説明

RFIDタグ及びそれを用いた建設現場管理システム並びに管理方法

【課題】工場で製造された建設資材や据付け機器等の製品が建設現場で使用されるまでの製品管理と、製品が建設現場で使用される際の作業管理とを効率的に管理でき、しかも管理ミスが発生しにくい。
【解決手段】建設現場管理システム40は、RFIDタグ10のうちの長距離通信用RFID22、第1の読取手段42、管理サーバ46、及び通信ネットワークのうちの建設現場の敷地内通信をネットワークする敷地内広域ネットワーク、で構成され、製造工場で製造した製品を建設現場に搬入して使用するまでの製品管理である製品管理システム40Aと、短距離通信用RFID24、第2の読取手段44、管理サーバ46、及び通信ネットワークのうちの建設建屋内の通信をネットワークする建屋内無線ネットワーク、で構成され、製品が建設現場で使用される際の作業管理である作業管理システムと、の2つのシステムで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRFID(Radio Frequency Identification)タグ及びそれを用いた建設現場管理システム並びに管理方法に係り、特に、工場で製造された建設資材や据付け機器等の製品が建設現場で使用されるまでの製品管理と、製品が建設現場で使用される際の作業管理とを効率的に実施するためのRFIDタグ及びそれを用いた建設現場管理システム並びに管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場において建設資材や据付け機器等の製品に関して管理すべき情報としては、大きく分けて2つある。1つは、工場で製造した製品を建設現場に搬入して使用するまでの製品管理であり、もう一つは製品が建設現場で使用される際の作業管理である。
【0003】
そして、RFIDタグを利用した建設現場の作業管理システムに関しては、例えば特許文献1がある。特許文献1では、RFIDタグを資材、工具、作業者等に取り付けて、工程進捗状況や作業者の就業状況等の作業状況に関する管理を行うことが記載されている。
【特許文献1】特開2005−326965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に用いられる1つの共用のRFIDタグでは製品管理と作業管理を効率的に行うことができないと共に、管理ミスを引き起こし易いという問題がある。
【0005】
例えば、作業管理において、1つの製品において要求される情報は1つではなく複数あるため、特許文献1のように、1つのRFID機能のみを備えたRFIDタグでは対応できないという問題がある。即ち、製品管理では1つの製品に1つのRFIDタグで対応可能であるが、作業管理では1つの製品に対して複数の管理点が必要になる。製品として配管の例で見た場合、配管を接続する点が作業管理における管理点となるが、1つの配管に対して少なくとも両端を他の機器等に接合する必要があり、配管両端が管理点になる。また、T字形状の配管の場合には、接合点が3箇所存在し3つの管理点が存在する。
【0006】
この場合、製品のIDと管理点のIDとを関連づけて、1つの製品のIDから管理点IDを抽出することは可能であるが、1つのRFID情報と1つの管理点IDとを直接的に対応させたものではないので、管理点の抽出間違いが生じる問題がある。また、製品管理のためのRFIDタグとは別に、1つの製品の管理点ごとにRFIDタグを取り付けて管理することも可能であるが、複数の管理点にそれぞれ取り付けたRFIDタグのうち、某管理点については別の製品に取り付けるべきRFIDタグを誤って取り付けてしまうという間違いが生じ易い。
【0007】
また、製品管理に関する作業は、工場から出荷されてきた製品を建設現場に搬入する際に数量や製品番号等が伝票と一致しているかを管理する照合管理作業である。從って、建設現場に入庫する多数の製品を短時間で照合するためには、トラック等に積載された例えば配管の束を、建設現場の搬入口において、離れた位置から読取手段で効率的に読み取れることが必要となる。
【0008】
これに対し、製品を建設現場で使用する際の作業管理は、製品の管理点ごとにRFIDタグに記録された情報を参照したり、管理点ごとの作業進捗状況を記録したりすることになるため、読取手段は、複数の近接した管理点に取り付けたRFIDタグの中から、現在管理すべき1つの管理点に取り付けられたRFIDタグだけを選択して読取りする必要がある。この場合、RFIDタグの読取り距離が大きくなると、別な管理点情報までをも読み取ってしまう可能性も出てくる。
【0009】
このように、建設現場の管理に使用するRFIDタグは製品単位で管理しなくてはならない製品管理段階と、例えば配管接合の接合点や機器調整点のように、管理点単位で且つ複数単位で管理しなくてはならない作業管理段階とがあり、それぞれの段階での読取り性能を変える必要がある。
【0010】
更に、製品管理の段階で参照や登録する情報と管理点単位に参照や登録する情報が異なるため、それぞれのRFIDに関連づけて情報管理するためには、それぞれ別々にRFIDタグを準備する必要がある。そして、RFIDタグは製品管理終了後に廃棄する場合もあるが、長距離で反応するため,これが長距離通信性能を保持したまま、廃棄されると、管理すべき新たな製品を読取る場合の誤認識の原因になる。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、工場で製造された建設資材や据付け機器等の製品が建設現場で使用されるまでの製品管理と、製品が建設現場で使用される際の作業管理とを効率的に管理でき、しかも管理ミスが発生しにくいRFIDタグ及びそれを用いた建設現場管理システム並びに管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、読取手段との間で無線通信を行うことで情報を送受信するRFIDタグであって、ICチップ及びループ状の長いアンテナを有する長距離通信用RFIDと、前記ループ状のアンテナの内側領域に複数形成され、ICチップ及び短いアンテナを有すると共に前記長距離通信用RFIDとは前記読取手段での読取り周波数が異なる短距離通信用RFIDと、備え、前記RFIDタグには、該タグ全体から前記短距離通信用RFIDを切り離すための破断線が形成されており、該切り離しの際に前記長距離通信用RFIDのループ状アンテナも切り離されると共に、前記切り離す前のタグ全体を識別する本体管理用識別コードと、切り離した後の部分タグを識別する部分管理用識別コードとを有することを特徴とするRFIDタグを提供する。
【0013】
請求項1によれば、本発明のRFIDタグは、通信距離の異なる長距離通信用RFIDと短距離通信用RFIDとが一体的に形成されており、RFIDタグに形成した破断線から短距離通信用RFIDを切り離すことにより長距離通信用RFIDの通信性能が消滅する。また、切り離す前のタグ全体を識別する本体管理用識別コードと、切り離した後の部分タグを識別する部分管理用識別コードとを有している。
【0014】
従って、本発明のRFIDタグは、上記のような特徴があるので、色々な管理に応用できるが、例えば建設現場管理における製品管理と、製品の複数の管理点(例えば配管の場合は接続点)の作業管理と、に効率的に使用することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は前記目的を達成するために、建設現場で建設資材や据付け機器等の製品を管理するための建設現場管理システムにおいて、前記製品に取り付ける請求項1のRFIDタグと、前記RFIDタグのうちの長距離通信用RFIDを読取る第1の読取手段と、前記RFIDタグのうちの短距離通信用RFIDを読取る第2の読取手段と、前記第1及び第2の読取手段との間で通信可能であると共に、管理情報全体を管理するデータベースを備えた管理サーバと、前記第1及び第2の読取手段と前記管理サーバと間で情報を通信する通信ネットワークと、前記通信ネットワークにアクセスする複数のアクセスポイントと、を備えたことを特徴とする建設現場管理システムを提供する。
【0016】
請求項2によれば、請求項1に記載した構成のRFIDタグを、建設現場で建設資材や据付け機器等の製品を管理するRFIDタグとして使用したので、このRFIDタグの長距離通信用RFIDを、製品単位で管理しなくてはならない製品管理段階に利用し、短距離通信用RFIDを製品に付随する複数の管理点(製品の管理すべき部分)を管理しなくてはならない作業管理段階に利用することで、製品管理と作業管理とを効率的に行うことができる。しかも管理ミスが発生しにくい。
【0017】
請求項3は請求項2において、前記建設現場管理システムは、前記RFIDタグのうちの長距離通信用RFID、前記第1の読取手段、前記データベースのうちの製品管理に関するファイル、前記通信ネットワークのうちの建設現場の敷地内通信をネットワークする敷地内広域ネットワーク及びそのアクセスポイント、で構成され、製造工場で製造した製品を建設現場に搬入して使用するまでのを管理する製品管理システムと、前記RFIDタグのうちの短距離通信用RFID、前記第2の読取手段、前記データベースのうちの作業管理に関するファイル、前記通信ネットワークのうちの建設建屋内の通信をネットワークする建屋内無線ネットワーク及びそのアクセスポイント、で構成され、製品が建設現場で使用される際の進捗状況を管理する作業管理システムと、の2つのシステムで構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項3によれば、製造工場で製造した製品を建設現場に搬入して使用するまでを管理する製品管理システムと、製品が建設現場で使用される進捗状況を管理する作業管理システムとにより、RFIDタグの長距離通信用RFIDと短距離通信用RFIDとの使い分け、それに応じて読取手段、データベースのファイル、通信ネットワークを使い分けするように構成したので、製品管理での情報と作業管理での情報とを確実に棲み分けることができる。これにより、製品管理ミスや作業管理ミスが生じない。
【0019】
請求項4は請求項2又は3において、前記第1の読取手段は、前記長距離通信用RFIDとの間で数m距離の読み取りが可能であると共に、前記長距離通信用RFIDにのみ反応する周波数に対応したRFID読取り機能、読取った情報を一時的に格納して関連情報の呼び出しや必要機能の起動を行う情報処理機能、製品の管理業務を支援する支援機能、前記管理サーバとの間で通信する通信機能、及び前記製品管理業務を支援する機能により出力される情報を表示する表示機能を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項4は、製品管理において使用する第1の読取手段の性能構成として、好ましい構成を記載したものである。
【0021】
請求項5は請求項3又は4において、前記管理サーバの製品管理用データベースには、建設現場の敷地情報、建設工事の工程表情報、製品の出荷情報、製品情報、及び前記製品の管理業務を支援する管理支援情報が前記長距離通信用RFIDのコード名と関連づけられて格納されていることを特徴とする。
【0022】
請求項5は、製品管理を行う上で管理サーバのデータベースに格納されている好ましい情報を記載したものである。これらの情報は、敷地内広域ネットワーク及びそのアクセスポイントを介して第1の読取手段のモニターに表示可能である。
【0023】
請求項6は請求項5において、前記第1の読取手段は、前記製品に取り付けられた前記RFIDタグの長距離通信用RFIDから前記製品のRFIDコードを読み取ると共に、前記製品管理用データベースに格納されている前記管理支援情報の中から製品を搬入する搬入エリア及び搬入時期を参照して前記工程表情報として表示すると共に、候補となる製品保管位置を前記敷地情報と合わせて表示することを特徴とする。
【0024】
請求項6は、第1の読取手段と管理サーバのデータベースとの間で送受信する情報のやり取りを記載したものである。
【0025】
請求項7は請求項1〜6のいずれか1において、前記第2の読取手段は、前記短距離通信用RFIDとの間で数10cm距離の読み取りが可能であると共に、前記短距離通信用RFIDにのみ反応する周波数に対応したRFID読取り機能、読取った情報を一時的に格納して関連情報の呼び出しや必要機能の起動を行う情報処理機能、工事進捗管理を支援する支援機能、前記管理サーバとの間で通信する通信機能、及び前記工事進捗管理を支援する機能により出力される情報を表示する表示機能を備えることを特徴とする。
【0026】
請求項7は、作業管理において使用する第2の読取手段の性能構成として、好ましい構成を記載したものである。
【0027】
請求項8は請求項7において、前記管理サーバの作業管理用データベースには、建設現場のエリア工程、工事施工図、3D−CAD、周辺作業の進捗情報、資材の管理点に関する工事進捗管理を支援する支援情報が前記短距離通信用RFIDのコード名と関連づけられて格納されていることを特徴とする。
【0028】
請求項8は、作業管理を行う上で管理サーバのデータベースに格納されている好ましい情報を記載したものである。これらの情報は、建屋内無線ネットワーク及びそのアクセスポイントを介して第2の読取手段のモニターに表示することができる。
【0029】
請求項9に記載の発明は前記目的を達成するために、建設現場で建設資材や据付け機器等の製品を管理するための建設現場管理方法において、請求項1のRFIDタグ全体である本体管理用RFIDタグの長距離用RFIDコード名と管理サーバのデータベースに格納された製品管理情報とを関連づける第1の工程と、前記関連づけの終了した本体管理用RFIDタグを前記製品の製造工場において該当製品に取り付ける第2の工程と、前記本体管理用RFIDタグを取り付けた製品を前記建設現場に出荷する第3の工程と、前記建設現場において前記本体管理用RFIDタグの長距離通信用RFIDコード名を第1の読取手段で読み取って前記建設現場に入庫する製品を確認すると共に確認結果を前記データベースに記録する第4の工程と、前記建設現場に入庫した製品を該当工事現場又は仮保管エリアに搬送する第5の工程と、前記本体管理用RFIDタグから短距離用RFIDを備えた複数の部分管理用RFIDタグを切り離す第6の工程と、前記切り離された複数の部分管理通信用RFIDタグコード名ごとにデータベースの管理点情報を関連づける第7の工程と、前記部分管理用RFIDタグのコード名を第2の読取手段で読み取って製品の管理点の場所及び数を確認する第8の工程と、前記確認した部分管理用RFIDタグをそれぞれの管理点に取り付けると共に切り離された後の本体管理用RFIDタグを回収又は廃棄する第9の工程と、前記部分管理用RFIDタグが取り付けられた製品について据付け工事を実施すると共に、工事の進捗状況を前記データベースに記録する第10の工程と、の各工程を製品ごとに実施することを特徴とする建設現場管理方法を提供する。
【0030】
請求項9は、本発明の建設現場管理方法の工程を示したものであり、この工程を実施することで、工場で製造された製品が建設現場で使用されるまでの製品管理と、製品が建設現場で使用される際の作業管理とを効率的に管理でき、しかも管理ミスが発生しにくい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、工場で製造された建設資材や据付け機器等の製品が建設現場で使用されるまでの製品管理と、製品が建設現場で使用される際の作業管理とを効率的に管理でき、しかも管理ミスが発生しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下添付図面に従って本発明に係るRFIDタグ及び建設現場管理システム並びに管理方法の好ましい実施形態について説明する。
【0033】
図1は、本発明に係るRFIDタグの一例を示す説明図であり、図2は図1のA−A線に沿った断面図である。尚、本発明のRFIDタグは色々な用途が考えられるが、本実施の形態では、建設現場で建設資材や据付け機器等の製品を管理する管理システムにおいて利用する例で説明する。また、建設資材等の製品として配管の例で以下に説明する。
【0034】
図2に示すように、RFIDタグ10は、RFID基板12と、RFID基板12の表面側に設けられた表面保護シート14と、RFID基板12の裏面側に設けられた裏面保護シート16と、裏面保護シート16の側に設けられた剥離シート18と、裏面保護シート16と剥離シート18を剥離可能に接着する接着層20と、の5層構造に形成される。
【0035】
表面及び裏面の保護シート14、16としては、紙やプラスチックフィルム等の薄いシートを使用することができ、表裏の保護シート14の間にRFIDのICチップ及びアンテナが挟まれた状態で介在される。
【0036】
RFID基板12に形成されるアンテナ22B,24Bは金属性になるが薄い鋼線等からなる。保護面の下には接着層20があり、シール用の剥離紙18が貼り付けられている。接着層20に使用する接着剤は、建設資材や据付け機器等の製品は金属で形成されることが多いので、金属に接着可能なものであることが好ましい。剥離シート18は紙やプラスチックフィルム等の薄いシートを使用することができる。
【0037】
また、図1に示すように、RFID基板12は、ICチップ22A及びループ状の長いアンテナ22Bを有する長距離通信用RFID22と、ループ状のアンテナ22Bの内側領域に複数形成され、ICチップ24A及び棒状の短いアンテナ24Bを有すると共に長距離通信用RFID22とは読取手段(リーダ・ライタ)での読取り周波数が異なる短距離通信用RFID24と、で構成される。
【0038】
長距離通信用RFID22は、UHF帯等の長距離通信を利用したタグで周波数に応じた適正なサイズのアンテナ22Bを有するが、このアンテナ22Bをループ状にし、その内側に複数の短距離通信用RFID24を格納するように構成される。尚、図1では、短距離通信用RFID24が3個の場合であるが、この数に限定されず複数あればよい。
【0039】
短距離通信用RFID24は、2.45GHz帯等で短距離通信を利用したタグで短いアンテナ構造になる。
【0040】
また、RFIDタグ10には、複数から成る短距離通信用RFID24同士を切り離すための破断線26(例えば、ミシン目)が形成されており、該切り離しの際に長距離通信用RFID22のループ状アンテナ22Bも切り離される。この場合、長距離通信用RFID22のアンテナ22Bに部分的に破断線26が入っていても部分的に接続されていることでアンテナの機能は問題ない。これにより、短距離通信用RFID24を備えた複数枚のタグが形成される。また、破断線26でRFIDタグ10を切り離すことで、長距離通信用RFID22の通信機能が破壊される。
【0041】
ここで、破断線26により短距離通信用RFID24を切り離す前のRFIDタグ10全体を管理するタグを本体管理用RFIDタグ10Aと称し、切り離した個々のRFIDタグ(タグ全体から破断線26により切り離した小片タグ)を部分管理用RFIDタグ10Bと称する。
【0042】
また、長距離通信用RFID22のICチップ22Aには、工場で製造した配管を建設現場に搬入して使用するまでを製品管理するための識別コードである本体管理用RFIDコード名が登録されていると共に、上記した表面保護シートには製品番号28が印字されている。一方、短距離通信用RFID24のICチップ24Aには、配管32(図3参照)が建設現場で使用される際に作業管理するための識別コードである部分管理用RFIDコードが登録されていると共に、上記した表面保護シートには管理番号30が印字されている。
【0043】
そして、本体管理用RFIDタグ10Aを配管32に取付ける際は、4本の破断線26で区画された5片のうちの最上部(部分管理用タグ10Bではない部分)の剥離紙18だけを剥がして配管32又は配管32のキャップ32Aに貼り付け、工場で製造された配管32が建設現場で使用されるまでの製品管理を行う。
【0044】
一方、配管32が建設現場で使用される際の作業管理を行う場合には、本体管理用RFIDタグ10Aの破断線26から部分管理用タグ10Bを切り離した後、剥離紙18を剥がして配管32の管理点34(図4参照)に貼り付ける。通常、配管32の管理点34は接続箇所であり、配管両端の2箇所なので、該2箇所に部分管理用タグ10Bをそれぞれ貼り付ける。尚、T字形状の配管32の場合には管理点34が3箇所なのでその3箇所に部分管理用タグ10Bを貼り付ける。從って、本体管理用RFIDタグ10Aには、管理する配管32等の製品の管理点34の数に応じて部分管理用タグ10Bの枚数を備えている必要がある。
【0045】
次に、上記の如く構成されたRFIDタグを用いて配管(製品の一例)の管理を行う例で本発明に係る建設現場管理システム40(40A,40B)の全体構成を説明する。
【0046】
図3及び図4に示すように、本発明の建設現場管理システム40の装置構成は、主として、配管32に貼り付ける本体管理用RFIDタグ10Aと、本体管理用RFIDタグ10Aの長距離通信用RFID22を読取る第1の読取手段42と、部分管理用RFIDタグ10Bの短距離通信用RFID24を読取る第2の読取手段44と、第1及び第2の読取手段42、44と通信可能であり、製品管理及び作業管理全体情報を管理するデータベース46Aを備えた管理サーバ46と、第1及び第2の読取手段42、44と管理サーバ46との間で情報を通信する通信ネットワークとで構成される。通信ネットワークは、建設現場の敷地内通信をネットワークする敷地内広域ネットワークと、建設建屋内の通信をネットワークする建屋内無線ネットワークとで、構成され、これらのネットワークは複数設けられたアクセスポイント50を含む通信網によって構成される。そして、第1及び第2の読取手段42、44は、現場作業者や現場監督者等が所持し、管理サーバ46は現場事務所の管理センター等に設置される。また、配管を製造する工場と建設現場に設置された管理サーバのデータベースとは、インタネット回線等により結ばれている。
【0047】
本発明の建設現場管理システム40は、大きく分けて2つの管理段階で構成され、1つは、図3に示すように、工場で製造した配管32を建設現場に搬入して建設工事に使用するまでの製品管理システム40Aである。また、もう一つは、図4に示すように、配管32が建設現場内に搬入されて据付け等の工事作業が実施される進捗状態等を管理する作業管理システム40Bである。
【0048】
製品管理システム40Aで使用される装置構成は、図3に示すように、配管32に取り付ける本体管理用RFIDタグ10Aと、第1の読取手段42と、管理サーバ46と、敷地内広域ネットワークとで構成される。一方、作業管理システム40Bで使用される装置構成は、本体管理用RFIDタグ10Aから切り離して配管32の管理点に取り付ける部分管理用RFIDタグ10Bと、第2の読取手段44と、管理サーバ46と、建屋内無線ネットワークとで構成される。2つの管理システム40A、40Bでは、上記の如く読取るRFIDの利用周波数が異なることから、別の読取手段42、44となる。また、管理サーバ46は、第1又は第2の読取手段で読み取ったRFIDコード名に応じて参照先が管理する内容(製品管理と作業管理)によって異なるデータベース46A、46Bとなる。
【0049】
図3に示すように、製品管理で使用する第1の読取手段42は、長距離通信(数m程度)の長距離通信用RFID22にのみ反応する周波数に対応した読取り機能、読取ったRFIDを一時的に格納して関連情報の呼び出しや必要機能の起動を行う情報処理機能、配管32の管理を支援する製品管理支援機能、管理サーバ46のデータベース46Aに接続するための通信機能、製品管理支援機能により出力される情報を表示する表示機能を備えている。
【0050】
製品管理支援の具体的な機能としては、建設現場の敷地情報、工程表情報、製品の出荷情報、製品情報等を格納したデータベース46Aの情報を、現場敷地内に設置された無線LAN等のアクセスポイントを経由して敷地内広域ネットワークから参照し、製品管理支援の内容に応じた表示を第1の読取手段42に表示することができる。
【0051】
図4に示すように、作業管理で使用する第2の読取手段44は、短距離通信(数10cm程度)の短距離通信用RFID24にのみ反応する周波数に対応した読取り機能、読取ったRFIDを一時的に格納して関連情報の呼び出しや必要機能の起動を行う情報処理機能、作業の進捗管理を支援する支援機能、管理サーバ46のデータベース46Bに接続するための通信機能、作業進捗管理支援機能により出力される情報を表示する表示機能を備えている。
【0052】
作業進捗支援の具体的な機能としては、作業のエリア工程、作業施工図、3D−CAD、周辺作業の進捗情報、管理点に関する情報等を格納したデータベースの情報を、建設建屋内に設置された無線LAN等のアクセスポイント50を経由して建屋内無線ネットワークから参照し、作業進捗管理支援の内容に応じた表示を第2の読取手段に表示することができる。
【0053】
次に、図5に従って、本発明の建設現場管理システムによって建設資材や据付け機器等の製品を管理する管理方法のステップフローの一例を、配管の場合で以下に説明する。
【0054】
図5の縦方向は管理の経時的推移を示し、横方向には、経時的推移に対応するRFIDタグ10の運用状態、製品管理段階又は作業管理段階のどのステップであるかの区別、及び第1及び第2の読取手段42、44と管理サーバ46のデータベース46A、46Bとの間でやり取りする情報内容が示されている。
【0055】
(製品管理段階)
予め、本体管理用RFIDタグ10Aの長距離通信用RFID22に登録された本体管理用RFIDコード名と、管理サーバ46のデータベース46Aとの間で製品情報に関する関連づけ(紐付けともいう)を行っておく(ステップ1)。そして、製品情報の関連づけが済んだ本体管理用RFIDタグ10Aを発行する(ステップ2)。
【0056】
次に、配管32を製造する工場の作業者は、発行された本体管理用RFIDタグ10Aの最上部の剥離紙18のみを剥がし、工場で製造された配管32のキャップ32Aに貼り付ける(ステップ3)。尚、キャップ32Aに貼り付ける他に、配管32自体に貼り付けてもよい。工場作業者は、建設現場に配管32が出荷される出荷時点での本体管理用RFIDコード名に対応する情報を読取って工場出荷情報としてデータベース46Aに送信する(ステップ4)。尚、工場で本体管理用RFID10Aを読み取る読取手段としては、建設現場で使用する第1の読取手段42と同様のものを使用できる。
【0057】
次に、本体管理用RFIDタグ10Aが貼り付けられた配管32は、複数本の束としてトラック等の輸送手段に積載され、納品明細と一緒に建設現場に向けて出荷される(ステップ5)。これにより、工場で製造された配管32を建設現場に出荷する際に、配管32のキャップ32Aに貼り付けられた本体管理用RFIDタグ10Aには、その配管32の本体管理用コード名に対応した製品情報が関連づけられることになる。
【0058】
從って、配管32に貼り付けられた本体管理用RFIDタグ10Aの本体管理用コード名を第1の読取手段42で読み取ることにより、データベース46Aに格納された対応する製品情報を呼び出して表示することが可能となる。製品情報としては、図6の製品情報ファイルに示すように、「本体管理用RFIDタグコード」、「製品番号」、「工場出庫番号」、配管32を使用する工事の「系統名」、「建屋名」、「エリア番号」等があり、本体管理用RFIDコードと関連づけて記録されている。
【0059】
次に、配管32が建設現場に入庫した時点で、建設現場の現場作業者は、製品確認を行う(ステップ6)。即ち、現場作業者は、建設現場に到着した配管32の本体管理用RFIDタグ10Aを第1の読取手段42で読み取ることにより、工場出荷時にデータベース46Aに記録された工場出荷情報、即ち納品(入庫)情報を読み取り、読み取った情報と納品明細とが一致するかを確認する。図6に示す工場出庫番号が納品明細と一致すればよい。即ち、図6のファイル中ではK001が同一種類の配管として工場から出荷されたものとすれば、これらに対応した本体管理用RFIDコードと建設現場への入庫時に読み取った本体管理用RFIDコードが一致すれば入庫製品に間違いは無いと判断する。万が一、配管32の誤配送があれば、RFIDコードの不整合があるので、建設現場への入庫時に迅速に確認することが可能となる。そして、現場作業着は、製造工場から建設現場に入庫した製品確認が終了した配管32については、図7の製品管理情報ファイルの「現地入荷」の欄に「入荷済み」と入力する。製品情報管理ファイルには、「本体管理用RFIDコード」、「製品番号」、「工場進捗(工場から出荷済みか否か)」、「現地入荷」、「仮保管エリア」等の情報項目を設けることが好ましい。
【0060】
建設現場に入庫した配管32は、入庫後に直ぐに作業現場内に搬入されるものもあるが、一般的には建設敷地内の製品保管場所に仮置き保管するのが通常である。従って、現場作業者は入庫した配管32が何時の時点で作業現場に搬入されるかを確認し、その搬入時期に応じて何処の製品保管置場に仮置き保管すればよいかを判断しなくてはならない。従って、これらの判断を支援するたに、本体管理用RFIDコードから製品番号を取得し、取得した製品番号から製品情報ファイルに記録されている「エリア番号」、即ちその配管32を使用する工事エリアを割り出す。また、そのエリア番号の製品保管置場への引渡し時期等を図6のデータベースから参照して工程表情報として第1の読取手段42のモニターに表示する。そして、製品管理情報ファイルから「エリア番号」に近い「仮保管エリア」を確認する(ステップ7)。そして、その仮保管エリアに該当する製品保管置場に向けて配管32を出庫(搬入)する(ステップ8)。
【0061】
この場合、図8に示すように、候補となる仮保管エリアが敷地情報と合せて表示されることで迅速に作業指示が可能となる。また、建設現場内に入庫した配管を作業現場の指定された仮保管エリアに搬入する段階でも、仮保管エリアにおいて仮保管指示のあった配管32の本体管理用RFIDタグ10Aを第1の読取手段42で読み取って確認することで、指定された配管32を指定された仮保管エリアに確実に選定して仮保管できる。指定した仮保管エリアに配管32を搬入した後、配管32はキャップ32Aを外された状態で仮保管される。これにより、製品管理システムにおけるステップが終了し、次の作業管理システムのステップに移行する。
【0062】
(作業管理段階)
配管32の場合には1つの配管32に複数存在する接続点が工事作業での管理点となる。そこで、製品管理段階が終了した段階で配管32のキャップ32Aに貼り付けられていた本体管理用RFIDタグ10Aから複数枚の部分管理用RFIDタグ10Bを切り離す(ステップ9)。
【0063】
そして、予め、切り離した複数枚の部分管理用RFIDタグ10Bを第2の読取手段44で読み取ると共に、第2の読取手段44と管理サーバ46のデータベース46Bとの間で、部分管理用RFIDタグ10Bのコード名と管理点に関する情報とを関連づけ(紐付け)ておく(ステップ10)。図9に示すように、データベース46Bの管理点情報ファイルには、「部分管理用RFIDコード」、「図面番号」、「継手番号」、配管作業を行う工事の「系統名」、「建屋」、「エリア番号」等が情報として格納されている。これにより、該当する「部分管理用RFIDコード」に対応する「図面番号」と「継手番号」とを知ることで、配管の管理点の場所や数を一義的に特定することができる。
【0064】
次に、関連づけの終了した複数の部分管理用RFIDタグ10Bを第2の読取手段44で再び読み取り(ステップ11)、データベース46Bとの間で管理点の確認を行う(ステップ12)。
【0065】
次に、現場作業者は、確認の終了した複数の部分管理用RFIDタグ10Bを配管32の各管理点34(各接続点)に貼り付ける(ステップ13)。一方、配管32のキャップ32Aに残った本体管理用RFIDタグ10Aは、キャップ32Aとともに回収するか、又は廃棄される(ステップ14)。この場合、本体管理用RFIDタグ10Aから部分管理用RFIDタグ10Bを切り離した時点で、本体管理用RFIDタグ10Aの長距離通信用のアンテナ22Bが切断されるため、通信性能が破壊される。従って、配管32のキャップ32Aに残った本体管理用RFIDタグ10Aを廃棄したときに、未使用の本体管理用RFIDタグ10Aに紛れ込んだとしても、誤認識される心配がない。ちなみに、本体管理用RFIDタグ10Aのアンテナ22Bが切断されないまま廃棄すると、長距離通信が可能であるため、間違って未使用のRFIDタグに紛れ込んだ場合、本来読み取らなくてはいけない製品のRFIDタグではなく、廃棄したRFIDタグを誤って読み取ってしまうという問題が発生する。
【0066】
次に、複数の管理点34に部分管理用RFIDタグ10Bを貼り付けた配管32についての接続工事を行うと共に、接続工事の進捗度の管理を行う(ステップ15)。即ち、配管32に貼り付けられた部分管理用RFIDタグ10Bを第2の読取手段44により読み取って、管理サーバ46のデータベース46Bから図10に示す作業進捗情報ファイルを読み出す。そして、読み取った情報と、工事中である配管32の部分管理用RFIDコードとを関連づけて作業進捗情報ファイルに接続工事の進捗度を記録してゆく(ステップ16)。例えば、配管32であれば接続点が管理点34であり、図10のように、接続点の開先合せ(FU)実施中、開先合せ(FU)完了、開先合せ(FU)検査完了、溶接中、溶接完了等の進捗状況が順次記録されることになる。このステップ16とステップ17とを全ての製品について繰り返す。
【0067】
部分管理用RFIDタグ10Bから読み取る情報は、現場作業者が作業進捗情報ファイルへの記録時にのみ参照するものではない。例えば、図10に示すように、検査官が検査対象の機器が図面上のどの製品なのかを確認するときにも使用できる。更には、作業指示をする現場監督が作業ポイント付近の管理点情報を部分管理用RFIDタグ10Bから呼び出すことにより、該当作業の作業ポイントに近い近接ポイントの作業状況に応じて足場等の仮設共用を計画したり、該当作業のエリアの工程が実作業と合っているかを確認したりすることができる。また、現場監督は、配管の接続工事であれば、配管の接続の相手方である機器(図10の接点機器)の納品状況はどうなっているか等の作業指示に有益となる情報を確認できる。
【0068】
このように、本発明によれば、製品管理段階で利用する長距離通信を可能とする本体管理用RFIDタグとその内側に作業管理段階で複数の管理点を管理するための短距離通信の性能を持つ部分管理用RFIDタグを利用し、製品管理段階と作業管理段階で2つのタグを使い分けて利用するようにした。これにより、効果的な現場管理が可能となる。また、本体管理用RFIDタグは長距離通信可能なので、一度に多量の製品情報を同時に読み取ることができる。一方、製品の管理点に貼り付ける部分管理用RFIDタグは短距離通信なので、該当する管理点のみを正確に読み取ることができる。
【0069】
また、製品管理段階で利用する本体管理用RFIDタグには製品管理に有益な情報を関連づけるようにして、製品の搬入管理や建設敷地内での仮置き場所の選定支援等が行える。一方、作業管理段階で利用する部分管理用RFIDタグには、製品の管理点の情報を関連づけることで、建設図面との照合や隣接する管理点の状況から作業の全体進捗がリアルタイムに参照でき、効率的な作業指示が可能となる。
【0070】
また、本体管理用RFIDタグに関連づける製品管理情報と、部分管理用RFIDタグに関連づける作業管理情報とを、管理サーバのデータベースにおいて異なるファイルにすることで、製品管理と作業管理の効率を向上できるだけでなく、製品管理と作業管理の情報ミスを防止できる。
【0071】
また、本体管理用RFIDタグから部分管理用RFIDタグを破断線で切り離すことで、製品管理に利用していた長距離通信機能を持つ本体管理用RFIDタグの性能を消滅できる。これにより、製品管理終了時に自動的に本体管理用RFIDタグの通信が行えなくなるため、廃棄した場合であっても、作業管理中に、廃棄した本体管理用RFIDタグの信号を拾って誤認識することを防止できる。
【0072】
尚、本実施の形態では、製品として配管の例で説明したが、建設に使用される資材、据付け機器等の全てに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明のRFIDタグの正面図
【図2】本発明のRFIDタグの断面図
【図3】本発明の建設現場管理システムのうちの製品管理システムにおいて使用する装置構成図
【図4】本発明の建設現場管理システムのうちの作業管理システムにおいて使用する装置構成図
【図5】本発明の建設現場管理システムを実施する手順を示したフローチャート図
【図6】第1の読取手段と管理サーバのデータベースとの間で通信される製品情報を示した製品情報台帳の一例を示す図
【図7】第1の読取手段と管理サーバのデータベースとの間で通信して製品の管理状況を記録するための製品管理台帳の一例を示す図
【図8】製品管理において第1の読取手段のモニターに表示される表示内容の一例を示す説明図
【図9】第2の読取手段と管理サーバのデータベースとの間で通信される管理点情報を示した管理点情報台帳の一例を示す図
【図10】第2の読取手段と管理サーバのデータベースとの間で通信して管理点の管理状況を記録するための管理点管理台帳の一例を示す図
【図11】管理点管理において第1の読取手段のモニターに表示される表示内容の一例を示す説明図
【符号の説明】
【0074】
10…RFIDタグ、12…RFID基板、14…表面保護シート、16…裏面保護シート、18…剥離紙、20…接着層、22…長距離通信用RFID、22A…ICチップ、22B…長距離通信用のループ条アンテナ、24…短距離通信用RFID、24A…ICチップ、24B…短距離通信用のアンテナ、26…破断線、28…製品番号、30…管理番号、32…配管(製品の一つ)、34…管理点、40…建設現場管理システム、40A…製品管理システム、40B…作業管理システム、42…第1の読取手段(リーダ・ライター)、44…第2の読取手段(リーダ・ライター)、46…管理サーバ、46A…製品管理用データベース、46B…作業管理用データベース、50…アクセスポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取手段との間で無線通信を行うことで情報を送受信するRFIDタグであって、
ICチップ及びループ状の長いアンテナを有する長距離通信用RFIDと、
前記ループ状のアンテナの内側領域に複数形成され、ICチップ及び短いアンテナを有すると共に前記長距離通信用RFIDとは前記読取手段での読取り周波数が異なる短距離通信用RFIDと、備え、
前記RFIDタグには、該タグ全体から前記短距離通信用RFIDを切り離すための破断線が形成されており、該切り離しの際に前記長距離通信用RFIDのループ状アンテナも切り離されると共に、前記切り離す前のタグ全体を識別する本体管理用識別コードと、切り離した後の部分タグを識別する部分管理用識別コードとを有することを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
建設現場で建設資材や据付け機器等の製品を管理するための建設現場管理システムにおいて、
前記製品に取り付ける請求項1のRFIDタグと、
前記RFIDタグのうちの長距離通信用RFIDを読取る第1の読取手段と、
前記RFIDタグのうちの短距離通信用RFIDを読取る第2の読取手段と、
前記第1及び第2の読取手段との間で通信可能であると共に、管理情報全体を管理するデータベースを備えた管理サーバと、
前記第1及び第2の読取手段と前記管理サーバと間で情報を通信する通信ネットワークと、
前記通信ネットワークにアクセスする複数のアクセスポイントと、を備えたことを特徴とする建設現場管理システム。
【請求項3】
前記建設現場管理システムは、
前記RFIDタグのうちの長距離通信用RFID、前記第1の読取手段、前記データベースのうちの製品管理に関するファイル、前記通信ネットワークのうちの建設現場の敷地内通信をネットワークする敷地内広域ネットワーク及びそのアクセスポイント、で構成され、製造工場で製造した製品を建設現場に搬入して使用するまでのを管理する製品管理システムと、
前記RFIDタグのうちの短距離通信用RFID、前記第2の読取手段、前記データベースのうちの作業管理に関するファイル、前記通信ネットワークのうちの建設建屋内の通信をネットワークする建屋内無線ネットワーク及びそのアクセスポイント、で構成され、製品が建設現場で使用される際の進捗状況を管理する作業管理システムと、の2つのシステムで構成されることを特徴とする請求項2の建設現場管理システム。
【請求項4】
前記第1の読取手段は、前記長距離通信用RFIDとの間で数m距離の読み取りが可能であると共に、前記長距離通信用RFIDにのみ反応する周波数に対応したRFID読取り機能、読取った情報を一時的に格納して関連情報の呼び出しや必要機能の起動を行う情報処理機能、製品の管理業務を支援する支援機能、前記管理サーバとの間で通信する通信機能、及び前記製品管理業務を支援する機能により出力される情報を表示する表示機能を備えることを特徴とする請求項2又は3の建設現場管理システム。
【請求項5】
前記管理サーバの製品管理用データベースには、建設現場の敷地情報、建設工事の工程表情報、製品の出荷情報、製品情報、及び前記製品の管理業務を支援する管理支援情報が前記長距離通信用RFIDのコード名と関連づけられて格納されていることを特徴とする請求項3又は4の建設現場管理システム。
【請求項6】
前記第1の読取手段は、前記製品に取り付けられた前記RFIDタグの長距離通信用RFIDから前記製品のRFIDコードを読み取ると共に、前記製品管理用データベースに格納されている前記管理支援情報の中から製品を搬入する搬入エリア及び搬入時期を参照して前記工程表情報として表示すると共に、候補となる製品保管位置を前記敷地情報と合わせて表示することを特徴とする請求項5の建設現場管理システム。
【請求項7】
前記第2の読取手段は、前記短距離通信用RFIDとの間で数10cm距離の読み取りが可能であると共に、前記短距離通信用RFIDにのみ反応する周波数に対応したRFID読取り機能、読取った情報を一時的に格納して関連情報の呼び出しや必要機能の起動を行う情報処理機能、工事進捗管理を支援する支援機能、前記管理サーバとの間で通信する通信機能、及び前記工事進捗管理を支援する機能により出力される情報を表示する表示機能を備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1の建設現場管理システム。
【請求項8】
前記管理サーバの作業管理用データベースには、建設現場のエリア工程、工事施工図、3D−CAD、周辺作業の進捗情報、資材の管理点に関する工事進捗管理を支援する支援情報が前記短距離通信用RFIDのコード名と関連づけられて格納されていることを特徴とする請求項7の建設現場管理システム。
【請求項9】
建設現場で建設資材や据付け機器等の製品を管理するための建設現場管理方法において、
請求項1のRFIDタグ全体である本体管理用RFIDタグの長距離用RFIDコード名と管理サーバのデータベースに格納された製品管理情報とを関連づける第1の工程と、
前記関連づけの終了した本体管理用RFIDタグを前記製品の製造工場において該当製品に取り付ける第2の工程と、
前記本体管理用RFIDタグを取り付けた製品を前記建設現場に出荷する第3の工程と、
前記建設現場において前記本体管理用RFIDタグの長距離通信用RFIDコード名を第1の読取手段で読み取って前記建設現場に入庫する製品を確認すると共に確認結果を前記データベースに記録する第4の工程と、
前記建設現場に入庫した製品を該当工事現場又は仮保管エリアに搬送する第5の工程と、
前記本体管理用RFIDタグから短距離用RFIDを備えた複数の部分管理用RFIDタグを切り離す第6の工程と、
前記切り離された複数の部分管理通信用RFIDタグコード名ごとにデータベースの管理点情報を関連づける第7の工程と、
前記部分管理用RFIDタグのコード名を第2の読取手段で読み取って製品の管理点の場所及び数を確認する第8の工程と、
前記確認した部分管理用RFIDタグをそれぞれの管理点に取り付けると共に切り離された後の本体管理用RFIDタグを回収又は廃棄する第9の工程と、
前記部分管理用RFIDタグが取り付けられた製品について据付け工事を実施すると共に、工事の進捗状況を前記データベースに記録する第10の工程と、の各工程を製品ごとに実施することを特徴とする建設現場管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−158569(P2008−158569A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343211(P2006−343211)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】