説明

RFパウダー粒子、RFパウダー、およびRFパウダー含有基体

【課題】紙幣等の財産的価値の高いシート状等の対象物について、偽造の書類、偽紙幣等を作製することを困難にすることができ、それぞれ所定共振周波数を有する1つのタンク回路を備えた多数の粒子の各々に必要な情報を記憶できるRFパウダー粒子、RFパウダー、およびRFパウダー含有基体を提供する。
【解決手段】RFパウダー粒子は、基板22の絶縁面上に磁界結合素子としてのコイル24(インダクタンス要素)とこのコイルの両端に接続されるコンデンサ25(キャパシタンス要素)とを形成し、インダクタンス要素とキャパシタンス要素でタンク回路31を形成するように構成される。タンク回路31は、外部から与えらえる高周波の磁界に対して、条件に応じて共振状態の回路または非共振状態の回路として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウダーとして使用し、紙等に含有させ、外部から与えられる高周波電磁界(無線)により情報の読み取り等ができるRFパウダー粒子、RFパウダー、およびRFパウダー含有基体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ICタグはユビキタス時代の入り口にある商品と考えられている。RF−ID(超小型無線認識)として名札やスイカカード、FeRAMカードなど、以前から開発が行われている。ICタグの市場は将来必ず大きいものに成長すると、多数の人が期待している。しかし、未だに期待しているほどには市場は育っていない。その理由として、コストとセキュリティー、機密の問題など、社会的に解決しなくてはならない課題があるからである。
【0003】
またRF−IDの技術は、紙幣や有価証券等の財産的価値を有する書面の識別への応用も考えられる。紙幣の偽造などが問題となっており、それらの問題を解決するための方法として、ICタグを紙幣等に埋め込むことが考えられる。しかしながら、ICタグの価格が高いことやサイズが大きいために上記のことが実現するには至っていない。
【0004】
ICタグの価格は、ICタグチップのサイズを小さくすることにより安くすることができる。それは、ICタグチップのサイズを小さくすれば、1枚のウェハから得られるICタグチップの数量を多くすることができるからである。現在までに、0.4mm角のICタグチップが開発されている。このICタグチップは、チップ内の128ビットのメモリデータを2.45GHzのマイクロ波で読み取ることができる(例えば非特許文献1参照)。
【0005】
一方、ICタグ以外の要素を用いた、紙幣やクレジットカード等の識別等に応用できる無線周波数自動識別(RF/AID)システムも考えられている。その一例として、特許文献1では、紙やプラスチックからなる基板に固定した配置で配置され、基板上にランダムな空間位置を占め、複数の無線周波数に共振する複数の共振子を含んでいる。複数の共振子は受動固体共振子である。受動固体共振子は、伸長した金属体から形成された薄双極子を含む。受動固体共振子は、より具体的に、石英クリスタルのような、石英ファミリーに属する材料からなっている。無線周波数ターゲットでは、基板の上に設けた複数の共振子が無線周波数の電磁波によって照射されるときに共振し、その共振を検出することによって複数の共振子の配置を把握し、これにより識別される。
【特許文献1】特開平10−171951号公報
【非特許文献1】宇佐美光雄、『超小型無線ICタグチップ「ミューチップ」』、応用物理、Vol.73、No.9、2004、p.1179−p.1183
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の各種のカードにICタグを用いるとき、1枚のカードには1つのICタグが用いられていた。しかしながら、例えば紙幣にICタグを用いるときには、1つのICタグを付するだけでは構成が単純であるので、偽造紙幣が容易に作られてしまう可能性がある。また、特許文献1のような複数の共振子を紙幣等に含ませた場合は、複数の共振子の配置と、複数の共振子の共振周波数の違いで識別をさせるので、偽造紙幣等は作られにくいと考えられる。しかしながら、1つの共振子は共振子ごとに共振周波数を変えることができるが、1つの共振周波数を有する1つの共振子それ自体に識別番号などの情報を記憶させることはできない。石英共振子は大きさに依存して共振周波数が変わるので、大きさ一定で違う周波数を作り出すことが困難である。また共振子は受動固体共振子であって、薄双極子を含み、石英ファミリーに属する材料で作られており、その製造に特殊な技術が要求される。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題を鑑み、各種カード、紙幣や有価証券等の財産的価値の高いプレート状またはシート状の対象物について、偽造のカードや書類、偽紙幣等を作製することを困難にすることができ、さらに、それぞれ自在に設計できる1つの共振周波数を有する1つのタンク回路を備えたRFパウダー粒子、RFパウダー、およびRFパウダー含有基体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るRFパウダー粒子、RFパウダー、およびRFパウダー含有基体は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0009】
本発明に係るRFパウダー粒子は、基板の絶縁面上に磁界結合素子としてのインダクタンス要素とこのインダクタンス要素の両端に接続されるキャパシタンス要素とを形成し、インダクタンス要素とキャパシタンス要素でタンク回路を形成するように構成される。
【0010】
上記の構成において、インダクタンス要素は、絶縁面上に形成されたコイルで形成され、キャパシタンス要素は、コイルの内周側端と外周側端に間に接続され、かつ絶縁面上で対向する2つの電極により形成される。
【0011】
上記の構成において、対向する2つの電極の間に絶縁膜が設けられ、この絶縁膜はコイルとキャパシタンス要素の電極との間を絶縁すると共にキャパスタンスを決める。
【0012】
上記の構成において、好ましくは、キャパシタンス要素における対向する2つ電極のうちコイルの端部に接続される電極は絶縁膜の上側に設けられ、他方の電極は絶縁膜の下側に設けられる。
【0013】
上記の構成において、好ましくは、キャパシタンス要素における対向する2つ電極のうちコイルの端部に接続される電極は絶縁膜の下側に設けられ、他方の電極は絶縁膜の上側に設けられる。
【0014】
上記の構成において、好ましくは、基板は、表面に絶縁層が形成された半導体基板、またはガラス基板である。
【0015】
本発明に係るRFパウダーは、パウダーの態様で使用され、パウダーの各粒子は、基板上に、磁界結合素子としてのインダクタンス要素と、このインダクタンス要素の両端に接続されてタンク回路を形成するキャパシタンス要素とを備える。
【0016】
上記の構成において、好ましくは、インダクタンス要素とキャパシタンス要素によって形成される設計されるタンク回路は外部から与えられる設計された高周波磁界に感応することで特徴づけられる。
【0017】
本発明に係るRFパウダー含有基体は、RFパウダーを含有し、RFパウダーの各粒子が、基板上に、磁界結合素子としてのインダクタンス要素と、このインダクタンス要素の両端に接続されてタンク回路を形成するキャパシタンス要素とを備える基体であり、基体に含有されるRFパウダーの粒子のそれぞれは複数の異なる設計周波数の磁界に対して感応することで特徴づけられる。
【0018】
上記の構成において、好ましくは、基体は紙またはプラスチックからなり、あるいは基体は紙幣である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るRFパウダー粒子およびRFパウダーによれば、基板の絶縁面上にインダクタンス要素とキャパシタンス要素で1つのタンク回路を形成するようにしたため、外部から与えられる高周波磁界との間における1つのタンク回路の共振回路状態または非共振回路状態を利用してRFパウダー粒子との間で、簡単にかつ確実に情報の送受を行うことができる。さらに1つのタンク回路による共振回路状態と非共振回路状態を適宜に組み合わせることにより、基板を含む1つのRFパウダー粒子に関する情報等を読み出すことができる。
さらに本発明に係るRFパウダー含有基体によれば、紙やプラスチックからなる基体が異なる周波数の電磁界に感度を有する複数種類のRFパウダーを含んでいるため、複数のRFパウダーの配置と、複数のRFパウダーの異なる周波数の電磁界を識別することができる。それにより、基体が紙などの紙幣に応用したとき、偽造紙幣を容易に作ることができなくなる。また基体の中に複数のRFパウダーを配置し、配置と周波数と情報とを合わせることで、必要な情報を基体に持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明の実施形態に係るRFパウダー含有基体を示す断面斜視図である。RFパウダー含有基体は、RFパウダーを含む基体である。
【0022】
図1は、拡大して示しており、例えば紙等のシート状または可撓性を有するプレート状の基体10に、例えば3種類のRFパウダー粒子11,12,13が入っている様子を示している。RFパウダー粒子11,12,13は、それぞれ、異なる周波数の高周波の電磁界に感応する特性を有している。図1では、RFパウダー粒子11,12,13の大きさを若干変えて図示しているが、これは、RFパウダー粒子11,12,13がそれぞれ異なる周波数の電磁界に感応することを分かりやすくするために描いたものであり、実際は、RFパウダー粒子11,12,13はほぼ同じ大きさである。
【0023】
上記のRFパウダー粒子11,12,13のそれぞれは、実際には、多数または大量のRFパウダー粒子により粉状体の使用態様にて集合的にて取り扱われ、RFパウダーを構成する。図1では、RFパウダー粒子11,12,13は全部で13個が示されているが、RFパウダー粒子の個数はこれに限定されるものではない。粉状体のRFパウダーの使用態様を考慮すれば、実際には、当該RFパウダー粒子11,12,13はシート状の形状を有する基体10の全体に分散的に広がって存在している。上記のごとく、その内部あるいは表面等に存在する多数のRFパウダーを含む基体10を「RFパウダー含有基体10」と呼ぶことにする。
【0024】
また上記の「RFパウダー」とは、パウダー(粉状体または粒状体)を形成する大量の粒子の各々が無線(高周波電磁界:RF)を介して外部のリーダとの間で電磁結合により信号送受を行う電気回路要素を有し、通常の使用態様が集合的形態であるパウダーとして使用されるものを意味する。
【0025】
次に、図2〜図5を参照して、RFパウダーを作る1つのRFパウダー粒子の第1の実施形態を説明する。
【0026】
図2はRFパウダー粒子の外観斜視図を示し、図3はRFパウダー粒子の平面図を示し、図4は図3におけるA−A線断面図を示し、図5は図3におけるB−B線断面図を示している。図4および図5の縦断面図においてRFパウダー粒子はその厚みを誇張して示している。
【0027】
RFパウダー粒子21は、好ましくは、立方体またはこれに類似した板状の直方体の形状を有し、外側表面での複数の矩形平面に関して、最長辺を含む矩形平面が好ましくは0.30mm角以下の大きさを有し、より好ましくは0.15mm角以下の大きさを有する3次元的な形状を有している。この実施形態のRFパウダー粒子21は、図3に示すように、その平面形状が正方形になるように形成されている。RFパウダー粒子21では、正方形の平面形状において、例えば図3中の一辺Lが0.15mm(150μm)となっている。
【0028】
RFパウダー粒子21では、シリコン(Si)等の基板22上に絶縁層23(SiO等)を形成し、この絶縁層23の上に複数巻きのコイル24(インダクタンス要素)とコンデンサ(またはキャパシタ)25(キャパシタンス要素)とが成膜技術によって形成される。絶縁層23の厚みは例えば10μm程度である。コンデンサ25は、2つの部分25a,25bから構成されている。
【0029】
絶縁層23上に形成されたコイル24とコンデンサ25は、特定の周波数(例えば2.45GHz)の高周波磁界に結合して共振電流が二つの素子間に循環して流れる。これを「感応する」と表現する。コイル24は、図2または図3に示されるように、RFパウダー粒子21の正方形の平面形状の各辺に沿って、1本の導体配線を例えば三重巻きにすることにより形成されている。コイル24を形成する導体配線の材質は例えば銅(Cu)である。コイル24の両端部は所要の面積を有する正方形のパッド24a,24bとなっている。2つのパッド24a,24bは、それぞれ、コイル24の交差部分を間において内周側と外周側に配置されている。2つのパッド24a,24bを結ぶ方向は、コイル24の交差部分に対して直交する方向となっている。パッド24a,24bのそれぞれは、コンデンサ25の2つの部分25a,25bの上側電極として機能する。
【0030】
上記において、コイル24の巻数や長さは任意に設計することができる。またコイル24の形状も任意に設計することができる。
【0031】
コンデンサ25は、本実施形態の場合には、例えば2つのコンデンサ要素25a,25bから構成されている。コンデンサ要素25aは、上側電極24aと下側電極26a(アルミニウム(Al)等)とそれらの間に位置する絶縁膜27(SiO等)とから構成されている。下側電極26aは上側電極24aとほぼ同形の電極形状を有している。絶縁膜27によって上側電極24aと下側電極26aは電気的に絶縁されている。またコンデンサ要素25bは、上側電極24bと下側電極26bとそれらの間に位置する絶縁膜27とから構成されている。この場合にも、同様に、下側電極26bは上側電極24bとほぼ同形の電極形状を有して、絶縁膜27によって上側電極24bと下側電極26bは電気的に絶縁されている。
【0032】
コンデンサ要素25a,25bの各々の下側電極26a,26bは導体配線26cで接続されている。実際には、2つの下側電極26a,26bと導体配線26cは一体物として形成されている。またコンデンサ要素25a,25bの各々の絶縁膜27は共通の一層の絶縁膜となっている。絶縁膜27の厚みは例えば30nmである。絶縁膜27は、2つのコンデンサ要素25a,25bの間の領域において、下側電極26a,26bの間を接続する導体配線26cと、コイル24とを電気的に絶縁している。
【0033】
上記の構成によって、コイル24の両端部の間には、電気的に直列に接続された2つのコンデンサ要素25a,25bで作られるコンデンサ25が接続されることになる。ループを形成するように接続されたコイル24とコンデンサ25とによってタンク回路(LC共振回路)が形成される。タンク回路は、その共振周波数に一致する周波数を有する高周波電磁界に感応する。
【0034】
なお、図4および図5から明らかなように、RFパウダー粒子21の表面の全体はP−SiN膜28により被覆されている。P−SiN膜28は、RFパウダー粒子21におけるタンク回路が形成されている側の表面を保護している。
【0035】
上記において、コンデンサ25は2つのコンデンサ要素25a,25bで構成したが、これに限定されず、いずれか一方による1つのコンデンサ要素で作ることもできる。コンデンサ25の容量値は、電極の面積を調整することにより適宜に変更することができる。複数のコンデンサを並列に配置することにより適宜に設計することもできる。
【0036】
以上の構造を有するRFパウダー粒子21は、基板22の表面における絶縁面上にループ状に接続された複数巻のコイル24とコンデンサ25とから成るタンク回路を有するので、当該タンク回路の共振周波数で決まる高周波磁界に感応する作用を有することになる。このようにして、RFパウダー粒子21は設計された周波数で共振する「RFパウダー粒子」として機能する。
【0037】
また絶縁層23の上に形成されたコイル24とコンデンサ25は、基板22の表面部分との間では、電気的配線で接続される関係を有していない。すなわち、基板22の上に堆積された絶縁層23にはコンタクトホールが形成されず、コンタクト配線が形成されてない。コイル24とコンデンサ25から成るタンク回路は、シリコン基板22から電気的に絶縁された状態で作られている。コイル24とコンデンサ25から成るタンク回路は、基板22から分離された状態で、その回路自身だけで共振回路として構成される。
【0038】
上記のRFパウダー粒子21で、土台の基板22はシリコン基板であり、その表面に絶縁層23が形成されているが、基板についてはシリコン基板の代わりに例えばガラス、樹脂、プラスチックス等の誘電体(絶縁体)を利用した基板を用いることができる。ガラス基板等を用いる場合には、本来的に材質は絶縁体(誘電体)であるので、絶縁層23を特別に設ける必要はない。
【0039】
図6は基板22の上に形成されたタンク回路(LC共振回路)を、構造の特徴も分かるように等価回路的なイメージで示した図である。基板22の絶縁層23上にタンク回路31が形成されている。タンク回路31は、インダクタンス要素(L)とキャパシタンス要素(C)とから構成される。インダクタンス要素Lは上記のコイル24によって作られる要素である。キャパスタンス要素Cは上記のコンデンサ25で作られる要素である。キャパシタンス要素Cは、2つのコンデンサ要素25a,25bとから作られる。
【0040】
次に、図7と図8を参照して、RFパウダーを作る1つのRFパウダー粒子の第2の実施形態を説明する。図7は第2実施形態に係るRFパウダー粒子の平面図を示し、図8は図7におけるC−C線断面図を示している。図7は図3に対応し、図8は図4に対応している。図7と図8において、図3と図4で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付している。
【0041】
RFパウダー粒子21の絶縁層23の上面には、絶縁層35内にてコイル24のパターンが形成されている。コイル24の形状は実質的に三重の巻線となっており、図3に示したものと形状パターンが少し異なっているが、その作用等は実質的に同じである。コイル24の内周側端部および外周側端部には下部電極24c,24dが形成されている。絶縁層35とコイル24と2つの下部電極24c,24dの上側にはさらに絶縁層(SiO,SiN等)36が形成される。さらに絶縁層36の上には、2つの下部電極24c,24dの各々に対応する上部電極37a,37bを有する導体金属層37が形成される。コイル24の内周側端部において、下部電極24cと上部電極37aは絶縁層36を介して対向して配置され、上記のコンデンサ要素25aが作られる。コイル24の外周側端部において、下部電極24dと上部電極37bは絶縁層36を介して対向して配置され、上記のコンデンサ要素25bが作られる。コンデンサ要素25aとコンデンサ要素25bとでコンデンサ25が形成される。
【0042】
第2実施形態に係るRFパウダー粒子21では、コンデンサ25(コンデンサ要素225a,25b)の下部電極24c,24dと上部電極37a,37bの間に配置される絶縁層36を基準にして、絶縁層36の下側にコイル24が配置されることになる。コイル24の両端部に形成される電極24c,24dは、コンデンサ要素25a,25bの下側電極となる。コンデンサ要素25a,25bの上側電極37a,37bは、絶縁層36の上に配置される。第2実施形態に係るRFパウダー粒子21の構造によれば、コイル24とコンデンサ25から成るタンク回路31の製作が容易になり、かつ基板22の絶縁層23上の形状が平坦になるという利点を有する。
【0043】
次に図9〜図11を参照して、上記構造を有するRFパウダー粒子(11〜13)を含有するRFパウダー含有基体(基体10)に関する検査方法、および検査時の作用を説明する。
【0044】
図9は検査装置の装置構成を示す。図1で説明したように紙幣等のシート状の基体10は、相当な数のRFパウダー粒子(11,12,13)を含有している。図9では、基体10の厚みを誇張し、拡大して示している。
【0045】
基体10はコンピュータ61に接続されたリーダ62によって走査される。コンピュータ61は複数のRFパウダー粒子11の応答の周波数依存データを読み込む。コンピュータ61はデータを処理する機能の本体61bのほかに表示装置61a、操作のためにキーボード61cを備えている。
【0046】
上記リーダ62は読込みプローブ63(図10を参照)を有し、読込みプローブ63は高周波電磁界を近傍に生成し、磁界結合によりパウダー(RFパウダー粒子11〜13)と結合する。パウダー粒子の固有振動数が例えば2.45GHzのとき、高周波電磁界の周波数が同じ2.45GHzのときに共振して電磁界エネルギがRFパウダー粒子に伝達する。この伝達が効率よく起きるためには読込みプローブの生成する電磁界にRFパウダー粒子のコイルがよく結合するほどに、近傍にある必要がある。空間で結合が効率よく起きるためには、互いのコイルの大きさがほぼ同じで、また互いの距離はコイルの大きさと同じ程度にあるのが望ましい。エネルギの伝達が起き、伝達した先の回路にエネルギが伝達してそれが戻らないという損失があると反射率が小さくなるので、例えば反射率を測定すると、共振を確認できる。
【0047】
RFパウダー粒子の固有の振動周波数2.45GHzを検出するには、読込みプローブ33は例えば1〜3GHzまで周波数を変化させる。リーダ32はパウダーの位置を特定するために基体10の表面上を磁界結合が起きるように一定の距離を保ちながら走査動作をする。
【0048】
なお図9〜図11に示したリーダ62および読込みプローブ63は概念的に描かれており、実際的な具体的構造を示すものではない。
【0049】
図10はリーダ62の読込みプローブ63から所定のある周波数の高周波を生成したとき、固有の振動周波数が一致または近いRFパウダー粒子11のタンク回路のコイルに共振電流が流れて、RFパウダー粒子11の周りに電磁界Hが生成される様子を模式的に示したものである。これを「感応している」と、本実施形態の説明では表現するときがある。RFパウダ粒子は波長(例えば2GHz帯の場合は15cm)に比べて十分小さい(0.15mm)ので電磁波の放射の成分は無視できる。読込みプローブからの高周波エネルギの伝達と反射、損失は磁界結合を介して行われる。
【0050】
図11はRFパウダー粒子11が存在する場所で磁界結合してエネルギの伝達と反射が起きる様子を示す。リーダ32が走査移動して読込みプローブ63がRFパウダー粒子11の上方にある。読込みプローブ63は定められた範囲で周波数を変化させながら周りに高周波磁界を生成する。RFパウダー粒子11の固有振動周波数に近づきまたは一致したときには磁界結合を介してRFパウダー粒子のコイルとコンデンサのタンク回路には同じ周波数で電流が流れ、エネルギの伝達(図11中、矢印64で示す。)が起きる。電流は周りに磁界を生成すると共に伝達された(または「受信した」)エネルギーの一部を回路内で熱として消費して損失エネルギ成分となる。損失成分は読込みプローブから見ると、反射成分(図11中、矢印65で示す。)の低下として測定できる。固有振動数に一致するときに最も大きな損失となり反射成分が低下する。この測定を行うことにより、共振した周波数をRFパウダー粒子11の周波数データ情報としてリーダ62は読込みプローブ63の位置情報と共にコンピュータ61に送る。
【0051】
同様に、リーダ62が走査移動し、その読込みプローブ63がRFパウダー粒子12の上方に位置した場合において、読込みプローブ63が生成する高周波電磁界がRFパウダー粒子12の感応する周波数になったとき、RFパウダー粒子12はその高周波磁界と結合して共振し、同様にしてRFパウダー粒子12の周波数情報が読み出される。さらに同様に、リーダ62が走査移動し、その読込みプローブ63がRFパウダー粒子13の上方に位置した場合において、読込みプローブ63が生成する高周波電磁界がRFパウダー粒子13の感応する周波数になったとき、RFパウダー粒子13はその高周波磁界と結合して共振し、RFパウダー粒子13の周波数情報が読み出される。
【0052】
次に、図12と図13を参照して、RFパウダー粒子の周波数情報を読み込むための高周波電磁界を送受するプローブ回路について説明する。
【0053】
図12に従って、各RFパウダー粒子に設けられるタンク回路31を介した読込みプローブ63での電磁応答の送受作用を説明する。図12の(A)は、タンク回路31で共振が生じて(共振状態)、送信信号の反射が小さい場合の状態を示す。図12の(B)は、タンク回路31で共振が生ぜず(非共振状態)、送信信号の反射が大きい場合の状態を示す。なおこの場合には、タンク回路31の共振周波数と、読込みプローブ63から出射される高周波電磁界の周波数とは一致しているときの応答である。
【0054】
読込みプローブ63に対して高周波を供給するプローブ回路は、高周波発振器91とサーキュレータ92とから構成されている。高周波発振器91は、読込みプローブ63から高周波電磁界Eを生成させるための高周波93を出力する。当該高周波93はサーキュレータ92を通して読込みプローブ63に伝送される。読込みプローブ63は、供給された高周波93に基づいて高周波電磁界Eを生成する。なおサーキュレータ92は、高周波発振器91側からの電力供給と、読込みプローブ63側からの反射とで、電力の流れるルートを変更するための回路要素である。読込みプローブ63側から反射電力は出力端92aに出力される。
【0055】
読込みプローブ63が生成した高周波電磁界Eに対して、RFパウダー粒子側のタンク回路31では、共振状態または非共振状態に応じて反応する。
【0056】
図12では、同じ共振周波数のタンク回路31を有する2つのRFパウダー粒子が近く存在する場合において、RFパウダー粒子(タンク回路31)と読込みプローブ63との位置関係の一致・不一致で生じる応答差を示す。図12の(A)は、RFパウダー粒子の共振状態にあるタンク回路31が読込みプローブ63の位置と一致する場所に存する場合の例である。図12の(B)は、RFパウダー粒子のタンク回路31が読込みプローブ63の位置から離れた場所にあり、結合不十分で共振していない場合の例である。
【0057】
図12の(B)の場合には、読込みプローブ63からの高周波電磁界に感応しない位置にタンク回路31が存在するので、タンク回路31で共振状態は生ぜず、損失がない反射が生じる結果、サーキュレータ92の出力端92aからは強いレベルの反射応答S2が出力される。
【0058】
図13に他の実施形態を示す。この実施形態では、利得帰還フィルタの作用を利用して自励発振させてRFパウダー粒子のタンク回路31と読込みプローブ63との間での電磁応答を行う。
【0059】
図13において、符号31はRFパウダー粒子に設けられた前述のタンク回路を示している。読込みプローブ63側のプローブ回路は正帰還増幅器101を備えている。正帰還増幅器101は、ブリーダー抵抗111、帰還抵抗112,113を有する。正帰還増幅器101における帰還負荷として、読込みプローブ63のプローブコイル102と、電磁結合時のRFパウダー粒子のタンク回路31とが回路的に挿入される。リーダ62の読込みプローブ63に対して、RFパウダー粒子が接近すると、図13に示すごとく電磁結合103が生じ、正帰還増幅器101において帰還率が1を超え、自励発振が起きる。電磁結合103が弱くなる所までRFパウダー粒子が離れると、自励発振は停止する。この場合には、十分な帰還率が得られるように、タンク回路31のコイルおよび読込みプローブ63のプローブコイル102の抵抗損が設計されている。
【0060】
タンク回路31と読込みプローブ63のプローブコイル102との間の上記電磁結合103の結合度が大きいときには正帰還増幅器101の出力端子104からレベルの大きい検出信号105が出力され、電磁結合103の結合度が小さいときには出力端子104から負帰還抵抗113で決まる小さな種高周波114が検出されるだけである。
【0061】
上記の検出方式の利点は、共振周波数が正確に1つだけ選択されるので、周波数の測定によってRFパウダー粒子の共振周波数の違いを高精度で測定して差別することができる。なお、共振応答を早くするために時間掃引された種励起高周波を読込みプローブ63に重ねておくことも好ましい。
【0062】
図14と図15を参照して、読込みプローブ63に関する電気回路の更なる他の実施形態を説明する。この実施形態では、送信と受信を時間的に切替え、送信とリンギング受信を行うように構成されている。
【0063】
図14において、RFパウダー粒子のタンク回路31と、読込みプローブ63のプローブコイル102との間で、瞬時に生じる電磁結合103の作用に基づいて信号の送受を行う。読込みプローブ63側のプローブ回路(読取回路200)は、RF送信機201と、送信用のゲートスイッチ202と、RF受信機203と、受信用のゲートスイッチ204と、送受信切替指示器205とから構成される。RF送信機201とRF受信機203が能動状態にあるという前提で、送受信切替指示器205の指示信号206に基づいてゲートスイッチ202,204が交互にオン・オフされる。図14において、符号207は、送受信切替指示器205の指示信号206に基づいてゲートスイッチ202,204が交互にオン・オフし、その結果、読取回路200において送信の状態と受信の状態が時間軸208上で交互に生じるパターンを示している。
【0064】
送信状態における送信波の形状、受信状態における受信波の形状は、それぞれ、図15において符号211および符号212で示されている。
【0065】
ゲートスイッチ202がオンしかつゲートスイッチ204がオフしたときには、RF送信機201から高周波がプローブコイル102からタンク回路31に供給され、タンク回路31では周波数が一致したときには同じ周波数の電流が流れる。タンク回路31のコイル(L)の周囲には同じ周波数の電磁界が生じている。また当該電磁界によって、プローブコイル102には電圧が誘起される。
【0066】
次に、ゲートスイッチ202を閉じる。その後、タンク回路31の電流は読込みプローブ63側からの励起電磁界の補給がないので、減衰振動する。タンク回路31の周囲の電磁界も減衰振動をする。その状態で、ゲートスイッチ204をオンすると、RF受信機203はその減衰振動212をプローブコイル102を経由して受信する。RF受信機203は、励起に使用した周波数と同じ周波数の成分を受信するように設定されている。RFパウダーが存在する場所で読込みプローブ63によって探知走査すると、受信信号があったとき、その共振周波数のRFパウダー粒子の存在を情報として得ることができる。減衰振動212の持続時間はコイルの損失を表すQ値に依存するが、高々振動周期のQ倍程度しかない。
【0067】
次に、図16〜図19を参照してRFパウダー粒子の第3の実施形態を説明する。このRFパウダー粒子301は第1実施形態の変形例である。図16は、前述した図4と同様なRFパウダー粒子の要部の縦断面図を示し、図17はRFパウダー粒子の平面図を示している。また図18および図19は、1つのコンデンサ要素の電極部分の他の例を拡大して示した縦断面図を示す。図16〜図19において第1実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付している。
【0068】
図16において、タンク回路を備えたRFパウダー粒子301では、基板22の上に厚み10μmの絶縁層23が形成され、さらにこの絶縁層23の上にエッチングストッパー膜302が形成されている。エッチングストッパー膜302の材質は好ましくはP−SiNである。エッチングストッパー膜302の上には所定の箇所に凹凸形状が形成された酸化膜303が形成されている。酸化膜303に凹凸領域を形成するとき、上記エッチングストッパー膜302がエッチング処理を制限し、絶縁層23へのエッチングを阻止する。酸化膜303における凹凸が形成される所定の箇所は、前述したコンデンサ25のコンデンサ要素25a,25bが形成される箇所である。
【0069】
酸化膜303の上における凹凸形成箇所を含む領域には下側電極304a,304bが形成されている。下側電極304a,304bは、酸化膜303の凹凸領域に対応して凹凸形状を有するように形成されることになる。さらに下側電極304a,304bの上には絶縁層(誘電体)305が形成され、さらにその上側において2つの凹凸形状の下側電極304a,304bのそれぞれに対向させて例えば銅(Cu)による上側電極306a,306bが形成されている。図16および図17に示した上側電極306a,306bでは、その上面は平坦な形状になるように形成されているが、凹凸形状を有する下側電極304a,304bと対向する面は、下側電極の凹凸形状に対応するように凹凸形状になるように形成されている。
【0070】
コンデンサ要素25a,25bにおける2つの上側電極306a,306bは、それぞれ、前述のごとく、渦巻き状に形成されたコイル24の内周側の端部および外周側の端部になっている。コイル24の全体は酸化膜303の上に形成され、2つの下側電極304a,304bを接続する導体配線304cを横切る部分については絶縁層305の上を越えるように配置・形成される。
【0071】
上記において、RFパウダー粒子301では、コイル24によるインダクタンス要素とコンデンサ25によるキャパシタンス要素とで前述のタンク回路(31)が形成される。この場合において、コンデンサ25を形成する2つのコンデンサ要素25a,25bで、上側電極306a,306bと下側電極304a,304bの対向面で凹凸構造307を有するように形成したため、絶縁層305を挟む対向面の面積を大きくすることができる。この結果、同じ大きさのRFパウダー粒子とすると、タンク回路の共振周波数を低くすることができ、また反対に共振周波数を同じとすると、RFパウダー粒子のサイズを小さくすることができるという利点が生じる。
【0072】
図18は、RFパウダー粒子301の他の変形例であり、例えば1つのコンデンサ要素25bの縦断面図を拡大してより詳しく示している。図16で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図18の例では、凹凸構造307での凹凸の数を多数に増して示している。
【0073】
図18に示したコンデンサ要素25bにおいて、特徴的な点は、上側電極306bの上面にも凹凸形状が形成されると共に、下側電極304bと上側電極306bの間に形成される絶縁層(誘電体)305Aが、下側電極304bを酸化することにより形成される点である。その他の構成は、図16および図17で説明した通りである。
【0074】
この実施形態では、下側電極304bは、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Al(アルミニウム)等の金属で作られる。この場合において、下側電極304bを酸化すると、酸化物として作られる誘電体は高い誘電率の絶縁層305Aとなる。
【0075】
図19は、図18と同様に、RFパウダー粒子301の他の変形例であり、1つのコンデンサ要素25bの縦断面図を拡大してより詳しく示している。図19で示したコンデンサ要素25bにおいて、特徴的な点は、上側電極306bの上面にも凹凸形状が形成されると共に、下側電極304bと上側電極306bの間に形成される絶縁層(誘電体)305Bが、下側電極304bの上に高誘電体を成長させることにより形成される点である。その他の構成は、図16〜図18で説明した通りである。
【0076】
この実施形態では、下側電極304bを形成する金属は任意である。下側電極304bの上に成長する高誘電体としては例えばBSTやSTO(SrTiO:誘電率110〜200)である。これにより、下側電極304bと上側電極306bの間に、高い誘電率の絶縁層305Bが形成される。
【0077】
なおたコンデンサにおける絶縁層(誘電体)を挟む上下電極に凹凸構造を与える技術については、本発明者等は、実施可能技術として特願2004−071548号(平成16年3月12日に出願)に開示している。
【0078】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係るパウダーアンテナ回路要素等は、偽造紙幣等を確実に防止できる紙幣やクレジットカードや書類等に対して利用される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態に係るRFパウダー含有基体の断面斜視図である。
【図2】RFパウダー含有基体中に含まれる1つのRFパウダー粒子の第1実施形態の斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るRFパウダー粒子の平面図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】図3におけるB−B線断面図である。
【図6】本実施形態に係るタンク回路の等価回路を示す概念図である。
【図7】第2実施形態に係るRFパウダー粒子の平面図である。
【図8】図7におけるC−C線断面図である。
【図9】本実施形態に係るRFパウダー含有基体を検査するための装置構成を示す構成図である。
【図10】リーダがRFパウダー含有基体を検査するときの信号の送受の状態を示す側面図である。
【図11】1つのRFパウダー粒子の存在場所でのリーダとの高周波電磁界の送受関係を示す図である。
【図12】RFパウダー粒子に設けたタンク回路を介した読込みプローブでの信号の送受作用を説明するための図である。
【図13】読込みプローブの電気回路の他の実施形態を示す電気回路図である。
【図14】読込みプローブの電気回路の更なる他の実施形態を示す電気回路図である。
【図15】送信と受信を切り替える方式を説明するタイミングチャートである。
【図16】本発明に係るRFパウダー粒子の第3実施形態を示し、図4と同様なRFパウダー粒子の要部の縦断面図である。
【図17】第3実施形態に係るRFパウダー粒子の平面図を示す。
【図18】第3実施形態に係るRFパウダー粒子の変形例を説明するためのコンデンサ要素の電極部分についての部分拡大縦断面図である。
【図19】第3実施形態に係るRFパウダー粒子の他の変形例を説明するためのコンデンサ要素の電極部分についての部分拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0081】
10 基体(紙幣等)
11,12,13 RFパウダー粒子
21 RFパウダー粒子
22 基板
23 絶縁層
24 コイル
25 コンデンサ(キャパシタ)
27 絶縁膜
31 タンク回路
62 リーダ
63 読込みプローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の絶縁面上に磁界結合素子としてのインダクタンス要素とこのインダクタンス要素の両端に接続されるキャパシタンス要素とを形成し、前記インダクタンス要素と前記キャパシタンス要素でタンク回路を形成したことを特徴とするRFパウダー粒子
【請求項2】
前記インダクタンス要素は、前記絶縁面上に形成されたコイルで形成され、前記キャパシタンス要素は、前記コイルの内周側端と外周側端に間に接続され、かつ前記絶縁面上で対向する2つの電極により形成されることを特徴とする請求項1記載のRFパウダー粒子。
【請求項3】
対向する2つの前記電極の間に絶縁膜が設けられ、この絶縁膜は前記コイルと前記キャパシタンス要素の電極との間を絶縁することを特徴とする請求項2記載のRFパウダー粒子。
【請求項4】
前記キャパシタンス要素における対向する前記2つ電極のうち前記コイルの端部に接続される電極は前記絶縁膜の上側に設けられ、他方の電極は前記絶縁膜の下側に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のRFパウダー粒子。
【請求項5】
前記キャパシタンス要素における対向する前記2つ電極のうち前記コイルの端部に接続される電極は前記絶縁膜の下側に設けられ、他方の電極は前記絶縁膜の上側に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のRFパウダー粒子。
【請求項6】
前記基板は、表面に絶縁層が形成された半導体基板であることを請求項1〜5のいずれか1項に記載のRFパウダー粒子。
【請求項7】
前記基板はガラス基板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のRFパウダー粒子。
【請求項8】
パウダーの態様で使用され、前記パウダーの各粒子は、基板上に、アンテナとしてのインダクタンス要素と、このインダクタンス要素の両端に接続されてタンク回路を形成するキャパシタンス要素とを備えることを特徴とするRFパウダー。
【請求項9】
前記インダクタンス要素と前記キャパシタンス要素によって形成される前記タンク回路は外部から与えられる高周波電磁界に感応することを特徴とする請求項7記載のRFパウダー。
【請求項10】
RFパウダーを含有し、前記RFパウダーの各粒子が、基板上に、アンテナとしてのインダクタンス要素と、このインダクタンス要素の両端に接続されてタンク回路を形成するキャパシタンス要素とを備える基体であって、
前記基体に含有される前記RFパウダーの前記粒子のそれぞれは複数の異なる周波数のいずれかの周波数の電磁界に対して感応することを特徴とするRFパウダー含有基体。
【請求項11】
前記基体は紙またはプラスチックからなることを特徴とする請求項10記載のRFパウダー含有基体。
【請求項12】
前記基体は紙幣であることを特徴とする請求項11記載のRFパウダー含有基体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−135951(P2008−135951A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320337(P2006−320337)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(305054854)株式会社フィルテック (45)
【Fターム(参考)】