RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法
【課題】RCCVライナ建設工法において、養生屋根の養生機能を損なうことなく、RCCVライナ建設のコストの低減、及び工数削減による工程短縮を図ることを目的とする。
【解決手段】RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法において、RCCV全天候シールド10の外周部において径方向の大きさを縮小する工程と、搬送手段により、RCCV全天候シールド10を介してRCCVライナ3を吊り上げる工程と、RCCVライナ3の設置エリアに、搬送手段により、RCCV全天候シールド10を介してRCCVライナ3を搬入する工程とを有する。
【解決手段】RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法において、RCCV全天候シールド10の外周部において径方向の大きさを縮小する工程と、搬送手段により、RCCV全天候シールド10を介してRCCVライナ3を吊り上げる工程と、RCCVライナ3の設置エリアに、搬送手段により、RCCV全天候シールド10を介してRCCVライナ3を搬入する工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントにおけるRCCVライナの建設工法に係わり、より詳細には、RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントにおけるRCCV(鉄筋コンクリート製原子炉格納容器)は、核分裂物質が外部に漏れることを防止するためのもので、内側にはライナと呼ばれる円筒形の鋼製プレートが張られた構造となっており、大きさは高さと直径が約30mにもなる。RCCVのライナ(以下「RCCVライナ」と称し、単に「ライナ」とも称する)は、鋼板のみで約400tにもなる巨大構造物である。このため、通常、工場にてライナを構成する板を製作して現地に輸送し、原子炉建屋の周辺にて複数のブロック(ライナブロック)を作製し、ライナブロックを積み重ねて一体化させてライナを組立てた後、このライナを建屋へ搬入するのが一般的である。従来のライナの組立方法としては、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
この際、長期間にわたってライナやライナブロックが風雨や雪にさらされてしまうため、作業効率の向上と工程遅延リスクの緩和を目的に、ライナやライナブロックの外周に設置する作業足場に養生シートを張るとともに、養生屋根にてライナやライナブロックを保護する手法がとられている。
【0004】
以下、従来のRCCVライナの建設工程について、図1a〜図1gを用いて、作業フローの例を説明する。
【0005】
(1)図1aは、ライナブロック3Aの組立てを説明する図である。ライナブロック3Aは、作業用足場5が設けられた養生エリア内にて組立てる。ライナブロック3Aの組立て後、養生屋根1を、支持材11を介してライナブロック3Aに支持されるように、取り付ける。
【0006】
(2)図1bは、ライナブロック3Aの吊り上げを説明する図である。ライナブロック3Aの組立作業が終了後、養生屋根1を取り外す。次に、建屋搬入用に別途用意した天秤(吊り天秤)7とクレーンフック2をワイヤ4で接続し、天秤7とライナブロック3Aをワイヤ4で接続する。この後、天秤7を介して、ライナブロック3Aを搬送手段であるクレーンで吊り上げる。
【0007】
(3)図1cは、ライナブロック3A、3Bの積み重ねを説明する図である。工程(2)で吊り上げたライナブロック3Aを、別の作業エリアにて組立てが完了したライナブロック3B上に吊り込む。開先位置(ライナブロック3Aと3Bの位置)の調整をしながら、ライナブロック3Aと3Bを冶具6にて固定する。この後、開先部の周囲を覆うように、ライナブロック3Aと作業用足場5の間の隙間に養生シートを被せ、部分養生9を施す。
【0008】
(4)図1dは、RCCVライナの組立てを説明する図である。天秤7をライナブロック3Aから取外し、養生屋根1を、クレーンを用いて搬送し、支持材11を介してライナブロック3Aの上に固定する。この後、作業足場5、部分養生9、及び養生屋根1で構成される養生エリア内で作業を行う。作業としては、例えば、ライナブロック3Aと3Bを溶接してRCCVライナを組立てたり、配管を取り付けたりする。
【0009】
(5)図1eは、RCCVライナ3への天秤の接続を説明する図である。RCCVライナ3の組立作業の完了後、養生屋根1、部分養生9、及び支持材11を取り外す。次に、原子炉建屋への搬入用に別途用意した天秤7とクレーンフック2をワイヤ4で接続し、天秤7とRCCVライナ3をワイヤ4で接続する。
【0010】
(6)図1fは、原子炉建屋へのRCCVライナ3の搬入を説明する図である。ワイヤ4で接続した天秤7とRCCVライナ3を、クレーンで吊り上げて原子炉建屋内に搬入する。原子炉建屋には、建屋の鉄骨が先行鉄骨8として組立てられているので、搬入の際には、天秤7とRCCVライナ3が先行鉄骨8と接触しないようにする。
【0011】
(7)図1gは、RCCVライナ3への養生屋根1’の設定を説明する図である。RCCVライナ3を原子炉建屋に搬入し据付けた後、クレーンを用いて天秤7を取り外す。この後、別途用意した養生屋根1’を、クレーンを用いて搬送し、支持材11を介してRCCVライナ3の上に設定する。
【0012】
従来のRCCVライナ建設は、以上の作業フロー例に従って完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−94785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
原子力プラントでは、RCCVライナ(ライナブロックも含む)の外周部の養生のため、養生屋根の周囲部は、ライナの外周部から軒のように張り出している(図1a、図1dを参照)。一方、冬季での原子炉建屋の建設など作業環境が著しく悪いサイトの場合、建屋作業の雨風及び雪よけのため、建屋を建設する際に、先行鉄骨として鉄骨構造を先行して建て、屋根及び壁面部に養生を行い、天候の影響を緩和するといった工法が採用される場合がある。このような工法では、養生屋根の周囲部が軒のようにライナから出張っている構造であると、ライナを建屋に搬入する際に、養生屋根が建屋鉄骨と干渉してしまう。このため、養生屋根をライナの建屋搬入用の天秤(吊り天秤)と兼用することができず、天秤の付け替え作業や天秤の別途用意が必要となる場合がある。
【0015】
以上説明したように、従来の技術には、天秤を別途用意したり、天秤を付け替えたりすることにより、コストや工数(工程)が増加するという課題がある。
【0016】
本発明は、RCCVライナ建設工法において、養生屋根の養生機能を損なうことなく、RCCVライナ建設のコストの低減、及び工数削減による工程短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によるRCCVライナ建設工法は、RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法であって、次のような特徴を持つ。前記RCCV全天候シールドの外周部において径方向の大きさを縮小する工程と、搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介してRCCVライナを吊り上げる工程と、前記RCCVライナの設置エリアに、前記搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して前記RCCVライナを搬入する工程とを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、RCCVライナ建設において、養生機能を損なうことなく養生屋根と天秤(吊り天秤)が兼用でき、コストの低減、及び工数削減による工程短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】ライナブロックの組立てを説明する図である。
【図1b】ライナブロックの吊り上げを説明する図である。
【図1c】ライナブロックの積み重ねを説明する図である。
【図1d】RCCVライナの組立てを説明する図である。
【図1e】RCCVライナへの天秤の接続を説明する図である。
【図1f】原子炉建屋へのRCCVライナの搬入を説明する図である。
【図1g】RCCVライナへの養生屋根の設定を説明する図である。
【図2a】ライナブロックの組立てと吊り上げを説明する図である。
【図2b】ライナブロックの積み重ねを説明する図である。
【図2c】RCCVライナの組立てを説明する図である。
【図2d】養生屋根の外周部を折りたたんで、養生屋根の径方向の大きさを縮小する作業を説明する図である。
【図2e】原子炉建屋へのRCCVライナの搬入を説明する図である。
【図2f】RCCVライナの搬入完了の状態を示す図である。
【図3a】実施例1での折りたたみ構造の概略図である。
【図3b】実施例1での折りたたみ構造を設定した養生屋根の外周部の平面図である。
【図3c】実施例1での折りたたみ構造を設定した養生屋根の外周部の断面図である。
【図3d】実施例1での折りたたみ構造により、養生屋根の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【図4a】実施例2での折りたたみ構造の概略図である。
【図4b】実施例2での折りたたみ構造を設定した養生屋根の外周部の平面図である。
【図4c】実施例2での折りたたみ構造を設定した養生屋根の外周部の断面図である。
【図4d】実施例2での折りたたみ構造により、養生屋根の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【図5a】実施例3での着脱構造を設定した養生屋根の外周部の平面図である。
【図5b】実施例3での着脱構造を設定した養生屋根の外周部の断面図である。
【図6a】実施例4での着脱構造の概略図である。
【図6b】実施例4での着脱構造を設定した養生屋根の外周部の平面図である。
【図6c】実施例4での着脱構造を設定した養生屋根の外周部の断面図である。
【図6d】実施例4での着脱構造が取り外され、養生屋根の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【図7a】実施例5での収納構造の概略図である。
【図7b】実施例5での収納構造を設定した養生屋根の外周部の平面図である。
【図7c】実施例5での収納構造を設定した養生屋根の外周部の断面図である。
【図7d】実施例5での収納構造により、養生屋根の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によるRCCVライナの建設工法は、養生屋根と吊り天秤の両方の機能を持つRCCV全天候シールドを用い、以下の特徴を有する。(1)RCCV全天候シールドをRCCVライナ(ライナブロックも含む)の養生屋根として使用する際に、支持材を介してRCCV全天候シールドをRCCVライナに固定し、RCCV全天候シールドの荷重をすべてRCCVライナにて受け持たせる。(2)RCCV全天候シールドの外周部は、RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小可能とする構造を備える。(3)RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小可能とする構造は、折りたたみ構造、着脱構造、または収納構造である。(4)天候リスクを緩和するために先行して原子炉建屋の鉄骨構造を立ち上げる工法を採用した原子力発電所に対し、作業効率を改善する建設工法である。
【0021】
RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小しない状態では、RCCV全天候シールドの径方向の大きさは、RCCVライナの径よりも大きい。RCCV全天候シールドの外周部に設けられた、RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小可能とする構造により、RCCV全天候シールドの径方向の大きさは、RCCVライナの径と等しい大きさまで、縮小することができる。すなわち、縮小後のRCCV全天候シールドの径方向の大きさは、最小でRCCVライナの径と等しくなる。
【0022】
本発明によるRCCVライナの建設工法では、RCCV全天候シールドは、外周部が径方向に縮小可能であるため、先行して立ち上げられた原子炉建屋の鉄骨構造との干渉回避が容易である。従って、天候の影響を緩和する工法を適用した原子力プラントに対しても、RCCVライナの屋外の組立作業から建屋内搬入までの一連の作業を、養生屋根の養生機能を損なうことなく、一つのRCCV全天候シールドを用いて行うことができる。このように、養生屋根と吊り天秤の両方の機能を持つRCCV全天候シールドを用いることにより、仮設設備の削減によるコストの低減、及び工数削減による工程短縮が可能となる。
【0023】
以下、本発明によるRCCVライナの建設工法の実施例について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施例では、養生屋根と吊り天秤の両方の機能を持つRCCV全天候シールドのことを、単に「養生屋根」と称する。また、先行して立ち上げられた建屋の鉄骨構造のことを「先行鉄骨」と呼び、養生屋根やライナブロックやRCCVライナの搬送手段としてクレーンを用いる。
【実施例1】
【0024】
実施例1での養生屋根(RCCV全天候シールド)は、径方向の大きさを縮小可能とする構造として、外周部に折りたたみ構造を有する。養生屋根の外周部の折りたたみ構造により、先行鉄骨との干渉を回避することができる。以下、本実施例でのRCCVライナの建設工程について、図2a〜図2fを用いて、作業フローの例を説明する。
【0025】
(1)図2aは、ライナブロック3Aの組立てと吊り上げを説明する図である。ライナブロック3Aは、作業用足場5が設けられた養生エリア内にて組立てる。ライナブロック3Aの組立て後、養生屋根10を、支持材11を介してライナブロック3Aに支持されるように、取り付ける。
【0026】
養生屋根10は、外周部に折りたたみ構造を有する。折りたたみ構造の詳細については、後述する。
【0027】
その後、養生屋根10とクレーンフック2をワイヤ4で接続し、養生屋根10とライナブロック3Aをワイヤ4で接続する。この後、支持材11と養生屋根10との固定をはずし、養生屋根10とライナブロック3Aを搬送手段であるクレーンで吊り上げる。
【0028】
この工程では、従来のRCCVライナの建設方法(図1aと図1bを参照)と比較すると、養生屋根1を取外し、原子炉建屋への搬入用に別途用意した天秤7を接続するという作業が不要であり、養生屋根10の下での組立作業が効率化できるというメリットがある。
(2)図2bは、ライナブロック3A、3Bの積み重ねを説明する図である。工程(1)で吊り上げたライナブロック3Aを、別の作業エリアにて組立てが完了したライナブロック3B上に吊り込み、ライナブロック3Bの上にライナブロック3Aを積み重ねる。開先位置(ライナブロック3Aと3Bの位置)の調整をしながら、ライナブロック3Aと3Bを冶具6にて固定する。この後、開先部の周囲を覆うように、ライナブロック3Aと作業用足場5の間の隙間に養生シートを被せ、部分養生9を施す。
【0029】
(3)図2cは、RCCVライナの組立てを説明する図である。養生屋根10とライナブロック3Aを、再び支持材11で固定する。この後、作業足場5、部分養生9、及び養生屋根10で構成される養生エリア内で作業を行う。作業としては、例えば、ライナブロック3Aと3Bを溶接してRCCVライナを組立てたり、配管を取り付けたりする。
【0030】
この工程では、従来のRCCVライナの建設方法(図1dを参照)と比較すると、天秤7をライナブロック3Aから取外し、クレーンを用いて養生屋根1を搬送するという作業が不要であり、ワイヤ4と天秤7の取外し作業、及び養生屋根1の搬送作業を削減できるというメリットがある。
(4)図2dは、養生屋根10の外周部を折りたたんで、養生屋根10の径方向の大きさを縮小する作業を説明する図である。RCCVライナ3の組立作業の完了後、RCCVライナ3を原子炉建屋へ搬入するために、養生屋根10の外周部の折りたたみ作業を行う。養生屋根10の外周部には、折りたたみ構造20が設けられている。
【0031】
この工程では、従来のRCCVライナの建設方法(図1eを参照)と比較すると、RCCVライナ3の搬入用の天秤7を別途用意し、RCCVライナ3とで接続する必要がないというメリットがある。
【0032】
ここで、図3a〜図3dを用いて、養生屋根10の外周部の折りたたみ構造20の一例と設定例を以下に示す。
【0033】
図3aは、養生屋根10の外周部に設けられる、折りたたみ構造20の概略図である。折りたたみ構造20は、ヒンジ部22、外周支持部材23、及び支持部材24を備える。
【0034】
図3bと図3cは、それぞれ、折りたたみ構造20を設定した養生屋根10の外周部の平面図と断面図である。図3bと図3cでは、養生屋根10の外周部の一部分を示しており、外周部は外周部鉄骨21のみを示している。折りたたみ構造20は、外周部鉄骨21に固定され、養生屋根10の全周囲方向に一定間隔で設置される。
【0035】
図3dは、折りたたみ構造20により、養生屋根10の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【0036】
折りたたみ構造20は、ヒンジ部22を支点に、外周支持部材23が折りたたみ可能である。通常の状態(養生屋根10の径方向の大きさを縮小しない状態)では、図3cに示すように、外周支持部材23は、支持部材24により支持され、養生屋根10の外周部から径方向外側に突き出している。この突き出した状態の外周支持部材23に対し、図3bに示すように、外周張出し材25を養生屋根10の外周部の周方向全体に設定する。外周部鉄骨21及び外周張出し材25を利用して、養生屋根10の外周全面に屋根養生用のシート等(図示せず)を設置することで、RCCVライナ3やライナブロック3A、3Bの養生機能を、養生屋根10に持たせることができる。また、図3dに示すように、外周支持部材23は、支持部材24を取り除くことで、ヒンジ部22を支点にして下方に折りたたむことができ、養生屋根10の径方向の大きさを縮小することが可能である。
【0037】
本実施例による折りたたみ構造では、支持部材24を着脱するだけで、養生屋根10の径方向の大きさを容易に縮小することができる。
【0038】
本実施例でのRCCVライナの建設工程についての作業フローの説明に戻る。
【0039】
(5)図2eは、原子炉建屋へのRCCVライナ3の搬入を説明する図である。養生屋根10の外周部の折りたたみ作業の完了後、RCCVライナ3と養生屋根10をクレーンで吊り上げて、原子炉建屋内に搬入する。原子炉建屋には、建屋の鉄骨が先行鉄骨8として組立てられているので、搬入の際には、RCCVライナ3と養生屋根10が先行鉄骨8と接触しないようにする。養生屋根10は、径方向の大きさが縮小されているので、建屋内の先行鉄骨8との干渉回避が容易である。
【0040】
(6)図2fは、RCCVライナ3の搬入完了の状態を示す図である。RCCVライナ3を原子炉建屋に搬入し据付けた後、養生屋根10とRCCVライナ3を支持材11で固定する。クレーンフック2及びワイヤ4を取り外すと、RCCVライナ3の搬入が完了となる。
【0041】
この工程では、従来のRCCVライナの建設方法(図1gを参照)と比較すると、養生屋根1’を別途用意する必要がなく、天秤7を取外し、養生屋根1’を搬送してRCCVライナ3の上に設定するという作業が不要であるというメリットがある。
【実施例2】
【0042】
実施例2での養生屋根(RCCV全天候シールド)は、径方向の大きさを縮小可能とする構造として、外周部に、実施例1と異なる折りたたみ構造を有する。実施例2でのRCCVライナの建設工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。以下では、図4a〜図4dを用いて、本実施例での折りたたみ構造の一例と設定例を以下に示す。
【0043】
図4aは、養生屋根10の外周部に設けられる、折りたたみ構造30の概略図である。折りたたみ構造30は、ヒンジ部22、外周支持部材23、及び支持部材24を備える。
【0044】
図4bと図4cは、それぞれ、折りたたみ構造30を設定した養生屋根10の外周部の平面図と断面図である。図4bと図4cでは、養生屋根10の外周部の一部分を示しており、外周部は外周部鉄骨21のみを示している。折りたたみ構造30は、外周部鉄骨21に固定され、養生屋根10の全周囲方向に一定間隔で設置される。
【0045】
図4dは、折りたたみ構造30により、養生屋根10の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【0046】
折りたたみ構造30は、ヒンジ部22を支点に、外周支持部材23が折りたたみ可能である。通常の状態(養生屋根10の径方向の大きさを縮小しない状態)では、図4cに示すように、外周支持部材23は、支持部材24により支持され、養生屋根10の外周部から径方向外側に突き出している。この突き出した状態の外周支持部材23に対し、図4bに示すように、外周張出し材25を養生屋根10の外周部の周方向全体に設定する。外周部鉄骨21及び外周張出し材25を利用して、養生屋根10の外周全面に屋根養生用のシート等(図示せず)を設置することで、RCCVライナ3やライナブロック3A、3Bの養生機能を、養生屋根10に持たせることができる。また、図4dに示すように、外周支持部材23は、支持部材24を取り除くことで、ヒンジ部22を支点にして上方に折りたたむことができ、養生屋根10の径方向の大きさを縮小することが可能である。
【0047】
本実施例による折りたたみ構造では、実施例1による折りたたみ構造と同様に、支持部材24を着脱するだけで、養生屋根10の径方向の大きさを容易に縮小することができる。
【実施例3】
【0048】
実施例3での養生屋根(RCCV全天候シールド)は、径方向の大きさを縮小可能とする構造として、外周部に着脱構造(着脱可能部)を有する。養生屋根の外周部の着脱構造により、先行鉄骨との干渉を回避することができる。実施例3でのRCCVライナの建設工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。以下では、図5a〜図5bを用いて、養生屋根10の外周部の着脱構造の一例と設定例を以下に示す。
【0049】
図5aと図5bは、それぞれ、着脱構造40を設定した養生屋根10の外周部の平面図と断面図である。図5aと図5bでは、養生屋根10の外周部の一部分を示しており、外周部は外周部鉄骨21のみを示している。着脱構造40は、外周支持部材23とボルト26を有し、外周部鉄骨21に固定され、養生屋根10の全周囲方向に一定間隔で設置される。外周支持部材23は、ボルト26により、外周部鉄骨21に対して着脱が可能である。
【0050】
通常の状態(養生屋根10の径方向の大きさを縮小しない状態)では、外周支持部材23は、図5bに示すように、ボルト26によって外周部鉄骨21に固定される。この外周部鉄骨21に固定された状態の外周支持部材23に対し、図5aに示すように、外周張出し材25を養生屋根10の外周部の周方向全体に設定する。外周部鉄骨21及び外周張出し材25を利用して、養生屋根10の外周全面に屋根養生用のシート等(図示せず)を設置することで、RCCVライナ3やライナブロック3A、3Bの養生機能を、養生屋根10に持たせることができる。また、ボルト26を取り外すことにより、外周部鉄骨21から外周支持部材23を取り外すことができ、養生屋根10の径方向の大きさを縮小することが可能である。
【0051】
本実施例による着脱構造では、ボルト26を着脱するだけで、養生屋根10の径方向の大きさを容易に縮小することができ、シンプルな構造であるため、軽量・高耐久性を図れるというメリットがある。
【実施例4】
【0052】
実施例4での養生屋根(RCCV全天候シールド)は、径方向の大きさを縮小可能とする構造として、外周部に、実施例3と異なる着脱構造(着脱可能部)を有する。実施例4でのRCCVライナの建設工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。以下では、図6a〜図6dを用いて、本実施例での着脱構造の一例と設定例を以下に示す。
【0053】
図6aは、養生屋根10の外周部に設けられる、着脱構造50の概略図である。着脱構造50は、外周支持部材23、及び支持部材24を備える。外周支持部材23には、フック部27が設けられている。
【0054】
図6bと図6cは、それぞれ、着脱構造50を設定した養生屋根10の外周部の平面図と断面図である。図6bと図6cでは、養生屋根10の外周部の一部分を示しており、外周部は外周部鉄骨21のみを示している。着脱構造50は、外周支持部材23のフック部27により、外周部鉄骨21に固定され、養生屋根10の全周囲方向に一定間隔で設置される。
【0055】
図6dは、着脱構造50が外周部鉄骨21から取り外され、養生屋根10の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【0056】
通常の状態(養生屋根10の径方向の大きさを縮小しない状態)では、図6cに示すように、外周支持部材23は、支持部材24により支持され、養生屋根10の外周部から径方向外側に突き出している。この突き出した状態の外周支持部材23に対し、図6bに示すように、外周張出し材25を養生屋根10の外周部の周方向全体に設定する。外周部鉄骨21及び外周張出し材25を利用して、養生屋根10の外周全面に屋根養生用のシート等(図示せず)を設置することで、RCCVライナ3やライナブロック3A、3Bの養生機能を、養生屋根10に持たせることができる。また、図6dに示すように、外周支持部材23と支持部材24を取り除くことで、養生屋根10の径方向の大きさを縮小することが可能である。
【0057】
本実施例による着脱構造では、外周支持部材23と支持部材24の着脱が簡易であるため、作業工数の負担が小さいというメリットがある。
【実施例5】
【0058】
実施例5での養生屋根(RCCV全天候シールド)は、径方向の大きさを縮小可能とする構造として、外周部に収納構造を有する。養生屋根の外周部の収納構造により、先行鉄骨との干渉を回避することができる。実施例5でのRCCVライナの建設工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。以下では、図7a〜図7dを用いて、養生屋根10の外周部の収納構造の一例と設定例を以下に示す。
【0059】
図7aは、養生屋根10の外周部に設けられる、収納構造60の概略図である。収納構造60は、スライド部28を備える。スライド部28は、スライドすることで養生屋根10の径方向について張出し長の調整が可能であり、養生屋根10の径方向内側に向かって自由に収納可能である。
【0060】
図7bと図7cは、それぞれ、収納構造60を設定した養生屋根10の外周部の平面図と断面図である。図7bと図7cでは、養生屋根10の外周部の一部分を示しており、外周部は外周部鉄骨21のみを示している。収納構造60は、外周部鉄骨21に固定され、養生屋根10の全周囲方向に一定間隔で設置される。
【0061】
図7dは、収納構造60により、養生屋根10の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。スライド部28は、養生屋根10の径方向内側に向かって収納されており、張出し長が短くなっている。
【0062】
通常の状態(養生屋根10の径方向の大きさを縮小しない状態)では、図7cに示すように、スライド部28は、養生屋根10の径方向外側に向かって張り出している。この張り出した状態のスライド部28に対し、図7bに示すように、外周張出し材25を養生屋根10の外周部の周方向全体に設定する。外周部鉄骨21及び外周張出し材25を利用して、養生屋根10の外周全面に屋根養生用のシート等(図示せず)を設置することで、RCCVライナ3やライナブロック3A、3Bの養生機能を、養生屋根10に持たせることができる。また、図7dに示すように、スライド部28を養生屋根10の径方向内側に向かって収納することで、養生屋根10の径方向の大きさを縮小することが可能である。
【0063】
本実施例による収納構造では、構造物の着脱が不要であり、スライド部28の張出し長を変えるだけで、養生屋根10の径方向の大きさを容易に縮小することができる。また、スライド部28の張出し長を自由に設定できるので、養生屋根10の径方向の大きさを、スライド部28の張出し可能な範囲で任意に設定できるというメリットもある。
【0064】
以上の実施例1〜5では、養生屋根(RCCV全天候シールド)の径方向の大きさを縮小可能とする構造(折りたたみ構造、着脱構造、または収納構造)は、養生屋根の全周囲方向に一定間隔で設置するとしたが、必ずしも、全周囲方向に一定間隔で設置しなくてもよい。径方向の大きさを縮小可能とする構造は、養生屋根の全周囲に設置しなくてもよく、周方向の一部に設置してもよい。また、設置間隔は、一定でなくてもよい。本実施例による径方向の大きさを縮小可能とする構造は、設置の自由度が大きいことも特徴の一つである。
【0065】
また、養生屋根(RCCV全天候シールド)の径方向の大きさは、養生屋根の全周囲について等しく縮小しなくてもよい。すなわち、養生屋根の周方向の各部分で、径方向の大きさが異なるように縮小してもよい。養生屋根の外周部に設けられた、養生屋根の径方向の大きさを縮小可能とする構造のうち、一部だけを用いて養生屋根の径方向の大きさを縮小することで、養生屋根の周方向の一部について、径方向の大きさを縮小することができる。養生屋根の径方向の大きさを縮小可能とする構造として収納構造を用いた場合には、スライド部の張出し長を変えることで、養生屋根の周方向の位置に応じて、径方向の大きさを任意に設定できる(ただし、スライド部の張出し可能な範囲で)。このように、本実施例による径方向の大きさを縮小可能とする構造は、養生屋根の径方向の大きさを、養生屋根の周方向に対して等しく縮小することができるだけでなく、周方向に対して異なるように縮小することもできるという特徴もある。
【符号の説明】
【0066】
1,1’…養生屋根、2…クレーンフック、3…RCCVライナ、3A,3B…ライナブロック、4…ワイヤ、5…作業用足場、6…冶具、7…天秤、8…先行鉄骨、9…部分養生、10…養生屋根、11…支持材、20,30…折りたたみ構造、21…養生屋根の外周部鉄骨、22…ヒンジ部、23…外周支持部材、24…支持部材、25…外周張出し材、26…ボルト、27…フック部、28…スライド部、40,50…着脱構造、60…収納構造。
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントにおけるRCCVライナの建設工法に係わり、より詳細には、RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントにおけるRCCV(鉄筋コンクリート製原子炉格納容器)は、核分裂物質が外部に漏れることを防止するためのもので、内側にはライナと呼ばれる円筒形の鋼製プレートが張られた構造となっており、大きさは高さと直径が約30mにもなる。RCCVのライナ(以下「RCCVライナ」と称し、単に「ライナ」とも称する)は、鋼板のみで約400tにもなる巨大構造物である。このため、通常、工場にてライナを構成する板を製作して現地に輸送し、原子炉建屋の周辺にて複数のブロック(ライナブロック)を作製し、ライナブロックを積み重ねて一体化させてライナを組立てた後、このライナを建屋へ搬入するのが一般的である。従来のライナの組立方法としては、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
この際、長期間にわたってライナやライナブロックが風雨や雪にさらされてしまうため、作業効率の向上と工程遅延リスクの緩和を目的に、ライナやライナブロックの外周に設置する作業足場に養生シートを張るとともに、養生屋根にてライナやライナブロックを保護する手法がとられている。
【0004】
以下、従来のRCCVライナの建設工程について、図1a〜図1gを用いて、作業フローの例を説明する。
【0005】
(1)図1aは、ライナブロック3Aの組立てを説明する図である。ライナブロック3Aは、作業用足場5が設けられた養生エリア内にて組立てる。ライナブロック3Aの組立て後、養生屋根1を、支持材11を介してライナブロック3Aに支持されるように、取り付ける。
【0006】
(2)図1bは、ライナブロック3Aの吊り上げを説明する図である。ライナブロック3Aの組立作業が終了後、養生屋根1を取り外す。次に、建屋搬入用に別途用意した天秤(吊り天秤)7とクレーンフック2をワイヤ4で接続し、天秤7とライナブロック3Aをワイヤ4で接続する。この後、天秤7を介して、ライナブロック3Aを搬送手段であるクレーンで吊り上げる。
【0007】
(3)図1cは、ライナブロック3A、3Bの積み重ねを説明する図である。工程(2)で吊り上げたライナブロック3Aを、別の作業エリアにて組立てが完了したライナブロック3B上に吊り込む。開先位置(ライナブロック3Aと3Bの位置)の調整をしながら、ライナブロック3Aと3Bを冶具6にて固定する。この後、開先部の周囲を覆うように、ライナブロック3Aと作業用足場5の間の隙間に養生シートを被せ、部分養生9を施す。
【0008】
(4)図1dは、RCCVライナの組立てを説明する図である。天秤7をライナブロック3Aから取外し、養生屋根1を、クレーンを用いて搬送し、支持材11を介してライナブロック3Aの上に固定する。この後、作業足場5、部分養生9、及び養生屋根1で構成される養生エリア内で作業を行う。作業としては、例えば、ライナブロック3Aと3Bを溶接してRCCVライナを組立てたり、配管を取り付けたりする。
【0009】
(5)図1eは、RCCVライナ3への天秤の接続を説明する図である。RCCVライナ3の組立作業の完了後、養生屋根1、部分養生9、及び支持材11を取り外す。次に、原子炉建屋への搬入用に別途用意した天秤7とクレーンフック2をワイヤ4で接続し、天秤7とRCCVライナ3をワイヤ4で接続する。
【0010】
(6)図1fは、原子炉建屋へのRCCVライナ3の搬入を説明する図である。ワイヤ4で接続した天秤7とRCCVライナ3を、クレーンで吊り上げて原子炉建屋内に搬入する。原子炉建屋には、建屋の鉄骨が先行鉄骨8として組立てられているので、搬入の際には、天秤7とRCCVライナ3が先行鉄骨8と接触しないようにする。
【0011】
(7)図1gは、RCCVライナ3への養生屋根1’の設定を説明する図である。RCCVライナ3を原子炉建屋に搬入し据付けた後、クレーンを用いて天秤7を取り外す。この後、別途用意した養生屋根1’を、クレーンを用いて搬送し、支持材11を介してRCCVライナ3の上に設定する。
【0012】
従来のRCCVライナ建設は、以上の作業フロー例に従って完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−94785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
原子力プラントでは、RCCVライナ(ライナブロックも含む)の外周部の養生のため、養生屋根の周囲部は、ライナの外周部から軒のように張り出している(図1a、図1dを参照)。一方、冬季での原子炉建屋の建設など作業環境が著しく悪いサイトの場合、建屋作業の雨風及び雪よけのため、建屋を建設する際に、先行鉄骨として鉄骨構造を先行して建て、屋根及び壁面部に養生を行い、天候の影響を緩和するといった工法が採用される場合がある。このような工法では、養生屋根の周囲部が軒のようにライナから出張っている構造であると、ライナを建屋に搬入する際に、養生屋根が建屋鉄骨と干渉してしまう。このため、養生屋根をライナの建屋搬入用の天秤(吊り天秤)と兼用することができず、天秤の付け替え作業や天秤の別途用意が必要となる場合がある。
【0015】
以上説明したように、従来の技術には、天秤を別途用意したり、天秤を付け替えたりすることにより、コストや工数(工程)が増加するという課題がある。
【0016】
本発明は、RCCVライナ建設工法において、養生屋根の養生機能を損なうことなく、RCCVライナ建設のコストの低減、及び工数削減による工程短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によるRCCVライナ建設工法は、RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法であって、次のような特徴を持つ。前記RCCV全天候シールドの外周部において径方向の大きさを縮小する工程と、搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介してRCCVライナを吊り上げる工程と、前記RCCVライナの設置エリアに、前記搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して前記RCCVライナを搬入する工程とを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、RCCVライナ建設において、養生機能を損なうことなく養生屋根と天秤(吊り天秤)が兼用でき、コストの低減、及び工数削減による工程短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】ライナブロックの組立てを説明する図である。
【図1b】ライナブロックの吊り上げを説明する図である。
【図1c】ライナブロックの積み重ねを説明する図である。
【図1d】RCCVライナの組立てを説明する図である。
【図1e】RCCVライナへの天秤の接続を説明する図である。
【図1f】原子炉建屋へのRCCVライナの搬入を説明する図である。
【図1g】RCCVライナへの養生屋根の設定を説明する図である。
【図2a】ライナブロックの組立てと吊り上げを説明する図である。
【図2b】ライナブロックの積み重ねを説明する図である。
【図2c】RCCVライナの組立てを説明する図である。
【図2d】養生屋根の外周部を折りたたんで、養生屋根の径方向の大きさを縮小する作業を説明する図である。
【図2e】原子炉建屋へのRCCVライナの搬入を説明する図である。
【図2f】RCCVライナの搬入完了の状態を示す図である。
【図3a】実施例1での折りたたみ構造の概略図である。
【図3b】実施例1での折りたたみ構造を設定した養生屋根の外周部の平面図である。
【図3c】実施例1での折りたたみ構造を設定した養生屋根の外周部の断面図である。
【図3d】実施例1での折りたたみ構造により、養生屋根の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【図4a】実施例2での折りたたみ構造の概略図である。
【図4b】実施例2での折りたたみ構造を設定した養生屋根の外周部の平面図である。
【図4c】実施例2での折りたたみ構造を設定した養生屋根の外周部の断面図である。
【図4d】実施例2での折りたたみ構造により、養生屋根の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【図5a】実施例3での着脱構造を設定した養生屋根の外周部の平面図である。
【図5b】実施例3での着脱構造を設定した養生屋根の外周部の断面図である。
【図6a】実施例4での着脱構造の概略図である。
【図6b】実施例4での着脱構造を設定した養生屋根の外周部の平面図である。
【図6c】実施例4での着脱構造を設定した養生屋根の外周部の断面図である。
【図6d】実施例4での着脱構造が取り外され、養生屋根の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【図7a】実施例5での収納構造の概略図である。
【図7b】実施例5での収納構造を設定した養生屋根の外周部の平面図である。
【図7c】実施例5での収納構造を設定した養生屋根の外周部の断面図である。
【図7d】実施例5での収納構造により、養生屋根の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によるRCCVライナの建設工法は、養生屋根と吊り天秤の両方の機能を持つRCCV全天候シールドを用い、以下の特徴を有する。(1)RCCV全天候シールドをRCCVライナ(ライナブロックも含む)の養生屋根として使用する際に、支持材を介してRCCV全天候シールドをRCCVライナに固定し、RCCV全天候シールドの荷重をすべてRCCVライナにて受け持たせる。(2)RCCV全天候シールドの外周部は、RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小可能とする構造を備える。(3)RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小可能とする構造は、折りたたみ構造、着脱構造、または収納構造である。(4)天候リスクを緩和するために先行して原子炉建屋の鉄骨構造を立ち上げる工法を採用した原子力発電所に対し、作業効率を改善する建設工法である。
【0021】
RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小しない状態では、RCCV全天候シールドの径方向の大きさは、RCCVライナの径よりも大きい。RCCV全天候シールドの外周部に設けられた、RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小可能とする構造により、RCCV全天候シールドの径方向の大きさは、RCCVライナの径と等しい大きさまで、縮小することができる。すなわち、縮小後のRCCV全天候シールドの径方向の大きさは、最小でRCCVライナの径と等しくなる。
【0022】
本発明によるRCCVライナの建設工法では、RCCV全天候シールドは、外周部が径方向に縮小可能であるため、先行して立ち上げられた原子炉建屋の鉄骨構造との干渉回避が容易である。従って、天候の影響を緩和する工法を適用した原子力プラントに対しても、RCCVライナの屋外の組立作業から建屋内搬入までの一連の作業を、養生屋根の養生機能を損なうことなく、一つのRCCV全天候シールドを用いて行うことができる。このように、養生屋根と吊り天秤の両方の機能を持つRCCV全天候シールドを用いることにより、仮設設備の削減によるコストの低減、及び工数削減による工程短縮が可能となる。
【0023】
以下、本発明によるRCCVライナの建設工法の実施例について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施例では、養生屋根と吊り天秤の両方の機能を持つRCCV全天候シールドのことを、単に「養生屋根」と称する。また、先行して立ち上げられた建屋の鉄骨構造のことを「先行鉄骨」と呼び、養生屋根やライナブロックやRCCVライナの搬送手段としてクレーンを用いる。
【実施例1】
【0024】
実施例1での養生屋根(RCCV全天候シールド)は、径方向の大きさを縮小可能とする構造として、外周部に折りたたみ構造を有する。養生屋根の外周部の折りたたみ構造により、先行鉄骨との干渉を回避することができる。以下、本実施例でのRCCVライナの建設工程について、図2a〜図2fを用いて、作業フローの例を説明する。
【0025】
(1)図2aは、ライナブロック3Aの組立てと吊り上げを説明する図である。ライナブロック3Aは、作業用足場5が設けられた養生エリア内にて組立てる。ライナブロック3Aの組立て後、養生屋根10を、支持材11を介してライナブロック3Aに支持されるように、取り付ける。
【0026】
養生屋根10は、外周部に折りたたみ構造を有する。折りたたみ構造の詳細については、後述する。
【0027】
その後、養生屋根10とクレーンフック2をワイヤ4で接続し、養生屋根10とライナブロック3Aをワイヤ4で接続する。この後、支持材11と養生屋根10との固定をはずし、養生屋根10とライナブロック3Aを搬送手段であるクレーンで吊り上げる。
【0028】
この工程では、従来のRCCVライナの建設方法(図1aと図1bを参照)と比較すると、養生屋根1を取外し、原子炉建屋への搬入用に別途用意した天秤7を接続するという作業が不要であり、養生屋根10の下での組立作業が効率化できるというメリットがある。
(2)図2bは、ライナブロック3A、3Bの積み重ねを説明する図である。工程(1)で吊り上げたライナブロック3Aを、別の作業エリアにて組立てが完了したライナブロック3B上に吊り込み、ライナブロック3Bの上にライナブロック3Aを積み重ねる。開先位置(ライナブロック3Aと3Bの位置)の調整をしながら、ライナブロック3Aと3Bを冶具6にて固定する。この後、開先部の周囲を覆うように、ライナブロック3Aと作業用足場5の間の隙間に養生シートを被せ、部分養生9を施す。
【0029】
(3)図2cは、RCCVライナの組立てを説明する図である。養生屋根10とライナブロック3Aを、再び支持材11で固定する。この後、作業足場5、部分養生9、及び養生屋根10で構成される養生エリア内で作業を行う。作業としては、例えば、ライナブロック3Aと3Bを溶接してRCCVライナを組立てたり、配管を取り付けたりする。
【0030】
この工程では、従来のRCCVライナの建設方法(図1dを参照)と比較すると、天秤7をライナブロック3Aから取外し、クレーンを用いて養生屋根1を搬送するという作業が不要であり、ワイヤ4と天秤7の取外し作業、及び養生屋根1の搬送作業を削減できるというメリットがある。
(4)図2dは、養生屋根10の外周部を折りたたんで、養生屋根10の径方向の大きさを縮小する作業を説明する図である。RCCVライナ3の組立作業の完了後、RCCVライナ3を原子炉建屋へ搬入するために、養生屋根10の外周部の折りたたみ作業を行う。養生屋根10の外周部には、折りたたみ構造20が設けられている。
【0031】
この工程では、従来のRCCVライナの建設方法(図1eを参照)と比較すると、RCCVライナ3の搬入用の天秤7を別途用意し、RCCVライナ3とで接続する必要がないというメリットがある。
【0032】
ここで、図3a〜図3dを用いて、養生屋根10の外周部の折りたたみ構造20の一例と設定例を以下に示す。
【0033】
図3aは、養生屋根10の外周部に設けられる、折りたたみ構造20の概略図である。折りたたみ構造20は、ヒンジ部22、外周支持部材23、及び支持部材24を備える。
【0034】
図3bと図3cは、それぞれ、折りたたみ構造20を設定した養生屋根10の外周部の平面図と断面図である。図3bと図3cでは、養生屋根10の外周部の一部分を示しており、外周部は外周部鉄骨21のみを示している。折りたたみ構造20は、外周部鉄骨21に固定され、養生屋根10の全周囲方向に一定間隔で設置される。
【0035】
図3dは、折りたたみ構造20により、養生屋根10の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【0036】
折りたたみ構造20は、ヒンジ部22を支点に、外周支持部材23が折りたたみ可能である。通常の状態(養生屋根10の径方向の大きさを縮小しない状態)では、図3cに示すように、外周支持部材23は、支持部材24により支持され、養生屋根10の外周部から径方向外側に突き出している。この突き出した状態の外周支持部材23に対し、図3bに示すように、外周張出し材25を養生屋根10の外周部の周方向全体に設定する。外周部鉄骨21及び外周張出し材25を利用して、養生屋根10の外周全面に屋根養生用のシート等(図示せず)を設置することで、RCCVライナ3やライナブロック3A、3Bの養生機能を、養生屋根10に持たせることができる。また、図3dに示すように、外周支持部材23は、支持部材24を取り除くことで、ヒンジ部22を支点にして下方に折りたたむことができ、養生屋根10の径方向の大きさを縮小することが可能である。
【0037】
本実施例による折りたたみ構造では、支持部材24を着脱するだけで、養生屋根10の径方向の大きさを容易に縮小することができる。
【0038】
本実施例でのRCCVライナの建設工程についての作業フローの説明に戻る。
【0039】
(5)図2eは、原子炉建屋へのRCCVライナ3の搬入を説明する図である。養生屋根10の外周部の折りたたみ作業の完了後、RCCVライナ3と養生屋根10をクレーンで吊り上げて、原子炉建屋内に搬入する。原子炉建屋には、建屋の鉄骨が先行鉄骨8として組立てられているので、搬入の際には、RCCVライナ3と養生屋根10が先行鉄骨8と接触しないようにする。養生屋根10は、径方向の大きさが縮小されているので、建屋内の先行鉄骨8との干渉回避が容易である。
【0040】
(6)図2fは、RCCVライナ3の搬入完了の状態を示す図である。RCCVライナ3を原子炉建屋に搬入し据付けた後、養生屋根10とRCCVライナ3を支持材11で固定する。クレーンフック2及びワイヤ4を取り外すと、RCCVライナ3の搬入が完了となる。
【0041】
この工程では、従来のRCCVライナの建設方法(図1gを参照)と比較すると、養生屋根1’を別途用意する必要がなく、天秤7を取外し、養生屋根1’を搬送してRCCVライナ3の上に設定するという作業が不要であるというメリットがある。
【実施例2】
【0042】
実施例2での養生屋根(RCCV全天候シールド)は、径方向の大きさを縮小可能とする構造として、外周部に、実施例1と異なる折りたたみ構造を有する。実施例2でのRCCVライナの建設工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。以下では、図4a〜図4dを用いて、本実施例での折りたたみ構造の一例と設定例を以下に示す。
【0043】
図4aは、養生屋根10の外周部に設けられる、折りたたみ構造30の概略図である。折りたたみ構造30は、ヒンジ部22、外周支持部材23、及び支持部材24を備える。
【0044】
図4bと図4cは、それぞれ、折りたたみ構造30を設定した養生屋根10の外周部の平面図と断面図である。図4bと図4cでは、養生屋根10の外周部の一部分を示しており、外周部は外周部鉄骨21のみを示している。折りたたみ構造30は、外周部鉄骨21に固定され、養生屋根10の全周囲方向に一定間隔で設置される。
【0045】
図4dは、折りたたみ構造30により、養生屋根10の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【0046】
折りたたみ構造30は、ヒンジ部22を支点に、外周支持部材23が折りたたみ可能である。通常の状態(養生屋根10の径方向の大きさを縮小しない状態)では、図4cに示すように、外周支持部材23は、支持部材24により支持され、養生屋根10の外周部から径方向外側に突き出している。この突き出した状態の外周支持部材23に対し、図4bに示すように、外周張出し材25を養生屋根10の外周部の周方向全体に設定する。外周部鉄骨21及び外周張出し材25を利用して、養生屋根10の外周全面に屋根養生用のシート等(図示せず)を設置することで、RCCVライナ3やライナブロック3A、3Bの養生機能を、養生屋根10に持たせることができる。また、図4dに示すように、外周支持部材23は、支持部材24を取り除くことで、ヒンジ部22を支点にして上方に折りたたむことができ、養生屋根10の径方向の大きさを縮小することが可能である。
【0047】
本実施例による折りたたみ構造では、実施例1による折りたたみ構造と同様に、支持部材24を着脱するだけで、養生屋根10の径方向の大きさを容易に縮小することができる。
【実施例3】
【0048】
実施例3での養生屋根(RCCV全天候シールド)は、径方向の大きさを縮小可能とする構造として、外周部に着脱構造(着脱可能部)を有する。養生屋根の外周部の着脱構造により、先行鉄骨との干渉を回避することができる。実施例3でのRCCVライナの建設工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。以下では、図5a〜図5bを用いて、養生屋根10の外周部の着脱構造の一例と設定例を以下に示す。
【0049】
図5aと図5bは、それぞれ、着脱構造40を設定した養生屋根10の外周部の平面図と断面図である。図5aと図5bでは、養生屋根10の外周部の一部分を示しており、外周部は外周部鉄骨21のみを示している。着脱構造40は、外周支持部材23とボルト26を有し、外周部鉄骨21に固定され、養生屋根10の全周囲方向に一定間隔で設置される。外周支持部材23は、ボルト26により、外周部鉄骨21に対して着脱が可能である。
【0050】
通常の状態(養生屋根10の径方向の大きさを縮小しない状態)では、外周支持部材23は、図5bに示すように、ボルト26によって外周部鉄骨21に固定される。この外周部鉄骨21に固定された状態の外周支持部材23に対し、図5aに示すように、外周張出し材25を養生屋根10の外周部の周方向全体に設定する。外周部鉄骨21及び外周張出し材25を利用して、養生屋根10の外周全面に屋根養生用のシート等(図示せず)を設置することで、RCCVライナ3やライナブロック3A、3Bの養生機能を、養生屋根10に持たせることができる。また、ボルト26を取り外すことにより、外周部鉄骨21から外周支持部材23を取り外すことができ、養生屋根10の径方向の大きさを縮小することが可能である。
【0051】
本実施例による着脱構造では、ボルト26を着脱するだけで、養生屋根10の径方向の大きさを容易に縮小することができ、シンプルな構造であるため、軽量・高耐久性を図れるというメリットがある。
【実施例4】
【0052】
実施例4での養生屋根(RCCV全天候シールド)は、径方向の大きさを縮小可能とする構造として、外周部に、実施例3と異なる着脱構造(着脱可能部)を有する。実施例4でのRCCVライナの建設工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。以下では、図6a〜図6dを用いて、本実施例での着脱構造の一例と設定例を以下に示す。
【0053】
図6aは、養生屋根10の外周部に設けられる、着脱構造50の概略図である。着脱構造50は、外周支持部材23、及び支持部材24を備える。外周支持部材23には、フック部27が設けられている。
【0054】
図6bと図6cは、それぞれ、着脱構造50を設定した養生屋根10の外周部の平面図と断面図である。図6bと図6cでは、養生屋根10の外周部の一部分を示しており、外周部は外周部鉄骨21のみを示している。着脱構造50は、外周支持部材23のフック部27により、外周部鉄骨21に固定され、養生屋根10の全周囲方向に一定間隔で設置される。
【0055】
図6dは、着脱構造50が外周部鉄骨21から取り外され、養生屋根10の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。
【0056】
通常の状態(養生屋根10の径方向の大きさを縮小しない状態)では、図6cに示すように、外周支持部材23は、支持部材24により支持され、養生屋根10の外周部から径方向外側に突き出している。この突き出した状態の外周支持部材23に対し、図6bに示すように、外周張出し材25を養生屋根10の外周部の周方向全体に設定する。外周部鉄骨21及び外周張出し材25を利用して、養生屋根10の外周全面に屋根養生用のシート等(図示せず)を設置することで、RCCVライナ3やライナブロック3A、3Bの養生機能を、養生屋根10に持たせることができる。また、図6dに示すように、外周支持部材23と支持部材24を取り除くことで、養生屋根10の径方向の大きさを縮小することが可能である。
【0057】
本実施例による着脱構造では、外周支持部材23と支持部材24の着脱が簡易であるため、作業工数の負担が小さいというメリットがある。
【実施例5】
【0058】
実施例5での養生屋根(RCCV全天候シールド)は、径方向の大きさを縮小可能とする構造として、外周部に収納構造を有する。養生屋根の外周部の収納構造により、先行鉄骨との干渉を回避することができる。実施例5でのRCCVライナの建設工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。以下では、図7a〜図7dを用いて、養生屋根10の外周部の収納構造の一例と設定例を以下に示す。
【0059】
図7aは、養生屋根10の外周部に設けられる、収納構造60の概略図である。収納構造60は、スライド部28を備える。スライド部28は、スライドすることで養生屋根10の径方向について張出し長の調整が可能であり、養生屋根10の径方向内側に向かって自由に収納可能である。
【0060】
図7bと図7cは、それぞれ、収納構造60を設定した養生屋根10の外周部の平面図と断面図である。図7bと図7cでは、養生屋根10の外周部の一部分を示しており、外周部は外周部鉄骨21のみを示している。収納構造60は、外周部鉄骨21に固定され、養生屋根10の全周囲方向に一定間隔で設置される。
【0061】
図7dは、収納構造60により、養生屋根10の径方向の大きさを縮小した状態を示す断面図である。スライド部28は、養生屋根10の径方向内側に向かって収納されており、張出し長が短くなっている。
【0062】
通常の状態(養生屋根10の径方向の大きさを縮小しない状態)では、図7cに示すように、スライド部28は、養生屋根10の径方向外側に向かって張り出している。この張り出した状態のスライド部28に対し、図7bに示すように、外周張出し材25を養生屋根10の外周部の周方向全体に設定する。外周部鉄骨21及び外周張出し材25を利用して、養生屋根10の外周全面に屋根養生用のシート等(図示せず)を設置することで、RCCVライナ3やライナブロック3A、3Bの養生機能を、養生屋根10に持たせることができる。また、図7dに示すように、スライド部28を養生屋根10の径方向内側に向かって収納することで、養生屋根10の径方向の大きさを縮小することが可能である。
【0063】
本実施例による収納構造では、構造物の着脱が不要であり、スライド部28の張出し長を変えるだけで、養生屋根10の径方向の大きさを容易に縮小することができる。また、スライド部28の張出し長を自由に設定できるので、養生屋根10の径方向の大きさを、スライド部28の張出し可能な範囲で任意に設定できるというメリットもある。
【0064】
以上の実施例1〜5では、養生屋根(RCCV全天候シールド)の径方向の大きさを縮小可能とする構造(折りたたみ構造、着脱構造、または収納構造)は、養生屋根の全周囲方向に一定間隔で設置するとしたが、必ずしも、全周囲方向に一定間隔で設置しなくてもよい。径方向の大きさを縮小可能とする構造は、養生屋根の全周囲に設置しなくてもよく、周方向の一部に設置してもよい。また、設置間隔は、一定でなくてもよい。本実施例による径方向の大きさを縮小可能とする構造は、設置の自由度が大きいことも特徴の一つである。
【0065】
また、養生屋根(RCCV全天候シールド)の径方向の大きさは、養生屋根の全周囲について等しく縮小しなくてもよい。すなわち、養生屋根の周方向の各部分で、径方向の大きさが異なるように縮小してもよい。養生屋根の外周部に設けられた、養生屋根の径方向の大きさを縮小可能とする構造のうち、一部だけを用いて養生屋根の径方向の大きさを縮小することで、養生屋根の周方向の一部について、径方向の大きさを縮小することができる。養生屋根の径方向の大きさを縮小可能とする構造として収納構造を用いた場合には、スライド部の張出し長を変えることで、養生屋根の周方向の位置に応じて、径方向の大きさを任意に設定できる(ただし、スライド部の張出し可能な範囲で)。このように、本実施例による径方向の大きさを縮小可能とする構造は、養生屋根の径方向の大きさを、養生屋根の周方向に対して等しく縮小することができるだけでなく、周方向に対して異なるように縮小することもできるという特徴もある。
【符号の説明】
【0066】
1,1’…養生屋根、2…クレーンフック、3…RCCVライナ、3A,3B…ライナブロック、4…ワイヤ、5…作業用足場、6…冶具、7…天秤、8…先行鉄骨、9…部分養生、10…養生屋根、11…支持材、20,30…折りたたみ構造、21…養生屋根の外周部鉄骨、22…ヒンジ部、23…外周支持部材、24…支持部材、25…外周張出し材、26…ボルト、27…フック部、28…スライド部、40,50…着脱構造、60…収納構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの外周部において径方向の大きさを縮小する工程と、
搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介してRCCVライナを吊り上げる工程と、
前記RCCVライナの設置エリアに、前記搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して前記RCCVライナを搬入する工程と、
を有することを特徴とするRCCVライナ建設工法。
【請求項2】
RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法において、
搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して第1のライナブロックを吊り上げる工程と、
前記搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して前記第1のライナブロックを第2のライナブロックの上に積み重ね、RCCVライナを組立てる工程と、
前記RCCV全天候シールドの外周部において径方向の大きさを縮小する工程と、
前記搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して前記RCCVライナを吊り上げる工程と、
前記RCCVライナの設置エリアに、前記搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して前記RCCVライナを搬入する工程と、
を有することを特徴とするRCCVライナ建設工法。
【請求項3】
請求項1または2記載のRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小する工程では、前記RCCVライナの径より大きい前記RCCV全天候シールドの径を、少なくとも前記RCCVライナの径と等しくなるように縮小するRCCVライナ建設工法。
【請求項4】
請求項1または2記載のRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小する工程では、前記RCCV全天候シールドの外周部を折りたたむRCCVライナ建設工法。
【請求項5】
請求項1または2記載のRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小する工程では、前記RCCV全天候シールドの外周部の着脱可能部を取り外すRCCVライナ建設工法。
【請求項6】
請求項1または2記載のRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小する工程では、前記RCCV全天候シールドの外周部のスライド部を、前記RCCV全天候シールドの径方向内側に向かってスライドさせるRCCVライナ建設工法。
【請求項7】
請求項1または2記載のRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小する工程では、前記RCCV全天候シールドの周方向の一部について、前記RCCV全天候シールドの径を縮小するRCCVライナ建設工法。
【請求項1】
RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの外周部において径方向の大きさを縮小する工程と、
搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介してRCCVライナを吊り上げる工程と、
前記RCCVライナの設置エリアに、前記搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して前記RCCVライナを搬入する工程と、
を有することを特徴とするRCCVライナ建設工法。
【請求項2】
RCCV全天候シールドを用いるRCCVライナ建設工法において、
搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して第1のライナブロックを吊り上げる工程と、
前記搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して前記第1のライナブロックを第2のライナブロックの上に積み重ね、RCCVライナを組立てる工程と、
前記RCCV全天候シールドの外周部において径方向の大きさを縮小する工程と、
前記搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して前記RCCVライナを吊り上げる工程と、
前記RCCVライナの設置エリアに、前記搬送手段により、前記RCCV全天候シールドを介して前記RCCVライナを搬入する工程と、
を有することを特徴とするRCCVライナ建設工法。
【請求項3】
請求項1または2記載のRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小する工程では、前記RCCVライナの径より大きい前記RCCV全天候シールドの径を、少なくとも前記RCCVライナの径と等しくなるように縮小するRCCVライナ建設工法。
【請求項4】
請求項1または2記載のRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小する工程では、前記RCCV全天候シールドの外周部を折りたたむRCCVライナ建設工法。
【請求項5】
請求項1または2記載のRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小する工程では、前記RCCV全天候シールドの外周部の着脱可能部を取り外すRCCVライナ建設工法。
【請求項6】
請求項1または2記載のRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小する工程では、前記RCCV全天候シールドの外周部のスライド部を、前記RCCV全天候シールドの径方向内側に向かってスライドさせるRCCVライナ建設工法。
【請求項7】
請求項1または2記載のRCCVライナ建設工法において、
前記RCCV全天候シールドの径方向の大きさを縮小する工程では、前記RCCV全天候シールドの周方向の一部について、前記RCCV全天候シールドの径を縮小するRCCVライナ建設工法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【公開番号】特開2013−61160(P2013−61160A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198024(P2011−198024)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
[ Back to top ]