説明

RFIDタグ付き医療用品と、ケース入りRFIDタグと、RFIDタグ付き医療用品用空容器

【課題】 RFIDタグを備えた医療用品と、医療用品への取付けに適するケース入りRFIDタグを提供する。
【解決手段】 アンテナと無線通信用のICチップを備えたRFIDタグが取付けられたRFIDタグ付き医療用品であり、アンテナが長さ数cmの糸状、線状、テープ状といった細長であり、ICチップが1/10mm単位の超小型であり、そのRFIDタグが医療用品自体又はその容器、包装に取付けられたものである。ケース入りRFIDタグは前記RFIDタグが液体バリア性のあるケースに封入されたものである。RFIDタグ付き医療用品用空容器は、前記RFIDタグが検体、血液、医薬品等の医療用品を収容可能な空容器に取付けられたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRFID(Radio Frequency IDentification)タグ付き医療用品と、RFIDタグをケースに封入したケース入りRFIDタグと、RFIDタグを備え、医療用品を収容可能なRFIDタグ付き医療用品用空容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の現場では、患者から採取した検体を検査して病気の原因、病状等を調べている。患者から採取した検体を収納した検体容器には検体を特定するための検体特定情報(ID)、患者の氏名、生年月日といった患者情報、検体の属性情報、保管や取り扱い作業の日時、作業者氏名、作業内容といった履歴情報といった各種情報(以下まとめて「属性情報」という。)を手書きしたり、それら情報が表示されたバーコードラベルを貼付したりして管理している。血液パック、包装医薬品等にも前記と同様に手書きしたりバーコードラベルを貼付したりしている。
【0003】
検体、血液パック、包装医薬品等の医療用品の管理は厳重に行われているが、前記手書方法では記載ミスのおそれがあり、バーコードラベルを貼付する方法では貼り間違えのおそれがある。記載ミスや貼り間違えがなくても、医療用品は洗浄されたり蒸気殺菌されたりして水分が付着したり、ホルマリンとか薬液等が付着したりすることがあるため、手書きした情報やバーコードラベルの情報が不鮮明になって判読困難になったり、消えてしまって判読不能になったりすることがあった。医療用品は医療機関に持ち込まれてから直接、使用部署に届けられるとは限らず、数ヶ所の部署で必要な処理(作業)が行われて搬送されるのが通常である。これら作業時に医療用品を取り違えたり、作業を間違えたりすることもあった。このため、医療用品は適正な状態で使用部署に搬送されるとは限らず、医療過誤の一因となることがあった。
【0004】
検体、血液パック、包装医薬品等は、品質保持の面から、保管時に冷蔵或いは冷凍が義務付けられているものもある。しかし、従来は実際に冷蔵或いは冷凍されていたかどうかを確認する手段がないため、医療用品の品質保証の面で難点があった。
【0005】
医療用品の保管、取り扱いは厳重な注意の下に行われているが、人間の注意力に頼るこれまでの管理や取り扱いには限界があり、作業ミスを根絶することは不可能であった。そこで、近年は、物品にRFIDタグを取付けて管理することが行われている。RFIDタグには各種あり、例えば、布帛や織物内の空隙にICタグを挿入したもの(特許文献1)、柔軟性や強度に優れた炭素繊維の紐をアンテナとして医療用衣類やシーツなどに取付けたもの(特許文献2)、アンテナに金属線を使用し、その金属線を織布、不織布、金網の一部に織り込んだもの(特許文献3)等が知られている。
【0006】
近年のRFIDタグは小型化されているが、医療分野での使用があまり進んでいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−226165号公報
【特許文献2】特開2009−289003号公報
【特許文献3】特開2006−309401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決課題は、耐液性や耐薬品性に優れ、医療用品の管理に適したRFIDタグ付き医療用品と、医療用品へ取付けるのに適したケース入りRFIDタグと、検体、血液等の収容に適したRFIDタグ付き医療用品用空容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のRFIDタグ付き医療用品は、線状、糸状、テープ状といった細長のアンテナに、超小型のICチップ(0.4×0.4mm程度)が取付けられたRFIDを医療用品自体又はその容器、包装に取付けたものである。
【0010】
本発明のRFIDタグ付き医療用品は、RFIDタグをパッシブ型、アクティブ型、セミアクティブ型のいずれとすることもできるが、アクティブ型、セミアクティブ型の場合は、RFIDタグのICチップを駆動させるための電池、例えば、ボタン型のような小型の電池を用意する必要するとか、医療用品の容器や包装に太陽電池を設けて、それらをRFIDタグの電源とすることもできる。
【0011】
前記ICチップには当該チップ自体を特定できる情報(特定情報:ID)が記憶されており、そのIDは当該ICチップを物体に取付けることによりその物体を特定する特定情報(ID)となる。RFIDタグには各種のものを使用することができ、書き込み不能なものでも書き込み可能なものでも使用可能であるが、トレーサビリティの面からは一度の書き込みは可能であるが書き込み後の改変は不可能なライトワンス(追記型)のものが好ましい。
【0012】
本発明のRFIDタグ付き医療用品には温度センサを設けることもできる。この場合は、前記ICチップとして前記温度センサで検知された温度を記憶可能なものを使用するのが部品点数の削減、コスト、小型化等の面から望ましい。
【0013】
医療用品に取付けるRFIDタグは、ケースに封入したケース入りRFIDタグでも、ケース内に封入しない裸のRFIDタグでも、織物、編物等の布帛にRFIDタグを織り込み又は編み込みしたRFIDタグ付き布帛であってもよい。RFIDタグ付き布帛もケース(例えば、袋)に入れたものでも入れない裸のものでも良い。RFIDタグが裸の場合は医療用品への取付け後に液体バリア性(耐液性や耐薬液性)のある被覆材でカバーして防液(耐液、耐薬液)処理するのが望ましい。医療用品への取付けは接着剤や接着テープといった通常の取付け手段で行うことができる。
【0014】
本発明のケース入りRFIDタグはアンテナとそれに接続されたICチップを備えたRFIDタグを液体バリア性のある立体状又は扁平状のケース内に収容(封入)したものである。
【0015】
前記アンテナは細長であり、絶縁性の糸の表面に導電材を設けたものでも、細長(幅0.1〜3mm、長さ数mm〜数10mm程度)の絶縁フィルムや紙等の表面に導電材(導電パターン)を設けたものでも、金属細線でもよい。アンテナの長さはリーダとRFIDタグの通信に使用される電波の周波数に応じて設計することができる。アンテナは八木アンテナ、ダイポールアンテナといった各種のものにすることができる。
【0016】
本発明のRFIDタグ付き医療用品用空容器は、細長のアンテナにICチップを接続した前記RFIDタグを、空容器にその成型時或いは成型後に封入或いは埋め込み等により取付けたものである。
【0017】
空容器が立体状容器の場合は、成型時或いは成型後にその周壁や底面にRFIDタグを封入することができ、扁平状容器(袋状)の場合は、前記RFIDタグ付き布帛を扁平容器に形成されたポケットや二重にした収容部に収容することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のRFIDタグ付き医療用品は次のような効果がある。
(1)物体を特定するための特定情報(ID)が記憶されたICチップを備えたRFIDタグが取付けられているため、医療用品を正確に識別でき、従前のような記載ミスやバーコードラベルの貼り間違え等による作業ミスが発生しない。また、判読困難、判読不能となることもなく、医療用品の取り扱い間違いや使用間違い等を防止することができる。
(2)医療用品に取付けたRFIDタグを防液構造にすれば、水濡れや薬液濡れなどによる損傷がなく、リーダによる読み取り違いもなく、医療用品の取り扱い間違いや使用間違いを防止することができる。
(3)医療用品の容器や包装に太陽電池を取付ければ、その太陽電池で発電された電気を電源としてアクティブ型、セミアクティブ型のRFIDタグを駆動することもできる。
(4)医療用品の容器や包装に温度センサを設け、その温度センサで検知された温度をICチップに記憶させて、冷蔵保存或いは冷凍保存が必要な医療用品が冷蔵或いは冷凍で保存されていたか否かをトレーサビリティすることもできる、所定品質の医療用品を必要部署に搬送することができる。
【0019】
本発明のケース入りRFIDタグは次のような効果がある。
(1)RFIDタグが液体バリア性のあるケース内に封入されているため、耐液性や耐薬液性がある。
(2)RFIDタグのICチップに温度を記憶可能なものを使用すれば、RFIDタグを取付けた医療用品の温度管理も可能となる。
(3)RFIDタグ付き布帛を収容した場合は、医療用品に取付けても嵩張らない。
【0020】
本発明のRFIDタグ付き医療用品用空容器は次のような効果がある。
(1)RFIDタグ付き医療用品用空容器内に、採取した検体や血液等を採取後直ちに収容すれば、その後はその容器のRFIDタグのIDをリーダで読み取って検体や血液を管理することができるため、検体や血液を取り違える作業ミスが生じない。
(2)手書きによる情報の書き違いやバーコードラベルの貼り違いによる作業ミス等が生ずることがない。手書き情報やバーコード情報のように判読困難、判読不能となることもなく、医療用品の取り扱い間違いや使用間違い等を防止することができる。
(3)空容器(医療用品の容器や包装)に温度センサを取付け、その空容器に取付けるRFIDタグのICチップに、当該温度センサで検知した温度を記憶可能なものを使用すれば、医療用品の温度管理も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のRFIDタグ付き医療用品の一例であり、(a)は検体容器に粒状のケース入りRFIDタグを取付けた場合の斜視図、(b)は検体容器にチューブ状のケース入りRFIDタグを取付けた場合の斜視図。
【図2】本発明のRFIDタグ付き医療用品の異なる例であり、(a)は粒状のケース入りRFIDタグを取付けたスライドガラスの斜視図、(b)はチューブ状のケース入りRFIDタグを取付けたスライドガラスの斜視図。
【図3】本発明のRFIDタグ付き医療用品の異なる例であり、(a)はRFIDタグ付き布帛を取付けた血液パックの斜視図、(b)は太陽電池とRFIDタグを取付けた空容器の説明図。
【図4】本発明におけるRFIDタグの一例であり、(a)はファイバ状のRFIDタグの説明図、(b)はアンテナファイバの説明図。
【図5】本発明のケース入りRFIDタグの異なる例であり、(a)は粒状のケースに封入された場合の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)はチューブ状のケースに収容された場合の斜視図、(d)は(c)の平面図。
【図6】本発明のRFID付き医療用品の一例であり、医療用品の容器にRFIDタグ付き布帛を取付けた場合の斜視図。
【図7】(a)はRFIDタグ付き布帛の一例を示す正面図、(b)はアンテナを多数本備えたRFIDタグ付き布帛の一例を示す正面図。
【図8】RFIDタグ付き医療用品用空容器の一例を示す斜視図。
【図9】RFIDタグ付き医療用品用空容器の他例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(RFIDタグ付き医療用品の実施形態)
本発明のRFIDタグ付き医療用品の実施形態の一例を図5(a)〜(d)を参照して説明する。本発明における医療用品は、検体が収容された検体入り容器、血液が充填された血液パック、点滴用栄養剤等が充填された点滴パック、医薬品が包装された包装医薬品、検体検査に使用されるプレパラート、スライドガラス、カバーガラス、シャーレ、血液検査に使用される試験管、注射器、手術用の鋏、ガーゼ、採取した検体や血液等を収容する空容器といった医療に関連する各種用品の全てを含む。
【0023】
医療用品の一例として図1(a)、(b)に示すものは、採取した検体が容器1に収容された医療用品2であり、容器1は樹脂製或いはガラス製といった各種材質製の上面開口の容器本体3とその開口部を閉塞する蓋4を備える。蓋4は前記開口部を閉塞できるものであればネジ式でも他の方式でもよい。
【0024】
図1(a)、(b)は容器本体3の外周にケース入りRFIDタグ13を取付けたものである。このケース入りRFIDタグ13は図4(a)に示すRFIDタグ5が、図5(a)〜(d)に示す粒状、チューブ状のケース12内に収容されているものである。
【0025】
RFIDタグ5の一例として図4(a)に示すものは、糸6の表面に導電塗料を印刷とか金属メッキなどで細長に設けた二本のアンテナ(ダイポールアンテナ)7にICチップ8を接続したものである。アンテナ7は細長の絶縁性フィルムや紙の表面に導電材を細長に設けたものであっても、金属細線であってもよい。アンテナ7の長さはRFIDタグ5のICチップ8とリーダとの無線通信に使用される電波の周波数に応じて設計することができる。小型化の面からは幅0.2mm〜1mm、長さ数mm〜数10mm程度が適する。ICチップ8には超小型のものが適し、例えば0.4mm×0.4mm程度のものが適する。使用周波数帯としては、RFIDタグで使用されている各種周波数帯が使用可能であるが、2.45GHz〜5.8GHzのマイクロ波帯が適する。
【0026】
前記糸6には合成樹脂繊維、天然繊維、無機繊維等を用いることができる。合成繊維材料としてはポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリプロピレン、パラ系アラミド、メタ系アラミド、ポリアリレート、ポリベンゾイミダゾールなどを、天然繊維材料としては、綿、ウール、麻などを、無機繊維材料としてはガラスなどを用いることができる。糸6はこれら繊維を混合した混合糸を多数本収束したものとすることもできる。その他、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸又は紡績糸を用いることができる。糸6は収束した繊維がほどけないように撚りを付与しておくとよい。糸6の太さは0.5mm〜2mm程度のものが適する。糸6の太さが0.5mmより細くなるとICチップ8のサイズ(0.4mm×0.4mm)よりも小さくなるためICチップ8の実装が困難となり、2mmよりも太くなると柔軟性が低下して布帛に織り込んだり編み込んだりする場合に取り扱いが難しくなり、RFIDタグが大型化する。
【0027】
前記アンテナ7は線状、面状、テープ状、矩形状、円形状、楕円形状といった各種形状にすることができる。アンテナ7は糸6の周方向に広幅に形成するとか螺旋状に形成したりすることもできる。アンテナ7を周方向に形成することで複数のICチップ8を糸6の周囲に三次元に配置することも可能となる。用途に合わせてアンテナ7の形状及びICチップ8の組み合せを設計することができる。アンテナ7はICチップ8に内蔵されたものでも良い。
【0028】
RFIDタグ5には各種のものを使用することができる。バッテリーを備えた能動型(アクティブ型)、バッテリーを持たない受動型(パッシブ型)、リーダから電波を受けたときにのみ送信するセミアクティブ型のいずれも使用可能であるが、小型化の面からはパッシブ型が適する。アクティブ型、セミアクティブ型の場合はICチップ8を駆動するための電源が必要になる。その電源は小型電池(例えば、小型のボタン電池)でもよいが太陽電池(太陽光発電器)であってもよい。太陽電池10は図3(b)のように容器1に取付けることができる。太陽電池10への照光は太陽光以外にも、冷蔵庫や冷凍室等の内部照明光でも発電(蓄電)できる。
【0029】
ICチップ8は少なくともそれを取付ける物体(本発明では医療用品)を特定するための特定情報(ID)が記憶されている。ICチップ8には必要に応じて他の情報、例えば医療管理に必要な医療管理情報や医療用品の属性情報等の各種情報を記憶させておくこともできる。医療管理情報としては、例えば、検体容器に貼り付けるRFIDタグ5の場合はその検体に割り当てられた個別番号、検体者氏名、検体入手日時、検体保管経緯、用途、検体使用日時、その他の必要事項である。これら記憶情報はリーダで読み取って管理用のホストコンピュータに伝送することができる。
【0030】
ICチップ8は書き込み不能なものでも書き込み可能なものでも使用可能であるが、トレーサビリティの面からは一度の書き込みは可能であるが書き込み後の改変は不可能なライトワンス(追記型)のものが好ましい。ICチップ8は温度センサで検知された温度を記憶(書き込み)可能なものとすることができる。この場合は、医療用品2の容器や包装に温度センサを設けるのがよい。
【0031】
前記のように糸6にアンテナ7を設けICチップ8を搭載したRFID5タグの場合、糸6、アンテナ7、ICチップ8の外周を液体バリア性のある樹脂製のシートやフィルム等で被覆するとか、当該樹脂製のチューブ内に封入するなどして、アンテナ7及びICチップ8が糸6から外れないようにすると共に耐屈曲性をもたせ、更にはそれらを防液可能とするのが望ましい。
【0032】
医療用品2へのRFIDタグ5の取付けは接着剤や両面テープなどによる貼り付け等の各種取付け手段によることができるが、医療用品2の容器に埋め込むこともできる。容器が樹脂製或いはガラス製といった成型品の場合は図8のように容器1の成型時に容器1の周壁にRFIDタグ5を埋め込んで成型するとか、成型時に容器1に穴や窪み等の収容部を成しておきその収容部にRFIDタグ5を収容して密封したりすることができる。取付けるRFIDタグ5の形状は、図5(a)、(b)のようなものでもよく、取付箇所は他の箇所、例えば底面に取付けることもできる。
【0033】
RFIDタグ5は図5(a)〜(d)に示すようにケース(ハウジング)12に収容されているケース入りRFIDタグ13でも、ケース12に収容されていない裸のものであってもよい。裸の場合は医療用品2に取付けてからその外側を液体バリア性のある樹脂シート等で被覆してもよい。
【0034】
ケース12は図5(a)、(b)に示すような粒状のものでも、図5(c)、(d)に示すようなチューブ状のもの(いずれも立体状)でも、袋のような扁平状のものでもよい。図5(a)、(b)に示す粒状のケース12の場合は、その一部に医療用品2に取付け易くした平面状の取付け部12aを設け、ケース12に形成されているスリット内に前記RFIDタグ5を差し込み、そのスリットの差込口を閉塞してRFIDタグ5を封入してある。この場合、アンテナ7の長寸方向両端部7a、7bを取付け部12aから離れる方向(図5(a)では上向き)に湾曲させるのが望ましい。このように湾曲させるとケース入りRFIDタグ13を金属製の医療用品2に取付けた場合に、アンテナ7の長寸方向両端部7a、7bが金属製の医療用品2から離れて、リーダからの電波がその医療用品2で遮蔽(シールド)されることなく通信可し易くなる。従って、ケース12の材質もシールド性(電磁遮蔽性)がなく無線通信に支障のないものが望ましく、しかも、防液性のある樹脂製とか防液処理された紙製等が適する。
【0035】
図5(c)、(d)に示すチューブ状の場合は細長のケース12の一部に医療用品2に取付け易くした平面状の取付け部12aを設け、ケース12に形成されているスリット内に前記RFIDタグ5を差し込み、そのスリットの差込口を閉塞してRFIDタグ5を封入してある。この場合も、ケース12の材質はシールド性(電磁遮蔽性)がなく無線通信に支障のないものが望ましく、しかも、防液性のあるものが適する。これら立体ケースは他の形状でもよい。
【0036】
図2(a)、(b)に示すものは医療用品2がスライドガラスの場合である。図2(a)はRFIDタグ5が粒状のケース12に収容されたケース入りRFIDタグ13を取付けた例、図2(b)はRFIDタグがチューブ状のケース12に収容されたケース入りRFIDタグ13を取付けた例である。
【0037】
図3(a)に示すものはRFIDタグ5を血液パック14に取付けた場合である。この場合のRFIDタグ5は図4(a)のように糸状のアンテナ7にICチップ8を接続したRFID5を、図7(a)のように織物、編物等の布帛15に織り込んだり編み込んだりしてRFIDタグ付き布帛16とし、そのRFIDタグ付き布帛16を血液パック14に取付けてある。この場合、血液パック14の一部にポケットを作って収容部を形成したり血液パック14の一部を二重にしたりして収容部を作り、その収容部内にRFIDタグ付き布帛16を収容することができる。収容部はRFID付き布帛16の収容後に密封して、RFIDタグ付き布帛16が抜け出ないようにするのが望ましい。図7(a)に示すRFIDタグ付き布帛16は図6のように、検体、血液等が収容されている容器(医療用品2)とか空容器11(図8)に貼り付けることもできる。
【0038】
図7(b)にRFIDタグ5及びアンテナ7が形成されたRFIDタグ付き布帛16の他例を示す。このRFIDタグ付き布帛16は、織物、編物等の布帛15に、図4(a)のように糸状のアンテナ7にICチップ8を接続したRFIDタグ5を織り込み、その先方(放送局方向)に4本の導波器17を、後方(放送局方向と反対側)に1本の反射器18を設けたものである。これら導波器17、反射器18には図4(b)に示すアンテナファイバ20が使用されている。このアンテナファイバ20は図4(a)に示す前記RFIDタグ5のアンテナ7と同様に、糸6に印刷やメッキにより導電材21を設け、導電材21の長さを導波器17、反射器18として適当な長さのアンテナにしたものである。図7(b)ではこのアンテナファイバ20を布帛15に織り込んだり編み込んだりしたものである。このRFIDタグ付き布帛16も血液パック14、点滴パック等の医療用品2、空容器11等に取付けることができる。
【0039】
図9に示すものは検体を入れる空容器11がトレーの場合であり、周枠11aの内側が仕切11bで6個の検体収容部11cに区画され、周壁11aにケース入りRFIDタグ13が取付けられている。収容部11cの数は任意数とすることができる。トレーは仕切11bのないものであってもよい。空容器11は図示した以外の形状であってもよい。
【0040】
一人の患者から採取した検体が二以上の空容器11に収容される場合は、それぞれの空容器11のRFIDタグ5のIDに枝番を付けて、それら枝番のついたRFIDタグ5全てを一括して読み取って一つの検体容器として管理することができる。この場合、リーダには複数のRFIDタグ5を一括読み込み可能な機能(アンチコリジョン機能或いはマルチリード機能)を備えたものを使用するのがよい。
【符号の説明】
【0041】
1 容器
2 医療用品
3 容器本体
4 蓋
5 RFIDタグ
6 糸
7 アンテナ
7a、7b アンテナの長寸方向両端部
8 ICチップ
10 太陽電池
11 空容器
11a 周枠
11b 仕切
11c 収容部
12 ケース
12a 取付け部
13 ケース入りRFIDタグ
14 血液パック
15 布帛
16 RFIDタグ付き布帛
17 導波器
18 反射器
20 アンテナファイバ
21 導電材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと無線通信用のICチップを備えたRFIDタグが取付けられたRFIDタグ付き医療用品において、
前記アンテナが長さ数cmの糸状、線状、テープ状といった細長であり、
前記ICチップが1/10mm単位の超小型であり、
前記RFIDタグが医療用品自体又はその容器、包装に取付けられた、
ことを特徴とするRFIDタグ付き医療用品。
【請求項2】
請求項1記載のRFIDタグ付き医療用品において、
当該RFIDタグ付き医療用品が温度センサと当該温度センサで検知された温度を記憶可能な記憶部を備え、
記憶部に記憶された温度を、リーダで読み取り可能であるか、アクティブ型又はセミアクティブ型のRFIDタグから送信可能である、
ことを特徴とするRFIDタグ付き医療用品。
【請求項3】
請求項2記載のRFIDタグ付き医療用品において、
医療用品がICチップを駆動する電源用の太陽電池を備えた、
ことを特徴とするRFIDタグ付き医療用品。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のRFIDタグ付き医療用品において、
ICチップが書き込みは可能であるが書き込み後の改変不可能なライトワンス(追記型)である、
ことを特徴とするRFIDタグ付き医療用品。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のRFIDタグ付き医療用品において、
RFIDタグが液体バリア性のあるケースに収容されたケース入りであるか又は当該ケースに収容されない裸の状態で医療用品に取付けられ、裸の場合はその外にカバーで被覆されて防液処理された、
ことを特徴とするRFIDタグ付き医療用品。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5記載のRFIDタグ付き医療用品に取付けられるRFIDタグにおいて、
RFIDタグがアンテナとICチップを備え、
前記アンテナが長さ数cmの糸状、線状、テープ状といった細長であり、
前記ICチップが1/10mm単位の超小型であり、
前記RFIDが液体バリア性のあるケースに封入され、当該ケースが医療用品に取付け可能である、
ことを特徴とするケース入りRFIDタグ。
【請求項7】
請求項6記載のケース入りRFIDタグにおいて、
ケースが粒状、チューブ状、扁平の袋状であり、当該ケースが医療用品に取付け可能である、
ことを特徴とするケース入りRFIDタグ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5記載のRFIDタグ付き医療用品用の空容器であり、
RFIDタグがアンテナとICチップを備え、
前記アンテナが長さ数cmの糸状、線状、テープ状といった細長であり、
前記ICチップが1/10mm単位の超小型であり、
前記RFIDタグが空容器に封入され、
当該空容器が検体、血液、医薬品等の医療品を収容可能であり、液体バリア性を備える、
ことを特徴とするRFIDタグ付き医療用品用空容器。
【請求項9】
請求項8記載のRFIDタグ付き医療用品用空容器において、
空容器が立体状又は扁平な袋状であり、
空容器が立体状の場合は、その成型時に又は成型後にRFIDタグが封入され、
空容器が袋状の場合は、空容器にポケット状又は一部を二重にした収容部が形成され、
前記収容部にRFIDタグが収容された、
ことを特徴とするRFIDタグ付き医療用品用空容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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