説明

RFIDタグ、非接触通信装置、非接触通信方法、及び非接触通信システム

【課題】近距離通信において通信範囲を狭めることを容易にするRFIDタグを得、通信アンテナを備え特定のRFIDタグと近距離通信を行うことができる非接触通信装置を得、該通信アンテナを用いて特定のRFIDタグと近距離通信を行うことができる非接触通信方法を得、該RFIDタグと該通信アンテナを有する非接触通信装置とを備えた非接触通信システムを得る。
【解決手段】RFIDタグ10は、通信用素子14と、全体として所定の方向に長手とされると共に通信用素子14に対し対称を成すように該長手方向の両側において該長手方向に複数回折り返されて形成されることで、長手方向の略全長に亘って一直線状に延在する主アンテナ部12Aと、長手方向の互いに異なる向きに延在された部分にて外部電界により誘起された電流が相殺される折り返しアンテナ部12B、12Cとが幅方向に並列して構成されたタグアンテナ12と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信アンテナによって通信されるRFIDタグ、非接触通信装置、非接触通信方法、及び非接触通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム等の絶縁基材上に複数のRFIDタグを幅方向に並列して形成し、これら複数のRFIDタグを順に搬送しつつ検査等のために通信を行う際に、単一のRFIDタグを通信対象とするための各種工夫が考えられている(例えば、特許文献1〜4参照)。特許文献1の技術は、RFIDタグと通信するためのアンテナを近距離場マイクロストリップアンテナとするものである。特許文献2の技術は、連続シート状に形成された複数の非接触方ICラベルのうち通信対象となる非接触方ICラベルのみが通信用のアンテナと対向するように連続シートの搬送経路を変化させるものである。特許文献3の技術は、絶縁フィルム上に形成された複数のICインレットと通信用のアンテナとの間にスリット付の電波吸収板を配置し、電波吸収板のスリットを通じて通信用のアンテナを特定のICインレットのみと通信させるものである。特許文献4の技術は、アンテナから放射された電波を反射する反射手段及びRFタグの搬送経路のアンテナに対する配置によって、反射手段から特定のRFタグに電界強度の強い電波を浴びせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−519500号公報
【特許文献2】特開2005−284331号公報
【特許文献3】特開2004−220141号公報
【特許文献4】特開2005−328259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のRFIDタグに対し個別に通信を行うためには、さらに改善の余地がある。
【0005】
本発明は、近距離通信において通信可能範囲を限定することの容易なRFIDタグを得ること、該通信アンテナを備え特定のRFIDタグと近距離通信を行うことができる非接触通信装置を得ること、該通信アンテナを用いて特定のRFIDタグと近距離通信を行うことができる非接触通信方法を得ること、及び該RFIDタグと該通信アンテナを有する非接触通信装置とを備えた非接触通信システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係るRFIDタグは、通信用素子と、全体として所定の方向に長手とされると共に前記通信用素子に対し対称を成すように該長手方向の両側において該長手方向に複数回折り返されて形成されることで、長手方向の略全長に亘って一直線状に延在する主アンテナ部と、長手方向の互いに異なる向きに延在された部分にて外部電界により誘起された電流が相殺される折り返しアンテナ部とが幅方向に並列して構成されたタグアンテナと、を備えている。
【0007】
請求項1記載のRFIDタグでは、主アンテナ部を介して通信用素子と相手方との通信が行われる。ここで、本RFIDタグでは、タグアンテナの長手方向の略全長に亘って一直線状を成す主アンテナ部はタグアンテナの幅方向の一部を成し、他の部分は互いに反対向きに折り返されて外部電界により誘起された電流が相殺される折り返しアンテナ部とされているので、主アンテナ部と比較して著しく感度が低い。このため、本RFIDタグでは、タグアンテナの幅方向における主アンテナ部の延在部分の近傍のみが実効的な感度領域とされるので、タグアンテナの幅方向における受信感度分布は差が大きく、高感度が得られる範囲は狭い。
【0008】
特に、「片面に略全面に亘って形成されたグランド層と、他方の面に所定の方向に長手の矩形状に形成されると共に該長手方向の略中央部に前記グランド層を介して導通された単一の給電点を持つ矩形の放射部とを有し、全体として平板状に形成され、前記放射部の長手方向と直角を成す方向の幅が0.3mm以上、かつ、10mm未満とされており、更に、前記放射部とグランド層との間隔が、通信に用いる電波の波長の512分の1以上、かつ、64分の1未満とされている、RFIDタグと通信を行うため」の通信アンテナとの近距離通信においてこの特性を顕著に示す。
【0009】
このように、請求項1記載のRFIDタグでは、近距離通信において該長手方向と直角を成す方向の高感度が得られる範囲は狭く、タグアンテナの幅方向における通信範囲を限定することが容易となる。また、折り返しアンテナ部を設けることで、長手方向の寸法が制限された場合でも通信周波数に応じたタグアンテナの共振周波数を確保することができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係るRFIDタグは、請求項1記載のRFIDタグにおいて、前記タグアンテナは、幅方向の一端側において前記長手方向の略全長に亘って一直線状に延在する前記主アンテナ部と、該長手方向の端部から長手方向中央側に折り返されると共に前記主アンテナ部と第1所定間隔で並列された第1折り返しアンテナ部と、該長手方向の中央側から長手方向端部側に折り返されると共に前記第1折り返しアンテナ部と前記第1所定間隔未満の第2所定間隔で並列されることで、該第1折り返しアンテナ部とで前記折り返しアンテナ部を構成する第2折り返しアンテナ部と、を有して構成されている。
【0011】
請求項2記載のRFIDタグでは、主アンテナ部と第1所定間隔で並列された第1折り返しアンテナ部は、第1所定間隔未満の第2所定間隔で該並列方向に隣り合う第2折り返しアンテナ部とで、外部電界により誘起された電流が打ち消される折り返しアンテナ部を構成している。第1折り返しアンテナ部と第2折り返しアンテナ部とは、同じ数だけ設ければ良い。第1所定間隔が第2所定間隔を超える間隔であるため、折り返しアンテナ部を構成する第1折り返しアンテナ部が主アンテナ部による通信を阻害することが防止または効果的に抑制される。
【0012】
請求項3記載の発明に係るRFIDタグは、請求項2記載のRFIDタグにおいて、前記タグアンテナは、第2折り返しアンテナ部のうちの1つが前記主アンテナ部に対し前記第1所定間隔未満の間隔で並列されて形成されている。
【0013】
請求項3記載のRFIDタグでは、タグアンテナの長手方向中央側から端部側に延在する第2折り返しアンテナ部が主アンテナ部と第1所定間隔未満の間隔で並列されているので、これら第2折り返しアンテナ部及び主アンテナ部の外部電界により誘起された電流は、打ち消しあうことがなく、その和が感度領域の外部電界により誘起された電流となる。したがって、本RFIDタグでは、タグアンテナの幅方向の特定部分の感度が高くなることより、通信可能範囲を限定することが容易となる。
【0014】
請求項4記載の発明に係るRFIDタグは、請求項1〜請求項3の何れか1項記載のRFIDタグにおいて、前記第2所定間隔は、前記所定の方向に長手とされると共に該長手方向の中央部に単一の給電点が設定されて近距離通信用の相手方アンテナを構成する放射部の幅寸法の2倍以下として設定されている。
【0015】
請求項4記載のRFIDタグでは、タグアンテナの長手方向が相手方アンテナの長手方向に略一致されており、かつ折り返しアンテナ部を構成する第1折り返しアンテナ部と第2折り返しアンテナ部との第2所定間隔が相手方アンテナの放射部の幅の2倍以下の間隔で離間して並列されている。このため、折り返しアンテナ部では、第1、第2折り返しアンテナ部では相手方アンテナが放射する電界により誘起された電流が良好に相殺され、タグアンテナの幅方向における通信可能範囲を容易に限定することができる。
【0016】
請求項5記載の発明に係るRFIDタグは、請求項1〜請求項4の何れか1項記載のRFIDタグにおいて、前記タグアンテナは、前記長手方向の略全長に亘って一直線状に延在する前記主アンテナ部の中央部に前記主アンテナの一部を共有するループ状アンテナ部を有し、前記通信用素子は、該ループ状アンテナ上であって、かつ、該主アンテナ部とは異なる位置に設置されている。
【0017】
請求項5記載のRFIDタグでは、主アンテナの位置に対する通信用素子の位置がタグアンテナの幅方向においてオフセットされている。これにより、例えばタグアンテナの幅方向における該タグアンテナの感度範囲に対し、通信用素子の位置をオフセットして配置することができる。
【0018】
請求項6記載の発明に係る非接触通信装置は、請求項1〜請求項5の何れか1項記載のRFIDタグと非接触で通信を行うための非接触通信装置であって、前記放射部の長手方向が前記RFIDタグの前記主アンテナ部の長手方向に一致されるように配置され、片面に略全面に亘って形成されたグランド層と、他方の面に所定の方向に長手の矩形状に形成されると共に該長手方向の略中央部に前記グランド層を介して導通された単一の給電点を持つ矩形の放射部とを有し、全体として平板状に形成され、前記放射部の長手方向と直角を成す方向の幅が0.3mm以上、かつ、10mm未満とされており、更に、前記放射部とグランド層との間隔が、通信に用いる電波の波長の512分の1以上、かつ、64分の1未満とされている、RFIDタグと通信を行うための通信アンテナと、前記通信アンテナの放射部が前記タグアンテナに近接した場合に、該通信アンテナを介してRFIDタグと通信を行う通信部と、を備えている。
【0019】
請求項6記載の非接触通信装置では、RFIDタグのタグアンテナの長手方向に対し放射部の長手方向を一致させた状態で、通信部が通信アンテナ(の放射部)を介してRFIDタグの通信用素子と通信を行う。請求項1〜5のRFIDタグは、上記の通り幅方向の感度領域が狭く、上記通信アンテナは、幅方向の通信可能領域が狭いので、これらの長手方向を一致させることで、幅方向の通信可能範囲を狭めた通信を実現することができる。すなわち、本非接触通信装置では、通信部は特定のRFIDタグの通信用素子と近距離通信を行うことが可能となる。
【0020】
このように、請求項6記載の非接触通信装置では、上記通信アンテナを備え特定のRFIDタグと近距離通信を行うことができる。
【0021】
請求項7記載の発明に係る非接触通信装置は、請求項6記載の非接触通信装置において、幅方向に並列された複数の前記RFIDタグが前記通信アンテナを介した通信可能領域を順次通過するように、複数の前記RFIDタグを搬送する搬送装置をさらに備え、前記通信部が、前記通信アンテナを介して、前記通信可能領域を通過する前記RFIDと個別に通信を行うように構成されている。
【0022】
請求項7記載の非接触通信装置では、搬送手段によって順次搬送される複数のRFIDタグが、通信アンテナの設置領域を通過する際に、該通信アンテナを介して特定のRFIDタグと通信部とを通信させる。ここで、本非接触通信装置では、上記の通り幅方向の通信可能範囲を狭められるため、搬送方向(タグアンテナ幅方向)に並列された複数のRFIDタグのうち、特定のRFIDタグとの通信が可能になる。
【0023】
請求項8記載の発明に係る非接触通信装置は、請求項7記載の非接触通信装置において、前記通信アンテナは、前記RFID側及び前記搬送装置による搬送方向の下流側を共に向くように傾斜して配置されている。
【0024】
請求項8記載の非接触通信装置では、通信アンテナの又は部が上記の方向に傾斜されているので、通信アンテナの通信可能領域を通過する前(すなわち通信前)のRFIDとの誤通信(通信対象の混信)が効果的に抑制又は防止される。
【0025】
請求項9記載の発明に係る非接触通信方法は、前記タグアンテナの長手方向と直角を成す幅方向に並列された請求項1〜請求項5の何れか1項記載の複数のRFIDタグの1つと個別に非接触で通信を行う非接触通信方法であって、所定方向に長手とされると共に該長手方向の略中央部に給電点が設けられた放射部を有する通信アンテナを、前記放射部の長手方向が前記タグアンテナの長手方向に一致する姿勢で、前記複数のRFIDタグのうち1つのRFIDタグに近接させて、該1つのRFIDタグと個別に通信を行う。
【0026】
請求項9記載の非接触通信方法では、幅方向に並列された複数のRFIDタグのうちの1つに対し、放射部の長手方向をRFIDタグのタグアンテナの長手方向に一致させた通信アンテナを近接させる。この通信アンテナは、放射部の長手方向が直線偏波面とされるため、放射部の幅方向の狭い範囲が通信可能領域となる構成とされる。したがって、本非接触通信方法では、通信アンテナの通信可能領域と特定のRFIDタグの感度領域が重なることによって、前記RFIDタグとの通信が可能となる。
【0027】
このように、請求項9記載の非接触通信方法では、上記通信アンテナを用いて特定のRFIDタグと近距離通信を行うことができる。
【0028】
請求項10記載の非接触通信システムでは、通信用素子と、全体として所定の方向に長手とされると共に前記通信用素子に対し対称を成すように該長手方向の両側において該長手方向に複数回折り返されて形成されることで、長手方向の略全長に亘って一直線状に延在する主アンテナ部と、長手方向の互いに異なる向きに延在された部分にて外部電界により誘起された電流が相殺される折り返しアンテナ部とが幅方向に並列して構成されたタグアンテナと、を有するRFIDタグと、片面に略全面に亘って形成されたグランド層と、他方の面に所定の方向に長手の矩形状に形成されると共に該長手方向の略中央部に前記グランド層を介して導通された単一の給電点を持つ矩形の放射部とを有し、全体として平板状に形成され、前記放射部の長手方向と直角を成す方向の幅が0.3mm以上、かつ、10mm未満とされており、更に、前記放射部とグランド層との間隔が、通信に用いる電波の波長の512分の1以上、かつ、64分の1未満とされている、前記RFIDタグと通信を行うための通信アンテナを有する非接触通信装置と、を備えている。
【0029】
別態様に係る非接触通信方法は、所定方向に長手とされたタグアンテナを有すると共に該長手方向と直角を成す幅方向に並列された複数のRFIDタグの1つと個別に非接触で通信を行う非接触通信方法であって、所定方向に長手とされると共に該長手方向の略中央部に給電点が設けられた放射部を有する通信アンテナを、前記放射部の長手方向が前記タグアンテナの長手方向に一致する姿勢で、前記複数のRFIDタグのうち1つのRFIDタグに近接させて、該1つのRFIDタグと個別に通信を行う。
別態様の非接触通信方法では、幅方向に並列された複数のRFIDタグのうちの1つに対し、放射部の長手方向をRFIDタグのタグアンテナの長手方向に一致させた通信アンテナを近接させる。この通信アンテナは、放射部の長手方向が直線偏波面とされるため、放射部の幅方向の狭い範囲が通信可能領域となる構成とされる。したがって、本非接触通信方法では、通信アンテナの通信可能領域と特定のRFIDタグの感度領域が重なることによって、前記RFIDタグとの通信が可能となる。
このように、別態様の非接触通信方法では、上記通信アンテナを用いて特定のRFIDタグと近距離通信を行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明に係るRFIDタグは、近距離通信において通信可能範囲を容易に狭められるという優れた効果を有する。
【0031】
また、本発明に係る非接触通信装置、非接触通信方法、及び非接触通信システムは、上記通信アンテナによって特定のRFIDタグと近距離通信を行うことができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るRFIDタグを示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタシステムのリーダライタアンテナを示す図であって、(A)は放射部側から一方側から見た斜視図、(B)はグランド層側から見た斜視図、(C)は図2(B)の2C−2C線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るRFIDタグのインレイを示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るRFIDタグがコンバートされたラベル及びリーダライタシステムを示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るRFIDタグがコンバートされたラベル、及び該ラベルが適用される記録テープカートリッジを示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るRFIDタグがコンバートされたラベルが記録テープカートリッジのラベルエリアに貼付された状態を示す背面図である。
【図7】本発明の実施形態及び比較例に係るRFIDタグの感度範囲の数値解析結果を示す図であって、(A)は図15の比較例の感度範囲を示す線図、(B)は図16の比較例の感度範囲を示す線図、(C)は第1の実施形態の感度範囲を示す線図、(D)は第2の実施形態の感度範囲を示す線図である。
【図8】本発明の第1の実施形態と比較例との感度範囲を比較するための図であって、(A)は比較例の感度範囲を模式的に示す側面図、(B)は第1の実施形態の感度範囲を模式的に示す側面図である。
【図9】図7(C)の数値解析に用いた本発明の第1の実施形態のモデルを示す図であって、(A)はリーダライタアンテナの放射部に対しマイナス側に10mmオフセットした例を示す正面図、(B)リーダライタアンテナの放射部に対するオフセットなしの例を示す正面図、(C)はリーダライタアンテナの放射部に対しプラス側に10mmオフセットした例を示す正面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るRFIDタグを示す正面図である。
【図11】図7(D)の数値解析に用いた本発明の第2の実施形態のモデルを示す図であって、(A)はリーダライタアンテナの放射部に対しマイナス側に10mmオフセットした例を示す正面図、(B)リーダライタアンテナの放射部に対するオフセットなしの例を示す正面図、(C)はリーダライタアンテナの放射部に対しプラス側に10mmオフセットした例を示す正面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るリーダライタシステムを模式的に示す側面図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係るリーダライタシステムを模式的に示す側面図である。
【図14】本発明の実施形態との比較例に係るRFIDタグを示す正面図である。
【図15】図7(A)の数値解析に用いた本発明の比較例のモデルを示す図であって、(A)はリーダライタアンテナの放射部に対しマイナス側に10mmオフセットした例を示す正面図、(B)リーダライタアンテナの放射部に対するオフセットなしの例を示す正面図、(C)はリーダライタアンテナの放射部に対しプラス側に10mmオフセットした例を示す正面図である。
【図16】図7(B)の数値解析に用いた本発明の比較例のモデルを示す図であって、(A)はリーダライタアンテナの放射部に対しマイナス側に10mmオフセットした例を示す正面図、(B)リーダライタアンテナの放射部に対するオフセットなしの例を示す正面図、(C)はリーダライタアンテナの放射部に対しプラス側に10mmオフセットした例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の第1の実施形態に係るRFIDタグ10、該RFIDタグ10と通信するための通信アンテナとしてのリーダライタアンテナ34が適用された非接触通信装置としてのリーダライタシステム36について、図1〜図8に基づいて説明する。先ず、RFIDタグ10の概略構成、用途(適用例)、製造工程の一部の概要を説明し、次いで、本発明の要部であるRFIDタグ10のタグアンテナ12、リーダライタアンテナ34について説明することとする。
【0034】
図1には、RFIDタグ(Radio Frequency IDentificationタグの略で、RFタグやICタグともいう)10の概略全体構成が正面図にて示されている。この図1に示される如く、RFIDタグ10は、通信用素子としてのICチップ14と、該ICチップ14が特定周波数fの電波で無線(非接触)通信を行うためのタグアンテナ12と、これらを保持する基部としてのベースシート16とを主要部として構成されている。タグアンテナ12は、特定方向(図1の矢印L方向)に長手とされており、ICチップ14(を通る長手方向中心線)に対し対称(線対称)に形成された所謂ダイポールアンテナの一種として構成されている。
【0035】
形状について後に詳述するが、タグアンテナ12は、その長手方向に複数回折り返されており、その総延長が上記した特定周波数fの電波の波長λに応じて決められている。具体的には、タグアンテナ12の総延長Ltは、例えば通信周波数をRFIDタグの使用帯域(860MHz〜960MHz)の960MHz、図1に示すアンテナの長手方向寸法La=72mmとした場合でも、Lt≒156.3mm(λ/2)とされる。なお、総延長Ltは、ベースシート、その他構成部材からなる誘電体層の影響を受けるため、一般には上記値より短い長さとなる。
【0036】
この実施形態では、RFIDタグ10は、図5に示される如く記録テープカートリッジ18に貼付されるラベル用紙20Aに埋め込まれて、ラベル20を構成している。ラベル20は、文字や記号等のユーザによる目視可能な情報が印字又は手書きされるものであり、該ラベル20に埋め込まれたRFIDタグ10には、例えば、従来バーコードラベル等で表されていた情報、保管時及びオートローダによる搬送使用時のカートリッジ個体一元管理(磁気テープTへの記録内容との関係を考慮した管理)のための情報が読み書きされるようになっている。
【0037】
記録テープカートリッジ18について補足すると、記録テープカートリッジ18は、偏平ケース22内に回転可能に収納された単一のリール24に、情報記録媒体である磁気テープTが巻き回れされて構成されている。この記録テープカートリッジ18は、矢印A方向にドライブ装置に装填されると、該装填方向の先頭側に形成された窓部22Aが開放され、該窓部22Aから磁気テープTの先端に設けられたリーダ部材(図指令ではリーダピン)26がドライブ装置によって引き出し操作されることで、磁気テープTがドライブ装置内で所定のテープ経路に沿って導かれ、該磁気テープTに対し情報の読み書きが行われるようになっている。この実施形態では、記録テープカートリッジ18は、コンピュータのデータのバックアップに用いられる。
【0038】
そして、ラベル20は、記録テープカートリッジ18のケース22における矢印Aとは反対側の背面22Bに凹設されたラベルエリア28に貼付されるようになっている。ラベルエリア28は、ケース22の背面22Bの略全域に亘るように設けられ、背面視で偏平ケース22の幅方向を長辺とし厚み方向を短辺とする矩形状を成している。記録テープカートリッジ18は、非使用時には、ラベルエリア28に添付されたラベル20が露出されるように保管されるようになっている。
【0039】
例えば、多数の記録テープカートリッジ18をバックアップに用いる場合、該多数の記録テープカートリッジ18を保管するホルダと、自動的にドライブ装置に装填、取り出しするオートローダとを含んで構成される図示しないライブラリ装置が用いられる。このライブラリ装置のホルダに個別に保持された複数の記録テープカートリッジ18は、厚み方向に一定の間隔で並列されつつ、ラベル20を露出させるようになっている。一方、記録テープカートリッジ18は、ライブラリ装置を用いるほどには多量に使用されない場合においては、直接的に積み重ねて(積層乃至スタックされて)保管される場合もある。
【0040】
以上説明したRFIDタグ10は、図3に示される如く、ロール状を成すベースシート16に幅方向に並列して形成されたインレイ(インレットともいう)30から、ベースシート16を切断して分離することで得られる。また、ラベル20は、図4に示される如く、ロール状を成す剥離紙である台紙32に粘着材を介して剥離可能でかつ幅方向に並列されたラベル用紙20Aに、インレイから分離されたRFIDタグ10をコンバートすることで構成されている。
【0041】
そして、複数のRFIDタグ10(のICチップ14)は、インレイ30の状態又は台紙32上のラベル20にコンバートされた状態で、すなわちロール状のベースシート16又は台紙32に幅方向に沿って並列された状態で、他のRFIDタグ10と区別するための個別情報が付与(以下、「イニシャライズ」という)されるようになっている。この実施形態では、図4に示される如く、RFIDタグ10は、台紙32上のラベル20にコンバートされた状態でイニシャライズされるようになっている。
【0042】
このイニシャライズは、図4に示される如く、搬送装置の一部を構成するものと捉えることができる台紙32を長手方向すなわちラベル20の幅方向(図4の矢印B参照)に搬送しながら、通信アンテナとしてのリーダライタアンテナ34を介して、該リーダライタアンテナ34と共にリーダライタシステム36を構成する通信部としてのリーダライタ部38が、各RFIDタグ10と個別に近距離無線(非接触)通信することで行われるようになっている。
【0043】
RFIDタグ10のタグアンテナ12、リーダライタシステム36のリーダライタアンテナ34は、リーダライタシステム36とイニシャライズ対象のRFIDタグ10との無線通信が他のRFIDタグ10に影響を与えないように構成とされている。以下、リーダライタアンテナ34、タグアンテナ12の順で具体的に説明する。
【0044】
(リーダライタアンテナの構成)
図2(A)には、リーダライタアンテナ34を放射部40側から見た斜視図、図2(B)は、リーダライタアンテナ34をグランド層42側から見た斜視図、図2(C)は、図2(B)の2C−2C線に沿った断面図である。これらの図に示される如く、リーダライタアンテナ34は、放射部40とグランド層42との間に誘電体層44が形成されている。この実施形態では、両面に銅箔が形成された耐熱性ガラス基材エポキシ樹脂積層板(米国電機工業規格(NEMA)のFR4グレード)を用いて、エッチング等により放射部40を所要の形状に形成することで、リーダライタアンテナ34が構成されている。
【0045】
より具体的には、グランド層42は、誘電体層44の一方の面の全面に銅箔を残すことで形成されており、放射部40は、所定方向に長手とされた一直線状に銅箔を残すことで形成されている。この実施形態では、リーダライタアンテナ34(グランド層42、誘電体層44)は全体として所定方向に長手の矩形状を成しており、放射部40は、リーダライタアンテナ34の幅方向中央部に長手方向の全長に亘り形成されている。なお、グランド層42は必ずしも一方の面の全面に形成される必要はなく、少なくとも放射部40と相対して重なる同等寸法(厚み方向視で放射部40が全面に亘りオーバラップする範囲)を含む面として構成されていれば良い。
【0046】
放射部40の長さは、上記したタグアンテナ12と同様に通信電波の波長λに基づいて設定されるが、上記のFR4基板を用いることで誘電体層44の比誘電率が4〜4.5となる本実施形態では、通信電波の周波数f=960MHzに最適なアンテナ長が88mmとして設定されている(後述する各寸法を採用する場合)。このアンテナ長は、タグアンテナ12の総延長Ltに対し大幅に短縮されており、タグアンテナ12自体の長手方向の長さLaよりも長いものの記録テープカートリッジ18(ラベル20)の幅に対し小とされている。また、放射部40の幅Wrは、10mm以下が好ましく、0.3mm〜3mmとすることがより好ましいが、この実施形態では、幅Wr=2mmとされている。また、この実施形態では、グランド層42の幅は、14mmとされている。
【0047】
この放射部40は、その長手方向の略中央部の一点が給電点40Aとされている。なお、放射部40の長手方向における給電点40Aの位置は、アンテナと給電側とのインピーダンス整合をとるように設定されるようになっており、放射部40の長手方向中央部に対しずれて設定される場合がある。以上により、本実施形態におけるリーダライタアンテナ34は、所謂パッチアンテナの一種として把握することができ、特に放射部40の長手方向に直線偏波面を有する特殊なパッチアンテナとして把握することができる。また、給電点40Aとグランド層42との間は、誘電体層44により絶縁されている。
【0048】
さらに、リーダライタアンテナ34では、誘電体層44の厚みtで規定される放射部40とグランド層42との間隔dがλ/512≦d<λ/64を満たすように設定されている。例えば通信周波数が960MHzの場合、略0.6≦d<4.9mmとされる。この実施形態では、間隔d=1.6mmとして設定されている。ここで、パッチアンテナにおいては放射部とグランド層との間隔dをλ/64〜λ/16に設定することで良好な放射効率が維持されるが、リーダライタアンテナ34は、間隔d<λ/64とすることで放射効率を低下させて近距離通信用途に特化した構成とされている。一方、誘電体層44の厚みが極端に薄いと、アンテナとしての電界放射効率が極端に低下することを考慮して、アンテナのとしての機能を満たすべく、上記した間隔dの下限がλ/512として設定されている。
【0049】
以上まとめると、リーダライタアンテナ34は、放射部40の長手方向に直線偏波面を有すると共に幅寸法が抑えられ、かつ放射効率が低下されているため、通信可能距離が短い構成とされている。例えばライタ部38の送信出力を5dBmとした場合、通信距離は最適条件で略5mmとなる構成である。
【0050】
(RFIDタグのアンテナの構成)
図1に示される如く、タグアンテナ12は、上記した総延長Ltを確保するために、長手方向に複数回折り返されて、長手方向のメアンダライン構造を成している。具体的には、タグアンテナ12は、その長手方向の全長に亘って一直線状を成す主アンテナ部12Aと、主アンテナ部12Aの長手方向両端からそれぞれ主アンテナ部12Aと幅方向に並列するように長手方向中央側に折り返された一対の第1折り返しアンテナ部12Bと、一対の第1折り返しアンテナ部12Bの端部から対応する第1折り返しアンテナ部12Bと全長に亘り並列するようにタグアンテナ12の長手方向端部側に折り返された一対の第2折り返しアンテナ部12Cとを有する。
【0051】
主アンテナ部12Aと第1折り返しアンテナ部12Bとの並列間隔D1(第1所定間隔)は、第1折り返しアンテナ部12Bと第2折り返しアンテナ部12Cとの並列間隔D2(第2所定間隔)を超える間隔として設定されている(D1>D2)。この実施形態では、並列間隔D1は、リーダライタアンテナ34を構成する放射部40の幅Wrを超える(D1>Wr)間隔として設定とされている。一方、第1折り返しアンテナ部12Bと第2折り返しアンテナ部12Cとの並列間隔D2は、0.2mm以上で、かつ放射部40の幅Wrの2倍以下(D2≦2×Wr)となる設定とされている。この並列間隔D2は、放射部40の幅Wr以下(D2≦Wr)となる設定とされることが好ましく、この実施形態では、D2≒Wr/2とされている。これにより、タグアンテナ12は、電波の照射を受けた場合に長手方向の反対向きに延在する第1折り返しアンテナ部12B、第2折り返しアンテナ部12Cの外部電界により誘起された電流が相殺されるようになっている。したがって、アンテナ1における第1折り返しアンテナ部12Bと第2折り返しアンテナ部12Cとが本発明における折り返しアンテナ部を構成している。また、タグアンテナ12では、上記の通り並列間隔D1が並列間隔D2を超える(D1>D2)ため、リーダライタアンテナ34によって発せられた電界に対し主アンテナ部12Aの誘起電流が最大となるときの第1折り返しアンテナ部12Bの誘起電流は主アンテナ部12Aの誘起電流に対し実質的に影響を与えない構成とされている。
【0052】
また、この実施形態では、一対の第2折り返しアンテナ部12Cは、それぞれタグアンテナ12の幅方向内方すなわち主アンテナ部12A側に折り返されており、主アンテナ部12Aとの並列間隔D3が上記した並列間隔未満(D3<D1)とされている。この実施形態では、並列間隔D3は、放射部40の幅Wr以下(D3≦Wr)に設定されている。さらに、タグアンテナ12では、主アンテナ部12A、第1折り返しアンテナ部12Bの幅Wt1に対し、第2折り返しアンテナ部12Cの幅Wt2が大(Wt2>Wt1)とされている。これにより、タグアンテナ12は、Qファクターを小さくする、つまり、通信周波数fを中心とした共振周波数感度分布が広くなる構成とされている。
【0053】
さらに、タグアンテナ12は、その長手方向中央部にループ状アンテナ部12Dが設けられている。ループ状アンテナ部12Dは、一対の第1折り返しアンテナ部12B、第2折り返しアンテナ部12C間、すなわちタグアンテナ12の長手方向中央部に配置されている。この実施形態では、ループ状アンテナ部12DにICチップ14が配置されている。図1及び図5に示される如く、RFIDタグ10は、ラベル20の幅方向一方側(略半分)を占めると共に、ICチップ14の配置側がラベル20の幅方向端部側に位置するように該ラベル20に埋め込まれている。
【0054】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0055】
上記構成のRFIDタグ10は、インレイ30から台紙32上に並列されたラベル20にコンバートされた状態で、リーダライタシステム36によってイニシャライズされる。すなわち、台紙32を矢印B方向に駆動しながら、該台紙32上の各ラベル20と長手方向が一致されたリーダライタアンテナ34を介してリーダライタシステム36が各RFIDタグ10と個別に非接触で通信することで、各RFIDタグ10に個別化のための情報が書き込まれる。
【0056】
ここで、リーダライタシステム36側では、長手方向がタグアンテナ12の長手方向に略一致された放射部40から電波が放射されるため、該電波は、偏波方向が放射部40の長手方向と略一致する直線偏波となる。しかも、リーダライタアンテナ34を構成する放射部40とグランド層42との間隔dがd<λ/64であるため、放射効率が低く、通信可能領域Arが狭い。
【0057】
一方、RFIDタグ10は、リーダライタアンテナ34から放射された電界を受けると、主アンテナ部12Aが主に活性される。すなわち、タグアンテナ12における第1折り返しアンテナ部12Bと第2折り返しアンテナ部12Cとの並列部位は、これらが長手方向の逆向きに折り返されると共に放射部40の幅Wr以下の並列間隔D2で並列しているため、外部電界により誘起された電流が打ち消しあって(相殺されて)非活性とされる。したがって、タグアンテナ12では、上記の通り主アンテナ部12Aが主に活性される。
【0058】
しかも、タグアンテナ12では、同じ方向に延びる主アンテナ部12Aと第2折り返しアンテナ部12Cとが放射部40の幅Wr以下の並列間隔D2で並列しているため、幅方向における主アンテナ部12Aの近傍では、外部電界により誘起された電流が主アンテナ部12A及び第2折り返しアンテナ部12Cの外部電界により誘起された電流の和となり、受信感度が向上する。
【0059】
これらにより、台紙32上で幅方向に並列された複数のラベル20に埋め込まれたRFIDタグ10は、リーダライタアンテナ34の放射部40上を通過する際にのみ該リーダライタアンテナ34を介してリーダライタ部38と通信が行われる。すなわち、イニシャライズ対象のRFIDタグ10のみがリーダライタ部38との通信によってイニシャライズされ、他のRFIDタグ10との誤通信(混信)が防止又は効果的に抑制される。
【0060】
例えば、図14に示す比較例に係るアンテナ100は、該アンテナ100の幅方向に複数回折り返されて幅方向のメアンダライン構造を成している。このアンテナ100では、幅方向の一端部100Aがリーダライタアンテナ34の放射部40を通過する際に該幅方向の一端部100Aが活性され、幅方向の他端部100Bがリーダライタアンテナ34の放射部40を通過する際に該幅方向の他端部100Bが活性されることとなる。すなわち、アンテナ100では、RFID側の幅方向の感度分布がラベルの搬送方向に広いので、該搬送方向に隣り合うRFIDのうち一方の一端部100Aと他方の他端部100Bとが共に活性されることを避けるため、該搬送方向に隣り合うラベル(RFID)の並列間隔を大きく設定する必要が生じてしまう。
【0061】
これに対してRFIDタグ10では、上記の通りタグアンテナ12の幅方向の一方側である主アンテナ部12A近傍部分のみが活性されるので、図14の比較例に係るアンテナ100を備えるRFIDと比較して、搬送方向に隣り合うラベル(RFID)の並列間隔を小さく設定することができる。
【0062】
この点につき、図7に示す数値解析結果を参照しつつ補足する。図7(A)〜図7(D)は、本発明の実施形態、比較例における放射部40に対するアンテナの幅(搬送)方向におけるオフセット量に対する受信強度(dB)を示している。また、各図の実線はリーダライタアンテナ34の放射部40に対する電波放射方向(放射部40の厚み方向)における距離が5mmである場合の解析結果、破線は上記距離が10mmである場合の解析結果を示している。これらの解析結果からは、受信強度のピークから3dB以内の強度が得られるオフセット量の範囲が感度領域Atとされる。
【0063】
さらに、図7(A)は、図15に示される如くアンテナ100の解析結果を示すもので、オフセット量は、図15(A)〜図15(C)に示される如く、放射部40の幅方向一端部40Bを基準にしたアンテナ100の幅方向一端部100Aまでの距離として定義される。図7(B)は、図16に示される如き比較例に係る一直線状のダイポールアンテナ110の解析結果を示すもので、オフセット量は、図16(A)〜図16(C)に示される如く、アンテナ100の場合と同様に定義される。さらに、図7(C)は、第1の実施形態に係るタグアンテナ12の解析結果を示すもので、オフセット量は、図9(A)〜図9(C)に示される如く、放射部40の幅方向一端部40Bを基準にした主アンテナ部12Aまでの距離として定義される。図7(D)は後述する第2の実施形態に係るものであり、その説明は後述する。
【0064】
そして、図7(A)に示される如く、アンテナ100では、距離5mmの場合に感度領域が略−19mm〜+15mm(計34mm)とされ、距離10mmの場合に感度領域が略−21mm〜+17mm(計38mm)とされている。一方、図7(B)に示される如く、一直線状のダイポールアンテナ110では、距離5mmの場合に感度領域が略−5mm〜+9mm(計14mm)とされ、距離10mmの場合に感度領域が略−7mm〜+13mm(計20mm)とされている。
【0065】
これらに対して、タグアンテナ12では、図7(C)に示される如く、距離5mmの場合に感度領域が略−3mm〜+11mm(計14mm)とされ、距離10mmの場合に感度領域が略−6mm〜+15mm(計21mm)とされている。この結果からタグアンテナ12では、幅方向の感度領域が線幅にほぼ限られる一直線状のダイポールアンテナ110の場合と同等であり、アンテナ100に対し著しく感度領域が狭められていることが判る。図8(A)は、アンテナ100の幅(搬送)方向における感度領域Atを図7(A)の解析結果に基づいて模式的な側面図として示したものであり、図8(B)は、タグアンテナ12の幅方向における感度領域Atを図7(C)の解析結果に基づいて模式的な側面図として示したものである。この図8(A)と図8(B)との比較から、RFIDタグ10では、タグアンテナ12の幅方向における感度領域が狭いため、アンテナ100を備えるRFIDと比較して、上記した通り、搬送方向に隣り合うラベル(RFID)の並列間隔を小さく設定可能であることが確かめられた。更に、何れの条件においてもタグとの通信距離が短いほど、感度分布の起伏は大きくなる傾向にある。
【0066】
また、記録テープカートリッジ18のラベルエリア28に貼付されるラベル20に埋め込まれたRFIDタグ10では、タグアンテナ12の寸法がラベルエリア28の制約を受けることとなり、通信周波数fとの関係でダイポールアンテナ110の如き単純な直線形状を採用し得ないが、上記の如き長手方向のメアンダライン構造を成すことで、ダイポールアンテナ110と同等の幅方向の感度分布を得ることができる。
【0067】
そして、幅方向に並列された複数のRFIDタグ10は、直線偏波面がタグアンテナ12の長手方向に略一致されることで指向性が確保された(図8(A)、図8(B)の通信可能領域Ar参照)リーダライタアンテナ34を介して、リーダライタ部38によって個別にイニシャライズされる。
【0068】
すなわち、リーダライタアンテナ34を備えたリーダライタシステム36は、搬送方向に並列された多数のRFIDタグ10を、他のRFIDタグ10と誤通信することなく、個別にイニシャライズすることが可能である。特に、上記の如く幅方向の感度分布が最適化されたタグアンテナ12を備えたRFIDタグ10に対しては、例えばインレイ30のままイニシャライズを行うことが可能になる。このように、ロール状又はシート状のインレイ30又は台紙32上にラベル20が並列された状態で、RFIDタグ10の並列ピッチを小さくすることができるので、ベースシート16、台紙(剥離紙)32、ラベル20の余白紙、ピッチ間隔を変換するための装置等を不要とすることができ、RFIDタグ10、ラベル20の製造コストを低減することができる。
【0069】
さらに、タグアンテナ12は、例えば円偏波を生じる遠距離通信用の図示しないアンテナからの電波に対し、主に主アンテナ部12Aの近傍が活性されることで、良好な通信が行われることは言うまでもない。すなわち、タグアンテナ12は、近距離、遠距離の何れの通信に対しても良好に対応することができる構成を実現している。また、主アンテナ部12Aと同方向に延びる第2折り返しアンテナ部12Cの外部電界により誘起された電流が付加されることで、タグアンテナ12は、幅方向の特定部分において感度が向上し、近距離通信における通信可能範囲の限定に寄与する。
【0070】
また、ラベル20では、ICチップ14が幅方向の端部側に配置されているので、印字エリアを広く設定することができる。この実施形態では、図6に破線にて示す範囲が印字又はユーザの手書きで文字や記号等が記される印字可能エリア20Bとされる。なお、図6の二点鎖線にて示す領域は、図7(C)の解析結果から得た感度領域Atを表し、この実施形態ではラベル20の幅の範囲内に収まることが判る。なお、図6は、ラベル用紙20Aを一部切り欠いてRFIDタグ10を露出させた状態を示している。
【0071】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記第1の実施又は前出の構成と基本的に同一の部品、部分については、上記第1の実施形態又は前出の構成と同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
(第2の実施形態)
図10には、本発明の代の実施形態に係るRFIDタグ50が図1に対応する正面図にて示されている。この図に示される如く、RFIDタグ50は、タグアンテナ12に代えてアンテナ52を備える点で、第1の実施形態に係るRFIDタグ10とは異なる。
【0073】
アンテナ52は、タグアンテナ12と同様に全体としてラベル20(ラベルエリア28)の長手方向に長手とされており、その長手方向に複数回折り返されて該長手方向のメアンダライン構造を成している。具体的には、アンテナ52は、その長手方向の全長に亘って一直線状を成す主アンテナ部52Aと、主アンテナ部52Aの長手方向両端からそれぞれ主アンテナ部12Aと幅方向に並列するように長手方向中央側に折り返された一対の第1折り返しアンテナ部52Bと、一対の第1折り返しアンテナ部52Bの端部から対応する第1折り返しアンテナ部52Bと全長に亘り並列するようにアンテナ52の長手方向端部側に折り返された一対の第2折り返しアンテナ部52Cとを有する。
【0074】
アンテナ52では、主アンテナ部52Aと第1折り返しアンテナ部52Bとの並列間隔D1(第1所定間隔)は、第1折り返しアンテナ部52Bと第2折り返しアンテナ部52Cとの並列間隔D2(第2所定間隔)を超える間隔として設定されている(D1>D2)。この実施形態では、並列間隔D1は、リーダライタアンテナ34を構成する放射部40の幅Wrを超える(D1>Wr)設定とされている。一方、第1折り返しアンテナ部52Bと第2折り返しアンテナ部52Cとの並列間隔D2は、0.2mm以上で、かつ放射部40の幅Wrの2倍以下(D2≦2×Wr)となる設定とされている。この並列間隔D2は、放射部40の幅Wr以下(D2≦Wr)となる設定とされることが好ましく、この実施形態では、D2≒Wr/2とされている。これにより、タグアンテナ52は、電波の照射を受けた場合に長手方向の反対向きに延在する第1折り返しアンテナ部52B、第2折り返しアンテナ部52Cの外部電界により誘起された電流が相殺されるようになっている。したがって、アンテナ1における第1折り返しアンテナ部52Bと第2折り返しアンテナ部52Cとが本発明における折り返しアンテナ部を構成している。また、タグアンテナ52では、上記の通り並列間隔D1が並列間隔D2を超える(D1>D2)ため、外部電界による第1折り返しアンテナ部52Bの誘起電流が主アンテナ部52Aの誘起電流に実質的に影響を与えない構成とされている。そして、この実施形態では、一対の第2折り返しアンテナ部52Cは、それぞれアンテナ52の幅方向外方すなわち主アンテナ部52A側とは反対側に折り返されている。
【0075】
以上により、アンテナ52は、主アンテナ部52Aに対し一対の第2折り返しアンテナ部52Cが上記並列間隔D1(この実施形態では、放射部40の幅Wr)よりも離間して並列されており、該一対の第2折り返しアンテナ部52Cの外部電界により誘起された電流が感度向上に寄与しない点で、タグアンテナ12とは異なる。
【0076】
また、アンテナ52は、ループ状アンテナ部12Dに相当する部分を有さず、主アンテナ部52Aの長手方向中央部にICチップ14が配置されている。このため、アンテナ52を有するRFIDタグ50は、主アンテナ部52AがICチップ14と共にラベル用紙20Aの幅方向端部側に配置されてラベル20を構成するようになっている。このRFIDタグ10に対するICチップ14の配置の相違により、後述する図7(D)の数値解析では、リーダライタアンテナ34の放射部40に対するオフセット量が、図11(A)〜図11(C)に示される如く、放射部40の幅方向一端部40Bに対する第2折り返しアンテナ部52Cの距離として設定されている。RFIDタグ50における他の構成は、RFIDタグ10の対応する構成と同じである。
【0077】
したがって、第2の実施形態に係るRFIDタグ50によっても、一対の第2折り返しアンテナ部12Cの外部電界により誘起された電流がタグアンテナ12の感度向上に寄与する効果を除いて、基本的にRFIDタグ10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。具体的には、図7(D)に示される如く、アンテナ52では、距離5mmの場合に感度領域が略−22mm〜−9mm(計13mm)とされ、距離10mmの場合に感度領域が略−23mm〜−7mm(計16mm)とされている。この結果からアンテナ52では、ダイポールアンテナ110、タグアンテナ12と同等以上に感度領域Atが狭められており指向性が高いことが判る。
【0078】
(第3の実施形態)
図12には、本発明の第3の実施形態に係るリーダライタシステム60が模式的な側面図にて示されている。この図に示される如く、リーダライタシステム60は、リーダライタアンテナ34の電波放射面である放射部40がラベル20(台紙32)に対し略平行に配置された構成に代えて、放射部40を傾斜させた点で、リーダライタシステム36とは異なる。
【0079】
具体的には、リーダライタシステム60におけるリーダライタアンテナ34は、放射部40がラベル20側(矢印C参照)及び該ラベル20の半沿う方向下流側(矢印B側)を共に向くように傾斜されている。このため、リーダライタアンテナ34の通信可能領域Arは、ラベル20の搬送方向下流側に指向される構成である。なお、リーダライタアンテナ34の傾斜角は、放射部40の直上(通信可能領域Ar)にタグアンテナ12が位置すると共に、最大感度を生じる(図7の受信感度のピーク)ように設定されることが好ましい。また、図7の各アンテナのオフセット量に対する受信感度分布を考慮し、ラベル20(タグ)の搬送方向に対するタグアンテナ12の向きを限定することがより望ましい。つまり、タグアンテナ12の主アンテナ部12Aが搬送方向に対して先頭に位置し、その後方に折り返しアンテナ部(12B,12C)が続く向きとすることが望ましい。リーダライタシステム60の他の構成は、リーダライタシステム36の対応する構成と同じである。
【0080】
したがって、第3の実施形態に係るリーダライタシステム60によっても、基本的に第1の実施形態に係るリーダライタシステム36と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、リーダライタシステム60では、リーダライタアンテナ34が上記の通り傾斜されているため、イニシャライズ対象のRFIDタグ10に対し上流側に位置するRFIDタグ10との誤通信がより確実に防止される。特にイニシャライズの場合、下流側のRFIDタグ10は既に個別化のための情報が付与されており、これにより誤通信(による悪影響)を回避することができるので、誤通信により悪影響を受けやすい搬送方向上流側のRFIDタグ10に対する誤通信を防止することで、全体として誤通信の確率を低下させることができる。
【0081】
(第4の実施形態)
図13には、本発明の第4の実施形態に係るリーダライタシステム70が模式的な側面図にて示されている。この図に示される如く、リーダライタシステム70は、リーダライタアンテナ34の電波放射面である放射部40側に誘電体層72が設けられている点で、リーダライタシステム36とは異なる。
【0082】
誘電体層72は、放射部40の近傍に配置され、イニシャライズ対象のRFIDタグ10に放射される電波の周波数すなわち通信周波数fに対し、リーダライタアンテナ34の共振周波数を調整するようになっている。例えば互いに誘電率が異なる材料で構成された複数種類の誘電体層72や同じ誘電率で厚みの異なる複数種類の誘電体層72を用いることで、複数の通信周波数fを使用することができる構成である。リーダライタシステム70の他の構成は、リーダライタシステム36の対応する構成と同じである。
【0083】
したがって、第4の実施形態に係るリーダライタシステム70によっても、基本的に第1の実施形態に係るリーダライタシステム36と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、リーダライタシステム70では、誘電率や厚みの異なる複数種類の誘電体層72を用いることで、共通のリーダライタアンテナ34で通信周波数f(タグアンテナ12の総延長Lt)が異なる複数種類のRFIDタグ10をイニシャライズすることができる。なお、リーダライタアンテナ34は、通信周波数fが異なる複数種類のRFIDタグ10のうち、1種類については誘電体層72を用いることなくイニシャライズを行い得るように、放射部40の長さや誘電体層44の比誘電率が設定されている。
【0084】
なお、第4の実施形態では、誘電体層72が放射部40の近傍に配置され、RFIDタグ10に放射される電波の周波数すなわち通信周波数fに対し、リーダライタアンテナ34の共振周波数を調整する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、誘電体層72によって、RFIDタグ10側の共振周波数を調整することも可能である。これにより、例えば、ラベル20に対し、該ラベル20の記録テープカートリッジ18のケース22(ケース素材は誘電体としてふるまう)に貼付された場合の共振周波数と同じ共振周波数にすることが可能となる。そして、誘電体層72の材質、寸法、配置等によって、リーダライタアンテナ34の共振周波数、及びRFIDタグ10の共振周波数を共に調整することも可能である。
【0085】
なお、上記した各実施形態では、タグアンテナ12、52が長手方向端部から中央部に向けて折り返された第1折り返しアンテナ部12B、52B、及び長手方向中央部から端部に向けて折り返された第2折り返しアンテナ部12C、52Cを各1つ有する例を示したが、本発明はこれに限定されず、それぞれ複数の第1折り返しアンテナ部12B、52B及び第2折り返しアンテナ部12C、52Cを有する構成としても良い。この場合、第1折り返しアンテナ部12B、52Bと第2折り返しアンテナ部12C、52Cとは外部電界により誘起された電流を打ち消すように同数だけ設ける必要がある。
【0086】
複数の第2折り返しアンテナ部12Cを有する構成では、最も主アンテナ部12Aに近接された第2折り返しアンテナ部12Cについて、主アンテナ部12Aに幅Wr以下の間隔で並列させることで、外部電界により誘起された電流(感度)向上に寄与させることが可能である。
【0087】
また、上記した各実施形態では、RFIDタグ10、50を用いたラベル20が記録テープカートリッジ18に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、各種製品に貼付されるラベルに適用することができる。特に、例えば、書籍、CDやDVDのケース等の薄型の物品の厚み部分に貼付すべく所定方向に長手とされたラベルに好適に適用される。さらに、RFIDタグ10、50は、ラベル20に埋め込まれる用途には限られず、例えば記録テープカートリッジ18を構成するケース22の内面や内壁に直接的に取り付けたり、非接触式カード等に適用されたりしても良い。
【0088】
さらに、上記した各実施形態では、リーダライタシステム36、60、70が台紙32を介して搬送されるラベル20内のRFIDタグ10をイニシャライズする例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、リーダライタシステム36、60、70がRFIDタグ10の検査や単なるICチップ14への情報の読み書き(何れか一方でも可)等の通信を行う構成とされても良い。
【0089】
また、リーダライタシステム36、60、70は、製造過程のラベル20(RFIDタグ10)との通信を行う構成には限られず、例えば本棚や棚に整列された複数の書籍(背表紙)やCDケース等に貼付されたラベル20、ライブラリ装置のホルダに保持され又は直接スタックされた複数の記録テープカートリッジ18のラベルエリア28に貼付されたラベル20に対し、個別に通信を行う用途に用いることも可能である。この場合でも、上記したリーダライタアンテナ34の通信可能領域Arが狭いので、通信対象のラベル20以外のラベル20との誤通信(混信)を起すことなく、通信対象のラベル20と良好に通信を行うことができる。特に、図7(C)で示したRFIDタグ10(タグアンテナ12)の感度領域Atは、記録テープカートリッジ18の厚みの範囲内に位置する(図6の二点鎖線参照)ので、直接的にスタックされた記録テープカートリッジ18のラベル20と通信する場合でも、混信を効果的に防止又は抑制することができる。
【0090】
さらに、リーダライタシステム36、60、70通信ではリーダライタアンテナ34による通信可能領域Arが狭いので、該通信可能領域Arを認識させるための感度領域ガイドを設けても良い。感度領域ガイドとして、通信可能領域Arに光を照射するライトガイドを採用することができる。この構成では、可視光を採用すれば通信可能領域Arを目視によっても認識(視認)することができるので、例えば上記のような本棚や棚に整列された複数の書籍(背表紙)やCDケース等に貼付されたラベル20、ライブラリ装置のホルダに保持され又は直接スタックされた複数の記録テープカートリッジ18のラベルエリア28に貼付されたラベル20に対し、ユーザがリーダライタシステム36、60、70(の少なくともリーダライタアンテナ34)を保持した状態で個別に通信を行う場合に、容易に通信可能領域Arを認識することができ、使用性が向上する。
【0091】
その他、これら近距離無線(非接触)通信に特化したリーダライタシステム36を等間隔で複数並べることにより、台紙32の複数のRFIDタグ10に対して、もしくは、スタックされた複数の記録テープカートリッジ18のラベルエリア28に貼付されたラベル20に対して、混信無く一括してイニシャライズを行うことも可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 RFIDタグ
12 アンテナ
12A 主アンテナ部
12B 第1折り返しアンテナ部(折り返しアンテナ部)
12C 第2折り返しアンテナ部(折り返しアンテナ部)
14 ICチップ(通信用素子)
32 台紙(搬送手段)
34 リーダライタアンテナ(通信アンテナ)
36 リーダライタシステム(非接触通信装置)
38 リーダライタ部(通信部)
40 放射部
40A 給電点
42 グランド層
50 RFIDタグ
52 アンテナ
52A 主アンテナ部
52B 第1折り返しアンテナ部(折り返しアンテナ部)アンテナ部
52C 第2折り返しアンテナ部(折り返しアンテナ部)アンテナ部
60・70 リーダライタシステム(非接触通信装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信用素子と、
全体として所定の方向に長手とされると共に前記通信用素子に対し対称を成すように該長手方向の両側において該長手方向に複数回折り返されて形成されることで、長手方向の略全長に亘って一直線状に延在する主アンテナ部と、長手方向の互いに異なる向きに延在された部分にて外部電界により誘起された電流が相殺される折り返しアンテナ部とが幅方向に並列して構成されたタグアンテナと、
を備えたRFIDタグ。
【請求項2】
前記タグアンテナは、
幅方向の一端側において前記長手方向の略全長に亘って一直線状に延在する前記主アンテナ部と、
該長手方向の端部から長手方向中央側に折り返されると共に前記主アンテナ部と第1所定間隔で並列された第1折り返しアンテナ部と、
該長手方向の中央側から長手方向端部側に折り返されると共に前記第1折り返しアンテナ部と前記第1所定間隔未満の第2所定間隔で並列されることで、該第1折り返しアンテナ部とで前記折り返しアンテナ部を構成する第2折り返しアンテナ部と、
を有して構成されている請求項1記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記タグアンテナは、第2折り返しアンテナ部のうちの1つが前記主アンテナ部に対し前記第1所定間隔未満の間隔で並列されて形成されている請求項2記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記第2所定間隔は、前記所定の方向に長手とされると共に該長手方向の中央部に単一の給電点が設定されて近距離通信用の相手方アンテナを構成する放射部の幅寸法の2倍以下として設定されている請求項1〜請求項3の何れか1項記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記タグアンテナは、前記長手方向の略全長に亘って一直線状に延在する前記主アンテナ部の中央部に前記主アンテナの一部を共有するループ状アンテナ部を有し、前記通信用素子は、該ループ状アンテナ上であって、かつ、該主アンテナ部とは異なる位置に設置されている請求項1〜請求項4の何れか1項記載のRFIDタグ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項記載のRFIDタグと非接触で通信を行うための非接触通信装置であって、
前記放射部の長手方向が前記RFIDタグの前記主アンテナ部の長手方向に一致されるように配置され、片面に略全面に亘って形成されたグランド層と、他方の面に所定の方向に長手の矩形状に形成されると共に該長手方向の略中央部に前記グランド層を介して導通された単一の給電点を持つ矩形の放射部とを有し、全体として平板状に形成され、前記放射部の長手方向と直角を成す方向の幅が0.3mm以上、かつ、10mm未満とされており、更に、前記放射部とグランド層との間隔が、通信に用いる電波の波長の512分の1以上、かつ、64分の1未満とされている、RFIDタグと通信を行うための通信アンテナと、
前記通信アンテナの放射部が前記タグアンテナに近接した場合に、該通信アンテナを介してRFIDタグと通信を行う通信部と、
を備えた非接触通信装置。
【請求項7】
幅方向に並列された複数の前記RFIDタグが前記通信アンテナを介した通信可能領域を順次通過するように、複数の前記RFIDタグを搬送する搬送装置をさらに備え、
前記通信部が、前記通信アンテナを介して、前記通信可能領域を通過する前記RFIDと個別に通信を行うように構成されている請求項6記載の非接触通信装置。
【請求項8】
前記通信アンテナは、前記RFID側及び前記搬送装置による搬送方向の下流側を共に向くように傾斜して配置されている請求項7記載の非接触通信装置。
【請求項9】
前記タグアンテナの長手方向と直角を成す幅方向に並列された請求項1〜請求項5の何れか1項記載の複数のRFIDタグの1つと個別に非接触で通信を行う非接触通信方法であって、
所定方向に長手とされると共に該長手方向の略中央部に給電点が設けられた放射部を有する通信アンテナを、前記放射部の長手方向が前記タグアンテナの長手方向に一致する姿勢で、前記複数のRFIDタグのうち1つのRFIDタグに近接させて、該1つのRFIDタグと個別に通信を行う非接触通信方法。
【請求項10】
通信用素子と、全体として所定の方向に長手とされると共に前記通信用素子に対し対称を成すように該長手方向の両側において該長手方向に複数回折り返されて形成されることで、長手方向の略全長に亘って一直線状に延在する主アンテナ部と、長手方向の互いに異なる向きに延在された部分にて外部電界により誘起された電流が相殺される折り返しアンテナ部とが幅方向に並列して構成されたタグアンテナと、を有するRFIDタグと、
片面に略全面に亘って形成されたグランド層と、他方の面に所定の方向に長手の矩形状
に形成されると共に該長手方向の略中央部に前記グランド層を介して導通された単一の給
電点を持つ矩形の放射部とを有し、全体として平板状に形成され、前記放射部の長手方向と直角を成す方向の幅が0.3mm以上、かつ、10mm未満とされており、更に、前記放射部とグランド層との間隔が、通信に用いる電波の波長の512分の1以上、かつ、64分の1未満とされている、前記RFIDタグと通信を行うための通信アンテナを有する非接触通信装置と、
を備えた非接触通信システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−70420(P2013−70420A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−263393(P2012−263393)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2008−334495(P2008−334495)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】