RFスパッタ装置
【課題】カソードを独立して開閉するRFスパッタ装置において、RF経路の接続部のシールド及び接触を確保する。
【解決手段】RFスパッタ装置において、スパッタ室、第1のシールドに覆われたRF出力端を有しスパッタ室に固定されたRF電力伝達手段、第2のシールドに覆われRF出力端に着脱可能なRF入力端を有しスパッタ室に着脱可能に取り付けられるカソード、第1のシールドの第2のシールドに対向する端面又は第2のシールドの第1のシールドに対向する端面に取り付けられた導電性弾性部材、及び導電性弾性部材を挟む方向の力を、第1のシールド若しくは第1のシールド及びRF出力端又は第2のシールド若しくは第2のシールド及びRF入力端に加える加圧手段を備える構成とした。
【解決手段】RFスパッタ装置において、スパッタ室、第1のシールドに覆われたRF出力端を有しスパッタ室に固定されたRF電力伝達手段、第2のシールドに覆われRF出力端に着脱可能なRF入力端を有しスパッタ室に着脱可能に取り付けられるカソード、第1のシールドの第2のシールドに対向する端面又は第2のシールドの第1のシールドに対向する端面に取り付けられた導電性弾性部材、及び導電性弾性部材を挟む方向の力を、第1のシールド若しくは第1のシールド及びRF出力端又は第2のシールド若しくは第2のシールド及びRF入力端に加える加圧手段を備える構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概略としてRFスパッタ装置に関し、より詳細には、RFスパッタ装置のRF供給機構に関する。
【背景技術】
【0002】
図7A(閉時)及び図7B(開時)に従来のRFスパッタ装置を示す。従来のRFスパッタ装置は、スパッタ処理を行うスパッタ室110、スパッタ室110内にプラズマを発生させるためのカソード140、及びカソード140にRF電力を伝達するRF電力伝達手段(120、130)からなる。RF電力伝達手段は、外部のRF電源から入力されるRF電力経路のインピーダンス整合を行なうマッチングボックス120、及びマッチングボックス120とカソード140間の出力板135をシールドするシールドボックス130からなる(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、スパッタ装置においてはカソード140を定期的にメンテナンスする必要がある。その際、図7Bに示すように、マッチングボックス120、シールドボックス130及びカソード140をまとめてスパッタ室110から分離する必要がある。この開閉動作は手動で行われる場合もあれば、駆動源170によって自動で行なわれる場合もある。
【0004】
この場合、マッチングボックス120、シールドボックス130及びカソード140の合計重量が大きく、しかも、マッチングボックス120にはRF電力用配線及び冷却水用配管がまとめられたチューブ125が接続されているので、手動、自動を問わず開閉が大掛かりなものとなり、作業性が悪いという問題があった。
従って、スパッタ室上にRF電力伝達手段とカソードとを並置し、カソードをRF電力伝達手段から独立して開閉できるようにすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−20867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、カソードをRF電力伝達手段から独立させる構成においては、カソードとRF電力伝達手段との間にはRF経路の接続部が存在することになる。RF伝達経路のシールド条件等は厳密に管理されるべきものであり、このRF経路の接続部の完全なシールドの確保が課題となる。また、シールドの確保とともに、接続部の確実な接触も確保されなければならない。
また、カソードの開閉動作を自動で行なう構成とするには、接続部におけるRF経路及びシールドをボルト等で固定することができない。
【0007】
そこで、本発明は、カソードを本体から独立して開閉するRFスパッタ装置において、ボルト固定等を用いずにRF経路の接続部のシールド及び接触を確保し、作業性の良いRFスパッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はRFスパッタ装置であって、スパッタ室(10)、第1のシールド(31)に覆われたRF出力端(32)を有しスパッタ室(10)に固定されたRF電力伝達手段(20、30)、第2のシールド(41)に覆われRF出力端(32)に着脱可能なRF入力端(42)を有しスパッタ室(10)に着脱可能に取り付けられるカソード(40)、第1のシールドの第2のシールドに対向する端面(311)又は第2のシールドの第1のシールドに対向する端面(411)に取り付けられた導電性弾性部材(51)、及び導電性弾性部材(51)を挟む方向の力を、第1のシールド(31)若しくは第1のシールド及びRF出力端(31、32)又は第2のシールド(41)若しくは第2のシールド及びRF入力端(41、42)に加える加圧手段(60)を備えたRFスパッタ装置である。
【0009】
ここで、RF電力伝達手段が、RF電力経路のインピーダンス整合用のマッチングボックス(20)、及びマッチングボックスからのRF電力をRF出力端に伝達するシールドボックス(30)からなり、シールドボックス(30)が、マッチングボックス(20)に接続される出力板(33)、及び出力板(33)とRF出力端(32)を接続する変形可能な給電板(34)を有し、加圧手段(60)が第1のシールド及びRF出力端(31、32)を摺動させるように構成した。
【0010】
上記において、さらに、カソード(40)を自動開閉するための駆動源(70)を備えることが好ましい。
また、シールドボックスの外部に配置した加圧手段が、マッチングボックスの筐体を貫通する駆動軸を摺動させるように構成してもよい。
またさらに、第1のシールドの第2のシールドに対向する端面又は第2のシールドの第1のシールドに対向する端面に取り付けられたセンサを備え、センサが第1のシールドと第2のシールドの接触を検知するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明のRFスパッタ装置(閉時)を示す図である。
【図1B】本発明のRFスパッタ装置(開時)を示す図である。
【図2A】本発明のシールド構成(閉時)を示す図である。
【図2B】本発明のシールド構成(開時)を示す図である。
【図3】本発明のコネクタ構成を示す図である。
【図4A】本発明のシールド構成(閉時)の他の実施例を示す図である。
【図4B】本発明のシールド構成(開時)の他の実施例を示す図である。
【図5】本発明の変形例を説明する図である。
【図6】本発明の変形例を説明する図である。
【図7A】従来のRFスパッタ装置(閉時)を示す図である。
【図7B】従来のRFスパッタ装置(開時)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1A(閉時)及び1B(開時)に本発明のRFスパッタ装置を示す。RFスパッタ装置は、スパッタ室10、スパッタ室10上に並置されたRF電力伝達手段(20、30)、及びスパッタ室10とRF電力伝達手段から着脱可能なカソード40を備える。RF電力伝達手段は、外部のRF電源から入力されるRF電力経路のインピーダンス整合を行なうマッチングボックス20、及びマッチングボックス20とカソード40間のRF経路をシールドするシールドボックス30からなる。マッチングボックス20にはRF電力用配線及び冷却水用配管がまとめられたチューブ25が接続される。後述するように、シールドボックス30には加圧手段(エアシリンダ)60が配置され、これによりシールドボックス内部のRF経路用の部材が摺動される。カソード40は駆動源70によって自動開閉される。
【0013】
図2A(閉時)及び2B(開時)に本発明のシールド構成を示す。シールドボックス30は、RF出力端32、RF出力端32の少なくとも先端部を覆うシールド31、マッチングボックス20からのRF供給を受ける出力板33、及び出力板33とRF出力端32を接続する柔軟で変形可能な給電板34を有する。シールド31及びRF出力端32を矢印F及びその逆方向に摺動させるエアシリンダ60がシャフト61を介してシールド31に接続される。RF出力端32は図示しない碍子等の絶縁部材を介してシールド31に固定され、シールド31とRF出力端32は一体となって動作する。シャフト61がシールドボックスを貫通し、エアシリンダ60はシールドボックス30の外部に配置されるため、エア導入用チューブ等からの電波漏れを防ぐことができる。なお、本実施例では加圧手段としてエアシリンダを用いているが、スプリング等を用いたその他の機構を用いてもよい。
【0014】
カソード40は、RF入力端42、及びRF入力端42の少なくとも先端部を覆うシールド41を備え、図1Bに示すように、駆動源70によって回転開閉される。なお、本実施例ではカソード40の着脱に回転動作のみを利用しているが、スライド動作等と組み合わせてもよい。
【0015】
シールド31の端面311には導電性弾性体51が取り付けられる。実施例では導電性ゴムを用いる。導電性弾性体には、導電性ブラシ等、変形して端面間で接触するものも含まれる。図1A及び図2Aに示すように、使用中(閉時)には、エアシリンダ60からの圧力によって導電性弾性体51がシールド41の端面411と接触し、シールド31からシールド41がシールドされる。導電性弾性体はシールド41の端面411に取り付けられてもよい。
また、シールド31とシールドボックス30の接触面及びシャフト61とシールドボックス30の接触面にも、それぞれ導電性弾性体52及び53が取り付けられている。
これらの導電性弾性体51、52及び53によって出力板33からRF入力端42までのRF経路のシールド性が確保される。
【0016】
なお、上記実施例では導電性弾性部材51をシールド31側に取り付けたが、導電性弾性部材51はシールド31又はシールド41の一方又は両方に取り付けられていればよい。即ち、シールド31の端面311とシールド41の端面411の間に、それらを電気的に結合する弾性部材が取り付けられていればよい。
【0017】
図3に本発明のRF出力端32及びRF入力端42の先端部の一例を示す。図示するように、RF出力端32の先端はコンタクトピン321からなり、RF入力端42の先端はコンタクト受け421からなる。これにより、RF出力端32とRF入力端42とが嵌入接続される。また、コンタクトピン321がコンタクト受け421に確実に接触できるように、コンタクト受け421が複数の部分に分割されている。
なお、上記とは逆に、RF出力端32の先端をコンタクト受けとし、RF入力端42の先端をコンタクトピンとしてもよい。
【0018】
上記の開閉動作を制御手段80(図1A)によって自動で行うことができる。
カソード40が閉じた状態(図1A及び2A)からカソード40を開く場合、まず、エアシリンダ60による矢印F方向の力が弱められ、導電性弾性部材51とシールド41が離れるとともに、RF出力端32とRF入力端42とが離れる。即ち、これによりシールドボックス30とカソード40とが分離される。これをセンサ62により検知し、その後、駆動源70によってカソード40が持ち上げられ、カソード40が開放される。
【0019】
逆に、カソード40が開いた状態(図1B及び2B)からカソード40を閉じる場合は、駆動源70によってカソード40がスパッタ室10の上に降ろされ、その後エアシリンダ60によってシールド31及びRF出力端32が矢印Fの方向に押される。これにより、RF出力端32(コンタクトピン321)とRF入力端42(コンタクト受け421)が接続され、シールド31とシールド41とが導電性弾性部材51を介して密着される。
【0020】
なお、センサ62によってシャフト61の位置を検出することによってコンタクトの接続状況を判断し、それをエアシリンダ60、駆動源70、図示しないRF電源の制御に利用する。
【0021】
図4A(閉時)及び4B(開時)に本発明のシールド構成の他の実施例を示す。ベローフランジ91及びセンサ92を追加し、導電性弾性体52及び53を省略してエアシリンダ60をシールドボックス30に直接取り付けたことを除き、図2のシールド構成に同じである。第1のシールド31とシールドボックス30をベローフランジ91により接続し、第1のシールド31をより確実にシールド電位(アース電位)に保つことを目的とする。ベローフランジ91は、導電性材料から構成され、RF出力端32の摺動に合わせて伸縮する。ベローフランジに限らず、RF出力端32の摺動に合わせて変形し、接続時にRF経路を囲繞する導電性材料を第1のシールド31とシールドボックス30間に取り付けてもよい。
【0022】
また、本実施例では第1のシールド31の端面311と第2のシールド41の端面411の面接触を確認するセンサ92を追加した。これにより、シールド性の強化とともに、シールド部材間での異常放電を抑止することができる。実施例ではセンサ92にプランジャスイッチを用いているが、端面の接触を確認するものであれば他の電気的又は機械的スイッチであってもよい。
【0023】
また、第1のシールド31と第2のシールド41は同材質または電気抵抗の差の小さい材質を選択することが異常放電抑止に好ましい。第1のシールド31と第2のシールド41の端面を面接触させ、シールド部を積極的にアース電位とするためにベローフランジを用いることにより、シールド性を強化し、更に異常放電を抑止して安定したRF電力供給を行うことができる。また、入力端側又は出力端側に、RF経路及びシールドの接続時における衝撃を吸収緩和するためのスプリング等を設けてもよい。
【0024】
<変形例>
上記は本発明の最も好適な実施例を示すものであるが、本発明は以下のように変形可能である。
上記実施例では、シールド31及びRF出力端32双方がエアシリンダ60によって摺動される構成としたが、シールド31のみが摺動される構成としてもよい。例えば、図5に示すように、RF出力端32とRF入力端42とが駆動源70の動作のみによって接触又は非接触となるようにしてもよい。この構成の場合、RF出力端32は移動しないので図2で示したような給電板は必要ない。従って、出力板34とRF出力端32とが直接接続されてもよいし、それらが統合されて一体形成されてもよい。
【0025】
また、上記実施例では、シールド31側をエアシリンダ60によって摺動する構成としたが、シールド41、又はシールド41及びRF入力端42を摺動する構成としてもよい。そして、例えば図6に示すように、駆動源とエアシリンダの機能を統合したアーム機構85を採用してもよい。
【0026】
以上の構成により、カソードとRF電力伝達手段の間のRF経路接続部の完全なシールドの確保でき、さらには接続部の確実な接触も確保されるので、カソードをRF電力伝達手段から独立する構成とすることができる。
また、上記構成によると、接続部におけるRF経路又はシールドをボルト等で固定する必要がないので、カソードの開閉動作を自動で行なう構成を実現することができた。
【0027】
上記より、カソード単体での自動開閉動作が可能となり、カソードのメンテナンス時の作業性が向上するとともに駆動源並びに配線及び冷却チューブにかかる負担を軽減することがでる。
【符号の説明】
【0028】
10.スパッタ室
20.マッチングボックス
25.チューブ
30.シールドボックス
31.シールド
32.RF出力端
33.出力板
34.給電板
40.カソード
41.シールド
42.RF入力端
51、52、53.導電性弾性部材
60.エアシリンダ
61.シャフト
62.センサ
70.駆動源
80.制御手段
85.アーム機構
91.ベローフランジ
92.センサ
311、411.端面
321.コンタクトピン
421.コンタクト受け
【技術分野】
【0001】
本発明は概略としてRFスパッタ装置に関し、より詳細には、RFスパッタ装置のRF供給機構に関する。
【背景技術】
【0002】
図7A(閉時)及び図7B(開時)に従来のRFスパッタ装置を示す。従来のRFスパッタ装置は、スパッタ処理を行うスパッタ室110、スパッタ室110内にプラズマを発生させるためのカソード140、及びカソード140にRF電力を伝達するRF電力伝達手段(120、130)からなる。RF電力伝達手段は、外部のRF電源から入力されるRF電力経路のインピーダンス整合を行なうマッチングボックス120、及びマッチングボックス120とカソード140間の出力板135をシールドするシールドボックス130からなる(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、スパッタ装置においてはカソード140を定期的にメンテナンスする必要がある。その際、図7Bに示すように、マッチングボックス120、シールドボックス130及びカソード140をまとめてスパッタ室110から分離する必要がある。この開閉動作は手動で行われる場合もあれば、駆動源170によって自動で行なわれる場合もある。
【0004】
この場合、マッチングボックス120、シールドボックス130及びカソード140の合計重量が大きく、しかも、マッチングボックス120にはRF電力用配線及び冷却水用配管がまとめられたチューブ125が接続されているので、手動、自動を問わず開閉が大掛かりなものとなり、作業性が悪いという問題があった。
従って、スパッタ室上にRF電力伝達手段とカソードとを並置し、カソードをRF電力伝達手段から独立して開閉できるようにすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−20867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、カソードをRF電力伝達手段から独立させる構成においては、カソードとRF電力伝達手段との間にはRF経路の接続部が存在することになる。RF伝達経路のシールド条件等は厳密に管理されるべきものであり、このRF経路の接続部の完全なシールドの確保が課題となる。また、シールドの確保とともに、接続部の確実な接触も確保されなければならない。
また、カソードの開閉動作を自動で行なう構成とするには、接続部におけるRF経路及びシールドをボルト等で固定することができない。
【0007】
そこで、本発明は、カソードを本体から独立して開閉するRFスパッタ装置において、ボルト固定等を用いずにRF経路の接続部のシールド及び接触を確保し、作業性の良いRFスパッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はRFスパッタ装置であって、スパッタ室(10)、第1のシールド(31)に覆われたRF出力端(32)を有しスパッタ室(10)に固定されたRF電力伝達手段(20、30)、第2のシールド(41)に覆われRF出力端(32)に着脱可能なRF入力端(42)を有しスパッタ室(10)に着脱可能に取り付けられるカソード(40)、第1のシールドの第2のシールドに対向する端面(311)又は第2のシールドの第1のシールドに対向する端面(411)に取り付けられた導電性弾性部材(51)、及び導電性弾性部材(51)を挟む方向の力を、第1のシールド(31)若しくは第1のシールド及びRF出力端(31、32)又は第2のシールド(41)若しくは第2のシールド及びRF入力端(41、42)に加える加圧手段(60)を備えたRFスパッタ装置である。
【0009】
ここで、RF電力伝達手段が、RF電力経路のインピーダンス整合用のマッチングボックス(20)、及びマッチングボックスからのRF電力をRF出力端に伝達するシールドボックス(30)からなり、シールドボックス(30)が、マッチングボックス(20)に接続される出力板(33)、及び出力板(33)とRF出力端(32)を接続する変形可能な給電板(34)を有し、加圧手段(60)が第1のシールド及びRF出力端(31、32)を摺動させるように構成した。
【0010】
上記において、さらに、カソード(40)を自動開閉するための駆動源(70)を備えることが好ましい。
また、シールドボックスの外部に配置した加圧手段が、マッチングボックスの筐体を貫通する駆動軸を摺動させるように構成してもよい。
またさらに、第1のシールドの第2のシールドに対向する端面又は第2のシールドの第1のシールドに対向する端面に取り付けられたセンサを備え、センサが第1のシールドと第2のシールドの接触を検知するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明のRFスパッタ装置(閉時)を示す図である。
【図1B】本発明のRFスパッタ装置(開時)を示す図である。
【図2A】本発明のシールド構成(閉時)を示す図である。
【図2B】本発明のシールド構成(開時)を示す図である。
【図3】本発明のコネクタ構成を示す図である。
【図4A】本発明のシールド構成(閉時)の他の実施例を示す図である。
【図4B】本発明のシールド構成(開時)の他の実施例を示す図である。
【図5】本発明の変形例を説明する図である。
【図6】本発明の変形例を説明する図である。
【図7A】従来のRFスパッタ装置(閉時)を示す図である。
【図7B】従来のRFスパッタ装置(開時)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1A(閉時)及び1B(開時)に本発明のRFスパッタ装置を示す。RFスパッタ装置は、スパッタ室10、スパッタ室10上に並置されたRF電力伝達手段(20、30)、及びスパッタ室10とRF電力伝達手段から着脱可能なカソード40を備える。RF電力伝達手段は、外部のRF電源から入力されるRF電力経路のインピーダンス整合を行なうマッチングボックス20、及びマッチングボックス20とカソード40間のRF経路をシールドするシールドボックス30からなる。マッチングボックス20にはRF電力用配線及び冷却水用配管がまとめられたチューブ25が接続される。後述するように、シールドボックス30には加圧手段(エアシリンダ)60が配置され、これによりシールドボックス内部のRF経路用の部材が摺動される。カソード40は駆動源70によって自動開閉される。
【0013】
図2A(閉時)及び2B(開時)に本発明のシールド構成を示す。シールドボックス30は、RF出力端32、RF出力端32の少なくとも先端部を覆うシールド31、マッチングボックス20からのRF供給を受ける出力板33、及び出力板33とRF出力端32を接続する柔軟で変形可能な給電板34を有する。シールド31及びRF出力端32を矢印F及びその逆方向に摺動させるエアシリンダ60がシャフト61を介してシールド31に接続される。RF出力端32は図示しない碍子等の絶縁部材を介してシールド31に固定され、シールド31とRF出力端32は一体となって動作する。シャフト61がシールドボックスを貫通し、エアシリンダ60はシールドボックス30の外部に配置されるため、エア導入用チューブ等からの電波漏れを防ぐことができる。なお、本実施例では加圧手段としてエアシリンダを用いているが、スプリング等を用いたその他の機構を用いてもよい。
【0014】
カソード40は、RF入力端42、及びRF入力端42の少なくとも先端部を覆うシールド41を備え、図1Bに示すように、駆動源70によって回転開閉される。なお、本実施例ではカソード40の着脱に回転動作のみを利用しているが、スライド動作等と組み合わせてもよい。
【0015】
シールド31の端面311には導電性弾性体51が取り付けられる。実施例では導電性ゴムを用いる。導電性弾性体には、導電性ブラシ等、変形して端面間で接触するものも含まれる。図1A及び図2Aに示すように、使用中(閉時)には、エアシリンダ60からの圧力によって導電性弾性体51がシールド41の端面411と接触し、シールド31からシールド41がシールドされる。導電性弾性体はシールド41の端面411に取り付けられてもよい。
また、シールド31とシールドボックス30の接触面及びシャフト61とシールドボックス30の接触面にも、それぞれ導電性弾性体52及び53が取り付けられている。
これらの導電性弾性体51、52及び53によって出力板33からRF入力端42までのRF経路のシールド性が確保される。
【0016】
なお、上記実施例では導電性弾性部材51をシールド31側に取り付けたが、導電性弾性部材51はシールド31又はシールド41の一方又は両方に取り付けられていればよい。即ち、シールド31の端面311とシールド41の端面411の間に、それらを電気的に結合する弾性部材が取り付けられていればよい。
【0017】
図3に本発明のRF出力端32及びRF入力端42の先端部の一例を示す。図示するように、RF出力端32の先端はコンタクトピン321からなり、RF入力端42の先端はコンタクト受け421からなる。これにより、RF出力端32とRF入力端42とが嵌入接続される。また、コンタクトピン321がコンタクト受け421に確実に接触できるように、コンタクト受け421が複数の部分に分割されている。
なお、上記とは逆に、RF出力端32の先端をコンタクト受けとし、RF入力端42の先端をコンタクトピンとしてもよい。
【0018】
上記の開閉動作を制御手段80(図1A)によって自動で行うことができる。
カソード40が閉じた状態(図1A及び2A)からカソード40を開く場合、まず、エアシリンダ60による矢印F方向の力が弱められ、導電性弾性部材51とシールド41が離れるとともに、RF出力端32とRF入力端42とが離れる。即ち、これによりシールドボックス30とカソード40とが分離される。これをセンサ62により検知し、その後、駆動源70によってカソード40が持ち上げられ、カソード40が開放される。
【0019】
逆に、カソード40が開いた状態(図1B及び2B)からカソード40を閉じる場合は、駆動源70によってカソード40がスパッタ室10の上に降ろされ、その後エアシリンダ60によってシールド31及びRF出力端32が矢印Fの方向に押される。これにより、RF出力端32(コンタクトピン321)とRF入力端42(コンタクト受け421)が接続され、シールド31とシールド41とが導電性弾性部材51を介して密着される。
【0020】
なお、センサ62によってシャフト61の位置を検出することによってコンタクトの接続状況を判断し、それをエアシリンダ60、駆動源70、図示しないRF電源の制御に利用する。
【0021】
図4A(閉時)及び4B(開時)に本発明のシールド構成の他の実施例を示す。ベローフランジ91及びセンサ92を追加し、導電性弾性体52及び53を省略してエアシリンダ60をシールドボックス30に直接取り付けたことを除き、図2のシールド構成に同じである。第1のシールド31とシールドボックス30をベローフランジ91により接続し、第1のシールド31をより確実にシールド電位(アース電位)に保つことを目的とする。ベローフランジ91は、導電性材料から構成され、RF出力端32の摺動に合わせて伸縮する。ベローフランジに限らず、RF出力端32の摺動に合わせて変形し、接続時にRF経路を囲繞する導電性材料を第1のシールド31とシールドボックス30間に取り付けてもよい。
【0022】
また、本実施例では第1のシールド31の端面311と第2のシールド41の端面411の面接触を確認するセンサ92を追加した。これにより、シールド性の強化とともに、シールド部材間での異常放電を抑止することができる。実施例ではセンサ92にプランジャスイッチを用いているが、端面の接触を確認するものであれば他の電気的又は機械的スイッチであってもよい。
【0023】
また、第1のシールド31と第2のシールド41は同材質または電気抵抗の差の小さい材質を選択することが異常放電抑止に好ましい。第1のシールド31と第2のシールド41の端面を面接触させ、シールド部を積極的にアース電位とするためにベローフランジを用いることにより、シールド性を強化し、更に異常放電を抑止して安定したRF電力供給を行うことができる。また、入力端側又は出力端側に、RF経路及びシールドの接続時における衝撃を吸収緩和するためのスプリング等を設けてもよい。
【0024】
<変形例>
上記は本発明の最も好適な実施例を示すものであるが、本発明は以下のように変形可能である。
上記実施例では、シールド31及びRF出力端32双方がエアシリンダ60によって摺動される構成としたが、シールド31のみが摺動される構成としてもよい。例えば、図5に示すように、RF出力端32とRF入力端42とが駆動源70の動作のみによって接触又は非接触となるようにしてもよい。この構成の場合、RF出力端32は移動しないので図2で示したような給電板は必要ない。従って、出力板34とRF出力端32とが直接接続されてもよいし、それらが統合されて一体形成されてもよい。
【0025】
また、上記実施例では、シールド31側をエアシリンダ60によって摺動する構成としたが、シールド41、又はシールド41及びRF入力端42を摺動する構成としてもよい。そして、例えば図6に示すように、駆動源とエアシリンダの機能を統合したアーム機構85を採用してもよい。
【0026】
以上の構成により、カソードとRF電力伝達手段の間のRF経路接続部の完全なシールドの確保でき、さらには接続部の確実な接触も確保されるので、カソードをRF電力伝達手段から独立する構成とすることができる。
また、上記構成によると、接続部におけるRF経路又はシールドをボルト等で固定する必要がないので、カソードの開閉動作を自動で行なう構成を実現することができた。
【0027】
上記より、カソード単体での自動開閉動作が可能となり、カソードのメンテナンス時の作業性が向上するとともに駆動源並びに配線及び冷却チューブにかかる負担を軽減することがでる。
【符号の説明】
【0028】
10.スパッタ室
20.マッチングボックス
25.チューブ
30.シールドボックス
31.シールド
32.RF出力端
33.出力板
34.給電板
40.カソード
41.シールド
42.RF入力端
51、52、53.導電性弾性部材
60.エアシリンダ
61.シャフト
62.センサ
70.駆動源
80.制御手段
85.アーム機構
91.ベローフランジ
92.センサ
311、411.端面
321.コンタクトピン
421.コンタクト受け
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFスパッタ装置であって、
スパッタ室、
第1のシールドに覆われたRF出力端を有し、該スパッタ室に固定されたRF電力伝達手段、
第2のシールドに覆われ、該RF出力端に着脱可能なRF入力端を有し、該スパッタ室に着脱可能に取り付けられるカソード、
該第1のシールドの該第2のシールドに対向する端面又は該第2のシールドの該第1のシールドに対向する端面に取り付けられた導電性弾性部材、及び
該導電性弾性部材を挟む方向の力を、該第1のシールド若しくは該第1のシールド及びRF出力端又は該第2のシールド若しくは該第2のシールド及びRF入力端に加える加圧手段
を備えたRFスパッタ装置。
【請求項2】
請求項1のRFスパッタ装置において、前記RF電力伝達手段が、RF電力経路のインピーダンス整合用のマッチングボックス、及び該マッチングボックスからのRF電力を前記RF出力端に伝達するシールドボックスからなり、
該シールドボックスが、該マッチングボックスに接続される出力板、及び該出力板と該RF出力端を接続する変形可能な給電板を有し、
前記加圧手段が前記第1のシールド及びRF出力端を摺動させるように構成されたRFスパッタ装置。
【請求項3】
請求項1のRFスパッタ装置であって、さらに、前記カソードを自動開閉する駆動源を備えたRFスパッタ装置。
【請求項4】
請求項1のRFスパッタ装置であって、前記シールドボックスの外部に配置した前記加圧手段が、前記マッチングボックスの筐体を貫通する駆動軸を摺動させるように構成されたRFスパッタ装置。
【請求項5】
請求項1のRFスパッタ装置であって、さらに、前記第1のシールドの前記第2のシールドに対向する端面又は該第2のシールドの該第1のシールドに対向する端面に取り付けられたセンサを備え、該センサが該第1のシールドと該第2のシールドの接触を検知するように構成されたRFスパッタ装置。
【請求項1】
RFスパッタ装置であって、
スパッタ室、
第1のシールドに覆われたRF出力端を有し、該スパッタ室に固定されたRF電力伝達手段、
第2のシールドに覆われ、該RF出力端に着脱可能なRF入力端を有し、該スパッタ室に着脱可能に取り付けられるカソード、
該第1のシールドの該第2のシールドに対向する端面又は該第2のシールドの該第1のシールドに対向する端面に取り付けられた導電性弾性部材、及び
該導電性弾性部材を挟む方向の力を、該第1のシールド若しくは該第1のシールド及びRF出力端又は該第2のシールド若しくは該第2のシールド及びRF入力端に加える加圧手段
を備えたRFスパッタ装置。
【請求項2】
請求項1のRFスパッタ装置において、前記RF電力伝達手段が、RF電力経路のインピーダンス整合用のマッチングボックス、及び該マッチングボックスからのRF電力を前記RF出力端に伝達するシールドボックスからなり、
該シールドボックスが、該マッチングボックスに接続される出力板、及び該出力板と該RF出力端を接続する変形可能な給電板を有し、
前記加圧手段が前記第1のシールド及びRF出力端を摺動させるように構成されたRFスパッタ装置。
【請求項3】
請求項1のRFスパッタ装置であって、さらに、前記カソードを自動開閉する駆動源を備えたRFスパッタ装置。
【請求項4】
請求項1のRFスパッタ装置であって、前記シールドボックスの外部に配置した前記加圧手段が、前記マッチングボックスの筐体を貫通する駆動軸を摺動させるように構成されたRFスパッタ装置。
【請求項5】
請求項1のRFスパッタ装置であって、さらに、前記第1のシールドの前記第2のシールドに対向する端面又は該第2のシールドの該第1のシールドに対向する端面に取り付けられたセンサを備え、該センサが該第1のシールドと該第2のシールドの接触を検知するように構成されたRFスパッタ装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【公開番号】特開2010−229529(P2010−229529A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80889(P2009−80889)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000146009)株式会社昭和真空 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000146009)株式会社昭和真空 (72)
【Fターム(参考)】
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