説明

RAS装置および回線閉塞方法

【課題】物理的に1本の回線を多重することで複数の加入者を収容する1次群速度インタフェースを用いたデータ通信において、低消費電力化と長寿命化とを実現するRAS装置および回線閉塞方法を提供する。
【解決手段】RAS装置1は、ISDN交換機と接続されるN本のT1インタフェース(1次群速度インタフェース)5それぞれに対応する複数のT1インタフェース部20と、IP網と接続するIPインタフェース部30と、ISDNとIP網間の呼接続状態を管理し、回線の給電制御を行う制御部10と、各回線の使用状況を記憶する回線管理情報100とを備える。そして、RAS装置1の制御部10は、回線管理情報100を参照し、N本のT1インタフェース5の回線のうち、データ通信の稼動実績が大きい回線の呼を、稼動実績の小さい回線に移動させ、すべての呼が移動し終わるとその回線への通電を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来電話網(レガシー網)を構成する交換機の1次群速度インタフェース回線を利用して、RAS(Remote Access Service)装置のインタフェース回線回路の使用状況に応じて回線回路への給電の停止若しくは起動を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、光通信システムにおいて、加入者装置と通信事業者装置間のデータの送受信がなくなった場合に、加入者装置の光送受信回路の給電を停止して省電力化と装置の長寿命化を実現する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−278524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電話やインターネット接続に用いられる通信網は、アナログ電話網、ISDN(Integrated Services Digital Network)、IP(Internet Protocol)網と異なるプロトコルのネットワークが混在している状況であるが、将来的にはIP網に統合される方向にある。従って、古くから使われ老朽化が進むレガシー網と、近年になって盛んに用いられるようになったIP網との間を介在する装置は当面の間の必須製品として不可欠である。
【0005】
一方で、電気通信事業会においてICT(Information and Communication Technology)分野におけるエコロジーガイドラインが策定されており、地球温暖化防止のための施策のひとつとして温室効果ガスの排出削減を行っている状況下、今後当該製品を生産するにあたっては、電力消費が極力少ないものであることが求められる。特に通信機器は消費電力の大きな電子機器であり、積極的な省電力化策を織り込む必要がある。
【0006】
このような状況において、レガシー網のインタフェースを構成する個々のレガシー部品の省電力の実現性が問題となる。レガシー部品は、エコロジーが求められる以前に設計されたものであり、消費電力の低減という観点では作られておらず、その上、今後市場縮小が見込まれるものであることから、部品メーカとしても消費電力低減等の新機能を追加することに着手することは極めて困難である。
【0007】
そこで、特許文献1に記載の技術を考慮すると、特許文献1において実現する通信装置は、加入者1回線単位の省電力を行うものである。本発明で対象とする通信回線は、例えばISDNにおける1次群速度インタフェースのような複数の加入者を物理的に1本のメタル線に多重して常時接続通信するものであり、このような場合には、1次群速度インタフェースを収容する通信事業者側の通信装置は、1つの1次群速度インタフェースについて1つの回路を用いることが効率的であり、従来から1つの1次群速度インタフェースに1つの回路を割り当てる設計とするのが定石であった。従って、1加入者のデータ通信が停止したとしても、他の加入者のデータ通信が継続していれば、その回線を停止することはできない。
【0008】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、物理的に1本の回線を多重することで複数の加入者を収容する1次群速度インタフェースを用いたデータ通信において、低消費電力化と共に長寿命化を実現するRAS装置および回線閉塞方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明のRAS装置は、ISDN交換機と接続されるN本の1次群速度インタフェース(T1インタフェース)それぞれに対応する複数の1次群速度インタフェース部(T1インタフェース部)と、IP網と接続するIPインタフェース部と、ISDNとIP網間の呼接続状態を管理し、回線の給電制御を行う制御部と、各回線の使用状況を記憶する回線管理情報とを備える。そして、RAS装置の制御部は、回線管理情報を参照し、N本の1次群速度インタフェース(T1インタフェース)の回線のうち、データ通信の稼動実績が大きい回線の呼を、稼動実績の小さい回線に移動させ、すべての呼が移動し終わるとその回線への通電を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物理的に1本の回線を多重することで複数の加入者を収容する1次群速度インタフェースを用いたデータ通信において、低消費電力化と長寿命化とを実現するRAS装置および回線閉塞方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るRAS装置を含むネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係るRAS装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る回線管理情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係るタイムスロット管理情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る回線(呼)移動情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る接続関係管理情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るRAS装置を含むネットワークシステムにおいて、端末が発呼してサーバに接続する場合における呼制御シーケンスを示す図である。
【図8】本実施形態に係るRAS装置の回線閉塞処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本実施形態において、回線の閉塞途中に、発呼が行われた場合の制御シーケンスを示す図である。
【図10】本実施形態において、回線の閉塞途中に、発呼が行われた場合に行われる接続先決定処理を示すフローチャートである。
【図11】図7におけるBチャンネル(Bch)通信とIP通信の接続シーケンスを説明するための図である。
【図12】本実施形態において、回線閉塞処理により切断された呼について、再発呼がなされた場合の制御シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」とよぶ。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、本実施形態においては、常時接続型ISDN通信において、TDM(Time Division Multiplexing)データをIPパケットへ変換するRAS(Remote Access Service)装置1を低消費電力化および長寿命化する方式を例に説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るRAS装置1を含むネットワークシステムの構成例を示す図である。
図1に示すように、本ネットワークシステムにおいて、RAS装置1は、ISDN交換機4とN本のT1インタフェース(1次群速度インタフェース)5を介して接続され、他方、LAN(Local Area Network)ケーブル等で実現されるIPインタフェース6を介してIP網50と接続する。ISDN交換機4は、電話網40を構成する要素のひとつであり、TA(Terminal Adapter)3を介してパーソナルコンピュータ等の端末2を収容する。IP網50には、各種サービスを提供するサーバ7が配備されており、例えば情報コンテンツの閲覧等が行える。なお、RAS装置1は、IP網50との接続を確立するための、RADIUS(Remote Authentication Dial In User Server)サーバおよびLNS(L2TP Network Server)(いずれも不図示)とも接続されている(詳細は後記する図11参照)。
【0014】
RAS装置1は、端末2へインターネットサービスを提供するために、TDMデータとIPパケットとの相互変換を行う。本発明では、以下に説明する本実施形態に係るRAS装置1が、常時接続中の端末2との間の呼接続を一時的に切断することにより消費電力の低減を行うが、その際、端末2からの再接続要求が発生した場合には、切断した呼の接続情報をRAS装置1が保持しておくことにより、円滑に再接続を行いIPサービスを提供することができる。
【0015】
なお、1次群速度インタフェースには、T1インタフェース、E1インタフェース等の多様な種別の回線があるが、本実施形態においては、T1インタフェース5として説明する。その他の種別の1次群速度インタフェースに本発明を適用する場合は、それぞれに対応したタイムスロット数に変更することにより実現可能である。
【0016】
次に、本実施形態に係るRAS装置1について説明する。
図2は、本実施形態に係るRAS装置1の構成例を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、RAS装置1は、N本のT1インタフェース(1次群速度インタフェース)5それぞれに接続されるT1インタフェース部20と、IPインタフェース6に接続されるIPインタフェース部30と、制御部10と、回線管理情報100、タイムスロット管理情報200、回線(呼)移動情報300および接続関係管理情報400を格納する記憶部(不図示)とを含んで構成される。
このRAS装置1は、N本のT1インタフェース5の回線のうち、データ通信の稼動実績が大きい回線の呼を、稼動実績の小さい回線に移動させ、すべての呼が移動し終わるとその回線への通電を停止する。また、RAS装置1は、回線を移動させるために一時的に切断した呼についての接続情報を保持することで、再発呼が行われた場合の接続を容易に行うことができる。
以下、各構成について、具体的に説明する。
【0018】
T1インタフェース部20(#1〜#N)は、ISDN交換機4と接続されるN本のT1インタフェース(1次群速度インタフェース)5(#1〜#N)それぞれに対応して、N個のT1インタフェース部20(#1〜#N)が設けられる。
【0019】
IPインタフェース部30は、IPインタフェース6を介してIP網50と接続するためのインタフェースで構成される。
【0020】
RAS装置1の記憶部(不図示)には、回線管理情報100、タイムスロット管理情報200、回線(呼)移動情報300および接続関係管理情報400が格納されている。
なお、この記憶部は、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶手段から構成される。
【0021】
回線管理情報100は、RAS装置1の制御部10が低消費電力化を行う上で、いずれのT1インタフェース5の回線(以下、「T1インタフェース回線」とよぶときがある。)で通電停止できるかを決定する際に参照する情報である。
図3は、本実施形態に係る回線管理情報100のデータ構成の一例を示す図である。
【0022】
図3に示すように、回線管理情報100は、そのデータ項目として、回線番号110に対応付けて、タイムスロット(TS)番号120毎の使用若しくは不使用の情報、使用TS数130、残TS数131、累積通電時間140、最終通電累積時間141、二乗平均150、二乗平均に基づく順位151、回線状態160および通電状態161の各情報が記憶される。これらの情報は、制御部10の後記する管理情報更新部13(図2参照)により、所定の時間間隔毎に、または、いずれかひとつの呼切断が発生した時に、更新される。
なお、図3以降の説明において、T1インタフェース5の回線数(N本)を、説明の簡略化と理解の容易性を勘案してN=8本として説明する。
【0023】
タイムスロット(TS)番号120には、各回線のタイムスロット(TS1〜TS23)毎に、現在使用中のタイムスロットには「1」が記憶され、現在未使用のタイムスロットには「0」が記憶される。
【0024】
使用TS数130には、TS番号120のTS1〜TS23の情報に基づき、現在使用中のタイムスロット(TS)の数が記憶される。
また、残TS数131には、TS番号120のTS1〜TS23の情報に基づき、現在未使用のタイムスロット(TS)の数が記憶される。
なお、請求項のタイムスロットの使用状態は、タイムスロット(TS)番号120毎の使用若しくは不使用の情報、使用TS数130および残TS数131の各情報を含む概念である。
【0025】
累積通電時間140には、各回線毎に、通電を開始したときから現在までの通電時間が記憶される。例えば、回線番号110が「1」の回線の通電を開始してからの通電時間は現在「4200」秒で通電継続中あることを示す。なお、回線番号110が「2」の回線の場合は、後記する通電状態161が「OFF」で現在通電されていない状態であり、累積通電時間140が「2700」秒で止まったことを示している。
【0026】
最終通電累積時間141には、各回線毎に、最後に通電を停止したときのその回線の通電の累積時間が記憶される。例えば、回線番号110が「2」の回線は、最後に通電を停止したときの累積通電時間140である「2700」秒に加えて、更新前の最終通電累積時間141に記憶されていた「300」秒(不図示)を加えた「3000」秒が、最終通電累積時間141として記憶される。つまり、この最終通電累積時間141は、その回線の通電が停止される毎に更新され、その回線のトータルの通電時間を示す。
なお、請求項の通電時間は、累積通電時間140および最終通電累積時間141を含む概念である。
【0027】
二乗平均150には、残TS数131と累積通電時間140とをパラメータとした二乗平均150が記憶される。本実施形態においては、この二乗平均150を、その回線の稼動実績の大小の指標とし、次のデータ項目である順位151において、この二乗平均150の算出値が小さい(稼動実績の小さい)回線から算出値の大きい(稼動実績の大きい)回線の順に順位を決定しておく。
なお、この二乗平均150に算出については、制御部10の後記する管理情報更新部13において説明する。
【0028】
順位151には、二乗平均150の算出値の小さいものから順に上位に位置付ける順位が記憶される。例えば、回線番号110が「7」の回線は、二乗平均150が一番小さいのので順位151に「1」が記憶される。また、回線番号110が「6」の回線は、二乗平均150が一番大きいので順位151に「8」が記憶される。なお、この順位151は、制御部10の後記する回線閉塞処理部11が閉塞する回線を選択するときに参照する。
【0029】
回線状態160には、現時点における回線の状態が、「動作中」「閉塞」「閉塞途中」のいずれの状態であるかが記憶される。なお、「閉塞途中」は、制御部10の後記する回線閉塞処理部11が回線の閉塞処理を実行中であることを示す(詳細は後記)。
通電状態161には、その回線が通電中である場合には「ON」が記憶され、通電が停止中の場合には「OFF」が記憶される。
【0030】
図2に戻り、タイムスロット管理情報200は、タイムスロット(TS)毎に付与される固有電話番号やそのタイムスロットの現時点の使用状態等を管理するための情報である。
図4は、本実施形態に係るタイムスロット管理情報200のデータ構成の一例を示す図である。図4に示すように、タイムスロット管理情報200には、T1インタフェース5の回線番号201のタイムスロット(TS)番号202に対応付けて、固有電話番号203、データ受信最終時間204、現時間との差分205およびTS状態206の各情報が記憶される。
【0031】
固有電話番号203には、各回線のタイムスロット毎に、事前に電話網40で設定されている固有の電話番号が記憶される。
【0032】
データ受信最終時間204には、タイムスロット毎に、データの受信を検知した最後の時間が記憶される。例えば、回線番号201が「1」の回線のTS番号202が「2」のタイムスロットは、データ受信最終時間204が、11月01日20時51分50秒であることを示す。
なお、このデータ受信最終時間204は、後記するTS状態206が「通信中」の場合は「―」が記憶され、TS状態206が「空き」の場合は、「0」が記憶される。
【0033】
現時間との差分205には、データ受信最終時間204と現時間との差分が記憶される。例えば、回線番号201が「1」の回線のTS番号202が「2」のタイムスロットの現時間との差分205には、「2500」秒がデータ受信最終時間204と現時間との差分として記憶される。
なお、この現時間との差分205は、後記するTS状態206が「通信中」の場合は、「―」が記憶され、TS状態206が「空き」の場合は、「0」が記憶される。
【0034】
TS状態206には、各タイムスロットが、「通信中」「空き」「通信データ無し」のいずれかの状態であるかが記憶される。ここで「通信データ無し」とは、通信中であるがデータやりとりが無い状態を意味する。具体的には、制御部10の後記する管理情報更新部13が、所定の閾値、例えば、「5000」秒を設定し、現時間との差分205の値を参照して、現時点との差分205が「5000」秒以下の値のときは、TS状態206を「通信データ無し(通信中であるがデータやりとりが無い)」とし、閾値である「5000」秒を超えて、データのやり取りが無ければ、TS状態206を「空き」とする。
このTS状態206は、制御部10の後記する回線閉塞処理部11が、回線閉塞処理を行う場合に参照され、TS状態206が「通信データ無し(通信中であるがデータやりとりが無い)」のタイムスロットの呼について、回線閉塞処理部11がその呼を他の回線に移動させるために一時的に切断する処理を行う。
【0035】
なお、このデータ受信最終時間204、現時点との差分205およびTS状態206は、制御部10の後記する管理情報更新部13が、各T1インタフェース部20(#1〜#N)を監視することにより更新する。
【0036】
図2に戻り、回線(呼)移動情報300には、T1インタフェース5の回線の通電を停止するにあたって、通電を停止したい回線のタイムスロットの呼を、別の通電を継続する回線のタイムスロットに移動させる情報が記憶される。
図5は、本実施形態に係る回線(呼)移動情報300のデータ構成の一例を示す図である。図5に示すように、回線(呼)移動情報300は、回線番号およびその回線のタイムスロット(TS)毎に、「タイムスロット(TS)の使用状況」(上段に示す情報)と、「移動先または移動元」(下段に示す情報)とで構成される。
【0037】
例えば、第6回線の第1タイムスロット(TS01)のように、上段の「タイムスロット(TS)の使用状況」の欄に「1」(使用中)が記憶され、下段の「移動先または移動元」の欄に「7/1」が記憶されている場合には、当該タイムスロットの呼を第7回線の第1タイムスロット(TS01)に移動することを示す。また、第7回線の第1タイムスロット(TS01)のように、上段の「タイムスロット(TS)の使用状況」の欄に「0」(未使用)が記憶され、下段の「移動先または移動元」の欄に「6/1」が記憶されている場合には、第6回線の第1タイムスロットから当該タイムスロットの呼が移動してくることを示す。つまり、各回線のタイムスロットの下段に情報が入っている場合には、リザーブ状態であり、他の呼接続処理を実施させないことになる。
【0038】
なお、この回線(呼)移動情報300は、制御部10の後記する回線閉塞処理部11が、回線閉塞処理を行う場合に、閉塞途中の回線のタイムスロットの呼の移動先として他の回線のタイムスロットを決定する際に参照される。そして、回線閉塞処理部11は、閉塞する回線のタイムスロットの呼の移動先となる回線のタイムスロットを決定することにより、この回線(呼)移動情報300の情報を更新する(詳細は後記)。
【0039】
図2に戻り、接続関係管理情報400には、T1インタフェース5の回線の通電を停止するにあたって、当該タイムスロットの呼を、別の通電継続する回線のタイムスロットに移動する場合に必要となる接続情報が記憶される。
図6は、本実施形態に係る接続関係管理情報400のデータ構成の一例を示す図である。図6に示すように、接続関係管理情報400には、接続元(発呼端末2)の接続元電話番号401と、接続元IPアドレス402と、接続先IPアドレス403と、再発呼時に使用する回線番号/TS番号404(図6では「回線/TS」と記載)とが記憶される。
【0040】
この接続関係管理情報400は、回線の通電停止のためにタイムスロットの呼を別回線に移動させる際に、どの端末2がどのサーバ7(図1参照)に接続していたのかを示す接続情報を保持するためのものである。そして、発呼電話番号(接続元電話番号401)と、その電話番号による呼が移動前に使っていたサーバのIPアドレスとを対応付けて記憶し、かつ、当該電話番号について次の接続時(再発呼時)に使用するT1インタフェース5の回線番号およびタイムスロット(TS)番号を記憶しておくことにより、通電停止後の端末2からの再発呼時に、端末2とサーバ7との間のIPアドレスの交換等のプロトコル処理を簡略化若しくは省略させる。
【0041】
なお、この接続関係管理情報400は、制御部10の回線閉塞処理部11が回線閉塞処理の中で、閉塞する回線のタイムスロットの呼を切断する際に生成する。そして、管理情報更新部13が、所定時間が経っても再発呼されず、利用されない情報について削除処理を行う。また、端末2からの再発呼があった場合には、制御部10の回線制御部12がこの接続関係管理情報400を参照することにより、端末2とサーバ7との間のプロトコル処理を省略し、迅速な通信再開を可能とする(詳細は後記)。
【0042】
図2に戻り、制御部10は、RAS装置1全体の制御を司り、回線閉塞処理部11と、回線制御部12と、管理情報更新部13とを含んで構成される。
なお、このRAS装置1の制御部10の機能は、例えば、RAS装置1の記憶部(不図示)に記憶されたプログラムを、CPU(Central Processing Unit)がRAM等のメモリに展開し実行することで実現される。
【0043】
回線閉塞処理部11は、回線管理情報100(図3)を参照し、稼動実績がより大きい回線(二乗平均の順位151が下位の回線)から順に接続中の呼を、稼動実績がより小さい回線(二乗平均の順位151が上位の回線)へ移動させ、稼動実績が大きい回線の収容する呼すべての呼切断が完了すると、その回線の通電を停止する回線閉塞処理を実行する。
なお、回線閉塞処理部11は、回線管理情報100の二乗平均の順位151を参照して、稼動実績の最も少ない回線を第1位の回線とし、稼動実績の最も大きい回線を第N位(ここでは第8位)として、第N位の回線の呼を、稼動実績の小さい回線に移動させる処理を行う。このとき、回線閉塞処理部11は、回線(呼)移動情報300(図5)を参照して、切断する呼の移動先の回線のタイムスロットを決定する。そして、回線閉塞処理部11は、タイムスロット管理情報200(図4)を参照し、該当する回線のうちTS状態206が「通信データ無し(通信中であるがデータやりとりが無い)」のタイムスロットの呼を切断する処理を順次行う。続いて、回線閉塞処理部11は、その切断した呼について、端末2からの再発呼に備えて、接続関係管理情報400(図6)のデータを生成する。そして、回線閉塞処理部11は、同様にして、稼動実績のより大きい下位の回線の呼を、できるでけ稼動実績のより少ない上位の回線に移動させるように処理を続ける。
具体的には、後記する図8において詳細に説明する。
【0044】
回線制御部12は、端末2からの発呼信号を、ISDN交換機4を介して受信し、IP網50を介してサーバ7に接続する処理全般を司る。また、回線制御部12は、回線閉塞処理部11により、回線を一時的に切断し移動させた呼について、接続関係管理情報400(図6)を参照し、再接続する処理を行う。さらに、回線制御部12は、回線閉塞処理部11により、回線閉塞処理が開始され、回線管理情報100(図3)の回線状態160が「閉塞途中」となった回線について、発呼が行われた場合に、回線状態160が「動作中」の別の回線のタイムスロットに、当該発呼を割り当てて通信させる制御を行う。
また、回線制御部12は、接続関係管理情報400(図6)に登録している接続元IPアドレス402から接続先IPアドレス403に向けて所定の間隔でキープアライブ信号を送信する制御を行う(詳細は、後記する図12参照)。
【0045】
管理情報更新部13は、記憶部(不図示)に記憶された各情報を更新する処理を行う。
例えば、管理情報更新部13は、所定の時間間隔毎に、または、いずれかのひとつの呼切断が発生したときに、回線管理情報100(図3)のTS番号120の各タイムスロットの使用状態(「1」若しくは「0」)や、使用TS数130〜通電状態161までの各情報を更新する。
【0046】
なお、管理情報更新部13は、回線管理情報100(図3)の二乗平均150を、残TS数131と累積通電時間140とに基づき、以下の(式1)を用いて計算する。
【0047】
【数1】

【0048】
ここで、iは残TS数131についての重み係数であり、jは累積通電時間140についての重み係数である。ただし、本実施形態では、i=1,j=1とする。
また、残TS数131、累積通電時間140のどちらか一方のみをパラメータとして二乗平均150を算出するようにしてもよく、その場合は、iまたはjのどちらかに「0」を挿入すればよい。
【0049】
また、管理情報更新部13は、タイムスロット管理情報200(図4)のデータ受信最終時間204、現時点との差分205およびTS状態206の情報を更新する。さらに、管理情報更新部13は、接続関係管理情報400(図6)において、所定時間が経過しても端末2からの再発呼がなく利用されない情報を削除する処理を行う。
【0050】
次に、本実施形態に係るRAS装置1を含むネットワークシステムが実行する処理について図7〜図12を参照して、具体的に説明する。
まず、図7を参照して、本ネットワークシステムにおいて端末2が発呼しサーバ7に接続する基本的な呼制御処理を説明する。続いて、図8を参照して、RAS装置1の回線閉塞処理を説明する。次に、図9および図10を参照して、RAS装置1が回線の閉塞途中において端末2から発呼が行われた場合の処理を説明する。そして、図11および図12を参照して、回線閉塞した呼が再発呼された場合の処理を説明する。
【0051】
<端末とサーバとの間の接続処理>
図7は、本実施形態に係るRAS装置1を含む図1に示したネットワークシステムにおいて、端末2が発呼してサーバ7に接続する場合における基本的な呼制御シーケンスを示す図である。なお、図7においては、端末2の図示を省略し、端末2と接続される、常時接続型ISDN通信に対応するTA3からの通信として説明する。
【0052】
まず、TA3は、常時接続型通信専用の特別電話番号(以下、「特番」とする。)を使って発呼し、ISDN交換機4へ「SET UP」信号を送信する(ステップS101)。
【0053】
次に、ISDN交換機4は、「SET UP」信号とその信号に含まれる特番に基づき、当該呼が、常時接続型通信であることを認識する。そして、ISDN交換機4は、IP網50(図1参照)方向への接続インタフェースとなるRAS装置1の、ある1つのチャンネルに対して「SET UP」信号を送信することにより接続を要求する(ステップS102)。
ここで、チャンネルとは、図2のT1インタフェース5(#1〜#N)で示したT1インタフェース回線の中の1つの回線におけるタイムスロットのうちの1つを意味する。通常、ISDNの1次群速度インタフェースのTDMデータは、23本のBチャンネルと1本のDチャンネルからなる「23B+D」の形で定義される。本実施形態においては、N個のT1インタフェース回線を持つので「23B×N+D×N」のタイムスロットを持つ。よって、本実施形態に係るRAS装置1は、データ通信に使用可能な23×N個のチャンネルが存在する。
【0054】
続いて、ISDN交換機4は、TA3に対して「CALL PROC」信号を返信する(ステップS103)。
【0055】
RAS装置1は、ISDN交換機4からの「SET UP」に対して、接続可能を伝える「CONN」信号をISDN交換機4に送信し(ステップS104)、ISDN交換機4が返信する「CONN ACK」信号に受信することにより呼接続可能となる(ステップS105)。
【0056】
また、ISDN交換機4がTA3へ「CONN」信号を送信し(ステップS106)、TA3とRAS装置1との間が通信可能となったことを伝達して、両者間のBチャンネル(Bch)通信が開始される(ステップS107)。RAS装置1では、端末2からの指示に従ってIP網50上に配備されるサーバ7へと接続(IP通信)する(ステップS108)。
【0057】
このようにすることで、端末2(TA3)とサーバ7との間が接続され、データ通信が可能となる。なお、Bチャンネル(Bch)通信およびIP通信の接続シーケンスについては、後記する図11において説明する。
【0058】
<回線閉塞処理>
次に、図7に示した接続処理によって、常時接続のデータ通信が可能となったネットワークシステムにおいて、RAS装置1が、T1インタフェース5(図1)の回線閉塞を行う処理について説明する。
図8は、本実施形態に係るRAS装置1の回線閉塞処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、RAS装置1が、所定時間毎に各回線の状況を取得し、記憶部に記憶される情報を更新することにより、回線閉塞処理を行い、該当する回線の通電を停止する例を説明する。
【0059】
まず、RAS装置1の回線閉塞処理部11は、所定時間毎に回線管理情報100(図3)の順位151を走査する。このとき、回線閉塞処理部11は、変数aと変数bとを規定しておき、初期値としてa=1(位)、b=N(位)(図3の例ではN=8)を設定する(ステップS10)。
図3の回線管理情報100に示す例では、二乗平均の順位151は、第1位の回線から第8位の回線までが、第7回線、第2回線、第3回線、第8回線、第1回線、第4回線、第5回線、第6回線の順となる。よって、第1位の回線は、第7回線であり、第8位の回線は、第6回線である。
【0060】
次に、回線閉塞処理部11は、ステップS10で第b位に設定した回線について、回線管理情報100(図3)の回線状態160を「動作中」から「閉塞途中」に変更する(ステップS11)。
ここでは、回線閉塞処理部11は、第8位の第6回線の回線状態160を「閉塞途中」に変更する(図3参照)。
【0061】
次に、回線閉塞処理部11は、回線管理情報100(図3)の順位151が第a位の回線に空きとして残っているTSの数(残TS数131)を変数Aに設定し、回線管理情報100の順位151が第b位の回線で通信中のTSの数(使用TS数130)を変数Bに設定する(ステップS12)。
ここでは、第1位の第7回線の残TS数131である「11」を変数Aに設定する。そして、第8位の第6回線の使用TS数130である「16」を変数Bに設定する。
【0062】
続いて、回線閉塞処理部11は、変数Aと変数Bについて減算(A−B)を行い(ステップS13)、その値が0よりも小さければ(ステップS13→No)、ステップS14へ進み、その値が0以上であれば(ステップS13→Yes)、ステップS20へ進む。
ここでは、変数(A−B)=11−16=−5<0であるので、ステップS13→Noとして、次のステップS14に進む。
【0063】
次に、回線閉塞処理部11は、ステップS14〜S16において、第b位回線の使用中のタイムスロット(TS)のうち、A個を第a位の回線に移動する呼移動処理を行う。
ここでは、回線閉塞処理部11が、第8位の第6回線の使用中のタイムスロット(TS)である「16」個のうち、「11」個を第1位の第7回線に移動する呼移動処理を行う。
【0064】
具体的には、まず、回線閉塞処理部11は、第b位回線のタイムスロットのうちのA個それぞれについて、回線(呼)移動情報300(図5)に基づき、移動先となる第a位回線のタイムスロットを決定する(ステップS14)。
ここでは、回線閉塞処理部11が、第8位の第6回線のタイムスロット(「16」個)のうちのA個(「11」個)それぞれについて、移動先となる第1位の第7回線のタイムスロットを決定する。例えば、図5に示すように、回線閉塞処理部11は、第6回線のタイムスロット番号(TS01)の使用中のタイムスロットの移動先として、第7回線のタイムスロット番号(TS01)の空きタイムスロットに移動することを決定し、第6回線のタイムスロット番号(TS01)に「7/1」を登録し、第7回線のタイムスロット番号(TS01)に「6/1」を登録する。同様に、第6回線のタイムスロット番号(TS02)のタイムスロットは、第7回線のタイムスロット番号(TS04)に、というように、第6回線の11個の使用中のタイムスロットを第7回線の空きタイムスロットに割り当てる。
【0065】
続いて、回線閉塞処理部11は、移動となる第b位の回線のうち、タイムスロット管理情報200(図4)で、TS状態206が「通信データ無し(通信中であるがデータのやりとりが無い)」であるタイムスロットを抽出し、該当するタイムスロットの呼を移動させるために切断する。
ここで、図4に示す例では、第6回線のタイムスロット「2」のTS状態206が「通信データ無し」であるので、回線閉塞処理部11は、回線(呼)移動情報300(図5)を参照し、第6回線のタイムスロット「2」を、第7回線のタイムスロット「4」に移動させるため、呼切断する。
そして、回線閉塞処理部11は、A個の発呼各々のタイムスロットのTS状態206が「通信データ無し」になることによって、A個すべてについて呼切断を行う(ステップS15)。つまり、回線閉塞処理部11は、第6回線のタイムスロットA個(「11」個)すべてが、「通信データ無し」になることにより、「11」個すべてについて呼切断を行う。
【0066】
次に、回線閉塞処理部11は、切断を行ったA個の発呼について、接続関係管理情報400(図6)に、接続元電話番号401、接続元IPアドレス402、接続先IPアドレス403、および端末2から再発呼された場合に使用する移動先となる回線とタイムスロット(回線/TS404)を登録する(ステップS16)。
なお、回線閉塞処理部11は、回線制御部12を介して、接続関係管理情報400に登録している接続元IPアドレス402から接続先IPアドレス403に向けて所定の間隔でキープアライブ信号を送信しておく(詳細は、図12参照)。
【0067】
続いて、回線閉塞処理部11は、第b位回線に残っている通信中のタイムスロットの数として減算値(B−A)を変数Bに設定する(ステップS17)。ここでは、16−11=5を、変数Bに設定する。
また、回線閉塞処理部11は、タイムスロットの空きが無くなった第a位の次の順位の回線を処理対象とするため変数aに(a+1)を設定する(ステップS18)。ここでは、第1位の回線(第7回線)のタイムスロットが埋まったので、変数aに1+1=2を設定する。
【0068】
そして、回線閉塞処理部11は、変数aと変数bとを比較し、変数aが変数b以上であれば(ステップS19→Yes)、処理を終了する。一方、回線閉塞処理部11は、変数aが変数bより小さければ(ステップS19→No)、ステップS11に戻り処理を続ける。
ここでは、変数a=2であり、変数b=8であるので、変数aが変数bより小さく(ステップS19→No)、ステップS11に戻り処理を続ける。
なお、ステップS11において、すでにその第b位回線が、その前のルーチングの処理において、回線状態160を「閉塞途中」に変更済みの場合は、この処理を再び行わず次のステップに進む。
【0069】
次のルーチングの処理のステップS12において、回線閉塞処理部11は、回線管理情報100(図3)を参照し、第2位の第2回線の残TS数131である「23」を変数Aに設定する。そして、第8位の第6回線の使用TS数130として、「5」を変数Bに設定する。
【0070】
続いて、回線閉塞処理部11は、変数Aと変数Bについて減算(A−B)を行い(ステップS13)、その値が0よりも小さければ(ステップS13→No)、ステップS14へ進み、その値が0以上であれば(ステップS13→Yes)、ステップS20へ進む。
ここでは、変数(A−B)=23−5=18≧0であるので、ステップS13→Yesとして、次のステップS20に進む。
【0071】
次に、回線閉塞処理部11は、ステップS20〜S22において、第b位回線の使用中のタイムスロット(TS)のうち、B個を第a位の回線に移動する呼移動処理を行う。
ここでは、回線閉塞処理部11が、第8位の第6回線の使用中のタイムスロット(TS)の残りの「5」個を第2位の第2回線に移動する呼移動処理を行う。
【0072】
具体的には、回線閉塞処理部11は、第b位回線のタイムスロットのうちのB個それぞれについて、回線(呼)移動情報300(図5参照)に基づき、移動先となる第a位回線のタイムスロットを決定する(ステップS20)。
ここでは、回線閉塞処理部11が、第8位の第6回線のタイムスロットのB個(「5」個)それぞれについて、移動先となる第2位の第2回線のタイムスロットを決定する。例えば、図5に示すように、回線閉塞処理部11は、第6回線のタイムスロット番号(TS16)の使用中のタイムスロットの移動先として、第2回線のタイムスロット番号(TS01)の空きタイムスロットに移動することを決定し、第6回線のタイムスロット番号(TS16)に「2/1」を登録し、第2回線のタイムスロット番号(TS01)に「6/16」を登録する。同様に、第6回線のタイムスロット番号(TS17)のタイムスロットは、第2回線のタイムスロット番号(TS02)に、というように、第6回線の残りの5個の使用中のタイムスロットを第2回線の空きタイムスロットに割り当てる。
【0073】
続いて、回線閉塞処理部11は、移動となる第b位(第8位)の回線のうち、タイムスロット管理情報200(図4)で、TS状態206が「通信データ無し(通信中であるがデータのやりとりが無い)」であるタイムスロットを抽出し、該当するタイムスロットの呼を移動させるために切断する。そして、回線閉塞処理部11は、B個の発呼各々のTS状態206が「通信データ無し」になることによって、B個すべてについて呼切断を行う(ステップS21)。
【0074】
次に、回線閉塞処理部11は、切断を行ったB個の発呼について、接続関係管理情報400(図6)に、接続元電話番号401、接続元IPアドレス402、接続先IPアドレス403、および端末2から再発呼された場合に使用する移動先となる回線とタイムスロット(回線/TS404)を登録する(ステップS22)。
【0075】
そして、回線閉塞処理部11は、第b位の回線の回線閉塞処理を行う(ステップS23)。
具体的には、回線閉塞処理部11は、第b位(第8位)の回線のすべての呼移動処理が完了したため、第b位(第8位)の回線の通電を停止する。そして、回線閉塞処理部11は、管理情報更新部13を介して、回線管理情報100(図3)の回線状態160を「閉塞途中」から「閉塞」に変更し、通電状態161を「OFF」とする。
ここでは、第8位の第6回線の回線状態160「閉塞」に変更し、通電状態161を「OFF」とする。
【0076】
続いて、回線閉塞処理部11は、第a位回線に残っている空きタイムスロットの数として減算値(A−B)を変数Aに設定する(ステップS24)。ここでは、変数Aに、23−5=18を設定する。
また、回線閉塞処理部11は、閉塞処理した第b位の回線の次の順位の回線を処理対象とするため変数bに(b−1)を設定する(ステップS25)。ここでは、変数bに、8−1=7を設定する。
【0077】
そして、回線閉塞処理部11は、変数aと変数bとを比較し、変数aが変数b以上であれば(ステップS19→Yes)、処理を終了する。一方、回線閉塞処理部11は、変数aが変数bより小さければ(ステップS19→No)、ステップS11に戻り処理を続ける。
ここでは、変数a=2であり、変数b=7であるので、変数aが変数bより小さく(ステップS19→No)、ステップS11に戻り処理を続ける。
【0078】
本例では、この処理を順次実行していくことにより、第6回線、第5回線、第4回線の3回線が通電停止でき、消費電力の削減を行うことができる。
【0079】
<閉塞途中に発呼がされた場合の処理>
次に、図9および図10を参照して、RAS装置1が回線の閉塞途中において端末2から発呼が行われた場合の回線接続の処理を説明する。
図9は、本実施形態において、回線の閉塞途中に、発呼が行われた場合の制御シーケンスを示す図である。
【0080】
まず、TA3(端末2)からの発呼(「SET UP」信号)をISDN交換機4が受信し(ステップS30)、ISDN交換機4が、RAS装置1の制御部10(回線制御部12)へ、回線接続を要求する(ステップS31)。
【0081】
続いて、RAS装置1の回線制御部12は、回線管理情報100(図3)を参照し、回線状態160を検知する(ステップS32)。ここでは、回線状態160が「閉塞途中」であることが検知されるものとする。そして、回線制御部12は、回線状態160が「動作中」であり、かつ、残TS数131が「0」でない回線のタイムスロットを新たに決定する接続先決定処理を行う(ステップS33)。なお、この接続先決定処理については、後記する図10において詳細に説明する。
【0082】
次に、回線制御部12は、接続先決定処理で、新たに決定した回線とタイムスロットについて、タイムスロット管理情報200(図4)を参照して、該当する回線番号201とTS番号202から固有電話番号203を取得する(ステップS34)。例えば、回線番号201が「1」でTS番号202が「3」が決定された場合であれば、回線制御部12は、タイムスロット管理情報200を参照して、固有電話番号203として「00010003」を取得する。
【0083】
そして、回線制御部12は、固有電話番号203を含む「INFO」信号をISDN交換機4に送信し(ステップS35)、接続先の変更を要求する。
【0084】
次に、ISDN交換機4は、受信した「INFO」信号から取得した新たな回線番号およびタイムスロットを用いて回線接続(「SET UP」)を要求する(ステップS36)。
【0085】
RAS装置1の回線制御部12は、回線管理情報100(図3)を参照し、回線状態160を検知する(ステップS37)。ここでは、回線状態160が「動作中」であることが検知される。そして、回線制御部12は、ISDN交換機4に「CONN」信号を送信し(ステップS38)、ISDN交換機4が、TA3に「CONN」信号を送信することにより(ステップS39)、データ通信が開始される。
【0086】
次に、図9のステップS33における接続先決定処理について説明する。
図10は、本実施形態において、回線の閉塞途中に、発呼が行われた場合に行われる接続先決定処理を示すフローチャートである。なお、図10においては、図9のステップS31において、ISDN交換機4が、「SET UP」信号をRAS装置1の制御部10に送信した後の処理から説明する。
【0087】
まず、RAS装置1の制御部10(回線制御部12)は、ISDN交換機4から回線番号(ここでは「Px」とする。)とタイムスロット(TS)番号(ここでは「Qx」とする。)とが含まれる呼接続要求(「SET UP」信号)を受信する(ステップS40)。
【0088】
次に、回線制御部12は、回線管理情報100(図3)を参照し、回線状態160を検知し、回線「Px」が「動作中」か否かを判定する(ステップS41)。そして、回線「Px」の回線状態160が「動作中」であれば(ステップS41→Yes)、ステップS47へ進む。一方、回線「Px」が「動作中」でなければ(ステップS41→No)、つまり、回線状態160が「閉塞途中」か「閉塞」であれば、次のステップS42へ進む。
【0089】
ステップS42において、回線制御部12は、変数kの初期値として「0」を設定する。次に、回線制御部12は、変数kに「1」を加える(ステップS43)。
【0090】
続いて、回線制御部12は、回線管理情報100(図3)の二乗平均の順位151が第k位(ここでは第1位から始まる)の回線番号「Pk」の回線を選択する(ステップS44)。
【0091】
そして、回線制御部12は、回線(呼)移動情報300(図5)を参照し、回線番号「Pk」の回線のタイムスロットのうち、使用可能なタイムスロットがあるか否かを判定する(ステップS45)。ここで、使用可能なタイムスロットとは、未使用で、かつ、このあとのタイムスロットの移動に用いられない、つまり、図5の下段が空のタイムスロットを意味する。
そして、回線制御部12は、回線番号「Pk」の回線に、使用可能なタイムスロットがない場合には(ステップS45→No)、ステップS43に戻り処理を続ける。
一方、使用可能なタイムスロットがある場合には(ステップS45→Yes)、回線制御部12は、次のステップS46へ進む。
【0092】
ステップS46において、回線制御部12は、回線(呼)移動情報300(図5)を参照し、回線番号「Pk」の回線の使用可能なタイムスロットのうちの1つを、接続先のタイムスロットとして決定する。
そして、回線制御部12は、接続先決定処理を終え、図9のステップS34以降の処理を続ける。
【0093】
一方、ステップS41において、回線「Px」の回線状態160が「動作中」であれば(ステップS41→Yes)、回線制御部12は、その回線「Px」のタイムスロット番号「Qx」のタイムスロットが使用可能か否かを判定する(ステップS47)。
そして、タイムスロット「Qx」が使用可能でなければ(ステップS47→No)、回線制御部12は、ステップS42以降の処理に進む。
一方、タイムスロット「Qx」が使用可能であれば(ステップS47→Yes)、回線制御部12は、ISDN交換機4に「CONN」信号を送信して(ステップS48)、処理を終える。
【0094】
このようにすることで、RAS装置1が回線の閉塞途中において、端末2から発呼が行われた場合であっても、稼動実績がより小さい回線(二乗平均の順位151が上位の回線)のタイムスロットを選択して、回線接続することができる。
【0095】
<回線閉塞した呼が再発呼された場合の処理>
次に、図11および図12を参照して、図8に示した回線閉塞処理により切断された呼について、端末2から再発呼がなされた場合の回線接続の処理について説明する。
まず、図11を参照して、図7に示した端末2が発呼してサーバ7に接続する場合の呼制御シーケンスにおける、ステップS107のBch通信およびステップS108のIP通信の接続シーケンスを説明する。次に、図12を参照して、本実施形態において、回線閉塞処理により切断された呼について、再発呼がなされた場合に、IPネゴシエーションを省略して、IP通信を確立する処理について説明する。
【0096】
図11は、図7のステップS107におけるBチャンネル(Bch)通信とステップS108におけるIP通信の接続シーケンスを説明するための図ある。
【0097】
まず、TA3とRAS装置1との呼接続が確立した後、RAS装置1は、TA3からの「LCP Conf Request」信号を受信すると(ステップS201)、その信号の受信を契機に、LCPネゴシエーション(ステップS201〜S204)を行う。そして、LCP(Link Control Protocol:RFC1471)を一旦終端し、その結果に従い、PAP(Passward Authentication Protocol:RFC1334)若しくはCHAP(Challenge Handshake Authentication Protocol:RFC1994)を用いてユーザIDを取得する(ステップS205,S206)。ここでは、CHAPを用いる場合を例示している。
【0098】
次に、RAS装置1は、ステップS207〜S216に示す認証・L2TP(Layer 2 Tunneling Protocol) におけるネゴシエーションを行う。
まず、RAS装置1は、取得したユーザIDを用いて、RADIUS(Remote Authentication Dial In User Server:RFC2138)サーバ8に対して認証を行い、トンネル情報を取得する(ステップS207,S208)。そして、RAS装置1は、取得したトンネル情報を用いて、L2TP(RFC2261)トンネルを確立するために、接続先となるLNS(L2TP Network Server)9を特定する。
【0099】
続いて、RAS装置1は、特定したLNS9に対して、制御コネクション確立要求である「SCCRQ」信号を送信して(ステップS209)、LNS9から制御コネクション確立応答として「SCCRP」信号を受信する(ステップS210)。これにより、RAS装置1は、コネクション接続確立として「SCCCN」信号をLNS9に送信し(ステップS211)、LNS9から「ZLB Ack」を受信する(ステップS212)。
【0100】
次に、RAS装置1は、LNS9に対して、着呼要求として「ICRQ」信号をLNS9に送信し(ステップS213)、LNS9から着呼応答として「ICRP」信号を受信する(ステップS214)。これにより、RAS装置1は、着呼接続として「ICCN」をLNS9に送信し(ステップS215)、LNS9から「ZLB Ack」を受信する(ステップS216)。
そして、この認証・L2TPにおけるネゴシエーションを終えると、L2TPトンネルが確立し(ステップS217)、RAS装置1は、「CHAP Success」をTA3へ送信する。(ステップS218)。その後、IPCP(Internet Protocol Contorol Protocol)ネゴシエーションを経て、TA3とLNS9間でIP通信(データ通信)が可能となる。
【0101】
次に、図12を参照して、回線閉塞処理により切断された呼について、再発呼がなされた場合の制御シーケンスを説明する。
図12は、回線閉塞のために一時的に切断した呼について、RAS装置1(回線制御部12)が、当該呼の発呼端末2に代わってL2TPトンネルを保持しておき、発呼端末2から再発呼がされた場合に、IP通信を再開する制御シーケンスを示す図である。
【0102】
ここで、RAS装置1は、回線閉塞のために一時的に切断した呼に関する接続情報を接続関係管理情報400(図6)として記憶しており、その接続関係管理情報400に基づき、キープアライブ(Keep Alive)信号を所定の間隔でLNS9に送信することにより、発呼端末2の再発呼に対してLNS9やRADIUSサーバ8との間の認証・L2TPにおけるネゴシエーション(図11のステップS207〜S216)を省略して、IP通信を再開できる。以下、具体的に説明する。
【0103】
まず、RAS装置1の回線制御部12は、L2TPトンネルを保持し続けるため、所定の間隔でキープアライブ(Keep Alive)信号をLNS9へ送信する(ステップS301)。なお、この処理は、所定時間が経った時点で端末2からの発呼がなければ終了する。
【0104】
そして、RAS装置1の回線制御部12がキープアライブ信号をLNS9に送信している所定時間内に、端末2からの再発呼がなされた場合には、TA3とRAS装置1との間で、図11に示したステップS201〜S206と同様の処理(図11と同様のため説明を省略)を行うだけで、IP通信を再開する(ステップS302)。
つまり、RAS装置1と、RADIUSサーバ8およびLNS9との認証・L2TPにおけるネゴシエーション(図11のステップS207〜S216)は一切行わず、IP通信を確立することができる。
【0105】
以上説明したように、本実施形態に係るRAS装置1および回線閉塞方法によれば、N本のT1インタフェース5の回線のうち、データ通信の稼動実績が大きい回線の呼を、稼動実績の小さい回線に移動させ、すべての呼が移動し終わるとその回線への通電を停止することができる。よって、物理的に1本の回線を多重することで複数の加入者を収容する1次群速度インタフェースを用いたデータ通信において、より稼動実績の大きい回線への通電を停止し低消費電力化と長寿命化とを実現することができる。
【0106】
なお、本実施形態に係るRAS装置1は、次に示す場合にも、処理を実行することができる。
【0107】
(ケースA)
本実施形態に示す例において、ある1回線が閉塞途中の状態にあり、他の回線のうち6回線が23個のタイムスロットすべてを使っており、かつ、他の回線の残りの1回線がr個のタイムスロットを使っている場合。
このような場合は、使用可能なタイムスロットが(23−r)個しか残っておらず、これ以上の呼接続が発生すると接続ができなくなる。そこで、RAS装置1は、タイムスロットの個数に関する閾値m1を設定し、図10のステップS45に付随する判定として、rが閾値m1を超えるときに、回線管理情報100(図3)の回線状態160を「閉鎖途中」としていた回線を「動作中」に変更し、当該回線向けに呼接続要求が発生すれば、その回線への呼接続を許容する処理を行うようにする。
【0108】
(ケースB)
本実施形態に示す例において、いくつかの回線が閉塞状態にあり、それ以外のいくつかの回線が動作中状態にあり、動作中状態の回線においても1回線を除いて、23個すべてのタイムスロットが使用されていて、その1回線だけがs個のタイムスロットを使用している場合。
このような場合にも、RAS装置1は、タイムスロットの個数に関する閾値m2を設定し、上記と同様に、図10のステップS45に付随する判定として、sが閾値m2を超えるときに、回線管理情報100(図3)の回線状態160が「閉塞」の回線のうちで、順位151において、最上位にあたる回線の通電を開始し、新たな呼接続に応じることができるようにする。
【0109】
また、本実施形態に係るRAS装置1は、以下に示す変形例において実施することも可能である。
【0110】
(変形例1)
本実施形態におけるタイムスロット管理情報200(図4)の固有電話番号203は、事前登録をしておくことが前提であった。しかし、このタイムスロット管理情報200を作成するにあたり、ISDN交換機4から送信される「SET UP」信号に含まれる、回線番号情報とタイムスロット(TS)番号情報と接続先電話番号とに基づいて、その回線番号でかつタイムスロット(TS)番号に対応するタイムスロット管理情報200の固有電話番号203に、その接続先電話番号を記憶するようにしてもよい。
【0111】
(変形例2)
本実施形態におけるタイムスロット管理情報200(図5)のTS状態206において、どの状態に属するかの判定は、データ受信最終時間204と現時間との差分205に示すように時間の計測によって行った。しかし、このような時間の計測によらず、データ通信量を計測して、ある閾値uを予め設定しておき、単位時間の間に閾値uよりも少ないデータ通信量であれば、「通信データ無し」としてもよい。
【0112】
(変形例3)
本実施形態においては、所定の時間毎に、他の回線のタイムスロットへの移動、並びに、回線への給電停止処理を実行するとしたが、この処理は、呼切断が起こったことを契機として実行してもよい。その場合、使用中の回線数やタイムスロット(TS)数を記憶しておき、呼切断が発生し、かつ、1以上の回線が閉塞できるだけのタイムスロット(TS)数が残っていることを確認して、回線を閉塞することが可能と判定されたときに、呼の移動処理を実行するようにしてもよい。
【0113】
(変形例4)
本実施形態においては、図9に示したように、回線が閉塞途中である場合に、「INFO」信号を用いて、別チャンネルへの接続に切り替える例を示した。しかしながら、ISDN交換機4が閉塞途中の回線に呼接続を要求する場合に、「INFO」信号ではなく、他の接続を拒否する信号を送出、若しくは無応答にすることで、ISDN交換機4に別のチャンネルに再接続要求させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 RAS装置
2 端末
3 TA
4 ISDN交換機
5 T1インタフェース(1次群速度インタフェース)
6 IPインタフェース
7 サーバ
10 制御部
11 回線閉塞処理部
12 回線制御部
13 管理情報更新部
20 T1インタフェース部
30 IPインタフェース部
40 電話網
50 IP網
100 回線管理情報
200 タイムスロット管理情報
300 回線(呼)移動情報
400 接続関係管理情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ISDN交換機に1次群速度インタフェースの複数の回線で接続され、かつ、IP網にIPインタフェースで接続され、前記ISDN交換機から受信したTDM(Time Division Multiplexing)データと前記IP網で送受信されるIPパケットとを相互変換して呼接続するRAS(Remote Access Service)装置であって、
前記1次群速度インタフェースの複数の回線毎のタイムスロットの使用状態および通電時間を記憶する回線管理情報が格納される記憶部と、
前記タイムスロットの使用状態および前記通電時間またはいずれか一方に基づき、前記1次群速度インタフェースの回線それぞれの稼動実績を算出し、前記算出した稼動実績が大きい回線の呼を切断し、当該切断した呼を前記稼動実績の小さい回線に移動させ、前記稼動実績が大きい回線への通電を停止する回線閉塞処理を行う制御部と、
を備えることを特徴とするRAS装置。
【請求項2】
前記RAS装置の制御部は、
前記稼動実績が大きい回線の呼を切断する際に、移動先として前記稼動実績の小さい回線のタイムスロットを決定し、
当該呼が切断前に接続していた接続元および接続先のアドレス情報と、前記移動先となる回線および前記決定したタイムスロットとを、接続関係管理情報として前記記憶部に記憶し、
前記ISDN交換機から前記切断した呼の再発呼要求があった場合に、前記接続関係管理情報を参照し、前記アドレス情報を取得して、前記移動先となる回線および前記決定したタイムスロットを使用し再接続すること
を特徴とする請求項1に記載のRAS装置。
【請求項3】
前記RAS装置の制御部は、
前記ISDN交換機から前記回線閉塞処理を行っている閉塞途中の前記回線に対して発呼要求があった場合に、前記稼動実績が小さい回線の未使用のタイムスロットを前記ISDN交換機に通知し、呼接続を行うこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のRAS装置。
【請求項4】
前記RAS装置の制御部は、
前記1次群速度インタフェースの複数の回線のうち、1つの回線を除いた他の回線それぞれのすべてのタイムスロットが使用中であり、かつ、当該1つの回線が前記回線閉塞処理を行っている閉塞途中の前記回線である場合に、当該1つの回線の使用中のタイムスロットの数が所定の閾値を超えたときに、当該1つの回線の前記回線閉塞処理を止めて、呼接続を行うこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のRAS装置。
【請求項5】
前記RAS装置の制御部は、
前記1次群速度インタフェースの複数の回線のうちの数個の回線が、当該回線への通電を停止した閉塞状態であり、当該数個の回線以外の前記回線のうち、1つの回線を除いた他の回線それぞれのすべてのタイムスロットが使用中である場合に、当該1つの回線の使用中のタイムスロットの数が所定の閾値を超えたときに、前記閉塞状態の数個の回線のうち、前記稼動実績が最も小さい回線への通電を開始し、呼接続を行うこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のRAS装置。
【請求項6】
ISDN交換機に1次群速度インタフェースの複数の回線で接続され、かつ、IP網にIPインタフェースで接続され、前記ISDN交換機から受信したTDMデータと前記IP網で送受信されるIPパケットとを相互変換して呼接続するRAS装置の回線閉塞方法であって、
前記RAS装置は、
前記1次群速度インタフェースの複数の回線毎のタイムスロットの使用状態および通電時間を記憶する回線管理情報が格納される記憶部を備えており、
前記タイムスロットの使用状態および前記通電時間またはいずれか一方に基づき、前記1次群速度インタフェースの回線それぞれの稼動実績を算出し、前記算出した稼動実績が大きい回線の呼を切断し、当該切断した呼を前記稼動実績の小さい回線に移動させ、前記稼動実績が大きい回線への通電を停止する回線閉塞処理を実行すること
を特徴とする回線閉塞方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−115530(P2013−115530A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258505(P2011−258505)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】