説明

RF及び超音波エネルギーを用いた皮膚の治療のための、方法及び装置

【課題】皮膚を治療するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】システムは、1つ以上の超音波トランスデューサ及び1つ以上の対のRF電極を含む。超音波トランスデューサは、皮膚内の1つ以上の集束体積に超音波エネルギーを集束することに適している。RF電極は、1つ以上の集束体積にRFエネルギーを供給することに適している。方法は、1つ以上の集束体積に超音波エネルギーを集束することにより、皮膚内の1つ以上の集束体積において第一の温度まで皮膚を加熱することを含む。集束領域は、次に、集束領域を含む皮膚の領域内にRF電流を生成することにより、第一の温度よりも高い第二の温度まで加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの組織の非侵襲治療に関し、より具体的に皮膚の上記の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の若返り法は、医療の審美的治療法であり、その中で、エネルギーが、治療される皮膚の外観の改善を達成するために、皮膚表面の選択された領域に及び/又は皮膚の皮下の層に、加えられる。皮膚の若返り法の最も一般的な形態は、組織に所望の効果を誘導するための通常の体温よりも十分に高い温度まで、標的の組織を加熱するための、皮膚への一定量のエネルギーの印加である。その効果は、組織損傷、凝固、アブレーション、破壊及び壊死であり得る。達成される特定の効果は、組織、温度、及び組織が高い温度に維持されている時間に、依存する。この治療は、皮膚を張らせて、しわを低減することにより、及び、皮膚層及び皮下の組織の再生を促進することにより、皮膚の外観を改善する。
【0003】
エネルギーの内部組織への非侵襲の供給は、電磁波エネルギー又は超音波エネルギーを皮膚表面に向けることにより、行われてきた。広範囲の波長からの電磁波エネルギーが、皮膚を加熱するために使用されてきており、光放射、30GHzより上の周波数、300MHz〜30GHzの周波数、及びラジオ周波数(RF)エネルギーを含む。皮膚治療に使用される通常のRF周波数は、100kHz〜10MHzである。技術、身体を通る伝搬、皮膚との相互作用、及び組織への効果は、スペクトルの各部分に対して異なる。光エネルギー及びRFエネルギーの同時の印加が、同様に、皮膚を治療するために用いられてきた。
【0004】
米国特許第5,405,368号は、皮膚治療のためのフラッシュランプの使用を開示する。米国特許第5,964,749号は、皮膚治療のための方法及び装置を開示しており、皮膚内のコラーゲンの収縮をもたらし、それにより、コラーゲンの、そして皮膚の、弾性回復をすることを目的に、皮膚を加熱するために皮膚にパルス光を当てることを含む。皮膚の表皮及び外部層は、皮膚表面に付与される氷又はゲルのような透明な物質で冷却することにより保護されてもよい。皮膚内の温度分布は、冷却物が付与される時間と光が当てられる時間との間の遅延を制御することにより、パルス継続時間を制御し、多重パルスを印加し、光を選別し、放射スペクトルを制御することにより制御される。好ましくは、スペクトルは、600〜1200nmの範囲の波長を有する光を含む。パルス光は、フラッシュランプにより作り出されるもののような非コヒーレントであってもよく、又はレーザにより作り出されるもののようなコヒーレントであってもよく、順応性のある又は硬い光誘導器を用いて皮膚に向けられてもよい。米国特許第6,662,054号及び第6,889,090号は、皮下の治療のためのRFエネルギーの印加を開示する。米国特許第6,702,808号は、皮膚治療のための光とRFエネルギーとの組み合わせを開示する。米国特許第5,871,524号は、皮膚を通して、下にある皮下の層又はより深い柔らかい組織の層への、放射エネルギーの印加を、記載する。
【0005】
非侵襲の皮膚治療の主な制限は、エネルギーが標的組織までの途中に通過しなければならない組織を含む周囲の組織への、二次的な損傷を最小限にしながら、皮膚の外部層を通じてエネルギーを移動させ、それを標的の組織内の必要とされる準位に集中させる、という能力である。解決法は、選択される冷却物か又は放射の集束に基づく。集束は、波長が十分に短いときに、例えば、光放射、ミリメートル及びサブミリメートル波、又は高周波超音波で可能である。光放射は、皮膚内部で散乱し、そのため効率良く集束することは難しい。レーザ光は、より良好な集束を可能にするために好ましい。米国特許第5,786,924号は、皮膚治療のためのレーザシステムを開示する。De Benedictis et al.による米国特許出願第10/888356号は、公開番号第2005/0049582号を有し、予め定められたパターンで皮膚内に極微の治療領域を生成するために1つ以上の光源を使用することを開示する。このアプローチの利点は、損傷した組織が健全な組織に囲まれる小さな体積に局在し、そのために皮膚の再生がより早いことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非侵襲皮膚治療のための高強度集束超音波(HIFU)技術は、例えば、米国特許第6,325,769号及び第6,595,934号に開示される。最後の特許は、皮膚又は皮下の層に一配列の傷害を生成する集束した超音波トランスデューサの配列の適用を開示しており、上記の米国特許出願公開第2005/0049582号に開示されるものと類似の利点を有するが、放射の集束による外部皮膚層への損傷は最小限である。電磁波エネルギーの集束の分解能は、約半波長の回折の法則により限定される。0.5mm未満の集束寸法に対して、1mmより短い波長が必要とされる。サブミリメートルの波長での電磁波エネルギーの印加は、幾つかの利点を有することもあり得るが、サブミリメートルの放射を生成することは、その高い費用のために皮膚治療に実用的ではない。
【0007】
RFの印加において、電圧及び電流は、電極を皮膚表面に付与することにより身体組織内に誘導されることができ、前記電圧及び電流は、波として伝搬することはなく、むしろマクスウェル方程式の準定常状態になる。非侵襲皮膚治療のためのRF印加が、たとえば、米国特許第6,662,054号、第6,889,090号、第5,871,524号に開示される。使用される通常のRF周波数は、100kHz〜10MHzである。これらの周波数で、3000m〜30mである波長は、治療される組織のいずれの関連する寸法よりも更に大きい。AC電流は、印加されるAC電圧によって皮膚内に誘導されて、一般にオームの法則に従う。RF技術は、比較的簡単であり、高価ではなく、エネルギーを皮膚に移すのに極めて効果的である。しかしながら、それを特定の組織層に局在させることは難しい。選択性を作り出すための1つの方法は、皮膚表面を冷却することによることであり、それにより、外部層から内部層への温度勾配を生み出す。上記の方法は、米国特許第5,871,524号に開示される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、皮膚及び皮下の層の非侵襲治療のための、方法及び装置を、提供する。本発明によれば、超音波波長での音波エネルギーが、皮膚表面に向けられる。超音波エネルギーは、皮膚表面の下の、皮膚又は皮下の層内の本明細書で「集束体積(focal volume)」と呼ばれる1つ以上の組織体積上に集束する。これは、超音波エネルギーの集束体積での組織の加熱を提供する。RFエネルギーはまた、皮膚に印加される。本発明の好ましい実施形態によると、超音波エネルギーが、好ましくは最初に印加されて、次にRF電流が、超音波エネルギーにより予加熱された集束体積内に誘導される。特定の理論に束縛されることを望まないが、この誘導効果は、温度上のRF伝導率の温度依存に基づくと考えられる。20〜90℃の温度の範囲において、そして100kHz〜100MHzのRF周波数に対して、温度に対する組織の電気伝導率の正の傾斜がある(たとえば、"Physical Properties of Tissue ", by Francis A. Duck, Academic Press Ltd., 1990, p.200を参照)。これは、正の傾斜が、正帰還の効果を作り出し、この中で、予加熱された体積は、より高いRF伝導率を有し、したがってRF電流及びエネルギーの堆積は、予加熱された体積内でより高く、それは集束体積の高い温度を更に上昇させて、その伝導率を更に増加させる。
【0009】
本発明の好ましい一実施形態において、皮膚表面に付与されるRF電極の各対に対して、少なくとも1つの集束する超音波源が、電極間で印加される。別の好ましい実施形態において、超音波源の単一の集束体積が、RF電極間から延長して生み出されて、RF電流のための誘導路を作り出す。
【0010】
RFエネルギーの好ましい周波数は、100kHz〜100MHz、より好ましくは100kHz〜10MHzである。好ましい超音波周波数は、500kHz〜50MHz、より好ましくは1MHz〜20MHzである。
【0011】
好ましい実施形態において、本発明の装置は、好ましくは、エネルギー源の印加の前に、治療される領域の初期の温度を降下させる、及び/又は、治療が進むときに、治療される領域の温度を降下させる、冷却手段を、含む。これにより、加熱される集束体積と治療される領域の残りの部分との間で、より大きな温度勾配が生じる。これは、集束体積の加熱を可能にして、一方で集束体積を囲む組織内の、そこでの組織を損傷することもある過剰に高い温度を回避する。任意に、装置は、治療される領域の温度を降下させるための冷却手段に加えて又は代わりに、超音波トランスデューサ用の冷却を含んでもよい。
【0012】
RF及び超音波エネルギーは、好ましくは、伝導又は対流による集束体積からの熱の損失を低減するために、短い時間の継続時間に渡って、好ましくは、パルス又はパルス(又は幾つかのパルス)からなる列として印加される。超音波エネルギーに対する印加時間は、好ましくは、1ミリ秒〜10秒、より好ましくは10ミリ秒〜1秒である。
【0013】
本発明の他の好ましい実施形態によると、RFエネルギーの印加は、好ましくは、超音波エネルギーの印加に続くが、任意に、超音波及びRFの印加が、反対の順序で行われてもよく、又は代替として、超音波及びRFは、任意に、幾分重ね合わせて又は実質的に同時にでも、印加されてもよい。RFエネルギーは、好ましくは、10ミリ秒〜1秒で数回印加される。
【0014】
エネルギー源によって集束体積で発生する温度及び加熱時間は、集束体積の適切な加熱が得られて、一方で周囲の組織の加熱が最小限であるように、選択される。集束体積は、好ましくは、約50℃〜約90℃の温度まで加熱される。この温度範囲の低端では、相当の効果を得るために、数十秒が必要とされることがあり、この範囲の高端では、サブ秒の加熱で十分であり得る。周囲の組織への損傷は、加熱時間が長いとき(例えば数十分)、44℃に近い及びその上の温度で生じることもある。44℃の温度はまた、ヒトの疼痛の感受についての閾値温度として知られている。治療に対するより好ましい時間範囲は、治療中に集束体積からの相当な熱流動を防止するために、約数秒以下である。その時間範囲に対して、選択された組織に損傷をもたらすための好ましい温度範囲は、約44℃〜約70℃、より好ましくは約60℃〜70℃である。
【0015】
したがって、本発明の好ましい実施形態によると、皮膚を治療するためのシステムが提供され、それは、
皮膚内の1つ以上の集束体積に超音波エネルギーを集束させるよう構成された、1つ以上の超音波トランスデューサと、
1つ以上の集束体積にRFエネルギーを供給するよう構成された、1つ以上のRF電極対と、を含む。
【0016】
本発明の好ましい他の実施形態によると、皮膚を治療するための方法が提供され、それは、
皮膚内の1つ以上の集束体積で、第一の温度まで皮膚を加熱する、工程と、
第一の温度よりも高い第二の温度まで、1つ以上の集束領域を加熱する、工程と、を含み、
第一の温度まで及び第二の温度まで、皮膚を加熱する、工程が、1つ以上の集束体積で超音波エネルギーを集束させる工程と、1つ以上の集束領域を含む皮膚の領域内にRF電流を生成する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による皮膚を治療するためのシステムを示す。
【図2】図1のシステムに使用するためのアプリケータの例示的な実施形態を示す。
【図3】図1のシステムに使用するためのアプリケータの別の例示的な実施形態を示す。
【図4】図1のシステムに使用するためのアプリケータの第三の例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を理解して、実用上それがどのように行われることがあるかを理解するために、好ましい実施形態が、付属の図面を参照して、単に限定されない例として、記載される。
【0019】
図面は、全て概略的であり、そのために、本発明によるシステム及び/又は装置の、実際の物理的な実装化及び/又は集束領域のような特徴は、図面に示されるものとは異なると思われることもあることを留意すべきである。
【0020】
図1は、本発明の好ましい実施形態による、超音波及びRFエネルギーを皮膚組織に印加するためのシステムを、示す。以下に詳細に記載されるアプリケータ3は、1つ以上のRF電極対及び1つ以上の超音波トランスデューサを含む。アプリケータ3は、治療される皮膚の領域内の、個人5の皮膚に、付与されることに適している。アプリケータ3は、制御ユニット1にケーブル2を通じて接続される。制御ユニット1は、電源8を含む。電源8は、ケーブル2内のワイヤを通じてアプリケータ3内のRF電極に接続されているRF発生器15に、接続される。電源8は、また、超音波駆動装置6に接続される。駆動装置6は、ケーブル2内のワイヤを通じてトランスデューサに接続される。制御ユニットは、好ましくは、アプリケータ3を冷却するためのエタノール又は水のような流体を任意にそして好ましくは冷却する、冷却ユニット13を、含む。冷却される流体は、好ましくは、ケーブル2内の第一のチューブを通じて冷却ユニット13からアプリケータに流れて、ケーブル2内の第二のチューブを通じてアプリケータ3から戻って冷却ユニットに流れる。制御ユニット1は、デバイスの様々な機能を監視して制御するための、プロセッサ9を、含む。制御ユニット1は、操作者が、RFエネルギーの周波数、パルス継続時間及び強度、又は超音波エネルギーの継続時間及び強度、又は皮膚表面下の集束体積の深さのような、治療のパラメータの選択された値をプロセッサ9に入力することを可能にするキーパッド10のような、入力デバイスを有する。好ましい実施形態によると、プロセッサは、第一の一定時間に渡って超音波トランスデューサを作動させ、次に、第二の一定時間に渡ってRF電極にRF電圧を印加するように、構成されてもよいが、任意に順序が反対にされてもよく、又は、RFエネルギーが、超音波トランスデューサの作動と重なってもよい。RFエネルギーは、超音波エネルギーが終わる前に皮膚表面に供給されてもよく、又は、超音波エネルギーは、RFエネルギーが印加される時間の少なくとも一部の間、継続してもよい。プロセッサ9は、また、アプリケータ3内の電極間の電気的インピーダンスを監視し、標的の近傍の温度分布を測定してもよい。プロセッサは、また、インピーダンス測定に基づいて治療のパラメータを決定してもよい。
【0021】
図2は、本発明の一例示的な実施形態による、アプリケータ3を、より詳細に示す。皮膚表面11に印加されるアプリケータ3が、図2に示されている。層10は、表皮であり、符号12は、真皮であり、符号14は、皮下の組織である。アプリケータ3は、ケーブル2内のワイヤ17を通じてRF発生器(図示されず、図1を参照)に接続されている、1対のRF電極21及び22を、含む。アプリケータ3は、また、アプリケータ3内に配置されて、そして真皮12内の1つ以上の集束体積30に超音波放射を集束させるように、ケーブル2内のワイヤ19を通じて駆動装置(図示されず、図1を参照)に接続される、超音波トランスデューサ24を、含む。好ましい実施形態によると、アプリケータ3は、冷却ユニット(図示されず、図1を参照)からケーブル3内の第一のチューブ20aを通じて皮膚表面11に、また、ケーブル3内の第二のチューブ20bを通じて皮膚表面11から戻って冷却ユニット(図示されず、図1を参照)に、冷却剤を導く、冷却コイルを、含む。
【0022】
本発明の方法の例示的な、しかし好ましい実施形態にしたがって、アプリケータ3は、皮膚表面11に付与される。好ましくは、超音波液体ゲルが、音響整合及び良好なエネルギー移動を容易にするために、超音波トランスデューサ24と皮膚表面11との間に付与されて、導電性の液体又はゲル111が、接触抵抗を低減するためにRF電極21及び22と皮膚表面11との間に付与される。トランスデューサ24からの超音波放射は、真皮層12内に配置される1つ以上の集束体積30で集束する。超音波エネルギーは、集束体積での温度を、集束体積を囲む組織の体積31のそれより上に上げる。通常の真皮の温度は、通常34℃付近であり、集束体積30の超音波の加熱で、集束体積の温度は上がる。温度に対する電気伝導率の傾斜は、約2〜3℃である。したがって、選択される領域が超音波により通常の真皮の温度よりも10℃上に加熱されるとき、領域の電気伝導率は、20〜30%だけ上がる。RF電圧が、次にRF発生器(図示されず、図1を参照)から電極21及び22に印加されて、そのためにRF電流32は、電極21、22間で組織層10、12、14を通じて流れて、より多くの電流が、予加熱された集束体積30を通じて、そのより高い伝導率のために、流れる。RF電極21、22の間の好ましい間隙は、0.2cm〜2cm、より好ましくは0.5cm〜1cmである。電極間の1cmの間隙で、20〜1000Vrsm、より好ましくは50〜200Vrmsの通常電圧が、使用されてもよい。より低い電圧が、より小さな電極の間隙で必要とされる。100kHz〜100MHzのRF周波数に対して、電磁波波長は、電極間の間隙より更に大きい。また、これらの周波数での通常の皮膚の伝導率は、約0.5S/mである(例えば、S. Gabriel, R. W. Lau, and C. Gabriel, Phys. Med. Biol, vol 41 (1996), pp 2251-2269を参照)。10MHz及び0.5S/mに対して、電磁波の皮膚の深さは、22cmであり、1センチメートル未満であるヒトの皮膚の層の厚さよりも更に大きい。これらの条件のもとで、電流の分布は、オームの法則、J=σEにより得られる定常解に略同一であり、式中、Jは電流密度であり、Eは電界ベクトルである。電流により皮膚の単位体積に供給される電力は、J・E=σE2である。温度上昇の増加速度は、電力に比例し、したがって伝導率に比例し、伝導率が温度と併せて増加するので、正帰還の効果が生じる。
【0023】
超音波トランスデューサ24は、図2に示されるようにRF電極の間で延びる、単一の延長された集束領域30を、生成し得る。
【0024】
図3は、アプリケータ3の別の例示的な実施形態を示す。図3の実施形態は、図2の実施形態と共通する要素を有し、類似の要素は、更なる注釈なく、図2及び3内で同じ参照番号で示される。図3の実施形態において、アプリケータは、3つの離間した集束体積33(集束体積33a、33b及び33cとして、それぞれ示される)を生成する、3つの超音波トランスデューサ43(トランスデューサ43a、43b及び43cとして示される)を含む。各超音波トランスデューサ43a、43b及び43cは、駆動装置(単数)又は駆動装置(複数)(図示されず、図1を参照)に、ワイヤ19a、19b及び19cとして示されるワイヤ19を通じて、それぞれ接続される。3つのトランスデューサ43のこの図示は、単に例としてであり、いずれの方法でも限定することを意図せず、アプリケータ3は、いずれの数の離間した超音波トランスデューサ43を含んでもよく、等しい数の集束体積33を生成する。超音波トランスデューサ43は、真皮層12内に集束体積33を有する。超音波エネルギーによるこれらの集束体積の加熱は、治療される組織を加熱して、したがってRFエネルギーのための誘導路を形成して、更に組織を所望の温度まで加熱する。この実施形態において、単一の対のRF電極は、好ましくは、RFエネルギーを集束体積33の全てに提供する(図3に示される断面において、単一のRF電極21のみが見られるが、この例示的な、しかし好ましい実施形態において、アプリケータ3は、この断面では見えない第二のRF電極を含む)。好ましくは、伝導性液体又はゲルが、図2のように、接触抵抗を低減するために、RF電極と皮膚表面11との間に再び付与されるが、図示されていないことに留意すべきである。
【0025】
図4に示されるような、アプリケータの別の例示的な実施形態において、各超音波トランスデューサ44は、それぞれの対のRF電極28、29間に配置される。図4は、単に明確化のためにアプリケータの全ての機構を含まないが、いずれの方法でも限定することを意図せず、図示されないアプリケータの機構が、任意にそして好ましくは図1〜3に対してのように実装化されてもよい。単に実例として、どのような方法でも限定することを望まず、アプリケータが、3つの超音波トランスデューサ44(トランスデューサ44a、44b及び44cとして示される)を含むように示されて、そのそれぞれは、各対のRF電極28、29(RF電極28a、28b及び28c、並びに29a、29b及び29cとして、それぞれ示される)の間に配置される。複数の超音波トランスデューサは、単一の電源に共に駆動されることができるか、又は、それぞれ単独で駆動されることができる。これは、また、RF電極にもあてはまる。単一の対の電極が、単一のRF電源により駆動されるか、又は、複数のRF電極対の各対が、独立に駆動される。各超音波トランスデューサ44及びその各RF電極28、29は、好ましくは、2つの点で整合される。(a)空間の整合−RF電極により生成される電界は、超音波トランスデューサの集束体積を覆わなければならない。(b)超音波エネルギーの印加とRFエネルギーの印加との間の時間の整合、つまり集束体積への超音波エネルギーの印加で始めて、すぐに皮膚へのRFエネルギーの印加で続く。
【0026】
皮膚表面に垂直な方向の集束体積は、好ましくは、表皮のより深い層、真皮の層、及び皮下の層の一部、の内で続いて、そのために、皮膚表面は、つまり、深さ0.2mm〜5mm、より好ましくは0.2mm〜2mmで、損傷されない。集束領域の横方向の幅は、0.05mm〜1mm、より好ましくは0.1mm〜0.3mmである。集束体積の間の横方向の間隙は、0.3mm〜3mm、より好ましくは0.5mm〜1mmである。RF電極間の誘導路の方向である長手方向において、集束体積の長さは、1mm〜20mm、より好ましくは3mm〜10mmであってもよい。
【0027】
図4は、円筒状の集束体積を有する円筒状の超音波トランスデューサを示しているが、他の幾何学形状が可能である。楕円状の集束領域が、半円状のトランスデューサで、又は平坦なトランスデューサ及び音響レンズで、生成されてもよい。この集束の幾何学形状に対して、複数のRF電極が、1次元の又は2次元の構造の、RF電極と超音波トランスデューサとの組み合わせ、と併せて用いられる。
【0028】
本発明の他の好ましい実施形態によると、超音波トランスデューサは、任意にそして好ましくは、冷却ユニットにより冷却されて、前記冷却ユニットは、従来技術で周知であるいずれの冷却機構(単数)又は冷却機構(複数)を任意に含み、そして従来技術の1つにより簡単に作製されるか又は選択されることができて、それに限定はされないが、ヒートシンク、TEC(熱電冷却器)、及び/又は他の冷却器(それに限定はされないが、水、エタノール、油又はそれらの組み合わせを含む冷却された液体を取り扱うことを特徴とする冷却器)を、含む。ヒートシンク自体は、任意に空冷されてもよいが、代替としてそして好ましくは、例えば水のような液体で、冷却される。ヒートシンクは、単に例として、限定することを意図せず、ThermaFlo Inc., (Newbury Park, California, USA)のような、様々な商業的供給者から任意に購入されてもよい。TECは、単に例として、限定することを意図せず、Marlow Industries, Inc. (Dallas, TX, USA)のような、様々な商業的供給者から任意に購入されてもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚を治療するためのシステムであって、
(a)皮膚内の1つ以上の集束体積に超音波エネルギーを集束せさるよう構成された、1つ以上の超音波トランスデューサと、
(b)1つ以上の集束体積にRFエネルギーを供給するよう構成された、1つ以上のRF電極対と、を備えていることを特徴とする、システム。
【請求項2】
(a)第一の一定時間に渡って1つ以上の超音波トランスデューサを作動させ、
(b)第二の一定時間に渡ってRF電極にRF電圧を印加する、
ように構成された、プロセッサを、更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第一の一定時間が、第二の一定時間の前に存在する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
第一及び第二の一定時間が、少なくとも部分的に重なっている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
第一及び第二の一定時間が、実質的に同時に存在している、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
プロセッサの1つ以上の処理パラメータを入力するための入力デバイスを、更に備えている、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
1つ以上のパラメータが、RF電圧の周波数、RF電圧の強度、RFエネルギーの持続時間、超音波領域の強度、及び皮膚表面からの集束領域の深さ、から選択される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
RFエネルギーが、100KHz〜100MHzである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
超音波エネルギーが、500KHz〜50MHzの周波数を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
プロセッサが、1つ以上のパルスからなる列にRFエネルギーを印加するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
プロセッサが、1秒〜10秒の時間に渡ってRF電極にRF電圧を印加するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
プロセッサが、1秒〜10秒の時間に渡って超音波トランスデューサを作動させるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項13】
超音波トランスデューサが、皮膚の真皮内に位置している1つ以上の集束体積に超音波エネルギーを集束させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
皮膚表面を冷却するための冷却システムを、更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
超音波トランスデューサ及びRF電極を含み、皮膚表面に付与されるよう構成された、アプリケータを、更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも1対のRF電極及び少なくとも1つの超音波トランスデューサが、アプリケータ内に含まれており、アプリケータ内において、少なくとも1つの超音波トランスデューサが、1対のRF電極の間に配置されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
1つ以上の集束体積が、皮膚表面の下0.2mm〜5mmの間に位置している、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
1つ以上の集束体積が、皮膚表面の下0.2mm〜2mmの間に位置している、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
1つ以上の集束領域の横方向の幅が、0.05mm〜1mmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
1つ以上の集束領域の横方向の幅が、0.1mm〜0.3mmである、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
集束体積間の横方向の間隙が、0.3mm〜3mmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
集束体積間の横方向の間隙が、0.5mm〜1mmである、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
RF電極間の集束体積の長さが、1mm〜20mmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
RF電極間の集束体積の長さが、3mm〜10mmである、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
皮膚を治療するための方法であって、
(a)皮膚内の1つ以上の集束領域で、第一の温度まで皮膚を加熱する、工程と、
(b)第一の温度よりも高い第二の温度まで、1つ以上の集束領域を加熱する、工程と、を含み、
第一の温度まで及び前記第二の温度まで、皮膚を加熱する、工程が、1つ以上の集束体積に超音波エネルギーを集束させる工程と、1つ以上の集束領域を含む皮膚の領域内にRF電流を生成する工程と、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項26】
第一の温度まで皮膚を加熱する工程が、1つ以上の集束体積に超音波エネルギー集束させる工程を含み、第二の温度まで皮膚を加熱する工程が、1つ以上の集束領域を含む皮膚の領域にRF電流を生成する工程を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第二の温度が、約44℃〜約70℃である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
RF電流が、100KHz〜100MHzの周波数を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
超音波エネルギーが、500KHz〜50MHzの周波数を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
RFエネルギーが、1つ以上のパルスからなる列に印加される、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
RF電流が、10ミリ秒〜10秒の時間に渡って生成される、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
超音波エネルギーが、10ミリ秒〜10秒の時間に渡って1つ以上の集束領域上に集束される、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
1つ以上の集束領域が、皮膚の真皮領域内に位置している、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
皮膚表面を冷却する工程を、更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
1つ以上の集束体積が、皮膚表面の下0.2mm〜5mmに位置している、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
1つ以上の集束体積が、皮膚表面の下0.2mm〜2mmに配置される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
1つ以上の集束領域の横方向の幅が、0.05mm〜1mmである、請求項25に記載の方法。
【請求項38】
1つ以上の集束領域の横方向の幅が、0.1mm〜0.3mmである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
集束体積間の横方向の間隙が、0.3mm〜3mmである、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
集束体積間の横方向の間隙が、0.5mm〜1mmである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
RF電極間の集束体積の長さが、1mm〜20mmである、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
RF電極間の集束体積の長さが、3mm〜10mmである、請求項41に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−63285(P2013−63285A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−261463(P2012−261463)
【出願日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【分割の表示】特願2008−523535(P2008−523535)の分割
【原出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(504359488)シネロン メディカル リミテッド (25)
【Fターム(参考)】