説明

RFIDタグ付き容器

【課題】遠心力などの外力を受けた際にもタグホルダーの回転に起因してタグホルダーの摩耗が生じず、長期に亘って容器本体に対するタグホルダーの装着力を維持することが可能であり、従って、タグホルダーの再利用回数を増加することができるRFIDタグ付き容器を提供する。
【解決手段】内部にRFIDタグ4が配置された中空容器状のタグホルダー3を、容器本体1の連結部13に着脱可能に装着する。連結部13に圧嵌突起32を設け、タグホルダー3の周囲壁22に圧嵌溝31を設けて、圧嵌溝31と圧嵌突起32とを圧嵌係合させてタグホルダー3の装着状態を保持する。連結部13と周囲壁22との圧嵌係合部分に、互いに係合してタグホルダー3の回動を規制する回動規制構造を設ける。回動規制構造は、連結部13に設けた規制リブ14と、周囲壁22に設けたスリット25とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグを備える容器に関する。この容器は、医療、生化学、分子生物学などの分野において、分析、試験、実験などを行なう際に使用することができ、容器内の試料の固有情報や関連情報をRFIDタグに記録することができる。
【背景技術】
【0002】
容器本体に封入されたICチップに、容器内の試料の固有情報や関連情報を記録することは公知である(特許文献1)。かかる特許文献1においては、ICチップは容器本体内に埋設されている。具体的には、容器本体を成形する際に、該容器本体内にICチップを埋設している。
【0003】
特許文献2の試料収納用ミニチューブにおいては、チューブ本体(容器本体)の下端に紡錘形状の連結凹部を設け、この連結凹部に対してICタグが組み込まれたICタグ収納部(タグホルダー)が着脱可能に係合連結されている。タグホルダーは、円盤状の基部と、基部の上面に突設される紡錘形状の連結突部とを一体に備える樹脂成形品であり、基部の下面に設けられて下向きに開口する収容凹部の上壁に、ICタグやアンテナコイルなどが組み付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−340426号公報(段落番号0011、図1)
【特許文献2】特開2005−257573号公報(段落番号0044、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
容器本体の底部にICチップが封入されている特許文献1の形態によれば、より大量のデータをICチップに格納でき、さらに、データの書き換えや新たなデータの追記を簡便に行うことができる。しかし、特許文献1においては、ICチップが容器本体の底壁に埋設されており、該ICチップを容器本体から分離・回収することは予定していない。このため、容器本体の廃棄処分の際に、ICチップも同時に廃棄されるという資源上の無駄がある。
【0006】
その点、特許文献2においては、タグホルダーを容器本体に対して着脱可能に構成したので、タグホルダーに含まれるICタグ等の再利用が可能である。すなわち、特許文献2の形態によれば、容器本体の廃棄時に、タグホルダーの分離・回収が可能であり、タグホルダー、および該タグホルダーに含まれるICタグ等の再利用が可能である。
【0007】
しかし、特許文献2においては、タグホルダーは、円盤状の基部と、基部の上面に突設される紡錘形状の連結突部とで構成されているため、遠心力などの大きな外力を受けると、タグホルダーが連結凹部の内面に沿って回転するおそれがある。このため、かかる回転により、連結凸部が摩耗して容器本体に対する装着力が低下し、結果としてタグホルダーが容器本体から不用意に分離・脱落するおそれがある。すなわち、特許文献2の形態では、タグホルダーの回転に起因する連結凸部の摩耗が生じて、容器本体に対する装着力が低下し易く、タグホルダーの再利用回数が低下する点に問題があった。
【0008】
本発明の目的は、容器本体に対してタグホルダーが着脱自在に構成されているRFIDタグ付き容器において、遠心力などの外力を受けた際にもタグホルダーの回転に起因してタグホルダーの摩耗が生じず、長期に亘って容器本体に対するタグホルダーの装着力を維持することが可能であり、従って、タグホルダーの再利用回数を増加することができるRFIDタグ付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るRFIDタグ付き容器は、プラスチック成形品からなる容器本体1と、容器本体1の下部の連結部13に着脱可能に装着されるタグホルダー3と、タグホルダー3の内部に配置されるRFIDタグ4とを備えている。タグホルダー3は、底壁21と周囲壁22とを一体に備えた中空容器状のプラスチック成形品からなる。容器本体1の連結部13と、タグホルダー3の周囲壁22との間に、互いに圧嵌係合してタグホルダー3の装着状態を保持する圧嵌溝31と圧嵌突起32とを設ける。連結部13と周囲壁22との圧嵌係合部分に、互いに係合してタグホルダー3の回動を規制する回動規制構造を設ける。
【0010】
周囲壁22の内面に圧嵌溝31を凹み形成し、連結部13の周面に圧嵌突起32を膨出形成する。
【0011】
回動規制構造を、連結部13の周面に突設した複数の規制リブ14と、規制リブ14に対応して周囲壁22に形成した上端が開口する複数のスリット25とで構成する。
【0012】
連結部13の圧嵌突起32の基端に臨んで、下すぼまり状のテーパー筒部12を形成する。タグホルダー3を連結部13に圧嵌装着した状態において、テーパー筒部12とタグホルダー3の開口端面との間に、タグホルダー3を取り外し操作するための操作空間Sを確保する。
【0013】
圧嵌溝31および圧嵌突起32のそれぞれを部分球面状に形成する。規制リブ14とスリット25とを十文字状に配置する。
【0014】
容器本体1における連結部13の上側に、内容物を収容する本体筒部11を設ける。連結部13に装着したタグホルダー3の全体が、本体筒部11の平面視における外郭線の内側に収まるようにする。タグホルダー3の底壁21の外面を平坦面で形成する。
【0015】
タグホルダー3を、ガラスフィラーを含むポリアミド樹脂で成形する。
【0016】
各規制リブ14を連結部13の下端まで形成する。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、容器本体1の下部の連結部13にタグホルダー3を着脱可能に装着したので、タグホルダー3を容器本体1から取り外して再使用することができ、その分だけRFIDタグ付き容器の消費コストを削減することができる。また、タグホルダー3の内部にRFIDタグ4を配置したので、RFIDタグ4が露出することがなく、従ってRFIDタグ4の使用時の耐久性を向上できる。加えて、容器本体1の連結部13と、タグホルダー3の周囲壁22との間に、互いに圧嵌係合してタグホルダー3の装着状態を保持する圧嵌溝31と圧嵌突起32とを設けたので、タグホルダー3を容器本体1に対して強固に装着することができる。従って、RFIDタグ付き容器が遠心分離機によって高速度で回転駆動され、タグホルダー3に大きな遠心力が作用する状況下において、タグホルダー3とRFIDタグ4が容器本体1から不用意に分離することを防止できる。このことは、本発明に係るRFIDタグ付き容器を用いれば、従来よりも大きな駆動回転数で遠心分離処理を行なって、当該処理を短時間で完了できることを意味する。
【0018】
そのうえで、本発明によれば、容器本体1の連結部13とタグホルダー3の周囲壁22との間に、互いに係合してタグホルダー3の回動を規制する回動規制構造を設けたので、遠心分離時にタグホルダー3が容器本体1に対して回転し周囲壁22および連結部13が摩耗することを防止できる。従って、連結部13に対する周囲壁22の係合力の低下を防いで、タグホルダー3の再利用回数を増加できる。
また本発明では、タグホルダー3を、底壁21と周囲壁22とを一体に備えた中空容器状のプラスチック成形品としたので、タグホルダー3の重量を小さくすることができる。遠心分離時にタグホルダー3に作用する遠心力は、タグホルダー3の質量に比例する。従って、タグホルダー3を軽量化した分だけ遠心力の影響を軽減して、タグホルダー3が容器本体1から分離することを確実に防止できる。
【0019】
タグホルダー3の周囲壁22に圧嵌溝31を凹み形成し、容器本体1の連結部13に圧嵌突起32を膨出形成したので、周囲壁22に圧嵌突起32を設ける場合に比べて、圧嵌溝31の容積の分だけタグホルダー3をさらに軽量化できる。従って、遠心力の影響を軽減して、遠心分離時にタグホルダー3が容器本体1から分離することを、より確実に防止できる。
【0020】
回動規制構造は、連結部13の周面に突設した複数の規制リブ14と、規制リブ14に対応して周囲壁22に形成した複数のスリット25とで構成することができる。これによれば、規制リブ14とスリット25との係合によりタグホルダー3の回動を確実に規制することができ、しかも、連結部13にタグホルダー3を着脱する際に回動規制構造が障害になることが無く、タグホルダー3の着脱操作を簡便に行なうことができる。さらに、周囲壁22に規制リブ14を設ける場合に比べてタグホルダー3を軽量化できるので、遠心力の影響を軽減して、遠心分離時にタグホルダー3が容器本体1から分離するのをより確実に防止できる。
【0021】
連結部13の圧嵌突起32の基端に臨んで下すぼまり状のテーパー筒部12を形成し、テーパー筒部12とタグホルダー3の開口端面との間に、タグホルダー3を取り外し操作するための操作空間Sを確保することができる。これによれば、操作空間Sを介して周囲壁22の上端に指先や着脱工具などを掛けて、タグホルダー3を連結部13から的確に取り外すことができるので、取り外し操作時におけるタグホルダー3の損傷を確実に防止することができる。従って、連結部13に対するタグホルダー3の係合力の低下を防いで、タグホルダー3の再利用回数を増加できる。
【0022】
圧嵌溝31および圧嵌突起32のそれぞれを部分球面状に形成すると、連結部13および周囲壁22の上下方向の一箇所に応力が集中することが無く、連結部13および周囲壁22が折れ曲がって損傷することを防止できる。また、規制リブ14とそれに対応するスリット25とを十文字状に配置したので、タグホルダー3の周囲壁22をスリット25で4個の断面円弧状の部分壁に分割して、スリット25が2個や3個である場合に比べて、部分壁の拡開変形を容易化できる。従って、連結部13に対するタグホルダー3の着脱操作を簡便に行なうことができる。タグホルダー3を成形したのちの離型も容易に行なえる。
【0023】
タグホルダー3の全体が、容器本体1の本体筒部11の平面視における外郭線の内側に収まっていると、連結部13にタグホルダー3を装着した状態のRFIDタグ付き容器を、チューブラックなどに対して支障なく収容できる。タグホルダー3の底壁21の外面を平坦面で形成すると、連結部13にタグホルダー3を装着した状態のRFIDタグ付き容器を、底壁21を脚体にして安定した姿勢で自立させることができ、RFIDタグ付き容器の取扱性を向上できる。
【0024】
タグホルダー3を、ガラスフィラーを含むポリアミド樹脂で成形すると、タグホルダー3の剛性を大きくして、連結部13に対するタグホルダー3の係合力を大きくでき、遠心分離時にタグホルダー3が容器本体1から分離するのをよく防止できる。また、ガラスフィラーの含有量を調整することにより、タグホルダー3の剛性を調整して、必要とする遠心力に対する耐性などに応じて、タグホルダー3の係合力を設定できる。
【0025】
規制リブ14を連結部13の下端まで形成すると、タグホルダー3を取り外した状態の容器本体1を、連結部13および各規制リブ14を脚体にして自立させることができる。また、連結部13のみを脚体とする場合に比べて容器本体1の姿勢を安定化でき、RFIDタグ付き容器の取扱性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係るRFIDタグ付き容器の要部の縦断正面図である。
【図2】容器本体の正面図、およびタグホルダーの縦断正面図である。
【図3】RFIDタグを分離したタグホルダーの斜視図である。
【図4】図1におけるA−A線断面図である。
【図5】本発明の別実施例に係る容器本体の正面図、およびタグホルダーの縦断正面図である。
【図6】別実施例に係るRFIDタグ付き容器の要部の縦断正面図である。
【図7】図6におけるB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施例) 図1ないし図4は、本発明に係るRFIDタグ付き容器を試料収納容器に適用した実施例を示す。図2において試料収納容器は、容器本体1と、容器本体1の上面開口を開閉するキャップ2と、容器本体1の下部に装着されるタグホルダー3と、タグホルダー3の内部に配置されるRFIDタグ4とで構成する。RFIDタグ4は、正方形の基板の上面に微細なICモジュールとアンテナコイルなどを実装して構成してある。
【0028】
容器本体1は、その大半を占める円筒状の本体筒部11と、本体筒部11の下端に連続する下すぼまり状のテーパー筒部12と、テーパー筒部12の下端に連続する連結部13とを備える。本体筒部11およびテーパー筒部12の内部空間に試料が収容される。連結部13は、下面が開口する略円筒状に形成してあり、この連結部13にタグホルダー3が着脱可能に外嵌装着される。
【0029】
テーパー筒部12および連結部13の外面には、上下方向に伸びる4個の規制リブ14が、周方向へ等間隔に突設してある。つまり、4個の規制リブ14が十文字状に配置してある(図4参照)。各規制リブ14は、テーパー筒部12の上端から連結部13の下端にわたって形成してあり、タグホルダー3を取り外した状態の容器本体1は、連結部13および各規制リブ14を脚体にして机上や台上に自立することができる。各規制リブ14は、容器本体1の平面視における本体筒部11の外郭線の内側に収まるように、径方向の突出寸法が設定されている。
【0030】
キャップ2は容器本体1の開口周囲壁にねじ込み装着されており、キャップ2を摘んで締緩操作することにより容器本体1に対して着脱できる。キャップ2の下方における容器本体1の本体筒部11の外面には、環状の掛止部15が突設してある。容器本体1をチューブラックなどの上向きに開口する収容穴に収容すると、掛止部15が収容穴の開口縁で受け止められるようになっている。容器本体1およびキャップ2は、ポリプロピレンを素材とする射出成形品からなり、容器本体1の本体筒部11、テーパー筒部12、連結部13、規制リブ14、および掛止部15は一体に成形してある。
【0031】
図1および図3に示すようにタグホルダー3は、ガラスフィラーを含有するナイロン66樹脂(ポリアミド樹脂)を素材とする射出成形品からなり、円盤状の底壁21と、底壁21の周囲に立ち上げ形成される周囲壁22とを一体に備えた中空容器状に形成してある。底壁21の下面(外面)は平坦面で形成してあり、タグホルダー3を容器本体1に装着した試料収納容器の全体を、底壁21を脚体として自立させることができる。底壁21の直径寸法は、容器本体1の本体筒部11の外径寸法よりも僅かに小さく設定してある。本実施例における底壁21の直径寸法は9.1mmとした。本体筒部11の内外周面には僅かな抜き勾配が設けてあり、掛止部15の基端部における本体筒部11の外径寸法は9.7mmとした。
【0032】
底壁21の上面(内面)中央には、RFIDタグ4を収容する装填部23が凹み形成してある。装填部23は、RFIDタグ4の上下寸法よりも深く形成してある。RFIDタグ4は装填部23に収容されて、その外面が封止材24で覆われている。封止材24を構成する接着剤としては、ナイロン66樹脂に対する接着性に優れ、低分子シロキサンの含有量が少なく、さらにRFIDタグ4の金属部分に対する腐食性が無いという条件を満たすものとして、本実施例ではモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社のTSE3995を使用した。封止材24を装填部23に充填し固化させることにより、RFIDタグ4の外面を固化した状態の封止材24で覆うことができる。なお、連結部13の内部にはドーム状の空間が形成されており、封止材24が装填部23からはみ出ることがあったとしても、何ら問題が生じることはない。
【0033】
タグホルダー3の周囲壁22は、全体として略円筒形状に形成されており、該周囲壁22には規制リブ14に対応して4個のスリット25が形成されている。タグホルダー3を連結部13に装着すると、規制リブ14がスリット25に入り込んで互いに係合し、連結部13に対するタグホルダー3の回動が規制される。本実施例における回動規制構造は、これら規制リブ14とスリット25とで構成される。
【0034】
周囲壁22の上下寸法は、連結部13の上下寸法と略同一に設定されており、スリット25は周囲壁22の上下方向の全長にわたって、底壁21の上面に達する位置まで形成されている。周囲壁22の外周面は、底壁21の上面に対して直交するストレート状に形成されており、周囲壁22はタグホルダー3の平面視における底壁21の外郭線の内側に収められている。また、スリット25に係合した規制リブ14の突端は、周囲壁22の外郭線の内側に収まる(図4参照)。
【0035】
図1に示すように、連結部13と周囲壁22との間には、互いに圧嵌係合してタグホルダー3の装着状態を保持する圧嵌溝31と圧嵌突起32とが設けてある。具体的には、周囲壁22の内面に圧嵌溝31が周方向に沿って凹み形成してあり、規制リブ14が形成された部分を除く連結部13の外周面に、圧嵌突起32が周方向に沿って膨出形成してある。圧嵌溝31および圧嵌突起32はそれぞれ部分球面状に形成してある。周囲壁22の上端内周縁と、連結部13の下端外周縁とには、連結部13に対するタグホルダー3の装着を容易化するため、下すぼまりテーパー状の案内面33・34が形成されている。
【0036】
タグホルダー3を連結部13に下面側から嵌め込んでいくと、周囲壁22の圧嵌溝31と案内面33の間のストレート面35が圧嵌突起32に押されることで、周囲壁22が弾性的に拡開変形する。圧嵌突起32の突端がストレート面35を乗り越えると、周囲壁22が弾性力によって縮小する向きへ復帰移動し、圧嵌溝31と圧嵌突起32とが面接触状に密着する。このとき周囲壁22は、パチンという音を立てて連結部13の外周面に接当し、径方向外側へ僅かに弾性変形した状態で連結部13に密着する。また、連結部13および規制リブ14の下端が、底壁21の上面で受け止められる。
【0037】
容器本体1に収容した試料が不要となった際には、タグホルダー3を取り外して容器本体1のみを廃棄し、タグホルダー3を別の容器本体1に付け替えて再使用することができる。容器本体1のテーパー筒部12と、タグホルダー3の周囲壁22の上端との間には、タグホルダー3を取り外し操作するための操作空間Sが確保されており、操作空間Sを介して周囲壁22の上端に指先や取り外し用の工具を掛けて、タグホルダー3を連結部13から的確に取り外すことができる。
【0038】
タグホルダー3に内蔵したRFIDタグ4に対する試料の固有情報や関連情報の書き込みは、たとえば、一群の試料収納容器をチューブラックに立てた状態で、リーダライターをタグホルダー3の底壁21の下面に接近させて行なうことができる。また、データの書き換えや新たなデータの追記なども同様にして行なうことができる。
【0039】
図5ないし図7に、本発明の別実施例に係る試料収納容器を示す。そこでは、容器本体1にテーパー筒部12および連結部13の周囲を囲む円筒状の外筒壁41を一体に設ける点が、先の実施例と相違する。外筒壁41の下端位置は、連結部13および規制リブ14の下端位置よりも下方に設定されており、タグホルダー3を取り外した状態の容器本体1を、外筒壁41を脚体にして自立させることができる。外筒壁41の内外周面はそれぞれ、水平面に対して直交するストレート状に形成されており、外筒壁41と本体筒部11の外周面は面一状に形成されている。
【0040】
連結部13にタグホルダー3を外嵌装着すると、周囲壁22は外筒壁41によって周囲を囲まれる。外筒壁41の周方向の2箇所に指掛部42が切欠形成されており、この指掛部42と操作空間Sとを介して周囲壁22の上端に指先や工具を掛けて、タグホルダー3を連結部13から取り外すことができる。外筒壁41の下端の上下方向位置は、タグホルダー3の底壁21の下面と一致しており、タグホルダー3を装着した状態の試料収納容器を、底壁21および外筒壁41を脚体にして自立させることができる。一対の規制リブ14は、スリット25の径方向外側に突出して、外筒壁41の内周面に連結されている。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0041】
上記の別実施例に係る試料収納容器は、タグホルダー3と連結部13の形状が先の実施例と同一であるのに対し、本体筒部11が先の実施例よりも大径に形成してあり、より多くの試料を収容することができる。本体筒部11を大径にしたことに伴って、自立時の試料収納容器が倒れやすくなるのを避けるため、脚体としての外筒壁41を設けて、自立時の姿勢を安定化させている。また、本体筒部11の径寸法が異なる様々な容器本体1において、連結部13の形状を同一にしていると、タグホルダー3の形状を統一して、試料の容量が異なる多種類の試料収納容器を安価に製造でき、しかも、容量が異なる容器本体1にタグホルダー3を付け替えて再使用することができる。
【0042】
その他、連結部13と周囲壁22の断面は円形である必要はなく、多角形や楕円形などに変更することができる。この場合には、連結部13の外面と周囲壁22の内面とがタグホルダー3の回動規制構造を構成するので、規制リブ14とスリット25は省略することができる。連結部13の外面に圧嵌溝31を形成し、周囲壁22の内面に規制リブ14を形成することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 容器本体
3 タグホルダー
4 RFIDタグ
13 連結部
14 規制リブ
21 底壁
22 周囲壁
23 装填部
24 封止材
25 スリット
31 圧嵌溝
32 圧嵌突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック成形品からなる容器本体(1)と、容器本体(1)の下部の連結部(13)に着脱可能に装着されるタグホルダー(3)と、タグホルダー(3)の内部に配置されるRFIDタグ(4)とを備えているRFIDタグ付き容器であって、
タグホルダー(3)は、底壁(21)と周囲壁(22)とを一体に備えた中空容器状のプラスチック成形品からなり、
容器本体(1)の連結部(13)と、タグホルダー(3)の周囲壁(22)との間に、互いに圧嵌係合してタグホルダー(3)の装着状態を保持する圧嵌溝(31)と圧嵌突起(32)とが設けられており、
連結部(13)と周囲壁(22)との圧嵌係合部分に、互いに係合してタグホルダー(3)の回動を規制する回動規制構造が設けてあるRFIDタグ付き容器。
【請求項2】
周囲壁(22)の内面に圧嵌溝(31)が凹み形成されており、連結部(13)の周面に圧嵌突起(32)が膨出形成してある請求項1に記載のRFIDタグ付き容器。
【請求項3】
回動規制構造が、連結部(13)の周面に突設した複数の規制リブ(14)と、規制リブ(14)に対応して周囲壁(22)に形成した上端が開口する複数のスリット(25)とで構成してある請求項1または2に記載のRFIDタグ付き容器。
【請求項4】
連結部(13)の圧嵌突起(32)の基端に臨んで、下すぼまり状のテーパー筒部(12)が形成されており、
タグホルダー(3)を連結部(13)に圧嵌装着した状態において、テーパー筒部(12)とタグホルダー(3)の開口端面との間に、タグホルダー(3)を取り外し操作するための操作空間(S)が確保してある請求項2または3に記載のRFIDタグ付き容器。
【請求項5】
圧嵌溝(31)および圧嵌突起(32)のそれぞれが部分球面状に形成されており、
規制リブ(14)とスリット(25)とが十文字状に配置してある請求項3または4に記載のRFIDタグ付き容器。
【請求項6】
容器本体(1)における連結部(13)の上側に、内容物を収容する本体筒部(11)が設けられており、
連結部(13)に装着したタグホルダー(3)の全体が、本体筒部(11)の平面視における外郭線の内側に収まっており、
タグホルダー(3)の底壁(21)の外面が平坦面で形成してある請求項1から5のいずれかひとつに記載のRFIDタグ付き容器。
【請求項7】
タグホルダー(3)が、ガラスフィラーを含むポリアミド樹脂で成形してある請求項1から6のいずれかひとつに記載のRFIDタグ付き容器。
【請求項8】
各規制リブ(14)が連結部(13)の下端まで形成してある請求項5に記載のRFIDタグ付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−8213(P2013−8213A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140657(P2011−140657)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】