RFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置、及び、RFIDタグ
【課題】 RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できるRFIDタグリーダライタシステムを提供することにある。
【解決手段】 RFIDタグリーダライタ装置10は、出力電力と応答対応距離とに関する情報を送信し(S12)、RFIDタグ80は、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し(S26)、応答距離の範囲内のときに(S26:Yes)、RFIDタグリーダライタ装置に対して応答する(S28)。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【解決手段】 RFIDタグリーダライタ装置10は、出力電力と応答対応距離とに関する情報を送信し(S12)、RFIDタグ80は、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し(S26)、応答距離の範囲内のときに(S26:Yes)、RFIDタグリーダライタ装置に対して応答する(S28)。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグと無線通信して読み出し書き込みを行うRFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置、及び、RFIDタグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)システムは、IDや情報のデータを登録するRFIDタグと、RFIDタグを認識・制御するRFIDタグリーダライタ装置とから構成される。電池を内蔵しないRFIDタグ(パッシブタグ)は、内蔵アンテナとICチップとを供え、RFIDタグリーダライタ装置のアンテナから出力された電波を介して電力や通信データを内蔵アンテナで受け、ICチップにデータを登録(エンコード)し、またICチップからのデータをRFIDタグリーダライタ装置へ返送する。
【0003】
特許文献1では、測距部を介して外部情報記憶媒体までの距離を計測し、計測した距離を元に電波の出力を最適値を決定し、任意の距離にある外部情報記憶媒体に対して情報の読み書きを行う情報端末装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−328452号公報
【特許文献2】特開2004−348559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、任意の位置よりも遠い位置の外部情報記憶媒体に対しては、外部情報記憶媒体の送信出力を小さくすることで読み書きを行わないことが可能であるが、任意の位置より近い位置にある外部情報記憶媒体に対しては、読み書きを制限することができなかった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できるRFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置、RFIDタグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、電波を介してRFIDタグ80A、80B、80Cの情報をRFIDタグリーダライタ装置10で読み書きするRFIDタグリーダライタシステムにおいて、
前記RFIDタグリーダライタ装置10は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し(S12)、
RFIDタグ80A、80B、80Cは、受信電力のレベルに基づき、前記応答距離の範囲内か否かを判断し(S26)、前記応答距離の範囲内のときに(S26:Yes)、前記RFIDタグリーダライタ装置10に対して応答する(S28)ことを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1のRFIDタグリーダライタシステム、請求項9のRFIDタグリーダライタ装置、請求項10のRFIDタグでは、RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0008】
請求項2では、RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報と共にアンテナ利得を送信する。RFIDタグは、アンテナ利得、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0009】
請求項3では、RFIDタグリーダライタ装置は、応答距離の範囲内にあり応答したRFIDタグに対してのみ書き込みを行う。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグに対してのみ書き込みできる。
【0010】
請求項4では、RFIDタグは、受信した出力電力及び応答距離に関する情報とアンテナ利得、当該RFIDタグの受信感度と受信信号レベルに基づき、RFIDタグリーダライタ装置との距離を推定し、推定された距離が所定範囲内にあった場合に、RFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0011】
請求項5では、RFIDタグリーダライタ装置は、初期設定時に読み書きを行ったRFIDタグの距離を作業者が入力し、入力された距離に基づき応答距離とに関する情報を算出する。これにより、RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0012】
請求項6では、RFIDタグリーダライタ装置がRFIDタグの付けられた対象物のアンテナ前方通過を検出し、対象物の前方通過を検出した時に、該対象物に付けられたRFIDタグに対して通信を行う。このため、アンテナの前方の所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0013】
請求項7では、RFIDタグリーダライタ装置は、測距手段でRFIDタグまでの距離を測定し、測定した距離に基づき応答距離とに関する情報を算出する。これにより、RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0014】
請求項8では、RFIDタグリーダライタ装置は、指向性を有するアンテナと、アンテナの指向する方向を制御する指向性制御手段とを備える。これにより、アンテナ指向性制御手段が指向する方向と任意の距離とからなる領域に存在するRFIDタグのみと読み書きを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略を説明するための説明図である。
3本のベルトコンベア50A、50B、50C上に貨物52A、52B、52Cが搬送される。それぞれの貨物52A、52B、52Cには、RFIDタグ80A、80B、80Cが付けられている。RFIDタグリーダライタ装置10は、アンテナ30から無線通信により、任意のベルトコンベア50A、50B、50C上を搬送される貨物52A、52B、52CのRFIDタグ80A、80B、80Cに対して読み出し/書き込みを行うことができる。即ち、コンベア50A上を搬送される貨物52AのRFIDタグ80Aに対してのみ、コンベア50B上を搬送される貨物52BのRFIDタグ80Bに対してのみ、コンベア50C上を搬送される貨物52CのRFIDタグ80Cに対してのみ、読み出し/書き込みを行うことが可能である。
【0016】
図2は、図1中のRFIDタグリーダライタ装置の構成を示すブロック図である。
RFIDタグリーダライタ装置10は、例えばパーソナルコンピュータなどの上位装置(ホスト,図示せず)とシリアルインターフェイス等を介して接続されており、上位装置側のアプリケーションプログラムの指示に基づいて図1に示すRFIDタグ80A、80B、80Cと電波信号により通信を行うようになっている。即ち、RFIDタグリーダライタ装置10は、自身の通信エリアにRFIDタグ80A、80B、80Cが接近したことを検知するため、RFIDタグ80A、80B、80Cに対する呼出しコードを間欠的に送信するポーリングを行う(リクエスト)。この際に、応答距離を指定することで、ベルトコンベア50A上を搬送される貨物に付されたRFIDタグ、ベルトコンベア50B上を搬送される貨物に付されたRFIDタグ、ベルトコンベア50C上を搬送される貨物に付されたRFIDタグのいずれかに対して応答を要求する。そして、RFIDタグリーダライタ装置10から指定された応答距離のベルトコンベア(ベルトコンベア50A上を搬送される貨物に付されたRFIDタグ、ベルトコンベア50B上を搬送される貨物に付されたRFIDタグ、ベルトコンベア50C上を搬送される貨物に付されたRFIDタグ)が通信エリア内に位置すると、当該応答距離のRFIDタグ80A、RFIDタグ80B、又は、RFIDタグ80Cは、RFIDタグリーダライタ装置10が送信する信号から動作用の電源及びクロックを生成して応答するようになっている。
【0017】
電気的構成を機能ブロックで示す図2において、CPU(制御回路)14は、上位インターフェイス(I/F)部12を介して上位装置とシリアル通信を行うようになっている。符号化部18は、CPU14よりシリアルに与えられる送信データを例えばNRZ(Non Return to Zero)方式で符号化して変調部20に出力する。キャリア発振部16は、13.56MHzの発振信号を符号化部18及び変調部20に搬送波信号として、また、CPU14にクロック用の信号として供給する。CPU14は、その発振信号を適宜分周したものを動作用クロックとして使用する。変調部20は、搬送波を符号化された送信データによってASK変調するようになっており、その場合の変調度を調整できるように構成されている。変調部20で変調された被変調信号は、増幅部22からケーブル34を介して送受信用のアンテナ30に出力され、電波信号として送信される。アンテナ30は、図中で鎖線の円で示すように、前方への指向性を有する多素子アンテナが用いられている。
【0018】
一方、RFIDタグ80A、80B、80C側より送信された信号をアンテナ30が受信すると、その受信信号は受信回路部24に出力されるようになっている。受信回路部24で復調され、復号化された受信データはCPU14に出力される。
【0019】
図3は、RFIDタグ80A内部の電気的構成を示す機能ブロック図である。RFIDタグ80A、80B、80Cは同一の構成である。RFIDタグ80Aは、アンテナ(LC共振回路のコイル)90、整流部92、クロック抽出部98、CPU94、メモリ96、変調部99などで構成されている。
【0020】
整流部92は、RFIDタグリーダライタ装置10より送信された電波信号をアンテナ90が受信すると、その受信信号を整流平滑してCPU94などに動作用の電源を供給すると共に、受信信号を復調した復調データをCPU94に出力する。クロック抽出部98は、アンテナ90が受信した信号から抽出したクロック信号をCPU94に供給する。CPU94は、不揮発性のメモリ96に対してデータの読み書きを行うようになっている。
【0021】
また、CPU94は、変調部99に対して送信データをシリアルに出力する。変調部99は、アンテナ90に接続されている。RFIDタグ80Aのメモリ96には、RFIDタグ80AのIDデータや通信時の認証処理に使用するコード,RFIDタグリーダライタ装置10が本来読み出すことを目的としているRFIDタグ80Aのユーザに関するデータ、更に、上述したRFIDタグリーダライタ装置から指定された応答距離に有るか否かを判断して応答するプログラムなどが記憶されている。
【0022】
引き続き、指定した距離(指定したベルトコンベア)上のRFIDタグのみと通信を行うための処理について、図4〜図6を参照して説明する。
図4は、第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置の初期設定を示すフローチャートである。ここで、図1に示すベルトコンベア50AのラインAが、RFIDタグリーダライタ装置のアンテナ30から1m、ラインA’が1.5m、ベルトコンベア50BのラインBが3m、ラインB’が3.5m、ベルトコンベア50CのラインCが5m、ラインC’が5.5mであるとする。ここでは、最も遠いベルトコンベア50Cを、貨物52Cがアンテナ30の前方となる位置で停止させ、RFIDタグリーダライタ装置10に貨物52Cとの距離(5m)での電波強度を調整させる。なお、この図では、貨物52Cが側面が見える位置に置かれているように図示されているが、RFIDタグリーダライタ装置からの電波の強度が最大になる向きに初期設定用RFIDタグ80がなるように、貨物52Cはベルトコンベア50Cに対して置かれている。具体的には、RFIDタグを取り付けた側面との延長線上にアンテナ30がある向きに、貨物が置かれる。なお、ベルトコンベア50B上の貨物52B、ベルトコンベア50A上の貨物52Aも同様である。ここで、初期設定用のRFIDタグ80は、距離指定に対応するものでは無く、距離のいかんに関わらず、RFIDタグリーダライタ装置からの読み書きに応答する物を用いる。
【0023】
上位装置を介して、最遠いRFIDタグ80までの距離(5m)、中間の距離(コンベア50Bの距離:3m)、最も近い距離(コンベア50Aの距離:1m)が入力されると(S52:Yes)、最遠い5mの距離が初期設定用に登録され(S54)、RFIDタグ80との通信を開始する(S56)。先ず、所定の出力で通信を試み、RFIDタグ80との通信が出来た場合(S58:Yes)、出力電力を削減する(S59)。反対に、通信が出来なかった場合には(S58:No)、出力電力を増大させる(S60)。そして、必要なデータ、即ち、距離5mのRFIDタグ80との通信を確実に行い得る出力値を得られるまで(S62:No)、S58に戻り通信を繰り返す。そして、距離5mのRFIDタグ80との通信を確実に行い得る最低レベルの出力値を得られると(S62:Yes)、距離データを作成する(S64)。ここでは、最遠いRFIDタグ80までの距離(5m±1(4m超、6m未満))、中間距離RFIDタグ80までの距離(3m±1(2m超、4m未満))、最も近いRFIDタグ80までの距離(1m±1(0m超、2m未満))からなる応答距離を作成する。
【0024】
引き続き、RFIDタグリーダライタ装置10の読み取り処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。図5(A)は、RFIDタグリーダライタ装置側での読み取り処理を示すフローチャートであり、図5(B)は、RFIDタグ側での処理を示すフローチャートである。ここでは、図1を参照して上述した最も遠いベルトコンベア50C上を搬送される貨物52Cに付けられたRFIDタグ80Cを指定して読み取り/書き込みを行っているものとして説明を続ける。
【0025】
RFIDタグリーダライタ装置10は、ベルトコンベア50Cを搬送される貨物52Cに付された5mの距離を通過するRFIDタグ80Cに対して読み取り/書き込みを行うため電波を発信する(図5(A)のS12)。この際に、距離4m超、6m未満の応答距離、上記初期設定で設定した出力値(5mの位置で上記処理で設定された出力値)、及び、出力値を設定した当該5mの距離、更に、アンテナ30の利得を送信する。
【0026】
RFIDタグ80A、80B、80Cは、電波を受信すると(図5(B)のS22:Yes)、それぞれ、RFIDタグリーダライタ装置10側のアンテナ30の利得、内蔵アンテナ90(図3参照)の利得、受信電力の値から送信された出力値からの自由空間損失を計算し(S24)、指定された応答距離と一致するか判断する(S26)。ここで、RFIDタグ80A、80Bは、出力値を設定した当該5mの距離と、距離4m超、6m未満の応答距離との対応で、自由空間損失が少ない高い出力の電波を受信しているため、指定された応答距離と一致せず(S26:No)、処理を終了する。RFIDタグ80Cは、出力値を設定した当該5mの距離と、距離4m超、6m未満の応答距離とが対応し、指定された応答距離と一致するため(S26:Yes)、応答を送信する(S28)。なお、ここで、RFIDタグ80Bとの通信が行われる際には、RFIDタグ80Bは、設定した出力値と、出力値を設定した当該5mの距離と、2m超、4m未満の応答距離との対応で、即ち、2m超4m未満の中間距離3mと5mとの差分2mの自由空間損失に対応する値だけ高い受信強度があった際に、自己が2m超、4m未満の応答距離にあると判断する。更に詳細に説明すると、RFIDタグが安定して通信を行い得る最低受信レベルの値は予めRFIDタグに保持されており、図4を参照して上述した初期設定処理で、5mの距離で最低受信レベルとなるようにRFIDタグリーダライタ装置10側の出力が設定される。RFIDタグ80Bは、5mの距離で最低受信レベルとなる電波が4mの距離で受信された際の受信レベルと、2mの距離で受信された際の受信レベルとの間の受信レベルであるか否かにより、自己が2m超、4m未満の応答距離にあるか否かを判断する。同様に、RFIDタグ80Aとの通信を行う際には、RFIDタグ80Aは、設定した出力値と、出力値を設定した当該5mの距離と、0m超、2m未満の応答距離との対応で、即ち、0m超2m未満と5mとの差分4m、5m分の自由空間損失に対応する値だけ高い受信強度があった際に、自己が0m超、2m未満の応答距離にあると判断する。
【0027】
引き続き、RFIDタグリーダライタ装置10の書き込み処理について、図6を参照して説明する。RFIDタグリーダライタ装置10は、RFIDタグ80Cに対して書き込みの指令を行う電波を発信する(図6(A)のS32)。この際に、距離4m超、6m未満の距離、上記初期設定で設定した出力値、出力値を設定した距離(5m)、アンテナ30の利得を送信する。
【0028】
RFIDタグ80A、80B、80Cは、電波を受信すると(図6(B)のS42:Yes)、それぞれ、アンテナ利得、受信電力の値から送信された出力値からの自由空間損失を計算し(S44)、指定された応答距離と一致するか判断する(S46)。ここで、RFIDタグ80A、80Bは、指定された応答距離と一致しないので(S46:No)、処理を終了する。RFIDタグ80Cは、指定された応答距離と一致しているため(S46:Yes)、情報の書き込みを行う(S48)。なお、ここでは、RFIDタグリーダライタ装置10から、距離4m超、6m未満の応答距離により、RFIDタグ80Cを特定したが、応答距離を指定すること無く、RFIDタグ80Cから送られたIDに基づき、RFIDタグ80Cへの応答を求めることも可能である。
【0029】
RFIDタグリーダライタ装置10は、ベルトコンベア50A上に搬送される貨物52A、ベルトコンベア50Bを搬送される貨物52B、ベルトコンベア50Cを搬送される貨物52Cを検出するため、距離0m超、2m未満の指定と、距離2m超、4m未満の指定と、距離4m超、6m未満の指定とを切り換えながら電波送信を繰り返す。これにより、各ベルトコンベア50A、ベルトコンベア50B、ベルトコンベア50C上に搬送された貨物に付されたRFIDタグを検出することで、それぞれのベルトコンベアにより搬送された貨物をRFIDタグリーダライタ装置10が把握できる。
【0030】
第1実施形態のRFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置10、RFIDタグ80では、RFIDタグリーダライタ装置10は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し(S12)、RFIDタグ80は、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し(S26)、応答距離の範囲内のときに(S26:Yes)、RFIDタグリーダライタ装置に対して応答する(S28)。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0031】
第1実施形態では、RFIDタグリーダライタ装置10は、出力電力と応答距離とに関する情報と共にアンテナ利得を送信する。RFIDタグは、アンテナ30の利得、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0032】
第1実施形態では、RFIDタグリーダライタ装置10は、応答距離の範囲内にあり応答したRFIDタグに対してのみ書き込みを行う(S48)。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグに対してのみ書き込みできる。
【0033】
第1実施形態では、RFIDタグ80は、受信した出力電力及び応答距離に関する情報とアンテナ利得、当該RFIDタグの受信信号レベルに基づき、RFIDタグリーダライタ装置10との距離を推定し(S24)、推定された距離が所定範囲内にあった場合(S26:Yes)に、RFIDタグリーダライタ装置に対して応答する(S28)。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0034】
第1実施形態では、RFIDタグリーダライタ装置10は、初期設定時に読み書きを行ったRFIDタグの距離を作業者が入力し(S52)、入力された距離に基づき応答距離とに関する情報を算出する(S64)。これにより、RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0035】
[第2実施形態]
引き続き、本発明の第2実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置、RFIDタグについて説明する。第2実施形態のRFIDタグリーダライタ装置及びRFIDタグの構成については、図2、図3を参照して上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0036】
図7は、第2実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。第2実施形態では、ベルトコンベア50A、50B、50Cを挟んで発光器36A、受光器36Bが配置され、アンテナ30の前方を貨物が通過したことを検出し、検出したタイミングで、RFIDタグリーダライタ装置10は、ベルトコンベア50C上のRFIDタグ80C、ベルトコンベア50B上のRFIDタグ80B、ベルトコンベア50A上のRFIDタグ80Aに対してそれぞれ通信を試みる。
【0037】
図8は、第2実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での読み取り処理を示すフローチャートである。上述した受光器36Bからの出力に基づき、貨物が発光器36Aと受光器36Bとの間の光を遮ったか、即ち、アンテナ30の前方を貨物が通過したか否かを判断する(S11)。ここで、貨物の通過があると(S11:Yes)、各RFIDタグ80C、RFIDタグ80B、RFIDタグ80Aに対してそれぞれ通信を試みる(S12)。以降の処理は、図5、図6を参照して上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
第2実施形態では、RFIDタグリーダライタ装置10がRFIDタグの付けられた貨物のアンテナ前方通過を検出した時に、該貨物に付けられたRFIDタグに対して通信を行う。このため、アンテナの前方の所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0039】
[第3実施形態]
第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置、RFIDタグについて説明する。第3実施形態のRFIDタグリーダライタ装置及びRFIDタグの構成については、図2、図3を参照して上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0040】
図9は、第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。第3実施形態では、アンテナ30からRFIDタグまでの距離を測定するための距離測定装置38が備えられている。距離測定装置38は、赤外線を出力する半導体レーザと、この半導体レーザからの出射光がRFIDタグで反射して反射した反射光を受光するPSD(Position Sensitive Detector)と、PSDで受光した入射角度に基づきRFIDタグまでの距離を計算する演算部とを備える。各RFIDタグ80A、80B、80Cは、貨物52A、52B、52Cの該距離測定装置38と対向する面で、且つ、距離測定装置38の半導体レーザから出射される赤外線が当たる高さに付けられる。
【0041】
第3実施形態のRFIDタグリーダライタシステムでの初期設定について、当該処理を示す図10のフローチャートを参照して説明する。
第1実施形態では、RFIDタグまでの距離を作業者が手入力した。これに対して、第3実施形態では、ベルトコンベア50A、50B、50C上に搬送させる貨物52A、52B、52Cに初期設定用のRFIDタグ80を付けることで、ベルトコンベア50A、ベルトコンベア50B、ベルトコンベア50Cまでの距離を距離測定装置38により自動的に測定する。初期設定用のRFIDタグ80は、第1実施形態と同様に、距離指定に対応するものでは無く、距離のいかんに関わらず、RFIDタグリーダライタ装置からの読み書きに応答する物を用いる。ここでは、最も近いベルトコンベア50A上に貨物52Aを搬送させ、次に、中間距離のベルトコンベア50B上に貨物52Bを搬送させ、最後に、最も遠い距離のベルトコンベア50C上に貨物52Cを搬送させる。予め、RFIDタグリーダライタ装置10には、3種類の距離が存在していることが設定されており、近い距離から測定を行っていくことがルール付けられている。
【0042】
RFIDタグリーダライタ装置10は、距離測定装置38を介して先ず、ベルトコンベア50A上の貨物52AのRFIDタグ80を検出すると(S151:Yes)、当該RFIDタグ80までの距離を測定する(S152)。そして、3種類の距離の測定が完了したかを判断するが、ここでは、最も近いベルトコンベア上のRFIDタグ80までの距離の測定を完了したとことなので(S154:No)、S151に戻り中間の距離のベルトコンベア50B上の貨物52BのRFIDタグ80の測定に備える。そして、最も遠いベルトコンベア50C上の貨物52CのRFIDタグ80の距離測定が完了すると(S154:Yes)、図4を参照して上述した第1実施形態と同様に、以降の処理で出力の調整を図る。
【0043】
図11は、第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での読み取り処理を示すフローチャートである。上述した距離測定装置38によりアンテナ30の前方をRFIDタグが通過したか否かを判断する(S11)。ここで、RFIDタグの通過があると(S11:Yes)、RFIDタグまでの距離を測定し(S92)、当該距離のRFIDタグに対して読み取り/書き込みを行う。ここで、例えば、中間の距離のベルトコンベア50B上の貨物52Bに付けられたRFIDタグ80Bを検出した際には、中間の距離(2m超、4m未満の距離)を指定し電波を送出する(S12)。以降の処理は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、この第3実施形態では、中間の距離のベルトコンベア50B上にRFIDタグ80Bを検出した際には、当該RFIDタグ80Bのみと通信を行い、最も近いベルトコンベア50A、最も遠いベルトコンベア50C上のRFIDタグとの通信は行わない。第3実施形態では、RFIDタグ80Cが、距離測定装置38側から見て貨物52A、52Bの影にならず、RFIDタグ80Bが、貨物52Aの影に成らないように貨物をベルトコンベアに載置させる必要がある。
【0044】
第3実施形態では、RFIDタグリーダライタ装置10は、距離測定装置38でRFIDタグまでの距離を測定し、測定した距離に基づき応答距離とに関する情報を算出する。これにより、RFIDタグリーダライタ装置10は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0045】
[第4実施形態]
引き続き第4実施形態のRFIDタグリーダライタシステムについて、図12を参照して説明する。上述した第1〜第3実施形態では、アンテナの前のRFIDタグとの通信を行い、距離のみを指定した。これに対して、第4実施形態では、距離と方向とが指定される。RFIDタグリーダライタ装置10は、指向性多素子アンテナ130を備え、該指向性多素子アンテナ130の方向を調整するアンテナ指向性制御装置132を有する。
【0046】
第4実施形態のRFIDタグリーダライタシステムでは、アンテナ指向性制御装置132により調整さらた指向性多素子アンテナ130が指向する方向と任意の距離とからなる領域に存在するRFIDタグのみと読み書きを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
第1実施形態〜第4実施形態では、3つの距離(近い距離、中間距離、遠い距離)を設定したが、距離の設定は遠近2つの場合も、4以上も設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の係るRFIDタグの構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置の初期設定を示すフローチャートである。
【図5】図5(A)は、第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での読み取り処理を示すフローチャートであり、図5(B)は、RFIDタグ側での処理を示すフローチャートである。
【図6】図6(A)は、第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での書き込み処理を示すフローチャートであり、図6(B)は、RFIDタグ側での処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。
【図8】第2実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での読み取り処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。
【図10】第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置の初期設定を示すフローチャートである。
【図11】第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での読み取り処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10 RFIDタグリーダライタ装置
30 アンテナ
32 距離測定装置(測距手段)
36A 発光器(検出手段)
36B 受光器(検出手段)
50A、50B、50C ベルトコンベア
52A、52B、52C 貨物(対象物)
80A、80B、80C RFIDタグ
90 アンテナ
132 アンテナ指向性制御装置(アンテナ指向性制御手段)
S52(距離入力手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグと無線通信して読み出し書き込みを行うRFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置、及び、RFIDタグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)システムは、IDや情報のデータを登録するRFIDタグと、RFIDタグを認識・制御するRFIDタグリーダライタ装置とから構成される。電池を内蔵しないRFIDタグ(パッシブタグ)は、内蔵アンテナとICチップとを供え、RFIDタグリーダライタ装置のアンテナから出力された電波を介して電力や通信データを内蔵アンテナで受け、ICチップにデータを登録(エンコード)し、またICチップからのデータをRFIDタグリーダライタ装置へ返送する。
【0003】
特許文献1では、測距部を介して外部情報記憶媒体までの距離を計測し、計測した距離を元に電波の出力を最適値を決定し、任意の距離にある外部情報記憶媒体に対して情報の読み書きを行う情報端末装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−328452号公報
【特許文献2】特開2004−348559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、任意の位置よりも遠い位置の外部情報記憶媒体に対しては、外部情報記憶媒体の送信出力を小さくすることで読み書きを行わないことが可能であるが、任意の位置より近い位置にある外部情報記憶媒体に対しては、読み書きを制限することができなかった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できるRFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置、RFIDタグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、電波を介してRFIDタグ80A、80B、80Cの情報をRFIDタグリーダライタ装置10で読み書きするRFIDタグリーダライタシステムにおいて、
前記RFIDタグリーダライタ装置10は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し(S12)、
RFIDタグ80A、80B、80Cは、受信電力のレベルに基づき、前記応答距離の範囲内か否かを判断し(S26)、前記応答距離の範囲内のときに(S26:Yes)、前記RFIDタグリーダライタ装置10に対して応答する(S28)ことを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1のRFIDタグリーダライタシステム、請求項9のRFIDタグリーダライタ装置、請求項10のRFIDタグでは、RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0008】
請求項2では、RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報と共にアンテナ利得を送信する。RFIDタグは、アンテナ利得、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0009】
請求項3では、RFIDタグリーダライタ装置は、応答距離の範囲内にあり応答したRFIDタグに対してのみ書き込みを行う。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグに対してのみ書き込みできる。
【0010】
請求項4では、RFIDタグは、受信した出力電力及び応答距離に関する情報とアンテナ利得、当該RFIDタグの受信感度と受信信号レベルに基づき、RFIDタグリーダライタ装置との距離を推定し、推定された距離が所定範囲内にあった場合に、RFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0011】
請求項5では、RFIDタグリーダライタ装置は、初期設定時に読み書きを行ったRFIDタグの距離を作業者が入力し、入力された距離に基づき応答距離とに関する情報を算出する。これにより、RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0012】
請求項6では、RFIDタグリーダライタ装置がRFIDタグの付けられた対象物のアンテナ前方通過を検出し、対象物の前方通過を検出した時に、該対象物に付けられたRFIDタグに対して通信を行う。このため、アンテナの前方の所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0013】
請求項7では、RFIDタグリーダライタ装置は、測距手段でRFIDタグまでの距離を測定し、測定した距離に基づき応答距離とに関する情報を算出する。これにより、RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0014】
請求項8では、RFIDタグリーダライタ装置は、指向性を有するアンテナと、アンテナの指向する方向を制御する指向性制御手段とを備える。これにより、アンテナ指向性制御手段が指向する方向と任意の距離とからなる領域に存在するRFIDタグのみと読み書きを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略を説明するための説明図である。
3本のベルトコンベア50A、50B、50C上に貨物52A、52B、52Cが搬送される。それぞれの貨物52A、52B、52Cには、RFIDタグ80A、80B、80Cが付けられている。RFIDタグリーダライタ装置10は、アンテナ30から無線通信により、任意のベルトコンベア50A、50B、50C上を搬送される貨物52A、52B、52CのRFIDタグ80A、80B、80Cに対して読み出し/書き込みを行うことができる。即ち、コンベア50A上を搬送される貨物52AのRFIDタグ80Aに対してのみ、コンベア50B上を搬送される貨物52BのRFIDタグ80Bに対してのみ、コンベア50C上を搬送される貨物52CのRFIDタグ80Cに対してのみ、読み出し/書き込みを行うことが可能である。
【0016】
図2は、図1中のRFIDタグリーダライタ装置の構成を示すブロック図である。
RFIDタグリーダライタ装置10は、例えばパーソナルコンピュータなどの上位装置(ホスト,図示せず)とシリアルインターフェイス等を介して接続されており、上位装置側のアプリケーションプログラムの指示に基づいて図1に示すRFIDタグ80A、80B、80Cと電波信号により通信を行うようになっている。即ち、RFIDタグリーダライタ装置10は、自身の通信エリアにRFIDタグ80A、80B、80Cが接近したことを検知するため、RFIDタグ80A、80B、80Cに対する呼出しコードを間欠的に送信するポーリングを行う(リクエスト)。この際に、応答距離を指定することで、ベルトコンベア50A上を搬送される貨物に付されたRFIDタグ、ベルトコンベア50B上を搬送される貨物に付されたRFIDタグ、ベルトコンベア50C上を搬送される貨物に付されたRFIDタグのいずれかに対して応答を要求する。そして、RFIDタグリーダライタ装置10から指定された応答距離のベルトコンベア(ベルトコンベア50A上を搬送される貨物に付されたRFIDタグ、ベルトコンベア50B上を搬送される貨物に付されたRFIDタグ、ベルトコンベア50C上を搬送される貨物に付されたRFIDタグ)が通信エリア内に位置すると、当該応答距離のRFIDタグ80A、RFIDタグ80B、又は、RFIDタグ80Cは、RFIDタグリーダライタ装置10が送信する信号から動作用の電源及びクロックを生成して応答するようになっている。
【0017】
電気的構成を機能ブロックで示す図2において、CPU(制御回路)14は、上位インターフェイス(I/F)部12を介して上位装置とシリアル通信を行うようになっている。符号化部18は、CPU14よりシリアルに与えられる送信データを例えばNRZ(Non Return to Zero)方式で符号化して変調部20に出力する。キャリア発振部16は、13.56MHzの発振信号を符号化部18及び変調部20に搬送波信号として、また、CPU14にクロック用の信号として供給する。CPU14は、その発振信号を適宜分周したものを動作用クロックとして使用する。変調部20は、搬送波を符号化された送信データによってASK変調するようになっており、その場合の変調度を調整できるように構成されている。変調部20で変調された被変調信号は、増幅部22からケーブル34を介して送受信用のアンテナ30に出力され、電波信号として送信される。アンテナ30は、図中で鎖線の円で示すように、前方への指向性を有する多素子アンテナが用いられている。
【0018】
一方、RFIDタグ80A、80B、80C側より送信された信号をアンテナ30が受信すると、その受信信号は受信回路部24に出力されるようになっている。受信回路部24で復調され、復号化された受信データはCPU14に出力される。
【0019】
図3は、RFIDタグ80A内部の電気的構成を示す機能ブロック図である。RFIDタグ80A、80B、80Cは同一の構成である。RFIDタグ80Aは、アンテナ(LC共振回路のコイル)90、整流部92、クロック抽出部98、CPU94、メモリ96、変調部99などで構成されている。
【0020】
整流部92は、RFIDタグリーダライタ装置10より送信された電波信号をアンテナ90が受信すると、その受信信号を整流平滑してCPU94などに動作用の電源を供給すると共に、受信信号を復調した復調データをCPU94に出力する。クロック抽出部98は、アンテナ90が受信した信号から抽出したクロック信号をCPU94に供給する。CPU94は、不揮発性のメモリ96に対してデータの読み書きを行うようになっている。
【0021】
また、CPU94は、変調部99に対して送信データをシリアルに出力する。変調部99は、アンテナ90に接続されている。RFIDタグ80Aのメモリ96には、RFIDタグ80AのIDデータや通信時の認証処理に使用するコード,RFIDタグリーダライタ装置10が本来読み出すことを目的としているRFIDタグ80Aのユーザに関するデータ、更に、上述したRFIDタグリーダライタ装置から指定された応答距離に有るか否かを判断して応答するプログラムなどが記憶されている。
【0022】
引き続き、指定した距離(指定したベルトコンベア)上のRFIDタグのみと通信を行うための処理について、図4〜図6を参照して説明する。
図4は、第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置の初期設定を示すフローチャートである。ここで、図1に示すベルトコンベア50AのラインAが、RFIDタグリーダライタ装置のアンテナ30から1m、ラインA’が1.5m、ベルトコンベア50BのラインBが3m、ラインB’が3.5m、ベルトコンベア50CのラインCが5m、ラインC’が5.5mであるとする。ここでは、最も遠いベルトコンベア50Cを、貨物52Cがアンテナ30の前方となる位置で停止させ、RFIDタグリーダライタ装置10に貨物52Cとの距離(5m)での電波強度を調整させる。なお、この図では、貨物52Cが側面が見える位置に置かれているように図示されているが、RFIDタグリーダライタ装置からの電波の強度が最大になる向きに初期設定用RFIDタグ80がなるように、貨物52Cはベルトコンベア50Cに対して置かれている。具体的には、RFIDタグを取り付けた側面との延長線上にアンテナ30がある向きに、貨物が置かれる。なお、ベルトコンベア50B上の貨物52B、ベルトコンベア50A上の貨物52Aも同様である。ここで、初期設定用のRFIDタグ80は、距離指定に対応するものでは無く、距離のいかんに関わらず、RFIDタグリーダライタ装置からの読み書きに応答する物を用いる。
【0023】
上位装置を介して、最遠いRFIDタグ80までの距離(5m)、中間の距離(コンベア50Bの距離:3m)、最も近い距離(コンベア50Aの距離:1m)が入力されると(S52:Yes)、最遠い5mの距離が初期設定用に登録され(S54)、RFIDタグ80との通信を開始する(S56)。先ず、所定の出力で通信を試み、RFIDタグ80との通信が出来た場合(S58:Yes)、出力電力を削減する(S59)。反対に、通信が出来なかった場合には(S58:No)、出力電力を増大させる(S60)。そして、必要なデータ、即ち、距離5mのRFIDタグ80との通信を確実に行い得る出力値を得られるまで(S62:No)、S58に戻り通信を繰り返す。そして、距離5mのRFIDタグ80との通信を確実に行い得る最低レベルの出力値を得られると(S62:Yes)、距離データを作成する(S64)。ここでは、最遠いRFIDタグ80までの距離(5m±1(4m超、6m未満))、中間距離RFIDタグ80までの距離(3m±1(2m超、4m未満))、最も近いRFIDタグ80までの距離(1m±1(0m超、2m未満))からなる応答距離を作成する。
【0024】
引き続き、RFIDタグリーダライタ装置10の読み取り処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。図5(A)は、RFIDタグリーダライタ装置側での読み取り処理を示すフローチャートであり、図5(B)は、RFIDタグ側での処理を示すフローチャートである。ここでは、図1を参照して上述した最も遠いベルトコンベア50C上を搬送される貨物52Cに付けられたRFIDタグ80Cを指定して読み取り/書き込みを行っているものとして説明を続ける。
【0025】
RFIDタグリーダライタ装置10は、ベルトコンベア50Cを搬送される貨物52Cに付された5mの距離を通過するRFIDタグ80Cに対して読み取り/書き込みを行うため電波を発信する(図5(A)のS12)。この際に、距離4m超、6m未満の応答距離、上記初期設定で設定した出力値(5mの位置で上記処理で設定された出力値)、及び、出力値を設定した当該5mの距離、更に、アンテナ30の利得を送信する。
【0026】
RFIDタグ80A、80B、80Cは、電波を受信すると(図5(B)のS22:Yes)、それぞれ、RFIDタグリーダライタ装置10側のアンテナ30の利得、内蔵アンテナ90(図3参照)の利得、受信電力の値から送信された出力値からの自由空間損失を計算し(S24)、指定された応答距離と一致するか判断する(S26)。ここで、RFIDタグ80A、80Bは、出力値を設定した当該5mの距離と、距離4m超、6m未満の応答距離との対応で、自由空間損失が少ない高い出力の電波を受信しているため、指定された応答距離と一致せず(S26:No)、処理を終了する。RFIDタグ80Cは、出力値を設定した当該5mの距離と、距離4m超、6m未満の応答距離とが対応し、指定された応答距離と一致するため(S26:Yes)、応答を送信する(S28)。なお、ここで、RFIDタグ80Bとの通信が行われる際には、RFIDタグ80Bは、設定した出力値と、出力値を設定した当該5mの距離と、2m超、4m未満の応答距離との対応で、即ち、2m超4m未満の中間距離3mと5mとの差分2mの自由空間損失に対応する値だけ高い受信強度があった際に、自己が2m超、4m未満の応答距離にあると判断する。更に詳細に説明すると、RFIDタグが安定して通信を行い得る最低受信レベルの値は予めRFIDタグに保持されており、図4を参照して上述した初期設定処理で、5mの距離で最低受信レベルとなるようにRFIDタグリーダライタ装置10側の出力が設定される。RFIDタグ80Bは、5mの距離で最低受信レベルとなる電波が4mの距離で受信された際の受信レベルと、2mの距離で受信された際の受信レベルとの間の受信レベルであるか否かにより、自己が2m超、4m未満の応答距離にあるか否かを判断する。同様に、RFIDタグ80Aとの通信を行う際には、RFIDタグ80Aは、設定した出力値と、出力値を設定した当該5mの距離と、0m超、2m未満の応答距離との対応で、即ち、0m超2m未満と5mとの差分4m、5m分の自由空間損失に対応する値だけ高い受信強度があった際に、自己が0m超、2m未満の応答距離にあると判断する。
【0027】
引き続き、RFIDタグリーダライタ装置10の書き込み処理について、図6を参照して説明する。RFIDタグリーダライタ装置10は、RFIDタグ80Cに対して書き込みの指令を行う電波を発信する(図6(A)のS32)。この際に、距離4m超、6m未満の距離、上記初期設定で設定した出力値、出力値を設定した距離(5m)、アンテナ30の利得を送信する。
【0028】
RFIDタグ80A、80B、80Cは、電波を受信すると(図6(B)のS42:Yes)、それぞれ、アンテナ利得、受信電力の値から送信された出力値からの自由空間損失を計算し(S44)、指定された応答距離と一致するか判断する(S46)。ここで、RFIDタグ80A、80Bは、指定された応答距離と一致しないので(S46:No)、処理を終了する。RFIDタグ80Cは、指定された応答距離と一致しているため(S46:Yes)、情報の書き込みを行う(S48)。なお、ここでは、RFIDタグリーダライタ装置10から、距離4m超、6m未満の応答距離により、RFIDタグ80Cを特定したが、応答距離を指定すること無く、RFIDタグ80Cから送られたIDに基づき、RFIDタグ80Cへの応答を求めることも可能である。
【0029】
RFIDタグリーダライタ装置10は、ベルトコンベア50A上に搬送される貨物52A、ベルトコンベア50Bを搬送される貨物52B、ベルトコンベア50Cを搬送される貨物52Cを検出するため、距離0m超、2m未満の指定と、距離2m超、4m未満の指定と、距離4m超、6m未満の指定とを切り換えながら電波送信を繰り返す。これにより、各ベルトコンベア50A、ベルトコンベア50B、ベルトコンベア50C上に搬送された貨物に付されたRFIDタグを検出することで、それぞれのベルトコンベアにより搬送された貨物をRFIDタグリーダライタ装置10が把握できる。
【0030】
第1実施形態のRFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置10、RFIDタグ80では、RFIDタグリーダライタ装置10は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し(S12)、RFIDタグ80は、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し(S26)、応答距離の範囲内のときに(S26:Yes)、RFIDタグリーダライタ装置に対して応答する(S28)。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0031】
第1実施形態では、RFIDタグリーダライタ装置10は、出力電力と応答距離とに関する情報と共にアンテナ利得を送信する。RFIDタグは、アンテナ30の利得、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0032】
第1実施形態では、RFIDタグリーダライタ装置10は、応答距離の範囲内にあり応答したRFIDタグに対してのみ書き込みを行う(S48)。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグに対してのみ書き込みできる。
【0033】
第1実施形態では、RFIDタグ80は、受信した出力電力及び応答距離に関する情報とアンテナ利得、当該RFIDタグの受信信号レベルに基づき、RFIDタグリーダライタ装置10との距離を推定し(S24)、推定された距離が所定範囲内にあった場合(S26:Yes)に、RFIDタグリーダライタ装置に対して応答する(S28)。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0034】
第1実施形態では、RFIDタグリーダライタ装置10は、初期設定時に読み書きを行ったRFIDタグの距離を作業者が入力し(S52)、入力された距離に基づき応答距離とに関する情報を算出する(S64)。これにより、RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0035】
[第2実施形態]
引き続き、本発明の第2実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置、RFIDタグについて説明する。第2実施形態のRFIDタグリーダライタ装置及びRFIDタグの構成については、図2、図3を参照して上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0036】
図7は、第2実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。第2実施形態では、ベルトコンベア50A、50B、50Cを挟んで発光器36A、受光器36Bが配置され、アンテナ30の前方を貨物が通過したことを検出し、検出したタイミングで、RFIDタグリーダライタ装置10は、ベルトコンベア50C上のRFIDタグ80C、ベルトコンベア50B上のRFIDタグ80B、ベルトコンベア50A上のRFIDタグ80Aに対してそれぞれ通信を試みる。
【0037】
図8は、第2実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での読み取り処理を示すフローチャートである。上述した受光器36Bからの出力に基づき、貨物が発光器36Aと受光器36Bとの間の光を遮ったか、即ち、アンテナ30の前方を貨物が通過したか否かを判断する(S11)。ここで、貨物の通過があると(S11:Yes)、各RFIDタグ80C、RFIDタグ80B、RFIDタグ80Aに対してそれぞれ通信を試みる(S12)。以降の処理は、図5、図6を参照して上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
第2実施形態では、RFIDタグリーダライタ装置10がRFIDタグの付けられた貨物のアンテナ前方通過を検出した時に、該貨物に付けられたRFIDタグに対して通信を行う。このため、アンテナの前方の所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0039】
[第3実施形態]
第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステム、RFIDタグリーダライタ装置、RFIDタグについて説明する。第3実施形態のRFIDタグリーダライタ装置及びRFIDタグの構成については、図2、図3を参照して上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0040】
図9は、第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。第3実施形態では、アンテナ30からRFIDタグまでの距離を測定するための距離測定装置38が備えられている。距離測定装置38は、赤外線を出力する半導体レーザと、この半導体レーザからの出射光がRFIDタグで反射して反射した反射光を受光するPSD(Position Sensitive Detector)と、PSDで受光した入射角度に基づきRFIDタグまでの距離を計算する演算部とを備える。各RFIDタグ80A、80B、80Cは、貨物52A、52B、52Cの該距離測定装置38と対向する面で、且つ、距離測定装置38の半導体レーザから出射される赤外線が当たる高さに付けられる。
【0041】
第3実施形態のRFIDタグリーダライタシステムでの初期設定について、当該処理を示す図10のフローチャートを参照して説明する。
第1実施形態では、RFIDタグまでの距離を作業者が手入力した。これに対して、第3実施形態では、ベルトコンベア50A、50B、50C上に搬送させる貨物52A、52B、52Cに初期設定用のRFIDタグ80を付けることで、ベルトコンベア50A、ベルトコンベア50B、ベルトコンベア50Cまでの距離を距離測定装置38により自動的に測定する。初期設定用のRFIDタグ80は、第1実施形態と同様に、距離指定に対応するものでは無く、距離のいかんに関わらず、RFIDタグリーダライタ装置からの読み書きに応答する物を用いる。ここでは、最も近いベルトコンベア50A上に貨物52Aを搬送させ、次に、中間距離のベルトコンベア50B上に貨物52Bを搬送させ、最後に、最も遠い距離のベルトコンベア50C上に貨物52Cを搬送させる。予め、RFIDタグリーダライタ装置10には、3種類の距離が存在していることが設定されており、近い距離から測定を行っていくことがルール付けられている。
【0042】
RFIDタグリーダライタ装置10は、距離測定装置38を介して先ず、ベルトコンベア50A上の貨物52AのRFIDタグ80を検出すると(S151:Yes)、当該RFIDタグ80までの距離を測定する(S152)。そして、3種類の距離の測定が完了したかを判断するが、ここでは、最も近いベルトコンベア上のRFIDタグ80までの距離の測定を完了したとことなので(S154:No)、S151に戻り中間の距離のベルトコンベア50B上の貨物52BのRFIDタグ80の測定に備える。そして、最も遠いベルトコンベア50C上の貨物52CのRFIDタグ80の距離測定が完了すると(S154:Yes)、図4を参照して上述した第1実施形態と同様に、以降の処理で出力の調整を図る。
【0043】
図11は、第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での読み取り処理を示すフローチャートである。上述した距離測定装置38によりアンテナ30の前方をRFIDタグが通過したか否かを判断する(S11)。ここで、RFIDタグの通過があると(S11:Yes)、RFIDタグまでの距離を測定し(S92)、当該距離のRFIDタグに対して読み取り/書き込みを行う。ここで、例えば、中間の距離のベルトコンベア50B上の貨物52Bに付けられたRFIDタグ80Bを検出した際には、中間の距離(2m超、4m未満の距離)を指定し電波を送出する(S12)。以降の処理は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、この第3実施形態では、中間の距離のベルトコンベア50B上にRFIDタグ80Bを検出した際には、当該RFIDタグ80Bのみと通信を行い、最も近いベルトコンベア50A、最も遠いベルトコンベア50C上のRFIDタグとの通信は行わない。第3実施形態では、RFIDタグ80Cが、距離測定装置38側から見て貨物52A、52Bの影にならず、RFIDタグ80Bが、貨物52Aの影に成らないように貨物をベルトコンベアに載置させる必要がある。
【0044】
第3実施形態では、RFIDタグリーダライタ装置10は、距離測定装置38でRFIDタグまでの距離を測定し、測定した距離に基づき応答距離とに関する情報を算出する。これにより、RFIDタグリーダライタ装置10は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、応答距離の範囲内か否かを判断し、応答距離の範囲内のときにRFIDタグリーダライタ装置に対して応答する。このため、RFIDタグリーダライタ装置から所定距離にあるRFIDタグとのみ通信できる。
【0045】
[第4実施形態]
引き続き第4実施形態のRFIDタグリーダライタシステムについて、図12を参照して説明する。上述した第1〜第3実施形態では、アンテナの前のRFIDタグとの通信を行い、距離のみを指定した。これに対して、第4実施形態では、距離と方向とが指定される。RFIDタグリーダライタ装置10は、指向性多素子アンテナ130を備え、該指向性多素子アンテナ130の方向を調整するアンテナ指向性制御装置132を有する。
【0046】
第4実施形態のRFIDタグリーダライタシステムでは、アンテナ指向性制御装置132により調整さらた指向性多素子アンテナ130が指向する方向と任意の距離とからなる領域に存在するRFIDタグのみと読み書きを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
第1実施形態〜第4実施形態では、3つの距離(近い距離、中間距離、遠い距離)を設定したが、距離の設定は遠近2つの場合も、4以上も設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の係るRFIDタグの構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置の初期設定を示すフローチャートである。
【図5】図5(A)は、第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での読み取り処理を示すフローチャートであり、図5(B)は、RFIDタグ側での処理を示すフローチャートである。
【図6】図6(A)は、第1実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での書き込み処理を示すフローチャートであり、図6(B)は、RFIDタグ側での処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。
【図8】第2実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での読み取り処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。
【図10】第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置の初期設定を示すフローチャートである。
【図11】第3実施形態に係るRFIDタグリーダライタ装置での読み取り処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4実施形態に係るRFIDタグリーダライタシステムの概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10 RFIDタグリーダライタ装置
30 アンテナ
32 距離測定装置(測距手段)
36A 発光器(検出手段)
36B 受光器(検出手段)
50A、50B、50C ベルトコンベア
52A、52B、52C 貨物(対象物)
80A、80B、80C RFIDタグ
90 アンテナ
132 アンテナ指向性制御装置(アンテナ指向性制御手段)
S52(距離入力手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を介してRFIDタグの情報をRFIDタグリーダライタ装置で読み書きするRFIDタグリーダライタシステムにおいて、
前記RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、 RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、前記応答距離の範囲内か否かを判断し、前記応答距離の範囲内のときに前記RFIDタグリーダライタ装置に対して応答することを特徴とするRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項2】
前記RFIDタグリーダライタ装置は、前記出力電力と応答距離とに関する情報と共にアンテナ利得を送信することを特徴とする請求項1のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項3】
前記RFIDタグリーダライタ装置は、前記応答距離の範囲内にあり応答したRFIDタグに対してのみ書き込みを行うことを特徴とする請求項1又は請求項2のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項4】
前記RFIDタグは、受信した前記出力電力及び応答距離に関する情報とアンテナ利得、当該RFIDタグの受信信号レベルに基づき、RFIDタグリーダライタ装置との距離を推定し、推定された距離が所定範囲内にあった場合に、前記RFIDタグリーダライタ装置に対して応答することを特徴とする請求項2のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項5】
前記RFIDタグリーダライタ装置は、初期設定時に読み書きを行ったRFIDタグの距離を作業者が入力する距離入力手段を備え、
前記入力された距離も基づき前記応答距離とに関する情報を算出することを特徴とする請求項1のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項6】
前記RFIDタグリーダライタ装置が、RFIDタグの付けられた対象物のアンテナ前方通過を検出する検出手段を備え、
検出手段で対象物の前方通過を検出した時に、該対象物に付けられたRFIDタグに対して通信を行うことを特徴とする請求項1のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項7】
前記RFIDタグリーダライタ装置が、RFIDタグまでの距離を測定する測距手段を備え、
前記入力された距離に基づき前記応答距離とに関する情報を算出することを特徴とする請求項1のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項8】
前記RFIDタグリーダライタ装置は、指向性を有するアンテナと、アンテナの指向する方向を制御する指向性制御手段とを備え、アンテナ指向性制御手段が指向する方向と任意の距離とからなる領域に存在するRFIDタグと読み書きを行うことを特徴とする請求項1のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項9】
電波を介してRFIDタグの情報を読み書きするRFIDタグリーダライタ装置において、
出力電力と応答距離とに関する情報をRFIDタグへ送信し、
受信電力のレベルに基づき前記応答距離の範囲内にあると判断したRFIDタグからの応答を受信し、
前記応答距離の範囲内にあり応答したRFIDタグに対してのみ書き込みを行うことを特徴とするRFIDタグリーダライタ装置。
【請求項10】
電波を介してRFIDタグリーダライタ装置により情報を読み書きするRFIDタグにおいて、
前記RFIDタグリーダライタ装置から送信された出力電力と応答距離とに関する情報を受信し、
受信電力のレベルに基づき、前記応答距離の範囲内か否かを判断し、前記応答距離の範囲内のときに前記RFIDタグリーダライタ装置に対して応答することを特徴とするRFIDタグ。
【請求項1】
電波を介してRFIDタグの情報をRFIDタグリーダライタ装置で読み書きするRFIDタグリーダライタシステムにおいて、
前記RFIDタグリーダライタ装置は、出力電力と応答距離とに関する情報を送信し、 RFIDタグは、受信電力のレベルに基づき、前記応答距離の範囲内か否かを判断し、前記応答距離の範囲内のときに前記RFIDタグリーダライタ装置に対して応答することを特徴とするRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項2】
前記RFIDタグリーダライタ装置は、前記出力電力と応答距離とに関する情報と共にアンテナ利得を送信することを特徴とする請求項1のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項3】
前記RFIDタグリーダライタ装置は、前記応答距離の範囲内にあり応答したRFIDタグに対してのみ書き込みを行うことを特徴とする請求項1又は請求項2のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項4】
前記RFIDタグは、受信した前記出力電力及び応答距離に関する情報とアンテナ利得、当該RFIDタグの受信信号レベルに基づき、RFIDタグリーダライタ装置との距離を推定し、推定された距離が所定範囲内にあった場合に、前記RFIDタグリーダライタ装置に対して応答することを特徴とする請求項2のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項5】
前記RFIDタグリーダライタ装置は、初期設定時に読み書きを行ったRFIDタグの距離を作業者が入力する距離入力手段を備え、
前記入力された距離も基づき前記応答距離とに関する情報を算出することを特徴とする請求項1のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項6】
前記RFIDタグリーダライタ装置が、RFIDタグの付けられた対象物のアンテナ前方通過を検出する検出手段を備え、
検出手段で対象物の前方通過を検出した時に、該対象物に付けられたRFIDタグに対して通信を行うことを特徴とする請求項1のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項7】
前記RFIDタグリーダライタ装置が、RFIDタグまでの距離を測定する測距手段を備え、
前記入力された距離に基づき前記応答距離とに関する情報を算出することを特徴とする請求項1のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項8】
前記RFIDタグリーダライタ装置は、指向性を有するアンテナと、アンテナの指向する方向を制御する指向性制御手段とを備え、アンテナ指向性制御手段が指向する方向と任意の距離とからなる領域に存在するRFIDタグと読み書きを行うことを特徴とする請求項1のRFIDタグリーダライタシステム。
【請求項9】
電波を介してRFIDタグの情報を読み書きするRFIDタグリーダライタ装置において、
出力電力と応答距離とに関する情報をRFIDタグへ送信し、
受信電力のレベルに基づき前記応答距離の範囲内にあると判断したRFIDタグからの応答を受信し、
前記応答距離の範囲内にあり応答したRFIDタグに対してのみ書き込みを行うことを特徴とするRFIDタグリーダライタ装置。
【請求項10】
電波を介してRFIDタグリーダライタ装置により情報を読み書きするRFIDタグにおいて、
前記RFIDタグリーダライタ装置から送信された出力電力と応答距離とに関する情報を受信し、
受信電力のレベルに基づき、前記応答距離の範囲内か否かを判断し、前記応答距離の範囲内のときに前記RFIDタグリーダライタ装置に対して応答することを特徴とするRFIDタグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−92208(P2010−92208A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260601(P2008−260601)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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