、さらに好ましくは約0,5%の水分含有率を有する2−プロパノールに溶解させ、ついで結晶化を冷却によって行うのが好ましい。
【0043】
再結晶に適する溶剤として、たとえば低分子量の分枝状及び非分枝状アルコール類,たとえばメタノール,エタノール,イソプロパノール,1−プロパノ−ル,tert−ブタノール,イソブタノール,n−ブタノール,並びにアセトン,ブタノン,アセトニトリル等々(それぞれ単独で又はこれらとその他の溶剤との混合物として)を挙げることできる。
【0044】
本発明の別の特徴によれば、本発明の方法をグリコピロニウムブロマイドの3R,2‘R−異性体の凝縮に使用するのが好ましい。
【0045】
四級塩基の基礎となるジアステレオマー混合物を四級化して、アンモニウム塩の上記ジアステレオマー混合物とする際に、及び四級化された塩を再結晶する際に、所望の立体異性体の沈殿を洗浄することによって、その表面に付着する所望されない異性体を除去する。この洗浄は粗生成物の単離後でさも実施することができる。その際粗生成物を、これを一部しか溶解しない溶剤(1%の水分含有率を有するアセトンが好ましい。)中に浸出させ、ついで所望されないジアステレオマーから精製させた沈殿を吸引濾取する。
【0046】
本発明の方法は、立体異性体純度を増加させる別の方法と組み合わせて有利に使用することもできる:
たとえば四級化に使用される塩基又は四級アンモニウム塩をすでにジアステレオマー凝縮させて存在させねばならない場合,この凝縮を本発明の方法を用いて最適化することができる。
【0047】
他方において、本発明の方法は予備精製の時点ですでに高い立体異性体過剰を生じさせる。この過剰は、この操作に続いて行われる、立体異性体純度をさらに増加させる処理を適用する場合に有利である。
【0048】
請求される方法は、3R−配置エナンチオマー純粋なアミノアルコール及びブドウ酸(又は対応するエステル又は活性化された酸誘導体)の使用で生じる三級グリコピロラートの3R,2‘R−/3R,2‘S−ジアステレオマー混合物から、あるいは3S−配置されたアミノアルコールの使用で生じる3S,2‘R−及び3S,2‘S−異性体からなる混合物から、適当な溶剤を用いて四級化の間及び(又は)四級アンモニウム塩の結晶によって異性体を凝縮させるのが適当である。この際アミノアルコール成分及び酸成分の非対称中心は、絶対配置の同一の表示を有する(それゆえ3R,2‘R及び3S,2’S;式Ia)。結晶化処理の繰り返しによって、立体−異性体純度は更に申し分のないものにすることができる。
【0049】
【化13】

【0050】
2−チエニル−同族体の場合、3R,2‘S−及び3R,2‘R−異性体からなるジアステレオマー混合物から、又は3S,2‘R−/3S,2‘S−ジアステレオマー混合物から、チエニル基のより高い優位性に基づき立体−異性体−−−−−−−−−−−これは相対する配置表示を有する(それゆえ3R,2‘S及び3S,2’R;式Ib)が、フェニル−化合物におけると同一の立体配置を示す−−−−−−−−−−−−を得ることができる。
【0051】
【化14】

【0052】
これの代わりに、エナンチオマー純粋な酸成分(又は対応するエステル又は活性化された酸誘導体)及びラセミアミノアルコールから出発し、生じる塩基性ジステレオマー混合物から適当な溶剤を用いて四級化の間及び(又は)四級化された塩の再結晶によって所望の立体異性体を単離することもできる。
【0053】
その際、2R−配置された酸成分の場合、四級グリコピロラートの生じる3R,2‘R−/3S,2‘R−ジアステレオマー混合物から、又は2S−配置された酸成分を使用する場合、生じる3R,2‘S−及び3S,2‘S−異性体からなる混合物から、適当な溶剤を用いて四級化の間及び(又は)四級アンモニウムの再結晶によって異性体を得ることができる。この異性体において、アミノアルコール成分及び酸成分の非対称中心は、絶対配置の同一の表示を有する(それゆえ3R,2‘R又は3S,2’S;式Ic).
【0054】
【化15】

【0055】
2−チエニル−同族体の場合、3R,2‘S−及び3S.2‘S−異性体からなるジアステレオマー混合物から又は3R,2‘R−/3S,2‘R−ジアステレオマー混合物からチエニル基のより高い優位性に基づき立体−異性体−−−−−−−−−−−これは相対する配置表示を有する(それゆえ3R,2‘S及び3S,2’R;式Id)が、フェニル−化合物におけると同一の立体配置を示す−−−−−−−−−−−−を得ることができる。
【0056】
【化16】

【0057】
これに反してグリコピロニウムブロマイドの場合、四級アンモニウム塩のすべて4つの異性体の混合物を再結晶させるので,3R,2‘S−及び3S,2‘R−異性体からなる混合物が固体として得られる。すなわち最も有利な薬理学的性質を有する異性体がこの方法で失われる。
【0058】
四級アンモニウム塩のジアステレオマー混合物から上記立体異性体を単離するために、種々の結晶化法の使用が可能である。
【0059】
再結晶用溶剤として通常の全ての溶剤及び溶剤混合物が適当であり,この溶剤にジアステレオマー混合物−−−−−場合により加熱によって−−−−は溶解され、ついで適当な操作によって結晶化を引き起こすことができる。この際固体中に所望の異性体が凝縮されて生じる。
【0060】
ジアステレオマー混合物の溶液中で結晶化を開始するのに適する操作として次のことが挙げれる:溶液の冷却,別の溶剤の添加(この溶剤中で所望の異性体が主たる溶剤に比べて少ない溶解度を示す。),溶剤容量の制限,溶剤混合物の成分の除去(この溶剤中で所望の異性体が残存する溶剤混合物中に比べて高い溶解度を示す。)。
【0061】
確認されたように,所望まれない異性体は著しい吸湿性挙動を示し、一方所望の異性体ではこれは観察されない。十分な水分含有率を有する溶剤を使用する又は水不含溶剤に水を添加する、請求される方法の実施態様の1つにおいて、 この特性によって、主に所望のジアステレオマーが結晶状で生じ、一方他方のジアステレオマーが溶解された形で残存するか又は分離可能な油状物を形成することがもたらされる。
【0062】
得られる固体から容易に除去される揮発性溶剤を使用するのが好ましい。
【0063】
溶剤は,これから主に所望の立体異性体を固体として結晶化させるものが特に好ましい。
【0064】
ここに請求される方法は、少ない技術的費用で安価に、所望の立体異性体を極めて高純度で得ることができる。
【0065】
最後の反応工程後の異性体分離に基づく出発化合物の消費量は、その他の考えられる方法(この場合、異性体の分離が合成工程の早い段階で行われる。)に比べて相対的に高い。
【0066】
しかしこの推定される欠点は、請求される方法の簡単な実施可能性によって十分に補われる。
特に、この方法で所望の異性体が所望されないジアステレオマーに比べて極めて結晶化しやすいという事実が、この方法に対する特有の利点を見出させ、そして特別な注目をむけさせることに値させる。
【0067】
得られるエナンチオマ−純粋なアミノアルコール成分は、文献(Raze−mat−spaltung undasymmetrische Syn−these:J.Med.Chem.34(1991)1314−1328)に記載されてた方法にしたがって製造することができる。同様に酸成分に対してもいえる:(Razematspaltung:Bioorg.Med.Chem.7(1999)2555−2567;asymmetrische Syn−−these:Bioorg.Med.Chem.Lett.9(1999)2037−2038)。これによって当該方法の実施可能性は開示される。
【0068】
技術上の使用可能性に関して、本発明による方法は、それぞれのジアステレオマー混合物から上記立体異性体を製造する、その他の考えられる方法に比べて明らかな利点を示す。したがって本発明の方法において、付加的な、一部極めて高価な、そしてときには、より多くの量で全く入手されないキラル助剤((chiralen Auxiliare)は必要でない。いずれにせよ生成物の成分である唯一のエナンチオマー純粋な物質の使用で十分間に合う。したがって純粋な異性体の製造は4つの異性体すべてからなる混合物の製造に比べて、又は現在市販されている、3R,2‘S−及び3S,2‘R−グリコピロニウムブロマイドからなる異性体混合物の製造に比べてさえもほとんど費用がかからない。後者の場合、治療上意味のある異性体は生成物中にですら含まれない。
【0069】
さらに、本発明の方法はラセミ化合物分割で必要である付加的な処理工程、たとえばキラル塩基又は酸を用いる結晶化,生じる塩の多数回の再結晶,上記塩からの遊離及び酸成分の場合、エステルの前もってのけん化及びメチルエステルの形成を回避する。
【0070】
次の例は本発明を説明するものであって、本発明はこれによって限定されない。
【実施例】
【0071】
例1
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ia:A=Br)の製造
反応
乾燥反応装置中で、0,17モルの(3R)−1−メチル−3−ピロリジノール及び0,17モルのラセミ性2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニル酢酸メチルエステルを800mlのn−ヘプタン(無水)に予め入れる。ついで400mlのヘプタンをすべての僅かな量の水分を除くために蒸留で除去し、水分離器によって放出する。冷却後、0,9gのNaOMe(10モルの%)を添加し、再び沸騰に加熱する。溶剤の留出量を、連続して5−6時間かけて滴下ロトを用いて補う。反応混合物を水で後処理し、エーテルで抽出した後、有機相をNaSO/KCO 2:1を介して乾燥させる。乾燥剤及び溶剤の除去後に、遊離塩基が82%の収率で生じる。
【0072】
四級化:
遊離塩基を、tert−ブチルメチルエーテルに溶解させた、3当量のメチルブロマイドの添加によって四級化し,結晶状で生じる生成物(93%の収率)を吸引濾取する。(3R,2‘S)−及び(3R,2‘R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイドからなる、得られたジアステレオマー混合物は、約1対1の割合で存在する。
【0073】
再結晶によるジアステレオマー分離:
粗生成物を250mlのメタノールに溶解させ,300mlの酢酸エチルで希釈し、450mlのジエチルエーテルを添加する。2日後、生じる結晶を吸引濾取し、2回再結晶させる。50%−の収率で(3R,2‘R)−異性体を得る。
【0074】
分析値:
外観:無色結晶
H−NMR(DO)(300MHz):d=7.55−7.52(m,2H,フェニル);7.37−7.24(m,3H,フェニル);5.42−5.34(m,1H);4.67(s,HO);3.65(dd,1H);3.61−3.43(m,2H);3.40(dd,1H,);3.13−2.98(m,1H,シクロペンチル−メチン);3.04(s,3H,NCH,(3R,2‘R));2.75(s,3H,NCH,(3R,2‘R));2.71−2.55(m,1H);2.30−2.17(m,1H(3R,2‘R));1.65−1.43(m,7H,シクロペンチル);1.19−1.05(m,1H)。
【0075】
これに対するジアステレオマー化合物は、次のシグナルの変動によって実質上異なる:3.08(s,NCH);2.91(s,NCH);2.11−1.92(m)。
2.75(s,3H,NCH,(3R,2‘R))及び2.91(s,NCH(ジアステレオマー))におけるシグナルのインテグラル比較から、R,R−グリコピロニウムブロマイドに関して98%deより多くのジアステレオマー過剰が明らかである。エナンチオマー純度は、エナンチオマー純粋な3R−N−メチルピロリジノールの使用から明らかである。
【0076】
13C−NMR(DO)(50MHz):d=177.1(s,1`−COO);143.2(s,フェニル);131.4(d,フェニル);131.0(d,フェニル);128.8(d,フェニル);83.2(s);76.6(d);72.9(t);67.6(t);56.3(q,NCH);55.6(q,NCH);47.5(d,シクロペンチル−メチン);32.4(t);29.2/28.8/28.7/28.4(t,シクロペンチル−メチレン)。
分子式/カチオンの質量:(C1928NO(Br)/318.44;
(ESI+)−マススペクトル:318.2=M
元素分析: 計算値: C 57,29 H 7,09 N 3,52; 測定値: C 57,41 H 7,00 N 3,54絶対配置の決定はX線構造分析を用いて行う。
【0077】
例2
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ia:A=Br)の製造
反応及び四級化を、例1に記載したように実施する。
【0078】
ジアステレオマー分離は、ジアステレオマー混合物をイソプロパノール中で再結晶させて行われる。さらに粗生成物を沸騰加熱状態で8−倍の重量のイソプロパノールに溶解させる。一晩室温で放置して、生じる結晶を吸引濾取する。この処理をもう一度繰り返す。
【0079】
この様にして得られた(3R,2’R)−グリコピロニウムブロマイドは、例1に記載したのと同一の分析値を生じる。
【0080】
例3
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムヨーダイド(式Ia:A=I)の製造
反応,四級化(メチルヨーダイドを用いて)及びジアステレオマー分離を例1に記載したように実施する。
このようにして得られた(3R,2’R)−グリコピロニウムヨーダイドは、例1に記載したのと同一のNMR−スペクトルデータを生じる。
【0081】
例4
(3R,2’S)−3−[(2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ−2’−(2’’−チエニル)アセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ib:A=Br)の製造
反応((3R)−1−メチル−3−ピロリジノール及びラセミ性2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−(2’−チエニル)酢酸メチルエステルを用いて),四級化及びジアステレオマー分離を例1に記載したように実施する。
【0082】
H−NMR(300 MHz,DO):d=7.33(d,1H,チエニル);7.13(d,1H,チエニル);6.96(dd,1H,チエニル);5.50−5.42(m,1H);4.67(s,HO);3.78−3.62(m,2H);3.58−3.47(m,2H);3.08(s,3H,N−CH,(3R,2‘S));3.01−2.83(m,4H,N−CH,(3R,2‘S)及びシクロペンチル−メチン);2.76−2.62(m,1H);2.37−2.22(m,1H(3R,2‘S));1.65−1.20(m,8H,シクロペンチル−メチレン)。
これに対するジアステレオマー化合物(3R,2‘R及び3S,2‘S)は、次のシグナルの変動によって実質上異なる:3.11(s,NCH);3.04(s,NCH);2.15−2.03(m)。
【0083】
ジアステレオマー過剰は、キャピラリー−電気泳動法によって98%deより多くで測定される。エナンチオマー純度は、エンチオマー純粋な3R−N−メピロリジノールの使用から明らかである。
【0084】
13C−NMR(50 MHz,DO):d=176.2(s,1`−COO);147.7(s,チエニル);130.1(d,チエニル);128.8(d,チエニル);128.4(d,チエニル);82.2(s);76.9(d);72.9(t);67.7(t);56.4(q,NCH);55.8(q,NCH);49.4(d,シクロペンチル−メチン);32.5(t);29.2/29.0/28.7/28.4(t,シクロペンチル−メチレン)。
分子式/カチオン質量:(C1726NOS)(Br) / 324.47
(ESI+)−マススペクトル:324.4=M
絶対配置の決定は、X線構造分析を用いて行われる。
【0085】
例5
(3S,2’S)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ia:A=Br)の製造
反応((3S)−1−メチル−3−ピロリジノール及びラセミ性2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニル酢酸メチルエステルを用いて),四級化及びジアステレオマー分離を例1に記載したように実施する。
【0086】
NMR−スペクトルデータは、エナンチオマー化合物に関して例1に記載した値に相当する。
【0087】
例6
(3S,2’R)−3−[(2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ−2’−(2’’−チエニル)アセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ib:A=Br)の製造
反応((3S)−1−メチル−3−ピロリジノール及びラセミ性2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−(2’−チエニル)−酢酸メチルエステルを用いて),四級化及びジアステレオマー分離を例1に記載したように実施する。
【0088】
NMR−スペクトルデータは、エナンチオマー化合物に関して例4に記載した値に相当する。
【0089】
例7
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ia:A=Br)の製造
反応(ラセミ性1−メチル−3−ピロリジノール及び(2R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニル酢酸メチルエステルを用いて)及び四級化を、例1に記載したように実施する。
ジアステレオマー分離は、例2に記載したように、ジアステレオマー混合物をイソプロパノール中で再結晶させて行われる。
【0090】
NMR−スペクトルデータは、例1に記載した値に相当する。
【0091】
例8
(3R,2’S)−3−[(2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ−2’−(2’’−チエニル)アセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ib:A=Br)の製造
反応(ラセミ性1−メチル−3−ピロリジノール及び(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−(2’−チエニル)酢酸メチルエステルを用いて)及び四級化を例1に記載したように実施する。
【0092】
ジアステレオマー分離は、例1に記載したように、ジアステレオマー混合物をメタノール,酢酸エチル及びジエチルエーテルからなる混合物中で再結晶させて行われる。
【0093】
NMR−スペクトルデータは、例4に記載した値に相当する.
例9
(3S,2’S)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ia:A=Br)の製造
反応(ラセミ性1−メチル−3−ピロリジノール及び(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニル酢酸メチルエステルを用いて)及び四級化を例1に記載したように実施する。
【0094】
ジアステレオマー分離は、例2に記載したように、ジアステレオマー混合物をイソプロパノール中で再結晶させて行われる。
【0095】
NMR−スペクトルデータは、エナンチオマー化合物に関して例4に記載した値に相当する。
【0096】
例10
(3S,2’R)−3−[(2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ−2’−(2’’−チエニル)アセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ib:A=Br)の製造
反応(ラセミ性1−メチル−3−ピロリジノール及び(2R)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−(2’−チエニル)−酢酸メチルエステルを用いて)及び四級化を例1に記載したように実施する。
【0097】
ジアステレオマー分離は、例1に記載したように、ジアステレオマー混合物をメタノール,酢酸エチル及びジエチルエーテルからなる混合物中で再結晶させて行われる。
【0098】
NMR−スペクトルデータは、エナンチオマー化合物に関して例4に記載した値に相当する。
【0099】
例11
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ia:A=Br)の製造
反応及び四級化を例1に記載したように実施するが、メチル化をイソプロパノール中で実施する。生じる沈殿を吸引濾取して、ジアステレオマー割合98%の3R,2‘R−及び2%の3R,2‘S−異性体を生じる。
【0100】
別のジアステレオマー分離は例2に記載したように行われる。再結晶に,すでにジアステレオマー凝縮させた粗生成物を使用するので、より高い立体異性体純度を同数の結晶化工程で得るか又は同一の凝縮のためにより少ない回数の再結晶を必要とする。
【0101】
このようにして得られた(3R,2‘R)−グリコピロニウムブロマイドは、例1に記載したのと同一の分析値を生じる。
【0102】
例12
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ia:A=Br)の製造
反応及び四級化を例1に記載したように実施するが、メチル化をアセトン中で実施する。生じる沈殿を吸引濾取して、90%の3R,2‘R−及び10%の3R,2‘S−異性体を生じる。
【0103】
別のジアステレオマー分離は例11に記載したように行われる。
このようにして得られた(3R,2’R)−グリコピロニウムブロマイドは、例1に記載したのと同一の分析値を生じる。
【0104】
例13
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロミドの製造−
反応を例1に記載したように実施する。
【0105】
四級化:
アセトンに溶解された遊離塩基(これは水分含有率1%を有する。)を1,3当量のメチルブロマイドの添加によって四級化し、約74%の収率(所望のジアステレオマーに対して)で結晶状で生じる生成物を吸引濾取する。ジアステレオマー割合は95対5又はそれ以上である。
【0106】
別のジアステレオマー分離は例2に記載したように行われる。再結晶に、すでにジアステレオマー凝縮させた粗生成物を使用するので、より高い立体異性体純度を同数の結晶化工程で得るか又は同一の凝縮のためにより少ない回数の再結晶を必要とする。
このようにして得られた(3R,2’R)−グリコピロニウムブロマイドは、例1に記載したのと同一の分析値を生じる。
【0107】
他の同一の処理方法で,しかし水分含有率0,5〜2%のアセトン−−−−−−このアセトン中に、溶剤量に対し5〜20重量%濃度で存在するだけの塩基が溶解する−−−−−−を使用して,四級化でジアステレオマー凝縮に関して同等の結果が得られる。
【0108】
例14
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロミドの製造
反応を例1に記載したように実施し、四級化を例13に記載したように実施する。
【0109】
ジアステレオマー分離は、ジアステレオマー混合物をイソプロパノール(これは水分含有率0,5%を有する。)中で再結晶させて行われる。再結晶のほんの1回繰り返した後、所望されないジアステレオマーの割合は0,5%より少ない。
【0110】
このようにして得られた(3R,2’R)−グリコピロニウムブロマイドは、例1に記載したのと同一の分析値を生じる。
【0111】
他の同一の処理方法で,しかし水分含有率0,2%〜3%のイソプロパノール−−−−−このイソプロパノールを、粗生成物が溶剤量に対し5〜20重量%濃度で存在するだけ添加する−−−−−−−−を使用して,2回再結晶後にジアステレオマー凝縮に関して同等の結果が得られる。
【0112】
例15
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイドの製造
反応を例1に記載したように実施する。
【0113】
四級化:
6kgのグリコピロラートを55Lのアセトン(これは水分含有率約1%を有する。)に溶解させ、ついで混合物を−5°C(±5)に冷却させる。1,3当量のガス状ブロムメタンを徐々に導入し,その結果としてこれを冷却された溶液中に凝縮することができる。ついで3時間室温に加温し、更に3時間攪拌する。生じる沈殿を濾過し、生成物からメチルブロマイドを除くために、10Lのアセトンで洗浄する。
【0114】
乾燥によって、粗生成物を結晶状の白色沈殿として約70%の収率(所望のジアステレオマーに対して)で得る。これ中に5%より少ない所望されないジアステレオマーを含む。
【0115】
再結晶:
沈殿のために20Lのイソプロパノール(これは水分含有率0,5%水を有する。)を添加し、この混合物を還流下に加熱する。固体が完全に溶解してから溶液を濾過して,浮遊物質から精製する。結晶化のために、溶液を3時間かけて室温に冷却させる。さらに3時間後,沈殿した生成物を吸引濾取することができる。この際5Lのイソプロパノールを用いて洗浄する。
【0116】
(3R,2’R)−グリコ−ピロニウムブロマイドを高品質で得るために、再結晶工程を1回繰り返すだけで十分である。この品質は、医薬の製造用有効物質の要求よりもまさる。すなわちそれは合計で0,5%より少ないその他の3つの立体異性体及び1%より少ない全不純物を含む。
【0117】
例16
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ia:A=Br)の製造
反応及び四級化を例1に記載したように実施する。
【0118】
(3R,2‘S)−及び(3R,2‘R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイドからなる、生じるジアステレオマー混合物を約1対1の割合で単離する。
【0119】
このジアステレオマー混合物3gを、水分含有率1%を有する、21mlのアセトンに懸濁させ、ついで6時間室温で攪拌する。固体を吸引濾取して1,047gが得られ,これ中に93%deの所望のジアステレオマーが含まれる。
【0120】
例17
(3R,2’R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイド(式Ia:A=Br)の製造
反応及び四級化を例1に記載したように実施する。
【0121】
(3R,2‘S)−及び(3R,2‘R)−[(2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロマイドからなる、生じるジアステレオマー混合物を約1対1の割合で単離する。
【0122】
このジアステレオマー混合物8gを、水分含有率0,5%を有する、40mlの沸騰するイソプロパノールに溶解させ,ついで溶液を3時間かけて室温に冷却させる。更に3時間室温で攪拌後、析出する生成物を吸引濾取する。2,227gの固体が得られ,これ中に96%deの所望のジアステレオマー96%が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)グリコピロニウムプロマイド又は−ヨーダイドの3R,2‘R−立体異性体(式II:A=Br又はI)
【化1】

を、3R,2‘R−及び3R,2‘S−異性体(式III)
【化2】

からなるジアステレオマー混合物から単離するか,
又は
3R,2‘R−及び3S,2‘R−異性体(式IIIb)
【化3】

からなるジアステレオマー混合物から単離するか、
あるいは
b)3S,2‘S−異性体(式IV,A=Br又はI)
【化4】

を、3S,2‘R−及び3S,2‘S−異性体(式V)
【化5】

からなるジアステレオマー混合物から単離するか、
又は
3R,2‘S−及び3S,2‘S−異性体(式Vb)
【化6】

からなるジアステレオマー混合物から単離するか
あるいは
c)グリコピロニウムのチエニル−同族体の3R,2‘S−立体異性体(式 VI:A=Br又はI)
【化7】

を、3R,2‘S−及び3R,2‘R−異性体(式VII)
【化8】

からなるジアステレオマー混合物から単離するか、
又は
3R,2‘S−及び3S,2‘S−異性体(式 VIIb)
【化9】

からなるジアステレオマー混合物から単離するか,
又は
d)3S,2‘R−異性体(式VIII,A=Br又はI)
【化10】

を3S,2‘S−及び3S,2‘R−異性体(式IX)
【化11】

からなるジアステレオマー混合物から単離するか、
又は
3S,2‘R−及び3R,2‘R−異性体(式IXb)
【化12】

からなるジアステレオマー混合物から単離する方法において、四級化して上記ジアステレオマー混合物とする際、適当な溶剤を使用して、それぞれ単離すべき立体異性体を凝縮(angereichert)させて沈殿として得るか、
及び(又は)
四級化された化合物の前記ジアステレオマー混合物を適当な溶剤又は溶剤混合物中で再結晶させ、その際それぞれ所望の異性体が凝縮されて得られることを特徴とする、上記単離する方法。
【請求項2】
所望のジアステレオマーのみを結晶状で生じさせ、一方他方のジアステレオマーを溶解させた形で残存させるか又は油状物として生じさせる、水を含有する溶剤を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
四級化して四級化された塩の前記ジアステレオマー混合物とする際に、適当な溶剤,たとえばイソプロパノール又はアセトンを使用し、そしてそれゆえに生じる沈殿中に凝縮された形で存在する、前記立体異性体を単離する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
再結晶のために、ジアステレオマー混合物が十分に溶解される溶剤を使用し、ついで第二の、結晶化を生じさせる溶剤を添加して,結晶化を引き起こす、請求項1,2又は3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
好ましくは溶解のためにメタノール及び(又は)エタノールを使用し、ついで酢酸エチル及び(又は)tert−ブチルメチルエーテルを用いて結晶化を引き起こす、請求項4記載の方法。
【請求項6】
結晶化のために、ジアステレオマー混合物を加熱された溶剤に溶解させ、ついで冷却によって結晶化を行う、請求項1,2又は3記載の方法。
【請求項7】
ジアステレオマー混合物を沸騰加熱状態で2−プロパノール又はエタノールに溶解させ、ついで室温に又はそれ以下に冷却することによって結晶化を行う、請求項6記載の方法。
【請求項8】
グリコピロニウムブロマイドの3R,2‘R−異性体を凝縮させるのが好ましい、請求項1−7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
最初のジアステレオマー凝縮を達成するための予備精製工程として,又は凝縮がすでに行われた場合、ジアステレオマー純度を更に増加させるための予備精製工程として行われる、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
溶剤が、好ましくは低分子量の分枝状及び非分枝状アルコール類,たとえばメタノール,エタノール,イソプロパノール,1−プロパノ−ル,tert−ブタノール,イソブタノール,n−ブタノール,並びにアセトン,ブタノン,アセトニトリルより成る群から選ばれ、これらはそれぞれ単独で又はこれらとその他の溶剤との混合物として使用する、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
再結晶の際に、好ましくは約5%より少ない,より好ましくは約0,5−2%,最も好ましくは約1%より少ない水分含有率を有する溶剤を使用する、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
再結晶の際に、好ましくは約0,2−3%,より好ましくは約0,5%の水分含有率を有する溶剤を使用する、請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。

【公表番号】特表2007−524565(P2007−524565A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560470(P2004−560470)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014432
【国際公開番号】WO2004/054971
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(505231523)ファルマコン・フォルシュング・ウント・ベラートゥング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】