RFエネルギにより誘発される局所高体温を与える非侵襲性の装置及び方法
ガン治療を向上するための高体温処置を与える装置は、アプリケータボディ部と、アプリケータボディ部と操作上関連する複数のアンテナを含む。アプリケータボディ部は、アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定する。アンテナは、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列して配置された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列されている。利用時には、乳房や胸郭などの組織が、キャビティ内に浸される、若しくはキャビティに搭載されるピローの上で支持される。キャビティは、RFエネルギが伝達され組織を加熱する消イオン水などの流体を含む。高体温処置は放射線治療若しくは化学療法などのガン関連治療の効果を増すために用いられてもよい。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2003年5月14日出願の米国特許出願シリアル番号10/437838号を基礎にして優先権を主張するものであり、その内容の全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0002】
[政府の権益]
本発明は、国立衛生研究所により認められた認可番号5P01 CA 427 45−16の下での政府支援により形成された。政府は本発明に確固たる権利を有するものである。
【0003】
[技術分野]
本発明は、概略、生体組織などの所望のターゲット内に高体温を誘発することに関する。特に、本発明は、電子エネルギの定常波を生体組織へ向ける位相アンテナを用いて、腫瘍包含組織などの組織に局所的に高体温を非侵襲で誘発することに関する。本発明の有効利用は、ガン関連治療処置の効果を高めるものである。
【0004】
[背景技術]
乳ガン、特に炎症性且つ局所性腫瘍などの、あるタイプのガンは、従来の処置に抵抗することがしばしばである。そのような乳房腫瘍の罹病者の60〜70%は5年後生存していないことが、統計上示されている。放射線療法や化学療法などの、ガン治療の従来の方法の効力は、安全のため投薬量に関する制約の必要性のために、制限がある。例えば、化学療法は、腫瘍の全てのガン細胞を実質的に殺すのに十分な量で、加えても良いことが知られている。しかしながら、このことを達成するのに必要な化学療法の量は、患者の中毒症及び/又は過度の副作用を発生するのに十分な量でもある。別の例として、放射線療法に従って加えられるX線ビーム強度は、近傍の重要な機関及び周辺の健康な組織を損傷する程高いものであってはならない。従って、現存のガン関連治療処置を向上させ、これにより健康組織への損傷のリスクを増加させず且つガン患者の更なる不快を生じないで、有効性を高める技術を開発するという、進行中のニーズが存在する。
【0005】
ガン治療を改良するための昨今のアプローチの一つは、高体温処置に腫瘍を曝す、というものである。ガンへの熱の利用は、種々の提示された理由のために、所定のタイプの治療の効力を増強することが、見出されている。マイクロ波及び無線周波数(RF)エネルギ源は、高体温処置を行うのに採用されている。マイクロ波エネルギは、波動管を利用して腫瘍に加えられる。しかしながら、マイクロ波が伝搬する比較的高い周波数は、組織内への深い浸透には不適切である。RFエネルギもいくらか利用され、比較的低い周波数のためより大きい浸透を達成する可能性を有する。しかしながら、マイクロ波とRF周波数は、ワイヤ、カテーテル、ルーメン、プローブ、レシーバ等の、侵襲性要素の利用を必要とした。これらの侵襲性要素は、通常、腫瘍位置にて電磁気エネルギの適切な連結と集束を保証するために、処置されるべき腫瘍の中に挿入され、若しくは嵌め込まれる。侵襲性要素の利用により手順の複雑生が増してしまい、患者に対する不快源となる。マイクロは及びRFエネルギを利用する侵襲性加熱技術の例は、米国特許番号5928159号、6275738号、6358246号、6391026号及び6468273号に開示される。
【0006】
従って、制御可能で干渉可能なように、腫瘍に対して電磁気エネルギ、望ましくはRFエネルギを加え、従来技術に係る問題点を回避し又は減少させるような、腫瘍内の高体温を非侵襲で減少する方法及び装置を提示することが望ましい。
【0007】
[発明の概要]
一つの実施形態によると、ガン治療を向上するための高体温処置を与える装置は、アプリケータボディ部と複数のアンテナを含む。アプリケータボディ部は、アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定する。アンテナは、アプリケータボディ部と操作上関連し、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列されている。
【0008】
別の実施形態によると、ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法は、以下の工程を含む。腫瘍含有組織が、流体を含むキャビティを画定するボディ部と、操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して、配置される。RFエネルギが、アンテナから流体を介して組織まで伝達され組織を加熱する。
【0009】
更に別の実施形態によると、ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法は、以下の工程を含む。腫瘍含有組織が、腫瘍関連治療手順を実施することによって処置される。組織が、流体を含むキャビティを画定するボディ部と、操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して配置される。RFエネルギが、アンテナから流体を介して組織の中まで伝達され組織を加熱する。
【0010】
従って、制御されたRFエネルギを印加して局所の高体温を誘発する装置及び方法を与えることが目的である。
【0011】
上記目的は本発明の全体としての若しくは部分的な目的であるが、以下に最も良く示すように、添付の図面と関連付けると、説明が進むにつれ別の目的も明らかとなる。
【0012】
[発明の詳細な説明]
図1A及び図1Bを参照すると、概略符号HTAが付される、本発明の一つの実施形態に係る高体温処置装置が示される。高体温処置装置THAは、まず、概略符号TAを付される処置アプリケータと、概略符号ECを付される関連電気回路(図2C及び図8参照、以下に詳述する)とを含む。処置アプリケータTAは、概略符号12が付されるボディ部を有し、該ボディ部12は、腫瘍発生組織などの生物組織が電磁気連結を介してRF電磁気エネルギに曝されるように近位に配置され得るような開口キャビティを形成するべく構築される。一つの実施形態では、ボディ部12は、LEXAN(登録商標)などの透明ポリマ部材から構築される。ボディ12のプロファイルは図のように多角形でもよく、概略半球体でも半卵形体でもよい。本明細書に示す高体温処置装置HTAの実施形態は、乳房及び胸郭の壁の腫瘍の処置に対して、特に有効である。このために、処置アプリケータTAは、(例えば、テーブル、ベッド若しくは寝椅子などの)適切な患者支持構造20のカットアウト部位内に搭載され、このときキャビティ14は患者支持構造20の上部面20Aに向かって開口する。一つの実施形態では、患者支持構造20は、ベース部22及び詰め物部24を含む。この構成により、患者は、処置すべき乳房若しくは胸郭壁がキャビティ14内の下方に寄りかかることで若しくは向くことで、上部面20Aにうつ伏せ状態で快適に横たわることができる。
【0013】
ある実施形態では、高体温処置装置HTAは更に、ネジ、ボルト及びナットなどの適切な固定手段(図示せず)により処置アプリケータTAの上面に固定される(例えば、乳房若しくは胸郭壁などの)組織支持構造30を含む。図1A及び図1Bでは、組織支持構造30は、キャビティ14の中に延在し乳房のための付加的な支持を与えるコンテナ32を含む。組織支持構造30の利用は、概略乳房の大きさに拠る。更に、コンテナ32はカップ形状若しくはボウル形状で示されているが、コンテナ32の大きさ及び形状は概略乳房の大きさ及び形状に拠るものである。
【0014】
更に図1A及び図1Bに示すように、好適な実施形態に係る高体温処置装置HTAの操作の間、処置アプリケータTAのキャビティ14及び組織支持構造30のコンテナ32は(利用時には)消イオン水などの適切な流体Fで充たされている。乳房若しくは他の組織は、処置の間流体F内に浸されている。図1Bで示すように、流体Fを概略矢印で示すようにキャビティ14の入口34A及び出口34Bを介して循環させ組織周りに均等に熱を配給することによって、流体Fの温度は、皮膚のやけどを回避し患者の快適性を向上するように調整され得る。図1Bの矢印は、適切な温度調整システムTRSと連絡する液体コンジットを経由する流体の流れを表す。誘電率が患者の組織と同様であり、最小限の反射エネルギで(以下に述べるように)処置アプリケータTAによってRFエネルギが実効的に伝搬され指図されるので、水は流体Fとして有用である。少なくとも、空気は水ほど実効的に熱を伝導できず誘電率が約10倍水と異なることから、流体Fとしての水の利用は、空気に優ると考えられる。
【0015】
図2A図2Dを参照すると、4アンテナの実施形態に係る処置アプリケータTAの詳細が示される。処置アプリケータTAのボディ部12は、6ボディ区画若しくは壁部画定キャビティ14を含む。図示する例では、ボディ部12の区画は、ボディ部12のアパーチャ36面に概略直交する2つの対向側面区画12E、12Fと、アパーチャ36に対して角度をなす2つの対向側面区画12A、12Dと、2つの角度をなす底面区画12B、12Cを含む。アパーチャ36は、直交する側面区画12E、12F、及び角度をなす側面区画12A、12Dの夫々の上部縁により、形成される。アンテナANT1−ANT4は、角度をなす側面区画12A、12D及び角度をなす底面区画12B、12Cの各々の中に、夫々配置される。但し、角度をなす側面区画12A、12D及び角度をなす底面区画12B、12Cには、それ以上若しくはそれ以下のアンテナは配置され得ない。角度をなす側面区画12A、12D及び角度をなす底面区画12B、12Cの内側面にアンテナANT1−ANT4を接着することなどの適切な方法で、アンテナANT1−ANT4がボディ部12に固定され得る。アンテナANT1−ANT4は、水などの選ばれた流体を介してRFエネルギを伝達するのに適切であれば、どんなデザインであってもよい。本明細書に示される好適な実施形態では、個々のアンテナANT1−ANT4は、概略C形状アンテナ素子38A、38Cのペアから構成される“ボータイ”若しくは“H”形状を有する。個々のペアに対して、アンテナ素子38A、38B(図2C)は、互いに逆向きになっており、夫々の対応する脚部が互いから離れて開口している。アンテナANT1−ANT4は、角度をなす側面区画12A、12D及び角度をなす底面区画12B、12Cに沿って配列され、このことによりキャビティ14内に若しくはキャビティ14を覆って配置される組織に向かって、RF定常波が干渉して収束し得る。図2Bは、乳房BRの腫瘍塊TMに集束するRF定常波の可干渉性パターンを概略示す。図2Cに示されるように、個々のアンテナANT1−ANT4は、個々の低損失出力ケーブルOC1−OC4を介して電気回路ECと接続し、以下に説明するようにRFエネルギを供給する。
【0016】
図3を参照すると、組織支持構造30は、コンテナ32が下方に延在するプレート42を含む。プレート42はキャビティ14を覆う寸法であり、このことにより組織支持構造30は、例えばリム44において、ボディ部12上に搭載されることが可能となる。組織支持構造30は適切な手段によりボディ部12に固定されればよい。一つの例として、プレート及びリム44の個々のアパーチャ42A、44Aを介して切られるネジ(図示せず)、又は、アパーチャ42A、44Aを介して伸展しナットで保持されるボルトを、利用することが挙げられる。
【0017】
更に図3に示されるように、ある実施形態では、磁気コイルデバイスMCは、処置すべき乳房若しくは他の組織の周りを囲うように、コンテナ32の内側若しくは外側に搭載される。磁気コイルデバイスMCは、適切な磁気共鳴映像(MRI)デバイスMRIに接続し、これにより処置の間乳房の中の腫瘍の画像を生成できる。他の公知の視覚装置の利用と異なり、MRI映像は温度と相関し得るため、磁気コイルデバイスMCは温度感知デバイスとして利用できる。別の実施形態では、温度感知デバイスは、当業者に知られているように、カテーテルなどを介して乳房の中に物理的に挿入される温度計の形態で、設定される。しかしながら、磁気コイルデバイスMCの利用は非侵襲性のものであり、処置を受ける患者に対して与える不快感はずっと少ない。
【0018】
図4を参照すると、5アンテナの実施形態に係る処置アプリケータTAが示される。処置アプリケータTAのボディ部52は、キャビティ14を画定する5区画即ち壁を含む。図示される例では、ボディ部12区画は、ボディ部12のアパーチャ36面に概略直交する2つの対向側面区画52D、52Eと、アパーチャ36に対して角度をなす2つの対向側面区画52A、52Cと、アパーチャ36に略平行な底面区画52Bを含む。アンテナANT1−ANT5は、角度をなす側面区画52A、底面区画52B、角度をなす側面区画52C、直交する側面区画52D、及び直交する側面区画52Eの中に、夫々配置される。但し、個々の区画52A−52Eには、それ以上若しくはそれ以下のアンテナは配置され得ない。アンテナANT1−ANT5は、図2A−図2D及び図3に関して本明細書に記すように、適切な方法でボディ部52に固定されればよく、どのようなデザインでもよい。図4に示す実施形態では、側面区画52A、52Cは、角度をなす部位54A、54B及び直交部位56A、56Bの両方を夫々含み、更に、部位54A、56A及び54B、56Bの両方を覆って配置される対応するアンテナANT1、ANT3を含み、該アンテナANT1、ANT3は、RF定常波がキャビティ14内に配置される組織に向かって伝搬する付加的な方向を与える。
【0019】
図5を参照すると、6アンテナの実施形態に係る処置アプリケータTAが示される。処置アプリケータTAのボディ部12は、図2A−図2D及び図3に示されるものと類似する。しかしながら、図5では、2本の追加のアンテナANT5、ANT6が加えられ、垂直の側面区画12E、12Fに夫々設けられる。アンテナANT1−ANT6は、適切な方法でボディ部12に固定されればよく、図2A−図2Dに関して本明細書に述べるようなボータイ形状などの、どのようなデザインであってもよい。
【0020】
所与の高体温処置に対する、処置アプリケータTAの4、5、若しくは6本のアンテナの形態の選択は、乳房の寸法及び/又は形状などの処置すべき組織のタイプ、処置すべき腫瘍のタイプ、配置及び進行度、及び所与の腫瘍の処置のために最適と判断されるRF定常波のパターンなどを含む要因により、決定され得る。処置アプリケータTAと共に組織支持構造30を利用するか否かの決定は、これらの要因にも依存し得る。例えば、組織支持構造30の無い処置アプリケータTAの4アンテナの実施形態の利用は、左右相称の疾病に罹っている大きい寸法の乳房に対して、提示され得るものである。
【0021】
図6及び図7を参照すると、組織支持構造30が、消イオン水などの適切な流体Fで充たされたピロー62の形態で与えられ更にシラスティック膜64などの平面構造に付属された別の実施形態の処置アプリケータTAが、示される。図1A、図1B、図3及び図4に示される組織支持構造30のプレートと同様に、膜64は、キャビティ14を覆う寸法であり、ピロー62を処置アプリケータTAのボディ部12上に搭載できるものである。図7に示すように、ピロー62は、患者支持構造30の上部面20Aと略面一になる寸法である。ピロー62は、表在性の即ち皮膚の疾患、及び乳房切除後の胸郭壁再生を処置するのに有用である。患者は患者支持構造20上にうつ伏せ状に快適に配置され、処置アプリケータTAのアンテナANTと操作上配列されて、胸郭壁をピロー62上に配置する。
【0022】
図8を参照すると、ブロック図が、高体温処置装置HTA(例えば、図1A及び図1B参照)のアンテナANT1−ANT4を駆動するのに適切な電気回路ECの一つの実施形態を示している。電気回路ECの第1の機能は、所望の周波数(例えば、約130−160MHz)でのRF信号を生成し、独立のチャネルCH1−CH4の信号のパワーを分割して高体温処置装置HTAに設けられる対応のアンテナANT1−ANT4に供給することである。更に、好適な実施形態の電気回路ECにより、個々のチャネルCH1−CH4内で、RF信号の振幅の減衰がチャネルCH1−CH4における最終的な出力パワーを制御し得ることになる。しなしながら、チャネルCH1−CH4のうちの少なくとも幾つかでは、電気回路ECにより、RF信号の位相の変動が、高体温処置装置HTAのキャビティ14内にRF定常波を確立できる。そのRF定常波は、利用される高体温処置装置HTAの形態、処置される組織のタイプ、組織を侵す腫瘍の特性、(例えば、手術前、乳房切除後などの)患者の状態、及び(例えば、化学治療、放射線治療などの)高体温処置装置HTAにより高められるべき治療のタイプに対して、最適なものである。更なる実施形態では、電気回路ECは、高体温処置手順の間の、個々のチャネルCH1−CH4の振幅及び位相の閉ループ制御を行う。更なる実施形態では、電気回路ECにより、インピーダンス整合が、アンテナANT1−ANT4へのRFパワーの転送を最適化できる。
【0023】
図8に示す例示の形態では、電気回路ECは適切なタイプのRF信号ジェネレータ102を含み、タイプの一つの例は(カリフォルニア州パロアルト)ヒューレットパッカードから入手可能なHP8647A信号ジェネレータである。RF信号ジェネレータ102は、システムのための初期RF信号を生成する。初期信号は2ウエイパワーデバイダ104で分割され、以下に述べる目的のため参照ラインRLを超える参照信号を供給する。メインの初期信号は、プレアンプ106により増幅され4ウエイパワーデバイダ108に供給される。4ウエイパワーデバイダ108では、増幅された信号が4つのチャネルCH1−CH4の中に分割される。但し、それ以上若しくはそれ以下のチャネルは配置され得ない。
【0024】
簡潔のために、図8は、第1、第2、及び第3のチャネルCH1−CH3と関連する要素の全ては示していない。しかしながら、第1、第2、及び第3のチャネルCH1−CH3と関連する回路は、第4の回路CH4の回路と同様である。全てのチャネルCH1−CH4は、電子可変減衰器110を含む。この形態における一つの主要な差異は、第1のチャネルCH1は電子可変位相シフタ112を含まないが、第2、第3及び第4のチャネルCH2−CH4の各々は、位相シフタ112を含む、ということである。
【0025】
例示の第4のチャネルCH4を辿っていくと、第4のチャネルCH4に対して供される分割されたRF信号は、可変減衰器110に供給され、ここで第4のチャネルCH4の信号の振幅、従って最終の出力パワーが制御され得る。第4のチャネルCH4の出力位相は位相シフタ112により制御される。信号の位相及び振幅が設定された後、高パワー増幅器114が信号を例えば160Wなどの最大動力まで増幅する。適切な高パワー増幅器114の一つの例は、(アイダホ州ポストフォール)LCFエンタープライズから入手可能である。信号が適切に調整されると、信号は、低損失出力ケーブルOC4の長さに渡って転送され、処置アプリケータTA(例えば、図2C参照)のキャビティ14の中に信号が出力される第4のアンテナANT4に到る。
【0026】
図8を参照すると、電子回路ECは、高パワー増幅器114の後に配置される循環器116であって、第4のチャネルCH4の残部から高パワー増幅器114を分離し装荷状況にて信頼性高く高パワー増幅器114が動作しうる循環器116を、含み得る。循環器116は臨床例で特に有用である。けだしアンテナANT1−ANT4の装荷状況は処置毎に異なりインピーダンス不整合に繋がり得るからである。更に、高域濾波器118が、所定のカットオフ周波数で信号を濾波するために設けられている。この例では、システムの帯域幅は約100−200MHzの幅となる。但し、実際の帯域幅は循環器116及び広域濾波器118を利用するために、更に狭くなり得る。RF周波数は、適切な浸透を供するには高過ぎる周波数にて本明細書で伝搬すると考察されるマイクロ波などの他の周波数の範囲とは全く異なって、腫瘍が存在する組織の中に充分な深さの浸透を保証し得るほど、充分に低いものであるべきである。
【0027】
電子回路ECは、動作の間振幅及び位相をモニタし調整するための閉ループフィードバック回路も、含む。第4のチャネルCH4の出力にて、二元方向カプラ120が、出力ケーブルOC4内の前方パワー及び反射パワーの一部を分岐し、夫々のサンプルラインSL1−SL2を介してこれらのサンプル信号をスイッチ122に供給する。適切な二元方向カプラ120の例は、(オハイオ州ソロン)バード電子から入手可能である。他のチャネルCH1−CH4の夫々の二元方向カプラ120も、追加のサンプルラインSLnに示すように、スイッチ122へのサンプル信号を供給する。スイッチ122は、選択されたチャネルCH1−CH4をベクトル電圧計124に接続する。該ベクトル電圧計124はサンプル化されたチャネルCH1−CH4の振幅及び位相を計測する。スイッチ122は、チャネルCH1−CH4の全てを介して循環し若しくは走査するように制御され、このことにより全てのチャネルCH1−CH4に対する位相及び振幅の計測が毎秒数回コンピュータ126によりベクトル電圧計124から読み取られる。適切なコンピュータ126の例は、DELL(登録商標)モデルNo.XP120C PCコンピュータである。コンピュータ126は、コンピュータ126の中央処理装置(CPU)により実行可能なソフトウエアアルゴリズムに対する入力として、ベクトル電圧計124により生成される計測値を受ける。アルゴリズムはこれらの計測値を所定の設定のポイントと対照し、制御信号ラインCL1、CL2を超えて可変減衰器110及び位相シフタ112の夫々に制御信号を送ることによって、適切な調整を行う。
【0028】
全ての信号CH1−CH4に対する位相計測は、同じ参照信号に関して為されるべきである。第1のチャネルCH1の位相は常にゼロであり位相シフタ112を要求しないのであるから、本実施形態では第1のチャネルCH1はシステムの参照チャネルとして任意に選択される。したがって、第1のチャネルCH1は、ベクトル電圧計124へ参照入力を与えるための論理的選択となる。しなしながら、ある処置に対しては、第1のチャネルCH1は閉じられ無活動であることもある。ベクトル電圧計124がこの状況の下でも計測を確実にできるようにするために、メインの信号が4ウエイパワーデバイダ108でチャネルCH1−CH4の中に分割される前に、(処置の間常にオンである)RF信号ジェネレータ102からの信号の一部が、2ウエイパワーデバイダ104により参照ラインRLを超えてベクトル電圧計124にまで経路付けられる。
【0029】
電気回路ECにより与えられるRFパワーシステムは較正され、これによりベクトル電圧器124は個々のチャネルCH1−CH4からサンプルされた信号を正確に計測することができる。サンプルはスイッチ122からベクトル電圧計124への選択された入力に対応するポイントBにて計測されるが、RF信号の位相及び振幅はポイントAにおいてより大きい利得となる。ここで出力ケーブルOC4はアンテナANT4に付属する。個々のチャネルCH1−CH4を較正するために、二元方向カプラ120の入力は信号生成器に繋がり、通常アンテナANT4に繋がる出力ケーブルOC4のポイントAが、参照ラインRLの適所にベクトル電圧計124の参照信号ポートに接続し、従ってベクトル電圧計124に対する参照信号となる。ベクトル電圧計124は、周波数帯に渡ってポイントAとポイントBの間の位相及び振幅の差異を計測する。システムが図8に示される標準的な動作構成内に再接続されると、コンピュータ126は較正の間に計測される値を引き出し、それらをポイントBにおけるベクトル電圧計124読み出し値に追加しポイントAにおける振幅及び位相を再構築する。このプロセスはコンピュータ126内で実行されるソフトウエアにより実装される。
【0030】
RFエネルギ源からアンテナANT1−ANT4へのパワー転送の効率を増すため、電気回路ECはインピーダンス整合するように設定されるのがよい。当業者には理解されるように、アンテナANT1−ANT4から放射されるパワー量は周波数依存のものである。所定のアンテナANT1−ANT4のインピーダンスが対応する出力ケーブルOC1−OC4のもの(通常50オームインピーダンス)に近くないならば、インピーダンス不整合が生じ、アンテナANT1−ANT4に送られるRFエネルギの多くは、ダミー負荷128が吸収するシステムの中に戻されることになる。所定のアンテナANT1−ANT4の入力インピーダンスは、処置アプリケータTAの内部に配置される負荷の材料及び形状に依存し得る。負荷は処置によって変化するので、どの周波数が最良のインピーダンス整合であるかを知ることは必ずしも可能ではない。この問題は、システムの利用可能な帯領域に渡って個々のチャネルCH1−CH4を走査し、個々の周波数において隠避―断上記ス整合(即ち、送りのパワーに対する戻りのパワーの比率)を記録することによって、解決し得る。チャネルCH1−CH4が類似の周波数で全て整合する一方で、それらは厳密に同じ周波数においては整合しない。個々の周波数における全体のシステムの整合は、その周波数における最悪のチャネルの整合で採られるべきである。全体システムが最良の整合となる周波数を治療専門家が利用することが、提案されている。
【0031】
処置の間、インピーダンスが例えば患者の動きのために変わることがあり得る。結果として、システムのインピーダンス整合が処置の間に変わることがあり得ることになる。コンピュータ126によって実行されるソフトウエアによって実装され得る整合アルゴリズムは、処置の間どのポイントでも実施可能であり、周波数を変えることが有利であるか否かを判断する。整合アルゴリズムに対する入力は、RF信号ジェネレータ102の周波数設定、個々のチャネルCH1−CH4の増幅器(例えば、第4のチャネルCH4の高パワー増幅器114)に対するパワー設定、及び個々のチャネルCH1−CH4に対する位相設定を含む。個々のチャネルCH1−CH4に対して、コンピュータ126は、ベクトル電圧計124により計測される送りのパワー、戻りのパワー、及び位相を、更には増幅器電流を、表示できる。ベクトル電圧計124は、適宜の間隔(例えば、毎秒20回)で個々のチャネルCH1−CH4内の位相、送りのパワー及び戻りのパワーをサンプル化し、夫々の設定値と対照し、制御信号ラインCL1、CL2における夫々の電圧を調整して個々のチャネルCH1−CH4に罹る可変減衰器110及び可変シフタ112を制御する。
【0032】
このように、電気回路ECが処置アプリケータTA(図1−7)に対して4チャネルRFパワー源を与えることがわかる。このパワー源は7段階の自由度、即ち調整度(約0−160Wの範囲の4つのパワー設定、約−180〜+180°の範囲の3つの相対位相設定)を伴う。この例において4つのチャネルCH1−CH4全てがフルパワーで動作するならば、システムは640Wの全体出力を供給し得る。
【0033】
図8の例により示される電子回路ECは処置アプリケータTA(図2A−図3)の4アンテナの形態を駆動するように構成されているが、(例えば、図4−図7などの)処置アプリケータTAの他のどの形態にも適応するように電子回路ECを変更すること、若しくは類似の回路を得ることが可能であることは、当業者には理解し得るところである。例えば、処置アプリケータ(図4)の5アンテナの形態を利用する場合、第4のチャネルCH4の出力は、1つではなく2つのアンテナANT4及びANT5を駆動する同軸2ウエイスプリッタを用いて分割され得る。
【0034】
更に、上述のアルゴリズムは、ビジュアルベーシック、C++などの適当な言語で書かれた適切なソフトウエアによって実装され得ることは、当業者には理解され得るところである。
【0035】
動作時には、高体温処置装置HTA(図1A−図8参照)が、同期アンテナアレイから消イオン水などの媒体を介して繋がれる可干渉性集束RFエネルギの利用により利を得る部材を加熱するために、採用され得る。上述のように、高体温処置装置HTAは、手術前の患者の局所進行した若しくは炎症性の乳ガンの、及び乳房切除後の胸郭疾患の再発の処置に、特に有効である。処置すべき内部の組織及び腫瘍の性質に依存して、処置アプリケータTAの構成は、例えば以下の点から選択される。処置アプリケータTAの4、5、6、又は他の数のアンテナの形態を利用するのかどうか、組織支持構造30を用いるのかどうか(例えば、図3、図4、図5及び図7参照)、及びコンテナ32(図3、図4参照)ピロー62(図6、図7参照)が組織維持構造30として利用されるのかどうか、などである。
【0036】
処置アプリケータTAが選択されると、アクティブとなるべき電気回路ECのチャネルCH1−CH4が選択され、更に個々のアクティブチャネルCH1−CH4に伝えるべき信号のための所望の設定(例えば、振幅及び位相)が選択される。更に、RF信号ジェネレータ102の周波数設定が選択される。これらの種々の設定は、例えば処置アプリケータTAに対して選択された構成に合わせて作られた処置アプリケータTAのキャビティ14内に有益なRF定常波パターンを作成するように、選択される。コンピュータ126(図8)により実行されるソフトウエアはこの最適化でアシストするように構成されてもよい。患者は、上述のように腫瘍含有組織が処置アプリケータTA上若しくは内で支持されて、患者支持構造20上に配置される。概略、組織はアンテナANTを操作上整列させて特徴付けされ得る。つまり、組織は、電磁気結合と直接RF定常波を腫瘍に適切に加えるようにキャビティ14内に浸される、又はキャビティ14を覆って支持される若しくは近位に近接して支持される、ということである。電気回路ECは上述のように、RFエネルギを処置アプリケータTAに供給するように動作され、アンテナANTはRFエネルギをキャビティ14を介して腫瘍含有組織にブロードキャストし、これにより腫瘍は加熱される。更に、処置アプリケータTAは、患者にとって快適な温度設定でキャビティ14を介して消イオン水などの流体Fを循環するように、温度調整デバイスTRD(図1B)と接続するのが好ましい。所定のスケジュールに従って(例えば、サイクルあたり1時間、3週間に1サイクル、全体で4サイクル)高体温処置はこのように進行する。
【0037】
高体温処置装置HTAは、ガン患者に加えられる腫瘍関連治療処置を向上するメカニズムとして、特に有効である。治療処置は通常高体温処置装置HTAの利用の前に実施されるが、本明細書に開示される形態の実施は、腫瘍関連治療及び高体温処置が実施される順序に限定されるものではない、と思われる。一つの例は放射線治療であり、その効果は、処置される腫瘍へ熱を加えることで改善されることが示されている。別の例は化学療法である。
【0038】
特に、あるタイプの化学療法は、リポソームカプセル若しくはコーティングで患者に投与される。処置アプリケータTAが患者の腫瘍にRFエネルギを集束するのに採用される場合、組織の結果としての加熱には多数の利点がある。加熱は、化学療法に付随するリポソームの分解を促進する。加熱は血流からリポソームを引き出し諸苦節に腫瘍位置に加え、リポソームが最も必要な場所に化学療法に付随するリポソームを集中させる。腫瘍の血管は、通常の血管よりもずっと漏れやすく無秩序である。加熱は通常よりも血管を引き離し、これによりリポソームは漏れ出して腫瘍の間質の空間の中に溜まることができる。従って、化学療法薬は腫瘍に優先的に供給され周囲組織には供給されない。高体温処置の間に加熱されない患者身体の通常組織では、化学療法薬は、通常3若しくは4週間の期間をかけて、患者の肝臓及び脾臓が有毒側面の効果に鈍くなるような充分な遅さで、ゆっくりと漏れ出す。更に、本明細書で開示される高体温により与えられる熱は、ガン細胞そのものへの化学療法薬の摂取の速度を増す。更に加熱は、腫瘍内の酸素レベルを増し、このことは、適切な機能が酸素に大きく依存する多くの化学療法薬にとって、有効である。又、ガン細胞が複製し得る能力を制御するメカニズムを妨げることによって、加熱は化学療法薬の効能を高める。更に、加熱は、通常DNA損傷を修復する酵素を抑制することによって、化学療法がガン細胞に加えるDNA損傷のレベルを、増幅する。
【0039】
昨今、加熱に応じて素早く溶融し、約20秒の加熱の時間内にその中身を直接腫瘍の中にダンプする“融解する”リポソームが開発されている。これらのリポソームうちには、約40°C(104°F)などの正確に決定された融解点を有するものがある。このようなリポソーム内にカプセル化された化学療法薬の効果は、本明細書に開示された実施形態に係る高体温処置を実施することで、高められることが好ましい。例えば、図1A及び図1Bを参照すると、処置アプリケータTAのキャビティ14内で循環する流体Fの浴槽は、温度調節デバイスにより40°Cに維持され得る。この40°Cは、加熱の利点を保証するには充分な暖かさであり、患者の皮膚のやけどを回避するには充分な冷却さである。
【0040】
リポソームを介する化学療法薬の注入を伴う高体温処置装置HTAを用いた高体温処置を経験する患者に関する、治療前及び位相Iの治療の研究から、データが得られた。特に、新たに診断された乳ガンに苦しむ21人の女性が、12週の高体温トライアルに参加した。リポソームの内側に化学療法薬をカプセル化すると、従来の技術と比較して腫瘍の位置に30倍以上の化学療法薬の供給が可能になりしかも体の残部には何ら毒を与えない。患者は、従来の化学療法よりも、吐き気、頭痛、及び心性毒性を経験することが概略少ない。更に、結果は、組み合わされた治療は全ての患者の腫瘍の成長を停止し、少なくとも患者の半分の腫瘍を縮めた、というものであった。11パーセントの患者は、外科的残物を分析して乳房組織にガンが見出されなかったということを意味する完全な病理的反応を有した。33パーセントの患者は、腫瘍の可視的徴候がもはや検出されなかったということを意味する完全な臨床反応を有した。17パーセントの患者は、乳房切除の候補者から乳腺腫瘤摘出の候補者に変更された。
【0041】
組み合わされた治療/高体温治療の限定の無い例の一つとして、従来のガン治療(例えば、化学療法及び/又は放射線療法)を患者に与え、続いて組織内に腫瘍の正確な配置を位置付けるCT若しくは他の適切な操作技術を行う、というものがある。高体温処置は上述のように与えられる。最終的な高体温処置が与えられた後、腫瘍放射担当者は適切な手段により腫瘍の収縮を計測し、腫瘍を除去するのに最も侵襲の少ないタイプの手術を推奨する。この段階で指示があれば、手術後、組織内の非検出のガン細胞を殺す追加の治療及び高体温処置を行う。
【0042】
ガン治療の従来の順序では、手術が先ず行われ、最後に化学療法及び放射線が行われる。本明細書で開示される方法はその従来の順序を留保するものとして特徴付けられ得ることが、先述の開示内容から理解され得る。高体温処置装置HTAは、処置が手術の前に生じることを意味する、“新補助的手段”治療と呼ばれる最近の治療モデルの一部として、実装される。多くのケースにおいて、新補助的手段治療は、より論理的な順序の処置事象である。けだし、より侵襲の少ない手術を要求するからであり、より広範囲の処置関連の選択肢を患者に提示するからである。さらに、本明細書に開示される方法は更に、周囲組織を損傷せず且つ誤ったガン細胞を残すことなく医者が充分にうまく除去できる程腫瘍を収縮するという処置の目標を有し得る。
【0043】
上述の実施形態は、細胞壊死、化学反応速度、及び触媒作用などの、ガン治療の直接の範囲の他の潜在的な利用例を含む、ということが理解され得る。
【0044】
本発明の様々な細部は、本発明の範囲から乖離することなく変更しうることが理解される。更に、本発明は本明細書に設定される請求項により定義されるのであるが、上述の説明は例示のみの目的のものであり、限定の目的のものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1A】図1Aは、本明細書に開示される実施形態に係る高体温処置装置の側面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示される高体温処置装置の平面図である。
【図2A】図2Aは、本明細書に開示される一つの実施形態に係る高体温処置装置に備わる処置アプリケータの斜視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示される処置アプリケータの側面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aに示される処置アプリケータの平面図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示される処置アプリケータの正面図である。
【図3】図3は、図2Aに示される処置アプリケータと、本明細書に開示される一つの実施形態に係る組織支持構造との、分解斜視図である。
【図4】図4は、別の実施形態に係る処置アプリケータと、組織支持構造との分解斜視図である。
【図5】図5は、更に別の実施形態に係る処置アプリケータの斜視図である。
【図6】図6は、更に別の実施形態に係る組織支持構造の斜視図である。
【図7】図7は、図2Bに示す処置アプリケータと図6に示す組織支持構造を含む高体温処置装置の部分側面図であり、両方とも患者支持構造内に搭載される。
【図8】図8は、本明細書に開示される実施形態に係る高体温処置装置に備わる電気回路の概要図である。
【符号の説明】
【0046】
HTA・・・高体温処置装置、TA・・・処置アプリケータ、12・・・アプリケータボディ部、14・・・キャビティ、20・・・患者支持構造、30・・・組織支持構造、102・・・RF信号ジェネレータ、108・・・4ウエイパワーデバイダ、124・・・ベクトル電圧計、126・・・コンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2003年5月14日出願の米国特許出願シリアル番号10/437838号を基礎にして優先権を主張するものであり、その内容の全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0002】
[政府の権益]
本発明は、国立衛生研究所により認められた認可番号5P01 CA 427 45−16の下での政府支援により形成された。政府は本発明に確固たる権利を有するものである。
【0003】
[技術分野]
本発明は、概略、生体組織などの所望のターゲット内に高体温を誘発することに関する。特に、本発明は、電子エネルギの定常波を生体組織へ向ける位相アンテナを用いて、腫瘍包含組織などの組織に局所的に高体温を非侵襲で誘発することに関する。本発明の有効利用は、ガン関連治療処置の効果を高めるものである。
【0004】
[背景技術]
乳ガン、特に炎症性且つ局所性腫瘍などの、あるタイプのガンは、従来の処置に抵抗することがしばしばである。そのような乳房腫瘍の罹病者の60〜70%は5年後生存していないことが、統計上示されている。放射線療法や化学療法などの、ガン治療の従来の方法の効力は、安全のため投薬量に関する制約の必要性のために、制限がある。例えば、化学療法は、腫瘍の全てのガン細胞を実質的に殺すのに十分な量で、加えても良いことが知られている。しかしながら、このことを達成するのに必要な化学療法の量は、患者の中毒症及び/又は過度の副作用を発生するのに十分な量でもある。別の例として、放射線療法に従って加えられるX線ビーム強度は、近傍の重要な機関及び周辺の健康な組織を損傷する程高いものであってはならない。従って、現存のガン関連治療処置を向上させ、これにより健康組織への損傷のリスクを増加させず且つガン患者の更なる不快を生じないで、有効性を高める技術を開発するという、進行中のニーズが存在する。
【0005】
ガン治療を改良するための昨今のアプローチの一つは、高体温処置に腫瘍を曝す、というものである。ガンへの熱の利用は、種々の提示された理由のために、所定のタイプの治療の効力を増強することが、見出されている。マイクロ波及び無線周波数(RF)エネルギ源は、高体温処置を行うのに採用されている。マイクロ波エネルギは、波動管を利用して腫瘍に加えられる。しかしながら、マイクロ波が伝搬する比較的高い周波数は、組織内への深い浸透には不適切である。RFエネルギもいくらか利用され、比較的低い周波数のためより大きい浸透を達成する可能性を有する。しかしながら、マイクロ波とRF周波数は、ワイヤ、カテーテル、ルーメン、プローブ、レシーバ等の、侵襲性要素の利用を必要とした。これらの侵襲性要素は、通常、腫瘍位置にて電磁気エネルギの適切な連結と集束を保証するために、処置されるべき腫瘍の中に挿入され、若しくは嵌め込まれる。侵襲性要素の利用により手順の複雑生が増してしまい、患者に対する不快源となる。マイクロは及びRFエネルギを利用する侵襲性加熱技術の例は、米国特許番号5928159号、6275738号、6358246号、6391026号及び6468273号に開示される。
【0006】
従って、制御可能で干渉可能なように、腫瘍に対して電磁気エネルギ、望ましくはRFエネルギを加え、従来技術に係る問題点を回避し又は減少させるような、腫瘍内の高体温を非侵襲で減少する方法及び装置を提示することが望ましい。
【0007】
[発明の概要]
一つの実施形態によると、ガン治療を向上するための高体温処置を与える装置は、アプリケータボディ部と複数のアンテナを含む。アプリケータボディ部は、アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定する。アンテナは、アプリケータボディ部と操作上関連し、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列されている。
【0008】
別の実施形態によると、ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法は、以下の工程を含む。腫瘍含有組織が、流体を含むキャビティを画定するボディ部と、操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して、配置される。RFエネルギが、アンテナから流体を介して組織まで伝達され組織を加熱する。
【0009】
更に別の実施形態によると、ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法は、以下の工程を含む。腫瘍含有組織が、腫瘍関連治療手順を実施することによって処置される。組織が、流体を含むキャビティを画定するボディ部と、操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して配置される。RFエネルギが、アンテナから流体を介して組織の中まで伝達され組織を加熱する。
【0010】
従って、制御されたRFエネルギを印加して局所の高体温を誘発する装置及び方法を与えることが目的である。
【0011】
上記目的は本発明の全体としての若しくは部分的な目的であるが、以下に最も良く示すように、添付の図面と関連付けると、説明が進むにつれ別の目的も明らかとなる。
【0012】
[発明の詳細な説明]
図1A及び図1Bを参照すると、概略符号HTAが付される、本発明の一つの実施形態に係る高体温処置装置が示される。高体温処置装置THAは、まず、概略符号TAを付される処置アプリケータと、概略符号ECを付される関連電気回路(図2C及び図8参照、以下に詳述する)とを含む。処置アプリケータTAは、概略符号12が付されるボディ部を有し、該ボディ部12は、腫瘍発生組織などの生物組織が電磁気連結を介してRF電磁気エネルギに曝されるように近位に配置され得るような開口キャビティを形成するべく構築される。一つの実施形態では、ボディ部12は、LEXAN(登録商標)などの透明ポリマ部材から構築される。ボディ12のプロファイルは図のように多角形でもよく、概略半球体でも半卵形体でもよい。本明細書に示す高体温処置装置HTAの実施形態は、乳房及び胸郭の壁の腫瘍の処置に対して、特に有効である。このために、処置アプリケータTAは、(例えば、テーブル、ベッド若しくは寝椅子などの)適切な患者支持構造20のカットアウト部位内に搭載され、このときキャビティ14は患者支持構造20の上部面20Aに向かって開口する。一つの実施形態では、患者支持構造20は、ベース部22及び詰め物部24を含む。この構成により、患者は、処置すべき乳房若しくは胸郭壁がキャビティ14内の下方に寄りかかることで若しくは向くことで、上部面20Aにうつ伏せ状態で快適に横たわることができる。
【0013】
ある実施形態では、高体温処置装置HTAは更に、ネジ、ボルト及びナットなどの適切な固定手段(図示せず)により処置アプリケータTAの上面に固定される(例えば、乳房若しくは胸郭壁などの)組織支持構造30を含む。図1A及び図1Bでは、組織支持構造30は、キャビティ14の中に延在し乳房のための付加的な支持を与えるコンテナ32を含む。組織支持構造30の利用は、概略乳房の大きさに拠る。更に、コンテナ32はカップ形状若しくはボウル形状で示されているが、コンテナ32の大きさ及び形状は概略乳房の大きさ及び形状に拠るものである。
【0014】
更に図1A及び図1Bに示すように、好適な実施形態に係る高体温処置装置HTAの操作の間、処置アプリケータTAのキャビティ14及び組織支持構造30のコンテナ32は(利用時には)消イオン水などの適切な流体Fで充たされている。乳房若しくは他の組織は、処置の間流体F内に浸されている。図1Bで示すように、流体Fを概略矢印で示すようにキャビティ14の入口34A及び出口34Bを介して循環させ組織周りに均等に熱を配給することによって、流体Fの温度は、皮膚のやけどを回避し患者の快適性を向上するように調整され得る。図1Bの矢印は、適切な温度調整システムTRSと連絡する液体コンジットを経由する流体の流れを表す。誘電率が患者の組織と同様であり、最小限の反射エネルギで(以下に述べるように)処置アプリケータTAによってRFエネルギが実効的に伝搬され指図されるので、水は流体Fとして有用である。少なくとも、空気は水ほど実効的に熱を伝導できず誘電率が約10倍水と異なることから、流体Fとしての水の利用は、空気に優ると考えられる。
【0015】
図2A図2Dを参照すると、4アンテナの実施形態に係る処置アプリケータTAの詳細が示される。処置アプリケータTAのボディ部12は、6ボディ区画若しくは壁部画定キャビティ14を含む。図示する例では、ボディ部12の区画は、ボディ部12のアパーチャ36面に概略直交する2つの対向側面区画12E、12Fと、アパーチャ36に対して角度をなす2つの対向側面区画12A、12Dと、2つの角度をなす底面区画12B、12Cを含む。アパーチャ36は、直交する側面区画12E、12F、及び角度をなす側面区画12A、12Dの夫々の上部縁により、形成される。アンテナANT1−ANT4は、角度をなす側面区画12A、12D及び角度をなす底面区画12B、12Cの各々の中に、夫々配置される。但し、角度をなす側面区画12A、12D及び角度をなす底面区画12B、12Cには、それ以上若しくはそれ以下のアンテナは配置され得ない。角度をなす側面区画12A、12D及び角度をなす底面区画12B、12Cの内側面にアンテナANT1−ANT4を接着することなどの適切な方法で、アンテナANT1−ANT4がボディ部12に固定され得る。アンテナANT1−ANT4は、水などの選ばれた流体を介してRFエネルギを伝達するのに適切であれば、どんなデザインであってもよい。本明細書に示される好適な実施形態では、個々のアンテナANT1−ANT4は、概略C形状アンテナ素子38A、38Cのペアから構成される“ボータイ”若しくは“H”形状を有する。個々のペアに対して、アンテナ素子38A、38B(図2C)は、互いに逆向きになっており、夫々の対応する脚部が互いから離れて開口している。アンテナANT1−ANT4は、角度をなす側面区画12A、12D及び角度をなす底面区画12B、12Cに沿って配列され、このことによりキャビティ14内に若しくはキャビティ14を覆って配置される組織に向かって、RF定常波が干渉して収束し得る。図2Bは、乳房BRの腫瘍塊TMに集束するRF定常波の可干渉性パターンを概略示す。図2Cに示されるように、個々のアンテナANT1−ANT4は、個々の低損失出力ケーブルOC1−OC4を介して電気回路ECと接続し、以下に説明するようにRFエネルギを供給する。
【0016】
図3を参照すると、組織支持構造30は、コンテナ32が下方に延在するプレート42を含む。プレート42はキャビティ14を覆う寸法であり、このことにより組織支持構造30は、例えばリム44において、ボディ部12上に搭載されることが可能となる。組織支持構造30は適切な手段によりボディ部12に固定されればよい。一つの例として、プレート及びリム44の個々のアパーチャ42A、44Aを介して切られるネジ(図示せず)、又は、アパーチャ42A、44Aを介して伸展しナットで保持されるボルトを、利用することが挙げられる。
【0017】
更に図3に示されるように、ある実施形態では、磁気コイルデバイスMCは、処置すべき乳房若しくは他の組織の周りを囲うように、コンテナ32の内側若しくは外側に搭載される。磁気コイルデバイスMCは、適切な磁気共鳴映像(MRI)デバイスMRIに接続し、これにより処置の間乳房の中の腫瘍の画像を生成できる。他の公知の視覚装置の利用と異なり、MRI映像は温度と相関し得るため、磁気コイルデバイスMCは温度感知デバイスとして利用できる。別の実施形態では、温度感知デバイスは、当業者に知られているように、カテーテルなどを介して乳房の中に物理的に挿入される温度計の形態で、設定される。しかしながら、磁気コイルデバイスMCの利用は非侵襲性のものであり、処置を受ける患者に対して与える不快感はずっと少ない。
【0018】
図4を参照すると、5アンテナの実施形態に係る処置アプリケータTAが示される。処置アプリケータTAのボディ部52は、キャビティ14を画定する5区画即ち壁を含む。図示される例では、ボディ部12区画は、ボディ部12のアパーチャ36面に概略直交する2つの対向側面区画52D、52Eと、アパーチャ36に対して角度をなす2つの対向側面区画52A、52Cと、アパーチャ36に略平行な底面区画52Bを含む。アンテナANT1−ANT5は、角度をなす側面区画52A、底面区画52B、角度をなす側面区画52C、直交する側面区画52D、及び直交する側面区画52Eの中に、夫々配置される。但し、個々の区画52A−52Eには、それ以上若しくはそれ以下のアンテナは配置され得ない。アンテナANT1−ANT5は、図2A−図2D及び図3に関して本明細書に記すように、適切な方法でボディ部52に固定されればよく、どのようなデザインでもよい。図4に示す実施形態では、側面区画52A、52Cは、角度をなす部位54A、54B及び直交部位56A、56Bの両方を夫々含み、更に、部位54A、56A及び54B、56Bの両方を覆って配置される対応するアンテナANT1、ANT3を含み、該アンテナANT1、ANT3は、RF定常波がキャビティ14内に配置される組織に向かって伝搬する付加的な方向を与える。
【0019】
図5を参照すると、6アンテナの実施形態に係る処置アプリケータTAが示される。処置アプリケータTAのボディ部12は、図2A−図2D及び図3に示されるものと類似する。しかしながら、図5では、2本の追加のアンテナANT5、ANT6が加えられ、垂直の側面区画12E、12Fに夫々設けられる。アンテナANT1−ANT6は、適切な方法でボディ部12に固定されればよく、図2A−図2Dに関して本明細書に述べるようなボータイ形状などの、どのようなデザインであってもよい。
【0020】
所与の高体温処置に対する、処置アプリケータTAの4、5、若しくは6本のアンテナの形態の選択は、乳房の寸法及び/又は形状などの処置すべき組織のタイプ、処置すべき腫瘍のタイプ、配置及び進行度、及び所与の腫瘍の処置のために最適と判断されるRF定常波のパターンなどを含む要因により、決定され得る。処置アプリケータTAと共に組織支持構造30を利用するか否かの決定は、これらの要因にも依存し得る。例えば、組織支持構造30の無い処置アプリケータTAの4アンテナの実施形態の利用は、左右相称の疾病に罹っている大きい寸法の乳房に対して、提示され得るものである。
【0021】
図6及び図7を参照すると、組織支持構造30が、消イオン水などの適切な流体Fで充たされたピロー62の形態で与えられ更にシラスティック膜64などの平面構造に付属された別の実施形態の処置アプリケータTAが、示される。図1A、図1B、図3及び図4に示される組織支持構造30のプレートと同様に、膜64は、キャビティ14を覆う寸法であり、ピロー62を処置アプリケータTAのボディ部12上に搭載できるものである。図7に示すように、ピロー62は、患者支持構造30の上部面20Aと略面一になる寸法である。ピロー62は、表在性の即ち皮膚の疾患、及び乳房切除後の胸郭壁再生を処置するのに有用である。患者は患者支持構造20上にうつ伏せ状に快適に配置され、処置アプリケータTAのアンテナANTと操作上配列されて、胸郭壁をピロー62上に配置する。
【0022】
図8を参照すると、ブロック図が、高体温処置装置HTA(例えば、図1A及び図1B参照)のアンテナANT1−ANT4を駆動するのに適切な電気回路ECの一つの実施形態を示している。電気回路ECの第1の機能は、所望の周波数(例えば、約130−160MHz)でのRF信号を生成し、独立のチャネルCH1−CH4の信号のパワーを分割して高体温処置装置HTAに設けられる対応のアンテナANT1−ANT4に供給することである。更に、好適な実施形態の電気回路ECにより、個々のチャネルCH1−CH4内で、RF信号の振幅の減衰がチャネルCH1−CH4における最終的な出力パワーを制御し得ることになる。しなしながら、チャネルCH1−CH4のうちの少なくとも幾つかでは、電気回路ECにより、RF信号の位相の変動が、高体温処置装置HTAのキャビティ14内にRF定常波を確立できる。そのRF定常波は、利用される高体温処置装置HTAの形態、処置される組織のタイプ、組織を侵す腫瘍の特性、(例えば、手術前、乳房切除後などの)患者の状態、及び(例えば、化学治療、放射線治療などの)高体温処置装置HTAにより高められるべき治療のタイプに対して、最適なものである。更なる実施形態では、電気回路ECは、高体温処置手順の間の、個々のチャネルCH1−CH4の振幅及び位相の閉ループ制御を行う。更なる実施形態では、電気回路ECにより、インピーダンス整合が、アンテナANT1−ANT4へのRFパワーの転送を最適化できる。
【0023】
図8に示す例示の形態では、電気回路ECは適切なタイプのRF信号ジェネレータ102を含み、タイプの一つの例は(カリフォルニア州パロアルト)ヒューレットパッカードから入手可能なHP8647A信号ジェネレータである。RF信号ジェネレータ102は、システムのための初期RF信号を生成する。初期信号は2ウエイパワーデバイダ104で分割され、以下に述べる目的のため参照ラインRLを超える参照信号を供給する。メインの初期信号は、プレアンプ106により増幅され4ウエイパワーデバイダ108に供給される。4ウエイパワーデバイダ108では、増幅された信号が4つのチャネルCH1−CH4の中に分割される。但し、それ以上若しくはそれ以下のチャネルは配置され得ない。
【0024】
簡潔のために、図8は、第1、第2、及び第3のチャネルCH1−CH3と関連する要素の全ては示していない。しかしながら、第1、第2、及び第3のチャネルCH1−CH3と関連する回路は、第4の回路CH4の回路と同様である。全てのチャネルCH1−CH4は、電子可変減衰器110を含む。この形態における一つの主要な差異は、第1のチャネルCH1は電子可変位相シフタ112を含まないが、第2、第3及び第4のチャネルCH2−CH4の各々は、位相シフタ112を含む、ということである。
【0025】
例示の第4のチャネルCH4を辿っていくと、第4のチャネルCH4に対して供される分割されたRF信号は、可変減衰器110に供給され、ここで第4のチャネルCH4の信号の振幅、従って最終の出力パワーが制御され得る。第4のチャネルCH4の出力位相は位相シフタ112により制御される。信号の位相及び振幅が設定された後、高パワー増幅器114が信号を例えば160Wなどの最大動力まで増幅する。適切な高パワー増幅器114の一つの例は、(アイダホ州ポストフォール)LCFエンタープライズから入手可能である。信号が適切に調整されると、信号は、低損失出力ケーブルOC4の長さに渡って転送され、処置アプリケータTA(例えば、図2C参照)のキャビティ14の中に信号が出力される第4のアンテナANT4に到る。
【0026】
図8を参照すると、電子回路ECは、高パワー増幅器114の後に配置される循環器116であって、第4のチャネルCH4の残部から高パワー増幅器114を分離し装荷状況にて信頼性高く高パワー増幅器114が動作しうる循環器116を、含み得る。循環器116は臨床例で特に有用である。けだしアンテナANT1−ANT4の装荷状況は処置毎に異なりインピーダンス不整合に繋がり得るからである。更に、高域濾波器118が、所定のカットオフ周波数で信号を濾波するために設けられている。この例では、システムの帯域幅は約100−200MHzの幅となる。但し、実際の帯域幅は循環器116及び広域濾波器118を利用するために、更に狭くなり得る。RF周波数は、適切な浸透を供するには高過ぎる周波数にて本明細書で伝搬すると考察されるマイクロ波などの他の周波数の範囲とは全く異なって、腫瘍が存在する組織の中に充分な深さの浸透を保証し得るほど、充分に低いものであるべきである。
【0027】
電子回路ECは、動作の間振幅及び位相をモニタし調整するための閉ループフィードバック回路も、含む。第4のチャネルCH4の出力にて、二元方向カプラ120が、出力ケーブルOC4内の前方パワー及び反射パワーの一部を分岐し、夫々のサンプルラインSL1−SL2を介してこれらのサンプル信号をスイッチ122に供給する。適切な二元方向カプラ120の例は、(オハイオ州ソロン)バード電子から入手可能である。他のチャネルCH1−CH4の夫々の二元方向カプラ120も、追加のサンプルラインSLnに示すように、スイッチ122へのサンプル信号を供給する。スイッチ122は、選択されたチャネルCH1−CH4をベクトル電圧計124に接続する。該ベクトル電圧計124はサンプル化されたチャネルCH1−CH4の振幅及び位相を計測する。スイッチ122は、チャネルCH1−CH4の全てを介して循環し若しくは走査するように制御され、このことにより全てのチャネルCH1−CH4に対する位相及び振幅の計測が毎秒数回コンピュータ126によりベクトル電圧計124から読み取られる。適切なコンピュータ126の例は、DELL(登録商標)モデルNo.XP120C PCコンピュータである。コンピュータ126は、コンピュータ126の中央処理装置(CPU)により実行可能なソフトウエアアルゴリズムに対する入力として、ベクトル電圧計124により生成される計測値を受ける。アルゴリズムはこれらの計測値を所定の設定のポイントと対照し、制御信号ラインCL1、CL2を超えて可変減衰器110及び位相シフタ112の夫々に制御信号を送ることによって、適切な調整を行う。
【0028】
全ての信号CH1−CH4に対する位相計測は、同じ参照信号に関して為されるべきである。第1のチャネルCH1の位相は常にゼロであり位相シフタ112を要求しないのであるから、本実施形態では第1のチャネルCH1はシステムの参照チャネルとして任意に選択される。したがって、第1のチャネルCH1は、ベクトル電圧計124へ参照入力を与えるための論理的選択となる。しなしながら、ある処置に対しては、第1のチャネルCH1は閉じられ無活動であることもある。ベクトル電圧計124がこの状況の下でも計測を確実にできるようにするために、メインの信号が4ウエイパワーデバイダ108でチャネルCH1−CH4の中に分割される前に、(処置の間常にオンである)RF信号ジェネレータ102からの信号の一部が、2ウエイパワーデバイダ104により参照ラインRLを超えてベクトル電圧計124にまで経路付けられる。
【0029】
電気回路ECにより与えられるRFパワーシステムは較正され、これによりベクトル電圧器124は個々のチャネルCH1−CH4からサンプルされた信号を正確に計測することができる。サンプルはスイッチ122からベクトル電圧計124への選択された入力に対応するポイントBにて計測されるが、RF信号の位相及び振幅はポイントAにおいてより大きい利得となる。ここで出力ケーブルOC4はアンテナANT4に付属する。個々のチャネルCH1−CH4を較正するために、二元方向カプラ120の入力は信号生成器に繋がり、通常アンテナANT4に繋がる出力ケーブルOC4のポイントAが、参照ラインRLの適所にベクトル電圧計124の参照信号ポートに接続し、従ってベクトル電圧計124に対する参照信号となる。ベクトル電圧計124は、周波数帯に渡ってポイントAとポイントBの間の位相及び振幅の差異を計測する。システムが図8に示される標準的な動作構成内に再接続されると、コンピュータ126は較正の間に計測される値を引き出し、それらをポイントBにおけるベクトル電圧計124読み出し値に追加しポイントAにおける振幅及び位相を再構築する。このプロセスはコンピュータ126内で実行されるソフトウエアにより実装される。
【0030】
RFエネルギ源からアンテナANT1−ANT4へのパワー転送の効率を増すため、電気回路ECはインピーダンス整合するように設定されるのがよい。当業者には理解されるように、アンテナANT1−ANT4から放射されるパワー量は周波数依存のものである。所定のアンテナANT1−ANT4のインピーダンスが対応する出力ケーブルOC1−OC4のもの(通常50オームインピーダンス)に近くないならば、インピーダンス不整合が生じ、アンテナANT1−ANT4に送られるRFエネルギの多くは、ダミー負荷128が吸収するシステムの中に戻されることになる。所定のアンテナANT1−ANT4の入力インピーダンスは、処置アプリケータTAの内部に配置される負荷の材料及び形状に依存し得る。負荷は処置によって変化するので、どの周波数が最良のインピーダンス整合であるかを知ることは必ずしも可能ではない。この問題は、システムの利用可能な帯領域に渡って個々のチャネルCH1−CH4を走査し、個々の周波数において隠避―断上記ス整合(即ち、送りのパワーに対する戻りのパワーの比率)を記録することによって、解決し得る。チャネルCH1−CH4が類似の周波数で全て整合する一方で、それらは厳密に同じ周波数においては整合しない。個々の周波数における全体のシステムの整合は、その周波数における最悪のチャネルの整合で採られるべきである。全体システムが最良の整合となる周波数を治療専門家が利用することが、提案されている。
【0031】
処置の間、インピーダンスが例えば患者の動きのために変わることがあり得る。結果として、システムのインピーダンス整合が処置の間に変わることがあり得ることになる。コンピュータ126によって実行されるソフトウエアによって実装され得る整合アルゴリズムは、処置の間どのポイントでも実施可能であり、周波数を変えることが有利であるか否かを判断する。整合アルゴリズムに対する入力は、RF信号ジェネレータ102の周波数設定、個々のチャネルCH1−CH4の増幅器(例えば、第4のチャネルCH4の高パワー増幅器114)に対するパワー設定、及び個々のチャネルCH1−CH4に対する位相設定を含む。個々のチャネルCH1−CH4に対して、コンピュータ126は、ベクトル電圧計124により計測される送りのパワー、戻りのパワー、及び位相を、更には増幅器電流を、表示できる。ベクトル電圧計124は、適宜の間隔(例えば、毎秒20回)で個々のチャネルCH1−CH4内の位相、送りのパワー及び戻りのパワーをサンプル化し、夫々の設定値と対照し、制御信号ラインCL1、CL2における夫々の電圧を調整して個々のチャネルCH1−CH4に罹る可変減衰器110及び可変シフタ112を制御する。
【0032】
このように、電気回路ECが処置アプリケータTA(図1−7)に対して4チャネルRFパワー源を与えることがわかる。このパワー源は7段階の自由度、即ち調整度(約0−160Wの範囲の4つのパワー設定、約−180〜+180°の範囲の3つの相対位相設定)を伴う。この例において4つのチャネルCH1−CH4全てがフルパワーで動作するならば、システムは640Wの全体出力を供給し得る。
【0033】
図8の例により示される電子回路ECは処置アプリケータTA(図2A−図3)の4アンテナの形態を駆動するように構成されているが、(例えば、図4−図7などの)処置アプリケータTAの他のどの形態にも適応するように電子回路ECを変更すること、若しくは類似の回路を得ることが可能であることは、当業者には理解し得るところである。例えば、処置アプリケータ(図4)の5アンテナの形態を利用する場合、第4のチャネルCH4の出力は、1つではなく2つのアンテナANT4及びANT5を駆動する同軸2ウエイスプリッタを用いて分割され得る。
【0034】
更に、上述のアルゴリズムは、ビジュアルベーシック、C++などの適当な言語で書かれた適切なソフトウエアによって実装され得ることは、当業者には理解され得るところである。
【0035】
動作時には、高体温処置装置HTA(図1A−図8参照)が、同期アンテナアレイから消イオン水などの媒体を介して繋がれる可干渉性集束RFエネルギの利用により利を得る部材を加熱するために、採用され得る。上述のように、高体温処置装置HTAは、手術前の患者の局所進行した若しくは炎症性の乳ガンの、及び乳房切除後の胸郭疾患の再発の処置に、特に有効である。処置すべき内部の組織及び腫瘍の性質に依存して、処置アプリケータTAの構成は、例えば以下の点から選択される。処置アプリケータTAの4、5、6、又は他の数のアンテナの形態を利用するのかどうか、組織支持構造30を用いるのかどうか(例えば、図3、図4、図5及び図7参照)、及びコンテナ32(図3、図4参照)ピロー62(図6、図7参照)が組織維持構造30として利用されるのかどうか、などである。
【0036】
処置アプリケータTAが選択されると、アクティブとなるべき電気回路ECのチャネルCH1−CH4が選択され、更に個々のアクティブチャネルCH1−CH4に伝えるべき信号のための所望の設定(例えば、振幅及び位相)が選択される。更に、RF信号ジェネレータ102の周波数設定が選択される。これらの種々の設定は、例えば処置アプリケータTAに対して選択された構成に合わせて作られた処置アプリケータTAのキャビティ14内に有益なRF定常波パターンを作成するように、選択される。コンピュータ126(図8)により実行されるソフトウエアはこの最適化でアシストするように構成されてもよい。患者は、上述のように腫瘍含有組織が処置アプリケータTA上若しくは内で支持されて、患者支持構造20上に配置される。概略、組織はアンテナANTを操作上整列させて特徴付けされ得る。つまり、組織は、電磁気結合と直接RF定常波を腫瘍に適切に加えるようにキャビティ14内に浸される、又はキャビティ14を覆って支持される若しくは近位に近接して支持される、ということである。電気回路ECは上述のように、RFエネルギを処置アプリケータTAに供給するように動作され、アンテナANTはRFエネルギをキャビティ14を介して腫瘍含有組織にブロードキャストし、これにより腫瘍は加熱される。更に、処置アプリケータTAは、患者にとって快適な温度設定でキャビティ14を介して消イオン水などの流体Fを循環するように、温度調整デバイスTRD(図1B)と接続するのが好ましい。所定のスケジュールに従って(例えば、サイクルあたり1時間、3週間に1サイクル、全体で4サイクル)高体温処置はこのように進行する。
【0037】
高体温処置装置HTAは、ガン患者に加えられる腫瘍関連治療処置を向上するメカニズムとして、特に有効である。治療処置は通常高体温処置装置HTAの利用の前に実施されるが、本明細書に開示される形態の実施は、腫瘍関連治療及び高体温処置が実施される順序に限定されるものではない、と思われる。一つの例は放射線治療であり、その効果は、処置される腫瘍へ熱を加えることで改善されることが示されている。別の例は化学療法である。
【0038】
特に、あるタイプの化学療法は、リポソームカプセル若しくはコーティングで患者に投与される。処置アプリケータTAが患者の腫瘍にRFエネルギを集束するのに採用される場合、組織の結果としての加熱には多数の利点がある。加熱は、化学療法に付随するリポソームの分解を促進する。加熱は血流からリポソームを引き出し諸苦節に腫瘍位置に加え、リポソームが最も必要な場所に化学療法に付随するリポソームを集中させる。腫瘍の血管は、通常の血管よりもずっと漏れやすく無秩序である。加熱は通常よりも血管を引き離し、これによりリポソームは漏れ出して腫瘍の間質の空間の中に溜まることができる。従って、化学療法薬は腫瘍に優先的に供給され周囲組織には供給されない。高体温処置の間に加熱されない患者身体の通常組織では、化学療法薬は、通常3若しくは4週間の期間をかけて、患者の肝臓及び脾臓が有毒側面の効果に鈍くなるような充分な遅さで、ゆっくりと漏れ出す。更に、本明細書で開示される高体温により与えられる熱は、ガン細胞そのものへの化学療法薬の摂取の速度を増す。更に加熱は、腫瘍内の酸素レベルを増し、このことは、適切な機能が酸素に大きく依存する多くの化学療法薬にとって、有効である。又、ガン細胞が複製し得る能力を制御するメカニズムを妨げることによって、加熱は化学療法薬の効能を高める。更に、加熱は、通常DNA損傷を修復する酵素を抑制することによって、化学療法がガン細胞に加えるDNA損傷のレベルを、増幅する。
【0039】
昨今、加熱に応じて素早く溶融し、約20秒の加熱の時間内にその中身を直接腫瘍の中にダンプする“融解する”リポソームが開発されている。これらのリポソームうちには、約40°C(104°F)などの正確に決定された融解点を有するものがある。このようなリポソーム内にカプセル化された化学療法薬の効果は、本明細書に開示された実施形態に係る高体温処置を実施することで、高められることが好ましい。例えば、図1A及び図1Bを参照すると、処置アプリケータTAのキャビティ14内で循環する流体Fの浴槽は、温度調節デバイスにより40°Cに維持され得る。この40°Cは、加熱の利点を保証するには充分な暖かさであり、患者の皮膚のやけどを回避するには充分な冷却さである。
【0040】
リポソームを介する化学療法薬の注入を伴う高体温処置装置HTAを用いた高体温処置を経験する患者に関する、治療前及び位相Iの治療の研究から、データが得られた。特に、新たに診断された乳ガンに苦しむ21人の女性が、12週の高体温トライアルに参加した。リポソームの内側に化学療法薬をカプセル化すると、従来の技術と比較して腫瘍の位置に30倍以上の化学療法薬の供給が可能になりしかも体の残部には何ら毒を与えない。患者は、従来の化学療法よりも、吐き気、頭痛、及び心性毒性を経験することが概略少ない。更に、結果は、組み合わされた治療は全ての患者の腫瘍の成長を停止し、少なくとも患者の半分の腫瘍を縮めた、というものであった。11パーセントの患者は、外科的残物を分析して乳房組織にガンが見出されなかったということを意味する完全な病理的反応を有した。33パーセントの患者は、腫瘍の可視的徴候がもはや検出されなかったということを意味する完全な臨床反応を有した。17パーセントの患者は、乳房切除の候補者から乳腺腫瘤摘出の候補者に変更された。
【0041】
組み合わされた治療/高体温治療の限定の無い例の一つとして、従来のガン治療(例えば、化学療法及び/又は放射線療法)を患者に与え、続いて組織内に腫瘍の正確な配置を位置付けるCT若しくは他の適切な操作技術を行う、というものがある。高体温処置は上述のように与えられる。最終的な高体温処置が与えられた後、腫瘍放射担当者は適切な手段により腫瘍の収縮を計測し、腫瘍を除去するのに最も侵襲の少ないタイプの手術を推奨する。この段階で指示があれば、手術後、組織内の非検出のガン細胞を殺す追加の治療及び高体温処置を行う。
【0042】
ガン治療の従来の順序では、手術が先ず行われ、最後に化学療法及び放射線が行われる。本明細書で開示される方法はその従来の順序を留保するものとして特徴付けられ得ることが、先述の開示内容から理解され得る。高体温処置装置HTAは、処置が手術の前に生じることを意味する、“新補助的手段”治療と呼ばれる最近の治療モデルの一部として、実装される。多くのケースにおいて、新補助的手段治療は、より論理的な順序の処置事象である。けだし、より侵襲の少ない手術を要求するからであり、より広範囲の処置関連の選択肢を患者に提示するからである。さらに、本明細書に開示される方法は更に、周囲組織を損傷せず且つ誤ったガン細胞を残すことなく医者が充分にうまく除去できる程腫瘍を収縮するという処置の目標を有し得る。
【0043】
上述の実施形態は、細胞壊死、化学反応速度、及び触媒作用などの、ガン治療の直接の範囲の他の潜在的な利用例を含む、ということが理解され得る。
【0044】
本発明の様々な細部は、本発明の範囲から乖離することなく変更しうることが理解される。更に、本発明は本明細書に設定される請求項により定義されるのであるが、上述の説明は例示のみの目的のものであり、限定の目的のものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1A】図1Aは、本明細書に開示される実施形態に係る高体温処置装置の側面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示される高体温処置装置の平面図である。
【図2A】図2Aは、本明細書に開示される一つの実施形態に係る高体温処置装置に備わる処置アプリケータの斜視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示される処置アプリケータの側面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aに示される処置アプリケータの平面図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示される処置アプリケータの正面図である。
【図3】図3は、図2Aに示される処置アプリケータと、本明細書に開示される一つの実施形態に係る組織支持構造との、分解斜視図である。
【図4】図4は、別の実施形態に係る処置アプリケータと、組織支持構造との分解斜視図である。
【図5】図5は、更に別の実施形態に係る処置アプリケータの斜視図である。
【図6】図6は、更に別の実施形態に係る組織支持構造の斜視図である。
【図7】図7は、図2Bに示す処置アプリケータと図6に示す組織支持構造を含む高体温処置装置の部分側面図であり、両方とも患者支持構造内に搭載される。
【図8】図8は、本明細書に開示される実施形態に係る高体温処置装置に備わる電気回路の概要図である。
【符号の説明】
【0046】
HTA・・・高体温処置装置、TA・・・処置アプリケータ、12・・・アプリケータボディ部、14・・・キャビティ、20・・・患者支持構造、30・・・組織支持構造、102・・・RF信号ジェネレータ、108・・・4ウエイパワーデバイダ、124・・・ベクトル電圧計、126・・・コンピュータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガン治療を向上するための胸領域への高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する内側面を有し、少なくとも概略凹状の下方部位を有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)アプリケータボディ部と操作上関連し、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列された、複数のアンテナと
を含む装置。
【請求項2】
ボディ部が複数のボディ区画を含み、複数のアンテナが一つ又はそれ以上のボディ区画に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ボディ部が6つのボディ部区画を含み、複数のアンテナが4つのアンテナを含み、各々のアンテナは6つのボディ部区画の一つに搭載されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
6つのボディ部区画が、アパーチャを画定する4つの側面区画と、2つの底面区画とを含み、側面区画の2つは対向して間隔を空ける関係で配置され概略アパーチャに直交し、他の2つの側面区画は対向して間隔を空ける関係で配置されアパーチャに対して角度を為すことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
個々のアンテナが、2つの角度を為す側面区画と2つの底面区画との夫々に搭載されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
更に2つのアンテナを含む、それらの2つのアンテナの各々は夫々の直交する側面区画に搭載されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ボディ部が、5つのボディ部区画を含み、複数のアンテナが5つのアンテナを含み、個々のアンテナが対応するボディ部区画に搭載されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項8】
5つのボディ部区画が、アパーチャを画定する4つの側面区画と、1つの底面区画とを含み、側面区画の2つは対向して間隔を空ける関係で配置され概略アパーチャに直交し、他の2つの側面区画は対向して間隔を空ける関係で配置されアパーチャに対して角度を為すことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
個々のアンテナは、2つのアンテナ素子の概略対称的構成を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
個々のアンテナ素子が概略C形状であり、他のアンテナ素子から離れて開口することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
個々のアンテナはボータイ形状であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
アパーチャに搭載され、アンテナと操作上整列して組織を支持するための組織支持体を含む請求項1に記載の装置。
【請求項13】
組織支持体が温度感知デバイスを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
温度感知デバイスが、組織支持体に搭載され、MRIデバイスと通信するための磁気コイルであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
組織支持体が、キャビティの中に伸展し、内部で組織を支持するための開口コンテナを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
組織支持体が、上面の組織を支持するための流体充填ピローを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項17】
高体温処置の間に患者を支持するのに適切な患者支持体を含み、アプリケータボディ部が患者支持体に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
キャビティと連絡し、温度調節流体を循環するための温度調節デバイスを含む請求項1に記載の装置。
【請求項19】
ボディ部が、キャビティと流体連絡し、流体を循環する入口及び出口を含む請求項1に記載の装置。
【請求項20】
アンテナと連絡するRF信号ジェネレータを含む請求項1に記載の装置。
【請求項21】
RF信号ジェネレータとアンテナの間を相互接続し、一つ又は複数のアンテナにより受信されるRF信号の個々の振幅を制御するための可変減衰器を含む請求項20に記載の装置。
【請求項22】
RF信号ジェネレータとアンテナの間を相互接続し、一つ又は複数のアンテナにより受信されるRF信号の個々の位相を制御するための可変位相シフタを含む請求項20に記載の装置。
【請求項23】
RF信号ジェネレータとアンテナの間を相互接続し、RF信号ジェネレータにより生成されるRF信号をアンテナのアレイに対応する複数のチャネルの中に分割するためのパワーデバイダを含む請求項20に記載の装置。
【請求項24】
一つ又は複数のチャネルによって選択式で通信し、選択されたチャネル内で伝えられるチャネル信号の振幅及び/又は位相を計測するためのデバイスを含む請求項23に記載の装置。
【請求項25】
ガン治療を向上するための胸領域への高体温処理を与える方法であって、
(a)アパーチャから伸展する内側面を有し、少なくとも概略凹状の下方部位を有し、流体を含むキャビティを画定するボディ部と、操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して腫瘍含有組織を配置する工程と、
(b)アンテナから流体を介して組織までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と
を含む方法。
【請求項26】
組織の温度をモニタする工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
モニタする工程が、温度感知デバイスを組織の中に挿入する工程を含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
モニタする工程が、組織の中にカテーテルを挿入しカテーテルの中に温度感知デバイスを挿入する工程を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
モニタする工程が、組織を取り囲みMRIデバイスに繋がれた磁気コイルを利用する工程を含む請求項26に記載の方法。
【請求項30】
キャビティ内に含まれる流体は消イオン水であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項31】
操作上整列して配置する工程が、キャビティに搭載される流体含有支持体で組織を支持する工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項32】
処置される組織のタイプに基づいて支持体のタイプを選択する工程と、選択された支持体をキャビティに搭載する工程とを含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
操作上整列して配置する工程が、キャビティの中に伸展する流体充填コンテナ内で組織を浸す工程を含む請求項31に記載の方法。
【請求項34】
処置される組織のサイズに基づいてコンテナのサイズを選択する工程と、選択されたコンテナをキャビティに搭載する工程とを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
支持する工程が、組織を流体充填ピロー上に配置する工程を含む請求項31に記載の方法。
【請求項36】
RF信号を所望の周波数でアンテナの各々に伝達する工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項37】
周波数は約130Mhzから約160Mhzの範囲であることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
一つ又は複数のアンテナに出力されるRF信号の個々の振幅を制御する工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項39】
一つ又は複数のアンテナに出力されるRF信号の個々の位相を制御する工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項40】
組織が患者の腫瘍含有の乳房であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項41】
組織が患者の腫瘍含有の胸郭であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項42】
ガン治療を向上するための胸領域への高体温処置を与える方法であって、
(a)腫瘍関連治療手順を実施することによって腫瘍含有組織を処置する工程と、
(b)アパーチャから伸展する内側面を有し、少なくとも概略凹状の下方部位を有し、流体を含むキャビティを画定するボディ部と、操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して組織を配置する工程と、
(c)アンテナから流体を介して組織の中までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と
を含む方法。
【請求項43】
操作上整列して配置する工程が、キャビティに搭載される流体含有支持体で組織を支持する工程を含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
支持する工程が、キャビティの中に伸展する流体充填コンテナの中に組織を浸す工程を含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
支持する工程が、組織を流体充填ピロー上に配置する工程を含む請求項43に記載の方法。
【請求項46】
組織が患者の腫瘍含有の乳房であることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項47】
組織が患者の腫瘍含有の胸郭であることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項48】
組織を処置する工程が、化学療法を加える工程を含む請求項42に記載の方法。
【請求項49】
化学療法を加える工程が、化学療法薬を含むリポソームを投与する工程を含む請求項48に記載の方法。
【請求項50】
組織を処置する工程が、放射線療法を加える工程を含む請求項42に記載の方法。
【請求項51】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、6つのボディ部区画を含み、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)複数のアンテナであって、個々のアンテナは6つのボディ部区画の夫々に搭載されており、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列された、複数のアンテナと
を含む装置。
【請求項52】
6つのボディ部区画が、アパーチャを画定する4つの側面区画と、2つの底面区画とを含み、側面区画の2つは対向して間隔を空ける関係で配置され概略アパーチャに直交し、他の2つの側面区画は対向して間隔を空ける関係で配置されアパーチャに対して角度を為すことを特徴とする請求項51に記載の装置。
【請求項53】
個々のアンテナが、2つの角度を為す側面区画と2つの底面区画との夫々に搭載されることを特徴とする請求項52に記載の装置。
【請求項54】
更に2つのアンテナを含む、それらの2つのアンテナの各々は夫々の直交する側面区画に搭載されることを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項55】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、5つのボディ部区画を含み、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)複数のアンテナであって、個々のアンテナは対応するボディ部区画に搭載されており、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列された、複数のアンテナと
を含む装置。
【請求項56】
5つのボディ部区画が、アパーチャを画定する4つの側面区画と、1つの底面区画とを含み、側面区画の2つは対向して間隔を空ける関係で配置され概略アパーチャに直交し、他の2つの側面区画は対向して間隔を空ける関係で配置されアパーチャに対して角度を為すことを特徴とする請求項55に記載の装置。
【請求項57】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)複数のアンテナであって、個々のアンテナが2つのアンテナ素子の概略対称形構成を含み、個々のアンテナ素子がC形状であり他のアンテナ素子から離れて開口する、複数のアンテナを含み、
(c)更に、複数のアンテナは、アプリケータボディ部と操作上関連し、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列されたことを特徴とする装置。
【請求項58】
ガン治療を向上する高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)アプリケータボディ部と操作上関連し、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列された、複数のアンテナと、
(c)アパーチャに搭載され、アンテナと操作上整列して組織を支持し、温度感知デバイスを含む組織支持体であって、温度感知デバイスは、該組織支持体に搭載されMRIデバイスと通信するための磁気コイルを含む、組織支持体と
を含む装置。
【請求項59】
ガン治療を向上する高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)アプリケータボディ部と操作上関連し、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列された、複数のアンテナと、
(c)アパーチャに搭載され、アンテナと操作上整列して組織を支持し、キャビティの中に伸展し内部の組織を支持する開口コンテナを含む、組織支持体と
を含む装置。
【請求項60】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法であって、
(a)流体を含むキャビティを画定するボディ部と操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して組織を配置する工程と、
(b)アンテナから流体を介して組織の中までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と、
(c)組織を取り囲みMRIデバイスに繋がれた磁気コイルを利用して、組織の温度をモニタする工程と
を含む方法。
【請求項61】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法であって、
(a)流体を含むキャビティを画定するボディ部と操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して組織を配置する工程であって、流体含有支持体で組織を支持する工程を含み、該支持体は処置される組織のタイプに基づくものでありキャビティに搭載される、配置する工程と、
(b)アンテナから流体を介して組織の中までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と
を含む方法。
【請求項62】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法であって、
(a)流体を含むキャビティを画定するボディ部と操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して組織を配置する工程であって、キャビティに搭載される流体含有支持体で組織を支持する工程及びキャビティの中に伸展する流体充填コンテナの中に組織を浸す工程を含む、配置する工程と、
(b)アンテナから流体を介して組織の中までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と
を含む方法。
【請求項63】
処置される組織のサイズに基づいてコンテナのサイズを選択する工程と、選択されたコンテナをキャビティに搭載する工程とを含む請求項62に記載の方法。
【請求項64】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法であって、
(a)流体を含むキャビティを画定するボディ部と操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して組織を配置する工程であって、キャビティに搭載される流体充填ピロー上に組織を配置することによって組織を支持する工程を含む、配置する工程と、
(b)アンテナから流体を介して組織の中までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と
を含む方法。
【請求項1】
ガン治療を向上するための胸領域への高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する内側面を有し、少なくとも概略凹状の下方部位を有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)アプリケータボディ部と操作上関連し、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列された、複数のアンテナと
を含む装置。
【請求項2】
ボディ部が複数のボディ区画を含み、複数のアンテナが一つ又はそれ以上のボディ区画に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ボディ部が6つのボディ部区画を含み、複数のアンテナが4つのアンテナを含み、各々のアンテナは6つのボディ部区画の一つに搭載されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
6つのボディ部区画が、アパーチャを画定する4つの側面区画と、2つの底面区画とを含み、側面区画の2つは対向して間隔を空ける関係で配置され概略アパーチャに直交し、他の2つの側面区画は対向して間隔を空ける関係で配置されアパーチャに対して角度を為すことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
個々のアンテナが、2つの角度を為す側面区画と2つの底面区画との夫々に搭載されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
更に2つのアンテナを含む、それらの2つのアンテナの各々は夫々の直交する側面区画に搭載されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ボディ部が、5つのボディ部区画を含み、複数のアンテナが5つのアンテナを含み、個々のアンテナが対応するボディ部区画に搭載されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項8】
5つのボディ部区画が、アパーチャを画定する4つの側面区画と、1つの底面区画とを含み、側面区画の2つは対向して間隔を空ける関係で配置され概略アパーチャに直交し、他の2つの側面区画は対向して間隔を空ける関係で配置されアパーチャに対して角度を為すことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
個々のアンテナは、2つのアンテナ素子の概略対称的構成を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
個々のアンテナ素子が概略C形状であり、他のアンテナ素子から離れて開口することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
個々のアンテナはボータイ形状であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
アパーチャに搭載され、アンテナと操作上整列して組織を支持するための組織支持体を含む請求項1に記載の装置。
【請求項13】
組織支持体が温度感知デバイスを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
温度感知デバイスが、組織支持体に搭載され、MRIデバイスと通信するための磁気コイルであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
組織支持体が、キャビティの中に伸展し、内部で組織を支持するための開口コンテナを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
組織支持体が、上面の組織を支持するための流体充填ピローを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項17】
高体温処置の間に患者を支持するのに適切な患者支持体を含み、アプリケータボディ部が患者支持体に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
キャビティと連絡し、温度調節流体を循環するための温度調節デバイスを含む請求項1に記載の装置。
【請求項19】
ボディ部が、キャビティと流体連絡し、流体を循環する入口及び出口を含む請求項1に記載の装置。
【請求項20】
アンテナと連絡するRF信号ジェネレータを含む請求項1に記載の装置。
【請求項21】
RF信号ジェネレータとアンテナの間を相互接続し、一つ又は複数のアンテナにより受信されるRF信号の個々の振幅を制御するための可変減衰器を含む請求項20に記載の装置。
【請求項22】
RF信号ジェネレータとアンテナの間を相互接続し、一つ又は複数のアンテナにより受信されるRF信号の個々の位相を制御するための可変位相シフタを含む請求項20に記載の装置。
【請求項23】
RF信号ジェネレータとアンテナの間を相互接続し、RF信号ジェネレータにより生成されるRF信号をアンテナのアレイに対応する複数のチャネルの中に分割するためのパワーデバイダを含む請求項20に記載の装置。
【請求項24】
一つ又は複数のチャネルによって選択式で通信し、選択されたチャネル内で伝えられるチャネル信号の振幅及び/又は位相を計測するためのデバイスを含む請求項23に記載の装置。
【請求項25】
ガン治療を向上するための胸領域への高体温処理を与える方法であって、
(a)アパーチャから伸展する内側面を有し、少なくとも概略凹状の下方部位を有し、流体を含むキャビティを画定するボディ部と、操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して腫瘍含有組織を配置する工程と、
(b)アンテナから流体を介して組織までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と
を含む方法。
【請求項26】
組織の温度をモニタする工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
モニタする工程が、温度感知デバイスを組織の中に挿入する工程を含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
モニタする工程が、組織の中にカテーテルを挿入しカテーテルの中に温度感知デバイスを挿入する工程を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
モニタする工程が、組織を取り囲みMRIデバイスに繋がれた磁気コイルを利用する工程を含む請求項26に記載の方法。
【請求項30】
キャビティ内に含まれる流体は消イオン水であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項31】
操作上整列して配置する工程が、キャビティに搭載される流体含有支持体で組織を支持する工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項32】
処置される組織のタイプに基づいて支持体のタイプを選択する工程と、選択された支持体をキャビティに搭載する工程とを含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
操作上整列して配置する工程が、キャビティの中に伸展する流体充填コンテナ内で組織を浸す工程を含む請求項31に記載の方法。
【請求項34】
処置される組織のサイズに基づいてコンテナのサイズを選択する工程と、選択されたコンテナをキャビティに搭載する工程とを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
支持する工程が、組織を流体充填ピロー上に配置する工程を含む請求項31に記載の方法。
【請求項36】
RF信号を所望の周波数でアンテナの各々に伝達する工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項37】
周波数は約130Mhzから約160Mhzの範囲であることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
一つ又は複数のアンテナに出力されるRF信号の個々の振幅を制御する工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項39】
一つ又は複数のアンテナに出力されるRF信号の個々の位相を制御する工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項40】
組織が患者の腫瘍含有の乳房であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項41】
組織が患者の腫瘍含有の胸郭であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項42】
ガン治療を向上するための胸領域への高体温処置を与える方法であって、
(a)腫瘍関連治療手順を実施することによって腫瘍含有組織を処置する工程と、
(b)アパーチャから伸展する内側面を有し、少なくとも概略凹状の下方部位を有し、流体を含むキャビティを画定するボディ部と、操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して組織を配置する工程と、
(c)アンテナから流体を介して組織の中までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と
を含む方法。
【請求項43】
操作上整列して配置する工程が、キャビティに搭載される流体含有支持体で組織を支持する工程を含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
支持する工程が、キャビティの中に伸展する流体充填コンテナの中に組織を浸す工程を含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
支持する工程が、組織を流体充填ピロー上に配置する工程を含む請求項43に記載の方法。
【請求項46】
組織が患者の腫瘍含有の乳房であることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項47】
組織が患者の腫瘍含有の胸郭であることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項48】
組織を処置する工程が、化学療法を加える工程を含む請求項42に記載の方法。
【請求項49】
化学療法を加える工程が、化学療法薬を含むリポソームを投与する工程を含む請求項48に記載の方法。
【請求項50】
組織を処置する工程が、放射線療法を加える工程を含む請求項42に記載の方法。
【請求項51】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、6つのボディ部区画を含み、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)複数のアンテナであって、個々のアンテナは6つのボディ部区画の夫々に搭載されており、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列された、複数のアンテナと
を含む装置。
【請求項52】
6つのボディ部区画が、アパーチャを画定する4つの側面区画と、2つの底面区画とを含み、側面区画の2つは対向して間隔を空ける関係で配置され概略アパーチャに直交し、他の2つの側面区画は対向して間隔を空ける関係で配置されアパーチャに対して角度を為すことを特徴とする請求項51に記載の装置。
【請求項53】
個々のアンテナが、2つの角度を為す側面区画と2つの底面区画との夫々に搭載されることを特徴とする請求項52に記載の装置。
【請求項54】
更に2つのアンテナを含む、それらの2つのアンテナの各々は夫々の直交する側面区画に搭載されることを特徴とする請求項53に記載の装置。
【請求項55】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、5つのボディ部区画を含み、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)複数のアンテナであって、個々のアンテナは対応するボディ部区画に搭載されており、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列された、複数のアンテナと
を含む装置。
【請求項56】
5つのボディ部区画が、アパーチャを画定する4つの側面区画と、1つの底面区画とを含み、側面区画の2つは対向して間隔を空ける関係で配置され概略アパーチャに直交し、他の2つの側面区画は対向して間隔を空ける関係で配置されアパーチャに対して角度を為すことを特徴とする請求項55に記載の装置。
【請求項57】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)複数のアンテナであって、個々のアンテナが2つのアンテナ素子の概略対称形構成を含み、個々のアンテナ素子がC形状であり他のアンテナ素子から離れて開口する、複数のアンテナを含み、
(c)更に、複数のアンテナは、アプリケータボディ部と操作上関連し、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列されたことを特徴とする装置。
【請求項58】
ガン治療を向上する高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)アプリケータボディ部と操作上関連し、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列された、複数のアンテナと、
(c)アパーチャに搭載され、アンテナと操作上整列して組織を支持し、温度感知デバイスを含む組織支持体であって、温度感知デバイスは、該組織支持体に搭載されMRIデバイスと通信するための磁気コイルを含む、組織支持体と
を含む装置。
【請求項59】
ガン治療を向上する高体温処置を与える装置であって、
(a)アパーチャから伸展する凹状プロファイルを有し、RF定常波を受けるための開口キャビティを画定するアプリケータボディ部と、
(b)アプリケータボディ部と操作上関連し、夫々の選択された振幅及び相対位相のRF定常波をキャビティの中へ更にアンテナと操作上整列された腫瘍含有組織に向かって、伝達するために配列された、複数のアンテナと、
(c)アパーチャに搭載され、アンテナと操作上整列して組織を支持し、キャビティの中に伸展し内部の組織を支持する開口コンテナを含む、組織支持体と
を含む装置。
【請求項60】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法であって、
(a)流体を含むキャビティを画定するボディ部と操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して組織を配置する工程と、
(b)アンテナから流体を介して組織の中までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と、
(c)組織を取り囲みMRIデバイスに繋がれた磁気コイルを利用して、組織の温度をモニタする工程と
を含む方法。
【請求項61】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法であって、
(a)流体を含むキャビティを画定するボディ部と操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して組織を配置する工程であって、流体含有支持体で組織を支持する工程を含み、該支持体は処置される組織のタイプに基づくものでありキャビティに搭載される、配置する工程と、
(b)アンテナから流体を介して組織の中までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と
を含む方法。
【請求項62】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法であって、
(a)流体を含むキャビティを画定するボディ部と操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して組織を配置する工程であって、キャビティに搭載される流体含有支持体で組織を支持する工程及びキャビティの中に伸展する流体充填コンテナの中に組織を浸す工程を含む、配置する工程と、
(b)アンテナから流体を介して組織の中までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と
を含む方法。
【請求項63】
処置される組織のサイズに基づいてコンテナのサイズを選択する工程と、選択されたコンテナをキャビティに搭載する工程とを含む請求項62に記載の方法。
【請求項64】
ガン治療を向上するための高体温処置を与える方法であって、
(a)流体を含むキャビティを画定するボディ部と操作上関連するアンテナの同期アレイと操作上整列して組織を配置する工程であって、キャビティに搭載される流体充填ピロー上に組織を配置することによって組織を支持する工程を含む、配置する工程と、
(b)アンテナから流体を介して組織の中までRFエネルギを伝達し組織を加熱する工程と
を含む方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2007−501089(P2007−501089A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532447(P2006−532447)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/012322
【国際公開番号】WO2004/103456
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(502347087)デューク・ユニバーシティ (19)
【氏名又は名称原語表記】DUKE UNIVERSITY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/012322
【国際公開番号】WO2004/103456
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(502347087)デューク・ユニバーシティ (19)
【氏名又は名称原語表記】DUKE UNIVERSITY
【Fターム(参考)】
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